このページではJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にしてください。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第545回議事録(2023年5月17日)

 
 

2023年5月17日 中央社会保険医療協議会 総会 第545回議事録

○日時

令和5年5月17日(水)10:00~

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 永瀬伸子委員 安川文朗委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 森昌平委員
吉川久美子専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 中田医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○医薬品の新規薬価収載等について
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○在宅自己注射について
○歯科用貴金属価格の随時改定について
○医療計画について

 

○議事 

○小塩会長
おはようございます。ただいまより、第545回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインを組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について、御報告いたします。
本日は、末松委員、羽田専門委員が御欠席です。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
初めに「医薬品の新規薬価収載等について」を議題といたします。
本日は、薬価算定組織の前田委員長にお越しいただいております。前田委員長より御説明をお願いいたします。
○前田委員長
おはようございます。薬価算定組織の委員長の前田でございます。
私から、今回検討いたしました新医薬品の算定結果について御報告いたします。
資料総-1-1を御覧ください。
今回報告する新医薬品は、1~2ページの一覧表にありますとおり、11成分17品目です。
それでは、算定内容について御説明いたします。
1品目目のドプテレット錠です。資料の3~4ページを御覧ください。
本剤は、待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善を効能・効果とし、ムルプレタ錠3mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は20mg1錠、7,106.60円となりました。
次に、2品目目のオファコルカプセルです。資料の5~6ページを御覧ください。
本剤は、先天性胆汁酸代謝異常症を効能・効果とし、原価計算方式により算定いたしました。
なお、最類似薬の選定に当たっては、本疾患の使用実態があるケノデオキシコール酸は、一定程度の類似性があると考えられましたが、最類似薬は、原則として、当該新薬が承認を受けた日の前日から起算して、過去10年間に薬価収載されたものとされており、ケノデオキシコール酸は、2006年に薬価収載された品目であること、また、効能・効果が本剤と異なることも踏まえ、最類似薬として適当でないと判断いたしまして、原価計算方式による算定が妥当と判断いたしました。
本剤は、当該疾患に対して長年にわたる使用実績が蓄積されており、海外では標準治療法とされていることなどから、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品の指定を受けていることから、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
補正加算について、合計の加算率15%に対して、加算係数0.6を適用して、9%の補正加算を適用いたしました。
算定した薬価は、外国平均価格の1.25倍を上回っていることから、外国平均価格調整によって引下げを行いました。
その結果、本剤の算定薬価は、50mg1カプセル、1万2,596.00円となりました。
次に、3品目目のヴィアレブ配合持続皮下注です。資料の7~8ページを御覧ください。
本剤は、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動の改善を効能・効果とし、デュオドーパ配合経腸用液を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
本剤は、24時間持続皮下投与が可能であり、既存治療では効果が不十分な症状の改善や、安全性の観点で既存治療の適用とならない患者への使用が見込まれること、侵襲性が低く入院期間も短縮する利便性があることから、有用性加算(Ⅱ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、10mL1瓶、1万3,277円となりました。
次に、4品目目のエンタイビオ皮下注です。資料の9~10ページを御覧ください。
本剤は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法を効能・効果とし、エンタイビオ点滴静注用300mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、108mg0.68mL1キット及び同1筒6万9,888円となりました。
次に、5品目目のオンボー点滴静注です。資料の11~12ページを御覧ください。
本剤は中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法を効能・効果とし、スキリージ点滴静注600mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、300mg15mL1瓶、19万2,332円となりました。
次に、6品目目のオンボー皮下注です。資料の13~14ページを御覧ください。
本剤は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法を効能・効果とし、スキリージ皮下注360mgオートドーザーを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、100mg1mL1キット及び同1筒、12万6,798円となりました。
次に、7品目目のパリンジック皮下注です。資料の15~16ページを御覧ください。
本剤は、フェニルケトン尿症を効能・効果とし、ビオプテン顆粒10%を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
本剤は、新規作用機序医薬品であり、臨床上の有用性が一定程度評価されていると考えられることから、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品に指定されていることから、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
算定薬価は、外国平均価格の1.25倍を上回っていることから、外国平均価格調整により、引下げを行いました。
その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で20mg1mL1筒、6万5,468円となりました。
8品目目のベスレミ皮下注です。資料の17~18ページを御覧ください。
本剤は、真性多血症を効能・効果とし、原価計算方式により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で、500μg1mL1筒、56万5,154円となりました。
次に、9品目目のアトガム点滴静注液です。資料の19~20ページを御覧ください。
本剤は、中等症以上の再生不良性貧血を効能・効果とし、原価計算方式により算定いたしました。
本剤は、抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン治療後の再発患者に対しても効果が期待されることから、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品の指定を受けていることから、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
補正加算について、合計の加算率15%に対して、加算係数0を適用して、0%の補正加算を適用いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、250mg5mL1管、7万5,467円となりました。
次に、10品目目のアポハイドローションです。資料の21~22ページを御覧ください。
本剤は、原発性手掌多汗症を効能・効果とし、エクロックゲル5%を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、20%1g、545.80円となりました。
11品目目のコムレクス耳科用液です。資料の23~24ページを御覧ください。
本剤は、外耳炎、中耳炎を効能・効果とし、ラスビック錠75mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、1.5%5mL1瓶、1,584.50円となりました。
次に、12品目目のネキソブリッド外用ゲルです。資料の25~26ページを御覧ください。
本剤は、深達性Ⅱ度又はⅢ度熱傷における壊死組織の除去を効能・効果とし、原価計算方式により算定いたしました。
