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2023年12月27日 中央社会保険医療協議会 総会 第576回議事録

○日時

令和5年12月27日(水)9:30~

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 永瀬伸子委員 安川文朗委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 太田圭洋委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○医療 DX(その5)について
○個別事項(その 21)について
○個別事項(その 22)について
○医科点数表における医療技術に係る項目の整理について
○保険外併用療養について
○訪問診療・往診等における距離要件について
○令和6年度診療報酬改定への意見について(各号意見)

 

○議事 

○小塩会長
 おはようございます。ただいまより、第576回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、笠木委員、本田委員、鈴木委員、末松委員、岡本専門委員が御欠席です。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 最初に「医療DX(その5)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 おはようございます。医療課長でございます。
 それでは、医療DXについて(その5)ということで、中医協資料総-1を用いまして御説明させていただきます。
 スライドナンバー2に、本日の目次がございます。
 1つ目が「居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムについて」。
 2つ目のテーマが「在宅医療等における医療DX等の活用について」。
 3つ目のテーマが「マイナンバーカードの健康保険証利用に係る対応について」でございます。
 ページを進めていただきます。3枚目以降が「居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムについて」でございます。
 4ページに、全国医療情報プラットフォームの全体像におきまして、オンライン資格確認等システムが構成要素として取り上げられていることを示してございます。
 5枚目「医療DXの推進に関する工程表〔全体像〕」におきまして、訪問診療等におけるオンライン資格確認等の構築が掲げられているところでございます。赤で囲ってハイライトをしてございます。
 6枚目でございます。「訪問診療等におけるオンライン資格確認の仕組み案」でございますけれども、居宅同意取得型の資格確認でございまして、こちらの場合は、訪問診療後に再照会機能を用いまして薬剤情報等が取得されるということを示してございます。
 7ページ目、居宅同意書型の具体が記載されてございます。
 スライド8でございます。オンライン診療等におけるオンライン資格確認の仕組みを示してございます。
 オンライン診療におきましては、診療時に薬剤情報等が取得されることになるところでございます。
 9ページ、10ページは割愛させていただきまして、11ページに進ませていただきます。
 居宅同意取得型のオンライン資格確認システムについて、まとめているところでございます。
 今、御説明申し上げたような特徴をまとめてございます。
 スライド12でございます。「訪問診療等における医療機関・薬局に対する財政支援」といたしまして、マイナンバーカードの読み取り等のためのモバイル端末の導入に対しまして、財政支援が行われてございます。
 13ページ目、14ページ目は、オンライン診療等や訪問看護ステーションに対しましても支援が行われるということを示してございます。
 それでは、2つ目のテーマでございます。「在宅医療等における医療DX等の活用について」でございます。
 16ページ目は、地域包括ケアシステムにおける在宅医療のイメージ図でございまして、17ページ目に「在宅の体制について」であります。
 こちらは、都道府県が作成する医療計画におきまして、地域の実情を踏まえた課題や施策等を記載することになっているところでございます。
 17ページのスライドで申し上げますと、左下のところに、赤でハイライトをしているところでございます。
 次に18枚目、在宅医療の体制につきまして「第8医療計画の見直しのポイント」をお示ししてございます。
 地域の実情に応じた在宅医療の体制整備を進めることや、急変時に適切に対応するための情報共有や連携を進めることなどがございます。
 19ページ目でございます。こちらは、訪問診療等に関する診療報酬の評価を体系としておまとめしてございます。
 医療機関におきまして、提供する在宅医療の評価につきましては、訪問診療等に関する評価のほかに、訪問リハビリテーションや訪問栄養食事指導等、医師も含めた多職種による複合的な診療・指導管理に関する評価がございます。
 20ページ目は、歯科医療機関において提供する在宅歯科医療の評価でございまして、歯科訪問診療に関する評価のほかに、在宅等における療養に必要な指導管理や、訪問口腔リハビリテーション、多職種による複合的な診療・指導管理に関する評価があるところでございます。さらに、実施した内容に応じまして、技術料の各項目を算定するという取扱いでございます。
 21ページは、訪問看護の提供についてでございますけれども、主治医の訪問看護指示書を受けまして看護を提供し、看護内容等について、主治医に報告するというスキームになってございます。
 主治医との密接な連携のみならず、訪問看護ステーション内での多職種等での連携も必要とされているところでございます。
 22ページは、訪問看護療養費の構造でございます。訪問看護基本療養費のほか、訪問看護管理療養費などで構成されてございます。
 23ページには、これまで中医協等でいただきました、在宅医療等におけるICTの活用に関する主な意見をまとめさせていただいてございます。
 24枚目は、地域で有効に機能している在宅医療連携モデルを御紹介しており、25枚目でございますけれども、こちらは在宅医療における情報通信機器等の活用につきまして、在宅医療のニーズが増加する一方で、マンパワーの制約があることを踏まえ、情報通信機器の活用等も含めた質の高い効率的・効果的な在宅医療の提供体制を進める必要があることをお示ししてございます。
 そして、在宅医療における情報通信機器の活用の取組といたしましては、対面診療の補完、医療過疎地域における遠隔診療、多職種連携におけるネットワーク構築等が挙げられているところでございます。
 26枚目、ICTを用いました平時からの診療情報の連携についてであります。
 医療情報連携ネットワークでございますけれども、これは患者さんの同意のもとに、医療機関等での間で診療上必要な医療情報を電子的に共有・閲覧できることを可能とする仕組みとしてございます。
 関係医療機関等の間で効率的に患者さんの医療情報を共有することが可能になりますことから、例えば、患者さんに関する情報が得られ、患者の状態に合いました質の高い医療の提供等の効果が期待されているところでございます。
 27枚目は、地域医療情報連携ネットワーク、地連ネットワークと略称することが多うございますが、提供しているサービスにつきまして、診療情報の連携を行っている施設が、220施設中183ということでございまして、ICTを利用した地連ネットワークの参加施設について、医科診療所の施設数が増加傾向にあることを示してございます。
 28枚目、地連ネットワークの導入効果といたしまして、医療機関間の人的ネットワークが進んだなどの回答をいただいた地域が多く認められたところでございます。
 また、感染症蔓延下におきましては、緊急時の対応における情報共有に役立ったとしている地域もあったところでございます。
 29枚目は、ICTを活用して共有している情報といたしまして、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン等の内容を踏まえました方針の情報につきましては、31.9%の医療機関に共有が認められたという結果をお示しするものでございます。
 31枚目は、居宅同意取得型における再照会機能等の御紹介でございまして、再照会機能による薬剤情報の取得が可能となることでございます。
 32枚目でございます。薬局の訪問薬剤管理指導におきましては、自宅における薬の管理状況を、画面を通じて確認できるオンライン服薬指導、ICTを用いた医療従事者間の情報共有等による多職種連携など、ICTの活用によりまして質の高い在宅医療の提供が可能となるということでございます。
 33枚目、在宅医療における医薬品の処方についてでございまして、訪問先での処方箋の発行の手間など、現状の紙の処方箋を基にした運用には、円滑に実施していくための様々な課題があるということでございまして、電子処方箋の活用により円滑な在宅医療につながることが期待されるところでございます。
 34ページは、訪問看護におけるオンライン資格確認、オンライン請求を導入することについてでございます。
 閲覧する薬剤情報等を看護で活用することが考えられるということでございます。
 35枚目は、訪問看護におけるオンライン資格確認のメリットについてでありまして、利用者側、ステーション側、それぞれ双方について御提示をさせていただいているところでございます。
 36枚目のスライドは、10月4日の中医協においてお示しした資料でございますけれども、人生の最終段階における医療・ケアに関する意思決定の情報に関する情報を共有している医療機関は、緩和ケアを必要とする患者さんの入院で急性不安対応目的の入院割合が低く、様態が急変した際の入院先として急性期一般病棟に入院した割合が低い一方で、緩和ケア病棟や地域包括ケア病棟に入院した割合が高かったという結果をお示しするものでございます。
 それでは、3つ目のテーマでございます。マイナンバーカードの健康保険証利用についてであります。
 38ページ目、令和6年1月より医療機関等におけるマイナ保険証利用促進のための支援といたしまして、初再診等におけるマイナ保険証の利用率の増加に応じて、医療機関等に利用件数分の支援を行うということが予定されてございます。
 39ページ目、医療機関等に対しまして、マイナ保険証の月間利用件数を踏まえました、顔認証つきガードリーダーの創設の支援も行うことを予定してございます。
 40ページ目、直近のオンライン資格確認の利用状況を示しております。
 41ページ目、マイナンバーカードの健康保険証利用に係る対応につきまして、先ほど御説明した内容以外にも、医療機関等に対しまして、患者がマイナ保険証の利用を希望した場合には、対応する必要があることを御案内させていただく予定でございます。
 42枚目は、現在の現行の医療情報システム基盤整備体制充実加算を示してございます。
 43枚目でございます。こちらは、12月1日の医療DX(その3)でお示しした資料でございます。その際の論点でございまして、今日関係する内容といたしましては、下に赤囲みをしてハイライトをしてございます。
 44ページ目「医療DXに係る課題と論点」でございます。課題を44枚目、45枚目にお示しさせていただいてございまして、46枚目に論点についてお示しをしてございます。
 3つのテーマについて、それぞれでございますが「オンライン資格確認等システムについて」ということでございます。
 「居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムが導入されるなか」ということでございますけれども、訪問診療、訪問看護ステーション、訪問看護、オンライン診療等のそれぞれにおきまして、取得された情報を活用して質の高い診療が提供されることについて、診療報酬上どのような対応を考えられるか。
 2つ目「在宅医療等における医療DX等の活用について」でございます。
 こちらは、急変時に適正に対応するための情報共有や連携及び看取りに際し、本人・家族の希望に沿った医療・ケアの提供を推進する観点から、地連ネットワークや、オンライン資格確認等システムを通じて取得された情報・電子処方箋等を活用し、質の高い在宅医療を提供する体制を整備することについて、診療報酬上どのような対応が考えられるか。
 最後のテーマ「マイナンバーカードの健康保険証に係る対応について」でございます。
 令和6年1月から利用率の増加量と利用件数に応じた支援等が行われる予定であるところ、診療におきまして、マイナ保険証によりオンライン資格確認等システムを通じて取得された情報を活用することと、医療DXに係る体制の整備を推進することについて、診療報酬上どのような対応が考えられるかとさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 コメントをする前に、資料の27ページについて、訂正をお願いできればと思います。
 こちらで、診療情報の連携を行っている施設が220施設中183施設とありますが、これは施設ではなくて、地域連携ネットワークの数です。施設自体は、右下のグラフを見ていただければ、全体で3万4000を超えておりますし、医科診療所も1万3000を超えているということですので、あくまでも、これは地連ネットワークの数ということで訂正をお願いできればと思います。
 それでは、47ページに示された論点について、コメントいたします。
 1つ目の○についてです。在宅医療においても、取得した情報を活用した質の高い医療を提供する体制を整えていることについての評価が必要です。
 ただし、情報を取得するタイミングとしては、オンライン診療の場合は、通常の外来診療と同様のタイミングで情報を取得して、そのときの診療に活用することも可能になりますが、一方、在宅診療では、再照会機能を利用した場合に、診療のタイミングではなく、それ以外のタイミングとなりますので、次回の訪問診療、訪問看護に向けた計画を検討する際に、情報を活用するということになるかと思います。
 したがいまして、評価の在り方を検討する場合には、この情報を取得するタイミングにも着目した上で行うことも考えられるのではないかと考えます。
 2つ目の○については、これまでも述べてきたとおり、患者さんを中心に多職種が様々な情報をやり取りする在宅医療こそ、医療DXの活用により情報を共有することが、質の高い在宅医療の提供につながると考えます。
 しかしながら、オン資システムや電子処方箋の活用なども含め、医療DXの導入、維持には一定のコストがかかります。また、全国医療情報プラットフォームは、まだ確立しておりません。
 こういった現状を踏まえますと、当面は、現在利用可能である地連ネットワークなどのICTを用いた連携や、オン資システムにより情報を取得し、活用できる体制を導入している在宅医療機関を評価しつつ、将来的には全国医療情報プラットフォームを活用できる体制へと育てていくということも考えられるのではないでしょうか。
 そして、最後の○については、医療情報システム基盤整備体制充実加算の効果もあって、マイナンバーカードリーダーの設置が一定程度普及したところですが、これは、今後の本格的な医療DXを推進する準備が整ったという段階でしかありません。医療DXによる様々なメリットを活用し、安心・安全で質の高い医療を提供していくためには、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの導入も含めた、院内のシステム改修や診療体制の整備あるいは診療で得られた3文書6情報に係る情報の入力など、今後も医療機関には様々な対応が求められることになります。
 したがいまして、そうした体制を整備、充実させる医療機関の取組について、引き続き評価することは不可欠であると考えます。
 それに加え、今後は、こうした医療DXの基盤を用いて情報を積極的に取得することを推進するための取組も重要となります。
