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2021年11月17日 中央社会保険医療協議会 総会 第497回議事録

○日時

令和3年11月17日(水)9:30~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 中村洋委員 
安藤伸樹委員 松本真人委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 鈴木順三委員 末松則子委員
城守国斗委員 長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 中村春基専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○医薬品の新規薬価収載について
○再生医療等製品の保険適用について
○最適使用推進ガイドラインについて
○費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○在宅自己注射について
○個別事項(その4)について


 
○小塩会長
おはようございます。ただいまより第497回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、羽田専門委員が御欠席です。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
最初に、「医薬品の新規薬価収載について」を議題といたします。
本日は、薬価算定組織の前田委員長にお越しいただいておりますので、委員長より御説明をお願いいたします。
○薬価算定組織前田委員長
薬価算定組織委員長の前田でございます。私から、今回検討いたしました新医薬品の算定結果について御報告いたします。資料、中医協総-1を御覧ください。
今回報告する新医薬品は、1ページの一覧表にありますとおり、12成分16品目です。
それでは、算定内容について説明いたします。
1品目めのアジルバ顆粒です。資料2から3ページを御覧ください。
本剤は、高血圧症を効能・効果とし、アジルバ錠20ミリグラムを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
本剤は、小児を対象とした国内臨床試験を実施しており、小児加算の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤算定薬価は、1%1グラム73.60円となりました。
2品目めのビンマックカプセルです。資料4から5ページを御覧ください。
本剤は、トランスサイレチン型心アミロイドーシスを効能・効果とし、ビンダケルカプセル20ミリグラムを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で61ミリグラム1カプセル15万5464.00円となりました。
3品目めのエフメノカプセルです。資料6から7ページを御覧ください。
本剤は、更年期障害及び卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制を効能・効果とし、原価計算方式により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、100ミリグラム1カプセル229.70円となりました。
4品目めのリンヴォック錠です。資料8から9ページを御覧ください。
本剤は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を効能・効果とし、リンヴォック錠15ミリグラムとの規格間調整により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、30ミリグラム1錠7459.40円となりました。
5品目めのレットヴィモカプセルです。資料10から11ページを御覧ください。
本剤は、RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを効能・効果とし、ザーコリカプセル250ミリグラムを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
本剤は、臨床上有用な新規作用機序の医薬品であることから、有用性加算(2)の5%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品の指定を受けていることから、市場性加算(1)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で80ミリグラム1カプセル6984.50円となりました。
6品目めのサイバインコ錠です。資料12から13ページを御覧ください。
本剤は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を効能・効果とし、リンヴォック錠15ミリグラムを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
本剤は、小児を対象とした国内臨床試験を実施しており、小児加算の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で100ミリグラム1錠5221.40円となりました。
7品目めのソグルーヤ皮下注です。資料14から15ページを御覧ください。
本剤は、成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)を効能・効果とし、ノルディトロピン フレックスプロ注10ミリグラム等を最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で5ミリグラム1.5ミリリットル1キット2万6107円となりました。
8品目めのネクスビアザイム点滴静注用です。資料16から17ページを御覧ください。
本剤は、ポンペ病を効能・効果とし、マイオザイム点滴静注用50ミリグラムを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、100ミリグラム1瓶19万6940円となりました。
次は、9品目めのサフネロー点滴静注です。資料18から19ページを御覧ください。
本剤は、既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスを効能・効果とし、ベンリスタ点滴静注用400ミリグラム等を最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、300ミリグラム2ミリリットル1瓶9万6068円となりました。
10品目めのコセンティクス皮下注です。資料20から21ページを御覧ください。
本剤は、尋常性乾癬等を効能・効果とし、コセンティクス皮下注150ミリグラムとの規格間調整により算定いたしました。
本剤は、小児を対象とした国内臨床試験を実施しており、小児加算の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、75ミリグラム0.5ミリリットル1筒4万144円となりました。
11品目めのパドセブ点滴静注用です。資料22から23ページを御覧ください。
本剤は、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がんを効能・効果とし、カドサイラ点滴静注用100ミリグラムを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
本剤は、既存治療で効果不十分な患者で効果が認められ、また、標準的治療法に位置づけられることから、有用性加算(2)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、30ミリグラム1瓶9万9609円となりました。
12品目めのライアットMIBGです。資料24から25ページを御覧ください。
本剤は、MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマを効能・効果とし、原価計算方式により算定いたしました。なお、本剤の製品総原価の開示度は80%以上でした。
本剤は、対象疾患の標準的治療に位置づけられることから、有用性加算(2)の5%加算を適用すること、また、希少疾病用医薬品の指定を受けていることから、市場性加算(1)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。原価開示度による加算係数1.0を乗じて、15%の補正加算を適用しております。
その結果、本剤の算定薬価は、1.85ギガベクレル5ミリリットル1瓶107万2505円となりました。
以上で、資料総-1の説明を終わります。ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは引き続いて、事務局より追加の説明がありましたらよろしくお願いします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
同じく総-1の1ページ目にお戻りください。今回収載予定の新薬のうち、費用対効果評価の対象となる品目について御説明いたします。
これらの新薬のうち、5番目のレットヴィモカプセルと11番目のパドセブ点滴静注用が、それぞれ類似薬効比較方式(Ⅰ)による算定で有用性加算の対象とされていること、また、ピーク時の市場規模予測が100億円以上ということから、それぞれH1品目に該当するものとなります。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして御質問等はございますでしょうか。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
今御説明いただいた新薬のうち、ビンマックカプセルについて少しお尋ねしたいことがございます。この最類似薬のビンダケルカプセルですが、これは2013年に推定患者数が130人というウルトラオーファンの医薬品として承認されていますけれども、ただいま委員長から御説明はいただきましたが、改めまして事務局にこのビンダケルカプセルの薬価設定の根拠についての御説明をいただきたいと思います。このビンダケルカプセルの添付文書では、本剤での忍容性が認められず減量が必要な場合には、タファミジスメグルミン製剤を用いることとされておりまして、新薬というには少し分かりにくいので、その違いについて御説明をお願いしたいと思います。
○小塩会長
事務局、よろしくお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
2番目のビンマックカプセルにつきましてです。こちらの算定は類似薬効比較方式で、比較薬がビンダケルカプセルとなっております。成分名を御覧いただきますとお分かりのとおり、比較薬のほうがタファミジスメグルミン、本剤ビンマックのほうがタファミジスということで、成分としてはほぼ同じ有効成分ということになります。もともとのビンダケルカプセルのほうが20ミリグラムですけれども、ビンマックで承認された効能・効果は、ビンダケルでも承認されております。ビンダケルでは、用法・用量が4カプセルを飲まなければいけないということで、その飲みやすさの改善のために今回のビンマックカプセルが1カプセルで飲めるように開発されたというものでございます。その過程の中で、成分がタファミジスメグルミンからタファミジスに変更がされておりますけれども、実質的にはほぼ同じ成分について規格が追加されたというものとほぼ同じ意味であろうということが考えられます。
ですので、類似薬効比較方式でそのまま算定をしたというものになります。
以上でございます。
○小塩会長
城守委員、よろしいでしょうか。
○城守委員
御説明ありがとうございます。
今、事務局から御説明がありましたように、このお薬、このタファミジスメグルミンからこのメグルミン部分がなくなったタファミジスを新有効成分とするということですね。そのために新薬として類似薬効比較方式で算定をするということは、現行の制度としては理解してはおりますが、一方、このビンダケルカプセルのほうですが、これはさっきも申しましたように、7年目をピークとして130人、28億の市場規模で高額な薬価というふうになったわけです。2019年3月には、トランスサイレチン型の心筋の新アミロイドーシスの効能追加もあります。
その上で、今回のビンマックカプセルは、推定使用患者数が4,100人と、市場規模524億円という、オーファンではありますが、かなり市場規模も大きくなっているという経過がございます。さすがに後発品と同じようにということは申しませんけれども、今後、同様のケースが出てきた場合も想定をして、事務局としてはその対応を考えておく必要もあろうかと思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。要望として承ります。
事務局からコメントがございます。
○紀平薬剤管理官
ありがとうございます。少し補足させていただきます。
今回の比較薬となりましたビンダケルカプセルは、御指摘いただきましたように、当初、希少疾病を対象として算定を行っておりますけれども、当時の算定としましては原価計算方式によって算定をしたものということになっております。特に有用性加算はついておりません。その後、販売の経過によりまして、市場拡大再算定を既に2回受けているというものとなっておりまして、今回はその改定後の薬価に合わせて類似薬効比較方式で算定したというものになります。今後の販売の状況を見ながら、現行の薬価算定ルールに合わせた対応は行っていきたいと思っておりますし、今後こういった品目の対応についても検討させていただきたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
私もビンマックカプセルについてお聞きしたいのですけれども、これは類似薬効比較方式の(Ⅰ)ということなのですが、外国平均価格調整の対象にならないのは何でかなというのをちょっとお聞きしたいのです。これは外国平均価格と比べると1.86倍になっているので、類似薬効比較方式の(Ⅰ)の場合はそういう外国価格調整をするということになっていたのではないかなというふうにちょっと思うのですけれども、その辺りをちょっと教えていただければいいかなと思います。お願いします。
○小塩会長
では、事務局、お願いします。
○紀平薬剤管理官
どうもありがとうございます。
現行の外国価格調整のルールですと、類似薬効比較方式で算定されたもので新規作用機序に該当しないものは基本的には対象とはならないということになっております。ですので、原価計算の場合にはその価格が妥当かどうかということで外国の価格を参考にすることになりますけれども、基本的には類似薬効の場合にはその価格を重視するという観点で算定を行っております。
○小塩会長 間宮委員、よろしいでしょうか。
○間宮委員
類似薬効比較方式の(Ⅰ)でも今はあれなのでしたか、もう外国平均価格調整は行わないという理解でしたか。
○紀平薬剤管理官
はい。類似薬効比較方式で新規作用機序に当たるものについては外国平均価格調整を行うこともありますけれども、今回、既に同様の成分を対象にして比較薬として算定しておりますので、これだけを調整するということはないというものでございます。
○小塩会長
よろしいでしょうか。
○間宮委員
分かりました。
