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2023年1月25日 中央社会保険医療協議会 総会 第537回議事録

○日時

令和5年1月25日(水)10:00~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 末松則子委員
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 森昌平委員
吉川久美子専門委員 中村春基専門委員、田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 中田医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応について

 

○議事 

○小塩会長
ただいまより第537回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、中村委員と羽田専門委員が御欠席です。
それから、永瀬委員は遅れての御出席と伺っております。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
本日は「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応について」を議題といたします。事務局から資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-1を御覧ください。「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応」ということで、資料をまとめております。
2ページ目でございます。高額医薬品に対する対応に関しては、「令和4年度薬価制度改革の骨子」において、「年間1500億円の市場規模を超えると見込まれる品目が承認された場合には」、「直ちに中医協総会に報告し、当該品目の承認内容や試験成績などに留意しつつ、薬価算定方法の議論を行う」こととされております。
3ページ目を御覧ください。今回の議論の対象となる品目はゾコーバ錠です。
効能・効果は、「SARS-CoV-2による感染症」であり、その対象患者としては、軽症~中等症Ⅰの患者を想定しているものです。
本剤は、昨年11月に薬機法に基づく緊急承認を得ております。緊急承認時に評価された臨床成績は資料の下側のとおりであり、表の下の※で示している症状の緩和が認められ、有効性が推定されたことから、緊急承認されたものでございます。
本剤については緊急承認の期限が1年間とされており、承認から1年以内に必要なデータをそろえて再度、承認申請が必要であり、今後本承認を得ることとなっております。
4ページ目を御覧ください。本剤の位置づけ、使用方法につきましては、日本感染症学会によるガイドラインとして、「COVID-19に対する薬物治療の考え方」が示されております。
赤字部分を御覧ください。エンシトレルビルというのが本剤になりますが、「重症化リスク因子のない軽症~中等症患者に投与可能な症状を軽減する効果のある抗ウイルス薬」とされており、重症化抑制効果が確認されているこれまでの新型コロナの抗ウイルス薬と異なる位置づけのものとなります。
ガイドラインでは、本剤は症状を考慮した上で投与を判断すべきとされており、真ん中にありますけれども、「高熱・強い咳症状・強い咽頭痛などの臨床症状がある者に処方を検討すること」と明記されております。
5ページ目はガイドラインの内容をまとめたものですので、説明は省略いたします。
6ページ目を御覧ください。新型コロナウイルス感染症の国内発生動向でございます。感染のピークが繰り返し発生しており、次第にピークごとの感染者数も増大しておりますが、今後、ピークがどれくらいの頻度で、どれくらいの規模で起こるか、予想が難しい状況でございます。
7ページ目を御覧ください。本剤の投与状況です。現在、本剤は国が所有した上で、都道府県が選定して登録された医療機関・薬局において処方・調剤が可能となっております。
昨年11月の供給開始以降、本剤は新規陽性者のうち0.2%程度の方に投与されている状況でございます。現時点での使用状況は多くなく、このままの状況が続けば市場規模が大きくなることは考えにくいものでございますが、本剤の位置づけを踏まえると、本剤が投与され得る対象患者は広く、感染者数が増加したり本剤の使用状況が大きく上昇した場合には、市場規模が大きくなる可能性があります。
囲みの最後に「〔参考〕」として記載しておりますが、昨年1年間の新規陽性者数は約2700万人でございました。市場規模は薬価が幾らになるかによって変わってくるものでございますが、既に収載している経口のコロナ治療薬であれば、1治療当たりの価格が次の8ページ目に示しているように9万円程度になります。仮に9万円の医薬品が、昨年と同程度の感染者数のうち1~2割に使用されたと仮定いたしますと、試算上は2430~4860億円と数千億円規模になります。それより低い価格であっても、同様に推計すると年間1500億を超える可能性は十分あり得るものとなっております。
したがいまして、本剤は、現時点での使用状況では市場規模が大きくならないとしても、今後の感染動向や本剤の投与状況の変化によっては市場規模が大きくなることが想定され、高額医薬品としての議論の対象とされている「年間1500億円の市場規模を超えると見込まれる品目」に該当し得るものと考えております。これは、重症化リスクを有する患者を対象とするこれまでの新型コロナの抗ウイルス薬とは異なるものでございます。
9ページ目を御覧ください。本剤の提供体制を参考として添付しております。これは現在の提供体制であり、薬価収載され一般流通となった場合には、この流通体制ではなく、通常の流通体制で提供されることになります。
10ページ目を御覧ください。以上の状況から、本剤の薬価収載に向けての論点等をまとめております。
まず、現状でございます。
「現状」の1つ目のポツ、今回、高額医薬品として議題に上げておりますが、薬価収載に当たっては新薬のイノベーション評価の視点も重要となりますので、その点も含めて記載しております。「薬価制度は「国民皆保険の持続可能性」と「イノベーションの推進」を両立させることが重要であり、革新的な医薬品の評価を適切に行うとともに、市場規模が高額な品目については医療保険財政に与える影響を踏まえた上で対応する必要がある。」ということです。
