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2023年10月27日 中央社会保険医療協議会 総会 第561回議事録

○日時

令和5年10月27日(水)診療報酬基本問題小委員会終了後~

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 本田文子委員 安川文朗委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○最適使用推進ガイドラインについて
○DPC対象病院の退出に係る報告について
○在宅(その4)について
○診療報酬基本問題小委員会からの報告について
○処遇改善(その1)について

 

○議事 

○小塩会長
 それでは、ただいまより、第561回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 基本問題小委員会と同様、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、末松委員、永瀬委員、羽田専門委員が御欠席です。
 佐保委員は、遅れての御出席と伺っております。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 初めに「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料総-1を御覧ください。
 再審査期間を終え、有効性及び安全性に関する情報が十分に蓄積された品目、効能・効果に関しては、最適使用推進ガイドへの簡略化を行うこととしております。
 今般、オプジーボ点滴静注につきまして、表でお示ししている効能・効果について再審査が終了し、簡略版の最適使用推進ガイドラインに改訂することといたしました。
 また、再審査の結果に合わせて、このガイドラインにおける本剤と、ほかの悪性腫瘍剤との併用投与に関する規定も見直しを行い、併用薬の規定が削除される予定であることから、関連する保険適用上の留意事項の通知を改正することといたします。
 最適使用推進ガイドラインにおける併用薬の規定の具体的な改訂内容は、別紙において効能・効果ごとにお示ししております。
 説明は以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 続きまして「DPC対象病院の退出に係る報告について」を議題といたします。本件は報告事項です。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、DPC対象病院の退出に係る報告について、御説明させていただきます。資料総-2及び総-2の参考でございます。
 総-2を御覧いただきまして、DPC制度におきましては、1つ目の○でございますが、診療報酬改定時以外の時期に特別の理由により緊急にDPC制度から退出する場合には、その可否につきまして、厚生労働省、当局の医療課において確認を行い、必要に応じて中医協において協議し、審査・決定することとしてございます。
 今般、2つ目の○にありますけれども、三友堂病院から病床機能の転換を理由といたしました、DPC制度からの退出に係る申請書が提出されてございます。医療課におきまして確認を行いまして、DPC制度からの同病院の退出について可とする旨を決定いたしましたので、同病院は、令和6年2月1日付で、DPC制度から退出することになります。
 御報告は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
 続きまして「在宅(その4)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○小嶺歯科管理官
 事務局、歯科医療管理官でございます。資料総-3を御覧ください。
 在宅(その4)ということで、在宅歯科医療について御説明をさせていただきます。要点を絞って御説明させていただきたいと思います。
 2ページ目が資料の目次となっております。
 続きまして、4ページ目ですけれども、こちらは同時改定に向けた意見交換会。
 それから、5ページ目、6ページ目では、7月12日開催の中医協における歯科訪問診療に関する主な御意見をお示ししております。
 6ページ目の○の1つ目、各地域における在宅歯科医療の提供体制の構築をさらに推進する必要があるといった御意見。
 それから、○の5つ目、人生の最終段階において、適切な介入が可能となるよう検討すべきなどの御意見をいただいております。
 続いて、7ページ目からは、歯科訪問診療の提供体制について、お示ししております。
 まず、最初に現状の提供状況等についてお示しします。
 8ページ目ですけれども「在宅歯科医療に係る診療報酬上の取扱い」をお示ししております。
 歯科訪問診療料は訪問先にかかわらず、同一建物における患者数によって歯科訪問診療1から3に分かれており、さらにその上で歯科訪問診療にかかった時間が20分未満の場合には、それぞれ低い点数を算定するというルールになっております。
 続いて、11ページ目ですけれども、歯科訪問診療料の実施状況についてお示ししております。
 令和4年5月時点で、歯科訪問診療料の算定のある医療機関数は、レセプトの請求があった医療機関の約24%という状況になってございます。
 続いて、12ページ目、医療機関ごとの歯科訪問診療料の算定回数を見ますと、1か月当たり1回から10回という医療機関が約半数を占めており、最も多いという状況になっております。
 14ページ目、都道府県ごとの歯科訪問診療料の算定状況についてお示ししております。
 平成28年と令和3年を比較しますと、増加している地域が多いという状況ではございますが、依然として地域差があるという状況になっております。
 続きまして、16ページ目、歯科訪問診療を実施した患者の訪問先についてお示ししております。
 右側のグラフを御覧ください。歯科訪問診療1では、自宅に行くことが最も多く約58%、歯科訪問診療2、それから歯科訪問診療3では、約半数が介護保険施設となっております。
 病院は7%から8%という状況になっております。
 18ページ目です。
 歯科訪問診療を実施した患者さんの要介護等について、お示ししておりますけれども、歯科訪問診療1の約半数が要介護度3以上であったという状況です。
 一方で、歯科訪問診療2及び3については、不明ということで把握ができていないという回答が多くなってございました。
 19ページ目、これまでもお出ししている各職種が行う在宅医療等に係る報酬の算定回数のグラフですが、歯科訪問診療の算定回数というのは、医科の訪問診療の約55%という状況になってございます。
 20ページ目は、介護保険施設における歯科の受診状況について、受診経験がない方が約3割。
 それから、21ページ目は、要介護高齢者において歯科治療が必要な高齢者のうち、実際に歯科治療を受けた方というのは2.4%だったという調査結果をお示ししております。
 22ページ目、歯科訪問診療の時間区分ごとの算定回数をお示ししております。歯科訪問診療1では、20分未満の割合が6.4%であるのに対して、歯科訪問診療3では、20分未満が約69%という状況になっております。
 25ページ目、医療機関ごとの歯科訪問診療料の算定回数を、20分以上、20分未満のそれぞれについてお示ししております。
 歯科訪問診療1では20分以上、20分未満、いずれも算定回数は同じような傾向を示しておりますけれども、歯科訪問診療2、3では、20分以上の算定回数が少なくて、20分未満の算定回数が多いといった歯科医療機関が一定数存在しております。
 28ページ目、歯科訪問診療で行われる内容をお示ししております。
 同一建物の診療人数が少ないほど、補綴・義歯、これは入れ歯の調整ですとか、修理であったり、かぶせものなどの治療になりますが、こういった治療の割合が高く、同一建物の歯科訪問診療における人数が多いとか、また、歯科訪問診療の診療時間が短いことになると、口腔衛生や医学管理の割合が高くなるという状況になっております。
 続いて、30ページ目からは「歯科訪問診療における感染予防策」についての資料になりますが、30ページ目は、人日本老年歯科医学会が公表している指針の主な内容をお示ししております。
 31ページ目は、歯科訪問診療に関連するコロナ特例をまとめたものです。
 32ページ目は、新型コロナウイルス感染症患者に対する歯科訪問診療の実施状況をお示ししております。
 在宅療養支援歯科診療所の数パーセントが、歯科訪問診療を実施していたという結果になっております。
 33ページ目、歯科訪問診療に対する新型コロナウイルス感染拡大による影響ですけれども、実際に何をしましたかということで、使用する感染防護具を増やすなどの対応が取られておりました。
 続きまして、35ページ目からが、病院歯科に関する内容になっております。
 35ページ目、赤い囲みにありますように、第8次医療計画において、歯科診療所と後方支援機能を有する歯科医療機関との連携や、医科歯科連携の体制構築を進めるとともに、歯科衛生士の機能・役割や訪問歯科診療への関わりについて明確化するということが示されております。
 36ページ目には、在宅療養支援歯科診療所。
 38ページには、医科の在支診・在支病の施設基準を示しております。
 これらを比べていただくと分かるように、歯科では、在宅歯科医療を支援する病院の評価がないという現状でございます。
