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2021年6月18日 第118回先進医療技術審査部会 議事録
(1)日時:令和3年6月18日(金)16:00~
(2)場所:磯村ビル3階(オンライン)
(3)出席者
山口座長、一色座長代理、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、佐藤構成員、真田構成員、柴田構成員、長島構成員、飛田構成員、松山構成員
(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 医療技術評価推進室長
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
保険局医療課 主査
【議題】
1.総括報告書の評価について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.その他
【議事録】
○山口座長
それでは、定刻となりましたので、第118回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多忙の折、お集まりいただきありがとうございます。本日は、オンラインでの開催となります。
本日の構成員の出欠状況ですが、本日は天野慎介構成員、田島優子構成員、藤原康弘構成員、山中竹春構成員より御欠席の御連絡をいただいております。18名のうち、14名の出席が予定されております。今11名出席ですので、既に本会が成立していることを申し添えます。
それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
配付資料につきまして確認させていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続きまして、総括報告書の評価については資料1-1から1-3、試験実施計画の変更については資料2から5、協力医療機関の追加については資料6-1及び6-2、会議資料の最終ページは52ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。
続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業または競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、資料1の技術について、真田構成員、飛田構成員より御報告がありましたが、いずれも50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。また、一色座長代理からも御報告がありましたが、50万円以上500万円未満でしたので、議事の取りまとめのみ加わることができません。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等をタブレット資料と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、またはタブレット資料の何ページとあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上、助かります。
本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。その他、途中で接続トラブル等がございましたらお知らせいただきますようお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能がついておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。以上でございます。
(一色座長代理、掛江構成員、後藤構成員入室)
○山口座長
ありがとうございました。では、議事に入りたいと思います。総括報告書の評価結果について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
御説明いたします。資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書(主たる解析結果)に関する御評価をいただきますのは、告示番号37「S-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法」です。申請医療機関は、名古屋大学医学部附属病院です。評価担当構成員は、主担当が上村構成員、副担当が柴田構成員となっております。
試験の概要につきましては、資料1-1のほか、資料1-3、27ページの概要図も併せて御覧ください。本試験の目的ですが、肉眼的腹膜播種を伴い、腹膜播種以外の遠隔転移がない年齢20歳以上75歳未満、全身状態及び主要臓器機能が保たれている初発胃がん症例を対象として、S-1/シスプラチン+パクリタキセル腹腔内投与併用療法を施行し、安全性及び有効性の評価を行う多施設共同第Ⅱ相試験とございます。主要評価項目は1年全生存割合、副次評価項目は無増悪生存期間等、お示しするとおりでございます。目標症例数は50例で、登録症例数は53例となってございます。
試験の概要につきましては、以上でございます。
○山口座長
ありがとうございます。では、本技術の評価につきまして、主担当の上村構成員から御説明をお願いします。
○上村構成員
ただいま紹介されたとおりでして、この目的としては肉眼的な腹膜播種を伴うような初発の胃がんの患者さんということになります。
それに対してこのS-1、これは経口薬ということで、シスプラチンは静脈内投与、そしてパクリタキセルを腹腔内に投与するという技術です。
