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2021年3月11日 第115回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和3年3月11日(木)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール14D」(オンライン)

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村構成員、掛江構成員、後藤構成員、真田構成員、田島構成員、長島構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員、山中構成員、村田技術専門委員

(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
医薬・生活衛生局医療機器審査管理課 先進医療機器審査調整官


【議題】

1.新規申請技術の評価結果について
2.総括報告書の評価について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療の取下げについて
6.その他
 

【議事録】

○山口座長
 定刻となりましたので、第115回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多忙の折、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。本日はオンライン開催となります。本日の構成員の出欠状況ですが、佐藤雄一郎構成員、柴田大朗構成員より御欠席の連絡を頂いております。また、本日は技術専門委員として、村田満委員に御出席いただいております。ありがとうございます。本日は17名の構成員のうち15名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議が成立していることを申し上げます。それでは、配布資料と、本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 事前にお送りしました会議資料について確認させていただきます。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて、新規申請技術の評価について、資料1、資料2-1から資料2-4、資料3-1から資料3-4、総括報告書の評価について、資料4-1及び資料4-2、試験実施計画の変更について、資料5及び資料6、協力医療機関の追加について、資料7-1及び資料7-2、先進医療Bの取下げについて、資料8、会議資料の最終ページは80ページとなっております。資料に乱丁、落丁等ございましたら、事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、資料2の技術について、飛田構成員、藤原構成員、村田委員より御報告がありましたが、いずれも50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わっていただくことができます。山中構成員におかれましては、50万円以上500万円未満でしたので、議事の取りまとめのみ御参加いただけません。また、資料3の技術については、山中構成員におかれましては、御所属の医療機関ということですので、一時御退席いただければと思います。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、該当なしということで、承知いたしました。
 また、今回も通常のタブレット資料を事前にお送りしております。会議資料と区別してタブレット資料と御案内いたしますので、届出書類等については、こちらのタブレット資料より閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言される方は、会議資料の何ページ又はタブレット資料何番の何ページとあらかじめ御発言いただきますようお願い申し上げます。
 本日はオンラインでの開催となりまして、構成員の先生方には、大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、はじめにお名前をおっしゃっていただければ幸いです。その他、途中で接続トラブル等がありましたら、お知らせいただけますようお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。事務局からは以上でございます。
 
○山口座長
 では、議事に入りたいと思います。新規申請技術の評価結果について、事務局より御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。事前にお配りしました会議資料1の15ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号115番「化学療法未施行の切除不能進行・再発固形がんに対するマルチプレックス遺伝子パネル検査」です。申請医療機関は、京都大学医学部附属病院となっております。事前評価を御担当いただきました構成員の先生方は、主担当が真田構成員、副担当が田島構成員、伊藤陽一構成員、技術専門委員が村田委員となっております。
 資料2-4の33ページを御覧ください。審議に先立ちまして、先進医療実施可能とする保険医療機関の要件について御説明いたします。まず、1番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は腫瘍内科若しくはそれに相当する診療科、資格は不要となっております。当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数及び経験症例数は不要となっております。
 2番目の医療機関の要件です。診療科は腫瘍内科若しくはそれに相当する診療科が必要、実施診療科の医師数は、がん薬物療法の実務経験5年以上を有する常勤医師1名以上が必要、他診療科医師数は不要、その他医療従事者の配置は臨床検査技師が必要、病床数は100床以上、看護配置は10対1看護以上、当直体制は内科系医師又は外科系医師1名以上が必要、緊急手術の実施体制及び院内検査の24時間実施体制が必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制が必要となっております。また、倫理委員会による審査体制は、2か月に1回以上、必要時の随時開催が必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要で、その他として、がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院若しくはがんゲノム医療連携病院となっております。
 3番目、その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。事務局からは以上でございます。
 
○山口座長
 これらの要件について、何か御意見はありませんでしょうか。いかがですか。特にないようですので、様式9号についてはお認めすることといたします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の真田構成員より御説明をお願いいたします。
 
