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2020年1月24日 中央社会保険医療協議会 総会 第447回議事録

○日時

令和2年1月24日(金)10:30~12:30

○場所

静岡県富士市(富士市産業交流展示場ふじさんめっせ 1階)

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 宮近清文委員 染谷絹代委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
 
<事務局>
濵谷保険局長 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○令和2年度診療報酬改定に係る検討状況について(説明)
○意見発表者による意見発表、中医協委員からの質問


 
○司会
大変長らくお待たせいたしました。ただいまより「中央社会保険医療協議会 総会(公聴会)」を始めさせていただきます。
それでは、田辺会長、よろしくお願いいたします。
○田辺会長
定刻より若干前ではございますけれども、ただいまより第447回「中央社会保険医療協議会 総会(公聴会)」を開催いたします。
開会に当たりまして、委員を代表いたしまして、一言、御挨拶を申し上げます。
本日は、総会(公聴会)に御参加いただきまして、まことにありがとうございます。
当協議会は、診療報酬や薬価など、公的医療保険から医療機関等に支払われる公的価格を決定する権限を有する、厚生労働大臣の諮問機関として設置されております。
診療報酬等に関する事項につきまして、厚生労働大臣の諮問に応じて、審議、答申を行う役割を担っております。
本日は、1月15日に大臣より諮問されました、令和2年度診療報酬改定の審議を行うに当たり、私ども委員が国民の皆様の声を聞く機会といたしまして、公聴会を開催することとしたものでございます。
後ほど意見発表をお願いしております方々から、御意見をいただく場を用意しております。忌憚のない御意見をいただきたいと思いますので、発表者の方々は、よろしくお願い申し上げるところでございます。
それでは、当協議会の委員を紹介させていただきます。当協議会は、1番目といたしまして、医療保険の保険者、被保険者、事業主等を代表する委員、いわゆる支払い側委員、2番目といたしまして、医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員、いわゆる診療側委員、3番目といたしまして、公益を代表する委員、以上の三者により構成されており、必要に応じて専門委員を置くことができるとされております。
本日出席の委員は、皆様方から向かって右側が支払い側の委員であり、前列の左から吉森委員、幸野委員、佐保委員、染谷委員、後列の左から、間宮委員、宮近委員でございます。
皆様方から向かって左側が診療側委員であり、前列の右側から松本委員、今村委員、城守委員、猪口委員、後列の右から島委員、林委員、有澤委員でございます。
次に皆様方から向かって、私の左右に座っておりますのが、公益委員であり、左から秋山委員、中村委員、関委員、松原委員、荒井委員でございます。
そして、私の奥に座っておりますのが、総会に属しております専門委員であり、左から𠮷川専門委員、半田専門委員、田村専門委員でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、厚生労働省からは、保険局長などが同席しております。
なお、会議のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願い申し上げます。
(報道関係者退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
本日の議事の進め方でございますけれども、事務局から令和2年度診療報酬改定の検討状況について説明していただき、その後、意見発表を事前にお願いしております方々から、御意見をお聞きしたいと存じます。
それでは、令和2年度診療報酬改定の検討状況について、事務局より説明をお願いいたします。医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
そうしましたら、現在の令和2年度診療報酬改定の検討状況につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。
お手元にあります資料等を利用しながら、御説明をさせていただきたいと思います。
めくっていただきますと、目次がございますが、そこに書いておりますとおり、まず最初に「令和2年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」ということで、これに関しまして、簡単に説明をさせていただきたいと思っております。
議論の整理についてでございますけれども、1ページの「留意事項」を見ていただきますと、書いてありますとおり、これは令和2年度診療報酬に向けて、これまでの議論の整理を行ったものでございまして、今後、診療報酬に関しては、中央社会保険医療協議会、中医協における議論により、必要な変更が加えられることになるという前提でまとめられたものでございます。
