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2019年10月17日 第89回先進医療技術審査部会

 
(了)


(1)日時:令和元年10月17日(木)16:00~17:00

(2)場所:厚生労働省 共用第8会議室

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、伊藤(澄)構成員、上村構成員、掛江構成員、後藤構成員、真田構成員、柴田構成員、飛田構成員、藤原構成員、山中構成員、山本構成員、五十嵐技術専門委員

(事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 医療技術評価推進室長
保険局医療課 室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 課長補佐

議題

1.総括報告書の評価について
2.申請医療機関からの各種報告について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療の取下げについて
6.その他

議事録

○山口座長
 定刻となりましたので、第89回先進医療技術審査部会を開催いたします。本日は御多忙の折、またお足元の悪いところお集まりいただき誠にありがとうございます。

 本日の構成員の出欠状況ですが、石川広己構成員、伊藤陽一構成員、佐藤雄一郎構成員、田島優子構成員、松山晃文構成員より御欠席の御連絡を頂いております。本日は18名の構成員のうち13名の構成員にお集まりいただいていることから、会議が成立していることを申し添えます。なお、本日は五十嵐敦之技術専門委員に御出席いただいております。先生、どうもありがとうございます。

 それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 配布資料について確認いたします。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。続いて、総括報告書の評価については資料1-11-3及び資料2-12-3、申請医療機関からの報告については資料3、試験実施計画の変更については資料415、協力医療機関の追加については資料16-116-2、先進医療B試験の取下げについては資料17、会議資料の最終は109ページとなっております。なお、先生方のお手元にある先進医療実施届出書様式10号別冊資料というA3版の資料は、構成員及び事務局限りとさせていただいております。本日の資料は以上です。乱丁や落丁等がある場合は、事務局までお知らせください。

 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認しております。今回、告示番号旧44の技術、杏林大学医学部付属病院からの申請について、真田構成員、山中構成員、五十嵐技術専門委員より御報告がありましたが、いずれも50万円以下でしたので当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に何らかの利益相反がある場合は、この場で御報告をお願い申し上げます。特に該当なしということで承知いたしました。

 また、今回もタブレットを使用いたします。届出書類等については、タブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容が異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ又はタブレット資料の何番の何ページと、あらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かります。以上です。


○山口座長
 それでは、早速議事に入ります。総括報告書の評価について、事務局より説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1-115ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂くのは、告示番号旧44、アキシチニブ単剤投与療法です。申請医療機関は杏林大学医学部付属病院です。御審査いただいた担当の構成員は、主担当が伊藤澄信構成員、副担当が柴田構成員となっております。本試験の概要については、資料1-325ページも併せて御覧ください。

 本試験の目的は、ゲムシタビン化学療法耐性となった切除不能・再発胆道癌患者を対象として、分子標的治療薬アキシチニブによる治療の有効性と安全性を検討することとなっております。試験デザイン等については、15ページも併せて御覧ください。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目として有害事象の発生割合、奏効割合、全生存期間となっております。

 なお、16ページの上段の結論の所に記載があるのですが、本試験では予定した登録期間において、予定症例数32例中19例が登録されました。先進医療に先行して実施した5例を含めた計24例に新たに13例を追加しても成績は大きく変わらず、全生存期間や安全性を含め新しい情報は得られないと判断し、登録期間の延長はせず、観察期間が終了した後に試験終了となり、試験の取下げについては、昨年の11月の第77回先進医療技術審査部会にてお認めいただいているところです。以上です。


○山口座長
 では、本技術の評価について、主担当の伊藤構成員から御説明をお願いいたします。


○伊藤()構成員
 昨年、アキシチニブ中止後に急激に腹水が増加するという事例が発生し、その因果関係の話が2年前の会議で出てきたということは御記憶にある方も多いかと思います。半数を超える肝内や肝外胆管癌においてVEGFが過剰発現しているという知見に基づいて、ゲムシタビン耐性の切除不能・再発胆管癌を対象に単独の第2相試験として実施されたものです。計画段階では、対象になる患者に対する二次治療は確立されていない状況でした。

 アキシチニブ中止後に急激に腹水が増加した症例が発現したことから、その時点で参加されていた19例で総括報告書が作成されています。主要評価項目は、PFS中央値が2.8ヵ月で期待値の3.0ヵ月には到達していないが、当初予定した2.0ヵ月は超えており、一定の効果が期待されています。安全性に関しては19例のうち4例に腹水が出現し、うち2例はアキシチニブ中止後に腹水が増加して、因果関係があるという話が出ております。

 胆道系のがんですから、当然、腹水は出現することもあり得べしと思い、研究者に診療における腹水のデータはありますかと、標準的にこれほど高率に出るものですかと伺いました。その結果として腹水の出現割合を示した文献はないけれど、少なくとも2例に関しては、この治療との因果関係を否定するのは難しいと判断しているという報告が上がっております。

 当然のこととして、治療が難しい領域の新しいターゲットの分子標的薬に対する治療として期待されていたのですが、結果としては、有効性について否定するものではないにしても、それほど著しいものではなさそうで、残念ながら安全性に関しては腹水がかなり高頻度に出ておりますので、腹水の原因がはっきりしない段階で標準的な治療法として突き進むには、なかなか厳しいのではないかと思います。

 今、説明した内容を総合的なコメント欄の所に縷々書いておりますが、結論としてはこういう状況です。今後の見通しについてですが、今年のASCOmFOLFOXを用いたABC-06試験といった新しい試験結果が出てきていますので、この治療法を同じようなステップで実施するのはなかなか難しいというのが、現状かと思います。

 したがって、アキシチニブを用いた治療については、何らかの形でこの安全性の懸念が払拭されることが優先され、そうでないと、これを臨床の現場で用いるのはなかなか難しいのではないかと感じた評価をさせていただいております。以上です。


○山口座長
 ありがとうございました。続いて、柴田構成員から御評価をお願いいたします。


○柴田構成員
 お手元の資料の19ページを御覧ください。内容については伊藤構成員から御説明いただきましたので、詳しい所は省略いたします。結論から申し上げますが、有効性に関しては、主要評価項目の解析では、事前に定めた閾値を統計学的に有意に超えているということから、一定の効果の存在は期待されるものの、申請医療機関自身が考察されておられるように、点推定値は事前の想定よりも低く、既存薬を超える成績、あるいは既存薬を超えることが期待される成績とは言えないということでCと付けております。

 ただし、これは既存薬と同じように臨床現場で使っていいということではなくて、先ほど伊藤構成員もおっしゃったように、副作用等とのリスクベネフィットバランスを考えるとCは少し甘いかもしれない。実際には、それほど有効ではなかったという判断ではないかと思います。

 安全性の所には「C.問題あり」と付けておりますが、コメントで「問題ありとまでは言えないが」と書いております。この意図としては、伊藤構成員からも御説明がありましたが、実際の疾患自体でもそれなりのリスクがあるものなので、これのみに基づいて治療開発を即中止するほどのことではないと思うのですが、一方で、リスクに関して今まで知られていなかった副作用が出てきたということなので、もし前に進めるのであれば、伊藤構成員がおっしゃるようにしっかりとした検討をした上で進めないといけないと思います。

 逆に有効性のほうが事前の期待よりも低かったので、このものを先に進める積極的な理由は現状ないと思います。有効性を高める方策が見付かるとか、安全性をきちんとコントロールできる方策が見付かるとか、リスクベネフィットバランスがきちんと考えられることがない限り、このまま次のステップに行くことは難しいのではないかと解釈いたしました。

 成熟度についてはBと付けております。今、申し上げたように、いまだ探索的段階にとどまっており有効性が十分に確立している訳ではないこと、また、既承認のがんでは見られなかった、ここには「重篤な有害事象」と書いておりますが、実際は副作用とみなすべきですので、その腹水が観察されていることを踏まえると、技術的成熟度は高いとは言えないと解釈しております。以上です。


○山口座長
 ありがとうございました。それでは、伊藤構成員から何か追加のコメントがございましたらお願いいたします。


○伊藤()構成員
 特にございませんが、進行胆道癌に関する二次治療についての新しいエビデンスが公表されている状況下で、今回の安全性の懸念が有効性に勝る状況とは判断しにくいというのが結論です。


○山口座長
 ありがとうございました。お二人の御意見は大体一致しているかと思います。ただいまの御説明について、何か御質問やコメントはございますか。

 

○天野構成員
 御説明ありがとうございました。今、御説明いただいた中で、再三御指摘されていた腹水について質問いたします。治療中止後、急速に腹水が見られているということで、原病の進行が可能性として指摘されているわけですが、それ以外の可能性について、現時点で研究グループから示唆や指摘は出ているのでしょうか。