 39ページ目には、訪問診療を実施している、歯科に関する診療科を標榜する病院の状況をお示ししております。歯科訪問診療を実施する病院というのは、近年、増加傾向にあるということが分かるかと思います。
 40ページ目は、歯科診療所と病院での連携内容、41ページ目には、歯科訪問診療で行われている診療行為、42ページ目は、病院歯科における実際の訪問診療の取組事例をお示ししております。
 続きまして、歯科訪問診療における口腔の管理についてです。
 44ページ目、訪問による歯科衛生士による指導管理の評価をお示ししておりますけれども、診療報酬の訪問歯科衛生指導料と介護保険の居宅療養管理指導費、歯科衛生士等が行う場合というのがあり、これらは給付調整がかかっているという状況でございます。
 45ページ目は、1医療機関ごとの訪問歯科衛生指導料の算定回数をお示ししており、1か月当たりの算定回数が1から10回の医療機関が最も多く、約半数となっております。
 46、47ページは、歯科訪問診療における歯科衛生士の評価をお示ししております。
 49ページ目は、歯科訪問診療と訪問歯科衛生指導料の算定回数をお示ししており、歯科訪問診療料の算定回数に対して、訪問歯科衛生指導料の算定回数が多い。つまり、歯科衛生士のみが訪問して、実地指導を行う場合というのが一定数あるということがお分かりいただけるかと思います。
 50ページ目、歯科衛生士が訪問するときの状況に関する調査の結果です。
 訪問時に不安等の経験がある歯科衛生士が約75%存在し、実際にハラスメントを受けた歯科衛生士も一定数存在するということが報告されております。
 51ページ目からは、人生の最終段階における口腔の管理についての資料をお示ししております。
 51ページでは、人生の最終段階における口腔への影響や、在宅の終末期がん患者さんの口腔管理について、全身状態の低下とともに歯科治療の内容が変わりつつも、口腔衛生管理が必要だということが、実際にあるということのデータをお示ししております。
 52ページ目は、終末期がん患者さんに対する歯科医療の必要性について、医師または看護師に対するアンケート調査の結果と、それから別の調査になりますが、歯科医師の審査による調査の結果をそれぞれお示ししております。
 53ページ目は、看取り加算を算定している患者さんの看取り加算算定日1か月以内の歯科診療の実施状況をお示ししております。
 看取りの前、1か月以内の歯科診療の診療日数としては、1日が最も多いですが、5日以上というケースも一定数存在しております。
 また、左側のグラフ、最終の歯科診療の時期ですけれども、7日前から1日前に入っているということが多くなっております。
 54ページ、55ページ目は、令和4年度診療報酬改定において新設された通信画像情報活用加算の算定状況等をお示ししております。
 続きまして、56ページから、小児に対する歯科訪問診療について、お示ししております。
 57ページは、小児に対する歯科訪問診療の実施状況をお示ししております。
 59ページ目には、医療的ケア児に対する歯科訪問診療の状況をお示ししており、その診療の内容としては、低年齢では口腔機能に関する内容、年齢が上がると口腔衛生、それから医学管理に関する内容の割合が大きくなっているという状況でございます。
 60ページ目には、歯科訪問診療を行った医療的ケア児に行われている、医療的ケアの内容についてお示ししております。
 61ページ目には、医療的ケア児を含む小児における在宅歯科医療時のリスクなどについて、主な内容を日本障害者歯科学会がまとめておりますので、それをお示ししております。
 63ページ目は、小児における歯科診療特別対応加算の算定状況をお示ししております。
 続きまして「歯科訪問診療における連携等について」ということで、65ページ目は、歯科点数表の退院時共同指導料の評価の内容。
 67ページ目に、退院時共同指導料1の算定回数をお示ししております。
 左側が、歯科での算定の状況になりますけれども、歯科医療機関での算定は少なくて、近年、1か月当たり数件にとどまっているという状況でございます。
 在宅医療における医科歯科連携の状況としては、68ページ目に、医科点数表の診療情報提供料の加算である歯科医療機関連携加算の算定回数。
 69ページ目は、病院の歯科訪問診療の実施状況などをお示ししております。
 70ページ、71ページ目は、介護支援専門委員との連携状況をお示ししております。
 70ページ目、利用者の口腔に関する情報提供を行った介護支援専門委員は約3割である一方で、情報提供を依頼しても、歯科医師または歯科衛生士から実際に情報提供を受けた割合が約5割にとどまっているという状況になっています。
 72ページ目は、多職種連携におけるICTの活用状況をお示ししており、在宅療養支援歯科診療所では、約2割でICTを活用していると回答しておりますが、手段としてはメールが最も多くて、続いて地域医療情報連携ネットワークとなっておりました。
 73ページ目からは、栄養サポートチームにおける連携に関する資料となっております。
 73ページは、医科点数表の入院基本料の加算である栄養サポートチーム加算と、歯科医師連携加算の算定状況。
 74ページは、歯科点数表の歯科疾患在宅療養管理料などの加算である栄養サポートチーム等連携加算の算定状況をお示ししております。
 76ページ目は、病棟における連携の各職種の関与の状況をお示ししています。
 歯科医師、歯科衛生士は、口腔の管理に関する計画の作成では約半数、それから、NST等の専門チームでのカンファレンスでは、歯科医師で約25%、歯科衛生士で約16%が関わっているという状況でした。
 77ページ目からは、介護保険施設などとの連携に関連した資料になっておりますが、栄養サポートチーム・ミールラウンド等への参加というのは、在宅療養支援歯科診療所で10%未満にとどまっており、それ以外の歯科診療所では、まだ、1%に満たないという状況となっております。
 続いて、在宅療養患者に関する連携についてですけれども、80ページ目、医科点数表においては、在宅療養患者に対する在宅患者訪問栄養食事指導料の評価がありますが、歯科点数表においては、在宅療養患者に対する栄養に関わる多職種連携の評価はないという状況になっております。
 82ページ目は、歯科診療所に勤務する病院の状況を検証調査の結果からお示ししたものです。数パーセントではありますが、管理栄養士が勤務する歯科診療所もあるという状況となっておりました。
 84ページから課題と論点をお示ししております。
 84ページ、85ページには、今、御説明してまいりましたことを課題として要約したもの。
 86ページに、論点を記載させていただいております。
 歯科訪問診療の提供体制については、歯科訪問診療を推進する観点から歯科訪問診療の評価の在り方などについての3点。
 歯科訪問診療における口腔の管理につきましては、歯科衛生士による訪問歯科衛生士等との口腔の管理の評価の在り方などに関する3点。
 それから、小児に対する歯科訪問診療については、医療的ケア児等に関する歯科訪問診療の評価について。
 歯科訪問診療における連携については、在宅医療における関係者間の連携などに関する2点について、それぞれこちらにお示ししているような論点を記載させていただいております。
 事務局からは、以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 総-3の86ページ、在宅歯科医療の論点に沿ってコメントをさせていただきます。
 また、小塩会長には、後ほど田村専門委員からも医療的ケア児への対応等について、コメントの機会をいただけますよう、御配慮をよろしくお願いいたします。
 まず、歯科訪問診療の提供体制についてですが、地域包括ケアシステムの中で、在宅等で療養する方の歯や口腔の機能や口腔衛生を管理することで、誤嚥性肺炎の重症化予防や、低栄養の改善につながるなど、歯科に求められる期待も大きいと感じております。
 15ページの資料を見ると、在宅歯科医療の実施状況は、都道府県によって差が見られ、全国どこでも同じように、在宅歯科医療が提供されるよう、さらに取組を進めていく必要があると考えております。
 特に本改定は、医療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定でございまして、また、口腔・栄養・リハの一体的な取組の推進が重要な課題であると認識しておりますので、地域において、在宅医療に関わる医療関係者だけではなく、少しでも多くの歯科診療所が介護や障害福祉関係者とともに連携しながら在宅歯科医療に取り組むことができるよう、御検討をお願いしたいと思います。
 その上で、論点1つ目と2つ目の○ですが、コロナ禍においても患者さんの居宅や施設等において、歯科訪問診療を行うため、患者さんの安全・安心のため、感染対策を徹底した上で、できるだけ負担のかからないよう、適切に対応してきたところでございます。
 歯科訪問診療料ですが、事務局の説明にもございましたように、同一建物の人数と診療時間が20分以上かどうかで評価が異なってまいります。
 しかし、歯科訪問診療の現場では、患者さんの状態によっては、長時間口を開けておくことが難しかったり、診療の体制を保つことが難しいケースや、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時には、感染防止対策の観点から、診療時間をなるべく短時間にすることを求められたことがあるなど、20分未満の短時間で診療を行わざるを得ない場合がございます。