○真田構成員
 真田でございます。よろしくお願いいたします。今回、京都大学から申請があった技術は化学療法未施行の切除不能進行・再発固形がんに対するマルチプレックス遺伝子パネル検査です。医療技術の概要については、17ページの所にまとめられているところで、ほぼ捕捉いただけるものと思います。腫瘍組織検体から作成されたホルマリン固定パラフィン包埋の検体を米国の会社に提出して、解析を行って、その結果のレポートを得る。そして、レポートをもとにエキスパートパネルにおいてActionable又はDruggableな遺伝子異常の割合等を求めて、初回治療法選択における遺伝子プロファイリング検査の臨床的有用性を検証することになっております。
 従来、幾つかの遺伝子パネル検査が先進医療で審議あるいは承認をされて実施されておりますが、京都大学からその違いについて、簡単に解説というか、表にしていただいた資料が、先生方の添付資料、本来ならタブレットになる資料であったほうの216ページに記載されていて、今までのNCCオンコパネル、東大パネル、オンコマインターゲットテスト、TSO500と、従来かかった技術のまとめがあります。
 今回の京都大学の技術についても、技術そのものについては、恐らくこれらと大きな違いはないということで認識しておりますが、その辺りは、後ほど御説明につきましては、これは村田先生のほうが御専門ですので、村田先生にお願いできれば幸いでございます。
 私の評価ですけれども、本資料18ページとなっております。実施責任医師等の体制は「適」、実施医療機関の体制も「適」、医療技術の有用性等についても「適」としております。
 一方で、この技術そのものについては、私は何も異存はないのですが、医学的・科学的評価の対象であるActionableな遺伝子を保有する割合が、本技術では主要評価項目になっていて、保険診療上の評価とも言える標準治療以外のオプション治療を実際に受けられる患者さんの割合は、本技術では、後ほど詳しく御説明しますが、副次評価項目となっております。この相異については、治療につながる可能性があっても、そのときにon-goingな治験があるかどうか、地理的に治験にアクセス可能かどうか等の状況にも左右されることから、本研究の主要評価項目である「客観的な有用性を示す指標として、Actionableな遺伝子異常が検出される割合を算出する」という事象が保険診療上、真の患者のメリットを直ちに評価できるかできないかというところが、1つの判断点になると理解しました。
 主要評価項目と副次評価項目の関係性について、簡単にご説明します。主要評価項目と副次評価項目はお手持ちの資料17ページの所にまとめられておりますが、一方で、先生方お手持ちの資料31ページの技術概要図の所を御覧いただきますと、それらの関係性が簡単にまとめられております。この表の所で、主要評価項目に当たるのは、右上の所から、がん遺伝子パネル検査を受けて、その左に1つ枝を下りた所に「Actionableな遺伝子変異あり」、この確率になるわけです。ここが今回の主要評価項目です。
 副次評価項目として、1~6番までが挙げられておりますけれども、このうち1番は、Actionableな遺伝子変異から、更に左に行ってエキスパートパネルの所から1段左に下がった「推奨治療あり」という、この確率になります。これが1番です。
 次に、2番は、こちらはマッチングスコアですので、この図では分かりませんが、3番については、Druggableな遺伝子異常を有する症例の割合ということは、このActionableな遺伝子変異があるという先ほどの主要評価項目から、更に1段左へ下がった所、この四角の所がその割合になるということになります。4番は、コンパニオン診断の遺伝子異常を有する症例の割合というのは、その3番から更に1つ左に下りた所の「コンパニオン診断遺伝子変異あり」と書いてありますが、ここの割合に相当するものと考えられます。5番は、シークエンスの成功割合ですので、これは技術的なところです。6番は、エキスパートパネルによる推奨治療を実際に受けた症例の割合というのが、一番左下の青い所が6番というように理解されると思います。
 そこで、本来的に、このパネルを受けることによって標準治療以外の治療を受けられる患者さんと申しますと、この図の中に青い囲みが下に3つありますが、このうち左の2つです。となりますと、副次評価項目の4番と6番の和ということに理論的にはなります。ですから、この値が、真に標準治療からこのパネルを受けることによって、別の治療に遷移することができた患者さんの数ということになります。
 一方、Actionableな遺伝子変異という、この研究の主要評価項目は、一番上の所から1個左肩に下りた所になりますので、この図で青い矢印が5本下向きに立っていると思いますが、このうち左の1番目から2、3、4番目までが全て入るわけです。そうすると、この主要評価項目を満たした患者さんであっても、結果的には標準治療になるという患者さんが、左から3、4本目の矢印の所に入ってくるわけです。これらの方々に対するこの技術の技術的なメリットと、保険診療上のメリットをどのように解釈するかというところに、我々の評価が帰結するのではないかというように考えた次第であります。
 技術的なところの説明は村田先生、申し訳ありませんけれども、補足いただけましたら大変幸いです。
 今、私が申し上げた評価については、総合評価のところで、また申し上げたいと考えますので、私の説明は、取りあえず以上になります。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続きまして、村田技術専門委員より対象技術について御評価をお願いいたします。
 
○村田委員
 村田です。今、御説明いただいたとおり、この技術は既に2019年6月に保険収載されているもので、やっていることは、それと何ら変わりがないということです。Foundation Oneです。今回は対象とする症例の基準が変わっているということで、今までは標準治療がない、あるいは終了したという対象に限られていたのですが、今回はそれを拡大して、化学療法がやられていない症例であれば、切除不能な初回でも再発例でも構わないという形になっているということで、対象が広がったということです。したがって、今回の論点は、恐らく、今、真田構成員から御説明いただいたとおり、評価項目をどうするかというところが、最大の論点になってくると私も思いました。技術的な点については、そこに書かせていただいたとおり、既に保険診療で実施されている検査であり、特に指摘すべき問題はないと考えました。簡単ですけれども、以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の田島構成員より、倫理的観点からの評価について御評価をお願いいたします。
 
○田島構成員
 田島でございます。倫理的観点からの評価をいたしました。説明文書と補償内容の双方について、事前の照会に対して適切に対応がなされましたので、いずれも「適」と評価しております。説明文書の修正点は、本研究に参加することにより予想される患者さんの不利益の具体的内容の追記、先進医療にかかる費用の額とその負担者の追記、臨床研究に参加される患者さんの適格基準と除外基準の追記、保険加入し、補償を行うとされていたプロトコルの内容を、侵襲も介入もない観察研究のため、補償を要せず、保険介入もしないと変更したことなどです。
 なお、説明文書の修正に伴い関係文書も併せて修正するよう申請者に対して指示が出ておりましたが、今回配布されております先進医療実施届出書の補償欄の修正漏れがありますので、補償金の有無を「無」に、保険への加入の有無を「無」にそれぞれ修正する必要があります。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の伊藤陽一構成員より、試験実施計画書等の評価について御評価をお願いいたします。
 
○伊藤(陽)構成員
 試験実施計画書等の評価について行いました。事前の照会においては、モニタリング項目の中に本研究に絡んで重篤な有害事象が発生した場合、それを評価するということが含まれていましたが、本研究自身は遺伝子検査に当たるため、不要なのではないかという照会を行い、不要ですということで削除がなされ、適切に対応されたと評価したため、「適」と評価しました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では、1~16の総評について、主担当の真田構成員よりお願いいたします。
 