 特に、初診時にマイナ保険証を持参されなかった患者さんに対して、マイナ保険証の意義や利活用について御説明することが考えられますが、こういった取組を行い、再診時には持ってきていただくようにするなど、情報取得に対して継続的に取り組むことは、結果的に医療の質向上にもつながることであります。
 医療機関がこうした努力を行った場合についても、前向きに評価していただくことが必要であると考えます。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員に意見を聞く機会を御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 次の方に御質問を伺う前に、事務局に、先ほど長島委員から御指摘がありました、27ページについて、これは、訂正ということでよろしいでしょうか。
○眞鍋医療課長
 私も施設と御説明して、申し訳ございませんでした。これは、確かに左側のグラフの解説でございますので、ネットワークのことだと承知をしております。訂正させていただきます。
○小塩会長
 よろしくお願いいたします。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 46ページの論点に沿って、歯科の立場から発言させていただきます。
 1つ目の○ですが、在宅等への歯科訪問診療におきましても、オンライン資格確認等システムにより取得した患者さんの診療情報等を活用して、質の高い歯科医療を提供することは重要であり、外来と同様に評価することは必要と考えております。今後、運用面も含めて御検討いただければと思っております。
 2つ目の○につきまして、住み慣れた地域で安心・安全に生活できるよう、地域におけるネットワークによる医療情報の共有や連携も重要であると考えております。
 在宅医療等におきまして、これらを有効に活用した情報連携について、診療報酬上の評価を行うことは必要だと考えております。
 歯科診療所も含め、地域の医療や介護の関係者との情報連携や共有の実現に向け、検討をお願いしたく思っております。
 3つ目の○ですが、マイナンバーカードの保険証利用による情報取得によって、患者さんに質が高く、安心・安全な歯科医療を提供する観点からも、診療報酬上の評価は今後も必要であると考えておりますので、ぜひ検討いただきたく存じます。
 健康保険証の廃止期日も来年の12月2日に決定し、マイナ保険証のさらなる推進は、非常に重要であると認識しており、日本歯科医師会といたしましても、引き続き、推進に向けてしっかりと対応してまいります。
 歯科医療機関では、窓口での患者さんへの声かけなどの対応を進めているところではございますが、政府や厚生労働省からも、患者・国民への分かりやすい周知や広報を、引き続きお願いしたく思っております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 まず、総論として医療DXの推進についてですが、薬剤師会は医療DXの推進に賛同しており、この流れを進めていくべく、その基盤となるマイナ保険証の利用促進、オンライン資格確認システムを活用した薬剤情報等の共有による質の高い医療提供を推進するため、政府とともに取組を進めていく所存であります。
 一方で、国民患者や医療現場に混乱なく円滑に進められるよう、国におかれては、現場の意見を引き続き聞いていただき、マイナ保険証や、今後導入される仕組みについて、国民へ丁寧な説明や周知をお願いいたします。
 その上で、論点に沿ってコメントをさせていただきます。
 まず、オンライン資格確認等システムについてですが、薬局においても在宅対応において、オンライン資格確認等システムを通じた情報の利活用による薬剤指導や管理を実施することは、適切な在宅対応を実施する上でも重要なことと考えます。
 長島委員からもありましたけれども、最近の再照会機能の活用というのも非常に有用だと思っております。
 また、在宅医療等における医療DX等の活用についてですが、質の高い在宅医療を提供するために、各サービス担当者がリアルタイムで情報共有ができるICTの活用は非常に有用だと考えます。
 ただ、地域で幾つもの情報共有ツールができることにより混乱することもあり、今後の地域での課題だと考えます。
 また、在宅医療における電子処方箋の利用は、薬局や医療機関の業務改善につながるだけではなく、患者・家族の負担軽減にも資するもので、推進すべきものと考えます。
 電子処方箋については、以前の議論でも発言しましたとおり、仕組みや導入意義についての重要性は重々理解しておりますが、様々な費用負担の問題やシステムの使い勝手の問題があるため、現在の利用状況も相まって、導入にためらいがあるという施設が大半なのではないでしょうか。単に、電子処方箋という物を作るのではなく、きちんと医療現場の感覚や意見も取り入れて、実際に使えるツールを一緒に作っていくという姿勢が大事で、それを通じて現場が導入したいと思うような魅力あるシステムにしていくことが必要だと考えます。電子処方箋の担当部署におかれましては、この点を十分認識いただければと思います。
 次に、マイナンバーカードの健康保険証利用に係る対応についてですが、引き続き、国、保険者、薬局、医療機関など、全ての関係者が連携して推進していくことが重要で、薬局としても積極的な取組を実施してまいります。
 これらの医療DXに係る体制整備には、どうしても現場の負担を要するため、診療報酬上で後押しすることは、取組の推進や現場の負担軽減につながるものと考えます。
 また、実際に評価導入の際には、導入する薬局、医療機関では、ベンダーの対応や他のシステムとの兼ね合いもあり、導入に時間を要する可能性がありますので、十分な時間的な配慮も併せて御検討をお願いできればと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。あとは、よろしいですか。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 どうもありがとうございます。
 それでは、まず、総論として医療DXに共通する考え方として、医療機関等の生産性の向上、効率化に資する側面があることを踏まえれば、診療報酬で評価するためには、医療の質が向上し、患者がメリットを実感できることが前提であるということを、まず、最初に申し上げたいと思います。
 次に、46ページの論点に沿ってコメントした後、2つほど事務局に確認をしたいことがありますので、よろしくお願いいたします。
 まず、1点目のオンライン資格確認等システムについては、居宅同意取得型が導入され、在宅医療やオンライン診療においても、医療情報を確認できるようになれば、質の高い医療が期待できます。
 しかしながら、現在の医療情報・システム基盤整備体制充実加算は、初診における問診の充実した体制に着目した評価になっていますので、継続的な医療の形態である訪問診療や訪問看護について、現行のまま適用することには違和感を感じております。
 オンライン資格確認等システムに関する加算を継続するのであれば、ほとんどの医療機関にカードリーダーが導入され、国民にもカードが普及している実態も踏まえ、何を評価するのか、改めて考え方を整理すべきだと考えます。
 2点目の在宅医療等における医療DX等の活用につきましては、多職種による連携、急変時や看取りなどの対応が円滑に行われることで、患者にメリットがありますので、ぜひとも推進すべきだと考えております。
 ただし、電子カルテ情報の共有や電子処方箋を活用するたびに加算される仕組みになりますと、患者が活用しようという気持ちにはなりにくいと、正直言わざるを得ません。
 診療報酬で評価するのであれば、電子カルテの共有や電子処方箋、オンライン診療など、医療DX全般について充実した体制をトータルで評価することが考えられます。
 その際には、システムの整備に補助金が充てられていることを十分に踏まえ、単に体制を整備していることだけではなく、活用の実績を要件とすることが不可欠です。
 最後に、3点目のマイナ保険証の利用促進についてですが、38ページに、補助金を使った利用率の増加量に応じたインセンティブ事業が紹介されております。
 これは、カードリーダーの操作に慣れない患者への説明など、取組に対する支援ということですので、診療報酬による利用促進は、先ほど申し上げた実績要件として、マイナ保険証の利用率を設定することは考えられますが、補助金と重複するような別途の評価は行うべきではないと考えます。
 それでは、事務局に質問がございます。
 資料の6ページに、訪問診療等におけるオンライン資格確認の仕組みのところで、左下のところに、今後、本人確認の手段として目視確認または暗証番号を医療機関等が選択できる仕組みを追加予定という記載がございます。
 これは、ほかのページを拝見すると、そこの記載がなくて、このページにだけひっそり書いてあるような感じがするのですが、まず、これをどういう形で認められたかとか、あるいはこれによってセキュリティ上問題がないかということをお伺いしたいのが、1つございます。
 続きまして、27ページ、ここに地連ネットワークの御紹介がございますけれども、例えば4ページに書いてある全国医療情報プラットフォームであるとか、工程表であるとか、そういうところには地連ネットワークの紹介が全くないわけですけれども、こういったものを中で、どのように地連ネットワークが位置づけられるのか、これについて御説明をいただきたいと思います。
 以上、質問は2つでございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 松本委員から6ページ、それから27ページに関する御質問をいただきましたが、いかがでしょうか。
○竹内医療介護連携政策課長
 医療介護連携政策課長でございます。
 まず、資料の6ページについての御質問について、お答えしたいと思います。左下の吹き出しのところにございます「今後、モバイル端末等に専用アプリケーションをインストールし、本人確認については、目視確認又は4桁の暗証番号の入力のどちらかを医療機関等が選択できる仕組みを追加予定」と書いてございます。
 これは、医療保険部会のほうで提出をさせていただいた資料でございまして、部会のほうでも御説明を申し上げてございますけれども、もともとは4桁の暗証番号の入力でもって本人確認を行うことを想定してございましたけれども、先般、発表されてございますが、総務省のほうから、いわゆる暗証番号の設定のないマイナンバーカード、顔認証マイナンバーカードと呼んでございますけれども、こうしたものが新しく導入されることがございまして、4桁の暗証番号の入力では対応ができないということから、新たに目視確認でも対応ができるような形で、仕組みを追加したいということで、令和6年10月より実装予定と書かせていただいているものでございます。
○小塩会長
 続きまして、医療課長、お願いします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 27ページでございますけれども、いわゆる地域医療情報連携ネットワークの御紹介をさせていただいてございます。松本委員から御指摘の、こちらは4ページなり5ページにあります、全国医療情報プラットフォームの全体像の中に、どのように位置づけられているかというお尋ねでございますけれども、こうした地域独自の取組というものは、正式には、このプラットフォームの全体像の中には位置づけられていないというところでございます。
 とりあえず、事実関係でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
 まず、1点目の件は、ありがとうございました。
 2点目の件は、位置づけられていないということは、この地連ネットワークは、今後どうしていくというお考えがあれば、教えていただきたいのですけれども。
○小塩会長
 事務局、いかがでしょうか。
○田中参事官(特定医薬品開発支援・医療情報担当)
 医政局参事官でございます。お答え申し上げます。
 地域医療連携ネットワークにつきましては、皆様、御存じのように、各地域ごとの医療や介護の課題を解決するために、ICTを導入していくということで進めてまいりましたが、なかなか地域を越えられないという課題があったと。
 一方で、普及も地域の中で必ずしも十分普及していない地域などもあるというのが、現状だと認識をしています。
 そのため、全国医療情報プラットフォームで、情報共有に必要な情報を限定的に、まずは共有していくプラットフォームをつくってまいりますということをお示ししていますが、医療や介護、そして自治体の情報を連携すると、この4ページの図にはなっていますけれども、その情報は一定程度限定的でございます。
 一方で、地域医療連携ネットワークでは、先ほど様々な情報が多職種で共有されていて、その地域地域に必要な情報が、ニーズに合った形で共有されているのが現状だと思っています。
 これは、相反するサービスと我々は認識をしておらず、全国的なプラットフォームの上に、地域課題を解決するためのシステムとして地域医療連携ネットワークを継続する地域があってもよいと思いますし、一方で、全国プラットフォームだけで、自分の地域は十分なのだというのであれば、そういう形でもあると思っています。
 ですので、これを我々として地連とどう整理をするかということにつきましては、地域において、多職種の連携などにおいて、このシステムが必要であれば、引き続きそれを維持することについては行っていただければと考えていますし、我々の全国医療情報プラットフォームで、それを全てカバーできるようになるとは考えていません。
○小塩会長
 松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
 どうもありがとうございました。
 そうしますと、2つのネットワークを維持していくということに関して、これは、2号側の委員にお尋ねしたいのですけれども、それに関して負荷とか、そういうことはないのかというのと、例えば、これを維持していくコストは、また何らかの形で跳ね返ってくるような気がいたしますが、それについてコメントがあれば、お願いいたします。
○小塩会長
 いかがでしょうか。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 まず、全国医療情報プラットフォームで、先ほど御説明がありましたが、そこで共有する情報は一定の限界があるということです。
 それに対して、27ページを見ていただきますと、地域連携ネットワークで、左側の図でありますが、かなり多種多様で深い情報を共有しているし、特に医療・介護の多職種連携などでも、情報、コミュニケーション機能を多く持っています。
 日本医師会では、ずっと以前から言っているのが、両者を上手に組み合わせて併用するのが、住民にとって最も望ましいと考えております。
 つまり、全国医療情報プラットフォームが新幹線なら、地域連携ネットワークはローカル線、全国プラットフォームが高速道路ならば、地連ネットワークは生活道路、それぞれのよさがあるので、それを上手に組み合わせるということかと思っております。
 一方、地連ネットワークには、やはり地域差もあるということと、地域のニーズも異なってきますので、それぞれの地域のニーズに合わせて上手に組み合わせていくことが重要かと思います。
 それで、そこに関するコストに関しては、1つは、導入に関しては、総合確保基金などを使われておりますけれども、継続に関しては、様々な課題もあるというところなので、ここのところは、今後しっかりと考えていく必要があると思いますし、特に全国医療情報プラットフォームと上手に連携することで、それぞれのメリットと不得意なところを補完し合うという観点が極めて重要だろうと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
 例えも使っていただいて、非常に分かりやすかったのですけれども、ただ、どうも私にとっては、皆様方の負荷が増えることも当然あるのではないかという印象を持ったということでございます。
 どうもありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問は、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私からは、論点の最後の「マイナンバーカードの健康保険証利用に係る対応について」に関しまして、意見を申し上げたいと思います。
 まず、今回の論点でありますけれども、医療情報・システム基盤整備体制充実加算の特例については、予定どおり、今月末で廃止することを前提としたものと受け止めております。
 これまで、オンライン資格確認に関しましては、医療機関等に対し、充実した導入支援が行われてきたと認識しております。
 また、資料の38ページ以降にあるとおり、令和5年度の補正予算においても、マイナ保険証利用促進に向けて、医療機関向けの支援が盛り込まれ、医療DXの推進に向けて多額の予算が投入されているところでございます。
 こうした診療報酬以外の支援が多く存在する中、診療報酬上の評価を継続する場合は、費用を負担する患者、国民の理解を得ることが大前提であり、重要であるのではないかと思います。
 例えば、マイナ保険証を持参し診療を受けた際に、そうではない場合と比較した質の向上を患者が実感できるかどうかというのが重要であろうかと思います。現在は、こうしたメリットが十分実感されていないのではないかとも思います。
 普及策としての補助金等と診療報酬上の評価の役割分担を明確にし、点数や要件を含めて、納得感ある形で整理をいただきたいと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、佐保委員、お手が挙がっております。お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 私からは、46ページの1つ目の○について、意見を申し述べたいと思います。
 マイナ保険証により取得した情報を活用し、質の高い医療につなげることは重要と考えますが、これまでも診療に当たって、患者からの情報を聞き取りすることや、お薬手帳の情報を確認することといったことは行っていることだと思いますので、情報を活用することだけをもって評価し、患者の負担を増やすということについては違和感がございます。
 体制整備に当たっての対応は、補助金で行うべきものと考えておりますが、診療報酬上の評価については、評価の妥当性、状況等を踏まえて御検討いただきたいと考えております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 あとは、よろしいでしょうか。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 まず、マイナ保険証をより広く御活用いただく、つまり患者さんに御持参いただくことが、全ての第一歩かと思います。そこで実感ということが重要でありますが、患者調査などを見ましても、1つは、事前にメリットや意義を知っていると実感を感じやすい、あるいは一度使っていただくと実感しやすいということを考えますと、1つは医療現場でもしっかりと、そのような意義、メリットについての御説明、お声がけをしますけれども、1つは、国がしっかりと、もう一つ保険者の皆様も、ぜひ被保険者の方々にしっかりと御周知をしていただければ、みんなで協力して進めていくことが重要で、そのことで利用が深まれば、実感そして実績も増していくだろうと考えておりますので、御協力よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私からは2点、まず、最初は松本委員から先ほど御質問があったこと、長島委員がお答えいただいたとおりで、25ページに、在宅医療における情報通信機器の活用例ということで、右側のほうは、福井県坂井地区の狭いエリアでのネットワークなのですけれども、実は福井県では、メディカルネットという全県的なネットワークに広げて、来年度から本格的に運用して、本当に1患者に対して多職種が連携できる、それぞれの地域で小さい連携ができる体制を全県で同じような方法でやろうという、スマホを用いて情報共有するだけでなく、やり取りもできるものを、今、構築しています。
 これは、本当におっしゃったようにローカル線で、今度、福井県も新幹線が来ますけれども、全国にそれがなると、やはり情報をかなり押さえて、でも、その方が移った場合の情報を共有できる、あるいは災害時などに共有できるとなると、全国共通のプラットフォームが、非常にそこでベースになると思うので、そういう使い方が多分できると思う。
 費用的には、かなり地域のものも安価になっていますので、何とか共有できる方法を考えていければと思っています。これは、全国共有プラットフォームがどうなるかということで、どう相乗りできるかということを、これから検討することになるかと思います。
 もう一点、別件ですけれども、電子処方箋のことで少しお聞きしたいのですけれども、先ほど森委員からありましたように、電子処方箋は非常に重要ですけれども、まだまだ非常に進んでいない、原因が、やはりモデル事業をやられた病院の中でも、実はまだ本格的運用ができていない。それは幾つかの課題があるのだということで、事務局からお示しされたように、院内処方箋の導入問題とか、あるいはHPKIカードを、医師一人ずつ持って、それを毎回1日1回はチェックしなくてはいけないということに対する負荷とか、そういうことで、なかなか本格的な運用ができないのだということをお聞きしているのですが、事務局の方にお伺いしたいのですけれども、この辺の課題をどこまで把握していて、それを解決するためのタイムスケジュールというか、それがある程度できているのかどうか、恐らくこのまま黙って待っていてもなかなか進んでいかないのではないかという気がするのですけれども、その辺についてのスケジュール感等が、もし、お分かりになれば教えていただければと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ただいま池端委員から電子処方箋について、御質問がございましたが、少しお待ちください。
○眞鍋医療課長
 会長、すみません。事務局の医療課長でございます。少し時間がかかると思いますので、議事を進めていただいて、準備ができ次第、回答をさせていただきます。
○小塩会長
 分かりました。
 それでは、少し準備をしていただきまして、先ほど長島委員から、木澤専門委員の御意見も伺ってはいかがかという御要望がございましたので、それでは、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムの導入によって、取得された情報を活用し、質の高い訪問診療や訪問看護を提供できる体制を整備することは、利用者にとっても期待されていることと思います。
 今後、訪問看護事業所におきましても、医療情報の取得、活用体制の充実が図られるよう、診療報酬上の評価についても御検討いただければと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいですか、森委員がお手を挙げていただいていますので、お願いします。
○森委員
 少し時間があるようなのと、長島委員が先ほど、電車の話で非常に分かりやすい話をしたので、電子処方箋も簡単に言いますと、医療機関のから新幹線で薬局まで届くようになったのですけれども、今は薬局に来たら電車に乗り換えなくてはいけないのですね。それで薬局の中を回して、もう一回乗り換えて返すというところが、薬局の中ではなかなか使いにくいことであって、また、本来であれば、電子的に進むのですけれども、一度来た電子処方箋を薬局では紙で打ち出して、打ち出したものを見ながら調剤することになりますので、そういうところが、まだ現場でなかなか進まない1つの要因になりますので、そういうことを含めて、今後、電子処方箋をどう全体のシステムを効率的にできるかというのは課題だと思いますので、国のほうでも、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局、先ほどの池端委員の御質問について、いかがでしょうか。
○田中参事官(特定医薬品開発支援・医療情報担当)
 申し訳ございません、時間を要しまして、電子処方箋につきましては、電子処方箋のワーキンググループというもので、今、継続的に議論を進めておりまして、導入が進まない理由のようなところも、御指摘をいただきました、例えば周りが入っていないから入らないとか、それからシステムが、いろいろなサービスがどんどん追加になるので、いつ入れようか迷ってしまうであるとか、やはり電子署名の手間がかかるという御指摘もあったと思っておりますし、問題なく使えるかどうか不安であるという御意見もいただいております。
 この一つ一つに対して、まず、電子署名の簡素化ということにつきましては、現在、取組を進めておりまして、ワーキンググループの中でもお示ししているところでございます。
 また、御指摘のあった院内処方につきましても、来年度以降に導入するということを、一応、お示ししているところでございますが、より具体的な仕組みにつきましては、皆様の御意見をいただきながらつくっていくことにしていると聞いております。
 今回御指摘いただいたような課題につきましては、一つ一つワーキングの中でも御意見をいただきながら進めてまいりたいと考えております。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 ほかは、御質問等ございますか。
 よろしいですか、ありがとうございます。
 ほかには、特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「個別事項(その21)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、個別事項(その21)といたしまして、臓器移植につきまして、中医協資料総-2を用いまして御説明をさせていただきます。
 スライド2に、本日の目次がございます。
 3ページには「臓器提供の流れ」ということをチャートでお示ししてございます。
 4ページ目から6ページ目でございますけれども、臓器提供の件数等の状況をお示ししてございます。
 4ページにございますとおり、臓器提供者数でございますけれども、年間約100例程度ということでございます。
 6ページにございますとおり、各国と比較して少ないということでございます。
 7枚目、8枚目でございますけれども、脳死後と心停止後の臓器提供の違いをお示ししてございまして、それぞれ提供可能な臓器の種類が異なることや、心停止後の場合には、患者さんの急変に合わせた迅速な対応を求められることが示されているところでございます。
 9ページには、脳死下臓器提供者の年齢層や原疾患を示しており、10ページには、臓器提供のプロセスの概略をお示ししてございます。
 11ページ目でございます。これは、脳死下で臓器を提供できる、その実施が認められ得る施設で5類型示されてございまして、この5類型自体は、895の施設があるところでございますけれども、実際に体制が整っているという施設に関しましては約半数程度でございまして、437の施設であることを示してございます。
 12ページには、年度ごとに脳死下の臓器提供を実施した施設数等の推移を示してございます。
 13ページ目、14ページ目は、移植可能な臓器のそれぞれの待機患者数、移植希望登録者数の推移を示してございます。
 心臓や肺に関しましては、増加していることがお示しできているかと思います。
 続きまして、2つ目の項目でございます。2-1「ドナーや家族の意向に沿った臓器提供の工程に係る評価について」でございます。
 16ページは、世論調査の結果でございます。国民の約4割が臓器提供を行いたいと考えていること。
 17ページには、近年の傾向といたしまして、医療者からの選択肢の提示がもととなりまして、臓器提供につながった事例が多く存在するということを示してございます。
 18ページには、臓器提供時の施設や担当医師の御負担につきまして、特に患者さんの家族への御説明、そして、脳死判定、ドナーの全身管理、関係者との調整などにおける負担が大きいということを示してございます。
 19ページには、臓器提供の選択肢が提示された場合におきましても、家族の意向による辞退や医学的理由等によりまして、脳死下臓器提供に至らない例が多く存在することを示してございます。
 20ページは、今年度の厚労科研の結果でございますけれども、脳死とされ得る状態を経て亡くなられた患者さんのうち、実際に家族に対しまして、臓器提供に関する情報提供がされた割合が4分の1程度、25.2%であったと報告されたものでございます。
 21ページは、脳卒中における終末期の医療に関するガイドラインの抜粋でございますけれども、脳卒中患者さんの終末期の医療及びケアの方針の決定のために、脳死とされ得る状態の判断や全脳機能不全の確定診断が必要であるとされているところでございます。
 次に、22ページ、23ページ目でございます。こちらは、診療報酬上の対応でございます。
 令和2年に、22ページの真ん中の段でございますが、脳死臓器提供管理料の見直しを行ったということ。その概要と、そして、その評価範囲でございますけれども、23ページでございます。この赤枠で囲ったところが評価されている範囲でございます。
 24ページは、令和4年度の診療報酬改定におきまして新設されました、重症患者初期支援充実加算の概略、25ページは、その中で配置を求めております、入院時重症患者対応メディターにつきまして、臓器提供に関する意思決定過程についての支援が期待されていることを示してございます。
 26ページは算定回数でございます。
 次に「2-2.臓器提供の体制や実績に係る評価について」でございます。
 28ページは、提供施設の現状の再掲でございます。29、30には、臓器提供の実施に当たりましては、多職種による長時間の対応が必要であることをお示ししてございます。
 31ページは、DPC制度についての概要でございます。
 31ページの黄色い枠の中には、機能評価係数Ⅱというものの中で、高度先進的な医療の提供機能や重症者への対応機能等が評価項目に挙げられていること。また、このような観点から34ページには、治験等の実施についても係数で評価されていることをお示ししてございます。
 35、36でございます。こちらは、11月にも御議論いただきました内容でございますけれども、機能評価係数Ⅱについての入院・外来分科会における御指摘事項や見直しの提案でございまして、脳死下臓器提供の実施機能や実績を評価することについては、社会的に重要な課題で論点である一方で、入院患者全体や地域医療に対してどのようなメリットがあるのか、明らかではないのではないかとの御指摘もあったところでございます。
 37ページでございます。脳死下臓器提供の経験がある施設数の推移、38、39ページには、DPC対象病院における臓器提供の実績について、お示ししてございます。
 最後に、3つ目の項目「臓器移植待機患者における抗HLA抗体検査について」でございます。
 41、42ページは、平成30年度、令和2年度の診療報酬改定の概要でございますけれども、抗HLA抗体検査につきましては、移植後、そして、移植実施前について保険適用になったということでございます。
 43ページは、日本移植学会より、医療技術評価分科会に対して提出されている資料でございます。
 全てつまびらかに御説明する時間はございませんが、抗HLA抗体が陽性の症例が、拒絶反応発症リスクが高いこと。
 臓器移植待機期間が長期化すると抗HLA抗体を獲得するリスクが上がること。
 移植待機中の抗HLA抗体の高い値の患者さんに対しまして、脱感作療法を行うことで、臓器移植を行うことができ、臓器の生着率の向上につながるとされていること。このようなことが示されてございます。
 44ページは、日本移植学会によります「臓器移植抗体陽性診療ガイドライン」(2023年版)におきまして、移植前抗体陽性は移植成績に影響するとされていること、移植前の脱感作療法は有効性が示唆されていることを示してございます。
