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2023年8月2日 中央社会保険医療協議会 総会 第551回議事録

○日時

令和5年8月2日(水)薬価専門部会終了後~

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 永瀬伸子委員 本田文子委員 安川文朗委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 島弘志委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○医薬品の新規薬価収載について
○個別事項について(その1)
○医療DXについて(その1)
 

 

○議事 

○小塩会長
 それでは、ただいまより、第551回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
 薬価専門部会と同様、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催といたします。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、池端委員、末松委員、笠木委員、羽田専門委員が御欠席です。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 初めに「医薬品の新規薬価収載について」を議題といたします。
 本日は、薬価算定組織の前田委員長にお越しいただいておりますので、前田委員長より御説明をお願いいたします。
○前田薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 薬価算定組織委員長の前田でございます。
 私から、今回検討いたしました新医薬品の算定結果について御報告いたします。
 資料総-1を御覧ください。
 今回報告する新医薬品は、1ページの一覧表にありますとおり2品目です。
 それでは、算定内容について御説明いたします。
 1品目目のシュンレンカ錠です。
 資料2~3ページを御覧ください。
 本剤は、多剤耐性HIV-1感染症を効能・効果とし、緊急収載品目となっております。
 本剤は、原価計算方式により算定をしております。
 本剤は、新規作用機序医薬品であること、また、本剤の臨床試験は多剤耐性HIV-1感染症患者を対象としたものであり、既存の治療方法で効果不十分な症例において有用性が示されていることから、有用性加算(Ⅰ)の35%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品の指定を受けていることから、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。補正加算について、合計の加算率45%に対して、加算係数0を適用して、0%の補正加算を適用いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、300mg1錠9万4,814.20円となりました。
 2品目目のシュンレンカ皮下注です。
 資料4~5ページを御覧ください。
 本剤は、多剤耐性HIV-1感染症を効能・効果とし、緊急収載品目となっております。
 本剤は、原価計算方式により算定をしております。
 本剤は、新規作用機序医薬品であること、また、本剤の臨床試験は多剤耐性HIV-1感染症患者を対象としたものであり、既存の治療方法で効果不十分な症例において有用性が示されていることから、有用性加算(Ⅰ)の35%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品の指定を受けていることから、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。補正加算について、合計加算率45%に対して、加算係数0を適用して、0%の補正加算を適用しました。
 その結果、本剤の算定薬価は1.5mL2瓶1組320万8,604円となりました。
 以上で資料総-1の説明を終わります。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 特に御質問等ないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 前田委員長、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして「個別事項について(その1)」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、中医協総-2を用いまして、「個別事項について(その1)」、小児・周産期に係る御説明をさせていただきます。
 2ページを御覧ください。これが本日御説明申し上げます内容の目次でございます。
 小児医療、そして周産期医療についてということでございます。
 3ページ目からでございますけれども、小児を取り巻く現状を示しております。出生数、出生率は減少傾向にあり、4ページ目にありますように、15歳未満人口は近年減少傾向であります。全人口に占める割合も減少しているところでございます。
 5ページ目、6ページ目でございますが、15歳未満の外来と入院患者数の推移をそれぞれ示しております。外来患者数の減少は大きくない。一方で、入院患者数は年々減少傾向となっているところでございます。
 7ページでございます。年齢階級別に見た受療率の年次推移でございます。0~14歳の入院における受療率は低下しておりますが、外来においては上昇しているということをお示ししております。
 8ページ目から10ページ目は、患者調査における外来の0~14歳の推計患者数について、まとめてお示しをしてございます。
 8ページは、推計患者数の傷病名別の順位でございます。平成20年から令和2年にかけて上位を示している傷病名、大きな変化はないところでございます。
 9ページ目は、傷病名ごとの割合の推移を示してございます。呼吸器系の疾患の割合、オレンジのバーのところでありますけれども、この割合は40%前後と一番高いですけれども、令和2年は減少しているところでございます。
 10ページ目は、疾病大分類ごとの割合の推移を示してございます。精神及び行動の障害において、知的障害を含むその他の精神及び行動の障害の割合が増加してございます。4つのチャートを示してございますけれども、それぞれパーセントの縮尺が違うところは留意して御覧いただければと思います。
 11ページから13ページが同様に入院の0~14歳の推計患者数についてまとめております。
 11ページ目は、先ほどの外来と同様で、推計患者数の傷病名の順位でございます。外来同様に、上位を占めている傷病名に大きな変化はないところでございます。
 12ページ、傷病名ごとの割合の推移でございます。周産期に発生した病態、先天奇形、変形及び染色体異常の割合は上昇しております。令和2年には2つを合わせて全体の約4割を占めるということでございます。
 13ページ目は、疾病大分類ごとの割合の推移を示してございますけれども、呼吸器系の疾患におきましては肺炎の割合が大きく低下しており、精神及び行動の障害においては、知的障害を含むその他の精神及び行動の障害が上昇しているところでございます。