議論の整理につきましては、そこにありますとおり、令和元年12月10日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会、両部会におきまして取りまとめられました、令和2年度診療報酬改定の基本方針に即して整理をさせていただいておるものでございます。
なお、基本方針につきましては、目次にありますとおり、資料の32ページから掲載をさせていただいておりますので、御確認をいただければと思います。
議論の整理でございますけれども、令和2年1月15日の中医協の総会におきまして、取りまとめられたものでございまして、同日、ホームページに掲載させていただき、1月22日まで、ホームページにてパブリックコメントの募集をさせていただいた内容でございます。
また、診療報酬改定に御意見のある方につきましては、本日、意見表明された方以外にも御意見がある場合には、本日のアンケートに記入をしていただければと思っております。
議論の整理につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。
1ページから目次で書いてありますけれども、この整理でございますが、大きな項目立ては4つになってございます。目次にありますとおり「1 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」「2 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」、次のページをめくっていただきまして「3 医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」「4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」ということで、4つに大きく項目立てされておりまして、この項目立ては、先ほど御説明させていただきましたとおり、令和2年度診療報酬改定の基本方針の考え方に沿って4つに項目立てをし、また、改定項目として考えられるものにつきまして、大きな項目に沿って整理をしたものとなっております。
例えばでございますが、かいつまんで御説明をさせていただきます。
「1 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」という内容でございますけれども、これは基本方針の中でも、特に重点的な課題としてまとめられたものでございまして、医師の働き方改革ということで、2024年には医師の残業時間の上限が当てはまることが決まっております。こういう改革に向けて、診療報酬として対応していくということで、この項目が設けられております。
1-1、地域医療の確保を図る観点から、早急に対応が必要な救急医療体制等の評価ということで、これは特に新しい評価という形で設定されたものとなっております。
また、従来から進めてきております、働き方改革の推進といたしまして、1-2、1-3、1-4に挙げてありますとおり、勤務環境を改善するための取り組みの評価ですとか、タスク・シェアリング、タスク・シフティングなどのチーム医療の推進、また、業務の効率化に資するICTの利活用の推進、これまでの改定でも進めてきたものをさらに推進するという内容で、まとめられているものでございます。
「2 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」の説明をさせていただきますが、目次にありますとおり、特に身近であって、安心・安全で質の高い医療ということで、2-1にはかかりつけ機能の評価、2-2は患者にとって必要な情報提供や相談支援の推進、2-3は地域との連携を含む多職種連携の取り組みの強化といった項目を挙げて整理をさせていただき、検討を行ってきたところでございます。
2-7に挙げてありますとおり、特に医療の中でも、重点的に対応が求められる分野ということで、(1)~(11)まで挙げております。例えば緩和ケアなどを含む質の高いがん医療、認知症の患者に対する適切な医療の評価ですとか、精神医療の評価、難病に対する医療の評価といった、特に重点的に対応が必要な分野につきまして、まとめて掲げておりますけれども、その点について、どのような考え方で評価をしていくのかということがまとまっておるものでございます。
2-8につきましては、イノベーションの評価ということで、新たな技術を含む先進的な医療技術の評価と導入といったことをまとめたものでございます。
2-9につきましては、歯科医療の推進ということで、特に口腔疾患の重症化予防ですとか、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進、こういった視点で検討を行い、それぞれ評価すべき項目を議論の整理の中でまとめさせていただいております。
2-10につきましては、薬局、薬剤師の評価ということで、薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と適正化、院内薬剤師業務の評価といったところを主にまとめた内容となっております。
「3 医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」でございますけれども、この内容につきましては、3-1に入院医療の評価をまとめております。
