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2021年9月16日 第122回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和3年9月16日(木)16:00~

(2)場所:磯村ビル3階(オンライン)

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、神村構成員、後藤構成員、坂井構成員、佐藤構成員、真田構成員、柴田構成員、田島構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
保険局医療課 主査
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官


【議題】

1.総括報告書の評価について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.その他
 

【議事録】

○山口座長
 定刻となりましたので、第122回先進医療技術審査部会を始めます。御多忙のところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日はオンラインの開催となります。まず、先進医療技術審査部会の新しい構成員の方がおられますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 先進医療技術審査部会構成員に異動がございましたので、御紹介いたします。9月1日より着任されました、上村夕香里構成員です。
 
○山口座長
 上村夕香里構成員から、一言御挨拶をお願いいたします。
 
○上村(夕)構成員
 先進医療技術審査部会の構成員を拝命いたしました国立国際医療研究センターの上村と申します。生物統計を専門にしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 よろしくお願いいたします。
 本日の構成員の出欠状況ですが、本日は18名の構成員のうち、現在14名が出席しておられますので、本会議が成立していることを申し添えます。
 それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。配布資料の確認をいたします。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門員名簿と続きます。続いて、総括報告書の評価について資料1-1から資料1-3、試験実施計画の変更について資料2から資料5、協力医療機関の追加について資料6-1及び資料6-2、先進医療Bの総括報告に関する評価結果の報告が資料7です。配布資料の最終ページは63ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認ですが、今回は特に御報告すべき利益相反はありませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ又はタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上、助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等がございましたらお知らせいただきますよう、お願いいたします。また、手挙げ機能が付いておりますので、適宜こちらも御活用いただければと存じます。以上です。
 
(伊藤(澄)構成員、上村(尚)構成員、後藤構成員、真田構成員入室)
 
○山口座長
 では、議事に入りたいと思います。総括報告書の評価結果について、事務局より御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂くのは、告示番号旧15の「重症心不全に対する免疫吸着療法」です。申請医療機関は、北里大学北里研究所病院です。審査担当構成員は、主担当が一色座長代理、副担当が柴田構成員となっております。
 本試験概要の説明に先立ちまして、事務局から経緯に関する補足の説明をさせていただきます。本試験は、第53回先進医療技術審査部会にて取下げを報告し、2017年の末に、総括報告書の御提出が一度ありました。当時も評価をお願いした一色座長代理と柴田構成員から、解析方法に不備がある等の指摘を受けて差し戻されましたが、その後、申請医療機関と、既に別の医療機関に異動済みの実施責任医師との間で調整がつかず、複数回の督促の連絡をしてまいりましたが、御提出いただけない状況が続いていました。第109回先進医療技術審査部会で先進医療Bの総括報告書の提出状況を報告した際に、本試験の報告書が未提出である状況について施設の信用に関わる問題との御指摘を頂き、改めて申請医療機関に督促したところ、昨年12月に、改訂を加えた総括報告書を提出していただきました。担当構成員による照会回答を得て、事前評価が終了したことから、今回御審議いただきます次第です。なお、資料1-2としてお付けしている照会事項への回答は、申請医療機関から既に異動した研究責任医師によるものですが、申請医療機関の病院長の確認を得た上で御提出いただいていることを申し添えます。
 資料に沿って説明いたします。試験の概要については、資料1-1のほか、資料1-3の29ページ以降の概要図も併せて御覧ください。本試験の目的は、心筋自己抗体を有する慢性心不全患者に対して、本邦医療機器イムソーバTRによる免疫吸着療法の用量反応、プラセボ群対照による、奏効率の有効性を検討した。基本デザインは第2相無作為化治療中止試験とし、適応基準は、心抑制性抗心筋自己抗体が陽性、心不全の自覚症状がNYHA分類で2度以上、心筋核医学検査(QGS法)による左室駆出率(EF)が40%以下の心不全症例とした。第1クール3回、3か月後に第2クール5回の免疫吸着療法を実施した。第1クールのみでEF値が5%以上改善した症例は1:1の無作為化を実施した。全症例においてEF値が治療前値にもどった時点で、rescue治療として5回の治療を追加できることにした。心筋抗体ごとのEF値の変化、並びにソフトウェアHeart Function Viewによる心筋シンチグラフィーEF測定を行った。主要評価項目は、心筋シンチによる左室駆出率を算出し、奏功率は、奏功率=(治療3か月後の心筋シンチ-治療前心筋シンチ)と定義する。奏効率が5%以上を有効、5%未満を無効と定義し、3か月後にプラセボ群と比較して5回治療群での有効率を比較する。副次的観察項目は、お示しするとおりです。目標症例数は、27例(登録症例数:のべ25例[2例は再登録])となっております。以上です。
 