 それでは、課題と論点でございまして、課題は、今、御説明したところでございます。
 論点は2つございます。脳死下臓器提供件数が不足している現状を踏まえ、我が国における臓器提供を一層推進する観点から、脳死判定及び臓器提供を実施することについて評価することや、臓器提供の実績に対して評価することについて、どのように考えるか。
 臓器移植に係る抗HLA抗体検査の対象者を、臓器移植待機患者のスクリーニングに広げることについて、どのように考えるかとさせていただいてございます。
 事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 46ページの論点についてコメントします。
 1つ目の○については、現在の臓器移植の提供体制、あるいは移植に係る様々なコストや、その対応の困難さ、複雑さからすれば、相応の評価が必要となることは理解できます。
 しかしながら、そのコストを臓器提供するドナーに求めるのは、医療提供したことへの対価という意味では、大変難しい問題があることは否めません。
 そこで、資料でも示唆されておりますような、例えば、DPCの機能評価係数Ⅱでの評価も含め、言わば広く薄く評価することも方法として考えられるのかもしれません。
 ただ、それでもDPC対象病院における臓器移植の実績件数などを踏まえると、丁寧な検討が必要であると考えます。
 また、2つ目の○の抗HLA抗体検査の対象者を拡大することについても、臓器移植の適切な実施を促進するという点では意義のあることかと思います。
 しかし、全ての臓器移植待機の患者さんに対して、いわゆるスクーリングとして検査を行い、その結果、陽性となった患者さんに対して、総じて脱感作療法の対応を行うということについては、現在の臓器移植の実施割合なども踏まえながら、検討していく必要あるのではないかと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 臓器提供と移植の実態につきましては、資料の4ページから6ページにありますように、目立った増加が見られておらず、人口当たりの臓器提供数は、諸外国に比べて少ない状況にあることが分かります。
 一方で、13ページに目を移しますと、移植希望者自体は増加傾向にあり、16ページからは、若年者を中心に臓器提供の意思のある国民が約4割ということが示されております。
 それにもかかわらず、提供が進まない要因として、18ページから20ページにありますように、医療現場において患者家族への説明や関係者と調整する負担が大きく、家族による辞退や、そもそも情報提供を行っていない実態があるとすれば、脳死の患者さん本人の意思が尊重されますように、医療現場において努力していただくことが必要だと感じます。
 その際、資料の25ページで紹介されていますように、救急医療や集中治療において、治療に直接関与しないメディエーターが、家族の意思決定を支援するに際して重要な役割を果たしていることが理解できます。
 ただ、46ページの論点にあります、脳死判定や臓器提供について、個々の脳死患者にひもづけて評価することは、家族の心理としてなかなか受け入れにくいように思います。
 また、移植を受ける患者の医療費を、これ以上引き上げることも難しいのではないかと個人的には感じております。
 一方で、資料の11ページ、12ページを見てみますと、5類型施設でも体制が十分と言えない実態がありますので、臓器提供の実績に対する評価を行うことは検討の余地があると考えます。
 以前にDPC/PDPSについて議論した際に申し上げたとおり、機能評価係数Ⅱの中で、社会や地域において求められる機能として、新たに位置づけることは十分にあり得ると思います。
 2つ目の論点であります、抗HLA抗体検査の対象患者につきましては、資料の43ページの学会資料、44ページのガイドラインに基づき、移植待機患者のスクリーニングに広げることに異論はございません。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。佐保委員、お手が挙がっています。大変失礼いたしました。
○佐保委員
 手を挙げるタイミングが少し遅れまして、すみませんでした。
 臓器提供、移植を推進すること自体に異論はありませんが、46ページの論点の1つ目、臓器提供の実績に応じて診療報酬上の評価をするというのは、倫理的に問題が生じる事態が起きないと懸念いたしますので、倫理性や安全性の担保も併せてお願いしたいと考えております。
 また、論点にはありませんが、資料の16ページの臓器提供を希望する国民は約4割ということですから、万が一のときには、医療機関がその意思を迅速に確認して対応できるよう、マイナンバーカードには、臓器提供意思カードの意思の表示欄がありますけれども、医療DXの取組の中で、マイナ保険証にその情報を記載するなど、情報登録の在り方を見直すことも方法の1つではないでしょうか。
 医療機関の負担の1つに、患者、家族への説明とありますが、本人が希望しているという情報があれば、家族の納得も得やすいと思いますので、御検討いただければと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 臓器移植を進めるに当たっては、できるだけモラルの問題が起きることのないように配慮をしていただくようお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 それでは、ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「個別事項(その22)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、個別事項(その22)といたしまして「横断的事項等」を、資料総-3を用いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 スライド2に目次がございまして、3つテーマがございます。
 1つ目が「医療安全について」。
 2つ目が「訪問看護ステーションの管理者について」。
 3つ目が「いわゆる敷地内薬局について」でございます。
 それでは、1つ目のテーマから進ませていただきます。
 3枚目でございますけれども、こちらに我が国における、これまでの主な医療安全施策につきまして、経緯を取りまとめてございます。
 4ページ目でございますけれども、医療安全推進総合対策を受けまして、平成18年に医療法改正により整備されました、医療機関における医療安全管理の義務について御紹介をしてございます。
 5ページ目から7ページ目でございますけれども、これは医療計画についてでございますが、医療計画の中の項目に、医療安全の確保の項目がございます。
 7ページ目にありますとおり、こちらは、第8次医療計画における見直しのポイントでございますけれども、病院等の管理者における研修の受講や、他の病院からの客観的評価に関する項目、医療安全支援センターの体制強化などが盛り込まれているところでございます。
 8ページ目からは、医療安全の確保に係る主な診療報酬上の評価についてでございます。
 医療安全対策加算につきましては、医療安全管理者が専従か専任かという点で評価が分かれているところでございます。
 そのほか、医療安全対策地域連携加算、報告書管理体制加算などの評価があるところでございます。
 11ページ目でございます。医療安全対策加算を届け出る医療機関数の推移でございまして、年々増加傾向となってございます。
 中でも12ページ、そして14ページ目にありますとおり、ICUやHCUといった高度な医療の提供に関する治療室においては、多くのところで医療安全対策加算1の届出を行っていただいているところでございます。
 一方で、13ページにありますとおり、ICUでは、薬剤の誤投与が発生する割合が一般病棟よりも高いということでございまして、実際に医療安全対策の必要性が高いことも示唆されます。
 15ページ目は、経カテーテル弁置換術や、腹腔鏡・胸腔鏡手術のうち、施設基準の届出が必要な手術あるいはロボット手術を実施する医療機関における加算の状況でございます。
 こちらも、おおむね9割5分、95%以上で加算1の届出がなされているところでございます。
 16ページでは、日本における手術関連の事故事例を御紹介してございます。
 また、17ページにありますとおり、手術は、他の医療の提供の内容と比べまして、医療事故のリスクが高いことが示されております。
 18ページ目でございます。加算1の要件でございます。
 専従の医療安全管理者の配置によりまして、医療安全の状況に関する情報収集体制が強化され、インシデントの報告も増加するとの報告があることを御紹介してございます。
 次に、19ページ目でございます。こちらに課題と論点をまとめてございます。
 論点につきましては、ICU等における治療や腹腔鏡手術等は医療事故のリスクが相対的に高いことや、特定集中治療室管理料等の届出を行う医療機関や腹腔鏡手術等の施設基準の届出を行う医療機関における医療安全対策加算1の届出状況を踏まえ、これらの医療機関において医療安全対策加算1の届出を要件とすることについてどのように考えるかとしております。
 2つ目のテーマでございます。「訪問看護ステーションの管理者要件について」でございますけれども、訪問看護につきましては、前回12月15日の中医協総会で、介護保険における訪問看護との制度上の差異について御議論いただいたところでございます。
 その後、12月19日に介護給付費分科会から、令和6年度の介護報酬改定に関する審議報告がされたことを踏まえまして、こちらは訪問看護ステーションの管理者要件について、新たに御議論いただくものということでございます。
 21ページには、介護保険における介護サービス事業所の管理者の責務の明確化及び業務範囲の明確化に関する指導を御紹介してございまして、具体的には訪問看護を含む介護サービス事業所の管理者について、管理者の責務については、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事態を適時かつ適切に把握しながら、職員の業務の一元的な管理・指揮命令を行う旨の明確化。
 管理者の業務範囲については、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても、同一の事業者によって設置されている他の事業所等である場合には、職務を兼ねても差し支えない旨を明確化するものでございます。
 22ページは、医療保険の訪問看護ステーションの管理者に係る規定をお示ししてございます。
 現在の管理者の責務の規定は、介護保険と同様でございまして、従事者の管理、利用の申込みに係る調整業務の実施状況の把握と、その他の管理を一元的に行うこと。従事者に運営規定を遵守させるための必要な指揮命令を行うことなどが定められてございます。
 管理者は定められた業務のほか、主治医との連絡調整であったり、指定訪問看護を提供する看護師の監督等の主治医との医師との関係や、訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成などの必要な管理をしなければならないとされているところでございます。
 23ページは、管理者の兼務に係る規定でございます。
 管理者は、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合は、同一敷地内にある、または道路を隔てて隣接する地域内にある事業所・施設等の他の職務を兼ねることができる場合があるということを示してございます。
 24ページに課題と論点をまとめてございます。
 論点を2つに分けてございます。介護保険における訪問看護において、管理者の責務について、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化することが検討されていることに鑑みまして、医療保険の訪問看護でも同様に管理者の責務を明確化してはどうか。
 2つ目の○でございます。介護保険の訪問看護におきましては、管理者の責務を明確にした上で、同一敷地内にある、または道路を隔てて隣接する敷地内にある事業所・施設に限らず、同一の事業者によって設置されている事業所間の兼務が可能である旨を明確化することが検討されていることを踏まえまして、医療保険の訪問看護の管理者が同一敷地内にある、または道路を隔てて隣接する敷地内にある事業所・施設等に限らず、当該他の事業所等の管理者または従業者としての職務に従事することについて、どのように考えるかとさせていただいております。
 それでは、3つ目のテーマでございます。「いわゆる敷地内薬局について」でございます。
 27ページ目でございます。いわゆる敷地内薬局の調剤につきまして、こちらは、27ページ目でございますけれども、医療経済実態調査によります費用別の数値を調剤基本料別で集計してお示ししてございます。これは、過去にお示ししたものでございます。
 特別調剤基本料の医薬品等費の費用の合計額がほかと比較して、突出して高くなってございます。また、右の調剤医療費でも薬剤費の割合が高くなってございます。
 28ページでございます。いわゆる敷地内薬局に対しまして、11月29日の中医協総会におきまして、いただいた指摘事項でございます。
 2つ目の○の太字のところでございますけれども、誘致する医療機関側、開設する薬局が双方においてさらなる強い対応を求めるべきといった御指摘や、4ポツ目で、これも太字にしてございますけれども、特別調剤基本料の点数を引き下げることにも限界があるといった御指摘をいただいたところでございます。
 29ページは、11月29日の調剤(その3)のときにもお示ししたものでございます。いわゆる敷地内薬局については、建物の構造上の関係から、利用される患者さんや家族等にとりまして、医療機関と薬局一体となっていると認識されてもおかしくないといった事例も存在するというところでございます。
 30ページでございます。診療報酬及び調剤報酬の処方の費用に関するイメージでございます。
 左側は、院内処方の場合の医療機関が請求する処方に関する主な費用。
 右側が、いわゆる敷地内薬局が院外処方を受領した場合の、医療機関及び薬局がそれぞれ請求する処方に関する主な費用ということをイメージとしてお示してございます。
 こちらは、緑と赤でハイライトをしてございます。処方料、院内処方の場合42点、そして、院外処方を実施する場合は68点ということでございます。
 次に、31ページ目でございます。こちらは、いわゆる敷地内薬局が受け付けた全ての処方箋のうち、誘致した医療機関から受け付けた処方箋の割合ということでございまして、全体の90.2%の、いわゆる敷地内薬局が誘致した医療機関から全体の80%以上の処方箋を受け付けていたという結果をお示しするものでございます。
 論点といたしまして、32ページでございます。
 いわゆる敷地内薬局を有する医療機関の処方に関する評価の在り方について、どのように考えるかとさせていただいてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 まず、医療安全について、19ページの論点に沿ってコメントいたします。
 論点に示されているような課題や必要性を踏まえれば、特定集中治療室管理料等において、医療安全管理加算1の届出を要件とすることも理解できるところではあります。
 ただし、少数ではあるものの、まだ届出していない医療機関もある中、早急に義務化してしまうと、地域における高度急性期医療の提供が途絶えてしまうおそれもあります。
 したがって、経過措置を設けることは当然必要ですし、経過措置期間中も丁寧に状況をフォローしながら、今後の検討、今後の対応を検討していくことが欠かせないと考えます。
 次に、訪問看護ステーションの管理者について、24ページの論点に沿ってコメントします。