○伊藤()構成員
 個別の腹水の症例については、かなり詳細に検討されています。因果関係が否定できないと言われているのは、この腹水からがん細胞が出ていないのです。がん細胞が出ていないにもかかわらず、腹水が急激に増加している症例がある。これは原病とはとても言えないということで、研究グループでも因果関係が否定できないという評価がされています。VEGFという血管の新生を阻害する薬をやめた途端にリバウンドのような形も、可能性としては想像に難くないので、そうだとするとなかなか大変で、一昨年前にも話が出たと思いますが、中止した後のフォローを、よほど厳重にやらないと危ういのではないかと思っております。通常、がん性の腹水であればがん細胞が検出されると思いますが、検出されないで腹水と言われると、なかなか大変だなと思っています。


○山口座長
 ほかにございませんか。これはもともと臨床的なエビデンスが余りないトライアルで、なかなか厳しいですし、実際100%因果関係があるとは言えませんが、かなり厳しい副作用らしきものもありました。おっしゃるとおり、なかなか次につなげるのは難しい可能性はあるかと思います。ただ、副作用も含めていろいろなことが分かりましたので、必ずしも無駄ではなかったと思います。ほかに御意見はございませんか。

 

○上村構成員
 バイオマーカーの検索をして、予後に毒性、治療効果の関係を検討するということがあったと思うのですが、そこは何かエフィカシー、有効性と今回の腹水の出現との関連を示唆するようなものはあったのでしょうか。


○伊藤()構成員
 総括報告書にこの記載がされていたかどうかはよく覚えていないのですが、バイオマーカーの評価の前の段階、つまり有効性そのものが、全体として見たときにサブグループで比較できるような高い有効性が出ている人がいなかったことが大きかったと思っております。柴田先生は御覧になりましたか。


○柴田構成員
 総括報告書の中にサブグループ解析は出ているのですが、もともと数が少ないことと、解釈のしようによっては何か影響があるかもしれないようなものはあるかもしれませんが、いろいろな検定をたくさんやっておりますし、いろいろなサブグループの中でのたまたまの結果である可能性も高いので、現時点で一定の傾向をもって、こういう患者であれば効くかもしれないというデータは出ていないという解釈を私はいたしました。


○山口座長
 報告書には「バイオマーカーになり得ることが示唆された」というところで、まだまだという感じがいたしますが、よろしいでしょうか。ほかにございませんか。それでは、大体評価も皆さん一致したと思いますので、告示番号旧44については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて先進医療会議に報告したいと思います。続いて、次の総括報告書の評価について事務局から御説明をお願いいたします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料2-127ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号36の多血小板血漿を用いた難治性皮膚潰瘍治療です。申請医療機関は聖マリアンナ医科大学です。御審査いただきました担当の構成員は、主担当が伊藤澄信構成員、副担当が山中構成員、技術専門委員が五十嵐技術専門委員です。

 本試験の概要については、資料2-341ページを御覧ください。本試験では、多血小板血漿(PRP)による難治性皮膚潰瘍治療の有効性及び安全性について、単群試験により評価することを目的としております。試験デザイン等は27ページも併せて御覧ください。褥瘡を含む23例の難治性皮膚潰瘍患者に対して本治療が行われました。患者本人から採取したPRPを患部(潰瘍部位)に塗布し、4回の治療終了後に創傷部の面積測定、写真撮影を行い評価します。完全上皮化に至っていない場合は、更に4回治療が追加されております。主要評価項目は奏効割合、副次評価項目は潰瘍面積の縮小率です。以上です。


○山口座長
 それでは、本技術の評価について、主担当の伊藤構成員から御説明をお願いします。


○伊藤()構成員
 いつも余りいい評価をしていないので怒られそうですが、技術専門委員の先生と意見が違っているので、後でまた御指摘いただきたいと思います。

 本試験は2012年の6月の先進医療技術審査部会で審議されて、第2項の先進医療として既に承認されている技術です。そのときは多血小板血漿をクリーンルーム内で調製する方法でしたが、それを細胞調製施設を必要としないPRP分離容器を用いて、多血小板血漿を調製する方法に変更した単群試験として実施されたものです。

 米国では、リコンビナントのPDGF-BBという血小板由来の増殖因子Bのホモダイマーが、20年ぐらい前に承認されています。ベカプレルミンゲルというものです。そういう意味では、多血小板血漿にはPDGFをはじめとしたサイトカインが含まれているから有効性は期待されておりました。

 なぜこのようなことを申し上げているかと言うと、先進医療B承認時に、単群試験としてこの会で認めているところではあるのですが、前の試験から継続して移管しているというところもあったので、その当時、試験デザインや内容で本当に評価できるだろうかという疑問は呈されてはいたのです。今回、結果が出てきておりますが、評価に際して皆さんの解釈が多少違っているのだろうと思っています。

 その理由のために、少しきついやり取りを35ページでさせていただいていて、研究デザインそのものと評価法についての議論になっています。これを評価するに当たって調べていたところ、アメリカではペカブレルミンゲルが使われていて、承認のもとになった試験を論文の図を貼り付けたのが29ページの図です。御覧いただくと分かるとおり、リコンビナントのPDGFを使っても、8週間ぐらいでは、プラセボとそんなに差が付く程の有効性にはなっていないのと、全体としてみると、本試験では22例のうちの4例が完全に潰瘍がよくなったということなのですが、それもこの図と比較するとプラセボと大きな差がないというところです。

 あと、もう一点論点で気になりましたのが、「難治性」ということです。ほかの2つの治療法を使ってうまくいかなかった人ということなのですが、そういうものでも、下のグラフで黒い四角のプラセボを御覧いただくと、プラセボであったとしても、ずっと治療していくと、20週までいくと30%ぐらいは通常の治療でもよくなっています。こうした状況を考えると、この評価は難しいとは思っています。

 安全性に関しては特に大きな問題がないし、アメリカでリコンビナントのBlack box warningが昨年削除され、疑惑が解消されるまでに20年近く掛かっていると思うのですが、化学物質のがんの増殖性を否定するのは難しいのに比べると、これは本人の血液を濃縮しているものですから、がんの増殖性の話を余り考えなくてもいいのではないかと思います。

 ベースラインの病気が病気の方々ですので、有害事承としては発現していますが、直接の因果関係はなさそうだと思いました。この領域については専門の先生の御意見とは、データだけを見ている者の意見に多少違いが生じていますが、以上が私の評価です。


○山口座長
 続きまして、山中構成員から評価をお願いします。


○山中構成員
 31ページに私の評価がございます。まず有効性ですが、結果自体は、試験前の期待の有効率が30%に対して72.7%ですので、大幅にいいのですが、その意味で有望である可能性は示唆されていると思うのですが、少数施設による22例の結果だけですので、この結果の再現性を見るという観点から、サポートするデータが欲しいと思っています。もちろん、症例数を集めるのが厳しい領域の疾患ですので、RCTをやってくださいとは思わないのですが、臨床研究の方法論に鑑みますと、結果の再現性が期待できるという観点からすると20例ちょっとではと思います。何施設から登録があったかというのは総括報告書には書いていなかったのですが、恐らく4施設か5施設ぐらいではないかと思います。

 先進医療Aのときと比べて、この治療がいろいろな施設でできるようになったということはいいことだと思うのですが、もう少し再現性を期待できるような結果があるといいと思って、従来の医療技術を用いるよりもやや有効であるというBにしました。

 安全性に関しては、患者自身の血液を用いているわけですから、安全性の担保はできると予想できますし、試験の結果はこれをサポートする結果であると思いますので、安全性に関しては問題ないと思います。

 技術的な成熟度に関しては、当該分野を専門として経験を積んだ医師であれば指導できるというように判断しております。以上です。
 

○山口座長
 続いて、五十嵐技術専門委員から御評価をお願いします。


○五十嵐技術専門委員
 私の評価は32ページに書いてあります。私は皮膚科医でして、創傷治療も自分もある程度は専門にやってきたことはあるのですが、褥瘡の患者とか下腿の難治性潰瘍の患者をかなりみています。その観点から申し上げますと、有効性が割れてしまっているのですが、「大幅に有効」と「やや有効」と書いてあるので、その中間ぐらいの「有効」としたいのですが、これをどちらを付けるかを迷ったのです。でも、やや有効よりもいいという印象があったので、Aに○を付けた次第です。

 現場の感覚で言いますと、これは全治療は4週間ですが、VAC若しくはトラペルミンで、向こうのものを入れたと。先ほど、プラセボでももうちょっと見ていけば37%ぐらいは治癒するというデータがあるのですが、我々の感覚からすると、4週間VAC若しくはトラペルミンというフィブラストスプレーを使ってよくならないものは、その後も続けてもまずよくなりません。数少ないですが、そういった症例をピックアップしていって、これだけの成績が出ているというのは、やはりこの治療法はある程度パワーがあるかなと思います。

