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2023年12月6日 中央社会保険医療協議会 総会 第570回議事録

○日時

令和5年12月6日(水)薬価専門部会終了後~

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 永瀬伸子委員 本田文子委員 安川文朗委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 太田圭洋委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○個別事項(その11)について
○入院(その6)について
○感染症対応について(その2)

 

○議事 

○小塩会長
 それでは、ただいまより、第570回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 薬価専門部会と同様、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、末松委員、岡本専門委員が御欠席です。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 初めに「個別事項(その11)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、個別事項(その11)、テーマといたしましては、救急医療につきまして、中医協総-1を用いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 スライド2、こちらが本日の目次でございます。
 まず、1つ目の「救急医療における患者の病態に応じた効率的な医療の提供のための転院搬送について」を御説明させていただきたいと思います。
 3ページ目は、これまでの総会等におきましていただいた主な意見でございます。
 これらの中には、三次救急に搬送され、結果的に三次救急病院以外でも対応可能な病態の患者であった場合には、迅速に、いわゆる下り搬送を行うことが重要ではないかなどの御意見をいただいたところでございます。
 4ページ目から7ページ目に関しましては、救急搬送件数等に関する資料でございますけれども、一般的に申し上げれば、救急搬送の件数及び搬送人員は増加し続けていること、中でも後期高齢者の搬送、そして、軽症、中等症の高齢者の搬送件数が増加していることを示してございます。
 8ページ目以降が、救急医療体制についてでございます。
 11ページ目には、こちらは第三次救急医療機関の数自体が増加しているものの、1施設当たりの救急搬送件数が増加傾向にあること。
 また、12ページ、13ページ目にありますように、救命救急センターにおける専門医などの数も増加しており、第三次救急医療機関に救急搬送が集中してきていると、こういう状況になっていることを示してございます。
 15ページ目から17ページ目でありますが、入院料ごとの救急医療提供体制や受入れ件数についてお示ししているところでございます。
 こうした状況の中でございますけれども、18ページ目、19ページ目には、これまでもお示しした資料でございますけれども、一部の救急病院に入院患者さんが集中することによりまして、高度急性期病院でより重症な患者さんの受入れが困難になることや、高齢者の入院期間が長引く場合があるなど、いわゆる出口問題があることが指摘されているところでございます。19ページの右下の吹き出しにあるところでございます。
 20ページ目から23ページ目でございますけれども、こちらは、高齢者に多い疾患の医療資源投入量や、救急搬送により入院する場合の入院先についての資料でございます。
 23ページ目にございますとおり、誤嚥性肺炎や尿路感染症などを含め、高齢者が急性期一般入院料1、いわゆる7対1病床でございますけれども、こういった病床や、特定機能病院、それから、いわゆる集中治療室などの治療室に入院する割合が高くなっているということを示してございます。
 24ページ目から28ページ目でございます。
 こちらは、誤嚥性肺炎などの疾患につきまして、早期のリハビリテーション開始が重要であるという一方で、急性期の病棟におけるリハビリテーション専門職の人数が少ないということを示してございます。
 29ページ目からは、地域包括ケア病棟における救急医療の状況でございます。
 32ページ目、33ページ目にありますとおり、救急搬送後に直接入棟する患者さんの割合は低い状況になってございます。
 一方で、15%以上といった施設も7.8%存在します。
 34ページ目でございますけれども、こちらは地域における適切な救急搬送に関する取組の紹介でございます。
 まず、消防法に基づきまして、都道府県にメディカルコントロール協議会などを設置し、傷病者の搬送や受入れの実施に関する基準の策定が義務づけられているところでございます。
 36ページ目、37ページでは、救急搬送ルールの整備に関する実際の取組事例を紹介してございます。
 一方でということで、38ページ、39ページにありますとおり、地域によりましては、一部の救急医療機関で救急患者さんを幅広く受け入れて初期診断を行い、評価の結果、救急医療機関以外でも対応が可能な患者さんにつきましては、他院に転院搬送するという取組がなされてございます。
 これらの事例に共通することといたしましては、受入れ先の候補となる医療機関と事前に協議を行い、受入れ可能な疾患や時間帯について共有していること。
 搬送の際には、自院の救急車両を用いて、看護師や救命救急士の同乗により搬送していることなどの点があったところでございます。
 40ページ目からは、こうした転院搬送に関する取組状況についてでございます。
 40ページ目の右から2列目にございますとおり、特定機能病院や急性期一般入院料のうち、救命救急センターのある医療機関におきましては、一定程度、こうした転院搬送が実施されていました。
 また、41ページ目の右から2列目では、こうした転院搬送の患者さんを受け入れた状況につきまして、入院料ごとにお示しをしてございます。
 43ページ目からは、救急搬送や救急外来に関する主な診療報酬項目について、お示しをしてございます。
 44ページから48ページ目まで、救急搬送診療料や、夜間休日救急搬送医学管理料など、個別の点数の概要についてお示ししておりますが、転院搬送に着目してまとめました図が49ページとなります。
 救急外来から救急外来への転院搬送でございますけれども、図の中のマル1というところになりますが、ここでは医師が同乗した場合の搬送は、一定の評価がありますが、看護師や救命救急士が同乗して、自院の救急車で搬送を行った場合などは、現在は評価の対象となってございません。
 また、急性期の病棟から急性期の病棟に転院を行った場合は、転院元の病棟の施設基準における在宅復帰率の分子には含めることができないため、在宅復帰率の計算上、その値が低下することとなります。
 次、2つ目のテーマでございます。救急医療管理加算でございます。
 50ページ目以降でございますが、51ページ目に点数の概要、52ページ目、53ページ目に、最近の改定内容についてお示しをしてございます。
 令和4年度の診療報酬改定におきましては、JCS、Japan Coma Scaleといいますが、0の意識障害や、NYHA、New York Heart Associationですけれども、こちらのⅠ度の心不全、P/F比400以上の呼吸不全などにつきまして、救急入院が必要であると判断した医学的根拠を摘要欄に記載することとされたところでございます。
 54ページでは、これまでにいただいた御意見でございますけれども、加算1と加算2の区別について明確化すべきではないかなどの御意見をいただいたところでございます。
 55ページ目からでございますが、算定回数等の資料でございますが、全体の算定回数は増加傾向にあること、内訳としては、加算1が減少し、加算2が増加していること。
 また、加算1と加算2の区分につきましては、58ページ目にありますとおり、加算1の割合が都道府県間でばらつきがあるということも指摘されているところでございます。
 59ページ目から62ページ目は、加算の対象となります、状態の内訳ごとの算定人数の推移を示しております。
 次、63ページ目と64ページ目でございますけれども、こちらは、救急医療管理加算を算定する患者さんの転帰についてでございます。
 全体といたしまして、加算1を算定した患者さんのほうが、加算2の患者さんよりも死亡率が高いということを示してございます。
 65ページ目からは、意識障害または昏睡により算定する患者についての資料でございまして、65ページ目にありますとおり、Japan Coma Scale、JCSゼロで算定する患者さんの割合は減少傾向にあるものの、66ページ目にありますとおり、一部の医療機関では、JCSゼロの方の割合が高くなっていることもお示ししてございます。
 67ページ目から69ページは、JCSゼロで算定する患者さんの傷病名や実施された診療行為であります。
 68ページ目にありますとおり、令和2年度の状況では、JCSゼロでありましても、非開胸的心マッサージが8.3%や人工呼吸7.3%ということでございまして、こういった医療処置されていることがございましたが、69ページ目にありますとおり、令和4年度の分析におきましては、JCSを救急受診または治療室、病棟入室時のうち最も重い分類を取っておりまして、その結果、心マッサージや人工呼吸の実施率は、約2%となっているところでございます。
 70ページ目でございます。
 こちらは、JCSの値ごとの死亡率ということでございますけれども、同じJCSの値で比較しますと、加算1のほうが、死亡率が高いものの、加算2のうちJCS100以上の患者さんは、加算1のうちJCSゼロの患者さんよりも死亡率が高いとなってございます。
 71ページ目では、同じJCSスコアの中で加算1を算定する割合につきまして、医療機関間でばらつきがあり、72ページ目では、JCSゼロやJCS1の患者さんにつきまして、加算1を請求する割合は、都道府県間のばらつきが大きいということを示してございます。
 73ページからは、心不全とNYHA分類についての同様の分析を行ってございます。
 75ページ目にありますとおり、加算1や加算2、この加算ごとの違いよりも、NYHA分類の違いにより、死亡率が異なることが示されてございます。
 76ページ、77ページでは、同じNYHA分類の中で加算1を取る割合は、医療機関間や都道府県の間でもばらつきが見られているということを示してございます。
 次、78ページ目から80ページ目は、P/F比400以上の患者さんの呼吸不全につきまして、そして、81ページは熱傷による救急医療管理加算につきまして、Burn Indexごとの割合を示してございます。
 82ページ、83ページは、JCSゼロの意識障害や、NYHAⅠ度の心不全、P/F比400以上の呼吸不全の患者さんにつきまして、傷病名や緊急に入院が必要ない理由を集計したものでございます。
 まず、JCSゼロの意識障害の方につきましては、傷病名に一過性脳虚血発作やメニエール病、頭部打撲などが含まれていたほか、脳梗塞などの患者さんにおけます緊急入院が必要である理由には、単に脳梗塞であるためや、点滴による治療が必要なため、増悪の可能性があるためが含まれていたという結果でございます。
 83ページでございます。
 こちらは、呼吸器の疾患によりP/F比400以上の状態で、救急医療管理加算1を算定したと考えられる患者さんの救急入院が、緊急入院が必要である理由には、呼吸状態が今後増悪する可能性があるため、経過観察が必要なためが含まれた一方で、SpO2低下のためなど、通常はP/F比400以上に該当しないと考えられる理由も含まれていたところであります。
 また、心疾患により、NYHAⅠ度の状態で救急医療管理加算1を算定したと考えられる患者さんの緊急入院が必要である理由には、意識消失の精査のためといったことが高い割合で含まれておりました。
 84ページ目から86ページ目には、加算2の中のその他の重症な状態についてでありますけれども、84ページにお示ししましたとおり、傷病名の内訳を見ますと、重症な場合には、他のカテゴリーに該当し得ると考えられる傷病が多く含まれておりました。
 また、86ページにありますとおり、救急医療管理加算のうち、その他の重症な状態の割合が高い医療機関が一部に認められていたところでございます。
 それでは、課題・論点でございます。
 課題を88ページにお示ししてございまして、89ページ目に論点としてお示ししてございます。
 1つ目の括弧でございますけれども「救急医療における患者の病態に応じた効率的な医療の提供のための転院搬送について」ということでございます。
 1つ目の○に記載をさせていただいてございますけれども、救急医療機関等を受診後に、他の医療機関でも対応可能な患者さんを転院搬送する取組に関する評価の在り方について、これまでの取組事例等を参考に、以下を要件とすることについてどのように考えるかということで、下に6つほど要件案をお示ししてございます。
 次の○では、急性期病棟から他の急性期病棟への転院につきましては、搬送元医療機関に入院後速やかに行われた場合に限り、在宅復帰率の評価対象から除外することについてどのように考えるか。
 次に「救急医療管理加算について」でございます。
 JCSゼロの場合の意識障害または昏睡、P/F比400以上やNYHAⅠ度の場合の呼吸不全または心不全で重篤な状態により算定する場合の評価についてどのように考えるか。
 最後の○でございますが、この加算のうち、その他の重症な状態の割合が高い医療機関が存在することを踏まえ、その他の重症な状態の取扱いについてどのように考えるか。
 このような論点とさせていただいてございます。
 事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等よろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 89ページの論点に沿って、コメントします。まず、1つ目の転院搬送についてです。
 これまで議論してきたとおり、いわゆる下り搬送が求められる場合があることについては、理解しているところです。
 ここで事務局へ質問します。
 18ページの転院下り搬送による救急医療体制の役割分担イメージの資料に、新潟県の資料が引用されておりますが、これと全国の実態についてです。
 上段の転院下り搬送なしの図で言及されているような三次医療機関が全国的に低中等症者で埋まっていて、三次医療機関で救急受入れ件数が全国的に飽和しているということを示す資料はどれでしょうか。
 また、上下両方の図ともに、周辺病院で患者数を確保できないといった実態や、減っていく見込みについて言及されていますが、これを全国的な実態及び予測として示す資料はどれでしょうか。回答できるタイミングで構いませんので、教えてください。
 さて、救急医療体制については、各地域の救急医療提供体制によって大きな差があり、実際の医療機関の役割分担や、医療従事者の配置に応じて、それに適した形に進化し、日々搬送や受入れに係る問い合わせを行っています。
 さらに、患者さんの病態の違いに応じた救急医療の在り方については、各地域の救急医療提供体制の多様性も踏まえれば、いわゆる下り搬送することが唯一の正解とはならないということもあります。
 そのような状況下で、次回改定にて、いわゆる下り搬送唯一の在り方のように評価する点数を設定することになれば、三次救急を担う医療機関に患者さんの対応を担わせることで点数が算定できるという新たなフローが、全国的に一律に発生することになりますが、果たして実現可能性が十分にあると言って問題ないのでしょうか。
 また、MC協議会に大きな役割、権限が求められることになっていますが、それは、患者さんの搬送といった個別的対応も含め、全国で十分に対応できるのでしょうか。
 その上で、今回の論点では、様々な要件案が記載されておりますが、それぞれについて、診療報酬を設定することで、現場の在り方を一足飛びに変え、それが機能するかどうか不透明であり、地域の救急医療提供体制に支障や混乱が生じ得るという危険性も踏まえれば、全国的な実態やデータに基づいて、しっかり検討する必要があります。
 したがって、そのような議論なしに、1つの県の資料だけをもって、全国的な報酬を細かな要件とともに設定することは賛成できません。
 次に、救急医療管理加算についてです。
 前回改定の際の議論においても、救急医療管理加算1を算定する患者さんの中に、JCSゼロの患者さんがいることが指摘されました。
 しかし、その中には非開胸的心マッサージや人工呼吸といった、緊急性が高いと思われる処置が実施されていることや、また、加算2のその他の重症な状態に該当する患者さんの中にも、イレウス用ロングチューブ挿入等の処置が行われている方が、一定割合存在することなどが確認されました。
