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2022年1月13日 第127回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和4年1月13日(木)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール13A」(オンライン)

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、神村構成員、坂井構成員、佐藤構成員、真田構成員、柴田構成員、田島構成員、藤原構成員、松山構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官


【議題】

1.総括報告書の評価について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.先進医療の取下げについて
5.その他
 

【議事録】

○山口座長
 それでは定刻となりましたので、ただいまから第127回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。本日の構成員の出欠状況ですが、本日は、飛田英祐構成員より御欠席の御連絡を頂いております。また、本日は技術専門委員として村田満委員に御出席いただいております。本日は18名の構成員のうち、現在の時点で16名が出席しておられますので本会議が成立していることを申し添えます。
 それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
配布資料につきまして確認させていただきます。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、総括報告書の評価については資料1-1~2-3、試験実施計画の変更については資料3~7、協力医療機関の追加については資料8-1及び8-2、先進医療Bの取下げについては資料9、令和4年度先進医療技術審査部会開催予定表は資料10、会議資料の最終ページは70ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、告示番号旧47及び旧17の技術、大阪大学医学部附属病院からの総括報告に関して、上村尚人構成員、真田構成員におかれましては、非常勤として御所属の医療機関ということですので、審議の際は一時御退席いただければと思います。また、告示番号旧17の技術について、一色座長代理より御報告がありましたが、50万円以上500万円未満でしたので、議事の取りまとめのみ加わることができません。なお、上村夕香理構成員、松山構成員からも御報告がありましたが、いずれも50万以下でしたので当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。

(確認)

○医政局研究開発振興課課長補佐
 それでは、該当なしということで承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、又はタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等がございましたらお知らせいただきますようお願いいたします。また、WEB会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。以上でございます。
 
○山口座長
 では、早速、議事に入りたいと思います。総括報告書の評価結果について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課課長補佐
 御説明いたします。資料1-1の15ページです。先進医療Bの総括報告書に関する御評価をいただきますのは、告示番号旧47「マルチプレックス遺伝子パネル検査」です。申請医療機関は、大阪大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が坂井構成員、副担当が上村夕香理構成員、技術専門委員が村田委員となっております。なお、冒頭に申し上げたとおり、上村尚人構成員、真田構成員におかれましては、御所属の医療機関との関係で、本議題の審議に際し、御退席いただきたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
(上村(尚)構成員、真田構成員 一時退席)
 
○医政局研究開発振興課課長補佐
 それでは、資料に沿って御説明させていただきます。試験の概要については、資料1-1のほか、資料1-3の29ページの概要図も併せて御覧ください。医療技術の概要です。16歳以上で全身状態良好の治癒切除不能の進行・再発の難治性固形癌を有し、標準治療がない、標準治療が終了している、もしくは終了が見込まれる患者を対象とし、がん組織のホルマリン固定パラフィン包埋ブロック(FFPE)を研究試料とする。DNAとRNAを抽出し、がん遺伝子パネル検査(OncomineTM Target Test)を次世代シークエンサー(Ion PGMTM Dx Sequencer)を用いて行った。遺伝子解析結果に臨床的意義づけを行い、Expert Panelにより審議を行い、レポートを作成した。本がん遺伝子パネル検査が、個々の患者の将来的な治療選択のための検査として実施可能かについて、実地臨床において検証する。
 主要評価項目は、全適格検査例を対象にアクショナブル遺伝子異常を有する患者の割合です。補注ですが、アクショナブル遺伝子異常の定義は、適応有無に関わらず、搭載遺伝子46遺伝子のうち、以下の基準を満たす34遺伝子として、治療薬・治験薬の存在する遺伝子、次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づく「がん診療ガイダンス(第1.0版)」に記載されている遺伝子(治療効果3A以上及び診断・予後4以上)とあります。副次評価項目は、1)全登録例と全適格例を対象としたアクショナブル遺伝子異常を有する患者の割合等、以下にお示しするとおりです。目標症例数は200例で、登録症例数は222例となっております。試験の概要については以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では、本技術の評価について、主担当の坂井構成員から説明をお願いいたします。
 