 もちろん、n数は少ないですし、試験の組み方が難しいと思うのです。もちろんRCTは無理でしょうけれども、症例数を増やして、先ほどおっしゃったようなことはあるのですが、なかなか組み入れは難しいかなと思います。

 症例報告などはそこそこあるので、その論文も見てみましたが、血管炎などがあって難治性の潰瘍に使ってみて、すごくよくなったという論文も見ましたので、VACを認めているのだったら認めてもいいかなというような感じの治療技術かなと思います。

 ここで話をしたらいいのか分かりませんが、VACというのは11,000点ぐらいの点数が掛かるのです。3週から長くて4週使えるということです。そうすると、マックスで30万円ぐらい掛かってしまうような治療法なのですが、これは恐らくもっとかなり安くなります。点数をどう付けるかは分かりませんが。そういった意味では、費用対効果は悪くないのではないかと私は思います。

 もちろん、安全性も本人の血液から取っているものですし、技術的にもクエン酸採血して、遠心して取ればいい話なので。技術的にも難しくないです。あとは振りかけるだけです。この専用のキットがあるらしいのですが、また薬事承認を取るとなるとすごく高い値段になってしまうので、普通の……で……もいいかなという気もするのですが。余談です。


○山口座長
 伊藤先生から追加がありましたら、どうぞ。


○伊藤()構成員
 この技術そのものの新しいところは、細胞調製施設を必要としない分離容器があって、それで自分の血液から医薬品を製造して作るところにあると思います。そうではあるのですが、純粋に試験として、ほかの試験と比べてみたときに、治療を受ける人に対して著しく有効であると言うほどの評価ができるかと言われると、相当厳しいのではないかと思いましたので、試験として見たときの評価をさせていただきました。


○山口座長
 ただいまの御説明について、何か御質問などはありませんか。これは症例数が少なくて、しかも施設の分布がばらついていたり、ある施設だけがものすごくよかったりということは分からないですか。


○医政局研究開発振興課長補佐
 総括報告書の中に明示はされていないのですが、症例ごとにそれぞれ施設番号と思われる番号が振られており、それぞれの症例ごとの有効性に関するデータは載っておりました。申請者に問い合わせてみないと分からないのですが、それぞれの施設ごとの有効率というのは算出できると思います。施設ごとの登録症例数については、5施設ですが、比較的満遍なく登録されておりました。


○山口座長
 ほかに何か御意見、御質問はございませんか。


○伊藤()構成員
 追加ですが、これは特定の施設がごっそりやっているというよりは、比較的少数例をたくさんの施設でやられていて、各施設ごとのばらつきを評価できる状況ではありませんでした。


○山口座長
 何か御意見、コメントはございませんか。


○山本構成員
 このPRP療法ですが、再生医療等新法の対象になっていて、再生医療の委員会にかかるのです。私は阪大の再生医療の委員会のメンバーなのですが、かなりたくさんかかっていまして、普通のクリニック、歯科ですらやっていらっしゃる状況でして、なので、テクニックはすごく簡単で、患者の血液を採って、遠心器で回してグッと濃くして振りかけるだけなので、多分、再生医療で引っ掛かる前は、かなり皆さんやっていらっしゃったもののようなのです。なので、エビデンスはないけれども、実際には、一時期ある種の領域では当たり前のようにやられていた治療のようで、それをこういう状況になって、改めてエビデンスを求められて、その中でやられたのかなという感じはいたします。

 それなので、医薬品の、非常にリジッドな試験デザインをそのまま当てるというのは、フィットしにくい領域のものなのではないかという感じがすごくしました。この結果について何か言うものではないのですが。

 今回は、新しいキットを入れたからというのと、もともと再生のほうで対象になっているので掛けざるを得なかったのだと思うのですが、それと先進Aでやっていたので、移行せざるを得なかったと思うのですが、技術としてはほぼ手技に近いものなので、こういうものについてはどういう試験デザインがいいのかというのは、別途考えていく必要があるのかなということを素直に思いました。


○山口座長
 五十嵐先生、今の「一般に結構行われていた」というコメントがありましたが。


○五十嵐技術専門委員
 確かに、昔からこういうことをやっている所はパラパラありました。でも、少なくとも先進医療に入ってからは、そんなに私たちの領域で積極的にやっている感じではないですかね。ただ、割と、ちまたでは変なことに使っているのですよね。


○山中構成員
 先ほど話が出てきたのは厚生科学審議会の再生医療等評価部会のことだと思うのですが、再生医療等評価部会の中で、どのぐらいが第3種としてPRPが行われているかということを厚労省のほうでデータを取ってくれていて、オープンにもされているのですが、PRPとがんワクチンが圧倒的に多かったのです。中でも、PRPは美容目的が多いと思うのですが、かなり行われていて、先ほど山本先生も言ったとおり、エビデンスはないのですが簡単ではあるので、美容目的とか歯科領域などでかなり行われているようでした。


○山口座長
 恐らく現場で困っている病態なので、何でもやってみるということがあったのでしょうかね。ほかに何かコメントなり御質問はございませんか。

 それでは、基本的にはひどい副作用もありませんし、当初の目的はある程度達成できて、ある程度の効果は認められているということは皆さん一致したところで、ただ、今後保険収載をどういう具合にやっていくかということについては、症例が少なすぎるのではないかという意見、あるいは施設が偏っていないかという意見が出ましたということを申し述べますが、一応ここで判断することではありませんので、皆様の評価をこのまま取りまとめて御報告するということでよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、告示番号36については、ただいま申し上げましたとおり、結果を取りまとめて先進医療会議に報告いたします。五十嵐先生には、御担当いただいた技術の審議は終わりましたので、退室いただいても結構です。貴重な御意見をありがとうございました。

 

(五十嵐技術専門委員退室)

 

○山口座長
 続いて、申請医療機関からの各種報告について、事務局から御説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局でございます。資料343ページを御覧ください。こちらは以前より御報告しておりますが、国立がん研究センター中央病院からの報告です。告示番号B63、マルチプレックス遺伝子検査についての続報です。「申請医療機関からの報告について」に沿って御説明いたします。

 経緯といたしましては、申請医療機関の国立がん研究センター中央病院が行った監査の結果、千葉大学附属病院において本人ではなく家族が同意書を代筆している症例が認められたとの報告があり、第83回先進医療部会において下記2点について報告を求めました。

 1点目としては、今回の同意書代筆事案の経緯等が倫理審指針違反に当たるのか、また再発防止策等の倫理審査委員会の審理結果の報告を行うこと。2点目は、倫理審査委員会の審査内容について事実関係の報告を行うことです。これに対して、第84回先進部会において、同意書代筆事案については、1同意書の記載に不備があった代筆事案であり、同意が取得できていないまま研究を開始した事案ではないため、重大性はないと認められると判断されたこと及び、2本事案の概要、これまで以上に遵守を徹底すべきルール、改善に向けた工夫等を附属病院及び医学研究院内でメーリングリストや研修等で周知を行うことを再発防止とすることで了承されたことが報告されました。

 一方で、倫理審査委員会への申請等の状況については、平成305月に他の試験の共同研究先として国立がん研究センター中央病院を追加する変更申請・承認を経て、同年8月上旬に国立がん研究センター中央病院に協力医療機関の追加申請書類を提出しましたが、他の試験の変更申請ではなく、個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査研究(先進医療B)として、新たに倫理審査を実施するよう指示され、再度審査が行われ、8月中旬に承認後、先進部会に申請されていることが明らかになりました。

 当該報告を受けまして、第84回先進部会の後に千葉大学に対して同様の事例がないか確認し報告を行うことや、先進医療を管理する部門の役割の強化、見直しを求めておりました。この度、千葉大学より追加報告書が提出されましたので、概要を御説明いたします。

 原因究明については、先進医療の支援・管理体制を事務担当で整備していたにもかかわらず、研究者及び生命倫理審査委員会事務局に対して周知をしていなかったため、フローの周知が徹底されておらず、組織的に対応することができていなかったということで、第84回先進部会に報告した周知等の再発防止策を実施したとのことでした。また、45ページ上段のとおりでございますが、先進医療に関わる手続の周知・徹底を行ったとのことです。

 さらに先進医療の適切な管理体制の充実のために、1臨床試験部が申請窓口となり、臨床研究基盤整備推進・管理委員会に定期的に実施状況の報告を行っていたところ、今回の事案を受けまして、同委員会の関係規程等を改正し、先進医療の手続を管理する委員会として明確化したとのことです。

 また、2医学研究院にて先進医療として行われる遺伝子解析研究においては、附属病院のガバナンスが効く形となるよう、病院長から生命倫理審査委員会への審議依頼を行い、結果通知がされた後、病院長から研究実施の許可を行うよう附属病院のフロー図に合わせる形で関係規程の改正を行い明文化したとのことでした。

