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2019年6月12日 第86回先進医療技術審査部会

 
(了)


(1)日時:令和元年6月12日(水)16:00~18:00

(2)場所:厚生労働省 省議室

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、石川構成員、伊藤(澄)構成員、上村構成員、掛江構成員、真田構成員、柴田構成員、田島構成員、飛田構成員、藤原構成員、山本構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 医療技術評価室長
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 課長補佐

議題

1.総括報告書の評価について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.先進医療の取下げについて
5.その他

議事録

○山口座長
 それでは、定刻となりましたので、第86回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の構成員の出欠状況ですが、本日は伊藤陽一構成員、後藤弘子構成員、佐藤雄一郎構成員、松山晃文構成員、山中竹春構成員より御欠席の御連絡を頂いております。本日は18名の構成員のうち、13名の構成員にお集まりいただいておりますので、本会議は成立していることを申し添えます。
 それでは早速、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。配布資料について、確認させていただきます。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。
 次に、総括報告書の評価について、資料1-1から資料1-3、資料2-1から資料2-3、資料3-1から資料3-3。試験実施計画の変更について、資料4及び資料5。協力医療機関の追加取下げについて、資料6-1、資料6-2。先進医療Bの取下げについて、資料7。先進医療におけるがん遺伝子パネル検査の取扱いについて、資料8。臨床研究の円滑な推進に向けた取組について、資料9。会議資料の最終ページは100ページとなります。また、お手元には別冊資料をお配りしております。「参考資料」資料2-2「指摘事項2回答関係(机上配布)」と書かれた資料があります。
 続いて、総括報告書として、資料2-1(差し替え)というものがあります。こちらは先ほどの本体資料の資料2-1、2-2の差し替えですので、本体資料2-1、2-2は使用いたしません。御承知置きください。「参考資料」以外の配布資料につきましては、会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますことを申し添えさせていただきます。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等ございましたら事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前確認させていただいております。告示番号旧28の技術(国立成育医療研究センター)について、飛田構成員、藤原構成員、山本構成員及び山口座長より御報告がありましたが、いずれも50万円以下でございましたので、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることができます。掛江構成員については、所属機関ですので、一時御退席いただくこととなります。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、その場で御報告をお願い申し上げます。よろしいでしょうか。該当なしということで承知いたしました。
 また、今回もタブレットを使用いたします。申出書類等については、タブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容が異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ又はタブレット資料の何番の何ページと、あらかじめ御発言いただきますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願い申し上げます。以上です。

○山口座長
 では、議事に入りたいと思います。総括報告書の評価について、事務局より説明をお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂くのは、告示番号12、冠動脈又は末梢動脈に対するカテーテル治療におけるリーナルガードを用いた造影剤腎症の発症抑制療法です。申請医療機関は国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院です。審査担当構成員は、主担当が一色座長代理、副担当が山本構成員となっております。
 本試験の概要については、25ページ等を御覧ください。本試験は、腎機能が十分でない症例に動脈造影、動脈形成術を行ったときに発生し得る造影剤腎症を、等尿量連続輸液を可能とするリーナルガードというデバイスを使用することで、どの程度、抑制できるかを評価する試験です。試験デザイン等については15ページに記載のとおりで、目標症例数としては60例となっております。以上です。

○山口座長
 では、本技術の評価につきまして、主担当の一色座長代理から説明をお願いします。

○一色座長代理
 ただいま、簡単に御説明がありましたけれども、25ページを御覧いただくと、イメージが分かりやすいかと思います。昨今、造影剤を用いた血管内治療が非常に多く行われておりますが、腎機能低下がある患者さんに一定量以上の造影剤を注入すると、造影剤腎症を発症して腎機能低下がさらに進行し、最悪の場合には透析に至る症例のあることが問題とされてきました。特に患者の高齢化に伴って、CKDの合併例が増えていることから、造影剤腎症の予防を目的とした多量の補液によって心不全を発症するリスクが高まることなど、周術期の水管理が非常に難しいことも現場での対応を難しくしている一因と思われます。
 このリーナルガードは、一定量の輸液をした後に、尿量を持続的にモニターし、その尿量と同量の輸液を術後4時間の間続けることにより、過不足のない輸液管理を行うことで、腎機能の低下を防止しようという比較的単純なコンセプトで開発された器械であります。上のグラフを見ていただくと、尿量と輸液量がほぼ同じ線上にありますので、かなり細かな水管理が可能なことが示されています。実際上、術後に分単位で尿量の変化を見ながら輸液量を調節するというような細かい管理を医療スタッフに求めることは、ほとんど不可能ですので、本機器を使用するメリットがあると想定されました。
 本試験ではこのリーナルガードを用いて試験が行われました。結果の評価につきましては山本構成員の御報告いただいた後であらためてコメントをさせていただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。

○山本構成員
 副担当の山本です。総括報告書の18ページを御覧ください。こちらが私の評価です。一色先生がおっしゃいましたように、ロジックは非常に単純で、昔から輸液をちゃんと掛けると造影剤腎症は減るということは分かっているのですけれども、実際に輸液を一時的にかなり多く掛けて、造影剤腎症の発症を防ごうとすると、心不全になってしまうというのがあって、なかなか現場では怖いのでできないというところを機械でやってしまえというのが、これのコンセプトであります。
 有効性を見ますと、Bとさせていただきましたが、造影剤腎症の発生割合が、過去の報告と比較して有意に低かった。同時比較対照ではないのですけれども、有用性はある程度示されていると思っております。
 それから安全性ですけれども、安全性はBとさせていただきました。一過性低血圧、それから腎機能障害、これは内容を確認しますと、腎機能障害を起こさないことが有効性の評価でもあるので、腎機能障害は有効性のイベントでもあり、安全性のイベントでもあるのですけれども、割と一過性で済んでいると。クレアチニンが一過性に上昇したというもので、重篤なものではないことは確認できました。過去の報告で肺水腫等の発生が見られたということですけれども、本研究では報告されておりません。
 技術的成熟度ですけれども、どちらかというと機械にお任せするような形のものですので、当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できるというAにさせていただきました。コメントとしては、フロセミドなどで強制的に尿量を増加させると、造影剤腎症の発症抑制に有用であることは報告されていたが、安全に行うことは困難であった。今回の研究で用いられた機器は、簡便に尿量と輸液量のバランスを取るための機器であるため、機器の使用自体に特段の技術は不要。フロセミドの投与量の決定には経験が必要と思われますけれども、標準化することは可能と思われまして、経験を積んだ医師の指導があれば実施可能と判断いたしました。私からの評価は以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。それでは、一色座長代理から、もし何か追加のコメントがありましたらお願いします。

○一色座長代理
 私の評価も全て山本構成員と同じレベルの評価とさせていただいております。バックグラウンドを少しだけ追加説明させていただきます。造影剤腎症がどういう患者さんに起こりやすいかについては、先行研究で検討されていまして、その結果を基にリスク因子のスコア化もされております。
 例を挙げますと、腎機能障害の程度をはじめとして、血圧が低めの方、心不全の既往のある方、高齢者、貧血、糖尿病、の他造影剤の使用量などが挙げられています。
 本研究ではこれらのリスク因子をスコア化したものを当てはめて、検討もされているのですけれども、リスクの少ないほうの群では、造影剤腎症の発症がゼロに抑えられていた一方、腎症が起こった5例全例が、複数のリスク因子を有していました。本研究では従来の報告より造影剤腎症の発症頻度は低く、また長期的には回復して重症化することはありませんでしたが、やはりハイリスク例には十分な注意が必要との結果でした。以上より、60例という限られた症例数の検討で、エビデンスレベルが高いとは言えませんが、総合的には有効性はほぼ示されたと考えております。本機器はCEマークを取得しており、FDAには申請中という状況にあります。また、欧米ではすでにランダム化研究も行われておりまして、論文化もされています。
 最近では経皮的な大動脈弁置換術、TAVIを対象にしたリーナルガードの研究も行われて有効性が示されるなど、国際的には本機器の有用性は証明されているようです。
 以上まとめますと、本機器は単純な作業を行うものではありますが、水管理が簡便に過不足なくできるという点から考えると、安全性と有効性は、特に問題はないものと考えます。また、メーカーが先へ進めたいという希望があるのであれば、それは容認できるものと思っている次第です。私からは以上です。

○山口座長
 大変分かりやすい説明、ありがとうございました。技術は割とシンプルなので、御理解しやすいかと思うのですけれども、何か御質問はありませんか。やはりリスクの高い人にこれを使えば安心してできるということでは、大変、現場としては有り難いと思うのですが。

○一色座長代理
 腎機能が低下している場合には、十分な補液を行い、細いカテーテルを使用するなどして造影剤使用量を減らして対応していますので、実際にはそんなにしょっちゅう造影剤腎症は起こらないのですけれども、やはり、ご指摘のように、リスクの高い方には非常に管理がしやすい道具の1つかなとは思っております。

○山口座長
 ほかに何か御質問どうぞ。

○天野構成員
 御説明ありがとうございました。1点、念のために確認ですが、経験を積んだ医師の指導ということで、これは具体的に何か要件みたいなものは定め得るものなのでしょうか。

○一色座長代理
 実際に具体的な要件を設定することはなかなか難しいと思います。腎機能が一定以下の、例えばクレアチニンが1.2以上のような場合は、1日前に入院していただき、予め十分な補液管理をしてから、検査や治療に当たるというプロトコルが、多くの病院で採用されていると思います。
従って、経験の乏しい医師が、腎機能の程度によらずに造影剤を使った治療を行うような事態は考えにくく日常的にカテーテルの治療を行っている施設であれば、基礎知識として共有されているはずのものと、私は理解しております。

○山口座長
 ほかにありませんか。

○上村構成員
 確認なのですが、輸液というのは、生理食塩水が入っていくということでよろしいですか。

○一色座長代理
 はい、通常で250cc、腎機能が設定基準よりも悪い方は150ccを負荷しています。その後、一定の尿量が確認されてから検査を始めるというプロトコルになっています。