本剤は、臨床試験において、標準治療群と比較して本剤群でより早期に壊死組織が除去されること、出血量が少ないことが確認されていること等から、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品の指定を受けていることから、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
補正加算について、合計の加算率15%に対して、加算係数0を適用して、0%補正加算を適用いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、5g1瓶、16万2,995.90円となりました。
次に、資料総-1-2の説明に移りたいと思います。
市場拡大再算定について御報告いたします。
効能追加等があった医薬品などについて、一定規模以上の市場拡大のあった場合は、年4回の新薬収載の機会を活用して、市場拡大再算定の規定を適用し、薬価を見直すこととされております。
今般、12月診療分のNDBデータを確認したところ、タリージェ錠、エンレスト錠、ベージニオ錠が市場拡大再算定の要件に該当すると判断いたしました。
また、リリカカプセル及びリリカOD錠についてはタリージェ錠の薬理作用類似薬であること、イブランスカプセル及びイブランス錠についてはベージニオ錠の薬理作用類似薬であることから、類似品に該当すると判断いたしました。
タリージェ錠及びタリージェOD錠並びにベージニオ錠につきましては、提出された臨床試験の結果において、真の臨床的有用性が示されたことから、補正加算5%を適用しております。
その結果、改定薬価は、資料の表の中ほどにあります「改定薬価」の欄に示した額となりました。
以上で、私からの説明を終わります。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、事務局から補足と説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
先ほどの資料総-1-1について、補足説明をさせていただきます。
説明のありました収載予定の新薬のうち、費用対効果評価の対象が1品目あります。
表の8番目のベスレミ皮下注でございます。原価計算方式による算定で、開示度50%未満のものであり、ピーク時の市場規模予測が163億円であることから、H1品目に該当するものでございます。
続きまして、資料総-1-1の参考1を御覧ください。
こちらは、薬価改定ごとに新薬創出等加算の平均的な加算率を示しております。
今般、令和5年度改定における新薬創出等加算の平均的な加算率が1.5%となりましたので、御報告いたします。
次に、資料総-1-1参考2を御覧ください。
こちらは、原価計算方式における標準的な係数につきまして、毎年度更新をしているものでございます。
本年度の算定に用いる労務費単価、一般管理販売費率、営業利益率、流通経費率に係る係数につきまして、それぞれの統計指標に基づいて決定し、今回の算定から適用しておりますので御報告いたします。
続きまして、資料総-1-3を御覧ください。
こちらは、類似薬選定のための薬剤分類につきまして、毎年更新をしているものでございます。
昨年5月から本年3月までに薬価収載された新薬51成分につきまして、薬価算定組織において検討を進め、新たに分類表に追記しましたので御報告いたします。
参考ですが、この資料の3ページ目から4ページ目に、今回新たに追加した成分名を記載しており、6ページ目以降の表において、該当箇所に水色のマーカーを付しております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
御説明どうもありがとうございました。
リストの2件目にございます、オファコルカプセルについて、先に質問をさせていただいた後にコメントをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
先ほど委員長のほうから、6ページにございます類似薬がない根拠等について御説明をいただいたのですけれども、ここに挙げていただいておりますケノデオキシコール酸の薬価は幾らなのか、まず教えていただけますでしょうか。
○小塩会長
では、事務局、お願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
ケノデオキシコール酸の製品につきまして、チノカプセル125というものがございまして、こちらの薬価は、1カプセル当たり23.70円でございます。
○小塩会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございました。
この製品は、5ページの右下にもございますけれども、患者が7名という極めて希少な疾患ということで、なおかつ、海外で実績がありながら、長らく日本では未承認だったということで、開発の意義もあり、企業の努力については敬意を表するものでございます。
ただ、今、確認させていただきましたけれども、ケノデオキシコール酸については、適応外使用をしてきた実績、なおかつ、今、お話があった薬価を今回の新医薬品と比較いたしますと、患者本人の負担が急激に増加し、なおかつこれが継続するのではないかと考えられます。
薬価収載そのものに反対するものではございませんけれども、今後これを処方された患者の生活に支障がないように、行政として丁寧に御対応いただきたいというのが私どもからの要望でございます。
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいま、松本委員から御要望をいただきましたけれども、よろしいですか。
ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、ほかには、御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
前田委員長、どうもありがとうございました。
続きまして「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
医療課長でございます。
それでは、総-2を用いまして「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」の御説明を申し上げます。
定例の議題ではございますけれども、新規に薬価収載されました医薬品等につきましては、DPC/PDPSにおける診療報酬点数表に反映されないということから、一定の基準に該当する医薬品等を使用した患者さんにつきましては、包括評価の対象外といたしまして、次期診療報酬改定までの間、出来高算定することとしてございます。
基本的な考え方は、総-2の参考におつけしてございますけれども、今回、効能・効果が追加されました医薬品、新規に薬価収載される薬剤などにつきまして判定を行い、2の一覧にお示ししております医薬品については、対応する診断群分類におきまして、基準に該当しておりましたので、出来高算定としてはどうかという御提案でございます。
御説明は、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということで、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「在宅自己注射について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
医療課長でございます。
それでは、総-3を用いまして「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加に係る取扱いについて」を御説明し、その後、資料4を用いまして「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加について」を御説明させていただきたいと思います。
まず、資料総-3を御覧ください。
「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に係る取扱いについて」でございます。
現行の在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に係る運用基準をお示ししてございます。その提案でございます。
2ページでございますけれども、上段に在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加に係るこれまでの経緯を示しているところでございます。
1つ目の○でございますが、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤及び保険医が投薬することができる注射薬の対象薬剤につきましては、平成28年8月24日の中医協総会におきまして承認されました「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に係る運用基準について」を踏まえまして、新医薬品は原則薬価収載時に、また、新医薬品以外の医薬品は診療報酬改定、ですから2年に1回に合わせまして、中医協において追加を検討してきたところでございます。
2つ目の○でございますが、令和2年度からの新型コロナウイルス感染症の拡大による受診控えが、患者さんのQOL低下や生命予後の短縮を招き得るといった御指摘を踏まえまして、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加につきまして、令和2年12月23日の中医協総会で、新型コロナウイルスの感染が拡大している間に限り、新医薬品以外の医薬品でありましても、対象薬剤の要件を満たし、学会からの要望があった場合につきましては、新医薬品の薬価収載の時期に合わせて追加を検討することとなったところでございます。
