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2023年6月14日 中央社会保険医療協議会 総会 第546回議事録

○日時

令和5年6月14日(水)10:00~

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 永瀬伸子委員 安川文朗委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 森昌平委員
吉川久美子専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 中田医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○先進医療会議及び患者申出療養評価会議からの報告について
○最適使用推進ガイドラインについて
○費用対効果評価専門組織からの報告について
○令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会における主なご意見について
○働き方改革の推進について(その1)

 

○議事 

○小塩会長
 おはようございます。ただいまより、第546回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、末松委員及び羽田専門委員が御欠席です。
 ここで、議事に入る前に、委員より御発言のお申出がありましたので、よろしくお願いします。
 松本委員、御発言をお願いいたします。
○松本委員
 皆さん、おはようございます。健康保険組合連合会の松本でございます。
 開催の前に少しお時間をいただき、ありがとうございます。
 本日の議題とは離れまして、マイナンバーカードと保険証の一体化の関係で発言をさせていただきます。
 今般、保険者が登録した加入データに誤りがあったことにより、別の方の資格情報がひもづく事案が生じたところでございます。保険者を代表いたしまして、こうした事案を真摯に受け止めております。
 現在、厚生労働省の指示の下、登録済みのデータの点検作業を鋭意実施しておりますので、今後も引き続きしっかり対応してまいります。
 以上であります。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御発言に対しまして、2号側の委員から御意見がございましたらお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 本件につきましては、5月24日に日本医師会の松本会長が日本医師会の会見で表明しておりますので、この場ではその要点を述べさせていただきます。
 マイナ保険証によるオンライン資格確認は、今後の医療DXの基盤となる大変重要な仕組みですが、言うまでもなく、正確なデータ登録がなされていることが大前提であります。
 国民、患者の皆様や医療機関に安心して利用いただくためには、信頼性を高めることが最も重要です。
 国や保険者、システムの運営主体である支払基金には、データの正確性の確保に、今後も全力で取り組んでいただきたいと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま、松本委員、長島委員からそれぞれ御発言がございましたが、事務局からはございますでしょうか。
 お願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長
 医療介護連携政策課長でございます。
 オンライン資格確認につきまして、保険者が登録した加入者データに誤りがあったことにより、別の方の資格情報がひもづき、結果的に薬剤情報等が閲覧される事案が生じ、関係する方には御迷惑を、また、国民の皆様には御心配をおかけしていることについて、申し訳なく思ってございます。
 オンライン資格確認のメリットを実感していただくためにも、オンライン資格確認等のためのデータが正確に登録され、医療現場において安心・安全に御利用いただけるものでなければならないと考えてございます。
 その際、これはこれまでの国会の御審議でも御答弁申し上げていることでございますが、人の作業が介在する仕組みである以上、何らかの誤りが生じ得ることを前提として対応していく必要があると考えてございます。加入者本人、事業主、保険者といったデータ登録の様々な段階で生じる誤りに対しても対処することができることが重要である、こうした認識の下、厚生労働省として、そのための仕組みをしっかりと構築してまいります。
 また、仮にシステム上で表示された情報に疑義がある場合、問合せ窓口に御相談をいただければ、迅速に担当機関につながって具体的な対応が取れる体制、こうしたものも整備してございます。
 また、医療機関等でシステムトラブル等が生じた場合に備え、支払基金、国保中央会の医療機関向けのコールセンター、これにつきましても、さらなる体制の強化を図っているところでございます。
 オンライン資格確認につきましては、これまでもこの中医協等におきまして、安心・安全でよりよい医療を提供するための医療DXの基盤となるものである、そうした御認識の下に御議論をいただいてまいりました。患者、国民から見て、登録されているデータが信頼できるものであることは言うまでもございませんが、実際に身近な医療機関や薬局に顔認証付カードリーダーが置いてあって、これを使える、そうした環境をつくり上げていくことも重要でございます。
 これまでも医療機関、薬局、保険者、システム事業者、関係する皆様には大変な御尽力をいただきながら取組を進めてまいりました。改めて、オンライン資格確認の推進に向けて、関係する皆様の御協力をよろしくお願い申し上げたいと存じます。
 以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 最初に「先進医療会議及び患者申出療養評価会議からの報告について」を議題といたします。本件は報告事項です。
 事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 おはようございます。医療課長でございます。
 それでは、総-1を用いまして、先進医療及び患者申出療養の科学的評価結果についての御報告をさせていただきます。
 これは3月に本中医協で御承認いただきました定例的な報告、この先進医療会議、そしてまた、患者申出療養評価会議の結果につきましては、毎月御報告させていただいたところを3か月に1回定例的な報告にまとめさせていただくものとしてお認めいただいた、その報告でございます。併せて申し上げれば、総-2、次の議題についても同じでございます。
 それでは、総-1に入らせていただきます。
 上の段、119回先進医療会議におきまして、ここにございます着床前の胚異数性検査につきまして、適との評価をいただいてございます。適応症はここに記載するとおりでございます。申請医療機関は大阪大学医学部附属病院ということで、要する費用等、記載のとおりでございます。
 そして、下段でございます。こちらは患者申出療養評価会議における評価の結果でございますけれども、技術名は胸部悪性腫瘍に対する経皮的凍結融解壊死療法の有効性・安全性に関する研究ということでございます。適応症はここに記載のあるとおり、肺悪性腫瘍等でございます。このプロトコル作成の臨床研究中核機関は慶應義塾大学病院ということでございまして、適と判断されているものでございます。
 資料1、御報告は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 続きまして「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。本件も報告事項です。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 資料総-2を御覧ください。
 「最適使用推進ガイドライン」ということで、先ほどの総-1と同様に定期的に報告することとしたものでございます。今般、表でお示しした医薬品について、効能・効果の追加等の製造販売承認事項一部変更承認に伴い、最適使用推進ガイドラインを改定し、保険適用上の留意事項を通知したので、御報告いたします。
 対象品目はオプジーボ、今回追加となる効能・効果は真ん中の欄の3つ目の○、下線でお示ししております、非小細胞肺がんにおける術前補助療法でございます。製造販売承認一部変更承認日と同日付の3月27日に最適使用推進ガイドラインと保険適用上の留意事項の通知を発出しており、同日付で適用としております。
 総-2参考1に改定した非小細胞肺がんに係る最適使用推進ガイドライン、総-2参考2に保険適用上の留意事項の改正内容をお示ししております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 続きまして「費用対効果評価専門組織からの報告について」を議題といたします。
 本日は、費用対効果評価専門組織の田倉委員長にお越しいただいております。田倉委員長より御説明をお願いいたします。
○田倉委員長
 費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。
 中医協総-3の資料を御覧ください。
 「医薬品・医療機器等の費用対効果評価案について」ですが、Micra AV、Expedium Verse Fenestrated Screwシステム、リフヌア錠について、費用対効果評価案を策定いたしましたので、御報告をいたします。なお、当面の間は、専門組織での検討状況についても資料に記載をしております。
 2ページを御覧ください。対象品目はMicra AVです。本品は、カテーテルを用いて経皮的に右心室内に留置される電極一体型の植込み型心臓ペースメーカです。下段に補足として分析対象集団のICERの区分を記載しております。
 3ページからは、参考としてMicra AVの費用対効果評価案策定に関わる主な検討事項を記載しております。
 続きまして、6ページを御覧ください。対象品目名はExpedium Verse Fenestrated Screwシステムです。本品は、胸椎、腰椎及び仙椎における変性疾患、外傷、腫瘍等による不安定性を有する患者、または脊柱変形を有する患者に対して、脊椎の一時的な固定、支持またはアライメント補正を目的に使用されています。上段に費用対効果評価専門組織で決定した費用対効果評価案を記載しております。下段に補足として分析対象集団のICERの区分を記載しております。
 7ページからは、参考としてExpedium Verse Fenestrated Screwシステムの費用対効果評価案策定に関わる主な検討事項を記載しております。
 続きまして、8ページを御覧ください。対象品目はリフヌア錠です。効能または効果は難治性の慢性咳嗽です。上段に費用対効果評価専門組織で決定しました費用対効果評価案を記載しております。下段に補足として分析対象集団のICERの区分を記載しております。
 8ページからは、参考としてリフヌア錠の費用対効果評価案策定に関わる主な検討事項を記載しております。
 御説明いたします内容は以上となります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 事務局から補足はございますでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 特に補足はございません。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
