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2021年11月26日 中央社会保険医療協議会 総会 第500回議事録

○日時

令和3年11月26日(金)保険医療材料専門部会終了後~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 中村洋委員 
松本真人委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 鈴木順三委員
城守国斗委員 長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 中村春基専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○在宅(その5 )について
○個別事項(その6)について
○調剤(その3)について


 
○小塩会長
それでは、ただいまより、ちょうど500回になります「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にYouTubeによるライブ配信で行うこととしておきます。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は安藤委員、末松委員、羽田専門委員が御欠席です。また、飯塚委員におかれましては遅れて御参加と伺っております。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
最初に「在宅(その5)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、中医協資料、総-1「在宅(その5)」について御説明をさせていただきます。
本日は、訪問看護のところでございます。
3ページ目からになりますが、まず「24時間対応体制加算について」でございます。
3ページ目に、令和2年度の診療報酬改定「医療資源の少ない地域における訪問看護の充実」というところで、複数のステーションによる24時間対応体制というものでございます。
原則は24時間体制は単独でございますが、この改定のときに、下にありますが医療資源の少ない地域に含まれるという地域、特別地域や医療資源の少ない地域、ここで複数の訪問看護ステーションが連携して可能となったというものでございます。
4ページが、24時間対応体制加算の届出とその利用者数の推移を挙げさせていただいております。
5ページ目に、24時間対応体制加算の届出を行っていない理由でございます。
6ページ、7ページと、それぞれ事例ということで、新型コロナウイルス感染症に備えたステーション間の連携というものの事例を御紹介させていただいております。
8ページが、新型コロナウイルス感染症における地域の連携体制の整備状況ということで、それぞれまとめさせていただいております。
ここまでが24時間対応体制加算のところで、9ページ目以降がBCPでございます。
10ページ目は「令和3年介護報酬改定における対応について」ということで、令和3年介護報酬改定において、感染症や災害発生時において必要な介護サービスを継続するため、BCPの策定や研修の実施等が義務づけられたとしております。
その下に(参考)で「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)ガイドラインについて」ということで、ガイドラインの御紹介をさせていただいております。
11ページは、訪問看護ステーションにおけるBCPの作成ということで、その認知の状況や作成状況というところをまとめさせていただいております。
12ページからは「在宅での看取りを支える医療提供体制の整備」で、まず1つ目「ICTを活用した看取りに係る医師との連携について」というものでございます。
13ページが「離島における看取りの事例」ということで、まず看取りがなされた事例を挙げさせていただいております。
14ページは「ICTを活用した在宅看取りに関する研修推進事業」の御紹介でございます。
15ページに「ICTを利用した死亡診断等の流れ」ということで、ガイドラインからどういった流れで行っているのかということを御紹介させていただいております。
16ページのほうが、平成30年度の診療報酬改定のものでございます。これがICTを利用した死亡診断書のところの点数の在宅患者訪問診療料のところで、どう改定されたかというものでございます。これにつきましては医療機関側の評価でありまして、訪看ステーションの評価ではないということでございます。
17ページが「訪問看護ターミナルケア療養費の主な要件と算定状況」ということでございます。
18ページからが、退院直後のターミナルケアというものでございます。
19ページに、ターミナルケアのところでございますが、退院当日の訪問は訪問看護基本療養費を算定できず、例えば退院日とその翌日に訪問した場合は、訪問看護ターミナルケア療養費の算定対象とならないというところでございます。
下にありますが、退院当日を置いて、退院後1日目に行って死亡された場合、これは14日以内に2回以上の訪問看護を行っていないといけないというところで、算定が取れないというところでの指摘でございます。
20ページからが「機能強化型訪問看護ステーションにおける役割の強化」ということでございます。
まず、21ページで、令和2年度の報酬改定のところ。そこで参考と書いておりますが、機能強化型訪問看護ステーションの要件ということで挙げさせていただいております。
訪問看護職員の数や割合というところが評価をされ、赤で囲んでおります地域における人材育成等というところが要件づけられて、望ましいということになっているというものでございます。
22ページが「機能強化型訪問看護ステーションの届出状況」。
23ページが、訪問看護管理療養費、情報提供、相談対応、研修等の実施の有無というところの経年変化等でございます。
24ページが「機能強化型訪問看護ステーションにおける専門看護師・認定看護師の活動」ということで、所属の有無であったり訪問の有無であったり、コンサルテーションの実施等を、そういった状況を機能強化型とそれ以外でまとめさせていただいております。
25ページが、同様、特定行為研修修了者に関するものでございます。
26ページが「訪問看護ステーションにおける専門・認定看護師及び特定行為修了者の在籍状況」ということで、研修を受けられた分野とその専門看護師がどれぐらい配置されているかというところの分布表でございます。
28ページからが「複数名訪問看護加算等について」となります。
29ページが、令和2年度の報酬改定のところの御紹介ですが、同一建物居住者に対し複数回、複数名の訪問看護が見直されたというものでございます。
左側のほうは難病等複数回訪問加算の見直しのところの御紹介でございます。
ここの複数名のところで、複数名はイ、ロ、ハとあるのですが、ニのところで複数回というのがありますが、この複数回が看護補助者のほうは設定がされていますが、イとロ、看護師、准看護師のところが設定がされていないというところでございます。
30ページに、職種別の複数名訪問看護加算の算定状況というものの経年変化を挙げさせていただいております。
31ページに、「医療保険と介護保険の訪問看護対象者のイメージ」ということで、イメージのほうを挙げさせていただいております。
32ページに「訪問看護ステーションにおける看護補助者の配置状況」を挙げさせていただいております。
右側のほうですが、看護補助者が1%と非常に少ないというものでございます。
33ページは、難病等複数回訪問加算ということで、難病等の複数回訪問の方の算定回数、算定人数ということで、増加をしてきているというものを挙げさせていただいております。
34ページからが、退院支援指導加算でございます。
35ページが「退院当日の訪問看護」ということで、退院支援指導加算の算定者数は増加傾向というもので、右上のほうに挙げさせていただいております。
総数、別表8、うち特別指示書、精神特別指示書、重症児という形で統計を取ったものでございます。
36ページで、退院当日の訪問看護の実情ということで、事例の有無で90分を超える訪問をしたかというようなこと。実施したケア内容を挙げさせていただいております。
これらを踏まえまして、最後、39ページの「論点」でございます。
【訪問看護の提供体制について】ということで、感染症や災害が発生した場合であっても、必要な訪問看護を安定的に実施するために、平時からの訪問看護ステーションの体制整備や連携の在り方についてどのように考えるか。
2つ目が、死亡診断書をサポートする訪問看護師に係る評価の在り方について、どのように考えるのか。
3つ目が、退院当日を含めた退院直後のターミナルケアの評価の在り方についてどのように考えるのか。
4つ目が、機能強化型訪問看護ステーションに所属する専門性の高い看護師の評価の在り方について、どのように考えるのか。
【利用者の状態に応じた訪問看護の充実について】の部分では、職種別の就業状況を考慮した複数名訪問看護加算の在り方についてどのように考えるのか。
その次が、1日に複数回の訪問が必要な利用者の増加を踏まえ、難病等複数回訪問加算の在り方についてどのように考えるのか。
3つ目が、医療的ニーズの高い利用者の円滑な在宅療養への移行を促進する観点から、退院支援指導加算の在り方についてどのように考えるのかというものでございます。
資料の説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明も踏まえまして、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
最初に城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
それでは、訪問看護につきまして39ページの論点に沿ってコメントをさせていただきたいと思います。
まず、1点目でございますが、確かに感染症や災害を含めて、平時から訪問看護ステーション同士の連携をしていくということは大切であろうかと思いますが、地域によっては訪問看護ステーションの数が少なくて、ステーション同士で連携しても緊急時に対応し切れないという場合もあろうかと考えますので、医療機関からの訪問看護やバックベッドの確保なども含めた連携の在り方を考えてもよいのではないかと考えます。
そして、2点目ですが、これは医師側からいたしますと、死亡診断は大変大きな責任が伴いますことから、ICTを利用した死亡診断については慎重にならざるを得ないということがございます。たとえ研修を修了された看護師であったとしても、医師と看護師が通常以上にしっかりとした信頼関係が築けているということが前提になろうかと考えます。
したがいまして、訪問看護ターミナル療養費の評価を個別に検討するということよりも、死亡診断を行う医師や、ICTで連携する看護師がチームとして機能しているということを評価するほうが実態に合っているのではないかと考えます。
3点目ですが、これは大変な患者さんに対してしっかりとしたケアをしても、それが算定できないという不合理、こういうことは医療現場においてはあるわけでございますが、ここは退院当日の訪問看護の算定を可能として、ターミナルケアの評価をしていただきたいと考えます。
4点目でございますが、機能強化型の訪問看護ステーションについては、地域住民などに対する情報提供とか相談、人材育成のための研修をしっかりと実施しているということですので、こうした取組をさらに促していってはどうかと考えております。
また、専門性の高い看護師によって指導をしてもらうということも、能力を生かした大変よい取組だと考えますので、そうした取組が促進されるような仕組みを検討してはどうかと考えます。
続きまして、利用者の状態に応じた訪問看護の充実についてでありますが、今回のこの資料からは複数名訪問看護、特に看護補助者による複数名の訪問看護のニーズが一定程度あるものの、訪問看護ステーションにおける看護補助者の配置が非常に少ないという課題が示されております。今後、在宅医療のニーズが拡大することを踏まえますと、質を担保しながら、もう少し算定しやすい方法を検討してはどうかと考えます。