○坂井構成員
 よろしくお願いいたします。繰り返しになりますが、本研究は、対象が16歳以上で全身状態良好の治癒切除不能の進行・再発の難治性固形癌を有しており、標準治療がない、標準治療が終了している、もしくは終了が見込まれる患者を対象としております。その患者さんたちの手術選定、又は生検の材料組織を研究試料として、DNAとかRNAを抽出して、がん遺伝子パネル検査(OncomineTM Target Test)を、次世代シークエンサーを用いて行ったという研究です。
 このOncomineTM Target Testシステムについては、非小細胞肺がん治療薬の適応判定を行い、コンパニオン診断システムとして承認されているオンコマインDx Target TestマルチCDxシステムの研究用試薬であるということです。本技術については、部会資料の29ページに概要図がございますので御覧ください。
 薬事承認申請の範囲としましては、本がん遺伝子パネル、次世代シークエンサー、解析プログラム、ここまでが承認申請の範囲とされています。またタブレット資料の26ページと28ページに、本研究における資料と情報の流れが図示されておりますので、併せて御覧ください。
 遺伝子解析結果は、Expert Panelにおいて臨床的意義づけが行われて、研究事務局を介して担当へ報告されます。本研究では、この検査により明らかになった遺伝子異常において、将来的な治療選択が可能かということを検討しています。
 先ほどもございましたが、OncomineTM Target Testシステムに、臨床的有用性の高い46遺伝子が搭載されて、この中のRNA遺伝子を有する患者の割合を主要評価項目としています。目標症例数は200例で、本試験において全適格例は222例、このうち、遺伝子解析検査が行われて結果が得られた全適格検査例は199例という結果でした。
 研究の結果ですが、主要評価項目である全適格検査例を対象としたアクショナブル遺伝子異常を有する患者の割合は44.7%(95%信頼区間は37.8-51.6%)であり、95%信頼区間の下限値は事前に設定した閾値20%を上回る結果でした。
 その他、副次評価項目に設定した全適格検査例を対象としたシークエンス成功割合は196例(88.3%)、がん種別の遺伝子異常割合は、多いもので、膵臓が86.4%、肺が72.7%、胆道が68.4%、腸が59.5%などでした。
 遺伝子異常に対応する治療薬の治験が国内に存在した患者数は、全がん種を合わせて29例、そのうち2.5%に治療薬・治験薬が投与されました。新しい治療法、治験薬の有無については、キュレーターと呼ばれる治験や臨床研究の情報収集を担当する医師が、遺伝子異常が検出される度に候補薬剤を検索するという体制をとって確認されたそうです。
 評価です。有効性に関する評価ですが、術前に設定した閾値を上回る結果が得られていますので、一定の有用性は確認できたと判断いたしました。保険収載されたがん遺伝子パネル検査との比較がなされておりませんので、従来の医療技術との有効性の比較は困難ですが、インプットされた検査に必要なDNAやRNAの必要量が10ngと少量であるにもかかわらず、全適格例を対象としたシークエンス成功割合は88.3%と非常に高かったことから、従来技術に勝るケースもあるのではないかと考えて「B」といたしました。
 次に、安全性についてですが、本技術は生検や手術で採取された余剰検体を用いますので、特に問題はないと考えて「A」といたしました。
 技術的成熟度については、エキスパートパネルによる解析結果への臨床的意義づけに関して高い専門性が求められると考えましたので、「B」とさせていただきました。私からの評価は、一旦、以上とさせていただきます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の上村夕香里構成員より御評価をお願いいたします。
 
○上村(夕)構成員
 上村です。よろしくお願いします。お手元の資料の19、20ページを御確認ください。有効性については「E」その他といたしました。結果の概略については、先ほど坂井構成員より御説明いただいたとおりです。主要評価項目であります全適格検査例を対象としたアクショナブル遺伝子異常を有する患者さんの割合は44.7%(95%信頼区間:37.8-51.6%)と推定され、この下限値の37.8%は事前に設定した閾値20%を上回る結果となっております。閾値20%の設定は、症例数設定環境として実施計画書に記載がありますとおり、OncomineTM Target Testシステムと類同のIon Torrentプラットフォームのがん遺伝子パネル検査で解析が行われたNCI-MATCHが試験前に参考にしていた、既存のTCGAの各がん種のアクショナブル遺伝子異常の検出割合を参考資料として設定されております。この数値を根拠としていることに一定の妥当性はあると考えられますが、試験に組み入れられる症例のがん種の違い等で、適切な閾値、検出される異常割合は変動する可能性があることが想定されます。
 全適格検査例を対象としたがん種別の遺伝子割合に対する治療薬の治験等が国内に存在した患者さんが29例(14.6%)、全適格検査例を対象にした治療薬・治験薬が投与された例数(割合)は、件数が5件(2.5%)との報告でした。これらの結果についても、既存のがん遺伝子パネルで報告された数値と比較しても有効性が高いとはいえず、また、既に保険収載されているパネル検査技術との直接比較がなされていないことからも、従来の医療技術と比較して、有効とも劣るとも判断する根拠はないと考えて「E」といたしました。
 なお、本研究は目標症例数が200例のところ222例と、10%を超えての症例等がありましたので、本件を確認しましたところ、200例の登録終了を各施設に連絡するまでに、既に提出された検体が複数あり、それを本解析に含めたために、222例の登録数になったとの回答を頂いております。
 次に安全性ですが、本技術は余剰試料を用いた検査技術であり、安全性については「A」の問題なしといたしました。最後に、技術的成熟度ですが、ほかの遺伝子パネル検査と同様に、エキスパートパネルについては高い専門性が求められると考えられ、「B」といたしました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、村田技術専門委員より御評価をお願いいたします。
 
