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2021年5月12日 中央社会保険医療協議会 総会 第479回議事録

○日時

令和3年5月12日(水)11:36~12:25

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員 
安藤伸樹委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 松浦満晴委員 末松則子委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
保険医療材料等専門組織小澤委員長 薬価算定組織前田委員長 
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 岡田医療技術評価推進室長
山田保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器及び臨床検査の保険適用について
○再生医療等製品の保険適用について
○最適使用推進ガイドラインについて
○医薬品の新規薬価収載について
○市場拡大再算定について
○費用対効果評価の結果に踏まえた薬価の見直しについて
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○在宅自己注射について
○診療報酬基本問題小委員会からの報告について


 
○小塩会長
それでは、ただいまより、第479回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
なお、本日もコロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催といたします。また、今回も会議の公開につきましては、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、全員が御出席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに、「医療機器及び臨床検査の保険適用について」を議題といたします。
本日は、保険医療材料等専門組織の小澤委員長にお越しいただいています。
小澤委員長より、御説明をお願いいたします。
○保険医療材料等専門組織小澤委員長
小澤でございます。
それでは、説明いたします。中医協総-1-1の資料を御覧ください。
今回の医療機器の保険適用は、C2が3製品3区分、Rが1製品1区分です。
2ページ目を御覧ください。製品名は、ラミラネブライザシステムです。
4ページ目の製品概要を御覧ください。
本品は、機械的振動により発生させたエアロゾル化した医薬品を供給する装置であり、アミカシンリポソーム吸入用懸濁液アリケイス吸入液590mg専用のネブライザとして使用される製品です。
2ページにお戻りください。
価格につきましては、本品が特定保険医療材料としては設定せず、新規技術料にて評価することが適当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はございません。
次に5ページ目を御覧ください。
製品名は、Inspire UASシステムです。
8ページ目の製品概要を御覧ください。
本品は持続陽圧呼吸療法(CPAP)が不適または不忍容な、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者を対象に、呼吸と同期して舌下神経を刺激し、舌基底部の筋収縮を誘発することで、気道の開存性を改善することを目的とした製品です。
5ページにお戻りください。
価格につきましては、原価計算方式で評価し、最終的な価格を248万円といたしました。外国平均価格との比は0.84です。
次に9ページ目を御覧ください。
製品名は、バイポーラRFAシステム CelonPOWERでございます。
12ページ目の製品概要を御覧ください。
本品は、ラジオ波帯の高周波電流を組織へ流し、対象組織を凝固する医療機器であり、深鎮静の下、CTガイド下にて副腎腺腫を穿刺し、治療を行うことを目的とした製品でございます。
9ページにお戻りください。
価格につきましては、本品は特定保険医療材料としては設定せず、新規技術料にて評価することが適当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はございません。
次に、13ページ目を御覧ください。
製品名は、再製造ループ電極カテーテルです。
16ページ目の製品概要を御覧ください。
本品は、心臓電気生理学的検査及び一時的ペーシングを行うために、経皮経管的に心臓内に留置して使用することを目的とした製品で、再製造単回使用医療機器となります。
13ページにお戻りください。
価格につきましては、再製造係数を0.7として評価し、最終的な価格を5万1400円といたしました。外国平均価格との比は0.33です。
続きまして、中医協総-1-2の資料を御覧ください。
今回の臨床検査の保険適用は、E3の4件です。
2ページ目を御覧ください。
販売名は、Leptin ELISA「コスミック」です。
測定項目は、レプチンです。
測定方法は、酵素免疫測定法、ELISA法です。
4ページ目の製品概要を御覧ください。
本検査は、血清中のレプチンを測定し、全身性脂肪萎縮症の診断を補助する臨床検査です。
2ページにお戻りください。
保険点数にとつきましては、D014 自己抗体検査 43 抗アクアポリン4抗体、1,000点を参考点数としています。
次に5ページ目を御覧ください。
販売名は、VEGF ELISAキット「フジモト」です。
