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2020年5月13日 中央社会保険医療協議会 総会 第458回議事録

○日時

令和2年5月13日(水)10:47~11:46

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩隆士会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 永瀬伸子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 眞田享委員 松浦満晴委員 染谷絹代委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
保険医療材料等専門組織小澤委員長 薬価算定組織坪井委員長
<事務局>
濵谷保険局長 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器及び臨床検査の保険適用について
○医薬品の薬価収載等について
○再生医療等製品の保険適用について
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○在宅自己注射について
○新型コロナウイルス感染症に係る抗原検査の保険適用に伴う対応について


 
○小塩会長
 皆さん、おはようございます。
 ただいまより、第458回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 なお、本日も、コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催といたします。
 また、会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、岩田専門委員が御欠席です。
 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 初めに「医療機器及び臨床検査の保険適用について」を議題といたします。
 本日は、保険医療材料等専門組織の小澤委員長にお越しいただいております。
 小澤委員長より御説明をお願いいたします。
○保険医療材料等専門組織小澤委員長
 資料を御覧ください。
 今回の医療機器の保険適用は、C2が3製品、3区分でございます。
 2ページ目を御覧ください。
 製品名は「BNCT治療システム(NeuCureTM)」「BNCT線量計算プログラム(NeuCureTMドーズエンジン)」でございます。
 5ページ目の製品概要を御覧ください。
 BNCT治療システム(NeuCureTM)は、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんに対するホウ素中性子捕捉療法に使用することを目的とした中性子照射装置であり、ボロファラン(10B)と併せて使用する製品でございます。
 また、BNCT線量計算プログラム(NeuCureTMドーズエンジン)は、輪郭情報及び照射条件を基に、ホウ素中性子捕捉療法により与えられる線量分布を計算し、切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんに対するホウ素中性子捕捉療法治療計画の決定を支援するプログラムであり、ボロファラン(10B)と併せて使用する製品でございます。
 2ページ目にお戻りください。
 価格につきましては、新機能・新技術を有することから、本品は特定保険医療材料としては設定せず、新規技術料にて評価することが妥当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はございません。
 続きまして、6ページ目を御覧ください。
 製品名は「ArcherMETコンパニオン診断システム」でございます。
 9ページ目の製品概要を御覧ください。
 本品は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)がん組織から抽出しましたRNA、または血漿から抽出した血中循環DNA(ctDNA)中の、METex14遺伝子のスキッピング変異の有無の検出を意図いたします。METex14変異の検出結果は、テポチニブの適応判定の補助に用いる製品でございます。
 6ページにお戻りください。
 価格につきましては、本品は特定保険医療材料としては設定せず、新規技術料にて評価することが適当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はございません。
 続きまして、10ページ目を御覧ください。
 製品名は「純チタン 2種」です。
 12ページ目の製品概要を御覧ください。
 本品は、歯科用鋳造機により溶融成型される歯科補綴物を製作する鋳造用金属でございます。
 10ページ目にお戻りください。
 価格につきましては、新機能・新技術を有することから、類似機能区分なしとして原価計算方式で算定し、本品は1g当たり47円と評価することが適当と保材専として判断いたしました。外国における販売実績はないことから、外国平均価格との比はございません。
 続きまして、中医協総-1-2の資料を御覧ください。
 今回の臨床検査の保険適用は、E3の1件です。
 2ページ目を御覧ください。
 販売名は「ナノピアLRG」です。
 測定項目は「ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)」です。測定方法は「ラテックス免疫比濁法(定量)」です。
 3ページ目の製品概要を御覧ください。
 本検査は、血清中のロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)の測定に使用する臨床検査です。
 2ページ目にお戻りください。
 保険点数につきましては「D003 9カルプロペクチン(糞便)」276点を参考点数としております。
 御説明いたします内容は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 事務局から補足があれば、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 特にございません。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明について、何か御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 特に御質問等はないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
 それでは、御説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 次に「医薬品の薬価収載等について」を議題といたします。
 本日は、薬価算定組織の坪井委員長にお越しいただいております。
 坪井委員長より御説明をお願いいたします。
○薬価算定組織坪井委員長
 皆さん、おはようございます。薬価算定組織の委員長の坪井です。
 私から、今回検討いたしました新医薬品の算定結果等について御報告いたします。
 まず、資料総-2-1を御覧ください。
 今回報告する新医薬品は、1ページから2ページ目の一覧表にありますとおり、18成分28品目です。
 それでは、算定内容について御説明いたします。
 1品目め、ラツーダ錠です。資料4~5ページを御覧ください。
 本剤は、「統合失調症」と「双極性障害における鬱症状の改善」を効能・効果とする内用薬であり、主たる効能である統合失調症では、薬理作用類似薬が既に3以上あること等から、類似薬効比較方式(Ⅱ)により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は4ページにあるとおりです。汎用規格では40mg1錠、328.90円となりました。
 2品目めは、メラトベル顆粒小児用です。資料6~7ページを御覧ください。
 本剤は、「小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善」を効能・効果とする内用薬であり、効能や薬理作用等が類似するロゼレム錠8mgを最類似薬とした、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、海外のガイドラインにおいて、自閉スペクトラム症の睡眠障害に対する使用が推奨されていることを踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 また、本剤は、国内で小児を対象とした治験を実施していること等から、小児加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は0.2%1g、207.80円となりました。
 3品目めは、ロケルマ懸濁用散です。資料8~9ページを御覧ください。
 本剤は、「高カリウム血症」を効能・効果とする内用薬であり、投与形態等が類似するリオナ錠250mgを最類似薬とした、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 剤形間比を適用した後の薬価は、両規格とも外国平均価格の0.75倍を下回っていることから、外国平均価格調整によって引上げを行いました。
 その結果、本剤の薬価算定は5g1包、1,095.20円。10g1包、1,601.00円となりました。
 4品目め、キャブピリン配合錠です。資料10~11ページを御覧ください。
 本剤は、「血栓・塞栓形成の抑制」を効能とするアスピリンの内用薬と、「胃潰瘍」等を効能とするタケキャブ錠との配合剤であることから、新医療用配合剤の特例により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は1錠130.30円となりました。
 5品目めです。カボメティクス錠です。資料12~13ページを御覧ください。
 本剤は、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を効能・効果とする内用薬であり、効能や薬理作用等が類似するスーテントカプセル12.5mgを最類似薬とした、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、エベロリムスを比較薬としたランダム化比較試験において、主要評価項目である無増悪生存期間等で優越性が検証されていること等を踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の10%を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は20mg1錠、8,007.60円。60mg1錠、2万2,333.00円となりました。
 6品目めのテプミトコ錠です。資料14~15ページを御覧ください。
 本剤は、「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果とする内用薬であり、効能や投与経路等が類似するザーコリカプセル250mgを最類似薬とした、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、間葉上皮転換因子(MET)に対する阻害作用により初めて一定の奏効率を示した新規作用機序医薬品であることを踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 また、本剤は先駆け審査指定制度の対象となっており、本邦で初めて承認された医薬品であること等から、先駆け審査指定制度加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は250mg1錠、1万4,399.00円となりました。
 7品目めになります。ベレキシブル錠です。資料16~17ページを御覧ください。
 本剤は、「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」を効能・効果とする内用薬であり、薬理作用や投与経路等が類似するイムブルビカカプセル140mgを最類似薬とした、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は80mg1錠、5,067.40円となりました。
 8品目めです。アネレム静注用です。資料18~19ページを御覧ください。
