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2023年11月17日 中央社会保険医療協議会 総会 第565回議事録

○日時

令和5年11月17日(金)8:30~

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 12F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 永瀬伸子委員 本田文子委員 安川文朗委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 太田圭洋委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○個別事項(不妊治療)について
○歯科医療(その2)について
○診療報酬改定の後ろ倒しを踏まえた歯科用貴金属の随時改定について
○歯科用貴金属価格の随時改定について

 

 

 

○議事 

○小塩会長
 おはようございます。ただいまより、第565回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 今日、私はオンラインでの参加となります。いろいろ皆様には御迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、末松委員、岡本専門委員が御欠席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 最初に「個別事項(不妊治療について)」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局、医療技術評価推進室長でございます。
 それでは、資料総-1に基づきまして「個別事項(その4)不妊治療」について御説明させていただきます。
 2ページ目を御覧ください。本日御説明いたします3つの項目になります。
 まず、1つ目「不妊治療の保険適用の経緯、範囲」について御説明いたします。
 3ページに、令和4年度の改定説明資料で、保険適用に係る当時の政府方針をまとめております。
 4ページには、今回の令和6年度診療報酬改定に係る事項として、令和4年度診療報酬改定の答申書附帯意見や、今年度6月に閣議決定されました「こども未来戦略方針」をお示ししております。
 5ページは、不妊治療の全体像。
 次の6ページは、令和4年度に新設されました評価項目。
 さらに、7ページには、不妊治療の診療の流れをお示ししております。
 8ページが、各算定項目の点数をまとめたものとなっております。
 9ページは、保険診療への円滑な移行のため、経過措置として講じてまいりました助成事業の概要をおつけしております。
 続きまして、10ページ以降、保険適用された不妊治療の現状をまとめております。
 11ページには、令和4年度診療報酬改定における不妊治療の保険適用についての関連学会及び患者団体からの意見をまとめております。
 まず、学術的観点からは、日本産科婦人科学会のアンケート、また、当事者からの御意見という観点で、NPO法人Fineが実施されたアンケートをいただいております。詳細につきましては、別添の参考資料をおつけしておりますので、そちらを御覧いただければと思います。
 12ページは、体外受精・顕微授精の実施数及び出生児数をお示ししております。
 令和3年の総出生児数は81万1622人であり、また、同年の体外受精・顕微授精による出生児数は6万9797人でございました。
 13ページは、令和4年度の不妊治療の医療費及びレセプト件数、さらに実患者数をお示ししております。
 保険適用された不妊治療に係る医療費は、令和4年度で約895億円、レセプト件数につきましては、令和4年度合計で約125万件、実患者数としては約37万人でございました。
 14ページ並びに15ページは、一般不妊治療管理料及び生殖補助医療管理料の概要と算定状況をまとめております。
 続いて、16ページから23ページにかけまして、不妊治療の各項目の算定回数をお示ししております。
 項目のみの御紹介となりますが、16ページは人工授精、17ページは抗ミュラー管ホルモン及びY染色体微小欠失検査。
 18ページは採卵術。
 19ページは体外受精・顕微授精管理料。
 20ページは受精卵・胚培養管理料。
 21ページは精巣内精子採取術。
 22ページは胚移植術について、お示ししております。
 23ページまでお進みください。
 23ページには、胚凍結保存管理料の算定回数をお示ししております。
 こちらについては、左下に現状の取扱いを記載しておりまして、当該凍結保存の開始日から起算して3年を限度として算定するものとなっております。
 また、右下の箱になりますが、令和4年3月31日付事務連絡において、令和4年4月1日より前から凍結保存されている胚または胚盤胞については、胚凍結保存維持管理料によって算定すること、また、この場合、令和4年4月1日以降に算定した生殖補助医療管理に係る治療計画に記載した場合には、当該治療計画を策定した日を起算点とするということをお示ししているところでございます。
 後ほど論点のところで、また、挙げさせていただいております。
 24ページは、その他の不妊治療の関連がある算定項目について、まとめてお示ししております。
 25ページは、令和3年度の特定治療支援事業の実績についてお示ししており、実人員数が約13万6000人、延べ件数が23万4000人となっております。
 26ページは、令和4年度の特定治療支援事業の実績ですが、実人員数が約7万人、延べ件数が9万3000人となっております。
 続いて、27ページから先進医療の状況について御説明いたします。
 28ページ目は、保険外併用療養制度の概要、先進医療につきましては、将来的に保険導入のための評価を行う評価療養に位置づけられております。
 29ページには、先進医療の説明をおつけしておりまして、30ページには、関係する規則等をまとめているところでございます。
 31ページまでお進みください。
 31ページには先進医療会議における検討状況をお示ししており、令和5年11月時点で現在13技術が先進医療として認められております。
 32ページは、主として実施する医師に係る基準を、33ページにつきましては、保険医療機関に係る基準を示しております。
 34ページは、先進医療の実績になります。実施件数が最も多いものは上から2番目、先進医療A、告示番号20番のタイムラプス撮像法による受精卵・胚培養であり、7万9700件が実施されております。
 続きまして、35ページ以降「年齢制限・回数制限について」になります。
 36ページは、従前の特定治療支援事業に関する当時の年齢制限や回数制限をお示ししております。
 37ページ、38ページは、令和4年度診療報酬改定の際に、年齢制限・回数制限を議論した際の資料をおつけしております。
 また、39ページ、40ページも同じく令和4年度改定時の資料になりますが、こちらは、日本生殖医学会の生殖医療ガイドラインの記載事項をお示ししております。
 41ページから44ページにかけましては、現状の生殖補助医療における年齢に係る要件や、胚移植術における回数に係る要件を、それぞれの算定項目についてお示ししているところになります。
 45ページまでお進みください。
 45ページからは、不妊治療の治療実績に係るデータをまとめております。
 まず、45ページでございますが、令和4年度改定の際の議論に用いました、2019年の日本産科婦人科学会のARTデータブックのデータを基にした、年齢と生産分娩率のデータになります。
 46ページには、その2019年のデータに直近の2021年のデータを重ねたものとなっております。
 直近の2021年データは2019年のデータと比較しまして、明らかな変化は認められないものと思っております。
 続きまして、47ページでございますが、こちらは、令和4年度改定の際に使用した同じデータになりますが、同じく2019年の日本産科婦人科学会のARTデータブックを基にとした、こちらは年齢と流産率のデータとなっております。
 同じく48ページ目に関しましては、2019年のデータに、直近の2021のデータを重ねたものとなっており、こちらに関しましても大きな変化、明らかな変化というものは認められない状況になっております。
 続きまして、49ページ以降「情報提供の在り方について」になります。
 50ページに、令和6年度改定における検証等について再掲しております。
 51ページになりますが、こちらは保険適用前の不妊治療に係る医療機関の情報提供について、お示ししております。
 令和3年度までは、不妊に悩む方への特定治療支援事業において、都道府県等が指定した医療機関で実施される不妊治療にかかる費用の一部に対する国庫補助を行うとともに、医療機関が提出した情報をそれぞれの都道府県等がホームページに掲載し、それをまとめて厚生労働省において情報提供する取組を行っておりました。
 52ページには、医療機関が提出される様式を参考までにおつけしております。
 続いて、53ページでございますが、保険適用後の情報提供についてまとめております。
 生殖補助医療管理料及び精巣内精子採取術の施設基準において、「国が示す不妊症に係る医療機関の情報提供に関する事業に協力すること」というものが設けられておりまして、具体的には、こども家庭庁の不妊症・不育症に関する広報・啓発促進事業における不妊症に係る医療機関の情報提供に協力することが求められております。