 特にないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 田倉委員長、どうもありがとうございました。
 続きまして「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会における主な御意見について」を議題といたします。本件は報告事項です。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、総-4、そして、総-4の参考のシリーズを用いまして、同時改定に向けた意見交換会における主な御意見につきまして、御紹介をさせていただきたいと思います。
 資料総-4を御覧ください。
 1枚目のスライドでございます。令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会、この目的でございますが、左上にございます。同時改定ということでございまして、様々な視点の検討が必要ということでございます。2つ目の○にございますとおり、こちら、中央社会保険医療協議会総会、そして、介護給付費分科会において、診療報酬と介護報酬等との連携・調整をより一層進める観点から、検討項目に主に関係する委員で意見交換を行う場を設けることとしたものでございます。テーマといたしましては、その下に1から9までございます。スケジュールでございますけれども、3月、4月、5月に1回ずつ行ってございます。メンバーは、その右側の表にあるとおりでございます。
 それでは、具体的な内容について御説明をさせていただきます。ページを進めていただきまして、2ページでございます。2ページ、3ページがテーマ1「地域包括ケアのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携」ということでございます。「(1)医療・介護・障害サービスの連携」でございますけれども、そこの1)にございますとおり「連携の姿とは」ということで、必要な情報の一方向的な提供や閲覧だけでなく、相互のコミュニケーションを深め、現状、課題、目標、計画などを共有しながら、患者・利用者、家族とも同じ方向に向かい、より質の高い医療・介護の実現につなげることが重要である、こういった御指摘があり、そして、4つ目の○で「医療においてはより「生活」に配慮した質の高い医療を、介護においてはより「医療」の視点を含めたケアマネジメント」という記載、これに加えて、さらに特に医療においては「生活」に配慮した質の高い医療の視点が足りていないという御指摘もあったところでございます。「2)医療・介護DX」に関しましては、サービスの質の向上や最適化・効率化のツールとして活用することが重要という御指摘もいただきました。
 3ページに進みます。「3)医療・介護と障害福祉サービスとの連携」ということでございます。障害福祉サービスでも医療ニーズが非常に高まっていること、体制整備も含め医療・福祉の連携は喫緊の課題である、また、次の○では、医ケア児への対応についても重要であるといった御指摘がございました。次に(2)でございますけれども、これは一番下の○を御紹介させていただきますが、主治医意見書において医学的管理の必要性の項目にチェックをしても、ケアプランに反映されないという意見も多い、特にリハビリテーションの重要性はもう少し認識を高めていく必要があるのではないかといった意見もあったところでございます。
 4ページに進ませていただきます。こちらはテーマ2「リハビリテーション・口腔・栄養」という項目でございます。(1)で、この3つの要素の一体的な取組ということでございます。これらの取組は、多職種が連携し、的確に対象者を把握し、速やかに評価や介入を行える体制を構築することが重要、2つ目の○では、令和3年度の介護報酬改定で示されたリハビリ・機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的な計画書は、医療でも活用可能ではないかといった御指摘があったところでございます。(2)が「リハビリテーション」、(3)が「口腔」、「口腔」では、病院や介護保険施設等において、口腔の問題等が認識されていないことが課題であること。(4)で「栄養」でございますけれども、潜在的な低栄養の高齢者が多いことが課題であり、踏み込んだ対策が必要といった御指摘をいただいたところでございます。
 5ページでございます。テーマ3「要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療」というテーマでございます。「(1)急性期疾患に対応する医療機関等」でございます。要介護の高齢者に対する急性期医療でございますが、介護保険施設の医師や地域包括ケア病棟が中心的に担い、急性期一般病棟は急性期医療に重点化することで、限られた医療資源を有効活用すべき、次の○も同種の意見でございます。(2)でございますが、急性期病院における高齢者の生活機能の低下を予防することが重要、そして、離床の取組を推進すべきという御指摘をいただいております。次の○でございますけれども、労働人口が減る中で、専門職の配置については全体のバランスをよく見ていくべき、こういった指摘もございました。
 それでは、次のページに進ませていただきまして、6ページでございます。こちらはテーマ4「高齢者施設・障害者施設等における医療」ということでございます。(1)で、こちらは「高齢者施設・障害者施設等の医療提供機能」ということで、1つ目の○にございますけれども、医療も介護も人材が不足する、保険財政もこれまで以上に厳しい状況になる、まずは自施設の職員による対応力の向上を図った上で、自施設で対応可能な範囲を超えた場合に外部の医療機関と連携して対応に当たるべきだ。(2)で「医療機関と高齢者施設等との連携」ということでございます。連携する医療機関については、名前だけの協力医療機関ではなく、地ケア病棟や在宅療養支援病院、有床診など地域の医療機関と中身のある連携体制を構築するべきといった御指摘をいただいたところでございます。(3)が「高齢者施設等における薬剤管理」、(4)が「感染症対策」でございます。
 7ページに進ませていただきまして、テーマ5「認知症」でございます。(1)に「地域包括ケアシステムにおける認知症の人への対応」ということでございます。1つ目の○で、認知症の方を自分自身あるいは大切な家族に置き換えて、大切に思う気持ちを持ち合わせることが大切、次の○で、その人を支える尊厳あるケアを普及していくべきといった御指摘をいただいております。(2)は「医療機関・介護保険施設等における認知症の人への対応」ということでございます。認知症対応力向上のためには支援者が地域の専門人材から助言を受けられる仕組みづくりが重要、そしてまた、特定行為研修を修了した看護師を活用していくべきではないかという御指摘をいただきました。次の○では、身体拘束の低減・ゼロを目指すためには、組織として課題に取り組むことが重要、そして、次の○でも、急性期でも身体拘束の最小化に取り組むべき、認知症の方の尊厳を保持することが重要といった御指摘をいただいてございます。
 8ページでございます。テーマ6「人生の最終段階における医療・介護」でございます。(1)に「人生の最終段階における意思決定支援」ということで、1つ目の○でございます。いずれの場面においても意思決定を支援する取組は重要ということでございます。「ただし」と2行目にございますが、急性疾患において性急に意思決定を促すことや、救急隊の現場での負担軽減などを目的として強制的に推進することが起こらないように、その推進の方法は慎重であるべきといった御指摘もいただきました。(2)で「本人の意思に基づく医療・介護の提供」ということでございます。「人生の最終段階を支える医師」がという文脈でございますが、この文脈では、主にこの人生の最終段階をがんで語られることが多かったわけでございますけれども、ここでは、患者の疾患が非がんであっても、緩和ケアを専門とする医師らとICT等を使って連携することで、御本人が望む住み慣れた環境で最期を迎えることが可能となるといった御指摘がございました。それから、3つ目の○でございます。非がんの緩和ケアにつきましてもということで、心不全やCOPDの末期の状態では、少量の麻薬が非常に有効であることが確認されているといった御指摘があったところでございます。
 9ページに進みまして、テーマ7「訪問看護」でございます。1つ目の○です。訪問看護は、高齢者の医療・介護ニーズ、在宅みとりへの対応とともに、小児や難病など、多世代にわたる利用者への対応が求められる、安定した24時間のサービス提供体制の構築・強化が急務であるという御指摘がありました。次の○では、このコロナ禍の中で訪問看護療養費が非常に伸びておることもお示しをしているところでございます。(2)で「地域のニーズに応えられる訪問看護の提供体制」ということで、訪問看護の24時間対応の体制を取ることにつきましては、看護職員の身体的・精神的負担が大きいということでございまして、次の行でございますけれども、夜間等対応のさらなる評価、複数事業所が連携し24時間対応体制を確保するための方策が必要といった御意見もあったところでございます。次の○では、理学療法士等による訪問看護に関しても、その後段でございますが、訪問看護の実施・評価・改善を一体的に管理していく必要があるという御指摘をいただいたところでございます。
 10ページに進ませていただきます。こちらは「薬剤管理」というテーマでございます。テーマとして掲げてはおったところでございますが、それぞれテーマ1、3、4、5、6の中でこの薬剤管理に関わるところを取り上げさせていただいてございます。それぞれ例えば緩和ケアのところ、あるいは認知症のところ、また、多剤を飲むようなところに関しまして、御指摘をいただいたところでございます。
 そして、最後、11ページで「その他」ということでございますけれども、各テーマを俯瞰するような御発言をいただいたところがございましたので、それを「その他」としてまとめさせていただいております。また、3回目の最後には、小塩会長、そしてまた、田辺分科会長から総括的なコメントもいただきましたので、それを要約して掲載しているところでございます。
 参考1は、今、申し上げたこの概要の主な御意見、これをもう少し網羅的にしたもの、そして、参考2でございますけれども、こちらはこれら3回の資料を電子媒体でおつけしているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 この意見交換会には、中医協からも何人かのメンバーの方に参加していただいて、活発に議論をしていただきました。改めてお礼申し上げます。
 ただいまの御説明につきまして、何か御質問、コメント等ございましたら。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 3回にわたるこの意見交換会において、介護側の様々な御意見を拝聴することができ、今後の議論に資するものとなりました。資料総-4で御説明いただいたように各テーマについての御意見をまとめていただきましたが、引き続き令和6年度の同時改定に向けた検討を積み重ねていきたいと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 高町委員、お願いいたします。
○高町委員
 高町です。ありがとうございます。
