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2020年10月28日 中央社会保険医療協議会 総会 第467回議事録

○日時

令和2年10月28日(水)10:34~11:28

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
保険医療材料等専門組織小澤委員長 
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 岡田医療技術評価推進室長
山田保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器及び臨床検査の保険適用について
○先進医療会議からの報告について
○最適使用推進ガイドラインについて
○歯科用貴金属価格の随時改定について
○診療報酬基本問題小委員会からの報告について
○今後の医薬品等の費用対効果評価の活用について


 
○小塩会長
それでは、ただいまより第467回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
なお、本日もコロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、永瀬委員、染谷委員、岩田専門委員が御欠席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに「医療機器及び臨床検査の保険適用について」を議題といたします。
本日は、保険医療材料等専門組織の小澤委員長にお越しいただいております。小澤委員長より御説明をお願いいたします。
○保険医療材料等専門組織小澤委員長
説明いたします。
中医協総-1-1の資料を御覧ください。
今回の医療機器の保険適用はC2が1製品、1区分でございます。
2ページ目を御覧ください。
製品名は「TruMatch サージカルガイド」です。
5ページ目の「製品概要」を御覧ください。
本品は、個々の患者に適合するよう設計・製造された手術器械であり、下顎骨用プレートを設置するため、及び下顎欠損部の骨を他部位から採取するために、マーキング、骨切り、ドリリングする際に使用する製品でございます。
2ページ目にお戻りください。
価格につきましては、本品は特定保険医療材料としては設定せず、新規技術料にて評価することが適当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はございません。
続きまして、中医協総-1-2の資料を御覧ください。
今回の臨床検査の保険適用はE3の1件です。
2ページ目を御覧ください。
販売名は「APチェック」です。
測定項目は「トリプシノーゲン2」です。測定方法は「免疫クロマトグラフィー法」です。
3ページ目の「製品概要」を御覧ください。
本検査は、尿中トリプシノーゲン2を検出し、急性膵炎の補助診断に使用する臨床検査です。
2ページ目にお戻りください。
保険点数につきましては、D001 尿中特殊物質定性定量検査、10 ウロポルフィリン、105点を参考点数としています。
説明いたします内容は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
事務局から補足がございましたら、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
特にございません。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
よろしいでしょうか。
特に御質問等はございませんので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「先進医療会議からの報告について」を議題といたします。本件は報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
医療技術評価推進室長でございます。それでは、中医協総-2-1及び総-2-2に基づきまして報告を申し上げます。
今回、先進医療会議で承認されました先進医療Bの技術が2件ございますので、報告させていただきます。
まず、総-2-1の1ページ目を御覧ください。
今回承認されました技術でございますが、整理番号140番「結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫に対する凍結療法」でございます。
本技術に係る費用は、表に記載のとおりでございます。
先進医療会議における判定でございます。6ページ目を御覧ください。
事前評価で「条件付き適」のところに○がございますけれども、先進医療会議からの指摘事項について適切に修正されたということが会議で確認されましたため「適」となってございます。
続きまして、技術の概要を説明いたします。7ページ目を御覧ください。
本技術は、結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫に対しまして冷凍手術器を用いた凍結療法を行う技術となっております。
