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2020年7月9日 第102回先進医療技術審査部会 議事録

 
 


(1)日時:令和2年7月9日(木)16:00~

(2)場所:航空会館 501+502会議室

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、上村構成員、掛江構成員、後藤構成員、真田構成員、柴田構成員、長島構成員、藤原構成員、松山構成員、山本構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 医療技術評価室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官


【議題】

1.新規申請技術の評価結果について
2.総括報告書の評価について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療の告示取下げについて
6.その他
 

【議事録】
 

○山口座長
 それでは定刻になりましたので、第102回先進医療技術審査部会を始めさせていただきたいと思います。御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日より先進医療技術審査部会の新しい構成員の方がお出でになりますので、まず御紹介させていただきたいと思います。事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。先審医療技術審査部会の構成員に異動がありましたので、御紹介させていただきます。本日、日本医師会から長島公之構成員にお越しいただいています。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 どうぞ、よろしくお願いいたします。本日の構成員の出欠状況ですが、本日は伊藤陽一構成員、佐藤雄一郎構成員、田島優子構成員、飛田英祐構成員、山中竹春構成員より御欠席の御連絡を頂いています。本日は18名の構成員のうち、13名にお集まりいただいていますので、本会議が成立していることを申し添えます。
 それでは、本日の配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 本日の配布資料について、確認させていただきます。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。
 続きまして、「新規医療技術の評価について」、資料1-1から資料1-5。「総括報告書の評価について」、資料2-1から2-3。「試験実施計画の変更について」、資料3。「協力医療機関の追加について」、資料4-1及び4-2。「先進医療B試験の告示取り下げについて」、資料5。会議資料の最終ページは86ページとなっています。なお、先生方のお手元には、先進医療実施届出書様式10号別冊資料というA3版の資料を2部お配りしています。こちらは構成員及び事務局限りとさせていただいています。お手元の資料に乱丁、落丁等がありましたら、事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいています。今回、整理番号104の技術(慶應義塾大学病院からの申請)について、天野構成員より御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたしますが、よろしいでしょうか。 
 また、今回もタブレット資料を使用しています。届出書類等については、タブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっていますので、発言者は会議資料の何ページ又はタブレット資料の何番の何ページと、あらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かります。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 では、早速、議事に入りたいと思います。新規申請技術の評価結果について、事務局より御説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1-1の15ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号104、「抗腫瘍自己リンパ球輸注療法」です。申請医療機関は慶應義塾大学となっています。
 今回、御審査を頂いた担当の構成員の先生は、主担当が松山構成員、副担当が掛江構成員、伊藤陽一構成員、技術専門委員が榎本委員となっています。
 資料1-5の37ページを御覧ください。今回、審議に先立ちまして、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、御説明いたします。まず実施責任者の要件ですが、診療科は産婦人科。資格は、日本産科婦人科学会産婦人科専門医かつ日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医かつ日本がん治療認定医機構がん治療認定医が必要となっています。当該診療科の経験年数は6年以上が必要で、当該技術の経験年数及び経験症例数は不要となっています。
 続きまして、医療機関の要件ですが、診療科は産婦人科及び血液内科及び呼吸器内科及び一般消化器外科及び呼吸器外科が必要となっています。実施診療科の医師数は、日本産科婦人科学会産婦人科専門医3人及び日本血液学会認定血液専門医2人及び日本造血細胞移植学会造血細胞移植認定医2人が必要となっています。他診療科の医師数については、日本呼吸器学会呼吸器専門医2人及び呼吸器外科専門医合同委員会呼吸器外科専門医2人及び日本消化器外科学会消化器外科専門医2人が必要。その他医療従事者の配置として、薬剤師2名以上、臨床検査技師2名以上、診療放射線技師2名以上が必要となっています。病床数については400床以上、看護配置は7対1看護以上が必要です。当直体制は、産婦人科当直又はオンコール体制あり、かつ内科系医師の当直体制が必要となっています。緊急手術の実施体制は必要で、院内検査の24時間実施体制も必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要となっています。医療機関としての当該技術の実施症例数は不要で、その他として、画像診断実施について24時間体制ありが必要となっています。
 その他の要件として、頻回の実績報告については、3か月ごとの報告が必要となっています。
 なお、利益相反についての書類、様式10号については、お手元のA3の別冊資料も併せて御参照ください。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。これらの要件について、何か御意見、御質問はありませんか。
 
○藤原構成員
 以前も聞いたことがあるのですが、日本がん治療認定医機構のがん治療認定医は専門医機構傘下のものでないのに、専門医機構傘下のものと同列にいつも出てくるのですが、ちょっと違和感があるのですが。これは何か事務局としては整理されていないのですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 他の専門医等の記載があれば、こちらのがん治療認定医の記載は特に不要という形でもよろしいですか。
 
○藤原構成員
 はい。婦人科腫瘍学会の婦人科腫瘍専門医や産婦人科学会の専門医は、本当の専門医の人たちなので、それだけで十分だと思います。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 承知いたしました。では、こちらについては削除いただくようにいたします。
 
○山口座長
 よろしいでしょうか。ほかにはありませんか。それでは、今のことはちょっと御確認いただくということで、様式9号についてはお認めすることにします。また様式10号についても、特段の御意見もないようですので、意見はなしとします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の松山構成員より御説明をお願いいたします。
 
○松山構成員
 今回、抗腫瘍自己リンパ球輸注療法ということで、子宮頸癌の患者さんからmassを取った後、そのmass、実は周辺部分にかなりリンパ球が浸潤しているということは昔から知られていて、それをばらばらにして単離して、リンパ球、T細胞を回収し、それをallogeneicのPBMCとコカルチャーすることによって、大量に培養する。本来、腫瘍の所にリンパ球が浸潤していると、それでキリングエフェクトを起こしてもおかしくはないのですが、実は腫瘍の周辺にMSC、Mesenchymal Stem Cell、間葉系幹細胞のようなものがあって、どうもそのリンパ球の活性を抑えているようだと。としたら、リンパ球が大量にあれば、MSCによるエスケープエフェクトというものも少なくなるのではないかということで、大量のTIL、Tumor Infiltrating Lymphocyteを培養して、骨髄抑制を加えることによって生着を促し、投与して、そして抗がん作用を期待するというものです。
 ここの問題点は、massが非常に小さいということがあって、リンパ球が非常に少量しか取れないということです。そのために、大量培養の技術がかなり難度が高い。実際、抗がん剤を投与されている患者さんの場合には、例えばCAR-T、キムリアの場合でも、カルチャーができない症例が3割ぐらいあると知られていて、恐らくそれよりも難度は高いだろうと。ただ、その難度が高いところを、かなりアグレッシブに研究を進められてきて、allogeneicのPBMC、健常な人の単核球を使うことによって、非常に大量に培養できるのではないかということです。
 増やした後での問題はPBMCで、これは慶應大学に所属している健常なドクターや学生さんから採取されるということで、ここは掛江先生がかなりきちんと御議論されていて、私としてはしっかりウイルス感染症などを見ているのかどうかということが、かなり気になったのですが、そこはしっかりと採血、事前にウィンドウ・ピリオドも含めて、検査をしていただいているということです。実際、増やした後に投与をするのですが、生着のためにシクロホスファミド、フルダラビンによる化学療法によって骨髄抑制を掛けるのですが、ここの部分のプロトコルをどう適切に運用するかということで、榎本先生に幾つかコメントを出していただきまして、質疑応答の後、納得させていただきました。
 投与した後、このリンパ球を活性化し続けないと効果がないということで、IL-2を全身投与、実際、静注というよりも皮下という形になりますが、投与するのですが、この部分が医薬品ではないということがあって、実際の最初の申請資料ではまだ決めかねているというところで、さすがにそれはどうかということで質問を出して、1社、しっかりとクオリティの高いIL-2を使わせていただけますという御返事を頂きました。なお、作製の過程で生物由来の原料は使っていないということを確認させていただいています。
 これらを含めまして、今回、実施責任医師体制は「適」、医療機関の体制も「適」、それから医療技術の有用性に関しても、子宮頸癌はやはり非常に大変な疾患であるということもあり、「適」とさせていただいています。
 ただ、コメントですが、今まで数多くのTILの臨床試験が実施されてきていますが、なかなかここに表明されているようないいデータばかりではなく、実は再生医療絡みはネガティブなデータはほとんど発表されていないということがあり、かなりバイアスが掛かっているということが、私たちの調査でも分かっています。ですから、本当に悪性腫瘍、黒色腫と子宮頸癌で効いたという論文が2本サイテートされていますが、これだけでTILが非常にプロミッシングだということは、若干リスキーな議論になるだろう。加えまして、うまくいかないときの理由に、特に固形腫瘍の場合、TILの採取がかなり不能である、培養不能であるケースが非常に多いということがあり、うまくやっても何割ぐらいの患者さんにカルチャーできてお届けできるのか。キムリアであっても6、7割ということを考えると、もしかしたらもう少し低いのかもしれないのですが、患者さんとしては先進医療としてしっかり自己負担をされて、自分は治療してもらえるのではないかという期待をしつつ、この先進医療に入ってこられるわけで、カルチャーできていない場合というものを、どう対応していくかということは、倫理的なことも含めて今後議論していくことではないかなと思います。ですから、培養不能だった場合、今回、先進医療で600万円ほどと言われていますが、この上乗せ部分の経費負担については、この場は技術を評価する部会なのでこれ以上のコメントは避けますが、親会議で是非とも御検討いただきたいと思います。
 現状では、まだ研究でフェーズ2a、2bに近いところがありますので、投与するIL-2に関しても試薬レベルでしっかりコントロールしてくださいということで、「良」としていますが、今後14例を超えてエクスパンドしていく場合には、IL-2は医薬品であることが望ましいと考えています。まず、実施体制の評価とさせていただきます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続きまして、本日、御欠席ですが榎本技術専門委員から御評価を頂いています。事務局から説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。資料1-2の18ページを御覧ください。実施体制の評価について、榎本先生から頂いた御評価を事務局で代読いたします。1番目の実施責任医師等の体制、2番目の実施医療機関の体制、3番目の医療技術の有用性等について、いずれも「適」の御評価をいただいています。前処置が大量化学療法になりますので、安全性に留意し実施してくださいとのコメントを頂いています。
 また、資料1-3の26ページから29ページにある照会事項3及び31ページから32ページにある照会事項5について、事前に申請医療機関に照会いただき、適切に御回答を頂いています。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、副担当の掛江構成員より倫理的観点からの御評価についてお願いいたします。
 
○掛江構成員
 よろしくお願いいたします。倫理の観点から拝見して、割と説明文書は、患者様向け、ドナー様向け、しっかり書かれていた印象があります。一部、ドナー様向けについては今回、慶應大学の学内でドナーさんを募集されるということで、少し人間関係と言いますか、パワー関係などに倫理的には配慮が必要かなと考えたところです。
 30ページに指摘させていただいたのですが、ドナーさんに対する予想される利益の所で、「医学的な利益はありません」と記載があったのですが、それだけではなく経済的利益や社会的利益もないということをきちんと明記していただいて、ボランタリーであることを了解の上で御協力いただくようにお願いして、そのとおり適切に修正していただいています。
 以前からほかの研究でも時々あるのですが、ドナーさんの説明文書で「参加」という言葉をお使いになられていて、ドナーさんはあくまでも御協力くださるだけなので、そこはきちんと言葉の訂正をしてくださいということをお願いしたぐらいで、あとは大きな問題はなかったと思います。ただ、今、松山先生の御説明を伺いながら、培養がうまくいかなかったときの患者様に対するご説明というところについては、実は余り書いていないので、高額な費用が掛かっている、それから前処置をされるというところを踏まえると、そこはちょっと慎重に、お金のことだけではなくて、リスクをどういった形で最小化するかというところについて、もう少しきちんと確認する必要があったかなと、今ちょっと反省しているところです。ただ、基本的には説明文書、それから補償の内容、患者の相談窓口について適切に設置されていますので、「適」とさせていただきました。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。続いて、試験実施計画書等の評価について、副担当の伊藤陽一構成員が欠席ですので、事務局より代読をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。資料1-2の18ページの下段を御覧ください。試験実施計画書等の評価について、伊藤陽一構成員から頂いた御評価を事務局で代読します。6番目の期待される適応症、効能及び効果から19ページにあります16番目の個人情報の保護について、いずれも「適」の御評価を頂き、事前の照会事項に対して適切な回答がなされたため、全て「適」とした、とのコメントを頂いています。
 また、資料1-3の23ページから25ページにあります照会事項2について、事前に医療機関に御照会いただきまして、適切に御回答いただいています。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では1~16の総評について、主担当の松山構成員よりよろしくお願いします。
 
