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2020年12月10日 第109回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和2年12月10日(木)16:00~

(2)場所:TKP新橋カンファレンスセンター「ホール14D」

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、掛江構成員、後藤構成員、佐藤構成員、真田構成員、田島構成員、長島構成員、飛田構成員、藤原構成員、山中構成員、斎藤技術専門委員

(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 医療技術評価推進室長
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官


【議題】

1.新規申請技術の評価結果について
2.総括報告書の評価について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療の取下げについて
6.その他
 

【議事録】

○山口座長
 定刻となりましたので、先進医療技術審査部会を始めます。御多忙の折、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の構成員の出欠状況ですが、本日は伊藤陽一構成員、柴田大朗構成員より御欠席の連絡を頂いています。また天野慎介構成員、後藤弘子構成員、佐藤雄一郎構成員、田島優子構成員、長島公之構成員、飛田英祐構成員、山中竹春構成員には、オンラインで御出席いただいています。本日は技術専門委員として、斎藤忠則委員に御出席いただいています。どうもありがとうございます。本日は17名の構成員のうち、現時点で14名お集まりいただいていることから、本会議は成立していることを申し伝えます。早速、配付資料と本日の審査案件の確認を、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いします。
 配付資料の確認をいたします。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門員名簿と続きます。続いて「新規医療技術の評価について」が資料1-1から1-5、「総括報告書の評価について」が資料2-1及び2-2、「試験実施計画の変更について」が資料3から6、「協力医療機関の追加について」が資料7-1及び7-2、「先進医療B試験の取り下げについて」が資料8、「令和2年度先進医療技術の実績報告書等について」が資料9、「先進医療における実績報告について」が資料10、「先進医療B総括報告書および観察研究報告書提出状況一覧」が資料11-1及び11-2、「申請医療機関からの報告」が資料12、会議資料の最終ページは118ページとなっております。
 先生方の御手元には、先進医療実施届出書様式第10号別冊資料というA3版の資料と、資料12に関する机上配付資料をお配りしています。こちらは構成員及び事務局限りとさせていただきます。御手元の資料に乱丁落丁等ありましたら、事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認しています。今回資料12の案件につきまして、上村構成員、真田構成員におかれましては非常勤職員として御所属の医療機関、飛田構成員におかれましては御所属の医療機関ということですので、これまでの審議の際と同様ですけれども、一時御退席いただくようになります。事前の届出以外で、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いします。よろしいでしょうか。それでは該当なしということで承知しました。
 また今回もタブレットを使用します。届出書類等につきましてはタブレットより閲覧をお願いします。なお会議資料とタブレットの内容は異なっていますので、発言者は会議資料の何ページ、又はタブレット資料の何番の何ページとあらかじめ御発言いただきますと、議事の進行上助かります。オンラインにて御出席の先生方につきましては、タブレット資料を事前にメールでお送りしています。御発言をされる際ですが、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いていますので、こちらを適宜御活用いただければと思います。また会場の声が聞きづらい等ありましたら、適宜お申し付けいただければ幸いです。事務局から以上です。 
 
(ここで、オンライン出席の構成員全員から音声が聞こえないとの指摘があり、テストのため一時中断)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 すみません、こちらのマイクとスピーカーの関係だったようです。
 
○医政局研究開発振興課長
 研究開発振興課長です。大変失礼いたしました。先生方にこの声が聞こえているようであれば、再開させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
(オンライン出席の構成員に音声が届いていることを確認)
 
○山口座長
 大変失礼しました。最初のほうは構成員の定足数の要件を満たしているということを言った程度ですので、どうぞ御安心ください。それでは始めましょう。議事に入りたいと思います。新規申請技術の評価結果について、事務局より御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます、大変失礼いたしました。資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号110「高密度焦点式超音波療法を用いた前立腺がん局所療法」です。申請医療機関は東海大学医学部付属病院となっています。事前評価を御担当いただきました構成員の先生方は、主担当が真田構成員、副担当が掛江構成員、柴田構成員。技術専門員が斎藤委員となっています。
 資料1-5の51ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について御説明します。まず1番目の実施責任者の要件ですけれども、診療科は泌尿器科、資格は日本泌尿器科学会泌尿器科専門医が必要となっています。当該診療科の経験年数は4年以上、責任医師は臨床試験あるいは治験の経験を5年以上有することとなっています。当該技術の経験年数は不要で、経験症例数は術者として5例以上が必要、なお、こちらの5例のうち2例については指導医の指導を受けて実施する、ここで言う指導医とは、当該技術を20例以上実施した医師とする、となっています。
 その他の要件として、1.当該技術実施前に研究事務局が開催する教育プログラムを受講し、2症例以上の見学を行うこと。2.当該技術の実施に際し、安全な治療を行うため指導医との連携体制が整っていること。ここで言う連携体制とは、指導医と常に電話でのコミュニケーションが取れる状況があり、更に指導医の助言を受け入れ、患者への対応を指導医と協力して実施することが可能な体制とするとなっています。
 2番目の医療機関の要件ですが、診療科は泌尿器科が必要、実施診療科の医師数は泌尿器科医師が1名以上、他診療科の医師数は麻酔科医が1名以上必要、その他医療従事者の配置は不要となっています。病床数は200床以上、看護配置は10対1以上、当直体制は外科系又は内科系医師1名以上必要。緊急手術の実施体制及び院内検査の24時間実施体制が必要。他の医療機関との連携体制は不要。医療機器の保守管理体制、医療安全管理委員会の設置はいずれも必要となっています。医療機関としての当該技術の実施症例数は5例以上が必要で、その他として前立腺内部におけるがん局在診断に用いるMRIは、1.5T以上であることとなっています。
 3番目のその他の要件として、頻回の実績報告は不要となっています。なお、利益相反についての書類、様式第10号については、A3版の別冊資料も併せて御参照ください。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは51ページの要件について、何か御意見はございますか。施設要件いかがでしょうか。特にないようですので、それでは様式9号については認めることとします。また様式10号についても特段の意見はなしとします。
 次に技術の概要と実施体制の評価について、主担当の真田構成員より御説明をお願いします。
 
○真田構成員
 主担当をさせていただきました、真田と申します。まず資料1-2、17ページに技術の概要が記載してあります。今回は東海大学医学部付属病院から高密度焦点式超音波療法を用いた前立腺がん局所療法の申請がありました。この高密度焦点式超音波療法は、恐らく絵を見ていただいたほうが分かりやすいと思いますので、資料1-4の49ページの技術の概要にある挿絵を御覧ください。
 この絵の真ん中にあるのが前立腺で、この中にある局所的な小さながん領域に対し、その下にある肛門から直腸に超音波の照射装置を挿入し、前立腺に向けて照射するのですが、その際に超音波のビームを集束させることによって、特定の空間的な1点で超音波の力を極大にし、その箇所に微小がんの位置を正確に持ってくることによって、ピンポイントのがん治療が可能になるという治療法です。
 お戻りいただいて17ページ、主要評価項目を有効性のものとして5年無再発生存割合、安全性のものとして尿失禁の出現割合を中心に、様々な副次評価項目とともに評価する試験で、目標症例数は310例と設定されています。この技術ですが、肛門から挿入する照射機器については、既に前立腺肥大症では承認されているものですので、今回の前立腺局所がんについては適用外の使用ということになろうかと理解しています。
 この照射方法等ですけれども、肛門から挿入して前立腺に照射するというスキーム自体は、承認された前立腺肥大症に対する方法と類似と思われるのですが、これを申請者に照会したところ、技術としては少し違うという回答を頂きまして、この辺りは後の斎藤先生から御解説を頂ければ大変うれしく存じます。
 これに対する指摘事項ですけれども、今回資料1-3の21ページから47ページまでと大変ボリュームがありますが、実はこれが全てではありません。昨日までこの評価が長引いていたので、この場で先生方に御紹介する項目もあろうかと思います。それについては後の先生方から御紹介いただけるものと思います。私からの指摘については、この中の回答1と3に該当する項目です。
 今回は1から最後の6までのところを通じて、主に指摘させていただいたのは、解析方法やデータの扱い方、それと同意説明と補償等に関するものが多かったので、その辺りは柴田先生と掛江先生からまた御説明を頂けるものと思いますが、私から1点申し上げておきたいのは、資料1-3の25ページの5番、研究組織についてです。
 この技術に関しては、先ほどの様式第9号の所にもありましたが、指導医の講習を受けるという項目がありました。この指導医というのが、今、全国にどのぐらいいるのかということを尋ねますと、次のページの先頭の所に全国で1名ですと記載がされていました。そうなりますと、この技術が普及していくスピードに関しては、ある程度の時間が必要かもしれないということがありますが、建付け自体が問題があるとは思いませんでしたので、私としてはこれで了解をしたところです。
 その他の御評価については、後に先生方から御解説を頂いた後、この総評について改めて御説明をしたいと思います。私からはとりあえず以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは続いて斎藤技術専門委員より実施体制の評価について、御評価をお願いします。
 
