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2022年1月21日 中央社会保険医療協議会 総会 第512回議事録

○日時

令和4年1月21日(金)10:00~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 中村洋委員 
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 鈴木順三委員
城守国斗委員 長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 中村春基専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○令和4年度診療報酬改定に係る検討状況について(説明)
○意見発表者による意見発表、中医協委員からの質問
○その他

○議事 

○小塩会長
皆さん、おはようございます。ただいまより、第512回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
また、会議の公開につきましては、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、末松委員と羽田専門委員が御欠席です。
それでは、公聴会を開催いたします。
開催に当たりまして、委員を代表いたしまして、一言御挨拶を私から申し上げます。
本日は、御参加いただきまして誠にありがとうございます。当協議会は、診療報酬や薬価など公的医療保険から医療機関等に支払われる公定価格を決定する権限を有する厚生労働大臣の諮問機関として設置されております。診療報酬等に関する事項について、厚生労働大臣の諮問に応じて審議、答申を行う役割を担っております。
本日は、1月14日に大臣より諮問された令和4年度診療報酬改定の審議を行うに際して、私ども委員が国民の皆様の声を聴く機会として公聴会を開催することとしたものです。後ほど意見発表をお願いしております方々から御意見をいただく場を用意しております。忌憚のない御意見をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、当協議会の委員を紹介させていただきます。
当協議会は、医療保険の保険者、被保険者、事業主等を代表する委員、いわゆる支払側委員、それから、医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員、いわゆる診療側委員、それから、公益を代表する委員という3つのグループによって構成されており、必要に応じて専門委員を置くことができるとされております。
本日出席の委員は、今、皆さん御覧になっているZoomの画面上、上の左から申し上げます。
公益委員の秋山委員、飯塚委員、関委員、永瀬委員、中村委員です。
続きまして、支払側委員に移ります。安藤委員、松本委員、佐保委員、間宮委員、眞田委員、鈴木委員です。
続きまして、診療側委員の城守委員、長島委員、江澤委員、池端委員、島委員、林委員、有澤委員です。
そして、総会に所属しております専門委員の吉川専門委員、中村専門委員、田村専門委員です。どうぞよろしくお願いいたします。
また、厚生労働省からは保険局長などが出席しております。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日の議事の進め方ですけれども、最初に事務局から令和4年度診療報酬改定の検討状況について説明をしてもらいます。その後、意見発表を事前にお願いしております方々から御意見をお聞きしたいと思います。
それでは、令和4年度診療報酬改定の検討状況について、事務局より説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、まず、事務局より令和4年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理ということで御説明をさせていただきます。これに関しましては、留意事項といたしまして、この資料は令和4年度診療報酬改定に向けてこれまでの議論の整理を行ったものであり、今後の中央社会保険医療協議会における議論により必要な変更が加えられることになるという位置づけのものでございます。なお、項目立てにつきましては、令和3年12月10日に社会保障審議会医療保険部会、医療部会において取りまとめられました令和4年度診療報酬改定の基本方針に即して行っております。時間の関係もありますので、どういった構成になっているかということだけ御説明をさせていただきます。
目次の部分でございますが、1つ目が「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」というもの、2のところで「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」、3のところで「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」、4のところで「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」という4つのパーツに大きく分かれてございます。
その1つ目のところも7つに分かれていて、1つ目が「当面、継続的な対応が見込まれる新型コロナウイルス感染症への対応」、2つ目が「医療計画の見直しも念頭に新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組」、3つ目が「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価」、4つ目が「外来医療の機能分化等」、5つ目が「かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価」、6つ目が「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」、7つ目が「地域包括ケアシステムの推進のための取組」でございます。
2につきましては5つのパーツに分かれていて、1つ目が「地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の確保」、2つ目が「令和3年11月に閣議決定された経済対策を踏まえ、看護の現場で働く方々の収入の引上げに係る必要な対応についての検討」、3つ目が「医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践に資する取組の推進」、4つ目が「各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進」、5つ目が「業務の効率化に資するICTの利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価」。
3つ目のパーツは大きく6つで、4つ目のところが6個に分かれています。1つ目が「患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価や医薬品の安定供給の確保等」、2つ目が「医療におけるICTの利活用・デジタル化への対応」、3つ目が「アウトカムにも着目した評価の推進」、4つ目が「重点的な対応が求められる分野について、国民の安心・安全を確保する観点からの適切な評価」、その4つ目の中で6つに分かれていて「子どもを持ちたいという方々が安心して有効で安全な不妊治療を受けられるようにするための適切な医療の評価」、2つ目が「質の高いがん医療の評価」、3つ目が「認知症の者に対する適切な医療の評価」、4つ目が「地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価」、5つ目が「難病患者に対する適切な医療の評価」、6つ目が「小児医療、周産期医療、救急医療の充実」、大きなパーツで5つ目のところが「口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進」、6つ目が「薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価」となっております。
一番大きな4つ目のパーツのところが8個に分かれておりまして、1つ目が「後発医薬品やバイオ後続品の使用促進」、「費用対効果評価制度の活用」、「市場実勢価格を踏まえた適切な評価等」、「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価」、「外来医療の機能分化」、「重症化予防の取組の推進」、「医師・病棟薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進」、8個目が「効率性等に応じた薬局の評価の推進」となっております。
これのそれぞれの項目のところに個別の今回議論いただきましたことが具体的に記載されているという構成になっております。
事務局からの説明は以上とさせていただきます。
あわせまして、この議論の整理につきましては、国民の声を聴く機会といたしまして、21日までパブリックコメントの募集を行っております。
以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、支払側、診療側から補足の御説明がありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
支払側はございませんか。よろしいですか。
それでは、診療側はいかがでしょうか。
○城守委員
特にございません。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、これから、本日の開催の趣旨であります一般の方々からの御意見を伺ってまいりたいと思います。意見発表者につきましては、今回の公聴会の開催案内に併せて公募を行いました。公募いただいた方の中から、意見の内容や発表者のバランス等を考慮いたしまして、私ども公益委員のほうで12名の方を選ばせていただきましたので、本日はその方々に意見発表をお願いしております。意見発表に当たりましては、まず最初に6名の方に意見を発表していただき、その御意見に対して当協議会の委員から質問をさせていただきます。その後、残りの6名の方から続いて意見を発表していただき、それに対して委員から質問を行いたいと思っております。
なお、時間の関係上、大変恐縮ではございますが、意見発表はお一人につき4分以内でお願いいたします。また、意見発表の初めにお名前と御職業をおっしゃっていただくようにお願いいたします。
それでは、最初に、秋山様、お願いいたします。
○秋山氏
日本航空健康保険組合の秋山でございます。このたびは意見発表の機会をいただき誠にありがとうございます。健保組合の立場から意見を述べさせていただきます。あわせて、この場を借りまして、新型コロナウイルス感染症の治療に貢献されている医療従事者をはじめとされる皆様に心より敬意と感謝を申し上げます。
健保の財政につきましては、団塊の世代が75歳に到達する前の踊り場であることや、コロナ禍において一時的に患者が減少した影響もあり、小康状態に見られがちですが、実際は全く異なっております。健保の令和2年度決算集計によりますと、全体の3分の1の健保は赤字です。収入面では、経済の低迷により平均標準報酬月額と平均標準賞与額はいずれも低下し、保険料が大きく減少しております。支出面では、後期高齢者医療拠出金が増加し、義務的経費に占める拠出金割合は平均48.1%となっており、全体の約4割に及ぶ健保で拠出金割合が50%を超えております。さらに足元では保険給付が急激に伸びております。
私の健保もコロナ禍の中で賞与の大幅減少などにより保険収入が大きく減少していますが、加入者の健康を守り、健保の持続的な運営も維持するために、業務の効率化等を進めたり、重症化予防、予病としての保健事業を適切に行うことにも取り組んできております。
