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2018年12月25日 第6回高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ議事録

医薬・生活衛生局

○日時

平成30年12月25日(火)17:00 ~ 19:30

 

○場所

厚生労働省 講堂


○議題

(1)高齢者認知症の薬物療法
(2)高齢者の医薬品適正使用の指針(追補)(案)について
(3)その他

○議事

○医薬安全対策課長 予定の17時になりましたので、これより第6回高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループの会議を始めます。本日のワーキンググループは御覧のとおり、本日も公開で行っており、まず傍聴の方々に対して事務的な連絡をさせていただきます。本日既にお伝えしてありますように、注意事項をお守りいただくよう、傍聴にあたり重ねてお願いします。よろしく御協力のほどをお願いいたします。また、カメラ撮りに関しては、議事に入る前までとさせていただいておりますので、そちらに関しても御協力のほど、よろしくお願いします。
それでは、改めまして先生方におかれましては、年の瀬の夕方の時間ということで、あわただしい時間帯かもしれませんが、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の会議に関しては、まず出欠状況に関してお伝えしますと、このワーキンググループのメンバー構成は、12名の先生で構成しておりますが、あらかじめ大野先生から欠席の御連絡をいただいております。それから今現在、水上先生、髙瀬先生と大木先生が少し遅れるということです。池端先生が今、御到着されましたので、現在8名の先生に出席していただいております。それから、その関係で申し上げますと、大野先生は欠席と申し上げましたが、後ほど資料の確認もさせていただきますが、傍聴の方にもお配りしております本日の出席者名簿の1枚紙に、大野先生のお名前を入れてしまっておりますので、この場をもちまして訂正をさせていただきます。本日、議事の中にありますとおり、高齢者におきます認知症に対する薬物療法についてお話を伺うために参考人の先生に御出席をいただいております。紹介させていただきます。東京医科大学病院の主任教授の羽生春夫先生です。本日はよろしくお願いいたします。
○羽生参考人 よろしくお願いします。
○医薬安全対策課長 それでは、議事に入りますのでカメラ撮り等につきましては、ここまでとさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。それでは、後の進行は秋下先生にお願いします。どうぞよろしくお願いいたします。
 

 (カメラ退室)

 

