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2018年9月18日 第5回高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ議事録

医薬・生活衛生局

○日時

平成30年9月18日(火)17:00 ~ 19:00

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール3A
東京都港区西新橋1丁目15-1 大手町建物田村町ビル

○議題

(1)参考人からの情報提供
(2)高齢者の医薬品適正使用の指針(追補)の骨子(案)について
(3)その他

○議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、第5回高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループを始めます。議事に入る前に幾つか事務連絡等をさせていただきます。私事で恐縮ですが、731日付けで佐藤課長の後任で着任しました関野でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 まず、本日のワーキンググループは公開で行っておりますので、傍聴の皆様にお知らせしたいことがございます。傍聴に当たっては、既にお配りしている注意事項をお守りくださいますようにお願いいたします。また、本日のワーキンググループに関しては、従前と同様ですが、公開で行う中でカメラ撮り等に関しては議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解と御協力のほどをよろしくお願いいたします。

 委員の先生方の出欠状況についてですが、本日も夕刻の遅い時間、しかも連休明けの最初の日ということで、かなり慌ただしい日ではございましたが、御出席賜りまして本当にありがとうございます。本日のワーキンググループに関しては、構成員12名のうち、現在あらかじめ御欠席の連絡を頂いていますのが永井先生でして、髙瀬先生は15分ほど遅れるということですので、現時点で10名の先生方に出席いただいているということになります。

 本日、参考人として御参加いただいている先生を紹介いたします。東京都健康長寿医療センター内科総括部長の荒木厚先生です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 これ以降は議事に入りますが、最後に付け加えさせていただきますのは、実は本日のワーキンググループは当初は88日の開催予定でしたが、台風を考慮しまして、急遽キャンセルとさせていただきました。再セットということで無理に御予定いただきまして、本日開催ということでこぎ着けてございますので、その点につきましてもお詫びを申し上げたいと思います。この後は議事に入りますので、秋下先生に進行をお願いしたいと思います。なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 

 (カメラ退室) 

○秋下主査 皆さん、お久しぶりでございます。台風で延期になりましたがよろしくお願いします。議事を進めていきます。初めに事務局から資料の確認をお願いいたします。

○課長補佐 配布資料の確認をさせていただきます。お手元にお配りした資料です。一番上に議事次第と配布資料一覧、続いて開催要綱、裏面に構成員名簿、出席者名簿、座席表となります。

 続いて、資料を順に確認させていただきます。資料1「高齢者糖尿病の薬物療法」、資料2「高齢者医薬品適正使用の指針(追補)の骨子()」、参考資料「高齢者の医薬品適正使用の指針(追補)のコンセプトについて」。以下は構成員の机上配布のみとなりますが、机上配布資料1-1「骨子()事前意見まとめ(項目別)」、机上配布資料1-2「骨子()事前意見まとめ(委員別)」、さらに「高齢者医薬品適正使用の指針(総論編)」のきれいなオレンジの冊子を御用意させていただいております。あと、先生方にはいつもの関連のガイドライン集として、赤いファイルを机上に置かせていただいております。本日の資料は以上です。不足等がございましたらお申し付けください。

○秋下主査 よろしいでしょうか。次に、議事に入る前に本ワーキンググループで御検討いただいた「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」について、事務局から御説明があるということですので、よろしくお願いします。

○課長補佐 本ワーキンググループで昨年度に御検討いただいた「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」については、57日の検討会にて承認され、529日に都道府県を通じて全国の医療機関、薬局等へ周知いたしました。改めまして、先生方には作成、取りまとめに御尽力いただき、大変ありがとうございました。

 指針の総論編については、表紙や目次等を付け、図表等を見やすい形に整備し、体裁を整えたものを作成いたしましたので、本日、先生方の机上にお配りしております。また、これと同じものはPDF版でホームページにも掲載させていただいておりますので、医療機関や薬局等への周知等の際に、是非御活用いただければと思います。以上でございます。

○秋下主査 それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいります。本日は、高齢者の医薬品適正使用の指針(追補)骨子()について、先生方に御議論いただく予定としておりますが、その前に、荒木参考人から高齢者糖尿病の薬物療法について御説明いただきます。糖尿病薬の留意点については、指針の総論編にも記載したところではございますが、荒木先生は高齢者糖尿病診療ガイドライン等の作成にも深く携わっており、高齢者糖尿病の薬物治療について詳しいお話を頂けるかと思います。それでは荒木先生、よろしくお願いします。

○荒木参考人 東京都健康長寿医療センターの荒木と申します。高齢者糖尿病の薬物療法についてお話したいと思いますが、背景として高齢者糖尿病がどういう疾患であるかということを、まず先にお話したいと思います。

 加齢とともに糖尿病の数は増えていまして、大体65歳以上の人口の18.6%が糖尿病です。問題なのは、認知症などが起こってくるということで、認知症の高齢者の有病率から推定しますと、認知症を合併した高齢の糖尿病患者は129万人ということで、100万人以上の人が、セルフケア、食事や薬の内服ができないような糖尿病であるということが社会問題になりつつあります。そういったことで、日本糖尿病学会と老年医学会の合同委員会で高齢者糖尿病診療ガイドライン2017あるいは高齢者糖尿病治療ガイド2018というものを作成しております。

 高齢者糖尿病の特徴は幾つかあるわけですが、大きな特徴は老年症候群と言われる高齢者に多い、看護、介護、医療を要するような症状ということで、認知機能障害、うつ、サルコペニア、フレイル、転倒、低栄養などを起こしやすいということと、薬剤の様々な問題です。

 まず、老年症候群の1つの認知症を取ってみます。これが老年症候群ですが、大体糖尿病でない人と比べて糖尿病の人は2倍起こりやすいと言われています。高血糖があると、これらの老年症候群を起こしやすいということもありますが、低血糖があると、一部の老年症候群を起こしやすいということが分かっております。認知症に関しては、アルツハイマー病が1.46倍、血管性認知症が2.49倍多いということで、更に認知症の一歩手前のMCI(軽度の認知障害)が多いということです。認知症に至っていなくても、軽度の認知障害が起こると、特に記憶力、あるいは物事の段取りをうまくやるという実行機能が落ちてきて、その結果としてセルフケアの障害、すなわち内服がうまくできないというようなことが起こってくるということです。

 高血糖があると、将来認知症を起こしやすいというのが分かっていまして、例えば平均の血糖値が160から190mg/dLぐらいに上がると、認知症のリスクが1.4倍と有意に高くなるということが分かっています。2か月の血糖の平均のHbA1cでいくと8.2%以上になると認知症が起こりやすいということです。一方、血糖が下がりすぎて低血糖になって、さらに進むと人の助けを借りないと回復しない低血糖である重症低血糖になります。重症の低血糖があると認知症が1.68倍おこりやすく、逆に、認知症があると認知症がない人と比べて、重症低血糖を1.61倍起こしやすいということで、認知症と重症低血糖が双方向の関係にあって、悪循環を形成していくということが問題になっております。

 もう1つの老年症候群はサルコペニア、フレイルといった問題です。サルコペニアは筋肉量の低下かつ筋力の低下、あるいは歩行速度などの身体能力の低下と定義されているわけですが、糖尿病はこのサルコペニアを来しやすいということが分かっております。特に、筋肉量は低下しないという報告もあり、むしろ増えているという報告もあります。しかしながら筋力や筋肉の質、あるいは歩行速度、歩行能力が低下するということが分かっておりまして、糖尿病では筋肉の機能が低下するということです。

 こういった椅子から立ち上がって3m先のコーンを回って戻ってくるまでの時間、これは「Timed Up & Go test」という検査ですが、これがピンクの糖尿病の人では長くかかる。握力は低下傾向で、その結果として転倒が1年間で36.6%ということで、糖尿病がない人と比べて2倍転びやすいということがわかりました。

 フレイルは、皆さん御承知のとおりのフレイルですが、ストレスによって要介護や死亡に陥りやすいという状態でして、日本ではJ-CHS基準というものがあり、この5つの症状のうち3つ以上というものがあるわけです。フレイルも糖尿病は起こしやすいということが海外の幾つかの報告で分かっております。特に、高血糖と低血糖と大血管症という、動脈硬化の合併症があると、フレイルを起こしやすいということが分かっております。そして、糖尿病にフレイルが合併すると死亡のリスクが高まるということが明らかになっています。すなわち、フレイルがあると平均余命が短いので、血糖コントロールの目標は柔軟に考えていこうというような考えです。これは海外の高齢者の疫学調査で、HbA1c、血糖値が高くてもフレイルは1.3倍になりますし、HbA1c6.9%と低くてもフレイルが起こりやすいということです。このHbA1cが低くてフレイルが起こりやすいという理由は、1つはHbA1cが下がりすぎて、低血糖を起こして転倒、骨折、ADL低下ということが考えられますが、もう1つはHbA1cが下がってくるような人は多くの併発疾患があって、HbA1cが低めになっていくというようなことも考えられております。

 こうしたフレイル、サルコペニアに対する対策は、食事・運動療法が大事であると言われています。特に食事ではたんぱく質を十分に摂るということと、極端なエネルギー制限を避ける、あるいは体重減少に注意する。そして、運動ではレジスタンス運動、それからレジスタンス運動を含む多くの種類の運動を組み合わせて行うという、多要素の運動がフレイル対策になると言われております。

 そこで、そうしたフレイルを考慮した薬物療法ということになります。ポイントは3つありまして、1つは有害事象のリスクを少なくするような治療ということで、有害事象として重症低血糖、転倒・骨折、体重減少というのが高齢者では特に注意する必要がある。2つ目は、病態に応じた薬の選択と用量調節ということで、特に腎機能に応じた薬物の調節が必要であるということです。3つ目はアドヒアランスの低下で、これは認知機能障害、多剤併用、薬物の処方が複雑であるというようなこと、社会サポート不足といったことが、糖尿病におけるアドヒアランス低下の原因になり得るのではないかということです。その対策としては、まずは簡略された投与法を選択するということと、減薬、減量といったことが対策になるのではないかと思います。