一方で、コロナ禍の中において少子高齢化は着実に進展します。支え手が減少する中で、いよいよ今年から団塊の世代が75歳以上になり始め、この数年で高齢者医療拠出金が急増し、保険財政は危機的状況を迎えることが確実です。10月以降は後期高齢者でも一定以上の所得があれば自己負担が2割になるということですが、それでも過大な現役世代の負担軽減にはほど遠く、さらなる給付と負担の見直しが求められていると思います。
給付の見直しに向けては、後期高齢者が急増し始めるタイミングで行われる今回の改定は特に重要な意味を持つと認識しております。被保険者と事業主から預かった保険料、限りある保険財源を有効活用するために、これまで以上に重点化と適正化のメリハリを利かせ、より安心・安全で効率的・効果的な医療を実現することが不可欠になってきていると思います。
まずは入院と外来のいずれも、医療機能の分化、強化と連携をさらに進めていただくことを希望いたします。入院につきましては、人口構造の変化に対応し、医療ニーズを過不足なく満たすことが重要であり、特に急性期医療において医療資源の集約が進み、新型コロナのような有事にも対応できる強い医療提供体制につながるように、入院基本料の見直しを行っていただきたいと思います。外来につきましては、患者が選んだかかりつけ医をまず受診し、必要に応じて専門医や入院へスムーズにつなげてもらうことが大切だと思います。コロナ禍の教訓から、保険者としましても、かかりつけ医を持つことで安心が高まることを加入者に周知していますが、個人がかかりつけ医を探そうというときには、やはり国や医療施設がかかりつけ医になる医療機関についての情報提供や情報公開をすることが効果的であると思っております。
次に、コロナ医療の医療費についてです。一昨年の春にPCR検査が保険適用されて以降、治療費について様々な特例措置が設定され、診療報酬が通常より高くなっておりますが、自己負担が公費で補助されるために大部分を保険で給付している事実を御存じない方も多いように感じます。保険者としましては、保険適用された部分は責任を持って給付しますが、限界がございます。今回の教訓を生かして、国の責任で対応する部分と医療保険制度で対応する部分を改めて整理することが必要だということを指摘させていただければと思います。
最後に、少し診療報酬と離れるところでありますが、不妊治療について言及いたします。不妊治療は、我々現役世代の保険給付に特に影響があります。保険適用するからには患者の希望に応えられるよう、安全で効果的な内容としていただきたいと思います。さらに、企業の働き方や子育て支援を含め、国を挙げた総合的な対応について厚労省が中心となって御検討いただければと思います。
以上が健保組合の立場からの意見でございます。何とぞ御配慮いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、松井様、お願いいたします。
○松井氏
松井道宣です。京都市内で207床の急性期病院などの運営をしております。このたびは意見発表の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
現在、オミクロン株が猛威を振るっており、全国各地で感染者数が過去最大を更新しておりますが、医療従事者は常に感染リスクにさらされ、感染者増とともに多くの医療従事者が感染し、あるいは濃厚接触者になり、仕事ができなくなっています。病院のベッドに空きがあっても、医療従事者がいないため十分な医療が提供できないという状況になっております。
さて、今回のコロナ禍におきまして、京都府では当初から、京都府が入院医療コントロールセンターを設置し、感染者の情報の一元管理を行ってきました。症状やリスクに応じて入院や宿泊療養のトリアージを行い、入院については、病院の診療機能と余力を鑑みながら入院先を決定し、症状悪化時の上り搬送や軽快時の下り搬送など、医療機関がそれぞれの機能に応じて役割を分担し、連携を行いました。結果として、限りある医療資源を有効に活用し、感染者増にも対応できたと考えております。
今回の感染症を経験して、医療機関の機能に応じた役割分担と連携の重要性を改めて確認しました。一方で、課題となったことは、感染の拡大によって医療が逼迫し、通常医療が大きく制限されたことです。このたび感染症対策が5疾病5事業に加えられることになりましたが、その目的は、新たに起こるであろう感染症に対しても通常医療を損なうことなく医療体制を維持することであり、そのための医療資源、人材の余裕のある確保などが必要であることが明確になりました。
言うまでもないことでありますが、医療機関経営を健全に維持するための原資は、診療報酬しかありません。今回の医療経済実態調査の結果を見ましても、新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、新型コロナウイルス感染症関連の補助金が断続的に投入されたにもかかわらず、多くの病院で収益が悪化しており、診療報酬による手当てが十分でないことは明白です。
このような中、令和4年度の診療報酬改定が本体プラスになったことは、医療機関にとって明るい材料ではありますが、その財源をどのように分配するか、この中医協での議論が非常に重要な意味を持つことになります。
病院の現場では、不測の事態に備えて基準以上の人員の配置を当然のように行っておりますが、その状況を見て、人員に余剰があるという誤った解釈がなされ、改定のたびに要件が厳格化されるようであれば、経営が圧迫され続けることになります。国民が求める十分な医療提供体制を維持し続けるためには、有事にも耐え得る余力を平時にも確保しておく必要があることから、人員に対する評価は極めて重要です。病院がどのような機能を選択したとしても、一定の余裕のある経緯が成り立つような診療報酬体系であるべきだと思います。今回の新型コロナウイルス感染症の経験を糧に、これまでの医療費抑制政策が見直されることを望む次第です。
さて、近年の診療報酬改定は、前回改定を踏まえてその結果を検証し、次の改定に生かすという方法が確立しております。この方法は改定内容が果たして医療現場に寄り添うものであったかを確認する上で非常に有効な仕組みといえます。一方で、改定のたびに手直しされる項目が固定化されてしまうという課題もあり、医療現場に過度な負担を強いる要因となっている側面もあります。7対1看護配置の急性期一般入院料等は、まさにその象徴的な点数です。直近の中医協総会においても、重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直しに関するシミュレーションが提示されましたが、日々患者さんの治療やケアに当たっている医療従事者の現場感覚と大きな乖離があると思います。通常の入院患者さんに加えて新型コロナ患者への対応に苦慮する中で、献身的に目の前の患者さんに寄り添い続けている医療従事者の努力をぜひとも正当に評価いただきますようにお願いを申し上げます。
私からは以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、宿野部様、お願いいたします。
○宿野部氏
宿野部武志と申します。一般社団法人ピーペックという疾患を問わずに病気を持つ人や患者会のサポート、また、政策提言活動などを行っている団体の代表理事を務めております。本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私自身は、3歳のときに慢性腎炎という病気になりまして、18歳から血液透析を34年間受けております。がん治療も含めまして、これまで多大な医療の恩恵を受け、支えていただいております。また、このコロナ禍において御尽力いただいている医療者の皆様には心から感謝申し上げたいと思います。
本日、私が意見として述べさせていただきたい点は4点ございます。1点目は、ピアサポートという、同じ病気の人が同じ病気の人を支えるというこの取組を医療の現場の内と外で生かすことを進めていただきたいと思っています。人は病気になったときに、不安になったり、恐怖に襲われたり、そういった状態になることは皆さんも御想像できるかと思います。その際に、同じ病気を持つ立場からの支援、ピアサポートの関わりがそういった方々を支える意味で大変重要かつ効果的だと思っております。私自身は腎臓病透析患者のピアサポート活動を約7年間続けてきておりますけれども、特にもうすぐ透析ですと言われて、もう人生おしまいだというような大きな不安と恐怖を抱き参加された方が実際に透析をしているサポーターに話を聞いてもらい、対話を重ねることで、笑顔で帰られ、透析と向き合う気持ちをつくって透析にソフトランディングしていく。そして今度は自分が支える側としてサポーターになられるという方もいらっしゃいます。
治療の場面において、同じ病気のサポーターや患者会などのピアサポートにつなげることを積極的に進めていただくということが、私は、医療者の負担の軽減にもつながる重要なことではないかと思っております。そして実際にアメリカでは、がんの領域で、医療者だけではなく、これは患者ではないですけれども、一般市民が一緒になってがん患者に伴走するシステムを導入した病院があります。そして医療費が下がったという実例も実際にございますので、例えばチーム医療の中にピアサポートワーカーという職種を加えていただくことを検討していただくこともよいのではないかと思っております。
次に2点目になります。2018年に制定された療養・就労両立支援指導料に関してでございます。3人に1人が病気を持ちながら働いているという現状もあることから、治療と仕事の両立を支援するということは、本質的には病名というよりも、その個別の症状で対応してほしいと思っております。ただ、現在進められている療養・就労両立支援指導料に関しては、本制度の施行後、まだ件数自体がかなり少ないという実態があるそうです。病気を持つ人が安心して就労し続けるための支援を多くの患者が受けられるように要件緩和を進めていただきたいと思っております。
3点目はオンライン診療の普及促進をお願いしたいということです。コロナ禍において感染リスクの高い患者の通院は大変不安を伴うものになります。特別な検査など通院をしないと行えないというものでなければ、オンラインで診療を行ってもらえる状況だととても助かるということが言えます。また、コロナが収まっても体力的に厳しい患者にとっては通院自体もかなり大きな負担になっております。オンライン診療が受けやすい環境が整備されることはとてもありがたいものだと思います。希望される方が格差なくオンラインで受診できるように医療機関の体制を整えていただきたいと思いますし、また、その推進のバックアップもぜひお願いしたいと思っております。
最後の4点目になりますが、診療明細書に関してです。多くの国民が、治療は受けるものという意識が強いのではないかと思っています。医療は全ての国民が関わるものでございまして、つくり上げていくものだと思います。自身が受けた医療を理解して、医療に参加する意識を高めるためにも診療明細書の無料発行をお願いしたいと思います。私自身、自分から申し出て診療明細書を頂き、自分の治療についての理解を深めているという現状がございます。通院、入院、在宅など、受診形態にかかわらず医療を受けた全ての患者が無料で受け取れる環境を整備していただきたいと思っております。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、黒瀬様、お願い申し上げます。
○黒瀬氏
おはようございます。都内で診療所を営んでおります黒瀬と申します。このたびは意見発表の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。私からは、診療所側の意見として3点ほどお話をしたいと存じます。
