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2021年12月10日 中央社会保険医療協議会 総会 第504回議事録

○日時

令和3年12月10日(金)9:30~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 中村洋委員 
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 鈴木順三委員
城守国斗委員 長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 中村春基専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○歯科医療(その2)について
○入院(その7)について
○個別事項(その9)について
○選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果への対応について
○「令和4年度診療報酬改定の基本方針」について
○令和4年度診療報酬改定への意見について(公益委員案の提示)


 
○小塩会長
おはようございます。ただいまより第504回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は末松委員と羽田専門委員が御欠席です。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
最初に「歯科医療(その2)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○宮原歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。資料総-1の「歯科医療(その2)」に沿って御説明いたします。
2ページ目でございます。本日、御説明する内容でございます。歯科医療を取り巻く状況に続いて、地域包括ケアシステムの推進、生活の質の配慮した歯科医療の推進等について御説明させていただきたいと考えております。
3ページ目から歯科医療を取り巻く状況に関する資料となります。
4ページ目でございます。8月4日の中医協でもお示しした資料でございますが、歯科医療費の年次推移を示したものでございます。
歯科医療費は約3兆円となっており、近年は増加傾向です。その一方で、国民医療費に占める割合は、約7%弱という状況になってございます。
5ページ目は、歯科医療費の年齢階級別の推移を示しております。
6ページ目は、これまでも中医協に何度かお示ししておりますが、歯科治療の需要の将来予測のイメージでございます。
7ページ目は、2017年に日本歯科医師会において「■かかりつけ歯科医とは」「■かかりつけ歯科医が担う役割」についてまとめられておりますので、それを御紹介させていただいております。
8ページ目は、医政局で取りまとめられました歯科保健医療ビジョンの全体像でございまして、今後の歯科保健医療の提供体制について、歯科医療従事者等が目指すべき姿が提言されております。
9ページ目は、地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関等の役割をまとめたものです。
10ページ目は、同じく歯科保健医療ビジョンの中で、あるべき歯科医師像とかかりつけ歯科医の機能・役割を示しており、例えば、重症化予防や口腔機能に着目した歯科医療の提供、医療関係者や介護関係者との情報共有がより可能となる連携体制の確保などが示されております。
11ページ目でございます。「具体的な医科歯科連携方策と歯科疾患予防策」ということで、例えば、がんや脳卒中患者に対する口腔管理等の推進等が示されております。
12ページ目から、地域包括ケアシステムの推進に関する資料となります。
まず、1つ目の「地域における歯科医療機関と施設・行政等関係機関との連携」でございます。
13ページ目には、平時においても、また、新型コロナ感染症をはじめとする新興感染症の発生時においても、地域包括ケアシステムの中で必要な歯科医療を提供し続けるために必要な取組として「地域における歯科医療機関と施設・行政等関係機関との連携」「医療機関間の連携」「安心・安全で質の高い歯科医療の推進のためのICTの活用、研修等」を掲げております。
その1つ目の「地域における歯科医療機関と施設・行政等関係機関との連携」から御説明させていただきます。
14ページ目です。8月4日の中医協でも提供した資料でございますが、かかりつけ歯科医機能の評価の充実という視点で、関係機関との連携も含めて整理したものでございます。
15ページ目に、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準を示してございます。現行の施設基準では、色をつけて示している要件のような、成人・高齢者に対する歯科医療に係る要件が比較的多く設定されているものとなっております。
また、施設基準の選択要件に「自治体等が実施する事業に協力」となっておりますが、必ずしも明確に示されていないとの御指摘もございます。届出医療機関数の推移は、右下のグラフで示してございます。
16ページ目でございます。かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所に関連する診療報酬の項目の算定状況を示してございます。
17ページ目です。上段に「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準について、不足している要件を、また下段には、日本小児歯科学会の会員アンケートで満たしていない施設基準の要件は「歯科訪問診療関連」のほか「歯周病安定期治療関連」が多かったという結果を紹介しております。
18ページ目は、市区町村における要介護者に対する歯科関連事業の取組状況を示したものです。
19ページ目は、介護老人保健施設等における歯科疾患に対する取組状況として、例えば、歯科健診の実施状況などの状況を示しております。
20ページ目には、自治体が行っている障害者に関する歯科保健施策の実施状況を示したものでございます。
21ページ目からは、医療機関間の連携に関する資料となります。
22ページ目でございます。歯科保健医療ビジョンの再掲となります。
歯科においては、歯科診療所や障害者歯科医療等を多く実施している、いわゆる口腔保健センターや病院歯科との連携のほか、医科の医療機関や介護保険施設等との連携が重要となっております。
23ページ目です。医科歯科連携の一つの例として、歯科を標榜していない病院の患者に、後にずらすことができないような疼痛や炎症を伴う口腔疾患が生じた場合など、医科歯科連携の中で、歯科医療が提供される必要があり、例えば、新型コロナウイルス感染症の患者の場合であっても歯科医療が提供できる体制を構築しておくことが必要となってございます。
24ページ目は、これまでの障害者歯科医療に関する診療報酬上の評価の変遷を示したものでございます。
25ページ目は、障害者に対する歯科医療において、障害の程度や処置の内容等に応じて、歯科診療所や障害者歯科医療を多く行っている、先ほども出ました、いわゆる口腔保健センターなどの歯科診療所、歯科を標榜する病院との連携の状況と評価を整理したものでございます。
26ページ目に、歯科診療特別対応連携加算の施設基準を示しております。この中で、(3)の要件は、医科診療を担当する他の保険医療機関に限定したものとなってございます。
27ページ目は、いわゆる口腔保健センターの連携先の状況でございます。
28ページ目は、障害者の歯科治療における病院(歯科標榜)と地域の歯科診療所等との役割分担や連携の状況を示しております。
29ページ目は、HIV感染症における口腔症状をまとめたものでございます。下にある歯科疾患管理料の総合医療管理加算は、歯科治療を行うに当たり、医科の担当医から患者の全身状態や服薬状況等について必要な診療情報を受けて、総合医療管理を行うというものですが、HIV感染症は対象疾患となってございません。
30ページ目からは、安心・安全で質の高い歯科医療を推進するためのICTの活用や研修等に関する資料となります。
31ページ目は、歯科医療におけるICTを活用した検証事業に関するものでございます。ICTを活用して歯科医師の指示により、歯科衛生士が在宅や歯科医師がいない病院、施設等において口腔衛生管理を行う場合などが検証されてございます。
32ページ目は、検証結果の概要をまとめたものでございます。歯科衛生士が訪問による口腔衛生管理等を実施する際に、遠隔の歯科医師が口腔内の状況を確認することで、より詳細な指導が可能となったとされております。なお、患者の状況を確認しながら計画に基づいて実施することが望ましく、初診においては対面が望ましいと考えられることや、定期的に歯科医師による対面診療の実施が必要とされてございます。
33ページ目は、訪問歯科衛生指導料の内容と算定状況となります。
34ページ目は、厚生労働省の委託事業として、日本歯科医師会が実施している歯科医療関係者感染症予防講習会に関する資料でございます。令和3年度からは、従来行ってきたHIV、肝炎等の感染予防に関する内容に加えて、新型コロナウイルス感染症を踏まえた感染予防に関する内容が追加されております。
35ページ目は、歯科外来診療の特徴です。
36ページ目は、歯科医療機関における標準予防策を示してございます。
37ページ目は、新たな感染症を踏まえた歯科診療の指針の紹介となってございます。
38ページ目でございます。これは8月4日にも中医協でお出ししている資料でございます。歯科における院内感染症対策に係る初診料の注1の施設基準の内容と、施設基準を満たさない場合に初診料、再診料が低く設定されている評価体系を示しています。
施設基準には、院内感染防止対策に係る研修を受けた常勤の歯科医師の1名以上配置や、職員に対する研修等が要件となってございます。
39ページ目は、地域包括ケアシステムの推進及び、安心・安全で質の高い歯科医療の推進に関する、中医協における主な御指摘となってございます。
40ページ目は地域包括ケアシステムに関する課題について、項目ごとに示しております。
41ページ目以降は、生活の質に配慮した歯科医療の推進等ということで、資料をまとめてございます。
42ページ目でございます。歯周病安定期治療についての説明となります。歯周病安定期治療は、歯と歯茎の境目の歯周ポケットの深さが4ミリ以上であって、一時的に病状が安定した状態にある患者に対して行われるものです。プラークコントロールや器具を用いた歯面の清掃、歯石の除去、かみ合わせの調整などが包括されてございます。また、下段に算定回数、歯周病安定期治療(Ⅱ)の算定に必要なか強診の届出医療機関数を示してございます。
現行、歯周病安定期治療(I)と(Ⅱ)につきましては、包括される診療行為が異なっており、また、算定に必要な施設基準の有無が異なっている状況となってございます。
43ページ目は、歯周病安定期治療(I)(Ⅱ)のかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所、それ以外の歯科診療所の算定施設数、算定回数を示したものでございます。
44ページ目は、歯周病重症化予防治療に関する資料です。歯周ポケットの深さが4ミリ未満と、歯周ポケットは改善しているものの、部分的な歯肉の炎症や歯茎の出血が認められる状態の患者に対して、歯周病の重症化予防を目的として行われる治療でございます。その算定回数等を示してございます。
45ページ目は、歯周病の進行の特徴となります。
46ページ目は、歯周病の特性や状態に応じた治療について説明するものです。歯周病は進行・再発しやすく、治癒には至らず一時的に病状が安定した状態になる場合があり、こうした患者に対しては、状態に応じて42ページ目の歯周病安定期治療や、44ページの歯周病重症化予防治療が行われるものでございます。歯周病安定期治療(I)、歯周病安定期治療(Ⅱ)、歯周病重症化予防治療に包括している診療行為については、表でマルとバツでお示ししたとおり、異なっている状況がございます。
47ページ目も、8月4日の中医協でも提供させていただいた資料ですが、医政局における「歯科口腔保健の推進に係るう蝕対策ワーキンググループ」の報告書からの抜粋でございます。4つ目の丸の下線部ですが、う蝕、虫歯について全てのライフステージを通じて、患者の状況に合わせた歯科医療機関におけるう蝕の予防・重症化予防のための指導管理等が求められるといった記載がございます。
48ページ目は、う蝕の重症化予防を評価している項目をまとめたものでございます。
49ページ目です。う蝕の重症化予防の対象については、現行、小児のう蝕多発傾向者に対しては、フッ化物洗口指導やフッ化物歯面塗布処置は13歳未満が対象となっており、一方、う蝕に罹患しやすい歯の根のう蝕については、歯科訪問診療を行った患者に対してのみが対象となっており、現行、外来の高齢者等の患者は対象となってございません。
50ページ目は、3歳児、12歳児のう蝕の罹患状況などをお示ししております。
51ページ目は、先ほど出ました根面う蝕についての説明となります。
52ページ目です。小児の口腔機能管理については、15歳未満の口腔機能の発達不全を認めるものが対象となっておりますが、それ以降については、15歳より前に管理を開始した患者についてのみ、18歳未満まで継続可能という取扱いになっております。
53ページ目に、日本老年歯科医学会が口腔機能低下症について、その診断基準や病態等についてまとめた内容を紹介してございます。
54ページ目は、口腔機能管理に関する資料となります。65歳以上の口腔機能の低下を認める患者が対象となってございます。
55ページ目は高齢者の口腔機能の状況です。
56ページ目は、口腔機能の低下に関連した項目に該当すると回答した者の年齢区分別の割合を示してございます。50歳頃から、3項目のいずれについても増加している傾向が見られます。
続いて、歯科固有の技術になりますが、57ページ目に歯の内部にある歯髄の治療を行った歯などにかぶせ物を装着する際には、金属や非金属の材料で支台築造と呼ばれる土台を作り、さらに歯冠部の形成が行われます。金属で支台築造を行った場合と非金属で行った場合の形成方法自体は、大きな差異がないという実態となってございます。
