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2021年10月20日 中央社会保険医療協議会 総会 第491回議事録

○日時

令和3年10月20日(水)薬価専門部会終了後~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 中村洋委員 
安藤伸樹委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 松浦満晴委員 末松則子委員
松本吉郎委員 城守国斗委員 長島公之委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 半田一登専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○外来(その2)について


 
○小塩会長
それでは、ただいまより第491回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
最初に、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、全員が御出席です。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
今回は「外来(その2)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、事務局より資料総-1に沿って御説明をさせていただきます。
「外来(その2)」というところでございます。
まず、2ページに本日の項目を5つ挙げさせていただいております。
次のページから、1つ目の「外来医療の現状等について」の御説明とさせていただきます。
外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等に関する報告書ということで、医療計画の見直し等に関する検討会のほうで挙げられた、かかりつけ医の強化、役割、理解の推進、そういったところの取りまとめでございます。高齢化の進展により複数の慢性疾患を抱える高齢者が増加する中で、生活習慣病等に継続的・総合的に対応するかかりつけ医機能の重要性は高い。
「2.具体的方策・取組」といたしまして、かかりつけ医機能を強化することで、患者の流れをより円滑にしていく必要があるとなっております。
4ページ目になります。「『かかりつけ医』と『かかりつけ医機能』」ということで、日本医師会・四病院団体協議会合同提言ということで、平成25年に出されたものでございます。「かかりつけ医」とはという定義と、「かかりつけ医機能」というところでまとめていただいております。
「日医かかりつけ医機能研修制度」ということで、5ページ目、6ページ目と日本医師会でやられているかかりつけ医の研修制度の御説明でございます。5ページ目に目的と実施主体、6ページ目に研修内容をまとめさせていただいております。
7ページ目でございますが、冒頭、複数の慢性疾患を抱える高齢者という表現をさせていただいておりますが、「主な傷病の総患者数」ということで、高血圧性疾患、糖尿病、脂質異常症、心疾患、悪性新生物という順番に並んでいるというものでございます。後段で御説明をさせていただきますが、上位3つに関しては、地域包括診療料の対象疾患となっております。
8ページ目でございますが、先ほどの総患者数のところで4番目でありました心疾患、心不全については、患者数は今後増加していくという推計がなされているというものでございます。
9ページでございますが、健康日本21ということで、健康増進法に基づいた健康増進に関する基本的な方向性ということで、2で生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底というのも挙げられているというのが大きな現状でございます。
10ページ目からは予防接種の説明となります。A類疾病、B類疾病ということで、2つの系統にまとめられているものです。A類疾病は、1は人から人に伝染するということ、2はかかった場合の病状の程度が重篤というものでございます。B類疾病が、個人の発病またはその重症化を防止ということになっております。公的関与、費用負担、努力義務があるか、ないかについて、右側のほうにそれぞれまとめております。
それぞれの疾病がどうかということが11ページになります。A類疾病、B類疾病ということで、A類疾病はHib感染症から青いところ、B類疾病はインフルエンザ、高齢者の肺炎球菌となっております。
「高齢者に対する予防接種」として、インフルエンザと高齢者用肺炎球菌ということで、12ページにまとめさせていただいております。対象人口と実施人数の現状でございます。
13ページからは新型コロナウイルスになります。新型コロナワクチンの接種状況というところで、13ページにまとめさせていただいております。
14ページのほうで、新型コロナワクチン接種とかかりつけ医の関係ということでまとめさせていただいております。
こういった現状ということで、15ページ、16ページで7月7日に行われました中医協総会のほうで頂きました御意見をまとめているところでございます。
17ページから各論ということで、まず、17ページからは「2.かかりつけ医機能に係る評価」ということで、診療報酬上の評価があるものについてということで、それに関する資料をまとめさせていただいております。
18ページからになりますが、ここは成人のところですけれども、かかりつけ医に近いということで、地域包括診療料、地域包括診療加算という2つの既存の点数を挙げさせていただいております。
対象疾患につきましては、上から2つ目の行になりますが、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上ということになっております。
対象医療機関は、診療料のほうが許可病床が200床未満の病院または診療所、右側の加算のほうが診療所ということになっております。
患者に対して指導・服薬管理を行うということで、通院医療機関や処方薬を全て管理し、介護保険制度のところで主治医意見書の作成等を行う。あと、在宅医療の提供及び24時間の対応ということで、24時間の往診等の体制を確保していること等が挙げられております。
次の19ページになりますが「地域包括診療料・加算の算定・届出状況」でございます。折れ線グラフが診療所と病院の届出機関数で、棒グラフが算定回数となっております。
20ページは「地域包括診療料・加算を届け出ていない理由」ということで、上位から「施設基準の要件を満たすことが困難であるから」、2つ目が「外来患者に算定対象となる患者がいないから・少ないから」といったことが挙げられてございます。
21ページは「CKD(慢性腎臓病)について」挙げさせていただいております。CKDに対する治療におきましては、かかりつけ医と専門医療機関における連携が重要とされております。21ページは厚生労働省の腎疾患対策検討会のほうでまとめられたものということで、健診からかかりつけ医、腎臓専門医療機関との連携でどういったことをやっていくのかというものでございます。
22ページは「かかりつけ医におけるCKDの管理」ということで、日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン」でどういったところをかかりつけ医がやるかというところをまとめていただいております。
23ページは、冒頭で出しましたが、心不全につきましても、循環器病の医療提供体制については、急性期から回復期、慢性期のネットワークが重要ということでございます。
24ページが「かかりつけ医における心不全の管理」ということで「地域のかかりつけ医と多職種のための心不全診療ガイドブック」から抜き出させていただいております。
25ページは「地域包括診療料・加算の施設基準において満たすことが困難な要件」の状況ということでまとめさせていただいております。左の上から4つ目のところで「対象患者に対し院外処方を行う場合は24時間対応をしている薬局と連携していること」となっておりますが、ここが難しいということであります。
26ページは、先ほどの薬局との連携ということで「特定の機能を有する薬局の認定」というのが令和3年8月1日から始まっているという現状でございます。この中では、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局といったカテゴリーが示されているところでございます。
27ページに地域連携薬局の法律や基準を挙げさせていただいているところでございます。
ここまでが成人で、28ページから小児のほうになります。小児につきましては、この名前のとおり、小児かかりつけ診療料というのがかかりつけ医ということで挙げられているというものでございます。
29ページに行きますと、かかりつけ医機能に近いもので、小児かかりつけ診療料が右側にありますが、左側が小児科外来診療料というものでございます。小児科外来診療料に関しましては、対象疾患の3つ目のところですが、入院中の患者以外の患者(6歳未満の乳幼児)ということになっております。小児かかりつけ診療料については、当該保険医療機関を4回以上受診した未就学児となっているということでございます。