○山口座長
 では、本技術の評価について、主担当の一色座長代理から御説明をお願いします。
 
○一色座長代理
 この技術は長い経過がありますので、覚えておられる方も多いかと存じます。振り返りますと、13年前、2008年の当時の高度医療制度の下で、“拡張型心筋症に対する免疫吸着療法”として申請されております。そのとき、先進医療専門家会議で承認が否決されたという経緯がありましたが、もう一度2011年に再申請されまして、第29回の高度医療会議で「適」と判断されました。2012年から先進医療制度へ変更になりましたが、この時に“重症心不全に対する免疫吸着療法”、今回のテーマとして承認されております。
 先ほど御紹介がありましたが、実施期間は2012年12月から2016年9月までで、その後に提出された総括報告書に不備があった関係で、修正に時間を要しまして、今回の報告書となっております。なお本件は、当初より柴田構成員が長く主担当として関わって来られた案件です。
 この技術ですが、拡張型心筋症などの重症心不全において、心収縮能を低下させる要因として抑制型の抗心筋抗体が関与する症例があるということに着目して、これを血液中から除去することによって心収縮能を改善させることができるという仮説に基づいて、既に臨床応用されているイムソーバTRを用いた免疫吸着療法を計画したものです。
 会議資料の30ページ、左側に図があります。この下の図が、実際のプロトコルになります。心抑制性の抗心筋自己抗体が陽性で、心不全の自覚症状がNIHA分類の2度以上、かつ心筋核医学検査による左室駆出率(EF)が40%以下の心不全症例を対象とし、免疫吸着療法をまず第1クールとして計3回行います。その結果として、有効と判断された症例を1:1で無作為化して2群に分けて、更に5回の第2クールを施行して、その3か月後の時点での奏効率を比較するという若干複雑なプロトコルとなっております。なお、一番下の第1クールで無効であった症例には、5回の吸着療法を追加するということで比較するということが計画されていました。
 主要評価項目は先ほど御紹介がありましたが、心筋シンチグラムでの左室駆出率で、5%以上にEFが改善した症例を有効として、有効率を算出しています。目標症例数は、無作為化の評価に24例が必要と判断されて、これを奏効率90%と見込んで、最終的に27例と設定されました。実質的に登録されたのが、のべ25例で、2例の再登録例を含めて、症例数としては23例が登録されたものとなっています。
 試験結果に移ります。第1クール終了の時点で、23例中8例(34%)しか奏効せず、予定されたプラセボ対照試験には4例ずつの登録しかできませんでした。これによって、プロトコルに基づいた第2クールでの主解析を行うことができず、また、その他の指標でも有意な改善を示すことができず、結局、主要評価項目及び副次評価項目の全てにおいて、「いかなる結論も出せなかった」という総括がされております。
 報告書を御覧いただくと、多くの図表が載せられております。その多くは研究者が付加的に行った解析によるもので、これらについては本研究の中途に追加されたPMDAの資料の作成目的に対応したものと位置付けられております。タブレット資料の66ページ等を御参照いただくと、これに関係する説明が記載されています。
 これらの総括報告書の記載は、その結論において、当初提出されたものと異なっておりますので、今回の総括報告書の提出までの経緯について、若干説明を補足いたします。
 2017年11月16日に提出された総括報告書、タブレット資料1の72ページ以降です。事務局及び評価担当者から幾つかの問題点が指摘されております。指摘されたことの第1は、記載内容そのものに問題があると判断されたことです。本研究と並行して施行されていた企業治験が失敗に終わったことが判明したことを受けて、PMDAとの相談が行われました。その相談内容やそれに対する研究者の意見、また、本研究の打ち切り時の先進医療会議での取扱いに対する研究者の見解などが各所に記載されておりました。これらは、本研究の結果を総括する報告書に記載する内容としては適切ではないと判断されたところです。
 第2に、研究の途中で「研究の目的が変わった」と記載されていることです。初回の報告書83ページの上段ですが、「PMDA事前相談(2014年5月16日)後に追加された目的」として、3項目が加えられています。本件については、先ほどの資料66ページの参考所見の報告書に添付されたものですが、これに記載されているように、「先進医療Bで得られた結果がpositiveでも薬事承認には絶対につながらない事が再確認されたため、当初の研究結果を出す必要はなくなりました。あくまでも企業治験の結果に対するPMDA審議官の判断に対して、科学的に反論する必要が生じました」との記載があります。続いて、「このPMDA事前相談の段階で、奏効率が90%よりも大幅に低下することが推定されていましたが、先進医療Bの研究結果をpositiveに出すことが必須でなくなったため、プロトコル等の変更は行いませんでした」というような説明がなされています。なお、最終的にこれらの文言の趣旨は、最終報告書の「統計・解析上の論点」にも、一部残されておりますが、当初の考察においては、これらの付加的解析による結果を新知見として記載されており、これらについても不適切と判断されたところです。
 更に、柴田先生から、最も重要な主解析の解析方法がプロトコルと異なるという御指摘がありました。研究者がこのことを記載しないまま別の解析法を用いて報告しようとしているとして、この姿勢を戒めるとともに修正が強く求められたというような経過がございます。解析に関するこれらの問題点の詳細については、後ほど柴田先生から御説明がなされると思います。以上のような問題点を踏まえて、最終報告書は、それらの問題点についての修正がなされたものとなっています。これを踏まえて評価をさせていただきました。
 会議資料の17ページを御覧ください。結果的にプロトコルに沿った形での解析ができずに終わっていることから、有効性に関しては評価不能として「E」とさせていただきました。先ほどご説明いたしましたように、当初提出された報告書において、プロトコル変更の手続きを省略したまま、中途で目的を追加変更し、また、プロトコルに沿った主解析と異なる解析法による結果を、自らが予め設定した解析として提示されていたことや、本研究の結果と直接関係しない内容の記述がされていたことなどの問題点が今回の最終版では全て修正された形となっております。これらを踏まえまして、有効性を評価することは不可能と判断した次第です。
 安全性に関しては、臨床的に手技の確立しているイムソーバTRを用いていることと、これに伴って問題となるような合併症は特に見られなかったということから判断して、「B」と判定いたしました。
 なお、これらの経緯、特にデータの解析に関しては、本技術の評価に当初から関わってこられた柴田先生から御説明を頂きますので、私はここまでとさせていただきます。総合的なコメントについては、柴田先生のお話の後に述べさせていただきます。私からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の柴田構成員より、試験実施計画書等の評価について、御評価をお願いいたします。
 