測定項目は、血管内皮増殖因子(VEGF)です。
測定方法は、酵素免疫測定法、ELISA法です。
6ページ目の製品概要を御覧ください。
本検査は、血清中の血管内皮増殖因子(VEGF)を測定し、クロウ・深瀬(POEMS)症候群の診断を補助する臨床検査です。
5ページにお戻りください。
保険点数につきましては、D014 自己抗体検査 39 抗GM1IgG抗体、460点を参考点数としております。
次に、7ページ目を御覧ください。
販売名は、イムノキャップ 特異的IgG 鳥です。
測定項目は、鳥特異的IgGです。
測定方法は、蛍光酵素免疫測定法(FEIA法)です。
9ページ目の製品概要を御覧ください。
本検査は、血清中または血漿中の鳥抗原に対する特異的免疫グロブリンG(IgG)を測定士、鳥関連過敏性肺炎の診断を補助する臨床検査です。
7ページにお戻りください。
保険点数につきましては、D012 感染症免疫学的検査 51 抗トリコスポロン・アサヒ抗体、873点を参考点数としています。
次に、10ページ目を御覧ください。
販売名は、COVID-19 and Influenza A+B抗原コンボテスト「ニチレイバイオ」です。
測定項目は、SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原です。
測定方法は、イムノクロマト法です。
13ページ目の製品概要を御覧ください。
本検査は、鼻咽頭ぬぐい液または鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原、A型インフルエンザウイルス抗原及びB型インフルエンザウイルス抗原を検出し、SARS-CoV-2感染またはインフルエンザウイルス感染の診断を補助する臨床検査です。
10ページにお戻りください。
保険点数につきましては、D012 感染症免疫学的検査 25 マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)4回分、600点を参考点数としています。
御説明いたします内容は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
事務局から補足がありましたらお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
ありがとうございます。事務局でございます。
総-1-1の参考について説明させていただきます。「特定保険医療材料の基準材料価格の算定における原価計算方式の係数の更新について」でございます。
こちらは、特定保険医療材料の基準材料価格の算定におきまして、原価計算方式を採用する際に用いる標準的係数につきまして、経済課が実施いたしました調査の結果を踏まえ、ここの参考に表示のとおり、係数を更新するものでございます。
説明は以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
それでは、特に御質問等がないようですので、本件につきましては中医協として承認することでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして、「再生医療等製品の保険適用について」を議題といたします。
本日は薬価算定組織の前田委員長にお越しいただいております。
前田委員長より、御説明をお願いいたします。
○薬価算定組織前田委員長
ありがとうございます。
「再生医療等製品の保険適用について」ということで、薬価算定組織の委員長の前田でございます。よろしくお願いいたします。
私から、今回検討いたしました新再生医療等製品の算定結果等について御報告いたします。
資料は中医協総-2-1を御覧ください。
再生医療等製品のブレヤンジ静注です。
本製品は、以下の再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫、及び再発または難治性の濾胞性リンパ腫を対象とする再生医療等製品です。
本製品は、医薬品の例により算定することとされており、効能や薬理作用等が類似するキムリア点滴静注を最類似薬とした類似薬効比較方式(1)より算定いたしました。
その結果、本製品の算定薬価は1患者当たり3411万3655円となりました。
なお、キムリア点滴静注の費用対効果評価に基づく価格調整がまだ適用されていないので、今御説明いたしました本製品の算定は、価格調整前の価格に基づいたものとなります。
以上で、新再生医療等製品の算定結果について、私からの説明を終わります。
○小塩会長
ありがとうございました。
引き続き、事務局から説明と補足をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
ただいま御説明がありましたとおり、費用対効果評価につきまして補足させていただきます。
まず、総-2-1の2ページ目を御覧ください。下から3行目のところに費用対効果評価への該当性がございます。こちらは、費用対効果評価の該当の対象となっておりますキムリアの類似品になりますので、H5区分として該当するということになります。
続きまして、総-2-2を御覧ください。
キムリアの費用対効果評価の結果に基づく価格調整につきましては、4月に既に費用対効果評価の結果、御確認いただいておりますので、こちらのブレヤンジにつきましても価格調整を行うこととなります。
表の真ん中辺り、調整後薬価としまして3264万7761円としまして、薬価基準収載日より適用いたしたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
