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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第569回議事録(2023年12月1日)

 
 

2023年12月1日 中央社会保険医療協議会 総会 第569回議事録

○日時

令和5年12月1日(金)8:30~

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 12F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 永瀬伸子委員 本田文子委員 安川文朗委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 太田圭洋委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○薬価調査、特定保険医療材料価格調査の結果速報について
○医療DX(その3)について
○個別事項(その9)について
○個別事項(その10)について
○長期収載品(その2)について
○医療経済実態調査の結果に対する見解について

 

○議事 

○小塩会長
 おはようございます。ただいまより、第569回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、末松委員、岡本専門委員が御欠席です。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 初めに「薬価調査、特定保険医療材料価格調査の結果速報について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○水谷医薬産業振興・医療情報企画課長
 医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
 薬価調査、特定保険医療材料価格調査の結果速報について、御報告を申し上げます。
 資料総-1-1を御覧ください。
 6月21日の総会で御承認いただきました調査計画に基づき実施をした、令和5年度薬価調査の速報値につきまして御報告申し上げます。
 本年9月の取引分について、11月2日までに報告があったものの速報値でございますが、平均乖離率は約6.0%となっております。
 昨年9月の調査では7.0%ということでございましたので、それと比較しますと1.0ポイント乖離幅が縮小したということでございます。
 資料の下段には、後発医薬品の数量シェアについてお示しをしてございます。
 本年9月時点における後発医薬品の数量シェアは、約80.2%となっております。
 昨年9月の調査においては、79.0%でございますので、それと比較しますと1.2ポイント数量シェアが増加したということでございます。
 3ページ目には、今、申し上げました平均乖離率の内訳につきまして、投与形態別、主要薬効群別にお示しをしておりますが、説明は割愛をさせていただきます。
 続きまして、資料総-1-2を御覧いただけますでしょうか。
 こちらも6月21日の総会で御了承いただきました、調査概要に基づき行いました、特定保険医療材料価格調査の速報値につきまして御報告申し上げます。
 医療機器は少量多品種でございますので、ダイアライザー、フィルム、歯科材料、保険薬局調査分につきましては、9月1か月、それ以外につきましては、5月から9月の5か月分の取引を対象といたしました。
 11月8日までに販売側から報告のあったものを速報値として集計をいたしますと、平均乖離率は約2.5%となっております。
 材料につきましては、前回調査、令和3年度でございましたが、3.8%でございましたので、乖離率は小さくなっているということでございます。
 私からの報告は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 どうも御報告ありがとうございました。
 前回改定で薬価につきましては、特例的な引上げを実施し、不採算品や安定供給の問題が、これだけ指摘されたことを踏まえれば、今回の平均乖離率につきましては、前回の7.0%に比べれば一定の縮小が見られた。医薬品業界が主張される状況が、ある程度伺える印象を受けた一方で、やはりそれなりに薬価差というのは、まだ存在しているのだなと理解しております。
 ただし、薬効、投与経路によるばらつきは依然としてございますので、事務局におかれましては、薬価制度改革に関する議論に活用できるように、分析結果を適宜中医協に御提示いただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 薬価調査の速報値でございますが、歯科用局所麻酔剤を含む歯科用薬剤のマイナス乖離につきましても、薬価差偏在の一種と認識しております。
 従前よりこの問題に関しましては、実態把握の上、解決に向けた要望をさせていただいたところでございます。
 厚生労働省からも、本年、不採算品再算定を適用された医薬品の適正な流通についての通知を出され、その中で、安定供給を継続させるために、適正な価格で流通することが望まれると、より踏み込んだ姿勢を示していただきました。
 今回新たに事務連絡等を御尽力いただき感謝しておりますが、引き続き、このマイナスの乖離率の解消につながりますよう、様々な視点から御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
 続きまして「医療DX(その3)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 おはようございます。医療課長でございます。
 それでは、医療DXについて(その3)、中医協資料総-2を用いまして、御説明させていただきたいと思います。
 2ページ目に目次がございます。
 ここにございますとおり、1.DXから、5.電子処方箋についてという項目で御説明をさせていただきたいと思います。
 それでは、1つ目のDXについてでございます。
 スライドの4枚目から8枚目でございますけれども、これまでの中医協においても御紹介してきた内容でございます。医療DXの方向性といたしまして、骨格が全国医療情報プラットフォームであること、電子カルテ情報の標準化等を進めること、診療報酬改定DXであることのほか、医療DX実現により、目指す社会についてお示しております。
 次に9ページに進ませていただきます。
 2つ目の項目でございまして「情報共有基盤の整備について」でございます。
 こちらも、これまでの中医協で何度かお示ししたところでございますけれども、医療DXに関する施策の現状と課題につきまして、全国の医療機関等が必要な診療情報を共有することにより、切れ目なく質の高い医療の受療が可能となることをお示ししてございます。
 11ページは、全国医療情報プラットフォームの全体図ということでございます。
 救急医療、介護現場の切れ目ない情報共有とメリットが考えられ、12ページでございますが、工程表の中で図の中段でございますけれども、左に全国医療情報プラットフォームの構築という中で、情報共有基盤の整備、共有等が可能な医療機関の拡大の範囲について、プラットフォーム基盤構築のほか、赤囲みにしてございます、救急時に医療機関等で患者の医療情報を閲覧できる仕組みの整備を示してございます。
 こちらは、後段で御説明申し上げますが、令和6年度中の運用開始が予定されているというところでございます。
 13ページ目でございます。
 電子カルテの情報共有サービスにつきまして、提供されるサービスにつきましては、3文書6情報に係るものといたしまして、上に①、②、③とございます。文書情報を医療機関等が電子上で送受信できるサービス、全国の医療機関等で患者の電子カルテ情報6情報を閲覧できるサービス、③で、本人等が、自身の電子カルテ情報6情報を閲覧・活用できるサービスが示されているところでございます。
 13ページ目、情報共有基盤を構築する上での情報の発生のタイミング、登録の仕組みに関する想定といたしまして、電子カルテ情報を使用している全国の医療機関等との連携や、患者自身による自らの医療情報の活用等のための基盤となることが想定されているところでございます。
 15ページ目に進ませていただきます。
 医療機関等での間で電子カルテ情報を電子的に交換することによるメリットにつきましては、患者、紹介元、紹介先の医療機関がメリットを実感できるような仕組みにする必要があるという考えでございまして、医療情報ネットワークに関するワーキングにおいても議論が行われてございます。
 16ページ目でございますけれども、電子カルテ情報共有サービスにおける文書送付サービスの仕組みとメリットにつきましては、確実な文書送付によります個人情報の安全な管理等が示されています。
 17ページ目は、電子カルテ情報共有サービスにおける6情報の閲覧サービスの仕組み及びメリットでございますけれども、メリットにつきましては患者の医療情報を踏まえた質の高い診療等ということが示されております。
 18ページ以降何枚かが、患者サマリー(Patient Summary)についてでございます。
 これまで、紙などで患者様に共有していた治療上のアドバイスを患者に電子的に共有する仕組みとして運用されるものとされてございます。
 19ページ、患者サマリーの運用整理におきまして、課題と対策案が示されてございます。
 20ページのスライドでは、患者サマリーにイメージ図の案をお示してございます。
 21ページには、この対応につきましては、医療機関のシステム改修負担も考慮した実装等を検討していることをお示ししてございます。
 22ページ、データヘルス集中改革プランのアクション1、医療情報を患者や全国の医療機関等で確認できる仕組みにおきましては、救急患者について、マイナンバーカードや氏名等の4情報検索により、救急用サマリー等を確認できるよう、令和6年度中の運用開始を目途に整備が進められているところでございます。
 23ページ目、先のスライドでお示しした仕組みにおける救急医療時の医療情報閲覧フローを示してございます。
 それでは、3つ目の項目でございます。サイバーセキュリティであります。
 25ページ目は4月26日の中医協における主な意見ということでございます。
 費用負担も含めて様々御意見をいただいたところでございまして、26ページ目、27ページ目、重要インフラのサイバーセキュリティに係る行動計画や、過去の事案を例としてお示ししてございます。
 次、28ページ目、事案発生後に緊急的に、厚労省が行った調査でございますけれども、医療機関の自主的な取組だけでは不十分と考えられる結果とのことでありました。
 29ページ目、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインにつきましては、令和5年5月に最新版6.0ということでございますが、策定されております。
 30ページ、第6版でございますが、ネットワーク関連のセキュリティ対策の見直しが行われております。
 31ページ目でございます。
 令和4年度の診療報酬改定におきましては、診療録管理体制加算の要件見直しが行われまして、400床以上の病院につきましては、専任の医療情報システム安全管理責任者の配置が求められるとともに、医療情報システムのバックアップ体制の確保が望ましいこと等が定められてございます。
 32ページ目、バックアップ体制につきましては、オンラインサーバーによるもののほかに、オフラインなどの方式がなされ、3世代管理が最も多いという結果でございます。
 ここからは、病院のサイバーセキュリティ対策についての実態調査についてでございまして、34ページには、医療情報システム管理責任者を設置している割合についてでございます。
 400床未満の病院におきましても、一定の割合で設置されていることがお示ししされております。
 35ページ、サイバー攻撃等による、システム障害発生時に備えまして、BCP、事業継続計画を策定している医療機関の割合でございますが、こちらは病床数が多いほど、高くなるという傾向にございました。
 また、BCPを策定している医療機関のうち、BCPにおいて策定されました対象手順が適切に機能するか、訓練などによって確認している医療機関の割合は、これは全ての病床数の区分でございますけれども、約3割から4割ということでございました。
 36ページに進みます。
 電子カルテシステムのバックアップデータを作成している医療機関のうち、オフラインバックアップデータを作成している医療機関の割合は、これも全ての病床数の区分におきまして、約5割ということでございます。
 37ページ、医療法に基づきます立入検査についてであります。この中で、電子カルテ等の保存も検査項目に挙げられていることをお示ししてございます。
 38ページ、ガイドラインを遵守し、サイバーセキュリティの確保について必要な措置を講じることは、医療法施行規則における医療機関の管理者が遵守すべき事項として位置づけられたところでございます。
 39ページ、安全管理ガイドラインに記載されております内容のうち、優先的に取り組むべき事項につきましては、厚生労働省におきましてチェックリストを作成し、医療法施行規則、これは今年の4月1日に施行されてございます、それに基づく立入検査において活用しているところでございます。
 当該チェックリストにおきましては、医療情報システム安全管理責任者の配置や、サイバー攻撃を想定した事業継続計画(BCP)の策定等を求められているところでございます。
 40ページ、政府における医療機関等のサイバーセキュリティ対策に係る支援等につきましてでございまして、予防、そして発生時の初動、そして復旧まで広く支援を対象としているところでございます。
 41ページ目でございます。
 令和5年度の補正予算におきまして、医療機関におけるサイバーセキュリティのさらなる確保のため、外部ネットワークとの接続の安全性の検証・検査や、オフラインバックアップ体制の整備を支援する事業を実施する予定としてございます。
 次、42ページ目、4つ目の項目、オンライン資格確認等システムでございます。
 43ページ目でございますけれども、マイナンバーカードの健康保険証利用につきまして、概要をお示ししてございます。
 44ページは、全国医療情報プラットフォームにおきましても、オンライン資格確認等、このシステムは要素の1つとして位置づけられていることをお示ししてございます。
 45ページ、46ページは、医療情報システム基盤整備体制充実加算についての、これまでの特例措置も含めた対応について、お示しをしてございます。
 47ページでございますが、11月10日の中医協におきましてもお示ししてございます、検証調査の結果についてでございます。
 医療機関等において、システムの導入が進んでいるところでございますけれども、次に48ページ目、マイナンバーカードの健康保険証利用による診療情報等の活用についてですが、複数の活用効果についての回答が得られてございますけれども、活用状況については、いまだに十分ではないという状況が示されてございます。
 49ページ目、マイナンバーカードの健康保険証利用によります診療情報等の活用により、複数の医療機関で処方されている医薬品の重複や、飲み合わせの問題等が分かり処方を調整できた等の患者さんに対するメリットを回答した医療機関も一定数認められたところでございます。
 50ページ目から52ページ目は、訪問診療等によるオンライン資格確認の仕組みについて御紹介をしてございます。
 それでは、5つ目の項目で「電子処方箋について」です。
 54ページ目、全国医療情報プラットフォームにおきまして、電子処方箋管理サービスは、医療情報基盤の1つとして位置づけられております。
 医療DXの推進におきましては、オンライン資格確認等システム導入を前提に、質が高く効率化された医療の提供や、医療費適正化の観点から、電子処方箋の活用を着実に進めていく必要があるとされてございます。
 55ページ目でございますが、電処方箋の導入の意義として、医療機関や薬局、患者間での処方に係る情報共有等によりまして、質の高い医療サービスを提供するといったことがございます。
 56ページ目、電子処方箋の導入状況につきまして、11月19日時点でのデータをお示ししてございますけれども、いまだ、こちらは低い状況と認識してございます。
 57ページ目、一方で、電子処方箋管理サービスにより確認できることといたしまして、処方、調剤された情報や重複投薬のチェック結果も確認できるということでございます。
 また、各機能につきましては、患者さんの受付方法や処方箋の発行形態にかかわらず、利用できるということでございます。
 59ページ目、紙の処方箋でありましても、電子処方箋管理サービスにより、情報共有に活用できること。
そして、60ページ目、電子処方箋導入促進のため、厚生労働省におきましては、様々な取組を行っているということをお示ししてございます。
 61ページ目は、周知広報。
 62ページ目は、活用事例の御紹介。活用事例のサイトを開設し、公表していること。
 63ページ目でございますけれども、これは、電子処方箋に係る当面の全体スケジュールでございます。これにおきましては、院内処方に係る機能拡充も含めた機能について、改修等を行われる予定ということでございます。
 64ページ目、院内処方の情報連携を行うシステムについては、院内処方であっても、院外処方箋同様に、重複投薬等、チェックなどの実現に向けて検討を進められているということでございます。
 ここからは課題と論点でございますけれども、課題は御紹介したとおりでございまして、論点、最後のスライドでございます。68ページ目でございます。
 4つアイテムがございまして「情報基盤に係る整備について」ということでございます。
 御紹介申し上げましたように、救急時の医療情報を閲覧できる仕組みの整備が、令和6年度中に運用開始を目途として、整備が進められているといった背景を踏まえまして、救急外来等における、救急用サマリー等を活用できる整備体制を促進することについて、どのように考えるか。
 2つ目の項目、サイバーセキュリティにつきましては、3つ○がございます。
 バックアップを行っている医療機関の評価について、どのように考えるか。
 また、2つ目の○は、医療法25条第1項に基づきます立入検査に際して全ての医療機関に医療情報システム安全管理責任者の配置をもとめているが、400床以上の医療機関には、専任の医療情報システム安全理解責任者を求めることについて、どのように考えるか。
 3つ目でありますけれども、こちらの訓練などの評価について、どのように考えるかという論点としてございます。
 3つ目の項目、オンライン資格確認等システムでございます。
 現在の医療情報システム基盤整備体制充実加算につきまして、検証結果を踏まえまして、こちらの利用により取得された薬剤情報等を活用した質の高い医療の提供をさらに推進する観点から、どのような対応を行うべきか。
 次の○では、マイナンバーカードの健康保険証利用によりまして取得されました薬剤情報、特定健診情報を診察で直接閲覧するとともに、3文書6情報を適切に入力し活用するなどの体制を整備することを促進することについてどのように考えるか。
 最後の項目でございます。電子処方箋でございますけれども、電子処方箋も医療情報基盤として掲げられているということでございまして、診療報酬上の対応について、どのように考えるかという論点とさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御質問等ございましたらお願いいたします。
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 まず、日本医師会をはじめ、三師会は、オンライン資格確認等、様々な医療DXの推進に全面的に協力してまいりました。
 今後も医療機関と患者さんがどのように受け止め、対応しているのか、しっかりと現状を見極めた上で、診療報酬上でも推進していくことが重要であり、対応できない医療機関がすぐさま評価されなくなることなどが起こらないように、丁寧に制度設計していく必要があります。
 それでは、68ページの論点についてコメントします。
 まず、情報基盤に係る整備についてです。
 全国医療情報プラットフォームについては、6情報を特に救急医療において活用されることを念頭に置いているため、最も活用が期待される、急性期充実体制加算等の高次の救急から、まずその体制整備を求めていくことについては理解できます。
 ただし、医療機関が対応するためには、電子カルテの改修等を含め、一定の体制整備が必要になります。
 それらは診療報酬というよりも、補助金で手当していただくべき性質のものだと思いますが、そうした体制整備に必要な補助が十分になされることが、医療DX推進の前提となりますので、国全体として対応をお願いいたします。
 また、既存の地域医療情報連携ネットワークを効率的に活用している例もありますが、このネットワークを利用して、同様の情報が入手できる場合でもよいかどうか、事務局に確認したいと思います。
 次に、サイバーセキュリティについてです。
 資料にもあるとおり、医療機関がサイバー攻撃を受けた場合、電子カルテが使えなくなったり、個人情報が流出するなどの被害が生じ、その対応に追われるだけでなく、データ提出が行えなくなることにより、一部の入院基本料が算定できなくなるなど、甚大な経営的な打撃を負うことになり、実際に経営が困難となった医療機関もありました。
 一定程度セキュリティ対策がされているのであれば、診療報酬上においては、経営が困難になるほどの措置を受けなければならない現状の規定は見直すべきです。
 特にBCPを策定し訓練しており、オフラインでのバックアップを取るなど、一定の対応ができているところについては、サイバー攻撃をたとえ受けた場合においても、一定の配慮が行われるべきだと思いますので、事務局においては、担当部局と連携の上、検討していただきたいと思います。
 また、医療情報システム、安全管理責任者の配置は、全ての医療機関がすぐに対応できるとは限りません。まずは、診療報酬以外の施策がきちんと講じられていることを前提に、実態を踏まえて丁寧に設計していただくことが、対策を現実的に役に立つものにするために必要だと思います。
 また、サイバーセキュリティ対策への補助金なども含め、国によるさらなる支援も重要であります。
 オンライン資格確認等システムについてです。
 今回の検証調査からは、薬剤情報の活用等のメリットを評価する回答が認められましたが、こうしたメリットは、マイナンバー保険証の利用が進み、地域の医療機関や保険薬局が面となって対応することで、さらに拡大していくものです。
 現行の医療情報システム基盤整備体制充実加算は、引き続き継続しつつ、患者さんによる、より積極的な活用が促されるようにしていくべきだと考えます。
 また、3文書6情報を適切に入力していただくことは、各医師にとっては大きな負担です。当然ながら、入力する体制を取っている医療機関には、この点も併せて評価していただくことが、医療DXの推進につながるものと考えます。
 最後に、電子処方箋についてです。
 電子処方箋の普及にとって最大の障壁は、導入のコストの高さです。
 したがって、最も効果的な普及策は、まずは導入コストをできるだけ小さくすることです。
 そのためには、厚生労働省として、ベンダーや業界にしっかり働きかけるとともに、医療機関に対しては、導入の補助金を十分に、できれば全額補助の形で用意していただく必要があると考えます。
 その上で、診療報酬上の評価もしていただきたいと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 先ほど、長島委員から1点目の論点、情報基盤に係る整備について、事務局に確認したいことがあるとおっしゃいましたけれども、事務局いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 情報基盤に係る整備について、論点の1つ目でございます。こういった救急外来における救急用サマリー等を活用できる整備体制促進という観点で、提案をさせていただいてございました。
 それで、今の御指摘に関してでございますけれども、地域医療情報連携ネットワークは様々あると承知してございます。好事例なども厚労省で紹介をしてございます。それぞれの地域で整備され、その患者さんの情報の共有に有効に活用されていると承知しておりますけれども、一方で、今日御紹介申し上げました、全国医療情報プラットフォームでございますけれども、全国の患者さんの医療情報として活用することができて、特に救急医療におきましては、特定の地域の患者に限らず対応できるといったこともメリットかと思ってございます。