○松山構成員
 ありがとうございます。最終的に先生方のコメント、質疑応答、それから修正を踏まえまして、「適」とさせていただきました。
 追加でちょっとコメントなのですが、前処置に関してはリンパ球がかなり大量に増えてきてからで、大体1週間ぐらいすれば増えるかどうか見えてくる、ですから増えていない患者さんに前処置をするということは、多分プロトコルを見ていたらないだろうと、それはさすがに彼らもしない。実際、榎本先生との交渉の中でそれが入っています。ただ、増えているリンパ球に、本当に腫瘍に対するキリングエフェクトがあるかどうかというのは、本来であれば調べてほしいというコメントが榎本先生から入ったのですが、時間的に余裕がないからできないですというコメントでした。これに関しては、実際に増えてきて、そこから検査のために大量のリンパ球を取ってしまうと、むしろ患者さんが不利益を被るという考え方から、私も致し方ないと思うのですが、一部サンプルを取られて、将来的に14例の中で効かなかった患者さんではリンパ球の反応性があったのかどうか、効いた患者さんにはあったのかどうかということが分かることによって、本来の研究としてのクオリティが上がると思いますので、そこは是非とも御検討いただきたいと思いながら、最終的に先進医療としては「適」とさせていただくということです。以上です。
 
○山口座長
 どうもありがとうございました。それでは、御討議をお願いします。何か御質問、御意見はありませんか。
 
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。今の松山構成員から御指摘いただいた点について1点、費用の点です。およそ600万円程度掛かるということで、もちろん患者さんは説明文書を読んで同意して入ってくるものと思いますが、高額であるのは間違いはないと思います。その場合に、この部会でディスカッションすることではないという御指摘もありましたが、例えば成功報酬型の費用請求はできないのかということが1点。もし、それが難しい場合でも、説明文書を拝見する限りは「中止や規格外品として投与される場合においても、培養などにかかった費用はあなたにご負担頂くことになります」という一文が書かれているだけで、一体どの程度の負担となるのか全く分からない。これはかなり不親切な文章だと思います。この部分については、どの程度費用が掛かってくるのかということについて、可能な範囲で補記が必要と考えます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。ただいま、2つ御質問がありましたが、いかがでしょうか。
 
○松山構成員
 今の御指摘は、おっしゃるとおりです。実際、培養の早期で中止した場合にはさほど掛からないかもしれませんが、後期の場合には、例えば培養の費用がかなり掛かったりする場合はあります。どの段階で中止になったかによって、お金もちょっと変わってきてしまうというところもあるかなとは思っています。そこは明確に、うまくいかなかったら100万円とか200万円というのは、カットオフではなかなか難しいところはあるのかなと思います。ただ、先生の御意見に関しては正におっしゃるとおりだと私も思います。
 
○山口座長
 額が結構大きいので、分からないというのは困りますので、おおよそだけでも目安を示してもらったほうが、患者さんの納得感もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。掛江先生もおっしゃっていましたが、やはりそこは非常に大きなポイントだと思います。50万、60万ではないので、そんなことがあり得るのだったら私はやめるという人も結構おられるのではないかと思います。
 
○掛江構成員
 もし可能であればなのですが、もちろん費用の内訳は一応書いてくださっているのですが、プロセスごとにここまでだったらお幾ら、ここまでだったらお幾らというようなところが分かるような資料を御用意いただいて、きちんと患者様が疑問を持たれないように御説明いただくようにお願いをしていただくということで、いかがでしょうか。
 
○山口座長
 ありがとうございました。非常に重要な御指摘だと思います。ほかにはありませんか。
 
○一色座長代理
 ちょっと細かいことかもしれませんが、27ページの質疑の2番の中に「高用量CY投与では、…出血性膀胱炎と心毒性が安全性における懸念点になります」とあります。昨今、カルディオオンコロジーという概念の下で、このようながんに関する治療で心毒性を持つ薬剤による心血管合併症が注目されているところだと思います。そういう中で、本研究では心機能障害のある症例は除かれているとはいえ、心電図モニター・定期的なvital signバイタルサインの確認により注意深く安全管理を行うので本試験は安全に施行できると、心毒性が懸念されているにもかかわらず、それに対する対応がとられていないように見受けられます。
 先ほど体制についてお認めいただいたところではありますが、循環器内科の専門医1名を追加していただくことで心毒性の懸念に対応できる体制が構築されると考えた次第です。いかがでしょうか。
 
○山口座長
 いかがでしょうか。
 
○松山構成員
 カルディオオンコロジーのところはちょっとノーケアでした。確かに、非常にCYは心毒性が強いです。がんセンターなどでも研究されていると伺っています。是非ともそこのところは、循環器専門医が不整脈を管理するように、不整脈の専門医でもいいと思いますが。
 
○一色座長代理
 不整脈ではなくても、循環器専門医で。
 
○松山構成員
 よろしいですか。
 
○一色座長代理
 恐らく十分にカバーできるだろうと思います。
 
○松山構成員
 ありがとうございます。その部分を追加していただければと思います。
 
○山口座長
 たくさんありますから、それが抜けているのは確かにおかしいですね。よろしいでしょうか、今の点は追加していただくということで。ほかにはありませんか。
 
○藤原構成員
 本研究自体にIL-2、このProleukinを使われるのは何も問題ないのですが、国内では製剤としては塩野義が作っているテセロイキン、イムネースというのがあります。それを使っておかないと、多分これが一般化するときに、海外製品だと障害になると思うので、研究者の方々に、うまくいったらちゃんと日本製品を使うか、あるいはこのProleukinの日本での承認を取るように頑張ってくださいとお伝えください。
 
○山口座長
 ほかにはありませんか。ないようですね。重要な御指摘を幾つか頂きましたので、整理番号104については「適」ということでよろしいかと思いますが、やはり条件付きということにしたいと思います。1つは、先ほどちょっと申し上げましたように、補償に関して、そのステージごとにどれくらいになるかという目安を丁寧に説明するようにということと、今の循環器の専門医の要件を付け加えてもらいたいということ、この2つを条件として、「適」としたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
○山本構成員
 すみません、「適」で条件付きでいいと思いますが、説明同意文書のタブレットの通しで274ページ、同意文書としては15ページ目の所に、培養の成功率の記載があります。「当初6割から7割と考えていましたが、当院では悪性黒色腫3例と子宮頸癌3例で、現在のところ全例で成功しています。ただ、培養の成功率については、更に症例を蓄積しないと不明なのが現状です」と書いてあります。自験例だけで、しかも6例だけなので、例えば先ほどおっしゃっていたCAR-Tのもの、あるいは同種の治療でも海外での培養の成功率など、もう少し情報を増やしていただいたほうがいいのではないかなと思いましたので、その点も条件の中に入れていただければどうかなと思います。
 
○山口座長
 3つ目の条件として、ある程度の成功率を、単施設のささやかな経験だけではなくて、海外の治験も含めて、できるだけもう少し情報を提供していただきたいということでよろしいですか。そのとおりだと思います。実際に海外で試験が動いているわけですから、ある程度の情報があれば、やはりそれを御説明するほうが親切だと思います。いかがでしょうか。それでは、今の3つの点を条件として、整理番号104については「適」とします。
 続きまして、総括報告書の評価結果について、事務局より御説明をお願いします。
 
(松山構成員退出)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。資料2-1の39ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧25、11C標識メチオニンを用いたポジトロン断層撮影による再発の診断です。申請医療機関は、北海道大学となっています。
 今回、御審査いただきました担当の構成員の先生は、主担当が伊藤澄信構成員、副担当が柴田構成員となっています。
 技術の概要については、資料2-1の39ページ、及び資料2-3の71ページ以降の概要図も併せて御覧ください。こちらの技術ですが、メチオニン合成装置(CT-MET100)で製造した炭素11標識メチオニンを用いたPET検査(Met-PET)が、先行する医薬品であるフッ素18標識FDGを用いたPET検査(FDG-PET)と比較し有用性が高いことを検討するために、原発性及び転移性脳腫瘍、若しくは隣接臓器の腫瘍に対する放射線治療後半年以上経過した後に生じた腫瘍再発が疑われる患者で、一般的な画像検査(CT、MRI)では十分な診断情報が得られない患者を対象として、両画像の感度を比較する多施設一部盲検単群試験となっています。
 主要評価項目は、病理検査陽性症例におけるMet-PET及びFDG-PETの患者ごとの感度。副次評価項目については、Met-PET及びFDG-PETの画像所見それぞれについて、病変領域ごとの病理組織検査結果との一致性と、39ページ中ほどにお示ししたとおりとなっています。
 こちらの試験については、目標症例数が99例でしたが、最終的には61例で症例登録が終了しています。登録61例のうち病理診断陽性と判定されている症例が32例となり、試験実施計画書で定めた主要評価の検出力を確保できると判断し、早期に登録中止をしたということです。こちらの取下げについては、以前の第95回の先進医療技術審査部会でお認めいただいているところです。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。では、本技術の評価について、主担当の伊藤構成員から御説明をお願いします。
 
○伊藤(澄)構成員
 一般的なPET、陽電子放射断層検査というのは、ブドウ糖の代謝が高い組織を見ているのですが、脳はもともとブドウ糖をエネルギーにして活動しているので、脳病変の検出は得意な分野ではないと認識しています。Met-PETは、11Cの半減期が20分程度と短く、サイクロトロンがないと実施しにくいので、全国で20か所程度、1回6万円弱の自由診療で、脳腫瘍の診断目的に実施されていると理解しています。メチオニンは必須アミノ酸の1つで、タンパク合成の程度を見ていると思っていますが、脳神経細胞は新たに作られるわけではないので、脳腫瘍などでは代謝があるのですが、正常の脳では光ってこないということだと思います。
 今回の適応は、脳腫瘍でもあるのですが、通常のMRIで区別しにくい放射線治療後の再発と放射線壊死とを区別する必要のある症例を対象とした、Met-PETの最も期待できる領域の試験です。問題点は、ここで性能が認められるからといって、脳腫瘍全体の評価になるわけではないということだと思っていますが、このMet-PETの得意とする領域で、FDG-PETに真っ向勝負を挑んだ試験だと思います。
 この試験を実施するに当たって、Met-PETが陽性の患者さんについては、すべからく脳生検が実施されて、悪性腫瘍かどうかということがチェックされています。陰性の人は、血管新生阻害薬のアバスチン、ベバシズマブで治療されています。放射線性壊死は血管新生が起きている状況なのでベバシズマブを使っての治療になるのですが、抗腫瘍薬ですので、ベバシズマブが効いたから腫瘍ではないと言いにくいところがあります。一方で、陰性の方には生検をされていませんので、その方々が腫瘍であったのか、放射線後の浮腫的な状況になっていたのかは、区別がつきません。そのためMet-PET陰性で、再発の人を見付けるのが困難という状況で、一般的には感度の検出ができない試験デザインでした。PMDAからは、臨床経過から感度の推計ができるようにとアドバイスを受けていたということです。
 最終的には、PMDAの意見に従って、その他の臨床的なデータに基づいて、研究者の方と合わせて感度の推計をしました。FDG-PETに比べてMet-PETの有用性は理論上もかなりはっきりしていますし、データでもきれいに見えているのですが、どうも一般臨床医の悪い癖として、感度や特異度という数字が出てこないと、なかなかピンとこない、評価がしにくい、相場感が出てこないものですから、申請者の方とやり取りを繰り返して、報告書に記載したとおり、この試験の成績から推定されるMet-PETの感度は94%、特異度が74%、FDG-PETの感度が47%、特異度が100%という値になっています。
 私自身の評価者としての思いや、申請者とのやり取りは66ページを御覧ください。感度・特異度の推計をできるだけ適切に評価したいと思っておりました。もう1つの論点は、Met-PETがあればFDG-PETは不要なのではないかという点でした。途中、申請者の方の表現に、FDG-PETも要るという表現が強く出ていたものですから、その点についてはなかなか納得ができなかったので最後までやり取りをしています。
 評価としては、感度も高いですし、陽性的中率も84%と高いので、有効性は「A」にしています。技術的成熟度については、施設の要件が厳しいことと、少なくともこの対象については放射線照射後ということもあり、「B」にしています。別に副作用があるわけではない、判断も比較的分かりやすいという意味では、「A」でもいいのかなとも思う反面、施設要件が厳しいということもあったので「B」と記載しました。
 最大の問題点は、Met-PETが陽性では必ずしも再発と決めにくいところです。そういう意味で、回答4の所にいろいろと書いていますが、脳腫瘍の診断でも感度が高いのですが、やはり特異度に関してではあります。いわゆる良性疾患に対するMet-PETの国内のレビューも出ていますが、良性疾患でもMet-PETで陽性に出るということが分かっています。評価としては以上です。評価の詳細なやり取りは、柴田先生にしていただきましたので、柴田先生から御意見を頂いて、最後にまとめさせていただきたいと思います。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは、続いて柴田構成員から御評価をお願いします。
 