○村田技術専門委員
 技術専門委員の村田です。よろしくお願いします。私からは、評価の20ページの所に簡単にコメントしてありますが、今、既にお二人から御説明いただいたとおりです。有効性については、私の場合は、従来の医療技術を用いるよりも、やや有効であるという「B」としました。これは実際に、これまでに保険収載されたものと直接の比較はできておりませんので、確かにEという判断は考えたのですけれども、Bで、やや有効であるということに今回はさせていただいております。比較が難しいので、このような形にしたという判定です。安全性については、これは体外診断薬ですので、特に問題はないと思います。
 技術的成熟度については、狭い範囲での技術で、すなわち解析技術等については「A」でよいと考えました。確かに、今、御指摘があったように、エキスパートパネルを含めた全体のシステムの技術面の評価ということになると、Bという評価もありかと思うのですが、これは検査技術の技術的になるものと狭く考えて「A」の当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば実施できると評価しました。この工程表を詳しく見ても、病理検体の採取、検体の移送、そして解析、Expert Panelへの提出、そして実際の解析結果の報告と、そういった辺りの流れも非常にきっちりと書いてあって、また検体のゲノム分析そのもののことも、CAPの認証を得たものでやっているということが、記載されていて適切かと思います。必要なDNAの量は、これは非常に大事なポイントだと思うのですが、総括報告書の41ページに、DNAの成功・不成功を、シークエンスの成功例・不成功例別に、必要なDNA、RNA量が記載されております。確かに、10ngのDNAで解析可能というコメントもありますが、実際に見てみますと、成功例は2例で35.3ng/μL、これは全体量が30μLですので、1,000ngぐらいを使っているということになると思うのです。下限が分からないですが、このぐらいの量は実際に使うのではないかと思います。こういった量は、恐らく現在、保険収載されている、例えば遺伝子パネルとの比較と近い値かと判断ができます。それからDNA・RNAの質の担保の話ですが、これも総括報告書の39ページに詳しく書いてありまして、検体採取から検出までの時間が延びてくると、その分、たくさんの劣化が起きてきて、それで成功例が減ってくるという問題も、これはリーズナブルで、こういった逆相関するというデータの復元もできます。この辺りも評価の未記入のデータであると思いました。少し長くなりましたが、以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは坂井構成員から、もし何か追加のコメントなどがありましたらお願いいたします。
 
○坂井構成員
 ありがとうございます。総合的なコメントになりますが、本技術は現在、保険収載されている遺伝子パネル検査と直接比較されておりませんので、大幅に有効とは考えにくいのですが、ある程度の有用性は示しておりますので、また、今、村田先生からもお話がありましたように、従来の技術よりも少量の検体での検査が可能であることから、有効性が認められる症例もあるのではないかと考えます。もともと、今回の研究においては、がん種ごとに十分な症例数を集積できておりませんので、今後、更に臨床データの集積がなされて、がん種ごとの有用性や有効性が示されることを期待したいと思います。
 薬事承認申請の効率化に資するかどうかという点なのですが、この点を照会しましたところ、現在サーモフィッシャー社により承認申請が行われておりまして、本研究結果が参考資料として提出されたということでした。PMDAからの照会がありまして、そのために追加試験が必要となったということで、現在サーモフィッシャー社内で今後の戦略について検討中であるという報告を受けているそうです。本技術の強みとして、より少量での検体での検出が可能でありますので、追加試験で低侵襲な生検にも対応し得るという点が判明されれば、承認申請のデータにも資するのではないかと考えます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問などはありますか。天野先生、どうぞ。
 
○天野構成員
 御説明、ありがとうございました。一点、質問がございます。資料の23ページで質問が出ているのですが、「本研究は16歳以上の患者を対象とした。その理由として、AYA世代の治療選択に繋がることを期待するという旨の記述があるが」ということで、それに対する回答としては、AYA世代とは言っても、結局は30代の患者さんしかいなかったということになるかと思うのですが、20代や思春期の10代の患者さんについて、本研究の結果から有用性もしくは有効性は、何らかの示唆は得ることは可能なのでしょうか、それとも分からないのでしょうか。その辺りについて教えていただければと思います。
 
○坂井構成員
 ありがとうございます。私が確認できたものは、このリンク外で、10代、20代での有効性が示せたという御回答は頂いておりません。以上です。申し訳ございません。
 
○山口座長
 1つは、やはり若年者は、がんがそもそも頻度が低いので、今回、たまたま集まらなかったということはあるのかもしれませんね。よろしいですか。
 
○天野構成員
 分かりました。ありがとうございます。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。非常に少ないサンプルでできるというのは、将来的には大きなメリットになる可能性もあると思います。どなたか御発言はありますか。よろしいでしょうか。3人の先生、皆様が大体同じようなコメントだったと思います。
 それでは、告示番号旧47については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて先進医療会議に御報告いたします。
 また、村田技術専門委員におかれましては、御多忙のところ、御出席いただきましてありがとうございました。以降は御退席いただいて結構でございます。本日はどうもありがとうございました。
 
○村田技術専門委員
 ありがとうございました。
 
(村田技術専門委員 退席)
 
○山口座長
 では、続きまして、次の総括報告書の評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは、御説明いたします。資料2-1の31ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧17「周術期カルペリチド静脈内投与による再発抑制療法」です。申請医療機関は、大阪大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が藤原構成員、副担当が柴田構成員となっております。なお、上村尚人構成員と真田構成員におかれましては、引き続き御退席いただくこととさせていただきます。試験の概要については、資料2-1のほか45ページの資料2-3、概要図も併せて御覧ください。
 医療技術の概要です。非小細胞肺癌完全切除例に対する手術療法はすでに確立した治療法であるが、根治術を施行できても約半数に再発を認めているのが現状である。周術期に転移再発抑制を講じる治療法は未だ確立されていない。本試験では、非小細胞肺がん患者を対象にカルペリチド(ハンプ)を手術2時間以上前から72時間を目標に持続静脈内投与を行うランダム化比較試験を行い、肺癌手術の術後再発抑制としてのハンプの有効性と安全性を検証する。主要評価項目は、術後2年無再発生存期間、副次評価項目は、1)術後合併症発生率(有害事象)等、お示しするとおりです。目標症例数は当初500例でしたが、登録症例数は335例となっています。試験の概要については以上です。
 
