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2024年1月19日 中央社会保険医療協議会 総会 第580回議事録

○日時

令和6年1月19日(金)10:00~

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 永瀬伸子委員 本田文子委員 安川文朗委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 太田圭洋委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○令和6年度診療報酬改定に係る検討状況について(説明)
○意見発表者による意見発表、中医協委員からの質問

 

○議事 

○小塩会長
 おはようございます。ただいまより、第580回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は笠木委員、末松委員、岡本専門委員が御欠席です。
 本日の中医協総会は、令和6年度診療報酬改定に向けて、国民の皆様の御意見を伺う公聴会です。
 開会に当たりまして、委員を代表いたしまして、私から一言御挨拶を申し上げます。
 本日は御参集いただきまして、ありがとうございます。
 当協議会は、診療報酬や薬価など、公的医療保険から医療機関等に支払われる公定価格を決定する権限を有する厚生労働大臣の諮問機関として設置されております。診療報酬等に関する事項について、厚生労働大臣の諮問に応じて審議・答申を行う役割を担っております。
 本日は、1月12日に大臣より諮問された「令和6年度診療報酬改定」の審議を行うに当たりまして、私ども委員が国民の皆様の声を聞く機会として、公聴会を開催することとしたものです。
 今回、意見発表をお願いしております方々には、広島の会場にお集まりいただいております。そして、私たちがおります東京の会場とオンラインでつないでの開催としております。後ほど御意見をいただく場を用意しておりますので、忌憚のない御意見を、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、当協議会の委員を紹介させていただきます。
 当協議会は、医療保険の保険者、被保険者、事業主等を代表とする委員、いわゆる支払側委員。それから医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員、いわゆる診療側委員。そして、公益を代表する委員によって構成されており、必要に応じて専門委員を置くことができるとされております。
 本日出席の委員を御紹介いたします。
 まず、支払側委員、鳥潟委員、松本委員、佐保委員、眞田委員、鈴木委員。そして、オンラインで高町委員が御出席です。
 続きまして、診療側委員ですが、長島委員、茂松委員、江澤委員、太田委員、林委員、森委員。そして、オンラインで池端委員が御出席です。
 続きまして、公益委員といたしまして、本田委員、安川委員。そして、オンラインでは飯塚委員、永瀬委員が御出席です。
 そして、総会に属しております専門委員といたしまして、木澤専門委員、上田専門委員、それから、田村専門委員がいらっしゃいます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の議事の進め方ですが、まず、事務局より、令和6年度診療報酬改定の検討状況について説明してもらい、その後に、広島の会場にいらっしゃる方々より御意見を頂戴したいと思います。
 それでは、令和6年度診療報酬改定の検討状況について、事務局より説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 おはようございます。医療課長でございます。
 それでは、検討状況につきまして、資料を用いまして御説明をさせていただきます。
 本日の資料は、総会(公聴会)の資料となってございます。日付は本日の日付、1月19日となってございます。
 目次を御覧ください。
 目次の中にございますとおり「令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」が、1ページ以降にございます。
 それ以降に参考資料といたしまして、32ページ以降に「諮問書」、そして、33ページに「診療報酬改定について」、これは、改定率を示すものでございます。
 35ページには「令和6年度診療報酬改定の基本方針」。こちらは、昨年12月11日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会がまとめられたものでございます。
 その後に、これまでの改定の議論のプロセスにおきまして、1号側、また、2号側からいただきました意見をまとめて添付させていただいているところでございます。
 それでは、具体の説明に入らせていただきます。通しページで御説明をさせていただきます。
 1ページをお開きください。こちらに議論の整理の目次がございます。
 留意事項でございますけれども、本資料は、令和6年度診療報酬改定に向けて、これまでの議論の整理を行ったものであり、今後の中央社会保険医療協議会における議論により、必要な変更が加えられることとなる。
 なお、項目立てについては、令和5年12月11日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会において取りまとめられた「令和6年度診療報酬改定の基本方針」に即して行っているということでございます。
 そのもとで、目次を御覧ください。
 「Ⅰ 現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」。
 少し行を飛ばしまして「Ⅱ ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進」。
 2ページに進みまして「Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進」。
 そして、2ページの下段でございますけれども「Ⅳ 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」ということでございます。
 それぞれございますけれども、また、1ページにお戻りいただきまして、この大きな4つのローマ数字の項目に沿いまして、その下に小項目が並んでございます。
 Ⅰの項目のもとには、Ⅰ-1からⅠ-6まで、Ⅰ-1には「医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組」。
 Ⅰ-2には「各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進」など、1から6まで。
 Ⅱの項目につきましては、Ⅱ-1からⅡ-8までの小項目がございます。
 Ⅱ-1は「医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進」。以下、Ⅱ-8まででございます。
 次に、Ⅲの項目につきましては、Ⅲ-1からⅢ-9までの項目がございます。
 Ⅲ-1は「食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応」。以下、Ⅲ-2からⅢ-9までの項目がございまして、Ⅲ-4に関しましては、それぞれ、また、枝番がついてございます。
 Ⅳの項目につきましては、Ⅳ-1からⅣ-9まで、Ⅳ-1に関しましては「後発医薬品やバイオ後続品の使用促進、長期収載品の保険給付の在り方の見直し等」についてでございまして、それ以降、Ⅳ-2からⅣ-9まで、記載のような項目となってございます。
 それぞれの小項目の記載につきましては、4ページ以降に記載されているところでございます。
 なお、この取りまとめられました議論の整理に沿いまして、先週1月12日から本日まで、国民の皆様の意見を聞く機会、パブリックコメントを設けているところでございます。
 簡単ではございますが、事務局の説明は以上とさせていただきます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 ただいま事務局から説明をしていただいたのですけれども、支払側、診療側から補足で何か御説明はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、これから意見発表者の皆様より、御意見を伺っていきたいと思います。
 意見発表者につきましては、今回の公聴会の開催案内に併せて、公募を行いました。公募いただいた方々の中から、意見の内容や発表者のバランス等を考慮いたしまして、私ども公益委員のほうで、10名の方を選ばせていただきましたので、本日は、その10名の方々に御意見の発表をお願いしたいと思っております。