58ページ目です。歯周疾患の症状の改善を目的とした歯周組織に対する比較的簡単な診療行為として、歯周基本治療処置がございますが、平均所要時間は2.7分となってございます。
これらを踏まえまして、生活の質に配慮した歯科医療の推進等についての課題が59ページ目です。
口腔疾患の重症化予防の各ライフステージに応じた口腔機能の管理、歯科固有の技術の評価に関する指摘事項が59ページ目、課題が60ページ目に掲載してあります。
これらを踏まえまして、論点として61ページ目と62ページ目に掲げてございます。地域包括ケアシステムの推進に関しましては、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所に係る施設基準について、小児患者を多く診療しているが、成人期・高齢期を含めてライフステージに対応した診療を行っている場合の要件の在り方について、また、施設基準の選択要件に「自治体等が実施する事業に協力」とあるが、必ずしも明確に示されていないとの指摘があることから、より分かりやすく示してはどうか。
また、医療機関間の連携につきましては、歯科診療特別対応連携加算について、地域の歯科診療所と歯科を標榜する病院等が機能分化・連携して提供されている実態を踏まえて、その要件の在り方をどのように考えるか、HIV感染に関連した口腔症状に関して、医科医療機関と連携しつつ対応する場合の評価をどのように考えるか、また、ICTの活用に関する検証結果を踏まえて、訪問歯科衛生指導の評価の在り方をどのように考えるのか。
また、新たな感染症に適切に対応できるように、歯科医療機関における歯科医師や職員を対象にした研修等を含めた取組についてどのように考えるのか。
62ページ目でございますが、歯周病安定期治療、歯周病重症化予防治療についてはその実態を踏まえつつ、より分かりやすい評価体系とする観点から、評価の在り方についてどのように考えるのか。また、フッ化物洗口指導やフッ化物歯面塗布処置について、年齢等によって対象者が限定されているが、これらの治療の対象者についてどのように考えるのかです。
また、小児口腔機能管理料や口腔機能管理料について、口腔機能の低下が見られる年齢等の実態を踏まえてどのような対応が考えられるのか、また、歯周基本治療処置について、その内容等を踏まえた評価の在り方、歯冠形成等の歯科固有の技術について、実態を踏まえた評価の在り方についてどのように考えるのかを論点として示させていただいております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明も踏まえて、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。論点に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、地域包括ケアシステムの推進ですが、1つ目の、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準についてですが、かかりつけ歯科医はライフステージを通じて国民に歯科的支援ができる機能を備えたものであり、その上で、一定程度の機能を保有した歯科診療所を評価するものであります。歯科疾患の重症化予防を踏まえた指導管理を行うことができる歯科医療機関を地域で拡大していくべきとは考えております。
2つ目の自治体が実施する事業の明確化につきましても、全く異論はありません。地域医療を担う立場で、歯科診療所はこれまでも推進してきておりますので、その部分を評価いただくことと考えております。
次に医療機関間の連携ですが、医療機関間の連携は重要と考えておりますので、2つの提案につきましても特段異論はありません。これまで以上に地域連携や医科歯科連携が進むように御配慮をお願いいたします。
加えて、周術期等の歯科医療に関してです。資料掲載はありませんが、周術期等口腔機能管理の推進は課題となっており、病院で働く歯科医療従事者を含めて、歯科診療所との連携も不十分なところがあります。周術期等口腔機能管理と歯科疾患管理料の算定制限の問題を含み、より推進できるような検討をお願いしたく思います。
次に、安心・安全で質の高い歯科医療の推進のためのICT活用、研修等ですが、1つ目のICTの活用については、これまで様々な部会で発言してきましたが、歯科においても医科同様、感染症対策の観点や今後の新興感染症への対応を見据えて、早期に導入することが必要と考えています。
特に歯科医師の指示の下で実施する歯科衛生指導などは、医政局の報告書でも成果が見えつつありますので、推進に向けて、本改定で前向きに御検討いただきたいと考えています。
2つ目ですが、新型コロナウイルス感染症は完全に収束してはいませんが、今後の新たな感染症も含めて、今回の経験を次につなげるための研修や体制整備は非常に重要な視点と考えております。日本歯科医師会でも内部調査を実施した結果、感染対策の中でも、衛生用品等への新たな対策や、これまでにない対応を迫られ、自己努力でそれぞれ実施しています。
医療機関では感染予防対策を徹底していると思いますが、歯科医療は特に患者さんにマスクを外していただき、口腔の外科的処置を中心とした治療の連続になります。何度も発言していますが、今回の一連の感染症対策を通じて、平時からの地域における顔の見える職種連携の、より一層の強化が重要であることが再認識されており、引き続き国民の健康、生命、生活を守る立場の医療提供者として、その責務を果たすための、新しい体制での必要な評価が見える形で、しっかりと評価していただきますよう、よろしくお願いいたします。
次に生活の質に配慮した歯科医療の推進ですが、1つ目の歯周病重症化予防治療は前改定での保険導入項目であり、さらに、歯周病安定治療についても、ようやくその運用が進んでいるところであります。歯周病の重症化予防は、全身の健康にも関連する非常に重要な課題でありますので、今回の提案がどのようなものか全容は見えませんが、推進に資する分かりやすい評価体系にすることには賛同いたします。その上で、現場の運用が混乱するものであってはその推進に影響を及ぼすと考えますので、慎重な対応をお願いしたいと思います。
2つ目のフッ化物応用についてですが、8020運動など、これまでの取組の成果として、全ての年齢層で残存歯数の増加を認めていますが、一方で、51ページの資料のとおり、根面う蝕やそれに伴う歯痛、歯の破折等のトラブルなど、単なるう蝕だけではない問題が増加してきております。これは抜歯の原因調査でも明らかとなっております。さらに、多数の疾患を保有し、多くの薬剤を服用する方も多い中、口腔乾燥の問題は喫緊の課題となっております。このように、外来に通院できる方の中にも、適切なフッ化物応用や長期管理を通じて、歯の保有に寄与できる部分は大きく、ぜひ進めていただきたいと考えています。
次にライフステージに応じた口腔機能の管理です。これまで何度も発言してきましたが、小児の口腔機能発達不全症や、高齢者の口腔機能低下症への評価対応をしていただいておりまして、これまで管理できなかった口腔機能についての管理が推進されていることは非常にありがたく感じております。しかしながら、15歳から64歳における口腔機能の問題は、現行では対象外のままとなっております。
56ページの資料にもありますように、小児、高齢者以外で、基礎疾患もない年齢層であっても、口腔機能の問題を抱えている潜在患者が一定数存在していることも分かっております。この部分に関しましては、後ほど田村専門委員からも補足説明をお願いしたく思っております。
若年者での舌圧検査等を導入して、より客観的な評価ができるように、また、高齢者の口腔機能検査の間隔も、現行では半年に1回ということから、早期発見につながるような拡大も含めて検討いただきたく思います。実態を踏まえて、できるだけ早期の介入が可能になるよう御検討いただきたいと思っております。
最後の歯科固有の技術についてですが、1つ目の歯周基本治療処置については、臨床実態を含め、あるべき評価の検討をお願いいたします。また、2つ目の提案されているメタルコア加算などは、メタルコアを入れることへの評価ではなく、ファイバーコアを含めた全てのコアを入れるための歯根形成など、臨床現場で非常に時間をかけて対応している技術面について、しっかりと評価されるようお願いしたく思います。
また、生活歯、いわゆる神経が残っている歯の歯冠形成は、浸潤麻酔を使用して行いますが、麻酔手技料並びに薬剤料は包括されており、薬剤料の算定に関しては検討をお願いしたく思います。
最後に、歯科補綴物の作製等を含めたデジタル技術の応用を含め、新たな唾液検査等、患者目線での効率的、効果的な新規技術や検査の導入についても検討いただき、今改定で取り入れていただきますようよろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、田村専門委員から補足的な御説明をお願いいたします。
○田村専門委員
ありがとうございます。ライフステージに応じた口腔機能の管理に関して、補足の発言をさせていただきます。
新潟大学と鹿児島大学が行った研究ですが、3歳から12歳までの小児3,399名を対象とした調査において、約3割に口腔機能発達不全症と考えられる症状があり、さらに年齢とともに増加する傾向が認められたというデータが論文発表されています。このような症状を呈する小児が成人になった段階でも口腔機能の問題が残り、それは高齢期にも及ぶ可能性は少なくないと考えられます。切れ目のない継続した口腔機能管理が必要と考えます。
以上となります。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
次に佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
61ページの歯科医療に係る論点の、地域包括ケアシステムの推進についての2つ目の○の施設基準の選択要件にある「自治体等が実施する事業に協力」の明確化については、趣旨は理解するものの、自治体がかかりつけ歯科医療機能強化型歯科診療所に求める事業への協力は、それぞれニーズが異なっているのではないかと思います。まずは協力いただきたい事業について自治体等から意見を伺って、明示をどうするか検討してもよいのではないかということを考えております。この点について、自治体等から実際に意見を伺っているのかどうかをお伺いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。御質問がありましたが、後でまとめて事務局から回答していただきたいと思います。
続きまして、安藤委員、お願いいたします
○安藤委員
ありがとうございます。私からも1点、御意見を申し上げさせていただきます。
「安心・安全で質の高い歯科医療推進のためのICTの活用、研修等」の論点の2ポツ目につきまして、これまでも申し上げてきましたとおり、院内感染対策は医療機関が行う本来の責務であり、研修や教育の充実で対応すべきものと考えております。先ほど、見える形での診療料のさらなる上乗せをという御発言もございましたが、診療料を感染対策のみを理由に引き上げることは適当ではなく、基本診療料全体としての在り方の中で考えるべき話であると考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。61ページと62ページの論点に従ってコメントいたします。
まず、大きな1つ目の地域包括ケアシステムの推進でございますけれども、その中で、かかりつけ歯科医機能強化型診療所、か強診についてでございますけれども、17ページに満たせない要件に関するアンケート結果が出ております。その中で一番多いのが、訪問診療を年5回以上実施することです。2つ目が、歯周病安定期治療30回以上というところでございますけれども、この1つ目の訪問診療を年5回以上というのは、現段階では要件の緩和ということには反対したいと考えます。
その次の歯周病安定期治療30回以上というところは、どうしても成人であるとか高齢者の治療というのには多いという観点についてはある程度分かりますので、小児患者を多く診療している歯科診療所がか強診になりにくいという趣旨の意味合いかと理解いたしますけれども、重症化予防にしっかり機能を発揮することが重要であり、安易に少ない回数でか強診になれるようにすることのないように、指摘はさせていただきます。
次に、自治体が実施する事業への協力については、明確化する方向で異論はございません。
続きまして、医療機関間の連携でございますけれども、障害児歯科医療を推進する観点から、27コマ目、28コマ目の実績を踏まえまして、歯科診療特別対応連携加算の要件に歯科の病診連携も認めることに異論はございません。また、HIV感染を総合医療管理加算の対象にすることも異論はございません。
3つ目の項目の「安心・安全で質の高い歯科医療の推進のためのICTの活用、研修等」でございますけれども、まず、訪問歯科衛生指導にICTを活用するということについては、歯科訪問診療を効率化するという観点も含めながら、在宅や施設にいる患者の口腔状態を改善できるということであれば、推進する方向でよいと考えます。
次に書いてございます研修等の取扱いでございますけれども、コロナを踏まえて、新たな感染症にも対応できるように内容を充実することは必要かと思いますけれども、先ほど、安藤委員から別の観点もありましたけれども、それだから見える形で基本診療料を引き上げるという発言の趣旨であれば、林委員の発言については反対させていただきます。
次に、大きな柱であります、生活の質に配慮した歯科医療の推進等でございますけれども、重症化予防の観点で、先ほどのか強診の要件等とも関連いたしますが、歯周病安定期治療については、一施設当たりの実績が、か強診はそれ以外に比べると多いということから、かかりつけ医機能を発揮しているということはある程度理解いたしました。
一方、歯周病重症化予防治療はか強診の要件になっておりませんが、これも継続的な重症化予防ということではかかりつけ医機能に近いと考えます。
46ページにありますとおり、包括範囲が異なっておりますので、これについてはそろえたほうが患者にとっても理解が進むと考えます。