どの部分がいわゆる適応を取っていない部分かと申しますと、パクリタキセルはもともとは静注をするようなお薬ですので、腹腔内に投与しているということが新しいところになるかと思います。
1年生存割合というところが主要な評価項目になっておりまして、そこを中心に今日は議論を進めていこうと思います。ただいま紹介がありましたように、今53例が入っているということで、2017年からかれこれ5年まではないでしょうか。4年ほど経過をして、53例が登録されたということです。この数字についても、組み入れについては施設の先生方が非常に苦労されてこの数字が出てきたというふうに理解しております。
技術の結果としては、60例が一次登録をされて、二次登録としては53例というわけですけれども、年齢としては23歳から74歳、男性が27名で女性が26名という患者背景になりますが、中央値としては7コースを実施したということであります。
それで、有効性の結果なのですけれども、これは主として総括報告書の中からの記載になりますが、1年生存率が73.6%ということになります。このときの信頼区間ですね。95%信頼区間が59.5%から83.4%ということでありました。それで、副次的な評価項目である無増悪生存期間が12.9か月、治療成功期間が10.0か月、また標的病変を有する5例における奏効割合が20%、治療開始前に腹腔細胞診陽性であった36例における腹腔細胞診陰性化割合が63.9%でありました。
安全性の評価につきましては、grade3以上の血液毒性が43%、非血液毒性が47%の症例に認められたということです。主な有害事象としては、好中球の減少、貧血、下痢、食欲不振等があったということで、腹腔にポートを設置しましてそこからパクリタキセルを入れていきますので、腹腔ポートに関連した有害事象ということで4例、感染、閉塞、位置が移動したり、断裂をしたりということが認められております。重篤な有害事象として21例、全例が既知の有害事象であったということです。
後からまた詳細は御議論いただくことになるかもしれませんけれども、このプロトコル治療に関連した死亡ということで、1例の患者さんが残念ながら亡くなっておられます。
この症例ですけれども、化学療法が著効した例ということで、研究者の先生方の御考察としては、もともとやはり胃がんがありまして、そこが治療することによって大幅に縮小していく中で、患者さんはもともと胃と空腸の間での吻合をされている。バイパスを作っておられるような患者さんなのですけれども、そこからの穿孔が生じた可能性があるということを考察されています。
そのほか、治療終了後30日以内の死亡例が2例、DICと水頭症ということで、これらについて因果関係がないということを判断されております。
それで、これも報告書からの記載ですけれども、腹膜播種を伴う胃がんに対してS-1/シスプラチン+パクリタキセルの腹腔内投与併用療法は安全に実施が可能であって有効であることが示唆されたと、そういう報告が上がっております。
それで、研究者の先生方とは幾つかのやり取りはあったのですけれども、そこについてはまた個別のお話が柴田先生のほうからもあるかもしれません。
柴田先生からの御報告もあるかと思いますけれども、主担当としての私の評価を先に御紹介いたします。
有効性につきましては、先ほど申し上げましたけれども、1年での生存割合がもともとこれはプロトコル上での仮説として、信頼区間の下限が54%を上回ることで判断をしましょうという事前の仮説の設定をされておりました。ですから、そこについては今回のデータからは一応支持されるということですので、一定の有効性は認められたものというふうに判断いたしました。
しかし、これは多くの先進医療がオーブンラベルの試験になっておりますので、そこは致し方ないところかと思いますけれども、結局のところ、既存の治療薬とどういうふうに差が出るのかというのをしっかりと比較するとすれば、まずほぼ標準的と言われるようなS-1/シスプラチン、あるいはこれに適応としては静脈内の投与ということであればパクリタキセルを投与したといったコントロールとの比較をしておりませんので、そもそも腹腔内にパクリタキセルを併用して投与することがS-1/シスプラチン、あるいはS-1/シスプラチンにパクリタキセルの静脈内の投与をするということよりも優れていますということを直接的に示したデータではありません。そこは、ひとつ注意をするところがあるかと思います。
ただ、この54%という数字はどこから出てきているのかといいますと、これはプロトコルの中でも、この部会の中でも議論をした上でこの数値というのは承認していたというふうに理解しています。これについては、先行研究の中でS-1とシスプラチンを使ったときのほぼ同様の切除不能の胃がんの患者さんでの生存割合というのが約54%、これはポイントエスティメートだと思うのですけれども、54%という数字がありますので、少なくともそこに対してこの試験の中での生存割合が信頼区間の下限でそれを上回るということが一つの閾値として設定されております。
実際には、この試験の平均としては72%ということだったかと思うのですけれども、これについても先行の第Ⅲ相試験、S-1、それからパクリタキセル、頸静脈と、それから腹腔内投与の試験なのですが、そこでの成績も72%ということですので、ほぼそれと同等ぐらいの有効性が今回示されたということです。数値としては、そういう数値が出ています。
ですから、一つ分かりにくいところというのは、やはりパクリタキセルを静脈内に投与したときよりも優れているのかというところについては疑問は残りますが、ただ、今回の試験で50例の患者さんにこれだけ頑張って治療をしてもらって、少なくともこのコホートの中での有効性というのが数字として出てきたというのは非常に意味のある試験だったのかなとは思っています。72%というのが過去のデータですけれども、ほぼそれと同等くらいの数字だということではありますが、一定の有効性というのは認められたのだろうということになります。