次に2つ目でございます。令和4年度薬価制度改革の骨子において、高額医薬品の取扱いが規定されている旨を書いております。
3つ目のポツ、COVID-19の感染者数につきましては、今後の感染動向や治療薬の投与動向を見込むことが困難であり、仮に今後も感染が収まらず感染者数が増大を続けて、さらに本剤の投与割合が大きく上昇することがあれば、本剤の年間市場規模が急激に拡大し、1500億円を超える可能性も否定できない状況です。
したがいまして、「論点」に示しているように、令和4年度薬価制度改革の骨子における「高額医薬品に対する対応」に基づきまして、本剤の具体的な薬価算定方法として、薬価収載時の算定方法や市場拡大再算定の適用などについて薬価専門部会で検討し、その結果を基に総会で議論することとしてはどうか、と考えています。
資料の補足でございますが、今回は薬価そのものを算定していただくものではなく、先ほど論点で説明した算定方法に関して、本剤が高額医薬品になり得ることを想定して、考えるべき具体的な方法を検討いただきたいとしているものでございます。まずは薬価専門部会で御議論いただくことが適当ではないかと考えて示した資料になっております。
事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
間宮委員から最初にお手が挙がっていますので、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
ゾコーバに関しては期待と不安の両方の感情がありまして、これは医薬品によって健康被害を受けた者として発言したいのですけれども、ゾコーバは催奇形性があるということが既に分かっていて、非常に注意をしながら投与をしていくというようなことで、対策も取ってきていたのだと思うのですけれども、それでも今週報道がありましたように、投与した患者さんがその後、妊娠が判明したというようなことがありました。こういうことが起きてしまう体制というのは一体どうなのというのは非常に疑問に感じました。
さらに、こういうリスクがある薬なのにもかかわらず、薬自体は重症化を抑えることもできないし、死亡率を下げることもできないというようなことが言われていて、プラセボと比べて24時間ぐらい症状が早く治まるという、私に言わせればそれぐらいの効果しかない薬だと。それなのにもかかわらず、実際もう事例が出てしまっていますから、リスクの管理ができていないと思います。
そんな中で、この薬が1500億円規模で使われると想定しているというのは、非常に疑問に感じているところです。使う人が増えて裾野が広がれば、その分管理がきちんとできないような状況にもなり得ますので、その辺りも含めて、絶対に事故を起こさないためにどうするかということをまず考えて、その対策をしてから保険適用の議論に入るべきだと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
令和4年度薬価制度改革の骨子において、年間1500億円の市場規模を超えると見込まれる品目が承認された場合、直ちに中医協総会に報告し、薬価算定方法の議論を行うことが規定されております。
その中で、COVID-19の感染動向や投与動向の見込みが難しい状況において、本剤の市場規模が1500億円を超える可能性が否定できないということから、今回、「4.高額医薬品に対する対応」の発動検討の提案をされたことは、医療保険財政への影響を考慮した対応であり、診療側として評価しております。
10ページの論点にあるとおり、薬価専門部会で検討し、その結果を総会で議論する提案に異論ありません。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
私から意見を述べさせていただきます。
今回のゾコーバに対する対応は、2ページの令和4年度薬価制度改革の骨子を踏まえた初の議論になると理解しております。
高額医薬品に対する対応につきましては、まだ承認前ではありますが、アルツハイマー病に対する新薬のレカネマブも、今後議論の俎上に上がってくるものと認識しております。2025年には、65歳以上の方の5人に1人程度、約700万人が認知症になると予測されており、仮に承認された場合の市場規模は、今回議論をしようとしているゾコーバの1500億という規模から1桁違う規模になることが予想されます。そのため、今回のゾコーバに関する議論はそうした今後の議論の試金石にもなるものであり、あらゆる可能性を想定した上で、しっかりとした議論を薬価専門部会で行っていく必要があると考えております。
もう一点、今回のゾコーバ錠の薬価に関する議論とは少し離れてしまいますが、要望を1点述べさせていただきたいと思います。
協会では船員保険も取り扱っており、その中には長期間外洋に出ている船員たちがおります。その方たちにとって船内でコロナ患者が発生するということが最大のリスクであります。ぜひ、コロナ治療薬となる飲み薬を1日も早く船に常備できるようにしていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
今回のゾコーバの薬価収載の対応につきましては、使用量と単価の2つの観点から年間1500億円を超える可能性が否定できず、慎重な対応が必要であり、論点に示されております事務局案に賛同するものであります。
まず、使用量につきましては、今のところ医療機関や薬局を限定して国が流通管理をしていることもあり、7ページに示されているとおり、投与患者は約2か月間で1万7500人、コロナ患者の約0.2%にとどまっておりますけれども、今後の感染状況を見通すことは難しく、特にゾコーバが対象とする重症化リスクのない軽症の患者が多くなっていることを踏まえれば、一般流通に移行した後に投与患者が大幅に増加することは必ずしも否定はできません。
また、単価につきましても、原則とすべき類似薬効比較方式を基本とするという考え方に立てば、例えば8ページに示されているラゲブリオを例に取りますと、ラゲブリオは重症化リスクのある患者を対象としている点で、ゾコーバとは位置づけが異なります。単純にラゲブリオの薬価に合わせた場合、重症化リスクのない患者に幅広くゾコーバが使えることになれば、そういった観点から市場規模が1500億円を超える可能性が高まります。したがいまして、令和4年度薬価制度改革の骨子に基づき、年間1500億円を超える可能性を念頭に置いた対応をゾコーバに適用することは妥当だと考えます。
