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2021年11月12日 第125回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和3年11月12日(金)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール14D」(オンライン)

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、神村構成員、後藤構成員、坂井構成員、佐藤構成員、真田構成員、柴田構成員、田島構成員、飛田構成員、松山構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 医療技術評価推進室長
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官


【議題】

1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.先進医療の取下げについて
5.申請医療機関からの報告について
6.その他
 

【議事録】

○山口座長
 定刻となりましたので、第125回先進医療技術審査部会を開催いたします。御多忙の折、お集まりいただきありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。本日の構成員の出欠状況についてですが、本日は、伊藤澄信構成員、伊藤陽一構成員、藤原構成員より御欠席の御連絡を頂いております。本日は、18名の構成員のうち15名の出席でございます。したがって、本部会が成立していることを申し添えます。それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 配布資料の確認をさせていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて、資料1-1~資料1-5は継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、資料2~資料5は試験実施計画の変更について、資料6は申請医療機関からの実績報告について、資料7-1及び資料7-2は協力医療機関の追加について、資料8は「先進医療Bの取下げについて、資料9は先進医療合同会議の審議結果について、資料10-1及び資料10-2は申請医療機関からの報告です。会議資料の最終ページは110ページです。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。また、構成員の皆様には本日送付いたしましたが、資料1に関する追加の資料もありますので併せて御確認ください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、資料1の技術について上村夕香理構成員より御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。もし、事前の届出以外に何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員と事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内いたします。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は、会議資料の何ページ又はタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言くださると議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等がございましたらお知らせください。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、適宜御活用いただければと存じます。以上です。
 
○山口座長
 では、早速議事に入ります。継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bとして再度御評価いただく技術は、整理番号110「高密度焦点式超音波療法を用いた前立腺癌局所療法」です。申請医療機関は東海大学医学部付属病院です。審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当が掛江構成員と柴田構成員となっております。
 本技術は第109回先進医療技術審査部会で審議されましたが、懸念事項が多いことから継続審議となっております。また、認定臨床研究審査委員会(CRB)の審査にも課題が指摘され、今回はそちらも変更され、東海大学医学部付属病院のCRBでの審査、承認を受けております。申請当初は、斎藤技術専門委員からも御評価を頂いておりましたが、技術専門委員の任期満了のため辞任されておりますので、今回の再評価には参加されておりません。斎藤委員からは、医療技術の有用性等については、第109回の審議の際に「適」の御評価を頂いており、今回の審議は先進医療技術審査部会の構成員に一任する旨を事務局にて確認しております。なお、今回は評価資料のセット後に、照会事項への回答とそれに伴う改訂がなされているため、一連の評価の経過が不自然に見える部分もありますが御了承ください。
 それでは、資料1-5の53ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。1番目、実施責任医師の要件です。診療科は泌尿器科、資格は日本泌尿器科学会泌尿器科専門医が必要となっております。当該診療科の経験年数は4年以上必要、責任医師は臨床試験あるいは治験の経験を5年以上有することとなっておりまして、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は5例以上必要です。なお、上記5例のうち2例については、実施責任医師の指導を受けて実施している必要があるとなっております。その他の要件として、1つ目、当該技術実施前に、研究事務局が開催する教育プログラムを受講(受講証を発行する)し、2症例の見学を行うことと、2つ目として、当該技術の実施に際し、安全な治療を行うために、研究代表医師との連携体制が整っていること(研究代表医師と常に電話でのコミュニケーションがとれる状況にあり、さらに研究代表医師の助言を受け入れ、患者さんへの対応を研究代表医師と協力して実施することが可能)となっております。
 2番目、医療機関の要件です。診療科は泌尿器科、実施診療科の医師数は泌尿器科医師1名以上が必要、他診療科の医師数は麻酔科医1名以上が必要となっており、その他医療従事者の配置は不要です。病床数は200床以上必要、看護配置は10:1看護以上必要、当直体制は外科系又は内科系医師1名以上必要、緊急手術の実施体制が必要、院内検査の24時間実施体制が必要です。他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要となっております。54ページです。医療安全管理委員会の設置が必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は5症例以上必要で、その他として、前立腺内部における癌局在診断に用いるMRIは1.5T以上であることとなっております。
 3番目、その他の要件です。頻回の実績報告は、はじめの10症例の安全性等について、厚生労働省医政局研究開発振興課に報告を行うことが必要となっております。以上です。
 
○山口座長
 これらの要件について、何か御意見はございますか。特にないようですので、様式第9号についてお認めすることといたします。次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の真田構成員より御説明をお願いいたします。
 
○真田構成員
 真田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。会議資料の51ページに技術概要を示した1枚紙の資料がございます。この図を見ていただくとよく分かるかと思いますが、今回は前立腺内の限局した腫瘍に対して、後ろ側に位置する直腸に超音波装置を入れて、ここから前立腺の腫瘍に対して高密度焦点式、要は集約するような形で超音波のエネルギーを当てることによって腫瘍を死滅させるという治療になります。こちらについては、既にパイロット的にこのような装置が使用されているのですが、今回は先進医療で、まず単群非盲検で探索的に見ていきたいとなっていると思います。
 この装置なのですが、超音波の発生源を直腸内でバルーンを膨らませ固定します。それに関する手技の問題、あと、この技術を実施すると何らかの理由で尿道と直腸の間に瘻が形成されてしまう合併症が考えられます。今回、主要評価項目としては、5年無再発生存割合及び尿失禁の出現割合がございます。この評価項目については、前回の第109回の御審査のときに泌尿器科の技術専門委員の先生にも御評価いただき、この評価でよいとのご判断を頂いていたと思いますし、私もそのような判断をしたところでございます。
 52ページがロードマップです。今回は先進医療として単群非盲検で310例を対象に実施することにより、先ほど申し上げた主要評価項目のほか、御覧のような副次評価項目で評価した後、治験を経て薬事承認に至るというロードマップを立てておられます。示されているように、アメリカやヨーロッパでも既に薬事承認が得られており、全くもって新しい技術というわけではございません。
 評価に移ります。私の評価は会議資料の18ページです。実施責任医師の体制、実施医療機関の体制、医療技術の有用性等については、前回の段階で「適」と判断させていただき、そこから継続審議の段階までに大きな議論の変化はございませんでしたので、「適」と判断させていただいたところです。
 この後、副担当の柴田先生と掛江先生が御発表になられると思いますが、今回の再審査では柴田先生と掛江先生の御評価の観点が大きなトピックスとなっておりますので、私もそちらを踏まえて最終判断をさせていただきましたが、そちらについては後ほど御報告させていただきます。一旦、私からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の掛江構成員より、倫理的な観点からの御評価について御説明をお願いいたします
 
○掛江構成員
 掛江でございます。よろしくお願いいたします。本件は、臨床研究法の対象案件、対象プロトコールなのですが、臨床研究法の施行規則で定められている被験者への説明事項などの記載が大きく抜けていたということで、最初の審査の段階から多く御指摘させていただいてきた経緯がございます。照会事項の回答は24ページからお示しいただいておりますが、以降もいろいろ御指摘させていただきました。その後、それだけではなく、真田構成員からもお話がありましたが、柴田構成員からプロトコール、計画自体についていろいろ重要な御指摘を受けておられて、それらに対する御対応を頂く中で説明文書にも修正が必要になったところがございました。最終的には、今、画面に示していただいているとおり、同意に係る文書に関しては「適」とさせていただいております。
 ただし、これは今回、柴田構成員から最終的に御指摘いただいたプロトコールの加筆修正に合わせた説明同意文書の加筆修正もされるということを条件に「適」とさせていただいております。補償の内容については書いていただいているので、「適」でよろしいかと考えております。
 ここで申し上げていいのかどうか分からないのですが、今回のやり取りの中で、主に臨床研究法の適法性の確認が十分にできているのかどうかという点について、CRBの審査に対して疑問を持ちました。あと、申請者に対しても、臨床研究法並びに同法の施行規則等の理解を十分にされているのかという点について非常に危惧しております。適切に臨床研究が実施できるように、法律や規則を見直すことに努めていただきたいと感じつつ、「適」とさせていただきました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の柴田構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いいたします。
 