○上村構成員
 比較的安全にできたということだと理解していますけれども、例えば心不全になるようなハイリスクの患者さんも入っていたということですか。

○一色座長代理
 はい、最近の心筋梗塞などを含め、リスクの高い患者さんは除外して行われております。

○上村構成員
 分かりました、ありがとうございました。

○山口座長
 ほかにありませんか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号12につきましては、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告したいと思います。
続きまして、次の総括報告書の評価について、事務局から御説明をお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 別冊資料の資料2-1(差し替え)を御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧13、特発性肺線維症の急性増悪患者に対するトレミキシンを用いた血液浄化療法です。申請医療機関は日本医科大学付属病院となっております。御審査いただいた担当の構成員の先生は、主担当が伊藤構成員、副担当が飛田構成員です。
 本試験の概要については、本体資料の39ページ等に図がありますので、御覧ください。本試験は、特発性肺線維症の急性増悪症例を対象として、従来の薬剤投与、ステロイド大量療法、好中球エラスターゼ阻害剤及び免疫抑制療法の併用療法による治療に、トレミキシンによる血液体外循環療法を追加したときの、有効性及び安全性を検討する試験です。試験デザイン等についても、別冊資料の資料2-1(差し替え)に記載のとおり目標症例は20例となっておりました。以上です。

○山口座長
 では、本技術の評価につきまして、主担当の伊藤構成員から御説明をお願いします。

○伊藤(澄)構成員
 特発性肺線維症という病気は急性増悪すると、死亡率が大変高い。最初に申請されたのは平成25年なのですが、それ以前のヒストリカルコントロールデータだと60%ぐらいの方が、1か月から3か月で亡くなってしまう。それに対してトレミキシンというエンドトキシンの吸着カラムを使うと、死亡率が減らせるということで実施された臨床試験です。
 オープン試験で実施されておりますが、目標としたときの最低の基準は、生存率40%とされていました。この技術の試験の対象者は、当初100人と提示されていたのですが、最終的に20例で同意が取られて試験が行われております。これは、100人も同意を取る必要もなかったというか、緊急状況ではあっても事前の同意を取る必要がなかったので100人ではなく、当初予定されていた20人の試験が行われたということです。
ところが、時代の進歩で、ステロイドの大量療法とか好中球エラスターゼ阻害薬、更にシクロスポリン、若しくはシクロフォスファミドなどが併用されていて、その上に、このトレミキシンを使った結果が評価されています。主要評価項目の4週後の生存率は65%で、副次評価項目の12週時点での生存率は50%と、当初、目標としていた40%より、はるかに高い所にあったということです。
 この試験の前に、特発性肺線維症の急性増悪に対するカラム療法の効果が、2012年に公表されております。73例の後ろ向きの観察研究において、1か月の生存率は70%、3か月の生存率は34.4%でそれに近い結果を、本試験はほぼ再現しています。
 ところが、ほぼこれと同じような症例に対する治療法として、遺伝子組換えのヒトトロンボモジュリンを併用した試験もありますが、その結果の3か月生存率は70%という成績も、最近の2015年に出てきております。どうも以前の試験と比べますと、ステロイド大量療法とか好中球エラスターゼ阻害薬、また、こういった治療法の進歩、若しくは呼吸管理の進歩が生存率に相当大きく影響しているのではないかと思われるところがあって、この試験結果が、トレミキシンというPMX療法の評価になるのかが判断しにくいと感じました。
 それと、この試験の被験者のうち2例に脳梗塞が発現していて、1例は恐ろしいことに脳に空気が飛んでいるという、空気塞栓を起こしているケースも発生しております。これは当然、呼吸器疾患で、呼吸状態も悪いし、循環状態も悪い状態でブラッドアクセスをされているので、こういったことも起こり得るのだろうと思いますが、試験の初期の頃に、こういった事例が発生しています。試験の後半には起きておりませんので、それほど大きな問題は、もしかするとないのかもしれませんが、そういった有害事象も散見されています。
 本件の問題は、その全体の話よりも、試験そのものの内容にもありますので、大変詳細に見ていただいた飛田先生からコメントを頂いた上で総括をさせていただきたいと思います。

○山口座長
 飛田先生、よろしくお願いします。

○飛田構成員
 副担当をさせていただきました飛田といいます。机上の配布の差し替え資料の、2枚めくっていただいた所から私のコメントがあるので、そちらのほうを御参照ください。
 現在、医療環境は大分変わってきたという話は、伊藤先生のほうから御説明があったと思うのですけれども、本試験の総括報告書を確認させていただいた上で、有効性に関しては計画書の適格基準の記載が、実際にこの試験に組み入れられた患者さんというのが、かなり緊急的な状況で組み入れられるというところから、プロトコルでの適格基準と、実際の現状のずれみたいなものがあって、更に2016年に新診断の基準案というものが施行されたみたいで、除外されていた感染を誘引するようなケースも、IPF急性増悪に含められて、今、この試験に参加できるようになっています。
 そのため、20例の登録症例のうち、9例(11件)の適格基準の違反抵触というものが、少し散見されたという状況です。これらの9例については、いずれも有効性、安全性への評価には影響がないと申請者側のほうが医学的に判断して、解析対象とされています。この点に関しては、症例数が少ないというところもあるので、ある程度、理解はできるところなのですけれども、本来であればプロトコルの変更とか、実際に即した変更を途中ですべきだったのではないかと思います。
 さらにこの試験は、第5回の技術審査部会で申請されたときに、有効性に関して、次の検証的試験への移行基準というものを設定すべきだということで、PMX療法開始後、4週間時点の生存率が、その頃のスタンダードとされていた治療法の40%というカットオフ値を設けて、症例数の設定などがされています。
 今回の試験は、9例という適格基準の違反例などがあるのですけれども、一応、65%の生存率になっていて、95%信頼区間が、下限値が40.3%と、次の検証試験に移行できる基準は、一応クリアしているのかなという状況です。
あとは副次的に、いろいろな経時的な検査結果の数値も、20例の平均値的な傾向が、ある程度の改善傾向が見て取れそうですので、ある程度の有効性は期待できるのかなと思うのですけれども、やはり、この試験というものが、非盲検非対照でコントロールがあるわけでもなかったので、この結果だけをもって、従来の治療法よりも有効であると結論付けるには、更なる検討が必要なのではないかと考えています。
 安全性に関しては、伊藤先生がおっしゃられたとおりなのですけれども、そういう経緯があって、今回、かなり医学的な判断で登録時のエンドトキシンの濃度が測定されていなかったり、検査前にやったけれども、基準に抵触していたけれども、この治療をやっていますみたいな症例が、かなり散見されているので、本来この治療の対象になる人たちというのが、どういうところなのかというのが、ちょっとプロトコルや、その結果からは見えてこないところがあったので、ある程度、臨床的な経験値を積まれた方が見ていくべきなのかと考えています。以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。それでは、伊藤構成員から、もし何か追加のコメントがありましたら、お話ください。

○伊藤(澄)構成員
 このトレミキシンは、本来、エンドトキシンを吸着するものなので、エンドトキシンが高い人を対象にしてしまったのでは、エンドトキシンの減少効果を見ているという話なので、IPFの急性増悪に対する効果ではないのではないか。そういう意味で、この試験は全体として、試験の質がそれほど良くないのではないかという気がします。
 ですので、そういう意味で最後に書かせていただきましたけれども、薬事承認申請に十分である結果ではないのではないか。もちろん有効性が期待できないわけではないと思うので、何らかの形で申請をされるのであれば、評価ができる試験をお考えになられたほうがいいのではないかと思いましたので、そういう記載にさせていただいています。以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明に何か御質問、コメントはありませんか。

○天野構成員
 御説明ありがとうございました。1点重ねての確認になりますが、資料2-2で、「総括報告書の指摘事項に対する回答」ということで、医療機関からの回答があります。その一番下で、先ほども御説明いただきましたが、「責任医師よりPMX療法終了後、ブラッドアクセスを抜去した際に血管内空気が混入し、脳空気塞栓症を発症したと考えるとの説明があり、本件については直接的な因果関係は否定されている」という記載があるのですが、これはこのとおりという理解でよろしいのでしょうか。それとも何らかの解釈が、ほかにあり得るのでしょうか。もし分かれば教えていただければと思います。

○伊藤(澄)構成員
 ここには、当該施設の倫理審査委員会の記載を、そのまま書いております。評価をした者として、この評価が妥当であるかどうかということについては疑問だと思ったので、こういった記載にさせていただきました。
 それと同時に、脳の空気塞栓症の症例については、エコーで、心腔内に空気が入っていたというのが明らかに書かれていて、よほど注意しないと、やはり安全ではないのではないかと思ったのです。今後、試験をする上において、ブラッドアクセスというのは、通常、呼吸器の先生がおやりになることではないので、しかるべき慣れた人と一緒におやりにならないといけないのではないかと思いました。ですから、やはり特記して書いておいたほうが、いいのではないかと思ったので、記載いたしました。

○山口座長
 よろしいですか。これはやはり、治療法を行うことに伴う合併症だと思うのですが、ちょっと遠回りにおっしゃいましたけれども、そう捉えるべきではないでしょうか。

○伊藤(澄)構成員
 個人的には、そう思っておりまして、倫理審査委員会が、因果関係が、直接関係しないという評価をされたという事実も記載しております。個人としては、余り納得をしておりません。