○山口座長
 では、本技術の評価について、主担当の藤原構成員から御説明をお願いいたします。
 
○藤原構成員
 今、事務局からも説明がありましたように、実際のランダム化の流れはお手元の資料2-3の45ページを御覧ください。対象となっている患者さんというのは、非小細胞肺がん患者で完全切除を予定されている患者さんで、20歳以上でECOG-PS:0~2、これは外来で通院できるレベルの方だと思いますが、それで他の活動性の悪性腫瘍がない方に対して、この臨床試験は組まれております。ハンプの使用群と手術単独群、プラセボである無作為化オープン試験ですが、手術単独群のランダム化、ハンプのほうは手術2時間以上前から72時間、この投与量で行われています。それで、オペで完全切除が行われた症例について、術後の経過を見ていくと。未施行若しくは完全切除不能の場合には、安全性はフォローしますが、有効性は見ていないという内容です。
 主要評価項目は、術後2年の無再発生存期間、その曲線をカプラン・マイヤーで書いてログランク検定するというのが主要評価項目になっております。結果等については、安全性、有効性について、それぞれお手元の資料の31ページと32ページに詳細を書いてあります。32ページのほうの有効性の評価結果ですが、実際にはカプラン・マイヤー曲線で見たほうがいいのですけれども、手術単独群とハンプ投与群で、術後2年の無再発生存期間に関しては、統計学的に有意差は認めておりません。
 31ページのほうを見ていただきたいのですが、安全性については、335例の登録症例のうち、実際は330例を対象に行われていて、両群間で様々な項目について、やはりハンプ投与群のほうが多いことを経験されています。31ページの下のほうに書いていますが、特に血圧低下は、明らかにハンプのほうが多いです。それから中段辺りに、これはハンプ投与群ですが、心血管合併症のA群が11例(6.7%)、B群が6例(3.6%)で、「大きな差を認めず」と書いていますけれども、これも統計学的に有意差はありませんでした。
 後から少し触れますが、これは先進医療技術審査部会でも議論されたことがありますけれども、脳梗塞症例は明らかにハンプ症例のほうが多かったというような内容になっております。結果の概略は以上です。あとは副担当の柴田先生の解析、それから主担当である私の解析の順で、評価をお話ししたいと思います。
 
○山口座長
 それでは、続いて副担当の柴田構成員より御評価をお願いいたします。
 
○柴田構成員
 柴田です。今、表示されていますが、資料の35ページです。有効性については「E.その他」としております。因果関係が否定できない有害事象が発生していること、また、約3割の患者でハンプ(hANP)の投与を中止せざるを得なかったこと等を踏まえると、有効性が証明されていない以上、従来の医療技術に上乗せする意義はないと判断せざるを得ないと考えています。
 安全性は「C」で問題あり。重い副作用、合併症が発生することがあるという判断をしております。脳梗塞は手術単独でも発生し得る事象ではありますが、藤原先生からも御指摘があったように、ハンプ投与により頻度が増える可能性があり、低血圧性ショックが生じた方もいらっしゃいます。また、それ以外に、結局、血圧低下は非重篤とはされていますが4割に発生し、全体の3割がハンプ投与中止になっているので、得られる効果に見合わず、許容できないと判断いたしました。
 技術的成熟度ですが、これも「D」その他としております。本試験で得られた結果を踏まえると本技術は実施できる状況ではなく、また総括報告書においても、いろいろな複数の解析をされておりますが、将来的に検証試験を行うことは困難との考察を申請医療機関自らがされています。先ほどの副次的解析等によっても、どのような対象に使えば効果が期待できるかということは示し得ていないので、現状の解析結果から更に開発を進めるということはあり得ないだろうと思います。
 結論についてのコメントですが、ハザード比が0.94ということで、カプラン・マイヤーのプロットを見ると、見た目上はハンプ投与のほうが少し上回っているようには見えるのですけれども、事前に想定していたハザード比が0.5になる、再発、死亡が半分になるというところまでの効果は得られておらず、期待したとおりの効果が得られなかったという結論を導かざるを得ないと思います。このようなことは、探索的研究によって効果が期待されたとしても検証試験をやると同じ結論に至らないということは少なからずありますし、そういうことがあるとは思いますが、先ほど申し上げたような理由で、更なる開発ができるような状況ではないかなと思っております。私からは以上です。
 
