ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第111回先進医療技術審査部会(議事録)
2021年1月15日 第111回先進医療技術審査部会 議事録
(1)日時:令和3年1月15日(金)16:00~
(2)場所:厚生労働省専用第15会議室(オンライン)
(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、伊藤(陽)構成員、上村構成員、掛江構成員、佐藤構成員、真田構成員、柴田構成員、田島構成員、長島構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員、山中構成員
(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 医療技術評価推進室長
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
【議題】
1.新規申請技術の評価結果について
2.総括報告書の評価について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療の取下げについて
6.その他
【議事録】
○山口座長
定刻となりましたので、ただいまから第111回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、オンラインでの開催となります。本日の構成員の出欠状況ですが、現在のところ13名の出席が確認されております。17名のうち、13名の構成員が出席ですので、本会が成立していることを申し添えます。それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
事務局です。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
配布資料について確認させていただきます。事前にメールでお送りしている会議資料を御覧ください。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて「新規医療技術の評価について」が資料1-1~1-5、「総括報告書の評価について」が資料2-1~2-3、「試験実施計画の変更について」が資料3、「協力医療機関の追加について」が資料4-1及び4-2、「先進医療B試験の取下げについて」が資料5、「先進医療合同会議の審議結果について」が資料6、「令和3年度先進医療技術審査部会開催予定表」が資料7で、会議資料の最終ページは102ページとなっております。お手元の資料に乱丁、落丁等がありましたら、事務局までお知らせいただければ幸いです。
続いて、利益相反の確認です。今回は、特に御報告すべき利益相反はありませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。よろしいでしょうか。
(確認)
それでは、該当なしということで承知いたしました。また、今回は通常のタブレット資料も事前にメールでお送りしております。こちらについては会議資料と区別して、「タブレット資料」と御案内しますので、届出書類等については、タブレット資料より閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言される方は会議資料の何ページ又はタブレット資料の何番の何ページと、あらかじめ御発言いただけますようお願い申し上げます。
本日はオンラインでの開催となっており、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、はじめに名前を言っていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用いただければと存じます。その他、途中で接続トラブル等がありましたら、お知らせいただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。
○山口座長
それでは議事に入りたいと思います。新規申請技術の評価結果について、事務局より御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
資料1-1の15ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号114「一側性高度感音難聴に対する人工内耳挿入術」です。申請医療機関は国際医療福祉大学三田病院となっております。事前に御審査いただいた担当の構成員の先生方は、主担当が一色座長代理、副担当が後藤構成員、上村構成員となっております。なお、会議資料の22ページ以降を御覧ください。こちらに参考資料として付けておりますが、本日御議論いただく技術は、令和2年1月の第94回先進医療技術審査部会にて一旦御審議いただき、「条件付き適」となった技術とほぼ同一のものとなっております。