○柴田構成員
 資料1-1の評価表、通し番号の19ページを御覧ください。こちらに有効性と安全性に関する評価を示しております。まず、評価に入る前に、先ほど一色先生からも御説明いただきましたが、本試験のデザインについて確認しておきたいと思います。
 資料の通し番号の30ページを御覧ください。資料1-3の「医療技術の概要」の2ページ目です。このページの下のシェーマを御覧ください。この試験は、登録された全ての患者が治療される第1クールと、第1クールで5%以上EF値が上昇した方を改善と判断し、その方のみを対象として治療を継続か治療中断かにランダム化をする第2クールとに分かれています。この試験は、ランダム化され治療を継続する群とプラセボ群に分けられる、いわゆる無作為化治療中止試験と呼ばれるデザインです。資料には「プラセボ」と書いてありますので、以下、便宜的にプラセボ群で説明を通しますが、実際は無治療群になります。また、盲検はかかっていません。これは実施計画書に書いてあるのですが、プラセボ群に割り付けられた患者であっても、主治医が必要だと考えるときには、レスキュー治療として追加の本治療を実施することが可能になるように、倫理的配慮もなされたというデザインとなっています。
 計画では、27名を第1クールに登録すると、その90%に相当する24名が改善すると見込んでおり、その24名がランダム化される予定でした。この登録された患者の90%が奏効するという見込みは、2012年2月3日の第29回高度医療評価会議の資料1-7に書いてあるのですが、申請医療機関側が明示し、試験実施計画書の8-4節にも追記されている事項で、具体的には、「本無作為化前の第1クール(奏効率0.90~1.0)で左室駆出率が増加しない症例も存在しうるため、正確な全症例数は27例である」と記されています。つまり、この集団を対象にして臨床試験を行う場合、第1クールでは90%から100%の奏効率が得られるというのが、申請医療機関の当初の主張です。
 ランダム化のタイミングは、シェーマの「有効」という矢印と、「無作為化」と書かれたマルの部分で示されていますが、実際には23名、複数回登録の2名を含む、のべ25名が登録されたのですが、改善した患者の割合は予想を遥かに下回ったため、ランダム化された患者は8名にとどまりました。そのために、予定した解析ができないという結果になっております。
 ただし、以降で詳細を述べますが、結論としては、形式的に予定された解析が実施できなかったというものではなくて、本技術が有効であるとの根拠を示せなかったということになると考えます。
 評価結果の御説明に進みます。有効性については、「E.その他」としております。プラセボに勝るとの結果は得られておらず、AからCのいずれにも該当しません。Dと判断する根拠もありませんので、ここでは「E」といたしました。
 ランダム化された患者が予定の24名に対して8名にとどまったために、事前に定めた主たる解析ができなかったわけですが、解析ができないために結論を導けないのではなく、有効性が認められないとの判断をすべき状況だと考えています。登録例のうち、奏効すると考えられた90%を遥かに下回る8例しか申請医療機関が自ら定めた改善の基準に合致しなかったということ自体が既に、有効性は想定を下回るものであったということを示しています。
 また、ランダム化されてプラセボ群に割り付けられた方が4名いらっしゃいますが、その4名で、主治医判断で、状態が悪いのでレスキュー治療が必要になると判断された方はいらっしゃいませんでした。
 ここまでで総論的にまとめますと、第1クールの結果から、本治療は申請医療機関が想定しているほどには効かなかったこと、また、ランダム化後のプラセボ群、正確には治療を中止して無治療とした群ですが、ここでレスキュー治療が必要であると判断された方はいなかったことから、治療中止が事前に懸念されていたほど患者の状態を悪化させるものではなかったこと、この2点が有効性に関する解釈だと考えております。以下、詳細に御説明いたします。
 申請医療機関側は、倫理的観点で適格基準を広めに取ったことを、第1クールの改善例が少なかった理由としています。結果論としては、そういう解釈もあり得ますが、まず第一に考えるべきこととして、研究者の事前の見立てにより設定された適格基準、言い換えると、このような患者を対象にすれば、本技術が有効であり得るとの見込みが証明されなかったという解釈を、先ずはするべき状況と考えております。実際に、2012年の第29回高度医療評価会議の時点で、前述のとおり、申請医療機関側は、この臨床試験では第1クールに登録された患者の奏効率を90%から100%と説明しており、つまり、患者への倫理的配慮から適格基準を広げたことで本治療法の効果を証明できなかったのではなく、本治療の効果の見込みが誤っていたこと、あるいは過大評価であったことが、本試験結果によって明らかになったというのが科学的な解釈だと思います。
 臨床試験では、治療対象となる患者の属性をどのように規定するのかも含めて、新しい技術の有効性、有用性を証明していくわけですから、本試験は、単に統計学的検定ができなかったという結論ではなく、想定していた効果がなかったと結論付けるものだと考えております。
 また、申請医療機関は補足的な解析、探索的な解析として、第1クール終了後、すなわち治療前から3か月後までに改善が見られ、無作為化がなされた8例を抽出し、反復測定分散分析の結果を基に、治療前のデータ、3か月後のデータ、6か月後のデータがあるのですが、この治療前、3か月後、6か月後という期間で、免疫吸着療法によって左室駆出率が有意に改善した旨の主張をしていました。
 しかし、この主張は不適切です。結果として改善した患者のみを抽出し、改善しなかった患者を除外した集団において、解析を行った、その結果に基づくものであるからです。
 補足的な解析であるので細かいことの指摘は行いませんが、総括報告書の5ページ、タブレット資料1の通し番号の39ページに載っている分散分析表とグラフを見ていただくと、統計学的な有意差が、データのどのような推移によって引き起こされているかが把握できます。5ページの一番下に折れ線グラフが描かれていますが、一番左端が登録時(治療開始前)、真ん中がランダム化のタイミングで、一番右端が6か月後になります。この登録前からランダム化までに線が上昇していますが、これは上がった方だけを抽出しているので、こういうグラフになっているわけです。この部分を取り上げて有意差があるということを言っても、それは治療法が効いているからではなくて、改善した人のみを抜き出しているから、このようなグラフになっているだけです。そのように解釈すべき状況ですから、ここで統計学的有意差が付いていることを以って本治療の有効性を示唆するという解釈をすることは間違いだと言わざるを得ません。
 本題に戻ります。総括報告書5ページの解析結果を見て、かつ、この解析が第1クールに入った全ての患者を対象としたものではなく、3か月後に改善と判断されて第2クールに入った方のみを抜き出した解析であることを考え合わせますと、申請医療機関が当初に主張していた治療前、3か月後、6か月後の期間で、免疫吸着療法によって左室駆出率が有意に改善したとの解釈を行うことは間違いであるということを改めて申し上げたいと思います。
 この結果に基づいて、免疫吸着療法の効果の主張をすることは統計学の誤用であって、不適切です。この点について指摘したところ、申請医療機関より総括報告書の当該解釈を削除する旨の回答がなされましたので、申し添えます。
 次に、安全性に進みます。こちらは、本試験結果からは大きな問題点は見出されておりません。
 最後に、技術的成熟度です。これは「D.その他」といたしました。これまで縷々申し上げましたとおり、本技術については有効性の裏付けとなるような結果は得られていません。もし今後、本治療法の評価を継続することを検討されるのであれば、まず申請医療機関が、自ら事前に定めた方法によって有効性を示し得なかったという事実を踏まえた対応をとる必要があって、また、第三者の関与も含め、客観的な方法に基づく研究がなされること、結果の評価がなされることが重要と考えます。
 最後に補足させていただきたいことがあります。照会事項のやり取りも資料の中にありますので、お目通しいただきますと、詳細が記されているのですが、当初、私が先ほど「不適切な結果である」と説明した解析が、あたかも主たる解析であるかのように提示されておりました。それは研究の実施方法として不適切です。試験実施計画書においても、8-4節に主たる解析の統計解析方法が記されていますが、ここに反復測定分散分析を行うことは書かれておりません。改訂をしたと申請医療機関の方がおっしゃっていますが、添付資料の中の脚注の中に、そのような解析をする可能性がある旨のことが書いてあるのみで、プロトコル本体の主たる解析の所には、反復測定分散分析で分析を行うということは書いていませんので、こちらの解析は、あくまで付加的に、探索的に行われた解析だと解釈すべきで、あたかも主たる解析であるかのようにアピールすることは不適切だと考えます。
 改めて申し上げますと、自ら事前に定めた見込みや判断基準が満たされなかったこと、すなわち、27例を登録すれば90%に当たる患者が改善し、改善した患者を無作為化して比較すると統計学的に有意に差が付くとの結論は得られなかったことを、まず主たる解析の結果として記載し、考察するべきです。本試験結果が、今後何らかの形で公表されることもあるかもしれませんが、その場合には、どのような探索的結果を提示するにせよ、まず第一に、申請医療機関が試験実施計画書の中で、事前に想定していた第1クールでの奏効率が想定の90%よりも著しく低い3割程度にとどまったこと、及び主たる解析である無作為化後の群間比較に基づき、有効性を主張することは不可能であったことが明示されることが必要です。これは必須だと思います。
 そのような、事前に定めた主たる解析の結果を提示することなく、探索的な解析結果のみが、あたかも事前に設定された主解析であるかのように提示されること、あるいは都合のよい結果のみが抜き出されて提示されることは研究の行い方として不適切であるので、申請医療機関としては今後も御注意いただきたいと考える次第です。長くなりましたが、私からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは一色座長代理から総合的なコメントを含めて何か追加のコメントがありましたら、よろしくお願いします。
 