また、次のフッ化物洗口指導、フッ化物歯面塗布処置でございますけれども、初期う蝕の治療や進行を防ぐために効果が期待されているにもかかわらず、算定対象にならない患者がいるということであれば、対象を広げてもよいとは考えます。
続きまして、各ライフステージに応じた口腔機能の管理でございます。まず、小児の口腔機能管理料を15歳以降から新たに開始するニーズというのはどういったケースがあるのか、これは教えていただきたいという質問であります。
さらに、口腔機能管理料は、56ページのグラフを見ますと65歳未満も対象にしてもよいとは考えますけれども、どの辺りで線を引くか、これは単位が10歳単位になっておりますので、もう少し慎重に判断をしたいと考えます。
最後に歯科固有の技術についてでございます。歯周基本治療処置については、比較的簡単な診療行為ということで、報酬体系の簡素化の観点からは整理も可能と考えられますが、1回10点で算定回数も非常に多いことから、どのような対応が考えられるのかは慎重に判断をしたいと思います。
一方、メタルコア加算については、大きな差異のないファイバーポストに合わせて適正化すべきと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
私も感染予防の対策について、新たな感染症というのはどんどん出てくるのがこれからまた予想されるので、研修を充実させていただく、それに対応していただくということは非常に大事だと思うのですけれども、だからといってそれを基本診療料に乗せてしまうというのは、今後、またどんどん患者の負担が増えていくと考えられるので、そういう意味であれば、これは研修のほうで見ていただいて、患者に直接負担がかかるような制度にするのはやめてほしいと、明確に反対したいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
田村専門委員から追加の御意見があると思います。よろしくお願いします。
○田村専門委員
ありがとうございます。
先ほど、口腔機能発達不全症が、15歳以降にどのような症状が存在するかという御質問があったかと思いますので、少しお答えさせていただきたいと思います。
口腔機能発達不全症で多く挙げられる症状が、咀嚼が弱いとか、口唇閉鎖不全、いわゆる、口が開きっ放しのお子さんが多いというのが挙がってきております。
これらの問題ですけれども、歯列、歯並びの問題ですとか、口呼吸といったことにつながりまして、口呼吸になりますと歯科だけの問題ではなく、胃疾患やアレルギーなどといった全身のほうにも関与していきます。これは15歳過ぎたからすぐに治るといったものではなく、成人期にもつながって残ってしまうということが十分考えられますので、そういった意味でも年齢がということだったかと思います。
以上となります。ありがとうございます。
○小塩会長
御説明どうもありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますか。
林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
何度も申し上げておりますが、今回の歯科医師会内部調査を実施した結果の、感染症の中での新たな取組、これまでにない対応を歯科医療機関ではしっかりと、感染症対策も含めてですけれども、自己努力でそれぞれ実施してございます。
医療機関では感染対策は、当然のことなのですけれども、歯科は特に患者さんのマスクを外して口腔の外科的処置を中心として行うといった処置の連続になります。
これは体制整備も含めて、今回、一連の感染症対策を通じての、平時からの地域の顔の見える職種連携というものを、より一層強化するという意味も含め、引き続きこの辺りは体制整備を整えていきたいと思っております。
もちろん、研修をしっかりしていくことは当然のことではございますが、その辺りは、今回のいろいろな歯科の中での歯科治療の特性を踏まえて評価をしていただければと思っております。
適正化という意味合いの言葉も今回出てきましたけれども、そういったものも含めまして、歯科医療体制がしっかりと国民に提供できるよう、引き続き地域での医療提供体制が充実するように御配慮いただけたらと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
事務局から、先ほどの御質問に対する御回答、追加的な御説明がありましたらよろしくお願いいたします。
○宮原歯科医療管理官
まず、1点目、佐保委員から頂戴しました、自治体からの意見等を伺っているのかについてでございます。
医政局の事業になりますが、令和元年度事業において、歯科口腔保健に関する事業の実施状況調査ということで、都道府県、市区町村に調査をかけてございます。
その中で、都道府県については47都道府県から、市区町村につきましては1,385市区町村から回答をいただいておりまして、その事業の取組状況のほか、課題や国に対して求めるようなこと等も回答の中で頂戴しているところでございます。こういったものも踏まえまして対応していきたいと考えてございます。
2点目の松本委員からの御質問については、田村専門委員から御回答がございましたので、私からコメントはございません。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
佐保委員、よろしいでしょうか。
お願いします。
○佐保委員
ありがとうございました。
そういうことであるならば、今回、そういった説明の資料をスライドで見せていただいたほうが分かりやすかったのではないかと思いました。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
事務局、よろしいですか。
今後の対応の際に検討していただきたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
特にほかに御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応を引き続きお願いいたします。
続きまして「入院(その7)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは資料に従いまして御説明をさせていただきます。総-2の「入院(その7)」でございます。
本日は「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料について」「医療資源の少ない地域について」「退院患者調査(DPCデータ)について」でございます。
3ページ目からでございます。地域包括ケアのところで、回復期入院医療に係る指摘ということで、中医協での御議論が3ページと4ページでございます。
5ページに、平成26年度に地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料が創設をされたということと、その役割をお示しさせていただいております。
6ページが地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料のイメージということで、点数の設計です。
7ページにそれぞれの要件設定を書かせていただいております。
8ページは病床数の推移です。
9ページが入院料別の届出病床数の推移です。
10ページでございます。地域包括ケア病棟の役割ということで、改めて申し上げさせていただきますと、急性期治療を経過した患者の受入れ、在宅で療養を行っている患者等の受入れ、在宅復帰支援でございます。
11ページが地域包括ケア病棟入院料等の施設基準です。先ほどの施設基準を、10ページにありますマル1、マル2、マル3のそれぞれの役割をどう要件化しているかということで並び替え、整理をさせていただいたものです。
12ページが、医療機関規模別の病床数でございます。
13ページは10月27日に提出させていただいておりますが、地域包括ケア病棟・病室の入棟元ということで、左のほうが自院または他院の一般病棟からの入院割合が多いところです。右に移るに従いまして、自宅からの入棟割合が多いところの分布でございます。
14ページからは出ているデータも多いのではしょらせていただきますが、14ページから16ページは一般病棟からの転棟割合の分析でございます。
17ページからが入棟元別の重症度、医療・看護必要度ということで、自宅からの入棟または他院の病棟からの入棟ということで、看護必要度I、Ⅱ別に分布を出しております。
18ページが自宅から入棟した患者の割合です。
19ページがその分析でございます。
20ページが緊急患者の受入数の分布です。
21ページが、入院料ごとの実績要件であります。実績の各要件のどれを満たしているかの分布です。
22ページが、その実績を幾つ満たしているかの分布でございます。
23ページが、救命救急センター等の体制及び救急告示の有無の分布を入院料ごとに示しております。
救急実施の有無が24ページです。
25ページに、入棟元別に見た患者の医療的な状態ということで「安定している」「時々、不安定である」「常時、不安定である」の分類を「自宅等」「一般病棟」「その他」ということで示しております。
26ページが診察の頻度で、同様の分類をさせていただいております。
27ページが、入院料別の在宅復帰率になります。
28ページが入院料別の在宅復帰率です。これも違った形での切り口ということでございます。
29ページが、入退院支援加算1の届出があるかないかを、それぞれの入院料ごとに出しております。
30ページで、入退院支援加算を取っているか取っていないかを、届出があるかないかに分けて、それぞれの病床規模の分布を見ております。
31ページも同様の分析になります。
32ページになります。地域包括ケア病棟に係るこれまでやった議論と考えておりますが、3つの機能の評価の方法について、果たしている機能に応じた場合の評価の在り方、病床種別に基づく患者の状態や実績等の違いを踏まえた評価の在り方と考えております。
下のほうに行きますと、在宅からの患者と一般病棟からの患者を比較した場合の医療的な状態や、医師による診察の頻度の違い等を踏まえてどう評価するかということ、自宅等からの入棟割合及び自院の一般病棟からの入棟割合に基づく患者の医療的な状態や医師による診察の頻度の違いをどう評価に反映させるかです。
真ん中に行きます。自宅等で療養を行っている患者の緊急時の受入れ、在宅医療等の提供、救急受入れ体制です。
右のほうに行きます。在宅復帰の実績、入退院支援部門を通じた入退院支援の推進ということでございます。
33ページに論点をまとめております。地域包括ケア病棟に求められる3つの役割について、病床規模や病床種別による患者の背景、地域における運用の在り方等が異なることも踏まえつつ、その評価の在り方についてどのように考えるのかとさせていただいております。
34ページでございます。医療資源の少ない地域についてでございます。
35ページに「医療資源の少ない地域に配慮した診療報酬上の要件緩和(概要)」の一覧を載せております。医療資源が少ない地域における算定状況がどういうものかというのは36ページと37ページです。医療資源の少ない地域の医療機関へのヒアリングを行いましたので、その結果が38~40ページとなっております。
41ページは、入退院支援加算を取っているかどうかの分析でございます。
42ページは論点でございます。医療資源の少ない地域について、これまでの診療報酬改定の経緯や考え方等を踏まえつつ、その特性に配慮した評価の在り方をどのように考えるのかというものでございます。
43ページが退院患者調査、DPCデータについてということでございます。
44ページが、令和元年5月15日成立の法律です。その中の3のところで、NDB、介護DB等の連結解析が挙げられているというものでございます。
45ページのところで、NDB、介護DB等の連結のところで、一番下でDPCデータベースも射程に入っているということです。
46ページがDPCデータベースと他のデータベースの連結解析ということで、令和4年度以降、DPCデータはNDB及び介護データベースの情報と連結して利用または提供されることとされております。このことを踏まえまして、前回の令和2年度の改定以降、DPCデータにおいても、NDB及び介護データベースとの共通IDであるKファイルの収集を開始したというのが現状でございます。
47ページと48ページで関係の検討会や有識者会議を挙げております。
49ページになりますが、匿名医療情報等の提供に関する専門委員会のところでございますが、令和元年10月の医療等情報の連結推進に向けた被保険者番号活用の仕組みに関する検討会においては、公的データベースから被保険者番号の履歴の照会を受け、同一人物性について回答を行うシステムの活用についての議論が行われたとなっております。その上で、報告書において、DPCデータベースで履歴照会・回答システムを活用するかどうかは、各データベースの所管部局、関係審議会等で検討ということになっております。
50ページは、連結するときの、先ほどの履歴照会・回答システムを活用した場合のイメージでありますが、DPCデータにおいても連結精度の向上に向けた取組を進めることが必要となることから、NDB、介護データベースと連結解析する際に、個人単位化された被保険者番号を用いる、個人単位化された被保険者番号の履歴の照会のために履歴照会・回答システムも活用することについて、令和3年12月8日の第8回「匿名医療等情報等の提供に関する専門委員会」で了承されたとなっております。
下のほうにイメージで、DPCデータの提出から、履歴照会・回答システムに関する個人単位化された被保険番号の照会を経て、DPCデータの格納というところまでの流れを示しております。
DPCデータベースのスケジュールを51ページに、全体の動きということでまとめさせていただいております。
52ページでございますが、論点でございます。個人単位の被保険者番号データの提出等によるDPCデータにおけるデータベース間の連結精度向上に向けた取組について、どのように考えるのかというものでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明も踏まえて、御意見等をいただければと思います。