 その有害事象となり得る低血糖ですが、高齢者では様々悪影響を及ぼすことがわかっています。軽症のものでも血糖が54mg/dL以下になると認知機能障害を起こすとか、あるいは低血糖は心理的な悪影響、うつ症状、QOLの低下、転倒・骨折、フレイルをもたらすことがあります。そして、重症低血糖になると、認知症、心血管疾患、死亡の危険因子になるということが、これまでに報告されております。

 本邦における報告では、重症低血糖で入院すると入院費用は259,000円ぐらいということが報告されております。しかしながら、重症低血糖に認知症や転倒・骨折ということが伴ってくると、更に医療費が掛かっていくのではないかと思います。実際に低血糖を起こすと起こさない人に比べて、転倒のリスクは1.89倍、骨折のリスクは1.92倍というようなメタ解析がされております。

 どうして高齢者で低血糖を起こしやすいかということですが、腎機能障害によってSU薬と言われるような従来の血糖を下げる薬が蓄積してくるということが1つです。2つ目は、高齢者では低血糖の症状が無自覚で、発汗、動悸、手の震えといった症状がなくなる人が多いということです。そして、頭がくらくらするとか、体がふらふらする、めまいといった非典型的な症状で低血糖が起こるので、見逃されてしまうことが低血糖を起こしやすい要因の1つです。3つ目は、突然に高齢者は食事の摂取が低下して、さらに認知機能障害があることで低血糖の対処がうまくいかないといったことが起こるということで、重症低血糖が特に80歳以上で多いというのが、国内外で共通しております。そういった意味で、低血糖教育が介護者にも必要になるということです。

 特に、重症低血糖を起こしやすいハイリスクグループというのがあるのではないかと言われています。認知症を持っている人やフレイル、ADLの低下、うつ病、痩せている人、腎機能障害、多剤併用、社会サポート不足といった人たちに、低血糖の教育を行わないといけないと考えられております。低血糖のもう1つの問題は、先ほどの認知症にあったように、うつ傾向もフレイルも悪循環を形成することが大きな問題となっています。

 そうした低血糖を防ぐための対策としては、血糖値が下がりすぎた場合に、低血糖が起こっているのではないかと予測するということや、先ほどの重症低血糖の高リスクの患者を教育するということです。この低血糖教育には1.低血糖の対処法、2.食事摂取の問題、急に欠食をしたり食事の量が減ったりということがないような教育、3.運動のときの対処法、シックデイの対処法が含まれます。一番重症低血糖の要因になっているのは、急に食事摂取量が低下したとき、あるいは下痢や嘔吐のときに、SU薬をそのまま飲んでしまうというようなことが大きな原因になっています。そういう意味で、こういったときの対処法、シックデイへの対処法を教育しないといけないということです。

 それから、もう1つは医者の側ですが、腎機能に応じて量を調整すべき薬には、メトホルミン、SU薬、SGLT2阻害薬というものがあります。いずれもeGFR30mL/min/1.73m2未満のときには中止するということと、45mL/min/1.73m2を切った時点で減量あるいは慎重投与といったことが必要になるということです。詳細な薬物のことは今日は省きますが、SU薬というのは少量で使用することが多くなっていますが、まだ一般的にはそのことが行き渡らなくて、従来のSU薬を大量に使って重症低血糖で病院に入院するといったことが、まだ起こっているというのが現状です。SU薬の中でも低血糖の起こしやすさが違うということも分かっていますし、グリクラジドが最も低血糖が少ないということも報告されています。

 メトホルミンですが、これは乳酸アシドーシスということが、かつて本邦でメトホルミンの前の時代のフェンホルミンというお薬で起こったために、一時高齢者で禁忌になっていたわけですが、海外で安全性が確かめられてきております。乳酸アシドーシスは10万人当たりに1人ということで、定期的に腎機能を評価して、腎機能に応じて使えば安全であるということで、こういった薬も後期高齢者は慎重に投与しないといけないのですが、食事摂取が低下したときに中止するというような注意点はありますが、高齢者にも少量で使うことで有用であるというように考えられてきております。

 次はアドヒアランスですが、海外の保険のデータベースの報告では、アドヒアランスを5段階に分けて一番右のカラムで、アドヒアランスが良い人のほうが、薬剤の費用はちょっと増えるのですが、入院、急性期の合併症の費用、あるいは外来の受診の費用のいずれも、アドヒアランスがよいほど医療費が少なくなるということが分かっています。

 それから多剤併用の問題ですが、糖尿病は多剤併用を来しやすいという多くの報告があります。そして、それがアドヒアランスの低下のみならず、重症低血糖や転倒の危険因子になっているということです。どうして糖尿病は多剤併用になりやすいかと言うと、糖尿病では様々な合併症を起こしていく、あるいは併存疾患と言われるようなものも多いということで、それぞれの併存疾患に対してガイドラインを遵守すれば、多剤併用になってしまうといった問題があります。

 これは糖尿病で、かつ高血圧があると、薬物処方の複雑性が増加するというような報告です。電子カルテのあるソフトで、こういった処方の複雑性を何パーセントといった数字で評価できるものがあるみたいです。それでいくと、糖尿病と高血圧が合併すると、処方の複雑性が増加するといった問題です。糖尿病では特に、3回飲む薬がある、食直前に飲む薬がある、食後に飲む薬があるといったことで、処方の複雑性が増加するのではないかということです。

 これは、私たちの病院の実際の糖尿病の患者で、服薬数を見ると、平均で6.9剤を飲んでいます。糖尿病でない人が4.3剤ですから、明らかに糖尿病で多くなっていたということです。そして多剤併用と関連する因子を見てみると、高齢、脂質異常症、HbA1c高値、そして「基本チェックリスト」で評価したフレイルです。フレイルがあると多剤併用になりやすい。いわゆる身体活動量が低下するので、血糖を下げようと思って薬が増えてしまうということです。

 そして、これは海外の報告ですが、多剤併用でフレイルがある人で有害なアウトカムを来しやすいということが分かっています。そういう意味で、フレイルがある人が特に多剤併用に注意しないといけないということになるかと思います。

 アドヒアランスの対策としては、薬物処方の複雑性を減らすといったことで、薬の数を減らすだけではなくて、服薬のタイミングを統一したり、一包化、合剤、週1回製剤というような対策があり得るわけですけれども、インスリン治療に関しても強化インスリン治療という14回の注射から、11回の注射に切り替える、あるいは週1回のGLP-1という注射に切り替えると、こういったものも治療の単純化になるということです。こういった強化療法から、より簡単な注射療法に切り替えていく、あるいはインスリンを2型糖尿病であれば可能ならばやめていくというようなことが、在宅医療で重要であるということです。

 そして、薬もBeyond Polypharmacyという言葉がありまして、このグリメピリド3mgと、DPP-4阻害薬、メトホルミン、少量のSU薬の3つの組合せとどちらが安全かというと、3つの組合せのほうが安全な場合もあるということで、やはり安全性を最も重視しないといけないということです。海外で薬の減量ということのアンケート調査がありまして、80%の人が患者と減量や中止について話したことがあるということで、特にHbA1c6.5%未満、6.0%未満といったHbA1cが低すぎる人に対して、薬を減らすということをやっているというような報告です。

 イギリスの高齢者糖尿病の大御所のSinclairという先生は、こういった11の疾患で減量の対象にしたほうがいいのではないかという提案をしています。全部がコンセンサスが得られるものではありませんが、認知症があるような人、厳格すぎるコントロール、そして体重が減ってきているといった人は、減薬をしたほうがいいのではないかと思います。

 それから血糖コントロール目標ですが、これは高齢者糖尿病診療ガイドラインの合同委員会で出されたものですが、特徴はADLと認知機能によって3つのカテゴリーに分けて、目標値を設定する。それから、SU薬、インスリンと、低血糖を起こしやすいグループと、そうでないグループに分けて目標値を設定しているということです。

 少し複雑なのですが、カテゴリーIは認知機能は正常でADLは自立、カテゴリーIIIは中等度以上の認知症又は基本的ADLの低下でありまして、その真ん中がカテゴリーIIで、MCIの人が入っていますし、買物や金銭管理ができないといった、手段的ADLの低下が出てきているような人が入っています。大事なのは、後期高齢者の目標値がカテゴリーIとカテゴリーIIでは同じ目標値でありまして、HbA1c8.0%未満で、下限値として7.0%という数値を設けています。下限値7.0%を設けている理由は、HbA1c7.0%を切ると、脳卒中、それから重症低血糖、転倒・骨折、フレイル、ADLの低下、死亡といったことを起こすリスクが高まるということに基づいております。

 実際は、カテゴリーをどうやって3つに分類するかということですが、最近、老年医学会ではDASC-21という認知症の評価法、地域包括ケアシステムのためのアセスメントシート、DASC-21の簡易版のDASC-8というものを作りまして、認知機能に関する2問、手段的ADLに関する3問、基本的ADL3問の合計8つの質問を用いてカテゴリー分類が可能であるということを明らかにしました。DASC-8を点数化して、カテゴリー分類を行って、カテゴリーIIの段階というのはMCIが入っていますし、フレイルが入っています。したがって、カテゴリーIIでは治療の単純化を行ったり、カテゴリーIIIの段階で中等度以上の認知症が見られたら減量、減薬を行う。こういったことができるのではないかということです。

 DASC-8は血糖コントロール目標のためのカテゴリー分類をするということ以外に、こういった指標を用いてアドヒアランスの低下がある人を早く見つけたり、認知機能障害やフレイルの人を早く見つけたりするということが可能であります。DASC-8により、身体機能、認知機能を評価して、さらに心理状態、栄養、薬剤、社会・経済状況といった高齢者に見られる様々な問題を総合的に評価するということが高齢者総合機能評価(CGA)というものです。CGAは最も高齢者糖尿病の治療で重要ではないかということで、ガイドラインにも初めてこれが記載されています。これらを多職種のチームで評価して、それぞれの領域に対して治療方針と対策を立てていくということが最も大切です。

 結論としては、薬物治療に関しても、こういった高齢者をADLや認知機能に応じて3つの段階に分けて、この真ん中のカテゴリーIIの段階から、安全な薬物療法を行うということが大事ではないかということです。どうもありがとうございました。

○秋下主査 どうもありがとうございました。大変分かりやすく御説明いただきました。ただいまの荒木参考人の御説明に御質問等ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