 こういったことと、また、情報が標準化されているかどうかといった点も含めて、今後、具体的な御提案をしていく中で検討していく必要あると承知してございます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、どなたかいかがでしょうか。
 それでは、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 ただいま、長島委員からもありましたけれども、我々病院関係者としましては、医療DXの推進を進めることに関しては、積極的に協力をしていきたいと思っておりますが、それを推進する上での財政的な負担をどのような形なら、医療機関側を支えることができるのかというのをずっと議論してまいりました。
 先ほど補助金によるサポートと、あと診療報酬上の配慮というものをどのような形で整理するかという御意見が長島先生からございましたけれども、かなりの金額を今の病院は、医療DXの推進、ICTに使っておりますけれども、それが本当に適切に担保されているのか多くの医療機関が疑問に思っております。
 今後ますます医療DXを推進していく上では、診療報酬上での配慮というのを、ぜひお願いしたいと思っております。
 また、サイバーセキュリティのところでありましたが、このオフラインのバックアップというものに関しても多くの医療機関が、今回のガイドラインの変更に伴って検討いたしました。かなり膨大な投資が必要であるというのが幾つか出てきてございます。
 私もベンダーから聞きましたけれども、カラオケにありますようなところのCDオートチェンジャーの大きいようなものを、かなり大幅に入れて、それが、がちゃがちゃバックアップをするというもの。それの金額もそうでしたし、実際その当時は、そういう機材を入手することも非常に不安定で困難で、どこまで時間がかかるかというのを議論したことを覚えてございます。
 ですので、今後サイバーセキュリティをより強化していくという上におきましても、このオフラインというものは、オンラインのバックアップと違いまして、かなりコストがかかるということを御認識いただきながら、評価に関して御検討いただきたいと思います。
 あと3点目ですが、これも長島委員から御指摘がありましたけれども、サイバー攻撃を受けた病院の診療報酬上の請求ができなくなるという不具合が、私の地元でも発生いたしました。入院料の算定には、当然、施設基準を含めて様々満たさなければいけない要件がありますが、それがサイバー攻撃を受けたことによって満たされなくなった場合に、特別入院料まで入院料を落とさなければいけないという形の指導を受けた医療機関がございます。
 これでは経営的に成り立たないという状況まで、実際に追い込まれる状況になります。全てにおいて救済してくれとは、私自身も思いませんが、BCPをしっかりと立てているとか、ある一定以上のサイバーセキュリティ対策を行っている医療機関が、万一サイバー攻撃を受けて、診療報酬上の算定要件を一時的に満たせなくなった場合には、これは災害に遭ったと同じような形での何らかの救済策というのを、ぜひ御検討いただければと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 オンライン資格確認や、マイナンバーカードの保険証利用につきましては、より質の高い医療提供に資するものとして、日本歯科医師会といたしましても推進しており、先般開催されました、医療DX推進に向けた意見交換や、マイナ保険証の利用促進に向けた意見交換会におきましても、日本医師会、日本薬剤師会とともに、医療界一丸となって取り組むことを表明したところでございます。
 マイナンバーカードの保険証利用を進め、薬剤情報等を活用した質の高い医療を提供、推進していくため、引き続き患者さんや歯科医療機関に働きかけていく所存でございます。
 その上で、総-2の68ページの論点に記載のサイバーセキュリティに関しまして、歯科診療所も含めて、全ての医療機関の管理者にサイバーセキュリティを確保するために、必要な措置を講じることとされておりまして、歯科にとっても重要な問題と理解しております。
 中医協マターではないとは思いますが、39ページのサイバーセキュリティ対策チェックリストを含めまして、引き続き、できる限り分かりやすい案内をお願いしたく思っております。
 それから、3つ目の論点でございますが、マイナ資格確認の診療報酬上の特例加算に関しましては、普及に当たり、一定程度重要な役割を果たしてきたものと考えております。
 今後は、患者さんの負担を極力少なくしつつ、利用推進していく視点と同時に、医療機関がマイナ保険証利用により取得された薬剤情報等を活用して、質の高い医療の提供体制の整備を進めていくために、必要な制度設計について、丁寧に検討することが必要と考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。論点に沿って幾つか発言させていただきます。
 まず、サイバーセキュリティについてですが、薬局においても、患者の要配慮個人情報をはじめとした機微な情報を扱っているため、法令上サイバーセキュリティ対策が求められています。
 このため、日本薬剤師会としても、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版と、これに基づく薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストを活用して、薬局が必要なセキュリティ対策に取り組めるよう、引き続きセキュリティ対策の重要性や必要な研修の受講などを薬局関係者に周知していく所存です。
 ただし、個々の薬局でのセキュリティ対策はもちろん必要ですが、それにも限界がありますし、オンライン資格確認やその基盤を利用した電子処方箋、今後実用化されていく全国医療情報プラットフォームを含めた仕組み全体で対策が必要でもありますので、厚生労働省には、引き続き薬局も含めた医療分野におけるサイバーセキュリティ対策の推進に取り組んでいただくようお願いします。
 次に、オンライン資格確認等システムについてですが、薬局においても薬剤情報等を活用した質の高い医療の提供をさらに推進する観点からも、引き続き体制整備の面も含め、さらなる対応が必要と考えます。
 今後、在宅やオンライン服薬指導でのシステムが実装されていくに伴って、それらに対応するための追加的負担が発生しています。
 オンライン資格確認への対応は保険薬局としての義務でありますが、特に中小の薬局にとっては重い負担となっておりますので、ご配慮をお願いしたいと思います。
 薬局においても質の高い医療の提供のためには、薬剤情報等を積極的に活用していくことが必要ですが、そのためには、マイナ保険証を薬局で利用いただくことが大前提となります。
 日本薬剤師会として、この方向性を推進するために、薬局の受付窓口でのマイナ保険証を使ってみませんかという声がけや掲示などによる周知など、取組を進めていきますので、厚生労働省におかれましても、引き続き、マイナ保険証の信頼回復と利用促進に向けて、御対応のほどよろしくお願いします。
 最後に、電子処方箋についてですが、質の高い医療を提供していくため、この仕組みの活用は大変意義があり、導入意義の重要性は理解しております。
 しかしながら、電子処方箋の発行実績が極めて少ない状況であり、また、電子処方箋で受け付けても、結局、紙に処方情報を打ち出さないと、薬局の現場での業務が進まない。現状では、紙の処方箋よりも非効率になるとの指摘もあります。
 また、ペーパーレス化するには、レセコンシステムの大幅な改修や、職員全員にタブレット端末を用意する必要があるなど、莫大な追加的な費用が重なってしまうこともあり、思うように導入が進んでいない状況です。
 先ほど長島委員からも面での対応というお話がありましたけれども、電子処方箋は多くの医療機関、薬局が活用して、真の効果を発揮するものであり、導入促進に向けて周知などしていくことは重要と思いますが、現場が導入したいと思うような使い勝手のよいシステムにしないと、実を伴うものになりません。
 オンライン資格確認等システムのように、途中から機能の変更を行うことがないよう、関係部局では現場等から丁寧に聞き取りをして、課題を把握し、先手先手で対応を検討し、現場の費用的な面での負担も含めて、十分に配慮していただくようお願いします。
 論点についてですが、現場は追加的な費用負担に大変苦労しているので、報酬上で何かしらの手当を行うことは導入促進の一助になります。
 しかし、電子処方箋については、まずはシステム上の課題解決を最優先にし、現場が多少の費用負担をしても、積極的に使いたいと思うような魅力あるシステムへの見直しをお願いいたします。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 池端です。ありがとうございます。
 大きく2点について、質問とコメントをさせていただきたいと思います。
 まず、33ページです。
 病院における医療情報の調査について、1点質問をさせていただきたいのは、この調査対象はG-MISのIDを付与されている8,238の病院となっていますが、有効回答率58%ということで、この対象というのは、G-MISということになると、必ずしも電子カルテを導入しているだけではないのか、それとも、一応内容としては、多分、電子カルテを導入している医療機関についての調査になるかと思いますので、その辺について、導入のあり、なしについての対象について、どうなっているのか、分かる範囲で教えていただければと思います。
 その上で、この結果、もし、これが電子カルテを導入しているところだとすると、次の34ページで、安全管理者を設置しているかというのが60%ですけれども、実際に病院でも中小の病院を全部入れると、電子カルテを導入しているのは、まだ50%前後ということになりますので、さらに半分のところは、まだ全くここに手をつけていないところがあると考えなくてはいけないので、そういう意味では、まだまだこれからしっかりやっていかなくてはいけない。
 特に、大病院と中小病院、それぞれパワーも違いますので、例えば、私、思いつきなのですけれども、感染対策向上加算のように、大病院と中小病院が連携しながら、この安全対策をやるという、そういったことに対しての何らかの手当とか、そういうことも考えてもいいのではないかと、ちょっと思いつきなのですけれども、感じました。
 いずれしても、中小病院に対しても、しっかりとした手当をできるような体制を取っていただきたいと思っています。
 もう一点は、64ページの電子処方箋に関する院内処方箋の取組ということです。もともと病院の電子処方箋が進まない理由の1つとして、院内処方箋の取組ができないということがあって、これに対して手当をするということで御検討をいただいたことは、非常にいいことだと思いますけれども、HL7 FHIRで院内処方箋を突合させるということですが、実際に、これをやろうと思うと、多分ここに施設整備導入の費用がかかります。これについては、何か補助金等、既に手当を御検討いただいているかどうか、これについても1点質問をさせていただきたいと思います。
 病院は、院内処方箋が突合できないということで、やはりメリットがぐっと半減してしまうということで、二の足を踏んでいるところもありますので、これは、ぜひ導入を進めていただきたいと思いますけれども、一方で、費用負担についても心配されている病院が多いので、質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ただいま池端委員から2点質問がございました。33ページの調査の対象について、それから64ページ、院内処方箋についての支援策があるかどうかということです。この2点について、事務局から御回答をお願いいたします。
○田中参事官
 医政局参事官でございます。
 1点目の御質問でございますが、レセプト電算システム等医療情報システムを使用している医療機関のうち、安全管理責任者を設置している割合になっております。
 御回答になっておりますでしょうか。
○猪飼総務課企画官
 続きまして、電子処方箋の院内処方の改修に関してですけれども、院内処方につきまして、どの範囲の情報を掲載していくのか、そして、どのタイミングで登録するのかといった基礎的な議論を公開の場で検討を始めたところでして、現時点では、どのような改修になっていくのかといったことを予断する状況にないため、補助金を要求するのか、しないのか、そういったことのお答えは差し控えます。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、医療DXにつきましては、効率的、効果的で質の高い医療を実現するために、今後は不可欠な要素だと考えております。
 この点については、先ほど来、診療側の委員の方からもございましたけれども、異論のないところだと思いますので、補助金と診療報酬の役割分担を踏まえつつ、ぜひスピード感を持って推進する方向で前向きな議論をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、論点に沿ってコメントをいたします。
 情報基盤に係る整備につきましては、23ページにありますように、救急時に情報を閲覧することで、意識不明の患者に対して、これまで以上の適切な治療を選択できるようになり、医療の質の向上や医療資源の有効活用などのメリットがあると考えております。
 この仕組みは、令和6年度中から開始されるということですので、救急医療を念頭に置いた診療報酬については、救急用サマリー等の活用を要件に位置づけることを検討すべきと考えます。
 続きまして、サイバーセキュリティでございますが、33ページから紹介のある調査結果を拝見いたしますと、医療機関のサイバーセキュリティ対策は、十分とは言えないという印象を受けました。
 41ページに御紹介があります事業成果なども活用しながら、しっかりとしたバックアップ体制を整備していただきたいと思います。
 また、31ページ等にあります医療法に基づく立入検査において、全ての医療機関に医療情報システム安全管理責任者の配置が求められることを踏まえれば、診療録管理体制加算については、400床以上の医療機関にのみ義務づけている責任者の配置を、中小規模の医療機関にも拡大すべきと考えます。
 また、39ページにございますが、BCPへの対応についても、令和6年度中の立入検査のチェックリストに入っておりますので、当然の取組として実施していただきたいと思います。
 続きまして、オンライン資格確認等システムについてです。
 46ページにあります、医療情報・システム基盤整備体制充実加算については、昨年末の答申書附帯意見に、特例の延長を行わないことと明記されたとおり、12月末で特例を廃止することを前提としてコメントいたします。
 加算が現行の形に見直された昨年8月の答申書附帯意見では、患者、国民の声をよく聴き、取得した医療情報の活用による医療の質の向上の状況について、調査・検証を行うとともに、課題が把握された場合には速やかに対応を検討するとの記載がございます。
 ここには、オンライン資格確認等システムの運営コストを国民や事業主が保険料を通じて負担している中で、診療報酬で評価するのであれば、当然、全国の医療機関・薬局にシステムが導入され、医療の質が向上し、患者がメリットを感じることが不可欠という我々の思いが込められております。
 そうした観点で、47ページ以降の調査結果を拝見しますと、システムが稼働している医療機関数は調査時点から拡大しているとはいえ、診療情報や薬剤情報を活用している診療所は、48ページにございますように、29%にとどまっております。
 一方で、活用している診療所では、重複投薬や併用禁忌が避けることができた。問診・診療がより正確になったというメリットが多く挙がっております。
 また、患者にとっても、情報の伝え間違い、伝え忘れ、あるいは複数の医療機関で処方されている医薬品の重複や飲み合わせの問題解決につながるメリットがあるとされております。
 今回の資料にはございませんが、患者調査でもこうしたメリットや、紙媒体で持参しない場合でも情報を確認できることを、ある程度は実感ができているという状況が示されております。
 来年秋に保険証が廃止されますと、マイナンバーカードによる受診が原則となります。
 引き続き加算で評価するのであれば、医療機関で情報の活用が当たり前になり、より多くの患者がメリットを実感できるようになる必要があります。
 保険者としてもマイナンバーカードに関連する業務に努力いたしますので、医療機関からも患者への積極的な周知をぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、電子処方箋についてです。
 資料の56ページを見ますと、残念ながら導入割合が5%以下と極めて低いと言わざるを得ません。
 電子処方箋はオンライン資格確認システムの価値を高めるサービスですので、55ページで紹介されている意義、保険料を通じて全国民がランニングコストを負担していることを踏まえ、導入を加速する必要がございます。
 単純に紙の処方箋が電子化されるだけでなく、重複投薬や併用禁忌を自動でチェックできる機能もあり、医療の質の向上とともに、業務の効率化も図られると期待をしております。
 しかし、医療機関や薬局にとっては、ポリファーマシーに関連する評価が既にありますので、電子処方箋サービスを使用した患者の負担増による加算は新設すべきではないと指摘させていただきます。
 オンライン資格確認システムを通じた医療情報の活用や、今後始まる電子カルテ情報交換サービスを含め、医療DXの基盤となるシステムについては、医療の質の向上に確実につなげ、補助金との役割分担を踏まえ、国民患者の視点で評価の在り方を議論すべきです。
 事務局に対して3つ、確認、問い合わせをしたいことがございます。
 資料の56ページには、オンライン資格確認システム導入と同様に運用を開始している医療機関数と、導入手続をやっている機関数に対して大きな差がございます。これは、オンライン資格確認のときと同様に、システムベンダーへの負荷だけが問題になるのか、それ以外にも問題は存在しているのか、御教示いただきたいと思います。
 続きまして、60ページでございますが、導入が進まない理由の2つ目のところに、複数のシステム改修が次々と必要となることによる負担増大というのがございます。
 こうしたものを踏まえますと、こうした電子処方箋のシステムが安定した運用になるのは、いつとお考えなのか、これを教えていただきたいと思います。
 あと、3つ目でございますが、診療側のほうからも非常にコストがかかるということで、補助金の活用に関するお声が多数挙がっております。
 事務局として、こうした形で、もう少し補助金を活用するというアイデアは、今、お持ちでないのか、それについて確認をしたいと思います。
 私から3つ、以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ただいま、松本委員から3点質問がございました。それぞれについて、事務局から回答をお願いできますでしょうか。
○猪飼総務課企画官
 厚生労働省医薬局からお答えいたします。
 まず、1点目の御指摘の事前の導入手続を始めたところと、実際に運用を開始したところの差、これは、厳密に事前の導入手続のカウントに当たっては、手続きに当たって厳格な要件を定めていないところから、まず、関心が高いと、それぐらいの位置づけで、我々は捉えておりますので、必ずしもそこの間の差分について要因を分析することはしておりません。
 2つ目の電子処方箋のシステムが安定するかという御指摘ですけれども、先ほどの要因分析のところに書かせていただいた部分の、次々といろいろな対応が求められるというのは、電子処方箋に限らず、医療DXに関連して、例えばオンライン資格確認への医療扶助の対応ですとか、そのもろもろの厚労省から求められるものを指しての記載となっておりますけれども、電子処方箋単体について申し上げますと、こちらの資料の63ページにございますとおり、大きなところの機能改修が、この12から1月頃に公開といいますか、ローンチ、実際に改修をいただける状況なりますので、これをもって大きな改修は一旦終わりまして、次の大きな電子処方箋の改修は、院内処方、再来年度後半以降のローンチを想定していますけれども、それまではございません。
 3つ目の補助金の活用について御指摘がございましたけれども、これにつきましては、電子処方箋の導入に係る補助金は、従前から用意をしておりまして、実際に活用もいただいているところでございますけれども、負担が大きいというお声を踏まえまして、今回、昨日成立した5年度補正予算において、都道府県と国が連携して、その導入に関する助成をさらに手厚くするような予算事業を盛り込んだところでございます。
○小塩会長
 松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
 1つ目の質問で確認なのですけれども、事前の導入手続を行ったという意味合いが、関心があるかどうかという非常に不可思議なものだったのですが、手続することが、正式に、例えばドキュメントとか、あるいは電子的に申請、そういう手続ではないのですか。
○小塩会長
 事務局、いかがでしょうか。
○猪飼総務課企画官
 失礼しました。そういったベンダーへの問い合わせ等々のもろもろの手続を開始いただくという意味で御説明はしておりますけれども、それは厳密に導入準備のどの段階にあって、これの申請をいただいているかというところまでは、調査をしておらないという趣旨でございます。
○松本委員
 申し上げました趣旨は、オンライン資格確認等システムの導入を進めるときにも、この辺りが大分問題なりましたので、それについては、ぜひそれを確認いただいて、促進に御活用いただきたいというのが1つでございます。
 それと、3つ目の補助金の話が、せっかく補正予算についているということであれば、これは、ぜひ御紹介いただいて、診療機関の方々にも安心感を与えるというか、そういうことはお願いしたいと思いますし、我々の方も、今、断片的にこういったもののコストの負担を求められているということも、十分御理解をいただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 2点ほどあります。オンライン資格確認をめぐる診療報酬上の対応につきましては、マイナンバーカードを患者の皆様が、きちんとメリットを感じて使えるようになった環境を整えることが、まず大事と考えておりますので、それらの環境が整ってから、診療報酬上の対応については本格的に議論を始めるべきではないかと考えております。
 また、電子処方箋についてですけれども、こちらは非常に有効なツールであるということは間違いないかと思いますが、皆様がおっしゃっているように、導入状況に関しては様々なハードルがあることですので、まず、60ページに掲げられているような導入に向けた対応策をきちんと進めていただきたいと考えております。
 以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私も2点コメントをさせていただきたいと思います。
 まず、1点目は、オンライン資格確認等システムについてでありますけれども、医療情報・システム整備基盤体制充実加算についての特例措置、これにつきましては、令和5年4月から12月までの時限的な適用とされたものでありますので、予定どおり12月で終了いただきたいと思います。
 2点目でございますけれども、電子処方箋についてであります。電子処方箋は多くの委員の方がコメントされておりますとおり、我が国の医療DXの柱の1つでありまして、63ページの全体スケジュールにあるとおり、2025年3月を目指して普及をぜひ進めていただきたいということでございます。
 一方で、論点にあります「電子処方箋の普及に向けた診療報酬上の対応」ということでありますが、加算の新設によるインセンティブづけであれば、明確に反対をさせていただきたいと思います。
 60ページに導入促進のための今後の取組が記載をされておりますけれども、各種の呼びかけであるとか、周知、好事例の横展開とともに、費用面での対応については、これまで同様、公費、補助金による導入支援を通じて対応をいただくべきだと思っております。
 新たな患者負担、保険料負担を求めるべきではないと考えております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 最初に、遅参し申し訳ございません。