○山口座長
 それでは、藤原構成員から追加のコメントをお願いいたします。
 
○藤原構成員
 33ページの私の評価表、今、皆様方の画面にも出ておりますが、そちらを御覧ください。有効性については「D」で、従来の医療技術を用いるよりも劣ると判定いたしました。先ほど柴田構成員も御指摘されていましたが、コントロール可能とはいえ、ハンプ投与しない群(手術単独群)と比較して、明らかに多数の血圧低下が認められていると。それから、総括報告書の59ページを御覧いただければと思うのですが、実際のカプラン・マイヤー曲線が書いてありますが、relapse free survaivalが両群で全く統計学的な有意差がありませんので、有効性という観点からすると、低血圧がこんなに起きるのにのに有意差がないということから、私は手術単独群には劣ると判断いたしました。
 安全性のほうに話題を移したいと思います。一番たくさん安全性の情報があるのは、総括報告書の86ページ、重篤な有害事象の個別症例の一覧がありますので、詳細はそちらを御覧いただければよいのですが、私の判定は「問題あり」にしております。コントロール可能とはいえ、手術単独群では発生していない血圧低下がハンプ使用群では45%の症例であったと。これはその他の有害事象に分類されていますが、91例のうち61%でハンプ投与の減量をせざるを得なかったし、44例が低血圧のうち投与中止があるのですけれども、35例が低血圧のために投与中止となっていると。総括報告書の95ページですが、脳梗塞の症例も、左の肺がんのオペでは肺静脈の断端が長くなって、そこに血栓がたまって脳梗塞を起こしやすいという報告はあるものの、ハンプ投与群で4例の脳梗塞が発生しています。うち1例は独立安全性モニタリング委員会で因果関係なしとはされていますが、3例、ハンプ群のみで発生していることを考えますと、この治療法が安全であるとはなかなか言えないと思います。
 34ページに技術的成熟度に関する解釈をしております。肺がんのオペ自体が、より出血量をコントロールしながらやるという非常に難しいオペなので、当該分野を専門として数多くの経験を積んだ医師若しくは医師の指導下であれば実施できるという判定をしております。さらに、この血圧低下は、私も昔、肺がんのオペにはたくさん入ったことがありますが、通常はドライサイドで輸液の管理をするのですけれども、そういう中でこの治療をやっていく、特に血圧が下がったときの補液をしっかりしながらやっていくというのはかなり練度が高いオペ室でないといけないでしょうし、周術期の患者さんの管理というのも結構大変だろうなと読んでいて思いました。それでこういう判定をしております。
 最後の総合的なコメントですが、ここは読ませていただきます。この部会でも皆さんに何度も議論していただいたと思いますが、特定研究不正が、背景になる論文、あるいは根拠となる論文の基礎研究部分で見つかって、結局この試験に関しては中止になっているわけです。ここに書いてありますように、本臨床試験を開始するにあたって、研究背景となった参考論文「European Journal of Cardio-Thoracic Surgery」、これは去年の6月14日に、特定研究不正によって論文取り下げになっています。去年11月には根拠論文が、基礎研究部分に特に不正があったということで、これもPNASから取り下げになっています。こういうことが起きたということは非常に残念だと思います。ただし、今回、総括報告書全体を見させていただきましたが、先進医療Bとして行われた臨床試験の本体、ランダム化比較試験については非常に適切に管理・運営・解析されたと判断しており、根拠参考論文の所がなければもっとはっきりとした結果が得られたのではないかなと思っております。最後の薬事承認申請の所ですが、この結果では薬事承認申請の効率化に資することはないと考えます。以上です。
 
○山口座長
 ただいまの御説明について、何か御質問などはありませんか。いかがでしょうか。天野先生、どうぞ。
 
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。最後に藤原先生からの御説明で、総合的なコメントということで、先進医療分野については研究活動上の不正行為はなかった、適切に管理、運営されたと判断されたということなのですが、申し上げるまでもないことなのですけれども、そもそもこの試験を開始するに当たっての根拠論文に不正があったわけで、今回の試験で有害事象として、脳梗塞とか低血圧性ショックに遭われた被験者の方は、そもそもこの試験に入らなければそういった目に遭わなかった可能性があるわけで、全く割に合わないというか、そういった有害事象に遭われてしまっているということは大変痛ましいことだと思います。こういった方々に対して適切な説明をするのみならず、適切なフォローが必要だと考えますので、是非、その辺りは厚生労働省から、この研究機関に指摘をするようにお願いいたします。以上です。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局より申し伝えさせていただきます。ありがとうございます。
 
○山口座長
 非常に重要なポイントだと思います。結構、低血圧は起きていますし、こういう病態の人には非常に危険になる可能性があります。実際に脳梗塞も起きているので、参加された方には大変な御迷惑をお掛けしたことは事実だと思いますので、そこは最もきちんと説明しなければいけないと思います。事務局のほうでよろしくお願いいたします。ほかにございませんか。これは随分長い間、いろいろな議論があって、非常に印象深いケースでしたが、よろしいでしょうか。それでは、告示番号旧17については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。では、上村尚人構成員、真田構成員にお戻りいただくことといたします。
 
(上村(尚)構成員、真田構成員 入室)
 
