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2018年10月18日 第76回先進医療技術審査部会

 
(了)


(1)日時:平成30年10月18日(木)16:00~16:55

(2)場所:厚生労働省 省議室

(3)出席者
山口座長、一色座長代理、天野構成員、石川構成員、伊藤構成員、上村構成員、掛江構成員、真田構成員、柴田構成員、大門構成員、田島構成員、手良向構成員、飛田構成員、藤原構成員、松山構成員

(事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 医療技術評価室長
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 課長補佐

議題
1. 新規申請技術の評価結果について
2. 試験実施計画の変更について
3. 協力医療機関の追加について
4. 先進医療の取下げについて
5. その他

議事録

○山口座長 第76回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。御多忙の折、皆様お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日より、先進医療技術審査部会の新しい構成員の方が参加しておられますので、御紹介させていただきたいと思います。事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発振興課専門官 事務局です。よろしくお願いいたします。先進医療技術審査部会構成員に異動がございましたので、御紹介させていただきます。

 101日より着任されました天野慎介構成員、飛田栄祐構成員です。どうぞよろしくお願いいたします。本日は遅れて来られますが、後藤弘子構成員です。もうお一方、佐藤雄一郎構成員につきましては、本日御都合により御欠席です。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

○山口座長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 本日の構成員の出欠状況ですが、佐藤構成員、山中構成員、山本構成員より御欠席の御連絡を頂いております。後藤先生はちょっと遅れておられますけれども、19名の構成員のうち15名が出席しておられますので、本会が成立していることを申し添えます。

 それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発振興課専門官 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。

 配布資料について、確認させていただきます。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。次に、新規申請技術の評価結果について資料1-11-5、試験実施計画の変更について資料2、協力医療機関の追加について資料3-13-2、先進医療B試験の取下げについて資料4、会議資料の最終ページは61ページとなります。本資料については会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますことを申し添えさせていただきます。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。

 続いて、利益相反の御確認です。申請医療機関との関係や、対象となる医薬品・医療機器及び再生医療等製品の企業等について、資料1-115ページに記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前確認をさせていただいています。今回、申請はございませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。該当なしということで、承知いたしました。

 また、今回もタブレットを使用いたします。届出書類等につきましては、タブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ又はタブレット資料何番の何ページとあらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○山口座長 では、議事に入りたいと思います。「新規申請技術の評価結果について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○医政局研究開発振興課専門官 御説明いたします。15ページにあります資料1-1を御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価いただく技術は、整理番号87の自己細胞シートによる軟骨再生治療です。申請医療機関は、東海大学医学部付属病院です。審査担当構成員は、主担当が松山構成員、副担当が掛江構成員、柴田構成員、技術専門委員が戸山委員、以上となっています。

 39ページの資料1-5です。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明をいたします。まず、実施責任医師の要件ですが、診療科は整形外科です。資格は、日本整形外科学会専門医が必要です。当該診療科の経験年数は、6年以上が必要、当該技術の経験年数は要件にありません。当該技術の経験症例数も要件ありません。その他の要件として、関節鏡視下手術(靱帯再建、半月板損傷等)や骨切り術など、膝関節手術100例以上の経験を有することとあります。

 医療機関の要件ですが、診療科の要件は整形外科です。実施診療科の医師数は、整形外科医師が常勤3名、他診療科の医師数は、麻酔科医師が常勤1名以上、リハビリテーション科医師が常勤1名以上です。その他医療従事者の配置は、薬剤師と理学療法士が必要です。病床数は100床以上、看護配置は71看護以上、当直体制は、整形外科が要件となっています。また、緊急手術の実施体制が必要、院内検査の24時間実施体制が必要、他の医療機関との連携体制は要件がありません。医療機関の保守管理体制が必要、倫理審査委員会による審査体制は、審査開催の条件が2か月に1回以上で、施設長又は医学部長又は倫理委員会委員長が必要と認めた場合は、臨時に倫理委員会を召集することができるとあります。

 医療安全管理委員会の設置が必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は、要件がありません。その他の要件として、臨床研究又は治験用の細胞シートの製造が可能な再生医療の取扱い(臨床検査技師、細胞培養士等の技術者を有す)のあるセルプロセッシング設備を有しているか、あるいは製造可能な施設へ外注することとあります。その他の要件はありません。以上です。

○山口座長 これらの要件について、何か御意見はありませんか。ちょっと文言で、整形外科医の数が3名になっているのですが、3名以上という書き方でよろしいのですか。

○医政局研究開発振興課専門官 確かにおっしゃるとおりです。4名だと要件を満たさないという意図ではないと思いますので、3名以上という書き方に変更の指示をしたいと思います。ありがとうございます。

○山口座長 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。それでは、今の所を直していただいて、様式9号についてはお認めすることといたします。