○山口座長
 この治療を行わなければ、絶対起きるはずのないことですよね。

○伊藤(澄)構成員
 はい、おっしゃるとおりです。

○山本構成員
 医療機器の臨床試験の安全性の評価は多元的なので、難しいのですけれども、恐らく我々は割と医療機器の、それもカテーテルなどの医療機器の治験などをいろいろやっているので、機器自体に関係するものと、機器を使う手技に関係するものというのは、やはり分けて評価するべきだと思っています。
 これは恐らく、カラム自体で空気塞栓を起こすわけではないと考えられたと思いますけれども、例えば、このカラムを使わなくても同じようなブラッドアクセスを治療の中で必要としたということであればいいかなと思いますが、恐らくこのカラムを使わなければ、この特発性肺線維症の急性増悪の方に、ブラッドアクセスをそもそも取る、そして、それを抜去するという手技が踏まれなかったのであれば、その手技も、その一連の治療行為の中で起こる有害事象として取るべきものだと思います。
 ですので、その評価軸を幾つか持たないといけないというところがあるので、恐らくこれは、そのカラムに注目して、カラムとは関係ないとおっしゃっているのかなと思いますが、ただ、伊藤先生がおっしゃるように、一連の治療行為の手技の中で出てくるものとして、やはり判断すべきものかなと思います。

○山口座長
 ありがとうございました。ほかに何かありませんか。あと、この適格基準が全然守られていないということは、やはり非常に大きな問題だと思います。守らないのであれば、最初にそういうものを決める意味がないというか、その辺りはどうでしょうか。

○伊藤(澄)構成員
 厳しい言い方をすると、臨床試験ではなくて、観察研究です。

○山口座長
 分かりました。ありがとうございました。ほかにありませんか。それでは今のいろいろ御質問いただいたことを取りまとめて、告示番号旧13につきましては、先進医療会議に御報告したいと思います。

○一色座長代理
 リーナルガードの件で私の発言に誤りがありましたので訂正させてください。先ほど上村構成員から御指摘のあった除外基準の件ですが、非代償性の心不全すなわち症状所見が明らかな心不全例は除外とされましたが、「心筋梗塞」という文言は記載されていませんでした。なお、透析患者も除外とされておりました。以上です。大変失礼いたしました。

○山口座長
 どうもありがとうございました。続いて、次の総括報告書の評価について、事務局より説明をお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 資料3-1の41ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する評価を頂きますのは、告示番号旧28、ステロイドパルス療法及びリツキシマブ静脈内投与の併用療法です。なお、掛江構成員におかれましては御所属の医療機関ですので、申し訳ありませんが、本技術の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。

 (掛江構成員退席)

○医政局研究開発振興課長補佐
 今、申し上げましたとおり、申請医療機関としましては、国立研究開発法人国立成育医療研究センターです。御審査いただきました担当の構成員の先生は、主担当が石川構成員、副担当が柴田構成員となっております。
 本試験の概要については、資料の53ページに図を付けさせていただいております。本試験は、小児期発症難治性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群症例を対象としまして、多施設共同オープンラベルによる単群試験が行われています。小児期発症難治性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群患者にステロイドパルス療法及びリツキシマブ療法を行い、有効性と安全性を評価する試験です。試験デザイン等は、先ほど申し上げました41ページに記載のとおりで、目標症例数は、当初20例となっておりました。以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。それでは、本技術の評価について、主担当の石川構成員から御説明をお願いします。

○石川構成員
 このステロイドパルス療法とリツキシマブで、ネフローゼの難治性のものに対しての治療です。昔から小児科のいろいろな所に行きますと、ムーンフェースのお子さんがいて、ネフローゼのお子さんがプレドニンを切ると再発するということで長期投与となり苦労したと、それはどなたも経験したことがある病気だと思うのです。そういう点で完全寛解が得られる治療が長年待たれていたという中で、こういった新しい治療法がなされてきたと考えています。
 この研究については、私も最初の先進医療Bのときの審査もやらせていただき、大変勉強させていただきました。勉強させていただいたとともに、非常に期待していたわけですが、残念ながら最初の計画の20例をはるかに下回って、2例で今回の総括報告書は書かれているということです。そういう点で、私も大変残念だということと、なぜそうなったのかということが大変疑問に思いました。
 43ページを御覧ください。免疫抑制剤とかそういったものはいろいろやられているわけですが、今回のリツキシマブという薬について、小児科ではそれほど経験がないというところが1つのポイントであり、Bセル系がゼロになったところで、いろいろな日和見感染とかを防御しなくてはいけないとか、そういった難しさがある。そういう点では、実施できる施設は限られているのが当初から分かっていたと思います。
私のほうでの判定では、有効性は従来の医療技術よりやや有効であると判定しておりますが、あくまでも登録症例の2例ということで、それの結果であるので、何とも大幅に有効であるとは言いかねるということです。その登録症例2例のうちの完全寛解率50%だと書いてあるのですが、その後もお話をよく聞きますと、完全寛解が2例とも得られていると。その後も再燃が起こっていないとかいうこともありますので、難治性ネフローゼ症候群にとって今回の治療計画は、非常に大きな期待が持たれるのではないかということがあります。
 しかし、2例しかないということで、今後多くの知見を更に得られるということから、また、いろいろやっていただきたいということがあります。また、今回2例とも女性なのです。ネフローゼ症候群は、統計的には男性のほうが2対1ぐらいで多いのではないかと思うのです。それで、男性のほうではどうかも、今後は検討していただきたいと考えています。今回、先進医療Bは2例で終わっているということですが、この後医師主導治験のほうに回るというお話もありますので、そういった期待を込めております。
 安全性については、非常に厳重に副作用とか、そういったものについて監視をしていただいたり、先ほど言いました日和見感染についても注意できる、そういった施設であることもありまして、余り問題なしと。軽い副作用、合併症ということになっています。
 1例にリツキシマブのインフュージョンリアクションがあって、これはグレード2だったということで、軽症で経過しています。総合的にグレード3、4の有害事象はなかったということで、感染症に関しての治癒が最も重要になると考えられますが、この施設の経験もあり、重症化に至っていないと考えられます。この辺では、施設は相当限られるだろうと思います。
 なお、報告書の中で1つ骨壊死があり、これはどうかと思ったのですが、これはリツキシマブとの関係性は薄いと思いますので、恐らくステロイドをずっと使っている症例でこういったことが起こったのではないかということです。いずれにしましても、今後の症例の積み重ねが大事だろうということです。
 技術的な成熟度については、リツキシマブのBセルが全くいなくなって免疫不全になるわけですから、そこら辺での日和見感染に対する防御、そういった経験を十分に積んでいる先生がおられて、Bセルのカウントとか観察もできるということであれば、いいのではないかということで、Aにしております。大体そのようなところです。

○山口座長
 ありがとうございました。それでは、続いて柴田構成員から評価をお願いします。

○柴田構成員
 お手元の資料の44、45ページを御覧ください。有効性ですが、先ほど石川先生からも御説明いただきましたように、20例中2例の段階での評価ですので厳密な評価はできませんが、あくまで2例の経過を拝見しますと、可能性を示唆するという水準のエビデンスには留まりますが、一定の有効性はあるであろうと。ただし、これは今後検証されるべきものであるという前提は必要だろうと考えます。
 45ページの上に、今後の検証のために医師主導治験が実施されていますが、もともと本試験が20例中2例で終わってしまった原因とか理由、あるいはこの試験を改定して進めるのではなくて、試験を切り直すほうがいいのではないかという理由、あるいは医師主導治験として仕切り直すことで、一定の負担もありますので、治療開発の進捗状況が改善すると期待される理由なども含めて検討されるべきと考えますが、これらの点については明らかにされていなかったので、少なくとも先進医療Bの実施上の問題点については総括していただく必要があろうと考えました。これについては、資料3-2にあらかじめ照会事項の回答を頂いておりますので、この辺で総括していただいたとみなしていいかと考えております。
安全性については、2例観察した範囲では、想定している範囲内の事象しか起きていないと解釈しております。ただ、数が少ないので、今後増えたときにどういうものが出てくるかが分からないこと。また、重篤には至っていないとはいっても、感染症、インフュージョンリアクション等、コントロールの難しいものは、慎重に経過観察すべきものというのが出ているわけですから、今回の施設の先生方の御経験、あるいは施設の体制によって重症化していないことがあるのであれば、広く使われるときにはリスク要因であるので、今後得られるであろう医師主導治験のデータ等を慎重に確認した上で判断する必要があるかと考えております。以上のような状況もありますので、技術的成熟度としては、一定の経験を積んだ医師あるいは医師の指導下であれば実施できるというBのほうに付けております。
 先ほどお話しました有効性のコメントですが、47ページを御覧ください。こちらに本試験の進捗が芳しくなかった理由等について、整理していただいております。49ページに123と先進医療Bの体制上の問題点等も御指摘されています。それは検討すべき所があればこちらで検討すべき所はあるかと思いますが、申請医療機関の先生方はこのように認識されているようです。
 50ページで、更に挙げられた問題点の、実は事前に分かっていた話でもあるので、当初から医師主導治験に実施しなかった理由についても改めて確認しておりますが、こちらにも書いてはありますように、先進医療Bでやるか医師主導治験でやるかは、それぞれメリット、デメリットがあり、それなりに苦渋の選択をされたということだろうと思います。
 また、製薬企業も当時は積極的にサポートできない状況であったのかもしれませんが、少なくとも2例の成績が比較的よかったことと、PMDAの感触もよかったことを踏まえて、企業の方が医師主導治験の支援をしていただけることになったということですので、この2例の実際の経験が役に立っているところはあろうかと思います。以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。それでは、石川構成員から追加のコメントが何かありましたら、どうぞ。

○石川構成員
 50ページの回答2を見てください。この回答の中で医師主導治験として計画しなかった理由についてお聞きしましたところ、1フレーズ目ですが、これは難治性の希少疾患ということですので、この施設でもなかなか患者数がなかったということです。この実施施設の候補施設であった12施設の症例数が5年間で22ぐらいあったという記述がどこかにあったのですが、腎の学会の先生方が集まっている所だと、結構症例数が集まったりするので、今後そういう症例数を集めて、とにかくこの治療を進歩させていただきたいというコメントです。44ページの総合的なコメントで書いてありますが、私もすごく勉強させていただいたこともあって、大変残念であるのですが、これまで多くの患者が苦しんでいる歴史もあるので、是非この治療開発の進歩を期待したいということです。約1年にわたり有効性・安全性について観察しているのであって、難治性の判定手順や患者登録、除外基準等について、試験を通じて得た知見は、今後の試験デザインの検討に資するものと考えております。以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明に何か御質問はありませんか。