○柴田構成員
 お手元の資料の43ページです。有効性については「A.従来の医療技術を用いるよりも、大幅に有効である」と○を付けました。これについては、基本的に大きな問題はないと思います。ただし、有効であるということが示されているけれど、例えば先ほど伊藤先生からもまとめていただいた表がございますが、感度が100%近いという点推定値自体は、試験デザインの特性によって生じる過大評価が含まれている数値なので、実際には検査の特性としてはもっと低い値になります。また、対象患者における診断に求められる全ての側面で既存技術に優ると結論づけられるわけでもないことは、ここは伊藤先生とニュアンスが違うのですが、改めて指摘しておきたいと思います。
 安全性については「A」、現在提示されているデータから問題となるような事象は観察されていませんし、技術的成熟度は「B」としました。Bとした理由は、本技術の適用対象となる疾患に対して、厳密なデータ収集を行うことはやはり無理で、これについては、全ての患者さんに無理やり生検しにいけば、正確な感度・特異度は取れるのですが、そんなことは絶対できないので、何らかの形でバイアスのある研究しかできません。そういう診断方法、ゴールドスタンダードが厳密に取れない診断方法の臨床試験というのは、常に同じ問題を抱えているのですが、今後これが医療現場で使えることが認められた後にも、複数の研究を待って、それでプロファイリングをしていくことが必要ではないかと考えています。そういう意味で、医療体系の中に適切に組み込んでいく、これがガイドラインに載るということは、ほぼ確実だと認識していますが、既存の診断方法とか適用となる患者さんの絞込方法等については、すり合わせが今後必要になっていくと思いますので、その点からBとしました。
 有効性と技術的成熟度の所のコメントを補足させていただきますと、今回の研究は、確実に感度・特異度は押さえられないデザインになっていますので、出てきた数字、見かけ上の感度・特異度は、限界がある中で現時点で出せる数字として、こういう数字が出せますよということであって、違う研究を組んでみると、この値はぶれるはずです。その1つの傍証が39ページです。今回、目標症例数99例で、99例登録すれば、病理診断陽性になる患者さんが32、3例入るだろうという見込みで研究を始めました。適格基準は、そのように定められています。けれども、実際やってみると、陽性の患者さんはかなり多く、61例で目標が達成できたということになります。つまり、このような患者さんにならば、大体陽性の患者さんが3割ぐらいいるであろうと思った絞り込みが、実際にやってみると50%ぐらいであったということになりますので、どういう患者さんに使ったらいいのかという記述は、当たり前の話ですが結構難しい。陽性的中率についても、臨床現場で遭遇する陽性的中率よりも高めに出ているということになります。ですので、完全にFDG-PET自体を要らないと言い切るのは、この1つの試験のみから決断するのは厳しいかなと思います。ただし、伊藤先生がおっしゃるように、この試験の結果、かなりの確度でMet-PETが有用であって、相対的にFDG-PETは、その作用機序からしても、Met-PETにFDG-PETが先んじて使われることは多分なくなるのではないか、そこまでは大丈夫だと思います。以上です。
 
○山口座長
 どうもありがとうございました。それでは、伊藤構成員から何か追加のコメントがございましたらお願いします。
 
○伊藤(澄)構成員
 最後の薬事承認の所に書きましたけど、放射線治療後の再発と放射線壊死の鑑別においては、FDG-PETに比べて明らかに感度が高いですし、陽性的中率も十分に高いので、本資料は薬事承認の資料として検討に資するとは思います。一方で、Met-PETの臨床的な位置付けとか、先ほど口頭で申し上げましたけど、将来的に脳腫瘍全般に対してこのまま適用を広げていくことの検討に関しては、ハードルが高い部分もあるという気はしました。柴田先生からもコメントを頂いておりますが、Met-PETで検査した後に、特異度が高いからといってFDG-PETを続けて検査するかと問われると、10数万円掛けてそこまでやるかなという気が、個人的にはしております。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。それでは、今の御説明に関して何か御質問はありませんか。
 
○柴田構成員
 補足しておきますと、先ほどバイアスのないデザインが無理だという話をしましたけれども、今回の場合は、Met-PETに基づいて生検するかどうか、ゴールドスタンダードを取りに行くかどうかが決まっているわけですが、その時点でFDG-PETに不利な状態になっています。逆に、ものの考え方としては、FDG-PETが今使われているので、FDG-PETに基づいてデータを取りにいくということも考えられると思いますが、そうすると、Met-PETの評価に支障を来すという状況があります。ですので、三点測量をして場所を決めるのと同じように、複数の試験を突き合わせながら相対的な関係を見るということをしないとまずいという側面はあると思います。ただし、総合的に見て、Met-PETのほうが良さそうであるというところまでは、先ほども申し上げましたけれども、この試験から言えると思いますので、伊藤先生の御意見に反対というわけではなく、その傾向としてはそうですが、この数字、感度・特異度が独り歩きしないようにというところは御留意いただければと思います。
 
○山口座長
 ありがとうございました。何か御質問、ございませんか。
 
○山本構成員
 質問ではなくコメントというか。これにかかわらず、核医学というのはかなり特殊な検査で、生体内のいろいろな生理的な活動を利用して間接的に見ているだけなのですよね。ただ、画像的には非常に色とりどりの画像が出てくるので、すごくキャッチーで、いろいろなことが分かっているような気がするのですけれども、実際には物理学的ないろいろな仮説と、生理学的ないろいろな仮説を組み合わせてやっている検査である。だから、放射線の、例えばCTみたいにダイレクトに形を見ているわけでもなく、言うと機能を見ている、機能画像なのですよね。なので、核医学のそういう性質がちゃんと分かっている専門医たちは、核医学の検査のリミテーションを十分理解した上で、その中で、どちらかと言うと多分補助診断で、非常に重要な検査ですけれども、あくまで補助診断で使うと思います。そういう意味で、私の領域ですと例えば脳血流SPECTとかPETというのが余りに美しく出るので、非常にキャッチーなのですけれども、でも実は余りよく分からないという検査になっておりまして、核医学の検査の特性をきちんと理解した施設で行われることが、やはり重要と思いました。先ほど伊藤先生もおっしゃったように、核医学のことが分かっている専門的な、ある程度限定された施設でしないと、いろいろな所でやっても意味はないだろうと思います。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。技術的成熟度にお二人ともBを付けていますので、やはり同じような考え方かと思います。ほかにございませんか。有効性は両者ともAを付けていますが、先ほど最初に伊藤構成員から説明があったように、理屈から言えば放射線治療後の壊死とregrowthを区別するのに、無条件にメチオニンがいいと言えるのでしょうか。
 
○柴田構成員
 そこは、理論的な背景とこのデータを突き合わせると、恐らく伊藤先生がおっしゃったように、しっかり見られているという可能性が高いと思います。ただし、ベバシズマブを使っているとか、ネガティブになった患者さんとポジティブになった患者さんを比較できていないので。ほかにやりようがないので、この申請医療機関の先生方は適切にデザイン、ベストなことをされているのですけれども、そこまではっきりコンクルージョンとして書いていいかと言うと、ちょっと引っ掛かるところはございます。ただし現状、スペキュレーションに対応するデータが出ているというところまでは、言えるのではないかと思います。
 
○山口座長
 ありがとうございました。今後保険収載されるときに、これは適用とか非常に難しい問題をはらんでいて、どうなのかなと心配な点もありますが、それについてはここで議論すべきことではないと考えております。でも大変良い結果が出たので、これは何とか実用化して、適切なところに使われるように将来なればいいと思いますけど。何かほかにございませんか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号旧25につきましては、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に報告いたします。
 続きまして、試験実施計画の変更につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。今回、試験実施計画書の変更申請が1件提出されております。資料3の75ページです。慶應義塾大学からの申請で、告示番号56、イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法です。適応症は、進行期悪性黒色腫(KIT遺伝子変異を有するものであって、従来の治療法に抵抗性を有するものに限る。)となっております。
 今回御審議いただく主な変更内容につきましては、76ページです。また、利益相反についての書類・様式10号につきましては、お手元のA3版の別冊資料も併せて御覧ください。今回の主な変更内容ですけれども、(1)研究資金等の提供の有無に関する変更、(2)適格基準及び除外基準の追加、(3)検査スケジュールの見直し、(4)安全性情報の収集期間の変更、及び薬剤提供元の企業への安全性情報の提供に関する追記、(5)その他、記載整備となっています。変更を行う理由としましては、1番目、奨学寄附金が得られたことに伴う利益相反に関する報告と、それに伴う追記。2番目、適格基準のうち抗PD-1抗体による治療抵抗性の基準を明確にした。また、安全性を考慮し、肺臓炎の既往及びワクチン接種歴を除外基準に追加した。3番目、除外基準の確認目的に登録時の検査(hCG)を追加した。また、登録時及び1サイクル開始時の血液・生化学検査を追加し、アローワンスを設定した。4番目、安全性情報の収集期間を変更した。また、薬剤提供元の企業への安全性情報の提供に伴う記載を追加したとのことです。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。これは、まだ登録が始まっていないのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 先日の会議でお認めいただいた技術でして、これから登録が始まるところです。
 
○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御意見、御質問ございませんか。それでは、特にないようですので、告示番号56の変更につきましては認めることといたします。
 続きまして、協力医療機関の追加につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。資料4-1、77ページをご覧ください。今回、告示番号36の技術につきまして2件、告示番号43の技術につきまして1件、告示番号54の技術につきまして1件、告示番号60の技術につきまして1件の協力機関の追加申請がありました。資料4-2の79ページ以降にございますが、事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認しております。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。
 続きまして、先進医療Bの告示取下げについて、事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 資料5の85ページをご覧ください。今回、先進医療告示の取下げ申請が、告示番号2及び告示番号11の2件ございました。取下げ理由ですが、告示番号2の技術につきましては、実施計画書に従い有効性に関する中間モニタリングを実施したところ、早期中止(有効中止)を検討する条件を満たし、独立データモニタリング委員会での審議の結果、早期(有効)中止が勧告されたため、本臨床研究は中止とし、先進医療Bに係る届出を取り下げるとのことです。総括報告書につきましては、提出に向けて御準備いただいているとのことです。また、告示番号11の技術につきましては、試験終了のため先進医療を取り下げる、総括報告書は現在作成中で、完成次第提出予定とのことです。以上につきまして、特に御意見なければ、手続を進めさせていただきたく存じます。以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。特に問題ないと思います。それでは、ここまでの議題に関しまして、構成員の皆さんから、何か御意見、御質問はございませんか。特にないようです。本日は、追加の議題がございます。事務局から説明をお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。今回、追加で御議論いただく議題としましては、申請医療機関からの報告についてです。本議題に係る審議につきましては、「審議会等会合の公開に関する指針」に基づきまして、非公開とさせていただきたく存じます。なお、本議題に係る資料及び議事録につきましては、後日、先進医療のホームページ上で公開させていただきます。
 それでは、大変恐れ入りますが、傍聴の方におかれましては、一時御退席をお願いしたいと思います。
 
(傍聴者一時退席)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 すみません。大変お待たせいたしました。それでは、御説明に移ります。今回、大阪大学医学部附属病院から、告示番号B17「周術期カルペリチド静脈内投与による再発抑制療法」に関する御報告がありました。なお、真田構成員におかれましては非常勤として御所属の医療機関であり、山本構成員におかれましては本研究のモニタリングの責任者ですので、本議題の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。御協力いただきありがとうございます。
 
(真田構成員、山本構成員一時退席)
 
○上村構成員
 すみません。私も、大阪大学は非常勤で関わっているので、条件としては真田先生と同じだと思いますが。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 ありがとうございます。それでは、御退席いただければ幸いです。申し訳ありません。
 
(上村構成員一時退席)
 
○柴田構成員
 非常勤ということになると、連携大学院の招聘准教授、そういうポストで関わっているのですが、どの辺までが線引きの対象になるのでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 先生におかれましては、こちらの技術につきまして、もともと新規に申請があった際に事前評価を御担当いただいていますので、是非御議論に御参加いただければと思っております。よろしいでしょうか。
 
○柴田構成員
 金銭的なやり取りはないので。
 
○藤原構成員
 私も連携大学院の教授なのですが、関係ないですね。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 真田先生におかれましては、以前こちらの技術に関して御審議いただいた際にも退室されております。その他の先生におかれましては、これまで御退室いただいておらず、真田先生の場合は関与が大きいというふうには理解しているのですが、よろしいでしょうか。
 