 また、分析を細かく見ましても、P/F比が400以上で救急医療管理加算を算定する症例の中に、SpO2酸素飽和度が低下しているためといった症例もあったとのことですが、これは、P/F比が酸素投与前のものに基づくのか、酸素投与後のものに基づくのかが明確になっていないことも背景として考えるのではないでしょうか。
 そうであれば、酸素投与前の値に基づくことや、臨床症状で判断せざるを得ない場合を含むよう明確化するなど、運用に正確性を期する対応があると考えられます。
 さらに、その他の重症な状態の取扱いについても、重症であれば、他の疾患や状態に該当する場合があるとのことですが、重症患者の病態は様々であり、どの疾患、状態にも当てはまらずとも重症な患者さんというのは存在すると考えるため、完全に廃止するというのは暴論です。
 もちろん、JCSゼロ等である場合にどのような状態であるのか、医療機関がきちんと入力することは大事です。
 しかし、今、申し上げたようなことも踏まえれば、JCSやNYHA等では、重症度を正確に表現できないケースも当然あり得ますので、これらを最初から排除してしまうことが、本点数の趣旨かというと甚だ疑問です。
 また、1つ前の論点とも関連しますが、今後、高齢者の軽症や中等症あるいは症状不明確な救急搬送が増加する中で、地域の二次救急医療機関が積極的に患者さんを引き受ける体制をさらに整え、強化していくことは必須の認識だと感じているところ、その対応に係る評価を減らすことは、全く逆向きの議論であると思います。
 そうした観点も踏まえれば、この加算の対象を狭める議論は、地域の医療提供体制を考えると、到底容認できません。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員から意見を聞く機会について御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま、長島委員から18ページの資料の見方についての御質問がございましたが、事務局、現時点で対応していただけますでしょうか。
○眞鍋医療課長
 ありがとうございます。
 御質問もありがとうございました。医療課長でございます。まず、今回のテーマで私どもが申し上げたかったことは、御指摘のとおりとは思っているところは多々ございまして、地域における救急搬送の実態は様々であること。その中で、全ての地域で、いわゆる下り搬送が実施されるべきものということでは考えてございません。
 医療の効率的な提供のために、そういった搬送が必要な地域において行われた場合についての対応を検討し得るものとお示ししたつもりでございます。
 その上で、資料の18ページに関するお尋ねもございました。こちらは、医政局の地域医療構想等に関するワーキンググループで提出された資料でございます。
 このワーキンググループにおける議論も踏まえまして、増加する高齢者の救急に対応する観点などから、第8次の医療計画に向けた国の指針におきましても、高次の医療機関からの必要な転院搬送を促進するということは、求められているところでございます。
 すみません、いきなり全ての全国データというわけではないのですけれども、38ページや39ページ目には、実際に、これは熊本県や神奈川県の例でございますけれども、ヒアリングを行ったところにおきましては、これらの医療機関で、病床利用率が非常に高く100%近いために、入院待ちの患者さんが多くなっていたことから、救急患者さんを継続的に受け入れるために、こうした取組を開始したという例もあるところ。
 また、40ページ目にお示ししておりますとおり、救命救急センターを有します特定機能病院のうちの約半分、それから救命救急センターを有する急性期一般入院料1、7対1の病床のうちの医療機関のうち24%が、こうした下り搬送を実施しているという結果もございまして、こういったことからは、新潟県以外でも実際に取り組んでいる医療機関は一定程度あると考えてございます。
 ただ、繰り返しなりますけれども、こうした例があるということでございまして、私どもとしては、全ての地域で、いわゆる下り搬送が実際にあるべきものということではなく、それは、地域の事情に応じて、医療の効率的な提供のために下り搬送が必要な地域において行われ得るということで、お示ししたところでございます。
 事務局からの回答は、ひとまず以上でございます。
○小塩会長
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 御回答ありがとうございました。
 事例の紹介にすぎないということで、一方、診療報酬は全国一律に全てに影響する、全ての地域の救急医療提供体制に影響し得るものということであれば、先ほど述べたような、しっかりとした検討が必要であると考えます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 私も89ページの論点プラスアルファで少しお話をさせていただきたいと思います。
 まず、下り搬送に関しまして、長島委員からもありましたように慎重に検討すべきであると思います。全くもって私自身否定するものではありませんが、これだけ詳細な、厳密な要件等を設定するものなのかというのはございます。
 実際に行っている病院がある一定程度負担になっていることは、多分、事実ではありますので、それに対して一定程度の評価をするというのはありますけれども、長島委員が発言されましたように、この点数の設定によって、大きく地域の救急体制が変わってしまうリスクというものも、やはり考えながら慎重に検討すべきだと思います。
 高次のところが全て救急を受けているわけではなく、やはり救急というのは、一次、二次、三次と上がっていくというような形で、地域の救急体制をつくり上げているところもございます。
 これは、地域差が非常に大きなところでございますので、それに過度に影響を及ぼすような点数の設定というものに関しては、慎重に対応すべき案件であると思います。
 2つ目の救急医療管理加算に関してです。
 これに関しましても、先ほど長島委員からありましたように、このJCSのゼロの意識障害、昏睡、P/F比400以上のNYHAⅠの呼吸不全、心不全で重篤な状態というものに関しましては、資料の82ページ、83ページで傷病名を見ますと、かなり重篤な状態と判断できる症例が含まれているということだと思います。
 そういう意味では、このJCSゼロ、P/F比400以上、NYHAⅠであることをもって、不適切と考えることは、やはり適切ではない。これで何らかの区分を考えるということには、慎重であるべきだと思います。
 また、その他の重症な状態に関してですが、これも84ページにありますように、患者で多い傷病名は、やはり、多く重篤な状態であれば、意識障害、昏睡、救急手術等が当てはまるという形で書かれておりますが、かなり重い疾患が多数を占めているわけですが、ただ、脳梗塞だとしても、意識障害または昏睡と判断することはできない症例というものもございます。
 また、非常に虚弱な患者の不安定な重症肺炎でも、来院時に呼吸不全とまでは言えない状態など、緊急入院、緊急治療が必要であるものの、この基準のどれかに当てはめろと、救急の現場で言われると、この救急医療管理加算の分類に困る事例というものは、現場ではたくさんあるだろうと思います。
 その中で、その他、重症の状態というものを選択しているという、そういう例が多いということだと思います。
 臨床現場では、診断というものは、やはり厳密に行われていくものでございます。ですので、1から11だけでは判断できない重篤な状態というものは残しておかないと、臨床現場での運用に困ることが発生すると思いますので、その他重篤な状態に関しましては、今回の改定ではこのまま残していただいて、今後も継続して事例の分析を行っていくということでいいのではないかと思います。
 最後に追加なのですが、資料の6ページ、7ページ、これは以前に、島前委員も発言されておりましたけれども、高齢者の軽症、中等症が増加している。その症状、兆候、診断名の不明確が急増しているというものでありますけれども、この高齢者の軽症、中等症というものの定義は左下に書いてありますが、消防の定義は、軽症というものは、外来治療で一応帰すことができるもの。中等症というものは、入院したものということになります。ちなみに重症というのは、長期入院、3週間以上入院することが最初の段階で見込まれたものを重症としているわけであって、高齢者でとにかく入院治療が必要だというものは、全部中等症に入るわけです。
 ですので、非常に重症な患者さんというのも中等症に入りますし、この分析だけをもって軽症、中等症の高齢者の救急が増えているという表現の仕方というのは、やはり実際に、今、行われている高齢者救急の現場の状況を非常にミスリーディングする表現だと思います。
 7ページの症状、兆候、診断名不明確というものが非常に増えていると、これが現場の姿でございまして、それを救急で入院した段階で、先ほどの1から11に当てはめなければいけないということでいうと、かなり困ることが起こるわけです。もちろん、1から11に当てはめ得るものもありますけれども、そうではない当てはめづらい症例というのもたくさんあるということになりますので、そういう意味でも、救急医療管理加算2のその他の重症な状況というものは、現実の運用を考えますと、やはり残していただくのが適切であると考えます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私も89ページの論点に沿って、2点お話ししたいと思います。
 まず、1点目の救急搬送に関してですけれども、この事例を基に診療報酬上の立てつけをということだと思いますけれども、両委員がおっしゃったように、この事例を当てはめれば、こういうことになるかもしれませんけれども、私が知っている限り、そのほかにも地域でいろいろな連携をしているところがあって、特に私、日本慢性期医療協会が関わっている連携として、大阪と東京の八王子に救急と慢性期病院が、それぞれチームを組んで連携して、この下り搬送も現在の体制の中で受け入れて、特に大阪は、もう10年来進んでいて、その症例が上がってきています。
 これは、急性期と慢性期の連携ということでもリストアップして、それぞれが搬送されたときに、その場で、あるいは1日たっても下り搬送のところに連携して、事務局があって、そこに連携して、そこに搬送するというネットワーク、大阪緊急ネットワークというのが学会でも発表されていますけれども、あります。
 そういうことも、いろいろな対応の仕方があるということを見ると、今、当てはめようという条件があまりにも、太田委員もおっしゃったように細か過ぎて、例えば、大阪ネットワークだったら、MC協議会はタッチしていませんので、ここはもう条件が外れてしまうということになりますし、一方で、これは考え方が両方あると思いますけれども、急性期から急性期の連携に対して在宅復帰率を外すということになると、逆にまたそれが、救急の連携が逆に進んでしまう、今、急性期から回復期、慢性期という流れをつくろうという流れの中で、それを上手に取り組んで救急の連携が逆に増えてしまう可能性だってあると思いますし、この辺はもう少し慎重に全国の様子を見ながら、条件をつけるにしても、条件をつけて加算すること自体、私は少しどうかと、いろいろな考え方があるかと思いますけれども、少なくともその条件に関しては慎重に、いろいろもう少ししっかり調査して考えていただいたほうがいいかなという気がしていますので、御報告させていただきます。
 それから、2番目の救急医療管理加算については、これも長島委員、太田委員がおっしゃったように、やはり、特に救急の現場で、そのときに判断するというのは非常に難しい、本当にこれは重症か、これに当てはまるかということで、その瞬間で判断できないことがあります。数日たってから重症度が分かることは随分ありますので、これに関しても、いきなりこれを、その他、重症の考えを何らかの制限適正化を図るというのであれば、かなり慎重な事例を集めて、そして、ネガティブリストなり、ポジティブリストをつくるにしても、学会とかのガイドライン等々もいろいろ検討しながら、慎重に対応すべきだと思います。
 今、拙速にこれを決めるべきではないと思っています。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、89ページの論点に沿ってコメントいたします。
 まず、転院搬送につきましては、7ページにございますとおり、高齢者人口の増加に伴いまして、10年前に比べて高齢者の救急搬送が増加し、特に軽症や中等症が多く占める実態があります。
 今後、この傾向がますます強まる中で、限られた医療資源を効率的・効果的に活用する視点が重要だと考えております。
 資料の21ページ、22ページを見ますと、誤嚥性肺炎や尿路感染症は、一般病棟の種類によらず、医療資源の投入量に大きな差が見られないということでございますが、一方、23ページを見ますと、急性期一般入院料1の病棟や、高度な治療室等に救急搬送で入院するケースが多いことも分かります。
 入院中にADLが落ちないように、早期のリハビリを開始する必要性を踏まえれば、本来リハビリ機能を備えた病棟で救急搬送を直接受けることが理想です。
 しかしながら、高度な急性期の病院で対応した後、転院搬送することも現実としてあり得ることは理解しております。
 ただし、診療報酬で評価するということであれば、搬送元と搬送先が適切に連携していることの担保や、可能な限り速やかな転送を促す観点で、救急外来から直接の搬送と、一旦入院してから搬送される場合で、評価にめり張りをつけることが必要だと考えます。
 また、在宅復帰率の取扱いについてでございますが、88ページの3つ目の課題にありますように、三次救急医療機関から二次救急医療機関への転院を阻害する要因になるということであれば、論点にありますように、入院後速やかな転院について、在宅復帰率の計算から除外することは、検討の余地はありますが、急性期の医療機関同士でどのような患者に転院が行われ、最初の医療機関に入院してから、どの程度の期間で転院した場合に除外するのか、その基準を明確にすべきと思います。
 続きまして、救急医療管理加算についてコメントいたします。
 まず、JCS、P/F比、NYHAの取扱いにつきましては、入院時における患者の状態に応じた評価をするという観点で、算定の基準を明確にすべきです。
 JCSにつきましては、資料の70ページを見ますと、JCSゼロから30で加算1を算定する場合と、JCS100以上で、加算2を算定する場合で、死亡率には逆転が見られております。
 また、資料の71ページを見ますと、加算1については、JCSスコアが低い場合に、算定のばらつきが大きく、72ページを見てみますと、都道府県によってJCSスコアによらず、加算1を算定している傾向が見られ、意識障害のレベルに応じた適切な算定が行われているのか、疑問を感じざるを得ません。
 同じくNYHAにつきましても、資料の77ページにありますように、都道府県別の分析からは、患者の状態が適切に反映されていない可能性がうかがえます。
 P/F比については、資料の83ページを見ますと、経過観察が必要なため、精査のためといった理由で加算1が算定されており、入院時に必ずしも重症とは言えない患者が加算1に含まれているとコメントせざるを得ません。
 したがいまして、JCSゼロ、NYHAⅠ度、P/F比400以上については、少なくとも加算1の対象としないことを主張いたします。
 先ほど来、診療側委員の方から、スコアが低くても重篤な場合あるいは悪化する場合があるというコメントも出ておりますけれども、もし、重篤な状態であれば、ほかの項目に該当するのではないか、また、この加算は、入院時点で重症な患者への対応を評価するものであるということを、こちらからコメントいたします。
 次に、救急医療管理加算2における、その他の重症な状態につきましては、資料の86ページにありますように、この項目で加算を算定する割合が、95%以上の医療機関が1割以上あり、中には100%という医療機関も存在しております。
 こうした実態は、加算1に準ずる重篤な状態という原則から大きく外れており、保険者としましては、診療報酬の算定要件として、その他の重症な状態が妥当とは到底思えませんので、項目の廃止を主張いたします。
 仮に、具体的な重篤な状態があるということであれば、84ページにあるもののように、それを項目として明確に位置づけるべきだということを申し添えます。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
 御指名ありがとうございます。
 私のほうからも、救急医療管理加算について少し御意見を述べさせていただきます。
 先ほどからありますように、先生方から実態をお伺いすると、なかなかと思う部分と、あとは医療の明確化とか透明性、分かりやすさというところから少しお話をさせていただくと、先ほどのJCSゼロ、これは定義としては、意識が清明であるという形になっていたり、NYHAⅠ度だと身体の活動の制限はないという表現が書いてある中で、先ほどの緊急医療管理加算1だと、重症患者になっているということで、理論が矛盾しているわけですね。