○秋下主査 皆さんこんばんは。お久しぶりです。また大変な作業が始まりますが、よろしくお願いいたします。それでは、議事に沿って進めてまいります。初めに、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○課長補佐 事務局より配布資料の確認をさせていただきます。お手元にお配りした資料、一番上に議事次第と配布資料一覧、続いて開催要綱・構成員名簿、座席表・出席者名簿の順になります。
続いて、資料を順に確認させていただきます。資料1「高齢者認知症の薬物療法」、資料2「高齢者の医薬品適正使用の指針(追捕)(案)」、参考資料「高齢者の医薬品適正使用の指針(追捕)骨子」。以下は構成員の机上配布のみとなりますが、「別添1」、A3の1枚紙で「別添1」の別表3、更に「別添2」を付けています。加えて、先生方の机上には、参考資料として「高齢者医薬品適正使用の指針(総論編)」また、赤いファイルで各ガイドライン集を御用意していますので議論の際に御参考としていただけますと幸いです。なお、こちらの指針とガイドライン集につきましては、会議終了後、机上に残したままにしていただけますと幸いです。
また、ワーキンググループとして初めての配布になりますが、高齢者医薬品適正使用検討会の構成員である樋口先生より『高齢者のクスリと今』という冊子を御提供いただきました。ワーキングのみの構成員の先生方には、今回配布しておりますので、そちらも御覧ください。本日の資料は以上です。不足等がありましたらお申し付けください。
○秋下主査 大丈夫でしょうか。
○課長補佐 はい。そちらが、検討会の樋口構成員がまとめた冊子として、昨年度の高齢者の指針の総論編の検討について、内容を書かれておりますので、是非、先生方に御覧いただきたいということで御提供いただいたものです。
○秋下主査 検討会の委員の方にはないので。僕のところにもないのですが。
○医薬・生活衛生局長 検討会で配っていただている。
○秋下主査 先生には渡っておりませんか。これまで、初めてですか。
○医薬・生活衛生局長 検討会とワーキングに共通している先生方には、検討会のほうで既にお渡ししてあるはずなので、その先生方に今回お配りしていないというのが、先ほどの事務局の説明です。
○秋下主査 よろしいでしょうか。それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいります。本日は高齢者の医薬品使用の指針(追捕)(案)について、先生方に御議論いただく予定としておりますが、その前に羽生参考人から、高齢者認知症の薬物療法について御説明いただきます。認知症治療薬は、今回の(追捕)の「別添」として、薬効群ごとの留意点の表の案を作成しており、関連の有用な情報を頂けるかと思います。羽生先生は、日本医師会の「かかりつけ医のための適正処方の手引き」の作成に当って認知症の部分にも深く携っておられますので、高齢者認知症の薬物療法について詳しいお話をいただけると思います。それでは羽生先生、よろしくお願いします。
○羽生参考人 皆さん、こんばんは。東京医科大学の羽生です。お手元の資料に沿ってスライドを通しながら「高齢者認知症の薬物療法」というテーマで約20分前後、お話申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず認知症の患者さんは今どのぐらいいるかという疫学データですが、2012年の時点で462万人、現在2018年で約500万人と言われています。これを横軸に見ますと、特に75歳以降の後期高齢期に入りますと、女性も男性も急速に増えていくのが分かります。したがって、今、いわゆる団塊の世代と言われる方が2025年になりますと、全員が後期高齢期に入りますので、2025年には約700万人を超えるであろうと。これは65歳以上の高齢者の5人のうち1人に相当するという統計がなされております。
原因疾患として一番多いのはアルツハイマー型認知症で、次いで脳血管性、そしてレビー小体型ということになりますので、高齢者の認知症の中でも特にアルツハイマー病が今後の大きな課題になっていくであろうと推測されているわけです。認知症の薬物療法を考える前に、まず中核症状とBPSDに分けて考えたいと思います。中核症状は認知症のコアとなる症状で、アルツハイマー病を中心に考えれば、皆さん共通して持っておられる記憶の障害、実行機能障害、失語、失行、失認といった様々な大脳高次機能障害から構成されます。これは病気が進んでいきますと、中核症状もどんどん進んでいくということになります。
一方、以前は周辺症状と言われていましたが、最近はBPSDと言われますが、例えば物取られ妄想、徘徊、暴言、介護の抵抗、不安・焦躁、こういった精神症状、問題行動が生じる場合があります。これは全ての人に出るわけではなく、しばしば患者さんの置かれた環境要因が不良な場合に出て、それを改善しますとこういったことも消えることがありますが、いずれにしてもBPSDがひどくなってきますと、介護困難になり、しばしば薬物治療の対象になってくるわけです。
認知症の薬物治療を考えた場合に、まず中核症状に対する治療。大きく薬物治療としては、後から述べる抗認知症薬は4剤ありますが、これは保険適用としてはアルツハイマー病ですが、1剤のみにレビー小体型認知症にも適用があります。それから非薬物治療。なかなかエビデンスはないのですが、こういった治療が挙げられます。一方のBPSD(行動、心理症状)に対しても、薬物治療と非薬物治療があります。この薬物治療の中には、非定型抗精神病薬とか、抗不安薬、抗うつ薬などが含まれてくるわけです。今日は主に、この中核症状としての薬物治療についてお話を進めさせていただければと思います。
現在、中核症状に対して4つの抗認知症薬がありますが、表は簡単にこの特徴をまとめたものです。3つのコリンエステラーゼ阻害薬と、1つのNMDA受容体拮抗薬としての神経保護的な効果をもつメマリー(メマンチン)です。この3つのコリンエステラーゼ阻害薬は作用機序の若干の違い、適応症の違い、剤形の違い、投与回数の違いもありますが、基本的にはどれから使っても同じような効果が得られる。そして、一定数の限られた副作用が見られるという特徴があります。その特徴として、例えば3つのコリンエステラーゼ阻害薬と1つのメマンチンは若干、BPSDに対する作用機序が違います。御紹介しますと、コリンエステラーゼ阻害薬として代表的なアリセプト(ドネペジル)は、プラセボとの比較研究で、特に有効であったのは抑うつ、不安、アパシー・無関心といった、いわゆる陰性症状に対して効果的であったというデータが出されております。
一方のメマリーは、反対にプラセボと比較して、妄想に対して効果的、不安・攻撃性に対して効果的。あるいは攻撃性、易刺激性に対して有効であると。つまり、アリセプトを初めとするコリンエステラーゼ阻害薬は、どちらかというと元気を出す作用で、一方のメマンチン(メマリー)は、興奮などを抑える症状。そういった使い分けがなされております。
昨年発表された認知症疾患診療ガイドラインでは、この使い方についてアルゴニズムが示されております。軽度、中等度、高度に分けますと、軽度の場合にはコリンエステラーゼ阻害薬3つのうち1つを使う。しかし、効果がないとか、不十分だとか減弱、副作用が出た場合にはほかに切り換える。あるいは副作用で使えない場合は投与中止も考慮するということになっています。中等度には、コリンエステラーゼ阻害薬1剤か、メマンチンを選択する。あるいは両方併用することも可能です。やはり効果が減弱している、あるいは効果がない場合には他の薬剤に変えるか、投与中止も考慮するということになります。高度の場合には、コリンエステラーゼ阻害薬の中で保険適用はドネペジルだけか、メマンチンですので、そのどちらか、あるいは両者を併用するということですが、ここに書いてある効果がない場合、不十分だった場合や効果が減弱であった場合は、ほかに切り換えると書かれておりますが、それでは誰がどのような判定でこれを評価するか、いつの時点で評価するか、そういう明確な基準はないのが現状で、診療医の裁量に任されているのが現状です。
実際に、これはアリセプト(ドネペジル)の海外の臨床試験ですが、24週間、約6か月の臨床試験では、これは縦軸にADAS-Cogですから、マイナスになれば有効です。この青いライン、プラセボに対して5mg、10mgは優位に改善効果が得られる。こういうエビデンスが確認されたために「臨床効果あり」として、薬価収載されたわけです。ただこういった薬剤も中止して時間がたってしまいますと、その後の効果も減弱するという特徴も見られております。
これは私どもの外来で調べた178例のアルツハイマー病に対して、コリンエステラーゼ阻害薬を使いますと、最初の6か月でMMSEで、僅かですが1年は改善します。1年後にはベースラインに戻って、2年、3年、4年、5年と残念ながら症候改善薬としては進行を止めることはできませんので悪化、進行していくわけです。
ところが、薬を全然使わなかった場合には、MMSEで見ますとこういった形で進行していきますので、MMSEで見た限り、約1年から2年先延ばしてくれる。これは大体どのぐらいかと言いますと、幾つかのシミュレーションデータがあるのですが、今認知症は462万人の中で67%がアルツハイマー病ですから約300万人のアルツハイマー病がいると言われています。1、2年先延ばしすると約10%のアルツハイマー病、約30万人の減少が期待できる。その30万人のアルツハイマー病が減少できれば、少なくとも医療経済的には介護費用も含めて、兆を超える経済効果があるのではないかというデータも出されているようです。この投与開始でMMSE点数が高い場合、つまり初期の場合には、数年一定のステイブルな状態が得られるのですが、MMSEのスコアが低い場合から開始された場合、つまり、中等度以降に進行してから開始されると、なかなか効果が得られずに進行していきますので、やはり認知症に関しては早期診断、早期治療が重要であるということがうかがえるかと思います。ここで私自身の考えも含めて、現在の抗認知症薬の適正使用の課題について説明したいと思います。まず1つは対象疾患、適切に対象が診断されているかどうかという問題です。2つ目は適正な用量が使われているかどうか、そして3つ目は投与期間の問題、それぞれについて説明を申し上げたいと思います。
今までの臨床試験で効果が証明されたのは、アルツハイマー型認知症と一部の薬剤によるレビー小体型認知症です。したがって、この2疾患に対して保険適用があるわけですが、現在認知症の中でアルツハイマー病とDLBは全体の70数%です。つまり、残り30%弱は保険適応がない。つまりエビデンスがないわけです。そこがまず1つの問題は、認知症の全て使われるべきお薬ではないということです。もう1つ、私たち、専門医が臨床的にアルツハイマー病と診断したとしても、最近のアミロイドPETでアルツハイマー病の病理学的な指標としてのアミロイドを評価することができるのですが、残念ながら15%から20%ぐらいがアミロイド陰性、つまり、アルツハイマー病ではないのです。これはADNI研究でも現在行われている疾患収縮薬の臨床試験も、最近はアミロイドをターゲットにしていますから、必ずアミロイドPETを行うのですが、やはり一定の割合でアミロイドが陰性、ここは私たちの臨床診断の限界で、こういった方々に抗認知症薬が効くかどうかというエビデンスが全くないわけです。高齢のアルツハイマー病の患者さんは、ピュアなアルツハイマー病ばかりではありません。多いのは脳梗塞を合併したアルツハイマー病です。私たちが臨床試験で行って登録したアルツハイマー病というのは、基本的にはピュアなアルツハイマー病ですので、こういった脳梗塞を合併したアルツハイマー病に対して、この抗認知症薬が効くというエビデンスがないという問題もあります。
原因はよく分かっておりませんが、アルツハイマー病にも一定の割合で有効例もあれば、なかなか効かない症例も存在する。予測もなかなか難しいということもあります。
BPSDの高度な症例、特に陽性症状としての不穏とか易怒性とか焦躁とか興奮を起こしやすい場合、どうしてもこういったコリンエステラーゼ阻害薬は刺激する作用がありますので、しばしばそういった症状に対しては有害、副作用が出やすいということもあります。一定の割合でアルツハイマー病と臨床診断したにもかかわらず、前頭側頭型認知症(行動異常が主とする認知症のタイプ)がありますが、これは明らかにコリンエステラーゼ阻害薬は禁忌ですので、こういったものにも一部使われているという現状もあります。残念ながら、認知症ではない生理的な健忘に対して予防的な効果として使われているという現実も実際にあるように聞いております。したがって、正確な診断のもとに、適切な治療が行われているかどうかという問題点を1つ挙げたいと思います。
2番目は適正用量です。最近、週刊誌やマスコミ等々でアリセプトの少量投与、抗認知症薬の少量投与が一部で報道されておりますが、少量投与の有効性は全くエビデンスがなくて、少なくとも5mgでの有効量、10mgの有効量が確認されているわけです。ただし、臨床的に特にレビー小体型認知症などは幻視に対しては3mgで効く場合があります。しかし、それは幻視という症状に対して効いただけで、認知症の進行抑制に対して効いているかどうか、効果を判定しているわけではありません。「認知症疾患診療ガイドライン」の中では、高齢の認知症への薬物療法の注意点と原則は何かという中で、この1番目に、「投与薬物は、その種類によっては若年者の2分の1から4分の1量の少量で開始することを検討する」とありますが、これは「その種類によっては」と書いてありますが、少なくとも抗認知症薬に対してはそういうエビデンスはありませんので、恐らくはこの意図するところは、非定型抗精神病薬のようなBPSDに対する治療薬には、少量投与で開始すると私自身は理解しております。
3番目は投与期間です。基本的には軽度から中等度、ドネペジルは高度まで保険適応がありますが、実際にいつから投与して、いつまで続けるべきかという一定のコンセンサスが得られているわけではありません。外来ではMCIの患者さんも一定の割合で受診されます。しかし、MCIに関しては、まだ保険適応はありません。ところが、MCIの中でもlate MCI、認知症に近いMCIの中で、特にアルツハイマー病を背景としたMCIに対しては有効ではないかというデータも幾つか紹介されておりますので、実際には効く可能性もあるわけですが、少なくともMCIに対して保険適応はないわけです。
重度認知症となり認知症も進行していきますと、だんだん食事摂取量も経口摂取も困難になってくる場合があるわけですが、そういう状態にまで使うべきかどうかという問題も議論があって、なかなか一定のコンセンサスは得られていないということです。残念ながら、現在では漠然と、いつまでも継続投与されているのが現状で、そういった問題点もここで1つ指摘させていただきたいと思います。