○小塩会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
今回の薬価収載については特に異論はありません。ただ、その中で医薬品の適正使用の観点から1点だけコメントさせていただきたいと思います。
今回、リストの4番と6番にアトピー性皮膚炎の治療薬として経口JAK阻害薬が適応拡大ということで今回も上がってきております。アトピーに関しては重篤な患者も多いですし、ただ単価が高いものですから、薬剤費もかなり大きくなるものだろうと認識しております。ガイドラインのほうで使用の目安が設けられておりますけれども、ある程度継続的に長い期間服用するものであると考えておりますので、長期の安全性にも留意する必要性があると思いますので、現場において適切に御判断いただきたい旨を申し上げたいと思います。
以上であります。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、特にほかに御質問がないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。
続きまして、「再生医療等製品の保険適用について」を議題といたします。
引き続き、前田委員長より御説明をお願いいたします。
○薬価算定組織前田委員長
よろしくお願いいたします。
それでは、今回検討いたしました新再生医療等製品の算定結果について御報告いたします。資料の中医協総-2を御覧ください。再生医療等製品のアロフィセル注です。
本製品は、非活動期または軽症活動期のクローン病患者における複雑痔瘻の治療に用いる再生医療等製品です。
本製品は、医薬品の例により算定することとされており、原価計算方式により算定いたしました。
なお、本剤の製品総原価の開示度は50%未満でした。
本製品は、希少疾病用再生医療等製品であることから、市場性加算(1)の10%加算の対象と判断いたしました。原価開示度による加算係数0.2を乗じて、2%の補正加算を適用しております。
その結果、本製品の算定薬価は、4瓶1組562万4円となりました。
以上で、新再生医療等製品の算定結果について、私からの説明を終わります。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございます。
事務局から説明と補足をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
特にございません。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問がないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。
続きまして、「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。
本件は報告事項です。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○吉田医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
医薬品審査管理課長でございます。
それでは、まず私から、中医協総-3-1に基づきまして、サイバインコについての最適使用推進ガイドラインの説明をさせていただきます。これは、先ほどの議題にありました総-1の6番目の品目についての最適使用推進ガイドラインでございます。
サイバインコでございますけれども、これについては、9月6日の薬食審医薬品第二部会などを経て、9月27日に、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を効能・効果として製造販売承認をされております。その際、最適使用推進ガイドラインについても薬食審で確認を受けておりますので、報告をさせていただくものであります。
このガイドラインの構成といたしましては、アトピー性皮膚炎を効能・効果とするこれまでの他剤での最適使用推進ガイドラインと基本的には同じ内容でございます。
次のページの「はじめに」というところ、2ページ目でございます。効能・効果でございますけれども、先ほど申しましたとおり、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎でございますし、用法・用量は、小児、成人とも、通常は100ミリを1日1回でございますが、患者の状態に応じまして200ミリ1日1回まで増量可能という内容になってございます。
飛んでいただきまして、4ページからが「臨床成績」でございます。臨床成績としましては4ページの上のほうでございますけれども、ステロイド外用薬などで効果不十分なアトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験が実施されております。
結果としましては5ページの表1などでございますけれども、いわゆるプラセボ群に対して優越性が検証されたという形になってございます。
安全性プロファイルにつきましては、既承認のヤヌスキナーゼ阻害薬と比較して明らかな懸念は認められないといった内容になってございます。
少し飛んでいただきまして13ページからでございますが、施設要件でございます。施設要件の内容はここに記載のとおりでございますが、特にマル1の施設要件、あるいは<医師要件>のところですけれども、本剤についての十分な知識を有し、アトピー性皮膚炎の診断及び治療に精通する医師が当該診療科の責任者として配置されており、緊急時に適切な対応が可能な体制が整っているといった施設要件となってございます。
それから、15ページの「投与対象となる患者」でございます。投与対象の患者については、臨床試験に基づきまして有効性が検証された患者を特定してございます。具体的には、アトピー性皮膚炎の確定診断がなされているでありますとか、いわゆる抗炎症外用薬による治療で効果不十分で、一定以上の疾患活動性を有するなどといったことが患者の選択要件になってございます。
それから、先ほどの議題でも御議論がございましたが、投与の継続に関しましては、投与開始から12週間までに治療反応が得られない場合には、本剤の投与を中止するということを求めております。さらには、投与中でございますが、定期的に効果を確認し、投与継続、用量調節及び中止を検討することということを、このガイドラインの中で規定をさせていただいているという形になってございます。
最後でございますが、16ページからは「投与に際して留意すべき事項」でございます。既存の最適使用推進ガイドラインあるいは本剤の添付文書に記載された内容を主な注意事項として記載させていただいてございます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
事務局から補足の説明がございましたらよろしくお願いします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
続きまして、総-3-2を御覧ください。先ほど御説明がありました最適使用推進ガイドラインに基づきます保険適用上の留意事項について、御説明させていただきます。
3番としまして、留意事項の内容を書いております。こちらは最適使用推進ガイドラインに基づいて留意事項を求めるものでございます。
(1)としまして、最適使用推進ガイドラインに従って使用する旨。
(2)としまして、診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項がございます。
マル1、投与開始に当たって記載を求める事項としまして、アとしまして、治療の責任者の要件にいずれに該当するか。以下の<医師要件>の中からどれに該当するか。
また、次に2ページ目にお移りいただきまして、イとしまして、投与対象となる患者の要件としまして、マル2のbについていずれの症状スコアがどのような状況になっているか等について記載を求めることとしております。
この留意事項通知につきましては11月24日に発出し、適用は11月25日の予定としております。
以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
続きまして、「費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。資料総-4を御覧ください。ノクサフィルの費用対効果評価結果に基づく価格調整についてでございます。
ノクサフィル錠につきましては、先週、11月10日の中医協の場におきまして、費用対効果評価結果を御報告し、御承認いただいているものでございます。その費用対効果評価結果に基づきまして価格調整を行うものということで、今回、結果をお示しいたします。
まず、真ん中の表ですけれども、右から2列目のところに、費用対効果評価結果に基づく価格調整係数を記載しております。この結果と患者割合について勘案した結果、下の表のとおり、価格調整後の薬価となります。
真ん中のほう、現行薬価が3,109.10円のところ、改定薬価としまして3,094.90円となります。
この適用日につきましては一番右端にあるとおり、令和4年2月1日付をもって適用するということとしたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等がないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして、「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」、それから、「在宅自己注射について」を一括して議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、資料総-5から説明をさせていただきます。「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」でございます。
定例での議題ではございますが、新規に薬価収載された医薬品等につきましては、DPC/PDPSにおける診療報酬点数表に反映されないことから、一定の基準に該当する医薬品等を使用した患者については、包括評価の対象外とし、次期診療報酬改定までの間、出来高算定するということとしております。
基本的な考え方につきましては、総-5参考におつけしてございます。
今回、効能・効果が追加された医薬品、新規に薬価収載される薬剤などについて判定を行い、2の一覧にお示ししております医薬品につきまして、対応する診断群分類において基準に該当しておりましたので、出来高算定としてはどうかという御提案でございます。
続きまして、5ページ目の3でございます。こちらは、類似薬効比較方式で薬価が設定された医薬品で、その類似薬に特化した診断群分類が既に設定されているものが挙げられております。この診断群分類に新規の医薬品についても反映してはどうかという御提案でございます。
続きまして、資料総-6-1を御覧ください。こちらは、保険医が投与することができる注射薬の追加でございます。今回御提案させていただく薬剤は、ビルトラルセンでございます。この薬剤は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する薬剤でございます。
今回、総-6-1参考1から2のとおり、学会から要望が提出されております。投与間隔が週に1回とされている薬剤で、保険医が投与することができる注射薬として追加してはどうかという御提案でございます。
続きまして、総-6-2を御覧いただきたいと思います。在宅自己注射指導管理料の対象薬剤であるヒュミラのバイオ後続品の取扱いについてでございます。
今回、[アダリムマブ後続3]について、5ページ目の対応案にありますとおり、先行バイオ医薬品と比較して特段の問題はないと考えられますことから、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかという御提案でございます。
資料につきましての説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等がないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。
続きまして、「個別事項(その4)について」を議題といたします。
最初に、不妊治療について関係団体からの意見聴取を行った上で、事務局より提出資料について説明していただき、その後に、質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
それでは早速、意見聴取に移りたいと思います。
関係団体といたしまして、日本生殖医学会並びに日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、JISART、NPO法人Fineより意見を聴取したいと考えております。それぞれ5分程度の御報告をお願いいたします。
最初に、日本生殖医学会並びに日本産科婦人科学会よりお願いいたします。
○日本生殖医学会(大須賀)
日本生殖医学会の大須賀でございます。資料を御覧ください。
2ページ目にありますように、不妊症は1年たっても妊娠しない状態と定義されますが、3ページ目にありますように、女性の年齢が高い場合、卵管切除等の既往等、明らかな不妊原因がある場合は精査・加療の対象になります。
4ページ目ですが、頻度は一般的に10%ですが、35歳以上では約30%とされています。
1ページ飛ばして6ページにありますように、不妊症には様々な原因があります。原因が分からない原因不明は3分の1以上あると言われています。
7ページを御覧ください。不妊治療の流れです。原因が分かる場合は原因疾患の治療をまず行う場合もありますが、原因疾患の治療が困難な場合や、原因疾患を治療するよりもむしろその右にあるタイミング法、人工授精、特定不妊治療のほうが有効な場合は、それらの治療を選択します。ここで特定不妊治療とありますのは、いわゆる体外受精、顕微授精、または生殖補助医療(ART)と言われるものです。原因不明の場合は、最初から人工授精、タイミング法、特定不妊治療を行います。この中でも特定不妊治療は他の治療法に比べて妊娠率が高いため、非常に広く行われています。
この下の赤枠内にありますように、生殖補助医療は多くのステップがあります。一つ一つのステップを患者さんに合わせて適切に行うことが重要です。このため、様々な技術が開発され、臨床応用されています。
図示したものが8ページです。
9ページがARTの治療周期数。
10ページが出生数です。近年では5万人以上がこの方法で出生しています。2018年では出生16人に1人がARTで生まれています。
11ページが治療周期です。現在の治療のピークは40歳です。
12ページにありますように、妊娠率は35歳過ぎより低下しています。
13ページを御覧ください。国外では多くの不妊症診療ガイドラインが出版されています。21世紀に入ってから体外受精において多くの新しい技術が導入されており、それらを適切に臨床に取り入れる必要から作成されています。
14ページを御覧ください。これは海外の指針の一つですが、多様な追加治療、いわゆるオプション検査、治療の評価を示しています。
15ページになります。我が国でも、今回、生殖医療ガイドラインを作成しました。日本生殖医学会が作成し、日本産科婦人科学会、日本泌尿器科学会の後援を得ています。
次ページにガイドラインの基本的考え方、その次ページに作成方法を載せてあります。