37ページに、経緯を記載しておりますが、先進医療技術審査部会で頂いた御意見に基づき、試験計画書等を御修正いただき、最終的に部会としては「適」の御評価を頂いていたところ、令和2年6月の第100回先進医療技術審査部会において、実施責任医師の異動に伴って、利益相反管理上の観点から申請の取下げが行われたものとなっております。お示しした議事録にもありますとおり、今回は医療機器の製造販売業者と利害関係のない責任者の下で医療機関を変えて、新たに御申請いただいたものとなっております。
さらに資料1-5の41ページをご覧ください。今回の審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について御説明いたします。1番目が実施責任医師の要件です。診療科は耳鼻咽喉科、資格は耳鼻咽喉科専門医が必要です。当該診療科及び当該技術の経験年数は1年以上が必要、当該技術の経験症例数は実施者(術者)として1例以上が必要となっております。
2番目が医療機関の要件です。診療科は耳鼻咽喉科が必要、実施診療科の医師数は耳鼻咽喉科専門医3名以上が必要、他診療科の医師数は麻酔科専門医が1名以上必要、その他医療従事者の配置は言語聴覚士が必要となっております。また、病床数は200床以上、看護配置は10対1看護以上、当直体制は不要、緊急手術の実施体制及び院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は1例以上が必要です。その他として、(1)装用後のリハビリテーション体制を有していること、(2)人工内耳の調整を担当する者は、あらかじめ機器の調整に関するトレーニングを受けていること、となっております。
3番目に、その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。なお、利益相反の書類、様式10号については、タブレット資料として事前にお送りしている資料1関係の「01-3」という資料があります。ページ数だと48ページになっておりますので、そちらを御参照ください。会場の方におかれましてはお手元のA3版の別冊資料を、御参照ください。事務局からは以上です。
(佐藤構成員、オンラインにて入室)
○山口座長
ありがとうございました。1年前に検討した事例ですが、これらの要件について、何か御意見はありますか。これは特に変わりはないと思いますので、よろしいですか。では、様式9号についてはお認めすることといたします。また、様式10号についても特段の御意見なしといたします。次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の一色座長代理より御説明をお願いします。
○一色座長代理
一色です。よろしくお願いいたします。本案件は御案内にもありましたように、1年前にこの部会に掛かっており、当時、山本構成員が主担当でおられましたが、退任されたことに伴って、私が引き継がせていただいております。御了承いただければと思います。
先ほど御案内がありましたように、前回「条件付き適」とされたものです。その条件については上村構成員、後藤構成員、そして柴田構成員からの御意見も伺った上で、4月に訂正されたものがアップされて一旦は了承されたと記憶しております。そして6月に取下げがなされて、今回は関連施設である三田病院のほうから申請が新規に出されました。実質的に中身はほとんどというか、全く同じと言ってよろしい内容となっております。
改めて細かい御説明はいたしませんが、資料1-4に概要図がありますので、こちらを見ていただければお分かりになるかと思います。この人工内耳を一側性の高度難聴に用いるというのが、今回の申請の新規技術です。両側性の高度難聴には、既に同じ機械が保険適用までされているということで、植え込みの手術等々の技術については、ほぼ確立している中で、適応を拡大して評価したいというのが今回の目的ということになります。
これらについては前回1月に小川技術専門委員から、非常に細かく、かつ分かりやすい御説明をしていただいており、今回は特に追加することはないという御意見をいただいております。これについては第94回の議事録を御参照いただければと思います。
私は、改めて評価をさせていただいたところですけれども、資料1-2、17ページにあります。本医療技術が確立しているということを踏まえ、医師の体制、医療機関の体制ともに技術に精通していると考えられることから、いずれも「適」とさせていただきました。前回の条件にはかなり厳しいものがあり、上村構成員と柴田構成員から追加の御意見を細かく頂いて、それがどの程度訂正されたかということについては、きちんとした議論がされておりませんので、今回改めて御意見を伺って、その上で総合評価とさせていただきたいと思います。
あと、もう1点です。後藤構成員から前回の議論で指摘があったのは、主に小児等に対する説明文書の在り方等についての御意見を頂いております。この点についても、私の見る限りでは、お答えを頂いたというように解釈しておりますが、改めて御意見を頂ければと思っております。私からは以上です。