アルツハイマー病は残念ながら進行性の病気で、FASTステージの分類でいきますと、FAST4が軽度なアルツハイマー病、FAST5は中等度、FAST6、7が高度ですが、これは自然経過で、最近は抗認知症薬、あるいは適切なケア等で、これがゆっくりゆっくり進んでくることがありますので、実際に軽度が2年間、中等度が1.5年間よりは明らかに延長しているわけです。残念ながらアルツハイマー病は高齢になっていきますと、様々な合併疾患や身体疾患が合併していきますので、転倒・骨折、排尿・排泄障害、誤嚥・肺炎、摂食・低栄養といった問題が出てきますが、こういった重度の状態になっても抗認知症薬を使うべきかどうかという議論もなかなか一定のコンセンサスが得られていないということで、これも診察医や主治医の裁量に任されているのが現状です。
ここで「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」という秋下先生が出されたものと、日本医師会と、私ども老年医学会で、「超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引」というかかりつけ医の先生を対象とした手引として認知症編を紹介したいと思います。
まず初めに、認知症=アルツハイマー病ではありませんよと。アルツハイマー型認知症が68%、レビーが4%ですから、72%に対しては薬物の保険適応がありますが、残り28%に対しては、少なくとも保険適応はないということです。認知症と診断されて直ちにお薬を使うわけではなくて、その薬を使う必要性があるかどうか。きちんと薬が使われるべき服薬遵守がされるような環境下に置かれているかどうか、それを考えて薬物治療、BPSDに対する治療、高齢者ですので様々な合併疾患(神経症状、老年症候群)に対する治療を行いましょうという記載がされています。
これは先ほどの認知症疾患ガイドラインで出されていたアルゴリズム、右側は先ほどの4つの薬の特徴が出されております。BPSDに対しては、基本的には非薬物的な介入を行う。しばしば患者さんが置かれた環境要因によって症状が出る場合もありますので、まず環境を改善して、どうしても難しい場合には薬物を考慮しましょうというアルゴリズムのフローチャートがここに出されています。
高齢者の認知症の薬物療法の注意点として、これも一般的な注意点として若年者の2分の1から4分の1の薬を使うとか、合併する生活習慣病を管理するとか、服薬アドヒアランスをしっかりと確保して投与すべきといった注意点が書かれていて、ここに絵で分かりやすくアドヒアランスの解決法が出されております。
やはり高齢者はいろいろな薬物が投与されておりますが、認知機能を悪化しやすい薬剤として有名な三環系抗うつ薬、抗コリン薬、頻尿改善薬等々で、特に日本ではベンゾジアゼピン系の薬がかなり多く使われておりますが、こういったものには注意深くしてくださいよという提示がされているわけです。
最後に、高齢者のアルツハイマー型認知症はいろいろな合併症をお持ちです。これは私どもで調査したものでも、こういった合併症を同時に併せ持って、特に多いのが糖尿病、高血圧、脂質異常症は生活習慣病ですので、こういった生活習慣病も併せて治療しないといけないということになります。それはどうしてかと言いますと、フランスのデータですが、こういった高血圧とか糖尿病とか高脂血症をうまく治療しますと30か月の間に、MMSEの低下がこういうふうにゆっくりですが、全く治療しないと青いラインのように急速に進んでしまう、不十分な治療ですと、その中間ということですから、やはりトータルケアということを考えた場合には、認知症に対する治療は当然重要ですが、合併する疾患も合わせて診ましょうよと、そういう意味が込められているかと思います。
高齢者の認知症に関しては、病態学的な特徴を考慮して治療してくださいという、私自身の意見です。まず高齢の認知症患者さんは多病で、幾つかの病気を併せ持っています。アルツハイマー病を背景とするばかりではなく特に脳血管性病変を合併した複合病理を特徴とする、高齢者は有害事象の発現が多いということから、正確に診断して、適正に抗認知症薬を使用すれば明らかに有効で、約10%、30万人の患者さんが減少することは期待できますので、そういった意味での医療改善効果、医療経済効果は得られますし、介護負担も減ることは事実であろうと考えております。
もう1つは、私はこれをよく言っていることですが、高齢の認知症患者さんを診るのではなくて、認知症を持った高齢者を診る。そうしないと、適切な治療、あるいは介護につながらないということで、この2つの言葉を最後に合わせて私の簡単なレクチャーとさせていただきます。以上です。御清聴ありがとうございました。
○秋下主査 大変分かりやすく、かつ、特に最後の「高齢の認知症を診るのではなく、認知症を持った高齢者を診るべきである」という締めも大変印象的でした。ただいまの羽生参考人の御説明に御質問等がありましたらお願いします。いかがですか。
○池端構成員 大変分かりやすい話をありがとうございました。私も実地医家とし認知症を外来等で診させていただいている立場で、少量投与のことでお伺いしたいのですが、確かに少量投与は有効性がない、エビデンスがないということですが、実際にやっていますと、患者さんでアルツハイマーの薬で、例えばドネペジルであれば3mgから5mgに上げて、そのうち悪心、嘔吐などの副作用が出てきて、再び3mgに落とすと落ち着いてくる。しかも家族からの聞き取りも含めて有効性はあるが、5mgを続けるとどうしても悪心、嘔吐が強くなるということがあったり、エビデンスとして言えるかどうか分かりませんが、メマンチンなどでも5mgから20mgまで上げると有効性はあるのですが、逆にADLが悪くなって、15mgのときは良かったという例をよく耳にして、私も悩ましいことがよくあるのですが、その辺は先生、いかがですか。
○羽生参考人 ありがとうございます。私自身も少量投与で効果的であるという患者さんや御家族の方から意見を言われることがあるのですが、恐らくこれはBPSDに対する症状だと思います。認知機能の進行抑制という意味で中核症状に対しては果たしてどうかなということで、私たちも調べたことがあるのですが、やはり3mgですと、5mg、10mgに比べて明らかに進行抑制効果はほとんどない。ですから、どこを治療するか、私たちがエビデンスに基づいて考えているのは、こういうアリセプトも含めて、抗認知症薬は認知症の進行抑制効果として保険適応の収載がされましたので、それが効果がなくて、患者さんから見て良さそうですよというだけで、果たしてそれで保険適応があるのかどうかという問題もありますので、これは医学的なことのみならず、保険医療的な問題も絡んでいますので、私自身は何とも言えないのですが、少なくとも、少量投与で中核症状である認知機能障害の効果はなかったということは事実であろうと思います。
○池端構成員 よく分かりました。基本的に中核症状に対する薬だからということだと思いますが、一方で家族が求めているのは、周辺症状がどうかということが気になっていて、やはりその薬を続けたいと言われることもあります。保険適応があるのかないのかは別として、やはり少量投与して続けたいというところもあるのです。言いにくいことかとは思いますが、その辺は先生いかがですか。
○羽生参考人 各薬剤メーカーのBPSDに対して、これはいろいろな臨床治験が行われておりますので、海外のデータもたくさんあるのですが、メタ解析で、こういったBPSDには効果がありますよというデータはあるのですが、やはり3mgの少量投与では、ほとんどプラセボとの有意差はなかった。ただ日常の経験では、先生がおっしゃるように、ある患者さんに対しては少量で効いている方は確かにいるのです。そういった経験を下に、保険で使っていいのかどうかということについて私は意見を言えないのですが、あくまでも科学的なエビデンスに基づいてプラセボに対してこれだけの効果があったかどうかという観点から言うと、少量投与は残念ながら効果がないというのが現実的です。少量投与を私自身、専門医として推し進めるということはなかなか難しいわけです。
○池端構成員 非常によく分かりました。ありがとうございました。ただ、ここは適正化使用ガイドラインというところなので、逆に言うと、これは今、堂々と使えないのかもしれませんが、少しでも少なくて、有効な症状が出れば、それを使える方向に持っていくのは1つの流れとして有りなのかなと思っていますので、これは今後いろいろと検討していただけると良いかなと、個人的には思いましたのでありがとうございました。
○秋下主査 そのほかはいかがですか。髙瀬先生お願いします。
○髙瀬構成員 貴重なお話をありがとうございました。遅れて来て申し訳ありません。若干、今のお話と絡むことかもしれませんが、先生の最後のまとめをお聞きしますと、かかりつけ医や在宅医療の現場を担っている医師、あるいは薬剤師に対して、御要望等々あるのではないかと思いながら聞かせていただきました。もしこうあるべきとか、御要望とか、現場に対してあれば是非お聞かせいただきたいというのが1点です。
それから、実際問題、地域医療の現場ではなかなか効果判定の時間がないというところで、羽生先生のお勧めの簡便にできる方法があれば教えていただきたいという、この2点ですが、いかがですか。
○羽生参考人 まず第1点ですが、在宅医療とかかかりつけ医の先生は、患者さん全体を見られることが多いので、私自身はそれを非常に期待しているというか、安心しているのです。かかりつけの先生は血圧も診る、糖尿も診る、骨折、骨粗鬆症を診る、誤嚥しそうだったらそれも診る。逆に、そういう先生にこそ高齢の認知症患者さんを診ていただいて、その効果が期待できると思っています。大学病院とか総合病院の専門医は、本当に難しい症例、診断がつかない症例の診断だけに主にエネルギーを使っていただいて、その後のフォローやケアは是非、在宅医療を中心とされている先生、かかりつけ医の先生がなされるのがいいだろうと思っています。
2番目の効果判定ですが、これはなかなか難しいです。一般的な限られた時間内で効果を判定する認知機能検査はありません。さらにもう1つ問題なのは、例えばMMSEが1点、2点、3点上がったからといって、つまり100-7ができたからといって、それが御家族、本人にとって果たして効いているのかどうかという問題もあります。例えば、MMSEの点数が改善していないにもかかわらず、今日はきちんと買物へ行ってこられた、お料理ができるようになった、御家族が求めているのはそちらだと思うのです。決して100-7の計算ができることを求めているわけではないので、ただ残念ながら、科学的なエビデンスとしてどういったものが効果があって、どういったものが効果がないかと見た場合、ある程度の尺度を使わなければいけませんので、MMSEやADASやいろいろなものを使っているので、その辺のギャップがあるということが、まず1つです。
私自身は科学的なエビデンスに基づいて治療を進めるべきだと思っているのですが、効果判定に関しては、実際には患者さんの御家族が本当にこの薬を使って効いていますよと、先ほどの先生の3mgでもいいのですよと言われれば、MMSEに効果が出なくても、これは使ってもよいかと思いますので、その辺は私のポリシーであるエビデンスというところから外れるのですが、現実的にはそうせざるを得ないのかなと個人的には思っております。
○髙瀬構成員 貴重なお話ありがとうございました。
○秋下主査 そのほかはいかがですか。
○溝神構成員 先生どうも貴重なお話をありがとうございました。私も薬剤師という立場で、認知症に関わっていて、最後のスライドにあるように、高齢認知症の方は有害事象の発生頻度が多いということを先生も書かれているのですが、私もその辺のところは詳しくないので教えていただきたいのですが、例えば、そういう具体的な要因や、薬として抗認知症薬やBPSDの薬で有害事象が多いとか、あるいはその他の薬で有害事象が起こりやすいといったところで何かデータがあれば、あるいは先生の御経験でもよろしいのですが教えていただければと思います。
○羽生参考人 これは抗認知症に限らないで、高齢者一般特有の問題として有害事象が多いというのは、秋下先生のほうが御専門だと思いますが、抗認知症薬に関しても同じことで、例えば、ある薬剤は腎排泄のものなので、腎機能障害があれば副作用が出やすい。採血のデータを見ますと、高齢者には潜在的な腎機能障害がありますから、そういう場合には十分な量ではなくて有害事象発現抑制目的で少量投与でいくというのは現実的になされていることは確かだろうと思います。
有害事象が起こりやすい要因としてはポリファーマシーです。いろいろな病気を持って、いろいろな薬を投与されている。しかも、先ほどお話で触れましたが、いろいろな専門医に同時に罹ってしまいますと、かなり重複するような作用、あるいは相互作用を持つような薬が、主治医の知らない所で出されているということが往々にしてあります。そういった意味で高齢者では有害事象が多いといえます。BPSDに対する非定型抗精神病薬も時には使わざるを得ないことがありますのが、過鎮静とか、様々な副作用が出やすいわけですから少量投与からせざるを得ない。そういったことで、有害事象のことを必ず高齢者については考えていただいたほうがいいだろうと思っているわけです。
○溝神構成員 ありがとうございました。
○秋下主査 ありがとうございました。これを最後にしたいと思います。桑田先生、お願いします。
○桑田構成員 先生のお話を今日は楽しみにしておりました。私は看護職ですが、薬物を内服し、その後の効果を一番身近で見るのは看護職と思っているのです。先生から見て、先生のお考えで看護職に期待することがありましたら教えていただきたいと思います。
○羽生参考人 ありがとうございます。多分、在宅ではなくて、入院、入所されている場合には、家族は無理ですから、看護職、介護職の方が患者さんを一番よく見られている上で効果判定をされる立場だろうと思います。抗認知症薬が薬価収載されたのは生活機能に対して有効だからということです。記憶力が少し上がるとか、100-7の計算ができるということではなくて、生活機能がどれだけ改善するか。日常の生活の中では、ADLですね、顔を洗って整容して出掛けて、排尿して、などADLの面で効いているかどうかを見ていただいて評価されるのが一番いいと思っております。
○桑田構成員 どうもありがとうございました。私もそう思っております。ドクターたちと、そういったようなところの意見交換がもっとできたらいいかなと思っております。ありがとうございました。