 次に、主担当の松山構成員より、「概要の説明と実施体制の評価について」、御説明をお願いいたします。

○松山構成員 それでは、簡単に御説明いたします。変形性膝関節症というと、御高齢になってこられると、膝の軟骨がすり減ってなかなか歩きにくくなったり、痛くなったりする患者さんが多い。それに対して、患者さんの痛みを取って治療をしてあげるというのが特に整形外科領域では大きなターゲット、課題となっているところです。その部分に対して今回、軟骨由来の細胞をシート状にして痛んだ部分に移植してあげる。移植してあげるときに、骨髄刺激法と言いますけれども、骨の所にちょっと穴を開けて血液を出して、その血液の中から成長因子が出てきて、細胞、軟骨のシートとシナジー効果をもって軟骨の再生をしていくという技術です。

 細胞シートと、細胞懸濁液でする場合と二通りあるのですが、シートの場合は細胞が死なない、ダメージがなくサイトカインがデリバリーされるということが非常に有用であると言われていて、特にシート技術は、日本は世界に冠たる技術を持っているということがあり、その技術をこの東海大学のチームは導入して臨床研究を進めてこられました。

 詳細の部分は、技術に関しては戸山先生の所にコメントがあるので、もしよろしければ専門官のほうから御説明をしていただくということになりますが、技術としてはそういうことになります。

○医政局研究開発振興課専門官 続いて、本日御欠席の戸山技術専門委員の実施体制の御評価について、事務局より御説明いたします。戸山先生の御評価は、実施体制等全て「適」で頂いております。コメントですが、技術専門委員としての立場から、倫理面等へのコメントではなく、あくまで申請されてきた本技術に関しての意見を以下に述べますということです。

 基本的に申請書から判断して、実施責任医師、医療機関の体制については「適」と判断いたします。本技術は、整形外科の専門医で、特に膝関節外科を専門とし、ある程度以上の経験を有していれば実施可能な技術と判断いたします。ただし、シート状軟骨補填の方法のみは、どのように移植するか等を含めた手技をよく理解しておく必要はあるが、煩雑な手技ではなく技術的問題は少ないと思われます。加えて、申請してきた実施責任医師と施設は、以前から関節軟骨再生に関する十分な基礎実験と先行の臨床研究も実施してきており、本術式を実施するだけの実績、準備等はできていると判断いたします。

 さて、本術式の意義、有用性等に関して、少し詳しく説明を加えます。御存じのように、我が国ではますます高齢化が進み、腰痛と膝痛を有する高齢者は増加の一途をたどっています。この腰痛・膝痛は、ADLQOLを著しく障害し、健康寿命にも大きく影響いたします。高齢者膝痛のほとんどは、いわゆる変形性膝関節症(OA)であり、特に日本人はO脚変形による膝内側型のOAが多く、これらが進行して保存治療で対応できず、症状進行と共にOAや変形が強い場合には、手術の適応となります。

 欧米では、人工膝関節の適応が一般的であり、骨切り術はほとんど行われていません(医療環境の差によります)。しかし、我が国では、以前より適応を厳選して、高位脛骨骨切り術が行われてきました。最近は欧米並みに人工膝関節が増加し、骨切り術はかなり減少しています。

 本術式は、適応を選べば一定以上の術後成績が得られると報告されており、人工膝関節が将来にわたって回避されている例も多々あります。この手術は、脛骨高位、膝関節のやや下位で骨切りを行い、O脚変形となって内側に加重軸があるものを外側に加重軸を移行させて、変性の少ない外側部で加重させるものです。よって、変性が進んだ内側部は加重軸から外れることから痛みも和らぎ、変性ないし欠損した内側部軟骨面は、線維軟骨で修復される症例が多いようです。

 しかし、残念ながら本来の関節軟骨である硝子軟骨に再生されることはありません。本術式は、この欠損部にシート状軟骨、患者さん自身から採取し培養した硝子軟骨を移植して、本来の関節軟骨、硝子軟骨を再生させるものです。その意義は大きいと思われますが、やはり従来の軟骨移植を併用しない高位脛骨骨切り術に比べて、本当に生物学的、臨床的に将来にわたって有用であるのか否かをしっかり見極める必要があります。

 評価時が1年と5年となっていますが、可能であれば更なる長期成績も報告してもらう必要はあるかと思います。また、成績評価に当たっては、硝子軟骨を移植・再生させたことによる本術式の真の臨床評価が十分に可能となるしっかりした対照群も設定しておく必要もあるでしょう。本術式により、本来の関節軟骨が再生され、長期的に安定して人工関節の適応が回避できれば、高齢社会を迎える中でその意義は大きいと判断いたします、とのことです。以上です。

○山口座長 戸山技術専門委員からは、本研究の意義ですね、非常に期待されている点と、実際のこの評価についてやはり幾つか問題があるということも指摘されておられます。ただ、今後の日本の社会を考えますと、こういうニーズというのは非常に高まるということで、是非きっちりと評価して進めていただくようになればいいかと感じました。