○一色座長代理
 ありがとうございます。先ほど、技術的成熟度の評価を抜かしてしまいましたが、これは同様に「D」とさせていただいています。
 総合コメントですが、この方法は収縮能の高度に低下した難治性の心不全にはその心機能を回復させる有効な治療法が存在しないという現状において、一定の期待感があったかと思います。また、実際に有効な症例があったということも事実だと認識をしています。この技術自体は、半年の間、免疫吸着療法を繰り返すということで、患者さんにも実施する側にもかなりの負担が掛かったであろうことが窺われます。この背景には、本技術に対する研究者らの絶対に効くのだという思い入れが非常に大きいものであったことが想像されます。その意味において、本研究に先行して行われた治験における心機能評価の指標として、研究者の意思に反して設定された心プールシンチの有意差が示せずに、治験が失敗に終わったことについては研究者の立場に一定の理解をするところではあります。
 しかしながら結果的には、倫理的に判断して組み込んだと説明されている症例登録などの理由により、奏効率は研究者らの見込みから大きく外れてしまいました。またランダム化の対象となる症例数は確保できませんでした。研究者の独断によってプロトコルの変更申請なしに、目的の変更や解析内容の変更が行われたということもありました。その結果として、本来、証明できた可能性のある本療法の有効性が解析不可能という形で終焉したということは、残念な結果ではないかと総括をしています。
 今後に関してですが、治験と本研究の結果を鑑みまして、本治療法の有効性を証明しようとするのであれば奏効率が非常に高い可能性が示された抗体価が非常に高い症例を対象としたランダム化トライアルを改めて組み直すことはあり得ると思いますが、研究者らは本治療法への試みを断念するという意思表示をされていますので、薬事承認を取得する道は閉ざされていると考えています。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問、コメントなどはありませんか。上村先生、どうぞ。
 
○上村(尚)構成員
 この試験については、どの程度、統計の専門家のような方が関与されていたかというのは、これまでのコミュニケーションから、何か情報がありますか。
 
○山口座長
 何かありますか。
 
○柴田構成員
 私から補足します。まず試験の計画時には、統計家が関与してデザイン等に対する助言がなされています。しかし、結果の解析のときに、統計家が関与していたのか否かについては、当方からは把握することができない状況です。
 
○山口座長
 上村先生、よろしいですか。上村先生が御指摘のとおりで、きちんとした統計の専門家が見ればこういう回答は返ってこないのではないかと私も思ったので、それは施設のほうに確認したいと思います。これは、やはり北里大学研究所病院の責任でやるべきものですから、その回答に対しては責任を持つべきだと思います。研究者だけが自分の解釈で出したかもしれないので、その辺りは、明確にしてほしいということは申し上げたいと思いますが、そういうことでよろしいですか。
 
○上村(尚)構成員
 はい。これは非常に重要なポイントだと思いますので、どうぞお願いします。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。神村先生、どうぞ。
 
○神村構成員
 神村です。最終的にですが、この情報については治験も企業側が断念している、また研究者側も有効性を示せずに断念すると、そういうことになるわけですか。
 
○一色座長代理
 私から回答させていただきます。研究者の記載としては、そういうことになっています。ちょっと分かりにくいのですが、報告書の記載を見ると、治験は絶対に成功すると思っていたふしがあります。その見込みに基づいて、本研究の計画が補足的になされたのではないかと私は類推をしています。なぜかというと、「倫理的な」という表現はされていますが、かなり症例を広げて登録させているからです。治験に入った症例も再登録されていますし、効くか効かないか分からないと言いながら、二次性の心筋症の症例も数例組み込んでいます。結果的にそれらの症例のほとんど全てが、抗体価が若干低めで、有効例ではありませんでした。これらの症例が無効例に回ったということが、奏効率の低さに結び付いてしまったわけです。少し言い過ぎかもしれませんが、治験が通って、その後の薬事承認が得られる可能性が高いとの想定の下に、患者救済の意味を持たせた形で、本研究では有効性を示せなくても良い、と考えていたための結果ではないかと思っています。これで説明になっていますでしょうか。
 
○神村構成員
 ありがとうございます。つまり、抗体価が高くて、もしかしたら有効であった可能性のある患者さんにとっては非常に残念な結果に終わったという結論と言ってもよろしいですか。
 
○一色座長代理
 そうですね。はっきりと言っていいのか分かりませんが、このデータからすると、抗体価の高い症例では、かなり高率に効いているということがありますし、先行研究でも非常に有効だった症例もあることは確かなので、そういう患者さん方にとっては、残念な結果ということになるかもしれません。
 
○神村構成員
 ありがとうございました。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。天野構成員、どうぞ。
 
○天野構成員
 ありがとうございます。今の御説明に関連してですが、資料の中で26ページに今の先生からの御説明と同様の記載があるかと思います。「患者救済という非科学的な感情を捨てられなかったために、患者選択基準において後述3点が当初より(きれいな解析結果を出すという点では)問題となっていました」であるとか、あとは「治験に入れない患者さんをどちらかというと救済するような形でやりたいために申請したものです(そのような非科学的感情で申請することに否定的な御意見もあるかと存じます)」ということで、先ほど御説明があったように、この試験の結果には、ある種の絶対的な自信があったと。であるがゆえに、患者さんの救済というような言葉がここに出てきているのかと思います。
 しかし一方で、ごく当たり前のことを申し上げますと、こういった未承認や適用外等の治療は「患者救済のため」とか、場合によっては「患者が希望するから」といって臨床試験を行ったりしている例がありますが、患者が希望する理由は、あくまでも自分に何かいいことがあるかもしれない、有効性があるかもしれないと期待するからです。有効性が明らかでない治療を臨床試験として行う場合に、「患者救済のために」という言葉を称して患者に実施するのは倫理的に極めて大きな問題です。そのような試験が、厚生労働省が実施する先進医療で堂々と行われていたということは、大変大きな問題であると思います。本件は、もう既に総括報告が出ていますが、今後このようなことがないように何らかの対策が必要と考えます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。おっしゃるとおりかと思います。
 私も報告を読むと、例えば、この研究は失敗であったと書かれておりますが、失敗とは何かということが科学的な観点からきちんと説明されておりません。今、天野構成員がおっしゃったようなところがたくさんあって、厳しい評価表になりました。柴田先生にうまく的確にまとめていただいたので、私もそういうことかと分かりましたが、報告書としては極めて非科学的なものになっていたので、その辺りも是非、施設のほうに返して、きちんと施設としての責任をもって出してほしいということを申し上げたいと思います。審査される先生は非常にご苦労だったと思いますが、何か追加のコメント等がありましたらどうぞ。柴田先生、追加はありませんか。
 
