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2021年5月26日 中央社会保険医療協議会 総会 第480回議事録

○日時

令和3年5月26日(水)10:52~11:42

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 
安藤伸樹委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 松浦満晴委員 末松則子委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
費用対効果評価専門組織田倉委員長 福田専門委員
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 岡田医療技術評価推進室長
山田保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○先進医療会議からの報告について
○費用対効果評価専門組織からの報告について
○医療経済実態調査について


 
○小塩会長
それでは、ただいまより、第480回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
なお、本日もコロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、全員が御出席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「先進医療会議からの報告」についてを議題といたします。本件は報告事項です。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
ありがとうございます。医療技術評価推進室長でございます。
それでは、資料総-1を御覧ください。
今回、先進医療会議で承認されました先進医療Bの技術が1件ございましたので御報告させていただきます。
1ページ目、今回、承認されました技術は整理番号149番、「化学療法未施行の切除不能進行・再発固形癌に対するマルチプレックス遺伝子パネル検査」でございます。本技術に係る費用等はそれぞれ表に記載のとおりでございます。
2ページ目は、先進医療会議における判定でございますが、「適」となっております。
技術の説明に移らせていただきます。5コマ目を御覧ください。
本技術は、全身化学療法未試行の切除不能・進行再発固形がんの患者さんに対して、初回治療時にF1CDxを用いたがん遺伝子パネル検査を行い、検出された遺伝子の変異に応じて治療方針を決定するという技術となります。
6コマ目は保険適用拡大までのロードマップでございます。申請医療機関は本先進医療を行った後、学会から保険適用拡大の要望を行うということでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等はないようですので、本件に関わる質疑はこの辺りとしたいと思います。ありがとうございました。
続きまして「費用対効果評価専門組織からの報告について」を議題といたします。本日は費用対効果評価専門組織の田倉委員長、福田専門委員にお越しいただいております。田倉委員長より御説明をお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織田倉委員長
費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。
中医協総-2の資料を御覧ください。医薬品等の費用対効果評価についてですが、トリンテリックス、コラランについて、費用対効果評価案を作成いたしましたので御報告をいたします。なお、当面の間は専門組織での検討状況についても資料に詳しく記載をしております。
2ページ目、対象品目はトリンテリックス錠です。効能また効果は鬱病・鬱状態となります。上段に費用対効果評価専門組織で決定した費用対効果評価案を記載しております。下段に補足として分析対象集団のICERの区分を記載しております。
3ページ目からは参考として、トリンテリックス錠の費用対効果評価案策定に関わる主な検討事項を記載しております。分析枠組みでは対象集団を軽度の鬱病・鬱状態の患者及び中等度以上の鬱病・鬱状態の患者と設定いたしましたが、軽度の鬱病・鬱状態の患者については分析不能となったことなどを踏まえ、本品目の費用対効果評価案から除外することが妥当と本専門組織において判断し、中等度以上の鬱病・鬱状態の患者を対象集団として本品目の評価をいたしました。また、効果が同等で費用が増加する集団については、1000万円/QALY以上と同等の扱いをするのが妥当と決定いたしました。
続きまして、5ページ目、対象品目はコララン錠となります。効能効果は洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が1分当たり75回以上の慢性心不全。ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限るとなっております。
上段に、費用対効果評価専門組織で決定とした費用対効果評価案を記載しております。下段に補足として、分析対象集団のICERの区分を記載しております。
6ページ目には、参考としてコララン錠の費用対効果評価案策定に関わる主な検討事項を記載しております。
御説明いたします内容は以上となります。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