 参考といたしまして、54ページに、こども家庭庁のウェブサイトが、このような状況ですというものをお示ししております。
 続きまして、55ページになりますが、令和4年度から令和5年度にかけまして実施しております、こども家庭庁科学研究の研究班における論点整理をまとめております。
 不妊治療に係る医療機関の情報提供に取り組むことが、医療の質の向上等だけでなく、医療機関に対する信頼、さらには患者のエンパワーメントにつながる可能性がある一方、こういったデータにつきましては解釈が困難であることや、公表を求めることで、医療機関による患者の選別につながる可能性が指摘されております。
 これを受けまして、下段でございますが、治療実績や安全性の観点で、どのように情報提供を充実させるかにつきましては、引き続き研究班において議論がなされることとなっております。
 56ページにつきましては、研究班や関係学会において検討が進めている情報提供項目の内容をお示ししております。
 最後57ページ以降「その他」の項目についてまとめております。
 まず、58ページ、59ページにつきましては、いわゆる胚培養士に関してになります。現在、日本卵子学会、日本臨床エンブリオロジスト学会の認定を受けた方が多い状況ですが、59ページにございますように、今後、認定資格の統一を行っていく方針になっているところでございます。
 続いて60ページからは、第三者の精子・卵子等を用いた生殖補助医療や、現行の保険資料に入っていない周辺技術等の課題についての紹介となります。
 まず、61ページでございますが「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律の概要」をお示ししておりますが、こちらの附則第3条につきましては、現在、検討中のステータスとなっております。
 続きまして、62ページは医学適応のない卵子凍結、いわゆるノンメディカルな卵子凍結についてです。学会のホームページ等から引用しておりますが、この技術は、将来の妊娠、出産を希望する際に、卵子側の加齢による影響により妊娠しにくくなることを懸念して実施するものでございます。
 デメリットとしましては、①母体側の影響については変わらないこと、②1つの卵子凍結を行った場合の出生率は4.5から12%であること等が指摘されております。
 63ページから65ページにかけましては、小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業の内容をお示ししております。
 妊孕性温存療法にかかる費用負担の軽減を図りつつ、患者から臨床情報等を収集することで、妊孕性温存療法の有効性等のエビデンスを創出し、長期にわたる検体保存のガイドライン作成など、妊孕性温存療法の研究を促進する事業となっております。
 66ページから、不妊症に係る現状と課題をまとめております。
 現状の課題は、今、御説明した内容を網羅したものになっております。
 68ページまでお進みください。論点になります。3つ挙げております。
 1点目、不妊治療については、令和4年度から保険適用された。令和4年度からの保険診療の実施状況等を踏まえ、その影響等について、どのように考えるか。
 2点目、不妊治療を実施するに当たっての年齢・回数に係る要件等について、従前の特定治療支援事業や保険診療における取扱い等、さらには最新のエビデンス等を踏まえ、現状の取扱いを変える必要性について、どのように考えるか。
 3点目、胚凍結保存管理料の算定できる保存期間、先ほど申しました3年と定められているものでございますが、この取扱について、これまでの保険診療における算定実績や学会の見解等を踏まえ、どのように考えるかを挙げております。
 事務局からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 68ページの論点についてコメントします。
 まず、1つ目の論点です。
 本日の参考資料等も拝見しますと、不妊治療を保険適用したことに対して、おおむね肯定的な受け止め方をしていただいているものと感じております。
 今後は、論点の2つ目にあるとおり、技術的な部分については、最新のエビデンス等を踏まえ、医療技術評価分科会でしっかりと議論していく必要があると思います。
 最後の論点である胚凍結保存維持管理料につきましては、23ページにも掲載されているとおり、複数の胚が相当数保存されていることが分かります。
 もっとも診療報酬上の評価は、凍結保存の開始日から起算して3年を限度とされておりますので、次回改定に向けて3年が経過した後の取扱いを、エビデンスなどを踏まえた上で検討する必要があると考えます。
 また、今回の論点には含まれておりませんが、15ページの一般不妊治療管理料については、その施設基準である不妊症の患者に係る診療を年間20例以上実施していることという基準が、地域によっては満たすことができず、その結果、不妊治療保険診療で実施できない状況もあることが、参考資料1の学会意見にも示されております。
 一般不妊治療管理料は、その届出がなければ、人工授精も保険診療で実施することもできなくなるなど、ほかにも影響しますので、この20例の扱いについては、患者さんの安全性などにも配慮した上で、見直すことを検討してはいかがかと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ほかにどなたか御意見ございますでしょうか。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、68ページの論点に沿ってコメントいたします。
 1点目の保険導入による影響についてでございますが、当初どのような広がりを見せるのか非常に読めないところがございましたけれども、13ページ以降のスライドを拝見しますと、算定回数もそれなりにあり、補助金からもおおむね円滑に移行できたという印象を抱きました。
 健保組合への影響も相当程度ありますので、令和4年度改定の附帯意見にもありますように、引き続き保険適用の影響を検証し、課題があれば適切に対応すべきものと考えております。
 続きまして、年齢と回数の要件についてでございますが、45ページから48ページのデータを見ましたところ、保険適用の議論で用いたデータと、直近のデータで分娩率などに明らかな変化が見られないということでございましたので、現段階では見直す必要は必ずしもないというのは考えますけれども、総-1の参考資料にございますとおり、非常にそういった回数、年齢制限について御希望も多いこともありますので、この辺は十分にデータを、今後とも注視していく必要があるかと思っております。
 続きまして、論点の最後にございます、胚凍結保存管理料についてでございますが、保存期間が3年を超えても技術的に差し支えがないということであれば、算定期間を延長する方向で検討いただくことは結構かと考えます。
 最後に論点にはございませんが、資料にございます、情報提供についてコメントをしたいと思います。
 資料の56ページで紹介されております、必須項目の充実、これは患者にとっては非常に重要であり、望ましい方向でありますので、ぜひ進めていただきたいと考えております。
 ただ、治療成績につきましては患者に誤解を与えないように、慎重な対応が必要ということは十分理解いたしますが、どのような方法であれば、情報公開できるのか、引き続き詳細な検討を進めていただきたいと考えます。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 保険適用により、不妊治療のハードルが下がり、希望する人が治療を受けやすくなったと考えております。
 しかし、参考資料2の当事者アンケート、資料の7ページ、保険適用によってよくなったと感じることでは、「医療機関が選びやすくなった」「地域間による治療の格差がなくなった」と回答した割合が低く、同資料13ページの保険適用になって悪くなったと感じることでは、「保険適用の範囲が分かりづらい」「治療の選択肢が狭まった」と回答した割合が高くなっております。
 こうした当事者の受け止めを踏まえ、患者にとって分かりやすく選択しやすくなるよう、医療機関の情報明示に加えて、治療の保険適用範囲などについても、情報提供の在り方を工夫することが重要です。
 また、経済力や地域によってアクセスに差が出ず、患者の希望に沿って、可能な限り治療法が選択できる保険適用の仕組み、診療体制にすることも必要と考えます。
 さらに、不妊治療において、患者の心理的ストレスの配慮やメンタルケアに係る体制は重要と考えますが、総-1の92ページには、相談支援の実績が記載されておりますが、不妊専門相談センター事業を行っている自治体数は86、不妊症、不育症支援ネットワーク事業は17のみという状況です。一層の相談支援の体制強化をお願いしたいと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 鳥潟委員、お手が挙がっております。お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 不妊治療につきましては、お子さんを希望される御夫婦もしくはパートナーの方に対して、やはり正確な情報をきちんと提供していただきたいと考えております。
 正確な認識のもと、治療の利用を判断できるよう、56ページの治療実績や安全性に係るデータの追加については、できる限り早期に実現していただきたいと思います。
