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2020年12月18日 中央社会保険医療協議会 総会 第470回議事録

○日時

令和2年12月18日(金)9:54~11:38

○場所

TKPイベントホールシルク新宿

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 
 
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 岡田医療技術評価推進室長
山田保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について
○2021年度薬価改定の骨子(案)について
○第23回医療経済実態調査について
 


 
○小塩会長
ただいまより、第470回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
なお、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は染谷委員、岩田専門委員、半田専門委員が御欠席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに「新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○井内医療課長
それでは、資料総-1に従いまして、御説明をさせていただきます。「新型コロナウイルス感染症への対応とその影響等を踏まえた診療報酬上の取扱いについて」でございます。
まず、新型コロナ感染症の発生状況の現状ということで御説明をさせていただきます。
3ページ目になります。
まず、国内事例ということで、令和2年12月15日24時現在のものでございます。
ここにございます上の表にありますように、陽性者数につきましては18万4042人で、入院治療等を要する者が2万5281人、うち重症者が618人。死亡者に関しましては2,688人が現状となってございます。
次に、4ページ目を見ていただければと思います。
陽性者数・死亡者数のそれぞれ年齢階級別のものでございます。
左側の棒グラフにつきましては、年齢階級別の陽性者数ということで20代が最も高く、若年層が多い傾向でございます。
一方、右側のグラフ、死亡者数につきましては、80代、70代と高齢者の方がお亡くなりになられている現状でございます。
次の5ページでございます。
年齢階級別重症者割合ということで、重症者の割合につきましては、70代の5.1%をトップに60代、80代、50代と、これも高齢者に多い傾向でございます。
さらに、6ページ目でございます。
新型コロナウイルス感染症の国内発生動向ということで、これも令和2年12月9日の状況、1週間ごとに区切ったデータを棒グラフにしておりまして、ブルーが有症者数、オレンジが無症者、症状確認中が緑ということになっております。最近、11月に入りまして感染者数が増えている傾向でございます。
次の7ページ目を見ていただければと思います。
国内発生動向の中の都道府県別の人数ということでございます。
東京都、大阪、北海道、神奈川。こういったところが多くなっている傾向、地域差がかなり出ているものでございます。
さらに、8ページ目に移ります。
新型コロナウイルス感染症による医療機関の患者数の変化で、診療種類別レセプト件数の前年同月比ということで、医科、歯科、調剤で合わせてというものになっております。
これを見ますと、いずれもまだ前年同月比には至っていない。ここで言います3月、4月、5月と下がってきておりまして、一定程度回復傾向ではありますけれども、まだ100%には至っていないところでございます。
さらに9ページ、医科診療所の診療科別のレセプト件数の前年同月比ということでございます。
内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、耳鼻科、その他ということになっております。小児科、耳鼻科が低くなっている傾向がございます。
こういったコロナ感染症の発生状況を踏まえましてということでございます。これらの発生状況を踏まえましての対応ということで、11ページを見ていただければと思います。
新型コロナウイルス感染症に対する感染管理ということで、誰もがウイルスを保有している可能性があることを考慮し、全ての患者の診療に対して感染予防策の徹底が必要であることが記載されております。
その中の抜粋でございますが、まず「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」、国立感染症研究センター、国立国際医療研究センター、国際感染症センターで出されているもの、医療関係者の感染予防策というところでございます。
ここでは、COVID-19と診断、または疑われていない患者から感染することを防ぐためには、COVID-19の疑いにかかわらず原則として医科は常に行うべきであるということでございます。
外来患者の待合室では、発熱や呼吸器症状を訴える患者とその他の患者、また、発熱や呼吸器症状を訴える患者同士が一定の距離を保てるように配慮をする。呼吸器症状を呈する患者にはサージカルマスクを着用させる。
医療従事者は、標準予防策を遵守する。つまり、呼吸器症状のある患者の診察時にはサージカルマスクを着用し、手指衛生を遵守する。COVID-19が流行している地域では、呼吸器症状の有無にかかわらず患者診察時にサージカルマスクを着用することを考慮する。サージカルマスクや手袋などを外す際には、それらにより感染を汚染しないよう留意しながら外し、所定の場所に破棄する。さらに、手指衛生を遵守し、手指衛生の前に目や顔を触れないように注意する。
風邪の症状や発熱などの患者、強いだるさや息苦しさがある患者は迅速に隔離し、状況に応じてPCR検査の実施を考慮するとなっております。
その下にも、日本環境感染学会が出されているものもあります。
ここにも、誰もがこのウイルスを保有している可能性があることを考慮し、全ての患者の診療において状況に応じて必要な個人防具を選択して、適切に着用してくださいということ。
また、外来患者へということでも、標準予防策を徹底しながら新型コロナウイルスによる感染例が含まれていても感染を予防できる対応が必要になると思われますと書かれてございます。
こういったことがCOVID-19の感染下の下でいわゆる実際に感染した方以外の方にも注意が必要で、感染対策の強化が必要となっております。
我々のほうでこういった対応をしている医療機関に、3機関ではございますが、ヒアリングをいたしまして、どのようなことをしているのかを聞いてみました。
<全般>というところですが、施設としての整備ということで、導線を分けることであったり、ビニールシートやアクリル板の設置、アルコール消毒の設置、窓開け、間隔開け、運転席のビニールシートの設置、注意ポスターの喚起。また、職員に関しましては、係員を玄関に設置したり、職員研修を実施したり、来訪者には手指衛生、体温測定、マスクの付け替え、問診表の記入を依頼。環境作業では、エレベーターに乗った際、文字盤の消毒を行うこと。
また<入院>に関しましては、大部屋は利用者を減らして運用することであったり、食堂の運用は極力減らし、自室で食事とする。入院患者が食事をするテーブルはアクリル板による仕切りというようなもの。患者への教育、提供するサービスの変更ということ。
また<外来>でも、通所リハの患者に対し健康チェック表を記載してもらうことを徹底することが言われて、聞かされてまいりました。
こういったことを踏まえましてというものでございます。新型コロナウイルス感染症、本来、医療機関では感染対策は取られているものと承知はしておりますが、実際、COVID-19感染が蔓延している状況下の中で、さらに医療機関においてはより強化したウイルス対策を取られている、または取らなければならないということを踏まえまして、誰もがウイルスを保有している可能性を考慮し、全ての患者の診療に対し感染予防の徹底が必要である。特例的に以下の対応をすることとしてはどうかということでございます。これは令和3年4月からということでございます。
この特例的な対応につきましては令和3年9月末まで行うこととし、同年10月以降については延長しないことを基本の想定としつつ、感染状況や地域医療の実態を踏まえ、年度前半の措置を単純延長することも含め、必要に応じ柔軟に対応したいと考えております。
各医療機関における感染症に対する評価というものであります。新型コロナウイルスのところで、必要な感染対策ということでございます。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4版」を参考に、全ての患者の診療において、必要な状況に応じ、必要な個人防具を着用した上で、感染防止に十分配慮して、患者への対応を行う。新型コロナウイルス感染症の感染予防策に関する職員研修を行う。病室や施設等の運用について、感染防止に資するよう変更等に係る検討を行う等の感染予防策を講じることについて、外来診療、入院診療等の際に、以下の点数に相当する加算を算定できることにしたいというものでございます。
初診、再診については、1回当たり5点。入院については、1日当たり10点。調剤については、1回当たり4点。訪問看護については、1回当たり50円でございます。