○山口座長
 柴田構成員や藤原構成員がおられないと、審議ができないということですね。ほかはよろしいでしょうか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 ありがとうございます。それでは、ただいま配布した資料に沿って御説明いたします。まず、本議題に係る審議を非公開とした理由について説明いたします。本日御審議いただく内容につきましては、「現段階で公開することにより、試験に御協力いただいた患者様等の誤解や臆測を招き、不当に混乱を生じさせるおそれがある」と判断いたしましたため、座長に御相談の上、非公開とさせていただいております。
 ただいまお配りした資料の確認ですが、今回机上配布資料として4部お配りしております。資料6-1、申請医療機関からの報告、資料6-2、先進医療Bの試験実施計画の変更について。また、参考資料1及び参考資料2と記載した資料も配布しております。ただいまお配りした資料につきましては、本議題の審議終了後に回収させていただきますが、資料6-1及び6-2につきましては、後日ホームページ上で公開させていただく予定となっております。
 では、資料6-1、申請医療機関からの報告に沿ってご説明いたします。まず、今回の報告の経緯ですが、現在、先進医療として行われている告示番号B17「周術期カルペリチド静脈内投与による再発抑制療法」におきまして、研究計画立案の元となる参考論文1編で、特定不正行為(ねつ造・改ざん)が認定されました。これにつきまして、2020年5月から6月にかけまして、研究代表医師より大阪大学認定臨床研究審査委員会(CRB)に対し上記が報告され、臨床研究継続の可否を含めた審議が行われました。その結果として、安全性に関する評価項目を追加する等の試験実施計画を変更し、患者に必要な説明を行った上で、特定臨床研究として継続することとの意見がなされております。これを受けて、今回、先進医療技術審査部会に対し、研究不正の概要及び試験実施計画の変更を行った上で特定臨床研究として先進医療継続の申請と、患者さんへの説明文書(Patient letter)の案が提出されております。
 2番目の報告の概要です。(1)として、研究活動上の特定不正行為の概要とその調査状況です。2017年12月に大阪大学研究公正委員会委員長及び国立研究開発法人国立循環器病センター(以下、国循)の理事長に対して、大阪大学医学部附属病院元医員/国循元室長が発表した21編の論文において、研究活動上の特定不正行為が疑われるとする申立てがありました。この申立てを受けて、21編の論文のうち、大阪大学において臨床系論文13編、国循において基礎系論文8編の調査が行われました。その結果、合計5編の論文(大阪大学2編、国循3編)において特定不正行為が認定され、そのうち1編については、現在、先進医療Bとして実施中の上記特定臨床研究(以下、JANP study)の研究計画立案の元となる参考論文の1つであることが判明したとのことです。こちらの論文の概要につきましては、※1に記載のとおりで、COPDを併存した肺癌患者さんに対する周術期低用量のhANP、こちらが本試験で投与されたカルペリチドという薬になりますが、こちらのhANP投与が術後の心肺合併症発生の軽減に有用な可能性があることを論じた、後ろ向きの観察研究となっております。
 2ページ目ですが、JANP studyに関しては、患者登録は既に終了しており、現在は術後5年の観察期間中となっております。患者さんへの試験薬の投与も終了している状況です。こちらの経緯につきましては、※2に記載がありますが、最終の症例登録については2017年6月となっております。なお、申立て以外に被告発者が関与した論文6編につきましては国循で追加調査が行われる予定ですが、そのうち1編はJANP studyの研究計画立案の根拠論文の1つとなっており、※3に記載のとおりですが、ANPの投与が癌細胞の転移抑制効果を有する可能性を論じた基礎及び後ろ向きの臨床研究となっております。これらの論文がどのような形で研究計画書に引用されていたかにつきましては、お手元の参考資料1の3、4ページにお示ししております。また、実際の特定不正行為の内容につきましては、参考資料1の5ページ目にお示ししたとおりとなっております。
 資料6-1の2ページ目にお戻りください。(2)として、CRBでの審議の概要をお示ししております。今回、研究代表医師より大阪大学CRBに対して上記の経緯が報告され、2020年5月から6月の計4回にわたり、臨床試験継続の可否を含めた審議が行われております。当該CRBの審議におきましては、今回の研究不正により試験の根底が揺らぐ可能性があるものの、患者保護の観点から、安全性に関する評価項目の追加等に伴う試験実施計画書・同意説明文書の変更、患者への研究参加継続への再同意取得及び説明文書(Patient letter)の送付等の必要な対応を行った上で、特定臨床研究として継続することとの意見がなされております。
 今回提出された試験実施計画書・患者説明文書の主な変更内容ですが、特定不正行為が認定された参考論文に関連する記載の削除、試験実施計画変更時の患者への説明に関する記載として、試験計画等の変更時には、説明文書の変更を行った上で、再度研究対象者へその詳細について説明し、研究参加継続の意思について再度確認を行うとのことです。また、安全性の評価項目の追加と観察期間独立安全性モニタリング委員会の設置ということで、これまで報告対象となっていなかった術後30日~観察期間終了までに生じた重篤な有害事象を報告対象とし、新たに設置した観察期間独立安全性モニタリング委員会に報告する。委員会は報告内容を審査し、結果を研究代表医師に勧告、研究代表医師は審査・勧告内容を踏まえてCRBへ報告するとのことです。
 3ページ目の上段にお進みください。検査項目の変更として、術後1年ごとに5年間実施予定であった骨シンチグラフィあるいは全身PET検査につきましては、主治医が必要と認めた場合に実施(任意)とする。研究実施体制の変更として、スーパーバイザーを削除する。患者説明文書に研究不正を含む経緯を追記し、再同意取得用へ変更するということです。有害事象に関する追加調査及び研究への参加継続に関しても、再度同意を取得するとのことでした。
 3番目として、今後の対応方針(案)をお示ししております。まず、先進医療として継続の可否。それから、試験実施計画、資料6-2として添付しておりますが、こちらの変更内容及び患者への説明文書(Patient letter)、参考資料1の39ページ目に添付しておりますが、こちらの内容を含めて今回御審議いただければと思います。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 ありがとうございました。本件につきまして、何か御意見はございませんか。
 
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。率直に申し上げて論外というか、あってはならないことが起きたと思います。まず、本試験のデータの改ざんが行われたということは既に認定されているので、これによって、研究自体がパーになっています。この研究を継続したとしても、論文発表ができる可能性はかなり低くなってしまっていますし、臨床試験に協力した患者さんのデータも無駄になっていて、患者さんの協力が無駄になってしまっている点。もっとひどいのが、患者さんは再発抑制を期待してこの先進医療に入ってきているわけですよね。もちろん、再発抑制に関して安全性や有効性が分からないからこの臨床試験をやっているわけですが、患者さんは当然有効性があることをある程度期待して先進医療に入ってきているわけですから、この試験に入らなければ他の治療を受けたかもしれませんし、根拠論文においても不正の可能性があるということになってくると、患者さんがその他の治療を受ける機会が失われている可能性があることになりますので、患者さんに与えている不利益は計り知れない可能性があると思います。そういった意味において論外ですし、そもそもこの試験をやる意味があったのかという話になってきますので、そういった点からも、患者さんの貴重な治療機会が奪われた可能性があるという点において、論外と言わざるを得ないと考えます。
 今後の方針についてですが、率直な感情を申し上げれば、このような研究を継続してほしくない感情があります。ただ、すでに試験に参加している患者さんの保護やフォローアップ、また研究に対する結果が全く出ないまま終わってしまうと、かえって不利益を被るという可能性がありますので、ひとえにすでに試験に参加している患者さんの保護とフォローアップのために、やむを得ず研究を継続することは許容されるかと考えます。ただ、事務局に確認したいのですが、これによって研究者は何のペナルティも受けずに研究がそのまま実施されるというのは、余りにもどうかと思いますので、その点についてはどういったペナルティがあり得るのかを教えていただければと思います。以上です。
 
○山口座長
 もし分かればお願いします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 貴重な御指摘を頂き、ありがとうございます。今回このような形で報告を頂いておりますが、実際、事案の詳細な検討であったり、背景の検討であったり、再発防止策ということに関して、今後追加で報告があるとはお聞きしております。その過程で、この研究者に対してどのようなペナルティがあるかということについても明らかになってくると思いますが、現時点では、事務局としては特に把握はしておりません。
 
○山口座長
 これは、天野構成員のおっしゃるとおりで、結構この試験の根幹に関わるところで、やはりそういうことを期待させる論文だったはずなのに、それがでたらめということになってしまうと、訴えられてもしょうがないぐらいの状況であると思います。
 
○長島構成員
 まず、「試験の根底が揺らぐ可能性はあるもの」と、文学的な表現になっているんですよ。もっと具体的にどういう影響があって、その結果何が問題になるのかということをきちんと整理していただく必要があると思います。それから、この医師は、この研究そのものにも関わっている人で、どの程度関わっているのか。つまり、医師そのものの信頼性がなくなっている人が、この研究にどの程度関わっているのかというのも、極めて重要だと思います。それから、これを大阪大学の認定臨床研究審査委員会で審議したということですが、これだけ重要な問題であれば、利害関係が全くない方々によって、しっかりここの審査をするべきではなかったかと思います。この審査委員会の構成というのはどうなっているのでしょうか。
 
○山口座長
 まず、最後のご質問の、審査委員会の構成は分かりますか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘いただき、ありがとうございます。こちらは、臨床研究法に基づいて行われている試験ですので、認定臨床研究審査委員会で審議されております。構成員につきましては、お手元の参考資料の11ページの所に委員のリストをお示ししております。
 
○山口座長
 学外の人も入っていますね。あと、この論文がどれほどのインパクトがあったかということに関しては、柴田先生か藤原先生、何か御意見はございますか。
 
○藤原構成員
 COPDのほうですか。
 
○山口座長
 ええ。
 
○藤原構成員
 これを見ると、白血球とCRPの値が再現されなかったというので、むしろこの臨床研究を組まれるときに、私が主査をやったので。それから、AMEDの研究費の審査も私がやったのですが、かなり詳細にそのときは見ていますが。PNASのデータが多分、一番根拠になるデータだと思うのですが、PNASについては告発対象にはなっていないと書いてあるので、なかなか今のCOPDのデータだけで根拠が薄弱になるかというのは言えないところがあるかなと思います。PNASのデータをどこまで詳しく調べられるのか、国循の調査待ちになりますので、それは告発対象になっていないところがありますので、今の時点で根拠が薄弱というところまではいかないかなというふうに私は思います。
 
○長島構成員
 この研究自体の信頼性が失われているのであれば、この医師が関わった論文だけではなくて、ここの根拠になった論文そのものを、もう一回きちんと信頼性について検証しなければいけない。それで、ここの申立てがあったものだけではなくて、全体について、もう一回きちんとした検証が必要。要するに、この研究に対する信頼性がどの程度失われているのかということで、この参加された患者にどのような影響があるのかということを、きちんと判断しなければいけないけど、それがされていない。されていないのに、これは継続するべきであるという結論をするのは無理ではないか。まず、そこをきちんと評価した上で、なおかつ、これを中止することで患者さんにどのようなデメリットがあるのかということが初めて判断できるはず。そこのところが全く不十分であると思います。
 
○山口座長
 これはもう登録は終わっていて、あとはフォローアップみたいな感じになっていますね。
 
○長島構成員
 ですので、患者保護という点は非常に重要ですが、これだけ重大な問題があるので、それでも継続するというのであれば、それだけの根拠を示さなければいけないと思います。それが示されていないと思います。
 
○山口座長
 そこのところは、先ほど天野構成員から御発言があったように、本来であればけしからんとやめさせるべきかと思いますが、やめたときにもう終わってしまった、フォローアップしている患者さんに、どれほどメリット・デメリットがあるかということを考えると、やはり研究は完遂させたいというのも1つの、結果が出ないまま終わるよりはいいのではないかと、そういう御意見だったわけですね。
 
○長島構成員
 なので、それを判断するための資料がない。提示されていない。したがって、判断できないということです。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。今回、事案があって、第一報という形で御報告を頂いているところで、実際、報告内容が不十分という御指摘はそのとおりだと思います。今回、不正が認定された論文のどこが不正だったかという点に関して、少し補足させていただきます。参考資料1に大阪大学研究公正委員会の調査結果の抜粋がありますが、実際、この論文で示したかった術後の心肺合併症がhANP投与群で有意に低いこと、その事実自体は再現性を持って証明されたようなのですが、その周辺のデータである白血球であったりCRPのデータに不正が認められたということです。
 
○長島構成員
 この辺は、要するに先進医療そのものの信頼性に関わる極めて重大なものなので、やはり第三者的な人がもっとしっかり、ここのところを検証するべきだと思います。その結果によって、この研究の結果が果たして信頼できるものかどうかというところが、極めて重要なのです。それから、患者さんに対する説明に関しても、その検証がきちんとされていないのに、果たして十分納得していただくだけの説明が可能かという問題があるので、ここの検証はもっとしっかりやるべきではないかと思います。
 
○山口座長
 そういうわけで、今こういう試験実施計画の変更が提案されているわけで、今回の変更を認めるかどうかということが、ここで決めることであると思います。もちろん調査がこれで終わるわけではありませんし、皆さんが非常にひどいことだと思っていることも間違いないので、このまま終わることはないわけです。まず今日皆さんに御議論いただきたいのは、試験実施計画を変更してよろしいかということに関してですね。資料6-2について、御意見を頂ければ有り難いです。今、長島先生から頂いた御意見はもちろん向こうに伝えて、徹底的な議論あるいは事実関係の検証をしていただいて、分かりやすいように報告しなさいということは申したいと思います。
 
○柴田構成員
 もう既に御指摘いただいているとおり、非常に重大な問題であって、本来こんなことが起こってはいけないことだと認識しています。座長から御指摘いただいた点については、資料6-2の変更点が6か所ありますが、これを拝見しますと、基本的には臨床試験としてのプライマリーエンドポイントに関わる有効性を評価するエンドポイントの評価については緩める。つまり、もう研究としてやることは基本的には手控えて、患者さんの安全性を担保するための追跡に切り替えるというのが、マル3とマル4から読み取れるところです。ただ、この申請医療機関の説明はちょっと不十分だなと思いますが、意図としては長島先生がおっしゃるように、この研究をこのまま当初の目的のまま続けることはできないと判断されたんだろうなというのが、この検査項目を日常診療に合わせる、主治医の先生が必要だと認めたときにのみ骨シンチを行うなどというふうに変えてあるところが、介入性を落として、患者さんの負担を減らすというのは、そういう意図であるというふうに読み取れます。
 この試験は、まず登録が終わっていること、患者さんに対して新たな治療が行われることがない状況において、既に登録された患者さんに対して何をしないといけないのかというのは、まず安全性を確保することと、患者さんに真摯に説明をすることだと思いますので、御指摘のとおり、全くそのとおりだと思います。テクニカルな点については今、申し上げたように、このまま当初の目的のとおり研究を続けようという意図ではなく、患者さんの負担を減らし、なおかつ患者さんの安全性を守るということに主眼を置いた改定が提案されていると解釈しております。ただ、その説明は少し不十分ですので、長島先生がおっしゃるところは、非常に重大な御指摘だと認識しております。
 