○髙瀬構成員 私のために授業をしていただいたような気がします。私は「文藝春秋」の今年7月号にも書いたのですが、認知症の方で1杯のコーヒーに砂糖を7杯入れてしまう患者さんがいます。今は周りのコンビニの皆さんなどに協力していただいて、人工甘味料のカロリーのないものに替えたら、基幹病院からは1日に2回のインスリン注射を指示されていたのですが、1日に1回になりましたし、量も減っています。いろいろな意味で行動変容を促していくと、かなりよい結果が出るのではないかと思って、今、看護師たちにペーパーを書く準備をしたらどうかと言っているところです。

 在宅医療現場では荒木先生がおっしゃったようなことを忠実に守れば、在宅医療インスリンゼロ作戦のようなことができるのではないかと妄想していたところです。在宅医療の先生方ともいろいろと交流をお持ちだと思いますが、先生の肌感もお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○荒木参考人 薬物治療の単純化という意味では、食事療法と運動療法をどうやって周辺がうまくサポートできる体制を作るかというのが最も大切なことではないかと思います。特に認知症を合併した人でも、デイケアというリハビリと言うか筋力トレーニングを中心とした指導を行うと、認知機能が一部よくなるというような報告もありますので、私は、認知機能障害あるいは認知症が合併した人は介護保険を使ってデイケアを週2回以上行うことを、患者さんや介護者にアドバイスしています。

○髙瀬構成員 在宅医療では大体1人の患者さんに11530分ぐらいかけられるのですが、外来で23分で診なければいけない先生方は、今、先生がおっしゃったところまで指導するのは大変ではないかなと、実際に脇で見ていて思うのですが、訪問看護をうまく使うとか、そういうことでやっていくのがよろしいのでしょうか。

○荒木参考人 人によりますけれども、やはり、薬物療法がうまくできているかどうかをチェックするというのは訪問看護師が一番上手にやれるということで、訪問看護師を入れることはかなり多いと思います。

○髙瀬構成員 そうですね。認知症の方はいろいろな人が家に入ってくるのを嫌がったりするので、その誘導が難しい場合もあるのですが。特に外来の先生方はそのようにされるとよいのではないかと思ってはいたところです。

○荒木参考人 合う合わないも、もちろんありますが。病院の側もスタッフとのコミュニケーションが少しずつうまくいくと、例えば当センターでは、糖尿病の専門看護師がいますので、その看護師が少しずつ人間関係が作れると、「訪問看護師はどうですか」とか、「デイケアはどうですか」というようなことを少しずつ受け入れてやっていただけるケースもあります。

○髙瀬構成員 地域で頑張りたいと思います。本日はありがとうございました。

○秋下主査 ほかに、いかがでしょうか。

○池端構成員 私自身も療養病床や在宅で高齢者の糖尿病プラス認知症という方を結構診る立場から言うと、非常に分かりやすく丁寧に説明していただきまして、ありがとうございました。特に最後のほうにありました、DASC-8を使ってカテゴリーを3つに分けるというのは、私自身も何となく感覚的に単純化、減量ということをしていますが、それをこのようにすっきりカテゴリーに分けてやるというのは、一般化することができて非常によかったと思います。1つ質問させてください。これは糖尿病ということでやっていますが、それ以外の生活習慣病に近い高血圧や慢性心不全など、こういうもののポリファーマシーに対しても、場合によっては、DASC-8を使ったカテゴリーを3つに分けて、そろそろ単純化を考えましょう、あるいは、減薬を考えましょうということに応用できるのではないかと思いましたが、その辺はいかがでしょうか。

○荒木参考人 多分、日本老年医学会がまさしくそれを目指しています。この予備調査で、カテゴリー分類ができるかどうかは、糖尿病の患者さんだけではなくて、糖尿病がない高血圧などの患者さんも対象にしてやっていますので、応用は可能ではないかと思います。

○池端構成員 そうすると、この認識が多職種で共有できれば、早い段階で、例えば訪問看護師から情報があったりということで、そろそろカテゴリーIIになっているかもしれないから調査して減薬を考えましょうということがあるということでよろしいですか。

○荒木参考人 はい。

○秋下主査 ほかに、いかがでしょうか。

○清水構成員 ここのところ学会シーズンで、糖尿病学会や我々の日本臨床内科医会などいろいろありまして、本日の先生の御講義が一番ストンと腑に落ちました。それぞれ専門家の先生が御講演なさるのは、病院にしても大学にしても、大体40代から60代後半ぐらいまでの対象の方が多くて、80代以上というのは我々診療所が診ています。ですから、患者さんがどこにいらっしゃるかと言うと、病院に行かれる方は大病院、普通の病院、診療所、在宅、いろいろ考えたときに、髙瀬先生がおっしゃったように、時間の問題もありますし、もう1つ、スキルの問題もあって、在宅を含めて、かかりつけ医は非常に大事なのですけれど、最近、かかりつけ医の手に余ることが多いという感じがあるのです。やらなければならないこともたくさんあり、かかりつけ医機能よりは、いわゆる診療所機能が大切と思います。診療所には受付の方おり、管理栄養士もいますし、看護師もおります。そういう方がいろいろな知識を持って、患者が30分待って2分の診療とすれば、その30分が診療所にいる時間になります。更に、病院で1時間待っている時間は長ので、どこかで病気のお話を聞いていただいて、順番が来て診察室で診療する様な効率の良い診療をすれば、事前に先生に患者の情報が来て、「薬がたくさん残っている」とか、それから、「どうもこれを飲むと気持ち悪い」とか、そういう情報をとることを考えてもよいのではないかと思います。今、かかりつけ医機能というものがあるのですが、やはり診療所機能で、トータルの、医師以外の者が同じ情報を共有しながら患者さんに対応するというのが大事ではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。

○荒木参考人 例えば認知機能を評価するのは、今はMMSEなどがありますが、なかなか医療スタッフの方がそれをするには少しハードルが高いということなので、DASC-8のような8つの質問を、もっと様々な状況を設定して生活のことを深く聞いてもらうと、きっといろいろなことが診療前に分かるのではないかと思います。そういった質問票を利用して高齢者の認知機能や生活機能を把握して、それを基に減薬・減量、治療の単純化を考えていくというのがよいのではないかと思っています。

○秋下主査 まだまだ御質問あるかもしれませんが、予定の時間となりました。荒木参考人、どうも本当にありがとうございました。

 次の議題は、「高齢者の医薬品適正使用の指針(追補)」の骨子案についてです。はじめに、指針の標題についてですが、前回までのワーキンググループでは「指針(詳細編)」としていました。しかし、患者の療養環境ごとの留意点といった今回のコンセプトを踏まえると、詳細編というよりは、どちらかというと、総論編を補完する形になりますので、「追補」という表現に修正しています。前回のワーキンググループでは構成員の先生方に指針(追補)のコンセプトに関して御意見を頂きました。御意見を踏まえて修正したコンセプトにつきましては、57日の検討会で御議論いただき、そこで了承されたものを参考資料としてお配りしています。このコンセプトに基づき、主査の下で一部の先生方に御協力いただき骨子案を作成しました。この骨子案について88日のワーキンググループで御議論いただく予定でしたが、ワーキンググループが本日に延期になり、開催までに時間が空いてしまったため、事前に先生方に御意見を頂いたという経緯です。

 今回は、頂いた御意見を踏まえて修正・追記等を行った骨子案を資料2として提示しています。また、机上配布資料1-1として骨子案に沿って先生方の御意見をまとめたもの、机上配布資料1-2として先生方の御意見を配布しています。

 骨子案についての議論を分割しながら進めたいと思いますが、その前に、追補全体の構成と「はじめに」の目的、療養環境ごとの多剤服用の現状、患者・国民への啓発などについて議論したいと思います。事務局から骨子案を紹介してください。

○課長補佐 資料2及び参考資料をお手元に御準備ください。まず、追補の構成について御説明いたします。参考資料を御覧ください。指針(追補)のコンセプトにつきましては、患者さんの療養環境の特徴を踏まえた留意点として、大きく3つの形を想定しています。1つ目は、外来・在宅医療について。2つ目は、急性期後の入院医療として、慢性期・回復期等の入院医療について。地域包括ケア病棟に入院されている患者さんもこちらに含まれます。3つ目は、その他の療養環境として介護医療院や老健施設等の介護保険施設に入所されている患者さんを想定しています。特別養護老人ホームにつきましては、前回このワーキンググループで御議論いただいた際には、1つ目の外来・在宅医療に含まれるとしていたものですが、その後の検討会における議論で、患者さんの置かれた環境が介護保険施設という観点からも、3つ目のその他に含めることが妥当とされたため、3つ目に含まれると整理しています。こういったコンセプトに基づき、資料2の骨子案を作成しています。

 資料2の構成としましては、「はじめに」の後に、大きく3つに分けたコンセプトを、13部として、それぞれに、処方見直しの考え方、療養環境移行時の対応、処方見直しの留意点、多職種の役割、チームの形成について項目立てをしています。

 まず、「はじめに」の部分について説明いたします。「はじめに」は導入部分で、指針の目的、多剤服用の現状、患者・国民への啓発の3項目を挙げています。資料中、点線で囲まれた部分は総論編にも記載がある内容です。指針(追補)の目的につきましては、総論編にもありますように、ポリファーマシーにおける診療や処方の際の参考情報を提供することを意図しており、今回は患者さんの療養環境ごとの留意点に関する追補として、先ほどの3部構成としていること、また、指針の主たる利用者は総論と同じく医師、歯科医師、薬剤師とするが、服薬支援、情報共有等の点で看護師やその他の職種についても参考にしていただくこと、さらに、その場合は職種と役割を明確に記載することとしています。

 続きまして、(2)を御覧ください。患者の療養環境ごとでの多剤服用の現状です。この現状につきましては、現在、厚生労働省の調査事業で多剤服用の実態調査を実施していますので、その結果も含めて療養環境ごとの実態、リスクの特徴について記載することとしています。

 (3)の患者・国民への啓発につきましては、総論編にも記載していますが、患者さんが服薬状況を医師や薬剤師に正しく伝えてもらうことの必要性についても加えることとしています。