特に御質問等はないようですので、本件につきまして中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして、「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。本件は報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○河野医療機器審査管理課長
医療機器審査管理課長でございます。
ただいま議題になりました「最適使用推進ガイドライン」の案につきまして御説明いたします。
資料総-3-1を御覧いただければと思います。
ブレヤンジ静注の最適使用推進ガイドラインの案が示されております。これについて御説明申し上げます。資料のページにつきましては20分の何ページという形で申し上げます。
まず、3/20ページを御覧ください。真ん中のところに記載しておりますとおり、このガイドラインにつきましては日本血液学会など6学会の協力の下で作成しております。
同じく、下の枠で囲っている箇所でございますけれども、ここに効能・効果、性能、用法・用量、使用方法などの記載がございます。
続きまして、6/20を開けていただければと思います。
6/20ページ以降でございますけれども、本品の臨床成績を記載しております。有効性につきましては6ページ以降記載がございまして、再発または難治性のアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫患者を対象とした国際共同試験などにおいての本剤についての試験結果などがまとめられております。
また、安全性につきましては11/20ページを御覧いただければと思います。
本品の使用時に特に注意を要する有害事象として、サイトカイン放出症候群、血球貧食性リンパ組織球症、神経障害等が認められているということでございます。
続きまして、具体的な施設基準等について御説明申し上げます。13/20ページを御覧いただければと思います。
まず、施設について、次の(1)から(4)の全てに該当することを求めているところでございます。
具体的には、日本造血・免疫細胞療法学会が定める移植施設認定基準の全ての項目を満たす診療科、またはこれに準ずる診療科として移植コーディネーターの配置に係る基準以外を満たす診療科を有する施設であるということ。ICU等を有するということ。アフェレーシス機器の使用に熟知した医療スタッフの配置がされているということ。それから、患者登録システム(レジストリ)に患者登録を行い、製造販売後調査を適切に実施するという条件が定められております。
次に、1-2でございますが、医師についての記載がございます。表11の(1)から(3)全てを満たしている医師が治療責任者として1名、かつ、医師免許取得後6年以上の臨床経験を有し、うち3年以上は血液悪性腫瘍の研修を行っていることを満たしている医師を1名以上配置しているということを要件としております。
また、副作用発生時の対応としまして、3-1、施設体制に関する要件として、サイトカイン放出症候群、CRSの緊急時に備え、トシリズマブの在庫が本品投与前に確保されていることが求められております。
次に、15/20ページでございますが、投与の対象となる患者さんについてまとめられております。
有効性に関する事項の1については治験の組入れ基準について、2では治験の除外基準に基づき該当する患者さんの要件を記載しております。
安全性に関する事項の1には添付文書の禁忌に該当する事項を、2については治験での除外基準に該当する患者さんを記載しております。
なお、本品はキムリア点滴静注及びイエスカルタ点滴静注と同様、効能・効果または性能において、CD19標的CART細胞療法の治療歴を有する患者さんへの投与を禁止しております。
次に17/20ページを御覧ください。
投与に際して留意すべき事項について、特にサイトカイン放出症候群及び神経系の事象につきましてそれぞれアルゴリズムをお示しし、アルゴリズム及び製造販売業者が提供する最新の情報に従い適切な処置を行うよう注意喚起しております。
これらの考え方につきましては、これまでお認めいただいております同種製品でありますキムリア点滴静注及びイエスカルタ点滴静注と同様の考え方でございます。
私からの御説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
引き続き、事務局から補足の説明をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-3-2を御覧ください。先ほど説明のありました最適使用推進ガイドラインに基づきます保険適用上の留意事項につきましてお諮りするものでございます。
今回の対象品目につきましては、ブレヤンジ静注でございます。
3番、留意事項の内容についてです。(1)共通事項としまして、最適使用推進ガイドラインに従って使用する旨を明記することとしております。
(2)としまして、診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項につきましては、先ほど説明のありました中で、医療施設の要件のうち、この四角囲みにあります1-1の項目につきまして、いずれに該当するかを記載していただくこととするものでございます。こちらにつきましては、5月18日に発出を予定しており、5月19日より適用することとしております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか
特に御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
続きまして、「医薬品の新規薬価収載について」「市場拡大再算定について」を一括して議題といたします。
引き続き、前田委員長より御説明をお願いいたします。
