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2021年12月3日 中央社会保険医療協議会 総会 第502回議事録

○日時

令和3年12月3日(金)薬価専門部会終了後~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 中村洋委員 
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 鈴木順三委員
城守国斗委員 長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 中村春基専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○薬価調査、特定保険医療材料価格調査の結果速報について
○個別事項(その7)について
○コロナ・感染症対応(その2)について
○医療経済実態調査の結果に対する見解について


 
○小塩会長
それでは、ただいまより第502回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は末松委員と羽田専門委員が御欠席です。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
最初に「薬価調査、特定保険医療材料価格調査の結果速報について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安藤医政局経済課長
医政局の経済課長でございます。
私から、薬価調査及び材料価格調査の速報値がまとまりましたので御報告させていただきたいと思います。
まず、結果の御説明に入ります前に、報道でもございましたけれども、独立行政法人国立病院機構が発注する医療用医薬品の入札において談合を行ったという疑いで、医薬品卸売業者6社が公正取引委員会の調査を受けていることについて、簡単に御報告を申し上げたいと思います。
現在もまだ公正取引委員会における調査が進められている状況の中で、談合の事実認定ということはまだされておりませんが、仮にその疑いが事実であれば、公正、自由な競争を通じた価格形成を阻害する行為であって、医薬品卸売業者を所管する立場として、誠に遺憾であると考えているところでございます。
各卸の事業者からは、調査に全面的に協力する旨が表明されておりまして、厚生労働省としても業界指導を含めて全力で対応していきたいと考えております。
今後、その状況につきましても、適宜、この場でも御報告を申し上げたいと考えているところでございます。
本件につきまして、薬価調査との関係ではまだ調査中の段階ではありますが、適正な市場実勢価格を把握するという観点に立ちまして対応を行いました。
具体的には、今回の薬価調査の集計に当たりまして、公正取引委員会の調査対象となった医薬品卸6社と、独立行政法人国立病院機構の取引データにつきましては、念のため除外して集計させていただいております。本日は、このような方法で集計した結果につきまして御報告を申し上げたいと思います。
それでは、結果についてでございますが、まず、資料の総-1-1、2ページを御覧ください。薬価調査のほうでございます。9月の取引分につきまして、11月2日までに報告があったものを速報値として御報告いたします。
今回調査の平均乖離率は約7.6%となってございます。昨年9月の調査では約8.0%ということでございましたので、単純にそれを比較しますと0.4ポイント乖離幅が縮小したことになります。
次に下段のほうですけれども、後発医薬品の数量シェアにつきましては、9月時点で79.0%となってございます。昨年9月の調査では78.3%でございましたので、単純比較しますと0.7ポイント上昇したことになっているということでございます。
続きまして3ページ目に、今申し上げました平均乖離率の内訳を示しておりますので、説明は割愛させていただきますが、御参照いただければと思います。
次に、材料価格調査の速報値について御報告いたします。資料総-1-2、2ページを御覧ください。
医療機器につきましては少量多品種でございますので、ダイアライザー、フィルム、歯科材料、保険薬局取扱い分は9月取引分、それ以外は5月から9月の5か月分の取引分を対象としてございます。11月8日までに販売側から報告のあったものを速報値として御報告いたします。
平均乖離率は約3.8%となってございます。材料は前回調査が令和元年度でございましたが、約5.8%でございましたので、これも単純に比較いたしますと2.0ポイント返り幅が縮小したという状況でございます。
簡単ではございますが、私からの御報告は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
御説明ありがとうございました。
今回、薬価調査の結果を拝見しましたけれども、平均の乖離率が過去に比べて若干小さくなったということでございますけれども、乖離率そのもののレベルとしてはそれなりというふうに受け止めておりますし、投与形態であるとか、あるいは薬効分類によってはやはりかなり大きな乖離が生じていると認識しております。
それともう一つ、令和3年度の改定の際にコロナの影響で価格交渉のスタートが遅れて、ある程度前年レベルを踏襲したのではないかということで元年と2年の乖離率が同じになったという御意見もありましたけれども、今回も見る限りでは毎年度改定となってもこうした状況が続くのではないかというのが第一印象でございます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
薬価調査結果の3ページでございますが、歯科における局所麻酔剤を含む歯科用薬剤のマイナス解離につきましては、前回、令和2年に歯科用局所麻酔剤におきまして、企業からの不採算品再算定を含みまして一旦改善したように見えましたが、今回またマイナス3%ということでございます。どのような状況が起きているかなどを含めまして、把握できている状況を教えていただきたいと思います。また引き続きそれを含めまして改善策をお願いしておきたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
今、御質問がありましたが、事務局、いかがでしょうか。
○安藤医政局経済課長
経済課長でございます。
まず、歯科用薬剤の乖離率の状況でございますが、今、御指摘がございましたように、令和元年度から申し上げますと令和元年度はマイナス4.6%、これが令和2年度、昨年度はマイナス0.3%で、今回がマイナス2.4%ということでございますので、一旦マイナスの乖離幅が改善いたしましたが、今年度についてはまた少し拡大しているという状況にあるということでございます。
その背景でございますけれども、歯科用薬剤の品目数は少ないため、各品目の調査結果が歯科用薬剤全体の乖離率に大きく影響していると考えておりますが、詳細につきましては、また個別に御説明させていただければと考えてございます。
また、対応のところでございますけれども、歯科用薬剤を扱う製薬メーカーに対しましては、他のメーカーと同様に不採算品については必要に応じて再算定の申請をするよう依頼をさせていただいているところでございまして、今後も引き続き必要な対応については講じてまいりたいと考えているところでございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
林委員、いかがでしょうか。
○林委員
ぜひともよろしくお願いいたします。
○小塩会長
分かりました。
他に御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
談合の疑いという話が最初にありましたけれども、これは本当に根本的に何か変えないといけないのではないかなと思うのです。やっては駄目よと言われているのに何回もやっているわけです。これはやはり仕組み自体を本当に根本的に考え直すべきだと思いますし、ペナルティーというのも非常に重いものに変えていかないと、そういうことをやってばれたら大変なことになるという状態にしておかないと、これは患者にとってはやはり大きな負担になる可能性があるわけです。やはりこういったことのせいでその数字が使えないとかそういうことになって、実際に本当の意味できちんとした検討というのを妨げるということにつながりますので、やはりこういうことが本当に二度と起きないような仕組みづくりというのに着手していただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
事務局、いかがですか。よろしいですか。
○安藤医政局経済課長
経済課長でございます。
御指摘ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりだと思いますので、しっかりとこういったことが二度と起こらないように、行政側としても、企業のコンプラ意識を高めるという、再徹底するということは当然でございますけれども、行政としてもそこをしっかりとフォローしていきたいと考えてございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
間宮委員、よろしいでしょうか。
(間宮委員首肯)
○小塩会長
分かりました。
ほかに御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、特にほかに御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
続きまして、「個別事項(その7)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、資料総-2に沿いまして、「個別事項(その7)」ということで御説明をさせていただきます。
本日は、2ページ目にありますように、医療技術の評価、医療安全対策に係る評価、慢性維持透析に係る評価の3点でございます。
次ページの3ページ以降でございます。医療技術評価分科会における医療技術の評価ということで、右側に、いわゆる関係学会から提出をされたもの、先進医療から上がってきたものが医療技術評価分科会において検証、評価をされた上で中医協に報告がされるというスキームでございます。
左側のほうに、この医療技術評価分科会の位置づけということで、診療報酬調査専門組織の一つということでございます。
4ページ目は、その全体像の中の位置づけでございます。
5ページからでございますが、医療技術評価分科会における医療技術の評価ということで、対象の経緯を右側のほうで、平成20年まで、それ以降ということで範囲が広がってきたという御説明でございます。
6ページ目のところで、直近の改定のときに医療技術の評価についてどういったことが決定されてきたかというポイントの経緯をまとめております。
例えば、平成28年に先進医療として実施されている医療技術の受付をするということを明確化したことであったり、30年度の改定時にロボット支援下の内視鏡手術に対する評価の扱いの明確化等が行われてきて、現在に至っているというものでございます。
7ページが、直近5回分のそれぞれの学会からの提案の数、医療技術評価分科会で検討された数でございます。
8ページが、令和3年2月10日中医協で議論されたところで取りまとめられた今回の方針というものでございます。
9ページ目が、今回上がってきている件数ということでございます。
10ページ目が、8ページ目にありました今回の方針のところでレジストリーへの登録というのがございますので、そういったレジストリーの登録というのが求められているこのロボット手術のところで、今回は13件がそういったレジストリーを用いた検証がなされた上で上がってきているというものでございます。
11ページでございます。論点ですが、医療技術の評価・再評価について、どのように考えるのかというところでございます。
12ページからが、医療安全対策に係る評価というものでございます。
13ページに、医療安全対策における画像診断報告書等ということで、画像診断医の作成した画像診断報告書または病理診断医の作成した病理診断報告書の確認不足についてでございます。
そこの下のところにその取組ということで、組織的な伝達体制や確認体制、組織的に確認できる仕組みというのが構築される必要があるということがまとめられているというものでございます。
14ページが、この医療安全対策の取組に係る実施状況というところで、画像診断の場合ということで、確認漏れを防ぐ仕組みの有無であったり、そういったものをまとめさせていただいております。なお、これは研究事業でございます。
15ページに、いわゆるレポート見落とし防止の基本的対策ということで、これも研究事業で取りまとめられたものの御紹介でございます。