安全性なのですけれども、これは当然、腹腔内にパクリタキセルを直接投与するということは、有効性という意味では標的にしている臓器に対して直接投与しているわけですから、メカニズムとしては用量に、もしくは曝露量に依存した有効性が期待できるのかもしれませんが、同時に腹腔内に直接投与することによって何らかのリスクが増大するのであれば、それは問題かと思います。
実際に、この50数名の患者さんの中では特別、腹腔内投与したことによって何かが起こったということではなかったように読み取れます。
ただ、最初のまとめのところでも申しましたけれども、1例、この治療に関連した死亡例というのがありますので、そこについては少し慎重に考察をしていく必要があるかと思っています。研究者の先生方は、がんの浸潤部位のところが非常によく効いたので、結果的にそこから穿孔してしまいましたということなのですけれども、腹腔内に高濃度のパクリタキセルをずっと曝露させていくという手法になりますので、この薬剤が持っているメカニズムですね。これは微小管の阻害ということを狙っているわけですけれども、微小管自体は細胞の骨というのでしょうか。細胞の骨格のようなものですから、そこを阻害するということで、何らかの正常な組織に対しての影響が及んだ可能性というものを完全に否定できるものでもないかと思っております。
ですから、少し注意はする必要があるかと思いますが、ただ、パクリタキセルの既に承認されている使用方法、つまり静脈内投与ということになりますけれども、そこでも既に消化管の壊死であるとか、消化管穿孔、消化管出血、それから消化管潰瘍が現れるということが知られております。
ですから、このリスク自体は既に存在するものであって、腹腔内投与で特別そのリスクが上がったというふうには直ちに考えられるものでもありませんので、全体的に腹腔内投与のリスクは許容できるリスクではないかと思っています。
「問題あり」とさせていただいたのは、この治療法そのものが重い副作用や合併症を発生することがあるということを言っているものであって、新たに何かこれで腹腔内投与をすることによって特別なリスクが増大したという意味ではありませんので、そこはちょっと注意して読んでいただければいいかと思っております。
ただ、このリスクについては既にあるものかもしれませんけれども、この治療法を今後臨床の中で応用していくということを目指すのであれば継続的に、特に腹部の症状、穿孔が起きたりとかという前に何らかの症状が出てくる可能性もありますので、そういったものを適切にモニタリングしながら治療を進めていく必要があるので、患者の観察を十分に行って、異常が認められた場合には投与を中止するなどの処置をすることが必要だと考えております。
技術的な成熟度については、ポートを設置するというところは、そういったがんを専門にされている先生方であったり、外科があるようなところであったり、救急の体制とかをきちんと確保できているということであれば十分できるとは思いますけれども、やはり様々な合併症であるとか、腹膜播種を初発のがんということで、そのほかのいろいろな問題点もあるかと思いますので、この技術に関しての経験を積んだ数多くの先生方、つまりほぼこの臨床試験を実施していただいたような施設ですね。それくらいのレベルのところであれば、確実に実施ができるのかなと思っております。
総合的なコメントとしては、安全性については穿孔のリスクというのは増大する可能性も否定はできませんけれども、現時点で頻度等を考えると臨床的には許容できる範囲というふうに考えております。
有効性については、柴田先生のほうからもこの検証試験を今後どうするのかというお話が出ていましたけれども、理想を言えばしっかりとした検証試験、比較試験をするというのが王道だとは思いますが、理想と現実というところは少し整理して考える必要もあるのかなと思っています。
それを踏まえて、ちょっと下のほうにいっていただくと、未承認といいますか、使い方が承認されていないという意味でしょうけれども、今後これをどういうふうに進めていけばいいのかというところに関しての助言と言うほどのものではないですが、少し私見も含めて記載をさせていただきました。
今こういったがんの治療法というのはいろんなところでいろんな研究が進んでいて、治験等もかつてこういうがんの化学療法というのは製薬企業等もあまりネタがないというか、治療の術がなかなか選択肢がないというところで進みにくかったというのもあったと思うのですけれども、今はやはり分子標的薬であるとか、それから最近の免疫チェックポイント阻害薬のようなもの、あるいはそれらの併用といったものもどんどん研究が進んでおります。
その中で、このS-1/シスプラチン、それから腹腔内パクリタキセルという治療法ですね。この臨床的な位置づけというのがやはりこの数年間、この臨床試験を計画したときの臨床的な位置づけと現在の位置づけというのは変化をしているのかなと思います。
この治療で使われるお薬ですけれども、これはいずれもジェネリック医薬品が既に存在していて、これらの薬価というのは今後もう既に出ている薬であるとか、今後出てくる分子標的薬、あるいは抗体薬と比較したときに、やはり薬価という意味ではかなり安いレンジに入ってくるのかなと思います。
さらに、これは現実の話なのですけれども、パクリタキセルの腹腔内投与ということでウェブのサーチエンジン等を使って見てみますと、かなりの施設で自由診療で実施をしているという現実もあるかと思います。
そういった中で、この治療法というものが有効性に関して一定の優越性というのが認められるのであれば、やはり早い段階で保険で使えるように患者さんに届けるというのがいいのかなと思います。