事務局より追加の御説明がございましたら、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
特にございません。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
トリンテリックスについてですけれども、軽度の鬱病・鬱状態の患者の集団が分析不能とされて、この集団を除いて費用対効果評価案が策定された経緯が示されております。このように一部の集団が分析不能な場合、どのように費用対効果評価をするか、ルールが決められていなかった中で、今回、専門組織で御検討いただき、対応いただきました。
今回のケースはここに書いてあるとおり、患者の割合も患者さんの実像なのか研究における割合なのかという問題も書いてございますけれども、今回は取りあえず20%が分析不能だったということであり、残りの80%は比較的明確な結果を得られているということで、このような結果になったということはそれで結構かと思いますが、例えば、今後、分析不能の割合がもっと高かった場合とか、さらにもっと複雑なケースも考えられ、苦慮するケースも出てくるのではないかということがあります。
したがって、今回はこれで結構でございますけれども、この点、改めて費用対効果評価専門部会において、こういったケースをもう少し検討の上、今後の運用について整理すべきと考えますが、この点についていかがでしょうか。
○小塩会長
事務局、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
御質問ありがとうございます。
御指摘の点につきましては、専門組織の中でもどういった対応をするか、かなりの時間を要して御議論いただいたものと承知しております。御指摘の点も踏まえて、また制度論の検討の場である専門部会の中で御検討いただければと考えております。
事務局からは以上でございます。
○小塩会長
それでは、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
私も同様の意見を言わせていただきます。
この2品目について共通して言えることなのですが、ルールにないことを専門組織の中で決定するということなのですが、やはり一定程度実績を積み重ねていく中で、ある程度のルールはつくっていくべきではないかと思います。特に、トリンテリックスについても、パーセンテージは8割と2割で、8割のほうを100%として取ったということなのですけれども、逆転した場合、分析不能が8割だった場合はどうするのかとか、そのときはもう中断するのか、そういったこともあらかじめルールとして設定しておく必要があるのではないかと思います。
コラランにつきましても、臨床試験で投与された、実際量とは異なる量でしか比較できなかったけれども、限られた情報の中で判断せざるを得なかったということで判断されたということなのですが、その場合もそれでよしとするのか、それとも暫定的に結論は出すけれども、同等の量で比較できるようになった場合に再度やってみるとか、そうしたら違った結果が出るかもしれないということもありますので、一定程度実績を積み重ねた上で、こういう場合にはこういう判断をするというルールをぜひ検討していくべきだと思います。
先般も指摘したのですが、患者割合を公表するか否かということも含めて、一度今ある費用対効果評価の在り方の細部についてルールをつくっていくべきではないかと思います。何かコメントがあればお願いします。
○小塩会長
事務局からお願いします。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。
御指摘ありがとうございます。
いただいたような事例を積み重ねていく中で課題として認識される点について、私どもも事例を積み重ねる中で課題となる部分の論点を整理し、必要に応じ専門部会でルールとして設定することの可否も含めて御議論いただくように資料を整理したいと考えております。ありがとうございます。
○小塩会長
中村委員、お願いいたします。
○中村委員
よろしくお願いいたします。
今回の評価に関しましては、専門組織の方で議論を重ねられたということで評価自体にはもちろん異存はございません。ただ、トリンテリックス錠に関しまして、費用増加となった根本的な理由は、薬価算定組織と費用対効果評価専門組織で異なった類似薬/比較対照技術が選ばれたことと理解しております。
薬価算定組織の場合には、新薬の研究開発促進の観点から、比較薬は薬価収載後10年以内の新薬であって後発医薬品が薬価収載されていないものを用いるとされています。一方、今回の費用対効果評価では比較対照技術として、新規の抗うつ薬のうち最も安価なものとして既に後発医薬品が上市されている医薬品が選ばれ、その結果、薬価算定組織で認められた5%の有用性加算の90%が減額されると理解しております。
こういった判断が分かれるということは前回のユルトミリス点滴静注と似たようなケースになりますので、今後の検討課題として議論したほうがよいのではないかと思っています。
特に2点、意見を述べさせていただきます。最初の点は、イノベーションの促進と医療保険財政の健全化の両立の観点から判断が分かれた場合に、現行の価格調整のルールでいいのかどうかを検討する必要があるということです。
もう一つの点は、イノベーション促進と医療保険財政の健全化の両立という観点を踏まえれば、この2つの組織がお互いに情報共有をするとともに、ルールあるいはガイドラインのすり合わせが必要なのかどうかの検討も必要かと思っています。