 居宅等において1人の患者さんに実施する歯科訪問診療1については、データにも示されているとおり、現時点でもほとんどが診療時間は20分以上となっており、状況により20分未満になることがあるということだと推察されます。
 また、歯科訪問診療1は、患者さんの居宅での歯科訪問診療が多く、かかりつけ歯科医が外来で診ていた患者さんが通院困難になったので、それなりの機材を携行して訪問しているケースも多くあると考えております。
 歯科訪問診療がより取り組みやすくなるよう、現場の実情や患者さんの状態に応じて、必要な診療を行った場合は、適切な評価となるよう、時間要件の見直しをお願いしたいと思います。
 また、今後も新興感染症などによるパンデミックが発生すると考えております。今回の新型コロナウイルス感染拡大時に、施設等への歯科訪問診療が制限された実態も踏まえ、関係学会から感染予防策の指針も示されております。
 今後、同様のことが起こった際には、歯科訪問診療の制限によって口腔健康管理が中断されることにより、誤嚥性肺炎等の増加とならないよう、必要な感染対策を講じた上での歯科訪問診療が、必要な患者さんに切れ目なく提供できるよう、引き続き柔軟な対応をお願いしたく思っております。
 論点3つ目の○です。
 在宅(その1)の議論でも発言しておりますが、病院歯科による訪問診療は、資料の42ページにもございますように、歯科診療所だけでは対応が難しい部分を担っており、歯科診療所の後方支援としての病院歯科の機能は非常に重要であると感じております。
 しかしながら、資料の39ページを見ますと、訪問診療を実施する病院数は増加する地域もあれば、減少している地域もあり、地域差が非常に大きく、加えて訪問診療を実施する病院歯科がない都道府県も存在しております。
 これは、病院歯科の機能やマンパワーが様々であり、一言で病院歯科といっても各病院によって、その機能や地域で担っている役割が異なっていることなどが理由ではないかと考えております。
 全ての病院歯科に訪問診療を求めるということではなく、各地域での歯科訪問診療の体制に応じて、地域の歯科診療所との連携や後方支援としての機能の観点から、病院歯科における歯科訪問診療を推進するための評価を検討していただきたくお願いいたします。
 また、日本歯科医師会におきましても、病院における医科歯科連携の調査を現在実施しておりますので、病院歯科の役割や現状など明確になる部分があれば、今後、情報提供をさせていただきたいと考えております。
 次に、歯科訪問診療における口腔の管理についてでございますが、訪問歯科衛生指導や、介護保険で実施する居宅療養管理指導は、これまでの口腔衛生管理だけではなく、摂食嚥下機能を含む口腔機能評価や食支援等も含む内容に広がってきており、その役割や必要性は、今後さらに増していくと考えております。
 その上で、論点の4つ目の○の訪問歯科衛生指導料の算定回数の多い医療機関の実態は、今回示されているデータだけでは、詳細が不明な部分も多いところでございますので、丁寧に精査した上で評価について検討いただきたいと思っております。
 論点の5つ目の○につきまして、単独で訪問する歯科衛生士の不安を払拭し、安全に歯科訪問診療が提供できる体制の評価は、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 また、論点の6つ目の○ですが、がん患者の終末期等において、薬剤の副作用や全身状態の悪化などから、口内炎や重度の口腔乾燥などが生じ、疼痛、不快感や摂食嚥下機能の障害などを来すことが多くございます。
そういった場合に、人生の最終段階まで歯科が関わり、頻回の介入が必要となるケースがあることは、資料からも明らかでございますので、必要な歯科医療が制限されることのないよう、評価の検討をお願いいたしたく思っております。
 次に、小児に対する歯科訪問診療についてでございます。
 歯科訪問診療は、従来、要介護高齢者等への対応を主に推進してまいりましたが、近年、医療的ケア児が増加していることなどから、障害児者を含めた医療的ケア児への対応は必要不可欠であると考えております。
 その上で、論点の7つ目の○ですが、医療的ケア児等への歯科訪問診療を進めるに当たっては、高齢者とは異なるリスクや診療の難しさ等もあることから、医師や看護師などの関係者との情報連携を推進し、必要な方への歯科医療が提供できるよう、検討をお願いしたいと思います。
 また、この論点に関しては、後ほど田村専門委員からも、現場での実態を踏まえたコメントをお願いしたく思います。
 最後の歯科訪問診療における連携についてですが、意見交換会でも発言いたしましたが、患者さんの歯や口腔の問題については、歯科専門職以外はなかなか気づきにくく、さらに、多職種間でつなぎにくいと感じており、口腔の状態がかなり悪化してから歯科医療機関に連絡が来るケースも多くございます。
 その上で、論点の8つ目の○は、非常に重要な課題であり、在宅医療の主治医や訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャー等、また、施設入所者の場合は、施設の関係者も含めて、口腔の問題を共有できる有機的な連携について、ぜひ進めていただきたいと考えております。
 進めるに当たり、ICTの利活用は効果的、効率的な手段と考えておりますので、好事例を積極的に評価につなげていただきたく思っております。
 論点の9つ目の○につきまして、栄養サポートチーム等連携加算は、歯科疾患在宅療養管理料の加算の位置づけであり、資料の75ページにもございますように、栄養サポートチーム等へ参画した結果を歯科疾患在宅療養管理料の初回の管理計画に入れる必要があるなど、算定要件が厳しく、算定に結びつかないケースも散見されていると聞いており、推進に当たっての障害になっていると考えております。
 また、現在の評価は、歯科のない病院や介護保険施設等のみであり、在宅療養患者に対する医師や管理栄養士等の関係者と連携した食支援や栄養サポートに関する評価はございません。在宅も含め、今後さらに連携が進むよう検討をお願いいたします。
 また、論点にはございませんが、歯科疾患在宅療養管理料は介護保険との給付調整がかかるため、その加算である栄養サポートチーム等連携加算も給付調整により算定できないことがございます。
 この加算に限らず、介護保険利用者であっても、歯科医療として提供する必要があるものについては、適切な評価がなされるよう、給付調整についても御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 江澤委員、お手が挙がっていますので、お願いいたします。
○江澤委員
 ありがとうございます。
 本日の21ページの資料にもありますように、歯科治療が必要な要介護高齢者のうち、実際に歯科治療を受けた要介護者が2.4%と示されております。
 したがいまして、要介護高齢者の歯科受診の機会の確保が大変重要だと思います。当然、在宅歯科診療へつなげること、あるいは在宅歯科診療の提供の乏しい地域においては、外来受診を行って、必要に応じて歯科衛生士に指示を出していただき、口腔ケア等の実施につなげていくことが重要と考えます。
 実際に退院退所時は、口腔内は適切な状況であっても、再入院とか再入所時には、口腔内が劣悪な状況となっていることは、しばしば経験いたします。
 したがいまして、歯科医師、歯科衛生士の支援による誤嚥性肺炎の予防というのは、今後極めて、ますます重要となると考えております。
 要介護者の外来受診においては、例えば、介護保険の訪問介護の通院同行介助を活用したり、あるいは口腔ケア、口腔機能の向上においても、居宅療養管理指導でしっかりと支えることが大切でありまして、そのことによって、口腔栄養リハビリテーションの一体的な取組の推進にもつながることと思います。
 したがいまして、そのためには、歯科医師とケアマネジャーのより一層の連携ができる仕組みも重要だと考えております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点に示されている歯科訪問診療における連携についてですが、外来患者同様、歯科診療所と薬局の連携の推進も重要な視点です。在宅患者の薬の飲み合わせの確認、薬による歯科治療への影響、薬の副作用による口腔内トラブル、口腔内の環境と機能への影響などの情報連携は非常に重要なものと考えます。
 また、在宅療養における対応では、先ほど林委員のほうからありましたけれども、つなぎにくい、悪化してから連絡がある、それから21ページにありますように、要介護者の中で2.4%しか治療を受けていない。そのような現状がある中で、現在、薬剤師がチェックシートなどを活用し、口腔チェックを行い、必要に応じて歯科訪問診療へつなぐなど、現場では歯薬連携の取組が進んでおります。
 今後推進していくべき取組であると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、論点に沿ってコメントをしたいと思います。
 まず、最初の歯科訪問診療の提供体制でございますけれども、資料の11ページを拝見いたしますと、医科や看護に比べると、やはりまだ歯科の訪問実績が少なく、全体としては、ニーズがまだ充足されていない可能性があります。
 また、資料の14ページ、15ページ等を見ますと、都道府県によって人口当たりの歯科訪問診療料に大きな格差がございます。
 また、資料の24ページを見ますと、訪問回数が極端に多い歯科医療機関があります。
 こうしたことから考えますと、論点にあります、かかりつけ歯科医による歯科訪問診療を推進することは重要な課題ではありますけれども、同一建物の患者数や診療時間の評価のめり張りを通じて、まずは偏在を是正していくことが必要だと考えます。