 続きまして、14ページ目から16ページ目でございます。こちらは第8次医療計画に係る検討会の資料でございます。小児医療の体制、小児科標榜医療機関数、小児科医数の推移、出生時の体重別の出生数、出生割合の推移をそれぞれ示しているものでございます。
 15ページを御覧いただければ分かりますとおり、病院数は減少傾向にあり、また、小児科が主たる診療科である医師数自体は増えてきているという実態が出てきているところでございます。
 次に、17ページが年齢階級別人口1人当たり国民医療費でございます。年齢階級別の1人当たり医療費の伸びを見ますと、10年前と比べまして入院、入院外ともに医療費は多くの年齢層で増加しているということが示されているものでございます。
 18ページ目、19ページ目は、いわゆる骨太の方針2023とこども未来戦略方針のうち小児医療に関する記載をお示ししているものでございます。
 次に1-2、小児外来医療でございます。
 21ページは小児科の外来診療についての評価でございます。令和4年度改定におきまして、小児かかりつけ診療料2を新設したところでございます。
 22ページでございますけれども、受診1回当たりの診療報酬の構成でございます。他の診療科と比べまして、医学管理料の割合が高い。そして、令和元年から令和3年にかけても点数が伸びていることを示してございます。
 23ページでございます。小児に係る初再診料の算定状況を示してございます。6歳未満の小児におきまして、初再診料・外来診療料の算定回数と比較いたしまして、小児科外来診療料は70%まで上昇しているものの、一方で、小児かかりつけ診療料は10%程度ということでございます。
 24ページ目でございますが、全年齢を対象といたしました病院・診療所別の初再診料の算定回数の年次推移を示してございます。令和2年に一旦下がりまして、その後上昇しているということが示されてございます。
 25ページ目は、小児かかりつけ診療料と小児科外来診療料の算定届出状況でございます。両診療料ともに令和2年には減少してございますけれども、令和3年には増加をしてございます。
 26ページから28ページは、令和4年度改定に向けた小児かかりつけ診療料に係る議論の資料でございました。それぞれ小児かかりつけ診療料の施設基準の届出を行っていない理由や推進する上の課題などを示したものでございます。
 29ページ目、30ページ目は、小児かかりつけ診療料の施設基準の一部となってございます時間外対応加算の概要、そしてその届出状況を示してございます。
 30ページにございますように、時間外対応加算1、2、3とございますけれども、3を算定している施設数は少なくなっていることが分かります。
 31ページ目は、15歳未満の患者さんに対する在宅患者訪問診療料・往診料の算定状況を示しております。往診料の算定回数でございますけれども、令和元年まで増加傾向でございました。令和2年には一旦減少しておりますけれども、令和3年以降大きく上昇しているところでございます。また、訪問診療料の算定回数も年々増加傾向となっていることを示しているものでございます。
 32ページは発達障害児の初診待機期間について示したものでございます。2019年のアンケート調査でございますけれども、平均2.6か月ということでございました。
 次のチャプター、小児入院医療でございます。
 34ページからでございますけれども、こちらは小児入院医療管理料の概要を示しております。
 36ページ目、37ページ目は、こちらの管理料の届出医療機関数と病床数、そして算定回数の推移を示しております。算定回数につきましては、コロナの感染拡大がありました令和2年度から大幅に減少しているということが見えてございます。
 38ページ目、39ページ目でございますけれども、こちらは小児入院医療管理料の届出状況でございます。小児入院医療管理料の多くは特定機能病院か急性期一般入院料1、いわゆる7対1を届け出ている医療機関で届け出られているということであります。
 また、小児入院医療管理料届出施設の開設者は、国立、公立、公的といった病院の占める割合が高いということが示されてございます。
 40ページは、入院料ごとの1日当たりのレセプト請求点数でございます。
 41ページが小児入院医療管理料1の施設基準であります6歳未満の入院を伴う手術件数と年間の小児救急入院患者数の実績の分布を示しているところであります。
 42ページは、小児入院医療管理料の病床数を示してございます。届出医療機関当たりの届出病床数の推移はやや減少傾向であります。また、小児入院医療管理料の病棟は、急性期一般入院料1に比べて1病棟当たりの病床数は少ないものということでございます。
 43ページ目、44ページ目でございますけれども、令和4年度改定におきまして新設いたしました時間外受入体制強化加算の概要と届出状況でございます。
 次に、45ページ、46ページでございますけれども、同じく令和4年度改定におきまして新設いたしました不適切な養育等が疑われる小児患者に対する支援体制の評価であります養育支援体制加算の概要と算定医療機関数の状況でございます。
 47ページ、48ページが令和4年度改定にて新設されました造血幹細胞移植を実施する小児患者に対する無菌治療管理料加算とその算定状況を示してございます。
 49ページ目は小児科病棟における保育士や看護補助者の配置の状況でございます。小児入院医療管理料を届け出る病棟のうち約5割は保育士を、約3割は看護補助者を配置しているということでございます。また、その中央値や平均値もお示ししているところでございます。
 50ページ目、51ページ目でございますけれども、50ページ目は昨年8月3日の中医協に御報告いたしました入院患者さんの家族等による付添いの実態に関する調査結果でございます。
 51ページ目は、入院中の子供に付き添う家族の実態把握ということで、今後予定しております実態把握のための調査でありまして、こども家庭庁と連携をして実施されるものでございます。
 次に、1-4、小児高度急性期医療体制についてでございます。
 53ページでございますけれども、新生児特定集中治療室、いわゆるNICUの概要でございます。
 54ページ目は、ICU、そして小児特定集中治療室管理料、PICUという略称でございますけれども、これと先ほどのNICUの主な施設基準の概要を比べられるようにお示ししたものでございます。
 55ページ目、56ページ目は、新生児特定集中治療室管理料等の算定回数、届出医療機関数、そして病床数の推移を示してございます。いずれもほぼ横ばいで推移をしている。
 57ページ目でございますけれども、令和4年度改定における新生児特定集中治療室管理料の算定日数上限の見直しの概要でございます。
 58ページ目は日本における出生体重、在胎週数ごとのNICU滞在中の死亡率を5年ごとに比較したものでございます。こちらは新生児医療に係る文献におきましても、日本を含む先進国においては早産児に対する治療技術やハイリスク妊産婦に対する産科管理の改善、そして提供体制の発展によりまして、周産期医療が大幅に進歩してきていると指摘されているところでございます。左側のグラフが出生体重、右側が在胎週数でございますけれども、近年、改善しているということが分かるというものでございます。
 59ページ目は、新生児医療における高度な処置の算定回数の推移でございます。3段ございますけれども、一番上の末梢留置型中心静脈注射用カテーテル挿入などは算定回数が増加しているということでございます。