○斎藤委員
 いろいろな議論が夜を徹してメールでされたことは、皆さん御存じだと思いますが、技術的な面についてちょっとお話したいと思います。先ほどのパワーポイントでありましたように、前立腺肥大症という病気自体は尿道の周囲にできるのが前立腺肥大症です。ということなので、今回今までやっていた保険が通っている技術は、主に尿道の周囲を焼いているということになります。
 前立腺がんというのは、好発部位は外側、ミカンで言うと皮のほうですね。我々が食べないような夏ミカンの皮のほうにできて、しかもそこには後葉、後ろ側ですね、直腸側が好発部位なので直腸の穿孔、ここにも書いてありますが、可能性としては人工肛門になることもある、非常にレアですけれどもそういうことも含めて、こういう技術なのでやはり全然違う技術と我々も認識しています。
 これに対して、いろいろ話した中で、体制なども含めてこの先生は東海大の先生なのですが、我々泌尿器科学会で見ていますと、八王子の分院にいて今本院に戻って、まだ恐らく1年経っていないのです。そういう意味で指導できるのが1名というのも納得いくのもありますし、東海大で出していながら東京医大の倫理委員会を通しているわけです。それも非常に疑問に思い、調べましたら小路先生はもともと東京医大出なのですね。ですから東海大の体制がまだ整っていなかったので、恐らくはがんセンターその他いろいろ探したという中で、自分の出身校の東京医大の体制が整っていたので、そこでお願いしたようです。
 ここでオープンにしていいかどうか分かりませんが、結構文字を見ているといろいろ齟齬があります。しかも多項目にありまして、この技術と言ったりこの手術と言ったりこの処置と言ったり、いろいろ混乱していますので、言ってはいけないのですけれども、読んでいて、ちょっと東京医大の審査が甘いのではないかという印象を持ちました。
 もう1つ問題なのは、有害事象の所で確か評価項目の中に入っているべき、副評価項目に入っているべきいろいろな患者さんに対するアンケートが、結構数があるのです。そのアンケートに対する患者さんの負担だとか、これは本当に有害事象かなということもあるのですが、その評価をするために、どうしてもそれをやらなければいけないので、副次評価と有害事象と両方で拾うほうがいいのではないか。臨床的にはそんな印象を持ちました。
 それに対するボリュームは、私がぱっと見ても30分以上掛かるようなボリューミーなものなのですが、これは実は一般的な診療でも前立腺肥大症で来ましても、待ち時間の間にこのアンケートをやっていただいたり、又はEDの患者さんが来た時も普通にやってもらうようなアンケート用紙がベースになっています。ですからちょっと量は多いのですけれども、本当は治験とかだと治験担当ナースや治験担当薬剤師がいて、患者さんと話しながら丸を付けていくのですけれども、恐らくこれはそういう体制はないと思うので、患者さんにぽんと渡して書いておいてくださいという感じになるのかなと思って、ちょっとその辺の危惧はしています。
 技術的な流れとしてはそのような印象を持ちましたので、最終的な結論としては、ある程度文言を直したという要件ということで、基本的にここに書いてありますように、実施責任医師等の体制は「適」、実施医療機関の体制も「適」、医療技術の有用性等に関しましては、今ちょうど限局性のがんに対する限局的な治療、要するに取らなくていい前立腺を疾病の所だけ治すという時代の流れに従って、有用性はあるのではないかということで「適」ということで結論しました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の掛江構成員より倫理的観点からの評価について御評価をお願いします。
 
○掛江構成員
 掛江でございます、よろしくお願いいたします。倫理的観点からは18ページに記載したとおり、同意に関する手続、同意文書に関しては、この後コメントさせていただきます。一応、今、斎藤先生からもお話がありましたように、もろもろ修正していただけるということを条件に「適」としました。補償の説明内容については「適」としています。
 コメント欄ですが、説明文書及び同意書について、事前に各指摘事項に対して所要の修正がなされたことを確認しましたと書いたのですが、これについては斎藤先生からの御指摘もありましたし、そのほかの真田先生、柴田先生からも技術的な所の質問、やり取りの中で、例えば導尿カテーテルを一日留置することであるとか、極めて稀ではあるけれども有害事象によって人工肛門を余儀なくされる可能性があることであるとか、多施設共同研究であることの追記であるとか、リスク・ベネフィットの追記であるとか、そういった指摘事項について適切に修正されていましたので、それらを確認したということを書きました。
 補償についても、これはあらかじめ適切に説明されていたことを確認しました。ただ実施条件の欄に書いた内容ですが、まず1ポツ目で患者相談等の窓口として説明文書内に、この臨床研究の実施施設の研究者の問い合わせ先は書かれているし、病院としての相談窓口も書かれてあったのですけれども、認定臨床研究審査委員会の苦情及び問い合わせを受け付けるための窓口の設置など、臨床研究法上求められている事項については一切記載がなかったので、これについてはきちんと設置されていることを確認した上で連絡先の記載をしていただきたいと考えています。
 またここにはちょっと細かいので書いていないのですが、そもそもの臨床研究法は苦情と問い合わせと書いてあるのです。つまり苦情を言っていいはずなのですけれども、苦情に関しては、現行、施設の窓口それから研究者にも窓口というものがないので、苦情等を言っていただいてもかまわないのだということがきちんと伝わるような形で、そこも加筆していただくようにお願いするべきではないかと考えています。
 それから実施条件の欄に書きました2つ目のポツですけれども、説明文書において臨床研究法施行規則第46条に、説明文書に書くべき項目が18項目記載されています。ですが、これらについて、かなり抜けている事項が確認されましたので、そちらについてはきちんと記載をしていただくことを条件としてと書きました。
 全部書くと分量がありましたので口頭で申し上げますと、例えば第46条1号に、厚生労働大臣に実施計画を提出している旨の記載をするとあるのですけれども、その記載もありませんし、第2号では多施設共同研究として実施する場合は、他の実施機関の名称ならびに研究責任者氏名を書くとあるのですけれども、これは多施設共同研究がまだ決まっていないという理由ではあるのかもしれませんが、そのような記載もありません。
 それから同じく第46条第8号の情報公開の方法の記載の所ですが、臨床研究法では、あらかじめ公的なデータベースjRCTに事前登録することになっているかと思うのですけれども、その記載もありませんでした。それから第9号に研究計画書その他資料の入手又は閲覧できる旨と、その入手又は閲覧の方法を記載することとしているのですけれども、その記載もありませんでしたし、第11号に試料等の保管及び廃棄の方法について書かなければいけないとあるのですけれども、保管される試料の種類ですとか保管場所であるとか、保管方法であるとか、そういった記載が一切ありませんでした。
 その他、第13号は苦情に対応するという所が抜けておりますし、第17号は認定臨床研究審査委員会に関する事項、これは委員会の連絡先なのですけれども、そちらも抜けているというところで、これらは最低限追記していただくことを条件としています。
 その他として、これは事前に間に合わなかったので申し訳ないと思っているのですけれども、先ほど斎藤先生の御指摘にもありましたが、説明文書の中で当該介入について手術と呼ばれたり治療と呼ばれたり、いろいろなので、非常に分かりにくい。術後検査という言葉の後に治療後何々とあったり、言葉を混在させている。この当該介入を何と呼んで何を指すのかというところを、きちんと整理していただいて全体を統一していただく必要があると考えています。
 これも斎藤先生から御指摘がありましたが、いろいろなスコア、QOL以外にもたくさんいろいろなスコアを評価尺度で付けていただくのですけれども、それぞれの評価尺度が何問ぐらいで何分ぐらいの時間を要するものであるかとか、調査に協力することによって新たに生じる負担についての記載が全くありませんでしたので、きちんとそこは予想される不利益の欄に明示していただく必要があると考えています。
 あと非常に重要な点として、先進医療である場合、費用を御自身で負担されるわけですけれども、例えば同意を撤回した場合に、どの段階であれば、どこまでの費用を御自身が負担しなければいけないのかというようなことは記載すべきであると、こちらの部会の別の案件の審査の時にも議論があったと思うのですけれども、そのようなところの記載がありませんので、一旦参加した後に同意を撤回する、若しくは研究が中止になった場合も御本人様が何をどこまで負担するのかというところを、きちんと書いていただく必要があると思います。
 あと些末なことなのかもしれないのですけれども、同意の撤回書についてですが、実は同意書には代筆者の署名欄がありまして、御高齢の方の参加が想定されるので、少し御自身で署名をするのが難しい場合を想定しているのだと思うのですけれども、同意撤回書には代筆者の署名欄がないのです。同意書を代筆で頂いた場合に、同意の撤回書も代筆で頂くことになると思いますので、そこは一貫性を持ってきちんと御配慮いただく必要があると思います。また、患者さんのIDカードでそういった書類、同意書、同意撤回書を管理されるようなのですけれども、にもかかわらず患者様の署名に加えて住所の記載をさせるのですが、その理由がちょっと分からず、名前と住所がセットになったものを、もし患者様が落とされるということになると、非常に問題ですので、もし不要な個人情報であるならば記載の必要がないと考えます。
 コメントは以上ですが、本件は多施設共同研究で実施されるということなのですけれども、現時点では単独施設、こちらの東海大病院のみで実施する計画になっているのですけれども、予定として多施設なので多施設であるということを説明文書に書いている。ですので多施設共同研究に関するもろもろの記載が決まっていないので、当然のことながら書かれていないのです。今後、多施設共同研究機関が、この申請が承認された後に具体的に決まっていったら、変更として審査にもかけるし、対応するのだという回答だったのですけれども、余りに予定されている修正が多い状況でのこういう申請に、少し違和感を感じているということを申し添えたいと思います。また、本件の審査とは関係ないのですけれども、認定臨床研究審査委員会の審査の質、特に臨床研究法の適法性の確認すらされていないというのは、かなり大きな問題ではないかと考えていまして、大変に気になりましたのでそのことを申し添えさせていただきました。以上です。
 