 私からは医療と福祉の連携のことについて、少しお話しさせていただきたいと思います。医療と福祉の連携の重要性ということが指摘されていましたが、薬害スモンにおきましても、患者が平均年齢80歳を超えまして、高齢者施設に入所される方や在宅で介護サービスを受けられる方が増えてきました。そういった人たちが医療を受ける場合に、福祉現場、医療現場で理解があまり進んでいないこと、例えばスモンは医療費が無料なのですけれども、そのことを福祉現場では理解されていないために、医療現場からの誤解が生じて医療費を請求された場合に、利用者さんにその負担をそのまま伝えてしまうといったことがあります。また、病院まで介護を受けた障害者が病院内の介護は同じヘルパーさんに介護していただけないといったことが生じております。ですから、この福祉サイド、医療サイドの理解をお互いに深めていただいて、このようなことがないようにしていただきたいと考えています。
 これはスモン患者だけではなく、全ての障害者、高齢者がどこに住んでいても医療・福祉両方のサービスを切れ目なく受けて、安心して生活していくことにつながっていくと考えておりますので、ぜひこの分野に関して議論を深めていただきたいと考えております。ありがとうございます。
○小塩会長
 高町委員、どうもありがとうございました。
 安藤委員からもお手が挙がっていますので、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 1点、意見を述べさせていただきます。医療と介護の連携は大変重要であると考えております。一方で、医療の役割は病気を治すことであり、介護の役割は生活を支えることであると思っております。役割分担は明確にしておかなければならないと思います。
 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて、限られた医療資源を有効活用するためにも、5ページにありますとおり、要介護の高齢者に対する急性期医療は介護保険施設の配置医や地域包括ケア病棟が中心的に担い、急性期一般病棟では急性期医療に重点化していくということが必要なのではないでしょうか。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに。
 長島委員、お手が挙がっています。お願いします。
○長島委員
 先ほど高町委員から、医療と福祉において理解をさらに深めて連携をさらに充実させることの重要性を御指摘いただきました。大変参考になりました。しっかり取り組んでまいりたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 あとはよろしいでしょうか。
 それでは、ほかに特に御質問、御意見はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 続きまして「働き方改革の推進について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、総-5の資料を用いまして「働き方改革の推進について」、御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページを御覧ください。ここに目次がございます。こちらから働き方改革の推進に係る現状等につきまして、御説明をさせていただきます。まずは「働き方改革の推進について」ということでございます。
 3ページでございますけれども、こちらは「医師の働き方改革の全体像」ということでございます。働き方の改革は医療提供体制に大きく影響する、こういったことから、住民の適切なかかり方も重要であるといったことも指摘されていることを示してございます。
 4ページでございます。医師の時間外労働規制の施行、中長期の見通しでございます。下のこちらの表がございますけれども、2024年で施行とございますけれども、この後も一部では一般の医師より長い労働時間も認めることとなっているところでございます。最終的にはそういった一般の水準を超えた医師の労働に関しまして、右側の下にございますが、2036年3月までに解消するという方向で議論がなされているところでございます。
 次に、5ページに進みます。「医師の時間外労働規制について」でございます。上半分の中ほどにA、B、Cとございます。A水準は一般の診療従事勤務医の一般則でございます。2024年度以降に適用されるところでございます。そして、特例水準といたしまして、その横にB水準とC水準がございます。連携B、BあるいはC-1、C-2ということでございますけれども、B水準というのは、地域医療体制を支え、一般則を超えて勤務していただかないといけないという医師に係る水準になります。C水準につきましては、研修医等、医療の技術・技能を向上させるために研修する医師に係る水準となってございます。このB水準・C水準につきましては、一般則を超えた時間外労働時間の上限となりますので、追加的な健康確保措置を行うということになっております。
 6ページでございます。申し上げたような水準に該当する医師が各医療機関の中で勤務していることをお示しする一つのイメージ図でございますけれども、それぞれの水準は指定される事由となった業務に従事する医師にのみ適用されます。所属する医師に異なる水準を適用させるためには、医療機関はそれぞれの水準についての指定を受ける必要があるところでございます。
 7ページでございます。こちらは令和3年の医療法改正についてでございます。B水準・C水準の都道府県知事による指定や、指定された医師等の健康確保措置について定められてございます。
 次、8ページに進んでいただきまして、2024年4月の医師の時間外労働時間の上限規制の施行に向けた準備プロセスで、各医療機関の取組とともに、特例水準を適用するに当たりましては、医療機関の評価センターの受審といった内容が記載されているところでございます。
 9ページに進ませていただきます。先ほど申し上げました「追加的健康確保措置」についてでございます。特例水準が適用される医療機関におきましては、事後ではなく、あらかじめ時間外・休日労働が100時間以上となることが見込まれる方に関しては、面接指導することとなっているところでございます。
 10ページ、連続勤務時間に応じて勤務間のインターバルを定めるとともに、これは代償休息のルールもあるところでございます。
 11ページ、さらにこれは臨床研修医に関するものでございまして、より手厚い追加的健康確保措置を行うこととしているところでございます。
 12ページ、13ページ、字が細かくて恐縮でございます。こちらはタスク・シェア/タスク・シフトについて、各関連職種の法律改正事項をまとめて一覧にしたものでございます。
 14ページ、15ページでございますけれども、法改正により各種関係職種の業務を拡大したとともに、さらに推進すべきタスク・シェア/タスク・シフトの項目をまとめて公表しているものでございます。
 それでは、16ページに進ませていただきます。こちらは地域医療介護総合確保基金の全体像でございまして、17ページに進んでください。この基金で事業区分6の中におきまして「勤務医の労働時間短縮の推進」というものが掲げられてございます。勤務環境改善の体制整備に取り組む医療機関に対する助成を行っているところでございます。左側に赤字で補足が書いてございます。こちらは後ほど御説明いたします地域医療体制確保加算を取得している医療機関は補助対象外ということで、一定の役割分担がされているところでございます。
 18ページでございます。地域医療介護総合確保基金の中の「地域包括ケアの拠点となる病院・薬局における薬剤師の確保支援」というものも対象になっていることをお示ししてございます。
 それでは、19ページです。こちらは目次でございまして、「医師の勤務時間等の現状について」をお示ししたものでございます。
 20ページでございます。病院勤務医の週の労働時間の分布でございます。このオレンジの縦の棒グラフが平成28年、緑が令和元年で、この間、例えば右側、週80時間以上とか90時間以上、100時間以上といった方々の割合が低くなっているということで、全体としては短くなっている傾向にあるということでございます。
 21ページ、こちらは病院の種類別の病院勤務医の労働時間の分布でございます。これは大学病院が青い棒グラフですね。救急の病院が濃いオレンジの棒グラフでございますけれども、大学病院は他の病院と比べて労働時間がやや長い傾向にあろうかと言えると思います。
 22ページ、これは診療科別の病院勤務医の労働時間でございます。右側に太い赤で描いてございますが、外科、脳神経外科、救急科は労働時間が長く、一方で、精神科、リハビリテーション科、眼科の労働時間が短いという傾向にあるところでございました。
 次に、23ページでございます。令和4年の3月から4月にかけて行いました、医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査の結果でございます。大学病院を調査対象に、医療機関に年間通算で1,860時間相当を超える労働時間の医師の割合を調査してございます。表の一番右下でございますが、全体では2.4%となっているところでございます。
 24ページ以降、こちらは令和4年度の入院・外来医療等における実態調査における結果を示してございます。24ページは、回答した医師の属性でございます。
 25ページに進ませていただきます。「医師の勤務状況の改善の必要性」についてでございます。まず、左側のところの円グラフでございますけれども、1のこの「現在の勤務状況」と、その中で「改善の必要性が高い」、これは青でございます。そして、次の色が「改善の必要がある」ということでございますけれども、それぞれ11%、40%を合計しますと、こういった必要性があると回答した医師の割合は51%であったということでございます。また、次、右側の帯グラフでございますけれども、その理由といたしましては、一番上にありますとおりで「医師の過重勤務により患者が不利益を被る可能性があるため」が一番多く挙げられているということでございます。
 26ページは、診療科別に見た勤務状況の改善の必要性の状況でございます。
 27ページは、職位別に見た勤務状況の改善の必要性に関する状況でございます。左側に院長・副院長、そして、部長・副部長ということで、職位別に必要性が高い、必要性があるということで、それぞれの割合をお示ししておりますが、部長・副部長級からその下4つまで、非管理職の医師のところまでは、「改善の必要性が高い」あるいは「必要がある」と答えた方の割合が半分を超えているということでございます。
 28ページ、これは「医師の勤務状況の以前との比較」ということでございます。1年前との比較でございますけれども、勤務時間が短くなったと回答した医師が12%、長くなったと回答した医師が11%で、変わらないと回答した医師が77%を示したというものでございます。
 29ページに進ませていただきます。「医師の負担軽減策の実施状況」でございます。こちら、字が細かくて恐縮でございますけれども、「薬剤師による投薬に係る患者への説明」や「医師事務作業補助者の外来への配置・増員」といった取組が多く掲げられてございます。特に特徴的かと思いますのは、薬剤師の御活躍が非常に負担軽減になるという回答が高かったということでございます。
 それから、30ページでございます。こちらは病院の種類別の負担軽減策の実施状況でございます。特定機能病院入院基本料を届けている病院、それから、急性期一般入院基本料を届けている病院、地域医療体制確保加算を届けている病院に関して、勤務している医師の状況ということでございます。
 次に進ませていただきまして、31ページ、また目次でございますけれども、大きく次のチャプターということで「診療報酬における働き方改革に向けたこれまでの取組について」ということをお示ししてございます。