30ページが「小児に係る初再診料等の算定状況」ということで、初再診外来診療料(3歳未満)、3歳以上6歳未満、6歳以上15歳未満、乳幼児加算、小児科外来診療料、小児かかりつけ診療料の算定状況を挙げさせていただいております。
31ページは「小児かかりつけ診療料・小児科外来診療料の算定・届出状況」ということで、算定回数を棒グラフ、届出医療機関数を折れ線グラフで示しております。
32ページに「小児かかりつけ診療料の施設基準の届出を行っていない理由」というのを挙げさせていただいております。「時間外対応加算1または2に係る届出要件を満たせないから」というのが左の上から3つ目に入っているということでございます。右側にある最大の理由では、上から3段目に挙げさせていただいております。
33ページは「小児かかりつけ医機能を推進する上での課題」ということで「24時間対応を行うことが難しい・負担が大きい」ということが挙げられております。
34ページは「小児における、かかりつけ医に求める役割」ということで、患者調査のほうを挙げさせていただいております。一番上の「どんな病気でもまずは診療してくれる」といったところから、青で囲っておりますが「夜間や休日であっても、体調が悪くなった場合に連絡できる」「緊急時に受け入れるか、受診できる医療機関を紹介してくれる」といったことが求める役割ということで挙げられている。
それと併せて、その下になりますが「体調が悪くなった場合の対処方法について、あらかじめ助言や指導を行ってくれる」ということで、上のように救急時の期待をしているというのと併せて、かかりつけ医として、あらかじめの助言や指導を求めているという状況も出ているところでございます。
次に、36ページになります。今度は「3.医療機関間の連携に係る評価について」ということで、連携についての既存の点数とその説明をさせていただきます。
37ページは、まず「診療情報提供料(Ⅰ)」ということで、医療機関間の有機的連携の強化ということで、1から7で紹介するというところの情報提供機能の評価というのがございます。250点ということであるということです。
次に、38ページでございますけれども、これが診療情報提供料(Ⅲ)、150点ということで、対象患者1と3を見ていただくと、1は地域包括診療加算等を届け出ている医療機関から紹介された患者のリターンというか、答えという形でございます。3のほうが、地域包括診療加算等を届け出ている医療機関に紹介された患者、一緒なのですけれども、これは地域包括診療加算を届けているところから返すというものでございます。1が地域包括診療加算を届けている医療機関から紹介を受けた患者に対して返すとき、3が自らが地域包括診療加算を届けている医療機関であることという2つのパターンがあるというものでございます。
ちなみに、診療情報提供料(Ⅱ)を抜いておりますが、Ⅱはセカンドオピニオンということで、今回は割愛させていただいております。
39ページは「診療情報提供料に係る報酬の算定状況」ということで、これもⅠとⅢを挙げさせていただいております。
40ページは「医療機関間の連携の具体例」を挙げさせていただいております。左側のAが糖尿病の管理を行っている医療機関、Bが糖尿病網膜症の治療を行う専門的な医療機関ということであります。
診療情報提供料(Ⅰ)のほうは、AからBに紹介する場合はすべからく取れるということですが、BからAに行く場合は、下にまとめてありますが、B医療機関として算定できないケースということで、B医療機関において算定が可能であるのが右、できないのが左ということです。
できるほうからいきますと、右のほうでA医療機関がかかりつけ医機能に係る届出を行っていて、また、B医療機関が禁煙の施設基準を満たし、かつ、A医療機関の届出を把握しているという状況が必要になってきます。その下は、B医療機関がかかりつけ医機能に係る届出を行っており、かつ、禁煙の施設基準を満たしている場合ということでございます。
診療情報提供料(Ⅲ)のほうが算定できないケースもあるということで、B医療機関においてA医療機関の届出状況を把握していない・できない場合はこれが取れない。B医療機関はかかりつけ医機能でなく、専門医療機関としての役割を担っているため、かかりつけ医機能に係る届出を行っていない。こういった場合は取れないということになっております。
41ページは「診療情報提供料(Ⅲ)の算定状況の内訳」を挙げさせていただいております。
次は43ページになります。「4.生活習慣病に係る評価について」でございます。
先ほど御説明させていただきました地域包括診療料と、それよりも少し上位という位置づけになるかと思っておりますが、生活習慣病の診療の評価というのが44ページでございます。一番左が生活習慣病管理料、右側3つが糖尿病に関してということでございます。
ここでの特徴は算定要件のところで、療養計画書を作成することが左3つに求められているという特徴がございます。また、生活習慣病管理料につきましては、一番下の包括範囲のところで、投薬や注射が全て包括になっているというものでございます。
45ページが「生活習慣病にかかる評価の経緯」ということで、平成14年からの経緯を挙げさせていただいております。
46ページが「生活習慣病管理料の算定状況」となっております。
47ページを見ていただきますと、かかりつけ医機能と専門性の位置づけで、地域包括診療料、地域包括診療加算、生活習慣病管理料の関係のイメージ図を作らせていただきました。
48ページが「糖尿病患者の外来診療における算定状況」ということで、主傷病が糖尿病である外来患者について算定しているものを集計しているというものでございます。それぞれ初再診であったり、生活習慣病管理料であったりを挙げさせていただいているものです。
49ページは「生活習慣病管理料の算定について困難なもの」ということで、この算定が困難ということで、上に挙げさせていただいていますが、複数回答の場合の状況と、下が最も困難に感じることであります。自己負担額が上がることへの患者の理解が得にくい等がありますし、糖尿病又は高血圧症の管理方針を変更した場合に、その理由及び内容等を診療録に記録し、当該患者数を定期的に記録するというところがハードルになっていると答えられております。
50ページが「糖尿病患者の外来における調剤レセプト請求点数」でございます。先ほどありましたけれども、生活習慣病管理料のほうは糖尿病も対象になっておりまして、投薬のほうが包括になっている。ただ、見ていただきますように、それなりのばらつきがあるという状況でございます。
51ページは「生活習慣病の管理における多職種連携」ということで、高血圧症、糖尿病等において、多職種による療養指導の重要性についてガイドライン等で示されているということで、そこを抜き出させていただいております。
53ページからは「5.耳鼻咽喉科診療の評価について」ということで挙げさせていただいております。
54ページは「外来における耳鼻咽喉科領域の患者数」ということで、どういった疾患で医療機関の外来を受診したかという推計患者数でございます。
55ページは「耳鼻咽喉科における、領域別の処置の算定回数」ということで、耳、鼻、咽喉領域と分けて挙げさせていただいております。
56ページは「耳鼻咽喉科外来における標準的な診療」ということでございます。左側の耳鼻咽喉科の領域のところでございますが、全てかなり近いところにあるということで、機能的に密接していて、いろいろ処置が重なっているというものでございます。
57ページで挙げさせていただいていますが、左上のほうは、耳処置を実施している場合に、ほかの耳鼻咽喉科の処置を実施しているかということで、鼻領域、口腔咽頭領域でどうかということ。右上は鼻処置を実施している場合、一番下が口腔、咽頭処置を実施している場合ということで、それぞれほかの部位も含めてどういった処置がされているかというものをまとめたものでございます。
58ページからは抗菌薬の適正使用というお話をさせていただいております。
ここでは小児抗菌薬適正使用支援加算というものがあります。これにつきましては、一番上にありますように、小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料において、抗菌薬の適正使用に関する患者・家族の理解向上に資する診療を評価する加算ということで、平成30年に新設されているものでございます。ですので、小児科で算定されるというものでございます。
59ページを見ていただきますと、内服抗菌薬の処方が小児科と並んで耳鼻咽喉科で多く、超広域抗菌薬の処方が少なくないという現状を挙げさせていただいております。
60ページでありますが、内服抗菌薬の処方は1歳から5歳、特に1歳台に多いという現状も示させていただいております。
61ページは「耳鼻咽喉科領域の疾患における抗菌薬の使用」ということで、抗菌薬非投与がガイドラインで推奨されている状況もあるというものでございます。こういった現状と診療報酬上の評価、その状況を踏まえてということでございます。
64ページは「外来医療についての論点」です。