○山本構成員
 質問というよりコメントですが、この試験は、今の先進医療Bの問題点がすごく詰まっている結果だと思いました。1つは、私は、今の医師主導治験と先進医療Bを実施側で両方とも経験していますが、一番の違いは、最初のキックオフのときに、治験は多施設のとき、数箇月遅れではありますが、かなり足並みをそろえて多施設共同で始められるのですが、先進医療Bの場合は、ここにも書いてあるように、経験がない所は入れないというのがあるので、多施設で足並みをそろえて一気にスタートができないのです。それで、立ち上げの時期の被験者の組み入れが非常に遅れてしまう。なので、この状況はすごくよく理解できます。
 ここは患者さんが次に次に入ってくるような試験であればいいのですが、特にこういう希少疾病とか、小児とか、そうでなくてもなかなか足踏みするようなものについて、こういう制約、これは先進医療Bだけの制約ですので、非常に問題だと前から思っています。当初は保険医療の中で臨床試験をするということで、非常に慎重なスタートを切るために必要だった制度だと思いますが、制度というか申合せなので、これは申合せレベルの話ですが、かなりこなれてきている中で、しかも臨床研究法ができたのですから、臨床試験をスムーズに動かすことについての阻害要因にもなっていることが明らかなものについては、見直していくべきだと思います。
 もう1つ、この先生方は最初に先進Bでやって、医師主導治験をかなり逡巡されたというのは、この気持ちもよく分かります。一方でリツキサンはいろいろな所で使われていますが、先進Bではなくて、いきなり医師主導治験でやったケースもあって、そちらで失敗しているものもあるのです。先進Bで失敗する意味と医師主導治験で失敗する重みは全然違っていて、医師主導治験で一旦失敗すると、失敗というのは、有効性が全く出なくて開発側も諦めるのであればいいのですが、有効性はある程度あるのだけれども、最初に宣言したハードルを超えられなかったものの失敗については、次にそれをクリアするためには、それを超える試験をやらないとクリアできないという更にハードルが上がるのがあり、PMDA側も1つ失敗している治験が出てくるので、それを超える成功例を出していただかないと、通常の承認審査の中では承認できないという問題があるので、こなれないものをいきなり医師主導治験でやって、例えば後から選択基準をもう少しこうしたらよかったとか、デザインをもう少しこうしたらよかったとか、あるいは主要評価項目のターゲットを、こうではなくてこうしておいたほうがよかったということを医師主導治験でやってしまうと、後戻りができないのです。なので、先進BでまずPOCというか、その辺りの当たりを付けて、医師主導治験をやるというのはあり得ると思います。
一度失敗すると、本当にそうなると、特に希少疾病のときは、それをどうやってクリアするかは本当に大変なことになって、また何年も使えない時期が来ることになります。そういう意味では、先進Bはそれなりの研究者がアンメットメディカルニーズに対して何とか治療法を探すというところで、一定の役目は果たしていると思います。これからは、そうしようと思ったけれども、うまくいかなかった試験が、制度的な要因で起こっていることについては、できるだけその制度の阻害要因を除いていくことを考えるべきかと思いました。

○石川構成員
 そうしますと、教えていただきたいのですが、例えばこういう先進医療Bで、今回は2例、私なども結構よかったのではないかという評価です。それで、また医師主導治験に人が集まるという1つのきっかけになるとしたら、こういうやり方はありになりますか。

○山本構成員
 楽観的というか希望的観測をすると、2例はどちらも完全寛解になったと。ただ、恐らく1つが不完全寛解というのは、多分、評価するタイミングの問題だと思いますので、この結果を見て、例えば組み入れ基準、除外基準をもう一度見直して、もう少しターゲットを絞れるようにする、あるいは広げられるようにする。それと、フィージビリティー、いろいろな施設によっては少し違うやり方で、例えば難治性の所を評価していたというのが後で分かったということも書いておられたので、それもこれをやって気付いたことだと思います。そういうところのチューニングをした上で医師主導治験にいけるという意味では、私は全ての臨床試験についてまじめに取り組んだら、やったことが無駄になることはないと思います。この結果を見ると、2例ですが、やる先生方の士気は上がると思うのです。
 あと、AMEDも、恐らくプロマイジングになるのであれば、お金を付けようかということも思われると思いますので、そういう次の資金とかやる気の呼び水になったとすれば、それはそれなりに意味があるものかとは思います。むしろ、これが無駄にならないように、この研究者の先生方に次にいかしていただけるといいと思いました。

○山口座長
 ほかにありませんか。ただ、今回、これは2例の結果がよかったからいいのですが、たまたまもし悪かった場合には駄目になるので、こういうやり方がメインのストリームになるとは到底思えないのですが。

○山本構成員
 だから、結局2例しか入れずに終わってしまったというのが一番の問題なのです。これが20例いかなくても、せめて10例とか15例が入っていたら、もう少し目算が立つわけです。2例しか入らなかった理由には、いろいろな問題もあると思いますが、多分デザイン自体が未熟なところもあったと思いますが、制度的要因もあったということは指摘をされているので、制度的な阻害要因については、それは研究者が検討する問題ではなくて、こちらの技術部会側が検討する要因だろうと思いました。

○山口座長
 こういうやり方もありかということに対して、私は少しネガティブに考えていて、これは最初に山本先生が御指摘したように、この仕組みは少しおかしいところが、フレキシブルでないところがあるのではないかと思うので、そちらを変えないと、このままこういう形でつぎつぎとやっても駄目ではないかというのが感想です。

○柴田構成員
 私もそこのところは気になっていて、結果として今回のお二人の患者さんの情報は非常に有益に活用できると思いますが、手続上のところで制度上の改善はできる余地がないのかという話と、逆にPMDAの方に対して探索的フェーズでの医師主導治験の組み方に関して、もう少し柔軟なアプローチを取っていただく必要があるのではないかと、2点あると考えています。
 例えば、49ページの1に書いてある試験例がない場合に施設が狭められてしまう話は、抜け道を用意しようと思ったらできます。試験以外に日常診療の中で1例、2例やってみて、その成績を添付すれば、この条件が課せられないことになってしまいますが、それは逆に管理されていない所で患者さんに、まだ試験的な治療を自費診療であったとしてもやってしまうことになるので、なおかつそれは仮にチャンピオンデータだけ持ってこられたら、10例中1例だけ良かったデータを持ってこられたとしても、その検証ができないので、そういうことであれば最初の段階から臨床試験という形で表に見える形でやっておかれるほうが、良いところも悪いところも含めて見られるので、逆に少し安全なのではないかと感じるところもあります。
 1の施設を限定するというのは、苦渋の選択の部分もあり、先ほど出てきたように適格基準を守らない医療機関があったとすると、例えば今回の試験でも危ないことになっていたかもしれないので、そこは緩めるのであれば、そういうところはきちんと守っていただくとか、そういう体制整備とともに、抱き合わせでしっかりしていただかなくてはいけないのだという前提で、最初から少し広げて症例登録をしやすくする仕組みなどは、考える余地があるのではないかと考える次第です。

○山口座長
 ありがとうございました。これは、今回のPMDAが割と適切なアドバイスを出して、しかも2例が効いたということで、メーカーが乗り気になったというところですが、藤原先生、PMDAは今後何か急には対応はできないかもしれませんが、将来検討することはないのでしょうか。

○藤原構成員
 いつも柴田先生にいろいろな所で先進医療に対するPMDAの相談の在り方とかは言われていますので、これからちゃんと見直しするつもりでおりますが、今日、ここで何か言えるわけではございません。

○山口座長
 それでは、よく検討していただき、また提案いただければと思います。ほかにありませんか。確かにこの施設はまじめにやっていて、大変苦労したのだと思いますし、石川先生がおっしゃったように、希望の持てるものであれば、できるだけ早く現場にできるようにするのがいいのではないかと思っています。いずれにしても、今回の2例は無駄ではなかったことは、皆さん共通の御意見だと思いますので、そういう形で報告したいと思います。ほかに何かありませんか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号旧28については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて先進医療会議に御報告します。では、掛江構成員にお戻りいただいてください。

(掛江構成員着席)

○山口座長
 掛江先生、ありがとうございました。では、次に試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 先進医療Bの試験実施計画の変更について、2件の申請がございました。資料4の55ページを御覧ください。横浜市立大学附属病院からの申請で、告示番号31、LDLアフェレシス療法です。適応症は、従来治療抵抗性の閉塞性動脈硬化症となっております。本試験では膝窩動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部を有する等、血管内治療や外科治療による血行再建が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果が得られない治療抵抗性の閉塞性動脈硬化症患者に対して、デキストラン硫酸カラム吸着法によるLDLアフェレシス療法の有効性を検討しています。
御審議いただく変更内容については57ページを御覧ください。1登録期間、研究期間を1年延長、2患者説明用紙の作成及び3分担医師の変更となっています。期間の延長については、試験実施体制整備に時間を要し、実際の試験開始が1年遅れたためとのことで、1年延長となっています。目標症例数の35例に対して、試験開始から3年半で現在の登録数が20例となっています。登録期間、試験期間の1年の延長及び2の患者配布用の説明用紙を作成するなど、症例登録の促進により、目標症例数への到達は可能とのことでした。以上です。