 ですから、これだけを見ると、なかなかJCSゼロとNYHAⅠに対して管理加算の1が出るのはおかしいと思わざるを得ない。
 ですから、ある意味、こういうことをやるのであれば、この定義を少し変えていただかないと、この辺は、医療の明確化には結びつかない、分かりにくいという感じがします。
 もう一つ、緊急医療管理加算2のところ、先ほど、松本委員からもお話がありましたように、その他の重篤な状況ということで、これも、全てその他になってしまうような気もしますので、この辺も、この中で、その他の要件を廃止なのか、それとももう少し明確化するとか、何かそうしないと、いつまでたっても、先生方の御判断は正しいと思います。ただ、それがはたから見たほうからすると、どうなのかなと、不明確だなという矛盾するところがあるので、その辺を御理解いただいて、今回のお話に参加していただければというのが、私の感想です。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 1つ目の転院搬送についてですけれども、論点のところで、3行目に、これまでの取組事例等を参考に要件とするとありますが、この取組事例自体が非常に少数のところ、網羅されたものでは全くないというところ、したがって、それを全国一律のところに要件化するというのは、あまりにも無理があるということ、これをぜひ御理解いただければと思います。
 それから、救急医療管理加算について、これは全て医療における重症度の極めて大きな多様性が背景にあるということを十分御理解いただければと思います。極めて多様でありますので、たった3つのJCS、P/F比、NYHAだけで全てを把握することは不可能です。また、その他の重症な状態というのも極めて多様なので、その全てをリストアップして提示するということも不可能であります。
 以上、極めて多様であるので、それを3つの評価軸、あるいは幾つかだけをリストアップするということでは、対応が難しい、あるいは無理であるということ、これが医療の実態であるということを十分御理解いただければと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 医療の実態に関しては、医師ではないので分からないことが多いのですが、今回一番解決したい課題は、課題の一番上にあり、それは、先生方も私どもも一緒かなと理解しております。
 要は、救急搬送のうち高齢者の割合が増加しており、中でも軽症、中等症や症状不明確の救急搬送が増加する中云々とありますけれども、この部分ではないかと思います。
 今、先生方のお話を伺っていますと、変えるのは時期尚早だと、私は受け取りました。意見としては、今回、いろいろな意味で事務局の対応案のとおり見直すべきと考えますが、時期尚早で変えないということで、この一番上の課題が解決できるのであれば、それもありかなと思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。
○小塩会長
 今、鳥潟委員から御質問がございましたが、長島委員、お願いします。
○長島委員
 これも先ほど申しましたが、各地域の救急医療提供体制が様々であって、それに基づいてしっかりと進化し対応してきたという現状をよく見ていただければと思います。
 その中で、その地域の状況によっては、いわゆる下り搬送が非常に有効に働いている地域もあるということで、この中で事例として取り上げておりますけれども、先ほど、池端先生が御紹介になったように、様々な地域によって取組がなされているので、これはしっかりと進めていく必要があるということに全く異論はございません。
○鳥潟委員
 今後も各地域で進化を続けられるということでしょうか。
○長島委員
 各地域で進化を続けるために、そこに必要な診療報酬上の手当というのも必要だと考えておりますが、それは診療報酬だけではないと。特に地域の顔の見える連携というのは、極めて重要であろうと思っております。
○小塩会長
 鳥潟委員、よろしいですか。
○鳥潟委員
 おっしゃっていることは分からないでもないですけれども、では、提案の論点の中の幾つかは採用してもいいという御意見ということなのでしょうかね。
○小塩会長
 どうぞ。
○長島委員
 もう一度申しますけれども、先ほど申しましたが、ここの論点の中にある要件というのが、あくまでもごく少数の取組事例を参考にしてつくられたものなので、これを全国一律にやると、各地域の地域医療の救急体制に大きな混乱や支障が生じ得る危険性があるので、まずは、そこのところをきちんと検討すべきであると、現時点でそのような根拠もない、きちんと検討もされていないので、これを要件とすることには反対であるということでございます。
○鳥潟委員
 時期尚早ということで、今回はそのままという理解をしました。ありがとうございます。
○小塩会長
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 論点ではないので、最後に言おうかと思っておりました。ありがとうございます。
 論点ではありませんが、資料の34ページに搬送の受入れのルールが記載されております。救急医療における効率的な医療提供に向けては、下り搬送だけではなく、最初の搬送時点で適切な医療機関へ搬送することも重要と考えます。
 一刻も争う救急現場では対応が難しい場合もあると思いますが、こうしたルールづくりを広げて実施を充実していくことも併せてお願いしたいと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 長島委員からのコメントをいただきましたけれども、転院搬送に関して議論をしたいと、どちらかというと、持ちかけられたのは、私は2号側ではないかと認識しております。そうであるのに対して、時期尚早だということは、では、どうするのだということに関して、少しこれからこう取り組みますとか何かないと、これ自身が進まないということがございます。
 それと、次に救急医療管理加算については、51ページに概要が示されておりまして、その算定要件のところに、JCSであるとか、NYHAであるとか、P/F比というのが、現在取り込まれているわけですね。
 長島委員のコメントですと、それだけではということであれば、具体的に何か思われている指標があるのであれば、それは提案をいただかないと話が進まないという気がいたします。
 私どもは、これを頭に置いた上で、おのおのの指標と患者の関係を見て、今回、対象としないということを主張いたしました。その辺りの御提案なり、何かお考えがあれば、御紹介をいただきたいと、2つお願いしたいと思います。
○小塩会長
 それでは、ただいま松本委員からの御指摘について、いかがでしょうか。
○長島委員
 まず、いわゆる下り搬送に関しては、論点に述べられた要件とすることに関しては、現実に即していないので、しっかりとここのところは検討すべきだと申しているというところで、最初に申しましたけれども、いわゆる下り搬送を求めている場合があるということは十分理解しているので、ただ、そこを拙速に、現実離れした要件化をすることは、逆に救急医療提供体制に支障や混乱が起こると心配されるので、ここの要件化ということに対しては、しっかりと検討して、そういうことがないということを検討してから行うべきだということであります。
 それから、もう一つ重症度の様々な指標等に関しては、これは、ぜひ引き続き分科会のほうでも御検討いただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、江澤委員、最初にお願いいたします。
○江澤委員
 ありがとうございます。
 下り搬送は、地域によっては結構行われている実態もあって、そういった地域では非常になじむと思いますし、これを全くやっていない地域では、これから新たな取組ですから、その辺りは地域の実情に応じて検討していく課題かなとは感じているところでございます。
 また、救急医療管理加算について、例えば、68ページに令和2年度、JCSゼロでも非開胸的心マッサージ8.3%、69ページの令和4年度では、それは同じく2.3%に減少しています。
 なかなか現状は、急性期の非常に多忙な現場において、こちらが診療報酬上、こういった救急医療管理加算の要件とか、その中でどうなっているのか、あるいはその他の中にも、こういった方が混在している状態ですから、まずは、しっかりとどういったもので算定しているかを明確にしていくことが必要ではないかと思います。
 80ページでも、P/F比400以上でも、死亡率も高いというデータもありますから、これは医療現場におきましても、しっかりこの辺りを評価していくということで、引き続き、どういったものが算定されているのかを注視していくことが、次回の改定では必要ではないかと思っているところでございます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
 今の江澤委員とほとんど一緒なのですが、医療というのは、やはり不確実性というものが絶対前提にあるのですね。そして、データに基づいて診断ができて、しっかり治療ができるかといえば、そうではないのです。
 ですから、おうちで一旦意識がなくなったけれども、運ばれて来た、いろいろ検査したけれども何もない、だけれども少し経過入院しておこうと思って部屋へ戻った途端に心停止といったことなどは、結構病院によって起こるわけで、そういうところを考えると、本当に、これが指標でどうなるということは非常に難しいということが1つ。
 もう一つは、やはり都道府県によって医療資源というものは全く変わってまいります。ですから都会と過疎地であれば当然変わるわけで、そこで三次救急、二次救命名の役割というのは、やはり都会とも変わってくるわけで、今、とにかく医療資源に合わせて体制を整っていっているというのが現状であります。高齢者が増えてきているので、余計、今、その時間をつくって、そこを見届けて、こういうことは注意していこうということを、今、決めているところであるので、そういうことを御理解いただければと思っております。
 よろしくお願いします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 今、茂松委員から地域差という言葉があったのですけれども、そうしますと、例えば、救急医療管理加算について、都道府県の算定にばらつきがあるということは、それは地域差だからやむを得ない、地域による医療資源の差だということだとお考えだということですか。
○小塩会長
 茂松委員、お願いします。
○茂松委員
 そうではなくて、今、実態調査でも出ましたが、病院の経営というのは大変な中にあります。その中で、みんなが体制を整えようとしても、なかなか体制ができないという現実があるということで、御理解をいただきたいと。医療側としては、みんな体制は、全部全国に合わせていきたいわけです。だけれども、バックにそういうことがあるので、なかなか体制が整えられないということを御理解いただきたいと思っております。
○小塩会長
 それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私も、最初は、まず1点目についてですけれども、長島委員がおっしゃっているのは、要件の内容があまりにも新潟の例にのっとってしまっている、それを全て条件に入れているので、これで汎用性がないのではないかということ。
 私も先ほど申しましたように、例えば、大阪の協議会ではMC協議会は入っていませんし、リストアップとか全部しているし、逆になじみの関係がつくっているので、それでうまくいっているところはありますので、もう少し実態に合わせて要件を少し緩やかにして、そして、何らかの下り搬送が進むようにということに対しては、私もありかなと思っていますので、一応、長島委員もそういうお考えではないかと感じていますので、コメントをさせいただきました。
 もう一点、救急管理加算については、今、皆さんがおっしゃったように、私も何例か経験していて、本当に大丈夫だと、帰そうと思ったけれども、これを言われると、医者の関与が当てにならないとおっしゃるかもしれない、何となく元気がない、何かおかしい、いつもと違うなということで、一晩泊まりましょうというと、そこで急変するということは、やはり何例か経験している。
 ただ、これが100%あるかというと、確かにないですね。それは、どこかに当てはまる重症例があって、その中の何例かは、そういうことがあるということなので、例えば、今、100%の病院があるというのは、これはいかがなものかと、松本委員がおっしゃって、これはこれで、また、別の対応の仕方、そこに傾向診療ということがあるのであれば、厚生局の指導とか、そういうこともあるかもしれませんし、それを、これがあるからといって全国一律の加算のやり方を変えるというのは、逆にまた、性悪説に基づいて、地域の医療をゆがめてしまうのではないかということで、本当にここにいる先生方は、多分、そういうことを経験しているから強くおっしゃるのだと思います。私もそういう経験があるので、なかなか難しいです、本当に、これが重症か、そうではないかという判断、逆に、例えば頭部外傷で来て、全然意識もあるし、特に問題ないと言って帰して、6時間後に急性硬膜下血腫で倒れたということで訴えられると負けます。そこに関して、やはり救急医としての不安もありますし、やはり少しおかしいと思ったら、取りあえず入院させて、それは、今どこにも当てはまらないけれども、その他ということになるということは、現場では多分、救急の先生方は皆さん経験していると思うので、そこは何とか御理解いただけたらと思っていますので、よろしくお願いします。
○小塩会長
 続きまして、太田委員、お願いします。
○太田委員
 先ほど松本委員からいただいた質問、私自身としても、病院団体でも救急医療管理加算は、議論をしたことは何度もあります。ですので、このアからサ、またはシまでというものではなく、よりこれが、先ほどばらつきだとか、算定にいろいろな御指摘がありましたので、それをよりばらつかないような形で精緻化していくということに関しては、基本的には、私どもとしても、全面的に反対では基本的にありません。
 ただ、これは本当に難しいのです。病院団体の中でも、では何を入れるべきかというのをいろいろやっていっても、あれもこれもと出てきて、ですので、先ほど長島委員も、多分、これは入院分科会でよりもっとしっかりと分析、精査していただいてつくっていくべきだという形の御発言があったのだと思います。
 本当に1項目、これだけ足せば、救急の現場のニーズが全部クリアできるというものではないですし、では、これは2つ、3つなのか、100個足すのか、そういうような形で、これは実際にポジティブリストをつくっていくとしても、いろいろな形で分析していかないと、しっかりとした評価軸をつくるのは難しいのです。
 そういう意味では、今の段階では、お話をさせていただいたように、その他の重症の状況というのを残していただきながら、今後も継続して、この問題に関しては検討していくことが重要なのではないかと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、先ほど長島委員から木澤専門委員のお考えも伺ってはどうかという御提案がございましたので、木澤委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 地域の救急医療体制については、医療資源、それから人的資源の違いによって、提供には差があると考えております。
 転院をする場合なのですけれども、転院元となる病院では、下り搬送の患者さんについて救急外来で治療・ケアの提供、医療的介入の実施、救急外来で経過を観察したりしています。
 そういった転院元での情報を、転院先へ情報提供をすることというのも、看護師が行っているところです。
 また、患者・家族への連絡や説明が非常に重要であって、転送元と転送先で言っている説明が違うと、なかなかうまくいかないということがあります。
 また、高齢の救急患者さんというのは、複数の疾患を抱えていたり、まだ病気が見つかっていなかったり、既往の分からないもの、それから痛みや苦痛がはっきりと分からないということがあります。
 大抵救急外来では、院内トリアージということを実施しておりまして、JTASという緊急度判定支援システムを活用しまして、救急外来の看護師等が緊急度の重症度の判断を行っています。
 しかしながら、意識がクリアな人でも、くも膜下出血ですとか、慢性硬膜下出血という重症の患者さんが歩いて来院する場合もあります。いずれにしても、症状を見逃すことで生命に大きな影響を及ぼす可能性が高い場合があります。
 こういったところでは、医療者間、病院間の連携が重要だと考えております。
 また、患者さん・家族への丁寧な説明というのが重要だと考えております。
 私からは以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「入院(その6)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、入院(その6)、テーマとしましては、高度急性期入院医療につきまして、中医協総-2を用いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 スライド2に目次をお示ししてございます。