○山口座長
 大変お手間を取らせました。続いて、試験実施計画書等の評価について、副担当の柴田構成員が欠席ですので事務局より代読をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1-2の18ページの一番下から20ページにかけて柴田構成員より事前に御評価を頂いておりますので、事務局から代読いたします。6.期待される適応症、効能及び効果から16.個人情報保護の方法までについて、いずれも「適」の御評価を頂いております。
 コメント欄を代読いたします。申請段階の試験実施計画書は申請医療機関単独の臨床試験の形となっているが、先進医療実施届出書p9にも記載されているように、多施設共同研究として実施することを前提としたものである。しかし、別途照会事項として提示したように、提出された試験計画書は多施設共同研究の試験実施計画書としての役割を果たし得ない。
 また、被験者等に対して重大な事態が生じた場合に対処方法・記録の管理・保存方法等も、多施設共同研究を前提としたものとすべきところ、そのようになっていなかった。そもそも、単施設で行う研究であったとしても前向きに臨床試験として実施するものであるため、被験者の登録方法は明示されるべきところ、一切記載がなされていなかった。いずれも問題であるが特に最後の点については、臨床試験の試験実施計画書として非常に問題である。
 また、統計学的な設定についての臨床的観点からの妥当性の検討が行われておらず、主要評価項目を明らかに達成できない数の再発イベントが観察されても、患者登録を継続するとの計画になっていたことなど、本臨床試験を被験者への安全を確保し、先進医療制度下で適切に進める研究実施体制が構築されているのか否かについて懸念がある内容であった。ただし、この点については改訂がなされている。
 上記等、申請段階の試験実施計画書は大幅改訂が必要であり申請時点での内容で「適」との判断を下すことは不可能であるとの認識であった。しかしながら、その後改訂がなされたことから、別途記す記載整備を経れば、上記項目のいずれも「適」と判断しうるものと考えるとのことです。
 続いて、実施条件欄です。1.現時点での中間解析における無効中止基準・解析のためのデータとりまとめの方法は先行研究情報に基づき許容しうるが、試験開始後に万が一再発イベントが想定よりも多く観察される傾向にある場合には、一年に一度のイベント数集計で十分であるか否か(無効中止の基準を満たした後も多くの患者登録がなされるような事態が生じない形の設定となっているか等)、および対応策の検討を行う旨、試験実施計画書に追記すること。
 2.試験治療の実施は、登録の確認後とする旨を明示すること。
 3.「5.研究の方法」の節の「予測しない有害事象」については、定義が明らかとなるように記すこと。
 4.「1年毎に(略)主要評価項目および副次的評価項目について、解析される。」については解析結果をどう取り扱うのか、別途定める中間解析との違いを明確にすること。事前に定めたタイミング・方針に沿わずに試験進捗中の結果をad hocに対外的に公表することは不適切であること、仮に適切な手続きをとって公表する場合であっても先進医療技術審査部会への報告が必要となることについて、念のために申し添える。
 5.臨床研究保険に関して、各協力医療機関がカバーされる契約となっているのか否か、および、協力医療機関が追加された場合にどのような対応を取ることになるのかを明示すること。
 6.「7.臨床研究実施期間と目標症例数」の記載について、非劣性マージンに相当する情報が記載されていないが、非劣性マージンを含めて0.75という数値を設定したということだと推察する。それで正しければその旨追記すること、とのことです。繰り返しになりますが、1から6に御対応いただければ「適」と判断し得るとのことでした。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 では、1から16の総評について、主担当の真田構成員よりお願いいたします。
 
○真田構成員
 今まで各先生方からの御報告にもありましたように、本技術に関しては多施設共同研究と単施設の現状を中心に、かなりたくさんの修正項目、あるいは、たくさんの検討課題が必要であったということで審査がかなり長引きました。最終的に、こちらにお示しいただいた各具体的な項目を修正するところまでまとまってまいりました。
 今の時点で、この修正項目が適切に修正されるということにおいて、副担当の柴田構成員、掛江構成員に御意見を伺ったところ、この具体的な記載整備を実行し、それが適切に反映されていることを確認することで良いとの御意見を頂きました。20ページにあるように、総評としては、これらの修正が適切に加えられることをもって「条件付き適」とさせていただいたところです。以上です。
 
○山口座長
 それでは、御討議をお願いいたします。何かございますか。
 
○斎藤委員
 追加の発言です。先ほどお話がありました同意書と同意の撤回書に関してです。確かに、御指摘のとおりIDをきちんと管理すれば本人の確認ができるわけで、住所、その他は要らないということなのですが、我々もオペのときには住所を書いていただいていますよね。電子カルテが日本に入ってきたとき、島根県中、その次に聖路加と私のいた東京臨海病院に入ってきたわけです。そのときの議論の中で、IDを間違えると全然違う患者が出るのですぐに気が付きます。
 ところが、同姓同名の問題があります。たまたま私だと当院では1人しかいませんが、大体10~20名の同姓同名が出てくるのです。そういうことを含めて、その確認はどうするのかという議論の中で、電子カルテ上は、現住所と生年月日でIDを確定するということになっています。やはり生年月日を書くか又は住所を書くかということで、普通、我々は手術の同意書を取るときには住所を書いてもらっています。そういう経過がありましたので発言させていただきました。
 
○山口座長
 ほかに何かございますか。
 
○掛江構成員
 ありがとうございました。今、御説明いただいたように、現場で本人確認のために必要な情報であるということであれば、合理的な理由があるということで、そのようにしていただいて全く問題ないと思います。今、御説明いただいたように、通常、現場ではそうなのだということで、この部会の中で先生方の共通認識があるということであれば、今の点に関してはコメントから削除させていただきたいと思います。
 
○山口座長
 ほかに何かございますか。斎藤委員にお聞きいたします。この技術は今まで前立腺肥大にやられているわけでしょうか。
 
○斎藤委員
 はい。
 
○山口座長
 少し読んでみたのですが、前立腺肥大では、結局、数年後にはほかの治療を50%ぐらいやらなければいけないということで、余り強力でなさそうな気がします。全く違った技術ということですが、前立腺でやる場合とがんに対してやる場合は、出力はどちらのほうが大きいのでしょうか。
 
○斎藤委員
 それは焦点をどのようにするかによると思います。非常に小さいもので高焦点でやる場合と、あと、diffuseに焼くときの2つがありますので一概には言えませんが、多分、ボリューム的には前立腺がんに焼くほうが少ないと思います。ただ、今言ったように部位的には外腺といって外側ですから、非常に危険な所を焼くということなので、MRIの性能がかなり良くないと。
 あと、前立腺で非常に問題なのは、尿がたまると位置がずれてくるのです。そういう意味でエコーで位置を確認しながら、要するに、超音波ではがんの局在は分かりませんから、MRIの画像とfusionさせながら焼いていかなければいけないということです。前立腺肥大のように全体を焼くのとは全然違うという認識です。
 
○山口座長
 あと、ちなみに、日本の前立腺肥大では相当普及しているのでしょうか。
 
○斎藤委員
 なかなか。
 
○山口座長
 例えば、台数が何台ぐらいあり何件ぐらい行われているのでしょうか。
 
○斎藤委員
 把握しておりません。全国に散らばっていますが、メジャーな治療になっているという段階ではないと思います。
 
○山口座長
 真田構成員、お願いいたします。
 
○真田構成員
 主担当をいたしました真田です。前立腺肥大については、全国で約5,000例という記載があったように記憶しております。ただ、これは様々に散らばった施設で行われていますので、それらの成績が体系的に集積されているかということについては、私も認識が余りないというところです。以上です。
 
○山口座長
 あと、専門医が1人しかいないということについてです。この専門医は正式なものではなくて、この3つの要件を満たしたものという意味なのでしょうか。
 
○斎藤委員
 そういうことです。
 
○山口座長
 もう1つ質問があります。専門医1人は余りに少ないので、例えば、前立腺肥大に対して何例かやっているなど、むしろ、そういう要件のほうが現実的なのではないでしょうか。いかがでしょうか。
 
○斎藤委員
 そのとおりだと思います。例えば、経験が5例や10例あるというほうが現実的かと思います。
 
○山口座長
 ほかに何かございますか。
 
○長島構成員
 長島です。よろしいでしょうか。
 
○山口座長
 どうぞ。
 
○長島構成員
 全体的な印象としては、これだけ数多くの問題点が指摘されているということで、全て適切に改訂されたようですが、これだけ多くの問題が最初にあったということについて、その後適切に計画、あるいは、研究が進行できるのかという能力、若しくは、体制について心配はないのでしょうか。
 
○山口座長
 これは真田構成員でしょうか。
 
○真田構成員
 ありがとうございます。それについては、この文章から読み取れるところではないので何とも申し上げかねます。この文章に書かれた体制が、実際にきっちり実行されたということであれば成立することになります。ただ、きっちり実行されていることが担保できるのかというところについては、現時点ではなかなかお答えしづらいところです。すみません。
 
○長島構成員
 その辺りに少し心配が残るので、通常の場合よりもしっかり確認、報告などをするという条件も付け加えたほうがよろしいのではないでしょうか。
 
○山口座長
 何か御意見はございますか。
 
○真田構成員
 ありがとうございます。確かに、310例というかなり大掛かりな計画なので、長島構成員がおっしゃるように、例えば、初期の何例、あるいは、定期的な何例ということで御報告を頂くということが条件に入っても、我々としては安心できるかと思います。
 
○山口座長
 私も長島構成員と同じ意見です。普通、「条件付き適」というのはきちんと直していただいた上で、これとこれとこれぐらいはきちんとやってくださいということでいいのですが、今の御説明を聞いていても1冊の本が出来るぐらい長いコメントで、今までの対応から見ていて、これは1回で直るとは到底思えないので、また同じようなことが続くのではないかという危惧があります。
 大変御迷惑をお掛けいたしますけれども、これは「条件付き適」とするよりは継続審議という形でやられたほうが、皆さんは安心できるように思います。恐らく、皆さんも今日のお話ではよく理解できなかったのではないかと思います。いかがでしょうか。もう少し整理してからのほうがいいような気がします。
 
○斎藤委員
 皆さん御存じだと思いますが、申請者の先生は、もう1つの先進医療の前立腺のMRI下によるフュージョンバイオプシーも先進医療でもかなり多施設で、症例数は1,000はいっていないと思うのですが、そういうグループ研究を組みまして先進医療を進めています。個人的な能力としては十分あるのではないかと理解しております。なぜこれほど齟齬が多い文章が出てきたのかと少し疑問に思っております。
 
