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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第571回議事録(2023年12月8日)

 
 

2023年12月8日 中央社会保険医療協議会 総会 第571回議事録

○日時

令和5年12月8日(金)8:30~

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 永瀬伸子委員 本田文子委員 安川文朗委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 太田圭洋委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」からの報告について
○医療DX(その4)について
○個別事項(その12)について
○個別事項(その13)について
○個別事項(その14)について
○処遇改善(その2)について
○入院時の食費について(その2)
○令和6年度診療報酬改定に関する基本的な見解(各号意見)について

 

 

○議事 

○小塩会長
 おはようございます。ただいまより、第571回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 最初に、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、岡本専門委員が御欠席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 初めに「診療報酬調査専門組織『医療機関等における消費税負担に関する分科会』からの報告について」を議題といたします。
 消費税分科会の飯塚分科会長より御報告をいただき、その後に、事務局より補足をお願いいたします。
 それでは、飯塚分科会長、よろしくお願いいたします。
○飯塚分科会長
 消費税分科会長の飯塚敏晃です。
 医療機関等における消費税負担に関する分科会につきましては、資料総-1にありますとおり、10月及び12月に開催し、消費税率10%への引上げに伴う補填状況を把握して、その結果を踏まえ、令和6年度診療報酬改定における対応案について審議を行いました。
 審議の結果、令和6年度診療報酬改定においては、消費税上乗せ分の見直しは行わないこととし、引き続き、消費税負担額と診療報酬の補填状況を把握して、検証を行うことが適当という対応案について、方向性はおおむね一致いたしましたので御報告いたします。
 詳細については、事務局から資料により説明をお願いいたします。
○小塩会長
 事務局、いかがでしょうか。お願いします。
○荻原保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。
 資料総-1「診療報酬調査専門組織『医療機関等における消費税負担に関する分科会』からの報告について」を用いまして、消費税分科会における議論について御説明いたします。
 資料の2ページ目を御覧ください。
 医療機関等における消費税負担に関する分科会における議論の経過でございます。
 令和5年10月4日に、今後の進め方等についてということで、医療機関等における消費税補填状況の把握の方法などについて御議論いただきました。
 議論の中では、令和3年度の前回調査の把握方法に倣い、補填状況を調査するということになり、今回その方法に沿って調査を実施いたしました。
 その後、12月6日に補填状況の調査結果を報告し、令和6年度診療報酬改定における対応案について御議論いただきました。
 資料の下のほうには、分科会の委員名簿をおつけしております。
 委員の構成は、公益、税制、会計有識者、支払側委員、診療側委員、医薬品、材料関係団体の方々となってございます。
 続きまして、3ページ目を御覧ください。
 事務局よりお示しいたしました。令和6年度診療報酬改定における対応案でございます。
 下のほうに、令和4年度、令和3年度の補填状況を記載してございます。
 令和4年度の補填率で申し上げますと、病院は112.8%、一般診療所は94.6%、歯科診療所は105.4%、保険薬局は91.7%でございました。
 同じく、令和3年度の補填率は、それぞれ113.2%、88.9%、103.2%、89.5%となってございます。
 病院と一般診療所を合わせた医科全体で見ますと、令和4年度は107.1%、令和3年度は105.6%の補填率という結果になりました。
 資料の上段に記載がございますが、令和5年度の医療経済実態調査によりますと、令和3年度、4年度におきましては、保険診療収益について、新型コロナウイルスの影響から一定程度回復が見られる一方、令和4年度においては、物価高騰の影響から医療・介護費用、課税対象経費も増加しております。
 こうした中、医科・歯科調剤合わせた全体の補填率は、それぞれ令和4年度においては106.1%、令和3年度においては104.5%となってございます。
 これらの結果から、令和6年度診療報酬改定においては、診療報酬の上乗せ点数の見直しは行わないこととして、引き続き、消費税負担額と診療報酬の補填状況を把握して検証を行うことが適当ではないかという対応案を示してございます。
 4ページ、議論の経過でございます。
 資料の上段は結論となっていまして、3ページで御説明させていただいた対応案について、おおむね方向性は一致が見られました。
 下のほうに、委員からの主な意見を記載してございます。
 支払側委員からは、本調査におけるコロナ補助金等の控除についての認識に対し違和感は残るが、マクロで補填されている状況を踏まえ、基本的には対応案に異論はない。次回調査においては、より適切な把握方法や、補填の過不足をどこまで許容するかについて、分科会で議論することも必要との御意見をいただきました。
 診療側委員からは、今回は補填方法を大きく見直す必要はないと考えられ、対応案は了承するが、一般診療所については、令和3年度の前回調査に引き続き補填不足となっており、保険薬局も補填不足となっている。今後補填不足とならないよう、補填状況を注視していくとともに、上乗せ点数の適切な見直しについても、引き続き、検討する必要があるという御意見をいただきました。
 5ページ目以降につきましては、参考資料として補填の把握方法、類型別の補填率を示した資料となってございますので、説明は割愛させていただきます。
 説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。また、調査結果報告、感謝いたします。事務局提案については了承いたします。
 その上で、歯科におきましては、補填率が100%強との数字が出ておりますが、補填率に関しましては、ばらつきがあるということは、現場感覚として感じておるところでございます。引き続き、補填状況を精査しながらの御対応を、よろしくお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 対応案については了承いたします。ただ、保険薬局の補填状況を見てみますと、令和3年度が89.5%、令和4年度が91.7%と2年連続で補填不足となっております。現在の補填の仕組みは、処方内容や患者動向といった算定回数による影響があることや、薬局ごとで設備状況等が異なること、同じ薬局でも年によって設備投資状況が異なること等のため、消費税負担分の補填を過不足なく100%とすることは、極めて難しいことは理解していますが、2年連続で10%も補填不足となっている状況については懸念があり、きちんと補填がされていないのであれば、薬局にとって大きな負担となっています。
 今後は2年連続で補填が大きく不足した要因について、経費が増したのか、補填対象の項目の算定回数が減少したのか、新型コロナの影響なのか等、その要因をしっかりと検証していただき、次回の調査で、さらに補填マイナスの状況が続くようであれば、対応をお願いしたいと思います。
 また、物価高騰のため、今後も経費額、経費率の上昇が予想されます。次回の補填状況の把握の際には、物価高騰による影響等も踏まえて、経費率を変更する必要があるのか、補填項目を見直すのかなどの検討も必要ではないかとも考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。特にほかには御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、報告のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 続きまして「医療DX(その4)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 おはようございます。医療課長でございます。
 それでは、医療DXについて(その4)ございます。中医協資料総-2を用いまして、御説明をさせていただきます。
 スライド2に、本日の目次がございます。
 3ページ目からでございますけれども「診療報酬における書面要件のデジタル化について」でございます。
 4ページ目に、今年の11月に閣議決定されました経済対策でございますけれども、その下に赤枠で囲ってございますとおり、診療報酬上、書面での検査結果その他の書面の作成または書面を用いた情報提供等が必要とされる項目につきまして、デジタル原則に倣い、医療現場において電磁的方法の活用が進むよう、2024年度診療報酬改定において、関係ガイドラインを踏まえつつ、2023年度中に必要な検討を行った上で措置を講ずるとされているところでございます。
 5ページ、そして6ページ目は、現行でも、厚生労働省、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを遵守し、安全な通信環境を確保すること。
 また、書面における署名または記名・押印に代わり、同ガイドラインに定められた電子署名を施した上であれば、電子的方法での提出が可能とされていることの御紹介でございます。
 7枚目でございます。これ以降は、先日の医療DXの(その3)でも御紹介させていただいたものでございます。
 将来的には、電磁的方法での医療情報のやり取りが進むことの御紹介でして、こうしたことを踏まえまして、御議論いただければと思います。
 それでは、ページは進みます。
 16ページ以降でございますけれども「書面掲示のデジタル化について」でございます。
 17ページ目では、令和3年11月に政府に設置されました、デジタル臨調におきまして、社会全体のデジタル化を推進するため、現行の法令上の規制事項に関するデジタル化の検討が進められていることの御紹介でございます。
 保険医療機関等との関係では、院内掲示に関して、院内等での掲示に加え、インターネットでの閲覧等を可能な状態にすることについても、原則義務化することが求められているところでございます。
 診療報酬上の関係で見直しをすることとされている具体的な項目につきましては、具体には、20ページから23ページでお示しをしてございますけれども、これらにつきまして、令和6年6月までに必要な対応を行うということとされているところでございます。
 それでは、3つ目の項目でございます。「診療報酬改定施行時期の後ろ倒しを踏まえた各種対応について」でございます。
 こちらは報告になりますけれども、令和6年度の診療報酬改定から、施行時期が6月に後ろ倒しになることになってございます。4月施行を前提に時期が定まっておりました調査報告などにつきまして、時期を見直すこととします。
 具体的なものといたしましては、毎年実施をしております、社会医療診療行為別統計調査につきまして、現在は、6月審査分の統計を行ってございますけれども、6月審査分ということは、こちらは、診療報酬改定施行前となりますので、申請された医療行為などが反映されないということでございますので、1から2か月間、時期を後ろ倒すことを検討しているところでございます。
 また、改定年の7月に実施しております、施設基準の届出等の状況について、我々で言うと7・1報告というものでございますけれども、こちらは改定直後に関しては、データの振れが大きいので、改定の検証に使うデータとしては、適切とは言い難いと考えてございます。
 ですので、これも1か月後ろ倒しを行いまして、8月に実施することとしたいと考えてございます。
 歯科材料の随時改定につきましては、これは、先日、11月17日の中医協で御了解いただいたとおり、年度の考え方は、基本的にはこれまでとおりですので、御説明は省略させていただきます。
 27ページに課題と論点をまとめてございます。
 課題は、今、御説明したとおりでございまして、論点で2つございます。
 「診療報酬における書面要件のデジタル化について」、2つ○がございます。
 診療報酬上書面での検査結果、その他の書面の作成または書面を用いた情報提供等が必要とされる項目について、電磁的な方法による書面の交付も可能とすることについてどのように考えるか。
 2つ目の○「その際」ということでございますけれども、ガイドライン等を遵守し、安全な通信環境を確保するとともに、書面における署名または記名・押印に代わり同ガイドラインに定められた電子署名を施すといった事項を求めていることを踏まえ、どのように考えるか。
 2つ目の項目「書面掲示のデジタル化について」についてでございますけれども、デジタル原則に基づきまして、医療機関等がインターネットでの閲覧等を可能な状態にすることの義務づけを求められている中で、その対応について、どのように考えるかとさせていただいてございます。
 事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 27ページの論点に沿って、コメントいたします。
 まず「診療報酬における書面要件のデジタル化について」です。
 医療従事者の働き方改革を進めるという意味で、全国医療情報プラットフォームの構築と併せて、デジタル化を進めていくことに異論はありません。
 ただ、従来から申し上げているとおり、急速な推進によって取り残される医療機関がないように配慮することが重要です。
 「書面掲示のデジタル化について」です。
 義務づけといいましても、ホームページを持たない医療機関も多くあるため、そういった医療機関は、当面は対象外とすべきですし、代替手段として、各厚生局のホームページで示すことや、医療機能報告制度で対応するなど、医療機関に負担のかからない方法を検討しつつ、対応できるところから始めるべきと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 27ページの論点の1つ目の「診療報酬における書面要件のデジタル化について」でございますが、医療DXの推進に資するものとして、方向性は賛同いたしますが、歯科における3文書6情報の共有は、標準型電子レセコンにおける対応も含めて、これからの検討と理解しており、その際のHPKI認証の必要性等、今後丁寧な議論が必要と考えております。
 2つ目の論点の「書面掲示のデジタル化について」でございますが、デジタル臨時行政調査会での議論への対応と理解しております。
 現在、紙発行文書で院内掲示が求められている施設基準の内容等に関して、インターネットでの閲覧等を可能にしていくことは推進すべきと考えておりますが、義務化に関しましては、歯科は小規模なところも多く、ホームページを開設していないところも多くございます。
 また、ホームページ等を開設していても、修正等にかかるコストの課題もあります。ホームページを開設している診療所だからといって、すぐに対応できるわけではございませんので、まずはしっかりと現状を把握し、過度な負担にならないよう検討いただくとともに、柔軟な対応をお願いしたく思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 示されている論点について、コメントをさせていただきます。
 長島委員、林委員と同様のこともありますけれども、御容赦いただければと思います。
 まず「診療報酬における書面要件のデジタル化について」ですが、2つの論点ともに示されている内容については、異論はございません。
 ただし、施設間の情報共有については、連携先の医療機関や薬局の事情もありますので、あくまでも電子的な手段によって交付可能とするものであって、義務化とならないようにお願いします。
 次に「書面掲示のデジタル化について」ですが、掲示事項について、インターネットでの閲覧を可能にする対応については異論ありませんが、義務化の対象は、あくまでもホームページを有する薬局等に限定されるものと理解しております。
 これは、非常に重要なことでもありますので、この理解でよいか、事務局に確認させていただければと思います。
 また、インターネットでの閲覧を可能にするということは、個々の薬局や法人のホームページが対象ということでよろしいでしょうか。最近では、例えば、フェイスブックやインスタグラムのようなSNSなどによる様々な形態でのインターネットを利用した情報発信の方法もありますが、今回の御提案は、このようなSNSのプラットフォームを利用した形態は対象外という理解でよろしいか、こちらも確認をさせていただければと思います。
 また、薬局内掲示をインターネットで公表するには、先ほど林委員のほうからもありましたけれども、薬局等での準備期間も必要ですので、義務化されるに当たっては、十分な経過措置を設けるべきだと考えます。
 また、義務化した後についても、ホームページの運用を専門の業者に委託している場合もあり、掲示事項の内容に変更が生じた場合には、作業の依頼等に一定の時間を要しますことから、合理的な範囲で一定期間の猶予を設定するようお願いできればと思います。