 それでは、1つ目のアイテム「高度急性期入院医療を取りまく現状等」についてでございます。
 3ページ目、4ページ目、こちらには、日本の人口推移などを示してございまして、5ページ以降で、診療報酬におけます機能に応じた病床の分類、地域医療構想、そして病床機能報告、救命救急入院料等の主な施設基準、特定集中室、ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度等、こういった診療報酬項目に関する基礎的な資料をお示ししているところでございます。
 それでは、次に進ませていただきまして、2つ目の項目「高度急性期入院医療に係る評価について」に移らせていただきます。
 14ページ目でございますけれども、こちらは、これまでの中医協等における、いわゆる特定集中室治療管理料、ICUにおける主な意見ということでございます。
 15ページ目には、本日御提案申し上げます、SOFAスコアに関する御説明のスライドを、そして16ページ目でございますけれども、こちらは死亡との関係ということで、相関するということをお示ししするスライドをおつけしてございます。
 17ページ目、18ページ目は、特定集中治療室の患者さんの重症度、医療・看護必要度の分布でございます。
 19ページ目、20ページ目は、該当患者がどうかに着目をいたしました、特定集中治療室の患者さんの重症度、医療・看護必要度でその分布でございます。
 次に21ページは、特定集中治療室に入室している患者さんのSOFAスコアの分布と、これは入室日のSOFAスコアの分布となります。
 22ページは、入室日の重症度、医療・看護必要度の該当有無別の入室日のSOFAスコアの分布をお示ししてございます。重症度、医療・看護必要度該当ありというほうが、SOFAスコアが高いということでお示しをできているかと思います。
 次、23ページ目でございます。
 重症度、医療・看護必要度及び入室日のSOFAスコアと退院時の転帰でございます。
 入室日のSOFAスコアが退院時の転帰とよく相関するということが示されているところ。
 24ページ目、25ページ目、施設別に見ました重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の分布でございます。多くの施設で非常に高い該当患者割合を示しております。
 26ページ目、施設別に見た入室日のSOFAスコアの5以上の患者割合の分布でございます。ばらつきが大きいこと、また、ばらつきは重症度、医療・看護必要度の該当患者さん割合が90%以上という施設で、限定して分析しても大きいという結果でございました。
 27ページ、入室日のSOFAスコアが5以上の患者さんが30%以上であると、そういった特定集中治療室と30%未満の特定集中治療室を比較しまして、看護配置に大きな差がないことが示されているところでございます。
 28ページは、入室日のSOFAスコア5以上の患者さんと5未満の患者さんで、重症度、医療・看護必要度のそれぞれの項目の該当患者割合を比較してございます。
 輸液ポンプの管理、動脈圧測定ではあまり差が出ませんでしたが、他の項目では差があったところでございます。
 29ページ、治療室における医師の業務でございます。夜間の体制は、いずれの業務におきましても6割程度の施設が、現疾患の担当科医師が対応するとされていたところでございます。
 30ページは、HCUの併設有無別の特定集中治療室管理料の重症度、医療・看護必要度でございます。
 31ページは、このHCU併設有無別の入室日のSOFAスコアでございます。HCUの併設がないICUのほうが、SOFAスコアが低い患者さんが多いという傾向にあったということでございます。
 32ページ、入室日のSOFAスコアが高い患者さんと低い患者さんの比較でございます。
 33ページ以降は、重症患者対応体制強化加算についてでございます。
 33ページ目から35ページ目でございます。こちらは、令和4年度の診療報酬改定で新設いたしました、先ほど申し上げました、重症患者対応体制強化加算の概要と届出状況でございます。
 35ページ目にお示ししますとおり、加算を届け出ていない治療室であっても、施設基準に含めない適切な研修を修了した看護師を2名以上配置している治療室がございます。これらの看護師は他の医療機関等への支援等を一定程度実施されているということをお示ししてございます。
 36ページ、重症患者対応体制強化加算の施設基準の1つでございます。特殊な治療法等の該当患者割合の分布等をお示ししてございます。
 治療室におきましては、該当患者1人が退室することで、該当患者さんの割合の基準を満たさなくなる場合がございます。
 それでは、2つ目でございます。「ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準等について」でございます。
 38ページ目に、これまでいただいた御意見でございます。ハイケアユニットの届出数が増加しており、どのような患者さんに、どのような医療が提供されているのかなど、分析を踏まえて、必要度の在り方について検討すべきといった御意見や、レセプト電算処理システム用コードを用いた評価を導入すべきといった意見をいただいてございます。
 39ページ目は、ハイケアユニットにおける必要度の該当割合ですが、管理料1におきましては、95%以上が最も多かったところが示されてございます。
 40ページ、41ページでは、ICUの併設有無別・病床規模別の必要度の状況についてお示ししてございますけれども、必要度該当割合は、ICUを併設しないHCUで高い傾向にございました。
 また、42ページ、43ページ目は、HCUの入室経路ごとの必要度の状況でございますけれども、いずれの入室経路におきましても、ICUを併設しない場合に該当割合が高く、また、入室経路の内訳につきましては、HCU間でばらつきが見られているところでございます。
 44ページは、入室経路ごとのA得点、B得点についてでございます。いずれの入院経路におきましても、A、3点以上を満たしている場合には、ほぼ全ての患者さんで、B、4点以上を満たしているという結果でございました。
 45ページ、46ページは、必要度の各項目につきまして、入院経路別の該当割合を示したものです。
 47ページ目、48ページ目は、入室したときの状態別、手術実施の有無別に、各項目の該当割合を集計しておりますが、入室したときの状態や手術実施の有無によらず、心電図モニターの管理と輸液ポンプの管理は、ほぼ全ての患者さんが該当していたということでございます。
 49ページ目、50ページ目は、重症度の高い患者さんの割合が高いHCUと、割合が低いHCUの比較でございます。
 重症度の高いHCUでは、人工呼吸器の管理や、特殊な治療法などの項目の該当割合が高いこと、呼吸ケアや点滴ライン同時3本以上の管理、「動脈圧測定の該当割合が低いという傾向が見られました。
 51ページ目から53ページ目は、人工呼吸や透析、ECMOなどの集中治療を行っている割合が高いHCUと低いHCUの比較でございます。ここでも心電図モニターの管理と輸液ポンプの管理は差がなかったという結果が出ております。
 それでは「2-3.医師の働き方改革と治療室における宿日直について」でございます。
 55ページ目でございます。
 こちらは、医師の働き方改革の全体像。
 56ページ目が、時間外労働規制の施行の中長期の見通しとなります。
 57ページ目は、医師の勤務状況の改善の必要性でございまして、何回か出させていただいているスライドでございますけれども、現在の勤務状況につきまして、51%の医師が改善の必要性が高い、または改善の必要性があると回答しておりまして、その理由としては、右側の棒グラフの一番上、医師の過重勤務により患者が不利益をこうむる可能性があるためという理由を挙げています。
 58ページ目、59ページ目は、救命救急入院料等の主な施設基準についてお示しをしてございます。
 この中でも、医師の配置要件などを御覧いただければと思います。
 60ページ目、61ページ目は、宿日直許可についてでございます。
 61ページ目にありますとおり、医師等の宿日直許可基準は、一般の許可基準より具体的なものが示されているところでございます。
 62ページ目は、これまでの主な御議論についてお示ししてございまして、前回の中医協の議論を踏まえまして、こちらは7月24日に疑義解釈を発出してございます。
 63ページでございます。
 宿日直許可の取得状況でございまして、6割以上の施設で、夜間医師が従事する業務に係る宿日直許可を取得していた実態がございます。
 64ページ目は、病棟の種類別の日日直許可の取得状況でございまして、治療室の中ではMFICUがその業務に関して宿日直許可を受けている割合が高いという結果でございました。
 65ページ目は、治療室における術後の患者さんの管理につきまして、医師、看護師の業務についてのデータ。
 66ページ、専門性の高い看護師の配置状況でございます。特定集中治療室3、4の評価表におきましても、約6割は専門性の高い看護師が配置されているところでございます。
 67ページ目、こちらは医師から、特定行為研修修了看護師のタスクシフトの事例について。
 68ページ目は、ICUにおける特定行為実践の効果についてでございます。
 人工呼吸器装着期間の短縮に寄与したという事例が示されているところでございます。
 69ページ目は、遠隔ICUの概要でございます。
 特に夜間帯に、支援側、医療機関における集中治療専門の医師が、被支援側の若手医師等に専門的な助言を行うことによりまして、診療の質を保つものとして実施されているところでございます。
 70ページ目は、こうした遠隔ICUの取組により、医師の働き方にいい影響を及ぼしたというデータでございます。
 71ページ目、72ページ目は、遠隔ICU導入による効果を示してございまして、国内施設におけるデータを含めて行った解析では、遠隔ICUを導入した治療室におきましては、死亡率が減少したという報告もあったところでございます。
 73ページ目は、遠隔ICUの運用等に関する指針。
 74ページ目は、母体・胎児の集中治療室管理料の施設基準でございます。
 専任の医師が常時治療室内に勤務していること、帝王切開術が必要な場合は、30分以内に児の娩出が可能であること等が施設基準の要件とされているところでございます。74ページの左下のところでございます。
 次に75ページ目は、周産期医療の体制構築に係る指針の中で、関連する部分を抜粋しております。
 76ページ目は、MFICUにおける診療体制で、こちらの常駐のいかんにかかわらず、院内にいる医師は、おおむね10分以内に診察可能であったということをお示ししているものでございます。
 それでは、課題と論点に移らせていただきます。
 課題は、お示ししたとおりでございまして、論点でございます。
 括弧が3つございまして「特定集中治療室管理料の施設基準等について」ということで、1つ目の〇は、SOFAスコアを活用していくことについてどのように考えるか。
 2つ目の○でありますけれども、ここは、特殊な治療法の該当患者割合につきまして、一例の出入りによりまして、大きな影響があることについてどう考えるかということでございます。
 2つ目「ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準等について」ということでございまして、これは重症度、医療・看護必要度の各項目に関する点についてどのように考えるか。
 そして、2つ目の○は、これは、レセプト電算処理システムコードを用いた評価の導入についてどう考えるか。
 3つ目は、医師の働き方改革と治療室における宿日直許可についてでございます。
 こちらは、宿日直許可を受けて、宿日直を行っている医師により、施設基準を満たすことを想定することについてどのように考えるか。
 そして、2つ目の○におきましては、入室日のSOFAスコアでは、患者の重症度が多様であることも踏まえ、宿日直による医師が治療室にいる新たな区分を設けることについてどのように考えるか。
 そして、新たな区分において想定されることを、下のポツで示してございます。
 最後の○、MFICUでございます。こちらは、宿日直におけるMFICU内での現状の診療実態、緊急帝王切開に迅速に対応する必要があることを踏まえまして、宿日直許可との関係を含めた、このMFICU管理料における施設基準の在り方をどのように考えるかとまとめさせていただいてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等をよろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 80ページの論点に沿ってコメントします。
 まず、特定集中治療室管理料の施設基準等についてです。
 1つ目の○については、以前から指摘されていることですが、大きな手術を行った直後の患者さんについて、一晩ICUで状態をよく診て、問題がなければ、一般病棟へ移すといった運用を行っている病院もあります。
 こうした運用自体、全くおかしなことではありませんが、その場合、入室日のSOFAスコアとしては低くなってしまいます。
 また、HCUを併設しているかどうかでも、ICUの運用が変わってくることも、患者さんの適切な医学管理の観点からは、一定程度、当然と言える部分もあります。
 したがって、入室日のSOFAスコアが患者該当割合において、対象患者が限定的に運用されるような活用方法については、慎重に検討すべきと考えます。
 2つ目の○については、34ページにあるように、病床数が少ない治療室では、該当患者さんが1人退室することで、特殊な治療法等に該当する患者が1割5分以上という基準を満たせなくなってしまうことが問題となります。
 したがって、割合を適正な水準に変更し直すか、延べ人数で評価するなど、本点数の趣旨である重症患者の対応実績があることを合理的に評価できる手法を検討するほうがよいと考えます。
 次に、ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準等についてです。
 論点に示されているような施設基準の見直しを行った結果、現在、HCUを算定している医療機関にどのような影響が生じるのか、丁寧なシミュレーションをした上で検討すべきだと考えます。
 次に、医師の働き方改革と治療室における宿日直許可についてです。
 60ページにある6月14日の議論のとおり、それぞれの治療室の実態に応じて治療室の施設基準と、宿日直許可との関係を整理すべきだと考えます。
 1つの考え方として、治療室における業務量や、医師の勤務実態、そして医師の長時間労働の是正と地域医療の維持との両立を図らなければいけないという要請があることも鑑みまして、現行の施設基準においては、治療室内ではなく、医療機関内に医師がいることでもよいとされている治療室については、宿日直の行う医師を配置することであっても、施設基準を満たすことを明確化してはどうかと考えます。
 一方、現在の施設基準において、治療室内の勤務が認められているものであっても、例えば、76ページでは、MFICU内の医師に限らず、院内にいる医師も10分以内に診察に対応している実態も明らかになっており、実態に即して新たに検討してもよいのではないかと考えます。
 また、遠隔ICUについては、臨床的な有用性に関する国内のデータも少しずつ出てきている状況と認識しますが、これは1から2施設でサポートしているのでしょうか。メタアナリシスの手法を用いていることは理解できましたが、各国で医師の配置状況や治療室の設置経緯は千差万別でありますので、全て同列にまとめて議論してよいものでしょうか。
 これをもって死亡率の減少や予後の改善などが確立し、即座に点数ができると判断することは難しいと思います。
 しかし、一方、働き方改革の観点で、例えば、宿日直許可を受けているような医師によって担当されている治療室においては、その治療室の体制をサポートするという意味で、活用できる可能性も考えられます。
 しかし、本来、このような遠隔ICUを必要とするのは、医師少数区域など、地方部におけるICUに限られると思います。そういった実態はありますでしょうか。
 また、その際には、遠隔ICUによる支援を受けることなども医療DXの推進という意味で評価することを検討してもよいのではないかと思いますが、その前提となる顔の見える関係性の有無や、有効性を確認しながら導入していくことが大事であり、サポートする側の負担や、そこに医師が割かれることで、サポートする医師の勤務する医療機関が地域に与える影響なども検討する必要があると考えております。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員の発言の機会を御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、太田委員、続きましてお願いします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 私も80ページの論点に従いまして、発言させていただきます。