○薬価算定組織前田委員長
ありがとうございます。
私から、今回検討いたしました新医薬品の算定結果及び市場拡大再算定について御報告いたします。
まず、新医薬品について、資料中医協総-4-1を御覧ください。今回報告する新医薬品は2ページの一覧表にありますとおり、13成分、23品目です。
それでは、算定内容について御説明いたします。
1品目めのイスツリサ錠です。資料3~4ページを御覧ください。
本剤は、クッシング症候群(外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合)を効能・効果とする内用薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、1mg1錠3,335.90円、5mg1錠1万3249.00円となりました。
2品目めのヴァイトラックビカプセル及び同内用液です。資料5~6ページを御覧ください。
本剤は、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんを効能・効果とする内用薬であり、効能や薬理作用等が類似するロズリートレクカプセル200mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
本剤は、国内で小児を対象とした臨床試験を実施していることなどから、小児加算の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で100mg1カプセル、1万4542.90円となりました。
3品目めのペマジール錠です。資料7~8ページを御覧ください。
本剤は、がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がんを効能・効果とする内用薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定いたしました。
なお、本剤の製品総原価の開示度は50%以下でした。
本剤は、FGFR2融合遺伝子の阻害作用を有し、臨床上有用な新規作用機序医薬品であること、また、米国NCCNガイドラインで推奨されていることを踏まえ、標準的治療に位置づけられると考えられることから、有用性加算(1)の35%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、市場性加算(1)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
補正加算について、合計の加算率45%に対して加算係数0.2を乗じて、9%の補正加算を適用いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、4.5mg1錠、2万5631.20円となりました。
次に、4品目めのケシンプタ皮下注です。資料9~10ページを御覧ください。
本剤は、再発寛解型多発性硬化症及び疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症患者における再発予防及び身体的障害の進行抑制を効能・効果とする注射薬であり、組成及び投与形態が同一で効能及び効果が異なる既収載品がある新薬の薬価算定の特例により算定いたしました。
原価計算方式と類似薬効比較方式で算定した算定額のうち、いずれか低いほうで算定するとされていることから、効能等が類似するタイサブリ点滴静注300mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)で算定した額といたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、20mg0.4mL1キット、23万860円となりました。
5品目めのイズカーゴ点滴静注用です。資料11~12ページを御覧ください。
本剤は、ムコ多糖症2型を効能・効果とする注射薬であり、効能や薬理作用が類似するエラプレース点滴静注液6mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
本剤は、全身症状及び中枢神経症状に有効性があると評価され、既存の類似薬にない有効性を有していること、また、脳室内投与に比べて非常に低い侵襲性で中枢作用を期待できる点は、既存の治療方法に比べて利便性が著しく高く、ムコ多糖症2型の中枢神経症状に対しては標準的治療法がないことから、有用性加算(1)の40%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
また、本剤は、先駆け審査指定制度の指定を受けていることから、先駆け審査指定制度加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、10mg1瓶、25万1030円となりました。
6品目めのジョイクル関節注です。資料13~14ページを御覧ください。
本剤は、変形性関節症(膝関節、股関節)を効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、30mg1mL1筒、4,394円となりました。
7品目めのポライビー点滴静注用です。資料15~16ページを御覧ください。
本剤は、再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を効能・効果とする注射薬であり、効能や薬理作用等が類似するアドセトリス点滴静注用50mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