○山口座長
 ただいまの変更内容について、何か御意見はございませんか。スタートが1年近く遅れたので1年延ばしてほしいということですが、よろしいでしょうか。それでは、告示番号31の変更について認めることといたします。続きまして、次の試験実施計画の変更につきまして、事務局からお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 資料5の59ページを御覧ください。東京大学医学部附属病院からの申請です。告示番号65、マルチプレックス遺伝子パネル検査です。適応症は固形がん、根治切除が不可能又は治療後に再発したものであって、従来の治療法が終了しているもの、若しくは従来の治療法が終了予定のものに限る。
 御審議いただくものの変更内容については、61ページを御覧ください。今回使用する非腫瘍性検体について、余剰血液を用いる場合のみをプロトコル等に記載していましたが、通常診療で同時に実施する検査項目がない場合には、研究用に採血を行うことといたしましたとのことでした。以上です。

○山口座長
 この変更内容について、何か御意見はございませんでしょうか。これはやむを得ないと思うのですが、よろしいですか。それでは、告示番号65の変更について認めることといたします。続きまして、協力医療機関の追加について、事務局から説明をお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 資料6-1の63ページを御覧ください。告示番号60及び告示番号66の技術につきまして、協力医療機関の追加申請がありました。資料6-2、65ページから68ページにお示ししましたとおり、事務局において先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきたいと思います。以上です。

○山口座長
 次に、先進医療B及び協力医療機関の取下げについて、事務局から御説明をお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 資料7、69ページから70ページを御覧ください。先進医療告示の取下げ申請が告示番号12及び告示番号16の2件、先進医療機関の取下げ申請が告示番号51の1件ございました。告示番号12の技術の取下げ理由は試験終了のためということで、総括報告書に関しましては本部会で先ほど御議論いただきました。告示番号16の技術の取下げ理由も同様に試験期間終了のためということで、総括報告書は現在準備中とのことでした。告示番号51の技術については、先進医療B試験の協力医療機関の取下げ申請がございました。取下げ理由としては、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たせなくなったためということでした。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。

○山口座長
 よろしいでしょうか。続きまして、先進医療におけるがん遺伝子パネル検査の取扱いについて、事務局から説明をお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 資料8、71ページを御覧ください。こちらの背景ですが、平成30年度より国立がん研究センター中央病院、東京大学医学部附属病院及び大阪大学医学部附属病院が申請医療機関となり、がん遺伝子パネル検査を先進医療で行ってきました。このうち、国立がん研究センター中央病院は平成30年12月に患者登録が終了しており今後、告示削除予定となっています。
 一方で、資料にお示しした2つのがん遺伝子パネル検査が平成30年12月に薬事承認され、令和元年6月1日に保険収載されました。これに伴い、現在先進医療として実施している2つの試験についての対応案として、今後の新規登録希望患者に対しては、保険収載されたパネル検査が存在すること及びその検査を保険診療で受けられる可能性があることについて適切に説明することが必要と考えます。この際、1同意説明文書の改訂、2同意説明文書の別添資料作成、3口頭等で説明しカルテ等に記録を残すことでよいとする、のいずれが望ましいか。また、保険収載されたパネル検査の情報提供以外に説明すべきことがないかを御議論いただきたいと存じます。
 なお、先進医療で行っている2つの試験に関しましては、現在既に口頭等で説明し、カルテ等に記載を残すことを申請医療機関に依頼済みです。同意説明文書等の改訂等を行うことを求めることとなった場合には、IRB等の手続が完了次第、速やかに文書によるICを行うことといたしております。また、先進医療においては、1医療機関1種類のパネル検査としておりましたが、保険収載されたパネル検査と先進医療におけるパネル検査を同一機関で行うことについては妨げないこととしてはどうか。その他対応すべきことがないか御議論いただければと存じます。以上です。

○山口座長
 本件について、何か御意見はございませんでしょうか。どうぞ。

○石川構成員
 この検査については、以前に私はこういうのはどうなのだろうということで提案したと思いますが、検査をやると項目の数が違うわけです。今のように、このことに対してメディアでも随分報道されたりしていますし、期待される患者さんあるいは家族の方はすごく多いと思うので、非常に時間が迫っている方たちにとっては重複して受けたいということも必ず出てくるのではないかと思うのです。確か、この会議の中ではそういうことはないのではないかというようなお話だったのですが、大いに予想されることだと思うのです。
 そういうことを考えると、この保険と先進医療という形で並行してやるということも出てくるのではないか、希望する方はいるのではないかと思うのです。それはどうするのかということは、きちんと決めておいていただかないといけないと思います。

○山口座長
 現行では、これを両方やるということは可能なのでしょうか。

○医政局研究開発振興課長補佐
 そちらを妨げることはできないと考えます。

○山口座長
 そういうことに余り意味がないということを説明するような資料を作成して、ICを取り直すということは必要なのではないでしょうか。具体的に、今3つご提案がありましたが、このうちで「口頭で説明しカルテに記録を残すことでよい」というのはまずいと思うのですが、説明同意文書、IC文書の改訂と、今おっしゃったようなことが分かるような、違いが分かるような、その意味が分かるような資料を作って御説明しないと、患者さん側はものすごく混乱して、あれもこれもやってくれということを言い始めるのではないかと思います。したがって、意見としては12はやってもらいたいと思うのですが、その辺りについてどなたか御意見はございませんか。

○山本構成員
 やはり情報の重要性としては、同意説明文書を改訂するに至る情報ではないかなと思います。別添資料については、同意説明文書に全部書くとまたややこしくなるということであれば、これについて詳しく分かるような別資料を作成するというのは、患者さんの理解のために必要であればやればいいと思います。1の同意説明文書の改訂をやるに値するものだと思いますし、ただちょっと時間的にかかると思いますので、それまでは口頭での御説明というのが必要かなと思います。

○天野構成員
 今の座長並びに山本構成員の御提案に賛成です。付け加えさせていただくならば、既に先進医療にかかわらず、今回パネル検査が出まして、報道等がある中で、患者さんから違いが分からない、比較が難しいという声がある一方で、報道やメディア等では、またそれを比較するような報道が出ているということを鑑みまして、IC文書の改訂や別添資料の作成は速やかにしていただくにせよ、それとは別に公的な厚生労働省等のホームページにおいて、現在保険適用となった遺伝子パネル検査並びに先進医療で行われているものについて、分かりやすく説明するページ等を作っていただいて、患者さんが公的な情報にアクセスできるようにしていただきたいということを加えて述べます。以上です。

○山口座長
 そういうことは実際に可能でしょうか。

○医政局研究開発振興課長補佐
 現在のところ検討はしておりませんが、持ち帰って是非検討させていただきたいと思います。

○山口座長
 是非お願いします。ほかにございませんか。実際に患者さんは非常に戸惑うと思うのです。急に一部が保険収載されてしまって、自分はどちらを選んだらいいのかとか、どこが違うのかということをもう少しかみ砕いて、分かりやすく、早目に示していただければと思います。それまでの間は何も説明しないというのもまずいので、山本先生がおっしゃるように、口頭でつなぐということも現実的にはやらないと、かえって黙っていると、文書ができてから全部お知らせしますではまずいと思いますので、山本先生の御提案に沿ったやり方でどうでしょうか。よろしいですか。では、申請医療機関には、同意説明文書の改訂及び別添資料を急ぐということと同時に、それまでの間は口頭等で説明し、カルテに記録を残すということをやっていただきたいと思います。それから、厚生労働省におかれましては、ホームページなどで患者さんに分かりやすいように、この辺りの経緯を説明するようなことを少し検討していただきたいということかと思います。よろしくお願いします。それでは、続いて臨床研究の円滑な推進に向けた取組について、事務局から御説明をお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 資料9の73ページを御覧ください。現在、新規に申請される先進医療B試験については、倫理審査委員会や認定臨床研究審査委員会(CRB)等で承認された試験計画をもって申請がなされ、先進医療技術審査部会、先進医療会議において、順に審査がなされております。
一方で、平成30年4月に臨床研究法が施行されたことを受け、先進医療Bとして申請される技術の多くがCRBで審査されることとなり、CRBと先進医療技術審査部会の審査項目が重複しているという指摘があり、両制度の整合性を図りつつ、先進医療Bに係る審査の迅速化、効率化をしていくことが求められております。
 このため、令和元年6月6日開催の第74回先進医療会議において、臨床研究の円滑な推進に向けた取組について議論が行われました。本先進医療技術審査部会においても、後でお示ししますが、先進医療B審査における対応案について御議論いただきたく存じます。
論点としては、CRBで承認された先進医療Bの審査過程の迅速化、効率化をどのように進めるか。臨床研究法の基本理念に基づくCRBの審査により、臨床研究の科学的妥当性や実施管理体制、安全性を担保する体制等が確保されているものと考えられ、また先進医療技術審査部会での審査項目と一部重複するため、審査の迅速化、効率化は妥当と考えられます。しかしながら、将来的な保険導入を目指す観点からの技術的妥当性の評価等の、先進医療に特化した審査についてはCRBでは行われないため、先進医療技術審査部会での一定の審査は引き続き必要と考えられます。
 74ページの上部の図を御覧ください。CRB、先進医療技術審査部会及び先進医療会議のそれぞれの審査項目を比較しております。CRBでは将来的な保険導入を目指す観点からの評価という部会における評価項目は含まれておりませんで、現状では部会での審議は必須と考えられます。したがいまして、当面の対応案としては、CRBで承認された先進医療B技術については、74ページの下図の右側でお示ししたとおり、先進医療会議と部会の合同開催による審査の迅速化の対象としてはどうか。また、75ページにお進みいただきまして、ただし迅速審査の対象としては、申請医療機関が特定機能病院及び国立高度医療研究センターであり、かつ臨床研究中核病院に設置されたCRBで承認された臨床試験としてはどうか。また、他のCRBへの拡大については、必要に応じて先進医療会議及び部会において要件などについて検討することとしてはどうか、以上を御議論いただければと思います。
 なお、審査案件の増加が見込まれるため、構成員の人員増加についても事務局で対応を検討させていただければと思います。
最後になりますが、先ほど申しました先日開催の第74回先進医療会議において、先進医療会議における先進医療AあるいはBへの振り分けについても、メール審議等による迅速化の対象としてはどうか、との御意見を頂きましたことを申し添えさせていただきます。以上です。