 まず、1つ目の論点の特定集中治療室管理料におけるSOFAスコアの活用に関してですが、SOFAスコアというものは、臓器不全の指標であります。必ずしもICUに全て臓器不全の患者さん、多臓器不全の患者さんが入っているわけではなく、長島先生からもあったように、非常に侵襲の大きな手術後の患者さんの経過観察等でも、ICUというのは、当然、重要な役割を負っております。
 また、22ページで示されているように重症度が低くても、先ほどありましたように、SOFAスコアが高い症例があるなど、どのようにこのSOFAスコアというものを活用していくのか、重症度とアンドなのか、オアとして使うのかを含めて、まだ、この指標の活用方法というものが十分検討されていないのではないかと思います。
 14ページの入院分科会の先生方の意見としても出されておりますが、Rapid Response System、RRSを行っている病院では、SOFAスコアが上がる手前の人をICUで管理し始めるようにしているため、そのような意見もございます。
 そういう意味で、この指標をどのような形で活用していくかに関しましては、慎重な検討が必要と思います。
 2つ目の特殊な治療法等の該当患者割合に関しましては、先ほどもありましたが、現在の1割5分という基準というのは、あまりにも維持が難しいという状況でありますから、評価手法を適正な水準に見直すことには賛成いたします。
 2つ目のハイケアユニットの入院医療管理料の施設基準に関してです。
 全体として、ICUの基準に合わせていく方向に関しましては異論ありませんが、例えば、まだICUですと、輸液ポンプは、たしか残っていたと思います。今回、心電図モニターと輸液ポンプという形で2つ、全部取ってしまうような形に読めますが、二つのユニットの基準どのように考えていらっしゃるのかにもよるかと思います。
 また、この変更をやった場合に、A得点のA項目の何点をもって必要度を満たすという形で基準を設定していくかに関しましても、今、御提案がございません。
 A項目に関して、例えば、1点、2点など、重み付けを一部の項目を変えたとしても、大幅に必要度が低下するハイケアユニットが出てくる可能性があります。
 長島委員からもありましたように、この変更によってどれぐらいの影響が出るのかというものをある一定程度示していただかないと、なかなか判断が難しい論点かと思います。
 また、レセプト電算処理システムコードを用いた評価の導入に関しましても、これも数字にかなり大きな違いが出てくる可能性がございます。
 それらも含めて、影響のシミュレーションを見させていただいて判断させていただければと思います。
 3つ目の論点の医師の働き方改革と治療室における宿日直許可についてに関してですが、現在、多くの病院の治療室で宿日直の医師の配置が行われているという実態があります。64ページで出されたと思います。
 集中治療の専門医の数は、全国でもそんなに多くない中で、各病院のICUというものは、ICU当直の医師だけでなく、各課の医師が様々関与して治療を行っていることが普通で、宿日直基準を満たす医師の配置を指定することは現実的ではないと思います。
 さらに、現在、各病院は様々な工夫をして、来年4月1日にスタートする働き方改革への対応を行っています。
 宿日直許可を受けて宿日直を行っている医師により、集中治療室の施設基準を満たすということを急激に変えるということはなかなか難しく、ある一定許容すべきではないかと思います。
 また、次の論点ですが、入室日のSOFAスコアによる重症度により、宿日直による勤務の医師が治療室にいる新たな区分ということは、今回提案ということで考えますと、SOFAスコアを用いて、新たなICUの区分を設定して、それによって何らかの形の要件を設定していくことが想定されるわけですが、SOFAスコアが高い症例の多い治療室が、宿日直でない集中治療医が常時勤務していないと対応できないというデータは示されておりません。
 先ほどお話ししましたように、多臓器障害の程度ではなく、侵襲性の高い手術後の患者の多いユニットのほうが、より対応が難しい可能性もあるかと思います。新たな区分を設定するとしても、何をもって設定すべきかは、より詳細な検討が必要かと思います。
 ICUにおいて、特定行為研修修了看護師や遠隔ICUを今後活用していくことに関しましては、いろいろと資料を見させていただきましたが非常に有用であり、進めていくことに異論はありませんが、それを進めていくということと、配置医師が宿日直であるかどうかを直接関係づけて行うべきかに関しては、先ほどのSOFAスコアによる区分と同じですが、慎重に検討する必要があるかと思います。
 最後の論点のMFICUに関しましては、とにかく新生児小児科の医師というのは、非常に不足している状況でありますので、これに関して宿日直による体制を否定することは、現実的ではないと思います。
 また、同じことは、新生児小児、NICUでも言えるかと思いますので、その辺、現在のユニットの状況をしっかり御確認いただいて判断いただければと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。池端です。私も論点に沿って3点ほどお話ししたいと思います。
 まず、最初の特定集中治療室管理料の施設基準についてですが、これは太田委員と全く同じで、重症度、医療・看護必要度に加えて、入室日のSOFAスコアを活用していくとありますが、これがアンドかオアで随分違ってくると思うのですけれども、今、事務局の考えている活用方法というのは、もう少し具体的にお分かりになれば、教えていただきたいと思います。
 2点目、ICU等の働き方改革については、やはり現状を鑑みると、認めていく方向でいいのではないかと思います。
 最後の3点目ですけれども、Tele-ICUについて少しお伺いしたいのですけれども、この問題は、前回の診療報酬改定でも一回出て、そのときは、まだまだそれを行っているところが少ないということで、一応ペンディングになったかと記憶しております。
 私自身は、少し興味もあって、昭和大学だったと思いますけれども、Tele-ICUの現場を見させていただきました。
 まだ、今は診療報酬がついていないので、補助事業とか、あるいはモデル事業等でやっていて、機械がずらっと並んでいて、本当に大阪とか、九州とか、そういうところとタイムリーに連絡をして、SOFAスコアも含めて、常にデータが入って、そこで特定の看護師と医師がそこに常駐してやり取りをしているということで、これが広がったらすばらしいなという感じがしました。
 ただ、その当時お伺いすると、まだ10施設ぐらいしかモデル事業に参加していなくて、いろいろな費用の問題もあってということをお聞きしていましたので、現時点でそれが相当広がっているかどうか、もし事務局が御存じでしたら、少し現状の実際に使っているところの施設数等が分かりましたら、教えていただきたいと思います。
 そのときに、私、お聞きしたのは、たしか新潟県だったと思いますが、集中治療室の医師が非常に不足していて、そういうときにTele-ICUがあると、すごく補助として、また、トレーニングにもなるということで、非常に有用だということを、その当時お聞きした覚えがあるので、その辺も含めて、前向きに検討していただくのも1つの方法ではないかと、個人的には感じています。
 以上です。
○小塩会長
 ただいま、池端委員から御質問を2点いただきました。いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 御質問ありがとうございます。医療課長でございます。
 今日、SOFAスコア、私どもも様々分析したものをお示しして御議論いただいております。
 それで、私ども確かに活用の仕方、アンド、オアも含めて、お出ししていませんので、少し議論の幅が広がってしまって恐縮でございます。
 私どもとしては、ICUに入っていただく方には、ICUに入っていただくべき患者さんに入っていただきたいということで考えてございまして、今回はSOFAスコアを御提案しましたのも、現状の重症度、医療・看護必要度を補完するような使い方ができないかということで考えているところでございます。
 また、そこを細かくどのように設定するかは、私どもは、またシミュレーションなどをしてお示ししたいと考えてございます。
 また、先ほどTele-ICUに関しましては、長島委員からも、あるいは池端委員からも御指摘があったところでございます。
 申し訳ありません、現在、施設に関しましては、私ども具体的に何施設というデータを持っていないところでございますけれども、現場において、少しずつ取組が広がっており、このように文献でも、そのパフォーマンスの結果が出てき始めていると、こういう状況にあると思っております。
 それで、私どもとしては、医師が十分確保できない場合においても、診療の質を担保すると、そういった観点から有用な場合があるのではないかと考えてございます。
 先ほど、長島委員からの御質問で、こういったところは、医師少数地域に多いのではないかという御質問もあったところでございます。これも、すみません、私どもファクトとして割合をそれぞれの地域において持っているわけではございませんが、64ページにお示ししたとおり、既に15%のICUが宿日直許可を受けているというところでございますので、恐らく医師少数地域に限らず、医師がそういう医師少数地域ではない地域であっても、ICUによっては、宿日直許可を受けたICUもあるのではないかと、私ども思ってございます。
 そうしますと、遠隔のICUによる支援が、医師の配置が少ない状況における診療の質の担保ですとか、医師の労働時間の減少に資する可能性があると考えておりまして、こういったものは、ここは医師少数地域に限らず、活用し得るものではないかと考えているところでございます。
 以上です。
○小塩会長
 池端委員、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、最初に総論としてです。高度急性期の入院医療につきましては、特に重点化が必要な分野であり、患者の状態と医療資源の投入量を適切に反映した報酬体系とするために、今回挙げられておりますICU、HCUの施設基準については、改善すべき点があるということを、まず指摘させていただきます。
 それでは、80ページの論点に沿ってコメントいたします。
 まず、特定集中治療室管理料の施設基準でございますが、資料の23ページを拝見しますと、SOFAスコアが患者の転帰と相関しているということが分かります。
 また、26ページでは、SOFAスコア5以上の患者の割合は、重症度、医療・看護必要度が90%以上の施設でもばらつきがございます。
 したがいまして、重症度、医療・看護必要度に反映されない患者の状態をSOFAスコアで評価することは十分に可能であり、ぜひこれを活用すべきだと考えております。
 一方で、重症患者対応体制強化加算につきましては、資料の36ページを拝見しますと、特殊な治療法の患者が1人退室すると、施設基準を満たさない場合があるとのことでございますが、この加算は新型コロナの経験から、機能強化の観点も踏まえて申請されたものと理解をしておりますので、むしろICUを集約化して、一定の病床数を備えたICUを確保すべきであり、実績要件の緩和には極めて慎重であるべきということでございます。
 続きまして、ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準でございますが、資料の10ページにもありますとおり、ハイケアユニットの病床数が増加している現状を踏まえれば、医療資源を重点化するために一定の適正化は必要だと考えております。
 そうした観点で、資料の45ページを見ますと、より重症な患者を受け入れていると考えられるHCUにおいて、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合が低い項目が散見されております。
 また、資料の48ページを見てみますと、心電図モニターの管理、輸液ポンプの管理にほぼ100%の患者が該当しており、手術の有無によってB項目の該当患者割合に大きな差がないことから、現行の評価方法では、患者の状態が適切に反映されていない可能性がうかがえます。
 また、資料50ページにありますように、ICUを併設するHCUについて、入室後の重症化率が高い場合と低い場合を比較した結果を見てみますと、創傷処置、人工呼吸器の管理や特殊な治療法等は重症化率に相関しておりますけれども、呼吸ケアや点滴ライン同時3本以上の管理は逆相関となっております。
 こうしたことから、HCUの評価項目から心電図モニターの管理と輸液ポンプの管理を除外した上で、重症化率との相関を踏まえた評価を検討すべきだと主張いたします。
 また、B項目につきましては、A項目の要件を満たしている場合は、ほぼ全ての患者がB項目の要件を満たしているということであれば、令和4年度改定におけるICUの取扱いと同様にHCUについても、B項目の評価を廃止することが考えられます。
 また、レセプト電算処理システムコードを用いた評価導入には、異論はございません。
 続きまして、働き方改革と治療室における宿日直許可についてコメントいたします。
 ICUなどの高度な治療室は、専任の医師が治療室内で常時勤務しているということが、高い診療報酬の前提となっていると認識しております。
 一方で、64ページを見てみますと、一部において、かなりの部分を宿日直で対応している実態が分かります。
 重症患者に対して、24時間体制で医療を提供するという本来の趣旨を十分に踏まえるべきであるということを、まず、指摘させていただきます。
 宿日直を前提としたICUの新たな区分については、働き方改革の必要性と、医療の質を担保するという観点から、特定行為研修を修了した看護師等の専門性の高い看護師の活用を条件として、通常より低い評価であれば、検討の余地はあると考えております。
 また、遠隔ICUを用いた治療についても、70ページ以降に記載があるように、医師の働き方や、院内死亡率等で一定の効果があるということであれば、検討すること自体を反対するものではございませんが、患者の安全を確実に担保することは不可欠でございます。
 最後に、母体・胎児集中治療室管理料、MFICU管理料についてでございますが、専任の医師が常時治療室内に勤務していることが要件となっております。
 一方で、76ページを見ますと、MFICU内の医師に限らず、院内にいる医師は、おおむね10分以内に診療開始できるということが書かれておりますが、では、その場合にMFICUと一般病棟の違いがどこにあるかという疑問に突き当たります。
 また、一般病棟や外来での対応が同時に必要になることも想定されることから、施設基準の見直しについては、医療の質が低下する可能性があり、慎重にならざるを得ません。
 医師の働き方改革については、これまでも診療報酬で様々な対応を図ってきた経緯があり、診療報酬の評価自体には限界がありますので、地域医療構想や医療計画に基づき、集約化と偏在対策を並行して進めるべきです。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 80ページの論点のうち、医師の働き方改革と治療室における宿日直許可について申し上げます。
 資料の60から61ページに、断続的な宿日直の基準許可の記載がありますが、労働基準監督署の許可を受ければ、時間外労働の上限規制に係る労働時間等としてカウントされませんので、不適切な運用がなされれば、長時間労働につながる懸念がございます。
 医師の働き方改革を推進する観点からすれば、本来は、交代制勤務を進めることで、医師一人一人の労働時間を短縮していくべきであり、やむを得ず宿日直許可を受けている場合も、少なくとも勤務実態として認可基準を全て満たしている場合に限られる必要があると考えます。
 施設基準の見直しにおいても、宿日直許可を受けた医師の配置が医師不足の帳尻を合わせるために、恒常的に認められることがないよう、慎重な検討を行っていただきたいと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 1つ目の論点について、SOFAスコアを補完的に活用するという御回答でしたが、やはりSOFAスコアの特性とICUの特性を踏まえて、具体的にどのような形で活用するのか、その場合、どのような影響があるのかということをしっかり示していただいて検討する必要があるかと思います。
 2つ目のハイケアユニットに関しましては、先ほど申しましたが、そのような変更をすることで、医療提供にどのような影響が出るのかということは、きちんと検討する必要がありますので、丁寧なシミュレーションをお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 34ページの重症患者対応体制強化加算について、1点だけ申し上げます。