○山口座長
続いて、倫理的観点からの評価については、副担当の後藤構成員が見えておりませんので、事務局より代読をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
事務局です。資料1-2の18ページの上段にある「倫理的観点からの評価」について、事務局より代読いたします。「4.同意に係る手続・同意文書」及び「5.補償内容」について、いずれも「適」の御評価を頂いております。コメント欄にありますように、前回の指摘事項が適切に反映されていたことから「適」としたとのことです。事務局からは以上です。
○山口座長
続いて副担当の上村構成員より、試験実施計画書等の評価について、御評価をお願いします。
○上村構成員
これについては、ただいま御紹介があったとおり昨年出てきた案件で、一旦お認めしていた技術ですので、本来、改めて追加することはないほうが良かったのでしょうけれども、昨年の議論で一番問題になったのが、この技術自体を片側性の病変に使うことの適切性と、小児を組み込むことに関しての適切性です。それからエンドポイントは、耳鼻科の専門的な評価について記載されておりますので、そこも理解した上で適切かどうかということです。
当時、小川先生に技術専門委員としておいでいただき、かなり詳細な御解説を頂いた上で、部会としてお認めしたという背景があります。その中で1つ、特に主要評価項目に関してどういう評価をするのか、少し明確にしたほうがいいという議論があったように記憶しているのですけれども、改めて計画書をレビューしてみますと、やはり少し分かりにくい部分があるのではないかというところで、記載事項について、指摘事項として幾つか質問をさせていただいております。
その内容についてはお手元の資料の確定版という形で、PDFのファイルが会議資料として出ていると思います。その20ページの上のほうに、私からの照会事項を記載させてもらっております。ごく簡単に言うと、幾つかの箇所で有効性の評価の方法に、不一致があるように読めたのです。そこについての質問として、まず計画書の9.2.1の「有効性主要評価項目」という所で、ヒストリカルコントロールとの間でのt検定を行うということが書かれております。それは、すなわち平均の差を見るというのは理解できるわけですけれども、一方で、9.4の「統計解析手法」という所では、主要評価項目では34.4%以上の正解率の向上を認めた場合に有効とするとあります。この34.4%というのは平均のことを言っているのか、少し意味が通じない部分がありましたので、そこもはっきりさせてくださいということです。
また、9.4.1には別の記載があります。ここでは術前と比較して34.4%以上、語音弁別検査の結果が改善する例を有効と判断することとし、有効性の割合がヒストリカルコントロールの17.6%と比較し、介入群において2倍以上に相当する40%以上の症例が有効であった場合は本医療が有効であると判断するというように、異なる記載が認められました。そこについては申請者から御回答がありました。これは基本的にはヒストリカルコントロールとの間でのt検定、すなわち平均の差を見ることで判断するということを目指しているということが、回答として得られております。そこについて明確な記載をしていただくという御回答がありましたので、ここは改めて確認をした上でお認めするという判断をし、私からの評価としては、全体として「適」とさせていただいております。以上です。
○山口座長
では、1~16のそれぞれについて、主担当の一色座長代理よりお願いいたします。
○一色座長代理
先ほど申し上げたように、技術自体は確立しているということで、解析、その他の評価の方法について納得する説明が得られたものであれば、おおむね全ての評価として「適」という御報告をいただいていることも踏まえ、総合評価としては「適」とさせていただこうと思っております。今回は特に条件は付記しておりません。以上です。
○山口座長
ありがとうございました。それでは御討議をお願いします。一応、今のところは的確に答えていただいて、計画書もきちんとしているということでよろしいでしょうか。あと、前回取り下げられたときに迅速に再度申請されないのではないかと心配しておりました。迅速とは言いませんけれども、今回次のステップに進んでいただいたので良かったと私自身は思いました。何か御意見はありますか。柴田先生、どうぞ。
○柴田構成員
以前の審議の際にコメントをいたしましたので、少し補足の発言をさせていただきます。解析方法については先ほど上村先生から御説明いただいたように、懸念については御回答いただいていますので、最終的に出来上がったものは問題ないと思います。1点、回答の中でも触れられていますが、統計学的に有意な差が付いたことが、必ずしも臨床的に意味のある差であるかどうかというのは、また別の問題です。今回は、そこの評価が難しいので、くれぐれも有意差が付いたからそのまま無条件で必ず効いていると判断するような解釈がなされないようにということだけは、コメントを残しておきたいと思います。以上です。