 最後に、事務局で分かる範囲で教えていただければと思いますが、介護分野でも同様な対応が求められていると思いますが、そちらは、どのような検討状況になっているのか、教えていただければと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ただいま、森委員から幾つか確認していただきたい事項の御指摘がございましたが、事務局、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 まず、書面掲示のデジタル化につきまして、2つお尋ねをいただいてございます。
 義務化の対象ということですが、これは、あくまでもホームページを有する保険医療機関、薬局が義務化の対象ということでございます。
 その際、その手段としては、御指摘のございましたSNSは想定されていないというところでございます。
 それから、介護保険における対応につきましては、すみません、現時点で、こちらで公式に確たるものを御紹介できる情報はございませんので、後ほど何らかの方法でお伝えさせていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、27ページの論点に沿ってコメントいたします。
 まず「診療報酬における書面要件のデジタル化について」でございますけれども、電磁的な方法による書面の交付は、情報管理の利便性や継続性の観点で、患者側にもメリットが大きく、資料の13ページから15ページで紹介されている患者サマリーのような形で、ぜひ実現していただきたいと考えます。
 一方で、デジタル化に対応できない患者にも配慮し、患者の希望に応じて、紙で情報提供するなど、柔軟な運用を可能にすることも必要だと考えております。
 また、電磁的な方法で書面を交付する際には、ガイドラインに基づき、電子署名で対応していただきたいと思います。
 次に、院内掲示のデジタル化についてでございますが、医療機関のウェブサイトに掲載されることで、誰でも、いつでも情報を確認できるようになるため、基本的には賛成でございます。
 ただ、医療機関を受診して、初めて必要になる情報もあると思います。患者にとっての分かりやすさも踏まえて、ウェブサイトに掲載する内容を精査した上で実施していただきたいと思います。
 論点にはございませんが、9ページにございます、DXの推進に関する工程表、これが確実に実現していくことが、今、議論しているものの大前提でございますので、そのフォローアップを事務局におかれましては、よろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 27ページに書かれてある論点につきましては、今ほど松本委員がおっしゃったように、おおむね異論はございません。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかには御質問等ないようですので、本件に関わる質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「個別事項(その12)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 個別事項(その12)テーマとしましては、人生の最終段階における医療・ケアにつきまして、中医協資料総-3を用いまして、御説明をさせていただきます。
 スライド2に、本日の資料の目次がございます。
 まず、討論についてということでございます。
 ページを進めていただきまして、3から6ページに関しましては、日本の死亡者数の推移、人生の最終段階において、医療・ケアを受けたい場所に関するアンケート結果など、総論的な内容をお示ししているところでございます。
 7ページ目から9ページ目に関しましては、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインについての策定の背景、そして、ガイドラインの概要等をお示ししてございます。
 10ページ目から11ページ目でございますけれども、こちらは、令和4年度の人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査報告書の結果を抜粋してお示ししてございます。
 12ページ目でございます。こちらは、令和5年5月18日に開催されました、同時改定に向けた意見交換会におけるテーマの1つでございました、人生の最終段階における医療・介護について、いただいた御意見を抜粋してお示しをしてございます。
 13ページ目は、10月の27日に御報告させていただきました、入院・外来分科会の取りまとめにおける、人生の最終段階の医療・ケアに関する意思決定支援に関しまして、いただきまして御指摘を抜粋してございます。
 それでは、2つ目の項目でございます。「人生の最終段階における医療・ケアに係る適切な意思決定支援の推進について」ということでございます。それぞれ外来と入院について、テーマを立ててございます。
 15ページでございます。
 こちらは、外来における、このガイドライン等の内容を踏まえた適切な意思決定支援に関する指針の策定割合、そして、活用状況の把握や見直しの有無の状況についてお示ししてございます。
 16ページには、参考のため、入院の状況をお示ししてございますけれども、概して入院に比べて、全体的に指針策定の割合は低いと、こういった傾向になっているところでございます。
 17ページ目は、当該意思決定支援に関する指針の策定についての診療報酬上の評価のこれまでの経緯をお示ししてございます。
 外来につきましては、令和4年度の診療報酬改定におきまして、がん患者さんに対する指導管理料の評価の中で、意思決定支援に対する指針の作成等の評価の見直しを行っているところでございますけれども、その他の疾患に、いわゆる患者さんに対しての対応がなされていないところということでございます。
 18ページ目、19ページ目は、今後、認知症の患者さんが増えていくこと。そして、認知機能の低下した患者さんにおきましては、こういったガイドラインに基づかなくても、人生の最終段階における医療・ケアの方針についての共有の割合が低くなるということを示してございます。
 20ページ目は、人生の最終段階における医療・ケアに関する話し合いの時期についての現状を示してございます。
 21ページ目は、人生の最終段階における意思決定支援におきましては、認知機能の低下等に備え、意思決定支援を繰り返すことの重要性をお示ししてございます。
 22ページ目、認知症患者さんに対する、かかりつけ医の対応ということでございまして、かかりつけ医は、患者さんの認証の診断後、認知症への対応に困ったとき相談に乗り、適切にアドバイスする役割を担いつつ、適切な段階におきましては、人生の最終段階における意思決定支援を行うことも1つの役割として求められているということを示してございます。
 23ページ目から24ページ目、こちらは診療報酬上の項目でございます。
 地域包括診療料加算と、かかりつけ医認知症対応力向上研修の概要を示してございます。
 25ページ目では、かかりつけ医機能といたしまして、患者やその家族と患者の自分らしい人生の終わり方について話し合うという割合でございますけれども、これを示してございまして、かかりつけ医認知症対応力向上研修を受講された医師の所属する施設のほうが、そういった割合が高いということを示してございます。
 26ページ目でございます。
 主治医と介護支援専門員の連携につきまして、主治医がサービス担当者会議に参加することで、医師間、支援者間に役立つ情報が蓄積され、災害緊急時や入退院連携時に役立つことを御紹介してございます。
 27ページでございます。
 外来における意思決定支援が、患者本人の望む医療・ケアの提供役立つことがあることを示す事例を御紹介したものでございます。
 28ページ目が、入院に関するところでございます。
 29ページ目は、再掲でございますけれども、最期を迎えたい場所、それまでの医療・ケアを受けたい場所として、医療機関が一定程度選択されていることを御紹介するものでございます。
 30ページ目は、意思決定支援に関する指針の策定についての経緯の再掲でございます。診療報酬における累次の見直しでは、回復期、そして慢性期の入院医療におきまして、評価の見直しを行ってきたところになります。赤囲みをしているところでございます。
 31ページでございます。
 入院医療における意思決定支援に関する指針の策定割合、指針の活用状況や見直しの有無の割合を示してございます。
 急性期一般病棟や地域一般病棟におきまして、こちらは指針の策定割合について見ますと、回復期や慢性期と比較して低いといった状況をお示ししてございます。
 32ページは、各入院料を算定する患者さん、そこに入院していらっしゃる患者さんにおける意思決定支援の実施割合と、情報提供の有無の状況を示してございます。
 33ページは、高齢者の多い疾患の入棟先につきまして、高齢者に多い疾患の患者さんが、一般病棟にも多く入院することを示しており、34ページ目は一般病棟において、入院の多い75歳以上の誤嚥性肺炎やうっ血性心不全などの患者さんにつきまして、意思決定支援の実施割合が、地域包括ケア病棟や療養病棟と比較して低かったということをお示ししてございます。
 35ページ目は、一般病棟と地域包括ケア病棟、それから療養病棟につきまして、75歳以上の患者の疾患分類別の意思決定支援実施割合を示しているものでございます。
 全体的に見ますと、地域包括ケア病棟・療養病棟のほうが、意思決定支援の実施割合が高かったということを示しているものでございます。
 36ページ目は、高齢者に多い疾患の患者さんの一般病棟と地域包括病棟における疾患別の平均在院日数を示しており、37ページ目は、一部の医療処置について、国民が希望する割合と医師が勧める割合に乖離があったという報告を紹介してございます。
 38ページ目は、人生の最終段階におきまして、患者が特定の医療処置を望む割合というものを示しており、39ページ目は、ガイドラインの概要の再掲でございます。
 40ページ目は、入院医療における指針の策定によりもたらされている効果の紹介ということでございます。
 それでは、3つ目の項目でございます。「人生の最終段階における医療・ケアに係る情報の共有について」ということでございます。
 42ページ目は、地域包括ケアシステムにおける医療・介護のイメージになります。
 43ページ目は、人生の最終段階における、このガイドラインの概要の再掲でございまして、話し合いの内容を本人、家族等とケアチームで共有することの重要性を紹介してございます。赤囲みをしてございます。
 44ページ目は、その話し合いについての医療・介護従事者における共有状況。
 45ページ目は、同情報の在宅医療を提供する医療機関と介護施設の共有状況を示してございます。
 46ページ目は、在宅医療を提供する医療機関におけます、このガイドラインを踏まえた医療・介護従事者との話し合いの実施状況を示してございます。
 47ページ目は、ICTを用いた情報共有によりまして、患者さんが生活の場、人生の最終段階における、本人が希望する医療・ケアの情報等を、入院医療機関等で詳細に把握できるといった事例の紹介になります。
 48ページ目は、在宅におけるICTで共有している情報につきまして、人生の最終段階における医療・ケアに関わる方針の情報につきましては、在宅医療を提供し、ICTを活用している医療機関は31.9%で共有されていたという状況を示してございます。
 49ページ目は、在宅医療を提供し、ICTを活用して人生の最終段階における医療・ケアに関する情報を共有している医療機関における、容態が急変し入院した際の入院先等を示してございます。
 50ページ目は、診療情報提供料1の概要。
 51ページは、診療情報提供料1の様式例を示しております。
 52ページ目には、現在、老健局の事業でございますけれども、予算事業であります老健事業におきまして、入退院に伴う医療機関と介護支援専門員等との情報提供に様式見直しが検討されているということでございまして、その中に、人生の最終段階における医療・ケアに関する情報が含まれているということを示してございました。赤囲みでハイライトしてございます。
 それでは、53ページ、54ページ、55ページに課題と論点をお示ししてございます。
 課題の説明は略させていただきまして、55ページ目でございます。
 こちらに論点がございます。大きく2つでございます。人生の最終段階における意思決定支援の推進について、まず、外来についてということでございますけれども、「適切な意思決定支援の指針の策定について」というところから、かかりつけ医がより早期から適切な意思決定支援を実施することを推進する方策について、どのように考えるか。
 入院につきましては、後段でございますけれども、急性期一般入院料等も含めた入院医療における適切な意思決定支援の指針の策定を促進することについて、どのように考えるか。
 大きく2つ目の項目、人生の最終段階における医療・ケアに係る情報の共有についてでございますけれども、1つ目の○でございますが、ICT等を用いることについて、どのように考えるか。
 2つ目の○でございますけれども、本人による意思決定を基本としつつということでございますけれども、診療情報提供料1のケアマネジャーの事業所に向けた様式の見直しを行うことについて、どのように考えるかとさせていただいております。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 55ページの論点に沿って、コメントいたします。
 まず、適切な意思決定支援の推進についてです。
 外来においても、人生の最終段階における意思決定支援が適切に推進されていくことは重要であります。
 しかし、その話し合いは、患者さんにとって非常にセンシティブなものですので、患者さんの状態等に関係なく、人生の最終段階における医療・ケアについて話し合いを強要するような制度になってはならないと考えます。
 また、人生の最終段階における医療・ケアは、多職種から成るチームが、患者さんやその御家族と話し合いながら慎重に決定するものであります。
 したがって、時間もかかり、診療所の医師、看護師等に多大な負担になることからすれば、外来で個別の患者さんへの対応を求めていく前に、その施設できちんと準備ができているようにすることなどから始めていくことが、現実的であることを御理解いただきたいと思います。
 次に、入院に関しては、急性期においても人生の最終段階における意思決定支援が行われる状況であるということは理解できます。
 しかし、一般的に急性期病棟は在院日数も少なく、死亡退院の割合も相対的に低いと思われます。
 また、その他の病棟であっても、必ずしも全ての病棟の全ての入院患者で、意思決定支援が必要になるわけではありません。例えば、小児病棟などです。
 このように、あらゆる入院医療が対象になるわけではないことを踏まえて、その必要性を丁寧に見極めながら検討すべきと考えます。
 次に、情報の共有についてです。
 在宅や施設において療養を行っている患者さんに対する、ICTの推進による情報共有については、資料で示すように有用であり、方針として異論ありません。
 ただし、在宅におけるオンライン資格確認が、まだ普及していないことなども踏まえれば、地域医療連携ネットワークなど、既存のICTツールも有効に活用できることが重要です。
 また、その前提として、ICTの導入・維持はコストがかかるものであるため、適切に評価していただくことが重要であると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点の人生の最終段階における医療機関に係る情報共有に関して、発言をさせていただきます。
 人生の最終段階における医療・介護緩和ケアにおいて重要なことは、患者さんが望む場所で医療・ケアを受けられ、望む治療、ケアを受けられること。
 そして、ターミナルケアにおいては、患者及びその家族の方々の様々な苦痛や不安などを、どれだけ和らげることができるかという観点からの総合的な対応です。
 近年、緩和ケアについては、早期から積極的に医療用麻薬を使用することや、患者が納得するレベルまで痛みが取れるよう使用するなど、考え方の変化もあります。
 在宅医療を担う薬剤師としても、人生の最終段階における医療・ケアに関わっていくことが、これから重要になっていくと考えており、それに当たっては、決定プロセスにおけるガイドラインについて十分に把握している必要がありますし、本人の意思を理解、尊重し、心構えをしっかりと持った上で、関係する多職種とともに、患者に寄り添った医療の提供を行うことは極めて重要なことと捉えています。
 本人の意思は、状態の変化等により変わり得るもので、ICTを用いて多職種で情報共有することは、全てのサービス提供者に迅速に情報が共有され、患者が望む医療・ケアに対応できるものなので、活用を進めるべきと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 ありがとうございます。
 最後の論点について、1点だけ申し上げます。
 昨日も関連する老健事業が行われたところですけれども、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスのガイドラインにおいては、本人もしくは本人が意思表示できない場合は、家族等の意思推定者と医療・ケアチームが繰り返し話し合いを行って合意を形成するものとされています。