最初に城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
まず、33ページの地域包括ケア病棟入院料・入院料管理料についてコメントを述べさせていただきたいと思います。
最初に、一般病棟から多数の患者さんを受け入れて、自宅等からの受入れが少ない病棟についてのコメントでございますが、これは11月12日の総会でも指摘したとおり、患者さんの入棟元は地域の医療提供体制によっていろいろと異なるということでございます。
例えば、近隣に在支診や在支病がある病院では、在宅患者さんの受入れ件数が少なくなるということは当然であろうと思いますし、逆に近隣に急性期の病院がない医療機関では、自院の急性期病棟で患者さんを治療して、その後、地ケア病棟に移り、在宅復帰につなげる件数が多くなるという場合もございますので、これはある意味、これら地域包括ケアを成り立たせるための運用例と言えるのではないかと思います。
したがいまして、一般病棟からの多数の患者さんを受け入れている医療機関が直ちに不適切であるかのような印象を持たれるのは、正しい認識とは言えないのではないかと思っております。また、一般病棟からの受入れ患者さんについては、自宅等からの受入れ患者さんと比較して、状態が比較的安定しており、医療資源投入量にも差があるという御指摘につきましては、既に現行制度でも一定の考慮がなされております。
具体的には、御案内のように地域包括ケア病棟入院料、入院医療管理料もそうですが、1とか3では、自宅等から入棟や緊急患者さんの受入れ等の実績要件というものが既に一定程度求められておりますし、その分、高い点数設定になっておりますが、実績要件を満たせない場合、つまり、一般病棟から多数の患者さんを受け入れて、自宅等からの受入れが少ない病棟ということになりますと、低い点数の入院料の2とか4を算定するということに現行でもなっているわけですので、今回さらに厳しいペナルティーを与えるという措置は必要ないのではないかと考えております。
次に入退院支援についてのコメントでございます。地域包括ケア病棟では入退院支援部門の設置が求められているものの、入退院支援加算1の届出をしている割合が4割にとどまっているという御指摘に対しましては、入退院支援加算1は規模の大きな病院でなければ算定しにくい要件になっております。例えば、病棟への人員配置とか居宅サービス業者等の連携等々、これらの要件は一定の規模が必要になろうと思います。ただ、実際には、地域包括ケア病棟でも入退院支援というものは取り組まれているわけですので、現場の取組を後押しするような手直しをしていく必要があろうと考えております。
42ページの医療資源の少ない地域においてということですが、これは一定の質が担保されるように配慮しつつ、これまで累次の改定をしてきましたので、その考え方も踏まえて、人員配置や病床数の緩和等について検討してはどうかと考えております。
最後の52ページのDPCデータの退院患者調査でございますが、これに関しましては長島委員よりコメントをさせていただきます。
○長島委員
長島です。データベース間の連結精度を向上させることは、連結したデータの、より正確で効率的な活用につながることが期待できますので、個人単位の被保険者番号の提出に賛成いたします。ただし、個人が特定されてはいけませんので、データベースに格納する際には被保険者番号の匿名化の徹底をお願いいたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私も地域包括ケア病棟に関する論点に沿って、質問と意見を言わせていただきたいと思います。
特に病床種別、規模別の評価の在り方ということですが、病床種別に関して、24ページに一般病床からの地ケアと療養病床からの地ケアとの差ということで、特に救急実施の有無ということがあります。これは質問なのですけれども、これを見ると、施設票での評価ということで、私の理解としては、施設票で病院全体として救急告示をしている病院か、そうではない病院かということで、これだけ差があるという解釈でよいのかどうかを1点質問させていただきたいと思います。もしその解釈で合っているということであれば、これはあくまでも病院全体として救急を受け入れているか、救急告示をしていないかということになります。
一方で、一般病床で救急告示をしている場合、これは想像になってしまいますけれども、恐らく救急搬送された患者は一般病床にまず入って、その後を地域包括ケアで受け入れるという流れになることが一般的ではないかと思いますから、これはあくまでも、このグラフで4分の1以上の差があるということは、一般からの地ケアと療養からの地ケアの、地ケア病棟のそのものの機能を見ているものではないという解釈になるのではないかと思います。
もちろん地域包括ケア病床というのは救急体制を持っているべきだということであれば、在宅等からの救急患者受入れというのがその機能に当たると思います。そうであれば、サブアキュートの受入れということは、入棟元のデータが分かるわけで、それだと今回はお示しになっていませんけれども、一般と療養でそれほど大きな差がなかったと思います。それでは、サブアキュートかどうかが在宅だけでは分からないということであれば、もう一つ、救急在宅等支援病床初期加算というのがあると思いますけれども、そこで最近、さらにそれが一般病床からの初期加算か在宅から初期加算かが分かると思うのです。そのデータでさらにそれが救急かどうかというのは、DPCデータを調べれば分かると思います。
そういうところで、きちんと救急から受け入れている項を一定数持っているかどうかというのは、そういうデータをもし取れるのであれば、それで評価していただくことが可能だと思いますので、あくまでも病院全体として救急告示をしているかしていないかということで、一般と療養を評価し直すということに対しては全面的に反対したいと思います。
というのは、地域によっては全体で療養病床しか持っていない病棟に関しては救急告示を指定しないという地域もありますので、その辺も理解していただきたいと思います。
要はストラクチャーで評価するのではなく、きちんと本当にアウトカムを出している、あるいは、プロセスを経ている。そこを評価していただくのであればやぶさかではありませんけれども、今さらストラクチャーだけで評価を差別化しようということに対しては、これまでの流れと少し違うのではないかということで、明確に反対をさせていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
御質問をいただきましたけれども、これにつきましては後で事務局より回答をお願いいたします。
安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。私からも2点意見を述べさせていただきます。
まず、地域包括ケア病棟の論点につきましては、以前も申し上げましたとおり、入院分科会からの御指摘のとおり、役割の一部しか担えていない場合など、機能の差を踏まえた評価の在り方を検討すべきであると考えております。特に一般病棟からの転棟患者につきましては、自宅等その他からの入棟患者と比較しますと、相対的に安定している状態の患者が多い等のデータを踏まえた対応を検討していくべきであると考えます。
DPCデータの退院患者の調査についてですが、DPCデータとNDB、介護DBとの連結解析が可能となることにつきましては、その精度向上に向けた取組については国民の健康、安心・安全並びに、より質の高い医療が受けられるようになるため、ぜひセキュリティーの確保に配慮しつつ進めていただければと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。私からも安藤委員の論点に重ねて、地域包括ケア病棟に関する意見を申し述べさせていただきたいと思います。
前回の議論においても申し上げたわけでありますけれども、地域包括ケア病棟については、求められる3つの役割をどこまで担えているかといった視点で施設基準やその評価を見直し、メリハリづけを行うことが必要であると考えております。前回も触れましたけれども、入棟元によって重症度、医療介護必要度、患者の医療的な状態、医師による診察の頻度において差が見られております。
こうした中で、他の医療機関や自宅等からの入棟が多数を占める医療機関もある一方、自院の一般病棟からの転棟が大多数を占める医療機関があることは勘案すべき実態ではないかと考えております。
加えて、入退院支援加算の算定状況や、救急の受入れの有無にも差があることが分かりました。こうした点を踏まえて、3つの役割を求められている地域包括ケア病棟として、適切に評価する方法で見直していただきたいと考えております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。私も安藤委員、眞田委員と同様の意見でありますが、地域包括ケア病棟入院料、入院医療管理料について、病床規模、病床施設による患者の背景、地域における運用の在り方が異なるといった状況については一定の理解をいたしますが、あくまでも行っていることや果たしている役割の評価として診療報酬を考えるのが、こうした役割づけを行った理由ではないかと考えております。求められている3つの役割がきちんと担えているところと、役割の一部しか担えていないところの評価にメリハリをつけてもよいのではないかと考えております。
次に医療資源の少ない地域についてですが、状況を考えれば、一定程度の要件緩和について理解できなくもありませんが、患者、被保険者の立場から考えれば、質の担保はどうなのかという課題があると思います。要件緩和をもしするということであれば、どう緩和するのか慎重に御検討いただきたいと考えています。
DPCデータにつきましては、連結解析によってより精度が向上するのであれば、DB間の連結精度向上に向けた取組は必要であると考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
地域包括ケア病棟につきましては、各委員からも出ておりますとおり、3つの役割を前提に診療報酬は設定されておりますけれども、一部の役割に偏った病棟があるということについては、2号側委員からもありましたけれども、地域の事情を考慮すれば、それ自体を一概に否定するものではないということは十分理解しております。
一方、一般病棟から転棟する患者で重症度、医療看護必要度の基準を満たす割合が相対的に低いことや、一般病棟から入棟する患者ほど医療的な状態が安定し、医師の診察頻度が少ないことがデータで示されているのもまた事実でございます。これは入院分科会からの指摘にもあったことでございます。
特に自宅等からの受入れ実績が要件化されていない入院料2の病棟は、自院の一般病棟から転棟している患者の割合が高く、この傾向は転棟割合に応じた減算規定のない400床未満の医療機関で顕著であることは、15ページに示されているとおりでございます。こうしたことを考えれば、400床未満にも減算を適用すべきであると考えます。
また、救急医療と入退院支援のことが33ページの課題にも記載されております。この2つはサブアキュート、在宅復帰の観点からすると、地域包括ケア病棟に期待される重要な機能と考えます。
救急については近いものとして、現行では入院医療の1や3で、自宅等からの緊急患者の受入れ実績が求められておりますが、もう少し機能を明確化すべきだと考えます。一般病床をベースにした地ケア病棟の9割が救急を実施していることを踏まえれば、現場に大きな混乱を生じさせない制度設計もあり得ると考えております。
入退院支援については、現行の施設基準で担当部門の設置義務があるものの、質が伴っているかどうかは必ずしも明確ではありません。一定規模以上の医療機関については、入退院支援加算の届出と関連づけることによって、患者の安心や円滑な在宅復帰が推進できると考えます。
医療資源の乏しい地域に関して、通常のように機能分化を通じて医療資源の集約を図り、機能強化をする考え方で対応できないので、ICTの活用や広域の連携によって機能を強化することが原則かと思います。人材の確保が困難ということであれば配慮することは考えられますけれども、先ほどほかの委員からもありましたが、単純な要件緩和ではなく、医療の質はどのように担保できるのかについての観点を言わせていただきたいと思います。
また、こういうことに関しては、好事例の横展開、あるいは情報提供です。これは当然、立地であるとか規模ということのほうが参考になると思いますので、それについても御検討いただきたいと思います。
最後にDPCデータとNDB、介護データベースを連結して解析する観点の項目ですけれども、情報の安全性が確保され、患者や保険者に特段の負担、影響がないということであれば異論はございません。この解析が診療報酬制度の納得性、合理性のさらなる向上に寄与することを期待いたします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。DPCデータについて1点コメントさせていただきます。
まず、データの連結精度の向上というのは大変重要なことだと思いますので、プライバシーに配慮して、その施策をぜひ進めていただきたいと思います。
関連して、恐らくこれは関連部局の範疇が多いかもしれませんが、データや分析の精度の向上の観点から、データに台帳の情報というものについても一部収集することを御検討いただきたいと思います。
今のNDB、DPCデータはどのような医療が提供されたかというのは大変詳しく分かるのですけれども、利用者に関する情報も非常に乏しいという問題があります。例えば、加入期間ということを考えますと、いつからいつまで各保険に属していたという情報がNDBにはなくて、NDBに患者さんのデータが現れない場合に、医療の利用がなかったのか、それとも、データの接続がうまくいっていなかったためにデータがないのかということは分からないといった問題があります。
関連して、住所地に関する大まかな情報もなく、どのような医療機関が周囲にあるかというのも分からないという話があります。
地域包括ケアシステムを進めていく上で重要な情報が欠落しているのではないかと思っておりまして、こういった患者さんの情報に関しても、どのようなものが有効かというのを御検討いただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