また、退院時指導加算についてもですが、資料からは、退院日当日は長時間の訪問を実施している実態が読み取れますので、これも実態に合わせた評価を検討してはどうかと考えます。
なお、必要に応じまして、看護職員におけるケアの観点から、専門委員に御意見を聴取してもよいかと考えますので、会長におかれましてはよろしくお取り計らいください。よろしくお願いします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、後ほど吉川専門委員に御意見を伺いますけれども、1号側、2号側の各委員の御意見を伺ってからということで、お願いいたします。
続きまして、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
この39ページの論点の中で、先ほど城守委員が発言された内容に関しては全く賛同いたします。
特に3番目の訪問看護基本療養費が退院当日算定できないという制度になっておりますが、実際、一番最後の論点にあります退院当日の退院支援指導加算を取るわけですけれども、こういったことをやった後に、夜間、同一の夜、状態の確認ということで訪問看護をせざるを得ないというような実態が現場ではあります。というのは、こういうように加算を取るような方たちというのは、ある程度状態が悪い方たちが在宅に戻ってまいりますので、現実にはそういうことがございます。
それで、例に示されたように、初日に取れなくて翌日だけ1回だと、これはまた対応できないという話になってきますので、これに関して整理する必要があるだろうと考えております。どちらも大切な算定の内容でございますので、これに関しては吉川委員にお考えを聞かせていただければと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
在宅医療を推進していく上で、訪問看護の必要性、重要性も増していると考えております。24時間対応体制加算について、複数のステーションが連携して対応できる体制であれば、評価してもよいのではないかと考えております。
ただし、せっかく24時間対応体制加算を届け出ている約88%の訪問看護ステーションの中で、単独で実施できている事業所が複数連携の評価に変更するといった状況が起きる可能性もあり、そういったことが起きないように、段階的な評価にするなど何らかの対応が必要ではないかと考えております。
また、BCPの作成については、義務化してもよいのではないかと考えております。
それから、退院支援指導加算について、退院当日の長時間の訪問を実施、ケア内容は、医療処置という結果を考えるとき、指導という範疇を超えている感があります。しっかりと対象を限定した上で、評価を検討してもよいのではないかと考えております。私からも吉川専門委員のお話をお伺いしたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは39コマ目の論点に従ってコメントさせていただきます。
まず、1点目の有事対応についてでございますけれども、24時間対応体制加算の要件緩和については、少し慎重にならざるを得ないと考えております。確かに加算の届出が増加しております。また、医療の資源が乏しい地域で2か所のステーションが対応することは十分理解はしておりますけれども、患者の同意が要件とは言いつつも、患者が家族の緊急の求めに自ら応じられないステーションに、24時間とわざわざ銘打っての加算を、要件を緩和することによって認めようということに関しては若干の疑問を感じております。患者の立場からしますと、24時間対応を希望する場合は、体制の整ったステーションを選ぶというのが現実的ではないかと思います。
また、今、佐保委員からもありましたけれども、BCPの策定は、作成率が10%と非常に低いようでございますけれども、これについては介護と同様に義務化すべきだろうと考えます。
続きまして、2つ目のICTを利用した看取りでございますけれども、資料の中に事例もありますけれども、これは主治医が200キロも離れているという離島の患者でありまして、医師が対面しない場合の死亡診断の加算の実績も極めて少ないということ。また、先ほど城守委員からもありましたけれども、これについては非常に重いということもありますので、慎重に議論する必要があると考えております。当面という中では、既存の訪問医療費の中の対応ではないかと思います。
続きまして、3つ目の退院当日の訪問の算定でございますけれども、退院当日と退院1日後の訪問でケアの内容に違いがないようであれば、ターミナルケア療養費の要件である2回以上の訪問に退院当日を含めるということに関しては理解をいたします。
4つ目の観点でございますけれども、機能強化型ステーションについて、現在9割以上の実績があるという人材の研修、これについては、できたら望ましいではなくて義務化という流れにしていただいて、専門性の高い看護師の配置についても特定行為研修も積極的に受講いただいて配置を推進すべきだろうと考えます。
続きまして、利用者の状態に応じた訪問介護の充実の観点でございますけれども、まず、1つ目、複数名訪問看護でございますが、患者の状態によって1日複数回訪問のニーズがある、これが看護補助者だけではニーズを満たせないからほかの職種でも対応する必要性があることについては理解をいたしました。
ただ、看護補助者の場合も含めて、本当に複数回の訪問が妥当であるのか、必要であるのかについては、医師側のほうでしっかり見極める必要があるということも考えられますので、一定の歯止めを設けるべきではないかと考えます。
2つ目の難病等の複数回訪問加算でありますけれども、算定回数、算定人数が増えているという事実については理解いたしましたけれども、訪問加算そのものの在り方については、現段階ではちょっと判断ができないというレベルでございます。
最後でございますが、退院支援指導加算ですけれども、長時間の訪問が必要なケースがあることは理解をいたしましたが、単純に時間というファクターだけで点数に差をつけようというのでは不十分であり、患者の状態とか、実際のケアの内容とか、そうしたものを考慮した上でめり張りをつける評価というのがあるべきだと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、吉川専門員に御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
専門委員の立場から、資料39ページの論点に沿って意見を述べさせていただきます。
1点目の平時からの訪問看護ステーションの体制整備や連携について、小規模な訪問看護ステーションも多く存在しています。そのような中で、連携体制の構築は大変重要であり、連携を評価していく方向性に賛同いたします。
また、訪問看護ステーションのBCPの策定についても、介護保険と同様の対応を医療でも行うことに賛同いたします。
2点目のICTを活用した死亡診断の支援等を行った訪問看護ステーションにつきましては、資料15ページにあるように、研修を受講した看護師が前提であり、さらにどのようなケアを行っているか記載されていますが、とても手間のかかる内容を行っています。ぜひ、評価がされるよう検討いただきたいと思います。
3点目の退院当日の訪問看護ターミナルケア療養費の算定については、最後は自宅でという希望に合わせて、状態的にぎりぎりのところで退院してくる利用者もおり、そのような利用者には当日訪問が必須になります。
しかし、資料19ページにあるように、退院当日は訪問看護基本療養費を算定できず、そのために訪問看護ターミナルケア療養費の算定ができないという点は、算定できるように改める必要があると考えます。
4点目の機能強化型訪問看護ステーションに所属する専門性の高い看護師の評価については、資料23ページのとおり、既に9割以上が地域住民に対する情報提供・相談対応、研修等を行っていることを踏まえますと、現状の望ましい要件ではなく、医療資源の少ない地域等でも可能な程度になるよう考慮しながら、必須の要件とするのがよいのではないかと考えています。
また、専門性の高い看護師に関しても、機能強化型訪問看護ステーションに一定程度配置されており、その方向性をさらに推進するためには、専門性の高い看護師の配置が望ましいという形で、要件に記載するのがよいと考えます。
5点目の職種別の就業状況を考慮した複数名訪問看護加算の在り方については、資料33ページのとおり、難病等複数回訪問加算の算定回数及び算定人数が増えてきており、こうしたニーズの高まりに応えていく必要性があることから考えますと、現状、看護師が看護補助者と週に複数回訪問した場合の評価はありますが、看護師同士の訪問については、現在週1回までしか算定できない状況となっていますので、看護師同士で複数回訪問した場合の評価についても検討いただきたいと思います。
退院支援指導加算の在り方については、資料35ページのとおり、特に別表8の利用者で増えており、こうしたニーズの高まりに対応していく必要があると考えます。そうした状況から、資料36ページのとおり、退院日当日の長時間訪問も多く、特にその内容は医療処置が最多となっています。こうした状況を踏まえると、例えば医療的ニーズが高く、長時間の訪問が必要な対象者については、退院支援指導加算を引き上げる等の実態に合わせた対応が必要ではないかと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
ちょっとお聞きしたいのですけれども、ICTを利用した死亡診断の流れで、これは実際にはICTを利用して死亡診断をする場合、たくさんいろいろなことをやらなくてはいけないと思うのですけれども、これは看護師が1名で全部できてしまう形なのか、研修を受けた看護師さんだけではなくて、ほかの人材も含めて対応するのか、その辺りをお聞きしたいと思います。
○小塩会長
それでは、事務局から御回答をお願いいたします。
○井内医療課長
実態に関しては、定量的なものを持ち合わせておらず、恐らくケース・バイ・ケースで動いているのではないかということでございます。
その上で、ただ、こういったことは基本的には研修を受けた看護師が行っているということがベースになりますので、恐らく1人の方がコミュニケーションをよく取ってというケースが多いのではないかと推測はしております。
○小塩会長
間宮委員、よろしいでしょうか。
○間宮委員
やはり、ケース・バイ・ケースというのもあるのでしょうけれども、一体どういう形で行われているのか、データという話ではないですけれども、そのケースというのを積み上げていって、研修を受けた看護師さんが中心になってやるのでしょうけれども、やはりどうしても一人でやっているとは思えないので、チームとしての対応というのは必要なのではないかなと思いますので、その辺りも検討していただきたいということです。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、ほかに御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて引き続き対応していただくようにお願いいたします。
それでは、続きまして「個別事項(その6)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
では、中医協資料、総-2「個別事項(その6)」の御説明をさせていただきます。
まず、1つ目が、データ提出等についてというところでございます。
3ページ目から、データ提出加算1・3、データ提出加算2・4というところの御紹介をさせていただいております。
その下に枠囲みにありますように、データ提出加算の1・3は入院データのみで、2・4が入院データと外来データの提出ということになっております。
データ提出加算の施設基準を4ページにつけております。
5ページ目、データ提出加算の届出を要件とする入院料の拡大ということで、平成26年度以降、そこからどういった形でどういった医療機関がデータ提出のほうをするようになってきたかというような経緯でございます。
