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2023年11月15日 中央社会保険医療協議会 総会 第564回議事録

○日時

令和5年11月15日(水)薬価専門部会・費用対効果評価専門部会終了後~

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 永瀬伸子委員 本田文子委員 安川文朗委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 太田圭洋委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○高額医薬品に対する対応(とりまとめ)について
○入院(その3)について
○働き方改革(その2)について
○医薬品の新規薬価収載等について
○最適使用推進ガイドラインについて
○費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○在宅自己注射について

 

○議事 

○小塩会長
 それでは、ただいまより、第564回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 合同部会と同様、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、末松委員、岡本専門委員が御欠席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 初めに「高額医薬品に対する対応について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 資料総-1をごらんください。
 9月27日の中医協総会で、レケンビ点滴静注の薬価収載に向けて検討を開始し、具体的な内容は、薬価専門部会と費用対効果評価専門部会で検討し、その結果を基に、総会で議論することとしておりました。
 薬価専門部会と費用対効果専門部会では、それぞれの観点で議論を開始しましたが、双方の検討状況を踏まえた上で、効率的に議論を進めるため、合同部会の形式で検討を進めました。
 薬価専門部会と費用対効果評価専門部会でそれぞれ1回ずつ、合同部会は本日まで4回議論を行い、資料総-1でお示しした内容で取りまとめが了承されたところです。
 ポイントを御説明いたします。
 「1.薬価収載時の対応」です。
 「(1)算定方法及び薬価算定にあたり用いるデータ」において、本剤は通常どおりの算定方法で行うこととし、中医協総会で算定に当たっての考え方を説明することとしております。
 また、総会でも御説明した介護費用に関する内容は、費用対効果評価の枠組みで検討することにしているので後述いたします。
 次に「(2)保険適用上の留意事項」です。
 本剤は、適切な患者選択や投与判断、ARIAという重篤な副作用発現の際の迅速な安全対策等を確保するため、最適使用推進ガイドラインを定めることとしており、それに基づき、必要な内容を留意事項通知で明示するという通常の手続を記載しております。
 2ページ目の囲みは、最適使用推進ガイドラインで、どのような事項を定めることになるのか、概要を示したものですが、より詳細な内容を規定した最適使用推進ガイドライン案は、薬価算定の議論の際に提示させていただきます。
 最適使用推進ガイドラインでは、投与開始時の患者要件、施設要件、投与開始後の継続性の判断等に関してまとめております。
 次に「2.薬価収載後の対応」です。
 「(1)市場拡大再算定」については、通常どおり、市場拡大再算定や四半期再算定を行うこととしていますが、ただし書きで今後の患者数の増加等により市場規模の影響が様々考えられるため、使用実態の変化等が生じた場合において、速やかに中医協総会に報告の上、改めて本剤の薬価・価格調整に関する対応の必要性等について検討することとしております。
 3ページ目の中ほどに、想定される使用実態の変化の例示を示しております。
 また、中医協総会に報告する時期については、上記に記載している変化等で、本剤の薬価・価格調整に関する検討が必要と認められるときのほか、収載から18か月、36か月が経過したとき、以下の4.に基づき必要性が示されたときは該当するものとして、列挙しているところでございます。
 「(2)費用対効果評価」については、費用対効果評価における介護費用の取扱いを議論してきたこと、価格調整の在り方については、制度全体の見直しの中で議論したことに加え、本剤における価格調整範囲の在り方も議論してきたことを記載しております。
 今後の本剤の費用対効果評価の在り方については、特例的な取扱いも含め検討し、薬価収載時までに一定の方向性を示すこととしております。
 次に「3.本剤の薬価の議論」については、中医協総会で議論する際には、通常の算定案や最適使用推進ガイドライン案のほか、留意事項通知案も併せて議論することとし、その際には、先ほどの「2.薬価収載後の対応」が、この記載のとおりでよいか、改めて判断いただくことを考えております。
 最後に「4.その他」については、本剤のようなアルツハイマー型認知症を対象とする抗体医薬品が、別の製造販売業者において開発中であり、そのような製剤が薬価収載される場合には、必要に応じて中医協総会で本剤を含む取扱いを改めて検討することとしております。
 資料の説明は以上になりますが、本日、この取りまとめを了承いただければ、この方針に基づき、薬価算定の作業に進みたいと考えており、薬価算定の御審議の際に、この取りまとめで示した内容の議論ができるように、薬価に加え費用対効果評価の検討を進めた上で準備をさせていただきたいと考えております。
 説明は以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。特に御質問等ございませんので、説明のあった件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 続きまして「入院(その3)について」を議題といたします。
 本議題は、令和5年11月10日の第563回中央社会保険医療協議会総会において、時間の関係で議論できなかった議題となります。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、入院(その3)回復期入院医療につきまして、資料総-2を用いまして御説明をさせていただきたいと思います。
 資料は大部でございますので、簡潔な説明に努めさせていただきます。
 ページをお進みいただきまして、入院関係のデータをお示ししてございます。
 3ページが日本の人口の推移。
 そして、4ページが各入院料の算定する施設数、病床数などでございます。
 5ページ目、地域医療構想、そして6ページ目は病床機能報告制度、そして7ページ目が2022年度病床機能報告についてということをお示ししてございます。
 8ページを御覧ください。
 8ページには、地域医療構想における高度急性期から慢性期の機能、そして右側に、診療報酬の報酬項目で何が該当し得るかということを矢印でお示ししてございまして、今回御議論いただきます地域包括ケア病棟入院料、そして、回復期リハビリテーション病棟入院料につきましても記載されているところでございます。
 特に地域包括ケア病棟入院料に関しましては、急性期機能、回復期機能、そして一部は慢性期機能に該当し得ると矢印が示されているところでございます。
 次に、10ページが医療提供体制の評価に係る診療報酬の改定の過程でございます。
 11ページは「届出病床数の推移について」ということでございまして、平成29年4月と、令和4年7月の病床数の変化を示したものとなります。
 次でございますが、本日、御議論いただきます「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料について」でございます。
 13ページ以降でございますけれども「地域包括ケア病棟入院料の施設基準(イメージ)」となってございまして、14ページから、前回改定の内容をスライドとしてお示ししてございます。
 こちらから19ページ目までが、令和4年度の診療報酬改定の概要でございまして、地域包括ケア病棟につきまして、様々な改正が行われております。
 その後、20ページ以降が経緯でございます。平成16年度の亜急性期入院医療管理料の創設から、累次改定が行われたことをお示ししてございます。
 次に、23ページ目は入院料の届出状況でございますけれども、だんだん増えてきていることを示しているもの。
 そして、24ページでございますが、こちらは病床種別の許可病床数でございますけれども、すみません、ここは資料に一部不備がございまして大変恐縮でございます。2つ帯グラフが並んでおるかと思いますが、上が一般病棟、下が療養病床となってございまして、上の解説の部分でございますけれども、2つ目、許可病床数200以上の医療機関の割合でございます、(赤枠)という括弧がございまして、すみません、下の帯グラフに赤枠を示すのが漏れてございました。
 こちらは、200床以上のところを足しますと、一般病床で14.9%、療養病床で34.4%となってございますが、それぞれ右側の一般病床で申し上げますと、5.8%より右側のところは、赤枠で囲むべきでございまして、療養病床のところでしたら、13.8%より右側のところを赤枠で囲むということが、今回の資料で漏れておりました。申し訳ございませんでした。
 次に、25ページでございます。
 こちらが、地域包括ケア病棟入院料等の届出施設における入院料別の届出病床。
 26ページ目でございますが、ここもコメントをさせていただきます。
 こちらは、過去6月8日の分科会資料でお示ししました、地域包括ケア病棟の平均職員数でございます。
 これは、今回の資料作成の過程で集計誤りがあることが判明いたしまして、6月8日の分科会からお示した資料から修正をしてございます。現在、お示ししているものが修正後となってございまして、今後、6月8日の資料も修正をさせていただく予定としてございます。
 それでは、27ページ、28ページは、これまでの御議論の御紹介でございます。
 それでは、29ページ目以降、地域包括ケア病棟における救急患者の受入れについて御説明をさせていただきます。
 30ページ目は、同時改定に向けた意見交換会でいただいた主な意見でございます。
 1つ目の○にございますように、要介護の高齢者に対する急性期医療は、介護保険施設の医師や地域包括ケア病棟は中心的にない、急性期一般病棟は急性期医療に重点化することで、限られた医療資源を活用すべきである。
 また、地域包括ケア病棟は、まさに在宅支援の病棟であるなどの御意見をいただいたところでございます。
 32ページ目、33ページ目は、近年の救急搬送における傾向でございまして、高齢者の救急搬送人員数が増加していること、中でも軽症・中等症の患者さんが増加しているということをお示しするものでございます。
 次に、36ページ目に進ませていただきます。
 こちらは、地域包括ケア病棟を有する病院の救急の受入れの状況ということでございます。非常にたくさんの救急搬送を受け入れていらっしゃる地域包括ケア病棟入院料を持つ病院もあれば、あまり受け入れていないところもあるところでございました。
 次、38ページ目です。
 地域包括ケア病棟に入棟した患者さんの入棟経路でございまして、救急搬送後、地域包括ケア病棟に直接入棟した患者さんが、全体の5.7%であったというデータでございます。
 次に、40ページに行かせていただきます。
 40ページ目以降が、入棟経路別の患者さんの状態を示してございます。
 40ページ目が傷病の傾向、そして41ページが医療的監視の必要性、そして42ページが診察の頻度・必要性でございます。
 救急搬送後、直接入棟した患者さんは、医療的監視や診察の必要性が高いことが示されているところでございます。
 続きまして、43ページ目以降は、DPCデータ、御提出いただいているデータの解析と結果でございます。
 44ページでは、算定患者さん全てに比較して、緊急入院後の患者、救急搬送後直接入棟の患者は、1人1日当たりの包括範囲の医療資源投入量が多いことを示しているものでございます。
 次に、48ページ目以降が「地域包括ケア病棟における短期滞在手術について」ということでございます。
 49ページ目は、地域包括ケア病棟の施設基準の抜粋でございます。
 重症度、医療・看護必要度の評価におきましては、対象患者から短期滞在手術の対象患者さんを実施した患者さんが除かれておりますけれども、短期滞在、在宅復帰率等の算出におきましては、入棟した患者さん全てが対象になってございます。
 50ページ以降は、DPCデータ、提出していただいたデータを用いた解析を示してございますが、53ページありますように、短期滞在手術基本料3を算定している患者さんが多い地域包括ケア病棟は、算定している患者さんが少ない、地域包括ケア病棟と比較しまして、在宅復帰率が高くなる傾向にあるということでございます。
 次に、56ページ目以降でございます。
 こちらが、入院期間と患者さんの状態について、お示しするものでございまして、59ページ目にございますように、地域包括ケア病棟における包括範囲の1人1日当たりの医療資源投入量は、入院後、徐々に低下するという傾向となっているところでございます。
 61ページ目以降は、重症度、医療・看護必要度についてでございまして、64ページにございますとおり、地域包括ケア病棟における重症度、医療・看護必要度の該当患者さんの割合にはばらつきがあるということでございます。
 次に、66ページ目以降は、地域包括ケア病棟の在宅医療等との連携についてでございます。
 67ページ目で、地域包括ケア病棟の施設基準で求める在宅医療等の実績を示しており、医療保険におけます訪問看護、訪問リハビリテーション等の実績を届出の要件としていることをお示ししてございます。
 ページを進んでいただきまして、75ページ以降でございます。
 現在の施設基準であります、医療保険における訪問看護と訪問リハビリテーションの算定状況の分布に加えまして、介護保険の訪問看護等の算定実績を合わせた場合の分布をお示ししているものでございます。
 次、79ページ目以降が「入退院支援について」ということでございます。
 80ページ目にお示しますように、地域包括ケア病棟入院料管理料の1及び2につきましては、入院退院支援加算1の届出が要件化されているところでございます。
 また、81ページ目にお示しますように、入院退院支援加算1におきましては、連携機関の数が25以上であることが要件とされているところでございます。
 届出状況等を、その後にお示ししてございまして、86ページ目につきまして、御説明をさせていただきます。
 こちらは、地域包括ケア病棟を有し、入院退院支援加算1を届け出ている医療機関における連携機関のうち、介護保険サービス事業所数と障害福祉サービス事業所数の分布を示してございます。
 介護保険サービス事業者に関しましては、連携の数にばらつきあるところでございますけれども、ゼロであるところも14施設ございました。障害福祉サービス事業所に関しましては、大宗がゼロということでございました。
 それでは、次に「回復期リハビリテーション病棟入院料について」の項目に移らせていただきます。
 91ページ目以降でございます。
 まず、92ページ目以降に施設基準などのイメージをお示ししてございます。
 ここには、概要と施設基準、そして、93ページ、94ページ、95ページ目には、前回改定の内容、そして、これまで創設されて以降の経緯、届出病床数の推移などをお示ししてございます。
 101ページ目、102ページ目は、これまでの御議論の御紹介でございまして、中医協総会で御議論いただいた御意見、また、分科会での検討結果の取りまとめ中から、回復期リハビリテーション病棟に関係する部分を抜粋してございます。
 それでは、項目に移っていきます。
 103ページ目からは各論でございますが、まずは「回復期リハビリテーション病棟におけるFIMの測定について」でございます。
 104ページはFIMの概要について、105ページは入退当時のFIMの年次推移でございますが、入棟時のFIMが平成28年から、平成28年というのはアウトカム評価が導入された年でございますが、ここから令和4年まで年々低下している状況をお示ししてございます。
 106ページは、第三者機能評価についての概要でございます。
 107ページは、入院時の日常生活機能評価点数が同一の患者さんにつきまして、第三者評価の認定のない病院と、認定を受けている病院とで比較をすると、認定のない病院のほうが入棟時の運動FIMが低い傾向にあったということを示しているものでございます。
 108ページでございます。第三者評価表の認定のある医療機関では、FIMの適切な測定に関する取組を実施していることをお示ししてございます。
 109ページ目は、回復期リハ病棟から出していただくデータ、DPCのデータに沿って出していただいているわけでございますけれども、それをお示しするものでございまして、回復期リハビリテーション病棟においては、現在、入退当時のFIMをデータとして提出いただいております。
 110ページ目におきましては、入院後のFIMの推移について、週数が経過するにつれて改善度合いが小さくなるという報告がありまして、それをお示しするものでございます。
 111ページ目は次の項目です。
 アウトカムに基づいた適切な評価についてということでございまして、疾患別リハビリテーションの提供単位数ごとの患者割合の分布ですとか、あるいは、それぞれの疾患における1日当たりのリハビリテーション実施単位数ごとの入退棟時のFIMの変化の分析についてお示ししてございます。
 ページは進みまして、115ページでございますけれども、こちらは運動器疾患についてのリハビリテーションでございまして、一定のリハビリテーション提供単位数を超えますと、運動FIMに明らかな改善がなかったことをお示ししてございます。
 117ページから119ページ目は、体制強化加算についてでございます。
 118ページ目は、体制強化加算の有無で、入退棟時のFIMの変化や、平均在棟日数に大きな違いがなかったこと。
 119ページでは、体制強化加算のない病棟におきましても、社会福祉士の配置がされているという状況をお示ししてございます。
 120ページ目以降は、発症後、早期のリハビリテーションの提供についてでございます。
 121ページ目以降、発症から入棟までの日数の年次推移、そして、患者さんの入棟もとの年次推移や発症から入棟までの日数ごとの入棟時FIM、患者割合、入退棟時のFIMの変化等をお示ししてございます。
 126ページから128ページが文献等の御紹介でございますけれども、急性期の在棟日数が短いほど、機能の予後がよいこと。そして、入院関連機能障害ですとか、安静臥床の弊害というものをお示ししてございまして、これは、同時改定の意見交換会でも示したものでございます。
 129ページは、それぞれの入院料ごとの疾患別リハビリテーションの提供単位数をお示ししてございます。
 略称が多うございまして、変更恐縮でございますが、真ん中に回1、回2、回3、回4とでございます。これが回復期リハビリテーション病棟入院料の1から4の略称でございまして、ここでは、多いことがお示しできているかと思います。
 次、130ページは、急性期一般病棟入院料1におけるADLが悪化した患者さんの割合分布をお示ししてございます。
 131ページでは、脳卒中治療ガイドラインにおいての早期リハの重要性を紹介しているところでございます。
 次に、132ページ目以降が、退院後の切れ目のないリハビリテーションの提供についてでございます。
 133ページは、退院前訪問指導の重要性を示す文献を御紹介しております。
 134ページは、退院時運動FIMと退院前の訪問指導実施割合の関係。
 そして、135ページは、退院前訪問指導の実施割合。
 136ページから137ページは、退院前後の訪問指導やリハビリの実施状況を示しているものでございます。
 138ページ目は、退院後もフォローすることが重要であることをお示しするとともに、139ページ目から142ページ目までは、医療と介護のリハビリの連携の重要性などをお示ししてございます。
 142ページ目でございますが、こちらは介護給付費分科会でもこのような議論がなされているということでございます。
 142ページは、10月26日の分科会の資料でございますが、対応案に、こういうことで御議論されているということでございます。
 次に、栄養管理についてでございます。
 144ページ目以降でございますけれども、栄養管理の効果や実態、計画書における評価項目をお示ししてございます。
 149ページ目を御覧いただきますと、回復リハビリテーション入院料1における入院栄養食事指導料の算定状況でございますけれども、0%というところが23.1%あったところと比較しまして、9割以上の方にやっていて算定しているところも9.7%あったということでございまして、ばらつきがあったということでございます。
 次に、153ページ目以降は、身体的拘束についての状況でございます。
 「回復期リハビリテーションに求められる役割」というものを154ページにお示ししてございまして、この目的と身体的拘束の整合というところを御議論いただければと思ってございますが、実施状況を155ページにお示ししてございます。
 155ページ目、一番上の棒グラフが並んでいるところで申し上げますと、回復リハビリテーション病棟での身体的拘束の実施状況などを示しているところでございます。
 164ページ目以降は、地域貢献活動につきまして、これは介護保険の事業でございますが、地域リハビリテーション活動支援事業の概要や、その実態等をお示ししているものでございます。
 それでは、課題と論点に移らせていただきます。
 173ページを御覧ください。
 まず、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料につきましてでございますけれども、救急搬送患者さんの受入れですとか、短期滞在手術などの論点をお示ししてございます。
 また、回復期リハビリテーション病棟につきましては、アウトカム評価でFIMの測定の在り方、それから疾患別リハビリテーションの上限単位、それから、入棟のタイミング、それから、退院前訪問指導や栄養状態、そして身体的拘束、そして地域貢献活動といったことを論点としてお示ししているところでございます。