 続いて、副担当の掛江構成員より、倫理的観点からの御評価をお願いいたします。

○掛江構成員 掛江です。よろしくお願いいたします。私からは、19ページの同意に係る手続、同意文書の所のコメントに書かせていただいた2点について御検討いただきました。1点目が同意の取得方法についてなのですけれども、こちらの研究がもともと仮登録、本登録という形で登録が2段階になっておりまして、それに少し引きずられる形で、同意も最初の1回目の同意、2回目の同意という形で2段階同意のような形になっていましたが、実際によく読みますと1回目の同意が本同意で、2回目の同意は恐らく倫理的な配慮で、細胞移植前に同意の撤回がないところを確認する意図で最初にやられたのではないかと。それが検討の経緯の中で、2回目の同意取得という形になってしまったのかなという感じでしたので、そこは申請者のほうに照会をさせていただきました。

 具体的には、通しページの29ページの18番で御指摘させていただいて、その回答として、これは指摘どおり2段階同意ではなくて、本同意にプラス意思の確認である、同意の撤回のないことの確認であるという御回答が来たのですけれども、ただ、その修正を拝見いたしましたところ、同意書が2段階同意の同意書に修正されていて、説明文書は本同意と意思の確認になったのですが、同意書のほうが2段階同意というようにきちんと書き換わってしまったので、更にそこについては、32ページで御指摘させていただいたように修正をお願いいたしまして、そちらは適切に最終的には修正をしていただけたというところです。

 コメントの2点目なのですけれども、同意の撤回の所の御説明が非常にシンプルで、これは特に再生医療法上の保管義務があって、削除できない情報や検体というものもあるので、そういった意味も込めて、同意の撤回権の制限があること等についてきちんと説明をした上で、特に細胞移植後の同意の撤回に関しては、何ができて何ができないということをきちんと書いていただいた上で同意を得るように修正していただきたいというところをお願いいたしました。

 そちらについては、33ページの2でお願いしているところで、少し説明文書のほうも曖昧で、研究目的の1年後のJ-KOOSスコアとか、そういったものも測定するおつもりなのかしないのかということもちょっとはっきり分からなかったので、同意を撤回した場合には、研究的な検査はお願いしないけれども、安全性確保のためにフォローアップはきちんとさせていただくというようなことをきちんと盛り込んでいただくようにお願いをして、修正をしていただいたところです。そこも少しやり取りがありましたが、最終的には3536ページにあるようなやり取りで書いていただけたところです。

 患者さんの相談窓口や補償の対応については、きちんと書かれていることを確認させていただきましたので、5番についても「適」ということで、先ほどの4番も修正を確認いたしましたので「適」、5番も「適」ということで評価をさせていただきました。以上です。

○山口座長 大変煩雑なやり取りをやっていただいて、分かりやすい御説明をありがとうございました。

 続いて、副担当の柴田構成員より、「試験実施計画書等の御評価について」、御説明をお願いいたします。

○柴田構成員 お手元の資料の19ページを御覧ください。試験実施計画書等の評価については、あらかじめ照会事項を申請者の先生にお願いいたしまして、それの回答を拝見して、いずれも「適」と判断いたしました。照会事項の内容は、資料1-3のタブの2130ページ辺りですが、2年前に申請されたときにもいろいろ指摘はしていたのですけれども、基本的に臨床試験を前向きに行う上でちょっと不都合が生じる部分が散見されましたので、そこを直していただくということをいたしました。

 資料の20ページに戻っていただいて、基本的には「適」となっていますが、1点懸念事項として実施条件欄の1に示したのは、あくまで探索的な段階の試験でして、後に検証的な試験を行うと申請医療機関の先生方もおっしゃっていますので、現状の設定で許容範囲内とも考えられるのですが、外部対照群の設定の妥当性とか、ランダム化するわけではありませんので、患者さんの背景因子が偏るなどしてそれを調整しなければいけない変数等はないのかということについて、臨床の先生方の御意見をお伺いしておきたいと思います。

 2点目は、これは手続的なことなのですが、再生医療としての手続と先進医療としての手続が非常に煩雑で、仮に試験計画の変更等を後々されることがある場合に、手続上ミスがあって後々申請医療機関の先生方がペナルティを受けられるようなことになったらまずいと思いますので、不明瞭な所についてちょっと記載整備をしていただく必要があるかと考えております。以上です。

○山口座長 柴田先生には、前回の審査のときにも随分いろいろやっていただいて、今回もまた結構膨大なやり取りをやっていただきまして、どうもありがとうございました。

 それでは、主担当の松山構成員より、事前のまとめと総合評価について御説明をお願いいたします。

○松山構成員 この大学は、実施体制がしっかりしておりますし、前回の経験もあるということで、技術的には全く問題ない。倫理的なところで前回との大きな違いは、法律の施行後に患者さんから得られたデータを全く削除していいのかどうかと。法律が求めているところで、掛江先生から御指摘がなかったら我々もスルーしていたし、恐らくこちらの特定認定委員会のほうも整理できていなかったかということで、今後同じような案件が上がってきたときに、事務局を含め私たちも勉強になったと思います。