 本剤は、「全身麻酔の導入及び維持」を効能・効果とする注射薬です。同じ効能を持つ既存薬は、いずれも薬価収載から10年以上経過していること等から、適切な類似薬はなく、原価計算方式で算定いたしました。
 なお、本剤の製品総原価の開示度は50%未満でした。
 その結果、本剤の算定薬価は50mg1瓶、2,218円となりました。
 9品目め、ベオビュ硝子体内注射用キットです。資料20~21ページを御覧ください。
 本剤は、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」を効能・効果とする注射薬であり、効能や薬理作用等が類似するアイリーア硝子体内注射液を最類似薬とした、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は6mg0.05mL1筒、14万2,784円となりました。
 10品目めです。ビルテプソ点滴静注です。資料22~23ページを御覧ください。
 本剤は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象とする注射薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定いたしました。
 なお、本剤の製品総合原価の開示度は50%以上80%未満でした。
 本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていること等から、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 また、本剤は先駆け審査指定制度の対象となっており、本邦で初めて承認された医薬品であること等から、先駆け審査指定制度加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 補正加算について、合計の加算率20%に対して加算係数の0.6を適用して、12%の補正加算を適用いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は250mg5mL1瓶、9万1,136円となりました。
 11品目めのオゼンピック皮下注です。資料26~27ページを御覧ください。
 本剤は、「2型糖尿病」を効能・効果とする注射薬であり、薬理作用類似薬が既に3以上あること等から、類似薬効比較方式(Ⅱ)により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は0.25mg0.5mL1キット、1,547円。0.5mg0.5mL1キット、3,094円。1mg0.5mL1キット、6,188円となりました。
 12品目め、ルムジェブ注です。資料28~29ページを御覧ください。
 本剤は、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とする注射薬であり、既存のヒューマログ注と有効成分、効能・効果、規格、製造販売企業が同一であることから、別の銘柄として算定しないことといたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、カート製剤は300単位1筒当たり1,175円、ミリオペン製剤は300単位1キット当たり1,400円、ミリオペン製剤HDは300単位1キット当たり1,400円、バイアル製剤は100単位1mLバイアル当たり277円となりました。
 13品目め、ソリクア配合注です。資料30~31ページを御覧ください。
 本剤は、「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」を効能・効果とするランタス注と、「2型糖尿病」を効能・効果とするリキスミア皮下注300μgの配合剤であることから、新医療用配合剤の特例により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1キット6,497円となりました。
 14品目め、オニバイド点滴静注です。資料32~33ページを御覧ください。
 本剤は、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌」を効能・効果とする注射薬です。同じ効能を持つ既存薬は、いずれも薬価収載から10年以上経過していること等から、適切な類似薬はなく、原価計算方式で算定いたしました。
 なお、本剤の製品総原価の開示度は50%未満でした。
 本剤は、欧米のガイドラインにおいて、膵がんの2次化学療法として推奨されております。
 また、5-フオラシル及びレボホリナートの併用療法に本剤を上乗せすることによって、全生存期間が有意に延長することが検証されております。
 以上の2点を踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 補正加算について、加算係数0.2を適用して2%の補正加算を適用いたしました。補正加算を適用した後の薬価は、外国平均価格の0.75倍を下回っていることから、外国平均価格調整によって引上げを行いました。
 その結果、本剤の算定薬価は、43mg10mL1瓶、128,131円となりました。
 15品目めになります。エンハーツ点滴静注用です。資料34~35ページを御覧ください。
 本剤は、化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がんを対象とする注射薬であり、効能や構造等が類似するカドサイラ点滴静注用100mgを最類似薬とした、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 本剤は、比較薬であるカドサイラによる治療歴がある患者を対象とした臨床試験で一定の奏効率が認められることを踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、100mg1瓶、165,074円となりました。
 16品目めのステボロニン点滴静注バッグです。資料36~37ページを御覧ください。
 本剤は、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果とする注射薬であり、本剤の作用機序等から適切な類似薬はなく、原価計算方式で算定いたしました。
 なお、本剤の製品総原価の開示度は80%以上でした。
 本剤は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を用いる製剤で、一定の奏効率が確認された新規作用機序医薬品となります。
 また、本剤を用いたBNCTは、既存治療薬とは違い1回で治療が完了し、利便性が高いと考えられました。
 この2点を踏まえ、有用性加算(Ⅰ)の35%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 また、本剤は先駆け審査指定制度の対象となっており、本邦で初めて承認された医薬品であること等から、先駆け審査指定制度加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 補正加算について、合計の加算率45%に対して加算係数1.0を適用し、45%の補正加算を適用いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、9,000mg300mL1袋、44万4,215円となりました。
 17品目めのボンベンディ静注用です。資料38~39ページを御覧ください。
 本剤は、「von Willebrand病患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬はなく、原価計算方式で算定いたしました。
 本剤は、ヒト血漿由来の感染症伝搬リスクは排除されていること等を踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていること等から、市場性加算(Ⅰ)の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 補正加算について、合計の加算率が15%に対し加算係数0.2を適用し、3%の補正加算を適用いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1,300国際単位1瓶(溶解液付)、14万6,288円となりました。
 最後になります。18品目めのアイラミド配合懸濁性点眼液です。資料40~41ページを御覧ください。
 本剤は、「他の緑内障治療薬が効果不十分な場合、緑内障、高眼圧症」を対象とするアイファガン点眼液とブリンゾラミド懸濁性点眼液の配合剤であることから、新医薬品用配合剤の特例により算定いたしました。
 その結果、本剤の算定薬価は、1mL、492.20円となりました。
 以上で私からの説明を終わります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 引き続き、事務局から補足と説明をお願いいたします。
○田宮薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料総-2-1について、補足説明させていただきます。
 資料の1ページ目を御覧いただければと思います。今回収載予定の新薬のうち、費用対効果評価の対象となる品目について御説明いたします。
 表の5番目のカボメティクス錠につきましては、有用性加算が適用され、ピーク時の予測販売金額が100億円を超えているため、H1品目に該当するという旨を補正加算等の欄に記載させていただいております。
 また、2ページ目に移っていただきまして、15番目のエンハーツ点滴静注用につきましても、有用性加算が適用され、ピーク時の予測販売金額が100億円を超えていることから、H1品目となることを御報告させていただきます。
 続きまして、総-2-1参考をお開きいただければと思います。こちらは新薬算定における係数についての御報告でございます。
 原価計算方式における標準的係数につきまして、毎年度更新しているところでございます。本年度の労務費単価、一般管理販売費率、営業利益率及び流通経費率に係る係数が決まりましたので、資料のとおり御報告するものでございます。
 総-2-2を御覧ください。今回の薬価収載予定の新薬のうち、14日の処方制限ルールの例外的な取扱いに関する御提案でございます。
 キャブピリン配合錠、ソリクア配合注ソロスター及びアイラミド配合懸濁性点眼液につきましては、資料の2ページ目に記載のとおり、いずれも配合されている各有効成分に係る効能・効果、用法・用量について1年以上の臨床使用経験があると認められ、14日ルールの制限を外すものの条件を満たすと考えられますので、例外的に処方日数制限を設けないこととしてはどうかという御提案でございます。
 続きまして、総-2-3を御覧ください。こちらも類似薬選定のための薬剤分類について、毎年更新し、報告させていただいている資料でございます。
 今般、令和元年5月から令和2年4月までに薬価収載された新薬55成分につきまして、薬価算定組織において検討作業を進め、新たに分類表に追記したので御報告いたします。
 3ページ目から4ページ目に新たに追記した成分名を記載しておりまして、追記した表の該当箇所には青のマーカーを付しておりますので、御参考としていただければと思います。
 説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
 今村委員、お願いします。
○今村委員
 ありがとうございます。
 資料2-1、20ページの9番目、ベオビュ硝子体内注射用キットというのは加齢黄斑変性を対象としたお薬なのですけれども、これが高齢化に伴って非常に増えてくる疾病だと思いますけれども、ピーク時の10年度の3.7万人という数字は現在、比較薬となっているアイリーアのお薬がある程度置き換わっているという理解でよろしいのでしょうか。
○小塩座長
 よろしくお願いします。
○田宮薬剤管理官
 御説明いたします。
 御指摘のとおり、加齢黄斑変性症に関する類似薬の市場規模あるいは投与対象患者数というのは多いと承知しているところでございます。本剤につきましては、まさにそういった既存の類似薬に対して、市場の中で競合して置き換わっていくということで、この本剤投与患者数及び予測販売金額が提示されているということでございます。
○今村委員
 分かりました。ありがとうございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかに御質問ありますでしょうか。