 1つ目の○の管理者の責務について、また、2つ目の○の職務に従事する範囲についても、医療と介護を同じく扱うことについては無理があると考えます。
 介護保険の場合、営利企業が利益を出すためには、効率性を図る視点が重要なのかもしれませんが、非営利性と公益性が求められる医療におきましては、そのような視点はなじみません。
 また、患者さんの生活を支援するという要素を含む介護と、疾患を有する患者さんの健康と命を守る医療とでは、従事者の責務も本質的に異なり、医療における責務からすれば、職務に従事する範囲についても、経済的合理性よりも安全性がより重視されなければいけないのは当然のことであると考えます。
 特に緊急時においては、複数の職務を兼務している状況で対応できるものなのか強い懸念がありますので、医療の場合は、介護とは別の観点から検討しなければならないと考えます。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員に意見を聞く機会を検討していただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 私からは、19ページの医療安全についての論点に関して発言をさせていただきます。
 我々、病院医療を行っている者にとって、医療安全の確保というものは、非常に重要な課題でございます。
 そういう意味におきまして、今回論点に挙げていただきました、医療事故のリスクが相対的に高いであろう高次医療を行っている特定集中治療室管理料の届出を行っている医療機関、また、高次の腹腔鏡手術等の施設基準の届出を行っている医療機関における医療安全管理加算1の届出を要件化するということに関しては、賛成いたします。
 ただ、先ほど長島委員からもありましたように、この加算には、研修を受けた人の要件がございます。研修を受けるためには、結構な時間がかかる研修でございまして、そういう意味で、しっかりとした経過措置を確保していただいて、スムーズに改正が進むような形で御配慮いただきたいと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 敷地内薬局について、コメントをさせていただきます。
 これまでの改定において、診療報酬、調剤報酬で対応されましたが、その後も誘致、開設が止まらない状況です。
 薬局側はもちろん、誘致する医療機関側にも問題があり、公募の際、薬局運営とは関係のない病院のアメニティー施設や診療棟などの建設の整備などを条件としている事例が散見されています。
 誘致する医療機関側、応募する薬局側の双方において、これ以上敷地内薬局が出てこないよう、これまでとは異なる強い対応が必要です。
 そのため、今回の論点にも示されているとおり、敷地内薬局を有する医療機関についても対応が必要と考えます。
 また、業界誌報道によれば、家賃以外に保証金を数億円支払い、保証金の返金は受けないという契約を結んでいるリベートに当たるおそれがあるものや、病院の出入口の玄関マットで敷地内薬局へ誘導するようなものなど、不適切な事例が報告されています。
 敷地内の開設が認められているからといって、このようなビジネスモデルの関係性がよいということではありません。健康保険法や医療機関と薬局双方の療養担当規則や、その運用の見直しも不可欠ではないかと考えます。
 例えば、運用に関しては、新規指定時には、厚生局において誘致条件、契約内容を確認し、特に土地建物の賃貸借料については、相場と比較した上で、保険医療機関と保険薬局の独立性が確保されていることを確認し、不適切な場合は開設を許可しないなどの対応を取るべきです。
 これについては、既に開局している敷地内薬局についても同様であり、指定の更新時等に、これらを確認し、不適切な事案については取消しを含めて、厳正な対応ができるよう、根拠となる関係省令や文書の整備を進めることをお願いします。
 その際には、現在の療養担当規則、薬担規則は患者の誘導という観点での規定となっていますが、31ページ目でも示されているとおり、敷地内薬局は相当高い処方箋集中率を示す傾向がありますので、直接的な誘導だけではなく、医療機関の敷地内にあるという特性を踏まえて、広い視点からの検討が必要と考えます。
 その中の1つとして、敷地内薬局の評価がありますが、これに関して、院内の調剤所と同程度の機能ということであれば、例えば医療機関では、多剤投与の場合に薬剤料を減額する規制がありますので、同様の調剤においては、敷地内薬局での薬剤料も院内調剤と同じ評価とすることも考えられると思います。
 また、今後整理すべき点として、27ページ目で示されているとおり、敷地内薬局の収益構造は、医薬品の費用が突出している構成になっており、現在、流通改善に係る検討会では、過度な薬価差、薬価差の偏在に関する課題が指摘されています。
 このような敷地内薬局の医薬品購入の状況も、今後分析する必要があると考えます。
 流通改善については、流改懇での議論が先日取りまとまり、流通改善ガイドラインの改定が今後予定されておりますので、それに合わせた対応も必要と考えます。
 最後に、敷地内薬局については、今回の改定において、広い観点で厳正に対応すべきですし、それ以降も継続して検討課題にすべきですし、場合によっては、関係者、関係団体を中医協の場に呼んで意見を聞く機会も必要かもしれません。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいですか。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、医療安全についてでございますが、これは、保険診療のみならず、全ての医療行為において最優先すべきことだと考えております。
 19ページの論点につきましては、資料の13ページあるいは18ページを見てみますと、集中治療室において、薬剤の誤投与が一般病棟より多い中で、専従の医療安全管理者を配置した場合に、モニタリング体制が強化されることが示されており、既に多くの治療室や高度な手術を行う医療機関において、安全管理者の専従配置を要件とする医療安全対策加算1の届出が行われている実態を踏まえ、特定集中治療室やリスクの高い手術を行う医療機関において、医療安全対策加算1の届出を義務化すべきと考えます。
 次に、24ページにございます、訪問看護ステーションの管理者についてでございますが、1点目の管理者の責務を介護と整合性を取り、明確化することには異論ございません。
 2つ目の管理者の兼務につきましては、管理業務に支障がないと認められる範囲内ということは分かりましたが、離れた場所にある事業所と兼務した場合に、本当に管理者としての責務を果たすことができるのか、若干の疑問がございます。
 介護保険との整合性は理解できますが、利用者に不利益が生じないよう、ある程度、ほかの事業者に従事できるケース、できないケースを明確にしておくなど、慎重に対応はしていただきたいと思います。
 続きまして、32ページの敷地内薬局に関する論点についてコメントいたします。
 2年前にも同じことを指摘いたしましたが、敷地内に薬局を要する医療機関については、実質的に院内処方と同様に取り扱うべきです。
 資料の31ページを見てみますと、特別調剤基本料を算定する薬局の9割で、特別の関係にある医療機関からの処方箋が8割を超えております。
 これは、薬局の独立性という観点で問題ですが、裏を返せば、薬局と医療機関の一体性が示されているということですので、医療機関としては、院内処方に近い実態にありますので、処方箋料を処方料と同程度の水準まで減額することが考えられます。
 ただ、以前にも発言いたしましたが、敷地内薬局が、言わば既成事実化していることを踏まえますと、医療機関が薬局を誘致する背景を含めまして、令和8年度改定に向けて少し根本的な議論をしたほうがよいと感じております。
 27ページでも一部紹介がありますが、医療経済実態調査の結果からも敷地内薬局は、医薬品費と土地建物賃借料が突出して高いにもかかわらず、令和3年から4年にかけては、利益率が増加しているということが分かっております。
 また、保険財政に影響があることなので、今後の参考のために、森委員からも先ほど御指摘がございましたけれども、流通改善の検討状況について、事務局に教えていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 先ほど松本委員から御質問がありましたけれども、事務局いかがでしょうか。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 流通関連の御質問につきまして、担当部署は別になりますけれども、把握している範囲で回答いたします。
 流通関連の検討は、先ほど森委員からも話がありましたが、先週、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会、いわゆる流改懇が開催されまして、流通改善ガイドラインの改定のための議論が行われております。
 薬価に関連する改定内容としては、医薬品の安定供給を確保する観点から、特に医療上の必要性が高い医薬品として、基礎的医薬品あるいは安定確保医薬品のカテゴリーA、不採算品再算定品などは、価格交渉の段階から別枠として個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とすること。
 また、これまで単品単価交渉を行っていた新薬創出等加算品等についても、引き続き単品単価交渉を行って、流通改善が後戻りすることのないようにすることというもの。
 また、そのほかに、頻繁な価格交渉を避けるために、年度内は妥結価格の変更を原則行わないこと。また、卸との価格交渉を代行業者に依頼するものは、代行業者に流通改善ガイドラインを遵守させるように注意すること。そういったようなことをガイドラインで明記する案を示しておりまして、薬価制度改革を中医協の中でも議論する中で、今後の検討課題とされていた、こういう医療用医薬品の適正な流通のために、改定する内容になっているものでございます。
 今後、この改定案につきましては、パブリックコメントをした後に、年度内にガイドラインを改定する予定と担当部署のほうから聞いているところでございます。
 また、流通改善ガイドラインの改定のほかに、流通関連では過度な薬価差に関する課題もございます。これは、引き続き継続検討とされているものでございます。
 この辺りは、もともと販売先のカテゴリー別のデータで20店舗以上のチェーン薬局のカテゴリーの薬価差額が、ほかの薬局や医療機関のカテゴリーを比較して、大きくなっていることが指摘されていることがありますが、実際には、個々の薬局や医療機関の購入規模など、あと、開設者とかグループによってもあるかもしれませんが、薬価差の状況が異なると思いますので、今後こういったものが把握可能なデータ次第ではありますが、今回のような敷地内薬局の医薬品等費の実態も含めながら、整理すべき課題ではないかと考えているところでございます。
 以上です。
○小塩会長
 松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
 御説明ありがとうございました。
 敷地内薬局に関する検討においては、今、言及もありましたが、薬価差に関する分析も必要だと考えました。
 ガイドラインの内容が徹底されるよう、診療報酬においても改定の考え方が反映されるよう、適切に対応をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 皆様と同意見ですが、あえて強調させていただきたいと思います。
 敷地内薬局については、特別調剤基本料による対応にも限界があることや、患者様の受け止めを踏まえれば、グループ薬局全体として調剤基本料を引き下げることは無論、敷地内薬局を有する医療機関の処方を院内処方と同程度の評価とする方向で検討していただきたいと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 いわゆる敷地内薬局について、関連することで、事務局に確認させてください。
 患者さんが処方箋を持ってどこの薬局に行くかは、患者さんの自由な選択により、医療機関は介入できないと認識しておりますが、この考え方に変更はありますでしょうか。
○小塩会長
 事務局、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 今、長島委員から御指摘がありましたように、患者さんが処方箋を持たれて、どの薬局を選ぶか、これは自由でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 長島委員、いかがでしょうか。
○長島委員
 ありがとうございました。
○小塩会長
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 私、今回の論点に関して、直接言及はいたしませんが、様々な病院で敷地内薬局が開設されているということは、私自身、認識してございます。
 特に、大学病院等で開設しているところもございますし、公立の大規模な中核の病院で開設しているところがございます。
 そして、そういう病院は、駄目な病院なのかということに関して言うと、正直、私ども病院団体の中でも様々な議論が現実にございます。現在、認められている制度の中で、いろいろと医療機関として厳しい経営環境の中、対応してきたという形で主張される先生方も現実にはいらっしゃいます。
 先ほど松本委員のほうから、R8、次の改定に向かって、この問題を根本的に考えていったらどうだという御発言がありましたが、この診療報酬の支払制度を検討する場ではなく、やはり厚生労働省として、国として、敷地内薬局というものは、どういう形で位置づけるものなのかというものを、やはりしっかりと検討していただいて、診療報酬というものは、その大きな医療政策の方向にベクトルを合わせて制度を整備していくものだと思っております。
 医療機関側からしても予見可能性というものが非常に確保しづらい中で、様々な対応を迫られている医療機関、病院もございますので、ぜひともこの辺、しっかり国として、厚生労働省として対応いただきたいと思っております。
 以上でございます。
太田委員
 ありがとうございます。
 オンラインで、佐保委員、お手が挙がっています。お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 私からは、24ページの訪問看護ステーションの管理者について発言をいたします。
 管理者の責務を明確化することに異論はありませんが、管理者として行う業務以外の人員不足の状況では、管理者自身が実務を補ったり、補助することもありますし、ほかに明確化できない業務もあろうかと考えております。
 また、兼務の提案は、人手不足が背景にあると考えますが、兼務を可能とすることで管理者の負担が増す、労働時間が増えるなど、労働環境の悪化につながるのではないか、そうなれば、管理者のなり手がさらに減るのではないかと懸念いたしますので、現場の実態を踏まえて検討すべきと考えております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 医療安全対策加算は、おおむね算定されているということですが、本来であれば、全ての医療機関で医療安全管理体制が強化され、さらに強化されることになればと思いますし、そのことが当然のようになること、そのことによって、患者が安心で安全な医療を受けているという実感につながっていくものと考えますので、医療報酬だけにとどまらず、画像診断の情報の適切な管理など、様々な点で医療安全施策を進めていただくことを要望いたします。
 以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 訪問看護ステーションの管理者について、1点申し上げます。
 訪問看護の医療保険サービスの対象は、別表7の末期の悪性腫瘍や難病あるいは別表8の真皮を越える褥瘡の状態や気管切開、人工呼吸器等となっております。
 そのほか、医師による14日間以内の特別訪問看護指示書というものがあります。