 戸山先生ともお話をさせていただいたのですが、やはりどういう形でしっかりと有効性を出すかと。実は、今回は探索的な段階ということで、次回に検証型が控えているからという形でこういう状態で落としていただいているのですが、結構長く掛かる試験で、もう一回その後検証型をするとなると一体いつになったら患者さんにこの技術が到達できるのだという形になっています。ロードマップ的にかなり見えにくいところはあるので、今後この部分をどういう形で、ヒストリカルコントロールを含め置いていくのかというのは、この案件に限らず先進医療評価会議を含めて御考慮いただきたいと思っています。

 そういう背景を置きつつ、今回これらを修正していただきましたが、修正に関しては法に基づいて、特定認定で再度審議していただいて、先方でアプルーブしていただく必要がありますので、それが出てきた段階で座長の先生、あるいは我々で確認させていただき、「条件付き適」から「適」とさせていただくという流れであれば有り難いと思っています。以上です。

○山口座長 ありがとうございました。それでは、御討議をお願いいたします。

○掛江構成員 申し訳ございません。瑣末なことなのですが、最後に同意の取得、2段階同意を直していただいたものが症例報告書の一時登録票の2ページにチェックをする欄があって、同意取得日1回目、同意取得日2回目というものを同意取得日と同意再確認日に修正していただきました。後で気が付いたというか、柴田構成員に御指摘いただいて気が付いたのですが、この症例一時登録票については、同意の再確認の日は、もうこの登録票自体は報告が終わっているものになります。ここに再確認の日のチェック欄があるのはおかしいだろうということで、恐らく細胞移植の症例報告シートのほうに移していただければいいのだと思うので、もし条件付きの中の条件にそれを盛り込んでいただけるようであれば、瑣末な書式のことで申し訳ないのですけれども、是非お認めいただければ入れていただきたいと思っております。

○山口座長 松山先生、この点は特に。

○松山構成員 正におっしゃるとおりで、既にカルテとかに入っているものをもう一回剥がしてくるというのは診療録上非常に問題だと思うので、そのように対応していただければと思います。

○山口座長 ありがとうございました。そのように条件として付けたいと思います。ほかにありませんか。

○石川構成員 教えていただきたいのですけれども、38ページになると思うのですが、薬事承認に申請までのロードマップというのがありまして、これはそこまで至るまで、先ほど戸山先生のほうではもう少し長期的にもという文言もあったわけですが、極めて長いと思います。9年ということで、先日もCTでの骨切りで、肘の変形を矯正する技術だとかそういうのが出ています。この辺のところは、細胞シートももっと早いスパンで新しい技術がどんどんできているので、9年掛かって薬事承認というのは余りにもテンポとしては遅すぎるのではないかと思うのですけれども、こういうことについてはどう考えたらいいのか、ちょっと教えていただきたいのですが。

○松山構成員 これは、恐らく引き受けておられるセルシードさんのビジネスモデルと関係があるので、どこまで介入してお話ができるかは分からないのですが、私の個人的な感触から言うと、やはり長すぎて本当にお届けできるのかという懸念は正直言ってあります。ただ、一方でPMDAと薬事承認を進めておられて、先進医療から企業治験のほうに、例えば数例やった段階でこれはすばらしいという課題はスイッチする可能性が出てくるので、むしろそういう先進医療から企業治験にスイッチしていく形で短くしてやっていただければというのは私の思いです。

○石川構成員 そういう見込みがあるということなのですね。

○松山構成員 現状、実際にPMDAとレギュラトリーサイエンスの事前相談、対面助言をしておられるということで、彼らとしては前向きに検討されているということだと思います。

○石川構成員 分かりました。

○医政局研究開発振興課専門官 事務局からも1点補足させていただきます。直接のお答えになるか分かりませんが、この試験は主要評価項目が1年時点で評価されますけれども、その時点で一旦主たる総括報告書を当部会にご報告いただくことになっております。その後、5年間の観察が終わったときに、最終の総括報告書もご報告いただくのですが、そういった意味では、主要評価項目の結果は比較的早い時期に当部会で一旦ご評価いただけるということになっています。

○柴田構成員 私もその点をコメントさせていただこうと思いました。9年というのは、トータルで9年にはなるのですが、まず症例登録が終了した、最後の患者さんが登録を終わってから1年後には結果がこの場に出てくるということになっておりまして、その結果に基づいて次の検証試験に進むかどうかが判断されることになると理解しています。並行して、こちらに参加していただく患者さんの長期の予後というのは、次の検証試験を進めつつ見ながら、その安全性のデータを将来の薬事承認時に、長期に使ったときにもこのような結果であったということが得られるような形のデータが出てくるというロードマップになっていると理解しております。