また、当時の委員の御意見の中では、この取扱いについては、新型コロナウイルスの感染が拡大している間に限定しない取扱いとすべきではないかという御意見もあったところでございます。
次の○でございますけれども、この運用基準を変更いただきましてから、関係学会からの追加要望を踏まえ、これまでに13品目の新医薬品以外の医薬品が追加されてきたところでございます。
また、新型コロナウイルス感染症に関しましては、御案内のとおり、今月8日より感染症法上の位置づけが5類へと変更されているところでございます。
これらの経緯を踏まえまして、対応案として中段にお示ししておりますとおり、より有用性の高い新しい治療法へのアクセスを速やかに確保するといった観点から、運用基準における新医薬品以外の医薬品の追加時期の取扱いについて、感染拡大の間に限らず、新医薬品と同様の取扱いとしてはどうかといった御提案をさせていただくものでございます。
下段に現行の運用基準と、見直し後の案をお示ししているところでございます。
以降は、参考資料となるところでございます。まずは、こちらの御提案です。
次に資料総-4を用いまして、保険医が投与することができる注射薬の中で、先ほど申し上げた在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加について、これも御提案させていただくものでございます。
まず、資料4の1ページ「1.ネモリズマブ(遺伝子組換え)」でございます。
効能・効果等は、ここに記載のとおりです。
そして「2.ラナデルマブ(遺伝子組換え)」。
2ページに参りまして「3.ホスレボドパ・ホスカルビドパ水和物配合剤」でございます。
販売名、効能・効果等は、記載のとおりでございます。
3ページ目、4ページ目に参りまして「4.ペグバリアーゼ(遺伝子組換え)」。
次が新薬ではないものでございますけれども「1.パビナフスプアルファ(遺伝子組換え)」。
最後に「2.アバルグルコシダーゼアルファ(遺伝子組換え)」でございます。
以上の薬剤につきまして、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかと御提案するものでございます。
ちなみに、4ページ目にございます1と2の2つの薬剤でございますが、これらは新型コロナウイルス感染症が蔓延している時期に提案があったということでございまして、これは、これまでの基準に該当するものとして御提案をしておるものでございます。
御説明は、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
今回の提案には異論ありませんが、今後、在宅自己注射の対象薬剤追加について議論する機会が増えてくることも考えられます。
したがいまして、事務局には関係学会の御意見も踏まえ、安全性、有効性の議論が中医協でなされるよう留意いただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御発言はございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
先ほどの説明の中に、13品目が従来と異なるタイミングで追加されたということでございましたけれども、通院治療から自己注射に移行したことで、今、長島委員からも言及がございましたけれども、治療上、安全上の問題が起きていないということであれば、患者の通院負担を軽減する観点から、類型変更後も追加を継続することに特段異論はございません。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかに御質問はないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「歯科用貴金属価格の随時改定について」を議題といたします。本件は報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○小嶺歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。
資料総-5を用いまして、歯科用貴金属の随時改定について御報告いたします。
1ページは、現行の歯科用貴金属の随時改定の概要説明資料でございます。今回は、令和5年7月の告示価格案について御報告いたします。
2ページを御覧ください。
表の上段④のXの期間に記載がありますように、令和5年7月の随時改定は、令和5年2月から4月までの平均素材価格を基に行っております。
③に現在の告示価格、⑦に令和5年7月の随時改定の価格案をお示ししております。
歯科治療で最も多く使用される歯科鋳造用金銀パラジウム合金、6番目になりますけれども、こちらは、現在3,391円であり、7月の随時改定では、一番右側の⑦のところですが、3,077円となります。
3ページ目には、2020年5月からの素材価格の推移を示したものになります。
御説明は、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、この辺りとしたいと思います。
続きまして「医療計画について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
医療課長でございます。
それでは、総-6を用いまして御説明をさせていただきたいと思います。「医療計画について」でございます。資料は、やや大部でございますので、要点を絞って御説明をさせていただきます。
2ページを御覧ください。
こちらが医療計画に係る全体像でございますけれども、上に箱がございます。2つございまして、2つ目の○でございますけれども、これまでの医療計画の改定の経緯についてまとめてございます。
平成18年の医療法改正により、疾病・事業ごとの医療連携体制について記載されることとなってございます。この当時は、たしか4疾病・5事業と言っていたものでございますけれども、その後、精神が追加され、5疾病・5事業となっておりまして、平成26年の医療法改正により、地域医療構想が記載されることとなりました。
その後、平成30年の医療法改正により、医師確保計画及び外来医療計画というものが位置づけられることになったものでございます。
計画期間は、その下にあるとおり6年ということでございまして、第8次の医療計画の期間は、2024年度から2029年度、中間年で必要な見直しを実施するというものでございます。
その下に「記載事項(主なもの)」がございまして、左側に医療圏の設定などの図がございます。右側に、今回追加される「新興感染症発生・まん延時における医療」というのが追加されまして6事業となり、5疾病・6事業になっているものでございます。
また、在宅医療に関する事項も記載すべきとなっているところでございます。
次の3ページにありますとおり、医政局の検討会の結果を踏まえまして、基本方針の一部改定や通知の発出が行われております。これに基づきまして、都道府県が計画を定めることになるところでございます。
4ページ目、こうした医療計画の状況を踏まえた中医協における議論の進め方に関して、今日御提案するものでございます。
まず、4ページの左側に医療計画の全体のアイテムをお示ししてございまして、右側、破線の四角で囲ってございますけれども、医療計画の項目のうち、矢羽根が3つございます。
入院医療、外来医療、在宅医療につきましては、それぞれのテーマごとに、中医協において医療計画との関係性も踏まえつつ議論することとすること。
その際、地域医療構想については、第8次医療計画においても毎年度対応方針の策定率を目標としたPDCAサイクルを通じて推進することとされておりますことから、その状況も踏まえることとすること。
次の矢羽根ですが、6事業のうち、先ほど申し上げました新興感染症発生・蔓延時における医療については、新型コロナウイルス感染症への対応を含めた感染症に対する医療に関する議論の中で別途取り扱うこととしたいと考えてございまして、本日は、残りの5事業について御議論をいただきたいと考えてございます。
また、上記6事業を含め、5疾病及び医療の安全の確保等につきましては、今後必要に応じまして、個別項目等の議論の中でも取り扱うことにしたいと考えております。
それでは、6ページ目、7ページ目でございます。
こちらが、第8医療計画の具体的な内容ということでございます。計画全体のポイントについて御紹介しているものでございます。
8ページに進ませていただきます。
こちらが「診療報酬における機能に応じた病床の分類」ということで、それぞれの入院料等の病床がどの程度あるかをお示ししているものでございます。
この中で、お示しした時点から大きく病床数が変化しているものが一番右側でございまして、介護療養病床は、令和3年6月末の病院報告では、1万3647床とございます。これは資料にあるとおりでございます。
ここは、口頭での補足になり恐縮でございますけれども、この後、介護療養病床は減ってございまして、令和5年1月、直近の病院では6,200床余りとなっていると御紹介をさせていただきます。
9ページ、10ページ、11ページ目は、地域医療構想と病床機能報告制度の概要でございます。
12ページ目では、診療報酬の各入院料の病床機能報告における、病棟機能との現在の対応関係について示しているものでございます。
13ページ、14ページは外来医療計画、そして、在宅に係る医療計画におけるポイントを御紹介しておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、これらにつきましては、それぞれのテーマごとに別途中医協で御議論いただくことと考えてございます。
