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2021年12月24日 中央社会保険医療協議会 総会 第508回議事録

○日時

令和3年12月24日(金)10:30~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 中村洋委員 
安藤伸樹委員 松本真人委員 間宮清委員 眞田享委員 末松則子委員
城守国斗委員 長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 中村春基専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○個別事項(その12)について
○令和4年度診療報酬改定の改定率等について
○令和4年度診療報酬改定への意見について(各号意見)
○その他
 

○議事 


 
○小塩会長
おはようございます。ただいまより第508回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は鈴木委員と羽田専門委員が御欠席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「個別事項(その12)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
資料の総-1に沿って説明させていただきます。
2ページ目でございます。本日は「診療報酬上の届出の簡素化等について」「内視鏡治療について」「これまでのご指摘に対する回答について」「そのほか」とさせていただいております。
3ページ目からでございます。施設基準に係る届出の一部簡略化ということで、平成28年度改定です。
4ページで令和2年度の改定の事項を御紹介させていただいております。
本日のところは5ページ目でございます。今回は各保険医療機関等からの施設基準の届出については、研修修了証の添付を求められているというのが1点目でございます。
7ページに行っていただきまして、ここでは訪問看護ステーションの届出基準通知におきまして、届出内容と異なる事情が生じた場合には届出の変更を行っていただいておりますが、連絡先等の変更のみが生じた場合であっても届出が必要というのが現状でございます。
9ページ目に行っていただきますと、論点ということで、医療機関等の医療従事者の負担軽減及び業務効率化の観点から、施設基準の届出を効率化していくということをどう考えるのか、研修修了証の添付というところでございます。
2点目が訪問看護ステーション等の医療従事者の負担軽減及び業務効率化の観点から、届出内容と異なる事情が生じた場合において、連絡先等の変更であって、届出区分に変更等が生じない場合の届出の取扱いについて、どのように考えるのかでございます。
10ページ目からが2つ目の論点で、内視鏡治療でございます。
11ページに消化管ポリポーシスについての御説明ということで載せていただいております。家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)のほか、若年性ポリポーシス、ポイツ・ジェガース症候群、カウデン症候群でございます。
12ページでございますが、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)についての内視鏡の治療でございます。現在は予防的に大腸の切除が行われておりますが、外科手術を希望しない場合、内視鏡にてポリープを徹底的に摘除する方法があるということでございます。
その下に高度異型腺腫及び粘膜内がんの累積発生頻度ということで、大腸切除群と大腸未切除群のデータです。一定程度徹底的に摘除することで、大腸切除よりもがんの発生率が低いというものでございます。
13ページでございますが、現在、大腸の全摘、内視鏡的大腸ポリープの切除の診療報酬上の評価を載せております。
一番下のところですが、K721の内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術のところは今、ポリープの大きさで点数の差があって、数ではないという現状でございます。
14ページでございます。論点といたしまして、FAPの治療について、標準治療である外科手術に加え、最新の研究結果に基づく内視鏡手術の評価の在り方について、どのように考えるのかということでございます。
15ページ以降がこれまでの御指摘に対する回答でございます。
16ページは在宅医療の御議論をいただいたときの御指摘で、人生の最期を迎えるときに生活をしたい場所というのが、自宅で6割ぐらいと出ていたり、最期の最期まで自宅でということが1割ぐらいと出ていたり、前回、我々が出させていただいたのは3割程度ということで、どういうことかという御指摘でございます。
2点目が在宅療養支援病院の実績について、機能強化型とそれ以外で内訳を見たいという御指摘がございました。
18ページは前回出させていただいた死亡場所の推移ということで、左側の円グラフで、人生の最期を迎えるときに生活したい場所は、自宅が27.9%ということでございました。
その下にありますのは、平成30年の高齢期における社会保障に関する意識調査です。
19ページを見ていただきますと、御指摘のあった1割のところです。これは平成20年の終末期医療のあり方に関する懇談会での調査でございます。一般国民に、自宅で最後まで療養したいと回答したのは11%でございます。
20ページでございますが、平成29年度の調査ということで、最期を迎えたい場所はということで、自宅と答えたのが63.5%あったというものでございます。その時期や質問の仕方等について、ぶれがあるということが事実関係でございます。
2点目になりますが、22ページを見ていただきますと、上の段にあります緊急時入院のための常時確保病床数が何床あるかということです。在宅療養支援病院についてということですが、それを機能強化型と機能強化型以外で分けて、今回、新たに分析をしたというのが下の段になります。
23ページを見ていただきますと、左側のほうが以前出させていただいているもので、在支診からの在宅患者入院受入数、在支診以外からの在宅患者入院受入数等があって、それを機能強化型とそれ以外で分けたものでございます。
24ページが、年間の緊急往診件数、在宅患者の年間総入院数を前回出させていただいております。
それを機能強化型とそれ以外で分けたのが25ページになります。
26ページからさらに変わります。有床診療所におきまして、いわゆるハイリスク分娩加算を取っているという議論をしていただいたときに、有床診療所でハイリスク分娩を取り扱っている医療機関で、施設基準を満たしていないために当該加算が算定できない医療施設はどの程度あるのかを示すようにというものでございます。
27ページが前回お示しさせていただいた、有床診療所での分娩の取扱いに係る実態ということで御紹介させていただいたものでございます。