○柴田構成員
 今、天野先生からおっしゃっていただいたことは非常に重要なことです。私の解釈では、これは後付けの言い訳だと思います。当初は、やはり効くという信念を持って入れられたのだと思います。そうでなければ救済にならないので。ただし、それが実際には思いどおりにいかなかったという事実を認めて、はじめて次のステップとしてどこまでこの治療に見込みがあるか否か、あるいは患者さんに結果をどのように伝えるのかという話ができると思うのです。当初は、このような主張をされていながら、研究者としてはしっかり効くのだろうということを、適切な患者さんに入っていただくという信念を持って計画をされたので、逆に第1クールの奏効率が90%~100%になるという見込みで試験を組まれたのであろうと予想しているところです。逆にそれが見込みどおりにいかなかったということを、まず認めるところから考察を始めなければ、試験に参加していただいた患者さんにきちんと説明できないと思いますし、そこのところを照会事項のやり取りの中で、私は厳しく指摘させていただいたところです。御指摘をどうもありがとうございました。
 
 
○山口座長
 ありがとうございました。後藤先生、どうぞ。
 
○後藤構成員
 ありがとうございます。先ほど柴田先生もおっしゃっていたのですが、患者さん、つまり、研究に参加された方たちへの説明というものがきちんとなされるかどうかについて、どこがどういう形でフォローしていくのでしょうか。今のお話を伺っていると、まだ現状を受け入れられない状況があって、そういう場合に適切に参加者に対して説明がされるということが余り期待できないように思います。そうであれば、ここなのかどこなのか分かりませんが、今後きちんと患者さんに、こういう形でこのように説明する予定である、もしくはこういう形でこのように説明したなど、そういうことについてどういう形でフォローアップをしていくという御予定なのかをお聞かせいただければと思います。
 
○山口座長
 これは研究計画書の中に入っていましたか。説明をしてもらえますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 基本的には、こちらの会議の公開、あるいは総括報告書の評価表について、患者様からアクセスできるようにしていく所存ですので、また後々、その説明もさせていただきますが、社会還元という形でお示しする形にはなると思います。
 
○山口座長
 取り下げた先進医療について、ホームページに出したなどという報告は後でありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 ございます。総括報告書の評価表がきちんと形として見える化されていきますので、そこで患者様としては結果が見られる状況になると思います。
 
○山口座長
 後藤先生の御指摘は重要なポイントで、やはり最終的にどういうことだったのかを皆さんに分かるようにしないといけないと思います。専門家だけの視点からこうだと言っても、今回のようなケースは非常に難しいと思います。それは後で議論させていたくことといたします。
 
○後藤構成員
 はい、ありがとうございます。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。では、いろいろな御討議をありがとうございました。それでは、告示番号旧15については、今、御審議いただいたことを取りまとめまして、先進医療会議に御報告します。なお、施設には、今回の回答について、いろいろな疑問が出ましたので、その点についても一応返したいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 では、続きまして、試験実施計画の変更について事務局から説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明します。今回、試験計画等の変更申請が4件提出されています。資料2の31ページを御覧ください。1件目の変更申請ですが、東京医科大学病院からの申請で、告示番号B24「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下広汎子宮全摘術」です。適応症は、子宮頸がん(FIGOによる臨床進行期分類がⅠB期以上及びⅡB期以下の扁平上皮がん又はFIGOによる臨床進行期分類がⅠA2期以上及びⅡB期以下の腺がんであって、リンパ節転移及び腹腔内臓器に転移していないものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容としては、32ページを御覧ください。1.試験期間の変更です。実施期間2016年4月~2024年9月(登録期間:3.5年、追跡期間:5年)が、登録期間、追跡期間を短縮し、2016年4月1日~2022年3月31日となっています。2.記載整備並びに組織改編や異動に伴う変更等です。
 変更申請する理由として、1.試験期間の変更ですが、本先進医療の目標症例数(100症例)は、2019年7月に達成、主要評価項目の解析は全て完了し、副次評価項目に関しては生存期間追跡を残すのみとなっている。既に終了している主要評価項目並びに安全性に関する副次評価項目や術後有害事象の結果は既に得られており、良好な結果であったことから、これらの結果を早期に公開することが望ましいと考えた。また、試験を早期に終了しても医学的な不利益はないと判断し、研究期間を短縮した。なお、長期予後のデータは極めて重要な知見になり得るため、別途、追跡のための観察研究を立ち上げることとした。現在、申請医療期間である東京医科大学の医学倫理審査委員会へ一括審査(新指針)手続き中である。観察研究の結果については、追って先進医療技術審査部会へ報告することとしたい。2.記載整備並びに組織改編や異動に伴う変更等です。東京医科大学の医学倫理審査委員会の指示に従い、記載の整備並びに組織改編や異動等に伴う変更を行ったとあります。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について何か御意見はありませんか。特にありませんか。それでは、告示番号24の変更については、認めることといたします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明します。資料3の33ページを御覧ください。2件目の変更申請ですが、国立がん研究センター東病院からの申請で、告示番号B38「陽子線治療」です。適応症は、根治切除が可能な肝細胞がん(初発のものであり、単独で発生したものであって、その長径が3センチメートルを超え、かつ、12センチメートル未満のものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容については、34ページを御覧ください。主な変更内容は、(マル1)腹腔鏡下肝切除術の術式の追加と、(マル2)記載整備です。
 変更申請する理由は、(マル1)腹腔鏡下肝切除術の術式の追加について、2021年8月現在、予定登録数290例の46.8%である136例が登録されています。標準治療群である外科的切除のアプローチ法を開腹手術又は腹腔鏡下手術と規定し、腹腔鏡下手術の術式については、腹腔鏡下肝外側区域切除と亜区域切除未満相当の腹腔鏡下肝部分切除のみを許容していましたが、開腹手術で許容している全術式を腹腔鏡下手術でも許容いたします。なお、今回追加を予定する腹腔鏡下肝切除術の術式に、「血行再建や胆道再建を伴うもの」は含まれません。研究開始後、内視鏡外科技術の進歩により、技術的要求度がより高いと考えられていた解剖学的肝切除(Major resection)となる区域切除、葉切除等も日常診療で広く行われるようになりました。腹腔鏡下肝切除術の安全性については、傾向スコアマッチング法を用いた開腹下Major resectionと腹腔鏡下Major resectionの周術期成績の比較、2011年~2017年の開腹肝切除と腹腔鏡下肝切除の切除成績を比較した研究でも、むしろ、より安全である傾向が示されており、今回追加したいと考えている腹腔鏡下左葉切除、腹腔鏡下前区域切除、腹腔鏡下後区域切除、腹腔鏡下拡大亜区域切除、腹腔鏡下亜区域切除は、いずれの術式も安全性が担保されると考えます。本試験を実施しているJCOG肝胆膵グループでのアンケートでも、これらの安全性に関する文献的検討を踏まえて、本試験の結果が公表される頃には、さらに日常診療でこれらの術式が腹腔鏡下で実施されていることが予想されることから、開腹手術で許容される全術式を腹腔鏡下手術でも許容することに異議はありませんでした。また、腹腔鏡下手術担当責任医の要件について、その変更要否も検討しましたが、腹腔鏡下手術の術式を追加しても変更の必要はないことも確認しました。なお、本試験は診療報酬「K695-2 腹腔鏡下肝切除術」の算定が可能な施設(「腹腔鏡下肝切除術(部分切除及び外側区域切除)に関する施設基準」及び「腹腔鏡下肝切除術(亜区域切除、1区域切除(外側区域切除を除く。)、2区域切除及び3区域切除以上のもの)に関する施設基準」の届出がなされている施設)に限定して実施します。(マル2)記載整備は、研究者情報の更新などの記載整備をしたとあります。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について御意見はありませんか。これは腹腔鏡下の肝切除がいろいろ行われるようになって、安全だとは言いますが、最終的には保険収載をきちんとされているものについてだけ、やるということですね。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 そういうことです。
 