 意見発表に当たりましては、まず前半に5名の方に御意見を発表していただきます。それらの意見に対して、当協議会の委員から必要に応じて質問をさせていただきます。その後、後半に残りの5名の方々から御意見を発表していただき、そして、それぞれの御意見に対して、また、委員から御質問をしていただきたいと思います。
 なお、時間の関係上、大変恐縮ではございますが、意見の発表は、お一人につき5分以内でお願いいたします。
 そして、意見発表の初めに、お名前、それから御職業をおっしゃっていただくようにお願いいたします。
 それでは、早速でございますが、最初に朝倉様、御意見をお願いいたします。
○朝倉氏
 マツダ健康保険組合常務理事の朝倉と申します。本日は、広島の健保組合の代表として、地元の給与所得者とその家族の立場から発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 まずは、このたびの能登半島地震により亡くなられた方々へのお悔やみと、被災された皆様へのお見舞いを心から申し上げます。
 我々は、広島に軸足を置く加入者数約7万人の健保組合ですが、被災地にも拠点を持つ事業所があります。医療支援や復旧支援に従事されている全ての皆様に、この場を借りて、心より敬意と感謝を申し上げます。
 それでは、健保組合運営を通じて思うところを申し上げます。よろしくお願いいたします。
 最近の健保財政につきましては、賃金上昇などにより保険料収入が増え、回復基調と見られがちですが、実際は全く異なっております。
 高齢化の進展による拠出金の増加や、コロナ禍を経て過去の傾向を大きく超える医療給付費の継続的な増加により、財政圧迫が止まりません。
 財政の支え手が減少していく中、団塊世代が全て75歳以上となり、拠出金や医療費の高騰が見込まれ、医療保険制度は極めて厳しい局面を迎えることが確実です。
 健保連による令和5年度の健保組合予算の早期集計では、全体の経常収支は5623億円もの赤字となり、全健保組合の約8割が赤字です。
 医療給付費は5.5%増加し、令和4年度に続き高い伸びを示し、高齢者医療拠出金は令和4年度の一時的な減少から7.3%の増加に転じ、非常に厳しい財政状況にあります。
 収支均衡に必要な実質保険料率は10.10%と、令和4年度から0.12ポイント増加しました。
 広島県では、地元の17健保組合のうち14組合が赤字予算を組んでおり、我々マツダ健保では、予算上、賃金上昇、料率アップによる収入改善を行った上で、業務の効率化と加入者の健康を支える保健事業に、めり張りを意識しながら取組を行ってまいりました。
 しかし、直近の実績では医療給付が大幅増となり、収入改善分を全て吐き出し、赤字転落が避けられなくなりました。
 今回の改定は、団塊世代が全て後期高齢者となる2025年直前の重要な節目となります。保険料の上昇は、被保険者と事業主の負担増に直結します。我々がお預かりしている保険料を適切に使い、加入者の安全・安心と効率的・効果的な医療の両立には、めり張りの効いた医療費の配分が必要と認識しています。
 改定に向けて、意見として4点申し上げます。
 まず、医療機関の賃上げについては、政府方針に沿って診療報酬で対応することになります。医療機関に勤務する我々と同じ立場の給与所得者の方々の賃金が確実に上がることと、その実態を検証できる仕組みの実現をぜひお願いします。
 2点目、医療機能の分化・強化と連携の着実な推進について、入院と外来に分けて申し上げます。
 入院では、現在、地域医療構想に基づき、病床再編が進められていますが、広島県内の7か所の構想区域は、現状、目標値に至っていません。地域医療構想は、人口構造や医療ニーズの変化を踏まえて、保険者も交えて検討されたものです。確実に実現されますよう、診療報酬上の対応を御検討いただきたい思いです。
 また、今回の改定では、高齢の救急患者等の受入先について議論が進められていると承知しています。急性期の治療とともに、リハビリや栄養管理が包括的に提供されますと、早期に自宅等での生活に戻ることができ、患者にとっても望ましいことであり、結果的に医療費の適正化にもつながると考えています。
 外来では、かかりつけ医機能に関する議論に注目しています。生活習慣病では、患者が治療の必要性をよく理解した上で、計画書に基づいて質の高い管理が効率的に行われることが重要だと考えています。
 特に現役世代では、働きながら治療を継続しますので、リフィル処方の活用にも期待しています。また、専門医や介護との連携も必要です。
 3点目は、医療DXの推進についてです。電子処方箋や電子カルテ情報の共有が進みますと、医療の質を高めつつ、重複投薬や重複検査を抑制できると期待しています。
 同時に、医療機関における業務の軽減にもつながると思いますので、確実な早期普及に向けた対応を患者の負担増に配慮した上で御検討いただきたい。
 最後に、後発品の使用促進に関する要望です。保険者としても加入者への働きかけを行ってきた結果、後発品の使用が一般化してきましたので、長期収載品の選定療養は可能だと思います。
 ただし、その前提として、加入者に不安や混乱を生じさせないよう、安定供給の確保など、後発品の信頼回復と選定療養の制度に関する丁寧な周知が必要です。政府には、保険者から加入者への広報等に必要な支援を、ぜひお願いいたします。
 以上が健保組合の立場からの意見でございます。
 中医協の委員の皆様におかれましては、保険財政の観点も強く意識しながら、引き続きの御審議をお願い申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、檜谷様、お願いいたします。
○檜谷氏
 おはようございます。
 社会医療法人沼隈病院の会長をしております、檜谷義美と申します。
 私の病院は、人口50万弱の地方都市の郊外にある、地域包括システムを実践している10対1の一般病床、10対1の地域包括ケア、それから20対1の療養病棟とケアミックスの病院です。
 この4年間、コロナの対応によって、私の病院でも、かなり厳しい経営の状況でした。後方支援を要請され、そして、また、コロナ対応病床の獲得、さらにワクチンの接種、発熱外来の対応という形で、なかなか多忙でありましたけれども、幸いにコロナ補助金によって減少した患者さん、病床稼働率を補填することは、ある程度はできました。
 しかし、とんとんが精一杯の状況で、言われているような過剰な超過利益が生じたわけではありません。
 そして、現在、4年前のコロナ以前の状況と比べて、外来患者数や病床稼働率は、決して元の状態には返っていない状況が続いているのが現状です。
 私たちの原資になるものは、我々は自由診療でありませんから、保険診療点数が全ての経営の原資になってきます。
 今回、真水での診療報酬のアップが予定されていることは大変ありがたいと思いますけれども、どこにどう配分されるか、今、注目しているところです。いろいろな加算についての評価が点数に期待されるのは、こうしてほしいという国民の、あるいは厚労省の、そういった願いを込めての加算だと思いますけれども、我々の中小の病院にとって、この加算の要件というのは、なかなかクリアすることが難しい点があります。加算要件の簡略化、さらに、加算要件の研修要件に対するeラーニング等を含めた進め方、研修の在り方についての御協力をお願いしたいと思います。
 それから、高齢者救急ですけれども、我々の病院も、地方の田舎のほうですけれども、二次救を対応していますし、在宅医療支援病院でもあります。こういった地方の病院であります高齢者救急に対しては、なかなか難しい点があります。
 私の病院そのものも10対1でやっておりますけれども、10対1では、なかなか夜間の救急や休日診療、休日の救急には対応しきれないので、実は7対1の看護配置と職員配置をしています。そうでなければ、夜間や休日の対応は大変難しい。地域包括ケアの13対1で高齢者救急を担うのは、これは全く無理だと思っています。
 それから、早期リハビリテーションの有効性については、評価がたくさんされていますけれども、実際の現場においては、早期リハビリテーションに挑んでいるにもかかわらず、実際には、査定で早期リハビリについての理解が全くされていない、かなりの数の早期リハビリが査定されてくるというのが現状であります。
 さらに、二次救を担う病院の中で、DPC90を切るような病院はDPCから撤退しろとか、あるいは地域包括ケアの直接入院の数の確保とかということが言われておりますけれども、DPC90と地域包括ケアの直接入院を両方ともそろえろというのは、地域の中小病院では大変な困難を伴います。