 また、胚凍結保存管理料の算定できる保存期間に関しましては、医学的見地に基づいて延長されるということに関しては賛成でございます。
 よろしくお願いいたします。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 飯塚委員、お願いします。
○飯塚委員
 ありがとうございます。
 まず、事務局に一点、最初に確認なのですけれども、15ページの資料に届出の医療機関数というのがありまして、一般不妊治療が2,059、それから生殖補助医療管理料のお届けに関しては411と209とありますが、こちらの施設全てが、今度は53ページの情報提供に関して伺いたいのですけれども、この53ページの情報提供に関して、情報の提供、提出を求められていると、まず、そういう理解でよろしいですか。
○小塩会長
 事務局、いかがでしょうか。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 先ほど御紹介いたしましたように、施設基準の要件となっておりますので、算定に当たりまして、届出を行うということが必須の要件となっております。
○小塩会長
 飯塚委員、どうぞ。
○飯塚委員
 53ページは、その情報提供を求められていると、その機関が全て求められていると、まずしたとしますと、54ページにございます、こども家庭庁のデータを、今、見てみたのですが、こちらには約290のデータが登録されているという形になっておりまして、非常に情報提供が進んでいない、むしろ、これは保険適用によって悪化したように感じています。
 まず、この必須項目に関しては、全ての医療機関に提出いただくというのが、もちろん必須なのではないかと思います。配置の人員だとか、あるいは治療内容ですね。
 先ほどありましたけれども、医療保険適用によって情報が得られないということになっておりまして、これは、2年前にこの場で、多くの委員から情報公開をしっかり取り組む必要があるという議論がありましたので、ぜひやっていただきたいと思います。
 もう一点、関連しまして、治療成績を示す際に難しい点がある可能性があるという議論ですが、懸念は当然あるわけですけれども、まず、そういった場合は第一に行うべきことは、リスクを調整することが、こういったアウトカムの評価には必須項目になっておりますので、まず、その辺りをやっていただいて、どう情報提供できるかということを考えていくべきではないかなと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 事務局から何かございますか、お願いします。
○木下医療技術評価推進室長
 1点補足をさせていただければと思います。
 先ほど、情報提供の要件というところで、対象となっておりますのは、生殖補助医療管理料の届出と、精巣内精子採取術の施設基準において届出となっておりますが、先ほど飯塚委員御指摘のとおり、これの数と比較しましても現状のホームページに十分、それなりの情報が掲載されていないということでございましたので、改めて、こども家庭庁とも併せまして、その現状について整理させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○飯塚委員
 すみません、追加で、今、おっしゃられたのは、一般不妊治療に関しては、今、届出を要請されていないということでしょうか。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 飯塚委員、そのとおりでございます。
○飯塚委員
 分かりました。それに関しては、新しく保険適用になったものが、一般不妊治療もありますので、そちらも含めていただくように御検討いただければと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
 永瀬委員のお手が挙がっております。
○小塩会長
 永瀬委員、お願いします。
○永瀬委員
 このたびは、大変ありがとうございました。
 幾つかもう少し分かるとありがたいなと思うことがありまして、例えば、40ページですけれども、患者団体あるいは学会から若い人がより受けられるようになったということが書いてあるのですけれども、46ページで実際に受けた方々の人数が年齢別に載っていますが、これが保険適用前と後でどの程度変わったのかという、そんな資料があれば、保険適用の年齢が若い人が受けられたという効果が、より明確になるのではないかと思うのですが、そのように資料いただくことは可能でしょうか。
○小塩会長
 事務局、いかがでしょうか。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 今、御意見ございました点に関してでございますが、全体像比較するということは、やはり事業自体が異なっているということで、非常に難しい状況にございます。
 具体的に申しますと、保険適用前の支援事業でございましたら、利用された方が約13万人。私どもの今回の令和4年以降に関しましては、レセプトデータに基づくと約27万人となっているところではございますが、やはり、その対象となった方、実際に不妊治療をされていても、助成事業を申請されていなかったケース等々もありますし、今回のFineのデータにもございますように、保険適用後も4分の1の患者さんは自由診療されているということで、全体像を比較することは、なかなか現状においては難しいかなと思っております。
 一方で、学会のデータに関しましては、保険適用前、保険適用後におきましても、原則全数の把握をされているということでございますので、その条件を変えずにデータを収集されておりますので、学会のデータというものが、将来的には活用できるのではないかと考えておりますが、学会のデータに関しましては、治療が終わられた方を集計されるということもございまして、まだ現段階におきましても、令和4年度の治療を終えられた方の全体像は把握が困難と伺っておりますので、今後、学会の御協力を得ながら、そういった全体像がお示しできるタイミングであれば、データをそろえて、また中医協に御報告したいと思っております。
○永瀬委員
 今、日本では少子化が大変進んでいて、この不妊治療の問題というのは、とても大きな問題だと思っております。
 これで見ますと、流産率が上がるとか、治療成績が高いのは、下がってきますけれども、37歳ぐらいから急に落ちていくわけですけれども、日本で一番治療が行われているのが、最頻値が40歳という、生産分娩率がこれで見ると、10%から下がるところで、かなりの治療が行われていることが分かります。
 こういうことを思いますと、もっとなるべく早めに、こういう治療を受けられるような情報提供という、私自身も実は、この点で論文を書こうと思ってデータ収集をしたことがございます。
 ところが、私、労働経済学で医学データは意外と分からないもので、この不妊治療のいろいろなデータを見て、こういうことになっていたのかと、一応海外の雑誌なども検索したのですけれども、十分に分かりきれておりませんでした。ただ海外の雑誌では、日本は、非常に治療は多いけれども成功率が低いと書いてあって、それは遅い時期での治療が多いということもすごく大きいのだろうと思って、こういうことを一般の方が分かることは、とても大事なことなのではないかなと。こういう表みたいな図が見られるだけでも、随分違うのではないかと思ったりいたします。
 若い人たちに話を聞きますと、62ページの医学適応のない卵子凍結というのを考えたという人も、実は私の知っている若い働く女性では結構いますけれども、高過ぎて難しいというのが、大体聞くところでございます。
 ただ、40になってから、これだけ医療費を使うということを考えますと、効果という点で考えると、どこに使うべきなのかなというのは、少し考える必要があるのかなと思います。
 あと、この中で患者アンケートや学会アンケートの中では、価格が下がったとか、若い人も受けられるようになったとか、それから、10割負担の方とそうではない方がいるということで、ここのところが一体どうなって、この保険適用でどういう変化が起きたのかというのは、私はもう少しよく分かるような統計があったらよろしいのではないかと思っております。
 それから、54ページのウェブサイトに私も入ってみたのですけれども、私の住んでいる県で見てみたのですが、ほとんど白紙が多くて、少し選びにくいなという感じがいたしました。
 この56ページのように、もっと出す統計を増やすような検討があるというのはありがたいことなので、進めていただければなと思いました。
 また、各医療機関だけではなくて、例えば県別の合計数値でもいいので、何らかのデータにアクセスしやすくなり、もっと早い時期に、その技術も技術ですけれども、早い時期に、こういう治療が受けられるような、そういう変化が起きているかどうかということをフォローしていくことが、この不妊の問題に、とても大きい効果があるのではないかなと思いますので、そのような統計を集めていただければと思います。
○小塩会長
 事務局、いかがでしょうか。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 今、永瀬委員からいただいた情報提供の在り方とか、その充実ということに関しましては、こども家庭庁と連携しながらできるかということを少し検討させていただければと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 どうぞ。