 32ページでありますけれども、こちらは平成20年度からのチャートをお示ししてございます。例えば医師事務作業補助体制加算の新設が行われたのが平成20年度でございました。こういったこと、そしてまた、平成20年度には入院時医学管理加算というものが設けられておりまして、これが総合入院体制加算などにつながっていくということでございまして、こういった取組を、それぞれの項目についてこのようなことをしてきたということを類型化して整理をしてお示しをしたものでございます。
 33ページに進みまして、その取組への評価の中で「地域医療体制確保加算」についてでございます。
 34ページ、こちらは令和2年度の診療報酬改定におきまして、この加算を新設したということをお示しするものです。
 そして、35ページでございます。令和4年度、前回改定における見直しにつきまして、医師の働き方改革を実効的に進めるという観点から、算定対象医療機関を追加するとともに、増点を行っております。
 36ページでございます。こちらは「医師労働時間短縮計画について」でございます。ガイドラインに基づく計画の作成を求めるということにしております。
 37ページ「地域医療体制確保加算の算定状況」でございます。直近令和4年9月の時点で、算定医療機関数ですが、ここに病床数が少ない順に13、84、466、482とございますけれども、合計いたしますと1,045の医療機関となっているところでございます。また、400床以上の病院においては届出の割合が最も高いということになっております。
 38ページ以降、こちら、この加算を算定している医療機関のデータを示してございます。38ページは勤務時間の把握状況でございます。タイムカード、ICカードによる把握を行う医療機関が増えていることがお示しされておりまして、39ページ、こちらは「長時間労働している勤務医数の推移」でございます。時間外労働の時間が月155時間以上の医師の方の割合、これは年間でいうと1,860時間に該当しますが、この割合は医師を対象にした調査に比べると約0.2%ということでございまして、その割合は少なく、時間外労働時間が月80時間以上の医師の割合は、2020年から2022年にかけて増加している傾向にあるところでございます。
 40ページ、こちらは「宿日直及び連日当直の状況」です。連日当直を実施した者の人数は減少していますが、回数はわずかに増加していることを示しています。
 41ページ、こちらは「B水準・C水準等に相当する医師の、働き方改革に向けた具体的な取組」として「医師事務作業補助者の活用」が多く挙げられているということでございます。
 次、42ページ以降、こちらは「勤務環境に特に配慮を要する領域への対応」ということでございます。
 43ページ、こちらは「手術・処置の休日・時間外・深夜加算」においては、勤務医の負担軽減等の体制整備が要件とされてございます。
 次に、45ページ以降でございますけれども、こちらは「働き方改革に係る環境整備等の推進」ということでございます。
 46ページには「総合入院体制加算の概要」をお示ししてございます。総合的かつ専門的な急性期医療を24時間提供できる体制、医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制等を評価してございます。
 47ページは、その施設基準のうち、医療従事者の勤務環境改善に関する要件をお示ししたものでございます。院内保育などの例を掲げてございます。
 次に、48ページ以降でございますが、「多様な勤務形態の推進」ということでございます。
 勤務形態に関しましては、それぞれの評価の内容に応じて医療の質を担保するために、ここの部分は常勤の配置が必須となる業務もありますけれども、多様な勤務形態を推進すべきということで、49ページでございますけれども、非常勤の職員の配置を可とするものなどを改定の中で増やしてきているということでございます。
 50ページは、専従要件の見直しなども行っていることをお示ししてございます。
 51ページ、こちらは宿日直許可でございます。働き方改革の推進の中で、こちらの宿日直許可を取得できる医療機関におきましては取得することも考えられ、また、まずは一般的な許可基準としてお示ししているものが、下の箱にお示ししているものでございます。
 52ページ、医師、看護師等の宿日直許可基準につきましては、医療機関の実態に合わせる形で令和元年度にお示ししているものでございます。
 53ページ、54ページに関しましては、これは治療室系の入院料、それから、その基準についてお示しをしてございます。ICUなどにおきましては、施設基準として医師の24時間常時勤務を求めている管理料もございます。
 次、55ページ以降でございますけれども、こちらはタスク・シェア/タスク・シフトについてであります。
 56ページ、57ページでありますが、これは先ほどもございました、それぞれの資料の再掲でございます。
 58ページ、これは関係する診療の補助の説明ということでございます。
 59ページ、これは医師事務作業補助者のこれまでの経緯ということでございます。先ほど平成20年に新設をしましたということで御説明をしましたけれども、その後、それがだんだん算定される回数も増え、件数も増え、充実をしてきていることをお示ししてございます。
 60ページ、令和4年度の診療報酬改定における医師事務作業補助体制加算の見直しについてということでございます。
 61ページから、こちらは特定行為研修についてでございます。第8次の医療計画では、タスク・シフト/タスク・シェアの観点も含め、各都道府県において特定行為研修修了者の就業者数の目標値を算出することになってございます。
 62ページは「特定行為研修の現状」で、右側にお示ししてございますとおり、直近の研修修了者数は累計で6,875人となっているところでございます。
 63ページ、こちらは特定行為区分別の研修修了者の数をお示しするものです。
 そして、ここから字がまた細かくて恐縮でございますけれども、64ページから68ページは、診療報酬上の評価でこういったものがあるということをお示しするものです。
 69ページ、70ページは、栄養管理に関する主な評価になります。69ページにお示ししてございますとおり、周術期の栄養管理実施加算や入院栄養管理体制加算が新設されたということでございます。
 次、71ページ以降が、薬剤師に係るお示しする資料でございます。71ページでございますが、平成22年通知におきまして、薬剤師が実施することができる業務の具体例がお示しされているところでございます。
 72ページ、こちらは平成29年の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」におきまして、薬剤師の生産性と付加価値の向上について示されているものでございます。
 73ページ、令和3年度の通知におきまして、医師から薬剤師へのタスク・シフト/タスク・シェアが可能な業務の具体例をお示ししているものでございます。
 74ページは、病棟薬剤師の業務のイメージということでございます。
 75ページ、76ページが、病院薬剤師に関連する診療報酬の主な評価ということでございます。令和4年度の診療報酬改定におきましては、76ページにお示しするように、周術期の薬剤管理加算や術後疼痛管理チーム加算が新設されたということでございます。
 77ページ、こちらは病棟における薬剤師の関与についてということでございます。8割以上の医師から、病棟薬剤師の配置により医師の負担軽減及び医療の質の向上について「効果がある」「どちらかといえば効果がある」という御回答をいただいております。
 78ページでございます。こちらは病棟薬剤業務実施加算の届出状況でございます。加算を算定できていない最大の理由としては、薬剤師さんの人数が確保できないといった回答となっているところでございます。
 79ページ以降、こちらは「医療従事者の負担軽減等に対する評価について」ということで、診療報酬項目をずっとここから並べてございます。
 看護職員の負担軽減策、80ページが全体像、81ページが負担軽減策に係る加算等の主な変遷、82ページが入院基本料等の看護補助者に係る加算、そして、83ページが急性期看護補助体制加算が微増傾向であること、そしてまた、看護補助加算が減少傾向となっていることを示してございます。
 84ページ、85ページでございますが、これは「夜間の看護配置に係る評価及び業務管理等の項目の見直し」でございます。
 86ページ、87ページ、こちらは看護補助者のさらなる活用に係る評価の新設をしたものでございます。
 そして、88ページでございますが、こちらは看護業務補助者等の従事者数の推移でございます。平成26年度をピークに近年年々減少しているということでございます。特に介護福祉士以外の看護業務補助者の数が減少傾向にあることをお示ししているものでございます。
 89ページ、こちらは看護補助者に係る取組の事例で「看護補助者の拡大チーム」の編成と「看護補助者ラダー」の導入ということでございます。
 90ページでございますけれども、看護記録における負担軽減のための取組に関してでございまして、看護師における負担が主に記録によるということも示しているところでございます。
 91ページから94ページでございます。ここはICTなどを活用した業務改善を推進するために、令和2年度、そしてまた、令和4年度の診療報酬改定で対応した取組をお示ししているところでございます。
 また、95ページ、96ページでございますけれども、こちらは介護現場の資料でございますけれども、ロボットなどの活用に係る実証実験などの結果を示しているところでございます。
 最後のページ、現状、課題、そして、論点ということでございます。働き方改革の経緯でございますけれども、2024年度に医師の時間外労働基準の上限規制が開始をされるということでございます。ただし、時間外労働時間の上限は将来的には縮減方向で、これから後も引き続き継続的な取組が必要ということでございます。
 次に、医療従事者の働き方改革に係る取組への評価についてでございます。こちらは地域医療体制確保加算等により評価されていること、また、タスク・シフト/タスク・シェア、こういったことに対する評価ということで、幾つかの評価がございます。
 そして、最後に論点でございます。2024年4月から医師についての時間外労働の上限規制が適用され、働き方改革に向けた継続的な取組が求められる中、これまでの医師をはじめとした医療従事者の働き方改革の取組や、これまでの診療報酬上の対応を踏まえ、働き方改革の推進に対する診療報酬の評価の在り方について、どのように考えるか、こういう論点の立て方をさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
 最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 働き方改革についての第1回目の審議ですので、本日は、論点について総論として申し上げます。2024年4月から医師の働き方改革の制度がスタートします。働き方改革の目的は、勤務医の健康を守ることが第一義ではありますが、同時に、この取組により、地域医療の継続性や医療の安全性と質の向上が損なわれないようにしなければいけません。勤務医と国民の両方の健康を守るべきです。すなわち、医師の働き方改革を通じて勤務医の健康を確保し診療に従事できることは、医師個人だけでなく我が国の安心・安全な医療提供体制を確保するためにも極めて重要となります。
 この考え方の下、改革を推進するため、これまで診療報酬や基金等による様々な後押しがなされてきていますが、医療従事者の働き方改革は一朝一夕にできるものではなく、さらなる強力な支援が必須です。