 それから、DXのことがかなり言われていますけれども、DXの対応原資、導入とセキュリティの費用、これはかなりの原資を必要とします。私の病院でも118床の中小病院ですけれどもそれでも、近日中に電子カルテの入替えをしようと思うと、2億円の提示がありました。それから、さらに毎年300万円程度の保守料が必要になってくると言われます。なかなかこの対応をしていくのには、困難が伴っていくと思っています。
 それから、薬剤師の問題ですけれども、病院薬剤師と調剤薬局薬剤師の給料の格差ということが言われていますが、病院の院内の処方箋料、あるいは病院薬剤師の指導管理料等についての、さらなる配慮をぜひお願いしたいと思っています。
 さらに、口腔衛生、栄養、リハビリの一体化というのは、大変大事な課題であるのは当然ですけれども、その中で、病棟への歯科衛生士の配置の評価、さらに、病棟のSTへの評価ということも、さらに評価をしていただければと思います。
 地域で高齢者救急や在宅支援に取り組んでいる民間の中小病院の立場から発言をさせていただきました。民間での救急医療、特に地域での救急医療、二次救急を担うという点での、かなりシビアな状態であるということを理解していただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、藤井様、お願いいたします。
○藤井氏
 連合広島で事務局長を務めております、藤井と申します。
 本日は、こうした機会をいただき、誠にありがとうございます。
 私は、患者、被保険者の立場から3点について、意見を述べさせていただきたいと思います。
 1点目は、地域で医療を担う人材確保についてです。労働者、生活者が安心して暮らし、働き続けられるようにするために、今、必要なことは、医療現場に人が集まって定着するための取組を着実に進めていくことだと考えております。
 そのためにも、医療現場で働く全ての労働者の処遇改善を図ることが重要だと思っております。
 2023、春季生活闘争の賃上げの流れについては、残念ながら、医療現場に行き渡っているとは言い難い状況だと思っていますし、診療報酬改定の基本方針においても指摘されているとおりです。
 継続的に医療現場で働く全ての労働者の賃上げを実現させなければなりません。そのためには、医療職一人一人の手元に確実に行き届く仕組みとなるよう、看護職員、病院薬剤師、その他の医療関係職種だけでなく、40歳未満の勤務医師などについても、別立てとすること、実績報告を求め、検証できるようにすることが必要だと思っております。
 なお、実際の処遇改善に当たっては、労使でしっかりと議論して決めていただければと思います。
 処遇改善には賃上げだけでなく、働きやすい職場環境であることも重要です。勤務間インターバル制度の確実な導入などにより、夜勤負担をはじめとする業務負担の軽減を実感できる働き方改革の推進が求められます。
 医療職一人一人が専門性を十分に発揮できる環境づくりを進めることは、患者が質の高い医療を受けられることにも直結します。人材確保と働き方改革の推進は、基本方針の重点課題でもありますので、ぜひ実効性を伴う診療報酬改定を実行していただくよう要望いたします。
 2点目は、地域包括ケアシステムの深化に向けた機能分化と連携強化についてです。
 地域で切れ目のない医療提供体制を構築する地域医療構想の理念を念頭に、設置主体にかかわらず、医療機関の機能分化と連携強化につなげていくことが必要と考えております。
 また、医療だけでなく、介護、障害福祉など複合的なニーズを併せ持つ患者の増加が見込まれる中、介護サービスや多様な社会資源との連携強化を図り、支援の充実をはじめ、地域で安心して暮らすことができる改定となるように要望いたします。
 とりわけ、次代を担う子供に向けて、小児や周産期医療への対応は重要です。例えば、小児においては、大人とは違った配慮や成長、発達に応じた支援だけでなくて、家族への支援、負担軽減への対応も必要です。
 特に入院では、小児病棟の減少を踏まえたユニット化、外来では、発達障害の初診待機時間や医療ケア児への対応など、課題の改善に向けて、環境整備をお願いさせていただきます。
 周産期においては、メンタルヘルスの不調などを抱える妊産婦への支援はもちろんのこと、不妊治療の保険適用も始まりましたので、妊娠を希望する方が安心して治療を受けられるよう、適切な情報開示とともに、仕事の両立という観点も含めて、今後の検討をお願いさせていただきます。
 さらに、仕事と治療の両立という観点からは、がん医療や先進医療など、質の高い外来医療の促進についても、専門職の人材育成や多種職連携などの方策も含め、要望いたします。
 3点目は、患者本位で効率的な医療の推進についてです。
 医療費が増加をする中で、被保険者にとって、保険料の負担感は決して無視できるものではありません。医療DXを推進し、医療の効率化や適正化を推進するとともに、薬剤の多剤・重複投与の是正、データ分析の強化など、医療の質の向上につなげていくことが必要と考えております。
 また、患者、被保険者の納得と安心につながる医療という観点からは、全ての病院、診療所で例外なく明細書を無料発行できるよう、今回の改定で、ぜひ、期限を明確にしていただくよう要望させていただきます。
 以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、檜山様、お願いいたします。
○檜山氏
 有床診療所、福原医院の院長・理事長をしております、檜山桂子です。
 広島市内で総合内科、リューマチ、呼吸器、アレルギー疾患を中心に、ゲノム情報に基づく個別化医療も取り入れた総合内科プラス専門医療を実践しております。
 本日、私からは、かかりつけ医と特定疾患療養管理料について、述べたいと思います。
 まずは、かかりつけ医についてです。医療機関は、営業活動ができません。患者さんが御自身の体に不安を感じた場合、まずは個々の判断で、その症状に近いとおぼしき診療科を受診いたします。つまり、医療機関への受診は患者さんが起点となっております。
 そして、医師は患者さんの訴えに耳を傾け、その経験をもとに必要と思われる検査等を行い、的確な診断に結びつけます。診断の結果により、病名を確定させ、その病気が医師自身の専門であれば、そのまま治療を継続しますが、病名が確定できず、自身の専門外と診断される蓋然性が高い場合は、他の診療科や病院を紹介することになります。
 これは、これまで我が国で確立されてきた皆保険制度の最も優れた仕組みの1つであり、極めて安価で医療機関に受診することができる制度であります。
 すなわち、かかりつけ医を制度化しなくても、十分にその機能が発揮されてきた証拠と言えます。
 フリーアクセスを担保とする皆保険制度のもとで、我が国のかかりつけ医機能が成熟してきたとも言え、その評価が初診料・再診料であり、機能強化加算や地域包括診療加算であります。
 次に、特定疾患療養管理料について述べます。
 特定疾患療養管理料は、コモンディジーズを中心に構成されており、より早期に医師が管理することで、重症化予防に寄与してきました。症状が安定していれば、2、3か月に1回の診療を行い、不安定な場合には、診療の間隔を短縮し、2週間ごとに月2回まで算定できるなど、患者さんにとってもメリットがあると理解しています。
 一方、今回改定の中医協における議論の中で比較されてきた生活習慣病管理料は、その評価の過程は全く異なるものであり、疾患が同じという理由で評価を統一するのは暴論です。同じ病名であっても患者さんの年齢や進行具合、合併症の有無などにより治療方法はまちまちであり、1つの病名に対して複数の診療報酬項目、点数が存在することを問題視するような話ではありません。
 医療機関の特性や患者さんの症状などによって、要件に合致するものの中から、医師が最も適切なものを選択することが可能となっている優れた仕組みであります。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、佐藤様、お願いいたします。
○佐藤氏
 私は、広島市安佐南区にあります、猫本商事株式会社代表取締役の佐藤と申します。
 当社の業務としては、家庭用、業務用のLPガスの供給を行っている会社で、LPガスの機器の設置工事や保安点検、ガス配送を自社で行っております。
 中小企業の事業主としての立場で、昨今の中小企業を取り巻く景気情勢等について申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 令和5年12月の政府月例経済報告によりますと、景気は一部に足踏みも見られますが、緩やかに回復傾向にあるとの認識が示されています。
 一方、中小企業については、令和5年12月の日本商工会議所早期景気観測では、エネルギー価格の高騰や人手不足に伴う人件費の増加等、コスト増は業種を問わず続いており、深刻な人手不足や適正な価格転嫁への対応等、経営課題は多く、中小企業の業況は、依然として力強さを欠いているとの認識が示されています。