 60ページ目は、NICU入出時に対する退院支援の評価であります入退院支援加算3の概要を示してございます。
 61ページ目からはPICUについてでございまして、61ページ目が概要、62ページ、63ページ目はPICUの改定内容の変遷、そして令和4年度改定の概要を示しているものでございます。
 64ページ目はPICUの算定状況で、管理料の算定状況でございます。令和4年度に算定回数、届出医療機関数ともに増加したことをお示ししております。
 65ページ目からは臓器移植を採り上げてございます。前回改定で救命救急入院料及び特定集中治療室管理料におきましては、臓器移植患者に係る算定上限日数を延長したところでございます。
 66ページ、67ページは、15歳未満の臓器移植の現状でございます。15歳未満におきましても一定、臓器提供、臓器移植が実施されていることが示されております。
 次に、1-5、医療的ケア児についてでございます。
 69ページ目、70ページ目にございますが、こちらにお示ししておりますように医療的ケア児は増加傾向であること、全国の医療的ケア児は現在2万人程度と推計されてございます。
 71ページは、在宅の医療的ケア児とその家族の支援に向けた主な取組の全体像、72ページでは医療計画策定のための指針における医療的ケア児に関する記載の抜粋、73ページ目では同時改定の意見交換会での御意見を紹介しております。
 74ページ目、75ページ目は、障害福祉サービスにおける医療型短期入所サービスの概要と、利用者や家族が医療型短期入所を利用しました理由及びサービスを利用した際の不便、不安と感じたことをお示ししているものでございます。
 次に、1-6、小児の緩和ケア医療についてでございます。
 77ページ目は、専門的緩和ケアの全体像をお示ししてございます。
 78ページ目は、第4期がん対策推進基本計画における小児・AYA世代の緩和ケア等に関する記載、79ページ目から81ページ目は小児がん対策についてお示しをしているものでございます。
 82ページ目は、小児がん看護ケアガイドラインといったものでございますけれども、これらにおきまして小児に対する緩和ケアも含めた終末期ケアは、成人と比較いたしましてきょうだいを含む家族への支援がより求められているといった特徴があることを示すものでございます。
 83ページ目は小児の緩和ケアに係る診療報酬の評価、84ページ目は年齢階級別の緩和ケア病棟に入院する患者をお示ししてございます。緩和ケア病棟に20歳未満の患者さんはごく僅かしか入院していないということをお示しさせていただいているものでございます。
 次に、2つ目の項目でございます周産期医療についてでございます。
 86ページ目は、第8次医療計画における周産期医療体制の見直しのポイント、そして87ページ目から94ページ目までは、第8次医療計画に向けた検討会の資料から抜粋してこちらに持ってきているものでございます。その検討会資料ですが、周産期医療体制の概要等をお示ししております。
 93ページ目に進ませていただきます。こちらはハイリスク妊産婦の増加、94ページ目は妊産婦に対するメンタルヘルスケアの重要性について示すスライドを入れさせていただいております。
 次に95ページ目、96ページ目は、診療報酬上の対応でございますけれども、小児・周産期特定集中治療室管理料でございますけれども、総合周産期ということございまして、MFICUと略することが多いですが、概要、そして算定回数と届出病床数をお示ししているところでございます。
 97ページ目はハイリスク妊娠管理加算、98ページ目がハイリスク分娩管理加算の概要、99ページ目、100ページ目は、令和4年度改定におきまして新設いたしました地域連携分娩管理加算の概要及び算定回数を示しているものでございます。
 101ページ目、102ページ目は、令和4年度改定におきまして新設しました成育連携支援加算の概要、その算定状況、103ページ目、104ページ目も先ほどと同様に、前回改定で対象患者の見直しが行われましたハイリスク妊産婦連携指導料の概要、そしてその算定状況をお示ししているものでございます。
 課題、論点に移らせていただきます。
 105ページ目、106ページ目でございますけれども、論点のみ読み上げをさせていただきます。
 少子化の進展とともに、医療の高度化が進む中、小児医療の現状を踏まえた上で、外来、入院、高度急性期医療、医療的ケア児、緩和ケアに係る診療報酬の在り方について、どのように考えるか。
 周産期医療について、医療機関・機能の集約化が進められるとともに、ハイリスク妊産婦が増加する中、良質な周産期医療の提供体制を維持するため、周産期医療に係る診療報酬の在り方について、どのように考えるか。
 論点は以上でございます。
 御説明は以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 それでは、論点に沿ってコメントいたします。
 まず、小児医療について、小児外来医療です。
 26ページ以降に小児かかりつけ機能を推進する上の課題として、27ページには、医療機関側として24時間対応が難しいという意見が出されている一方で、28ページでは、患者さんからはかかりつけの医療機関を24時間受診できなくても、助言や照会をしてくれればいいという意向が示されています。このミスマッチを埋めるために、前回改定で複数の医療機関で連携して時間外対応を行う時間外対応加算3を算定する医療機関まで広げたところです。
 さらに25ページのとおり、小児かかりつけ診療料2の要件に入れた地域での貢献も含めたことにより、診療料2の届出が一定数なされたところです。地域での貢献も含めて、患者さんの受療行動の観点や、地域での様々な事業に対する役割を果たしている医療機関という視点は、今回改定においても重要なものと考えます。
 なお、31ページを見ますと、15歳未満の小児に対する往診が増加しています。コロナにおける実態など複合的な要素があるものと思いますが、当然ながら、往診料の留意事項通知にある保険医療機関に対して電話等で直接往診を求め、医師が必要性を認めた場合を遵守し、地域に密着した医師が通常の在宅医療の一部として対応することが基本であると考えております。
 次に、小児入院医療です。
 小児入院医療に特有な事情として、成長段階に応じた療養生活を支援する必要があります。49ページでは、小児入院医療管理料を届け出る病棟では、保育士や看護補助者を一定数配置していることが見てとれますが、例えば医療的ケアを要する児やNICUからステップダウンしてくる児などの昨今の増加を踏まえれば、様々な需要を受け止め切れているのかということは検討する必要があると考えます。
 39ページでは、小児入院医療管理料を算定している施設は国公立や公立が多く、40ページでは、急性期一般入院料よりも請求点数が低い管理料もあります。患者さん家族の付添いがなくても済むような、必要な人材を確保するための施策については、各種の政策対応を踏まえ検討する必要があると考えます。
 51ページで、入院中の子供に付き添う家族の実態把握のための調査が今後実施されるとのことで、その結果を持って慎重に検討すべきと考えますが、現場では、医療的ケア児や虐待への対応など、患者さんを自宅に帰すに当たっての課題が複雑化していることをここでは申し述べたいと思います。
 小児高度急性期医療体制です。