○山口座長 石川先生の御指摘は非常に重要なポイントで、もたもたしているといつのまにか古くなってしまって、結局何もできないでとなるとこのような委員会をやっている意味がないので、是非そういう形で進めたいと思います。ほかにありませんか。

○天野構成員 細かい指摘になり恐縮ですが、紙資料の1-331ページで、先ほど来御指摘があるように、評価時が主たる解析の観察期間1年と総観察期間が5年となっていますけれども、できれば10年時の評価も必要かと思いますとの指摘もあり、それに対して回答の中で、体制の維持や資金的な面からも10年時の評価を本試験に含めることは現実的に困難であるとの回答が寄せられていると思います。一方で、その上の部分で、先行の臨床研究の被験者に対しても、実際上は通常術後に外来診療で実施される5年間のフォローアップ以降も臨床評価を継続していますというような記載があります。

 タブレット資料になりますが、患者説明文書の18分の7ページの部分で、患者さんに対しての説明の部分の所を拝読しますと、通常、当院で膝の手術を受けられた患者さんは、5年間の経過観察をさせていただいておりますので、5年間は当院で患者さんの膝の状態は定期的に診察いたしますとの記載があります。こちらの文書を拝読すると、細かい指摘になり恐縮ですが、5年間は経過観察をするけれども、5年間が経過したらリリースしてしまうとも読みかねないように感じますので、患者さんに不安を与えない、また実際に5年間以降も研究の評価ということではなく、通常の診療を継続していただきたいという観点からも、この部分について評価は5年で終了するけれども、その後も患者さんを定期的に診ていくことは可能というか、可能な限りフォローアップしていくのだという趣旨の記載を追記いただけないかということを御提案申し上げたいと思います。以上です。

○山口座長 この点について、いかがでしょうか。当然普通の医者であればやるのではないかと思うのですけれども、文書にしてしまうとそこで切ってしまうということになってしまうわけですよね。多分、研究者もそこで切るつもりはないと思うので、是非そういう書き方ではなくて経過を見ますよと、試験の結果とはまた関係なしにということでどうでしょうか。そこはやはり記載してもらったほうがいいのではないかと思うのですけれども、松山先生、いかがですか。

○松山構成員 やはり、再生医療というものがまだまだ未知で、造腫瘍性の話というのもどうか、まだ決着が全くついていない状況で、我々が実際に患者さんを診ていても、明日から外来に来なくていいということは怖くて言えないのです。ただ、一方で先生がおっしゃるように、5年間はとおっしゃると5年以降は来なくていいのではないかと思うところがあって、むしろ患者さんに対してしっかり来てくださいねという教育が必要だと思いますので、天野構成員が今おっしゃったところというのは、ちょっと追加させていただくようにこちらからサジェスチョンをさせていただこうと思います。

○山口座長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。ほかにございませんか。

○上村構成員 ちょっと柴田先生に確認なのですけれども、外部対照群のというのは、前向きの臨床試験が今も続いているということですか。それとも、もうある程度結果が出ていて、比べると言っているのですけれども、具体的には主要評価項目として有効性のところ、J-KOOSと言うのですか、このスコアがシートを使わないときにどのぐらいの効果として見られていて、それに対してこの新しい技術が期待値としてどのぐらいのものがあれば、研究者の先生方は意味があると思っていらっしゃるのですか。ちょっとスコアの読み方もよく分からないので、1つは先行している研究が今どういう状態なのかというのも含めて、どういう議論だったのか少し確認ができればと思います。

○柴田構成員 まずこの研究は単群の試験ですが、並行して、この治療を受けられない通常の日常診療を受けられる患者さんの前向きの登録がなされることになっております。その前向きの登録がなされる中で、同じ疾患の患者さんのデータを並行して、その前向きの観察研究で取ることになっておりますので、ランダム化はされませんが、同じ病院で違う治療を受けて、既存の治療を受けている方との成績、J-KOOSスコアを比較するという形が取られることになっております。過去の研究の成績も踏まえて、今回HTO、既存の治療での1年後のJ-KOOSの変化量の平均が20.88ポイントぐらいであるのに対し、今回の先行研究での自験例での成績が38.21ポイント変化していたという、この18ポイントぐらいの変化が見込めるので、なおかつ、それに対して臨床的な意義があるという御判断だということだと思いますが、それを検出するためのサンプルサイズ設計がなされています。以上です。

○上村構成員 よく理解できました。

○山口座長 今の点は非常にやはり重要なポイントだと思うのです。ただ、これは探索的な研究なので、ガチガチにしてしまうとなかなかやれないというところもあって、この後、企業治験に行って初めて評価されるわけですから、そういう点もあったのではないかと思います。ほかにございませんか。どうぞ。