○山口座長
 むしろ、オーバーワークということはないでしょうか。やはり人間の能力には限界があるので、大きな試験を担当しつつ、さらに新たに中途半端なものを出されても非常に困ると思います。
 
○斎藤委員
 先ほど最初にお話したように、勤務先が変わったばかりなのです。分院から本院に戻られたばかりなので、その辺りのバックアップ体制がなかなかできていないのかと思います。
 
○山口座長
 そういう事情は勘案する必要はないので、やはり申請書の評価から結論を出していただきたいと思います。後藤構成員、どうぞ。
 
○後藤構成員
 これは多施設なのですが、310例をお一人でやるというイメージではなくて。ほかの技術を持っている先生にもお願いするということなのか、それとも、ほかの所でほかのやり方でお一人でやっているようなイメージなのですが、これはお一人でやられるわけではないということでしょうか。
 
○真田構成員
 申請書に書かれているところでは、先生方は、まず、指導医からの講習を受けた上で5例のうち2例は指導医の指導の下で実施することになりますので、基本的に施術をする先生は複数です。しかし、指導医とのコミュニケーションが施術の条件になりますので、施術ができる先生が広がりを見せるかというところになると、そこはなかなか難しいと認識しています。
 
○後藤構成員
 多分、長島構成員も同じような御懸念ではないかと思います。何例かはできても310例の根拠がよく分からず、倍々ゲームか何かで増えていくという感じでもないので、310例の根拠はございますか。
 
○真田構成員
 恐らく、それについては柴田構成員と先方の統計解析者の議論で詰められております。310例は最大に入る症例数を設定されており、その間に中間解析を行うことと決められております。中間解析を行う症例数についても、この症例数をリスク層、最小としたところで最適化しなさいという指摘が既に出ておりますので、それについてもお答えいただくことが条件になっています。
 
○後藤構成員
 ありがとうございました。
 
○山口座長
 ほかに何かございますか。
 
○天野構成員
 天野です。よろしいでしょうか。
 
○山口座長
 どうぞ。
 
○天野構成員
 先ほどの長島構成員の御指摘に関連してです。先ほど、掛江構成員からの御説明にもあったように、説明文章等において、臨床研究法の施行規則に定める必須事項について記載がないことがあるということで、当該施設の臨床研究審査委員会の審査の体制についても、一言、付言しておいたほうがいいのではないかと。ほかの試験についても同様のことが行われているのではないかという懸念を持ちましたので、これを機に施設の審査についても付言すべきではないかと考えます。以上です。
 
○山口座長
 全くそのとおりだと思いますが、いかがでしょうか。
 
○真田構成員
 私もこの案件についてはそのように思いますが、全体については先生方の御議論にお任せしたいと思います。
 
○山口座長
 この辺りについて、ほかに御意見はございますか。長島構成員、どうぞ。
 
○長島構成員
 先ほど、ほかの所でもしっかり実績があるにもかかわらず今回これだけ不備が多いと、それから、施設も変わられたということで、やはり、書面上は適切であったとしても本当に実態として適切なのかという不安が非常に残ります。その辺りについて、もう一度体制をしっかり立て直す、あるいは、しっかりした書類を出していただいて、もう一度継続審議というのがよろしいのではないかと。余りにもいろいろな不安が大きいと思いました。
 
○山口座長
 ほかに御意見はございますか。真田構成員、いかがでしょうか。
 
○真田構成員
 私も先生と同様の懸念は持っておりました。今回は最もたくさんの御指摘を出された先生方の御意見を尊重した形で申し上げました。先生方の御懸念はごもっともだと思いますので、一度仕切り直しをして、きっちりそろえたものを見るということでも差し支えないと思います。
 
○佐藤構成員
 佐藤です。よろしいでしょうか。
 
○山口座長
 佐藤構成員、どうぞ。
 
○佐藤構成員
 今回は外の認定臨床研究審査委員会で見ているので、東海大学の付属病院は何ができるのかよく分からないのです。その辺りの体制整備も含めて、ちゃんと聞いていただけると良いかと思います。以上です。
 
○山口座長
 事務局から何かありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 非常に貴重な御意見を頂きありがとうございます。頂いた御意見については、こちらで整理して研究者にしっかり伝えさせていただきます。今回、まず、CRBを通過した後に先進医療として御申請いただいているわけですが、この場で頂いた御意見については、変更がなされた後に再度CRBに戻るような形になりますので、先生方から頂いた御意見についてはCRBにフィードバックされる仕組みは出来ております。ただ、今回かなり厳しい御意見を頂いたことについて、我々からも付言してお伝えするようにさせていただければと思っております。
 
○山口座長
 ほかに何かございますか。藤原構成員、どうぞ。
 
○藤原構成員
 CRBを変えるというわけにはいかないのでしょうか。責任者をやっている所の疾病等報告をしっかり見るのは所属施設でないと無理だと思います。継続審議にしていただいて、責任者のいる実施施設のCRBをちゃんと通した上で申請していただくほうが安全のような気がします。
 
○山口座長
 一色座長代理、いかがでしょうか。
 
○一色座長代理
 私も掛江構成員のお話を聞いている途中から、これは継続審議がよろしいのではないかと純粋に思っておりましたので、山口座長の御意見に賛同いたします。
 
○山口座長
 ほかに何かございますか。それでは、やはり継続審議のほうが妥当かと思いますので、そのようにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○山口座長
 それでは、整理番号110については、継続審議ということにいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。藤原先生から御指摘いただいた点を確認いたしますが、今回、CRBを変えたほうが良いのではないかという御意見を頂きました。CRBについては研究者に選択していただいた経緯がありますが、変えていただく方向でお伝えすべきなのでしょうか。
 
○山口座長
 ここには、それを変えさせる権限はあるのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長
 端的に申し上げると、権限はないと思います。したがって、今後の継続審議をしたときに、CRBを変えないと受け付けないということは難しいと思います。ただし、先ほど補佐から申し上げたとおり、結論として頂いた継続審議、今回の御指摘をきちんと直していただくこと、書面の内容を実施できることも含めて出していただくことをきちんとお伝えすると同時に、CRBの審査体制に非常に不安があることについて御意見として懸念を示すことはできると思います。
 その上で、今度は同じCRBでそういう御指摘を受けないようにするために、きちんと審査していただくとするのか、CRBを変えてするのか、そこは申請される方の御判断になるかと思います。御懸念をお伝えすることはできると思いますが、その辺りはどのようなトーンでお返しするかという方針を頂きたいと思います。
 
○山口座長
 いかがでしょうか。今回のCRBは相当ずさんだったという御意見が出たということをお伝えして、どのようになっているのか御報告を頂いたほうがいいと思います。そうでないと、ほかの施設から頼んで同じようなことが起きていたら、それこそ、長島構成員がおっしゃるように大変なことになります。先進医療全体の質にも関わってきます。こちらはやめてほしいということではなく、イージーミスが多数あるにもかかわらず、それをパスしているということを、そういうことに対してこの部会でものすごく疑義が出たということをCRBにお伝えいただくということが必要かと思います。いかがでしょうか。そこをもう少ししっかりしてくれたら、皆さんがこれほど苦労することはないわけです。
 
(佐藤構成員、退出)
 
○一色座長代理
 よろしいでしょうか。
 
○山口座長
 どうぞ。
 
○一色座長代理
 今の疑義が出たということを、責任医師とCRBの両方にお伝えするというのがよろしいと思います。そうすると、両者間でのコンセンサスの下に正しい判断をしていただけるのではないかと考えます。
 
○山口座長
 そのようにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。掛江構成員、どうぞ。
 
○掛江構成員
 1点だけ申し上げます。指摘事項の量に関しては変わらないのですが、私の動きが遅くて事前照会で、今回の「条件付き適」で良いという最終的な結論を申し上げたのは、事前に指摘していれば確実に直していただけていたであろうと考える、それほど難しい指摘ではなく、ただ、きちんと勉強して、臨床研究法を理解してきちんと対応していただければ問題ないことなので、「条件付き適」でということでお願いいたしました。
 したがいまして、まずは、私のアクションが遅く、こういう形になり、先生方に御迷惑をお掛けしてしまったことをお詫びしたいと思います。ただ、だからといって指摘事項の量が減るわけではなく、CRBがこれだけの見落としをしていたという事実は変わらないので、その点は是非、CRBにも伝えていただきたいと考えます。あと、今回審査させていただいて非常に疑問に思うところが多かったので、東京医大のCRBの議事要旨を遡って確認いたしました。議事要旨しか公開されていないので、どのぐらいきちんと審査されているか確認することはなかなか難しいのですが、今回、ほかの構成員が特に専門的な立場から御指摘してくださった点と同様の事項をCRBでも幾つか御質問してくださっていたのに、結局、申請者が修正せず押し切って承認されていると推察される部分が幾つかありました。そういう意味では、CRBにもきちんと伝えていただいて、CRBとして申請者の主張を最終的に許容したのはCRBの責任かと思いますが、CRBとしてどういう対応が適切であったか、そして、もしこちらの部会にCRBとして意見があれば、併せて御報告いただければいいかと感じました。失礼いたしました。
 