16ページでございますが、報告書の確認不足に対する組織的な対応例ということで、群馬大学医学部での事例の御紹介をさせていただいております。
17ページ、これらに関連する診療報酬上の評価として、医療安全対策加算というのがございますということで、現在の加算の形を御紹介させていただいております。
先ほどのレポート関連ということで、画像診断管理加算というのが18、19ページ。
20ページに病理診断管理加算の現状というものの御紹介をさせていただいているというものです。
21ページに行きまして論点のところで、レポートの確認不足に対する医療安全対策を推進することについて、主治医等と画像診断医もしくは病理診断医との連携を含めた病院全体の医療安全に係る取組を推進する観点から、評価の在り方について、どのように考えるのかとさせていただいております。
22ページからが、慢性維持透析に係る評価についてということでございます。
まず1つ目が慢性維持透析の現状ということで、23ページに慢性透析患者数の推移、年齢分布を入れたものでの推移というものを挙げさせていただいております。
24ページに、透析・移植患者の推移とさせていただいております。
25ページに、透析診療に係る診療報酬上の評価といたしまして、基本的な透析のところの評価の在り方を載せております。さらに算定回数というものの経緯でございます。
26ページが、この透析のところでの加算というのを中心にまとめさせていただいております。
27ページに、移植を含めた腎代替療法情報提供の評価ということで、人工腎臓導入期の加算の見直しを令和2年にやった改定の中で、あと、腎代替療法指導管理料の新設等の御紹介でございます。
28ページになりますが、これが平成26年度の改定のところで、いわゆる長期療養患者ということで、療養病棟における透析患者の受入れの促進というところから、慢性維持透析管理加算という療養病棟での加算というものの御紹介でございます。
29ページが、有床診療所の入院基本料等の算定回数の推移。
30ページが、同じく有床診療所における透析の現状でございます。
31ページからが、人工腎臓等に係る評価についてということでございます。
32ページが、新たな腎性貧血治療薬ということで、令和元年9月に、エリスロポエチン製剤とは別の機序による、新たな腎性貧血治療薬であるHIF-PH阻害剤の薬事承認がされたということを受けてというものでございます。ここはその新しいものの御紹介をさせていただいています。
33ページのところで、HIF-PH阻害剤の収載時の対応ということで、このHIF-PH阻害剤については、内服薬であって院外処方が可能であって、出来高算定となるものであったということがございました。
こういったことを受けまして34ページ、令和2年度診療報酬改定ということで、今までの点数を二分割して、ここにございますような取扱いというものにしたというのがございます。
35ページが、腎性貧血薬の比較になっております。
先ほど分けた点数の算定回数を36ページにつけております。結論から申し上げますと、HIF-PH阻害剤のいわゆる院外処方の方が取るべき点数というのが非常に少なくなっております。
37ページに、DPC/PDPSにおける持参薬の取扱いということで、持参薬をどう取り扱うかということの原則を書かせていただいております。
38ページからが、末期腎不全に対する腎代替療法の比較ということになります。血液透析、腹膜透析、腎移植という3つの種類でそれぞれの特徴をまとめさせていただいております。
39ページに、腹膜透析患者と透析・移植者の推移を再掲させていただいております。
40ページに、献腎移植の過程ということで、腎臓の移植について御紹介をさせていただいております。
41ページに、腎移植医療の適切な推進ということで、ここでは腎代替療法専門指導士の仕組みと、そこでいろいろなところでいろいろな役割を担うということでまとめさせていただいております。
腎代替療法(透析・移植)における生命予防の比較を、42ページに挙げさせていただいております。
43ページからが、在宅血液透析等に係る評価ということになります。
44ページが、在宅血液透析の適応と一般的な導入方法の御紹介でございます。ここにありますように、外来・面接から始まって最後に至るまでかなりの時間がかかるというものの御紹介でございます。
45ページですが、在宅血液透析の利点・欠点ということで、通常のものと比べての比較でございます。利点としては時間的制約が少ないであったり、生命予後が優れる、透析合併症が少ない等があるということでございます。
46ページが、腹膜透析になります。ここからが腹膜透析の現状ということで、現在の算定状況等を御紹介させていただいているものになります。
47ページになりますが、腹膜透析患者の遠隔モニタリングということで、この御紹介をさせていただいております。
49ページになりますが、論点でございます。
慢性維持透析についてということで、移植を含めた腎代替療法に関する情報提供をより推進するという観点から、人工腎臓に係る評価の在り方について、どのように考えるのかということ。
2つ目が、有床診療所の入院患者に占める透析患者の割合が増えていることを踏まえつつ、有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床において透析を実施した場合の評価についてどのように考えるのか。
3つ目が、人工腎臓については、使用薬剤は包括評価としているが、HIF-PH阻害剤を用いる場合の評価の在り方について、その使用実態も踏まえつつ、どのように考えるのかということ。
次が、在宅腹膜灌流についてということで、在宅腹膜灌流に係る遠隔モニタリングによる管理の評価の在り方について、どのように考えるのか。
最後が、在宅血液透析についてということで、在宅血液透析の生命予後、実施状況や導入に係る医療資源等を踏まえつつ、在宅血液透析指導管理料の評価について、どのように考えるのかということで、論点をまとめさせていただきました。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
最初に、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
それでは、個別事項(その7)につきまして、おのおのの論点についてコメントさせていただきます。
まず、11ページの医療技術の評価についてですが、これは学会等から新規技術の保険適用や、既存技術の再評価に関する御提案をいただき、医療技術評価分科会による議論を積み重ねるプロセスは、医療技術のイノベーションを適切に適時に、そして、医療保険の中に取り入れ、質の高い医療を提供するためにまさに不可欠なものではございます。今回、令和4年度改定に向けてガイドラインやレジストリー等といったエビデンスに基づいて新規の技術を評価し、あるいは既存技術を再評価していくという方向性を進めてきているところでありまして、この視点は大変重要であろうと考えています。適切に医療技術の再評価を進める観点からも、さらにこの取組を進めるということには同意いたします。今回、ガイドラインによる記載の有無が一つ一つ明確になったわけですので、今後きちんとフォローアップができますよう、分科会から学会へ対応を求める方法などについて検討してはどうかと考えます。
続きまして、21ページの報告書の確認不足に対する医療安全対策でございますが、現状、多忙な業務の中、医師がレポート確認不足とならないための何らかの後押しをするための評価を検討してよいと考えます。その際には、医師個人や画像診断部門、あるいは病理診断部門など、特定の個人または部門にのみ医療安全を求めるのではなくて、病院全体として医療安全に向けた取組を求めるというアプローチが正しいのではないかと考えます。したがいまして、画像診断管理加算や病理診断管理加算としての評価を検討するというのではなくて、医療安全対策加算としての評価を検討するのが適切であろうと考えます。
続きまして、49ページの慢性維持透析についての5つの論点について、それぞれコメントしたいと思います。
まず、慢性維持透析についてでありますが、この慢性腎臓病の患者さんに対して、移植を含めた腎臓代替療法に関する情報提供をより推進するという取組は大事でありますので、41ページに示されている腎代替療法専門指導士の活用を評価する方向で検討を進めてはどうかと考えます。
また、有床診療所でも透析患者さんの割合が増えているということですので、現行の療養病床と同じように評価をするというのは当然であろうと考えます。
さらに、HIF-PH阻害剤についてですが、この院外処方が進んでいないという実態を踏まえれば、点数の見直しも検討に値すると思いますが、実際にエリスロポエチン抵抗性等によって皮膚の阻害剤のほうが適切な症例も一定数存在するということからしますと、数は少ないですが、院外処方に対する医療上のニーズとしてどのようなものがあるのか、事務局に現行の点数設定方法に関わる問題点などをお調べいただいて、後日で構いませんので、改めて御報告をいただければと思います。
続きまして、在宅腹膜灌流についてですが、この在宅腹膜灌流に関わる遠隔モニタリングによる管理の必要性や有用性というものについては理解しておりますが、評価に際しては単に遠隔モニタリングをしているということではなくて、腹膜灌流の管理に関する必要性、有用性を踏まえた評価とすべきであろうと思います。また、対応が必要な場合にはしっかりと介入できるようにしておくということも大切だろうと思います。
最後ですが、在宅の血液透析についてであります。在宅血液透析は様々な利点がありますが、普及が進まない原因として、導入時に求められているその患者さんへの教育や訓練、あるいは緊急時の対応をするその体制整備に非常に医療スタッフに負担がかかるということがございます。ですので、もう少し適切な評価をした上で導入の推進を図っていけばよろしいのではないかと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
まず、12ページの論点に関しましては、診療報酬改定のたびに評価の方法等の見直しが行われており、令和2年度第1回医療技術評価分科会での今後の進め方にございます、科学的根拠に基づく医療技術の評価についてで述べられている(ア)と(イ)については賛同いたします。
続いて、21ページの論点でございますが、画像診断や病理診断で重要な所見がある場合、電子カルテであればフラッグを立てるとともに直接主治医に電話連絡を行い、紙カルテであれば重要あるいは緊急の表記とともに主治医に連絡する体制を確保し、主治医が患者さんや家族に説明した内容を診療録に記載する医療機関に対しては、医療安全対策加算の評価を上げる必要があると考えます。
次に、49ページの透析に関してでございますが、療法選択の際のシェアードディシジョンメーキングの採用は熟練しても時間のかかるものであり、患者が迷っている場合や移植を検討する場合は2回の説明だけでは決定が難しいことも多々ございます。スタッフは短時間でできる限りの効果を上げる訓練をしてきたわけでございますが、現状を考えると、回数の制限を緩和することも考えていいのではなかろうかと考えます。
有床診療所に関しては、有床診療所自体が減少しているにもかかわらず、いまだ透析患者の入院だけが減らないのは現時点では必要があるということだろうと理解しております。短期、中期、長期の入院を総合的に考えて評価してもよいのではなかろうかと考えます。
それから、HIF-PH阻害剤に関しましては、使用する側とすれば、院外処方にするよりもいつでもエリスロポエチンのこのESAへ移行できて算定の変更のない包括評価のほうがやりやすいということもございますが、一応そういうことで算定件数のほとんどが別に規定する患者であるということを考えますと、令和2年改定前までのように包括対象に戻すことでもよいかなと考えますが、ただ、現在、多くの透析医療機関は院外処方に移行していることから、院内処方のみに使用を限定するのではなくて、院外薬局等の個別の精算も認めていただきますよう、そういうことを考えたほうがよかろうかと思っております。
また、34ページで示されておりますように、場合2、場合3の算定件数も場合1と比較して非常に少数であるため、医科点数表を簡素化する観点から区分の見直しを検討してもよいのかと思っております。
それから、在宅血液透析の論点でございますが、在宅血液透析は治療成績も優れていると聞いております。しかし、城守委員も述べられたように非常に手間暇がかかるというのが現状でございますので、これに関しては相当配慮が必要になってくると思っております。それと、腎代替療法の選択肢として腎移植、腹膜透析に加えて、この在宅血液透析に関してもしっかりと療法選択時の情報提供をしていくことがよいのではないかと考えます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