 駆け足で失礼いたしました。資料の御説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 それでは、173ページ、前半の地域包括ケア病棟の各論点についてコメントします。
 まず1つ目の論点です。
 今後、地域包括ケア病棟において、高齢者等の救急搬送患者の受入れを促進するとしても、13対1の看護配置では限界もあり、さらなる人員配置が必要となることも考えられます。
 また、データでは、救急搬送後の入院患者については、医療資源投入量が多いことなども示されております。
 したがいまして、現在、在宅患者支援病床初期加算による評価もありますが、今後、高齢者の救急搬送人員が増加することも踏まえると、さらなる評価が必要だと考えます。
 2つ目の論点です。
 実績を示す指標としての在宅復帰率等に、これまで短在手術等基本料を算定している患者が含まれるのかどうか明確ではなかったことも原因であると考えられますので、例えば、仮に指標から短在手術を除外するとしても、一定の経過措置を設けるなど、現場に混乱が起こらないような配慮が必要ではないでしょうか。
 3つ目です。
 地域包括ケア病棟病床の入院料算定期間は60日であるにもかかわらず、平均在棟日数は27日程度に収れんしており、過不足のない必要な医療の提供と在宅連携の機能は十分に発揮されております。
 また、入院後、1日当たりの医療資源投入量が徐々に低下することは、退院へ向けて改善する経過として当然のことであり、逆に、医療資源投入量が入院時から減らなければ、退院につながらないことになります。
 地域包括ケアを推進する病棟病床として、在宅連携による退院調整、介護保険との連携等も濃厚に行われており、単に、医療資源投入量のみで、施設基準に関連する評価を変更するべきではないことを申し上げます。
 また、平均在棟日数が66日である回復期リハビリテーション病棟の対象患者さんと同様の入院患者さんも存在しており、在宅復帰に向けたリハビリテーションには一定期間を要します。
 したがいまして、個々の患者さんの状態に応じて、必要な入院期間は定まるものであり、算定期間内において、一律に減じる意図を持って設定することは適さないと考えます。
 4つ目です。
 地域包括ケア病棟病床は、介護施設や在宅からの対応可能な患者さんを受け入れる役割が期待されています。
 介護事業者や高齢者住宅等との顔の見える継続的な連携がより重要となり、このことは、今後の新興感染症流行の対策にも有効となります。
 論点にある在宅医療等の実績における介護保険の訪問看護と訪問リハビリテーションの実績の評価は、理にかなったものであり、賛同いたします。
 私からは以上ですが、続けて、江澤委員から発言しますことをお認めください。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、続いて、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 ありがとうございます。
 私のほうからは、回復期リハビリテーション病棟入院料の論点について、順に意見を申し上げたいと思います。
 まず、論点の1つ目ですけれども、本日の資料の108ページの調査結果では、FIMの測定に関する定期的な研修会の開催が、第三者機能評価の認定の有無による差が最も大きくなっておりまして、アウトカム評価を推進する観点からは、まずは院内研修を定期的に開催することが重要と考えます。
 続いて、2番目の論点につきまして、115ページの調査結果では、運動器疾患の患者に対する1日当たりの平均リハビリテーション提供単位数が、7単位以上の場合に明らかな改善が見られず、同様に118ページでは、体制強化加算の届出の有無により、FIMの改善に大きな差がなかったと示されていますが、全体の平均値による評価の結果であり、個々の患者の状況やFIMの各項目の変化についての分析も必要と考えております。
 続きまして、3つ目の論点につきましては、廃用性機能障害の防止や、FIM利得の観点からも、発症から早期に患者を受け入れて、リハビリテーションを提供することは、回復期リハビリテーション病棟における重要な機能として、これまでも取り組まれており、今後も本来の機能として継続していくことが必要と考えております。
 4つ目についてですけれども、退院患者を退院後早期に在宅リハビリテーションにつなげることは極めて重要であり、介護給付費分科会においても、次回介護報酬改定に向けて、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションの実施に当たって、医療機関のリハビリテーション計画書を入手した上で、リハビリテーションを提供することを算定要件に加えることとなっています。
 また、在宅リハビリテーション事業所のリハビリ専門職等が、利用者の退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導を行った場合に新たに評価することについて議論されております。
 したがいまして、回復期リハビリテーション病棟に限らず、医療機関側には、リハビリテーション計画書を提供する必要性や、退院前カンファレンスへの関係職種の参加促進について周知が必要と考えます。
 入退院支援の取組の一環としても、退院患者の居住地の日常生活圏域にある在宅リハビリテーション事業所との連携はますます重要となり、そのためには、入院中の介護支援専門員との連携も前提となることを申し上げます。
 5つ目につきまして、低栄養状態でリハビリテーションを実施しても効果が期待できず、リハビリテーション、栄養、口腔を一体的に取り組むことは大変重要であります。
 そのためには、回復期リハビリテーション病棟に入棟後、速やかに患者の栄養評価を行い、入院中の栄養マネジメントの実施を担保することが求められます。
 なお、低栄養の診断基準にGLIM基準を導入するのであれば、必ずしも現場で汎用されているものではないため、現場職員が受講できる研修会の開催は必要と考えております。
 6つ目の論点につきまして、回復期リハビリテーション病棟に限らず、医療現場における身体的拘束を防止する取組は極めて重要です。
 介護現場での考え方や取組も参考にしつつ、管理者のリーダーシップのもと、指針の整備、委員会の設置、院内ラウンドの実施、研修会の開催等について、組織的に取り組むことが大切であり、好事例も共有しつつ、拘束を行わないという組織風土の構築を推進すべきと考えております。
 7つ目の最後の論点につきまして、回復期リハビリテーション病棟に限らず、地域リハビリテーション活動支援事業への協力、すなわちリハビリ専門職等の参加協力は、介護予防の観点から重要であります。
 リハビリ専門職は、主に医療機関や老健に所属しており、医療機関や老健の多くは、地区医師会に入会していることから、例えば、地区医師会が医療機関や老健から参加協力できるリハビリ専門職を募り、市町村と連携して、地域リハビリテーション活動支援事業を推進する方策もあろうかと考えております。
 私からは以上でございますが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員からの意見を聞く機会を御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、どなたか。
 では、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 私も173ページの論点、地ケア、回リハに関して意見をさせていただきます。
 まず、地ケアの1つ目です。高齢者等の救急搬送患者の受入れを推進することについては、特に異論はありません。
 38ページの資料に示されておりますが、救急搬送後に地ケア病棟へ、現在、直接入棟している患者は5.7%と、他病棟経由の13.8%よりかなり低い結果となっております。
 これは、25ページの届出病床の資料にありますが、多くの地ケア1を算定している病院は、急性期一般入院料を別に持っており、救急患者をどこに入院させるかに際して、病態の安定性やマンパワーの必要性を症例ごとに判断して、適切な入院病棟を選定しているからだと私は感じております。
 26ページに、地ケアの病棟配置の職員数の資料が出されておりますが、看護師、准看護師、看護補助者まで、いわゆる看護要員の数は、地ケア1で19.06足す6.45で、25.54という数字になります。これは急性期1の29.9よりはかなり少ない状況で、そのため対応可能な症例や患者層が限られるからだと私は感じております。
 地ケア病棟で要介護度が高く、病態が不安定な状態の患者のケアをすることには限界があるということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。
 ただ、今後、地ケア病棟への要介護の救急患者の受入れを促進していくことは進めていくべきものでございますので、長島委員からもありましたが、より手厚い人的配置が可能となるよう、入院早期の加算の新設、また、さらに増点など、より地域ケア病棟が、患者の受入れをしやすい環境を整えていくことは重要であると思います。
 2つ目の短期滞在手術等基本料3の問題ですが、これに関しては、明らかに他の地ケア病棟に入棟する患者と患者層が違いますので、算定要件の指標の計算から除外するなど、何らかの対応を行うことも検討してよいのではないかと思います。
 ただ、多くの病院が影響を受ける可能性がございますので、慎重に、それに関しては検討をいただきたいと思います。
 3つ目の入棟後の医療資源投入量が減少することに関連してですが、これは全く私としても、この資料の読み方としては、長島委員と同じであります。算定上限が60日の病棟において、平均在棟日数が26.9日ということで、かなり適切な形で運用されていると思います。
 また、後半になればなるほど患者数は減少し、退院調整を行い、退院直前の患者が増えていっていることから、59ページのような結果になるのは当然のことでございます。
 決して意図的に入院期間を延長させるような取組が行われている状態でもない中で、より在棟日数をさらに短縮させることを助長する可能性のある制度変更は、必要な退院調整が不十分になるなど、悪影響の発生も危惧されます。現行の制度を維持すべきであると思います。
 4つ目の在宅医療等の実績に関してですが、医療保険だけではなく、介護保険の訪問看護、訪問リハビリの実績を併せて評価することに関しては、医療と介護の連携をより強化していく視点に関して、特に異論はございません。
 しかし、在宅医療等の実績の要件は、入院料1、3の算定要件として必ず2つクリアしなければいけない要件であり、基準の見直しにより、既存の入院料の算定ができなくなる病院の発生も危惧されます。
 しっかりとシミュレーションを行い、既存の算定病院に大きな影響を及ぼさないことが確認できることを条件に賛成いたします。
 続いて、回リハの論点になりますが、特に2つ目です。疾患別リハビリテーションの上限単位数や体制強化加算の在り方についてのところの運動器疾患については、リハビリテーション提供単位数の増加に伴う、明らかな改善がなかったという記載が、115ページの資料にございますが、これはデータの解釈に少し疑問を感じます。
 FIMは、104ページにその詳細が書かれておりますが、介護度を評価するための尺度です。自立、部分介助、介助などです。例えば、移動の評価は車椅子でも、杖歩行でも同じ点数となります。階段昇降は、手すり使用でも、杖使用でも、できるか、できないかで同じ点数となります。介護度のための評価だからです。
 一方で、運動器疾患の患者は、事象前は、多くの患者は自立して生活をしています。退院後の自立生活を目指すためには、いわゆる移動自立ではなく、歩行の自立、さらに杖での階段昇降、さらには再転倒予防も必要となります。FIMだけでは評価できない能力の獲得も必要になるということです。
 そのため、この論点を議論するためには、回復期リハビリテーション病棟の本来の目的である在宅復帰と、提供単位数との関係性を評価する必要があります。
 本資料のFIMの評価の調査結果だけを基に、運動器疾患の上限単位数を検討することには慎重であるべきだと思います。
 体制強化加算に関してですが、118ページの資料では、体制強化加算2の届出がある医療機関は届出のない医療機関と比較し、入退棟時のFIMに大きな差がなかったとあります。
 しかし、同資料には平均在棟日数の差も示されております。平均在棟日数の差や疾患による差が評価されていない評価判断だと思います。在棟日数で補正しますと、加算2でもFIM改善効果は加算なしより良好であると私は読むことができます。本資料だけを基に、体制強化加算の見直しを行うことに関しては慎重であるべきだと思います。
 6番目の論点である身体拘束に関してです。極力身体拘束が行われないほうが好ましいことは、異論はございません。全くそのとおりだと思います。
 しかし、回復期リハビリテーション病棟の目的であるADLの改善というものは、運動能力、認知能力の回復により、転倒しやすい状態から転倒しない状態への改善ということができます。
 回リハ協会の報告書では、全患者の16%、脳卒中の20.9%が入院中に転倒を経験しており、転倒率は3.7パーミルとなっておりました。日本病院会のQIプロジェクトにおける、全ての入院患者を対象とする調査結果での2.8パーミルより1ポイント高い数字です。
 すなわち、回復期リハ中での身体機能の変化が大きい時期は、転倒リスクがより高いと言えます。よちよち歩きのときが一番転倒しやすいということです。幼児と違い、骨折しやすい高齢者が主な患者層です。転倒による骨折等の予防のため、短期間の身体拘束のメリットがデメリットを上回ることはあり得ます。そのため、身体拘束を一律に制限することには慎重に対応すべきであると思います。
 先ほど、江澤委員からもありましたが、組織的にいかに不必要な抑制を減少させていくかという取組に重点を置いて、この問題は対応すべきであると感じます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、林委員、お願いいたします。
〇林委員
 ありがとうございます。
 総-2の173ページの論点、回復期リハビリテーション病棟入院料につきまして、4つ目と5つ目の〇について、歯科の立場からコメントをさせていただきます。
 4つ目ですが、回復期リハビリテーション病棟におきまして、歯科標榜がある病院は少なく、かつ、外部から訪問で歯科医療が入るケースも少ないと認識しております。
 さらに、入院時に歯科が関与したとしても、退院後に口腔管理が途切れてしまい、口腔内状況が悪化するケースは多く、誤嚥性肺炎等の再発リスクが増すと考えております。
 回復期リハビリテーション病棟における入院中に歯科専門職が関与する口腔管理を推進するとともに、退院時には口腔管理の情報を、かかりつけ歯科医や退院先での療養支援介護等に関わる関係者に共有するような仕組みの検討をお願いしたく思っております。
 5つ目の論点である栄養についても同様でございます。効果的な栄養管理を進めるためには、食事を安全に、そしておいしく摂取できる口腔の状態を維持すると同時に、その患者さんの口腔機能を適切に評価し、それに合った食事形態を検討することが重要と考えております。
 本改定では、リハ、口腔、栄養が一体的に実施されることが柱の1つとなっていると思いますので、リハビリテーションと栄養管理の連携だけではなく、口腔管理も併せた一体的な取組が進むような方策を御検討ください。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとございます。池端です。
 今、皆さんがおっしゃったことについては、いずれも異論ありませんので、ぜひその方向でと思います。
 その上で、少し追加をして発言をさせていただきます。まず、その前に8ページの図にありましたが、中医協の中の論点ではないかと思いますけれども、改めて特定の機能を有する病院の病床機能報告の取扱いについて、ここで地ケア、地域包括ケア病床が急性期機能の一部でもあるという矢印がしっかり書き込まれていることは、非常に重要な視点だと思います。
 地域医療構想の中で、急性期がまだまだ多い、回復期が少ないと、地域包括報告制度の中では言われていますけれども、実は、その急性期機能の中に地域包括ケア病床の機能が一部あるのだということ、ここを回復期と読み変えれば、現状はかなりここに近くなっているのではないかということを感じましたので、そういうことでコメントをさせていただきます。
 その上で、論点について、特に地ケアに関して皆さんがおっしゃったことは、いずれもそのとおりだと思っていますが、1番目の地ケアの救急搬送について、ここは救急搬送患者の受入れということになっていますが、これが必ずしも救急車で運ばれている患者だけではなくて、今、地域包括ケアと、最後にありますように、介護事業者としっかり連携が取れていれば、あえて救急車を呼ばずに、その施設から直接地域包括ケア病床に介護職員が搬送して、そのまま入院して治療して、また返すという、救急車を間に通さずに、そういう直入をしているところもありますので、ここも同じような機能としてしっかり発揮できているし、むしろ、無用な救急搬送を予防する意味でも、非常に意味があることだと思いますので、ここもぜひ、より高い評価の中で入れていただかないと、逆に直入できるところを、あえて救急車を呼んできてという変な使い方になってしまわないとも限りませんので、ぜひこれは一緒に考えていただけるといいかなと思います。
 それから、皆さんおっしゃったように、60日である地域包括ケア病床の入院数についての逓減制とも取れるような議論がありますが、これは私も皆さんがおっしゃっているように、平均在院日数が30を切っている他ケア病床で(医療資源投入量が)徐々に下がっていくのは当然であり、しかもその下がっている医療資源投入量の中には、恐らく、地域包括ケア病床の2割ぐらいの病床はかなりやっているポイント・オブ・ケアのリハは入っていない。しかしこれは、20分1単位には至らないADLに合わせた短時間のリハビリテーションとして、包括的なリハビリテーションを実施して、ADLを上げるという効果を非常に出している。
 これは、リハビリが包括なっている病棟だからできる取組ですけれども、そこによってADLを上げて、そして退院まで持っていく、そして退院支援、あるいは、実際に一旦、試験的に退院をしてみるとか、そういうやり方をしながら、何とか60日までに自宅等に退院できるような方法を考えている、こういう非常に優れた地域包括ケア病床がありますので、医療資源投入量が小さくても、やっていることをしっかりやっているところがあるのだということを、ぜひ御理解いただければいいかと思います。
 それから、身体拘束に関しては、今、太田委員もおっしゃったように、当然ながら、一部やむを得ない身体拘束があり得るかもしれません。ただ、私は、全体には介護保険、そして療養病床までは身体拘束は原則廃止ということは、その風土ができつつあります。それを、ぜひ、回復期、さらには、一般病床の一部まで広げていく、こういう風土づくりは、ぜひやっていかなくてはいけないと思いますので、そういう流れをつくる意味で、今回一定程度の身体拘束廃止に対する対応を求めていくことは、非常に重要ではないかと感じています。
 以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、論点に沿ってコメントをしたいと思います。
 地域包括ケア病棟につきましては、13ページに図示されておりますとおり、ポストアキュート、サブアキュート、在宅復帰支援の3つの役割を担うことを前提として、高い包括点数が設定されております。
 一方、資料の35ページを見ますと、自宅等からの入棟割合が少なく、自院内での転棟割合が大半の施設が、依然として見受けられるということでございます。
 地域の医療体制や医療ニーズによって、役割が変わってくることは十分理解いたしますが、地域包括ケア病棟に求められる機能や医療資源投入量を踏まえて今回の改定でも、実績要件や評価の在り方を見直すべきだということを、まず総論として述べたいと思います。
 救急搬送患者の受入れにつきましては、資料の47ページを見ますと、いずれの入棟経路の場合でも、救急搬送の患者で医療資源投入量が多いことが分かります。
 したがって、一定期間に限った救急搬送の評価は、検討の余地があると考えております。
 ただし、46ページの救急搬送後の直接入棟が15%以上の病棟と5%未満の病棟を比較しますと、15%以上の病棟で、包括範囲の1日当たり医療資源投入量の多い実態がありますので、直接入棟と別の医療機関を経由した場合を同等に扱うことは、妥当ではないと考えます。
 また、既存の初期加算を含めまして、入院初期の評価を一体的に見直すことも必要だと思います。
 続いて、資料の51ページ目に目を移しますと、地域包括ケア病棟の入棟患者のうち、短期滞在手術等基本料3を算定する患者が10%以上の病棟病室が一定程度あり、短期滞在手術等基本料3の患者が半数以上という病棟病室もございます。
 地域包括ケア病棟の施設基準では、短期滞在手術の患者を重症度、医療・看護必要度の対象から除外するとなっているにもかかわらず、短期滞在手術の患者を受け入れることで、在宅復帰率などの実績要件をクリアしやすくなる側面もございます。
 実績要件を対象とする患者の範囲を含め、こうした指標の計算方法は見直すべきであると考えます。
 次に、先ほど来議論になっています、59ページでございますが、医療資源投入量が入院初期に大きく下がった後、徐々に低下する実態が示されております。
 2号側委員からは、これは当然であるという御発言がありましたけれども、診療報酬が医療サービスの対価であるという原則からしますと、地域包括ケア病棟入院料による評価は、医療資源投入量を適切に反映したものにすべきだとコメントいたします。
 また、少し戻りますが、57ページを見ますと、入棟期間が60日以上の患者も存在しており、在宅・施設への移行を促すためにも、重症患者割合の引上げを検討すべきだと思っております。
 続きまして、資料の76ページ、77ページの地域包括ケア病棟を有する病院の訪問看護と、訪問リハビリについては、実績にややばらつきがあり、現行の施設基準では取組を促す効果が少し乏しい状況にあると感じております。
 今後の在宅医療のニーズの増加を踏まえ、地域包括ケア病棟入院料2、4における訪問看護や、訪問リハビリの実績を必須にすることも検討すべきはないかと思います。