○永瀬委員
 あと、統計調査はいかがでしょうか。より詳しい統計調査を行っていく、学会が待っていくということなのでしょうか。
○小塩会長
 事務局、お願いします。
○こども家庭庁
 すみません、こども家庭庁です。情報提供につきまして、先ほどの保険局からの御説明に補足をさせていただきます。
 私どもも不妊治療を受けられる患者さん、あるいは御家族の方が、各医療機関ごとの治療実績だとか、特に年齢階級別も含めて、安全性に関するデータを参考にして、御自身で医療機関を選択していただくというのは、大変重要なことだと思っておりまして、情報提供に関する充実に向けて、様々検討をさせていただいているところでございます。
 現在やっている取組といたしましては、今年の6月に日本医師会様ですとか、あるいは関係学会のほうに事務連絡を出させていただいて、情報提供を積極的にしていただくように、依頼をさせていただいているところです。
 また、内容につきましても、より患者様の参考になるような情報提供ができるように、その在り方については、現在も子供家庭研究の中で研究をいただいておりますけれども、引き続き、続けてまいりたいと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 永瀬委員、よろしいですか。
○永瀬委員
 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 統計調査については、いかがでしょうか。
○小塩会長
 事務局、どうでしょう。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 今、こども家庭庁から御説明がありましたように、56ページにありますような項目の中で取り組んでいくことになろうかと思っておりますが、永瀬先生、統計は、具体にどういうものをイメージされているか、もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか。
○永瀬委員
 不妊治療の統計については、以前は助成を受けていた人しか分からないと。現在は、保険適用の方しか分からないので比較ができないということなのですけれども、しかし、もう少し幅広く医療機関や患者を対象に調査をすれば、どういう変化が起きて、どういう課題があるのか、なぜ、これほど遅い時期に治療が始まっているのかということなどについても、保険の在り方とか情報提供の在り方で、何か改善ができるものがないのかなということです。
○小塩会長
 どうぞ。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 前半の全体像ということで、先ほど御説明いたしましたように、学会のほうにおけるデータというのは、助成事業であろうかとか、保険であろうかということにかかわらず、全体のものを把握いただいておりますので、その集計には一定の時間を要しますので、学会の御協力を得ながら、この間の状況がどうなったかということにつきましては、比較が可能かなと思っております。
 一方で、先生がおっしゃいます後者の理由というところに関しては、統計というよりも、やはり、そういったものは個々の患者さんの状態というものに関して言うと、網羅的に把握というのはなかなか難しいので、やはり一定程度そういったものは研究事業等で把握するとか、それぞれの患者団体の方々のアンケート調査を活用させていただくとか、そういった取組になるのではないかと思っております。
○永瀬委員
 ありがとうございます。
 24年の8月にデータが出ると参考資料に、学会のほうから書いてありましたので、それを期待したいと思います。
 また、こうした研究事業が増えるとよろしいなと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 まず、論点の○の1つ目の影響についてということですけれども、私が少し見聞きした中で、始まったばかりだということもありますが、保険診療にあって、保険適用にならない技術に関しては、先進医療については、併せてできるということですが、それ以外については、全額が混合診療扱いになってしまって、保険から外されるということについて、まだまだ合理化が進まなくて、不満を訴える方がいらっしゃるとお聞きしています。この辺は、多分、相談支援事業とかコーディネーター事業がしっかりしていけば解決する問題だと思いますので、その辺のことについては、さらにしっかり対応していただければということで、要望として1つ挙げさせていただきます。
 もう一つ、3つ目の保存期間の取扱いについては、今の立てつけで言えば、保険適用からなった3年間を認めるけれども、それ以前に凍結したものについても認めていくとなると、3年後には、4年、5年たったものの凍結に対しても、一定程度の安全性がある程度担保できることになるかと思いますので、それは学会の御報告もいただきながら、期間を延ばすことも前向きに取り組んでいただければいいかなと思います。
 1点質問なのですけれども、私は門外漢で分からないので、64ページに、一方で、小児AYA世代の妊孕性温存療法の中で、未受精卵凍結になるかと思うのですけれども、この凍結に関しては、当然小児AYA世代の温存療法ということですから、もうかなり長期にわたっての凍結療法になるかと思います。
 これの安全性と胚凍結の安全性がかなり大きく違うのか、その辺が技術的にかなり高度なもので、しかも安全性を、現状では3年しか担保できなくて、一方で未受精卵は、長期の安全性が確認されているのか、それについて何か事務局、御存じのことがあれば、教えていただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 池端委員から御質問がございましたが、事務局いかがでしょうか。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 こちらに関しましては、出典のところに書いてありましたけれども、健康・生活衛生局のほうの取組の事業ということで、大変申し訳ございませんが、今、お答えできるものを持ち合わせておりませんので、また、改めて検討させていただければと思っております。
 以上でございます。
○池端委員
 ありがとうございました。よろしくお願いします。
○小塩会長
 よろしくお願いいたします。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいですか。永瀬委員、お願いいたします。
○永瀬委員
 すみません、追加で、申し上げ忘れましたけれども、40歳未満であると、9回まで累積出生が増えたという統計があったのかなと思いますので、この辺も医学的によく検討していただいて、要望の強い回数制限をどうすべきか、特に若い世代において考えるべきなのかなと思いましたので、その点を御検討していただければと思います。
 私は、もちろん医者ではございませんので、皆様によく御検討いただいて、よろしいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 分かりました。
 ほかはよろしいですか。
 本日も不妊治療について、委員の先生方からいろいろ御意見、それからデータ整備とか情報公開に関する御要望もいただきました。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「歯科医療(その2)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○小嶺歯科医療管理官
 事務局、歯科医療管理官でございます。
 資料総-2の歯科医療(その2)を御覧ください。要点を絞って御説明させていただきます。
 先日の令和5年7月12日、歯科医療(その1)でお示ししたテーマのうち、本日は、資料の2ページ目の2から5の4つのテーマについて御議論いただきたいと思います。
 最初は、1番目、歯科医療の現状について御紹介をしております。
 3ページ目、4ページ目は、7月12日の歯科医療(その1)の議論における主な御意見をお示ししております。
 本日の議論に関連する部分につきまして、赤枠で囲っております。
 5ページ目、6ページ目は、前回の議論の後、10月4日に公表された医政局で開催された歯科医療提供体制等に関する検討会の中間取りまとめ案の概要をお示ししております。
 6ページ目の赤枠で囲っている部分が、本日の議論に関連する部分となっております。
 続きまして、7ページ目からが、病院における歯科の機能に係る評価についてです。
 11ページ目、地域歯科診療支援病院支援病歯科初診料の施設基準をお示ししております。
 人員配置基準のほか、赤の下線部分が紹介率と手術の実施件数、緑の下線部分が、歯科診療特別対応加算の算定患者数、青の下線部分が周術期等口腔機能管理に関する要件、これらのいずれかを満たすことが必要となっております。
 12ページ目は、一般病棟入院基本料を算定している病院の病床数ごとの歯科標榜の割合をお示ししており、全体では13.6%となっております。
 また、13ページ目は、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している病院の歯科標榜の割合で、全体では22.9%となっております。
 14ページ目は、歯科医療(その1)でもお出ししましたが、病院で求められている歯科医療のイメージです。