3-2は外来医療の機能分化、3-3が質の高い在宅医療・訪問看護の確保、3-4は地域の包括ケアシステムの推進、3-5は医療従事者間・医療機関間の情報共有・連携といった内容について、まとめたものでございます。
基本的にはそれぞれの医療の分野において、機能の分化・強化、連携を進めるための方策を中医協の中で議論いただき、それぞれの議論の整理の中で必要だと思われる項目についての評価、見直しが提案されている内容でございます。
「4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」でございますが、これは従来から進めております、後発医薬品の促進に加えまして、今年度はバイオ後続品の使用促進といった内容、また、4-3にありますように、市場実勢価格を踏まえた適正な評価等を進めるといった内容が含まれております。
資料の詳しい内容については、大部にわたりますので、簡単に御説明をさせていただきました。
資料の説明、議論の整理の説明につきましては、以上とさせていただきます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、支払い側、診療側から補足での御説明がございましたら、よろしくお願いいたします。
まず支払い側、よろしくお願いいたします。
○○○
特にございません。
○田辺会長
診療側はいかがでございましょうか。
○○○
特にありません。
○田辺会長
それでは、ここからは、本日の開催の趣旨でございますところの一般の皆様方からの御意見を伺ってまいりたいと存じます。
意見発表者につきましては、今回の公聴会の開催案内にあわせて公募を行ったところでございます。公募をいただいた方の中から、意見の内容や発表者のバランスなどを考慮いたしまして、私ども公益委員のほうで、10名の方を選ばせていただきました。本日は、その方々に意見発表をお願いしております。
意見発表に当たりましては、まず5名の方に意見を発表していただき、それらの意見に対しまして、当協議会の委員から質問をさせていただきたいと存じます。その後、残りの5名の方から意見発表をしていただき、それに対して、さらに委員から質問を行いたいと存じます。
なお、時間の関係上、大変恐縮ではございますけれども、意見発表はお一人につき5分以内でお願いいたします。
また、意見発表の初めに、お名前と御職業をおっしゃっていただくよう、お願い申し上げるところでございます。
それでは、最初の方、意見発表をよろしくお願いいたします。
○河西氏 静岡県自動車販売健康保険組合常務の河西でございます。
意見発表の機会を与えていただいたこと、感謝申し上げます。
令和2年度の診療報酬につきまして、地域の総合健康保険組合の立場から、意見を述べさせていただきたいと思います。
経済情勢は緩やかな回復傾向にあると言われておりますが、地方では停滞感もあり、経済回復の実感のない状況であります。その中で、私ども健保組合は、医療保険財政の安定医的な運営を図るため、日々努力しておりますが、高齢化や高額医薬品の保険適用等に伴い、経済成長を上回る医療費の伸びや高齢者医療制度に対する支援金・納付金の負担増等により、極めて深刻な状況に陥っております。
直近の平成31年度、健保組合予算集計によりますと、健保組合全体では986億円もの赤字となっており、赤字組合は全国で6割を超えております。さらに私ども県内の40健保組合では、約8割、31組合が赤字となっており、全国以上に厳しい状況に置かれております。
平成20年度の高齢者医療制度の創設以降、現役世代に一層の負担が課されることとなり、我々健保組合は、事業主様や被保険者様に保険料料率の引き上げを何とか御了解いただくことにより、逼迫した状況をしのいでまいりました。しかし、今後、令和4年から団塊の世代が後期高齢者に到達し始めるため、さらなる医療費の急増が見込まれる一方、制度の支え手である現役世代人口は急速に減少すると予測されており、健保組合の運営は危機的状況に陥ることが目に見えております。
国民負担の軽減を確実に図りつつ、国民皆保険体制を守っていくためには、令和2年度改正におきまして、診療報酬はマイナス改定にすべきだと感じていたところでございますが、昨年末に決定された診療報酬本体の改定率がプラスになったことに対しましては、非常に残念に感じております。
この改定率を踏まえ、医療機能の分化・強化、連携や、患者・国民にとって身近な医療、制度の安定性、持続可能性等の視点を踏まえ、具体的な点数設定等の議論が進められていくと伺っております。議論に当たりましては、さらなる医療費の急増が見込まれている状況を視野に入れつつ、患者の視点に立った上で、限られた医療財源を効率的かつ効果的に配分する観点から、診療報酬全般にわたって適正化・効率化・重点化を図っていくべきではないかと考えております。
その上で、今回の改定に際しまして、我々健保組合、また、国民・患者の目線から、特に重要だと感じていることに関しまして、2点ほど意見を申し上げさせていただきます。
1点目は、医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価についてでございます。国民医療費の約4割を占める入院医療費につきまして、地域で必要な医療が効果的かつ効率的に提供されるよう、医療機能や個々の患者の状態に応じた評価を行い、医療機能の分化・強化、連携を推進することが重要だと考えております。特にほかの入院料に比べて高い報酬が設定され、約35万床の病床数を推移している急性期一般入院料1につきましては、入院医療費の増大や急速な高齢化の進展による患者の疾病構造の変容等を踏まえ、真に急性期入院医療の患者としてふさわしい指標に見直すとともに、重症度、医療・看護必要度の該当者割合を厳格化すること、他の病床へと転換を図るべきではないかと考えます。