ただ、一方でこれは全部ジェネリックになっていて、特にパクリタキセルの部分が今回肝になるとしても、そこに製薬企業がランダム化比較試験で、比較的リソースも使います。それは人員を投入するということだけではなくて、費用の面というところでも大きな費用がかかるわけですから、それを積極的に今後企画していくような可能性というのは低い、あるいはほぼないというふうに考えてもいいのかもしれません。
その中で、この対象になっている患者さんというのが、腹腔内にもう腹膜播種があるような患者さんですので、先行論文を見ても分かるように1年生存率、5年生存率というのをよくがんでは使いますけれども、この世界では1年生存率という話をしているのです。ですから、患者さんにとっては1年生きられるかとか、場合によっては2年、3年生きられますかという話を多分されているかと思います。そういった厳しい状況に置かれている患者さんに対して、この治療の選択肢というのをどういうふうに考えていくかというところは非常に難しい問題かと思います。
ですから、理想を言えば、やはり比較試験でのしっかりとしたデータというのは必要になるのかもしれませんが、患者さんにとってみたら少しでも長期生存の可能性があるということであれば、患者さんのお考えもあるかと思いますけれども、何としても生き延びるというような意志を持って、腹腔内に投与するというのはポートを設置したり大変だと思いますけれども、それでもやりたいとおっしゃる方もひょっとしたらいらっしゃるかもしれない。
ですから、単純に平均値という話ではなくて生存の可能性というのが実際にどのくらいあるのかというところは、こういった数字は患者さんにとっても非常に重要ですし、もちろん医学的という意味でも重要かと思うのですけれども、2年生きられるのか、3年生きられるのか、そのチャンスが少しでも上がってくるのか。そういう視点でのデータの見方というのは非常に重要かと思っています。
それで、現時点で50何人のデータというのは非常に重要なデータだと思います。それで、現時点では2年間生存されている方が報告書の中で3名とあるのですが、3年生存率についてはまだ正確な数字が出ていないという状況なのですけれども、まだこれは継続してフォローアップのデータというものを集めていらっしゃるというふうに理解しておりますので、最終的にこの50数名の患者さんの中でどのぐらいの方が、1年生存というのはある程度数字は出ていますけれども、2年生存、3年生存というところにかけられるのかというところですね。そこはやはりしっかりと見た上で、これまでのデータ、長期生存のチャンスはほとんどないというふうに私は理解していますので、そこのヒストリカルのデータと比べたときにどうなのかというのをやはり見ていく必要があるのかなと思います。
ですから、これは個人的な意見ですけれども、多分普通の治験をするというのはAMEDがお金をどんとつけてくれるとかということでもない限り、まずできる可能性というのは非常に低いと思っていますし、もし仮にできたとしても、これから5年とか時間をかけてやっていく中で、恐らく先ほどの分子標的の話であるとか、いろんなものがどんどん出てくる中で、5年後にこの治療法がどうなっているかというのは分かりにくい部分もあるかと思いますので、現実的なところでできそうなところを考えていく必要はあるのかなと思います。
その一つとして、これは全く個人的な意見なのですけれども、やはり数字として出てきていないのは静脈内に投与したときと腹腔内に投与したときはどのくらい差があるかという話に多分尽きるのかなと思います。そうすると、そこは一旦、保険診療の中での臨床試験の実施とか、そういったところも考えていく必要はあるのかなと思っています。自費でやってしまえば確かにできてしまうのですけれども、そうするとデータとして今後しっかりとした腹腔内投与の本当の有効性に関しての評価ができなくなるという危惧もありますので、そこはやはりしっかり考えていく必要があるのかなと思っています。
それからもう一つ、厚生労働省の会議体の中でこんなことを言っていいのか分からないのですけれども、現実的にはパクリタキセルを腹腔内に投与しようが、静脈内に投与しようが、これはレセプト上は出てこないので、見切り発車でやってしまうということももしかしたら出てくる可能性はあるのかなと思っています。ポート自体は確かに設置するというところの一つの手間が入ってきますけれども、そういった現実的なところも見ながらやる必要があるかなと思っていますので、そういった意味で少し私見も含めて述べさせていただきました。
○山口座長
ありがとうございました。いろいろな観点からコメントいただきましてありがとうございます。それでは、続いて副担当の柴田構成員より試験実施計画書等の評価について御評価をお願いします。
○柴田構成員
今、映写されている18ページを御覧ください。有効性についてですけれども、こちらは「E.その他」にいたしました。これが効いていないということではないのですが、このフェーズⅡ試験はフェーズⅢにいってよいかどうかを判断するためのデータを収集するというのが本来の目的であって、なおかつそれは一定の有効性が期待できるか、及び副作用のプロファイリングがどんなものであるのかということを確認するというのが目的ですので、このもののみをもってほかのものと比べるのはちょっと言い過ぎかなと思うところがあり、やむなく「その他」としました。
基本的には、従来の医療技術に勝るか否かは、今後行われるであろうランダム化比較試験において結論づけるものであるので、Eとしております。
ただし、有効性に関して事前の想定に合致する結果は出ていますから、次相に進むに足る根拠は得られているものと考えております。
総括報告書では、この点については申請医療機関の先生方も「今後治験または先進医療として検証試験を実施することを検討する予定」とされていますので、そこの考え方自体は大きく申請医療機関の先生方とも変わらないのかなと認識しております。