6ページでは、データ提出加算の届出医療機関数の推移を挙げさせていただいております。
7ページに、令和2年7月時点でということですが、データ提出加算を届け出ている病院の割合ということでございます。
8ページは、DPC導入の影響評価に係る調査に準拠したデータ、いわゆるDPCデータといわれるものの中身の説明でございます。
9ページが、その中身、様式1は病院を退院した概要、様式1の概要ということでございます。
10ページに、DPCデータを用いて行った分析の例というのを挙げさせていただいております。
12ページのところが、外来診療等に係るデータについてです。
中医協におきまして様々な検証、調査をしていただいております。そこで、12ページ、13ページのほうに、在宅医療に係るそういった特別調査のことをまとめさせていただいております。
14ページ、15ページにリハビリテーションのところでございます。
16ページ、17ページに外来ということで、こういった調査がなされているという御紹介でございます。
18ページのほうには入院のところがあります。ここで、点線囲みの中にありますが、DPCデータで代替提出というのを行っていただけるというような形にもなっておりますという御紹介でございます。
19ページ以降でございますが「在宅療養を行っている患者に訪問診療を行った場合に」ということで、包括されている診療というのがありますということの御紹介。
20ページが、地域包括診療料のところで、これも包括ということでかなりの部分が包括化されているというものでございます。
21ページが、生活習慣病の評価ということで、これも包括範囲とともにお示しをさせていただいております。
22ページが、生活習慣病に係るデータ収集というところで、このデータを集めればということで、こういったこともできるという御紹介でございます。
23ページからは医療情報システムでございます。
「『技術面から見た標準的医療情報システムの在り方について』概要」ということで、いわゆる検討会のほうでまとめられたものでございます。
この中で下のほうにあります<具体的な対応>ということで、HL7 FHIRというものが挙げられているものでございます。
25ページに、そのHL7 FHIRの御説明をさせていただいております。
26ページで「電子カルテ情報及び交換方法の標準化」についてということで、この中で目指すべき姿であったり進め方であったりということが挙げられているというものでございます。
27ページは「電子カルテシステムの普及状況の推移」ということでございます。
28ページが、施設基準の届出状況の報告ということで、定例報告をいただいておりますというものの御紹介でございます。
29ページに、データ提出に係る課題と論点ということでございます。
論点といたしましては、外来医療、在宅医療及びリハビリテーション医療を担う医療機関の機能や役割を適切に分析・評価するため、診療を行っている患者の病態や実施した医療行為の内容等に係るデータを提出した場合の評価の在り方について、どのように考えるのかとさせていただいております。
30ページから、レセプト摘要欄の記載項目の選択式化についてでございます。
31ページのところですが、レセプト摘要欄の記載事項の選択化ということで、現状と課題で、手入力は記載ミスが原因となっているということで、入力イメージを入れさせていただいております。
32ページに選択式化の推移ということで、令和2年の診療報酬改定におきましても、選択式記載のさらなる拡充というのを図っているというものでございます。
33ページで、医薬品のところで、医薬品のレセプト請求に当たってはということですが、レセプト概要欄に記載を求めている項目は98項目存在するが、選択式記載は導入しておらず、フリーコメントとしてワープロでの入力となっているという現状を挙げさせていただいております。
34ページからが、検査値データのレセプト請求への活用ということでございます。
35ページは「診療データの審査における活用の現状と論点」ということで「支払基金業務効率化・高度化計画」というのが平成29年7月4日に公表がされたというものでございます。
36ページが「審査支払機能の在り方に関する検討会報告書」ということで、令和3年3月29日にまとめられたものでございます。
一番下のところですが、検査値データについては、審査の質と効率を高めることができるものについて、学会等のガイドラインも踏まえ、審査の参考情報として提出することを含め、検討を行うとなっております。
37ページは「診療報酬明細書の記載に係る課題と論点」ということで、医薬品の請求に当たってはレセプト概要欄にフリーコメントとして入力している項目においても、診療行為と同様、選択式コメント記載コードの設定を行うことについて、どのように考えるのか。
検査値データについては、審査の質と効率を高めることができるものについて、学会等のガイドラインを踏まえ、審査の参考情報として、レセプトの摘要欄に記載を求めることについて、どのように考えるのかというものでございます。
38ページからは自殺対策となります。
39ページに自殺対策基本法の概要というのを御紹介させていただいております。
40ページが、自殺者数の年次推移。
41ページは「自損行為による救急自動車の出動件数及び搬送人員の推移」でございます。
42ページに、自殺総合対策大綱の御紹介というのをさせていただいております。
43ページに「国際的に見た自殺の状況」ということで、諸外国との比較。
44ページに、自殺総合対策における当面の重点施策ということで御紹介させていただいております。
45ページに「自殺対策の推進体制」というものがございます。
46ページ、47ページで、自殺に至るおそれのある精神疾患ということで分類をさせていただいております。
48ページが「『自殺』死亡を減らすための取り組み」ということで、どういったところでどういった介入をするのかというところでございます。
49ページが「孤独・孤立等に伴う精神的な疾患や自殺に係る対策について」ということで、その概要の紹介でございます。で、
50ページ、51ページ、52ページで、かかりつけ医との連携ということで、自殺対策に係る早期介入ということ、そういった御紹介のものを挙げさせていただいております。
53ページに「かかりつけ医等に対する研修」ということで、「かかりつけ医うつ病対応力向上研修会」の御紹介をさせていただいております。
54ページは、自殺ではございますが、自殺企図患者等の診断・治療に係る評価ということで、かかりつけ医ではなくて救急のほうでございます。
救急救命入院料、精神疾患診断・治療の初回の加算という形、救急患者精神科継続支援料という形というものの2つがあるというものでございます。
55ページが「自殺企図者に対する介入の意義について」をまとめさせていただいております。
56ページ、57ページに、先ほど御紹介させていただいた点数の算定状況でございます。
58ページが「自殺企図者に対するチーム医療のイメージ」ということで、その後どういった対応するかというようなイメージ図。
59ページが、減らすための取組というもので、59ページ、60ページと挙げさせていただいております。
61ページが、ここでは「自殺対策等に係る課題と論点」でございます。
かかりつけ医等を通じ、孤独孤立に伴う精神的な疾病等に対し、ふだんからの関係構築やその連携を踏まえた診療を実施することに係る評価について、自殺予防の観点も踏まえつつどのように考えるのか。
2点目が、救急現場における自殺企図者に対する精神科医による診断・治療介入と、その後の継続的な支援をさらに適切に実施していく観点から、その評価の在り方についてどのように考えるのかというものでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明も踏まえて、何か御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
それでは、まず、データ提出等に関しての29ページからコメントを述べさせていただきたいと思います。
これは24日の総会でも申し上げましたように、データの重要性はよく理解をしておりますが、データ提出による医療現場の負担が大きくなり、医療提供に支障を来すというようなことになっては本末転倒と言えると思います。
また、診療所などでは人員に余裕がありませんので、病院のように一定の質が担保されたデータを定期的に提出するよう求められますと、かなりの業務負担と費用負担になると思われますので、加算を設ける場合でも相応の評価が必要ですし、病院の場合の入院料の届出の要件化のようなことにするというのは、現時点においては現場の実態を無視した暴論になろうと思います。
一方、協力可能な医療機関もあるとは考えられますので、協力できる病院や診療所においてデータを提出していただいた場合の評価というものは、適切に評価をしていただく必要があろうと思います。
そして、37ページの診療報酬の明細書の記載についてのところでございます。
まず、レセプトの記載を選択式コメントとするということで、医療機関の事務負担が軽減される場合もありますが、比較的、例えば短い語句などにつきましては、選択肢から選ぶよりも直接入力したほうが簡便ということも多々ございます。今後さらに拡大を進めるということであれば、もう少し現場の意見を調べるなどしてから検討してみてはどうかと考えます。この選択式のコメントを推進するということは問題はないと思いますが、やはりフリーコメントは残すべきであろうと考えます。
次の、検査値のデータについてですが、これは、審査支払機関における審査の基本的な考え方というのは、個々の診療行為ごとに医学的な判断に基づいて行われることでありまして、何らかの基準を定めたとしましても、個別の診療行為に対する審査において画一的な、あるいは一律的にそれが適用されるというものではないということははっきりとまず申し上げたいと思います。
その上で、この検査データ等に関してでございますが、これをしっかりとしていくということであれば、その辺りに関しては、できるだけ学会のガイドライン等も踏まえつつ極めて慎重に検討をすべきであろうと思いますし、この事務局の論点にも記載がありますが、これはあくまで参考値でありまして、個別の診療行為に対する審査においては、画一的に適用されるものではないということは重ねて申し上げたいと思います。
また、医療機関の事務負担が増えることのないよう十分配慮する必要があると考えます。例えば、レセプトや電子カルテの体制が整備されているような医療機関に限定して、検査値データ記載を求めていくべきではないかと考えます。
続きまして、61ページの自殺対策等についてでございますが、日本の自殺の死亡率はG7の中で第1位となっている現状などを踏まえますと、自殺対策について総合的な取組を推進していく必要性があることは明白でございます。自殺のリスクのある方が自ら精神科を受診されるということはあまり考えられないと思いますので、できるだけ広く、そして早期に治療につなげていくという意味では、かかりつけ医などを通して、自殺に至るおそれのある早期発見をして精神科につなげるなど、適切な治療を受けられるような仕組みを検討していくべきであろうと考えます。
2つ目の論点につきましては、現行評価として、救急患者の精神科継続支援料があるわけですが、本日の資料を拝見しても、算定実績がごくわずかであるということです。
この算定要件であります期限や回数を延長するだけではなくて、一定の質を確保しながらも施設基準を緩和するなどして、もっと自殺企図者に対する継続的な支援がしっかりと行われるようにしていくべきであろうと考えます。初回の治療加算についても、現場の診療に要する人手や連携の実態と合わず、十分な評価となっていないという声が強く現場ではございます。さらなる評価が必須だと考えます。
私のほうからは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