8ページ目を御覧ください。ロードマップでございます。
本先進医療の結果をもって、公知申請による薬事承認を目指すとのことでございます。また、必要に応じて治験を行うとのことでございます。
1件目につきましては以上でございます。
続きまして、総-2-2を御覧ください。こちらは整理番号141番「膵神経内分泌腫瘍に対する超音波内視鏡ガイド下エタノール注入療法」でございます。
本技術に係る費用は、それぞれ表に記載のとおりでございます。
6ページ目を御覧ください。先進医療会議における判定でございます。
「適」の評価をいただいております。
7ページ目、技術の概要でございます。
本技術は、膵がんとは異なる低悪性度の腫瘍である膵神経内分泌腫瘍につきまして、既存療法といたしましては外科手術がございますけれども、超音波内視鏡下にエタノールを注入し、腫瘍を焼灼する技術となります。
8ページ目を御覧ください。ロードマップでございます。
本先進医療の結果をもって、本医療に用います穿刺針。こちらについては治験を行い、薬事承認を目指すとのことでございます。また、注入いたしますエタノールにつきましては公知申請による薬事承認を目指すとされております。
事務局からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
特にないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたしたいと思います。
続きまして「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。本件は報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。本日、医薬品審査管理課長が公務のため欠席しておりますので、私のほうから代わりに最適使用推進ガイドラインについて説明させていただきます。
総-3-1から総-3-9までがニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分としますオプジーボに関する最適使用推進ガイドラインでございます。
総-3-1の2ページ目を御覧ください。こちらにつきましては2点、内容に変更がございます。
まず、1点目が真ん中の辺り、対象となる用法・用量のところですけれども、変更部分に網かけがされております。これまでの承認されている用量は240mgを2週間間隔でしたが、今回、1回480mgを4週間間隔という用法・用量が追加されております。
詳しくは8ページにありますけれども、シミュレーションの結果として有効性・安全性の確認がされております。
この変更につきましては、この後の総-3-2から総-3-9まで、これまで発出されております最適使用推進ガイドラインの全ての効能のものにつきまして同様の変更が行われております。
もう一点が、総-3-1の2ページ目の後段にありますイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合が用法・用量として追加されておりまして、それにつきましては総-3-1にございます高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌に関する変更でございます。こちらの用法・用量につきましては、イピリムマブ(遺伝子組換え)を有効成分としますヤーボイと当初の4回併用するというものでございます。
臨床成績につきまして、5ページ目に結果が示されております。上のほうがこれまでのオプジーボ単剤の結果ですが、後半にヤーボイとの併用の結果が掲載されておりまして、奏効率として54.6%という結果が得られております。
10ページ目以降に施設、医師、体制等の要件について記載されておりますけれども、こちらについては従前からのものから変更はございません。
また、12ページにございます投与対象となる患者につきましては、イピリムマブ(遺伝子組換え)との併用という内容の変更に合わせて修正が行われております。
こちらは変更承認が9月25日付で承認されておりまして、同日付でこのガイドラインが発出されております。
続きまして、総-3-10を御覧ください。アテゾリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分としますテセントリクにつきまして、肝細胞癌の効能が追加されましたので、新しく発出されたものとなります。
2ページ目を御覧ください。真ん中の枠囲みのところですが、対象となる効能・効果が切除不能な肝細胞癌、用法・用量がベバシズマブ、アバスチンとの併用においてという用法・用量で承認されております。
4ページ目を御覧いただきますと、臨床成績について記載されております。全生存期間におきまして、下のほうのグラフを御覧いただくと分かるかと思いますけれども、ソラフェニブ群に対して有意な延長が認められたという結果が得られております。
8ページ目以降に、施設、医師、体制等の要件が記載されております。これまで本剤テセントリクに関する他の効能についてのものと大きく違いはございません。