 その際、訪問回数が多い場合の評価は、効率性の観点から適正化を図るべきだと考えております。
 続きまして、30ページ以降にございます、新興感染症発生時の評価についてでございますけれども、これにつきましては、医科、歯科、調剤、訪問看護に共通する課題ですので、全体としてどう対応すべきかを考えるべきであり、歯科単独で議論するものではないと考えております。
 また、在宅療養支援歯科診療所、歯科訪問診療に関わる病院については、実績要件によって連携機能を強化することにより、一般の歯科診療所が訪問診療をしやすい環境を整備するということも考えられると思います。
 続きまして、2つ目の口腔の管理でございますけれども、資料の44ページを拝見しますと、単一建物の人数が多い、このグラフ上は右も左もピンクで表されておりますけれども、これが非常に高い割合を占めております。
 また、次の45ページを見ますと、歯科訪問診療科と同様に、訪問歯科衛生指導料が極めて多い歯科医療機関がありますので、これについては、やはり効率性も踏まえて、評価は適正にすべきだと考えております。
 また、50ページにございます、歯科衛生士の単独訪問については、かなりの実績がある一方で、訪問時に不安を多くの歯科衛生士が感じていることを踏まえますと、訪問診療の必要性そのものを精査すべきであるとともに、不安の解消につきましては、診療報酬とは別に働く環境という視点で、対策を別途講じる必要性があるのではないかと考えております。
 患者の状態に応じた訪問口腔衛生指導等の口腔管理の評価の在り方については、終末期のがん患者において、52ページの資料を見ますと、専門的な口腔ケアが頻回に必要だと回答した施設が約62%に上っておりますけれども、今回この資料だけ評価の必要性があるかについては、少し判断が難しいと考えております。
 次の論点でございますが、小児に対する歯科訪問診療でございますが、58ページを見ますと、医療的ケア児は増加傾向にあるものの、50ページにありますように、歯科訪問診療の実績がなしと回答した施設が目立っております。
 一方、63ページを見ますと、歯科診療特別対応加算の多くが歯科訪問診療時に算定されていることが分かります。
 医療的ケア児が適切な歯科訪問診療を受けられるようにする必要性は十分理解しておりますが、別途に評価するということではなく、特別対応加算の要件を整理することで、現行の枠組みの中で評価できるのではないかというのが率直な意見でございます。
 最後に、歯科訪問診療における連携でございますが、ICTが有効ということであれば、活用することに異論はございませんけれども、72ページにあるようなメールでのやり取りは、あくまでも連携する相手の連絡手段であって、そもそも地域における多職種連携に積極的に参加する意識を持っていただくことが必要だろうと思います。
 栄養サポートチームとの連携におきましても、資料の77ページ、78ページを見る限りでは、歯科診療所に期待される役割を果たしていくのだという姿勢が、感じられておりません。
 評価の在り方について議論する前に、介護支援専門員を通じて、歯科医療のニーズを把握するといった現場での取組を進めるべきではないかと感じております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 遅参し申し訳ございません。
 私から1点申し上げますが、既に他の委員から発言がありましたら、御容赦いただきたいと思っております。
 資料の24ページの歯科訪問診療の1か月当たりの算定回数において、月100回のうち、歯科訪問診療3で4,503回となっている機関があると資料で示されておりますが、これは、どのような診療が行われたのか、この資料だけでは分かりませんので、詳細な分析をお願いしたいと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 私の個人的な経験なのですが、家族が歩行困難になり、それまで通院していた歯科に通えなくなったことがありました。そのときに私が来院した際、家族のことを心配してくださった歯科医師に事情を話したところ、訪問診療ができることを教えていただき、ケアマネさんと連携の上、訪問診療をしていただきました。そして、そのときに抱えていた問題が、数度の訪問診療で解決したことがありました。
 このことを思い出しながら、今日の説明や皆さんの御意見を聞かせていただいたのですが、資料によれば、リハビリ、栄養、口腔の取組を一体的に行うことで、より効果的な自立支援や重度化の予防につながることが期待されるとありました。このことは、私の経験から言いましても、患者にとっても非常に有用だと思いますので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。
 そのためには、介護保険側での議論が必要と認識していますが、医療側で考えるべき論点としては、栄養サポートチーム等の連携加算の評価となるのでしょうか。また、リハビリとも一体に取り組むということですが、この点はどのような連携になるのでしょうか、教えていただければ幸いです。
 以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま、高町委員から連携についての御質問がございましたが、事務局、対応できますでしょうか、お願いいたします。
○小嶺歯科管理官
 歯科医療管理官でございます。
 先ほどの高町委員からの御質問、まず1点目が、リハ、栄養、口腔の一体的な取組というのを医療のほうで進めていくという観点で、栄養サポートチームとの連携が重要であるのかということだったと思います。
 こちらに関して、栄養サポートチーム等での連携というのが重要であるというのは、そのとおりだと思っておりますし、それだけに限らず、2点目の質問ともつながりますけれども、リハビリテーションを進めていくに当たっては、そもそも食事をきちんと取れる、口の中にしていくということを考えていくと、きちんと入れ歯を入れられるようなお口にしていくといったことも含めて連携が必要だと思いますので、栄養だけに限らず、幅広く連携が必要だと考えております。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 高町委員、よろしいでしょうか。
○高町委員
 分かりました。ありがとうございます
○小塩会長
 それでは、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 お一人の方に、実に様々な職種の方が関わっていただいているのだなということが、つぶさに分かるのですけれども、やはりどちらの会議に参加させていただきましても、連携という言葉が1つキーワードになっているかと思います。
 やはり、ICTを積極的に活用できるような加算というのを強調しておきたいと思っております。皆様の時間をより対象の方に割くためにも、そういったものがちゃんと活用できるように進めていければいいかなと思っております。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 先ほど、林委員から田村専門委員のコメントも伺ってはいかがでしょうかという御提案がございましたので、田村専門委員、よろしくお願いいたします。
○田村専門委員
 ありがとうございます。
 歯科訪問診療に関わることについて、幾つか発言をさせていただきます。少し長くなりますが、よろしくお願いいたします。
 超高齢社会の到来を迎え、また一方では、医療的ケア児をはじめとした医療依存度の高い小児が増加しており、歯科訪問診療のニーズは増え続けています。
 今回の資料では示されていませんが、厚生労働省の患者調査の結果を見ますと、75歳を境に、歯科の外来患者数は減少に転じています。
 一方、通院できなくなった患者さんの歯科訪問診療が充足しているかというと、まだまだ対応し切れていない状況にあります。
 これまで外来中心で行われてきた歯科医療自体も大きく変化する必要があり、地域包括ケアシステムの中で、どのように他の医療機関、他の職種と連携していくのかが非常に重要です。
 患者さんを地域で支えていくためには、一次医療機関である地域の歯科診療所が、まずかかりつけ歯科医となり、日常の口腔健康管理を行いながら、必要に応じて病院歯科などの高次医療機関につなげていく仕組みが重要です。
 歯科訪問診療が必要な患者さんは複数の全身疾患があり、全身管理が必要なことも少なくありません。そのような場合に、高度医療が可能な病院歯科と歯科診療所が連携することで、患者さんも家族も地域で安心して暮らすことが可能となります。
 一方、通常の外来診療を継続しながら歯科訪問診療を担うには、器具機材の準備や人員確保をはじめとする幾つものハードルがあり、要望があってもすぐに対応できないのが現状です。
 このハードルを下げていくには、診療報酬上の何らかの評価が必要と考えます。患者さんや家族にとって、顔の見える関係の継続して診てもらえるかかりつけ歯科医の存在が重要です。
 そのようなかかりつけ歯科医による歯科訪問診療を推進するためにも、それを支える病院歯科の評価も含め、歯科訪問診療の体制について検討いただきますようお願いします。
 次に、歯科衛生士の訪問についてです。
 資料の50ページにあるハラスメントの問題は実際にございますが、それだけではなく、歯科衛生士が訪問歯科衛生指導を行う患者さんの中には、認知症や重症心身障害児者など、体動が激しい、感覚過敏がある、誤嚥のリスクが高い、診療の受療が困難等の理由で、患者さんの安全管理のために、複数名で訪問すべきケースが多くあります。