○秋下主査 ありがとうございました。今の点で、もう1つ私のほうから付け加えさせていただくと、正にこの後、議論する指針の案についてですが、看護師の方だけではなくて、認知症の方のそばにいる職種の方に期待するものとしては効果、例えばADLから効果判定をするとか、もう1つは有害事象の観察であろうと思っています。例えば、コリンエステラーゼ阻害薬の場合は、食欲がなくなったと。摂食量が減ってきたとか、便の状態がどうこうとか、精神症状がこうこうと、こういったようなことを是非、拾い上げていただく。そういう役割を果たしていただけるのでないかと思っていますので、薬剤の益と害の両面から期待するところが大であると思います。ありがとうございました。それでは羽生先生、どうもありがとうございました。では、次の議題に移ります。次の議題は「高齢者の医薬品適正使用の指針(追補)(案)について」です。前回のワーキンググループで構成員の先生方に御議論いただいた後、検討会にて了承を得た(追補)骨子を参考資料1としてお配りしておりますが、この骨子に沿って、一部の先生方には御協力いただきまして資料2の(追補)(案)を作成しました。なお、この(追補)という副題については、検討会の際に議論となり、複数の副題を併記した形としております。この場では暫定的に(追補)と呼称しますが、この点についても御議論いただければと思います。
また、骨子の項目立てについては、執筆を進める過程で、各部に共通する内容を「はじめに」の部分に集約するなど、内容について整理していることを一言申し上げます。それでは(追補)(案)の議論を4つに分割しながら進めていきたいと思います。まず「はじめに」の部分について議論をしたいと思いますので、事務局から(追補)(案)を説明してください。
○課長補佐 資料2、指針(案)の7行目からです。「はじめに」では、最初に(1)指針(追補)の目的を記載しています。指針の目的としては総論編と同様、「ポリファーマシーにおける診療や処方の際の参考情報を医療現場等へ提供する」とした上で、「単なる減薬ではなく、高齢者の薬物療法の適正化を目指すためのものである」といったポリファーマシーの概念にも触れ、今回の追補の目的である「患者の療養環境ごとの留意事項を明らかにする」と記載しています。
また、23行目からは、今回提示する療養環境別に入っていない急性期の入院医療について、さらには処方見直しの基本的な考え方及びフローチャート等の各療養環境に共通する部分については、昨年度取りまとめた総論編を御参照いただくこととしております。さらに、27行目には、追補の主たる対象は、総論編同様、医師、歯科医師、薬剤師とした上で、取りわけ追補の対象とした療養環境別の指針では、情報共有等で看護師等、他の職種の関わりも重要になってくることから、他の職種についても必要に応じて、その役割とともに記載することとしています。
2ページ目からは、(2)患者の療養環境ごとの多剤服用の現状について記載しております。ここでは、マル1「外来・在宅医療」、マル2「急性期後の回復期・慢性期の入院医療」、マル3「その他の療養環境」、それぞれにおける多剤服用の実態について各種調査結果や論文の内容を基に記載しております。10行目からが「外来・在宅医療」になります。ここでは、毎年実施している社会保障診療行為別調査の結果を引用しています。図1に引用結果をお示ししております。これは同一の保険薬局で調剤された1か月間の薬剤種類数をまとめたものです。指針総論編では、同じデータを全年齢区分における平成28年のデータを掲載しておりますが、今回は指針の対象である65歳以上について、65~74歳までと75歳以上のそれぞれに分けて、平成25年から平成29年までの経時結果を掲載しております。13行目からですが、それとは別の調査で、一部の保険薬局を対象として、特に慎重な投与を要する薬物であるPIMsの処方が高齢者の4分の1で見られ、特にベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬/抗不安薬やNSAIDsの使用が多く見られること。さらに、一般用医薬品等の使用実態に関する調査について、一般用医薬品やサプリメントの定期的な使用が約3分の1に見られ、それらの使用を医師に伝えているケースは30%程度だったという結果についても記載しております。
さらに、20行目からですが、全国で薬剤師が訪問業務を行っている薬局を対象とした調査結果として、内服薬剤種類数は中央値で7種類、薬物有害事象の被疑薬として中枢神経系用薬が含まれることが多く、薬物有害事象の関連事象として服用薬剤数が多いことが示唆されていると記載しています。さらに、25行目からは、在宅療養患者及び特別養護老人ホーム入所者対象の処方調査における処方薬剤数及びその内容について記載しています。
3ページの5行目からは、「急性期後の回復期・慢性期の入院医療」の実態調査をまとめたものです。ここには地域包括ケア病棟を対象としたアンケート調査結果、更に日本慢性期医療協会で実施していただいたアンケート調査の結果について記載しています。この部分については得られるデータが少なく、今年度の厚生労働省事業としても調査を実施しておりますので、その調査結果も盛り込む予定としております。
4ページの5行目からは、「その他の療養環境」となります。ここでは、先の日本慢性期医療協会で実施いただいた介護療養型医療施設におけるアンケート結果、更に介護老人保健施設における調査結果を記載しています。上の図2が医療療養病床、介護療養型医療施設、介護老人保健施設における入院時/入所時からの平均薬剤種類数の変化を示したものです。以上、調査結果のパートについては、4ページの12行目から参考文献を記載するとともに、先生方の机上に配布している机上配布資料別添2として、引用した参考文献の要約を作成しておりますので、そちらも御覧いただきながら御確認をお願いいたします。
5ページの6行目からは、(3)各療養環境において共通する留意点としてまとめた部分について説明します。各療養環境において共通する留意点として、マル1非薬物的対応の重要性とマル2多職種の役割、連携の2点について共通する部分が多かったため、「はじめに」の部分にまとめております。12行目からの非薬物的対応の重要性について、次ページの図3に代表的な非薬物的対応及びそれに関わる職種が示されていますが、ここに代表的なものを示した上で、薬物療法に先んじて非薬物的対応の実施を推奨すること。さらに、6ページの2行目からは薬物療法への切り替え、7ページの5行目からは長期間服用しても状態の改善が認められない等の場合における薬物療法からの切り替えについて記載しています。
7ページの12行目からがマル2多職種の役割、連携になります。処方の確認・見直しは、医師、歯科医師、薬剤師が中心とした上で、そのほかの職種との連携が重要であり、各職種の役割を表1にまとめています。さらに、8ページの2行目からは多職種の連携方法、11行目からは留意点の共有として、療養環境移行時における情報共有についても記載しています。9ページの1行目からは、お薬手帳等を活用した連携・協働について、適正に処方するためには全ての薬剤を把握することが重要であり、そのツールとしてお薬手帳の活用を促し、更にお薬手帳に記載する情報としては、処方された薬剤のほか、一般用医薬品等の使用状況、更に必要に応じて病名、血圧等の所見、肝臓・腎臓機能の検査値、処方変更の理由等も挙げています。14行目からは服薬アドヒアランスについて多職種、さらには患者の家族、介助者との連携に関する部分を記載しています。服薬遵守に対する用語としては、医師等の指示を守って服薬するという意味のコンプライアンスに対して、患者の理解と意思に基づいて行われるアドヒアランスという語を用いており、こちらが一般的となっていますが、認知症患者等、理解や意思決定の困難な患者ではコンプライアンスに該当する場合もあることから、両者を使い分けて記載しています。以上になります。
○秋下主査 構成員の方から御質問、御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。作成に携わった方々も多いのですが、じっくりと見ていただいて、この部分が今回の追補の骨格になるかなと思います。ちなみに、名称についての意見もありましたが、これについては取りあえず置いておいていただければと思います。内容を重点的にお願いできればと思います。事前に配布して御意見を温めておいていただければということでお出ししているので、それほどないのかもしれませんが、いかがでしょうか。
○池端構成員 3点ほど、気になったところをお話します。参考資料のほうにはあるのですが、「はじめに」の所で、当然、今回は療養環境ごとの3段階ということで、一番問題になったのが特別養護老人ホーム等をどこに持っていくかということでかなり議論があったかと思うので、そこを書き込まずに、「外来・在宅医療」と書いてしまうと、これを初めて見る方はここに特別養護老人ホームとか居住系サービスが入ることに違和感を感じる方もいらっしゃるかと思うのです。○の3番目の所が括弧書きで、「常勤の医師、歯科医師が配置されている介護施設等」と書いてあるので、ここに例えば「特別養護老人ホーム等の居住系も入る」というように括弧書きか何かを入れておいたほうが丁寧かなと感じました。
もう1つ気になったのが8ページの所です。7ページからの続きで各職種の役割の所で、8ページの介護福祉士の役割なのですが、先ほど座長もおっしゃったように、介護福祉士は一番現場に近く利用者に近い所にいらっしゃる方なので、逆にここの薬物療法の効果や有害情報の確認だけではなく、生活状況の変化とか服薬による変化を把握あるいは服薬状況の把握・確認とか、こういうところも介護福祉士にとっては非常に大事な役割かなと思うので、そういうニュアンスを入れていただけるといいかなと感じました。介護支援専門員の方には生活状況の情報集約とありますが、その情報を一番お持ちで実際に発信できるのは介護福祉士の方だと思うので、そういう生活状況の把握という点も中に書き込んでいただいたらいいかなと感じました。取りあえず今の2点です。
○秋下主査 そうですね。3個は覚えきれなくなりますので、桜、猫ぐらいまでにとどめておいていただいて。最初の点ですが、御議論いただければと思います。確かに「外来・在宅医療」というように、第1部が正にその点で、第1部の冒頭、11ページの所に、3行目から「第1部では外来、自宅やサービス付き高齢者向け住宅等における在宅医療、特別養護老人ホームおよび有料老人ホーム、グループホーム等の常勤の医師が配置されていない施設における考え方及び留意事項について記す」と書いているので、ここを読むと分かるのですが、出だしの所では分からないと。何かもう少し説明があったほうがと、こういう御意見ですね。それを具体的に書くとしたら、1ページの17行目、療養環境を「外来・在宅医療」という所になるので、そこに括弧して何かを入れるのはどうかということだろうと思いますが、全部入れると長くなりますので、簡単な言葉で補足できればよろしいのかなと思うのです。事務局、よろしいでしょうか。
○課長補佐 ここでは、特別養護老人ホーム等の常勤の医師が配置されていない施設というような意味合いで書いているので、そのような内容を入れてはいかがでしょうか。
○秋下主査 そうしますと、第3部の18行目ですが、「その他の療養環境(常勤の医師が配置されている介護施設等)」と書いているのに対応するような形の表現ということですね。「常勤の医師が配置されていない介護施設」とするか。具体的には、この中では特別養護老人ホームが特殊で、有料老人ホームやサ高住、グループホームなどは余り迷いはないですか。
○池端構成員 一般的には、(最近は)もうあまり迷いはないのではないかと。
○秋下主査 この在宅医療の所に入るということで、迷いはないですかね。それでしたら、分かりやすさを出すためには、括弧して「特別養護老人ホーム等の常勤の医師が配置されていない施設」ですか。
○池端構成員 「特別養護老人ホーム等」だけでもいいのではないですか。
○秋下主査 「等」だけでは足りない感じではないでしょうか。
○池端構成員 難しいですね。
○秋下主査 これは後で整理します。2番目の点は、おっしゃるとおりだと思いました。7ページから8ページにかけての表で、「介護福祉士等」の所に、介護支援専門員の所に記載されている「生活状況」という言葉をうまくそのまま使って。
○桑田構成員 私もここの所で質問があったのですが、看護師、介護福祉士等の所に「患者のQOL」と入っているのですが、これはきっとどの職種も高齢者のQOLを上げるために、各職種の役割を遂行していこうということであって、この2つの職種だけにQOLと入れるのは、私の中では違和感はあるのです。どの職種も、高齢者の生活の質を上げるためにこういったような話し合いもしていて、連携を取っていくので、我々が目指すところは高齢者のQOLの向上なのではないのかなと思うのですが、いかがでしょうか。看護師、介護福祉士等の役割に入っていてもいいのですが、我々は高齢者のQOL向上を目標にして、どの職種もタッグを組んでいくと考えたので伝えさせて頂きました。あと、先ほどのADLということを、日常生活動作ということで安全性だけを入れてしまうと、医療安全と高齢者のケアはバーサスみたいなところがあり、現場のスタッフがすごく悩んでいます。当事者の日常生活動作というか、ADLということを看護師にも介護福祉士にも入れたほうがいいのではないのかなとは、個人的には思っています。やはり服薬支援ということも大事かなと。能力把握とか状況の確認ばかりではなく、服薬をどのように進めていくかという視点も大事かなと思っていますが、まずは患者のQOLというのはみんな一緒かなと。
○秋下主査 少し漠然としすぎているということですか。QOLというのは突き詰めると結構難しいのですが、恐らく我々医療関係者は、いろいろなものを含めてQOLという言葉に包括してしまっているのかなと思いますので、そういう意味ではもう少し具体があったほうがいいのかもしれないですね。QOLという言葉が出たり出てこなかったりするというのはどうかなという意見ですが。
○大木構成員 私も同じようなところがありまして、もしADL、QOLを入れるのであれば、上の「多職種の役割、連携」の所にその言葉を設けて入れたら、皆に適用できるのかなと思って考えました。もう一点が全体の中身を拝見して、「確認」という言葉と「評価」という言葉があるのですが、特に7ページの下の言語聴覚士の方の「薬物有害事象としての嚥下機能低下等を評価」とある、その下も管理栄養士の方が「評価」という、これは専門的なところで言語聴覚士が評価する、あるいは管理栄養士が食事に対して評価するというように考えてよろしいのか。というのは、上の部分はみんな「確認」という言葉を使いながら、各々の職種の見るところの確認ということで使っているのですが、あえて、この2種に対しては評価という言葉を使っているのは、ある意味で評価という言葉も適切だと思うのですが、逆に意図があるのか、その辺を確認したいなと思いました。
○秋下主査 ありがとうございました。今の評価の点なのですが、これは最終段階で駆け足でここに書き込んでいるので不適切なところもあるかもしれませんが、正におっしゃるとおりです。評価するということの意味合いはかなり高度なニュアンスを含むので、それが職務として本来、その人が持っているスキルから当然、評価までするべきところは評価という言葉を残し、必ずしもそうでもないかなというところは把握とか確認とかという言葉が当ててあると思います。ですので、御覧いただいて、ここは評価のほうがいいよとか、ここは確認とか把握とか、あるいはそれよりもっと適切な言葉がそれぞれでありましたら、いただければ有り難いかと思います。事務局から、そういうことでよろしいですか。