10ページ目に、投与対象となる患者について記載されております。今回行われた臨床試験におきまして対象となった患者が「Child-Pugh分類」と書いてありますが、こちらは肝臓の障害度を示す指標になりますけれども、そちらの分類でAの患者さんにおいての結果で有効性が示されているということがこちらのほうに記載されております。
先ほどのオプジーボと同様、9月25日付で承認されまして、同日付でこのガイドラインが発出されております。
こちらがガイドラインの説明になります。
続きまして、総-3-11を御覧ください。先ほど説明いたしました最適使用推進ガイドラインの発出に伴いまして保険適用上の留意事項について通知を発出しております。まず、総-3-11がオプジーボについてのものとなります。
真ん中の「3 留意事項の内容」について御覧ください。
最適使用推進ガイドラインの内容については特に変更がありませんので、留意事項としても特に変更はないのですが(2)としまして、今回、MSI-Highを有する結腸・直腸癌の効能追加につきましては、イピリムマブ(遺伝子組換え)との併用ということで用法・用量が追加されておりますので「(2)診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項」としまして、その場合にはイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する旨を記載するよう留意事項として記載しております。
先ほどの承認と併せまして9月25日付で発出しております。
続きまして、総-3-12を御覧ください。こちらはテセントリクの肝細胞癌に対する承認の追加に併せまして留意事項を発出しております。
真ん中以降の「3 留意事項の内容」についてです。
(2)としまして、1医療施設の要件、2治療の責任者の要件につきましては、ガイドラインに並んで記載しております。
それから、次のページに(3)としまして、先ほどの臨床成績のところで投与対象となった患者さんのお話を説明いたしましたけれども、本剤投与時におけるChild-Pugh分類を記載していただくということで留意事項を発出しております。
こちらも同じ9月25日付で承認に併せて留意事項通知を発出しております。
以上でございます。
○小塩会長
御説明ありがとうございます。
何か、今の説明について御質問等はございますでしょうか。
特に御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
続きまして「歯科用貴金属価格の随時改定について」を議題といたします。本件も報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○小椋歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。
資料総-4を御覧ください。こちらのほうは「歯科用貴金属価格の随時改定2について」ということで資料がございます。こちらは令和3年1月に行われる随時改定に関するものでございます。
真ん中に図が3つございますけれども、一番右側の随時改定2を令和3年1月に行うかどうかでございます。随時改定2は現在の告示価格に対しましてプラスマイナス15%を超えた場合に告示価格を改定するというものでございます。
スライドの2コマ目を御覧ください。こちらのほうは上に1から7まで示してございますが、この1、2、3、4は過去の告示価格でございます。5は今回試算した価格で、この4と5を比較した変動率が6になってございます。6を見ていただきますと、プラスマイナス15%を超えているものはございませんので、今回、告示価格の変更を行うことはございません。
説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
私からは総-4の2コマ目で、今回、金、銀、パラジウム合金の変動率はプラス7.2%で、金パラ素材価格は上昇機運ではございますが、随時改定Ⅱのルールでは改定されておりません。素材価格の乱高下に対応しての新ルールとして随時改定Ⅱをつくっていただきましたが、まだまだ現場は追いついていないところが現状でございます。引き続き価格変動の動向を注視していただき、実勢価格の変動が少しでもタイムラグが少なく公定価格に反映できるよう、前向きに取組をお願いしたく要望いたします。よろしくお願いいたします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
特にないということでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとさせていただきます。
次に「診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。
本件につきましては、本日の診療報酬基本問題小委員会において議論を行ったところですが、同小委員会においていただいた御意見も含めて事務局より御説明をお願いいたします。
○井内医療課長
先ほど診療報酬基本問題小委員会で御議論いただきました、それの報告でございます。