次に、15ページ目から18ページ目が、令和4年度の診療報酬改定における医療提供体制の評価の概要について示してございます。
特に19ページでございますけれども、病床機能の分化と連携の推進に関する、これまでの診療報酬改定の内容について紹介をしているものでございます。
19ページは少し詳細に御説明を申し上げますが、一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟と3つの類型の病床の種類を例としてお示ししてございます。
その上で、一般病棟に関しましては、平成18年に7対1入院基本料が創設され、その後、重症度・看護必要度などが導入されてきて、その基準が見直しをされてきたことをお示しております。
また、地域包括ケア病棟は、その前身と考えてもいいと思うのですけれども、亜急性期入院医療管理料が平成16年に新設され、そして、平成26年にそれが地域包括ケア病棟と新しい類型の診療報酬体系、入院料として整備されたということで、また、その後に必要な見直しがされていると。
回復期リハビリテーション病棟に関しましては、平成12年には創設され、その後、算定要件を拡大し、そして、平成28年にはアウトカム評価が入ったことなどをお示ししているところでございます。
20ページでございますけれども、こうした改定も経た入院料の病床数の変化について、お示ししているところでございます。
この後、具体的な5つの事業に関する御説明でございます。
21ページ目でございますけれども、まずは、救急医療でございます。
22ページにございますとおり、第8次医療計画では、増加する高齢者の救急搬送や、特に配慮を要する救急患者を受け入れるために、地域における救急医療機関の役割を明確化することなどがポイントとして挙げられているところでございます。
23ページ、24ページでは、救急搬送件数が全体として増加傾向にある中で、その主たる要因として、高齢者の搬送の増加があることが示されてございます。
25ページ目、26ページ目でございますけれども、この高齢者の救急搬送につきまして、特に軽症、中等症の患者さんが増加しており、疾病分類としましては、26ページの右下でございますけれども、症状・兆候・診断名が不明確である場合が増加していることが見て取れると思います。
27ページからは、救急医療体制の現状についてです。
28ページ目、29ページ目で、第三次救急医療機関の救急搬送件数について、30ページ、31ページで、第二次救急医療機関について示しておりますが、受入れにつきましては、医療機関間の偏りが大きい状況と示されているものでございます。
次に、33ページの右下、医療計画の検討会やワーキンググループにおける議論で御紹介されたものでございますけれども、入院治療の機能分化及び受入れ体制の確保のために、高次の医療機関からの転院搬送、いわゆる下り搬送を促進することの必要性がありますことや、単身の高齢者や要介護者の退院先が決まらずに、下り搬送や退院が滞ることで、出口問題が発生することなどが指摘されているところでございます。
34ページ、35ページ、36ページでは、地域における救急医療の役割や、救急搬送の適正化に関する地域の取組について、御紹介をしているものでございます。
次に、37ページからでございますけれども、救急患者の受入れなどに関する診療報酬上の評価について御紹介をしてございます。
令和4年度改定では、救急医療管理加算や救急搬送診療料について見直しを行ったということでございます。
続きまして、42ページから災害時における医療に関しての御説明でございます。
43ページにありますとおり、第8次医療計画では、DMAT、そしてDPATを含め、様々な保健医療活動チーム間での連携を推進することや、災害時に拠点となる病院をはじめとした医療機関や、関係機関の間の連携を強化することなどがポイントとされているところでございます。
44ページがDMAT、そして45ページがDPATの御紹介のスライドでございます。
46ページにありますとおり、災害拠点病院は、令和4年4月までに、全国で765の病院が指定されているといった状況でございます。
次、47ページ以降からが、僻地の医療体制についてでございます。
48ページ目にありますとおり、第8次の医療計画におけるポイントといたしまして、下の2つの箱でございますが、僻地で勤務する医師の確保や遠隔医療の活用の支援などが挙げられているところでございます。
50ページは、僻地医療拠点病院の主要3事業及び必須事業の実績ということでございます。
この箱の中にございますとおり、主要3事業に関しましては、僻地等への医師派遣、そして代診医の派遣、巡回診療、これらを合わせて主要3事業と呼ぶということでございまして、これにICTを活用した遠隔医療を合わせて、これらを必須事業としているところでございます。
また、その実績を右下の箱で、表の形でお示ししているものでございます。
次、51ページ目、52ページ目で、オンライン診療の実施形態について御紹介をしておりますが、僻地におけるオンライン診療には、いわゆるDtoPwithNという略をすることが多いですけれども、こういった形が有効であるという意見がございます。
53ページでは、和歌山県の実際の事例について御紹介をしてございます。
続きまして、54ページ以降が周産期医療についてでございますが、第8医療計画のポイントでございますけれども、周産期医療圏における医療機関の集約化・重点化や、ハイリスク妊産婦への対応などが挙げられているところでございます。
56ページにありますとおり、総合周産期母子医療センター、そして地域周産期母子医療センターがこれまで整備されてきてございますけれども、57ページにありますとおり、分娩を取り扱う医療機関の数自体は減少してきているということでございます。
58ページから60ページが、周産期医療におけるタスク・シフト、タスク・シェアの議論についての御紹介でございまして、院内助産、助産師外来の活用、分娩取扱い医療機関と、分娩を取り扱わない医療機関の連携について議論されているところでございます。
61ページ目、62ページ目が、ハイリスク妊産婦についてお示しするスライドでございまして、高齢出産の増加や、社会的ハイリスク妊産婦の増加、メンタルヘルスケアの重要性が高まる中で、これらのハイリスク妊産婦への対応の重要性が指摘されているところでございます。
63ページは、病棟における産科区域についての御紹介です。
64ページ以降が、周産期医療に関する診療報酬上の対応でございますけれども、これまで御紹介した課題も踏まえ、これまでハイリスク妊産婦連携指導料やハイリスク分娩管理加算などで評価を行っています。
また、66ページのとおり、産婦人科と精神科を含めました総合的な入院医療体制につきましては、これまで総合入院体制加算で評価を行っていたところでございますけれども、67ページにございますとおり、令和4年度で新設されました、急性期充実体制加算が新設されたことによりまして、総合入院体制加算の届け出数自体は減少していることもお示しさせていただきます。
続きまして、小児医療でございます。
69ページ目の第8次医療計画のポイントでございますけれども、小児科診療所の地域における役割や機能の強化、医療的ケア児への支援体制などとなっているところでございます。
70ページ目から、小児医療に関する現状でございますが、出生数や小児の人口が減少する中で、超低出生体重児などは、おおむね横ばいで推移しているところでございます。
こうした中で、74ページにお示ししておりますとおり、小児科を標榜する病院は減少してございます。集約化が進んでいる状況となってございます。
75ページは、医療的ケア児の御紹介でございます。
これまで増加傾向ということでございまして、推計で約2万人となってございます。
76ページ目、77ページ目では、医療的ケア児に対する主な取組、そして医療型短期入所サービスについて御紹介をしております。
78ページからは、診療報酬における評価でございます。
81ページ以降にありますとおり、令和4年度改定では、時間外の受入れ体制の新たな評価ですとか、医療的ケア児に対する専門的な薬学管理の評価の新設、医療的ケア児等に関わる関係機関の連携に対する評価の拡充などを行っているところでございます。
86ページ以降は参考でございますけれども、これは、DPC/PDPSにおける5疾病・6事業に係る評価や、診療報酬と補助金の関係は92ページでございます。これは過去の中医協でも御紹介したものでございますが、診療報酬と補助金との関係についても、資料として掲載しているところでございます。
93ページ、94ページは、今、スライドを用いまして御説明したことを文章として取りまとめてございます。
最後の95ページでございますけれども、論点として5つ、それぞれの事業についてお示しをさせていただきます。
まず、救急医療についてでございますけれども、増加する高齢者の救急搬送等も踏まえ、適切な急性期入院医療の提供及び機能分化の観点から、転院搬送も含め、救急医療に係る評価の在り方についてどのように考えるか。
災害医療について、地域において災害時に必要な医療提供に一定程度役割を果たす医療機関に係る評価の在り方について、どのように考えるか。
僻地医療について、今後も地方において人口減少が見込まれる中、僻地における遠隔医療及びオンライン診療の推進について、どのように考えるか。
周産期医療について、医療機関・機能の集約化・重点化を進める観点や、ハイリスク妊産婦及び精神医療が必要な妊産婦への対応等の観点から、周産期医療や精神科を含めた総合的な診療体制に係る評価の在り方についてどのように考えるか。
小児医療について、少子化が進行する中、医療的ケア児を含む小児患者に対して救急やレスパイトも含めた必要な医療を確保できるようにする観点から、小児医療に係る評価の在り方についてどのように考えるかとさせていただいてございます。