少し話が変わるのですが、ここは少し今までの流れとは違いますが、コロナウイルスが蔓延しているということは同等ではございますが、新型コロナウイルス陽性者に対しまして歯科治療を延期するというのが通常の対応と聞いておりますが、それができないぐらい、またコロナも軽症であった場合、歯科治療を実施する場合に298点を算定することとしたいというものでございます。
ここが、まず1つ目の区切りでございます。
次が、これまでに実施した特例的対応についてのまとめでございます。15ページになります。
これまで新型コロナウイルス感染症への診療報酬上の対応ということでまとめさせております。令和2年4月8日、令和2年4月18日、令和2年5月26日、令和2年9月15日、令和2年12月15日にそれぞれの対応を行っております。
具体的に説明させていただきますが、16ページ以降で御説明をさせていただきます。
まず、外来に対する4月8日の対応でございます。
外来における対応ということで、院内トリアージ実施料というものをつくった。あと、入院における対応ということで、救急医療管理加算、二類感染症患者入院診療加算が取れることにしたものでございます。
次に、17ページでございます。4月18日の対応でございます。
重症の新型コロナウイルス感染症患者の治療に係る評価ということで、特定集中治療室管理料を算定する病棟に入院している重症の新型コロナウイルス感染症患者に対する治療への評価を2倍に引き上げるということでございます。さらに、中等症の新型コロナウイルス感染症患者の治療に係る評価ということで、中等症以上の患者の重症化やほかの患者及び医療従事者への感染を防ぐということで、中等症以上の新型コロナウイルス感染患者について、救急医療管理加算の2倍相当の加算を算定するというものでございます。
医療従事者の感染リスクに伴う診療の評価で、医療従事者の感染リスクを伴う診療の評価ということで、二類感染症患者入院診療加算に相当する加算を2~4倍算定できるという形にしたものでございます。
次に、18ページでございます。これが5月26日の対応になっております。
重症・中等度の新型コロナウイルス感染症患者に対する診療の評価の見直しというところで、特定集中治療室管理料等を算定する病棟に入院している場合の評価を3倍。
さらに、中等症の新型コロナウイルス感染症患者について、救急医療管理加算の3倍の加算ということでございます。
さらに、重症・中等症の新型コロナウイルス感染症の範囲の見直しということで、重症患者の対象範囲、医学的な見地からICU等における管理が必要な患者を追加。中等症患者の対象範囲ということで、医学的な見地から急変に係るリスク管理が必要な患者を追加ということでございます。
長期・継続的な治療を要する新型コロナウイルス感染症患者に対する診療の評価ということで、中等症患者のうち継続的な診療が必要な場合、救急医療管理加算の3倍相当の加算。15日以降も加算できる。さらに、新型コロナウイルス感染症から回復した患者について転院を受け入れた医療機関への評価を設けること。
疑似症患者の取扱いの明確化もしております。
次の19ページでございます。9月15日の対応でございます。
中等症の患者に対するうち、呼吸不全管理を要する中等症以上の新型コロナウイルス感染症患者について、救急医療管理加算の5倍相当を算定することができるとしたものでございます。
さらに、20ページでございます。12月15日の対応でございます。
外来における小児診療等に係る評価ということで、感染予防の実施について成人等と比較して小児に対しては一定の配慮が必要ということを踏まえ、小児特有の感染予防策で、医科で100点、歯科で55点、調剤については12点を算定するとしたものでございます。
これにつきまして、今回、新年度予算を予算編成の過程におきまして、これにつきましては令和3年10月からは半減するということで、原則こういった方向でセットをしていきたいと考えております。
さらに、新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援ということで、いわゆる陰性になった患者さんでもさらに再燃をするリスクが高いといいますか、一般の人よりはあるということで、そういったことを踏まえると、しっかりとした対応をする必要があるということで、入院診療を行った場合に二類感染症患者入院診療加算を3倍に引き上げるものでございます。
こういった対応が取られてまいりました。一部、新年度予算に関わるものもございましたが、こういった対応が取られてきているものでございます。
まとめといたしまして、21ページになります。
令和3年度におきましても、令和2年度予備費等で措置してきた新型コロナウイルス感染症を疑う患者への外来診療に係る評価及び新型コロナウイルス感染症患者に対する入院診療に係る評価については、当面の間、継続とする。
令和3年9月末までの間、小児の外来診療等に係る措置及び一般診療等に係る措置について、初診料及び再診料等に一定の点数を加算する特例的な評価を行う。
令和3年10月以降につきましては、前者の措置に関しては、同年度末まで規模を縮小した措置を講じること。後者に関しては延長しないことを基本の想定としつつ、感染状況や地域医療の実態等を踏まえ、年度前半の措置を単純延長することを含め、必要に応じ柔軟に対応するといった取扱いとしたいということでございます。
事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら、お願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
繰り返しになりますけれども、市中にはコロナウイルスの新たな波がまた打ち寄せている状況でございます。まさに医療提供体制は、このまま何とか踏みとどまって市民を守れるのか、それとも崩壊してしまうのかの本当に瀬戸際にある状況かと思います。
今週月曜日に開催された中医協の持ち回り審議では、外来における小児診療に係る評価並びに回復患者の転院支援が提案されました。このような中で対応が示されたことにつきましては大変評価をしておりますけれども、これだけの限定的な支援では医療提供体制を守るには十分とは言えません。
今回の措置にとどまらず、新型コロナウイルス感染症への対応に奮闘されている日本全国、全ての医療機関あるいは医療従事者に対して精神的なケアと物質的サポートが提供されることで、崩壊が進みつつある医療提供体制の立て直しの一助となるようなさらなる措置を引き続き講じるべきであると常々主張してまいりました。
全ての医療機関へのサポートなしに、もはや日本の医療を維持することは不可能な状況にあると考えます。国民の暮らしを支えている医療機関が私どものこの町から消滅してよいのでしょうか。現在の状況はまさにそうした危機が差し迫っている状況であり、緊急事態であることから政府としての決定がなされ、厚生労働省から本日の中医協にこの総-1にあるような医療保険制度の対応が提案されたと理解いたしました。
診療側といたしまして総意として、現場で奮闘されている医療従事者の方々に力強いエールを送るべく、この提案に賛同いたします。
また、先ほどの薬価部会において賛否を保留していた薬価改定の骨子案につきましては、医療関係者にとっては大変大きな痛手であり、負担となる内容であり、簡単には了承できるものではありませんけれども、今、示されました総-1の提案が実現されることであれば、これを併せて了承とさせていただきます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
林委員、お手が挙がっております。お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
今回の新型コロナウイルス感染症を踏まえた診療に係る特例的な対応案については賛同いたします。
前回の6歳未満の乳幼児に対する特例の際に意見書に記載いたしましたが、4月以降の患者受診控え等により歯科診療所経営も非常に厳しい状況が続いております。さらに、10月以降の感染者数の拡大傾向を見ますと、全年齢層に広がっております。
この状況を踏まえますと、乳幼児への対応は特に重要であると理解しておりますが、乳幼児のみならず幅広い年齢層での初再診の評価についても引き続き御検討いただきたいと要望してまいりました。
歯科診療所では、これまでの感染予防策はもちろんのこと、コロナ感染症拡大対応として、さらに患者ごとの換気やユニット清掃の徹底、技工物への対応や口腔内外における吸引装置等での徹底的な管理を実施した上で、予約調整や待合室での他の患者との接触を控える対策等を実施しております。
国民に安心して歯科治療並びに口腔健康管理を受けていただき、疾患の悪化や肺炎等の健康被害を食い止めることが重要と考えております。
初再診における感染対策への評価を全ての年齢層で考慮していただいたことに評価いたします。引き続き、継続した対応が可能になるように、対応機関等を含めて御検討いただければと思っております。
さらに、新型コロナウイルス陽性患者への歯科治療を延期が困難で実施した場合について、298点の算定ができるということでございます。これに関しましても、算定時期の問題はございますが、賛同いたします。
4月24日の第456回総会、また、8月19日の464回総会でも要望いたしましたが、コロナ感染症が長期化した場合、ホテルや在宅で療養中の軽症患者から歯科治療の要望があり、歯科医師がコロナ感染患者を直接診療することも想定されております。
具体的なケースとしましては、重症の口腔顎顔面外傷、異常出血、歯性感染症など早急に対応が必要なものや、急性炎症、悪性腫瘍、開口障害、歯痛、歯冠修復物の脱離などを放置することで早期に進行し重症化してしまうものなどがございます。