 私が携わっているLPガス供給業におきましても、LPガスは災害時においては、個別対応により復旧が早く、自然災害に強いことが広く認知されてきているものの、家庭でのLPガスの需要と供給量は年々減少傾向にあり、エネルギー間競争の激化や人手不足なども重なり、LPガス業界全体においても大変厳しい状況が続き、多くの課題を抱えております。
 こうした状況下で、社会保険料を負担しなければならない中小企業の事業主や加入者の負担は限界に達しております。
 今般の診療報酬改定だけではなく、高齢者医療の在り方や、制度間・世代間・保険者間公平の実現、国庫補助の在り方も含め、国民皆保険制度をどのように持続可能なものとしていくかという議論をしていくことが重要と考えております。
 令和6年度診療報酬改定につきましては、介護報酬、障害福祉サービス等報酬とのトリプル改定であり、新型コロナウイルス感染症の5類移行後初の改定でもあることに加え、団塊世代が全て75歳に達するという節目を1年後に控えた時期に当たります。
 ほかにも、第8次医療計画や第4期医療費適正化計画、医師の時間外労働規制等の大きな制度変更も同時施行であることや、令和7年度に施行予定であるかかりつけ医機能報告制度や物価高騰に対する賃金上昇への対応が求められていること等、着眼すべき点がたくさんございます。
 また、広島県は、近くに医療機関のない「無医地区」が令和4年10月時点で53地区あり、全国ワースト2位の状況です。
 このような状況の中、コロナ禍の経験も踏まえ、地域医療構想の理念を実現していくため、令和4年11月に策定された「高度医療・人材育成拠点基本構想」に基づき、県立広島病院、JR広島病院、中電病院の3病院を中心に医療資源を集約するなど、官民一体となって医療機能の分化・連携を進めています。
 あわせて、在宅医療と介護の連携体制の構築など、医療介護連携を推進し、急性期医療のみならず、地域完結型の医療の構築を推進しているところです。
 このような状況を踏まえますと、ますます増大していく医療ニーズに対応するため、限られた財源の中で医療DXを本格的に活用して、患者にとって安全・安心で効果的・効率的な医療が受けられるよう、真にメリハリの効いた大胆な配分の見直しが必要と考えております。
 現在、事業主として健康経営など、従業員の健康管理に積極的に取り組んでいるところですが、その観点から改定に当たり、今回特に取組を強化していただきたいのは、かかりつけ医機能の強化と医療DXの推進です。
 日頃からの健康管理や専門の医療が必要になった場合に、専門医を紹介していただけるかかりつけ医については、今般の新型コロナウイルス感染症対策でも、改めてその重要性がクローズアップされました。
 かかりつけ医をより多くの人が持つことができるよう、令和7年度から導入される、かかりつけ医機能報告制度に先立ち、令和6年度診療報酬改定において、計画的な療養管理に関する重複評価の是正等、かかりつけ医を持つことのメリットを患者自身が感じられるような仕組みを整えていただきたいと思います。
 また、仕事との兼ね合いの中で、なかなか病院にかかりたくても行く時間がないというのが中小企業共通の悩みでもあります。
 今後、マイナ保険証でスムーズな医療を受けられる体制や電子処方箋等の早期拡大、オンライン診療のさらなる活用など、質の高い医療を実現することが急務だと思います。
 一方で、オンライン診療については、初診から向精神薬の処方を行うなど、不適切な事例も見られるところであり、安全性・有効性を確保しつつ、患者のニーズに対応した普及促進を進めていただきたいです。
 最後に、診療報酬についてですが、患者が受けた医療行為の対価として支払われるものと理解しております。
 したがいまして、診療報酬改定を行うに当たっては、その目的や趣旨、内容が国民に十分に理解されるよう、患者の視点に立った検討を進めていただくこと、できるだけ分かりやすい仕組みとすること、診療報酬の内容を国民に分かりやすく説明いただくことをお願いしたいです。
 患者本位の医療を推進することが、保険料や窓口負担を支払っている国民の納得感を醸成することとなり、我が国の国民皆保険制度を持続可能なものとしていくと考えます。
 私からは以上となります。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま5名の方々から御意見を頂戴いたしましたが、委員のほうから御質問等をお願いしたいと思います。
 ただ、本日の公聴会は、一般の方々から御意見をお聞きして、今後の中医協での議論の参考にすることを趣旨としておりますので、委員の皆様におかれましては、本日いただいた御意見に対する確認、それから質問のみとしていただき、委員御自身からの意思表明、意見表明や反論につきましては差し控えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。どなたかよろしいですか。
 松本委員、お手が挙がっております。お願いします。
○松本委員
 5人の皆様方、御意見の発表をどうもありがとうございました。
 4番目に発表されました檜山様に、1つ御質問なのですけれども、かかりつけ医に関して言及があったかと思うのですけれども、今、かかりつけ医機能の制度整備ということで、2つの情報制度が準備されておりますけれども、それに対する檜山様からの期待等がありましたら、少し御意見をいただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
○檜山氏
 我々診療医は、皆がかかりつけ医と自負しております。ですから、新たな制度で縛るのではなくて、我々の今のかかりつけ医としてやっているこの体制を、リスペクトしていただければと思っております。
○小塩会長
 ありがとうございます。
○松本委員
 ありがとうございました。
○小塩会長
 ほかは、いかがでしょうか。
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 2番目にお話しいただいた、檜谷先生にお伺いさせていただきたいのですが、先生のお話の中で、地域包括ケアを地域で支えていらっしゃって、また、二次救急等、今、我々は議論しておりますけれども、非常に重要な医療機能を、先生、地域で担っていらっしゃると思います。
 先生のお話の中で、やはり高齢者でも救急対応等々をやっていく上において、10対1の病院ではあるけれども、7対1相当まで人員を加配しながら対応していらっしゃるというお話がございました。人的な資源が、そういう医療には必要だということなのだろうと思いますけれども、先生の御意見として、今の先生がやっていらっしゃる地域で、なくてはならない医療機能を維持していく上におきまして、ここの部分をより効率的にやっていくことというのは、特に人的な人数を減らしながらやっていかなくてはいけないという状況に、制度上追い込まれた場合には、どのようなことが生じると考えられますか、先生の御意見をお聞かせいただけたらと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 檜谷様、いかがでしょうか、お願いいたします。
○檜谷氏
 一番は、スタッフのほうの疲労の蓄積です。ある程度余裕がなければ、ぎりぎりの状態でやっていますと、疲労の蓄積があれば、そこから、また離脱していくスタッフも必ず増えてくるという経験をしています。
 そうであれば、法的なものよりは、それより以上のスタッフ配置をした上で対応していかなければ、長続きをしないというのが現状だと思います。過剰なスタッフを抱えながら、余裕を持って対応していく、それはスタッフの疲労の蓄積を避けるという点では、大変大事だと思っています。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 どうぞ。
○太田委員
 もう一つ追加で、そのような形で、先生、しっかりと地域医療を守っていらっしゃるわけですけれども、そうしますと経営は非常に厳しい状況に追い込まれていらっしゃるのではないかと推察いたします。今、足元の状況として、地域になくてはならない医療を提供していただいている今の先生の状況、看護師などをしっかりと確保しながらということですけれども、実際のところ、どんな感じかというのを、簡単に、今、教えていただけたらと思うのですが。
○小塩会長
 檜谷様、いかがでしょうか。
○檜谷氏
 直接的に言いますと、やはり中小病院の単なる医療だけではやっていけないのが現状だろうと思います。私のところも、もうこの20、30年、介護の施設も抱えながら、連携を取りながらという形でやっておりますので、何とか経営的な基盤が成り立っているというのが現状であります。
 単純に高齢者医療あるいは二次救急を小さな民間病院で継続していくというのは、なかなか苦労があるというのが実際です。