 現状では歯科衛生士が複数名で訪問することへの手当がないため、御検討をお願いいたします。
 資料の51ページからは、人生の最終段階における歯科の関わりについて示されています。特にがんの患者さんは、死に近い時期には急激に身体機能が低下し、口腔内も劣悪な状態に陥りやすいという現実があります。
 その時期には、歯科専門職が関わる口腔衛生管理の必要性が高まります。資料の53ページには、看取り加算算定日より1か月以内に複数回の歯科診療が行われていることが、一定数あることなどが示されており、人生の最終段階において歯科訪問診療のニーズが高まることは明らかです。
 しかし現状では、歯科衛生士による口腔衛生管理は月に4回までとなっており、十分な対応ができない可能性があります。
 このような状況を鑑み、終末期に関わる医師や看護師同様に、必要な時期に集中的に関われる制度の御検討をお願いいたします。
 小児の歯科訪問診療については、資料の60、61ページにもありますように、多くの医療デバイスを使用していることや、合併症により、歯科診療時の医学的リスクも高いことが挙げられます。
 医療的ケアの種類や障害の重症度には個人差があることから、医学的対応の難易度に応じた保険点数上の御配慮を希望いたします。
 最後に、栄養サポートチーム加算についてです。
 歯科が在宅診療でサポートするのは、咀嚼障害や嚥下障害の患者さんです。これらの障害は、低栄養や食形態の選定に対する指導が必要であり、管理栄養士との協働が必須です。管理栄養士との協働を含む多職種連携が評価される仕組みが求められます。
 83ページに歯科と栄養が関わることで、口から食べることを取り戻せた成功事例がございます。在宅患者さんにおいても、栄養サポートに関する評価がなされるよう、御配慮いただければ幸いです。
 以上となります。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 今、田村委員の御発言の内容に関して、2点ほど追加でコメントをさせていただければと思います。
 まず、論点の中で末期がんに対する終末期の歯科管理ということですけれども、私も、がんの末期は(状態が)徐々に落ちていくのではなくて、やはり階段を落ちるように落ちていって、最後の終末期、1、2週間というのは急速に悪くなっていって、口腔の中に出血を起こしたり、かなり劣悪な状況になることをよく経験します。
 そのときに、ぜひ歯科衛生士さん、あるいは歯科医師に診て頂きたいというケースは出てきます。その際にはケア担当者会議や緊急ケア担当者会議を行って見直しをやるということを介護保険でもやっていますので、その段階で、終末期の1、2週間に限って、頻回に(歯科医等に)入っていただくということは、非常に有用ではないかと思いますので、現場の感覚としても、ぜひそこに何らかの対応ができるようにしていただけるとありがたいかなと思います。
 もう一点、医療的ケア児に関してですけれども、医療的ケア児も58ページの図を見ると、人数が2万人を超しているという状況ですが、60ページの図、医療的ケア児の現状ということで、一番多いのが吸引、気管切開、経管栄養というのが出ています。ただ、左の図も右の図も数を見るとnが40とか48という数字なのです。
 しかも右図の方は、対象は1987年から2022年3月までで、40と48という数字ですけれども、恐らく、これはもちろん全数調査ではないのだろうと思いますが、いずれにしても医療的ケア児に対する歯科訪問診療というのは、まだまだ行われていないサービスであって、しかもかなり必要になってきている。特に気管切開等をやっている、かなり重症で在宅にいる患者さんというのは、当然受診はできないわけで、そこに対して、かなりのリスクを持って訪問診療、歯科診療をしなくてはいけないということがあります。
 61ページに、そのリスクということがありますけれども、実は、医科の訪問診療をやる医師でも、小児の在宅というのは、かなりハードルが高くて、本当に数十分で急変してしまったりすることがあって、なかなか担い手が少ないのが現状であって、口腔ケアを行う歯科医師等については、なおさらそのハードルが高いのではないかと思います。
 そこを少しでも改善する意味で、これは、今ある特別対応加算以外にも、もう少し何らかの加算等が行っていただけないとなかなかこのハードルを起こせないのではないか、そのためには、しっかりとした研修とかも必要になってきますし、そういうことも含めて、少し特別な配慮をしていただけるといいかなと思います。
 もう一点、これは、この場に限った話ではないのですけれども、普通の高齢者に対しては、いわゆる担当者会議とか、連携のためにケアマネジャーさんが必ずついていって、その方が会議を開いたりすることができますけれども、医療的ケア児というのは、ケアマネに当たる方がいらっしゃらないのです。
 もちろん、コーディネーターというのは、各市町には置いてあって、その方が包括的に見る場合もありますけれども、各一人一人にケアマネジャーのようなサービス調整する方がいらっしゃらないので、現実的には、多分、小児科を含めた医師または訪問看護師とかが、コーディネートをすることが多いのですけれども、なかなか連携が難しい。
 サービスをお願いするにも、医師とか看護師が、市、町と相談して小児の在宅をやってくれる歯科医師を探すということになってくるので、それのコーディネートも困難なことがあるという事情を御理解いただけるといいかなと思います。
 以上、現場のほうからの報告ということでよろしくお願いします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 先ほど1号側委員から御発言をいただきました内容について、少し追加コメントをさせていただきます。
 まず、歯科訪問診療の提供体制についてでございますが、全体として人数が充足されていないということは承知しております。かかりつけ歯科医が歯科訪問診療をしっかりと推進すべきでございまして、この取り組みやすい環境をつくることが重要だと考えております。
 御指摘の訪問回数が極端に多い歯科診療所の実態についてでございますが、これは行政が把握した上で、不合理な状況であれば適正化すべきと我々も考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 新興感染症発生時の評価でございますが、もちろん歯科単独で議論すべきと考えているわけではございません。感染対策全体の中で検討することが必要であると考えております。
 ただ、歯科は、必ず患者さんのマスク等を外し、口腔内を診察することが必要であり、訪問診療であっても飛沫やエアロゾルが発生する処置を行うことが大半であるため、その対応に苦労していることは御理解いただきたいと思っております。
 病院歯科の訪問診療についてでございますが、先ほど実績要件という言葉がございましたが、病院歯科における歯科訪問診療は、在宅療養支援歯科診療所のようなインセンティブがなく、歯科診療所と比べて体制整備が遅れていると思っております。
 御発言いただきました実績要件の設定の前に、病院の機能に応じて歯科診療所と連携できるよう、実施しやすい環境をつくることが重要ではないか。それによって地域の歯科診療所も安心して歯科訪問診療に取り組むことにつながると考えております。
 それから、訪問歯科衛生指導料の多い歯科診療所でございますが、歯科衛生士の訪問歯科衛生指導は患者さんの状態に応じて適切に実施しており、口腔機能を維持向上する観点からも重要かつ必要な役割を担っております。
 歯科医療機関により雇用している歯科衛生士の数は様々であり、算定回数だけでは判断できないと考えております。
 極めて多い歯科医療機関の適正化につきましては、訪問診療同様、実態を分析して、精査して行うべきと考えております。
 それから、歯科衛生士の単独訪問の必要性そのものについてという御意見もございましたが、居宅で療養する患者さんにおきましても、訪問歯科衛生指導の必要性が高い方は多くいらっしゃいます。
 最近は、高齢者のみの世帯で家族等による支援が難しいことも多く、歯科衛生士の介入は非常に重要でございます。
 患者さんに対する不安だけではなく、患者さんの状態によって、訪問歯科衛生指導を安全に行う上で、複数名の歯科衛生士で対応することが必要な場合も、先ほどの田村専門委員からもありましたけれども、検討が必要であることを御理解いただきたいと思います。
 それから、小児の歯科訪問診療でございますが、障害児者と医療的ケア児は、その病態における歯科医療の介入の難しさにかなり差異があることや、障害などの状態によっては突発的な対応が必要となることもございまして、現状の特別対応加算に含まれない歯科治療の困難性がある方がいるのも事実でございます。
 現状の特別対応加算の評価を、一律に評価を引き上げることが必要ということではなく、その病態に応じた評価を検討すべきと考えております。
 最後になりますが、栄養サポートチームの連携で、ミールラウンドを含めて重要と、この部分に関しては認識しております。介護が必要な状態になっても、おいしく食事を楽しむことを支援するため、また、QOL向上に資するために熱心に取り組んでいる歯科医療機関もあることから、取組に対して姿勢が感じられないといった発言は、受入れ難いと感じております。