まず最初は、かかりつけ医について述べさせていただきます。今回の診療報酬改定に向けた中医協では、かかりつけ医の役割について熱心に御議論いただいておりまして、また、コロナ禍にあって国民のかかりつけ医に対する関心も高まっていると認識しております。我が国では、高齢化の進展に伴い、複数の慢性疾患を抱える患者さんが増加しており、予防や健康管理のほか、在宅医療や介護を含めて継続的に患者さんを診療する必要性が高まっております。また、今般のコロナ禍のような有事の際には、患者さんが必要な医療にアクセスできるようにするために、緩やかなゲートキーパー機能を備えたかかりつけ医機能を推進する必要性を感じております。
ただ、御議論の中には、かかりつけ医を制度化することを求めている御意見もあると承知しております。そもそもかかりつけ医とは、制度化により義務づけられるものではなく、国民皆保険の基本原則でありますフリーアクセスの下、患者さん御自身が自由に選択すべきものと考えます。かかりつけ医の制度化により、患者さんの選択の自由が阻害されてしまったり、あるいは包括払いを導入することで医師の裁量が制限されてしまい、かえって患者さんに必要な医療を適切に提供できなくなるような事態に陥ることは絶対に避けるべきです。かかりつけ医機能の普及は、各地の医師会で行っているかかりつけ医機能研修制度等の拡充によってかかりつけ医そのものの質を向上させるとともに、国や保険者も含めた関係者全体で患者さんに対して上手な医療のかかり方の普及啓発を行いながら進めていくべきと考えます。
続きまして、オンライン診療について申し上げます。新型コロナの感染拡大期におきましては、オンライン診療が一定の役割を果たしたことは間違いございません。一方、医療現場においては対面診療のほうがより質が高く安全であり、単に利便性や営利性を優先した拡大を目指すべきではないと考えます。オンライン診療は、ただ単にDXという時代の流れに翻弄されながら進めていくのではなく、診療の質を担保しつつ、安全性と信頼性を柱とする適切な基準や点数設定を行うべきであり、対面診療を前提とした医療提供体制を壊してしまうようなオンライン診療へとはならないように、診療報酬の仕組みづくりこそが喫緊の課題であると認識しております。
最後は感染症への対応についての意見です。2年にわたり全国の医療機関は感染リスクを乗り越え、風評にも耐えながら新型コロナ感染症と全力で闘っております。診療所では複数の慢性疾患を抱える高齢の患者さんを診療する機会も多いために、重症化リスクが高い患者さんも診療しながら、同時に感染症の患者さんを受け入れることはなかなか難しい面もございます。小規模な診療所が多いために、発熱患者を受け入れる場合には感染防止のためにやむなくほかの一般の患者さんの受入れを一時停止しなければならない場合も少なくありません。このような対応は受診抑制につながりやすく、その点を配慮した診療報酬上の評価がなければ、発熱患者さんへの対応が困難となる場合がございます。
他方で、発熱患者さんを受け入れることができない医療機関であったとしても、コロナの終息がいまだ見通せない現状では、感染防御策の継続は必要かつ不可欠でございます。コロナ禍の診療において患者さんと医療従事者を感染から守るためには、全ての診療所において基本的感染予防策の徹底が求められているわけですが、既存の診療報酬では、そのポストを適正に評価されてはおりません。令和4年度改定に向けてぜひとも御議論いただきたいと切に願っております。
私のほうからは以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森嶋様、お願いいたします。
○森嶋氏
おはようございます。三重県名張市役所福祉子ども部長の森嶋です。本日はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。私からは、国民健康保険の保険者の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、このたびの新型コロナウイルス感染症の対応につきまして、医療従事者の皆様方、また関係機関・団体の皆様方の献身的な活動に対し、心より感謝申し上げます。
私ども国民健康保険は、全ての国民がいつでも、どこでも、安心して医療を受けることができる、国民皆保険制度の中核を担うものでありますが、被用者保険に比べて中高年齢者が多く加入していますことから、さらなる医療費の増加が見込まれる一方で、保険料の負担能力が弱い方々の加入割合が高い構造となっておりまして、被保険者にとって保険料の負担が高いなどの課題を抱えております。
そのような中においても、新興感染症を含め、様々な疾病に対し有用性と安全性を確保しながら被保険者が必要な治療を受け、健康的な生活を送ることができるよう、被用者保険とともに保険事業を安定的に運営していくことが求められています。
新型コロナウイルス感染症拡大につきましては、現在、第6波の真っただ中にあり、今後も予断を許さない状況であることを踏まえ、国民が適切な医療を身近で安心して受けることができるような医療体制の構築が必要であります。
令和4年度の改定におきましては、新たに不妊治療の保険適用など、今後の少子化対策に向けても大きな希望となる項目が含まれています。患者のニーズと医学の進歩を踏まえ、限られた医療資源が効果的に機能するよう、医療機能の分化、強化と連携の推進に向け、エビデンスに基づいた評価がなされていくことが必要であります。
また、10月より診療報酬に採用される看護における処遇改善につきましては、確実に本人に行き渡るような仕組みをお願い申し上げます。2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、今後の人口構造が及ぼす医療費の影響を踏まえ、国の方向性である地域医療構想の推進に向けて丁寧な御議論を期待させていただきたいと思います。
最後になりますけれども、患者の経済的負担を抑え、安心して医療を受けることができる環境整備につながる診療報酬の改定であっていただきますことをお願い申し上げ、私からの意見とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、小林弘祐様、お願いいたします。
○小林(弘)氏
内科系学会社会保険連合、内保連といいますけれども、その理事長の小林弘祐と申します。内保連は加盟する内科学会、現在、日本内科学会を含め138学会から構成され、提示される学術的根拠に基づき社会保険医療の在り方を提言し、その診療報酬の適正化を促進することを目的としています。したがって、決して利益団体ではなく学術団体です。
さて、米国の公的保険の基となる相対評価尺度、RBRVSでは、医師の負荷、ワークロードが約50%評価されており、外保連試案でも手術時間と医師の経験年数による負荷を算定の根拠にしています。しかし、現在の日本の診療報酬体系では、内科系医師の技術評価はありますが、負荷、ワークロードは評価されていません。内保連では内科系医師の負荷の評価を2015年から継続して行い、このたび広範なデータを集めて統計学者とともに分析し、2020年12月にグリーンブックとして公表いたしました。
まず、DPCデータを収集し、内科系約1,800分類を対象に1,629人の主治医により患者1万1395人のエピソードについて負荷度評価を行いました。これにより約3分の1の内科系診療をカバーしました。次に、19領域249人から成るエキスパートパネルで負荷度ランクを決めました。これにより合わせて約3分の2をカバーしました。最後に、主治医調査を教師データとして機械学習モデルを構築し、この機会学習モデルを活用して内科系診療全体をカバーいたしました。この負荷度評価の診療報酬への応用として重症度、医療・看護必要度への適用を提案しています。
現行の重症度、医療・看護必要度の問題点として、内科系医師から見た重症度や負荷の視点が十分には評価されていない点。A、B、C項目が縦割りのカットオフ値を持っており、統合した指標ではない点。重症度、医療・看護必要度といいながら、重症度評価の感度や特異度を検証していない点などが挙げられると思います。
内保連では、負荷度ランクのビッグデータを基に内科系医師の負荷を適切に表現できるD項目を9項目選定したところ、各種の重症度評価における感度、特異度がD項目を含まない従来の重症度、医療・看護必要度より有意に改善しました。この分析については、このグリーンブックに詳しく書かれています。
その後、全日本病院協会、日本医師会、厚労省保険局医療課、医系議員の方々とも意見交換を行い、現場の意見を幅広く聴取し、現場の負担を軽減する観点から、D項目の中でEFファイルから抽出できる6項目に絞り分析を全てやり直しました。そのD項目、6項目でも、従来のD項目を含まない重症度、医療・看護必要度より感度、特異度ともに改善できました。さらに補足的にAからD項目の素点の合計値についてカットオフ値を設けることも提案しています。第506回の中医協資料全体版のPDFの39ページ、右下の9ページ目にD項目案の提案が書かれていますけれども、これはまだ古い資料で、9項目から6項目に改定しており、上から6項目が内保連の提案になっております。それに伴い、重症患者の判定基準は素点合計が9.5点以上から8.5点以上に変更になっております。
最後に、新型コロナウイルス感染症が蔓延し、この医療の最前線に立ち、自ら感染するリスクにありながらこの感染症と闘っているのは全国の内科系医師です。この内科系医師のワークロードを評価する診療報酬の仕組みを何とぞ御考慮いただきたく、お願い申します。私は、内保連の理事長であるとともに、学校法人北里研究所の理事長も拝命しています。感染症と闘った学祖、北里柴三郎博士の伝統を継ぐ者としてこの場に参加させていただいたことを感謝いたします。ありがとうございました。
以上です。
○小塩会長
どうもありがとうございました。ただいま6名の方から御意見を頂戴いたしました。
それでは、今いただいた御意見に対して、委員の方から御質問等をお願いしたいと思います。ただ、本日の公聴会は、一般の方々から御意見をお聴きして、今後の中医協の審議の参考にするということを趣旨にしております。したがいまして、各委員におかれましては、本日はいただいた御意見に対する確認や質問のみにしていただいて、委員からの意見の表明や反論につきましては、控えていただければと思います。
それでは、ただいま御意見をいただいた6名の方々の御意見に対しまして、御質問等はございますでしょうか。
間宮委員、お手が挙がっております。よろしくお願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。意見発表をしていただいた方々、ありがとうございました。
私からは宿野部さんにお聞きしたいのですけれども、お話の中で、ピアサポートを患者が受けるようにするために医療者から患者会につなげることが大事だと、有効なのではないかというお話がありましたけれども、今、医療者の方から患者会への紹介というのは実際に行われているのでしょうか。事例などがあれば教えていただきたいと思います。
もう一つは、医療チームにピアサポートワーカーという職種と表現されていましたけれども、このピアサポートワーカーというのをもう少し詳しく教えていただければいいかなと思います。アメリカなどでは既に導入されているというお話だったので、その辺りを教えていただければいいかなと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
宿野部様、いかがでしょうか。回答をお願いできますでしょうか。
○宿野部氏
御質問ありがとうございます。1点目の御質問に関して、医療者から患者会、ピアサポートにつなげる事例はあるのかということでいいますと、実際にございます。ただ、私は腎臓病という領域ですけれども、まだまだ少ないかなと思っております。それに比べてがん領域は比較的、患者会につなげるということだったり、病院の中にがんサロンがあったりとかいうことで進んでいるというイメージがございます。