○大木構成員 はい、分かりました。
○秋下主査 一応、使い分けているつもりですので、間違っているという御指摘がありましたら、是非いただきたいと思います。表1は、少しブラッシュアップが必要になりますので、今ここでやり取りすると時間が掛かりますので、これは事務局と私のほうで、また修正案を作って、メール等でお諮りできればと思っています。
○清水構成員 1つだけ、先ほど大木構成員がおっしゃったことは全くそのとおりで、的を射ており、下の各職種の役割の所にQOL、ADLを入れる必要はなくて、上の15行目があります。「処方の確認・見直しは医師、歯科医師、薬剤師が中心となるが、「QOLの維持・向上を共通の目的として」ということで、これが入れば、この下にQOLを入れる必要はないのかなと思うのです。それぞれがその方のQOLを維持し、上げていくのは基本なものですから、専門職種が次のことをしているというようになさったほうが、みんな目指すところは一緒なのですが、到着点がそれぞれ違うと思います。急に言語聴覚士が嚥下機能を強化していって、そもそも言語聴覚士の方がどのぐらい機能しているかという現状はよく知らないのですが、逆に歯科衛生士とか、そういう方がなさっている方も多くて、その辺の頻度の問題もあるのです。ですから、できれば「QOLの維持・向上を共通の目的とする」というような文言が入ればいいのかなと、個人的には思います。以上です。
○秋下主査 今の御意見はいかがでしょうか。ごもっともかもしれませんし、非常に明快な指示を頂いたかなと思いますが、本文の15行目の終わり、「医師、歯科医師、薬剤師が中心となるが」の後に「QOLの維持・向上を目的として」、その後に「高齢者の日常生活の様子等に関する」というようにつなぐと、そういうことでしょうか。
○清水構成員 できれば「共通の」を入れていただきたい。
○秋下主査 「共通の目的」としてですね。それは正に今、議論された点ではないかと思います。そのような形で、ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。
また後で戻ることがあるかと思いますので、取りあえず先に進めてよろしいでしょうか。第1部の「外来・在宅医療」について、事務局から説明をお願いいたします。
○課長補佐 11ページを御覧ください。第1部では、外来のほか、自宅やサービス付き高齢者向け住宅等における在宅医療、さらに、特別養護老人ホーム等の常勤の医師が配置されていない施設について記載しております。
8行目からは、処方確認・見直しについて、外来の場合は正確な薬歴について患者からの報告や、お薬手帳からだけでは把握できない場合もあるため定期的な確認が必要であり、さらに、在宅であっても一般薬等の使用状況については、患者のほかに家族や介護スタッフからの聴取が必要である。一方、特別養護老人ホーム等の施設では、施設スタッフが服薬支援等を行うため比較的、服用状況の確認は確実に行われている旨の記載があります。
23行目からは、CGAの評価、多職種からの情報による服薬状況も確認した上で、治療薬の評価や見直しの検討を行うとしています。また、必要に応じて、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)を通じて、家族等とともに患者本人の価値観に基づく意思決定支援を実施することについても記載しています。
12ページ、9行目からは、長期的な安全性とリスク・ベネフィットバランスの視点について書いています。医師、歯科医師は、特に予防を目的に使用している薬剤によるリスク・ベネフィットバランスを含め、疾患による症状の有無や重症度を観察し、薬剤の追加、減薬、維持について判断すること。薬剤師は、処方内容の確認、疑義照会にとどまらず、必要に応じて、腎・肝機能等の検査結果の把握や残薬や他院通院等の医師、歯科医師が確認しにくい情報収集を行い、それを医師、歯科医師に報告することについて記載しております。
さらに、22行目からは、服薬アドヒアランスの維持について、28行目からは、居宅での生活はQOLを高く維持できる場所として可能な限り長く過ごせるようにすることも重要であり、そのためには、疾患の治療のみならず療養環境の整備やヘルスケア等の配慮でも重要であると記載しています。
13ページに入り、長期通院中の処方確認について、他院での薬剤変更や、疾患や身体機能の変化も考慮し、常に全ての薬剤の把握に努める必要性を記載しています。
9行目からは2.入院からの外来・在宅医療への移行時における留意点を記載しています。まず、「専門医との協議・連携」としては、地域のかかりつけ医は、病院の専門医から治療の状況等を的確に引き継ぐとともに、その後の処方見直し等の判断が難しい場合には、病院の専門医との連継も検討すること。
19行目からは、「多職種等からの情報収集と処方見直しプロセスの実施」として、退院後の患者の支援体制の変化による服薬アドヒアランスの低下や生活状況の変化により、処方見直しが必要となる場合があるため、退院後の患者の治療やケアに関わる多職種との情報共有が必要であるとしています。
14ページの図4は、特に病院や施設から外来・在宅医療への移行について、これまで記載のあった内容を図示したものになります。
15ページからは、処方検討時の留意点になります。(1)ポリファーマシー関連の問題の評価では、薬歴や処方理由も含めた全体像の把握、処方理由が判然としない薬剤の中止の検討について。(2)処方の優先順位と減量・中止では、外来・在宅環境を想定した留意点として、処方変更後の詳細モニタリングの難しさ、服薬アドヒアランスの確認の必要性を挙げつつ、モニタリングが必要と考えられる具体的な状況の例を表2に挙げています。さらに16ページでは、施設で想定される状況とモニタリングとして、看護・介護職務向けの勉強会や情報提供の必要性を挙げています。以上です。
○秋下主査 ありがとうございました。いかがですか。
○池端構成員 13ページですが、入院からの外来・在宅への移行時における留意点は非常に大事なポイントだと思うのですが、入院から在宅への最初のときは退院前カンファレンスへの参加は非常に有効だと思うので、14ページにはありますが、13ページにも「退院前カンファレンスの有効活用など」という言葉を、どこかに入れていただけるといいかと少し思いました。
もう1つ、一方で2つ目の○の在宅に移ってからの処方見直しのプロセスの実施の中で、ここで行われているカンファレンスについては、サービス担当者会議が行われて、ここに積極的に多職種が入ることによって処方見直しのできる可能性が非常に高いと思うので、是非、「サービス担当者会議の参加」とか「有効活用」という項目を中に入れていただくと、個人的には非常に有り難いという気がしました。14ページの図の上のほうのピンクの矢印の所に「退院前カンファレンスへの参加」ということがありますので、是非、下の多職種が集まっている輪の中にも、「サービス担当者会議の参加活用」という言葉を入れていただけるとよいかと思いました。これが1点です。
もう1点は、15ページの3.処方検討時の留意点の6行目、「なお、療養環境の移行を繰り返す過程で処方理由が判然としない薬剤を」とありますが、ここに一応、「前医への確認を経ても」という言葉を入れて、前の医者に確認をしたけれども分からないというような内容を入れていただかないと、勝手に分からないからいじってしまうという意味になってしまうといけないので、前医への確認を経ても処方理由が判然としない薬剤という見直しの内容にしたらいかがかと思いました。以上2点です。
○秋下主査 ありがとうございました。まず、後者については、そのような修正をしたいと思いますが、いかがですか。それでよろしいですか。
最初のほうですが、「退院前カンファレンス」と「サービス担当者会議」という言葉、図4には「退院前カンファレンス」という言葉が入っています。「サービス担当者会議」を下の円の中に入れることですね。人が集まっている絵は、多分、退院前カンファレンスでもないですね。
○池端構成員 髙瀬先生、実際これは余り使われてないのでしょうが、いかがですか。
○髙瀬構成員 退院前カンファレンス。
○池端構成員 いや、「サービス担当者会議」。
○髙瀬構成員 実際、なかなか行われていない場合も少なからずありますかね。活用したほうがいいかと思うのですがね。
○池端構成員 私はできる限り全例に参加するようにしていますが、なかなか参加するドクターはいないのですよね。
○髙瀬構成員 私もできるだけ参加をしようと思うのですけれど、診療との兼ね合いで実際にはなかなか行けないことが多いです。
○秋下主査 そうしますと、退院前カンファレンスを、13ページの2.の専門医のほうではなくて、多職種のほうですかね。どういう形で開かれているかということにもよるかと思いますが。でも、そうすると退院後になるのか。
○池端構成員 11行目の「地域のかかりつけ医は、退院前カンファレンスなどを利用して、病院の専門医か処方内容を含めた治療の状況及び処方理由を的確に引き継ぎ」ということで、どうでしょうか。
○秋下主査 11行目ですね。
○池端構成員 はい。
○秋下主査 「などを利用して」、はい。これは図には入っている言葉ですので、これでよろしいかと思います。では、そのように修正をしておこうと思います。「サービス担当者会議」は、いかがいたしましょうか。これは仲井先生、何か御意見はないですか。本文よりも図4のほうが、むしろ入れやすそうな感じはありますかね。
○清水構成員 14ページの図の下のマルの中に3つカラムがあります。「高齢者」、「家族」、「必要に応じて」という項目がありますが、家族、介護支援専門員、訪問看護師、介護スタッフは、サービス担当者会議の構成員なのですよね。
○秋下主査 そうですね。
○清水構成員 ですから、もし入れるとすれば、「から構成されているサービス担当者会議を開催し、情報収集」というような話で、ここに入れると。このメンバーは全部構成メンバーですよね。ですから、家族、介護支援専門員、訪問看護師、この中には患者本人も本当は入るわけです。本人も何か、飲みにくいとか、味が悪いとか、あれを飲むと口がしびれてしまうとか、それも大事なわけですから、介護される方、患者さんでもいいですが、スタッフから構成されるサービス担当者会議等から情報収集等を行うと。この1行、2行、3行は別ですよね。つながっていないですよね。
○秋下主査 そうです。
○清水構成員 別の項目ですよね。
○秋下主査 はい、別の項目です。ですから、2行目を。
○清水構成員 2行目に足していただければ。
○秋下主査 そうしますと、何か。これはポツか何かを付けていただいたほうが分かりやすいですね。
○清水構成員 しかし、長く入ってしまうので。
○秋下主査 はい。
○清水構成員 それで、下に1段落ちてもいいかと思うので、つながっているということで。
○秋下主査 ありがとうございます。
○清水構成員 そうすると、今おっしゃったことが入るかと。
○池端構成員 それでいいかと思います。
○清水構成員 よろしくお願いします。ありがとうございます。
○秋下主査 ありがとうございます。つながると思います。本文のほうではどこにあるのか、それが気になったのですが。
○課長補佐 13ページの26行目ですが、「ケアに関わる多職種とサービス担当者会議への参加等により」とか、そういう形ですかね。「と、情報を共有し」とか、そういう形で入れたらいかがかと思ったのですが、どうでしょう。
○池端構成員 はい、それで、「多職種とサービス担当者会議等を通じて情報を共有し」ということでいかがでしょう。
○秋下主査 そのような形でいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、少し修正していきたいと思います。そのほか、いかがですか。
○髙瀬構成員 入院のときもポリファーマシー対策の見直しのよいチャンスかと思います。かかりつけ医から入院先の主治医に送るときにも、責めのポリファーマシー対策ではないのですが、入院中からの処方内容の検討を積極的にお願いするというようなニュアンスの文言が、2番の最初の○の文章のどこかに入るといいと。先ほどの羽生先生のお話にもありましたが、かかりつけ医だけではなくて、入院の担当医が、他科の医師とも連携の上で積極的にポリファーマシー対策を考えてほしいというようなお願いをできるといいなと日常診療の中でいつも思っております。どこかに、何かうまく文言が入らないかというのが1点です。
もう1つは、16ページの「施設で想定される状況とモニタリング」の所ですが、かなり重要な役割をするのが施設の経営者や運営者である場合があります。実はポリファーマシー対策は施設の安全対策の重要なところなのですが、そこに余り関心のない施設の経営者とか運営者がいると、現場の医師、看護師、薬剤師だけでは非常にやりづらいときもあるので、それもどこかに入れておいていただくといいのではないかと思いました。その2点です。
○秋下主査 ありがとうございました。最初の点は、どこかにあるのではないですか。これは在宅医療、多分、ここの専門医との協議・連携が、退院前の病院の専門医から情報をきちんともらって、必要に応じて専門医にも問合せなどをしていきましょうというようなニュアンスがあるのですが。
○髙瀬構成員 あるんですがね。ただ、入院してしまうと、逆に増えて返ってきてしまったりすることがある。
○秋下主査 そのとおりなのです。入院は様々な所があるかとは思うのですが、これは外来・在宅医療におけるアクションなので、入院時の担当医に何をせよということを書く場所ではないのです。
○髙瀬構成員 なるほど。
○秋下主査 入院の担当医にどう働き掛けるかということを書く所なので、最後の「病院の専門医との連携を検討する」というのが、そういうニュアンスで入っている一文なのですが、もう少し強めに。
○髙瀬構成員 もう少し強めにお願いできないかということです。大変上品なお願いの仕方だったとは思うのですが、これではなかなか気が付かれない病院のドクターもいらっしゃるのではないかと、若干、老婆心ながら危惧しているわけですが。このままで、これはこれでよいです。
○秋下主査 では、ここは少し宿題で置いておいてください。
○髙瀬構成員 はい。
○秋下主査 検討してみます。もう1つが、事業者ということですかね。
○髙瀬構成員 そうです。事業者が余り理解されていないと非常にやりにくいときがありますね。
○秋下主査 事業者というのは、介護施設のですか。
○髙瀬構成員 はい、介護施設で、有料老人ホームとか、サービス付き高齢者住宅などの方が無関心ですとなかなか進まないようなところが実際はありますね。
○秋下主査 最後の16ページ辺りはどうですか。
○髙瀬構成員 そうですね、16ページの。
○秋下主査 所に、少しそういう視点を入れますか。
○髙瀬構成員 そうですね、はい。要するに、その施設あるいは。