○山口座長
 藤原先生、どうぞ。
 
○藤原構成員
 私も長島先生と同じで、これに最初の頃は非常に細かく関与したので、非常に憤りを感じているところもあります。1つ不思議なのは、特定臨床研究審査委員会で研究不正を議論していますが、私も幾つかの大学の特定研究不正の第三者委員会に入って協議したことがありますが、普通は、阪大の医学部か何かに特定研究不正を審査する委員会が立ち上がって、そちらで見るというのが筋ではないかと思うのですが、それはされていなかったのですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘いただきありがとうございます。研究不正自体の調査につきましては、阪大及び国循の調査委員会で行われています。臨床試験に関する議論はCRBでというところです。
 
○藤原構成員
 では、長島先生が思われているところは、多分そちらの報告書をきちんと見られれば。あと、これから循環器病センターも追加でやられるとのことなので、それはそれで、きちんと見ていただくというのが我々としても大事かなと考えます。
 
○山口座長
 ありがとうございます。ほかに何か。
 
○後藤構成員
 すみません。結局、患者さんにどう説明するかということに関わってくると思うのですが、はっきり申し上げると、最後の参加された皆様へというのを読んでも、何が何だか私にはよく分からないんですね。つまり何が問題で、私が参加したこの研究のどういうところが問題だったのか、これから私たちの安全を確保するのに、どういうシステムが立ち上がって、どのようなことをしてくださるのかということが、全然分からないんですね。もし続けられて安全性を確保するということであれば、例えば独立のモニタリングの機関がこういうふうにできましたとか、ここでこういうことをしますとか、そういう安心・安全を患者さんに持っていただくような形での説明をしないといけないんですね。そのときに、継続するということなので、患者の説明文書が今までの説明文書を書き換えたという形でいいのかどうかというのが、よく分からないです。
 私としては、やはり今後は、もう例えば誰かが入ってくるわけではないと、そういう研究であれば、この1つの説明で入ってきた人たちがいるんだけれども、これからフォローアップをするのにどのような形でフォローアップするのかという新たな説明文書を作ってきちんと対応するということが、少なくとも必要ではないかと思います。なので、この説明文書では、何が問題なのかすら分からないですし、さっき言った危険性がないのであればないでいいのですが、ただ、例えば参加した患者さんにとっては、機会が奪われたということは別にして、今受けてしまった私が、今後どれだけ危険にさらされるのかということに対する納得がいくような説明を、別途文書を起こしてやっていただかないと、それを継続するというのは、余りにも無責任かなというふうには思います。ですから、継続するのであれば、そして継続するのが患者さんの利益になるということであれば、それなりにきちんとした説明文書を作っていただくということが1つ。あと、かなりニーズが多いですよね、そのときに、どういう形で説明をするのかというようなことも、計画の中に入れていただきたいなと思います。
 
○山口座長
 ありがとうございます。この39ページのやつですよね。これは、私も読んでちっとも理解できなかったです。
 
○後藤構成員
 ですよね、私も。
 
○山口座長
 ましてや、患者さんが読んでも誰も理解ができなくて、要するに明確なことが、ここから読み取れないですよね。まだ、結論が出し切れていないために、こういう回答になったのかもしれませんが、もし何か出すとしたら明確に言わないと、この試験のどこが悪かったのか、どうなるのか、どういうことになったのかということが分かるような形に少なくともしないと、かえって混乱するのではないかと、私も全く同感でした。ですので、この辺りはもう少し考え直して、先ほど長島先生がおっしゃったように、まず事実関係を明らかにして、それをコンパクトに分かりやすく伝えるというスタンスでやるべきだと思います。中途半端に何でもやるんだと、そういう具合に捉えられると大変まずいので、是非それは伝えたいと思います。
 
○掛江構成員
 私も、後藤構成員の今の御意見とほぼ同じですが、なぜ計画を中止で新しいフォロー計画を立てる、若しくはフォロー計画というか患者様の不利益にきちんと対応するというプロトコル、被験者保護のためのプロトコルを別途立てないのかというのが、まず1つ大きな疑問です。先ほどの藤原構成員のお話を伺っていると、もちろん研究不正があったので、この研究自体の信頼性も失われていると思うのですが、他方、この論文に仮に不正があったとしても、これ以外の根拠についてきちんとしているので、サイエンティフィックに何とか成り立たせるという方法があり得るのかもしれない、そこはもうとても専門的なところで、今後御評価いただくのかもしれないですが。
 1つの考え方として、少なくとも参加していただいたという意味では、そのデータが無駄にならないほうが被験者の方に対しても倫理的な対応になるという考え方もあるかなと思います。一方で、やはりこういった不正があった、論文を書かれた方がどのぐらいこの研究に関与されているのかは今の時点では理解できていないので、この研究チーム自体にダイレクトにペナルティを科す必要があるのかないのかという辺りも分からないのですが、こういったものをベースに、不正があったものをベースに組んでしまった研究であるという時点で、やはりもったいないとは思いますが、一旦中止はするという考え方もあるのかと。プロトコルの評価項目を変えて云々ということであれば、もうその時点で当初のサイエンティフィックな主要評価等を出せないのかなというところは、柴田先生にまた教えていただきたいのですが。つまり、当初の研究目的を達成できないのであれば、一旦中止して、この研究で成果を出すことはあきらめるけれども、きちんと被験者の保護をしたいということでフォローアップ計画に参加していただくようお願いをしていただく必要があると思います。
 あと、今の時点でどんな不利益が考えられるのかというところを、やはりきちんとまとめていただかないと、もちろんより良い治療の機会を逸したというところも含めて、非常にたくさんの不利益、研究不正の評価によっては無駄な試験に参加させられたという不利益もありますし、本当に身体的なリスクもあるのかもしれないですし、そういったことを丁寧に一つ一つ挙げていただいた上で、これについてはこういう形でフォローして、きちんとこれ以上リスク、不利益が増えないように、最小化するように努めますというようなところを説明していただくことが必要なのかなと感じております。
 
○山口座長
 ありがとうございます。
 
○柴田構成員
 御指摘はとても重要なところだと思います。この試験を続ける形がいいのか、この試験を続ける中で患者さんに対する適切な対応を取るのがいいのか、あるいはこの試験はやめてしまって、フォローアップの別の計画を立てるのがいいのかというのは、それぞれ一長一短あるという認識でおります。どういうことかと申しますと、現時点で提示されている資料からは、この研究をやっている先生方が不正をしたわけではなく、この研究の立案に使われた論文が不正をされているところがある、だから、多分この臨床試験をされている先生方も悩まれているのではないかと思うところはあります。やめてしまうと患者さんたちを放り出したような形にもなってしまうところがあるので、一長一短あるもののどちらを選ぶのがいいのかというのは、多分ジレンマがあると思います。ただし、いずれにせよ、患者さんに対しては、先ほどの39ページの説明では理解がしにくいというのは事実ですし、なおかつ患者さんが、そういうことであるならば、この研究に対してはもうこれ以上関わりたくないという意思表明をする権利はある、もともとの計画から同意撤回ができる状況にありますので、そこのところの説明、同意を撤回する権利もあるという説明はきちんとしないといけないと思います。
 恐らく、先ほどお話したところの繰り返しになりますが、この研究計画の変更を見ると、患者さんの安全確保のためのフォローアップに切り替えておられるというふうには認識しています。しかし、そこのところは先ほどの説明の中からは分からないので、研究者が当初目的を遂行するために研究を続けているのか、そうではなくて、研究継続という形で患者さんのための選択肢としてこういうことを取っているのか、そういうことの説明も含めて、きちんと説明していただかないと、患者にとってすごく混乱を招くだけではなくて、参加された患者さんに対してすごく、いい表現は思い浮かびませんが、患者さんも残念に思われるのではないかと思います。
 やめて別の計画を立てたほうがいいのかというのは、ちょっと迷うところで、その立ち上げまでの間に空白ができてしまって、フォローアップが薄くなってしまうというのもあるので、そこはちょっと悩ましいところです。ただ、とは言っても悩ましいのが、先ほどの資料のPNASの論文は現時点では告発対象になっていないという話にはなっていましたが、PNASの論文自体は、この研究の根拠としては結構重要なところなので、今後もし調査がされることがあって、こちらにも「実は」ということがあれば、かなりもっと大きな問題に、深刻度が増すと思います。そういうことがあってほしくないと思いますが、そこは予断を持たずに、きちんと客観的に検証していただくというのが、大阪大学さんに求められることなのではないかと考えております。
 
○掛江構成員
 ありがとうございます。非常によく理解できました。本当にきちんと早く確認をしていただきたいなと思います。1つ気になるのが、同意の撤回権はもちろん保障されているわけですよね。それで、今回のこの39ページのような訳の分からない文書を見せられると、この研究に対する不信感を強く持たれると思うんですね。フォローアップなども、これ以上こんなものに参加するなんてと思われる方は当然おられると思うんですよね。そうすると、もし研究者が被験者保護を意図して研究を続けようとされていたとしても、そこは伝わらずに、同意の撤回をして本件から抜けられる。そうすると、この参加されていた方たちは、サイエンティフィックではない臨床研究に参加してしまった不利益を被っただけで、その後のフォローすら受けられないということになりかねないと。そういった意味では、今回ここに出てきている対応というのは、そうですかという、こういう対応をなさるのですねという形でお認めするのはなかなか難しいのではないかなと。もちろん、ここは対応を審議する場ではなくて変更申請を審議する場なのだと思いますが、このような対応が前提にある中で、プロトコル変更という形で出してこられたことを考えると、なかなか研究者らの真意が我々にも伝わっていないところもありますし、患者さんにももちろん伝わらないのではないかと感じております。
 
○長島構成員
 最優先なのは患者さんの保護ということ、それは皆さん一緒だと思うので、まず患者保護のためにこれをしますと、こういうことをやりますというのをまず出していただくのと、患者さんにお伝えすると。それがまず大前提で、その後で、この研究が少なくとも同じ形で継続はどうせできないので、どのようなデータが利用可能なのか、あるいは患者さんの御協力を得られるのかということが分かった上で、どのように変更するのか、あるいは一旦中止して、その新しい前提条件の中でどのような研究にするのかということを論じなければいけない。ですので、とにかく患者さん保護のためにこれをこうします、そのためにこういうことをやります、それを患者さんにこう説明しますということを、まずやるべき。研究継続はその後の問題であろうと。その後、その状況でどんなことが可能かと。ただし、そのときに、もしも患者さんの御協力が得られるということであれば、そのデータが無駄にならないような形ではつないでおくということ。あるいは、患者さん保護、きちんと患者さんの診察をするとか、必要があれば検査をするというのと恐らく同時に多分つながっていくはずなので、まずとにかく患者さん保護のためにこれをこうしますということを大阪大学は示すべきだし、患者さんに説明するべき、まずそれをやるべきだと思います。
 
○後藤構成員
 既にいろいろ御議論も出ているところと同じようなことではあるのですが、同意を撤回するというか、撤回するという行為を、かなり注意しなければいけない。つまり、せっかく入って同意して、普通だったら、問題なくずっと研究が進んでいけば、これで終わるというエンドポイントにちゃんと到達するのに、撤回するという新たな行為をせざるを得ないということを強いるわけですから、撤回を持ちかけること自体も、かなりの不利益だと理解していただかないといけないということになります。最初に入るときに、スケジュールがあって、こういうことをあなたはやってくださいとなっているのに、それプラス撤回に応えないといけないとか、場合によってはモニタリングをされなければいけないとか、そういう不利益がどんどんくっ付いてくるわけです。そういう意味では撤回する、ではそれでいいじゃないかという話に今回はなりにくい事例だと思います。患者さんに関わること自体、つまり余計な関わりをしなければいけないという状況が作り出されたこと自体が、まず一番問題です。患者さんだって、がんの治療を受けていらっしゃって、それだけでも大変な中、いろいろな動機があってそこに参加されたわけで、その人たちに対して、プラスアルファでいろいろな決断をさせなければいけなくなってしまったということの不利益を、もっと真剣に考えていただいた上で、きちんとした説明をしていただくということをお願いしたいなと思います。
 
