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2021年7月21日 中央社会保険医療協議会 総会 第484回議事録

○日時

令和3年7月21日(水)費用対効果評価専門部会終了後~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 飯塚敏晃委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 中村洋委員 
安藤伸樹委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 松浦満晴委員 末松則子委員
松本吉郎委員 長島公之委員 城守国斗委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 岡田医療技術評価推進室長
山田保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○個別事項(その1)について
○新型コロナウイルス感染症に係る医薬品の医療保険上の取扱いについて


 
○小塩会長
 それでは、ただいまより第484回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 なお、本日もコロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、松浦委員、半田専門委員が御欠席です。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 最初に「個別事項(その1)について」を議題といたします。
 まず「医薬品の適切な使用の推進」についてを議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。それでは、資料総-1-1「個別事項(その1)」のうち「医薬品の適切な使用の推進」について御説明させていただきます。
 2コマ目で、まずは「医薬品の使用状況等について」でございます。
 3コマ目が、薬剤費のこれまでの推移と国民医療費に占める薬剤費比率を示したものでございます。
 4コマ目は、薬剤費のうち、医科、歯科、調剤の構成割合でございます。
 5コマ目は、処方箋1枚当たりの薬剤料の推移。
 6コマ目が、処方箋1枚当たりの薬剤種類数の推移が棒グラフになっておりまして、平成26年以降は減少傾向。折れ線グラフのほうが、1種類当たりの投薬日数ですけれども、こちらは増加傾向となっております。
 7コマ目は、処方日数が30日を超える処方の状況ですけれども、直近のR2年度は少し延びた形になっております。
 8コマ目は、生活習慣病治療のための処方日数ということで、令和2年度におきましては5~8週、9~12週の割合が増えていたというものでございます。
 9コマ目は、年齢階級別に見た薬剤種類数。
 10コマ目が、年齢階級別に見た薬剤点数の構成割合になります。
 11コマ目以降は「医薬品の適切な使用に係る主な取組等について」でございます。
 12コマ目は、ポリファーマシーの現状等ということで、形成される事例とか薬物有害事象の頻度等でございます。
 13コマ目は、ポリファーマシーに対する取組に係る診療報酬上の評価ということで、医療機関における評価、薬局における評価がございます。
 14コマ目は、そのほかも含め、診療報酬上の主な取組としまして、重複投薬・ポリファーマシー・残薬への対応、後発医薬品の使用促進、向精神薬への対応などについてのこれまでの経緯でございます。
 15コマ目は、平成28年度改定のときですけれども、長期投薬の取扱いの明確化と薬局における分割調剤について整理しております。
 16コマ目は、革新的かつ高額な医薬品や再生医療等製品につきまして、最適使用推進ガイドラインを品目ごとに設けているというものでございます。
 17コマ目は、医療費適正化の観点でこれまで行ってきました診療報酬改定での取組についてでございます。
 18コマ目以降は「後発医薬品・バイオ後続品の使用促進に係る診療報酬上の取組等について」でございます。
 19コマ目は、後発医薬品の使用促進に関わる診療報酬上の対応ということで、個々の処方・調剤に対する評価と施設体制に対する評価でございます。
 20コマ目は、これまでの取組の経緯ということで、21コマ目にその続きがございます。
 22コマ目は、薬局における後発医薬品の使用促進に係る評価についてでございます。
 23コマ目は、薬局における後発医薬品の調剤割合の分布でございます。
 24コマ目が、薬局における在庫品目数ということで、青色が後発医薬品となっております。
 25コマ目は、後発医薬品を調剤しにくい医薬品としまして精神神経用剤、抗悪性腫瘍剤などが挙げられております。
 26コマ目は、医療機関における後発医薬品の使用促進に係る評価でございます。
 27コマ目が、それらの加算等についての算定状況でございます。
 28コマ目が、診療所における後発医薬品の使用割合。
 29コマ目が、病院における後発医薬品の使用割合でございます。
 30コマ目は、一般名処方のルールと処方箋様式における対応ということでございます。
 31コマ目は、医薬品の処方の状況につきまして、変更不可の直近の状況ということで、R2年の調査でございます。
 32コマ目は、一般名処方に係る状況ということで、一般名処方加算の算定状況と推移を示しております。
 33コマ目は、薬効分類別の後発医薬品の割合ということで、それぞれ数量ベースの数字と割合を示しております。
 34コマ目は、後発医薬品に関する患者の使用意向でございます。こちらは令和2年の調査ですので、いわゆる後発医薬品の種々の問題が発生する前の状況の調査ということでございます。
 35コマ目は、後発医薬品の使用・調剤割合ということで、医科の入院、入院外、調剤の別に分けたこれまでの推移でございます。
 36コマ目は、後発医薬品の使用促進についての現状。
 37コマ目が、都道府県別に見た場合の後発医薬品の使用割合。
 38コマ目が、今後の対応ということで、新たな目標としまして、後発医薬品の品質・安定供給の信頼性の確保がまずあった上で、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上という目標を掲げております。
 39コマ目は、直近の問題としまして、小林化工及び40コマ目の日医工におけるそれぞれの行政処分が行われた事案の概要等でございます。
 41コマ目は、令和3年度の予算執行調査ということで、財務省から公表されたものでございます。後発医薬品に関する加算と使用割合、備蓄品目数等についての分析結果でございます。
 42コマ目からは、創薬動向の変化としまして、少し前の情報になりますけれども、世界の売上上位10品目のうち、バイオ医薬品が占める割合ということで、2017年では、上位10品目中9品目がバイオ医薬品となっているというものでございます。
 43コマ目は、バイオ後続品についての資料ということで、44コマ目は、現在薬価収載されておりますバイオ後続品の一覧でございます。
 45コマ目は、バイオシミラーの適応につきまして、 先行バイオ医薬品のほうで再審査とか特許等の関係で、まだバイオシミラーのほうに適応がないものが一部ありますというものでございます。
 46コマ目は、バイオ後続品の認知度、使用意向でございます。
 47コマ目は、バイオ後続品の使用意向につきまして、医師等から勧められた場合の使用意向などの調査結果。
 48コマ目が、患者等が知りたい情報ということでございます。
 49コマ目は、品目ごとのバイオ後続品の使用割合の推移ということで、品目、製剤によりまして使用が進んでいるもの、そうではないものがございます。
 50コマ目は、バイオ後続品の備蓄状況ということで、左が病院、右が薬局における備蓄品目数の分布でございます。
 51コマ目は、バイオ医薬品が対象薬剤となっている評価項目ということで、在宅自己注射指導管理料、外来化学療法加算におきまして、バイオ医薬品の使用が含まれているというものでございます。
 52コマ目は、令和2年度改定におきまして、在宅自己注射指導管理料について、バイオ後続品導入初期加算が設けられております。
 53コマ目は、フォーミュラリーについての資料。
 54コマ目は、令和2年調査における、病院におけるフォーミュラリーの作成等の状況。
 55コマ目が、地域におけるフォーミュラリーの活用状況。
 56コマ目が、過去にもお示ししております地域フォーミュラリーの実績等についてでございます。
 57コマ目は、まず、経済財政運営と改革の基本方針2021、いわゆる骨太方針におきまして、後発医薬品、バイオシミラー、フォーミュラリー等について触れられている箇所、それから、成長戦略におきまして、バイオシミラーの使用促進について提言されております。
 58コマ目以降が、医薬品の適切な使用の推進についての課題と論点ということで、課題につきましては、これまで御紹介してきた内容となります。
 最後の59コマ目は、論点としまして、2点お示ししております。
 1点目が、医薬品の適切な使用の推進について、これまでの診療報酬上の対応なども踏まえ、どのように考えるか。
 2点目としまして、昨今の後発医薬品の品質や安定供給に係る問題も踏まえつつ、新目標との関係を踏まえた後発医薬品調剤体制加算等の見直しの検討など、経済財政運営と改革の基本方針2021や成長戦略実行計画2021を踏まえた今後の対応について、どのように考えるかということで論点をお示ししております。
 以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 本日は、次期診療報酬改定に向けた議論のキックオフということですので、改定に向けて検討すべき論点等につきまして、様々な御意見を委員の方々から伺いたいと思っております。
 それでは、ただいまの説明を踏まえ、何か御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員
 ありがとうございます。それでは、今、会長のキックオフというお話がございましたので、それぞれの項目について意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、7ページでございます。処方日数が30日を超える処方の状況でございます。団塊の世代が高齢化して、慢性疾患の患者が増えていることや、新型コロナの影響により、長期処方が増えているということではないかと考えております。
 前回も発言いたしましたとおり、長期処方は、残薬リスクや多剤投与に気づきにくくなるなど、患者の薬物療法と保険財政に対する弊害が多いことを考えますと、本質的には長期処方を減らしていく取組を推進していくことが望ましいと考えております。
 続きまして、8ページの生活習慣病処方対象疾患の処方日数をまとめたものでございますが、これは病院につきましては、病床数別に分類したデータも出していただければと思いますので、改めてお願いしたいと思います。
 また、少し飛びますが、15ページにありますとおり、平成28年度改定におきまして、長期投薬の取扱いの明確化として、30日を超える投薬をする場合の対応として、例えば200床以上の保険医療機関であれば、患者を地域の保険医療機関に紹介すること等を求めております。医療機能の分化・連携という観点からも、処方の方法ばかりを触ったり、注目するのではなく、そうした対応の実施状況について検証していく必要もあろうかと思っております。
 続きまして「医薬品の適切な使用の推進に係る主な取組等について」のところでございますが、少しお戻りいただいて12ページ、13ページにあるポリファーマシーについてですが、前回、池端委員からも御発言があったとおり、医薬・生活衛生局の高齢者医薬品適正使用検討会で指針が作成され、現在は実運用のための検討を行っているところでありますので、そうした検討結果も踏まえて、実現可能性のある運用方法を確立してから改めて検討するのがよいのではないでしょうか。
 また、16ページの最適使用ガイドラインでございますが、これは現在、適切に運用されていると思います。評価できます。
 続きまして、後発医薬品・バイオ後続品の使用促進に係る診療報酬上の取扱い等についてでございますが、25ページの「後発医薬品を調剤しにくい医薬品」を御覧ください。一般名処方された場合の薬局における後発品への変更調剤では、この表とかには出てきにくいわけですが、自己注射や吸入薬も後発医薬品を処方しにくい、すなわち一般名処方をしにくい医薬品であると言えます。これは、デバイスが変わることで使い勝手が変わるためで、患者として受け入れにくいということが現場ではよくあるとお聞きしておりますし、試しに切り替えてみても、患者がやはり元に戻したいということで、アドヒアランスが悪くなり、薬物治療に影響することもございます。
 30ページに、現行の処方箋様式がありますが、今申し上げましたとおり、後発医薬品に変更し難い剤形や、先発品と後発品とで適応が異なる品目なども存在しますので、このチェック欄の使用頻度は少なくなってきてはいるとしても、重要な役割を担っておりますので、削除すべきではないと考えます。
 31ページの変更不可状況でございますが、先発医薬品の処方及び後発医薬品名の処方のうち、僅かではございますが、変更不可が一定数存在しております。今申し述べましたことからすれば、安全性やアドヒアランスの観点からやむを得ないことであるということについて、御理解いただければと思います。
 なお、比較的価格の高いバイオ医薬品の中には、外来処方する自己注射剤も増えてきておりまして、今後も増えることが想定されますが、自己注射について、デバイスによって先行品から後続品へなかなか変更できないこともあり得るのであれば、厚労省として、今のうちからメーカー同士の工夫を促していくことも必要であろうと考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
 38ページの後発医薬品の使用促進についてでございますが、後発医薬品企業の様々な不祥事により、後発医薬品全体に対する信頼が低下したことは否めません。また、一部企業の不祥事をきっかけとして、玉突き事故的に安定供給に支障が生じております。
 こうした中、新たな目標として、37ページの矢羽根に示されたように、後発品メーカーに対する監督の厳格化や品質確認検査などの取組を進めることは理解いたしますが、そうした取組を進めていく過程で新たな問題が見つかれば、現状にも増して安定供給が阻害されてしまうことも想定されます。
 また、38ページに、2023年度末までに後発品の数量シェアを全ての都道府県で80%以上とするということも掲げられておりますが、まずは品質や安定供給に懸念が生じている現状を踏まえ、37ページの矢羽根に示されている取組の実効性を高めるために、その実現に向けた工程表を示していただく必要があるのではないでしょうか。