 ほかに御質問等はないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 続きまして「再生医療等製品の保険適用について」「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」「在宅自己注射について」を一括して議題といたします。
 まず、坪井委員長より御説明をお願いいたします。
○薬価算定組織坪井委員長
 それでは、資料総-3の1~3ページを御覧ください。医薬品の例によって対応することとされた再生医療等製品のゾルゲンスマ点滴静注について、算定案を報告いたします。
 本製品は、脊髄性筋萎縮症を対象とする再生医療等製品です。本製品と効能や投与形態等が類似するスピンラザ髄注12mgを最類似薬とした、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
 類似薬効比較方式(Ⅰ)の算定では、本製品を投与することによってスピンラザの投与が不要となる期間を臨床試験の結果等から計算し、その期間に必要となるスピンラザ11本分の薬剤費に補正加算を適用いたしました。
 補正加算について、本製品は要件イの新規作用機序であることと、要件ハの治療方法の改善の2つに該当すると判断いたしました。
 具体的には要件イとして、脊髄性筋萎縮症を対象とする製品として初めての遺伝子治療製品であり、正常な遺伝子を細胞に直接的に導入するという既存治療とは大きく異なる新規の作用機序を持ちます。
 また、原理的には根治の可能性もある新規作用機序であり、臨床上特に有用であると判断し、薬価算定組織で評価されました。
 次に要件ハとして、本品による治療で長期間の効果が確認されており、また、治療が1回で終了することや静注であることが患者負担の軽減につながるとして、特に著しい治療方法の改善であることが薬価算定組織で評価されました。
 以上のことから、有用性加算(Ⅰ)の50%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 さらに、本品は先駆け審査指定制度の対象となっていること等から、先駆け審査指定制度加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
 その結果、合計の補正加算率は60%となり、本剤の算定薬価は1患者当たり1億6,707万7,222円となりました。
 最後に、費用対効果評価の該当性についてです。
 本製品は、指定難病である脊髄性筋萎縮症のみを対象とするもので、またピーク時の市場規模も350億円を超えるものではありません。しかしながら、本製品は著しく単価が高いこと等から、算定組織では費用対効果評価の対象に該当するとの結論に至りました。
 このため、指定難病の治療のみに使用されますが、資料2ページにありますとおり、費用対効果評価に該当するという提案になりますので、御検討をお願いいたします。
 以上で私からの説明を終わります。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 引き続き、小澤委員長より御説明をお願いいたします。
○保険医療材料等専門組織小澤委員長
 小澤でございます。それでは、説明いたします。
 中医協総-3の4ページ目を御覧ください。
 製品名はネピックです。保険適用はC2の2区分になります。
 8ページ目の製品概要を御覧ください。
 本品は、患者自身より採取した角膜輪部組織から分離した角膜上皮細胞をシート状に培養して製造したヒト体性幹細胞加工製品でございます。角膜上皮幹細胞疲弊症患者の眼表面に移植することにより、角膜上皮細胞が生着・上皮化して、角膜上皮を再建することを目的として使用されます。
 4ページ目にお戻りください。
 価格につきましては、本品は新機能・新技術を有することから類似機能区分なしとして、原価計算方式で評価いたしました。
 この結果、最終的な価格を組織運搬セット、428万円。培養角膜上皮パッケージ、547万円といたしました。
 外国における販売実績はないことから、外国平均価格との比はございません。
 今回御説明いたします内容は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 引き続き、事務局から補足と「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」、それから「在宅自己注射について」の説明をお願いいたします。
○田宮薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料総-3の補足説明でございます。
 2ページ目を御覧いただければと思います。
 下から3番目の「費用対効果評価への該当性」の欄に「該当する(H3)」と記載しておりますように、ゾルゲンスマ点滴静注につきましては、指定難病の治療のみに使用される製品ではあるものの、先ほど坪井委員長から、著しく単価が高いこと等を踏まえ、費用対効果評価の対象とする提案があったところでございます。
 この点につきまして、本剤を費用対効果評価の対象とすることでよろしいか、御審議をお願いできればと思っております。
 また、本剤は限られた患者数の遺伝子疾患を対象とした製品であることから、最適使用推進ガイドラインは策定されていないところでございますけれども、添付文書におきまして関連学会の定める適正使用指針を遵守することとされ、日本小児神経学会におきまして、本品を使用する上で必要な医療機関及び医師の要件や、投与が適切と考えられる患者等を盛り込んだ適正使用指針が取りまとめられているところでございます。
 本剤の保険適用に当たりましては、当該適正使用指針に従い使用するよう、留意事項通知を発出したいと考えているところでございます。
○森光医療課長
 続きまして、資料総-4を御覧いただきたいと思います。これは新薬収載に当たっての定例のものでございますけれども「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」ということでございます。
 DPCに関しては、高額な薬剤の新規の承認があった場合に関しては、見込額が使用していない症例の薬剤費の84%tileを包括評価の対象外とすることになってございます。
 2の一覧表に掲げるお薬につきましては、当該薬剤に対応します診断群分類に該当するものについて、次の診療報酬改定までの間、出来高算定とすることとしてはどうかという御提案でございます。
 続きまして、めくっていただきまして、3ページに掲げております新薬につきましては、類似薬効比較方式により薬価が設定されているというものでございます。また、当該類似薬に特化しました診断群分類が既に設定されているというものが掲げられておりまして、この診断群分類に新しいお薬についても反映させることとしてはどうかということでの御提案でございます。
 資料総-5を御覧いただきたいと思います。これも新薬収載に伴っての定例のものでございますけれども、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加ということでございます。
 対象となる薬剤につきましては、そこにありますように「遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤」でございます。
 このお薬につきましては、患者の出血傾向の抑制を目的として使用する薬剤でございまして、出血後早期の投与が有効でありまして、すぐに外来に通院して使用することが困難である場合もあると考えられるために、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかという御提案となっております。
 続きまして、総5-2を御覧いただきたいと思います。在宅自己注射指導管理料の対象薬剤である医薬品のバイオ後続品の取扱いについてでございます。
 バイオ後続品につきましては、先行バイオ医薬品が在宅自己注射の対象薬剤になっているものについて、バイオ後続品それぞれにつきまして、内用、効能・効果、薬理作用等を確認した上で、在宅自己注射指導管理の対象薬剤として追加することになっております。
 その比較につきまして、資料の「(1)先行バイオ医薬品とバイオ後続品の比較」ということで、それぞれにつきまして比較した表をつけております。
 今回、バイオ後続品としてありますのは、そこにありますように1から3までインスリンのバイオ後続品でございますけれども、これについて効能・効果、薬理作用、構造、用法用量、主な副作用につきまして、全て先行バイオ医薬品と同等と評価をされているものでございまして、2ページ目の最後にありますとおり「対応案」として同等のものということでございますので、先行品の使用状況等にも特段の問題はないと考えられますことから、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかという御提案でございます。
 資料の説明につきましては以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等がありましたら、お願いいたします。
 松本委員、お願いします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、資料総-3のゾルゲンスマについてでありますけれども、これはまず比較薬になっているスピンラザが薬価基準収載されてから3年近くになると思いますが、現在の投与された患者さんのおおよその数と、この品目も費用対効果の対象になっていたと思いますけれども、その調査の進捗状況について教えていただきたいと思います。
○小塩会長
 御回答をお願いします。
○田宮薬剤管理官
 スピンラザについての御質問でございますが、スピンラザ自体はゾルゲンスマと違いまして年齢による制限がないということなので、2歳未満の患者数について現在手元に何人の投与がされているかという数字はないのですけれども、収載時に見込んでいるスピンラザの予測本剤投与患者数としては、ピーク時の8年度で294人という形で中医協に御報告しているということでございます。
 スピンラザにつきましては、費用対効果評価制度の本格導入以前に薬価収載されている製品になりますので、現行、費用対効果評価の対象にはなっていないという状況でございます。
○小塩会長
 松本委員、お願いします。
○松本委員
 分かりました。
 ただ、ゾルゲンスマについてですけれども、非常に著しく単価の高いという薬剤ですので、今回は脊髄性筋萎縮症という難病の治療薬ではあるものの、H3として費用対効果評価の対象とすることは妥当だと考えておりますけれども、ゾルゲンスマは類薬であるスピンラザと比較しても投与回数が少なく、長期的にはこの類薬よりも費用が削減される可能性が示唆されております。
 費用対効果の対象となった場合は、著しく高額な薬価がさらに価格が引き上げられるという可能性もあるかと思いますけれども、これについて非常に危惧をしておりますが、厚労省のお考えはいかがでしょうか。
○小塩会長
 お願いします。
○岡田医療技術評価推進室長
 お答えいたします。医療技術評価推進室長でございます。
 ゾルゲンスマの費用対効果につきましては、今、松本委員がおっしゃられましたように、費用対効果評価の枠組みの中で、費用対効果が非常に優れるもの。例えば対象の品目に対して、効果は増加するけれども費用が削減されるものなどについては、価格の引上げを行うということで中医協の中でもお諮りをして決定してきているところでございます。
 こうした評価を行うためには、そうしたことがきちんと臨床試験等のデータから示される必要があると考えておりますので、きちんとそうした費用対効果分析ができますように企業にも積極的に資料の提出などを働きかけ、きちんとした費用対効果分析を行っていきたいと考えております。
○小塩会長
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 先ほどのスピンラザにも戻りますけれども、やはりそうであるならば、スピンラザがどの程度、今、使われているのかをしっかりと報告をしていただいて、予想よりもそれなりの販売金額があるのであれば、スピンラザについても費用対効果の対象として、もう一度考え直すようなことも必要になるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小塩会長
 お願いします。
○田宮薬剤管理官
 スピンラザの市場規模でございますけれども、当初、中医協にお諮りしたときのピーク時の予測販売金額が97億円という形で提示されているものでございます。指定難病ということで、患者数には限りがあるということで、このような予測になっているところでございます。