 ほかに委員から発言があれば、重複して申し訳ございませんが、1点だけ申し述べたいと思います。
 68ページの論点の1つ目の情報基盤に係る整備についてです。
 資料の22ページに、全国で医療情報を確認できる仕組みについて記載されておりますが、救急時の対応に資する整備は重要と考えます。
 今後、単身高齢者など、家族と連絡が取れない、取りづらい方の増加が想定される中、救急を呼んだ後に意識がない患者さんや、意思疎通が困難な患者さんを搬送する際に、救急車からの情報確認等で有効だと考えております。
 運用開始に向かって整備が促進されるよう取組をお願いいたします。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
 御指名ありがとうございます。
 医療DXの推進は、本当に重要な課題だと思っておりますので、ぜひ、皆さんと一緒にやっていただきたいと思っています。
 その中で、幾つかシステム関係で、サイバーセキュリティについて、少し御意見をお話しさせていただきたいと思っています。
 まず、バックアップ体制については、やはりこれは、どちらかといえば、こういったシステムを導入するに当たって、バックアップされるべきベンダーさんからの提案があるのは当然だし、ある程度ミラーリングしたりとか、ハードでの管理とかがあるので、その辺を、いわゆる今までBCPといっても、災害があったり、地震があったりしても同じようにBCPは皆さんやっているはずなので、やはり紙からデジタルへの延長線ですので、ここの中で新たな報酬とか、そういう管理については、普通は一般的にやられるものかなと思っています。
 それと、当然、こういったデジタル化とか機材を購入するということで、非常に投資金額が大きいということで、負担が大きいと皆さんがおっしゃるのは当然かと思いますが、これはどこでも同じで、先ほどお話があったように、補助金もあるということであれば、それは逆に言うと、減価償却で行われて、その間にコストが削減されるというバランスで一時的なものであって、ある程度長い目で見れば、それはコスト削減もしくは医療DXの本質であるところの、非常に効率化、有効化の一端だと思いますので、最初の投資が大変な部分は補助金等でやって、報酬では対応が難しいのかなというような印象でございます。
 私のほうからは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 様々な1号側の先生方から御意見をいただきましたので、少しコメントをさせていただければと思います。
 まず、最初の情報基盤に関わる整備で、救急の情報を閲覧できる仕組みの要件化という御意見がございましたが、まず、この仕組みそのものが、令和6年度の運用開始を目途に、今、整備を進めている最中であります。
 したがって、さらにそれが普及するとなれば、さらに年数がかかりますので、それを考えれば、要件化というのは、いかに現実離れしているかということは、皆様、御理解いただけるかと思います。
 続きまして、サイバーセキュリティに関して、安全管理者の要件化ですけれども、これも先ほど申しましたが、実情として、すぐに配置するということができないところも非常に多いというところを考えますと、これもやはり現実離れしているのではないかと考えております。
 それから、サイバーセキュリティに関して、一般企業ではというお話がございましたが、医療機関の特性として、今までのサイバーセキュリティの最大の策は外につながないことでした。そもそも外部のネットワークにつながないということが前提になっていましたので、この最大最強の対策がありました。そこが一般企業と全く違うところでございます。
 ところが近年は、これが様々なクラウド化、ネットワーク化あるいは今回の医療DXということで、セキュリティが改めて、あるいは新たに求められたということであります。そこが全く違うということを、ぜひ御了解ください。
 さらに、ここのところは、診療報酬では全く担保されておりません。さらに、サイバーセキュリティは効率化には全く関与しません。効率化にはならないのです。サイバーセキュリティというのは、ということを十分御理解いただければと思います。
 それから、オンライン資格確認に関して、情報活用がまだ必ずしも十分ではないということ、まず大きな要因として、そもそもマイナンバーカードの保険証を持ってきていただかないと、活用ができないということで、まだまだマイナ保険証を御持参いただく患者様が少ないということが最大の要因かと思います。
 したがいまして、このメリットを大きく生かすためには、これは関係者全員が協力して、まず、どんなメリットがあるかということをよく知っていただく、そして、一度使っていただくと、事前にメリットを知っていただいて、さらに一度使っていただくと、メリットが実感できるという調査結果もちゃんと出ております。ここのところは、ぜひ全員で協力してメリットが実感できるような環境づくりに御協力いただければと思います。
 電子処方箋では、新たな価値が生まれます。つまり、その患者さんが処方されている全ての薬剤情報を一元的に把握できるというのは、従来の紙のものでは不可能でした。つまり、新たな価値、新たな機能が生まれておりますので、それは評価していただくということではないかと思っております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 電子処方箋に関して追加のコメントなのですけれども、今、長島委員から新たな価値ということがありましたが、リアルタイムで情報を共有できるというのは非常に大きいと感じております。
 ただ、先ほどお話ししましたように、電子処方箋が出て、薬局には届くようになりましたが、正直届くまでのことです。その後のシステム改修は薬局でやらなくてはいけない。先ほどお話ししましたけれども、業務の現状としては、紙に打ち出して仕事をしていて、決して効率的にはなっていないというところがあります。
 電子化のメリットを最大限に生かして薬局で仕事するようにするのは、薬局での改修が必要になってきますので、魅力といいますか、そういうシステムになるように、ぜひ国でも、ここはお願いをしたいと思います。それが進まないと、正直言って薬局でも業務負担になっているということで、進みにくいことがありますので、ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
 いろいろ御議論いただきましたが、我々医療をやっている者からすれば、本当に質の高い医療をやっていくということは、当然のことであります。
 そして、この医療DXを使うということは、まさにそれに合致しているのですが、ただ、日本の医療体制、この保険体制の中で、この医療DXについての対応が全くされてこなかったということがあります。
 とにかく診療報酬に後から取り入れていこうというわけではなくて、我々は公定価格の中でやっている中で、その公定価格の中に、この医療DXへの対応の費用は全く入っておりません。
 その中で、減価償却でやれとか、いろいろな発言が出てくるわけですけれども、よく考えていただきますと、5年に1回はまた変えていかないと、メンテもしていかないと、そこでベンダーから突きつけられるのは、その改修費用とかメンテの費用がまた高く出てくるということであります。
 一旦機械を入れると、その機械のフォローでかなり費用がかさんでいくということが、この経営の中で求められております。
 まして、ここのところのTKCの経営状態、また、実調の経過を見ますと、病院のほうは本当にマイナス経営をやっている中で、これに対して医療DXを対応せよというのは、非常に厳しいことであると、最初に導入だけやってくれればいいではないかというわけにはいかないのです、現場としては。それをどんどん改修していこうとすると、そこにまた費用がかかってくるということで、我々は患者さんのために何とか進めていきたいと思いますが、運営の中では、なかなかそれができないということだけは御理解いただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 いろいろ御意見どうもありがとうございました。
 1つ目、サイバーセキュリティに関して、医療情報システム安全管理責任者の配置については、全面的に広げるのは難しいという御判断がありましたけれども、一方で、先ほど太田委員のほうから、こうした事故が起きたときに、これは災害だから報酬から請求できようにしていただきたいという話がございました。
 そうすると、そういった請求に関しては希望されるけれども、安全に関する担保とかは御勘弁をいただくというのは、私は少しバランスが欠けているのではないかという気がいたしました。これは、個人的な感想でございますので、結構でございます。
 それと2つ目でございますが、こうした医療DXは新たな価値を生むので評価してほしいという御意見についても、理解をするところはございますけれども、一方で、先ほど来述べておりますけれども、例えば、業務の効率化とか生産性の向上につながるというメリットもございますので、そうした面だけを全く触れないで、費用の負担が増えております、価値を生み出していますというのも、若干バランスの欠けた発言ではないかと思いますので、その点についても、お考えいただきたいと思います。
 私からは以上でござい
○小塩会長
 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。この件につきましても、いろいろ貴重な御意見、御質問をいただきました。
 失礼しました、高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 電子カルテの保存期間について、意見を述べさせていただきたいと思います。
 電子カルテの保存期間について、現在の5年からの延長を希望します。私は薬害の被害者です。患者が重篤な副作用を発症した場合、国から救済を受けることができますが、そのためにはカルテが必要です。
 副作用は、服薬からかなりの期間が経過してから発症することが少なくなく、10年から15年といった場合もあります。副作用が発症してから救済を受けようとしても、カルテが既に破棄されていて、救済を受けることができずに苦しんでいる薬害被害者も多くいます。そのようなことがないよう、カルテの保存期間の延長を私たち患者は要望してきました。
 しかし、紙のカルテでは、場所の問題などでなかなか難しいということでした。しかし、医療DXによってカルテが電子化される今こそ、保存期間を延長する絶好の機会だと考えています。
 カルテが保存されて、万が一重篤な副作用を発症しても十分な救済を受けられることが、患者が安心して医療を受けられることにつながるのではないでしょうか。また、オンラインの資格管理確認等システムが整備されていく中で、例えば、訪問看護など診療明細書の無料発行の仕組みについても、附帯意見に基づき進めていただきたいと要望いたします。
 ありがとうございました。
○小塩会長
 高町委員、ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 1点、今、松本委員からお話がありました、少し数字が違うのではないかということですけれども、今、太田委員がおっしゃったのは、恐らくサイバーセキュリティで、DPCデータが出せなくなったときに、入院基本料の請求ができなくなってしまうということで、ここを何とか助け船を出す方法を考えてほしいという、本当に緊急避難的なことをおっしゃったと思います。
 一方で、長島委員もおっしゃったように、400床以上については専任のということで、これを全ての医療機関と、あまりにもこれは、20床以上の病院から1,000床近い病院まで全て同じように、専任の安全管理者を置けというのは、かなり無理があることで、ここを努力しながら、少しずつを前向きに進めていくということに対しては、医療機関も全然協力していこうとするし、実際に置かないと不安があるから、そういう努力をもちろんしていきます。
 ただ、それを要件化ということに対しては、長島委員も、これは時期尚早ではないかということをおっしゃったのではないかと、私も実質要件化と言ってしまうと、とても中小病院はついてこられないし、電カル化されているところも、まだ50%弱ないわけですので、この状況は少し御理解いただきたい。
 ですから、私、先ほどの提案という形でお話ししましたけれども、感染対策向上加算も1、2、3があって、高度急性期病院から、中小病院に対してのいろいろな指導とか、連携をしながら、その対策をやっていこうという方法を行って、私は、これは割とうまくいっていると思うのです。大病院の感染対策管理者が中小病院に出向いて、そこで指導をしたり、それを受けて、こちらもブラッシュアップしていくという、こういう体制を取りながら、全病院がそこに向かってやっていくというシステムをつくる、そこに対して何らかの報酬上の方法がないかということを、私は提案している、1つの考え方ではないかと思っています。
 以上で、決して反対しているわけではないということを御理解いただければと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 あとはよろしいでしょうか。
 それでは、ほかに御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後事務局におかれましては、本日いただいた多くの御意見も踏まえて、御対応いただくようにお願いいたします。
 続きまして「個別事項(その9)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、個別事項(その9)、テーマとしては、小児周産期(その2)となります。それにつきまして、中医協総-3を用いまして御説明をさせていただきます。
 2ページ目に、前回、令和5年8月2日に開催いたしました中医協における主な意見を抜粋して紹介してございまして、3ページ目に目次を示してございます。
 大きく1が小児医療、2が周産期医療ということで、各項目について御説明をさせていただきます。
 4ページ以降、小児医療の現状ということでございまして、各統計をまとめてございます。
 4ページ、5ページ、出生数、出生率及び15歳未満人口の推移でございます。
 6ページから8ページ目、これは外来入院患者数の推移、受療率などでございます。
 9ページ目には、こども未来戦略方針、10ページ目には骨太の方針の引用をお示ししてございます。
 次に、1-2に移らせていただきます。「小児入院医療について」でございます。
 11ページ以降でございますけれども、まず、12ページ目から14ページ目に小児入院医療管理料、これは1から5がございますけれども、この概要、そして届出医療機関数、病床数、算定回数などの推移についてお示しをしてございます。
 15ページ目、医療機関当たりの小児入院医療管理料の病床数についてお示ししてございまして、近年減少傾向であること。また、急性期一般入院料1、いわゆる7対1病床でございますけれども、比べまして、1病棟当たりの病床数が少ないことをお示ししてございます。
 16ページ、小児入院医療及び看護の実態でございまして、成人との混合病棟の施設が27.6%ございます。
 17ページ、18ページは、これら混合病棟における子供の療養環境向上のための具体的な対策を示してございます。ユニット化が対策として記載されてございます。
 19ページ、20ページ、保育士の配置やプレイルームの設置を評価いたしました加算。
 20ページには、小児科病棟におきます、保育士や看護補助者の配置状況をお示ししてございます。
 21ページ、小児病棟におきます看護体制の実態といたしまして、特に夜勤帯におきましては、寝具交換や環境整備等の周辺業務も看護師が担っている割合が高いことを示してございます。
 22ページ、付添い入院の実態把握に係る調査の概要を示してございます。
 次に進ませていただきます。
 1-3、小児高度急性期医療体制でございます。
 25ページ目から29ページ目、管理料の概要、そして施設基準、算定回数、届出医療機関数の推移、前回改定における算定日数上限の見直し等についてまとめてお示しをしてございます。
 30ページまで進ませていただきます。
 新生児医療の現状ということでございますけれども、超低出生体重児の死亡率が低下しているということをお示ししてございます。
 31ページは、重症新生児に対する看護の強化でございますけれども、こちらが予後の改善やインシデントの減少につながるということを示してございます。
 32ページ、重症新生児に対します看護配置の実態でございます。
 NICUでございますけれども、こちらは患者数のほうを減らして、看護配置を相対的に手厚くしたことがあると、こういった施設も一定程度あることを示してございます。
 33ページ、処置や治療ごとの十分な体制の必要性、34ページ目から37ページは、NICUにおける重症新生児の診療実態について示してございます。
 35ページは、重症新生児に該当する患者数・該当期間の割合を示してございます。
 750グラム未満の患者ですとか、術後人工呼吸管理の必要な児などの重症新生児の割合でございますが、これは入院患者に対しまして約10%、こういった程度であることを示してございます。
 36ページは、病床数及び病床利用率と、重症新生児割合の関係を示してございまして、重症新生児の割合の高い施設は、病床利用率も高いということを示してございます。
 37ページは、日勤帯における看護配置。
 38ページは、治療室別の配置看護師数でございます。
 NICUにおきましても、一部は2対1相当の看護師が配置されている施設もあることを示してございます。
 39ページは、臨床工学技士と臨床心理技術者の配置状況。
 40ページ、専門性の高い看護師の配置、その効果を示してございます。
 次に、新生児の退院支援についてでございますけれども、42ページ以降でございます。
 42から43ページで、入退院支援加算3の算定要件と施設基準算定状況でございます。
 44ページには、転院搬送される児の実態でございまして、転院搬送された新生児におきましても、治療室から小児病棟等を経て退院するに当たりまして、退院支援が必要な場合があることなどを示してございます。
 次に、小児特定集中治療室管理、PICUと通称しますけれども、こちらに関する御説明でございます。
 47ページから50ページです。
 この小児特定集中治療室管理料の概要、そして、これまでの改定につきまして、算定回数、医療機関数の推移を示してございます。
 51ページ、52ページ、前回改定におきまして、救命救急入院料として特定集中治療室管理における臓器移植患者の算定日数上限、こういったことの見直しを行ったということをお示ししてございます。51ページの右側を赤で囲ってございます。
 53ページ、PICUにおけます臓器移植患者の平均滞在日数でございますけれども、こちらが14日を超えているということでございます。
 次に、1-4「医療的ケア児について」でございます。55ページ以降となります。
 56ページ目から57ページ目、医療的ケア児は増加傾向であることを示しており、58ページ目から59ページ目は、医療的ケア児への支援方針と主な取組を示してございます。
 次、60ページ目でございます。
 こちらは、同時改定の意見交換会におけます医療的ケア児に係る御意見というものを抜粋して御紹介しております。
 61ページ目から63ページ目は、障害福祉サービスにおける医療的ケアスコア、医療型短期入所サービスの概要、医療型短期入所サービスにおける医療的ケア児者の受入れ体制の拡充に係る検討状況を示してございます。
 64ページ、医療型短期入所を利用する上での事業所の選定理由や利用に当たっての不安等の調査結果をお示ししており、65ページ目は、医療的ケア児が入院する際、在宅時からの連続的なケアを受けることができるよう、入院前の調整を行っている医療機関の一例というものを示しております。
 次に1-5「小児医療における精神領域について」でございます。
 67ページ以降でございますけれども、こちらは発達障害等に対する小児科外来での対応についてでございます。
 67から69ページ目でございますけれども、20歳未満の精神疾患総患者数、そして0から14歳における外来受診の推移でございます。
 70ページ以降は、地域移行を重点的に進める精神病棟の評価についてでございます。
 70ページ目でございますけれども、こちらは精神科領域と小児科領域における児童青年期の精神疾患の診療状況でございまして、小児科領域の医師が見ている患者さんの年齢は、精神科領域の医師が診ている患者さんよりも有意に若年であるという結果でございました。
 次に73ページまで進みます。
 こちらは、5歳児健診のフォローアップ体制を示してございます。
 今後の医療のキャパシティ強化ということが課題として挙げられてございます。
 73ページの下のオレンジの枠囲みの一番上の○でございます。
 74ページ目から76ページ目は、医療機関における発達障害の初診待機の状況でございます。
 初診待機の解消がなかなか進まない、そして児童精神科における診療時間と職員配置を示してございまして、77ページ、78ページ、小児科の外来診療の評価でございます。
 小児かかりつけ診療料、小児科外来診療料の概要、そして、算定届出状況をお示ししてございます。
 79ページ目から80ページ目は、小児特定疾患カウンセリング料の概要でございます。
 81ページ目は、このカウンセリング料の算定状況、主傷病名の順位。
 82ページ目は、このカウンセリング料を算定された児の受診頻度と、診療継続率を示してございます。
 こちらは、基準上、月2回まで、そして2年まで算定できるという点数として設定してございますけれども、このカウンセリング料を算定した医療機関を月3回以上受診していらっしゃる患者さん、2年以上受診を続けている患者さんが一定数いらっしゃるということを示しております。
 83ページ、小児科における心身症及び神経発達症に対する診察時の所要時間でございます。
 再診と比較いたしまして、初診における診察時間が長いということを示してございます。
 次、不適切な療育への対応についてでございます。
 85ページ86ページ、児童相談所での児童虐待相談対応件数が年々上昇傾向にあること。要保護児童数の推移を示してございます。
 87から88ページは、令和4年度改定で新設いたしました、不適切な療育等が疑われる小児患者に対する支援体制の評価であります。
 養育支援体制加算の概要、そして、その算定状況をお示ししてございます。
 89から92ページでございます。
 こちらは虐待に対するChild Protection Teamについて概要を示してございまして、ページは進みます、93ページ、こちらは虐待が小児に与える影響と、虐待への対応に係る研修について、お示ししてございます。
 BEAMS研修というものがございまして、こちらは、虐待を早期に発見すること等を目的とした研修でございます。
 それでは、2つ目の大項目「周産期医療について」に移らせていただきます。
 95ページ目以降のスライドでございます。
 95から97で、妊産婦死亡数が年々減少しておりますこと、そして、ハイリスク妊産婦が増加していること。多胎の出生におきまして、早期の占める割合が上昇しているということを示してございます。
 98ページ目から99ページ目は、総合周産期特定集中治療室管理料について示してございます。
 100ページから103ページは、ハイリスク妊娠管理加算、ハイリスク分娩管理加算の概要と算定回数、届出状況についてお示ししたもの。
 104ページは、ハイリスク妊娠管理加算を算定された妊婦におきましては、早産や切迫早産による入院の割合が最も高いということを示してございます。
 105ページ目でございます。
 早産、切迫早産により、ハイリスク妊娠管理を行われた妊婦の入院時の妊娠週数でございます。
 22週未満の妊婦さんが一定数いらっしゃること。そして、ハイリスク妊娠管理加算の算定日数でございますが、算定上限である20日間、上限まで算定されている妊婦さんが多いということを示しております。
 次、出産費用の見える化等でございますけれども、見える化等に関する資料を106ページ以降にお示ししてございます。
 111ページ目、112ページ目は、これまでも述べてきた内容の課題を述べてございまして、最後に論点でございます。113ページを御覧ください。
 大きな項目としては4つ小児入院医療、小児高度急性期医療、医療的ケア児、そして周産期とまとめてございますけれども、1つ目の小児入院医療につきましては、小児入院医療管理料の病棟の運用についてどのように考えるか、また、成人患者との混合となる場合に、療養環境を向上させる方策についてどのように考えるか。