 最後の項目でございますが、53~55ページのフォーミュラリーでございます。フォーミュラリーは有用でありますし、法人経営の観点から、活用されるということは理解していますが、従前から主張しておりますとおり、これを診療報酬で評価することはなじまないと認識しております。
 また、フォーミュラリーは、その定義もまだ明確ではございませんし、その策定の方法、プロセスも確立していない現状がございます。そういう状況を鑑みましても、診療報酬で評価することではなかろうと思っております。
 特に、医療関連企業が主導する医薬品リストの作成については、恣意的になることが容易に想定されるため、中医協で議論することは控えるべきだと考えています。あくまでも治療指針等を示している学会等が推奨するガイドラインに基づく医薬品を中心に、各医療機関が一定程度の自由度を持って、導入を検討するものであろうと我々は常々考えております。
 なお、フォーミュラリーにつきましては、前回改定の際にも議論をしておりまして、その際に当時の今村副会長から質問があったと思います。実際に利用されているフォーミュラリーの作成方法がどのようなものなのか、例えば医療機関独自のものなのか、経営コンサルタント等のアドバイスを受けてつくられたものなのか等の調査結果が明らかになっていれば教えていただきたいと思います。
 また、これも2年前に質問させていただいたことでございますが、フォーミュラリーが作成されることで、製薬企業にどのような行動変容が起きるのか。フォーミュラリーが進んでいる諸外国の状況などで明らかになっていることがあれば、お教えいただきたいと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 幾つか御質問がありましたけれども、それにつきましては、後でまとめて事務局から回答をお願いいたします。
 続きまして、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
 ありがとうございます。私も論点に沿って発言をさせていただきたいと思います。
 処方日数については、資料にもあるとおり、年々処方日数、投薬日数が延びており、令和2年度はコロナの影響により、さらに長期処方が増加していることが見てとれます。
 長期処方の場合には、処方期間中、指示どおりに問題なく薬が飲めているか、副作用と思われる症状が出ていないかなどの確認が必要で、薬剤師による患者への服薬期間中のフォローアップが重要であります。長期処方が増えている中でのかかりつけ薬剤師の役割の視点で検討すべきと考えます。
 ポリファーマシーの問題については、薬局での情報の一元管理が重要であります。そのためには、同一薬局の利用を推進するとともに、お薬手帳の活用の推進も必要であります。オンライン資格確認等が進んでいても、自費扱いの調剤、労災であったり、交通事故であったり、あるいはOTC医薬品の情報は反映されないこともあるため、お薬手帳の活用は不可欠であるということは言うまでもありません。
 論点の2つ目についてであります。後発医薬品については、前回の調剤の議論の際にも申し上げましたが、重複する部分もあると思いますので、これまでの国の政策や現場の努力、特に薬剤師の努力によって、後発医薬品の使用促進は着実に進んできたものと自負しています。
 2023年度末までに全都道府県において使用率80%以上とする目標も掲げられておりますが、資料にあるとおり、相次ぐ後発医薬品メーカーの問題により、後発医薬品の信頼が揺らぐとともに、現場では医薬品の出荷調整や欠品がさらに悪化している状況であります。
 現場では、医薬品が適切に供給されることを前提に動いていることもあり、後発医薬品が納入されないことについての現場での説明や苦情対応など、現場の負担は非常に重くなっています。これらも含めて薬剤師の職務と理解はしていますが、現在の状況は、薬局、薬剤師の努力の範疇を超えたものであり、幾ら何でもひどい状況であると言わざるを得ません。医薬品が提供できないことによる国民への被害は、数値上現れにくく、実質どれだけの被害になっているのか、分かりにくいのかもしれませんが、逆に数値で現れてはならないものと理解しています。
 また、日本薬剤師会の会員からは、自分の薬局には出荷調整がかかっているが、既存の大口取引先には在庫を確保しているといううわさを聞いたなど、流通機能上のアンバランスが発生しているという声も寄せられています。今回の問題については、卸機能あるいは流通機能の観点からの改善も必要と考えます。
 また、薬局においては、後発医薬品の使用率に応じた減算規定があります。薬局の努力ではどうにもならない状況で、ただでさえコロナにより、薬局経営への打撃がある中で、さらなる打撃となっては、地域の医薬品提供体制を崩してしまう、深刻な医療崩壊につながりかねません。後発医薬品メーカーから出荷調整や欠品の案内があったものは、使用率の母数から一時的に除外するなど、後発医薬品に関する報酬上の対応も迅速に対応いただかないと、薬局経営はもちません。この辺りは、早急に対応することを求めます。
 また、後発医薬品メーカーは、業界全体として不祥事を起こした一部の後発医薬品メーカーのカバーを行うために、必死に対応していただいているものと思いますが、その対応によって、カバーしている側の後発医薬品メーカーの取り扱っている問題のなかった医薬品にまで影響が出てしまう悪循環となっているのが現状であります。この悪循環は、先発医薬品にまで影響していますし、今後、より深刻になると容易に予想できます。皆さん、そして医療現場の不安を取り除くためには、早急に何らかの対応が必要であると考えております。
 ここで処方される先生方にもお願いがあります。現場の薬局では、別銘柄、いわゆる様々な同一規格製品の中で、必死に最大限努力して製品をそろえて、患者に出すという努力をしていますが、本当にどうしようもならないことがあります。そういう際には、薬局側から必要に応じた処方提案等をお願いすることもあるかもしれませんが、この点について御理解をお願いしたいと思っております。
 後発医薬品の使用促進は、医療費の即節約として非常に有効ではありますが、その推進策にメーカーがついてこられない。量産対応を最優先した結果、今回の不祥事が起きた。今回の不祥事によって、国の医薬品の審査基準、承認基準にまで国民の疑問が生じております。何が一番大切なのか、ここは一度立ち止まり、生産体制や安全性、あるいは信頼性などの基盤を整えた上で推進していくことが重要ではないでしょうか。
 また、財務省の予算執行状況の調査が41ページにありますが、まず、診療報酬、調剤報酬において減算ありき、つまりペナルティーありきの評価設定であってはなりません。ここは明確に反対します。
 また、これまで現場の努力、主に薬剤師の努力によって後発医薬品の促進を行い、目標を達成できてきましたが、目標達成ができたから、減算などの考え方を入れるということはあってはならないと考えています。努力した先に、こういった対応が待っているのは、あまりにも強引なものと考えます。
 さらに、毎年多くの後発医薬品が新たに上市されてくる中で、これまで積極的に進めてきた水準を維持することも相応の労力を要することにも御理解いただく必要があります。
 また、後発医薬品の上市が進むほど、薬局における在庫や管理の負担も増えてきます。薬局では、1成分について、複数品目の後発医薬品の備蓄をしなければならないケースも多く、備蓄、廃棄、損耗などのコスト増に対して、相応の労力を要しています。適正効果の増加分のみに焦点を当てていますが、これらの観点も踏まえ、水準を維持することによる効果についても焦点を当てるべきですし、厚生労働省においては、維持の観点も含めた、効果を記載した資料を作成していただきたく思います。
 これは質問になりますが、一部の後発医薬品メーカーの不祥事による現場への影響は、発覚以降、ずっと続いており、日本薬剤師会として、国に医薬品の安定供給・流通の改善に向けて適切な対応をいただくように要請し続けていますが、悪化していくばかりであります。国としてこれまで対応してきたこと、これから対応していくことについて、具体的に教示いただきたいと思います。
 次に、バイオ後続品であります。バイオ後続品については、資料にもあるとおり、全体の使用割合はまだまだ低い状況にありますが、今後、薬局において対応が増加していくことが予想されます。今後、バイオ後続品の使用をより一層進めていくためには、報酬上の対応を検討するとともに、国からの患者及び医師、薬剤師への適切な周知、医薬品情報提供の在り方の整備が必要と考えます。
 次に、フォーミュラリーであります。フォーミュラリーについては、まず、院内フォーミュラリー、地域フォーミュラリーの違いやそれぞれの定義などを整理し、明確にした上で検討していくことが必要であると考えます。フォーミュラリーを適切に活用することは重要と考えますが、城守委員も発言されたとおり、診療報酬で評価するかどうかについては、慎重な議論は必要だと考えます。
 少し長くなりましたが、私からは以上であります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、島委員、お願いいたします。
○島委員
 ありがとうございます。59ページの論点について、意見を述べさせていただきます。
 1つ目の○の医薬品の適切な使用の推進については、城守委員とか有澤委員のお話にありましたように、フォーミュラリーは、医療の質、経済性をきちんとしたものにするということで非常に重要だと思っておりますが、これをつくっていくこととともに、既に普及しているクリニカルパスの中で、このフォーミュラリーの考え方のように、使用する薬剤の医学的妥当性や経済性を考慮するといったことを行うことで、相当推進されると考えます。
 2つ目の○については、ジェネリックとかバイオシミラーの安全性や、先ほどから出ておりますような供給量の確保を図った上で、使用する患者や処方する医療機関、調剤する薬局にメリットがあることを国民に広く理解してもらう必要があると考えております。意見でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。医薬品の適切な使用の促進につきまして、意見を述べさせていただきます。
 医薬品の適切な使用の促進につきまして、後発医薬品については、協会としても80%以上の目標達成に向け、積極的に取り組んできたところでございます。
 ですが、昨今の後発医薬品メーカーによる不祥事等は、後発医薬品の使用促進の根本を揺るがしかねない事案と認識しており、後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性確保に早急に取り組んでいただきたいと考えております。
 その上で、後発医薬品の使用促進につきましては、全都道府県で80%以上という新たな目標に向け、診療報酬で今後どのように対応していくべきか、検討が必要であると考えております。その際には、予算執行調査でも指摘されておりますように、加算・減算の在り方も含め、見直しを行うことが必要であると考えております。
 もう一点、城守委員、有澤委員からもお話がございましたが、安定供給に関して、最近、本当に様々なところで記事を目にします。特に、昨日の「日刊薬業」の記事にございましたが、収載後5年以内に供給不足発生で2回見送りという厚生労働省の今後の品質確保、安定供給に対する施策の中でのルールの厳格化が、逆に安定供給に対する弊害になるのではと危惧されております。
 特に、後発医薬品を製造するメーカーの立場で考えますと、このルールの厳格化によって新しく後発医薬品を収載する、要するに、新規収載することを危惧されて、なかなか新規収載をしないということにつながるのではと思います。これはイコール、我々が後発医薬品に求めている安心・安全、そして安価な後発医薬品を使用するということに少しつながらなくなってしまう懸念があるのではないかと危惧されています。
 もちろん、品質が大事なのですが、これをやることによって、例えばメーカー側で納期を守らんがために、本来やるべき品質の安全確保の過程を飛ばしてしまうということになりかねないという危惧もありますので、非常に難しい問題ですが、厚生労働省といたしましては、そのことも踏まえて、対応をしていただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。2点お話ししたいと思います。
 基本的には、城守委員、島委員、有澤委員がお話しいただいたことに私も賛同させていただきます。その上で、少し私の私見も含めてお話ししたいと思います。
 まず、今も各委員からもお話がありましたように、後発品推進のために、どんどん80%を目指しています。その副作用と言えるのかどうか分かりませんけれども、小林化工等をはじめとした企業のコンプライアンスの問題に関しては、私も非常に危惧するところであります。
 特に小林化工は、私の出身の福井県の企業でありまして、昨日も県の薬事審議会で経過をるる検証させていただきました。行政処分は当然、もう終わってしまっているのですが、まだまだ企業の再建に至るまでにはとても見込みが立っていない状況ということで、もちろん、経営陣を一新してありますが、そういう状況です。そして、県も、こういうことが二度と起こらないようにということで、小林化工以外にも県内の関連メーカー全てに、今後、抜き打ち調査をするということで今方針をつくっています。
 そうやって厳格にやっていくことは、もちろん非常に重要だとは思いますけれども、それが先ほど安藤委員が言いましたように、あまりにも絞めつけ過ぎて、後発品メーカーが萎縮してしまってもいけない。
 その辺のアクセルとブレーキをどうするかということは非常に難しいところではありますが、言っていいか分かりませんけれども、私自身も、全国的にも(ジェネリックメーカーには)玉石混交というところがあるように見受けられる。値段もあれだけ差があるということ自体、その辺をもう少し見直さなければいけないのではないかと思いますけれども、今回の不祥事に関して、厚労省として、どのような基準で今後の監査等を行っていく方針か、今もしお分かりであれば、ちょっと教えていただきたいと思うのが質問の1点です。
 もう一点は、各論になりますけれども、先ほど城守委員もおっしゃいました30ページ、31ページの処方箋の変更不可に関する点ですが、以前、1号側からもこの変更不可の項目は要らないのではないかという御意見がありました。
 ただ、私自身が知る限り、この変更不可にチェックを入れているのは、処方医の独断ではなくて、ほとんどが患者からの意思。一旦変更したけれども、やはり元の薬に戻してほしい、あれを飲んだら調子が悪いと、科学的根拠があるかどうかは別として、本人の訴えがあったことに対してチェックを入れることがほとんどではないかという印象を持っています。ですから、それをなしにする場合は、後発品にしませんかということを調剤薬局から毎回言われることに対してすごく負担感を感じている患者は、特に高齢者の方は多いのも事実ですので、私自身も、本当に少ない例ですけれども、変更不可を入れているところもあります。