○山口座長
 本件につきまして、何か御意見はございませんでしょうか。迅速化という問題ですがいかがでしょうか。

○真田構成員
 私は迅速化していただくという問題意識及びその仕組みについては、基本的には賛成ですが、CRBの位置付けを考えると、資料の75ページの上から中段にかけての所で、臨床研究中核病院に設置されたCRBに限定するというところに、2つ懸念があります。
 1つは、まずCRBが誕生した経緯として、厚生労働省が一つ一つ個別にその審査能力を直接認定しているということからすると、臨床研究中核病院であるなしにかかわらず、その質は一定となっているべきものではないのかという建前があるということが1つです。
 2つ目は、臨床研究中核病院に限定する理由として、※4の所に、「国が年1回の立入調査を実施している」とありますが、私は臨床研究中核病院に所属はしておりますが、本格的な質の担保まで立入検査でやられているというようには余り感じておりません。ですから、それをもって臨床研究中核病院に設置されたCRBに限定するというのは、ちょっとしんどいかなというのが正直なところです。
 もう一点は、先進医療が臨床研究を評価療養で保険外併用療養ができるほぼ唯一の制度というように公的には言われている制度ですので、ほとんどが先進医療Bを通じてそういう研究を申請してこられるとなると、やはり臨床研究中核病院に審査が集中しかねないということは当然おっしゃるとおりだと思いますが、逆にこれはCRBの維持要件として、年11回の会議開催が義務付けられていて、そこには審議するネタがないと開催はできないわけですので、そういう意味からすると、80そこそこ存在するCRBのうち12の所に集中しますと、ほかの所の案件がかなり枯渇して、それこそ維持が難しくなるのではないかという問題があるかとも思います。

○山口座長
 今のことについて何か御意見はありますか。先進医療会議でも私は同じような発言をしたのですが、中核以外の病院のCRBの質の担保というのはまだ十分ではないのではないかということと、立入検査のときに、それに特化したような検査をやっているのかということです。逆さまに言えば、建前上はやっていることになっているので、真田先生のお言葉をお借りすると、これはやっていることになるのではないでしょうか。
 ですけれども、その基準を全て臨床中核とほかとを区別しないで、何か同じクライテリアを作ってやれということであれば、それは新しい御提案だろうと思います。まだそこは十分に整備できていないということは私も感じますので、今すぐはできないかもしれませんが、きっちりと分かるようにやっていただきたいと思います。
 ただ、臨床研究中核病院以外のCRBの中には、依頼すると十分ではない所があることも事実ですので、迅速にこういうことをスタートしたいとしたら、最初に臨床研究中核を選ぶということは必ずしも不合理ではないのではないかと私は感じました。

○山本構成員
 私も、第一歩としては臨床研究中核病院のCRBに限定するのは仕方ないかなとちらっと思ったのですが、確かに真田先生がおっしゃるように、そこに集中すると迅速化と言っていますが、CRBの所で待ち時間が長くなってしまって、結局全体として全然迅速化しないという可能性があるのです。
 それともう1つは、合同会議で、この部会は結局目を通すわけですよね。そうなると、逆に言うと部会でちゃんと通らなかったところについてはそれをCRBの評価対象というか、評価の1つの方法にしても構わないのではないかなと。要は、同じものをCRBが見て、この部会も見るわけですよね。逆に言うと、CRB自体の審議の内容も評価してしまうわけですので、それをやることで、むしろCRBを別にどこということを決めないで、ただし余りに部会で問題視されたものについては、後で厚生労働省が本当にそれを例えばピックアップして立入調査をするとか、そういう形に持っていっていただけると、むしろCRBの底上げにもつながるのではないかというように思いました。

○掛江構成員
 私は山本構成員の御意見に賛成です。そもそも論として、このようなことを伺っていいのか分からないのですが、73ページの下段の2つ目の○に、「臨床研究法の基本理念に基づくCRBの審査により」うんぬんで、「担保する体制が確保されているものと考えられ」と書いてあるのですが、本当に担保されているのか、何をもって担保されていると判断しておられるのかなというのが、若干疑問が残っています。
なので、山本構成員が御提案してくださったような形で、本当に担保されているのだということを確認する作業も、この迅速化を考えながら進めていくプロセスの中でしていければ安心だと思うのですが、担保されているという前提に立って、迅速化だけを進めるというのは若干不安があると言うか、何をもって担保されていると評価をしていらっしゃるのかなというところが分からないところもあるのかなと。もちろん、不勉強で、もしデータがあるのでということであればお示しいただければと思うのですが、現段階としては迅速化と評価と両方を並行して進めていくような段階ではないかという気がするのですが。

○山口座長
 この点に関して何か御意見はございますか。

○真田構成員
 私はこの迅速化と言うか、こういう取組をされる方針自体は大賛成ですし、山口先生がおっしゃるように、ある程度外形的なところから規格化をしていかないといけないというところも取組としては仕方ないかなと思っています。と言いますのは、臨床研究でもそうですが、質を担保することの定型化が非常に難しいのです。これにはかなり議論を積まないといけないし、要件化するといっても一口には言い切れないところがあるので、例えばそこは臨床研究中核病院から始めるとしても、その下段の○に書いてある、ほかのCRBへの対象拡大についての議論については、やはりこういう制度が走ると同時に、早急に対処していただくことが必要なのではないかなと思います。
 それと、もう一点ですが、合同審査になりますと、必ずしも技術審査部会で御議論いただいている先生方全員が御参加されるわけではないのですよね。先進医療会議に部会側から事前審査をされる先生方のみが追加で参加されるという立て付けだったと私は認識していますので、合同審査をするということが、必ずしも現在の技術審査部会プラス先進医療会議の審査の要件あるいは審査の内容を全て満たし得るかと言われると、私はそこはちょっと考えないといけないかもしれないなと思っています。

○山口座長
 今2つのことが言われたと思います。整理しますと、CRBを利用して迅速化を図ろうと。そのときに、全てのCRBに関して問題はないから即座に迅速化に利用するという考え方と、やはりちゃんとできている所はすぐにやって、そうではない所は一応審査して、やはり要件を付けて、それをパスしたものを迅速にやろうという考え方の2つだと思うのです。そのときにどうやって振り分けるかと言うと、臨床研究中核ともあろうものであれば大丈夫と。今までちゃんと監査も入っているしということで、まずそれは認めようと。そのほかの所については、ある程度の規則を設けて検討した上で徐々に入れていくという考え方だと思います。
 ここで2つの意見があって、そういうやり方でいいのか、あるいはそうではなくて臨床研究中核だって問題があるかもしれないし、全部一律にクライテリアを決めて、要件を決めて、ちゃんと調べてから進めるべきだと。そういう2つの意見に分かれていると思います。その辺りについてはどうでしょうか。要するに、この案に沿っていくのか、これはちょっとまずいのではないかと考えるかどうかということだと思います。

○山本構成員
 どういうステップでやっていただいても別にいいのですが、CRBの質を高めようと思うと、外形的な要件を決めて、年に何回こなしなさいというだけでは、上がらないと思うのです。比較対象が必要だと思いますし、自分たちがした審査に別の所でどういう意見が付いたというもののフィードバックがなければ、人間は質が上がらないと思うので、それをずっと臨床研究中核病院だけがやると、本当に臨床研究中核病院のCRBだけの質が上がって、ほかのCRBの質を上げる方策は、何か別のものを繰り出さないと上がらないということになるのではないかという気がします。
 CRBの数については、臨床研究中核病院のCRBだけだったらさすがに足りないと思うのです。さすがに国内で10数箇所だけでは回らないと思います。私はイギリスに行って、イギリスでは地域ごとに倫理委員会を作ってされていましたが、やはり数百あったものを絞って絞って、確か100以下にはされていましたが、しかしそれでも10数箇所ということはなかったので、イギリスであっても50とか60ぐらいは必要ということで言われていました。それを考えると日本の中で10か所で終わるはずはないので、そういう意味で言うと、10か所だけの質を上げるような方策をずっと取り続けるというのは、余りよろしくないことかなと思います。

○山口座長
 10か所だけの質を上げるような方策をずっと取り続けるということではないと思いますが。

○山本構成員
 つまり私が言いたいのは、いつまでも臨床研究中核病院だけを区別してやっていると、そのほかのCRBの質を上げる方策は何か別のことを考えていただかないと上がりませんよという話です。実際に今90か所ぐらいありますので、残りの80か所に対してどういう手当を使うかというのを、外形的な要件だけを決めているのでは、それと自分たちの審議をいつまでもただ繰り返しやって、外からのフィードバックがないという状況が続けば、残り80か所ぐらいのCRBの質はいつまでたっても上がらないのではないですかということです。
だから、それをこの制度とこちらの制度は違うから、別々でやるのだという考え方もあると思いますけれども、実際問題として、特定臨床研究は有限ですので、有限の特定臨床研究の審査をどれだけ有効に使うかということも検討する余地はあるのではないかと思います。

○山口座長
 その意見はよく分かるのですが、やはり特定臨床研究中核病院というのはそれなりの支援も受けて、今まで厳しい審査を受けて、それで監査も受けているという点では、何のためにこういうものを作ったかということからそもそも考えたら、こういうときにこそ率先してそういうことができる体制の病院を作ったはずなのです。ですから、そういう所をまず認めて、徐々に迅速化を試みるのは正しい方向ではないかと思っています。
というのは、もちろん何百も同時にそういう所ができたらいいのですが、実際問題として臨床研究中核以外の施設にはかなりばらつきがあって、なかなかそれを一律にやるというのは相当時間もかかるし、なかなか難しい点があると思うのです。ですから、これはある程度妥当なやり方なのではないかなと私自身は思うのです。