○真田構成員
 真田でございます。総合評価のところについては、お手持ちの資料19ページの下半分からを御覧ください。総合評価については「適」と判断させていただいております。つまり、この技術を実施していただくこと及びこのデータが明らかになり、皆さんのオープンな評価の対象となるということについては、私はそれは肯定されるべきものと理解します。近年、先進医療Bでも探索的な、保険承認につながるような探索的な研究についても承認されているという背景の上からは、このような研究が先進医療Bで行われることについても私は肯定されるべきと考えます。
 一方で、20ページの所になりますが、本技術がファーストラインにおいてどのような成績を示すかという、そのものの科学的重要性については理解し、それがオープンな場で公正に実施され、かかるデータが得られることに対しては、肯定すべきというのはお書きしている所ですけれども、本研究を制度上「保険収載を目指す」ことを最大の主旨とする先進医療Bを選択して実施する場合、本研究で今回の研究の主要評価項目のみが、あるいは副次評価項目のみがポジティブな評価基準を達成したという事象が仮に起こった場合、これについては研究の解釈のルールあるいは保険診療のルールというところに鑑みますと、このいずれかのみが起こった事象が仮にあった場合は、直ちに保険収載に資するデータとは判断し難いという事情があるということについて、私もあらかじめ研究者の先生方に照会をしております。
 照会事項についてはお手持ちの資料21~29ページまで、3回に分けて照会しておりますが、研究者の先生方から頂いた回答の趣旨については、回答1、21ページの所の下線部が、恐らく先生方の思いを一番よく反映されている文章かと理解いたします。つまり、Actionableな遺伝子が見付かり、実際の治療に遷移するときに、その治療がアベイラブルかどうかということについては時々刻々と変化します。あと、地政学条件等々によっても変化するために、真に治療を受けられる患者さんということと、真に治療を受けられるデータが出た患者さんというのは時々刻々異なるという主張です。
 ただ、こちらについては、今回の主要評価項目を満たす、副次評価項目を満たす、これ、副次評価項目を満たされた状況においては、これは文句なく良い結果が出ましたということを、先進医療Bでもお認めすることができると思うのですけれども、これで仮に主要評価項目が陰性であった場合は、やはり研究のルール上、この研究についてはネガティブであったと言わざるを得ないという状況がある。一方で、その逆として、主要評価項目が陽性であった場合でも、副次評価項目の本当に見たい所が陰性であったという場合には、この評価というのは、やはり保険診療のルールに照らし合わせて考えられなければいけないというところで、それだけをもって直ちに保険収載に資するというところは、にわかにデータを見るまでは判断し難いという結論になったということです。私の説明は以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。非常に重要な御指摘もありました。それでは、御討議をお願いいたします。どなたか御発言はありませんか。
 
○天野構成員
 天野ですけれども、御説明ありがとうございました。私から2点あります。1点目ですが、本添資料のほうで、今、21ページの記載ということで、これについては、説明文書に下記のとおり修正していただいたということは理解しました。すなわち、そもそも直接役立つ結果は得られない可能性もあるし、得られる可能性もあるというような内容になったと理解しているのですが、一方で、既存のパネル検査では、国内において、大体薬剤到達率が、おおむね10%弱程度という結果が出ているかと思います。今回の試験、この説明文書を読んだ患者さんがどのように解釈するのかというのは、個々の患者さんで感覚は違うかと思うのですが、何も知識のない患者さんが見た場合、私の感覚では半々ぐらいで、何かそういった有益な、自分の治療に直接役立つ情報が得られるというように解釈するのではないかと感じるのですが、実際はそこまでの薬剤到達率はない可能性があるかと思います。
 質問としては、今回、既存のパネル検査とは適応の範囲が違うわけですけれども、今回の先進医療で適応となる患者さんにおいて、国内外で薬剤到達率というようなものが、ある程度信頼のおけるようなデータというのは既に出ているのかという質問です。もし、出ているのであれば、参考的な数値としてあえて記載することも検討いただければと思いました。というのは、患者さんの期待が過大となるということは、過去のパネル検査でもかなりありましたので、それを防ぐという観点からの質問です。
 2点目の質問が、それぞれのエキスパートパネルで推奨治療があるかないかということが検討されると思いますが、現在、エキスパートパネルの中でもエキスパートパネル間の残念ながら格差というものも、一定数あるというように聞き及んでいまして、今回、試験を行う場合、それぞれのエキスパートパネルが推奨する治療とか異なってくる場合もあり得るのかと想像いたしますが、その辺りはどのように理解すればよろしいのかということです。私からは以上でございます。
 
○山口座長
 ありがとうございました。これはどなたに答えていただいたらよろしいでしょうか。
 
○真田構成員
 パーセンテージについては、半々というよりは、高くないという理解で私は読んだのですけれども、そこは詳しくありませんので、村田先生、もし、よろしければ、御教示いただけませんでしょうか。
 
○村田委員
 すみません、私も、今、まだここで資料が到達できていないので、情報を持ち合わせていません。これは、むしろ申請者のほうがこういう情報をきちんと持っているはずかと思いますが。
 
○真田構成員
 ありがとうございます。その明示的なパーセンテージが、同意説明文書に書けるかどうかについては、照会事項として事務局から返していただいてもいいのかなとは思っていますが、いかがですか、事務局の方は。
 
○山口座長
 事務局で何か意見はありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。今、御指摘いただいたようなデータについては試験計画書等にも記載がないようですので、申請医療機関のほうに照会させていただくようにいたします。
 
○真田構成員
 よろしくお願いします。それと、2点目のエキスパートパネルによるパネル間の判断の違いについては、正にActionableな遺伝子の違いというのは、もう数値的に出てくるわけですけれども、その後、最終的に適切な医療を受けられる割合が、先ほど申し上げた地政学的なもの、自走的に行われている試験等々によって左右するというところの上振れ、下振れ要因の1つになるかなというように理解していますので、その辺りの包括的な判断で出たデータを評価するということになるのではないかと思っています。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。先日、がんゲノムの会議でもエキスパートパネルは、やはり施設間に質的な差があるので、これをきちんと標準化していかなければいけないという議論があったと思います。今の時点ではなかなか難しいのではないかというように理解していますけれども。藤原先生、どうぞ。
 