○山口座長
 続いて、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。今回、試験計画等の変更申請が5件提出されております。資料3の47ページを御覧ください。国立国際医療研究センター病院からの申請で、告示番号14の「腹膜偽粘液腫に対する完全減量切除術における術中のマイトマイシンC腹腔内投与及び術後のフルオロウラシル腹腔内投与の併用療法」です。適応症は、腹腔偽粘液腫(画像検査により肝転移及びリンパ節転移が認められないものであって、放射線治療を行っていないものに限る。)です。御審議いただく主な変更内容については、48ページを御覧ください。(1)収集すべき有害事象の評価時点の修正、(2)誤記修正、記載整備とあります。
 変更申請の理由としては、(1)収集すべき有害事象について、試験関係者で協議の上、初回発現日ではなく最悪グレードが確認された時点の評価が重要と判断されたため、当該箇所の修正が必要と判断した。(2)症例数の設定根拠としては片側0.05との記載があり、主解析の方針と不整合があるため初版のプロトコール作成時の統計解析責任者に確認したところ、症例数の設定について、αエラー両側0.05で設定しており当該箇所の誤記であると判明したため修正が必要と判断した。その他、臨床研究法施行後、当該法に準拠しているが、研究計画書上明確な記載がないため、あわせて記載整備を行ったとあります。以上です。
 
○山口座長
 ただいまの変更内容につきまして、何か御意見はございますか。よろしいでしょうか。特に大きな問題はないと思います。特にないようですので、告示番号14の変更について認めることといたします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料4の49ページを御覧ください。富山大学附属病院からの申請です。告示番号22の「ハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建術」です。適応症は、再発翼状片(増殖組織が角膜輪部を超えるものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については、50ページを御覧ください。1)症例登録期間・研究実施期間の延長。症例登録期間は、2016年1月から2026年12月、登録期間については2025年9月までの延長です。2)使用可能薬及び疾病の取扱いの変更。具体的には、風邪、腹痛・下痢時の頓服の使用、コロナワクチン接種後の解熱剤など、実施している研究とは因果関係のない疾病に対しての新たな併用薬・併用療法、疾病をCRFに記載しないこととした。3)ドナーICの説明文を臨床研究のみに変更。「ヒト胎盤組織の基礎研究」と「ヒト乾燥羊膜の臨床研究」の両方の研究のICを1つの説明文・補助資料で同時に取得する形式であった。4)通常診療時の検査結果の利用について。診断・治療効果を評価する際に、一般診療でも使用している一部のデータを同意取得時前3か月以内のものに限り利用することとした。5)記載整備(誤記修正、人事異動)です。
 変更申請する主な理由としては、1)症例登録期間・研究実施期間の延長。現在、予定している40症例中の約半分しか集まっておらず、コロナ禍のため対象手術の優先順位が低くなり、症例登録が遅れているためで、月別登録数、累積登録数の推移は51ページにございます。2)使用可能薬及び疾病の取扱いの変更。手術後に長期観察期間(12か月)を有するため、本研究との因果関係が明らかに否定できる施術後数か月後の感冒や下痢などの症状は、研究責任医師により安全性・有効性に関連しないと判断できるため。なお、研究責任医師の判断はモニタリングにおいて確認し記録に残す。3)ドナーICの説明文を臨床研究のみに変更。当初、同時に取得していた基礎研究の同意を分離して取得するようにしたため。4)通常診療時の検査結果の利用について。通常の一般診療(保険収載の凍結保存羊膜による診療や治療)においても、3か月以内の診断データを利用可能としているため、また、データを取り直すことによる患者への経済的及び身体的負担が軽減できるためです。とございます。以上です。
 
○山口座長
 この変更内容について、何か御意見はございませんか。コロナの影響が大変大きいようで、51ページの登録の状況を見ましても、確かにコロナが始まってからフラットに近くなって、ほとんど症例が入っていない状況です。今は半分ちょっとにきていますので、状況がよくなったらやれるだろうということです。御質問、御意見はございませんか。特にないようですので、告示番号22の変更について認めることといたします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料5の53ページを御覧ください。滋賀医科大学医学部附属病院からの申請です。告示番号58の「糞便微生物叢移植」です。適応症は、再発性Clostridioides difficile関連下利症・腸炎です。
 御審議いただく主な変更内容については、54ページを御覧ください。(マル1)研究期間の延長。症例登録期間、試験治療期間、追跡期間、総研究期間を、それぞれ2年間の延長です。(マル2)凍結便の利用の手順に伴う変更。1つ目のポツは、凍結する場合です。グリセリンを濃度10%になるように添加・混和、200mLから250mLの容量に分注し、マイナス80度で凍結する。なお、新鮮便における糞便微生物叢移植(FMT)実施の場合にあって、微生物抽出液の量が500mL以上となる場合は、2回目のFMTのために250mLを分注し凍結することを許容する。2つ目のポツは、採取後の温度管理です。凍結便とする場合、採取後6時間以内にマイナス80度で凍結する。凍結期間は凍結日から1年以内とし、それ以降は廃棄する。解凍は、37℃恒温槽で1時間とする。3つ目のポツは、糞便採取からFMTまでの時間です。凍結する場合、糞便採取後6時間以内に処理し凍結する。FMTは凍結日から1年以内、解凍後は速やかに実施する。(マル3)微生物叢抽出液の投与法の修正です。変更前は、微生物叢抽出液は基本的に盲腸から全量投与を行うこととする。変更後は、微生物叢抽出液は基本的に盲腸から250mL程度行うこととする。マル4は費用変更です。マル5は人事異動、施設更新、凍結便使用などに伴う記載整備、誤記修正です。
 次に、変更申請する理由です。(マル1)研究期間の延長。本先進医療の適応症は感染によって生じるものであるが、コロナ禍に伴い、各感染対策が強化されたことから、症例の発生件数そのものが減少しており、患者の登録が進まない状況にあり、研究期間の延長が必要と考えられるため。(マル2)凍結便の利用の手順に伴う変更。凍結便を利用するための手順の追記が必要になるため。(マル3)微生物叢抽出液の投与法の修正。凍結便を利用することによる微生物叢抽出液の投与量の記載整備のため。(マル4)費用変更。凍結便を利用することによる所要の費用変更のため。(マル5)人事異動、施設更新、凍結便使用などに伴う記載整備、誤記修正です。申請医療機関及び協力医療機関の各人事異動、施設更新、凍結便使用に伴う記載整備のため。以上です。
 