以上、意見となります。
○小塩会長
ありがとうございました。御意見として受け止めさせていただきます。
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ほかに御質問等ないようでしたら、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして、「医療経済実態調査について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○山田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
総-3-1を御覧ください。「医療経済実態調査について」です。
2ページが目次でございます。1が前回までの議論、2が新型コロナウイルス感染症の発生状況、3として事務局の提案をさせていただきたいと思います。
4ページは「前回までの議論の整理(単月調査について)」です。1つ目の○、令和2年度の損益状況は新型コロナウイルス感染症による影響が大きいことなどを踏まえ、令和元年、2年、3年のいずれかの月について、項目をできる限り簡素化した上で追加調査を実施することを提案させていただいておりました。
中段には、提案時の委員からの主な意見を記載しております。下段でありますが、単月調査を実施するか否かにつきましては、令和3年2月の中医協総会において、改めて春頃をめどに決定することとされております。
5ページ以降、現在の新型コロナウイルス感染症の発生状況をまとめております。
6ページは、PCR検査の実施人数、陽性者数、入院治療等を要する者の数、退院または療養解除となった者の数、死亡者数といった状況を記載させていただいております。
7ページは、国内の発生動向の確定患者の週別人数のグラフでございます。御承知のとおり、第4波が来ている状況でございます。
8ページは、レセプトの件数の前年同月比を医科、歯科、調剤、総計と分けております。それぞれの診療種類別の総点数は、前年同月比で一定程度の減が見られております。
9ページは、診療科ごとに分類し直しております。診療科ごとにばらつきがある状況です。
10ページ以降は、「単月調査の実施について」ということで、事務局から御提案をさせていただきます。
11ページの1つ目の○であります。新型コロナウイルス感染症は依然として収束しておりませんが、医療機関を取り巻く状況が日々大きく変化している中で、直近2事業年度分のみではなく、できる限り直近のデータを把握することは意義があると考えております。
このことから、直近のデータである令和3年6月の損益状況、その比較対象である令和元年6月、2年6月の損益状況について単月調査を実施することとしてはどうかという事務局提案でございます。
12ページは、2月にお示しした調査票からの一部修正の提案でございます。「賞与の把握について」ということでありますが、前回お示ししました単月調査の調査票においては、給与費については総額のみの記載を求めることとしておりました。給与費には、給料、賞与、そのほかの法定福利費などが含まれております。
ただし、賞与の額については、新型コロナウイルス感染症の影響により、賞与を減額している医療機関も多いといったお声も聞いております。こういったことを踏まえますと、他の給与費と区別して賞与を把握してはどうかということであります。
一番下でございますが、給与費のうち、賞与に要した費用部分について、その額を区別して記載することを求めてはどうだろうか。
13ページがそのイメージであります。左側が2月にお示しした案で、「給与費」とのみ書いてあります。右側が修正案でありまして、「給与費」を2つに分け、「賞与を除く給与」と「賞与」に分けてはどうかと考えております。
総-3-2以降は要綱、調査票、記入要領の最新版を添付しておりますが、説明は省略させていただきます。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。
第23回医療経済実態調査において単月調査を行うことには異論ございません。現在、第4波で緊急事態宣言下の都道府県のコロナ病床の占有率は極めて高く、コロナワクチン接種が始まったものの、臨床の現場では防戦一方の状況です。病院団体で行っている経営調査では、第4四半期の回答率が、日々の業務に追われ、第3四半期までに比べ低いのが現状です。
今回の単月調査が行われる7月及び回収される8月にはオリンピック・パラリンピックの開催時期と重なるものの、新型コロナ感染症の状況が好転し、回答率が高まることを期待しますが、回答率が低ければ実態が反映されているかは慎重に分析していただきたいと思います。
意見でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
私も同様の意見でありますけれども、単月調査の実施については、新型コロナウイルス感染状況を踏まえて決定することとされていましたけれども、重症者数は過去最多を更新しており、依然として厳しい状況が続いております。現在、10都道府県に緊急事態宣言が発令されておりまして、東京や大阪で新規感染者数が減少傾向にあるものの、北海道や愛知などでは感染者数が増加傾向にあり、医療提供体制は各地で厳しい状況が続き、緊急事態宣言はさらなる延長が検討されている状況です。
このような中で、できる限り直近のデータを見ることは必要だと考えますので、事務局から提案のあるように、令和元年、2年、3年の各6月の損益状況について単月調査を実施することについては了解いたします。