 さらに、今、医師のほうからも、大学病院等から当直のドクターの応援をバックアップしてもらっているわけですけれども、この当直ドクターへのコストという点でも、かなり大きな課題を抱えていますので、厳しい状態であることは間違いありません。
 先ほど申したとおり、4年前の状況に比べれば、外来の患者数や病床稼働率は、元には返っていないという現状ですので、もうしばらくは厳しい状況が続いていくだろうと思っています。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 太田委員、よろしいですか。
 ほかに御質問は、ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、引き続きまして、後半の5名の方々から意見を頂戴したいと思います。
 それでは、最初に、森本様、よろしくお願いいたします。
○森本氏
 広島市で歯科診療所を開設しております、歯科医師の森本と申します。本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。
 歯や口の健康が全身の健康に大きく影響することが認識されるようになってきた中で、生涯を通じて幸福に過ごすためには、健康寿命を延ばすことが大切であり、歯科医療の果たす役割は大きいものと考えています。
 そのためには、歯周病などの重症化予防、口腔機能の維持・向上のみならず、生活の質を高める歯科医療、かかりつけ歯科医が地域において切れ目なく提供することが重要であると考えています。
 そういった中で、今回の同時改定では、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理の一体的な取組が推進されるよう要望いたします。
 平成24年から診療報酬で評価されている周術期等の口腔機能管理は、その重要性が一定程度理解されるようになってきましたが、これらの一体的な取組がより重要な回復期医療や、慢性期医療を担う病院における口腔管理は、まだまだ不十分です。
 これらの取組が進むよう、かかりつけ歯科医を含めた医療連携、多職種連携、地域連携がより強化される体制整備が必要であると考えます。
 本日は、歯科医療従事者として、引き続き、役割を果たしていけるよう、以下の4点について意見を述べたいと思います。
 まず、1つ目ですが、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所、以下、か強診と申します。それについて申し上げます。
 このか強診の施設基準を届け出ている診療所は、全体の2割にも届いていません。その理由で最も多いのは、過去1年間の歯科訪問診療の実績、または依頼に関する項目で全体の約3分の2を占めていました。
 施設基準では、複数名の歯科医師または歯科衛生士1名以上の配置が要件とされていますが、歯科診療所は小規模なところが多いため、人員要件を満たせない診療所では、対応できませんし、外来を閉じて診療所をたびたび離れることは困難です。
 より多くの診療所がその役割を果たすためには、施設基準は現状に沿ったものであるべきと考えますので、訪問診療に対応できる体制や、連携体制を備えていることにとどめ、算定実績による縛りを見直し、取組やすくなるよう御検討いただきたいと思います。
 2つ目に、院内感染防止対策について申し上げます。新型コロナウイルス感染症の5類移行後も、いまだ感染者は多く、診療現場での意識は変わっていません。
 歯科診療所は、その診療環境から特に感染リスクが高いと言われていましたが、大きな感染事例が報告されていないのは、以前より肝炎やHIVなど、様々な感染症を念頭に行ってきた標準予防策が大きく貢献していると考えています。
 前回の改定で、初再診料の評価が見直されましたが、コロナ禍以降は、従来の標準予防策をさらに強化しており、その費用はより増加し、物価高騰も相まって全く足りないと感じています。
 患者さんの感染予防に対する意識に応え、より安心・安全に医療を提供できるよう、施設基準の要件も含めて評価の見直しを要望いたします。
 3つ目として、歯科衛生士による実地指導の評価について申し上げます。
 現状では、プラークの付着状況の指摘、患者さんのブラッシング観察及び指導など、15分以上行い、指導内容を文書提供した場合に算定できるとされています。
 しかし、実際には、口腔機能の評価や指導、生活習慣への助言、義歯の清掃等の説明など多岐にわたっており、おおむね15分以上はかかっていると感じています。
 加えて、指導後の文書や業務記録の作成にもかなりの時間を費やしていますが、この評価は約30年にわたり見直されておらず、極めて低いものと認識しています。実態に合った評価の見直しとともに、歯科衛生士の業務の効率化の観点からも、実施時間や文書提供の要件撤廃など、御検討いただきたいと思います。
 4つ目に、歯科における基本的技術料についてですが、低い評価のまま据え置かれているものや、実際に行っても点数としての評価がない項目もあります。
 一例を挙げますと、私たちは、毎日たびたび麻酔を行った上で治療を行うわけですが、その麻酔の技術料や薬剤料は、処置等に含まれるとされており、発行する明細書には麻酔を行ったことが記載されません。しかも、医療機関がオンライン資格確認システムでの診療情報で確認できないほか、患者さんがマイナポータルで確認することもできず、信頼関係にも問題が生じるのではないかと懸念しています。
 最後になりますが、感染防止対策、物価高騰による材料等の価格上昇、医療DX推進のための整備、スタッフの人材不足、賃上げ等への対応により、歯科診療所の経営は、さらに厳しくなる状況にあります。
 今後も安心・安全で良質な歯科医療を継続して提供できるように、評価の見直しをお願いしたいと思います。
 以上、現場からの思いとして受け止めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、藤本様、お願いいたします。
○藤本氏
 坂町役場民生部長の藤本でございます。本日は、よろしくお願いいたします。
 まず、令和6年能登半島地震において、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表すとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 また、被災地において医療活動に当たっておられる医療従事者の方々、そして、新型コロナウイルス感染症の5類移行後においても、季節を問わないインフルエンザ等、様々な疾病の流行の中、地域医療の推進に向け、熱意を持って取り組んでおられる医療従事者の方々、その関係者の方々に対し、深く敬意を表するものでございます。
 私ども国民健康保険は、国民皆保険を実現する最後のとりでとして、被保険者がいつまでも安心して医療を受けることができるよう、安定的な保険財政運営に取り組んでおります。
 国民健康保険は、厚労省の国保実態調査の結果にもあるように、被用者保険に比べて、前期高齢者が多く、年金生活者や無職の方など、保険料の負担能力が弱い方々の加入割合が高い構造であることに加え、団塊世代の後期高齢者医療制度への移行や、被用者保険の適用拡大の動きにより、被保険者は減少の一途でございます。
 その一方で、1人当たりの医療費は増大し続け、保険財政運営はより一層厳しい状況にある中、令和6年度からの第2期国保運営方針策定の考え方においては、全市町村で負担を分かち合い、都道府県全体で制度を支え合う仕組みづくりについて、取り組む姿勢が打ち出されております。
 あわせて、令和6年度からは新たな地域医療計画が始まります。2040年に向けて増加する医療・介護ニーズに対応していくため、基礎自治体としても、医療・介護従事者を確保しつつ、地域の実情を踏まえた医療提供体制や地域包括ケアシステムの推進が、さらに求められております。
 病床機能の分化・連携のさらなる推進はもとより、24時間体制の地域医療体制の確保に向けて、ふだんからの身近なかかりつけ医、かかりつけ薬局などを中心とし、多様な主体が関わり、補完し合う医療体制の実現が大きな課題でございます。
 医療資源が不足する地方においては、ICTを活用した効率的な連携、さらに、適正な報酬算定のもとに展開される多様な主体による緊急往診、救急往診は軽度搬送などの救急抑制や、在宅医の負担軽減、働き方改革など、かかりつけ医機能強化につながることも期待されています。
 医療に関わる様々な点がつながり、面として地域医療を支えていくことが必要と考えております。
 そのほか、少子化対策の推進に向けて、子供を産み、育てやすい環境整備として、小児救急を含む小児医療体制の強化も喫緊の課題です。
 不足する小児診療所と、それを支える大病院との円滑な連携が必要であるとともに、令和4年度報酬改定で保険適用となった不妊治療においても、医学的なエビデンスを踏まえた上で、可能性を信じ、出産を望む人々の背中を押し、夢を持てる制度への充実が求められております。