○柴田構成員
 試験実施計画書等の評価について御報告いたします。お手元の会議資料の18ページを御覧ください。こちらに私の評価を記しております。6番~16番まであります。10番の有効性及び安全性の評価方法、11番のモニタリング体制及び実施方法について「不適」といたしました。
 詳細は後ほど述べますが、「不適」とはしているのですけれども、事前に申請医療機関と照会事項のやり取りをして、本質的な部分については申請医療機関の御回答を認めてよいとの判断に至りましたので、現時点では、この2つは「適」と判断してよいと考えております。ただし、試験実施計画書の細かな記載整備は必要と考えますので、そこは条件になるかと思います。
 以前これを評価した際には、私はいずれも「不適」にしておらず「適」にしていたので、それを「不適」にした理由を述べます。今回、前回の問題を解消してプロトコールを改訂して、もう一度CRBに諮っていただいて再度申請がなされたものなのですが、新たに提示された情報に基づいて、有効性の評価方法の部分と安全性の評価方法の部分、特に後者の被験者保護の観点で許容できない部分があり、一旦「不適」とした次第です。
 内容については、18ページの下から19ページに主な問題点を挙げております。それとは別に、「当日配付資料 指摘事項への回答(追加分)」というPDFファイルが先生方のお手元にあろうかと思いますが、こちらに問題点の指摘とそれに対する回答を頂いている次第です。
 1つ目は、再発のイベントが変わったということを記しています。今回、実は本技術を2回行うという治療を一連の試験治療として、その成績に基づき評価を行うということをされていますので、1回目に出た再発は、条件によってはイベントにならないことになります。つまり、プライマリエンドポイントである再発までの期間が、生存期間が対照、コントロールになっている手術よりも系統的に長くなるような定義に変わってしまったのです。一方で、閾値は変わっていないので、これは本技術の治療成績を過大に評価するバイアスが入っている変更になりますが、それに対して何らの考察もされていなかったので、その考察を求めたところです。こういう手術と低侵襲の局所療法との比較を臨床試験でやろうとする際には、再発であるとかそういうイベント定義が難しいというのは世の常ですので、それが完璧な形で定義できないこと自体は、申請医療機関側に何ら問題はございません。
 ただ、限界のあるエンドポイントで評価しているということを明らかにした上で試験をしていただかなければ、例えば次に治験を組む際のエンドポイントの妥当性などが、先進医療でこうやっていいと言われているからこのエンドポイントで治験をやるべきだなどということを議論されると、今後、本技術の臨床応用、臨床導入への足かせになってはいけないので、そこは厳しく指摘させていただいたところです。
 3番は少し大きい話です。以前より指摘のあった事項ですが、尿道直腸瘻の発現頻度が国内では観察されていないとはいえ、海外では2.6%ぐらい発生していたという情報が追記されているのですが、本技術は低侵襲であるということを売りにして意義をアピールしているところでもあり、コントロールが難しい事象がもし2.6%出るのであれば、本技術のリスク・ベネフィットバランスの観点で、有効性の観点で再発が増えるのではないかという懸念に加えて、安全性の観点で問題が生じているようであれば、一旦立ち止まって改めて評価を考え直さなければいけないのではないかという課題が出てきます。
 当初の計画では、こういうものは試験の途中に適時情報を集計して、参加医療機関に共有するという仕組みがないまま試験が進められるということになっております。そうなると、例えば重篤な有害事象とは認知されないまでも、少し気を付けなければならない尿道直腸瘻などが観察されたときに、そういうことが起きているという情報が共有されないまま310例の患者が登録されてしまうことになります。
 単施設で行っている試験であれば研究代表医師が全部把握できますが、本試験は多施設共同臨床試験として実施するというふうになっていますので、やはり試験期間中に適切にモニタリングを行い、そのモニタリングはデータをきれいにするためのモニタリングにとどまらず、患者が安全に管理されるようにモニタリングをするべきだという指摘ですけれども、それを組み込んでいただく必要がありまして、その組込み方が甘いという指摘をさせていただきました。
 これについては、基本的に申請医療機関で頻回に重篤な有害事象等の発生状況を集計し、医療機関同士で共有するという御回答を頂いております。また、その情報を定期的に効果・安全性評価委員会に諮るという対応を取られていますので、研究代表医師の判断のみならず、客観的な形で、試験の中で起こっている事象を、関係される先生方や効安の委員の先生方とディスカッションできる体制に変えられるということですので、ここは問題ないかと思います。
 1つ注文を付けたいこととしては、単に数字を共有するだけではなく、図らずも有害事象が出てしまったものについては、どのような技術の施行の仕方で事象が出てしまったのか、患者の適格基準、試験治療を実施する判断が妥当であったか否かなどを施設間で共有するというプロセスまで含めて、モニタリングの一環として実施していただく必要があろうかと思います。
 1番目の再発のイベントが変わったことによって、仮に患者さんに再発が早く起こっていたときに、再発を確認できないまま、気が付いたら成績が悪いまま患者さんの登録が漫然と続けられていたなどということが起こる危険性もありますので、中間解析の無効中止の規定をしっかり定めていただき、かつ、無効中止の規定は統計家だけが読んで理解できるようなプロトコールの書き方ではなく、臨床試験に参加する医療機関の先生方にも、どのぐらいのタイミングで中間解析の無効中止の判定がされるのかということが分かるように明確に書いていただきたいということと、マニアックな書き方ではなく、どのタイミングで試験にとって重要な意思決定がされるのか、患者さんを登録していいかどうかを判断する上で重要な情報が提供されるのかということを、参加される各施設の先生方が把握できるように書いていただくことを求めている次第です。
 4番目ですが、今回プロトコール治療が、単回ではなく2回まで許容するということになっていますけれども、2回のプロトコール治療のデータをどのように集めるのかということが明確にされていません。これについて、EDCを作成するときに考慮して作成すると回答を頂いております。また、入力マニュアル等を整備するというふうに御回答いただいております。基本的には、その方向で了承してよいと思っております。
 ただし、繰り返しになるのですが、入力マニュアルを作るとか、モニタリングの手順書を作るとか、効果・安全性評価委員会の手順書を作るなどということで対応するという回答を常にされるのですが、問題は、どのタイミングで、どのCRFを提出しなければならないかということが、プロトコール、試験実施計画書を読んでも理解できないのです。そういう文書の書き方はまずいということを理解していただくことが必要で、そこについては記載整備が必要だと考えております。といいますのも、単施設の試験ではありませんので、この試験を実施されている研究代表医師の先生はこの試験に注力されて試験をされると思いますが、他施設の先生方は、あまたある臨床研究の中の1つとしてこれに参加されるわけです。どのタイミングでこの試験の対応をしなければならないかというのを、一人一人の医師が全て記憶しておくことは不可能ですので、一定の支援スタッフなどが対応することになりますが、支援スタッフがプロトコールを読んでも何をしたらいいか分からないということであれば、報告すべき情報が報告されないなどということが起こり、それはやはりまずいことです。
 例えば、有害事象の報告についても、期間中事象が発生したら報告するようにという形の規定がなされていたり、あるいは試験治療を実施したときに報告するなどということが曖昧に書いてあります。必ず報告しなければならないのか、イベントがないならイベントがないという報告をしなければならないのか、イベントがあったときだけ報告しなければならないのかという区別は、臨床試験においては本質的な区別ですが、観察研究においては出たものしか拾わないのでそのような規定が必要だということは理解され難いことかもしれませんけれども、臨床試験においてはそれを事前に決めなければならないので、しっかり決めていただく必要があるというのが、患者さんに対して有害事象等が多発しているにもかかわらず試験が継続されることがないように、適格基準等の見直しが適時にできるように試験の実施計画書の改訂がなされれば、安全に実施できるのではないかと考える次第です。
 長くなりましたが、私がいろいろ指摘したことについて、本質的なことについては対応するという回答を頂いております。あとはテクニカルな記載整備のみで許容できると思い、最終的には「適」と判断いたしました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では、1番~16番の総評について、主担当の真田構成員よりお願いいたします。
 