【かかりつけ医機能について】は「かかりつけ医機能の強化等を推進し」というところから始まりまして、慢性腎臓病や心不全の管理においてかかりつけ医が役割を果たすことが求められていることを踏まえ、地域包括診療料・加算の評価の在り方について、どのように考えるか。また、予防接種法のB類疾病としてインフルエンザや肺炎球菌が含まれているが、基礎疾患等を踏まえた予防接種の相談への対応の必要性を踏まえ、かかりつけ医機能を強化する観点から、診療報酬において、どのように考えるか。
2つ目が【小児におけるかかりつけ医機能について】ということで、小児のかかりつけ医においては、体調が悪くなった場合の対処方法についてあらかじめ助言や指導を行うことがより求められている実態や、医療機関にとっては24時間対応を行うことが難しい・負担が大きいという実態もあるということで、小児のかかりつけ医機能に係る評価をどのように考えるかということ。
【医療機関間の連携について】ということで、診療情報提供料(Ⅲ)を算定するに当たって、他の医療機関の施設基準の届出状況の把握が難しい場合は取れないということでございますが、どのように考えるのかということ。
【生活習慣病管理について】は、生活習慣病管理料の評価の在り方をどのように考えるのか。
【耳鼻咽喉科診療について】は、領域横断的に、複数の処置が組み合わされて実施されている実態があることを踏まえ、評価をどのようにするのか。また、抗菌薬の適正使用を推進することが重要な領域だということを踏まえて、評価の在り方をどのように考えるかということかと思っております。
事務局から準備させていただきました資料は、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明も踏まえて、御意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。
それでは、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
それでは、64ページの論点に沿って、コメントをさせていただきたいと思います。
まずは、かかりつけ医機能に係る評価についてですが、高齢化によって心臓弁膜症や心筋症などの心不全が増加しておりまして、そのほかにも慢性腎臓病や高尿酸血症や逆流性食道炎なども年々増加しているという状態でございますが、これらは生活習慣に関連する疾患であり、長期予後との関連性も指摘されておりますことから、まさにかかりつけ医が継続的・総合的に診療する必要性が高い疾患と言えようと思います。
かかりつけ医が専門医と連携して行う治療や、増悪の予防の管理が必要な慢性腎臓病、心不全について、地域包括診療料や加算の対象疾患に追加するという方向性には賛同いたします。
その上で、現行の対象疾患のうち2つ以上の疾病を有する患者を対象とすることや、また、研修要件については、引き続き維持していただくことが必要だと考えております。
さらに、かかりつけ医は、通常診療の中で予防接種の相談は既に行っていることでございますので、かかりつけ医機能の要件として、予防接種の相談対応を追加してよいと考えます。
続きまして、小児におけるかかりつけ医機能についてですが、資料に示されているとおり、小児かかりつけ診療料の算定が進まない原因の一つに、24時間対応を含めた時間外の対応があることは確かでございます。実際、医師が1人の通常の小児科診療所において、月1回以上も在宅当番医制等に参加をして、休日や夜間の診療を実施しながら、さらに24時間の対応を求められるということは、体力的にもほぼ不可能でございます。
しかしながら、日常診療において、そうした先生方がかかりつけ医として患者さんに接し、また、その機能を果たしているわけでございますので、今回の提案にありますとおり、時間外の対応についての要件は、今回の検証・調査でも明らかになったことなども踏まえまして、もう少し現場の先生方の対応の実態も加味していくべきだと考えております。
次に、医療機関間の連携に係る評価についてですが、前回改定で診療情報提供料(Ⅲ)が創設されたときに、紹介元の医療機関が情報提供する際に、かかりつけ医機能に関連する項目の届出状況を記載する様式が作られましたが、紹介元の医療機関としては、紹介先が診療情報提供料(Ⅲ)を算定するのかどうかが分からず、新様式を使わない可能性もあるなど、まだまだその情報提供料(Ⅲ)を算定するための環境が整っていないということが示唆されております。
そこで、本日の資料に示されたように、糖尿病網膜症の治療を行う医療機関であるなど、診療情報提供料(Ⅲ)を請求する医療機関に一定の理由があれば、それに基づいて診療情報提供料(Ⅲ)が算定できるような仕組みに手直しすべきであろうと考えます。
続きまして、生活習慣病管理料に係る評価についてです。
44ページにありますとおり、他の生活習慣病の診療の評価では、管理方針を変更した患者数の定期的な記録は求められておらず、この情報の利活用の仕組みも明確にはなっていないということがございます。
また、一方で、平成30年度改定で保険者から特定保健指導を行う目的で情報提供の求めがあるときの対応等も要件化されておりまして、算定要件が煩雑になってきておりますことから、この要件はもう少し簡素化してはどうかと考えております。
最後の耳鼻咽喉科診療の評価についてです。
定型的に複数の処置が組み合わされて実施されている実態を踏まえた上で、耳や鼻、咽頭といったおのおのの領域であったり、領域横断的に行われることが多い処置の組合せの評価の在り方について、どのように考えるかということでございますが、個々の処置料は、これまでの長い積み重ねの中で技術の評価が行われてきた医師の確たる技術料でございますことから、これらの処置は、簡素化の観点から包括化するということも考えられますが、医療の個別性からすれば、典型的な組合せでは済まない場合も当然考えられますので、臨床実態に応じた形となるような仕組みであるべきと考えます。
また、後段ですが、小児の患者さんが一定割合を占める耳鼻咽喉科領域でも、抗菌薬の適正使用が求められていることは以前から指摘されていたことでございますので、抗菌薬の適正使用に関する患者さんや家族の理解向上に資する診療を評価する加算である小児抗菌薬適正使用支援加算を、小児かかりつけ診療料や小児科外来診療料を算定しない耳鼻科領域でも算定できるようにすることでよいと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
では、関連して、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
松本です。ありがとうございます。
私からも、論点に沿いまして少し話をさせていただきます。
まず、論点の2番目の小児におけるかかりつけ医機能についてですが、先ほど城守委員からも話がありましたけれども、この施設基準の届出を行っていない理由としては、32ページと33ページに書いてあるとおりなのですが、このうち、やはり夜間対応ということであれば、地域包括診療加算の要件として時間外対応加算の1、2、または3の届出となっていることと平仄を合わせれば、小児かかりつけ診療料の施設基準につきましても、時間外対応加算の1または2だけではなくて、3の届出まで含めるようにすべきだと考えます。これが小児科医の負担を少しでも減らすことになろうかと思います。質は落ちないと思います。
3番目の医療機関間の連携についてですが、前回改定で診療情報提供料(Ⅲ)にまで広がりましたけれども、これは実際に行ってみますと、39ページにありますとおり、産科医療機関からの紹介、あるいは産科医療機関に紹介された患者さんということになっていまして、ここのところの活用は現場では非常に役立っております。患者さんに対しても診療の質が非常に上がっているように思います。このように非常に分かりやすい形で医療機関を示して、連携を広げていくように、ここのところはさらに活用を広げていってはどうかと思います。
5番目の耳鼻咽喉科診療についてですが、処置の組合せを検討することは、それはそれでよいことだと思いますけれども、耳鼻科領域における処置につきましては、常に感染の危機を伴って診療を行っております。このコロナ禍の中でも非常に苦労されている部分であります。
この処置の点数はそもそも技術評価が見合っていないということが基本的にあろうかと思いますので、組合せを考えるにしても、基本的な評価を引き上げた上でのことだろうと思っております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
島委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。私も論点に沿って意見を述べさせていただきます。
最初のかかりつけ医機能の強化に関しては、城守委員の御意見に全く賛同いたします。
次の小児におけるかかりつけ医機能についてでございますが、28ページにありますように、小児かかりつけ診療料の説明の中に、適切な専門医療機関等と連携することによりということで、24時間対応できちんと小児の患者さんたちを診療できることが構築されている地域に関しては、親御さんたちも安心できると思いますが、そうではないところに対してどのように対応するかといったことを真剣に考えなくてはいけないのではなかろうかと思います。