28ページになります。明示的に施設基準を満たしていない診療所、施設がどれぐらいあるかというのは分からなかったのですが、下のほうにありますけれども、ハイリスク分娩管理加算の施設基準の中で、常勤の医師が3名以上配置されていることがございます。これで比較をしますと、分娩を取り扱っている病院で0人、1人、2人はこのハイリスク分娩加算が取れないということでございます。
右側が有床診療所です。この赤枠が取れないところとほぼニアリーイコールではないかと考えております。
29ページからが小児入院医療管理料を算定している医療機関のところで、時間外の緊急入院の絶対数、トレンドが示せないかという御指摘でございました。
30ページで、小児入院医療管理料の届出状況と算定回数を平成28年から令和2年まで並べております。
31ページで、医療機関ごとの時間外緊急入院患者数の分布につきましても、平成28年から令和2年ということでその分布を並べております。
32ページからになります。ポツの2つ目になりますが、慢性維持透析に係る御指摘で、前回、HIF-PH阻害剤について御議論いただいたときに、現行の点数設定方式に係る問題点などを調べ、改めて報告いただきたいということをいただいております。
その下になりますが、2点目が一番下です。透析医療において有床診療所がどのような役割を果たしているのかを示すようにということでございました。
1点目の33ページですが、HIF-PH阻害剤を使った、いわゆる人工腎臓に係る評価でございます。ここでは4時間未満と、時間で分けている部分と、HIF-PH阻害剤を院外処方している患者以外の患者と、それ以外の患者に分かれているという点数設計になっているものでございます。
この中で問題点というか、どういった整理ができるかというものが34ページでございます。上のブルーのところの2つはHIF-PH阻害剤を院外処方している患者以外の患者ということで、別に定める患者の場合ということでございます。
この中には、マル1-1のようにHIF-PH阻害剤を院内処方している場合とマル1-2の使用していない場合に分かれます。使用していない場合は、エリスロポエチン製剤を使用している場合とエリスロポエチン製剤も使用していない場合が含有されるということでございます。
2つ目が、HIF-PH阻害剤を院外処方している場合が1点に絞られるという形になります。こういった少し煩雑な形になっているというものでございます。
35ページが、それを外来、入院でどういったところが問題になるかということの例示をさせていただいております。
38ページになります。ここからは透析医療における有床診療所の役割でございます。どういった役割かということを示させていただくときに、透析をやっているところで長期の入院血液透析患者を受け入れているものを調べたものを載せさせていただいております。
ここにありますように、下から2つ目の棒グラフになりますが、有床診療所のところで長期の入院患者の受入数がかなり多いというものでございます。
あとは前回出させていただいたものと参考資料が続きます。
42ページからが耳鼻咽喉科診療の評価に係る指摘でございます。耳鼻咽喉科の診療につきましては、複数の処置を組み合わせている場合が多いということでございます。
44ページが前回出させていただいたもので、耳処置をしている場合に、左上からですが、ほかの耳鼻咽喉科処置を実施している割合を並べさせていただいて、右が鼻処置、下が口腔、咽頭処置という形で分析させていただきました。
これをさらに詳細に分析したものが45ページと46ページでございます。
45ページが、算定回数が多い項目について、同時に算定されている場合の算定項目数が、2項目が一番多いというのが左側の棒グラフでございます。右側が、同時に2項目以上算定されている場合において、算定されている項目を上位から並べております。
46ページにつきましては、同時に算定している2項目の組合せというもので、多いものから並べているというものでございます。
47ページ以降、そのほかということですが、今まで中医協のほうで出させていただいた資料の中で訂正をさせていただきたいものを載せております。
48ページでございます。診療情報提供料(Ⅰ)が取れるかどうかという分析をしたものでございます。上から3つ目の「保健所・児童相談所」になります。ここが今は評価としては取れないということでございましたが、49ページであります。取れないというのは、児童相談所は合っているということですが、保健所に関しましては2つ目の市町村のところに含まれていて、保健所の場合は既に含まれているというものでございます。
50ページでございますが、リスクの高いハイリスク分娩管理加算のところでございます。これの算定要件のところの※で、黒で線を引っ張っておりますが「専門病院入院基本料、有床診療所入院基本料」とあります。いわゆるハイリスク分娩管理加算を行った場合に算定できる基本料でございます。ここが入っておりましたが、正しくは「専門病院入院基本料、有床診療所入院基本料」は含まれないということでございます。それを抜いたものを51ページに掲載させていただいております。
52ページからは職種別複数名訪問看護加算の算定状況でございます。ここにつきましては、真ん中にあります拡大した棒グラフでございますが、隣に1万2000から2,000までありますけれども、この縮尺が間違っていたということで、正しくは53ページの縮尺ということです。数字が間違っているということで、今回訂正をさせていただきたいと思っております。
事務局からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ありましたらよろしくお願いいたします。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
今回の論点に関しまして、何点かコメントさせていただきたいと思います。
まずは個別事項の診療報酬上の届出の簡素化についてということで、9ページの論点ですが、医療機関におけます事務負担軽減等の観点から、届出の手続の簡素化、また、業務の効率化や合理化のための方策を講じるべきであることは言うまでもないわけですが、診療報酬改定のたびに対応していくということは、届出の手続というものに関してはしっかりと整えていくべきであろうと考えます。また、ステーションの届出も同様の観点から、区分に変更等が生じない場合の届出の簡素化、効率化を図るべきであろうと考えます。
14ページの内視鏡の治療についてでございますが、家族性の線種性ポリポーシスにつきましては、外科手術を希望しない場合の選択肢として、たくさんのポリープを内視鏡で摘除する場合の診療報酬上の評価というものを検討すべきと考えます。
16ページの在宅医療でございますけれども、これは10月13日にも申し上げましたが、機能強化型の在支診、在支病の要件を実態に合わせた手直しをしていくことが必要ではないかと思います。また、通常の在支診、在支病の中にも、多くの在宅患者さんを入院させているなど、現状の機能強化型の要件は満たしていないものの、機能強化型と同様に、地域の在宅医療において積極的な役割を担っているというところもございますので、このようなところは機能強化型に加えることを検討してもよいのではないかと考えます。