NCCNガイドラインでは、本剤が最も推奨されるレジメンに位置づけられていることから、有用性加算(2)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で30mg1瓶、29万8825円となりました。
次に、8品目めのレミトロ点滴静注用です。資料17~18ページを御覧ください。
本剤は、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫及び皮膚T細胞性リンパ腫を効能・効果とする注射薬であり、効能や薬理作用等が類似するポテリジオ点滴静注20mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、300μg1瓶、8万5610円となりました。
次に、9品目めのダラキューロ配合皮下注です。資料19~20ページを御覧ください。
本剤は、多発性骨髄腫を効能・効果とする注射薬であり、効能や薬理作用等が類似するダラザレックス点滴静注400mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
比較薬に比べて投与時間が短く、使用に際して利便性が高いことから、有用性加算(2)の5%加算を適用することが妥当と判断しました。
その結果、本剤の算定薬価は、15mg1瓶、43万4209円となりました。
次に、10品目めのヌーイック静注用です。資料21~22ページを御覧ください。
本剤は、血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制を効能・効果とする注射薬であり、薬理作用類似薬が既に3以上あることなどから、類似薬効比較方式(2)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、汎用規格で4,000国際単位1瓶、26万8164円となりました。
11品目めのユプリズナ点滴静注です。資料23~24ページを御覧ください。
本剤は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防を効能・効果とする注射薬であり、効能や薬理作用等が類似するエンスプリング皮下注120mgシリンジを最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定いたしました。
比較薬に比べて投与間隔が延長されており、注射回数が6分の1に減少することから、有用性加算(2)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、100mg10mL1瓶、349万5304円となりました。
次に12品目めのジクトルテープです。資料25~26ページを御覧ください。
本剤は、各種がんにおける鎮痛を効能・効果とする外用薬であり、組成及び投与形態が同一で効能及び効果が異なる既収載品がある新薬の薬価算定の特例により算定いたしました。
なお、原価計算方式と類似薬効比較方式で算定した算定額のうち、いずれか低いほうで算定するとされていますが、類似薬効比較方式で用いる適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、75mg1枚、156.50円となりました。
次に13品目めのアリケイス吸入液です。資料27~28ページを御覧ください。
本剤は、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺非結核性抗酸菌症を効能・効果とする外用薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定いたしました。
なお、本剤の製品総原価の開示度は50%以下でした。
治療抵抗性の肺MAC症患者に対して有効性が示されていること、また、欧米のガイドラインでは本剤が最も強く推奨されており、標準的治療法であると言えることから、有用性加算(2)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
補正加算について、加算率10%に対して加算係数0.2を乗じて、2%の補正加算を適用いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、590mg1瓶、4万2408.40円となりました。
以上で、資料総-4-1の説明を終わります。
続きまして、資料総-5の説明に移ります。市場拡大再算定について報告いたします。
効能追加等があった医薬品などについて、一定規模以上の市場拡大のあった場合は、年4回の新薬収載の機会を活用して、市場拡大再算定の規定を適用し、薬価を見直すとされております。
今般、12月診療分のNDBデータを確認したところ、ビンダケルカプセル20mg、テセントリク点滴静注1200mgが市場拡大再算定の要件に該当すると判断いたしました。
また、テセントリクについては薬理作用類似薬が存在し、そのうちオプジーボ、キイトルーダ、イミフィンジは市場における競合性が乏しいとは言えないため、市場拡大再算定類似品に該当し、テセントリクと同様の引下げ率で算定された額に改定することとしています。
なお、アベルマブ(遺伝子組換え)については、テセントリクと重複する適応を有していないため、市場における競合性が乏しいと判断し、対象外といたしました。
その結果、改定薬価は資料の表の中ほど、「改定薬価」の欄に示した額となりました。
なお、テセントリクの類似品目として選定されたオプジーボ、キイトルーダ、イミフィンジについては、製造販売業者より不服意見をいただきました。