その際、診療を提供する場所の問題や、医療提供者側も感染リスクの低減のために相応の感染対策資源や人員体制が必要でございます。歯科医師、歯科衛生士の感染リスクは高く、医療連携の構築や電話や情報通信機器を用いた診療の柔軟な活用並びに十分な感染対策資源の供給、医療保険上の担保を今後とも速やかに対応をお願いしたいと思っております。
加えまして、上気道感染症や発熱患者等のコロナの疑い患者に対しまして、先ほどの緊急歯科対応等を感染患者と同等の扱いで対応しなければならないこともございます。新型コロナウイルスへの感染を疑う患者に対しても同等の取扱いをお願いしたく要望いたします。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
資料総-1の13ページ、今回の論点の新型コロナウイルス感染症を踏まえた診療に係る特例的な対応については、新型コロナが発生する以前から既に医療機関はじめ関係各省においては感染予防対策を講じているという前提があり、その後、コロナ発生以降、多大な御努力によって様々な感染対策が講じられていると認識しております。その上で、今回の評価については新型コロナ感染症のさらなる拡大を踏まえた追加的な感染予防、感染対策への徹底を評価することだと理解しております。
そうであるならば、13ページ中段以降に記載されております新型コロナウイルス感染症診療の手引き第4版等に基づいていろいろ列挙されております項目について、新型コロナに特化した感染対策を十分に講じていること、患者への周知、説明責任を十分に果たしていることなどを具体的に算定要件として設定すべきだと思っております。
患者が安心感を持ち、信頼感を持って受診ができるような、十分に患者が納得・理解できるような形の算定要件を明確化していただくことが非常に重要ではないか。それがこういう評価につながるのではないかと思っていますので、事務局で算定の明確化をお願いしたいと思います。
もう一つ、これは繰り返しの意見ですが、14日の持ち回り開催について、小児の外来診療等に関わる評価、新型コロナからの回復患者の転院支援に係る評価が承認されました。しかしながら、そもそも論で申し訳ないのですが、このような案件は本来、総会においてしっかりと議論をし、事務局からの提案内容に対する理解、議論を尽くして我々の役割を果たすというのが筋だと思います。時間の制約上それが果たせなかったことについては誠に遺憾に思っております。特に小児診療に係る評価については、調剤における追加的な感染対策の具体的な内容については納得いく説明がないままに承認せざるを得なかったと思っており、誠に残念で、遺憾に思っております。
こういう緊急事態の状況の中で決定をしないといけないという経緯に鑑みて、特例的対応実施に当たっては採決の際に呈した意見書にも書かせていただきましたとおり、感染予防対策の具体的な要件に沿った対応を確実に実行していただける、担保できるような形の要件を明確にしていただくことが大事だと思っております。
特に、繰り返しで恐縮ですが、調剤については患者と接触する場面が比較的少ないのではないか、患者本人である子供さんが来局しないケースなどもあるのではないかと思っています。医科、歯科の臨床現場とは対応が若干異なると考えられるので、小児の患者本人が来局しなかった場合等は算定ができないとするなど、医科、歯科よりも踏み込んだ形の算定要件の明確化を要望します。
今、申し上げましたように、緊急事態というか、今の医療現場の状況も踏まえて、対応策について持ち回り開催をやむを得ずすることは理解いたしますが、ウェブ会議等を活用すれば緊急の開催でも可能であると思っております。持ち回り開催ありきではなくて、診療報酬の基本的な課題の議論については総会の開催可否をしっかりと検討して、極力エビデンスに基づいた議論が十分に尽くせるような検討時間を確保していただくことが必要であると考えております。
中医協の議論をないがしろにするような進め方、工程はあってはならないと考えておりますので、事務局におかれては緊急事態対応についての今回のような案件並びに先ほどの薬価中間年改定の進め方などもそうでございますが、どこに課題があるのか、進め方に問題がなかったのか、真摯に検証していただいて、中医協を含めた政府における意思決定プロセス、中医協の役割意義について、いま一度、整理、明確化していただきたいと強く要望したいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
松浦委員、お手が挙がっています。お願いします。
○松浦委員
ありがとうございます。
先ほど、吉森委員からお話がありました。若干、中身については同じような話になるかもわかりませんけれども、私のほうからも意見を述べさせていただきたいと思います。
13ページの部分について、新型コロナウイルス感染症を踏まえた診療に係る特例的な対応ということで、緊急性も含めて必要だということについては十分に理解をいたします。
しかしながら、前回の持ち回りのときも、私から意見を差し上げましたけれども、この中医協の総会の場でどういうふうな議論をして、どういうものに基づいて結論を出した上で、判断をしたということがこの総会の意義だと思っております。それを踏まえずに、持ち回りをすることで決定をすることについては、若干疑問に感じております。
先ほど話がありましたけれども、緊急性という部分に関しては理解は十分いたしますけれども、持ち回りではない形でしっかりとエビデンスに基づいて議論をした上で結論を出していただくという手続を事務局のほうにはしっかりお願いをしておきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
同じような議論なのですが、中身に入る前に事務局に見解を聞きたいと思います。中医協という会議体がどういう役割を持って、何を議論するかという本質について事務局がどう捉えているのかをお聞かせいただけますか。
○小塩会長
それでは、お願いします。
○井内医療課長
今、中医協の在り方につきまして、また持ち回り開催等をお願いした経緯につきまして、幾つか御意見をいただいているということで、併せてお答えをさせていただきたいと思います。
中医協の通常の運用であれば、政府のほうで改定率が決まり、その改定率に基づいて実際にその運用をいかにするかということを大臣から諮問を受けて、そのプロセスの中で答申を返す。その答申を返すプロセスの中でしっかりとエビデンスに基づく議論をしていただきまして、当然、厚生労働大臣のほうも中医協の議論を尊重する仕組みと考えております。
その一方、コロナ対応でございますけれども、今回は改定率を決めるというプロセスもなく、緊急的にその場で必要な対応を迅速に行っていく必要性があったというものでございます。
そういった中で、実際に薬価につきましても、薬価部会では御説明をさせていただいておりますが、予算編成上のプロセスの中で中医協の議論を基に検討させていただいて決定していくことを申し上げさせていただいております。
いずれの方法につきましても、通常の改定プロセスとは少し違う中で、委員の先生方には中医協での議論が少ないのではないか、どういった活用のされ方がされているのかが不透明というような御指摘を受けていると思っております。
我々、事務局といたしましても、中医協におきましては今までずっと永続的にこの診療報酬に関する検討、検証をやっていただいている認識でおります。
その中で、今回のコロナ対応、少し臨時的というか、運用が迅速に対応したいということもあって、持ち回りを運用するということもありますけれども、継続的に議論していただきたいということで、我々としても可能であれば、こういった総会の場で議論していただくということをお願いしていきたいとは思っております。
そういった中で今回、緊急性、臨時的にやらなければいけないということで持ち回り開催が発生したことで御迷惑をかけていることは承知しておりますので、我々といたしましても、これから中医協の中で検討いただくプロセスは大事にさせていただき、その意見がより尊重されるような形を取っていきたいと思っております。
○小塩会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
中医協というのは本来、大臣から諮問を受けて、エビデンスに基づいて各号側が議論をして、合意形成に基づいて答申をするのが本質であるというのが私の考えです。医療課長は先ほど、緊急性があるからそれができなかった、異例な対応とおっしゃったのですが、本来であればコロナ拡大というのは進んでいるので、政府のほうからコロナ拡大期において診療報酬上どう対応するべきなのかという諮問を受けて、中医協がエビデンスに基づいて、それでは医療機関に対してこういう診療報酬上の対応をしたらどうかということをしっかりと議論して答申することが本来ではないかと思います。時間がないと言っても、コロナ拡大は続いているわけですから、そういう手続はしっかりと進めるべきだと思うのです。
時間がないと言って、朝、説明されて、先般の小児診療についても政府方針が先に決まって、それで後で理由をつけて、政府方針が決まっているのでもう反対できないわけなのですよ。反対できないものを書面で合意して14時までにこの書面にサインしろというのは、これはあまりにも乱暴過ぎるのではないのかと思われます。これは中医協の議論を緊急的とはいえ、形骸化させることになるのではないかと思います。