医療機関間の連携についてでございますが、松本委員もお話しされたように、新しく作った診療情報提供料(Ⅲ)が思ったほど活用されていないということを考えると、やはり患者さんの情報共有という視点から、今までの診療情報提供料(Ⅰ)ということで、医療機関、それから、実際、これを提供する相手を医療機関以外のいろいろなところにも増やしたところですが、受け取った側の医療機関がどのように対応していきますということをきちんと表現できるよう、診療情報提供料(Ⅲ)の活用をもっと広げるべきだろうと思います。
生活習慣病の管理についてでございますが、管理方針の変更の理由及び内容を診療録に記載するというのは、これはもう当たり前の必須の内容でございますが、ここでも説明があったように、多職種連携を行うことで質の高い医療を提供することができるようになりますので、そういう体制を組むことで、医療費の中の薬剤費とか、合併症によるいろいろな余分な治療とか、そういったものを予防することによって、トータルの医療費を軽減することが可能だろうと考えております。したがって、これに関する評価はもっと高めていいのではなかろうかと考えております。
最後の耳鼻咽喉科領域に関しましては、2号側の先生たちの御意見どおりだろうと思いますが、58ページにありますように、過去に小児抗菌薬適正使用支援加算というのを新たに作った中で、このように意味のない抗菌薬を使うことで耐性菌を増やさない、増やしてしまうことを避けるという考え方を普及・啓発した上で、国を挙げて耐性菌は増やさないという努力が必要だろうと考えます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
まず、今回の外来の論点の中心は、診療報酬上のかかりつけ医の在り方であると考えております。資料64ページの論点でもかかりつけ医に関する論点は含まれておりますが、既存の枠組みを前提とした論点となっているように見えます。
既存枠組みのブラッシュアップを否定するわけではございませんが、前回の外来の議論でも述べましたとおり、かかりつけ医の在り方をいま一度整理するとともに、かかりつけ医機能が果たされることによる患者側のメリットを明確化し、それに見合った評価をしていくべきであると考えております。
このため、かかりつけ医につきましては、制度の枠組みの在り方を含めた議論が必要であると考えています。論点に沿った意見ではございませんが、まずは、その点を改めて強調させていただきたいと思います。
その前提で64ページに挙げていただいている各論点について申し上げれば、かかりつけ医機能と小児におけるかかりつけ機能の論点につきましては、24時間対応可能な薬局との連携や24時間対応を満たすことが困難な要件として挙げられております。地域で連携して、必要な対応を行っていただける体制を整えるような要件の在り方を検討してはどうかと考えております。
医療機関間の連携の論点につきましては、他の医療機関の施設基準の届出状況の把握に課題があると思われることから、例えば、診療情報提供料(Ⅰ)での提供の際には、自医療機関の届出状況も併せて伝えることとするなど、仕組みとして他医療機関の状況把握、ひいては医療機関間の連携を促すような工夫ができる余地はないか検討してはどうかと考えております。
最後に、耳鼻咽喉科の診療の論点につきましては、これまで特に議論されていない論点でもあり、より詳細なデータ、エビデンスも含め、さらなる議論が必要であると考えております。
また、抗菌薬の適正使用の推進につきまして、方向性はそのとおりであると思いますが、評価の在り方については、慎重に検討していく必要があると考えております。
また、1点、本日の資料に関しての質問ですが、6ページに医師会の方たちが研修を実施していると記載されております。すばらしいと思っております。質問ですが、この研修を修了された方が医師会の会員の方で何名いらっしゃり、会員の中の何%になるのかということが分かれば、教えていただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
御質問いただきましたけれども、後でまとめて事務局から回答していただくことにいたします。
それでは、末松委員、お願いいたします。
○末松委員
ありがとうございます。私も安藤委員と同意見というところで申し上げさせていただきたいと思います。
64ページの論点のかかりつけ医機能についてのところでございますが、やはりかかりつけ医機能の評価の再構築に当たって、かかりつけ医及びかかりつけ医機能の定義を患者の目線で再検討すべきと考えております。
それぞれの定義は平成25年の日本医師会及び四病院団体協議会会合合同提言でも挙げられておりますが、令和2年12月の医療計画の見直し等に関する検討会の報告書に「かかりつけ医を持つことのメリットを国民に周知し、かかりつけ医機能に係る国民の理解を求める」とあります。
かかりつけ医機能に係る診療報酬については、対象となります疾病や年齢が限定されており、今回のその2の論点にもさらなる改善のための案が出されておりますが、今回のこのコロナ禍において、かかりつけ医とは何か、自分にとってかかりつけ医とはどこかと悩んだ方は全年齢、全国民であったと思っております。
コロナワクチンの接種のケースにおいて、かかりつけ医に焦点が当たったものの、自分にとってここがかかりつけ医だと思っていたところが、実はそうではなかったという例も少なくなかったと思っております。実際にはワクチン接種をしていただけなかったというケースも出てきております。
人が生きていく人生のステージにおいては、年齢、疾病によってかかりつけ医は変化する部分もあると考えておりまして、幅広い診療科を持つ医療機関と専門的な医療機関が連携する中で、患者にとってどのようにマッチングしていくことができるかが重要と考えております。
それらを含めて、患者にとってかかりつけ医とは何かを明確にすることができるように、ぜひ再検討をお願いしたいと思います。患者目線でのかかりつけ医の定義が明確になれば、それを機能させるために算定する診療報酬の在り方の道筋が見えてくると思っております。
地方の外来医療の状況として、地域によってはかかりつけ医機能を主に担う診療所の年間開設数が減少しておりまして、併せて診療所の医師の高齢化が進んでいるところもございます。
そのような背景を踏まえ、患者にとって病院・診療所などの医療機関が持つ機能や連携関係を明確にし、かかりつけ医機能が患者自身にとってどのような効果をもたらすかを見える化することが、かかりつけ医体制の促進と地域医療構想の実現につながるのではないかと考えております。よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。私からも、論点に沿ってかかりつけ医機能と小児におけるかかりつけ医機能について発言したいと思います。
かかりつけ医機能の強化等を推進することは、患者、被保険者が安心して相談したり、診療を受けたりするために重要であると考えます。しかし、かかりつけ医とはどんな医療機関で、どんな条件をクリアした医療機関が名乗られているのかといったことについて、多くの国民が理解できていないのではないかと考えます。かかりつけ医とはという点について、さらに明確化すべきではないかと考えております。
小児かかりつけ医機能の24時間対応について、難しい、困難だという実態は理解いたします。一方で、時間外対応加算2や、休日または夜間の診療を月1回以上実施するといった条件そのものについて、ハードルが高いのだろうということも考えております。
条件が難しい、困難だという点については、地域での小児科診療が少なく、小児かかりつけ診療料を算定するに当たって、休日または夜間の診療を相当日数やらないといけないといった実態があるのではないかと考えております。
例えば、24時間対応できる小児科がある医療機関との連携といった条件を設ける等、一定程度要件を緩和し、小児かかりつけ医の拡大を図り、子供がいる家庭の安心を支えることが必要ではないかと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。私も論点に沿って幾つかお話をさせていただきたいと思います。
まず、各委員がおっしゃったかかりつけ医に関してですが、もう一度再構築すべきだとか、考え直さなければいけないという御意見もあったかと思いますけれども、そもそもかかりつけ医というのは、戦後間もなくから始まったいわゆるかかりつけとしていた機能というのは、特に地方では十分構築されていたのです。家族丸ごと診るということが当たり前の時代がずっと続いてきました。
ただ、それを制度化しようというところで、いろいろな文書を交わしたり、いろいろな加算とか、そういう基準を取ろうと思うと、その中で「24時間」という言葉が出てきた途端にかなり足を引いてしまう医療機関、医師が多いことは確かかと思います。
というのは、24時間365日対応というだけで、文章化すると、どんなときでも必ず対応しなければいけない、診なければいけないということで、それは無理だから、でも、実際は9割とか9割5分とほとんどの対応をしていて、たまたまその日だけ対応できないこともあり得るということでも、そういうことでは取れないと思ってしまっている先生方が非常に多いのは現場から聞いています。