 NICUは、政策的に集約化を図っている流れがあると理解していますが、14ページだけでは資料が不十分だと思います。政策的並びに少子化による集約化が進んでいることが分かるような資料を事務局にはお願いします。
 医療的ケア児です。
 医療計画について議論した際に、レスパイトを診療報酬として直接評価することについて慎重に検討する必要があると発言いたしましたが、その趣旨は、医療的ケア児の特性に合った支援が必要ということであり、様々な取組を通じて支援していくことが重要であることは当然であります。
 74ページでは、障害福祉サービスにおける医療型短期入所サービスが紹介されておりますが、今回のトリプル改定では、こうした障害福祉サービスと医療機関との連携や情報提供を促していくことも重要であると考えます。
 児童精神の領域は人材不足が大きな課題で、医療だけで解決できる部分は必ずしも多くありません。特に学校を含めて受け止める場所のリソースが十分とは言えず、学校現場においてきちんと人員を割けるよう取組を推進するとともに、療育の場の充実も併せて対応することで、初めて診療報酬における評価が功を奏する部分があるということを現段階では申し述べておきます。
 小児の緩和ケア医療です。
 82ページですが、緩和ケアと終末期ケアはイコールではないとの前提で資料が提出されていると理解しておりますが、84ページでは、小児においては緩和ケア病棟が全く利用されていないという現状が示されておりますので、次回改定に向けて改善が必要であろうと考えます。
 その際、入院、外来、在宅が一体となって地域で支えるというコンセプトは成人の場合と同じであると考えていますので、その観点からさらに小児の場合の特有のポイントが何なのかをきちんとできるよう、資料をお願いいたします。
 最後に、周産期医療についてです。
 93ページで、ハイリスク妊産婦の増加が示されており、このハイリスクの要因についてもう少し詳しく調べていく必要があると思います。その結果、現行のハイリスク妊娠管理加算等で評価されていない対象患者がいれば、追加の必要性も含め検討していくべきと考えます。
 103ページに、前回改定で見直したハイリスク妊産婦連携指導料も記載されていますが、妊産婦のメンタルケアは、周産期だけでなく、子育て期にも影響していきます。例えば虐待とも関連することがありますので、そのような視点で検討できる資料がないか、御検討いただきたいと思います。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、各委員の発言の後、木澤専門委員からも発言いただくことを御検討いただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、島委員、お願いいたします。
○島委員
 ありがとうございます。
 論点について意見を述べさせていただきます。
 初期、二次、三次、小児救急の機能分化と連携は言うまでもありませんが、特に高度急性期医療に関しては人材、資機材の手厚い配備が必要とされるため、医療計画に基づく地域の集約化が図られるとともに、さらなる診療報酬による評価が必要だと考えます。
 医療的ケア児の増加は医学の進歩によるものでありますが、家族の精神的・肉体的・経済的負担も大きく、社会全体で支える必要があります。
 小児の緩和ケアは、対象患者は多くないにしても、体制整備がさらに必要だと思います。
 小児の夜間救急対応は、実際には非常に大変でして、私のおります福岡県久留米市では、久留米大学病院、聖マリア病院、それから地域医師会、久留米医師会を中心とした医師会の協力の下、小児科の開業の先生方に加え、小児を診療できる内科の開業医の先生方が交代で夜間の小児救急に対応しております。実際の運営費用に関しましては、市町村組合の協力を得て運営しております。
 それから、周産期医療に関しても、産科診療所が減少している中で、機能分化と連携、そして集約化が必要で、新生児科との横の連携は極めて重要であると思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 薬局における医療的ケア児への対応について説明させていただきたいと思います。
 小児の調剤の特徴としては、成人と異なり、成長のスピードに合わせた細やかな用量設定や用量変更が必要となります。また、学校などの生活状況、それから保護者の負担を考慮しつつ、薬学的知見に基づいた散剤の調製、剤形の加工投与方法の確認などの対応を行っています。また、小児の適用や用法用量が設定されている医薬品は限られており、用量が規格単位に満たないこともあり、製剤学的特性も踏まえた粉砕や脱カプセルなどの方法で調剤しているため、非常に時間を要しているのが現状です。このような医薬品の提供は、日頃から医療機関等と連携していくことで、薬局が円滑に対応することが可能となります。
 72コマ目で、医療的ケア児の支援方針として医療提供体制のポンチ絵が示されていますが、医薬品提供も重要な視点で、ここには薬局と明記されておりませんが、薬局も含まれているものと強調させていただきます。
 自分の薬局のことなのですけれども、5月末に医療的ケア児の処方箋を受け付けることになりました。開局して32年になるのですけれども4人目です。初めて受け付けたのが30年前で、まだ医療的ケア児を地域で診るという機会が少なかった中で、大学病院から中心静脈栄養法の患者さんを何とか受け入れてもらえないかということで受け入れを始め、そのときには、大学病院に行って無菌調整の研修をさせてもらって、かつ大学病院からうちの薬局に来て無菌調製の現状を見て、協力をしながら受け入れたということが昨日のように思い出されます。
 その後、この2年間で3人の患者さんの受け入れをしています。ある意味では地域の中で医療的ケア児の受け入れ体制ができてきたのかなと思っています。
 ただ、今回の受入れは病院から事前の受入れの可否の連絡があったわけではなくて、患者さんが直接うちの薬局に来ました。そのため、通常あまり出ない薬が処方されたということもあり、卸にも在庫がなく、近隣の薬局にも在庫がなく、処方箋を発行された大学病院の近隣にもなく、別の大学病院の地区の薬局1件だけにあって、何とか当日入手して調剤をすることができました。
 こうした地域の連携体制の中に薬局も入り、医療機関と退院時に事前に調剤情報等の共有を行うことが不可欠となります。このような地域の連携体制の構築の推進とともに、医療的ケア児を含む小児慢性疾患の患者の受け入れができるようにお願いをしたいと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、いかがでしょうか。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 医療の進展により小児の医療ニーズが多様化しており、医療的ケア児の増加も生じています。こうした様々なニーズへ対応することが求められております。もちろんその前提として、小児医療、とりわけ周産期医療に関しては、質の向上とともに安全面の確保が最重要となってきます。