 今回の診療報酬改定では、医療従事者などの処遇改善も大きな論点となっています。多職種の医療人材によって支えられている地域医療の発展のためにも、確実に処遇改善につながる制度構築を望むとともに、昨今の物価高騰など、厳しい生活背景も十分配慮し、制度の充実に当たっては、診療報酬だけでなく、補助金等の活用も視野に入れ、患者、国民の経済的負担を抑え、安心して医療を受けることができる環境整備につながる診療報酬の改定であっていただきたいと考えております。
 私のほうからは以上です。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、青野様、お願いいたします。
○青野氏
 薬剤師の青野拓郎と申します。広島市の北部で薬局を開設して39年になります。
 薬の専門家として、日々地域住民の外来及び在宅医療を含む、薬物療法全体について責任を持って対応しているほか、健康の維持増進のため、OTC医薬品等を提供し適正使用の促進などにも努めております。
 本日は、薬剤師の立場から意見を申し上げたいと思います。薬局経営は、新型コロナウイルスや薬価改定、物価高騰による影響が続いており、大変厳しい状況で、特に小さな薬局は、より厳しい状況となっております。
 そのような中でも、薬局機能を維持する観点から、そこで働く薬剤師、事務職員の生活をしっかり支えるために、十分な賃上げが必要です。
 今回の改定で、薬局及び病院薬剤師の処遇改善に御対応いただけることに感謝を申し上げるとともに、経営側も責任を持って対応していく必要があると思っております。
 地域の医療体制、医薬品提供体制の維持・確保のためにも、今回の改定において必要な対応をお願いいたします。
 まず、医療DXについてですが、私の薬局のある広島市安佐地区では、電子処方箋のモデル事業として、地域を挙げて取組を進めてまいりました。電子処方箋の仕組みによる調剤情報の活用は、医療安全のためにも重要な取組で、多剤投与や重複投薬の解消や医療費の適正化などが見込めますが、システム導入の費用負担は大きく、現状、様々な追加的な回収も発生しており、追加的な費用負担も発生しております。
 現場が医療DXを推進していくためにも、体制整備や情報活用に関する報酬上の後押しは必要と考えます。
 薬局で扱える情報も増えるため、その情報活用が薬物療法の質を高めることができますので、御配慮をお願いいたします。
 次に、病院と薬局の連携についてですが、広島県では、地域連携・心臓いきいき推進事業という事業を実施しており、この中では薬局が心臓いきいき在宅支援施設として、医療機関や訪問看護ステーションと一緒に、心不全の増悪の早期発見と介入による重症化予防に取り組んでおります。
 心不全の悪化防止には、しっかりとした医師との連携を前提とした適切な服薬指導が重要で、薬剤師の役割も大きいです。こうした取組が進むような評価をお願いできればと思っております。
 次に、在宅訪問についてですが、私の体験ですが、普段から付き合いのある医師から、休日・夜間に電話があり、すぐに訪問してほしいと依頼されることもあります。休日・夜間対応が求められる声は、様々な場所で耳にしますが、実際に対応するのはかなり負担です。休日・夜間の訪問対応についても適切な評価が必要と思います。
 次に、後発医薬品への対応についてですが、現場では後発医薬品にかかわらず、医薬品全般の供給問題に日々悩まされております。その都度、患者さんに薬の変更をお願いする必要がありますし、供給問題の対応に現場は疲弊しているため、報酬上の配慮をお願いしたいと思っております。
 また、現場の負担軽減のために、頻回な医師への処方内容の問い合わせなどが発生しないよう、運用上のルールの見直しや、明確化などをお願いできればと思います。
 敷地内薬局についてですが、かかりつけ機能の推進や地域包括ケアシステム構築の阻害要因となっていることを現場の声として申し上げます。そのような薬局は、地域との関わりがないことが多いです。これまで様々な対応が行われてきましたが、現在も敷地内薬局は増え続けており、広島県内においても誘致が止まらない状況です。規制緩和で医療機関の敷地内に開設できるようになったからといって、このような現状を許容するのはおかしいと思います。
 敷地内薬局を有する薬局グループへの対応も必要ですし、厚生局が保険指定や更新の際に、医療機関と薬局の関係をきちんと確認し、その上で地方の協議会で指定しない、また更新しないなどの審議もできるよう、薬担規則や関連する通知等の見直しも必要と考えます。
 最後に、病院薬剤師の評価についてですが、外来腫瘍化学療法前の情報提供の評価は非常に重要です。私の地元でも、幾つかの病院が実施しているのを耳にしております。医師や患者の評価も高いです。
 しかしながら、薬剤師の不足や偏在も言われており、処遇改善も含め、取組が進むような評価が必要と考えております。
 私からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、高原様、お願いいたします。
○高原氏
 私は、薬害ヤコブ病被害者・弁護団全国連絡協議会の運営委員をしている高原です。
 私は、薬害ヤコブ病の被害者遺族で、今、薬害ヤコブ病訴訟大津訴訟の原告団長をしています。
 現在、中央社会保険医療協議会では、医療DXを進める議論がされています。私は、これを機に、療養担当規則等で定められている、電子カルテの保存義務期間の延長を要望します。
 それは、薬害の再発防止と医療の質の向上のために、欠かすことのできないことだからです。そして、そのことによって、患者と医療者の情報共有が進むことを願っています。
 薬害ヤコブ病の被害の経験を基に、その重要性について意見を述べたいと思います。
 薬害ヤコブ事件は、ドイツのB・ブラウン社製のヒト乾燥硬膜「ライオデュラ」が、ずさんな製造過程でヤコブ病に汚染され、脳外科手術を受けた患者から、のちにヤコブ病を発症したという事件です。
 1996年から被害者と家族が、国やメーカーなどを被告として薬害訴訟を提起し、2002年に確認書調印による和解が成立しました。
 ヤコブ病は、潜伏期間が長いため、その後も新たな被害者が出て、提訴した140人全員の和解が成立したのは、2023年、去年のことです。全体で27年間もかかっています。
 薬害ヤコブ病は、厚労省のBSE調査のときに、「乾燥硬膜の移植者の中にヤコブ病が多い」という事実から、硬膜移植が原因と分かってきました。
 薬害ヤコブ病の潜伏期間が最大32年、平均して12年となっていて、カルテが長期保存されていないと、ヤコブとその原因が「昔の手術の際に使用された乾燥硬膜だった」ということが分からず、原因不明のまま死亡していっています。
 また、原因が過去に受けた手術の際に使用された乾燥硬膜だと分かった場合でも、多くの原告はカルテがなく、薬害の認定を受けるのに支障をきたしました。非常に苦労して、当時の状況などから硬膜移植がされていたことが分かり薬害と認定されましたが、カルテが残っていったらもっと簡単に認定されるはずなのに、被害者は認定のためだけでも、大変な苦労を強いられたわけです。
 薬害エイズ事件などの反省を受けて、乾燥硬膜や血液製剤などの生物由来の医療製品を使った場合は、その人の住所、名前だけは、医療機関は20年以上保存しなければならないようになりました。
 しかし、「誰に使用したか」だけを保存しても、それが原因で苦しむ患者に適切な医療を行うことはできません。紙のカルテでは、かさばり保存場所も問題になるでしょうが、現在はどこの病院でも電子カルテになっていて、電子カルテの保存はコンピューターの容量の問題で、期間を短くしなければいけない理由はなくなります。
 また、現在の医療の仕組みを考えると、大きな病院である程度治療が終わると、町医者を紹介し、引き続き治療が行われます。どこかの医療機関で過去のカルテが処分されてしまうと、病気に関連性があっても原因が分からない状態になります。
 今後、医療はどんどん進んでいき、病気の原因もどんどん分かってきます。また、「薬と薬の組み合わせによる薬害も起こり得る」、そういうこともあります。そうしたときにカルテが残っていることで、多くの人を救うことができると思います。
 医療DXを進めると言いながら、電子カルテの保存期間を5年に制限することは、一体誰のための医療DXなのか、誰のための医療なのか、そして、本当に厚生労働省は薬害の被害者の苦しみを再発防止しようと思っているのか、と疑いたくなります。
 以上については、薬害エイズや薬害肝炎の被害者も全く同じ思いであり、全国薬害被害者団体連絡協議会としても厚生労働省に要望しているところです。電子カルテを永久的に保存していくことを求めていきます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、浜崎様、お願いいたします。