 回復期医療から慢性期医療においては、リハビリテーションや栄養と連携して、口腔機能の回復を行うための歯科医療を提供することが重要であると考えております。
 15ページ目から18ページ目までは、これまでにもお示ししておりますけれども、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟では、低栄養や摂食嚥下機能に問題のある患者さんが一定数いらっしゃり、リハビリテーションや栄養管理とともに口腔管理を行うことも必要であると考えております。
 一方で、19ページ目にお示ししますように、病棟における多職種連携の中で、歯科の専門職の関わりは、まだまだ少ないという状況になっております。
 20ページは、19ページの多職種連携の取組の状況を急性期と回復期、それから歯科標榜の有無に分けてお示しをしております。
 急性期回復とともに歯科標榜がある方が歯科の専門職の関与の割合は高いということ、急性期と回復期を見ると、回復期のほうがやや関与の割合が高いという傾向が見えております。
 続きまして、21ページ、22ページは、回復期リハビリテーション病棟に入院する患者さんの口腔の状況について、お示ししております。
 21ページ目、高齢患者の約8割に何らかの口腔機能の障害が認められるといったことが出ております。
 また、22ページ目、実際の歯科治療としても義歯修理や製作の割合が高くなっているという状況でございます。
 23ページ目、24ページ目は、リハビリテーションを行う患者の口腔の状況と、FIMなどの関係に関する研究の結果をお示ししております。
 また、23ページにありますように、口腔状態や摂食嚥下、咀嚼嚥下、そして栄養状態の改善を通して、間接的にADLの改善等につながると考えられるといったことが示されております。
 25ページ目は、実際の回復期リハビリテーション病院における口腔管理の取組の事例をお示ししております。
 続きまして、医科歯科連携、医歯薬連携について、資料をお出ししております。
 27ページ目からは、周術期と口腔機能管理の状況です。
 少し飛びまして、31ページですけれども、周術期と口腔機能管理の依頼の元の診療科の状況をお示ししております。病院によって幅広く、様々な診療科から依頼をされており、その傾向は病院によって異なるという状況になっております。
 32ページ目、急性期脳卒中に対する早期リハビリテーションに関する内容になっております。近年、33ページにございますように、多職種連携のもと、脳卒中早期に歯科が介入することの必要性も示されているところです。
 また、34ページにありますように、急性期脳梗塞に対するtPA静注療法が行われるようになり、急性期脳卒中でも手術を行わない場合がありますが、現状では35ページにありますように、周術期等口腔機能の管理の(I)と(Ⅱ)は、手術を行う患者さんが対象であり、(Ⅲ)は、放射線治療、化学療法、緩和ケアを行う患者さんが対象となっております。
 36ページ目は、周術期等口腔機能管理の中の歯科疾患に関する内容をお示ししております。周術期等口腔機能管理は、歯科疾患を有する患者も対象としており、36ページ目では歯科疾患に関連する手術の算定状況をお示ししております。
 37ページ目、周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)の算定状況をお示ししております。
 入院中または外来により対応を行う緩和ケアの患者さんに対する口腔管理、口腔衛生管理は、この周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)や、38ページにお示ししている周術期等口腔衛生処置で評価をされております。
 39ページ目、40ページ目は、先日の在宅医療の際にお示しした終末期がん患者に対する口腔管理の必要性などに関する資料となっております。
 41ページ目からは、糖尿病に関する医科歯科連携の資料となっております。
 43ページ目、糖尿病患者の口腔状態について、糖尿病患者の約32%で歯肉の腫脹の既往があることや、定期的な歯科受診がないものが約57%であるといったことが報告されております。
 44ページ目は、本年改訂をされた糖尿病患者に対する歯周治療ガイドラインを抜粋したものをお示ししております。
 46ページ目、医科の医療機関から歯科医療機関への診療情報提供や共有の状況をお示ししたデータでございます。
 医科からの診療情報の提供がありと回答した歯科医療機関は約4割で、その内容は薬剤性顎骨壊死等の原因となる薬剤に関するものが最も多くなっております。
 48ページ、ビスホスホネート関連顎骨壊死の患者数の状況をお示ししております。近年増加傾向にあります。
 49ページ目、薬剤関連顎骨壊死の管理に関しまして、関連学会のポジションペーパーが本年改訂され、その新しいバージョンでは医歯薬連携のもとで口腔管理の必要性があるということが明記されました。
 続きまして、51ページ目からライフステージに応じた口腔の管理についてです。
 53ページ、54ページには、小児口腔機能管理料に関する内容、55ページに具体的な管理に関する考え方などをお示ししております。
 療養上必要な指導として、小児口腔機能管理料として評価がされておりますが、右側の箱にありますように、実際には指導管理だけではなくて、訓練に関する内容も含まれております。
 56ページから58ページは、高齢者の口腔機能管理に関する内容で、58ページにありますように、これも小児口腔機能管理料と同じように、訓練も含まれた内容で評価をしております。
 59ページ、60ページは、口腔機能の評価に関する検査の実施状況をお示ししております。いずれの検査も算定回数はまだ少ないですが、算定回数は増加傾向となっております。
 続きまして、61ページ目からが障害者、有病者、認知症の人への歯科医療に関する資料となっております。
 63ページ目に障害児者に対する歯科治療の実施状況をお示ししております。行っていないという方が最も多くて33.8%となっておりますが、その理由として依頼がないというのが最も多く、続いて急変時の対応に不安があるとか、人材の確保が困難といったような理由が挙げられております。
 66ページには、歯科診療特別対応加算の算定状況をお示ししております。算定状況は、令和2年に一旦減少しておりますが、その後増加傾向となっております。また、約半数は外来診療で算定されている状況となっております。
 続いて、67ページは、歯科診療特別対応加算を算定した患者の状況、それから68ページは医療的ケア児に対する歯科診療の状況等をお示ししております。
 72ページは、強度行動障害の患者さんなどに対する歯科治療を行う際、不適応行動を示す患者さんへ用いられる行動変容法の例などをお示ししております。
 73ページ目に、行動変容療法などを用いた場合の評価となっている初診時歯科診療導入加算の算定状況をお示ししております。1年以内に再診があるという回数が最も多いのは1回となっておりますけれども、それ以上の複数回の方も多く、13回以上という方も一定数あるという状況でした。
 74ページ目からが、診療情報提供料の資料になっており、74ページが歯科点数表、75ページが医科点数表における診療情報提供料(I)の評価をお示ししております。医科点数表では、学校等への情報提供が評価されているけれども、歯科点数表では評価されていないという現状になっております。一方で、76ページにありますように、歯科医療機関から学校等へ情報提供を行うケースというのも一定数あるということをお示ししております。
 続きまして、77ページ目からが、認知症の方に対する歯科治療に関連する資料となっております。
 79ページに、認知症の方に対する歯科治療の口腔管理の状態等を書いてありますけれども、認知症が重度になると口腔清掃が自立困難になる方の割合が多くなり、口腔ケアを拒否するといった方の割合も大きくなるということをお示ししております。
 80ページ目には、認知症の人への歯科治療ガイドラインの抜粋をお示ししております。
認知症の方に対する歯科診療報酬上の評価は、81ページの在宅療養支援歯科診療所の施設基準の中に研修内容として含まれているというのがございますが、82ページの歯科治療上の医学管理で評価したものはないというのが現状でございます。
 以上、83ページ、84ページは、これまでお示しした資料から現状と課題をまとめております。
 85ページ目に論点を記載させていただいております。
 論点は、病院における歯科の機能に係る評価について、回復期医療、慢性期医療を担う病院における口腔管理の評価などに関する内容、医科歯科連携、医歯薬連携については周術期と口腔機能管理の対象患者に関する評価等に係る内容、ライフステージに応じた口腔機能管理については口腔機能の指導管理と訓練の評価に関する内容、障害者・有病者・認知症の人への歯科医療については歯科治療が困難な患者等に対する評価などに関する内容などについて、それぞれ、こちらの記載のように論点を示しております。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 総-2の85ページの歯科医療の論点に沿って、コメントと要望をさせていただきます。少し長くなりますが、御容赦ください。
 また、小塩会長におかれましては、後ほど田村専門委員にも発言の機会をいただきますよう、御配慮をよろしくお願いいたします。