○秋下主査 介護施設で減薬して、経営者からああだこうだと言われることは余りなくて、逆に必要ないとか、もっと薬代を安くしろと言われることはあるとは思うのですが。家族などからもいろいろ言われたりしますので、事業者が適正化ということの意味をきちんと理解していただいていないと、やりにくいという意味で、障壁になるような存在として、少し入れておきましょうか。
○髙瀬構成員 はい、そうして、少しでも。
○秋下主査 はい、お願いします。
○医薬・生活衛生局長 こういうところで私が余り口を挟んではいけないのかもしれませんが、私の行政経験で現場でいろいろなものを見るチャンスが多いのですが、施設長がこういうポリファーマシー問題に関して障壁になるというイメージがピンとこないのですが。例えば特養みたいに介護保険で決まっている部分と、サービス高齢住宅とか有料老人ホームのように、ある意味で独立していて、普通の年金なり彼らの資産で生活している中で医療が行われている現場もあるというところと、少し違いがあるのですが、そういう中で、今、先生が御指摘になるように、現場の人たちではなくて経営サイドのほうが障害になるというのは、もう少し具体的にどのようなものなのかを教えていただければ有り難いのですが。
○髙瀬構成員 例えば、逆にポリファーマシー対策で、皆さんで頑張りましょうみたいなポスターを作って貼っている施設があります。その場合、御家族の理解度がかなり上がります。実際に施設へ行きますと、ドクターと家族が出会うチャンスは余りないのですが、そこに施設の運営者なりが介在してくれて、これからポリファーマシー対策は、実は安全管理の面でも非常に重要ですというのを、何か文言を少し入れておいてもらうだけでも全然違ってくるのです。御家族はポリファーマシー対策は望んでいませんとか、あるいはワクチンも望んでいませんと、それに対する理解がない場合もあります。情報の媒介者としての施設が働きかけ、接触面積が増えれば増えるほどポリファーマシー対策に対する理解が深まるのは、私も実感しているところです。
○医薬・生活衛生局長 ありがとうございます。では、担当が多分、適切な用語を用意すると思います。
○髙瀬構成員 はい、ありがとうございます。
○秋下主査 ありがとうございました。ほかはいかがですか。
○仲井構成員 今のところですが、第3部との違いで言うと、第3部は、薬剤費は包括になると思います。第1部は、出来高になるので、その辺で若干、違ってくる可能性はあると思います。
○秋下主査 では、そこの視点も入れて、第3部との違いを少し意識しながら入れるということで、ありがとうございます。
○仲井構成員 もう1点、図4の下の絵にいろいろな職種を書いていないのが、何となく違和感を感じるのですが、ほかの図5や図6には書いてあるのですが、ここにも書いてあったほうが、何となく嬉しいような気もするのですが、いかがですか。
○秋下主査 事務局、これはいかがですか。
○課長補佐 それでは、検討させていただきます。
○秋下主査 多分、入らないから省いてしまったみたいなところがあるのかと思うのですが。ありがとうございます。よろしいですか。
では、第2部に移りたいと思います。第2部は、急性期後の回復期・慢性期の入院医療です。また、事務局から説明をお願いします。
○課長補佐 それでは、資料17ページを御覧ください。第2部は急性期後の回復期・慢性期の入院医療として、主に回復期の医療を担う地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟等と、主に慢性期の医療を担う医療療養病棟や障害者病棟について記載しています。7行目、1.入院時の処方確認・見直しの考え方として、急性期の治療により中止・追加した薬剤の検討も考慮しつつ、CGAや更にはACP等を通じて見直しを実施する。さらに、21行目からは、在宅・施設療養等、その後の療養環境移行を考慮することも重要であり、そういった観点から服薬アドヒアランスやコンプライアンスへの留意、移行先での生活やサポートする同居者の有無等を見据えた検討の必要性も挙げられています。32行目からは、入院前の医師、歯科医師、薬剤師との情報共有が望まれる事項として、次ページの表3に、その項目を挙げています。
18ページの5行目からは、2.入院中から退院までの留意点が記載されています。特に回復期・慢性期医療では、13行目以降に記載していますが、入院担当医を中心とした他職種との情報共有や連携が重要であり、看護師や介護職種・リハビリテーション療法士等の医療介護スタッフからの情報、さらに、21行目以降に記載してありますが、他の病棟横断的な専門医療チームとの連携も重要である旨を記載しています。
19ページの表4には、処方確認・見直しの際に留意する退院後の生活に影響を及ぼすと考えられる事項の例、表5には専門医療チームの例を挙げています。5行目からは退院時の留意点として、地域のかかりつけ医や薬剤師との連携、情報の引継ぎについてです。入院中に変更した薬剤が再び処方されないように変更理由も含めた情報の引継ぎや、入院前は複数の医師、歯科医師が処方していた場合には退院後に処方を取りまとめる処方医を決めておくことを推奨しています。以上の入院時から退院までの流れをまとめたものが次ページの図5になります。
続いて、20ページの2行目からは処方検討時の留意点になります。入院時は処方の一元管理という観点からも処方の整理を行う良い機会であるとともに、身体機能や活動性の低下に伴い、薬物有害事象が起こりやすくなるため、「現在の患者の状態」に対応した処方であるかを評価することが重要であり、21ページの表6に、想定される薬物有害事象とその留意点をまとめています。さらに12行目には、薬物有害事象の発現を伴わないPIMsや処方理由が不明確な処方についても対応を行うことを推奨する旨を記載しています。2部については以上です。
○秋下主査 ありがとうございました。では、御意見を頂ければと思います。先ほど第1部で髙瀬構成員から指摘のあった点は表3にかなり詳しく書かれています。先ほどの所についても同様にニュアンスがもう少し分かるような形に。
○髙瀬構成員 そうですね。
○秋下主査 はい、ありがとうございます。では、第2部の御意見、いかがでしょうか。私のほうから今、気付いた点で、19ページの8行目です。入院中に変更した薬剤が再び処方されないようにするというのは日本語としてはおかしいですね。中止した薬剤か、何か変更した薬剤が元に戻るというような、そういうどちらかですよね。
○課長補佐 はい、そうですね。
○秋下主査 修正しますが、どちらのほうがいいのかな。変更中止ですから、やはり変更のほうがいいですかね。変更した処方が元に戻るみたいな、そういうほうがいいでしょうね。
○課長補佐 はい。
○秋下主査 いかがでしょうか。
○溝神構成員 18ページの20行目に、「また、他の専門医療チーム」とあるのですけれども、「他の」というのは、多分、主語となるものの記載がないのですが他の専門チームとなっているのですけれども、この辺はいかがでしょうか。
○秋下主査 これは事務局のほうで、お願いします。僕も何となく分かりました。
○課長補佐 20ページの図5を御覧ください。図5の真ん中の部分なのですが、患者さんを取り囲むように、上の所には担当医療・介護スタッフ、そこから専門医療チームのほうに矢印が出ているのですが、ここの担当医療・介護スタッフの部分が、いわゆる処方見直しチームというのが病院によっては構成されている所もあると理解しておりましたので、そういったことを想定して、この図や文章を記載していたのですけれども、やはり病院によっては処方見直しチームがないところもございますし、そのチームが余りたくさん多くできすぎてもなかなか現場が混乱するのではないかといったことを考慮して、こういう書き方になってしまって、その名残になっているかと思います。適切な表現を御提案いただければ修正します。
○秋下主査 表5は専門医療チームですが、「他の」というのを取ればそれでいいのでしょうか。
○溝神構成員 はい。そのようにしていただいたほうが分かりやすいかなと。
○秋下主査 では取りあえず、「また、他の専門医療チーム」の「他の」を取ると。それでよろしいでしょうか。
○池端構成員 ほかのことでよろしいですか。また2点、17ページの9行目、これも先ほどと同じなのですけれども、「回復期・慢性期では、病棟配置の各専門職から得た情報を基に」とありますけれども、やはり、これも前医からの情報提供に加えて専門医と、ということが必要になってくるかなと思いますので、先ほどと同じような意見なのですけれども、ここに入れていただいたほうがいいかなと思いました。
○秋下主査 では、今の点は。
○池端構成員 はい。
○秋下主査 よろしいですね。ではそれでお願いします。
○池端構成員 それで、これは私よりも仲井構成員にお話して頂くべきことかもしれませんけれども、今更なのですけれども、第2部が急性期後の回復期・慢性期の入院医療となっていますが、実際は回復期の中に、急性期後ではなくて在宅から直接、地域包括ケア病棟に入ることがどんどん増えてきているので、この辺のニュアンスが若干違っているのかなと思いますけれども。今更これは変えようがないので、これはこれでいいかと思います。ただ、この前医というのは、実は先ほど髙瀬構成員もおっしゃったような在宅からの処方箋の情報もあるし、急性期からの情報もある、いろいろな両方の場合があるのかなと思います。いずれにしても、前の医者からの情報提供は非常に大事かと思いますので入れていただきたいと思います。それからもう1点、これは質問なのですけれども、18ページの「他職種」なのですが、これは「ほかの職種」の「他職種」と「多い職種」の「多職種」と、あえて分けて使っているのかどうか、それだけ確認したかったのですけれども。
○秋下主査 それはそのとおりです。これも直前に議論になりまして、ここも先ほどと同じような理由で、もしかしたら「他」ではなくて、「多い」のほうがいい場合と、少し混在しているかもしれません。
○池端構成員 13ページの一番下の○の「多職種」は、あえて「多い」のほうにして、18ページは「他」にしたということですか。18ページの院内の場合は、ほかの職種の「他」にしたということですね。
○秋下主査 そうですね、18は何も断わっていないので、「多い」ほうがいいかもしれないですね。何となく。
○池端構成員 と思うのです。13ページはもう、「多い」ほうがいいと思うのですけれども、13ページの19行目の多職種は、「多い」になっています。前の段の所。
○秋下主査 はい。ここはどうでしょうか。18ページ13行目ですね。この見出しの。
○池端構成員 あと、19行目と21行目にもありますけれども、これは、「他(ほか)」という意味で、医師や薬剤師の「ほかに」という意味だと思うのですけれども。
○秋下主査 そうですね。19行目は少なくとも、これは薬剤師というのがきているので、「医師、歯科医師は薬剤師や」で、「他」でいいのだと思いますが、21行目、「薬剤師や」というのがあって、これも「他」かもしれないですね。
○池端構成員 だから13行目は、院内となると、「多い」でもいいのかなと少し思った。
○秋下主査 ここは、いきなりですので、「多い」ほうがいいように私も思いますが、いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。では、そんな形で。はい、ありがとうございます。
○仲井構成員 今、池端構成員に言っていただいたところですけれども、これは最初のところで、地域包括ケア病棟は急性期と回復期というところがあったので、急性期をここで論じると若干難しくなるので、それは総論のところで論じていただくこととして、あくまで急性期後というところで、あえて急性期後の回復期・慢性期となっていると理解しているのですけれども、よろしいでしょうか。
○秋下主査 よろしいでしょうか。
○池端構成員 はい。
○秋下主査 「はじめに」の所で、急性期は総論編で論じているので、急性期は省くということを書いていますので、そういう意味でも急性期ではないと思いますが、ということでお願いします。
○仲井構成員 ありがとうございました。
○桑田構成員 的外れな質問だったら申し訳ないのですけれども、18ページの20行目に表4があります。これは退院後の生活に大きな影響を及ぼすと考えられる事項ということで挙がっているのですけれども、退院後の生活ということは、例えばリハビリテーションの妨げになる血圧低下や覚醒レベルの低下などの症状というよりも、退院後だったら歩いてお手洗に行けるとか、お風呂に入れるとか、そういったようなことのほうが大事なのではないのかなと思うのです。ここの中の内容が間違っているとは言わないのですが、高齢者の生活を中心とした内容の項目とは少し違うのではないのかなという印象を受けます。リハビリテーションはまた別であって、やはり家に帰ったら歩けるとか、自分でお手洗に行けるとか、洋服が着られるとか、顔が洗えるとか、御飯を食べられるとかということを家族や本人は望んでいるのではないのかなと思ったので。ポリファーマシーの影響が疑われる場合ということで、我々としてはこういったようなことを頭に置いとかなくてはいけないのかもしれないのですけれども、でも、高齢者を主体にしたときにはそういうことなのではないのかなという印象を持ちました。それと、2つ目も言っても大丈夫ですか。
○秋下主査 では、お願いします。今、考えながら聞いていたので。
○桑田構成員 ごめんなさい。私の中には少し違和感があったので申し訳ないです。図5なのですけれども、私はACPのことが組み込まれていて、それに関しては異論はありません。今、やはりACPのことは、すごく普及の段階なので、そのACPという言葉をこの中で使うという1つの役割もあるのかなと思って見てはいるのですけれども、でも実はこの、例えば6ページの図3の一番下にアドバンス・ケア・プランニングというピンクの部分とかはどう考えたらいいのかなとかと、実は思ったり、アドバンス・ケア・プランニングというのを「人生会議」という言葉に置き換えて読んだときにはどうなるのかなと少し思ってはいるのですが。もし、この図5の中に本人の意志決定支援を支援するということがあるならば、そのACPという言葉を使うのかどうかというのもあるのですけれども、どこかに入れておいたほうがよろしいのではないのかという印象を持ちました。
○秋下主査 ありがとうございます。2つ目のほうが手っ取り早いので、いかがでしょうか。左の所ですか、真ん中の円の中にマルが2つ付いていますが、そこにそういう趣旨を入れると、合いませんでしょうか。図5にはACPが入っていないのですね。
○桑田構成員 はい、そうなんです。もし、入れるのだったら一貫して入れたほうがよろしいのではないのかなと思ったのです。
○秋下主査 そうすると、第2部は回復期・慢性期ですので、やはり真ん中の円の所に視点がある必要があって、院内多職種からの情報収集、処方見直しプロセスの実施ということなので、もしかしたらそこの間に入れたほうがいいのかもしれないですね。処方見直しプロセスの実施の前に、そこにACPの考え方が入ってくるということですね。では、これに関しては修正します。ありがとうございました。そして最初に頂いた点ですね。表4が内容的にはここに書いてあることはいいのだけれども。