 施設基準にありますように、治療室の施設基準に関わる看護師の数に含めない2名の看護師の配置が、前回の診療報酬改定の議論においても、こういった看護師が、特にコロナ禍における状況でございましたので、特殊な治療とか、ECMOとか専門的な治療に対する技術を習得する中で、一方で、地域で貢献できるという形で議論されて、こういったものが新設されたところでございますので、こういった地域に貢献するという大きな役割がある中で、できる限りこういった取組が存続できるということは、非常に重要な観点だということを申し上げたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、先ほど長島委員から木澤専門委員の御意見をということでしたので、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 まず、ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準等についてです。
 臨床現場においては、病棟の全ての患者について必要度を測定し、A項目、B項目、C項目を組み合わせることによって、病棟全体の患者の状態を把握し、それに応じて必要な看護機能や看護配置を検討しております。
 患者がハイケアユニットから一般病棟に移動する際には、同じ指標を使って状態を評価していますので、それが途切れないためにも、B項目は非常に重要な情報であり、必要度基準に用いない場合でも測定自体は必要と考えております。
 次に、医師の働き方改革と治療室における宿日直許可についてです。
 集中治療室における特定行為研修修了看護師等の専門性の高い看護師の活躍によって、早期の患者状態の改善に効果をもたらす観点から、専門性の高い看護師の活用は非常に重要と考えております。
 医師の働き方改革の観点からも、これら専門性の高い看護師のより一層の養成が必要であり、各医療機関において計画的な取組を進めていく必要があると考えております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。特にほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 毎日長時間、申し訳ございませんが、本日、もう一件、重要な案件が残っておりますので、ここで休憩をしたいと思います。
(休  憩)
○小塩会長
 それでは、続きまして「感染症対応について(その2)」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、感染症について(その2)ということで、資料総-3を用いまして御説明をさせていただきます。
 時間もございますので、簡潔な説明に努めさせていただきたいと思います。
 スライド2に目次がございます。
 3ページ目以降が、新興感染症への備えについてでございます。
 これまでの御議論では、感染対策向上加算における新興感染症に関する施設基準につきましては、第8次医療計画における協定の枠組みと整合性を取るべき、こういった意見をいただいたところでございます。
 4ページ目以降は、過去の資料の再掲となります。
 10ページ目は、医療機関の診療報酬についてでありますけれども、令和4年度に新設されました、感染対策向上加算におきましては、新興感染症発生時の対応が要件となっておりまして、具体的には11ページ目にございますとおり、新型コロナに関する重点医療機関や協力医療機関、診療・検査医療機関であることを、これまでも求めていたところでございます。
 12ページ目には、重点医療機関、協力医療機関や診療・検査医療機関のうち、加算を届け出ていた割合をお示ししするところでございます。
 13ページ目は、第8次医療計画の策定に向けた新興感染症発生蔓延時における医療体制の構築に係る指針において求められている医療機能についてでございます。
 病床確保の機能については、新型コロナ対応における重点医療機関及び協力医療機関の要件を、発熱外来の機能に関しましては、新型コロナ対応における診療・検査医療機関の要件を参考として整備することとされているところでございます。
 14ページ目は、DPC/PDPSの地域医療係数に、こういった評価があることをお示ししてございます。
 15ページ目からが歯科医療についてでございます。
 新興感染症蔓延時の歯科医療の提供体制については、第8次医療計画には位置づけられていないところでありますけれども、医政局が開催いたしました、歯科医療提供体制等に関する検討会におきましては、かかりつけ歯科医の役割といたしまして、新興感染症拡大時における歯科医療提供体制の整備があるとされてございます。
 各都道府県における新興感染症発生時の歯科医療提供体制の検討については、16ページに掲げられました補助金の活用が可能となっているところでございます。
 19ページまで進ませていただきます。
 19ページ目は、歯科医療機関における院内感染防止対策の評価でございます。
 令和4年度診療報酬改定において、新興感染症発生時に適切に対応できる体制を確保する観点で、基本診療料の施設基準及び評価の見直しが行われてございます。
 20ページ目、21ページ目は、新興感染症の発生時における薬局の体制の評価といたしまして、令和4年度改定で新設されました、連携強化加算の概要と対応状況になります。
 22ページ目は、改正感染症法におきまして、薬局は第二種協定指定医療機関に位置づけられることとなりましたので、その概要でございます。薬局の指定要件中には感染対策の研修がございます。
 これにつきましては、23ページ目にありますように、医薬局の予算事業で準備が進められているところでございます。
 24ページ目からは、薬局における時間外対応や、感染対策等の対応状況を示しておりますが、地域支援体制加算の届出を行っている薬局では、取組がより実施されている傾向がお示ししできるかと思います。
 それでは、次に、27ページ目以降「新興感染症以外の感染症に対する医療の評価について」ということでございます。
 28ページ目に「令和6年度以降の診療報酬体系について」ということで、5類見直し以降の医療体制についてのチャートございまして、29ページ目に感染症医療に関する、これまでの主な意見ということをまとめてございます。
 平時におきましても、感染症患者の受入れ等の役割を果たせるようにすべきなどの御意見をいただいてございます。
 30ページ、31ページ目は、今年5月の累計変更以降の段階的な見直しを行ってまいりました。コロナ特例についてのものでございまして、現在、10月以降の見直しのところが適用されているところでございます。
 32ページ目は、新型コロナの重症化率、致死率についてでございます。以前よりも低下が見られているということでございます。こうした知見を基に、類型変更がなされたという経緯がございます。
 また、33ページ目は、こちらは、ガイドラインの改正内容になってございます。
 34ページ目は、感染経路別の感染予防策について御紹介するものでございます。
 空気感染、飛沫感染、接触感染の予防のために、標準予防策に加えて実施する必要がある感染対策について、ガイドラインの内容を紹介するものでございます。
 35ページは、感染対策において重要な病原体の特徴といたしまして、感染性だけでなく、薬剤耐性の要素があることが指摘されており、入院患者におけるMRSAなど重要な薬剤耐性菌の罹患率をグラフとしてお示してございます。
 36ページ目以降は、感染症法に基づく感染症の分類ということでございます。
 37ページ目は、類型ごとの該当する感染症を掲載しております。
 39ページ目からは、感染対策に関する診療報酬上の評価について、お示しをしてございます。
 まず、39ページにございますとおり、基本的な院内感染防止対策については、入院料の施設基準において求められているところでございます。
 40ページ目、41ページ目は、個別の項目による感染対策の評価についての資料でございます。
 41ページ目が、前回改定で設定しました、外来感染対策向上加算などをお示ししている状況でございます。
 次に42ページ目でございますけれども、ここは、コロナ特例も併せて整理した図を載せてございます。
 個々の入院患者さんに対して、適切な感染対策や個室管理を行った場合に算定できる項目として、コロナ患者さんを除けば、一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症のみが評価されているところでございます。
 外来につきましては、コロナ特例を除けば、外来感染対策向上加算により評価されているということでございます。
 次、43ページ目は、訪問看護ステーションにおける感染症対策についてでございます。
 訪問看護につきましては、感染症や災害が発生した場合におきましても、利用者が継続して訪問看護を受けられるよう、業務継続計画の策定が義務づけられているということでございます。
 44ページ目からは、感染対策のうちの個室管理についてでございます。
 新興感染症の疑い患者については、差額ベッド代の取扱いについて明確化を検討するよう求められているところでございます。
 これにつきましては、45ページ目にありますとおり、院内感染の防止など、病棟管理の必要性等から、特別療養環境室に入院させた場合であって、患者の選択によらない場合については、特別の料金を求めてはならないということとされているところでございます。
 47ページ目からでございますけれども、発熱外来に関する資料でございます。
 外来感染対策向上加算の届出を行っている診療所におきましては、届出を行っていない診療所よりも、コロナ患者さん受入れを行っている割合が高いと、受け入れている場合に、その人数も多かったという傾向が見られてございます。
 48ページ目には、現在のコロナ特例で発熱外来のうち、受入れ患者を限定しない旨を公表している場合に、より高い評価を行っているところでございます。
 49ページ目からは、高齢者施設との連携についてでございます。
 49ページ目、50ページ目に、こちらは11月27日に開催されました、介護給付費分科会の資料をお示しさせていただいてございます。
 50ページ目にありますとおり、高齢者施設における感染症対応能力の向上などのため、様々なことで評価する方向で検討がなされていることをお示ししてございます。
 51ページ目です。高齢者施設に実地指導を行った医療機関の割合。
 52ページでは、高齢者施設で実施指導を受けている割合などを示してございます。
 53ページ目に、お示ししておりますとおり、感染対策向上加算1の施設基準におきましては、他の医療機関への指導は専従の時間に含めているものの、高齢者施設への指導は含めてよいとは、現状なっていないところになってございます。
 54ページ目からは、歯科に関してでございます。歯科医療を行う際は、常に唾液や血液に触れるということでございます。また、歯の切削等により、飛沫が発生するということから、常に医療関連の感染のリスクがございます。
 55ページにありますとおり、基本診療料におきまして、基本的な感染対策の評価を行ってきたところでございまして、56ページ目にありますように、令和4年の診療報酬改定で見直しを行ってございます。
 57ページにありますように、患者にとってより安全・安心な歯科診療環境の整備に関する取組を評価するものといたしまして、歯科外来診療環境体制加算がございまして、58ページに示しますように、令和4年度時点で、約半数の医療機関が届出を行っているというところでございます。
 59ページは、新型コロナウイルス感染症患者の歯科治療を行う際の判断基準、対応方法について、関係学会で検討が行われてきたところを示してございます。
 60ページ目に、歯科におけるコロナ特例を整理してございまして、新型コロナウイルス感染症患者で、歯科治療の延期が困難な患者さんに対しまして、歯科治療を実施した場合の評価を行ってございます。
 現在の診療報酬では、このような治療を行った際の評価がなされていないというところでございます。
 61ページ目は、薬局が自宅等で療養する患者への緊急訪問を行った場合の評価についてでございます。
 このような患者さんに対しまして、医師の指示により、保険薬局から薬剤師が必要な服薬指導と薬剤の交付のために緊急に訪問した場合の評価が、臨時的な特例として設けられております。
 他方、このような状況におきまして、緊急に訪問する必要がある場合の評価については、調剤報酬本体では、規定されていないということを示してございます。
 次、62ページ目以降が、薬剤耐性に関する評価についてでございます。
 63ページ目は、これまでいただいた御意見でございます。抗菌薬使用の状況の可視化サーベイランスへの参加、それ自体よりも実績に基づいた評価を行うことが重要との指摘がなされてございます。
 64ページからは、これまでもお示ししている資料でございますがAMR対策アクションプランの目標値、それから、我が国においては、この抗菌薬のAWaRe分類におけるアクセス抗菌薬の割合が、他国と比べて低いということ。
 そして、70ページには、特定機能病院におきましても、抗菌薬の使用状況にばらつきが大きい。こういったことなどをお示ししてございます。
 ページは進みまして、71ページ目、72ページ目も、以前と同様の資料でございますけれども、感染対策連携共通プラットフォームにおきましては、抗菌薬使用量について医療機関間の比較が可能でございまして、診療所用のプラットフォームについても、来年度からAWaRe分類に基づく実績の評価が可能となる予定となるものを御紹介してございます。
 73ページは、診療所におけますアクセス抗菌薬の処方割合でございまして、国際的な目標値を上回っている施設では、現状ではかなり少数ということになってございます。
 74ページ目からは、小児抗菌薬適正使用支援加算についてでございます。
 小児抗菌薬適正使用支援加算について、平成30年に小児科を対象として申請されました。
 令和4年度には、急性気道感染症に加えまして、急性中耳炎、急性副鼻腔炎を対象として耳鼻科にも導入されたところでございます。
 78ページ目に小児抗菌薬適正使用加算の導入後に、抗菌薬の使用率が減少したとする報告を紹介してございます。
 一方で、81ページ目にありますとおり、耳鼻科小児抗菌薬適正使用支援加算の導入後も、副鼻腔炎につきまして、抗菌薬の処方割合は低下しているという傾向が見られてございます。
 次、耳鼻科の抗菌薬適正使用支援加算におきまして、対象になっています、急性中耳炎、急性副鼻腔炎についてでございますけれども、82ページと83ページにありますとおり、小児科におきましても、これらの疾患について、一定程度診療がなされている一方で、現在は、小児科における加算の対象にはなっていないということでございます。
 こういった現状をお示しした上で、87ページ目に論点がございます。
 括弧が3つございます。「新興感染症発生・まん延時における医療及びその備えに対する評価について」でございます。この備えについて、どのように評価するかなどを、それぞれの場面においてどのようにするかということで、論点を立てさせていただいてございます。
 2つ目の括弧が「新興感染症以外の感染症に対する医療の評価について」ということでございまして、ここは感染症の入院患者さんに対する標準予防策に追加して行う適切な感染対策、必要な個室管理等の、こういった評価の在り方並びに評価の対象とすべき疾患についてどのように考えるか。
 ほか、○が6つほど並んでございます。
 そして、最後「薬剤耐性等に関する評価について」ということでございますけれども、抗菌薬の適正使用を推進する観点から、ここに書いておりますようなことについてどのように考えるか。
 小児に対する抗菌薬の適正使用の推進の観点から、先ほども御紹介した加算における対象疾患について、どのように考えるか、こういった論点としてまとめさせていただいてございます。
 駆け足となりまして恐縮でございました。事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 87ページの論点に沿って、コメントします。
 まず「新興感染症発生・まん延時における医療及びその備えに対する評価について」です。
 今後、協定締結医療機関が新興感染症対応に向けた体制を整備することを考えますと、感染対策向上加算において、協定締結医療機関を十分に評価することは、第8次医療計画の実効性を確保するためにも、また、今回のコロナ禍において培われた各医療機関の対応力を損なわないようにするためにも必須の対応と言えます。
 なお、13ページでは、病床確保の対象医療機関と、発熱外来の対象医療機関を感染対策向上加算等で評価する場合のイメージが示されておりますが、それ以外にも、5ページに示されているとおり、自宅療養者等に対する医療の提供や、後方支援の協定締結もありますので、そうした医療機関としての機能の評価についても検討する必要があると考えます。
 次に「新興感染症以外の感染症に対する医療の評価について」です。