この診療報酬基本問題小委員会の資料のほうで少し説明させていただきますと、中医協診-1-1というところですが、3ページで令和2年度診療報酬改定に伴っていただきました答申書の附帯意見の2から5まで4項目につきましての調査ということで、中医協総会でも了承を得て検討していただいたものでございます。
その中で、4ページで「(1)一般病棟入院基本料等における『重症度、医療・看護必要度』の施設基準等の見直しの影響について(その1)」「(2)地域包括ケア病棟入院料及び回復期リハビリテーション病棟入院料の実績要件等の見直しの影響について(その1)」「(3)療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響について(その1)」「(4)医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態について」。この4項目につきまして調査をするということで調査票のほうを見ていただき、診療報酬基本問題小委員会のほうで御了解いただいたというものでございます。
また、診-1-2のところでDPCデータの活用を進めるということで、そういったことも今回の調査で進めていくというところでございます。
以上、報告をさせていただきます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいまの御報告につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
特に御質問等はないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
次の議題に移ります。「今後の医薬品等の費用対効果評価の活用について」を議題といたします。
この件につきましては、事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
医療技術評価推進室長でございます。それでは、総-6に基づきまして説明させていただきます。「今後の医薬品等の費用対効果評価の活用について」ということです。
2コマ目を御覧ください。こちらは「新経済・財政再生計画 改革工程表2019」というものでございますけれども、2020年度の欄を御覧いただければと思いますが「医薬品や医療技術の保険収載の判断等に当たり費用対効果や財政影響などの経済性評価を活用し、保険対象外の医薬品等に係る保険外併用療養を柔軟に活用・拡大することについて、骨太の方針2020に向けて関係審議会等において検討」をするということを政府として、昨年の12月19日、決定がなされているという前提がございます。
3コマ目を御覧ください。こうしたものを受けまして、本年3月及び9月に社会保障審議会医療保険部会において検討をいただいております。
3コマ目で、こちらは3月の部会での資料を抜粋したものでございますが【現状・課題】のところで、中医協での御議論を経て、2019年4月より運用開始となった費用対効果評価制度では、結果は、保険償還の可否の判断に用いるのではなく、一旦保険収載した上で、価格の調整に用いることとしているところでございます。また、今後の実施状況を踏まえ、費用対効果評価に係る組織体制の強化や、課題を整理した上で、活用方法についての検討を継続していくということとされたところでございます。
また、費用対効果評価領域の人材育成のため、本年4月より人材育成プログラムが開始、当時は予定されておりましたし、また一方で、諸外国と比較し、費用対効果評価の体制の規模や人材についてもいまだもって不十分である。
当時、3月の時点では、費用対効果評価の対象品目として6品目が選定され、分析が実施されている。
そういう状況の中での【論点】といたしまして、費用対効果評価の保険収載時の活用等も含めた実施範囲・規模の拡大については、現状や人材育成の状況や諸外国における取組も参考にしながら、これまでと同様に中医協で検討を継続していくこととしてはどうかということを医療保険部会にお諮りしたところでございます。
4コマ目を御覧ください。こちらは9月に同部会で同様の趣旨で再度御議論いただいた際の資料でございます。
5コマ目を御覧ください。こちらはこうした医療保険部会での御議論、御意見を記載したものでございます。
上から紹介させていただきますが、新規医薬品、医療技術の保険収載の可否も含めた費用対効果評価結果の活用に向けて検討が必要という御意見。
高額な医薬品が次々と登場する中、医療保険財政健全化の面からも、費用対効果を図るという視点は大変重要という御意見。
また、保険収載をどうするかというところは、今すぐには難しいとしても、今の基本原則を維持しながらもできることはあるのではないか。有効性、安全性の濃淡を評価する一つの手法として費用対効果もあるのではないか。
4点目でございますけれども、有効性、安全性が確認された医薬品は速やかに保険収載するのが大前提。この前提の下で中医協において価格を調整するのが、本来の国民皆保険制度のあるべき姿である。また、高額薬剤について費用対効果が悪いからといって患者アクセスの制限や追加負担があるべきではないという御意見。