○桑田構成員 分からなくはないのだけれども、生活に影響を及ぼすとなったときには。
○秋下主査 どなたか妙案は。
○仲井構成員 想定としては多分、院内で行われていることに対して、それで退院後に影響を及ぼすと考えられることという意味だと思うのですけれども。実際にリハビリしたり、摂食機能療法をやったり、いろいろなことをしながら、このままでは退院後の生活に影響が及ぼされるのではないかということを気付くようにしたらいいと思うので、この内容はこのままのほうが僕はいいのではないかなと思います。もし、変えるのなら見出しですね。今、言ったことが分かるような見出しに、もう少し変えてもいいかなと思いますけれども、それが今思い浮びません。
○秋下主査 そうですね、内容よりも、むしろ見出しかもしれないですね。
○清水構成員 1つよろしいでしょうか。今、おっしゃったので非常によく分かりました。訪問看護師さんも看護師さんで、在宅とか、もう退院しちゃった後のことなのですよね。今、おっしゃったのは正に、退院のところですから、「入院時に退院後の生活に影響を及ぼすと考える事項の評価」とか、そういう内容にすれば、入院のときにこういう状態があって、そうするとこの有無という言葉が全部、生きてきますから。血圧とか覚醒レベルの変動の有無とか、そういう形にして、そうすると今度は在宅にいったときにそれが非常に大事ですし、確かにリハビリテーションもやるのでしょうけれども、それ以外のこともいろいろするわけです。そういう意味では、この有無ということを全部つなげるとすると、血圧低下や覚醒レベル低下の有無とか、そのような形のほうが、何かカテゴリーとしては合うのかなと思います。一応、御提案します。
○秋下主査 どうでしょうか。では、そういう形で、はい。あとは修正して、これを確認していただきます。ほか、いかがでしょう。
○仲井構成員 また絵について追加でしつこいのですが、すみません。担当医療・介護スタッフの中にリハビリとか、看護師さんがいないと、これも何となく寂しい感じがするのですけれども、また御検討いただければと思います。この絵というのは結構インパクトがあると思うので、そこに混じってない職種の人たちは寂しく思うのではないかなという気がいたします。
○課長補佐 余り人を入れてしまうと絵がすごく見づらくなってしまうので、その辺りを考慮させていただいたのですけれども、少し事務局のほうで検討したいと思います。
○秋下主査 では、お願いします。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。よろしければ取りあえず先に進ませていただければと思います。それでは第3部に移ります。第3部は、その他の医療環境(常勤の医師、歯科医師が配置されている介護施設等)ということです。では、事務局からまた説明をお願いします。
○課長補佐 資料23ページを御覧ください。第3部は、その他の療養環境として、常勤医師、歯科医師が配置されている介護施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院について、これらの施設が有する在宅復帰、在宅療養支援の機能、長期療養や看取りの機能に配慮しつつ記載しています。
まず、13行目からが、1.入所時の処方確認・見直しの考え方になります。入所前には、支援相談員や介護支援専門員等が、入所予定者の情報を把握することになるため、診療情報提供書、お薬手帳などから得た服薬内容の情報を医師、歯科医師と共有すること、服薬状況の情報把握に当たっては、移行元の医療機関の医師、歯科医師、薬剤師への情報提供依頼や患者の自宅を直接訪問すること、更には薬剤師による患者が持参した薬剤の鑑別についても必要に応じて推奨されるほか、入所前の本人や家族に対してポリファーマシー対策の重要性や非薬物的対応の提供に関する説明、理解を得ておくことが望ましいとしています。
29行目からは、処方確認・見直しについてです。入所時には必ず実施すべきとした上で、在宅復帰を支援する場合には比較的入所期間が短いことも考慮の上、薬物有害事象の有無の確認を積極的に行うこととし、例として認知症にサルコペニアが伴う場合を挙げています。
続いて、24ページに入ります。5行目からは長期療養や看取りを主とする場合の留意点として、ACPを通じた意思決定の必要性についても記載しています。11行目からは、長期的な安全性とリスク・ベネフィットバランスの視点について、患者本人の価値観を最大限尊重すること、さらに16行目からは、長期療養や看取りを目的とする場合は薬物有害事象のリスクや服薬可能かどうか等も考慮しつつ、本人あるいはその家族と価値観を共有した上で、薬剤の中止の検討も必要となる旨の記載をしています。
続いて21行目からは、2.入所中から退所までの留意点になります。まず、専門医及びかかりつけの医師、歯科医師等との協議・連携について、処方見直しの必要があると判断した場合には、可能な限り入所前の処方医師、歯科医師に連絡し、患者の病態も含めて情報交換を実施することとしています。さらに31行目からですが、処方見直し後の経過観察については、多職種に処方見直しの内容及び薬物有害事象のモニタリング方法を共有し、多職種がそれぞれの役割を踏まえて患者の状態の変化を捉える必要があり、さらに異常発生時の報告体制の構築と緊急対処法の共有も重要であるとしています。
25ページの7行目からは、在宅に向けた服薬環境の調整について、服薬が確実になる方法を検討するための対応について記載しています。さらに19行目からは、退所に向けた連携、情報の引き継ぎについて、表7に、特に介護老人保健施設と在宅医療の間の連携ツールをまとめています。以上、入所から退所までの流れをまとめた図が、27ページの図6になります。
27ページの3行目からは、3.処方検討時の留意点です。入所時は高齢者介護に精通した多職種がより関わることができるため、見直し後のモニタリングや長期療養の視点で処方見直しできる環境であり、長期療養や看取りも含めて患者の今後の療養環境を見据えた検討が求められるとしています。さらに、28ページの5行目からの(2)処方の優先順位と減量・中止においては、想定される状況とモニタリングとして、特に在宅復帰を目指す場合においては入所中の非薬物的対応の検討が、長期療養や看取りを行う場合にはACPを通じた意思決定支援が重要である旨を記載しています。また、18行目からの薬物有害事象のリスク確認については、2部の回復期・慢性期と同様であり、21ページの表6を参照することとしています。
続いて、最後29ページの「おわりに」です。ここでは、主にポリファーマシーの取組みについては、国民への啓発が重要であることについても記載しています。医療関係者が薬物有害事象のリスクや全ての病状に対して薬物療法を必要とする場合ばかりではないといった点について、具体的で分かりやすい言葉を用いて丁寧に説明する一方で、自己判断による断薬や減薬の危険性の注意喚起を行うこと、さらに服薬状況を医師、歯科医師、薬剤師に正しく伝える重要性について理解を求めることも必要であるとした上で、本指針の精神である患者中心の考え方に基づき、CGAの実施やACPの考え方を取り入れる旨についても記載しています。以上です。
○秋下主査 第3部と「おわりに」です。「おわりに」は非常に短いです。いかがでしょうか。池端先生から1部、2部に指摘された、その前のところの連携というか、やり取りについては、ここはよく書かれています。
○池端構成員 国語的な内容なのですが、23ページの4行目からの文章で、第3部は「介護施設として、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院が有する在宅復帰・在宅療養支援の機能に配慮しつつ考え方及び留意点について記す。」という、ここの文章がすっきりしないような気がするのです。主語がはっきりしていないので、「常勤の医師、歯科医師が配置されている介護施設」の後に括弧を入れて、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院の3つを入れて、「が有する在宅復帰・在宅療養支援の機能に配慮しつつ、考え方を留意事項に指摘する」とするか、逆に、あっさりと「介護施設として介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院が挙げられる。これらの施設が」と分けるか、どちらかにしたほうが文章としてすっきりする気がしますが。どうでもいいことかもしれませんが、すみません。
○秋下主査 いえ、冒頭なので大事なことだと思います。どうしましょうか、括弧を使いますか。最初の「患者の療養環境移行の観点から」というのは、全てかなと思うのです。第3部だけではないので。これがないほうがいいのではないですか。
○池端構成員 ないほうがいいですね。
○秋下主査 「第3部は常勤の医師、歯科医師が配置されている介護施設(介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院)が有する在宅復帰・在宅療養支援の機能」。書き方を1部、2部とそろえないといけないですね。これは修正させていただきますので、宿題として置いておいてください。その他にはいかがでしょうか。
○池端構成員 27ページの図についてです。これでもいいと思うのですが、あえて上から下に流れる感じの図になっているのですが、病院、かかりつけ医、在宅医療から介護施設にいって、また下のかかりつけ医、在宅医療に流れるということですが、これは前後で両方に行ったり来たりという形にしたほうが現実的な気がします。上から下に流れている感じになっているのですが、双方向の矢印にして、上と下に分けたほうがいいかなと思いました。
○秋下主査 総論編のときに、そのようなスタイルで対応をしましたので、そういう行き来するという形でお願いしたいと思います。他はいかがでしょうか。
○髙瀬構成員 23ページの34行目ぐらいですが、ポリファーマシーで、例えば引きこもりとか社会的な影響も出る場合もあるので、どこかにフレイルみたいなニュアンスが入ると、より深みがあっていいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。身体的には認知症とサルコペニアというのは非常に分かりやすいところではあるのですが、意外にポリファーマシーで社会的な機能が落ちてしまう方も、むしろ多い場合もあるのかなと思いますが、いかがですか。
○秋下主査 「フレイル」という言葉は少し難しいニュアンスがありまして、老年医学会で要介護の前段階がフレイルという4文字を提案したときの定義なのです。そうなると、ここの人たちは要介護の方々なので、「フレイル」という言葉は逆に誤解を受けるかなと思います。
○髙瀬構成員 むしろ、フレイルという言葉は使わないほうがよいと。よく分かりました。
○桑田構成員 「おわりに」の6行目からに、「ポリファーマシーの問題についての理解は患者・家族や介護職員には難しい場合がある」とあります。介護職員だけを限定して書くのは、どうなかと思ったのが1つです。急に1職種だけ限定して言われると、ほかの職種でもあるのではないかと思いました。まずは、患者・家族、そういった国民に対して伝える必要がある、ケアを受ける側と言ったほうがいいかもしれませんが、そちらに伝える必要があるということを丁寧に説明しましょうということを、まずは伝えるべきであって、これまでの議論の中では、医師、歯科医師、薬剤師を主体にしたガイドラインということであるなら、医師、歯科医師、薬剤師は、その3職種以外の職種に対して説明する役割と義務があるのだということを言っていただきたいと思ってしまいました。この3職種の中でやり取りしているのではなく、ほかの職種にきちんと目を向けましょうということを「おわりに」で言っていただきたいという気持ちが私はあります。
それと、「おわりに」は、とてもいいことが書いてあるのですが、文章を読むよりは、「国民に対する啓蒙活動」とか、キーワードになることを太字か何かで入れてもらったほうが印象深いのかなという印象を持ちました。
○秋下主査 今おっしゃった後半のことは、私もここには絵が入るといいのかなと思ったのですが、再三出てきているような絵になるので、今おっしゃったのは見出しということですかね。
○桑田構成員 はい、見出しです。
○秋下主査 だから、見出しを付けることでメッセージを明確にするということですよね。
○桑田構成員 そのほうが。やはり啓蒙活動はすごく大事かなと思ったので。
○秋下主査 はい。それで、さっきおっしゃった所の「介護職員について」ですが、これは言い訳になりますが、参考資料の骨子案の最後を御覧ください。基本的に、この「おわりに」は骨子に書いてある点線囲みの中を文章にしただけなのですが、ここに「患者・家族や介護職員では理解が難しいこと」と書いてありまして、そのままなのです。
○桑田構成員 これが文章として出たときに、受け手はどう思うのかなと改めて考えてみたところでの意見です。
○秋下主査 「おわりに」は骨子で見ていただければ分かりますが、患者、国民への啓発ということが主眼なのです。そういう意味では、患者・家族には難しい場合があるという当たり前のことなのですが、そのようにしたほうが、あえてここに介護職員を入れようとすると、何をどこまで入れるのかというのがありますので、「や介護職員」までを取ってしまったほうが、メッセージはクリアかもしれませんが、そのようなことでいかがでしょうか。
○桑田構成員 はい、よろしいと思います。
○秋下主査 はい。それで、見出しは考えます。ほかにはいかがでしょうか。
○永井副主査 28ページの「処方の優先順位と減量・中止」に関して、2部と3部を見比べて気付いた点があります。3部では、「21ページの表6を参照」とあります。第2部の「処方の優先順位と減量・中止」において、文章のどこかで「表6」を言及したほうがよいと思います。もしかしたら、どこかにあって見落としているのかもしれませんが。
3部では、「特に想定される薬物有害事象のモニタリングについては」として表6につながっているので、21ページの例えば11行目辺りに、同様に「有害事象のモニタリング」というような言葉を入れて、「必要に応じて一部の薬剤の減量・中止を検討する」などの表現とするのがいいのではないかと感じました。
○秋下主査 では、その点についてはおっしゃるとおりで、21ページの中に引用がないので、今おっしゃったような辺りに入れたいと思います。
○永井副主査 もう1点です。この表6の内容についてですが、総論編の別表1の「特に投与量や使用方法に関する注意」とも非常に関連があると感じました。そうすると、やはり総論編との連携を考え、一部表現が、例えば表6では「降圧薬」となっているのですが、総論編では「高血圧治療薬」となっています。ですので、関連する所は表現を統一されるほうがいいと思います。