○山口座長
 できるはずだということではないということですね。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 はい、それは申請医療機関に確認を取りました。
 
○山口座長
 何か御質問、御意見はありませんか。ないようですので、告示番号38の変更について、認めることとします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料4の37ページを御覧ください。3件目の変更申請ですが、慶應義塾大学病院からの申請で、告示番号B56「イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法」です。適応症は、進行期悪性黒色腫(KIT遺伝子変異を有するものであって、従来の治療法に抵抗性を有するものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容につきましては、38ページを御覧ください。主な変更内容は、(1)多施設への拡大に伴う実施施設(国立がん研究センター中央病院、九州がんセンター(予定))の追加。(2)国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)臨床研究・治験推進事業の研究課題採択に伴う資金提供元の追加。(3)AMED・治験推進事業の研究課題採択に伴い、データカットオフの設定:本試験を中止又は脱落していない全ての被験者の主要評価項目の評価を完了した時点に得られたデータ(カットオフデータ)を固定し、解析を行うこととした。また、必要に応じて、全ての被験者が本試験を中止又は脱落する前に、それまでに得られたデータ(カットオフデータ)を固定し、解析を行う。(4)試験開始の遅れに伴い登録期間を1年延長(2023年10月末まで)、(5)最終解析を実施する時期の追加:全ての症例において主要評価項目及び副次評価項目のデータが得られて症例が固定された後に解析を行い、統計解析責任者が「解析報告書」をまとめ、研究代表医師に委嘱することとした。(6)人事異動に伴う体制の変更です。
 変更申請する理由は、(1)患者集積が予定より遅れており、試験を円滑に進めるために、がん遺伝子パネル検査の実施体制が整っているがんゲノム医療中核拠点病院や、がんゲノム医療拠点病院である実施施設を追加。(2)2021年度よりAMED・試験推進事業の研究課題に採択されたため、(3)AMEDへ提出した研究計画に合わせ企業への導出や試験実施などの可否を判断するため、(4)組入基準の変更手続及び製薬会社との契約に時間を要し、試験開始が遅れたため、(5)最終解析を実施する時期を明確にするため、(6)人事異動に伴う当該管理者・開設者の交代のためとあります。以上でございます。
 
○山口座長
 本変更内容について、何か御意見はありませんでしょうか。特にありませんか。これも特にないようですので、告示番号56の変更については、お認めすることといたします。
 続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料5の41ページを御覧ください。4件目の申請変更です。京都大学医学部附属病院からの申請で、告示番号B71「マルチプレックス遺伝子パネル検査」です。適応症は、進行再発固形がん(食道がん、胃がん、大腸がん、膵がん、胆道がん、肺がん、乳がん、卵巣がん若しくは子宮がん又は悪性黒色腫であって、化学療法又は放射線治療を行っていないものに限る。)です。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、42ページを御覧ください。主な変更内容は、1.登録期間及び総研究期間の延長で、登録期間の12か月への延長と、それに伴う変更です。2.倫理指針の統合に伴う修正です。3.その他としては、誤記修正です。
 変更申請する理由は、1.本研究は、2021年8月24日時点で51症例登録されている。症例登録は順調に進んでいるが、COVID-19等の影響により、協力医療機関の倫理審査委員会の開催が遅れたため、先進医療告示から最大3か月遅れて症例登録が開始された。当初の予定より協力医療機関での登録開始が遅れたことにより、変更前の登録期間では目標症例数の達成が困難であると判断し、登録期間の延長を行った。併せて、総研究期間を明確にするため、総研究期間の記載変更も行った。2.「人を対象とする医学系研究に対する倫理指針」及び「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の両指針が「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に統合されたため。3.マッチングスコアの定義の文献参照番号並びにプロトコル内容変更の手順の参照項番号の誤記訂正を行ったとあります。以上です。
 