ですから、もちろん原則24時間ですが、小児医療に対してあったように、少し緩和する形で、24時間対応がどうしてもできない場合は、どこかと連携してということも項目に入れるとか、そういったことで緩和することによって、かかりつけ医の100・0の対応をするか、しないか、24時間するか、しないかではなくて、そういうことも考えていただけるような制度設計にすると、もう少しかかりつけ医機能が進んでくるのではないかという気がしていますので、その辺は意見ですけれども、お話しさせていただきました。
例えば、地域では、私は福井なのですけれども、福井でも小児では「#8000」を夜間・休日は利用して、基幹病院同士も小児の休日・夜間は集約化して、お互いの負担を減らそうという地域医療構想上の取組も始まっていますので、その辺とうまく連携しながら、小児科医が潰れないようにして進めていくということも必要ではないかということを感じましたので、言わせていただきました。
医療機関の連携では、これは島委員も先ほどおっしゃったように、まさしくこれからさらにここを進めていかなければいけない。今まで情報提供しようというと、患者さんを渡す、渡さない、紹介してあとはよろしくというところの情報提供書というイメージがあったかと思います。
これからは専門医とかかりつけ医が大きな一つの疾患、例えば、糖尿病なら糖尿病のふだんの治療はかかりつけ医がやって、大きな合併症を起こしたり、網膜症を起こした場合には、専門医と連携しながらということで伴走しながら進んでいく。こういう機能が在宅などでも非常に重要だと思います。
そういう意味では、診療情報提供料(Ⅲ)をもっと取りやすくして、伴走することもありですよということを皆さんが理解できるような形、これは今、生活習慣病についての例が出ていましたが、例えば、がんなどの治療でも同じだと思いますし、在宅でも同じようなことがあるのではないかと感じています。
いずれにしても、そういう方法で病診連携、病病連携をさらに進める意味では、診療情報提供料(Ⅲ)の基準等について見直すということは、非常に有効ではないかと私は思っています。
あとに関しては、城守委員、松本委員、島委員がそれぞれおっしゃったことに全く賛同させていただきます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
まずは、論点についての意見なのですが、1番目のかかりつけ医機能についてなのですが、CKDや心不全の患者をかかりつけ医が管理するという必要性は理解できるのですが、地域包括診療料の対象疾患として追加すべきかということについては、改めて慎重に判断したいと思います。
ワクチン接種の相談についても出されているのですが、これは地域包括診療料の要件として目出しするということを考えているのか、これは事務局のほうに後でお伺いしたいと思います。
それから、先ほどから話題になっております24時間対応薬局との連携については、必要だと思っているのですが、実態として、薬剤師による時間外とか休日の服薬管理が適切にできる運用がなされているのであれば、その方法については、いろいろ選択肢があるのではないかと思っています。
小児も同様であります。小児の時間外対応についても、医療機関の負担に配慮して、34こま目にありますとおり、患者の3割程度は夜間・休日対応のニーズがあるということなので、実態として対応していただけるような仕組みが必要で、時間外対応3を加えるかどうかというのは検討の余地はあると思うのですが、実態として夜間・休日も対応できるということがあれば、それはそれでいいのではないかと思います。
情報提供料(Ⅲ)の在り方なのですが、これは40ページの下の算定できないケースに、元となるところの届出状況を把握していない、あるいは専門医であるということなのですが、必ずしもこれはかかりつけ医機能ではなくて、専門医であってもこれを取ることはいいのではないかと思うのですけれども、やはり提供元の届出状況を把握するということは必要なのではないかなと思います。
その次の論点の生活習慣病管理料なのですが、要件緩和と包括範囲の見直しと点数設計が意図されていると見てとれるのですが、包括範囲を外出しにされても、取ったとして患者の負担が増えるような設計だけはあってはならないということは申し上げておきたいと思います。
最後の耳鼻咽喉科診療料については、特定の領域を持ち出して議論していくということについては、ちょっと違和感があります。単に耳、鼻、喉と幅広い処置が行われているから、全体として評価してはどうかという提案なのですが、ちょっとエビデンスが少な過ぎると思います。
複数の処置の組合せがどういう状況になっているのか、あるいは標準化がどの程度進んでいるのか、組み合わせた場合に1件当たりのレセプト点数がどういう状況になっているのか、そういうエビデンスも出していただいて、包括化ということにするのであれば、そういった議論をしていく必要があるのではないかと思います。これはエビデンスがちょっと少な過ぎるというところです。
論点については以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
ありがとうございます。私からは2点ほど。
先ほどから多くの委員から、かかりつけ医機能についての再構築について意見が述べられておりますけれども、この件については、私も賛同したいと思っております。
患者にとって安心・安全で質の高い外来医療の提供を実現するために、今後どうしていくかということですが、現在のコロナ禍において、かかりつけ医がどう関わり、どのように機能したのか検証する必要があると思いますが、多くの国民がかかりつけ医に関心を持って、必要を感じたのではないかと思います。
これからは医療を必要としている全ての患者が、まずかかりつけ医を持っているべきだと思うように、また、持つことができるようにすべきだと思います。そのためにも患者目線に立って、全ての年代でかかりつけ医を持つことを勧められるような評価制度を再検討していくべきではないかと思っております。
もう一点は医療機関間の連携についてですが、現在は情報提供料(Ⅲ)を算定しようとする医療機関が、専門医療機関としての役割を担って、かかりつけ医機能に係る届出を行っていない場合等については、情報提供料(Ⅲ)は算定できませんが、紹介元の医療機関からの求めに応じて情報提供した場合に、情報提供したことを評価するわけですから、情報提供を行った当該医療機関がかかりつけ医機能に係る届出を行っていない場合でも、一定の条件は必要だと思いますけれども、条件については、算定できるように緩和を行ってはどうかと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
私からも、かかりつけ医のことで、論点には則していないのですけれども、やはりかかりつけ医を制度化して、役割とか機能を明確にすべきだと思うのです。近所だからとか、通い慣れているからとか、病院を紹介してもらえるからという曖昧な状態だと、やはり患者の真の安心・安全というのは担保できないのではないかなと思うのです。
今般の新型コロナ感染症の状態の中で、医療を受ける側と提供する側で、かかりつけ医に対する認識のずれが大分あるということが露呈したのではないかなと思うのです。もしくはその認識自体が何か変わったのかもしれない、ずれが大きくなったのではないかと思うのです。
コロナが拡大していく中で、ちょっとした予兆を感じただけで病院に行かないようにとアナウンスされたり、そんな中で、持病のある人とか妊婦さんはその限りではないとしていた割には、対応が遅れてしまって重篤な状態になってしまったり、亡くなってしまったりしたケースもありました。その当時はかかりつけ医から検査の依頼すらできない場面もあったと聞いています。
そういう対応ができていない中で、ワクチン接種の状況などでも、かかりつけ医だから予約をしてみようと思って電話を入れたら、あなたはこの病院のかかりつけではないですよと言われて、通っているのになぜと思った方は結構いるのです。私の身内にもいます。これはかかりつけ医だけの話ではなくて、かかりつけ患者とは何かという話だと思うのです。
ある医療機関のホームページなどでは、かかりつけ患者さんとは何かというのを書いてあって、それは慢性疾患で定期的に当院に受診していて薬を服用している方とか、定期的に採血などの検査のために当院に来院されている方と。それはもう慢性疾患がある人ではないかという話で、子供の頃からそこの病院に通っていたとしても、それはかかりつけ患者として認められないという非常におかしな話になっているわけですよね。
かかりつけ医だと思って何かあったときに通院しているのにもかかわらず、コロナとか、そういうことになると、あなたは違いますよと言われるのは、はしごを外されてしまっているということになりますので、やはりおかしい話だと思います。断られるとか、そういうことがないように、これはやはり制度化してきちんと情報を公開して、患者がここをかかりつけ医として頼りにしようという状態になるようにしていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
これまでに支払側委員から述べられたかかりつけ医機能に関する問題意識については、私も共有をしているところでございます。国民が安心できる環境整備の観点を踏まえながら、かかりつけ医機能の在り方を、診療報酬も含めて検討していくということが重要であろうかと思っております。○小塩会長
ありがとうございました。
幸野委員、追加の御意見、御質問があると思います。よろしくお願いいたします。
○幸野委員