資料の説明は、以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
今回は、医療計画の内容そのものについて議論するのではなく、医療計画の5つの事業に焦点を絞り、課題を踏まえ、診療報酬上の評価の在り方などを論点として議論するものと理解しております。
そこで、まずは、今回の論点に入る前に、医療計画と診療報酬との関係について、基本的な考え方を整理しておく必要があると考えます。
医療計画は、医療法上、国の基本方針に即し、かつ、地域の実情に応じて作成されるものであります。その上で、診療報酬はそれを下支えするものとなります。
各都道府県が、地域の実情に応じて、どのような医療計画を策定した場合であっても、医療計画が成り立つように寄り添い、支えるのが診療報酬の役割であり、これまでの中医協において、そのような認識を共有した上で議論を重ねてきた経緯があります。
そういった意味では、今回の資料の93ページ、94ページに示された医療計画上の課題については、これまでの診療報酬改定で、おおむね対応がなされているとの印象も受けます。
ただ、前回改定で対応した項目については、現在行われている検証調査とその評価を待つ必要があります。
今後はその結果も踏まえて、不足部分があれば補い、十分なところは今後も維持していくことが必要な視点であろうと考えます。
加えて、診療報酬によって医療計画の在り方がゆがんでしまっている部分がないかという視点や、あるいは医療計画の実現に向けた手段としては、診療報酬以外の財政措置のほうが適切な場合もあるという視点も常に持つことも大変重要であろうと考えております。その上で、95ページの論点についてコメントいたします。
まず、1つ目の救急医療です。
高齢者の救急搬送等が増加している背景には、これまでの施策が三次救急の評価に偏重しており、二次救急の評価が十分になされてこなかったことがあると思います。
資料の27ページには、救急医療体制の体系図が示されておりますが、三次救急は300か所にも増えており、その結果もあり、本来、二次救急で対応すべき患者さんも、三次救急で対応してしまっているということがあり、それが、二次救急の維持運営を苦しくしている現実もあります。
その背景には、これまでの診療報酬改定で、高度急性期の評価を重視し、二次救急の評価が十分でなかったことも影響しており、先ほど申し上げた診療報酬によって医療計画の在り方がゆがんでしまった例となるのではないかと言えます。
したがいまして、論点の適切な急性期入院医療の提供及び機能分化の観点から、定員搬送を含め、救急医療に関わる評価の在り方を考えているのであれば、二次救急の評価を充実させる必要があります。
本日の資料で示されている三次救急からの下り搬送や、救急医療機関から退院する際の出口問題への対応についても、救急に携わるサービスへの負荷等の視点も念頭に置きつつ、評価を検討していく必要があると考えます。
続いて、2つ目の災害医療です。
これまでの評価の在り方、すなわち補助金との関係も踏まえつつ、DPCの機能評価係数Ⅱで評価されていることなどを維持継続していくことでよいと考えます。
3つ目の僻地医療です。
論点として、遠隔医療やオンライン診療の推進が提案されておりますが、この点につきましては、既に現行制度でも、おおむねの対応がなされているものと受け止めております。
つまり前回改定では、オンライン診療が拡大されましたし、僻地におきましては、DtoPwithNの診療形態を医科のみならず、訪問看護の診療としても評価するなどをしておりますので、現在は、こうした対応の推移を見守る段階であると認識しております。
また、5月12日の医療部会で示された遠隔医療のさらなる活用に向けた基本方針案においては、今後行うべき国や都道府県、市町村の取組が事例集、手引書の作成など、具体的に列挙されておりますので、これらのさらなる活用のための取組や環境整備をしっかりと実行していただくことが重要と考えております。
4つ目の周産期医療です。
これまでの累次の改定において、様々な角度から重点的に評価されてまいりました。ただ、67ページに示されているとおり、前回改定で新設された急性期充実体制加算によって、総合入院体制加算の届け出医療機関が減少しており、これが地域の周産期医療に今後どのような影響を与えることになるのか、注意深く見ていく必要があると思います。
最後の小児医療です。
小児入院医療管理料の注2加算において、保育士の配置を評価したり、あるいは注4の重症児受入れ体制加算において、小児の成長に応じたプレイルームの設置を求めるなど、既に小児医療の在り方に着目した評価がなされておりますので、こうした点は今後も維持していく必要があると考えます。
なお、レスパイトにつきましては、診療報酬として直接評価すべきものなのか、ほかの対応がないのか、慎重に検討する必要があると思います。
その一方で、地域医療を担う中小病院が算定している小児入院医療管理料3から5につきましては、これまでの改定において評価されてきておらず、今後、地域の小児医療の機能分化と連携を進めていくためにも評価が必要であると考えます。
私からは、以上です。
なお、看護も関係しますので、小塩会長におかれましては、後ほど吉川専門委員にも発言を求めていただくことを御検討いただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
承知しました。ありがとうございます。
すみません。林委員が先ほどからお手を挙げていらっしゃいますので、先に御発言をお願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
総-6の95ページの課題と論点についてでございますが、その中の小児医療につきまして、医療的ケア児が増加している中、歯科におきましても、医療的ケア児との関わりに関する課題が浮き彫りになってきております。
今後の中医協議論の中でも取り上げていただきたく、昨今の実情と課題を田村専門委員のほうから説明の機会をいただければありがたいと思いますので、後ほど御指名のほうをよろしくお願いいたします。
私からは、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、島委員、お願いします。
○島委員
ありがとうございます。
総論的には、長島委員の意見を支持いたします。私は論点の救急医療に関して、意見を述べさせていただきます。
23ページ、24ページに示されるように、救急搬送件数が高齢化の進展に伴い増加していることは、事実でございます。
高齢者の救急に関して、25ページは少し誤解を招く表現であるために、高齢者救急の現状に関して指摘したいと思います。
25ページでは、高齢者の救急で軽症・中等症が増加していると指摘されています。
しかしながら、消防庁の統計では、軽症・中等症・重症の定義は、スライドの左下に記載されていますが、重症は3週間以上の入院加療を要するもの、軽症は入院加療を要さないもの、中等症はそれ以外という分類になっています。
例えば、ぜんそくの重積発作などで生死に関わる症状、そういう状況でも、救急室で適切な処置が行われて症状が改善して自宅に帰れたものは、軽症という分類になってしまいます。かなりの病態でも病床が逼迫しているために、コロナで非常に患者が診られないという状況があったようなときに、救急外来で処置して一旦帰宅し、翌日の外来受診後入院となった患者も軽症となってしまいます。
決して軽いけがや、全く生死にかかわらない救急コンビニエンス受診のような症例が多いわけではございません。
消防庁の分類は、救急現場の患者の重症感とは、感覚的にずれが生じていることを、まず御理解いただきたいと思います。
そして、高齢者の救急に関しては、26ページに、急病のうち高齢者の脳卒中、精神系を除いた疾患と、成人の症状・兆候・診断名不明確が増加していると示されております。
高齢者の入院に関しては、先日の介護給付分科会との意見交換会で、尿路感染症や誤嚥性肺炎が多いと指摘されていますが、救急の現場では、かなりの重症感のある状況で搬送されて来られる患者さんが多いことを指摘しておきたいと思います。
高齢者施設や自宅で、昨日までは日常どおりに生活されていましたが、突然ぐったりして意識レベルが低下、血圧も低下して救急搬送された患者が、最終的には尿路感染症や誤嚥性肺炎であったという診断になるケースも多くて、併存疾患の多い高齢者の疾患は、決して想像されているような、あまり重症感がなくゆっくりと発症するものではなく、介護施設の現場及び在宅治療の現場では、患者の状態の急変のために、救命のために救急搬送を依頼し、救急病院に搬送されている状況でございます。
結果として、迅速で適切な診断により、尿路感染症や誤嚥性肺炎と診断されて、早期処置、治療により回復されて、再度自宅や施設に戻られるという事例が多いということでございますが、発症の段階では、虚血性心疾患や脳卒中の発症と区別がつかない症例が、高齢者救急の現実の状態でございます。
したがって、訪問診療や往診などで対応できないような急激な状態悪化の高齢者の救急は、適切な医療機能を有する医療機関で応需することが必要です。
そのためには、93ページの課題と論点に、第8次医療計画の取りまとめ内容として記載されておりますが、三次救急医療機関に過度の負担をかけないためにも、地域で適切に二次救急に応需可能な医療機関の確保・維持が、今後も急激に高齢者が増加する我が国には非常に重要であると考えます。
地域におけるACPの普及や、在宅医療、救急医療の連携の推進はもちろん重要ですが、ACPを確認した高齢患者でも、先ほど述べましたように、急激に状態が悪化した場合には、早期の診断治療により状態を改善する症例も多く、適切な発症時の医療の提供ができる体制を地域で維持していけるよう、主に二次救急を支える点数でありますような、救急医療管理加算や夜間休日救急搬送医学管理料などの、さらなる評価が必要であると考えます。