 一方で、現状において十分に取組が進んでいるとは言えないことは事実でございますので、日本歯科医師会も取組を進めていきたいと考えておりますが、小規模な歯科診療所であっても、地域に出ていくことができるように、診療報酬上の評価も含めて、より取組やすい環境をつくることが重要と考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、島委員、お願いいたします。
○島委員
 ありがとうございます。
 少し論点がずれますけれども、医科歯科連携という言葉が叫ばれ出して、病院の中で歯科の診療科があるところは、手術後の患者さんが肺炎を起こさなくなったりとか、栄養状態がよくなったりとか、いろいろなことで歯科の貢献度は高いという状況ですが、現実に病院の中に歯科の診療科があるところは、それほど多くないというのが現状だろうと思いますし、病院の中の歯科において、たくさんの歯科医がそこに存在するところも少なかろうと、大学病院等は別ですが。
 したがって、やはり、かかりつけの歯科の診療所、そういったところが、特に地域医療支援病院になっているようなところでの歯科の立場というのは、地域とのきちんとした連携のもとに、むしろ後方支援的な仕事をするといったことが非常に重要ではなかろうかと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて、御対応をしていただくようにお願いいたします。
 続きまして「診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。本件は報告事項です。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、診療報酬基本問題小委員会からの報告について、御説明をさせていただきたいと思います。
 資料につきましては、総-4のシリーズでございます。
 本総会に先立ちまして開催されました、診療報酬基本問題小委員会におきましては、入院・外来医療等の調査評価分科会における、これまでの検討結果につきまして、本日は山本分科会長代理から御報告をいただいたところでございます。
 分科会の御議論につきましては、先ほど資料番号を御紹介いたしました総-4におきまして、これまでの中間取りまとめからの変更事項を主に御説明いただき、また、適宜、スライドも参考にしていただいたところでございます。
 そういった御報告の後でございますけれども、それぞれ1号側、2号側から御意見があったところでございます。
 まず、1号側からは、本分科会の取りまとめに関しましては、現場の声、そして専門家の見解をまとめたもので、特に見解が一致するものに関しましては尊重すべきといった意見がございました。
 そのほか個別項目で、急性期1、7対1病床が増加していることを重く見ていること、また、医療資源投入量の分析などに触れまして、地域医療構想の推進にもという御意見があったところでございます。
 また、地域医療確保加算につきましては、実効性があるものにすべきであり、それがない限りは、算定を今後続けるべきではないといった御意見。
 また、救急医療管理加算1や2の整理につきましても御意見があったところでございます。
 また、分科会の取りまとめを踏まえたというコメントでございましたけれども、介護と医療の給付調整の話に触れまして、高額薬剤のみでの理由では、介護保険の給付で外すべきではないといった御意見もあったところでございます。
 また、2号側からも今後の議論を深める中で、この資料につきましては、深めさせていただきたいという意見があったところでございます。
 今後、私ども事務局といたしましては、本中医協におけるそれぞれの検討事項をさらに深めていただきたいと思ってございますけれども、こちらの取りまとめから適宜抜粋を行いまして、御議論をいただく環境を整えたいと考えているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
 続きまして「処遇改善(その1)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、処遇改善(その1)について、資料の御説明をさせていただきたいと思います。
 資料番号で申し上げますと、総-5-1から総-5-3でございます。
 まず、基本問題小委員会からの報告でございますけれども、本総会に先立ちまして開催されました小委員会におきまして、総-5-1、看護職員処遇改善評価料の実績報告、また、総-5-2を用いまして御議論をいただいたところでございます。
 小委員会におきましては、特に個別の御議論はなかったと事務としては承知してございまして、この総会における議題の中で御議論をいただく旨の発言が2号側からございました。
 それでは、総-5-1、総-5-2に関しましても、同様の内容が、総-5-3に含まれているところがございますので、総-5-3を用いまして、一括して御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ目、目次とともに「1.これまでの経緯について」でございます。
 3ページ目から8ページ目まででございますけれども、コロナの経済対策の観点から、この処遇改善評価料が設定されるまでの経緯について、資料を用意させていただいているところでございます。
 具体的には、昨年の10月から収入を3%程度、月額平均1万2000円相当を引き上げるための処遇改善の仕組みといたしまして、看護職員の処遇改善評価料が創設されたところでございます。
 9ページ目からが、その実績報告でございます。
 10ページに、点数の処遇改善評価料の新設の項目におきまして、それぞれ点数の具体がお示しされているところでございます。
 次、13ページ目でございますけれども、こちらは令和4年度の看護職員処遇改善評価料につきまして、2,553の施設から提出されました実績報告書の概要をまとめたものでございます。
 ちょうどグラフを御覧いただければ分かりますとおりで、届出区分につきましては、約8割の医療機関が評価料31から70であったというところで、一方で、評価料101以上のところもあったところでございます。
 次に14ページ目でございます。
 こちらは、各医療機関における看護職員処遇改善評価料による収入に占める賃金改善の実績額の割合の分布をお示ししてございます。
 見ていただきますと、100%から105%のところの施設の数が一番多いということが分かっていただけるかと思います。
 15ページ目からでございますけれども、15ページから17ページは、実績を示したものでございます。
 まず、15ページでございますけれども、上段に表がございまして、その下、アスタリスクでございますけれども、1人当たりの賃金改善額ということでございまして、1万1388円といった数が報告されているところでございます。
 また、16ページ目でございますけれども、こちらは、約6割の医療機関では看護職員以外の職員への処遇改善も実施しているということでございまして、これらの施設における処遇改善の賃金改善は月額6,329円ということでございました。
 次に19ページ目でございますけれども、施設基準は満たすものの、評価量を届け出ていない施設の理由、このアンケートの結果をまとめてお示ししてございます。
 最も多いものは、看護処遇改善評価料が継続される保障がなく、基本給または毎月支払われる手当の引上げを行うことをちゅうちょするためということが多かったところでございます。
 20ページ目は、入院・外来の医療の分科会における主な御意見を示してございます。
 21ページ目が、新しい資料でございまして、医療を取り巻く状況等についてでございます。
 22ページ目は、医療関係職種の賞与込み給与の推移をお示ししてございます。医師、歯科医師、薬剤師、看護師を除く医療関係職種の給与の平均を示してございまして、4つ折れ線グラフがございましたけれども、その平均が全産業平均を下回っていること。そして、うち看護補助者、看護助手につきましては、全産業平均を大きく下回っている状況をお示しするものでございます。
 23ページ目でございます。ここで事務局から訂正をさせていただきたいと思います。
 リード文の中で、直近の医療関係職種の有効求人倍率が2の後にパーセントの表示になってございますが、これは誤植でございまして、2倍から3倍程度ということでございます。訂正とともにおわびをさせていただきます。
 それで、ほぼ横ばいであり、入職超過率、これは右側のグラフでございますけれども、産業系を0.3%下回っている状況、つまり人が流入してきていたというところでございますけれども、それが流入してこなくなったことをお示しするものでございます。
 24ページ目は、賃金の動向を示してございまして、2023年の春闘の結果によりますと、全産業の平均賃上げ額が1万560円、平均賃上げ率3.58%となっていることをお示しするものでございます。
 また、その下では、定期昇給相当分を除いたものでは、5,983円で2.12%ということもお示ししてございます。
 25ページ、26ページ目は、骨太の方針における処遇改善に関する記載の抜粋でございます。
 27ページは、経営状況の見える化ということでございます。
 論点に進ませていただきます。29ページです。
 まず、上の破線の四角の中で、下から4行目、先ほど申し上げました直近の医療関係職種の有効求人倍率のところで、2の次がパーセントという表示になってございますが、誤植でございまして、2倍から3倍程度と訂正をさせていただきたいと思います。