2点目のピアサポートワーカーに関しては、先ほど御紹介したアメリカでの事例はアラバマ州のがんセンターでの研究になるのですけれども、患者ではなく一般市民が参画してがん患者と伴走していくといったシステムで、レイ・ナビゲーターと言われています。実際にその制度を導入したことで全体で年間1900万ドルの医療費の減少が見られたということが発表されております。こちらは一般市民ということですけれども、同じ病気の患者が関わるということでも近い効果は当然得られるのだろうと思って発言をさせていただきました。
あともう一つは、医療者の負担。今のコロナ禍でもそうですけれども、医師の過重労働とか医療者の本当に大変な状況を改善するためには、医療者だけではなくて一般市民と患者も関わって、みんなで医療を何とかするという意識を持たせる意味でも、こういった役割を持つということも必要なのではないかと思いまして、発言をさせていただきました。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問。佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。今まで意見発表された皆さん、それから、この後、後半部分で意見発表を予定されている皆さん、大変ありがとうございます。感謝申し上げたいと思います。
私からも宿野部さんにお伺いしたいことがあります。お話の中に療養・就労両立支援指導料について要件緩和を進めていただきたいという御意見をいただいたかと思います。療養・就労両立支援指導料の現在の要件について、問題点はどこにあるのか、教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございます。
引き続き、宿野部さん、お願いいたします。
○宿野部氏
御質問ありがとうございます。療養・就労両立支援指導料に関しては、私の周りで難病の方のサポートをしている方とか、患者会の中心の方に聞いても、周りにそういった事例がないということをおっしゃっています。現在、制度の新設以来、対象の疾病を増やしていこうという動きがあるのかなと見ておりますけれども、それでも疾患でくくっていくと必ずそこで抜け落ちてしまうという方がいて、現状、労働者の3人に1人は病気を持ちながら働いているという状況の中、支援を受けられないという方が出てきているので、今申し上げた、本質的には疾病名でくくるよりも患者の状況、症状に合わせた対応が必要かと思っていますし、障害者手帳を持っているということですと、また状況が違っていって、企業は十分でないながらも対応できているということもあるのですが、多くの難病を持った患者はその枠外におります。
このコロナ禍において、リモートで仕事をすることがさらにツールも含めて進んできて、環境が整っている現状ですので、ぜひそういったことで手帳の有無にかかわらず、病気を持った方が働きやすくなることを進めていただきたいというようなことをしていることになります。ありがとうございます。
○佐保委員
ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。皆さん本当に大変な御発表をありがとうございました。その中で、松井様と宿野部様に1点ずつ御質問させていただきたいと思います。
まず、松井様は、200床クラスの急性期病院を経営する立場で、最後のほうに重症度、医療・看護必要度の現在のシミュレーションは現場感覚と大きな差を感じるということをおっしゃいましたが、もう少し具体的にどの辺で現場感覚とのずれをお感じになっているか、お教えいただければと思います。
あと、宿野部様には、ピアサポートのチームをつなげるという点、私はすごく勉強になりました。ありがとうございました。その中で、オンライン診療についても非常に利便性が高い、特に患者さんの立場でも利便性が高いということをいただきましたが、一方で、宿野部様のように多くの疾患を抱えて治療をしながら就労されている立場だと、オンライン診療だけではなくて対面診療とお互いに補完し合ったほうがより信頼感が高まってよくなるのではないかという認識も私自身は持っているのですが、その辺のオンライン診療と対面診療の関係ですね。完全に置き換わるのではなくて補完し合う関係ではないかという思いもあるのですけれども、その辺は実際に患者さんの立場でどうか、お聞かせいただければと思います。
2点、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、最初に、松井様、御回答をお願いできますでしょうか。
○松井氏
御質問ありがとうございます。本文でも申し上げましたけれども、中医協で議論を毎回、例えば重症度、医療・看護必要度の見直しに関する検討が行われていて、今回特にA項目で削除、B項目で削除される項目が示されているということでございます。現場感覚で言いますと、心電図モニター管理を削除されるということが、ちょっとやはり我々にとっては理解しにくいと率直に考えているところであります。
実は、必要度の評価をこういう項目で評価されることに対しても少し違和感がありまして、今回、申し上げると、コロナウイルス感染症を経験して大変多くの示唆を得たと思っております。といいますのは、感染者は軽症者あるいは無症状者から重症者まで大変広いバリエーションを持っておりまして、重症度によってそれぞれトリアージを行われていったわけですけれども、軽症、中等症と判断し、それに対応する医療機関に入院した患者が重症化したときには、高度医療機関への上り搬送というのが行われました。このときに患者さんの病状は経時的に変化をしていくわけですけれども、その経時的変化に対応するためには、実は高度医療機関に送る側の医療機関にも、高度医療機関につなげるための医療技術、あるいは資源、人材が必要であるということで、高度医療とそれ以外の医療というふうに明確に分けることはできなくて、医療の継続を考えた場合には、連続的な医療機能の評価というのが必要であると考える次第であります。それぞれの医療機能に十分な余力があってこそ、今回のような想定外の事態にも対応することができると考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、宿野部様、お願いいたします。
○宿野部氏
御質問ありがとうございます。オンライン診療と対面診療のバランスというか、その点の考えなのですけれども、基本はやはり対面で診療することでないと気づけない信頼関係とかというのはコミュニケーション上あるのかなと思っておりますし、話の空間での雰囲気、また、間だったりするもの、あとは顔色とか様々なものは、総合的には対面をすることで医療者の方がより得られる情報が多いのかなと思っております。
片やオンラインが必要だというのは、今の感染状況だったりとか、あと、そもそも病気を持ち体力がない中、病院での待ち時間を含めて通院だけで一日終わってしまうという、そこの体力的な本人へのダメージを考えると、そこは対面を基本としながらも必要時にはオンラインも織り交ぜていって、また、体調が悪ければ適時というか、行く予定だったけれども、体調がどうしても思わしくないのでオンラインでという、そういった融通が利くとまたそれはありがたいのかなと思っております。
以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。これまで発表いただいた皆様方に感謝いたします。その上で、宿野部様に1つお聞きしたいことがございます。先ほどお話をいただいた中におきまして、療養・就労両立支援に関してのコメントをいただいておりますが、この療養・就労両立支援、診療報酬上で評価をしようといたしておりますが、なかなかその対象が広がらないというお話でございました。実際、この要件を算定するという回数も極めて低いままの状態でございます。先ほどそれに対して、例えば症状等を加味してというお話もあったようでございますが、宿野部様的には、どのような形を取ればさらにこの評価というものを広げることができるのかどうかということに関して、御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
宿野部様、よろしくお願いいたします。
○宿野部氏
御質問ありがとうございます。先ほど申し上げた病名ではなく症状というのは、両立支援指導料というのは病気を持つ人がいかに働きやすくするためにというのがそもそも目的ではないかと私は思っておりますので、そういうことであると、働きづらさに関してのサポートですので、多分、病名ということで一くくりにしても、同じ病気でも症状が違うということがあります。なので、ある職業というかある会社で働くときに、こういった働きづらさがどうしても症状であるということをしっかり主治医が認めて、そして、産業医なり安全衛生管理者なりが話し合って、それはサポートしなければいけないねという連携をもっと密にすることが必要だと思うのと、あと、大きな企業は産業医とかそういう方がいるかもしれませんけれども、中小の企業はなかなかそこが難しい体制づくりがあるのかなと思っておりますので、そういった企業側の対応する方をもうちょっとフレキシブルにするということもあるかなと思います。症状と対応する企業側の担当者というのもあるのかなと思っております。すみません。回答になっていないかもしれないです。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。委員の方々から御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、6名の方、ありがとうございました。
引き続き、後半の6名の御意見を頂戴したいと思います。
最初に、田中様、お願いいたします。
○田中氏
メイトク株式会社、田中達也でございます。まずは、本日、このような意見発表の場を頂戴し、誠にありがとうございます。当社は愛知県豊明市にございまして、金属製品及びワイヤーハーネスの製造を行っており、従業員としては40名ということで営業活動を行っております。
まず、本題に入らせていただく前に、中小企業の事業主としての立場から、コロナ禍における昨今の中小企業を取り巻く景気環境について少し触れさせていただきます。昨年12月、政府の月例経済報告によりますと、景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況は徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きが見られると認識が示されています。経営者としても確かにそのような状況にあるのは把握をしておりますが、需要としては非常に好調であるのですけれども、皆様御承知のとおり、原油をはじめとする各種原材料の価格高騰、そして、半導体を代表とします部品供給の不足ということで、非常に生産状況が厳しいというのが現状であるかなと考えております。ついせんだっても、トヨタ自動車さんもまた減産という報告発表をされたところでありますので、まだまだ今年も部品供給について、また、部品の確保については厳しい状況が続くのではないかと考えております。
そのような中で、私どもが加入している協会けんぽの平均保険料率につきましては、依然として10%と高い水準にございまして、我々保険料を負担します経営者側、そして加入者の負担が限界に達していると感じております。この意味でも、診療報酬改定だけではなくて、高齢者医療の在り方、また、国庫補助の在り方も含めて国民皆保険制度をどのように持続可能なものにしていくかということが重要だと考えております。
先ほどから皆様がお話をされたとおり、本年から団塊の世代の方が後期高齢者となり始め、医療需要がますます増大していくというところに差しかかってきております。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、入院が必要な方でも自宅療養を余儀なくされたという事実によって、医療提供体制の構築という課題を浮き彫りにしたのかなと考えております。
今日から愛知県もまん延防止等重点措置が適用になりました。いわゆる第6波ということでございますが、第5波のような事態が二度と起こらないような体制の整備を早急に進めていただければと考えております。このような厳しい経済環境の下、人口の構造変化、また、コロナ禍の教訓を踏まえて入院、外来、在宅にわたる医療機能の分化、強化、連携を進めて、効率的かつ効果的な医療提供体制を構築していただきたいと思っております。