 もちろん、毎回薬価調査をするたびに実際の市場規模については十分確認させていただきまして、市場拡大再算定の要件に該当するといったような場合には当然速やかに対応することとさせていただきたいと思っているところでございます。
○小塩会長
 松本委員、お願いします。
○松本委員
 いずれにしても、このゾルゲンスマがどう評価されるのか、費用対効果評価制度の真価が問われることになると思いますので、その前提として、先ほど厚労省からも発言がありましたけれども、企業には検討に必要な客観的なデータを十分に提供していただくよう、厚生労働省からも改めて働きかける必要があると思いますので、その辺についてよろしくお願いしたいと思います。
○小塩会長
 よろしいですか。
 ほかに御質問等ございますか。
 吉森委員、お願いします。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 総-3のゾルゲンスマについて、確認を2点ほどさせていただいた後、意見を申し上げます。
 まずは1点目です。今回、この類似薬効比較方式にてスピンラザを比較薬として算定薬価11本分ということで1億6700万円の根拠を説明いただき、これについては理解するところですが、アメリカの価格を見ますと、仮にこれを原価計算方式で評価した場合を想定すると2億3000万円~2億7000万円の価格になっておりまして、当然、2億円をはるかに超えるような金額になることが想定されます。今回御提示いただいている資料からは、この遺伝子治療用製品の製品化の過程並びに物流の過程などがよく分からないので、どのような製造物流プロセスで、どういったところでこの治療薬が高額なコストになっているのか、主要なポイントを分かる範囲で教えていただければありがたいと思います。
 例えば以前、保険収載しました再生医療製品のステミラック注の場合は、患者ごとにオーダーメードで製造する必要があり、その管理運搬に手間、コストが非常にかかるということで納得感がありましたが、今回の製品はよく分かりませんので、高額な薬価になっている背景について、簡潔に御説明いただければありがたいというのが1点です。
 2点目は、総-3の2ページ目でノバルティスファーマからの不服意見を踏まえて、当初の算定案の有用性加算のポイント、イとハで修正をしたということであり、このうちハの治療方法の改善について、3-e、特に著しい治療方法の改善が示されていると薬価算定組織が認めるという場合が新たに追加されたのだと理解しました。
 この追加理由について、投薬回数や投薬方法の違い、これによる患者負担の軽減が挙げられており、この有用性自が体は、評価は非常にすばらしいものであるとは考えます、一方で患者負担の軽減の観点では、ゾルゲンスマについて肝臓への負担が非常に大きい、重篤な肝機能障害が出ることもあると聞きます。こういうケースには、予防のために別途投薬が必要であるケースがあるとも聞いており、これは逆に患者負担という観点から大きなマイナスポイントであるのではないかと考えておりますが、この点、評価はどういうふうに考慮されたのか、されていないのか、お教え願えればありがたいと思います。
 そもそも、3-eの項目が非常に曖昧と思っておりまして、判断を難しくする一つの論点ではないかと思っております・この患者負担の軽減の観点で特に著しい治療方法の改善が示されたと判断された理由について、その投与回数、投与方法以外でも何かあったのか、その辺をもう少し詳しく教えていただければと思っております。
 最後に、ゾルゲンスマの費用対効果のH3対象については、今、松本委員からも御意見がございましたように、著しく高額な薬価であり、その費用対効果について評価することには異論はございません。
 しかし、3ページにありますが、承認条件の1に全症例を対象に使用成績に関する調査を実施して、使用患者の背景情報をしっかりと把握するということも踏まえて費用対効果の評価もできるように、併せてしっかりと実施していただきたいと思います。また、その場合は、スピンラザが比較薬としての費用対効果になるのだろうと私は理解をしておりますので、今、御意見もありましたように、スピンラザについてもきちんと使用状況を把握することが必要なのではないかと考えております。
 もう一つ、本件には直接関係ありませんが、去年の5月に同じような高額薬剤としてキムリアが収載されてちょうど1年経ちますが、キムリアも費用対効果の評価対象だったと思いますので、何かお話しいただくことがあれば現状を御紹介いただければと思います。
 以上、3点です。
○小塩会長
 よろしくお願いいたします。
○田宮薬剤管理官
 まず、本剤の製造過程等におけるコスト、どのようなコスト構造といいますか、高額になるのかといった背景についての御質問でございました。
 詳細な資料が手元にあるわけではないのですけれども、本製品の場合ですと、アデノ随伴ウイルス(AAV)を増殖しない形にした上で、そこに必要なSMN遺伝子を搭載したということで、非常に画期的な新しい技術、また非常に難しい技術ということでございます。
 そういう意味では、例えばそうしたプラスミドベクターを産生するためのマスターセルバンクとかワーキングセルバンクとか、そういったものをしっかりと確立した上で、また原薬を製造するための細胞を起源として、原薬製造用のマスターセルバンクあるいはワーキングセルバンクなどを調製していくわけですけれども、その過程で様々な品質管理、すなわち、いろいろなウイルスを否定する試験など、そういった非常に多岐にわたる試験管理、品質管理が必要になると聞いております。
 またそのため、毎回の生産に長時間を要しますし、製造管理の基準、GMPとかGCTP準拠でのスケールアップや各種の品質試験の効率化にも限界があるといったことから、研究開発、製造技術への継続投資が必要とされる反面、生産キャパシティーは限定的となるという話を伺っているところでございます。
 そういう背景もございまして、本製品の開発、製造過程におきまして、それ相応の費用が生じていると理解しているところでございます。
 それから、2点目の御質問につきまして、薬価算定組織の中での不服意見に対する見解のところに関して御質問があったかと思います。
 実際、薬価算定組織におきまして、有用性加算の要件のイの部分とハの部分、それぞれ1ポイントずつ引き上げているということで、合計10%の加算の引上げとなっているところでございますけれども、その過程におきましては、不服意見に関する見解は2ページの下のところに書いてございますとおり、一つめの臨床上特に有用な新規の作用機序という点につきましては、原理的には根治の可能性もあるということ、また、特に早期に投与した場合に高い有効性を示すといった説明があって、そういったところを評価したところでございます。
 また、実際に算定組織におきましては、本品を日本人症例に投与した経験のある治験に参加した医師から新たに御意見を伺って、先ほどの髄腔内注射を行うスピンラザに比較して、静脈内注射で1回の投与で完結するという患者負担の部分。それから、それのみならず、実際に早期投与によって、例えば実際に投与した3例の患者さんがいらっしゃるのですけれども、そういった患者さんも通常の健常児と同様に、つかまり立ちができるとか、あるいは階段を上ったりできるようになったとか、そういった実際の話なども伺った上で、薬価算定組織としては要件のイ、それからハ、それぞれにつきまして1ポイントずつ引き上げる、薬価算定組織として認めることが妥当、という御意見がございまして、それでこういう評価になっているということでございます。
○岡田医療技術評価推進室長
 医療技術評価推進室長でございます。
 先ほど御質問を頂きましたキムリアでございますけれども、キムリアにつきましては、ただいま公的分析を行っている段階ということでございます。
 以上でございます。
○薬価算定組織坪井委員長
 先ほどの2点目に関しまして、薬価算定組織の委員長として御報告しますと、先ほど管理官からお話があったのですけれども、私たちとしても臨床現場でどういう形の効果があったのか、実際に分からないところを、実際に投与された先生がウェブ会議でお見えになられてプレゼンされたところによると、今までは首が据わらなかったりとか歩けなかった人たちが歩けているという状況を御報告されて、今までだと追加でスピンラザの投与が必要になっていた患者さんも、この治療をやることによってそういった治療が早期介入で不要になるだろうというプレゼンを頂いて、そういう意味で画期的だということ。
 それと今後、先ほど費用対効果の話がありましたけれども、継続的な治療が必要なくなるようであれば、真の費用対効果としての評価が受けられると思いますし、恐らく合併症とかも減ることが予想されると考えると、この加算を追加することは妥当と委員の中で意見が出まして、まとめました。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 吉森委員、お願いします。
○吉森委員
 概略は分かりました。今の論点について、先ほど質問しましたが、患者負担として副作用効果といいますか、肝臓障害効果については現状、特に考慮はしていないという理解でよろしいわけですか。
○小塩会長
 お願いします。
○薬価算定組織坪井委員長
 副作用については、考慮はしていないわけではなくて、これもやはり最終的には費用対効果に関わってくることだと思うのですけれども、現状においては、日本の患者さんで肝障害で大きなトラブルになったという報告はなかったので、我々としては有用性のほうをむしろ評価している。
 薬剤というか、薬に関して言うと、必ず副作用はついて回るものなので、効果とのバランスで決めるというのは臨床の判断だと思うのですけれども、そういう意味では今回は効果のほうが副作用を上回っているという判断で我々は今回のお薬を評価していると御理解いただけたらいいと思います。
 もちろん、最終的には費用対効果のところで御判断いただければいいのではないかと思います。
○吉森委員
 ありがとうございます。
○小塩会長
 ほかに御意見があったかと思うのですけれども、島委員、先ほどお手が挙がっておりました。よろしくお願いいたします。
○島委員
 ありがとうございます。
 このゾルゲンスマでございますが、スピンラザを先行して治療を行った施設が、指定医療機関で先生がゾルゲンスマを使いたいということになれば、当然、そこは認められるということになるのだろうと思いますけれども、その辺の費用対効果のところがどうなるのかというのがちょっと問題としてはございます。しっかり、そこは算定していただきたいと思っております。いかがでしょうか。
○小塩会長
 お願いします。
○田宮薬剤管理官
 御指摘の点でございますけれども、先ほど申し上げたとおり、日本小児神経学会におきましてゾルゲンスマ点滴静注の適正使用指針というものを定めております。それを踏まえ、例えば本品の投与に当たっては、脊髄性筋萎縮症の診断、治療及び不具合・有害事象発現時の対応に十分な知識と経験を有し、製造販売業者が実施する本品の適正使用に関する講習を修了した複数名の医師による判断に基づき行うこととか、あるいは指針に記載された施設要件等に準拠した副作用が発現した際に必要な対応を取ることが可能な医療機関で使用するよう十分留意することとか、そういった内容を留意事項通知に記載し、適正使用を推進していきたいと考えているところでございます。
○島委員
 分かりました。
○小塩会長
 次にお手が挙がっていたのが、今村委員です。お願いいたします。
○今村委員
 ありがとうございます。
 ゾルゲンスマについて質問が1つと、意見を2つ言わせていただきたいと思います。
 本当に難病で、治療が困難な病気に対して、静脈注射で1回で治療が済む。それから、先ほどお話があったように、歩けなかった方が歩けるようになるというのは、本当に患者さん・御家族にとっては朗報だとは思います。
 それを前提として、有効性の評価の1つ主なものに、永続的な呼吸補助を必要としない生存の時間というものが書かれておりますけれども、この永続的な呼吸補助を必要としないという定義が、14日以上連続して日に16時間以上の呼吸補助というのがいわゆる永続的な呼吸補助ということなので、仮に10日間連続して1日12時間以上呼吸補助をしていても永続的な呼吸補助をしなくて済んだという判断になるという理解でよろしいのかどうか。
 そして、先行して使われているアメリカで、2歳未満でまだ症状が固定していない患者さんに使われたときに、全く呼吸補助をしなくて済んでいるケースがあるのかどうかというのを教えていただきたい。これは質問です。