 そこで、質問なのですけれども、処方医が変更不可を入れている理由が分かるようなアンケート調査等がどこかで行われているかどうか、もしあれば、その内容も教えていただければと思います。その2点の意見と質問です。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員からも御質問をいただいています。これも後でまとめて御回答をお願いいたします。
 続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。私からは、質問を2点と意見を2点ほど言わせていただきたいと思います。
 質問ですけれども、34ページの後発医薬品の使用意向について、幾ら安くなっても使用したくないと回答した方について、その理由についての分析等はあるのでしょうかというのが質問の1点目です。
 2点目は、37ページの後発医薬品の使用割合の高い都道府県、低い都道府県に何か傾向はあるのでしょうかというのが質問の2点です。
 これから意見ですが、59ページの論点で、重複投与、ポリファーマシー、残薬対応といったことが患者(被保険者)のためにも重要なことであり、診療報酬上の対応で評価することは、推進のためにも必要であると考えています。
 それから、先ほど安藤委員が発言された後発医薬品のルール厳格化について、私も危惧しております。安全性・信頼性が損なわれないようお願いしたいと思っております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 まず、適切な処方なのですが、長期処方、ポリファーマシー、重複投薬が一番問題になっていると思いますので、この対策をしっかりと行うべきということを次期改定に向けてやるべきだと思います。
 重複処方については、処方日数が年々増えているという問題もあるのですが、長期間同じ処方が繰り返されている。例えば180日以上同じ処方が繰り返されているというところについても、何らかの対策を打っていく必要があると思っています。
 一つは、分割調剤という手法があるのですが、前回の調剤報酬の議論でも提案したのですが、今の煩雑な分割調剤の仕組みでは、今後は普及できないというのが明らかであります。これは抜本的に見直す必要があると思います。その選択肢の一つとして、処方箋の繰り返し利用もぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、ポリファーマシーや重複投与、残薬への対応は強化していく必要があるのですが、今年10月からオンライン資格確認のインフラを利用して、患者の薬剤情報が医療機関で一元的に見られるというところがありますので、国民全体にこれが普及するというのはちょっと時間がかかると思いますが、こういった仕組みを有効に活用していただいて、ポリファーマシー対策をぜひ行っていただきたいと思います。
 それから、皆さん言及されなかったのですが、17ページにありますビタミン剤等を適正化した経緯が示されているのですが、薬について、この保険給付範囲をどこまで見るかは非常に重要な課題であって、骨太の方針にも提案されています。これらについては、さらに適正化していく必要があると思いますし、今、スイッチOTC薬がある医療用医薬品が、たくさん医療用医薬品として収載されている。これについては、次回改定でぜひ見直していただきたいと思います。
 それから、後発品については、皆さん御指摘されたとおりだと思いますが、本当に今、現場で起きている供給対策はやる必要があると思います。私も経験いたしました。今まで処方されていたものが処方できませんと言われた経験もあります。
 しかも、これは長期化することが想定されておりまして、問題は何なのかというところを突き止める必要があると思っていまして、小林化工、日医工の供給停止だけの問題なのか、それともそれに起因したルールの厳格化による問題も何かあるのか。そこはしっかりと検討して、対応していくべきだと思います。
 それから、後発医薬品の割合なのですが、骨太の方針の全都道府県で80%という目標が出された中、財務省が指摘しているとおり、加算の費用対効果が薄まっているという現状がありますので、この加算に対する費用対効果を基に、加算の在り方について、次期診療報酬改定でぜひ見直していくべきだと思います。具体的に言えば、70%の割合が加算をつける対象として妥当なのかどうか、4割以下の減算は、4割が妥当なのかどうかについても見直していく必要があると思います。
 最後に、フォーミュラリーについても、2号側の先生方から意見があったのですが、フォーミュラリーは院内、地域ともにだんだん推進されてきているという現状があります。それから、前回改定と環境が違うのは、厚生労働省の研究班がガイドラインを作成しているということも聞いていて、環境も整ってきたと思います。
 これをさらに推進していくためには、やはり診療報酬上の対応は必要だと思います。フォーミュラリーに対する診療報酬上の対応をどうしていくかについては、次回の議論でぜひ検討していくべきだと思います。
 それから、今、池端委員から、変更不可欄について、少なくなってきているのだけれども、患者の申出でつけざるを得ないという御意見があったのですが、患者が希望しても、後発医薬品の効能・効果が先発品と同一なのだということを患者の方にちゃんと説明して、納得していただくというのも医師の大切な業務ではないでしょうか。患者に言われたから変更不可欄にレ点をつけるというのは、少し違うのではないかと思います。私は、変更不可欄は役割を終えたと思っていますので、これも検討すべきだと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 城守委員、池端委員がそれぞれ追加のコメントがあるようですので、お願いいたします。
 まず、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
 ありがとうございます。
 今、幸野委員から、まず、17ページのうがい薬やビタミン剤等に関しての対応から、その保険給付の範囲のお話がございました。日本医師会といたしましては、従来から医療上必要な医薬品は保険給付の対象とされるべきと考えておりますし、仮に財政の厳しさを理由に、重篤な疾患だけを保険給付の対象とするようなことになりましたら、結果的には、重篤でない人に対しての保険給付ができなくなり、社会保険の恩恵が薄れることになります。
 そうしますと、足りない部分は、民間の医療保険を入れればいい、民間保険に入っていればいいという風潮にもなりますし、結果、経済的弱者の方には適切な医療が提供されなくなってしまうということが想定されますし、これは国民皆保険の形骸化を意味するものでございます。ですので、医療保険の対象外とされるのは、あくまでも治療目的ではない場合に限定されるべきという従来の考えは死守すべきであろうと思います。
 2つ目のフォーミュラリーの件でございますが、先ほども申しましたように、各医療機関で独自の取組としてフォーミュラリーをされるということは、別に問題はないと我々は考えております。
 ただし、先ほども申しましたように、フォーミュラリーに関しての定義もないし、方法に関しても、先ほど幸野委員がガイドラインということもおっしゃっておりますが、まだそれがどれだけ的確なものであるかという議論もなされておりません。
 さらに、我々医師は、有効性・安全性が同等であるということが確定しているのが大前提になって、初めて経済性の指標がその評価軸として機能するものであろうと思っております。ですので、現在、フォーミュラリーは、例えば53ページの米国の病院薬剤師会におけるフォーミュラリーの定義等を見ますと、我が国では薬価基準が一定程度該当すると思います。
 そうしますと、薬価基準の中にある同じ薬効のものに対して、現在、制度がスタートした費用対効果評価制度において大きな検証がなされて、初めてその実績が確定するということになりますので、そういう意味では、まだまだこれを保険適用するとか、保険収載するという段階でもなければ、そういう趣旨でもないということを重ねて申したいと思います。
 そして、3点目の処方箋に関して、患者に言われたからというのでというお話は、一理はあるかもしれませんが、幸野さんがいつもおっしゃっていますように、我々が主体として医師を選び、そして薬剤を選びということをおっしゃっていると思いますので、そういう意味から、ドクターのほうからはもちろん説明もしますけれども、患者がどうしても納得されずに、後発医薬品ではない、先発メーカーが欲しいとおっしゃるのも、一つの患者の権利であろうと思いますので、そこは違うのではないでしょうか。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員、お願いいたします。松本委員は、その後でお願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。私も今、城守委員がおっしゃった点です。ちょっと心外なので、反論させていただきたいと思います。
 もちろん、きちんと説明させていただいております。そんな患者から言われたから、はい、そうですかということをやっているつもりはありませんし、きちんと説明した上で、なおかつ、特に25ページを御覧いただければ分かると思いますけれども、特にこういう後発医薬品を使用しにくいというのがあります。例えば精神安定剤とか催眠薬、不安薬など、特にこういうお薬などに関しては、変更すると逆にすごく眠れなくなったと本当に御本人がそうおっしゃるわけです。
 お薬はプラシーボ効果というものがあって、信じているものは効くという効果もありますし、見た目が変わっただけでも、不安から効かなくなる。例えばよく御存じのとおり、ワクチン接種でもそうです。ワクチン接種に対しての不安感からいろいろな症状が出てしまう。動悸がしてきたり、頭痛がしてきたりすることもあるように、これはゼロ、百ではいけないところがあるのは、医療の難しさだと思います。その辺も含めて一定程度の変更不可とせざるを得ないことがあるということを御理解いただきたいと思います。
 今、城守委員もおっしゃったように、ワクチンでも、95%効くといっても打ちたくないという方も一定いらっしゃるのは認めるということと同じように、不安感から、どうも変えて調子が悪くなったというお気持ちを感じて訴えられることに対しては、正直にそれは患者の権利として認めていくべきではないでしょうか。
 それまで駄目というのだったら、先発品も全部なくさなければいけないことになりますので、それは少し極論ではないかと思うので、御理解いただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 先ほど幸野委員から、長期処方の弊害について御意見いただきました。御理解いただきまして、本当にありがとうございます。私も同様に思っています。
 8ページにありますように、処方日数が非常に増えていることについては、非常に危機を感じております。たとえ同じ薬の処方を続ける場合でも、一定の期間の後にきちんと医師が診察し、患者の状態を把握し、また、患者の御意見を聞きながら、非常にいい状態が続いているのであれば、また同じ処方をするということを医師はいたしますし、もし患者の側からまだあまり効いていないとか、あるいは何か副作用等が感じられるということがあれば、診察の後に処方の変更もするわけです。
 そういった意味で考えますと、いわゆる処方箋の繰り返し利用が長期処方の改善につながるとはとても思えませんので、そういった観点からも、現在の長期処方についてどう考えるかという視点で検討していけばいいのではないかと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 今まで2号側の先生の意見を聞いても、私は納得できません。
 なぜこういうことを議論しているかというと、限られた財源の中でどのように薬価を調整していくか、医療費を調整していくかという広い観点で考えていただきたいと思います。
 個別の反論はありますが、時間的制約もあって、今日はキックオフの議論なので、第2ラウンドで詳細に反論させていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問はございますか。
 それでは、非常に多くの貴重なコメントをいただきました。
 事務局から現時点でお答えできるものがございましたら、御回答をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
 幾つか御質問をいただいております。
 城守委員からいただきましたフォーミュラリーに関する御質問とか、池端委員、佐保委員からいただきました後発品への変更不可あるいは使用しない理由などにつきましては、こちらの研究班とか検証調査で取ったデータがございますので、また次回以降、お示ししていきたいと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ほかはよろしいでしょうか。
 お願いします。
○林医政局経済課長
 経済課長でございます。
 後発医薬品の関係について、様々な御意見、御質問をいただきまして、ありがとうございます。
 有澤委員から後発医薬品を中心とした安定供給、流通改善の取組について、具体的に教えてほしいという御質問もございましたので、少し総合的にというか、これまでの取組を御紹介できればと思います。
 資料で申しますと、37スライド目、38スライド目を御覧になりながらと思っております。資料にもございますように、骨太2021でも後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保をしっかりと柱とするということと、官民一体で製造管理体制強化、監督厳格化等に取り組むとされております。
 こういったことも受けまして、まずは業界においても品質確保、安定供給、コンプライアンス・ガバナンス強化等々の4つを柱として、各社自己点検の強化等に取り組んでおります。また、これらの取組については、JGAのホームページにも随時アップデートをしております。また、厚労省におきましては、共同開発や製造管理体制について、個別の品目の承認申請時における新たな対応を追加しております。
 また、御質問もございましたが、保険収載時の収載の自発的見送りについて、従来の範囲に加えて、5年以内の安定供給は、もともと我々から義務づけというか、対応をお願いしていることでございますが、仮にこれを守れなかった場合については、2回収載を自発的に見送っていただくという対応を今回追加しております。