安全性は「問題あり」と書いていますが、これはいわゆる抗がん剤治療に伴う重い副作用、合併症が発生するということと、もう一つ、著効例による治療関連死亡、これは先ほど上村先生から御説明がありましたので省略いたしますけれども、それが出ているので、それを踏まえてこのようにしました。
もちろん、この著効例における治療関連死亡というのは抗がん剤治療においては時に生じ得る事象ですので、本医療技術が特段特殊な事情にあるというわけではないと考えますが、一方で、上村先生からも御指摘がありましたけれども、こちらの使い方であるとか、患者さんの選択の基準等によって、場合によっては発現頻度が増えるなどという可能性があるか、ないかの確認は必要かと思いますので、今後、次の相の試験をやるときにはそこのデータを集積していただくことになろうかと思います。
実際にこの点は総括報告書においてもこちらに引用しましたとおり、慎重な対応が必要であると考察されておりますので、申請医療機関の先生方におかれてもきちんとその辺は検討されることになるというふうに認識しております。
技術的成熟度ですが、Bといたしました。現時点で、日常診療下で実施できる状況までには至っておらず、今後の検証が必要な段階であるため、Bとしております。
第Ⅲ相試験の計画については21ページ(資料1-2)の2番のところで、どういうタイミングでどういう計画を検討されているのかということを問うていますけれども、ここでちょっと状況が変わって、何を対照とするのか、あるいは既存の高価な治療に対して治療成績が劣らない、同程度であることをもって、つまり非劣性検証をする試験をもってこのものの医療的有用性をアピールするほうがいいのかなどということがまだ決まっていないというふうにはされていますが、検討されている状況にはあるということのようです。
私からは、以上です。
○山口座長
ありがとうございました。それでは、上村先生のほうから何か追加がございましたらどうぞ。
○上村構成員
やはりこの先進医療の難しさというのを改めて感じた事例だと思います。どうしても検証試験という位置づけになっていませんので、ある集団に対してこういった有効性がありました、安全性のデータが出ましたというところまではある程度の推定はできますし、過去のデータとの比較というのはできるのですけれども、それ以上のことがなかなかできないので、よく分からないと言わざるを得ない部分があるのは致し方ないのですが、一方で、我々もこの部会の中で複数の類似の技術も含めてですけれども、支援というか、評価をしながらやってきていますので、何とかいいものであれば患者さんに届けるというのが国としての責務かと思っています。
柴田先生のほうからも御説明がありましたように、検証試験が一応計画はされているということのようですが、数年たつと、標準的と言われるようなものがまた考え方も変わってきたりするのかもしれないのですが、決着はなるべく早くつけてあげたほうがいいのかなとは思います。
○山口座長
ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について何か御質問はありませんか。
21ページ(資料1-2)の2の問いに対する答えなどを読んでいると、研究者自身が迷っているというか、非常に戸惑っているという状況が大変よく分かりました。それで、今、上村先生から詳しい御説明とコメント、助言もありましたので、恐らく今回の柴田先生と上村先生のコメントを読んでいただくとなにかヒントになるのではないかと思って拝聴していましたけれども、何か御質問とか御意見はございませんか。いかがでしょうか。
確かに、2年、3年の成績が分かればいいのですけれども、そこまでまた時間をかけて待つかという話もあり、なかなか判断に苦しむのも無理はないのではないかと思って読んでいましたが、特にございませんか。
それでは、今、詳しくコメントいただきましたので、皆様御理解いただけたということで、ただいまの御報告を取りまとめて告示番号37については先進医療会議に報告いたしたいと思います。どうもありがとうございました。
では、続きまして試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
それでは、御説明いたします。今回、試験計画等の変更申請が4件提出されております。資料2の29ページを御覧ください。1点目の変更申請ですが、量子科学技術研究開発機構QST病院からの申請で、告示番号29「ゲムシタビン静脈内投与及び重粒子線治療の併用療法」です。適応症は膵臓がんで、遠隔転移しておらず、かつ、TNM分類がT4のものに限る、でございます。
御審議いただく主な変更内容につきまして、30ページを御覧ください。
1.として登録期間、研究期間の延長ですが、被験者登録期間、研究実施期間、いずれも4年間延長となってございます。2.として、重粒子線治療装置の製造販売業者名が、株式会社東芝より東芝エネルギーシステムズ株式会社に変更となってございます。3.データ共有計画についての記載の修正として、変更前は、「また、本試験で得られたデータについては、重粒子線がん治療膵腫瘍検討班の審査を経て承認された場合に限り、個人識別情報とリンクしない形で二次利用(メタアナリシス等)することがあり得る。本試験で得られた被験者の情報は、膵癌に対する重粒子線の研究に用いる可能性がある。」とございましたが、変更後は「本試験において取得された情報は、『全国重粒子線治療症例の登録および臨床評価』(量研機構研究計画書番号16-007)、その他学会等で管理するデータペースにおいて収集され、計画書等の定める手順に従って他の研究者と共有される可能性がある。他に二次利用する場合には、必要とされる時期に、申込に応じて、研究責任医師が認めた申込者に、匿名化された個別症例データを提供する。」としてございます。