少し長くなりましたが、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
論点に沿って幾つか発言をさせていただきたいと思っています。
まずは、災害医療についてですが、災害時の医療対応については、医薬品との関係は切っても切れないものとなります。
今回の医療計画の見直しで、災害医療の体制として被災地の医薬品等や、薬剤師及び薬事衛生面に関する情報の把握、調整等を担うものとして、災害薬事コーディネーターが位置づけられました。
DMATやDPATの多職種連携の医療チームで対応していく際には、医薬品の専門家としての薬剤師の活用の視点も必要であると考えます。
また、地域の薬局を活用していくことも重要で、現在、災害時や感染症発生時等に行政からの要請に応じる体制を評価している項目がありますが、災害時などに医薬品の供給や地域の衛生管理に係る対応等を行う薬局を、どのように整備して機能させていくかという視点も必要と考えます。
次に、僻地医療についてです。
今回の医療計画の指針において、僻地を含め、医師以外の医療従事者の確保として、薬剤師の確保も明記されています。
医療計画における僻地への対応については、医薬品提供の体制確保の観点も含めて検討していくことが重要です。
そうした中で、医薬品の提供の在り方も含め、オンライン服薬指導の適切な形での活用についても検討していくべきと考えます。
患者さんの安全・安心を第一として、医薬品の提供体制確保の中で、適切な形でのオンライン活用のためにどのような評価づけや要件設定がよいか、今後の改定の議論の中で検討できるよう準備などをお願いできればと思います。
最後に小児医療についてですが、医療的ケア児を含む小児慢性特定疾患への対応については、特別な管理指導や複雑な情報の整理、それらに伴う調剤対応、場合によっては、オーファンドラッグのような特別な医薬品の取扱いが必要となります。
また、医療上の必要性の高い医薬品であっても、小児用の製剤が開発されているとは限らず、現場の薬剤師が製剤特性等から判断し、小児に使用できるよう製材加工して調剤を行っているケースも少なくありません。
これらの観点を踏まえ、関係職種が連携し、在宅での療養が必要なお子さんが在宅で過ごすことができるよう、保護者の負担を考慮した在宅対応の推進策が必要と考えます。
私からは、以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。池端です。
私も95ページの論点に沿って、救急医療についてと、最後の小児医療について、少しお話をさせていただきたいと思います。
まず、先ほどの救急医療については、長島先生あるいは島先生がおっしゃったとおり、私も全く同意見です。
その上で少し追加させていただきたいのは、まず高齢者救急というのは、いろいろな方が高齢者救急はこうあるべきだとおっしゃっていますけれども、さらに高齢者救急というイメージが、相当幅が広くなっていて、少し熱を出して救急搬送されたものから、例えば、若い人で重傷だったら、高い熱が出て、心筋梗塞だったら胸が痛くなって、肺炎だったら呼吸困難を起こして発熱するというイメージがあるかもしれませんけれども、高齢者は、ほとんど症状が出ない。本当に少し具合が悪い、少し食事が取れないということで運んでみたら、すごい肺炎だったとか、あるいは急性心筋梗塞だったということがあって、少しおかしいという判断をすることが非常に大事で、これは、高齢者施設であってもあるいは在宅でも、その医師の判断あるいは常に見ている看護師等の判断によって救急搬送されて、大きな病気が見つかることはよくあります。高齢者救急だから、例えば、地ケア病棟だけでいいでしょうというのは、大きな間違いではないかと。
一方で、先ほどからおっしゃっているように、三次救急というのは本当にそういう方が、集中的集まるべきところなので、もしそこに運ばれてミスマッチがあれば、すぐ下り搬送ができる体制は必要ではないかと思います。そこが一泊あるいは短期入院までせずに、その場で、あそこでいいねというところがあれば、そこに送ってしまうということもありだと思うのです。
そういう体制を、実は八王子とか、あるいは大阪でもそういうネットワークでやっている事例がありますので、ぜひそれを参考にして、それができやすいような環境もそろえるべきではないかということを考えています。
もう一つは、二次救急でも一次救急でも、これも幅が広いので、その中で、外科系が得意な二次救急の病院もありますし、内科系が得意な二次救急もありますし、いわゆる身の丈に合った救急医療は、どの病院でも、極端に言えば、療養病床を含めた慢性期でも、今は一次救急、二次救急をやろうという時代ですので、そこで身の丈に合った救急をしっかりそこで受け入れる。受け入れられないところは、二次あるいは別の二次へ、あるいは三次へ送る体制ができることが必要です。
ただ、これは地域によって非常に違います。だから、あまり診療報酬で縛ってしまうと、地域ごとの地域医療計画ができなくなってしまうことがある。例えば、高齢者救急は、地ケアでやるべきだとなってしまうと、多分、地ケアでは受けられない救急もあるので、やはり地域ごとに地域医療計画に寄り添うのであれば、どの地域でも、いろいろなバリエーションがある、そこを受け入れるだけの余裕を持った診療報酬上の手当をしないと、かえって大きなミスマッチを起こすことがあるということを、現場の医師としては感じているので、それをお伝えしておきたいと思います。
それと、先ほど中島先生もおっしゃったように、二次救急という評価が、どんどん厳しくなっているイメージがあります。二次救急は非常に大事なので、特に内科系の二次救急は、いろいろな重症度の評価も含めて厳しいところがあるので、ここはしっかり支えていくことが、今後求められるのではないかということもつけ加えておきたいと思います。
次に小児ですが、77ページを見ていただきたいと思うのですけれども、特に医ケア児、私も地域の医師会のほうで医ケア児の担当をしているので、御両親にお聞きすると、何が一番足りないかというと、ショートステイなのですね。在宅で、本当に毎日、お母さん方が、呼吸器をつけた方を見ているのですけれども、どうしてもいろいろな事情で、少しお預かりしてほしいということ。例えば、24時間体制の訪問看護あるいは長時間の訪問看護等々の手当もありますけれども、やはり数日お預かりしたいという医療的短期入所サービスというのが、なかなかどこの地域でも難しい。
福井県全体でも、実はしっかり受け入れられるところが2か所しかない。77ページに「障害福祉サービスにおける『医療型短期入所サービス』」。これは、障害のほうから出るお金だと思いますけれども、ここを利用しようと思っても、そこに対して、例えば、地域包括ケア病床とか、あるいは一般の急性期とか、療養病床でも場合によっては受け入れられるのですけれども、そこに対して、もう少し受け入れられるインセンティブを、例えば、重症度、医療・看護必要度の縛りがあって、呼吸器をつけていなければ入って来れないこともありますし、そういう意味で、もう少し受けやすいインセンティブをつけて頂きたい。これは診療報酬上でも、何かできることがあるのではないかと、私は個人的に感じています。
この医療的ケア児の下支えをするショートステイを、ぜひ医療的にも受け入れる、レスパイトケアというのは、入院ではないのではないかという御意見もあると思うのですけれども、これは、実際、立派な入院治療をしなければいけない方々、それは、施設では絶対に診られない方なので、そういう意味でも、そういう落としどころを見つけていただけるといいのではないかということを、意見として申し上げたいと思います。
以上、2点です。長くなりましたけれども、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
2号側の委員の方々から一とおり御意見を頂戴したようですけれども、よろしいですか。
次に、次1号側の御意見を伺いたいと思うのですけれども、少しお待ちください。その前に、先ほど吉川専門委員、田村専門委員から御意見を頂戴すればどうかという御助言をいただきましたので、専門委員の方の御意見を伺いたいと思います。
最初に、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
95ページの論点につきまして、4点意見を述べたいと思います。
まず、救急医療についてですが、今回、課題で示されておりますように、三次救急医療機関への高齢者、また、軽症者、中等症者の搬送が増加しているところが実態だと思います。
私は看護の立場ですが、そのような状況の中、救急外来で看護師はどのようなことをしているかと言いますと、特に入院できない、またはしない患者で、下り搬送となるような患者につきましては、救急外来で経過観察を行っていくこととなります。搬送された時間などの状況に応じましては、一晩中、入院と同じようなケアをしている状況もございます。
さらに、次の搬送先に向けた情報収集、申し送りなどを行い、患者、家族が安心して転院できるような支援を行っております。
また、入院をしないで帰宅する患者に対しては、帰宅後の対処方法や、症状悪化の際の受診のタイミングの説明などの療養指導を行っております。
そのため、転院搬送の促進のための対策は、もちろん、今後考えていく必要性があると思いますが、救急搬送を繰り返させないための支援の視点というものも、必要と考えます。