○藤原構成員
 私は2つ疑問というか、確認をしておきたいのですが、先ほど真田先生もおっしゃっていましたけれども、この先進医療をやったからといって、パネル遺伝子検査を、初回治療例又は未治療例に対して行うという臨床的意義はなかなか分からないだろうと思います。添付されている文献情報の1番目に、この申請者の方がCancer Scienceに投稿されて、若干は未治療例のデータがありますけれども、それでも臨床的意義、つまり、標準的治療を普通にやったほうがいいのか、それとも、ゲノム検査によって治療したほうがいいのかという長期予後は分かっていないので、それは今後の課題になるので、なかなかこの結果、先進医療が終わった後の保険収載というのは難しいだろうと思います。これはコメントです。
 もう1つは、資料2-3の今後のロードマップの所ですけれども、そこに欧米での現状が書いてありますが、私の理解では、アメリカでもまだ未治療例に対する保険償還は、多分できていないのではないかと思いますので、そこは申請者に確認していただいて、ESMOのガイドラインあるいはアメリカでのCMS、あるいは民間保険での保険収載あるいはFDAの承認の内容が未治療例についてどうなっているかというのは、事前にきちんとどこかに記録として残しておいてもらえませんかというお願いをしたいと思います。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。これについてはどなたか何かコメントはありますか。先ほど天野先生から言われた最初のほうの到達率が、それほど高くないということをきちんとよく理解させておく必要があるというのは、これは説明文書にそういうことを記載しておくべきだという御意見ということでよろしいですか。
 
○天野構成員
 そのとおりです。よろしくお願いします。
 
○山口座長
 おっしゃるとおりで、ものすごい期待していたのに、わずかしか到達できないという話になって、ちょっとまずいと思いますので、ここも訂正が必要かなと思います。ほかにありませんか。
 
○藤原構成員
 藤原ですけれども、1つ聞き忘れていました。この遺伝子検査の結果で、今回、乳がんとか入っていますけれども、HER2遺伝子の異常が見付かった場合には、通常はHER2ターゲットの抗がん剤を使うのですけれども、エキスパートパネルがほかのそれを選択したからといって、それは安い免疫染色の結果と、この高いコンパニオン診断薬、Foundation Oneの結果とだと、別にどちらも同じなのですけれども、それを成功としてみなすかどうかというのは、何か途中で聞かれたのでしょうか。つまり、本来は50何万円も払う検査をやらなくても、安い免疫検査でHER2の異常があればハーセプチンが投与されますので、それは別にこの検査が成功したことにはならないと思いますけれども。
 
○山口座長
 それはおっしゃるとおりだと思いますけれども、それを向こうに指摘したかどうかという御質問ですか。
 
○真田構成員
 真田です。今の藤原先生の御指摘を、明示的に私どもから投げたわけではありませんが、恐らくHER2という特異的な遺伝子をどう解釈するかというところは、後のデータでそれがどのぐらいこの治療の変化に貢献したかということは、特異的にデータで出てくるのではないかと思っていて、それを含む多くの遺伝子の扱いについてどうするかという議論を、この入口の段階ではしたというところだと私は理解しております。
 
○藤原構成員
 分かりました。結果の詳細が分かったところで、みんなで判断ということですね。承知しました。
 
○山口座長
 31ページのフローがありますけれども、真田先生がおっしゃったように、結局、矢印の左の2つのカラムの所の割合が大事だということですけれども、コンパニオン診断に基づく治療の中には、保険診療でやれるものの中で既に分かるものもあるので、これは全部有用なわけではないということですよね。
 もう1つ言えば、見付かったからといって、このパネルを使って治療した結果、使わなかった場合に比べてどれぐらいいいのかという、やはり最終的なアウトカムを評価しないと、保険収載の道はつながりにくいのではないかという、そういう御指摘だと理解してよろしいですか、真田先生。
 
○真田構成員
 はい、私としては、やはりこの先進医療が、先進医療Bのシステムとして適さないからといって、このデータを取ることそのものを拒絶するということは、前に進まないということで、よろしくないのではないのかと、そこは技術的にちゃんと要件を満たされているので、そこは、むしろオープンにやるべきで、その出たオープンなデータをみんなで平らかに議論しましょうという姿勢については、私は当然肯定されるべきものと理解して、これを「適」といたしました。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ほかに何か御意見、御質問はありませんか。よろしいでしょうか。それでは、御議論、どうもありがとうございました。では、整理番号115に関しては、田島先生が御指摘のように、まだ訂正できていない所が幾つかあったということで、それをきちんと直すということと、患者さんの同意説明書の中で、到達率がそれほど高くないということを、ある程度記入してほしいということを指摘していただいて、お認めするということでいかがでしょうか。
 よろしいですか。では、今の点を直していただいて、整理番号115については、「適」ということにいたします。
 村田先生におかれましては、お忙しいところ、御審議に参加していただきましてありがとうございました。以後の審議は御退席いただくことといたします。
 
○村田委員
 ありがとうございました。
 
○山口座長
 どうもありがとうございました。
 
(村田委員退席)
 
○山口座長
 続きまして、次の新規申請技術の評価結果について、事務局より説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1の15ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号113「全身性強皮症における皮膚潰瘍に対する自家骨髄単核球移植による血管再生療法」です。申請医療機関は横浜市立大学附属病院です。事前の評価を御担当いただいた構成員の先生方は、主担当は松山構成員、副担当は後藤構成員、柴田構成員となっております。なお、山中構成員におかれましては、当該技術の申請医療機関に御所属ですので、本技術の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。
 