18ページを御覧ください。作成の全体像です。原案作成の運営委員、作成委員、評価委員に加えて、下にありますように多くの関連学会などの意見を得て作成されています。
次ページにありますが、結果として、アカデミア、クリニックなど関係者の総意により完成された形となっています。
作成の中心となった日本生殖医学会の説明が次から2ページですが、基本的には我が国で生殖医療を行う全ての医師、泌尿器科、産婦人科が所属する生殖医療の中心の学会です。ガイドラインでは、まず初めにクリニカルクエスチョンを決めます。
このガイドラインの基となっている一つが、22ページからの不妊治療の実態調査です。
23ページのように、ほとんどの施設で行っている治療。
24ページのように、30%以上ではありますが半数以下での施設で行っているものなど様々です。
25ページ、薬剤はほとんどの施設で多くの種類を使い分けしていました。
26ページは、ガイドラインの構成。
27ページは、目次の抜粋になります。
28ページを御覧ください。結果として、ステップごとの診療を評価し標準的なものを提示するガイドラインとなっています。黄色の背景の数字は、クリニカルクエスチョンの番号です。
29ページにありますように、各クリニカルクエスチョンに対してアンサー、解説、実態、薬剤の使用方法などを記載しました。
30ページですが、各文献にはエビデンスレベルを記載しました。
31ページですが、アンサーには推奨度をつけました。A、Bは実際の臨床として標準的に既に広く行われているものでありますが、エビデンスのレベルや費用など総合的に勘案して強く勧めるのAと、勧められるのBに分けています。
また、実臨床としてある程度広く行われており、有効性についても一定の評価を得られているのですが、今回はエビデンスを十分に集められなかったものなどをCとしております。
32から36ページはガイドラインの抜粋です。
37ページはまとめになっておりますので、お目通しいただければ幸いです。
以上でございます。ありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、日本産婦人科医会からお願いいたします。
○日本産婦人科医会(谷川原)
日本産婦人科医会の谷川原でございます。資料の2を御覧ください。
今回、不妊治療の保険適応の範囲についての要望がございます。
不妊治療と診断された全てのカップルがすぐに特定不妊治療に進むわけではございませんので、ステップアップといたしまして、先ほども説明がありましたように、タイミング指導、人工授精、ARTという順でステップアップをしてまいります。そういうわけですので、人工授精も重要な不妊治療の一つとなっておりますので、今回はARTのみではなくて人工授精も含めた不妊治療の保険適応について議論を進めていただきたいと考えております。
次に、資料の3ページでございますけれども、不妊治療に用いられる薬剤についての問題でございます。
現在、不妊治療に用いられている多くの薬剤が現時点では適応外使用ですとか、未承認薬、それから、薬価の未収載薬でございます。現在、いろいろ審議がされておったり、製薬会社から承認申請も出されておりますが、全ての薬が網羅されているわけではございませんので、4月の診療報酬改定の時点で承認を得られなかった薬剤に関しましては、今後、保険では使用できなくなると考えられます。
そうしますと、今までの治療で継続ができなくなるということになって、これは患者さんにとっては非常に不利益なこととなります。
また、海外で用いられているような新しい薬剤の導入が遅れることにもなりかねませんので、治療成績の停滞も今後危惧されていることでございます。
そのようなことから、今後迅速に薬事承認が得られる仕組みづくりが重要と考えております。今後も現場の声を聞いた上で、製薬会社さんのほうには効能効果の追加申請等を今後もお願いをしていきたいと考えております。
また、その時に必要な治験ですとかデータ収集も医会としては全面的に協力をしていきたいと考えております。
最後に資料の4ページですけれども、今回のその助成制度から保険診療への移行期に関する問題でございます。
今回、不妊治療の制度が大幅に変更になりますので、ルールの変更点ですとか運用上の注意点を国民や医療機関に丁寧に説明していただきたいと考えております。周知不足で現場が混乱するということが、当事者にとっては一番不利益になると考えております。
また、移行期間には、治療が中断しないような何らかの救済措置を設ける必要もあると考えております。治療の空白期間が生じれば、不妊カップルにとって大きな不利益となります。3月から4月にかけて治療の手控えということが起きる可能性がございますので、医療機関がスムーズに新制度に移行できるような対策も必要と思います。
具体的には、例えば、3月に治療を開始して4月まで継続した特定不妊治療に関しましては、例えば、自費診療として、令和3年度の助成の対象となるような弾力的な運用も今回考慮していただけると幸いでございます。
医会からは以上でございます。ありがとうございました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは続きまして、JISARTよりお願いいたします。
○一般社団法人JISART(蔵本)
一般社団法人JISART理事長の蔵本でございます。福岡で生殖補助医療を行う蔵本ウイメンズクリニックを経営しております。
本日は、不妊治療の保険適用について懸念されることを3点述べさせていただきます。お手元の資料の1番を御覧ください。
まず、不妊治療が保険になった場合、生殖補助医療を行うクリニックの経営面と患者さんに及ぼす不利益について懸念があります。生殖補助医療は質が維持されなければ、妊娠率や出産率が低下します。そのため、医師、胚培養士、生殖医療コーディネーターなどの看護師、心理士など多くの人材によるチーム医療が必要です。これら専門スタッフの育成には一定の時間と経費がかかります。さらに、日進月歩の医療ですので、必要な機器や材料を購入し、医療レベルを維持することが非常に必要です。こうしたことから、人件費や設備経費、材料費に多くの出費がかかります。
昨年の厚生労働省の施設実態調査によりますと、体外受精1件当たりの費用は平均50万1000円、顕微授精ではさらに費用がかかっております。もし保険点数が低く抑えられますと、これまで世界トップ水準を保っていた質の高い生殖医療が行えなくなります。その結果、妊娠率や出産率の低下が起こることが懸念されます。さらに、不妊クリニックの経営が困難となり、閉院する施設が多く出てくることが予想されます。その結果として、体外受精を受けたくても治療を受けられない方や、地方では遠方の施設まで通院しなければならない方が増えます。
2017年の厚生労働省の調査によれば、不妊治療を行っている患者さんの53%が仕事を持ちながら通院されています。これでは、国が進めようとしている仕事と不妊治療の両立ができなくなり、患者さんに大変な不利益となることが懸念されます。
次に、2番を御覧ください。
不妊の原因は千差万別で、女性の卵巣の状態、子宮の状態、男性の精巣の状態は多様であり、保険適用となる標準医療では認識できない方が多くおられます。また、日本の生殖補助医療を受ける患者さんは、世界で最も高齢化していると言ってもよく、2019年の日本産科婦人科学会の全国統計では、40歳以上の高齢者が全治療周期の40%を占めており、難治症例が多いのが特徴です。
このような難治症例の方々には、個々の状態に応じて、多くのオプションの中から適切な治療を丁寧に行うオーダーメード医療が必要で、その割合は、他の疾患に比べて多くなると思います。しかし、オーダーメード医療の多くは保険適用外で自費となります。さらに、これまでの公的助成制度がなくなりますと、患者さんの治療費は全額自費となり、現在より経済的負担が増える患者さんが多く出てくることが懸念されます。
3番です。次に、生殖補助医療における保険診療に回数制限が導入される場合、治療回数を客観的に把握できるようにしていただきたいと思います。
生殖補助医療では妊娠に至らない場合、何度も繰り返し治療を行う方も多く、それが長期にわたることもあります。さらに、転院される患者さんも多く、都道府県外への転院もまれではありません。次の治療が保険診療で行われるかどうかの把握は重要になります。自己申告では間違える可能性もあるため、より客観性を持たせる方法があれば、患者さんも安心して治療を受けることができるのではないかと思います。
以上のことを踏まえて、よりよい保険制度になってほしいと願っております。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは最後になりますが、NPO法人Fineからお願いいたします。
○NPO法人Fine(松本)
本日はこのような会議で発言をさせていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。患者団体の代表をしております松本亜樹子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料ですが、私どもからの要望は、今回、大きく6つにまとめさせていただきました。表紙を除いて1ページ目を御覧いただければと思います。
まず、1つ目のお願いとしましては、「現行の治療の維持。患者の選択肢を減らさないで頂きたい」ということです。先ほどJISARTの蔵本先生がおっしゃってくださったところと同じになるのですけれども、保険が適用になり、もし今受けられているような治療が受けられないことになったら、妊娠に遠のくことになってしまいます。私たち患者は、妊娠・出産をするために不妊治療を受けています。妊娠に遠のくことになりかねない治療は、患者にとって非常に不利益となってしまいます。患者にとって意味のある治療は、たとえオプションの部分があってもぜひ引き続き受けられるような御配慮をしていただけないでしょうかというのが1つ目です。
2つ目は、「保険が適用されない部分に関して、助成金を残して頂きたい」ということです。1番に続きましてそういう意味でも自費になって保険が利かないという場合、助成金がなくなってしまったら経済的負担が増えるということになってしまいます。それは患者にとって大変困ってしまうことです。ぜひこの御配慮をお願いできたらと思っています。
3つ目です。「第三者機関による医療機関の審査を実施して頂きたい」、チェックシステムをつくっていただきたいということです。これまで不妊治療は自由診療で行われてきましたので、先ほど来お話に出ておりますように質がばらばら、また、方針もばらばらです。患者としては何を信じて何を根拠に治療機関を選べばいいか全く分からない、迷う患者が非常に多いです。これが保険適用に当たってぜひ改善されることを、患者としては期待しています。何とぞよろしくお願いいたします。
4番目は、「事実婚のカップルの治療にも保険適用をお願いしたい」ということです。今は事実婚の方が増えておりまして、助成金は今、事実婚のカップルにも出していただけるようになっていますが、保険適用になったらなくなるのではないかと心配する声が私どもにたくさん上がってきています。ぜひ事実婚のカップルに対しても保険適用をお願いできればと思います。
5つ目は、「年齢別(1歳毎)の治療成績の開示をお願いしたい」ということです。医療機関での治療の成績の開示は、しているところ、していないところ、また、分母と分子がばらばらで、患者はこれに対しても非常に困惑して困っているという状態があります。何を頼りに医療機関を選べばよいか分からないということです。治療成績の開示に対しては非常に困るというお声もあると思いますが、1歳ごとに出していただけたら公正な成績が出るのではないかというお声もあります。ぜひ御検討いただけたらありがたく思います。
6つ目、非常に大事なこととして、「患者の心理的ストレス、メンタルケアへの体制を整えていただきたい」ということです。不妊治療は精神的な負担がとても大きく、そこでメンタルケアの仕組みがないということも非常に課題だと思っています。医療機関にカウンセリングがあっても料金がネックになり、受けたくても受けられないという患者もいます。ぜひこの保険適用に際してメンタルケアへの体制も整えていただけますことを、患者としては切にお願いしたいと思っております。
NPO法人Fineからは以上です。御清聴ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
事務局よりも資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○中田医療技術評価推進室長
事務局でございます。
資料総-7-1、「個別事項(その4)不妊治療の保険適用(その2)」を御覧ください。
まず、2ページ目から4ページ目でございますが、こちらにつきましては、これまで7月の中医協総会等で御議論いただいた内容、これまでの議論の概要等について整理をしてまとめたものでございます。それぞれの議論の経緯につきましてはこの資料の記載のとおりでございますので、こちらを御参考に御覧いただければと存じます。
本日は、5ページ目でございます。不妊治療の保険適用に向けて整理すべき事項についてまとめたものでございます。
今回、事務局で整理すべき事項として左に記載のとおりでございますが、マル1、保険適用の対象となる医療技術等の範囲について、また、マル2といたしまして、保険適用の運用に係る課題、こちらの横断的な課題について、今回の参考となる資料をまとめさせていただいております。
本日の資料の構成といたしましては、その課題を踏まえまして、右の欄に記載のとおりの構成となっておりますので、御参考としていただければと存じます。
まずは6ページ目以降を御説明申し上げます。不妊治療の現状と実績についてでございます。
これらにつきましては、7ページ目から10ページ目でまとめさせていただいております。これらの資料につきましては、これまでも中医協に提出させていただきました資料を基に時点修正等を加えた資料でございますので、こちらもバックデータとして御参考として御確認いただければと存じます。
また、11ページ目でございます。ここから具体的な課題に入るものでございますが、まずは不妊治療の具体的内容等についての不妊治療の全体像でございます。
12ページ目を御覧ください。これは、先ほど大須賀先生から御説明があった資料にも記載があったもので、全体像を御説明したものでございます。今回、特に特定不妊治療に該当する部分につきまして、下の吹き出しのところで詳細なフロー図をお示しさせていただいております。それぞれの診療の流れごとに若干御説明を申し上げたいと存じます。
13ページ目を御覧ください。
まず、受診に際しまして、この不妊症の定義の点でございます。13ページにございますとおり、日本産科婦人科学会におきまして、「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある期間避妊すること無く性交渉をおこなっているのにもかかわらず、妊娠の成立を見ない場合を不妊といい、妊娠を希望し医学的治療を必要とする場合」とされております。
また、「明らかな不妊原因が存在する場合は不妊の期間にかかわらず不妊症としても差し支えない」という運用となっております。
また、上にある一定の期間というものにつきましては1年というのが一般的というものでございます。
また、下の(参考)にも記載のとおり、今現在の助成事業である特定治療支援事業におきましては、事実婚の場合も対象と含まれているものという扱いとなっているものでございます。