今、支払側の委員全員がおっしゃったことを事務局はどう受け止められているのでしょうかというところなのですが、またまとめて私が言わせていただきますと、今回、提案が出されているのですが、支払側がおっしゃっているのは、事務局の出してきている論点が違うのではないかということです。こういったパーツ、パーツの議論でかかりつけ医を増やしていく。そういう議論をする前に、もっと大きな議論があるのではないかということを皆さんはおっしゃっているわけです。
国民みんながかかりつけ医を持つように、今、診療報酬上で何が問題で、どういうところを直していかなければいけないのか。そういった議論をしていくべきだということを皆さんはおっしゃったわけです。
これに対して後でお聞きしたいと思いますが、特に今、コロナ禍の中で国民の受療行動の変化が起きまして、かかりつけ医への関心とか期待というのが非常に高まっています。ワクチン接種でかかりつけ医がどうなのかということについても、非常に混乱が生じているという状況もあります。
今回、論点として出されているのは、そんなことには触れずに、今ある診療報酬の評価のパーツを見直して、要件を緩和したり、対象を拡大したりというパーツのメンテナンスみたいなことに終始しているのですが、もっと大きな課題があるのではないか。そこを中医協でしっかりと議論すべきではないかということを皆さんはおっしゃられたわけなのです。
今回の提案は、それはそれで議論しなければいけないのですが、それ以外にも、かかりつけ医を評価した機能が、国民がかかりつけ医を持てるような環境を作っているかというと、必ずしもそうではないということがあります。
算定状況とかを見ても全く算定されていないし、あるいは同じような計画的な管理をする診療報酬が併算定されているという状況も把握できております。そういった問題点を洗い出して、本当にかかりつけ医を持つために診療報酬でどう対応していくのか。そういった議論が必要で、診療情報提供料(Ⅲ)を取るための要件をどうするかというのは後の議論でいいと思うのです。そういった大きな議論をやった上で、かかりつけ医を持つような環境を作るということが必要だと思います。
ここで検討していくのは、再構築という意見も結構出ましたが、今までつけられてきた診療報酬上のかかりつけ医が本当にこれでいいのかということをもう一回検証して、場合によれば、真に医療全般のゲートキーパーとか、コーディネーターになるような、国民全員が持てるようなかかりつけ医の評価を新設するということも含めて、現行の診療報酬上の問題点を出し合って、それを是正していくということが必要であって、パーツ、パーツの見直しを議論するのはその後だと思っています。
それに対して、事務局の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○小塩会長
今、幸野委員から、かかりつけ医についての事務局の意見を聴かせていただきたいという御要望がありましたが、これは後でまとめて回答していただきたいと思います。
城守委員、お手が挙がっております。よろしくお願いします。
○城守委員
ありがとうございます。
今、様々な委員からかかりつけ医に関しての御意見が出ております。それに対してのコメントをさせていただきたいのですが、その前に、まず、安藤委員から御質問があった件に関して、お答えしたいと思います。
日医のかかりつけ医機能研修制度が6ページに出ておりますが、この研修を修了した、ないしは受講した方はどれぐらいおられるのかという御質問だったかと思います。
これに関しましては、この制度は平成28年度からスタートしておりまして、年間受講者は1万人弱という形でございますが、このコロナ禍においてはその数が減少しているという実態がございまして、延べ人数でいいますと4万7000人程度という形での受講者であるということを申し添えさせていただきます。
かかりつけ医の話に戻りますが、まず、この中医協の場というのは制度論を議論する場ではないということでございます。ですので、この資料にもございますように、かかりつけ医機能に関しての地域包括診療料・診療加算、ないしは小児のかかりつけ診療料等の算定回数が少ないということが問題になっているわけですけれども、これはこれまでにかかりつけ医機能として中医協の場でそれぞれの要件を設定した中において、その設定の条件に基づいて算定する先生が少ないというだけであって、かかりつけ医が増えていないということとは何の関係もないという認識をまず持っていただきたいと思います。
さきにも申しましたが、かかりつけ医がどういうものであるのか、かかりつけ医機能というのは何なのかという議論に関しては、中医協で議論することではなくて、これは幸野委員も委員を連ねておられる医療計画等の見直し検討会、いわゆる医政局の検討会で議論されることであろうと思います。
この検討会で一定の制度の概要が検討されて、そして、策定されるということになれば、それに基づいて新たなかかりつけ医機能の評価を診療報酬上に評価すると、体系を整備するということはあろうと思いますが、その議論は来年1月からとお聞きしておりますので、この場ではその議論には間に合わないということになります。
ですので、現段階においては、従来から制度設計されてきたこの制度に関して、何が問題であるのかを議論していくということに尽きるのであろうと思いますし、皆様、大変御興味のある項目であろうと思いますが、本検討会の役割をもう一度考えていただきたいと思います。
加えて申しますと、このコロナによって、国民の方がかかりつけ医に関して非常に関心を持っておられるということはそのとおりであろうと思いますが、何も国民の方は、一人一人にかかりつけ医を割り当てられたいと思っているわけではないと私は思います。ですので、要するに、そこの議論はあまり飛躍をしていただくと困ると思います。
特に医療においては、信頼というものが非常に重要になります。このかかりつけ医というものは、患者さんとお医者さんとの信頼関係がベースになければ成り立たない。医療そのものもそうです。ですので、この信頼関係というものを制度で規定するということは医療にはなじまないのです。そこを皆さんもしっかりと御理解していただく必要があると思います。
重ねて言います。制度で信頼の枠組みを作ってしまうということは、医療ではなじまないということを重ねて申し上げたいと思います。
私のほうからは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
幸野委員、安藤委員、佐保委員、それぞれお手が挙がっております。
それでは、幸野委員から御意見をお願いいたします。
○幸野委員
制度化というのが各委員から出ましたが、城守委員がおっしゃるとおり、中医協は制度化について議論する場ではありません。皆さん、それはよく分かっております。
ただし、診療報酬上の環境整備をするというのは中医協の役目だと思います。かかりつけ医について、確かに来年から検討会で本格的な議論がなされるのですが、今ある診療報酬上のかかりつけ医がどういう問題を持っていて、それまでにどういう整理をしておかなければいけないのかというところについては、今回の改定でしっかり議論しておくべきだと思います。
制度が決まった後にやるべきというのは違った話で、局も違うので、保険局と医政局が連携しながら、まずは環境整備として診療報酬上で何ができるのか。今、全くと言っていいほど機能していない診療報酬上のメンテナンスをまずやって、制度を決めて、本格的にその制度に従って、診療報酬でどう対応していくのかというやり方もあるのではないかと思います。
はっきり言って、今の診療報酬のかかりつけ医の問題は、地域包括診療料だけではなくて、機能強化加算、外来管理加算、特定疾患療養管理料、全て私たちに問題があると思っていまして、例えば、計画的な管理を要件とする診療報酬、地域包括診療加算とか外来管理加算は、健保連のレセプト分析ではほとんど100%近く併算定されているという現状もあって、これも大きな問題だと思っています。
必要とあれば、資料を別途提出することもやぶさかではないのですが、こういったかかりつけ医、あるいは計画的な管理をする診療報酬上の問題点を洗い出して、それをクリアにしておくということが今回の改定で必要で、情報提供料(Ⅲ)を取る要件を議論するというのは、あまりに時間ももったいないし、まずはこういった大きな議論をやっておくべきだと思います。
繰り返しになりますが、そういう議論をその3、その4でやっていただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
安藤委員、お願いします。
○安藤委員
ありがとうございます。
研修の受講者に関しての情報ありがとうございます。日々お忙しい中で、このような研修をやっていただくということは非常に重要なことであると思いますので、今後も続けていただきたいと思います。
また、かかりつけ医に関してですが、中医協で実施する議論、医政局で実施している議論、医療保険部会で実施する議論、それぞれ議論の中身が違ってくると思います。