26ページの周産期医療でございますが、分娩施設が減少している状況において、有床診療所は地域で大変貴重な役割を果たされております。ハイリスクの分娩は当然ながらリスクがありますので、周産期医療関連施設間の連携の在り方、また、対象疾患の検討、院内における医療安全体制の充実を含めて、患者さんの安心・安全を確保する前提ではございますが、検討していくべきであろうと考えます。
42ページの耳鼻咽喉科診療でございますが、これも10月20日の審議の際に申し上げたことでございますけれども、基本的に耳鼻咽喉科領域の処置は常に感染の危険を伴う診療が行われております。コロナ禍におきまして非常に苦労されている部分でありまして、この認識に基づけば、そもそもの処置点数の技術評価が見合っていないのではないかということが根本にあろうかと思いますので、組合せを考えるにしても基本的な評価を引き上げた上でのことであろうと理解しております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
私からは、32ページ目の慢性維持透析に関わる指摘事項です。HIF-PH阻害剤の2つ目の丸について発言させていただきたいと思います。
HIF-PH阻害剤の現行の点数体系において、取扱いの明確化に困難を来している事例が示されております。ある程度、整理を行っていくことは理解いたしますが、院外処方が実際に行われているという実態もございますので、院外処方という選択肢は残しておく必要があると考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
幾つか御意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、9ページの論点に関しましては、城守委員の意見に賛同いたします。
14ページの内視鏡の話でございますが、12ページにあるFAPに対する内視鏡資料の成績が非常に良好であるということが示されておりますので、13ページにありますK721の内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の増点をお願いしたいと思います。
それから、今、有澤先生からもお話がありましたように、35ページにおいて、慢性維持透析患者に対してのHIF-PH阻害剤の診療報酬算定上の取扱いに困難が生じているということは理解させていただきましたが、この問題を解決するために、HIF-PH阻害剤を含め、腎性貧血治療薬に関して、令和2年改定前のように、包括点数として人工腎臓の評価を簡素化することは理解できます。
しかしながら、HIF-PH阻害剤を院内処方だけに限定した場合、多数の透析医療機関が既に院外処方にシフトしている現状を考えますと、HIF-PH阻害剤を使用すべき患者に対しての当該薬剤の使用が滞る可能性が出てまいります。包括点数に戻す場合でも、院外処方も認めた上で、院外薬局との相対での精算を行うなど、実際の臨床現場に配慮いただきますよう要望いたします。
また、38ページに示されておりますように、地域において有床診療所も長期入院透析患者の重要な受入先として機能しております。有床診療所における慢性維持透析管理加算の算定を病院の療養病床と同じく認めるべきだと考えます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私も個別事項のところで、在宅医療に関することで2点ほどお話しさせていただきたいと思います。
まず、16ページ以降の在宅医療の現状についてに関しては、丁寧にお調べいただきましてありがとうございました。私もこの質問をさせていただいた一人として感謝申し上げたいと思います。
その上で、17ページ以降で、先ほどの御説明にもありましたように、聞き方によってかなり意見というか、見えてくる結果が違ってくるということがよく分かったかと思います。配偶者がいなくなったときとか、介護が必要なとき、あるいは本当に最後の最後まで家にいられるかということに対して不安を感じている。年度も多少違いますけれども、要は患者のニーズは本当に刻々変わるし、聞き方によっても変わってくるということで、そこを丁寧に理解しながら在宅医療を進めていかなければいけないのではないかと思います。
大きな流れとしては、最期まで在宅で迎えたいという気持ちがあることは恐らく誰も反対しないのだろうと思いますけれども、本当に苦しくなったとき、つらくなったときに入院したいというお気持ちが表れているデータではないかと思いますので、ここは在宅死がマルで、病院死はバツという考え方ではなくて、お互いが補完し合って、できるだけ最後まで長く在宅でいられるような体制を組むために、どういう診療体制があるべきかを考えていくというデータではないかということを意見として言わせていただきます。
24ページと25ページの在支病の実績に関してですけれども、25ページにありますように、強化型で求められる緊急往診件数がゼロのところがあり、在支病でなぜかというところがありますけれども、一方で、ゼロのところで、25ページの下の図で見ると、それは在宅から緊急の入院をさせているところが30件以上ある、機能強化型以外も含めて在宅から入院受入をしっかりやっているということなので、恐らく訪問診療、往診体制は取れていなくても、それをしっかり受け入れる体制をとっているというのが在支病の一つの実績として出たのではないかということで、こういうところも評価できるということで御理解いただければいいのかなと思いました。
以上、意見です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
まず、届出業務の効率化についてです。施設基準や訪問看護ステーションの届出の効率化については、業務負担軽減の観点から、軽微なもので、診療報酬の算定上影響を及ぼすものでなければ、定期的かつ報告の間隔を長く取ってもよいのではないかと考えております。
一方で、変更等があっても全く届出がなされないとすれば、現状との乖離が大きくなり、大きな届出ミスとなるおそれもあるため、一定程度チェックする仕組みは必要ではないかと考えております。
1点質問でございますが、届出のデジタル化を厚生労働省として考えているのでしょうか。医療機関、厚生局の双方の負担軽減につながると思われますので、検討していただきたいと思っております。
続きまして、FAPの治療についてですが、内視鏡手術について、まとめて行うことを前提として、一定以上のポリープの数を対象に評価を行うことについては理解したいと思います。
それから、これまでの指摘に対する回答で、20ページにありますが、最期を迎えたい場所について、国民のみならず医師、看護師、介護職員も自宅での割合が多いという結果から、在宅での終末期医療の重要性を改めて認識いたしました。