 それから今回、先駆け審査指定加算10%がついているわけですけれども、これは、同社は先駆け審査指定制度に公募して入ったわけですけれども、その後、先駆け総合評価相談というのを全く活用していない。全く相談がなかったために、PMDAから有効性・安全性の課題の事前整理が困難であったという異例の報告書が出ているわけです。
 つまり、公募して、ただ自動的に先駆け審査制度に乗っかれば、何の手続をしなくても10%の加算がつくということについては、本当によいのかどうかということについて、これは極めて問題だと思っています。
 同じことなのですけれども、そういう手続上、薬事の申請のところでは極めて問題のある行動だったわけなのに、今度は価格の話になったら不服意見は速やかに出されて、ポイントが1ポイントずつ増えて2ポイントで10%の加算が増えた。これは10%というと、金額で言うと1044万円になるわけです。だから、この非常に高価なお薬の場合に、こういったパーセントで自動的に計算するということについてもやはり違和感があります。
 これについて、今後も厚生労働省はこのように続けていかれるのかどうかということ、これは意見でもあり質問でもあるのですけれども、ぜひよろしくお願いいたします。
○小塩会長
 では、御回答をお願いします。
○河野医療機器審査管理課長
 医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長でございます。御質問ありがとうございます。
 まず、今村先生の最初の御質問でございますけれども、呼吸の補助に関しまして、永続的な呼吸補助の定義ということにつきましては、先生の御指摘のとおりでございます。
 ただ、1つ御説明させていただければと思いましたのは、このSMAの患者さん、Ⅰ型からⅣ型までの主に4つの種類に分かれると聞いておりますけれども、今回ゾルゲンスマが主な対象としますのはそのうちのⅠ型、一番重篤な患者さんの群だと理解しております。そのような患者さんに関しましては、従来、治療法がない段階ですと、2歳までにお亡くなりになられるか、あるいは永続的な呼吸補助が必要な状況になると伺っているところでございます。
 したがいまして、先生の御指摘のとおりに、永続呼吸補助から外れるようなことが定義上はあり得るかもしれませんけれども、実態としてはやはり永続的に呼吸の補助が必要な患者さんの群であると理解しているところでございます。
 それから、先駆けの後、審査の過程において企業の対応が非常によくなかったといった御指摘も頂いたところでございます。
 これにつきましては、申請前の段階で申請企業のほうから先駆けの総合評価相談、一応、これは相談自体に申し込んでくれてはいるのですけれども、十分な活用がないままに申請がなされて、結果的にPMDAとの照会回答に非常に長い時間がかかったといったこともございました。また、さらにデータの信頼性に非常に問題があるといった対応もありまして、審査期間としても長くかかってしまったということでございます。
 この件につきましては、現在も企業との間で再発防止策に向けた議論を重ねているところで、まだ企業においても引き続き再発防止策について検討を続けているという状況でございます。
 私からは以上でございます。
○田宮薬剤管理官
 続きまして、薬剤管理官でございます。
 先駆け審査指定制度の加算の部分につきましては、今、医療機器審査管理課長からございましたとおり、先駆け審査指定制度の運用についても引き続き議論されると理解しておりますし、それも踏まえつつ、現行の薬価算定上の取扱い、先駆け審査指定制度として指定された品目についての加算の取扱いについて、薬価制度上どのようにこのようなケースについて考えていくのかということについては、次期薬価制度改革に向けて議論していきたいと考えております。
 また、ベースの価格が高額な製品に加算率をそのまま適用するのかということにつきましては、実は今回の令和2年度の薬価制度改革におきまして、まさにそういう問題意識もございまして、単価が1000万円を超える再生医療等製品でピーク時の予測市場規模が50億円を超えるものにつきましては、その加算率について傾斜配分するというルールも導入させていただいたところでございます。
 したがいまして、本製品の場合ですと市場予測規模がそこまで至りませんでしたので、そのルールの適用にはなりませんでしたけれども、そのルールの在り方等についても、必要に応じて引き続き検討するということで進めていければと思っているところでございます。
○薬価算定組織坪井委員長
 最初の御質問でありました、今村先生がお話しになられた、対象の患者さんがどちらかというと2歳未満で動けないという状況から治療したら歩けるようになったという報告ではなくて、私たちが聴取した内容だと、むしろ生まれる前から遺伝子検査があって、あるいは生まれた直後に遺伝子検査をやって、本疾患の対象になった患者さんに早期に治療介入することで、従来であれば歩けなかった、首が据わらなかったお子さんたちが歩けるような、正常健常児と同じような発育の過程を取ったというふうな報告を有用性加算として認めるので、既治療例にこれが本当にいいかどうかというのは、特に日本人においてはもうちょっと評価が必要かなと思いますけれども、そこで逆に言うと、そこでも話が出たのですけれども、要するに胎児の段階で、生前にもし遺伝子検査とかで出てきたときに、スクリーニングで早く発見できるようなことがあれば、より多くの患者さんを減らすことができるのではないかという議論にもなりました。
 詳細をつけ加えておきます。
○小塩会長
 今村委員、お願いします。
○今村委員
 ありがとうございました。いろいろ御説明を頂いて、よく分かりました。
 非常に重篤な症例を対象としているので、ある程度症状が固定してしまってからでは、このお薬を使っても、先ほどお話があったように、呼吸補助等はずっと続けなければいけないというような理解で、できるだけ早期にこのお薬を使って、呼吸補助を必要としない、あるいは日常生活が通常に近く送れるようにしていくことが非常に重要なのだと思います。
 これは費用対効果で、先ほどから議論がありましたけれども、例えば将来的に全く呼吸補助をしなくても済むようになるケースが非常に増えてきた。あるいは本当に歩行が普通にできるようになった人が増えてきたという非常に有効なお薬なので、では、これは費用対効果でもう少し価格を上げるべきだという議論にならないようにしていただきたいと思います。というのは、そこまで根治の可能性があることを前提にして今の価格をつけていると理解をしております。
 それから、先ほどの先駆け審査の指定のお話、加算の在り方については、これからぜひ慎重に御議論をいただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 次、お手が挙がっているのは幸野委員ですね。幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 史上最高額の1億7000万円ということで、慎重に議論すべきだと思うのですが、まさにこういうものは公的保険で対応すべきで、保険収載には賛成いたしますが、価格とか加算の追加対応について意見を申し上げたいと思います。
 まず、1点目の確認なのですが、資料総-3の効能・効果の括弧書きで(臨床所見は発現していないが、遺伝子検査により脊髄性筋萎縮症の発症が予測されるものも含む)という条件になっていて、これは学会の指針にも同じ表現が書いてあるのですが、これは発症していなくても遺伝子検査で欠損が確認されればこの薬は投与されるという理解でよろしいのでしょうか。
○小塩会長
 お願いします。
○河野医療機器審査管理課長
 医療機器審査管理課長でございます。御質問ありがとうございます。
 先生の御指摘のとおりでございまして、本剤につきましてはなるべく早い段階から投与されることがその後の効果の持続にもつながるといった考え方もございますので、臨床症状がない段階で遺伝子検査により発症が予測される方に関しましても投与するということにつきまして、審査上、効能・効果に含めさせていただいたものでございます。
○小塩会長
 幸野委員、よろしいでしょうか。
○幸野委員
 ということは、家族に同じような遺伝子を持つ方がおられる場合には、遺伝子検査を行って治療するということも可能だということですか。
○小塩会長
 お願いします。
○河野医療機器審査管理課長
 ありがとうございます。
 やはり、この疾患に関しては、気づきの一番最初というのが、先生御指摘のとおりに、家族歴といったところから疑うところもあると伺っておりますので、そういったようなケースもあろうかと思っております。
○幸野委員
 そのような場合に、遺伝子検査を行いますが、遺伝子検査の精度というのは確認されているのでしょうか。
○河野医療機器審査管理課長
 一応、こういった遺伝子検査に当たっての体外用の診断薬といった形での確認がなされていると理解しております。
○小塩会長
 幸野委員、よろしいでしょうか。
○幸野委員
 分かりました。
 それを含めて、予測本剤投与患者数が25人と記載されています。しかし、もしそれを含めるとなると、もう少し多くなるのではないかと思うのですが、これが全て確認されていることであれば、それを信じたいと思います。
 もう一つは、先ほど今村先生が御指摘された先駆け審査指定制度の加算なのですが、これについても私は疑問がございます。これは元が高いので10%の限定的な加算でも1,000万円を超える額となっているのですが、聞くところによると、メーカーが不適切なデータの提出を行って審査が行われたとか、PMDAの相談を活用しなかったということがあるそうです。それから、この制度の対象になっている主たる臨床試験が本邦で実施されているということがあるのですが、実際は実施されていなかったというような欠格事由があるにもかかわらず先駆け審査指定制度が取り消されなかったことについては、疑問を持っています。
 これは限定的にしたということですが、加算の対象としないというのが適切なのではないかと思います。その辺についてもう一度お聞かせいただきたいというのと、見解をお教えいただきたいと思います。
○小塩会長
 この点についてお願いします。
○河野医療機器審査管理課長
 御質問ありがとうございます。私のほうから、まず先駆け指定制度の指定の要件と、今回のこのケースに関しての該当性についての御説明をさせていただきたいと思います。
 先駆け指定制度におきましては、4つの要件、治療法の活気性、対象疾患の重篤性、対象疾患に係る極めて高い有効性、それから4番目といたしまして、世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制を有しているかという、この4つの要件についてで該当性を判断するものでございます。
 特に今回、4番目の世界に先駆けて日本で早期開発する、申請するという点についてが課題かと思っておりますけれども、今回のケースにつきましては、承認時点におきまして、日本における早期開発の意思を有しており、なおかつ申請そのものも世界に先駆けて、あるいは同時申請も含めまして申請がなされたといったことから、先駆け指定制度におきますこの4つの要件については満たしていたといったことで、特に指定の取消要件には該当しなかったという判断をしたところでございます。
○田宮薬剤管理官
 続きまして、薬剤管理官でございますけれども、加算の適用に関してでございます。
 御指摘の点でございますが、現行の薬価算定の基準におきましては、先駆け審査指定制度加算につきましては、先駆け審査指定制度の対象品目として厚生労働省から指定された新規収載品を対象として加算を行うという形でルールを設定しているところでございます。これはもちろん、先駆け審査指定制度の要件を満たさなくなれば、当然、その対象から外れるということを念頭に置いた上でこういった形の規定になっているということでございます。
 現行のルールに照らしますと、本剤についてはこの形で適用させていただくということになろうかと思いますけれども、先ほど今村委員からも御指摘がありましたとおり、先駆け審査指定制度の運用の今後の在り方も見据えつつ、薬価制度上のこういった事例が出てきた場合の加算の取扱いをどのようにするのかということは今後検討させていただければと思っております。
○小塩会長
 幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 指定基準の4つを先ほどおっしゃいましたが、お聞きしたいのは、その中にFIH試験やPOC試験が日本で行われていることも要件になっていると思うのですが、これが行われたのか、また、実際の承認期間がどのくらいになったのかを併せてお聞きしたいのです。
○小塩会長
 お願いします。
○河野医療機器審査管理課長
 御質問ありがとうございます。