 まず、病院における歯科の機能に係る評価でございますが、論点の1つ目と2つ目の○につきまして、回復期医療及び慢性期医療を担う病院における口腔健康管理の推進は、非常に重要な視点と考えております。
 また、令和6年度は、介護との同時改定でございまして、リハ・口腔・栄養が一体的に実施されることが、柱の1つになっていると認識しております。
 13ページの資料ですが、回リハ病棟入院料を算定している病院の歯科標榜の割合は22.9%と少なく、19ページの病棟における多職種連携の取組状況を見ても、やはり歯科専門職の関与はまだまだ少ない実態が示されております。
 その中でも、20ページを見ると、歯科標榜のある、なしで差はあるものの、急性期と比較すれば、回復期病棟のほうが専門職関与の割合が高いデータがあります。
 21ページ、22ページの資料から入院中の高齢者のほとんどに、何らかの口腔機能の障害が認められ、治療のニーズとして最も多い義歯の修理や製作は、口腔機能の回復や向上に大きく関わり、口から食べるということを支える上で非常に重要でございます。
 また、24ページの資料では、歯科専門職による口腔管理による口腔状態やそしゃく嚥下、栄養状態の改善が、間接的にADLや認知レベル、栄養状態の改善に効果があったことが示されており、リハ、栄養と、それから口腔の一体的な取組を進めることは必須であると思っております。
 入院患者に対する医科歯科連携は、主に急性期の手術を行う患者等を対象とした周術期等口腔機能管理が評価されておりますが、回復期、慢性期病棟に入院する患者に対する口腔管理を評価する仕組みも必要でございます。
 事務局におかれましては、回復期、慢性期病棟に入院する患者に対する口腔管理の評価を検討するに当たり、退院時の口腔に関する情報の連携や、地域の歯科診療所との連携も含めて、検討をよろしくお願いいたします。
 さらに、このような取組を推進する上で、病院側の評価も重要な視点と考えております。
 歯科標榜のある病院の評価として、地域歯科診療支援病院歯科初診料がありますが、現在の施設基準では、回復期入院患者等の口腔管理を中心に行う病院歯科では、満たすことができません。この点に関しましても、御検討をよろしくお願いいたします。
 次に、医科歯科連携、医歯薬連携ですが、1つ目の○でございます。周術期と口腔機能管理につきましては、資料35ページに記載されておりますように、対象は主に手術を行う患者であり、手術を行わない急性期の脳卒中等の患者は対象にはなっておりません。
 しかし、早期からの口腔管理の開始は、誤嚥性肺炎予防の観点からも非常に重要でございますので、周術期等の口腔機能管理の対象患者につきまして、整理をお願いしたく思っております。
 論点の後半にございます、抜歯等の歯科疾患処置のみのケースにつきましては、一律に不適切というわけではなく、個々の患者さんの基礎疾患等の状況に応じた対応ができるよう、御配慮をお願いしたく思っております。
 2つ目の○でございます。終末期がん患者さんや緩和ケアなど人生最終段階におきましても、歯科の関わりが重要なことは、先日の在宅の際にも御議論をいただき、多くの御意見をいただきました。
 終末期がん患者さんなど、緩和ケア病棟で過ごされる方に対して、病院歯科の歯科医師や歯科衛生士が周術期等口腔機能管理の評価の中で、口腔管理を行うこともございます。
 歯科専門職の関わり方は、在宅医療でも、また、入院中の患者さんでも同様でございますので、必要な歯科医療を提供できるよう、御検討をよろしくお願いいたします。
 3つ目の○でございますが、糖尿病患者における医科歯科連携につきましては、既にその有効性は明らかになっております。
 44ページの日本歯周病学会から出されているガイドラインに記載のとおり、血糖コントロールが不良な糖尿病は、歯周病の危険因子であることから、糖尿病の状態を把握することは、歯周病の治療においても非常に重要でございます。
 また、歯周病の重症化予防の観点では、歯周病安定期治療の間隔を短くすることが推奨されております。
 45ページの一番下にありますように、現在の歯周病安定期治療の評価でも、必要な場合は、月1回の算定が可能となっておりますが、糖尿病患者に関する考え方が必ずしも明確ではございません。
 医科歯科連携のもとに、糖尿病等の状態に応じた必要な歯周病の管理や処置が実施できるよう、適切な評価をお願いしたく思っております。
 加えまして、50ページに示されております、診療情報共有料の算定状況からも、まだまだ連携に課題が多いと考えておりますので、かかりつけ医と、かかりつけ歯科医による連携がより進むよう、医科歯科両方の観点から検討をお願いいたします。
 4つ目の○ですが、資料の49ページに記載の今回改訂されましたポジションペーパーでは、原則として抜歯時に休薬しないことが提案されておりまして、医科での投薬が始まる前の早期の段階からの情報連携が重要であると考えております。
 また、薬剤の副作用につきましては、かかりつけ薬剤師から患者さんに説明の上、必要に応じた歯科受診の重要性等を加えて説明いただくことなども考えられます。
 近年、歯科治療を行う上で、医科歯科連携のみならず、医歯薬連携がより重要になっていると感じておりますので、患者さんにとって、より安全な歯科医療が提供できるよう、体制の整備をお願いいたしたく思っております。
 次に、ライフステージに応じた口腔機能の管理です。
 今回示されております、小児口腔機能管理や口腔機能管理につきましては、平成30年に管理料加算として新設され、知見や実績が積み重ねられております。しかしながら、まだまだ実施が少ないのが実態でございます。
 その1つとして、口腔機能訓練には時間がかかることや、内容によって歯科衛生士が担当することもあり、時間的にも人的にもコストがかかるにもかかわらず、管理と機能訓練が包括された管理料で、評価も十分とは言えないということがあるかと思っております。
 また、関連する検査の算定頻度が6月に1回となっており、こちらも十分な評価とは言えません。
 したがいまして、論点1つ目の○にありますように、実態に合わせて指導管理と訓練を切り離して、それぞれ評価することに賛同いたしたく思っております。
 また、2つ目の○につきまして、現在、小児口腔機能管理におきましては、舌圧検査が対象とはなっておりませんが、既に臨床現場では活用されておりまして、各検査の算定要件や評価が必ずしも十分でないものがあるとは考えておりますので、口腔機能の管理に必要な検査を適切に行う、そういったことができるように検討をお願いいたします。
 最後に障害者、有病者、認知症の人への歯科治療でございますが、論点1つ目の○、著しく歯科治療が困難な患者や、歯科治療提供環境への適応が困難な患者さんに対しては、67ページの検証結果にもありますように、対応が難しいことも多い中、障害の程度や、その日の患者の状態などを踏まえて、極めて丁寧に対応しております。
 しかし、これらの対応には、歯科衛生士等の複数のスタッフが必要だったり、頻回の治療により時間がかかったり、また、現行の歯科診療特別対応加算の要件に該当しない場合があったりと、現在、十分に評価がなされているとは言えません。
 また、72ページにあるような行動変容法を行っても、評価としては、初診時のみで実態に即しているとは言えません。強度行動障害の患者さんを含め、障害を有する患者さんや歯科治療の受入れが困難な患者さんに対しましても、適切な歯科治療や口腔の管理を行うことができますよう、実態に即した評価を検討いただくよう、お願いいたします。
 また、医療的ケア児等につきまして、学校等に対する情報提供の評価に関しましては、歯科医療(その1)の際に、田村専門委員からも発言がありましたが、学校において安全に食事をとるために、歯科医師からの口腔機能等に関する情報提供は重要でございまして、必要な評価だと考えております。
 論点最後の2つ目の○、認知症についてでございます。
 かかりつけ歯科医が日常の診療を行う中で、患者さんの口腔状況や受診行動の変化などを通じて、認知症が疑われる場合もございまして、かかりつけ医や認知症患者の支援に関わる関係者との連携は、歯科診療所において重要でございます。
 また、認知症の方は、歯科治療や口腔管理に対する受入れの程度が様々であり、認知症の進行に伴い、変化していくため、歯科治療や口腔管理を行うに当たり、かかりつけ医など関係者との連携は非常に重要でございます。
 関係者との連携のもと、かかりつけ歯科医による認知症への歯科治療や口腔管理が適切に行われるよう、必要な評価について御検討いただきたく要望いたします。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点に示されている医歯薬連携についてですが、薬局では患者が服用している医薬品情報だけでなく、副作用歴やアレルギー歴といった患者情報を管理しており、中には、歯科でよく行われる局所麻酔薬へのアレルギーなどの情報も薬局では確認、管理をしています。
 そのような情報だけでなく、お薬手帳などを活用することで、他の医療機関で投与されている薬剤の情報も含めて、歯科医療機関と薬局との連携を行っていますが、近年、歯科医から服薬情報等に関する問い合わせが直接来ることも増加しています。
 特に、ビスフォスフォネート系薬剤などの骨代謝改善に影響を与える薬剤については、歯科治療との関係で注意が必要な薬剤であり、また、顎骨壊死のように、重篤な副作用を回避するためにも、歯科との連携がとても重要になります。