○山口座長
適切なコメントをありがとうございました。ほかにありませんか。ないようですので、整理番号114については「適」ということにいたします。
続いて「総括報告書の評価結果について」、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
御説明いたします。資料2-1の43ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価いただきますのは、告示番号旧18「自己口腔粘膜及び羊膜を用いた培養上皮細胞シートの移植術」です。申請医療機関は、京都府立医科大学附属病院となっております。今回、事前に御審査いただきました構成員の先生方は、主担当が松山構成員、副担当が山中構成員となっております。
試験の概要については、資料2-1の43ページ及び資料2-3の53ページに概要図があります。こちらも併せて御覧ください。
こちらの技術の概要ですが、43ページに記載がありますとおり、試験の目的としては、従来型の角膜移植の適応外であり、他のいかなる方法でも治療困難である最重症の難治性角結膜疾患のうち、重症ステムセル疲弊症の患者を対象に、培養自家口腔粘膜上皮シート移植の安全性を確認するとともに、眼表面の異常(角膜混濁・上皮欠損・眼表面癒着)を改善し、眼表面再建における有効性を検討する、となっております。眼表面再建については、角膜再建、結膜再建に大別される。本試験では、重症ステムセル疲弊症の中でも、原疾患がStevens-Johnson Syndrome(SJS)、眼類天疱瘡、熱・化学外傷である患者を対象とした、とのことです。
主要評価項目については、1)移植前から移植後24週の遠見(5m)視力の変化、2)移植前から移植後24週の上皮異常総合スコアの変化、3)移植前から移植後24週の眼科所見Aにおける結膜嚢癒着スコア(上下の和)の変化となっております。
目標症例数は、30例のところ登録症例数が27例となっております。事務局からは以上です。
○山口座長
ありがとうございます。では、本技術の評価について、主担当の松山構成員から御説明をお願いします。
○松山構成員
御指名ありがとうございます。松山です。それでは、PDFの53ページを見ていただきますと、この技術の全体像が非常に御理解しやすいのではないかと思います。先端医療センター病院(神戸)、ないしは京都府立医科大学附属病院から、口の粘膜を取って、CPCと言われる細胞培養施設に搬送されます。このときに、かなり似たプロトコル治療として、大阪大学の口腔粘膜シートがあるのですが、今回の総括報告書との大きな違いは、阪大のは足場材がないシートそのものなのですが、今回の場合は、羊膜、エナです。いわゆるエナの羊膜を使って、それの細胞を落としてから、それを足場材にして、口腔粘膜を生やして、シート状にして、SJS等に移植していくものです。
大きな違いは、口腔粘膜の場合は、角膜の上皮細胞とキャラクターがかなり違って、移植した後1年ぐらいたつと、口腔粘膜がかなり薄くなってくることがあって、長期的な予後が実は余りよくないのではないかという議論が、前回、大阪大学の西田先生のプロトコルの評価のときにもお伝えさせていただきました。今回の場合、そのような菲薄化するという部分を逃げるために、羊膜で足場材を使って、その部分に口腔粘膜をまいて、口腔粘膜の扁平上皮化、口腔粘膜化をしているものです。
今回、最大の論点は、安全性の部分ですが、これに関しては、角膜移植と比較して遜色のない程度です。特に、SJSの場合は結構面倒で、このような口腔粘膜をシート移植しても、一部が破れて、再度穿孔したりすることがあるのです。今回はそういうものはなかった。角膜移植そのものと比較して、安全性の観点からもさほど大きな問題はなかったということです。
有効性に関しても、従来の角膜移植と比較して、ほぼ同等程度であったということから、今回、私の評価としては、まず有効性に関しては、従来の移植技術を用いたものと同程度ということで示させていただきました。
今後、お願いですが、観察期間が24週間と非常に短くて、本当に口腔粘膜のものは長期的に予後が良いのかどうかが示されていないと、これは西田先生のときにも御指摘させていただきましたが、この観点については、また今後、長期フォローアップ等の論文等を出していただいて、つまびらかにしていただければと思っています。
安全性に関しては、有害事象が幾つかありました。細胞が生えないというのもありましたが、プロトコルに関係なく、むしろ手技的なもののほうが多かったと私は判断しており、角膜移植と比較して、もしかしたら優位にあるかもしれないという形で、安全性に関しては余り問題なしと。