 これらの医療保険の対象というのは、状態の変化あるいは緊急対応の頻度が高いということが、まず前提にあります。
 また、訪問看護ステーションの多くは、看護職員の数も少なく、管理者のみに専従しているということは極めて少なく、管理者が現場も担っているという実態が多いかと思います。
 つきましては、管理者が現場で陣頭指揮を執っていくことが、患者さんへの質の高いサービス提供には欠かせないことを申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 先ほど長島委員から、木澤委員の御意見も伺ってはどうかという御要望がございましたので、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 訪問看護ステーションの管理者について、医療保険においても、管理者の責務を明確にすることは重要であり、進めていただきたいと考えております。
 訪問看護ステーションの管理者は、質の高い訪問看護を提供するために、職員の教育、労務管理を行うだけではなく、利用者の病状や生活状況等もよく見極めながら、職員とケアの内容、地域で活用できる社会資源等について話し合い、在宅での療養が円滑に進むよう工夫をしています。
 また、利用者や家族の思いを大切に、在宅療養を支えるためには、主治医や介護、福祉、行政等の関係者と顔の見える関係を築き、地域において密な連携体制を構築していくことが重要です。
 こうした看護管理者の役割が、十分に果たせるようにすることが重要と考えております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 事務局からお手が挙がっております。お願いいたします。
○松本医療安全推進・医務指導室長
 医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長の松本と申します。
 先ほどの高町委員の医療安全に関するコメントに関して、一言コメントをさせていただきたいのですけれども、医療安全の部分の医療法の所管をしております、全ての医療機関に、医療法、それから省令通知等で求めている医療安全のところ、しっかりこれからも考えていきたいと思っております。
 それから、本日の御参考でございますけれども、今年の12月に一般社団法人日本外科学会からも、腹腔鏡手術や胸腔鏡手術、心臓のカテーテル手術等の実施に当たりまして、医療機関全体の安全管理体制の充実を要望する要望書、それから一般社団法人の日本集中治療医学会からも、集中治療室を有する医療機関における医療安全管理体制の強化等に関しての要望書等をいただいておりますので、御参考までに御紹介させていただきました。ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、安川さん、お願いします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 敷地内薬局に関しまして、根本的な議論とか、そういった御指摘もありましたけれども、少し現状だけ御説明させていただきます。
 今回、こういった敷地内薬局というのが増えている現状は、もともとのきっかけは、保険制度の中の構造規制の緩和、いわゆるフェンス規制というのを平成28年に緩和したことで、敷地内に薬局が開設しやすくなったことの結果で、こういった事象がいろいろ起こっていると認識しております。
 そういった中で様々な医療機関と薬局の独立性がどうかとか、いろいろ課題があるということを御指摘しているところでございます。
 一方、薬局としてどうかという話の中のそもそも論のところに関しまして、これは薬機法の世界の中で薬局の在り方の議論の中でも、敷地内にある薬局はどうかというところは課題として挙げられております。こういった実態も把握しながらという中で、医療機関との関係性といったところの懸念を示す意見も、医薬局の部署のほうの検討会でも課題として出ているというものでございます。
 ただ、いずれにしても薬機法の中の衛生規制というよりかは、こちらは、医療保険制度の様々な中の医療機関と薬局の独立性のところが、かなり重要なところになってくると思いますので、基本的にはこういった保険制度の中で、この薬局の在り方はどうなのかというところを含めて整理していくべきだと、いろいろこれからの実態分析も医薬のほうでもしていると認識しておりますので、そういった情報も含めながら何ができるかというところを、今回の改定も、今、こういった議論をいただいていますけれども、引き続き検討すべきものなのかなと思っているところでございます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 それでは、ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 ここで、しばらく休憩を差し挟みますので、よろしくお願いいたします。
 
(休  憩)
 
○小塩会長
 それでは、続きまして「医科点数表における医療技術に係る項目の整理について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、総-4を用いまして御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ目にございますとおりで「医科点数表における医療技術に係る項目の整理について」でございますけれども、上の四角にございますとおり、改定ごとに大体100ぐらいの技術が保険収載されてございます。
 一方で、実臨床において実施されていない医療技術が、一定程度認められているところでございます。
 3ページ目にお進みいただきまして、これは、厚生労働科学研究の結果でございますが、NDBのオープンデータを用いますと、2015年から2021年にかけまして、通算の算定回数がゼロ件あるいは10件未満の医療技術が抽出されたものでございまして、例を示してございます。
 4ページでございますけれども、こういった複数年にわたって算定されていない項目につきまして、その理由といたしまして、2つぐらいに整理できるのではないかということでございます。
 1つ目が、当該治療を行う対象疾患の症例数が極めて少ないこと、あるいは、2つ目といたしまして、臨床現場において当該技術が、別の技術の普及等により置き換えられているといったことでございます。
 そして、それぞれ考えられる例をお示ししてございます。
 5ページは、算定回数が複数年ゼロかつ他の技術により置き換わっていることが考えられる技術につきまして、学会から御意向を聞いたところでございます。その中で、これは診療報酬上の項目を削除してもよいのではないか、そういう意見も認められたところでございます。
 6ページには、診療報酬改定DXで診療報酬点数表のルールの明確化・簡素化ということも指摘をいただいているところでございます。
 7ページ目が課題と論点でございまして、論点でございます。
 医科(歯科)点数表における医療技術に係る診療報酬項目について、算定回数が極めて少ない項目のうち特に他の技術により置き換えられているようなものについては、関係学会等の意向を踏まえつつ、削除を検討してはどうか。また、一定の経過措置を置くこととしてはどうかというものでございます。
 御説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 7ページの論点に異論はありませんが、算定回数が極めて少ない項目であっても、患者さんの治療に有効な技術も含まれる可能性がありますので、一定の経過措置期間を設けることは当然であると考えます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 論点そのものに異論はございませんが、今後は使われなくなった技術だけではなく、エビデンスからも効果が乏しい技術を含めまして、医療技術評価分科会を活用して整理を行うスキームを、事務局には、ぜひお考えいただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「保険外併用療養費について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、中医協総-5-1、その参考、そして中医協総-5-2を用いまして、一括して御説明をさせていただきます。
 総-5-1を御覧ください。1ページ目でございます。
 「1 選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果への対応について」でございます。
 ここにございますとおり、10月20日の中医協総会におきまして、選定療養に追加すべき事例等に関する提案・意見募集の結果について報告を行い、今後、必要に応じて中医協で議論することとされておりました。
 今般、寄せられた意見につきまして、対応方針を御提案するものでございます。
 真ん中に寄せられた意見について、以下の対応方針としてはどうかとございます。対応方針でございまして、①、②、③と掲げてございます。
 ①、高血圧症治療補助アプリ等の主に患者自ら使用するプログラム医療機器、SaMDに係る保険適用されている期間を超えた使用。
 ②といたしまして、保険診療で対象とならない患者さんに対する間歇スキャン式持続血糖測定器の支給。
 ③、不妊治療における医学的理由ではない患者都合による精子凍結・融解でございます。
 それぞれ追加を検討する理由について、御説明をさせていただきます。
 まず、1についてでございます。1ページの下にございますとおり、こちらは規制改革でも議論があったところでございますけれども、こうしたアプリ等、主に患者さん自身が御使用されるものであって、保険適用されているプログラム医療機器で保険適用期間が定められているものにつきましては、その期間が終了した後に、患者さんが自身の生活習慣の管理等のために、継続の使用を希望した場合であっても、現行の規定では、保険診療と併用はできないところでございます。
 こうしたプログラム医療機器につきまして、保険期間が終了した後も、患者さんの御希望等に基づき、使用を継続する場合が想定されますので、保険外併用療養の活用について検討が必要ではないかと指摘があったところでございます。
 こちらにつきまして、従前の有体物であるような医療機器と比較いたしまして、一般的に侵襲性が低く、安全性に対して、大きな問題が生じる可能性は低いプログラム医療機器の特性ですとか、保険医療材料専門部会における御議論を踏まえまして、高血圧治療補助アプリ等の、主に患者自ら使用するプログラム医療機器に係る保険適用されている期間を超えた使用に関しては、選定療養として追加することによりまして、使用の継続を希望する患者さんが保険診療による治療と当該プログラム医療機器の併用を行えるようにしてはどうかというものでございます。
 次に、②でございます。間歇スキャン式持続血糖測定器につきましては、インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っていらっしゃるか入院中の患者以外の患者について、診療報酬上評価してございます。
 当該医療機器の性質上、例えば、当該患者さんが診療報酬上対象とならなくなった場合におきましても、①と同様に患者が自身の生活習慣の管理等のために使用を希望する場合も想定されるところでございます。
 こうした場合を踏まえまして、使用を併せて行えるようにしてどうかと御提案するものでございます。
 ③でございます。不妊治療でございます。
 令和4年度の診療報酬改定におきまして、新たに保険適用がなされたところでございまして、精子凍結・融解につきましては、現行の保険診療では「体外受精・顕微授精」の技術料と一体的な評価がなされているところでございますが、令和4年度診療報酬改定後の状況を踏まえた議論の中で、独立した技術でありまして、個別に評価すべきであると指摘されてございます。
 一方で、医学的ではない患者都合の場合に関しましては、保険診療の評価にはなじまないことから、選定療養に位置づけることによりまして、保険診療との併用を可能としつつ、個別の評価を可能としてはどうかと考えているものでございます。
 なお、2ページの下の○でございますが、今回寄せられた御意見のうち、①から③以外のものにつきましては、資料参考5-1のほうに記載してございますが、これらにつきましては、医療技術評価分科会に同様の提案があるなど、療養の給付との関係を整理すべきもの、療養の給付として既に保険適用の対象となっているものなどの理由で、対応しないこととしてはどうかとさせていただいてございます。
 次に、3ページ目でございます。
 「2.社会保障審議会医療保険部会や中央社会保険医療協議会における議論への対応について」としてございます。
 長期収載品の保険給付の在り方の見直しにつきましては、これまで、医療保険部会や中医協において御議論いただいたところでございます。
 この長期収載品の使用につきましても、選定療養を活用することとされておりますので、今般、選定医療に追加すると書かせていただいているところでございます。
 続きまして、資料総-5-2に行かせていただきます。「プログラム医療機器の評価療養について」でございます。
 こちらにつきましては、既に保険医療材料専門部会において御議論いただいている内容が主となります。
 その資料を1から16ページまで御紹介させていただいてございます。
 論点は2つございまして、まず「薬事承認における二段階承認の考え方に基づく第1段階承認を取得したプログラム医療機器について」でございます。
 5ページを御覧ください。こちらは、プログラム医療機器の特性。
 6ページは、その特性を踏まえた二段階承認に係る薬事上の取扱いについての資料でございます。
 この第1段階承認を得たプログラム医療機器に対する評価につきましては、8ページにございますとおり、規制改革実施計画、中医協総会、そして保険医療材料等専門組織において御意見をいただいたところでございます。
 その上で、9ページにありますとおり、保険医療材料専門部会におきましては、こうしたプログラム医療機器の使用について、保険外併用療養費制度の見直しについて、中医協総会で御検討を求めるとされたところでございます。
 次に「保険適用後にチャレンジ申請により再評価を受けることを目指すプログラム医療機器について」でございます。
 12ページに御ございますとおり、その評価につきまして、規制改革実行計画、保険医療材料専門組織において御意見をいただいてございます。
 14ページにおきまして、プログラム医療機器におけるチャレンジ申請として想定する場合について、お示ししてございます。
 「(2)保険適用されていない範囲の使用における有効性に係るチャレンジ申請」について、保険外併用療養の活用について御議論をいただいているところでございます。
 その上で、16ページにありますとおり、保険医療材料専門部会におきまして、こうしたプログラム医療機器の使用について、保険外併用療養制度を活用できるよう、中医協総会に検討を求めることとしてはどうかとされたところでございました。
 以上を踏まえまして、課題と論点でございます。
 17ページに課題としてまとめられてございます。今、申し上げたことをるる書かせていただいてございまして、論点でございます。
 18ページになりますけれども、2つポツがございます。
 1つ目のポツでございますが、臨床的意義は確立されていないものの、非臨床試験等により示すことのできる使用目的または効果の範囲に限定した薬事上の第1段階承認を取得しているが保険適用がされていないものであって、臨床現場で使用された経験を踏まえながら市販後に臨床的エビデンスが確立された後に承認事項で一部変更承認申請等を行うことで第2段階承認を取得し、保険適用を目指しているもの。