2点目は、患者・国民にとって身近な外来医療の評価についてでございます。外来医療は、大病院と中小病院、診療所の機能分化や連携のさらなる推進に加え、患者が理解し、納得して受けられる医療を実現することが重要であると考えております。まずは患者がかかりつけ医機能を有する医療機関を理解し、患者みずからがかかりつけ医を選択できるような仕組みが必要だと考えております。
健保組合も周知には努めてまいりますが、一方で、かかりつけ医機能に係る医療機関の体制を評価した機能強化加算を算定している医療機関につきましては、診療を行う前にかかりつけ医を有する医療機関であることやかかりつけ医の重要性、それによる患者が享受するメリット、初診料に上乗せされる費用につきまして、文章で丁寧に説明していただくことが、患者にとって最もかかりつけ医の大切さを理解し、信頼が増すものと考えておりますので、よろしく御検討願いたいと思います。
以上、今後の具体的な診療報酬点数の設定に当たりましては、こういった点につきまして、御留意、御配慮いただきますよう申し上げ、私の意見とさせていただきます。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
続きまして、2番目の方、よろしくお願い申し上げます。
○小林氏
静岡県医師会の理事、並びに浜松医科大学医学部附属病院の勤務医です。小林利彦といいます。
本日は、病院の立場から意見表明をさせていただきます。
さて、昨今の医療界、とりわけ病院を取り巻く社会情勢は著しく変化しております。実際、地域医療構想の実現と医師確保、働き方改革という三位一体と表現された課題への対応が問われている状況下、昨年9月には、再編統合に向けて再検証が必要な公立・公的医療機関等が公表されましたが、現在もまだ各地域にて、その混乱は続いております。そういった意味では、今回の診療報酬にて、改定の基本方針である4項目の1番目に医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進を重点課題として取り上げたことは、現実的な対応だと評価したいと思います。
また、本体部分の0.55%引き上げに、消費税財源を活用した救急病院における勤務医の働き方改革への特例的対応として、0.08%の増加分が含まれている点も、期待感とともに、今後どのように医療現場に反映されていくのか、見守っていきたいと考えます。
そのような観点のもと、今回の意見表明では、3点について述べたいと思います。
1番目は、さきに述べた救急医療の問題です。再検証が必要な医療機関の選定指標にも救急診療の実績やシェア等が含まれ、今回の特例的対応でも「救急病院に」という文言があるように、今後、救急現場への何らかの支援が行われるものと考えますが、あくまで適切な対応に努めていただき、救急対応の実績が比較的少ない中小規模の病院が、救急現場から撤退を検討するような方向性とはならないようにしてほしいと思います。中小規模の病院が地域にて救急診療からおりるようなことがあれば、基幹病院等の救急医療現場に及ぼす影響は甚大なものとなることを認識してほしいところです。あわせて、救急医療管理加算の算定要件の見直しなども検討されているようですが、地域の実情に応じた適正な評価がなされることを切に願います。
2番目は、医療従事者の働き方改革に絡んだことです。昨今、タスク・シフト、タスク・シェアという言葉がひとり歩きし、医師事務作業補助者と特定行為研修看護師に過度な期待が寄せられ、それが逆に当該職種の業務負担を招いている実態も見かけます。今後、生産年齢人口の減少はさらに進み、医師、看護師だけでなく、病院事務職員を含むメディカルスタッフの採用は困難になっていきます。非常勤採用から常勤採用にしないと、就職者の確保が困難な状況下、各種加算等の施設基準の緩和などを含め、非常勤職員の適正活用や関連職員の業務範囲等の制限緩和なども望まれます。医師事務作業補助者についていえば、加算が登場してから12年目となりますが、比較的限定した職場での人員数に応じた点数設定から、臨床現場全般における診療支援を担う専門事務職員として再評価していくことも検討いただきたいと思います。
3番目ですが、中小規模の病院の位置づけです。日本の病院の約半数は、150床以下の施設ですが、経営的には極めて厳しく、病床数当たりの職員数は、その規模が最も少ない状況となっています。その一方で、現在、地域医療構想の実現に向けて、医療機関のダウンサイジングが進むことが予想されます。その際、経営的に厳しいことで、安易に統廃合という言葉が用いられがちですが、それにより、地域住民のアクセスが大きく悪化することは避けたいところです。
今回の改定では、200床というラインを大病院と位置づけ、選定療養の基準とする方向性などもあるようですが、200床以上の病院が200床未満の施設になっても、経営的に成り立つ財政的支援をぜひともお願いしたいと思います。実際には、地域医療支援病院の位置づけや機能強化加算、再診料などの適正評価対応などを通じて、大病院から中小規模病院への適切な患者誘導とともに、地域にて距離が離れた中小規模病院の存続にも一定程度の配慮を望みたいと思います。