また、14ページ目につきましては、これは不妊症の検査の初期段階の検査をまとめたものでございます。不妊症が疑われる男女に対しまして、問診・診察・検査等が行われているものでございます。
以降、それぞれの段階ごとに治療の内容が分かるようなイメージをつけさせていただいております。
詳細は省略させていただきたいと思いますが、例えば、15ページ目、不妊症の原因に対する治療というものにつきましては、上段にそれぞれの原因に対応した検査、治療術等をまとめさせていただいておりますが、今般、生殖医学会のほうでまとめていただきました生殖医療ガイドガイドラインへの位置づけも一部明確になっている部分がございますので、これ以降の資料につきましては、それぞれの治療とガイドラインの位置づけという対比できるような資料構成となっております。
特に16ページ目は、一般不妊治療、タイミング法、人工授精、生殖補助医療に関する件でございます。
また、17ページ目につきましては、特に生殖補助医療についての概要でございます。この生殖補助医療の流れにつきましては、上の段に書いてあるこのフロー図のとおりでございますが、このマル1からマル5のステップが必須事項でありまして、これらのいずれかが欠けた場合には治療が成立しなくなるというものでございます。
また、特にマル4のステップにおきまして複数の胚が作成された場合につきましては、全胚凍結周期とする場合には、胚凍結保存が必要となるものでございます。
これらの生殖補助医療の全体像を、イメージとして18ページ目でまとめております。それぞれのこういうことに行われる治療法については、この赤線の内容としてまとめておりますが、右下の特に青い点線でまとめておりますのは、追加的に実施されるような検査等のものでございます。このようにそれぞれの段階で必須となるような行為と追加的に実施されるような行為、こういったものが全体として整理されるかと考えております。
19ページ目以降です。これらも特に各ステップごとの具体的内容について、それぞれの技術ごとの解説をさせていただいたものでございますので、これらにつきましても詳細は省略させていただきますが、20ページ目を御覧のとおり、このような技術に関しまして、各生殖ガイドラインでもそれぞれの評価が行われておりますので、資料の構成といたしましては、それぞれの治療の概要及びガイドラインの位置づけというものを各ステップごとに詳細に整理をさせていただいております。
以降、スライドを御覧いただきまして、最終的なまとめといたしましては31ページ目を御覧いただきたいと存じます。
このようにガイドラインでのそれぞれの治療方法の位置づけを、先ほど御紹介させていただきました生殖補助医療の各ステップごとの内容に当てはめてみたのがこの31ページのスライドになっています。先ほど大須賀先生からも御紹介がありましたガイドラインの推奨度A、B、Cです。Aは実施を強く推奨、Bは実施を推奨、Cは実施を考慮という整理でございますが、特にこの赤の点線の部分につきましては推奨度AからBで整理がされるものと考えております。
また、右下の「追加的に実施される場合があるもの」というものにつきましては、推奨度がそれぞれ記載のとおりでございます。
また、その他の検討状況についても御紹介申し上げたいと存じます。
33ページ目でございます。これも中医協におきまして、今後、各医療機関から希望があった場合には、先進医療としての申請があった場合につきましては審査を先行して進めるという取扱いについて御了承いただいたところでございますが、それ以降、この4件について今現在審査を行っているところでございます。評価結果は右の記載のとおりでございます。
また、それぞれの技術につきましては34から37ページ目でお示ししておりますので、御参考いただければと思います。
また、38ページ目につきましては、医薬品の薬事承認の検討状況を紹介したものでございます。日本生殖医学会からの要望を受けまして、令和4年4月の保険適用に向けまして、薬事承認に必要な有効性・安全性の確認のプロセスが現在進められているところでございます。
左につきましては、未承認薬・適応外薬等検討会議において評価された医薬品。
右のほうは、企業から承認申請がされた医薬品を整理したものでございます。
39ページ目は、私が今まで申し上げた点につきましてまとめたものでございますので、説明は省略させていただきます。
以降は、横断的論点について御紹介させていただきたいと思います。
まず、3-1でありますが、対象患者・年齢制限・回数制限等についてでございます。こちらにつきましては、41ページ目に概要をお示しのとおりでございますが、今現在行っている特定治療支援事業の運用について御紹介したものでございます。
特に、給付の内容にございます下が赤線の点でございますが、今現在の運用といたしましては、40歳未満であるときは通算6回、40歳以上43歳未満であるときは通算3回まで。
また、沿革の令和2年度補正の一番下の赤線のとおり、一部の事実婚も助成対象というのが今現状の運用となっております。
また、42ページは先ほど御紹介した資料ですので、省略させていただきます。
また、43ページ目、44ページ目につきましては、現在の支援事業における年齢・回数制限等に関する検討会の報告書の抜粋部分でございます。詳細は割愛させていただきたいと存じますが、特に下線の部分を重要な点としてアンダーラインを引かせていただいております。
特に44ページ目、通算助成回数に関する点につきまして、このような研究報告に基づいて現在の運用が執り行われているというものでございます。
また、45ページ目、46ページ目は、この年齢・回数制限等に関しまして、先ほどの生殖医療ガイドラインにおきましても記載がありましたので、その部分を御紹介させていただいたものでございます。
特に46ページ目のスライドでございますが、生殖医療ガイドラインにつきまして、全ての年齢層におきまして6回目までの累積出生率の増加が認められると。40歳未満については9回まで累積出生率の増加を認めたとの報告もございます。
47ページ目につきましては、着手前診断についての御紹介でございます。
48ページ目を御覧いただきたいと存じます。
こちらのPGT-A(着床前胚染色体異数性検査)でございます。反復してART不成功となった患者、反復流産の患者または夫婦いずれかに染色体構造異常がある患者に対しまして、流産・死産を避けるために実施される検査のものでございます。こちらにつきましても生殖医療ガイドラインでの評価につきましては、下の記載のとおりでございます。
特に49ページ目でございます。これは現在、日本産科婦人科学会におきまして「着床前診断」に関する見解というものがまとめられております。こちらにつきましては、特に、重篤な遺伝性疾患児を出産する可能性のある遺伝子変異並びに染色体異常を保因する場合につきまして、習慣流産に限って施設の認可、症例の適用に関する認可を受けなければならないという限定的な運用として見解がまとめられているものでございます。
50ページ目以降は、施設基準でございます。これも現在の助成事業の運用上の取扱いをまとめたものでございます。各都道府県において指定する際の実施要綱をまとめたものでございます。特に、施設基準や人員配置基準、こういった施設基準を設けて実施されているところでございます。
また、52ページ目につきましては、同支援事業におきまして、特にそれぞれの施設の配置人員、治療内容、実施件数、費用、安全管理体制等につきましては必須事項、また、35歳以上40歳未満の女性に対する体外受精の治療実績や年齢別の来院患者数等については任意記載事項として、これらについて各都道府県においてホームページ等で一覧に掲載しているものでございます。
また、53ページ目は、生殖医療ガイドにおきましても施設基準等に関するそれぞれのエビデンスレベルが示されておりますので、御参照いただければと存じます。
最後は、その他事項でございますけれども、55ページ目でございます。これは生殖補助医療に関する法律の概要でございます。これらにつきましての概要については記載のとおりでございますが、今現在、「5 検討」に記載のとおり、生殖補助医療の規制の在り方、特に、精子または卵子の提供等に関する規制の在り方等につきましては、おおむね2年を目途に検討するということで、今、検討途上となっているものでございます。
56ページ目は、ただいま申し上げた事項をまとめさせていただいたものでございます。
最後に、論点として57ページ目にまとめております。
まず、保険適用の対象となる医療技術等の範囲につきまして、不妊治療に係る個々の医療技術、医薬品、医療機器等の評価の在り方について、診療全体における位置づけや、現在の実施状況、ガイドラインにおける推奨度等のエビデンス等を踏まえて、有効性・安全性の観点から、保険適用についてどのように考えるのか。
また、保険適用の運用に係る課題につきましては、保険適用に当たりまして、患者の定義、年齢・回数に係る要件等につきまして、これまでの特定治療支援事業における取扱い等を踏まえまして、どのように考えていくのか。
また、PGT(着床前診断)の取扱いにつきまして、現在、関係学会におきまして行われております議論の状況等を踏まえつつ、検討することとしてはどうか。
また、3ポツ目といたしまして、不妊治療を実施する医療機関の施設基準の在り方につきまして、特定治療支援事業における取扱い等を踏まえまして、患者に対する情報提供の内容等も含め、どのように考えていくのか。
最後の4ポツ目でございますが、第三者の卵子または精子を用いた生殖補助医療等の取扱いにつきましては、これまでの特定治療支援事業における取扱い、また、現在、生殖補助医療法に基づき規制の在り方等について議論がなされていることを踏まえまして、どのように考えていくのか。
このとおり論点としてまとめさせていただいております。
私からの説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。これで一通りの御説明をいただきました。
これより質疑、それから、フリーディスカッションに入りたいと思います。ただいまの説明を踏まえて、御意見等がありましたらお願いいたします。各委員の方々に一通り御意見、御質問を伺いたいと思います。各委員におかれましては、特に各特定の団体の方に御質問がある場合、あるいは事務局に質問がある場合、その旨をおっしゃっていただければありがたいと思います。まとめて各団体の方々あるいは事務局より回答を差し上げます。
それでは、城守委員からお願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
本日は、このヒアリングに御参加いただきました皆様方から大変貴重な御指摘、また、御懸念事項を拝聴しまして、大変参考になってございます。
私からは、まず、事務局のこの論点についてコメントを述べさせていただきまして、その後、少しだけ本日の皆様方に御質問したいと思います。
現行のこの特定不妊治療、様々なものがございますが、これらに関しましてこの中医協の場において今後、有効性・安全性を再確認しつつ、エビデンスに基づいて可能な範囲内で保険適用の議論をしていくということになろうと思いますが、本日は皆様方、また、事務局より様々な事実関係の資料が提出されております。このようなエビデンスに基づいて保険適用の範囲を判断するという観点から、基本的には学会のガイドラインの推奨度を参考にして、有効性・安全性が高い技術は速やかに保険適用として、また、そうした技術に付随する医薬品、また、医療機器についても、薬事承認を前提に保険適用していくべきであろうと思います。
一方、その有効性・安全性に関するデータが十分に蓄積されていない技術とか、また、医薬品、医療機器等についても、現時点で保険適用は認められていないといたしましても、診療全体における位置づけ、また、その現在の実施状況を参考に、診療の実態とそごがないように配慮しながら、既存の先進医療の枠組みなどの活用をしつつ、保険診療との併用が可能になるように検討していくべきであろうと思います。
2つ目の論点のその運用についてもその続きになりますが、患者さんのその定義とか年齢、また、回数や不妊治療を実施する医療機関の施設基準、また、情報の提供の在り方については、ガイドラインの内容や現行の特定の治療支援事業とそごのないような形で、これはヒアリングの皆様方もおっしゃっておられますが、そういう形で導入するということが重要であって、それによって患者さんや医療機関にとってもスムーズに保険診療に移行できるのではないかと考えております。
ただ、着床前診断、また、第三者の卵子や精子を用いた生殖補助医療の在り方については、現在も医療に限らず様々な分野の専門家を含めた議論が行われているという段階ですので、さらには国民の倫理観や家族観なども関与する非常に大きなテーマでございますことから、現時点では診療報酬上の取扱いを中医協で議論するというのは時期尚早ではなかろうかなと考えております。これは事務局の論点に沿った私のコメントでございますが、それを踏まえまして、ヒアリングの皆様方に少し御質問がございます。
今お話ししましたように、この治療の選択肢を減らさないという視点は大変重要な視点かと思いますが、やはりこの保険診療というものに関する議論をするこの中医協の場においては、きちんとした質の担保ということも重要な視点であろうと思います。こういう点を踏まえつつ、来年度から不妊治療が保険適用、あるいは現行の先進医療の枠組みを使って実施されるというふうになったとしても、現行の特定不妊治療の中には、保険診療にも先進医療にも該当しない技術や医薬品、医療機器等が残ってしまうのではないかという点、また、その場合の取扱いについて整理をしていくことが必要でございます。この点につきまして、まずガイドラインを作成された日本生殖医学会様から、どの程度の範囲が評価されるというふうに感じておられるのかという御質問、そして、その他の参加者の皆様方にも、先ほどお話しした点に関しまして、さっきの御説明以外にコメントがございましたら追加でお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
一通り委員の先生方から御意見、御質問を伺いたいと思います。
島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
各団体の今の説明をお聞きしまして、非常に考えさせられるところが多くございましたが、一応、城守委員のおっしゃっている内容に関して、ほぼ同じようなことでございますが、57ページの各論点について意見を述べさせていただきます。
まず、最初の○に関して、「不妊治療に係る個々の」というところですが、これは20ページから30ページまでに記載されている生殖医療ガイドラインのエビデンスレベルの高いA、Bに準じて、医療機器の整備をされた施設でその医薬品を用いて種々の医療技術を提供される場合に保険適用とすることが前提条件というふうに考えます。
それから、次の○に関しましては患者の定義でございますが、この不妊症の定義がございますけれども、特定不妊治療を必要とする患者の細かい定義は明確になっていないのが現状だろうと思いますが、この年齢・回数に係る要件は、特定治療支援事業に準じて行うのが前提というふうに考えてよいのではないかと思われます。
次のPGTですが、48ページ、49ページに記載がございますけれども、妊娠率の向上と流産率の回避には有用であると思われますが、胚生検による胚へのダメージや診断の限界を十分に理解する必要と、事前に染色体検査をするための遺伝カウンセリングは必須でございまして、まさに関係学会へのより緊密な現状確認を要すると思われます。