 続きまして、資料の84ページに移りますと、患者が退院困難な要因として、入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であることが、最も割合が高くなっております。
 さらに、86ページに目を移しますと、入退院支援1を届け出ている医療機関でも、介護サービス事業者や障害福祉サービス事業者の連携機関数がゼロというのは、入退院支援及び地域連携業務を担う部門を設置しているにもかかわらず、実態として役割が適切に果たされていないと考えられます。実績要件を設けるなど、在宅復帰支援を確実にすべきだと感じております。
 続きまして、2つ目の論点にあります、回復期リハビリテーション病棟入院料に移りたいと思います。
 資料の107ページを見ますと、入棟時FIMが経年で変化している中で、第三者評価の認定ありの病院は、認定なしの病院と比較して、運動FIMが高い傾向にあることや、108ページの認定ありの病院で、FIMの適切な測定に関する取組が進んでいる実態を踏まえますと、回復期リハ病棟入院料1、3についても義務化を図るべきではないかと考えます。
 続いて、115ページ、運動器疾患のリハビリについてでございますが、1日当たり6単位を超えるとFIMに変化が見られません。回復期リハビリテーション病棟に入院したという理由で、機械的に多くのリハビリが実施されている患者が一定程度いる可能性も考えられますので、FIMの改善という観点からは、効果が明確な1日6単位までの評価とすべきだと感じます。
 続いて、体制強化加算についてでございますが、これにつきましては、当時、中医協において、専従医師の配置によるADLが向上すること。また、社会福祉士が配置されることによって平均在院日数が短縮するといった実態を基に議論されて創設されたものと認識しております。
 しかしながら、118ページを見ますと、体制強化加算の届出の有無別でFIMにほとんど差がないことや、体制強化加算1に至っては、専従の社会福祉士がいながら、届出なしの医療機関よりも、平均在棟日数が長くなっており、期待した効果と異なる結果が示されております。
 また、119ページでは多くの回復期リハビリテーション病棟において、常勤の社会福祉士が配置されている状況を踏まえますと、当該加算の役割は終わったのではないかと思います。施設基準に組み込む等によって、加算自身を廃止することが妥当だと考えます。
 続きまして、121ページから131ページに示されております件でございますが、発症後早期からのリハビリについては、患者を早く受け入れることが重要であるとのことで、発症後、早期の入棟によるADL向上への寄与について紹介をいただいております。
 ADLの向上に対する評価については、実績指数等のアウトカム評価で既に対応しているものと認識しております。
 入棟時FIMが低下し続けていることや、重症患者割合を高くしたものの、発症後早期入棟の患者が増加していないといった実態にもかかわらず、実績指数が要件の回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出数が、98ページを見ますと、増加しております。
 こうした状況を踏まえますと、発症後早期入棟患者の医学的な状態や医療資源投入量等の詳細な実態分析に基づいた、ADL以外の評価の軸がないまま、安易にADLがよく改善するからといった理由だけで、追加の評価をするようなことに関しては、明確に反対いたします。
 また、今後の論点に関しましては、ADLの向上だけではなく、既に評価の対象になっている在院日数や在宅復帰率等についても同様のことが言えると思いますので、極めて慎重に対処すべきでございます。
 続いて、資料の133ページに移りますと、退院前訪問指導の実施により、退院後のADL向上が図られるとのことで、家庭復帰を目指す回復期リハ病棟においては、退院前訪問指導は重要なことだということは理解できます。
 一方で、135ページを見ますと、退院前訪問指導の実施割合0%が43.6%と非常に高いことから、ICTを活用する等の工夫が必要だと考えられます。
 続きまして、149ページに目を移しますと、回復期リハビリテーション入院料1において、入院栄養食事指導料の算定状況が0%に当たる病棟が23.1%と多い一方で、90%以上の実施率の病棟が9.7%と、極端な結果となっております。
 147ページに戻りますと、ほぼ3人1人が特別食加算を算定しており、低栄養や低栄養リスクの患者が一定程度存在しているにもかかわらず、入院栄養食事指導料の算定状況が0%というのは、十分な取組が行われていないということが、ここから伺えます。
 まずは、栄養士を配置している場合、リハビリ計画書の栄養項目の記載を必須とすることなどの取組の改善を図るべきです。
 続きまして、回復期リハビリテーション病棟は、まさにリハビリを集中的に行うための病棟であり、分科会の御指摘にもありましたけれども、リハビリを実施することと、155ページの身体拘束は相反していると感じます。
 また、リハビリ職をはじめとした病棟職員数が多いことを踏まえると、回復期リハ病棟の入院患者については、認知症ケア加算と同様に、身体拘束を実施した日の減算も検討すべきと考えます。
 最後となりますが、資料の167ページにございます、地域貢献活動の状況についてでございますが、回復期リハ病棟は自宅等への復帰を目指すことを役割としておりますので、今後、さらなる高齢化の進展を鑑みれば、地域包括ケアシステムの実現に向け、地域ケア会議への参加は、ある意味当然と考えております。
 いささか長くなりましたが、私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 主に1点のみですけれども、高齢者の人口増加に伴い、救急搬送される高齢者も含めて、地域包括ケア病棟及び回復期リハビリテーション病棟での一層の高齢者の受入れが進んでいくと考えられます。
 89ページにあるような退院支援の課題は、ますます大きくなると予想されます。トリプル改定であることも踏まえて、医療、介護、障害連携を加速する改定としていただきたいと思っております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 私からは、3点意見を申し述べたいと思います。
 まず、資料の87ページ、入院・外来医療等の調査評価分科会の「地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟に関しては、介護保険や障害福祉サービスとの連携がより進むべき」という指摘は、まさにそのとおりだと考えております。
 次に、松本委員や、2号側委員からも発言がありました、身体的拘束についてです。
 資料の160ページに回復期リハビリテーション病棟における身体的拘束の実施状況が記載されていますが、リハビリテーションが必要な患者に長時間の身体的拘束が必要なのか、問題がないのか、詳細を確認する必要があると考えます。
 あわせて、162ページにあるとおり、身体的拘束の定義を明確にし、身体的拘束の予防、最小化に向けて取り組むべきです。
 次に、資料の173ページ、回復期リハビリテーション病棟入院料の論点、最後の○、リハビリテーション専門職の配置状況や、地域貢献活動の実施状況を踏まえ、回復期リハビリテーション病棟等が地域で果たす機能として、地域リハビリテーション活動支援事業等の総合事業へ、市町村の求めに応じて協力することに賛成です。
 地域包括ケアを考える上で、多職種連携は欠かせません。ICTの活用など、お互いの負担が重くならない方策も検討し、地域における連携を促進していただきたいと考えております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 松本委員から御指摘があったことについて、コメントをさせていただきます。
 まず、地域包括ケア病棟の3つ目の論点で、入院後、徐々に低下する傾向ということで、サービスの低下の対価であるからというお話がありましたが、先ほども申し上げましたけれども、単に医療資源投入量で把握できること以外にも様々なサービスが提供されていると。例えば、在宅連携による退院調整、介護保険との連携など、そこのところだけでは把握できないものがあるということ。
 もう一つは、一人一人の患者さんの状態に応じて、入院期間が必要なものが定まるということなので、単に期間でもって一律に、例えば減じるというようなこと、そのようなものは全く適さないと考えるところであります。
 次に、回復期リハビリテーションの1つ目のところで、例えば、第三者認定を義務化すべきというお話もありましたが、先ほど江澤委員から指摘があったように、ここに一番関係しているのは、FIMの測定に関する定期的な研修会の開催が最大の要因であると。
 したがって、第三者認定の有無ではなくて、定期的な研修会の開催こそが意味があるので、それをやるべきであって、義務化ではないということです。
 それから、2つ目のところです。
 これは、江澤委員あるいは太田委員からも御指摘がありましたけれども、まず、運動器疾患の6単位のところ、それから、体制強化加算のところですけれども、これは全体の平均値による評価というところで、平均で見ると、大切なところが見逃されますので、まず、しっかりと一人一人の患者さんの状況、あるいはFIMの各項目の変化などについて、しっかり分析をする必要があります。まず、当然ながら、体制強化加算の廃止には反対いたします。
 それから、FIMのところは、先ほど太田委員から詳細な御説明があったように、FIMでは把握できない効果があるということも踏まえると、ここのところも、さらに丁寧な資料を提供していただく必要があるだろうと考えております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、眞田委員、お待たせいたしました。お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私からは、地域包括ケア病棟に関しまして、コメントをさせていただきたいと思います。
 今後の人口構造の変化に伴う医療ニーズへの対応及び地域医療構想の実現に向けては、地域包括ケア病棟の役割というのは非常に大きいと考えます。
 論点の1つ目にありますとおり、救急搬送患者の受入れを推進する観点から、施設基準を工夫すべきではないかと考えております。
 また、地域包括ケアシステムの実現に向けましては、地域包括ケア病棟のいずれの施設基準にも含まれております入退院支援が、より実効性あるものになるようにすべきでありますが、86ページのとおり、介護保険サービス事業所等との連携がなされていない医療機関があるということは、非常に残念なことであります。
 論点の4つ目にありますとおり、連携をしっかり強化する方向で、今回、見直しを行うべきだと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 高町委員、お願いいたします。
○高町委員 ありがとうございます。
 私からは、リハビリと栄養について、コメントをさせていただきたいと思います。
 リハビリを効果的に実施するためには、栄養管理が重要であるということで、このことは以前の総会でも、一体的にこの取組を進めるべきだという発言をしました。
 今回の資料によりますと、入院時に栄養食事指導料について、2割の病院が算定していない、その一方で、ほぼ全ての患者に算定している病院も1割ほどあるということでした。
 人材不足という課題もあるのかもしれませんが、リハビリの実施計画の段階から、栄養指導といったものをきちんと位置づけて、一体的な取組を進めていくべきだと考えております。ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 1つだけ身体拘束に関して、160ページの資料です。
 これは、入院・外来等の分科会でも何人かの委員の先生から御発言がありましたけれども、身体拘束の定義というものが、実際に我々医療機関、医療者が認識しているものと、ここで言われている本当に身体を拘束するというものとの開きがある中で、行われている調査結果だと思っています。
 これを見ますと、回リハで、基準日時点で過去7日間に身体的拘束の実施ありが60%を超えると、こんなことはあり得ない話でありまして、何かといいますと、今、我々は転倒防止モニター、センサーだとか、何らか病棟で患者さんのモニタリングをする、これだけでも、一応、身体抑制の同意書というのを取っております。何らかの形で患者さんのプライバシーに介入するということだからです。
 そういう感覚で、我々は身体抑制の同意書を取っているということを前提のところで、この調査が行われておりますので、本当に不必要な、もちろん不必要な拘束が全くゼロになっているとは言いませんけれども、こんなひどい状況では、現実にはないというところがあります。
 ですので、当然、極力減らしていくことはやっていかなければいけませんけれども、何らかの形で一律に制限するということをやってしまうというのは、やはり逆効果もあり得ることは、この資料の読み方として発言させていただければと思いました。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 では、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 ありがとうございます。
 先ほどから意見が出ている、まず、59ページの資料ですけれども、当然治療が進んでくると、医療資源投入量が落ちるのは、どこの病棟でも当たり前のことでありますけれども、あくまでもこの青いグラフは、平均を表しておりますので、先ほどから出ておりますように、地ケア病棟の平均在棟日数は27日程度となっておりますから、したがいまして、右に行けば行くほど、nの数はすごく少なくなっております。ということは、リハビリテーションとか、在宅復帰に向けたリハビリテーションとか、在宅のために必要な医療の提供を受けている方が、そこに少なからず、一定程度いらっしゃり、左から右にかけて、患者さんのnの数は、当然相当減っておりますし、そういった中で、在宅に向けて頑張っている医療の現場の証だと思っているところでございます。
 それから、先ほど入院料2と4に在宅医療の実績を要件とすべきという御意見があったようにも伺っておりますけれども、入院料の2と4は、1と3と比べて基本報酬を低く設定しておりますし、それから、そもそも1と3が200床未満の中小病院で、かかりつけ医機能を担う医療機関でありますし、2の中には、中には200床以上の医療機関も当然混在しておりますし、その辺りは、基本報酬等で評価をされているところでございますから、当然、地ケア病棟の役割というのは、在宅医療と連携するというのは、大変重要な役割ですけれども、そういった中で推移を見ながら、また、今後検討していく課題だと思っております。
 それから、回リハ病棟の第三者評価の義務化の御意見もあったと思いますけれども、先ほど長島委員も申しましたが、今日の資料は全数調査ではないので、例えば、全国の第三者評価を受けている医療機関全てが実際にどうであるのかというのは、まだ、当然データがないわけでございますし、その辺りは慎重に見ていくべきであって、まずは、先ほど申しましたように、FIMの測定に関するような院内研修をしっかりと行っていくことが大変重要ではないかと思っているところでございます。
 それから、資料の115ページでございますけれども、これも繰り返しになりますが、あくまでもここも平均値でありまして、回リハ病棟の平均在棟日数も66日程度でございますから、どういった方が、リハビリテーションをどれだけ必要なのかと、当然患者さんの状態によって、ずっと7単位、8単位あるいは9単位を算定することはあり得ないと思いますけれども、そういった中で、やはり個々の実態というものをつぶさに見ていくことが必要ではないかなと思います。
 118ページの体制強化加算も、いきなり廃止のような御意見もあったと思いますけれども、この体制強化加算ができた経緯を踏まえながら、これまでの経過、実績も踏まえて、しっかりと見ていく必要あると思いますし、社会福祉士を配置してきたというのは、医療機関の自助努力によるものでありますし、実際に社会福祉士さんの役割があるということでございますので、そういった辺りで、いろいろな視点から多角的に見ていく必要があろうかと思います。
 また、最後の論点で、先ほど地ケア会議に言及されるような御意見もあったと思いますけれども、ここは地域リハビリテーション活動支援事業ということで、市町村の地域支援事業に医療機関等からリハビリ専門職を派遣するというスキームについて、協力するという論点がございますので、それについては当然賛成でございますし、いろいろ取組がございますので、何も地域ケア会議のみに限定するものではないということは申し上げておきたいと思います。
 最後に、身体拘束につきまして、介護分野では、切迫性、すなわち命に関わるかどうか、あるいは一時性、必ず一時的であること、それから非代替性、ほかにどうしても代替する方法がないということ、この3つが重なった上で、それを担当チームでもなく、組織全体、施設全体で、拘束についてどうするかを判断するということになっておりまして、その考え方自体は、十分医療機関でも踏襲すべき点があろうかと思いますので、したがいまして、まずは、そういった組織的な取組のところから導入して、その中でいろいろな課題を見つけ、今後について検討していくということが望ましいかと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 あとは、よろしいでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 私からのコメントに対して、たくさんいただきました。これは、お礼を申し上げるべきか分かりませんけれども、その中で、確かに医療機関の方々が、患者のお一人一人の動向を見て対応されていることは、十分承知しております。
 ただ、中医協の議論というのは、個別の議論をするというよりも、どちらかというと、やはりマスでできるだけ全体をカバーリングできるという前提で議論することだと思っておりますので、個々の話を言ってしまうと、当然、2号側の委員の方のほうがお詳しいわけですから、我々にとっては限界があると思っています。
 我々は、皆様方と同じ御職業に就いている方々が、こうやって行動されているというのが、このデータだと承知しておりますので、それを見た形では、こうではないかという意見を申していることを、あらかじめ御承知おきいただきたいということが1つ目。
 それと、108ページでございますが、これも先ほどから出ております、FIMの対応でございますけれども、先ほど第三者評価の義務化という点を申し上げた理由は、108ページで青と赤と言うのですか、この棒グラフの差、青は第三者機能評価の認定ありのところでございます。赤いところは、なしのところでございます。
 では、なぜこういう差が生じるのか。確かに江澤委員がおっしゃるとおり、院内の研修会を開催するとは思うのですけれども、もしかしたら第三者評価を得るための条件としてなっていないかという懸念もありますので、あえて申し上げたところでもございますので、それについては、少し御理解をいただきたいと思います。
 私からは以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 コメントをいただきまして、ありがとうございます。
 第三者評価ですけれども、評価の中にもいろいろな項目があるわけですが、この中で、リハビリとかFIMに特化したところが、1項目とか、若干項目はあるのですけれども、全体の何百項目の中で、その1つだけであるので、その辺りが、たまたまこういう結果になっているのかどうか、その辺りがもう少しリハに特化した第三者評価であれば、いろいろ検討の余地はあるかと思いますけれども、その辺りを含めて申し上げたところでございます。それが1点。
 それから、先ほどのマスで、当然中医協で議論するのは、これは全く我々も相違ないところでございますし、その一方で、やはり社会的包摂、誰一人取り残されない社会というのも考えいかなくてはいけなくて、皆保険である公的な国民の保険方式、医療保険において、そこも踏まえながら議論していくというのは、当然かと思っておりますので、いろいろまた今後に向けた議論に参考にさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
○小塩会長
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 松本委員がおっしゃるように、医療現場にいない方々が、やはり集計されたデータで判断されるのは当然のことだと思います。
 ただ一方、やはりマクロのデータ、特に平均値には大きな落とし穴があるというのは、皆様よく御存じかと思います。
 したがいまして、もう少し丁寧に分布を見るとか、様々な要件で分けて見るとか、そういうものの資料がないと、これだけで、例えば廃止などという強い判断をされるのは、医療現場としては大変厳しいということで、御理解いただければありがたいです。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 先ほど、江澤委員から看護のお立場から専門的な御意見を伺えればどうかという御提案ございましたので、それでは、木澤専門委員から御発言をお願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 まず、地域包括ケア病棟において、高齢者等の救急搬送患者の受入れの推進に関連してです。
 ただいまの御議論、また、これまでの総会、分科会でもたびたび御議論がありましたように、地域包括ケア病棟での高齢者救急受入れを促進する場合には、人員配置を含め、十分な体制整備が必要です。
 現在、地域包括ケア病棟では、13対1と急性期に比べて配置基準が手薄であり、特に夜間の看護職員は2人体制になります。救急受入れ時には状態が安定していない患者さんに対して、注意深く観察、治療を行うとともに、御家族への説明、搬送元との連携等も必要ですので、現状の13対1配置では、高齢者救急の十分な受入れが難しい状況でございます。
 実際に、本会調査からは、既に地域包括ケア病棟入院料1の算定病棟で8.3対1と手厚い配置をしており、夜間も3分の1以上の病棟で人員を加配して、何とか対応していることが分かっております。
 よって、地域包括ケア病棟における救急搬送の受入れを促進する際には、特に夜間の体制を含めて、看護配置の充実が不可欠と考えます。