 さらに、製造所に対する無通告検査については、7月を強化月間として立入りを実施しておりまして、これらの結果については、8月を目途に取りまとめ、公表する予定だと担当部局から聞いてございます。
 また、安定供給の関係につきましては、後発医薬品を直接の契機としているわけではございませんが、それ以前から様々な対応を検討しておりまして、昨年9月には医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議から提言をまとめていただいております。この提言を受けまして、国においても、安定確保医薬品の具体的な選定やカテゴリーの設定、そして、それらを踏まえまして予防、早期対応、供給不安時の対応といった様々な御提言をいただいておりますので、それを受けて対応しております。
 具体的に申しますれば、例えば昨年12月には、医薬品が供給不足に陥った場合に、医療現場に必要な情報を速やかに、適切に提供するようにメーカー等に指導しております。また、本年5月には、供給不足が生じる場合に、厚労省が必要な情報をメーカーから把握して対応、指示等ができるように、供給不足時の対応スキームについてを通知しております。
 また、こういった対応に加えまして、個別の医薬品についても対応しておりまして、医療上の重要性が極めて高い製剤については、メーカーへの増産依頼とか医療機関、薬局卸に対して適正な購入をお願いするといったもの、あるいは代替薬の活用や適正使用といったことをお願いしております。具体的に申しますれば、例えばプロポフォールとか、最近ではアルファカルシドール等について、そういった依頼を対応しております。
 あと、流通改善につきましては、これらの事案も踏まえまして、流通改善ガイドラインの改定におきまして、医薬品価格の交渉だけではなくて、流通の関係で、例えば回収等の際の早急な情報提供や頻回配送・急配の減少の取組も含めて、今、改定案を提示しておりまして、秋頃までの策定を目指しております。
 るる申し上げましたけれども、後発医薬品の使用割合が約8割の状況下において、後発医薬品は、医療上重要な役割を担っていると認識しております。医療関係者、患者が安心して医療を受けるためにも、後発品を含めた医薬品が継続的に安定的に供給されることが大変重要と考えております。
 また、今後、特に医療現場で適切な医薬品が選択できるように、メーカーからの適切な情報提供を進めるのも大事だと認識しております。こういった点も含めまして、引き続き医薬品の安定確保に取り組んでまいりたいと思います。これが1点目でございます。
 また、収載5年で見送りという記事について危惧するという御意見が安藤委員、佐保委員からございました。今申し上げた中の対策の一つとして、もともと保険収載時には、5年間安定供給をしてくれということで指導しておりますが、仮にそれが遵守できず、欠品が生じた場合については、2回新規の収載を見送るという念書を出していただくことを原則とする扱いをこれから導入することにしてございます。
 もともと後発医薬品については、初収載時の上市品目は企業数が多過ぎるのではないか、それがかえって安定供給の阻害になっているのではないかといった意見も多数寄せられております。そういった中で、過去にこういった安定供給について問題が生じた企業からの新規収載の見送りに対応することについては、そういう意味で安定供給上も一定の効果があると我々としては考えているところでございます。
 池端委員から、不祥事の監査についての方針について御質問がありました。御指摘のとおり、我々としても、無通告監査で全てが解決するわけではなくて、これは言わば例外的な対応だと認識しております。基本的には、県を中心とした立入検査の質を向上することと併せて、基本的には事業者が自発的にしっかりとGMP、GQPを守っていただくことが重要だと考えておりますので、そういった形で指導をしっかりとやっていきたいと考えております。
 また、幸野委員から、現在起きているジェネリックの供給不足について、小林化工、日医工の問題が原因なのか、どうなのかということでありますが、いろいろな問題が背景としてあり、それについて、今申し上げたような対応も講じております。
 ただ、現状は、後発品、それに伴って先発品も非常に供給不足が生じています。日医工は供給量のかなり多くを担っておりましたので、そちらの供給不足状況は、再開の見通しがなかなかできていないといったところが直接の大きな原因かと思っております。今、大手社を中心に増産に努めていただいておりますし、我々としても必要な対応を依頼等しているところでございます。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 「医薬品の適切な使用の推進」について、ほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
 特にないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 続きまして、次のテーマの「働き方改革の推進」についてを議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井内医療課長
 それでは、中医協資料総-1-2「個別事項(その1)働き方改革の推進」に基づきまして御説明させていただきます。まず、働き方改革の推進に係る取組全体の進み方、さらに、診療報酬での取組という2部構成になっております。
 3ページ目でございますが、医師の働き方改革に関する経緯ということで、働き方改革実行計画から始まっております。こういった経緯を踏んでおりますというものでございます。
 4ページ目が、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律の概要ということで、令和3年5月28日公布のものでございます。この中の「改正の概要」の1の「医師の働き方改革」ということで長時間労働の医師の労働時間短縮及び健康確保のための措置の整備等について触れられております。
 5ページ目になります。医師の働き方改革の全体像ということで、医療機関で行うものが上段にありまして、いわゆる住民との関わり方、右下のほうで都道府県、地域の医療体制の確保との兼ね合いということで、地域、病院、患者、住民ということで、そういった中で、全体として動いているというものでございます。
 6ページは、医師の時間外労働規制についてということで、一般則で2024年4月からいわゆるA、連携B、B、C-1、C-2という形で、将来、2035年度末を目標にということですが、AとC-1、C-2に集約していく形で進んでいくという前提でございます。
 7ページに、今御説明させていただきました一般則、連携B、B、C-1、C-2がどういった方で、適用される水準がどういうものかというものをまとめております。
 8ページになりますが、2024年4月に向けたスケジュールということで、様々な病院の中、地域でそれぞれの準備が進められているというものです。
 9ページ目に、令和3年度予算における医師・医療従事者の働き方改革の推進の予算の部分を参考に載せさせていただいております。
 10ページ以降になります。ここからが診療報酬における働き方改革に向けた取組でございます。
 11ページに行っていただきますと、今までの診療報酬で、医師の働き方もしくは医療従事者の働き方に資するものということで、類型化をさせていただいております。医師の働き方改革に対する評価ということで、一番左から地域医療体制確保加算の新設、勤務環境に配慮する領域への対応、働き方改革に係る環境整備の推進、多様な勤務形態が推進されるようなもの。2つ目で、医師だけではなくて、タスクシフト・タスクシェアに対する評価、さらに医療従事者全体の負担軽減に対する評価、その他ということで分けさせていただいております。
 以降のページでは、ここにありますそれぞれの点数につきまして御説明させていただいております。
 12~13ページに移っていただきまして、地域の救急医療体制において重要な機能を担う医療機関に対する評価ということで、最初に、地域医療体制確保加算でございます。先ほどの診療報酬のところの一番左の部分で、これが520点ということで「施設基準」のところで救急用の自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年間で2,000件以上あることになっております。
 14ページでその算定状況。
 15ページで、これと併せてやっております地域医療介護総合確保基金のスキーム。
 16ページで、勤務医の労働時間短縮の推進として行われている事業。
 17ページに、地域医療介護総合確保基金を載せさせていただいております。
 18ページ以降になります。
 19ページで、勤務環境に特に配慮を要する領域への対応ということで、勤務にかなり過重負荷がかかりそうなということで、ハイリスク分娩管理加算、手術・処置の休日・時間外・深夜加算というところでございます。
 21ページ以降が、働き方改革に係る環境整備ということで、総合入院体制加算ということで、1、2、3とございますが、実績要件のところで高度な医療を行っているというところで一定の要件を満たした病院に対し、22ページにありますが、施設基準ということで、計画を立てて、様々な医師事務作業者の配置であったり、院内保育所の設置であったりと環境整備を整えているところについての診療報酬での評価が行われております。
 さらに、23ページ以降、24ページが、多様な勤務形態の推進ということで、多様な勤務ができるようにということで、常勤換算の見直しであったり、医師の配置についてであったり、専従要件というところを並べております。
 26ページ以降が、今度はタスクシェア・タスクシフトに対する評価であります。
 26ページが、病院勤務医の事務負担の軽減ということで、医師事務作業補助体制加算ということで、医師事務作業補助者の評価でございます。
 27ページに届出の状況。
 28ページは、今度は看護職員の負担軽減策ということで、急性期、慢性期それぞれの病院でどのようなものがつけられているかというもの。
 29ページが、その変遷でございます。
 30ページに、その点数の変遷を載せさせていただいております。
 31ページが、入院基本料、看護補助者に対する加算ということで、現在の看護補助者に対する加算一覧ということで載せさせていただいております。
 32ページが、急性期看護補助体制加算及び看護補助加算の届出の状況。
 33ページが、看護職員夜間配置加算の届出状況でございます。
 34ページからは、今度は栄養サポートチーム加算ということで、栄養サポートチームをつくるということで、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士が共同して必要な診療を行うところの評価でございます。
 35ページが、チーム医療において、薬剤師が主体的に関わる業務というところで、いわゆる病棟薬剤師でございます。
 36ページに、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師の働き方ビジョン検討会を載せさせていただいております。
 37ページが、病棟における薬剤師の関与の効果及び実施状況の調査。
 38ページが、薬剤師の病棟業務の評価でございます。
 39ページが、病棟薬剤業務実施加算の届出施設の病床数の割合での調査でございます。
 40ページが、特定行為研修制度のパッケージ化によるタスクシフトということで、特定領域で行われるということで、看護師の方が行うもののパッケージと、41ページで、その特定行為研修を修了した看護師の数ということで挙げさせていただいております。
 診療報酬での特定行為研修の評価がどういったところで行われているかというのを42ページ、43ページでまとめさせていただいております。
 44ページ以降が、医療従事者の負担軽減ということで、45ページに、いわゆる重症度、医療・看護必要度の測定のところのB項目の評価方式の見直しを挙げさせていただいております。
 46ページが、看護職員の業務負担の要因。
 47ページは、看護職員の記録に係る。これも取組というところで挙げさせていただいております。
 48ページは、総合入院体制加算の概要。先ほど御説明させていただいたものを再掲させていただいております。
 50ページは、情報通信機器を用いたカンファレンスの推進ということで、情報通信機器を用いたカンファレンスがどのように行われているのかということを挙げさせていただいております。
 51ページに、医療機関における業務の効率化・合理化というところでも挙げさせていただいております。
 52ページ以降が、その他ということで、地域での取組ということで、53ページが、夜間・早朝加算、院内トリアージ、夜間休日救急搬送医学管理料。一部の診療所に患者が集中しないようにということで、地域で取り組んでいただくといったものでの評価になっております。
 54ページ以降が、今回、医療保険部会でまとめられております、紹介状なしで受診する場合の定額負担というところで、54ページが現行、55ページが見直し案の説明でございます。
 最後の56ページで、この働き方改革の推進についての課題と論点ということで、論点としては、今般の改正医療法において、長時間労働の医師の労働時間短縮のための措置等が整備されたことなど、これまでの医師をはじめとした医療従事者の働き方改革の取組や、これまでの診療報酬上の対応を踏まえ、働き方改革の推進に対する診療報酬の在り方について、どのように考えるかということを、事務局のほうで本日の論点とさせていただきました。
 以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明も踏まえ、何か御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。松本です。それでは、56ページの課題と論点に沿ってお話しさせていただきます。
 まず、医師の働き方改革に対する評価でありますけれども、医師の勤務環境の改善は長年の課題であり、医師の労働時間短縮への取組や健康確保策への推進は大変重要と考えております。しかし、そこで大切な視点としては、あくまで医師だけではなくて、医療機関として医療の質を落とさないように取り組むことが大事かと思っております。
 現状、各地の医療現場は、公か、民か、あるいは施設の大小や機能にかかわらず、新型コロナウイルス感染症の対応に懸命に当たっております。そうした現場の支えとなるような評価をお願いしたいと思います。
 今回の医療法改正等による制度改革を確実に進めていくために、引き続き様々な財政的支援が不可欠と考えます。13ページの前回改定で新設された地域医療体制確保加算は、着実に算定されていくことが今回示されてはおりますけれども、さらに有効に活用していくことをしっかりと継続していくことが必要かと考えています。