その意味でも、平成4年度診療報酬改定はこれまで以上にメリハリをつけた改定としていただきたいと考えております。事業主の立場からしまして、このメリハリにおいては大きく2つのポイントがあると考えております。1つ目はかかりつけ医の明確化。こちらにつきましては、昨年来、新型コロナウイルス感染症をきっかけにしまして、かかりつけ医の重要性というのが認識をされていると考えております。ただし、我々のような中小企業におきましては、従業員はなかなかかかりつけ医が見つからないという状況でございますので、ぜひともかかりつけ医を各人が持てるような制度、体制を構築していただきたいと考えております。
2つ目はオンライン治療。こちらにつきましても、コロナ禍においてオンライン治療の活用が進んできましたけれども、なかなか中小企業の従業員は、平日は仕事との兼ね合いで診療がままならないというのが現実でございます。そういった観点からもオンライン治療というものは有効な手段の一つであると考えております。安全性、有効性を前提として、患者のニーズに対応したオンライン治療のさらなる普及・促進を進めていただきたいと感じております。
また、従業員の観点からしますと、特にがん、そしてメンタルヘルス、こちらについての治療、いわゆる仕事と治療との両立ということができる体制づくりも構築をしていただければと思っております。
最後になりますけれども、診療報酬は、我々患者が受けた医療行為の対価として支払われるものとして理解をしております。したがって、診療報酬の改定を行うに当たっては、その目的や趣旨、内容が国民に十分に理解されるよう、十分な周知、説明をしていただくことが不可欠であると考えております。こうした患者本位の医療を推進することによって、保険料や窓口負担を支払う国民の納得感を高めることができ、結果として我が国の国民皆保険制度を持続可能なものとしていくことができると考えております。
以上が私の意見でございます。御清聴ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、大杉様、お願いいたします。
○大杉氏
三重県津市で歯科診療所を開設しております歯科医師の大杉と申します。本日はこのような発言の機会をいただき、心より感謝いたします。
国民が生涯にわたって健康を維持していくためには、歯科医師が他職種と緊密な連携を図りながら、質の高い歯科医療を提供することが不可欠であるとの認識が広く共有されるようになりました。私ども、そうした責務を引き続き果たしていくために検討していただきたいことをお話しします。
まずは新型コロナについて触れます。当初、感染リスクが高いと懸念された歯科医療現場ですが、幸い大きな感染事例は報告されていません。これは私どもが長年にわたり肝炎やエイズなど様々な感染症を念頭に置きながら行ってきた標準予防策が大きく貢献したと考えます。一方で、こうした対策に係る評価が必ずしも十分でなかったこともかねてから指摘されてきたところです。令和3年には感染予防対策について次元的な評価が行われましたが、これは本来、初再診料として既に恒久的に評価されてしかるべきものでした。この2年間の実績も踏まえ、国民が安心して歯科医療を受けることができる環境を守るためにも、歯科だけ低い初再診料の是正も含めて御検討ください。
保険診療に係る明細書の発行が原則義務化されてから10年以上が経過しました。この措置は医療機関と患者との信頼関係を高めることに大きく寄与したと受け止めています。一方で、複雑な診療報酬体系は専門家であっても分かりづらい部分が多く、明細書発行の意義を高めるためにも適宜見直しが必要です。例えば、虫歯の治療や抜歯など歯科治療では頻繁に麻酔が行われます。しかし、処置、手術の内容によって麻酔の手技料や薬剤の算定に係る決まり事が異なるため、同じように麻酔をしても明細書に現れたり現れなかったりします。これでは患者さんに誤解を与えかねません。また、歯の修復物などの製作に際し、歯冠形成と印象採得などを行いますが、メタルコアの場合のみ印象採得しか算定できません。このような一貫性のないルールは明細書の発行がない時代になされた配慮が背景にあると考えられます。明細書発行が定着した現在、こうした負の遺産を清算して、合理的で分かりやすいルールへの見直しを積極的に進めてください。
近年の改定では、かかりつけ歯科医機能の評価や医科歯科連携の推進などに重点が置かれてきましたが、現場での運用に当たっては、実態との乖離や使い勝手の悪さを覚える部分も少なくありません。特に施設基準については、より現状に即したものであるべきだと考えております。現場で訪問診療の実施の有無が過剰なハードルになっていると感じています。歯科医師が診療所を離れることが困難な小規模な医療機関の現状にも御配慮いただき、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所などに係る施設基準では、応需の体制を整えていることを条件とするにとどめ、通知によって過剰に厳格化されている算定実績などの回数制限を緩和・撤廃することを検討してください。在宅療養支援歯科診療所に関しても同様であります。
医科歯科連携は周術期の口腔健康管理を端緒として導入されましたが、実際の連携については、やや伸び悩んでいるようです。医科からの情報提供や実際の医科歯科連携についても、より取り組みやすい制度設計を工夫し、小規模歯科診療所でも病院や在宅医療の現場からの要望に応えられる環境づくりが進められるよう、一層の御配慮をお願い申し上げます。
最後に、金パラ問題について触れます。これも長年の懸案であり、先日の中医協でも新しい見直し案が示されました。代替材料の保険導入も積極的に進められています。しかしながら、依然として現場からは悲鳴のような声が聞こえてきます。患者さんのために懸命に努力しながら材料価格の高騰で赤字になってしまうという現場が解消されなければ、現場は疲弊し、国民も不利益を被るでしょう。引き続き、国と歯科界の協力の下、一日も早く抜本的な解決策を見いだしていただくようお願いを申し上げます。
以上、現場からの声として受け止めていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、小林妙様、お願いいたします。
○小林(妙)氏
おはようございます。私、ものづくり産業で働く仲間の労働組合、JAMの小林と申します。本日は発言の機会をいただきありがとうございます。
JAMでは、中小労働者の視点から職場の課題解決に加え、労使による保険者との定期的な意見交換を通じて、保険者機能の発揮に向けた取組も継続的に取り組んでおります。コロナ禍で国民は大変不安を抱き、また、社会経済活動の抑制により、JAMに集う仲間にも大変大きく影響が及んでいます。また、一方、医療従事者の皆様は感染リスクがある中、懸命に患者と向き合っていることに対し、心から感謝を申し上げたいと思います。
今回意見を申し上げるに当たり、診療報酬は診療の対価ですので、医療機関への経営支援は公費を基本とし、国民の安心感の醸成につながる診療報酬改定になればと思っております。その観点から、本日は被保険者、患者の立場から3点意見を述べさせていただきます。
1つ目は、安心・安全で質の高い患者本位の医療の確保です。将来にわたり質の高い医療を受けられるようにするためには、看護職員をはじめ医療従事者の確実な処遇改善を継続的に行うとともに、働き方の推進や業務負担の軽減につながる人員配置の評価などにより、人材確保を図ることが重要です。また、医療の質の向上や従業員の負担軽減につながるよう、多職種連携によるチーム医療の推進も必要と考えます。その上で、必要なときに必要な医療を受けられるよう、地域の実情に応じた医療機能の分化・連携を後押しすべきだと考えます。また、コロナ禍では発熱患者が診療してもらえない、あるいはたらい回しにされたといった事例もありました。そのようなことを踏まえると、今回の議論になっているかかりつけ医機能については、24時間対応で医療を提供するなど、医療機関の連携を含めて、不安を抱く患者をしっかり受け止める機能を現に果たしている場合に臨床報酬上の評価を行い、安心・安全で質の高い外来医療の確立につなげていただきたいと考えております。さらに、医療安全の確保を前提に、オンライン診断などICTの利活用を推進すべきと考えます。
2つ目は不妊治療についてです。不妊治療の保険適用に当たっては、当事者の意思を尊重することを前提に、患者の安全性の確保と医療の標準化を重視した上で、可能な限り広く治療を選択できるようすべきだと考えます。例えば保険対象外となって治療を諦めざるを得ない状況が生じることのないよう、引き続き何らかの助成も検討いただきたく思います。また、患者が医療機関を適切に選択できるよう、情報開示の仕組みの整理や不妊治療による心理的負担を軽減するための措置も患者にとって大変重要です。また、改定後は実施状況を検証し、保険適用の範囲や要件など必要な見直しを行っていただきたく思っておりますので、よろしくお願いいたします。
3つ目なのですが、先ほど宿野部さんからも意見されておりましたが、診療明細書の無料発行についてです。医療や医療費の内容を患者自身が知ることは、患者の納得と安心につながることに加え、患者と医師のより強固な信頼関係の構築につながると考えます。今回の改定でも全ての医療機関で例外なく明細書を無料で受けられるよう、着実に前進を図るべきだと考えます。2020年3月の連合の調査では、医療明細書は必要との回答が7割を超えておりました。その理由は、受けた医療の内容を知ることができるのは当然の権利というのが7割以上でありましたし、続いて、医療費の明細を知るための情報源になるという回答が5割を超えてありました。一方で、必要でないとする理由は、もらってもよく分からないというのが一番多くの理由で挙げられておりました。ヘルスリテラシーの向上という観点からも、分かりやすい明細書にするということも課題だと考えております。
私の意見は以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、青木様、お願いいたします。
○青木氏
薬剤師の青木浩朗と申します。本日はこのような場を設けていただきまして、ありがとうございます。
私は、宮崎県の西側にある小林市で薬局を開局して23年目になります。ふだんは患者のための薬局ビジョン実現に向けて、地域のかかりつけ薬局として、健康サポート薬局であったりとか地域連携薬局を掲げ、予防から終末期まで懸命に取り組んでまいりました。また、小林市は人口が4万3000人と非常に小さなまちで、高齢化率も非常に高い上に、バスとか電車の本数も少なくて医療資源の少ない地域でもあります。このような視点を含め、薬剤師の立場から意見を申し上げさせていただきたいと思います。
最初に、地域包括ケアシステムについてです。この中で薬局が機能していくためには、健康サポート薬局や地域連携薬局を通じて、薬剤師がかかりつけ機能を発揮していくことが大変重要だと思います。引き続き、地域活動や公衆衛生など、地域医療に貢献してまいりたいと思っております。
また、薬局の現状でございますが、私の地域では、人口減少に加えて新型コロナウイルス感染症の影響により処方箋枚数もかなり減っております。小さな薬局は経営を維持することが大変困難になって、知り合いのところも閉局をしたところが出ております。そのような場合、交通手段のない地域住民は、調剤だけでなく、困ったときに、相談したいときに何でも顔の見える場所というのが必要なのですが、そういったものも失うことになってまいります。一般薬とか消毒、マスク、最近では抗原検査の問合せが多いのですが、そういったものの提供も含めて支障が出てくることを御理解いただきたいと思います。
さらに、毎年の薬価改定の影響により、資産価値の減少も薬局の経営に大きな打撃となっています。こういった現状については、地域医療提供体制を守る観点からも何かしらの御配慮をぜひお願いしたいと思います。