○秋下主査 ただいまの事務局の説明も踏まえて、指針(追補)の「はじめに」の部分及び全体の構成について御意見ございませんでしょうか。骨子案の修正・追記のほか、当該部分に記載したほうがよいと思われる内容について御意見ございましたら、そちらもお願いします。

○浜田構成員 その他の療養環境の範囲ですが、今は「(介護、介護老人保険施設等)」となっていますが、ここでカバーする範囲を明確にしたほうがいいのではないかと思います。先ほどの御説明だと、介護保険施設がここに当てはまるというお話でしたが、その他、介護が密接に関わるようなグループホームやサ高住なども入るのかどうか、御意見を頂きたいと思います。

○秋下主査 ここは非常に重要で、コンセプトのときにも議論した点ですが、どういうカテゴリーが入るのかを改めて検討する必要がありますね。現在は、「その他の療養環境(介護、介護老人保健施設等)」となっていて、日本語として不自然なところもあります。最初の、外来・在宅医療があって、この在宅医療の部分に自宅での在宅医療以外にも施設での在宅医療というものも含めて考えるということで話をさせていただきました。施設形態のことを言い出すと、また話がややこしくなりますが、一部の施設等で提供される在宅医療はマル1に入る。そうではない、医療も含めて提供されるような場所、実際には介護老人保健施設のほかには、介護療養病床とか、介護医療院、それから、特別養護老人ホームもかなり医療がセットで提供されている部分もあり、この辺が入ってくるのではないかということでしょうか。この点について事務局から追加ありますか。

○課長補佐 秋下先生がおっしゃったとおりの施設のカテゴリーで分けている状況です。ただ、文言は「介護、介護老人保健施設等」で、主に介護をしている施設ということを出したかったので、少し不自然な形になっていますので、是非、先生方に適切な文言を御意見いただきたいと思います。

○池端構成員 私もここの文言を少し考えなければいけないと感じていました。今のお話だとすると、自宅以外に在宅医療をやる所は、いわゆる居住系サービスという範疇がくくりとしてはよいのではないかと思います。そうすると、そこにサ高住やグループホームなど全て入ってくると思うのです。そして、その他の環境というのは、事務局の説明だと、医療も一緒に提供している施設という言い方をされたので、となると、悩ましいのは特養です。特養というのは嘱託医はいますが、入居者の医療に関しては基本的には外来をやっている先生方が主治医、かかりつけ医として診る、処方をするということになってくるので、施設内での医療が内包化された施設ではないので、ここをどうするかという問題だと思います。それ以外で考えれば、介護保険施設ということで全部くくられてしまうので、あとは介護保険施設等ということにして、特養をどのように、ここに入れるのか。地域包括ケアの流れから言えば、特養も居住系扱いですよという言い方も一部なされているので、ここは悩ましいところで、ここをどうするかということは、やはりきちんと書きこんだほうがよいのではないかと思います。特養はここに入れるとか、ここに入れないと言ったほうがよいのではないか。そうすれば、「介護保険施設等」ということで、恐らく、その他の環境に関してはくくられるのではないかと感じました。

○秋下主査 この点の説明については、今の「介護保険施設等」くらいでしたら全く問題なく括弧内に入れ込めるのではないかと思いますが、特養をどう考えるのかというところですね。それについては、私よりもお詳しい先生方がいらっしゃるので。

○仲井構成員 いろいろ考えていたのですけれども、今回、医師、歯科医師、薬剤師がメインの対象になるということであれば、外来・在宅、居住系も含めてですけれども、そこには医師は常駐していないという場ではないかと思います。そうすると、特養はそちらに入る。一方の、老健や介護療養病棟、介護医療院は医師常駐が求められていますので、そこでカテゴリーを分ければどうかと私は思っています。直ちに処方を変えられるのかどうか、特養は変えられないですね。そこがポイントではないかと思います。

○秋下主査 いかがでしょうか。この辺は池端構成員と仲井構成員がお詳しいところなので。

○池端構成員 私も、くくりとしてはそれが一番すっきりすると思います。ただ、そうすると、介護保険施設という言い方だと特養も入ってしまうので、ここをどういう書き込みにするか。「医師が常駐している介護施設等」ということになるのか。「介護保険施設等」となると、介護保険施設の中には特養も入ってしまうということになるので、ここの書きぶりだと思います。確かに、このポリファーマシーの問題ということであれば、医師が常駐しているかしていないかというのが。そこで常駐していれば、その施設内で、ある程度多職種でポリファーマシーを検討できますが、常駐していなければ、例えば特養などでポリファーマシーを検討しようと思っても、処方権があるのは外の、かかりつけ医の先生ですから。となると、これは在宅医療や外来医療のほうに入れたほうが、話の筋としてはすっきりするのではないかという気がします。あとは皆さん方のイメージ。ただこれは専門家は分かっていても一般の方に分かりにくいと、かえって分かりにくいカテゴリーになってしまうので、その辺も含めて御議論いただきたいと思います。

○秋下主査 特養という言葉は、特別養護老人ホームですが、どこかに明記すればよいのですが、ただ、どちらに入れるのかというのは、制度的なことも絡みがあると思いますので、いかがでしょうか。これはむしろ厚生労働省では。

○医薬・生活衛生局長 カテゴリー分けして、そこで何を書きたいかによってカバレッジは決まってくるのだろうと思いますので、先ほど仲井構成員から御説明いただきましたように、同じ介護保険でファイナンスされていますが、あくまでも特養は一種自宅の延長という位置付けだと考えると、自宅でのポリファーマシーの問題をどうカバーするかというところを書くのであれば、特養はマル1に入れるという整理をしてしまうことも、制度論はいろいろあるかもしれませんが、そういう切り分けをすることも可能だと思います。あくまでも制度にこだわるとすれば、制度にこだわった区分けをすることも可能です。ここはどういう中身、コンテンツをどう盛るかによって、結果論として標題をどうタイトル付けるか御整理いただければよろしいのではないかと思います。

○秋下主査 そうしますと、特養はマル1に入るものとして考えていく。事務局、どうぞ。

○課長補佐 これにつきましては、当初、前回のワーキンググループのときも議論をさせていただいて、特養はマル1にということで親の検討会に上げたところ、恐らく先生方の御認識がしっくりくるというところで、特養は3部なのではないだろうかというような御意見を多数頂いたこともあったと思います。医師が常時いないという括りで今回は分けるという、制度上というよりは患者さんの療養環境ごとに書きやすいほうで、という枠組みでは構わないと思います。そういった説明を基にもう一度親検討会に上げることになると思います。

○秋下主査 そのようなことで、いかがでしょうか。検討会とワーキンググループで重ねて議論するため、なかなか難しいところなのですが。このワーキンググループの構成員の先生方はそういう考え方でよろしいですか。では、特養はマル1の中に入れるという考え方で、今の説明も付けてまた上げたいと思います。そうしますと、その他の療養環境の括弧の中は「介護保険施設等」で括って特段問題がなければ、まとめの言葉の問題はここで片付いてしまうと思いますが、いかがですか。

○課長補佐 できればですが、介護保険施設というのは保険上の表現というか、括りなので、もっと適切な用語があればそちらを括弧書きに入れていただければ有難いのですが。

○秋下主査 あまり制度は出さないということなのですね。

○課長補佐 はい。

○池端構成員 仲井構成員もおっしゃったように、「医師が常駐する介護施設等」ということでどうでしょうか。

○秋下主査 よろしいですか。では、「医師が常駐する介護施設等」ということで括っておきたいと思います。そのほか、いかがでしょうか。各構成員から挙がってきている意見等もありますが。では、取りあえずこの形で進めて、また後戻りすることがあるかもしれませんが、第1部の「外来・在宅医療」に進みたいと思います。事務局から説明をお願いします。

○課長補佐 資料2の第1部、1ページの後半部を御覧ください。第1部は外来・在宅医療についてです。まず、1.は処方見直しの考え方についてです。総論編で患者の服薬状況に加え生活環境等を含めた情報を十分に把握し、CGAを行うことが推奨される旨を記載しております。それに加え、長期的な安全性、服薬アドヒアランス、QOL向上の視点、処方簡素化の取組、長期通院中の処方確認等を挙げております。

 次のページです。2.では、療養環境移行時の対応として、情報収集と処方見直しプロセスの実施、地域包括ケアを担う医療・介護関係者等との留意事項の共有を挙げております。

 3.では、処方見直しの留意点として、非薬物的対応の重要性の確認を挙げております。ここでは各種非薬物的対応のほか、非薬物療法から薬物療法への切替えの判断についても記載することとしております。

 非薬物療法の部分については、仲井構成員よりアドバンス・ケア・プランニングを活用した薬物・非薬物療法の選択に関わる意思決定支援という御意見を頂いております。アドバンス・ケア・プランニングの活用については、全ての療養の場面で必要なところもあり、項目の見出しとして入れておりませんので、本日、御議論いただければと思います。

 続いて、(2)は、ポリファーマシー関連の問題の評価、(3)は、処方の優先順位と減量・中止とありますが、ここについては総論編でも記載があります。今回、この追補では、患者の療養環境の観点からの留意点を記載することとしております。

 続いて、4.では、地域内多職種の役割、チームの形成として地域包括ケアを担う医療・介護関係者等の協力、地域内での情報共有とチームの形成、お薬手帳の活用、服薬アドヒアランスの改善等を挙げております。ここの部分については、浜田構成員より、地域内での多職種チームの形成は現実的に実現できるのかどうかということで、臨床の先生に、是非、御教示いただきたいという御意見を頂いております。以上です。

○秋下主査 それでは、第1部の項目に関して御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。それぞれ意見を頂いた部分に関して可能な範囲で反映しております。今、事務局から説明がありましたように、第1部はこの議論の上で、あるいは、アドバンス・ケア・プランニングに関しては全体を通している概念でもあるのかということで、あえて、ここだけで見出しに入れるということはしない形にしております。本文の中には随時書き込んでいく必要がある言葉かと思っています。いかがでしょうか。

 これは、最終チェックの段階で私が少し気になった点なのですが、処方見直しという言葉について、1.は処方見直しの考え方ですし、2.は処方見直し、3.は処方見直しの留意点ということで、何となく処方変更ありきという言葉のニュアンスがあり、少しそれが出すぎているのではないかということが気になった点です。