 次に、訪問看護と訪問リハビリテーションの実績の評価に関連してですが、71ページでは、地域包括ケア病棟、病室の在宅復帰率が高い傾向にあることが示されておりますが、その背景には、訪問看護等の在宅医療を組み合わせて提供し、退院後も引き続き在宅療養を支援する体制が構築されていることもあると考えます。
 退院後も患者が在宅において、安心して療養を継続することができるよう、算定実績に応じた評価を進めていただきたいと考えます。
 最後に、回復期リハビリテーション病棟における身体拘束に関連してです。
 身体的拘束の予防、最小化は、どの病棟にあっても重要な事項であり、回復期リハビリテーション病棟においては、退院後の生活を見据えた集中的なリハビリテーションが重要という観点からも、なるべく患者さんの活動を妨げることがあってはならないと考えており、予防、最小化の取組を強化する方向には賛同いたします。
 身体的拘束の実施理由を見ますと、ライン、チューブ類の自己抜去防止、転倒、転落防止が多いということからも、回復途上にある患者さんの治療のため、また骨折等の不慮の事故を防ぐために、やむを得ず実施しているものではありますが、転倒予防のためには、看護師のケアのみだけではなく、薬剤調整、環境整備等が必要であり、経営者のリーダーシップ、多職種を含めた病院全体での組織的な取組が求められております。
 職能団体としましても身体的拘束を最小化するため、引き続き好事例の収集や周知活動を続けてまいります。
 また、病棟で患者さんが転倒、骨折された際には、看護師が訴訟の対象になることもあります。病棟内での取組を進めると同時に、国民を巻き込んだ社会全体での議論が必要と考えます。
 私からは以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「働き方改革(その2)について」を議題といたします。
 事務局より、資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは「働き方改革の推進について(その2)」、総-3を用いまして御説明させていただきます。
 2ページに、本日の資料の目次がございます。
 進めさせていただきます。3ページから5ページが医師の働き方改革の全体像、医師の時間外労働時間の条件規制等の資料をお示ししております。
 6ページ目以降でございますが、医師の勤務環境把握に関する調査結果でございます。
 8ページを御覧ください。
 こちらに令和4年の結果も含めてお示ししてございますけれども、平成28年、そして令和元年に比較しまして、令和4年につきましては、医師の労働時間が改善してきているということが示されているところでございます。
 一方で、非常に長い方もまだいらっしゃるということは出ておりますが、その割合がだんだん減ってきているということでございます。
 10ページ以降は、令和4年度入院・外来医療等における実態調査で把握いたしました、医師の勤務状況でございます。
 11ページには、医師の勤務状況の改善の必要性というアンケートでございまして、その理由でございますけれども、こちらにありますとおり、医師の過重労働によりまして、患者さんに不利益をこうむる可能性があると理由もあったところでございます。
 17ページまでお進みください。こちらは、医師の働き方改革に関する基本的な認識といたしまして、平成31年の検討会報告書を抜粋しておつけしてございます。
 18ページ目、19ページ目は、地域医療介護総合確保基金に関する御説明でございまして、勤務医の労働時間短縮の推進ということも掲げられているということでございます。
 次、20ページは、文部科学省の検討会の資料の抜粋でございます。大学病院改革のイメージでございまして、業務効率化等によりまして、大学病院の魅力を高め、地域医療を維持しつつ、研究教育にも時間を割くことができるようにするとされているところでございます。
 21ページ目以降25ページ目までは、これまで中医協総会等で御議論いただいた主な内容を抜粋してございます。
 それでは、2つ目の項目「地域医療体制確保加算について」でございます。
 27ページ目、28ページ目、29ページ目は加算の概要でございます。
 令和4年度改定で、28ページ目、29ページ目にあるような改正が行われてございます。
 ページは進みまして、32ページ目でございます。
 これは、前回もお出しした資料でございますけれども、地域医療体制確保加算を算定している医療機関における医師の時間外労働の状況でございます。
 時間外労働の時間が、年1,860時間相当以上の医師は、非常に少ない割合ではあるものの、一方で、時間外労働時間が年960時間相当以上の医師の割合は、2020年から2022年にかけて、わずかでありますが、これは増加しているという調査結果になってございます。
 33ページは、各医療機関における時間外労働時間の短縮に係るイメージでございまして、着実に短縮をしていくことが求められるということでございます。
 36ページ目でございますけれども、こちらは地域医療体制確保加算、当該加算の届出状況、また、届け出ていない医療機関の理由についてお示ししてございます。
 それでは、進ませていただきます。41ページ目以降「医療機関におけるタスクシェア・タスクシフトについて」でございまして、ここは、特定行為の研修修了看護師、それから、薬剤師の業務、そして、医師事務作業補助体制加算について、資料を御用意させていただいております。
 それでは、42ページ目、43ページ目でございますが、これは、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士及び救命救急士の業務範囲の見直しに係る法改正についての内容でございます。
 こういったことが、タスクシフト・タスクシェアが可能な業務の具体例として挙げられているというものでございます。
 次に進ませていただきまして「3-1.特定行為研修修了看護師について」でございます。
 47ページ目から49ページ目でございますけれども、医師の働き方改革に関する検討会の報告書、そして、第8次医療計画における特定行為研修に係る目標数値等に関して資料をお示ししてございます。
 50ページ目、51ページ目でございますけれども、これは特定行為研修修了者数の推移でございます。
 50ページにございますとおり、直近の値、令和5年9月のグラフでございますけれども、50ページの右側の数でございますが、8,820人となっているところでございます。また、それぞれ分野別でお示ししているのが51ページということでございます。
 52ページから53ページは、それぞれ病棟治療室における特定行為研修修了看護師の配置状況でございます。
 52ページ目を御覧いただきますと、急性期一般入院料あるいは特定機能病院入院基本料を算定するような病棟において、多く配置されていることが示されているかと思います。
 次に、54ページ目でございます。
 これは、特に業務分担を進むことが期待される分野や、医師の働き方改革を求める加算を届け出る医療機関における、特定行為研修修了看護師の配置状況でございます。
 約6割の医療機関は、病棟または治療室に配置をしていたということが示されてございます。
 次、3-2、薬剤師の業務についてでございます。
 56ページ目、57ページ目、病棟薬剤業務実施加算の概要と現状になります。
 58ページ目、病院の薬剤師の業務範囲は、チーム医療の推進とともに広がっているということのイメージでございます。
 59ページ目、そのようなチーム医療推進に向けた薬剤師のレジデント制度などの教育研修プログラムにつきまして、薬剤師免許を取得した直後の新人の方を対象といたしまして、2、3年の時間をかけて、基本スキルから専門領域をカバーする、システマティックな教育研修プログラムを実施している例も示してございます。
 61ページ目、薬剤師の卒業研修を実施ししている医療機関は約3割ということでございまして、規模の大きい病院で研修が実施されている傾向があったところでございます。
 62ページ目、63ページ目は事例の紹介でございます。
 64ページ目、第8次の医療計画では、地域の実情に応じた薬剤師の確保について、地域と連携して取り組むことが記載されているところでございます。
 65ページ目以降は、ポリファーマシー対策でございます。
 こちらの薬剤総合評価調整加算につきまして算定している施設でございますが、65ページ目にリード文でございますとおり、当加算を算定している施設は16.5%ということでございました。これは、決して多いとは言えないと考えてございます。
 次、66ページ目、薬剤総合評価調整加算を算定していない理由といたしまして、多職種によるカンファレンスを行うことが難しい、赤で囲ってございますが、こういうことが示されてございます。
 67ページ目、多職種が連携し、情報共有して進めるような手引も作成されているということでございます。
 次に「3-3.医師事務作業補助体制加算について」でございます。
 69ページ目に、この加算が新設されました平成20年からの届出の推移などをお示ししてございまして、徐々に算定する病棟の種類などを拡大してきたということが示されているところでございます。
 69ページ目、70ページ目は加算の概要でございまして、次に進ませていただきます。
 73ページ目でございますが、医師事務作業補助者の人事についてでございます。
 57%の医療機関に、この医師事務作業補助者の人事考課があり、94%医療機関が、この補助者に対する院内教育、新人研修を実施しているということでございました。
 次に74ページ目、技術を要する業務を実施している割合が近年高くなってきていること。
 そして、75ページ目、補助者につきまして、院内教育体制を有する施設は、それ以外の施設と比較しまして、医師の事務作業負担軽減効果が有意に高いことが示されているところでございます。
 76ページ目、77ページ目、補助者の人事、教育体制の充実による好事例、そして、78ページ目は、レセプト請求時の症状詳記の業務につきましては、現在、この補助者の業務に含まれるかどうかは明確化されていないところでございます。
 次、4つ目の項目「手術・処置の時間外等加算について」でございます。
 80ページは加算の概要でございまして、交代主治医制、チーム制、時間外等に手術を行った場合の手当等の支給のいずれかを実施することを要件とされてございます。
 82ページは、手術もしくは処置の時間外等加算1を届け出ている医療機関でございますが、これは届け出ていない医療機関に比較しまして、当直明けの医師の兼務について、勤務間インターバルの配慮をしている割合に大きな差がないということをお示ししてございます。
 次、5つ目の項目「看護職員の負担軽減及び看護職員と看護補助者の協働について」でございます。
 まず、85ページ目以降でございますが、86ページ目は、診療報酬における看護職員の負担軽減策の全体像ということで、様々加算などがございます。
 87ページ目から88ページ目でございますが、看護職員の業務負担感や勤務状況についてでございます。
 これはコロナ禍のアンケートであったことも考慮に入れる必要があろうかと思います。
 次、89ページ目でございますが、看護職員の離職率の推移をお示ししてございまして、コロナ禍以降の2020年から2021年かけて離職率が上昇してございます。
 90から91ページ目でございますが、夜間看護体制加算などで評価してございます。看護業務負担軽減に資する業務管理等の取組状況でございまして、一番下ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減割合に関しましてでございますけれども、こちらは約1割、これは91ページ目の右側です。約1割の施設が実施していたというところでございます。
 92ページから93ページは、看護職員の業務負担軽減策に関する効果について、94ページ以降、看護職員さんと看護補助者の協働についてでございます。
 95ページ目でございますけれども、看護補助者等の従事者数の推移をしてございまして、これは近年減少傾向ということでございます。
 96ページ目から98ページ目でございますけれども、看護補助者の配置に係る評価の変遷や届出状況についてでございます。
 99ページ目から101ページ目は、看護職員と看護補助者の業務分担、協働をさらに推進するため、令和4年度改定で新設いたしました、看護補助体制充実加算の概要と届出状況になります。
 102ページ目から104ページ目は、看護職員と看護補助者の業務負担の状況について、105ページ目以降、112ページ目まででございますが、看護補助者の雇用形態、離職率との関係、看護補助者の現状、看護補助者の確保、定着に向けた工夫等について、データと事例をお示しするものでございます。
 112ページ目から115ページ目でございます。
 これは、介護分野におけるということでございますけれども、介護職員の必要数や、有効求人倍率、人手不足感等についてお示しをするものでございます。
 116ページ目、こちらは同時改定意見交換会におけます、介護人材に関する評価に関する御意見でございました。
 「6.ICTの活用等について」でございます。
 118ページ目、119ページ目に関しましては、介護保険における取組を御紹介させていただきます。見守り機器等を活用した見守りですとか、その実証結果などでございます。
 次、120ページ以降は、ロボットやICTを病院に置いて活用し、業務の効率化に効果があった事例をお示ししてございます。
 125ページ以降、これまでの改定におけるICTの活用の推進について、こういったことの取組を推進してきたということでございます。
 次、129ページ、こちらは夜間の看護配置に係る評価及び業務管理の中で、ICTの活用も要件の1つにされているところでございます。
 一方で、必須要件とはなされていないところでございます。
 130ページ以降が、多様な勤務形態でございまして、132ページには専門的な知見を有する者の専従配置を求めている施設基準の例といたしまして、緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料、感染対策向上加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算などがあるということをお示ししてございます。
 133ページは、介護保険施設等で実施されております医療処置。
 134ページは、介護保険施設における感染対策に係る外部専門家による実地指導・研修でございまして、介護保険施設はニーズがあることが、今回のコロナ禍でも明らかになったところでございます。
 それでは、課題と論点でございまして、論点は、139ページ、140ページにまとめてございます。
 地域医療体制確保加算について、そして特定行為研修修了看護師について、そして、医療機関の薬剤師さんの業務、そして、医師事務作業補助体制加算、手術・処置の時間外等加算について。
 140ページ目では、看護職員の負担軽減及び看護職員と看護補助者の協働について、そして最後、ICTの活用について、こういった論点をお示しさせていただいているものでございます。
 駆け足で恐縮でございましたが、以上、資料の説明でございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 最初に、働き方改革は、これからが本番であるということを、ぜひ共通認識としていただければ幸いです。
 それでは、139、140の論点についてコメントいたします。
 まず、地域医療体制確保加算についてです。前回改定では、地域医療体制確保加算の要件に、医師労働時間短縮計画の策定が追加され、ガイドラインに基づき、目標や実績等を毎年記載することが求められるようになりました。
 現在、各医療機関では、地域の医療提供体制や、各医療機関の状況等を踏まえながら、医師の長時間労働が減少するように、継続的に取り組んでいるところですが、今回の論点では、毎年、医師の長時間労働が減少するよう、要件を見直すことが提案されております。
 この記載が、毎年一定の割合で労働時間を短縮していくようなことを意味するのであれば、全く現実的ではありません。
 なぜなら、例えば医療機関によっては、意識改革の意味も含めて、一定期間に集中的に労働時間短縮に取組、その後は緩やかに短縮させる計画を立てる場合もあるなど、一定の割合での時短ではないということがよくあるからです。
 また、今回のコロナ感染症に見る突発的な医療需要の急増や、人口減少地域あるいは近隣の医療機関において、統廃合等があった場合など、地域の医療提供体制や、医療ニーズの変化によっては、やむを得ず計画的に労働時間を減らすことができない場合があります。
 中には、状況によっては一時的に労働時間が増えてしまう場合ですらあると考えられます。
 そういったことを踏まえて、実際にどのような要件を具体的に入れていけるかといえば、現実には相当難しいと言わざるを得ません。むしろ一つ一つの時短計画に含まれている具体的な取組について、35ページや37ページで調査している内容が着実に実装されるよう検討を深めていくことが、時短の実効性を高める上でも、また、医療機関に対するメッセージとしても必要だと考えます。
 次に、特定行為研修修了者についてです。
 前回改定でも働き方改革の推進という観点から、特定行為研修修了看護師を活用する対応が一定程度行われたところですが、現状では急性期病棟で1割強、治療室でも1から4割程度の配置状況にとどまっております。
 また、42から45ページにも掲載されていますが、特定行為研修修了看護師に限らず、現行制度のもとで、医師から他の医療関係職種へ、タスクシフト/シェアが可能な業務もあり、こういった取組が今後どの程度定着していくかも見ていく必要があります。
 こうしたことを踏まえれば、特定行為研修終了看護師を配置することの評価は、今後の就業者数等のデータを見ながら、タスクシェアシフティング全体の中で、現実的な範囲で検討していくべきだと考えます。
 次に、医療機関における薬剤師の業務についてです。
 1つ目の○について、病院薬剤師が、さらなるチーム医療の推進と医療の質の向上を図るために、病棟を含む幅広い業務を習得させる教育研修体制と、地域医療の経験を提供する取組は重要と考えますので、論点に示されている方向性は理解できるところではありますが、現実には、論点に記載されているような対応ができる医療機関は、大学病院と、ごく一部の医療機関に限られるように思います。
 また、そういった病院であっても、病棟で勤務する薬剤師が少なく、保険薬局に多くの薬剤師が流れている現状において、どの程度の実効性があるのかという疑問もあります。
 2つ目の○については、多職種が一堂に会するカンファレンス以外にも、例えば、変更した処方内容について、多職種間で一定期間に情報共有の上、定期的にフォローするなど、実質的には同等の目的を達しているところもありますので、そうした場合も算定できるように要件を見直すことが考えられると思います。
 続いて、医師事務作業補助体制加算についてです。
 平成20年度の診療報酬改定において、病院の医師事務作業補助体制加算が創設され、その後の改定でも、評価の拡大・充実が図られてきたことは評価に値する事であり、医師の働き方改革の施行に向けて、より一層の評価が必要と考えます。
 適切な人事管理を推進することについては、人事評価を適切に行うことによって、医師事務作業補助者のモチベーションを上げ、人材確保にもつながり、必要なことと考えます。
 この点については、前回改定で、経験年数に着目した評価に見直したところですが、医療機関で継続して働いてもらうためには、キャリアパスの提供や昇給が必要であることはよく理解しております。
 ただし、10月27日の総会の処遇改善のテーマで主張したとおり、公定価格により経営する医療機関においては、そうした対応をするための原資が不足しており、限界があるのも事実です。
 つまり、この論点は、次回改定において、医療機関が賃上げや人材確保に対応できるような十分な原資が確保できれば解決します。そうでなければ、実行不可能になるものだと言えます。
 各医療機関が、医師事務作業補助者や、日本医師会認定医療秘書などの人材を効率よく柔軟に活用できる仕組みが必要です。
 また、現在、国は医療DXを進めており、診療所の医師においても、IT化に伴う事務作業の煩雑化、複雑化など、事務作業の負担が増大しております。
 したがいまして、診療所への評価の拡大も必要と考えます。
 また、範囲の明確化については、現在認められている診療所等の文書作成補助、診療記録への代行入力に症状詳記も含まれることを明確化する方向性で検討してよいのではないかと考えます。
 手術・処置の時間外等加算についてです。
 医師の働き方改革を、特に外科系の医師に対して実効性を高く進めていくことは極めて重要で、本加算が重要な役割を果たし、外科医にとって非常に意味のあるものと受け止められていることは我々も理解しておりますし、加算の要件を見直すに当たっても、そういった実態を踏まえて検討することが必要です。
 したがって、様々な状況の医療機関がある中で、一律の要件強化がもたらす意味合いや、現に地域の外科医療を守っている医師にとって不合理が発生しないよう慎重に検討する必要があると考えます。
 論点に記載されている、24年4月から義務化されるインターバルの確保を推進するということの意味は、来年度から、勤務間インターバルが義務化されるB水準やC水準とは異なり、努力義務とされているA水準の医師であっても、手術・処置の時間外等加算1を算定する場合は、インターバルの確保を促していくことだと理解しました。
 そこで事務局へのお願いです。A水準で加算1を算定している医療機関は、現状でどの程度あるのか、要件とされている交代勤務制の導入、チーム制度導入、時間外手当の項目分布について、後日で構いませんので教えてください。
 140ページの論点です。
 看護職員の負担軽減及び看護職員と看護補助者との協働についてです。
 1つ目は、ICT等を活用して、より看護業務等の効率化を図り、それによって生まれる時間を、患者さんへ質の高い看護ケアの提供などに充てるといった観点で、異論はありません。
 2つ目は、看護補助者の中でも、より直接患者さんに対するケアを提供するようになるには、継続的に医療機関で働いていただき、研修や昇給等の支援を行う必要があると考えますが、この論点も先ほど申し上げたとおり、次回改定において、医療機関が賃上げや人材確保に対応できるような十分な原資が確保されることが先決であるように思います。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会とチーム医療推進協議会の専門委員にも、発言の機会を御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 今、データの御要望がありましたけれども、これは、後日対応するということでよろしいですか。