 指定に当たりまして、日本国内でFirst In Humanが行われるかどうかというところにつきましては、指定の要件にはなってございません。画期性、あるいは疾患の重篤性、疾患に対する高い有効性、こういったところを中心に評価を行った上で、申請自体が世界に先駆けて、あるいは同時申請を行うかといったような観点で見ているものでございます。
○小塩会長
 幸野委員、よろしいでしょうか。
 お願いします。
○幸野委員
 実際の審査期間は何か月あるのでしょうか。
○小塩会長
 お願いします。
○河野医療機器審査管理課長
 すみません。おおよそ1年数か月だったと記憶しております。細かい数字は確認させていただきたいと思いますが、今のところ、1年数か月だったと思っております。
○小塩会長
 幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 先駆け審査指定制度の場合は、審査期間は一刻も早くということで6か月程度という基準が出されておりますので、先ほどありましたように、これはもう少し厳格に運用していただきたいと思います。
 それから、最後に確認させていただきたいのですが、これほど高額な医薬品なので、最適使用推進ガイドラインが国から出されるべきだと考えていましたが、これは限られた患者に限定的な医療機関だけで使用するということで、最適使用推進ガイドラインは不要という管理官からの御説明がありました。しかし、これほどの高額な医薬品であれば、今、資料にはないのですが、既存の医薬品と比較して有効性が著しく高いという条件を適用し、学会が出している幾つかの重要な点を国がきちんとガイドラインとして設計するということが必要ではないかと思います。
 もし、最適使用推進ガイドラインを出されないのであれば、留意事項通知はどのような形で出されるのかをお伺いします。この場で留意事項通知案ぐらいは出てもよかったかと思います。どのような留意事項通知が発出されるのか、また、それは中医協の了承を得るのかお伺いしたいと思います。
○小塩会長
 お願いします。
○田宮薬剤管理官
 保険適用上の留意事項通知につきましては、医薬品の場合ですと、基本的には薬事承認された添付文書の記載を引用して、そのうち保険適用上の留意点を通知するという形で、今まで発出してきているところでございます。
 また、併せて最適使用推進ガイドラインが策定された場合には、その内容も含めて、中医協にも留意事項通知の記載内容を御確認いただいて発出しているということでございます。
 本剤の場合ですと、先ほども申し上げましたけれども、最適使用推進ガイドラインは策定されておりませんので、そういう意味では留意事項通知は添付文書の記載内容を踏まえてということになろうかということで用意をしております。
 ただ、先ほど申し上げたとおり、添付文書の中で関係学会が策定した適正使用指針を遵守することとされておりますので、日本小児神経学会のゾルゲンスマ点滴静注適正使用に従い使用するということを留意事項通知の中で記載させていただきたいと考えております。
 また、添付文書の記載を踏まえた保険適用上の留意事項という意味では、当然、本品の効能・効果または性能に関連する使用上の注意に、「SMN1遺伝子の両アレル性の欠失又は変異が確認された患者に投与すること。」、「2歳未満の患者に投与すること。」及び「承認された体外診断薬を用いた検査により抗AAV9抗体が陰性であることが確認された患者に投与すること。」といった記載がございますので、以下の点を診療報酬明細書の摘要欄に記載するということを求めたいと思っております。
 具体的には、今、申し上げたSMNI遺伝子の遺伝子検査の実施年月日と、本品の投与日齢、それから、抗AAV9抗体が陰性であることを確認した検査の実施年月日について記載として求めたいということでございます。
 これらについては添付文書に記載されている内容でございますので、本日は改めてお示しはしておりませんけれども、通常の取扱いと同様に、このような形で適切な留意事項通知を発出したいと考えているところでございます。
○河野医療機器審査管理課長
 医療機器審査管理課長でございます。
 先ほど、審査期間がどのくらいかかったのかというお尋ねでございましたが、2018年11月に申請がございまして、本品は今年の3月に承認をしておりますので、約1年4か月の審査期間であったということでございます。
 以上でございます。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 それでは、間宮委員のお手が挙がっています。お願いします。
○間宮委員
 ありがとうございます。
 ほかの委員の方からも出ていますし、いろいろ説明はされていますけれども、先駆け審査指定制度の加算の10%については、あまり理解できないというか、賛成できないなと思っています。
 これは、審査の期間が1年4か月も要したということについては、やはり薬を待っている患者・家族にとっては、命に関わることでしたから、本当に待っていたと思うのですよ。それがこれだけ、企業の不備と言っていいと思うのですけれども、不手際で遅くなった。それにもかかわらず10%加算されるというのはちょっと理解できないですし、それを一企業に対して再発防止について言うのではなくて、これは全体的に、こういうことがあったらもう加算はしませんということをきちんと先に伝えておく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○小塩会長
 今の点、いかがでしょうか。
○田宮薬剤管理官
 繰り返しになりますけれども、先駆け審査指定制度の薬価算定上の適用の在り方につきましては、今後しっかりと議論させていただきたいと思います。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。ほかに御意見はございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見、御質問はないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 続きまして「新型コロナウイルス感染症に係る抗原検査の保険適用に伴う対応について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○森光医療課長
 資料総-6を御覧いただきたいと思います。
 まず、この「新型コロナウイルス感染症に係る抗原検査の保険適用に伴う対応について」ということでございますけれども、この抗原検査のキットにつきましては、本日5月13日に薬事承認をされまして、企業から保険適用の申請が提出されました。
 これに基づきまして、本日の早朝でございますが、保険医療材料専門組織において持ち回りで審議をしていただきまして、本日、現在、中医協総会で保険適用についてお諮りするということでございます。
 通常であればE3の申請ですので、中医協総会で了承された月の翌月1日に保険収載となりますけれども、今回、このCOVID-19に対する検査態勢の構築を早急に進めるという観点から、緊急に了承をお願いするというものでございます。
 この総-6の最初にありましたように、緊急ですけれども、そういう形で保険を適用するということでお諮りするものでございます。
 保険適用の概要でございますけれども、検査価格の実態を踏まえまして「マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)」と書いてありますが、この検査に関しては免疫クロマト法を使用しておりますので、このマイコプラズマ抗原定性法を準用させていただくということでございまして、この4回分、600点を準用するということでの御提案です。
 この検査については、SARS-CoV-2の検査を目的として薬事承認もしくは認証を得ている方法で検査を実施すること。COVID-19の患者であることが疑われる者に対して、COVID-19の診断を目的として行った場合に算定をする。
 それから、診断の確定までの間に、1回に限り算定する。ただし、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかない場合はさらに1回に限り算定できるという形で、この対象を考えているというものでございます。
 下の括弧でございますけれども、併せてこの検査については、当然、どのような形で用いるのか。それから、自己負担についても、以前のPCR検査、これが自己負担については公費負担となることでございますので、同じような取扱いにするということ等の取組が併せて必要でございますので、そこにありますように3つ「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」というものに関しての届出の基準の変更。
 それから、キットの活用に関するガイドラインの発出。これを感染症部会のほうで本日、持ち回りで御議論いただいて確定をさせていただいたところでございます。
 また「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて」に関しての改正を行いまして、患者負担相当額の取扱いの周知、これらを行うということを併せてするということでございます。
 まず、このキットに関しての概要につきまして、医薬局から御説明を頂きたいと思います。
○小塩会長
 お願いします。
○河野医療機器審査管理課長
 医療機器審査管理課長でございます。お手元の資料総-6(参考1)を御覧いただければと思います。
 総-6(参考1)でございますけれども、本日、医療課長から今、お話がありましたとおり、本品につきまして薬事の承認を行ったところでございます。
 本品の製品の概要を1.で書いてありますが、鼻咽頭拭い液中の抗原の検出という使用目的で用いるものでございます。
 審査の概要を簡単に御説明いたしますが、特にこの性能につきまして、2ページ目の最初の○になりますけれども、審査において限られた例数ではあるものの、本品につきましては約8割から9割の陽性一致率があるということ。
 あと、陰性一致率はほぼ100%ということで、まだ審査の段階におきましては十分なデータが集まっているわけではございませんので、引き続き製造販売後におきましても、性能の研修を求める承認条件を企業に付した上で承認することが妥当だということで本日承認したものでございます。
 私からの説明は以上でございます。
○森光医療課長
 続きまして、ガイドライン等の説明につきまして、感染症課長からお願いします。
○日下結核感染症課長
 健康局結核感染症課長です。
 資料総-6(参考2)を御覧いただきたいのですけれども、先ほど医療課長から御説明がありました、本日の朝、感染症部会で持ち回り決裁で成立をいたしました届出基準でございまして、現在、新型コロナウイルスについては指定感染症という枠組みで届出の基準が設けられておりまして、これまで確定診断としてはPCR法のみが決められていたところでございますけれども、今回新たに迅速診断キットによる病原体の抗原検出ということで、咽頭拭い液を用いた抗原検査が追加をされたところでございます。
 続きまして、資料総-6(参考3)を御覧いただきたいのですけれども、今回のこの抗原キットの使用についてガイドラインを定めたものでございます。
 今回承認をされておりますこのキットにつきましては、これまでの科学的知見に基づきまして、適正な使用を推進する観点から、このガイドラインの中で留意事項を示したものでございます。
 しばらくの間ですけれども、これを使用させていただく期間については、患者の発生が多い都道府県において、そして帰国者・接触者外来及び全国の特定機能病院から供給を開始させていただきまして、その後に生産量が拡大した状況で、全国の各特定機能病院から供給を拡大していきたいと考えております。
 また、抗原検査の感度を十分理解した上で、医師の必要性の判断に基づき使用することとしております。
 2番目に参りまして、本キットの特徴でございますけれども、PCR法と比べましてどうしても感度が低いということがございますので、無症状の者に対する使用あるいは無症状者に対するスクリーニング検査目的の使用では適切な効果は発揮できないとしております。
 3番目で、キット使用の用途でございますけれども、新型コロナウイルス感染症を疑う症状があると判断した者に対して、必要を認めた場合に使用することとしております。
 次のページに参りまして、使用の方法ですけれども、鼻腔の奥に行き止まる部位まで棒を挿入していただいて、数回擦るようにして粘膜を採取するということにしております。