私からは、慢性維持透析についての論点について発言させていただきたいと思います。
論点の○の3つ目、先ほどから城守委員、島委員からも意見があったところですが、人工腎臓においてHIF-PH阻害剤を用いる場合の評価の在り方についてであります。HIF-PH阻害剤は、現在、院外処方でも投与されております。そのことは36コマ目の院外処方をしている件数からも確認できます。確かに数は少ない現状でありますけれども、多くは院内投薬によって対応しているケースもあります。院外処方でも幾らか数は少なくとも行われているという現状から、選択肢として残していく必要はあると考えますので、現行のままの仕組みで続けていただければと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
私からは2点意見を述べさせていただきます。
まず、医療安全対策の論点につきましては、医療安全に係る取組を推進する方向性に異論はございません。しかし、安全対策への対応は必須であり、評価引上げでの対応は丁寧に議論をすべきであると考えております。
続きまして、慢性維持透析の論点についてですが、2つ目の論点、こちらの資料の30ページを見ますと、令和3年だけ急に割合が上がっており、この増加要因が何であるのかということが判明しないと、ここだけで判断してよいものかどうかということと思います。評価の在り方をこのままでは検討できないのではないかと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
私も論点に従って2点発言をしたいと思います。
1点目は、医療技術の評価でありますが、医療技術の向上は患者にとっても安心して診療を受けられるメリットがあります。引き続き、医療技術評価分科会において、評価、再評価の取組をお願いしたいと考えております。
2点目は、医療安全対策に係る評価についてです。画像診断報告書等の確認不足により患者が死亡するケースが後を絶ちません。厚生労働省としてもこれまで都道府県等に対し事務連絡を発出し、日本医療機能評価機構のホームページ等を紹介しながら注意喚起を行ってきたと承知しています。患者の安全を守ることは大前提であり、ミスがあってはならないことだということですが、認定病院患者安全推進協議会では「画像(CT)診断レポートの確認 患者を守る『5つの取り組み』の提案」がなされています。画像診断や病理検査をしながら結果が反映されないということは、患者が最善の医療を受ける機会を損ねることに加え、貴重な医療資源が無駄になっているという面もあり、レポートの確認の徹底に資する取組を報酬上後押しすることが重要と考えます。この提案に書かれています5つの項目などを参考に、画像診断管理加算の見直しをしてもよいのではないかと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
私からも医療安全対策について少しコメントさせていただければと思います。医療機関内の連携によりましてレポートの確認不足を防ぐ仕組みにつきましては、医療安全対策の一環としてその重要性は十分理解できるものでありますけれども、医療機関として当然に実施していただくべきものではないかとも考えておりまして、何らか追加的に評価を行うという趣旨であれば少しく違和感がございます。慎重に検討すべきではないかと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。池端です。
私は、論点49ページの○の2つ目の有床診療所における血液透析等についての対応についてだけ1点だけお話しさせていただきたいと思います。29ページ、30ページを御覧になっていてもお分かりのように、この有床診療所そのものが今はもう絶滅危惧種と言われるぐらいどんどん減っている中で、特にこの有床診療所の重要な機能の一つとして求められるのがやはり血液透析でないかと私は思っております。そういう意味で、今ほど安藤委員から、30ページのここだけ跳ね上がっているのがなぜかということがありましたが、恐らくこれは基本料算定回数に占める人工腎臓の件数ですので、有床診療所療養病床入院基本料を算定する医療機関がどんどん減っている中で、人工腎臓を求める方は増えている、その数字が逆になっているので率としては跳ね上がっているということで考えていいのではないかと思います。特に人工腎臓等に関しては、地域にどれだけそこのキャパがあるかということによって、患者の利便性を考えても有床診療所における機能の重要性というのはこれからますます上がるのではないかということ、高齢化ということも考えると更に上がるのではないか。一方で有床診療所に対しても、この人工腎臓に対する評価をどうするかということをしっかり評価していかなければいけないですけれども、むしろ有床診療所そのものが今はかなり厳しい経営状況に陥っている。なぜかというと、一方で病院病棟と同じようにいろいろな感染対策、医療安全等々が施設基準として求められてくる時代ですので、そこに対して有床診療所全体の評価、そして、その中で特に人工腎臓等を行う療養病床に対するさらなる評価という二段構えの評価が必要ではないかということで、意見として言わせていただきます。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、1つ目の医療技術の評価に関する論点でございますけれども、8コマ目、9コマ目にあります令和2年度の第1回医療技術評価分科会の方針に従って、学会からの提案書にガイドラインの位置づけを明記してもらった結果、評価の対象になった768件のうち約6割がガイドラインに位置づけられていることが分かりました。こうした技術については、これまでのように学会の提案を待つだけではなく、継続的にガイドラインの改定状況を注視して、エビデンスに基づいて再評価するサイクルを回していく必要があると考えます。また、再評価の折には技術の成熟度、あるいはほかの技術への置換、そういった視点や、
例えば、新型コロナ検査のように、医療現場への浸透状況も踏まえまして適正化の視点も重視していただきたいと考えております。
続きまして、安全対策でございますが、レポートの確認を徹底してリスクを最小化することは重要であり、組織のガバナンスを高めるためには施設基準にしっかり書き込むべきであると考えます。ただ、21ページの記載にもございますが、そのシステムが半数でしかないというのは、個人的にはある意味、驚きであります。ただ単にレポートの未読を防ぐための教育、あるいは監査の体制、あるいはシステムを入れたというだけで単純に報酬を高くするというのは、一般市民の感覚からすると、少し理解できかねます。ほかの委員の方も申されておりますが、ある意味、安全というのは医療のベースであります。
続きまして、透析の関係ですけれども、透析については患者にとっても非常に負担の重い分野でありますので、全体としてやはり適正化をぜひ進めるべきであるということを最初に指摘させていただきます。
個別の論点に移りますけれども、まず、腎代替療法の情報提供のさらなる推進については必要だと考えております。令和2年度に手直し等も行われましたけれども、導入期の加算については実績要件を厳格化してメリハリを強めようということであれば、検討はしてもよいのではないかと考えております。
続きまして、有床診療所の透析でございますけれども、安藤委員からも一部コメントがございましたけれども、患者の割合が増えているというだけでは、評価の在り方をすぐという判断にはちょっと行き着かないものでございます。透析の医療の中で有床診療所がどのような位置づけ、どのような役割を果たしているのかというのを示していただきたいと思います。
続きまして、HIF-PH阻害剤についてでございますけれども、資料を拝見する限りでは、院外処方を想定、あるいは推進していくように拝見しますけれども、実態を踏まえますと、36ページにありますとおり必ずしも数が多いわけではないと。そうした実態を踏まえますと、院内処方に統一して人工腎臓の評価をできるだけ簡素にするという考え方についてもぜひ御検討いただきたいと思います。
続きまして、在宅腹膜灌流でございますけれども、患者にメリットがあり効率化につながるということであれば、遠隔モニタリングを活用しながら推進する方向は差し支えないとは考えますけれども、安全性については十分留意いただきたいと考えます。
続きまして、在宅血液透析でございますけれども、資料にもありますとおり、メリット、デメリットが併記されております。そうした中で医療機関の負担、あるいはそうした観点に着目するだけではなくて、患者の視点についても十分考えていただいて、それを阻害する要因を丁寧に御検討いただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
私からは安全対策ですけれども、レポートの確認不足が患者の命に関わっているというのは、聞いてすごく驚いてしまいました。しかも、そういうチェック体制を整えている医療機関が半数ぐらいしかないというのは、これはやはり大問題だと思いますので、やはりこれは第三者によるチェックがしっかりできるような体制を整えていただきたいと思いますので、ぜひその辺りの評価というのは手厚くしていただきたいと思います。
それから、在宅血液透析なのですけれども、在宅で血液透析を行うということは、データ的にも生命予後の向上につながっているし、ほかの感染リスクとかそういうものについても一定の利点があるということが分かっていて、在宅でやるということがいいというふうには皆さんが思っているのですけれども、なかなかやはり導入するまでのハードルが高いということがあるということで、もちろん患者側の教育を受ける体制とか訓練とか技術的なこともそうですし、あとは、医療機関側の緊急時の対応が十分にできるかどうかということがありますので、そういうところではやはり患者が安心して在宅血液透析に移行できる体制にするための評価というのを検討することが必要かと思います。
一方でというか、それを実現するためには、透析患者さんというのは割と透析になるよというところから鬱病とか鬱状態になる人が70%ぐらいいるということで、しかもその自殺率も非常に高いということがありますので、やはりメンタルケアの専門家に相談できる体制というのが必要だと思うのですけれども、今、透析のその病院でメンタルケアの専門家が常駐している例というのは非常に少なくて、では誰が相談を受けているかというと、やはり看護師さんなのです。看護師さんにそういう相談というのを受けていただいているのですけれども、やはり負担がかかりますし、患者にとっては医療側の不満とかそういうものは伝えることができないという、それがまた不満になってしまうということがありますので、できればやはり社会福祉士ですとか精神福祉士が常駐できたり、密に連携して相談できる体制というのを整えるための評価というのを検討してほしいと思います。
また、患者のそういうメンタルヘルスとかメンタルサポートなんかというのは、自分に合ったサポートというのを選択できるというふうにしたほうがいいと思います。そういう観点から、自分の経験からサポートできる患者ピアサポートを推進していただきたいと思います。その際は、患者だからといってそのボランティアという立場ではなくて、研修とかそういうものをしっかり受けた上で、いわゆる一つの職種としてピアサポートワーカーという形で携わる人が増えることで、患者のメンタルヘルスの向上ですとか自己管理のレベルアップが実現して、透析患者の生命予後の改善とかQOLというのをよりよくすると思われますので、その辺りも検討していただきたいと思います。
そして、在宅血液透析で生命予後の向上につながるということがあるのですけれども、それはやはり頻回に透析ができるということが主に効果になっているのではないかということも言われていますので、これは今は病院で受ける場合は月14回までということがありますが、この回数というのも1回でも多く増やせるような形で検討していただければいいかと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
池端委員のお手が挙がっています。よろしくお願いします。
○池端委員
1点だけ追加させていただきたいと思います。今ほど松本委員から、療養病床の入院基本料の透析等々についてのメリットがあまり分からないということでしたが、やはり療養病床、有床診療所の機能というのは、一般の病院と違ってかかりつけ機能を持っていらっしゃるということで、今まさしく間宮委員がおっしゃったように、メンタルケアも含めて本当に身近でかかりつけ医機能を持ちながらそこの地域で透析患者さんを支えていくという、そういう点を支えるためにも非常に重要な機能であり、しかもこの透析患者さんというのは長期化・高齢化してきています。今まで遠くのところに通えたのが通えなくなっていくと、地域の診療所クラスも一時的には入院治療あるいは在宅治療ができる面の機能があることによって、これは非常に患者さんにとっても大きなメリットがある。そういう意味でこの有床診療所を大事に育てていただきたいという思いがありますので、意見として言わせていただきます。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