 また、地域医療介護総合確保基金の活用についてもお話がありましたけれども、この利用のされ方は、使い勝手があまりよくなく、有効に活用されているとは思いません。令和6年4月に向け、各医療機関は自らの状況を適切に分析して、時間短縮に計画的に取り組んでおりますが、基金での支援だけではなく、やはり診療報酬で対象となる要件の範囲をしっかりと拡充する必要があると考えております。
 具体的には、14ページ目の地域医療体制確保加算につきまして、救急搬送件数が年間2,000件以上であれば診療報酬で評価するということになっていますけれども、2,000件未満の医療機関の中にも、当然ながら苛酷な勤務状況になっている医療機関は多数存在しており、また、基金での対応は十分に活用されていない現状も鑑みれば、2,000件未満の医療機関であっても、実際に実施している負担軽減の取組等もきめ細かく評価した上で、診療報酬で手当てすることについて、今後検討すべきと考えます。
 26ページからのタスクシフト・タスクシェア、あるいは医療従事者の負担軽減等に関する評価でございますけれども、まず、タスクシフト・タスクシェアに関しましては、27ページ目の医師事務作業補助体制加算については、負担軽減策として最も有効な取組の一つであると考えています。改定のたびに対象病棟が拡大されてきたことは評価しておりますけれども、求められる施設基準が急性期病院を基準とした内容になっています。
 具体的には、年間の救急入院患者数が200名以上や、手術件数が800件以上とかの基準が定められており、それに相当しない医療機関でも算定できるような状況が求められると考えております。医療従事者の負担を軽減するという加算の指針に従って、これを評価していくことを検討すべきかと考えています。
 また、29ページ以降の看護補助者の評価にも当てはまることでございますので、現在は看護補助者やクラークの確保が全国的に厳しくなってきておりますので、人員を確保してこれを継続していくためには、さらなる評価が必要だと考えております。
 それから、53ページ目にございます地域全体での取組等の評価になりますけれども、夜間・早朝等加算とか院内トリアージ実施料、夜間休日救急搬送医学管理料ともさらなる評価が必要であると考えております。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
 ありがとうございます。私は、薬剤師という立場から、病院薬剤師について少し発言をさせていただきたいと思います。
 スライドの37にありますように、病棟における薬剤師の関与状況等についてですが、医師の負担軽減及び医療の質の向上の効果として、どの項目についても「効果がある」「どちらかといえば効果がある」を含めると9割以上となっております。したがいまして、医師の働き方改革の推進の観点から、病院薬剤師の病棟業務のさらなる推進をすべきと考えます。
 具体的には、例えば現在、評価の対象とされていない地域包括ケア病棟、あるいは回復期リハビリテーション病棟などにおける薬剤管理指導料と病棟薬剤業務実施加算について、評価を検討していただくことなどが必要と考えます。
 また、外来患者において、医療機関の薬剤師が、医師の診察前に服薬状況あるいは副作用の発現状況等について、薬学的観点から確認を行った上で医師等に情報提供することは、医師等の負担軽減の観点から重要だと考えますし、保険薬局の薬剤師との連携においても大変有用と考えます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 医師等の働き方改革の推進につきましては、地域医療構想、医師偏在対策と三位一体で進めていく必要がある、重要な課題の一つであると認識しております。
 令和6年4月の上限規制の適用開始に向けまして、診療報酬改定においても、これまでの進捗を踏まえつつ、段階的に対応する必要があると考えております。そのため、働き方改革の推進については、これまでの改定による進捗をしっかりと把握・検証した上で、診療報酬でどのように対応するのか、検討することが必要であると考えております。
 特に、前回改定で新設いたしました地域医療体制確保加算につきましては、患者への見える化の観点からも、施設基準となっている病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する計画について、その策定及び実施状況を検証すべきであると考えておりますので、次回に検討するときには、それに資する資料を御用意いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 島委員、お願いいたします。
○島委員
 ありがとうございます。論点について、意見を述べさせていただきます。
 まず、医師を筆頭に、それぞれの職種が協力し、タスクシフト・タスクシェアが可能なことはやりながら、やるべき仕事は確実にやり遂げることが求められていると思います。
 前回改定では、地域医療体制確保加算をはじめ、数々の働き方を評価する診療報酬上の新しい制度づくりや改定と同時に、専従要件等の緩和などが行われております。地域によって医師の偏在や診療科の偏在があることを考慮すれば、患者への医療安全や提供する医療の質が低下しないのを前提に、さらに資格要件の緩和を検討する必要があると思います。これは意見でございます。
 それから、一つ手前の55ページは、いつも54ページが現行の状況で、55ページが見直し案として提示されておりますけれども、まず、タイトルの「大病院への患者集中を防ぎ」という「大病院」の定義そのものは、2018年度の診療報酬改定の際に400床以上と決められたものでございます。
 それから、3のところにもまた「大病院から」とありますが、新しく検討するところですので、ここで使う「大病院」が400床以上という定義に基づくものであれば、話の中身は大分変わってきますので、事務局としてはここを注意していただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員、お願いします。
○池端委員
 ありがとうございます。私も医師の働き方改革に関して、2点ほどお話ししたいと思います。
 まず、26ページにありますように、私は何よりもタスクシフト・タスクシェアは非常に重要だと思います。特に薬剤師、特定看護師、医師事務作業補助者の3点は、中でも特に非常に有効なものだと思っておりますので、これを推進していただくことは非常に望ましいことだと思います。
 まず、医師事務作業補助に関しては、先ほど松本委員からもお話がありましたように、回復期とか慢性期も含めて、全ての病床にさらなる手当て等が必要かと思っております。
 あと一点、薬剤師の病棟配置に関しては、また入院のところでお話しさせていただきたいと思いますので、本日は割愛させていただきますが、41ページ以降にある特定行為の看護師についてです。
 41ページを見ますと、一定程度数が増えてはきておりますが、修了者が3,307名ということで、延べ2万人ということですけれども、当初は10万単位の特定看護師の養成を計画しているかと思いますが、その進捗状況について、もし何か数字等がありましたら、教えていただきたいということと、今はどちらかというと急性期を中心に特定行為を修了した看護師のタスクシフト・タスクシェアが叫ばれていますが、私はむしろ特定行為を修了した看護師たちは、慢性期とか在宅、あるいは老健施設等でも十分に機能する新たな看護師たちになるのではないかと。そして、それが非常にタスクシェアリングにつながるのではないかと思っていますので、その辺りもぜひ診療報酬上の加算あるいは基準等をつけていただくことが非常に重要ではないかと思いますが、その辺について何かお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
 最後にもう一点です。55ページは、今、島委員からもお話がありましたように、今日はキックオフということで、これ以上お話ししませんが「大病院」が400床以上かどうかということはまた後でお聞きしたいと思いますけれども、前回の資料を見ると200床以上を想定しているのかなと思っています。
 となると、もちろん、大病院の先生方も、できれば専門の外来と、それ以外の地域のかかりつけの先生にお願いしたいという同じ思いを多分持っていらっしゃると思うのですけれども、一方で、病院にとっても、外来という報酬を全く捨てることができないという経営上の問題も一部あるのではないかと。ですから、こういう北風的な方法よりも、むしろ根本的に外来を縮小して入院に特化することによって、一定程度の経営が成り立つような報酬上のシフトが必要ではないかと。
 これは大枠過ぎて、結論は出ないかと思いますけれども、そういう根本的な考え方も必要ではないかと感じていますので、これは意見として言わせていただきます。
 以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 松本委員が追加のコメントがあるようですので、よろしくお願いします。
○松本委員
 先ほど池端委員もお話ししておられましたけれども、看護師の勤務環境の改善については、専門委員がおられますので、その実態を踏まえたコメントをいただいてもよいのではないかと考えますが、会長におかれましては、御検討くださいますようお願いいたします。
○小塩会長
 承知しました。
 佐保委員、幸野委員、お手が挙がっているのですけれども、ちょっとお待ちいただいて、現在、松本委員から御提案がありましたが、看護師の状況につきまして、吉川専門委員から御意見がございましたら、御発言をお願いいたします。
○吉川専門委員
 ありがとうございます。看護職の立場からは、3点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
 急性期の補助体制加算とか看護職員の夜間配置加算、また、看護補助加算などによりまして、看護職員の負担軽減が現在図られております。
 資料の32ページに、看護補助体制加算の今の届出状況が示されていますが、看護補助体制加算の届出が年々減少していることにつきましては、やはり看護補助者の確保が非常に難しくなっていることが考えられます。その確保が難しい背景としましては、看護補助者の労働環境、特に給与とか、正規雇用ではなくて非正規雇用が多いというところで、その処遇について課題があると認識しております。
 次に、33ページの看護職員の夜間配置加算についてですが、こちらに関しましては、届出が増加傾向であるということは大変喜ばしいと考えております。
 ただし、負担軽減が必要なのは夜勤帯だけではなく、日中の提供体制整備についても今後議論、検討が必要だと考えております。
 最後に、46ページにあります看護職員の業務負担の要因についてですが、看護記録が業務負担として最も多い調査結果となっておりますが、日々の看護記録は法的根拠になることから、これは必要であり、重要なものと考えております。
 今回、そのために、看護記録の効率化というところから、47ページの取組にありますように、重症度、医療・看護必要度2が導入され、これが非常に重要な役割を担っていると考えております。
 それに加えまして、ICTを導入して、音声による自動入力とか代行入力等の活用が有効であると考えておりますので、今後、推進していく必要があると考えております。
 以上です。
○小塩会長
 吉川専門委員、どうもありがとうございました。
 続きまして、佐保委員、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 これまでの働き方改革につながる診療報酬上の評価について、新型コロナ禍であることを加味しながら、効果分析と検証を行い、さらに働き方改革の推進につながるよう、診療報酬上の対応が必要であると考えております。働き方改革を推し進めるための評価の効かせ方が必要であると考えております。
 このこととともに、医師や看護師をはじめとする医療従事者の業務負担の軽減についてもさらに検討し、医療の安全性を担保した上でのさらなる改善が必要であると考えます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 医師の働き方改革については、前回の改定でも多くの診療報酬上の対応が見られたのですが、次回、対応するのであれば、前回の検証をしっかりと行うべきだと思います。
 例えば典型的な例として今、意見として出ているのですが、13ページの地域医療体制確保加算なのですが、これは緊急の対応が必要な地域の救急医療体制において重要な機能を担う医療機関の医師が過酷な勤務となっていることから、特別枠として設定されたということなのですが、14ページを見てみますと、規模の大きい医療機関ほど算定割合が多いというデータが出ております。
 400床以上の病院では、半数以上が算定しておりまして、規模が小さくなるほど算定割合が低いということで、これを個人的に検証してみたのですが、これによって医師の働き方改革がどうなったのかというのを令和2年度調査で見てみました。この届出が出ている400床以上の医療機関の1か月当たりの医師の平均労働時間を見てみますと、改定後の令和2年度のほうが若干長くなっているという数字が出ておりましたのが非常に気になります。400床以上の病院は、恐らく、コロナ患者を受け入れた影響もあるのではないかと思っていますが、その辺りを十分に検証して、次回の対応を検討するべきだと思います。令和3年度調査もありますので、この加算で医師の平均勤務時間がどう動いているのかというところを十分に検証していく必要があると思います。
 あと、医療従事者の働き方改革については、特に急性期の勤務で新型コロナの影響が大きいということも考慮して、コロナ対策と恒久的な働き方改革とは整理して検討していくべきだと思います。例えば53ページの院内トリアージ実施料が令和2年度に急増しているのですが、これは明らかにコロナ特例で急増しているだけであって、これは働き方改革とは分けて整理していくべきだと思います。
 最後に、原則論なのですが、医師の働き方改革は、要件緩和とかタスクシフト・タスクシェアによるチーム医療の推進、業務効率化のためのICTの活用、また、医療機関内だけで完結するものでなくて、地域における診療所との機能分担・連携によって、病院の外来患者による負担軽減をいかに図っていくかということが必要になってくると思いますが、いずれの場合においても、診療報酬で対応するということであれば、どんなことを行っても、これによって医療の質が低下することだけはあってはならないということは十分に留意して、次回改定を検討していくべきだと思います。