○浜崎氏
 私は、医療法人社団八千代会メリィホスピタルで看護部長、同一建物にあるサービス付き高齢者向け住宅管理者を担っている浜崎と申します。
 回復期医療及び在宅への連携を担う看護の立場から、2点、意見を述べさせていただきます。
 1点目は、高齢患者の円滑な入院受入れと早期退院に向けた、多職種や看護補助者との連携協働の重要性についてです。
 当院においても、高齢の救急患者などを昼夜問わず、受け入れております。認知症、単身世帯、老老介護などが増えており、救急外来においては、こうした多様な背景を持つ高齢者の既往歴や、生活状況の把握、家族への説明や対応などに非常に多くの時間を必要としています。
 また、地域包括ケア病棟は治療と同時に、退院に向けた生活リハビリや生活動作への援助等が必要となるため、看護職員配置基準は13対1ですが、当院では、ほぼ10対1の看護職員を配置し、夜間も看護職員4人体制でケアに当たっています。
 高齢救急患者を受け入れる上では、安全な医療看護を提供し、早期退院に向け、看護を行えるように、機能に見合う看護体制の整備が必要です。
 また、看護職のさらなる専門性発揮に向けた、タスク・シフト/シェア推進のためには、多職種と連携強化に加え、看護補助者の確保、協働の推進が不可欠です。
 高齢入院患者が増加している現状において、看護師の指導のもと、直接患者に対するケアを行える看護補助者と協働しながら看護を展開していくことが必要と考え、当院では、看護補助者が療養生活上の世話を積極的に担っています。
 そのため、看護補助者を対象に、配属前の教育と定期的な看護補助者研修を実施しています。
 具体的には、各分野の認定看護師が講師になり、食事、入浴、排泄介助などに関わる知識、技術の習得、感染管理などについて学ぶ機会を設けています。
 これらの取組を実施することで、直接ケアに対する看護補助者の不安を軽減し、安全にケアを担える状況を整備することで、看護補助者の定着につながっていると考えます。
 同時に、看護補助者確保のための処遇改善を図ることも非常に重要です。看護補助者の賃金は、ほかの職種の賃金を下回っており、人材確保が厳しい状況です。適切な処遇改善が行えるように、診療報酬上の対策が必要です。
 2点目は、重症化予防の取組や医療・介護の連携を推進し、安心・安全で質の高い看護を切れ目なく提供することについてです。
 医療・介護の複合ニーズを持つ高齢患者が増えていく中で、入院医療から外来・在宅医療まで患者、家族の意思を尊重し、切れ目なく質の高い看護を効率的に提供し、地域での療養生活を支えることが重要になります。
 患者がセルフケア行動を理解し、住み慣れた場所で継続して生活するために、外来では生活習慣病や慢性心疾患、腎疾患等の重症化予防につながる指導や、誤嚥性肺炎、尿路感染の予防対策など、看護師が患者、家族への指導を非常に丁寧に行っています。
 また、専門性の高い看護師が地域の介護施設などと感染対策や、摂食嚥下などに関わる連携強化を密にすることも有効です。
 入院から在宅療養への円滑な移行のために、退院日における訪問看護の評価拡充、訪問看護事業所における24時間対応の強化も重要です。
 在宅で生活する人工呼吸器装着患者、難病指定患者なども増えていることから、医療依存度の高い方への認定看護師、専門看護師、特定行為研修修了者と訪問看護師が連携しながら、地域の在宅療養患者を支えることが、ますます必要になっていくと考えます。
 以上で、私からの発言を終わります。御清聴ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 これで、後半の5名の方々から御意見を頂戴いたしました。
 委員の皆さんから御質問等ございましたら、お願いいたします。
 それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 日本薬剤師会の森と申します。各発表者の方々、意見を発表いただきありがとうございました。
 8番の青野様に1点お伺いしたいと思っております。近年、薬局でもターミナルケアの患者さんの受入れが、どんどん増加しています。そうした中で、今後ターミナルケアの対応は非常に重要になると認識していますけれども、現場で実施するに当たっての課題であるとか、改善したい点等あれば、教えていただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 いかがでしょうか。
○青野氏
 緩和ケアの対応につきましては、現在、訪問回数に制限があるのですけれども、麻薬の用量変更ですとか、症状緩和の薬剤処方のために、週3回以上訪問することもあったりします。
 連日訪問することによって、人員の確保も必要ですし、また、訪問回数や業務への評価について、ターミナル等への適切な対応が行えるように、見直しや評価をお願いできればと思っております。ここの部分の評価が、回数制限とかもあって評価されていないところがありますので、この部分はお願いしたいと思います。
 緩和ケアをしっかり対応している薬局は、それ以外にも麻薬の備蓄というのがありまして、これらも非常に負担となっておりますので、薬局の体制評価もしていただけたらと思います。
 また、先ほどの発言でもいたしましたが、夜とか休日の患者さんの変化によって、休日・夜間を問わずに訪問が発生していますが、この休日・夜間に訪問する評価について、大変負担の大きいことなので、この評価についても御検討をいただけたらと思っております。
○小塩会長 青野様、ありがとうございます。
 森委員、よろしいでしょうか。
 オンラインで池端委員が、お手を挙げていらっしゃいますので、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私からも各発表者の皆様、大変示唆に富んだ御発表をありがとうございました。
 その中で、最後の発表者の浜崎看護部長様に2点お伺いしたいと思います。
 回復期を担う病院の看護部長というお立場で、特に人材に関しては、回復期病棟は、13対1でありながら10対1を目指してやっているということ。そして、多職種連携、特にその中で、直接的に患者のケアを担う看護補助者との連携の重要性をお話しいただいたかと思います。そして、教育、研修ということも非常に重要ということ、本当に大変参考になる御意見をありがとうございました。
 その中で、1点お伺いしたいのは、とはいえ、全国的にもそうだと思いますけれども、特に直接ケアを担う看護補助者の人材不足というのが、巷でよく言われていますが、先生の病院の状況あるいはその周囲の病院の状況、人材不足に対する状況等、課題とかがありましたら、お教えいただきたいのが1点。
 もう一点は、外来において特に専門性の高い、特定看護師の有用性もお話しいただきました。これも一方で、訪問看護事業所等は小規模なところが多いかと思いますので、特定看護師の研修を受けるのに、非常に期間が長くなって、なかなか特定看護師を取得することが難しいということもお聞きしていますけれども、それについても、現場の御意見として何かありましたら、お伺いできればと思います。
 2点、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ただいま池端委員から御質問いただきましたが、浜崎様、いかがでしょうか。
○浜崎氏
 御質問ありがとうございます。
 私が勤務している広島県においても、やはり看護補助者の採用は、非常に厳しい現状があります。
 その背景の1つには、先ほど意見でも述べさせていただいたように、1つは、やはり賃金の低さというところで、どうしても近くに新しくスーパーとかができると、そちらのほうに人材が流れていってしまったり、なかなか看護補助者の求人に、集まらないということが現状としてあります。
 その中で、課題としては、やはり看護補助者というのは、非常にやりがいのある仕事ですので、不安を軽減して直接的ケアができるような、そして、それが看護補助者御自身のやりがいとかにもつながるような、そういう取組を教育活動等通じながら行っていきたいと考えております。
 また、2点目の特定行為の看護師の研修についての御質問にお答えさせていただきます。
 現場の意見としては、今、当法人に7名の特定行為研修修了者の看護師がおります。その中においては、訪問看護ステーションへの異動をしたり、あとは在宅での訪問看護に一緒に同行訪問をしたりという形で、やはり質の高いケアにつながっているという実感は持っております。
 研修期間が非常に長いところもあり、職場を空ける状況もありますが、今はオンライン研修で共通部分の研修を受けることができたり、現場の協力、そして戻ってきたときには、非常に役割を発揮できていることを現場が実感しておりますので、引き続き、特定行為の研修に参加する看護師というのは育てていきたいと考えております。
 以上です。
○池端委員