ただし、今回のスケジュールで6月までの月次を適切に回答できる診療所は、相当経営管理がしっかりしている施設に限られるのではないかと考えます。したがいまして、調査結果の分析や解釈には十分に注意を払う必要があると考えます。
また、賞与把握のための調査票の修正につきましては、事務局案に賛成いたします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
単月調査の必要性は理解しております。事務局案に特段異論はございません。
その上で、歯科材料費についてですが、歯科用貴金属などは価格変動に応じてまとめ買いをすることも多く、対象月の収支に反映していないことも想定されます。また、歯科では例年6月の患者数が比較的多く、単月調査に関しましては、通年調査に比べ、精度に関してよりバイアスがかかることも予想されます。また、調査票における収支の計算方法や記載方法など、通年調査と混乱が生じないように工夫し、回答率や精度の向上に考慮いただき、調査結果の評価に関しましてはより慎重に対応いただけるようお願いしたく思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私も皆さんと同じような意見で、単月調査については賛同させていただきたいと思います。
そこで1つ質問なのですけれども、まず、4ページのスライドで、単月調査を令和元年から3年度まで3年連続でする意味として、新型コロナ感染症の影響が少ないと思われる月の損益状況についても調査を行うことについて提案したものということの意義が米印に書かれているかと思います。
一方で、現状を見ますと、11ページにありますとおり、この6月は第4波が来ている状況で、決してコロナウイルス感染症の影響が少ないのではなくて、むしろ多い直近の単月調査になりますので、令和元年から3年度までの単月調査の意味は少し変わってくるのではないか。前は令和2年度の影響がコロナが大きくて3年度は小さくなっている場合には、その差で診療報酬の改定の影響とかが見られるのではないかという意味もあったのではないかと考えていますが、現状、単月調査を3か年やることについての意義は、直近の状況をしっかり見るということに置き換わっているのではないかと思いますけれども、そういう解釈でいいのかどうかという質問が1点。
もう一点は、この単月調査をすることで、6月の調査で一定程度のデータが出たとしても、御承知のとおり、今は緊急事態措置あるいはまん延防止措置等が指定されている地域とそれ以外の地域は感染でかなり地域差がある。あるいは、そのような都道府県の中でも大きな地域差、コロナを受け入れている場合、あるいはクラスターが発生している場合とそうでないところが出ている。ここの差をどう解釈するかによって随分評価が変わってきてしまうのではないか。その辺に関しては十分慎重に御検討いただきたいと思いますが、それについて何かお考えがあればお聞かせいただきたい。2点質問させていただきたいと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
池端委員から2点御質問をいただきました。事務局からよろしいでしょうか。
○山田保険医療企画調査室長
ありがとうございます。
池端委員からの御指摘のとおり、2月に御提案させていただいたときには、6月の新型コロナ感染症の状況がある程度落ち着いていることを期待、予想して、令和3年6月は比較的落ち着いている状況を取るという御説明をさせていただきました。ただ、今般の状況を見ますと、決して落ち着いている状況ではないと思っております。ですので、落ち着いている状況を取ってそれを年度末に使うという当初の意義から、委員のおっしゃるとおり、最新の状況を取るという意義のほうに大きく傾いていると理解しております。
御質問の2点目でございますけれども、今回の調査は、都道府県はもちろん医療機関の場所も分かりますので、どういうふうに地域差があるのか、どういうふうにデータを理解し、解釈するのかということも含めまして、この場で御議論をいただければと考えております。
○池端委員
ありがとうございました。よく分かりました。
○小塩会長
ありがとうございます。
有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
私もこの単月調査をやることは基本的には了承したいと思います。ただし、先ほど各委員から御指摘のあるように、6月現在でも東京とか大阪等は感染が少しずつ減っている状況に見えますが、一方、地方でまだ拡大しているようなところも見受けられます。そういった点からも、特に薬局は長期処方によって薬剤料比率が非常に高くなってきているといったところから、経営収支も圧迫している部分もあると思いますので、やはり地域あるいは都道府県の中でどのような差があるのかということと、得られたデータを全くノベタンにならして議論をするのではなくて、今言った地域差、都道府県差等も考慮して極めて慎重な議論を展開していただきたいと思っております。
要望です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御要望、御質問等ございますでしょうか。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員
ありがとうございます。
直近のデータというところで6月のデータということは理解しました。ただ、これまでも先生方がお話しされたように出てきたデータの解釈には留意する必要があると思っています。