城守委員、追加のコメントをよろしくお願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
先ほど1号側委員の方から医療安全対策に関しての評価を新たにするのは慎重にという御意見がございましたので、少しだけコメントさせていただきたいと思います。確かに病院においての、医療機関においての医療安全対策というのは重要ですし、それに対して各医療機関は医療安全対策の部門、またはその責任者を設置して、職員に対して教育と研修も含めて様々な取組をしているわけですが、御存じのように、特にドクターを中心に年々業務量が増加しておりまして、今、現場のドクターはその業務量の増加にかなり疲弊しているという状況でございます。ですので、そのレポートを確認するというのは当然のこととはいいながら、それすらも見落としてしまうぐらいにその現場が忙しいということを御理解していただいた上で、従来の取組に加えてその管理システムを導入したり、第三者の監査を導入するということに関して、先ほど間宮委員もしっかりとした評価をしていただきたいという御意見をいただきましたけれども、私からもさらなる評価をお願いしたいということを述べさせていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
飯塚委員、よろしくお願いします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
私も画像診断等に関する医療の安全対策に関して1点だけコメントさせていただきたいのですが、もちろん安全対策を進めるべきということであるとは思うのですけれども、画像診断に関しては新しいAIを用いた優れた技術というのが、最近、開発されつつあると思いますけれども、そういった新しい技術を現場で取り込むようなことも後押しするような仕組み、従来のやり方より厳しくやるということとは別にそういう仕組みも考えていただくというのが現場にとってもやさしいかもしれませんし、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
事務局、よろしいですか。
○井内医療課長
はい。
○小塩会長
それでは、ほかに特に追加の御質問等がないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとさせていただきます。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた多くの御意見を踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして、次の議題に移ります。「コロナ・感染症対応(その2)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、その説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、資料総-3「コロナ・感染症対応(その2)」について御説明をさせていただきます。
2ページ目でございます。コロナ・感染症対応についてということで5項目、最後に論点という構成になっております。
まず、3ページ目、4ページ目で、コロナ・感染症に係る主な指摘事項ということでまとめさせていただいております。
5ページ目からでございます。
まず、6ページ目以降になりますが、新型コロナウイルス感染症の発生状況等の御紹介になります。PCRの実施人数、陽性者数等々が、令和3年11月25日の24時時点のものでまとめさせていただいております。
同じように、7ページ、8ページに、いわゆる新規陽性者の7日平均が105人であったりということで、その日の陽性者数で、8ページが重症者数ということ。
9ページが、その陽性者数の年齢区分、死亡数の年齢区分。
10ページが、重症者の割合、年齢区分でございます。
11ページが、新型コロナウイルス感染症の国内の発生状況ということで、年齢別の新規陽性者数の推移等でございます。
そして、2.のところからが、特例的な対応に係る診療報酬の算定状況ということで、中医協におきましても今まで御議論いただきました特例措置を中心に、入院関係の算定状況ということで御説明をさせていただきます。
13ページからが、まずは入院のところでございます。
14ページが、救命救急入院料の算定回数。
15ページが、特定集中治療室管理料。
16ページが、ハイケアユニット入院医療管理料。
17ページが、二類感染症患者入院診療加算。
18ページが、救急医療管理加算。
19ページが、「新型コロナの回復患者の受入に係る評価」ということで、二類感染症患者入院診療加算と救急医療管理加算のところをまとめさせていただいております。
20ページに、「各医療機関等における感染症対策に係る評価(入院)」のところで、4月以降のもののところですけれども、まとめさせていただいております。
21ページが外来関係ということで、22ページが院内トリアージ実施料。
23ページが、これは特例ではありませんが、初診料。
24ページが、再診料。
25ページが、外来診療料。
26ページが電話等初診料ということで、ここからはコロナ特例になります。
27ページが、電話等再診。
28ページが、オンライン診療料の算定件数。
29ページが「小児の外来診療等に係る評価」ということで、昨年の12月から行われているものの評価の算定件数でございます。
30ページが、この4月から始まっております感染症対策に係る評価、外来の部門のものでございます。
31ページからが、検査等の算定状況でございます。
32ページが、PCR等の算定回数でございます。
33ページが、「手術」の総算定回数。これはコロナ特例ではありませんが、参考に出させていただいております。
34ページが、「カテーテル」及び「内視鏡」でございます。
35ページ以降が、在宅関係の算定状況についてということでございます。
36ページが、往診料。
37ページが、緊急往診加算。
38ページが、在宅酸素療法指導管理料の状況でございます。
39ページが、在宅患者訪問診療料。
40ページが、在医総管・施設総管でございます。
ここまでが、コロナ特例を中心に関連しそうなものの個別の算定状況の御紹介でございました。
41ページからは、レセプトの算定件数等ということでございます。ここで今集計できていますところまで、診療科別であったり、入院、外来別であったりというもののレセプト件数であったり、レセプトの総点数であったりというのを、50ページまでまとめております。
さらに51ページからは集中治療室におけるということで、集中治療医学会のアンケートというものの御紹介をさせていただいております。
例えば、54ページ以降であれば、新型コロナを踏まえた体制であったり、どのような患者の入室の制限をしたかというもの。
55ページからは、人員体制であったりというのをまとめております。平時にICU等に勤務していない医師にICU等での勤務を課したか。このようなことで、56ページのほうは、必要であった医療スタッフの数等をまとめていると。こういったものの御紹介を、学会でやったものの御紹介をさせていただいております。
59ページに、新型コロナウイルス感染症受入れ医療機関における入院の実績点数ということで、これも時系列でまとめさせていただいております。
60ページ以降は、この特例措置、新型コロナに関する特例的な対応ということで、今まで中医協の中等で検討していただきましてまとめているものということで、61ページが令和2年4月8日、外来と入院のところからスタートしてということで、随時対応していただいたものというものを、例えば、62ページでは4月18日のもの、救急医療管理料の2倍であったりICU等を2倍にするというもの、63ページではそれを3倍にする、64ページではその9月に950点の5倍というもの、そういったものを、ずっと今までのものを並べさせていただいております。
73ページに、この10月からどういった対応をしたかということで、外来、歯科、在宅、調剤というところもまとめさせていただいております。特例措置のところが76ページまで続きます。
あと、77ページからは検査、PCRのところでどう取り扱ったかというものです。
79ページ、80ページで施設基準関係で、一定程度柔軟な取扱いをするというものでございます。
81ページが、令和2年の診療報酬改定でやった経過措置への対応、施設基準の年間実績の使用の対応ということで、コロナに対応しているところは来年の3月31日まで特例的な対応をするということで、それ以外は9月30日で終わりというものをまとめさせていただいております。
82ページからになりますが、感染防止対策加算のところになります。感染症対策として医療機関でやっている主な現在の対応ということでございます。
83ページであります。感染防止対策加算1と2の説明をさせていただいております。感染制御チームが院内でこのコロナに対応する前から、平成24年に設定された点数ですので平時から対応しているというものでございます。
84ページが、その加算を取っているところの連携を評価する加算というものでございます。
85ページが、感染症対策・薬剤耐性対策の推進ということで、コロナというよりも薬剤耐性菌への取組ということです。
86ページに、抗菌薬適正使用支援加算というものが現在あるというものでございます。
87ページに、抗菌薬適正使用支援チームの役割の拡充というのが令和2年に行われているというものでございます。
88ページに、先ほどの感染防止対策加算1と2というものの概要をまとめさせていただいております。
89ページが、感染防止対策加算の届出状況等というものでございます。ブルーのほうが1、オレンジのほうが2ということで、平成24年からの推移施設数でございます。ブルーの感染防止対策加算1の棒グラフを見ていただくと、平成24年には956であったのが令和2年では1,382というところまで伸びているというものでございます。
90ページに、地域連携加算・抗菌薬適正使用加算の概要をまとめております。
先ほどの感染防止対策加算の届出状況というのを、91ページからまとめております。各入院料におけるというものが91ページ。
各入院料と病床規模別というのが92ページ。
それの専門病院、特定機能病院が93ページ。
療養病棟等についてが94ページになります。
95ページと96ページが、感染防止対策加算1を届けることが困難な理由というのをまとめさせていただいております。
97、98が、2のものでございます。
99ページに、感染防止対策地域連携加算及び抗菌薬適正使用支援加算の届出の状況を御紹介しております。
101ページからが、専門性の高い看護師の活動ということで、入院医療機関での活動の状況。
102ページに、介護福祉施設等での活動の御紹介。
103ページに、感染管理認定看護師の養成ということで、その養成の状況ということを御紹介させていただいております。
104ページに、その看護師の取組ということでございます。
105ページになりますが、新型コロナに先ほどの感染防止対策加算と、今回、重点医療機関、協力医療機関になっていただいたところの関係というのを棒グラフにしております。重点医療機関をやっていただいた1,303の施設のうち74.3%が感染防止対策加算1を取っているというものでございます。協力医療機関に関しては、815のうち53.6%が感染防止対策加算1を取っている、そういう意味でございます。そして、この下にありますが、逆に見まして、感染防止対策加算1を取っている1,382のうち重点医療機関、協力医療機関となったのが1,108あるということで、80.2%が重点もしくは協力という形で対応していただいたというものでございます。
106ページになりますが、新型コロナの回復患者の受入れ医療機関による感染防止対策加算の算定状況。回復期のほうでもどうなっているかということをまとめさせていただいております。
107ページ以降が、今までの院内感染の対応についての提言や留意事項やガイドライン等というのをまとめさせていただいております。113ページまででございます。
114ページが医療計画への位置づけということで、ここにありますが、「新興感染症等の感染拡大時における医療」を追加ということで「5事業」に追加して「6事業」、第8次医療計画から追加というものでございます。
115ページが、病院や診療所における感染対策の御紹介。
116ページも、神奈川県川崎市の例の御紹介。
117ページも、神奈川県川崎市の例でございます。それが118ページまで続きます。