○真田構成員
 真田です。掛江先生、柴田先生から詳細な御説明を頂いたように、この技術の評価に当たっては、長きにわたり、今朝まで活発な議論が交換されていたという状況です。両先生、大変御苦労さまでございました。
 こちらの資料を御覧いただいても、会議資料の21~49ページ、当日配布資料までの多岐にわたる詳細な事項をご検討いただいた結果、掛江構成員からは現状で「適」としてよいというご判断を頂いたと理解しております。柴田構成員からも、今ご説明を頂いたように、大筋了承で、記載整備の必要ありというご判断を頂いたと理解しておりますので、私のほうの最終的な判断としては、会議資料の20ページに記載しているように、このご懸念が記載整備によって解消されることを条件に「適」とする、「条件付き適」を提案させていただきたいと考えております。以上です。
 
○山口座長
 それでは、御討議をお願いします。いかがでしょうか。1つだけよろしいですか。掛江先生は一応了承というお話でしたけれども、臨床研究法に沿ったきちんとした対応がほとんど行われてないということは、CRBがどうなっているかというご指摘だと思います。その辺りは確認する必要があるのではないでしょうか。というのは、この案件は全般に、担当の構成員の先生に非常に負荷が掛かるような状況で、大変な御苦労をおかけしました。もう少し施設としての体制をちゃんとしていたら、こういうことは起きてないのではないかと思うのですが、真田先生、いかがでしょうか。
 
○真田構成員
 座長のおっしゃるとおり、CRBとして、あるいは研究者が臨床研究法で求められたものを正確に反映しているかどうかということについては、やはり問題意識として残るところかと考えますので、それにはどのようなチェック方法がよいかというのは、私も今はアイディアがないのですが、しかるべき方法でチェックしていただくことが、より良いものにつながると考えております。
 掛江先生からのご判断として、このプロトコールその他の資料に係る内容については、「適」として判断してよいというご判断を頂いたと理解しましたので、私としてはそのような発言を申し上げました。掛江先生、もし間違ってるようでしたら大変申し訳ございません。そのような理解でよろしければ、私としても座長のご懸念はごもっともと考えますので、この試験の判定もさることながら、別途そのような確認をしていただくことがよろしいのではないかと考えております。以上です。
 
○山口座長
 掛江先生、何か御発言はありますか。
 
○掛江構成員
 掛江です。山口座長から改めて懸念している点を御指摘いただきありがとうございます。私自身も非常に気になっており、審議の途中においても、適法性の確認がきちんとできていないのではないかという懸念を持っていることを事務局にもお伝えし、対応を確認していただきたいということをお願いしました。事務局としても、真摯に受け止めてくださり、CRBに対して今後もきちんと確認しますという御回答を頂きましたので、今回に関しては、事務局のほうでもこういったことについての問題は共有してくださり、適切に対応していただけていたのではないかと考えております。そういった意味で、最終的にはいい状況まで持ってくことができたと確認できたので、「適」とさせていただいたところです。言葉足らずで申し訳ございませんでした。
 
○山口座長
 大変よく分かりました。もう1つは、対応についてEDCを改編したりとか、いろいろ回答されていますが、これは結構時間が掛かる大変な作業なので、これを本当に対応されたかはきっちり確認しないとならないのではないかと思います。言うのは簡単ですけれども、非常に複雑なシステムを改変するには、時間もお金も掛かりますから、こういうところをきちんと確認した上でないと、なかなかお認めするわけにはいかないのではないかという気がしました。
 その辺りで何か御意見はありませんか。いろいろなご指摘に対しては、真摯に受け止めて、「こうします」ということでいいのですけれども、現実の問題として、「やります」と言うだけではなかなか難しいところがあるので、かなりしっかり確認しないと、無条件で「適」とはできないのではないかという印象を持ちました。
 
○真田構成員
 真田です。具体的にどのレベルまで立ち入って確認するかということは、それぞれの試験について重要なことではありますけれども、今回そこをインテンシブに貴重なご指摘を頂いた柴田先生のご意見もお伺いして判断させていただきたいと思いますが、柴田先生、いかがでしょうか。
 
○柴田構成員
 今、山口先生に御指摘いただいたことは、本試験にとって重要なポイントです。似たような試験が繰り返し行われている所であれば、EDCもすぐに作れるかもしれませんが、今回は今までに余り例のない形のEDCの組み方で、なおかつイベント定義も複雑なので、少し丁寧に見ないといけない案件であるとは思っております。
 先ほど申し上げたとおり、回答の方針としては理解、了承できるのですけれども、具体的にどのようなタイミングで、どのような情報を出してもらうかということを、試験実施計画書に規定するように、その記載整備をすべきであるという御指摘を申し上げたのは、山口先生の今の御指摘とも同じ方向性の懸念があったために、そのように申し上げた次第です。しっかりそこが書いてあれば、それに従ったEDCを構築していただくことが可能になると思います。私の立場では、試験実施計画書のほうに、しっかりデータの収集方法を書いていただくというところまでは確認しないといけないかと考えておりました。EDCまで見たほうがいいかどうかについては、真田先生も含め、ほかの構成員の先生方の御意見もお伺いしたいと思う次第です。
 
○山口座長
 何か御意見はありませんか。それでは、構成員の先生からの質問に対しては、一応しっかり答えられたということですので、あとはその実施体制が指摘通りに構築されるかという問題だと思います。全体としては、真田先生がおまとめになったように、実施条件が20ページにありますが、これらの皆さんの御指摘の点を条件として、「条件付き適」ということで結論としてはよろしいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 
                                   (異議なし)
 
○山口座長
 それでは、整理番号110については、今述べたようなことを条件として、「条件付き適」という判断にいたします。なお、CRBなどにもそういうことに関して問い合わせるようなので、また後で御報告いただけたらと思います。
 続いて、先進医療Bの試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 今回、試験計画等の変更申請が4件提出されております。資料2を御覧ください。1件目は国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号7「経皮的乳がんラジオ波焼灼療法」です。適応症は、早期乳がん(長径が一・五センチメートル以下のものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については、56ページを御覧ください。今後行われる薬事承認審査の結果、場合によっては予後に関連する情報が添付文書や審査関連の情報として対外的に公表される可能性があることについて追記したとあります。
 変更申請する理由ですが、本試験は現在追跡調査期間中だが、前回の改訂を経て、短期成績を医療機器の薬事承認申請に使う目的で企業への解析結果提供の準備を進めており、基本的にラジオ波熱焼灼療法に関連する短期成績で立論し、予後の情報は参考資料とする予定であった。しかしながら、PMDAと企業との議論の中で、焼灼と予後の関係を考察するための中間的な予後のデータも、薬事申請に当たり必要ということになっており、今後薬事承認申請がなされた後、場合によっては添付文書、他の対外的に公開される資料、審査報告書等に根拠情報として記載され、公開される可能性が出てきた。そのため、中間的な予後のデータについて公開される可能性が生じることについて、試験実施計画書に記載することとしたとございます。
 なお、本技術に使用する医療機器は、11月1日の第32回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会で選定を受けております。以上です。
 