今回、時限措置であったにしても、実質的に初診料や再診料、それから、入院基本料という基本診療料を引き上げるのは非常に重要な事項、時限措置であっても中医協の本質の議論であると思いますが、それを先に政府が決めて中医協に後追いで追認するというのはあまりにもひどいやり方ではないかと思います。その辺についてはどうお考えですか。
○小塩会長
医療課長、お願いします。
○井内医療課長
繰り返しになりますが、実際、我々としては中医協での議論は大切にしたいというのは申し上げたとおりでございます。
ただ、今般につきましては、状況に合わせて臨時的な対応を迅速に打っていく中での対応でこのような形になったということで御理解いただければと思います。
○小塩会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
これは令和3年度4月からの改定なので、財源さえ決めればその点数をどうするかというのはこれからじっくり議論できることではないですか。
○小塩会長
医療課長、お願いします。
○井内医療課長
今回の措置につきましては、いわゆる財源を決めたというよりも、実際にコロナが起きている現場で4月以降どういった手当てが必要かということも含めて、こういった形でお示しをさせていただいているものでございます。これにつきましては、予算編成の過程の中でそこまで決まったということで、今回はこういった対応をさせていただいております。
今、御指摘がありましたように4月1日からの運用でございますので、ここにつきましては中医協総会で御議論いただけるということで、持ち回りではなく、ここで御議論いただいているということで考えております。
○小塩会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
いや、回答になっていないと思うのですが、令和3年度の予算を決めるのであれば、その財源さえ決めておけば、その配分についてはこれから中医協でじっくりエビデンスに基づいて十分に議論していけばいいと思います。なぜ点数配分まで今日決めなければいけないのかということについては非常に疑問に思っています。
それと、今回の提案も感染対策というより、明らかに医療機関の減収補填というのが見てとれます。極めて重要な案件にもかかわらず、この点数設定の根拠や僅か3件の医療機関の調査のみを行ってこういうことを決めたという、エビデンスが全くないことについては非常に遺憾に思っています。
それから、診療報酬本体の配分をどうするかというのは中医協の役割そのものであって、今回の決定プロセス、先に政府方針が決まり、その後、中医協で追認するというのは絶対にあってはならないことだと思います。いかにコロナ禍の対応とはいえ、何をやっても許されるものではないと思います。中医協の本質の在り方を今回大きく変えているもので、絶対納得いかないと思います。反対できない結論ありきの議論をこの場でやって何の意味があるのか。その辺について、またお伺いしたいと思います。
こういうやり方で決めるのであれば、9月いっぱいで終わるということなのですが、10月以降の対応もおそらく同じような議論が繰り返されて、補正予算で何億ついたので10月以降も継続しますということを中医協が後追いするような形で決まっていくのではないかと懸念していますが、そういうやり方は絶対にあってはならないと思います。これはもう中医協の本質の問題だと思います。
それから、13ページにありますように、先ほどから意見が出ましたが、感染対策も非常に曖昧な算定要件になっていて、この算定要件が本当になるのであれば各医療機関の対応はばらばらになると思います。ばらばらな上で一律に1回当たり5点の報酬がつけられるというのは非常に納得いかないと思います。本当に感染対策を目的とするのであれば、もっと厳格な算定要件をしっかりとこの場で議論して、みんなが納得した上で点数をつけることが必要だと思います。
それから、4月から患者の窓口負担も増えるわけです。診療報酬改定年でないにもかかわらず自分の医療費、初診料、再診料が多少増えるわけです。これは何に対して増えたのかというのは患者も分からないわけです。ですから、自院の行っている感染対策について患者に説明を十分に行って、感染対策が行われた上で診療を受けているということを患者が分かるような仕組みをつくっていかないと、ただ点数が50円上がりました、入院料が上がりましたということでは納得できないと思います。
こういった議論を尽くすことなく、政府方針ありきで今日この場で決着するというのは到底納得いかないものだと思います。
それに対してどう思われるか、御回答いただけますか。
○小塩会長
よろしいでしょうか。お願いします。
○井内医療課長
今の御質問につきましても、また繰り返しになります。
今般の対応というのは、あくまでもコロナ対応。その中で実際、診療の対価としてこういったことをする。患者さんがこのコロナ禍において、より安心して医療を受けられる体制をつくる。そういった必要性を勘案しまして、こういった御提案、こういった形を今日お話しさせていただいているというものでございます。
コロナ対応につきましては、個別、そのとき臨時的に迅速に決めていく中で、少し通常の中医協の運用とは異なる形にはなっておりますが、こういった形で検討せざるを得ないこともコロナということで御理解いただきたいと考えております。
○小塩会長
ちょっとすみません。間宮委員からお手が挙がっていますので、お願いします。
○間宮委員
ありがとうございます。
コロナ対応で緊急にやるということは大事ですし、コロナ対応で緊急の案件については持ち回りで総会を開いて決めていくことは、了承しているのはもちろん理解しているのですが、今までは院内トリアージとか救急医療とかECMOとか中等症とか、そういう実際のコロナ患者に対する緊急の対応ということでやってきたと思うのですけれども、今回、小児についてはコロナ患者ではない場合でも算定できるという提案で持ち回りの総会になったのはちょっと違和感があるのです。
やはり私もこのコロナ禍で、患者ですから病院に通っていますけれども、病院とか薬局の対応を見ていると、本当にコロナ対応しているのかなというのが疑問に思えるところが多々あるのです。例えば眼科の診療のときに、待合のところに付き添いの方が1人どころか、1人の患者に対して2人つくとか、そういうようなことがあったり、相変わらず長時間同じ場所でずっと待っているとか、それから、薬局などではマスクをちゃんとつけないで顎につけたまま入ってくる患者に対して何も注意もしないという状況を見ていると、とても本当の意味でのコロナウイルスの感染予防の対策を行ってくださいということをお願いしているような感じが見えない中でこういう提案がされて、実際に持ち回り開催されてしまったということは非常に違和感があるということです。
保険点数が増加するということは、直接、患者の負担になることは当然のことでありまして、それには十分な理解と納得の上で、もちろん、医療機関の実情ですとか、こういうふうに対応しているのですということをお伝えしつつ受け入れていただく姿勢が欠けていれば保険制度全体の信用を失うことにもつながっていくのではないかと思いますので、この辺りは十分に議論を尽くすことを実行していくことが中医協の使命なのではないかと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
池端委員、お願いします。
○池端委員
ありがとうございます。池端です。
今までの議論、それぞれごもっともな御意見もあるかと思います。
私は少し、現場の立場でお話をさせていただきたいと思います。
まずは12ページに、たった3医療機関のヒアリングでという御意見がありましたけれども、私は日本慢性期医療協会の立場でこの委員を拝命させていただいていると思いますけれども、一方では県の医師会の会長という立場でこのコロナ対策に対しては陣頭指揮をさせていただきました。
特に福井県の場合は、全国の感染拡大が始まる前に一時、対人口比でナンバーワンになるような大きな感染を起こして、医療逼迫状態がかなり厳しい状態を経験しました。それから半年たって、いろいろな経緯はありましたけれども、全ての医療機関、間違いなくこの対策は行っています。私は県医師会の会長として、それはここで断言させていただきたいと思います。そしてそれに対して、例えば医師、看護師だけではなくて事務職員、あるいはそれ以外のセラピスト、全ての職員が玄関に立ってトリアージに協力したりしていて、本当に頑張ってくれています。
ところが、この賞与の時期になって、そこに対して報いることができない。むしろ今までよりも減らさなければいけない。もう職員のモチベーションを保つのがぎりぎりのところに来ております。
私は、4月からのものをなぜ今とおっしゃるけれども、今、確かに医療従事者は頑張ってくれ、頑張ってくれと温かい言葉はいただきますが、言葉だけではもう限界にきている。その中で、せめて4月から少しそういうことをみてあげるよということは、私は応援になると思いますし、職員のモチベーションを上げる意味でも私は大きな一歩だと歓迎していました。
いろいろな御意見、実証されていない、エビデンスがないということをおっしゃいますが、新型コロナ感染症の現状をどう見るかの違いだと思います。これは、もう災害です。火事です。ぼーぼー火が燃えているときにエビデンスがあるかないかなど、どうやって火を消すか、とにかく消せる(と思われる)ことを全部やろうということをやっている。後でそれをきちんと検証すればいいので、災害時にエビデンスと言っていて、結局全焼してしまったらどうなるのか。ここまで今、現場は逼迫しています。その現状をぜひ御理解ください。