以下は意見になりますが、これまでいろいろと指摘されました新型コロナ感染拡大の影響ということ以外に、ワクチン接種のために医療機関の先生方、医師あるいは看護師、薬局の薬剤師の先生方が多く協力されるということで、その分、通常の業務に時間を割けなくなるという影響があるのではないかと推測しております。こういった影響も踏まえながら、出てきたデータを慎重に解釈する必要があると思っております。
以上になります。
○小塩会長
ありがとうございます。
城守委員のお手が挙がっております。よろしくお願いします。
○城守委員
ありがとうございます。
先ほど池端委員から地域差のお話がございましたが、特にそこそこの規模の病院においては、クラスターの発生の有無が経営状況に多大な影響を及ぼしていることは明白になっているということがございます。今回の調査において、各医療機関を同定はできますけれども、クラスターが発生しているかどうかに関しては確認できたのでしょうか。その確認です。
○小塩会長
今、御質問がありました。いかがでしょうか。
○山田保険医療企画調査室長
事務局です。
医療経済実態調査の調査票、総-3-3を御覧ください。
病院調査票でありますけれども、右下の数字で4ページに「新型コロナウイルス感染症入院患者の受入状況」というものがありまして、1で新型コロナウイルス感染症入院患者の受入れ実績ありとございますが、クラスターが発生した病院もここの1に丸をつけていただくことになっております。ただ、クラスターが発生して1なのか、入院患者の受入れがあって1なのかという区別はこの調査票上はできないということになっております。
○城守委員
ありがとうございます。
そこはこの調査票は既に出来上がっているところもありますので、今からということはなかなか難しいのですが、できましたら、都道府県等にその調査とは別に確認をしていただいて、クラスターの発生した医療機関名を把握していただいて突合していただくと、何とか調査に活用できるのではないかと思います。クラスターの有無はすごく大きな影響を与えておりますので、御検討していただければと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
今の御要望について、お願いいたします。
○山田保険医療企画調査室長
事務局であります。
確かにクラスターが発生すると非常に大きな影響があると思います。どのような方法でそういったことが把握できるのか、検討させていただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
荒井委員、お願いいたします。
○荒井委員
ありがとうございます。
今、池端委員、そのほかの先生方がおっしゃっていたように、病院ごとのコロナにおいてどういう対応をしているかによって当然損益状況が違うということで、医療機関の状況を特定する設問が調査票にあるわけで、今、山田室長がおっしゃった問11の上の問10の中でも、重点医療機関であるとか協力医療機関であるということが書いてあるのですが、1、2、3、4となっていますが、以前は1、2、3の3つになっていたはずなのです。アンケート調査の記入要項のほうを見ると、古い1、2、3のままになっているように思うのですが、これはどちらが正しいと理解したらよいのでしょうか。よろしくお願いします。
○小塩会長
事務局からお願いいたします。
○山田保険医療企画調査室長
大変失礼いたしました。
4まで増えているものが正しいものでありますので、修正が間に合っていないところは修正したいと思います。
○荒井委員
具体的には総-3-4の右側で言うと7ページ目のところです。その他という形で1、2、3のままになっております。
○山田保険医療企画調査室長
御指摘ありがとうございます。修正いたします。
○荒井委員
それだけなのですけれども、よろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございます。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
先ほど公益委員である中村先生のほうから、ワクチン接種のことにちょっと触れていただきました。ワクチン接種は多くの医療機関が何らかの形で関わっている、その現場は全力でワクチンを進めようということですけれども、やはり主体となっているのは内科系の診療所等が非常に多いのではないかと思っています。
先生方に知っておいていただきたいのは、御存じのとおりメディアでも取り上げられているように、とにかく医療機関には電話が殺到して、受付の処理が通常の診療の阻害要因にもなっておりますし、受け付けた後の予約の管理であるとか、あるいは接種に全力で当たる、さらには接種後も様々な電子的媒体を使った処理であるとか、本当に負担が大きくなっております。
今回、6月の単月調査ということで、まさしくその真っただ中にある医療機関はこの回答に答えるだけの余裕がないのではないかということも危惧しております。その点も十分に配慮して、診療科が多少凸凹が起こる可能性があるのではないかとも思っておりますので、その点もよろしく御理解をいただければと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
単月調査の実施につきまして異論はありませんが、それぞれの年で医療機関が開いている日数が土曜とか日曜の関係で違っているのではないかと思いますので、そういったところの差についても結果をお示しいただくときに併せてお示しいただければと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