以上が私からの意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
続いて、3番目の方、よろしくお願いいたします。
○町田氏
連合静岡で副事務局長を務めております、町田といいます。
本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
今回の診療報酬改定に関し、保険料を支払う被保険者、患者の立場から、意見を述べたいと思います。よろしくお願いします。
1つ目になります。医師、看護師、コメディカルなど、医療従事者の働き方改革という視点です。患者にとって安心・安全な医療を確保するため、医療従事者の健康や安全を確保するという両面から、医療従事者の働き方改革は非常に重要です。まずは同じ労働者であるという大前提のもと、原則的には労働法規が等しく適用されるべきだと考えます。しかし、医師を初め、建設業、運輸業などといった特定の業種については、個々の労働実態にあわせて改革のあり方について検討が進められていると理解しています。よって、医療という、ある意味で特殊な働き方を求められる職場であったとしても、過重労働を何としても解消していかないと、人材確保が一層困難になると思われます。そういう視点で、丁寧な議論を積み重ねていただきたいと考えます。その上で、救急や周産期を初めとする、病院勤務医の過重労働の解消は喫緊の課題であり、診療報酬において後押しする場合は、働き方改革に取り組む医療機関にのみ、配分をしていただきたいと考えます。
2点目になります。公的医療保険の持続可能な確保という視点です。私たち被保険者においては、みずからの医療費だけでなく、高齢者の医療費の多くを賄っております。医療制度の支え手と言えると思います。毎年、医療費が増加し続ける中で、保険料の負担は非常に重くなっています。そのため、医療提供体制の効率化こそが医療費の増加の抑制になるという視点で、医療機関の機能分化と連携の強化、急性期後の受け皿となる病床との役割分担と連携、あるいは在宅医療の充実、多剤投薬の是正などを通じて、医療をさらに効率化・適正化することが何より大切だと思います。患者、被保険者が納得できる医療の提供を実現する診療報酬に改定されるよう、要望いたします。
3点目になります。公平な医療アクセスの確保という視点です。御当地、静岡県においては、人口10万人当たりの医療機関数、病床数、医師、看護師の人数は、全国平均と比べますと少ない上、病院、医師の偏在が政令指定都市の静岡市、浜松市と比べて、それ以外の市町で大きい地域となっております。県内の比較においても、例えば脳梗塞の標準化死亡比でいうと、県の東部、中西部で100を上回っている実態があります。当然同じ保険料を支払っている患者が等しく適正な医療を受けられるよう、限られた医療資源を効率的に活用・運用することが重要だと思いますし、こうした視点に配慮した診療報酬にしていただきたいと思います。
最後に4つ目、医療のさらなる透明化という視点です。医療や医療費の内容を患者自身が知ることは、患者の納得と安心につながります。患者と医師のより強固な信頼関係を構築することにつながると思います。連合が実施し、2017年12月に公表したモニター調査においても、65歳から74歳では、約4人に3人が診療明細書を活用していると回答しております。診療明細書を活用していると回答した人のうち、約5割においては、常勤医師が高齢の場合でも、例外なく無料発行すべきという厳しい目を向けていることもわかりました。逆に実際のところ、明細書を見ても内容がよくわからないであるとか、処分に困るといった声があることは承知をしております。ただ、医療費は被保険者や企業の大事なお金で賄われております。これを皆で使っているということからすれば、興味がないという一言で済ませてよいものではありません。患者への啓発とあわせ、明細書の発行は、患者の求めがない場合においても、無償で確実に受け取れるものとなるまで、対象を拡大すべきだと考えます。
以上、私からの意見であります。よろしくお願いします。
○田辺会長
ありがとうございました。
続きまして、4番目の方、よろしくお願いいたします。
○赤堀氏
静岡県医師会の副会長を務めております、赤堀彰夫と申します。
私自身は、牧之原市で産婦人科のクリニックを開設しております。
このたび、意見を発表する機会をいただきまして、ありがとうございます。
診療所側の意見として、3点ほど、お話しいたします。
1つ目は、基本診療料の引き上げについてでございますが、地域医療の疲弊の原因に基本診療報の低水準がありまして、住民の健康維持のために、医師として正当に評価されるべき基本診療料の引き上げを望みます。
このたびの改定に当たっての共通認識といたしましては、全世代型社会保障の実現がうたわれておりますが、現在の日本の医療では、多岐にわたる診療科があり、それぞれが質の高い医療の実践に取り組んでいます。しかし、地域によっては、一部の診療科の維持が困難となりまして、住民の健康維持に影響する懸念が生じ、また、十分な診療を実践し、より質の高い医療を提供するために、働き方改革に取り組むために、複数の医師での診療または関連する職種の確保を目指して、実現できない状況も常態化しております。この背景には、医師として正当に評価されるべき基本診療料の低水準がございます。特に初診料・再診料等は据え置かれたままでありまして、地域の医療を維持するためにも、増額などの適切な評価を受けるべきだと考えます。