私自身、コロナ禍で現場ではいつくばっている医療従事者の声として、(この点を)強く申し上げたいと思います。
その中で、これでも十分と私は言えないと思いますけれども、こういうことを本当に考えていただいた。今まではコロナを診ている医療機関に対する支援だけでしたけれども、「なぜ我々はこれだけ頑張っているのに、全患者に(感染対策を)やっているのに、コロナを診るか診ないかでこれだけ選別されてしまわなければいけないのか」という声が、大きく会員から上がってきておりました。それくらい、(コロナ患者を)診る診ないにかかわらず医療機関が逼迫していることをぜひ御理解いただいて、せめてこの案だけは通していただきたい。
しかも、先ほど薬価専門部会であったような改定の方向等を考えても、せめてここと抱き合わせならば何とか会員に説明できるかなという気もしております。そういう意味で、せめてもの点数をぜひ決めていただきたいということを、私は現場の代表としてここで言わせていただきたいと思います。
ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○小塩会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
いろいろ意見を1号側からいただきまして、もちろん、ごもっともな部分もあるとは思いますけれども、先ほど幸野委員からこの要件をもう少し厳格にすべきだという意見がありましたので、これには明確に反対をさせていただきたいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療機関の診療体制は本当に大きな変更を余儀なくされています。診察の際に、疑い患者さんも含めてマスク、ゴーグル、手袋、ガウン等の防具が必要になっております。また、市中感染が多くなっている中で、はっきり申し上げて、どなたがウイルスを持っているかどうか分からない状況なのです。したがって、全ての患者さんを疑い患者さんと見て我々は診察しているのです。そこをどうぞ分かっていただきたいと思います。
また、院内感染対策としてアルコール消毒のほか、陰圧装置の設置や、あるいは導線の整理とか感染廃棄物の厳格な処理について、これまでもより多くの時間、人手、費用を要するようになっています。また、医療機関も例えば診察時間を早めて、待合室の密度を少なくしたり、あるいは駐車場で待っていただいたり、誘導したりとか、そういった非常に多くの時間を使います。さらには、厳しい労働環境の中で働く医療従事者の健康管理も医療提供体制を維持していく上で大変重要な要素となっています。
また、研修等も言われておりますけれども、我々、実際の場では毎日毎日が研修なのです。毎日の研修をして、職員を鼓舞し、注意をし、やっていかなければ医療機関ももう生き残っていけない状況なのです。ぜひこれを御理解いただきたいと思います。
基本診療料はその名のとおり、初診もしくは再診の際及び入院の際に行われる基本的な診療行為の費用を一括して評価するものではありますけれども、医療機関としてはその中から療養環境の提供や医療従事者の確保等に係る費用を捻出しています。こうしたことを踏まえれば、今回、基本診療料に含まれるコストは新型コロナウイルスの対応によって上昇していることへの手当であると考えるべきであると思います。したがって、現行の基本診療料の要件以上にあえて要件を設ける必要はないと考えます。
また、医療機関が感染予防対策を講じていることは外形的にも明らかになっていますので、先ほど申し上げたとおり、これをしっかりとやっていない医療機関は、患者さんに来ていただけません。このことははっきりしておりますので、こういった手当てをすることは患者さんにも十分御理解をいただけるのではないかと思います。
エビデンスにつきましては、先ほど診療側の委員からも、池端委員からもお話がありましたので、同じ意見でございます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
島委員、お願いします。
○島委員
ありがとうございます。
現在、第3波による感染拡大で医療提供体制の維持が困難な状況になってきた今こそ、医療機関の経営維持というものは喫緊の課題でございまして、やはり一番困っているのは、コロナの対応をやって一生懸命頑張っている医師や看護職がだんだんバーンアウトを起こしてきているのが非常に問題で、そういったところの人員の確保が非常に大きな問題になっているのが1点。
それから、いろいろ感染防御の話は、もちろん、専門の医療機関ですから一生懸命やっているにもかかわらず院内に職員とか患者の感染を引き起こしてクラスターとなって、そういった形で外来を閉じなくてはいけないとか、それから、病棟のあるフロアが使えなくなるとか、そういったことになると非常に内部の恐怖感とともに経営も非常に厳しくなってくるのです。
ですから、そこのところを徹底的に今、きちんと自分の身を守りながらも、本来であれば助け得た患者さんたちを不幸にして失うようなことがないように、必死になって現場は頑張っております。
今回の、先ほどの薬価専門部会の話もございますが、そういったところをこういう非常事態の中で、やはりきちんとした財源として確保して、医療機関の健全なる運営を維持できるような形で、ぜひそこを御配慮いただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
先ほどから様々な御意見が出ておりますけれども、今回、この事務局からの御提案に関して、エビデンスがないということに関しては確かにそのとおりなのですが、先ほどから2号側の先生方がおっしゃるように、これは状況が日々刻々と変化していく中においても時間的余裕がない緊急的な状況において、何らかの手立てが必要であろうというところから、特例的な対応と考えていただくしかないだろうと私は思います。
その中において、先ほどから現場において感染対応していないお話も若干ございましたが、12ページにあるこの3例とかということだけではなくて、現場では医療関係者自身も感染にさらされる危険性も十分にある中で日々奮闘しているわけです。その中において、感染予防をしないことは医療人としてあり得ません。ですので、要するに何か特殊な事例があるにしても、基本的には各医療機関はしっかりとした感染予防対策をして医療しているという認識をまずしていただきたいと思います。
その中において、様々なコストが追加的に発生するのはこの12ページを見ても明らかですし、先ほどからの2号側の先生方の御意見を聞いても明らかだと思います。それに対して、今回、この事務局の提案というのは十分なものかどうかに関しては、まだまだ分からない部分はございますが、やはりしっかりとした対応はしていただいていると思いますが、これは個々の医療機関に対してのコストに対しての手立てという側面はもちろんあるわけでございますが、それとともにコロナの対応、そして、コロナ以外の患者さんの対応に関しても、全ての医療機関が地域で、地域医療提供体制の連続性として取組を行っているという観点を考えますと、今回の提案は個々の医療機関だけではなくて、地域の医療提供体制を手当てをするというためのコストでもあろうと思いますので、私はしっかりと評価をさせていただきたいと思いますし、さらなる追加をお願いいたしたいと思います。
意見でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員
ありがとうございます。
この特例的な対応については、現下の新型コロナウイルスの感染拡大状況に鑑みればやむを得ないものとして、理解をしたいと思っております。
ただ、さっきの薬価改定の議論でも感じましたけれども、中医協の存在意義は何なのだろうと思います。報道で私たちが知り、その後に今日のように中医協で議論をしているという状況で、何かおかしいのではないかと思っています。
持ち回り審議のときも感じましたけれども、やはりきっちり議論をするということが大事ではないかと思っています。中医協が形骸化してしまっているのではないかと思っていますので、ここら辺はきちんとやってほしいと思っております。
また、医療提供体制を確保するためには、やはり診療報酬上の対応では限界が来ると私は思っています。診療報酬による財源だけではなくて、公費で支援をしていくことが必要ではないかと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
先ほどから2号側の先生方がおっしゃっている、現場の状況はよく理解しております。私が言っているのは診療報酬上の手当てを否定しているということではありません。診療報酬上の必要があるのであればそれはしっかりとやるべきだと思いますが、やり方がおかしいと言っているわけです。
今回もそうなのですが、令和3年度の予算を立てるのであれば、例えば国費ベースで300億円取りますということが決まれば予算は成立するわけです。その300億円の中で初診料、再診料、入院基本料をどう配分していくかというのを諮問していただき、中医協の中でエビデンスを出していただいて、どれぐらい費用がかかっているのかを見て、初診料でこれぐらいの点数を上乗せしていいではないかということをしっかりと議論して、大臣に答申する。そういったプロセスを踏んでやるのが中医協の議論の本質ではないかということで反対しているわけです。
点数をつけることについて私は反対しているわけではないのです。医療現場が大変だということも毎日のニュースでよく分かっていますし、これは診療報酬上の対応も必要ではないのかというのも分かりますが、あまりにもプロセスがおかしいということを申し上げたいのです。なぜ、点数が初診料に5点というものが決まったのか。これを中医協が追認するのか。これがおかしいと言っているわけなのです。