在宅での終末期を考える上で、アドバンスケアプランニングの周知啓発も改めて必要と考えます。終末期になり、患者が自己選択できなくなる前に、患者の心情に配慮した上で自己選択を行っていただき、個人の尊厳を保つことが必要と考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
御質問がありましたけれども、後でまとめて事務局で回答をお願いいたします。
続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、届出の簡素化につきましてですが、医療の質に関わらないということであれば、業務の負担軽減、効率化は進めるべきものと考えますので、前向きに対応していただければと思います。今回、特別に示されております、例えば研修の証明書につきましては、厚生局の監査等で受講の事実を確認できるので、添付不要で差し支えないと思います。また、訪問看護ステーションの連絡先の変更につきましても、厚生局等とのやり取りに支障がないことを前提に、施設基準の届出区分を変更する際に合わせて対応するということで結構です。
次に、消化管ポリポーシスの治療ですけれども、患者の希望もあり、かなりの数のポリープを内視鏡で切除するケースがあり、今回、限られたデータではありますけれども、大腸がんへの進行の抑制につながるということについてはある程度理解いたしました。現行はポリープの大きさに応じた評価が実態に合っていないということであれば、例えば時間に応じた評価なども考えられますけれども、医療費への影響等も勘案していただいて、具体的な案を提示いただければと考えます。
続きまして、これまでの指摘に対する回答ですけれども、いろいろな面で資料を作成いただいて、どうもありがとうございました。その中で、有床診療所の透析入院と耳鼻咽喉科処置の2点についてコメントいたしたいと思います。
1つ目の透析ですけれども、38ページ目を見ますと、左の図では長期入院に対応する有床診療所の割合が200床未満の病院と、大体70%以上ということで、おおむね同程度という実態が示されており、一方、右の表では長期入院の施設が不足しているということで、有床診療所が重要な役割を果たしているということは理解いたしました。
ただ、療養病棟入院基本料1の病院とはそもそも体制が異なりますので、評価の在り方については年明け以降に改めて議論させていただきたいと考えます。
それと、少し気になったのですが、右の表の下で、社会的入院患者が増えているといった回答が1割程度ありますけれども、これについては在宅への移行をしっかり促すことも併せて考えることが重要だろうと考えます。
2つ目は耳鼻咽喉科処置の関係ですけれども、45ページと46ページを見ますと、令和元年5月ということで少し古いデータではありますが、2項目以上の同時算定が多く、組合せとしては鼻処置、ネブライザー、口腔内の薬剤処置がある意味でパターン化されている、ルーチン化されているという印象を受けました。適応症との組合せも考慮しながら、もう少し新しいデータを使って、どのような評価ができるのか検討したいと思いますので、事務局には準備のほどをお願いしたいと思います。
コメントは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
私からはFAPの治療に関することで、評価をするということは特に異論はないのですけれども、いろいろ分からないところがあるので教えていただきたいのです。
FAPに対する標準治療は今のところ大腸切除となっていますけれども、これはやはり手術するということが第一選択で、患者にもまずはそれを勧めて、手術は嫌だと言うので、拒否した患者さんだけに内視鏡の手術をするのかということを聞きたいのです。
何を言いたいかというと、今、内視鏡で切除するのは割と安全性も、腸に穴が空いてしまうとか、輸血が必要になるほどの出血というリスクはあまりないので、そういう処置をされている方は大分多いと思うのですけれども、あくまでも今も標準治療は大腸切除であって、それを拒否したから内視鏡に行くのか。それとも、現在は既に選択肢として、手術しますか、内視鏡にしますかと言って、患者が選択しているのかどうかというところと、現在、大腸切除と内視鏡の件数の割合はどういう状態になっているのかは知りたいと思っていて、今は大腸切除よりも、5年後のがん発生のリスクも内視鏡のほうが低いのだったら、これは大腸切除よりも内視鏡のほうが、標準治療になるほうが患者にとっても負担がなくなるし、リスクもなくなるのだったらいいのではないのかと思うのですけれども、そのあたりの検討は実際にされているのでしょうかということです。
それから、内視鏡の現在の評価が、ポリープの数ではなくてポリープの大きさによって評価が異なるのだということで書いてありますけれども、数は全然関係ないのですか。切除した場合、2cm以上のポリープを切除した場合、7,000点と書いてありますけれども、これは何個取っても7,000点なのかということをお聞きしたいと思います。もちろん、これは100個取ったら結構な点数になってしまうわけですけれども、逆に何個取っても7,000点だということになると評価としては低いのだろうと思いますので、そのあたりをお聞きしたいのと、現在、標準治療自体も何か検討されているのかどうかということをお聞きしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。間宮委員からも幾つか御質問をいただきました。
ほかに御質問はございますでしょうか。
飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
施設基準の届出に関連しまして、現在は紙で行っているということだと思いますけれども、私からは、ぜひこういった情報をデジタル化していただくようにお願いしたいと思います。検証部会の議論の際も、医療機関に施設基準の直近の状況が一つ一つ聞かないと分からないということもありまして、こういう情報をぜひデジタル化して政策決定に活用できるようにお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
間宮委員、お手が挙がっています。追加のコメント、御質問をよろしくお願いいたします。
○間宮委員
お聞きするのを忘れてしまったのですけれども、今、FAPに関する内視鏡の治療に係る臨床試験の対象者ということで1から3の全部を満たすこととなっていますけれども、マル2のところで100個以上ポリープがある症例となっているのですが、これは今後も100個以上ないと駄目だという話なのかどうなのかも合わせて聞きたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御質問はございますでしょうか。
それでは、佐保委員と間宮委員から御質問をいただいておりますので、事務局から御回答をお願いいたします。
○高宮保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長です。
佐保委員と飯塚委員から、施設基準の届出のデジタル化について御質問と御意見がございました。