 今回、資料4ページに「時間外労働規制の施行について(中長期の見通し)」という資料が示されました。これを見て分かりますように、働き方改革はまだ始まったばかりで、この先も十数年にわたって継続的に行われるものであり、これからが本番と言えます。したがって、当然ながら、これまで適切に評価されてきた個々の取組を維持、継続しなければ、働き方改革は実現できるものではありません。
 さらに加えて、医療従事者が減少しております。医療機関は公定価格で運営するため、賃金上昇を価格に転嫁できません。人材確保のための財源が必要であることを強調させていただきます。
 私からは以上ですが、資料95、96ページに、介護ロボットに関する介護給付費分科会の資料が提出されておりますが、これについては引き続き江澤委員からコメントさせていただきます。
 また、看護も関係しますので、小塩会長におかれましては、後ほど専門委員からも意見をお聞きいただくことを御検討いただければと思います。
○小塩会長
 それでは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 ありがとうございます。
 それでは、95ページと96ページの資料について、コメントさせていただきます。これまでの知見では、移乗支援の装着型・非装着型の使用は、移動、移乗、体位変換にかかる時間が逆に増加します。一方で、膀胱内の残尿量を感知する排泄支援機器は、トイレでの排泄ケアの有効性、あるいは介護業務支援におけるスマートフォンのタッチ入力、音声入力、インカム機能活用は、記録であったり、文書作成、連絡調整の業務時間の効率化も示されています。
 これらにつきまして、実証事業も継続的に行われているところですが、全体的には検証事例も少なく、まだまだエビデンスの構築に至っていないのが現実です。実際に介護報酬では、特別養護老人ホームにおいて見守り機器導入による夜間人員配置の緩和要件が設定されておりますが、ほとんど算定されておりません。したがいまして、医療の現場で介護ロボットを積極的に活用することは、現時点においては時期尚早であり、エビデンスの構築が必要と判断しております。今後、2025年から2040年にかけて、労働人口の2割の減少が見込まれる中、ケアの質を確保しつつ業務を効率化することは喫緊の課題であり、今後の実証の取組に期待しているところでございます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、島委員、お願いいたします。
○島委員
 ありがとうございます。
 私も論点について意見を述べさせていただきます。本日の資料にも51ページ、52ページに宿日直許可の資料が入っておりますが、令和6年4月に行われる医師の時間外労働時間の上限規制の適用に向けて、現場では宿日直許可を取得し、地域医療を維持しようとする動きがあります。地域医療の維持は重要ですが、宿日直許可はあくまで通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであることなどの要件を満たしたものである必要があると考えられます。労働基準監督署において適切に宿日直許可が行われているものと思いますが、地域医療の維持のために、業務負荷が大きく、本来、宿日直許可を取得できないような医師にも宿日直が許可されるようなことが常態化してしまえば、医師の働き方改革に逆行してしまうことになりかねません。
 資料には、常時勤務の医師の配置が施設基準で求められている治療室が挙げられていますが、例えば集中治療室は24時間の治療が必要で、夜間において宿日直許可を得て宿日直の医師のみが勤務することは想定できないと考えます。一方で、一部の小規模なNICUやMFICUにおいては、その業務量や担当する医師数の実態などから、宿日直で対応することも可能と考えられる治療室があることも考慮する必要があると思います。そうした実態も踏まえ、令和6年度診療報酬改定に向けては、それぞれの治療室の実態に応じて、治療室の施設基準についても宿日直許可との関係が明確となるよう見直していくことが必要と考えますが、事務局、いかがでしょうか。
○小塩会長
 今、島委員から御質問がありましたけれども、事務局、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。御指摘ありがとうございました。
 今の御指摘について、特に島委員の御指摘につきましてでございますが、今日の資料でもお示ししておりますけれども、現在の制度におきましては、宿日直許可を得られるのか、そしてまた、施設基準を満たすのかどうかということに関しては、実態に応じて個別に判断されるものと承知をしております。先ほど御指摘がありました、具体的には特定集中治療室等の施設基準におきましては、集中治療を要する患者さんが入室されているということで、24時間の常時勤務を求めております。こうした趣旨を踏まえまして、当該施設の診療の実態、医師の勤務実態等から、施設基準を満たしているかどうかが判断されるものと認識しております。
 その中で、今回、島委員より宿日直許可と治療室における医師の配置に関わる施設基準を整理すべきという御指摘だったと受け止めております。こちらは今後、令和6年度の次の診療報酬改定に向けまして、それぞれの治療室に求められている役割やそれぞれの治療室で実施されている診療の実態ですとか、医師の勤務の実態、こういったものを踏まえまして、治療室の施設基準等の見直しも含めまして、宿日直許可との関係の整理については、中医協で私どもで資料を用意して御議論をいただきたいと考えているところであります。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 島委員、よろしいでしょうか。
○島委員
 はい。
○小塩会長
 ほかに。
 それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。池端です。
 私も論点に沿って4点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。まず、48ページ、49ページの多様な勤務の形態、医師の働き方改革の非常に有効な手段の一つではないかと思っています。49ページにも示されていますように、これまで平成30年、令和2年度にそれぞれ特に多様な勤務ということで、週3日以上、週24時間以上の勤務の合わせ技で常勤換算するということがあって、一定程度有効であったかと思いますが、今、特に女性の医師の働き方改革を見ると、もう少しきめ細かい体制が必要ではないかという感じを持っています。特に私どもも県内で大学病院等とお話ししますと、勤務をさせてあげたいのだけれども、常勤換算にならない勤務形態が多くなってくる、結局その穴埋めをする常勤医が必要になってくるということで、これをもう少し緩めてもらえないかという声を多数聞いておりますので、この辺をどこまで許せるか。当然本来は常勤でなければ責任問題等々がありますので、全てがこの合わせ技のいわゆるみなし常勤では無理なことは重々承知していますので、何割とか何人とかそういう制限は必要だと思いますけれども、もう少し柔軟な働き方ができる体制をさらに進めていくことも必要ではないかということを1点申し上げたいと思います。
 2点目ですけれども、61ページにありますように、特定行為研修修了者の活用ということですけれども、当初たしか特定行為研修は10万人を目指しているということでありましたけれども、まだまだ今は1万人に満たない状況です。ただ、特に急性期だけではなくて、むしろ慢性期とか、在宅とか、こういうところで非常に特定行為研修を受けた方々が活躍する場があるし、それがまた24時間体制の医師の働き方改革にもつながるのではないかということで、さらにここを広げていく必要があるのではないか。これは鶏が先か卵が先かということでありますけれども、そういうことが条件になれば、さらにそれを活用しようということで、その勤務形態あるいは給与体系もよくなる、そして、特定看護師の研修を受ける看護師が増えるということで、もう少し呼び水をするような体制も必要ではないかということが2点目です。
 3点目ですが、71ページから73ページまでにありますように、特に医師の働き方改革で一番有効な手段の一つで、薬剤師の活用ということがある。ただ、何度もこの場でも申し上げたことがあるかと思いますけれども、病棟薬剤師に対しては非常にニーズがあっても働き手がない。これはなぜかというと、地域の大型チェーン店の薬局の薬剤師と病棟勤務の薬剤師の給与格差があまりにも大きく、(聞き及ぶところでは)10万円以上も差があるということである。これはもちろん病院の体制にもよるかもしれませんけれども、ここをもう少し何とかできる体制、診療報酬上見ていくことができないか。そこが改善できない限り、幾ら薬剤師が必要と思っても応募がないということ、応募があっても逆にどんどん流れてしまうという現在の病院の薬剤師の状況ではないかと思いますので、ここに対しても何らかの診療報酬上できる手当ても必要ではないかということが3点目です。
 最後ですけれども、88ページ、89ページにありました看護補助者の数字です。特に介護福祉士でない看護補助者が減っているということがありますけれども、では、介護福祉士はどうかというと、介護福祉士も決して増えてはいない。急性期病院、高度急性期病院でも介護福祉士のニーズが非常に高まっていることは、どなたに聞いてもおっしゃっています。ニーズが高まっているのに数が増えていないということは、不足がさらに進んでいるということになっていますので、看護補助者全体に対する従事者が減っていることに対してどう考えるかということ。なかなか難しい看護補助者と介護福祉士の評価ですが、一方で、介護福祉士に関しては介護保険上は処遇改善が認められていて、病院の介護福祉士には処遇改善を認めていないということがある。診療報酬上は介護福祉士という職種は認められていない、名称上認めていないことがあって、難しいことも重々承知はしていますけれども、今回、同時改定ですが、これもそろそろ考えていかなくてはいけないのではないかということを、あえて言わせていただきたいと思います。
 以上4点、意見として言わせていただきました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 森委員ですか。お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
 まずは医師の負担軽減策についてですけれども、29枚目や30枚目に実施状況が示されており、薬剤師による投薬に係る説明や、患者の服薬状況、副作用等に関する情報収集と医師への情報提供、処方提案または服薬計画等の提案等の実施割合が高く、薬剤師が医師の負担軽減にしっかりと貢献しているものと理解しております。また、77枚目の医師調査では、病棟薬剤師の配置により8割以上の医師が負担軽減や医療の質向上に効果があると回答いただいており、病院薬剤師の配置はタスク・シフト/シェアにおいて大きな効果があり、現場からの期待も高いものと受け止めております。
 一方で、78枚目のように、病棟業務実施加算を届け出ている病院数は多くないですが、78枚目の右のグラフにあるように、病棟業務実施加算を別途算定できない病棟であっても、薬剤師は様々な病棟薬剤業務を実施しており、加算の算定の有無にかかわらず、医療機関の中で広く必要とされる業務を実施していると言えるかと思われます。次回改定に向けた病院薬剤師の具体的な議論においては、このような病棟での業務の実施も踏まえて、医療機関の状況などに応じた何かしらの配慮や推進策が検討できるよう準備をお願いできればと思っております。