 2つ目の○でございますけれども、こちらは、付添いの場合の、親に過度に負担がかからない、そういった体制を確保するために、保育士や看護師の配置に関する評価についてどのように考えるかとしてございます。
 2つ目の小児高度急性期医療でございますけれども、重症新生児に対する集中治療に係る評価についてどのように考えるか。
 次の○でございますけれども、退院支援でございますが、様々な実態を踏まえた評価を見直すことについてどのように考えるか。
 3つ目は、臓器移植患者への対応でございます。
 次、医療的ケア児でございますけれども、入院受入れに係る体制の整備が求められる中、その評価についてどう考えるか。
 4つ目、すみません、先ほど4つと申しましたが、5つ項目がございました。
 小児科における児童精神ということでございますけれども、発達障害、そして、虐待相談対応、こういったことに関しまして、かかりつけ医機能を有する医療機関の役割についてどのように考えるか。
 また、小児特定疾患カウンセリング料の在り方についてどのように考えるかと論点としてございます。
 最後、周産期医療についてでございますけれども、現在、2026年度目途とした出産費用、正常分娩の保険適用の導入を含めた出産に関する支援等のさらなる強化につきまして、検討を進めていく中でありますけれども、ハイリスク妊婦に係る評価について、どのように考えるか、としてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 113ページの論点に沿って、コメントします。
 まず、小児入院医療についてです。
 1つ目の○ですが、15ページにおいて、1医療機関当たりの小児入院医療管理料3の届出病床数は、病床単位の届出が認められている小児入院医療管理料4の届出病床数と変わりないことが見て取れます。
 こうしたことや、15歳未満の入院患者数が減少傾向にあることなどを踏まえますと、小児入院医療管理料3は、これまでのような病棟単位ではなく、病床単位での届出を認めることを検討してもよいのではないかと考えます。
 続いて、2つ目の○についてです。
 小児に対する入院医療では、治療に携わる者だけでなく、子供の成長や発達に応じた療養生活を支援する者が別に必要です。
 また、希望によって患者さんの御家族が付き添われる場合も、医療機関において適切な体制が敷かれた上で、負担が増えないような体制を確保することも大変重要です。
 現在は、19ページにあるとおり、注2加算や、注4の重症児受入体制加算において、保育士1名の配置が評価されていますが、今、申し上げたことを踏まえれば、さらなる人員配置が必要な場合に、それを行うことへの評価も検討すべきではないでしょうか。
 また、付添いを希望する御家族の食事や睡眠環境の改善などの支援につきましては、診療報酬だけでなく、調査に基づいて各種の施策で対応していくことも必要であると考えます。
 2つ目の論点、小児高度急性期医療体制についてです。
 1つ目の○ですが、超低出生体重児などの重症新生児の死亡率が大幅に低下しておりますのは、治療技術の進歩と、それらの治療を十分に提供できる現場の体制があるからこそです。
 資料に示されているとおり、重症新生児に対しては、その治療の必要性から現行の管理料で求められている以上の手厚い体制が敷かれていることが明らかになりました。
 必要な場合に手厚く看護するための体制は、十分に評価されるべきと考えます。NICUの整備に関する制度的裏づけとともに、今後示していただければと思います。
 続いて、2つ目の○ですが、入退院支援加算3については、重症新生児などは、退院後も十分なフォローアップが必要になることを考えますと、他施設で出生後に搬送されてくる児が一定数いることや、NICUからGCU、小児病棟等を経て退院することもあるため、医療の質向上を前提に、これらの実態に即した評価とすべきです。
 続いて、医療的ケア児についてです。
 医療的ケア児については、患者さんに応じた個別のケアを行えるようにしていくことが、円滑な入院を行うために非常に重要な要素です。
 したがって、体調不良等での入院に備え、事前に在宅にてどのようなケアをしているのかを把握することや、個別のケアの仕方を把握することを通じて、医師や看護師が患者さん御本人や御家族と、コミュニケーションを取ることは、受入れ上有用であり、また、御本人と御家族の入院時の不安も少なくなりますので、こうした取組をまずは評価すべきです。
 小児科における児童精神についてです。
 小児科においても、精神疾患や虐待児の診療は重要な役割の1つです。
 小児特定疾患カウンセリングは、それを評価する代表的な報酬項目ですが、今回示された資料において、再診時と比較して初診時のカウンセリングに時間を要していることが明らかになっていますので、この実態に見合った評価を検討してはどうかと考えます。
 また、小児のかかりつけ医の役割についても論点に挙げられていますが、発達障害児への関与について、どのような役割分担が目指されており、それぞれの医療機能において、どういった教育システムが整えられてきているのか、今後、お示しいただきたいと思います。
 最後に周産期医療についてです。
 今回示された資料では、ハイリスク妊娠管理加算の対象患者である、妊娠22週よりも早い段階から入院し、妊娠管理を行っている実態が明らかとなっています。
 したがって、ハイリスク妊婦への管理は、この実態も踏まえ、適切に評価されるような仕組みを検討してはどうかと考えます。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員にも発言の機会を御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私も論点に沿って、3つのアイテムについて、コメントをさせていただきたいと思います。
 まず、1つ目ですが、小児入院医療について、親の付添いに対し、過度の負担がかからないようにということで、私も現場を見ると、本当に、特に重い遺伝子病等では、親御さんが月単位、場合によっては数か月常時ついて、もちろん看護体制はあるけれども、御家族の御希望でということでついてしまう。ついているのが当たり前になると、そのお母様方、お父様方のレスパイトを考えてあげなくてはいけないぐらい、一対一以上、一対一プラス専門の看護師がついているわけですから、1人の入院しているお子様に1人、2人以上近くのケアをしていることになりますので、そこに対して、御両親の負担を少しでも減らすための配置、特に保育とか看護補助者の配置というのは、非常に効果があります。そのために、お母様方が少しでも、1週間に1回でも家へ帰ったらどうですかということを言える体制を持つことは、非常に喫緊の課題ではないかと思っていますので、ぜひ御検討いただきたいと思っています。
 2つ目ですけれども、医ケア児に関してです。
 医ケア児に関しては、県内でもそうですし、全国的にもそうですけれども、御両親は一番何が不足してほしいと思いますかというと、大抵レスパイトケアをする場所がないということで、これはなぜかというと、1つには、体制はあっても、お母様、お父様、御家族の方も、ずっと24時間家で見ていた方を預けることに対して、例えば、吸引の仕方1つにしても、非常に自分の慣れたやり方をやってほしいとか、いろいろ思いもあるので、なかなか受け手が難しいのです。制度上用意できるとしても、御両親の要望が強くて、なかなかスタッフがついていけないということがあったりするので、ここは、やはりなじみの関係が非常に重要で、何回か行き慣れると、お互いにあそこの医療施設は大丈夫、それで、医療施設側も、このお子さんは、こう診れば1週間診られるねということが分かってくると、スムーズにレスパイトケアが進むので、なじみの関係、そのためには、先ほど長島委員がおっしゃったように、在宅にいるときにどういうことやっているか、しっかり聞き込んで、普通の入院とは違った対応が必要だと。
 こういうことに対して評価をするということは、非常に重要ではないかと思いますので、ぜひこのレスパイトケアをさらに進める意味でも、お願いしたいと思います。意見交換会でも意見があったということで、これは、たしか私が発言した内容だと思いますので、現場の特に御両親が非常に強く望んでいることなので、ぜひ、何らかの評価をお願いできればと思っています。
 3つ目、最後ですけれども、児童精神についてということですけれども、増えているというわけではない、恐らく診断ができるようになったのだと思いますけれども、自閉症を含む発達障害の方が非常に多くなってきています。
 実は私自身、地元で保育園を、300名ぐらい預かっていて、保育のいろいろな団体の会議も出ているのですけれども、非常に全国的にも発達障害が増えているけれども、診られる専門医がすごく少ないのです。
 お母様方が、どうしても情報交換して、あそこいいねと、そこに集中してしまって、2か月、3か月待ちになってしまうことがよく見られますので、ここに対して、特にデータにもありましたように、診断を受けると、すごくお母さん方は不安で、その月、2、3か月は、本当に毎週のように通って、いろいろアドバイスを受けたいと思う方がありますけれども、今は2回に制限されているので、非常にここが難しいということがあります。
 医師でなくても、公認心理師等のカウンセリングも含めて、こういうことを少し対応できるように、期間限定でもいいので、最初のうちだけでもいいですから、回数を少し緩めていただいて、お母様方の安心が得られる、そして、家でもこういう対応をすれば、発達障害の方を見ていけるということに自信を持てるような、そういうソフトランディングをするような意味では、回数をもう少し柔軟に対応していただく方法を、ぜひ御検討いただきたいと思っています。
 私自身も、私は理事長である園医をやっているのですけれども、どうも私自身も自信がないところで、数年前から小児科の先生に園医をダブルでやっていただいて、すると小児科の先生が、ざっと検診をすると、もう10%ぐらい、少しこの子怪しいねということが引っかかってくる、それぐらいプロが診ると、ある程度分かってきて、その方を早く対応することによって、随分よくなっているということがありますので、ぜひそういう体制を全国的にも取っていただきたいと思いますので、ここはぜひ進めていただけるとありがたいかなと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 資料の113ページに書かれている各論点についてですが、次代を担う子供たちのためにも、小児や周産期医療は充実・強化する観点での検討が必要と考えております。
 また、小児に関しては、兄弟児を含め、家族への支援も重要ですので、家族の負担軽減も必要な対応と考えます。
 加えて、今回の論点にはありませんが、以前、11月22日の中医協総会で、児童思春期精神医療に関して申し上げたとおり、専門職の人材育成や、多職種が連携して対応できる環境整備が重要だということも申し添えておきます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、論点に沿ってコメントいたします。
 資料の16ページ、17ページを見てみますと、成人との混合病棟に多くの小児患者が入院している実態がある中で、子供の療養環境を向上させる観点から、病室単位のユニット化が推奨されているということでございますので、減少傾向にある小児入院医療管理料の届出を一定程度確保する必要性については理解しております。
 小児患者の減少も踏まえ、12ページにあります要件を見直す余地はあるとは考えますが、一方で、入院医療全般に共通する考え方として、地域のニーズを踏まえ、重点化する発想も必要であり、単なる基準の緩和だけではなく、機能強化の観点からも検討すべきだと考えます。
 看護補助者の配置に関する評価についてでございますが、これは資料の21ページにございますように、夜間に看護師が寝具の交換や環境整備を多く実施していることを踏まえますと、タスク・シェア、タスク・シフトの観点で看護補助者を活用することは考えられますが、保育士の配置と同様に看護補助者を加算で評価するというのは、療養環境の質を確保する観点から慎重に判断させていただきたいと思います。
 続きまして、小児高度急性期医療体制についてでございます。
 31ページの報告によりますと、NICUにおける手厚い看護配置が予後の改善やインシデントの減少に有効であることが分かります。
 一方、32ページ目を移しますと、実際に看護配置を手厚くしたことがある施設が一定数あり、33ページでは、2対1看護の必要性が指摘されることを踏まえれば、25ページにございますNICUに関する管理料について、2対1看護を検討するべきだと考えます。
 また、重症新生児に対する退院支援は重要であり、転院搬送後の医療機関で退院支援が必要になるケースがあることも十分に理解ができます。
 入退院支援加算3については、実態を踏まえ、看護師の経験年数の考え方や、転院前の算定が転院搬送後の算定の要件になっている部分を見直す余地はあると考えております。
 臓器移植患者については、移植前からの全身管理で、集中治療室の滞在日数が長くなっている実態を踏まえれば、算定上限を見直すことに異論はございません。
 医療的ケア児については、レスパイトケアの重要性についても十分理解しております。
 同時改定のタイミングで、61ページ以降に紹介があります、障害福祉サービスによる評価で対応していただきたいと考えます。
 続きまして、小児科における児童精神についてでございますが、発達障害への対応や、児童虐待の早期発見、相談体制の確立は、社会問題としても解決が必要な課題だと認識しております。
 発達障害や虐待の疑いに気づくことは、かかりつけ医機能として期待できますので、小児かかりつけ医診療料の要件として、こうした役割を明確化してはどうかと考えます。
 また、82ページを見ますと、小児特定疾患カウンセリング料については、10%の患者が算定期限を超えて通院を続けている実態が分かります。
 受診の理由や、医療の内容を精査した上で、算定期限について検討すべきと考えます。
 最後の周産期医療についてでございますが、ハイリスク分娩の対応が重要であることは十分理解できます。
 一方、105ページを見ますと、早産や切迫早産でハイリスク妊娠管理加算を算定する患者の場合、一部で算定対象となる妊娠22週より前に入院している一方、多くの患者が上限である20日間まで算定されている実態があります。
 正常分娩の保険適用に向けた見える化の取組も踏まえて、医療上の必要性を精査した上で、加算の算定期間を適切に設定すべきだと考えます。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 政府の方針によって、正常分娩の保険適用と無痛分娩における麻酔医の確保を進めていますが、このことは大変大切なことだと思います。
 今回論点には書かれていませんが、安心・安全な無痛分娩を実施するために、施設基準など、周産期医療における標準化に向けた取組も必要なのではないかと考えています。
 以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 医療的ケア児のところで、65ページ目のところの、入院前の調整のところですが、私の薬局でも、医療的ケア児の患者さんを1人受け入れているのですが、調剤方法がかなり特殊で、今、8種類ほど薬が出ているのですけれども、本来であれば、まとめて飲ませられるものは、まとめて入れるのですけれども、お母さんと検討したときに、1種類ずつ、少しずつ与えたほうが、患者さんが飲むということで、全部別包にしていますが、1つの薬が、1日量が0.082グラムという本当に微量なのです。それを1日3回に分ける。
 当然0.082グラムでは、均等に分包できないので、少しずつ賦形剤を入れながら、どのぐらいだったら分包誤差がないのか、飲ませられるのかということを注意深くやって、調剤をしているのですけれども、そういう患者さんが入院されたときに、入院先でも調剤をするときに、事前に様々な情報を持っていないと対応ができないと思いますので、ここは入る前に、どのような調剤方法、どういう薬を出している、どういう飲ませ方をしているという情報の共有というのは、非常に重要になると思っております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 先ほど松本委員からお話があった小児科における児童精神において、小児かかりつけ診療料における要件化には反対いたします。そうではなくて、初診時に非常に時間がかかっているという実態を踏まえて、そこをしっかりと評価するということで、実際に役に立つ改定につなげていただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 先ほど長島委員から、木澤専門委員の御意見も伺ってはどうかという御要望がございましたので、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 まず、小児医療についてです。
 少子化に伴って、小児入院患者も減少しており、小児は多くの病院で成人との混合病棟に入院しております。
 資料の16ページにありますように、混合病棟では、例えば高齢者のターミナルケアが必要な患者など、様々な状況の成人患者がおり、小児の成長発達に合わせた安心・安全な療養環境確保の観点から、小児病床の区域特定は有効であり、ぜひ推進すべきと考えております。
 また、小児病棟では、現在、看護補助者の配置に対する評価がなく、頻回な哺乳の準備や片付け、食事や着替えなどの生活支援等、小児特有の周辺業務が頻回に生じており、看護師がその多くを担っております。
 患児のみならず、両親や家族への説明、心理的ケアも充実し、入院中も退院後も親子が安心して過ごせる入院環境を整備する必要があると考えております。
 看護職員が小児患者への看護に集中でき、親子ともより安心して過ごせるよう、保育士や看護補助者配置に関する評価が重要と考えております。
 次に、小児高度急性期医療体制についてです。
 新生児集中治療室においては、超低出生体重児や高度な処置が増加しており、高水準な医学的管理を安全に行うために、他の集中治療室と同等に2対1の看護配置が必要です。
 また、手厚い配置や専門性の高い看護師の配置が、新生児の呼吸器管理や体温管理、家族との愛着形成や円滑な地域移行のためにも有効であることが示されておりますので、新生児集中治療室における手厚い看護配置について評価が必要と考えております。
 重症新生児は退院後に在宅医療、訪問看護などが必要になる場合があり、入院早期から子供と家族の状況を理解し、多職種や地域との連携を図りながら、在宅移行に向けた支援を行っていくことが重要です。
 このような支援を十分に患者家族に提供できる環境を整えることが必要と考えております。
 私からは以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問等ございますでしょうか。
 安川委員、お願いいたします。
○安川委員
 ありがとうございます。
 論点の中で小児虐待、児童虐待の相談件数が増えているというお話がありまして、それに対応して、小児科のかかりつけ医機能を強化するといったことが論点として挙がっております。
 虐待をする側の問題について、どの範疇で議論をしていいかということを教えていただければと思います。
 例えば、お母さんが産後不安などから虐待をしてしまうといった場合は、そのお母さんを含めた精神科医療という範疇で何らかの議論をすべきであるのか、あるいは同じ出産の問題であっても、例えば10代の低年齢妊娠から分娩、そのことによって、それが将来虐待にいってしまうということがある程度明らかなのであれば、それは周産期医療の問題として、今後議論していくべきなのか、その辺りのすみ分けというのは、例えば事務局におかれては、どのような形でされているのか、もし教えていただければ、ありがたく存じます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 今、安川委員から虐待の定義といいますか、考え方についての御質問がございましたが、事務局、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 虐待を行う側という御指摘で、どう施策で受け止めるかというお尋ねだと承知をいたしました。
 私どもは、今日は小児周産期で、児のほう、あるいは子供のほう、あるいは小児、新生児のほうということをテーマとしたわけでございますけれども、虐待を行う側、虐待に至る原因は様々な背景があるということは、これは、みんなそのように類推されるところでございます。
 また、その至る過程におきましても、いつから行うのか、あるいはどのような原因であるのか様々でございます。
 これは、例えば母子保健事業で担うべきなのか、あるいは教育現場で担うべきなのか、様々広い観点からの検討が必要かと思ってございまして、今、この場で私のほうから、こういう場で適切な検討の場がありますと申し上げることはできないことを御了承いただければと思います。
○小塩会長
 安川委員、よろしいでしょうか。
○安川委員
 ありがとうございました。
○小塩会長
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、ほかに特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
 そこで、一旦休憩を挟みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
(休  憩)
 
○小塩会長
 それでは、次に「個別事項(その10)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、個別事項(その10)、テーマといたしましては、リハビリテーション・栄養・口腔ということで御説明をさせていただきたいと思います。
まず、冒頭申し上げますけれども、これらの項目でございますが、これまでの改定では個別のテーマとして御議論をいただいてきたことが通例でございました。
 今回、今日のテーマといたしましては、これらを三位一体で捉えるという観点から、まとめた形でのプレゼンテーションとさせていただきたいと思います。
 それでは、総-4を用いまして御説明をさせていただきます。
 2ページ目に目次を示してございます。
 3ページ目に、これはいわゆる骨太の方針でございますけれども、今年取りまとめられました骨太の方針に、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図るという旨が記載されたところでございます。
 また、同時改定に向けた意見交換会の主な御意見を2枚つけてございまして、そして、6ページに主な意見を、中医協総会、また、基本小委員会での御発言を抜粋してございます。
 そして、8ページ目が、前回の介護報酬改定でございますけれども、リハビリテーション機能訓練、栄養、そして口腔といったことが一体となって運用されることで、より効果的な自立支援、重度化防止、予防につながることが期待されるというスライドを、こちらでお示ししてございます。
 それでは、まず、リハビリテーションからでございます。9ページ以降となります。
 10ページが、リハビリテーションに係る医療・介護の役割分担でございます。
 11から12ページ、前回改定の概要でございます。今回、リハビリテーションデータ提出加算というものが創設されたということでございます。
 スケジュールが14ページにございます。
 15ページでございますが、こちらは現在のリハビリテーションデータ提出加算の算定施設でございますけれども、10月5日という時点でございますが、52施設となっているところでございます。
 次に、16ページ目以降、疾患別リハビリテーション料についてでございます。
 17ページから、何ページかでございますけれども、平成18年に疾患別にリハビリテーション料が再編されてからの経緯をまとめてございます。
 そして19ページ、20ページ、21ページ目まで、それぞれ疾患別リハビリテーションの概要ということでまとめとしてございます。
 22ページ目、初期加算につきましてでございますけれども、こちらは開始日から14日目まで、早期加算を30日目までの早期リハビリテーションの評価となってございます。
 24ページ目から25ページ、早期リハビリテーションの重要性がガイドライン等で示されたことを示してございます。
 27ページ目に進ませていただきます。