(山中構成員退席)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 それでは、資料3-4の49ページを御覧ください。審議に先立ちまして、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、御説明いたします。まず、1番目の実施責任医師の要件です。診療科は血液内科、リウマチ内科、循環器内科のいずれか。資格は日本リウマチ学会リウマチ専門医又は日本循環器学会循環器専門医又は日本血液学会血液専門医又は日本内科学会総合内科専門医が必要となっております。当該診療科及び当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数も不要となっておりますが、その他としまして、実施者「術者」の要件として、全身性強皮症における皮膚潰瘍又はバージャー病又は閉塞性動脈硬化症、膠原病疾患による重症虚血肢に対する自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法の実施経験が術者として1年以上かつ実施症例数1例以上であることを要するとなっております。
 2番目の医療機関の要件です。診療科は血液内科、リウマチ内科、循環器内科のいずれかが必要です。実施診療科の医師数は、実施診療科において、リウマチ専門医又は循環器専門医又は総合内科専門医又は血液専門医が2名以上常勤として配置されていること。他診療科の医師数は、経験年数5年以上の麻酔科医が1名以上いることとなっております。その他医療従事者の配置は、輸血を実施する部門が設置され、常勤の医療従事者が配置されていることが必要です。病床数は200床以上、看護配置は10対1看護以上、当直体制は血液内科、リウマチ内科、循環器内科のいずれかに1名以上(オンコール体制を含む)が必要となっております。緊急手術の実施体制及び院内検査の24時間実施体制が必要で、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制が必要となっております。50ページにお進みください。医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は1例以上が必要で、自家骨髄単核球を用いた血管再生療法の経験が1例以上あること、となっております。対象疾患については、そちらにお示ししたとおりです。
 3番目のその他の要件として、頻回の実績報告は不要。その他、上記以外の条件はございません。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 これらの要件につきまして、何か御意見はごさいますでしょうか。
 
○一色座長代理
 医療機関の要件のところなのですが、閉塞性動脈硬化症とかバージャー病などの疾患については、血管外科の先生方の造詣が深いところと思います。そういう観点からしますと、診療科の中に血管外科が入っていてもよろしいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 
○山口座長
 皆様、どうでしょうか。
 
○松山構成員
 今回、主担当で見させていただきました。先生がおっしゃるとおりで、心臓血管外科の先生がかなり熱心にされておられるところがあって、内科系だけではなくて、心臓血管外科の先生方も担当できるように、診療科と資格の所を追記していただくほうが望ましいと考えます。
 
○山口座長
 これについて、どなたか御意見はございませんか。よろしいですか。
 この疾患について、たくさん現場で診られている血管外科を、診療科と資格の所に追記するということでよろしいでしょうか。それでは、そのようにしたいと思います。
 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。それでは、先ほど申し上げましたように、血管外科を追記するということで、様式9号についてはお認めすることといたします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の松山構成員より御説明をお願いします。
 
○松山構成員
 35ページの「医療技術の概要」を御覧ください。今回、全身性強皮症の皮膚潰瘍、かなり難治性ですが、毛細血管の障害に伴って末梢循環不全になっております。これに対して、現在までに様々な血管拡張作用のある薬剤や、抗血小板剤、プロスタグランジン製剤等が内服、あるいは点滴治療されているところです。ただ、いまだスタンダードと言えるような、しっかりと治療効果があるような薬剤あるいはプロトコルというものがなく、再生医療に期待が集まっているというのが現状でございます。
 そこで、申請者ら横浜市立大学の先生方は、末梢血管を作るための原材料としての血管内皮細胞、その大元になる血管内皮前駆細胞、いわゆるEPCというものが骨髄の中に大変多く含まれているということで、骨髄を採取して、そこから血管内皮細胞に分化し得るEPCのポピュレーションが高いMononuclear Cell、単核球細胞分画を取り出して、それを直に手指あるいは足の筋肉の中に打つことによって血管を再生するという考え方で、お仕事を進められております。
 現在まで類似の試験としまして、タクトスタディ等がございますが、バージャーのように、末梢の非常に細い血管に対しては比較的有効ではないかというのが、再生医療の領域においてもコンセンサスを得ているところで、非常にプロミシングな仕事ではないかと考えております。
 ここで、安全性と有効性に関し、多施設であるということは非常に信頼性が高くなりますが、シングルアームということで、これは後ほど議論になるのかなと思っています。主要評価項目に関しては、ツーアームでありませんので、治療の有効度として、治療前12週程度時点と登録時の皮膚潰瘍面積の平均に比して、同面積でマイナス50%以下の面積変化量が確認された場合は、主要評価項目として有効であるという判断をしていて、これはスタンダードな考え方ではないかと考えています。今回、目標症例数が12例ということで、これは若干異論があるところなのかなと考えております。
 このプロトコル自身の内容に関しては、47ページを御覧ください。患者に全身麻酔をした後、腸骨から骨髄液を400ccから500cc程度取ってきます。一番リスクが高いのが、この部分で、実際NCの中で心臓を治療するために骨髄から血液を取って、患者のヘモグロビンが8程度まで出血によって落ちたという事案もありまして、この部分はしっかりと見ていただくのだろうと思います。取られた後は、ここからMononuclear Cellを取ってくる。このパック自身は骨髄移植などでもよく使われているもので、さほどリスクは高くありません。そこで細胞を培養するわけではなくて、Mononuclear Cellだけを単離してきた後、全身麻酔下で、これはかなり痛いと思われますので、患者の手指あるいは足の所に、注射で筋肉の中にインジェクションしていくということです。
 私自身の評価です。まず、実施責任医師の体制ですが、先生方の御経歴や論文等を見させていただいたところ、ビュルガーをはじめ、かなり血管領域に関して造詣の深い先生方が御参画されておられるので、実施責任医師体制に関しては「適」としています。医療機関に関しましても、先ほどの医療機関要件は満たしておりますし、一番リスクが高いのは骨髄を取るときのショックであったり出血であるので、この部分はICUもしっかりしている病院ですから「適」としています。
 医療技術に関しては、EPCというもので網細血管の原材料を提供するという意味で、非常に有用性が高いと考えています。ただ、一方で、針を刺して出血させるだけで、これはPRPと同じファンクションだと思いますが、それだけで血管新生がなされるという論文や報告がかなり多うございまして、本来であれば、これと比較しないと真の意味での有効性は見られないのではないかと考えています。現時点で医療技術の有用性に関しては、パイロットスタディで特段大きなトラブルもなかったということですので、「適」とさせていただいております。松山からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続きまして、副担当の後藤構成員、倫理的観点からの部分についてお願いいたします。
 