国民のために安全性、有効性が確認された医薬品は速やかに保険収載すべき。また、費用対効果評価制度は運用が開始されたばかりで体制も十分ではなく、今後事例を集積して、制度の在り方については中医協で検討していくべき。
また、制度としては昨年度から運用開始されたところ。まずはその影響の検証、課題の抽出などを行っていくべきであり、保険収載の可否の判断や償還可能な価格までの引下げといった仕組みの検討は時期尚早という御意見。
有効性、安全性が確認された薬剤については、基本的に保険収載を原則として誰もが使えるようにしていくという方向性に関しては賛成。一方で、財政状況も悪いという中で、スレッシュホールドという技術的な閾値のところに関しては保険で見て、それを超える部分について保険外併用で見ていくというような運用の仕方をすれば、財政と医療、薬剤へのアクセスを両立するような考え方ができるのではないかという御意見もございました。
最後でございますけれども、我が国の薬価制度と費用対効果評価。ここで言う費用対効果評価は欧米等を中心に行われているオリジナルといいますか、学術的な費用対効果評価という意味かと思われますが、そうしたものは基本的にコンセプトが違うものであり、費用対効果の議論は現行制度とどのように調和させていくかということが一番重要という御意見がございました。
それで、3月26日の部会においては、この議題については、基本的には、中医協の議論を見守り、適宜必要な情報があれば部会に報告することとされております。
その下の欄で、こちらは9月でいただいた御意見でございますが、将来的には、イギリスやスウェーデンのように償還可否の決定に用いることも検討すべきだが、昨年度から導入された仕組みであり、企業分析における課題等も出てきているため、まずは中医協において、実施状況をしっかりと検証し、制度の成熟度を高めるとともに、現行最大で1年半かかる保険収載から価格調整までの期間をできる限り短縮していくことが先決ではないかという御意見をいただいたところでございます。
6コマ目以降は関連する既存の資料で、簡単に触れさせていただきます。
6コマ目は、新医薬品の薬価算定の仕組みでございます。
新しい医薬品につきましては、類似薬のあるもの、ないものに分かれまして、あれば類似薬効比較方式、なければ原価計算方式という方法で薬価を算定する。その中で補正加算という、加算の対象となる品目についてはその特徴に応じた加算がつけられるというものでございます。
7コマ目を御覧ください。こちらは医療機器等の材料の価格制度でございます。
新規材料、左側で、類似機能区分があるものは原則として類似機能区分比較方式、なければ、特例的なものでございますけれども、原価計算方式という方法で価格を決定していく。その中で補正加算の対象となるか否かという、なれば加算をつけていくという制度で算出がなされております。
8コマ目で、こちらは費用対効果評価制度を昨年の4月から本格制度的な運用がなされているものでございます。
こちらは左側で費用対効果評価の手順の概要を書いてございますが、品目を選定し、続いて企業による分析で、その前に分析前協議を企業側と公的分析側で行いまして、分析枠組み、どのように評価をしていくかという枠組みを決定し、企業分析を行う。その後、公的分析を3か月から6か月の持ち時間で実施する。こちらについては国立保健医療科学院が主体となって実施する。それを踏まえて総合的評価を行い、5番目でございますけれども、費用対効果の評価結果に基づく価格調整を実施するという流れで実施することとされております。
その方法で、右側にございますように、評価対象品目が既存の評価対象品目と比較して、費用、効果がどれだけ増加するのかを分析する。増分費用効果比という、ICERと呼んでおりますが、それを算出するということでございます。分母側が評価対象品目の効果、Bから既存の対象品目の効果、Aを分母として、費用をそれぞれb引くaというものを置いた比で見ていく。それで、健康な状態での1年間の生存を延長するために費用の算出という、左の図であるような数値を算出していく。
その下、総合評価にあたっては、希少な疾病や小児、抗がん剤等の、配慮が必要な要素も考慮した上で、その評価結果において対象品目の価格の調整を行う。費用対効果の悪い品目は価格を引き下げるということでございます。
その下の※3にございますように、価格調整範囲は有用性系加算等について、その下の横の図のところにあります価格調整率、ICERに基づく調整を行うこととされております。
9コマ目でございますけれども、費用対効果評価の対象品目の選定基準。
こちらは区分H1からH5となっておりまして、H1からH3が新規の収載品、H4は既収載品、H5は類似品目ということで、それぞれ対象となるのは類似薬効方式、原価計算方式、それぞれ、有用性系加算が算定されているもの。また、原価計算方式においては開示度50%未満のものも含めて対象とする。選定基準は、右側にございますように、市場規模等の条件で選定していくこととしております。
10コマ目で、最終的な価格調整の範囲でございます。