オプジーボ、イミフィンジ、キイトルーダでは、複数ある適応のうち一部しか重複しておらず、テセントリクと市場における競合性が乏しいこと。また、キイトルーダでは、既に単独で市場拡大再算定の特例が適用され、類薬に比べ1日薬価が低くなっていることから、市場拡大再算定類似品に該当しないなどの不服意見がありましたが、薬価算定の基準に照らし合わせて、当初案のとおりとすることが適当と判断しております。
以上で私からの説明を終わります。ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
引き続き、事務局から説明と補足をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
新薬の収載につきまして補足させていただきます。
まず、総-4-1にお戻りください。今回の新薬収載の中で、費用対効果評価の対象品目について御説明させていただきます。
ここの表のうち、まず7番のポライビー、9番のダラキューロにつきましては、それぞれ類似薬効比較方式で算定しておりまして、有用性加算がついていること、それからピーク時の市場規模予測が100億円以上ということから、H1品目に該当いたします。
それから、2ページ目、13番、アリケイスにつきましては、原価計算方式で開示度は50%未満、そして有用性加算がついていて、市場規模予測が100億円以上ということですので、H1品目に該当いたします。
続きまして、総-4-1参考を御覧ください。
こちらは、原価計算方式における標準的な係数につきまして毎年度更新しているものでございます。
本年度の算定に用いる労務費単価、一般管理販売費率、営業利益率、流通経費率に係る係数につきまして、それぞれの統計指標に基づきまして決定し、今回の算定から適用しておりますので、資料のとおり御報告いたします。
続きまして、総-4-2を御覧ください。
こちらは、類似薬選定のための薬剤分類についてですが、こちらのほうも毎年更新し、御報告しているものでございます。
今般、令和2年5月から令和3年4月までの薬価収載分、新薬62成分につきまして、薬価算定組織におきまして検討作業を進めていただき、新たに分類表に追記しましたので御報告いたします。
御参考としまして、3ページから4ページのところに新たに追記した成分名を記載しておりまして、それ以降の表の中では該当箇所にマーカーを付しております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がありましたらお願いいたします。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
時間が超過している中、恐縮ですが、1点確認させていただきたいと思います。
今般の薬価収載の中で9番目のダラキューロについては、既存薬より投与時間が短くなって利便性が高くなったということで、5%の有用性加算がついて約2万円が上乗せされていまして、同じように11番目のユプリズナ点滴静注についても、投与間隔の延長により5%の有用性加算がついたということですが、先般の費用対効果評価の対象となったユルトミリスは投与間隔の延長のみをもって有用性を評価することについて専門組織のほうで否定されているのですが、今後の有用性加算で投与時間とか投与間隔の短縮について加算の対象となり得るのか、それとも程度ものなのか、その辺について薬価算定組織で何か議論があったのであれば、ちょっと御紹介いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○小塩会長
事務局から回答をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
前回の費用対効果評価の結果につきましては、薬価算定組織のほうにも御報告しております。
今回の個別の算定について、それを受けた議論が個別にあったわけではないのですけれども、従前より、投与間隔の延長などにつきましては自動的に加算がつくというものではなく、患者さんの利便性など、医療上の有用性を考慮した上で、それぞれ加算の適用の可否について御議論いただいているところでございます。
先ほど2品目御指摘いただきましたけれども、例えば9番目のダラキューロにつきましては、有効成分が同じ類薬がある中で、新たに追加の新しい成分を入れた上で投与時間がかなり短くなるといったことなども考慮した上で、加算についてそれぞれ適用するとされております。
薬価における加算の考え方と、費用対効果評価の中でどういった形で数値として評価できるものになり得るのかという点で差があるのではないかというのは、前回も御指摘いただいておりますので、今後も引き続き、そういった観点も含めて薬価算定におきましても御議論いただくようにしたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
幸野委員、いかがでしょうか。
○幸野委員
個別に程度によって判断されるということで了解いたしました。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ほかに御質問等はないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして、「費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-6を御覧ください。
前回、4月14日の中医協におきまして御確認いただきましたユルトミリスの費用対効果評価結果に基づく価格調整についてでございます。
まず、表の真ん中ですけれども、前回の評価結果に基づきまして、価格調整係数について評価表の右から2番目の項目にあります0.1を適用することとしております。