ただし、私も、この中医協でやらなければいけない議論の中に、患者のメリットを明確化する、見える化した形で診療報酬にどのように組み込んでいくのかということが非常に重要であると思っていますので、患者自身が自分の受けている診療に関して、どういうことでその費用を請求されているのか、かかりつけ医が何をやってくれているのかということをよく理解した上で、実際に診療を受ける必要があると思いますので、ここの部分は、かかりつけ医機能を評価していることを患者に十分に理解していただいた上で枠組みを作るという議論は、やはり中医協でやるべきであると考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。中医協の果たす役割も理解している上で発言をいたします。
社保審の医療保険部会、医療部会双方において、令和4年度診療報酬改定の基本方針の議論が始まっております。改定に当たっての基本認識に、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築や、患者・国民に身近で、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進などが例示されていて、この方向に沿って議論が進むと思われます。
医療機能の分化・強化・連携をより推進するためにも、令和4年度診療報酬改定においても議論が重要であると考えております。その端緒として、外来医療について、もっと抜本的な診療報酬の見直し検討議論が必要ではないかと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、間宮委員、お願いします。
○間宮委員
ありがとうございます。
中医協の場は制度を決める場ではないというのは、もちろん分かっていますけれども、私は患者の立場でここに参加していて、患者の声を少しでも届けたいと思って参加しているわけです。
制度では信頼は構築できないみたいな話がありましたけれども、あなたはかかりつけの患者ではないですよと言われて断られた側の身になってみれば、もうこれで信頼なんかは総崩れになっているわけです。その医療機関なんかにはもう行かないです。
制度では信頼なんかは構築できないのだということの前に、いつも通っている患者さんたちを最後までとことん面倒を見るという気持ちというのが大事なわけであって、それは当然、制度ではないですよね。制度ではないところでもっと機能していただきたいと思いますけれども、ただ、それには診療報酬というのは発生しないでしょうから、それも加味していろいろなことをやってくれる医療機関なのだということがはっきり分かっていれば、それを納得して患者もお金を払うということだと思いますので、そういう診療報酬の制度を作っていくということが大事だと思います。
以上です。
○小塩会長 ありがとうございます。
城守委員、お願いします。
○城守委員
ありがとうございます。
各委員から様々な御意見が出ておりますが、一定御理解はしていただけたのではないかなと思いますが、医者と患者さんとの関係というのは、今、間宮委員がおっしゃられたように、やはり信頼関係が全てだろうと思います。ですので、信頼できない先生のところには患者さんは行かれないですよね。これを制度で一定縛ってしまうと、先生を選べないということにもなりかねないということもしっかり御理解していただきたいなということがございます。
そして、この中医協の場で、これまでかかりつけ医機能の強化と連携と言いつつ、機能の強化に重点が置かれた形で診療報酬の算定要件がなされてきたところがございます。
その中で、本日の小児のかかりつけ診療料においても、算定要件において非常に厳しい24時間365日要件、こういうものが1人のドクターに強く、言い方は悪いですが、強要された形の要件になっているということが、かかりつけ医機能の算定回数が増えない大きな理由であろうということは、もう皆さん、御理解されていると思います。
ですので、かかりつけ医機能というのは、もちろん我々も研修会も含めて強化していこうとはしておりますが、それだけではなくて、連携も含めた形での評価の在り方と要件の在り方というものを議論していただくことによって、これまでこの中医協の場で策定されてきた様々な診療報酬の評価項目がさらに生きるのではないかと思いますし、これが生きることによって機能の連携と強化が進むと考えておりますので、充実した御議論をお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
今、城守委員がおっしゃったことに全く私も同感で、もちろん、かかりつけ医というのはどういうものかという枠組みをある程度しなければいけないということは理解しているつもりですけれども、それはある程度緩い枠組みで、あとは、かかりつけ患者とかかりつけ医というのは、ある意味ではお見合いのマッチングみたいなところはあって、それぞれ相性もあるでしょうし、そこで見つけていく。それができるのが日本の医療提供体制の一番いいところ、いわゆるフリーアクセスを担保しているということかと思うのです。だから、そういう意味で、少し緩い中での制度設計が必要ではないかということを感じています。
間宮委員にちょっと質問なのですが、私、例えば、医師の立場だと、先生がかかりつけ医ですねと言われたら、私は絶対に嫌とは言わないと思うのですが、それはどのような状況だったのでしょうか。
○小塩会長
間宮委員、いかがでしょうか。
○間宮委員
断られたというのはワクチン接種の話であって、自分はその病院に通っているからワクチンの予約が取れるだろうと思ったら、あなたは違いますよと言われたということで、これは患者にとっては本当にはしごを外された話であって、私はかかりつけ患者ではないのだとそのとき初めて分かったわけです。
もしかしたら、今まで通うたびにかかりつけの点数は取られていたのかもしれないと思ったら、余計に腹が立ちます。そういうことで、もちろん、診療自体を断られたということではないですけれども、そういう実態が今回のコロナ禍で明らかになったということです。
それを変えるためには、患者にも、かかりつけ医にかかるということは、あなたの立場がこういう状態であるときにかかりつけ医として診てもらえるのだということがはっきり分かっていれば、それでいいと思うのです。
でも、私は、何か月に1回という期間の話ではなくて、ずっと継続してそこの医療機関にかかっているかどうかという話だと思いますので、その辺りも考えていただきたいなと思っています。
ちょっと答えになっていないかもしれませんが。
○小塩会長
では、池端委員、お願いします。
○池端委員
ありがとうございます。よく分かりました。
恐らくそこはちょっと言葉足らずのところだったのではないかと思います。ひょっとしたら、(医療側を)かばうわけではないのですけれども、ワクチン接種というのは、最初の頃はかなり接種できる機関が決まっていて、うちはできないよということを言いたかったのかもしれません。
ただ、もちろん言葉足らずで、そう思われたというのは非常に申し訳なかったと思いますし、そういうことも含めて、かかりつけ医とは何だと。病院あるいは診療所の先生方も、今回のコロナ禍で、かかりつけ患者というのは誰だろうということを理解して、その方に何をしなければいけないかをもう一遍見直している先生方も多いと思うので、そういう意味では、チャンスだと思ってよりいい関係を作っていきたいと思います。ありがとうございました。
○小塩会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
今、2号側の先生方が、かかりつけ医が評価できないのは、要件が厳し過ぎて、とてもこれでは対応できないということをおっしゃいましたが、それはあると思います。それはそれで見直していく必要があると思いますが、一番の要因は、やはり患者側がかかりつけ医を持とうというインセンティブを持つような診療報酬の設定がない。患者の目線で作られた診療報酬の設定がないということも大きな要因だと思っています。
患者がかかりつけ医になってもらいたいのは、何でも幅広い疾患、調子が悪いときにまずは対応してくれるということや、あるいは働き盛りから高齢者まで個々のニーズがあるので、例えば、オンライン診療に対応してくれるとか、多様なニーズに対応してくれる先生がいるということ、それから、自分のことを一番理解していただいているということがかかりつけ医の要件だと思っていて、このようなことを持つ医療機関があれば、自然とかかりつけ医は増えてくるわけで、そういう目線で診療報酬も設定していく必要がある。
4年前に設定された機能強化加算なんて、患者は誰も知らないうちに取られている。それで、何がかかりつけなのだと。こんなものが増えていくわけがないですよね。そういった問題点を1回洗い出して、全て再構築していく。場合によっては、新しい現役世代でも取れるようなかかりつけ医というものを診療報酬で作ってもいいのではないか。そういうことも含めて、中医協の中で議論していくべきだと思います。これは医政局の議論とは違うことなので、同時並行で、あるいは医政局と連携しながらやっていくことも必要だと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
松本委員、お手が挙がっていますので、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
1号側の委員からいろいろ意見を頂戴しまして、ありがとうございます。
かかりつけ医ですが、これをここでどこまで議論するかという問題はありますけれども、委員の皆さんがおっしゃっているとおり、かかりつけ医はやはり患者さん側が自ら選ぶのが基本だと思っています。