 そして、その適切なプロセスから得られた合意を尊重していこうということになっておりますので、したがいまして、医療機関から居宅介護支援事業所への情報提供には、このプロセスから得られた合意を、文書で記述するとともに、話し合いの参加者あるいは日付等を記載することが望ましいと考えます。
 また、退院後は医療面に視点を置いた介護サービスの提供が求められるため、また、話し合う医療・ケアチームも異なりますので、しっかりとバトンタッチができる内容が重要と考えております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 今回は、同時改定の意見交換会でも申し上げましたが、人生の最終段階における治療方針の選択は、患者中心の医療の最たるものだと考えております。
 しかしながら、10ページを見ますと、残念ながら国民と医療・介護従事者の間には若干の受け止め、意識ギャップがあり、現状では十分な話し合いが行われているとは言えないと感じます。
 また、資料の20ページを見ましても、医療従事者、介護従事者の間で、若干、これに関しても差があり、話し合いを始める時期も少し遅いかなというのが実態と受け止めます。
 患者の意思が最大限尊重されますよう、多くの患者について、なるべく早期に話し合いを開始すべきと考えております。
 それでは、論点に沿ってコメントいたします。
 まず、外来における意思決定支援についてでございますが、資料の15ページの外来、16ページの入院を比較してみますと、外来で指針の策定が遅れていることが分かります。
 今後、認知症の患者が確実に増加していく中で、27ページで紹介されておりますように、早期から医療・ケアに関する意思決定を支援することが、地域包括ケアシステムの観点からも非常に重要です。
 地域包括診療料を算定する医療機関に指針の策定を求めるなど、かかりつけ医機能の1つとして、外来の診療報酬においても、意思決定支援を推進すべきです。
 続きまして、入院における意思決定支援についてでございますが、資料の32ページを見てみますと、療養病棟や地域包括ケア病棟に比べて、一般病棟では取組が遅れております。
 これは意思決定に関する指針の策定が、一般病棟の要件になっていないことが背景にあるだろうと考えられます。
 一方で、資料の33ページを拝見しますと、高齢者が救急搬送されて、急性期の病棟に入院する割合が高いことがうかがえます。
 急性期の高齢者については、リハビリ機能を備えた病棟での対応が望ましいとは考えておりますが、それでも急性期病棟に高齢者が入院することは当然あるということでございます。
 また、そもそも急性疾患で最期を迎える現役世代も残念ながらいらっしゃいます。今後は病棟を問わず、入院機能を備えた全ての医療機関で指針の策定を求めるべきです。
 さらに、療養病棟や地域包括ケア病棟には、意思決定支援の実績を求めることも必要ではないかと考えております。
 続いて、人生の最終段階における医療・ケアに係る情報共有の在り方についてコメントいたします。
 まず、資料の44ページを見ますと、本人や家族と話した内容を情報共有している割合は、医師や看護師に比べて、介護支援専門員でやや低い実態がございます。
 また、45ページを見てみますと、医療機関からの情報共有に比べ、高齢者施設からの情報共有が少ないことも分かります。
 したがいまして、特に介護側からの情報提供を促すべきとは考えておりますが、情報共有には相互の協力が必要だろうと思いますので、ICTを活用するなど、効率的な取組を進め、その効果をぜひ検証していただきたいと思います。
 最後に、指定居宅介護支援事業所に向けた様式の見直しについては、異論はございません。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 かかりつけ医と患者の関わり合いを深めていただくためにも、認知症患者の増加に備えるためにも、かかりつけ医がより早期から患者の適切な意思決定支援を実施することについては、推進すべきと考えております。
 入院医療における適切な意思決定支援の指針の策定を促進することや、人生の最終段階における医療・ケアに係る情報の共有を推進する観点から、ICTを活用すること、様式の見直しについても賛成であります。
 一方で、患者様側というか、そちらの方の準備を促す意味でも、いろいろな部分で情報を提供していくことが重要かと思います。
 ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 人生の最終段階における医療・ケアに係る意思決定については、患者自身の意思を尊重しながらプランを作成されるものでありますので、取組がより推進されるよう、ガイドラインの充実等をお願いいたします。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 この論点に沿って、私もコメントをさせていただきたいと思うのですけれども、大きな意味では、恐らく1号側、2号側も、方向性については異論がないのではないかと思います。
 ただ、1点ほどお話ししたいのは、まず、外来のところですけれども、外来というのは、いろいろな患者さんがいらっしゃって、先ほど長島委員もおっしゃったように、なかなかここを話し合うタイミングとか、あるいは時間的な余裕とかがない場合もありますので、これは、もちろん推進あるいは指針を策定することについては、しっかりやっていく方向で私も異存ないと思いますけれども、実際に皆さんにそれができるかというと、なかなか難しいこともあるので、あくまでもそういう風土づくりをしながら、努力目標としていくということが非常に重要ではないかと感じています。
 自分がまだ、そういうリスクが何もない状況で話をしても、なかなか本音が出てこないことがあって、だからこそ、9ページにありますように、ACPの考え方は、繰り返しそれをやる。例えば、外来で何もないときにやった場合、自分が少し重大な病気になったとき、あるいは本当に終末期になったとき、それぞれ思いが違ってくるので、ここで繰り返し一旦それを書き込んでも、それがどんどん変わっていくものだということ、ここは、お互いに共有しなくてはいけないのではないかと思っています。
 あと、入院に関してですけれども、急性期の入院についても、この考え方を推進することは非常に重要だと思います。
 ただ、一方で、私が感じている急性期入院というのは、どうしても命を救うことが優先的になってしまって、そこのアドバンス・ケア・プランニングの先生方の話を聞いていると、DNRを取るか、取らないか、要は、終末期あるいは本当に最期の挿管をして救命する措置をしますか、しませんかとか、あるいは食べなくなったから、胃ろうをしますか、しませんか、中心静脈栄養をしますか、しませんか、これを取った段階で、もうACPを取ったと思ってしまっている先生方も結構いらっしゃるのです。
 そうではなく、しかも1回取っても、半年後あるいは3か月後、1か月後に変わることもあるということで、それを繰り返し聞きながら、本当の本人の、特に家族が優先されてしまうこともよくありますし、そういうことを繰り返しやることが重要であるということを、ぜひ丁寧に急性期の先生方にも理解していただいて、単にDNRはあるか、ないかということが、ACPを取ったことにはならないということを強調していかなくてはいけないのではないかと。
 よく救急の現場では、救急隊も取ってあるか、取っていないかということを、それだけでACPがある、ないになってしまっていることがあるので、そうではないということを、広く国民的共有をしていければと思います。
 そして、10ページの調査結果はよく出るのですけれども、反転してみれば、医師、看護師でも、まだ話し合ったことないが5割近くあるということですので、これは、まだまだ国民的議論が必要ではないかということも言えるのではないかと、そういう風土づくり等を、ぜひこの同時改定の機会にやっていただくことは、全く異存はありませんので、ぜひ、そういう方向で進めていただきたいと思っています。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 もう一点だけ追加させていただきます。
 意思決定支援の患者さんのタイミングが非常に重要でありまして、もともとガイドラインとACPは異なるものでございますが、過去の医学研究や実践から、ACPは早過ぎると失敗することが多く、遅過ぎると役に立たないと、これは共有した結論だと思います。
 したがいまして、初めて医療や介護を具体的に想像できるとき、例えば、大きな入院であったり、介護サービスを使うとき、あるいは、よくこれまで言われていることは、目の前の方が1年前に亡くなっても、多くの周囲の方が驚かないようなときには、少なくともやっておかなくてはいけない。あるいは週単位で死が差し迫っているときには頻回に行うこと、こういったことが、これまでコンセンサスを得て推奨されておりますので、したがいまして、外来の患者さんにおいても、そういったタイミング、対象の患者さんを十分把握して、しっかりと取り組んでいくことが重要だと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 ほかに特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「個別事項(その13)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、個別事項13、テーマとしましては明細書、そして簡素化という観点でございますけれども、中医協資料総-4を用いまして御説明をさせていただきます。
 スライド2に目次がございます。
 4ページ目、5ページ目でございますけれども、こちらが明細書の無料発行の経緯について、平成18年以降の経緯をまとめたものになってございます。
 6ページが、現在の明細書の無料発行の状況について整理をしたものになりますけれども、病院、診療所、保険薬局におきまして無料発行義務があり、その中で診療所のみ、正当な理由の届出が行われた場合に、無料発行義務が免除されるという規定がございます。
 また、訪問看護ステーションは、現在、努力義務となっているところでございます。
 また、この正当な理由でございますけれども、明細書発行機能が付与されていないレセコンを使用している場合や、自動入金機の改修が必要な場合、こういった2つが列挙されているところでございます。
 7ページ目でございます。
 正当な理由に該当し、明細書の無料発行を行っていない施設数の推移を示したグラフでございますけれども、平成26年には4,000を超える施設だったところでございますけれども、令和4年の時点では390あまりの施設まで減少してきているということを示してございます。
 8ページ目から15ページ目まででございますが、こちらは、昨年度の診療報酬改定の検証調査の結果の抜粋を示してございます。
 参考までに、8ページの正当な理由の該当理由を見ますと、約8割の施設は、レセプトコンピューターに明細書発行機の機能が付与されていないといったことが示されているところでございます。
 それでは、ページを進ませていただきます。
 16ページ目でございますけれども、こちらは、医科・歯科の領収証と訪問看護ステーションの領収証の相違点を記載したものになります。
 訪問看護ステーションの領収証でございますけれども、医科・歯科の領収証と異なり、個別の項目ごとの単価、回数、金額も記載することで整えられているところでございます。
 17ページから20ページは、それぞれの領収証、明細書の様式を載せております。
 21ページ目には、実際に訪問看護を受けた場合に提供される領収証の記載例ということであります。この図でございます。
 赤枠で囲んでございますところを御覧いただきますと、実際に受けたサービスの内容の詳細が記載されていることがお分かりいただけるかと思います。
 22ページでございます。
 こちらは、明細書と関連する各種議論の状況を示したものとなります。大きな動きといたしましては、電子レセプト請求の推進というものも背景にございます。
 続きまして、23ページ、医科・歯科につきまして、オンライン請求を今後100%目指していく取組といたしまして、現在、紙レセプトや光ディスク等での請求を行っている医療機関のオンライン請求に移行というものを進めていることをお示ししてございます。
 また、25ページ以降でございますけれども、訪問看護ステーションにつきましては、令和6年6月にオンライン請求が開始される予定となってございまして、その関連の資料を29ページ目までおつけしてございます。
 次に、30ページ目に、共通算定モジュールの構成要素と標準化・共通化と、こういうチャートでお示ししてございますけれども、こちらは、現在、診療報酬改定DXの中で、30ページの中で、赤字で書いてございますけれども、共通算定モジュールの開発で、今、進めていることなどをお示ししてございます。
 この共通算定モジュールを組み入れました標準型レセコンをクラウド上に構築いたしまして、利用可能な環境を提供することが検討されているということでございます。
 こういったことが進めば、個別の医療機関ごとに改修を行わなくても、当該標準型レセコンを使用することによりまして、PC及びネット環境があれば、全ての医療機関におきまして明細書が発行できるようになるということを考えてございます。
 こういったことを踏まえまして、33ページに現状と論点をまとめさせていただいてございます。
 論点でございます。下半分のところでございますが「診療所(医科・歯科)」と書いてございますけれども、1つ目の○でございますけれども、明細書の無料発行していない施設が少なくなっているという現状を踏まえまして、明細書無料発行の免除規定を廃止することとしてはどうか、そして、また、開始の時期でございますけれども、標準型レセコンの提供が検討されていることを踏まえまして、令和10年度以降の当該標準型レセコン提供開始時期を目途としてはどうかと提案させていただくものでございます。
 次に「訪問看護ステーション」でございますけれども、こちらは、先ほど様式をお示ししましたけれども、その様式の内容等に鑑みまして、現在の領収証を領収証兼明細書として位置づけることとしてはどうかとまとめてございます。
 それでは、大きく2つ目のテーマでございます。「業務の効率化・簡素化について」でございます。
 35ページ目に、こちらに医療DXの推進に関する工程表や、そして、令和5年度デジタル社会の実現に向けた重点計画におきまして、デジタル化に対応するため、診療報酬点数表におけるルールの明確化・簡素化を図ることが明記され、令和6年度診療報酬改定におきましても、診療報酬点数表におけるルールの明確化・簡素化の取組を進める必要があるということが記載されてございます。
 37ページでございますけれども、こちらが簡素化に関するイメージでございますけれども、摘要欄への記載事項につきまして、平成30年度以降にコード化を行ってきたところでございますが、コード数は継続して増加しているという現状を踏まえまして、一部摘要欄の記載の見直し、廃止を行うことを予定してございます。このようなことを取り組ませていただきたいと考えてございます。
 38ページ、39ページ目が、施設基準の届出の簡素化になります。
 こちらも改定のたびに、様式数が増加していることを踏まえまして、保険医療機関等の負担軽減、そして業務効率化の観点から、施設基準ごとの様式や添付書類の必要性を精査すること。そして、様式の統廃合ですとか、添付書類の簡素化などの検討をしたいと考えております。
 一方で、施設基準に係る要件確認といったことは、重要であることは変わりませんということでございまして、届出を省略した要件につきましては、地方厚生局が実施する適時調査等で確認することとしたいと考えてございます。
 40ページ目から42ページ目が、施設基準届出の電子化ということでございます。
 現在、施設基準の届出につきましては、40ページ下の表にございます、こちらの項目が既に電子的な届出が可能な施設基準でございます。逆に申し上げますと、それ以外の施設基準は、紙による届出が必要となってございます。
 41ページ目には、電子化未対応の施設基準数を、医科・歯科・調剤ごとに比較して記載してございます。
 施設基準が少ない調剤については進んでいる一方で、医科・歯科に関しましては、今後、積極的に進めていく必要があると事務局でも認識してございます。
 42ページ目には、診療報酬改定DXの対応方針の中におきまして、施設基準届出の電子化を進めていくことが明記されており、最後、43ページ目に論点として書かせていただいてございますけれども、医療機関等の医療従事者の負担軽減及び業務効率化の観点から、施設基準の届出や添付書類の提出を一部省略化することについてどのように考えるか。
 施設基準届出の電子化の推進策についてどのように考えるかの2つを論点とさせていただいてございます。
 事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 まず、33ページの明細書の無料発行についての論点についてです。
 明細書無料発行の義務化の免除規定の廃止につきましては、医療機関への影響が最小限になるよう、適切な対応をしていただくことが必要です。
 特に、廃止の時期については、医療機関に強制的なシステム改修を求めることがないよう、事務局提案のとおり、あくまで標準型レセコンが実際に利用可能な状態になるまで待つべきであります。
 また、自院のレセコンを改修するのであれば、その費用をどうするのかということも検討しなければなりません。
 いずれにいたしましても、今後の状況を丁寧にフォローしていただくことが大切であり、その点については重々御留意いただきたいと思います。