○後藤構成員
 倫理的な観点の評価をさせていただきます。ここにあるように、最終的には「適」としました。「同意に係る手続、同意文書」、「補償内容」について「適」としました。
 この間について幾つかやり取りをしたのですが、44ページから45ページに、そのやり取りの文書がございます。やり取りをした中で、最も私が問題と感じましたのは、これは四肢が使えないだけで、同意能力に全く問題のない20歳以上の方を対象とするものということになっておりましたが、同意の取り方とか、説明文書もそうですが、説明文書の中に、あたかも同意能力がないような記載があったり、あとは立会人というものを設けているのですが、立会人が同意をする、代諾するようなフォームになっておりますので、それについては、手の問題で、ただ署名捺印ができないだけの話ですので、署名捺印ができないということに関連する立会人ということを明確にしていただきました。これが一番の大きなポイントです。
 もう一つは、4.の所です。プライマリーエンドポイントは「潰瘍の改善」であって、「切断の回避」ではないということで、同意文書に「90何パーセントが切断を免れました」と書いてあって、これは余りにも、この治療のプライマリーエンドポイントとはかけ離れている表現だったので、削除をお願いし、それに適切に対応していただいたということになります。
 先ほどの36ページにお戻りください。ただ、実施の条件として、立会人を誰にするかということが、やり取りのところでも明確にはなっておりませんでしたので、本人の意思決定に影響がない立会人の選定の下、ただ、壊死をして書けないということだけが問題だということを明確に意識した上での実施をお願いしたいということで、ここに実施条件を書かせていただいた次第です。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の柴田構成員は御欠席ですので、試験実施計画書等の評価については、事務局より御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料3-1の36ページの中程から37ページにかけて、柴田構成員に、試験実施計画書等について事前にご評価いただいておりますので、代読させていただきます。6.の「期待される適応症、効能及び効果」から16.の「個人情報保護の方法」について、いずれも「適」の御評価を頂いております。
 コメント欄に記載がありますが、規定等に一部修正を求めた箇所があるが、いずれも許容し得る内容に改訂された。対象とする潰瘍サイズが小さいものが多く登録された場合、仮に縮小効果が証明できたとしても、その臨床的意義が十分でないとの解釈に至る可能性がある。申請医療機関の主張である「治癒過程には潰瘍サイズに違いがあるものの潰瘍面積が変化するという事象が存在することは自明」については、効果の有無を議論する上ではそのとおりであるが、効果の臨床的意義を考える際には詳細な考察が必要となる。現時点ではできる限りの規定をしていることから問題とは考えないが、結果の解釈の際には、相対値のみならず実際の大きさを確認するなど、考察の論点の1つとすることが必要である。
 本計画では監査を必須としていないが、必要に応じて実施できる体制は試験実施計画書中にも定められていること、ICH-GCPでは必須とされていないこと、更に本試験実施体制や試験実施計画内容に鑑み、許容可能と考えるとのことでした。
 
○山口座長
 それでは、1~16の総評について、主担当の松山構成員よりお願いいたします。
 
○松山構成員
 まず、たたき台となったプロトコル、恐らくゼロから作ったわけではなくてベースになったものがあると思われたのですが、それが、ビュルガーとかASOのときのプロトコルを引き写していらっしゃるのだろうと思います。そう考えると、ビュルガーとかASOの場合は潰瘍がかなり大きいのですが、PSSの場合は潰瘍がかなり小さいので、この部分は、もしかしたら十分な議論がされていなかったのではないかという感覚を持っていました。これに関しては、柴田先生からの御指摘で適切に対応してくださっているところがあって、これでいいのではないかと考えています。
 ただ、一方で12例と非常に少ない症例数で、しかもツーアームもなく、データが出てきた後に、どうやって本当に有効か、特に臨床的に意義がミーニングフルで保険診療にいくかというところが、なかなかロードマップ的にも見えないところがございます。
 ロードマップは48ページにございますが、ここで論文を作成した後、学会要望から保険収載と書いていますが、12例では厳しいのかなというところがありまして、今回のデータ、PSSでされた後、どういう形で評価するのが適切なエンドポイントになるのかを検討していただかないと、もう一回トライアルをお願いする可能性はあるのかもしれないなと思います。あるいは、12例で非常にすばらしいという形であれば、こういうような理想的なロードマップになる可能性はあるということがありまして、コメントとして1つ付け加えさせていただきました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それではご討議をお願いします。いかがでしょうか。松山先生がおっしゃったように、相当成績がよくないと、これだけではなかなか難しいというのは、そのとおりだと思います。何か御意見はございますか。
 
○藤原構成員
 松山先生、最終的に技術科としての収載を目指しているのか、医療機器のほうの適応外の範囲がよく分からなくて、実際のメーカーが適応外と認識していて、そういう申請を将来してくれるのかとか、その辺のやり取りはあったのでしょうか。
 
○松山構成員
 そのやり取りに関しては、特段私のほうはしておりませんが、その部分は、恐らく技術としての申請を目指しているものと考えて、私は審査をしておりました。大変申し訳ありません。
 
○藤原構成員
 先進医療実施届のほうで「適応外」と書いてあるので、これは事務局で確認していただきたいのですが、医療機器のどこが適応外で、それを医療機器のメーカーが申請される予定かどうかというのだけは、記録にとどめておいたほうがいいかなと思います。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘いただいた点については、事前に研究者に照会しておりまして、今回の先進医療の目的としては、医療技術としての開発を目指すということになっております。その過程で使用する医療材料の一部、15ページにお示ししているものについて、これは骨髄移植用のものになりますので、こちらが適応外使用になるということです。その点については企業とも連絡を取っていただいておりまして、承認申請に向けて進めていただくという話をお聞きしております。
 