○藤原構成員
 私は薬効の作用とかも考えた上でお話したいのですが、そのhANPというのは、既に市販されているお薬で、薬効の半減期は20分ぐらいだったと思います。これは登録が終了して何年もたっていますので、その薬自体の薬効というのは、全然関係ない時期になっているということを、皆様方に知っておいていただいたほうがいいかなと。例えば抗がん剤であれば、DNAに傷をつけて、何年も先まで効果や悪影響が起きますが、この抗不整脈薬に関しては、多分、周術期の本当にごく短時間だけで薬の効果が発揮されている。ですので、私は最初にプロトコールを見たときに、そんな短い期間の薬に再発抑制なんかあるわけないだろうと思ったのですが、だからこそこういう比較試験をやって、ちゃんと効果を検証していただくというのが大事だなと思って認めるべきだろうと、その当時は思いました。
 ですから、患者さんの不利益というのは現在の時点ではものすごく少ない。むしろやめてしまって、その結果が白か黒か出ないか、結果も何も分からなくて、悪い悪いだけで終わってしまうと、せっかく参加していただいたのに白黒もはっきりしないまま終わってしまう、そのほうの懸念を私はしていて、やるのだったらちゃんと最後までやっていただきたいです。フォローアップのタイミングについても、この臨床試験のプロトコールどおりにやると、結構入念に見て、半年に一遍来ていただくというのは、術後何年もたった患者さんにとっては、割と高い頻度だと思いますので、丁寧に患者さんはフォローされているのだろうと思います。それから参加している機関は10施設ですが、この10施設全てに、この不正をやった人が関わっているということは、ほぼ不可能だと思いますので、それぞれの施設が肺癌の診療について非常に優れた施設ですし、フォローアップはきちっと診療の中ではされているので、それを尊重してあげて、きちっとこれを完遂するというほうが、むしろ患者さんのためになるだろうなと。ただ、このIC文書には余りにもその辺が全然書いてないので、すごい不利益を受けたのではないかというような印象を患者さんに与えてしまうのは事実ですので、そこはそうじゃないですよということは言ってあげて、むしろ今のまま継続してあげて、ちゃんと完遂して、結果を出したほうが、参加した患者さんのためになるのではないかなと思います。
 何度も言いますが、長島先生がおっしゃっているように、一番根幹なのはPNASですが、PNASは告発対象になっていないので、PNASのペーパーについて、これから循環器病センターでやられるのであれば、そのときにちゃんと科学的な背景がどうだったのかというのは、しっかり見ていただきたいと思います。
 
○柴田構成員
 今回の変更の中では、「患者さん説明文書に研究不正を含む経緯を追記し、再同意取得用へ変更」ということになっているので、基本的には再同意の取り方、あるいはどういう情報を提供するのかというのは、この部会で議論してよい話なのではないかなと理解しています。ちょっと難しいのは、先ほど後藤先生がおっしゃったように、患者さんにもう一度判断をしていただくのは、それだけでも負担をかけることになるので、ちょっと難しいところがあるという一方で、放っておくこともできないですし、この書類だけ見せてというわけにもいかないので、何らかの形で同意していただくか、同意を撤回していただくかという判断を求めざるを得ない状況になっているかなと。実際に担当される医師の先生方は、この不正とは関係のない方々なので、ちょっと大変だなと思うのですが。
 それはさておき、同意が取れませんでしたというので、患者さんを研究の外に出してしまうことで、研究者の側としては、形式的に責任を果たして試験を終えたという形が取れてしまうという問題も出てくるので、きちんと説明をしてフォローアップをするというのは、研究者自身のための利益というよりも、そこは両面あるということは、ちょっとお伝えをしておきたいなと思います。逆にいい加減な説明をして、患者さんに全員にやめますと言われました、これで終わりますということになると、結局その後のフォローアップも情報提供もする余地が、つながりが薄くなってしまいますので、研究者が患者さんのことを考えずに自らの論文業績のために続けるというのは、ちょっとよくないと思いますが、一方で全部切り離してしまうと、それはそれでまずいところもあって、そこのジレンマに一人一人の担当の先生方は悩まされるのではないかなと思うところがあります。
 ですので、今回不正をした方には、厳正に対応していただく必要がありますし、このプロトコルもニュートラルな形できちんと見直す必要があるとは思うのですが、そこの同意を聞いていただくフェーズで、どのような形で説明するのかというのは、ちょっと知恵を出さないといけない部分はあるのかなと思います。すみません、私自身が歯切れが悪いことしか言えなくて申し訳ないのですが。
 
○後藤構成員
 でも、今柴田構成員がおっしゃったように、私もできれば抱えた形でフォローアップをしていっていただきたいなと思っています。そのほうが倫理的だと思います。ただ、そのときの伝え方が、これでいいと思っているように見えるのが、余りにもちょっと悲しいなというので。あと、先ほど藤原構成員もおっしゃられたように、ほとんどデメリットがないのであれば、それをちゃんと伝えてあげればいいわけで、きちんと出すべき情報が出されていなくて、出さなくてもいい情報だったり、出すと混乱する情報しか出てないというイメージがあるということを、申し上げたいなと思います。
 
○一色座長代理
 少し見方を変えた意見になるかもしれないのですが、本件が大掛かりなねつ造の事案だとすれば、公表されれば社会的に大きな問題になると思います。その場合に、先進医療技術審査部会は研究をそのまま継続することを容認したとなれば、説得力のある形での説明が求められるでしょう。このような案件に対しては、昨今、社会的に非常に厳しい見方がされますので、天野構成員がおっしゃったように、「論外である」とされる可能性が高いと思います。これらを踏まえ、この研究の信頼性が根幹から失われたのだとすると、私は先進医療として成り立たないのではないかと考えています。皆さんがご指摘されたようにこれまで集積されたデータが貴重であることは確かなので、これについては先進医療とは別の形でフォローして、まとめていただく方法を模索する必要はあると思いますが、先進医療として継続させることについては慎重にご検討いただきたいと思います。
 
○山口座長
 ちょっとよろしいですか。私の理解では、この不正がどうインパクトをこの研究に与えているのかということは、まだ十分に解明されていないということだと思います。特にPNASのほうの結果が出てませんから、まだそこまで決め付けるのは早いので、今この時点で我々が何の根拠もなしに、こんなけしからんと言うのも、これもまたちょっと問題なので、やはり淡々と研究の結果を急いでくれということは言わなければ駄目だと思います。
 もう1つ問題なのは、今おられる患者さんにできるだけ早く何か伝えたいと、この気持ちも分かるのですが、その伝え方が余りに曖昧でよろしくない。本当に分かっていることを淡々と伝えるということをして、これが最後ではありませんよと、分かり次第、次のこともお話しますというスタンスを取ってもらえばいいのだけれども、今、調査中ですとか、そんなことばかり書いてあって、私もこの説明同意書を最初から読んでもちっとも分からないものだったので、大変よろしくないなということは感じました。
 
○長島構成員
 患者さんの保護は、別に研究を継続しなくてもできるはずですし、しなければいけません。これは責任があります。つまり、別に研究を継続しなくても、きちんと患者さんのフォローはするという責任がありますし、患者さんに対してフォローさせてくださいとお願いしなければいけない。したがって、研究を継続しなければフォローができないというのは間違いです。それは患者保護としてやるべきことです。
 
○柴田構成員
 先生のおっしゃるとおりでそうなのですが、仮にこれを研究の外でやってしまうと、それをやっていたかやっていなかったかというのを監督する仕組みがなくなってしまう。例えばCRBなどがきちんと患者さんに説明をしているのかとか、追加の情報を提供したのかというのが、全ての1人のお医者さんたちの、一人一人の先生方の努力のみになってしまって、中央でこの研究をコントロールしている研究代表者や研究事務局の先生たちに対する責務というのが曖昧になってしまうというところを懸念します。私、先生がおっしゃるとおりだと思いまして、研究の中だろうが外だろうが、患者さんに対して真摯に対応していただく必要があるというのは大前提だと思いますが、それを研究代表者であるとか、研究の組織が責任を持ってやるという観点でいうと、CRBがきちんとそれを見ているという枠組みには、1つのメリットはあると思います。それが全てではないと思いますが。
 
○長島構成員
 ですので、患者保護をするために、どのような対応が必要かという中で、研究を継続しなくても、そういう形でしっかりとできるような体制を作るということにすればいいだけの話なのです。まして、それをしなければいけないほどの重大な深刻な事案だと思いますし、最初に申しましたように、先進医療そのもの、あるいは臨床研究そのものの信頼性が大きく損われる。これが例えばマスコミから先に流れるという可能性も十分あるかと思います。そのときに、何もしていないのではないかということになって、これは非常に深刻なことになるので、もう既にここのところで、根本を揺るがす、根底が揺らぐ可能性があると認めているわけですから、その後の調査によっては、更にそれ以上のことも可能性があるということなので、ここは少なくとも単純な継続ということはあり得ないはずです。
 
○山口座長
 これから何か患者さんに薬を投与するとか、患者さんにリドアウトするという問題ではなくて。
 
○長島構成員
 いや、そういう問題ではないです。これはもう信頼の問題で、信頼が失われたら、臨床研究そのものが成り立たなくなります。
 
○山口座長
 事実関係は、可能性はあるということだけで、ここの議論だけで決めつけることはできません。
 
○長島構成員
 ですから最初に、これでは全然分からないから、これがどの程度の影響があるのか。
 
○山口座長
 つまり、もう少し分かるように説明してくださいということですね。
 
○長島構成員
 この医師がどのぐらい関わっているのか、その状況が分からないから判断できませんと、最初に申しました。
 
○掛江構成員
 先生、よろしいでしょうか。私もやはり柴田構成員が御説明してくださったこと自体は、頭では理解できるのですが、やはり私も長島先生に賛成で、研究を継続しないと被験者保護ができない、フォローができないというのは間違っていると思うのです。研究を継続するかしないか、同意を撤回するかしないかは患者様の自由ななわけで、やはり信頼を失ったから同意を撤回したいというのは当然あっていいわけで、だけれども、撤回した方に対しても、研究者等が今回、被験者保護のために追加した項目があるのであれば、それについては研究の枠の外でも、きちんと受けていただくようにお願いをして、被験者保護に研究者が責任を持って当たるというところはするべきだと思う。そこをCRB等がきちんと監督できたほうがいいというのは、もちろんそうだとは思うのですが、この先進医療とか臨床研究という枠組みが壊れた後も、彼らにはそういう責任があって当然と思いますし、研究プロトコルの形にでなくても、全く問題ないのではないかなとは思っています。
 あと、当然分かってから説明するのでは遅いとは思うので、今はまだ全容は分からないのですということを正直に書きつつも、きちんと被験者の安全性のことを考えていきたいというのは、もっときれいに書いていただきたいです。あと、例えば2017年に最後の方がエントリーされているのであれば、一番最後の方でもあと2年ぐらいのフォローで終わるということなのですよね。しかも、半年に1回の検査で終わられるということなのであれば、じゃあ、今そういった方が同意を撤回したときに、どのようになるのかとか、続けていただく場合に、今回のことがあってどれだけ負荷が増えるのか減るのかとか、もう少し具体的に被験者の被る不利益の評価をしていただいて、最終的にどれがベターな選択であるかを判断をしていただきたいと思うのです。その判断をするための材料自体を、専門家として研究チームに今日の時点では出していただいていないような気がするので、なかなか今ここで判断するというのは難しいのではないのかなと思います。
 
○天野構成員
 研究に参加した患者さんからすれば、もちろん同意の撤回という権利はもちろん当然担保されるべきですが、同意撤回して放り出されても、患者さんからすると全く何のメリットもないわけですよね、先ほども藤原構成員から、半減期は極めて短いし恐らく害はないだろうという御指摘がありましたが、試験に参加した患者さんにとっての一番の不利益は、繰り返しますけれども、やはりこの先進医療というものを信頼して入った患者さんの治療機会が失われた可能性があるという部分に尽きると思うのです。
 これだけフォロー期間が長いと、恐らく亡くなっている患者さんもいる可能性があると思うのです。先ほど来出ていますが、あの説明文書を、患者さん御本人はもちろんですが、御遺族が読まれる可能性もあるわけですね。御遺族があの文書を読んで、どう思われるかということです。つまり、効果があったかどうか分からない試験に、自分の大切な家族が入れられていて、もう亡くなってしまったということが明らかになったら、あの文書にはおわびの言葉も一言も出てきませんし、ちょっとあり得ない文書で、いろいろな意味であり得ない文書になっています。不利益がないという趣旨の表現も正直あり得ない。なので、不利益が生じている可能性があるのだということを、明確に示していただかないと困ると思います。
 
○山口座長
 ありがとうございました。
 
○一色座長代理
 先ほどの話の続きになるのですが、事務局の方、もし分かれば、これはいつ頃公表されそうな雰囲気なのですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 1つには、今回CRBの審議を経て、先進医療技術審査部会の審議を経て、その後、患者さんに伝えてから公表するという方向と聞いています。速やかに公表することが必要とは考えますが、患者さんへの説明との兼ね合いにはなると思います。
 
○一色座長代理
 患者さんへの説明がされれば事実的には公表されたことになりますので、公表と説明のタイミングを合わせないと、各方面から大騒ぎになってしまわないかなと危惧をしています。また、説明文の中に天野構成員がおっしゃったような、おわびの文章とかが入ってきたら、先進医療として継続させることは難しくなるのではないかと思います。データが重要なことは重々承知した上で、あえて危惧を申し上げています。
 