先ほど概要のところで申し上げましたとおり、有用性系加算を基本的には価格調整範囲とする。原価計算方式において、開示度が50%未満の品目については営業利益等の部分についても対象としていく。また、開示度が50%以上の品目でも、詳細は省きますが、図の3の対応とすることとして運用することとなっております。
11コマ目、それぞれの価格調整率でございます。
先ほど申し上げましたICERという品目ごとの値を算出した結果に基づきまして、価格調整をこの図の考え方に基づきまして実施することとされております。
12コマ目で、こちらは10月1日時点の費用対効果対象品目の現状でございます。
12品目が現在動いております。一番右のカラムで、それぞれのステータス、公的分析中でありますとか、企業分析中というところを記載させていただいております。
13コマ目で、本日御議論いただきたい現状・課題及び論点でございます。
【現状・課題】のところで、昨年4月より運用開始となったこの制度では、現在、対象品目として12品目が選定され、分析を実施しているところでございます。
この制度に係る体制の拡充のため、公的分析班に加わっていただく、大学の追加でございましたり、人材育成プログラムを本年4月からスタートしたり、また、調査研究など、体制強化の取組を行っているところでございます。
改革工程表2019では、冒頭申し上げましたような検討を行うこととされております。
それを踏まえまして実施した医療保険部会における議論では、先ほど申し上げたような意見をいただいたところでございます。
5つ目の○で、今後、年度内にも複数品目の分析・評価結果が取りまとまり、総合的評価について中医協において審議をいただく見込みとなっております。
このような状況を踏まえまして、医療保険部会においては、中医協での検討を継続するとともに、その結果等について報告を求めるとされたところでございます。
本日御意見を伺いたいのは、費用対効果の保険収載時の活用等も含めた実施範囲・規模の拡大について、現行の制度運用の状況、体制強化の取組状況、個別品目に係る総合的評価の審議が今後なされること等を踏まえまして、その活用についてどう考えるか、御意見をいただければと思います。
事務局からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
この費用対効果というテーマは非常に重い、重要なテーマです。今、御説明がありましたように、既に制度は走っているのですけれども、いろいろ固めていかないところがございます。
医療保険部会の議論を拝見すると、私たち中医協の議論を見守るということですので、私たちでしっかりと検討していかないといけないと思っております。
本日、その結論を出すのは到底無理なのですが、これからいろいろ議論を進めていく上でこういうことを考えていく必要があるのではないかということにつきまして、委員の方々のいろいろな御意見を拝聴したいと思っております。
それでは、早速、御意見を伺います。
初めに、お手が挙がっています松本委員からお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。松本です。
費用対効果評価の制度化についてですけれども、これまでの議論の中で、原則として有効性、安全性等が確立した医療は保険給付の対象とされてきたこと、それから、医薬品や医療機器の新規収載品につきましては、費用対効果評価の導入により、ドラッグラグ・デバイスラグを生じさせないようにする必要があることといった観点から、原則として保険償還の可否の判断には用いずに、価格の調整に用いること。また、当面は一度、薬価・材料価格を設定して保険適用した上で、後から費用対効果評価の結果を用いた価格調整を行うこととされているところであります。
本日はその確認をしていただいたところでありますが、昨年度から制度の運用が開始されたところでありますので、まずは、医療保険部会における議論にも出ておりますとおり、その影響の検証、課題の抽出などを引き続いて行っていくべきであるものと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、有澤委員、お願いいたします。お手が挙がっています。
○有澤委員
ありがとうございます。
私からも、この制度自体が昨年から運用開始されて、現在、12品目が分析中であるということで、この辺のところで実施体制、評価の人材、そういった公的分析班、あるいは調査研究等がまだまだ確立していない段階であると考えます。そういったところから、これらは今後、影響の総合的評価のものを出していただいて、その影響の検証、課題。こういったものを明確にした中で実施していくと考えます。
そういった観点から、実施範囲あるいは規模の拡大というものは必要以上に行うものでもありませんし、当然、こういったものがあまり広がった中で患者さんへのアクセスの阻害要因にはなってはならないと考えますし、もう一方で、この評価については、やはり市場規模が拡大するもの、あるいは単に希少疾病等で単価が高いもの。これらについては慎重な議論・検討が必要だと考えます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