 内部調査結果ですが、千葉大学附属病院において実施中のその他の先進医療B8試験については、同様の不適切事例はなかったとのことです。

 46ページ、まとめと今後の対応方針ですが、同意取得に関する教育及び院内の先進医療に係る手続の周知を研修の機会等を活用し、また先進医療の実施に対し病院長のガバナンスが効くよう、関係規程の改正等を実施したということで、本事案について追加で対応すべき点がないか御審議いただければと存じます。以上でございます。


○山口座長
 本件について、何か御意見、御質問ございませんでしょうか。


○藤原構成員
 前職はここの病院なので利益相反はあるかもしれませんが、今回のこの令和元年1017日付け資料3と、前回の第84回の平成31417日付けの部会に出した資料の千葉大学さんからの回答書を比較してみても何の変化もないので、相変わらず分からないなという気がいたします。というのは、例えば資料343ページの2つ目のマルの所ですが、平成31327日に千葉大学倫理審査委員会で審議が行われたと書いてあるのですが、後のいろいろな書類を見ると、千葉大学にはその当時、医学研究院の生命倫理審査委員会と、恐らく医学部附属病院の臨床研究倫理審査委員会ですか、そういうものが存在していて、どちらにかけてこれを審議したのかが読み取れないというような様々な問題など、50ページの「チェック等体制フロー図」というのは、前回の提出されたフロー図と全く同じで、ここに附属病院の臨床研究倫理審査委員会と医学研究院の生命倫理審査委員会とかが、どのように関わっているのかが全く分からないというところもあります。

 私がこれを読んでいて一番気になったのは、この技術審査部会あるいは先進医療会議で、千葉大学の耳鼻咽喉・頭頸部外科でしたか、先進医療の変更申請が遅れたということで、かなり長い間審査をしていて、そのときに千葉大学さんからはきちっと体制を整えましたと、これからは起きませんという最中に、これが起きていて、相変わらずまた更に整備しましたなどと同じような回答をしているので、では一体いつになったら整備が終わるのだろうなというのが懸念として残るのです。その当時、耳鼻科に関して先進医療技術審査部会が指摘した事実がいつあって、それに対してどういう対応をしている中、こういうことが起きたかというのは、やはり報告書の中にきちんと入れていただかないと、個々の講座で起きたことではなくて、病院の中で起きたことなので、病院全体としてこの先進医療Bの申請が変なところに行ってしまって、変な審査をされたことになったかというのが、全くその経緯が、研究担当者が気付かなかったとか、事務局が不備だったとか言っていますが、その不備を指摘されて改善している最中に起きているわけですから、そこがどのようになったか、もう少し詳細に書いていただかないと判断が付きません。


○山口座長
 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。何となく局所的なここが悪かったという話ばかりで、具体的にどのように改善されたかよく分からないところがあります。対応の仕方が、現場の責任のような感じになっている感じがします。あとは同意書の問題ですが、同意書はやはり非常に重要なのに、お姉さんか誰か代諾者が勝手かどうか分かりませんが、とても似たサインを書いているというのは、資料58ページの真ん中辺りに書いてあります。日付も抜けているし、これは当然チェックされるはずなのだけれども、こういうことが引っ掛かっていないということが非常に大きな問題です。ほかの8つの事例では同様のことはなかったというのは、一部を調べたことだと思うので、同意書がきちんと取れているか、是非全部確認する必要があるのではないかと思います。さらっと書いていますが、もう少し重大に受け止めてやってほしいというのは私の感想です。どなたか御意見ございませんか。


○柴田構成員
 私も藤原先生と同じように関係する医療機関の者でもあるので、コメントするのが問題であれば事務局から御指摘いただければと思います。この特定の先進医療としてではなくて、先進医療の前提となる臨床研究のやり方に対する一般論としてコメントさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○山口座長
 どうぞ。

 

○柴田構成員
 56ページに今回の2つ目の問題に対する時系列が書いてありますが、2016926日、2017719日、2018514日と審査状況が書いてあるのですが、今回先進医療に上がってきたものと、先行研究とは全く独立の別の研究のはずです。これは明らかなことであって、それを変更申請で承認すれば研究が実施できるという判断は、先進医療かどうかにかかわらず、倫理指針に抵触するのではないかなと思います。実際、倫理指針には、倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可を受けた研究計画書に従って、適正に研究を実施しなければならないと書いてあるわけで、全く異なる研究計画書が2通あるのであれば、それは変更申請ではなくて新規申請とされるのが当然のことだと思います。

 例えば具体的に考えますと、臨床試験に登録しようと思ったときに、どこに登録するのか、そういう手順すら違いますし、対象も評価項目も患者さんに対するどのような対処をするのかも、研究計画書に書いてある内容は全く異なります。それは変更申請ではなく、新規申請であることは自明だと思うのですが、そのことについて47ページなどを拝見しますと、先進医療としてではなく既存の研究の変更申請として倫理申請を行ったなどと、先進医療であることに対応できていなかったなどと書いてありますが、本来であれば先進医療でなかったとしてもこれは臨床研究のやり方として不適切なのではないかなと疑われるところです。それに対して、きちんとした原因の分析がなければ、適切な対策も取れないのではないかなと思います。これが倫理指針上問題であるかどうかは、研究開発振興課の担当の方に御判断いただきたいと思いますが、資料を拝見していてそこが気になりましたので、先進医療として先進医療に絞って検討されていること自体、それ自体は否定しませんけれども、それ以前の問題として、先進医療の通知にも倫理指針あるいは臨床研究法に従って行うことという条件がありますので、その臨床研究の実施体制に対して疑念を抱かせるような回答書になっていることは、残念ではないかなと思う次第です。


○山口座長
 ありがとうございました。ほかに何かございませんか。これは申請書を見たら違うということが分からないのでしょうか。私は現場の状況を想像できないのですが。分からなくて紛れてしまうものだったら、何が出てきても適当にやっているという話になってしまうように思います。もう事務が出してきたとおりに流しているということに結局なってしまいますよね。もう一回問い合わせたいと思いますが、ほかに何かこういうところを聞いてほしいなど、何かございましたらどうぞ。


○真田構成員
 私が申し上げるのも如何かとは思うのですが、やはり千葉大学医学部附属病院さんは臨床研究中核病院ですよね。ですから、やはり一般的な研究を行っている施設と比べてもレベルの高い自律性が求められると考えて然るべしと思います。そこで一度ならず二度までも報告が求められた状況で、このような一種残念と言われる報告が上がってきているというのは、やはり一般的な事象よりも深刻に考えていただいたほうがよいのではないかと思います。私もかつて事務局を担当していたときに、某地方の病院の事案でかなり掘り込んだ議論をやって、彼らは全例同意書を掘り返して確認をしたという、3千幾らだったか正確な数は忘れましたけれども、そのぐらいやって初めて先進医療の再開が認められたことがあります。事例がやはり深刻であったということもありましたが、それを差し引いてもやはりそこは臨床研究中核病院ということで、より高い自律性を求めたいと私は思います。


○山口座長
 貴重な御意見ありがとうございました。ほかにございませんか。前から同意書についていろいろな所で事件が起きていますが、確かにおっしゃるとおり、こういう病院でこういう同意書が堂々とまかり通っているということはやはり非常におかしいと思うのです。それではもう一度、千葉のほうには質問を出して、また報告したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。それでは、続きまして試験実施計画の変更について事務局から説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。今回、試験実施計画の変更が12件と多くございます。それぞれの変更の内容ごとに分けて進めさせていただきます。まずは、再生医療等安全確保法改正対応による関係書類の修正に御対応いただいた試験が2件ございます。

 1件目ですが、資料465ページを御覧ください。名古屋大学医学部附属病院からの申請で、告示番号33、骨髄由来間葉系細胞による顎骨再生療法です。適応症は腫瘍、顎骨骨髄炎、外傷等の疾患による広範囲の顎骨又は歯槽骨欠損です。

 御審議いただく主な変更内容については66ページを御覧ください。また様式15についてはA3の別冊資料を御参照ください。主な変更内容としては、1再生医療等の安全性の確保等に関する法律関連通知の改正による変更。2試験期間の延長。総試験期間を2年、登録期間を1年延長ということです。3骨髄液再採取の説明・同意文書の改訂となっております。変更申請の理由については66ページ下段に記載がありますが、試験期間の延長について予定の残り試験期間内に症例集積が完了しない可能性が高く、1年の登録期間を延長して組入れの完成を目指す。またデータ解析等の期間を勘案し総試験期間を2年延長するとのことで、その他関連の医療機関に周知を行って組入れを促進するとのことです。