 3個のうち2つくらいならいいのですが、3連発はどうかというところです。処方を確認して点検して、必要があれば変更するということが本来の趣旨だと思います。そういう意味で、何かもっといい言葉があるのか。あるいは、3連発を避けるように、例えば、2.の療養環境移行時の所に処方見直しのことをずっと書いていくのであれば、「療養環境移行時の対応」くらいにしておけば少し目立たなくなるかと思いました。その辺りも含めて御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。

○池端構成員 今、秋下主査がおっしゃったように、あまりしつこく書くのはどうかということで、そういう形でもいいかと思います。あるいは、処方見直しだけではなくて「処方確認・見直し」という形にすれば、確認をするということは1つの作業になるので、それでもいいかと思いました。

 もう1点は、浜田構成員から御心配いただいた、地域内での多職種チームが可能かということです。髙瀬構成員のほうがお詳しいかと思いますが、地域ケア会議等で薬の問題はよく出るのです。いろいろな薬剤師の方や介護の方から、この薬に替わってからおかしいという話が出てきて、私自身も経験上、結構、(連携が)とれ始めているので、これは十分ここに書き込んで問題ないかと思いますが、髙瀬構成員、いかがでしょうか。

○髙瀬構成員 今、清水構成員ほか、多くの先生方の御指導で医師会からもチームを作ろうという意向がありますので、この文章はこの流れでそれほど違和感はないように思っています。

 2.の点についてです。私が診る患者さんはほとんどこの2.のパターンで、療養環境が変わるときに、処方確認、点検、改善のチャンスがあるのではないかと思います。今日、御出席の先生方は、大体、どのようなタイミングで処方の確認をされているかという御意見を頂きながら、重点ポイントを再考いただければいいのではないかと思います。私の場合は、むしろ、2.に関してここで処方見直しと言っていただいたほうがいいのではないかと思っております。

○秋下主査 ありがとうございました。総論編でも、療養環境移行時が最も良い例です。この場合、見直しというよりも処方変更の最も良いチャンスであるということは明記しております。これを見出しに上げているのは、そういう意図もあるのです。池端構成員がおっしゃった確認、見直しは、処方の確認・見直しみたいなことでしょうか。

○池端構成員 どちらでもいいです。

○秋下主査 ほかにも、例えば、総論編の中で使っている言葉に「処方の適正化」という言葉があり、適正化と言うといかにもその前の処方が不適正というようなことを言っているようで、それもこういう指針としてはいかがなものかと思い、少し良い言葉が思い付かなかったということがあります。

○髙瀬構成員 私が最近、使っているのは最適化と言っておりますが、もう少し先の概念かと思います。

○秋下主査 今の処方も適正な状態であっても、もっとよくするということですね。

○髙瀬構成員 そうですね。先ほどの荒木先生のお話をお聞きしても、良い薬が出てきているので、うまくそこの情報を取り入れながら最適化していくこともいいのではないかと個人的に思っております。いかがでしょうか。

○大木構成員 先ほどの地域内多職種の連携の件です。やはり、薬剤師が絡むことが非常に多く、特に地域ケア会議でも非常に形成が成り立っているし、先ほど、髙瀬構成員がおっしゃっていた療養環境が変わる、介護区分が変わったときの介護区分担当者会議等もここに入ってくるかと。そういう面では、ある程度、チーム形成は一般的にされていることが多いので、今、私自身はここに書いてあることに違和感は少ないのかと思っています。

○水上構成員 3.(1)の非薬物的対応の重要性の確認という所です。例えば、認知症のBPSDやうつという対応になってくる場合に、お薬を使う前に非薬物的対応が優先して行われるということもあるので、見直しの前に非薬物療法が単独で行われる場合もあるかと思います。そうすると、見直しという言葉自体が適切かどうかという問題があるのかと思います。

○秋下主査 これも重要な御指摘かと思います。地域包括ケアについては、今の修正していただいた文言で特に違和感はないということで、ここはよろしいでしょうか。

○課長補佐 1つ誤記というか、4.1つ目の1行目に「施設内又は地域内」と書かれています。第1部は外来と在宅医療なので、ここは、地域内の多職種としてもよいかと考えていますが、いかがでしょうか。

○秋下主査 そうですね。先ほど特養はマル1に入るという話でしたが、そもそも見出しが地域内多職種で始まっているので、ここは地域内多職種とくくってしまえば施設内も入りますしシンプルになるかもしれません。では、そこはそうしましょうか。その形で、地域包括ケアを担う医療・介護関係者との協力、地域内の多職種での情報共有とチームの形成という形で、ここはよろしいでしょうか。

 そうすると、もう1つの処方見直しのことですが、この言葉はまた後にも繰り返し出てくるのでここはペンディングにして、第1部に関して、そのほかの点について何かございますか。

○桑田構成員 施設内を抜いていただいてもいいのですが、ただ、特養の方たちを考えたときには、やはり、自分たちが対象になるのかと少し疑問に思うのかと、私個人として少し不安を感じるところがあります。

 あと、今日、荒木先生がお話してくださったDASCという視点もここに入ってくると、より在宅、外来になったときには分かりやすいというか、多職種との連携がすごく大事だというお話があったと思うのですが、自分たちもそういう情報を取る役割があるのだというところで、医師、歯科医師、薬剤師以外の方にとっては視点が向くのかと、私は思いました。

○秋下主査 少なくとも、後者のDASCに関しては、先ほど時間がなく最後にコメントしたかったので省いたのです。高齢者総合機能評価のCGAがあります。これは、総論編でもチャートの中にその言葉が出てきており解説しています。糖尿病学会と老年医学会があのようなガイドラインを作る際に、糖尿病医が外来で簡単にできるものを提案してもらわないと困るという話がありました。

 そういう中で、我々も必要だし簡単なものを作る、老年科医以外の一般の外来をされている先生方にとっても使いやすいもの、多分、これは、ほかの職員、ほかのプロフェッショナルにとってもそうだと思います。そのようなものを検討している中でDASC-8が出てきたということで、文章化するときにはそういうものが出てくると思います。囲みの中に、第1部、第2部、第3部いずれにもCGAという言葉が入っておりますので、そのマインドは全てに通っているかと思います。御指摘ありがとうございました。

 もう1つ、今、御指摘のあった「施設内」があったほうがいいのではないかという。

○桑田構成員 どうしても言いたかったので、消してもらってもいいのですが。

○池端構成員 やはり、私も入れたほうがいいかと。今回、ここを居住系サービス、いわゆるサ高住や特養もここに入れるとなると、そこには医師以外に、多職種でセラピストや看護師がおり、場合によっては薬剤師がいる所もあります。当然、そういう施設内の多職種の連携も必要ですので、入れておいたほうが、ここには施設も入るということが強調できるという気もしたので、入れてもいいかと、今お聞きして思いました。

○秋下主査 では、そのようなことにいたしましょうか。考えてみたら、施設内の多くの職種がかなりそこに関わってくるということで、そういう自覚を持っていただくためにも言葉を残すと。

○池端構成員 はい。

○秋下主査 ありがとうございました。

○医薬安全対策課長 今のやり取り、御意見でいいのかもしれませんが、もう1つオプションとして考えられるのは、この後、第3部を議論するときにどうなるか分かりませんので、その時点でまた考えればいいかもしれませんが、第3部の3ページの1.を御覧いただくと、入所時の処方見直しの考え方の所の最後のの所に、どういう施設が対象になるか列記しております。

 ですので、これと同じような平仄を骨子全体で取るならば、第1部に関しても1.の所で1を起こしてどういう所が対象になるかを書くことによって、含まれることは明らかになると思います。4.の「施設内又は」という所を残さなければはっきりしないかどうかというと、また別の方法もあるかと考えました。第3部を議論いただくときに、また少し並びを見て考えていただいてもいいのかと思います。

○秋下主査 今、課長から御指摘いただいた点は、もしかしたら、ここは我々が分かっていても読んだ方や執筆に当たって分かりにくくなるかもしれないので、1.2番目に外来、在宅医療(自宅、施設)とか、そういう言葉を少し入れていくという、現場を分かりやすくしておくということですね。

 文言については、また事務局と相談して案として入れ込みたいと思いますが、特養までは入れるということでした。書き出すとたくさんあるので、特養という言葉は入れたほうがいいと思いますが、それ以外の介護施設や様々な居住系のものがあり、それを全部書くのかというのは少し検討させていただきます。

 では、第2部に移りたいと思います。また何かありましたら、随時、後戻りをお願いします。急性期後の回復期・慢性期の入院医療です。まず、事務局から説明をお願いします。

○課長補佐 それでは、資料22ページの後半部を御覧ください。第2部は、急性期後の回復期・慢性期の入院医療です。1.は、入院時の処方見直しの考え方です。先ほど、第1部でも説明した総論編における記載に加えて、ここでは急性期の病状が安定してきた段階での薬剤の見直しの検討、在宅や施設療養への療養環境移行に対する考慮、前処方医や薬剤師との情報共有を挙げています。

 3ページです。2.は処方見直しから療養環境移行までの留意点として、第1部と同様に、情報収集と処方見直しプロセスの実施、地域包括ケアを担う医療・介護関係者等との留意事項の共有のほか、退院に向けたかかりつけ医や薬剤師との連携、情報の引継ぎを挙げています。

 3.の処方見直しの留意点は、項目立てとしては第1部と同様なので説明は省略いたします。ここでは急性期後の回復期・慢性期の患者を想定した留意点を記載することとしています。

 4.は多職種の役割、チームの形成です。処方見直しチームの形成については、総論編にも記載があるところですが、ここでは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士というリハビリ関係の職種についても記載しています。さらに、情報の一元化、共有のほか、処方変更の効果や有害事象の発現等に関する定期的なフォローアップ、服薬アドヒアランスの改善を挙げています。以上です。

○秋下主査 いかがでしょうか。1.3番目のに前処方医という言葉がありますが、分かるような、でもあまり一般的ではない表現です。ちなみに、第2部の現場は、急性期は総論編で括っているということで、いわゆるサブアキュートの入院医療という考え方です。前処方医は入院前のという意味ですので、それが、急性期の病院ということもあれば、在宅から来られる場合もあり得るかと思います。施設の入院前の処方医という、前処方医が分かりにくいということで、そういうことではいかがかと思います。