私も論点に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、29ページのところでございますが、外来データの提出については、一般病床、急性期病床と回復期病床の一部において実施されておりますデータ提出加算の届出施設も大きく推移しているところでございます。外来データにおいては、外来診療、リハビリ、在宅に係るデータと、医療提供ごとに存在するデータが複合的に入っていることで、分析を行う場合においても、診療区分ごとに注視する必要がございます。
例えば外来から入院になって、それから、他施設、開業医の先生方に紹介になった外来という形での一連の流れの中で、時系列に1患者を追う際、1施設内で行われた診療行為については、追跡可能となっておりますが、現在の医療体制において、入院のデータについてのKファイルの導入により可能となっておりますけれども、外来データにおいては現状その部分がないということで、分析が非常に難しいというのが現状でございます。
次に、37ページのところでございますが、フリーコメントから選択式に変更することで、データによる審査等において一定の評価が高まるということは考えられます。多くの施設では、電子カルテまたは医事システムにおいて対応が行われているというのが現状だろうと思いますけれども、こういった体制をつくるために、城守委員も発言されておられましたが、これに対する診療報酬上の評価をきちんと行っていただきたいということがございます。
それから、2つ目のところに関しましては、現状においては検査時のデータを必要とされる割合がどの程度あるのかがちょっと分かりませんが、また、提出に際しての検査値に対する標準仕様の策定が必要になってくると考えられます。多くの施設では、ここも電子カルテまたは医事システムにおいて対応がある程度なされる施設といったところは、きちんと診療報酬上の評価もいただきたいと思います。
最後のところに関しましては、福岡県では国民健康保険診療報酬審査委員会のほうから、既に、いろいろこういう検査データについてレセプトに記載してくださいという通達がきております。ですから、これを全国的に広げていくというのであれば、ある程度の基準が要るというのは思います。
それから、精神領域ですが、61ページの最初の論点でございますけれども、医療連携として保健所と医師会などが協力してネットワークが構築できれば、あとは善意で紹介は進むと考えられます。そういう体制づくりとともに、地域のゲートキーパーやケアギバーの養成のために、予算を投じることによって、きちんとした効果が得られると考えられます。
2つ目の○のところの「救急現場における」というところでございますが、救命救急入院料の枠組みの、54ページに示されておりますように、精神疾患診断・治療といったところの評価が現実に非常にできにくいというのが現状でございます。したがって、なるべく多くの救急施設で自殺未遂患者は対応されるべきだと考えておりますので、この加算の算定要件の点数の検討といったものが、非常に重要な意味を持つと考えられます。
それから、その後の継続的な支援に関しまして、基本的に患者の同意の下の支援ということになっておりますが、自殺未遂の場面では、患者の同意を取るのが難しく、継続しての関わりは、困っている家族は望むのですけれども、本人が望まないことが多いということでございます。これが実施の妨げになっております。
研修を受けた精神科リエゾンチームのスタッフが、患者に対して指導・助言を行い、実施した内容について所定の書類に記載した場合に算定するといったような形にすれば、算定が増えて、自殺未遂の方たちの再び企図予防には効果があると考えます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私も論点に沿って何点かお話ししたいと思います。
基本的には城守委員、島委員のおっしゃったことに全て同意させていただきます。その上で、まず、29ページのデータ提出に関してですけれども、両委員がおっしゃったように、例えば私の所属する慢性期の立場で言えば、ようやく慢性期あるいは200床未満の中小病院も、入院に関してデータ提出加算を積極的に取れるような体制をさせていただいて、入院に関してはデータ提出加算の率がかなり上がっているかと思います。以前の中医協でもお示ししいただきました。
一方で、これにさらに外来をとなると、基本的に電カルになっていればある程度導入ができる可能性も高いと思いますけれども、まだまだ中小あるいは、もちろん民間の診療所も含めて外来になると、電カルの導入率がどの程度か、そのデータもまだお示しいただけないということだったので、その辺のしっかりしたベースがどうなっているかという現状も含めて、しかも、病院についても、病床の種別あるいは病床の規模によってかなり導入率も違ってきて、負担の割合が相当違っています。その辺をしっかり状況をまず把握していただいた上で慎重な導入の方法をいただかないと、現場は非常に混乱する可能性が高いのではないかと思います。
一方で、レセコンの導入率はかなり高いと認識しておりますが、特にICD10の病名入力というのは、まだまだ一般の中小の診療所、病院では導入されていないところも多いと聞いておりますので、その辺も含めて、現状をもう少し把握した上で、慎重な対応を求めるところでございます。
次に、37ページの選択式に関しては、城守委員もおっしゃったように、それで負担が減る可能性も高いと思いますけれども、一方でしっかりしたコメントを書ける欄というのもやはり残しておかないといけないのではないかということで、私は合わせ技で実施していただいたと思うほうがいいと思います。
それから、検査データに関しては、一見合理的なようですが、逆に検査データが独り歩きしてしまって、それが画一的になってしまって、検査データありきになってしまうということの危惧はありますので、その辺は、学会の明らかな、確実な証明ができるものに対してはそういうこともあるかもしれませんけれども、導入するに当たっては、慎重の上にも慎重な対応が求められるかと思います。
最後の61ページの自殺のチーム医療に関しては、私も全面的に賛成したいと思いますし、特に現場のかかりつけ医の情報と専門医の情報をすり合わせることは非常にこれから有用だと思います。あわせて言わせていただければ、最近、産業医の活動も結構しっかりしてきています。産業医から早期のうつに対する、ちょっと不安だということに対する情報が上がっていることを、私自身も産業医をやっていって経験しますので、そこのチーム医療の中に産業医への取組も入れるような体制も必要かと思います。これは意見です。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
私も論点に沿って発言したいと思います。
29ページ、データ提出等についてですが、診療データについては、診療報酬を考える上で必要という点にとどまらず、患者がより質の高い切れ目ない診療やケアを受けるために重要であると考えます。一方、データを提出する医療機関の作業負担も考慮が必要ではないかと考えています。
次に、37ページの診療報酬明細書の記載についてですが、論点に書かれている部分については理解した上で、医療機関における作業負担について、どういった影響があるか検討が必要ではないかと考えております。
61ページの自殺対策等については、普段からの関係構築、連携を踏まえた診療実施、精神科医による診断、治療介入、さらに継続的な支援といったことは重要であり、様々な社会資源との連携が重要であると考えます。診療報酬で考えることは理解いたしますが、診療だけにとどまらない重層的な支援体制構築と、そのために必要な財源投入が不可欠ではないかと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まずデータの提出についてでございますけれども、これにつきましては、診療報酬制度の信頼性や精緻化の観点からは極めて重要だと認識しております。例えばDPC/PDPSをはじめとする入院医療において、有用な分析の実績がございます。また、データ提出加算の届出が、病院の6割を超えるレベルまで浸透してきております。また、外来医療や在宅医療においても、重要な包括報酬が多々ございます。また、医療情報システムの標準化が進行中というのも、この中の資料の記載にございます。そうした周囲環境も勘案いたしますと、外来や在宅のデータも集めるべきであると考えております。
先ほどから何名の委員からあった、データの提出に伴って医療機関に手間、負担が生じることも十分認識しております。多くの医療機関から継続的に協力を得られる仕組みというのをぜひつくっていただきたいと思います。
その後、データというのは集めればいいというものではございませんので、それを有効活用するという意味では、外来についても専門的に検討する分科会の設置、調査専門組織の強化も必要だと思いますので、将来的にはそれもぜひ御検討いただきたいと思います。
続きまして、診療報酬明細書の記載でございますけれども、これも今申し上げましたデータ提出と同様に、診療報酬制度の信頼性に関わるものです。簡素化できるものはできるだけ選択肢方式にするとかもございますし、検査値データを取り入れて、支払基金等の審査の効率化につなげるということには賛同いたします。
その上で、保険者の立場から質問が1点、事務局にございます。
こうしたレセプトの記載を見直すことが、保険者にとって何らかの影響があるのかないのか、もしお分かりであれば教えていただきたいと思います。
最後の自殺対策でございますけれども、これはこれまで議論してまいりました様々な社会問題への診療報酬の関わりと同様に、医療として課題の解決につながることであれば、可能な範囲で工夫することが考えられます。診療報酬以外の取組と併せて、総合的な対処に期待したいと思います。
この中で、かかりつけに対して、医師会等で研修の御紹介もございますけれども、これらも非常に有効的な活動であると考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
質問がございましたけれども、後で事務局より回答していただきます。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
自殺対策なのですけれども、自殺をしてしまいそうという人が、精神科に直接「おかしいんですけれども」というように受診するというのはなかなかないというか、精神科の受診は結構ハードルが高いですよね。そういう意味では、かかりつけ医に相談して紹介してもらうというのはスムーズだとは思うのですけれども、かかりつけ医自体が、国民の皆さんがかかりつけ医というのは何なのかというのを、はっきり意識されていないような状況がどうもまだあるわけですよね。
慢性疾患のある人というのは、慢性疾患の専門で診てもらっているお医者さんがかかりつけ医なんだと思っている人もすごく多いと思うのです。かかりつけ医というのは、やはり総合医とか家庭医とか、そういう人たちがいろいろなケースに対して交通整理をして紹介をしていくという機能があるものだと私は思っているので、そういうお医者さんたちが、心のちょっとした変化、体調がちょっとおかしいとか、そういうときにでも来てもらっていいんですよということを、たくさんの人が知ることがまず大事だと思いますので、保険の報酬に直接関わるかどうか分かりませんけれども、やはりそういう広報というのも大事ですし、保険外の、地域でのサポート体制というか、相談をできる、広く門戸をあけた状態で相談ができる体制というのもつくっていく必要があると思いますので、その辺りも検討の上進めていっていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、事務局から御回答をお願いいたします。
○井内医療課長
松本委員から質問がございましたデータ提出と、あと、診療報酬の記載のところで、いわゆる保険者への影響があるかという御質問でございました。