それから4つ目の、不妊治療を実施する医療機関の施設基準ですが、これは51ページにありますように厚生労働省の基準と53ページの生殖医療ガイドラインを参考に準じて施設基準を設定し、情報提供開示も特定治療支援事業に合わせる形で行われればいいというふうに思われます。
それから、最後の○でございますけれども、これはまだいろいろ審議されている最中でございますので、その結果を踏まえてということで、今回はこの適用にはならないのだろうと思いますが、こういう形で不妊治療を保険適用にするということで、一歩でも前向きに話が進んでいくように、今行われている全ての、自由診療で行われている不妊治療が保険適用になるわけではないと理解しておりますが、少しでもこういうふうな不妊で悩む方たちに公的保険が資するところがあればということで進んでいければいいなと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
まず、不妊治療の保険適用につきましては、ガイドライン等のエビデンスに基づき有効性・安全性が確認できたものについて保険適用の対象とするという考え方が基本であると認識しております。
ただし、その際に現行の治療を行っている患者の方たちに不利益等を与えないような仕組みにする必要があると考えております。このためには、有効性・安全性のエビデンスの確認が肝になると考えておりますところ、本日は、生殖医療ガイドラインを作成してくださいました日本生殖医学会にもお越しいただいておりますので、ガイドライン作成に当たってのお考えについて、3点お伺いできればと思っております。
まず1点目ですが、ガイドラインでは事項ごとにAからCの推奨度をお示しいただいており、事務局資料の31ページに、この推奨度を含めた生殖補助医療の全体像のイメージが示されております。有効性・安全性といった点を踏まえ、また、この推奨度の基準の考え方を、改めて学会の方たちにお伺いできればと思います。
2点目ですが、事務局資料の45、46ページにまとめられておりますとおり、ガイドラインでは年齢・回数についての記載もございますが、現在実施されている特定治療支援事業における年齢・回数制限とおおむね整合するような研究結果のように拝見いたしました。特定治療支援事業の対象とされている40歳未満は通算6回まで、40歳以上43歳未満は通算3回までという設定が、有効性・安全性という点を踏まえて妥当なものであるかどうかという点について、貴学会のお考えをお伺いできればと思っております。
3点目、最後ですが、資料で提供していただいた14ページに、海外の多様な追加治療、いわゆるオプション検査治療のエビデンスについて書いてあるのですが、そこの一番下に緑と黄色と赤で示されている中で、ここで評価されている部分の治療方法と貴学会で推奨しているA、B、Cの部分と若干違う内容が書いてあるのですけれども、それについて何か、このガイドラインを作られたときにどういうことでそのようにA、B、Cという判断になったのかをお示しいただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私は主に2点、今日御説明いただいた参考人の方々に御質問させていただきたいと思います。この不妊治療に関して本当に様々な視点から御発言いただいて、非常に参考になりました。ありがとうございました。
私は、まず、不妊学会、産婦人科学会等の大須賀先生、谷川原先生には、ガイドラインがどうしてもこの中医協の議論の中でやはり中心になって、そこからどう展開するかとなると思うのですけれども、多分、皆さんが一番御懸念なのは、私自身も素人として不安を感じるのは、やはり非常にその治療法がいろいろと千差万別であるということ。玉石混合という言い方をしていいかどうかは分かりませんけれども、それが保険適用になれば一定の標準治療ということと標準施設基準ということになると思うので、それがこのガイドライン等を使ってある程度、学会に入っていらっしゃる、その治療に当たっている方々でそこのマル適みたいなことが可能なのか。学会としてそういうことが可能なのかどうかということを、もし現時点でお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
あと、もう一つのJISARTの蔵本様、それから、不妊の会のFineの御説明の中で非常に保険診療にむしろ不安の要素をかなり強調されましたが、一方で大きな話として、そもそもこの現状に満足しているわけではないとは思うのですけれども、保険診療に対する不安が大きくて、むしろ現状のほうがいいのかという、そういう印象もちょっと取れましたので、そうではなくてやはり保険診療はぜひ進めていただきたいけれども、こういう不安点を検討していただきたいという流れではないかと思いますけれども、その保険診療に対する姿勢というか考え方がもしありましたらお聞かせいただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
本日ヒアリングで御意見をいただきました4名の方に感謝申し上げたいと思います。
不妊治療の保険適用に関しましては、有効性・安全性と、これまで得られた知見をベースに、不妊治療を受けようか悩んでいる方にとって受ける希望となるように要件を求めたいと考えております。
保険適用となった場合に、保険適用の範囲から外れ、不妊治療が保険適用となったことで助成金の対象からも外れるようなことがあれば、今までの要件であれば助成対象だった方にとっては不利益になると考えます。そうした不利益となる方が生じないよう、例えば、保険適用にならなかった場合には助成金の対象にするなど、配慮が必要と考えます。
また、不妊治療の保険適用とともに周産期医療の提供体制や、不妊治療に悩みがある方の心のケアといった、関係する対策の充実も必要であると考えます。
重ねて、不妊治療に当たっては、医療機関より患者への丁寧な説明が求められるとともに、情報の公表も必要と考えます。
1点、質問をさせていただきます。安藤委員と同じ部分なのですけれども、事務局資料、それから、大須賀先生の資料の31ページ、どちらも31ページなのですけれども、推奨度についてもう少し具体的に教えていただきたいと思います。また、推奨度Cの「考慮される」ということはどういうことなのかということもお聞きしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
末松委員、お願いいたします。
○末松委員
ありがとうございます。
私も安藤委員、佐保委員と同様の意見になろうかと思いますが、少し述べさせていただきたいと思います。保険適用に関する患者の定義や年齢・回数に係る要件等についてでありますが、現在、女性の活躍する社会の構築におきまして、女性が結婚する場合の年齢は幅広くなっております。
また、妊娠を望む年齢も同様であり、令和2年度の不妊治療の実施に関する調査研究の結果にもございますように、不妊治療のために医療機関を受診した年齢の平均は39.5歳となっております。そのような中、現行の特定治療支援事業におけます対象者の妻の年齢制限、また、対象給付において妻の年齢によって制限をされる給付回数が、保険適用に当たって同様の制限となった場合、人によっては3年から4年しか保険適用が対象とならないということになります。これは、回数や時間が多く必要となる不妊治療にチャレンジをする女性や男性にとって、引き続き妊娠への希望の可能性を左右するようになりかねないのではないかと危惧をしているところでございます。
とはいえ、保険適用の範囲につきましては、エビデンスに基づき有用性・安全性が確保されるものでございまして、43コマ目から46コマ目に掲載の検討会報告書や生殖医療ガイドラインに書かれておりますとおり、年齢によって妊娠の可能性が変化するということも受け止めざるを得ないと考えております。
しかし、保険適用に当たりましては、年齢制限や回数がそのまま継続されるとなっても、それだけで妊娠し出産に至るまで、保険適用内の医療技術等のみで妊娠・出産に至るケースばかりではないと考えておりまして、妊娠・出産を望む方が希望を持って不妊治療を受ける環境整備の一つとして、保険適用外の治療への法的な助成制度の継続は、非常に必要であり重要であると考えております。
保険適用となっても、治療を受ける当事者の一部自己負担は発生いたしますが、不妊治療が保険適用内で収まらない場合はさらに全額自己負担になり治療を受けなければならないという状況になりますので、このコロナ禍の中で生活が不安定になっている状況も鑑みても、希望する方ができる限り負担を少なくして不妊治療を受けることができる環境整備が不可欠であると考えております。
保険適用後は特定治療支援事業が廃止されるということになれば、影響は大変大きいと考えておりまして、少子化対策として力を入れていくためにも、保険適用と公的な助成制度の併用を望んでまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
今日御説明いただきました団体の方にまずお礼申し上げます。非常に参考になり勉強になりました。
まず総論として、不妊治療、特に生殖補助医療を医療保険の対象とすることについては、日本産科婦人科学会によって不妊症の定義というのがまず明確化されておりまして、医学的治療も必要であるとされていること。さらに、その前段階の原因治療が既に保険適用されていることを踏まえますと、議論することの妥当性は十分にあると考えております。
それを踏まえまして、資料の総-7-1の論点に沿ってまずコメントを差し上げたいと思います。
保険適用の対象となる技術の範囲でございますけれども、安全性と有効性の観点からしますと、先ほどから何人かの委員の方が申し上げられております推奨度というものが基準になるだろうということになると思います。
続きまして、対象となる患者、年齢・回数などについては、現段階の助成事業の取扱いをやはりベースにしていくということで検討を進めていくべきではないかと考えております。
続きまして、着床前診断でございますけれども、もう少し学会の結論を待って、改めて検討ということではないかということでございます。
施設基準の在り方についても、当然のことでございますが、患者の安全・安心の観点から、学会や厚生労働省の指定など一定の担保が必要でございますので、特に、可能な限りアウトカムを情報公開していくということが非常に重要なポイントだろうと考えております。
第三者の提供については、規制の在り方がまとまるのを待って、改めて検討してはどうかと考えております。
そして、各団体の方への御質問等になりますけれども、先ほどの事務局資料の31ページです。これの推奨度に関して各委員からも御質問が出ておりますけれども、その辺の考え方と、ここの赤い点線と水色の点線の辺りの区分であるとか、保険適用の妥当性について御意見をいただければと思います。
それと、特に、31ページの右下のほうにございます「追加的に実施される場合があるもの」というものの中で、先進医療としてもし実施された場合にその結果次第で、例えば、推奨度に変更が出るという可能性があるのか。その辺りについて少し御意見をいただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
次に、まず間宮委員に御意見を伺ってから公益委員の方に御意見を伺いたいと思います。間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
不妊症の治療が保険適用になるということは、不妊症で悩んでおられる方々の経済的な負担が軽減されるという意味では非常にいいことだなと思いましたけれども、各団体の方から御意見を伺うと、やはりいろいろな課題が山積しているのかなという印象がありました。治療薬の問題ですとか、その治療法の選択とかそういうことも含めて、やはり質の高い医療を提供するという意味では、やはりガイドラインで標準治療が患者にとって非常に有効な方向で行くことを願っているということなのですけれども、中でFineの松本理事長にお聞きしたいのが、医療実績の開示のことについてはどういうふうにお考えなのかなということです。それはなぜかというと、保険適用されるということは、当然、そのガイドラインに沿って治療を進めていくということであって、今までの保険適用にならないものも含めて情報提供が必要なのかどうなのかということもありますので、その辺りをどういうふうにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。
それから、そのメンタルケアの体制について整えてほしいということですけれども、現状で何が足りなくて、どういう資格のある人がそのメンタルケアに当たるのが望ましいのかというのもいろいろなケースあると思うのです。治療前の不安もありますし、その治療をしてもうまくいかなかったときのメンタルケアも当然あると思うのですけれども、その辺りでどういうふうにケアをしていけばいいのかというのが、今までの相談とかそういう事業の中で浮き彫りになっているものがあれば教えていただきたいと思います。
それから、着床前の診断ですけれども、これは絶対に命の選別につながらないということを約束していただきたい。その上で検討していっていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永瀬委員、お願いします。
○永瀬委員
公益委員の永瀬でございます。
今日は先生方から資料をありがとうございました。
Fineの方の御意見で、患者が病院を選ぶのが非常に難しかったと。どこを選んだらいいかよく分からなかったということをおっしゃっていました。私ももしも当事者だったらきっと難しいのではないかなと思ったのですけれども、生殖医学会の大須賀先生のほうで施設基準を出されておりまして、これは既にある特定治療支援事業、51ページの基準に加えて、厚生労働省の資料の53ページに新しい施設基準というのが出ているのですけれども、こういうものが入れば選ぶことがより容易になるのかどうか。Fineさんのほうでは、頂いた資料の18ページのところに、様々な治療法があり、治療成績の開示がないので、また、施設によって技術の格差があるのだけれども、その判別がつかないといった御意見が出ていらっしゃいます。それは患者の側としては結構重いものと思われ、その辺を専門家の先生のお立場から教えていただければと思いました。
それから、その治療成績の開示ということについてもどのようにお考えかということを、専門家のお立場から教えていただければと思いました。
また、Fineさんのほうでは、その選ぶのが難しいというほかに、両立が大変難しいということを、仕事と不妊治療の両立が難しいということをおっしゃっていまして、患者の立場から、例えば、どのようなことがあったらよりよいのかということについて教えていただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員
ありがとうございます。
本日の関係団体から大変貴重な情報並びに御意見を伺いました。ありがとうございます。
そこで、事務局に1点お伺いしたいと思います。具体的な点数については政府の予算の兼ね合いから、来年になって提示されると理解しておりますが、点数の水準につきましては、医療機関にとっても、また、患者さんにとっても大変気になるという御意見があったと思います。点数を具体的にどのように設定するかについて、現時点で詳細な説明は難しいと思いますが、もし基本的な考えがあれば、現時点で可能な範囲で構いませんのでお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