角膜移植の場合には、どうしてもアロなど、同種移植ですので、免疫抑制剤を使わないといけない。一方で、今回、羊膜に関しては、羊膜自体の免疫反応が非常に弱いということ、自己の口腔粘膜なので免疫抑制剤を使わなくてもいいということから、安全面でも1つアドバンテージがあるのかなと思います。
技術的成熟度に関しては、これは細胞を製造するという技術が必要であり、当該分野の専門として経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば実施できるという形で、「A」としています。これに関しては、口腔粘膜シートの培養は、完遂できなかった症例が27例中4例あるということは、移植してもらえるのではないかと思われている患者さんにとって、実は細胞は増えませんでしたということがよいのかどうかということがあるので、ここは検討課題かなと思っています。
総合的なコメントですが、角膜移植と比較して安全性及び有効性において、優位にあるかどうか、本当にどうなのか。特に長期的な予後が、本技術の今後の展開を左右すると考えられます。
助言欄ですが、本先進医療での評価により、有効性の評価指標が明らかとなり、また安全性上で大きな懸念はないことが示されている。これは非常にpromisingだと思っています。ただ、実質的に単一施設にて実施された試験であることです。これは先端医療センター病院と京都府立医科大学附属病院ですが、実は、京都府立医科大学附属病院の眼科のスタッフが、神戸の先端医療センター病院で手術をされておられるので、実質的に単一施設として行われていることになるので、このまま複数の施設でも本当に有効なのかどうかは分からないということがあります。ですから、実質的に単一施設にて実施された試験であるため、このまま薬事申請資料としての活用は、若干難しいかもしれません。もし使うとしたら、学会主体とした公知承認、公知申請かと思います。今後、もし治験をするのであれば、2回、investigationをやるのではなくて、治験は複数施設で行えるpivotal試験のみで可とできるかもしれないという形で御助言をさせていただきました。松山からのコメントは以上です。
○山口座長
ありがとうございました。続いて、山中構成員から御評価をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
事務局です。山中構成員は御出席予定ですが、今時点では御出席いただけておりませんので、事前に頂いておりますコメントを事務局で代読させていただきます。お手元の資料2-1の47ページの評価表を御覧ください。有効性については「C」で、「従来の医療技術を用いるのと同程度である。」ということで、コメント欄には、症例数が限られており、単純な1標本t検定での有意性なので、評価が難しく、「従来技術と同程度」としたということです。
安全性については「B」で、あまり問題なし。技術的成熟度については「A」で、「当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」と御評価いただいております。以上です。
○山口座長
ありがとうございました。それでは、松山構成員から何か追加のコメントがありましたら、お願いします。
○松山構成員
山中先生からも、このようなコメントを頂いており、先ほど述べたとおりです。どうもありがとうございます。
○山口座長
ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問はありますか。西田先生のときと同様で、長期の成績を知りたいところですね。ただ、いろいろメリットがありそうな技術なので、是非とも前に進めていただきたいと思います。何か御意見はありませんか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号旧18については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。
続いて、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
(山中構成員、オンラインにて入室)
○医政局研究開発振興課長補佐
御説明いたします。今回試験計画書等の変更申請が1件提出されております。資料3の55ページを御覧ください。東京大学医学部付属病院からの申請で、告示番号B30「ゲムシタビン静脈内投与、ナブ-パクリタキセル静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法」です。適応症は、腹膜播種を伴う膵臓がんとなっております。