○山口座長
 本変更内容について、何か御意見はないでしょうか。伊藤先生、どうぞ。
 
○伊藤(澄)構成員
 先週、資料を頂いたのですが、本試験は、令和元年の12月に最初の申請があったもので、再発性のCDI腸炎を対象としたFMTです。糞便を提供するドナーをレシピエントが自分で探して、そのドナーの病原微生物管理することを前提として計画されて、先進医療として実施されたと認識しています。今回、実施例が少なかったから、ドナーの便を凍結保存し、その便を解凍して使用する。ドナーが見付からない場合は、保存した凍結便を使用できるということに、変更されています。
 FMTにとって糞便の管理そのものは、投与する医薬品の管理に相当するものだと認識していますので、今回の投与物が生から凍結のものになるという大幅な変更があったので、計画の変更レベルではないのではないかと憂慮いたします。
 もう1つは、文献として追加されたJAMAの2016年の文献が、タブレット資料855ページの文献の32なのですが、新鮮便と凍結便の比較試験が行われているのですが、そのときの中身を見ますと、JAMAのときの凍結便はグリセリンを使わずにマイナス20度で管理されて、最大30日以内に投与されるのに対して、変更計画はグリセリンの濃度が10%になるように添加・混和し、200mL~250mLの容量に分注して、マイナス80度で凍結する。しかも、凍結期間は投与日から1年以内としてそれ以降は廃棄するとなっていますが、そういった既存の論文に比べても、品質の担保がしっかり管理されているのかどうかについて資料がなくて、よく分かりません。
 こういった変更を承認した滋賀医大の認定臨床研究審査委員会で、この変更計画をどの程度、詳細に判断されて、この部会に提出してきているのかよく分かりません。少なくとも品質の確保について、どのように考えられたのかというのを教えていただく、少なくともCRBの申請記録なども確認していただかないと、なかなか「そうですか」とは言いにくいのではないかという気がします。
 個人的には、計画の変更と言うよりは、悪い言い方をすると、生肉のステーキを提供するレストランが、グリセリンを添加した冷凍牛肉に取り換えますというように書いているように思えるので、別研究としての評価をしたほうがいいのではないかと認識します。ここ何日かで見た感じではあるのですが、そういった印象が拭えないというのが今の判断です。
 
○山口座長
 誠に適切な、分かりやすいコメントを頂きました。ありがとうございます。これについて、どなたか御発言はございませんか。田島先生、どうぞ。
 
○田島構成員
 この変更申請を拝読しまして私も伊藤先生と同じように疑問を感じております。従前は、レシピエントが自らドナーをお連れして移植当日に新鮮便の提供を受ける手順であったのに対し、本変更では凍結便を未知のドナーから提供することを可能にする点で違いがありまして、これは何れも、重要な変更であり、同一の臨床研究の枠内で、先程言ったような対象の変更を許容できるとは考えにくいと思います。加えて今回の変更申請について、変更理由の説明もございません。また、今回試験期間を延長される理由は患者の登録が進んでいないためとされていますが、コロナ禍で症例の発生件数そのものが減少し、この間全く登録がなかったわけですけれども、コロナの終息見通しが立っていない現時点で2年延長したところで登録は進まないと思いますので、改めて仕切り直しを考えるべき案件だと思います。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。伊藤陽一先生、どうぞ。
 
○伊藤(陽)構成員
 私も申請時に副担当しましたが、伊藤澄信先生に御指摘していただいたように、投与物の準備と言うか、投与物がかなり大きく変更になっているので、別の治療というように考えてもいいのではないかと。参考文献のほうも、澄信先生に確認していただいて、凍結条件等も違うということなので、マイナス80度で凍結した糞便が有効に働くのかどうかということについて、まずそういう研究をやってから、実際の患者に適用するという形にしないと、何をやっているのかよく分からないと思いますので、そこら辺のところを含めて、申請者の方には検討していただきたいと思います。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。
 私も最初は勘違いをしておりました。申請理由というのがマル1~マル5とありますが、マル2は手順の変更のように読めたり、マル3は投与法の修正ということで、既にあるものをちょっと変えただけという印象があったのですが、もともと凍結便は使用する予定がなかったということです。今、伊藤先生が述べられましたように、かなり大きな変更になりますし、それで大丈夫なのかという疑問もあり、大きな問題を抱えているのではないかと思います。これについて、ほかの構成員の先生から御発言はございますか。
 このままの形で直ちにお認めするわけにはいかないと思いますので、今、構成員の先生から御指摘があったところについて、きちんと説明してくださいということと、CRBでどのような検討が行われたのかを確認した上で、もう一度お諮りするということでいかがでしょうか。