委員の方々から非常に多くの貴重なコメント、それから、御質問をいただいております。具体的に団体のお名前を挙げて答えていただきたいという御要望もありましたので、それでは、日本生殖医学会の大須賀先生から、特にガイドラインの考え方、それから、推奨度をどういうふうに考えるかという点を中心にお答えをいただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
○日本生殖医学会(大須賀)
ありがとうございます。
まず一番大事な点、このガイドラインで取り上げたか取り上げていないかということが、多分、話題になるかと思います。このガイドラインで取り上げていない技術でも行われているものはそこそこあるのではないかと思っております。
なぜ取り上げていないかというと、ガイドラインに取り上げるからには評価をしなくてはいけない。その評価に足るエビデンスがまだないという、そういった場合ですね。ほかにもいろいろございますが、とにかく評価できないものはCQにできませんので、現時点では評価ができないものは入っていません。ですから、本当はごく一部の人に行われて結構いいものもあるかとは思います。ただ、それは論文にもなっていないですし、まだ学会発表レベルのものもあるのかと思いますけれども、そういったもので入っていません。
だから、入っていない技術イコール駄目な技術ということではないのです。駄目だとも評価していないのです。ですから、クリニックによってはその効果の部分があるということで行われていて、小さいながらエビデンスがあるかもしれません。
さて、ある一定のエビデンスがあるものは全部入れました。つまり評価できるものは入っています。その中で、まず、先ほどお話ししましたが、広く行われていて、エビデンスのレベルから考えましてもある程度標準的だと思われるものは、これはAかBです。
そして、AとBの間の差というのはかなり微妙なところもあります。要するにエビデンスだけではなくて、この推奨度というのは、例えば、コストのこと、それから、患者さんの利便性、それから、益と害のバランスです。益と害のバランスの中には、例えば、患者さんの手間が非常にかかると、それはむしろ害と考えてもいいのかもしれませんし、様々なことを盛り込んでAとBに分けています。
ですから、A、Bというのは基本的にはエビデンス的には一応あると。基本的にはあるということで、そして広く行われていると。その中で、多々ほかの要因を考えて総合的に考えますと「強く」とまでは言えないなというのがBになっております。
さて、Cになるのですが、Cの多くのものはエビデンスはあるのですが、まだ非常に広く行われているとは言い切れないということ。
もう一つは、エビデンスレベルがまだ十分には高くない。エビデンスはあるのですけれども、十分には高くないということで、有効ではあると評価はできるのですけれども、そういったものをCにさせていただいているということで、Cというのも基本的にはエビデンスは当然ありますし、先ほどお話ししましたように、3分の1とか半分以下とか、その程度では行われているというものが多く入っております。これが基本的な考え方になります。
先ほど、海外で一例を出したのと違うのではないかという御質問がありましたが、あれは海外のほんの一例で、実は海外もいろいろ国によって違います。あれを出した時点とまた我々が作った時点でその間にもエビデンスが幾つか出てきていますので、あれは単なる例で、海外では先駆的な取組をしていて、日本はちょっとまだやっていなかったので、我々もしっかりやりましたよということを話したかったわけでございます。
それから、施設基準に関しましては、ガイドラインに書いてあるものを守っていただければ、施設としての基準は担保できると考えております。
それから、学会としてグリップしていくかどうかということですが、これは日本産科婦人科学会が、今、登録制度というのを行っておりまして、生殖補助医療を受けた患者さんのデータを全て登録していただいております。そういったことをきちんと続けていただくということは、これは場合によっては保険の要件にしていただかないと、今後の日本の生殖医療がきちんとグリップできないと、担保できないということになってくるのではないかと思います。
そして、成績開示に関しましては、総論は確かに分かりやすいと思うのですけれども、各論になりますと技術的に細かなところが様々ありまして、その年齢別、どの程度難しい患者さんをやっているかとかそういったことで、よく手術に関して各病院で全部の手術成績を公表したほうがいいのではないかという議論にもありますが、どういう患者さんを対象にしているかでクリニックごとに多少違ってきたりもするので、そこは十分な議論が必要かと思っております。
それから、年齢制限が従来の補助事業と今後の保険とでどうかということですが、年齢制限は当然、回数を増やしたらある程度増えていくのですね。ですから、全くプラトーになるところを見つけるというのはなかなか難しいと。多分、前回、この補助金事業をつくられたときは、ある一定のところで線引きをされたのだと思います。今回、どこで線引きをするかは、ちょっとこれは私のほうからここで線引きが正しいですと言うのは、正しいというのもないので、ある一定以上やると完全に止まるということはなくて、恐らくやはり一定、ある程度伸びていくわけなので、そこの伸び具合をどう見るかというのは、我々のこのガイドラインの数字を基に考えていただければと思います。
あと、PGT-Aの話がたくさん出ていましたが、ちょっとこれはPGT-AとPGT-Mが混同している部分もございますので、日本産科婦人科学会が中心になって執り行っておりますので、日産婦の木村理事長に替わってちょっとお答えいただいてよろしいでしょうか。
○小塩会長
お願いいたします。
○日本産科婦人科学会(木村)
PGTに関しましての幾つかの問題点でございました。今回挙げられている見解というのは、実は原型が平成10年につくられておりまして、まだこの時期にはPGT-Mと申します特定の遺伝子異常をお持ちの方に対する着床前診断と、それから、PGT-Aと申します流産を防ぐ、あるいは体外受精の成功率を上げるというものの区別が十分ついていない時代の見解でございました。
そこで、現在、この見解をその2つの目的に分けて、様々な方々の意見、あるいは倫理的な面も含めた意見を求めながら、学会で検討しているところでございます。この検討の結論、現在、パブリックコメントを求めておりまして、このパブリックコメントを12月までには取りまとめて、そして、理事会に上程し、その後、様々な見解の改定をしようというところでございます。これは迅速に行いたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
また、もう一点、命の選択にならないようにということで、これは私どもも十分気をつけてこの点については図りたいと思っております。PGT-A、ここに述べられております着床前診断は、やはり流産の確率を下げるというための方法だというふうにお考えいただきたいと思います。ですので、その点に関しても十分留意をしながら議論をしているところだというふうに御理解ください。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
○日本生殖医学会(大須賀)
よろしいでしょうか。
○小塩会長
お願いします。
○日本生殖医学会(大須賀)
今の点をもう一度だけ、非常に分かりにくいので皆さんに分かるように説明いたしますと、従来の着床前診断というのは、恐らく、遺伝病の予防ということで皆さんは御理解されているかと思います。今回、ここにありますPGT-Aというのは、その胚を戻すと流産してしまうような胚を選んで、そういった流産してしまうような胚を戻さないということです。その流産する胚のほとんどが染色体から来ていますので、その流産しやすい染色体異常を選んで、それは除外して戻すということです。流産してしまうものを戻すというのは、これはむしろ倫理的に悪ではないかという考え方もありまして、そういった観点からやっているのがPGT-Aです。ここには遺伝子診断、いわゆる遺伝病の人を早めに診断する遺伝子診断というのがPGT-Mといいます。ですから、今はPGT-MというのとPGT-Aというのが完全に分かれました。その分かれた部分を、これから日産婦のほうでもしっかりと見解を出していただく準備が今、十分整っているところでございます。
ということで、一応追加になりますのでよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、日本産婦人科医会の谷川原先生、不妊治療の保険適用の範囲についても幾つか、何人かの先生方から御質問がありましたけれども、追加のコメント等がございましたらよろしくお願いいたします。
○日本産婦人科医会(谷川原)
谷川原でございます。
日本の不妊治療に関しましては多くがクリニックを中心にして行われておりまして、そのクリニックごとにいろいろな工夫などを行って、今、高齢の患者さんに対しての成績を上げるような努力をしているわけですけれども、今回対象とならなかったような技術や薬品に関しまして4月以降使えなくなってしまいますと、それまでの受けていた治療が継続できないと患者さんにとっては非常に不利益になってしまうのかなと。そこを危惧しておりますし、そういうお薬とか技術を使いますと、先進医療にならなかった場合に私費診療になってしまいますので、そのときの助成がなくなった状態での私費になりますと大幅な負担増になってしまうと。そこは何らかの対策が必要だろうと考えております。
それから、情報の開示なのですけれども、やはり非常に、対象となる患者さんの割合ですとか、それから、個々の技術ごとにやはりしないと、その分母がどうなっているかによって見える数が全然違ってきますので、その辺の開示の方法をやはりある程度全国的に決めた上でやっていかないとなかなか難しいのかなと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、JISARTのフジモト先生に対しましても幾つか御質問をいただいております。今回、不妊治療を保険適用にするという方向に話が進んでいるわけですけれども、それについてどのようにお考えなのか。それから、いろいろな議論が出ておりますけれども、情報開示についてどのようにお考えなのか。この点についてお考えを伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○一般社団法人JISART(蔵本)
ありがとうございます。
基本的に我々は、現在行っている不妊治療、検査治療ですね。これを続けたい。それがとにもかくにも生殖医療の質を維持できる。そして、妊娠率を維持できるということであります。先ほども私、お話ししましたが、日本は世界でも特有というか、高齢者が多いので非常に難治性の方が多いので、通常の標準医療だけではやはり救われない方がかなりおられます。先ほどから医会の先生方、あるいは大須賀先生が言っておられましたが、そういう方々に関しては、今回、ちょっとどこまでが保険適用になるかは分かりませんが、これは自費になるのかもしれません。保険適用が決まりましたからには、できるだけいい保険制度になるように我々も本当に協力していきたいと思います。
そして、現在、新しい検査とか機械、あるいは治療ですね。これはエビデンスの蓄積がまだ少ないために、例えば、大須賀先生が先ほど申されましたが、ガイドラインに載っていない、収載していないものもあります。そういうものは、今後、可能なものに関してはエビデンスを蓄積して、いずれガイドラインのBとかAとかになれるように、あるいは保険収載になるように、1施設でもいいですから我々もみんなで協力して日本のレベルを上げるためにやっていきたいと思っております。
あと、その間、保険収載にならないものに関してはやはりどうしても自費診療ということになりますので、公的助成制度ではなくなるということでありますので、そこをどうにか補助していただきたいのです。だから、公的助成制度という今までの特定不妊治療助成制度、これがなくなるわけでありますが、何らかの形で国のほうで助成制度を維持していただいて、本当に難治性で悩んでいる方々を助けてあげていただきたいと思います。
次に、情報開示でありますが、これは現在は各施設が自己申告でやっているような感じでやっていまして、これはちょっとまずいのではないかと思っています。例えば、日本産科婦人科学会がずっと登録していますUMINの登録ですね。それとか、ほかのより客観的な方法によって情報開示するのがいいのではないかと思います。いろいろな知恵を出し合いながらやっていただければと思います。
ついでに言いますと、施設基準でありますが、現在は日本産科婦人科学会の要求に基づいて、定期的に今は助成制度がありますので、半分は地方自治体が資金を出しています。それで各地方の保健所が定期的に施設の実地審査に入りまして、日産婦の要求に基づいてチェックリストによって培養室とか手術場に入ってチェックして、本当にちゃんとやっているのかというのを見ていくわけです。最初ぐらいの書類審査ではやはりこれは見落とされる、質が落ちる可能性がありますので、引き続き何らかの形で実地審査に入っていただきたいと思います。それを切に望んでおります。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
先ほどお名前を間違えまして大変失礼いたしました。おわびいたします。
続きまして、NPO法人Fineの松本理事長にも御質問を幾つかいただいております。保険適用についてどのように考えるのか、その基本的な考え方。それから、メンタルケアについてどういうふうに考えるのか。その他幾つか御質問をいただいておりますが、御回答をよろしくお願いいたします。
○NPO法人Fine(松本)
御質問ありがとうございます。委員の皆様がすごく真剣にこの議論をしてくださっているのを拝見して、ちょっと胸が熱くなる思いです。私どもは18年間活動を行っておりますが、このような日が来ることは本当に夢にも思っておりませんでした。ありがとうございます。
まず、池端委員から御質問いただきました保険についての考えですが、国が不妊当事者、不妊患者の経済的な負担を考えてくださるということは本当にありがたいことで、私どもも驚いたことです。経済的なことで治療が受けたくても受けられないという患者がすごくたくさんいます。そうした方々に対して今度の保険適用というのは、間違いなく福音になると思っています。なので、とてもありがたいことです。
ただ、その一方で、今、谷川原先生、蔵本先生がお話しくださいましたように、私どもが今受けている治療というのは、本当に一人一人に沿って細かなオプションをつけてくださって受けている治療だと思っております。それが受けられなくなってしまうとなると、先ほども申し上げましたが、妊娠から遠のくような治療になってしまうのではないか。それは患者にとっては非常に悲しいことです。ですので、今受けている現行の治療がぜひ受けられるような御配慮をしていただけたら本当にありがたいと思っています。
そして、間宮委員から御質問いただきましたメンタルケアにつきましてですが、今、不妊治療の世界では医学的なカウンセラーさんと、それから、心理的なカウンセラーさんと、大別しますとその2つのカウンセラーさんがいらっしゃると思っています。その専門のカウンセラーさんが医療施設内にいらっしゃる施設と、いらっしゃらない施設があります。医療施設内で受けられて、身近にある専門のカウンセラーさんであればいいのですが、必ずしもその施設内にカウンセラーさんがいらっしゃらないところのほうがほとんどです。ですので、そうした専門のカウンセラーさんに、もう少し身近に、手が届くようなところにいていただけるような仕組みがまず一つ必要であること。