現在は紙で届出を行っていただいているところですが、令和4年度から施設基準の一部、それから、毎年7月1日の時点での定例の報告について、オンラインでの届出ができるようにするということを今、準備をしているところです。オンライン請求で診療報酬を請求している医療機関について、オンラインで届出ができるという仕組みにしていきたいと考えています。
ただ、施設基準がたくさんある中で、全てではございませんで、まず、令和4年度は施設基準のうち、16の項目についてオンラインで届出ができるようにということを考えています。引き続き、対象となる施設基準の拡大について取り組んでいきたいと考えています。
以上です。
○井内医療課長
間宮委員からの御質問でございますが、FAPに対する内視鏡治療でございます。12ページに掲載させていただいておりますのはあくまで一つの研究の結果でございます。対象患者も研究を行うための条件ということでございます。その結果が右側のグラフだということです。
実際、今のところ標準治療は大腸切除と聞いております。ただ、医学的な新たな知見がこういった形で出てきておりますので、今後、標準治療がどうなるかというのは、医学的有用性を検証された上で、学会を中心に決めていかれるものだと理解をしております。
また、診療報酬上の評価ということで、内視鏡の13ページのK721のところですが、現在はこのとおりで、直径2cm未満か以上かでしか点数は分かれていません。ですので、数は1個であっても100個であっても同じという診療報酬上の評価になっております。
御指摘がありましたように、100個というものを取り除く場合には大きさ以上に手間や技術が必要になると聞いておりますので、今回はこういった科学的知見を基に診療報酬上の評価の形をどうするべきかの御議論をいただきたいということで、事務局としてこの資料を準備させていただいております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。よろしいでしょうか。
ほかに御質問等はございますでしょうか。
特にないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「令和4年度診療報酬改定の改定率等について」を議題といたします。本件は報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
22日の中医協総会でも簡単に御報告いたしましたが、22日の大臣折衝の結果について、改めて御報告いたします。
資料の総-2を御覧ください。1ページ目でございます。令和4年度の診療報酬の改定率は全体でプラス0.43%となっています。その内訳は次のとおりです。
※1ですが、※2~5を除く医科、歯科、調剤に配分する改定分で、プラス0.23%、各科改定率は医科がプラス0.26%、歯科がプラス0.29%、調剤がプラス0.08%となっています。
※2ですが、看護職員の処遇改善のための特例的な対応で、プラス0.20%です。
※3ですが、リフィル処方箋(反復利用できる処方箋)の導入・活用促進による効率化で、マイナス0.10%です。(症状が安定している患者について、医師の処方により、医療機関に行かずとも、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる、分割調剤とは異なる実効的な方策を導入することにより、再診の効率化につなげ、その効果について検証を行う)こととされています。
※4ですが、不妊治療の保険適用のための特例的な対応で、プラス0.20%です。
※5ですが、小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来で、マイナス0.10%です。なお、歯科・調剤分については、感染防止等の必要な対応に充てるものとされております。
薬価の改定率は全体でマイナス1.35%となっており、その内訳は、実勢価格等改定でマイナス1.44%、不妊治療の保険適用でプラス0.09%となっています。
材料価格の改定率はマイナス0.02%となっています。
2ページ目でございます。1ページ目の内容のほかに、新型コロナ感染拡大により明らかになった課題等に対応するため、良質な医療を効率的に提供する体制の整備等の観点から「医療機能の分化・強化、連携の推進に向けた、提供されている医療機能や患者像の実態に即した、看護配置7対1の入院基本料を含む入院医療の評価の適正化」「在院日数を含めた医療の標準化に向けた、DPC制度の算定方法の見直し等の更なる包括払いの推進」「医師の働き方改革に係る診療報酬上の措置について実効的な仕組みとなるよう見直し」「外来医療の機能分化・連携に向けた、かかりつけ医機能に係る診療報酬上の措置の実態に即した適切な見直し」「費用対効果を踏まえた後発医薬品の調剤体制に係る評価の見直し」「薬局の収益状況、経営の効率性等も踏まえた多店舗を有する薬局等の評価の適正化」「OTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲の見直しなど、薬剤給付の適正化の観点からの湿布薬の処方の適正化」について、中医協での議論も踏まえて、改革を着実に進めることとされています。
3ページ目です。看護における処遇改善について、令和4年度診療報酬改定において対応することとされております。
以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
質問ではございませんが、改定率につきましては政府において決定されるものでありますので、この枠を十分に踏まえて、今後、中医協の場で議論を深めていくわけですけれども、内容を拝見しますと、一部の領域について配分、あるいは個別項目に関わる方向性が示されております。これは、これまでの中医協の議論を受けて、政府において一定の判断がされたものと推察いたします。
特に7項目の制度改革事項につきましては、中医協での議論も踏まえて、改革を着実に進めると書かれており、やはり中医協の場で個別の内容についてはしっかり決めていくということを通じて中医協の役割をしっかり果たしていきたいと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
看護の処遇改善、医療保険制度の持続可能性、新型コロナウイルス感染症の影響等を勘案した改定率であると受け止めておりますが、薬価等のマイナス改定により、医薬品のイノベーションや安定供給、品質確保への影響が懸念されると感じます。
また、看護における処遇改善については、介護保険で実施されている処遇改善加算の仕組みを参考に、適切な担保措置を講じるとされておりますが、介護保険ではキャリアパス要件が研修機会の確保でよいとされ、研修を受けさせることまで求めていないことや、職場、環境等要件が健康診断を実施していることだけで満たせるなど、要件が職員のキャリアアップや就労環境の改善に資するものと必ずしもなっていないといった課題があります。医療現場における労働実態に即した要件を設定すべく、丁寧に検討していくことが重要と考えます。