これに関しましては、即時的に、具体的に何らかの影響があるということは考えておりませんが、ただ、審査の正確性が増していくこと、また、審査の質の向上や効率化が進むということで、そういったところの長期的、副次的な影響というのは、いわゆる診療報酬全体の中では出てくるのかなとは思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
ありがとうございました。
○小塩会長
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
特に御質問等、ほかにはないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて、引き続き検討をお願いいたします。
それでは、次の議題に移ります。
「調剤(その3)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。資料の総-3を御覧ください。「調剤(その3)」でございます。
2ページ目「調剤料」「調剤基本料」「その他(個別事項)」ということで資料を御用意しております。
4コマ目、こちらが平成27年に厚生労働省のほうで取りまとめました「患者のための薬局ビジョン」でございます。
5コマ目、その「患者ための薬局ビジョン」の中で「対物業務から対人業務へ」という方向性が示されているというものでございます。
6コマ目、平成31年に「調剤業務のあり方について」というものが取りまとめておりまして、上から3ポツ目ですけれども、薬剤師の行う対人業務を充実させる観点から、医薬品の品質の確保を前提として対物業務の効率化を図る必要があることなどが指摘されております。
7コマ目、現状の調剤医療費の内訳でございます。
調剤医療費のうち薬剤料が75%を占め、そのほかが調剤技術料ということになります。
8コマ目、その調剤技術料である調剤基本料、調剤料、薬学管理料のこれまでの割合の推移というものになります。
9コマ目「薬局での調剤業務の流れについて」をお示ししたものでございます。
この中で、青枠で囲んでいる部分が主に調剤料として評価をしている部分ということになります。
10コマ目、その内容についてですけれども、上のほうに記載しております薬剤師が行う内服薬の調剤業務には、計数調剤、計量混合、自家製剤、一包化などがございます。
そのうち調剤料としては、処方内容の薬学的分析とか医師への問合せ、薬剤調製等に係る技術料を評価したものとなっております。
11コマ目、こちらが処方薬の一包化についてございます。
真ん中辺り「利点」と書いていますけれども、服薬コンプライアンスが改善されるということで、患者自身による服用・服薬管理とか、飲み忘れ、飲み誤りの誤りの防止といったものに資するというものでございます。
12コマ目は、調剤料の算定要件となっております。
13コマ目、令和2年度改定の調剤料の見直しの中で点数が見直されております。
当初2週間分までのところについては、これまでに日数ごとに点数がついているといったものについて、定数化されたということになっております。
14コマ目、内服薬の投与日数の分布ということになっております。
下の青い棒グラフを見ていただくとお分かりのとおり、例えば投与日数としましては、1日分、7日、14日、28日、30日といったようなところが割合が多いということになっております。
15コマ目、調剤料における主な加算としまして、嚥下困難者用製剤加算、一包化加算、自家製剤加算、計量混合調剤加算といったようなものが設定されております。
16コマ目は、その調剤料の主な加算の算定状況ということになっております。
17コマ目【論点】でございます。
対物中心の業務から対人中心の業務への構造的な転換を進める中で、対人業務をより適切に評価していく観点から、調剤料及びその加算料の評価の在り方についてどう考えるか、としております。
18番コマ目以降「調剤基本料」でございます。
19コマ目、現状の調剤基本料の要件を記載しております。
令和2年度の見直しの内容が、20コマ目に記載されております。
下のグラフで示しているところですけれども、まず上の文章からいきますと、医薬品の備蓄の効率性とか、医療経済実態調査における損益率の状況等を踏まえて設定されております。
下のグラフの部分を見ていただきますと、左側のほうが、処方箋の集中率と処方箋の受付回数で、調剤基本料2というものが設定されているということ。
それから、右側のほうが、大型チェーン薬局ということで、グループ全体の処方箋の受付回数と集中率といった観点から、調剤基本料の3のイとロというものが設定されております。
21コマ目、こちらはいわゆる同一敷地内薬局についてのものということで、特別調剤基本料というものが設定されております。
22コマ目、こちらは医療資源の少ない地域の薬局ということで、そのような場合には、いろいろな要件の該当性にかかわらず、調剤基本料1とするということとなっております。
23コマ目、調剤基本料の構成比の推移ということで、これまでの調剤基本料1とそれ以外の割合の推移となっております。
左下の円グラフが算定回数の割合ということになっております。
24コマ目、左側のほうが、先ほど御紹介した薬局経営の効率性を踏まえた調剤基本料の設定についてということで、右側のほうが、それに対して一定の機能を有する薬局の体制の評価ということで、地域支援体制加算というものを設定しているというものでございます。
25コマ目、その調剤基本料と加算の算定割合ということで、調剤基本料、地域支援体制加算、それから、もう一つ、後発医薬品調剤体制加算の算定割合をお示ししております。
26コマ目、こちらが薬局の立地別の開局状況でございます。
色の濃さで開局の規模別で記載したものとなっております。
27コマ目、薬局における医薬品等の備蓄状況ということで、処方箋集中率別の備蓄品目数としております。集中率が高いほど医薬品の備蓄品目数が少なくなる傾向があると見て取れます。
28コマ目は、それにつきまして、医療機関との不動産賃貸借関係の有無別に分けたものでございます。
不動産の賃貸借関係がある薬局においては、備蓄品目数が少ないような傾向が見て取れます。
29コマ目が、立地別の損益率でございます。
一昨日御報告しました医療経済実態調査の結果について、上のほうで立地別に分けた損益率を示しております。その下のほうが前回の調査の結果となっております。
30コマ目、こちらは、その結果につきまして、法人の同一グループの保険薬局、店舗数別ということで、損益率等の経営状況をお示ししているというものでございます。
31コマ目は、前回の調査の結果の再掲でございます。
32コマ目「法人店舗数別の薬局の損益率、損益差額の推移」ということで、前回調査の2か年分、それから、今回調査の2か年分をグラフとしてお示ししたものでございます。
33番目、まず上が、調剤基本料別の損益率についてでございます。
このうち、調剤基本料1と2について、法人の店舗数別に分けたものが下に記載したものということになります。
34コマ目からは「特別調剤基本料」についてでございます。
いわゆる敷地内薬局についての規定ですけれども、(1)にありますとおり、不動産取引等その他の特別な関係ということで、要件を規定しておりまして、不動産の賃貸借取引関係があるとか、開局時期の指定を受けて開局したなどの要件が設定されております。
35コマ目からは、その特別調剤基本料の該当性について、先ほど御紹介した要件の該当性について、個別に判断が求められるもの、機械的に判断がしにくいものが事例として幾つかございます。
36コマ目、その1つですけれども、下の通知のところにあります、3の(1)のところで、保険医療機関が所有する不動産を第三者が賃借し、保険薬局との間で取引を契約している場合という規定がありますけれども、この所有するという規定に対しまして、例えば医療機関のほうが、所有者等から賃借をしている場合というようなケースがあるというものでございます。
37コマ目は、通知の3の(1)にあります、保険医療機関が所有する不動産を第三者が賃借し、当該賃借人と契約している場合というものがありますけれども、上の図を御覧いただくと分かるとおり、第三者が複数介在するというケースがあるというものでございます。
38コマ目、下の通知のところの6の(1)にあります、平成28年10月1日以降に開局している場合という規定がありますけれども、上の注釈にあるとおり、近隣に開設していた薬局が敷地内に移転をしたということで、指定日について遡及指定を受けているというようなケースでございます。
40コマ目、下のほうの1の(2)ですけれども、当該保険医療機関が譲り渡した不動産を利用して開局している場合という規定がありますけれども、上の図にあるとおり、医療機関の敷地内の不動産について、その医療機関との関係性が明らかではないといった場合です。
41コマ目、通知のほうで、8の(1)で、開局時期の指定を受けて開局した場合という規定がありますけれども、事例としまして、開局時期の指定を受けていないというようなケースについてでございます。
42コマ目、【論点】です。
薬局の同一グループの店舗数や立地別の収益状況を踏まえ、調剤基本料についてどのように考えるか。
もう一点が、保険医療機関の敷地内にあり、不動産の賃貸借等の関係にある薬局等の評価をどのように考えるか、としております。
43コマ目からが、地域支援体制加算についてでございます。
44コマ目、先ほどお示しした調剤基本料の設定についてです。
45コマ目、地域支援体制加算の要件についてでございます。
左側に施設基準がございまして、そのうちの(1)実績要件について、右側に示しておりますとおり、調剤基本料1の場合と1以外の場合という要件がございます。
46コマ目、その細かい内容について、それぞれ記載したものということになります。
47コマ目、地域支援体制加算の届出状況について、処方箋集中率別にお示ししたものということになります。
48コマ目、こちらは、地域支援体制加算の要件にはなっていないもので、後ほど御紹介します地域連携薬局の要件として求められているものについて、現在の状況を示しております。
具体的には、地域連携薬局の要件になっております設備の有無とか、販売業の許可の状況について、地域支援体制加算の届出有無別にお示ししたというものになります。
49コマ目、こちらは「地域支援体制加算の届出が困難な理由」というものです。
左側に、施設基準要件のうち、どれが困難と考えるかで、そのうち一番多い実績要件について、その右側で要件ごとの状況を記載しております。
先ほどの49コマ目が調剤基本料1の薬局についてで、50コマ目が、調剤基本料1以外の場合というもので、同様の図を表記しております。
51コマ目「服薬情報等提供料の算定状況」でございます。
52コマ目、こちらは地域支援体制加算の届出の有無別の医療機関との連携状況でございます。
いろいろな連携の内容について、それぞれ別に記載しておりますけれども、グレーが全体として、その内数として、赤が届出施設、青が未届出施設ということで、地域支援体制加算を届け出ている薬局のほうが医療機関と連携しているような傾向があったと見て取れます。
53コマ目、こちらは、経済・財政アクション・プログラムのほうで「患者のための薬局ビジョン」の進捗状況を把握・評価をするKPIが示されているというものでございます。
54コマ目が、そのKPIの実績をお示ししたものということになります。
55コマ目が、本年8月に施行されました薬機法改正において新たに設けられました認定薬局制度ということで、地域連携薬局と専門医療機関連携薬局というものが始まりましたというものでございます。
56コマ目が「地域連携薬局の基準」。
57コマ目が「専門医療機関連携薬局の基準」でございます。
58コマ目が、10月末現在での地域連携薬局の都道府県別の認定数。
59コマ目が、同じく10月末現時点での専門医療機関連携薬局の数でございます。
60コマ目に、調剤報酬における地域支援体制加算と薬機法おける地域連携薬局の要件の比較をお示ししております。
右側、地域連携薬局のほうで、地域連携体制加算の要件と差異があると考えられる要件にアンダーラインを付しております。
61コマ目、【論点】です。
令和3年8月より、地域連携薬局等の認定薬局制度が施行されたことも踏まえ、地域支援体制加算の在り方についてどう考えるか。