 1つ目と2つ目の○につきましては、34ページにまとめられているとおり、空気感染や飛沫感染等によって伝播する感染症の患者さんに対しては、標準予防策に加えて、追加的な対応を実施することが、医療従事者の安全や診療の継続性を確保するためにも重要であります。
 ただ、こうした追加的な対応は、現在は、コロナに限りコロナ特例という形で評価されておりましたが、本来は、コロナに限らず、別途評価されるべきものと考えます。
 また、今、申し上げたような、実際に感染症患者を診療した場合の機動的、追加的対応と、感染対策向上加算等で評価されている、平時からの組織的な感染対策につきましては、分けて評価すべきです。
 特に外来におきましては、12ページに示されているとおり、診療・検査医療機関のうち、外来感染対策向上加算を届けていた医療機関は半分以下であったことも踏まえますと、加算の算定とは別に、実際に発熱患者等を診た場合をしっかりと評価することが大事だと考えます。
 また、入院におきましては、病室病床の管理上、感染症の患者さんについて個室での入院対応とならざるを得ない場合があります。
 しかし、その場合、患者さんの選択によらず、個室に入院されたということで、差額ベッド料が請求できないとなると、病院の負担が大きくなりますので、病院の対応力が弱まらないようにすることも重要だと考えます。
 4つ目の○については、コロナ禍の教訓として、高齢者施設と医療機関の連携が必要であることは十分に理解できるところですが、高齢者施設への助言や指導のコストは、介護保険制度内で評価されるべきものであり、医療機関にその対応を義務化することはあってはならないと考えます。
 その上で、連携しているところが行う医療機関としての対応力については、一定の評価を行うことが、地域における連携促進につながると考えます。
 最後に「薬剤耐性対策に関する評価について」は、今回の論点の前提として、サーベイランス強化加算については、データの提出が困難であるなど、現場にとっては負担が大きい制度になっておりますので、多くの施設が参加すべき制度であるならば、手続なども簡略化し、分かりやすく、参加と継続がしやすい制度にしなければならないと考えます。
 また、小児抗菌薬適正使用支援加算における対象疾患につきましては、急性中耳炎や急性副鼻腔炎を対象疾患に追加することに賛同いたします。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員から意見を聞く機会について、御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 87ページの論点についてコメントをさせていただきます。
 まず、1つ目の論点「新興感染症発生・まん延時における医療及びその備えに対する評価について」でございますが、これまでも発言しておりますとおり、歯科は感染症そのものを治療するわけではありませんが、新興感染症の発生時、蔓延時にも、緊急的な歯科治療が必要な場合が当然ございます。
 このような場合、当該感染症に対する感染防止対策が明確になるまでの間は、一般の歯科診療所では対応が困難なこともあることから、対応可能な病院歯科などとの連携の上で、歯科医療を提供することが必要となります。
 今後、新たな新興感染症が発生・蔓延した際に、スムーズな対応ができるよう、地域の実情に応じた歯科医療提供体制を構築することが必要であり、そのために歯科医療機関での感染防止対策の体制整備に必要な評価につきまして、検討をお願いしたいと思います。
 また、論点の2つ目の「新興感染症以外の感染症に対する医療の評価について」ですが、5つ目の○についてですが、新興感染症以外の感染症におきましても、歯科では、口腔内の外科的手術を含み、血液や飛沫などの対応が必要でございまして、適切な感染防止対策を徹底することが、非常に重要だと認識しております。
 現在行われている感染症対策や院内スタッフへの研修等を含め、想定される感染症への対応につきましては重要課題であることから、引き続き取り組んでいかなければならないと考えております。
 患者・国民にとって安全で安心できる歯科医療を提供するために、必要な感染防止対策を徹底できるための相応の診療報酬上の評価は必要と考えております。御検討をよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 薬局における感染症への対応についてですが、感染症の治療に医薬品の提供は不可欠で、薬局は感染症の治療に必要な医薬品の備蓄も含め、平時から適切な感染対策の体制を整備していくことが必要であり、自宅、高齢者施設等での療養者等への対応のために、病院、診療所等との連携体制を構築しておくことが必要です。
 また、コロナ禍の状況では、感染症発生当初の段階から、夜間休日も含めて、消毒薬やマスクのほか、解熱鎮痛薬などの市販薬、抗原検査キットの提供を担っているほか、ワクチン接種への協力、ワクチン・検査パッケージ等に基づく無料検査事業に取り組んでまいりました。
 今回のコロナ禍を振り返ってみると、将来の新興感染症への対応としては、オンライン服薬指導の体制整備を進めていくことも必要と考えます。
 感染対策を考える場合、薬局では、医療機関を受診した患者が来局するタイミングが様々であるため、時間分離を行うことが難しく、薬局の構造上、患者さんの動線を分けることは難しいため、25ページ目にあるように、コロナ陽性疑いの患者さんへの対応用のスペースの設置、外に受付、待合スペースを設置などの工夫で対策を行っています。
 論点の新興感染症蔓延時における医療及びその備えに対する評価についてですが、第8次医療計画において、新興感染症の発生、蔓延時や災害時等においても必要な医療が提供できる体制の整備を進めることとなっており、改正感染症法において、都道府県知事と協定を締結した薬局は医療機関や事業所間で連携しながら、自宅療養者等への医薬品対応を行うことになっています。
 協定締結薬局の要件を満たすためには、感染対策の研修、訓練や、オンライン服薬指導、夜間休日対応等の体制整備が必要であり、このような感染症への対応の備えを行っている薬局を支援するための評価が必要だと考えます。
 また、論点の新興感染症以外の感染症に対する医療の評価についてですが、61ページ目に示されているコロナ特例での評価として、外出ができないため、来局困難な患者等には、薬剤師が自宅等まで訪問し、必要な医薬品を提供して指導していることについて、臨時的な特例として報酬上での評価がなされていますが、今後の感染症対策を考えた場合、今回の新型コロナのように、患者の行動に制限がかかるなどの理由により、その自宅等を訪問し、必要な医薬品を提供して指導する必要がある場合の評価については、恒常的な評価が必要と考えます。
 次に「薬剤耐性対策に対する評価について」ですが、薬剤耐性獲得を防止するために、患者さんは抗菌薬を医師の指示どおりに服用する必要があります。
 薬局では、患者さんが抗菌薬を適正に使用できるよう、必要な指導や支援を行っています。
 また、服薬管理においては、服用歴、副作用歴なども含めた情報連携ツールともなる、お薬手帳の活用も有効なものと考えます。
 このような薬局での取組を進めていくことも、適切な抗菌薬の使用促進において重要な視点と考えます。
 また、医療機関では薬剤師が医療機関の抗菌薬適正使用支援チームに参加して、感染防御を通した安全・安心かつ適切な薬物治療の提供や、必要な環境の提供に貢献するとともに、感染症治療に関わる適切かつ安全な薬物治療に取り組んでいます。
 また、日本病院薬剤師会では、感染制御専門薬剤師の認定制度を構築し、これらの対応を推進しているところです。これらの取組についても、適切な抗菌薬の使用促進において重要な視点と考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 私から1点、1つ目の論点「新興感染症発生・まん延時における医療及びその備えに対する評価について」の1つ目のポツになります。
 先ほどありましたように、平時から感染対策のために体制を整えていくということは非常に重要でありまして、ぜひここの部分はしっかりと御評価いただきたいと思うのですが、その際に、感染対策向上加算との関係性というのを今回の改定では少し検討しなければいけないのだろうと思います。
 協定締結医療機関を何らかの形で、この加算の算定要件に組み込む場合、協定締結医療機関でも入院の協定、発熱外来の協定様々あるのと同時に、いわゆる流行初期医療確保協定と、500病院にほぼ限定される病院を想定した協定が、今、検討されてございます。
 現在、感染対策向上加算の1というのは、結構多くの医療機関が、もう既に算定しておりまして、もともと重点医療機関であるところが想定されておりましたので、もし、協定締結を感染対策向上加算の1にするとするならば、流行初期に関しては、それよりも少し上の何らかの形の評価、加算等を検討しないと、多分調整が合わなくなりますし、感染対策向上加算の1が流行初期だという形になると、多くの医療機関が2に落ちてしまう形になってしまいますので、これは体制を構築していく上において、非常に重要な加算となりますので、ぜひ慎重に御検討いただいて、しっかりと平時から医療機関が次の感染対策に備えることができるように、評価のほうを御検討いただければと思っております。
 以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、この議論の大前提として新型コロナ感染症が5類に見直されて半年以上がたつことや、令和6年度から通常の医療提供体制に戻ることを考えますと、今回の改定を経た後に、30ページ以降に示されております新型コロナの特例が残ることは、あり得ないということを、まず、強く主張いたします。
 それでは、87ページの論点に沿ってコメントいたします。
 まず「新興感染症発生・まん延時における医療及びその備えに対する評価について」でございますが、令和4年度改定において、コロナ禍での教訓を踏まえ、新興感染症が発生した際の対応も想定して、感染対策向上加算や外来感染対策向上加算が新設されたと理解しております。
 その後、都道府県と協定を締結する枠組みが導入されたことを念頭に置き、加算の施設基準に協定の締結を位置づけるなど、要件を厳格化することは十分に考えられますが、新興感染症が発生した際に流行初期医療確保措置、これが5ページに示されておりますけれども、その対象になることから、平時における評価を拡充することは、慎重に検討すべきと考えております。
 また、薬局における新興感染症への対応についても同様の考え方で、連携強化加算の施設基準を見直すことが考えられます。
 続きまして「新興感染症以外の感染症に対する医療の評価について」です。
 入院患者に対する感染対策については、先ほど申し上げました、感染対策向上加算をはじめ、既存の報酬で十分に対応していると認識しております。
 資料の34ページを見てみますと、個室隔離や集団隔離が必要なケースが紹介されておりますが、どのような患者を個室隔離し、かかり増し経費がどの程度かかるのか等を十分に精査することが必要です。
 外来医療における感染対策についても、外来感染対策向上加算が令和4年度改定で新設され、その際、発熱外来において、かかりつけ患者以外にも対応することが求められたことを踏まえれば、外来感染対策向上加算について、かかりつけ患者に限らず、発熱患者に対応することを施設基準に追加すべきです。
 次に、新型コロナ特例については、冒頭に申し上げたとおり、全て廃止すべきですが、これに関連して1点、診療側の委員の方にお伺いしたいことがございます。
 類型変更後にコロナ後遺症を診療した場合の特例が新たに設けられたと認識しておりますが、コロナ後遺症に対する医学管理について、診療報酬で特別に評価する根拠となるエビデンスが確立されているのか教えていただきたいと思います。
 続きまして、高齢者施設から求めのあった場合の対応についてでございますが、同時改定の意見交換会でも課題とされたことを踏まえ、感染対策向上加算の施設基準として明確に位置づけることが考えられます。
 また、薬局における自宅、宿泊療養者への医薬品対応については、在宅患者緊急訪問管理指導料の中で評価すべきと考えております。
 歯科における感染症患者の治療については、感染症対応を強化する観点から、令和4年度改定で基本診療料が引き上げられた経緯がございます。
 さらに、外来診療環境体制加算もありますので、既存の評価で対応できていると認識しております。
 続きまして「薬剤耐性対策に対する評価について」のコメントをいたします。
 抗菌薬の適正使用に係る取組や、資料の64ページ以降にございます、薬剤耐性対策アクションプランに沿って、当然進めるべき課題だと認識しております。
 特に来年度からは、第四期医療費適正化計画も始まり、保険者として適正使用の普及啓発をより一層推進する必要がございます。
 資料の68ページを見てみますと、第1選択もしくは第2選択の抗菌薬とされているAccess抗菌薬の使用割合が諸外国と比べて極めて低く、これは逆に言えば、使用を制限すべき抗菌薬が多く使われているという実態が分かります。
 医療機関においても、感染対策向上加算や外来感染対策向上加算の中で、抗菌薬の適正使用が評価されていることを踏まえて、これまで以上に抗菌薬の適正使用に取り組んでいただきたいと考えます。
 そうした観点で、論点にございますサーベイランス強化加算については、サーベイランスに参加するだけではなく、抗菌薬の使用実績等を指標にして、評価にめり張りをつけることも考えられます。
 最後に、小児抗菌薬適正使用支援加算については、資料の78ページを見てみますと、一定のエビデンスがあることは理解ができます。
 また、小児科で急性中耳炎や、急性副鼻腔炎の患者に算定できないということですが、保険者としましては、そもそも必要のない抗菌薬を使用しないことは当然だと認識しておりますので、単純に対象患者の範囲を広げようということではなく、外来感染対策向上加算との関係も含め、抗菌薬の適正使用に関する評価を整理することもあり得るのではないかと考えております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 今、松本委員から1点、コロナ後遺症の特例についての御質問がありましたけれども、長島委員、お答えしていただけますでしょうか。
○長島委員
 コロナ後遺症に関しましては、国として、現在、対応をしっかり検討し、様々な知見も集めているところかと思いますので、事務局のほうで何か見解がありましたら、お願いしたいと思います。
○小塩会長
 事務局、いかがでしょうか。
○荒木感染症対策課長
 感染症対策課長でございます。
 コロナの後遺症、いわゆるコロナの罹患後症状についてということで、こちらにつきましては、今、先生から御指摘いただきましたように、国のほうで研究班も組織し、いろいろな調査、研究を進めるとともに、実際、実臨床に携わっている先生方によって、30名以上の各科の診療科のメンバーの先生を集めたプログラム作成委員会というのをつくりまして、その中でマニュアルというのを随時改訂して行っているところでございます。
 そういうエビデンスに基づいたような形でのマニュアルで、実際、実臨床の先生方が対応していただいていると思っているところでございます。
 以上でございます。
○小塩会長
 松本委員、長島委員、いかがでしょうか。
○松本委員
 運用については、マニュアルということで理解いたしましたが、教えていただきたい内容が、診療報酬で特別に評価する根拠となるエビデンスができているかという観点では、いかがでございましょうか。
○小塩会長
 事務局、お答えできますでしょうか。
○荒木感染症対策課長
 引き続き感染症対策でございます。
 マニュアルについては、エビデンスに基づいてつくっているということで、そこの運用ということで、特定の疾患の管理料ということで、多分、算定をさせていただいていると理解しております。
 その中で、やはり後遺症で継続するということでございますので、例えば、コロナに罹患後、半年以上たっても2か月以上継続しているというところでございますので、それを適時、すなわち疾患を管理するという観点からは、十分に必要なものなのかなと、感染症対策としては思っております。
○小塩会長
 松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
 ありがとうございました。
 私どものほうでも、その辺の算定については、一度改めて確認をした上で、また、場があれば、御質問を差し上げたいと思います。ありがとうございます。
○小塩会長
 事務局からお手が挙がっています。お願いします
○眞鍋医療課長
 1点、事務的な訂正というか、確認です。