今回御審議いただきます主な変更内容につきましては、56ページの中ほどを御覧ください。主な変更内容として、1)設定用量下限まで減量後に末梢神経障害が持続する際、試験治療の中止としていたが、ナブ-パクリタキセルのみの休止を可能とする。2)その他、記載整備となっております。今回、変更申請する理由ですが、1)につきましては、これまでの試験実施計画書では、ナブ-パクリタキセルを75mg/m2まで減量後にもGrade2以上の末梢神経障害が持続する場合には、ナブ-パクリタキセル静脈内投与以外の試験治療(ゲムシタビン静脈内投与およびパクリタキセル腹腔内投与)も全て中止としていた。今回の変更後は、末梢神経障害の主な原因となるナブ-パクリタキセル投与のみ休止とし、その他の試験治療(ゲムシタビン静脈内投与およびパクリタキセル腹腔内投与)は継続投与を可能としたとのことです。
57ページにお進みください。「なお」として、パクリタキセルには蓄積毒性として末梢神経障害のリスクがあるが、ナブ-パクリタキセル静脈内投与とパクリタキセル腹腔内投与を比較した場合、パクリタキセル腹腔内投与では相対的に末梢神経障害への影響が少ないため、今回の変更により、末梢神経障害の進行のリスクを軽減しつつ、奏効治療を中止してしまうデメリットを最小化できると考えるということです。2番につきましては、協力医療機関の記載削除と、それに伴う記載整備を行ったとのことです。事務局からは以上でございます。
○山口座長
ありがとうございました。ここの変更内容につきまして、何か御意見はございませんか。比較的影響の大きい静注はやめて、IPを続けるということですが、よろしいでしょうか。それでは、特に御意見がないようですので、告示番号30の変更について認めることといたします。
続きまして、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
資料4-1の59ページを御覧ください。告示番号36について2件、告示番号58について2件、告示番号64について6件、告示番号65について2件の協力医療機関の追加申請がございました。資料4-2の61ページ以降ですが、こちらに資料を添付しております。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認しております。協力医療機関の追加として御承認いただきたく存じます。事務局からは以上でございます。
○山口座長
よろしいでしょうか。それでは続きまして、先進医療B及び協力医療機関の取下げについて、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
御説明いたします。資料5の67ページを御覧ください。先進医療Bの取下げ申請として告示番号4の1件、協力医療機関の取下げ申請として告示番号24の1件がありました。取下げ理由の所に記載がありますが、告示番号4につきましては、予定症例数の主要・副次評価項目の解析を終了したため、先進医療を取り下げる。総括報告書については、現在提出準備中であるとのことです。また、協力医療機関の取下げとしての告示番号24については、本試験では、目標症例数の登録が完了しているが、当該医療機関においては症例登録がなく、追跡調査を必要としないためということです。以上につきまして、特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。事務局からは以上でございます。
○山口座長
よろしいでしょうか。特に、御意見はありませんか。ないようです。それでは、続きまして先進医療合同会議の審議結果につきまして、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
御説明いたします。資料6の69ページを御覧ください。令和3年1月7日に行われた先進医療合同会議におきまして、1件の先進医療B技術について審議が行われ、「適」の評価を頂いております。技術名は、「初発膠芽腫に対するテモゾロミド併用放射線初期治療後のメトホルミン併用テモゾロミド維持療法」。申請医療機関は、国立がん研究センター中央病院です。審査の主担当が上村構成員、副担当が伊藤陽一構成員、佐藤構成員で、技術専門委員としまして村垣委員に御担当いただき、最終的に「適」の評価を頂いております。今回、御評価いただき、また先進医療合同会議に御出席いただいた先生方におかれましては、御協力いただき大変ありがとうございました。ご報告は以上でございます。
○山口座長
ありがとうございました。何かコメントはございますか。出席しておられた先生も大分おられますので。上村先生、何かございますか。
○上村構成員
この案件につきましては、合同会議に諮るということで担当いたしましたが、非常に限定されたエビデンスと言いますか、基本的にはvitroでの実験でのデータ、vivoでの担がんモデルマウスでのデータ、若干、疫学データに基づいて先進医療を始められるということでした。やはり、私からの懸念は、動物や細胞の試験でのデータから、ヒトでしっかりと有効性が確認できるのかというところを外挿することは非常に難しい話なのです。特に、薬物の濃度、薬物の血中での濃度、若しくは中枢での濃度が、十分なレベルで維持できるのかといったところに関する懸念を少し示させていただきました。安全性という意味で大きな問題にはなりそうな案件ではないことと、スモールスタディで行うということでしたので、先進医療の制度として、そういった多少不確かな部分があってもお認めできるものであれば「適」とさせていただいてもいいのかなという判断をしたのですが、山口座長からも、そういった可能性の低いものについてはどうするかという御意見もあったかと思います。結果的には今のお話だと、合同会議の全体的な結論としてはお認めするという形になったと理解いたしました。以上です。