○山口座長
 貴重な御意見ありがとうございました。それでは、今のようなことでここは終わりたいと思います。斎藤委員におかれましては、御指摘いただき本当にありがとうございました。またよろしくお願いいたします。続いて、総括報告書の評価結果について、事務局より説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。御説明いたします。資料2-1の53ページを御覧ください。先進医療B、総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧26「陽子線治療 肝細胞がん(初発のものであって、肝切除術、肝移植術、エタノールの局所注入、マイクロ波凝固法又はラジオ波焼灼療法による治療が困難であり、かつChild-Pugh分類による点数が7点未満のものに限る)」。申請医療機関は北海道大学病院となっております。今回、審査を御担当いただきました構成員の先生方は、主担当が山口座長、副担当が飛田構成員となっております。試験の概要については、資料2-1の53ページ及び資料2-2の59ページの概要図も併せて御覧ください。
 こちらの技術ですが、53ページの中ほどに記載がありますが、目的としては、根治切除不可能かつ穿刺局所療法不適の肝細胞癌患者に対する陽子線治療の有効性と安全性を多施設共同臨床試験にて評価するということで、主要評価項目は、全生存期間(3年全生存割合)、副次評価項目は、無増悪生存期間(3年無増悪生存割合)及び記載のとおりとなっております。
 こちらの試験は、当初の目標症例数は180例でしたが、実際の登録症例数は30例となっており、こちらについては※の以下に記載しておりますが、試験登録より3年以上が経過した時点で予定登録症例数を大幅に下回り、予定していた研究期間内での症例集積は困難と判断したため、研究実施計画書の中止基準にのっとり早期に試験が中止されており、こちらについては令和2年5月の第99回先進医療技術審査部会にて御承認いただいております。なお、登録症例の長期予後等については、現在実施中の「先進医療陽子線治療患者の統一治療方針による観察研究-全国症例登録-」においてフォローアップすることとしている、とのことです。
 こちらの審議については、山口座長に総括報告書の御評価を頂いておりますので、一色座長代理に進行をお願いしたいと存じます。事務局からは以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。それでは、本技術の評価について、主担当の山口座長、御説明をお願いします。
 
○山口座長
 今、事務局から御説明がありましたが、手元の資料の53ページを御覧ください。先ほど説明がありましたように、180例の目標症例数で、30例は登録されて、1例脱落ということで、29例について解析されたということです。
 この見込みでいくと到達できないということですが、29例だけから何か評価するのは大変難しいのですが、55ページに有効性については、その他、評価できないということかと思いますが、実際、TACEとほとんど差がないということで、良いとも悪いとも言えないことだと思います。
 安全性に関しては、かなり有害事象はあり、重篤なものも11例ぐらいあって、必ずしも安全な技術ではないということで、Cとしました。
 56ページの技術的成熟度はAです。
 総合的なコメントとしては、180例のうちの30例ということで、これだけでは何も言えないことが結論かと思います。
 薬事未承認の医薬品等に貢献したかどうかということですが、参考にはなりますが、申請の効率化に資するものとは言えないという結論にしました。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。続いて、飛田構成員から御評価をお願いします。
 
○飛田構成員
 飛田です。よろしくお願いします。
 私の評価については、資料2-1の57ページに記載させていただいていますので、そちらを御覧いただければと思います。有効性に関しては、山口先生がおっしゃられたとおり、今回の研究は研究期間内での症例集積が困難であるとして、180例を予定していたところ、30例の登録で早期中止しています。主要評価項目に関しては、3年の生存率はヒストリカルコントロールであるTACEとの比較において統計学的な有意差も認められていません。ヒストリカルコントロールになっているTACEに関しては、本技術審査部会第39回のプロトコールの試験が承認された審議時に様々な指摘、御議論があったような記録になっていますが、ヒストリカルコントロール、本来であればRCTをやったほうがいいのではないのかという議論等々もあって、コントロールを何にするかに関してかなり議論はされていたようなのですが、実施可能性を含めてヒストリカルコントロール、閾値を設定して、それに上回るかどうかという計画の下、実施されている試験でした。
 ですので、今回の結果を見させていただきましたが、数値的には症例数決定で見積った数値82.6%に3年生存率は近い数字にはなっているのですが、コントロール、閾値が本当に適切であったのかどうかという当初の議論等々も踏まえますと、この成績からだけでは従来の医療技術と比べてどうだという判断は、なかなかできないかという判断をさせていただいて、その他という形で評価させていただいています。
 安全性に関しても、少数例の検討ですが、因果関係はいろいろ否定されているのですが、原疾患の悪化による死亡とか、プロトコール治療終了後3か月以降の晩期に心筋梗塞など、重篤な有害事象が発現している状況を踏まえますと、問題ありというCの評価をさせていただいています。
 技術的成熟度に関しては、Aという形で判断させていただいています。以上です。
 
○一色座長代理
 ありがとうございました。それでは、山口座長、追加のコメントがありましたら、お願いします。
 
○山口座長
 特にありません。
 
○一色座長代理
 症例数が少なくて、なかなか評価が難しいという2人からの御説明だったかと思いますが、何か御質問等はありますか。
 
○天野構成員
 天野ですが、よろしいでしょうか。
 
○一色座長代理
 どうぞ。
 
○天野構成員
 ありがとうございます。限られた症例数ということで、なかなか判断は難しいことは承知しているのですが、限られた症例数であっても、様々な有害事象、中には重篤なものもあるということで、文書で説明していただいているのですが、因果関係のある重篤な有害事象は比較的少ないようには見受けられるのですが、全体として有害事象の印象というか、それはどのようなものがあるのでしょうか。もし分かれば、もう少し詳しく教えていただけますか。
 
○一色座長代理
 山口座長、よろしいですか。
 
○山口座長
 おっしゃるように、本当に重篤な有害事象と直接関係があるのは少ないのですが、いろいろなものが起きていて、必ずしもこれは絶対に関係ないとは言えないので、この試験だけから今回の治療が今までの治療に比べて安全だということは言いにくいかという印象です。
 
○天野構成員
 分かりました。ありがとうございました。
 
○一色座長代理
 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、ほかに御意見はないようですので、告示番号旧26については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて先進医療会議に御報告します。
 以後の審議については、山口座長にお戻しします。よろしくお願いします。
 
○山口座長
 どうもありがとうございました。続いて、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。今回、試験実施計画等の変更申請が4件提出されております。資料3の61ページを御覧ください。1件目ですが、国立国際医療研究センター病院からの申請で、告示番号14「腹膜偽粘液腫に対する完全減量切除術における術中のマイトマイシンC腹腔内投与及び術後のフルオロウラシル腹腔内投与の併用療法」。適応症は、腹膜偽粘液腫となっております。
 今回、御審議いただきます主な変更内容については、62ページを御覧ください。主な変更内容ですが、(マル1)中間解析に関する変更、(マル2)研究責任者及び研究組織の変更となっております。
マル1の変更申請の理由については、試験開始時に、本試験の対象となる手術実施例が我が国において極めて少なく、世界的にみても未確立な治療であったことから、無効中止の必要性の判断を行う目的で、25例目が5年間の観察期間を終了した時点で中間解析を行うものと設定した。一方で、当初は被験者の登録期間を5年と設定していたものの、想定より早く2年間で被験者の登録が終了したため、25例目が5年間の観察期間を終了する時期が2020年11月、中間解析結果を踏まえた効果安全性委員会の開催が2021年初め、試験終了時期が2022年2月となった。
 こちらについて、2020年8月に開催された効果安全性委員会において、(1)開催時点までに報告されている長期安全性に関する特段の懸念はなく、2022年2月に試験が終了予定であることも踏まえると、無効中止を判断するための中間解析を実施する意義は乏しい、(2)予定どおり5年間の追跡調査を登録全例で行い、長期の安全性データを集積することが重要と考えるとの審議結果が報告され、中間解析を実施しない旨議決された。こちらを踏まえ、今回、中間解析を行わない旨のプロトコールの変更が申請されています。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見はありませんか。
 
○天野構成員
 天野です。よろしいでしょうか。
 
○山口座長
 天野構成員、どうぞ。
 
○天野構成員
 これは、当初、25例目が5年間観察期間を終了した時点で中間解析を行うものと設定して、25例目は5年間の観察期間を終了する時点、2020年11月になっていて、安全性に関する懸念はないので、無効中止を判断するための中間解析を実施する意義は乏しいという理屈が、分かったようで分からないような感じがするのです。これは正しい判断と考えてよろしいのでしょうか。
 
○伊藤(澄)構成員
 この件に関して、評価を担当した伊藤です。中間解析を今の段階でやるよりは、最終的な結果を出すほうが、統計的な推計値も正確になるという判断で、国際医療研究センターが判断されたと認識したので、よいのではないかと思いましたので今回、こういった形で提案させていただきました。
 
○山口座長
 天野先生、いかがでしょうか。
 
○天野構成員
 分かりました。ありがとうございました。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。では、ないようですので、告示番号14の変更については、認めることとします。
 次の試験実施計画の変更について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料4の63ページを御覧ください。富山大学附属病院からの申請で、告示番号2「ハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建術」。適応症は、再発翼状片となっております。
 今回、御審議いただきます主な変更内容については、64ページの中ほどを御覧ください。主な変更内容ですが、1)試験実施計画書と羊膜取扱いガイドライン2014との齟齬を修正、2)ドナーの適格性の確認に関する手順書、疾病等又は不具合が発生した場合の対応に関する手順書の作成、3)その他、記載整備となっております。
 今回、変更申請を行う主な理由ですが、1)2)については、試験実施計画書に記載されましたHD羊膜製造の部分で行う検査時期・項目、こちらは感染症に関するものですが、こちらが同意説明文書に記載されたもの及び実際の検査と異なっていたということで、実際の検査は「羊膜取扱いガイドライン2014」(以下、ガイドライン)に従って行われており、試験実施計画書に記載された検査が欠損となっていることがモニタリングによって明らかとなり、結果的にプロトコール違反の状態となった、とのことです。
 本事案については、富山大学の認定臨床研究審査委員会(CRB)及び独立データモニタリング委員会で審議が行われ、再発防止策を講じるとともに、ガイドラインに合わせた試験実施計画書の変更が行われております。
 また、ドナー検査等に係る詳細な手順書を新たに作成されております。なお、検査はガイドラインに準じて実施されていたため、レシピエントに安全性の影響は及ばないと判断されているとのことでして、こちらの詳細な経緯等については、66ページ以降に別添として資料を付けさせていただいております。事務局からは以上です。
 