したがって、日本のこの制度の中において、患者さんにとって、やはり原則としてフリーアクセスを担保する、あるいは制限しないということは、患者さん目線からも非常に大事な観点だと思っています。かかりつけ医の受診を限定されればされるほど、患者さんの利便性は低下しますし、地域医療の質も低下すると思っています。
先ほどいろいろな機能強化につきまして御意見を頂きましたけれども、かかりつけ医を担っている医療機関としても、これまでの様々な議論を踏まえて要件を設定し、なるべく患者さんに見えるような形で機能を提供し、また、いろいろな機能を広げていくという努力をしております。
そういった切磋琢磨をしている中で、患者さん側にとってみれば、その状況は通ってみれば分かるはずです。分かった医療機関が生き残っていけるということになると思いますので、そういった意味では、先ほど幸野委員がおっしゃったように、かかりつけ医がしっかりと診療して、その中で、ここの先生であればしっかりとしたかかりつけ医機能を担っているということが体験できるということだと思いますので、我々医療機関としても、そういった姿勢で今後とも取り組んでいきたいと思っております。御理解のほど、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
いろいろ御議論いただきまして、大変賛同する部分も多いのですが、4点だけ意見があります。
まず、制度論は他部局の議論であるという点というのは、いろいろな議論があると思うのですが、診療報酬の観点から重要である場合というのは、橋渡しする議論というのをこういうところでもやっていくということは重要ではないかなと思いました。
2点目ですが、かかりつけ医が24時間体制を取るのは単独では難しいと。全くそのとおりだと思います。これは地域で協力してやっていただくというのが趣旨だと思うので、そういう制度あるいは報酬を考えると。
それは救急医療の面からも、例えば、消防庁のデータなどを見ますと、約半数の救急医療の利用者というのは実は軽症者であるということもありますので、そういう方々がこのようなかかりつけ医を通して相談できる体制があれば、そういう面でも非常にプラスですし、あるいは医師の働き方改革にも大きく資するのではないかなと思います。
3点目は、かかりつけ医の機能強化、あるいは生活習慣病管理料という議論をいただいたのですが、こういうものは非常によいと思うのですけれども、実際にこういうものをしていただいて、インフルエンザの予防注射はどれぐらい打てているのか、あるいは血糖値はコントロールできているのかといった機能強化が実際にされているのかということ、あるいは管理がされているのかという観点も、今後、データで把握していく必要が非常に大きいのかなということで、恐らく今後の論点だと思いますが、議論していただく必要があると思います。
4点目ですが、抗菌薬の適正使用という議論がありました。不適切な使用が多いと。不適切な抗菌薬の使用というのは、こういう場合ですというのが既にガイドラインで出ているわけなので、実際にどれぐらいこういうものがあるのかというのはデータからも把握できる段階になっていると思いますので、今回は診療報酬上の加算という議論があったのですが、最初の論点とも関連しますけれども、これは他部局の問題かもしれませんが、そういうところと連携して、こういった不適切な使用をしっかり減らしていくということもより重要なのかなと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
委員の先生方から非常に多くの貴重な御意見を頂きました。事務局で現時点でお答えできることをよろしくお願いいたします。
○井内医療課長
幾つか御質問いただいていたので、事務局のほうからお答えをさせていただきます。
まず、論点に沿った中で言っていただきましたのが、予防接種について、地域包括診療料との関係ということで御質問を頂きました。
我々といたしましては、最後の論点にありますように、予防接種法のB疾患としてインフルエンザ等があるということが、成人のかかりつけ医機能と関係があるのかどうかということで、そういった観点から検討いただけるか、御議論いただけるかということで資料を上げております。
実際、成人のかかりつけ医のところで上げている点数が、地域包括診療料1、2、地域包括診療加算1、2のところですので、これと直接リンクさせるかどうかというのはまた別といたしまして、成人、特に高齢者のそういった健康管理の観点から、重要ではないかという意味で上げさせていただいているというのが1点目でございます。
もう一点は、様々御議論いただきましたかかりつけ医の定義であったり、制度であったり、仕組みであったり、そういったことをどう考えるのかということでございます。
現時点の事務局の考え方をお話しさせていただきますと、まず、御議論の中でもありましたように、第8次医療計画の中で外来やかかりつけ医のことが検討されると聞いております。この改定にその議論の何らかの形が間に合うのであれば、当然、我々もこちらのほうに提供させていただきまして、その上でどういった点数設計がいいのかという御議論はしていただこうと思っております。
ただ、現時点で我々が聞いておるのは、ちょっと今回は間に合わないかなということを聞いているところでございます。
その上で、我々が今回提示させていただいている資料があるということで、我々のほうからは、このかかりつけ医・かかりつけ医機能というのは、4ページ目に示させていただいております定義と機能というところ、日本医師会と四病院団体協議会の合同提言がベースにある。これをベースに、今まで診療報酬の中で、かかりつけ医機能について、どういった点数設計がいいのかということを御議論していただきつつ、今までいろいろ脈々と作っていただいてきたという認識でおります。
我々の認識は、この中でかかりつけ医機能に一番近いのが地域包括診療料1、2、加算1、2、小児かかりつけ診療料がそういった観点で作られたのかなというところがありましたので、そういったところをより現在の状況に合わせるということで、こういった御提言をさせていただいています。
我々は、今回の事務局の資料を作るには、学会、団体、厚生労働省内の意見を取りまとめて、こういった形で提示させていただいているというものでございます。
抜本的な制度改革、点数設計をというと、抜本的というのが何を指すのかということもありますが、基本的にはそういった制度の枠組み、どういった在り方にするのかという前提でないと、設計というのはなかなか難しいのだろうという認識でおります。その上で、今回は今ある制度をこういった形で直せば、コロナも踏まえて、より現実的によくなるのではないかということで作らせていただいております。
こういった中で、今ある点数設計がよくないという御指摘もありました。事務局の提示では不十分ではないかという御指摘もありましたので、そういった部分につきましては、どういったところがどういった理由で問題なのかということをまた御教授いただけましたら、我々のほうでもそういった資料作りをさせていただきたいと思っております。
本日、事務局としてこのような資料を提示させていただきました考え方というのは、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
幸野委員、お手が挙がっています。よろしくお願いいたします。
○幸野委員
今の医療課長のお話なのですが、趣旨はよく分かりましたが、今後もこういったパーツ、パーツの議論をしていって微修正を行っていくのか、それとも、大きな問題を洗い出して、そこから入っていくのかということについては、私は後者のほうでやっていただきたいと思います。
事務局が把握しておられる以外の問題点も我々はいっぱい把握しておりますので、必要であれば資料の提出等も行いますので、まず、今のかかりつけ医機能を評価した診療報酬にどんな問題があるのかということについて洗い出しをして、その3以降、そういう大きな議論から入っていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○小塩会長
事務局、お願いいたします。
○井内医療課長
我々といたしましては、幸野委員から見ると不十分ということではありますが、そういった洗い出しをした上で、直すべきところ、訂正するところ、修正するところ、したほうがいいと思うところを提示させていただいたところでございます。そういったところが不十分ということであれば、個別に御指摘いただきまして、そういった御提案を頂ければ、我々のほうとしても資料の作成は可能かと思っております。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見はよろしいでしょうか。
それでは、特にほかに御意見等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日頂いた非常に貴重な御意見がありましたので、御意見を踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 


 
 

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