○山口座長
ありがとうございました。私からもコメントをさせていただきます。一部の報道では、異論なしに決まったとありましたが、異論がなかったわけではありません。上村先生からも、その際かなり長い丁寧な御説明がありました。エビデンスの不足はあるものの、最終的には治療成績が極めて悪い病気であり、対応が急がれるからというご意見もありましたが、私はいくつか疑問に感じていろいろ発言しました。到達性については疑問があるものの、腫瘍血管は正常の脳組織と違い、確かに薬剤が到達する可能性はあるので、そこはお認めするということで一応同意はしました。エビデンスが少ないにもかかわらず、ただ必要性が高いからということで可とするのであれば技術審査は必要ないわけで、その辺りはさらに検討が必要であるという感想を持ちました。ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは続きまして、令和3年度先進医療技術審査部会の開催予定表につきまして御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
御説明いたします。資料7の101ページを御覧ください。令和3年度の先進医療技術審査部会の開催予定表をお示ししております。先生方におかれましては、令和3年度も引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。事務局からは以上でございます。
○山口座長
よろしいでしょうか。本日の議題は、以上です。構成員の皆様、何か御意見、御質問はございませんか。
○天野構成員
天野です。よろしいでしょうか。
○山口座長
はい、天野先生、どうぞ。
○天野構成員
すみません。本日の出された議事とは直接関係ないのですが、1点事務的なことで御提案申し上げたいと思います。様々な先進医療が既に実施されていて、もう総括報告書が出ているような先進医療も当然あるわけですが、以前に、ある先進医療に参加された患者さんから、自分は被験者として参加した先進医療の結果はどのようになったのか、どこで分かるのかという質問を頂いたことがありました。当然、厚生労働省の部会や先進医療会議等で、総括報告書の評価は公開されていて、もちろん探せば出てきますが、一般の方は探すのは非常に困難ですし、世界的に見ても、いわゆる被験者の方に対して、その方が参加された試験の概要や結果をできるだけ丁寧に報告することが世界的な趨勢でもありますので、事務的な点で恐縮ですが、厚生労働省のホームページで、確か先進医療の各技術の一覧があったかと思いますが、そこに、既に先進医療の総括報告書が出ているものについては最低限リンクを貼っていただくとか、また可能であれば、ポンチ絵というか概要図も出ているわけですから、それも先進医療の一覧の所にリンクとして貼っていただくことを、事務的な負担が増えてしまって申し訳ないのですが、厚生労働省におかれましては御検討いただければと思い、提案させていただきます。以上です。
○山口座長
非常に重要な御指摘だと思います。
○保険局医療課先進・再生医療迅速評価専門官
保険局医療課です。貴重な御指摘をいただきありがとうございます。総括報告書や技術概要など、患者さんが調べやすいように、内部で検討し、できるだけ前向きに取り組んでいきたいと考えております。以上です。
○山口座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○天野構成員
ありがとうございます。
○山口座長
是非、分かりやすい形で公表していただきたいと思います。ほかにございませんか。それでは、次回の日程を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課長補佐
次回は、令和3年2月12日(金曜日)の開催とさせていただきます。時間は、16時から18時までの予定で、場所につきましては別途、御連絡させていただきます。また、本日の議事録につきましては、作成でき次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますのでよろしくお願いいたします。以上でございます。
○山口座長
本日は、Web会議として比較的うまくいった気がいたします。次回よろしくお願いします。それでは、第111回先進医療技術審査部会を終了いたします。ありがとうございました。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第111回先進医療技術審査部会(議事録)