○藤原構成員
 私も山口座長と同じ考えで、最初はこれでやってみて、今、多分研発課がCRBの抽出しながら、いろいろな評価を進めているところではないかと理解していて、何かCRBの評価をするような事業をやっていましたよね。その結果を見させていただいて、同時並行でこれを始めるけれども、その後にCRBは確かに山本先生がおっしゃるように足りないのは間違いないので、12では足りないので、研発課の評価でほかのCRBの機能を見ていただいて広げていくというパターンがいいと思います。
 ただ、私も臨床研究法の省令を作るときの臨床研究部会で申し上げたのですが、例えば英国ではモックの審査という、同じプロトコールを複数のCRBに見させて、同じような結果が出るかとか、非常にお金をかけて質の維持などをしていますので、それをこれから1回目のパイロットプロジェクトでいろいろなCRBの評価を経た後に予算化して、どうCRBの質の担保をするかというところに走っていただきたいと思うので、最初はこれで始めて、次はもっと山本先生がおっしゃっているようなCRBの質確認の体制をどんどん整備していくという流れで、2段階方式でいいと思います。

○山口座長
 ほかにございませんか。

○真田構成員
 私も先生方の御意見に基本的には賛成ですが、やはりこういう迅速化政策を出すときに、拡大するときの基準や要件みたいなもののほうも同時に迅速に検討いただくことが必要かなと。トライアルの開始と、引き続く検討に乖離が生じると、往々にしてその間の回復がだんだん難しくなってきますので、そこは遅滞なく拡大策を検討いただくということがよいのかなと思っています。

○一色座長代理
 具体的なイメージが湧かないので、質問させていただきたいのですが、迅速化とおっしゃっていますが、これでどのくらい迅速化できるという見込みをお持ちなのかということと、現実に症例数が増えるだろうということですが、何件くらい増えるという見込みをお持ちなのかということが分からないと、本当に価値のあるシステムになるのかどうかというイメージが湧かないので、その辺をお分かりになる範囲で教えていただければと思います。

○医政局研究開発振興課長補佐
 74ページの下図を御覧ください。現行の運用としましては、左の図になっておりますが、やはり6か月程度かかるということが現状です。こちらが、例えば国家戦略特区等の例を見ますと、やはり3か月程度に短縮されるということがありますので、期間としては3か月程度短縮されることを見込んでいます。ただ、それによってどれだけの数が増える見込みであるかということに関しては、我々も検討しておりません。

○一色座長代理
 そうすると、先ほど御意見もありましたが、件数の増加が余りに多いと、今見込んでいる3か月で済まない可能性というのはあり得るわけですよね。

○医政局研究開発振興課長補佐
 御指摘いただいたとおり、可能性としてはあり得ると思います。

○一色座長代理
 その辺も少し慎重にシミュレーションしていただく必要があるかなと思いますし、合同会議というのを、私は完全にイメージできていないのですが、会議の件数が増えるということは、実際上は限られた時間の中で、内容が薄まっていく可能性もあるので、そういうことも念頭に置いたシステム作りが必要かなと感じました。

○山口座長
 ありがとうございました。

○掛江構成員
 すみません、ちょっと理解が足りないのかもしれないので、間違っていれば御指摘いただきたいのですが、迅速化自体はもちろん必要があるということで、理解はできます。今、一色先生がおっしゃったように、74ページの下の図になった場合に、合同会議で1回審議をするというステップに変えることで、早くなる案件があるのかもしれないのですが、それの前提は先ほどの、例えば臨床研究中核のCRBの審査は質が担保されているという前提があっての話ですよね。その前提が本当に担保されているのかというところ。仮にびっくりするような審査のものが出てきたときに、この迅速化のスキームの中で、どのようにストッパーというか、この部会で見ていることの意義が働くのかというところが見えなくて、その辺を教えていただければなと。
 もしそれが、私は性悪説なのか、びっくりするものが出てくる可能性があるのではないかという前提で申し上げていますが、ないかもしれないですが、出てこないという保証はないので、出てくる場合にどう対処するのか、どういう手続になるのかなというところを、教えていただければなと思うのですが。

○医政局研究開発振興課長補佐
 今回、審査のところは臨床研究中核病院のCRBということなのですが、一方で申請できる医療機関につきましても、特定機能病院及び国立高度専門医療研究センターに限定しています。試験を申請できる医療機関自体にも一定のレギュレーションをかけることで、先生がおっしゃるようなびっくりするようなものが出てくる可能性というのは、非常に低いのかなと考えているところです。

○山本構成員
 特定機能病院だと思いますが、確か合同会議でかかったもので、合同会議で審議継続になって、部会に差し戻された案件があって、その場合は部会でやってから上がるよりも時間がかかっていました。なので、恐らくものが良くなくて、合同会議で通らなかった場合は、非常にペナルティという感じで、逆に迅速化しない、長期化するというリスクはあると思います。

○山口座長
 CRBの質を担保するというときに、今、現場で頼んでみると、とんでもない計画が返ってくることもあったりして、恐らくユーザーのほうから見た評価もやらなければ駄目ですし、こういう会議に出てきたときに、例えば臨床研究中核でそういうことがあるようであれば、やはりこれは指導するとか、何かそういう仕組みを作っておかないと駄目だと思います。
ただ、今ある臨床研究中核は本当に選びに選ばれた病院で、だからこそ本当は、そういうクライテリアというのは、臨床研究中核病院はもっと厳しい監査をやってほしいということを、先進医療会議では言おうと思っていたのです。一般のCRBと違って、だからこそ信頼されるので、優先されるのだということを、是非、監査のときに担保してほしいという意味で、どういうことを監査していますかというのを申し上げたつもりだったのですが、余り特化したことはやっていないという回答でした。是非その辺りを改善していただいて、本当にお手本になるような施設になっていただければ、こういう案もすっと通ると思います。でないと、本来は中核であろうとなかろうと、きちんとした質が担保されているべきであって、それが確認されていないと、どちらも駄目だと思うのです。

○山本構成員
 臨床研究法上は全国どこのCRBにかけてもいいことになっているので、CRBの中で二極化されると、それは研究の推進要因にはならないと思うのです。なので、中核病院が臨床研究を、非常に難易度が高いものをやれるということは分かるのですが、そこにお金がかかるのは分かりますが、それがCRBの体制整備にまで向けられてしまうと、実際に皆さんが思っているのは、10か所のCRBでは、日本の国内では足りないし、それで足りるようだったら、日本の国内の臨床研究は全然できていないということになるので、中核病院の体制整備とCRBの体制整備は、少し分けて考えていくべきではないかなと、私自身は思います。
 実際、数として10か所では足りないですし、特定臨床研究は潜在的には全部、先進Bの対象になるので、本当にちゃんと回り出したら、10か所で止めてしまったら、逆に臨床研究を抑制する要因になってしまいます。それを後にしましょうと後回しにするということは、それも臨床研究が進まない要因になってきますので、やはり中核病院のCRBだけ特化して体制整備をするというのは、それでは臨床研究法の中でCRBを作った意義が、逆になくなってしまうと思うので、そこはリスキーかなと思います。

○山口座長
 中核病院でやって、ほかの所は整備しないという意味ではありません。

○山本構成員
 ただ、その整備のやり方を変えるというのは、ちょっとおかしいかなと思います。CRBはCRBとして見るべきで、中核病院にあるCRBではなくて、CRBというのは全国、認定されたCRBは一律であるというのが、臨床研究法上の建前なので、その建前を実質の政策というか行政施策で差別化するというのは、何か法律の運用としておかしいのではないかなと思いましたので、これは完全に私見ですので言わせていただきました。

○山口座長
 申し訳ありません。これは法律ではないので、この議論は。

○山本構成員
 いや、そうではなくて、CRBは法律の問題です。

○山口座長
 今は審査の過程の検討をおこなっているのです。

○山本構成員
 ただ、CRBの質の担保というのは、法律の事項ですので。

○真田構成員
 多分、議論していただいている先生方のフォーカスは、審査の質をどうやって担保するのか、審査の質をどうやって議論するのかというところに、だんだん帰結していっているように私には聞こえます。やはりそこは、今、駆け出しの所では、外形的にある程度決められたのは仕方ないのですが、やはり早急に質というものをどうやって議論するかというところについて、深い議論と有効な解決策が必要なのだろうと思います。
 それを、解決する可能性がある1つのフィードバックとして、私がその議論をお伺いしていた中で、まず技術審査部会なり先進医療会議にかかってくると、そのまま通るのは、問題なくそのまま通っていくので、とにかくいい研究を早く通そうというのであれば、迅速化しようがしまいがそこはどんどん通っていくわけです。
 ところが、そこに瑕疵がある、あるいは問題があるということで止められたものについては、それがなぜ止まったかとか、もっと精緻な議論が必要ではないかということで、フィードバックを厚めにかけるということが、1つの問題の解決策になり得るのではないかなと、私はこの議論をお伺いして思った次第です。