2番目でございますが、かかりつけ医の要件緩和についてでございます。かかりつけ医は、全世代型社会保障の一翼として重要でございます。機能強化加算、地域包括診療加算は要件を簡略化して、かかりつけ機能を診療内容から評価する仕組みの構築を望んでおります。かかりつけ医は、最新の医療情報を有して、地域医療、保健福祉を担う総合的な能力を有する医師であるとして、診療体系の議論が継続されておりますけれども、地域医療を最前線で担う診療所、医師は、それぞれが各診療科の専門医であり、ほとんどの地域での住民の対する医療は、診療所開設医師により、過不足なく住民の健康を維持することに寄与しておりまして、このため、地域は1つのホスピタルとして機能していると言っても過言ではございません。
医療の分野では、それぞれが専門的かかりつけ医として、疾患の治療と関連する疾患の対応にかかわるとともに、関連する診療科についても、総合的に診療する努力を怠っておりません。しかし、かかりつけ医として機能強化加算を請求する要件、地域包括診療加算等の要件にも、一部の診療科、診療所以外ではハードルが高いとされるものです。さらにかかりつけ医を対象とした機能強化加算にも、具体的説明と同意の要件についても議論がございまして、実際上はかかりつけ医として機能する診療所が少なくなっているという結果となっております。各診療科にかかわるかかりつけ医の要件について、診療内容の評価をお願いしたいと思うところです。
3番目でございます。診療報酬の再配分についてでございます。将来の社会基盤のための少子化対策に重要な産婦人科・小児科などへの診療報酬上の再配分を望んでおります。各科における診療報酬上の格差は、対象疾患や診療内容のリスクの軽重とともに、医師の診療科の選択に大きな影響を与えております。妊婦加算も凍結された上、産婦人科・小児科では、少子化を前提に、希望する医師も減少しておりまして、少子化により診療報酬給付対象が減少しております。社会全体でサポートする仕組みは、診療報酬でも必要でありまして、全世代型社会保障は、胎児、小児からなされてこその施策でございます。このため、これらの科に診療報酬上の手当をする施策が望まれ、少子化への対応として、医師確保を誘導する必要性がございます。
例えば私が専門とする産婦人科では、より正確な診断のために、経膣もしくは経直腸超音波診断がなされております。臨床検査技師が行う経皮的超音波診断法による超音波診断に比べて、経体内超音波診断はより高い専門技術を要し、格段に正確な診断が可能でございます。これらの経腟、経直腸超音波診断による骨盤内病変診断に対しては、内視鏡と同等に研修を受けた医師による施行、診断が必須でございまして、超音波診断の内容を評価する基準を明確にして、保険診療上の評価を上乗せする方向性が望まれます。
最後に診療報酬の改定の方向性ですが、これは地域医療の維持と将来性について、大きな意味を持つものであります。今後の日本において、健康寿命の延伸を含む全世代型社会保障がいかに構築されていくのか、見守っていきたいと思っております。
以上、意見を申しました。よろしくお願いいたします。
○田辺会長
ありがとうございました。
続きまして、5番の方、御意見の表明をよろしくお願いいたします。
○森氏
富士市国保年金課の森と申します。
このたびは、このような発言の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
本日は、医療保険者の立場として、富士市の現状報告等も含めまして、お話しさせていただきたいと存じます。
現在、各自治体においてデータヘルス計画に基づく保健事業を実施しており、富士市でも平成28年度に計画を策定し、平成30年度から第2期計画が始まりました。
現在、富士市国保被保険者のうち65歳以上が、平成31年4月1日現在、45.7%を占めており、高齢化が進んでおりますが、年齢が高くになるに従って、1人当たりの医療費も高くなっており、被保険者1人当りの医療費は、年々増加しております。
このような中、国保被保険者の健康状態を把握し、適切な保健指導を実施し、生活習慣病に移行しないよう支援することは、中長期的に見れば、重症化予防につながり、ひいては医療費の削減につながることとなります。
被保険者の健康状態を把握するためには、より多くの方に特定健診を受診していただく必要がありますが、富士市の特定健診の受診率は、平成30年度の法定報告で35.2%と、県内でも低い状況であり、受診率を上げることが課題となっております。
このような状況の中、平成30年度に特定健診未受診者に対しまして、アンケート調査を実施し、2,354人の方から回答をいただきました。40歳から50歳代の若年層では、日曜・祝日の健診の要望が多くありました。また、健診を受けなかった理由として一番多かったのは、かかりつけ医で定期的に通院・検査をしているからというもので、全回答のうち、45%を占めており、特に高齢者でその割合が高くなっておりました。この回答結果を受けて、富士市国保では、令和元年度より日曜健診をふやし、若年層の受診機会をふやしております。また、富士市医師会の委員会等を通じて、市内医療機関に特定健診の推奨について、啓発していきたいと考えております。