 結果の解釈ですけれども、先ほど申し上げましたけれども、感度の問題もございまして、陰性の場合、必ずしも感染をしていないことを意味していないということがございまして、除外診断には適さないということで、陰性の場合については確定診断のために医師の判断においてPCR検査を行う必要があるとしております。
 6番目になりますけれども、このキットによる検査の用途及び使用法でございますけれども、まず、帰国者・接触者外来や検査センター及び医療機関における対応ということで、無症状者への使用についてはちょっと修正をしておりまして、ここの中では「排出するウイルス」となっておりますけれども、修正ではこれをより明確にするという形で、検査前確率が低いことが想定されることから、現段階において、使用は推奨されないと修正をさせていただいております。
 また(2)においては誤植がございまして、その2つ下ですけれども「PCR検査と抗原検査を併用して行う」と修正させていただいております。
 以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、質問等ございますでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 COVID-19の抗原検査キットが薬事承認されたことを踏まえて、この600点の準用点数で保険適用することについては了承したいと思います。
 しかしながら、検査が必要とされるところにしっかりと早めに供給されるように、厚労省にはその対応をお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 何かありますか。
○森光医療課長
 先ほど感染症課長からも説明されたように、現在については十分な供給体制にありませんけれども、至急、それを増大というのは企業にもお願いをしておりまして、順々に全国に配給していくという体制を取ることになっております。
○小塩会長
 ほかに、御意見、御質問はございますか。
 吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 今回のこの抗原検査の保険適用については、PCR検査の実施可能件数が限られている中で、医師の必要性の判断により、簡潔な方法によって、陽性者を早期に診断することでPCR検査を補完する位置づけや、感染拡大の防止に資する意義については理解をいたします。
 しかし、一方で今回のガイドラインにおいて、陰性の場合に確定診断のために、医師の判断においてPCR検査を行う必要があるとされておりますし、抗原検査全ての陰性者を医師の判断によるとはいえPCR検査をすることは、現状、その実効性において医療現場のキャパの観点からも非常に今、困難な命題であるのではないかと考えております。
 また、総-6(参考1)の医薬・生活衛生局の資料の3ページ「(5)専門協議」の意見の中で、非感染の確定診断のためのPCR検査等の追加実施の必要性を添付文書で明確に注意喚起すべきであるとあり、これに対応したとあります。例えば抗原検査の結果が陰性であっても、体調不良が続くようであれば、自宅待機をどれぐらいするのか、今、出ているような指針でやるのかなど、抗原検査を薬事承認して保険適用するという今回の対応だけでなく、それにより起こり得る現象について、やはり個々人や企業対応、日本社会全体がどのように対応していけばいいのか、そうした基準、指針、方針等も併せて示していただくことが必要ではないかと考えております。
 医療現場で混乱が起きないよう、PCR検査と抗原検査の役割分担、実施基準、これも明確にされることを信じておりますが、やはりきちんと厚労省として対応していただきたいと思います。これについてどういうお考えなのかをお聞かせいただければと思います。
 また、国民目線からすると、どのような症状が検査該当になり、どこの機関で抗原検査が受けられるのかということも非常に重要な情報であるのではないかと考えておりますし、先日の保険適用したオンライン、電話等による初診などと同様に、実施可能な医療機関へのアクセスの在り方等をぜひ明示して公表していただくということは非常に重要な検討課題ではないかと思っております。この件についてもお考えをお聞かせ願えればと思います。
 以上です。
○小塩会長
 では、御回答をお願いします。
○日下結核感染症課長
 結核感染症課長でございます。御質問ありがとうございました。
 抗原検査につきましては、まだPCR検査と比べて感度が低いということでございまして、では、その感度が、申請したデータとしてはあるのですけれども、実際に患者さんの中でどれぐらいの頻度でウイルスが上がってくるのか、それをどれぐらいで検出できるのかというところについて、まだまだ症例数が足りないと今、我々は考えておりまして、そこで本日お認めいただいた後にですけれども、幾つかの医療機関を通じて比較対照試験をやっていきたいと考えておりまして、その結果を踏まえて、新たに本日、参考資料3にお示しさせていただいたガイドラインの更新をしていきたいと考えております。
 2点目の御質問ですけれども、現在、先ほど医療課長からも御説明がありましたけれども、供給量が限られているという状況がございまして、これは上げていかないといけないのですけれども、この限られている状況の中でまずは一番、こういった抗原検査が必要とされている帰国者・接触者外来といったところでまずは供給を速やかに開始していきたいと考えております。
 また、迅速な検査が必要であると思われる、例えば医療機関の外来、特に救急の現場、こういうところでも活用が期待をされるということで、こういったところにも配付をしていきたいと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 何人かの方からお手が挙がっておりますけれども、佐保委員が先にお手を挙げていらっしゃいましたので、佐保委員、お願いします。
○佐保委員
 ありがとうございます。
 今回、抗原検査の保険適用に関しては、特に異論はありません。
 その上で、先ほど吉森委員がおっしゃったように、PCR検査と今回の抗原検査について、使い分けとか活用をうまく効果的にやっていかないと効率が上がらないのではないかと思っております。そうしたところも含めて、ガイドラインなどの周知徹底が必要と考えます。
 また、前々回、第456回の中医協でも発言した、院内感染を防ぐための無症状の患者に対する手術や内視鏡検査、救急医療などの診療を行う前の感染の有無を調べるPCR検査、それから、医療従事者へのPCR検査などを保険適用や公費助成することについて御質問させていただきましたけれども、現状、どういった動きになっているのかお伺いしたい。
 また、今回の抗原検査をこうしたニーズに応える形で今後活用される予定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 お願いします。
○森光医療課長
 まず、PCR検査の関係でございますが、PCR検査につきましては、医師が診療のために必要と判断された場合に関しては、基本的には検査ができるという状況でございます。
 御指摘の手術ですとか入院前の患者さんにというところに関してですが、これについては、幾つかの病院の学会ですとか関係者の方々にお話を聞かせていただいて、どのような形で活用していくのかということについて、今、まとめているという段階でございます。遅くなって申し訳ございませんが、そのような段階であります。
 それから、この抗原検査の活用の関係でございますが、それもほぼ同様に検討しなければいけない話だと考えております。
 ただ、先ほど調査の話がありましたとおり、この抗原検査の能力がどのようなものであるのか、どのような患者さんにどういうときに使えばいいのかというのは、さらに調査をしないと分からないという部分がございますので、それらを含めて、先ほどのPCRの検査の活用と併せて、どのような形で使うのかについても、今、検討しているという状況でございます。
○小塩会長
 佐保委員、お願いします。
○佐保委員
 分かりました。なるべく早く、医療従事者の方、それから、治療を受ける患者さんや家族の皆さんのためにも、速やかな対応をお願いしたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 何人かお手を挙げていらっしゃるのですけれども、次は城守委員、お願いいたします。
○城守委員
 ありがとうございます。
 今の佐保委員の御質問に若干似ているのですけれども、この抗原検査のキットに関しては、保険適用をするということに異論はないわけですが、やはりPCR検査との対象に関して、やや曖昧なところがこのガイドラインでも見て取れますので、現場でその検査をしようかどうかと判断される先生方にとってみると、やや混乱を生じる可能性があるところが想定されると思います。
 ですので、このガイドラインでいいますと、基本的にはドクターが診断に緊急性を要すると判断した、検査が必要な患者さんをまず抗原検査で検査をするという、現時点においての理解という形でスタートするのが妥当ではないかなと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○小塩会長
 お願いします。
○日下結核感染症課長
 結核感染症課長でございます。どうもありがとうございます。
 おっしゃるとおり、このガイドラインの2ページ目に示しておりますけれども、現在考えているのは、これは供給体制の問題もございますけれども、まずは抗原検査をやっていただき、そして、陰性が出た場合にPCR検査をやるということを念頭に置いております。
 一番ポイントになるのは、陰性になった場合に、これはそのままでいいのか、それとも、陽転化するまで待つのか、PCRをするのかというところが現時点で判断がつかないという状況でございまして、それでPCRをもう一回ということを今は考えているのですけれども、この辺りをより明確に判断するという形で、この後ですけれども、実装の研究をやって効率化を目指していきたいと考えております。
 以上です。
○小塩会長
 城守委員、よろしいですか。
○城守委員
 ありがとうございます。
 そのとおりだと思うのですが、現場ではこの抗原検査とPCR検査の使い分けというものが必ず混乱を招くであろうということが想定されますので、その辺り、もう少し分かりやすい形の指針をできるだけ早めに策定していただければと思います。
 よろしくお願いします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 次は猪口委員、お手が挙がっていました。お願いいたします。
○猪口委員
 ありがとうございます。
 この抗原検査ができるようになるということ、非常に我々にとって朗報だろうと思っており、うれしく思います。ただ、まだ数が不十分だということで、なかなか現場に下りていくのに時間がかかるのかなということを危惧しております。
 実際は、私どもが今、非常に苦労しているのが、帰国者・接触者外来を持たない病院、それから、介護施設、そういうところがクラスターになって、かなり大量に患者さんが発生していることなのです。そういうところにいち早く回していただくことによって、そこでの対応が、全て陽性が陽性に出ないとしても、少なくとも陽性が出れば陽性者ということになるので、そこは対応がすぐできるわけですから、そういうような現場にいち早く回していただきたいと思っております。
 よろしくお願いします。
○小塩会長
 よろしくお願いします。
○日下結核感染症課長
 どうもありがとうございます。
 先ほど申し上げた、医療機関、帰国者・接触者外来とか救急の現場、これ以外に今、考えているのが、先ほど委員から御指摘があったクラスターの発生、こういったところも積極的疫学調査をやっていくところにこれを速やかに導入していきたいと考えております。
 ただ、これは全国に一律で配るというのはなかなか難しいので、今、考えているのは、クラスター班が動くときは国立感染症研究所の中のスタッフ、そして今、厚生労働省の中にあるクラスター班のメンバーが一堂にそこに出張することになるのですけれども、そういったところですぐに使えるような形でこれを国立感染症研究所に置くということを想定しておりますので、今回、クラスターが仮に発生した場合については、それが速やかに使えるような形で考えております。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
○猪口委員
 すみません。クラスターが発生してから使うのではなくて、クラスターになるのかどうかということを見極めるために回していただきたいということをお願いしているわけです。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
○日下結核感染症課長