○山口座長
 本変更内容について、何か御意見はありませんか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号7の変更についてはお認めすることといたします。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料3の57ページを御覧ください。2件目は国立精神・神経医療研究センター病院からの申請で、告示番号50「反復経頭蓋磁気刺激療法」です。適応症は、薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソードです。
 御審議いただく主な変更内容については、58ページを御覧ください。1)ですが、日本うつ病学会の治療ガイドラインが2020に更新されたことに伴い、選択基準のうちの薬物療法に関する項目等において、以下のとおりルラシドンを追加します。選択基準の「5.現在の抑うつエピソードにおいて、抗うつ薬を投与せず次にあげる薬物療法のいずれかを8週間以上投与しても反応しない患者」等における投与薬の追記です。2)が研究分担医師の削除です。
 変更申請する主な理由ですが、1)として、日本うつ病学会の治療ガイドライン双極性障害2020の抑うつエピソードの治療に、新たにルラシドンが追加されたため加筆、修正した。2)として、人事異動に伴う研究分担医師の削除、修正が必要であったとあります。以上です。
 
○山口座長
 本変更内容について、何か御意見はありませんか。学会のガイドラインが変わったことに対する対応ということで、問題はないかと思いますが、いかがでしょうか。これも特にご意見がないようですので、告示番号50の変更についてお認めすることといたします。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料4の59ページを御覧ください。3件目は国立がん研究センター東病院からの申請で、告示番号59「周術期デュルバルマブ静脈内投与療法」です。適応症は、肺尖部胸壁浸潤がん(化学放射線療法後のものであって、同側肺門リンパ節・縦隔リンパ節転移、同一肺葉内・同側の異なる肺葉内の肺内転移及び遠隔転移のないものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については、60ページを御覧ください。こちらは、変更申請する理由にまとめて記載しております。
 マル1では、病理組織診断法の明記と細胞診の場合の遺伝子検査についての追記としております。本試験で適格とする組織型に変更はありませんが、適格規準1)において病理組織診断の診断方法について生検しか記載しておらず不明瞭でした。そこで、組織診であっても細胞診であっても、規定する診断が得られていれば適格であることを明記いたしました。
 また、細胞診で病理組織型を判断した場合は、検体がEGFRやALKなどの遺伝子検査に提出されないことがあります。そのため、登録までに行う検査で規定している遺伝子検査は必須ではないことを追記いたしました。
 マル2は、術後デュルバルマブ療法/追加デュルバルマブ療法のコース開始規準の変更です。術後デュルバルマブ療法と追加デュルバルマブ療法のコース開始日の許容期間の記載が、現行のプロトコールにはありませんでしたので、本試験の類似試験である近畿大学医学部附属病院で実施中の医師主導治験の規定を参考に、術後デュルバルマブ療法、追加デュルバルマブ療法とも±3日の許容期間を設けることにしました。
 術後デュルバルマブ療法と追加デュルバルマブ療法の次コース開始時期の許容期間については、今まで22日としておりましたが、91日の設定にいたします。本試験の現行のプロトコールの規定であるコース開始予定日をday1として、day22までに開始できない場合に、実際にはデュルバルマブ療法を受けることができる患者において、プロトコール治療が中止になってしまう患者のデメリットと、全身状態が回復しない状態で無理に開始することによる患者への負担を考えると、91日は許容できる範囲内と考えます。有効性が落ちる可能性については、過去の基礎研究で、デュルバルマブを1-2回投与した後に中止しても、少なくとも3か月程度は血中にとどまり、T細胞に結合しているという報告もあるため、91日という設定は許容できると考えております。
 マル3は、体重減少時のデュルバルマブの用量の再計算についてです。デュルバルマブ療法の体重減少時の用量については規定しておりませんでしたので、投与量の算出には最新の体重を使用します。第1コース投与量の算出に用いた体重に比して-10%を超える体重変動が見られた場合は、体表面積を再計算して投与量を再度決定することを追記いたしました。
 マル4が、術後デュルバルマブ療法中・追加デュルバルマブ療法中の有効性評価の追記です。術後デュルバルマブ療法中の有効性評価と追加デュルバルマブ療法中の有効性評価について、スタディカレンダーには記載しておりましたが、プロトコール本文に記載できておりませんでしたので、追記いたしました。なお、術後デュルバルマブ療法並びに追加デュルバルマブ療法は、最長で484日で終了しますので、術後3年後以降の規定は不要でした。そこで、今回の改訂で許容期間を前後14日間とすることを含めて、正確な有効性評価の間隔を追記しました。
 マル5が記載の整備です。プロトコールの以下の箇所につきまして、記載が不十分又は誤記がありましたので修正しました、とございます。以下については軽微な変更のため、説明は割愛させていただきます。以上です。
 
○山口座長
 たくさんありましたけれども、本変更内容について、何か御意見、御質問はないでしょうか。特に問題はなさそうに思いますが、いかがでしょうか。それでは、ご意見が特にないようですので、告示番号59の変更についてお認めすることといたします。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料5の63ページを御覧ください。4件目は国立循環器病研究センターからの申請で、告示番号61「肺動脈自律神経叢除神経療法」です。適応症は、肺高血圧症(薬物療法に抵抗性を有するものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については、64ページを御覧ください。1)ですが、試験予定期間、症例登録期間、症例観察期間をそれぞれ1年ずつ延長します。2)が追加修正として、報告対象となる疾病等及び不具合は、試験治療実施日から28日後までと修正・追記します。
 変更申請する理由ですが、1)が、新型コロナウイルス感染症まん延による入院制限や検査入院延期の影響で、対象患者の選定が予定通り進まず、症例登録期間延長が必要となったためです。2)として、報告対象となる疾病等は、「2年後までに発生したもの」、報告対象となる不具合は、「試験治療実施日に発生したもの」としていたが、疾病手順書に合わせて、いずれも「28日後までに発生したもの」と追加修正したためです。なお、この修正に伴い、新たに報告対象となったものはないとございます。以上です。
 
○山口座長
 20例のところ、今は9例まで行っているのですが、コロナの影響でいろいろな制限が加わって、なかなか達成しないということだと思います。本変更内容について何か御質問、御意見はありませんか。これもやむを得ないことかと思います。特にないようですので、告示番号61の変更についてお認めすることといたします。
 続いて、申請医療機関からの実績報告について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料6の65ページを御覧ください。岡山大学病院からの報告で、告示番号63「内視鏡的エタノール局所注入療法」です。適応症は、膵神経内分泌腫瘍(長径が一.五センチメートル以下のものに限る。)です。
 研究の概要です。膵神経内分泌腫瘍に対するEUSガイド下エタノール注入療法の安全性及び有効性を検討する多施設共同研究である。対象は15mm以下かつ組織学的Grade1の膵神経内分泌腫瘍とし、主要評価項目として有効性及び安全性が外科切除成績(ヒストリカルデータ)と比較して優越であることとした。手技の実際としては、まず超音波ガストロビデオスコープを挿入し、膵臓の腫瘍を描出する。その後、カラードップラーモードで穿刺ライン上に主要な血管がないことを確認の上、試験機器(単回使用吸引用針)を用いて腫瘍を穿刺し、試験薬(無水エタノール)を注入する。カラードップラーモード及び内視鏡画像で出血がないことを確認し終了するとございます。
 66ページを御覧ください。登録症例数は令和3年10月11日時点で10例です。
 本報告の経緯としまして、本試験は令和2年8月6日の先進医療合同会議において「適」と評価されましたが、先進医療技術審査部会の事前評価の過程で、対象は稀な疾患であり、確立した技術でないことから、研究開始5症例までは定期的実績報告が必要であるとの指摘を受けて、「先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件」(様式第9号)において、「研究開始5例までは、実施日および術後早期の疾病の有無等について厚生労働省医政局研究開発振興課に報告を行う」と規定されていました。事務局において都度確認してきましたが、令和3年10月11日に5例目の報告を受理したことから、これらの結果について先進医療技術審査部会に報告させていただきます。
 開始後5例に係る実施日及び術後早期の疾病の有無等についてです。申請医療機関からの報告の概要は、以下の表にお示しのとおりとなっております。症例登録番号1・2については、本試験の観察期間終了後、新たに立案した前向き観察研究(膵神経内分泌腫瘍に対する超音波内視鏡ガイド下エタノール注入療法後の長期治療成績)に参加し、長期経過を観察中である。また、症例登録番号3・4・5については、本試験のプロトコールに従い経過観察中であるが、当該観察期間終了後は、上記観察研究に参加の後、症例登録番号1・2と同様に長期経過を観察する予定である。
 次のページに移りまして、6例目以降の登録症例については、2例に被験治療が実施され、うち1例で治療直後にGrade1の膵液漏を認めたが、入院の延長はなく、1か月後のvisit評価で消失、つまり回復が確認できた。また、腫瘍の完全焼灼も確認できた。他1例は、現時点で治療後の早期疾病は認めておらず、今後、規定visitで評価を行っていく予定となっている。全ての症例について、引き続き慎重な観察と対応を継続するとのことです。以上でございます。
 