 事務局、お願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 いただきました御要望に関しまして、今、手元にあるデータで、ここまでクロスできるほどのデータは現状ないところでございますが、様々、医政局とも協力しながら、何が出せるかということは工夫をさせていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 私も139、140の論点につきまして、少し発言をさせてだきます。
 まず、地域医療体制確保加算に関してです。32ページの資料で、2020年から2022年にかけて、超過勤務時間が80時間以上の医師が増えているという指摘があります。
 確かに資料を見ると、そうなっているわけですが、この間は、医師の働き方改革の方向性が各病院に浸透していった時期であり、医師の勤務時間の管理に関して、そもそも何をもって勤務時間とするのかという判断を、各病院が整理していった時期でございます。
 ですので、このデータだけをもって、地域医療体制確保加算の効果が限定的であるという評価は適切ではないと思います。
 実際にタイムレコーダーの使用や何かというのが増えたりとか、様々な動きが各病院で行われていた時期ということは、御理解いただきたいと思います。
 また、長島委員からもありましたが、医師の働き方改革というものは、端緒に就いたばかりであります。今後も我々は継続して長時間労働を減少させていく必要があるということは、全く同意でございますけれども、そういう意味でも、この地域医療体制確保加算というものの評価をより充実していく必要があるのではないかと思っております。
 また、今回提案である継続して長時間労働を減少させていくというものを、この加算の算定要件に入れることに関しては、私自身は慎重に考えるべきだと思っています。
 長島委員からもありましたが、各地域で様々なことが実際の病院の運営では起こり得ます。特に今の時期は、医師の働き方改革の法施行を直前としておりまして、様々な大学からの医局人事も大きく変わってきている状況があります。医師の人事が非常に不安定になっている時期であるということは考慮すべきでありますし、一時的に一部の医師に負担がかかるという事態は、どうしても地域医療体制を確保していくためには生じ得ます。1回これで労働時間が増えたからといって、この加算が算定要件になって、加算の算定ができなくなるということは、この働き方改革を推進していく上において、本末転倒であると思いますので、慎重な検討が必要であると思います。
 あと、医師事務作業補助体制加算に関して、少し発言をさせていただきます。
 この医師事務作業補助者の活用が、医師の負担軽減に非常に効果があるということは、過去の調査でもはっきりしております。
 有能な医師事務作業補助者の育成及び活用は、働き方改革を推進していく上で非常に重要です。適切な人事管理を推進すること。また、業務範囲を明確化しつつも、先ほどありました症状詳記等も含むよう拡大するということは、現場の負担軽減にも有効であると思っております。
 あと、71ページで資料が出されておりますが、この有効である医師事務作業補助体制加算を届けていない医療機関の届出困難の理由に、救急医療に係る実績が挙げられております。
 救急医療対応に関係なく、全ての病院において医師の負担軽減は必要でありますが、現在は、この医師事務作業補助体制加算に関しては、年間の救急入院患者数が100名以上または50名以上などの実績を有する病院であることという規定があり、中小の病院で算定がなかなか困難な状況があります。
 医師事務作業補助体制加算に関しては、この緊急入院患者数の実績要件は廃止すべきであると考えます。
 手術・処置の時間外等加算に関してです。これに関しても、長島委員と同じで、慎重に検討していただきたいと思います。非常にこの加算が重要である中で、今、様々各病院の内部で改革を行っております。今回、特に勤務間インターバルに関してですが、診療報酬上の要件に設定することで、実際に今、来年の法施行を前に、様々な病院が取り組んで調整してきた結果が、混乱を生じさせる可能性がございます。
 そういう意味で、先ほど新たな資料の提示を、長島委員からありましたけれども、実際の現場にどのような影響が及び得るのかということを慎重に検討した結果、これは対応すべき案件であると思います。
 看護職員の負担軽減及び看護補助者との協働についてです。この論点に関しての、まず1つ目のICTに関しては、現在、介護施設では、夜間の巡視解除を、ICTを利用したモニタリングの活用により負担軽減が可能となっているという事例を幾つも聞いております。
 病院医療におきましても、看護職員の負担軽減のために、こういう新たな技術というものは積極的に活用していくべきであると思います。
 また、高齢入院患者の比率が増加してきている現在の全ての病棟において、患者へ直接ケアを行う看護補助者の確保は非常に重要です。
 看護師よりも、看護補助者の確保がより困難な状況になっているという病院もあるかと聞いております。
 介護保険施設の処遇改善が図られている中、病院において、主に患者への介護業務を行う、直接患者ケアを行うスタッフに十分な処遇を行うことができるよう、診療報酬上の評価を行うことが重要であると思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私も論点に沿って何点かお話をさせていただきたいと思います。
 まず、139ページの論点の2つ目、特定行為研修についてですが、これは、以前何度か出てきていると思いますが、当初スタート時では、将来10万人を目指すということでしたが、まだ1万人に満たないという状況で、やはり一番のインパクトがあるのは、診療報酬上の評価ということになるかと思います。
 特に、特定行為研修者は、今後、在宅とか療養あるいは介護施設等でも重要な役割を果たす重要な方ではないかと思いますが、特に在宅の訪問看護等でも大変重要ですが、小規模の訪問看護ステーションが、この研修を受けることは難しい現状があるところで、しっかり病院で育てていただいた特定看護師が、いずれ在宅等に行っていただくということも大変有効だと思います。ぜひこの働き方改革の面でも、そして、全ての在宅サービスに特定看護師を配置する面でも、この充実を図るための評価というのは、非常に有効な手段ではないかと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思っています。
 2つ目、医療機関における薬剤師の業務、今、長島委員からもありましたように、もともと病院薬剤師が非常に今少ない、なかなか勤務する方が少ない状況の中、こういう研修を受けていただく薬剤師がどの程度いて、どの程度有効なのかということは、疑問もあるかとは思います。一方で、こういうことによって、病院、病棟薬剤師のやりがいとか、そういうことを感じた方が、地域の病院にまた展開していただくということの1つの方法論ではあるかと思いますので、何らかの評価をいただくこともいいのではないかと思っています。
 またこれはここのマターではありませんけれども、そもそも病院薬剤師が非常に少ない状況の中、地域の大型のチェーン薬局等の給与差もありますし、学生時代から病院薬剤師の面白さということを、もっとしっかり判断していただける、あるいは経験していただくためにも、卒前教育、卒後教育での対応も絡めて、この研修が進んでいくことによって、例えば臨床研修医と同じように、この魅力が伝わるのではないかと思うのです。そういうことの一環として、中医協で、診療報酬上で何かの加算ということは、あり得るかなと思っていますので、前向きに御検討いただくこともいいのではないかと感じています。
 それから、医師事務作業補助加算については、今、太田委員がおっしゃったように、もともと医師が忙しいからこの補助加算という点から、急性期の先生は忙しいけれども、慢性期とか療養とか救急をやっていないところは、そんなに忙しくないだろうと、そういうスタンスで、ここがスタートしたのだろうと思います。けれども、実は慢性期とか、回復期とかの医師でも、逆に医師の配置基準は非常に少ないわけで、かなりの労働負荷がかかっている状況にあるのです。しかも中小病院でも電カルを入れていくと、そこに事務員の助けがないとさらにその負荷が、実は医師にかかってくることもあるので、これらの病棟での算定に係る救急要件等を緩和することも、ぜひ御検討いただければありがたいと思っています。
 最後、140ページの看護職員と看護補助者の協働については、太田委員もおっしゃったように、現状で、急性期医療においても64%が後期高齢者だというデータが、何度も中医協で出ていたように、これからは直接介護する看護補助者ということも、看護師のタスクシフトに関しても、非常に重要な視点ではないかと思っていますので、ここを評価できるような、何か方策を御検討いただけると非常にありがたいかと思います。
 一方で、116ページの合同検討会で挙がっていた意見の中で、介護職員というのは、介護が本来業務だからということで、116ページの赤で囲ったところのように、労働人口が減る中で、専門職の配置について、「急性期病院に介護福祉士を配置するようなことは現実的ではないし、医療・介護の役割分担からも望ましい姿ではない」と、こういう御意見も介護側からあるということは重々承知しています。
 一方で、これは介護職全体が、医療・介護・福祉関係に入っていくことが非常に厳しい状況だという議論であって、そこでどうしたらいいかということをやりながら、やはり高齢者がこれだけ多く医療に入ってくる中で、必要とされる直接介護する看護補助者というのを評価するということは、私自身は間違っていない方向だと思っていますので、ぜひ前向きに御検討いただけるといいかなと思っています。
 以上、コメントをさせいただきました。ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点に示されている医療機関における薬剤師の業務について、発言させていただきます。
 1つ目のポツについてですが、チーム医療の進展の中で、病院薬剤師の業務の範囲も広がっており、また、薬物治療が高度化、複雑化していることなどもありますので、新人のうちにしっかりと時間をかけて、体系立った教育、研修を実施することは、薬剤師業務の質の向上の観点から重要です。
 それに加えて、キャリア形成という観点からも、新人時代にこのような教育研修を受けることは、薬剤師としても有益なものと考えます。
 また、一定以上の経験を積んでいるということが前提になるかと思いますが、地域の病院へ出向して、地域と連携した研修を行う取組が進んでいます。
 大学病院のような基幹病院から地域の病院へ出向して、地域医療を経験することで、急性期の医療を行っている薬剤師が、医療機能が異なる病院、ふだん紹介先となる病院等での医療を学び、地域医療を学ぶことになります。
 そうしたことから、医療全体を俯瞰した人材の育成にもつながります。地域での病院での経験により、出向者のスキルアップはもちろん、大学として目指す主導的な人材養成になること。院内でより質の高い業務となること。入退院先との密な連携となります。
 これらの取組は、長島委員、池端委員からも、どれだけ取り込めるのかという話がありました。また、薬剤師不足の話がありました。薬剤師に関しても業態の偏在、地域偏在があります。
 特に病院薬剤師は喫緊の課題となっており、また、薬局薬剤師も偏在があります。薬剤師の確保に関しては重要で、第8次医療計画の中でも取組が行われることになっております。
 まだまだ多くの場所で取組がなされている状況ではないものの、病院薬剤師が取り組む業務の質の向上を推進するという観点から、評価で後押しすることは1つと考えます。
 基幹病院が地域の病院と連携しつつ、薬剤師確保や医療の質の向上に向けて取組を主体的に進めていく観点でも重要と考えますので、ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。
 2つ目のポツについてですが、66ページ目にもあるとおり、薬剤総合評価調整加算を算定していない理由で最も多いのが、多職種によるカンファレンスを行うことが難しいためとなっています。
 この加算は、入院時のポリファーマシー対策を適切に行うために、多職種での連携が重要なのであって、主眼がしっかりぶれていなければ、この加算のハードルになっている多職種によるカンファレンスの実施については、一律に求める必要はないと考えます。
 多職種連携は外せないものでありますので、示されているとおり、多職種での情報共有、連携を担保しつつ、実務的な要件に見直すことは、入院時のポリファーマシー対策の推進につながると考えます。
 資料構成が医療機関における薬剤師の業務としての項目になっていますが、この加算は、病棟での医師や看護師等とのチーム医療の取組にも関わることなので、関係職種としての働き方改革につながるものと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 先ほど池端委員から御発言があったのですが、こちらの機械の不都合で、ユーチューブを聞いていらっしゃる方が聞こえなかったようです。誠に申し訳ございませんが、発言を、もう一度お願いできますでしょうか。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私、ノー原稿なので、多少違ってくるかもしれませんけれども、では、もう一度発言させいただきます。
 では、論点に沿って何点かお話をさせていただきます。
 まず、特定行為研修修了者についてですが、医師の働き方改革のタスクシフトによって、特定行為研修者は非常に重要な役割を担うと思っています。
 一方で、資料にお示ししましたように、現状では8,820名と1万人を切っている。当初の目標では、多分、将来的には10万人を目指すということがありましたが、まだまだそこに到達しない状況が続いております。これについては、ぜひ、さらなる評価、この診療報酬での後押しが非常に重要ではないかと思っていますので、さらなる評価が必要ではないかと思います。
 そして、この特定看護師、いずれは、急性期病院等を含めた病院から、さらに地域の在宅医療の訪問看護ステーションと、あるいは訪問介護保険施設等でも非常に重要な役割を担う重要な修了者になるかと思っています。
 ただ、そこでも、まだまだ研修制度がうまくできない、特に訪問看護ステーションでは、小規模が多くて、半年以上かかる研修に行ってもらうことができないということが、現状にあるかと思いますので、しっかり病院で育てていただいた方が、将来、地域あるいは介護施設に流れていくということも想定しながら、この制度を後押ししていただければと思いますので、そういうさらなる評価が必要ではないかと思います。
 2つ目に薬剤師の業務についてですが、これは病院薬剤師がまだまだ大変不足している。特に地域の大型チェーン薬局等々の給与差もありまして、なかなか病院薬剤師がいない中で、こういう研修を受けることによって、病院薬剤師の魅力を感じ、そして、その方が地域へ行って、地域でまた地域医療を学んでくるということは、ちょうど臨床研修医が初期研修として地域の病院に勤務して、地域医療を学んでまた戻ってくるという、そこと同じような方法で、病院の薬剤師の魅力を感じてもらえる有効な方法ではないかと思います。ただ、これができるところが非常に限られているかと思いますので、この評価をすることによって、どの程度の効果があるかということは一定の疑問はあるかと思いますけれども、後押しをする1つの施策としては、この評価というのはあり得るのではないかと個人的には思っています。
 一方で、やはり病院の薬剤師をどうしたらいいかということは、卒前の教育あるいは卒後の教育といった、ここのマターではありませんけれども、そういうこと見直しも含めて、合わせ技でいかないと、なかなか改善できないのではないかということをコメントさせていただきます。
 そして、医療事務作業補助加算については、先ほど太田委員もおっしゃったように、もともとは急性期の医師が忙しいから、そこの補助をということでスタートしたのだろうと思います。そしてそのために急性救急患者の受入れ数の要件がついているのだと思いますが、実は今、回復期とか療養でも、医師の配置基準が非常に少ない中で、いろいろな業務の負担が多くなっていて結構大変、しかも中小病院が電カルを入れると、実はさらに医師の負担が増えているということがありますので、そこに対して医師事務作業補助者が入って頂けるように、この救急要件の緩和あるいは廃止等も、ぜひ御検討いただけるとありがたいかなと思います。
 最後ですけれども、140ページの論点の看護職員あるいは看護補助者の協働というところについては、これは、もう何人かの委員がおっしゃったように、今、急性期病院でも、75歳以上の後期高齢者が64%以上という患者の割合になっているとおり、やはり介護はどうしても必要になってきており、看護師さんのタスクシフトを考えても、直接介護をする看護補助者との協働は、非常に重要だということも資料で示されていますので、ぜひこれも前向きに御検討いただけるとありがたいかと思います。
 一方で、116ページにありましたように、介護保険施設等の委員からは、同時改定の意見交換会でも、「介護人材は非常に不足しているので、医療・介護の連携、差別化ということで考えれば、むしろ介護福祉士等の介護職員が医療に入ることを反対する」という御意見がありましたけれども、これは、そもそも介護職員が医療・介護福祉の現場で入ってくることが非常に厳しい状況であり、ここに対しては何らかの手当を、特に介護のほうは処遇改善加算等で対応しているけれども、医療がないということ、その差をなくしてほしいということなのです。介護人材そのものをもっともっとこの業界に入れていくという努力は、また別のところも含めて、合わせ技でいかなくてはいけないことでありますけれども、決して矛盾していることではないということで、ぜひ医療の世界でも看護補助者の評価と、特に直接介護する看護補助者の評価というのを、御検討いただけるとありがたいかと思います。
 大体合っていましたかね。
 以上です。
○小塩会長
 池端委員、どうもありがとうございました。お礼申し上げます。
 続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 最初に総論といたしまして、働き方改革につきましては、医療機関の積極的なマネジメントで、まず対応するものと考えております。
 そうした観点で見ますと、資料の13ページの結果がございますけれども、そうしたものを積極的に進める立場にある院長、副院長が、多くの方が現状のままでいいという回答結果については、非常に残念と言わざるを得ません。
 仮に法規制に対応するための経費が発生するということであれば、まずは、補助金で措置するべきだと考えます。
 一方で、医療の質が向上するものについては、診療報酬で対応する一定の合理性はございますが、そもそも医療機能の重点化や医療DXの活用による効率化といった観点で、今後は考えるべきだというのが健保連の基本スタンスです。
 それでは、論点に沿ってコメントいたします。
 まず1つ目の地域医療体制確保加算ですが、この加算は、皆様方も御承知のとおり、勤務医の過酷な労働を軽減することによって、医療の質が高まるという考え方のもと、診療報酬で評価してきたと理解をしております。
 資料の32ページを見ますと、月の超過時間が80時間以上、155時間以上の割合が、わずかではございますが増加しており、コロナ禍の影響があったとしても、この3年間で改善が見られていないことは事実でございます。
 その一方で、この加算が年間の残業時間を1,860時間まで抑えることを主な目標として導入されたものであることを念頭に置いて、32ページのグラフを改めて見ますと、既に医師の約94%といいますのは、全体を100としますと、左側の80時間以上のものの割合が、2022年度は5.76%でございます。
 150時間以上のもの割合が0.22で、これが内数か外数かは分かりかねますけれども、そうであっても94%の方が、超過勤務時間が月80時間以内という5ページに示してありますA水準を達成していることが分かります。
 つまり、この加算の目的と効果のいずれの観点から見ても、このまま評価を継続する必要性は乏しく、廃止と言わざるを得ません。
 続きまして、27ページに移りますけれども、現行の施設基準で規定されております、労働時間短縮の取組は、組織としては、取り組まなくてはいけないことであり、実質的に救急搬送2,000件さえクリアすれば算定できる仕組みになっていると言えます。
 救急搬送の受入れということであれば、救命救急入院料やICUなどの入院料、救急医療管理加算、DPCの係数という形で別途評価されているはずです。
 続きまして、特定行為研修修了者についてです。医師の働き方改革においては、看護師とのタスクシェア、看護師のタスクシフトが重要だとは考えております。
 とりわけ特定行為研修を修了した看護師の活用は不可欠であり、既に診療報酬の施設基準で評価されているものがありますが、54ページに示されているとおり、既に業務分担が進むことが期待される急性期医療において、総合入院体制加算と同様に、特定行為研修を修了した看護師の配置や活用を進めるべきだと考えます。
 一方、資料の50ページを見ますと、先ほど池端委員からも言及がございましたが、まだまだ2025年の目標としている人数には及ばない状況ですので、しっかり人材育成にも取り組んでいただきたいと考えます。
 続きまして、医療機関における薬剤師の業務についてですが、62ページに紹介がございます、高度な機能を持つ病院の薬剤師が地域の病院へ出向して地域医療を経験する仕組みは、出向元、出向先のいずれにとってもよいことだということは十分に理解ができます。
 ただ、出向先で、例えば病棟薬剤業務実施加算を算定できる場合もあり、こうした取組自体を評価することについては、保険者としては、プラスアルファでどのようなメリットがあるのか、慎重に見極めたいと思います。
 教育や研修を通じて、薬剤師業務の質の向上を図ることは重要なことだと考えております。