 また、説明・同意文書の改訂に関しては、骨髄液の再採取を行う条件についての記載を追加したとのことです。以上でございます。


○山口座長
 本変更内容について、何か御意見、御質問ございませんか。どれも比較的妥当なところかと思いますけれども、よろしいでしょうか。それでは告示番号33の変更については認めることといたします。続いて、次の実施試験計画の変更についてお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料569ページを御覧ください。こちらも再生法改正対応の変更となっております。東海大学医学部付属病院からの申請で、告示番号70、自己軟骨細胞シートによる軟骨再生治療、変形性膝関節症(軟骨欠損を伴うものであって、高位脛骨骨切り術の適用となるものに限る)です。適応症は変更性膝関節症の軟骨欠損です。御審議いただく主な変更内容については70ページを御覧ください。また、こちらも様式15についてはA3の別冊資料を御参照ください。

 主な変更内容としては、1再生医療等安全性確保法改正対応による関係書類の追記及び記載整備、2資料及び書類等の保管期間の変更となっております。内容等については、事務局で特に問題ない点を確認しております。以上でございます。


○山口座長
 本変更内容について、何か御意見ございませんでしょうか。特に問題もないと思いますので、告示番号70の変更についても認めることといたします。続いて、次の試験実施計画の変更についてお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 御説明いたします。臨床研究法施行への対応について、いわゆる努力義務の試験ではありますが、御対応に伴う変更申請が2件ございます。

 まず1件目ですが、資料673ページを御覧ください。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構QST病院からの申請で、告示番号46、ゲムシタビン静脈内投与及び重粒子線治療の併用療法です。適応症は膵臓癌(遠隔転移しておらず、かつ、TNM分類がT4のものに限る)となっております。御審議いただく主な変更内容については74ページを御覧ください。また、様式15についてはA3の別冊資料を御参照ください。

 主な変更内容としては、臨床研究法に沿った追記や記載整備となっております。内容についても事務局で確認いたしましたが、特に問題ない点を確認しております。以上でございます。


○山口座長
 本変更内容について、何か御意見ございませんか。


○藤原構成員
 74ページで、使用機器の製造販売業者が三菱電機から日立製作所に変わっているのですが、重粒子線の機械が変わったなら、とても大きな変更なのですけれども、どういうことなのですか。


○医政局研究開発振興課長補佐
 すみません。詳細について事務局で把握しておりませんので、確認してまた御報告いたします。


○山口座長
 それは確認するということで。ほかにございませんか。それでは今、藤原構成員から指摘された点を確認した上で、それが納得いくものであれば、告示番号46の変更についてはお認めしたいと思います。これはどういう手続にいたしましょうか。座長に一任していただければ、それでもいいですし。もちろん皆様に御報告したうえでということです。そういう手続でよろしいでしょうか。あるいは、もう一回出させるということもありますけれども。


○一色座長代理
 この機器については全く知識がないのですが、重粒子線の治療の有効性とかが機器によって変わるものなのでしょうか。


○藤原構成員
 いや、分からないので。ただ機械が変わるというのはすごいことなので。


○一色座長代理
 そうですね。

 

○山口座長
 恐らくコストの問題など、いろいろなことを勘案して決めるのだと思うのですけれども、何か理由がないとちょっとおかしいですね。性能を重視しただとか、価格を重視したとか。非常に大きなポイントかと思いますので、これは問い合わせた上で決めたいと思います。ほかにございませんか。それでは、一応仮にお認めすることといたします。それでは、次の試験実施計画の変更についてお願いします。

 

○医政局研究開発振興課長補佐
 資料775ページを御覧ください。こちらも臨床研究法へ御対応いただいた努力義務の試験でございます。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構QST病院からの申請で、告示番号64、重粒子線治療直腸癌(術後に再発したものであって、骨盤内に限局するものに限る)です。適応症は直腸癌となっております。御審議いただく主な変更内容については76ページを御覧ください。また、様式15についてはA3の別冊資料を御覧ください。

 こちらも臨床研究法に沿った記載整備が主な変更となっておりますが、先ほど藤原先生から御指摘いただいたように、こちらの試験についても使用する機器の製造販売業者が変更となっておりますので、併せて事務局より問い合わせるようにいたします。


○山口座長
 ただいまの変更内容につきまして、何か御意見ありませんでしょうか。やはり機器の変更は先ほどと同じでしょうか。ここも問い合わせるべきかと思いますので、それはよろしいでしょうか。


○後藤構成員
 これ、機器が変更したというよりも、販売業者の変更、例えば三菱電機株式会社の事業の縮小に伴って、その部分が日立製作所に吸収されたとか、そういう可能性もあるので、必ずしも機器が変更されたというよりは、販売している所を変更したという可能性のほうが、三菱電機はなかなか大変な状況におありになると思うので、そういうほうが可能性としては高いのかなと思いました。


○山口座長
 貴重な御指摘ありがとうございました。

 

○真田構成員
 些細なことかもしれませんが、こちらの技術の変更内容の5番の所に協力医療機関の追加と書いてあるのですが、これは普段は別項目で様式第9号を出して議論していただいているところで、それはもう済んだという解釈でいいのでしょうか。


○医政局研究開発振興課長補佐
 ご指摘ありがとうございます。こちらについては、通常通り別途対応しております。


○真田構成員
 そうなのですか。分かりました。


○山口座長
 ほかにございませんか。それでは告示番号64の変更についても、先ほどの46と同様の問合せをして、確認して、調べてみて認めることといたします。続いて、次の試験実施計画の変更について御説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料877ページを御覧ください。ここからは試験期間の延長が主な変更内容となっている試験が6件ございます。

 まず1件目です。埼玉医科大学国際医療センターからの申請で、告示番号1、パクリタキセル静脈内投与(1週間に1回投与するものに限る)及びカルボプラチン腹腔内投与(3週間に1回投与するものに限る)の併用療法です。適応症は上皮性卵巣癌、卵管癌又は腹膜原発癌となっております。御審議いただく主な変更内容については79ページを御覧ください。主な変更内容としては追跡期間の1年間の延長でございます。本試験では当初の予定症例数654例に対して、既に655例の症例が登録されております。しかし、現時点のイベント集積状況より、予定の集積期間が終了した時点で目標イベント数に到達しないことが予想されたため、プロトコル規定の記載に従いまして、追跡期間延長を検討した結果、1年間の追跡期間の延長を行うこととしてプロトコルを改正したとのことです。以上でございます。


○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御意見ありませんでしょうか。特にございませんか。それでは、告示番号1の変更については認めることといたします。続いて、次の試験の実施計画の変更について御説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料981ページを御覧ください。試験期間の延長に関して、独立行政法人地域医療機能推進機構仙台病院からの申請です。告示番号7番、コレステロール塞栓症に対する血液浄化療法です。適応症はコレステロール塞栓症となっております。御審議いただく主な変更内容については81ページを御覧ください。こちらについても東北大学のCRB事務局より解析に係る期間を15か月間設けるため、試験実施期間を延長するよう指示があったため御対応いただいたとのことです。なお、目標症例数35例でしたが、最終的には34例で症例の登録は終了となっております。目標症例数に1例足りておりませんが、解析の必要な症例数には達しているとのことで事務局より確認しております。以上でございます。


○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御質問、御意見ございませんか。


○掛江構成員
 些末なことなのですが、「登録修了」ありますが「修了」は「終了」でしょうか。ただ単に、誤植なのでしたら直していただきたいなと思っただけなのです。


○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘いただきましてありがとうございます。修正させていただきます。


○山口座長
 どうも御指摘ありがとうございました。ほかにございませんか。それでは、告示番号7の変更について認めることといたします。続いて、次の試験実施計画の変更について事務局から御説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1083ページを御覧ください。引き続き、試験期間の延長に関するものですが、北海道大学病院からの申請で、告示番号25C11標識メチオニンを用いたポジトロン断層撮影による再発の診断です。適応症は、頭頸部腫瘍又は上咽頭、頭蓋骨その他脳に近接する臓器に発生する腫瘍となっております。

 御審議いただく主な変更内容については84ページを御覧ください。こちらも統計解析等に要する期間として試験実施期間を1年延長するというものです。こちらの試験については、目標症例数が99例に対し最終的に61例の登録で新規登録は終了しております。ただ、登録された61例のうち、病理診断が陽性、再発ありと判定されている症例が32例となっており、試験計画時の目標が33例ということで、1例足りてはおりませんが、32例でも試験実施計画書で定めた検出量を十分に確保できるということで、主要評価項目の評価を行う上では問題ないとお聞きしております。以上です。


○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御質問、御意見ございませんか。これは解析に時間が掛かるという見込みで延ばしてほしいということですか。


○医政局研究開発振興課長補佐
 CRBのほうから、解析期間も試験期間に含めて設けるようにという御指摘があるようでして、それに対応いただいたということだと認識しております。