○柴田構成員
 私もそのことをコメントしようと思っていました。冒頭に、この議事の記録は後々きちんと公開されるということがありましたので、それは大事なことだなと思います。公開されるので緊張はしますけれども、こういう議論はやはり公開しなければならないことだと思いますので、それが公開されるというのは、少し安心しました。
 ただ、一色先生がおっしゃったように、大阪大学のほうで公開するタイミングというのは、公開するという方針はもう決められているのですよね。まさか先延ばししようとかではなくて、できるだけ早く公開したいという意図は、もう既にお持ちだということですよね。それはちょっと確認しておきたかったので、大阪大学さんが隠蔽しようなんていうことは全然思っていないということは、大事なことなので、現時点で既にそういう方針であるというのは、念のために確認させていただきたいと思います。
 長島先生や掛江先生がおっしゃったように、試験が終わろうとも、先進医療としてやっているので、実施医療機関に対して、その後のフォローアップを求めるというのは、先進医療のこの場で求めることはできると思いますし、総括報告書を出すまでの間に、定期的にどういうことになっているのかというのは、ここで言うことは多分できると思うので、そういう選択肢というのは、最大限活用したほうがいいかなとは思います。取り得る可能性として、現時点で試験はもう全部終わってしまって、総括報告書の提出を速やかに求めて、会議としては、参加された患者さんに対するフォローアップの状況であるとか、今後、適宜状況が変わったときにフォローアップをしなさいということを、先進医療の枠組みの中でできるかどうかというのは、ちょっと事務局に確認させていただきたいと思います。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 お願いすることは可能だと考えます。
 
○山口座長
 それは、先進医療をやめてしまったときに、ここが何かそういう権限を持つかどうかということを確認する必要があると思います。
 
○柴田構成員
 総括報告書の提出までは、先進医療の告示が取り下げられた後も、先進医療として一度始めたものは、何年後であろうと総括報告書を出すまでは、ずっと総括報告書が出ていないというリストの中に載り続けるので、忘れられることもなく、きちんと定期的にリマインドがかかるという仕組みにはなっています。それの延長線上で、患者さんに対する今後新しい情報が出たときに、きちんと追加の情報を提供したのかなどということを確認する手立てを先進医療の仕組みが持っているのかどうかというのを、確認させてください。
 
○医政局研究開発振興課長
 現時点ではないとは思うのですが、我々がそのように認識をして、これは任意になってしまうと思いますが、研究者に求めていくということは、十分に可能性があると思っております。
 
○伊藤(澄)構成員
 テクニカルな話なのですが、先進医療として中止しても、例えば保険診療上この試験そのものは、観察研究として続き得るのですよね。
 
○医政局研究開発振興課長
 御指摘のとおり、先ほど来ずっと御議論になっていますが、治療介入はもう終わっていますが、検査介入が残っております。それが、こちらの資料6-2の裏面のマル4検査項目の変更ということで、検査介入の部分を今回なくしたいという趣旨での変更がきています。この検査が通常の医療で、普通やるようなものであれば、先進医療であろうがなかろうが、保険上の問題はクリアできるのではないかと思います。
 
○伊藤(澄)構成員
 2つ気になったのですが、2年前に発覚していて、2年間こういった報告が出てこなかったというのと、もう一点、寒川先生がスーパーバイザーから外れるという形になっているのですが、それは不正の根幹がここにあるということなのでしょうか。
 スーパーバイザーが赤字で1枚目から消してありますよね。こういうバイオマーカー研究の中心人物の1人だったと思っているのですが、わざわざスーパーバイザーを外しにいくというのは目立つので、理由を教えていただければと思います。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 スーパーバイザーを外す理由につきましても、医療機関に問合せをしておりますが、試験開始時の責任者のひとりであった方を試験から外すことで、試験への影響をなくすというふうにはお聞きしております。
 
○伊藤(澄)構成員
 2年間この部会に報告が来なかったという理由がよく分からないのと、試験の主要エンドポイントが、2年までのPFSだとすると、主要エンドポイントは出ているという気はするので、試験そのもののメインに関しては、評価が可能なのではないか。
 さっきから一色先生がお話をされているとおりで、かなり大きな不正が明らかになっているにもかかわらず、先進医療として告示に載っているというのは、多少厳しいというようには思います。事務局も説明するのが大変ではないかと思うので、何らか判断はしたほうがいいのではないかという気がします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 先進医療としての報告がこのタイミングになった理由としましては、これまでずっと調査中という状況で、今回不正が認定されたためということで認識しておりますが、調査中の段階でも報告があって然るべきという御意見も、当然かと考えます。
 
○藤原構成員
 先進医療の枠組みの中でないと、そういう話を研究者から僕らが聞くことはできないということなのですかね。特定臨床研究でも何でも、要するにちゃんとこれ、誰かがきちっと進んでいるということを第三者的に管理して監視しておかないと。私も伊藤先生が言ったように、2年もほったらかすって、普通あり得ないですよね。もっと早い段階で第三者委員会を立ち上げて、中を検討してというのがやられる、そして当然公表するというのが普通の流れだと思うので。これを今阪大だけとか循環器病センターだけに任せておくと、相変わらずのらりくらりいかれても困るなというのがあるので、混合診療に関して余り問題ないのであれば、先進医療を外してもらっても別に構わないのですが、我々も部会としてはこれを承認した責任があるから、ちゃんとやっているのかということは、ここで。先ほど長島先生がおっしゃったように、本当は特定不正委員会も済んで報告書もできているはずですから、これを見て、あるいは我々がやっている人たちにヒアリングをするというのが、承認した側としては、もともと始めてもいいよと言った我々としては、そこまで見てちゃんと責任を負いたいなという気は一方でするのですね。だから、先進医療を止めるということに関しては別にいいのだけど、止めた後にちゃんと見る人たちがいないと、この阪大と循センだけにしておくと、自浄作用が働かないということを懸念はします。
 
○後藤構成員
 私も同じようなことを考えていて、先進医療として1回認めた、先進医療として認められたから参加したと、患者さんたちは思っていらっしゃると思います。そうすると、1回認めたものがその後うまくいくかいかないかというのは、この不正が今回限りで、このような感じで先進医療に関する不正が二度と起こらないという保証があればあれですが、やはりちゃんとフォローアップする仕組みというのを、省内でも考えていただいて。先進医療として認めたという責任は、私もこの部会にあると思うので、きちんとしたフォローアップをするように、厚生労働省に対しても要請するというようなことをやっていく必要があるのではないかと思います。
 
○山口座長
 先進医療として取り消すのには、やはりそれなりの確固とした事実が必要で、蓋然性はあるにしても、それがまだ不十分だと思うのです。ですから、ここでは今後もう少し迅速にこうしてくださいとか、そういうことをまず言って、そして事実関係が明らかになったときにここで審議する必要があります。今日はそういうことは議題に挙がっていませんし、それを中止するかどうかというのは御意見としては分かるのですけれども、皆さん確固たる事実は確認されていないということも分かったと思うのです。心肺合併症の軽減に関する論文については大した問題ではないとしても、もう1つの再発防止予防に関しては、可能性はあるけれども、まだ結論が出ていないというところまでしか分かっていないわけですから、ここで先進医療から下ろすとか下ろさないという議論をするのは、ちょっと時期尚早ではないかと思います。むしろ、先進医療の枠の中できっちり管理するというか見ていくには、今のほうがやりやすいのではないかと思います。ここで先進医療の枠から離してしまうと、あとは向こうにお願いするしかなくなってしまうというのも、非常に問題があると思うのですが。
 
○長島構成員
 先進医療がもしもそういうことであれば、そこは不備なので、今後はそこをきちんとすることが、仮にそうなっても、その後のフォローができるような体制をまずは作らなければいけないと思います。そういう弱点が今回判明したということかと思います。それから、患者保護は直ちにやるべきで、そのためのものはすぐにでも始めていただく必要があるかなと。ただ、最初に申しましたけれども、やはり判断するだけの根拠がないので、根拠になるものを早く出していただいて、その上でもう一回判断するべきだと思います。とにかく患者保護は至急やっていただきたいと思います。
 
○天野構成員
 ちなみに確認なのですが、患者さんにはいつ頃知らされるとか、見込みはもう立っているのですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 こちらの部会が1つの契機になると思うのですが、医療機関としても早く伝えたいというところがあり、今回レターのようなものを準備して見ていただいているところです。レターの内容については一応、倫理委員会で見ていただいたものをこちらに提出いただいているのですが、先生方がおっしゃるように、まだ不備があるということですので、できればこの部会の後に医療機関にすぐお伝えして中身を直していただいた上で先生方に御確認いただき、患者さんに伝えていただくのがよいと考えています。
 
○天野構成員
 非常に難しい判断だとは思うのですが、2年前に発覚しているわけですよね。2年前の時点で患者さんに知らされていたら、2年の間に患者さんができたことがほかにもある可能性があると思うのです。その2年の間にこの試験に参加した患者さんは、自分たちが他の治療を選択する機会を失われている可能性があるわけですよね。その事実はやはりしっかり受け止めないといけないので、患者さんに一日も早く知らせることは重要なのですが、一方でもちろん患者さんに無用な誤解とか不安を与えないということも重要です。ただ、がんの患者さんにとって2年間既に治療機会が失われた時間が経過している可能性があることなので、亡くなっている患者さんもいるでしょうし、やはりそういった意味で、できるだけ早く患者さん保護の観点から知らせていただくということは、事務局からも念押ししていただければと思います。
 
○山口座長
 2017年12月に、不正が行われているのではないかという申立てがあったのです。12月からその論文を精査して、本当に不正が行われていたかどうかという調査期間があったわけです。それが極めて遅いかどうかはちょっと問題なのですが、その点がきちんと迅速に行われたかどうかということは疑問があるので、ちゃんと説明してくださいということはお伝えしたいと思います。極めて長いわけではないと私も思うのです。調べればいろいろなものが分かってくるので、どうしてもある程度の時間は掛かるかと思うのですけれども、その説明は是非してもらいたいことと、迅速にやってくれということは申し上げたいと思います。
 それと、皆さんの一致した意見は、まず患者にきちんと説明しなさいということに尽きると思うのです。その中で、今回出された説明同意文書というのは、説明書かもしれませんが、これは極めて分かりにくいと。明確にどういうところがどこまで分かっていて、今後どうするつもりかということを含めて、そして少なくとも今までのこういう不備が分かったわけですから、謝罪もしなければ駄目だということを伝えて、今回はこの変更については一応ペンディングにして、そういうことはちゃんとリスポンスがあってから議論したらどうでしょうか。
 
○掛江構成員
 後藤構成員も最初からずっとおっしゃっていますが、説明の仕方は非常に重要だと思います。とっくの昔に皆さんエントリーが終わっているような、そのエントリーの際に使った説明文書を今更部分的に書き直してそれを使って説明するというのは、通常の新規エントリーがあるプロトコル変更に関する場合であれば理解できますが、今回の事案ではそれは全くもって適切ではない対応だと思いますので、こういう対応ではなくて、明らかに今回の事案についてどういうことなのかを別途ご説明すべきかと考えます。このレターは中途半端すぎます。きちんと何が分かっていて、何がまだ分かっていなくて、今後どういうスケジュールでと、皆様に対してはこういうことがリスクとして考えられるので、それを最小化するためにこういうことをさせていただきたいという、お願いをするという形のものを、きちんと作っていただいた上で、座長がおっしゃったように、その上で変更内容を承認するしないの判断になるのかなと思っております。
 
○山口座長
 この変更内容は、急ぐ必要はないと思います。これがなかったら患者さんにお知らせできないわけではありませんから、むしろ今言ったような意見を伝えて、きちんとまず事実関係をはっきりさせたほうがいいのではないかなと思います。
 
○後藤構成員
 患者さんに早く伝えなければいけないというのはそうなので、例えば一枚紙のものでいいので、適切な一枚紙を作っていただいて、あとは少し時間を掛けてやるということも説明していただければと思います。この一枚紙が行ってしまうと、というか、このままいくと法的な責任問題にも集団訴訟になるという形にもなりかねない事案なので、やはり一枚紙であったとしてもきちんと。おわびするとかしないとかは別として、これを実際にやって、今いろいろな所で検討していると。今のところhANPについては20分で半減するので、それについては問題ない。けれども、いろいろなことが分かり次第、御迷惑かもしれませんが御連絡しますので、よろしくお願いしますというようなものをまず出していただくと、患者さんも安心されるのではないかと思います。
 
○柴田構成員
 まず一番大事なのは説明する文書であるというのは同感です。それは大前提として、この場合はその文書をCRBに諮らないといけないのですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 そうではないと聞いています。
 
○柴田構成員
 そうではないですか。では、そこはちゃんとした内容ができれば速やかに患者さんに提供できるということですね。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 はい。
 
○柴田構成員
 分かりました。ちょっとテクニカルな話ではあるのですが、改定の中の4番、先ほど課長からもお話がありましたが、研究として行っている日常診療を超えた検査の部分は早めに外してあげないと、患者さんに余計な負担を与えることになります。せめてその部分だけでもこの時点では認めておく。場合によっては次の診察のタイミングを決めるとかというのにも関わるかもしれないので、研究として必要だとされていた検査を日常診療のレベルに戻すというところだけ、この場で認めることはしたほうがいいのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
 
○掛江構成員
 質問してよろしいでしょうか。もしも仮にこの研究自体のデータがサイエンティフィックに評価に値するものであるという結果がこの後出たとして、これを外すことによってその評価ができなくなるということはあるのでしょうか、ないのですか。
 