○山口座長
 ただいまの御説明について、何か御質問はございませんか。今のところ大きな問題はないように見受けられますが、いかがでしょうか。特にございませんか。ありがとうございました。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料7-1、69ページを御覧ください。告示番号63について1件、告示番号73について2件の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料7-2、71ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは、事務局は手続を進めてください。
 続きまして、先進医療Bの取下げについて、事務局から御説明をお願いします。
 
○医政局研究開振興課長補佐
 資料8、75ページを御覧ください。先進医療の取下げとして、告示番号23、告示番号24、告示番号34の計3件について申請がございました。
 取下げ理由の所に記載がありますが、告示番号23につきましては、症例登録及び全症例の観察期間が終了したため、当該先進医療を取り下げる。告示番号24につきましては、目標症例数は達成しており、全ての症例について評価項目の解析が完了したため、本先進医療に関わる届出を取り下げる。なお、総括報告書については、提出に向けて準備中である。また、長期予後の追跡のための観察研究については、新規に実施を計画している。告示番号34につきましては、全ての症例についてプロトコール治療及び観察が終了したため。なお、総括報告書については提出準備中であるとのことでございます。以上について、特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。いかがですか。特にご発言がないようですので、事務局は手続を進めてください。
 続きまして、先進医療合同会議の審議結果について、事務局から御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料9、77ページを御覧ください。令和3年11月4日に行われました先進医療合同会議におきまして、1件の先進医療B技術について審議が行われ、いずれも「適」の御評価を頂いております。技術名は、「家族性大腸腺腫症患者への低用量アスピリン療法」です。申請医療機関は京都府立医科大学附属病院です。審査の主担当が真田構成員、副担当が佐藤構成員、伊藤陽一構成員で、技術専門委員として後藤田委員に御担当いただきました。先進医療技術審査部会及び先進医療会議ともに「適」の評価を頂いております。なお、同会議にてロードマップが一部不明確である等の御指摘があり、102ページにお示しのとおりですが、ロードマップ等が一部改訂されております。
 今回御評価を頂き、また、先進医療合同会議に御出席いただいた先生方におかれましては、御協力いただき大変ありがとうございました。御報告は以上です。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。何かございますか。特にご意見がないようですので、次に申請医療機関からの報告について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料10-1、103ページを御覧ください。九州国際重粒子線がん治療センターから、告示番号B28、「重粒子線治療」に関する御報告です。資料に沿って御説明いたします。
 1つ目の○、告示番号28「重粒子線治療」(適応症:非小細胞肺がん(ステージがⅠ期であって、肺の末梢に位置するものであり、かつ肺切除術が困難なものに限る。))については、平成28年7月より先進医療Bとして実施されていますが、申請医療機関である九州国際重粒子線がん治療センターから、協力医療機関である量子科学技術研究開発機構QST病院(以下、QST病院)における「逸脱及び重篤な有害事象に関する原因分析・再発防止策の報告」がなされました。
 ○の2つ目、令和3年10月14日開催の第123回先進医療技術審査部会において、当該事案に対する対応方針について議論いただき、医療事故としての検討の妥当性と医療安全管理委員会の関わりについて、それから、患者の治療経過や死因、死亡等の御家族への説明に係る詳細について、概要として、以上に関して確認が必要との指摘がありました。
 ○の3つ目、また、これらの指摘に対する回答を確認した上で、QST病院における症例登録再開の可否について判断することとなりました。
 ○の4つ目、上記医療機関に対し、指摘事項に関する照会を行い、今般その回答が提出されたため、QST病院における症例登録再開の可否も含め、御確認・御議論いただきたいとしております。
 105ページに移ります。医療機関への指摘事項とその回答をお付けしています。1.本事案について、医療事故としての検討が遅延したことは問題である。発生当時、医療安全管理委員会の本件に対する見解はどのようなものであったか御報告いただきたい。また、事故として医療事故調査委員会が設置されなかった理由を御報告いただきたい。今回設置された臨時医療安全管理委員会や拡大医療安全検討委員会は、病院の医療安全管理体制の中でどのような位置付けになるのか明示いただきたい。医療事故に係る検討については、特定機能病院に準ずる対応が求められると考えられるが、今後の対応について、この観点から改めて御報告いただきたい。
 こちらについての回答です。御指摘のとおり、医療事故該当性の検証が遅延したことは問題であったと認識し、深く反省しております。本事例について、担当医は紹介元病院での死亡事例であり、かつ肺炎は予期し説明していた事象であったため、当初、医療事故に該当する可能性を考えていませんでした。そのため、先進医療・臨床試験の規定に従って、厚生労働省、本試験研究事務局及び量子科学技術研究開発機構IRBへの報告を行い、効果安全性評価委員会での審議を行うための手続を進めましたが、効果安全性評価委員会で重粒子線治療と死亡との因果関係が完全には否定できないと判定された後も、院内医療安全管理委員会での検討を行うことなく、研究事務局、厚生労働省医政局研究開発振興課からの質疑への対応として、6月、9月、11月に行った報告書作成に終始していたものであります。その経緯については、拡大医療安全検討委員会での調査報告書(資料4)に記載のとおりです。なお、回答別添資料はタブレット資料より御参照をお願いします。
 2020年12月14日に、先進医療技術審査部会座長から医療事故該当性について第三者による検証等が望ましいとの御指摘を頂き、QST病院の医療安全管理委員会での審議を開始しました。臨時医療安全委員会の開催については、当機構の医療安全管理規則(資料2)の第4条8項、「医療安全管理委員会の開催は、概ね毎月1回とする。ただし、重大な問題が生じた場合には、病院長への報告を行うと共に、臨時の医療安全管理委員会において速やかに発生の原因を検討し、改善策の立案及び実施並びに職員への周知を図る」に則り、迅速な対応が必要と判断したため、定期開催日を待たずに、2020年12月22日及び25日に開催したものです。
 同委員会においては、経緯、病態、ICの内容、カルテ記載及び本事象が医療事故に該当するか審議した結果、2019年9月3日のQST病院初診時並びに同年9月20日に、主治医から患者及び家族に対して、治療後に細菌性肺炎を合併した場合の死亡リスクについての説明が行われていたことが、担当医からの回答とカルテに記載された内容が一致することが確認できたため、管理者が予期していた事象であることから、QST病院内部での委員会としては、医療事故には該当しないと判断いたしました。ただし、本事象は本来先進医療Bには登録すべきではない症例を誤登録して治療した結果の死亡例であるため、医療事故該当性の第三者による検証及び誤登録の臨床経過への影響について、外部の有識者を交えて改めて検証する必要があると判断され、拡大医療安全検討委員会を開催することといたしました。こちらについては資料1です。