さらに今後はかかりつけ医において、定期検査を実施した方には、健診データの収集ができる体制整備が必要だと考えております。特定健診及び特定保健指導対象者の中には、問題意識が薄く、危機感のない方もおり、行動変容を促すには、行政側の取り組みだけでは難しいと考えております。被保険者の方が安心して生活を送るためにも、医療機関との連携が不可欠であり、健診を受けた方が身近な医療機関での指導を受けることの体制整備に努めているところでございます。保健行政の取り組みが医療機関との連携強化により、さらに進展していくことを期待しております。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
5名の方から意見の表明をいただきました。
以降、ただいまの御意見に対しまして、委員から御質問等をお願いしたいと存じます。
なお、本日の公聴会は、一般の方々から御意見をお聞きして、今後の中医協の審議の参考とすることを趣旨としているところでございます。委員の皆様におかれましては、本日はいただいた御意見に対する確認、質問のみとしていただき、表明された意見に対する反論等、各委員の意見表明などに関しましては、お控えいただけますよう、お願い申し上げるところでございます。
それでは、ただいまの5名の方の御意見に対しまして、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
間宮委員、よろしくお願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
5番目の発表者の方に質問なのですけれども、受診率を上げる必要があるということで、日曜健診の実施などをされているということで、そこから医療機関との連携をしていくことが必要であるということですけれども、さらに医療機関との連携を進めるためには、どういう取り組みが必要だとお考えでしょうか。
○田辺会長
お願いいたします。
○森氏
富士市国保年金課の森といいます。
さらなる医療機関との連携でございますが、アンケート調査の結果を受けまして、過去3年間の未受診者6,000人を対象に送らせていただきまして、回答を得たところでございますが、その中で、特定健診をどうやったら受けますかという質問の中では、かかりつけの医師から特定健診を受けなさいという形で推奨していただく、勧めていただくという回答がありました。医師の方の御協力が必要不可欠といいますか、行政側で幾ら言いましても、医師の方に一言言っていただけるだけで、受診率の向上につながるのではないかと考えておりまして、来年度、地域の医療機関に啓発グッズ等を置かせていただくなり、そういったことで、勧奨をしていただく形にしていきたいと考えております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。幸野委員、よろしくお願いいたします。
○幸野委員
2番目の小林氏にお伺いしたいのですけれども、浜松医科大学に御所属ということで、実態を聞いてみたいのですが、浜松医科大学の中では、医薬品の適正な使用について、ルールを決められて行われているということなのですが、この実情というか、これを導入されて非常によかったと思う点とか、御苦労されている点などがあれば、実際に当事者にお伺いしてみたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○小林氏
浜松医大の小林です。
私どもの病院の川上先生のあれで、いろんな活動をいただいているのだろうと思います。薬剤の適正な選択というものを、我々の病院の薬事審議会の中である程度やっております。そういった中で、これまで非常に多くのものがあったのですが、ある程度集約化するという部分はあったと思います。ただ、それはあくまでそれぞれの病院によって、地域によって、事情が違うと思います。一律に大きな範囲でそういった仕組みを取れ入れるには、時間が必要だと思います。我々大学病院というのは、基幹病院ですので、地域に医師を派遣していくところですので、まずはそういった中で、薬剤の選択の仕方を学ぶ機会になっていると思っております。
よろしいでしょうか。
○幸野委員
御苦労されている点はございますか。
○小林氏
特段、今、それほど苦労していることはないと思います。いわゆる病院の中の採用数というものは、一定の程度でおさまると思います。何千種類も薬剤を採用するということではなく、一定規模の病院であれば、一定数の薬剤の採用というのが、多分あるのだろうと思います。ただ、それが一律に決められる、全国的に同じような基準で決められるものではなく、各病院、各地域によって、やはり違うのではないかと思っております。
○幸野委員
どうもありがとうございました。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、引き続き、後半の5名の方から意見の発表をお願いしたいと存じます。
それでは、最初の方、よろしくお願い申し上げます。
○山田氏
伊豆の国市で歯科医院を開業しております、歯科医師の山田と申します。
本日は、このような発言の機会をいただき、まことにありがとうございます。
歯や口の健康が全身の健康に深い関係があることの周知が進む中、今後、人生100年時代に向けた全世代型社会保障を構築するためには、地域の多職種連携を図りながら、生涯を通じた切れ目のない、質の高い歯科医療を提供することがより一層求められると思っております。