○飛田構成員 今回の試験が探索的な位置付けの試験で、前向きの観察研究とパラレルに比較していく点に関しては私も理解はするのですが、1点ちょっと柴田先生にお聞きしたいのです。今回、どちらかというとかなり有効性のほうにメインが置かれていて、今回は、標準治療でやっていく方法と、今回のシートを乗せる群と有効性を比較するというのは分かるのですが、安全性の面に関して、余りプロトコルとかディスカッションにはなっていなかったような気がするのですが、その点に関してはどのようにお考えでしょうか。

○柴田構成員 御指摘のとおり、安全性に関しては、既存の治療との比較をすることを積極的にエンドポイントに置いているわけではありません。ただし、これについては、この試験の中では前向きにはしっかりデータが取られることになりますので、それに基づいて次の相の研究をすることが妥当か否か、つまり、得られた治療成績に対して、観察された有害事象等が許容可能かどうかを判断していただいて、前に進むかどうかを決めていただくことになっていると理解しております。

○飛田構成員 前向き研究でも、この先進医療のプロトコルと同じぐらいのレベルで安全性を評価するという理解でいいということですか。

○柴田構成員 そこについては、観察研究ですので、これと同じぐらいのインテンシティーでは取らないと思います。基本的には、観察研究として別途取られる範囲の中で著しい有害事象等が出れば、それは日常診療の中で記録がされることになると思います。ただし、観察のポイントをそろえてなどということはないと理解しております。

○飛田構成員 分かりました。ありがとうございます。

○山口座長 ほかにございませんか。それでは、整理番号87につきましては、「条件付き適」ということで、まず柴田先生から御指摘の2つの点、それから掛江先生から御指摘の点が1つ、それから天野先生から言われた、5年で切るのはまずいと、やはり観察はきちっと10年まで続けることを条件として付けてほしいという、この点を条件として付けて「条件付き適」としたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それではそのようにさせていただきます。

 続きまして「試験実施計画の変更について」、事務局より説明をお願いします。

○医政局健康開発振興課専門官 今回は、先進医療Bの試験実施計画の変更について1件申請がありました。41ページの資料2を御覧ください。東京大学医学部附属病院からの申請です。告示番号65、マルチプレックス遺伝子パネル検査です。適応症は固形がんで、根治切除が不可能又は治療後に再発したものであって、治療法が存在しないもの又は従来の治療法が終了しているもの、若しくは従来の治療法が終了予定のものに限ります。本試験は、先ほど御説明しました適応症の患者さんを対象として、Todai OncoPanelを用いて治療介入への判断の根拠、又は、病理学的診断の補助となり得る遺伝子異常を有する症例の頻度を解析することで、このTodai OncoPanelの臨床的有用性を検証するという単群試験です。予定症例数は200例で、今回の申請時点では登録は4例となっております。

 御審議を頂く主な変更内容につきまして43ページを御覧ください。2にあります、核酸抽出した後の品質管理の結果により、遺伝子解析が中止になる可能性と、その際の患者負担の免除の可能性につきまして明記したということです。変更理由です。DNAの量や品質が不十分であることが全体の約2%から3%ほど見込まれるということで、この場合は解析が中止となって、その場合には先進医療に係る費用は全額返金することが明記されたということです。以上です。

○山口座長 ありがとうございました。この変更内容につきまして、何か御意見ございませんか。

○真田構成員 事務局に聞いたほうがいいのかもしれませんが、このように検査不能に陥る例が23%出ることは、もともとの登録予定症例数、あるいは解析の対象になるような症例数の計算や設計のところに影響を及ぼすことはないという理解でよろしいでしょうか。

○医政局健康開発振興課専門官 この試験は、目標症例数が200例ですので、3%と見積もると、およそ最大で6例程度、194例ぐらいになるかと思うのですが、すみません、それが大きな影響を与えるかということに関しては、生物統計の先生から御回答を頂いてもよろしいでしょうか。

○山口座長 どなたかコメントありませんか。

○柴田構成員 すみません、手良向先生にお答えいただくほうがよいかもしれませんが、ちょっとたまたま書類を読んでおりましたので御回答いたします。これはもともと承認されたときに、その点がこの会議の照会事項で質問がされていまして、数例の解析不能例が出たとしても判断には大きな影響は与えないということは確認済みということでした。

○山口座長 ありがとうございました。よろしいですか。

○真田構成員 はい、確認までですので、ありがとうございました。

○山口座長 ほかにございませんか。それではないようですので、告示番号65の変更につきましては認めることといたします。

 続きまして、「協力医療機関の追加について」、事務局から説明をお願いします。

○医政局健康開発振興課専門官 45ページ、資料3-1を御覧ください。これまでに大臣告示されている7個の技術につきまして、協力医療機関の追加申請がありました。47から59ページにあります資料3-2を御覧ください。事務局において、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たしていることを確認しました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。