 拡大医療安全検討委員会については、前述した当機構の医療安全管理規則(資料2)第22条において、「医療事故調査制度に該当しない事案であって、かつ、院内の医療安全管理委員会で、原因等について十分な結論づけができない場合等には、病院長は第三者的立場から検証を行うため、量子医学・医療部門の安全管理等関連部門、院外の専門医、看護師等を参画させた拡大医療安全検討委員会を開催する」と規定されています。この時点で、QST病院内部の委員会判断では、医療事故調査制度に該当しないと判断していたため、拡大医療安全検討委員会で審議することといたしました。
 拡大医療安全検討委員会で審議した結果、誤登録されたこと自体は予期されておらず、その下で行われた医療行為により因果関係を否定できない死亡に至った事例として、医療事故に当たる可能性を考慮しつつ、実施した医療の適応妥当性や誤登録がなかった場合の治療方針、誤登録のその後の経過への影響について検証を行う必要があると判断されました。その結果は報告書に記載したとおりですが、この度の御指摘を受け、特定機能病院に準じた体制、運用を標榜する以上、その判断基準は厳密である必要があり、本事案について医療事故に該当するか否か真摯に第三者の目で見ていただいてから回答書を作成するのが最適な答えになると考え、日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)に御審議いただくため、11月1日に同センターに連絡いたしました。11月4日に報告票(同センター所定の用紙)を提出し、11月8日に資料提出方法の具体的な指示を頂きましたので、調査報告書とその関連資料を匿名化した上で、同センター宛てにお送りしました。
 御指摘を受けてからの対応となってしまい、厚生労働省、先進医療技術審査部会の先生方には御迷惑をお掛けします。今回のような事象を繰り返すことがないよう、可能な限り誠実かつ迅速に対応させていただきます。特定機能病院に準ずるQST病院の医療安全管理体制としては、医療法施行規則に基づき、副院長が医療安全管理責任者を務める医療安全管理室の整備、医療安全管理委員会等の医療安全に関する各種委員会の設置、医療安全管理規則並びに医療安全管理指針の整備、職員研修の実施などを整備し運用しています。
 事案発生後の対応として、整備した体制を正しく運用するための規則の周知と運用の徹底、拡大医療安全検討委員会報告書(資料4)に記載された再発防止策の運用を開始しています。また、今後特に先進医療の対象例での死亡や重篤な有害事象については、治療との因果関係や予期していたかどうかにかかわらず、特定機能病院と同水準で遺漏なく速やかに院内医療安全管理委員会に諮る運用を徹底し、医療事故の可能性がある場合は、遅滞なく拡大医療安全検討委員会での検討の後、日本医療安全調査機構に諮ってまいります。これら周知の方法については、本事案に関する院内の情報共有に限定せず、定期的に実施している医療安全講習会や研究倫理に関する講習でも徹底していく所存です。
 2.医療事故が疑われる場合は、外部委員のみで構成される調査委員会において、医療事故であるか否かの判断をしてもらうべきだったのではないか。
 こちらの回答としましては、1と重複している部分をまとめますと、2段落目の4行目からですが、拡大医療安全検討委員会においては、誤登録されたことは事前に予期されていないことから、医療事故に当たる可能性を考慮しつつ、実施した治療の適応妥当性や誤登録がなかった場合の治療方針、誤登録のその後の経過への影響について検証を行う必要があると判断されました。治療適応判断の妥当性の検証として、本検討委員会の外部委員を通じて第三者(3名の肺癌を専門領域とする放射線治療専門医、日本肺癌学会理事1名を含む)のみを対象として、症例概要、CT、PET-CT、頭部MRI、胸部X-p等の資料を送付し、放射線治療及び荷電粒子線治療の適応の有無について調査を行いました。その結果、本症例に対するX線治療及び重粒子線治療の適応はあると判断されました。資料4の4-2-3の4です。
 この治療適応妥当性に関する調査に加え、関係者へのヒアリング、治療のリスク評価、キャンサーボードの体制・運用、治療後の患者管理、患者・家族への説明内容等について厳密に検証を行い、仮に誤登録がなかったとしても、本患者には同様の治療が行われ、経過も同様となったと推察され、予後の差は生じていないとの判断に至りました。
 これらの検証、議論については、医療事故調査等支援団体所属の外部委員が主導する形で実施しており、開催した全ての本検討委員会及び報告書作成WGにも外部委員に参加いただき、報告書の作成が行われました。詳細については、同調査報告書に記載のとおりです。資料4の2~4です。
 ただし、1の回答欄に記載しましたように、この度の御指摘を受け、医療事故に該当するか否か、真摯に第三者の目で見ていただいてから回答書を作成するのが最適な答えになると考え、日本医療安全調査機構に御審議いただくこととなりました。
 3.死因については死亡診断書にどのように記載されていたのか、また、死亡した際に御家族にどのような説明が行われていたのか確認して御報告いただきたい。肺炎のため入院後の治療経過と、紹介元医療機関へ再転院した理由、転院後の患者の臨床データや治療経過について、詳細な内容を御報告いただきたい。
 こちらについての回答です。QST病院における臨床経過(別紙:症例概要)及び死亡診断書(複写:資料5)を添付いたします。死亡された病院の主治医(死亡診断書作成者)に、医療安全管理委員会委員長がヒアリングを行い、細菌性肺炎が死因であることを確認しております。
 死亡時の主治医から御家族へは、「元々右肺が機能していませんでしたが、今回下気道感染(細菌性肺炎)を契機に呼吸状態が悪化し、CO2ナルコーシスを併発しました。抗生剤投与とNPPVで呼吸状態はなんとか維持できていましたが、16日に急変し死亡されました」と説明されています。
 2020年4月7日、6か月目のビジット(研究計画書による定期受診)でQST病院外来を受診された際、発熱はなく、咳嗽も顕著ではないものの、労作時呼吸困難、膿性痰の喀出があり、細菌性肺炎が疑われました。CT所見では、右肺の細菌性肺炎と、左肺も放射線肺炎に加えて重粒子線照射範囲外の頭側に広がる炎症所見が認められました。血液酸素飽和度(SpO2)が69%と低値であったため、専門的な呼吸管理を必要とする可能性があると判断し、直ちに紹介元の国立病院機構千葉医療センター呼吸器内科に連絡し、受診していただきました。以降の経過につきましては、国立病院機構千葉医療センターの経過となりまして、記載のとおりです。
 4.上記の経過や死亡の原因について、御家族に対して文書で御報告するべきではないか。
 こちらについての回答としまして、2021年2月5日に主治医より御遺族(奥様)に、肺炎を合併して6か月で亡くなられるという事態に陥った患者様の経過について、QST病院で行った治療についての適応判断が適切であったか、医療事故に該当しないか、臨床試験への登録手続上の不備がどうして起こったのかを調べて、同様の間違いを繰り返さないための再発防止策を作り上げるために外部委員を招いて拡大医療安全検討委員会を開催することを、電話にて伝えました。
 2021年4月24日には、医療安全管理委員会の委員長と2名の同委員会委員が、電話にて拡大医療安全検討委員会による調査・検証の内容を読み上げて、事実誤認がないことを確認いたしました。拡大医療安全検討委員会の審議が終了し、報告書を作成した後の2021年9月9日に、御遺族(奥様)に拡大医療安全検討委員会の検証結果を説明し、9月14日にお手紙(別紙:奥様への報告書送付添付のお手紙)を添えて、調査報告書をお送りしております。以上でございます。
 
(上村(尚)構成員、退席)
 