119ページが院内感染対策講習会というので、どういった講習会があるかというものの御紹介をしております。
120ページからがデータベースのところで、院内感染対策サーベイランス(JANIS)についてということで、地域や全国のサーベランスに参加しているということで、そのJANISの御紹介。
121ページが、全国の医療機関における感染症の診療状況等の情報があるということで、J-SIPHEの御紹介でございます。
感染症対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)の活用の事例が、122ページ、123ページ、124ページで御紹介をしております。
そして、JANISとJ-SIPHEの比較というのを125ページに載せております。
こういった情報の中でということで126ページ、論点でございます。
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の特例的な取扱いについて、算定件数等の検証を踏まえ、今後の評価の在り方についてどのように考えるのか。
2点目が、感染防止対策加算について、新型コロナウイルス感染症の拡大下において果たした役割も踏まえつつ、新興感染症等に対する対策を強化するとともに、地域における医療機関間の連携の強化も含めた取組を進めていくという観点から、評価の在り方について、どのように考えるのかということでございます。こういったまとめをさせていただいております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
それでは、126ページの論点に沿ってコメントさせていただきたいと思います。
まず、新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の特例的な取扱いについての今後の評価の在り方についてですが、この特例的な扱いにつきましては、個別項目ごとに見ますと件数が少ないということもありまして、正確な分析はなかなか難しいであろうと思います。ただ、現場感覚としては、その時々において必要とされる診療報酬上の対応が迅速に導入されたものと評価をしています。今回のコロナ禍は、国民皆保険が成立して以来、未曽有の危機となっておりまして、厚生労働省から発出される新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い、この事務連絡も実に60本を超える膨大な数となっていますが、これらは新型コロナウイルス感染症に対峙をした全国の医療従事者が懸命に取り組んできた対応の足跡とも言えるものでありますし、今後、新興の感染症が拡大した際には診療報酬上の対応をしなければいけませんので、その基準になるものと考えます。この経験は決して無駄にしてはいけませんし、この経験を無駄にしないためにも、今後の評価の在り方をしっかりと検討していくべきであろうと考えます。その際には、まず、有事の際に実施される特例的な対応と、そして2つ目として、有事に備えて平時から対応していくべき項目に分けて検討をしっかりとしていくべきと考えます。例えば、今回、ECMOや人工呼吸器の管理が必要な重症の患者さんに対応する集中治療室等の点数が臨時的に増点されましたが、点数が増点されても高度な知識や技術を有する人材の不足が課題となったことは記憶に新しいところでございます。したがいまして、こうした項目につきましては特例は引き続き実施していただくとするとして、この有事に備えた人員や体制を確保できるような診療報酬上の評価を平時から充実させておく視点も必要ではないかと考えます。
次は、感染防止対策加算の評価の在り方についてですが、この現在の施設基準で求められております感染症対策の経験を有する人員の配置や感染防止に係る部門やチームの設置、これらがボトルネックとなっておりまして、病床規模の小さい病院、また、看護配置が少ない入院料等では算定が進んでいないという調査結果が、今回、示されています。今回のこのコロナ禍におきまして、病床規模の大きな急性期病院だけではなくて、中小病院や後方支援病床、さらには診療所においても感染防止対策の必要性が明確になったことからしますと、次回改定では現行の感染防止対策加算の算定要件や施設基準を見直し、より多くの医療機関でその取組が進むというようにすべきであろうと考えます。医師会といたしましても、地域での取組が進むよう尽力させていただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
2024年からの第8次医療計画に新興感染症が加えられることもございますので、そういったことでこういう検証をして内容を高めていくということは非常に重要なことだろうと思っております。
それから、厚生労働省のこのような今回のパンデミックに対する対応は非常に優れたものだったと思っております。特に現場では、専門のトレーニングを受けた感染症のナースたちの活躍が非常に大きいものがございましたので、この辺は後で吉川委員からもお話しいただければとは思いますが、この最初の論点に関しまして、病床確保のためのハード面の支援は充実しておりましたけれども、医療スタッフへの人員確保などのソフト面での支援がやはり十分ではなかったという現状でございました。金銭面での支援はあったものの、やはり絶対的なスタッフ不足のためのモチベーションが低下することでのストレスが問題になっておりました。この辺は、先ほど城守委員が発言されたとおりでございます。
それから、スタッフのストレス軽減のための方策として、人員の確保とか休息、カウンセリングなどを実施したことへの評価を実施すべきと考えます。こういうことがきちんとできた施設もございますが、多くのところはこういうことができなくて、非常に現場で疲弊が広がっていったということでございます。
また、救急外来を含むゾーニング、人員配置、感染症専用外来の設置などの外来体制の構築に加え、在宅で医療を続ける方たち、それから、ホテル療養患者、コロナのですね。そういった方たちの支援が必要と考えます。これらの部門への評価を高くすることで、入院病床への逼迫を軽減でき、病院スタッフの負担軽減につながると思います。
それから、2つ目の論点ですが、感染防止対策加算の施設基準では、88ページにございますが、年4回のカンファレンスの主催や参加で加算の基準となり、加算1同士で年1回感染防止対策について評価すれば地域連携加算100点が加算されるということになっております。ただ、実質的な地域連携ネットワークを構築して、そのネットワークの中での研修会、巡回、感染対策の評価、指導などの活動を定期的に実施しているそういう施設を評価すべきと思います。新型コロナウイルス感染症で判明したように、加算1の施設が全てを担うのではなくて、地域の指導的立場で行動することができて、地域全体で面として感染防止を行う体制構築の評価であってほしいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
私からは、コロナの感染対策に係る論点の1番目の論点についてコメントさせていただきます。73コマ目にありますように、コロナ患者への対応につきましては、薬局薬剤師も地域の医療機関と連携して対応してきたところであります。今後、新たに経口治療薬による対応も必要になってくることなどを考えれば、薬局の薬剤師による自宅・宿泊療養者への調剤対応は、より一層重要になると理解しております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私も論点に沿って、まず、コロナウイルス感染症の特例的な取扱いについては、今ほど、城守委員、島委員等々がおっしゃったとおりだと思いますので、全て賛同させていただきたいと思います。
その上で、感染防止対策加算について、これも同じような意見ですけれども、少し私からも意見させていただきます。
まず、91ページから94ページにありますように、この感染防止対策、基本的には最終的には全ての医療機関がこれをしっかり担うべきということは、恐らく1号側も2号側も反対のないところだと思いますけれども、現状ではやはり病床種別、あるいは病床規模によって大きな開きがあります。
それはなぜかというと、95ページから98ページまでのデータにもありますように、経験を有する人員配置ということになると、どうしてもその病床種別によって、あるいは病床規模によっても全部そろえられないというところがあって、なかなかここに加算を取りにいけないというところがあるかと思います。
これに対して、今ほど、島委員もおっしゃったように、地域で連携をいかに進めるかという観点に立てば、例えば、1あるいは2を取っているところと、その人員配置が一部取れなくてというところがしっかりチームで連携を取って、そして、お互いに勉強し合う、そういうチーム連携をすることによってその実施をすることによって、それぞれが少し緩和していただく、あるいは1、2はそれを義務づける、あるいは要件化する。そして一方で、そこでも取れないところについては、そこと連携することを条件にして、例えば、1、2に次いでの3みたいな少し緩和したような基準を設ける等々にして、やはりどんどん裾野を広げていく、そういう取組、そういう立てつけが必要ではないか。
そうすることによって、これは全ての新興感染症に対してこれから日本の病院全てが、あるいは診療所も含めて全ての医療機関が対応できる体制に持っていくことができる、そういうきっかけになるのではないかということで、少しそういう条件緩和、あるいはさらに低い基準を設ける等々のことの取組も考えていただけるといいのではないかということで、意見として言わせていただきました。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
論点に関しまして意見を述べさせていただきたいと思います。今後を見据えた新興感染症及び今回のコロナウイルス感染症対策に関しましては、これまでも発言しておりますとおり、歯科は口腔内を扱うため、患者さんのマスクを外して治療する必要があることや外科的な処置が多いということより、飛沫感染対策といたしまして、これまでのスタンダード・プリコーションに加えて、様々な努力を行っているところでございます。特に、日本歯科医師会の歯科診療指針の第2版にも記載されておりますように、口腔内でのウイルス増殖の危険が明らかとなっていることからも、口腔の管理に関わる極めて特殊な職種であると考えております。現時点では少し感染者数も落ち着いてきておりますが、新たな変異株の問題も浮上し、引き続き緊張感を持って診療に当たることには変わりありません。診療報酬での見える形での評価の検討はぜひお願いしたいと思っております。
2点目の医療機関の連携についてでございますが、おのおのの医療機関は、その機能に応じ地域医療を守るための役割を果たしておりまして、かかりつけ医機能を担う医療機関を中心とした外来や在宅医療を含めた地域医療全体を視野に入れ、適切な役割分担の下、必要な医療を面として提供することの重要性は、当然クローズアップされてきているものと思います。2年近く対応してまいりました新型コロナウイルス感染症によりまして、地域における顔の見える職種連携のより一層の強化が重要であることが再認識されたものと思っております。改めて今回の一連の感染症対策を検証、整理して、国民の健康、生命、それから、生活を守る立場の医療提供者の一員といたしまして、歯科におきましても体制づくり強化に資する改定になりますよう、引き続きよろしくお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の特例的な取扱いの論点につきまして、令和3年度のレセプトの総点数は、コロナ前の前々年度と比べても伸びている状況であるということが分かり、昨年度とは状況が変わってきていることが見てとれます。
一方で、新型コロナウイルス感染症受入れ医療機関における入院実績点数は、特例以外の点数のみですと前々年度より低い状況が続いており、全体の傾向と異なる点があるのではないかと考えております。
このような状況を踏まえますれば、新型コロナウイルス感染症を受け入れた医療機関に対する特例は、今後の感染状況が不透明である現時点では継続を検討することも理解できるところでございます。
一方で、新型コロナウイルス感染症の受入れの有無に直接関係しない特例につきましては廃止を検討すべきであると考えております。
続きまして、感染防止対策加算の論点につきまして、資料の100ページにございますが、入院分科会からの指摘も踏まえ、地域における医療機関間の連携を強化する方向性については異論ございません。感染防止対策加算につきましては、届出医療機関にばらつきがあるといった点も指摘されておりますが、要件を緩和するという方向性よりも、先ほど、島委員、池端委員からの御発言にもありましたように、質を担保した上での地域連携を強化するという方向性での評価のほうが望ましいのではないかと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