 また、患者さん御本人がマイナポータルにおいて、レセプト由来の情報や、今後、電子カルテ情報サービスを利用して退院サマリーを閲覧することにより、御自身が受けた医療を把握できるようになれば、そもそも明細書を発行する必要がなくなることも考えられますので、今後の医療DXの進展も踏まえて検討するべきだと考えます。
 次に、43ページの業務の効率化・簡素化についてです。
 医療機関の業務を効率化・簡素化していく方向性に異論はありません。
 しかし、レセプトの摘要欄の記載を選択式としたことでかえって、医療機関の負担が増えてしまったケースもありますので、医療機関の負担軽減にとって真に役立つ内容にするため、現場の意見をしっかりと聞きながら丁寧に進めていただきますよう、強く要望いたします。
 また、施設基準の届出については、受理されなければ、診療報酬が算定できませんので、現場では確実に受理されたか、非常に気を使っているところです。
 そのため、オンラインではなく、あえて郵送を選択するなどをしているケースもあるところですので、一気に義務化するということではなく、現場の実態も把握しながら、丁寧に徐々に進めていくことが必要であると考えます。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員に意見を聞く機会を御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 明細書無料発行につきまして、33ページの論点についてコメントいたします。
 患者から見て分かりやすい医療を実現する観点は重要であり、今回の医療DX等において、マイナポータル等から自身の受診歴や、検診状況等を確認できるシステムの構築は推進し、活用していくべきと考えております。
 明細書無料発行の免除規定廃止に関しましては、分かりやすい医療を実現する観点につながるなら否定はいたしませんが、医療機関の実情を精査した上で、歯科医療提供に支障がないよう、かつ現場に混乱が生じないように、標準型レセコン提供の充足率も検討の上、廃止時期の設定をお願いしたく思っております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 43ページ目の業務の効率化・簡素化に関する論点について発言いたします。
 様式の統廃合や添付書類の一部省略などを通じて、施設基準の届出を簡素な形に見直して効率化することについては、届出を行う薬局や医療機関だけでなく、それを受け付ける厚生局にとっても業務の合理化につながりますし、施設基準届出の電子化を進めていく上で必須であると考えますので、異論はありません。
 届出の電子化を進めるに当たって、提出する薬局としては、保険医療機関等電子申請届出等システムが既に運用されていますが、十分に普及しているとは言えない状況です。
 システムについて改めて周知をいただくとともに、例えば、もう少し分かりやすいマニュアルを整備したり、動画での操作説明を掲載したりするなど、利用しやすい環境を整備いただければと思います。
 また、先ほど長島委員から、確実に届出があったことが分からないと不安だというお話がありましたけれども、明らかなシステムトラブル、回線トラブル等により届出ができなかった場合は、柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 高齢でITに慣れていない薬局では、紙の書類での対応を希望しているため、引き続き紙での受付を継続してほしいなどの声もございます。
 厚生労働省におかれましては、電子化などを進めるに当たり、厚生局と連携し、厚生局による対応のばらつきを解消しつつ、現場が利用しやすい仕組みや環境づくりと、分かりやすい案内を引き続きお願いできればと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、いかがでしょうか。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 まず、資料の33ページの明細書の無料発行についてです。
 これまでも訪問看護を含め、全ての医療機関における明細書の無料発行についてお願いしてまいりましたので、論点にある訪問看護ステーションの領収証を領収証兼診療明細書とすることに異論はございません。
 また、診療所における明細書無料発行の免除規定廃止にも賛同いたしますが、令和10年以降にという御提案につきましては、5年以上先となることから、できるだけ早期に対応できないものかなと率直に感じました。
 次に、資料の43ページの業務の効率化・簡素化の論点に異論はございません。
 各厚生局の監査がきちんと実施されるよう、厚生局の業務効率化や、適切な人員配置も併せて御検討いただければと思っております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 33ページの明細書無料発行に関する論点について、コメントいたします。
 まず、診療所の免除規定を廃止し、無料発行の完全義務化を主張いたします。あわせて、明細書発行体制等加算の取扱いについても議論すべきと考えております。
 廃止時期については、標準型レセコン等の提供が予定されている令和10年度以降で、やむを得ないと考えますが、患者から求められた場合に対応が可能であれば、除外要件を待たず、無償で発行するルールに統一していただきたいと考えます。
 また、訪問看護ステーションについても、完全無料の発行を義務づけるべきと考えております。
 また、領収証を領収証兼明細書とすることについては、異存はございません。
 続きまして、43ページの業務の効率化・簡素化に関する論点ですけれども、施設基準の届出や添付書類の提出を一部省略することで了承いたします。
 また、電子化の推進策については、補助金、交付金も活用し、オンライン請求の早期100%実現すべきと考えております。
 1点、事務局に質問がございます。資料の40ページでございますが、3つ目の○のところの「ただし」以下のところで「約800の施設基準のうち784の施設基準が未対応の状況であり、段階的に対応を行っていく必要がある」という記載がございます。これの対応が完了する目安の時期が分かっておれば、これについて御協議いただきたいと思います。
 私から以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ただいま、松本委員から御質問がございましたが、事務局、お答えできますでしょうか。お願いいたします。
○眞鍋医療課長
 私ども予算要求なども行いまして、令和6年度、来年度から段階的に実施することを予定してございます。
 その進捗状況がどのようになるか、現時点で、分かりかねるところがございますけれども、私どもとしては、できるだけ早く整備できるように取り組んでまいりたいと考えております。
○小塩会長
 松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
 先ほど議論がございました、医療DXの工程表の中にも、こういったもの入っておりますので、今後ともフォローアップをいただきたいと思います。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 では、お願いします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 明細書の無料発行については、論点のいずれも賛同いたします。
 医療は、全ての国民が関わり、一緒につくり上げていくという視点が必要だと思います。患者が、自分自身が受けた医療を理解して、医療に参加するという意識を高めるためにも、論点に提起されていることを、ぜひ推進いただくようお願いいたします。
 訪問看護についても、領収証と明細書を兼ねるということですが、患者が医療の内容を常に把握できる書式に既になっているのであれば、このことにも賛同いたします。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 先ほど長島委員から、看護の立場からの意見も伺ってはどうかという御提案がございましたので、木澤専門委員、よろしくお願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 訪問看護ステーションの明細書は、訪問看護で提供するケア等の見える化の観点においても非常に重要と考えており、訪問看護のオンライン請求開始に合わせて発行を義務化することに賛同いたします。
 あわせて、訪問看護領収書には、既に明細も記載されていることから、領収証兼明細書として位置づけることを、ぜひ進めていただくようお願いいたします。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 33ページの明細書無料発行については、先ほど長島委員もおっしゃったように、丁寧な対応をすることを前提に賛同したいと思います。
 その中で、関連して1点だけ質問をさせていただきたいのですが、33ページの上の診療所の○の2つ目の中ほどに「診療報酬改定DXにおいて令和10年度以降に標準型レセコン等の提供が検討されていることを踏まえて」とありますが、31ページの取組のスケジュールになりますと、関連した質問となってしまうのですけれども、下の枠外の注2のところに、標準型レセコンは、標準型電子カルテと一体的に提供することも検討とありますが、私の把握している限りは、標準型電子カルテも、もう既に令和10年度を目途に検討を進めているようにお聞きしていたのですけれども、この辺については、現状、まずレセコンが先なのか、電カルと一緒に検討を進めているのか、それについて、お分かりのことがあったら教えていただきたいのですけれども。
○小塩会長
 事務局いかがでしょうか。
○田中参事官(特定医薬品開発支援・医療情報担当)
 お答えさせていただきます。
 標準型電子カルテにつきましては、医療DXに関する工程表に基づいて、現状、取組を進めておりまして、今後、標準型レセコンと標準型電子カルテが一体的にいつ提供できるかということは、令和10年以降ということでお示しをしている段階でございまして、より具体的な時期については、現状、お話しするのが難しいというところで、御理解をいただければ幸いでございます。
○池端委員
 では、まず、標準型レセコンを先に、令和10年度を目途に検討するということでよろしいですか。
○田中参事官(特定医薬品開発支援・医療情報担当)
 さようでございます。
○池端委員
 ありがとうございます
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
 ありがとうございます。
 施設基準の届出に関してですけれども、施設基準は医療提供体制の変化を把握する上で、また、患者の医療機関の選択においても大変重要な情報と考えていますので、毎月迅速に、電子的に届出を受け付けて、また、現在はそうでないのですけれども、全国的に統一されたフォーマットで開示していくということを、ぜひ進めていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「個別事項(その14)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、続きまして、個別事項(その14)、テーマといたしましては、生活習慣病対策となります。
 中医協資料総-5を用いまして、御説明をさせていただきます。
 スライド2に、これまでの中医協総会等における主な御意見を紹介させていただいてございます。
 3ページ目に、本日御説明する内容の目次を掲載してございます。
 大きく分けまして、1、2、3とございまして、3つの項目でございます。
 それでは、1つ目「生活習慣病に対する疾病管理について」ということでございます。
 4ページ目から7ページ目までございますけれども、こちらは生活習慣病に係る概要をお示ししてございます。
 8ページ目は、医科診療費における生活習慣病の内訳でございますけれども、内分泌栄養及び代謝疾患の医療費、こちらが全体の7%でございまして、そのうち糖尿病は大体4%ということでございます。
 循環器系の疾患が全体の19%でございまして、このうち高血圧性疾患は5%ということでございました。
 9ページ目には、生活習慣関連疾患の年齢階層別の有病率を示してございまして、55歳から59歳が最多であったことでございます。
 入院医療費につきましては、55歳から59歳におきまして、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病の順に医療費が高かったことを示しており、入院外医療費に関しましては、同じ年齢層でございますけれども、糖尿病、高血圧症、高脂血症の順に、医療費が高かったことを示してございます。
 10ページ目でございます。
 脳卒中、それから心臓病などの循環器系の疾患の危険因子でございますが、高血圧、脂質異常症、喫煙、糖尿等がございます。
 これらの因子を適切に管理することで、循環器系の疾患を予防することが重要であるということをお示ししてございます。
 12ページ目から17ページ目は、生活習慣病に係る診療報酬上の評価の見直しの経緯ということでございます。
 特に12ページ目には、生活習慣、当時は指導管理料と言ってございましたが、平成14年に創設されて以降、このような見直しがされているということをお示ししてございます。
 13ページ目は、生活習慣病対策の推進①として、平成24年の糖尿透析予防指導の評価から、17ページ目まで、令和4年度の改正でございますけれども、こちらは生活習慣病管理料の評価の見直しのスライドでございます。
 次に、18ページ目から22ページ目でございますけれども、生活習慣病管理料の概要と点数、それと算定状況ということでございます。
 次に、23ページから27ページ目にお示ししてございますけれども、こちらは生活習慣病に係る医学管理料等の算定状況でございます。
 24ページ目でございますけれども、これは、高血圧患者の外来診療における算定状況。
 25ページ目が、糖尿病患者の外来における算定状況。
 26ページ目が、脂質異常症患者の外来診療における算定状況で、これは、グラフを御覧いただければ分かりますとおり、再診料、外来診療料、それから、様々ほかの管理料など、このような状況で算定していることをお示ししているものでございます。
 28ページ目から30ページ目が、特定疾患療養管理料の概要でございまして、31ページから33ページ、令和4年度の診療報酬改定におきまして創設されました、外来データ管理加算の概要、そして、データ提出項目、そのスケジュールをお示ししてございます。
 33ページ目、34ページ目に、提出スケジュールのイメージを示してございますけれども、これが今年の秋以降ということでございまして、34ページ目にお示ししていますけれども、下の赤枠で囲ってございますけれども、10月から算定していただいているのは20施設ということでございます。今後、増えることを期待しているところでございます。
 35ページ目は、外来データ提出加算に係る対応といたしまして、説明会を行っているということもお示ししてございます。
 次に「1-2.書面交付と医療DXについて」ということでございます。
 37ページ目、生活習慣病管理料の算定について困難なことといたしまして、療養計画書を作成し、患者さんに対して丁寧に説明の上、当該計画書に署名を受けることが困難であるという理由が最も多いということでございます。
 具体が38ページに、療養計画書となってございます。
 39ページ目から41ページ目、こちらは改正医療法による書面交付に係る内容でございます。
 慢性疾患を有する高齢者等に対しましては、求めがあった場合には、書面を通じて適切な説明が行われるよう努めなければならないとされてございます。
 42ページ目から44ページ目は、医療DXについてお示しをしているものでございます。
 45ページ目まで進みます。
 こちらは、令和7年度から患者サマリーの運用が開始される予定と聞いてございまして、46ページ目が、患者サマリーのイメージでございますけれども、傷病名、療養所の計画、アドバイス、服薬情報などが内容として含まれることが想定されているところでございます。
 48ページは、救急時に有用な検査情報及び生活習慣病関連の検査情報となるものでございます。
 49ページ目は、生活習慣病管理料における療養計画書の各項目となってございます。
 このうち、先ほどの48ページ目にお示しした、血液検査項目等につきましては、医療DXにより、電子カルテ情報共有サービスでの閲覧が、これは令和7年度に可能となる、そのような整備予定ということでございます。
 50ページ、治療継続について、アドヒアランス・コンコーダンスといった考え方が導入されておりまして、治療に係る情報につきまして、医師と患者さんが共通の理解を持つ重要性が示されているところでございます。
 紙媒体等の資材で、分かりやすく提供することも手法として示されてございます。
 次、51ページ目でございます。
 こちらは、疾病管理に係る評価における書面交付の規定について、整理をしたものでございます。
 書面交付を求めているのは、小児かかりつけ診療料と生活習慣病管理料となってございます。
 次に、1-3でございます。
 疾病管理、これは受診頻度とリフィル処方箋等についてということで、お示しをしたいと考えております。
 53ページ、高血圧、糖尿病、そして脂質異常症を主病とする患者さんにおける再診料・外来診療料でございますけれども、3か月間に1から2度受診するという患者さんが、2から3%いらっしゃいます。
 54ページから55ページは、処方薬の処方日数などについて、お示しをしてございます。