本来の姿であれば、大臣から診療報酬上の対応で国費から300億円出すので、中医協で配分を議論しろという諮問があって、エビデンスを出してもらって、本当にこれだけのコストがかかっているのか。だったら、初診料については5点ぐらい上乗せするのが必要だということをしっかりと議論して答申するのが本来の在り方なのですが、点数ありきで出されて、後でこれを中医協で追認しろというのはあまりにもおかしい。これが今回、連続して出てきているわけです。薬価に引き続き、小児のことについても、今回の件についても同じやり方をされているわけです。
まさに中医協の議論が形骸化されているわけで、そこは2号側の先生にも理解していただけると思うのですが、そこがおかしいと言っているわけです。
○小塩会長
ありがとうございます。
松本委員、お願いします。
○松本委員
幸野委員からこの特例の対応につきまして御理解を賜ったことについては、まず感謝したいと思いますし、今、幸野委員がおっしゃられた、中医協の議論が形骸化している。あるいは佐保委員の言葉にもありましたけれども、それもそのとおりだと思います。私もそのとおりだと思っておりますし、診療側としてもそのとおりだと思っています。また、エビデンスがないということに関しましても、現時点でなかなかエビデンスが整うまで待っていられない状況の中で、本来は確かに中医協でじっくりと議論をした上で意を得ることは重要なプロセスだということも私どもも考えております。
ただ非常に、先ほどからいろいろお話をさせていただいているように、現在の医療提供体制が本当に逼迫した状況であり、非常時、緊急事態であることを鑑みて、私どもとしましてもそういったプロセスについてはもちろん疑問はありますけれども、まずは医療提供体制を崩壊させない対応をすることにおいて、私どもは今回の提案に賛成させていただいたということでございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
先ほどの幸野委員、今の松本委員の話のとおりなのですが、私の認識から言えば、医療現場の大変さはテレビの報道でも病院の中にカメラが入ってというものも日々見ておりますので、大変な御努力をなさっている、御苦労をなさっていることはよく理解しております。今、2号側の先生たちがおっしゃっているように、医療現場が崩壊の危機、昨日また東京都は800人だとか言っていますので、これも当然ながら理解している。そういう流れの中で、国として医療提供体制をどう支えるのか。
一方で我々、診療報酬を議論する中医協の中の役割として何をどのようにやるのか。各医療提供機関に対して、速やかに配分できる、届けられるような仕組みがこの診療報酬の中にはあるわけですから、この仕組みを活用して、今、感染予防対策をより厳格にやる必要があるということで今回の提案をしていると理解しています。
そうすると、この点数が果たして初診、再診は1回5点でいいのか。50円です、大丈夫ですかという辺りはしっかりと議論をしないといけない。当然ながら、先ほどお話がありましたように、予算枠があるわけで、その中でどうするかということの議論はこの場でやるべきだろうと思います。
一方で、皆さんがおっしゃっている医療機関をどのように次のステップで、日々、いろいろなことを模索していただいて、いろいろなゾーニングをしていただいてやっていただいているのも理解しておりますが、それに対するコストをどのように国として見ていくのか。この辺をしっかりと仕分けていただいて提示していただかないとなかなか議論は深まらないし、この点数でどうこうという話にもならないわけなので、そこをしっかり事務局を含めて厚労省、国にはお願いしておきたいと思います。
一方で、では、こういうことを診療報酬で評価しようとしたときに、エビデンスがなくて点数についてなかなか議論が深まらなくても、最後は診療報酬として、ひいては患者、被保険者にかかってくるわけです。患者が理解、納得できるような対応をしている病院であるか、信頼関係、安心感というものが醸成されるようなところがあれば、そこに対して受診は安心して行けるわけなので、受診控えが起きているということもどう考えるのかという辺りもしっかりと議論していく必要があるのだろうと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
先ほどからお手が挙がっている眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
ありがとうございます。
今までの御議論にありましたように、今、新型コロナウイルス感染症拡大の状況において感染対策を強化することは医療機関あるいは医療従事者にとっても重要なことでもありますし、患者の視点からも国民の視点からも非常に重要な点であることは論をまたないと思います。
その中であえて、患者あるいは国民の目線から考えると、明らかにこの点数が上がるということは負担が増えることになるわけですから、患者の視点からはなぜ増えるのか、どういうことがあるから増えるのかという、やはり説明をし、周知をすることは必要であろうと思います。医療機関が大変だから点数が上がるのですということだけではやはり国民の負託に、あるいは信頼に応える中医協の議論の在り方としてはまだ不十分ではないかと思うところであります。
そういった意味で、患者の皆様に周知することは、20ページの小児の特例の対応には、下の最後の辺りに、保護者に説明をし、同意を得ることがうたわれてあるのです。ところが、今回はそうではなくて、ある要件を満たせば上がるということで、その周知をどうするのかがしっかりうたわれていない。やはり患者の皆様に納得を高めていくためには、こういう具体的な要件を施しているから、強化策を取っているから費用が上がるのだということを、診療料が上がるということをしっかりと説明していく必要があると思いますので、もちろん、医療機関側の話だけではなくて、患者の視点からもぜひ透明性を高め、要件の明確化ということを進めていく必要があるのではないかと思います。
今回、緊急であるとすれば、しっかりとエビデンスを持ちながら、あるいは要件を定めながら10月の時点までに議論をすることも一つの選択肢であろうかと思います。
以上であります。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
今の御意見、大変重要な視点だと思います。だからこそ、この初診料、再診料という基本診療料が上がることによって我々はしっかり感染対策をやっていますよと明示することになって、逆に利用者側から、患者様から、先ほど間宮委員がおっしゃったことがもし万が一あれば、おかしいではないかと言われたら、そこはきちんと正さなければいけない。そういういい関係、緊張が保たれていることによって地域の感染対策レベルが上がることがこれの二次的な目標になると思いますので、ぜひその辺は医療側もしっかり肝に銘じて、この加算をぜひ受けたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。
今まで、1号側、2号側が様々な意見を言わせていただいて、それぞれもっともだなと思うことも多数ありますし、特に中医協の議論をもう少し軽視しないでしっかりやっていただきたいというのはそのとおりだと私も思っています。
2点だけ、ちょっと申し上げたいことがあるのですけれども、まず1点はエビデンスです。例えば、今回のこの50点にどういうエビデンスに基づいてという議論をすべきだというお話がありますけれども、もともと診療報酬のいわゆる適正か、適正でないかというのを見ていると、積み上げているわけではなくて、例えば今回のコロナに関しても、例えば廃棄物がどれぐらい費用が増えているかとか、感染防具のための費用がどれぐらいかかっているかとか、朝、職員にいつもより30分早く来てもらい、院内を全部アルコール消毒するということの人件費が幾らだとか、そういうことを積み上げて診療報酬というものは今まで決まっていないのではないでしょうか。
結局、医療経済実態調査を見て、この医療機関の経営がこれで成り立っているか、成り立っていないかみたいなざっくりとした形の中でそれぞれの項目を点数をつけて、いわゆる経営が成り立っているのかどうかを見ていく決め方を今までしているわけですね。ですから、今回に限ってこういうことにエビデンスを積み上げて、この価格が適正かどうかということを議論するのは、そんな時間もないわけですし、もしそういうことをするのであれば徹底的に診療報酬というものの在り方を、本当に全部、現場がどれだけコストがかかっているかを積み上げていくことをやっていかない限り駄目だと。これは極めて根本的な問題だと思っています。
それから、もう一点、先ほどから患者さんに対する説明責任、透明性という、確かにこれは非常に重要なことですけれども、今回のこの提案はある意味薬価の引き下げとセットになっているのが、実態だと思っています。
したがって、私は、院内で薬を出していますけれども、いわゆる診療報酬の部分は増えますけれども、薬価の部分で大きく下がるので、患者さんの負担は減っているのですよ。これは財源的に見ればそういうことになるわけで、要するに上がるほうだけ丁寧に説明をして、患者さんの負担が減っていることは別に説明しないことになるわけです。