内容についても、22ページの中で、「催眠鎮静薬・抗不安薬」の所で、特に離脱症状のリスクについて述べているのですが、総論編では、ベンゾジアゼピン系の薬剤で「特に」というような言及になっているのです。ですので、総論編での留意点との対応を見直して、必要があれば整理したほうがよいのではないかと感じました。
○秋下主査 おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。
○仲井構成員 図4と図6を見ると、この介護施設の意味合いが一緒なのか違うのか、ちょっと分かりにくいかなと思います。それと、本来は図4の下のほうに特養が入るわけですよね。そこも分かりにくいかなと思います。ですので、「介護施設」と一括りにして言っていいのかどうかというのが、図4と図6の整合性を取ることが必要かなと思います。
○秋下主査 はい、これも、そのとおりだと思います。図6は先ほどありましたが、図4のように行き来する形にして、特に介護施設の言葉は、図4では特養がその下の絵の中に入るので、その辺が分かるように、図6も含めて修正したいと思います。
○浜田構成員 28ページの2行目についてです。「患者本人が管理しやすい」はいいと思うのですが、「施設が管理しやすい」を書く必要はあるのでしょうか。
○秋下主査 この視点は大事だと思うのです。施設が管理する場合でも、ただ「管理しやすい」という言い方がよくないのかもしれませんね。宿題にさせていただきます。この「施設が管理しやすい」ということの中に入れるべきポイントとしては「安全」で、一番多いインシデント、アクシデントは誤薬ですので、そういう趣旨の文言が入るのが一番好ましいのかなと思いましたので、それを考えたいと思います。
○池端構成員 今、仲井構成員がおっしゃった14ページの図4についてです。介護施設が病院の横に入っているというのが少し。この介護施設は特養を中心にした介護施設という意味で取ると、下にこなければいけないのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。
○秋下主査 特養は下ですね。特養というのはもちろんあるのだと思いますが。
○池端構成員 在宅にいる人が下にいるのですね。
○課長補佐 図4で介護施設として示しているのは、老健施設をイメージしていて、特養は、先生が御指摘のとおり抜けてしまっている。
○池端構成員 そういう意味ですね。分かりました。となると、27ページの図6は、あくまでも医師が常勤する介護施設ということに限定したものということですね。
○課長補佐 はい。
○池端構成員 分かりました。
○秋下主査 そういう修正でよろしいでしょうか。
○池端構成員 はい。
○秋下主査 仲井先生、どうぞ。
○仲井構成員 私もそのように思いまして、図4の上の介護施設と図6の介護施設は同じものですよね。
○仲井構成員 もう1つですが、図4で医療機関も分かりにくいのです。これはどういう医療機関を指しているのでしょうか。
○秋下主査 これは診療所ですね。
○仲井構成員 診療所だったら、「診療所」としたほうがいいかもしれません。
○秋下主査 髙瀬構成員、診療所でよろしいですか。
○髙瀬構成員 はい。そのほうが分かりやすいと思います。
○仲井構成員 それから、図6には「かかりつけ医」と書いてあるのですが、これも合わせたほうがいいのかなと思いました。病院のカテゴリーとか病医院のカテゴリー、高度急性期と急性期の病院と、回復期と慢性期の病院と、かかりつけ医の医院とか、そういうのは図4、図5、図6を全部、アイコンにして、言葉も統一したほうがいいと思います。
○秋下主査 そのとおりです。ありがとうございます。そのほかにはいかがでしょうか。
○清水構成員 アドバンス・ケア・プランニングなのですが、12ページに説明があります。今後の医療・ケアについて患者・家族等と医療ケアチームがあらかじめ繰り返し話し合い、共有すること。一般の方に向けた愛称は「人生会議」は、決まったばかりです。こういう話なのですが、ACPに関しては、恐らくインフォームド・コンセントの末期版あるいは終末期版とか、そのような雰囲気に捉えている人もいますし、今後の、ということですが、雰囲気としては高齢者の、というところもあるのですが、そうすると14ページの図4の所に、「必要に応じてアドバンス・ケア・プランニングを活用」という所は、やはり「人生会議」の中で何度かやりながら、その経過を見ながらということで、1つあると思います。
もう1つは、27ページの図6の真ん中の所に、「アドバンス・ケア・プランニングの活用」とあります。こちらの方が、だんだん弱ってきて終末期に近付いているのかなという雰囲気が分かるのですが、アドバンス・ケア・プランニングをやることによってポリファーマシーが改善してというようなイメージを持っているわけなのでしょうか。その辺が全体の流れとして、このアドバンス・ケア・プランニングの意味付けについて、共通理解をしたいと思っています。
○秋下主査 それについては。
○池端構成員 これは私の個人的な思いですが、先生がおっしゃったように、私もアドバンス・ケア・プランニングによってポリファーマシーの取組方が、かなりニュアンス的に変わってくる、どう変わるか分かりませんが、変わってくる可能性は高いし、そこに沿うというのが一番共有できる対応の仕方かなと思うので、私は関連するように感じていますが、いかがでしょうか。
○清水構成員 やはりそのためには、アドバンス・ケア・プランニングを行っていく現場が、ポリファーマシーを含めて、そういった話を要素の中に入れていかないと、ただ話をして、最後に要するにスパゲッティ症候群は嫌だと、人工呼吸器はやらないでくれと。でも、点滴と酸素だけはやってくれとか、そのような話になっていくわけで、その中にポリファーマシーがどのように関わってくるかというのはなかなか難しいです。
ですから、アドバンス・ケア・プランニングは流行の言葉で入れるのもいいのですが、この言葉について「できれば」と入っていたり、「やる」と言ったり、雰囲気としてそれぞれの施設のところを非常に分かって書かれているという感じはします。
ですから、患者の意思決定を基本とする中に、アドバンス・ケア・プランニングがあるのだという話の中でいくのが多分いいのかなと。
そうすると逆に、そのアドバンス・ケア・プランニングがどのような形でされるかと言うと、ノートみたいなものを患者が持っていて、ある時期、ある時点、半年ごとにチェックをしながらだんだん変わっていくと。でも、それでそのときに、その方が意思を表明できればいいですが、認知症になったり、言語障害になったり、そうすると御本人は言えない。そうすると今度は家族になります。そうすると、今度はもう少し複雑な話になってきて、やはり成年後見制とか人権擁護とか、いろいろな話になってしまうので、そこでポリファーマシーについて話してもらう。そういうような要素を入れていかないと、ただやればいいと、人生の最後だけ話をすればいいのだというわけではなくて、やはりそれをしなければいけないとは言えませんが、ここの大きなタイトルは、高齢者の医薬品適正使用の指針の中に入っているアドバンス・ケア・プランニングですから、その中でお薬のことについて議論をする、あるいは説明をするということが入ってもいいのかなと思います。
○秋下主査 非常に重要な御指摘かと思います。そうすると、今おっしゃったような中で言うと、12ページの説明の中にACPにもいろいろと段階があるという視点と、ポリファーマシーの改善とか解消の上で、これは非常に重要な考え方であるということも、この指針には書いておかないといけない。そこを説明書きにしていくということなのですが、12ページというのは、実は第1部の一部なのです。そこの注釈に長々と書かれているのは、逆に言うとおかしいので、むしろ「はじめに」の所に、1項目設けて、それを書くと。
○清水構成員 できれば、かなり大きな項目になるので、これだけで学会ができて議論するような大きな話なので、ちょこちょこと言葉として入れるというのはどうかなと思います。
あと、これが表に出て1年後、2年後に、またその定義や考え方も違ってきますので、逆に、ここでアナウンスメントとしてアドバンス・ケア・プランニングの中に薬のことも話すのだというのを、ここで言っていくと、逆に一歩先にいくのかなというイメージを持ちました。
○秋下主査 そうしますと、「はじめに」の後半の8ページから9ページにかけて、それとも9ページの後ろにつけるか。そのあたりに○を1つ付けて書くと。少なくとも数行は書くべきことがあるかなと思いますので、そういうものを作らせていただくということでいかがでしょうか。
○仲井構成員 今おっしゃっていただいた所よりも、もう少し前のほうがいいと思います。その理由は、図3にACPのことが書いてあるので。それとも遡って「図3参照」としてもいいのですが、そこを御配慮いただきたいと思います。
○秋下主査 では、桑田構成員の意見を。
○桑田構成員 今の御意見と同じで、それを言っていただけると、この図3のピンクのアドバンス・ケア・プランニングが生きるかなと思いました。このアドバンス・ケア・プランニングがいま一つ理解できなかったので、そのお薬のことに関して焦点を当てて、どういうような意思を支えるのかということを伝えていただけると、非薬物的対応のことを述べているのですが、アドバンス・ケア・プランニングの意図が分かると思いました。
○秋下主査 そうしますと、5ページ以降に入れ込んでしまって、非薬物対応の中に入れてしまうと、ニュアンスがわかりにくくなるでしょうか。
○池端構成員 この図自体、代表的な非薬物的対応の中にアドバンス・ケア・プランニングを入れること自体に違和感があるのではないかと思うので、むしろ項目立てを1つしたほうがいいのかなという気がするのですが。
○仲井構成員 私は5ページの(3)とマル1の間に、ACPの話を入れたらどうかと思いますが。
○秋下主査 場所的にはふさわしいですね。私が気になるのは、見出しを付けるかどうかです。見出しを付けると、非薬物的対応よりも、まずはACPというのはちょっとおかしいでしょうか。そこに1つ段落で、数行記載するのは。
○清水構成員 非薬物療法とはまた別で、それもありますし、また並行してもありますので、今、先生がおっしゃったように、余り目立たないように、でも分かりやすくというイメージで入ったらいいかなと思いますけれども。
○秋下主査 そうしましたら、私の提案でどうでしょうか。マル1非薬物的対応の重要性がありますがそこの前に、(3)各療養環境において共通する留意点の所で、「以下に示す」とあり、その説明が書いてあるのですが、その次に1段落設けて、ACPの解説と、ポリファーマシーとの関わりなどについて数行を書くと。そのようなことでよろしいですか。では、これについてはそんなに難しくなくなりました。ありがとうございました。
○医薬安全対策課長 その関係で、全体を通してまたバランスを取りますが、例えば24ページの5行目からの段落で、先ほど清水先生が言われたような意思表明ができない場合も含めて書いてありますので、この辺りも含めて、どこにまとめるかというのは、また全体を見渡して考えたいと思います。
○秋下主査 そういう視点は大事ですね。いろいろと手入れをしていきますと、また綻びが出てくるので、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○大木構成員 今、論点にあるACPについて、総論編にはほとんど触れていないように読んだのですが。
○秋下主査 そうなのです。
○大木構成員 是非とも、今のような意見で入れていただいたほうがいいかなと思っております。以上です。
○秋下主査 はい。ありがとうございました。では、そのような形で、これも案を作って提案したいと思います。そろそろ予定の時間になりますが、これはということがありますでしょうか。
では、かなり宿題を頂きましたので、大体ここで決まった修正、もう少し時間をかけて考える修正といったものを入れて、再提案したいと思います。
これで、一通り議論が終了しましたが、改めて全体で何か意見はございますか。よろしいでしょうか。
よろしければ、机上配布とさせていただいている別添の取扱いについてです。今日は議論いたしませんでしたが、これらの別添につきましては、構成員の先生方に本日持ち帰っていただき、来年の1月16日に改めてワーキンググループを開催しますので、そこで本日の議論を踏まえて修正された(追補)案と合わせて御議論いただくこととしたいと思います。事務局から、机上配布の別添の説明を簡単にお願いします。
○課長補佐 お手元の机上配布資料について簡単に説明いたします。まず、別添1です。これは(追補)の別添として、総論編の別表に追加する薬効群ごとの留意点の追加分として、別表1については、認知症治療薬、骨粗鬆症治療薬、COPD治療薬、緩和医療で使用される薬剤の4つの薬効群について、留意点を記載したものです。
続いて5ページ目の別表2については、処方見直しの事例集を作成しております。さらに、A3の「別添1」の別表3については、第2部、第3部における入院・入所から退院・退所までの間における多職種の役割についてまとめた表となります。以上です。
○秋下主査 これらは、今日ここで意見を頂くのではなくて、持ち帰りでお願いしますということです。事務局からの連絡事項のところでお願いできればと思うので、これで議題2を終了いたします。
そのほかには特に用意しているものはありませんので、以上で本日予定していた議題は全て終了となりますが、何か御発言はございますか。よろしいでしょうか。なければ、事務局から連絡事項お願いします。
○課長補佐 本日は長時間の議論を大変ありがとうございました。今後の予定としては、来年の1月16日(水)にワーキンググループを開催し、本日頂いた御意見を踏まえた追補の修正案と、今日机上にお配りしている別添について御議論いただく予定です。机上配布の別添については、先生方にお持ち帰りいただき、もしも事前にコメント等を思い付いた場合には、事務局にお寄せいただくことも可能ですので、御検討いただければと思います。
その後、ワーキンググループでの検討結果は1月25日(金)の検討会で報告し、その検討会でも御議論いただく予定になっております。
また、本日の議事録についてです。議事録については後日送付させていただきますので、内容の御確認をお願いいたします。なお、修正・御確認いただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○秋下主査 確認ですが、1月16日(水)のワーキンググループの前に、年末や正月早々にメールで送られることはされますか。
○課長補佐 本日御議論いただいた結果については、なるべく早めに事務局で修正して、16日の前には早い段階で先生方に共有させていただきたいと思います。
○秋下主査 ということですので、その時点で確認いただいて、当日は御議論いただくということです。ということで、遅くまでどうもありがとうございました。それでは、これで閉会といたします。
 

(了)

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