診療報酬上の特例的な取扱いについて、今後、変異株などによって感染状況が見通せない現状を考えれば、継続することについては理解できると考えますが、これまで中医協でエビデンス等に基づき診療報酬を検討してきたことから考えれば、今後さらに分析して点数づけをすべきことではないかと考えており、期間を定めて特例的な扱いから移行する必要があると考えております。
感染防止対策については、自院のみならず地域の医療機関が連携して取り組むことで感染拡大を防止することにつながると考えます。入院分科会の取りまとめ、指摘事項にもある感染症看護専門看護師や感染管理認定看護師が他の医療機関等へ赴き、感染防止対策の支援を行うことへの評価には理解したいと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
私も論点に関しまして、2つコメントをさせていただきたいと思います。
まず最初の診療報酬上の特例的な取扱いについてですが、先ほど、安藤委員、佐保委員からの発言にもございましたが、それに加えて申し上げたいことは、これまで特例対応の対象は、今回、追加的にデータが示されました集中治療室で受ける重症患者だけではございません。中等症患者、回復患者、妊産婦の方、宿泊・自宅療養の方など様々な患者を対象に点数を引き上げるなど、様々な特例的な対応がなされているわけであります。今後も引き続き感染状況に鑑みながらしっかりと検証を行って、適宜、特例対応の取扱いについて議論をしていただければと考えます。
さらに付言をさせていただければ、本日の議論には直接的にはつながるものではございませんけれども、今回の新型コロナウイルス感染症に関わるその診療報酬上の特例的な取扱いに限らず、国としてEBPM(エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング)を推進していく中、多額の財源やその保険料、あるいは患者負担が投じられて実施されている医療の実態が、適時適切なタイミングで十分に把握できない状況については早急に改善すべきだと考えます。公定価格であります診療報酬体系をより適切に構築する。さらには医療提供体制をより効果的に構築するという観点からも、各種データを収集し、リアルタイムでの把握や、事後的に検証できるそういう仕組みが必要であると考えます。厚労省、政府を挙げてぜひ取り組んでいただきたいと考えております。
2点目の感染防止対策加算についても既に各委員からのコメントにありますけれども、論点にあるとおり、医療機関間の連携を進めることで対策の広がりを持たせる方向については十分理解できるところであります。一方で、現行の施設基準における人員などを見直すという趣旨であれば、真に実効性のある感染症対策が行われるということが担保できるかどうかということが検討されるべきではないかと考えます。
以上でございます。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
今日お示しいただきましたコロナ感染症の動向、あるいは各種の算定状況を拝見いたしまして、改めてこのコロナに関する大きな影響、また、それに対応いただきました医療従事者に対して、敬意と感謝を表すものであります。
そうした中で、まずは本則との関係について少しお話をしたいと思うのですけれども、コロナ患者を治療した場合の評価について診療報酬の本則に位置づけるには審議、あるいはデータが足りないと思いますので、4月以降も特例として取り扱うのが現実的であろうと思っております。
また、オンライン診療などの一般診療に関する特例措置につきましては、本則の改定に合わせて特例措置を廃止するということも考えられると思っております。
続きまして、この特例措置の点数水準、あるいは算定要件については、眞田委員からもありましたけれども、今後継続的に検討いただきたいと思いますが、その中で少し気づいた点を2つコメントさせていただきます。
一つは、先ほど来話に出ておりますけれども、ICUで重症コロナ患者を治療した場合、管理料を3倍にしているということでございますが、52コマ目以降に日本集中治療医学会のアンケート結果が示されておりまして、他の重症患者より多くのスタッフが必要であると。特に56ページで、看護師が2倍から3倍ということでございますけれども、ほかの職種も含めて押しなべてみますと必ずしも3倍というふうにはつながらないような見方もできます。もちろん医療従事者の人数だけで妥当性は判断できませんけれども、ほかの管理料も含めまして、また、現場への影響も十分配慮しながら、実績データを積み重ねた上で検討することも必要ではないかと考えております。
もう一つとして、院内トリアージ実施料の特例について触れたいと思うのですが、これは本則とはかなり違った運用になっておりますので、ワクチン接種が進んできたことや、コロナ診断に関する知見が蓄積されたことも踏まえて、学会の方の御協力も得ながら評価の在り方を整理していくということも必要だと考えております。
続きまして、2つ目の感染防止対策加算でございますけれども、医療の質や安全を高めるために、平時から基幹病院が中心になって連携を強化して地域全体の感染防止を底上げすることは各委員も申されておりますけれども、必要だと考えております。ただ、届出状況であるとか補助金等の役割も踏まえまして、有事の備えをどこまで診療報酬で対応するかについては、慎重な判断があってしかるべきだと考えております。診療報酬で対応する場合については、単なる要件緩和だけではなく、101ページ以降に示されておりますけれども、専門スタッフの人材育成、あるいは115ページ以降に示されておりますけれども、地域連携の好事例等も十分に参考にしながら、そうした観点で感染防止の充実につながることを期待しております。
以上であります。
○小塩会長
ありがとうございました。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
感染防止対策に関してですけれども、これを平時に行うことは、別に新型コロナウイルス感染症に限らず、平時における通常の感染症対策として十分有効に働きますので、したがいまして、平時における国民、患者様にとって大きなメリットになります。つまり、平時においてもこの感染対策を進めることは十分に意義があることです。さらに平時においてそのような対策能力を高めておくことが有事にも有効であるということなので、有事にだけ有効ということではなくて、有事に対しても有効であり、平時においても有効であるということだと理解しております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
私からは、議論の前提となるデータに関して1点だけ質問、コメントがあります。今回のコロナで、感染症に関しては非常に刻々状況が変わるということを我々は身をもって経験しているのではないかと思います。したがいまして、最新のデータが今までにましてや価値を増していると言えるのではないかと思います。そこで質問ですけれども、NDBのデータが直近どこまで取れるのかということで、14ページの資料を御覧いただきますと、こちらでは5月までのデータが示されているわけですけれども、もしここまでしか取れないということであれば、先ほど、眞田委員からもコメントがありましたけれども、より直近のものが中医協で議論できるように、データ収集、方法等の抜本的な変更も含めて御検討をお願いしたいと思います。
あと、14ページの一番下に「簡易な報告」という言葉もあるのですけれども、こちらがそのような、もしかすると直近のデータなのかなというふうにも拝見したのですが、これについても御説明いただければありがたいです。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
今、飯塚委員からデータについて御質問がありましたけれども、これは事務局で対応していただけますでしょうか。
○井内医療課長
データについて御説明をさせていただきます。NDBデータはそもそもレセプトのデータですので、まず医療機関でやったものがオンタイムでは来ません。それが診療報酬の請求になったという形で出てきます。それをNDBに収めて、実際こういったデータをクリーニングして、その後解析をするというので、一定のタイムラグは出るということでございます。現在出させていただいているのが最新ということで、現状のシステムを考えますと、現時点ではこれが最速ということでございます。
○飯塚委員
ありがとうございます。
もちろん、正確なデータというのはなかなか時間がかかるというのは了解しているのですけれども、せっかくのオンラインのデータですので速報値のようなことができるのかも含めて、ぜひより早くデータが出る可能性がないのかを御検討いただけるとありがたいです。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。専門委員の方々ももしコメントがありましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
吉川委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
今回の新型コロナウイルス感染症では、皆様から御意見いただきましたように、感染症看護専門看護師や感染管理認定看護師は様々な活動をしていました。特に、自施設の感染管理以外に地域の中小病院や介護施設等にコンサルテーションを行った活動について高く評価していただいたのは本当にありがたく思います。
しかし、103ページの資料の通り、感染管理認定看護師は全国に約3,006名、感染症看護専門看護師は90名とまだ少なく、池端委員からの御意見の通り、特に中小病院に少ない現状です。できる限り多くの病院に配置できるようになることが理想ではありますが、現状においては難しいところもあります。
専門看護師や認定看護師が少ない病院もありますので、コロナに限らず、地域で連携し、常日頃から施設の感染管理を徹底していくこと、全ての医療機関や施設において感染管理が十分にできることが重要です。
したがって、感染防止対策加算の要件として、さらなる連携先が広がるような検討が必要ではないかと考えています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
1点だけちょっと追加させていただきます。その連携の在り方なのですけれども、実は福井県で以前から、このコロナ前からのICTの感染チームのネットワークがあって、定期的にネットワークの会議を行っているのです。最近はそれをリモートで行うことによって、広くたくさんの医療機関がそこにネットワークに入って情報共有ができるシステムが既に動いています。非常に有効ですし、こういうこともその条件というか、その緩和の条件の一つに入れていただけると非常に裾野が広がりやすいのではないかということで、一応御報告だけさせていただきます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
ほかに追加の御質問等々はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見、御要望も踏まえて、引き続き御対応をしていただくようにお願いいたします。
次の議題に移ります。「医療経済実態調査の結果に対する見解について」を議題といたします。
11月24日の総会で医療経済実態調査の結果が報告されたところですが、本日は、1号側委員、2号側委員それぞれから、医療経済実態調査の結果に対する見解が提出されています。
そこで、まず、1号側委員から資料の御説明をお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。健保連の松本でございます。
まず、1号側を代表いたしまして、11月24日に公表されました第23回医療経済実態調査結果に関する健保連が行った分析を御報告いたします。
資料は総-4-1を御参照願います。
めくっていただきますと目次が2ページございますけれども、今回は「II 損益差額率の経年変化(R元~3年の各年6月)」と「IV 流動資産の経年比較」というのを追加しております
また、これから御説明申し上げます年度調査の損益差額率でございますが、新型コロナウイルス感染症関連の補助金を含む場合、含まない場合を併記しておりますけれども、分析については「含む」をベースに実施していることを申し添えておきます。
それでは、めくっていただきまして1ページ目、これが主な分析結果でございますが、先般の中医協での事務局からの御説明と重なるところが多いかと存じますので、後ほどお読みいただければと思います。