また、対象医療機関が限定されることになっており、個々の医療機関における人材確保への影響を注視していく必要があると考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
今回の改定率を踏まえまして、今後、中医協で議論をしていくということになるわけですが、先ほど少しお話も出ておりましたけれども、今回の大臣合意では一部の個別項目等に関する方向性も示されております。
しかし、今後、中医協においてこれらの議論も行うということになりますが、中医協では常に有効性、安全性を確認して検討いたしているというわけでございますが、加えて、医療現場の状況や医療提供体制にどのような影響が出るのかという点もしっかり考慮しつつ議論を進めるべきであろうと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問、あるいは御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。次回以降、この改定率を前提といたしまして、診療報酬改定の個別項目の議論を行っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして「令和4年度診療報酬改定への意見について(各号意見)」を議題といたします。本日は1号側委員、2号側委員それぞれから、令和4年度診療報酬改定に関する意見が提出されております。これは中医協として一つの意見にまとめるというものではなく、今後、診療報酬改定の個別項目の議論を行っていくに当たり、改めて各号から意見を整理して提出していただいたものであります。次回以降、これらの意見を踏まえながら議論を深めていきたいと思っております。
まず、1号側委員から御説明をお願いいたします。松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
令和4年度診療報酬改定の基本方針、これまでの中医協の議論を踏まえ、支払側委員で意見を取りまとめましたので、1号側委員を代表いたしまして私から御説明いたします。
資料の総-3-1を御覧ください。全体の構成ですけれども「基本認識」「診療報酬」「薬価・保険医療材料価格等の見直し」となっております。大半が診療報酬にページを割いておりますけれども、重点項目として「入院医療」「外来医療」「オンライン診療」「在宅医療」「歯科」「調剤」「コロナ・感染症対応」「医師等の働き方改革の推進」の8項目、その後に個別項目として26項目について記載しております。時間の制約もありますので、特に強調したい点について絞って意見を申し上げたいと思います。
まず、1ページ目を御覧ください。ここに我々の基本認識を記載しております。最初の段落に、これまで以上にメリハリの利いた配分の見直しを行うべきであるということを最初に主張させていただきます。
次の段落では、医療機能の分化・強化と連携のさらなる推進が最も重要ということで、入院と外来それぞれの方向性、それから、新しい形態として期待されるオンライン診療を適切に普及させるべきであるということ、さらに、安定供給に配慮しつつ、後発医薬品のさらなる使用促進等を図る等、適正化の視点が不可欠ということを主張しております。
3つ目の段落になりますが、個々の医療機関・薬局の役割や機能を反映しない一律の評価は行うべきではないということについても指摘させていただきます。
2ページ以降に具体的な項目に関する考え方を整理、記載しております。
先ほど述べました診療報酬の重点項目ですけれども、入院に関しましては、患者の状態と医療資源の投入量をより適切に反映できる報酬体系を見直すことが極めて重要です。この観点から、高度急性期と急性期では「重症度、医療・看護必要度」の評価項目について、心電図モニターの廃止等を求めます。
急性期一般病棟については、看護必要度の該当患者割合の基準値を引き上げるとともに、7区分ある入院料を簡素化し、各入院料間における該当患者割合の刻み幅を大きくすることにより、患者の状態に応じた評価のメリハリを強め、病床機能の分化を促進するべきであります。
その上で、急性期一般入院料1については評価にメリハリをつけ、医療資源の重点化を通じて病床機能を強化すべきです。
地域包括ケア病棟については、ポストアキュート機能しか担えない場合には評価を適正化するとともに、サブアキュートや在宅復帰支援の機能を強化する方向で施設基準等を見直すべきです。
回復期リハビリテーション病棟については、医療の質とアウトカムが向上するように、入院料区分の取扱いと実績区分の評価を見直すべきと考えます。
療養病棟については、経過措置(注11)を令和4年3月末で廃止すべきですが、仮に延長する場合には、回復期リハビリテーション病棟と同様に、6単位を超えるリハビリテーションを入院基本料に包括するとともに、減算幅を拡大すべきです。
中心静脈栄養を実施する患者については、嚥下機能評価を徹底し、早期に嚥下リハビリテーションを実施する必要があります。
DPC/PDPSについては、医療の標準化を進める観点から、より精緻な仕組みへと見直すことと、将来的には医療資源投入量や在院日数が平均値から極端に外れた病院にDPC制度からの退出勧告ができる規定を整備することを求めます。
短期滞在手術等基本料については、外来で可能な手術は外来での実施を優先しつつ、1入院包括評価を推進する観点から対象を拡大すべきであると考えます。
救急医療管理加算については、指標の数値と実施されている治療を組み合わせた客観的な基準を検討し、算定を適正化すべきです。
加算2については、その他重症な状態を整理し、将来的には廃止を目指すべきものと考えます。
次に、重点項目の外来医療に移ります。まず、患者と医師の双方にとって、かかりつけ関係が明確になるように、かかりつけ医関連の診療報酬体系を再構築することを求めます。
機能強化加算については、患者への情報提供を徹底すること、一定期間内に地域包括診療料等の算定実績があること等を要件化することを求めます。
次に、オンライン診療についてですが、コロナ特例や指針の改定を踏まえ、適切な普及、促進に向けて、算定要件等の見直しを行うとともに、医学管理料も含めて、対面診療との違いを踏まえた適切な報酬体系とすべきです。
在宅医療については、地域の関係者が一体となって、質を伴った訪問診療・訪問看護を効率的に提供し、今後の需要増に対応することが必要です。
次に、歯科に移ります。早期介入により効率的、効果的に患者の口腔状態を健康に保ち、QOLを生涯にわたり維持・向上させることが重要です。ただ、研修や追加の感染症予防策を理由に、基本診療料を引き上げることに関しては反対でございます。
続いて、調剤に移りますが、引き続き対物業務から対人業務への構造転換をして、かかりつけ薬剤師を中心とする安心・安全で効率的な薬物治療を実現することが求められます。
多店舗展開や医療機関への依存によって経営効率を高めている薬局の評価は、限界まで適正化すべきです。内服薬の調剤料については、投与日数によらず、一律の点数になるように見直すべきです。
薬剤服用歴管理指導料については、薬剤種類数が多い場合に説明時間等が長くなることを理由にして、評価に差をつけることには反対です。