 また、資料15ページでは小児科医師数が増加傾向にあること、資料91ページでは産婦人科医師数が近年徐々に増加しているとあります。この点、医療機関の機能の集約化や重点化が進む中で、その反動として小児科医や産科医がいない、または極めて少ない地域も生じており、今後の議論に際しては、地域医療の確保という視点も欠かせません。安全面の確保と良質な医療提供体制の維持という両輪を踏まえながら、診療報酬上で対応できることは何か議論をしていくことが必要と考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、総論として18ページ、19ページに示されております政府の方針に対応しなければいけないということは十分理解をしております。
 一方、小児と周産期につきましては、医療と福祉にまたがる課題でもあり、そのサービス提供体制そのものをどうしていくのか、幅広い視点で考えていく必要があります。その中で、診療報酬で評価すべきことが何かを明確にした上で議論を進めていくべきだろうと考えます。医療政策として考えた場合に、診療報酬よりも場合によっては補助金のほうがなじむものがあるのではないかとも考えております。
 それでは、106ページの論点に沿って意見を申し上げます。
 まず、かかりつけ医機能については、小児医療のベースとなる大変重要な論点だと考えております。資料の26ページ、27ページを見ますと、24時間対応が課題のようでございますが、24時間対応はかかりつけ医機能の極めて重要な要素でもありますので、これ以上の要件緩和については難しいと考えておりますけれども、一方、資料30ページを拝見しますと、時間外対応加算3が少ないようですが、最初の取組として、加算3の要件にもあります複数の診療所が連携して輪番で対応するということをぜひ広げていただきたいと考えます。
 また、資料31ページを見ますと、15歳未満の往診が令和2年から急激に上昇しております。コロナ禍の中で往診が一定の役割を果たしたことは事実だろうとは考えますが、コロナが5類になったことも踏まえ、上手な医療のかかり方を意識して、適切に往診サービスが利用されるよう、往診に関するコロナ特例の廃止について、事務連絡での周知も踏まえて、今後動向を注視すべきと考えますが、この件について、事務局の見解についてお伺いしたいと思います。
 続いて、69ページ以降の医療的ケア児についてですが、レスパイトケアが課題の一つとされております。次のページにございます障害福祉の医療型短期入所サービスの役割も重要だと考えますので、同時改定のタイミングで、家族の不安をどのように解消するかを含めて、ぜひ障害福祉サービスのほうでお考えいただきたいと考えております。
 次に、小児の緩和ケアですが、資料84ページを見ますと、緩和ケア病棟に20歳未満の患者がほとんどいないという結果になっております。小児にも当然緩和ケアのニーズがあると思いますので、どのような病棟でどのように対応するべきなのか、実態の分かるデータを基に議論を進めていくべきと考えます。
 最後に周産期医療ですが、ハイリスクの分娩や妊婦のメンタルヘルスなど、これまで充実を図ってきた経緯もございます。医療計画に沿った体制整備は重要とは思いますが、一方、令和8年度の改定では、正常分娩の保険適用が論点になることが予想されます。その全体像が明らかになった段階で周産期医療全体の評価の在り方を検討すべきであり、今回の改定では周産期医療の評価については慎重に判断すべきと思います。
 私からは以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ただいま松本委員から、31ページの訪問診療についての御質問がございましたが、事務局、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 31ページに関しまして、小児の往診料の算定回数の資料をお示ししてございます。ここに関しまして、コロナ特例の廃止の取扱いに係るお尋ねがあったと承知をしてございます。
 御指摘のとおり、令和2年度以降、新型コロナウイルス感染症に係る特例を設けておりました。往診の算定要件の緩和などの様々な取組を行ってきてございます。これが往診の算定回数の増加に一定程度寄与していると考えております。定量的にはなかなか申し上げられませんけれども、一定程度はその関与はあると考えております。
 この往診に関するコロナ特例でございますけれども、5月8日の新型コロナウイルス感染症の類型変更に伴いまして、一部廃止されてございます。現在の往診の取扱いを事務連絡として再度周知を徹底するということに関しましては、今の御指摘も踏まえまして、事務局にて対応を検討してまいりたいと思います。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 安藤委員、お手が挙がっておりますので、お願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 周産期医療につきまして、診療報酬をめぐる議論と直接関係はいたしませんが、昨年12月の医療保険部会の議論の整理におきまして、来年4月を目途に、出産費用の見える化として、医療機関の出産費用の状況のみならず、その特色やサービス内容も併せて公表し、妊婦の方々が適切に医療機関等を選択できる環境を整備することとされております。
 妊産婦のメンタルヘルスケアの体制整備に当たりましては、こうした見える化の動きを活用し、妊婦や周囲の方々への周知、啓発を図ることも重要ではないかと考えております。
 1点質問なのですが、資料を見ますと、0~14歳までの方たちの入院、外来で、精神が原因となっている方が年々増えております。その原因について、事務局のほうではどのように捉えられているのかということを御質問させていただければと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 今、安藤委員からございました御質問についてはいかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 なかなか定量的な御説明は難しいかと思います。例えば発達段階におけるメンタルヘルス関係の普及啓発などが進んだということも近年の進展だと思いますけれども、そういったことで例えば受診へのハードルが下がったことなども考えられますが、一概にこれですという説明は私ども事務局としてもなかなか困難であろうかと思います。
○小塩会長
 今お答えするのは難しいということですけれども、安藤委員、いかがでしょうか。
○安藤委員
 難しいとは思いますが、将来的には非常に影響はあると思いますので、その辺の原因については詳細に確認していただいたほうがいいのかなと思います。
 あと、成人であるとか、それこそ若者に、メンタルが原因で傷病手当金をもらっている方たちが非常に多くなってきております。その辺にも関係してくると思いますので、ぜひ研究をしていただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 承知いたしました。
 高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 私からは、周産期医療について意見を述べたいと思います。
 医療の進歩によって、低出生体重児の割合が増えたこと、リスクの高い妊産婦が増えてきたことに対応するため、高度な医療であってもその安全性を確保する観点から、新生児医療や周産期医療の質の向上を引き続き図っていくことが重要だと考えています。
 そのためには、医療機能の集約化や重点化が必要だと思いますが、それと同時に、医療機関の連携をさらに強化することによって、全国どこに行っても安心して出産ができ、そして新生児が高度な医療が受けられる体制をつくっていくことが重要だと考えています。