もう一点が、調剤基本料1を算定する薬局、調剤基本料1以外を算定する薬局、それぞれについて、地域への貢献をより推進する観点からどのように考えるか、としております。
62コマ目からは「その他(個別事項)」で、まず「同一薬局の利用促進」についてです。
63コマ目、こちらは内閣府の調査で、かかりつけ薬剤師、薬局に関する調査を行ったものの結果となっております。
64コマ目が「薬局の処方箋集中率の分布」でございます。
65コマ目が「年齢別の医療機関受診数」ということで、高齢者では複数の医療機関を受診する割合が多いといった結果が示されております。
66コマ目「受診医療機関数別の来局薬局数」ということで、受診する医療機関が増えるほど来局する薬局数も増える傾向にあるという実態をお示ししたものとなります。
67コマ目「同一の薬局の利用による効果のイメージ」ということで、従前よりお示ししている資料ということになります。
68コマ目、令和2年度改定で行いました、同一薬局の利用推進の取組ということで、薬剤服用歴管理指導料の点数について「原則6月以内」であれば低くなるという設定だったものを「原則3月以内」に見直しを行ったというものでございます。
69コマ目「お薬手帳について」の説明でございます。
70コマ目が、令和2年度改定の内容ですけれども、お薬手帳において、薬局名等の記載を求める規定を設けましたというものでございます。
71コマ目「患者が複数枚の処方箋を薬局に提出した場合の取扱い」をお示ししたものでございます。
72コマ目、【論点】です。
同一の薬局の利用による薬剤の一元的な把握等を推進するための方策について、どのように考えるか、としております。
73コマ目からが「在宅患者訪問薬剤管理指導」についてです。
74コマ目、何度かお示ししている資料ですけれども、在宅医療における薬局、薬剤師の役割としまして、2ポツにあるように、いろいろな処方の提案を行うというところで、特に在宅医療においては、輸液セットなどの医療材料とか、薬局で調剤可能な医薬品であるかどうかなどの確認を行った上で、医師等にあらかじめ提案をするといったような取組が行われております。
75コマ目「在宅医療において他職種が薬剤師に望むこと」ということで、少し古いものですけれども、こういった内容というものをお示ししております。
76コマ目、医療用麻薬持続注射療法とか、在宅中心静脈栄養法を実施している患者さんへの在宅医療として薬学的管理の内容です。
こういった患者さんにおきましては、先ほど御紹介したような医薬品、材料なども含めた処方提案とか、高度管理医療機器の販売業として、特定保険医療材料とか医療機器の供給、使用に関する説明、あるいは状況の管理などについて、薬局のほうで在宅の薬学管理として一貫して行われているというものでございます。
77コマ目、【論点】でございます。
医療用麻薬持続注射療法、在宅中心静脈栄養法を実施している患者への薬学的管理を含めた在宅患者訪問薬剤管理指導の評価についてどのように考えるか、としております。
事務局からの御説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明も踏まえて、御意見を頂戴いたします。
最初に、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
まず、最初に調剤料についてのコメント、その後、論点に沿った形の発言をさせていただきたいと思います。何分自分たちの業務に直接深く関わっている案件でありますので、若干のお時間をいただきたいと考えております。時間のかかる件、御了承いただきたいと思います。
まず、対物対人という言葉がよく出てまいります。これに関しては厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」に示され、我々薬剤師も認識をともにしている、今後の薬局薬剤師の姿を表した、対物中心の業務から対人中心の業務へという方向性から来ています。これは従前の処方箋を確実に調剤するという処方箋中心の発想を、患者、人を中心にした考え方に切り換えていくということであります。まさに今の薬剤師業務はそのように変化をしており、今回の論点に示されている対物中心の業務から対人中心の業務への構造転換といったことはそういうことであると理解しています。まず、議論の出発点に当たって、そのことを、ここにいらっしゃる皆さんと共有しておきたいと考えております。
その上で、7コマ目に示されていますが、現状の調剤料が物に対して行っている業務の評価ではないことをまずはっきりと申し上げたいと思います。
現在、調剤料で評価されている業務の中に、人に対する業務、いわゆる対人業務が含まれているのであります。このように物に対する業務と人に医薬品を適用するという人に対する業務、つまり薬学的知見による個別最適化を行う業務の両方があって初めて調剤業務が行えるわけであります。現状の調剤料は、そのような構造となっています。その上で、論点に沿って発言させていただきます。
17コマ目の調剤料の論点についてです。
対物中心の業務から対人中心の業務への構造的な転換は引き続き進めていくことが必要ではありますが、対物業務と対人業務の両方があって初めて調剤業務が完結します。構造的転換を進めていく上で、対物業務は重要なもので、物に対する正確な業務は、医療安全の根幹として欠くことはできません。質を担保するための評価は引き続き必要と考えます。
その中で調剤料についてですが、調剤技術料の内訳では、調剤料の占める割合が依然として高いという指摘があります。一方で、一言で調剤料といいましても、その行為は対物業務と対人業務が複合的に入り組んだ評価となってしまっており、対物業務と対人業務を単純に線引きしてできるものではありません。調剤料の占める割合が高い、イコール薬局が対物業務ばかりしているというものではありません。とはいえ、その複合的に入り組んだ調剤料の評価の内容を、整理可能なところは整理をし、調剤料における対物業務と対人業務の評価について、調剤料の加算も含めて整理していく方向は一つの方策ではないかと思います。
ただし、現状、調剤料の評価を動かしていくことは、現場への影響は非常に大きく、激変緩和を考慮しながら、その動かした評価の影響を見つつ、累次の改定を経て、段階的に慎重に進めていくことが必要であると考えており、ここは強く要望させていただきます。
次に、42コマ目の調剤基本料についての論点です。
論点1つ目の調剤基本料についてですが、そもそも調剤基本料は一本化されており、例外的に経営効率等を勘案して、その他の調剤基本料にさらに特別調剤基本料があるということになっております。
論点2つ目にも関連しますけれども、特定の保険医療機関との間で、不動産の賃貸借案件がある薬局は、同一グループの薬局の収益状況などを踏まえた適切な設定が必要と考えます。
そして、論点2つ目です。
いわゆる同一敷地内薬局等については、特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借関係があるところとして要件が定められています。今回の改定では、さらなる適正化を進める必要があると考えます。
35コマ目以降、41コマ目の資料にありますとおり、特別調剤基本料の該当性の判断が困難な事例が挙げられておりますが、どれも特別調剤基本料に該当するものであり、これらの事例が網の目をかいくぐらないようにすることが必要と考えます。
また、現行のルールでは、建物の所有者が変更となり、保険薬局側では、意図的でなく、かつ不可抗力的な理由によって保険医療機関との不動産賃貸借関係、取引関係となる場合もあり、そのような場合には一定の期間、特別調剤基本料に該当しないこととするなどの配慮が必要ではないかと考えます。
以上のことを踏まえ、特別調剤基本料について、改めて要件の見直しや判断基準となる疑義解釈の整理など、明確化をお願いしたいと思います。
また、敷地内薬局についてですが、以前より中医協での議論の場を設けていただくようにお願いしておりました。今回、論点に挙げていただいたことに感謝を申し上げます。
その上で、適切な医薬分業の在り方や、地域包括ケアシステムにおける薬剤師、薬局の活用、かかりつけ薬剤師の推進などを行っていく上で、敷地内薬局は、これらに逆行するものであると考えます。
特に、近年、大学病院などを中心に、病院の敷地内に保険薬局を開設する誘致事例が増加しております。ここ最近の誘致事例や情報を聞く限り、応募要項の中で診療室の設置を求めるなど、大病院に利益を供与している実態については大変遺憾でありますし、病院側と経済的、機能的、構造的な独立性という視点で、あまりにもひどいケースが目立っております。このような運営は、公費を使っている健康保険事業の適正運営という観点から決して看過されるものではありません。
独立性が担保されない、もしくは機能として院内薬局と変わらない薬局であるならば、保険指定する必要はないと考えます。療養担当規則におけるルールの変更をお願いしたいと考えておりますし、過去の通知ではありますが、昭和57年5月27日、保発第34号、薬発506号の調剤薬局の取扱いについてという通知では「医療機関と同一の建物又は敷地にあって、総合的に判断して医療機関の調剤所とみなされる調剤薬局については,保険薬局の指定を行わないこと」とされております。この「総合的に判断して」というところが、地方厚生局の判断材料として重要だと思いますが、通知などで適宜独立性が担保されない事例が発生した場合には、解釈を追加していくような運用をお願いしたいと考えております。
また、診療報酬上での対応としては、特別調剤基本料を算定している薬局の調剤料、薬剤料について減算を行うことや、医薬分業の推進に逆行していることから、薬学管理料に関する加算の評価を下げたり、あるいは算定不可にしたりするなどの対応、特別調剤基本料を算定する薬局を持っている同一グループに対しては、何かしらの評価を低くするなどの見直し検討も一つ方策などではないかと考えます。
次に、61コマ目の地域支援体制加算であります。
1つ目の○になります。地域連携薬局等の認定薬局制度が施行されたことを踏まえ、地域支援体制加算の在り方をどう整理していくかについてですが、地域医療に貢献する薬局という、目指す方向性の大枠は類似しているものの、今後求められる機能などは徐々に重なっていくことは予想されますけれども、どちらも推進していくべきだということは言うまでもありません。
とはいえ、地域連携薬局は、本年8月に始まったばかりの制度であり、毎年認定の更新がされますけれども、現在の時点ではまだ一度も行われていない状態であります。今後の地域連携薬局の認定状況や更新状況、あるいは地域への貢献の実績、あるいは地域住民に対する実績、こういったものを検討しつつ、よく経過を観察しつつ、報酬上での評価の在り方については、状況が見えてきたら改めて慎重に検討していくべきものではないでしょうか。
また、2つ目の○ですが地域医療に貢献する薬局の機能整備に関わる評価であり、裾野を広げる意味でもさらなる推進が必要であり、薬局の機能の整備状況や実績に応じた評価の設定などの手直しが必要と考えます。
調剤基本料1で要件を満たし、さらに実績を積んでいるところには、さらなる評価を設けることや、調剤基本料1以外の薬局については、機能、体制を整備しているところに関して一定評価を行うなどの検討は必要と考えます。ただし、新型コロナの影響で、在宅におけるサービス担当者会議あるいは退院時共同指導の回数は減少しており、コロナ感染症拡大に伴う特例対応を受けた薬局も全体の1割あったということから、薬局の努力のみで満たせない実績要件等については、ある程度の配慮を持った要件が必要だと思います。
次に、同一薬局の利用推進についてであります。
63コマ目の調査では、全体でかかりつけ薬剤師及び薬局を決めているのは7.6%で、薬局は1つに決めているが、かかりつけ薬剤師は決めていないとの合計は26%になります。また、特に70歳以上に限ってみると、薬局を1つに決めているというものが合計すると45%を超えており、同一薬局を利用しているということから、この同一の薬局の利用の推進がされていることが確認できるのではないでしょうか。