もちろん、一定程度の説明も必要ですし、そういうことが分かるように明細書を発行したりして、何がどういう金額になっているかということが分かるようになっている。患者さんが「先生、どうしてこれ上がっているのですか」と言われれば、我々は答える義務があるわけです。ですから、それをあらかじめ、何かこの値上げした部分についてのみ詳しく説明すべきだと言われると、それでは、その残りの減っている部分はどうするのですかということも当然起こるわけです。そこはバランスをしっかり見ていただいて、そのための仕組みとして明細書があると私は理解しています。
それから、感染対策については、これは全ての医療機関ではありませんけれども、医師会が安心マークというポスターを張らせていただいて、それはただ安心だと言っていることではなくて、一つ一つのここに書かれているような感染対策をうちの医療機関はしっかりやっていますというチェックリストを掲げた上で患者さんに明示して、この医療機関はしっかりと安心して受診していただけるということを既に明示しているわけです。ですから、我々とすればできるだけ多くの医療機関にしっかりこれを明示していただくことを働きかけたいとは思いますけれども、しっかりとした感染対策はやっていることは御理解いただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、田村専門委員からお手が挙がっています。お願いします。
○田村専門委員
ありがとうございます。
歯科の立場から、先ほどの林委員のお話に重複する部分もございますが、一言御説明させていただきたいと思います。
受診控えのお話もございましたけれども、これは3月のニューヨーク・タイムズで歯科の感染リスクが高いという報道がされたことを受けて、そういったことが影響してきたかと思います。その中でも、各歯科医院では感染対策について、院内掲示や口頭での説明により患者さんへの説明を尽くしてきております。
歯科の現場におきましても、医科や看護と同様に標準予防策を実施していることに加え、予約の調整や院内各所の消毒、スタッフへの新型コロナ対策の徹底に関する研修等、最大限の努力を行ってきております。
歯科診療においては、患者さんとの距離も近く、飛沫も受けやすい感染リスクの高い環境にあります。一方、小児のみならず外来でも訪問診療においても、認知症や寝たきりの高齢者、また、医療的ケア児、障害児者といった、感染した場合に重症化するリスクの高い患者さんも口腔健康管理の必要性から多く診療しております。さらには訪問診療の場におきましては、患者宅に感染リスクを持ち込まず、必要な医療を継続して提供するために大変な努力をしている実態があります。
自分たちが媒介となり、患者さんに感染させるのではないかという恐怖を感じながら日々診療を行っている。そうしてはならないという気持ちで、万全を期して診療をしている状況となっています。
今、一層の配慮が必要となっておりますことを御理解いただきたく、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御意見はよろしいでしょうか。
それでは、ほかに御意見がないようでしたら、会長の私から本件につきまして一言申し上げさせていただきます。
これまで、1号側、2号側から活発に御議論をいただきました。今回の問題は、コロナ対応という緊急性、それから、診療報酬の基本的な問題とが重なり合っている非常に重要な問題でございます。そうした中で、今日のように活発に御議論をいただくことは中医協といたしましてその機能を発揮していると受け止めております。各サイドの委員の方々に深く敬意を表します。
今日の議論を振り返ってみますと、1号側の委員の方々から、中医協としてエビデンスに基づいた議論が十分でない。それから、各サイドが議論を積み上げて合意形成してから大臣に答申する通常の中医協のプロセスが踏まれていない。そういう御意見をいただきました。その御意見につきましては、会長といたしましても深く理解しているところでございます。
一方、2号側の委員からは、コロナ対応は非常に緊急を要する。しかも感染が拡大している現状の下では、患者さんを懸命に支えていく中でコロナ対応は医療従事者の支援にとって非常に重要です。それから、医療機関経営、ひいては医療供給体制の存続に関わる問題ですという御指摘もいただきました。この御意見につきましても非常に深く理解できるところでございます。
一方、国といたしましては、予算編成過程の中で国民のための施策を検討し、大臣合意が得られたということでございます。政府の方針が決まっているということでございますけれども、問題の緊急性を考えるとこれも致し方ないことではないかと受け止めております。
こうした状況を踏まえて、公益委員あるいは中医協の会長といたしまして一言申し上げます。
この件は、薬価改定の議論においても同様ではございますけれども、今後、エビデンスに基づいてそれぞれのサイドが公開の場で議論を尽くすという中医協の本来の審議の在り方について、いま一度、厚生労働省の皆様にはよく認識をしていただきたいと思います。この点につきましては会長として強く要望いたします。
その上で、今回の件の来年10月以降の対応も含めまして、これまで実施した全てのコロナの診療報酬対応について、中医協としてしっかりエビデンスを集め、検証し、早めに審議を開始することといたします。
それと同時に、必要な感染対策が得られた医療機関や薬局において今回の加算を算定するということで、今回は事務局の提案に対して御理解をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
よろしいでしょうか。
幸野委員から御意見があるようです。お願いします。
○幸野委員
会長、ありがとうございました。今の会長の発言、重く受け止めたいと思います。通常の中医協としての機能が果たされていないという会長の見解が示されたことは非常に大きいと思います。それから、中医協の本来機能であります、各側が公開の場で議論を尽くすという中医協の審議の在り方について厚労省に再認識してもらいたいという会長のお言葉を事務局も重く受け止めていただきたいと思います。
そういったことを踏まえて、今後、こういった点数が出てくることはないことを前提に、今回の件については了承したいと思います。
それから、会長も御指摘がありましたように、今回、コロナ禍とはいえ、いろいろな特例的な対応が出たものについては、いつかの時期で一定程度の検証をして、それを継続するべきなのか、落ち着いたら解除すべきなのかということについては、いつかの時点でやっていただくということをお約束いただきたいと思います。
そういったことを前提に、私は了承したいと思います。
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
今回の件につきましては、中医協の議論の在り方についていろいろ御意見がございました。これにつきまして、公益委員の方からコメント、御意見、ありますでしょうか。
では、関委員、お願いいたします。
○関委員
中医協の在り方そのものに関係することについて、意見を述べさせてください。
本来、中医協は大臣からの諮問を受けて審議し、答申する協議会であり、そのような過程を踏むことで世界に誇る国民皆医療保険制度が維持されていると考えております。
コロナ禍という特殊事情があるとはいえ、1号側、2号側、公益とが審議を尽くし、その上で答申するという過程を十分に踏まえていない今回の対応は残念に思っております。
コロナ対応で闘っていらっしゃる医療など現場の方々の御努力に応えるためにも、この場でしっかりとした議論を迅速に行い、答申できればと思います。
政府は中医協による審議と答申の重要性を改めて認識し、今後は進めていただければと願っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
中村委員、お願いします。
○中村委員
今回、薬価専門部会で、また総会でも,
エビデンスに基づく議論が十分かどうかという御指摘があったのかと思います。
ただ、エビデンスといっても、事前の準備あるいは仕組みや体制が整備されていないと、急にデータを出すことが難しい場合もあろうかと思います。また、急にデータを集めるとなると、現場に過度な負担を押し付けかねないという問題も指摘されたと思います。
危機管理においては、予防管理が非常に重要ですので、中医協での議論にどういったデータが真の議論に必要なのかということも踏まえ、また、適切なタイミングで必要なデータを出せるよう、前広に準備並びに仕組み、体制を整えることが非常に重要かと思っています。
そういったことを、今後議論ができたらと思っていますので、ぜひ検討をよろしくお願いしたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
松本委員。
○松本委員
ありがとうございます。
先ほどの会長の御提案でございますけれども、2号側として了解したいと思います。ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
いろいろ御議論をいただきましたが、今回、事務局から説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
よろしくお願いいたします。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
それでは、次の「2021年度薬価改定の骨子(案)について」を議題といたします。
本件につきましては、本日の薬価専門部会において議論を行っていただいたところですが、事務局より説明をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