(山中構成員、退出)
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見はありませんか。後藤先生、どうぞ。
 
○後藤構成員
 後藤ですが、結果的にプロトコール違反の状態になったということは、それが発覚するまでは、プロトコール違反の状態で対応していたということなのでしょうか。説明同意文書では、同意を得たのが、適切ではない同意文書に基づいて同意が取られたとも読めるのです。もし、そうだとすれば、それに基づいて修正した後のものだと問題ないと思うのですが、それ以前のものについて、どのような取扱いをされたかは確認する必要はないのでしょうか。
 
○山口座長
 いかがでしょうか。事務局、どうぞ。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 実際に行われた検査は、説明同意文書に書かれていた内容と同じでして、その検査内容もガイドラインにのっとって行われたものでした。ただ、試験実施計画書に記載されたもののみが、説明同意文書やガイドラインと違っていたということで、結果的には計画書の中で測定すべきとされていた項目、感染症に関する検査ですが、そちらが測定されていなかったとうことです。
 
○後藤構成員
 分かりました。では、説明同意文書は、必要なものがちゃんと記載されていて、それに基づいて適切な対応でとられた同意文書であるという理解でしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘のとおりと承知しております。
 
○後藤構成員
 ありがとうございました。
 
○山口座長
 ほかにありませんか。それでは、ないようですので、告示番号22の変更について、認めることとします。
 次の試験実施計画の変更について、説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料5の73ページを御覧ください。東京西徳洲会病院からの申請で、告示番号48「腎悪性腫瘍術により摘出された腎臓を用いた腎移植」。
 適応症は、末期腎不全(慢性維持透析が困難なものに限る)となっております。
 今回、御審議いただく主な変更内容については、73ページの一番下の箇所を御覧ください。主な変更内容ですが、1.本研究における研究総括責任者の変更、2.協力医療機関の実施責任者の変更、3.研究実施体制の変更となっております。
 74ページに変更申請する理由及び概要図を記載しておりますが、先進医療開始当初に研究総括責任者を担当していた医師の再入職及び腎摘施設の追加により、実施体制の変更が必要となった。具体的には、協力医療機関の1つに移植実施施設の要件(責任医師)を満たす医師が入職したため、腎摘実施施設から移植実施施設へ変更となる。一方、腎摘実施施設として新たに2つの施設を追加して、更に試験を実施できる体制としたいため、今回の変更申請に至ったとのことで、今回、移植実施施設が2施設になったことに伴い、腎摘実施施設との関係性を明らかにするため、東と西のブロック制として運用を行うこととした、とのことです。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見、御質問はありませんか。まだ1例も登録されてないわけですよね。特になければ、告示番号48の変更について、お認めすることとします。
 続いて、次の試験実施計画の変更について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料6の75ページを御覧ください。湘南鎌倉総合病院からの申請で、告示番号52「自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法」。適応症は、下肢閉塞性動脈硬化症となっております。
 今回、御審議いただく主な変更内容については、76ページを御覧ください。主な変更内容ですが、1)選択基準の年齢上限を80歳以下から85歳以下に変更、2)除外基準の脾腫の定義の変更(長経10cm未満から15cm未満まで許容)、3)その他人員体制に伴う記載整備となっております。
 今回、変更申請する理由ですが、1)については、本再生医療を安全に実施するために除外基準を設けているが、再生医療の処置に耐えうるか否かについて年齢の寄与は比較的少なく、また、長寿が進行する現代において高齢者が高いQOLを享受するためには、本治療の対象年齢上限の引き上げは適切だと考えたため、2)については、本研究開始後1年2か月の間に、脾腫の除外基準に抵触するため登録に至らなかった候補患者が数名いた。G-CSF製剤投与3日目又は4日目に脾臓サイズをモニタリングすることを定めているため、登録時に脾臓の長経が10cmをやや超えていたとしても、G-CSF製剤投与中に注意深く観察することで安全に治療を提供できると考えたため。なお、巨脾(長経15cm以上)を除外基準に設定している他の再生医療の研究及び治験が実施中であることからも、この変更は適切であると考えられた、とのことです。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見はありませんか。確かに脾臓10cmは少し厳し過ぎると思います。何か御意見はありませんか。このように変更することで、恐らく登録は進むという理解でよろしいですか。特にないですか。それでは、ないようですので、告示番号52の変更について、お認めすることとします。
 続いて、先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料7-1の77ページを御覧ください。今回、告示番号30について1件、36について1件、48について3件、63について1件、64について7件、65について4件の協力医療機関の追加申請がありました。資料7-2、79ページ以降に資料を添付しておりますが、事務局において先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認させていただいております。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。
 続いて、先進医療B及び協力医療機関の取下げについて、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。資料8の91ページを御覧ください。今回、先進医療Bの取下げ申請が告示番号18の1件、協力医療機関の取下げ申請が告示番号37、42の2件ありました。取下げ理由に記載がありますが、告示番号18については、予定登録症例数に未達、現在35例予定のところを11例の登録済みではありますが、本試験物の開発計画において、医師主導治験の有効性に関する検証を行う方針へと変更となったため、研究実施計画書の記載にのっとり、研究責任医師の判断に基づき本先進医療を取り下げる。すなわち、先進医療制度下で実施した臨床研究において、必要な安全性情報を取得でき、また、PMDAでの薬事戦略相談において、次相の医師主導治験の実施計画に関する対象疾患、有効性指標である主要評価項目を含む評価項目等の申請パッケージ資料について合意したことを踏まえて、先進医療として臨床試験を遂行する意義が完了したと判断したため。なお、これまで、登録済みの11例の患者さんについては全ての評価項目に関する観察期間が終了しており、総括報告書については、現在、提出の準備中、とのことです。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 何か御意見はございますか。特にないようですので、次に令和2年度先進医療技術の実績報告について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料9の93ページを御覧ください。令和2年12月3日開催の第93回先進医療会議におきまして、令和2年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告がなされましたので、部会でも御報告させていただきます。
 まず、93ページの資料にあるとおり、先進医療Bの技術数は61種類、実施医療機関が225施設、費用については、保険外併用療養費が約6.7億円、先進医療費用の総額が約5.3億円となっております。94ページを御覧ください。過去1年間の先進医療A及び先進医療Bの技術数の増減を示した表となっております。先進医療Bについて、新規の承認技術数は10種類となっております。また、95ページは、過去5年間の実施医療機関数や金額等の実績を示した表となっております。
 96ページからは、各先進医療B技術の費用等をお示ししていまして、100ページからは、各先進医療Bの登録症例数及び年間実施件数等をお示ししております。また、103ページからは、1年間の実施件数が0件であった先進医療技術のリストと、0件の理由及び今後の対応方針を申請医療機関に報告していただいた結果をまとめた資料となっております。事務局からは以上でございます。
 
○山口座長
 何かありますか。では、これもまたゆっくりと見ていただきたいと思います。それでは、次に先進医療における実績報告についての御報告をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料10の109ページを御覧ください。こちらも先ほどと同様に、先日の第93回先進医療会議において御議論いただいたものの御報告となります。こちらは「先進医療における実績報告について」としてお示ししておりますが、1.現状の1つ目の○に記載のとおり、先進医療は将来的な保険導入のための評価を行う評価療養として位置付けられていることから、実施保険医療機関から、毎年の実施状況について定期的に報告を求めておりまして、具体的には前年7月から当該年の6月までの間に行った先進医療の実績について、地方厚生局に御報告いただいております。
 一方で、4つ目の○の所に記載がありますが、臨床研究法における特定臨床研究については、実施計画の提出をした日から起算して、1年ごとに厚生労働大臣への定期報告が行われておりまして、再生医療等安全性確保法が適用される研究についても同様となっております。
 5つ目の○にございますが、臨床研究法の施行に際して、先進医療の通知の改正を行った際に、先進医療における定期報告についても、研究の開始から起算して1年ごとに地方厚生局に報告することを検討することとされておりました。
 こちらについて、2の対応策としてお示ししたとおり検討を行いましたが、以下の理由から、今後も従来どおりの定期報告を継続してはどうかということで、現在、上記の期間に先進医療に係る費用の総額等も取りまとめて実績として報告しており、これについては期間を定めて取りまとめる必要がある。また、先進医療における実績報告は臨床研究法及び再生医療等安全性確保法下で求められる報告内容と異なっているということでした。なお、これらの報告体制の今後の状況に鑑みまして、先進医療の実績報告についても、実施医療機関の負担軽減にも配慮しつつ、適宜見直すこととしてはどうかということで、こちらの記載内容については、先日の先進医療会議でお認めいただいております。
 
○山口座長
 何か御質問等はございますか。ないようですので、次に先進医療B総括報告書提出状況一覧及び先進医療B観察研究報告書提出状況一覧について、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料11-1の111ページを御覧ください。こちらの表は平成24年度以降に告示されており、第108回の先進医療技術審査部会までに取下げが審議された先進医療B技術について、令和2年12月1日現在の総括報告書の提出状況を示した一覧表です。
 表の一番左側の数字が、平成24年の告示番号ですが、112ページにお進みいただいて、こちらが43番よりも下の技術については、総括報告書の提出が義務付けられた試験となっております。総括報告書の提出状況については、表の右から2番目に項目がありまして、既に提出済みのものについては「済」と記載しておりますので、御参照ください。既に多くの試験において、告示取下げ後に総括報告書を御提出いただいていることを確認しております。また、未提出の試験については、事務局より提出に関して適宜リマインドを行っているところです。
 また、114ページの一番下の所なのですが、こちらに備考2として記載しておりますが、先日開催された第107回先進医療技術審査部会において、これまでに先進医療として行われた試験について、無効中止となったような例がどの程度あるのかについて、構成員の先生より御照会いただきましたので、こちらにまとめて記載しております。今回記載した既に取下げが行われた75技術のうち、有効性に関する中間解析が行われたものが9件ありまして、このうち有効中止になったものが2件、先日御報告したものを含めて、無効中止となったものが2件、試験継続となったものが5件という結果でした。
 115ページにお進みください。こちらは、告示削除に当たって、副次評価項目などの長期観察が必要な事項について、観察研究を実施して、その結果を部会に御報告いただくこととなっている試験のリストをお示ししております。今回お示しした報告書等について、今後も毎年更新して御報告させていただきたく存じます。
 