 すみません。ありがとうございます。
 恐らく、そこまでたどり着くにはちょっと時間がかかるかもしれませんけれども、業者とよく話をして、増産をするという形も聞いておりますので、速やかに物が回るように頑張りたいと思います。
○猪口委員
 ぜひよろしくお願いいたします。
○小塩会長
 次、お手が挙がっておりますのは、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 ありがとうございます。
 いろいろな委員から御質問があったこととかなり重複はするかと思いますけれども、現在、供給体制がまだ十分そろってないというお話ですけれども、今後はメーカーがかなりのスピードでこれを供給することになると、今後、供給していく場所というのは速やかにどんどん変わっていくと思いますので、先ほどありましたように、症例数を増やしたり、あるいはガイドラインを早急に見直ししていただいて、いろいろな施設で使えるようにしていただきたいと思っています。
 先ほど、猪口委員から救急の現場等のお話もあったかと思うのですけれども、これはPCRと同じで、都道府県と契約を結んでいるところでないとこの抗原キットは使用できないということであると理解をしておりますけれども、それでよろしいのかどうかということ。
 もう一つ、現状ではPCR検査を実施できる医療機関を中心に供給するということなのですけれども、東京などでは今、PCRそのものの陽性率自体が1割を切っているというお話も聞いています。そうすると、抗原キットを先に使って、それからPCRをやるというと、抗原キットがかなりのマイナスになる。結局、それを踏まえてPCRをやるというと、もともと陰性の人たちに両方やるということが大量に起こってくるので、これはガイドラインの見直しの中できちんと早めに使い分けということをしっかりとできるようにしていただきたいと思っています。
 それから、今、申し上げた都道府県と契約を結ばなければいけないというものについては、厚生労働省が通知を出していただいているようですけれども、なかなか医療機関は簡単に都道府県と契約ができないというお話もいまだ聞いておりますので、ぜひその点につきましても引き続き御尽力いただければと思います。
 よろしくお願いします。
○日下結核感染症課長
 どうもありがとうございました。
 先ほど来、御指摘がありました都道府県との契約については、大臣からもこれはしっかりやるようにと言われておりまして、まずはこの抗原検査が出る前に、PCRについてもしっかりやれということで、つい最近、通知を出させていただいたところでございます。
 先ほど御指摘があったのは、契約をしないとできないというのは、まさにおっしゃるとおりだと思うのですけれども、この部分、抗原検査も含めてですけれども、厚生労働省の中に新たに契約を促進するためのチームをつくって、どんどん進めろという指示も頂いておりますので、皆様方の御希望に添うような形で、契約が推進するような形で厚生労働省としても推進してまいりたいと考えております。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
 それでは、次に中村委員、お願いいたします。
○中村委員
 総-6の保険適用の概要のところで、「診断の確定までの間に1回限り算定する。ただし、本件の結果が陰性だったものの、COVID-19以外の診断が付かない場合には、さらに1回に限り算定できる」と書いてありますが、ここの「1回に限り算定」は、この文章からすると、抗原検査をもう一回算定できるとも読めるのですが、先ほど別の資料で総-6(参考3)の図を見ると、一度、抗原検査で陰性になった場合にはそのままPCR検査と書いてあります。この概要と保険適用の説明の一致性が気になりましたので、より現場に即した形でやっていただければと思っています。これは意見になります。
 以上です。
○小塩会長
 お願いします。
○森光医療課長
 誤解があるといけないので御説明させていただきますが、基本的には最初に抗原検査をやっていただいて、陰性であればPCR検査になります。私もこの2回目のただし、本検査の結果が陰性であった者というところについては、まさにその後、流れでPCR検査をされた後に、これは別の病気かもしれないということを検討される。やはり、どうしても症状が治らなくてもう一回疑うといった場合に、もう一回、この流れが、抗原検査をやって、また陰性であればPCR検査という流れが2回繰り返されるということを想定した上で、そういう形で記載をさせていただいています。
 これはPCR検査と同じ表現になっていますけれども、そのような流れになるということで記載をさせていただいたものでございます。ちょっと分かりにくかったということであれば、それは少し分かりやすいように説明をさせていただきたいと思います。
○中村委員
 我々はこの場で御説明いただくので分かったのですが、なかなか実際に現場では、すぐには理解できない方も多いと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○小塩会長
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 様々な意見が出たので、あえて重複した意見は申し上げませんが、国民の一人として申し上げますと、おそらく、明日のメディアの見出しで、「PCR検査に引き続いて新たな検査が保険適用」という文字が一般紙上を躍ると思います。PCR検査と抗原検査はいろいろ使い分けなければいけないというのは、我々は説明を聞いて初めて分かりますが、おそらく国民は同じような検査がもう一つできたとしか捉えられないと思います。ぜひ、国民が分かりやすいように、このような場合はこのような検査をするというすみ分けを厚労省のホームページ等で整理していただきたいです。多くのメディアは厚労省の情報を整理して挙げているのですが、やはり厚労省がきちんとした国民の受診行動を国民に分かりやすく伝えるということが必要なので、お願いいたします。
 最近、37度の発熱基準が見直されて、さらに新たな検査も適用されて、国民はどうしたらいいのか分からない状態になっていると思います。これを機会に自分が感染したかもしれないと思ったときに、どのような受療行動を取って、どのような検査がどのように実施されるのかを、ホームページ等を利用して、はっきりと国民に厚労省から基準を示すということで、公式の分かりやすいポンチ絵をぜひ作っていただきたいなと思います。これは意見でございます。
○小塩会長
 医療課長、よろしいですか。
○森光医療課長
 コロナ本部と相談しながら、きちんと広報を進めていきたいと思います。
○小塩会長
 染谷委員、お手が挙がっています。よろしくお願いします。
○染谷委員
 ありがとうございます。私は先ほど、県と医療機関との契約が必要というお話があったことで、現場の声をお届けしたいと思います。
 医療機関が既にPCRあるいは帰国者・接触者外来をやっているような大きな病院ならともかくも、これから地方でも医師会と県が契約をして、地域ごとに地域外来検査センターを設けようとしております。
 このときに、県が実施マニュアルを決めるわけですが、例えば静岡県は今週11日に出すと言っていますが、十分な結果が私のところにはまだ来ておりません。
 また、医師会が契約するとなると、医師会が人を雇わないとその対象にならないということで、どうも国から伺ったところでは、市が設置主体になって県と契約をするというようなことが進められていると聞いておりますが、その辺りは実際にどんなふうに進めていけばよろしいのでしょうか。
○小塩会長
 お願いします。
○日下結核感染症課長
 今の御質問は帰国者・接触者外来の設置の話だと思うのですけれども、これは国のほうではいろいろな形で設置をお願いしておりまして、自治体がそのまま設置するパターン。例えば県が医師会に委託するパターンと、県がさらに市町村に委託するパターン、いろいろなパターンがあると思うのですけれども、いずれのパターンでも、ある程度、お金の使い方についてはフレキシブルにやっているのですけれども、問題なのは、実際に受け手側の県の事業としてそれを委託費としてやるのか、補助事業としてやるのかというところでお金の使い方が若干違ってくるというところで、縛りがちょっと変わってくるというところで、自治体さんがどういう事業をそこで組み込むかによって若干縛りが変わってくるというところがあります。
 もう一つの御質問として、検査をする際の契約ということでございますけれども、契約について、厚生労働省として特段設けている条件としては唯一でありまして、実際に検査をする施設の中で、院内感染症を起こさないという施設であればよいということで、しっかりした感染防護のための対応がしっかり取られているところであれば、そこが今後、帰国者・接触者外来をしなくとも、例えば小さなクリニックで1回とか数回限りで抗原検査をしない、あるいはPCR検査をしないといった場合についても契約をしていいですよという形で各自治体には通知をさせていただいております。
 ただ、ここがいま一つ、各自治体さんのところに周知をされていないというか、御理解を頂いていないということが散見されておりまして、この辺りを引き続き周知徹底してまいりたいと思っております。
○小塩会長
 よろしいでしょうか。
○染谷委員
 ありがとうございます。
○小塩会長
 ほかに御質問はありますでしょうか。
 それでは、ほかに御質問はないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○小塩会長
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 本日の議題は以上です。
 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
○松本委員
 すみません。松本です。
○小塩会長
 松本委員、お願いします。
○松本委員
 時間がない中で大変申し訳ございません。本日の資料にはありませんけれども、緊急性を要することといたしまして、新型コロナウイルス感染症への対応についての要望がございます。
 新型コロナウイルス感染の広がりの影響は、ほとんどの業種の経営に非常に影響を及ぼしているということがございます。医療の現場もその例外ではありません。3月下旬以降、急激に経営状況は悪化しております。
 新型コロナウイルス感染症は、例えば酸素療法を実施している中等症の患者さんが急激に重症化することも知られておりますけれども、そういった症状の状況変化に的確に対応できる医療体制が十分に確保されるよう、感染リスクと闘いつつ、昼夜の別なく懸命に治療を行っている医療機関を支える医療保険上の仕組みを検討していただきたいと思いますし、また、医療インフラを崩壊させないためには、感染症患者以外を診療する地域の通常の医療提供体制の維持も大変重要になってまいります。
 したがいまして、国民の生命と健康を守るためにも、今後も診療報酬や交付金を組み合わせた医療機関全体の経営状況を鑑みた医療提供体制が維持できるようにしていただきたいと思います。
 細かなデータは、本日、時間がありませんので示しませんけれども、医療機関によっては4月分のデータで、前年度と比較いたしまして30%以上収入が減少している医療機関が続出しております。
 したがいまして、ぜひこのことについては、今日は周知にしていただきまして、今後の検討につなげていただきたいと思います。
 厚労省としてのお考えを頂きたいと思います。
○森光医療課長
 厚労省としましては、先生のおっしゃるとおり、このコロナの対応等の関係で非常に医療機関、歯科医院、薬局も含めて非常に厳しい状況に置かれていることについては承知をしております。まず4月以降、私どもとしては、コロナを対応されている医療機関の状況等を調べつつ、それに対しての対応をしてきた。委員の先生方にも御協力いただきながら、その対応を考えてきたという状況でございます。
 また、その4月の状況を私どもとしてしっかり把握した上で、どのような形でこの業界における医療機関の経営的な危機にどう対応すればいいのかということについて、しっかり情報を頂きつつ検討しているという状況でございます。
 今後とも御協力をお願いしたいと思っております。
○松本委員
 よろしくお願いします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。
 どうもありがとうございました。




 


 
 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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