○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御意見はありませんでしょうか。当初6か月の予定だったのが、3か月スタートが遅れたということで、これはやむを得ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。特にないようですので、それでは、告示番号71の変更についてはお認めすることといたします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料6-1の43ページを御覧ください。先ほど変更申請として御審議いただきました告示番号56について、1件の協力医療機関の追加申請がありました。資料6-2の45ページを御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続きを進めさせていただきます。以上でございます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは、続きまして先進医療Bの総括報告に関する評価結果の報告について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料7の47ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告に関する評価結果についての報告です。一定の要件を満たす抗がん剤を用いた先進医療については、国立がん研究センターが事務局を務める先進医療評価委員会において、その評価が行われますが、本件は、9月10日に開催された同委員会での告示番号旧39の総括報告に関する評価結果の報告です。総括報告書に関する評価表について、49ページを御覧ください。医療技術名は、131I-MIBGを用いた内照射療法で、適応症は神経芽腫です。申請医療機関は、金沢大学附属病院です。
 概要を簡単に御説明いたします。医療技術の概要欄の後方の5行目にありますが、本先進医療は、I-123標識3-ヨードベンジルグアニジン(123I-MIBG)集積陽性の初発及び再発高リスク群神経芽腫症例を対象として、131I-MIBG内照射を標準的な強化療法である大量化学療法(及び造血幹細胞移植)前に投与し、安全性と有効性を検証するとあります。
 試験結果についてですが、有効性の評価結果は、全登録例8例において造血幹細胞移植が行われ、造血幹細胞が生着した症例は100.0%であった。RECISTに準拠した効果判定は、SDが87.5%、NEが12.5%であり、奏効率は0.0%であった。MIBGシンチグラフィによる効果判定は、CRが62.5%、SDが37.5%であり、奏効率は62.5%であったとあります。
 次ページの2段落目ですが、安全性の評価結果は、全治療例8例に用量制限毒性は認められなかった。死亡例は認められず、ダブルルーメンカテーテルの不具合(試験薬を投与していないルーメンの破損)が生じたが、試験薬との因果関係は否定されたとあります。
 最後、結論としましては、高リスク群神経芽腫に対する131I-MIBGの安全性が確認され、RECISTに準拠した効果判定での奏効率は0.0%、MIBGシンチグラフィによる効果判定での奏効率は、62.5%であったとあります。
 次ページですが、主担当の中西構成員からは、有効性は「E」で、コメントとしては、131I-MIBG内照射療法単独の有効性については、シンチグラフィ画像上CRが62.5%、SDが37.5%であり、有効性を示唆する成績が得られた。一方、RECIST評価における奏効割合は0%であった。本医療技術の最終的な目標は、従来から実施されている大量化学療法と造血幹細胞移植に131I-MIBG内照射療法を併用することにより有効性の向上を図ることにある。したがって、有効性評価は131I-MIBG内照射療法、大量化学療法、造血幹細胞移植の3者の併用によるアウトカムを評価することが必要である。本試験においては、初発例75%、再発例25%と治療予後が異なる集団が含まれており、加えて症例数及び追跡期間不足のために、現時点で有効性を判断することはできない。
 安全性については「B」で、コメントとして、本試験の安全性に関しては、1)131I-MIBG内照射療法単独の安全性、及び2)131I-MIBG内照射療法を併用した大量化学療法及び造血幹細胞移植の安全の2点から評価する必要がある。1)については、試験に登録された8例全てで試験薬との因果関係のある重篤な有害事象をきたすことなく大量化学療法・造血幹細胞移植へ移行できており、安全性は確認できたと考える。2)については、大量化学療法において不可避の有害事象は発生しているものの大量化学療法において通常見られる範囲のものであり、131I-MIBG内照射療法の併用によって有害事象が増加・重症化されたとは考えられない。また、造血幹細胞移植生着率は100%で、1.576年時においてイベントの発生もないことより、安全性は確認できたものと考える。
 技術的成熟度は「C」で、131I-MIBG内照射療法は、比較的安全な治療手技であることは本試験から確認することはできたが、治療の特性上、特殊な設備、放射性物質の取り扱いに習熟した者や有資格者、小児血液学の専門家等が必須である。したがって、高い技術的成熟度が求められる。
 総合的なコメントとして、1)131I-MIBG内照射療法単独の安全性と有効性については、本試験における主要評価項目であるDLTは、いずれの症例でも見られず、131I-MIBG内照射療法単独の安全性は確認された。また、副次評価項目であるMIBGシンチグラフィによる奏効割合は62.5%で、有効性を示唆するものであった。
 2)131I-MIBG内照射療法を併用した大量化学療法及び造血幹細胞移植の安全性と有効性についてですが、本試験の最終的な目的は、131I-MIBG内照射療法を併用した大量化学療法及び造血幹細胞移植の安全性と有効性を評価することである。安全性については、大量化学療法において不可避の有害事象は発生しているものの許容範囲内のものであった。また、全症例で造血幹細胞移植の生着が見られており、131I-MIBG内照射療法を併用することの安全性は確認されたと考える。0.51年~2.53年の追跡期間中にイベントの発生がなかったことも、安全性を裏付けする成績と思われる。
 一方、有効性については、RECISTによる奏効割合は0%であり、加えて症例数及び追跡期間不足のために現時点で有効性を判断することはできない。とはいえ、シンチグラフィ画像上の有効性が示されていること、追跡期間中にイベントも発生していないこと等は、本医療技術の有効性を期待されるものと思われる。
 以上の点をまとめると、本医療技術の安全性は確認されたと考える。一方、有効性については、131I-MIBG内照射療法単独の有効性を示唆する成績は得られたものの、本医療技術については、131I-MIBG内照射療法の大量化学療法及び造血幹細胞移植とセットでの成績を見る必要があるため、現時点では評価できない。この点は更なる追跡又は有効性を確認するための別試験等で明らかにする必要がある。
 助言としまして、本試験において、131I-MIBG内照射療法の安全性は確認され、かつ、その有効性を示唆する成績が得られた。しかし、現時点では追跡期間不足のために予後改善につながるかどうかは断定できない。ついては、有効性を確認するための臨床第Ⅱ相試験の追加が望まれる。しかし、希少疾患であり、追加試験の実施は必ずしも容易でないことも理解できる。予後を大幅に改善できるという追跡結果が示された場合には、薬事承認申請の効率化に資する可能性がある。今後とも、予後の追跡を厳密に行っていただきたいとのことです。
 副担当の飛田構成員からは、有効性は「E」で、コメントとしては、本試験が高リスク群神経芽腫患者を対象に、本医療技術2週以内、かつ大量化学療法開始前の評価期間におけるDLTを評価する第Ⅰ/Ⅱ相非対照のオープン試験であることから、従来の医療技術と比較することができないため、「E.その他」と評価しています。
 今後、本医療技術の薬事承認取得に向けたロードマップを検討し、適当な比較対照を設定した上で、本医療技術の有効性及び安全性を評価できる試験を実施する必要があると考えます。
 安全性は「B」、コメントとしては、DLTは認められず、重篤な有害事象の発現は1例のみとのことで、安全性については大きな問題はないと思われるものの、8例の少数例での検討であることから「B」と評価しています。技術的成熟度は「A」とあります。以上の評価につきまして、先進医療会議に送られることとなりましたので、御報告でございます。以上です。
 
○山口座長
 ただいまの御説明に何か御質問はありませんか。私もこれに関わっていたのですけれども、安全性については、それほど問題がないと思います。しかし有効性については、今回は検討だけでは分からないというのが本当のところだと思います。大量化学療法とか幹細胞移植という、かなりヘビーな治療をやって、更にそれに上乗せしてというか、内照射を加えるということですので、その分だけ上乗せの効果がないと、やはり治療としてはよろしくないのではないかと思いますが、その辺りは全く分からないということです。
 資料56ページを御覧いただきたいと思いますけれども、薬事承認申請までのロードマップが、この後、学会要望として公知申請で薬事承認ということになっているようですけれども、褐色細胞腫の場合には、結構、海外でも成果が上がっていて、有望ということは理解できるのですが、私の見た範囲では、神経芽細胞腫に関しましては、ほとんどきちんとしたデータがなくて、Pheochromocytoma(褐色細胞腫)と同じように扱っていいのかどうかというのが、ちょっと疑問を感じました。その辺りを先進医療会議に報告したいと思っています。何か、コメントや御質問はありませんか。
 それでは、特にないようでしたら、本日の議題は以上でございます。天野先生、どうぞ。
 