○山口座長
 宿題も含めて御報告いただきました。何か御質問はありませんか。
 
○一色座長代理
 112ページの差戻し中というのが1件、平成29年付けで出ているのですが、今どういう状況になっているのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 こちらは総括報告書を御提出いただいた後に、評価担当の先生方から、当初予定されていた評価項目について適切に評価が行われていないということで、一度差戻しになっております。その後、こちらから何度か医療機関に提出を求めているところではありますが、医療機関のほうでなかなか回答ができないということで、いまだに回答いただいていないような状況です。本件については、引き続き御提出いただくようにお願いさせていただきます。
 
○一色座長代理
 このような場合にどう対処すべきかということが明確ではないように感じます。これは施設の信用に関わる問題になるのではないかと思うのですが、当該施設長としては本案件について認識しておられるのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘のとおり、先進医療自体が医療機関からの申請ということですので、我々も照会を戻す際には、研究者ではなく医療機関の担当の方に対して御提出をお願いしているところです。ただ、内部でなかなか提出いただけない事情があるようで、提出に至っていない状況ではありますが、今回のような形で定期的に御報告させていただいて、また今回先生から頂いたような御指摘を再度医療機関にお伝えすることで、提出を促していくという形になるかと存じます。
 
○山口座長
 部会でそういう批判が出たということを伝えていただきたいと思います。ほかにございませんか。それでは、続きまして申請医療機関からの報告につきまして、事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料12の117ページを御覧ください。なお、こちらの議題については会議の初めに申し上げましたとおり、上村構成員、真田構成員、飛田構成員におかれましては、御所属の医療機関との関係で一時御退席いただきたく存じます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 
(上村構成員、真田構成員、飛田構成員退室)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 改めまして、申請医療機関からの報告としまして、以前よりこちらの部会で御審議いただいている告示番号B17、周術期カルペリチド静脈内投与による再発抑制療法の根拠論文の研究不正に係る調査に関する御報告です。1.経緯として記載しておりますが、大阪大学医学部附属病院が実施している告示番号B17の技術、JANP studyにおいて、臨床試験計画立案時の参考論文1編で特定不正行為が認定され、公表されております。また、不正を行ったとされる研究者が、本臨床試験の有効性に関する根拠論文の筆頭著者であることも明らかとなり、根拠論文についても研究不正の有無に関する調査が調査委員会において行われているところです。
 令和2年7月から9月に開催の部会において、参考論文における研究不正の概要等が報告され、御審議いただいた結果、一旦の臨床試験の中断を経て、根拠論文における研究不正の有無に関する調査結果について、年内をめどに部会に報告することを条件として、先進医療としては当面継続可となっておりました。なお、先進医療については、新規の患者の組入れは既に終了しており、研究目的での定期外来受診であったり、検査が行われている状態となっております。
 ページの下の所にお示しした図のとおりですが、今回、根拠論文のうち、臨床研究部分については大阪大学、基礎研究部分については国立循環器病研究センターが、それぞれに設置された調査委員会で調査中ですが、この度、大阪大学及び国循より、その進捗状況等について、別添机上配布資料のとおり報告がございましたので、御報告させていただきます。こちらは同じ資料になるのですが、タブレットにも資料12の関係資料として入れさせていただいておりますので、御参照いただければと思います。
 こちらの資料は「JANP study根拠論文調査の進捗状況について」ということで、大阪大学及び国循より提出がございましたので、こちらを読み上げさせていただきます。
 本年7月、8月及び9月の本部会において、参考論文の1つに研究不正があったとして御審議いただきましたJANP studyに関しましては、現在、根拠論文となった、いわゆるPNAS論文の研究不正に係る調査を国立循環器病研究センター及び大阪大学において行っておりますが、その進捗状況につきまして、御報告申し上げます。
 PNAS論文の研究不正に係る調査につきましては、臨床部分については大阪大学で、非臨床部分については令和2年8月18日公表の研究不正事案において、特定不正行為があったと認定された国循元室長が責任著者又は筆頭著者となっている、他の非臨床の4論文の調査と一緒に、国立循環器病研究センターで、それぞれ外部有識者を委員長とし、委員の過半数を外部有識者が占める調査委員会を設置し、調査を進めております。
 これまで、大阪大学の委員会は8月4日に第1回会合を開催し4回、国立循環器病研究センターの委員会は9月4日に第1回会合を開催し、これまで6回開催されており、カルテと研究データの間に不一致がないかの確認や関係者からのヒアリングを行っております。両機関においては、早急に調査を完了して臨床試験に御参加いただいた方々に御報告する観点から、年内に調査結果を取りまとめることを目指して作業が進められておりました。
 現時点で、同論文の一部で科学的に妥当であったことを確認できておりません。これに関し、追加で関係者へのヒアリング等を行うことにより事実関係を確定する必要が生じており、現在、追加調査等を行っております。このため両機関において、できるだけ早期に調査結果の取りまとめを行うべく努力をしており、遅くとも来年2月の本部会には報告させていただく見通しとなっております。
 一方、JANP studyの実施医療機関である大阪大学医学部附属病院においては、現時点でPNAS論文の妥当性を御報告できなかったことを大変重く受け止め、11月26日に開催した同病院の臨床研究総括委員会において、JANP studyを中断することを決定し、12月2日に開催されました大阪大学臨床研究審査委員会でも試験の中断について了承が得られております。試験中断中の研究参加者への健康観察については、医師の判断のもと適切に行い、疾病等が生じた場合には、引き続き臨床研究審査委員会へ報告を行うこととしております。
なお、今後2月の部会で調査結果の最終報告を行う際には、併せて、調査結果を踏まえたJANP studyの取扱いについても報告できるよう、対応を進めます。両機関としては、今後、調査をできるだけ速やかに完了した上で、説明できるよう取り組んでまいりますので、御理解を賜れれば幸いでございます、とのことでした。
 再び資料12の117ページの中程にお戻りください。2.今後の対応方針等としてお示ししておりますが、JANP studyにおける根拠論文の研究不正に係る調査結果が、遅くとも来年2月の部会には報告される見通しであること、また、JANP studyについては一旦中断することについて大阪大学医学部附属病院臨床研究総括委員会及び大阪大学のCRBで承認されたことについて、報告がございました。有害事象等の安全性に関するCRBへの報告については継続する条件でJANP studyは中断とし、最終的な調査結果報告等を受けた段階(遅くとも来年2月の部会)で再度御議論いただきたく存じます。
 
○山口座長
 本件について、何か御意見はございませんか。
 
○掛江構成員
 大阪大学の机上配布資料の最後から3段落目の一番最後に、「試験中断中、研究参加者への健康観察については医師の判断のもと適切に行い疾病等が生じた場合には引き続き臨床研究審査委員会へ報告を行うこととしております」とあるのですが、今までのこの部会での議論で、中断してしまうと、研究者らがその後の被験者に御迷惑をお掛けしていないかをきちんと見ていくという責任が果たせないという議論があったと思います。ただ、大阪大学医学部附属病院のほうで委員会等も含めて、こういった御判断をされたことについては、それで受け入れるしかないのだと思うのですが、ただ、結局こういう形になってしまうと、各医師の判断の下で適切に…というところの保証を誰もできないことになるかなと心配しております。この辺りは、各医師に対して、どのように今回の状況等をお伝えし、どういうフォローを適切なフォローとして実施してほしいのかということを、どのようにお願いされているのかを確認させていただくことはできるのでしょうか。
 
○山口座長
 もっともな御指摘かと思います。この辺りについて、事務局から何かありますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 こちらの「研究中断中の研究参加者への健康観察については、医師の判断のもと適切に行い」という文言については、試験計画書に規定された研究中断中のいくつかの予定されたとられるべき対応のひとつでして、そちらに沿って記載されたものと認識しております。実際に、研究者とのこれまでのやり取りの中では、やはり当初予定されたとおりの計画にのっとったタイミングでの受診をお願いして、最大限の健康観察をさせていただくという形になるようにお聞きしております。
 
○山口座長
 おそらく健康観察の項目などが、もともと決まっていたと思うのです。自分たちの判断だけでやるのではなくて、そういうものにのっとってやるということであるという確認を取っていただけますか。
 
○長島構成員
 今のことは極めて重要で、最も重要なのは被験者の保護ですので、そこがしっかりとできるという確認は必要ですので、大学病院等から、具体的にこのようにやるというので、それで十分なのかという確認をして、十分でなければ、こちらからしっかりとその点を指摘して、しっかりやっていただくというようにしていただきたいと思います。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。
 