その上で、まず、調剤料についてですが、対物中心から対人中心への転換ということで今回も改定が示され、もちろん一定の理解は分かっております。薬剤師にとって対物業務は安心・安全に薬を使用していただくために非常に重要なものであります。患者さんのライフスタイルに合っている剤型・用法なのか、お薬の性質上、酸性や塩基性も考えたり、薬の大きさはこれでいいのかとか、加工しやすいものがあったり、苦みでもずっと残る苦みとか、刺すような苦みとかいろいろな苦みがあるのですね。そういったものが大丈夫なのかとか、溶けるものとか、こういうのも嫌な人もいますし、あと分割できないもの、ドライシロップは粉でいくのか、溶かすのかとか、内服と同様な貼付剤も最近出てきております。分包するときも、そのお薬の安定性、不安定なものでも例えば条件次第では7日は大丈夫、14日は大丈夫といったものもあって、条件を合わせながら調剤したり、薬剤の情報の進歩とともに、選択肢がますます増えております。私たち薬剤師は常に様々な考察と適切な判断の下で考えながら調剤を行っていることを分かっていただきたいと思います。
そして、調剤を始める前に処方監査は特に重要で、これは医療事故を防ぐために患者さんから聞き取りを行うのですが、私たちは情報を持っておりませんので、そこの中で処方監査がしっかりできていないと、本当に医療事故につながるおそれがあるので非常に大事にしています。たとえ前回と同じ処方内容でも、同様のフィルターにかけて十分処方監査を行っています。このことは医療事故を起こさないために重要度の高い業務だと思っています。皆様には、本来の対物業務の重要性も併せて御認識いただいて、質の担保に資する評価は引き続きお願いをしたいと思っております。
次に、後発医薬品についてですが、現場は今も供給問題に苦しめられています。週単位で出荷調整が増えていき、現場は発注とお渡しできなかった配達などの対応に追われています。患者さんにお渡ししなければならない薬が適切なタイミングで入手できないことは、国民の命に関わる問題でもあります。厚生労働省におかれましては、保険に関しては柔軟な対応ができるように、供給については企業に対して適切な指導をぜひお願いしたいと思います。
次に、敷地内薬局についてですが、地域医療においてかかりつけ医機能を推進しているわけですが、それに全く逆行するものであって、ケースによっては地域医療提供の崩壊につながります。特に特例とか抜け穴、こういったものをなくしていただいて、今後も敷地内薬局が開局されないような施策をぜひお願いしたいと思います。
最後に、病院薬剤師と薬局薬剤師の連携についてです。地域で見るという観点からも、病院薬剤師からは入院中の経過とか退院時の指導内容、これを私たち薬局薬剤師が知ることは非常に重要です。薬局薬剤師からは入院前に薬局での一元管理された情報を病棟の薬剤師に届けるということもお互い重要だと思います。入退院時の連携は特に医療的ケア児も含めて非常に重要と考えております。
今回の改定では、連携推進の観点から情報通信機器の利用に関する要件を見直すという提案もあるようですので、非常にそれは現場としては助かっております。病院薬剤師と薬局薬剤師の連携推進が地域包括ケアシステムの肝となりますので、ぜひ引き続き、連携推進に向けた施策をお願いしたいということを併せまして、本日の私の話を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、兒玉様、お願いいたします。
○兒玉氏
不妊・不育治療の環境改善を目指す当事者の会、兒玉と申します。私どもは、名前のとおり、不妊・不育治療の環境の改善に取り組む当事者団体です。本日は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。私からは、不妊治療の保険適用について、現役世代の当事者の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
本日お伝えしたい意見の柱としては2つあります。1つ目は保険適用の具体的な内容や運用について、2つ目は保険適用の意義に資するその他課題の改善についてです。順番に御説明申し上げます。
1つ目の柱、保険適用の具体的な内容や運用についてですが、まず第一に、具体的な運用方法の早期発表をお願いしたいと思います。保険適用化を目前に、その運用情報が錯綜する中、現状、当事者は具体的な治療計画を立てられずにいます。例えば、助成金の残りの回数が保険適用の回数制限へ引き継がれるのかといった点や、保険適用における1回の治療の考え方とは何か。また、保険を利用する治療は助成金制度のように自分で選択できるのかといったベースの部分。また、生殖ガイドラインに記載のない不妊の検査などはどこまで保険適用になるのかなど、患者に直接影響する運用について見えてこず、困惑しております。どうか早めの周知をお願いいたします。また、診療報酬の決定方法についても透明性の高い議論と治療の公開を希望いたします。
次に、現在、非配偶者間の生殖医療が保険適用外となっていますが、こちらも対象となることを強く望みます。例えば、無精子症と診断され、切開しても精子が見つからず、苦悩と葛藤の中、次の治療法を模索する。皆、同じ医療を必要とする疾病の苦しみです。法的に婚姻するカップルの治療が第三者の配偶子を使うという理由のみで除外される理由が分かりません。まずは法律婚、事実婚のカップルが行う非配偶者間の生殖医療を保険適用としてください。
次に、2つ目の柱、保険適用の意義に資するその他課題の改善についてですが、こちらについては5点の意見がございます。まず1つ目、施設ごとの情報開示が必要であると考えます。情報開示については、12月の総会でその必要性について触れてくださった委員さんが多かったと記憶しておりますが、施設間での技術格差や治療方針の違いが大きい現状において、患者が適切な医療施設を選択するため、情報の開示が絶対に必要です。具体的には、レセプトデータを用い、治療別の患者数や治療成績を開示することを想定しています。
2つ目、病診連携の強化が必要です。例えば、生殖専門外である一般産婦人科の不妊治療で、同じ治療を漫然と繰り返されること、男性不妊を見落とされることといったケースが多く見られます。治療の最適化、短期化がかなうよう、生殖専門施設へのスムーズな接続など、病診連携の強化が必要と考えます。
3つ目、研究環境の整備支援が必要と考えます。例えば、現状、ガイドラインで推奨度Cとされる治療ですが、このC治療が適合する患者もいるため、研究の促進が必要です。また、不育症に関しても研究体制の強化を求めます。
4つ目、PGT-Aについてです。PGT-Aは現在、先進医療としての検討がなされているところかと思いますが、認定されるまで、この治療を必要とする患者は治療費が全額自費となってしまいますので、早期の認定をお願いしたいと思います。
最後に5つ目です。生殖医療に関する法整備が急務だと考えます。現状、生殖医療に関する実質的な法整備がないため、非科学的な治療法、SNSを介した精子提供、産み分けビジネスなどが昨今増えてきております。法整備によって早急にこの環境を改善してください。
以上となりますが、不妊治療は長年自由診療で発展してきており、本日お話しできていない内容を含め、まだまだ多くの課題が山積しております。保険適用がそれらを解消する一歩であると大きな期待を寄せております。しかし、同時にとても大きく複雑な取組になると思いますので、当事者含め、現在の現場感を把握した人の目を常に入れて検討を進めてほしいとお願いいたします。
以上となります。御清聴ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、最後になりましたが、山田様、お願いいたします。
○山田氏
私は、岡山県にある病院で看護部長付参与をしております山田と申します。本日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。急性期入院医療を担う看護の立場から3点意見を述べさせていただきます。
1点目は、高度急性期・急性期入院医療の評価方法として、重症度、医療・看護必要度の重要性についてです。A項目とC項目は患者さんへの治療内容に応じて提供される医療・看護ケアの評価であり、B項目は患者さんが自立して動けるか、日常生活行動に援助が必要かなど、患者さんの状態の評価です。B項目ではどのような身体状況の患者さんが入院しているかを把握でき、さらに、A項目、B項目、C項目について時間を追って評価することで退院のめどを予測し、より早期に退院支援を行うことができます。このように退院の時期や退院先の決定、そして療養のためのケア計画の作成、社会資源の活用などの判断にも役立っています。
急性期入院医療は、とかく高度な医療技術に目が行きがちですが、そのような治療を受ける患者さんは生活機能も大きな影響を受けます。看護師はその影響を最小限にとどめ、生活機能の回復に専門的な知識とスキル、多くの労働力を費やしています。例えば、口腔清拭は肺合併症の予防に大きく貢献するだけではなく、口腔内を清潔に保ち、粘膜や歯肉、舌や歯を保護することによって、食べるという機能を維持し、経口摂取への移行を円滑にしています。衣服の着脱や食事介助についても同様で、骨格筋の運動を維持し、生活のリズムをつくることで心身の回復を早めることができます。
2点目は新興感染症対応に向けた集中治療室における人材確保と地域連携に対する評価拡充についてです。新型コロナウイルス感染症対応では、ECMOや人工呼吸器管理が必要となる重症患者については、特定の医療機関の集中治療室で対応しています。その管理には膨大な資源を必要とし、かつ高度な医療技術を要します。特にECMOの管理は看護の中でも認定看護師や特定行為研修修了者などが担当することが多く、感染拡大に応じて基準以上の人員配置をせざるを得ないのは周知のとおりです。一方で、地域では在宅療養も含めて重症化予防と急変への迅速な対応が課題です。認定看護師などの確保が困難な医療機関に対しては、急性期病院の人的資源を活用した研修機会を提供したり、このようなときはどうしたらいいのか、何を観察してどう判断すればよいのかといった相談に対して直接施設に出向き、具体的に支援を行うなど、地域連携の視点での取組が今後も重要だと思います。
最後の3点目は、看護職のさらなる専門性発揮に向けたタスク・シフティング推進のための看護補助者の活用促進についてです。看護補助者の活用には、まず、看護補助者の確保と教育が重要です。現在の教育は各医療機関の裁量で行われていますが、必要とされる知識やスキルの基準を明確にし、標準化されたカリキュラムに基づいて実施すること、教育と実践に見合う処遇、特に給与面の改善がポイントとなります。そのためには、診療報酬上のさらなる評価が必要と考えます。
以上で私のほうからの発言を終わります。御清聴ありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいま後半の6名の方から御意見を頂戴いたしました。その御意見に対して、委員の皆さんから御質問がありましたら、よろしくお願いいたします。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。私からは大杉さんと兒玉さんにお聞きしたいのですけれども、大杉さんからは診療明細書の分かりやすいルールの見直しという御意見があったと思うのですが、ちょっと驚いた点としては、麻酔を使っていても、詳しくないのでよく分からないですけれども、治療の方法によっては記載されていないことがあると。これは本当に信頼関係を揺るがすようなことになるなと思っていて、もちろん麻酔をやった後で診療明細書を受け取ったら書いていないというふうになると、何か隠しているのみたいな理解になってしまうと、これは本当に信頼関係に問題が起こりますので、その辺で分かりやすいルールは、麻酔を使ったとかいうのは当然医院側の記録には残るのでしょうから、それをどういうふうに診療明細書に反映していったらいいかということで御意見があれば教えていただきたいということ。