 また、病棟薬剤業務実施加算は、病床規模が大きくなるにつれ届出率が高い傾向にあり、病床規模の小さな病院では届出が困難な傾向となっており、算定できない最大の理由として、先ほどありましたけれども、病院薬剤師の確保ができず、対象病棟の一部にしか専任薬剤師を配置できないことが一番多く挙げられている状況にあります。病院薬剤師の確保に関する議論の場は中医協ではないですが、薬剤師の確保に関する取組は非常に重要な課題と考えています。厚労省においても自治体や関係団体とともに地域での検討を進めていく動きが本格的に動き出しており、第8次医療計画の作成指針でも薬剤師確保の取組に関して言及されている中、つい先日、都道府県での確保策を促すために「薬剤師確保計画ガイドライン」も厚労省より発出されています。また、18枚目にあるように、基金の活用方法として、薬剤師確保に関しての明示もされており、これらの視点を持って検討していくことは重要なことと考えます。
 最後に、76枚目に示されている薬剤総合評価調整加算についてですが、ポリファーマシー対策を実施していくことはとても重要ですが、現在の算定要件では取組を進めていても算定しにくい状況もありますので、次回改定ではより推進していく観点から見直していくことも必要と考えます。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 本日の議題である97ページの課題、論点の内容とは少しずれますが、歯科医師の立場から発言させていただきたいと思います。医師等の働き方改革に関しましては、令和元年に医政局で開催されました、医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会におけるヒアリングにおきまして、日本歯科医師会も発言させていただきましたが、医科歯科連携を推進することで歯科医師も寄与することができるのではないかと考えております。
 これまで、例えばがん患者等の周術期口腔機能管理や誤嚥性肺炎予防のための口腔健康管理や摂食嚥下指導など、医科歯科連携やチーム医療という切り口で医師や多職種との連携を行ってまいりました。入院患者の口腔の管理を行うことにより、入院日数や合併症の軽減などのデータも示されてきているところでございます。一方で、歯科を標榜する病院は全国で約2割と少なく、現状、全ての病院で同様にはできないと思っております。歯科のない病院や歯科があっても歯科医師のマンパワーの少ない病院におきましても、医科歯科連携により医師等の働き方改革に貢献ができるよう、病院と地域の歯科診療所との連携をより一層推進すること等を含め、今後、様々な観点から医科歯科連携の視点を持って御検討いただきたく思っております。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 次に、1号側の委員の方々の御意見を伺いたいと思います。安藤委員もお手を挙げていらっしゃるのですけれども、その前に、先ほど長島委員から看護の立場からの意見を専門委員から伺ってはどうかというお話がありましたので、もしよろしければ、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
 ありがとうございます。
 まず、働き方改革の中のタスク・シフト/シェアについて幾つか意見を述べさせていただきます。1つ目は、薬剤師のチーム医療への参画についてです。先ほどもございましたけれども、病棟薬剤師が病棟における薬剤関連業務に関わることによって、薬物療法の有効性や安全性が向上されるのみならず、医師や看護師の業務負担軽減につながることに非常に期待しております。看護の立場からも、病棟の麻薬の管理や病棟配置薬の管理、また、注射薬の調製や入退院の際の患者持参薬の確認、薬剤関連の業務で病棟薬剤師の関与をさらに強化していくことが重要であると考えております。そのためにも、病棟薬剤師のさらなる配置について、ぜひ積極的に進める方向で御議論をいただきたいと考えております。
 2つ目は、看護補助者の確保についてです。88ページに示されておりますように、特に近年、医療機関で採用や確保に苦労していることは事実でございます。しかし、本会で調査をしましたところ、一般の国民だけではなく、ハローワークの職員にも、そもそも看護補助者という職種について知られていないことが分かりました。そこで、現在、ハローワークの職員の方々にこの職種を理解してもらうための研修の実施や、補助者の仕事について周知するイベント等、を企画し、実施しているところです。看護補助者は、看護職員と協働して看護を提供する看護チームの重要な一員です。ですから、今回、89ページで御紹介いただいておりますように、やりがいを持って長く働いていただくために、正規雇用とすることや、教育体制の整備、業務、役割の明確化等が進められてきており、こういった医療機関では離職率が低く、継続して勤務していただいていることが分かっております。今後、看護補助者の確保、定着に効果のある取組がさらに広がるような評価の視点や、見方を変えるといった検討も必要ではないかと考えております。
 3つ目は、看護記録についてです。90ページには、記録に関する負担軽減の状況が示されておりますけれども、この取組の実施内容を見ますと、①の看護記録の簡素化・見直しといった、自分たちで工夫できる部分については非常に取組が進んでいることが分かります。一方で、例えば⑤のバイタルデータの自動入力や、⑦の音声入力等を活用した看護記録入力は非常に割合が低くなっています。本会でも業務効率化の事例収集や周知事業を行っておりますが、自動入力や音声入力の導入など、AI・ICTの活用による業務の効率化、また、負担軽減につながっている事例は複数ありますが、導入コストや、病院全体のシステム改修とのタイミングなどの問題から、なかなか広がらない現状がございます。医療DXが進む中で、各医療機関でシステム改修や業務の効率化が進むような支援の在り方を検討いただきたい、また、検討すべきであると考えます。
 それから、95ページでは、介護における見守り機器等を活用した夜間見守りの実証結果が示されております。医療、特に急性期医療におきましては、医療機器の使用や、点滴治療等をしている患者さんが非常に多くいらっしゃいます。安全に治療が実施されるためには、看護職は昼夜を問わず、頻繁な観察や処置、ケアを行っており、見守り機器によってのみでスタッフの代替とすることは、非常に困難であると考えます。患者に対して安全な医療を提供するためには、介護現場と同じように考えることはできないと思いますので、慎重に検討すべきと考えます。
 最後に、先ほど介護福祉士の話が出ましたが、今回の同時改定に向けた意見交換会でもこの御議論があったことは承知しております。現在も病院において、介護福祉士が補助者として従事している場合がありますが、介護職員が不足していく中では、介護福祉士は介護の領域で活躍する重要な人材であると考えております。そのため、急性期病院への配置に関しましては、介護職員全体の人材確保に大きな影響が出るということもありますので、介護福祉士の配置を診療報酬上で評価することにつきましては、私たちとしては反対というところかと思います。看護補助者について先ほど述べたような様々な課題がありますので、そういった課題を解決しながらも、看護補助者の育成や定着に向けたさらなる取組を強化することを本来やるべきと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、お待たせいたしました。安藤委員、お手が挙がっておりましたので、御発言をお願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 私からは2点質問と2点意見を述べさせていただきたいと思います。まず、医師の働き方につきましては、33ページからの地域医療体制確保加算が令和2年度から新設され、令和4年度には施設基準が見直されておりますが、39ページを見る限りにおきましては、長時間労働の削減にいま一つ結びついていない印象も受けます。事務局として原因や課題についてどのように分析されているのか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
 2点目です。医療機関における宿日直について、二次救急病院などでも許可を目指すところが増えておりますが、これによる影響についてどのように考えているのか、事務局の見解をお伺いしたいです。
 あと2点、意見を述べさせていただきます。先ほど池端委員からも御指摘があったのですけれども、62ページにあります特定行為研修の修了者数、まだまだ伸びが足りないと思っております。この医師の働き方改革につきましては、特定行為研修の修了者を増やすということも非常に有効だと思いますので、何らかの形で研修を受けたくなるようなインセンティブのようなものも考えていただければと思います。
 もう一点、意見でございますが、各委員の皆さんがおっしゃっていました薬剤師の関わり方につきましては資料の29ページ、30ページを見ましても、医師の負担軽減策として非常に有効な手段であることが見受けられます。一方で、池端委員が薬剤師の確保については、非常に難しく、そして、一般の薬局と病院とで給与の差が非常にあるとおっしゃっていたのですけれども、その中で、昨年の8月10日の中医協において看護職員の処遇改善の評価料というものが決定されました。その中にコメディカルの方たちも含まれているのですが、なぜか薬剤師が含まれておりませんでした。処遇改善の評価料の中に薬剤師を含めて、そして、薬剤師の方たちにもその分今までよりも給料が少しでも高く払われるような仕組みも考えたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま、安藤委員から長時間労働、それから、宿日直の件について、御質問が2点ございましたが、事務局から御回答をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 2つお尋ねをいただいてございます。そのうち加算に係る地域医療体制確保加算に関して、私から回答させていただきたいと思います。端的に、39ページのような実態をもちまして、この加算の効果についてどのように認識をしているかというお尋ねがあったと思います。私どもとして、38ページや39ページにお示ししたとおりでございますけれども、地域医療体制確保加算を算定している医療機関につきましては、医療機関を調査客体としたデータでは月155時間以上、年間1,860時間以上に相当する医師の割合はごく僅かでありますものの、若干増えていると。一方で、ページが飛びますが、19ページにお示ししたとおりで、医師を調査客体とした医師の勤務実態調査においては、医師の労働時間については改善が認められているところでございます。ここでは10%程度の医師が1,860時間に相当していると。こういった聞く主体、回答する主体におきまして、データに乖離があるという状況かと思ってございます。
 これらのデータを解釈するに当たりましては、今、申し上げたとおり、回答の主体が医療機関か医師かの違いですとか、医師の勤務先の違いにより結果が異なり得ることや、それから、医療機関がICカードやタイムカードでより正確に医師の労働時間を把握できるようになった可能性があることなど、また、あとは医師が自己研さんや宿日直等をしている時間をどのように認識しているかというところで経時的な変化がある可能性があることなどがございまして、私どもとしては、これは医療機関側に聞くとこう、医師側に聞くとこうと、そのようにまずは捉えておくべきかと思ってございます。その上で、今後、医師の働き方の改革につきましては、より最新のデータの把握も含めまして、重要な課題と認識してございます。そういった新しいデータも入手できましたら示しながら、御議論いただきたいと考えております。