 55ページを御覧いただきますと、令和元年度から、ある年度で減ったこと、その後伸びていることなどが御覧いただけるかと思います。
 すみません、戻りまして、54ページでございますけれども、ここでも令和元年度から令和2年度に関しまして、伸びているということをお示ししできているかと思います。
 それでは、ページを進みます。
 56ページでございますけれども、主傷病名別の30日以上の処方箋の発行回数でございます。疾患といたしましては、高血圧性の疾患、脂質異常症、糖尿病などが多いと、生活習慣病が多いという結果でございました。
 57ページ、58ページは、リフィル処方箋が発行された疾患につきまして、他の疾患と比べまして、生活習慣病が多いということをお示しするものでございます。
 60ページ目でございます。
 リフィル処方箋につきましては、いわゆる骨太の方針を踏まえまして、医療機関と都道府県、保険者の必要な取組の検討、実施を通じて、その活用を進めていくとされているところでございます。
 次、1-4でございます。「疾病管理におけるエビデンスについて」でございます。
 62ページ目には、高血圧、糖尿病、脂質異常症に係る診療ガイドラインにおきまして、生活習慣の指導の重要性が示されていることをお示ししてございます。
 63ページ目からは、各診療ガイドラインにおける生活習慣の指導に係る内容でございまして、例えば、高血圧の治療ガイドラインにおきましては、減塩、食事パターン、適正体重の維持、運動、節酒、禁煙といった生活習慣の指導を行うことが推奨されてございます。
 64ページ目、65ページ目は、糖尿病の診療ガイドラインでございますが、食事療法及び運動療法について、詳細な推奨が示されてございます。
 64ページ目にございますとおり、管理栄養士による指導が有効であるとされているところでございます。
 66ページ、67ページは、動脈硬化性疾患の予防ガイドラインにおきましては、禁煙、飲酒、食事療法、運動療法等の生活習慣改善に係る詳細な推奨がなされているところでございます。
 68ページ目、69ページ目は、血糖自己測定器やプログラム医療機器が開発され、臨床で活用可能となっている。こういった新しい技術も導入されているということを示しております。
 次に進ませていただきまして「多職種連携・医科歯科連携について」でございます。
 71ページ目でございます。
 診療所における職員配置の状況でございます。無床診療所におきましては、看護職員と事務職員以外が、あまり配置されていないことを示しており、72ページ目には、生活習慣病管理料における総合的な治療管理の実施におきまして、医師と連携している職種としては、看護師が最多だったことを示しております。
 糖尿病を主病としている患者さんに対する管理栄養士による経営指導を実施しておりますのは、36.3%だったということでございます。
 また、栄養指導を実施している管理栄養士の所属としては自院とするものが最多でございました。
 73ページから74ページ、外来栄養食事指導料の概要、また、その算定状況でございます。
 75ページ目は、栄養ケアステーションと診療所の連携についてお示しする資料でございます。
 76ページ目は、高血圧症や糖尿病等におきましては、多職種による療養指導の重要性についてガイドライン等で示されており、関係学会による研修や認定の制度が設けられているところでございます。
 77ページ目、糖尿や、慢性腎臓病、CKDと言うことがございますけれども、この外来診療におきましては、多職種が連携して必要な療養指導を実施している実態。
 78ページ目には、在宅療養指導料の概要を示してございます。
 79ページ目から80ページ目は、外来における療養支援の質の向上に向けた取組がなされていることの例をお示しするものでございまして、外来におきまして、重症化予防や、療養支援等を行う看護職員が、研修受講の機会が限られているものの、在宅療養支援に係る研修を受講した看護職員の外来における療養支援の理解等が深まっていたということをお示ししてございます。
 81ページ目から85ページ目でございます。
 これは、医科・歯科連携に係る糖尿病と歯周病に係るエビデンスとなってございます。
 特に81ページ目のエビデンスは、非常に有名なエビデンスかと承知してございます。
 糖尿病の患者さんに対する歯周病等の治療に関しましては、感染のリスクの高さを踏まえた治療や、血糖コントロールをはじめとした状態把握等が非常に重要でございまして、糖尿病担当医との連携が重要であるとされているところでございます。
 それでは、ページが進みます。
 3つ目の項目でございます「慢性腎臓病に係る対応について」ということでございます。
 87ページ目は、慢性透析患者数と有病率でございますけれども、こちらは経年的に増加していることを示してございます。
 88ページ目は、腎疾患対策検討会報告書におきまして、新規透析導入患者さんの原因疾患としては、糖尿病性腎症は最多であるものの、主に高血圧や加齢により発症する腎硬化症の割合が近年増加傾向にあることが言われてございます。
 また、国及び地方公共団体が、新規透析導入患者数の原因疾患への対応としまして、糖尿病対策と併せまして、高血圧、脂質異常症等の生活習慣病対策を引き続き推進することが示されているところでございます。
 89ページ、糖尿透析予防指導管理料の概要でございます。
 91ページ目にお進みいただきまして、非糖尿患者さんも、糖尿病の患者さんと同様に、多職種による介入の結果、腎機能の低下が有意に抑制されたという結果をお示ししてございます。
 92ページ、ステージ3以降の慢性腎臓病の患者さんに対しまして、多職種による介入を行ったところ、いずれのステージにおきましても、腎機能の低下が有意に抑制されるという研究結果があることを示してございます。
 93ページ目は、慢性腎臓病の患者さんに対する多職種による介入におきましては、介入開始後、早期に特に大きな効果を得られるとする報告もあるところでございます。
 それでは、課題と論点に進ませていただきます。
 課題は、先ほど、るる御説明したとおりでございまして、論点でございます。
 大きく3つございまして、まず、1つ目の「生活習慣病に対する疾病管理について」でございます。
 1つ目の○でございます。
 「医療DXの推進により」ということでございますけれども、血液検査項目などを電子カルテ情報共有サービスで閲覧できるようになることを踏まえまして、生活習慣病管理料の療養計画書を一定程度簡素化するとともに、改正医療法の内容を踏まえ、患者さんの求めに応じ、文書を交付することについてどのように考えるか。
 2つ目の○でございます。
 現在の生活習慣病管理料は、少なくとも1か月に1回以上診療するということを要件とされてございます。
 ただ、一方でお示ししたように、2、3か月に一度という診療形態もございますので、少なくとも月に1回以上の診療を求める要件ということを見直しはどうかと。
 3つ目の○でございます。
 こちらはリフィル処方箋の活用を推進するための方策についてどのように考えるかとしております。
 4つ目の○でございます。
 生活習慣病管理料が、このガイドライン等を参考とした総合的な生活習慣病に係る医学管理を評価したものということでございます。
 ガイドラインにおきましては、生活習慣の指導について、詳細な推奨がなされてございます。
 こういったガイドラインに沿った診療を推進するための方策について、どのように考えるか。
 最後の○が、外来提出加算が創設され、今後、その加算を算定する施設が増えていくであろうということを踏まえまして、データに基づいた生活習慣病対策を推進していくための方策について、どのように考えるかとしているところでございます。
 2つ目の項目「多職種連携・医科歯科連携について」でございます。
 より有効な生活習慣病管理を推進する観点からということでございまして、当該管理料につきまして、多職種連携・医科歯科連携に係る要件を追加することについてどのように考えるか。
 最後の論点でございます。「慢性腎臓病に係る対応について」ということでございまして、透析予防の取組に係る評価についてどのように考えるか。
 また、多職種の介入でございますが、取組開始後の期間に応じて評価することについてどのように考えるかとさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 96ページの論点に沿って、コメントいたします。
 まず「生活習慣病に対する疾病管理について」です。
 1つ目の○です。療養計画書の策定を見直していく方針について議論ありません。
 また、今後は医療DXの中で、電子カルテ情報共有サービスが進むことで、御本人がマイナポータルにおいて患者サマリーを見ることで、採血結果等を閲覧できるようになることから、電子カルテ情報共有サービスを利用している場合には、療養計画書に採血結果などを記載する必要もなくなると思いますので、そういった観点からも簡素化を検討すべきと思います。
 なお、患者さんの求めに応じて文書を交付することについては、改正医療法で定められている内容、すなわち、かかりつけ医機能の確保に係る体制を有することについて、都道府県知事の確認を受けた医療機関が、外来医療を提供するに当たって、説明が特に必要な場合で、患者やその家族から求めがあったときに、正当な理由がある場合を除き、疾患名、治療計画等について適切な説明が行われるよう努めなければならないという努力義務とされていることを踏まえれば、一律に交付が要件化されるのは、改正医療法とは整合的ではないと考えます。
 2つ目の○です。生活習慣病における受診頻度は一概に決められるものではありません。医学的判断に基づき、それぞれの患者さんのその時々の状態に応じて、きめ細やかに対応する必要があるものです。
 例えば、コントロールが難しいインスリン療法を実施している糖尿病の患者さんに対しては、2週間に一度、あるいは1週間に一度の診察も必要となる場合もあります。
 こういったことを踏まえ、現行の生活習慣病管理料は専門的な管理であること、医師の管理が及んでいることを踏まえた、月1回の点数になっているものと捉えています。
 3つ目の○です。政府方針として、リフィル処方箋の活用が掲げられていることや、また、リフィル処方箋が提供されている疾患としては、生活習慣病が多いということは、実態として踏まえた上で、生活習慣病管理において、リフィル処方箋を殊さら強要することは、同一の議論ではありません。あくまで患者さんの状態に応じて、受診頻度を医師の医学的判断に基づいて決定していくものであり、その前提に立って、どのように様々な制度が活用できるのかを考えていくべきです。
 4つ目の○の診療ガイドラインを参考とした診療を提供することが重要であるのは、当然のことであります。
 ただし、診療ガイドラインの位置づけに留意が必要です。診療ガイドラインは、そもそも臨床現場における意思決定の際に、判断材料の1つとして利用することがあるとされており、また、ガイドラインに示されているのは、一般的な診療方法であるため、必ずしも個々の患者の状態に当てはまるものとは限らないとされています。
 したがって、診療ガイドラインを利用する場合にも、個々の臨床診断に、あるいは臨床判断に基づいた診療を実施することを前提に対応すべきと考えます。
 5つ目の○の外来データ提出加算につきましては、前回改定で決まったものの、実際の算定が改正されたばかりでありますので、しばらくの間は、経過を見ていく必要があると思います。
 データの活用の在り方だけでなく、そのプロセスについても改善できることがあるのかなど、中長期的な議論として進めていく必要があると思います。
 続いて「多職種連携・医科歯科連携について」です。
 エビデンスに基づいた生活習慣病対策に係る多職種連携・医科歯科連携を推進することは、大変重要と考えます。
 一方で、資料に示されているとおり、診療所には多職種が配置されていない現状がありますが、これは十分な評価がなされておらず、そういった余裕がないことや、人材確保にも十分な競争力がないことの裏返しであると言えます。
 今後、エビデンスに基づく多職種連携を推進していく上では、診療所についてもしっかりと評価がなされ、また、コメディカルの処遇も担保されることが重要です。
 糖尿病と歯周病に係る医科・歯科連携について、適切に推進することに異論はありません。
 最後に「慢性腎臓病に係る対応について」です。
 慢性腎臓病の透析予防を推進することに異論はありません。
 論点に加えて、患者さんの行動変動を促すという意味では、マイナポータルを通じて、患者さんが御自身の状態や療養上の指導内容を把握することなども、まさに医療DXの主な目的でもありますので、しっかりと活用していくことが考えられると思います。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員に意見を聞く機会を御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 96ページの論点の2つ目の「多職種連携・医科歯科連携について」のコメントをさせていただきます。
 12ページには、生活習慣病に係る過去からの評価の経緯が示されておりまして、令和2年度には、糖尿患者への療養計画書の初回用に、歯科受診の状況確認が追加されております。
 81ページからは、糖尿患者に対する医科歯科連携の有効性やエビデンスが示されておりますが、85ページのとおり、糖尿病と歯周病の関係性は認知されているものの、歯科受診の推進には至っていないケースが半数であるというデータが出ております。
 戻りまして、9ページですが、外来におきまして、55歳から59歳の糖尿病医療費が多いことが示されております。
 一方で、永久歯を失う年齢は、65歳から69歳が最も多いという調査結果がございまして、成人が歯を失う原因で最も多いのが歯周病でございます。
 糖尿病が判明した時期に、早期に歯周病治療を始めることで、重症化予防に寄与できるものと考えております。
 糖尿病や糖尿病関連疾患と歯周治療の相互連携は、エビデンスをもって推奨されておりまして、先ほど長島委員からもございましたが、重症化予防につながるような仕組みの検討をお願いしたく思っております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 96ページの幾つかの論点に関して発言させていきます。
 まず、最後の論点「慢性腎臓病に係る対応について」です。
 1つ目の○の非糖尿病の慢性腎臓病患者の問題、これに対する、いわゆる腎機能低下の抑制のための評価の導入というのは、非常に重要であると思っています。
 今は、診療報酬上、糖尿病の患者さんの糖尿病性腎症の重症化予防の点数はございますが、資料にも出されておりましたが、今、高齢化に伴って、特に高血圧などを原因とする腎硬化症という病気による腎不全の患者さんが非常に増えてきています。
 そういう患者さんに対して、チームアプローチ、多職種の連携によっての取組で、かなりいい成績が出てきているというのは、ここに示されているとおりでございますので、ぜひともここの部分というものは、糖尿病だけではなく、それ以外の腎臓病の患者さんが透析に入るのを防ぐためにも御検討をいただきたいと思っております。
 あと、ガイドラインの話です。1つ目の論点の4つ目の○です。
 これは、長島委員がおっしゃったとおりで、ガイドラインとかガイドというものは、あくまでも診療の指針といいますか、こういう方向性で考えるべきものという形で我々は認識しています。
 いわゆるガイドラインを参考にという形で、留意事項通知に書かれることが多いわけですが、これをより強くガイドラインに沿ってという表現になりますと、かなり実際の臨床の現場に影響が出てきます。
 もちろん、ガイドラインというのは、非常に重視しながら診療をするわけでありますが、例えば、いわゆる生活習慣病でも非常に高齢な糖尿病の患者さんですとか、高脂血症の患者さん、ガイドラインではこう書いてあるけれども、それを無視して食べてもらったほうがいいという状況もかなりあるわけです。治療に関して、必ずガイドラインに沿わなければいけないという形になりますと、個別の患者さんを見ながら丁寧に診療するという本来あるべき姿から外れていく形になりますので、ここの部分は、やはり慎重に考えていただいたほうがいいかと思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、生活習慣病は、患者が主体となって長期にわたって疾病の管理を継続することが特に重要な分野だと考えております。
 したがいまして、診療報酬につきましても、患者の視点で議論すべきだと考えます。
 それでは、96ページの論点に沿ってコメントをいたします。
 まず、最初の「生活習慣病に対する疾病管理について」ですが、専門性の観点からしますと、資料の30ページに示されているとおり、生活習慣病管理料でしっかり対応していただくことがベストだろうと思います。
 しかし、資料の37ページを見てみますと、療養計画書の作成や患者の費用負担がボトルネックになっていることが分かります。
 療養計画書につきましては、43ページ以降に紹介のあるように、電子カルテ情報共有サービスが令和7年度から導入されますと、血液検査などの項目がマイナポータルで閲覧できるようになります。
 したがいまして、患者サマリーで確認できる内容は、計画書に記載不要となるなど、簡素化できるのではないかと考えておりまして、これについては、長島委員からもコメントがあったとおりでございます。
 また、50ページに紹介されているとおり、患者と医師の共通の理解が重要であることを踏まえれば、改正医療法に基づき、患者から求められた場合に、電磁的方法を含めた書面の交付を生活習慣病管理料の要件に位置づけることも考えられます。