事務局から、先ほどの御質問に対しての御回答をお願いいたします。
○井内医療課長
池端委員からいただきました24ページの救急実施の有無の定義でございますが、これは地域ケア病棟を有する医療機関で、救急を実施しているかどうかということを聞いたときに、イエスと答えた者は実施あり、ノーと答えた者は実施なしといった調査でございます。
○小塩会長
池端委員、よろしいですか。
○池端委員
ありがとうございます。
それであれば、今回お示しのなかった、前回お示しされていた病床種別によって重症度、医療・看護必要度とか在宅復帰率はそれほど大きな差がないという、アウトカム指標できちんと評価していただくのは構いませんけれども、ただ、療養か一般かだけで評価の差をつけるということに対して、再度、明確に反対させていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかにはよろしいでしょうか。ほかに御質問、御意見等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。今後、事務局におかれましては、本日いただいた多くの意見を踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
「個別事項(その9)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
資料の総-3で説明をさせていただきます。個別事項(その9)でございます。技術的事項ということで、1から8までございます。
1つ目は二次性骨折の管理についてでございます。
3ページと4ページは人口ピラミッドです。
5ページは骨粗鬆症及び骨折の病態と疫学ということで、病態と疫学をまとめております。
6ページですが、骨粗鬆症と骨折の病態の疫学ということでございます。
7ページですが、初回骨折後の二次骨折ということで、初回の骨折が続発する骨折の危険因子であることが知られてございます。
初回骨折後の二次骨折で同様の8ページでございますが、初回骨折から再骨折までの期間の分布でございます。
9ページですが、介護が必要となった原因についてということで「骨折・転倒」は1割を占めているというデータでございます。
10ページ、骨粗鬆症の予後ということで、骨粗鬆症性骨折と生命予後の関係でございます。
11ページからは二次骨折予防のための取組の御紹介でございます。左のほうにFLSと書いておりますが、骨折のリエゾンサービスということで、それがどう始まったか、地域連携パスにおける骨折後の治療というのが右側でございます。
12ページと13ページで、関係学会によるガイドラインの御紹介をさせていただいております。
13ページは、その2つのガイドラインの関係性でございます。
14ページが、二次骨折予防のための取組ということで、対象患者を特定し、二次骨折リスクを評価し、投薬を含む治療を開始し、患者のフォローアップをする。患者と医療従事者への教育と情報提供がステージ1からステージ5でまとめられていて、二次骨折予防につなげるというものでございます。
15ページで、骨折リエゾンサービス、先ほどのFLSを実施した場合、有用性があると報告されているということで、まとめたものの御紹介でございます。
16ページは論点でございます。骨粗鬆症を有する大腿骨頸部骨折患者の二次性骨折の予防を推進する観点から、入院後早期からの学会のガイドライン等に沿った骨粗鬆症に対する一連の治療の評価の在り方について、どのように考えるのかでございます。
17ページからは、運動器疾患管理についてということでございます。
18ページが疾患別リハビリテーション料の概要ということで、心大血管疾患リハビリテーション、脳血管疾患リハビリテーション、廃用症候群リハビリテーション、運動器リハビリテーション、呼吸器リハビリテーションのそれぞれの点数の設定です。
19ページの方に行きまして、それぞれの施設基準ということでまとめさせていただいております。これらのリハビリテーションは現在こういう形で進められており、そのバランス等についてどう考えるのかということもございます。
20ページでございますが、運動器疾患を有する小児に対する継続的な診療の評価ということで、現在の令和2年改定の御紹介です。小児運動器疾患指導管理料が見直されたというものでございます。この際、対象年齢が6歳未満から12歳未満に拡大されたというものでございます。
21ページですが、小児運動器疾患指導管理料の算定回数でございます。
22ページは小児運動器疾患が指摘される学年ということで、分析をしていただいたものを並べております。小学校6年生から高校1年生のところに山が見られるというものでございます。
23ページは一例ということで、12歳女児の歩き方がおかしいというところで、先天性股関節脱臼と診断されたというものがございます。
論点でございます。24ページです。小児運動器疾患に対する評価を適切に行う観点から、評価の在り方についてどのように考えるのかというものでございます。
25ページからが高度難聴管理についてでございます。
26ページが難聴の種類と疾患ということで、難聴の整理でございます。
27ページが難聴の臨床経過ということで、難聴の疾患の臨床経過の例をそれぞれの疾患別でまとめさせていただいております。
28ページで、高度難聴の患者に対する指導管理の内容をまとめております。あと、難聴と認知症の関係性もまとめております。
29ページが高度難聴の指導管理ということで、一番上の問題点の聞き取りで補聴器の必要性についての検討というところから、補聴器が要るか要らないか、定期的な管理等を、こういったカスケードで管理するというものでございます。
30ページが高度難聴指導管理料ということで、高度難聴の診療報酬上の評価の御紹介でございます。
31ページは、日本耳鼻咽喉科学会による補聴器相談医による研修が行われているという御紹介でございます。
32ページになりますが、高齢化の進展や認知症患者の増加に伴い、難聴患者に対する生活指導等が一層重要となる中で、高度難聴指導管理料の在り方についてどのように考えるのかでございます。
33ページが、知的障害者等への医療提供についてでございます。
34ページが、障害者の総数・在宅施設別・年齢別の分類をまとめたものでございます。
35ページになりますが、受診等の課題が挙げられております。右のほうに入所者の医療機関の受診等についての課題がまとめられております。症状を自己申告できない入所者は、受診の判断が困難というものであったり、検査・診察の待機時間が長い、または待機が困難という理由が挙げられているというものでございます。
36ページは、医療機関が対応困難な理由としているものでございます。左のほうで、障害特性であったり、障害が重度であったりといったことが挙げられているというものであります。障害者のほうで入院するときの一定の困難が伴うというものでございます。
37ページが、てんかんの説明でございます。
38ページが、てんかんの年齢別の患者数でございます。
39ページが、知的障害のあるてんかん患者についてということで、知的障害通所施設においては、本邦においてもてんかんの患者が多いことが分かっているというもので、研究の報告でございます。
40ページで、知的障害者のてんかんは診断が難しいということの御紹介をさせていただいております。
41ページが、てんかんの地域診療連携体制の整備事業の御紹介です。
42ページが、てんかんの医療連携体制のイメージということで、全国支援センターが左にあって、地域のほうでネットワークを組んでというのが右下になります。
43ページが、かかりつけ医と連携した遠隔医療の評価ということで、先ほどのような医療連携体制があるという中で、遠隔連携診療料が令和2年に創設をされたということで、対象患者のところは指定難病の疑いがある患者、てんかんの疑いがある患者となっております。
44ページの論点ですが、障害者医療において、障害者支援施設等入所者の診療における対応困難な状況や課題も踏まえつつ、知的障害を有するてんかん疑い患者に対して、情報通信機器を用いて、てんかん診療拠点施設と連携しつつ診療を実施することについて、どのように考えるかというものでございます。
45ページからが検査についてということで、遺伝学的検査とカウンセリングになります。
まず、遺伝学的検査についてということで、46ページに現在の報酬で認められているものを列挙しております。
47ページが、遺伝学的検査に係るこれまでの経緯ということで、現行の診療報酬においては148疾患が対象となっております。
48ページが、遺伝学的検査の実施に当たって確認が必要な事項ということで、日本医学会より出ている分析的妥当性、臨床的妥当性、臨床的有用性というのが3つそろったらという御紹介です。
49ページが、診療報酬の令和2年の改定でございます。
50ページが、令和2年に新たに追加をされた疾患があるというものでございます。
51ページが、関係学会及び研究班により分析的妥当性があるとなったものの取りまとめでございます。
53ページからが、遺伝カウンセリングでございます。医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドラインということで、日本医学会がまとめているものの中の遺伝カウンセリングのところであります。当該疾患の診療経験が豊富な医師と遺伝カウンセリングに習熟した者が協力し、チーム医療として実施することが望ましいとなっております。その下に検体検査判断料、その中に遺伝カウンセリング加算というのがあるということで、届出施設と算定回数でございます。
54ページが難病の医療提供体制のイメージです。真ん中に拠点病院があって、地域と連携しながらというイメージ図でございます。
55ページが遺伝カウンセリング実施の事例ということで、長距離の移動が必要になった例を挙げさせていただいております。
56ページでございます。遺伝学的検査の実施が診断に必須とされる指定難病として、分析的妥当性が関係学会等により確認されたものについて、遺伝学的検査の対象疾患としての取扱いをどのように考えるのか、難病領域において遺伝カウンセリングを適切に提供していく観点から、遺伝カウンセリングを行う際の医療機関の連携について、どのように考えるのかということでございます。
57ページからが、周術期疼痛管理でございます。58ページが術後痛ということで、術後の疼痛が遷延した場合は早期離床の妨げとなるということで、術後合併症の発症率の増加、在院日数の延長にもつながると指摘されているというもので、その下にエビデンスをまとめているというものです。
59ページに取組ということで、術後疼痛管理サービスがあるということで、日本でも麻酔科医が中心となり、多職種術後疼痛管理チームが編成されたということです。術後疼痛管理サービスを入れたときにどういった有用性があるかというエビデンスを下のほうにまとめています。
60ページに、術後疼痛管理チームの構成及び介入方法ということで、麻酔科医を中心に、どういった人たちがどういったことをするのかをまとめています。
61ページに、術後疼痛管理チームの介入結果ということで、これもまたエビデンスをまとめています。
62ページは術後疼痛管理の適切な推進ですが、モデルケースの御紹介をさせていただいております。
63ページは論点になります。質の高い術後の疼痛管理において、術後疼痛管理チームによる管理によって、合併症の減少等が示されていることを踏まえ、術後疼痛管理チームによる疼痛管理の評価の在り方について、どのように考えるのかというものでございます。
64ページからが、人工呼吸器等管理についてということです。
65ページが、呼吸不全の治療ということで、左側が呼吸不全に対する人工呼吸、右側が呼吸不全に対するECMOでございます。
66ページが、重症患者の管理です。集中治療管理を要する患者に対する管理方針として、「The ICU Liberation Bundle」が提唱されているということです。その中で、人工呼吸器管理を要する患者に対しては、自発覚醒トライアルと自発呼吸トライアルの実施が推奨されているという御紹介でございます。
67ページが、鎮痛薬の中断・減量による効果ということで、日中に鎮静を中断した患者群と、鎮静を継続した患者群を比較すると、鎮静を中断した患者群において、人工呼吸器の装着期間及びICUの滞在期間が短くなったということで、浅い鎮静管理をされた患者群において、深い鎮静管理をされたよりも抜管までの期間が短く、院内生存率及び2年生存率が高かったというデータがあります。
68ページになりますが、ECMOを用いた治療の実際ということで御紹介をさせていただいております。
69ページになりますが、人工呼吸管理を要する患者に対する適切な鎮静管理等による治療期間の短縮や予後の改善が示されていること、また、ECMOを用いた治療に当たり行われている治療管理の実態を踏まえ、人工呼吸器やECMOを用いた重症患者の治療管理に係る評価の在り方について、どのように考えるのかというものでございます。
70ページからは、バイオ後続品の使用推進になります。
71ページにバイオ後続品の定義でございます。
72ページに基本方針2021ということで、バイオシミラーが書かれているというものの御紹介になります。
73ページの令和2年診療報酬改定における答申書附帯意見のほうでも、後発医薬品の使用促進の中で、バイオ後発品のことが挙げられているというものでございます。
74ページに、バイオ後続品のあるバイオ医薬品が対象薬剤となっている項目の例ということで、在宅自己注射指導管理料、外来化学療法加算を挙げております。
75ページに、バイオ後続品導入初期加算をまとめています。
76ページはバイオシミラーの自分自身への使用意向のアンケート結果です。
77ページは、バイオシミラーを使いたい理由です。
78ページは、バイオシミラーについて患者・家族が知りたい情報です。
79ページに、バイオ後続品の採用をさらに促進するために望む対応ということです。
80ページが備蓄状況であります。
81ページと82ページが、対象バイオ後続品の使用割合の推移というものでございます。
83ページに、先行バイオ医薬品とバイオ後続品の薬価の一覧を載せております。赤枠で囲っているのが価格差となります。