 一方で、薬剤師には、医師のような卒後研修制度がないことや、病院における薬剤師確保が来年度から本格的に進むことを踏まえますと、こうした取組ができる医療機関は限られていますので、医療機関の薬剤師の教育研修の実施状況や、その効果等を、今後は検証していくことが、まずは必要だと考えます。
 また、ポリファーマシー対策は重要な課題であり、取組を推進していくべきだと考えております。
 資料の66ページを見ますと、薬剤総合評価調整加算を算定していない理由として、多職種によるカンファレンスの実施が最も多くなっています。
 また、急性期だけでなく、回復期の病棟においても取組が進んでいることから、カンファレンスの実施も一定の意味があると考えられますので、単純にカンファレンスの実施を要件から外すということではなく、実務的な要件に見直して、医療の質を下げないようにするということであれば、検討の余地はあると考えます。
 次に、医師事務作業補助体制加算についてです。医師事務作業補助者の活用が医師の負担軽減として効果があることは理解しております。
 資料の70ページにありますように、前回改定で経験年数に応じた体系を導入し、評価を重視した経緯があり、72ページを見ますと、算定医療機関も増えております。
 また、76ページを見ますと、逆紹介の増加に貢献する効果も見て取れます。補助者を配置するだけでなく、質の高い業務を行うことが重要であり、単に評価の拡充ということであれば、納得はしかねますけれども、人事管理の推進や、業務範囲を加算の算定条件で明確化し、実効性のある見直しを行うことであれば、検討する余地はあると考えます。
 続きまして、手術・処置の時間外加算についてです。
 資料の83、84ページのルールにのっとり、医療の安全性を確保する観点から、時間外加算の施設基準において、しっかりとインターバルや代償休息の確保を規定すべきです。
 80ページを見ますと、現行の施設基準では手当を上乗せすれば、必ずしも交代制勤務やチーム制を導入する必要がないことになっております。
 手当は、ある意味当然であり、時間外対応加算1として高い評価を得るのであれば、全ての負担軽減策を講じるべきです。
 続きまして、看護職員の負担軽減及び看護職員と看護補助者の協働についてです。
 資料の97ページを見ますと、看護補助者の配置については、近年の改定で、毎回充実が図られてきたことが分かります。
 一方で、資料の103、104ページを見ますと、看護補助体制充実加算届出の有無で、業務分担の状況について、必ずしも大きな差がないように見て取れます。加算を新設した効果が、果たしてあったのかについては疑問を持っております。
 医療機関が看護補助者の配置を進めたいということであれば、既存の診療報酬上の評価を原資として、マネジメントで対応すべきだと考えます。
 看護補助者が患者への直接的なケアを提供することについては、看護補助体制充実加算の要件である研修をしっかり実施し、直接のケアを提供できる人材を増やすことが必要です。
 看護補助者の離職を防止し、定着率を高めるために効果がある取組を病院側で責任を持って進めていただきたいと考えます。
 最後にICTの活用についてですが、今後、労働人口が減少することを踏まえますと、ICTの活用は最大限に進め、業務を効率化していく必要があると考えます。看護職員の負担軽減の観点からも、省力化の取組として、124ページに紹介されている事項をしっかり進めていくべきだと考えます。
 緩和ケア診療加算などについて、チームの構成員が地域の専門領域で活動した場合の専従要件の明確化については、本来業務に影響がないのであれば、地域全体の医療の質の改善につながると考えますので、緩和の方向で検討することに異論はございません。
 私からは以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 ICTの活用について一言申し上げたいと思います。
 まず、資料の11ページで、お医者様のほうが、自分の勤務状況については改善の必要性、また、改善の必要があると90%以上のお医者様がそのようにおっしゃっていて、なぜ改善が必要かというところで、患者様が不利益をこうむる可能性があるためとなっており、これは最も重要な視点かなと思っていて、私たち患者としては、非常に重要な視点をお持ちのお医者様が多いと思っております。
 一方で、資料の124ページなのですけれども、ICTの導入を活用していない理由として、ICTの導入コストがかかるから、ICTの維持管理にコストがかかるから、ICTの導入に当たって教育や人材育成に時間やコストがかかるからという、これは、多分、主に経営側の視点かとは思うのですが、その安全性とコストの関係性について、やはり経営される側の皆様に、ある一定の指標というか、投資対効果というか、そういったものをきちんと見せていく必要があるのではないかと思っています。
 コストは、イメージとしてはお金と時間だと思うのですけれども、お金がなくてできないのかという視点もあるかと思うのですが、かけるコストと効果を見せつつ、お金をかけていただく、時間をかけていただくという視点と、あとは行政側で何かできないかというところ、2つ御要望として挙げさせていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 患者、国民が安心して医療を受けるためには、医師、医療従事者の働き方改革は重要であります。
 その上で、医師の働き方改革の実効性を高める観点から、各種加算の見直しを進めるべきですが、特に資料32ページによれば、地域医療体制確保加算を算定している医療機関では、月80時間以上の医師の割合が高くなっています。加算により、医師の働き方改革に逆行する結果が生じているとすれば大きな問題であり、制度の改善が必要です。
 医師や看護職員などの負担の軽減や労働時間の短縮につながる取組を促す方向で、要件の厳格化も含めた検討が必要ではないでしょうか。
 勤務間インターバルの確保を推進することなど、労働時間短縮の実績に基づく評価についても検討すべきと考えます。
 また、勤務間インターバルの実施に関して、資料の83ページに記載のとおり、宿日直許可のある、宿日直に連続して、9時間以上従事する場合には、休息時間を確保したものとみなす取扱いが認められております。
 それ自体が問題であり、まずは勤務実態を十分に踏まえた宿日直許可の取得が進むよう取組、無許可の宿日直をなくすことが重要だと考えております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 まず、地域医療体制確保加算を廃止すべきという御意見がありましたが、反対です。むしろ、これからまさに必要な加算であると考えております。
 なぜかと申しますと、来年の4月から医師についての時間外、休日労働時間の上限規制が適用されるからです。
 現在、まだ、例えば来年4月から大学病院等の基幹病院から派遣がどうなるのかという実態が、必ずしも決まっていないところも少なくありませんし、実際に始まったらどうなるかというところも、極めて変動の範囲が大きいところです。
 したがいまして、このときにこそ、この加算を役立てなければいけません。
 また、32ページのグラフで、むしろ増加している、やはりここはコロナ禍という影響は極めて大きかったと考えます。
 また、その効果を実効的なものにするためには、先ほども申し上げましたが35ページのところには、働き方改革の具体的な取組、また37ページも実施している取組がございますが、これが実際の効果を出すためにどうすればいいのかというところ、ここの検討もしっかりすべきだと思っております。
 そういう意味では、まさにこれから、特に来年4月からが本当に始まる、そこのところで、まだどうなるかが分からない状況ですから、これは絶対に必要です。廃止することはあり得ないと。その結果、地域医療提供に大混乱が起こるということを非常に心配します。
 次に、例えば、看護職員等の費用あるいはIT化のコストなどについて、何度も申し上げておりますけれども、診療報酬という公定価格で経営しております医療機関においては、経営者の努力、マネジメントに限界があります。原資がございません。
 したがいまして、全てにおいて改革、改善のための原資が必要だということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 江澤委員、お願いします。
○江澤委員
 ありがとうございます。
 地域医療体制確保加算につきまして、長島委員と全く同様で、廃止というのは全くあり得ないものだと思います。
 まさに来年の4月から、医師の働き方改革が実施される中で、本当に我々現場としましても、全国の地域の医療機関で当直医の確保、あるいは救急の受入れにどういった影響が出るのか、本当に全く今、不明な状況であります。
 したがって、我々のまず第1の使命は、地域住民の命を守るということが第1の使命でございますので、そこの使命を全うしながら、そして、これから全国の大学病院をはじめ、派遣する側の医療機関の対応というのが、これから動きが出てくるところでありますので、現時点において廃止というのは、全く論じてはならないことだと思っておりますので、その辺、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
 あわせまして、もう一点、医師事務作業補助体制加算でございますが、地域医療体制確保加算は救急搬送年間2,000件以上とか、いろいろ急性期の現場に配慮したものでありまして、これはこれで当然必要でございますし、一方で、医師事務作業補助体制加算の救急搬送の件もございましたけれども、患者数に対して一般病床は、患者数16に対して医師が1、あるいは療養病床では48に対して1以上という形で、実は受け持ち患者さんは、結構慢性期も多いという状況で、必ずしも今回の医師の働き方改革というのは、全ての医師の働き方を改革するということでございますので、そういった見地からもいろいろ検討が必要ではないかと思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 私も地域医療体制確保加算に関してです。長島先生、江澤先生と同じく、この地域医療体制確保加算は、必ず残していただかなければいけない点数だと思っております。
 先ほど松本先生のほうから、患者さんに提供される医療の質に関連しないのであるならば、廃止をすべきではないかという御発言があったと思います。実際、支払側の先生方からすると、そうだと思うのですが、その医療の質の前に、医療が提供されるというのが、まず大前提だと思います。今、非常に大きな改革を、特に医師の働き方改革をやっている中で、地域の医療提供体制を確保するために、まずこの加算というものは、働き方改革でできてきた点数であり、これを使いながら、地域の医療の提供体制を維持しながら改革を進めていくという非常に重要な点数だと私どもは認識しておりますので、ぜひともこれに関しては御理解を賜りたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 森委員、お願いします。
○森委員
 ありがとうございます。
 地域の病院への薬剤師の出向なのですけれども、金沢の事例を病院から直接聞く機械がありました。おっしゃるようにまだまだ、この取組を行えるところというのは、少ないのが現実です。ただ、通常こういう大学病院で急性期の医療、薬剤管理に専門性が出てきて、専門的な医療を行っている薬剤師が地域の病院に行って、そこで行われている医療、それから地域医療を学んでくる、そして、そういう病院は入退院の紹介先になってくる、そういう薬剤師が帰ってきたときに、大学病院の中でも医療の質向上とともに紹介先の病院との連携もすごくよくなったという報告がありました。
 この取組は少ないのですけれども、医療の質向上、それから連携の推進という観点からも、前向きに検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 まず、鈴木委員からお願いいたします。
○鈴木委員
 御指名ありがとうございます。
 私も、今、お話を聞いて地域医療体制加算について、少し意見を述べさせていただきたいと思っています。
 どちらにしましても、勤務医の先生方が長時間労働にならないのが一番いいことで、それについては、皆さん異論がないということで、その方法として1つ、地域医療加算ということで、この中ではどちらかというと、労働時間の短縮計画とか、担当者を置くとかということで、これは一般企業であれば、当然されている問題、しなくてはいけないような問題が、そういったことについて加算されるということは、ちょっといかがかなというような、普通だったら、このぐらい当然でしょうというような形が考えられます。
 ですから、例えば、こういう加算があるのであれば、やはりその加算の必要性というか、どういう部分で、もっと突っ込んだものが出ていかないと、何となく支払側としては、これは普通やっているね、それなのに加算をもらえるのだねというのは、ちょっと考えにくいかなと考えているような感じです。
 それと、地域医療で人口減少とか、いろいろな変化で対応するのが大変なのですということは十分承知しています。ですから、どこの業態でも人口減少で働き方、働く者がいなくなるような現実ですから、こういった形で今このまま漫然と加算という形でやるのではなくて、もっと突っ込んだ加算を、こうやるのだということで納得ができるように、それで地域を守っていただけるという納得性のある内容にはっきりとしていただかないと、ただ、このまま加算がいいです、悪いですではなくて、その項目の中身をもっと充実していただいて、一般的にやっていること以上に、地域ではこんなにもっとやるのですよという説得力のある内容、要件にしていただければと感じました。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
まず、すみません、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 2号の委員の方から、地域医療体制確保加算については、様々な御意見をいただきました。
 そこで1つお尋ねしたいのですけれども、32ページのグラフを拝見したとき、その下に表があるのですけれども、例えば、2022年の場合に80時間以上の方が7,371人、150時間以上の方が280人、これは内数か外数かは別としていまして、約7,500人相当になります。
 先ほど来、地域の医療提供体制に支障を来すという御発言も出ておりますけれども、少なくともこの方を除いた方々は、もうA水準を達成しているというのは、これは、もう事実として読み取れますので、そうすると、約7,500、7,600人の方々のために、この加算が必要であると、逆に言うと、こういう方々が地域医療体制を担っていると、そういう認識でよろしいかどうかを、まずお尋ねしたいと思います。
 それで、どうしても加算を廃止するということに抵抗があるようでございますけれども、その場合、例えば、法令遵守を最低限の条件として、毎年確実に超過勤務を短縮するための客観的な実績基準を導入して、特に過剰な労働をしている医師の負担を軽減することで、医療の質を上げることが担保できないのであれば、やはり加算の継続はあり得ないと考えております。
 実効的な要件を設定して継続する場合でも、期限を区切るべきです。この点で非常に気になっておりますのは、資料の5ページでございます。
 一番右端に「将来」というところで、2035年度末を目標という記載がございます。もちろん医師の養成に関しましては、教育という観点もございますので、十分その辺の年数の確保というのは承知いたしますけれども、受け取り方次第によっては、2035年まで、こうした加算がという発言につながりかねないという懸念を持っております。
 そういうこともありますので、実効的な要件を設定して、継続する場合でも期限を区切るべきだということは、改めて主張させていただきます。
 私からは以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 どういたしましょう、今、松本委員から2号側委員の方に御質問がありましたが、それも踏まえてということで、まず、長島委員から御発言をお願いいたします。
○長島委員
 まずは、来年4月から制限の適用が始まるのです。そこが全く違うというところ。
 それから、医療というのは全員でやっています。したがって、1人の医師だけでやっていませんので、1人の医師は当然全員に影響しているわけです。例えば、1人を減らそうと思えば、ほかの方が増えるということもあり得るわけなので、ここの方だけということはあり得なくて、これは全員に関係しているということです。
 それから、毎年確実なということで先ほど申しましたが、1つは、医療機関ではどうしようもない外的な要因、例えば、今回のコロナ禍のような急激な医療需要の急増とか、人口減少あるいは地域の医療提供体制の変化など、まず、外的な要因があるので、その医療機関だけではどうしようもないという場合があるということ。
 また、計画の立て方としても、毎年同じように短縮するというのではなくて、めり張りをつけてやるというところがあると、場合によって、ある年間は短縮されないというのがあっても全然おかしくはないのです。全体の計画の中では、そのように一様に毎年着実に下がっていくというものでもないし、外的要因も極めて大きいということであるので、松本委員のおっしゃるようにはいきませんということだと思っております。
 すみません、別のことで続けて発言してよろしいですか。
○小塩会長
 どうぞ。
○長島委員
 一般企業なら普通にしていることという御指摘がございましたが、一般企業は当然、大いに参考すべきでありますが、医療機関と一般企業は全く違います。一番分かりやすい違いは、一般企業には中医協がありません。御自分たちの判断で何でも決められます。医療機関、診療報酬は、国が全体を決めて、中医協で一つ一つのところを決めています。医療機関は何にも決めておりません。ここのところを十分に御理解いただければと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 それでは、続きまして、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
 ありがとうございます。
 お話を聞いておりますと、何か医療というものが、普通の一般企業と全く同じように理解をされているのではないかと、我々は誤解をします。
 これは、我々本当に毎日毎日医療の質を上げるために勉強もします、学問もします、だから働く中でそれをしていかねばなりません。どこがどこからどこまでが仕事であって、どこからどこまでが自分の自己研鑽というのは、なかなか判断がしづらい。その中で我々は、それをしっかりと学問しながら人の命を預かって、1人でも亡くさないように頑張っていっているというのは、我々の医療というものであります。
 ですから、医療というものは、準公的なものとして考えられています。ですから、中医協というものがございます。
 その中で、やはり一般の企業の方々と同じ考える、これも同じことです、ものに対しての大切さを考えると同じようなことだろうと思いますが、我々は1人も亡くしてはなりません。そういうことを考えると、本当に時間というものは、本当になくなってきます。これが働き方改革で進んでいく、その中でやっていこうとすれば、もっと我々も努力をしなければならないなと思っておりますが、何せ学問をしなければならないということもございます。そういうことを少し御理解いただければと思います。
 前回も申しましたが、何も効率よくやっていくことが医療の質をよくすることではありません。やはり医療の質をよくするということは、その効率をある程度捨てないと、余裕を持った中でしないといけないこともあるということも御理解いただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 32ページの松本先生の御質問なのですが、長島先生が答えられたとおり、この80時間以下、年間960時間を達成するために、我々は様々な工夫をしてきました。当然、ある一定程度、やはり余分に人を雇って、一時的にワークシェアリングという形に近い形でコストを増加させながら、この改革を対応してきたという部分がございます。決して、今、残っている7,500人だけではなく、そのA水準の中に入る、この94%の方の体制をつくるために、医療機関というのはコストをかけて、この対策を行ってきているということは、ぜひ御認識いただきたいと思います。
 来年の4月に運輸ですとか、建築というところも、この時間外労働規制が入りますが、多くのそういう業界も値上げなどを行い働き方改革の対応を行っています。当然マネジメントの中で、何らかの形で吸収すべきだと我々は生産性の向上を努力しますが、できない部分というのは、やはりございます。
 長島委員、茂松委員からありましたが、やはり公定価格で我々はやっている中で、最終的には折り合える値段設定というものを設定していただかないと、我々としては、医療の提供を持続可能で行うということができないということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 非常に多くの御意見を両側の委員からいただいているのですけれども、先ほど長島委員から、看護、それからチーム医療の観点から、専門的な御意見を伺いたいという御要望がございましたので、専門委員の方々から御意見を頂戴したいと思います。
 最初に、木澤委員、お願いいたします。
〇木澤専門委員
 ありがとうございます。
 まず、特定行為研修修了者についてです。
 特定行為研修修了者の配置によって、チーム医療が推進され、患者に対するきめ細やかなケアによる医療の質の向上及び医療従事者の長時間労働の削減等の効果が見込まれていることが資料にも示されております。
 特定行為研修修了者は、適切な役割が果たせるような評価の推進は重要と考えております。
 次に、看護職員の負担軽減及び看護職員と看護補助者の協働についてです。
 論点の2つ目の○の部分について意見を述べます。
 これまでも看護職員と看護補助者は、看護チームのメンバーとして協働してきましたが、特に夜間等の看護職員の負担軽減を考えれば、さらなる協働が必要となります。
 一方で、看護補助者の就業数が減っており、定着率に課題があるのも実態です。
 資料の107ページでは、看護補助者の抱えている課題として、患者さんの命に関わる業務であるということの怖さや不安感が強いとの結果が示されております。