 31ページ目にございますとおり、今、遷延する症状に関しましては、管理料という発言が途中にありましたけれども、管理料ではなくて、今、特例の措置の147点を3か月ごと、これを算定しているという状況でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 太田委員、お願いします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 コロナを対応している入院医療の現場、病棟の話なのですが、確かに、31ページのコロナの特例を4月以降どうしていくのかというのは、1つ大きな論点です。全くこれがなしになって、今回の論点の2つ目の新興感染症の1個目の○ですけれども、標準予防策に追加して行う適切な感染対策及び必要な個室管理に対する評価の在り方ですが、先ほど長島委員のほうから、これは、もう標準として何らかの形の評価を検討すべきだという御発言がありましたけれども、適切な評価なしで、これだけ空気感染する感染力の強い疾患の患者さんを現場で診ていくというのは、何もないというのは、あり得ないと思っています。
 今、足元では感染は落ち着いておりますけれども、それでも院内ではぱたぱたと出てきまして、本当に感染力は強いです。
 今回、42ページの事務局からの資料で、今はコロナの特例という形で、入院の、いわゆる個室管理に関しての配慮が行われておりますけれども、これが、もし特例が全くなしになるとするならば、恒常的な形で何らかの形の個室での対応が認められるような形にはしていただきたいと思いますし、インフルエンザ等の我々が慣れている疾患と違って、これだけ空気感染、エアロゾル感染というのは、空気感染に近いわけですけれども、これだけ感染力の強い疾患の患者さんを、今後もケアし続けなければいけないということで言いますと、それなりの対応を今回の改定に際して、やはり御検討をいただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 コロナの特例の継続に関してですけれども、以前から申し上げているとおり、やはり今後のコロナ感染症の拡大状況及び地域医療の提供体制をしっかりと見定めながら、もう一つが、恒常的な感染対策において、どのようなことが踏み込まれるのか、それとの整合性とか、全体を見ながらしっかりと検討すべきと考えております。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、江澤委員、お願いします。
○江澤委員
 ありがとうございます。
 今回のコロナ禍の経験を踏まえましても、いかに平時の取組が重要であるかということは、本当に身に染みて痛感したところでございます。
 したがいまして、平時からの連携体制を含めた、いろいろな取組というものが、平時から取り組んでおくことによって、いざ、新興感染症が流行するような有事において力を発揮でき、そのことによって患者さんの命を救うことができることにつながりますので、平時の取組というのは、十分評価していくべきものと思います。
 続きまして、先ほどのコロナの後遺症につきまして、これは、WHOが御存じのように定義しておりまして、罹患後2か月以上、ほかの疾患では説明できない倦怠感、筋力低下、脱毛、睡眠障害といった、不定愁訴が続くというものでございますし、中には1年以上継続している患者さんもいらっしゃいます。
 こういったことは、インフルエンザには全く見られないというものでございますので、まだまだ病態が不明であって、様々な対症療法で、様々な治療法が選択されております。
 したがいまして、一人一人によって複雑な治療の管理というものが、現在、行われているということで、もし、これから、いろいろ病態が解明できるようになれば、また変わってくるかもしれませんが、現場としては、そういう実態であるということは申し上げたいと思います。
 最後、もう一点は、53ページに感染対策向上加算の一覧がありますけれども、事務局からの説明がありましたが、感染対策向上加算の1、2の赤枠のところに、今後に向けて高齢者施設も含めて専従要件ということで、高齢者施設へ指導に行った場合にも、同様の対応が必要かと思います。
 あわせまして、介護給付費分科会の議論では、高齢者医療という観点では、高齢者施設と在支病とか、地ケア病棟を有する中小病院が連携する病院としてイメージされております。
 そうしますと、感染対策向上加算1は、主に300床以上の病院となっておりますので、地域によっては、かなり施設の数も限られますので、場合によっては、感染対策向上加算2とか3の施設が高齢者施設へ指導に行くなり、連携するということは、相当あると思いますから、この赤枠に加えて高齢者施設を含めることを感染対策向上加算2、3においても同様に含めていくべきではないかと、そのほうが連携については、資するものとなろうかと思います。
 以上です。
○小塩会長
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私も論点の中で、1点、お話ししたいと思います。
 まず、2のほうの新興感染症以外の感染症に対する医療の評価ということになるかと思いますけれども、もう御案内のとおり、5類になってから、では、現状がどうなっているかというと、ほとんどの医療機関は、まだ同じように発熱外来でAPPをつけて、そして別の外来を設けて、そして入院は個室対応でということを続けています。
 続けているからこそ、確かに重症度は引きましたけれども、感染力はまだ強い中で、市中の慢性期も含めて、いろいろな病院でも、コロナに対応できる体制、そして、新型コロナウイルス感染症だけではなくて、あらゆる感染症対策、空気感染も含めて、対策につながる体制をずっと続けている。日本の医療のベースの体制が1ランク上がった状況が、現状だと思います。
 これは、本当にある意味では、コロナの副産物と言えるかと思います。本当に中小の小さな病院、診療所でも、この感染対策にしっかり対応するということができているからこそ、日本は、世界に類を見ない、死亡率も低い体制でここまで来たのだと思っています。
 確かに松本委員おっしゃるように、コロナ対策は、もう5類になったのだから、これは、次の改定ではゼロにすべきだと、論理的にはそうかもしれないですけれども、ただ一方で、1ランク、2ランク上がった感染対策を、ほぼ全ての外来入院の医療機関が対応している現状を、これを捨てることはもったいない、私は非常に残念だと思います。この対策を何らかで維持できる体制のものについて、これから続くいろいろな感染症に対する対策としての評価ということを、新たに設けるということは非常に理にかなっているのではないか。
 例えば、報酬の財源だけを考えても、御存じのようにコロナ禍の2年間、3年間で、実はインフルエンザ等の感染症とか、あらゆる感染症が減りました。これは、今でもまだある程度続いています。それは、他の感染症にも有効な感染対策を全国で続けていたおかげだと思いますので、ぜひこれは、新たにこれから起こる新興感染症も、これから現状の感染症も含めて、1ランク上がった、世界に類を見ない一段上がった感染対策をする、医療を提供するということに対して、新たな評価を求めたいと思います。
 それには、やはり空間的なもの、それから時間的なもの、それから資材的なものに、今、持ち出しでやっているわけです。何らかの評価がないと、だんだん元に戻ってしまう、コロナ以前の感染対策に戻ることは、決して、日本の将来を考えてもいいことではないと思うので、ここに対して、ぜひ何らかの新たな評価を考えていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 コロナが出てくる、それ以前は、感染症で患者さんの行動に制限がかかる、また、来局できない、そうした患者さんのもとへ薬局が訪問するという想定がありませんでした。
 それで、先ほど訪問でという話だったのですけれども、現在の調剤報酬体系で言うと、計画的な訪問を指導している患者さんに関しては、緊急時の対応に関する報酬があるのですけれども、計画的に訪問していない患者さんにはそのような報酬はないのです。今回、特例的な評価をつけていただいたのですけれども、今後の感染対策を考えた中で、特に治療薬の特性ということを考えると、迅速な提供ということも求められますので、ぜひそのことは、お考えいただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 先ほど松本委員からも、歯科において感染対策は、もう評価済みだということでございましたけれども、かねてより感染対策に関しましては、歯科は初再診料で評価されている特徴がございます。
 コロナ禍におきましては、スタンダードプリコーションに加えて、かかり増し費用等も認めていただきまして、初再診を上乗せしていただいたということは、非常に感謝しておりますけれども、この中身でございますけれども、既存の技術をスクラップした形での対応ということで、不十分な形にはなっております。
 感染対応をした歯科医療機関が、平時におきましても面で地域医療を支えるということは、これは当然のことでございますので、これからしっかりとした患者、国民にとって安全・安心な歯科医療につながる、そういった評価に、これからもつながっていくような検討をしていただきたいと、よろしくお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 茂松委員、お願いします。
○茂松委員
 このような議論をしている中なのですが、最近この2、3日、どうもコロナが、また上がってきているという事態であります。
 やはり完全に治す薬がないというところと、コロナの感染力はそれだけ強いということがあって、なかなか恒常的にというところに議論を持っていくのに、まだ少し時間がかかるのではないかという気がしております。
 とにかく恒常的にというところに議論を進めないといけないのですが、現状としては、恐らく少しずつ増えながら、また下がってくるということで、まだまだ終わっていないのではないかと御理解いただければと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 協会けんぽとしましても、コロナの対応の特例等は、一度きちんと評価をした上で、平時、また、緊急時の対応を組み直す必要があるのではないかとは思っております。
 また、素人なので教えていただきたいのですけれども、コロナの感染力が高いというのは非常に理解をしているのですが、お医者様のゴールは、感染をさせないことなのでしょうか。
 要は、何が言いたいかといいますと、感染力はすごく高いのは理解しているけれども、致死に至るまでの症状には、そんなに至っていないという素人考えがあるのですけれども、その辺の感染症の考え方みたいなものは、どう区別したらいいのかなというのが、ちょっと分かりかねたので、申し訳ございません。
 今までのコロナは、すごいデマンドがあった、たくさんの方が亡くなったコロナの対応を引きずってやっているようには見えなくもないのですけれども、そういったこと自体が、本当に必要なのかというのが、ちょっと分かりかねたものですから。
○小塩会長
 鳥潟委員から御質問がありましたけれども、どういたしましょう、皆さん、お手が挙がっていらっしゃいます。
○長島委員
 よろしいですか、その辺り、事務局のほうできちんと整理して、委員に対して御説明いただければ幸いです。よろしいでしょうか。
○小塩会長
 よろしいですか。
○鳥潟委員
 はい、別の時間で、ありがとうございます。すみません。
○小塩会長
 それでは、松本委員、お願いします。
○松本委員
 2号側からたくさん御意見をいただいたのですけれども、30ページの資料の一番右端を見ていただきたいのですが、これは、茂松委員からも、今、言及があったのですけれども、今回の議論というのは、R6改定において恒常的な感染症対策の見直しを行う議論であって、特例を残す、残さないという議論ではないということは、誤解のないように述べておきたいと思います。
 あくまでもそういう議論ですので、ですから、私は、この特例を残す、残さないとか、そういった、ある意味、矮小化された議論には、くみしませんと申し上げておきます。
○小塩会長
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 まず、総論的な話になりますが、特例措置は、あくまで特例的ということで、先ほど松本委員からもありましたけれども、終了していくことが自然な流れだと思っております。
 その上で、今回特例措置の内容が結果として妥当性があったかどうか、詳細な分析、検証などをしていただいて、その上で、今後の新興感染症に備えて、新型コロナ患者への治療、そういったものの実績、エビデンスなどを踏まえて考えられる診療について、妥当性のある診療報酬点数を準備しておくことが必要だと考えております。
 その上で、1点、論点の一番上の「新興感染症発生・まん延時における医療及びその備えに対する評価について」でございます。
 協約締結医療機関を含めて、医療機関などが行う医療の備えというものは必要とは思っておりますが、施設整備については、診療報酬ではなく、補助金など、公費との対応で、分けて考えるべきではないかと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 医療機関における感染症対策と同様に、高齢者施設における感染症対策も非常に重要なものと考えています。
 資料では、感染対策向上加算をしている急性期病院では、7割以上の病院が高齢者施設に、院内感染対策などの助言を行っているとあります。
 また、高齢者施設に助言を行っている医療機関のうち、半数以上が高齢者施設を訪問して助言を行っているとあります。
 このように、多くの医療機関では、既に助言を行っているということですが、逆に言えば、助言を行っていない医療機関もあるということになります。
 一方、介護の方面では、感染対策について外部からの支援を受けていない施設のうちの7割が、今後受ける予定あるいは受けたいという希望を持っているとあります。こうした施設への助言が行き届くように、高齢者施設の求めに医療機関がきちんと応じられるように、要件の適切な見直しなどを通じて、一層このような取組を促す必要があると思います。
 以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
 高町委員、どうもありがとうございました。
 江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 ただいまの御意見ですけれども、今、介護給付費分科会のほうでも、しっかりと連携して、高齢施設を支えるというほうに議論が進んでいますので、そこには期待をしております。
 もう一点だけ、コロナ禍で、やはり我が国の感染症に対する脆弱性の部分の課題もあったかと思います。ですから、やはりその脆弱な部分については、しっかり基盤強化は報酬で評価して、いざ、こういうコロナとか、特別な新興感染症が流行したときには、補助金がなじむのかもしれませんけれども、やはりその組み合わせも必要かとは考えているところでございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 先ほど長島委員から、木澤専門委員の御意見もという御要望がございましたので、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 「新興感染症以外の感染症に対する医療の評価について」です。
 地域において、平時からの感染対応力強化の観点から、入院、外来、在宅と、どのような場においても感染対応力を強化し、地域全体の感染対応力を向上させていく必要があります。
 とはいえ、医療資源が限られる中、組織を超えて地域で柔軟に専門性の高い人材等を活用していく視点が非常に重要です。
 論点の4つ目にあります、医療機関から高齢者施設への支援については、第550回の中医協でも発言させていただきましたけれども、日頃からの感染防止対策及び感染症発生時の対応の点で非常に有効ですので、ぜひ感染対策に関する専門性の高い人材が施設に赴きやすくなるよう推進すべきと考えております。
 また、43ページにもありますように、訪問看護において策定が義務づけられた業務継続計画の中には、感染症対応も含まれており、平時からの備え、初動対応などに関して定めた上で、研修や訓練の実施に取り組んでおります。
 加えて、感染拡大時の業務継続のためには、事業所内のBCPだけではなく、訪問看護事業所同士が助け合うことができるための地域ネットワークの仕組みを広げていくことが重要になってまいりますし、居宅介護事業所をはじめとして、医療、介護の様々な事業所と連携の機会が多い訪問看護としては、他の介護サービス事業所の職員との情報共有、連携の場面も多くあります。このような地域全体を守る感染対策が広がっていくことが必要だと考えております。
 私からは以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、ほかに御質問等ないようですので、本件に関わる質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。長時間、どうもありがとうございました。

 

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