 そして、もう一点、これは議論するのは中医協ではないかもしれないのですけれども、分娩というものはリスクを伴うものですので、産科医療の見える化を推進し、そして根本的には出産は正常分娩も含めて保険適用して、安全で安心できる周産期医療を確立していくことが必要だと考えています。こうした方向で今後議論していただくようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、先ほど長島委員から御提案がございましたので、木澤専門委員から御意見を伺いたいと思います。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 私からは4点ございます。
 まず1つ目は、小児の入院医療についてです。小児病棟では現在、看護補助者の配置の評価がなく、49ページにもありますとおり、補助者の配置が進んでいない状況にございます。小児患者はまだまだ生活行動や身の回りのことを自立して行えないことも多く、頻回な哺乳の準備、片づけ、食事や着替えなどの生活支援が必要です。そういった業務を看護師が多く担っています。本来、小児看護は患児が安心して療養できるための細やかな見守り、ケアや成長発達段階に応じた関わりが必要となっています。看護職員が小児患者の看護に集中でき、親子ともより安心して過ごせる入院環境が整備できるよう、看護補助者の配置への評価は重要と考えます。
 また、小児入院患者が減少する中、小児病棟を単独で維持することが難しくなっています。成育医療等基本方針でも記載されましたように、小児の心身発達の配慮、患児、家族が安心して療養できる環境確保の観点から、成人との混合病棟の中における小児病床の区域特定が必要と考えます。
 2点目は、小児高度急性期医療体制についてです。現在、NICUの看護配置は3対1であり、2対1であるICUやPICUよりも低くなっています。しかし、超低出生体重児や高度な処置が増加しており、高水準な医学的管理を安全に行うためには、他の集中治療室と同等の手厚い配置が重要です。NICUで勤務する看護師には、高度な知識や技術のみならず、患児、家族のケア、母子の愛着形成、入院時から入退院支援や在宅療養に向けた指導など、複雑かつ多くの役割が求められており、新生児集中ケア認定看護師など専門性の高い看護師、それから小児患者の在宅移行支援に関する研修を受講した看護師が配置されることが望ましいと考えます。
 3点目は、小児の緩和ケア医療についてです。82ページの小児がん看護ケアガイドラインの中で紹介されているとおり、小児の終末期ケアは、どこにいても、どんなときでも、子供らしく過ごすことや、家族とのかけがえのない時間を大事にできるよう支え、家族も含め、苦痛の緩和、意思決定支援等を非常に丁寧に行っていく必要があります。現在、緩和ケア病棟に入院する小児患者は極めて少なく、小児病棟の中で緩和ケア診療加算によって専従チームのラウンドによる支援を受けているケースが多いと考えられますが、いずれの場であっても、家族やきょうだいとの関係の中で、子供らしく、穏やかな最期のときを迎えられるよう支援することが何よりも大切であり、小児への緩和ケア提供体制の充実が必要と考えております。
 最後に、周産期体制についてです。ハイリスク妊産婦が増加しており、メンタルヘルスケアの重要性など、妊娠中から産後まで切れ目なく支え続けることは大変重要です。出産直後の御自身の精神的・身体的変化に加えて、育児も始まりますことから、こうしたハイリスク妊産婦の退院に向けては、退院前から地域の関係者と情報を共有し、退院直後から必要な支援を適切に提供できる体制の強化が求められます。
 訪問看護事業所では、医療機関や保健所等と連携しながら、こうした妊産婦さんの支援を実施しておりますが、その際、入院中から入院医療機関との間で情報共有や方針共有をしておくことが円滑なケア提供につながっています。ハイリスク妊産婦に対する医療機関と訪問看護の連携強化に向けた評価が重要と考えます。
 以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 他に御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ほかに御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日、非常に重要な御要望、御意見をいただきましたので、それも踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
 それでは、次の議題「医療DXについて(その2)」を取り上げます。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、「医療DXについて(その2)」ということで、総-3を用いまして御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ目に本日御説明する項目が2つございます。医療DXの推進に関する工程表について、そして診療報酬改定の実施時期の後ろ倒しについてでございます。
 3ページでございますけれども、4ページ以降が医療DXに関する議論の状況でございまして、4ページには今年取りまとめられました、いわゆる骨太の方針の抜粋を掲載しております。
 文章がございますけれども、全ては読みませんが、下から数行目のところに、「診療報酬改定DX」による医療機関等の間接コスト等の軽減を進めるといったことがございまして、冒頭には、工程表に基づきとございます。
 この工程表が、下に注がありますとおり「医療DXの推進に関する工程表」、今年の6月2日に推進本部で決定したものでございます。
 その概要が5ページ、6ページ、7ページ目にございます。
 5ページに工程表の基本的な考え方からマイナンバーカードの健康保険証の一体化の加速等、全国医療情報プラットフォームの構築、6ページに電子カルテ情報の標準化等、診療報酬改定DX、医療DXの実施主体ということで、それぞれ取りまとめられてございますけれども、6ページの真ん中の段、診療報酬改定DXの2つ目の○に、診療報酬改定の施行時期の後ろ倒しに関して、実施年度及び施行時期について、中央社会保険医療協議会の議論を踏まえて検討と記載されているところでございます。
 8ページに進ませていただきます。後ろ倒しに関する御提案でございます。お諮りするものでございます。
 9ページに進みます。今年4月に開催されました本総会の場におきまして、この診療報酬改定施行時期の後ろ倒しについて御議論いただいたところでございます。
 それから幾つか抜粋をしてございます。太い字で下線を引かせていただいておりますけれども、後ろ倒しの期間に関してはということで、改定の結果検証にマイナス面の影響をできるだけ生じさせない長さにするなどを考慮して、総合的に検討する必要がある。次には、丁寧かつ早期に周知をしていただきたい。4月改定を前提としたサイクルが変わることなどで、現場が混乱しないよう丁寧な説明や配慮が必要。薬価に関しましてですが、下から4行目です。毎年薬価調査を実施し、翌年度に薬価改定を行うサイクルを前提とすれば、4月に施行しなければ、薬価制度の根幹を揺るがすことになりかねない。最後の行で、薬価のシステム改修は、4月施行でも十分対応可能であるといった意見をいただいたところでございます。