 こちらは、急性期病棟における疾患別リハビリテーション料等ごとの実施されている提供内容でございます。
 脳血管疾患等リハビリテーション料におきましては、他の疾患別リハビリテーション料よりも、高次脳機能障害や言語聴覚療法に係る内容が多くなっているということでございます。
 29ページでございます。
 ADLが低いほど、また認知症が重症であるほど、疾患別リハビリテーションを実施する際には、複数人による訓練の提供及び訓練提供時間以外に、10分以上の時間を要するという割合が高い傾向にあったところでございます。
 30ページ、医療・看護必要度のA項目、それからリハビリテーションについて。
 動脈圧の測定のなどのA項目に該当する場合におきましては、追加的対応の割合が高いという傾向にあったところでございます。
 31ページ、コロナに対するリハビリテーションについてでございますけれども、感染防護具は約8割の方々について必要だったというアンケート結果がございます。
 32ページ目、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーションの効果でございまして、これらは職種ごとにより異なることを示しており、33から35ページは、それぞれの具体的な業務のイメージということで、写真を用いまして具体的に御説明をさせていただいているところでございます。
 37ページ目以降でございますが、医療・介護、障害福祉サービスの連携についてということでございます。
 こちらは、平成30年度の同時改定における対応でございます。それを何枚かのスライドでお示ししてございます。
 医療・介護共通のリハビリ実施計画書の様式を策定する、そして、この様式を医療から介護へ提供した場合のリハビリテーション計画提供量1というものを創設したというところでございます。
 次に、ページは進みまして、41ページでございます。
 こちらは、退院時共同指導料2の概要となります。
 42ページ、医療保険から介護保険への移行時に、医療保険、介護保険双方で使用可能な計画書の共通様式を状況提供することにつきましては評価されておりますけれども、それ以外のリハビリテーション実施計画書などを提供することについては、情報連携に係る診療報酬の要件となっていないところでございます。
 次に進みまして、47ページでございます。
 こちらは介護給付費分科会におきまして、通所リハビリテーション等の基本方針の算定要件に、医療機関のリハビリテーション計画書を入手した上で、リハビリテーション計画を作成することを加えることが提案されているということを示してございます。
 48ページ、障害福祉サービスの自立訓練(機能訓練)の概要でございます。
 49ページ目、この事業所数が近年約180と横ばいで推移していること。
 50ページ目、自立訓練(機能訓練)事業所に対しまして、事業実施上の課題を調査したところ、支援に必要な人員体制が十分に確保できない等の回答があったことを示してございます。
 51ページ目、自立訓練、機能訓練事業所の配置基準上、看護師及び理学療法士、作業療法士等のリハビリテーション職種が必要とされておりますこと。
 53ページ目は、障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおきまして、医療保険のリハビリテーションを提供する病院及び診療所並びに介護保険の通所リハビリテーション事業所におきまして、共生型自立訓練(機能訓練)または基準該当自立訓練(機能訓練)の提供を可能とすることを検討するということが議論されております。
 54ページ目でございます。
 介護給付費部会におきましても、通所リハビリテーションを行う事業所におきまして、共生型自立訓練(機能訓練)または基準該当自立訓練(機能訓練)の提供を行う場合に、人員や施設の共有を可能とするということが議論されているところでございます。
 56ページ以降でございますが、がん患者リハビリテーション料の見直しについてということでございます。
 58ページ目に、呼吸リハビリテーション料の概要でございます。
 現在、食道がん、胃がん、肝臓がん、咽頭がん、喉頭がん等の手術前後の呼吸訓練を要する患者さんが対象に含まれているということでございます。
 これは、58ページの左側のグラフのア、イ、ウ、エと並んでおりますが、エにその記載があるところでございます。
 59ページ目、こちらは、がんで手術を行う場合に、術前から運動療法、食事療法、生活指導、事前教育などを組み合わせた介入を行うことについてお示ししてございまして、これはプレハビリテーションです、術前リハビリテーションのことをプレハビリテーションと、これは新しい言葉だと思いますけれども、そう呼ばれております。
 次に61ページ目でございますが、診療ガイドラインにおきまして、術前からの呼吸リハビリテーションは、術後合併症を減らすこと。入院日数を短縮させること、こういったことが示されておりまして、推奨されているものでございます。
 62ページは、大腸がん、結腸がんですとか、卵巣がん、膵臓がんに対する術前リハビリテーションによりまして、術後合併症を減少すること、在院日数が短縮すること、ADLの悪化が予防されるといった報告もあるところでございます。
 続きまして、栄養管理についてございます。
 63ページ目からでございますが、64ページ以降、栄養管理に関する評価の主な変遷や、令和4年度の改定事項など、概要をお示ししているところでございます。
 ページを進ませていただきます。72ページ目までお進みください。
 こちらは、入院患者の栄養管理体制につきまして、入院患者の栄養状態や栄養管理体制の基準を示してございます。
 77ページ目から78ページ目に、入院時の栄養スクリーニングと個別的な栄養管理による効果が報告されております一方で、入院時の栄養スクリーニングを全患者に実施している病院は約8割といった状況を示してございます。
 次に79ページ目から83ページ目でございます。
 こちらは、現在把握しておりますDPCデータの様式1に、これを用いまして、栄養関連項目、そして栄養管理計画書における項目をお示しし、近年の動向といたしましては、低栄養の世界的診断基準や、低栄養評価における血中アルブミンの取扱いなどを御紹介しております。
 82ページには、低栄養の世界的診断基準として、GLIM基準というものを御紹介してございます。
 それでは、次の項目に移ります。
 医療・介護の連携ということでございまして、85ページ目から88ページ目でございます。
 入院栄養食事指導料と栄養情報提供加算につきまして、概要や算定状況を示してございます。現在、入院栄養食事指導料を算定しないと、この栄養情報提供加算が算定できないという位置づけとなっております。
 89ページ目から92ページ目でございます。
 こちらは、介護保険施設から入院する患者さんや、介護保険施設に退院する患者さんには、低栄養ですとか、あるいは摂食嚥下機能障害の方が一定数いらっしゃるという一方で、介護保険施設の管理栄養士の栄養情報連携は、連携先なしということが最も多く、摂食嚥下障害や低栄養状態リスクありの入所者に、栄養情報連携の必要性を感じている状況ということをお示ししたものでございます。
 93ページ目、94ページ目、95ページ目でございますが、こちらは介護給付費分科会での検討状況でございますけれども、栄養情報連携に関する論点をお示ししてございます。
 それでは、3つ目の項目、口腔管理についてでございます。
 97ページ目、病院で求められている歯科医療のイメージということでございますけれども、急性期から慢性期にかけリハビリテーション、栄養との連携が重要であるということが示されております。
 98ページ目から101ページ目でございます。
 医科歯科連携に係る診療報酬上の評価と、近年の改定の概要を示してございます。
 102ページでございます。
 こちらは、回復期における口腔管理ということでございまして、103ページ目から106ページ目、歯科医療(その2)の回で御紹介申し上げました、回復期リハ病棟における口腔管理の有効性とのエビデンスをお示ししてございます。
 107ページ目、回復期リハビリテーション病棟における、医科歯科連携につきまして、かかりつけ歯科医師あるいは登録歯科医師と連携する医科歯科連携のシステムを構築している事例でございます。
 実施されている歯科の診療内容としましては、技師の調整が多くなっているということでございました。
 109ページ目、院外の歯科医師、歯科衛生士の連携の有無を見ますと、歯科標榜のない病院の回復ケア病棟で歯科医師と連携しているというのは約半数ということでございました。
 110ページ目は、リハビリテーション実施計画書でございます。こちらの様式を御覧いただきますと、栄養管理に係る内容が含まれているところでございますが、口腔機能に係る内容が含まれていないということをお示ししてございます。
 また、111ページ目、112ページ目は、前回の介護報酬改定におきまして、その内容でございますけれども、リハビリテーション・栄養・口腔の立体的な計画書が示されておりまして、口腔機能スクリーニングの具体的項目も示されたところでございます。
 また、113ページには、これは先月なりますが、11月27日の介護給付費分科会で、口腔スクリーニングに関する論点が示されたということをお示ししてございます。
 それでは、4つ目の項目でございます。
 急性期におけるリハビリテーション・栄養・口腔ということでございます。
 115ページ目から118ページ目は、同時改定に向けた意見交換会資料でございますが、安静臥床の弊害といったものをお示しし、120ページ目から122ページ目は、早期リハ、離床加算、早期栄養介入加算という早期に介入する加算がございまして、その加算の概要でございます。
 123ページ目、124ページ目は、急性期でございますけれども、リハビリテーションの実施率にばらつきがあるということをお示しするスライドでございます。
 125ページ目、入院料ごとにリハビリテーション専門職種の配置は、ばらつきが大きかったことを示しており、126ページ目、127ページ目は、リハ職を多く配置している病棟のほうが、ADLの改善が有意に大きいということを示しております。
 次に、128ページ目から129ページ目でございます。
 急性期におけるADLが悪化した高齢者の割合となりますが、これもばらつきが大きいという状況でございます。
 131ページ目です。
 こちらは、急性期における休日のリハビリテーションの有効性が示されております。
 132ページ、ADL維持向上等体制加算は、平成26年度診療報酬改定で創設されました。これは、リハ職を配置した場合の評価となります。
 133ページには、届出医療機関数がございますが、98施設ということで、多くはないところでございます。
 134ページ目、届け出ていない理由といたしましては、理学療法士等を確保できないため、疾患別リハビリテーション料等を算定しているため、加算届けの必要性を感じないためということが多かったところでございます。
 135ページからでございますけれども、管理栄養士の病棟における業務の状況などでございます。
 138ページに、入院患者の栄養管理に関するプロセスの実施時期につきまして、最も多いタイミングとして、入院後48時間以内と回答した割合でございまして、栄養スクリーニングは約8割、栄養アセスメントと栄養ケアプランニングは約6割、栄養介入が約4割ということでございました。
 139ページには、管理栄養士さんが病棟に配置されているほうが、入院後管理栄養士が患者を訪問するまでの日数が短いこと、より早期に訪問されているということ、そして入院期間の体重減少量や、体重減少率が抑制されていたとまとめられたという御報告を示してございます。
 142ページ、誤嚥性肺炎患者さんに対します、多職種連携の重要性ということを示しております。
 143ページ、栄養、離床・リハビリテーション、口腔に関する計画作成におきまして、各職種の横断的な関わりが少ないという現状を示してございます。
 以上、駆け足で大変恐縮でございましたが、課題をお示しし、論点に進ませていただきます。
 147ページ、148ページでございます。
 それぞれリハビリテーションについて、1つ目の○では、複数人による訓練提供や、訓練提供以外に10分以上の時間を要する場合が高い。そういった類型の患者さんに関しまして、急性期のリハビリテーションを推進するためにどのような方策が考えられるか。
 あとは疾患別リハビリテーション料の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等による提供実態を把握するためにどのような方策が考えられるか。
 次は、医療・介護・障害福祉サービスの連携についてということでございます。
 こちらは、リハビリテーション実施計画書の提供は半分以下にとどまっているという実態がありましたということを踏まえまして、リハビリテーション実施計画書を提供することに関しまして、疾患別リハビリテーション通則に位置づけることや、それから退院時共同指導料2の共同指導に参加する職種に、介護サービスの訪問リハビリテーション事業所の医師、理学療法人等が参加することが望ましい旨、明確化することとしてはどうかということでございます。
 3つ目の○は、それぞれのサービス、保険医療機関、障害福祉サービス、また、それらのサービスの支障のない範囲での共用等を認めることをどのように考えるかということでございます。
 がん患者さんに対するリハビリテーションにつきましては、術前の呼吸器リハビリテーション料の対象となる疾患を明確することについて、どのように考えるか。
 148ページ目に進みます。
 栄養管理に関しましては、栄養・摂食嚥下状態を定期的に把握するための様式1の活用を含めた仕組み。栄養情報連携を推進するための方策。
 口腔管理に関しましては、リハビリテーション実施計画における口腔管理に関する項目を追加すること。歯科医療機関との連携方策についてどのように考えるか。
 そして最後の項目、急性期におけるリハビリテーション・栄養・口腔でございますけれども、こちらはADL向上等体制加算届出施設数が少ないことを踏まえまして、下の4つの点にあるようなことを図るために、どのような方策が考えられるかとさせていただいております。
 事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等よろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 147、148ページの論点に沿ってコメントします。
 まず、リハビリテーションについてです。
 疾患別リハビリテーション料について、一定の対応が必要な状態についての評価を推進することについて、異論ありません。
 ただし、現在、そういった対応が必要な状態が存在するにもかかわらず、実際には十分に行われていないとすれば、その原因がどこにあるのか、もう少し分析を加えていただくことも重要かと思います。
 続いて、医療・介護・障害福祉サービスの連携についてです。
 1つ目の○については、同時改定ということもあり、医療・介護・障害福祉サービスの連携を推進するという観点から、リハビリテーション実施計画書が広く医療・介護で共有されるための方策を推進すべきと考えます。
 ただし、通則として位置づけ、広く義務づけると何らかの正当な事情があって、提供できない場合に、疾患別リハビリテーションの算定が認められないことになってしまい、影響が大き過ぎますので、別の方法を検討すべきです。
 2つ目の○については、6年前の同時改定において、医療機関が通所リハを実施する場合に、人員等の供用を可能にしたのと同様の緩和する要件見直しを実施することが妥当と考えます。
 がん患者に対する術前の呼吸リハビリテーションの対象疾患を明確化することについて、異論ありません。
 続いて、栄養管理についてです。
 入院患者さんの栄養管理は、基本中の基本であり、特に入院時のスクリーニングにより、特別な栄養管理が必要と医学的に判断された患者さん等に対しては、非常に重要です。
 現在のDPCデータ様式1の活用についても、まずは、そうした特別な栄養管理が必要と医学的に判断された患者さんについて、検討を進めるべきだと考えます。
 また、医療機関と介護保険施設の栄養情報連携も重要です。必要とされる患者さんの場合に、医療機関の管理栄養士と、介護保険施設の管理栄養士の連携が進むような取組を検討してはどうかと考えます。
 あわせて、例えば、スクリーニングの実施等の重要性は理解した上で、現場でどれくらいこういったことが実装され得るのか、かなり高度な検討が必要になるとも思うのですが、データを取って、それが現実に活用され得るのか、見通しについても今後示していただければと思います。
 口腔管理についてです。
 資料に示されているように、エビデンスがある回復期リハ病棟における医科歯科連携を推進することについて、異論ありません。
 最後に、急性期におけるリハビリテーション・栄養・口腔についてです。
 高齢者が入院生活を送る場合に、疾患からの回復に加え、活動量が落ちることから、急性期医療における高齢者のADL悪化を防ぐことは重要と考えております。
 現在のADL維持向上等体制加算は複雑な要件となっていることもあり、届出数が少なくなっています。
 したがって、論点に示されているような内容を踏まえ、エビデンスや現状に合った形で評価できる形にすべきだと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○飯塚委員
 会長、すみません、私のほうの問題かもしれませんけれども、画像が見えていないのですが、ほかの皆様、見えていますか。
○事務局
 厚生労働省事務局でございます。
 申し訳ございません、現在、Zoomの画面の一部が表示されていない状態になっておりますので、申し訳ございません、一旦休憩をさせていただきますので、少々お待ちいただけますでしょうか。
○小塩会長
 ということで、しばらくお待ちください。休憩に入ります。
 
(休  憩)
 
○小塩会長
 それでは、再開いたします。
 先ほど、長島委員が御発言のときなのですけれども、映像は途切れたのですけれども、音声はちゃんと流れたようですので、恐縮ですけれども、次の方の御発言に移らせていただきます。
 それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 同時改定の意見交換会におきましても発言させていただきましたが、リハ・栄養・口腔が一体的に早期から必要に応じて提供されることは、本改定の大きなポイントの1つともなっておりまして、統一化された情報共有が鍵になると考えております。
 小塩会長におかれましては、後ほど現場の実態につきまして、田村専門委員より御発言の機会をいただきますよう、御配慮をよろしくお願いいたします。
 まず、論点の口腔管理について発言させていただきます。
 110ページに示されました、リハビリテーション実施計画書には、現時点では口腔機能に係る項目は含まれておりません。
 次の111ページに示されておりますように、介護におきましては、令和3年度介護報酬改定からリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養に関する実施計画を一体的に記入できる様式が作成されております。
 リハビリテーションとの連携は非常に重要であり、医療と介護の情報共有をしっかりとした上で、リハビリテーションを推進する観点から、論点で提案されているリハビリテーション実施計画書への口腔管理に係る項目の追加や、歯科医療機関との連携につきまして、ぜひとも進めていただきますようよろしくお願いいたします。
 また、口腔管理に係る項目を追加するに当たりましては、歯科専門職種以外の多くの職種が使いやすく、連携がスムーズに進められるようなものになりますよう、また、介護との連携もスムーズになるよう、御検討いただきたいと思っております。
 特に今回の資料に示されておりますように、回復期病棟におきましては、104ページにありますように、義歯に問題があるケースも多いことが示されております。
 義歯の不具合などは、なかなか気がつきにくい部分もありますので、何度も申しておりますが、歯科がない病院では、特に早期にかかりつけ歯科医や、近隣の歯科診療所との連携が図れるような仕組みの検討をお願いいたします。
 次に、論点の急性期におけるリハビリテーション・栄養・口腔についてです。
 資料の142ページに、誤嚥性肺炎患者に対する多職種連携の効果が示されていますように、急性期におきましても、リハビリテーション・栄養・口腔の一体的な取組は重要だと考えております。
 急性期のリハビリテーションを行うに当たりましても、回復期のリハビリテーションと同様に、栄養管理や口腔管理との一体的な取組が進みますよう、口腔の状態についても評価する仕組みなど、御検討いただきたく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 私も148ページの急性期におけるリハビリテーション・栄養・口腔のところに関して、意見をさせていただきます。
 急性期入院医療において、早期からADLの悪化を防ぐ目的でリハビリテーションを介入していくというのは非常に重要であると思います。多くの医療機関、病院がこの重要性を、今、認識し始めているところでございます。本日、たくさんの資料も出していただきました。
 ただ、診療報酬の今までの点数の設定を見ますと、121ページ、122ページに、早期離床、リハビリの加算ですとか、早期の栄養の介入の加算等ございましたけれども、高度急性期機能、いわゆるユニット等に対する点数がメインでございまして、あまり急性期の病院において、早期のADLを改善するためのリハビリですとか、栄養介入をより強化するような点数というのが、あまり重視されてこなかったと認識しています。
 先ほど出ておりました、ADL維持向上等体制加算に関しましても、算定している届出医療機関数は、現在、ほとんど伸び悩んで低下傾向にある。これは、やはり病院関係者から見ますと、求められていることは分かるのだけれども、それに対して対応するのに必要なコストを考えた場合には、やはり不十分であるということだと思います。
 ただ、今回の同時改定におきまして、ここの部分を我々は進めていかなければいけないということは十分分かってございますので、例えば、土日のリハビリテーションの提供ですとか、早期の介入等を要件としながら、この加算を大きく拡充するとか、また、疾患別リハと併算定を認める等、何らかの形で急性期のリハビリテーションまたは栄養の介入というものがスムーズに進むような形を御検討をいただきたいと思っております。
 また、これは直接的ではありませんが、この動きが順調に進んでいきますと、多分、回復期に患者さんが移動するときの状況が変わってくるだろうと思います。
 これは、患者さんの治療そのもの全体からすると非常にいいことなのですが、今ですと、回復期側が受け入れるときの重症度の割合、非常に重たい患者さんを受け入れなければいけないですとか、あとFIMの利得に関しても、非常に早期にFIMが下がっている状況から受け入れないと、クリアできないような形の算定条件なども回復期側に、今、設定されているところがございます。
 今回の改定でどこまで行けるか分かりませんけれども、全体として患者さんが、早期に栄養介入、リハビリの介入を受けられて、より全体として、患者さんがスムーズに治療を受けられて、在宅に復帰していけるような形につながる形で、全体の診療報酬の設定というものを御検討いただければと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 ありがとうございます。
 論点について、幾つか意見を申し上げたいと思います。
 147ページの2つ目の医療・介護・障害福祉サービスの連携についての1つ目についてですけれども、本日の資料の44ページに、介護保険のリハビリテーション実施者が医療機関のリハビリテーション実施計画書を入手していない割合が52%、また、右側の円グラフでは、実際に介護保険でリハを提供しているスタッフにおいて、医療機関での疾患別リハの何をしていたか分からないという状況が示されております。
 こういったことを背景に、次回の介護報酬改定では、通所リハ、訪問リハにおいて、医療機関のリハビリテーションの実施計画書を入手することを要件とすべきではないかということで議論が進んでおります。
 したがいまして、要件化ということでもございますし、ということは医療機関に、よほどの周知が必要だと思いますので、この辺りどういった方策がいいのかも含めまして、しっかりと医療機関へのまずは周知をしていただいて、この連携がスムーズにいくようにすべきではないかと思います。