 論点でございますけれども、看護職員処遇改善評価料の実績報告や、全産業における賃金上昇を含む医療を取り巻く状況等を踏まえ、医療機関等の職員の処遇改善について、どのように考えるかといった論点とさせていただいてございます。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 御説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 医療を取り巻く状況としましては、本日の資料でも示されているように、医療関係職種の給与平均は全産業平均を下回っており、また、今年の春闘の平均賃上げ率が3.58%となっている中、医療・介護の賃上げは一般企業に及んでおりません。
 その結果、高齢化等による需要増加にもかかわらず、他の産業に人材が流出しており、医療分野における有効求人倍率は、全職種平均の2倍から3倍程度の高い水準で高止まりしているなど、人材確保が困難な状況です。これは、地域医療存続の危機に関わるゆゆしき事態であります。
 公定価格により経営する医療機関においては、価格転嫁ができないことなどにより、経営努力のみでは対応が困難なことから、医療機関が賃上げや人材確保に対応できるよう、十分な原資が必要であることは疑いの余地がありません。
 前回改定で診療報酬上の対応として新設された看護職員処遇改善評価料に関しては、これまで指摘されてきたとおり、この点数の評価対象とならない職種や医療機関があることや、補助金からの移行という事情があったため、評価体系として技術的な課題もあるということが、今回の実績報告の結果からも見て取れます。
 それぞれの医療機関が雇用している医療従事者の職種構成や、賃金の評価体系等、個々の医療機関が考慮しなければならない事情がまさに千差万別であることは、十分に配慮しなければなりません。
 いずれにしましても、賃上げを確実に達成していくという政権の目標に沿うためにも、公定価格である診療報酬を確実に引き上げる対応が必須であり、従事者の給与の上昇及び人材を確保する原資の確保が求められているということだと考えております。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員にも発言の機会を御検討いただければと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 まず、最初に事務局に確認でございますが、総-5-3の22ページに示されております、医療関係職種の給与の推移の資料のコメディカルに関わる部分につきまして、歯科衛生士などの個別の職種別や、事業所の人数別の資料も追加で御提供いただくことは可能でしょうか。
 その上で、令和4年の看護職員の処遇改善では、病院歯科の歯科衛生士や歯科技工士も対象となるということでございましたが、対象者は非常に限られております。
歯科衛生士は、そのほとんどの勤務先は歯科診療所となっております。分配戦略は、安心と成長を呼ぶ人への投資の強化とうたわれている中、一部の職種や事業者だけでなく、国民目線で不公平感なく実現することが重要と考えております。
 日本歯科医師会が独自に実施いたしました物価高騰調査の結果、歯科診療所における対応として、人材確保の観点からもスタッフの給与の増額は、実施しているとは思われますが、一方で、歯科材料費や医療機器の価格高騰も明らかでございまして、公定価格で診療を行う中、これ以上の対応をするにも限界があり、何らかの支援をしていただくことが必要と感じております。
 また、既に給与の低さ等の問題から、歯科衛生士、歯科技工士が、他業種に転職する例も報告されておりまして、歯科医療におきましても人材確保が難しい状況になっております。
 歯科衛生士、歯科技工士は、国民の健康寿命の延伸やQOLの改善のために、重要な口腔健康管理の推進にとって欠かせない職種でございまして、歯科衛生士、歯科技工士の確保は、歯科における重点課題と認識しております。
 これ以上、歯科医療現場から人材の離脱が進まないようにするためには、歯科衛生士、歯科技工士の処遇改善は喫緊の課題と考えております。
 ほとんどが診療所で提供されている歯科医療の実情を御理解の上、適切な対応をよろしくお願いしたく思っております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 今、林委員から、22ページの統計について御質問がございましたが、事務局、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 歯科衛生士等の区分を分けての提示ということでございます。調査設計を確認させていただいて、可能であれば次回以降、どこかの御議論のタイミングで示させていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございました。池端です。
 まず、資料総-5-2の入院分科会からの指摘のところの2ページ目の○の4つ目です。病院勤務の薬剤師の確保が難しくなっている中、薬剤師がこの評価料の支給対象になっていないということは、私たち病院団体もこれを課題として挙げさせていただいており、私もそのとおりだと思っていますので、意見として言わせていただきます。
 それから、次の総-5-3の資料の22ページですが、先ほど長島委員がしっかり御発言いただいたとおりだと思います。
 その中で、もう少し分析してみると、22ページの下の2つのグラフ、紫色の介護職員と一番下の看護補助者というところですが、これを見ると、2012年が約2万円の差でしたが、近々の2022年は4万円、倍の差になっている。
 これは、おそらく介護職員は介護保険からの処遇改善加算等で対応されているため、この差がどんどん広がっているのが現状だと思います。
 一方で、別の総会の資料等でも、看護補助者の役割は非常に重要だという資料も出ていて、特に直接介護をする看護補助者、つまり医療機関における介護職員だと思いますけれども、この看護補助者の入職者が減っているということは、この差がどんどん広がっていることを見ても明らかではないかと思います。ここは何らかの対応を早急にしていかないと、どんどん看護補助者が病院の中にいなくなってしまうのではないかと思います。
 全体を見ても、次のページにありますように、入職超過率がマイナスに移行しようとしている中、しかも求人倍率は2倍を超している、3倍になっているということを考えますと、ここは喫緊の課題であり、しっかり対応しないと、ますます病院の中の非常に重要な看護補助者も、入職が今後さらに減っていく可能性が高いのではないかと思います。
以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
 9月に医療費の動向が示されましたが、そのときに、やはり医療費が増えた側面があるという発言がございました。
 それは、やはり感染対策の経費の増加、追加的人員の確保、患者数の拡大に対応できる体制を築いてきた、そのためのコストであると御理解いただければと思いますし、それにもかかわらず、コロナにしっかりと我々医療機関が、しっかり向き合ってきたという証拠でもあるのだろうと思います。
 ただ、2020年、21年のコロナ禍における医療費減少のダメージ、これは、しっかり残っていることを御理解いただきたいと思います。
 それは、2015年から2022年の直近8年間における医療費の対前年の伸び率の平均は、1.79%であったということであります。
 これを基に医療費の損失額を推計しますと、令和2年度はマイナス2.2兆円、令和3年度はマイナス1兆円ということで、合計マイナス3.2兆円ということが見込まれております。このダメージが、今もずっと残っているということを御理解いただきたいと思います。
 その上で、我々の人件費を上げていく物価高騰に対する対応ということをしっかりフローの中で考えていかねばならないということで、ストックでこれを考えるのはおかしいということだろうと思いますので、その辺、御理解をよろしくお願いしたいと思っております。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、森委員、お願いします。
○森委員
 ありがとうございます。
 薬局や医療機関における処遇改善について発言させていただきます。
 新型コロナウイルス感染症の流行、6年連続の薬価改定、物価賃金高騰などの影響により、薬局や医療機関の経営は大きな影響を受けていますが、診療報酬は公定価格であるため、増加したコストの転嫁等ができず、薬剤師をはじめとした医療職や事務職員などの人手不足や物価上昇に対応して、スタッフの生活を支えるための処遇改善、賃金の引上げを満足に実施できていないのが現状です。
 先ほど池端委員からもありましたけれども、薬剤師は薬局だけではなく、医療機関でも地域医療を支えるために働いておりますので、このような視点も含めて、薬局や医療機関における処遇改善の実施に向けて、今回の改定で対応が必要で、どのような対応ができるのか、検討していくべきものと考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、処遇改善を考える際には、資料にもありましたけれども、補助金と診療報酬の性格が異なるということは十分留意をした上で議論に入るべきだと思います。
 そうした点を踏まえましてコメントいたします。まず、先ほど来挙がっております22ページのグラフでございますけれども、看護補助者の給与が低いことは理解いたしますが、このリード文に書いてありますとおり、これは医師、歯科医師、薬剤師、看護師を除いております。こうした方々も含めた上で、データを示していただきたいと、これは要望でございます。