72コマ目の、同一薬局の利用推進の論点についてです。
同一薬局の利用による薬剤の一元的な把握等を推進するための方策については、これまで様々の方策を実施してきたことであり、お薬手帳の活用推進がより一層重要なものになっていると理解しております。オンライン資格確認や電子処方箋、これらはこれから普及していくものと思いますけれども、現場での運用がしっかりと進み、活用ができる段階に仕組みがしっかりと成長するまでは、まだしばらく時間を要すると考えます。
たとえうまく運用されるようになったとしても、OTCなどの一般用医薬品、あるいはその個々の患者の生活状況などは反映されないため、患者さんの状態を正確に把握することは、オンライン資格確認や電子処方箋では仕組み上できません。引き続きこれらの仕組みと併用してお薬手帳の活用が必要だと考えます。お薬手帳の活用が推進されるよう、お薬手帳を活用するメリットのより一層の周知、医療機関への有効な情報連携、薬局間の連携推進など、現在の取組策を今後も着実に進めていくことが必要です。
最後に、77コマ目の在宅患者訪問薬剤管理指導の論点についてです。
在宅患者訪問薬剤管理指導の中でも、医療用麻薬持続注射療法であったり、在宅中心静脈栄養法を実施している患者さんの場合には、薬剤師は配合変化の確認や服薬状況の管理、薬剤保管管理の指導、疼痛状況の確認といった薬学的管理に加えて、使用する特定保険医療材料や医療機器についての処方提案、これらの使用説明、高度管理医療機器としての材料や機器全体の管理などを実施しています。医療用麻薬持続注射療法や在宅中心静脈栄養法を行っている患者への対応については、これらの観点を踏まえた上で評価が必要と考えます。
大変長くなりまして申し訳ありません。以上であります。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
それでは、私のほうからも論点に沿って少しコメントさせていただきたいと思います。
まず、17ページの調剤料についてでありますが、まず、9ページに示されている、薬局での調剤業務の流れに従って考える必要があろうと思いますが、一言で申しますと、もう少しここを整理したほうが分かりやすい報酬体系になるのではないかという印象を受けております。
まず、このトレーサビリティーや品質管理の観点からの、いわゆる物としてのお薬の調製、その薬が品質上問題なく、かつ処方箋どおりであるかということについての監査を行う流れがあるはずです。その点については、明確に対物業務であり、調剤料として整理されるべきだと考えます。個々の薬剤師と、そして患者さんに依存する内容ではなくて、薬に向かった薬剤師の業務であろうと考えます。
それとは別に、個々の薬剤師が患者さんのために治療効果を最大化したり、また、副作用などのリスクを最小化したりするというための行為というものは、これは薬学的知識を踏まえた医療の一環として考えてよいと思います。
そのように考えますと、この資料に説明されているとおり、青枠の4番は「薬剤の調製・取りそろえ」して、5番「最終監査」でございますが、これは調剤料のままとしても、1、2、3は薬学管理料として見直す部分があるか検討されてはどうかと考えます。
また、13ページの調剤料の点数設定につきましては、日数に応じて変動することは医療機関の調剤料にはなじまない仕組みとなっておりますので、これは以前から何度も指摘をしておりますが、見直しをお願いしたいと思います。
それから、16ページの調剤料の加算を整理したスライドですが、一包化については機械で自動化されております。現在、42日で区切られていますが、こちらも精査をお願いしたいと思います。
続きまして、42ページの調剤基本料でございますが、今回の医療経済実態調査の結果を見れば、店舗数の多いグループに属する薬局は、やはりコロナ禍であっても増益となっておりますが、30ページにあります損益率の分布を見ますと、やはり経営効率に大きな差異があるものと思われます。
また、敷地内薬局につきましては、先ほど有澤委員からも意見がございましたが、資料のとおり調剤基本料の要件設定の趣旨を踏まえていない様々な事例があるようでございます。厚生局にも、特別調剤基本料の該当性がきちんと判断できるように、基準を明確化するということも一つの対応方法になるかとは考えますが、今回お示しいただいた様々な事例を見ても、制度の抜け道を一つ一つふさぐような対処方法には限界があろうと思います。
敷地内薬局は、言わば病院薬剤部の業務の外注のような形態とみなせるということもあります。これは報酬を医科点数の調剤料に準ずるということにして、日数に関係なく内服薬11点、外用薬も8点とした上で、加算についても同様にすべきであろうと考えております。
また、医療機関と薬局との関係性において、非常に複雑化している事例が散見されますので、これも構造上、やはり同一敷地内にあるものは、敷地内薬局として統一化するといいますか一本化するかという考え方で行かれたほういいのではないかなと思います。
加えて、これは要望になりますが、今の意見も踏まえて、そもそも敷地内薬局という病院の第二薬局化については、中医協ではなくて、国として薬局の在り方をしっかりと検討していただきたいと思います。
続きまして、61ページの地域支援体制加算についてですが、これは53ページから60ページでは「患者のための薬局ビジョン」や薬機法の規定について紹介されていますが、地域連携薬局の認定基準と調剤報酬上の地域支援体制加算の要件について完全に一致しない場合があると考えております。医療の質を高めるための薬局要件としてふさわしい要件であれば、調剤報酬上の評価としても取り入れるということについては賛同します。
また、これも要望になるわけでございますが、49ページ、50ページでは、地域支援体制加算の届出が困難な理由として、地域医療に貢献する体制を有することを示す実績が困難という割合が9割を占めているというデータがございます。この点につきまして、薬剤師が研修を受けたり、在宅薬剤管理や多職種との会合に出席するということは、やはり薬剤師がお一人であれば大変難しいのであろうと思います。
地域に貢献するための薬局をどのようにつくることができるのか、いわゆるかかりつけ薬局であろうと思いますが、年々増加をして、現在6万もある薬局数というものに関しまして、いかにこのかかりつけ薬局という概念に基づいて適切な薬局数に収れんすることができるのかどうかということ等について、これは大きな意味での医療政策を、中医協とは別の検討として、国でしっかりと検討していっていただきたいと思います。これは要望でございます。
そして、その他事項ですが、72ページの同一薬局の利用促進についてでございますが、例えば眼科診療所の隣にある薬局など、近隣の診療科に応じた薬を基本としている薬局の場合は、患者さんを薬局に限定するということはなかなか難しいであろうと思われます。対応できる医薬品数もある程度の施設面積や人員がなければなかなか難しいのではないかと考えますので、これは先ほども申しましたが、やはりかかりつけ薬局の在り方について、しっかりとした論点で検討をしていただきたいと思います。
最後、77ページの在宅患者訪問薬剤管理指導についてでございますが、在宅医療のニーズは増えておりまして、薬剤師の参加も増えていると思います。具体的にどのような対応を薬剤師にお願いできるのかにつきましては、75ページは5年近く前のデータということでもありますので、今後在宅に関する議論を行う際には、実際に在宅医療を行っている医師や看護師から具体的な事例を挙げてもらうということに加えて、どのような患者さんに対して薬剤師が関与しているのかなど、事務局には資料整理をお願いしたいと思います。
私のほうからは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私のほうからも、論点に沿って何点かお話しさせていただきたいと思います。
まず、有澤委員、城守委員がおっしゃったように、これは対物から対人へという大きな流れに関しては、恐らく全ての委員の大きな賛同を得られるところではないかと、そういう方向性に関してはそう感じます。
ただ、先ほど有澤委員がおっしゃったように、8ページの表で見ますと、調剤料が横ばいで、管理料もなかなか上がっていないというような図ですけれども、この調剤の中に、やはり対人も入っているんだということであれば、先ほど城守委員がいみじくもおっしゃったように、9ページの調剤料の中身をもう少し整理をして、どれが対物でどれが対人か見える化をして、そして皆が評価できるような仕組みが必要ではないかということで、こちらは城守委員の御提案に賛同いたします。
その上で、次に61ページにある地域支援体制加算、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局ということですけれども、49ページにありますように、非常にまだまだ数が少ないというこということです。
都道府県別の表があったかと思いますけれども、非常にまだ数が少ない、私は福井県で、福井県でも地域連携薬局ですら2医療機関しかないということで、特に地域支援体制加算の実績要件を見ると、49ページにありますように、困難な理由というのが幾つか挙がっています。できれば、もう少しこれが進めるように、実績要件で厳しいところを少し緩和できるような体制にして、そして、例えば地域支援体制加算の1と2に分けて、少し軽いところから入って、例えば24時間調剤が難しければ、24時間調剤をやっているところと連携をすることによって、一定程度の加算が取れるような体制、そういった何らかの推進策の工夫が、この中医協でも推進策ができるのではないかということで御提案させていただきたいと思います。
それから、最後ですけれども、77ページの在宅における麻薬、中心静脈栄養に関してですけれども、これもまだまだ、いわゆる面、地域、それぞれに面で対応できる薬局がきちんと存在するという状況にはありません。私自身も在宅をかじっている人間として、かなり麻薬管理、ポンプ管理等、あるいは中心静脈管理等に関して、地域になかなか薬局がなくて、市、町をまたいで来ていただいているというところもあります。この辺がもう少し面で、それぞれの地域で薬局が存在するような何か推進策、インセンティブ等が必要ではないかということを感じていますので、現場の意見として意見を言わせていただきました。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
私からは、論点に沿って3点、意見を述べたいと思っております。
まず、17ページの調剤料については、対人業務をより適切に評価する観点は重要であり、調剤料の評価と薬学管理料などとの報酬上のバランスを考え、見直しをしていく必要があるのではないかと考えております。
それから、42ページの調剤基本料で、保険医療機関の敷地内で不動産の賃貸借関係にある薬局については、実態から見ても同一敷地内薬局と考えてもよいのではないかと考えております。
それから、72ページ、同一薬局の利用推進については理解しますが、複数医療機関といっても、地方では医療機関が離れた場所にあり、患者が生活する地域に薬局がなければ、薬局も自然にそれぞれの医療機関の近くになってしまいます。利用推進を図るのであれば、お薬手帳の利用促進や医療機関、保険者といった関係機関からの患者への周知啓発といったことではないかと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
私からは1点、ページ17の調剤料の論点に関連して一言コメントさせていただきたいと思います。