それから、院内と院外では料金が随分違ってくるということもあります。そうすると、患者としては治療費を出すことでもういっぱいいっぱいで、精神的なメンタルケアのほうにまではお金を回せないというのがほとんどの患者の実情なのです。そうしたときに、やはり保険の仕組みで何か整えていただけるようなことがあれば、もしよかったらそこを入れていただけるとすごくありがたいと思っています。
それから、永瀬委員からお話をいただきました仕事との両立です。参考資料まで見ていただいて本当にありがとうございます。本当に両立が難しくて退職をしてしまうという女性が、厚生労働省の調査だと23%もいるというのが実情です。これに何が必要かというと、まず、そもそもですけれども、社会の理解が大きく必要だと思っています。不妊や不妊治療というのがそんなに珍しいことではないのだということをまず御理解していただいて、人々の意識を少し変えていただくということが必要かと思っています。
それから、それに付随して、企業において不妊治療をするために仕事を休んだり早退とか遅刻をする必要があるのだなということを御理解いただくというのはすごく大事なことだと思っています。不妊治療はちょっと特殊な治療で、頻回な通院とか突発的な通院が発生してしまいます。そうしたことを御理解いただけないと、何でそんなにしょっちゅう休むの、何で急に休むのということで、職場での信用を失ってしまうのです。それで行き場所を失って、結局辞めざるを得なくなるという女性が4人に1人いるわけなので、それが本当に難しいことだなと思っています。社会の理解、企業の理解、それから、もし可能であれば、医療機関のほうでも工夫をしてくださっているところも既にあるのですが、ちょっと会社に行く前とか、それから、会社を出た後に通えるような診療時間をつくっていただけるような工夫も、もし可能であればしていただけたら非常にありがたいと思っています。
あと、御質問ではないのですが、末松委員が希望的に治療を受けられるように助成金も並行していきたいとおっしゃってくださったことが非常にありがたく、涙が出るような思いでした。本当にありがとうございます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
事務局にも御質問いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
○中田医療技術評価推進室長
事務局でございます。
先ほど中村委員から点数の水準について御質問がございましたが、今後の検討課題ということで、現時点では回答は困難でございます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに追加のコメント、御質問等はございますでしょうか。いかがでしょうか。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。また、各団体からお答えいただきましてありがとうございました。
ちょっと1点、事務局に確認なのですけれども、今、多くの団体の方がおっしゃっていた特定不妊治療として今、国費が投入されているものが保険適用になると、適用にならないものがあるという不安視をする声が多かったのですが、現状、その特定不妊治療というのは、特に今、例えば、学会での推奨A、B、Cではない、推奨になっていないものでも、特に全てが不妊治療という治療であれば現在は特定不妊治療として認められているが、今回、保険適用になってそれが標準治療になるとそれが外されるという、そういう懸念があるという御心配ということでよろしいのかどうかを事務局にちょっと確認したいのです。
○小塩会長
お願いします。
○山本子ども家庭局母子保健課長
母子保健課です。
現行の助成制度につきましては、治療の中身というのは特に見ておりませんで、どのような治療の流れ、治療の開始日から終了日までに採卵をしたのか移植をしたのかとか妊娠の確認をしたのかという領収書だけをつけていただきまして、医師の証明書も出していただいて、それでお金を支払っていらっしゃることが確認できればお支払いするという形になっておりますので、中身については特段そこまで、対象外に全くなっているようなものは対象外のものもありますが、基本的には全て、その一連の治療については対象となっております。
○池端委員
よく理解できました。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御質問はございますでしょうか。
関委員、お願いします。
○関委員
本日ヒアリングにいらしてくださった皆様、どうもありがとうございました。今日の御議論を伺って、議論全体の前提を共有する観点から、念のため事務局に3点確認させていただきたいと思います。
1点目ですが、不妊治療についてもほかの疾病と同様に、疾病に対する治療として位置づけると解釈してよいでしょうか。その際、保険適用によって治療の制限、強制されることがないように、そういった配慮をする必要があると思うのですけれども、幾つか資料が上がっている中で、中医協では不妊症をどのように定義して議論を進めていくのかを確認させてください。さらに、不妊治療もほかの疾病と同様に、有効性と安全性が保険適用の内容を決める際の判断基準となると理解してよいかということの再確認をお願いします。
2点目ですけれども、保険給付の対象者について、一般的には疾病の治療の有効性と安全性から決めていくのが基本であって、家族関係などの社会的背景を加味しないと考えてよいでしょうか。そうすると、不妊治療についても同様に考えてよいでしょうか。
3点目なのですが、保険外併用療養費とならない自由診療については、保険診療と組み合わせた一連の診療と判断された場合は混合診療となって全額自己負担となると理解してよいでしょうか。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
関委員から3点質問がございました。これについて事務局より回答をお願いいたします。
○中田医療技術評価推進室長
事務局でございます。
まず1点目の質問、疾病に対する治療としての位置づけの解釈の部分でございます。これにつきましては、昨年の医療保険部会におきましても、不妊治療を疾病に対する治療に位置づけることを前提に保険適用の議論を進めるべきとされたものと認識しております。また、今回の資料13ページにおきましても、日本産科婦人科学会の不妊症の定義、いわゆる「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある期間避妊すること無く性交渉をおこなっているのにもかかわらず、妊娠の成立を見ない場合を不妊といい、妊娠を希望し医学的治療を必要とする場合」という定義をお示ししており、患者の定義等についての御議論を今後いただきたいと考えております。
また、診療ガイドライン等から推奨度などの有効性・安全性に関する情報を整理して、資料で提示しております。こうした情報を基に御議論いただきたいと考えております。
また2点目の、家族関係などの社会的背景の加味をどのようにするのかという御質問でございますが、現行の診療報酬制度におきましては、患者に対する婚姻関係に係る算定要件を設けておりません。一般的に、不妊症を含め疾病と診断された患者に対しまして、有効な治療であれば保険適用の対象になることは基本であると考えておりますが、本日の資料でもお出ししておりますとおり、不妊症の定義、また、生殖補助医療法の現状などを踏まえつつ、引き続き御議論いただきたいと考えております。
また3点目、混合診療になった場合の全額自己負担については、御指摘のような場合につきましては、一般論といたしましては保険給付はされないものと認識しております。
以上でございます。
○小塩会長
よろしいでしょうか。
○関委員
はい。
○小塩会長
ほかに御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた多くの貴重な意見を踏まえて、さらに検討していただくようにお願いいたします。
関係団体の皆様におかれましては、本日、どうもありがとうございました。お礼申し上げます。
それでは、次の議題に移りますので、関係団体の皆様におかれましては御退室をお願いいたします。ありがとうございました。
(関係団体退室)
○小塩会長
それでは、残された時間で次の議題に移ります。リハビリテーションについて、事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、資料総-7-2、個別事項(その4)でございます。資料に沿いまして御説明をさせていただきます。
本日の個別事項は、リハビリテーションでございます。
まず、「疾患別リハビリテーションの適切な実施について」というところでございます。
3ページにリハビリテーションの役割分担、4ページに現在の回復期リハビリテーション病棟入院料のイメージを、28年の改定前と後という対比で載せています。
5ページですが、疾患別リハビリテーションに係る施設基準ということで、施設基準が載っているというものです。
6ページでございますが、脳血管リハビリテーション料(1)の場合ということで、発症日からのいわゆる点数のイメージというところでございます。発症した日から180日まではしっかり取れるということで、181日目以降ということで、いわゆる要介護・要支援の被保険者との比較で、あと、上のほうがいわゆるそれの除外ということで、治療継続により状態の改善が期待できると医学的に判断される場合は継続して取れるということになっております。
7ページがそれと同様、心大血管リハビリテーション料(1)の場合もこのような形になっていますという御紹介でございます。
8ページにつきましては、リハビリテーション実施計画書及びリハビリテーション総合実施計画書の中身でございます。これにつきまして、ここでありますように、当該リハビリテーション実施計画書の内容を説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付するというのが、リハビリテーションに係る留意事項ということにあります。
その中で、一番下になりますが、頻回の交付が必要となる場合等があり、そのような場合においては患者が署名できない状態であって、患者が遠方にいる等の理由により、計画書への署名が困難であるという指摘が上がっているということの御紹介でございます。
これらをまとめまして、9ページでございます。疾患別リハビリテーションについて、質の高いリハビリテーションを推進する観点から、その評価の在り方等について、どのように考えるのかということでございます。
次が10ページ、「摂食嚥下支援加算について」ということでございます。
11ページ、12ページということで、摂食嚥下支援加算の御説明をさせていただいております。
12ページの令和2年の診療報酬改定におきまして、多職種チームによる摂食嚥下リハビリテーションの評価ということに形を変えたという経緯がございます。
その上で11ページですけれども、チームを設置するという施設基準の下にということで、算定回数、届出施設数を右下の棒グラフと点で表しています。
13ページ、摂食・嚥下チームの介入による効果ということで、幾つか御紹介をさせていただいているというものです。接触・嚥下チームの介入による効果ということで、経口で摂取可能な患者の割合が増加したというもの。
そして、14ページも同様の効果の例ということで、入院中の白血球及びCRPの基準値以上の患者、肺炎患者等が有意に少ないというものがありますということの御紹介です。
15ページになります。「摂食嚥下支援の取組状況」ということで、左下のほうがこの支援加算を満たすことが難しい摂食嚥下加算の施設基準のほうをまとめさせていただいて、一番多かった「チームの設置」と選んだところの内訳というのを右側の棒グラフで表しています。
そして、摂食嚥下支援加算に係る適切な研修の御紹介を16ページでさせていただいております。日本看護協会の認定看護師教育課程ということで研修内容に含まれているというものです。
17ページが「摂食嚥下支援の取組状況」ということで、回復期リハビリテーション病棟の調査ということで、入棟時に経腸栄養であった患者のうち、退棟時に3食経口摂取が可能となり、経腸栄養から離脱できた患者は、当該加算の算定回数「0回」37.9%に対し、「1回以上」というのが63.2%あったという御紹介でございます。
18ページが、療養病棟入院基本料の構造の御説明でございます。医療区分とADL区分、これによりまして各点数が設定されているというものです。医療区分3のところの【疾患・状態】と【医療処置】、医療区分2についても同様のもの。こういったものを医療区分3とする、医療区分2とするというものの御紹介です。
19ページになりますが、医療区分3におきまして、1項目に該当している患者の該当項目というのがどれが多いかというところでございますが、中心静脈栄養が多かったという結果を示しております。
20ページですが、中心静脈栄養の患者についてということで、入院中の嚥下機能評価をしているかどうかの割合を、入院料別で示しております。
21ページが、リハビリの実施ということで、嚥下リハビリ及び脳血管疾患等リハビリの両方の分析でございます。
22ページが、「嚥下機能評価の有無別にみた、中心静脈カテーテル抜去の見込み」があるかなしかということの分析でございます。
23ページが、嚥下機能評価等の実施に係る連携ということで、病院連携や地域での連携、そういったところの御紹介になります。
そして、「摂食嚥下支援加算についての課題と論点」ということで、摂食嚥下支援加算について、多職種チームの設置に係る効果や、課題点等を踏まえつつ、中心静脈栄養や鼻腔栄養等を実施している患者の経口摂取回数に係る効果的な取組をさらに促進する観点から、要件等の在り方についてどのように考えるのかとさせていただいております。
25ページ以降が、「慢性維持透析患者のリハビリテーションについて」でございます。
26ページ、慢性透析患者数ということで、透析患者数の経年変化です。
27ページが、平均年齢の推移。
28ページのところですが、透析におきましての課題ということで、専門家の意見ということで、透析患者は寝ている時間が長いと。CKD患者における骨格筋減少の影響があるということが挙げられています。
29ページからが、透析患者における運動耐容能ということで、透析患者の運動耐容能はCOPDや心疾患患者と同程度に障害されているとの報告があるというものです。
30ページが「透析患者における運動について」ということで、左側に挙げておりますが、運動をしないことは左室肥大・低栄養と同程度に透析患者の生命予後に影響するという論文があるという御紹介です。
31ページが、透析患者における運動療法ということで、12週間の運動療法を行ったということの分析で、そこでいわゆる死亡率が低くなったというものです。
そして、32ページで具体的な運動療法の中身の御紹介でございます。
33ページですけれども、慢性維持透析患者に対して、血液透析中に運動療法を実施・指導されている場合があることを踏まえ、評価の在り方について、どのように考えるのかということでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明も踏まえまして、御意見がありましたらよろしくお願いいたします。