この費用対効果評価制度については、将来的には償還可否の決定に用いることも当然視野に入れて検証・検討していく必要があるとは考えております。しかし制度として、昨年度、運用開始された現状を勘案しますと、まずは国内の実施事例の集積・検証をスピード感を持って進めていくことが必要であると思います。
また、諸外国における取組の動向、内外の関係業界の意見などを参考に、継続的かつ発展的に検討を重ねて、制度の成熟度を高め、実効性を担保した制度にしていく。こういうことが必要であり、重要であると考えております。
また、現行の制度においては、その迅速な価格調整の観点から現在、最大で1年半かかる保険収載から価格調整までの期間をできるだけ短縮していくこと、並びに対象品目数を増やしていくこと、これが目下の重要な課題であるとも考えております。
そのためには、公的分析班、企業などによる分析・評価体制の充実が何よりも不可欠であるとも認識しております。ついては、この観点で、昨年も費用対効果評価制度の専門部会導入時において、公的分析班の体制強化と人材育成、これについての具体的な充実案について工程表の検討を早急にお願いしたいと申し上げた記憶がございます。今回、どのようにこの体制強化が図られているのか、今後、どのように強化をしていくのかという考え方として、22ページ、23ページに一部御紹介いただいておりますが、具体的にいつまでにどのような陣容の体制整備をお考えなのか、どういう工程でお考えなのか、お聞かせ願えればありがたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
今、御質問がありましたので、事務局から御回答をお願いします。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。御質問ありがとうございます。
吉森委員から御指摘いただきました費用対効果の体制についてで、資料の参考の部分、22コマ目のポンチ絵の真ん中のほうに記載がございますように、現在、国立保健医療科学院におきまして、保健医療経済評価研究センターという組織において、こちらも従来6名であったものが8名に増員されるということで体制の強化を進めております。
また、言及いただきました公的分析班といいまして、実際の分析作業を行っていただく機関でございますけれども、その右下で現在、聖路加国際大学、立命館大学、慶應義塾大学大学と3大学、慶應義塾大学については今年度から加わっていただいたということで、こちらについても体制の強化を進めているところでございます。
また、23コマ目についてもちょっと説明させていただければと思いますが、全体の体制、公的分析の体制のみならず、企業における体制強化も非常に重要な視点でありまして、国内のこうした費用対効果評価ができる人材を全体的に育成していく必要があるということで今年度から、こちらは慶應義塾大学において医療経済評価コースというものを設けていただいて人材育成に取り組まれているところでございます。
下のポツで、このコースの参加者、これは6月時点でございますけれども、51名ということで、1年半で全単位の取得が可能となるということで組んでいただいております。
今後、工程表や計画的な強化というお話をいただきましたが、まず今、申し上げたような取組を進めているところでございまして、事務局の中で関係の方々と意見交換をさせていただいて、どういう形でそれを中医協にお示しできるのか、ちょっと検討させていただければと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
いずれにしましても、6名から8名に研究センターを強化し、公的分析班についても強化要請はしているというのはよく理解できましたが、この12品目が果たして1年半できちんと対応できるのかどうかが重要なポイントです。現在、先ほどの資料にもありましたが、公的分析班の強化対応中だというのは分かりますが、今後ますます高額な医薬品が増えてくる、対象品目も増えてくるという環境を鑑みますと、この強化体制をいつまでにどのような陣容でやる。それによっては、この評価制度のいわゆる対応キャパも決まってしまうのではないかと思いますので、ぜひその辺、きちんとした体制を早く充実するような具体的な工程をお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
先ほどから佐保委員からお手が挙がっていますので、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
ここまでの各委員の発言と恐らく大筋では同様の意見ではないかと思いますが、12ページの現状を見ると、今後の分析結果や課題について検証し、フィードバックしていくことがまず重要ではないかと考え、保険収載の可否の判断や償還可能な価格までの引下げといった活用の検討についてはまだ早い、時期尚早ではないかと考えております。今後も議論を継続していく必要があると考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
すみません。ほぼ同様の意見ですが、発言させていただきます。