○山口座長 では次に、「先進医療B試験の取下げ」について事務局から説明をお願いします。

○医政局健康開発振興課専門官 61ページにございます資料4を御覧ください。今回は告示番号16、及び告示番号49の技術につきまして、先進医療B試験の取下げ申請がありました。告示番号16の取下げ理由は、当該機関において、登録症例の観察が全て終了したためです。また、告示番号49の取下げ理由は、本試験はおよそ2年前の平成2811月より開始しましたが、登録症例がなく、今後の継続が困難と判断したということです。この2年間で参加施設全11機関で58例の症例実施がありましたが、この試験の選択除外基準により登録には至らなかったということです。この選択除外基準は、十分審議を経た上で決定しており、その変更は研究を根底から見直すことになってしまうので取り下げたいということです。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。

○山口座長 58例をやって1例も登録に至らないというのは、何か計画がそもそもおかしかったのではないかという結論になるような気がしているのですが、その辺りどうなのでしょうか。やはり、結構、手間暇を掛けて承認して、時間を2年間もやって、やる気がないと言えばちょっと失礼になるかもしれませんが。どうぞ。

○柴田構成員 今、先生が御指摘の所についての質問なのですが、58例が切除不能で化学療法が奏効しない、あるいは、切除不能で化学療法が困難であるという条件にはおおよそ合致しているけれども、細かい適格基準に合致しなかったから登録できなかったのか、そもそもこういう大まかな基準とは違う、肝内胆管がんではあるけれども、化学療法が奏効しないとか、困難であるという条件を満たしていない58例であったのか。つまり、適格基準を少し変えることによって登録が見込めるような違いであったのか、そもそも根本的にメインターゲットにしているところから大きく離れていたのかというのは、やはり確認が必要で、今回の判断はいいと思うのですが、将来、肝内胆管がんに対してもう一度申請されるようであれば、改めてそこを確認した上で出していただかないとまずいかと思いました。

○山口座長 私もそれは必要だと思いますが、いかがでしょうか。一応、それはもう聞いておかないと、今後のためにもいいと思うのです。ではそれは問い合わせておくということで。

○医政局健康開発振興課専門官 ありがとうございます。少し内訳を聞いております。手術拒否例ですとか、化学療法の継続が可能であるが拒否した例、術後再発例、あるいは検査値の不適合、年齢不適合、組織診が困難だった例などがあったということです。

○山口座長 それでよろしいですか。それでは、一応、取下げということで、ありがとうございました。それでは、本日の議題は以上ですが、何か特に御意見ございませんか。

○柴田構成員 審議にはかからないので、ちょっとそのときに申し上げなかったのですが、一般論として、先ほど石川先生に御指摘を頂いた、やはり期間が長いのではないかという点については私も気になっておりました。例えば、今回出てきました試験ですと、探索的フェーズではあるにもかかわらず、両側5%、検出力90%という、検証試験と同じぐらいの精度の厳密な設定がされて試験が出てきています。例えば、がんの臨床試験、がんの医薬品開発では、最近はフェーズ2の段階での探索的な試験は、片側10%、検出力80%、90%ぐらいの試験をやっておいて、見込みがあるようであれば、大規模で厳密な第3相試験を両側5%、検出力80%、90%で行うというステップが踏まれることがあります。厳密な医薬品の承認審査を目指した治験であってもそのようなプロセスが踏まれることが多いので、この会議だけで決められることではなく、PMDAですとか企業さんですとかいろいろな関係者の意見のすり合わせも必要だと思います。探索的フェーズで過度に厳密にアルファーを、有意水準を小さくするであるとか検出力を高くし過ぎることを余り追求し過ぎると、このように、やはり試験期間が長くなってしまって、新しい医療技術が世に出てくる芽を摘むことにもなりかねないのではないかと危惧するところです。この場で答えが出ることではないのですが、事務局にも探索的フェーズでの厳密さをどのぐらいまでに設定するかというのは御議論を頂ければと思っております。今日の、ここで答えが出ることではないと思いますが、気になりましたので発言させていただきました。

○山口座長 ありがとうございました。何かこの点について御意見ありますか。

○手良向構成員 今の柴田先生の御意見に少し関連しているのですが、このような第2相というか探索的試験では、こういう設定は珍しく、要するに外部コントロールとデータ自体を比較することになっています。通常単群試験の場合、例えばがんの試験では、ある閾値を決めて1標本検定をするわけですから。そうすると、サンプルサイズは多分半分以下で済むのですが、そういう意味では、サンプルサイズも多いのではないかという気がするのと、中間解析などを行って早く結果を出すというデザインもあるので、もう少しその辺は工夫ができるのではないかと思います。以上です。

○山口座長 ありがとうございました。結構、PMDAとの話合いの中でそちらのほうに引っ張られてしまいます。ただ、せっかくPMDAは事前相談をやっているわけですから、我々もそのまま結果というのは尊重したいわけです。こういう意見があるということをやはりPMDAにきっちり伝えて、お互いにコミュニケーションを取らないと、せっかくそういう仕組みができたのに問題だと思います。是非、今日出たような御意見は、PMDAのほうに伝えていただければ有り難いと思うのです。ほかにございませんか。