 ということで、前回改定の検証と、医療の質の担保を十分に勘案しながら、診療報酬上での対応を考えていくことが必要だと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかの委員の方々からはよろしいでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 1点だけ追加させていただきたいと思います。
 今ほど吉川委員から、看護補助者に対して、最近は確保が非常に難しいというお話がありました。特に慢性期では、介護施設を両方持っている施設なんかでも同じような現象が起きていまして、要は、介護職員に関しては、介護保険施設でいくと介護職員処遇改善加算等があって、ある程度給与が確保できるのですけれども、病院に行って看護補助者として働く場合に、その給与に明らかに大きな格差を生じてしまって、最近は利用機関に介護職員がほとんど流れてこないという現状が全国的に見られています。
 この辺の加算の在り方は、介護保険と診療報酬ですから、全く違うものかもしれませんし、一方は介護職員になりますし、こっちは看護補助者という名目になっています。働いている実態は同じだと思うので、この辺も問題意識として持っていますので、もし事務局で何かこの辺についてのコメントがありましたら、お聞きしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、事務局から、現時点で回答していただけることがございましたら、よろしくお願いいたします。
○井内医療課長
 本日いただきました御意見を基に、また次回以降の資料の作成に取り組みたいと思います。
 その上で、本日、御質問として明確にありました事実関係のところで1点だけお答えさせていただきます。
 54ページ、55ページですが、いわゆる「大病院」ということで、まず、54ページは、平成28年度から一定規模以上の保険医療機関に定額の徴収を求めているということで、定額の徴収がなされているのが特定医療病院及び一般病床200床以上の地域医療支援病院が1つのカテゴリーとしてございます。
 御指摘いただきました55ページの大病院への患者集中ですが、ここで想定していますのは、まず、先ほどの定義がある上で、2つ目のポツの1の新たに設けられる紹介患者への外来を基本とする医療機関、対象医療機関を拡大する。ここが一般病床200床以上のみということで、ここを拡大する。ここについての検討は、また別途医政局等のほうで行われておりますが、こういったところを併せて、全体として今回の定額負担の拡充ということになっております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。次回以降の審議に反映させていただきたいと思います。
 続きまして、次のテーマとして、歯科用貴金属の価格改定の在り方についてを議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○宮原歯科医療管理官
 歯科医療管理官でございます。資料総-1-3の個別事項(その1)、歯科用貴金属材料の金属材料価格の改定について、御説明いたします。
 2ページ目でございます。金銀パラジウム合金等の歯科用貴金属は、その素材の金やパラジウムなどの価格が市場取引価格の影響を受けやすいということで、現行の対応としまして、2年に一度の市場実勢価格に基づく診療報酬改定における告示価格の決定に加え、素材価格の変動幅がその時点での告示価格のプラスマイナス5%を超えた場合に、4月、10月に行う随時改定1や、7月、1月にプラスマイナス15%を超えた場合に行う随時改定2の最大年4回の改定により対応しているところでございます。
 3ページ目に、参考として、これまでの歯科用貴金属の価格変動への対応をまとめたものをお示ししております。
 4ページ目は、歯科用貴金属の告示価格の随時改定の概要。
 5ページ目は、素材価格の変動推移をお示ししております。
 6ページ目は、令和2年度診療報酬改定以降の歯科用貴金属の各品目の告示価格の推移を示したものでございます。
 7ページ目でございます。歯科用鋳造用金銀パラジウム合金を例に、歯科用貴金属の告示価格の改定の時期と対象となった素材価格の対象期間を示しております。
 例えば青色で示した令和2年4月から同年6月末までの期間の平均素材価格については、前回改定に用いた平均素材価格に対する変動幅が5%を超えたことから、令和2年10月に随時改定1を行っております。
 他方、オレンジ色の令和2年7月から9月末までの平均素材価格については、前回改定に用いた青色の期間の平均素材価格に対する変動幅がプラスマイナス15%を超えなかったことから、令和3年1月には随時改定は行わず、平均素材価格の対象期間がさらに12月末まで持ち越しされて、その3か月後の令和3年4月に随時改定1を行うことになった状況などをお示ししております。
 8ページ目です。小臼歯における非金属のCAD/CAM冠と金属を用いる全部金属冠の算定回数の推移を見たものです。CAD/CAM冠は、歯科用貴金属の代替材料として期待され、その使用も伸びておりますが、現時点では第一大臼歯の一部や、最も奥にある第二大臼歯は保険適用とはなっておらず、この大臼歯の治療には、歯科用鋳造用金銀パラジウム合金が汎用されております。
 最後の9ページ目でございます。歯科用貴金属の背景やこれまでの素材価格の変動への対応等を踏まえ、論点として、歯科用貴金属材料の基準材料価格の改定について、どのように考えるかを挙げさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明も踏まえまして、何か御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。総-1-3の論点について、発言いたします。
 歯科用貴金属材料の基準材料価格の改定につきましては、一定期間ごとの貴金属価格の平均価格を算出して、計算された金額を3か月後に告示価格に反映する、言わば後追いの制度になっております。
 資料の3ページの「参考」ですが、従前から、使用する貴金属材料の素材価格が相場の影響を受けやすいということが問題点として指摘されてきましたが、2年に一度の定時改定に加え、平成12年にはプラスマイナス10%変動した場合、4月、10月に随時改定が加わり、平成22年には随時改定の幅をプラスマイナス5%変動した場合に改定し、対応がなされてまいりました。過去を俯瞰いたしますと、後追いではありますが、価格変動に対応する制度として一定の役割を果たしてきた制度設計であると考えております。
 しかしながら、5ページに示されておりますように、ここ数年、金属素材価格の上昇機運が続き、特に直近では、急激なパラジウムの高騰があり、素材価格の急騰に対しまして、常に実勢価格が告示価格を上回る状況が続き、理解の得にくい制度になっております。そもそも、歯科用貴金属材料の激しい価格変動を反映するには、近年の状況を鑑みると、現在の後追いの仕組みでは限界があり、抜本的な制度そのものの検討も必要ではないかと考えております。
 ただ、そのような対応には時間もかかることもあり、事前の対応として、随時改定の仕組みを見直す議論をしてまいりました。前回の診療報酬改定議論が終わった2月頃に、これら歯科用金銀パラジウム合金に関する急激な価格変動に関しまして、随時改定ルールの見直しを要望し、現在の随時改定Ⅱの仕組みを御検討いただいて、運用を始めているところでございます。冒頭に申し上げたとおり、年に4回の価格の見直しを実施していただきましても、特に直近では、市場価格の高騰傾向がさらに強く、その後の議論で、幸野委員からも反映される時期の乖離につきまして、改善の余地はないかという御指摘も受けております。
 この問題につきましては、より現場の実態を反映できる制度設計の構築並びに改定ルールの透明性の確保を引き続き御検討いただきたいと、第478回中医協でもお願いしてまいりました。具体的には、7ページで示されていますように、反映される時期のタイムラグの問題を解消するために、調査時期をできるだけ直近に行うことや、見直し頻度の検討などが必要と考えております。加えて、定時改定における指定調査の精度向上も重要と考えています。
 良質な歯科医療提供が今後も継続できるよう、事務局におかれましては、引き続き御検討のほどよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 林委員の主張はよく分かりました。
 私も、実勢価格とのタイムラグを一度指摘させていただきましたが、本当にこれは何とかならないかと思っています。周知期間とかいろいろと時間がかかるというお答えがありましたが、この辺は何か工夫できないかなというのがあります。
 それと、第2ラウンドの議論に資するに当たって、林委員にお伺いしたいのですが、金属の購入は、一般企業ですと、原材料を買う場合は、こういったものについてはリスクヘッジを取るために、ある程度低いときに共同購入なんかをするという方策を取るのですが、歯科医師の場合は、例えば歯科医師会でリスクヘッジを取って、金の低いときに一括購入しておくとか、そういう対応はなされないのか、ちょっとお聞きしたいのですが。
○小塩会長
 幸野委員から御質問がありましたけれども、林委員、お答えできますでしょうか。お願いします。
○林委員
 御質問ありがとうございます。
 当然のことながら、リスクヘッジ的にそういった対応ができればしていきたいところではございますが、何といいましても、ここ直近の素材価格の高騰に関しましては、流通も含めて対応が後手になっているというところでございまして、なかなか共同購入が追いついていないところもありますし、そもそも歯科医師会でそういった組織を持ってやっていくというのは、今後の議論の中でまた対応していきたい一つの課題だとは思っておりますけれども、現状といたしましては、いずれにいたしましても、追いついていないというのが実情でございます。
 以上です。
○幸野委員
 ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 続きまして「不妊治療の保険適用」についてを議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
 ありがとうございます。医療技術評価推進室長でございます。
 それでは、中医協総-1-4を御覧ください。資料の3コマ目から御覧いただければと思います。
 3コマ目は、不妊治療の流れ、保険適用の範囲、保険適用外となっているものの別を示したものでございます。こちらは1月の中医協でもお示しさせていただいたものでございます。
 4コマ目でございます。体外受精・顕微授精の実施数・出生児数についてお示ししたものでございます。
 5コマ目でございます。不妊に悩む方への特定治療支援事業につきまして、沿革等を示したものでございます。
 6コマ目でございますけれども、不妊症・不育症への相談支援等の取組について御紹介させていただいているものでございます。
 7コマ目以降でございますけれども、不妊治療の保険適用に関しますこれまでの議論について、改めて御紹介させていただくものでございます。
 8コマ目は、政府の方針を掲げさせていただいております。
 9コマ目は、昨年の年末に取りまとめられました医療保険部会での議論の整理のうち、不妊治療に係る部分について、9コマ目、10コマ目ということで掲げさせていただいております。
 10コマ目、下段の工程表におきまして、今後の段取りについて、取りまとめをいただいております。夏頃に学会のガイドラインの完成がなされる予定ということでお示しさせていただいております。
 11コマ目は、1月13日に開催させていただいた中医協の総会の中でいただいた御意見の主なものを記載させていただいております。上段にありますように、不妊治療の保険適用については、学会のガイドラインなどを参考に、中医協でしっかりと議論した上で決定すべきという御意見や、不妊治療の保険適用の議論をしていくに当たっては、エビデンスに基づいた議論が必要であり、特に安全性・有効性に関するエビデンスをしっかりと蓄積していただいて、その上で議論を進めることを要望するという御意見をいただいたところでございます。
 12コマ目は、本年4月に不妊治療について御議論いただいた際にいただいた意見でございます。
 2つ目の○に掲げておりますように、ガイドラインの作成について、関係学会がしっかりと関係されて、作成が進んでいることをうかがえることを踏まえ、実態調査の結果だけでなく、今後策定されるガイドラインの内容をベースにして、不妊治療の保険適用についての議論を進めるべきという御意見をいただいたところでございます。
 13コマ目以降でございます。このたび、日本生殖医学会において、ガイドラインの取りまとめがなされましたので、その内容を御紹介させていただきます。
 14コマ目を御覧ください。ガイドラインの策定までの経緯でございます。四角囲みの中に記載されておりますように、厚生労働科学研究費補助金に係る研究班でガイドラインの原案の策定がなされております。その原案を踏まえまして、日本生殖医学会で学会会員の皆さんや関係学会等からの意見も踏まえて、ガイドラインの作成・公表がなされております。6月23日に公表がなされたと承知しております。
 15コマ目を御覧ください。こちらが不妊治療における診療の流れのイメージでございます。上段左側になりますけれども、受診から始まりまして、原因の検索を行い、原因が同定されたものについては、原因疾患の治療などが行われる。その後、それでもなかなか奏功しないとか、原因が不明確なものについて、タイミング法、人工授精、特定不妊治療とそれぞれの患者の状況に応じた治療の選択がなされる。
 このうち、特定不妊治療に係るものを下に掲げております。それぞれ卵巣の刺激、造精の刺激から採卵・採精に至り、一部卵子・精子を保存する場合がございますけれども、その後、体外受精、必要に応じ顕微授精がなされ、受精されたものの胚の培養がなされる。そのまま胚の移植がなされる新鮮胚移植と胚の凍結保存を経て実施される凍結胚移植の場合があるという流れでございます。
 16コマ目は、ガイドラインの構成及び作成の基本方針について御紹介させていただければと思います。
 ガイドラインの中では、40項目のクリニカルクエスチョンが設定されまして、それに対するアンサーという形で示されております。
 また、2つ目でございますけれども、これまで日本産婦人科学会、日本産婦人科医会が策定されているガイドラインがございまして、こちらには一般不妊領域に関する記載がされているということで、今回策定されましたものが、ここで記載されているものを対象外としたものとなっているということでございます。
 3つ目でございますけれども、今回策定されましたガイドラインにおきましては、令和2年度に実施されました実態調査の結果の検査・治療等について、網羅的な検討がなされたというものでございます。
 また、調査がされた中での検査・治療等のうち、一部の項目は、現時点でエビデンスが不足していることなどの理由により、ガイドラインにおいて取り扱わないという対処がなされております。