○大木構成員 やはり、ここの前処方医の後の薬剤師とある所は、前処方医が処方している薬剤情報も含まれると思っています。退院時等のいろいろな部分での情報共有はあるのですが、入院時の情報を共有するということが意外に文字列では出てこないので、この言葉で薬剤ということもここに情報共有、いわゆる入院したときに持参する前処方医、あるいは前処方薬の薬剤の情報共有が、ここに読み込みができるのかと思っております。

○秋下主査 大木構成員の御意見では、薬剤という言葉を入れたほうがよいと。私は情報の中に薬剤が入っているのかと思っています。

○大木構成員 私は、これで読み込みを期待していたのですが、いわゆる前処方医ということがあれば、当然ながら、前処方医が処方している薬剤もここに含まれるのだと思っております。

○秋下主査 そういう意味かと思います。前処方医となると、「前」が「処方医」にしか掛からないので、そこも少し違和感があるのです。それなので、「入院前の」とすると。

○大木構成員 そうですね。入院前の。

○秋下主査 処方医と薬剤師の両方に「入院前」が掛かってくるかと思います。

○大木構成員 そういう形であれば、薬剤の部分も読み込みができるのだと思います。

○秋下主査 よろしいでしょうか。入院前の処方医や薬剤師という言葉が、逆に少し分かりにくいでしょうか。処方医という言葉を、入院前の医師・薬剤師としてしまったほうが両方に掛かることは明確かもしれません。そのほうがよろしいでしょうか。取りあえず、その形で考えましょうか。ほかに何かございますか。

○仲井構成員 この急性期後の回復期・慢性期というところで、自分の記憶では、ここはサブアキュートは入らなくてポストアキュートがメインになるという話ではなかったのですか。どのようになっていますか。

○秋下主査 間が空いてしまうので、記憶が薄れます。例えば、地域包括ケア病棟は入るのかということでしょうか。

○仲井構成員 地域包括ケア病棟は、大きく分けると受入れは2つ役割があります。在宅から入ってきた人なのか、ポストアキュートで受け入れるのかという話になります。急性期が総論の中に入ってしまったのであれば、サブアキュートも急性期ならば急性期の中で話が終わっていて、むしろ、ここは本当に回復期。

○秋下主査 そうですね。すみません。

○仲井構成員 ポストアキュートを中心にしないと、話が難しくなるかと思います。

○秋下主査 サブアキュートはアキュートが入っていますので、ポストアキュートですね。

○仲井構成員 ポストアキュートだと思います。よろしいでしょうか。

○秋下主査 すみません。私の言葉遣いが悪かったのだと思います。ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。ここも処方見直しという言葉が3連発になり、考える必要があるかという気はいたします。それから、2.の処方見直しから療養環境移行までの留意点というのは少し意味が分かりにくい部分があるのかと。療養環境が移行しているのは、ポストアキュートの病院に入ったときもまさに療養環境の移行ですし、こういう入院医療、例えば、回復期リハの後に介護施設に移るとか自宅に帰り在宅医療に移行するということも療養環境移行で、多分、後ろのほうの意味で、ここでは療養環境移行という言葉が使われているのです。何か修正意見やこのままでいいということはございますか。

○水上構成員 療養環境移行が後ろの話だと、最初の○の情報収集はどういうことになるのでしょうか。

○秋下主査 これは、入院時からなのです。ですので、むしろ、私は処方見直しからというよりは、入院から退院までとしたほうが療養環境移行が前なのか後なのかという紛れがないかと思いました。取りあえず、そのようなことで。特に違和感がなければ、それで進めたいと思います。総論編の中の療養環境移行時の現場としては、いろいろな現場のイメージを絵で入れております。

○溝神構成員 入院時の処方見直しの考え方の所で、薬剤の見直しの検討となっています。処方見直しから療養環境移行時までの留意点となると、どちらかというと、情報収集は入院時の処方見直しの考えという所に入ってくるということでしょうか。1番で処方を見直して、そこから療養環境に移行していくというプロセス。

○秋下主査 退院後の療養環境ですね。1番の2番目のに「在宅や施設療養への療養環境移行」としていますので、そういうようなニュアンスではあります。

○溝神構成員 2.の処方。

○秋下主査 情報収集ですね。

○溝神構成員 処方見直しからとなると、既にそこに処方が見直された状態で今度は移行までのということなのでしょうか。そうすると、情報収集がどこに掛かるのかという、疑問を少し持ちます。どちらかというと、こちらの1.のほうで処方見直しの考え方を述べたほうがシンプルなのかと。ここの情報の引継ぎ、どちらかというと、経過観察的な文言がこの2.には含まれるのかと、今、思いました。その辺りはいかがでしょうか。

○秋下主査 いかがでしょうか。

○髙瀬構成員 的を射ているか分からないのですが、今、仲井構成員の御意見をお聞きすると、介護医療院とか、回復期の病棟は1か月や2か月少しくらいの入院期間があるようなので、その間も処方の確認、点検、変更はプロセスとして繰り返されるので、その辺りも考慮した表現になっていると、より分かりやすいような気がいたしますが、いかがでしょうか。むしろ、仲井構成員から御意見を頂いたほうがいいのかもしれません。

○秋下主査 では、仲井構成員、お願いいたします。

○仲井構成員 今、私もそれを考えておりました。結局、入院時にやることは、前の処方は何だったのか、それも場合によっては複数いるわけですよね。例えば、入院していていろいろな専門医が何人も寄ってたかって処方している場合がありますし、また、入院する前の在宅で処方されていたかかりつけ医の処方もありますし、そういうものを全てもう一回、回復期に来たときにきちんと洗い出す。

 それで、いろいろ考えた結果、この薬を減らそうとか、この薬を増やそうとか、この薬を変えようとかそういう話になると思います。その後、入院期間中に多職種の人たちからどのようになったのだろうといろいろとたくさん情報を得て、その結果、また、薬を見直していくというプロセスが入ると思います。

○髙瀬構成員 PDCAサイクルですね。

○仲井構成員 ですから、そういうことを少し分かりやすくすればいいのかと思います。また、その後、療養環境によって、この薬をこのまま出していいのかどうかということも考えなくてはいけないということがあります。ですので、入院時、間、退院時と3回チェックするのがポイントだと思います。

○秋下主査 そのとおりです。それをどういう表現にするかという。

○大野構成員 今、3回ポイントがあるというお話があったところで、先ほどから少し考えていました。3.の処方見直しの留意点も見直しありきになっているので、これは別に入院中や入所時に、見直すのならば別に新たな症状や問題点に対してお薬の処方を考えることもあると思います。3.は見直しではなくて処方検討時とか、見直しありきではなくていいのではないかと、今、思ったところです。

○池端構成員 今、仲井構成員がおっしゃった点についてです。そのとおりだと思いますし、ただ、これをよく読めば、1番が入院時の1回目の見直しということで留意点、2番目が、その途中と退院時の見直しという、この2番目の処方見直しは入院時に1回見直されたとして、その後、入院中にどういう情報を得て、逆に言うと再見直しをしなければいけないのか検討して、最後、次の療養環境に移るときまでの間のプロセスを2番に書き込んでいると読めば、これで一応、一通りそのことが書かれているかと思います。読み方次第だと思います。

○溝神構成員 2.の処方見直しの所に、例えば、入院時の処方見直しから療養環境移行時までのという形の言葉にすれば、非常にシンプルで分かりやすくなるかと思います。

○水上構成員 そうすると、1.の入院時の処方見直しの考え方になってしまうので、少しタイトルが。

○溝神構成員 そこのタイトルが、そうですね。

○秋下主査 そうですね。2.は入院して最初のアクションは終わっているのですね。その後なのです。むしろ、入院以降ということですね。処方見直しという言葉は、取っても大丈夫ですか。なくてもいいですね。だから、入院中から退院までの留意点。それと、情報収集という言葉は、外部からの情報収集みたいな感じなのですが、これはもう少し病状の把握や減薬後のモニタリング等、いろいろな意味が入っている情報なのかと思います。

○仲井構成員 付け加えるなら、例えば、院内多職種からの情報収集という言葉になるのでしょうか。

○秋下主査 では、「院内多職種等からの」というようにして、また少しぼかしておきますか。そこが中心であるということですし、新しい情報が外から入ってくることもあるでしょうし。大木構成員がいつもおっしゃっている生活ですよね。入院中の生活に応じた処方の変更は当然ありますし、病状についても副作用的な症状の観察のフィードバックも含まれてくると思います。何かより適切な言葉がありますでしょうか。では、「院内多職種等からの情報収集」ということで修正しておきたいと思います。3.に関しては処方検討時の留意点です。見直しが大分減りました。少し読みやすくなるかもしれないです。

○医薬安全対策課長 1点だけよろしいでしょうか。

○秋下主査 お願いします。

○医薬安全対策課長 時間を取らないようにいたします。第1部と違って、今、御議論いただいた第2部は、1.2.の所はどちらかというと時間軸でシフトしているような書き方になっているので、第1部とは少し構成が違うということを前提に申し上げると、言葉遣いだけなのですが、1.の入院時の考え方という言葉と2.の留意点という言葉に何か違いがあるのかないのかというところは、後でいいと思うので、少しそろえておいたほうがいいかという気がいたしました。

 単に時間軸で移行しているところの話であるならばそろえることも可能かと思いましたので、またそこは少し調整させていただきます。

○秋下主査 そうですね。そこは第1部、第2部、第3部で、それぞれの整合性もありますし、ポイントという、いろいろな表現があるかと思います。留意点、考え方を少し整理する必要があります。これは、後で通して整理したいと思います。このような課題があるということが分かりました。ほかに何かございますか。