○一色座長代理 先ほど話題になった10年予後の話ですが、私たち循環器領域で例えば、冠動脈バイパス術と冠動脈インターベンションを比較した成績を長期にフォローしていると、数年の間は多枝病変だとバイパス術のほうが予後がいいことが示されるのですが、10年後には差がなくなってくるのです。これらの患者さんの年齢は65歳から70歳ぐらいで、そういう方には動脈硬化もあって、80歳近くなってくると様々な病気がまた発生してくるわけです。今回の変形性膝関節症の場合でも、それなりの御年齢の方が組み込まれて、5年間QOLが保てることの意義が10年後まで延長することで有効性が薄まって行ってしまう可能性があるのではないかと危惧しています。今後のスタディで、5年以上のフォローアップすることの総合的評価をどう考えるかについては、慎重に考える必要があるという印象を持っていますのでコメントさせていただきました。

○山口座長 ありがとうございました。ほかにございませんか。

○真田構成員 やはり長期試験、あるいは超長期試験で経過を見るということにあっては、昨今の開発における臨床研究の管理がだんだんと法律化もされ厳しくなっているという観点からも、研究者の先生方は、費用面でも長期の試験を組んで、それをカッチリと実施して完遂するところまではなかなか、やはり資金面等々でも足を引っ張られるという例が多くて困っているという御意見をたくさんお伺いします。やはり、短期で見れるものは何かと、やはり症例数を削減するためにはどういう努力をすればいいかということと、あと、長期的な観察的評価と言いますか、事実上はリアルワールドの診療の中で診られて評価されていく場面が多いのかと思いますので、研究と診療、それから介入と観察というところの切り分けをうまく導いてあげて、短期で結果が何らか出るようにしてあげるという、研究の立て付けのアドバイスなども必要なのではないかと思っていますので、もし事前相談等々でそのように御指導を頂けるのであれば、御考慮いただければと思います。

○山口座長 ありがとうございました。どうぞ。

○松山構成員 今の点で、研究としての質をどう担保するかという観点がメインで議論が進んでいると思いますが、一方、再生医療、特に今回の場合はsomatic stem cellですので、世界的に、体性幹細胞で腫瘍が発生したというのはケースレポート1つしかないのです。皮膚のシートを移植して、1症例で移植した後、126か月から131か月の間に4か所に独立して扁平上皮癌が発生したという、論文1本だけです。そう考えると、比較的ほかのものに比べると安全性が高いのではないかと思うのですが、細胞の場合は比較的長期にしっかり見ておかないと、特に患者さんの安全性の観点からはやはりひやひやものだというところがあって、スタディのクオリティうんぬんだけではなくて、むしろ患者さんのために、こういうスタディを組んだ病院は責任を持って最後まで患者さんを診ますよというスタンスが必要で、それで先ほど天野構成員からのコメントに関しては、やはり記載してもらったほうが、これは覚悟を示すということですからいいのかという形でコメントさせていただいたと。この部分も、ちょっと研究とは違うのかもしれませんが、頭の片隅に入れていただければと。

○石川構成員 先ほど、ちょっと期間のことで私は言ったのですが、これは例えば、柴田先生の先ほどの評価の中で、標準的な治療ということでお話がありましたよね。やはり、人工関節がどんどん進歩して良いものができてきているわけです。人工関節と細胞シートを使ってどうなのかと、これは非常に大事なことになると思うのです。その場合に、人工関節の手術をするときには、患者さんの年齢が非常に高い方はほとんどやらないわけです。10年もあれば、10年あるかどうかというのを見るわけです、現場の先生方は。10年ない方ですと、人工関節やらないで何かもっと別なことをやろうとか、そういう今の現状ですので、9年とか10年とか、あるいはもっと長期でこの研究を見るということは、ほとんどこの判断はおかしなことになるのではないかと思うのです。私はそのことを、患者さんの年齢、一色先生がおっしゃった年齢のことも含めて、こういう研究のスパンを考えるべきだと思います。

○山口座長 ありがとうございました。やはり対象の年齢だとか、それから技術によりけりです。例えば再生医療については、やはり長期のものは、生き残る人が少なくてもきっちり見なくてはいけないものもあると思うのです。ですから、その辺の兼ね合いが難しいので、やはり、11つの技術ごとにきちっと皆さん議論していだだいて決めるのが適切かと思いました。貴重な御意見ありがとうございました。ほかにございませんか。それでは、貴重な御意見をたくさんありがとうございました。それでは本日の会議は終わります。次回の日程を事務局からお願いします。

○医政局健康開発振興課専門官 次回の日程は、翌1115日木曜日です。時間は16時から18時までの予定とさせていただきます。場所については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いします。以上です。

○山口座長 それでは、第76回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

 

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