事務局からお願いします。
○山田保険医療企画調査室長
ありがとうございます。
佐保委員からの御指摘ですが、土日の数を調べてみましたところ、令和3年6月と令和2年6月は同じ、日曜日が4日、土曜日が4日、休診が多い木曜日も同じ4日です。元年6月は日曜日が5日、土曜日が5日ということで1日ずつ増えています。休日補正をした情報については、MEDIASでは参考情報として出しているということがありますので、その補正の係数なども集計するときに同時に御議論いただけるようにしたいと思っております。
○小塩会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
先ほどの関連することなのですけれども、佐保委員が御指摘のように、土日は一緒だったとしても、先ほど出ていますようにコロナワクチンの接種で診療時間を短くしたり午前中だけにしたりするという影響もあろうかと思います。それを言い出せば切りがないのですけれども、そういったことも考慮すべきだなと思います。
それと、単月調査の実施については異論ありません。調査票を含めてやるべきだと思いますが、当初の議論では、元年と2年、2年と3年はどんどんよくなっていくだろうということでこの単月調査を実施することを決めたのですが、実態を見ていますと、2年、3年は逆に言えば悪くなっている状況ということもあり、ワクチン接種という新たな要素も入ったということで、結果についてはこういったことをよく踏まえて分析するということで、直近の状況を知るという位置づけでやっていくべきだと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御意見、御要望はございますでしょうか。
永瀬委員、お願いいたします。
○永瀬委員
新型コロナウイルスに対して今医療がどういう状況にあるのかということの理解に、統計調査が最も重要と思います。その際に、どういう質問紙なのかということで分析できることは限定されます。もちろん回答率も重要ですけれども、同時に調査項目も重要です。かつその分析、例えば単なる平均値ではなくて割合にするとか、度数分布にして影響のあるところとないところを見ていくとか、その表示方法も非常に重要な点だと思います。
今さらなのですが、例えば、コロナの入院患者数、あるいは受入れ患者数と収益との関係なども分かれば、より細かい分析も可能であろうとは思います。さらに、例えばワクチンが問題であれば、ワクチンへの協力がどのぐらいであるのかといったことも調査票に加えれば、より明確に統計として出てくると思います。
いずれにしても、統計調査は、現在どうなのかという日本の今の医療の状況を知るために最も重要だと考えます。ですので、今は例年とは違う非常事態ですので、しっかりとした統計調査をする体制を心してやっていくということが非常に重要だということをここで意見として申し上げます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ただいま公益委員から患者数調査についての御意見がございましたけれども、たしか前回も同じような議論がされたかと思います。そのときも事務局から、今回の調査につきましては現場の負担感といったこともいろいろ合わせた上でこのようなところに落ち着いたという経緯がございますので、ある意味蒸し返しをした議論になるのは避けたいと思っております。ただいまの御意見については反対いたします。
○小塩会長
よろしいでしょうか。
永瀬委員、お願いいたします。
○永瀬委員
今からいろいろ変えることは難しいということは分かりますけれども、分析の方法で工夫が必要だということは申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
永瀬委員やほかの委員の方々からも、分析の仕方について今までとちょっと違うので非常に丁寧にする必要があるという御意見がたくさんありました。これについては事務局のほうで受け止めていただいて、これからこの結果について報告していただくことになるのですけれども、丁寧に分析していただくということは認識しておいていただきたいと思います。
何か追加で事務局から説明していただくことはありますでしょうか。
○山田保険医療企画調査室長
永瀬委員からも御指摘をいただきました医療経済実態調査につきましては、これまでの議論の合意と今日の議論も踏まえて実施させていただきたいと思っております。そのほかにどういった調査ができるのかということにつきましては、保険局、中医協だけではなく、ほかの部局とも相談しながら進めていきたいと思っております。
各委員、ほぼ全ての委員から、取った調査結果について慎重に丁寧にという御意見をいただきましたので、非常に強く心にとめながらまた御相談をさせていただきたいと思っております。
以上であります。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
委員の皆さんからたくさんの御意見、御要望をいただきました。大きな修正意見はなかったと承知しております。ただ、今後、場合によっては字句等の微細な修正があるかもしれません。その場合は、調査実施小委員会小委員長の秋山委員に調整を行っていただくということにいたしまして、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
本日の議題は以上ですが、荒井委員と今村委員が退任となりますので、それぞれ一言ずつ御挨拶をお願いいたします。
最初に荒井委員からお願いいたします。
○荒井委員
ありがとうございます。