○坪井医療労働企画官
 引き続きまして、労働基準局でございます。
 宿日直に関しまして、二次救急の医療機関についても許可を取得している動きがあるということについてでございます。宿日直許可につきましては、こちらの資料にもございますけれども、その許可申請の対象となる医師の勤務態様がその要件を満たしていれば許可されるということでございますので、それが救急告示病院なのかどうかと、そういった医療機関の機能とは直接的には関係ない仕組みとなっておりまして、その医師の勤務態様の実態が分かる資料を提出していただいた上で、許可の要件を満たす実態があるかどうかを個別に判断させていただいているということでございます。その結果として、二次救急で働いている医師の方についても、そういう実態があるところについては、必要な許可を申請していただければと思いますし、実際、そういう実態であれば許可がされるということでございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 安藤委員、今、事務局から回答がありましたけれども、よろしいでしょうか。
○安藤委員
 ありがとうございました。
○小塩会長
 それでは、佐保委員、続きまして、御発言をお願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 この間、医療現場におかれましては、働き方改革が進められていますが、資料39ページにもあるとおり、地域医療体制確保加算を算定している医療機関では、時間外労働時間が月80時間以上の医師の割合が、2020年から2022年にかけて、数値的には増加しています。医師について、時間外労働の上限規制が適用される2024年4月まで残り1年を切っております。各医療機関が課題を把握し、医師にとどまらず、看護師、薬剤師など、医療現場で働く者全体の労働時間短縮の取組をさらに前進させることが必要と考えます。
 また、地域医療体制確保加算を算定しているかいないかにかかわらず、医師の労働時間短縮の取組には、客観的な方法での労働時間把握が欠かせません。厚労省においては「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」や通達の「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について」、再度の周知をお願いしたいと考えます。
 なお、先ほども事務局より、勤務時間の把握方法としてタイムカード、ICカードが増加しているといった御説明をいただきましたが、依然として用紙による記録が3割を超えている状況でありますので、この際、そういったタイムカード、ICカードへの転換促進を図るといった必要もあるのではないかと考えております。
 タスク・シェア/タスク・シフトについても、実際の現場での勤務の実態や業務の状況、課題などを分析し、今後の検討につなげていく必要があると考えます。
 今後、働き方改革の推進に対する診療報酬の評価の在り方について議論が重ねられていきますが、安心・安全で質の高い患者本位の医療の確保という観点からも、医師をはじめとした医療従事者全体の働き方改革という広い視点での議論をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 まず、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私からもコメントさせていただきたいと思います。働き方改革については、医療機関と我々一般企業の間で直面する状況は大きく異なると承知をしておりますけれども、職場環境の改善あるいはICTの活用等、仕事そのものの進め方の見直しといった具体的な取組を進めていくためには、経営トップの改革マインドあるいはリーダーシップが非常に重要であるという点は共通するのではないかと考えております。しかしながら、26ページに示されております「職位別に見た医師の勤務状況の改善の必要性」を見ますと、院長・副院長は残念ながら現状のままでいいとお答えになった方が6割近くとなっており、経営者の意識について、まだまだ改善の余地はあるのではないかという印象を強く持ったところであります。
 診療報酬における働き方改革の取組については、令和2年度改定で医療従事者の負担の軽減あるいは医師等の働き方改革の推進が重点課題とされ、地域医療体制確保加算が新設、さらに前回の令和4年度改定では一部見直しと点数の引上げがなされたところであります。先ほど佐保委員からも言及がありましたとおり、今回の資料を見ると、同加算を算定している医療機関において長時間労働の是正が進んでいるとは必ずしも言い難い状況にあるのではないかと感じたところであります。次回の改定においても、引き続き働き方改革に向けた取組が必要になることは承知しておりますが、これまでの延長線上での評価の引上げあるいは要件の緩和だけではなく、労働時間短縮に向けた医療機関の取組が一層進むような見直し、また、より効果が高いと思われる項目への重点化を検討すべきではないかと考えます。
 また、ICTを活用した業務の効率化・合理化についても、直近の改定で種々改定されてきておりますが、患者の安心・安全を担保した上で、さらに進める余地がないか検討すべきではないかと考えているところであります。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、今回は第1回目ということですので、総論と各論について分けて発言をしたいと思います。資料の3ページにもございますとおり、適切な医療のかかり方や地域医療構想に基づく医療提供体制の見直しと働き方改革というのは表裏一体の関係にあるものと認識しております。今後の医療ニーズの変化や労働力人口の減少を見据え、必要な医療を効率的・効果的に提供できる体制を整備していくことは、言うまでもなく非常に重要なことでございます。外来も入院も機能分化・強化や連携を推進することが、勤務医の負担軽減にも寄与するものと考えております。こうした共通認識を持った上で、働き方改革について議論を進めていくべきだということは、改めてコメントさせていただきます。
 次に、各論について資料のページに沿ってコメントいたします。まず、資料の16ページから18ページにかけまして、地域医療介護総合確保基金の紹介がありますけれども、この中でも働き方改革に必要な経費について、基金と診療報酬の両方から支援が行われていることが理解できます。対象となる医療機関のすみ分けや基金と診療報酬の役割分担を明確に意識した上で、基金を活用して医師の労働時間削減につながっている取組事例を調査、紹介いただきまして、医師の労働時間短縮に向けて議論することも考えられるのではないかと思っております。
 次に、資料の22ページに移っていただきたいと思いますが、この中で外科、脳神経外科、救急科において、医師の勤務時間が相対的に長くなっております。こうした診療科による格差を踏まえれば、一律の加算というよりは、診療科の特徴を十分考慮した上での対応が必要だろうと考えております。こうした長時間勤務が目立つ外科、脳神経外科、救急などで固有の取組があれば教えていただきたいということが、私からのお願いの1つ目でございます。
 次に、安藤委員、佐保委員からも言及がございましたけれども、例えば28ページの1項、2項等を見ますと、この1年間における勤務状況の改善は極めて限定的であります。さらに39ページのグラフを見ましても、働き方改革の象徴でもある地域医療体制確保加算を算定している医療機関において、時間外労働時間が月80時間以上、155時間以上の医師の割合が、どちらも残念ながら2020年から2022年にかけて増加しております。この加算は地域医療を守るために導入したものと認識しておりますが、データを見る限り、この政策効果については少し疑問があると言わざるを得ません。今後、この加算を続けるかどうかを含めて議論が必要であり、続けるということであれば、少なくとも要件の見直しは必須であると考えます。
 これまで医師の時間外労働規制は準備段階でしたけれども、来年度からは文字どおり規制が適用されます。こうしたことを踏まえれば、計画の作成だけではなく、当然のごとく規制の条件をクリアしており、実際に労働時間が短縮されていることなど、実績を要件とする必要があると考えます。さらに、令和6年度以降、どのタイミングでこうした加算を見直し、あるいは廃止していくのか、期限を明確にしていくことも重要な論点だと考えます。
 先ほど安藤委員から労働時間の把握等について質問があった際に、医療課長から回答の主体による差だという御発言があったと思いますけれども、こうした労働時間が医療機関と医師の間で差異があることがこうしたものの最大の問題だと思いますので、少しそれについては再考いただきたいと思います。
 続きまして、29ページを見ますと、これも皆様方の中から発言が出ておりますけれども、医師の負担軽減に向けた対策の上位に薬剤師とのタスク・シェア/タスク・シフトに関する項目が目立っております。今後、投薬に係る患者への説明、医師への情報提供、処方提案や服薬計画等の提案は、ある意味、薬剤師が当然やるべき業務としてしっかり実施する必要がございます。薬剤師への期待が大きいということであれば、病棟薬剤師の本来の業務として、病棟薬剤業務実施加算の時間要件の見直しや加算のめり張りを強化するなど、タスク・シェアがより進む工夫が必要ではないかと考えております。
 また、資料30ページを拝見しますと、一般病院や地域医療支援病院と比べて、特定機能病院では負担軽減の取組が少し進んでいないという印象がございます。医師の労働時間が長い特定機能病院においては、当然の取組としてタスク・シェア/タスク・シフトをより進めていくべきだろうと考えます。
 最後に、先ほどからやり取りもございました宿日直許可についてコメントいたします。53ページを拝見いたしますと、重症度の高い患者が入院しているICUなどは、専任の医師が治療室内で常時勤務しているということが高い診療報酬の前提となっております。それにもかかわらず、一部のICU等においては宿日直で対応した可能性があることに関しては、少し驚きを覚えざるを得ません。重症患者に対し24時間体制で医療を提供するという前提が崩れているとさえ考えられます。ICUなどで宿日直はあり得ないということを明確化するとともに、そもそも診療報酬において宿日直で対応できる業務を整理することも検討すべきであります。これは島委員並びに医療課長からも御発言がありましたとおりで、来年度以降も宿日直の実態を注視し、各治療室における業務が施設基準に基づいて実施されているのか確認をしていく必要があると考えております。
 最後となりましたが、昨今、医療DXが非常に脚光を浴びておりますけれども、この医療DXが今回の医師の働き方改革にどういう形でいい意味で影響あるいは改善につながっていくのか、これについて次回以降の中でぜひ説明をしていただきたいと思う次第でございます。
 私からは以上であります。ありがとうございました。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 支払い側から地域医療体制確保加算について何点かコメントがございました。まず、先ほど申しましたが、働き方改革がまだ始まったばかりで、これからが本番です。つまり、この加算はこれから本当に重要になる、必要になるというもので、ただし、例えば調査等で何らかの課題があるのであれば、そこのところは丁寧に見て、もっと有効に、もっと有意義にこの加算が活用されるためにはどうすればいいか、働き方改革に資するためにはどうすればいいかという観点で論ずべきと思っております。これは本番に向けて絶対に必要なものであって、廃止するなどということは当然あってはならないと。もっと有効に使うために前向きな議論をすべきと考えております。