 また、そこの論点の後段のところに、老健、介護医療院等の訪問リハ事業所の医師、理学療法士等が参加することが望ましいことを明確化とありますけれども、こういった中に通所リハ、訪問リハの事業所の職員が退院前カンファに参加するということは大変有意義なことでございますので、これは大いに進めるべきだと思っております。
 一方で、こういった通所リハ、訪問リハの事業所の職員が、医師とかリハビリ専門職が参加したときには、ぜひ医療機関側の退院時共同指導料の対象職種に、こういった職員を含めて、そうすると医療機関側にもインセンティブが働きますので、その辺りは双方で強固な連携を充実するという意味でも、ぜひ退院時共同指導の対象職種に含めるべきではないかと思っております。
 続きまして、自立訓練については、地域によってはかなり提供事業者が不足しておりますので、賛成でございます。
 また、こういった医療・介護・障害福祉の連携を進めていきますと、疾患別リハではありませんが、失語症のリハビリテーションにおいても、こういったことは応用できますので、こういった仕組みも含めて、失語症リハの在宅での提供というのも充実すべきではないかと思います。
 続きまして、栄養の2つ目の医療機関と介護保険の連携ですけれども、ぜひこれは進めていただきたいと思いますが、これまでの医療分野、介護分野での栄養に連携に関連する加算等の算定状況は、かなり低い状況にございますので、どうにか連携をする仕組みというものも考えていかないといけないかなと思っております。
 口腔については、スクリーニングということも今日ありましたけれども、これは、回復期リハに限りませんけれども、ぜひ、医療や介護の現場をスクリーニングで、あと歯周病のスクリーニングも何かうまくできるような仕組みがないかなと、ぜひまた検討をいただければと思います。
 最後に急性期でのリハ・栄養・口腔の一体的取組も、ぜひ進めていくべきだと思いますし、これは急性期に限らず、回復期、慢性期、在宅あらゆる部門で、こういったことの取組を進めていくべきだと思います。
 前回介護報酬改定で、このリハ・栄養・口腔の一体的取組の書式も示されたところではありますが、実施計画書に使うには、まだまだ難しい部分がありますので、ぜひこの辺りはうまく現場で活用できるような様式も、またお示ししていただければと思います。
 最後に、誤嚥性肺炎の予防について、これらを十分活用していただけるよう、いろいろこれまでの入院の議論でも、誤嚥性肺炎があらゆる場で多いという状況も出ておりますから、しっかりと今後予防に重点を置く必要がありますし、特に誤嚥性肺炎は繰り返す特性がございますから、誤嚥性肺炎の既往者は、特に重点的に対応できるような仕組みも重要だと思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 池端委員、続けてお願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。池端です。
 まず、論点については、全体的には、2号側の各委員がおっしゃったように、ほぼ賛成させていただきたいと思います。
 その上で、1点、最後の急性期におけるリハビリテーション・栄養・口腔について少しコメントをさせていただきたいと思います。
 以前にも、この中医協総会の場でよく議論されて、これからもまた議論になると思います、高齢者救急をどうするかという問題があります。
 地域包括ケア等々で受けるべきではないかという御意見もありますが、一方で、やはり高齢者救急といっても、様々なことがあって、やはり急性期で受ける高齢者も、まだまだこれから十分必要性が高い状況は続いていくと思います。
 現に急性期といえども6割以上が高齢者という現状を鑑みると、ここに対して単に治療だけではなくて、リハ・栄養・口腔を一体的に提供する体制というのは、絶対にこれから必要ではないかと、私自身も感じています。
 特に急性期から、私どもは慢性期の病院の団体なのですけれども、回復期、いわゆる地ケアや回リハ、特に療養などに、急性期から送られてくる患者さんの栄養状態がかなり落ちてしまっている。ADLとともに栄養状態が落ちていて、評価もあまりできてなくて、急性期の疾患が治ったから送られてくるということが多いのですけれども、そこの評価すらできていないところも一部見られるということなので、これは、ぜひせっかくの機会ですので、論点2でリハ・栄養・口腔と一体的にということがありますので、もちろん、今、太田委員がおっしゃったように、ADL向上加算、点数80点では、この24時間体制のリハというのは、とても提供できるものではないので、なかなか病院も取りに行けないというところがありますけれども、一方で、ただ単にリハだけではなくて、しっかり栄養がついていないと、リハを幾らやってもADLは上がらないので、リハと栄養と口腔を一体的に提供できる体制を評価するという、そういった少し大きな評価ということも考えてもいいのではないかという個人的な見解ですけれども、感じています。
 いずれにしても、急性期のリハ・栄養・口腔、ぜひこの6年に1回の同時改定で何らかの実のあるものにしていただきたいと思いますので、ぜひ前向きな御検討をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 よろしいですか。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 リハビリ・栄養・口腔管理は、後期高齢者がさらに増加する中でニーズが高い領域であり、介護との同時改定という観点からも、今回改定の重要なテーマだと認識しております。
 ただ、単純に評価を充実する、算定を増やすということではなく、しっかりとエビデンスに基づいて対応すべきということを最初に指摘させていただきます。
 それでは、論点に沿ってコメントいたします。
 まず、リハビリテーションについてでございます。
 疾患別リハビリテーションにつきましては、資料の28ページから30ページを拝見しますと、ADLや認知機能の低い患者や、ライン、チューブで管理された患者の場合に、複数のスタッフによる訓練の提供や訓練以外の対応に一定の時間がかかる傾向は分かりました。
 ただ、複数人のリハビリは比較的短時間が多く、訓練以外の対応では医師や看護師との情報共有が多いということが、28ページの右下に示されておりますけれども、これは、ある意味では医療機関としては当然の業務という印象があることも申し添えたいと思います。
 次に、PT、OT、ST等による提供実態の把握方法については、資料の15ページを見ますと、スタート間もないこともありますが、前回改定で新設したリハビリテーションデータ提出加算の算定が52施設にとどまることから、今後もエビデンスに基づく議論が難しいのではないかという懸念を持っております。
 資料の32ページから35ページを見ますと、リハビリの効果は職種によって異なることに一定のエビデンスがあり、職種ごとに業務内容が異なることを踏まえれば、疾患別リハビリテーション料を職種別の評価体系に分けてデータ分析の精度を高めることは十分考えられます。
 続きまして、医療・介護・障害福祉サービスの連携についてです。
 6年前の同時改定で、リハビリ計画書の情報共有に対する評価を申請したにもかかわらず、39ページを見てみますと、算定回数は極めて少ない状況です。
 また、先ほど江澤委員からも指摘ございましたが、44ページから医療におけるリハビリの状況が介護事業者へ十分伝わっていないこと、すなわち情報連携が十分とは言えないことが分かります。
 したがいまして、疾患別リハビリの通則や退院時共同指導料2の要件として、介護との連携に関する規定を設けることには賛同いたします。
 医療保険のリハビリを実施する医療機関において、障害福祉サービスの自立訓練を提供することについても異論はございません。
 また、術前の呼吸器リハビリテーション料の対象として、がんを明確化することについては、62ページに紹介されております、ADL悪化予防のエビデンスを踏まえ、賛同いたします。
 次に、栄養管理についてです。
 医療機関における栄養管理体制は、76ページに示されているとおり、入院料基本料等の通則に明確に位置づけられており、基本診療料として既に評価されているものと認識しております。
 78ページを見ますと、栄養管理が不十分な病院が一定数存在するということですので、これについては、厳しい対応が必要だと考えます。
 医療機関と介護施設との連携については、資料の92ページを見てみますと、情報連携が全くできていない介護施設が4割を占める実態がありますので、リハビリと同様に通則等への規定によって、連携を推進すべきと考えます。
 口腔管理については、106ページで紹介されているエビデンスを踏まえ、また、介護との連携も考えた上で、リハビリ実施計画書に口腔機能の項目を追加することには、賛同いたします。
 最後に、急性期のリハビリ・栄養・口腔でございますが、ADL維持向上等体制加算については、資料の133、134ページを見ますと、実績が極めて少なく、届出を行わない理由として、理学療法士等を確保できないという回答が最も多いですが、一方で、必要性を感じないと回答した施設も4割以上に上っております。
 こうしたことから、体制加算としての位置づけを根本的に見直す必要があるのではないかと感じております。
 栄養管理については、まず大前提として、先ほども述べました76ページの栄養管理体制の基準に明記されている、常勤の管理栄養士が1名以上配置、入院時に患者の栄養状態を医師、看護師、管理栄養士が共同して確認等は、当然の業務として対応すべきです。
 一方で、資料の141ページを見てみますと、病棟に管理栄養士が配置されているにもかかわらず、栄養情報提供書の作成、ミールラウンドなど、取組が十分とは言えない状況もありますので、まずは病棟での役割をしっかり果たすべきだと考えます。
 リハビリ・栄養・口腔管理の一体的な運用についても、資料の143ページを見てみますと、各専門職が直接関連する計画書以外の関わりが不十分ですので、相互に連携する計画書に見直すことも考えられます。
 それで、診療側の方に教えていただきたいのですが、今述べました143ページの連携を見た場合に、例えば、赤枠で囲われておりますところを見ますと、歯科医師であるとか、薬剤師であるとか、ほかの方々の関わりが非常に少なくなっているのですけれども、現場の中の実情といいますか、実態について、もし教えていただければ、情報をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 最後のところ、143ページについて、何か情報提供をしていただくとありがたいのですけれども、いかがでしょうか。
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 143ページ、確かに、赤枠で囲われているところを見ますと、病棟に、特に多職種連携の取組状況という資料ですけれども、セラピスト、リハビリのスタッフの方々の関与というのが、例えば栄養管理計画では非常に少ない。
 リハビリに関しては、逆に栄養ですとか、歯科関係、口腔の関係の方々の関与がすごく少ないという形になっているかと思います。
 実際、今回の改定で、リハ・口腔・栄養を一体として考えるという非常に重要な概念を、今、我々医療関係者は受け止めているわけですけれども、それに対する認識というのが、まだ不十分な状況であったということだろうと思います。
 ですので、先ほど池端委員からもありましたけれども、今回、様々な診療報酬改定を検討していく中で、この状態を改善していくように何らかの形で診療報酬上の評価の見直しを積極的に行っていって、この状況を改善していくべきであろうと感じております。
 以上です。
○小塩会長
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 私も同じ意見ですが、これは急性期一般入院料1のデータです。どうしてもこれは平均在院日数が10日前後で動いている病棟で、治療はどうしても優先的になっていて、こういうリハ・栄養というのは、少し治療で治って、例えば肺炎なら肺炎が治ってからということで、そのチームを転院してしまうということで、こういうデータが出るのかなという印象を持ちますが、一方で、治療と同時に早期から、特に高齢者の場合は早期から、この対応をしたほうがいいということも、データで上がってきていますので、だからこそ急性期に、こういう三位一体の体制が、これから求められるのではないかという、逆の必要性を表したデータと取れるのではないかという印象を持ちました。
 以上です。
○小塩会長
 江澤委員、お願いします。
○江澤委員
 1点だけ申し上げます。
 これは、急性期病棟のデータですけれども、病院に歯科が併設しているところは必ずしも多くなくて、そうすると、どうしても歯科医師とか歯科衛生士さんの連携が、地域によっては難しいということがあります。
 それから、薬剤師は、こういった専門職の中でも最も不足している職種で、ある意味では薬剤師が、以前から病院に不足していると言われていることを反映しているものであると思います。
 あと、リハ専門職については、ここは、これから強化する、今回の課題にも入っていますように、やはり急性期でのリハの強化というのは課題ですから、ここは高めていく必要があろうかと思いますし、管理栄養士もこれからますます病棟で活躍していただくという方向になっておりますので、そういった今の人員配置等も含めた、あるいは診療科の併設も含めた結果とも言えますので、申し上げたいと思います。
○小塩会長
 林委員、お願いします。
○林委員
 ありがとうございます。
 先ほども申しましたように、急性期においてのリハビリテーション・栄養・口腔の一体的な取組というのが、今後重要だと考えております。
 本当にこのデータが示すとおり、まだまだこれからだと思っておりますので、こういったものが推進できるようなしっかりとした仕組みづくりというもの。
 また、現場の取組に関しましては、後ほど、また田村専門委員のほうからも解説させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
 松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
 どうもありがとうございました。
 皆様、共通的に、やはりリハビリ・栄養・口腔の連携、一体化というのは、急性期のみならず十分に認識されていると思いますので、そういうものに対する活動が計画書の共有化も含めて、進むことを期待しております。
 ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 先ほど、松本委員から通則への記載ということで、2点御意見がございましたが、まず、1つ目が、疾患別リハビリテーション料の通則に関しては、先ほど申しましたが、それを通則にしてしまうと、影響があまりにも大き過ぎるということがあるので、通則ではない別の方法を考えるべきだと思います。
 また、口腔管理の歯科医療機関との連携等に関して、これからどう連携を深めていこうかという段階ですので、まだまだとても通則という状態ではないと考えますので、いずれも反対いたします。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、よろしいですか。
 松本委員、お願いします。
○松本委員
 今、通則に入れることは、ある意味、時期尚早だということは、先ほどから評価に関しては即という御意見が多いかと思うのですけれども、若干その辺に関しては、いろいろバランスが欠けているような印象を受けますけれども、また、それは今後議論をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 先ほど、林委員から田村専門委員の御意見も伺ってはいかがかという御要望がございましたので、田村専門委員、お願いいたします。
○田村専門委員
 ありがとうございます。
 口腔管理等の連携につきまして、林委員からお話がございましたが、私からも重ねて発言をさせていただきます。
 103ページからの資料にもありますが、近年、回復期リハビリテーション病棟において歯科が連携することにより、患者さんのADLが向上するというエビデンスや、回復期リハ病棟における医科歯科連携の好事例などが関係学会から報告されています。
 しかしながら、現状では、回復期リハを行う際に、口腔の状態の評価、必要な歯科治療など、口腔の管理を行うケースは、まだまだ多くありません。
 その理由として、病院では歯科専門職がいないことが多いために、口腔の問題に気づきにくいということがあるかと思います。
 そういった点で、介護の場合と同様に、医療におけるリハビリテーション実施計画書にも、口腔機能の評価に係る項目を追加することは、リハビリテーション・栄養・口腔の一体的な取組を推進する上で、非常に有用だと考えますので、ぜひ御検討いただきたく思います。
 また、132ページに急性期リハビリテーションにおける、リハビリテーション専門職の配置に関する評価がありますが、口腔の状態に関する評価は含まれておりません。
 しかし、急性期リハビリテーションにおいて、しかも多職種と連携することにより、摂食機能の評価や誤嚥性肺炎予防のための口腔健康管理を担い、患者さんのADLの維持向上に資することができると考えております。
 また、既に現場では連携が行われているところもございます。
 これらのことから、回復期のみならず、急性期においてもリハビリテーション・栄養・口腔の連携について進めていただければ幸いです。
 よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 2点だけ申し上げます。28ページに、先ほど情報共有が多くてという御意見があったと思いますけれども、リハビリテーションは実際の患者さんに、個別に提供するリハビリテーション以外に、かなりアセスメントにすごく時間をかけて行っております。
 アセスメントを行うためには、多職種で情報共有するというのは、最低限のことでございまして、実はリハビリテーション実施記録、そしてアセスメントというところが、患者さんには見えない部分ですけれども、実際、そこに相当な時間を要していまして、なかなか実際、本来はあってはいけませんけれども、どうしても残業時間に、そういったところが割かれるという実態もございまして、かなり質の高いリハビリテーションをするためには、こういったところが大変重要であるということは、御理解いただきたいと思います。
 もう一点は、栄養の情報提供についても、通則というお言葉があったと思うのですけれども、特に、今、栄養連携は非常に医療と介護で希薄な状況だと認識しておりますし、リハもそうですが、情報を提供することが目的ではなくて、提供された状況に基づいて、連携がしっかりと充実して、患者さん、利用者さんにしっかりといいサービス提供ができるというのが目的なので、やはりしっかりと受皿づくりとか連携する仕組みがあってこその情報提供ということになりますので、その辺りは、まだまだこれから構築していかなければいけない部分があるかと思いますので、そういった現状であることは申し上げたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 その他いかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、そのほかには御意見、御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「長期収載品(その2)について」を議題といたします。
 事務局より、資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○荻原保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。
 資料総-5を御覧いただきたいと思います。
 幾つか論点がございまして、おめくりいただきまして、2ページ目、まず「1.保険給付と選定療養の適用場面・対象品目」の「① 保険給付と選定療養の適用場面」についてでございます。
 資料をおめくりいただきまして、4ページ目を御覧いただきますと、今週水曜日、11月29日に社会保障審議会医療保険部会のほうで、今、議論も並行して進んでおりまして、こちらについて、この資料を出しまして御議論をいただいたところでございます。
 保険給付と選定療養の適用場面につきまして、医療上の必要性があると認められる場合については、選定療養とはせずに、引き続き保険給付の対象とする方向で検討を進めてはどうかとした上で、医療上の必要性が認められる場合に関しまして、例えば、医療上の必要性によりまして、医師が銘柄名処方、後発品への変更不可をした場合というのが考えられますが、その他、次のようなケースについてどう考えるかというのをお示ししています。
 ①番目、銘柄名処方の場合であって、患者希望により先発医薬品を処方・調剤した場合。
 ②番、一般名処方の場合としてございます。
 また、後発医薬品の確保が難しい場合というのもございます。そういったケースについて、選定療養の適用についてどう考えるかということもお示ししております。
 5ページ目を御覧いただきますと、適用場面のイメージについてお示ししております。それぞれ処方の場面と調剤の場面、処方・調剤の理由、そして最終的な保険給付と選定療養の在り方というところをどう考えるかということを示していまして、前提としましては、後発品が調剤された場合というのは、当然、後発品を保険給付するという前提になるのですが、その他、銘柄名処方の場合であって、医療上の必要性を理由とする場合、ここでいうと、①番ということになりますが、そこについては、先発品としての保険給付を認めるということとしてはどうかとしつつ、他方、患者希望によりまして、先発品を処方調剤した場合、②番、③番といったケースをどう考えるかということ。
 あと、これは全体に共通する話としまして、後発品の確保が困難な場合について、先発品を処方調剤するというケース、④番のようなケースというのは当然ございます。
 この場面について、どう考えるかということを、こちらでお示ししてございます。
 その次のページからは、参考でございまして、後発医薬品の薬事上の品質確保について、もしくは後発医薬品の安定供給について、それぞれ並んでございます。
 資料を少し飛ばさせていただきまして、17ページ目ですが、②番としまして、選定療養の対象品目についてでございます。
 18ページ目を御覧いただきますと、選定療養の対象品目に係る論点といたしまして、その対象となる長期収載品の品目の範囲について、どう考えるかというのをお示ししております。
 長期収載品の薬価ルールにつきましては、後発品の上市後の年数に着目して、まず、薬価ルールを設定してございます。
 そういったことも参考にしながら、ここに掲げている観点について、どう考えるかということで思っております。
 後発品の上市後年数と、そして、後発品への置換率、そういった観点があり得るのかと考えてございます。
 19ページ目が、現行の長期収載品の薬価の改定に関して、薬価上のルールについての全体像でございます。御参考にしていただければと思います。
 21ページ目を御覧いただきますと「保険給付と選定療養の負担に係る範囲」ということでございます。
 具体的には、22ページ目を御覧いただきますと、保険給付と選定療養の負担の範囲について、4つ視点を並べてございます。
 「① 患者が長期収載品を選好する場合における患者の負担の水準」。
 「② メーカーによる薬剤工夫など、付加価値等への評価」。
 「③ 医療保険財政の中で、イノベーションを推進する観点や、従来とは異なるアプローチで更なる後発医薬品への置換を進めていく観点」。
 「④ 選定療養化に伴い、一定程度、後発医薬品への置換えが進むことが想定される中で、現下の後発医薬品の供給状況」。
 23ページ目を御覧いただきますと、具体的な論点・イメージとしてございますが、①番につきましては、先ほど申し上げた、そういった点を踏まえまして、長期収載品と後発品の価格差を踏まえて、選定療養の場合における保険給付範囲の水準は、どの程度とすべきかということでございます。
 下のイメージで申し上げますと、水色の論点①としている、この水色の線のラインの引き方の問題かと捉えております。
 もう一つ論点がございまして、それも踏まえながら、選定療養に係る負担について、どの程度標準とすべきか。
 特に、具体的に2つございまして、長期収載の薬価を超えて、選定療養に係る負担を徴収するということを認めるのかどうか。