○柴田構成員
 先ほどちょっと出ましたが、主たる評価時点は術後2年とされていて、最後に登録された患者さんが2017年の患者さんなので、主要評価項目の評価には大きな影響はありません。その後の長期追跡、5年の追跡をするときのデータの精度が少し落ちます。そこをどう考えるかということなのですが、ここについては先ほどの議論も含めて、研究をむやみに続けるのかという話と、大阪大学からもこれはもう外そうと言ってきているところなので、まず患者さんに説明するというのが大前提ではあるけれども、その後、研究を止める止めないとかという話になるのを、場合によっては1か月、2か月、3か月と待つことになると思いますが、その間、無理やり患者さんに検査を入れる必要はないので、そこの部分だけ認めるということはあり得るのかなと思った次第です。
 
○山口座長
 私の不手際で時間がオーバーしているので、少しまとめたいと思いますが、試験実施計画の変更について一つ一つ確認したいと思います。資料6-2を見ていただけますか。変更内容1、特定不正行為が認定された参考論文に関する記載を削除。これは、してもよろしいですか。
 
○掛江構成員
 説明文書からということですか。プロトコル、参考文献。
 
○山口座長
 これは、参考論文からです。これは急ぐ必要はないと思うのですが、置いておいてもいいのではないかなと思います。それから、2番目の患者への説明に関する記載、再度確認を行う、これはどうでしょうか。
 
○伊藤(澄)構成員
 これは作り直さないと。
 
○山口座長
 作り直さないと駄目だから、これもストップですね。
 
○後藤構成員
 これは、ちょっとやり方とか。
 
○山口座長
 では、3番目の安全性項目の追加と独立モニタリング委員会の設置も、まだいいですかね。今、先ほどの柴田先生と関係あるのは4番目の試験項目の追加で、5年間実施予定だったシンチグラフィ、PETを任意とする、少し省略しているということです。試験の成績と関係ないものであれば、むしろ患者さんの負担を取るという意味で、これはいいのではないかという御意見ですよね。これはいかがですか。だから、4番だけ認めて、あとはちょっと待てと、ちゃんと患者さんに説明してからだという結論にしてはいかがかと思うのですが。
 
○一色座長代理
 ペンディングにした場合に、何のデータがまとまったら認めるのか認めないのかということをはっきりさせないと、いつまでたってもデータが出なくてまだ分かりませんになりかねないので、どこが担保されれば信頼性が確認できるのかということを、明確にしておいていただきたいと思います。
 
○山口座長
 それは、やはり向こうの調査委員会の結論が出たときではないでしょうか。ここで調査しているわけではないので。
 
○藤原構成員
 阪大の研究不正委員会が終わっているのだったら、その報告書はまず出していただかないと、ちょっと判断が、まだ第一段としては付かないような気がします。
 
○山口座長
 それはもらっていないのですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 まだです。最終的に確定したものをこれから頂くところです。
 
○山口座長
 それはあるそうです。
 
○一色座長代理
 結局PNASが大丈夫であれば大丈夫という判断でよろしいのですか。
 
○藤原構成員
 PNASは告発対象になかったので、循環器病センターで見ますと書いていなかったでしたっけ。
 
○山口座長
 それを急いでくれということですね。
 
○一色座長代理
 でも、結局それが分からないと結論は出せないですよね。
 
○藤原構成員
 どうしようもないですよね。
 
○山口座長
 それでは、既にある報告書をちゃんとこちらに出してもらうことと、一番重要な論文の結論を早く出してくださいということでよろしいですか。
 
○一色座長代理
 そうです。
 
○山口座長
 次回までに出してくれという要求をしてもよろしいですよね。
 
○一色座長代理
 そうしないと公表が遅れます。
 
○山口座長
 そうでないと、非常に重大な可能性のあるものがずっと放置されるということになると、この部会の責任が問われるということになるかと思うのですけれどね。
 
○伊藤(澄)構成員
 次回までに、少なくとも同意説明文書は作って出してもらわないと、部会としてもたないと思うのですよね。
 
○山口座長
 患者さんへのお知らせは、それまではやらないということですか。
 
○伊藤(澄)構成員
 いえいえ、それは来月には出せる形にしておかないといけないのではないでしょうか。
 
○山口座長
 多分、大阪大学はここで終わったらすぐに言いたいような感じではないですかね。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 そうですね、公表については。
 
○伊藤(澄)構成員
 ただ、この文書が余りにもひどいので、先進医療技術審査部会で納得した文書ですと言われて公表されるのは。
 
○一色座長代理
 ただ、公表するのは不正があったということの公表であって、先進医療のこの研究をどうするかについてを公表するかどうかとは別の問題だと思います。ですから、まずそういう不正があったということが報告されれば、それに対してどのように対応するかという文書は後から公表することになっても、大きく遅れない程度であれば許容されるかもしれません。
 
○伊藤(澄)構成員
 今申し上げているのは、患者さんに説明する文書として、ここに出てきている文書が余りにも分かりにくすぎるので。これをまずは出していただいて、患者さんに情報提供をするということを前提にしての議論は、来月にでもしておかないといけないのではないかと。
 
○山口座長
 この論文に関する不正は全く公表されていないわけですか。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 まだこれからということです。
 
○山口座長
 そちらを急いでもらわないと、ちょっとまずいですね。その中で、だんだんいろいろなことが分かってきて、ここでも議論されるという形にしなければ駄目ですね。
 
○掛江構成員
 1点だけ確認させてください。これから余計な負担を減らすという意味で、4番をお認めするというのはもちろん理解できますし、反対するものではないのですが、今ここで外すのだったらこの2年間なぜ外さなかったのかな、なぜ患者さんにずっとその間の負担を負わせたのかなというのが非常に引っ掛かるところで、そこは今からどうこうではなくて、きちんと説明していただきたいなと思うところです。今外すのだったらもっと早く外しておけば、もっと負担は少なくなったのではないかという。
 
○山口座長
 先ほど言いましたように、2年前にすぐ分かったわけではなくて。
 
○掛江構成員
 もちろんそう思います。
 
○山口座長
 調査が開始されただけなのです。
 
○掛江構成員
 でも、1年前はどうだったのかとか、いろいろあるように思います。
 
○山口座長
 だから、その辺りで分からないので、そこを説明してくださいということは申し上げたいと思います。
 
○掛江構成員
 そのようにお願いいたします。
 
○山口座長
 それともう1つは、これは1か月延びても別にどうということはないわけで、1つだけ認めるよりは、全部突き返すのも1つの考え方かと思いますけれどね。
 
○掛江構成員
 でも、患者さんがお金を払われてわざわざ受けられるということですよね。
 
○山口座長
 そういうことですね。
 
○掛江構成員
 ふだんの診療で要らないものを。
 
○山口座長
 負担が掛かるということはあると思います。
 
○掛江構成員
 研究者の先生方が支払ってくださるのなら経済的負担はないのですが。
 
○柴田構成員
 ちょっと分からないので、先生方に御意見を伺いたいのですが、阪大としての不正に対する公表は速やかにやったほうがいいというのは、御指摘の先生方は同じように思われていると思うのです。それを見た患者さんが主治医に相談したときに、主治医からどのように説明するのかという文書が、39ページとして用意されているのだと思うのですが、そこのタイムラグをどう考えるかという問題です。つまり、阪大から報告があって、この文書を配るまでにどのぐらいなら待てるものなのか、臨床現場の感覚が分からないので、そこを確認しておきたいのです。つまり、できれば阪大の報告と同時にこの紙を患者さんに配れるようになっているというのが理想だと思うのですが、この紙ができるまで阪大のプレスリリースを出さないというのも、それはそれで問題のような気もするので、どのぐらいのスピード感で対応すべきものなのかを、患者さんに説明される立場からどうかというのを確認したいのです。
 
○伊藤(澄)構成員
 普通から言うと、患者さんへの研究の説明文書は、倫理審査委員会等で承認されたものでないと配れないという整理をしています。それは治験でも研究でもそうだと思っています。口頭で説明した上で文書としては倫理審査委員会を通ったものでないと配れないと思っています。そこは余り考えていないので、どうするのでしょうね。委員長に一任するというのもありだとは思いますし。
 
○藤原構成員
 がんの診療をやっている立場からすると、公に出れば、もう次の日から患者さんは聞いてこられます。
 IC文書を渡すのはIRB承認がないと難しいですが、承認前であれば、通常は口頭で説明してカルテにそういう記載、説明したということを記録として残すということをやると思います。ただ、阪大の公表の仕方にもよって、論文に不正があったと書くのと、根拠としていて、もしかしたら臨床試験まで影響しているかもしれないとまで踏み込んで言われると、もっと本当に早く対応しないといけないことになると思います。
 それから、骨シンチは、日本の多くの先生方は年に1回やらなくても、患者さんでやってくれと言う方も結構いらっしゃいます。大体、肺癌の経過観察は術後5年が期限なので、5年までは年に1回そういうインテンシブな検査をやられている先生のほうがむしろ多いぐらいなので、実質上負担には多分なっていないとは思います。PETはちょっと高いので余り勧めませんけれども。私が乳癌の患者さんを診るときには、そういう検査は普通しません。これは世界的なガイドラインでそのようになっているのですが、それに従わないことのほうが一般ではむしろ多いので、これが非常に過剰な検査になっているというわけではないとは思います。
 
○山口座長
 それでは、時間がなくなってきたので、今回の試験実施計画の変更は認めないということにしたいと思います。もう一方で、今日あった議論を取りまとめますと、やはり迅速に患者さんに説明すべきであると。その説明文書に関しては全く不適切なので、次回のこの会議までに用意して出してくださいと。それを踏まえた上で、なぜこんなに遅くなったのかということも説明してくださいと。今後どうなるか。それから特に急ぐのは、PNASの論文の評価です。どの程度の影響があったかは全く核心に関わることなので、これに関しては早急に見解を述べてほしいと、それによってここの態度も変わるということだと思います。それぐらいのところでよろしいですか。
 この記録は必ず公開されます。私は最初から公開してやったほうがいいのではないかなと思ったのですが、阪大が発表する前にやるのはちょっとまずいということもあって、こういう形になりました。今日はちょっと時間が延びましたが、やむを得ないことだということでお許しいただきたいと思います。よろしいですか。どうもありがとうございました。
 
○医政局研究開発振興課長
 一応、確認です。研究計画の変更は、全て認めないということでよろしいですか。
 
○山口座長
 それでいいと思います。
 
○医政局研究開発振興課長
 検査介入の部分も、先ほど藤原先生がおっしゃったように、そんなに。
 
○山口座長
 害はないですよね。
 
○医政局研究開発振興課長
 患者さんに不利益が生じている状況ではないと推察されるので、ここも含めて現時点ではまだ、詳細を出してもらってから検討ということにすると。患者さんの説明文書についても、次回までに出してもらって詰めていくと。それまでは、公表は。
 
○山口座長
 公表するかしないかは、こちらでは決められないと思います。
 
○医政局研究開発振興課長
 決められない。
 
○山口座長
 というのは、ここに関わったことではなくて論文全てのことですから、それは阪大のほうで判断すべきことではないかなと思います。
 
○医政局研究開発振興課長
 阪大のほうの判断であるということですかね。研究不正によって先進医療が引きずられているというところはあると思いますが、研究不正に関する公表については、阪大の判断であるというところですね。
 被験者の方々にできるだけ早く説明したほうがいいという観点から、先生方に頂いた御意見はすぐに阪大に伝えます。その上で、できれば事前にある程度やらせていただいて、次回の会議のときにはセットできる状態にさせていただきたいと思います。
 
○山口座長
 よろしいですか。ではよろしくお願いいたします。それでは、申請医療機関からの報告については以上といたします。上村構成員、真田構成員、山本構成員にお戻りいただいて。
 
(上村構成員、山本構成員着席)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 ありがとうございました。恐れ入りますが、お配りした資料については回収させていただければと思います。それでは、傍聴の方にもお戻りいただきたいと思います。
 
(傍聴者着席)
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 最後に1点だけ御報告させていただきます。今回、部会への出欠表を御提出いただくに当たり、本部会の開催方式についてアンケートを取らせていただいたかと思います。内容については座長に報告いたしております。アンケートの結果を踏まえると、原則対面開催としつつも、出張の自粛要請が継続しているような遠方の構成員の方については、オンラインでの出席を可能とする等、適切な開催方法について、今後検討してまいりたいと考えています。事務局からは以上です。
 
○山口座長
 予想されたような結果ではありますが、将来的にはWebを使うようになるかもしれません。ありがとうございました。本日の議題は以上です。次回の日程を事務局からお願いいたします。
 
○医政局研究開発振興課長補佐
 次回は、令和2年8月20日(木)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、場所については別途御連絡させていただきます。本日の議事録については作成し次第、先生方に御確認いただき、その後公開とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○山口座長
 ありがとうございました。Zoomだと多分こんな議論にはなりにくかったのではないかと思うので、やはり対面にしてよかったなと思いました。本日はどうもありがとうございました。これで、第102回先進医療技術審査部会を終了いたします。ありがとうございました。
 

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