今回の論点は医療保険部会の検討から中医協に投げられたということですが、今、この論点を投げられても誰も答えなど出せないと思います。昨年、本格運用になって、現在、12品目が分析中ですが、まだその結果も出ていない中で何も検証できないと思います。
今できることは、先ほど吉森委員もおっしゃったように、実績をより多く蓄積していくことだと思います。岡田室長の説明にもありました、HTAの人材をたくさん育成して、現在、年間約10品目程度は分析できるということですが、この規模を徐々に拡大していくべきだと思います。
ある程度その実績が蓄積された後には、まずは現行の仕組みの妥当性を検証する必要があると思います。例えば、分析から価格調整まで約1年半かけるこの期間が妥当なのかどうか。それから、500万、750万、1000万と設定されたのですが、この閾値が果たして妥当なのかどうかということも検証する必要があると思います。
それから、価格調整の在り方です。今は加算部分や営業利益率のみに価格調整が行われていますが、果たしてこれがいいのかどうかという観点から、費用対効果評価の費用対効果を検証していかなければいけないのではないかと思います。
これをきちんと検証するということが第1ステップで、医療保険部会で出ている保険収載の可否や保険外併用の活用などは、将来的には検討しなければいけない事項だと思いますが、まずは現行の制度をしっかりと検証した後で次のステップとして将来的に議論するべきことだと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。ほかに御意見がありましたら、ぜひお願いいたします。
ちょっと会長として予想外に御意見が少なかったので意外に思っているのですけれども、よろしいでしょうか。
では、この件につきまして、いろいろ御意見があると思います。ただ、御指摘が何人かの委員の方々からもありましたように、まだ調査が、評価が終わっていないので、現時点でいろいろなことを議論するのはなかなか難しいかなと思います。
ただ、お話を伺っていると、費用対効果評価につきましては、体制をしっかりと強化していく必要があるという御意見もありました。それから、昨年度から制度の運用が始まっているのですが、まずはその影響の検証、それから、課題の抽出が必要であるという御意見もあったかと思います。
それから、事務局から示されておりますように、先ほど私も申し上げましたが、まだ費用対効果評価の結果が中医協に報告されている品目はございませんということです。ただ、年度内にも報告がされる見込みであるということを考えますと、まずは今、走っている仕組みの実施状況を検証して、制度の成熟度を高めるための検討を中心に私たちで議論を進めていく必要はあるかと思います。
そういうことで、事務局に対しましては、私からの要望でもあるのですけれども、専門組織における評価結果が得られる品目につきましては、結果が得られ次第、できるだけ速やかに報告していただきたいと思います。それから、それと同時に、現行の制度が抱えている問題を整理していくということもぜひお願いしたいと思っております。
そういうことで、本件につきましては、特に追加の御意見がなければ終わりとさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
この件につきましては、これからも引き続き検討していきたいと思います。
本日の議題は以上です。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
吉川専門委員、お願いします。
○吉川専門委員
日本看護協会の吉川ですが、確認させてください。
先ほどの診療報酬基本問題小委員会からの報告に関してですが、本中医協で承認されましたが、診療報酬基本問題小委員会でも意見を述べさせていただいた通り、そういった意見とか、修正とかを検討し、また、修正された上での承認と理解してよろしいでしょうか。
先ほど診療報酬基本問題小委員会の中で幸野委員からいただいた意見も非常に重要だったと思っているのですけれども、私から質問させていただいたことも、回答肢の中に2つの選択が含まれているということになってしまっているので、結果的に回答する人は迷うでしょうし、最後、分析のときに影響してくると思いますので、その点をきちんとしなければいけないというところもあり、質問と意見を述べさせていただきました。そこのところをもう一度確認させてください。
○小塩会長
この件について、医療課長、お願いします。
○井内医療課長
当然、診療報酬基本問題小委員会の御意見を踏まえた上でということでございます。その上で報告をさせていただいたということですので、診療報酬基本問題小委員会でいただいた御意見は事務局で検討すると約束させていただきましたので、そのとおりさせていただきたいと思っております。
○吉川専門委員
よろしくお願いします。
○小塩会長
よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題は以上ですので、これで総会を閉会といたします。
どうもありがとうございました。




 


 
 

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