○山口座長
 ほかに何かございませんか。それでは、告示番号25の変更について、お認めすることといたします。それでは、次の試験実施計画についてお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1185ページを御覧ください。こちらも試験期間の延長に関するもので、東京大学医学部附属病院からの申請で、告示番号38FOLFIRINOX療法です。適応症は胆道癌(切除が不能と判断されたもの又は術後に再発したものに限る)です。

 御審議いただく主な変更内容については86ページを御覧ください。主な変更内容としては、1登録期間の1年の延長、2使用薬剤の添付文書の改訂による除外基準の追加、3主施設(東京大学)における登録症例数の上限引上げとなっております。登録期間の延長については症例登録が遅延しているためとのことで、今回の延長によって2020年中に残りの症例の登録完了が見込まれるとのことです。以上です。


○山口座長
 変更内容につきまして、何か御質問、御意見はございませんでしょうか。症例登録は最近は少し良くなっていますけれども、これが続けば、延長してもらえばそこそこ到達するという見込みですね。何か御質問ございませんか。


○後藤構成員
 これは除外基準が追加されたときに、これに基づいて見直したか見直さないかということは、余り大きなことではないのでしょうか。今までは医師が不適当と判断した症例ですけれども、変更後は医師の判断を若干縛るものになっているのですが、これに基づいてきちんと変更後の除外基準に適応しているかどうかというのは、どこかで確認しているということでよろしいのでしょうか。


○医政局研究開発振興課長補佐
 こちらの変更につきましては、添付文書がそのように改訂されまして、それに合わせて今回変えていただいたということになっております。


○後藤構成員
 では、それは「やりました」という報告でいいということの理解でよろしいのでしょうか。


○医政局研究開発振興課長補佐
 一応、今回この場で御報告させていただき、御議論いただいているところです。


○後藤構成員
 分かりました。


○山口座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。それでは、ないようですので、告示番号38の変更についてもお認めすることといたします。続きまして、次の実施試験計画の変更につきましてお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1289ページを御覧ください。北海道大学病院からの申請で、告示番号40C11標識メチオニンを用いたポジトロン断層撮影による診断、初発の神経膠腫が疑われるものとなっております。適応症は、初発の神経膠腫が疑われるもの(生検又は手術が予定されている患者に係るものに限る)です。

 御審議いただく主な変更内容については90ページを御覧ください。こちらも先ほどの告示番号25の試験と同様ですが、統計解析等に要する期間として、試験実施期間を1年間延長するというものです。こちらの試験についても、目標症例数が90例、うち主要評価に必要な症例数として設定した低悪性度神経膠腫19例に対し、PET検査症例が74例、低悪性度神経膠腫15例の登録で、試験は終了しております。本件でも、目標症例数に到達せず新規患者登録を終了していることについて、最終的な解析に支障がないか研究者に問合せしておりまして、PET検査実施数は目標症例数に達しておりませんが、高悪性度、低悪性度を合わせた神経膠腫の症例数が目標症例数の38例に達しており、悪性度にかかわらず有効性並びに安全性に関わる評価を行うため、最終的な解析には支障がないということでした。以上です。

 

○山口座長
 ただいまの変更内容につきまして御意見ありませんでしょうか。それでは、ないようですので、告示番号40の変更について認めることといたします。それでは、次の試験実施計画の変更につきまして説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1391ページを御覧ください。金沢大学附属病院からの申請で、告示番号57131I-MIBGを用いた内照射療法、神経芽腫です。適応症は、神経芽腫(COGリスク分類又はINRG治療前分類で高リスク群と診断されるものであって、化学療法及び造血幹細胞移植が行われる予定のものに限る)となっております。

 御審議いただく主な変更内容については92ページを御覧ください。主な変更内容としては、こちらも試験期間の延長となっております。目標症例数は8例でしたが、現在7症例が登録済みで、残りの1症例についても登録期間と研究期間、それぞれ半年間延長することで達成可能とのことでした。以上です。


○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御意見ありませんでしょうか。あと1例ということですよね。珍しい病気なので、この程度の延長をお願いしたいということですが、よろしいでしょうか。何かコメントありますか。ないようですので、告示番号57の変更についてはお認めすることといたします。

 次の試験実施計画の変更につきまして、説明をお願いいたします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 ここからの2件に関しては、症例集積が不調であることを理由に適格基準が変更された試験となっております。

 まず1件目ですが、資料1495ページを御覧ください。静岡県立静岡がんセンターからの申請で、告示番号26、術前のS-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びトラスツズマブ静脈内投与の併用療法です。適応症は、切除が可能な高度リンパ節転移を伴う胃癌(HER2が陽性のものに限る)となっております。

 御審議いただく主な変更内容については、96ページを御覧ください。主な変更内容としては、適格基準の変更及び記載整備となっております。今回の変更申請の理由ですが、患者登録不良のため、適格基準の変更を検討されております。96ページの下段に主な変更内容の記載がありますが、1適格基準の変更として、登録前上腹部CTにて、C)短径15mm以上の領域リンパ節について、サイズの定義と年齢上限の変更を行うとのことです。

 具体的にC)の症例では、通常の胃切除術+D2リンパ節郭清が行われますが、日常診療でも高齢者に安全に行われているため、年齢上限を75歳から79歳に変更する。また、C)の症例は腹膜播腫の可能性が非常に低いため、審査腹腔鏡を不要とする。さらに術前CTでリンパ節転移ありの定義を、「短径15mm以上」から「短径9mm以上あるいは長径12mm以上」に変更するとのことです。

 これらの適格基準の変更により、月当たり34例、年間50例の登録が見込まれておりますが、予定している20213月までの登録完了は難しい可能性があるとのことでした。ただ、現時点で20214月以降の薬剤調達の目途が立っておらず、同時に登録期間の延長を行うことは困難であり、上記改訂で期待どおりの患者登録が得られれば、その実績を基に薬剤調達のための交渉を行う予定とのことでした。以上です。


○山口座長
 なかなか苦しんでいるようですが、何か今の変更内容につきまして、御質問、御意見ございませんか。胃癌は全国的にやはり減ってきていますし、特に進行がんはかなり減ってきているのは事実で、そのうち胃癌がなくなってしまったら、もう研究がなくなってしまうことになってしまうので、研究を急がなければいけないのではないかとも思います。


○山中構成員
 見込まれていた症例が全く入らなかったということですけれども、試験計画時には参加施設のそれまでの症例実績から、ある程度見積もっていると思うのですよね。それがかなり外れていたということで、1つには山口先生がおっしゃるとおり、患者自体が減少傾向だというのはあると思うのですが、それにしても下回り過ぎだろうというのはあると思います。多少年齢を緩めたり、サイズの定義変更をしたりで1年に50人入るとされています。今の実績として1年で5人だったのが1年で50人入るという、私もいろいろ臨床試験をやっていますが、なかなかない上方修正だなと思うのです。10倍の登録スピードが得られるというのは、なかなか珍しいのですが、すみません、胃癌を専門としている山口先生にお伺いしたいのですが、大体このぐらい条件を緩めて10倍のスピードになることが期待されると先生は思われますでしょうか。


○山口座長
 いや、難しいのではないでしょうか。


○山中構成員
 難しいとなると、どこかの時点で事務局にお願いですが、薬剤調達の問題もあるということなのですが、それ以前に進捗がよくない試験をだらだらやっているのもよくないと思うので、どこかの時点で早めにあらためての判断をされるというのも考えたほうがいいのではないかと思います。終わらない試験をだらだら続けることというのも非倫理的ではあるので。


○山口座長
 御指摘のとおりだと思います。その辺りもう一度コメントを頂くようにしましょうか。非現実的ではないかという指摘です。例えば半年でそのペースでいけないのだったらもうやめなさいとか、何かそういうことになるのではないかと思うのですけれども。確かに1年間だらだらやって、挙げ句の果てに数例しか入らなかったら、何のための延長かということにはなります。そういう問合せを一度してみたいと思います。それから、薬はもうメーカーが支給しないことになるということは、大丈夫なのでしょうか。


○医政局研究開発振興課長補佐
 薬剤調達に関しまして、進捗については3か月ごとに企業と情報共有を行っていただいているという情報は得ております。もし仮に、企業から薬剤提供が困難となった場合であっても、研究費による薬剤の購入というものを検討していただいているようです。


○山口座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。これには簡単に3人から4/1か月、50/年での登録が見込まれるという、その根拠を少し説明してもらいたいという問い掛けをちょっとしたいと思います。よろしいでしょうか。