 もう一つは、選定療養に係る負担を徴収しないことですとか、標準とする水準より低い額で徴収するということを認めるのか。
 中ほどのイメージで、緑色の論点②というのがございますが、この上下に向いた矢印それぞれをどう考えるのかといったところが、もう一つの論点としてあろうかと思います。
 ページを飛びまして、25ページ目を御覧いただきますと、長期収載品の選定療養の前提となる後発医薬品の価格についてでございます。
 イメージをお示ししていますが、後発医薬品の価格、主に3価格帯を中心として集約をされてございます。
 薬価改定の折に、その都度変わっておりますので、厳密には、3区分に必ずしも限定されるわけではないのですが、おおむね集約をしていると。
 そういったところで見た場合に、後発品の薬価について、今回、基準となる場合に、その薬価差の範囲について、どう捉えるのかというのが、もう一つの論点としてあろうかと思います。
 後発薬品、例えば、ここのイメージとしては3価格帯を示していますが、最高価格帯を対象とするのか、それとも最低価格帯もしくは中間帯を比較対象とするのか、考え方はそれぞれあろうかと思いますが、ここについて赤い①、②というのがございまして、1点留意点としまして、例えば、仮に最低薬価との価格差を基準として差分を設定すると捉えた場合に、長期収載品の保険給付、ここで言うと赤い①というのがございます。それと、最高薬価がついた後発品を選択する場面、ここで言うと赤い②でございますが、②のほうが、結果的に保険給付が多くなるという逆転現象が生じる可能性があると、そういった点に留意する必要があるのではないかと捉えております。
 そういった点を踏まえまして、29ページ目の長期収載品の保険給付の在り方についての論点というのがございまして、今、基本的に御説明させていただきましたポイントを並べてございます。
 保険給付と選定療養の適用場面について、選定療養の対象品目について、そして、負担に係る範囲について、最終的に、選定療養の前提となる後発医薬品の価格について、それぞれの点について、御意見を頂戴できればと思っております。
 事務局からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等よろしくお願いいたします。
 最初に、長島委員、お願いします。
○長島委員
 ありがとうございます。29ページの論点に沿って、コメントします。
 まず「保険給付と選定療養の適用場面について」です。
 イメージとしては、5ページの図のように整理できるとしても、実際にはもっと複雑です。
 例えば、処方や調剤の際に、先発医薬品を選んだ理由が、患者さんの希望であったとしても、その背景には、使用感や効き目の違いなど、患者さん御自身が感じている医療上の必要性が理由となっている場合もあります。
 したがって、医師としても患者さんとコミュニケーションを取りつつ、しっかりと判断する必要性もありますが、自己負担が増えるとトラブルになる可能性もありますので、どのような場合に保険給付となるのか、あるいはどのような場合に選定療養となるのか、明確なルールを設けていただく必要があると考えます。
 また、後発医薬品の供給不安を踏まえれば、やむを得ず先発品を選択せざるを得ない場合も当然ありますので、そういった場合も、選定療養とすべきではないと考えます。
 次に「選定療養の対象品目について」です。
 対象品目については、代表的な事例について、幾つかパターンを示していただくなど、ある程度シミュレーションを実施した上で検討する必要があると考えます。
 「保険給付と選定療養の負担に係る範囲について」です。
 ①の患者負担の水準については、長期収載品の薬価を超えて無制限に上乗せするのは、当然のことながら適当ではありません。
 また、長期収載品の薬価よりも低い金額設定を認めることで、競争をあおるようなことは、医薬品の安定供給の観点からも適当ではないと考えます。
 また、③や④については、過度にめり張りを利かせると、自己負担が変動することによる患者さんの混乱や、安定供給に支障が生じるおそれもありますので、最初はできるだけ低い割合から始めるべきだと考えます。
 最後に「長期収載品の選定療養の前提となる後発医薬品の価格について」です。
 25ページに示されているとおり、長期収載品よりも、後発医薬品のほうが、保険給付範囲が大きくなるようなことがあれば、後発医薬品の使用を促進する意味、つまり医療費の伸びを抑えつつ、国民皆保険の維持を図るという意味がなくなってしまい、制度上の混乱が大きいように思います。
 こうしたことを踏まえますと、価格差については、あくまでも後発医薬品の使用が促進されるような形で、そして複雑になり過ぎない形で設定するのが適当であると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。総論的な要望になりますが、歯科からコメントをさせていただきます。
 長期収載品の選定療養についてでございますが、患者負担に関しまして、選定療養を導入することにより、国民に不公平感を感じさせないよう、また、医師や歯科医師が医療上の必要性があると判断して行う処方が妨げられることがないよう、そういったことが十分に議論された上、関係者が納得できる仕組みにしていただきたいと思っております。
 また、後発医薬品の安定供給が問題視されている中、しっかりと供給が担保されることが前提と考えております。
 医療現場が混乱しないよう、引き続き検討をお願いしたく思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。論点に沿って発言させていただきます。
 まず「保険給付と選定療養の適用範囲について」ですが、①については、現場の薬局が判断に迷うことのないよう、また、患者さんとトラブルになることがないよう、なるべくシンプルな形にして、処方箋で判断できるようなスキームにしていただきたいと考えております。
 また、後発医薬品の供給不安を踏まえた選定療養の適用範囲についてですが、出荷調整になっていなくても入手困難なことがあり、出荷状況、それから、薬局の在庫は日々刻々と変化しています。一定の考え方を示すことは必要ですが、流通、在庫状況から柔軟に運用できるようにする必要があると考えます。
 次に「選定療養の対象範囲について」ですが、後発品上市後の一定期間は置換えを進めていくために必要な移行期間であるため、少なくとも後発品上市直後は対象とすべきではないと考えます。
 また、後発品の置換率については、安定供給への影響なども踏まえ、一定程度置換えが進んでいるものを対象とすることがよいと考えます。
 次に「保険給付と選定療養の負担に係る範囲について」ですが、患者が長期収載品を先行する場合においても、差額をそのまま乗せると患者負担が大きくなり過ぎますので、差額に対して保険外併用療法費内で見る部分と選定療養費とする部分の率を設定するなどの検討が必要と考えます。
 その率をAGか否かで変えることも考えられると思いますが、複雑な仕組みとなり、現場が混乱することがないよう配慮が必要ではないかと思います。
 ③の製剤工夫など付加価値等への評価については、どこまでの製剤工夫を評価対象とするのか、区別、線引きできるのかといった問題。また、製剤ごとに判断しなければならないことなどの課題があります。
 製剤ごとに判断するのではなく、個々の患者さんごとに評価すべきで、医学・薬学的な観点から製剤工夫したものが必要と判断される場合には、医療上の必要性があるものとして扱うべきだと考えます。
 また、④についてですが、後発品の安定供給が大前提となります。選定療養の導入により、患者さんの選考が変化し、後発品の使用がさらに進むことになったとき、後発品の需要が増大することによって、現状、安定供給ができている医薬品でも、供給不安となる可能性があります。さらなる供給不安を招くことのないよう、急激な自己負担の変化により、患者さんの選考が大きく変わることのないよう、配慮が必要と考えます。
 今回の対応は、大きな変更となりますので、導入の初期段階においては、過度な負担増加につながらないよう慎重に進めるべきと考えます。
 次に、長期収載品の選定療養の前提となる後発医薬品の価格についてですが、論点にも指摘のあるとおり、25ページ目で示されている留意点を踏まえると、後発品の最高薬価を基準とすることがよいと考えます。
 最後に、今回の対応において、現場が混乱しないよう、対象となる長期収載品、後発医薬品を明確化し、丁寧に周知することや、今回の対応が、実際にどのような影響があったのかの検証も必要と考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 29ページの論点の1つ目の「保険給付と選定療養の適用場面について」の3つ目の「○ 院外処方のほか、院内処方、入院時についてどのように考えるか」に関して、意見をさせていただきます。
 今、多くの入院の病棟におきましては、包括の入院料が多くなってきておりますけれども、急性期一般入院料など、薬剤に関して出来高請求をしている病棟も結構ございます。
 各病院は、医療機関ですので、全ての医薬品を扱えるわけではありません。採用薬というものを決めて、それを患者さんに入院中に処方させていただく形になっているわけですが、入院医療機関におきましては、後発医薬品へのシフトに関しましては、また別の施策で様々な取組により後発品へのシフトというのをやってございます。
 これは、病院側が採用薬を決めるわけでありますけれども、これによって処方されるものに関して、選定療養が発生するということになると、かなり大きな混乱が入院現場に出てまいりますし、また、それによって流通がかなり大きく変わっていく可能性もあり、非常に影響が大きいと思いますので、入院の院内の処方については、今回の選定療養の議論からは外すべきであると考えます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、29ページの論点に沿ってコメントいたします。
 まず、最初の「保険給付と選定療養の適用場面について」でございますが、医療上の必要性に配慮し、除外要件を設定することは当然だと考えております。
 ケースの①と②については、いずれも原則として選定療養を対象とした上で、除外の理由をレセプトに明記するなど、医学的に妥当な判断を担保すべきと考えます。
 また、後発品の供給不安定な状況を踏まえますと、出荷停止や出荷調整がかかっているものは、一定の配慮が必要だとは考えますが、全体として必要量が供給できているものについては、原則として選定療養の対象とする方向で検討すべきではないかと考えます。
 続きまして「選定療養の対象品目について」でございますが、これについても極力広く対象にするという観点で、後発品上市後年数としては、Z2の適用時期となる5年が1つの目安になると考えております。
 後発品の置換率については、医療上の必要性に配慮した除外要件の設定を前提とした上で、50%を目安とすることが考えられます。
 50%といいますのは、半数を超えれば、ある程度後発品が浸透したと考えられるラインと感じております。
 続きまして「保険給付と選定療養の負担に係る範囲について」でございますが、患者の負担水準については、後発品との差額の全額は当然ないと考えますけれども、患者の負担増に一定の配慮はしつつ、後発品を選択するインセンティブとなる程度の水準を設定すべきです。
 資料の22ページの②にございます、付加価値等への評価については、薬価制度側で考慮すべきことであり、選定療養の仕組みとして対応することには違和感がございます。
 医療保険制度の安定性、持続可能性、イノベーションの推進、患者負担の抑制を全て実現するためには、早急かつ確実な後発品の安定供給が不可欠な要素であることは、改めて述べたいと思います。
 最後に「長期収載品の選定療養の前提となる後発医薬品の価格について」でございますが、後発品の最低価格を基準とした場合、患者にとっては後発品を使用するインセンティブがより強く働くとは思いますが、それによって保険給付がむしろ多くなることには違和感を感じます。
 これは、複数ある後発品の中間の薬価を基準とした場合にも、価格差によっては起こり得ることだろうと思います。
 したがいまして、今回は、後発品の最高薬価を基準とすることが妥当だろうと考えております。
 あと、2号側の委員からもございましたけれども、これを、もし導入するとした場合には、医療機関、薬局のみならず、国民・患者からしても非常に分かりにくい制度になることは御理解いただけるかと思います。
 したがいまして、制度が正式に決定し、導入された暁には、医療機関あるいは保険者だけに任せるのではなく、まず、国からも積極的に十分な周知広報をすることをお願いしておきます。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 医療上の必要性があると認められる場合に、選定療養とはせず、引き続き保険給付の対象とする方向で検討を進める方向については、賛成をいたします。
 ただし、皆様が懸念されているよう、医療上の必要性があると認められる場合の解釈については、客観的な判断が可能となるよう、基準や具体例を明確に示していただきたいと考えます。
 また、今、松本委員からもありましたように、患者側から見ると、結構大きな変更になると思いますので、周知の時間を十分取ることと、一方で、医療費に対する国民の認識を上げる良い機会かなとも思いますので、そういった観点からの広報などにもつながるのではないかと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。ほかの委員の発言と重複する部分もありますが、発言させていただきます。
 まず、選定療養について、資料の24ページには、保険導入を前提としないものと書かれております。安全性など保険適用にふさわしくない問題があるわけではない中、長期収載品が保険適用外にされることで、これからの医療保険制度に対する国民不安を招いたりしないか、懸念をしております。
 この点につきましては、国民には、今後も必要な医薬品へのアクセスを保障していくことを丁寧に説明すべきと考えております。
 その上で、論点に関して申し上げますと「保険給付と選定療養の適用場面について」は、医療上の必要性が認められるのであれば、保険給付の対象にすべきと考えます。
 また、患者が先発医薬品を希望する理由は様々あろうかと思いますが、医師による適切な処方が大前提であるべきと思います。効き具合のよし悪しが患者の印象次第という点がよく話題になりますが、患者の状態に応じて、医療上の必要性が認められる場合ということを基本とし、単なる希望によって保険給付か選定療養かが変わるようなことでは、制度が安定しないと考えます。
 「保険給付と選定療養の負担に係る範囲について」は、そもそも後発医薬品が確保できることも大前提になりますので、それがないにもかかわらず、選定療養として自己負担が増すということに対して、患者は納得できないのではないかと考えます。
 最後に、後発医薬品の価格帯が複数ある中、複雑な仕組みにならないか懸念をしております。
 患者はもとより医療機関、薬局が混乱しないよう、分かりやすい仕組みにすべきと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 これに関して重要な点が2つです。
 患者さんと医療現場に混乱や支障が生じないこと。医薬品の安定供給に支障が生じないことです。
 その他、まず、検討の段階では、先ほど申しました、例えば代表的な事例について幾つかのパターンなど、シミュレーションをしっかり示していただいて、具体的な検討ができること。
 もう一つは、実際に実施した後もしっかりと医療現場及び安定供給について、国としてモニタリングをしっかり行っていただいて、必要が生じれば対応策をしていただくと。特に安定供給のモニタリングというのは、しっかりやっていただく必要あるだろうと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。私も2点ほどコメントをさせていただきたいと思います。
 今、長島委員からもありましたし、松本委員から不安定供給に対する選定療養をどう考えるかということで、流通全体を見て、ある程度銘柄等を決めてという御意見だったかと思います。そのほうがルールとしては、しっかりしているように思いますけれども、現実的には、今の不安定供給は、地域とか、場合によっては薬局、医療機関によっても週単位で変わっていく状況です。
 後発品があって、結局それが手に入らなくて、次の後発品を探してもない。それで、今月だけ先発品を使いますということもあり得るので、この辺をどう考えるかということを、少し丁寧に説明しなくてはいけない。
 一方で、本当に週単位でころころ変わっている場合に、患者さんは全く納得できないと思うのです。今週は選定療養、次は正規のということでは納得できない、その辺をどう考えるか、本当にどういう落としどころがあるか、私自身も分かりませんが、現実的に考えると、すごく混乱しやすいことなので、本当に国民全体に対する丁寧な説明等が必要ではないかということが1点。
 それから、先ほど太田委員もおっしゃったように、そうなると、入院に関しては、今回の選定療養は非常になじまないと思うので、出来高の入院については、今回外していただきたいと、私自身も感じます。
 それから、23ページの選定療養を基準よりも上げたり下げたりということはどうかということ、これは、私自身も今回の選定療養の目的からするとなじまないと思います。
 ただ、医療保険部会に質問をさせていただきたいのですけれども、もともと選定療養というのは、一定の幅で、あとは自由に決められるというのが選定療養の立てつけではないかと思うので、これをフィックスするということが法的に可能かどうか、その辺を事務局に、もう一度確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
 ただいま、池端委員から御質問をいただきましたけれども、選定療養の上限の設定についての御質問ですが、いかがでしょうか。
○荻原保険医療企画調査室長
 保険料企画調査室長でございます。
 23ページの論点②の部分について、池端委員から御質問をいただきました。
 こちらについて、例えば1つの標準を示して、それを固定的なラインとするということが、法制的に成立するかどうかということについての御質問だと認識しています。
 この点についても法制上の整理を含めて、整理した上でお示しできればと思っております。
 以上です。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 飯塚委員、お手が挙がっています。お願いします。
○飯塚委員
 ありがとうございます。2点コメントします。
 まず、医療上の必要性に関してですけれども、医療上の必要性の捉え方というのが、仮に医療機関によってかなり大きくばらつくといったことがあると、国民が大変混乱することがあると思いますので、どのような場合に医療上の必要性があるとするのか、国民にも分かるようにガイドライン等の策定等を御検討いただけないかと思います。
 これまでも議論で、てんかん薬ですとか、症状が安定しない場合といった議論がありましたので、そういったものを例示していただくということなのかなと思います。
 2点目ですけれども、選定療養としないと判断されたのが、どういう場合で、どの程度あるのかということを把握するのは、後発薬の品質向上等の観点からも重要だと思いますので、そういったものがどれぐらいあるのかというのを、データ上で識別できるように、把握できるように、診療報酬の項目等での工夫というのができれば、お考えいただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問等ございますでしょうか。
 茂松委員、お願いします。
○茂松委員
 日本医師会側でも、実際に医療機関側にアンケートを取って、この後発品がどれだけ充実しているのかということを調査しておりますが、製薬企業側から出た後発医薬品の供給の安定度、それと医療側が受けている安定度は全く違うところがあります。これは製品によってかなり差がありまして、本当に現場ではないものはないという現状がありまして、今、こういう不安定な中で、この話をしていることが、少し疑問を感じるなとは思っております。
 やはり、これをやるならば、もう少し安定供給、これが出てからでないと、本当に現場では困ったことが出るのではないかと思っております。その辺はよろしくお願いしたいと思っております。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 森委員、よろしくお願いします。
○森委員
 ありがとうございました。
 大分前だと思いますけれども、薬剤一部負担金を導入したとき、現場は本当に大きな混乱をしたと理解しています。
 今回は、個々の患者さんによっても使用できる、できないというのがあり、より混乱をするのではないかと思いますので、きちんと丁寧に説明できることを準備しておかなければいけないと思っています。
 それから、医療上の必要性なのですけれども、非常に判断が難しく、薬剤師として考えてみますと、例えば、粉薬の味で子供さんは飲めないという時もあります。先発品は飲めても、後発品は、実は駄目で戻るときというのが結構あり、あとは一般的には先発品よりも後発品のほうが後から開発しますので、飲みやすく、例えば、錠剤が小さくなって、自分などは飲みやすいなと思って患者さんに交付して、次回に聞いたら、高齢の方で、つかみにくくて飲みにくいということもありました。様々なケースがあるので、そういうことを踏まえて、どうするかというのを慎重に考えていくべきだと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかには特に御質問ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 この件につきましては、非常に委員の方々からいろいろな御質問、御意見をいただきましたので、事務局におかれましては、引き続き、本日いただいた御意見も踏まえて、検討を進めていただくようにお願いいたします。
 それでは、次に「医療経済実態調査の結果に対する見解について」を議題といたします。
 11月24日の総会で、医療経済実態調査の結果が報告されたところです。
 本日は1号側委員、それから2号側委員それぞれから医療経済実態調査の結果に対する見解が示されております。
 短時間でおまとめいただきまして、本当にありがとうございました。
 そこで、まず、1号側委員から資料の御説明をお願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 健保連の松本でございます。支払い側を代表いたしまして、分析結果を説明させていただきます。
 まず、最初に、医療機関の経営状況に関する分析でございますが、コロナ補助金を含めた収支で判断することが妥当であるということを、まず最初に申し上げたいと思います。
 例えば、病床確保料やワクチン接種料は、通常診療を一部控えることによる減収の補償であり、ほかの補助金も設備、資材を追加購入するための支援ということで、いずれも収支均衡の考え方に基づくものです。
 これは、コロナ医療に伴うかかり増し経費に充当する診療報酬の臨時特例措置にも共通する考え方であります。
 したがいまして、我々の分析は、コロナ補助金を含めた数値で分析したことを、まず最初に申し上げます。
 それでは、資料の総-6-1を御覧いただきたいと思います。
 資料の構成は、冒頭に主な分析結果、その次のページが、主なデータの出典と用語の意味。
 そして、最後の67ページ以降に、注釈になっておりまして、内容は3ページ以降で5本立てになっております。
 3ページから30ページまでは損益差額率の経年変化。
 31ページ以降は費用構造の経年変化。
 48ページ以降は資産・負債等の経年変化。
 53ページには次回調査に向けた意見・提言。
 54ページ、66ページには参考資料という形になっております。
 御覧いただくと分かりますが、各ページごとに、一番下段のところの黄色い欄にトピックを記載しておりますので、御確認いただければと思います。
 それでは、資料の説明に移らせていただきます。
 1ページ目、主な分析結果でございますが、これは、先般の中医協での事務局からの御説明と重なるところが多いかと存じますので、後ほどお読みいただければと思いますが、経営に関しては、総じて堅調であるということが分かります。
 2ページ目は、本データの出典と用語の解説でございますので、省略させていただきます。