 特に食事介助や清潔などの直接ケアを実施するためには、知識、技術も必要ですし、看護補助者が安心して安全に直接ケアを担えるためには、教育、研修の充実、業務の明確化、看護職員による指示出しが明確であることなど、働く上での環境整備が大変重要です。
 これまでも各病院で対応を行ってまいりましたが、より具体的で充実した直接ケアの研修が必要となっており、院内研修を実施する看護師の負担軽減という観点からも、資料の110ページにもあるような直接ケアに関する外部研修の活用も進んでおります。
 日本看護協会がオンデマンドで提供している看護補助者研修を受講した病院への調査からは、未経験者であっても研修を受講することで、安心して安全に直接ケアを実施できるようになり、看護チームの中で積極的な関わりを取れるようになったことや、定着率にも効果があることなどが分かっております。
 さらに、直接ケアに関する研修内容を看護職員が把握することで、看護職員と看護補助者の協働がより一層推進されているとの意見も寄せられております。
 これまでの審議会等で、介護福祉士の評価という御意見もありましたが、いずれにしても、このような取組を通じて、看護職員と看護補助者の協働を推進するとともに、直接ケアを提供する者を増やし、直接ケアを提供する看護補助者への評価につなげていくことが重要だと考えております。
 次に、ICTの活用等についてです。
 ICT等の活用や業務負担軽減に関しましては、あくまで業務効率化が目的であり、患者さんの安全を第一に十分実証を重ねていただきたいと思います。
 その上で、ロボットやデバイス活用は、業務効率化や看護職員の負担軽減、記録に係る時間の短縮につながることが明らかであり、積極的な推進が求められます。
 ただし、システム導入には一定のコストがかかり、看護部だけでは導入できないものも多いことから、病院全体で必要な取組が進むように支援が必要だと考えております。
 最後に、緩和ケア診療加算等、チームの構成員の専従要件に関してですけれども、緩和ケアや感染対策等の専従配置を求めている施設基準について、専門的な知見を有する者が地域に出て活動することの推進は大変重要であり、こうした活動を専従時間に含めることには賛成いたします。
 しかし、現実的には限られたチーム人数で、院内での多くの業務をこなしている現状から、専従業務の考え方を緩めるだけでは、地域のニーズに十分に応えることは、厳しい状況でございます。
 これまでの中医協でも、在宅や地域の介護施設等で、こうした人材を活用する必要があるとの議論も出ておりますので、専従要件の見直しが実効性のある対応につながるように検討していただきたいと思います。
 私からは以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、上田専門委員から御発言をお願いいたします。
○上田専門委員
 ありがとうございます。
 2024年度から医師にも時間外労働時間の上限規制が適用され、医師の働き方改革に向けた区切りであると考えております。
 138ページの課題3に示されております、ICTの活用についてでは、重要な内容が記載されていると考えています。
 特に2ポツ、3ポツは先行した検討の事例について示されており、今後も推進していくべき内容と考えています。
 140ページにあります、ICT活用に関する論点に沿って発言させていただきます。
 論点「ICTの活用等について」の1つ目の〇にあります、ICT、AI、IoTの活用については、資料の118ページから123ページにも示されているように、多くの成功事例が報告されております。
 しかし、鳥潟委員からの御指摘にもありますように、124ページの左のグラフにあります、いまだ2割弱の医療機関においては、ICTを活用した業務の見直し、省力化に係る取組状況の問い対し、特になしの調査回答となっています。
 2のICTを活用していない理由のうち、上位の回答を見ますと、コストに関わることが、活用しない理由となっていることが示されています。
 よって、チーム医療を進める立場としても、コストの問題も議論いただきたいと思っております。
 タスクシフト/シェアを移管される側である医療技術職の新たな業務負担に対する軽減策として、ICTの利活用も御検討いただきたいと考えております。
 患者にとって、よりよい医療を提供するチーム医療の推進という観点も含めて、ICT、AI、IoTの導入を積極的に議論、検討していただきたいと考えております。
 私からは以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。それでは、飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
 ありがとうございます。
 事務局に情報提供をお願いしたいのですけれども、本日は、医師の勤務時間の管理とタスクシェア/タスクシフトを通じた、働き方改革ということの議論が集中していますけれども、若干外側で懸念しておりますのは、医師の勤務時間の短縮を達成するということのために、地方の医療機関への医師派遣の引上げというものが起こる可能性です。
 2004年の新医師臨床研修制度の導入の際も、医師の引上げがあったということが言われておりますけれども、今回そのような懸念に対して何か対応が取られていることがあれば、こちらで教えていただければと思います。
○小塩会長
 今、飯塚委員から御質問がありましたけれども、事務局いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 今日、事務方で何がお示しできるか考えて対応させていただきたいと思います。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 それでは、安川委員、お願いいたします。
○安川委員
 1点、特定行為研修の修了後に関してだけ発言をお許しください。
 51ページの下の表を見ると、修了者の就業場所別の状況が出ているのですが、不明という回答が16.5%あるのですね。これが単なる記入漏れということなのか、あるいは、記入したくても記入できない状況なのかというのは大いに違うことであって、特定行為研修というのは看護師さんにとっても、あるいは医療施設にとってもそれなりの目的と、ある意味覚悟を持って送り出されていることと思いますし、一生懸命研修をされているわけですから、当然その修了後というのは、その成果を臨床現場にタスクシェアということで還元するということが期待されていると思います。
 ですから、ここにある未就労、その他などを含め、あるいは教育機関での就労も含めますと18.3、2割近い修了者の方が臨床現場には戻っていないと読めます。
 ですから、この不明というのが、単なる記入漏れなのか、それともほかに事情があるのかということの精査を、もちろん今ではなくて結構ですが、事務局におかれては、もし、していただけますと、ありがたいなと。
 あるいは、もし、この間の特定行為研修修了者の就労に関する何か妨げる状況、例えば、賃金の問題であったり、配置の場所がうまく見つからないといった、実際の就労上の問題を、もし看護の専門委員のほうで把握されているのであれば、それも今日でなくても結構ですけれども、いつかの時点で、御教示いただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 事務局でお手が挙がっていますので、御回答をお願いいたします。
○後藤看護サービス推進室長
 医政局看護課でございます。
 資料の51ページのデータについて補足説明をさせていただきます。
 こちらは、不明が16.5%となっておりますけれども、こちらの調査が、指定研修機関という育成機関を通して、修了者の配属場所を調査している関係で、指定研修機関が経年的に追えなくなりますと、このようなデータになってしまうという状況になっております。
 こういったデータの不備を踏まえまして、私どもといたしましては、現在、医療従事者届という看護師が2年に1回必ず届け出る調査がございます。こちらは、御本人が回答する調査になっておりまして、今後こちらの調査で、そのどちらに就業されているかというのは定点でフォローしていけるものと認識しております。
 以上でございます。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 今、飯塚委員からお話が出ました件についてですけれども、私もそれを危惧しております。
 というのは、医師の働き方改革は、単純に考えて働き過ぎの医師をどう一定の基準に抑えるかというと、まず、一人一人働き時間を減らすか、あるいは数を増やすか、どちらかしかないはずなのです。
 でも、今の日本の現状では医師を増やすということではなくて、IoT等を使ったり、業務の効率化をして、何とか1人の医師の働く時間を縮小していこうという方向で、今ここまできている状況ですが、その中で、やはり地域では、そのために地域に派遣された医師の引上げということが実際に起きているし、これから引上げをしようと考えているところもかなりあると感じています。
 というのは、まだ態度を表明していないという状況があるのです。だから、その中で、今、例えば8時間達成しても、もし引上げがされたら、そこは途端に達成できない医療機関が増えてくるわけで、そこに対する原資という意味でも、やはり、今この加算を廃止すべきではないと思いますし、そういう現状があって、特に宿日直許可をどこが取っているか、取っていないか、全部、今、調べて派遣する病院、される病院が調整を行っているところなので、まさに来年4月からスタートしたときに、この加算を後ろ向きに適正化ということは、ちょっとあり得ないと思っています。先ほど、もう達成しているではないかとおっしゃっていますけれども、これから維持できるかどうかが、現場としては非常に危惧するところなので、ぜひそういう御理解もいただければと思います。
 もう一点、看護補助者に関して、今、木澤委員からもお話がありましたように、多職種連携、特に研修制度を院内、院外を含めてやっていく、看護と看護補助者でやっていくということは非常に重要で、実際に療養病床を中心に慢性期はもう当たり前のようにやっていて、その中に実は、リハスタッフも入っていて、介護技術をリハスタッフから身につけてもらうとか、そういう研修も取り組んで、こういう研修制度を充実させることによって、より看護補助者が身体介護等に関われる機会が増えるということは、非常に重要だと思います。
 そういう意味で、前向きな発言をいただいたということで、先ほど松本委員から、必要性は分かるけれども、それは、これまでの入院基本料等の中で、医療機関でやりくりすべきではないかという御発言だったと思います。けれども、何が大きく違うかというと、その看護補助者の中の介護職員というのが、実は、介護現場でいけば、介護保険上の加算で、かなり給与を上げているのです。今、その差を埋めるべく医療機関は、実はそこを内部で補填している、間違いなく補填しているのです。補填していても、実際、中医協で示されたと思いますけれども、介護職員の給与水準と看護補助者の給与水準が、どんどん差が開いているというデータが、前回の中医協で出たと思いますけれども、それは、やはり原資がないから持ち応えられないから、なかなか医療機関で働く看護補助者の待遇が上げられないということがあるので、それも含めて、今回何らかの形での評価ということを、ぜひ御検討いただきたいなと思っています。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。特にほかに追加の御質問、御意見等ございませんようですので、本件に関わる質疑は、このあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた多くの御意見も踏まえて対応をしていただくようにお願いいたします。
 ということなのですけれども、まだ幾つか皆さんに議論していただきたい議題がございます。
 そこで、これは会長からのお願いなのですけれども、ここで休憩を挟んで、それで再開ということでお願いしたいのですけれどもよろしいでしょうか。お願いいたします。
 それでは、休憩ということでお願いします。
(休 憩)
○小塩会長
 それでは、次に「医薬品の新規薬価収載等について」及び「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。
 これらの2つの議題は関連しますので、併せて審議することにいたします。
 本日は、薬価算定組織の前田委員長にお越しいただいております。前田委員長より御説明をお願いいたします。
○前田委員長
 ありがとうございます。
 薬価算定組織の委員長の前田です。
 私から、今回検討いたしました新医薬品の算定結果について、御報告いたします。
 資料総-4-1を御覧ください。
 今回報告する新医薬品は、1ページの一覧表にありますとおり、13成分35品目となります。
 それでは、算定内容について御説明いたします。
 1品目目のフォゼベル錠です。資料の3~4ページを御覧ください。
 本剤は、透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を効能・効果とし、ピートルチュアブル錠250mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、既存の薬剤とは異なる新規の薬理作用を有しており、また、既存のリン吸着薬で効果不十分な血液透析患者を対象に実施された試験において、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証されていることから、有用性加算(Ⅰ)の40%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で30mg1錠641.80円となりました。
 次に2品目目のコルスバ静注透析用です。資料の5~6ページを御覧ください。
 本剤は、透析患者におけるそう痒症の改善を効能・効果とし、レミッチOD錠2.5μgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、既存治療では効果が不十分な患者群において効果が認められていることから、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で25μg0.7mL1筒3,609円となりました。
 次は3品目目、レクビオ皮下注です。資料の7~8ページを御覧ください。
 本剤は、家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症を効能・効果とし、レパーサ皮下注140mgペンを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、既存の薬剤とは異なる新規の薬理作用を有し、また、投与間隔が長く、患者の利便性が高いことから、有用性加算(Ⅰ)の40%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、300mg1.5mL1筒44万3,548円となりました。
 次に、4品目目のウゴービ皮下注です。資料の9~10ページを御覧ください。
 本剤は、肥満症を効能・効果とし、原価計算方式により算定いたしました。
 本剤は、国際共同治験において、既存の治療方法では効果が不十分な患者群において効果が認められたことから、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 補正加算について、加算率5%に対して加算係数0を適用して、0%の補正加算を適用しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で2.4mg0.75mL1キット1万740円となりました。
 次に5品目のメグルダーゼ静注用1000です。資料の11~12ページを御覧ください。
 本剤はメトトレキサート・ロイコボリン救援療法によるメトトレキサート排泄遅延時の解毒を効能・効果とし、原価計算方式により算定いたしました。
 本剤は、ロイコボリン救援療法及び支持療法が実施されている患者に対して、血中メトトレキサート濃度の低減効果が認められていることなどから、有用性加算(Ⅱ)の10%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品に指定されていることから、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 補正加算について、合計の加算率20%に対して加算係数0を適用して0%補正加算を適用しました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1,000単位1瓶267万4,400円となりました。
 次に、6品目目のジルビスク皮下注です。資料の13~14ページを御覧ください。
 本剤は、全身型重症筋無力症を効能・効果とし、ウィフガート点滴静注400mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で16.6mg0.416mL1筒6万9,580円となりました。
 次に7品目目のエプキンリ皮下注です。資料の15~16ページを御覧ください。
 本来は、の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫及び再発又は難治性の濾胞性リンパ腫を効能・効果とし、ビーリンサイト点滴静注用35μgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本来は、海外の診療ガイドラインにおいて標準的治療法として推奨されていること、本剤は単剤療法かつ投与時間も短い皮下注製剤であり、患者の負担は一定程度軽減されると考えられたことから、有用性加算(Ⅱ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で48mg0.8mL1瓶159万5,363円となりました。
 8品目目、フェスゴ配合皮下注です。資料の17~18ページを御覧ください。
 本剤は、HER2陽性の乳癌及びがん化学療法後に増悪したHER2陽性の治療切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を効能・効果とし、パージェタ点滴静注420mg/14mL及びハーセプチン注射用150を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 なお、製造販売業者より、算定方法について、本剤は、新医療用配合剤の特例の除外要件である「臨床上のメリットが明らかな注射用配合剤」に該当するため、算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)が適切であること、かつ有用性加算の要件③-cを満たすことの不服意見がございました。
 それを受けまして、薬価算定組織で検討しました結果、ボルヒアルロニダーゼ アルファを配合することで、既存の薬剤の組み合わせに対して投与時間を短くできることは自明であるものの、本剤とボルヒアルロニダーゼ アルファを配合する既収載品の臨床試験時期を踏まえると、本剤についても一定の評価ができること、また、乳癌治療において、現時点ではペルツズマブ(遺伝子組換え)及びトラスツズマブ(遺伝子組換え)を投与する場合は、2回に分けて数時間にわたる点滴静注が必要であるのに対し、本剤は1回の短時間での皮下投与が可能であることを踏まえると、臨床上のメリットが明らかな注射用配合剤と考えられるため、算定方法は類似薬効比較方式(I)により行うことが適当と判断いたしました。
 ただし、日本人乳癌患者を対象に実施した調査結果によると、点滴静注を選好する患者もある程度存在していることなどを踏まえると、使用に際しての利便性が著しく高いとまでは判断できず、有用性加算の要件③-cには該当しないと判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で10mL1瓶26万8,695円となりました。
 次に、9品目目のデュピクセント皮下注です。資料の19~20ページを御覧ください。
 本剤は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を効能・効果とし、デュピクセント皮下注300mgシリンジを最類似薬とした規格間調整により算定いたしました。
 本剤は、小児に係る用法・用量が明示されていることなどから、小児加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、200mg1.14mL1筒4万3,320円となりました。
 次に、10品目目のアレモ皮下注です。資料の21~22ページを御覧ください。
 本剤は、血液凝固第Ⅷ因子または第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病患者における出血傾向の抑制を効能・効果とし、ヘムライブラ皮下注150mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、既存の薬剤とは異なる作用点を有していること、臨床試験においてインヒビター保有血友病患者における有効性が検証されたなど、治療方法の改善に該当することから、有用性加算(Ⅰ)の35%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品に指定されていることから、市場性加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で150mg1.5mL1キット189万3,013円となりました。
 次に、11品目目のオルツビーオ静注です。資料の23~24ページを御覧ください。
 本剤は、血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者における出血傾向の抑制を効能・効果とし、ジビイ静注用3000を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、既存の薬剤より効果の持続が著しく長いことから有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で3,000国際単位1瓶(溶解液付)59万4512円となりました。