 もう一方の患者の費用負担についてでございますが、受診頻度を少なくすることで、一定の改善が図られる可能性がございます。
 資料の37ページを見てみますと、生活習慣病管理料を算定しない理由として、病状が安定していて、受診間隔が月1回より長いことを2割程度の医療機関が上げていることからも、月1回の受診を必須とする要件は廃止し、患者の通院負担を軽減する観点からも、むしろリフィル処方や長期処方に対応可能なことを要件に追加すべきと考えます。
 また、62ページ以降に、様々な診療ガイドラインが紹介されております。患者の視点に立てば、エビデンスに基づく医療が望ましいことは言うまでもありません。ガイドラインが専門医のみに適用されるのであれば、生活習慣病管理料に専門医の要件を位置づけるべきであり、もしそうでないのであれば、専門医以外を含めて、ガイドラインに沿った最適な医療の提供を担保すべきと考えます。
 次に、外来データ提出加算につきましては、34ページを見ますと、現状では、わずか20施設と極めて低調ですので、中医協で今後エビデンスに基づく議論ができますよう、データ提出の拡大に向け、医療現場の御協力を、ぜひお願いしたいと思います。
 また、論点には直接記載はございませんが、資料の24ページから26ページ、ここでは高血圧、糖尿病、脂質異常症の外来での算出状況について示されておりますけれども、生活習慣病管理料の算定は極めて少なく、これは真ん中の黄色いバーを示しております。
 一方で、特定疾患療養管理料が大半を占めております。すみません、一番右側が黄色です。失礼いたしました。生活習慣病管理料は右側のグレーのバーでございます。
 生活習慣病の管理料については、68ページ、69ページにありますように、新しい技術の登場もあり、専門医のみならず、かかりつけ医にも有効との報告もなされております。
 生活習慣病については、資料の12ページを見ますと、ガイドラインに沿って要件がアップデートされていることが分かりますが、一方で、特定疾患療養管理料については、資料の29ページを見ますと、点数の引上げは行われておりますけれども、新たな技術が反映されているとは言い難い印象を受けております。
 エビデンスに基づく疾病管理の観点で、高血圧、糖尿病、脂質異常症を特定疾患療養管理料の対象から除外し、生活習慣病管理料のもとで診療をすべきと強く主張いたします。
 続きまして「多職種連携・医科歯科連携について」でございますが、81ページ、82ページに、連携による有効性が示されていることから、生活習慣病管理料に連携の要件を追加すべきと考えております。
 最後に「慢性腎臓病に係る対応について」は、多職種の早期の段階での取組の効果が示されていることで、評価を検討する余地はございますが、適切な期間の設定が必要だと思っております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
 御指名ありがとうございます。
 今、お話にありました、松本委員の意見に私も賛成しております。患者の立場、いわゆる働く世代、55歳から59歳が多いですというような中では、先ほどお話がありました、高血圧とか糖尿病、脂質異常みたいな部分は、生活習慣病管理料で審査をお願いしたいと思っています。
 これは、どうしてかというと、やはり働く者として、本人からすると、生活習慣病を認識するタイミングは、やはり健康診断ということが多いと思います。そうすると、いろいろな原因はあるかもしれないですけれども、本人は分かっているのです。やっぱりなと、そして、なおかつ、自分の不摂生だなというのは、自覚している人が多いと思います。
 そういった中で、では、それまでの間に蓄積された内容が、すぐ簡単に治ると思えないわけです。そうすると、人生長くお付き合いをしなくてはいけないということで、やはりかかりつけの先生に御指導をいただくという形になりますので、そうすると、やはり本人の負担をより少なくして、長くお付き合いをしていただいて、それで、なおかつ健康を維持したいということから考えると、先ほどお話があったように、月1回という部分よりは、2、3か月に1回という形で、ある程度そこから始めるという方が多いと思いますので、そういった形で御検討いただきたいと考えております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 それでは、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 慢性疾患である生活習慣病でリフィル処方箋の活用が進んでいるのは、うなずけますが、59ページにあるとおり、信頼するかかりつけ医の方、かかりつけ薬剤師がいること自体が、リフィル処方箋の利用意向に大きく関わっているということが見受けられます。
 今後とも、かかりつけのお医者様を持つことの重要性についても、国、保険者、医療機関において、広く周知、広報していくことが、活用推進に欠かせないと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 最後に、生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料の再編について、コメントします。
 その前に、まず、文書の交付については、やはり改正医療法と整合的に行うべきだと、そこと整合性が取れないようなことはすべきではないと考えます。
 リフィルの処方に関しては、その受診頻度というのは、あくまでもその時々の患者さんの状態に応じて医師が医学的判断に基づいて決定していくものなので、そこのところが狭められるような要件化は、当然すべきではありません。
 ガイドラインに沿ってということであれば、ガイドラインの趣旨が、先ほど申しましたように、判断材料の1つであると。個々の患者の状態に当てはまるとは限らないという趣旨に沿ってということだと思います。つまり、趣旨に沿えば、参考とするということになるということでございます。そういう形で、しっかりとガイドの趣旨に沿って使うということかと理解しております。
 それでは、生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料の再編についてコメントさせていただきます。
 重要なことですので、以前発言したことと重複する部分もございますけれども、その点は御容赦ください。
 そもそも特定疾患療養管理料は、基礎的な疾患に対する技術料で、患者さんが重症化する前に早期に医師が管理することで、重症化予防等にも寄与しており、これまでの長い歴史の中で、まさにそのとおりの貢献をしてきた医師の技術を支える外来における疾患管理の基盤的な点数です。
 加えて、現在の診療報酬上の評価においては、この点数は、初再診料と同様、特に地域の医療を支える内科系医師の技術料の評価として、大変重要な位置づけになっています。
 一方、生活習慣病管理料は、もともと運動療養指導管理料として評価され、個別の生活習慣病について専門的な管理の必要な患者さんへの治療管理を目的としたものです。
 ただし、なかなか算定が伸びず、算定しづらい、包括範囲が実態と合わないという現場の意見を受け、その視点からも、中医協において議論が行われてきた歴史があり、断続的な修正が行われてきましたが、一貫して生活習慣病について、より専門性の高い総合的な治療管理を行うことを評価した点数であります。
 今回の論点にもありましたように、疾患のガイドラインを参考にした診療を求めたり、糖尿病における眼科診察といった専門的な管理の必要性を指導することを課しているなど、まさに疾患ごとの専門的な管理を評価しているという特色を持っています。
 医師は、健診や予防接種、産業医活動にも従事する中で、診療時間が足りないため、患者さんを待たせないことも重要です。
 この管理料は点数が高く、外来の患者さんが、月々の支払いが変化することに敏感であることも踏まえれば、累次の改定における検証結果で、生活習慣病管理料を算定することで、自己負担額が上がることについて、患者の理解が得にくいことが、算定に当たって困難を感じていることの調査結果として上位に上がっていくことも、この実態の現れとなっています。
 それぞれの点数が設定された時点で整理を行いながら、対象疾患への関わりや機能の違いについて理解した上で、この中医協で答申がなされ、さらにこれまで細かな疑義解釈を積み重ねてまいりました。
 したがって、1つの病名に対し、複数の点数が存在する場合には、医療機関の特性、体制、患者さんの状況、そして診療内容等に応じて適切な点数が選択されており、疾患が同じだから全てまとめていいということにはなりません。ある意味、医療費の適正な配分という効果もあり、非常に優れた仕組みになっていると言えます。
 その上で、単に疾患が重なっているからという理由から、生活習慣病管理料にまとめることになれば、現在の疾患管理との違いを反映できず、そういった患者さんの治療機会が失われたり、初期の段階での発見の機会を失う患者さんが出てくることや、結果的に疾患の重症化や医療費増につながる懸念もあると考えています。
 したがいまして、まさに患者さんのために、患者さんの視点に立ってつくられている、そして、これまでしっかりと継続されてきた診療点数であります。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 生活習慣病ガイドラインについて、1点申し上げます。
 これは、当然専門医のみならず、一般かかりつけ医が実践できるよう、普及していくものと考えております。
 したがいまして、日本医師会のかかりつけ医研修でも再々取り上げてきたところでございます。
 重要なのは、かかりつけ医がガイドラインにのっとった診療を基本としつつ、どうしても患者さんの中には行動変容が難しい、あるいは認知症の患者さん、いろいろな方がいらっしゃるので、個々に応じたテーラーメイドな診療をかかりつけ医が行うということが、非常に重要であります。
 つきましては、ガイドラインは使われるものではなくて、使いこなす医療というのも重要だということを申し上げたいと思います。
○小塩会長
 茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
 先ほど働く人が本当に一生懸命働いて、健康診断で引っかかって、徐々に2、3か月に1回の受診でいいのではないかというお話がございましたが、それで見つかったからこそ、しっかりと受診をして、栄養指導を受け、生活指導を受け、いろいろなことをしながら徐々にならしていくことが大事であって、いきなり3か月に1回ということは、これは、実は本末転倒であって、本当に見つかったけれども、また悪化していくということになりかねません。
 確かに、以前から私も言っていますが、コロナ禍で本当に2、3か月来られなかった患者さんが、糖尿病で明らかに悪化しているという結果が出ております。それは、ふだん落ち着いている患者さんであって、そうなるわけで、そういうことをしっかり栄養指導から生活指導を行って、どのように働いていくかということを、我々かかりつけ医が指導していきますので、しっかりと受診を、2、3週間に1回、ひどいときは1週間に1回です。そのときに血糖もはかりながら、食事をどのように取っているかを聞きながら対応を取っているわけで、時間がないから、働くことが休めないから受診できないというのは、これは、少しおかしなことであろうかなと思っております。
 そして、オンライン診療は、そこで活用されるということなのですが、やはりオンライン診療の中には、オンラインで会議をすると議論が深められないということは、皆さん経験をされていると思うのですが、患者さんにとってもそのように軽く感じてしまうということがありますので、その辺は御理解をいただければなと思っております。
 見つかったからこそ、しっかりと診ていくということが、我々医療機関としては考えたいと思っております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 生活習慣病における多職種連携ということは、77ページ目を御覧いただければと思います。そこにCKD外来と慢性腎臓病外来のことが出ていますけれども、今、お薬手帳で、他科受診の確認、CKDシールの貼付ということはありますけれども、お薬手帳に関しては、服用している薬剤の情報はもちろんなのですけれども、服用上を注意しなければいけないこととか、患者さん自身が、例えば、血糖の変化、自己血糖をやっている人であれば、低血糖の変化であったり、低血糖が出た日は、低血糖が出た血圧等であったりを書いているのですけれども、最近、CKDのシール等も貼付するようになりました。また、薬局では検査値が把握できるようになりましたので、特に腎機能の低下している患者さんには、投与ができないお薬や用量を調整しなければいけないお薬がありますので、気になる検査値に関しては、クレアチニンクリアランスを計算して、そこに書いておくのですけれども、その下にSGLT-2阻害薬の服薬指導というのがありましたけれども、先日、SGLT-2阻害薬で気をつけなければいけないのは、低血糖ももちろんなのですけれども、脱水と、あと女性の方で尿路感染症が非常に多く見られて、普段からかかっている先生だったら検査値が分かっているのですが、泌尿器科に行かれて、お薬手帳に腎機能が低下しているという検査時の旨が書いてあったと問い合わせがあって、最終的にはそこで抗菌薬の用量が半分になったということもありますので、やはり手帳の記載というのをさらに充実していく、それを活用することによって、より多職種が連携した生活習慣病対策になるのではないかと感じます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 長島委員から生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料について、コメントがございましたけれども、先月かかりつけ医機能の議論の際にも申し上げましたけれども、特定疾患療養管理料で何を評価しているのか、非常に分かりにくく、非常に強い疑問を持っております。内科医の技術として評価されてきた長い歴史があることは承知しておりますけれども、最新の技術やエビデンスを反映した質の高い医療を担保するために、新しい歴史をつくるほうが患者の期待に応えるのではないかと思いますので、ぜひ建設的な議論をお願いしたいと思います。
 それで1点質問がございます。先ほど述べました、24ページから26ページの算定の状況でございますが、この生活習慣病管理料と特定疾患管理料の算定が、なぜこんなに差が出るのか、これは診療側と事務局と両方に、この見解を教えていただきたいと思います。
○小塩会長
 どういたしましょうか、まず、事務局から、ただいまの松本委員からの御質問につきまして、御回答できましたらお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 これまで中医協でも、何か御説明させていただいたことがあると思いますけれども、この特定疾患療養管理料、それから生活習慣病管理料でございますが、例えば、生活習慣病管理料ですと、書面による同意あるいは自己負担が多いことなどで、その算定を躊躇するという旨の結果があったと承知をしているところでございます。
 すみません、それ以上の情報を、今、提供できるものは手元にはございません。
 以上です。
○小塩会長
 診療側の先生、いかがでしょうか。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 私どもも、それ以上のしっかりとした情報は、所有しておりません。
 それから、少し追加させていただきますと、最新の医療、知識、情報に対応するというのは、別に診療点数に係ることではなくて、医師としてしっかりと自己研鑽をしたりする。あるいは日本医師会でも、そのために生涯教育とか様々研修会を開催しているというところで、そちらのほうで対応すべきものと考えております。
○小塩会長
 松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
 今、事務局並びに2号側から明確な回答があったわけございませんけれども、先ほど出ているアンケート結果というのを拝見しますと、利用計画書に関して、手間がかかっているので、あるいは患者の負担に了解が得にくいということは、説明するのが、正直言って非常に厳しいからだと、ポジティブな理由よりは、どちらかというと、ネガティブというか、排除理由からこっちに行っているというように受け取らざるを得ないという印象を持ちました。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 先ほど長島委員から看護サイドからの御意見を伺ってはどうかという御提案がありましたので、木澤専門委員から、御意見を伺います。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 生活習慣病の管理については、医師と看護師、管理栄養士など、多職種が連携して療養指導を実施しており、多職種連携に係る要件を追加することに賛同いたします。
 資料にもあるとおり、特に外来看護師は最も医師と連携して療養指導を実施している職種です。より有効な生活習慣病管理につなげるためには、外来看護師の知識、技術等の一層の向上を図ることも重要であり、重症化を予防し、療養生活を継続するための患者、家族支援の具体的方法や、地域における多職種とどのように連携を図ると効果的かつ効率的な療養指導につながるかなど、在宅療養支援に関する研修受講を促すことも有用と考えます。