 それから、働き方改革に関して、医療機関側で様々な対応、例えばシステムの改修なりが必要で、これにはコストがかかります。また、タスク・シェア/シフトをするためには、そのシェア/シフトを受ける側、担う医療従事者が必要ですが、その医療従事者が減少していると。その人材が必要です。いずれも財源が必要です。働き方改革を進める上で、勤務医だけではなく国民の健康を守るために財源が必要である、ここのところぜひ共通の理解にしていただければと思います。
 最後に、医療DXに関してはこの働き方改革に非常に有効に使い得ると思いますが、そのためには、日本医師会では常々言っております医療DXの目的は、一つは国民、患者の皆様により安全で質の高い医療提供、それと同時に、医療現場の負担軽減につながることが重要です。したがって、医療DXにおいては、情報共有・連携も重要ですけれども、医療現場の負担軽減につながるようなDXをしっかり進めていくことが重要ですので、ここのところ、日本医師会としてもしっかり国に対して働きかけを行っていきたいと思っております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 飯塚委員からお手が挙がっているのですけれども、その前に、松本委員が先ほど23ページですね。診療科によって労働時間に大きな差があるということなのですけれども、診療科ごとに何か取組がなされているかという御質問があったかと思うのですけれども、事務局、これについてお答えしていただくことはできますでしょうか。
○山本医事課長
 医事課長でございます。
 17ページを御覧いただいてもよろしいでしょうか。この右上の黄色囲いのところでございますけれども、医師の働き方改革に関する取組については、複数主治医制の導入ですとか、タスク・シフト/シェアなど、様々なものがあろうと思っております。それを各診療科や医療機関ごとに特化したものというよりは、その医療機関や診療科の特性に応じて有効なものに取り組んでいただいているところでございますので、何か特別にこれだけが効いているというものではなく、取捨選択していただきながらお取り組みいただいているものだと考えております。
 以上でございます。
○小塩会長
 松本委員、よろしいですか。
○松本委員
 ありがとうございました。
 ただ、非常に数値的に明確に差が出ているものになりますので、各診療科別に取り組んでいただきたいということについては、ぜひお願いをしたいと思います。
 長島委員の発言に関してコメントさせていただいてよろしいでしょうか。先ほど来加算についてお話がございましたけれども、思い出していただきたいのですけれども、この加算の新設は令和2年度でございました。そのときに診療報酬改定の最重要項目として位置づけられたのが、この働き方改革でした。それからまだ確かに3年と言われれば3年、ただ、データ上はその数字が出ていないということに関しては残念だと言わざるを得ないというのが、我々の素直な印象でございます。
 それと、長島委員からシステム等の改善に関してはお金が要るのですという話があったのですけれども、例えば先ほど来言及している地域医療介護総合確保基金等でそういうことにお金を充てることが可能なのかどうか、これは事務局への質問になりますけれども、もし御回答ができるのであれば、お願いをしたいと思います。
○小塩会長
 今の松本委員の御質問について、事務局、回答していただけますでしょうか。
○山本医事課長
 医事課長でございます。
 地域医療介護総合確保基金が充てられるかという御質問につきましては、冒頭、医療課長からの説明にありましたとおり、診療報酬と確保基金では、救急車の受入れ台数等で役割分担というか、区分しながらやっております。基金の対象となっているところにつきましては、様々なものに基金を活用していただいて取組をしていただくことは可能だと考えております。
 以上でございます。
○小塩会長
 松本委員、よろしいですか。
○松本委員
 はい。ありがとうございました。
○小塩会長
 それでは、飯塚委員、先ほどお手が挙がっておりましたので、もし御発言がありましたらよろしくお願いいたします。
○飯塚委員
 ありがとうございます。
 本日の御説明及び皆様の議論の大きな柱はタスク・シフト、つまり、勤務医のタスクを薬剤師、看護師あるいは医療事務作業者等々の皆さんにシフトする、それによって勤務医の労働時間を減らそうという議論と理解しました。これは当然大変重要な議論なのですが、一方で、病院の医療行為そのもののボリュームはおおよそ所与として、何とか病院内の働き方の変更だけで勤務時間を減らそうという取組という印象も受けました。
 勤務医の労働時間が大幅に減るということであれば、診療できるボリュームも大幅に減るという可能性は十分あると思いますし、それをどのように達成するかというデザインについても、今後、重点的に議論していくべきではないかと考えます。当然いろいろな議論があると思いますけれども、例えば急性期の病院における外来の診療は今のままでいいのだろうかとか、あるいはボリュームを減らす余地はあるのだろうか、関連して、診療所の医師の皆さんに一定の需要を担っていただくことは可能なのかどうかといった話、特に、従来、夜間・休日等の診療に関しては議論に上がっているかと思います。さらに、救急医療を担っているわけですけれども、そういったものの集約化なり効率化はできないかといった論点は当然あるのかと思います。
 こういった個別病院の外側でありますけれども、働き方に大きく影響するものについては、働き方改革への影響も強く意識して、今後、議論していくようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 茂松委員からお手が挙がっていますので、お願いいたします。
○茂松委員
 日本医師会の茂松でございます。今日議論いただきましたこと、本当にありがとうございます。
 ただ、一つ考えておかねばならないことがあります。それは、働き方改革に絞って言いますと、我々は医療・医学を進歩させて、それによって国民の安心・安全の医療へつないでいくということであります。その中で、臨床しながら研究もしているということを忘れてもらっては困るかとは考えております。どうも臨床のことばかりが先に立っておりますが、今、この働き方改革が前提として始まって、日本の医学・医療に対する進歩を見てみますと、海外からどんどん遅れてきている、論文の数もどんどん減ってきているという中で、これはどこに原因があるのかもしっかり考えていただいて、中医協でもこの働き方改革を考えていただきたいと。確かに費用がどうのこうのということもありますが、我々は国民に安心・安全な医療をするために、研究もしながら、その安心・安全な医療を追求しているということの御理解もいただきたいと考えておりますので、その辺の議論もよろしくお願いしたいと思っております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ほかに御質問、御意見等がないようでしたら、本件に係る質疑は取りあえずこの辺りとさせていただきます。
 今日も非常に貴重な御意見を数多く頂戴いたしました。今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 本日の議題は以上でございますが、ここで、秋山委員におかれましては、6月20日をもって御退任の予定となっております。
 ということで、本日が最後の御出席となりますので、秋山委員より一言御挨拶をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○秋山委員
 皆様、お疲れのところ、お時間を頂戴し、恐縮しております。
 2019年の6月より4年間、公益委員を務めさせていただきました。1号側委員の皆様、2号側委員の皆様、専門委員の皆様、そして、厚生労働省保険局医療課の皆様、公益委員の皆様、本当に濃密な議論の中で多くのことを学ばせていただきました。心より御礼申し上げます。
 また、検証調査委員会の調査検討委員会の皆様にも、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。
 私が公益委員になりました約半年後には、新型コロナウイルス感染拡大となりまして、我が国の医療提供体制に関しては、人口当たりのベッド数という量の話だけでは見えてこなかった病院のキャパシティー、特に新興感染症への対応力という課題があからさまになりまして、その結果、医療計画の中にも新興感染症が新たな事業として加わりました。
 また、皆様方の多大な御尽力で、この非常事態を乗り越える過程において、オンラインの活用が一歩前進したり、感染症対策が強化されたり、結果としては、患者の安全性や利便性、医療の効率性が向上したという側面もあったように感じています。
 また、この中医協の会議は傍聴席を設けない代わりに、ユーチューブによるリアルタイム配信が行われるようになり、全国各地の関心ある方々が会場に足を運ばなくとも傍聴できるようになるなど、アクセシビリティーも向上しました。
 医療は社会の中の営みであり、特に公的医療保険がカバーする範囲や程度は、その時代の要請で変化してまいりました。その一例として、令和4年度改定では、不妊治療が保険適用になりました。当事者の皆様の切実な声に押される形で政治が動き、まだ十分な科学的エビデンスが蓄積されていない中でも、学会の御尽力でガイドラインが作成され、この中医協でも多くの議論が重ねられ、最初の一歩として診療報酬に収載する治療の範囲が決まりました。この一例からも、国民の価値観、使えるリソース、そして、科学的エビデンスという要素のバランスを鑑みながら、この中医協の場で議論を尽くし、診療報酬という形がつくられていくというプロセスを身をもって知ることができました。
 また、その陰では、医療課の皆様が多くのステークホルダーの意見を把握し、最終的に合意形成ができるよう細やかに議論の土台となる情報収集や調整に奔走されていることも知りました。折しも、この中医協の場では医師の働き方改革が議論されている中で、私自身は医療課の皆様の働き過ぎも心配しておりました。
 政策形成においては、様々な立場の方々がそれぞれの視点から意見を持ち寄り、熟議の上で、限りある資源配分を決めていくということが重要だと思っています。特に、これからは医療制度や政策について一人一人の国民がよく知り、我が事として関心を持ち、議論に加わっていくことも大切だと思っています。そのためには、私たちが学び得た医療やケアをめぐる課題について、国民に理解できるよう知らせていくことも重要だと思っており、今後、公益委員退任後にはそうしたところで役割を果たしていけたらと思っております。
 さて、本日も議論されましたが、次回は医療・介護同時の報酬改定となります。様々な疾患や障害を持った人も含め、誰もが尊厳を持って自分らしく生きていけるような、それを下支えするような医療、ケアの整備と質の向上に資するような診療報酬改定が行われていくことを切に期待しております。
 どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。(拍手)
○小塩会長
 秋山委員、どうもありがとうございました。会長としてもお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、本日の議題を終了させていただきます。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

 

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