それから、兒玉さんには情報開示の話が出ましたけれども、今まで自由診療で、医療者側のこれまでの意見としては、オーダーメイド的な医療であるし、同じような情報開示はできないのだというような意見もあったと思うのですけれども、今後、保険適用されるに当たって、標準治療とかもあるでしょうけれども、それぞれの医療機関が行っている治療というのは保険適用されればそのまま継続されると思うのですが、その辺りの情報開示のやり方というのかな。いろいろな治療方法がある中で、患者の人たちはどういう情報開示があれば判断していけるのかというところ、どのようにお考えなのかをお聞きしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。お二人に対する御質問がありました。まず、大杉様、御回答をお願いできますでしょうか。
○大杉氏
御質問ありがとうございます。明細書における分かりやすいルールということなのですけれども、前改定におきましては、手術時における麻酔材料料は認められたのですが、このような形の中でしっかりと麻酔を打った場合、まず打つことに対して我々はすごく神経を使って麻酔をさせていただきます。それに対して注意点とかいろいろ言わせていただくのですけれども、最後に明細書を見たらそれが書いていないということで、「どうなっているんだ」というような不信感を抱かれることはあると思います。これはいろいろな流れの中で包括化されたり、様々なルールが積み重なってきたものだと思います。また、40円ルールというルールもありながら、我々歯科ではそういう材料を使っても全く請求できないときもありました。これは、徐々に解決はしていただいているのですけれども、もう一歩明細書を分かりやすくしていただければ、非常にありがたいと思っております。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、兒玉様、いかがでしょうか。
○兒玉氏
情報開示についての御質問ありがとうございます。まず大前提として、おっしゃるとおり、これまで自費診療で拡大してきた日本の不妊治療は、施設によって治療法が実に様々です。どの施設もそれぞれの主張を声高にして、施設同士でその技術を批判し合うことさえ珍しくありません。こうした現状の中、私たち当事者は公正な情報もなく、非常に不透明な環境の中で、まさにギャンブルとも言えるほど難しい施設選びを強いられています。そうしたことから情報開示の必要性を求めています。
2021年の春から開始された自治体のホームページによる情報公開というものがあると思うのですけれども、こちらでは患者をミスリードしかねないと思っております。その理由は、患者が最も知りたい治療実績や来院患者情報、治療方針についての提出が任意であること、開示範囲が限定的であること、情報のチェック機能がないため、妊娠率を高く見せるといった恣意的な余地も否定できないためです。また、既に開示されている情報の統一性や正確性にも疑問があります。あと、これらの収集とかは各自治体に任されておりまして、一元集約された形での情報公開でもありませんし、私たち当事者はこちらのPDFを一件一件検索しなければなりません。こうした検索性の観点からも非常に不親切な形式だと思わざるを得ません。
具体的なイメージなのですけれども、具体的には不妊治療施設ごとの採卵総回数や全胚凍結周期数、移植総回数、採卵当たり生産率、移植当たり生産率、治療患者数当たりの卒業患者数など、全ての詳細な治療実績を全年齢区分別で開示することをイメージしています。そうすることによって、低AMHや卵巣年齢の高い患者を得意とする、または卵巣年齢のよい場合の高刺激のコントロールを得意とするなど施設の特徴が表面化して、私たち当事者の施設選びに大きく貢献すると考えています。情報開示によって治療が限定的になりかねないといったデメリットより、患者が適切な情報にアクセスできない状況が改善されることのメリットのほうが上回ると考えています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。まず、お忙しい中、こうした機会で発表いただいた方にお礼を申し上げます。私からは、山田様と大杉様に少し御確認をしたいと思います。
まずは山田様なのですけれども、先ほど看護補助者の教育等について標準化、統一化が図られていないのだというお話がございました。こうした方々の役割が今後ますます高まっていくと思いますけれども、では、具体的にどのフェーズでどんな形でやるのが理想と考えていらっしゃるのか。これは個人的な見解で結構でございますけれども、御紹介いただければと思います。
大杉様ですけれども、説明の中で、医科歯科連携ということに関して何回か言及があったと思うのですけれども、大杉様のところで具体的にあった医科歯科連携の事例とか、あるいは地域等で今構想されている医科歯科連携に関して、少し具体例を御紹介いただければと思います。
以上2つ、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございます。松本委員からもお二人に御質問がありました。最初に山田様、御回答をお願いできますでしょうか。
○山田氏
今、看護補助者の活用につきましては、それぞれの医療機関で様々な取組をしている現状は確かにあります。もちろん教育も各医療機関でしております。しかしながら、特に急性期の入院医療を担う医療機関においては、専門的な判断を伴わない補助者業務というのにはすごく限定的で、なかなか看護業務をタスク・シフティングすることが困難な状況にあります。それに、補助者の方たちの御意見を聞いても、移送の仕方だったり、清拭の仕方だったり、いろいろ教育は受けるけれども、患者さん自身の身体が今どういう状況であるかということが分からない中で業務をするというのは非常に不安もあるし、やりがいという点でも、指示されたことをそのとおりやればいいというだけではモチベーションが高まっていかないというような御意見があります。そういうところで、やはり医療機関が求めているスキルというものが、知識も含めてですけれども、どういうものなのかというのをもう少し具体的にして、それを基に標準的なカリキュラムをつくって、そこを各医療機関の現場に下ろしていくというような形が必要だと思いますし、指導する役割を担う看護師に対しても、教育がある一定程度必要だと思います。
では、それは誰がやっていくのかというと、やはり私たちの団体でもあります日本看護協会、あるいは県にあります看護協会、そういったところがカリキュラムの作成だったりとか、研修機会の提供だったりとかを担っていくといいのではないかと思います。やはり教育を受けるというか、教育が高まっていけば、それに伴って役割も拡大していくので、処遇も今より、特に給与面等々ももう少し高くしていけるのではないかと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、続きまして、大杉様、御回答をお願いできますでしょうか。
○大杉氏
御質問ありがとうございます。医科歯科連携の地方でやっている一事例でございますけれども、歯科医師会と医師会が年何回か勉強会を一緒にやったりしておりますが、その中で情報提供をしやすいように、情報提供の共有料の文書の書き方であるとか、情報のやり取りの仕方を、ICTを利用しながら行うように進めたりしております。また、医科の先生方がこういうルールや連携を取る方法を理解されていないところもありますので、地方の内科の先生、お医者さん方と連携を図りながら進めているところであります。
また、ほかの分野においても、地域口腔ケアステーションを通じて、医科歯科連携を取っているところであります。
ただ、地方の独力のみで行うのは限界がありますので、何とか厚労省からも全体的な周知をしていただければさらにありがたいところでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。本日、意見発表していただいた12名の皆様方にこの場を借りて御礼を申し上げます。
私のからは、薬剤師であります青木先生にお尋ねをしたいと思います。後発医薬品について、現場は発注・配達など対応に追われていると。状況は悪化の一途をたどっていると発表されましたが、具体的に、先生の薬局でどのようなケースで困っているのか。
もう一つは、国民負担の軽減の観点から、この後発医薬品の推進は進めていくべきだと考えていますけれども、その辺について現場ではどう考えているかということをお聞かせいただきたいと思います。
もう一点は、病院薬剤師や薬局薬剤師の連携、いわゆる入退院時、病院の医師も含めた形の医療機関側と現場の薬局薬剤師、外来から入院、あるいは退院をして在宅移行も含め、地域の中でしっかりと連携を取った形の完結型で対応していくべきだと考えていますけれども、先生のところでは、実際にどのようなところで苦労されているのか、あるいはこんなことが改善できたらいいのではないかという具体的なものをお聞かせいただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
青木様、御回答いかがでしょうか。
○青木氏
青木でございます。御質問ありがとうございます。
まず、後発品の具体的なということだったのですけれども、商品が入らないときというのがありまして、そのときはコロナウイルスがすごく広まってきたときで、なおさら長期処方になってきたときだったのですね。実際に在庫が例えば入ってきたとしても、全ての日数調剤することがまずできませんでした。その患者さんに小分けしないと皆さんに行き渡らないわけです。ですから、1週間分だけ取りあえずお渡ししたりとかいう状況で何とかつなげていっている状況でした。
今もその状況は変わりないのですけれども、例えば商品が入らないときには、近くの薬局にお願いして、ちょっと分けてもらうということもあるのですが、なかなかそれもお互いに物がないので大変なのですが、遠い場合には隣町の知り合いのところに行ってというのを営業時間が終わった後に夜のうちにお借りしに行ったりというところです。それがやっと入ったとしても、それからまた個人宅に配達ということは頻繁に起こるという状況でございます。その間もフォローができたりとか、体調の確認とかができたので、いい面もあったのですけれども、商品に関してはすごく大変なことがございました。
あと、入退院時のことですが、特に入退院時にあった事例としては、入院するときに例えば歯科であったりとか、整形であったり、内科であったり、いろいろなところに患者さんはかかっていらっしゃいますので、その情報を一元管理して、病院の病棟薬剤師のほうに連絡をするわけですが、そのときに病院の薬剤師さんからよく聞かれるのは、その情報があると私たちは病棟活動に本当に専念ができますということが言われます。実際に帰ってきた患者さんにいかがでしたかと聞くと、自分の情報がもう向こうで分かって、聞いていますよ、こういった状況ですねと分かってくれていることは非常に安心感を与えるということが言われています。
帰ってきたときに、病棟のほうのどういった治療を受けたのか、お薬が変わりますのでそういったことが分かると、私たちもその後のフォローが非常にしやすくなってまいります。そういった意味では、病院と薬局の連携というのは非常に大事になってまいります。
そして、在宅に移行する場合もそうなのですけれども、老老介護が非常に多くなってまいりますと、例えばサービス担当者会議で服用が、声かけしないとなかなか飲んでいただけないということがあります。そういったことでしっかりやり取りをして、声かけを誰がするのかというのを全部チームで決めて、そこのところがだんだん飲めるようになってきて、体調もよくなってくることを何度も経験しております。ただ、介護職とかいろいろな職種の方から見たときに、医療機関への相談、提案の窓口として薬剤師は欠かせない存在の一つだと思いますので、地域包括ケアシステムの中でも非常に薬剤師というのは役に立つ存在ではないかなと期待しております。