論点でございます。バイオ後続品の適切な使用を進める観点から、新たにバイオ後続品を導入する、または、現在使用しているバイオ医薬品をバイオ後続品に切り替える場合に、患者に説明等を行った場合の評価の在り方について、どのように考えるのかというものでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明も踏まえて、何か御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
最初に城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。おのおの論点に沿ってコメントさせていただきたいと思います。
まず、16ページの二次性骨折の管理についてですが、骨粗鬆症を有する大腿骨頸部骨折患者さんの二次性の骨折予防を推進する観点は大変重要でありまして、また、関係学会から提言されているリエゾンサービスによって再骨折率が低下するなど、有用性があるということでありますので、評価する方向で検討してよいかと考えます。
ただし、どの程度の期間フォローアップするのかといった点や、実施する医療機関としてはどのような施設が想定されるのかについて、よく検討をしておく必要があるだろうと考えております。基本的には、関係学会の作成しているガイドラインの考え方に沿って立ち上げるということが、適切な連携を現場に進めていくためには必要であろうと考えます。
続きまして、24ページの小児運動器疾患管理料についてですが、この項目につきましては、前回改定で対象年齢を6歳未満から12歳未満に引き上げたわけですけれども、対象疾患の中には12歳を超えて発症する方々もおりまして、本日の資料でも数は大変少ないですが、割合としては一定程度おられるということが示されております。患者さんのQOL改善のためにも重要でありますので、対象年齢のさらなる引上げを検討すべきと考えます。
32ページの高度難聴管理についてでございますが、現行の高度難聴管理指導料は、人工内耳植込術を行った患者さん以外の場合、算定は1回に限定されております。これは、一生に1回しか算定できないというわけでございまして、今回、指導を行うということで、認知症症状が改善するなどのデータも示されておりますし、加齢によって難聴の程度や認知機能が変化していくということは日常診療でもよく遭遇いたしますので、一生に一度ということではなくて、一定期間の間隔を置いて複数回の算定を認めるようにするなど、要件の緩和をすべきと考えております。
44ページの障害者医療についてでございますが、知的障害のあるてんかんの患者さんに適切な診療を行うためには、全国で均一的なてんかん診療を行える体制を整備するということが重要になるわけですが、現行の遠隔連携診療料は、対象患者にてんかんは含まれておりますが、診断を目的とした場合に限られています。しかしながら、投薬調整などのフォローアップにつきましても専門的な観点が必要でありますし、そもそも数が少ない中でも、こういった実態が明らかとなった研究結果があるわけですので、そういったエビデンスに基づいて、そうした患者さんにつきましても、遠隔連携診療料のさらなる活用を認めるということは、必要なことであろうと考えます。
56ページの検査についてですが、まず、遺伝学的検査が診断に必須とされる指定難病として新たに確認されたものを遺伝学的検査の対象に追加するということについては、異論はございません。また、難病領域において、遺伝カウンセリングについての遠隔連携の仕組みというものをつくって遺伝子のカウンセリングが提供できるよう、点数を整備してはどうかと考えます。
63ページの術後の疼痛管理についてですが、術後疼痛管理のチームによる管理は非常に重要でして、評価いただく方向で検討してよいと思いますが、チームの構成は医療機関ごとに異なる実態がありますことから、現場で既に行われている取組がきちんと評価されるように、施設基準をしっかり考えていただきたいと思います。
69ページの人工呼吸器管理等についてでございます。今回のコロナ禍でも明らかになりましたが、人工呼吸やECMOについては、複数の人員で様々な対応が求められることもありますし、そもそもの点数設定が低かったであろうと思いますので、実態を踏まえて見直しをすべきだろうと考えます。
最後に、84ページのバイオ後続品の使用促進についてでございますが、今回の調査結果から、バイオ後続品の使用促進については情報提供が重要であるということが示されていますが、現行制度では在宅自己注射指導管理料の加算であるバイオ後続品導入初期加算による評価のみとなっておりますので、入院とか外来で使用するバイオ後続品についても、情報提供を評価するということも検討してよいかと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。70ページ目以降のバイオ後続品について発言をさせていただきます。
バイオ後続品の使用促進については、医療費削減あるいは国民負担の軽減の観点からは、今後も促進していくべきと考えております。
79コマ目にある資料のとおり、薬局においてもバイオ後続品の備蓄数は増加しており、今後、薬局における対応や取扱いを増加していくことが予測されます。医療機関においても、バイオ後続品の品質、有効性、安全性等の情報を収集、評価し、患者へ説明することなどの取組が進められておりますが、今後バイオ後続品の使用促進をより一層進めていくためには、安全性や効果、価格差などの費用負担について、患者さんやその家族などに丁寧な説明を行うことが重要であります。
論点にもあるとおり、新たにバイオ後続品を導入、使用しているバイオ医薬品をバイオ後続品に切り替える場合には、患者に説明と情報提供を実施して、診療報酬上の評価をしていくといった方向でよいと考えます。
薬局においても、患者さんからの希望を受けて処方の医師に確認をした上でバイオ後続品に切り替える場合もあることから、それらについても一定程度の評価が必要と考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
島委員、お願いします。
○島委員
ありがとうございます。基本的には城守委員の意見に賛成でございますが、幾つか論点について意見を述べさせていただきます。
44ページの障害者医療の論点のところでございますが、D to Pwith Dによる診療拠点施設と連携し、医療の質を高めることには賛成でございます。
60ページの人工呼吸器の論点ですが、SATとかSBTを用いての評価をして、こういったきちんとしたもので管理をしていくということは非常に重要だと思っております。ここで評価をすべきであろうと同時に、今度は集中治療室の入室上限日数というのがございますが、人工呼吸器等を使っている場合、どうしても長期入院を強いられるということもございますので、きちんとした検証の下で、ここも考慮すべきかと考えます。
最後のバイオシミラーの後続品の話でございますが、ここは導入を推進していくための評価といったものをきちんと診療報酬上構築する必要があろうかと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。私からは2点お話ししたいと思います。
1点目は、24ページの運動器疾患管理の論点でございます。次代を担う子供の将来のことを考えると、小児運動器疾患については早期発見、早期治療が重要であり、学校医等の連携といった一定の条件を付加して、対象年齢を含めて評価を見直すことは理解したいと思います。
次に32ページの高度難聴管理についてですが、難聴患者に対する生活指導については、患者や患者の家族だけではなく、介護関係の多職種との連携を行うなど、患者を取り巻く生活環境の整備が重要ではないかと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。私からは、44ページにあります知的障害者等への医療提供についてコメントさせていただきたいと思います。
今回、論点に示されております、知的障害を有するてんかん疑いの患者について、診断の確定後においても、てんかん診療拠点施設といった専門医療機関の受診が患者や家族の大きな負担がなく継続的にできるよう、現在の遠隔連携診療料を見直す方向で検討すべきだろうと考えております。
また、今回示された対象患者以外にも、当該診療料が有効に機能するケースもあるように思います。専門医を受診するための移動が困難な患者もおられることを踏まえれば、さらなる活用に向けて、前向きな検討となっていただいてもよいのではないかと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。各項目の論点に沿いましてコメントいたします。
まず、二次性骨折の管理でございますが、リスクの高い高齢者が増加する中で、初回骨折の段階から管理が重要なことは十分に理解ができます。学会のガイドラインに沿った質の高い適切な介入と取組が行われますように、診療報酬上の対応を検討することで差し支えがないと考えております。
運動器疾患管理でございますけれども、小児の指導管理料が前々回の改定で新設され、前回の改定で対象範囲が拡大されたところです。さらに今回、12歳より高い年齢でも管理が必要であるケースもあるということで、対象年齢を引き上げたいということは、医療の必要性からは十分に理解できます。
21ページを拝見しますと、算定回数が急激に伸びていて、それ自体に異を唱えるものではありませんけれども、対象年齢の拡大によって疾患の構成が変化していくことも考えられますので、今後の推移を見ながら、指導管理料がどういう患者像を想定しているのかを検証する必要もあるかと考えます。
この項目の中で、論点にはございませんけれども、18ページと19ページに疾患別リハビリテーションの評価について記載がございますので、これについてコメントさせていただきます。
18ページと19ページに、疾患別リハの診療報酬体系が出ておりますけれども、19ページの3つ目の廃用症候群の施設基準を見ますと「脳血管疾患等リハビリテーション料に準じる」という表現になっております。これはつまり、人員配置が同じということです。
また、運動器疾患I、脳血管疾患Ⅱという区分もございますけれども、療法士全体の数がいずれも4名以上で同じとなっております。それにもかかわらず、18ページに戻りますと、算定される点数が大きく異なっております。疾患が異なるということで、算定の日数が違うということは理解できるわけですけれども、点数については同じ人員配置で同様のリハビリが行われているのであれば、低いほうにそろえて適正化するべきであると考えます。
算定日数につきましても、以前議題になりましたが、適切にリハビリを実施されているのか、報告を含めて実態を把握して適正化の方向で検討すべきと考えます。
次は高度難聴に移りたいと思います。
進行性の難聴の場合に、ある程度は経過を見ていく必要があることが分かりました。人工内耳植込術の患者以外は、高度難聴指導管理料を一度しか算定できないことが不合理ということであれば、対象疾患を限定して診療の頻度を適切に設定した上で、複数回の算定を認めることは考えられると思います。
てんかんの障害者医療の観点ですけれども、拠点病院による支援ネットワークの整備が進められたことも踏まえ、適切な医療が提供されるように、診断のみに限定されている遠隔連携診療料を広げて、患者や家族が地域で安心して暮らせるようにすべきと考えます。
検査についてでございますが、1つ目の遺伝学的検査に関しては、前回改定以降に学会あるいは研究班で整理された53疾患を対象に追加することでよいと考えます。
2つ目の遺伝カウンセリングについても、移動が困難な患者の負担を軽減するために、ICTを活用して遠隔カウンセリングを受けられるようにすべきと考えます。
周術期疼痛管理ですけれども、多職種チームの介入によって、痛みの軽減や合併症の抑制といった効果があれば、急性期の病棟でこうした取組を広げることによって、医療の質が向上すると考えます。
人工呼吸器管理等の議題ですけれども、患者に機器を装着して以降の一連の活動が行われている内容については分かりました。ただ、一連のこうした活動が、現行の点数でフォローされているのか否か、また、今回のコロナ治療を通じてノウハウの蓄積もあるかと思いますので、メリハリのある、より適切な評価体系にすべきと考えます。
最後はバイオ後続品についてですけれども、これについては高額療養費に該当することが多いわけです。患者負担の軽減は小さいかもしれませんが、患者の4割が使用に前向きと考えているという調査結果もありますので、ぜひ推進したいと考えております。
院内向けのバイオ後続品の中には、かなり使用されているものもありますけれども、今後は外来や在宅でも積極的に使用していただきたいと考えます。ただ、患者アンケートにもありますけれども、そのためには効果、副作用、費用について医療機関から患者のほうに丁寧に説明していただくことが欠かせません。一方、在宅自己注射に導入初期加算が創設されてから、対象となる品目の使用割合が上昇していることが81ページのグラフに示されておりますけれども、今後、外来化学療法についても、同様の仕組みを設けることによって使用が進むことを期待されます。ベースになる報酬項目にも十分注意しながら制度設計をすることが考えられます。診療報酬による誘導だけには限界がありますので、国を挙げた新たな研究開発並びに使用の促進をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
知的障害者の方への医療提供についてです。知的障害のある方のてんかんの率が高いということですけれども、素朴な疑問ですが、知的障害のある方はてんかんの率が高いのであれば、そもそもてんかんについて診られる専門の医療機関と患者家族が早くから関わっているというのが大事な気がして、てんかん疑いが分かったから急に情報通信機器を用いてやるというのは、何か後手に回っているような気がしてならないという感じがします。
もちろん、知的障害を持っている方の外来の受診などが難しいというのは承知していますけれども、そうであれば、てんかんの疑いの患者さんだけではなくて、ほかにも範囲を拡大して適用していってもいいのではないかと思うのです。話があちこちに行ってしまうのですけれども、通信機器を使ってサポートしていくというのは大事だと思うのですが、それ以前にできることもあるのではないかなと思いますので、そちらのほうも医療機関には検討というか、取り組んでいただきたいと思っています。