○山口座長
 ほかに何か、この点について御意見はありますか。

○上村構成員
 確認なのですが、現行の運用というのは、一応残るということでいいのですよね。つまり中核でない所のCRBに行った人たちは、今までどおりのスタイルでいくということですね。モデルを1つ作ってもらって、どのぐらい、例えばどちらがお得なのかと多分、皆さん考えると思うのです。やはり皆さん、いろいろな思いはあると思うのですが、自分の所の施設は、きちんと整備していきたいと、それぞれの施設が思っていると思うのです。だから中核でない所も、きちんといろいろな先進医療などに取り組めるような、そういった枠は残しておく必要があるかなと思っています。例えば1か月ぐらい早くなるとか、そういったモデルを少し示してもらったほうが、現場の先生方にはいいのかなと思います。
 それからもう1つ、これは根本的なお話になるのですが、例えばプロトコルの話というのは、どうしても今のやり方だと、同じような議論を繰り返しているという側面はあるわけです。その一方で、74ページの上のほうのスライドの赤枠の部分に、本来、先進医療技術審査部会のほうは、将来的な保険導入を目指す観点からの評価というのをするということだと思うのです。
 今日も総括報告書のまとめが出ましたが、必ずしも出てきた結果で、何かこういった保険導入といったところに、つながるような議論になっていないのも事実だと思うのです。なので、やはり先進医療として実施するということ自体の妥当性、出てきた結果をもって、どういったデシジョンをしていくのかといったことを、やはり計画の段階からきちんと見ていくという、そういった戦略的なところの議論というのは、恐らく今まで薄い議論で終わってきたというのは問題だと思っています。
 では、こういったCRBのほうは、そういったところまで議論するかというと、それは多分できないと思うのです。どうしても研究者が出してきた研究に対しては、科学的に妥当性があって、倫理的にもしっかりしていて、かつ安全にできるだろうということであれば、恐らく通ってくると思うのですが、それで出てきた結果をもって、どういうデシジョンができるのかというと、そういった戦略的な所に対するフィードバックはないと思うのです。
やはり技術評価部会というのは、もともとそういったCRB、今までIRBだったわけですが、それにプラスして、そういった保険導入を目指す観点からの評価と。そこは、やはり戦略に対しての評価というのはあってしかるべきかなと思っています。そこを、これからどうやって充実させていくかというのが、むしろ課題なのかなと思いました。

○山口座長
 ありがとうございました。

○掛江構成員
 迅速審査の対象はということで、臨床中核という案が出てきているのが、議論になっている部分だと思うのですが、私も個人的には山本委員がおっしゃったように、質の担保はここの部会がするべき仕事ではないですし、法の下、全てのCRBは認められた時点で、同じ取扱いを受けていいと思うので、これでという前提で、私の思いつきなので聞き流していただいてもいいのですが、例えば迅速審査の対象をこちら側から決めるのではなくて、申請者側が「これはもうきちんとした審査を、我々はCRBでやった」と。なので自分たちは、これは迅速審査の対象だと思うという選択をして、申請していただく。さらに担当の事前審査の先生方が、これは迅速審査に値するものであるという評価を事前で頂ければ、迅速審査のトラックに乗る。いや、これは迅速審査ではないでしょう、部会でちゃんと見ましょうと、評価員の先生がおっしゃれば、従来どおりの運用に乗っかるという形で、平等にどこの施設のCRBでも、努力して、質を頑張って向上させている所、自信を持って出される所については、迅速審査を利用するチャンスを与えるという形でどうかなと思うのと、その過程の中で、評価が非常に低かった所に関しては、迅速審査化というところと、評価・教育というところを同時に運用していただきたいという希望から、是非きちんとフィードバックをしていただいて、そこの委員会に結果を活用し、反省していただくという運用ではどうなのかなと思ったのですが。

○山口座長
 ちょっと違うなと思うのは、何か研究の中に迅速でやっていいものと、そうではないものがあるわけではなくて、この審査の流れ全体を迅速化するという、流れの中でのこういう御提案だと思うのです。ですから本来は、全てのものが迅速に行われるべきで、それが迅速にすべきかどうかを申請者側が決めるものではなくて、プロセスを迅速化しようという話ではないかなと理解しているのですが。

○掛江構成員
 すみません、理解はしているのですが、自信を持って、いきなり合同会議で見ていただくので大丈夫ですというところと、若干初めての申請なので、丁寧に部会から見ていただいて、意見があれば頂きたいというところがあるのかなと思ったもので、そういう提案をさせていただきました。

○山口座長
 ありがとうございました。ただ、そうすると実際には、私は全て自信がありますと言われるのではないでしょうか。私は自信がないから、もっとよく見てくれよと言う所は、余りないのではないかと思うのですが。

○掛江構成員
 それは、とてもいいことではないですか。

○真田構成員
 例えばの話で乗っかってしまいますが、そこは例えば前さばき機能を、もう少し充実してもらうような形で、仕分けをしていただく。例えば今は先進医療A、Bに行く所の仕分けを、先進医療会議で先にやっていらっしゃるわけですが、そこで迅速でいいか、あるいはがっちりした2段審査が必要かという仕分けについても、ざっくり見ていただいて決めていただくということでも、もしかするといいかもしれませんし、ただ、その運用上、それが迅速に資さないということであればこれは仕方がないですが、多分6割か7割はロジの問題だと思いますので、そこをどうやって整備していただくかを考えていただくだけでも、かなり縮まるのかなとは思います。

○山本構成員
 時間もないことですし、第1歩として、この枠組みで別にというか、仕方がないのかなと思いますが、今、掛江先生がおっしゃったので、私は「してください」と言うほうは少し難しいかなと思ったのです。逆に前の合同会議で、一遍、継続審議になったときに、部会に戻されて、逆にものすごく時間が掛かってしまったという例があったのです。事前審査のところで、これは部会で通常どおりやったほうがいいという、担当の先生方が思ったものは、合同会議にかけないほうがいいのではないかなというのが、逆に部会の委員が少ないので、合同会議のときに、例えばここをこのように直したら次に行けますよという、割と精緻な議論というのは、合同会議では逆に難しかったなという印象があります。合同会議に行ったことで逆に戻されて、すごい時間が掛かってしまうというのが、逆にかわいそうだったなという気はしたのです。

○山口座長
 合同会議は結構細かい議論が出てきてしまって、最後の保険収載に関わる総合的な観点からの議論よりも、結構細かいところで時間が掛かったりして、それで差し戻しになったりすることがあります。こういう仕切りをきちんと先進医療会議の先生たちが理解しているかどうか、私もいつも出ていて思うのですが、何かこことは大分違うので、いつも議論を、また同じことを蒸し返しているような感じがするので、その辺りも是非検討していただきたいなと、私も少し思いました。
 ほかにありませんか。時間もないようですが、一応、これを認めるとか認めないではなくて、今、いろいろな御意見が出ました。やはり中核だけを優先してやるのは、ちょっとまずいのではないか、あるいは一緒の基準でやったほうがいいという御意見があったことは、やはり言っておくべきだと思います。ただ、ある程度これはいいけれども、中核だから何でもいいわけではないということを条件に、先に審査を迅速にやるという意味でやっていただいてもよろしいという意見もあったということで、全体の流れとしてはそういうことを検討した上で進めてほしいという意見でどうでしょうか。どうも司会が不手際で時間がかかり申し訳ありませんでした。

○一色座長代理
 こだわっていて申し訳ないのですが、この運用をしたあとに実際に迅速化になっているのかどうかというフィードバックは、是非やっていただきたいと思います。

○山口座長
 是非それも客観的な数字として出るように、御報告できるような形にしてほしいという、これも技術審査部会に大変相応しい意見だと思います。ほかにありませんか。それでは、この議題は一応、案を認めることにします。そのほかに何かありますか。

○石川構成員
 先ほど、がんの遺伝子パネル検査の取扱いについてという、1枚の紙がありました。これは先進医療におけるということだったので、私は発言しなかったのですが、やはり保険収載した1つの会社は、検体が外国に行くわけですよね。そのときの同意の取り方と、それから外国に行って、これが保険収載ですから、今まで先進医療でやっていたときのように、厳重に個人情報とくっつけないでくださいという、検体がデータになったもの、というのが結構通用するのですが、保険収載ですと、要するにその人の保険と病名とか、そういったものは結構明らかになっているわけですよね。例えば膵臓がんですね。そういったものが、ゲノムの検体のところにくっついていってしまう可能性というのが、前よりも危険性があるのではないかと思っているのです。
 何が言いたいのかというと、それがきちんと二次利用だとか、そういったことをされる可能性というのが、全くあるかないかということなのですが、日本のいろいろな医療情報が海外に行くということを、私たちはかなり阻止してきたので、その辺のところで検体が個人情報付きで行くということについては、極めて厳重に阻止しなければいけない。そのときに同意があるかないかということは、極めて重要だということなので、この先進医療におけるがん遺伝子パネル検査については海外に行かないので、そういうことは必要ないのですが、その同意の中に、やはり説明文書の中に、保険でやる場合には半分は海外に行くかもしれませんみたいなことを書いてもいいのではないかと思うのです。それはどうでしょうか。

○山口座長
 何か回答はありますか。

○医政局研究開発振興課長補佐
 ありがとうございます。持ち帰って、省内で検討させていただきます。

○山口座長
 ほかにありませんか。それでは、事務局からお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 第84回の先進医療技術審査部会にて継続審議となりました、整理番号91、パクリタキセル腹腔内投与併用・周術期化学療法についてですが、第84回の部会で御議論いただいた照会事項への回答を踏まえて、評価結果を決定することとなっておりました。
本部会前までに照会事項への回答の提出を求めていたのですが、提出が得られず、責任医師より、今回間に合わなかった理由として、「出口戦略について各所に相談中のため」という連絡がありました。次回7月部会までに必ず回答を提出いただくことを再度事務局よりお願いしております。以上です。

○山口座長
 いかがでしょうか。PMDAと相談中ですので、もう少し待ってもらいたいということかと思いますが、よろしいでしょうか、7月の報告で。では、そのようなことで、本日の議題は以上です。構成員の皆様、何か御意見、御質問はありませんか。では、次回の日程を事務局からお願いします。

○医政局研究開発振興課長補佐
 次回の日程ですが、7月の開催につきましては、7月10日(水)となっております。時間は16時から18時までの予定とさせていただきます。場所については別途連絡させていただきます。
 また、本日の議事録につきましては、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、合わせてよろしくお願いいたします。以上です。

○山口座長
 ありがとうございました。本日は大変熱心な御議論をありがとうございました。必ずしも意見が一致しませんでしたが、今回の議論は先進医療というものを考え直すためには非常にいい、皆さんが矛盾に感じていることが出てきたので、大変有意義だったと思います。あの2例も有意義でしたが、今回の議論はもっと有意義だったかと思います。
 それでは、第86回先進医療技術審査部会を終了します。どうもありがとうございました。

 

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