次に僻地医療についてですが、僻地におきましては、今回記載がありますように、オンライン診療としてDtoPwithNが有効であるということはもちろんですが、それ以外にも遠隔医療として、看護師によるオンラインを活用した療養指導の取組や、僻地にいる看護師が、専門性の高い看護師に支援、助言を求めるNtoNの形もありますので、今後、遠隔医療及びオンライン診療の推進に向けては、幅広く検討していくべきであると考えております。
次に周産期医療についてです。妊産婦の死亡の原因として自殺が増加傾向となっております。その背景としまして、精神疾患の診断はついていないものの、メンタルヘルスへの介入が必要な患者がおり、支援の必要性に早期に気づき、必要な医療、ケアにつなげるための体制整備が急がれております。
スムーズな連携を進めるために、妊娠中、また、退院前からの保健所や、精神医療機関、訪問看護などとの情報共有、連携の仕組み等につきまして、さらに検討が必要と思っております。
最後に小児医療についてです。少子化が進行していく中で、小児入院医療管理料を算定する病棟や病床に、成人患者が入院してくる状況、また、成人病棟に小児が入院する状況も多く生じてきております。
空床をつくらずに、病床を有効利用する方法としましては、これは必要なことだと考えますが、小児の患者に対して、成長発達段階に合わせた医療、また、看護の提供ができるように、混合化への対応として、小児の区域特定などの対応が必要だと考えております。
さらに、看護職員がより小児患者への療養支援に集中できるような体制整備についても検討が必要であると考えます。
また地域で生活する医療的ケア児についてですが、医療的ケア児が増加しており、緊急入院や、レスパイトの受入れの体制を整備が必要と考えます。これは、先ほど御意見もありましたけれども、今後やはりレスパイトに関して整備をしていく必要があると考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、田村専門委員、お願いいたします。
○田村専門委員
ありがとうございます。
論点の小児医療について、発言をさせていただきます。在宅の医療的ケア児とその家族の支援については、76ページにまとめられておりますように、様々な取組がなされており、その中で歯科医師など、歯科専門職も関わるケースが増えています。
具体的には、在宅生活支援では、歯科訪問診療を行っています。また、社会生活支援においては、幼稚園、保育園、学校等での給食提供や口腔ケアについて、当該施設より歯科医師に専門的な助言を求められることがあります。
高度医療が必要な子供たちが安全に栄養を摂取し、誤嚥性肺炎を起こさないよう、口腔を健康に保つための支援を行うには、歯科医師など、歯科専門職が多方面と連携できる仕組みづくりが重要と考えております。
今後の中医協の議論の中で御検討いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、ほかに御意見はございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございました。
まず、実際に現場で医療に携わる先生方の御意見、非常に参考になり、どうもありがとうございました。
その上で、総論と各論に分けてコメントを差し上げたいと思います。
まず総論として、本日の議論の範囲ではない、7ページにもありますが、医療従事者の確保、さらには、新興感染症の対応を含めまして、医療計画で課題とされていることにつきましては、これまでも診療報酬でかなりの対応をしてきたものと認識しております。
今後、その検証をした上で、さらに診療報酬で評価するということであれば、やはりしっかり対応しているところと、そうではないところのめり張りを強化すべきであると考えております。
さらに9ページに、地域医療構想についての御説明がございますけれども、人口構造の変化を踏まえれば、2025年の目標達成は不可欠でございます。新型コロナの影響は否定できませんけれども、やはり、これが順調に進んでいるとは感じておりません。
これまでの診療報酬による様々な対応について、中医協としては効果を検証し、病床の再編を加速化すべきであると考えております。
また、医療提供体制全般について言えることですけれども、様々な政策ツールを組み合わせて、あるべき姿を実現することになろうと思います。
その際、92ページにありますけれども、やはり診療報酬と補助金の役割分担はしっかり意識する必要があることは、改めて指摘させていただきたいと思います。
続きまして、95ページの論点に沿ってコメントいたします。
救急医療につきましては、高次の医療機関には、これまで以上に役割を果たしていただく必要があります。
そのためには、単に受入れ件数を増やすということだけではなく、高次医療機関で受け入れる患者に重点化すべきであると考えております。
そのためには、高齢の救急患者については、その症状レベルからもリハビリや介護との連携が必要なことを踏まえ、地域包括ケア病棟などの急性期以外の医療機関の対応を促す仕組みを強化すべきと感じております。
続いて、災害医療についてですが、診療報酬で直接評価するというよりも、DPCの地域医療係数でどのように取り扱うのかということが課題だろうと思います。
僻地医療については、資料の52ページ、53ページで紹介されております成功事例を参考にしながら、質の高いオンライン診療や情報通信機器を活用した医療従事者間の連携を推進することが必要だと考えております。
周産期医療については、前回改定でも対応いたしましたが、精神面の支援を含めた対応をどのように進めるかが課題だろうと感じております。
最後に、小児医療についても既に診療報酬で様々な対応をしているため、さらにどのような対応が必要なのか、丁寧に議論はしたいと考えております。
レスパイト入院については、社会的に重要なテーマだとは考えておりますが、診療報酬というよりも、違う形で対応することが本来の形ではないかと考えております。
いささか長くなりましたが、私からは以上になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
安藤委員がお手を挙げていらっしゃいますので、次にお願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
私からも医療計画について、意見を述べさせていただきます。
地域医療構想におきましては、今後、65歳以上の高齢者人口が最も多くなる2040年に向けたバージョンアップが図られていると理解しておりますが、機能分化に向けた取組は、まだまだ道半ばであると認識しております。自治体任せとせず、国として適切なフォローアップを今後も図っていただくように、お願いしたいと思います。
あと、1点質問をさせてください。資料総-6の62ページに、妊産婦に対するメンタルヘルスケアの重要性が書かれております。これはこれで、大変重要なことであることに異論はございませんが、しかし、妊産婦の数よりもはるかに多い、働いている方たちのメンタルヘルスケアについては、厚労省としてどのようにお考えなのでしょうか。
今年の2月24日に行われました、医療保険部会におきまして、私は協会けんぽの傷病手当金申請に占める精神及び行動の障害が原因である件数の構成割合と、金額の推移に関する資料を提出させていただきました。
簡単に数字だけを御紹介いたしますと、平成10年に件数割合で5.1%であったものが、平成25年には25.7%、そして令和3年度には33.0%となっております。
金額としましては、平成10年はひと月で9.7億円。そして、平成25年には43.7億円。そして、令和3年の10月には100.4億円という支払いを行っております。
以上のように、本日は中医協の場ですので、診療報酬に関連づけて少し申し上げますと、このような疾病に関して最も重要なことは、病気になってから病院に行き、薬を処方してもらうことよりも、そのような病気にならないようにすることこそ、最も大切であると考えております。
その意味では、予防のために効果のある診察、診療に関して報酬をつけるということも、一つの方法ではないかと考えます。
本件につきましては、様々な場での議論が必要であると考えますが、この大きな課題に関して、今後どのように対処をしていこうとするのか、お考えをお聞かせいただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
今、安藤委員からメンタルヘルスケアについての取組をどうするかという御質問がありましたけれども、事務局は、いかがでしょうか。
お願いします。
○眞鍋医療課長
医療課長でございます。御質問ありがとうございました。
本日の資料総-6に関しましては、妊産婦におけるメンタルヘルスの重要性ということで、資料を用意させていただいたところでございます。
一方で、安藤委員から、働く方へのメンタルヘルスという御指摘でございました。働く方々へのメンタルヘルスに関しましては、労働衛生の行政の中で、きちんと対応されるべきものと、まず一義的にはそのように思うところでございます。
一方で、そういったメンタルヘルスであり、そういった精神上の不調を来す方が増えていることも事実だということは承知してございます。
診療報酬を議論する中医協という場におきましては、精神医療を議論いただく場もあろうかと思いますけれども、そういったところで、まずは診療報酬の御議論をしていただくことが重要かと思っておりますが、政府全体あるいは社会全体として、働く人のメンタルヘルスをどのように向上させていくか、その中で、定期的な研修をどのように行うのか等について、御議論をいただいているという認識をしてございます。
これ以上は、恐らく労働衛生行政の話になりますので、私からのコメントは、以上とさせていただきます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