遺伝カウンセリングのことですけれども、当然、難病などの遺伝病があるということが早く分かれば、正しい診断が受けられて、すぐ治療に移行して、安心して生活を送れるということにつながるので、それは大事だと思うのですけれども、この説明だと検査とカウンセリングが一体化しているような感じがしていて、そもそもカウンセリングというのは、もちろん検査があって、診断があって、カウンセリングという流れなのだとは思います。その前の検査前のカウンセリングというのは当然ありますけれども、診断、治療、カウンセリングというのはそもそも違うものなので、イメージ的に一緒に語られているような感じがしているのですが、その辺りの認識はどういうものなのかというのは事務局に聞きたいと思います。
事例のところで、障害のあるお子さんが長距離移動をするということがありましたけれども、そういうことをなくすために、遠隔で連携してカウンセリングをしていくということであれば、実際には専門の医師には診てもらわなくてもこれからの治療が進んでいくということなのか、それを狙っているのかどうかということも聞きたいと思います。
専門のお医者さんに直接診ていただいて、カウンセリングというのは直接対面で行うのが一番好ましい話だと思いますので、その辺りはどう考えているのかはお聞きしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
カウンセリング検査について御質問がありましたけれども、これは後で事務局より回答していただきたいと思います。
城守委員、追加の御意見があったと思います。よろしくお願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
先ほど1号側から、疾患別リハビリテーション料について、同一の配置になっているものについては引き下げる方向で検討すべきという御発言がございました。現行の疾患別リハビリテーション料は、配置基準だけではなくて対象疾患の特性を踏まえた上で点数設定をしているということですので、配置が同じだからというだけの単純な理由で点数を見直すということには、明確に反対をさせていただきたいと思います。
また、標準的な算定日数の見直しについても、リハビリテーションの必要な患者さんに対して、必要なリハビリテーションを行うということが最も重要なことでありますので、そういうことを考えますと、これを直ちに見直すということも反対させていただきたいと思います。
いずれにしましても、各リハビリテーションの状況とかエビデンスの状況を踏まえた上で、現場に大きな影響を与えないようにしながら、リハビリに関しては検討をするということであろうと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。1点、事務局への質問になります。
78ページで、バイオシミラーについて知りたい情報は品質面、副作用面ということが挙がっていまして、こういった利用者の心配を払拭することが非常に重要なのだろうと思います。
これは低分子の後発医薬品が当初あまり使われなかった頃も同じような議論だったと思うのですが、こういった品質確保に関する取組というのが低分子と高分子で違いがあるのか、もしあるとしたらどうなっているのかというのと、今回の後発品の品質の問題等もいろいろありましたけれども、こういったものを強化して、より品質に対する不安を払拭するような検査は可能なのかというところを教えていただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。飯塚委員からも御質問がありました。ほかはよろしいでしょうか。
それでは、事務局、お願いいたします。
○井内医療課長
まず、間宮委員からいただきました、遺伝検査とカウンセリングが一体化しているのではないかという御質問ですけれども、53ページであります。日本医学会のところの抜粋と書いていますが、「遺伝学的検査・診断に際して、必要に応じて適切な時期に遺伝カウンセリングを実施する」ということでございますので、カウンセリングについては遺伝検査のところの情報をしっかりと正確に届ける中で、専門性の高い方が必要だという前提でこういった形になっているというものでございます。心理的ケアのようなものとは、ここについては違うというものでございます。
さらに遠隔のところですが、遠隔より対面がいいのではないかということでございます。実際、対面でも当然できるという前提ではございます。55ページに挙げましたように、長距離の移動を要する場合がある。これはドクターのほうがかなり専門性が高いということもありますので、近くの医療機関で簡単にできないといったケースがあるという前提で、こういった遺伝カウンセリングの遠隔みたいなお話になっているというものでございます。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。続きまして、飯塚委員から御質問いただきましたバイオシミラーについてでございます。
品質の確保などについては、基本的には薬機法の求めに基づいて、GMPなどの規定により行われておりますけれども、いわゆる化成品と比べて、いろいろな細かい追加的な規定もありますので、それに応じてバイオ医薬品の品質などについては、従前の取組から確保されているものと考えております。今般のいろいろな後発品での課題もありますので、併せてそれぞれの企業でも取組が行われているものと承知しております。
また、患者さんへのいろいろな説明については、治験の段階で直接患者さんに対しての有効性、安全性のデータなど、バイオシミラーについて追加的にいろいろな説明も必要かとは思いますので、その辺りの情報提供、説明も含めた上でのこういった加算の設定かと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
間宮委員、飯塚委員、よろしいですか。
ほかに御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
今の事務局からのお答えとしては、遠隔でやるというのは特殊なケースということでいいのですか。
○小塩会長
いかがでしょうか。
○井内医療課長
どの程度の頻度かということは現在、定量的にはお答えできませんが、定性的にお答えをさせていただくとすると、基本的には疾患によるものだと思っています。例えば、本当に専門的にやっておられるドクターが全国に2人、3人と言われるような疾患もございますので、そういった場合はかなり用いられるのではないかと思っております。ただ、そうではない、地域にも必ずおられるような疾患であれば、対面を行われることが多いのかとは思います。
○小塩会長
間宮委員、よろしいでしょうか。
○間宮委員
難病の遺伝の専門家というのは全国に本当に少ない状態というのが多くて、難病の患者さんは通院に非常に苦労しているという状況があるので、もちろん、近所のお医者さんに診てもらうというのが患者の負担という意味でも望ましいですけれども、診断につながるような道筋をつくっていただけるように。
難病の患者さんは、本当にあちこち行って、なかなか診断されないで、何年もたってからやっと分かって、やっと治療に入るということもあるようなので、その辺りの相談体制もしっかり構築していただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
御意見ありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。
ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたしまして、今後、事務局においては、本日いただいた御意見を踏まえて、さらに検討していただくようにお願いいたします。
続きまして「選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果への対応について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
資料の総-4「選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果への対応等について」でございます。8月25日の中医協総会で、選定療養に追加すべき事例等に関する提案・意見募集の結果の速報について報告を行い、今後、必要に応じて中医協で議論することとしておりました。その後、寄せられた意見について事務局において精査をし、対応方針の案について次のように整理しております。
まず、病床が200床以上の病院について受けた再診ということです。今回、提案された意見の一つに、費用徴収の要件について、同時に2以上の傷病について再診を行った場合は、当該2以上の傷病全てにつき要件を満たさない限り徴収は認められないというルールを、傷病ごとに要件を満たせば徴収可能なように見直しを求めるというものがありました。参考資料1の10ページでございます。
現在、病床数が200以上の病院において、他の病院または診療所に対して文書による紹介を行う旨の申し出を行ったにもかかわらず、当該病院を受診した再診患者については選定療養として特別の料金の徴収を認めています。
ただし、意見にあるとおり、通知上同一の病院において、同時に2以上の傷病について再診を行った場合、当該2以上の傷病の全てにつき上記の申出を行わない限り、特別の料金の徴収は認められないということにされております。
医療保険部会の「議論の整理」において「大病院からかかりつけ医機能を担う地域の医療機関への逆紹介を推進する」とされております。これを踏まえまして、同一の医療機関において複数科を受診している患者について、ある傷病に係る診療料において逆紹介が行われたにも関わらず、当該診療科を受診した場合には、別の傷病に係る診療科において逆紹介が行われていない場合、特別の料金を徴収することを認めてはどうかと考えております。
また、これ以外の寄せられた御意見についてですが、医療技術評価分科会に同様の提案があるなど、療養の給付等の関係を整理すべきもの、療養の給付として既に保険適用の対象となっているもの、保険適用の対象となっているものと組み合わせる必要がなく、自由診療として行うべきもの、選定療養や療養の給付と直接関係ないサービス等として、既に患者から費用を徴収することが認められるもの等の理由があることから、対応しないことにしてはどうかと考えております。
事務局からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
本件につきまして、何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。
特に御質問等はないようですので、本件は中医協として承認したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、次の議題に移ります。「『令和4年度診療報酬改定の基本方針』について」を議題といたします。本件は報告事項です。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長
医療介護連携政策課長でございます。令和4年度資料報酬改定の基本方針につきましては、医療保険部会、医療部会において、これまで御議論をいただいてまいりました。昨日、医療保険部会、医療部会がそれぞれ開催をされ、本日付で基本方針が取りまとめられておりますので御報告申し上げます。資料は総-5-1と総-5-2になりますが、総-5-2の文章編に沿って御説明申し上げます。
改定に当たっての基本認識でございますが、1つ目の(新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築など医療を取り巻く課題への対応)ということで、1つ目の○でございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により地域医療の様々な課題が浮き彫りとなり、地域における外来・入院・在宅にわたる医療機能の分化・強化、連携等の重要性が改めて認識された。
2つ目の○でございますが、まずは、足下の新型コロナウイルス感染症対応に引き続き全力を注いでいく。そうした中で、新興感染症等が発生した際に、病院間等の医療機関間の役割分担や連携など、平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替えるなど円滑化かつ効果的に対応できるような体制を確保していく必要がある。こうしたことが記載されてございます。
2つ目の基本認識が(健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現)でございます。
2ページにお進みいただきまして「全世代型社会保障」を構築していくことが急務の課題である。こうした考え方の下、これまで数次の改定を行ってきたところであり、このような視点は今回も引き継がれるべきものであるとされてございます。
3つ目の基本認識は(患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現)でございます。患者にとって身近で分かりやすい医療を実現する、医師等の働き方改革等について、医師等が高い専門性を発揮できる環境の整備を加速させる。医療分野におけるICTの利活用をより一層進める。革新的医薬品を含めたあらゆる医薬品・医療機器等を国民に安定的に供給し続ける。こうしたことが記載されてございます。
4つ目の基本認識は(社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和)でございます。
3ページ目にお進みいただきまして、3行目辺りからですが、保険料などの国民負担、物価・賃金の動向、医療機関の収入や経営状況、保険財政や国の財政に係る状況等を踏まえるとともに、無駄の排除、医療資源の効率的・重点的な配分、医療分野におけるイノベーションの評価等を通じた経済成長への貢献を図ることが必要であると記載されてございます。