皆様のおかげで6年間いろいろな経験をさせていただくことができました。特に印象に残っていることは2つほどありまして、1つは費用対効果評価の制度化プロセスで、もう一つは直前にお話が出ていましたが、医療経済実態調査をいかに補完していくかという件です。
6年前に公益委員に就任した直後に、費用対効果評価の試行的導入に向けた検討中間整理というものがいきなり始まって、翌年4月から試行的導入が始まって、当初予定より1年遅れましたけれども、2年前から本格的な導入を開始することができて、これも今日の議題にありましたが、ようやく正式導入後の結果が出始めているところですが、こういう費用対効果評価の制度化プロセス全体に関われたことはとても貴重な経験でした。ありがとうございました。
もう一つ経験させていただいたこととして、医療機関の財務情報基盤を充実させて実調を補完すべきではないかという提案に関わることです。先ほどもありましたように、実調というのは半世紀もの歴史のある貴重なものなのですけれども、やはり足りない部分も多いということで、5年ほど前から補完すべきではないかという話をしてきているところです。
これに関しては、昨年度あたりから基礎的な調査研究は開始されていますけれども、まだまだ道半ばということでして、これに関しては任期中に実現できなかったのが非常に心残りです。とりわけコロナが広まっている中でもうちょっと早く進めていれば、病院の財務状況をより迅速に把握できていたのではないかと考えますので、とても残念に思っています。
本日で公益委員は退任しますけれども、実調の補完に向けた取組については外部からも引き続き協力していきたいと考えております。今後ともよろしくお願いします。
6年間いろいろな経験をさせていただき、本当にありがとうございました。
(拍手起こる)
○小塩会長
荒井委員、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。
続きまして、今村委員から御挨拶をお願いいたします。
○今村委員
大変貴重なお時間を頂戴いたしまして、退任の御挨拶をさせていただく機会を頂戴したこと、本当に関係者の皆様に御礼を申し上げたいと思います。
私は本日をもちまして、中医協委員を退任させていただくこととなりました。100年に1度のパンデミックの下で、日本の医療保険制度が始まって以来、こういったウェブでの中医協開催が続く中で、本当に直接対面で御挨拶ができないのは私としても誠に心残りではございます。
思い返せば2017年5月に委員に就任させていただきまして、3期4年、2回の診療報酬の改定の議論に参加させていただきました。この間、同じ中医協委員として公益の先生方、1号側、2号側、専門委員の皆様方には本当に大変御世話になりました。改めて御礼申し上げたいと思います。
また、事務局をお務めいただきました厚生労働省の皆様方、本当に御多忙の中、特に今のコロナの感染症流行下で全力を挙げて厚労省として取り組まれている中で、中医協のための準備や運営に最大限の御尽力をいただいたと思います。心より感謝しております。
1号側の委員の先生方とは、支払い側と我々医療提供側という立場の違いで意見が異なることがしばしばございましたけれども、優れた国民皆保険制度を後の世代にしっかりとつないでいこうという思い、この点は変わらぬ共通理念であったと思っております。
さて、4年間という短期期間という中でも、入院医療費の大幅な見直しや薬価制度の見直し、薬価の中間年改定、費用対効果の導入やオンライン診療の保険導入、医師の働き方改革、消費税対応等々、ほかにもございますけれども、一つ一つ難しい課題を議論して決めてきたことに感慨深いものがございます。
特に、現在進行中のコロナウイルスによるパンデミック下の中医協は、公的医療保険制度が確立してから今まで、中医協委員の誰も経験したことのない環境での議論であったと思います。恐らくまだまだしばらくこの状態は続くのだろうと思っております。
日本は長年の経済の低成長、さらに労働力人口の減少、高齢者の増加、現在のコロナ感染症の影響等々、国家財政の厳しさによって今後も医療費に対する制約はますます厳しくなることが予想されます。一方、科学技術は著しく進歩しております。国民にこれらの医療の進歩を等しく享受してもらうためには、さきの財政的な制約というのは大変大きな隘路となります。中医協はこの非常に難しい課題に立ち向かう最前線であります。中医協委員をお務めの皆様におかれては、引き続き真摯な議論を交わしていただければと存じます。
また、昨今、本来の中医協の議論の方向性を示す社会保障審議会以外の場から中医協の議論に制約をかけられるようなことがしばしばあるように感じております。事務局の皆様は大変な御苦労をされていると思います。私は中医協委員を本日で退任いたしますけれども、外部からではありますが、中医協が本来の役割をしっかりと果たすことができるように最大限の御支援をしたいと存じます。
結びにもう一度感謝の言葉で締めくくらせていただきたいと思います。皆様、大変ありがとうございました。
(拍手起こる)
○小塩会長
今村委員、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。
それでは、これで総会を終わらせていただきます。次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
これで閉会といたします。どうもありがとうございました。

 


 
 

<照会先>

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