2ページ目は、本分析における主なデータの出典と用語の解説になっておりますので、省略させていただきます。
それでは、3ページ目から、ポイントをかいつまんで御説明申し上げます。
3ページ目は、全体を俯瞰した概要でございまして、医療機関別・開設者別の損益差額率の変化をまとめたものでございます。なお、長期的な経営状態の変動を把握するために、客体が毎回異なることは承知しておりますが、例年同様、平成25年度から8年間のトレンドという形でお示ししており、表では、左側のほうから一般病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局の4つのカテゴライズの順に並べております。
まず、一番左の一般病院でございますが、左から4列目にございます令和2年度全体加重平均というところを見ますと、1.2%の黒字になっておりますが、国公立を除きますと、これから右に2つ行っていただきまして、黒字は2.8%に増加しております。これは、平成25年度以降では最も高い水準にあることが分かります。
次に、一般診療所でございますが、個人は28.8%、医療法人も4.2%と黒字となっております。
次に、歯科診療所でございますが、全体で20.4%の黒字となっておりまして、令和元年度と比べましても0.2%上昇しているということが見てとれます。
最後に、保険薬局でございますが、施設数の多くを占める法人が堅調であったことから、全体では6.7%の黒字と。令和元年度とほぼ同水準であり、経営としては比較的安定している状態にあります。
次に、4ページに移らせていただきます。
ここでは、一般病院の開設者別の分析をしており、左のほうから医療法人より順に並べております。その右のほうに各種の平均値というのを記載しております。
医療法人は令和2年度を見ていただきますと、一番左の列になりますが、2.3%の黒字であり、これにつきましても平成25年度以降、安定して黒字が続いているという点が伺えます。
次に、国立につきましては令和2年度は6.8%のプラス。
一方、公立のほうはマイナス7.3%のマイナスとなっておりますけれども、いずれも令和元年度以前と比べますと大幅に改善しております。
続きまして、5ページに移っていただきたいと思います。
ここでは、一般病院を機能別に分析しております。全体的に言えば、療養病床60%以上とDPC病院が黒字となっておりますが、赤線の右側に行っていただきまして、国公立を除く一般病院では全て黒字となっているということが見てとれます。
続いて、6ページです。
ここでは、一般病院を病床規模別という観点で分析しております。左のほうが一般病院全体ですけれども、ちょうど列でいうと3つ行っていただきますと、ここで200床が境になるのですが、ここで赤字と黒字が分かれております。
一方、右側の国公立を除く表を見ていただきますと、令和2年度は50から99床を除きまして1%から5.4%と黒字になっていることが見てとれます。その中でも国公立を除きました300床以上の規模の病院が比較的利益率が高いということが見てとれます。
7ページでございます。
ここでは、新型コロナウイルス感染症入院患者等の受入れ実績の影響を見ていますけれども、何らかの患者受入れを行った病院は黒字となっております。
続いて、8ページでございます。
次は、一般診療所に移ります。個人、医療法人とも、また、有床無床にかかわらず、また、補助金を除きましても黒字となっており、特に個人は高い率を誇っております。
続いて、9ページでは開設者別・主たる診療科別での状況を見ておりますけれども、これは左側が個人、右側が医療法人となっておりますが、左側の個人においてはいずれの診療科でも高いレベルの黒字を維持しており、診療科によっては過去あるいは令和元年度を上回るケースも見られております。
一方、医療法人においても多くの診療科で黒字でございました。
続いて、10ページでございます。
ここでは、新型コロナウイルス感染症疑い患者等の受入れ実績の影響を見ておりますけれども、患者の受入れの有無を問わず、基本的には黒字が維持されております。
続いて、11ページからは保険薬局でございます。
開設者別・店舗数別に見ますと、全体的な収益は若干悪化傾向ではございますが、黒字は十分確保されており、法人については同一グループの店舗数が多い薬局ほど損益差額率は高く、特に一番右の法人20店舗以上の薬局につきましては9.5%の黒字と、一番高いのみならず令和元年度を上回っております。
それから、下から4行目以下に施設数を記載しておりますけれども、特にこの中の一番右のほう、法人20店舗以上の数字の推移を見ていただきたいと思いますが、この増加が著しくどんどん大規模化が進んでいることが見てとれます。
続いて、12ページでは保険薬局を調剤基本料別、立地別で分析しております。調剤基本料別に見ますと、いずれも黒字になっております。
また、左から4列目にございますが、4列目の同一グループで月40万回以上の処方箋を受けている保険薬局、これはすなわち調剤基本料3-ロに当たりますが、これが9.0%と最も高い水準であり、過年度と比較しても率が年々上昇しております。
また、右の立地別で見ますと、診療所前、中小病院前が悪化傾向にあるのに対し、大病院前、診療所敷地内薬局の率の上昇は著しいものがございます。
続いて、13ページに移ります。
ここでは、保険薬局について特定の医療機関との不動産の賃貸借関係の有無という観点で分析しております。施設数の差がちょっと大きいわけでございますが、ありのほうが損益差額率が高い位置となっております。
次からは、今回実施されました単月での令和元年度から3年度の変化を分析しております。
14ページでは、医療機関別・開設者別の分析ですが、概して言えば、令和元年度から2年度はダウンしているものの、直近の3年度が戻ってきているという傾向でございます。
15ページ、16ページ、17ページ、18ページは、これまでも実施してきた観点で影響の分析を行っておりますが、ほぼ同様の傾向になっております。
続いて、19ページに移りたいと思います。
19ページでは、一般診療所の有床無床別の分析でございます。有床は医業収益の減少により率が戻っておりませんが、無床のほうは元年度から2年度はダウンしているものの、直近の3年度は大幅に改善しております。
20ページでは、一般診療所の開設者別・主たる診療科別の分析を行っておりますが、診療科を問わず個人は高い率を、医療法人も一部を除き、ばらつきはあるものの直近では黒字を確保しているのが見てとれます。
続いて、21ページでございます。
ここでは、新型コロナウイルス感染症疑い患者の受入れ実績の影響を見ておりますが、これに関しては実績なしのほうが率は高く、有床の医療法人を除けば、患者の受入れの有無にかかわらず率自体は改善しております。
続いて、22ページから保険薬局でございます。
開設者別・店舗数別で見ますと、施設の少ない個人を除けば、元年度から2年度はダウンしておりますけれども、直近の3年度は戻ってきております。特に、法人20店舗以上につきましては、ほぼ令和元年度を上回るレベルになっております。
ここからは、費用構造の経年変化を見ております。
このグラフでございますが、医業・介護費用における各費目の構成割合を示したものでございます。保険薬局を除きまして、給与費、いわゆる人件費が5割を超えているのが共通した特徴となっております。給与費は、グラフ上の青のドットで示したものが給与費でございます。
また、表の真ん中辺りに、一般病院で国公立のカテゴライズがございますが、ここは給与費、減価償却費の割合がこの2つで令和2年度では7割を超えるレベルと非常に高くなっておりまして、高コスト体質であろうということが見てとれます。
そこから右に行っていただきまして一般診療所ですが、平成29年度以降、給与費の割合が一貫して上昇しております。
一方、歯科診療所につきましても、材料費や給与費の増加が見てとれます。
もう一個右の保険薬局でございますが、こちらにつきましても給与費がじわじわ上昇しているというのが見てとれます。
24ページ目、これは一般病院を開設者別で見ております。先ほど来人件費の件には触れておりますけれども、特に棒グラフの高さが突出している公立病院は給与費率だけで6割を超えるという高い水準にありまして、ほかの病院の給与費率とは大きな開きがあるという費用構造の差があるところが見てとれます。
また、医療法人の給与費は一番左にございますけれども、令和元年度と比較しますと1.5ポイントほど上昇しておりますけれども、医薬品費率が若干低下したことで黒字が多少拡大したということが分析できます。
25ページ目からは、給与の比較でございます。
25ページ目が、病院長あるいは院長。
26ページが、主な医療従事者全般となっております。
一般病院の病院長の平均年収は、医療法人が最も高くなっておりまして3110万円。国公立とは約1000万円程度の開きがあるということが分かります。
一方、一般診療所の院長の年収は、有床診が約3000万円、無床診が約2700万円という数字になっております。
26ページ目では、一般病院の主な医療従事者の給与の比較でございます。これについてはグラフ、棒グラフもございますが、この変動を見ていただければと思っております。
最後に、流動資産の変化というのを見ております。
一般企業でもPLのみならずBSを用いて経営状況を見るというのが通常でございますので、今回取り入れておりますが、傾向としては、歯科大学病院を除いていずれも元年度に比べて増加しておるということでございます。
最後に、総括的なことを2点申し上げますと、新型コロナ感染症の対応に尽力された医療機関に対して、政府、厚労省がその影響度を十分に見極めて適正な規模の補助金が出ていたということ。
それと、今後のコロナ感染症の状況は流動的ではありますが、今回の調査結果を見る限りでは、補助金をある程度外しても十分戻ってくるということが理解できております。
以上でこちら側からの見解を終わります。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、2号側委員から資料の御説明をお願いいたします。
○城守委員
それでは、私から、今回の医療経済実態調査の結果報告に対する見解を述べさせていただきたいと思います。
まず、医科の分は私から、そして、歯科、調剤はそれぞれ担当の構成員からコメントを述べさせていただきます。
まず、医科の分ですが、資料の1ページは概略の説明となってございますので、実際に3ページ以降の資料にて説明をさせていただきたいと思います。
まず、通し番号の3ページの下のグラフでございますが、これは今回の損益差額率を示したものでございます。脚注にもございますが、この損益差額率はコロナ補助金を除くわけですが、これには診療報酬による特例的な対応分を含んでございます。御覧になったらお分かりのように、診療報酬によるこの特例的な対応があったものの、損益差額率は大きく悪化しております。補助金を含んだ場合でも損益差額率は一般病院ではほぼプラス・マイナス・ゼロ、一般診療所では前々年度よりも縮小しております。
続きまして、通し番号の4ページを御覧ください。
まず、4ページの上のグラフです。これは医療収益及び医業・介護費用の増減率でございますが、これも御覧になったらお分かりのように、医業収益の増減率は、一般病院でマイナスの3.3%、精神科病院でマイナスの1.6%、一般診療所の医療法人でマイナス4.0%、個人でマイナスの7.5%でございます。医業・介護費用は病院では抑制されておりまして、一般診療所では削減されているという状態でございます。
続きまして、4ページの下のグラフを御覧ください。これは6月の単月調査におけます損益差額率及び医業収益の増減率を表してございます。これは、今回の調査ではこの6月の単月調査が併せて行われましたが、まず、この単月調査に関しましては季節要因の影響を受けるということ、さらに賞与等が確定していない値については前年度の実績の12分の1を用いているということ、さらには年によって休日数が異なるわけですがその補正がされていない、こういう様々な問題がございます。過去の医療経済実態調査においてこの6月の単月調査が採用されておりましたが、やはりこの精度が低いということで、この中医協の場において議論をされた後、直近2事業年度の調査に切り替えられたという経緯がございますが、今回のこの6月の単月調査結果も、およそやはり架空の数値がかなり入ってございますので、それによって構成されたものであるということで、医療機関の実態を表すものではないと思われます。
それでもあえてこの集計結果に触れますと、病院では赤字が継続して、2021年6月の赤字幅は2019年6月よりも多くなっております。一般診療所では2021年6月の損益差額率が2019年6月を上回っておりますが、これは院長、医師等の給与をはじめとする医療介護費を削減したことが寄与していると思われます。