最後に、社会保障の機能強化と持続可能性の確保を通じて、安心な暮らしを実現し、成長と分配の好循環の創出に貢献するという視点も重要であるとされてございます。
2番目が改定の基本的視点と具体的方向性ということで、3ページの2つ目の○でございます。補助金等の予算措置を含めた新興感染症への対応の全体的な視点の中で、診療行為に対する対価である診療報酬の在り方を考えていくことが必要と記載されてございます。
1つ目の基本的視点は「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」で重点課題とされてございます。
4ページの下から(具体的方向性の例)として項目が掲げられてございます。当面、継続的な対応が見込まれる新型コロナウイルス感染症への対応、医療計画の見直しも念頭に新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組。
5ページにお進みいただいて、「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価」「外来医療の機能分化等」「かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の評価」「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」、6ページにお進みいただいて「地域包括ケアシステムの推進のための取組」といったことが記載されてございます。
2つ目の基本的視点は「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革の推進」です。こちらも重点課題とされてございます。
6ページの下から(具体的方向性の例)ということで、「医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践に資する取組の推進」。
7ページにお進みいただいて、「各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タクス・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進」「業務の効率化に資するICTの利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価」「地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の確保」「令和3年11月に閣議決定された経済対策を踏まえ、看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応について検討するとともに、負担軽減に資する取組を推進」とされてございます。
3つ目の基本的視点は「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」でございます。
(具体的方向性の例)でございますが、「患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価や医薬品の安定供給の確保等」「医療におけるICTの利活用・デジタル化への対応」。8ページにお進みいただいて、「アウトカムにも着目した評価の推進」「重点的な対応が求められる分野について、国民の安心・安全を確保する観点からの適切な評価」「口腔疾患の重症化予防、口腔機能の低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進」「薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価」とされてございます。
最後の4つ目の基本的視点が「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」でございます。
9ページにお進みいただいて(具体的方向性の例)でございますが、「後発医薬品やバイオ後続品の使用促進」「費用対効果評価制度の活用」「市場実勢価格を踏まえた適正な評価等」「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価(再掲)」「外来医療の機能分化等(再掲)」「重症化予防の取組の推進」、10ページにお進みいただいて、「医師・病棟薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進」「効率性等に応じた薬局の評価の推進」でございます。
最後に「3.将来を見据えた課題」とされてございます。最後の○でございますが、「政府において、診療報酬制度を分かりやすくするための取組を継続的していくこと、また、国民に対して医療制度に関する丁寧な説明を行っていくことが必要である」とされてございます。
説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、特に御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。今後、令和4年度の診療報酬改定に向けて、ただいま御説明のありました改定の基本方針に基づきながら議論を進めていきたいと思います。
続きまして「令和4年度診療報酬改定への意見について(公益委員案の提示)」を議題といたします。これまでの1号側委員、2号側委員の意見書、中医協での議論等を踏まえて、公益委員のほうで厚生労働大臣に対する意見書の案を作成いたしましたので、これについて議論をしたいと思います。
まず、この公益委員案について、便宜上、事務局より説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○井内医療課長
資料総-6でございます。便宜上、事務局より読み上げさせていただきます。
本協議会は、医療経済実態調査の結果、薬価調査及び材料価格調査の結果等を踏まえつつ、令和4年度診療報酬改定について審議を行ってきたところであるが、その結果を下記のとおり整理したので、厚生労働大臣に意見を申し述べる。
1.医療経済実態調査の結果について。
本協議会は、医業経営の実態等を明らかにし、診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的として、第23回医療経済実態調査を実施し、その結果等について検討した。
2.薬価調査及び材料価格調査の結果について。
薬価調査の速報値による薬価の平均乖離率は約7.6%、材料価格調査の速報値による特定保険医療材料価格の平均乖離率は約3.8%であった。
3.令和4年度診療報酬改定について。
我が国の医療については、人口減少・少子高齢化が進展するとともに、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の構築が求められる中で、世界に冠たる国民皆保険を堅持し、あらゆる世代の国民一人一人が安全・安心で効率的・効果的な質の高い医療を受けられるようにすることが必要である。また、新型コロナウイルス感染症を含め、医療を取り巻く環境の変化や多様な国民のニーズに柔軟に対応することが重要である。
社会保障審議会医療保険部会及び医療部会において取りまとめられた「令和4年度診療報酬改定の基本方針」(以下「基本方針」という。)では、新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築や、安心・安全で質の高い医療の実現のための医師の働き方改革等の推進、患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療を実現するための取組を進めつつ、効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上を図ることが示された。
本協議会は、この基本方針に基づき、全ての国民が質の高い医療を受け続けるために必要な取組についての協議を真摯に進めていく。こうした基本認識については、支払側委員と診療側委員の意見の一致をみた。
しかし、このような基本認識の下で、どのように令和4年度診療報酬改定に臨むべきかについては、次のような意見の相違が見られた。
まず、支払側の意見は次のとおり。医療経済実態調査の結果、医療法人の病院は黒字を維持し、一般診療所、歯科診療所、保険薬局は依然として高い水準の黒字である。さらに、新型コロナウイルス感染症関連の補助金を含めた場合には、総じて医療機関の経営は安定している。単月調査の結果から直近の状況をみると、令和3年6月の損益差額は、令和2年6月と比べて概ね改善し、一般診療所の損益差額は令和元年6月を上回った。こうした状況に加え、国民皆保険制度の長期的な持続可能性を高めつつ、医療提供体制を新興感染症にも強い効率的・効果的な仕組みへ再構築することや、高い水準の自然増を考えれば、令和4年度は診療報酬を引き上げる環境になく、国民の負担軽減につなげるべきであり、配分の見直しに主眼を置いたメリハリのある改定とする必要がある。薬価等については、イノベーションの推進にも配慮しながら、市場実勢価格の低下に伴う公定価格の引き下げ分を、長期的に上昇し続ける負担の抑制のために還元されなければ、国民の理解は得られない。
これに対し、診療側の意見は次のとおり。医療経済実態調査の結果をみても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が医療機関経営に大きな打撃を与え、期中、診療報酬において臨時的な対応をとったにもかかわらず、収益は大きく悪化した。新型コロナウイルス感染症関連の補助金を含んだ場合でも、損益差額率は一般病院でほぼプラスマイナスゼロ、一般診療所では前々年度よりも縮小しているなど医療機関等の経営はきわめて厳しい。また、急な新興感染症等の流行などの有事の際にも即座に対応できるよう、平時の医療提供体制の余力が必要であり、あわせて、医師等の働き方改革が確実に実行できるようにするとともに、医療機関等がそれぞれの状況に応じて幅広く、かつ恒久的な賃上げを行うことができるだけの原資を確保する必要がある。こうした状況等から、国民の安全を守るためには、地域の医療と医療従事者を支える適切な財源が必要であり、令和4年度の診療報酬改定では、薬価財源は診療報酬に充当した上で、プラス改定しかあり得ない。
本協議会は、社会保険医療協議会法でその組織構成や、審議・答申事項等を法定されており、医療保険制度を構成する当事者である支払側委員と診療側委員、そして公益委員が、医療の実態や医療保険財政等の状況を十分考慮しつつ、診療報酬改定の責任を果たしてきた。
診療報酬改定は、基本方針に沿って、診療報酬本体、薬価及び特定保険医療材料価格の改定を一体的に実施することにより、国民・患者が望む安心・安全で質の高い医療を受けられるよう、医療費の適切な配分を行うものである。そのために、本協議会においては、これまでも医療制度全体を見渡す幅広い観点から、膨大な時間を費やしデータに基づいた真摯な議論を積み重ね、診療報酬改定に取り組んできており、これからもそのように取り組み続けていく。
厚生労働大臣におかれては、これまでの本協議会の議論を踏まえ、令和4年度予算編成に当たって、診療報酬改定に係る改定率の設定に関し適切な対応を求めるものである。
また、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、医療機能の分化・強化・連携、保健・医療・福祉の更なる連携、医療従事者の働き方改革や処遇改善、地域・職域等における予防・健康づくりの取組、費用対効果、新しい医療技術など、我が国の医療に関する様々な課題を解決するため、診療報酬のみならず、補助金、税制、制度改革など、幅広い施策を組み合わせて講じていくことが重要である。その際、施策の成果や健康への影響等をデータやエビデンスに基づいて正確・迅速に把握・検証し、更なる施策の見直しに役立てるという姿勢を強める必要があり、そのための人材・体制の充実が望まれる。
さらに、国民一人一人が医療提供施設の機能に応じ、適切に医療を選択し受けるよう努めることも重要である。医療が高度化し、制度が複雑化する中でも、できるだけ仕組みを分かりやすくし、患者の主体的な選択を可能とする医療の質を含めた情報提供を行うなど、国民の理解を一層深める工夫についても配慮が行われるよう望むものである。
以上です。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
本日は、今御説明のありました公益委員案について議論を行い、1号側委員、2号側委員、公益委員の間で合意を得た上で、意見書を提出したいと考えております。
公益委員案について、何か御意見等はございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
公益委員の皆様の取りまとめ作業に、まず、感謝申し上げます。
本内容については、異論はございません。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
城守委員、お手が挙がっています。よろしくお願いします。
○城守委員
ありがとうございます。
2号側委員といたしましても、公益の案に関しまして、特に異論はございません。公益委員の皆様方の御尽力に感謝申し上げます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。
それでは、特にほかに御意見等はないようですので、この意見書案をもって、中医協から厚生労働大臣に対する意見書としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、中医協から厚生労働大臣に対する意見書として提出したいと思います。
本日は大臣の代理ということで、大臣官房審議官にお渡ししたいと思います。
(意見書手交)
○小塩会長
事務局におかれましては、中医協の総意としての意見ですので、厚生労働大臣にお渡しいただきますようお願いいたします。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 


 
 

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