 次のポツですが、既に保険適用されているが、保険適用されていない範囲における使用に係る有効性に関し、チャレンジ申請により再評価を受けることを目指すもの。これらにつきまして、保険診療との併用を認め、保険外併用療養費制度のうち評価療養として実施可能とすることについてどのように考えるかとさせていただいてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 資料総-5-1「選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果への対応等について」です。
 1ページの対応方針の①では、高血圧治療補助アプリ等の主に患者自ら使用するプログラム医療機器に係る保険適用されている期間を超えた使用を選定療養とすることが提案されておりますが、これは、現行でも選定療養に含まれている、規定する回数を超えて受けた診療と同様の概念と理解しました。
 なお、今後、個別性が大きい多様なプログラム医療機器が開発されることを踏まえれば、一律に選定療養として扱うのではなく、個々の医療機器の特性も踏まえて、個別に検討していく必要もあると考えます。
 次に、資料総-5-2、プログラム医療機器の評価療養について、18ページの論点に沿ってコメントします。
 第2段階承認を目指すプログラム医療機器であっても、また、保険適用されていない範囲に係るチャレンジ申請を行う場合であっても、保険導入を目的として、データ収集を行うのが評価療養であり、その制度趣旨を踏まえれば、適切な期限を区切って実施することが重要であると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかには、いかがでしょうか。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 資料総-5-1及び総-5-2につきましては、おおむね中医協で議論された内容が反映されており、異論はございません。
 ただ、1つだけ総-5-1の③にございます、患者都合による精子凍結・融解につきまして、資料の5-1の参考の2ページを見てみますと、上から3つ目に「現在全て医療施設からの持ち出しであり、医療経営を圧迫している」と記載がございます。
 一方、総-5-1に戻りまして、2ページの③を見てみますと、包括評価か個別評価かどうかは別として、医学的な理由の場合は、保険診療として評価するということでございます。
 患者都合であることを適切に判断いただき、選定療養で費用を徴収する場合でも、患者の負担になりませんよう、運用において配慮をよろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 すみません、久しぶりのオンライン出席なので、手を挙げるタイミングを逸しておりました。申し訳ございません。ありがとうございます。
 私からも、総-5-1の対応方針の③、不妊治療における医学的理由ではない患者都合による精子凍結・融解について、意見を申し上げたいと思います。
 患者都合とは、どの程度を指すのでしょうか。一般的な感覚としては、医学的な必要性がないのに、患者が長期間保存を希望された場合といったことについては、患者都合に当たるかなと考えておりますが、例えば、共働き世帯が増えている中、男性側が出張などで受診日当日に精子を持ち込めない場合もあろうかと思います。
 不妊治療と仕事との両立の支援という観点からも、これを患者都合とし、患者に負担を求めるというのは、いささか違うかなと思っております。
 保険適用とすることに、社会的に許容される範囲もあるかと思いますので、不妊治療を行う方を支援するという政策に相反する対応とならないよう、その点を含めて御検討いただければと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 それでは、ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「訪問診療・往診等における距離要件について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、訪問診療・往診等における距離要件について、総-6を用いまして御説明をさせていただきます。
 中身の説明に入ります前に、これは、令和6年度の診療報酬改定に向けてという御議論のものではございません。現行、行われている運用について、後ほど御説明申し上げますが、外部の会議でもその運用についての指摘を受けておりますので、それについて御相談をするものでございます。
 まず、この訪問診療・往診等における距離要件について、現行の評価でございます。
 2ページにございますとおり、往診料や在宅訪問診療料があるところでございます。
 そして、3ページにお進みいただきまして、訪問診療料や往診料の算定における16kmルールということが存在しているということでございまして、原則、地域医療を守る観点からも、患家に近い近隣の医療機関が、その地域の医療を提供するという観点から、16km以内の患家にある診療につきましては、近隣の医療機関が対応するということが求められているところでございますけれども、一方で、保険医療機関等の所在地と患家の所在地との距離が16kmを超える往診につきましては、当該保険医療機関からの往診を必要とする理由がある場合に認められるということでございまして、例外的にそういう近隣でない医療機関からの往診も行った場合に、算定が可能という取扱いとしているところでございます。
 考え方といたしまして、告示上、3ページの注の4でございますけれども、保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16kmを超えた場合、特殊の事情があったときの往診料は、別に厚生労働大臣が定めるところに算定するということで、算定可能とされているところでございます。
 その解釈の通知でございます。事務連絡などが4ページにお示しさせていただいているものでございまして、1つ目の黒丸でございます。この理由については、どのようなものかということでございますけれども、①、②のような場合、①は16km以内に患家の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合や、患家の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在していても、往診等を行っていない場合などが考えられるということでございます。
 さらに、これは平成27年の事務連絡でございますが、絶対的な理由に該当するものといたしまして、下の答えの中の引用でございますけれども、往診等行う保険医療機関が施設から16km以内の保険医療機関に個別に、または当該地域の医師会に往診等を行う保険医療機関があるかをあらかじめ確認する必要があるという運用でお示ししておりましたけれども、こういったものにつきまして、さらに解釈を明確化し、周知をするということが、私ども事務局に求められてございます。
 それは、5ページにあるものでございまして、これが規制改革実施計画の中の記載、そして、5ページの下でございますけれども、総合経済対策の中におきましても、地域の在宅医療の提供状況に応じ、16kmを超えた往診が可能となる理由の内容について、今年中に、さらなる整理・周知を行うとされたところでございまして、ここに係る御議論を求めるものでございます。
 6枚目に論点として、お示しをさせていただいてございます。
 現行の絶対的な理由に該当する例示以外で、患者さんが往診等を受けることが困難な場合の、患者の所在地との距離が半径16kmを超える保険医療機関による往診等の取扱いの明確化・周知についてどのような対応が考えられるかとさせていただいております。
 事務からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 6ページの論点についてコメントいたします。
 患者さんの状況を考えれば、例外的に16kmを超えた往診等を行うこともやむを得ない場合もあると考えます。
 しかし、その場合であっても、往診等の依頼を受けた医療機関は、ふだんから受診や相談等をしている医師や医療機関がないかを患者さんに確認して、しっかりと状況確認を行ってから往診等を行うようにすることが、質の担保された在宅医療を継続するという意味で重要だと考えます。
 特に、患者さんから、ふだんから受診や相談等をしている医師や医療機関があるという回答があった場合には、当該医療機関に対して、16km外の医療機関から連絡した上で対応するのが適当であると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 訪問診療や往診に対して、患者のニーズがあることは十分理解しておりますが、通院が可能な場合は、外来で受診することが原則であり、特に往診につきましては、行動制限がかけられていた新型コロナ流行時のような診療形態を前提にすべきではないということを、まず、最初に指摘させていただきます。
 我々保険者から被保険者へ適切な受診を周知することも必要だと認識しておりますが、医療現場においても改めて原則を意識していただきたいと思います。
 そもそも在宅医療につきましては、かかりつけ医機能の1つとして、医療法上でも位置づけられましたので、かかりつけ医機能を強化する中で、患者のニーズに対応することが基本だと考えます。
 そうなりますと、患者の近くにいて、急変時に駆けつけることができるという意味で、目安として現状の距離規制を維持する妥当性はあります。仮に16km以内にかかりつけの医療機関が存在しない場合や、対応が困難な場合に限り、例外的に16kmを超えた場所にある医療機関が対応するという形で、整理することは可能だと考えます。
 また、かかりつけの医療機関が対応困難な場合に遠方の医療機関が対応する場合には、かかりつけの医療機関と適切に連携することも重要な要素になると考えております。
 それで、この距離要件ですが、大半の国民、患者は知らないと思います。そういう意味では、ここに周知というものがありますが、別の意味でしっかり周知をいただく必要が、我々保険者も考えますけれども、厚生労働省におかれましても、よろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかに御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「令和6年度診療報酬改定への意見について(各号意見)」を議題といたします。
 本日は、1号側委員、2号側委員、それぞれから、令和6年度診療報酬改定に関する御意見が提出されております。極めて短い時間にまとめていただき、ありがとうございました。
 この御意見は、中医協として1つの意見にまとめるというものではございません。今後、診療報酬改定の個別項目の議論を進めていくに当たって、改めて、各号から御意見を整理して提出していただいたというものでございます。次回以降、これらの御意見を踏まえながら、議論を深めていきたいと思います。
 それでは、まず、1号側委員から御説明をお願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 令和6年度診療報酬改定の基本方針、これまでの中医協の議論等を踏まえまして、1号側委員7名で意見を取りまとめましたので、代表いたしまして、私、松本のほうから述べたいと思います。
 資料は総-7-1を御覧ください。
 まず、全体の構成でございますが、最初から基本認識、診療報酬、薬価・保険医療材料価格等となっております。
 さらに、診療報酬は重点項目として、入院医療、救急医療、外来医療、在宅医療、医療DX、歯科、調剤、感染症対応、医師等の働き方改革の推進、医療従事者の処遇改善、長期収載品の患者負担、後発品、バイオ後続品、リフィル処方箋等、そして明細書の無料発行の13項目、その後に個別項目として、不妊治療以下12項目について記載をしております。
 ここでは、基本認識、診療報酬の重点項目のうち、幾つかの全文を読ませていただく形で意見を申し上げ、我々の思い、考えを御理解いただきたいと思います。
 それでは、基本認識です。
 診療報酬は医療サービスの対価であり、保険診療として確立された価値について、全患者に共通する基礎部分を基本料で評価した上で、患者に応じた付加部分を個別に評価することが原則である。患者をはじめとする費用負担者の理解と納得のためには、患者の状態や投入された医療資源を反映した、重複のない評価としなければならない。医療政策を実現するための手段として診療報酬を用いる場合には、患者の自己負担に結びつくことや、公的医療保険制度が国民・事業主の保険料負担を基盤に運営されていること等に留意し、診療行為との関連性等を十分に考慮して補助金・交付金と役割分担することが不可欠である。
 令和6年度診療報酬改定は、団塊の世代が全て75歳に到達する節目を1年後に控えた時期に当たる。今後も生産年齢人口が減少する一方で、高齢者の医療ニーズの増加は確実であり、依然として不十分な医療機能の分化・強化や連携を加速させる必要がある。さらに、新型コロナウイルス感染症が5類に移行して初の改定であること、介護報酬や障害福祉サービス等報酬との同時改定であること、第8次医療計画・第4期医療費適正化計画・医師の時間外労働規制等と同時施行であること、かかりつけ医機能報告が令和7年度に施行予定であること、物価高騰や賃金上昇への対応が求められていること等を踏まえれば、限られた財源の中で、医療DXを本格的に活用しながら、患者にとって安全・安心で効果的・効率的な医療を実現するために、真にめり張りの効いた大胆な配分の見直しが必須である。
 議論に際しては、政府が決定した改定率と社会保障審議会の医療保険部会・医療部会が策定した基本方針を前提とし、診療報酬調査専門組織での技術的な検討結果を最大限尊重するとともに、医療経済実態調査等の客観的データや学会ガイドライン等のエビデンスに基づく判断が肝要である。
 続きまして、診療報酬の中で、重点項目については、幾つか取り上げてお伝えしたいと思います。
 まず、1つ目は、2ページの入院医療でございます。
 限られた医療資源を有効に活用するためには、引き続き病床機能の分化・強化と連携を推進することが基本である。2025年に向けた地域医療構想に基づく病床再編は十分と言えず、より踏み込んだ対応が求められる。また、介護保険施設を含めた強固な連携体制を構築することが不可欠である。
 特に高度急性期や急性期において、一部の治療室や病棟が令和4年度診療報酬改定以降に増加していることは、専門的な医療資源を集中的に投入できる濃密な医療提供体制を確保する流れに逆行する。高齢者の救急搬送をはじめ、基礎疾患の急性増悪や合併症の治療には、より早期からのリハビリテーションが重要である。一定程度の急性期治療とADLの維持・回復を同時に対応できる病棟を確保するとともに、下り搬送を含めて、高度急性期から急性期、急性期から回復期への速やかな転棟・転院を促す必要がある。高齢者の急性期医療ニーズの増加を理由として、高度急性期機能や急性期機能の重点化と回復期機能の充実を怠れば、入院医療全体の弱体化につながる懸念がある。
 回復期については、リハビリテーションの需要増に対応できる病床数の拡大とともに、期待される役割を真に発揮した実績を適切に評価することで、機能を強化する視点が重要である。
 慢性期の病床機能については、患者の状態と医療資源投入量に応じた評価の視点が不足している。療養病棟を多く抱える医療機関の経営状況が好調であることを念頭に入れ、医療療養病床の看護配置25対1の経過措置が令和5年度末に廃止されることも踏まえ、あるべき医療の姿や医療資源投入量を適切に反映した指標により、めり張りのある評価とするべき。
 DPC/PDPSは、真に急性期医療を担う医療機関を適切に評価できることが重要である。参加病院全体のデータに基づき診断群分類ごとの評価及び医療機関別係数が決定される制度全体の性質を踏まえ、一部の医療機関で診療密度が低いこと等によりほかの急性期医療機関の評価を不当に歪めることのないよう、DPC対象病院を厳格に制限するべき。
 続きまして、6ページに移っていただきます。救急医療です。