○飛田構成員
 1点確認させていただきたいのですけれども、今回C)のサイズを少し緩めるということで、患者さんのセレクションのときの診断の陽性的中率というのが、もともと98.4%あったものが82.5%ということで、診断性能としては十分だという説明がされているのですけれど、要は何が言いたいかというと、ある程度確定診断されているような患者さんたちが今まではリクルートされていたのだけれども、ちょっとそこを見逃してしまうような患者さんというのが、この試験に参加させられるという可能性が何か少し出てきているのかなというところで、ここが臨床的に問題があるのかどうなのかという、ちょっとそこの判断が付かないので、その辺りもサイズを変更するということの臨床的な側面からの補足も付け加えていただけるといいのかなと思います。


○山口座長
 分かりました。その妥当性について、もう少し説明を求めるようにいたしたいと思います。ほかにございませんか。それでは告示番号26に関しましては、問い合わせてからもう一度ここに掛けるということでよろしいでしょうか。内容がかなり本質に迫るものですので、座長が了解ということでは進まないと思うので、よろしいでしょうか。それでは告示番号26につきましては、再度問い合わせて検討させていただくということにしたいと思います。

 それでは、次の試験実施計画の変更につきまして、事務局からお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1599ページを御覧ください。こちらも適格基準の変更に関するもので、国立がん研究センター東病院からの申請で、告示番号B56、陽子線治療となっております。適応症は根治切除が可能な肝細胞癌です。

 御審議いただく主な変更内容については100ページを御覧ください。主な変更内容としては、1腫瘍の辺縁と消化管との距離についての適格基準の変更、2年齢上限を引き上げる適格基準の変更、となっております。

 101ページに進みます。変更申請の理由ですが、こちらも症例の集積が不調のため、適格基準を変更して症例集積を促進するためとなっております。腫瘍の辺縁と消化管との距離に関して、陽子線照射群については、もともと「2cm」であったものを「1cm」に変更し、手術切除群については距離の基準をなくすというものです。また、年齢上限に関しては、両群とも現行の79歳から85歳に引き上げるとのことでした。こちらについては安全性に関わる問題でもありますので、先進医療の新規申請時に御評価いただいた技術専門委員で、現在聖マリア学院大学放射線科の本田浩先生に見解をお尋ねしております。コメントを頂いておりますので、事務局で代読いたします。

 まず、腫瘍の辺縁と消化管の距離につきましては、粒子線治療の場合、腫瘍と消化管の距離は1cm離れていれば基本的には問題なく、かつ消化管に対する線量制限値が追加されており、安全性は担保できていると考えられる。また、手術群についても日常診療を踏まえて安全性の影響はないと考える、という趣旨の御意見を頂いております。さらに年齢上限の引上げについても、粒子線治療は基本的に年齢やその他の要因で手術が適応とならない症例にも適応可能な治療であり、また、手術群についても参加施設の肝臓外科、放射線治療医間でコンセンサスが得られており、問題ない変更と考えるとのことで、以上、主な変更内容について認めることは妥当と考える、とのコメントを頂いております。以上です。


○山口座長
 本変更内容につきまして、何か御意見ありませんでしょうか。


○真田構成員
 専門家の先生の御見解でも、辺縁の距離を1cmに縮めることに問題はないという御見解だったようですが、そもそもの承認の段階で2cmということでコンセンサスを得て、ここで承認を出しているわけですので、やはり2cmのときの解析結果と、1cmに縮まったときの解析結果において、主に安全性がこの試験の中でも変化があったか、なかったかということについては、やはりこの試験の変更をするという意味においては興味の対象にされるべきなのではないかと思っています。よって例えば総括報告を上げられる際に、その変更したことの影響が、この試験の中でなかったかどうかということ等の考察を必ず加えていただくようにということは、追加で申し上げてもよいのではないかと思います。


○山口座長
 ありがとうございました。貴重な御指摘だと思いますし、実際に2cmから1cmにするのであれば、1cmちょっとしかなかったものについて、副作用は特になかったかどうか、その都度報告してもらうような体制は必要ということですね。


○真田構成員
 その都度か総括報告かということについては、皆様先生方の御判断にお任せしますが、やはり変更される前と変更された後において、その解釈が変わっているということは間違いないので、そこが大丈夫だったかということは、この試験においても確認していただいたほうがいいのではないかという問題意識です。


○山口座長
 この件につきまして、何か御意見ございませんか。


○後藤構成員
 私は今の御意見に賛成で、違う1cm2cmによって、有効性とか安全性に多分変化が現れるというのはあり得ることだと思いますので、年齢だと、ここにも書いてあるように、ある程度その影響はないのかもしれませんけれども、切り方の違いというのは結果に影響があると考えて然るべきかと思いますので、その辺についてきちんと分けて報告いただくという、最終的で構わないので、そういう形にしたほうがいいのではないかと思います。


○山口座長
 分かりました。今の御意見は、最終報告書のときに、狭められたことによって副作用が出なかったかどうか確認してくださいと申し上げるということでよろしいでしょうか。真田先生もそういうことでよろしいでしょうか。


○真田構成員
 それでよろしいと思います。


○山口座長
 分かりました。


○後藤構成員
 そうすると多分、1cmから2cmに変えると、例えば同意文書の変更も併せて行われるということに当然なるかと思うのですが、それはここでこれを認めるということになると、勢い同意文書も変更される手続になると理解してよろしいのでしょうか。


○山口座長
 同意文書の中では、2cmだとか1cmとか記載してあるのでしょうか。


○医政局研究開発振興課長補佐
 今すぐにはちょっとお答えできませんので、確認致します。


○山口座長
 何か改定が必要な事項があれば改定してもらうようにいたします。ほかにございませんか。それでは、告示番号16につきましては、縮めた分だけリスクが増えなかったかどうかということを総括報告書できちんと報告することといたします。では、一応お認めするということにいたします。

 続きまして、協力医療機関の追加につきまして、事務局から御説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料16-1105ページを御覧ください。告示番号54の技術について、協力医療機関の追加申請がありました。資料16-2107ページを御覧ください。事務局において先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御承認いただきたく思います。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。


○山口座長
 では、次に先進医療B及び協力医療機関の取下げについて、御説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 資料17109ページを御覧ください。先進医療告示の取下げ申請が告示番号2及び362件、協力医療機関の取下げ申請が告示番号511件ありました。

 先進医療告示の取下げについて、告示番号2の技術の取下げ理由は試験終了のためで、総括報告書は現在作成中とのことです。また、告示番号36の技術についても試験終了のため先進医療を取り下げるとのことで、総括報告書については先ほど御審議いただいたところです。協力医療機関の取下げについて告示番号51番は、協力医療機関である熊本大学病院が先進医療の実施体制が整わなくなったためとのことです。以上について、特に御意見がなければ手続を進めさせていただきたいと思います。以上です。


○山口座長
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。本日の議題は以上です。構成員の皆様、何か御意見、御質問はございませんでしょうか。


○山本構成員
 先ほどあった千葉大の件なのですが、この議論で出て、もう一度千葉大にコメントを返してということ、別にそれはいいのですけれども、今回起こったことですが、同意は取れているということは確認取れているのですよね。つまり、代筆したのはこちら側ではなくてお姉さんがやっているわけで、それで一緒に説明も聞いているわけですから、そこは千葉大の倫理委員会も問題はないということを認めていらっしゃって、状況として我々も想像が付くのです。

 例えば女の人の中に、自分でサインするのが嫌だというような方もいらっしゃるので、「そんなの怖いからお姉さんやって」というような状況もきっとあったと思います。しかも一般市民の方が、同意書には本人がサインしなければならないものだということを、みんながリテラシーがあるわけでもないですし、日付を書かなければならないものだというリテラシーもそんなに行き渡っていないと思います。実際には、それを受けた医療者が確認して、駄目だったら言わないといけなかったのだけれども、それも見過ごしてしまったということで、これは医療安全の中で言うと、やはりミステイクだと思うのです。単なるミステイクだと思うのですが、確かに同意文書ですから事は重いと言えますけれども、全てを何でもかんでも重い重いと言っていると、医療安全の世界においては「to error is human」と言われていて、無謬性というのは医療においてはないと言っていて、だから、やった本人をそんなに責めないからどんどん上げてもらって、それをできるだけ改善していきましょうという文化ができていると思うのです。臨床研究のほうはいろいろあったからこそ、今は非常に厳しくやっているのですけれども、その中で余り無謬性を追求し過ぎるというのは、そのルールを厳格にすることは今は必要かもしれませんけれども、それをいつまでもやり続けるのはちょっと問題があるのではないかなと思います。

 例えば今回のこととかは、現実的には大学でも例えばナショセンでも若い先生方はどんどん代わっていきますので、幾ら教育をしてもまた教育を受け切れていない研究者というのは出てくるわけです。ですから、施設に「とにかく教育しなさい」と言うだけではなくて、例えば今回の問題であれば、同意文書の形式を「ここは必ず本人が書いてください」とか「日付は必ず書いてください」とか、そのような形式を考えることでミスを減らすということもあり得ると思うのです。