次に、コロナ・感染症対策です。一般診療に関わるコロナ特例については、診療報酬本則の改定状況や、補助金と診療報酬の役割分担を踏まえ、廃止を検討することも選択肢であると考えます。院内トリアージ実施料の特例などについては、より適切な在り方について検討することが重要です。
感染防止対策加算の見直しに関しては、患者負担の増加への納得性や補助金との役割分担も踏まえ、有事の備えをどこまで診療報酬で対応するかについては慎重に判断したいと考えます。
次に、医師等の働き方改革についてですが、医療従事者の負担軽減や勤務時間短縮等のアウトプットを丁寧に確認しながら、診療報酬上の対応を検討すべきです。
12ページ以降からは個別項目について、我々の意見を整理しております。多岐にわたりますので、幾つか特にというものをピックアップして説明いたします。
12ページの(1)には、後発品に関する加算の見直しについて指摘を記載しております。
13ページの(3)の医薬品の適切な使用の推進については、服薬管理が難しい患者だけではなく、病状が安定している患者について、1枚の処方箋を繰り返し使用できるようにすることや、薬剤給付の適正化に向けて、湿布薬の処方枚数の上限を引き下げることを求めます。
(4)のデータ提出に関しては、外来や在宅のデータも積極的に収集する仕組みの創出を求めております。
(9)のがん対策では、外来化学療法の推進等を課題に挙げております。
(12)では、不妊治療について、当面の対応と、先を見据えた継続的な検証について意見を整理させていただいております。
(17)では、明細書の無料発行の完全義務化を主張しております。
(25)のオンライン資格確認の関連では、新たな評価には反対するということを申し上げます。
冒頭に述べました安全・安心で効率的・効果的な医療につなげるよう、これまで以上にメリハリの利いた配分の見通しを通じて、改定の基本方針の基本的視点と具体的方向性に掲げられました4つの課題の解決に必ずやつなげたいと考えます。
以上、どうもありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、2号側委員から説明をお願いいたします。
城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
それでは、令和4年度診療報酬改定に対する2号側委員の意見を述べさせていただきます。
お手元の資料でございますが、医科、歯科、調剤という形で分けられておりまして、それぞれ基本的な考え方としての総論、個別的な項目として、IIとして具体的な検討事項という構成になってございます。私から医科の意見を述べさせていただき、その後、歯科、調剤という形で見解を述べさせていただきたいと思います。
お手元の資料の医科の基本的な考え方を御覧ください。時間の制約もございますので、総論的なところを述べさせていただきたいと思います。
我が国では、世界に類を見ない少子高齢化の社会が進展して、人生100年時代を迎えようとしているわけでございますが、国民が幸せな生活を持続するために、安心して医療・介護を受けられるようにするということは不可欠でございます。そして、日本の国民皆保険という財産を守り抜き、次の世代へつないでいかなければならないということでございます。
また、今般の新型コロナウイルス感染症流行下においては、これまで以上に有事にも平時にも強い医療提供体制が求められております。併せて、厳しい状況下の中で献身的な働きを続ける医療従事者を支え、守ることも大変重要でございます。こうした課題に向けて、国民に付託されました貴重な財源を最大限適切に活用する必要がございます。
社会保障審議会が取りまとめました令和4年度の診療報酬改定の基本方針では、新型コロナウイルス感染症にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築、安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革の推進が重点課題として位置づけられております。高齢者の人口がピークを迎える2040年の医療提供体制の展望を見据えて、実効性のある医師、医療従事者の働き方改革を推進し、総合的な医療提供体制改革を実現するということで、持続可能な社会保障制度を実現するとともに、新興感染症の流行等にも即座に対応できるように、余力を持った平時の医療提供体制を構築するということで、社会保障のさらなる充実が図られて、国民の安心をさらに高めることが可能になります。
さらに、国民が住み慣れた地域において質の高い医療・介護を受けるために、かかりつけ医を中心とした切れ目のない医療・介護の提供体制が確立されるよう、介護・福祉サービスとの連携を強化する必要がございます。令和4年度診療報酬改定では、前回改定に引き続き、地域における医療資源を有効活用しつつ、継続して改革を進めるために必要財源を配分すべきであろうと思います。
我々は医療者として地域医療を守る使命感と倫理観に基づいて、持続的に我が国の医療の制度を維持、発展させるため、令和4年度診療報酬改定に当たっては、以下に示す事項を基本方針として捉えて、その実現に向けて取り組むということを求めます。
なお、これまで中医協で検討してきた項目につきましてはあくまで財源を考慮せずに議論されてきたものでございまして、改定率を踏まえてメリハリをつけたり、また、優先順位を決め、実施しないものが出てくることは当然であろうと考えます。
その項目としてだけ、以下に1から8までございますので、そこだけ読み上げさせていただきます。
「1.診療報酬体系の見直し」「2.あるべき医療提供体制コスト等(医業の再生産費用を含む)の適切な反映」「3.新型コロナウイルス感染症等にも対応できる大病院、中小病院、診療所が各々に果たすべき機能に対する適切な評価と、地域の医療提供システムの運営の円滑化」「4.医師・医療従事者の働き方の実状を踏まえた診療報酬上の対応」「5.施設基準の簡素化や要件緩和も含めた適切な見直し」「6.小児・周産期医療の充実」「7.不合理な診療報酬項目の見直し」「8.その他必要事項の手当」でございます。
II以降が、以下の点数表に沿った形でのそれぞれの個別の要望がございます。これに関しましては時間の制約上割愛させていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、コロナ禍において大変疲弊しております医療機関に対する対応として、しっかりとした診療報酬改定の対応を要望したいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいま1号側委員、2号側委員からそれぞれ御意見をいただきました。
○城守委員
会長、私は医科のほうだけの御説明でしたので、続きまして、歯科と調剤がございます。それぞれ述べていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
○小塩会長
よろしくお願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