 高齢者の救急搬送が増加する中で、必ずしも重篤でない患者が高次救急医療機関に搬送されることがあり、初期対応の後に速やかに下り搬送すること等により、効率的で効果的な医療資源の活用につなげるべき。系列医療機関の間での搬送等の院内転棟に近いケースを除き、適切な転院搬送を促進することが考えられる。また、令和2年度診療報酬改定で救急医療管理加算の補完的な情報収集として導入したJCS、P/F比、NYHA等の指標については、入院時点における患者の状態に応じた加算の算定に必ずしも反映されていない実態が示唆されており、算定要件としての実装に踏み切る必要がある。
 続きまして、同じ7ページの外来医療でございます。
 疾病に罹患した場合の初期治療から、入院医療や在宅医療の調整、長期間にわたる慢性疾患の管理まで外来の医療ニーズは幅広い。上手な医療のかかり方や地域包括ケアシステム等の総合的な医療政策も踏まえ、「患者中心の医療」を推進する観点で診療報酬上の対応を考える必要がある。
 紹介受診重点医療機関が令和5年から公表され始め、今後、専門外来と一般外来の分化がより進むことを念頭に置き、かかりつけ医機能を早急に強化しなければならない。令和5年医療法改正により、かかりつけ医機能の定義が法律に規定され、令和7年度から「かかりつけ医機能報告制度」が新たに導入される。この流れを想定し、令和6年度診療報酬改定においては、時間外対応や介護との真の連携を促す要件の設定、計画的な疾病・療養管理に関する重複評価の是正、医師と患者の合意事項を電磁的な方法を含めて可視化すること等が考えられる。さらに、患者の通院負担に配慮してリフィル処方・長期処方や適切なオンライン診療を普及させるとともに、医療DXを通じた情報共有により、最適な医療を実現するべき。
 続きまして、11ページにございます、医療DXでございます。
 オンライン資格確認等システムを通じた医療情報の活用を着実に浸透させるとともに、電子処方箋の早期拡大、電子カルテ情報共有サービスの円滑な導入、さらには全国医療情報プラットフォームの実現は、今後の効率的・効果的で質の高い医療に不可欠な要素である。補助金と診療報酬の役割分担を踏まえつつ、スピード感を持って推進するべき。また、診療報酬改定DXにより、医事会計システムの改修を円滑化することは、医療機関・薬局のコスト低減を通じて、診療報酬制度の運営そのものを効率化させるものと考える。
 続きまして、15ページに移りまして、医師等の働き方改革の推進でございます。
 適切な医療のかかり方や地域医療構想に基づく医療提供体制の見直しは、医師等の働き方改革と表裏一体の関係にある。今後の医療ニーズの変化や労働力人口の減少を見据え、必要な医療を効率的・効果的に提供できる体制を整備していくことが非常に重要である。外来と入院のいずれも機能分化・強化や連携を推進することが、勤務医の負担軽減にも寄与することから、こうした共通認識の下で患者負担や保険料負担への影響を考慮しつつ、医療機関で働く全ての医療従事者と医療機関の働き方改革を推進するべき。
 続いて、16ページの医療従事者の処遇改善でございます。
 処遇改善は医療機関のマネジメントの要素が大きく、配分の見直しで対応することが原則である。一方で、医療関係職種間で賃金格差があり、全産業平均の賃上げに追いついていない医療関係職種が存在することも事実であり、政府方針に示された全ての医療従事者の処遇改善を推進するべきである。病院と診療所の経営状況に違いがあることも踏まえ、医療経済実態調査で明らかになった資本の増加分を活用することも念頭に、現実的な対応を検討する必要がある。
 まずは診療報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」において技術的な検討を行い、その結果を踏まえて具体的な取扱いを中医協総会で慎重に判断するべきでございます。
 以上、ほかの項目については、資料を御覧いただきたいと思います。
 個別項目といたしましては、不妊治療、小児医療、認知症対策、周産期医療、がん・疾病対策、医療・介護・障害福祉サービスの連携、リハビリテーション・栄養・口腔、入院時の食費、精神医療、人生最終段階における医療・ケア、緩和ケア、医療技術について記載しておりますので、これについても御確認いただければと思います。
 基本認識でも述べましたように、患者にとって安全・安心で効率的・効果的な医療を実現するために、真にめり張りの利いた大胆な配分の見直しを通じて、改定の基本方針にあります、基本的視点と具体的方向性に掲げられた4つの課題の解決に、必ずやつなげたいと考えております。
 私からは以上であります。ありがとうございました。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、2号側委員から御説明をお願いいたします。
○長島委員
 「国民が望み納得できる、安心・安全で良質な医療を安定的に提供するための令和6年度診療報酬改定に対する二号(診療側)委員の意見」について、説明いたします。
 意見は、医科、歯科、調剤の順に、それぞれ基本的考えと具体的検討事項という構成になっております。
 まず、医科については長島から、次に、歯科については林委員から、最後に、調剤については森委員から説明いたします。
 それでは、医科について、意見の中核となる基本的考え方を読み上げさせていただきます。資料の1ページです。
 我が国では世界に類を見ない少子高齢社会が進展し、人生100年時代を迎えようとしている。国民が幸せな生活を持続するために、安心して医療・介護を受けられるようにすることは不可欠である。そして、日本の「国民皆保険」という財産を守り抜き、次世代へつないでいかなければならない。
 また、新型コロナウイルス感染症の経験を教訓に、新興感染症への対応として、有事にも平時にも強い医療提供体制が求められている。あわせて、厳しい状況の中で献身的な働きをつづける医療従事者を支え、守ることも重要である。
 こうした課題に向け、国民から負託された貴重な財源を最大限適切に活用する必要がある。
 社会保障審議会(医療保険部会・医療部会)が、本年12月11日にとりまとめた「令和6年度診療報酬改定の基本方針」の基本認識では、現下の食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰の状況、30年ぶりの高水準となる賃上げの状況などといった経済社会情勢は、医療分野におけるサービス提供や人材確保にも大きな影響を与えており、患者が必要とする医療が受けられるよう、機動的な対応が必要とされている。
 また「骨太の方針2023」では、令和6年度診療報酬改定に対して、デフレ完全脱却のための総合経済対策(令和5年11月2日閣議決定)を踏まえつつ、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行うとされている。
 このような基本認識のもと「現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」が、基本方針の重点課題に位置づけられた。
 高齢者人口がピークを迎える2040年の医療提供体制の展望を見据え、実効性のある医師・医療従事者の働き方改革を推進し、総合的な医療提供体制改革を実現することで、持続可能な社会保障制度を実現するとともに、新興感染症の流行等にも即座に対応できるよう、余力を持った平時の医療提供体制を構築することで、社会保障のさらなる充実が図られ国民の安心をより高めることが可能になる。
 さらに、国民が住み慣れた地域において質の高い医療・介護を受けるため、かかりつけ医を中心とした切れ目のない医療・介護提供体制が確保されるよう、介護・福祉サービスとの連携を強化する必要がある。令和6年度診療報酬改定は医療・介護・障害福祉サービス等報酬の6年に一度の同時改定であることを念頭に、地域における医療資源を有効活用しつつ、継続して改革を進めるために必要財源を配分すべきである。
 我々は、医療者として地域医療を守る使命感と倫理観に基づき、持続的に我が国の医療制度を維持・発展させるため、令和6年度診療報酬改定に当たっては、以下に示す事項を基本方針として捉え、その実現に向けて取り組むことを求める。
 なお、これまで中医協で検討してきた項目については、あくまでも財源を考慮せずに議論されてきたものであり、改定率を踏まえためり張り付けや、優先順位に基づき実施しないものが出てくることは当然である。
 以下、項目のみ紹介いたします。
 「1.診療報酬体系の見直し」「2.あるべき医療提供体制コスト等(医業の再生産費用を含む)の適切な反映」「3.新興感染症等にも対応できる大病院、中小病院、診療所が各々に果たすべき機能に対する適切な評価と、地域の医療提供システムの運営の円滑化」「4.医師・医療従事者の働き方の実状を踏まえた診療報酬上の対応」「5.小児・周産期医療の充実」「6.不合理な診療報酬項目の見直し」「7.その他必要事項の手当」。
 具体的検討事項に関しては、時間の制約もありますので、説明を割愛いたします。
 医療については、以上です。
 続けて、歯科について、林委員から説明していただきます。
○林委員
 引き続きまして、11ページからは歯科の基本的考え方でございます。
 社保審医療部会・医保部会における、今同時改定の基本認識には、全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応」が掲げられております。
 少子高齢化といった人口構造の変化が急速に進む中、社会の活力を維持・向上し、全世代型社会保障を構築する鍵は「健康寿命の延伸」であり、口腔の健康が全身の健康及び健康寿命の延伸に寄与することが多くのエビデンスにより示される中、歯科医療の果たす役割や責務は非常に大きいと考えております。
 具体的には、ライフコースに応じたう蝕や歯周病を含めた口腔疾患の重症化予防及び口腔機能の維持・向上に資する歯科医療を「かかりつけ歯科医」が中心に提供することが重要で、超高齢社会において増加する要介護者や基礎疾患を有する高齢者への歯科医療や口腔健康管理を通じ、生活の質の向上に寄与することも責務であると考えております。
 加えて、歯科医療機関を受診する患者像が多様化する中、かかりつけ歯科医を含めた多職種連携の強化は重要で、適切な役割分担の下、医歯薬連携の推進をはじめ、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理に着目した様々な連携強化は、今後、さらに推進すべきで課題でございます。
 また、歯科医療においても、医療DXの推進による医療情報の有効活用、ICTの利活用、遠隔医療の推進は重要な課題であり、今改定においてさらに推進していくべきと考えております。
 加えて、新型コロナウイルス感染拡大時の対応を踏まえ、新興・再興感染症の発生、蔓延時にも切れ目なく歯科医療が提供できるよう、平時からの連携協力を含めた歯科医療提供の体制強化を進めるべきで、改めて国民の健康・生命・生活を守る立場の歯科医療を再検証すべきと考える。
 一方で、重点課題の具体的方向性でも示されております「医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組」につきましては、医療従事者の賃上げが他の産業に追いついておらず、かつ求人倍率も高止まりしている状況において、歯科医療関係職種にも応分の対応が急務であります。医療経済実態調査の結果からも、多くの個人立歯科診療所では損益差額の減少が認められ、コロナ関連補助金による下支えがほとんどない中、設備投資やスタッフの処遇改善もままならない厳しい経営状況が続いていることが明らかになりました。今後も「国民の健康な生活を支える」という歯科医療提供者の本来の責務を持続的に果たしていくため、以下の矢羽根と黒ポツに掲げる事項を基本方針と定め、歯科診療報酬について所要の改定を求めるものでございます。
 また、具体的な内容に関しましては、13ページ以降に記載してございます。時間の関係上割愛いたしますが、後ほど御高覧ください。よろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○森委員
 ありがとうございます。
 私からは、17ページの「保険薬局における調剤報酬関係」。それから、18ページの「病院・診療所における薬剤師業務関係」の基本的な考え方に関して読み上げさせていただきます。
 まず、17ページの「保険薬局における調剤報酬関係」になります。
 令和6年度の診療報酬改定に当たり、6年連続の薬価改定や物価高騰・賃金上昇などの影響により、薬局経営は大きな影響を受けているが、薬局における物価高騰への対応や賃上げ実施による人材確保は急務である。
 薬剤師・薬局は国民のための医薬分業を推進しつつ、地域医療の一員として、地域の医薬品提供を担い、国民・患者への個々の状況に応じた最適化した薬物療法の提供や医療DXを活用した医療機関等との連携強化、医療・介護連携による適切な医療提供に向け、薬剤師業務や薬局機能の向上により一層取り組んでいく必要がある。
 国民・患者が、住み慣れた地域で療養環境に関わらず望む医療を受けられ、安全・安心な医薬品を使用できるよう、薬局の機能を強化し、薬剤師・薬局による適切な薬物療法の提供に資する業務の推進や適切な医薬品提供体制を確保するとともに、かかりつけ機能を基本とした多職種連携をより一層の推進が重要である。
 すなわち「医薬品の供給拠点としての薬局の体制維持と機能強化」「薬剤師・薬局におけるかかりつけ機能の発揮」「医療機関や介護施設と薬局の連携の強化」「服薬指導・薬学管理の充実、重複投薬・多剤投与、残薬解消等への対応の強化」「在宅訪問に関する対応の充実」「医療DXの推進や薬局業務の見直しによる働き方の効率化」等の取り組みを、さらに推進することが必要である。
 また、新興感染症への対応として、薬剤師・薬局による状況に応じた適切な対応は、引き続き必要なものである。
 さらに、後発医薬品のさらなる普及促進に向けて取り組んでいく上で、後発医薬品のみならず、医薬品全体の信頼回復と安定供給が確保されていることが不可欠である。
 こうした状況を踏まえ、以下の事項を基本とする取り組みを進めていくことを求める。
 続きまして、18ページ目の「病院・診療所における薬剤師業務関係」です。
 医師の時間外労働規制などの働き方改革の推進により、医療従事者へのタスクシフト・タスクシェアの推進が急務とされており、病院・診療所における薬剤師に対する期待が大きくなっている。それに加えて、入院・外来の医療機能の分化・強化、在宅医療・介護との連携を含め地域の特性に合わせた地域包括ケアシステムを構築し、持続可能的な地域医療の確保に向けて、多職種連携・協働における薬剤師に求められる役割は大きい。
 しかし、医療従事者の人材確保は、喫緊の課題であり、病院における薬剤師の人員不足はそれらの推進の妨げとなっており、特に中小規模の病院で深刻な状況にありながらも、有効で安全な薬物療法の提供や医薬品の適正使用の推進等、様々な業務に取り組んでいる。
 病棟における薬剤師業務のさらなる充実や、シームレスな薬物療法を目指して医療機関間の連携、医療機関・保険薬局間連携、医療DXの推進による医療情報の共有を充実することで、医療安全の確保と薬物療法の質の向上や医師の働き方改革に対応するための体制確保につながるものと考え、以下に示す事項を基本方針として、その実現に向けた環境の整備を求める。
 以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま1号側、2号側の委員から、それぞれいただいた意見につきましては、今回は議論いたしませんが、次回以降、いただいた御意見を踏まえながら、診療報酬改定の個別項目の議論を行っていきたいと思いますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 皆様、よいお年をお迎えください。

 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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