 これまで働き方改革に関連いたしまして、様々な評価をしてきた経緯がございます。さらには来年度から、医師の残業規制が始まり、医師から看護師のタスク・シフトあるいは看護師と看護補助者のタスク・シェア等が本格的に進みますと、医療機関内の人件費の配分が変化する可能性が十分あると考えます。
 また、処遇改善のために診療報酬を引き上げるということではなく、医療機関のマネジメントにより、高齢化に伴う医療費の増加を相対的に賃金が低い職種に還元する流れにしていくべきです。
 先ほど茂松委員のほうから、積み重なったダメージのお話がございましたけれども、一般的な産業を考えた場合に、売上げが毎回伸びるわけではございません。そうした中で企業は生き延びるためにコストダウン、効率化も図りながら生存してきております。そうした効率化の観点も、やはり医療業界においても、ぜひ図っていただきたいと、お願いでございます。
 したがいまして、安易に診療報酬での評価を、これ以上増やすべきではないということは、強調させていただきます。
 私からは以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 まず、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 医療従事者の人材確保は重要な観点であり、業務量に見合った人員配置が実現するよう、精神医療を含め、業務量に見合う人員配置を評価する必要があると考えます。
 また、現行の看護職員処遇改善評価料では、受け取れる医療機関が限定されており、病棟薬剤師も含めて、医療機関で働く全ての労働者の処遇改善につながる仕組みとなるよう、どうすればよいか、現行の評価料の仕組みでできるかどうかを含めて、算定方法の検討が必要と考えます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 茂松委員、お手が挙がっています。お願いします。
○茂松委員
 先ほどの松本委員のお話なのですが、我が国は、やはり今まで本当に効率よく医療をやってきたと、これは世界に比べて、しっかりと証明されてきているはずなのです。その効率よくやってきた中で、コロナが来たことで、こういうことが起こってきたということを御理解いただきたいと思います。我々はしっかり効率化を図ってきております。しかし、その上に医療費も下げられてきているという中で、人の生命を守るための守りがなかなかできないというのが現状であるというところで、そこをしっかりと御理解をいただきたいと思っております。
 以上です。
○小塩会長
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 医療界でもコストダウン、効率化にしっかり努めてまいりました。しかし、限界があります。人なくして医療なし、医療は人なのです。そこのところを効率化、コストダウンというのは限界があります。そして、医療費、診療報酬は公定価格である。ほかのところに転嫁できません。この医療界は、他の産業界とは異なる特性、性質があるということを踏まえて対応すべきと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 松本委員、よろしくお願いします。
○松本委員
 どうも御意見ありがとうございました。
 医療の効率化については、また別の機会で、多分議論をする場があるかと思いますので、その中で、また、それを確認していきたいと思います。
 それと、医療が人と、それはおっしゃるとおりだと思います。ただ一方で、診療報酬が長いトレンドで見た場合に、必ずしもこのデフレ下の中で下がってきたかというと、本体に限っては、継続的に上がってきたという事実もございますので、それについても十分御認識いただきたいと思います。
○小塩会長
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 まずは、高齢化による自然増もあるとともに、医療、医学は、急激に進歩しております。これをしっかりと対応させるということにも、当然医療費が必要になるということなので、医療費が自然に増えていく。ただし、そこのところの十分な手当が今までされていたのか、それがなければ、医療費の経営的な体質というのは、既にやせ細っているのではないかということだと思っております。
 以上です。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 先ほど、長島委員から木澤専門委員からもコメントをいただいてはどうかという御提案がございましたので、専門委員、よろしくお願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 看護職員処遇改善評価料を算定している医療機関においては、既に看護職員及び看護職員以外の職員も含めて、約9割でベア等の対応により賃金改善がなされている状況です。
 今、働いている人の不利益にならないよう、引き続き原資の確保が必要です。
 さらに、看護職員処遇改善評価料は、対象医療機関が限られていることから、全ての職員の処遇改善がなされる方策の検討が重要と考えます。
 医療機関等における人材を確保し、安全・安心な医療提供体制を維持するためには、今般の物価上昇や、全産業における賃金上昇等の状況からも、処遇改善の必要性を強く感じておりますので、確実な賃上げにつながる対応を、ぜひともお願いしたいと思います。
 私からは以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 眞田委員、お手が挙がっております。オンラインでお願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 今回のテーマでありますけれども、今回の診療報酬改定で、さらなる対応を検討するという場合にありましても、25ページにあります骨太方針2023にも明記されておりますように、患者負担あるいは保険料負担への影響を十分に踏まえた議論が必要であると考えます。
 また、医療機関等の職員の処遇改善を検討する際は、5ページにあります「公的価格評価検討委員会中間整理」にもあるとおり、費用の使途の見える化を通じた透明性の向上が大前提になろうかと思います。
 医療機関が得た収入がどのように配分されているかは、国民及び費用負担をする側にとって、非常に重要な情報だと考えますので、この点をぜひ押さえておきたいと思います。
 以上であります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 ほかに御質問等ないようですので、本件に関わる質疑は、このあたりとしたいと思います。今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 本日の議題は以上ですけれども、今回をもちまして、島委員が御退任となります。一言御挨拶を頂戴できればと思います。お願いいたします。
○島委員
 任期満了の退任の御挨拶をさせていただきます。
 国民皆保険制度を堅持しつつ、限られた財源の中で常に効率的な観点から、いかに良質の医療を国民に提供できるかを建設的に討議する場として、この中央社会保険医療協議会に臨んでまいりました。
 委員を務めた6年間に3回の定期の診療報酬改定に加え、消費税増税の対応や、新型コロナウイルス対応の改定を経験いたしました。国の医療に対する諮問機関である中医協の運営に当たり、保険局医療課を中心に、どれほど事務局が努力しているのかは、委員になるまで知りませんでしたし、支払い側の委員の皆様の限られた財源の中で、いかに効率よく制度を維持、改定していくかという姿勢に常々感心しておりました。
 また、我々医療側も、医科、歯科、調剤の患者に対して臨床の立場から、医師、歯科医師、薬剤師として真摯に発言をしてまいりました。
 公益委員の先生方には、貴重な御意見を承り、特に会議の進行をスムーズに行っていただいている小塩会長に感謝申し上げます。
 現在、物価高騰や、働き手の減少による人材確保の困難から経営が非常に厳しくなっている医療機関が増えています。長年の懸案事項である控除対象外消費税の問題や、来春からスタートする医師の働き方改革、第8次医療計画への対応、医療DXの推進や地域医療構想への取組、後発医薬品の流通改善などの、目指し、実現しなければならない命題が多々待ち受けております。
 今後は、少子超高齢化多死社会を迎えていく中で、地域包括ケアを推し進め、医療・介護・障害福祉連携や在宅医療の充実を図っていかなければなりません。
 このように、医療を取り巻く環境が大きく変わろうとしている中でも、患者さんやその御家族と真摯に向き合い、昼夜を問わず、良質の医療を提供しようと努力している保険医療機関に対しては、寄り添える中医協であっていただきたいと思っております。
 最後になりますが、この委員会のますますの発展と委員の皆様の御健勝を祈念して、私の挨拶とさせていただきます。
 長い間ありがとうございました。(拍手)
○小塩会長
 島委員、どうもありがとうございました。
 ただ、この後も専門部会がございますので、島委員におかれましては、恐縮でございますが、御担当の専門部会には、引き続き御出席いただくようにお願いいたします。
 それでは、次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

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