変更申請を行う理由として、1.2021年6月1日現在、目標症例数82例に対し、本先進医療における登録数は40例であり、登録症例数は増加傾向にあるものの、2020年度にはCOVID-19蔓延に伴う紹介患者の減少もあり、目標症例数に至っていない。先進医療Bの適格基準を満たさなかった原因の第一は、先行化学療法の期間が4ヶ月間以上と規定を超えていたため(90日以上は除外)であった。昨今の化学療法の進歩により、全身療法が優先されることが多く、上記規定期間内に重粒子線治療を紹介される機会が減少傾向にある。このような状況の中で、劇的な症例登録数増加は期待できないものの、これまで着実に症例登録を進めており、4年間の試験期間延長により予定の症例登録数に到達すると予想される。図1を御参照ください。現在、広報活動に加え、毎月、全実施医療機関の医師で症例検討を行うなど、各施設間の連携を密にするべく情報交換を行っている。選択除外基準においては、化学療法を既に実施している症例の許容日数の基準日を登録日から同意取得日へ変更、白血球の許容範囲を試験期間中の化学療法投与基準と同様にするなど、実臨床に合わせた修正を行うなどして、症例登録推進に努めている。今後、山形大学医学部附属病院が新たに実施施設として参加を予定しており、さらに、大阪重粒子線センターでも試験実施体制の整備に努める予定であり、年10~15例の登録が見込まれ、4年間の期間延長で目標症例数の達成を目指す、とございます。2.医療機器の製造販売は、株式会社東芝から分社した東芝エネルギーシステムズ株式会社が行っているため。3.は、データ共有計画の実情に合わせて記載整備したためとございます。以上でございます。
○山口座長
ありがとうございました。本変更内容につきまして、何か御意見、御質問ございませんか。一応40例登録されていますので4年間でできる見込みであること、遅れた理由はやはりCOVIDと、あとは施設の問題、それから適応の問題がちょっとありましたけれども、いかがでしょうか。特にございませんようですので、告示番号29の変更については認めることといたします。続きまして、次の試験実施計画の変更について事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
御説明いたします。資料3の33ページを御覧ください。2件目の変更申請ですが、名古屋大学医学部附属病院からの申請で、告示番号37「S-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法」です。適応症は、腹膜播種を伴う初発の胃がんです。
御審議いただく主な変更内容につきまして、34ページを御覧ください。
1)試験実施期間の変更として、臨床試験実施予定期間に解析期間として1年間追加となってございます。2)利益相反情報の更新でございます。
変更申請する理由として、1)2021年7月1日をもって試験治療は終了となるが、終了後1年間の解析期間を追加するもの、2)協力医療機関の実施責任医師について、利益相反企業から共同研究経費を受領している旨を明記したもの、とございます。以上でございます。
○山口座長
ありがとうございました。本変更内容につきまして、何か御意見、御質問ございませんか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号37の変更について認めることといたします。続きまして、次の試験実施計画の変更について、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
御説明いたします。資料4の35ページを御覧ください。3件目の変更申請ですが、医療法人徳洲会東京西徳洲会病院からの申請で、告示番号48「腎悪性腫瘍手術により摘出された腎臓を用いた腎移植」です。適応症は、末期腎不全(慢性維持透析が困難なものに限る。)です。
御審議いただく主な変更内容につきましては、35ページの下方を御覧ください。主な変更内容として、1)研究実施体制の変更(別添図参照)、2)レシピエント選択条件について改めて定義を行い、新たな項目として「透析治療の維持が困難であることの評価」を追加、3)その他記載整備でございます。
変更申請する理由として、1)更に試験を実施できる体制を充実させる目的にて、新たに腎摘実施施設として2つの施設を追加する(成田富里徳洲会病院からの申請は準備中)。
また、原則としてはドナー候補が発生した施設が属しているブロックの移植施設に登録したデータペースを用いてレシピエントの選定を行うが、移植施設にてドナーが発生した際には、同一ブロック内に他の移植施設がない場合において、他ブロックの移植施設にて移植を行うことができる旨について、説明を追加した。2)レシピエント選択基準に、「透析治療中であるが、慢性透析治療の維持が困難であり、腎移植を希望している」と記載があるが、この基準を満たすことを示す具体的な評価内容を明確化したため、とございます。以上でございます。
○山口座長
ありがとうございました。本変更内容につきまして、何か御意見、御質問ないでしょうか。
○長島構成員
変更申請する理由の2)のレシピエント選択基準で慢性透析治療の維持が困難というところの、この基準を満たすため具体的な評価内容を明確化するということですが、これは最初からきちんとこういうような重大な基準というのは具体的にしっかり明確化すべき、しておくべきものではなかったかと思います。やはりレシピエントの選択というのは極めて重要ですので、こういった提案をほかの点でも具体的な評価、内容等が明確化されていないものはないか、きちんと再検討していただいて、そういう不備があればきちんとしていただきたいと思います。以上です。
○山口座長
ありがとうございました。事務局から何かありますか。
○医政局研究開発振興課長補佐