○山口座長
 ありがとうございました。本件について、何か御意見はありませんでしょうか。いかがでしょうか。
 大きく分けて2つほど、私から指摘したいと思います。医療安全体制がちゃんとしているかどうかという御指摘、これは藤原先生から前回そういう指摘があって、今回御報告いただいています。105ページに「ご指摘のとおり、医療事故該当性の検証が遅延したことは問題であったと認識し、深く反省しております」と回答されています。しかし、なぜこういう遅延が起きたのか、十分説明されていません。試験に入っていて、しかも余り時間がたっていない人が急に亡くなったということに対して、なぜそういう判断が行われたのかという、そういう検証が十分行われていないように見えます。反省しているようには見えるのですが、きちっとその辺りが説明されていないと思います。
 医療安全管理委員会もどこまで機能しているか、ちょっとよく見えないところもあります。通常の病院であれば恐らくインシデントリポートなどが出ていて、こういう事例に対しては必ず医療安全管理委員会で検討されると思うのです。そういうことが行われたのかどうか、また、そもそも日頃からこの医療安全管理委員会がきちんと機能しているのか、例えば議事録を提出してもらって確認するとか一度この病院に関しては、医療安全管理体制についてもう少しきっちり検証する必要があるように思います。
 それと、もう1つは説明のことです。患者さんに説明したと言っていますが、ちょっと難しい状況にあったのかもしれませんが、患者さん本人には説明はできていません。それから、外来に来て重篤な状況になったとき、SpO2が69%というのは、これはほとんど死にかけの状態ですから、ご家族に対しては十分な説明が必要です。しかし、そのときに御家族にこれがどういうことで起きたのか説明したうえで、ほかの施設に送ったのかどうかということもきちんと説明をされていません。
 何回ぐらい、いつ、誰に、誰が同席して、文書で確認したのか、あるいは口頭でやったのか、どういう説明をしたのかということが、余りきちっと報告されていなくて、奥様は満足しておられますなど、そういう書きぶりなのです。これはやはり非常によろしくなくて、通常考えたら、CTを見たら分かりますが、片方の肺はほとんどつぶれていて、健常のほうの肺に放射線をかけたらどういうことが起こり得るかは明らかで、しかも本来やるべきではないものをやったわけです。ところが、この書きぶりは、先進医療Aではこういうものも対象になっているからいいと、そういう書き方なのです。ということは、逆さまに言えば、先進医療でこういうものを対象にやるのだったら、それは危険ではないかということにむしろなるので、その辺りも含めてちょっと問題があるのではないかなと思いました。
 私ばかりしゃべって申し訳ないのですが、どなたか御意見はありませんか。要するに、ここでは一応、このまま再開を認めてよいかどうかということを含めて判断しなくてはいけないわけですが、御意見はないでしょうか。後藤先生、どうぞ。
 
○後藤構成員
 ありがとうございます。多分、私が休んでいたときに議論されていたかと思うのですが、今後どのような形で二度とこのような事態が起こらないようにするのかについては、今の御説明のところからは読み取ることができませんでした。「反省しました。」ではなくて、今後はどのような形でこのようなことが二度と起こらないように対応するのかということを、もう少し聞かせていただきたいと思ったのが1つです。
 もう1つですが、先ほどお話がありましたように、かなり血中酸素濃度が低い状況なので、そこで70などのときに転院というのは、普通の医療ではよくあることなのかだけ、どなたかに伺えれば助かります。以上です。
 
○山口座長
 2つありましたが、1つは、今後日本医療安全機構の調査に入ってもらうということですので、今後恐らくきちっとした調査は行われるという対応を示されています。
 あと、状態についてはいかがですか、どなたかコメントはありますか。恐らくこの病院では対応できないような状況だったので、やはり専門施設に送ったのだろうと思います。もちろん、その病院でやれたらいいのですが、やはり放射線治療の施設ですので、そういうことなのだと思います。
 
○後藤構成員
 なるほど、普通の治療ができないのでほかの病院に送られたという理解でよろしいですか。分かりました。ありがとうございました。
 
○山口座長
 そこで難しいと判断したのだろうと思います。
 
○後藤構成員
 最初の質問ですが、今後どのような対応をするかということも含めて、医療安全機構できちんとアドバイスを頂いて、それに基づいた対応をされると理解してよろしいということでしょうか。
 
○山口座長
 そうだと思います。
 
○後藤構成員
 分かりました。ありがとうございました。
 
○山口座長
 ほかにはありませんか。掛江先生、どうぞ。
 
○掛江構成員
 掛江です。山口座長が御指摘くださった点全てに、改めて御回答いただくことができないかなと思っています。それから、やはり今後についてなのですが、片肺がつぶれた状態の方、機能していない状態の方がエントリーされるという状況について、具体的な見直しか何か更なる検討など、そういったお話について、今御報告いただいたことを私が聞き飛ばしたのかと非常に不安に思ったのですが、もしそうでないのであれば、今回は反省しましたという一連の御回答だけでは、再開の検討ということができないように感じたのです。ただのコメントです。
 
○山口座長
 ちょっと私が誤解させるような話し方をしたので申し訳なかったのですが、これは先進医療Bでやっていて、そのような症例はもともと除外されることになっているのです。それに気が付かないで入れてしまって、こういう結果になっているのです。一方で、先進医療Aでやっているのは、そういう縛りなしでやっているということで、先進医療でやっているのでいいのではないかということを言っているわけですが、それはちょっと逆さまで、むしろ先進医療Aも危ないのではないかと感じたということを申し上げたわけです。
 
○掛江構成員
 ありがとうございます。先生がそういう趣旨でおっしゃったことは理解しました。ただ、申請者らが今回山口座長がご心配くださった点を改めて問題意識をお持ちになっていないのであれば非常に怖いなと思って、そこについての具体的な回答は頂く必要があるかなと思います。
 
○山口座長
 患者さんの奥様に対するお手紙を読んでも、要するに心配を掛けてすまなかったと、バタバタして心配を掛けてすまなかったということを謝罪しているのですが、あとは説明なのです。登録を誤ってしてしまったということを説明しているわけです。それについては、恐らく謝罪しているかどうかは分からないのです。一番ここで謝罪しなくてはいけないのは、登録すべきでない症例を登録したというところにあるのに、その点がきちっと伝わっているのかどうかということに私は非常に懸念を持つわけです。ほかにございませんか。
 
○神村構成員
 神村です。やはりこれからどうするかということを、日本医療安全調査機構にそれぞれのアドバイスを受けられて、そして改善して、それからのお話ではないかなと思っています。それと、例えば死に至る経過の108ページの最後のパラグラフですが、2020年4月7日のビジットのときに大分重篤な状態になっていたようですが、その前はどうだったのかという辺り、その前にもうちょっと早く見付からなかったのかとか、そういう辺りにも意識が、その患者さんが右肺が全く駄目だったという、それに対しての警戒が余りにも薄かったなと感じましたので、全般的にちゃんと患者さんに向き合っていなかったところが、とても残念だと臨床家としては思います。
 
○山口座長
 ありがとうございます。おっしゃるとおりで、これはかなりひどい状態で来ているので、家族からそれまでに連絡があったのか、それに対してどうしたのかということも含めて、本当は書いてほしかったのですが、そのことに一切触れないで、来て、ちょっと元気そうだけれども、診てみたらとてもガスの状態が悪いので、もう重篤で、すぐにほかの病院に送ったという書き方になっています。その点は是非確認したいと思います。ありがとうございます。ほかにはありませんか。
 ないようでしたら、この病院での登録の再開を含めて検討しているわけですが、今の状態ではなかなかお認めできにくい、こちらからも幾つかお伺いしたいことがありますし、やはり日本医療安全機構に審議してもらって、その結果がある程度分かってからでないと、再開してもらうには危ないのではないかという判断でよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に反対がないようですので、QST病院の登録再開をお認めしないこととします。
 続きまして、その他の議題として、事務局から報告があるということですので、御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは御説明します。9月16日の第122回先進医療技術審査部会にて、先進医療として現在行われている腹膜播種膵がんの抗がん剤腹腔内投与治療を、富山大学附属病院において自由診療として行っていることに関する御指摘がありました。なお、同医療機関は、先進医療B36「S-1内服投与並びにパクリタキセル静脈内及び腹腔内投与の併用療法」の協力医療機関です。
 当該御指摘を受けまして、富山大学附属病院に事実確認を行いましたところ、当該医療技術を自由診療として実施することについて、臨床倫理委員会の審査を経た上で実施している旨、それから、当該治療はその効果についてエビデンスがないことから、IC取得に際してはその効果や安全性が保証されていないこと、使用する薬剤についても適応外の使用となることを説明し、そのことを説明書・同意書にも明示することを条件に、先進医療の適格基準外の患者を対象に、自費診療として本治療をしているという旨の回答がありました。なお、詳細な回答資料はタブレット資料から御参照をお願いいたします。また、御指摘の自由診療について掲載したホームページについては、現在は削除されているという状況です。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございます。ただいまの御説明に、何か御質問はございませんか。
 