 ありがとうございました。大変参考になりました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに、御質問ございますでしょうか。
 よろしいですか。後半の5名の方だけでなく、前半の5名の方の御発言に対しての御質問でも結構です。いかがでしょうか。
 よろしいですか。しばらくお待ちください。
 ほかに御質問は、よろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、私のほうで、本日10名の方々からいただいた御意見を総括するのはちょっと無理ですので、こういう意見がありましたという復習をさせていただきたいと思います。
 10名の方々、どうもありがとうございました。改めてお礼申し上げます。
 まず、診療報酬の改定全体に関してですけれども、非常に重要な御意見を幾つかいただいております。
 まず、改定率が決定された中で、様々な課題を前にして、どのように分配をしていくかというのが、中医協で重要になるのですけれども、しっかりとその分配の議論をしてほしいという御要望が改めてございました。
 それから、今回の診療報酬改定を取り巻く環境といたしまして、物価とか賃金の変動、それから新しい感染症への対応、それから医療DXなどの技術の推進、それから少子高齢化もそうですけれども、そうした大きな変化の中にあるということを、改めて認識しておく必要があるという御指摘も、何人かの方々から頂戴しております。
 さらに、今回は医療と介護の同時改定の時期に当たります。そのタイミングを生かした連携が重要であること。
 それから、保険者の財政状況にも配慮しためり張りのある対応が重要であること。そして、保険料や窓口負担を支払う国民の納得感という視点も重要であることといった御指摘もいただいております。
 それから、冒頭に事務局のほうから、これまでの議論の整理ということで説明をしていただいたのですけれども、そこに4つ項目がございました。
 その4つの項目に沿いまして、本日の御発言を少し振り返させていただきたいと思います。
 まず、1番目の「Ⅰ 現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」につきましては、次のような御意見をいただいております。
 人材確保の観点も含めて、医療従事者の賃上げ、働き方改革、勤務改善といった対応を進めることが必要だという御意見も、複数の方々からいただいております。
 さらに、タスク・シフト、タスク・シェアのために、多職種の連携が重要になるという御意見も頂戴いたしました。
 2番目の「Ⅱ ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進」という項目につきましては、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理の一体的な取組、それから、それに対する専門職への評価が必要であるという御指摘をいただいております。
 さらに、高齢者の円滑な入院受入れの体制整備が重要だという御意見もございました。
 また、早期の円滑な退院に向けて、多職種による連携、看護職の専門性の発揮、それから訪問看護の対応強化なども重要であるという御意見も頂戴しております。
 さらには、地域医療構想や24時間対応の視点も含めて、地域の医療提供体制の構築、議論を後押しするような評価も重要ではないかという御指摘もいただきました。
 そして、質の高い医療につなげるという観点から、適切な情報共有も含め、医療DXを進めるべきという御意見、それから安全にも配慮したオンライン診療を推進すべきという御意見もいただいたところです。
 3番目の「Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進」につきましては、限られた資源の中で、しっかりと医療を提供するためにも、かかりつけ医の推進が重要であるという御意見を頂戴しております。
 それから、生涯を通じた口腔機能の維持・向上に対して、かかりつけ歯科医の取組が重要になるという御意見もいただきました。
 また、歯科の業務の効率化の視点も重要だという御指摘もいただいております。
 そして、地域包括ケアにつきましては、薬局が担う役割も重要であるという御指摘もいただきました。
 また、医薬品の供給課題の下での、薬局における丁寧な対応への評価も必要になるという御意見もいただいております。
 最後の4つ目の「Ⅳ 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」につきましては、後発医薬品の使用に当たって、流通状況が厳しい中での対応に配慮が必要だという御意見がありました。
 また、長期収載品の選定や選定療養の導入の際には、丁寧な説明、周知が必要であるという御指摘もいただいております。
 医療DXにつきましては、限られた財源の中で、効率的・効果的な医療を進めるために必要だという御意見を複数の委員からいただいております。
 さらには、入院や外来の分化・連携を着実に推進して、効率的・効果的な医療を実現すべきという御意見もいただいたところでございます。
 以上、簡単に御紹介いたしましたが、それ以外にもそれぞれのお立場から非常に貴重な御意見をいただきました。改めてお礼申し上げます。
 本日いただきました多くの御意見も踏まえて、これから中医協で、さらなる審議を進めてまいります。
 支払側委員、それから診療側委員から、それぞれ皆さんからいただいた御意見につきまして、一言御感想等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 それでは、支払側委員から、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 支払側を代表いたしまして、健保連の松本のほうからさせていただきます。
 今回意見発表いただきました皆様が、医療、医療保険、そして、国民皆保険維持のために、様々なお立場で日々取り組んでおられることに、改めて敬意を表するものでございます。
 今日いただいた御意見は、診療報酬改定を協議するに当たって、非常に示唆に富んでおり、改めて気づいたことも多数ございました。
 今後も、より安全・安心で効率的な医療を提供する、そして守っていくという視点で、今後も議論をしていきたいと思っております。
 今日は、どうもありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、診療側から、お願いいたします。
○長島委員
 診療側委員を代表いたしまして、長島より発言させていただきます。
 ただいま10名の方々から、それぞれのお立場を代表し、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 皆様の御意見をお伺いして、今回、政府の重要政策とされる医療従事者の賃上げや、物価高騰という極めて異例の状況に対応できる改定にしなければならないと、改めて強く実感いたしました。
 改定によって医療従事者の賃金が引き上げられることで、雇用の拡大、地方創生、ひいては経済の好循環を生み出すことにもつながりますことから、医療機関、薬局等がそれぞれの状況に応じて、幅広く、かつ恒久的に賃金を上げることができるだけの原資を確保するため、十分な手当がなされる必要があると考えております。
 また、日本が世界に誇るべき国民皆保険の質と安全性を持続するためには、診療報酬が基盤となること。そして、その改定は、医療現場の厳しい現状などを含む様々な課題の解決に役立つとの大きな期待がある一方、場合により、現場の過大な負担や混乱を招き、地域医療提供に支障が生じる不安もあることに改めて気づかされました。
 その上で、中医協において、期待と不安の両方を踏まえた上で審議する重要性を再認識いたしました。
 皆様の御意見を今後中医協として、これまで同様、真摯に向き合い、国民の安心・安全のために、皆保険、そして地域医療をしっかりと守り、よりよい社会に資するために役立ててまいりたいと考えております。
 本日は、誠にありがとうございました。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、公聴会は以上とさせていただきます。
 本日は、お忙しい中、御参加いただき、ありがとうございました。
 それでは、本日の中医協総会は、これにて閉会といたします。次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。どうもありがとうございました。

 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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