 それでは、時間もありますので、第3部に進みたいと思います。第3部について、事務局より説明をお願いします。

○課長補佐 続いて、第3部、資料3ページ半ばからになります。第3部は、その他の療養環境ということで、先ほどの医師が常駐する介護施設等という形になります。まず、1.は、入所時の処方見直しの考え方についてです。先ほど第1部でも説明しました総論編における記載に加えて、長期的な安全性と施設内の薬剤管理、QOL向上の視点、処方簡素化の取組みに加えて、こちらは複数の種類の施設が含まれますので、それぞれの施設ごとの薬剤使用の特徴を、ここに書くこととしております。また、この部分については、浜田構成員より、薬剤使用の特徴とは、施設ごとの薬物療法などの提供体制や管理体制といったリソースに合わせて見直すということで、施設類型ごとに注意すべき薬に違いがあるということではないのでは、といった御意見も頂いているところなので、今日は、是非ここについては御意見を頂ければと思います。

 続いて、2.では、処方見直しから療養環境移行までの留意点として、第1部、第2部同様、情報収集と処方見直しプロセスの実施のほか、かかりつけ医への連絡調整、さらに在宅復帰の場合は、在宅に向けた服薬時間の調整に加え、第2部同様、退所に向けたかかりつけ医や薬剤師への情報の引継ぎや地域包括ケアを担う医療・介護関係者等との留意事項の共有を挙げています。

 2項目目のかかりつけ医への連絡は、入所後、薬を減らす際のかかりつけ医への連絡で、4項目目に挙げている、かかりつけ医への情報の引継ぎは在宅復帰する場合の情報提供ということで、ここについては書き分けしています。

 3.の処方見直しの留意点は、第1部、第2部同様なので、説明は省略いたします。ここでは、介護医療院等の施設における患者さんを想定した留意点を記載することとしています。

 最後、4.の多職種の役割、チームの形成です。処方見直しチームの形成については、施設の現状を鑑み、ここでは「可能であれば」という文言を入れております。ここは第2部とは少し異なる部分です。それ以外の以下の部分は第1部と同様の記載になります。以上です。

○秋下主査 少し議論するポイントがあるということですが、まず、浜田構成員から頂いた御意見、薬剤使用の特徴のところについては、これは浜田構成員から、もう一度。

○浜田構成員 施設の類型によってどのような方が入所されるかというのは、平均的には異なるとは思いますが、注意すべき薬とか、同じような状態の方であれば、基本、同じような薬物処方がされるのかと思うので、薬剤使用の特徴というのが何を表しているのか少し分かりにくいかと思いました。

○秋下主査 ありがとうございます。いかがでしょうか。今、特養は、第3部から外れることになりましたが。

○池端構成員 私も浜田構成員の御意見に賛成で、確かに多少違う場合はありますが、基本的には薬剤も包括でありますし、しかも、今回、医師が常駐するという施設にそろえていただきましたので、基本的な、しかも在宅復帰も目指すところもあります。これは多い少ないはあると思いますが、ということで大きな括りとしては、処方見直し等に関しても大きな違いはないと思うので、むしろ、医師が常駐する介護施設という括りで共通した見直しの留意点等を書き込んでいただければいいのかなという感じはしました。

○秋下主査 仲井構成員、いかがでしょうか。ここは大差はないということでよろしいでしょうか。

○仲井構成員 はい。池端構成員に賛成です。

○秋下主査 大差はないと言うと怒られるかもしれませんが、薬剤の使用の特徴については、という意味です。そういう意味では共通しているということでよろしいですか。

 ありがとうございます。では、そのように捉えて。ですので、この文言をどう捉えるかということで、この文言はそのまま残しておいていいと思うのですが、それぞれの施設形態で違うということではなくて、こういうところに共通した薬剤使用の特徴を書くといった意味で捉えるということでよろしいでしょうか。

 ほかはいかがでしょうか。事務局からいただいた、今、ここで議論しなければいけない点は、ほかにはなかったでしょうか。

 それから、私は「入所」という言葉が、「入居」もあるのかなと思ったのですが、特養が外れますと、入居はなくなりますか。医師が常駐する介護施設であれば「入所」でよろしいのですか。では、このままでいけると。

○仲井構成員 ちょっと分からないのですが、介護医療院は入院になるのですか、入所になるのですか。

○課長補佐 入所になります。

○秋下主査 入所ですか。「院」だけれども、「入所」という言葉でいい。

○池端構成員 介護保険施設だと入所ですね。

○大木構成員 1点だけ、2の項目の3つ目ので、在宅に向けた服薬時間の調整という、この時間という読み込みが服薬時間の調整、いわゆる服薬に関する時間の調整だけを捉えているのでしょうか。あるいは服薬支援の調整なのか、短時間で飲ませるのか、あるいは服薬に関して時間を調整するのか、ちょっとここの読み込みが、どちらかというと服薬支援の調整という「支援」をするといった読み込みかなと思ってはいたのですけれども。

○秋下主査 大事な点です。溝神構成員、お願いします。

○溝神構成員 この点に関しては、時間等々を含めて「服用環境」というような形で、全てを含めて環境を調整するという形のほうがいいかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大木構成員 その言葉のほうがトータルで見やすいと思います。

○秋下主査 服薬環境でよろしいですか。

○大木構成員 はい。

○秋下主査 ほかはいかがでしょうか。

○桑田構成員 当たり前だと言われるかもしれませんが、当事者の方の意向についての情報収集は我々が意図的に確認すると読み込んだらいいのでしょうか。もちろん言語的に御自身の意向を伝えられない方もいらっしゃるとは思いますけれども、ACPとかということではなく、この服薬を調整してみてとか、見直してみて、そのときの御本人の思いというか意向は、どこから読み込んだらいいのかと思いました。

○秋下主査 これは、第1部から第3部まで同じというか、ここで対象になる方は第1部でも、第2部、第3部でも、認知症の方なども当然入ってこられて、「はじめに」の所に書き込むべき内容ではないかと思っています。特に患者・国民への啓発などで。

○桑田構成員 やはり当事者の方を、忘れているわけではないのですけれども、どこかに文章、言葉で何かあったほうがいいのかと思ったのです。今、大木構成員の意見を聞いても、服薬の時間というのは、我々はこの時間がいいと思っても、もしかしたら御本人たちは、そうではないかもしれないという、それが全て「調整」という形とか、「支援」という形になったときに、我々の価値観ではなく、相手の方の生活、暮らし、価値に注目するのは大事かなと思ったので。

○秋下主査 なるほど。もしかしたら「はじめに」に書いていて、それが全体を通しての重要な話なのだということを言っているつもりでも、読む側の方々がそう捉えない可能性はあるので、もしかしたら、そういうものは例えば、第1部、第2部、第3部もそういう視点というのはどこか入れたほうがいいのかもしれませんが。

○桑田構成員 何となく、忘れ去られてしまうのかなというような印象を持ちました。

○秋下主査 いやいや、おっしゃるとおりかと思います。大変重要なことです。

○清水構成員 今までの議論の中で、私としては、在宅もやって、通院の方を見ているわけです。今まで何もなく通院している方が何らかの病気で入院されて、退院して、また主治医になる場合もありますし、全くの逆紹介で来る場合もあるのです。そこで1つ問題になるのは、入院されたときの疾患なのです。そこでは、例えば生活習慣病で管理が悪い場合、あるいは急性期の脳梗塞、心筋梗塞が起こってしまった場合、大腿骨頸部骨折の場合、それぞれが退院時に病態が変わっています。例えば、心筋梗塞あるいは急性冠症候群で入られて、ステントが入ってしまうと、やはりある薬が必ず付いてきますし、さらに、入院中にいろいろな病気が見つかるわけです。ですから、一番開業医として気になるところは、病院の先生方が患者の退院のときに複数の科でたくさん処方されているお薬を誰かに調整していただきたい点です。本当の意味で減薬していただきたいと思います。患者さんが処方箋を持って来られた時、「この薬は今後要らないのでは」と言っても、「これは専門医の先生が出したもので、ずっと飲みなさいと言われている」ということで減薬できません。

 250人に対してのアンケート調査をしたことがあるのですが、逆紹介の患者さんを見てみると、やはり平均で、いわゆる生活習慣病が複数重なった方は10ぐらいの薬が処方されています。それに胃の薬が入ったりしますので、明らかに数からはポリファーマシーです。それぞれの疾患については、きちんと診断が付いていており、内視鏡で胃潰瘍、それから脳梗塞で片麻痺があり、糖尿病があるとなると、患者さんにとっては全部大事な薬です。1年後にその200人程度にもう一度アンケートした結果では、そのうちの75%が同じ処方なのです。ある意味では、病院の先生方にきちんと診ていただいたので、副作用とか飲み合せの悪さというのは出ていないのです。それぞれの疾患もコントロールされている。あとの20数%の中の10%の方は亡くなっているのです。

 ですから、そもそものところでいくと、お薬は減らしたいのですが、専門医がガイドラインで作ったものに対しては、残念ながら変更できません。変薬するときは専門医の意見を聞くとか、セカンドオピニオンようなところもやっておかないと、このお薬は要らないのではとむやみに切って何か起こってしまったとなると、誰が責任を取るかということになるので、減薬出来ればいいのですが、治療には一次予防、二次予防、三次予防とありますから、二次予防で飲んでいるときは、多分減らせないと思います。ですから、その知識を持った方がそこにいらっしゃらないと、「先生、これとこれを飲んでいなくて、残っているから要らないのでは」、「では、やめようか」という話ではなくて、きちんとエビデンスでやってほしいと思います。

 今までの流れで、先ほど関野技官がおっしゃったように、時系列的にというのはすごく大事で、とにかく入ったときに持っていたお薬、それから、その病気に対しての対応、中でコントロールされましたと。退院するときに、やはり複数の科でいろいろなものが出ていますから、それを調整してほしいというところで、それがされれば、我々、受ける側にとっては、もうOKなのです。だから、そのところが先ほどの流れのところでちょっとはっきりしなかったのが1つです。

 それから、お薬に対して、患者さんの意見をどのように入れていくか、非常にこれは問題なのです。例えば、糖尿病はすごく大変でも薬を飲みたくないという方もいらっしゃいますし、毎回検診にお見えになって、3年連続でBMI30で、HbA1c8で、それで空腹時血糖が180、「痩せましょうね」で指導して、また次の年に受診ということがあって、そういう意味では、その啓発の部分も含めて一緒にやっていかないと、なかなかチームを組んでやったとしても、御本人と家族がどのくらい理解されるかということで、その辺をどこか膨らませていただいたほうが、多分いいかなと思います。今までの流れの中で、そのような感じがいたしました。