承知いたしました。事務局といたしましても、書類等整備いただき、確認等させていただきます。
○山口座長
ほかにございませんか。あとは、これは2年たって登録ゼロですけれども、やはりなかなか適応が厳しいという状況だったのでしょうか。
○医政局研究開発振興課長補佐
体制も整備してまいっているのですけれども、なかなかドナーのほうが登録されていないという状況でございます。
○山口座長
ありがとうございました。ほかにございませんか。それでは、本変更内容については、告示番号48の変更につきましては認めることといたします。ただし、そういう間違いがないか、もう一度確認してもらうということを伝えたいと思います。続きまして、次の試験実施計画の変更につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
御説明いたします。資料5の39ページを御覧ください。4件目の変更申請ですが、国立がん研究センター中央病院からの申請で、告示番号60「マルチプレックス遺伝子パネル検査」です。適応症は、進行再発固形がん(非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がんまたは胆道がんに限る。)です。
御審議いただく主な変更内容につきまして、40ページを御覧ください。主な変更内容として、(1)適格規準の変更。非小細胞肺がんの適格規準を「EGFR,ALK,BRAF,ROS1遺伝子異常がコンパニオン診断薬で陰性または判定不能であること」としていたが「EGFR,ALK,BRAF,ROS1遺伝子異常がコンパニオン診断薬で陰性または判定不能である、もしくは不測の事由によりコンパニオン診断が実施できない;その際はコンパニオン診断が実施できない理由をカルテに記載する」に変更した。乳癌の適格規準を「トリプルネガティブ:(マル1)エストロゲン受容体、(マル2)プロゲステロン受容体、(マル3)HER2 蛋白過剰発現ないし遺伝子増幅、がすべて陰性であること」としていたが「トリプルネガティブ:(マル1)エストロゲン受容体、(マル2)プロゲステロン受容体、(マル3)HER2 蛋白過剰発現ないし遺伝子増幅、がすべて陰性また判定不能である、もしくは不測の事態によりコンパニオン診断が実施できない;その際はコンパニオン診断が実施できない理由をカルテに記載する」に変更した。(2)研究期間の変更として、12か月と設定していた登録期間を21か月とし、総研究期間を51か月に変更した。(3)OncoGuide™NCCオンコパネルシステムの解析対象遺伝子の追加として、解析対象遺伝子を10遺伝子追加した(NTRK3(融合)、PMS2、MISH6、MEN1等)。(4)先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件の変更。その他の要件を「厚生労働大臣が指定するがんゲノム医療中核拠点病院である。」としていたが、「厚生労働大臣が指定するがんゲノム医療中核拠点病院またはがんゲノム医療拠点病院である。」に変更した。(5)その他、記載整備でございます。
変更申請する理由として、(1)COVID-19の影響などによる検査試薬の供給不安定等を理由に、非小細胞肺癌を中心としてコンパニオン診断薬の実施自体が不可能であった事例が多数発生している。そのような患者においても、本試験に登録可能となるように研究代表者、研究事務局および関係者で協議を行い、本試験の登録に際して問題ないと判断し変更した。なお、こちらは補足でございますが、申請医療機関からは、本研究においては直近3か月間では5例程度が影響を受け、適格基準を満たすことができなくなった、との報告でございます。そのような患者数は数的に少ないことから、変更申請する理由にも一部記載がございますように、結果に与える影響は無視できると判断し、プロトコル改訂を行った次第である、とのことでございます。
(2)COVID-19の影響により患者集積が予定より遅れていることから登録期間の延長を行った。(3)OncoGuide™NCCオンコパネルシステムの一部変更承認に伴い解析対象遺伝子が追加されたため追記した。(4)がんゲノム医療中核拠点病院だけではなく、がんゲノム医療拠点病院も協力医療機関として本技術を実施できるよう変更した。(5)実施医療機関の追加や検査会社の追記等の記載整備を行った、とございます。以上でございます。
○山口座長
ありがとうございました。本変更内容につきまして、何か御意見ありませんでしょうか。
○長島構成員
理由として、診断薬で陰性または判定不能であるという理由と、検査試薬がなくて検査ができなかったというのは質的に全く違う話ですので、この2つを「もしくは」でつないで1つの文章で項目とするというのはおかしいと思います。これは、別の項目として立てるべきではないかと思います。
次に、実際に検査試薬がどの程度供給が不安定だったかというのは実態はきちんと調べて、本当にやむを得ない状況であったのかという確認をするのと同時に、同様のことが例えばほかの先進医療に何か影響していないか。あるいは、検査試薬に限らずほかのCOVID-19による影響がないかというのは、きちんと把握されて対応されたほうがいいかと思います。以上です。
○山口座長
ありがとうございました。2つポイントがあると思います。供給ができなかったのはなぜかを確認してくださいということと、あとは、これは2つまとめないで別立てにして明確にしたほうがいいという御指摘ですね。いかがですか。
○医政局研究開発振興課長補佐
別立てに関しては、申請機関のほうに申し伝えます。
それから、こちらのコンパニオン診断薬に対するCOVID-19の影響は、厚生労働省で把握している範囲では、こちらの本検査におきましては診断薬自体が製品の品質などの面から供給不安定であったことは事実でございます。ただ、COVID-19の影響により、全般的に検査試薬が供給不安定だという実態はどうやらないようでございます。以上でございます。