最初に92ページの診療報酬と補助金の関係について、先ほど長島委員から御発言がございました。診療報酬で考えるべきものと、それから診療報酬以外で考えるべきものというのを整理して考えるといった考え方は、まさにそのとおりであると考えております。
95ページの論点につきましては、今回、救急医療、災害医療、僻地医療、周産期医療、小児医療について課題と論点が示されております。
中医協では、それぞれの医療に係る評価の在り方についての議論が、今後進められることになりますが、同時に各医療の在り方についても議論が必要だと考えます。
厚労省においては、全体像を把握しつつ、タイムリーに議論を進めていただきたいと考えております。
また、資料9ページの地域医療構想に関してですが、地域医療構想についての全体的な議論は医療部会で行われており、この間、部会において、足元の2025年に向けて着実に取組を進めるとともに、慢性疾患を有する高齢者の増加や、生産年齢人口の減少が加速していく2040年頃を視野に入れつつ、課題の整理や検討を行うべきである旨などを発言してまいりました。
地域医療構想は、診療報酬とも密接に関連しております。人口減少とともに、高齢化が急速に進行していく中、いずれの地域で暮らしていても、質の高い医療を受けられるようにする提供体制の構築は、待ったなしの課題と考えます。
各地域における議論を加速させ、都道府県の地域に応じた取組が進むことが重要です。こちらについても、各地域での議論を進めるために、国として大きな方向性を打ち出していただきたいと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続いて、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
まず、総論としまして、医療提供体制に関しましては、地域医療構想の実現に向けて、19ページにあるとおり、これまでも急性期、回復期等において見直しが行われてきたところであります。
次回改定に向けても、機能分化をより進める方向で検討していく必要があると考えます。その上で、今回の論点について幾つか申し上げたいと思います。
まず、救急医療でありますが、29、31ページのグラフにあるとおり、第三次救急医療機関においても、また第二次救急医療機関においても、そのいずれにおいても救急搬送受入れ件数の分布にばらつきが見られるところであります。
高齢者の増加により、救急患者の搬送が増加する中においては、33ページにあります「救急医療の現状と課題」のとおり、各地域の第二次救急、第三次救急医療機関がそれぞれの役割をきちんと果たしていただく必要があると考えます。受入れ件数のばらつきをよく分析した上で、必要な対応を検討すべきかと考えます。
続いて、僻地医療についてでありますが、僻地における医療提供体制については、第8次医療計画においても、遠隔医療及びオンライン診療を活用していく方向が示されたことは、評価したいと思います。
限られた人材の有効活用、患者の医療へのアクセス確保の両面から望ましい対応と考えます。既に活用されている地域の好事例の普及に向けて、ぜひ取り組んでいただきたいと考えております。
私からは、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
御指名ありがとうございます。
先ほど、先生方から今の課題についてお話を承りまして、非常に大変な問題で、現場で皆さん方は苦労され、また、今後のことを考えていらっしゃるという認識を新たにいたしました。本当にありがとうございます。
ただ、そういった話の中で、支払い側といたしましては、どちらかというと、診療報酬の見直しをたくさんすればするほど、無尽蔵に財源の問題が出てくることもありますので、ある意味では、必要に応じて分配をどうするかという、少し生々しい話かもしれませんが、そういった形の中で過去を検証しながら、今後、細かい話に進んでいければと考えておりますので、そういった形で、先生方にも御協力をいただければと思います。
私のほうは、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見あるいは御質問は、ございますでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
私からは、周産期医療と小児医療について意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、周産期医療ですが、最も重要なことは、質の向上と安全性の確保と考えております。そのために、医療機能の集約化や重点化は必要なことだと考えています。
しかし、その一方で、全国どこに住んでいても、安心して出産ができることを確保することも重要なことであります。
したがって、この2つを両立できるような医療体制の構築を、今後、中医協で議論していくべきと考えています。
そして、小児医療に関しましては、集約化が進んでいる地域におきましては、医療へのアクセスを確保して利便性を向上させるために、オンライン診療を活用することは、もちろん重要なことだとは考えておりますけれども、その中で、やはり安全性ということが損なわれないように考慮しつつ、施策を進めていくことが重要なことだと考えています。
以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問は、ございますでしょうか。
茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員日本医師会の茂松でございます。
今、いろいろ議論が出ましたが、全世代型社会保障法案が通ったところでございます。その中で、かかりつけ医機能の制度整備の観点から、かかりつけ医がふだんから診療所と中小病院、または有床診療所、そこを面で患者さんを診ていくということで、ふだんからそこの協力をしっかりしていくということを、今、日本医師会でもしっかり進めているところでございますし、今までやってきているわけですが、それをさらに強化していくとしています。かかりつけ医が平時から高齢者を診ていくということで、できるだけ高齢者に対する救急を減らしていくことが大事だろうと思います。かかりつけ医が高齢者の体調の異常を早期に治療して、二次救急、有床診療所と連携を図っていけば救急搬送が減らすこともできると考えます。
そして、三次救命につきましては、やはりトリアージ機能が一番重要ではないかと思います。来られたときにすぐ治るものであれば、すぐ診て帰す、帰すときには、下り搬送をしっかり考えていく体制を取っていくことが非常に必要であろうと思っておりますし、しっかり、これは我々がやっていかねばならないということ。
もう一つは、やはりDMAT、DPAT、そこの機能をしっかりさせるということでありますが、これも医師、医療関係職種の派遣元の病院がございます。その病院に対して、それだけの人を送り込むということに対しての対応・支援をしっかりとしていただきたいということが重要かと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
飯塚委員、お手が挙がっていますので、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
95ページの論点に関して、2点コメントをさせていただければと思います。
まず、救急医療の体制に関してですけれども、高齢者の救急搬送の数が増えていると、これは高齢化が進んでいるので、ある意味当然かと思いますけれども、一方で、搬送数が増えるということで、現場に救急車が到着する時間が遅延するという現実があると思いますが、これは救急医療のアウトカムであったり、あるいは医療費に直接影響する重要な問題と捉えています。
現状では、救急の要請があった場合、ほとんど全ての場合、救急車で搬送していると思いますけれども、この搬送数そのそのものを減らすことは可能かどうか、あるいは代替的な搬送手段を利用できないかといった抜本的な方策を含めて、これは医療計画で御検討いただきたいと思いますけれども、救急体制は、医療の質、繰り返しですが、医療提供体制をどう整備して、どう医療資源を配分するかに大きな影響がありますので、よろしくお願いしたいと思います。
2点目ですけれども、僻地医療に関しまして、これは捉え方が、まずかなり限定的だなと感じています。例えば、社人研の推計では、今後30年ぐらいを見ますと、ほとんど大多数の自治体で人口が減少するというのが、もう分かっているということで、人口の減少下で、どうやって医療提供体制を整備するのかが極めて重要な問題となりますので、そういう捉え方をした上で、さらに診療報酬でどうするのかという議論を考えるべきではないかと思います。
特に若年層の人口減少というのが非常に大きくなってきますので、若年層が主に利用するような医療へのアクセスというのが、必然的に難しくなることが懸念されまして、これをどう確保するかというのが重要な論点かと考えています。
以上になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。追加の御意見はよろしいでしょうか。
それでは、ほかに御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、この辺りとしたいと思います。
本日も非常に貴重な御意見を頂戴いたしました。ただ、中医協だけで全部解決できる問題では決してございませんので、事務局におかれましては、他の部局とも連携を深めていただいて、本日いただいた御意見を踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3797

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第545回議事録(2023年5月17日)

ページの先頭へ戻る