○伊藤(澄)構成員
 確認させていただきたいのですが、9月ぐらいまでは試験の継続ということだったのですが、急に方針がドラスティックに変わったように感じるのです。また、この文章の中の117ページの下の部分で、「大阪大学が調査中、自己調査では不正認めず」と書いてあるのですが、机上配布資料の2ページ目の真ん中の3つ目の段で、「大阪大学医学部附属病院においては、現時点ではPNAS論文の妥当性を御報告できなかったこと」と書いてあり、117ページとの間に齟齬があるような気がするのですが、齟齬はないのでしょうか。
 それから、この1枚紙のほうをみると、何らかの形でミスがあったということを阪大病院の中で分かったから、では中断をしましょうという結論が出てきたようにも、穿った見方もできるのですが、どういうことなのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でお答えできる範囲で回答させていただきますが、齟齬がなかったかという点につきましては、先ほどそれぞれの調査委員会での調査と申し上げましたが、これはお互いに連携をしていて、最終的には1つの調査報告書としてまとめて提出されるものと認識しております。そういう中で、調査委員会による調査の進捗状況によって、論文の妥当性を現時点で報告できなかったということで、臨床研究部分については、以前こちらの部会に自己調査の結果をご報告させていただいたとおりです。
 
○一色座長代理
 私も伊藤構成員の懸念と全く同じものを感じています。机上配布資料の2枚目の1行目の「科学的に妥当であったことを確認できておりません」と、非常に慎重な言い回しの表現なのですが、これは要するに、何かあったということを言外に込めている表現だなと私自身は感じました。
 「確認できておりません」というのは、科学的に妥当でなかったとも受け取れるように思います。全く不正が行われなかったということが確認できなかったので中断したのかなとも読める印象です。実は深刻なものがあったのではないかと、危惧をしたところです。
 
○山口座長
 ただ、これだけからは、推測でなかなかそれは言えないのではないかと思います。文章を見ると、現時点で報告できなかったことを詫びているので、報告が遅れたということに関して重みがあるのではないでしょうか。今年中に何とかやってくれと言ったにもかかわらず、2月になってしまって申し訳ないということというように。
 
○一色座長代理
 そうであれば、よろしいと思います。ちょっと危惧をしただけですので。
 
○長島構成員
 今の部分ですが、論文の一部で妥当が確認できないということは、やはり一部に何らかの疑いがあったけれども、それが妥当かどうかはまだ判断する、今の現状のデータでは判断できないから、更にヒアリングをするという、そうとしか解釈できないのだと思います。
 やはり、そういうものがあるということを踏まえて、更にそれプラス、間に合わなかったということで、こういう判断になったのだと、この書き方はそのように読むべきではないかと思います。
 
○山口座長
 ほかに御意見はございますか。
 
○後藤構成員
 先ほどの掛江構成員と長島構成員の話のところなのですが、これは12月1日に中断するということが決まって、既に研究参加者については通知されたという事実があるのかの確認はできているのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 本日の部会をもって中断が最終的に決定されますので、本日の部会の後に参加者にお伝えされる状況になっております。
 
○後藤構成員
 この前はすごく早くしなければいけないというので、早く対応されていたのですが、中断するということは、まだお話されていなくて、この部会後に速やかに中断についてノーティスが行われるということですね。分かりました。ありがとうございました。
 
○藤原構成員
 質問が2つとお願いが1つあります。1つ目の質問は、これは当初から、この技術審査部会で議論しているのですが、特定臨床研究であって臨床研究法に従ってやっていますので、いろいろな判断主体とか指示の主体というのは、CRBあるいは研究開発振興課が、臨床研究法を所管しているわけですから、そこにあるのかなと思っていて、我々先進医療技術審査部会とか先進医療会議のメンバーが、どこまで強制力をもって厳しいことを言えるのかというのが、今一つ自分の中では咀嚼できていないので、それを教えていただきたいというのが1つ目の質問です。
 2つ目の質問は、前回のこの部会でも報告されたように、PNASの論文の臨床の部分は適切に行われているだろうということも分かりましたし、以前の先進医療技術審査部会で報告された、背景論文の1つのEuropean Journal of Cardiothoracic Surgeryも、データの捏造はあったけれども、エンドポイントの修正が必要なほどの大きな変更はなかったということで、臨床的に非常に研究不正が、この臨床試験自体に大きな影響を及ぼしている可能性はないということだと私は理解していて、そうすると、基礎的なところは研究不正があったり、捏造とかがあって、薬効薬理の証明ははっきりしないけれども、これまで行われた種々の観察研究から、この臨床試験を組んだということに関しては余り悪いイメージは持っていなくて、したがって、中断はやぶさかではないとしても、早目に、2年の無再発生存がプライマリエンドポイントだと思いますが、それを早く報告していただくとか、あるいはCRBはそういうことを考慮して、試験を継続して、ちゃんと有効性と安全性のデータを早くまとめさせるという選択肢もあったかなと思いました。コメントは、2年の無再発生存とか、プライマリエンドポイントを早く出たら出してほしいというのがお願いです。
 基礎研究の成果と、臨床試験の乖離ということに関して1つコメントしたいのは、過去でも、この先進医療会議に掛かったこともありますし、医師主導治験でもありましたが、ペプチドワクチンというのが基礎研究では非常にいい成果が出ていて、皆がすばらしいすばらしいという時期が一時あったのですが、その後の第Ⅲ相試験のデータ、企業の開示成績とか、臨床試験報告などを見ても、全て失敗しているという事実がありますので、基礎研究がすばらしくても、臨床試験で検証されないと、それは診療にはつながらないので、臨床試験部分の重要性というのを、もう一度我々としても認識しておきたいなというのが最後のコメントです。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございます。
 まず、1点目についてですが、先進医療で行う特定臨床研究について、先進医療との関係ということですが、こちらについては、例えば試験計画の変更等がなされることがままあるわけですが、先進医療の課長通知、臨床研究法のQ&Aにそれぞれに同様の記載がありますが、まずCRBで審議し了承いただいたものを先進医療技術審査部会に御提出いただく、その上で、先進医療技術審査部会で「適」となった後に、jRCTに公開されます。ですので、やはり、こちらの部会でお認めいただけていないものについては、先進医療として行う特定臨床研究の変更等が承認されていないという形になりますので、そういう手続にのっとって、これまでもご議論いただいてきたところではございます。
 2点目のプライマリエンドポイントについては御指摘のとおりでして、2年の無再発生存ですので、こちらのデータの取扱い、早く報告できないかという点については、試験実施計画書の結果の公表時期との兼ね合いもあるとは思いますが、研究者にお伝えさせていただくようにいたします。
 
○長島構成員
 基礎のところに問題があっても、臨床のところで問題がなければ、全体として認められるというようなことがあると、基礎のところを少しいい加減にやっても、あるいはちょっと問題があっても、とにかく研究をしてしまって、臨床のところさえしっかりとやればいいのだという、極めて危険な、間違ったメッセージを発してしまうことになると思います。まして、それは先進医療という仕組みそのものに、国民からの信頼を失うというようなこと、あるいは臨床研究そのものの信用を失うということになるので、ここのところは、どの過程にあっても、問題があれば、これは全体として駄目だと。ただし、その研究内容の扱いについては、しっかりとよく見て、どの部分をどういう扱いをするかというのは見るべきですが、やはりどの部分であっても問題があれば、全体として駄目だということは、しっかりとメッセージとして出すべきだと思います。
 それから、とにかく研究者及びそれを監督する責任がある施設に関しては、こういうことがあれば、極めて重いペナルティを課すということ、これがまず絶対条件だろうと。そうしないと再発が防げないというように思います。
 
○山口座長
 ほかに何か御意見はありませんか。
 
○藤原構成員
 先ほどの1つ目の質問で、先進医療技術審査部会でできるのは、保険外併用療養費を適用しないというところまでの権限はあるけれども、こちらが、例えばそれを外しますよと言って、試験をやめなさいというところまでは言えないのですよね。言ってもいいということですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 先進医療に係る通知等を見ますと、試験の中止を指示することもできるような仕組みにはなっておりますので、それは言えるということになると思います。
 
○藤原構成員
 そのときは厚生科学審議会の臨床研究部会などにも意見を諮るというプロセスは必要になるのですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 そういうプロセスではなく、先進医療としてそういうことを申し上げることができるという形になっております。
 
○藤原構成員
 あと、長島先生のコメントには私も非常に賛成のところがあります。ただ、そのペナルティを与える際に、臨床試験をやっている人たちにペナルティを与えるのではなくて、その基礎研究をやっているとか、ちゃんとターゲットを明確にしていただけないと、今回のような試験は非常に適切にやられていると私は思っています。それは多施設共同臨床試験を自分でやってきた経験からしても、これだけの試験をきちんとやるというのは大変なことですし、モニタリングとか監査とかも、プロトコール等を見る限りがっちりとやられていますし、そういう人たちにペナルティがいくというのは、やっていた人たちにとっては非常に可哀想なところもありますから、おかしな人たちにはちゃんとペナルティを与えるけれども、そうではないところにまでペナルティを拡大するというのは避けたほうがいいかなと私は思います。
 
○長島構成員
 私もそうだと思いますので、きちんと報告をしていただいて、特に重要なのは再発予防策をしっかりと出していただくことは必要だと思います。
 
○山口座長
 ほかにございませんか。それでは、時間も押していますが、今後の対応方針としては、資料にありますような対応でいきたいと思います。2月に、また活発な御議論をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、上村構成員、真田構成員、飛田構成員にお戻りいただくことといたします。
 
(いずれの構成員も退出済みで戻られないことを確認)
 
○山口座長
 それでは、本日の議題は以上です。構成員の皆様、何か御意見、御質問はございませんか。ないようでしたら、次回の日程を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 本日も貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。
 次回は令和3年1月15日(金)となっております。いつもと曜日が変わっておりますのでご注意ください。時間は16時から18時までの予定で、場所については別途連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第先生方に御確認をお願いし、その後に公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 本会議の出だしのところは技術的なことで皆様に大変ご不便をおかけしたことをお詫び申し上げます。
 それでは、第109回先進医療技術審査部会を終了いたします。御協力ありがとうございました。
 

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