既に調剤料につきましては、各委員の方から多くの御意見が出されているところでもありますし、それを踏まえた上で、さらに調剤料の在り方を考える上で8枚目のスライドに示されております技術料に占める調剤料の割合、これが近年減少傾向にあるというこのトレンドは、今後も継続させていく方法で検討していくことが重要ではないかと考えます。その点について、改めて言及をさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、17コマ目の調剤料に関してですけれども、12コマ目、13コマ目にございますとおり、内服薬の投与日数が増えると点数が増加する仕組みを以前から健保連は問題だと指摘をしておりまして、前回改定で2週間分までの日数倍数制については是正をされましたけれども、いまだに1週間ごとに点数が階段状で増えていくという仕組みはそのままでございます。1週間分と2週間分で調剤の手間が本当に2倍になるのかという疑問は私も抱いております。
今回、調剤業務の中に、9コマ目にございますけれども、対人業務的な要素を含むというのが、そこにございますフローの1番、2番、3番、6番、7番という形で初めて明示されております。青枠で囲みました、フローのうち、1から3については、調剤基本料や既存の薬学管理料上で評価されているものもございますので、調剤業務の考え方、それと報酬の考えについてはもう少し議論をする必要があると思います。ただし、少なくとも、先ほども申し上げましたけれども、調剤料については、投与日数によらず一律にするという形で適正化を図るべきだと考えております。
続きまして、42コマ目にございます調剤基本料でございますけれども、これに関しても従来の方式には問題があると考えております。特に大手の門前薬局とか、先ほど来から問題視されております敷地内薬局については、地域包括システムという中での妨げとなり、コロナ禍で患者に寄り添う薬局が求められる中で、望ましい形からはほど遠いものであるという認識です。また、24日に公表されました医療経済実態調査の結果を見ましても、チェーン薬局の経営効率が高く、コロナ禍でもさらに改善しているということが明らかになっております。こうした中で、次の改定に向けて、現行をベースにしながらも、調剤基本料については、より厳しく適正化すべきであるということを主張させていただきます。
また、先ほど来何人かの委員の方が言及されております医療機関と薬局の経済的な取引の関係ですけれども、医療資源の非常に乏しい地域を除きますと、全ての薬局に対して特別調剤基本料への該当の有無について申告をまず求めるべきではないかと考えます。
さらに敷地内薬局を、昨今、誘致する医療機関側も目立っておりますけれども、そうした方々に地域包括ケアシステムの重要性を再認識いただくとともに、外形的に敷地内薬局であることが明白な場合は、医療機関と薬局のいずれもが、院内処方と同様の取扱いをすることも選択肢だろうと考えております。
続きまして、61コマ目でございますが、地域支援体制加算でございますけれども、ちょうど60コマに地域連携薬局との要件の比較が出ておりますけれども、それと連動させるというのが非常に現実的ではないかと考えております。
ただ、認定を受けていない薬局については、認定基準に合わせていただくべく、在宅の実績などは引き上げるべきであろうと考えます。
また、調剤基本料1以外の薬局についても、地域連携薬局の認定を目指すような工夫、さらには努力が必要だろうと考えます。
続きまして、72コマ目、同一薬局の利用に関してでございますが、これに対しての推進の必要性については十分理解いたしますけれども、現在検討が進んでおりますオンライン資格確認システムを利用した電子処方箋がもし導入された場合、シンプルに申し上げますと、どこの薬局でも投薬状況を一元的に把握することが可能になるのだろうと思います。そうした場合、患者側の視点に立った場合に、同一の薬局を利用することのメリット、付加価値というのを薬局側からぜひお示しいただきたいというのが要望であります。
最後、在宅患者訪問薬剤管理指導ですけれども、麻薬とか中心静脈栄養の患者に、特別な薬剤対応が必要だから報酬に差をつけたいということであれば、もう少し算定の回数とかそれに関するデータをお示しいただきたいというのが要望でございます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
私は同一薬局の利用についてですけれども、かかりつけ薬剤師とか薬局を決めている患者が7.6%しかいないというのは、ここにやはり注目すべきなのですよね。高齢者がかかりつけ薬局とか薬剤師がいるとか、一つの薬局に決めているというパーセンテージが45%あるんだよというので喜んでいる場合ではないと思うのです。やはり若い世代がほとんどかかりつけ薬剤師とかかかりつけ薬局を持っていないというような状況にあるわけですよね。それというのは一体何なのかということを原点に立ち返って考えたほうがいいと思うのです。
かかりつけ薬剤師とか薬局を決めているということは、自分の病気などに関してしっかり把握してもらうということが大事ですし、いろいろなほかの処方薬以外のものについてもちゃんと見てもらえるというような状況があるからこそ信頼できるということだと思うのですけれども、これは私は前にも言いましたけれども、お薬手帳を持っていって出しても、ほとんど中身を見ないで「シールを貼っておいてくださいね」というような形の対応というのは非常に多いわけ。そういう対応を体験している人たちがたくさんいるので、だから、こういうかかりつけ薬剤師とかかかりつけ薬局というのが推進していかない現状があると思いますので、その辺りの対物から対人業務へというのを声高に言うのであれば、もっとその辺り、業界全体で押し上げていくということが大事だと思います。
お薬手帳の電子化などがあると、どこの薬局でも情報共有をして、対応していただけるというような形になると思うのですけれども、そもそもお薬手帳が電子化されようがされまいが、お薬手帳に書いてある情報については、やはりきちんと薬剤師さんがその場で確認して、ほかの薬局で処方されている、出されているものについてもきちんと見ていくということが大事なのですけれども、それを本当にやられているのかというのは非常に疑問だと思います。
同一薬局を利用するということについては私も反対するつもりはないのですけれども、やはり患者の利便性とか、安心、安全とかというものを総合的にそういうものを判断して推進していくということが大事だなと思いますし、やはり薬局の人たちの対応というのをもう一度考えて、対人業務に力を入れていっていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
もう時間もありませんので、2点だけ意見を述べさせてもらいます。
17ページところの調剤料に関して、同じような業務を行っているのにもかかわらず、例えば一包化とか粉砕といったところに関しては、病院薬剤師には点数がつかないというところを御考慮いただきたいと思います。
それから、72ページの同一の薬局の利用による薬剤の一元的な把握ということに関しては、決して異論はございませんが、現状としては面薬局の割合が少なくて、門前薬局の割合が高いということと、その薬局の立地に関する現状については、診療所の近隣が約6割と最も多くて、患者さんの認識もすぐに薬がもらえる、近隣の薬局に処方箋を持っていくというのが現状でございます。したがって、そういったことも含めて、そういう地域包括ケア的な発想に関しては検討が必要だろうと思います。
意見でございます。
○小塩会長 ありがとうございました。
有澤委員、お手が挙がっていますので、お願いいたします。
○有澤委員
まず、各委員から様々御意見をいただきまして、例えば一包化については機械化が進んでいるからというような話も城守委員から出されました。確かにそのとおりでありますが、現実的にはまだまだそういった一包化の機械が導入できる中小の薬局というのがなかなか少ないということと、何よりも作業をするというよりも、患者さんに、適切にその薬に対してしっかり飲んでいただいて薬物治療を進めるという観点の、ある意味薬学的管理の部分が大きく一包化の中にあります。そういった点から、先ほども論点の中でお話ししたように、調剤料というものをまずよく検討した上で、加算料も含めて改めて手技的なもの、対人的なもの、こういったものを検討する必要があるということをお話しさせていただきたいと思います。
それから、もう一点は、院内の薬局の調剤料、あるいは様々な加算の差というものがあるという御指摘もありました。しかしながら、薬局で行っているものは、全て薬剤師が責任を持って、薬剤師のやったものに対する評価であります。一方で、医療機関でやったものは薬剤師がやっていないのかということではありませんが、実際には、最終的な責任を病院の中で薬剤師がしっかり責任を持っている。その辺の立てつけがそもそもが違うということを御理解いただきたいと思っております。
もう一点、在宅の中心静脈あるいは麻薬でどんなことをしているんだと。これは決して薬剤師単独で動いているわけではなくて、在宅療養に関わる医師、訪問診療の医師、あるいは訪看あるいは介護の職種も含めて、皆さんの中で薬剤師が役割分担としてやって、様々こういった情報を共有させているということで、例えば、麻薬などでは、特に患者さんの住んでいる環境温度によって、例えばバルーンインフューザーポンプなどが、やはり温度によってかなり流量が変わってくるといったようなことがありますので、こういったものを検討したりすると。あるいは、PCAポンプや何かのシステムと、患者さん一人で行ったときに、何か事故があったときどんな措置をすればいいかということも併せて指導したり、あるいはそういったような文書をつくって置いておく。
あるいは、単に輸液ルートに関しても、配合変化の経時的な確認です。例えば1日目はいいですけれども、何日目になると、こんなような変色をした場合は当然できないという、使えないということで、経時的な変化、こういったものに対しては、特に薬剤師がきちんと掌握した上で、他職種と連携して在宅に関わっていく。その他、多々あります。
ただ、一部にはそういったものが少しずつ浸透して広がっているということでありますので、これは今後の何かの調査でまたお示ししていきたいと思っています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はよろしいでしょうか。
事務局はいかがですか。よろしいですか。
○紀平薬剤管理官
どうもありがとうございます。
たくさん御意見いただきました。いただいた御意見を踏まえて今後さらに検討を進めさせていただきたいと思います。
1点だけ少し補足の説明をさせていただければと思います。
松本委員から、最後の論点について、在宅患者訪問薬剤管理指導について、医療用麻薬持続注射療法とか中心静脈栄養法の実績についてということで御指摘をいただいたものと思います。いずれも、注射薬の調製というものが発生することになりますけれども、参考までにということで、16コマ目を御覧いただければと思います。
16コマ目に、調剤料の主な加算の算定状況ということで、1か月分の算定回数を示しております。この中で上のほうにあります、無菌製剤処理加算というものが注射薬の調製になりますけれども、この中に中心静脈栄養法用の輸液の調製についての加算、それから麻薬についての加算ということで算定実績をお示ししております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
ありがとうございました。
○小塩会長
ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
特にないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。今後、事務局におかれましては、本日いただいた多くの御意見を踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日の総会はこれにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。
 


 
 

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代表: 03-5253-1111(内線)3288

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