 各職種がしっかりと役割機能を果たし、連携していく環境を整えることが重要と考えております。
 私からは以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、ほかに御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、御対応いただくようにお願いいたします。
 ここで、少し休憩を挟みたいと思います。
(休  憩)
○小塩会長
 それでは、続きまして「処遇改善(その2)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 続きまして、処遇改善(その2)につきまして、中医協資料総-6を用いまして御説明をさせていただきます。
 スライド2が、本日の目次でございます。
 1つ目の項目でございます。「これまでの御指摘について」ということでございまして、3ページ目、4ページ目に取りまとめてございます。
 主な指摘でございますけれども、処遇改善全般に関する御意見とともに、令和4年10月に創設いたしました、看護職員処遇改善評価料につきまして、対象となる看護職員さんの収入を3%、これは月額平均1万2000円相当でございますけれども、引き上げるという観点では、運用は予定どおり行われているという一方で、この評価料は、この補助金を受けた医療機関の処遇改善を継続することを担保しなければならないということでございまして、評価体系としては技術的な課題があるといった課題を御指摘いただいたところでございます。
 それでは、2つ目の項目でございます。5ページ以降でございます。
 6ページ、7ページ目でございますけれども、これは本年6月に閣議決定されました骨太の方針の関係箇所の抜粋でございます。
 9ページ目でございますけれども、こちらは11月に閣議決定されました、デフレ完全脱却のための総合経済対策、補正予算関係の抜粋でございます。
 9ページ目の下段にありますとおり、人手不足対応、生産性向上を通じた賃上げ継続の支援といたしまして、医療・介護・障害福祉分野におきましては、2024年度の報酬同時改定での対応を見据えつつ、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずるとされたところでございます。
 また、10ページ目には、先般成立いたしました補正予算につきまして、その概要をお示ししてございます。
 11ページ目、12ページ目でございます。
 現在、医療部会、医療保険部会で御検討をいただいております、令和6年度診療報酬改定の基本方針の骨子の案の概要と、骨子案のうち、処遇改善等に関係する箇所の抜粋でございます。
 それでは、3つ目の項目でございます。「医療を取り巻く状況等について」でございます。
 14ページ目、15ページ目でございます。
 こちらは、病院、診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護ステーションにおける職種別の常勤換算の従事者数を示してございます。
 多くの職種が従事されていること、また、職種別の構成割合が様々であるということを見ていただけるかと思います。
 16ページ目でございます。
 こちらは、医療関係職種の給与の推移についてでございます。前回の御議論の中で、医師、看護師、薬剤師、看護師も含めたものや、歯科衛生士等の個別の職種についてのデータの提示のお求めをいただいたところでございます。
 17ページに、今回、医療関係職種の令和4年度の賃金の状況を示したものでございます。
 18ページ目、19ページ目は、賃金の動向をお示ししてございまして、19ページにまとめておりますが、政府全体で賃上げを進める中、令和5年度春闘で平均3.58%の賃上げが実現されている一方、医療・介護分野の賃上げは公定価格のもとで、これは病院団体へのアンケートでございますけれども、その水準は及んでいないということをお示ししてございます。
 20ページ、21ページ目は、11月24日にお示しいたしました、医療経済実態調査の概要から、職種別の給与の状況を抜粋したものでございます。
 なお、その他の概要につきましては、25ページ以降に参考として掲載してございます。
 22ページ目に、医療・介護分野における人材確保の状況をお示ししてございまして、左側に医療・介護分野の入職超過率というものをお示ししてございます。
 入職超過率がプラスであれば、人がこれまでよりも参入が多いと、マイナスという場合には流出が続いているということでございます。
 それでは、24ページに課題と論点をまとめてございます。
 課題は、以上御説明したとおりでございまして、論点でございます。
 医療関係職種は全産業平均の賃上げに追いついていない状況を踏まえ、医療機関等の職員における処遇改善について、診療報酬において対応する場合を想定し、技術的検討を進めていく必要があることから、入院・外来医療等の調査・評価分科会において必要な分析を行い、検討を進めることとしてはどうかとさせていただいてございます。
 資料の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 24ページの論点に沿ってコメントいたします。
 これまでの主張の繰り返しとなりますが、春闘の全産業平均の賃上げ率が3.58%となっている中、医療・介護の賃上げは、一般企業に及んでおりません。
 その結果、高齢化等による需要増加にもかかわらず、他産業に人材が流出し、医療分野における有効求人倍率は、全職種平均の2から3倍程度の水準で高止まりしており、人材の確保が困難となっています。
 そして、公定価格による経営する医療機関においては、価格転嫁ができないことなどにより、経営努力のみでは対応が困難です。
 賃上げを確実に達成していくという政権目標に沿うためにも、公定価格である診療報酬を確実に引き上げる対応は必須と言えます。
 ただ、看護職員処遇改善評価料は、26ページの課題にも記載されているとおり、看護職員処遇改善補助金を受けた医療機関の処遇改善を維持することを担保しなければならず、補助金の仕組みを診療報酬でどう実現できるかを検討した結果の産物であったと認識しております。
 これに対して、今回の改定では、全ての医療関係職種の賃上げが必要であり、看護職員以上に、医療機関や職種による処遇が様々であることが想定されます。
 このため、看護職員処遇改善評価料の仕組みにとらわれず、診療報酬としてどのような評価方法が考えられるのかについて検討が必要であり、分科会において技術的な検討を行うことに異論ありません。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員に意見を聞く機会を御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 24ページの論点についてでございますが、医療機関等の職員における処遇改善につきまして、入院・外来医療等の調査・評価分科会で分析、検討をいただくことにつきましては賛同いたします。
 全産業平均を下回っている全ての医療機関等の職員につきまして、しっかりと分析を行っていただきたいと思いますので、分科会におきまして、引き続き御検討のほど、よろしくお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 薬局医療機関における処遇改善について、発言させていただきます。
 新型コロナウイルス感染症の流行、6年連続の薬価改定、物価賃金高騰などの影響により、薬局や医療機関の経営は大きな影響を受けていますが、診療報酬は公定価格であるため、増加したコストの転嫁等ができず、物価上昇に対応して、スタッフの生活を支えるための賃上げなどの処遇改善が満足にできていない状況です。
 先日の医療経済実態調査の結果でも、薬局の給与の伸び率は、管理薬剤師で1.5%、勤務薬剤師で0.1%、日額の賃上げ状況調査では、ベースアップ金額が全産業の半分にも満たない金額となっています。
 また、薬局の事務職員の平均賃金は年間280万円と、全産業の平均を大きく下回っています。薬剤師をはじめとした医療職や事務職員などの人手不足に拍車をかけている状況で、特に事務職員等の人手不足は深刻な状況になっています。
 薬剤師は薬局だけではなく、医療機関でも地域医療を支えるために働いておりますので、このような視点も含めて、今回の改定で、薬局や医療機関における処遇改善の実施に向けた対応が必要で、どのような対応ができるのか検討していくべきものと考えます。
 論点に示されている内容に異論ありませんので、入院・外来医療等の調査・評価分科会におかれましては、これらの視点を持って御議論や御検討をお願いできればと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 まず、24ページの論点に書かれていることに、異論はございません。
 患者が安心して医療を受けられるために、医療人材の確保は重要であり、そのためには、医療機関で働く全ての労働者の賃金改善は必要不可欠と考えます。実際の賃上げにつながる、確実に従事者の手元に行き届く仕組みについて、技術的な分析、検討をお願いいたします。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 24ページの論点につきましては、これまでも申し上げてきましたとおり、処遇改善は医療機関、薬局のマネジメント、すなわち配分の見直しで対応することが原則だと考えております。
 政府の方針として賃上げに対応しなくてはならないことは十分理解いたしますが、医療経済実態調査で明らかになった、一般企業では利益剰余分に相当する資本の増加分を原資にすれば、対応は可能なはずと考えます。
 また、論点の冒頭に、医療関係職種は、全産業平均の賃上げに追いついていないとの記載がございますけれども、一方で、医療関係職種より賃金が伸びていない業界もございます。
 今後も医療費が増加し続ける中で、医療関係職種の賃上げを単純に患者負担や保険料に転嫁すべきではないと考えます。
 しかしながら、相対的に賃金が低い医療従事者の処遇改善について、配分の見直しで吸収するということであれば、一定の理解はできます。議論の時間は限られておりますので、分科会で技術的に検討することは了承いたしますが、あくまでも技術的な分析のみであり、最終的な決定は総会で行うということには十分御留意いただきたいと思います。
 また、仮に診療報酬で対応するにしても、幅広い職種や医療機関を対象とするのであれば、看護職員処遇改善評価料のように、個々の医療機関の職員数と患者数に応じた仕組みには限界があります。特に診療所については、医療経済実態調査で経営が好調なことが明らかですので、極めて慎重に対応すべきです。
 受診する医療機関によって自己負担が変わるなど、診療報酬が複雑になり過ぎないことにも配慮し、賃上げの一部に充てるイメージで、最低限の評価にとどめるべきと考えております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 繰り返しで申し訳ございませんが、診療報酬の中で処遇改善を行うというのは、非常に難易度の高いことだと思っておりますので、検討を進めることに関しては、異論はございませんけれども、やはり患者負担が避けられないことなどから、慎重な検討をお願いしたいと考えております。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私も24ページの論点について、技術的検討を分科会で進めるということについては、賛同したいと思います。
 そこで1点、もし可能であればですけれども、とはいえ、先ほど松本委員もおっしゃったように、時間的余裕はあまりないと思います。この分科会でどの程度、何回ぐらい議論して、そして、総会で最終決定することになるかと思いますけれども、その辺のタイムスケジュールが、今、事務局でお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思いますし、その辺について、特に評価料で、これを広げるのは非常に難しいと思うので、その辺も含めて、なかなか、例えば、介護保険の処遇改善加算のような方法を取るのかどうかということも含めて検討になると思いますけれども、タイムスケジュールだけでも、もし含み案があれば、教えていただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま、池端委員から分科会のタイムスケジュールについての御質問ございましたが、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 本日、この場で御了解いただきますれば、日程調整を開始し、そして、複数回の検討を年末年始のところ恐縮なのですが、行っていただこうと考えてございます。
 年明けのしかるべきタイミングで、総会に諮らせていただきたいと思っております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 先ほど、長島委員から木澤専門委員の御意見もという御要望でしたので、よろしくお願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 医療関係職種の賃金引上げに向けた診療報酬上の技術的検討を行うに際し、入院・外来医療等の調査・評価分科会において、必要な分析を進めることについて異論はございません。
 看護職員処遇改善評価料を算定している医療機関では、賃金が改善されましたが、対象医療機関が限られておりますので、看護職員全体の3分の2に当たる約100万人は対象外になっております。
 看護職員の給与は年齢が上がっても横ばいで、40代前半では一般産業より7万円以上低くなります。
 この給与には、夜勤従事手当も含まれており、業務量や命に向き合う責任の重さに対して見合っているとは言い難い状況です。ましてや、看護補助者は医療関係職種の中で最も低い賃金であり、全産業平均を大きく下回っております。医療の場は、様々な医療関係職種が自らの役割を果たし、協働することで成り立っております。
 生産年齢人口が減少していく中で、医療関係職種の人材確保は、安心・安全な医療を国民に提供し続ける上で不可欠です。
 医療関係職種の処遇改善に向けて、しっかりと中医協において議論するためには、以上のようなことに御留意いただき、詳細かつ丁寧な分析を分科会にお願いしたいと思っております。
 私からは以上となります。
○小塩会長
 お待たせいたしました。
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 論点の分科会において検討を進めることに関して、異論はございません。
 我々病院団体は、入院基本料としての基本料の大幅な引上げを求めています。もちろん、これがいわゆる処遇改善にしっかりと使われたかどうかの検証は必要ではありますけれども、前回の看護の処遇改善評価料でやったように、これは本当にテクニカルに、百何十種類だとか二百種類だとかというものをやっていかないと、確実に処遇改善に振られるような仕組みをつくるのは難しいと思っています。
 ですので、それに関して、本当にそこまでの詳細な設計をするのか、それとも、やはりその各医療機関に任せていただいて、その地域の中での労働市場等、様々な神の見えざる手によって、ある一定程度しっかりと処遇改善が行われるような形を監視していくのかを含めて、どこまで診療報酬上、テクニカルな制度設計をしていったほうがいいのかということも含めて、分科会のほうで、メリット、デメリットを検討いただきたいと思います。
 既に、確かにR4に関して言いますと、全産業平均と比べて全体では賃上げに追いついていないというのはありますが、幾つかの病院は、看護の処遇改善加算をもらった以上に、全ての職員の給与を上げたと、自力で何とか上げたというところもございます。
 どこの基準から上げたことを評価するかというのがありまして、いわゆる地域の平均よりも上がっていたらいいのか、既に最初に上げていたところは、またさらにそこから上げないと評価されないのかなど、様々な論点が多分出てくるかと思います。
 本当に限られた期間になりますけれども、分科会のほうで積極的に様々な案をつくっていただけることを期待しております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 それでは、ほかに御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「入院時の食費について(その2)」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○荻原保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。
 総-7「入院時の食費について(その2)」を御覧いただきたいと思います。
 2ページ目ですが、こちらは11月の(その1)でも示しました入院時の食費をめぐる状況でございます。病院給食の委託単価、公定価格1,920円、1日分を上回る状況であり、昨今の食材料費等の高騰により、その差が拡大しているという状況を示しております。
 また、あわせまして、家計の食費支出について、近年、大幅に上昇しているという状況をお示ししてございます。
 3ページ目でございます。
 入院時食事療養費の現行制度の概要でございます。
 入院時に必要な食費につきましては、1食当たりの総額と自己負担を健保法に基づきまして国が定め、その差額を入院時食事療養費という形で保険給付として支給する仕組みとなってございます。