○天野構成員
 その他ということで、私から1点指摘をさせていただきたいと思います。先月開催された患者申出療養評価会議において、患者申出療養として現在行われているパクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服投与併用療法について、東大病院で、同時に全額患者負担の自由診療として行われているということが問題ではないかという指摘をいたしました。現時点では標準治療で有意性が示されていないというか、むしろネガティブな結果すら出ている治療ですし、有効性が明らかでないからこそ、先進医療や患者申出療養で臨床試験として検証されているはずですが、藁にもすがる気持ちのがん患者さんの立場からすれば、東大病院がわざわざ自由診療として行っているのであれば、何らかの有効性が自分にも期待できるかもしれないと考えて、その治療を受けてみたいという気持ちになるという頼みなのではないかと思いますし、倫理的に大きな問題があるのではないかという指摘をいたしました。
 この件に関連して、医療関係者の方より、先進医療についても同様な事例があるとの指摘を頂きました。具体的には、富山大学附属病院でも、腹膜播種膵がんの抗がん剤腹腔内投与治療を自由診療として行っているとのことです。ホームページの記載を引用しますと、「腹膜播種膵がんにおける抗がん剤(パクリタキセル)腹腔内投与治療については、先進医療としての第三相試験治療としても行っておりますが、適格基準に合致しない患者さんに対しての『自費診療』としての治療も、当院では行うことが可能となりました。外来通院で、約10-15万円/月となります。」と、このように書かれています。本件のように未承認や適応外のがん治療を患者が希望するからということで、自由診療で行っている例がしばしばあります。しかし、がん患者が、それを希望する理由は、当たり前ですが、有効性があるということを期待しているし、何か自分にいいことがあるかもしれないということを期待しているからです。本件は、病院が患者さんにどのように説明しているのかは分かりませんが、仮に有効性が明らかでない治療を、有効性があるかのように患者に説明し、期待を持たせて自費診療ということで行っているのであれば、藁にもすがる気持ちのがん患者の気持ちを利用した不適切な医療行為ではないかと思います。
 先ほど審議された重症心不全に対する免疫吸着療法の例と同様に、臨床試験の結果が出る前に、その結果と有効性に絶対の自信を持たれているのかもしれませんが、現時点では標準治療に対する優越性が示されていない治療であり、有効性も明らかではありません。本件について、富山大学がどのような意図を持って自由診療を実施されているのかについて、厚生労働省から照会をお願いできないかと考えております。私からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。事務局から何か回答はありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 その辺りについて、事務局のほうから申し伝えさせていただきます。
 
○山口座長
 確認ですけれども、富山では先進医療をやりつつ、自由診療もやっているという御指摘ですか。
 
○天野構成員
 その辺りも含めて確認をしていただければと考えております。
 
○山口座長
 分かりました。では、その辺りを確認してください。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局のほうで確認させていただきます。
 
○山口座長
 今のことに関して、どなたか御意見はありますか。
 無いようですので、次に事務局から報告があるということですのでお願いします。今のことにも少し関連しますけれども、先進医療を取り下げたものについては、こちらのほうでホームページに載せてほしいとか、そういう御希望がありました。患者さんが見て理解できるようになっていないといけないと思いますけれども、その辺りについて事務局から報告があるということですので、御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。以前の先進医療技術審査部会において、既に実施が終了した先進医療について、一般の方が総括報告書の評価等を参照しやすいように、厚生労働省のホームページにまとめてはどうかとの御提案を頂いておりました。遅くなりましたが、既に構成員の皆様には御案内のとおり、厚生労働省のホームページにて、告示削除済みの先進医療Bの一覧という形で掲載させていただきましたので、御報告申し上げます。以上でございます。
 
○山口座長
 それを見ると、厚労省の会議の所に飛んで、内容が見られますけれども、患者さん向けの内容にはなっていないですよね。ある程度の知識がある方がしっかり読み込めば、どういう議論が行われて、どういう資料が提示されて、その結果がどうだったかということは分かるようには整理されたようです。ただ、患者さんの言葉で何かまとめて示しているわけではないので、この辺りは天野先生、いかがですか。
 
○天野構成員
 以前にも御指摘申し上げましたように、先進医療の概要とその結果が、そもそもリンクすらされていないという状態だったので、その後リンクされるようになったという意味では、もちろん前進だと思いますので、まずはそこをしっかりしていただくことが重要で、今、座長の御指摘のように、やはり患者さんに分かりやすく先進医療の成果や内容を示すという意味では、更なる工夫は必要だと思いますが、そうなると、今のホームページでも、かなり改編が必要なのではないかと考えますので、そこは事務局に、是非、引き続き御検討いただきたいと思います。
 
○山口座長
 ありがとうございました。事務局から何かありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 承知いたしました。こちらで検討させていただきます。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。それでは、構成員の皆様から、全体を通して何か御意見や質問はありませんか。今日、最初の案件がなかなか難しい案件で、いろいろ御討論がありましたけれども、本当に報告書を見ると、担当の先生の御苦労がよく分かりました。長い間、本当にお疲れさまでした。藤原先生、どうぞ。
 
○藤原構成員
 藤原です。今日の1つ目の案件もそうなのですけれども、私はずっと高度医療から審査に携わってきている中で、その時その時にマスコミがいろいろ話題にしたり、それから、規制改革会議とかでも、先進医療が悪いとか遅らせているとかというような品目に、こういう最終的には失敗したものが多いような印象があります。私はどこかで、ここ5年とか10年前に遡ったときに、非常に話題になったにもかかわらず、いつのまにかネガティブなデータになっているもののまとめをしたいなとは思っているのですが、先ほど天野構成員が御指摘されていましたけれども、当初、これが始まった頃は、多分ものすごい期待があって、やっている人たちも本当に信じて、良いデザインでということを試みたような記憶があるのですけれども。その当時は患者さんを騙そうとかという意図は多分なかったと思いますが、昔で言えばペプチドワクチンとか、そういうのも非常に先進医療の中でいろいろ議論された時期もありました。そういうときに、テレビでたくさん報道されたりしているので、今一度そういうものを評価して、結局はこのようになっているということが明らかに多いので、これは患者さんたちにしっかりインフォームできるようにしていきたいなと思います。これはPMDAの仕事ではなくて、私の仕事としてです。コメントですが。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ほかにありませんか。ないようでしたら、次回の日程を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 次回は令和3年10月14日(木)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細につきましては、別途、御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 それでは、第122回先進医療技術審査部会を終了いたします。皆様、ありがとうございました。
 

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