 また、薬剤師は糖尿病患者に服用薬や副作用に関する指導以外に、シックデイのときの対応や、フットケア、定期的な眼科受診の重要性などの指導をしていますが、歯周病予防や医療計画でも位置づけられている歯科受診勧奨の取組が重要になってきます。
 特に糖尿病の患者における医歯薬での連携が不可欠で、医歯薬連携のもとでの治療、口腔管理等を進めることが重要だと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、いかがでしょうか。
池端においてが上がっております。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私は85ページの最初の論点、病院における歯科の機能に係る評価について、コメントをさせていただきます。
 ここにもありますように、リハ、栄養、口腔の一体的な取組の推進という観点からも、回復期医療、慢性期医療を担う病院においての口腔管理の評価は非常に重要だということは、当然のことだと思います。
 一方で、資料にもありますように、歯科を標榜している回復期、慢性期の病院は、まだまだ少ないことと、現在行われているのが、やはり義歯治療が中心になってしまっているという現状もあります。
 一方で、これも資料にお示ししてありますように、長崎リハビリテーション病院等のように、歯科衛生士等をしっかり配置して、STとともに口腔ケアをしっかりやっているところも、先進的な例として、どんどん進んでいることも確かだと思います。
 ですから、ここの連携をさらに進めるためにも、今、林委員からもありましたように、歯科診療所との連携とともに、病院側からもそういう連携がスムーズに進むような一体的な体制整備、あるいは一体的な評価ということも非常に重要だと思いますので、回復期、慢性期の病院の立場からも、ぜひこれを推進していただきたいと思っています。
 一応コメントをさせていただきます。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 いかがでしょうか、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、85ページの論点に従いまして、コメントをしたいと思います。
 まず、最初の病院における歯科の機能についてでございますけれども、資料の13ページを見ますと、回復期リハ病棟を有する病院で、歯科を標榜する割合は、2割程度にとどまっております。
 一方、資料の21ページを見ますと、回復期リハ病棟に入院する高齢者の約8割に何らかの口腔機能障害があることが分かります。
 また、資料の24ページに目を転じますと、歯科の専門職による介入によって間接的にADLが改善することが理解できます。
 したがいまして、病院の歯科機能を強化するために、地域歯科診療支援病院歯科初診料の施設基準を見直す方向で進めていただきたいと思います。
 ただ、今回、論点には回復期医療、慢性期医療を担う病院と書いてあるのですが、少し慢性期に関する議論をするためのエビデンスが不足しているように思いますので、そういったエビデンスについても準備をいただきたいと思います。
 続きまして、医科歯科連携、医歯薬連携についてでございますが、周術期口腔機能管理については、資料の35ページを見ますと、脳卒中等で手術を行わない急性期の患者が対象外となっているということですが、資料の33ページにありますとおり、誤嚥性肺炎等を予防するために、早期に歯科が介入する重要性が示されておりますので、算定対象とする方向で検討をいただきたいと思います。
 一方で、資料の36ページを見ますと、赤字になっております、歯科疾患を有する患者が現行では対象になっておりますけれども、抜歯などの予定された歯科の手術については、外来で既に管理されていることを踏まえると、これについては、算定対象から除外すべきと考えます。
 さらに、39ページ以降に示されております、終末期がんの口腔衛生処置や糖尿病患者の歯周病治療、薬剤の副作用等に関する連携については、いずれも推進すべきだと考えております。
 続きまして、3つ目のライフステージに応じた口腔機能の管理についてでございますが、資料の53ページ以降の小児を含みます、口腔機能管理料については、指導管理だけではなく、口腔機能訓練も実施しているという実態があるということですので、指導管理と訓練に評価を分けることもあり得るとは考えます。
 ただ、これまでと同じことを実施しているにもかかわらず、評価を単純に上げるということにならないように注意すべきと考えます。
 続きまして、資料の59ページから60ページにございます、口腔機能検査についてでございますが、必要な患者に検査が実施されていないということであれば、算定対象を拡大することは結構ですけれども、安易に検査が実施されることにならないよう、適切な要件の設定をお願いしたいと思います。
 最後に、障害者、有病者、認知症の人への歯科医療でございますが、初診時歯科診療導入加算については、資料の73ページの一番右のグラフを見ますと、1年以内の再診が一定数あり、13回以上というものもございます。
 例えば、障害児などが徐々に歯科治療に慣れていくために、複数回の対応が必要ということであれば、再診時の評価も考えられますけれども、円滑な導入を評価する趣旨を踏まえますと、算定期間や算定回数には、ある程度の制限が必要だと考えます。
 医療的ケア児に関する学校への情報提供については、76ページに記載のあるニーズを踏まえ、診療情報提供料の対象とすることには、十分理解をしております。
 認知症患者については、資料の80ページのとおり、主治医をはじめとした医療従事者や家族、介護職等との連携をし、全身の状態を把握した上で、歯科診療を行うということであれば、総合医療管理加算の対象とすることは理解できますので、適切な要件の設定をお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 林委員、お願いします。
○林委員
 ありがとうございます。
 ただいま36ページの資料に沿って、周術期等口腔機能管理に関しまして、松本委員のほうから抜歯など、算定対象から除外すべきということがございましたが、抜歯等の要件を絞るということに関しましては理解しておりますが、その中でも必要性が考えられる患者さんに資するケースもございまして、実態に合わせて適切な評価はしていくべきだと考えております。
 それから、口腔機能の管理の評価のところでございますが、これも先ほど述べましたように、様々な機能訓練も含んでおりまして、現在も、そもそも低過ぎるものだと考えております。
 資料の55ページ、それから、58ページにございますように、平成30年に収載された当時の基本的な考え方にはなかった内容が、令和2年度の改定で追記されております。訓練の内容は当初より充実してきているものと考えております。
 また、検査に関しましても必要な患者さんに的確に実施することも含めて、しっかりと推進に向けて評価していただきたいと思っております。
 それから、障害児者の患者さんに対してなのですけれども、算定回数、こういった初診時歯科診療導入加算の拡大に関しては賛同いただきましたが、算定回数を制限ということでございますが、歯科医療提供の場での適用は、本当にそういった患者さん像に関しましては、日によって異なっておりまして、再診時にでも極めて丁寧な対応が必要と考えております。
 ある程度制限するということは、なじまないのではないかと思っておりますので、評価のほど、よろしくお願いしたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 リハビリ系統の患者に対する口腔管理の効果と、その重要性の説明がありました。周術期も含めて、病棟における口腔管理は、引き続き推進していくべきだと考えておりますし、退院によって地域に戻ったときも、引き続き口腔管理に注意が払われるように、情報共有など医科歯科連携が徹底されるよう推進されていくことを要望したいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 医療、介護、障害連携、あと薬剤など、今回のトリプル改定のタイミングをうまく押さえまして、各サービス間の連携を強く促進する改定としていただきたいと、改めて申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、一通り委員の方々の御意見を伺いました。
 先ほど林委員から、田村専門委員の意見も伺ってはどうかという御提案がございましたので、田村専門委員、お願いいたします。
○田村専門委員
 ありがとうございます。
 歯科医療の課題について、追加で幾つか発言をさせていただきます。
 初めに「4.ライフステージに応じた口腔機能の管理」についてです。
 小児の口腔機能発達の不全に対しては、口腔機能発達不全症、壮年期から高齢期での口腔機能低下に対しては、口腔機能低下症で口腔機能管理指導を行っております。
 先ほどの御説明にもありますように、機能の改善、向上を目的に、機能訓練の実施が必要な例も多くあります。
 これらの管理が新規収載された当初に比べ、現在では、訓練法のエビデンスも集積されてきており、効果的な口腔リハビリテーションの実施が求められます。
 管理や指導を行うための評価項目が比較的多いため、それなりの時間がかかりますが、訓練を行う場合には、より多くの時間を要するため、それに応じた診療報酬上の評価を御検討いただきたく思います。