 (異議なし)

○山口座長
 皆様の御同意が得られたようですので、告示番号58の変更については、今回は認めることはしないで、問い合わせた上で検討するということにしたいと思います。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料6、57ページを御覧ください。岡山大学病院からの申請です。告示番号65の「マルチプレックス遺伝子パネル検査」です。適応症は、進行再発固形がん(治療法が存在しないもの又は従来の治療法が終了しているもの若しくは従来の治療法が終了予定のものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については、58ページを御覧ください。1)実施期間の変更。患者登録期間、研究実施期間を、それぞれ9か月延長いたします。2)その他記載整備。
 変更申請する理由としては、1)中四国及び九州地区を中心に症例の相談や紹介があり、2021年12月20日までに140例の症例登録が完了している。しかしながら、2021年7-8月をピークとした新型コロナウイルス感染症の流行拡大(第5波)によって、県をまたぐ移動が制限されたことなどの影響から症例登録数が減少したこともあり、残り3か月で試験完遂となる111症例の登録は困難な状況である。足元では、コロナウイルス感染症も収束に向かいつつあり、過去3か月の平均では14症例/月の登録があることから、2022年8月頃には250症例に到達予定であるが、新たな変異株が報告されているなど依然として不透明な状況であることを踏まえて、登録期間を9か月延長して2022年12月31日までとすることで、確実な試験の完遂を目指す。以上です。
 
○山口座長
 本変更内容について、何か御意見はございませんか。コロナの影響が大きかったようで、特に県をまたいでの移動が許されなくなって、それが非常にマイナスになっているということです。250症例が目標のところ、現在で140例まではきていますので、このペースで、もう少し期間を延ばせば達成できるという形だと思います。いかがでしょうか。特にございませんか。それでは、告示番号65の変更については、お認めすることといたします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料7、61ページを御覧ください。慶應義塾大学病院からの申請です。告示番号66の「抗腫瘍自己リンパ球輸注移入療法」です。適応症は、子宮頸がん(切除が不能と判断されたもの又は術後に再発したものであって、プラチナ製剤に抵抗性を有するものに限る)です。
 御審議いただく主な変更内容については、62ページを御覧ください。1.細胞(PBMC)提供者の除外基準(以下抜粋部分)について下線部を追記です。登録時に以下のいずれかの基準に該当する方は除外する。(8)予防接種歴について、以下のいずれかに該当する。1つ目のポツですが、1週間以内の接種:新型コロナワクチン(mRNAワクチン)。2つ目のポツは、4週間以内の接種:B型肝炎ワクチン、おたくかぜ、風疹、BCGなどの弱毒生ワクチン、新型コロナワクチン(mRNAワクチン以外)。補注としまして、新型コロナワクチンについては、上記に該当しない場合でも、接種後の副反応が続いている場合も除外する。
2.その他情報更新、記載整備です。(マル1)AMED資金の期間延長。(マル2)COIに関する情報の更新(実施責任医師において、株式会社テラとの利益相反が追加。)。(マル3)人事異動に伴う変更。(マル4)組織搬送に関する手順、TILの搬送に関する手順書における記載内容の不足及び不備に対する記載整備。
 変更申請する理由としては、1.新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)が新しく承認されたため追加した。また、研究開発が進められているため、mRNAワクチン以外の新型コロナウイルスワクチンについても追加した。
2.その他情報更新、記載整備。(マル1)COVID-19の影響によるAMED資金の期間延長。(マル2)利益相反に関する変更があったため。(マル3)人事異動に伴う管理者の役職名変更のため。(マル4)記載整備。以上です。
 
○山口座長
 本変更内容について、御意見はございませんか。これもコロナ絡みだと思います。特にございませんか。特にないようですので、告示番号66の変更については、お認めすることといたします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料8-1、63ページを御覧ください。告示番号36について1件、告示番号43について6件の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料8-2、65ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。特にないようですので、事務局は手続を進めてください。
 続きまして、先進医療Bの取下げについて、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料9、67ページを御覧ください。告示番号1について、先進医療Bの取り下げがございました。取り下げ理由の欄に記載がありますが、症例登録及び全症例の観察期間が終了したため、当該先進医療を取り下げる。なお、総括報告書については、提出に向けて準備中である。ということです。以上について、特に意見がなければ手続を進めさせていただきます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。特にないようですので、事務局は手続を進めてください。
 続きまして、令和4年度先進医療技術審査部会開催予定表について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料10、69ページを御覧ください。令和4年度の先進医療技術審査部会の開催予定をお示ししております。また、参考としまして、70ページには先進医療会議の開催予定も添付させていただいております。来年度についても、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議題は以上です。構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御発言はございませんでしょうか。ないようでしたら、次回の日程を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 次回は令和4年2月10日(木)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細については別途御連絡させていただきます。
 また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 それでは、第127回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

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