特に連携についてなのですけれども、やはり様々なフォーマットがありまして、そこのフォーマットについては統一化されると非常にやりやすくなるのではないかなと感じております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、最後の御質問にさせていただきたいと思うのですけれども、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。私のほうは山田様に1つお伺いしたいと思います。今、最後のほうで看護補助者の必要性、特にタスク・シフティングを進める意味での重要性ということを言及されました。そして、その中でスキルとか知識といった場合も教育が非常に重要で、やりがい、モチベーションを持ってもらうことも重要だと。一方で、処遇改善に関しては、特に看護補助者の中で身体介護を担う介護職員などは、介護保険法上の介護保険施設では処遇改善交付金がかなり前からあって、処遇がある程度改善されていって、病院、医療機関に行く介護職員との差がどんどんついている印象を持っているのです。特に慢性期などはそういう印象でなかなか採用困難になってきている現状がありますが、急性期のほうでは介護職員の確保・採用とか、処遇の差によって困難になってきている現状があるかどうか、ちょっと教えていただければと思います。
○小塩会長
いかがでしょうか、山田様。
○山田氏
私の周辺を見ましても、看護補助者の確保は、ほぼどの医療機関も非常に困難を極めているというのが現実です。やはり対人業務ですし、しかも急性期の医療機関に限らず地域包括の回復期にあっても慢性期であっても疾病を持っていらっしゃる患者さんということで何らかの医療ケアを伴いながら生活支援をしていくというのは非常にストレスフルですし、医療や看護そのものがヒューマンサービスなので、意思、看護師、メディカルスタッフ、たくさんの人といろいろなコミュニケーションを取りながらやっていくというのは非常に困難感。その割には処遇をされない。例えば岡山ですけれども、岡山は西日本で一というイオンができてから、ざっとそっちに雇用が流れてしまって、非常に看護補助者を希望してくださる方が激減して、病院としては補助加算がいろいろあるのでそれを取得するのを、取得するためが目的ではなくて、看護師の業務を緩和してタスク・シフティングしていくことが目的ですけれども、やはり派遣会社にお願いする。派遣会社になると非常に費用がかかって、もう加算とは全然見合わないというような状況になっていく。そういうジレンマも抱えながら今やっているところなので、ぜひ、何もなくて処遇をよくするというのではなくて、処遇のエビデンスとなるというところで教育というのが非常に重要ではないかなと思いますし、実際、ある程度専門的と言うとまた語弊がありますけれども、通常のいわゆる介助とは違った知識というかスキルというのは非常に必要になってくると思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
今、12名の方々から大変貴重な御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。私なりに全体を簡単にまとめさせていただきたいと思います。
まず、改定率が今回決定されたわけですが、その分配に関する私たち中医協の議論は非常に重要な役割を持つという御意見をいただきました。重く受け止めさせていただきます。その上で、まず総論といたしまして、次期診療報酬改定に向けた大きな課題として、足元でも拡大が続いておりますが、新型コロナウイルス感染症にしっかり対応していくこと。それから、今後の新興感染症等にも対応できる医療の確保という観点から、診療報酬の在り方を考えていく必要があるとの御指摘をいただきました。
それから、支払い側関係の方々からは、今後の高齢化の進展等も念頭に置いて医療保険制度の持続可能性を高めるために効率的・効果的な医療の実現が必要であるという御意見を頂戴いたしました。
また、診療側関係の方々からは、コロナ禍だけではなくて平時においても医療機関の経営の安定が必要であるという御意見を頂戴しております。
さらに、医療機能の分化と連携、かかりつけ機能の強化といった従来からの重要課題に加えまして、今日の公聴会では、オンライン診療の在り方をどうするか、不妊治療の在り方をどうするかといった課題についてもいろいろ御指摘をいただきました。それから、委員と今日来ていただいた方々の間で情報提供をどうするかという問題も重要であるというふうなやり取りもございました。
次に各論に移ります。初めに医療課長から、これまでの議論を整理していただきましたが、その4つの項目に沿って本日の御発言を少し振り返らせていただきます。1つ目の質の高い医療供給体制の構築につきましては、今回のコロナ禍で新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築という課題が浮き彫りになっています。そのために医療機能の分化、強化、それから連携を進めるべきだという御意見を頂戴いたしました。その一方で、現場に過度な負担をかけないほうがいいという御意見も頂戴しております。次に、診療所や歯科等、多くの医療機関が患者や医療従事者を守るために既に様々な感染対策の取組を行っているので、その点を評価すべきだという御意見もいただいております。また、急性期医療の適切な評価のための評価項目の検討が必要であるという御意見もいただきました。
2番目の医師等の働き方改革につきましては、働き方改革の推進、看護職のさらなる専門性の発揮に向けたタスク・シェアリングとかタスク・シフティングの推進が必要であるという御意見をいただいております。
3番目の安心・安全で質の高い医療の実現につきましては、まず、医療安全の確保を前提といたしまして、オンライン診療など利用分野におけるICT活用を進めてほしいという御意見をいただいております。
それから、不妊治療につきましては、具体的な運用方法の早期周知や治療実績の開示等を進めてほしいという御意見をいただいております。
それから、薬局薬剤師業務につきましては、対物中心から対人中心へのシフトというのは理解できるけれども、対物業務は重要であるので、質の担保への評価は重要であるという御指摘もいただいております。
4番目の制度の安定性、持続可能性の向上につきましては、後発医薬品のさらなる使用促進が求められるところですが、供給不安への配慮も必要だという御指摘をいただいております。
以上、簡単にまとめさせていただきましたが、これ以外にもそれぞれのお立場から貴重な御意見を数多く寄せていただきました。改めてお礼申し上げます。
本日いただきました御意見等も踏まえて、これから中医協でさらに審議を進めてまいりますけれども、今回いただいた御意見を踏まえて、支払い側委員、診療側委員のそれぞれから一言ずつ御感想がありましたらお願いできればと思います。
まず、支払い側委員の方からお願いいたします。松本委員、お願いします。
○松本委員
松本でございます。支払側委員を代表いたしまして、一言申し上げます。
まずはこの公聴会に御参加いただいた皆様に深く感謝を申し上げます。そして、様々なお立場で医療活動に興味を持っていただき、また協力をいただき、そして御活躍いただいていることに対しても改めて敬意を表します。
先ほど会長からも各部に対して総括意見がございましたので、私からは3点のみ述べたいと思います。皆様の御意見を拝聴いたしまして、人口構造の変化や新型コロナウイルス感染症を踏まえた双方への対応が必要であるということ、就労と治療の両立や患者にとって安心で安全な治療が求められるということ、医療従事者の負担や地域の実情にも十分配慮する必要があるということが重要な課題であるというふうに受け止めました。
中医協は来週から大詰めの議論を迎え、来月には結論を出すことになります。本日皆様からいただいた御意見を十分に参考にしながら、国民皆保険制度を守り、よりよい医療を追求する視点で議論に臨みたいと考えております。
本日は誠にありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、診療側委員、城守委員からお願いいたします。
○城守委員
診療側委員の城守と申します。コロナの感染者数が日本各地で過去最多を更新している大変な状況の中におかれまして、本日、12名の方々からそれぞれのお立場で御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。診療側を代表いたしまして、一言感想を述べさせていただきます。
新型コロナウイルスとの闘いが続いております。コロナの感染拡大が繰り返される中、地域の医療提供体制が逼迫しているといった報道も多く耳にされてきたと思います。医療関係者はそれでも何とかこの2年間、感染リスクを乗り越えて風評にも耐えながら必死で地域医療の確保に尽力をしてまいっております。我が国の強固な医療提供体制の礎となっているのが国民皆保険という日本独自の医療保険制度でございます。日本で暮らしていく中でもはや当たり前のものとなっておりますが、皆保険は我が国の宝でございまして、この制度をしっかりと守り続けていかなければならないと思っております。
当協議会では、令和4年度から施行される診療報酬の改定に向けた検討を鋭意継続しているところでございます。本日、皆様方からいただきました様々な御意見は、診療報酬の多くの課題を協議するに当たりまして非常に貴重なものでございまして、改めて気づかされることも多くございました。中医協としてこれまで同様、真摯に向き合い、国民の安心・安全のために皆保険、そして地域医療をしっかりと守り、よりよい社会に資するために役立ててまいりたいと考えております。本日は誠にありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、公聴会は以上とさせていただきます。意見発表者の方々、本日はお忙しい中御参加いただき、誠にありがとうございました。お礼申し上げます。
意見発表者の方におかれましては、これをもちまして御退室をお願いいたします。
委員、専門委員の皆様におかれましては、事務局より1件御説明があるようですので、恐縮ですが、このままで待機をお願いいたします。
(意見発表者退室)
○小塩会長
それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、資料総-1を御覧ください。保険医が投与することができる注射薬の追加についての議題でございます。今回御提案させていただきます薬剤は、レムデシビルでございます。この薬剤は、新型コロナウイルス感染症に対し使用する薬剤でございます。
通常、保険医の投与することができる注射薬の対象薬剤への追加に当たりましては、総-1参考2にございます、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に係る運用基準についてを踏まえまして、診療報酬改定または薬価収載の時期に併せて中医協において検討いただいております。今般、総-1参考1のとおり、学会から新型コロナウイルス感染症の拡大の状況等を踏まえ、要望書が提出されております。新型コロナウイルス感染症の状況と学会からの要望書を踏まえ、今回、保険医が投与することができる注射薬に追加してはどうかという御提案でございます。
資料の説明につきましては以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
本件につきまして、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、本件につきましては、中医協として承認するということにしたいと思います。ありがとうございます。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。 
 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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