 10ページ目、11ページ目、12ページ目は、その際に提供させていただいた資料でございまして、現状の対応状況ということで10ページ目、2月に中医協の答申が行われた後、4月施行に向けて3月、4月、5月、5月が作業のピークとなるようなイメージをお示ししたものが10ページ目、今後、診療報酬改定DXの中で開発を進めていこうとしている共通算定モジュールの構成要素、標準化・共通化を示したものが11ページ目、12ページ目が取組のスケジュールということでお示しをするものでございます。
 先ほど申し上げました共通算定モジュールでございますが、令和6年度すぐにできるというものではなく、その後、試行運用を繰り返して、令和8年度から提供できるのではないかと準備を進めようと考えているところでございます。
 こういったことをお示ししたところでございました。
 そこで事務局からは、本日13ページ、そして14ページのような御提案をさせていただきたい、お諮りさせていただきたいと思ってございます。
 13ページ目に、先ほどの議論を受けまして、施行時期の後ろ倒しに当たっては総合的な検討が必要とされている。そして、薬価改定に関しては、4月に薬価改定が実施されれば、薬価調査を例年どおり実施することが可能。また、次期改定に向けては、6月施行の場合、経過措置は9月末を基本とし、年度内の検証調査が実施可能ということを下のスケジュール表案でお示ししをしてございます。2月上旬に中医協の答申を行い、関係告示、点数表をお示しし、4月1日に薬価改定を行い、6月1日に施行し、7月10日に初回請求となる。近年、様々設けられております経過措置につきましても、9月末までが基本となろうかと思ってございます。
 14ページに課題と論点をお示しさせていただいてございます。
 論点でございますけれども、診療報酬改定DXの推進に向け、医療機関・薬局等やベンダーの集中的な業務負荷を平準化するため、令和6年度診療報酬改定より施行時期を6月1日施行とすることとしてはどうか。
 また、薬価改定の施行に関しては例年通り4月1日に改定とすることとしてはどうか。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま事務局から具体的な御提案もございましたが、ただいまの説明につきまして、質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 診療報酬改定DXの目的である医療機関の負担の極小化を実現するためには、単に実施時期を後ろ倒しにすることだけでは十分でなく、同時に、医療機関の負担軽減や効率化のためのほかの取組も必要となります。
 例えば医療機関の費用負担軽減のためには、後ろ倒しで最も大きな恩恵を受ける電子カルテやレセコンのベンダーが保守費用やリース料などを大幅に引き下げるなど、目に見える形で確実に医療機関に還元する必要があります。この実現を担保する具体的な仕組みをつくるべきであります。
 また、これまで改定に際し五月雨式に厚労省から発出されていた多くの疑義、解釈は、改定が施行されてから、現場で発生する問合せに応じながら出されてきた側面もあります。したがって、後ろ倒しによる負担軽減を役立てるためには、工夫した取組が必要となります。
 今回御提案の施行が後ろ倒しになってベンダー対応がされている期間について、医療機関にとってどういうメリットがあるのか明確にしていただく必要があり、これはひいては患者さんにとってのメリットになるものであります。また、そのメリットを最大化するための取組が必要になります。
 そこで事務局に質問いたします。このように医療機関にとっての負担軽減につながるメリットを最大化するために、どのように実現されるのでしょうか。また、そういった効果を検証する予定はあるのでしょうか。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま長島委員から御質問いただきましたが、事務局いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 御指摘いただいてきましたとおり、事務局におきましても、こういった診療報酬改定DXの効果が医療機関にちゃんと還元されることが重要であると考えてございます。医療DX、特に診療報酬改定DXを進めていくに当たり、ベンダーの団体とも意見交換を随時実施しているところでございます。私どもとしましては、まずは今夏、そして秋頃までに、医科・歯科・調剤などの分野別の関係団体、それからベンダーの方々へのヒアリングを予定しております。その中でも費用低減分に関しまして着実に還元されるようということで、それを実施して求めていきたいと考えてございます。
 また、中長期の御指摘といたしまして、今後最大化する仕組み、そして効果検証というお尋ねもございました。最大化ということに関しましては、先ほど診療報酬改定DX、令和6年度は後ろ倒しということでございますけれども、その後、例えば共通算定モジュールの開発、あるいは診療報酬の電子点数表の改善、こういったものを実施していって、全体のコストがどのぐらい安くなるかといった効果も最大化していかなければいけないだろうと考えてございます。そういうことも含めて今、計画をさせていただいていたところでございます。そういったことを通じて、効率化を最大化するという取組を進めてまいりたいと。これは逐次、進捗状況を私どもがチェックしていきたいと考えてございます。
 その上で、効果検証ということでございますけれども、こちらはどのような検証のスタイルがいいかどうか、できるかどうかを含めて、私どもとしては今、御指摘いただきましたので、そこに関しましては具体化を念頭に、受け止めさせていただいて、どのようなことができるか、今後また御提案させていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 長島委員、よろしいでしょうか。
○長島委員
 まずは今回の後ろ倒しによって、医療現場、医療機関に具体的にどのようなメリットがあるのか、それがひいては患者さんに還元されるのかということについて明確化していただいて、それを丁寧に医療現場に周知していただくことが重要かと思いますので、そのような取組を強くお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 歯科の立場から要望させていただきます。
 医療DXにつきましては、歯科医師会といたしましても推進をしていく立場には変わりはございません。今回は医療DXの3本の柱のうち診療報酬改定DXについてということで、12ページにもございますように、改定の施行時期、施行年度、共通算定モジュール、標準型レセコンの提供等が対応方針として示されております。
 診療報酬改定DXのタスクフォースの中で、歯科などの分野別に個別の課題などを今後ヒアリングしていく予定と伺っております。歯科は小規模ベンダーも多いことから、できるだけこれら小規模ベンダーも参加できるように配慮していただき、多くの声を拾っていただくよう、よろしくお願いいたします。
 今回の診療報酬改定DXにおきまして、現時点では病院等の大規模な医療機関が先行して進められているように感じますが、小規模な歯科診療所等がメリットとして感じられる部分も拾い上げていただきたく要望いたします。