○天野構成員
 天野です。よろしいでしょうか。御説明ありがとうございました。本件について、まず確認したいのは、厚生労働省としていわゆる法律的に若しくは制度的な問題はないという見解であるのかということは、確認させていただきたいと思います。その上で、意見を申し上げます。
 まず本件について、富山大学附属病院の臨床倫理委員会で審議されていて、承認と判定されていることも理解しましたし、また、これはタブレット資料に記載がありますが、患者さんに対しても過度の期待を持たせることがないように、その効果や安全性が示されていないことなどを十分に説明しているということも理解いたしました。
 以上のように、外形的には必要な手続が一定程度なされているとは思いますが、一方で、倫理的には問題が残る部分はあるかと思います。まず、タブレット資料に自由診療の説明文書が示されていまして、2ページ程度の文書になっています。臨床試験として行われている先進医療の説明文書は、恐らくもっと詳しい文書になっているものかと思います。保険適用外の全く同じ治療をやっているにもかかわらず、片や先進医療では詳細な説明文書があり、片や自由診療では2ページ程度の説明となりますと、自由診療で患者さんへの丁寧な説明が文書において担保できているのかという懸念が生じるかと思います。
 加えて、自由診療の説明文書を拝読しますと、有効性のみが示されていて、そもそも既存の治療との比較等において有効性が示されていない治療であるという趣旨の記載がありません。口頭では説明されているということなのかもしれませんが、先進医療で丁寧に説明をしている以上は、それに準じた説明が自由診療でも文書で行われるべきではないかと考えます。
 また、自由診療を実際に受けている患者さんたちの経過もタブレット資料でお示しいただいているのですが、先進医療では不適格となっている患者さんが含まれています。そうなってきますと、特に安全性の観点から、先進医療では不適格になっている患者さんに自由診療として治療を行ってよいのかという疑問は残るかと思います。患者さんの経過を拝読しますと、標準治療が最善であると患者さんに病院から説明されたにもかかわらず、患者さんが自由診療を強く希望したため、自由診療を施行したという記載があります。がん患者さんは、いわゆる藁にもすがる気持ちになっている場合がありますし、大学病院が新しい治療を自由診療として行っているのであれば、がん患者さんとしては是非受けたいというお気持ちになられるのはある意味当然のことではないかと思いますが、しかし未承認であるとか、保険適用外のがん治療を患者さんが希望している理由は言うまでもないですが、何らかの有効性があることを期待しているからです。
 本技術は、有効性はまだ明らかではないですし、有効性が明らかでない治療を倫理的な事項が一定程度担保されている臨床試験以外で、患者さんに自由診療として提供することは、やはり倫理的な問題が生じ得る可能性があると思いますので、厚生労働省におかれましても、本件については、今後もその経過を見守っていただきたいと考えています。以上です。
 
(掛江構成員、退席)
 
○山口座長
 どうぞ、コメントありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局から御説明します。御指摘ありがとうございます。頂いた御指摘は、倫理的な観点から非常に重要と受け止めています。患者様に対して不適切な説明をしている、または必要な説明等をしていないような事実が確認された場合、当然これは適切な指導をする必要があると考えています。先ほど御指摘のあった説明の仕方、同意文書の件についても医療機関に申し伝えさせていただきます。
 なお、こちらの医療に関して、富山大学附属病院から事実関係を聴取していますが、医療法等に関して申し上げますと、直ちに抵触するような事実は認められていません。タブレット資料のとおりです。
 
○山口座長
 ありがとうございました。よろしいですか。松山先生、どうぞ。
 
○松山構成員
 ありがとうございます。自費診療でされているということで、やはりICなどは十分なのかどうかという御議論が天野先生からあったと思います。患者申出療養との立ち位置の違いというものが、ちょっとどうなのだろうなという素朴な疑問を感じまして、もしよろしければ、事務局から、患者申出療養と今回の自費診療の立ち位置の違い、それから患者申出療養がより適切であるのならば、なぜ富山大学は自由診療に持っていったのかということをお聞きしてみたいなと思うところです。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございます。何かコメントありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 患者申出療養として、どうして申請していないか等については、医療機関に問い合わせをさせていただきます。
 
○松山構成員
 よろしいでしょうか。実はほかの、例えば抗がん剤で腹膜など、かなりターミナルになった患者さんは、いろいろ先進医療などを探されるのですが、先進医療が終わってしまった後に、先進医療でやってほしいという患者がいらっしゃるので、例えば近畿大学も、胃がんの腹膜播種の患者さんに抗がん剤の腹腔内投与を自費診療でされているとホームページに出てきたりするのですが、そういうものも含めて、患者さんの倫理的な側面というものもあって、それなりに適切な形で進めていただくのがいいのではないかということが、現状の感覚でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思いますが、事務局から何かありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 富山大学附属病院の件について、補足でございますが、こちらは現在も先進医療Bが行われている状況ですので、先進医療Bの適格基準外の方を対象にやむなく同時に自由診療をされているということです。そういう意味では患者申出療養とはちょっと別の立ち位置で自由診療をされているかと存じますので、その点に関しては補足させていただきます。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。天野構成員からの御指摘は非常に重要なポイントで、これは適格基準外であるからこそ、丁寧な説明と安全性に対する配慮が必要なのに、先進医療より簡便な形で、自由診療だからということで、手軽にやられているのではないかと、そういう指摘だと思うのです。
 一方で、松山先生がおっしゃったように、これは患者申出療養としてやれば、ある程度監視が届くので、そちらのほうがよかったのではないかという御指摘だったと思います。つまり、自由診療というのは野放しになって、結局評価もされない、危ない治療をやってしまっている可能性があるので、むしろ先進医療よりも格段の注意が必要ということで、やはり何らかのルール作りがこれから必要になってくるのではないかなと感じましたが、構成員の方から何か御意見はありませんか。問題点が幾つかありましたので、整理していただければ大変有り難いと思います。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 こちらのほうで整理させていただきまして、医療機関にお伝えさせていただきます。
 この件に関してですが、先進医療Bが進行している状態で適格基準外の方に自由診療として実施されているということです。先進医療を実施している医療機関ということで、医療上の問題は生じていないと確認していますので、その点に関しては問題はないと考えています。しかしながら、天野構成員からの御指摘のとおり、倫理的な観点からは、例えば説明同意文書の甘さが目立つなど、先進医療を実施している機関であってもそういうことがあるということですので、ここはきちっと医療機関にその点の御指摘を申し伝えさせていただきたいと考えています。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ほかにありませんか。よろしいでしょうか。
 
○神村構成員
 神村です。やはり自由診療というネーミング、国民の側からすると、何かとても良いものというように捉えているのではないかなと、ちょっと危惧するのですが、そのように優良誤認させるような、最後の手段とか、特別にできるというような言い方をするところが見えるのであれば、とても危険な話だと思いますので、自由診療の在り方など、そういうことについて、もう少しきちっと整理していただきたいなと思っています。
 
○山口座長
 貴重な御意見ありがとうございます。ほかにはありませんか。それでは、ないようですので、以上で本日の議題は終わりです。構成員の皆様、全体を通して何か御発言、御意見はありませんか。ないようですね。
 では、次回の日程を事務局からお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 次回は令和3年12月9日木曜日の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細については別途御連絡をさせていただきます。
 また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 それでは、第125回先進医療技術審査部会を終了いたします。活発な御議論ありがとうございました。
 

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