 それでは、3ページ目からポイントをかいつまんで御説明申し上げます。
 3ページ目は、一般病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局という形で、全体を俯瞰した概要でございまして、医療機関別、開設者別の損益差額率の経年変化をまとめてございます。
 なお、補助金の有無を比較する意味で、令和元年度も記載させていただいております。
 まず、一般病院では、左から4列目にございます、令和4年度、全体加重平均では1.8%の黒字となっておりますが、国公立を除きますと、左から6列目にありますとおり、黒字は3.6%となっております。
 次に、一般診療所の欄に移りますが、個人、診療医療法人とも、31.5%、9.7%と黒字になっております。
 次に歯科診療所でございますが、全体で17.4%の黒字になっており、高いレベルを維持しております。
 最後に、保険薬局ですが、全体で5.5%の黒字と、経営としては比較的安定している状態にあると感じております。
 ここからは、損益差額率の経年変化を、一般病院、一般診療所、保険薬局の順番で御説明いたします。
 まず、5ページ目でございますが、開設者別の分析でございます。
 左より医療法人から順に並んでおりますけれども、一番右に、各種平均値を記載しております。
 医療法人は、令和4年度の欄を見ていただきますと、これは一番左になりますが、3.3%の黒字であり、安定した黒字が続いているとうかがえます。
 次に、国立はプラス、公立はマイナスとなっておりますけれども、それぞれ3.9%、マイナス7.1%と、令和元年度以前と比べると大幅に改善しております。
 その国公立を除けば、令和4年度は、右から3列名、国公立を除く加重平均の欄を見ていただきますと、3.6%という数字になっております。
 それでは、7ページに移っていただきたいと思います。
 ここでは、一般病院を機能別という形で損益差額率を分析しております。
 全体的に言えば、療養病棟60%以上と、療養病床を有しない病院、そしてDPC対象病院が黒字となっておりますが、右側の表の国公立を除く一般病院では、全ての病院が黒字になっていることが見て取れます。
 続いて、9ページです。
 ここでは、一般病院の病床規模別の損益差額率を分析しております。
 左のほうが一般病院全体、右側が国公立病院を除く一般病院となっておりますけれども、一般病院全体では、100床を境に赤字と黒字が分かれていることが分かります。
 また、右のほうで見ていただきますと、国公立を除きますと、令和4年度は20から49床を除き1.1%から4.9%の黒字になっていることが見て取れます。
 その中でも、特に民間の100床から499床の規模の病院が比較的利益率が高いことが見て取れます。
 続いて、11ページでございます。
 ここでは、開設者がほかに施設を保有しているか否かの区分で分析しておりますけれども、表の右から3列目、4列目の全体という欄を見ていただきますと、調査対象以外を保有している一般病院は、損益差額率が高くなっていることが分かります。
 13ページに移っていただきますと、看護職員処遇改善評価料の状況別といった形で分析をいたしましたが、届出ありの病院は黒字、なしは赤字ということが見て取れます。
 続きまして、15ページでございます。
 これは、医療機関を重点医療機関あるいは協力医療機関等の指定別での分析をしております。
 重点医療機関・受入病床を割り当てられたその他の医療機関は、黒字となっております。
 次に一般診療所の分析に移ります。
 17ページは、開設者別・有床無床別の分析結果でございますが、個人、医療法人とも令和3年度比較で、有床は黒字が減少、無床は黒字が増加ということを示しております。
 19ページでは、主たる診療科別で分析をしておりますが、個人では高い率の黒字を確保しており、一部の診療科では、令和3年度よりも率がアップしております。
 また、医療法人においても、一部の診療科では、令和元年度を上回る黒字を確保しているところもございます。
 続いて、21ページでございます。
 これも他施設保有の有無別でございますけれども、これについては、やはり同様に調査対象診療所のみを保有している一般診療所の法人と比較して損益差額率が高いという数字が示されております。
 続いて、23ページからは保険薬局についてでございます。
 開設者別・店舗数別に見てみますと、全体的な収益は、若干悪化傾向でございますが、黒字は十分確保されており、法人については、同一グループの店舗数が多い薬局ほど、総じて損益差額率が高く、右側の欄に移りますと、法人が29から49店舗の薬局については、一番黒字の率が高いということを示しております。
 また、記載があります施設数を見てみますと、どんどん大規模化が進んでいることが、ここから見て取れます。
 25ページに移ります。
 保険薬局を調剤基本料別・立地別で分析しております。
 調剤基本料別で見ますと、いずれも黒字となっております。
 左から4列目となります同一グループで月40万回以上の処方箋を受けている門前薬局、最も施設の多い調剤基本料1が6.70%と最も高い水準であり、また、特別調剤基本料を算定している施設では、差額率が上昇しております。
 また、右側の立地別に目を移しますと、同一建物内に保険医療機関が所在している。あるいは医療モール内立地というところは率が伸びております。
 続きまして、保険薬局と不動産の賃貸借関係有無別を表しておりますけれども、あり、なし別では、それぞれが3.6%、5.6%の黒字であり、賃貸借ありの薬局は、前回調査の令和2年度と比較して損益差額率が3.4ポイント減少しております。
 続きまして、29ページでございますが、ここでは、地域連携薬局等の認定等の状況別のデータを示しております。
 続きまして、31ページからは費用構造の経年変化でございます。
 ここには、下に記載のとおり、国公立は収益に対する給与費、減価償却費等の割合が高く、高コスト体質であることに変化はございません。
 国公立を除く一般病院と比較して、給与費率、減価償却費率がそれぞれ高くなっております。
 医療法人の一般診療所では、令和3年と比較して、医業収益と損益差額率が上昇しておりますが、給与費率は0.2ポイント減少しております。
 続きまして、33ページ以降では、職員給与を示しております。
 33ページでは、一般病院の病院長と一般診療所の院長の平均年収の比較を行っておりますけれども、下にも記載のとおり、医療法人、その他国公立では、令和3年と比較して上昇しております。
 次の34ページでございますが、一般病院の主な医療従事者の平均年収でございますけれども、一般病院の薬剤師、看護職員、医療技術員の平均年収は令和3年度比較して、2万円から8万円程度上昇していることが分かります。
 一方、医師の平均年収については、ほぼ同水準であったということでございます。
 次に、職員給与でございますが、35ページに目を移しますと、一般病院の開設者別の主な医療従事者の平均年収比較でございます。
 まず、医師に関しては、国立その他の一般病院では上昇しており、医療法人、公立、公的では若干減少していることが見て取れます。
 次のページには、薬剤師を示しておりますけれども、薬剤師についても、国立、公的その他の一般病院では上昇し、公立病院では平均年収がほぼ同水準でございます。
 37ページに移りますと、看護職員でございます。
 医療法人、国立、公立、公的、その他の一般病院では、看護職員の平均年収は、令和3年度と比較して、いずれも上昇しております。
 38ページは、医療技術員でございます。
 公的その他の一般病院では増加しておりますけれども、医療法人、国立、公立の一般病院では、ほぼ同水準であったことが理解できます。
 続きまして、39ページでございますが、一般診療所の主な医療従事者の平均年収比較でございます。
 一般診療所の医師の平均年収は、令和3年度と比較して上昇しております。
 また、看護職員、医療技術員の平均年収も令和3年度の比較では上昇しております。
 一方、薬剤師の平均年収は減少しているデータになっております。
 次からは、常勤職員数のテーマに移ります。
 まず、医師でございますが、一般病院全体の100床あたり医師数は13.5人であり、令和3年度から若干増加している傾向が見られます。
 次のページは、薬剤師でございますが、薬剤師につきましても、一般病院全体では、わずかながら令和3年度と比べて増加しているということが分かります。
 続きまして、看護職員でございますが、一般病院全体の看護職員数も令和3年度と比較して、若干増えていることが分かります。
 最後に、医療技術員でございますが、医療技術員も同様に増加しているということが理解できます。
 次に、常勤職員数を一般診療所の有床、無床別、主たる診療科別で見ております。
 一般診療所の常勤医師数は有床が1.5人、無床が0.4人であり、令和3年と、あまり変わっていないことが理解できます。
 一方、一般診療所の常勤薬剤師につきましては、有床が0.12、無床が0.0ということで、非常に小さい数字になっております。
 一方、常勤の看護職員数については、有床が11.1人、無床が2.7人であり、令和3年度とほぼ同水準ということでございました。
 最後に、医療技術員でございますが、有床が3.1人、無床が0.7人であり、これは令和3年度とほぼ同水準ということでございました。
 次の項目、資産・負債等の経年比較でございますけれども、48ページでございますが、見ていただきましたとおり、一般病院全体の純資産比率は39.2%を示しており、令和3年度に比較して1.9ポイント上昇しております。
 開設者別で見ましても、医療法人、国立、公立、公的、その他では、令和3年度と比較いたしまして、1.1から2.7%上昇しているということでございます。
 一方、続きの49ページでございますが、流動比率、これは流動資産と流動資産の比率を見たものでございますが、一般病院全体の流動資産の平均額は、令和3年度と比較して4.4%増加しております。
 一般病院全体の流動比率も213.7%であり、令和3年度と比較して11.3ポイント上昇しております。
 続きまして、一般診療所、歯科診療所、保険薬局について、純資産比率を見てみますと、一般診療所の純資産比率は、個人、医療法人、それぞれ69.2%、69.4%、令和3年度と比べますと上昇していることが分かります。
 また、歯科診療所につきましても、それぞれ51.5%、52.3%と、個人は若干減少、医療法人は1.9ポイント上昇したということでございます。
 保険薬局については、令和3年度に比べまして、上昇しております。
 続きまして、一般診療所、歯科診療所、保険薬局の流動比率でございますが、流動資産の平均額は、令和3年度と比較しまして、一般診療所の個人では4.3%増加、医療法人では6.3%増加、歯科診療所では、個人が2.3%減少、医療法人が0.3%減少、薬局では5.6%増加ということでございます。
 一般診療所の流動比率につきましては、令和3年度と比較しまして9.3%から11.6%と大幅な上昇も見せております。
 最後に設備投資額と長期借用金について、令和3年度と4年度を比較しましたけれども、設備投資額につきましては、一般病院で11.4%増加、一般診療所で3.2%増加、歯科診療所では18.0%増加、保険薬局が6.9%減少ということになっております。
 長期借用金は令和3年度と比較して、一般病院が3.0%減少、一般診療所が7.6%減少、歯科診療所が2.4%減少、保険薬局も4.4%減少という形になっております。
 こうした数字を見てまいりました場合に、冒頭に申し上げましたけれども、経営という観点からしますと、非常に総じて堅調であるということがうかがわれます。
 特にこうした資産の比率、あるいは流動比率等を見ますと、経営的にはある程度余裕度が上がっていると受け止めるべきではないかと考えます。
 それでは、最後に、次回調査に向けた意見といたしまして、3つほど述べさせていただきます。
 まず、報告書において、加重平均値を併記する項目を拡大すべきであると考えております。
 そこに記載のとおり、一般診療所、歯科診療所及び保険薬局それぞれの全体並びに報告所、資産・負債の状況等にも加重平均値を併記すべきであると考えます。
 また、資産・負債の状況については、国公立を除く値を併記すべきでございます。
 また、次回調査においては、医療機関の稼働状況と損益の関係性をより分析しやすいように、入院延べ患者数及び外来も延べ患者数を調査票の項目に追加してはどうかと提言申し上げます。
 実態調査そのものについては、ここまででございますが、先日提出されました補足資料についてコメントいたします。
 先日申し上げましたとおり、診療報酬改定に関する議論は、医療経済実態調査のデータに基づくべきだと改めて強く主張いたします。
 仮に推計を行うということであれば、推計の方法など、専門家の意見も踏まえて十分に検討し、推計の目的を含めて、調査実施小委員会や総会の了承を得た上で、中医協における議論に活用すべきだと考えます。
 また、いささか細かい内容にはなりますが、推計の内容にも疑問がございます。例えば、収益については、病床確保やワクチン接種などが発生しない場合に、通常の医療を継続することによる増加分が加味されていない。
 費用については、コロナ影響を補正する際、収益に占めるコロナ報酬特例を除いた部分の割合を用いる方法は、収益から除いた金額と一致せず、かかり増し経費を補填する収支均衡の考え方とは相入れないものと考えます。
 また、令和5年度の推計については、新型コロナが5月から5類へ移行して以降、足元で医療費が高い伸びを示していることが考慮されていないことなどがございます。
 推計データを用いるのであれば、医療費の短期予測の方法や、医療保険財政の見通しなど、様々な要素について適切な議論と手続を経るべきであることを改めて強く指摘いたします。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、2号側委員から資料の説明をお願いいたします。
○長島委員
 今回の医療経済実態調査の結果報告に対する2号側の見解を述べさせていただきます。
 まず、医科については、私、長島から、そして、歯科、薬局は、それぞれ林委員、森委員から見解を述べ、最後に私からまとめを述べさせていただきます。
 資料総-6-2を御覧ください。
 ページは、一番下の通し番号にてページ番号を申し上げてまいります。
 通し番号6ページの上の図を御覧ください。
 新型コロナに関する診療報酬上の特例や補助金及びかかり増し費用等の影響を排除した令和3年度、4年度の損益率は、一般病院は、それぞれマイナス5.6%、マイナス6.8%でした。
 厚生労働省の推計による令和5年度の損益率は、マイナス10%を超える赤字となることが見込まれています。
 また、損益率のコロナ前の平均はマイナス3.3%でしたが、コロナ後の平均はマイナス6.4%であり、コロナ前の平均を下回っています。
 6ページの下の図です。
 同じく令和3、4年度における新型コロナに関する診療報酬上の特例等の影響を排除した一般診療所の医療法人の損益率は、それぞれ6.0%、6.9%でした。
 損益率のコロナ前の平均は6.3%でしたが、コロナ後の平均は5.6%であり、コロナ前の平均を下回っています。
 厚生労働省の推計によれば、令和5年度の損益率は、令和4年度からほぼ横ばいの見込みです。
 コロナ禍における診療報酬上の特例や、コロナ補助金は一過性の収益であり、これまでの感染対策経費の増加、追加的人員の確保などの診療体制の整備に活用しており、また、全ての医療機関が特例、補助金の対象となっているわけではありません。
 したがって、令和6年度診療報酬改定の議論は、これらの影響を除いて行うことが大前提であると考えています。
 7ページの上の図ですが、精神科病院は、令和元年度以降、赤字の状態から脱却できておりません。
 7ページの下の図を御覧ください。
 令和4年度のコロナ関係補助金を除いた損益率の分布を見ると、一般病院の7割弱、一般診療所の約3割が赤字でした。物価高騰、賃金上昇が続く中、現状コロナ特例は大幅に縮小されてきており、今後、特例が廃止となり、さらに収益が下がることがあれば、赤字施設の割合がさらに増え、地域の医療提供体制が維持できなくなります。そもそも経営基盤が脆弱な診療所では、倒産が相次ぐおそれがあります。
 8ページは費用についてですが、病院、診療所ともに上昇しています。
 9ページの上の図にお示ししていますが、特に、物価高騰を反映して、水道光熱費の伸びが顕著でした。
 また、紹介手数料も大きく上昇しています。これは、医療業界における人材確保の厳しさの現れであると言えます。
 9ページの下の図を御覧ください。
 あわせて、看護職員、看護補助職員、医療技術員といったメディカルスタッフの平均給与は、病院、診療所ともに、各職種で増加が見られましたが、他産業の賃上げが進む中、医療従事者の賃金を引上げ、サービスを提供する人材を確保していくための原資を確実に担保することは、従業員が他産業へ流出し、人材確保が厳しくなっている折も踏まえれば、急務と言えます。
 なお、10ページの上の図にお示ししていますが、令和4年度の診療所の院長給与は、平均値の2653万円に比べ、中央値の2160万円は約500万円低く、最頻値である1000万円から1500万円は、平均値の半分程度でした。
 これら3つの値の乖離が大きい理由は、自由診療の比率が高いと思われる診療所など、一部の高額のデータが、平均値を押し上げる一方、分布はかなり左側のより低額なほうに偏っているためです。
 したがって、実態を正確に把握するためには、平均値ではなく、中央値と最頻値を重視するべきです。
 以上のとおり、病院、診療所とも、コロナ後の経営状況は非常に厳しい状況にあると言え、さらに、物価高騰、賃金上昇を支える対応が必要な状況です。
 医科の分は以上です。
 続きまして、歯科の見解を林委員からお願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 歯科の見解と提出資料について発言させていただきます。
 総-6-2の2ページを御覧ください。
 令和4年度の診療報酬改定を踏まえた個人立歯科診療所の直近2事業年の医業収益は、マイナス0.9%と落ち込みました。
 歯科医療を担う歯科医療機関の約8割が、個人立の歯科診療所であり、その経営は依然として回復傾向になく、厳しい状態が続いております。
 歯科医療機関におきましては、外科的処置や、飛沫が多い歯科治療の特性を踏まえ、従来のスタンダードプリコーションに加えて、新興感染症へのさらなる対策を継続して行っております。
 感染防止対策に、これまで以上の対応を徹底しておりますが、令和4年度は、新型コロナウイルス感染症関連の補助金等もほとんどなく、昨今の物価高騰の影響による歯科材料費等の価格上昇、あわせて歯科衛生士等の人材確保のための対応など、その影響は計り知れません。
 これまで繰り返し指摘しておりますが、歯科医療機関の経営努力は明らかに限界に達してきており、安全・安心を前提とした歯科医療提供体制の根幹を揺るがしかねない状況で、迅速かつ抜本的な対応が求められるところでございます。
 次に、14ページから歯科の提出資料の説明でございます。
 スライドの右肩番号の3ページのとおり、今回の有効回答率は53.9%となっており、2013年以降、5割を超える回答率で、調査への理解や関心が高まっていることがうかがえます。
 4ページでございますが、個人立歯科診療所の令和4年度の損益差額は、前年度比マイナス3.9%で、コロナ関連の補助金等の支援が、歯科ではほとんどない中でも、人材確保の観点から、給与費を増加しております。
 しかし、2023年春闘の全産業平均賃上げ率3.58%には到底及んでいないのが実情でございます。
 5ページの損益差額の分布につきまして、最頻値は平均値の層と大きく乖離しており、一部の歯科診療所が平均値を押し上げる形であり、歯科診療所間の格差、いわゆる二極化が進んでいると考えられます。
 6ページは、経営状況の内訳でございますが、青色申告の診療所では損益差額が900万円を割っており、損益率も前回調査と比較しても大きく落ち込んでいることが明らかとなっております。
 7ページでございますが、歯科診療所に勤務する歯科衛生士の給与は、他の医療職種と比較しても低い水準であり、地域において、リハ・栄養・口腔を一体的に提供していくために、スタッフの賃上げは喫緊の課題と考えております。
 最後に8ページですが、1981年を100とした場合の損益差額と、物価指数の経年変化をお示ししております。
 グラフのとおり、個人立歯科診療所の経営状況は回復せず、依然厳しい状態であり、医院経営は逼迫しております。
 安全・安心を前提とした歯科医療提供体制を継続的に維持するための方策や対応が、必要不可欠であると考えております。
 歯科からは以上でございます。
○森委員
 では、保険薬局について御説明させていただきます。
 通しページの20ページ目の上のパワーポイントを、まず御覧いただければと思います。
 保険薬局の直近の損益状況については、全体平均、法人でプラス5%程度という状態を、維持していますけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から回復しつつある一方、物価高騰や賃金上昇への対応のため、対前年比は減少傾向にあり、厳しい経営状況が続いています。
 右の最頻階級のほうを御覧いただければと思いますけれども、法人立の約2割の薬局は最頻階級に当たりますけれども、保険調剤収入の減少や、給与費、水道光熱費の増加の影響により、全体平均と比べて非常に大きく悪化しており、前年比で0.8%減少、損益差率ということで言えば、1.5%となっております。また、損益額で言うと、年間177万円、これを月に直しますと、約16万円にも満たないという金額になっております。
 先日、日本薬剤師会が行いました賃上げ状況調査の結果でも、賃上げ率1.99%、賃上げ金額では約5,000円ということで、全産業の半分にも満たず、十分に賃上げに対応できていないような状況となっております。
 23ページを御覧いただければと思います。
 23ページ目の上のほうの同一グループにおける店舗数別というところなのですけれども、さらに同一グループの規模別に見ますと、地域の医薬品提供の中核を担っている小規模の保険薬局のうち、特に1店舗及び2から5店舗の施設における損益差額の悪化が目立ちます。
 小規模薬局の経営基盤は極めて脆弱であり、このままの状況が続けば、今後の地域の医薬品供給に支障を来すことになります。
 一方、長期にわたる医薬品の供給不足の状態が続く中、後発品の普及促進に係る取組の維持や、それに伴う備蓄医薬品の増加に係る対応など、医薬品の管理コストもさらなる負担増となっており、非常に厳しい経営状況となっております。
 賃上げへの対応、それから地域への医薬品の提供体制がしっかりと確保できるように対応していただきたいと思っております。
 私からは以上です。
○長島委員
 最後にまとめを述べます。
 以上、今回の医療経済実態調査結果から、医療機関等は、コロナ前と比較しても厳しい経営を強いられていることが明らかとなりました。
 コロナ禍における医療費減少を十分に補填する間もなく、医療機関等は医療従事者の賃上げや物価高騰への対応を求められており、非常に厳しい状況にあると言えます。
 特に患者さんへ質の高い医療を継続的に提供するためには、医療従事者に対する賃上げと、その人材確保が急務です。
 診療報酬という公定価格で運営する医療機関等にとって、賃上げや人材確保を継続的かつ安定的に行い、物価高騰にも対応するためには、十分な原資が必要であり、そのためには、令和6年度診療報酬改定が担う役割は、非常に重要であると言えます。
 以上です。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 ただいま、それぞれの側からの御説明につきまして、何か補足、それから御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件についてはこのあたりとしたいと思います。
 本日の議論も踏まえ、後日、1号側委員、2号側委員から、それぞれ次期改定に対する御意見を提出していただきたいと考えておりますので、各号の委員の方々におかれましては、御準備をよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。

 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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