 また、14ページの論点の1つ目、診療報酬改定時期の後ろ倒しについてでございますが、これまでの診療報酬は年度の評価がほとんどであったと認識しておりますので、改定時期が2か月後ろ倒しになることにより、今後付随する問題点を早期に洗い出し、医療の現場に混乱がないように、しっかりと周知していただき、できるだけ細やかな配慮をお願いできればと思っております。
 2か月後ろ倒しになることを含めて、今後、現場の医療関係者が納得感を感じられる取組になるよう、よろしくお願いいたしたく思っております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点について発言させていただきます。
 診療報酬の改定は6月、薬価改定は4月に施行するという、2回に分けて改定を行うことについては、その準備に対する医療現場への負担、そして実際に施行された後の医療現場への影響が読めず、非常に不安を覚えます。また、患者さんの負担金額が4月と6月に2度変更となるため、このことに対する国民の皆さんの理解と影響も心配です。
 今回の対応は、国主導の下で、ベンダーや医療現場の集中的な業務負荷の平準化と、共通算定マスターや共通モジュールの導入などでシステム開発・改修の効率化が図られるものであり、これによって費用面も含めた医療機関・薬局の負担軽減につながるものと理解しています。
 したがって、診療報酬改定DXへの対応のコストが薬局や医療機関に転嫁され、追加的なコストが発生することも含めて負担が増加することは、施行時期が2回に分かれたとしても確実にあり得ないものであり、実際に診療報酬改定DXに対応する厚生労働省としては、ベンダーを含む関係者とも認識を一致させながら進めるべきであると強調させていただきます。
 特に薬局においては調剤報酬に占める薬剤費の割合が約75%あり、薬価改定による影響は大きく、薬価のシステム改修は4月施行でも十分対応が可能であると言い切れるものではありません。
 また、4月と6月の改定に合わせて2回現場でレセコンのバージョンアップなどの対応が必要となります。改定を分けて施行することによる影響については、丁寧な検証をお願いします。その検証結果を参考にして、令和6年度以降の診療報酬改定DX対応の進め方については判断していくべきものと考えます。
 繰り返しになりますが、今回の対応については現場が混乱しないよう、薬局・医療機関への丁寧な説明と、国民への周知、理解促進のための丁寧な広報をお願いいたします。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 「デスマーチ」といった言葉があると承知しております。ベンダーの負担も含めて業務負担の平準化・効率化を図る観点は重要と考えます。関係者と連携の上、丁寧な対応をお願いいたします。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 安藤委員、お手が挙がっています。お願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 診療報酬改定DXの推進に向けまして、令和6年度診療報酬改定より施行時期を6月1日とすること、また薬価改定の施行に関しましては4月1日のままとすることにつきましては、異論はございません。今後、共通算定モジュールの提供を進め、現場が過大な負担なく診療報酬改定に対応できる環境の整備に引き続き取り組んでいただければ幸いです。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、14ページの論点についてコメントいたします。
 13ページに具体的なスケジュール案が示されておりますけれども、まず薬価改定については4月施行ということで、以前、私どものほうから中医協で発言した内容を対応いただき、感謝申し上げます。薬価制度の健全な運営の観点からも、事務局案に賛同いたします。
 また、診療報酬については、ベンダーの作業負担の軽減と、可能な限り速やかに政策効果を発揮させるという両方の観点から、2か月後ろ倒しするということで理解をいたしました。
 また、6月施行でも経過措置は従来どおり9月末までという取扱いについても、検証調査を適切に実施する観点から妥当であり、賛同いたします。
 改定に係るコストや医療機関の負担の抑制、さらには保険者の負担も軽減され、医療保険制度全体の運営コストの削減が図られることに期待を持っております。
 そのためにも、6ページの医療報酬改定DXの1つ目の○にございます各種のモジュールの開発、さらにはレセコン、電子カルテの整備等についても適宜情報を提供いただきますよう、お願いいたします。
 私からは以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほか、御意見、御質問ございますでしょうか。
 それでは、高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 私も、施行時期の2か月後ろ倒しなどの論点に関しては異論はなく、賛同いたします。
 その上で、少し議題から外れるかもしれないのですが、意見を述べさせていただきたいと思います。
 マイナポータルでは患者が診療報酬の項目を見ることができますが、それに加えて点数も見られるようにしたほうがいいのではないかと考えています。紙の診療明細書に記載してあるからそれでいいというのではなく、電子データでもそれを情報提供していただくと、患者の信頼度が増しますとともに、医療DXを推進することに対する患者の理解も進むと考えております。
 また、医療DXを通じまして、電子カルテを患者と共有する方向で御検討いただきたいと思います。その前提として、カルテの保存義務期間を延長する方向で議論をしていただけるようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、眞田委員、お待たせいたしました。お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私も、論点、今回の事務局の提案内容につきましては賛同いたします。
 ただ、各委員が懸念を表明されております事項については、丁寧に実施いただくことが重要かと思いますので、よろしくお願いいたします。特に実施時期の後ろ倒し、共通算定モジュールの導入が医療機関やベンダーの業務の逼迫を改善し、負担の平準化や業務の効率化につながっているかどうかについては、しっかりと検証していただきたいと思います。こうした対応を通じて、診療報酬改定DXが実現できることを強く期待をしております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 本件につきましては、いろいろ委員の方々から御意見をいただきました。これまでいただいた御発言を踏まえますと、資料の論点に示された施行時期の考え方につきましては賛同する御意見であったかと思います。そのため、本件につきましては中医協として了解するということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として了解したいと思います。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 それでは、本日の「総会」はこれにて閉会といたします。
 長時間どうもありがとうございました。
 

 

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