○山口座長
分かりました。なぜそんなコロナで供給が遅れるのか、ちょっと不思議に思ったのですけれども、そうではないということですね。
○医政局研究開発振興課長補佐
事務局でございますが、そちらに関しては恐らくそういう実態ではないということは確認してございます。
○山口座長
長島先生、何かございますか。
○長島構成員
でしたら、ここのところの「COVID-19の影響により」というところは修正していただいたほうがいいかと思います。
○山口座長
そのとおりですね。
○医政局研究開発振興課長補佐
事務局として申し伝えます。
○山口座長
ほかにございませんか。それでは、今、別項目として立てるということと、ちょっと記載に不適切な部分があるという、この2つを直していただいて、告示番号60の変更について認めることといたします。続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加につきまして、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
それでは、資料6-1、43ページを御覧ください。告示番号12、告示番号48、告示番号60、告示番号65、告示番号71について、それぞれ1件の協力医療機関の追加申請がありました。資料6-2、45ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として、御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上でございます。
○山口座長
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、本日の議題は以上ですが、長島構成員が今回をもって退任となります。長島構成員から、一言御挨拶をお願いします。
○長島構成員
短い期間でしたが、もっとも深く印象に残っているのはやはり研究不正の事案です。これは、先進医療の根幹に関わる極めて重大な事件かと思いますので、今後もしっかり対応をお願いいたします。この本部会でしっかりとした審査を、これまで同様、これからも継続されることが国民・被験者の皆様にとって安心・安全と幸福につながりますので、これからも構成員の先生方と事務局の皆様にはよろしくお願い申し上げます。
また、本日、最初の議題でも問題になりましたけれども、先進医療の成果がきちんと患者さんのところに還元できるような支援の仕組みというのも国として考えたほうがいいのではないかと思います。以上です。ありがとうございました。
○山口座長
ありがとうございました。長島構成員からは、また別の立場から今後も御助言等いただけたらと思います。どうも長いことありがとうございました。
構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問はございませんか。柴田構成員、どうぞ。
○柴田構成員
すみません、国立がん研究センターの案件なので審議が終わってからコメントさせていただこうと思いまして、一般論としてコメントさせていただきます。
今、長島先生から御指摘いただいたことはとても重要で、研究が適切に行われるように構成員としてもきちんと確認しないといけないなと感じたところです。
それで、先ほど御指摘いただいた件なのですが、項目を分けることの是非というのはそれぞれリスクベネフィットがあるので、確認したほうがいいと思います。
というのは、適格基準を満たしているかどうかを確認するために、チェックリスト形式で、該当あり、該当なしということでCRCさんがサポートをしたりするわけですが、先ほどの追加は検査の判定不能などの範囲を拡張するものなので、別立てにしてしまうことによって判定ミスが起こるリスクが出てきます。ですから、そこは長島先生の御指摘はごもっともですが、一方で、どちらの書き方のほうが現場でミスが少ないのかということを検討した上で記載方法というのを考えるべきであろうかと思います。
ちょっと出過ぎた発言ですが、本件についてということよりも、一般の臨床試験の適格基準を書くときに、専門家のお医者さんではなくサポートするCRCさんたちにも誤解なく適切に判断できるような条件の書き方というのが重要ですので、そこのところを事務局の方と医療機関とで整備していただければと思う次第です。
○山口座長
貴重な御意見ありがとうございました。それでは、分けるようにという指示よりも、むしろそういう御意見があったのでどうかということをまず問いかけて、その回答をこちらでまた検討したいと思います。よろしいでしょうか。どうも貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、次回の日程を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課長補佐
次回は令和3年7月15日、木曜日の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、場所につきましては別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については作成でき次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますのでよろしくお願いいたします。
○山口座長
それでは、第118回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうも皆様、ありがとうございました。
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