 作成の基本方針でございますけれども、EBMと呼ばれておりますが、根拠に基づく医療で用いるための情報の収集を可能とするため、まず、コクラン共同研究におけるシステマチックレビュー及び海外関係学会のガイドラインなどを参考にし、その上で、先行文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験のような質の高い研究のデータを出版バイアスのようなデータの偏りを限りなく除くことができるように分析を行うこととされております。
 また、本邦における実態に合わせて、いまだエビデンスが不十分なアドオン治療についても取り上げたということでございます。
 17コマ目でございます。ガイドラインでは、エビデンスレベル及び推奨レベルの解釈について明記がございます。
 エビデンスレベルについては、それぞれ1、2、3という分類がなされております。
 また、推奨レベルでございますけれども、先ほど申し上げたアンサーの末尾には、それぞれA、B、Cという推奨レベル(強度)が示されております。これらは、検査法、治療法の臨床的有用性、エビデンス、浸透度、医療経済学的観点等を総合的に勘案し、作成されたものだということでございまして、推奨レベルAは実施すること等を強く勧められる、Bは勧められる、Cは考慮されるということとなっております。
 委員の皆様には、日本生殖医学会の御協力をいただきまして、参考までにガイドラインをお配りさせていただいております。
 18コマ目以降でございます。
 19コマ目を御覧ください。今後整理及び検討が必要な事項について、改めて確認、御説明をさせていただきます。不妊治療の保険適用に向けて、現時点で考えられる今後整理及び検討が必要な事項、スケジュールは以下のとおりと考えております。
 1ポツでございます。「保険適用に係る検討について」。不妊治療の保険適用に係る検討に向けては、有効性・安全性等の整理及び確認が必要となると考えております。具体的には、医療技術、医薬品、医療機器などという観点、また、具体的な算定要件や施設基準等について、ガイドラインの記載事項等を参考とした個別の検討が必要になるものと考えております。
 「2.薬機法上の承認の観点からの整理及び検討について」。医薬品等については、有効性・安全性等の確認、薬機法上の承認の可否等について、薬食審、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会における検討が行われることとなっております。
 「3.今後エビデンスの収集が必要な医療技術等の取扱いについて」でございます。有効性・安全性等の確認の結果、保険適用とならない医療技術等については、今後の適用を目指したデータの収集などを進める取組を行う観点から、先進医療の実施等が考えられると考えております。
 これらを踏まえました、今後のスケジュールでございます。本日、まず議論のキックオフをさせていただいて、8月以降随時、薬食審、未承認薬検討会における議論、先進医療会議における議論、中医協総会における引き続きの御議論ということをイメージしております。
 20コマ目の論点の部分について御説明させていただきます。
 診療報酬改定においては、有効性・安全性等が確認できた医療技術等について、保険適用としてきたことを踏まえ、不妊治療についても同様に、関係学会の作成したガイドライン等に基づいて、有効性・安全性等の確認を進めることとしてはどうか。なお、医薬品等については、有効性・安全性等の確認、薬機法上の承認の可否等について、薬食審、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会において検討が行われる。
 さらに、現時点において有効性・安全性等が確認できないものの、今後、適用を目指すものについては、先進医療等の保険外併用療養費制度の活用が考えられる。その際、令和4年度改定において適切に対応を実施する観点から、保険医療機関から先進医療に係る申請があった場合には、申請を受理した上で、先進医療会議において、まずは技術的な審議を進めておくことができることとしてはどうか。なお、先進医療として実施することの決定は、保険適用の範囲に係る議論を踏まえる必要があることから、令和4年度改定と併せて行うこととしてはどうか。
 3点目は、有効性・安全性等の確認をより的確に実施する観点から、中医協総会において関係学会等からヒアリングを行うことについて、どのように考えるか。
 以上、3点の論点を挙げさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、今後の検討の進め方に関する御提案もございましたが、その点も含めて、何か御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
 城守委員、お願いいたします。
○城守委員
 ありがとうございます。
 初めに、我々といたしましても、不妊に悩んでおられる方々がお一人でも多く挙児を得られるよう、不妊治療の保険適用に関して、しっかりと議論をさせていただきたいと思っております。
 そういうことを踏まえまして、1つ目の論点でございますが、有効性・安全性等が確認できた医療技術等については保険適用とするのが、我が国の保険医療制度の原則でございます。本日は、日本生殖医学会が取りまとめ、作成されたガイドラインを含め、不妊治療の保険適用に向けて、全体像を説明いただいたと認識しております。
 ここでお聞きしたいことがございます。このガイドラインを踏まえた有効性・安全性等の確認についてですが、20ページの3つ目の○の議論にも関係いたしますけれども、これまで学会から提案された技術については、まず、医療技術評価分科会において議論されてきたものと承知しております。今回の資料の19ページ等にも、医薬品等に関しては、薬食審や未承認薬の検討会議において議論がされるということでございますが、今回の医療技術評価分科会との関係を事務局としては、どのように整理しておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
○小塩会長
 では、この点については、事務局から説明をお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 御質問ありがとうございます。医療技術評価分科会との関係について、御説明させていただきます。
 医療技術評価分科会につきましては、診療報酬体系の見直しに係る技術的課題のうち、医療技術の評価について専門的な調査・検討を行うこととされておりまして、現状におきましては、具体的な議論の対象は、学会から提案書が提出された医療技術及び先進医療会議として実施されている医療技術をその検討の対象としているという状況でございます。
 今般、不妊治療の保険適用の検討に当たりましては、まず、関係学会等で整理されたガイドラインに加えまして、実態調査の結果等も含めた総合的な検討を行う必要があるということ、また、不妊治療の保険適用の議論を広く行っていくことは、今回が初めてとなることから、保険適用とする場合の評価の在り方等についての全般的な御議論をいただく必要があることなどから、技術的な観点にとどまらず、広い範囲の御議論をいただくということで、中医協総会において御検討いただくことが適切だと事務局としては考えているところでございます。
 事務局からは以上でございます。
○小塩会長
 城守委員、よろしいでしょうか。
○城守委員
 御説明ありがとうございます。
 事務局としてのお考えは分かりましたが、今後、個別の技術を本日お示しいただいたガイドラインを参照しつつ、保険収載の可否の議論をするということになるわけですが、不妊治療という特殊性から、例えばランダム化比較試験等を行うのが非常に難しいとかいうことがあって、本ガイドラインの作成に当たっても、システマチックレビューや欧米の関係学会のガイドラインをベースにし、様々な文献を加味した上で作成されたという経緯がございます。
 このような点も踏まえますと、先ほど岡田さんから御説明があったように、今後議論していく上において、その議論に有用となるような様々な資料・データは、しっかりと用意、御提示していただく必要があろうと思いますし、それをもっても、この議論としては大変難しい議論が予想されます。
 そういう点におきまして、事務局に1点要望がございます。今年度の中医協において、保険収載された技術があるといたしましても、改定ごとにそのデータを収集・分析して、その評価を継続することがやはり重要になるのではないかと思っておりますので、この点も踏まえた形での制度設計を強くお願いしたいと思います。
 続けさせていただきますが、2点目の論点でございますが、この提案につきましては、異論はございませんが、今後の検討課題として、幾つか述べさせていただきたいと思います。
 まず、保険適用とならなかった技術等に関して、今後の検討課題として幾つかあろうと思いますが、先進会議において議論する際には、先進Aに相当する技術、つまり未承認の医薬品や医療技術を使用しない技術等であって、施設基準を満たせばいいという技術でございますが、それに限って検討するのか、あるいは先進Bの対象となるような技術も含めて検討するのかといったことについてもよく検討していただきたいと思います。
 また、来年度から不妊治療が保険適用、あるいは先進医療で実施されるようになったとしても、不妊治療の中には、保険診療にも、先進医療にも該当しない技術・治療法も存在すると思います。来年度からの実施に向けては、そうした技術・治療法と保険診療や先進医療を併用した場合の取扱いなども整理しておく必要があろうかと考えております。
 また、不妊治療が保険適用される際には、アカデミアの先生方だけではなくて、現場の産婦人科や泌尿器科の先生方に大きな影響を与えることが予想されますので、このガイドラインの内容については、ぜひ医会の先生方をはじめとした現場の先生方なども含めて共有していただいて、保険適用に向けて、関係者の意見の一致が得られるよう、厚労省からも働きかけをお願いしたいと思います。
 こういった点も含めまして、3つ目の論点でございます。関係学会等からのヒアリングを実施することについては、賛成いたします。
 最後になりましたが、今回のガイドラインは、日本生殖医学会を中心とした産学官において、非常に限られた時間内で取りまとめていただいたということにつきまして、敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 少子化対策の観点から、不妊治療の経済的負担の軽減を図ることは大変重要であり、疾病に対する治療という観点から、医療保険を適用するという考え方も理解できるところでございます。
 不妊治療の保険適用に当たりましては、前回の議論の際に、ほかの委員から御指摘がありましたように、まずは安全性や治療の標準化が優先されるべきであると考えております。ガイドライン等をベースとしつつ、診療報酬としてどのような制度設計をしていくべきか、医療保険部会における議論も含めまして、エビデンスに基づいて議論を行うべきだと考えております。
 現在、閣議決定において期限が定められていることは理解しておりますが、拙速と言われるようなことがないよう、今後、詳細な制度設計の議論がしっかりとできるようにしていただきたいということを要望させていただきます。
 その上で、2つ目の論点として挙げられております、現時点において有効性・安全性等が確認できないものの、将来的に保険適用を目指すものについては先進医療として実施するという整理につきましては、妥当であると考えております。
 そして、3つ目の論点ですが、関係学会からヒアリングを行うことにつきましては、賛成でございます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 論点に書かれていることに関しては、特に意見はございませんが、不妊症の当事者が抱える悩みや心理的ストレスに対するケアのガイドラインについても検討をお願いしたいと思っております。
 さらに、当事者にとっては、不妊治療と仕事との両立で大変御苦労されておられますので、不妊治療と仕事との両立や、出産後の子供を育てる環境整備、子育てと仕事の両立、出産前から出産後までの環境整備が大変重要であると考えますので、関係各省庁、各部局と連携の上、取組の強化をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 論点に書かれていますように、有効性・安全性が確認できた医療技術については、可能な限り多くの技術について保険適用する。できないものについては、先進医療として保険外併用療養として活用する方向と。それに当たってのエビデンスが学会のガイドラインやその他のエビデンスを使用するという方向性は、全く賛成いたします。
 ただ、2点ほど事務局に確認したいことがあるのですが、有効性・安全性をどう確認するかというところなのですが、有効性・安全性は、ガイドラインとかほかのエビデンスで調べていくのですが、有効性・安全性は年齢によって異なるのではないかと思っていまして、その辺をエビデンスとしてどうつかんでいくかというところが非常に重要となると思っていまして、その辺りのエビデンスはどう取っていくのかということについてお考えがあればお聞きしたいのと、制度設計に当たっては、その辺りも慎重に考慮していく必要があるのではないかということで、質問させていただきます。
 もう一点は、2点目の論点なのですが、先進医療については、保険適用部分と並行して議論するということについて異論はないのですが、保険外併用療養は先進医療しか想定されないのかということについてお伺いしたいと思います。最後で結構です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 幾つか御質問がありましたけれども、後でまとめて御回答をお願いいたします。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 まず、論点の3つに関しては、各委員がおっしゃったように、私も基本的には賛同させていただきたいと思います。
 来年ということも含めて御質問させていただきたいのですけれども、3ページの概略図にありますように、ブルーのところが保険適用、赤の囲みが現状、保険適用外の中で、保険適用は、この保険適用外の赤のところからどこまでをということの議論になってくるかと思います。
 一方で、現状で赤の点線で囲ってある特定不妊治療(体外受精、顕微授精、男性に対する治療)は、現在、国費で助成されているということで、この内容が5ページに出ています。これを見ると、1回30万で、現在、令和2年度の予算で370億とありますが、私も認識不足で申し訳ないのですけれども、この370億がどれぐらい消化されているのか、全額消化されているのかどうかということと、特定治療支援事業は、基本的には、ここに書かれたAIHに関しては、30万以内で全額補助が出るということになっていますが、それ以外は自己負担になっているという理解でいいのかという質問が1点。