 次に、12品目目のキュービトル20%皮下注です。資料の25~26ページを御覧ください。
 本剤は、無または低ガンマグロブリン血症を効能・効果とし、ハイゼントラ20%皮下注4g/20mLを最類似薬とした 類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、国内臨床試験に小児患者が含まれており、効能・効果及び用法・用量は小児と成人の区別がされておらず、小児にも使用可能であることなどから、小児加算の5%を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で8g40mL1瓶8万5,266円となりました。
 次に、13品目目のリスティーゴ皮下注です。資料の27~28ページを御覧ください。
 本剤は、全身型重症筋無力症を効能・効果とし、ウィフガート点滴静注400mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は280mg2mL1瓶35万6,392円となりました。
 続いて、資料総-4-2を御覧ください。市場拡大再算定についての御報告をさせていただきます。
 効能追加等があった医薬品などについて、一定規模以上の市場拡大のあった場合は、年4回の新薬収載の機会を活用して、市場拡大再算定の規定を適用し、薬価を見直すこととされております。
 今般、6月診療分のNDBデータを確認したところ、イミフィンジ点滴静注が市場拡大再算定の特例の要件に、また、ポライビー点滴静注用が市場拡大再算定の要件に該当すると判断いたしました。
 その結果、改定薬価は資料の表の中ほどにあります、改定薬価の欄に示した額となっております。
 以上で私からの説明を終わります。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 引き続き、事務局から補足と説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官です。
 まず、資料総-4-1について補足説明をさせていただきます。
 ただいま説明があった収載予定の新薬のうち、費用対効果評価の対象が4品目あります。
 1ページ目の表の1番目のフォゼベル錠、3番目のレクビオ皮下注、4番目のウゴービ皮下注及び7番目のエプキンリ皮下注でございます。
 いずれもピーク時の市場規模予測から、H1品目に該当するものでございます。
 資料総-4-1の補足説明は以上ですけれども、続きまして、次の議題に関連する最適使用推進ガイドラインの関係の資料を説明いたします。資料総-5でございます。
○中井医薬品審査管理課長
 医薬品審査管理課長でございます。総-5-1「最適使用推進ガイドライン(案)」について御説明申し上げます。
 インクリシランナトリウム、販売名はレクビオ皮下注でございます。
 本品については、8月21日の薬食審医薬品第一部会での審議を経まして、9月25日に家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症を効能・効果として、製造販売承認がされてございます。
 その際、最適使用推進ガイドライン案についても薬食審で確認を受けておりますので報告を申し上げます。
 このガイドラインの構成につきましては、抗PCSK9抗体で家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症に係る効能・効果を有するレパーサの最適使用推進ガイドラインと同じでございます。
 2ページ目の「1.はじめに」のところにありますけれども、効能・効果は、先ほど申し上げたとおりでありまして、用法・用量については、1回300mgを初回、3か月後に皮下投与、以降6か月に1回ということになります。
 臨床成績が4ページから15ページに記載されてございますけれども、高コレステロール血症及び家族性高コレステロール血症、ヘテロ接合体を対象とした海外第Ⅲ相臨床試験において、有意なLDL-Cの低下が示されてございます。
 また、家族性高コレステロール血症ホモ接合体患者については、第Ⅲ相試験において、優越性が示されなかったということでございますけれども、作用機序、それから部分集団解析、それから個別集団症例ごとのLDL-Cの推移とそういったことを踏まえまして、LDL受容体の遺伝子型が非null/null型のHoFH患者に対しても有効性が期待できると判断してございます。
 16~17ページが施設についてという基準でございまして、十分な知識と経験を持つ医師を責任者として配置するように記載してございます。
 これらにつきましては、類薬のレパーサの施設要件と同じでございます。
 続きまして、投与対象となる患者でありますが、18~19ページ、これもそれぞれ非家族性高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症それぞれについて、要件を設定しておりまして、これらもレパーサの最適使用推進ガイドラインと同様でございます。
 また、投与に際して留意すべき事項についても同様であります。
 続きまして、総-5-2のエボロクマブ(遺伝子組換え)、先ほど御説明しましたレパーサ皮下注の最適使用推進ガイドラインについても、最新の動脈硬化性疾患予防ガイドラインの記載を反映する形で、改訂してございます。説明は省略させていただきます。
 続きまして、資料総-5-3であります。販売名ウゴービ皮下注、セマグルチドの最適使用推進ガイドラインについてであります。
 本品につきましては、1月21日の薬食審医薬品第一部会の審議を経まして、3月27日に肥満症を効能・効果として承認されてございます。
 同様に本剤の最適使用推進ガイドライン案についても、薬食審で確認を受けているということであります。
 構成は、既に発する他剤のガイドラインと同じということでありまして、2ページ目の「1.はじめに」で効能・効果は肥満症ということで、ただしということで幾つか記載させてございます。
 用法・用量についても、0.25mgから開始し、その後、2.4mgの順に増量し、以降は2.4mgを週1回皮下注射ということであります。
 4ページ~16ページが臨床成績でありまして、4ページに記載の「高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病を有する肥満症患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験」、8ページに記載の「肥満症等の被験者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験、12ページに記載の「2型糖尿病を有する肥満症等の被験者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験」の3つの臨床試験を行いまして、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されてございます。
 安全性プロファイルについても適切な注意喚起を実施することにより、管理可能ということであると判断しています。
 17~18ページに施設についてということで、肥満症という疾患を適切に診断管理、治療ができ、多職種による管理ができる施設を選定するように記載してございます。
 また、医師要件について、17ページの後半に記載の内容が定められています。
 19~20ページ、投与対象となる患者について、患者選択は最新の診療ガイドラインの診断基準に基づくことという旨、適切な食事療法・運動療法に係る治療計画を作成し、本剤を投与する施設において6か月以上治療を実施して、十分な効果が得られない患者であるということ、投与の継続中止についても最大68週間ということと、本剤を3~4か月間投与しても改善傾向を認めない場合は、投与を中止するといったことなどを記載してございます。
 21ページについて、投与に対しての留意事項について記載してございます。
 資料総-5-3につきましては以上であります。
 続きまして、総-5-4であります。デュピルマブの最適使用推進ガイドラインでございます。
 デュピルマブについては、8月28日の薬食審医薬品第二部会において審議されまして、9月25日にアトピー性皮膚炎に係る小児の用法・用量を追加する承認事項一部変更承認がされてございます。
 最適使用推進ガイドラインを改訂しておりまして、これについても薬食審で確認がなされています。
 最適使用推進ガイドラインの主な変更箇所について、網掛けをしております。
 2ページ目「1.はじめに」と書いてありますけれども、効能・効果は変更ございません。用法・用量について、生後6か月以上の小児に対する用法・用量を追加しています。
 資料の4~11ページ、臨床成績でありますけれども、ステロイド外用薬で効果不十分な生後6か月以上18歳未満のアトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験を実施いたしまして、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されています。
 安全性についても同様に、成人患者に対して実施されている安全対策を引き続き実施するということで、安全性の管理は可能ということで判断しています。
 12ページ、施設要件について、施設要件のうち必要な医師要件について、小児アトピー性皮膚炎患者に投与する場合の要件を追加しています。
 14ページ、投与対象となる患者について、臨床試験に基づき検証された患者を記載しており、小児の患者選択を追加しています。
 15ページ、投与に対しての留意事項について、小児に対するステロイド外用薬での前治療に関する留意点を追加してます。
 最適使用推進ガイドラインついての説明は以上でございます。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料総-5-5を御覧ください。
 先ほど説明がありました、最適使用推進ガイドラインに基づく保険適用上の留意事項についてでございます。
 2の対象品目の概要について、品目は、レクビオ皮下注、レパーサ皮下注、ウゴービ皮下注、デュピクセント皮下注になります。
 「3 留意事項の内容」につきまして、基本的考え方、対象品目として最適使用推進ガイドラインに従って使用する旨を明記しております。
 また、診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項は、2~6ページ目に記載しているとおりでございます。
 最後に、7ページ目の「4 留意事項通知の発出日及び適用日」につきまして、こちらは、11月21日付発出、翌日22日付適用ということを予定しております。
 説明は以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 どうも説明ありがとうございました。
 総-4-1の1ページ目のリストのナンバー4、ウゴービ皮下注についてだけ、コメントをさせていただきます。
 総-5-3に示されております、最適使用推進ガイドラインで処方を適切に管理していくことは十分理解をいたしましたが、それでもピーク時の売上は10万人、328億と非常に大きな市場規模になっております。
 また、本剤の効能が肥満症であり、GLP-1を有効成分としていますけれども、一部の糖尿病のGLP-1受容体作動薬で限定出荷が生じている状況があり、その要因としては、美容やダイエットを目的とした使用が背景にあることを踏まえますと、かなり慎重に使用していただきたいと考えております。
 また、先月公表いたしました、我々健保連が実施したレセプト分析においても、糖尿病のGLP-1受容体作動薬を保険診療として減量目的で使用していることが、強く疑われる事例が散見されました。
 こうした事態を踏まえますと、本剤においても薬事承認やガイドラインのルールを逸脱して使用する事例が発生する懸念もございますので、厚労省におかれましては、自由診療も含めまして、ウゴービの使用実態について注視をお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 私も4番目のウゴービについて、事務局に確認をさせていただきたいと思っています。
 企業が薬価基準への収載を希望するということは、その企業の責任で、安定供給ができるということが前提だと思っております。
 今、松本委員からもありましたけれども、同一メーカーの同一成分の医薬品であるオゼンピック皮下注が発売後間もなく限定出荷停止となっています。要因は、まだ分からない部分はあるのですけれども、国内外の需要拡大により、需要に見合った供給が難しいという理由だと理解をしています。
 現状、この限定出荷停止というのは解除されているのでしょうか。ウゴービ皮下注が承認されることにより、同一成分のオゼンピック皮下注に影響することはないのか、このような状況の中でも、本製剤の安定供給は担保されるのか、懸念されるところです。
 そうした中、ウゴービ皮下注に関してはしっかりと市場規模予測を行い、生産体制を確保しているのか、これらについても確認をさせていただきたいと思います。
○小塩会長
 事務局、お願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 御質問に関しまして、ウゴービ皮下注の薬価収載に当たりまして、供給状況を企業に確認しました。
 企業からは、最適使用推進ガイドラインを踏まえ、どの規格の製剤も国内で予測される需要に十分対応できる供給量が確保できているという報告を受けております。
 また、同一成分のオゼンピック皮下注につきまして、現在は供給制限となっており、供給不足の状況でありますが、企業のほうで生産量を増やす増産体制によって、十分な在庫量の確保の目処がついたということで、年明けには供給制限が解除される見込みと聞いております。
 したがいまして、ウゴービ皮下注の薬価収載に当たり、既存の糖尿病薬、肥満症薬の製剤とともに、両方とも安定供給が確保できるものと考えております。
 なお、企業からは、このような供給不足の状況なので、適正使用の推進を徹底するとともに、供給状況を十分把握しながら流通させていくと聞いております。
 また、先ほど松本委員からの御指摘の適正使用の関係でございますが、企業側から保険診療、自由診療問わず、最適使用推進ガイドラインを満たす施設で使うことを想定した流通を考えていると聞いております。
 ですから、企業としてできる限りの対策を講じることで、適切な施設への販売をしていくということでありました。
 御指摘いただいた点に関しましては、企業にも伝えておきますし、厚労省としても注視していきたいと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 松本委員、森委員、よろしいですか。
○森委員
 ありがとうございます。御回答ありがとうございました。
 オゼンピック以外にも、同様のチルゼパチド注射薬、これも発売後すぐに限定出荷になっています。ウゴービの用法・用量のところ見ていただきますと、初回0.25mgから入って、4週間ごとに量を増やしていくというお薬です。こういうお薬が途中で制限、停止されることによって、治療に非常に大きな影響が及ぶことになります。これが1点目です。
 それから、ウゴービとオゼンピックで、同一成分で、別の製品にしたという一定の理由があるというのは聞いていますけれども、2つの銘柄にすることによって、もしかしたらウゴービの成分の生産への影響というのも懸念をされるところになります。
 また、医療機関・薬局では、2つの製剤を用意しなくてはいけないのと、これだけ多くの規格があるものをそろえなければいないということもありますので、このことは医療現場の在庫負担、廃棄ロスの要因になります。十分に配慮できるときには、現場の負担も考慮した中での対応をお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 全く同じく、ウゴービに関してですけれども、松本先生、森先生もおっしゃったように、私も現場から見て、正式にGLP-1が肥満に聞くということを公表することになりますので、これによって、さらに不適切な適用、扱い方が出る可能性を非常に危惧しております。
 実際に糖尿治療薬、GLP-1製剤が今、本当に手に入らないのです。ですから、私が言うのもなんですけれども、一部のところで、そういう使い方をしてしまうのが通ってしまわないように、年明けから流通は安定すると、今、御報告いただきましたけれども、もし可能であれば、この場で定期的に少し現状報告をいただけると、GLP-1製剤全体の流通状況と、ウゴービの使用状況ということを、3か月、4か月程度で1回御報告いただけるとありがたいかなと思っています。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 私もウゴービ皮下注に関しまして、コメントいたします。
 今回の最適使用推進ガイドラインが、しっかりと遵守されていることが確認できるよう、保険適用上の留意事項通知で規定することが必要と考えております。
 また、ほかの委員と同様、安定供給に関しては、GLP-1製剤全体の需給バランスに悪影響が生じるなどして、2型糖尿病の治療に影響が生じないよう、企業に対してしっかりと指導をお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかに御質問等ないようでしたら、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 前田委員長、どうもありがとうございました。
 続きまして「費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 資料総-6を御覧ください。8月から10月の中医協において承認いただきました医薬品の費用対効果評価結果に基づく価格調整について説明いたします。
 資料総-6-1から6-6まであります。
 まず、資料総-6-1、レットヴィモでございます。価格調整係数に基づいて、下の表に示した価格調整後の薬価に改定いたします。
 続きまして、資料総-6-2、ビンゼレックスについてでございます。こちらは、価格調整係数が1であることから、価格調整はございません。
 次に、資料総-6-3、ピヴラッツでございます。こちらも価格調整係数が1であったことから、価格調整はございません。
 続きまして、資料総-6-4、ウィフガートでございます。こちらにつきましては、価格調整係数に基づいて、下の表に示した価格調整後の薬価に改定します。
 続きまして、資料総-6-5、オンデキサでございます。こちらは、価格調整係数が1であったことから、変更がございません。
 続きまして、資料総-6-6、ジスバルでございます。こちらにつきましては、価格調整係数に基づいて、下の表に示した価格調整後の薬価に改定します。
 いずれにつきましても、価格改定が行われるものにつきましては、適用日が令和6年2月1日を予定しているところでございます。
 説明は以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 続きまして「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 資料総-7を御覧ください。
 定例の議題でございますけれども、新規に薬価収載されます医薬品等につきましては、DPC/PDPSにおける診療報酬点数表に反映されないことから、一定の基準に該当する医薬品を使用した患者さんにつきましては、包括評価の対象外とするなどの取扱いをしてございます。
 今回、効能・効果が追加されました医薬品も新規に薬価収載される医薬品につきまして判定を行い、2の一覧にお示ししております医薬品につきましては、対応する診断群分類につきまして、基準に該当しておりますということで、出来高算定としてはどうかという御提案。
 続いて、4ページの3でございますが、こちらは類似薬効比較方式で薬価が設定された医薬品で、その類似薬に特化した診断群分類が既に設定されているものが掲げられてございます。
 この診断群分類に新規の医薬品についても反映してはどうかという御提案でございます。
 御説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 続きまして「在宅自己注射について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 資料総-8-1と8-2を用いて御説明させていただきます。
 8-1からでございます。在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加についてでございます。
 1剤目は、ジルコプランナトリウムであります。この薬剤は、全身型重症筋無力症に対して使用する薬剤でございます。
 参考1にございますとおり、学会から要望書が提出されてございます。1日1回の投与が必要ということでございまして、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかという御提案でございます。
 2剤目は、コンシズマブでございます。
 この薬剤は、先天性の血友病患者における出血傾向の抑制に対して使用する薬剤でございます。
 こちらは、総-8-1の参考2及び3のとおり要望書が提出されてございます。こちらも対象薬剤に追加してはどうかということでございます。
 続きまして、資料総-8-2を御覧ください。
 こちらは、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤であるヒュミラのバイオ後続品の取扱いでございます。
 バイオ後続品につきましては、このように個別に判断するということでございまして、今回はアダリムマブに関しまして、4ページ目の対応案にありますとおり、先行品と比較して、特段の問題はないと考えられますことから、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかという御提案でございます。
 事務局からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 特にないようですので、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

 

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