○秋下主査 まず、今、清水構成員がおっしゃった最初の視点ですが、これは非常に大切で、総論編のところでも専門医の立場からの考え方ということで、逆にそちら側の方にどう考えていただきたいか、常に、本当にこの薬はいつまでも必要なのかというのは入れていたので、それを、今度逆側の目線でどう捉えるかということですね。このところは、割としつこく情報収集とかを書かせていただいているのですが、そこに清水構成員がおっしゃったことを入れていくことになるのかなと思います。

 それ以外の現場の所で、同じような、もちろんポストアキュートなしに在宅に、自宅に戻られる方もいるので、そういうところのやり取りについても情報収集という言葉は繰り返し出てくるのですが、専門医の処方に関して、その情報収集の相手がそういう方であるといったニュアンスですね。

○清水構成員 はい。できれば専門医との連携が大切と思います。高齢者にNOACDOACが出ている場合、「本当にいいのかな」と、言いたいのですけれども、ただ、専門医の処方ですから言いにくい。専門医の先生でも、懐の広い先生は「うん、それじゃあ」と言ってくれる方もいらっしゃいますが、やはりガイドラインでがっちり処方されると厳しい。実際に、80歳を超えていると、厳密なガイドラインの適用は困難と思います。

○秋下主査 そうですね、データはないです。

○清水構成員 ですからその辺を、現場の意見もちょっと入れていただきたいので、でも専門医と入れておかないと、専門医にコンサルトするとか、その辺をやはり入れておきたいと思います。本当に物事が起こったときに、また急性期になって入院ということもありますし、そうすると、「あそこは私の処方を勝手に変えて、ほら、起こってしまっただろう」と、このようなことになっても困るので、そういうシステムをある程度組んでおきたいと思います。いわゆる上流から下流にだんだん流れていって、最後、在宅で看取り、皆さんそうではないのですね。行ったり来たりするわけですから、その節目、節目にやはり専門医の先生が入っていただきたいと思っています。

○秋下主査 分かりました。その情報収集の所に専門医との連携、かかりつけ医という言葉もありますが、かかりつけ医はそもそも何か、というのがあるので、前方で診た医師は全てそこに入ってくるのだと思いますが、そこに、特に専門医。事務局、どうぞ。

○課長補佐 秋下先生がおっしゃったように第2部、第3部のほうは、情報収集とか、処方見直しプロセスの実施のところで、情報収集の部分でかなり連携とか、専門医とのやり取りというのが読めると思いますが、先生がおっしゃった急性期から退院されてくる患者さんというのが、そこだと抜けてしまう可能性がありますので、そこの部分を、もしできれば、第1部の外来・在宅医療の1.の所で、専門医との情報共有というのを、1つ項目を立てて記載させていただけたらと思います。

○秋下主査 そうですね。第2部、第3部の所にも専門医という言葉を、むしろ入れたほうが分かりやすいかもしれません。ありがとうございます。

 もう1つは、その患者側の視点ということを、第1部、第2部、第3部の所に、あえてそういう言葉を入れるかどうか、入れてもいいのかなと私は思ったのですが、少しくどいようであっても。どこかに少し書けると、執筆するときにそういう視点が必ず残るのかなと思ったのですが、どこかそういうことはないですか。

○医薬安全対策課長 多分、それぞれに書く場合、書く内容が仮にさほど違わないのであれば、取りあえず今の段階では「はじめに」の所で語っていただくような形で執筆いただいて、あとで読み物になったときに、構成上それぞれにあったほうがいいということであれば、それをまた、それぞれにちりばめるというやり方はあると思うので、作業としては、どちらもあるのかと思います。

○秋下主査 取りあえず「はじめに」の所に入れて、ただ、これをどこに入れるのかと思ったのですが、患者・国民への啓発というのだと、何か少し合わないなと思って、でも目的ですかね、目的の所の注意書きみたいな感じになるのかもしれませんが。

○仲井構成員 一番最後に、こういうところを注意してくださいみたいに、もう一回しつこく言うというのはどうかなと思ったのですけれども。

○秋下主査 「おわりに」ですね。

○仲井構成員 はい。そこに、私が今回書かせてもらったACPのこととか、それから、CGAから多職種の話とか入れてみてもいいのかと思ったりしています。

○秋下主査 そういうことでいうと、「はじめに」の(3)患者・国民への啓発というのが何となくエンディングのようなので、もしそういうことを後ろに書くのだとしたら、(3)も後ろにもってきて、というようになるのかなと思います。どちらかというと、(3)と、今、議論になっている点は後ろに書くということで、全体の構成を先ほど最初に聞いたところでは御意見が出なかったのですが、総論編もそのような感じになっておりますので、ちょうど並びが同じようになるかと思います。だから、患者中心の薬物療法みたいなことを書き込むということですね。

○池端構成員 私もそれでいいと思いますが、しつこいようですけれども、第1部、第2部、第3部とも1番の処方見直しの考え方という共通しているものはここに書かれているかと思うので、ここに「患者本人の意向を尊重しつつ」というような言葉を入れていけば、全てのところで、それが生きてくるかなと思うので、その一言を入れるだけで、随分雰囲気が違ってくるかなと思いました。

○秋下主査 私も、しつこいようだけれども、それを入れるのもありかなと思って、どこかに一言だけ、少し入れられる所があれば入れておいてもいいかなと思いました。

○髙瀬構成員 少し場違いな意見かもしれませんが、ポリファーマシー対策自体は手段であって目的ではなく、やはり患者さんのQOLとか、QODと言いますか、そういったものの向上がゴールなのだと考えています。過大医療も過小医療も目指すところではなくて、その間のところに答えがあるのだろうと。そこを追い求めるという意向が「はじめに」か、終わりかに総論で入っていればより使いやすいガイドライン、指針になるのではないかと思ったところですが。少し場違いかもしれませんけれども。

○秋下主査 いえいえ、この理念は、そういうことなので。骨子なので、ポリファーマシー対策みたいなのが、いきなり、まず出てくるのですが、総論編でも「はじめに」の所にはポリファーマシーの前にくる問題として高齢者の特徴とか、最終的には高齢者の薬物療法の適正化ということで括弧して、薬物有害事象の回避、過小医療の回避ということも書いてあります。そういうことをここに書くということで。それから「おわりに」にも、繰り返しになるかもしれませんが。

○秋下主査 事務局、お願いします。

○課長補佐 それでは、池端構成員に御意見を頂いたので、例えば、第1部、第2部、第3部ともにある1.の点線部分の「CGAを行うことが推奨される」の前に「患者本人の意向を尊重しつつ、全ての使用薬剤に対して薬物治療の」というようにさせていただけたらと、いかがでしょうか。

○秋下主査 そのようにしていただければ落ちがなくなるかと思います。ありがとうございます。それでは、時間も過ぎておりますが、以上の点でよろしいでしょうか。

○仲井構成員 今、ずっと思っていたのですが、第2部、第3部は結構、入所あるいは入院時、入院中・入所中、それから退所・退院時みたいな形になっていますけれども、それは第1部のほうもできないのかなと思ったのですが、入所ではなくて、これは在宅復帰時みたいな形で、在宅継続中に何をすればいいのか、そして、療養環境が変わったときにどうすればいいかというようにすれば、何となく時間関係がみんな一致して分かりやすいかなと思ったのですけれども。

○秋下主査 第1部の1.の所の最後に、「長期通院中(在宅の場合は長期療養中)」とあります。在宅医療に移行したときというのが、要するに病院から退院して、在宅医療、ここに来たときというのがあるわけですね。

○仲井構成員 そうです。ですので、第1部の1番が在宅復帰時というか、何という言葉がいいか分かりませんが、在宅復帰でいいのではないですか。

○秋下主査 在宅復帰でいいのではないですか。

○仲井構成員 いいですかね。

○秋下主査 それは外来と在宅医療の両方ですか。

○仲井構成員 はい。

○秋下主査 では、それを入れましょうか。

○仲井構成員 もう一点は、先ほどの外来在宅での専門医の処方の見直しというところですが、3.(3)の所に、「処方の優先順位と減量・中止」という所にもそれを書き込んだほうが、より専門医とのディスカッションが進むのではないかと思います。例のDOAC1年後にどうするかみたいな話とか、こういう所に入れておくと、注意喚起されやすいのではないかと思います。少し重複しますけれども。

○秋下主査 そうですね、ここにそういうことを書く。薬が後ろの別紙のほうに出てきて、具体的な薬剤はここには出てこないのですかね。そうすると、それは書けますね。専門医と連携してやりましょうと、そういうことですね。ほかによろしいでしょうか。今、頂いた意見は、事務局のほうでもう一回整理して、私のほうで事務局と相談しながらまとめたものを、次までに時間がないので短期間に御確認いただくような形になるかと思いますが、ということでしたいと思います。すみません、不手際で時間が過ぎてしまいました。御意見については以上ですが、一応、議題は以上です。事務局から今後の連絡事項をお願いします。

○課長補佐 長時間の御議論を、ありがとうございました。今後の予定としては、今日、様々な御意見を頂いたところですので、事務局で整理させていただいて、主査の確認の下、今日の結果を、先生方にもう一度メールで御確認をお願いしようと思っております。ただ、今後の予定が、来週の26日が実は検討会でして、ここにワーキンググループの骨子案を提出することを予定しております。今後は、26日の検討会で了承された骨子に基づき、主査の下で追補本体の作成作業を開始していただきます。作業において、構成員の先生方に御協力を頂くことにもなりますが、詳細な作業等の御案内は、別途、御連絡させていただきます。また、次回ワーキングの日時等については、後日、日程調整の上、改めて御連絡させていただきます。

 また、本日の議事録については、後日送付させていただきますので、内容の御確認をお願いいたします。なお、修正、御確認いただいた後は、厚生労働省のホームページにも掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○秋下主査 スケジュールの確認ですけれども、来週の926()に検討会がありますので、皆さんに見ていただく時間は1日ぐらいしか多分ないかなと思いますので、もし御意見があればというような聞き方になるかもしれませんが、そこは御容赦いただければと思います。事務局が一番大変だと思います。御容赦ください。

 それでは、これで閉会いたします。本日は、どうもありがとうございました。

(了)

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