城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
それでは、事務局が御提案されました論点に沿ってコメントさせていただきたいと思います。
まず、9ページの疾患別リハビリテーションの適切な実施についてでありますが、質の高いリハビリの推進を進めていく観点から非常に重要ですが、それ以前に医学的に必要なリハビリについては医療保険の対象として確実に提供できる仕組みを守るということは大事であろうと思います。標準的な算定日数を超えた入院外の要介護または要支援の被保険者の方たちは、医療保険でのリハビリが受けられない、ないしはなかなか質のいいリハビリが受けられないという形で、そのデイサービスを利用するケースにおいても効果的なリハビリが継続できていない、いわゆるリハビリ難民とも昔言われていたことが生じているという話もやはり聞くことがございます。単位の制限があったとしても、医学的なリハビリが必要と判断されれば継続可能とすべきであろうと思います。
また、その実態把握ということに関しての取組につきましては理解はいたしますが、医学的に必要なリハビリをしっかり実施できるようにするという観点から検討を進めるということが必須であるということを重ねて申し上げておきたいと思います。
リハビリの実施計画書の署名欄についてでございますが、遠方でなくても来院できない御家族が非常に多いという現状もございます。そのような場合、通常、患者さんに口頭で説明し同意を得、御家族に電話で説明をし同意を得て、後日、御家族が来院された際に署名等をしていただくという対応が現実に多いのではなかろうかと理解しております。患者さんの病態に応じたリハビリを提供しようということになりますと頻回の交付が必要になるわけですけれども、この辺りは実態も見つつ簡素化するという方向を検討すべきであろうと考えます。
また、前回改定で実施計画書の大幅な変更がされましたが、計画書が大変重要な存在となってきております。記載項目が非常に多くて、疾患別リハビリでの評価以外の項目をルーチンに記載しなければならないということで現場で負担になっている実態がありますので、ここも今後の検討課題であろうと思います。
続きまして、24ページ。摂食嚥下支援加算についてですが、経口摂取が可能になって経腸栄養から離脱できるようになるということで、この加算の効果は大変大きいと理解をしております。摂食嚥下支援加算の取組の効果が有意差を持って示されていることからすれば、質を担保した上でもう少しこの取組を促進させるべきであろうと思います。療養病棟における嚥下機能評価等の取組も大変重要でして、特にVEやVFの実施が重要でありますことから、今回、耳鼻咽喉科のある医療機関との連携が提案されたというふうに受け止めておりますが、連携を促進させるという方法について、引き続き検討をいただきたいと思います。
最後ですが、3点目、33ページの慢性維持透析患者さんのリハビリでございますが、資料に提示されておりますように、透析患者への運動療法は様々な効果があるということが分かっております。また、腎臓リハビリテーションは確立されておりますが、現在の区分には当てはまりませんことから、新たな区分など適切な評価が必要であろうと考えます。ただし、あまり厳しい要件を設定しますと、せっかくのよい取組が普及せずに患者さんのためのものにもならない。これは摂食嚥下の項目でも同じであろうと思いますが、現場が取り組みやすい要件設定とする必要があろうと考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。私も論点に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、9ページのところですが、急性期からのリハビリ開始が現在求められていますけれども、こういう状態のときに患者さんの状態が不安定であったり、それから、在棟期間が短いような急性期の場合は、現在のこの書式の説明、署名というプロセスは非現実的だろうと考えております。城守委員がおっしゃったように、患者さんや御家族にきちんと説明して後からサインをいただくようなやり方に変えるほうが、やはり現実に即しているのではなかろうかと思います。
それから、24ページの摂食嚥下支援加算の話ですが、ここのところに関しては、看護師の研修要件の緩和があれば、もう少しこのチームとしての摂食嚥下支援というのが推進されるのではなかろうかと思います。普通のリハビリ病院ではなかなかこういうチームを形成するのは難しいというのが現状だと思います。
それから、療養病棟は回リハ病棟のように在棟期間が定まっていませんので、いつまで嚥下リハをやるのかといった問題があるかと思います。ここは池端先生に御意見を伺いたいと思っております。
それから、最後の透析のところのお話でございますが、33ページでございます。血液透析中にベッド上で実施するリハビリを、理学療法士ではなく看護師が担当している病院が結構あるという状況でございます。特に後者の場合は診療報酬上の評価がございませんので、こういったことでもきちんと患者さんに対してリハビリの効果があるということであるならば評価をすべきではなかろうかと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端先生、お願いします。
○池端委員
ありがとうございます。
まず、疾患別リハと透析の患者さんのリハに関しては、今、城守委員、島委員がおっしゃったとおりで賛同いたします。その上で、24ページの嚥下リハについて少し、今、島委員からも御指名がありましたので、意見を言わせていただきます。
まず、22ページで、中心静脈カテーテル抜去の見込みで、嚥下評価のあるなしが8%と3%と。よいかどうかは別として一定の差があるということです。
それから、その前の21ページでも、脳血管リハを含めた嚥下リハをやっている者が入院料1では30%以上あるということ。これと中心静脈栄養とを関連づけることに対して反対するものではありません。ただし、やはり現場の感覚からいうと、嚥下リハをしっかりやって抜けそうなものは抜くということで、可能性があるところに対してしっかりリハをやって、抜けるほうに行くということで、卵が先か鶏が先かという議論も一部あるのかなと思っています。やはり可能性があるものをしっかりリハをやって、明らかにもういろいろな脳血管障害等で嚥下が全く不可能だということで中心静脈栄養、あと、何らかの原因で胃瘻も入れられない状況の方が中心静脈栄養を受けて長期いるということは一定数ありますので、それについて今、島委員もおっしゃったように、ただアリバイづくりみたいにだらだら嚥下リハをやっていればいいということではないような気がしています。その辺は少し工夫が必要かと思っています。
ただし、いずれにしても、療養病床においてもこのチームを組んで嚥下評価をしながらしっかり嚥下リハ等を継続するということに対しては、しっかり取り組んでいきたいという立場ですので、少しでもそういう連携の下でそういう嚥下機能評価ができるような体制を認めていただけることには大賛成したいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
9ページのリハビリテーション実施計画書の署名について、患者が署名できずに、家族が遠方にいる場合、例えば、家族へのメールで確認していただき、そのやり取りで確認をして、当該メールを電磁的記録、あるいは紙媒体でも構わないのですけれども、そういったもので保存するといった方法を考えてもよいのではないかと思いました。
それから、24ページの摂食嚥下支援加算について、摂食嚥下支援チームの設置が難しいとありますが、この支援チームがあるからこそ摂食嚥下の改善につながるのではないかと考えます。加算の充実については理解できますが、支援チームの要件を緩和することについては疑問を感じます。もし、認定看護師といった要件を緩和するということになるのであれば、認定看護師とそうでない場合とでメリハリをつけるなど、相応の対応が必要ではないかと考えます。
それから、33ページですが、血液透析中に運動療法を実施・指導されているということですが、血液透析中に運動を行うことで、透析中以外に運動を行うこととの成果の差異等は示されているのかお伺いしたいと思います。また、透析中の運動に際してリスク等はないのかどうかも併せてお伺いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。質問いただきましたので、後で事務局より御回答いただきたいと思います。
続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、疾患別のリハビリテーションでございますけれども、6コマ目、7コマ目に、医師の判断で標準的算定日数の上限から除外された患者が181日を超えてリハビリテーションをした場合に実際に状態が改善しているかどうか、その辺のデータを取ることからまず始めていただいて、それを踏まえて除外要件というふうに進んだほうが、運用の適正化につながるものと考えます。
それと、実施計画書の署名の話でございますけれども、先ほど佐保委員からもありましたけれども、メール、さらにはファクス、いろいろなICTの手段が今はあるかと思いますので、それを全く考慮せずにただなしでというのは少しいかがなものかということで、やはり患者や家族の確認は必要だろうと考えます。
続きまして、摂食嚥下支援加算でございますけれども、まず、15ページでしたか。加算のついているところが少ないからということで、要件の安易な緩和については反対でございます。少なくとも医療の質が低下しないような担保がまず必要であるということです。そういう観点では、前回、アウトカムの評価が廃止されましたけれども、こうしたものを改めて設けるとか、そうした形で嚥下機能をしっかり評価していただくことが不可欠であるということでございます。
3つ目、慢性維持透析患者のリハビリテーションでございますけれども、透析患者の運動機能を維持する重要性については十分理解をいたしますけれども、透析というものを受けながら働いている患者さんもいらっしゃいます中で、透析中に、これは例示かもしれませんけれども、32コマ目にあるような運動を実施するだけで評価をつけるということには反対したいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
24ページの摂食嚥下支援加算についてでございますが、それに関しましては、摂食嚥下チームに歯科医療の専門職が関わっていくということは、その重要性については理解していただいているところではございます。連携を推進していっていただきたいとは思っております。ただ、歯科のない病院に関しましては、歯科専門職が関わっていくという機会がなかなか少のうございます。地域における歯科医療機関との連携ということに関しまして、含めて検討していっていただきたく思っております。そういったところにまた評価に結びつけていただければと思ってございます。
以上、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
リハビリテーション実施計画書への同意の署名なのですけれども、リハビリテーションを実施するときに説明と同意というのはやはり大事だと思うのです。患者がサインできない場合というのももちろんあるでしょうけれども、その家族が遠方にいてサインできないというのは、これは今どき、電子署名とかそういうのもあるので、佐保委員もおっしゃっていましたけれども、現状のIT機器を利用した何かの方法がないのかというのを探っていただきたいと思います。後から署名するとかというのもちょっと何か変な話なので、やはりリアルタイムに説明をして同意したのでサインしますというやり取りもある程度必要なのかなと思います。
それから、透析患者の運動療法です。これは質問なのですけれども、その透析をやっている間にそういう運動するということであれば、途中でいろいろ不測の事態も起きたり、運動のその方法ですよね。量とかその管理みたいなものというのをするために理学療法士がそこに介在するのかどうなのかというのをちょっと、そういうイメージなのかどうかというのをちょっとお聞きしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
今、1号側の委員の方から、特にリハビリに関してのアウトカム評価に関しての御意見をお聞きしておりまして、確かにこのアウトカム評価というのは重要であるということは理解しておりますが、このリハビリにおいてこの効果がなかなか出にくい患者さんであったり、また、効果的なリハビリをしないとその機能が逆に低下してしまうという患者さんも実際よくいらっしゃいますので、制度設計をするときにそうした患者さんへのリハビリが切り捨てられたりしないように制度設計をお願いしたいと思いますし、また、あまりアウトカム評価ばかりを言いますと、いわゆるクリームスキミングの問題も発生しかねませんので、その辺りの配慮もしていただきたいということが1点。
そして、この摂食嚥下のところにおいてのアウトカム評価、これも一定程度は必要であろうとは思いますが、御存じのように、平成26年に経口摂取の回復促進加算というものが創設されたときに、このアウトカム評価をかなり厳しい要件とした結果、この取組が進まなかったという経緯があって、それで要件を変えたという経過がございますので、そういうところをしっかりと踏まえた上でその要件を考えていただく、制度設計をしていただくということが必要であろうと思います。特にこの摂食嚥下の支援というものは、非常にその効果があるということが分かっておりますので、これをいかに促進させていけるのかということをポイントとして制度設計をお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、事務局から御回答をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、透析患者における運動療法で幾つか御質問いただきましたので、答えられる範囲でお答えさせていただきます。
32ページに、具体的な運動療法の内容というのを御紹介させていただいております。こういった形でやるということで、まず、リスクはあるのかということでございましたが、実際このようなプロトコルを作って、その中でしっかり管理するところは管理するという形でやるということで、リスクのほうは回避をしているというふうに聞いております。
また、ここでやる運動とほかでの運動ということもありましたけれども、今回のこの運動療法というのは、透析中横になっているという状態を続けると。その時間を使って、その間を使ってということでこういった運動療法を行った場合の効果ということの御紹介となっております。
また、この運動療法には理学療法士の方が必ず要るのかということでしたが、今、我々が聞いているのは、しっかりとこういったモニタリングができるスタッフであればいいということで、特に医療スタッフということではあるのですが、どういった方がということは明確には決まっていない、もしくはそれが必須ではないというふうに聞いております。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ほかに御意見等がないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日の総会はこれにて閉会といたします。
長時間どうもありがとうございました。
 


 
 

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