○藤原構成員
 分かりました。ありがとうございます。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。特にないようですので、整理番号113については、「適」ということにいたします。山中構成員にお戻りいただくことにいたします。
 
(山中構成員入室)
 
◯山口座長
 続きまして、総括報告書の評価結果について、事務局より御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料4-1の51ページを御覧ください。今回、先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧49「切除支援のためのマイクロコイル併用気管支鏡下肺マッピング法」で、申請医療機関は東京大学医学部附属病院となっております。事前評価を御担当いただいた構成員は、主担当が伊藤澄信構成員、副担当が山中構成員となっております。
 51ページを御覧ください。医療技術の概要です。目的として、悪性腫瘍が疑われる微小肺病変において、マイクロコイル併用気管支鏡下肺マッピング法(従来の色素を用いたマッピング[VAL-MAP法]にマイクロコイルを併用)と、その支援による胸腔鏡下肺切除手術の有効性及び安全性を確認するとなっております。
 主要評価項目は、微小肺病変切除成功率です。適格性基準を満たして本試験に登録され、マッピングを施行した後、手術に至った症例において切除の対象となった病変のうち、切除に成功した病変数の割合及びその正確な95%信頼区間を算出。副次評価項目は、そちらにお示ししたとおりとなっております。
 目標症例数は65例・67病変に対し、実際の登録症例数は65例・66病変となっております。事務局からの説明は以上です。
 
○山口座長
 本技術の評価について、主担当の伊藤澄信構成員から説明をお願いします。
 
○伊藤(澄)構成員
 57ページのポンチ絵を御覧いただくと分かりやすいと思いますが、もともとは退任された山本構成員が評価された技術です。背景を理解しないと分かりにくいと思いますので、53ページに少し背景を書いています。VAL-MAP法というのは、微小な肺病変に対する外科的な診断・治療に際して、CT画像を基にして、3次元再構成したバーチャル気管支鏡をガイドにして、気管支鏡下にインジゴカルミンを用いて複数箇所術前マーキングを行い、可塑性に富む「肺」という臓器の表面に「マッピング」して、切除範囲をガイドする技術ということで、これは国内17施設で多施設共同研究で、2016年までに500例ほどやられた後に、既に先進医療Bとして2016年9月から2017年7月に実施されております。
 そのときの試験が、十分なマージンを確保した切除成功に対して、設定した当初の切除成功率が95%だったのですが、それが87.7%と到達しなかった。その結果として、多変量解析の結果、マージンを確保した切除が不成功に至る最大の要因が、表面に顔を出していないものですから、なかなかマージンがきちんと取れないということで、「必要な切離ラインの深さ」が一番大きな要因ということで、その弱点を補完するためにマイクロコイルを使って、今回実施されたということです。
 腫瘍径以上又は2cm以上の切除マージンの確保を、「切除成功」と定義して、結果が切除成功率が98.5%であるということです。
 これは色素だけでやったもので評価をすると、成功率が88.4%と低かったのが、マイクロコイルをすることによって、こういった形でマイクロコイルを併用することによって高くなったということです。
 結論から申し上げますと、色素だけのものに比べると、マイクロコイルを併用することによって、ある程度有効性が高くなるということが分かってきたというところですが、一方で、マイクロコイルによる不具合が多少認められるという状況で、ラーニングカーブが必要という状態が、こういった試験のところから分かってきたということです。
 結論から申し上げますと、そういうような状況で、従来の色素だけのものに比べて有効性は高いのですが、そういう意味で著しく高いということで、有効性をAとするのかBとするのかは難しいところですが、安全性については今言ったような状況で、多少ラーニングカーブが必要というところで、当該分野を専門とし数多くの経験を積んだということで、技術的成熟度はBとさせていただいているところです。
 山中先生からお答えいただいた後のほうがいいのかもしれませんが、薬事承認の医薬品を伴う技術的な試験として有効かどうかということですが、外科的治療に関してCT画像を利用して気管支鏡下にインジゴカルミンを散布し、肺表面にマーキングし、更に血管塞栓用のマイクロコイルを留置することで、病変の位置を把握する。切除範囲を最適化できるという技術なので、大変有用な技術だろうと思います。インジゴカルミン及び血管閉塞用のマイクロコイルの適応外使用を、こういった形で認めていくことに関しては、有効ではないかと判断させていただいたところです。評価と説明については以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは副担当の山中構成員から御評価をお願いします。
 
○山中構成員
 副担当としての評価コメントを申し上げます。まず、54ページですが、有効性に関しては主要評価項目に関して、成功率が98.5%で、ほぼミスなしです。副次評価項目に関しても、有効であったと評価しております。あと、あくまで主観的なデータではあるのですが、術者の外科医がマッピングなしでは正確な切除は困難だったと考えている方が8割ほどいらっしゃって、残りが、マッピングがあることで自信が深まったと答えていますので、よい技術なのだろうと思います。全体としてプルーフオブコンセプトは証明できたのだろうと思っています。
 臨床試験の結果の再現性という観点からいきますと、半数の23例は東大からです。残りの施設に関して、幾つかの施設が分散して登録されているという状況であり、加えて、ラーニングカーブの存在ということを考えますと、結果の再現性を担保する意味では、何らかの追加データがあると、より有望なのではないかと思います。
 有効性の評価は、この試験のデータを評価する限りは、従来の医療技術を用いるよりも大幅に有効であると評価しています。ただし、先ほど伊藤先生がAかBか迷われるということだったのですが、私も同様で、この試験のデータに限ってはAですが、結果の再現性という観点からすると、Bに近くなる、AとBの間ぐらいかなというように考えております。
 安全性に関しては、問題ないのではないかと思いますが、マイクロコイルの不具合が5例7件発現しているという事情はあります。技術的な成熟度に関しては、マイクロコイルを臨床で使用するのは、東大病院以外の病院では本試験での使用がほぼ初めてだった術者は多いのではないかと思いますが、ラーニングカーブが存在する状況で、この結果というのはそこそこ立派だとは思っています。一定の経験を積んだ医師であれば、特に使用に問題はないのではないかと考えております。
 トータルとして、とてもよいプルーフオブコンセプトのデータになったのではないかと思いますが、こういうパイロット研究ですごくいい結果が出て、ただ、結果の再現性という観点から評価が難しい技術の出口をどうするのかということに関しては、考えていかなければいけないのではないかと考えています。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。伊藤構成員から追加がありましたら、お願いいたします。
 