その結果、価格調整後の薬価につきましては、下の表、真ん中辺りにございます調整後薬価を69万9570円としまして、適用日につきましては令和3年8月1日といたしたいというものでございます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、特に御質問等はないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。
続きまして、「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」「在宅自己注射について」を一括して議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
ありがとうございます。
それでは、総-7を御覧ください。「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」でございます。
定例の議題ではございますが、新規に薬価収載をされた医薬品等については、DPC/PDPSにおける診療報酬点数表に反映されていないことから、一定の基準に該当する医薬品等を使用した患者については包括評価の対象外とし、次期診療報酬改定までの間、出来高算定することとしております。
この基本的な考え方につきましては、総-7参考におつけしておりますので御覧いただければと思います。
今回、効能・効果が追加された医薬品、また、新規に薬価収載される薬剤などについて判定を行い、総-7の2以降の一覧にお示ししております医薬品については、対応する診断群分類において基準に該当しておりましたので、出来高算定をすることとしてはどうかという御提案がございます。
続いて、7ページまで飛んでいただきまして、3に掲げているものにつきましては、類似薬効比較方式で薬価が設定された医薬品で、その類似薬に特化した診断群分類が既に設定されているものを掲げておりまして、この診断群分類に新規の医薬品についても反映してはどうかという御提案でございます。
総-7関連につきましては、以上でございます。
続きまして、総-8-1、総-8-2を御覧ください。
こちらは、「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤である医薬品のバイオ後続品の取扱いについて」でございます。
まず、総-8-1でございます。アダリムマブ(遺伝子組換え)[アダリムマブ後続2]について、当資料の4ページ目の最後に対応案として記載させていただいておりますけれども、先行のバイオ医薬品と比較して特段の問題はないと考えられますことから、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかという御提案でございます。
総-8-2でございます。こちらは、インスリン アスパルト(遺伝子組換え)[インスリン アスパルト後続1]でございます。こちらも4ページ目の最後の対応案のところでございますけれども、先行のバイオ医薬品と比較して特段の問題はないと考えますことから、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかという御提案でございます。
事務局からの説明につきましては以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等はないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして、「診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。
本件につきましては、診療報酬基本問題小委員会において議論を行ったところですが、小委員会でいただいた御意見も含め、事務局より説明をお願いいたします。
○山田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
基本問題小委におきまして、「入院分科会からの報告について」を御議論いただきましたので報告させていただきます。
資料の総-9-1を御覧ください。
「1.背景」でありますけれども、入院分科会においては、答申書附帯に関する事項などについて、技術的な課題に関して専門的な調査及び検討を行うこととされております。
2つ目の○でありますけれども、分科会の下に専門的な視点からの調査・分析を行う作業グループを設置し、主な課題の作業を行っております。
2ポツでありますが、記載のスケジュールで進めることを提案させていただいております。
2ページ目、1つ目の○でありますが、DPC/PDPSについては、令和2年度分科会報告書を踏まえ、特別調査を実施するとさせていただいております。
こういったことを報告させていただきました。
資料総-9-2が調査の内容の概要であります。
資料総-9-2参考が具体的な調査票の案でございます。
これらを基本問題小委に報告し、御議論いただきました。
基本問題小委の中では、回収率の向上についてもっと努力すべきだとか、コロナ受入れ機関の範囲についてとか、コロナ患者の人数について御意見、御議論いただきました。
資料の説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
特に御質問等はないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
それでは、説明のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。
本日の議題は以上です。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 


 
 

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