 入院時の食事療養費、この保険給付につきましては、食事療養の基準額、総額から標準負担額、自己負担としまして、食材費、調理費に相当する部分、この自己負担を引いたものという形になります。
 支給方法につきましては、各保険者のほうが、被保険者に代わり、保険医療機関に直接支払う現物給付方式となってございます。
 4ページ目でございますが、制度発足以来の療養費の変遷でございまして、総額につきましては、1日当たりで鑑みますと、平成9年以来変わっていないという状況でございます。
 5ページ目、参照条文、健保法の条文でございまして、今、申し上げた中身が書かれてございます。
 この健保法の関係で申し上げますと、中医協として厚生労働大臣が中医協に諮問するものについては、この基準額になります。
 食事療養につき、食事療養に要する平均的な費用を勘案して、厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の確保、こちらについてが、直接的な諮問事項という形になります。
 6ページ目を御覧いただきますと「入院時の食費の見直し」についてでございます。
 入院時の食費につきましては、昨今の食材費等、特に足元で大きく高騰しており、また、介護保険の食費の自己負担、これも前回御紹介しました、1食当たり約482円となってございまして、入院時の食費との差は22円となってございます。
 食材費等の高騰を踏まえた対応を行う観点から、入院時の食費につきまして、例えば、30円引き上げることとしてはどうかという形で御提案してございます。
 先ほど申し上げました自己負担の部分については、今、別途、社会保障審議会医療保険部会における議論も行われてございます。
 これは、直接的な食事療養費に関してですが、あわせまして、食費と同様の価格設定がされております入院時の生活療養費の食費分についても、同様の見直しの検討が必要かと思っております。
 また、こちらの中医協におきましては、別途、入院時の栄養管理体制の充実も含めた評価の在り方についても検討しているという状況かと認識してございます。
 見直しの施行日につきましては、最終的には令和6年度予算編成過程を経て決定していくこととしてございます。
 資料の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 入院時の食費については、これまで様々なところで繰り返し主張されているとおり、物価高騰にもかかわらず、約30年据え置かれ、もはや経営努力のみでは、食事療養の提供が極めて困難な状況になっております。
 当然ながら食事療養は、病気治療の一環として非常に重要なものであり、その質が下がることは、医療の質の低下を意味します。
 このようなことを踏まえれば、提案いただいておりますとおり、入院時の食費については、食材費等の高騰を踏まえた対応を行わざるを得ないと考えます。
 実施に当たっては、まずは丁寧な周知をお願いいたします。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 今、長島委員もおっしゃったように、この入院時の食事に関しては、病院団体全体としても本当に長年の夢と言っては、小さな夢なのですけれども、本当にここまで据え置かれたことに対しては、しくじたる思いがありましたので、ようやく少しこういう機運が盛り上がりの中で、こういうことを御検討いただいたことは、非常に感謝申し上げたいと思います。
 ただし、今回は自己負担の30円を上げるということになるかと思うので、低所得者に対する丁寧な対応ということは、ぜひ併せて御検討をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 先ほど、長島委員からも周辺状況の御説明がありましたけれども、資料の6ページの内容につきましては、例示されている金額を含めて議論はございません。
 食材費等の高騰を踏まえた対応ということですので、今回の見直しによる保険給付部分への影響はないと認識しております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 物価高騰を踏まえた対応そのものについては理解いたしますが、物価は患者自身の生活にも影響することですので、今回実施するにしても、その後の患者の声には耳を傾けていく必要があると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「令和6年度診療報酬改定に関する基本的な見解(各号意見)について」を議題といたします。
 12月1日の総会で、医療経済実態調査の結果に対して、1号側委員、2号側委員それぞれの見解をいただきました。本日は、各号側委員それぞれから、次期診療報酬改定に関する見解が提出されております。短期間にまとめていただき、本当にありがとうございました。本日は、その資料の説明をお願いしたいと思います。
 最初に、1号側委員からの資料の説明をお願いいたします。
○松本委員
 それでは、1号側委員を代表いたしまして、健保連の松本のほうから発表させいただきます。
 令和6年度診療報酬改定に関する1号側の意見ということで、そこに書面が配付されておりますけれども、構成といたしましては、1ページ目の3つの段落については、過去、現在、今後に関する基本認識を示しております。
 ポイントだけ申し上げますと、社会活動が活発化してデフレ脱却に向けた兆しが見え始めている時期になっているということ。
 一方で、医療費は一貫して増加基調にあり、令和4年度は過去最高の46兆円規模にまで拡大しているということ。
 さらには、高齢化の進展に伴い、医療費はますます増加する見込みであるということ。
 また、最後に、前回導入されたリフィル処方箋の仕組みについては、まだまだ達成半ばであるということでございます。
 次のページに移っていただきまして、1つ目の段落は、前回発表がございました医療経済実態調査結果の受け止めでございます。
 令和4年度における一般病院の経営状況は、損益差額が全体で1.4%の黒字となったということ。
 また、一般診療所においては、黒字が拡大して、損益差額が9.7%の黒字となっているということ。
 歯科診療所と保険薬局は、引き続き黒字基調であったということ。
 そして、資産や負債の状況に目を向けると、一般病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局のいずれも長期借入金をはじめとする固定負債が減少して資本が増増加していると。
 そうした以上の状況から、一般診療所を中心に医療機関、薬局の経営も含めて堅調と言えると考えております。
 次の段落でございますが、特に重要と考える課題として幾つか挙げております。
 まずは、再三述べておりますけれども、医療保険財政が限界に近い状態にあるということ。
 さらには、保険の持続可能性を確保するためにも、医療の質を担保しつつ、効率化や適正化の取組が極めて重要であるということ。
 さらには、医療機能の分化・強化と連携を加速させることが必要であること。
 そして、今回、医療・介護・障害福祉サービスの同時報酬改定を通じて、各制度において、各施設、各職種それぞれが機能を強化した上で、ICTを活用して円滑な連携を図らなければ、サービスの担い手が不足する中で、高齢化による増大する需要を賄うことは到底できないという問題意識でございます。
 最後に、我々の主張をまとめております。
 令和6年度診療報酬改定においては、賃金、物価の動向を考慮しつつも、高止まりする医療費の自然増により医療保険制度の持続可能性に懸念があること、限界にある国民負担の状況、診療所と病院の経営状況の違い、職種別の給与水準の格差などを総合的に勘案する必要がある。したがって、患者の負担増や保険料の上昇に直結する安易な診療報酬の引上げを行う環境にはない。一方で、令和6年4月からの働き方改革を踏まえ、救急も含め、24時間対応可能な地域医療体制の確保に向けて、多様な医療人材の連携を促進するとともに、看護職員等の医療従事者の処遇改善は重要事項である。まずは診療報酬と補助金・交付金との役割分担の整理・効果検証を行い、その結果を踏まえた大胆な配分の見直しにより実現を図るなど、真に有効でめり張りの効いた診療報酬改定が不可欠である。また、薬価・材料価格改定については、革新的新薬等のイノベーションへの十分な配慮、後発医薬品等の安定供給の確保を着実に進めるとともに、市場実勢価格の低下に伴う引下げ分を国民に還元すべきであると。
 以上であります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、2号側委員から資料の説明をお願いいたします。
○長島委員
 2号側委員7名を代表して、長島より2号側委員の意見を読み上げさせていただきます。
 診療報酬は、全国一律の公定価格として厚生労働大臣により定められ、国民にとって安全で、安心できる医療を提供するための原資であることはもとより、医学の進歩・高度化に対応するための設備投資、患者ニーズの多様化に応える医療従事者の雇用の確保及び拡充に不可欠なコストを賄っている。
 したがって、診療報酬は、原則2年ごとに改定されることから、その間の賃金や物価の動向を適切に反映するものでなければならない。
 また、これまでの改定に期待される役割に加え、令和6年度の診療報酬改定においては、政府の重要政策とされる医療従事者の賃上げ及び現下の食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰という極めて異例の状況に対応できる改定でなければならない。
 医療の質を高めつつ、賃上げの好循環を全国の医療従事者に行き渡らせるためには、適切な財源が必要であり、令和6年度の診療報酬改定では従来以上の大幅なプラス改定が求められている。
 医療機関・薬局は新型コロナウイルス感染症の感染拡大前と比較しても厳しい経営を強いられている。
 新型コロナウイルス感染症(以下、コロナという。)に関する診療報酬上の特例や補助金、かかりまし費用等の影響を排除した病院・診療所の損益率を見ると、コロナ後3年間の平均は、コロナ前の平均を下回っている。コロナ禍における診療報酬上の特例やコロナ補助金は一過性の収益であり、感染対策経費の増加、追加的人員の確保などの診療体制の整備に活用されており、また、すべての医療機関の収益となっていないものであるため、令和6年度診療報酬改定の議論は、これらの影響を除いた上で行うべきである。
 令和4年度の損益率(コロナ関係補助金を除く)の分布を見ると、一般病院の7割弱、一般診療所の約3割が赤字であった。物価高騰、賃金上昇が続く中、現状、コロナ特例は大幅に縮小されてきており、さらに、今後特例が廃止となって収益が下がることがあれば、赤字施設の割合がさらに増え、地域の医療提供体制が維持できなくなる。そもそも経営基盤が脆弱な診療所では、倒産が相次ぐ恐れがある。
 費用については、病院、診療所ともに上昇し、特に、物価高騰を反映して水道光熱費の伸びが顕著であった。また紹介手数料も大きく上昇し、これは、医療業界における人材確保の厳しさの現れである。
 令和4年度診療報酬改定を踏まえた個人立歯科診療所の直近2事業年の医業収益はマイナス0.9%と落ち込んだ。地域医療を担う歯科医療機関の約8割が個人立歯科診療所であり、その経営は依然として回復傾向になく、厳しい状況が続いている。
 保険薬局の直近の損益状況については、コロナの感染拡大の影響から回復しつつある一方、物価高騰や賃金上昇への対応のため、損益差額ともに対前年比は減少傾向にあり、引き続き厳しい経営状況が続いている。
 医療における賃上げが人材確保を支え、経済の好循環、地方創生をも生み出す。
 この3年間、多くの医療機関等では、不眠不休で未知のウイルスに立ち向かい、時間外に発熱外来やワクチン接種、自宅・宿泊療養者の健康観察などを担ってきた。その際の補助金や診療報酬上の特例による一時的な収入増は、コロナ流行時にしっかり対応してきた証しでもある。
 したがって、コロナ禍という特殊な状況で生まれたストックは、賃上げの原資となるものではなく、賃上げは、フローで行うべきである。
 令和3年10月の岸田内閣発足時の政府の方針に基づいて行われた令和4年度診療報酬改定では、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、収入を3%程度引き上げるための処遇改善の仕組が導入された。
 しかし「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によると、令和4年には令和3年の1.86%から2.20%に上がり、さらに令和5年には3.60%に上昇している中で、医療・介護分野の賃金上昇は、一部に限定されたため、1%台にとどまり、他産業に大きく後れをとっている。
 他産業の賃上げが進む中、医療従事者の賃金を引き上げ、サービスを提供するための人材を確保していくための原資を確実に担保することは、医療従事者が他産業へ流出し、人材確保が厳しくなっている現状も踏まえれば急務と言える。
 同時に、改定により医療従事者の賃金が引き上げられることで、雇用の拡大、地方創生、さらには、経済の好循環を生み出すことにもつながることから、医療機関等がそれぞれの状況に応じて幅広く、かつ、恒久的に賃金を引き上げることができるだけの原資を確保するため、十分な手当がなされる必要があることは論をまたない。
 食材料費・光熱費等の物価高騰への対応。
 今般の食材料費、光熱費等の物価高騰は、国民のみならず医療機関にも大きな影響を及ぼしている。
 特に、入院中の食事療養費は、約30年間も据え置かれ、もはや、経営努力のみでは良質な食事の提供が極めて困難な状況である。
 実際、病院給食委託単価は、令和3年時点で既に公定価格の単価(3食分で1,920円)を上回る状況で、令和4年にはさらにその差が広がっている。
 入院患者への質の高い食事提供ができないことは、患者にとって不幸なことであり、良質な食事の提供を継続していくためにも、対応は待ったなしの状況となっている。
 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進。
 令和6年4月から始まる医師等の働き方改革に関しては、医師の健康確保、地域医療の継続性、医療・医学の質の維持・向上といった重要課題にしっかり取り組むことが重要である。
 そのためには、これまでに働き方改革を目的として設定された地域医療体制確保加算や、医師から他の医療関係職種へのタスク・シフト/シェアに活用された医師事務作業補助体制加算など、多くの診療報酬項目により、医師等の働き方改革の推進、医療従事者の負担軽減が図られてきた。
 これらの診療報酬項目は、まさにこれからはじまる医師等の働き方改革の確実な実行において、その効果を発揮するものであり、令和6年度診療報酬改定においても、この歩みを着実に継続し、さらに加速させていくため、現場に有効に活用されるような見直しと評価の継続が求められるものである。
 ICT活用や医療の高度化は、政府の成長戦略として必須。
 医療の高度化や、AIやICT等といった技術の医療への活用は、医療の質の向上だけでなく、医療現場で働く医療従事者の負担軽減を図り、さらなる効率化につながることが期待されている。これはすなわち、患者さん自身にとって直接感じられるサービスの向上となるものであり、診療報酬改定ごとに不断に医療技術として取り入れることが必要で、歩みを止めてはならない。
 さらに、ICTを活用して広くインフラを整備することに係る経費については、政府の成長戦略として重要な一角を担っているところであり、その発展を促進すべきである。
 薬価改定財源等もあわせ、異例の診療報酬改定を乗り切る。
 ここまで述べてきたように、今回の診療報酬改定は、異例の状況を乗り切るため、非常に重要な改定である。その中で、薬剤料には、薬価制度発足時に十分な技術評価ができなかった不足分に相当する潜在的技術料も含まれている。しかし、平成26年度で薬価改定財源が消費税対応に活用され、その後、薬価改定財源は診療報酬本体に活用されていないものの、診療報酬と薬価は不可分一体の関係にある。
 令和6年度の診療報酬改定では、国民の安心・安全を守るために医療の質を向上させる取組を進める中で、ここ何年かの改定とは明らかに異なる状況である物価高騰、賃金上昇への対応に加え、医療DX対応に向けた環境整備の必要性もあることから、薬価改定により生じる財源を診療報酬に充当するなど十分な財源を確保し、この局面を乗り切るべきである。
 以上です。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 ここで、前回の令和4年度改定を振り返ってみますと、まず、医療経済実態調査に対する各号側の御見解、それから、次期診療報酬改定に関する各号側の御見解、それから、薬価調査の結果等を踏まえまして、公益委員のほうで厚生労働大臣に対する意見書の素案を作成いたしました。その上で、総会でそれを御議論していただき、意見書を取りまとめて、中医協から厚生労働大臣への意見として提出いたしました。
 今回の令和6年度改定でも同様に、中医協の意見を取りまとめて、厚生労働大臣に提出したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、本件につきましても、そのように進めさせていただきます。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

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代表: 03-5253-1111(内線)3288

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