○伊藤(澄)構成員
 特にございません。大変評価が難しい、大変すばらしい技術で、今後微小肺がんの手術に、こういったものが普遍的に使われていくのだろうなと期待するところではありますので、どこまでポジティブに評価するのかと迷ったところですが、ラーニングカーブの技術として不具合が発生しているというところから安全面の評価というのと、技術的成熟度というのを書かせていただきましたが、最近、CTも含めて微小肺がんは多く見付かってきますし、そういう方々にとっては有用な技術だと思っていますので、そういう意味で、こういった試験も参考にして、早めに適応内として広く臨床の場で使えるようになっていけばいいなと思いました。評価としては以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問はございませんか。
 1つ、マイクロコイルの不具合が5例7件で発生していますが、これは東大以外の所が多い、つまり、余り経験のない所が多いということであれば、これをやる前にもう少しトレーニングをするとか、ある程度技術の標準化なりをするという方策は今後必要ではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
 
○伊藤(澄)構成員
 おっしゃるとおりだろうと思います。そういう意味で、東京大学で開発された技術が広く広がっていくためには、何らかの形を考えていただかないと難しいなと思うところです。ただ、これをすることによって、10%以上の上乗せの効果が見られると言うか、きちんとした手術ができるということは、大変大きいと思って評価いたしました。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号旧49については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に報告したいと思います。
 続きまして、試験実施計画の変更について、事務局から御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 今回、試験計画書等の変更申請が2件提出されております。資料5の59ページを御覧ください。1件目の変更申請です。杏林大学医学部附属病院からの申請で、告示番号21「テモゾロミド用量強化療法」、適応症は膠芽腫(初発時の初期治療後に再発又は増悪したものに限る。)となっております。
 御審議いただく主な変更内容については、60ページの中程を御覧ください。(マル1)登録期間の延長、(マル2)研究者情報などの記載整備となっております。変更申請する理由については、60ページの一番下に記載がございます。今般の新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、2021年7月までの登録期間内で、残り53人の登録を完了することが困難とのことです。61ページにも記載がございますが、試験治療薬を無償提供する製薬会社と相談の結果、症例登録期間を5年から6年4か月へ延長することとしたとのことです。
 
○山口座長
 本変更内容について、何か御意見はございませんでしょうか。今までに105例登録されているので頑張られたのでしょうけれども、コロナの事情もあるかと思います。よろしいでしょうか。それでは、告示番号21の変更については認めることといたします。
 次の試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料6の63ページを御覧ください。2件目の変更申請です。九州大学病院からの申請で、告示番号62「腎血管筋脂肪腫に対する腎腫瘍凝固・焼灼術(冷凍凝固によるものに限る。)」です。適応症は腎血管筋脂肪腫(結節性硬化症によるものに限る。)となっております。
 御審議いただく主な変更内容については、64ページの中程を御覧ください。主な変更内容として4点の記載がございます。1)泌尿器科と放射線科の医療機関が異なる場合の、研究の流れ、同意取得の方法や責務の範囲を記載、2)放射線科医療機関用の説明文書・同意書の作成、3)適格基準について一部修正、4)その他、記載整備となっております。
 変更申請する理由に記載がありますが、1番目、凍結療法前後の検査も含めた一連の治療が先進医療の範囲であるとの指摘を受け、複数の医療機関で分担する場合の同意取得の方法や責務の範囲を記載した。2番目、複数の医療機関で分担する場合、凍結療法を実施する医療機関で同意を取得するための説明文書・同意書を追加した。3番目、適格基準の結節性硬化症の確定診断について、基準をより詳細に記載した。また、腫瘍病変の計測に用いる画像診断について、研究開始前の打合せでは、CT又はMRI等での診断で合意されていたが、研究計画書ではCTのみだったため、広く画像診断とした。4番目、試験実施計画書について記載を整備した。このようになっています。
 なお、65ページの下段には、泌尿器科と放射線科が別の医療機関の場合の体制図等をお示ししております。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御意見はございませんか。特にないようですので、告示番号62の変更につきましては認めることといたします。
 続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料7-1の67ページを御覧ください。告示番号28について1件、告示番号36について2件、告示番号62について4件、告示番号63について1件、告示番号65について5件の協力医療機関の追加申請がございました。資料7-2の69ページ以降にあります先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを事務局において確認しております。協力医療機関の追加として御承認いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは、事務局は手続を進めてください。
 続きまして、協力医療機関の取下げについて、説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料8、79ページを御覧ください。今回、協力医療機関の取下げ申請が、告示番号21及び告示番号44の2件ございました。取下げ理由の所に記載がありますが、告示番号21については、当該医療機関においては、これまで患者登録の実績がなく、今後の見込みとしても登録困難であるため、となっております。また、告示番号44については、本試験における症例組み入れ期間が終了したが、当該医療機関での登録症例数は0であり、追跡調査を要しないため、とのことです。以上につきまして、特に御意見がなければ手続を進めさせていただきたく存じます。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。それでは、事務局は手続を進めてください。
 本日の議題は以上です。構成員の皆様、何か御意見、御質問はございませんか。よろしいでしょうか。特にないようですので、次回の日程を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 次回は令和3年4月16日(金)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、場所については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 この回が令和2年度の最後の回になります。構成員の皆様には、御協力どうもありがとうございました。事務局の皆様も、長いこと大変ありがとうございました。
 それでは、第115回先進医療技術審査部会を終了いたします。ありがとうございました。

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