続きまして、通し番号5ページの上のグラフを御覧ください。これはその分布でございますが、一般病院、これは国公立を除くわけですが、そこではコロナ補助金を除く赤字は前年度には5割超に拡大しております。コロナ補助金を含むと赤字病院は約4割になりますが、損益差額率が極めて低いところと高いところがそれぞれ増加しておりまして、新型コロナ関連補助金によって損益差額率の差が開いているということが伺えます。一般診療所、これは医療法人分ですが、そこでは前々年度には赤字の病院は約3割でございましたが、御覧のとおり前年度は約5割に増加しております。
この下のグラフを御覧ください。これは長期の借入金の残高でございます。長期のこの借入金残高は、一般病院では4600万、精神科病院では2800万増加しています。定点調査ではないので経年比較はできませんが、前回調査でも前々回調査でも一般病院、精神科病院の長期の借入金は減少していたわけでございます。一般診療所、これは入院収益なしの部分ですが、そこでは長期の借入金残高は約420万増加しております。一般診療所の入院収益ありでは長期の借入金残高は微減ではございましたが、借入金の依存度は高い状態には変わりはないということが見てとれます。
続いて、通し番号の6ページの上のグラフを御覧ください。これは重点医療機関・協力医療機関等の指定状況別に分けて見たものでございますが、御覧のとおり重点医療機関ではコロナ補助金によって損益差額率がプラスになってはおりますが、この補助金がなければ損益差額率はマイナスの10.7%でございます。重点医療機関以外ではコロナ補助金を含む損益差額率もマイナスとなっているということです。
続きまして、下のグラフを御覧ください。ここは、コロナウイルス感染症入院患者さんの受入れ等の実績あるなしということでございますが、新型コロナウイルス感染症入院患者の受入れありの病院で損益差額率が最も低く、コロナ補助金を含む損益差額率も水面上ぎりぎりの状態が見てとれます。また、コロナ入院患者受入れあり以外の病院ではコロナ補助金ありの損益差額率が前々年度を下回っているという状態であります。
続きまして、7ページ御覧ください。
これは、一般診療所の診療・検査医療機関の指定状況別によるものですが、いわゆる発熱外来は、「発熱外来診療体制確保支援補助金」というものがあったわけですが、それらのコロナ補助金を除く損益差額率が大幅に減少し、コロナ補助金を含んだ損益差額率も若干改善したにすぎないという状態。発熱外来以外も損益差額率が低下しています。
下のグラフを御覧ください。これは、病院の一般病棟入院基本料別に見たものでございますが、コロナ補助金を除く損益差額率はおおむね横並びで悪化しておりまして、若干のばらつきはあるものの、一般病棟入院基本料間で大きな差は見られておりません。コロナ補助金を含む損益差額率は、急性期一般入院料1のみ若干の黒字ではございますが、急性期一般入院料2から地域一般入院料3にかけて段階的にマイナス幅が拡大しているということが見てとれるかと思います。
続きまして、通し番号8ページの上のグラフを御覧ください。これは、病院の療養病棟入院基本料別でございます。この療養病棟入院基本料1は、コロナ補助金を除く損益差額率がプラスを維持しておりますが、入院基本料2はコロナ補助金を含む損益差額率もマイナスの状態です。この入院基本料2は、もともと給与費率が高くて、給与費はほぼ横ばいでございましたが医業収益が減少したと、さらに給与費率が上昇したということになってございます。
同ページの下のグラフでございますが、これは、一般病院の病床規模別に見たものです。グラフを見てお分かりかと存じますが、小規模の病院で、コロナ補助金を含む損益差額率が低くなっております。小規模の病院では、外来診療収益の割合が高く、外来の保険診療収益の減少がダイレクトに影響した上に、コロナ対応の病床が確保困難で補助金が寄与しなかったものと推察されるという状態です。
通し番号9ページの上を御覧ください。これは一般診療所の損益差額率でございますが、入院収益ありなしともに、コロナ補助金を除く損益差額率が低下しておりまして、コロナ補助金を含んだ損益差額率も、前々年(度)の水準を下回っているという状態です。入院収益ありは、入院保険診療収益が維持され、損益差額率の大幅な減少を免れたという状況もございます。
下のグラフを御覧ください。一般診療所の保険診療と医業・介護費用の伸び率でございますが、ここは、一般診療所では、病院長または院長、医師の給与を抑制あるいは削減して、何とか損益差額を確保している状態が見てとれると思われます。
最後に10ページでございますが、この上のグラフを御覧ください。一般診療所の診療科別でございます。これは、乳幼児感染予防策加算など、新型コロナウイルス感染症に関して診療報酬上の特例的な対応が取られましたが、それらを含むコロナ補助金を除く損益差額率は小児科、耳鼻咽喉科は大きなマイナスとなってございまして、さらにコロナ補助金を含む損益差額率もマイナスという状況になっています。
その下のグラフですが、給与費、これは看護職員及び看護補助者でございますが、看護職員の給与費は御覧のとおり横ばいから微増、看護補助者の給与費の伸びに関しましては開設者によってばらつきがあります。看護職員1人当たり年間給与は公立病院では医療法人よりも約100万高い水準ということになってございます。
医科の分は以上でございます。
続きまして、歯科の見解を林委員からお願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
歯科からは、2ページの見解を述べ、11ページからの提出資料を説明いたします。
令和2年度診療報酬改定を踏まえた個人立歯科診療所の直近2事業年の医業収益はマイナス3.2%と落ち込みました。新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、診療報酬改定率はプラス0.59%であったものの、地域歯科医療を担う約8割を占める個人立歯科診療所の経営は、コロナ関連補助金を加味しても依然として厳しい状況が続いております。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、歯科医療機関におきましては、外科的処置や飛沫が多い歯科治療の特性を踏まえ、従来のスタンダード・プリコーションに加え、様々な対策を行っております。感染防止対策にこれまで以上の対応を迫られる中、歯科材料費等の高騰の影響も計り知れないものがございます。
これまで繰り返し指摘しておりますとおり、既に経営努力や経費削減努力は明らかに限界に達しております。安全安心を前提とした歯科医療提供体制の根幹を揺るがしかねない状況であり、加えて求められている歯科医療、口腔健康管理の充実を図るためには、迅速かつ抜本的な対応が求められるところでございます。
次に、11ページからの提出資料の説明でございます。
12ページ、図1のとおり、ここ数回では今回が最も有効回答率が高く58.7%となっており、調査への理解や関心度が高まっていることが伺えます。
表1ですが、個人立歯科診療所の令和2年度損益差額は、前年度比でマイナス8.4%、補助金を加味してもマイナス2%と厳しい状況が明らかとなっております。
図2ですが、損益差額の分布は、平均値や中央値に示される層と最頻値との層は大きく乖離し、右に裾の長い分布を示し、格差が大きくなってきております。特に都市部では、患者の受診行動の変化から、地域間での格差が顕在化する可能性もあり、精査が必要と考えております。
13ページの表2でございますが、省略形式で回答した歯科診療所は比較的規模が小さく、医業・介護費用からより小規模な歯科診療所ほど切り詰める部分も少なく、経営が困難となっていることが示唆されます。
最後に、図3ですが、ここ数十年にわたる個人立歯科診療所の損益差額に関しては、経営状況に関しまして回復傾向になく、今回の医療経済実態調査結果からも、補助金や様々な診療報酬上の措置を加味しても、依然厳しい経営状態が確認でき、安全安心を前提とした歯科医療提供体制を継続的に維持するための早急な方策や対応が必要不可欠であると考えております。
歯科からは以上でございます。
○有澤委員
それでは、保険薬局、調剤として、私から説明をさせていただきたいと思います。
資料の15ページにあります保険薬局の損益状況の把握ということでまとめたものですけれども、全国の保険薬局のうち、開設主体の9割が法人立でありまして、今回の調査結果においても施設数の9割以上が法人立だったということ。
それから、個人立の保険薬局の場合は損益差額の中に開設者の給与が含まれているため、個人立と法人立を合算した全体の平均値による保険薬局の損益状況を把握することは困難であるということから、「法人」の集計結果を主に使用しております。
実際にこのような施設数、あるいは処方箋枚数というのが示されておりまして、さらに補助金を除いたデータに基づく状況把握を行ったということであります。保険薬局においては、補助金を含めた場合、損益差額に対する影響はおおむねプラス0.2%ということで、本資料においては当該補助金分を除いた数値とさせていただいています。
その上で、16ページ目になります。これが、今説明させていただいたように、保険薬局の損益状況については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を大きく受け、個人立、法人立ともに保険調剤に係る収益が減少し、損益差額は悪化しております。コロナ関連の補助金を含めると若干の差益差額の改善は見られるものの、元の水準に回復するレベルではなく、厳しい経営状況が続いているということであります。
次に、17ページのところになります。後発医薬品の調剤割合の増加や、薬価改定引下げの影響により、医薬品費に係る支出は減少している一方で、後発医薬品の普及促進等に伴う備蓄医薬品の管理に係る負担は増えている反面、25ページを見ていただければと思いますけれども、薬剤師の給与について、給与費は減少しており、管理コストへの必要かつ十分な手当ができているとは言い難い状況であるということであります。
特に同一グループ、20ページのところの資料を見ていただければ、同一薬局の同一グループの規模別で見ますと、地域の医薬品提供体制の中核を担っている小規模の保険薬局の損益差額の減少が目立っていることが見てとれると思います。小規模薬局の経営基盤は極めて脆弱であり、このままの状況が続けば、今後の地域の医薬品供給体制にも支障を来すことになると考えておりますので、この辺りのことを御理解いただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
○城守委員
すみません。委員長、よろしいでしょうか。
○小塩会長
どうぞ。
○城守委員
以上、診療側からの見解を、医科、歯科、そして調剤から述べさせていただいたわけでございますが、今回のこの医療経済実態調査から、コロナ禍において、医療現場は感染リスクや風評被害に耐えながら、必死で新型コロナウイルス感染症に立ち向かってきておりましたが、それに応える手当が十分ではないということが、改めて明らかになったと思います。
また、今般の新型コロナウイルス感染症への対応において、改めて人材の重要性が認識されたところではあります。医療現場で働く医療従事者の働き方改革と処遇改善を推進することが必要であるわけでございますが、医療機関等は、給与費を抑制して何とか経営を維持しようとしているのが実態であろうと思います。
地域の医療と医療従事者、そして国民の安全を守るためには、適切な財源が必要でございますし、今回の診療報酬改定では、プラス改定しかあり得ないと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは続きまして、1号側委員、それから2号側委員の方々で、御説明になられた委員以外の方で補足的な御説明がありましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に追加の御説明はございませんか。どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、特に御質問等もないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
本日の議論も踏まえ、1号側委員、2号側委員から次期改定に対する意見を提出いただきたいと考えておりますので、各号の委員におかれましては御準備をお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日の総会は、これにて閉会といたします。
長時間、どうもありがとうございました。
 


 
 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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