 なので、やはり今後いろいろとミスは出てくると思いますけれども、そのミスを前向きに建設的に直していくために、その施設にミスをなくすように、また「やれ、やれ」と抽象的に言うだけではなくて、例えば具体的にこういうことをしている所があって、そういうことをするともっとミスがなくなるのではないですかとか、医療安全のほうで大分根付いてきているようなシステムエラーをなくしていくということを、やはり臨床研究にもそういう文化を応用していく必要があるのかなと。

 なので、今は厳格にやる必要があると思いますけれども、起こった不適合とか不適切なことの中で、やはり徐々にグレーディングを考えていかないといけないと思います。その上で対策というのも、具体的にこのようにしていくと良くなるのではないかという助言がされていかないと、ただミスをしてはいけないと言っていると、臨床研究の現場がすごく萎縮してしまうような気がするのです。今回は臨床研究中核病院で起こったことですので、それはちゃんと厳粛に受け止めていただく必要はあると思いますが、一方でミスをなくすためには、ただ教育体制をやればいいとか、そういう問題だけではないのではないかなという、いろいろな工夫をしていく必要があるのではないかなということもちょっと思ったので、コメントさせていただきました。


○山口座長
 今、既に同意に関しては、例えば看護師さんは必ず同席するとか、それを看護師さんが必ず確認するとか、主治医はもちろんですけれども、こういう体制が整えられているべきです。それから、書式についても工夫はされているはずであって、臨床研究中核病院がそういうことを全然できていないということが、やはり大きな問題だと思うのです。決して軽い問題ではなくて、これで例えば本人の同意が確認できないもの、今回、患者さんは生き残っていますから、本当にあったかどうか確認できるのですけれども、万が一事故があって亡くなったときに、後で見たら代筆していたということが分かった場合、やはりまずいと思うのです。先ほどもちょっと真田先生から御指摘がありましたけれども、臨床研究中核病院がこんな基本的なこともできていないということはやはり大きな問題であり、そういう意味ではもう少ししっかりしてほしいと思うのです。

 先生の気持ちもよく分かります。私たちも臨床研究をやるときにはそういう言葉を頂くと大変有り難いのですけれども、これは契約のときの最後の判子みたいなもので、やはり同意書はすごく重いと思うのです。契約ですから、それが実印か認印かちゃんと確認しないと。やはりその一番大きなもとになるので、私はどちらかというと山本先生のご配慮はちょっと甘いなという具合に感じましたが。
 

○真田構成員
 私はその議論の中では、山本先生がおっしゃったようにミスがあったことを責めるだけではなくて、そのシステムについても考察を加えて改善していくべきだという点は本当にそのとおりだと思っていて、ただ今回ちょっと残念だなと思ったのは、そのようなミスの原因から、そのような深掘りされた考察に至った報告ではなかったというところで、やはり臨床研究中核病院たるもの、ミスを繰り返したものには、そこまでの考察を加え、では何が自分たちのフォールトで、何がシステムのフォールトで、どこを直せば良くなるか、そういうところまできちんと考えてほしいなと。やはり、そういう人たちが意見をリードしないと変わっていかないので、そういうことも求めるべきとは言いませんが、やはり求めるのが望ましいのかなと思いました。そういう意味で、報告の内容をもう少し深掘りしていただきたいなと思ったのが正直なところです。


○山口座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。

 

○掛江構成員
 私もどちらかというと山口先生の御意見に賛成で、山本先生のご意見はちょっとお優しいかなと思ったのですけれども。ただ、山本先生が御指摘されている点は非常に重要で、根本的にこういったことがなくなるような、例えば書式といったものを検討していくということは重要だと思います。

 これに関しては、こういう多施設でやっていらっしゃる研究では、それぞれの施設が考えるというよりは中央で考えていただく、こういう事案が起こり得る状況があることが、各施設の個の責任だけではないという認識を、これに関しては国立がん研究センターなのかもしれないのですけれども、もしそういう認識を持っていただけるのであれば、同意書の書式に対して「ここは必ず御本人が署名と日付を記入してください」というような一文を、例えば同意書の署名欄の下に注意書きをするとか、若しくは別のマニュアルできちんと示すとか、説明文書への記載もそうですけれども、スタッフ用のマニュアルにきちんと明記していただくなどの改善策を、もしこの委員会から代表の施設のほうにお願いできるのであれば、そういったことも検討していただくようなお願いをしてもいいのかなと思います。

 ただ、先ほど真田委員が御指摘されたように、千葉大学からの報告書自体は印象としては非常に残念な感じがあるので、もう少し原因を、しかも柴田委員が最初のほうで御指摘されたように、そもそも論として、臨床研究の実施という枠組みの中で、全てが適切に動いていたのかどうかというところが疑問を持たれてしまうような事例だったという点では、もう一度千葉大学のほうにはきちんと検証していただいて、納得のいく報告書を出していただきたいと思いました。


○山口座長
 ほかにございませんか。


○掛江構成員
 別件でもう一点よろしいでしょうか。先ほどの機器の変更の御指摘の部分で、これは一般論として質問なのですけれども、研究の途中で、ちょうど中間地点で機器の変更、もし後藤先生が御指摘されたように販売業者の変更であれば、機器が同じということで構わないと思うのですけれども、機器が仮に変更されていたとして、その場合にどういう手続があれば、それが認められるべきなのかという辺りがちょっとよく分からないのですが。スペックが上がれば当然場合によってはリスクも上がる可能性があるのだとは思うのです。その場合、この計画自体に非常に大きな影響がある可能性はあると。その場合にこれは一から審査なのか、同等性のようなデータをそろえていただくのか、どういう手続が考えられるのか、もし決まっておられるのであれば教えていただきたいなと思います。

 

○山本構成員
 ちょっと重粒子線については分からないのですけれども、普通は同種類の機器であれば、例えばもうちょっとカテーテルとかワイヤーとか単純なものであれば、規格が決まっていて同じ規格のものとして承認されていれば、恐らくそれは代替可能だと思います。

 我々の所とかで、時々MRIなどの診断機器が更新されたりする場合があるのですけれども、それが例えば評価の主要なものである場合は、あらかじめスペックを決めておいて、取り方とか画像判定の評価する人たちであらかじめテスト画像をチェックしてとか、そういう手続を踏んで合格しているのであれば、どの機器でも使っていいとか、そういうことはあらかじめ決めることが多いです。

 なので、重粒子線の場合、もし機器が変わっていて、その機器の承認の仕方が、規格がそれぞれに決まってしまっているのであれば、代替するのになかなか難しいかもしれないのですけれども、その一方で治療のレジメンが決まっていて、そこに当てはまるのであれば、OKということであれば、それはある程度チェックすることで代替が可能なのではないかなと思います。


○後藤構成員
 この件はさっき調べましたら、やはり日立製作所が三菱電機の陽子線の部門を買収したということがあったのです。ただ、その買収が2018年に行われているのに、もし行われていて、4月とか6月とかいろいろ説はあったのですけれども、なのになぜ今、変更なのかというのがちょっとよく分からないので、最終的にはちゃんと聞いていただいたほうがいいと思うのですが、多分ここに変更した理由というのが一言書いてあれば、ここでこのように議論する必要もないので、規格の変更ではなく、買収が人も含めた買収みたいな状況なので、それは問題ないかと思うのですが、その辺を含めて聞いていただいたほうがいいと思います。あとは、なぜ昨年買収されたのに、今年になって変更となったのか、もちろん買収していろいろな手続とかが遅れていたのかもしれないですが、その辺も併せて聞いていただければと思います。

 

○医政局研究開発振興課長補佐
 貴重な御指摘ありがとうございます。事務局のほうの不備で大変御迷惑をお掛けしました。今、ちょっと調べた限りでは、承認番号は同じということで、恐らく機器は同じものであるようなのですが、いずれにしましても詳しく調べて御報告いたします。


○山口座長
 貴重な御意見ありがとうございました。ほかにございませんか。それではないようですので、次回の予定を事務局からお願いいたします。


○医政局研究開発振興課長補佐
 事務局です。先日、次年度の日程調整につきまして、先生方にメールさせていただいていると思います。御多忙のところ大変恐縮ではございますが、115日までに御回答いただきますようお願い申し上げます。既に御連絡いただいている先生につきましては、行き違いの連絡となり大変申し訳ございません。再度の御連絡は不要でございます。

 また、次回の日程ですが、次回は1113日水曜日の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、場所につきましては別途御連絡させていただきます。本日の議事録につきましては、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますのでよろしくお願いいたします。以上です。


○山口座長
 それでは、第89回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

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