 また、60ページには、口唇閉鎖力検査、舌圧検査について示されています。
 現在、口唇閉鎖力検査は小児のみ、舌圧検査は高齢者のみに認められていますが、口唇機能も舌機能も、小児、高齢者のいずれにとっても重要な機能であり、訓練によって改善するというデータも出ております。
 小児、高齢者にかかわらず、必要な検査を実施し、検査結果に基づいた口腔機能管理や訓練の評価を行うことができるよう、各検査の対象者について御検討いただきたく思います。
 また、検査の間隔について、口唇閉鎖力検査は現在3か月に1回の実施となっていますが、より効果判定を行いやすい実施回数の設定を御考慮いただければと思います。
 次に「5.障害者・有病者・認知症の人への歯科医療」についてです。
 62ページ、67、68、69ページ等にありますように、障害のある方は、様々な理由で歯科診療を受療することが困難となります。
 63ページに、障害児者に歯科診療を行っていない理由として「依頼がない」が最も多い結果となっていますが、実際のところ、障害のある人への歯科診療は、かなり専門性が高いため、特別な対応が可能な診療所が受け持っていると考えられます。
 10月27日の在宅の資料でもありますように、医療的ケア児や重症心身障害児者では、医学的重症度に応じた対応が求められます。
 また、今回の資料の70、71ページのような、強度行動障害のある患者さんでは、72ページに示されている行動変容法が必要なケースも多く、これらも専門性のある対応が必要となってきます。
 73ページには、初診時歯科診療導入加算の算定回数は1回が最も多いと示されていますが、残りは複数回の診療を行っており、現実には歯科診療の継続が必要な患者さんのほうが多くなっています。
 実際の診療に入る前からを含め、行動変容法を用いて歯科診療を行うことは、通常の診療より数倍の時間と手間がかかります。対応方法に応じた評価を御検討いただければと思います。
 最後に、歯科医療機関から学校等への診療情報提供についてですが、以前の歯科医療(その1)の議論の際にもお伝えさせていただいたところですが、医療的ケア児が保育や教育を受ける機関において、子供たちが安全に過ごすために、口腔機能や摂食嚥下機能、また、口腔ケアに関する情報は欠かせないと考えております。
 これまでも学校等から要望も多くございますが、歯科医療機関から学校等への診療情報提供を行えるよう御検討をお願いいたします。
 以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 安川委員、お願いいたします。
○安川委員
 ありがとうございます。
 先ほど田村専門委員からも御紹介、御発言がありましたように、障害児の方たちに対する口腔ケア、歯科への関与というのは大変だろうと思います。時間もかかりますし、何より専門性が高いということは、大変よく理解できるところであります。
 63ページのグラフに示されています、依頼がないというのも、先ほど田村専門委員が御紹介いただいたように、恐らく単なる依頼ということではなくて、非常に専門性が高い上にゆえに、そういった専門性を持っている委員あるいは専門家に偏って依頼が行っているということなのだろうと、私も想像いたします。
 ただ、障害者を持った方、発達障害であったりといった方たちに対する口腔ケアは、とても大切であるということであれば、具体的に障害を持った方に対する口腔ケアが、具体的に何によって妨げられているのかということを明らかにして、その上で、その障害を取り除くためには、診療報酬上の手当が必要なのか、それ以外のアプローチが必要なのかということを、今後、精査していく必要があるのかなと感じました。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、ほかに御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりといたします。
 本件につきましても、いろいろな御意見をいただきました。今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 それでは、続きまして「診療報酬改定の後ろ倒しを踏まえた歯科用貴金属の随時改定について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○小嶺歯科医療管理官
 事務局、歯科医療管理官でございます。資料総-3を御覧ください。
 本年8月2日の中医協総会において、令和6年度診療報酬改定の施行を6月1日に後ろ倒しするということで御了解いただきました。
 それに伴って歯科用貴金属の随時改定の時期の考え方について、整理をいたしましたので御説明させていただきます。
 2ページ目は、現在の歯科用貴金属の随時改定のルールをお示ししたものです。
 3ページ目に、歯科用貴金属材料の基準材料価格の改定に関する考え方と計算式をお示ししております。
 2年に一度の診療報酬改定時、これまでは4月については、1の式に基づいて、それからその後3か月ごとに2の式に基づいて随時改定を行っております。
 5ページ目を御覧ください。
 令和6年度診療報酬改定が6月1日施行になることに伴い、診療報酬改定時の材料価格基準改定が6月になる場合、3ページにお示ししている現行のルールに従うと、令和6年1月の随時改定の後、3か月後の4月に随時改定を行うことが必要になります。
 また、その場合、令和6年度の材料価格基準の計算に用いる平均素材価格の対象期間は、令和6年2月と3月、5ページの緑の矢印でお示ししているところですけれども、そこになります。それで、告示の公布は5月となります。
 これらを踏まえまして、6ページ目に論点をお示ししております。
 論点1つ目、令和6年4月の随時改定を行うとともに、令和6年6月適用の歯科用貴金属材料価格の告示については、令和6年5月に交付することとしてはどうか。
 論点の2つ目、令和6年6月1日施行後の随時改定については、6月を起点に3か月ごとの随時改定を行うことにしてはどうかということでございます。
 御説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 6ページの論点につきまして発言いたします。
 診療報酬改定DXの議論の際に、改定時期が2か月後ろ倒しになるということで、今後、付随する問題点を早期に洗い出し、医療の現場に混乱がないようにしっかりと周知いただきたい旨お願いいたしました。
 歯科用貴金属の随時改定につきましても、その1つでございまして、今回示されております論点1つ目、それから2つ目の記載の事務局案は、妥当と考えて賛同したく思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかに御質問等ございますでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 論点示されている方向性でございますが、診療報酬改定時期の後ろ倒しに伴う見直しということでございますので、異論はございません。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか、よろしいでしょうか。
 ほかには、特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりといたします。
 今後事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 それでは、次の議題に移ります。
 「歯科用貴金属価格の随時改定について」を議題といたします。本件は報告事項です。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○小嶺歯科医療管理官
 事務局、歯科医療管理官でございます。資料総-4を用いまして、歯科用貴金属の随時改定について御報告いたします。
 今回は、令和6年1月の告示価格案について御報告いたします。
 2ページ目を御覧ください。
 表の上段④のXの期間の記載にありますように、令和6年1月の随時改定価格案は、令和5年8月から令和5年10月までの平均素材価格を基に計算を行っております。
 ③に現在の告示価格、⑦に令和6年1月の随時改定の告示価格案をお示ししております。最も多く使用される6番の歯科鋳造用金銀パラジウム合金の告示価格は、現在3,095円、令和6年1月の価格案は3,037円となっております。
 御説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
 それでは、質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
 それで、少し訂正がございます。私、先ほどの3番目の議題で、今後、事務局におかれては、本日いただいた意見を踏まえて、対応していただくようにお願いしますと申し上げましたけれども、本件は、承認事項でございました。それで改めて、委員の方々の御意見を確認したいと思います。
 先ほどの件ですが、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、先ほどの議題の3で説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

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