「2021年度薬価改定の骨子(案)について」でございます。
こちら、先ほど会長から御紹介いただきましたとおり、総会に先立ちまして開催されました薬価専門部会で御議論をいただいたところでございます。
その中で、委員のほうから医療現場全体への影響が最小限になるよう配慮を求めてきた中、このような大規模な改定の案とされたことは医療提供者側として誠に遺憾であるという御意見ですとか、先ほどの議題でもございましたとおり、エビデンスに基づいた十分な議論ができなかったという御意見。それから、安定供給への影響について今後を注視すべきであるという御意見などが出された結果、総会のほうにお諮りするということで、この総会で御議論いただくということです。
資料の総-2に従いまして、内容について御説明させていただきます。2021年度薬価改定の骨子(案)でございます。
「第1 基本的考え方」でございます。
「薬価制度の抜本的改革に向けた基本方針」において、市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するため、薬価改定を行う。そのため、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うとされ、また「経済財政運営と改革の基本方針2020」においては、2021年度の薬価改定については「骨太方針2018」等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、十分に検討し、決定することとされておりました。
これを踏まえて、今般決定された「毎年薬価改定の実現について」に基づき、以下のとおり、2021年度薬価改定を行うこととするとしております。
こちらに記載された「毎年薬価改定の実現について」というものが、その下、過去の基本方針、「骨太の方針」に続きまして、1ページ目の一番下の○のところに記載しております。「毎年薬価改定の実現について」ということで、昨日付で内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣で合意されたものでございます。
内容につきましては、2ページ目にお移りいただきますと、上のほうに内容が記載されておりますが、その内容を基に次の「第2 具体的内容」に記載しております。
「1.対象品目及び改定方式」でございます。
改定の対象範囲については、国民負担軽減の観点からできる限り広くすることが適当である状況の下、平均乖離率8.0%の0.5倍から0.75倍の中間である0.625倍、乖離率5.0%を超える価格乖離の大きな品目を対象とする。
また「経済財政と改革の基本方針2020」に基づき、新型コロナウイルス感染症による影響を勘案し、令和2年薬価調査の平均乖離率が同じく改定半年後に実施した平成30年薬価調査の平均乖離率を0.8%上回ったことを考慮し、これを新型コロナウイルス感染症による影響とみなした上で、新型コロナウイルス感染症特例として薬価の削減幅を0.8%分緩和する。薬剤流通への影響を緩和するものとしております。
具体的には、市場実勢価格加重平均値調整幅方式により、以下の算出式で算定した値を改定後薬価とするとしております。
点線で囲みました算出式につきましては、左の新薬価から右の調整幅までが通常の改定で行っております市場実勢価格加重平均値調整幅方式の算出式でございます。
今回、一番右にありますとおり、プラス一定幅としておりまして、その内容が下の※の2つ目にありますとおり「一定幅は、改定前薬価の0.8/100に相当する額」としております。
「2.適用する算定ルール」でございます。
2021年度薬価改定において適用する算定ルールについては以下のとおりとするとしておりまして「(1)基礎的医薬品」。3ページ目にお移りいただきまして「(2)最低薬価」「(3)新薬創出・適応外薬解消等促進加算(加算のみ)」「(4)後発品等の価格帯」についてということでございます。
「3.その他の取扱い」でございます。
上記のほか、改定に係る運用上の取扱いについて、以下のとおり取り扱うこととするとしております。
「(1)規格間の価格逆転防止」ということで、組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の品目の規格間で価格逆転が生じる際には、可能な限り価格の逆転が生じないよう、財政中立の範囲内で改定の対象とならない規格を含め、価格を調整する。
「(2)今年度薬価調査において、取引が確認されなかった品目について」、類似する品目の乖離率等に基づき、改定の対象か否かを判定するとしております。ただし、本年10月以降に薬価収載された品目は改定対象としないとしております。
「(3)「薬価改定」を区切りとした品目を選定する規定の取扱い」についてでございます。再算定の対象品の選定など、薬価改定を区切りとして品目を選定する規定において、2021年度薬価改定は当該規定で言う薬価改定には含めないとしております。
最後、「第3 その他」でございます。
今後の薬価改定に向け、国民皆保険の持続可能性とイノベーションの推進を両立し、国民が恩恵を受ける国民負担の軽減と医療の質の向上を実現する観点から、収載品目に係る算定ルールの適用の可否等も含め検討を行うとしております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御意見、御質問はありますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
先ほどの部会では、この件に対しましては保留させていただいておりましたが、先ほどの総-1の新型コロナウイルス感染症を踏まえた診療に係る特例的な対応案について了承されたことを受けて、今回はこれ以上何も言わずに、この総-2について了承させていただきます。
ただ、これ以上何も言わないと、発言しないという私の意を、ぜひ医療関係各位にはお酌み取りいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御意見ございますでしょうか。
林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
先ほど松本委員からもございましたけれども、歯科といたしましても今回の中間年薬価改定に関しましては正確な価格調整とは言えなく、市場実勢調査の結果が正確性に欠くという多数の意見をいただいておりまして、改定するのであれば、実施する場合は薬価調査の結果の制度と乖離率に鑑みて、極めて限定的にお願いをしてまいりました。
ただ今回、乖離率5%以上を対象に薬価改定を行うということで、全品改定の9割近くが対象になっておりまして、医療機関への影響は本当に計り知れないものと思っております。
新型コロナ感染症下で医療機関は本当に最大限努力しているものと思っておりますし、実際にそういった形で対応に追われているところがございます。そういった医療機関に今後も引き続き配慮をお願いしたく、歯科からも要望いたしまして了承したいと思っております。
よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
特にないということですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
次に「第23回医療経済実態調査について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○山田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長です。
総-3を御覧ください。「第23回医療経済実態調査について」ということであります。
今回の調査の実施に向けた調査設計に関する議論が必要でありますので、調査実施小委員会を開催し、議論を開始することにつきまして総会にお諮りしたいと考えております。
今回の主な論点としましては、調査項目の見直し、特に新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた経営実態をどのように把握していくのかということがあると思います。
また、ほかに、例年と同様でございますけれども、有効回答率をどのように上げていくのかといったことが主な論点かと考えております。
下段、スケジュールのイメージでありますけれども、本日総会におきまして調査実施小委で議論することを了承いただきましたら、年明けの1月から調査実施小委を開催いたしまして、調査実施に向けた検討を開始。その後、調査の内容を総会にて御報告、御了承いただいた後に、来年の7月頃に調査、11月中旬頃に調査実施小委員会で取りまとめの上、総会に調査結果の報告をさせていただきたいと思います。
資料につきまして、説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見はございますか。
特に御質問ないようですので、本件については中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。
本日の議題は以上です。
なお、次回の日程につきましては追って事務局より連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。




 


 
 

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