引き続き、11ページからは歯科でございます。
歯科の基本的考え方ですが、口腔の健康が全身の健康に寄与することの様々なエビデンスが具体的に示されてきており、健康寿命延伸並びに国民の生活を支えることへの歯科医療の果たす役割や責務は大きいものと考えます。
特に、ライフステージに応じたう蝕や歯周病を含めた口腔疾患の長期管理等による重症化予防及び口腔機能の維持・向上を「かかりつけ歯科医」が中心に提供することにより、国民の健康や生活に資すると考えております。また、要介護者や様々な基礎疾患を抱える高齢者への歯科医療及び口腔健康管理、口腔機能低下への対応等を通じ、QOLの向上と健康寿命の延伸に寄与することも責務でございます。
さらに、重点課題の「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」におきましては、かかりつけ歯科医が地域における顔の見える職種連携をより一層強化し、適切な役割分担の下、必要な医療を面として提供することの重要性がうたわれておりまして、改めて国民の健康・生命・生活を守る立場の歯科医療を再検証すべきと考えております。
加えまして、重点課題の医師等の働き方改革等の推進におきましても、医科歯科連携をさらに推進し、歯科医療職種が積極的に関与することにより、その役割を果たすものと考えております。
今後も国民の健康な生活を支えるという歯科医療提供者の本来の責務を持続的に果たすために、記載の事項を基本方針と定め、歯科診療報酬について所要の改定を求めるものでございます。
具体的な内容に関しましては、12ページ以降に記載してございます。時間の関係上割愛いたしますが、後ほどお目通しください。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○有澤委員
私からは、保険薬局における調剤報酬関係、そして、病院、診療所における薬剤師の業務関係について発言させていただきたいと思います。
令和4年度の診療報酬改定に当たり、薬剤師・薬局は地域包括ケアシステムの一員として、かかりつけ機能の充実や患者等の個々の状況に応じた最適化した薬物療法の提供に資する業務を推進し、国民のニーズに合った医薬分業の推進、医療・介護連携等による充実した医療提供に向け、より一層取り組んでいく必要があります。
さらに、新型コロナウイルス感染症など新興感染症への対応については、薬剤師・薬局による状況に応じた適切な対応は引き続き必要なものであり、国民・地域住民が、住み慣れた地域で療養環境に関わらず安心して医薬品を使用できるよう、薬剤師・薬局による安全な薬物療法の提供に資する業の推進や、適正な医薬品の提供体制を確保するとともに、かかりつけ医師・かかりつけ歯科医を初めとした多職種連携をより一層推進していく。すなわち「薬剤師・薬局によるかかりつけ機能の発揮」「医療・介護連携の強化、病診薬連携の強化」「服薬状況の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学管理・指導の徹底」「在宅訪問業務に関する対応」「重複投薬、ポリファーマシー及び残薬への対応」等の取組を、さらに推進することが必要であり、さらに、後発医薬品の普及推進に向けて取り組んでいく上で「後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」という目標達成に向け、まずは後発医薬品の案定供給が確保されているということを前提にして進めていきたいと考えております。
その上で、1から6までの項目について記載させていただき、さらに具体的検討項目として、こちらに記載させていただいています。
もう一つ、病院・診療所における薬剤師業務関係であります。医師の働き方改革の推進により、医療従事者へのタスクシフト・タスクシェアの推進が急務とされており、病院・診療所における薬剤師の期待が大きくなっています。それに加えて、入院・外来の医療機能の分化・強化、在宅医療・介護との連携を含めた地域包括ケアシステムの構築に向けて、薬剤師に求められる役割は大きいと考えます。
しかしながら、病院における薬剤師の人員不足はそれらの推進の妨げとなっており、特に中小規模の病院では深刻な状況にありながらも、有効で安全な薬物療法の提供であったり、医薬品の適正使用の推進等、様々な業務に取り組んでいるのが現状であります。
病棟における薬剤師業務のさらなる充実や、シームレスな薬物療法を目指して他の医療機関及び保険薬局等の情報共有を充実することで、医療安全の確保と薬物療法の質の向上や医師の働き方改革に対応するための体制確保につながるものと考え、以下の5点に示す環境の整備を求めたいと思います。
その上で、それ以降、具体的な取組事項があります。多職種との連携も含めた形で、国民に対して医薬品提供体制をしっかりと構築させていただきたいので、ぜひ、こちらの検討をよろしくお願いいたします。
私からは以上であります。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
私の不注意で御説明を中断させてしまいまして、申し訳ございませんでした。おわびいたします。
ただいま、1号側委員、2号側委員から御意見を頂戴いたしました。今回はこれらにつきまして、議論はいたしませんが、次回以降、いただいた意見を踏まえながら診療報酬改定の個別項目の議論を行っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題は以上ですが、事務局から「その他」として資料が提出されていますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
資料の総-4でございます。中医協公聴会の開催について(案)でございます。
目的でございますが、令和4年度診療報酬改定に当たりまして、診療、医療の現場や患者等の国民の声を反映させるため、中医協委員が国民の声を聞く機会を設定することを目的として、公聴会を開催することとしたいと考えております。
開催日時は、令和4年1月21日金曜日の10時から12時です。開催方法につきましては、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンライン開催としたいと考えております。
出席者、議事の予定は以上でございます。意見発表者の募集及び傍聴者についての説明が7のところでございます。
事務局からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等ないようでしたら、事務局より説明のあった方向で準備を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。皆様、よいお年をお迎えください。
 


 
 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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