 その上で、もしこのところが保険適用になった場合に、保険適用になるということは、一応自己負担が発生することになります。自己負担が発生したことに対して、その部分を例えばこの支援事業で補うとか、あるいはさらに別のところに特定不妊治療を拡大していくのか、特定不妊治療の現状と、保険診療が起きた場合のこの支援策との関係性について、現在何か検討されていることがあればお伺いしたいと思います。その2点を質問させていただきます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 この御質問も後で御回答をお願いいたします。
 間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
 ありがとうございます。
 不妊治療が疾病の治療ということで位置づけられるということは、非常に負担軽減になっていいことだと思いますし、この論点についても、このように進めていっていただきたいと思うのですけれども、特に、当事者の精神的ケアの充実、心のケアには十分に配慮していただきたいと思いますし、そういったガイドラインもきちんとつくっていただきたいと思います。
 これは不妊治療をしようと思い始めたときからもう始まっていることで、治療に入る前とか治療中にも不安定になったり、鬱状態になったりする方もいらっしゃるということもお聞きしますし、実際に何回やっても妊娠できなかったときのケアとか、妊娠が途中で終わってしまう、いわゆる不育とか流産、死産ということも起こり得るわけです。これは有効性・安全性ということだけではなくても、そういうことは起こり得るということです。そういうときに、当事者は絶望感とか不安を持つわけです。
 それは妊婦さんだけの話ではなくて、パートナーである旦那さんのほうにも同じように負担がかかるということがありますので、そういったことも含めて、心のケアが十分にできるような体制を整えていただきたいと思います。
 あと、ヒアリングについては、もちろん技術的なこととか、そういう専門家の方にお聞きするのは、当然やっていただきたいと思うのですけれども、これまでこういった当事者の方々の相談を受けている団体とかそういうところもあるようなので、やはり経験者の話を総合して、どういうケアが必要なのかということをお話ししていただける方にも来ていただいて、実態はどうなのかということとか、どういう仕組みが必要なのかということを聞くことも大事だと思います。
 それから、これは前にも言いましたけれども、生まれてきた子供に異常があるかどうかというのは、もちろん安全性という意味でもそうですが、未知の要因も何かあるかもしれませんので、子供たちが生まれてきて、成長の過程でどのようになっていくのかというのも、きちんとモニタリングしていきながらデータを集めていくことも必要だと思いますので、そういう体制も整えていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 永瀬委員、お願いいたします。
○永瀬委員
 不妊治療の保険適用を目指し、また、そのエビデンスを積み重ねるということは、不妊に悩む夫婦が期待してきたもので、大変喜ばしい方向だと思います。
 ただ、今回頂いた4ページを見ますと、顕微授精、体外受精、凍結胚を用いた治療実績ですけれども、平成30年に45万回以上行われていますが、出生児は5.5万人であり、押しなべると、こうした治療の成功率は8回に1回強、特に顕微授精、体外受精から出産に至る割合は、この資料によりますと3%、4%と読むことができます。
 参考資料にある日本産婦人科学会の公開情報の分析結果からは、妊娠率で見ると、凍結融解胚で35%程度とか、IVFで2割程度ともう少しいいのですけれども、同時に、日本産婦人科学会の公開情報の分析結果として、治療を実施していても、妊娠例の報告がない施設があるということも参考資料の中で指摘されております。
 いずれにしても、参考資料の当事者アンケートを見ると、欲しい情報として、不妊治療中の女性の4割弱が一般的な成功確率など医学的な情報が欲しい、また、3割が各医療機関の治療内容や実績が知りたいと挙げています。
 不妊治療の身体的・精神的な負担は大きく、特に治療がなかなか成功しない中で、特に女性には鬱傾向が強いということもこの間出された参考資料から分かっております。つまり、患者が客観的な情報を得た上で、治療の選択ができるような客観的なデータの提供は、保険適用と同時に重要だと思います。
 同時に、海外における不妊治療に対する保険適用の状況等についても、調査結果を知りたいと思います。
 日本の成功率があまり高くないことの一つは、治療開始年齢が遅いことがあるのかもしれません。というのは、日本産婦人科学会の参考資料を見ますと、30代前半までの妊娠率は3割ですけれども、30代後半から2割に、また、40代前半になると1割に下がることが示されていますが、特定不妊治療の初回受給は39歳が最多ということで、成功率がかなり下がる年齢での開始が多いということが分かります。
 このように不妊治療の開始がなぜ遅くなっているのかという原因の一つに、情報不足もあるかもしれませんけれども、同時に、不妊治療のために仕事を休むことが多いのですが、勤務先で不妊治療の支援がないというのは、前回の実態調査から6~7割に達しており、不妊治療においての社会的な配慮が足りないということも示唆されます。
 つまり、保険適用の際、あるいは今回の前向きに進む一歩の際には、患者が自主的な選択ができるような医学情報の提供、各機関の成功確率などの何らかの選択の基準となるような情報、また、先ほど佐保委員が指摘されていましたけれども、効果の高い若い時期に治療が受けやすくなるような職場のサポートのような助成も同時に重要なのではないかと考えます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。多くの委員の方々から貴重な御意見をいただきました。
 御質問を幾つかいただいておりますので、現時点でお答えできるものについては、対応をお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
 事務局でございます。御質問をいただいた事項について、お答えさせていただきます。
 まず、幸野委員から御質問いただきました、今後、エビデンスをどのように確認していくのか、年齢等のファクターも重要なのではないかという御指摘、御質問をいただきました。
 それぞれの技術について、今回完成されましたガイドラインの中で、様々な文献などの評価もなされていると承知しております。そうしたものも含めまして、それぞれの技術の有効性・安全性を御確認いただけるように、事務局としても資料を作成してまいりたいと考えております。
 2点目が、保険外併用療養費制度の中で、先進医療以外の枠組みはないのかという御質問だったかと承知しております。現時点において、具体的にどういう制度なのかということが何かあるわけではございません。今後、いろいろな技術の検討をいただく中で、例えば患者申出療養、選定療養など、先進医療以外の枠組みの位置づけが妥当ということがあれば、それも含めて検討いただくのかなというふうに事務局としては承知しております。
 事業のほうは、担当の部局からお答えさせていただきます。
○小林子ども家庭局母子保健課長
 子ども家庭局母子保健課長でございます。何点かの委員からの御指摘について、回答させていただきます。
 佐保委員、間宮委員からは心のケアの重要性ということでいろいろと御指摘いただいたと考えてございます。資料の6コマ目に「不妊症・不育症への相談支援等」が参考資料で出てございますけれども、まさに御指摘のとおり、経済的支援のみならず、心理・社会的な支援の充実も非常に重要だということは認識してございます。
 従前から、不妊専門相談センター事業ということで、心のケアとか様々な相談に応じてきたところでございますけれども、令和3年度からは、不妊症・不育症支援ネットワーク事業ということで、例えば流産とか死産をした方に対するグリーフケアなども含んだ相談支援の拡充とか、あるいは実際に患者の当事者であった方、治療経験者がサポートに回るというピアサポートを進めていこうということ、それから、治療の機運を高めていくと永瀬委員からもございましたけれども、社会全体として環境を整備していく取組のための広報の事業なども今年度から行っていきたいと考えてございます。
 治療中のみならず、治療後の子育ての支援の話とか、あるいは死産・流産してしまったようなサポートといったところもございました。あるいは、働きながらの治療の両立の話も、関係部局とも連携しながらしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。
 それから、池端委員から、現行の特定治療支援事業は今後、どうなるのかということで御指摘いただきましたけれども、これは10コマ目にございます閣議決定いたしました工程表の中では、現行の助成制度自体は、今年度、令和3年度で終了して、R4年度からは有効性・安全性が確認された治療法については、保険適用に移行するということでございますので、基本的にはこの助成制度自体は、来年度からは保険に移行するという認識を持っているところでございます。
 執行率について御指摘いただきまして、今、手元にございませんけれども、治療実績が出てございまして、現行で年間14万人程度給付されている状況でございます。基本的には、30万円までの治療費の場合はその全額を負担する、30万を超える場合には、その部分は自己負担をしていただくという運用がなされているところでございます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員、追加のコメントがございましたら、よろしくお願いいたします。
○池端委員
 時間がないところすみません。
 今ほどの説明だと、うがった見方をすると、単に特定不妊治療として公費を使っていたのを、診療報酬に財源を付け替えただけということで、本当に利用者に大きなメリットがあるかどうか、ちょっと疑問に感じてしまったので、その辺はいかがでしょうか。
○小塩会長
 その点はいかがでしょうか。事務局から御説明をお願いいたします。
○小林子ども家庭局母子保健課長
 現行の制度につきましては、個別の治療の内容のいかんにかかわらず、体外受精、顕微授精を行っている場合には一律30万円で、一部の治療、凍結したものからの治療については、今は10万円でございますけれども、そういう一律の金額を給付するというやり方でございましたが、今後、中医協の中で議論いただきながら、患者の視点も踏まえて、細かい制度設計をまたお願いできればと考えているところでございます。
○池端委員
 また議論していきたいと思います。ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 特にほかに追加の御意見等がないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとして、今後、事務局において、本日いただいた多くの御意見を踏まえて対応していただくようにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、最後の議題になります。「新型コロナウイルス感染症に係る医薬品の医療保険上の取扱いについて」を議題といたします。本件は報告事項です。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料総-2を御覧ください。
 これまでに出ておりました新型コロナウイルス感染症に使用する医薬品としまして、一般名でレムデシビル、製品名は書いておりませんが、ベクルリー点滴静注液につきましては、昨年5月に薬機法の特例承認を受けまして、現在、公的な管理の下で流通されております。
 2つ目の○ですけれども、保険診療との関係につきましては、時限的・特例的な対応としまして、保険診療との併用を認めるということとしております。
 3つ目の○ですけれども、新たな医薬品としまして、カシリビマブ/イムデビマブの組合せ製剤、製品名でロナプリーブ点滴静注セットという製品が7月19日付で薬機法の特例承認を新たに受けております。
 4つ目の○ですけれども、こちらの医薬品につきましても、当面、国が確保・配分することとしておりまして、薬価収載希望は現在、特に提出されない予定となっております。
 こういったものの対応について整理しましたので、御説明させていただきます。
 「対応」ですけれども、新型コロナウイルス感染症の治療のために使用される医薬品につきましては、公的な管理の下で流通され、薬価収載が予定されない場合につきまして、時限的・特例的な対応を整理しております。
 ポツの1つ目です。保険医療機関において保険診療を受けている患者に無償提供された当該医薬品が使用される場合は、当該医薬品が既に薬事承認を受けていることを前提に、承認後、保険適用前の医薬品の投与と類似するものとしまして、評価療養に該当するものとし、保険診療との併用を認めることとするというものでございます。
 また、次のポツですけれども、今後、当該医薬品の一般的な流通が見込まれ、当該企業から薬価収載の希望があった場合には、速やかに対応することとするというものでございます。
 なお、下の※ですけれども、一昨日、特例承認を受けましたカシリビマブ/イムデビマブの組合せ製剤につきましては、こういった対応につきまして、後ろに別紙としてつけておりますが、昨日付で疑義解釈資料として発出させていただいております。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
 今回の対応案について異論があるわけではございませんが、点滴薬ではない飲み薬など、患者が持ち歩き、飲める薬があれば安心につながると感じております。また、実際に治療に当たる医療関係者にとっても負担軽減につながると考えております。引き続き、政府として治療薬開発への支援をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。御要望として受け止めさせていただきます。
 ほかに御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 本日の議題は以上です。
 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。
 長時間、どうもありがとうございました。
 


 
 

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