ただ、先ほど間宮委員からもありましたけれども、安全性の確認という観点に関しても、緊急承認をして1年間、さらにまたデータを積み重ねるといったこともしていただきたいということがございます。
私は1点、ここから離れる発言をさせていただきたいと思います。
御承知のとおり、現在、政府の中で、新型コロナを春にも感染症法の2類から5類に移行するという議論が始まっていることは報道されているとおりでございます。ただ、一部の報道で、2類の場合は医療費全額を公費で負担している、5類については患者負担が発生するという誤った情報が流れており、現状の2類でも5類と同様に保険給付が行われているということが抜けており、一般に認知されていない懸念がございます。
今後、コロナを移行させる中で、薬剤費だけではなく診療報酬全体についても費用負担に関して正しい理解が進むように、事務局並びに今回この中医協を聞いている皆様方にも御協力を賜りたいということを1つコメントさせていただきます。
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
何人かの委員から御意見をいただいているのですけれども、事務局から何かコメントしていただくことはございますでしょうか。
○吉田医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
医薬品審査管理課長でございます。
冒頭、間宮委員から、ゾコーバについての特に直近の事例としまして、いわゆる妊娠女性に投与した事例があった。安全対策は問題ないのかといったような御指摘がございました。
まず、このゾコーバにつきましては、御案内のとおり動物実験で催奇形性が特にウサギで見られたということから、妊婦あるいは妊娠の可能性がある女性には投与禁忌という形で対応させていただいておりますけれども、そういった中で、投与に当たってしっかり説明と同意を取っている中でも、本人が十分に自覚なく投与されてこういったことがあったということでございます。
このことから、これに対しましては、私どもとしましては、医療機関に対しまして同意説明文書あるいは同意書を用いて、妊婦あるいは妊娠している可能性がないということを患者により詳細に説明する、すなわち、前回の月経後に性交渉を行った場合は妊娠の可能性があり、現在妊娠の方や妊娠している可能性がある場合には申し出ることというような確認事項を追加して、医療現場に周知徹底を行ってございます。メーカーを通じての周知徹底、それから、私ども役所のほうから医療機関に対しても周知徹底を図っている状況でございますので、今後につきましては、その辺りの安全対策はさらなる徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
そういった中で、リスクに比べてベネフィットがいかがなものかというような御指摘もございましたけれども、本剤の薬事承認に当たりましては、データとしましては軽症、中等症の患者さんでの5症状の改善が見られたという結果、これは明確に差が出ているという結果でございます。
一方で、重症化抑制効果を裏づけるデータが得られていないということでございまして、いろいろな要件がございますけれども、そもそもこの臨床試験、治験を行った時点というのが、いわゆるオミクロン株が主流である時期の治験であり、例えばワクチンを打っている患者さん、そういったことも含めた幅広い患者さんで行ったデータでございまして、そもそも重症化しにくい患者群での試験であったということでございますので、そういったことも考慮した上で、それでも差が出ている。さらには、抗ウイルス効果につきましては、既存の抗ウイルス薬に匹敵するような効果も見られている。そういったようなことから有効性については十分推定でき、緊急承認に値する、そういった評価になっているものでございますので、安全管理のさらなる徹底、それから有効性についての薬剤の評価、そういったようなことを十分御考慮いただいた上で、この薬価の取扱いについて御検討いただければと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問はございますか。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
お話しいただきましたけれども、サリドマイドの被害の場合は、私の母もそうなのですけれども、自分が妊娠していることを気づかないまま、薬局に行って、勧められた薬を飲んで、被害を受けて、私が生まれたということなのです。女性は自分が妊娠していることに気づくまで非常に時間がかかるわけで、診察のときにきちんとした同意が得られるかどうかというのは非常に重要だと思いますので、これは徹底的にやっていただくか、もう妊娠可能な女性には投与しないというような方向も考えてもいいのではないかなと思っています。
有効性に関しての説明もありましたけれども、これはプラセボと比べて24時間早く症状が治まるということですね。それは何もしなくても24時間たてば症状が治まるということなのではないのですか。そういうことを考えると、それだけのことでこんなリスクの高い薬を世の中に出していくというのは、私は疑問だということです。もしそのまま使うのだということであれば、安全性を確保することもちろんそうですけれども、有効性もさらに確認していくということを徹底的にやっていただきたいと思っています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、ほかに御質問がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
間宮委員をはじめ委員の方々から御意見を頂戴いたしました。その御意見に関しましては、薬価専門部会で検討の参考にしていただくようにお願いしたいと思います。
その上で、中医協総会としては、この資料の論点に示された方針に基づいて薬価専門部会で検討を進めるということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、本議題に関して薬価専門部会で御議論いただき、その結果を総会に報告していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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