治療終了後に長期的な継続管理を行うと、歯の喪失が減少するなど、良好な口腔状態を維持できることがわかってきており、かかりつけ歯科医が中心に行う口腔疾患の継続管理や重症化予防に対して、より取り組みやすい制度設計をお願いいたします。現行、長期管理を阻害するような通知もあり、見直しを引き続き検討していただきたく思います。
か強診、外来環、歯援診等の主要な施設基準の要件として、歯科衛生士の配置がございます。衛生士の数が0~1人の診療所が約6割で、施設基準が取得できない、または取得できても、やめられると、施設基準の取り下げを行わなければならないなど、非常に不安定な状態になっております。求人倍率も年々上がり、特に地方では確保が困難な状況になっており、地域偏在も大きな問題です。各医院での企業努力、給与体系や勤務時間、有給休暇の取得、厚生年金の整備なども限界に来ており、施設基準の人員配置の見直しを含め、地域における施設基準の責務が維持しやすい方向で御検討いただければと思います。
歯科外来診療における感染対策に関しては、標準予防策の日常的な遵守が求められており、機器類の滅菌や手袋、マスク、コップ、エプロンなどの消耗品を含め、感染対策には相応の費用や手間が必要となります。例えば衛生士が治療を行っている患者のほか、複数の患者を歯科医師が同時に診ることは、歯科ではよくあることであり、その上にレセコンの入力作業も重なると、患者数以上の手袋の頻回な交換が必要となります。平成30年の改定で施設基準を設けて、感染対策の評価が得られましたが、全く足りないと感じており、安全・安心で良質な歯科医療を提供し続けるためには、その原資となる初診料・再診料のさらなる評価を要望いたします。
歯科固有の技術においては、余り評価されていない部分が多々あると感じています。現場の歯科医師がまず最初に訴えたいことは、根管治療への評価の低さです。新しい機器や技術を駆使して治療を行っている歯科医師ほど、割に合わないように感じるのだと思われます。特に大臼歯部の治療は困難を極め、世界的に見ても非常に安い対価での治療を強いられています。治療時間30分で、再診料を含め、およそ1,000円程度、患者負担にして、300円程度の治療はよくあることです。国民皆保険制度を持続するため、膨れ上がる社会保障費を抑えなければならないことは理解していますが、それは医療従事者の献身によって成り立っていることも理解していただきたいと思います。
さきの改定で、CTとマイクロスコープを使用した場合の評価は設けられましたが、十分とは言えず、例えば安全で効率的に治療が行われるような機材を使用した場合に評価するなど、さらなる評価や新規技術の導入等を御検討いただきたいと思います。
歯科用金属の高騰の問題について、触れたいと思います。高値が続くパラジウムや金を使用しているため、一部負担金がふえ、患者・国民に負担を強いることになっております。もはやこういった相場に影響を受ける金属は、保険材料としては適正ではないと思われます。脱メタルの議論も含め、安定した価格で、供給可能な新しい材料の導入を要望いたします。
最後に医科歯科連携についてですが、糖尿病学会が策定したガイドラインの中で、2型糖尿病では、歯周治療により血糖値が改善される可能性があり、推奨グレードAの評価を受け、より一層の連携が重要なことが明確になりました。ほかにも妊産婦や金属アレルギー患者との連携も重要で、さらに周術期等口腔機能管理も含め、より連携を推進しやすいような、診療報酬上での評価をしていただければと思います。
私からの意見は、以上になります。ありがとうございました。
○田辺会長
ありがとうございました。
続きまして、2番目の方、よろしくお願いいたします。
○岡村氏
静岡県島田市商工会の会長をしております、岡村修と申します。
本題に入ります前に、中小企業の事業所としての立場から、昨今の中小企業を取り巻く景気情勢等について、一言、申し上げます。
政府の月例経済報告では、景気は緩やかに回復していると認識されていますが、特に中小企業の現場では、景気回復の実感が伴っていないというのが実情でございます。最低賃金の引き上げや消費税率の引き上げ、働き方改革、短時間労働者の適用拡大など、対応しなければならない課題も山積しています。
そのような中で、加入している協会けんぽの平均保険料率は10%と高い水準にあり、保険料を負担する事業者や加入者の負担は限界に達しています。
今回の診療報酬改定では、薬価等を合わせた全体ではマイナス改定とする一方、医師の技術料等の診療報酬部分はプラスの改定を行うと伺っています。医療の現場で働く方の処遇改善の必要性は、十分に理解いたします。2022年には、団塊の世代が後期高齢者となり始めるなど、今後、医療需要はますます増大していくことを踏まえると、その原資を負担する企業の負担も限界に来ていますので、医療費の増加を少しでも抑えられるよう、効率的かつ効果的な医療サービスの仕組みを講じていただくことが急務でございます。
また、消費税財源での特例的な対応に加え、診療報酬部分の一部も医師等の働き方改革に当てられると伺っていますが、我々中小企業も政府が進める働き方改革に対応し、従業員が少しでもよい環境で働けるよう、最善の努力を尽くしています。一経営者として、病院で働く医師の過酷な勤務環境が改善されることを願ってはいますが、そのためには、一般企業がそうであるように、医療機関においても、みずからマネジメント機能を発揮することが何よりも重要であると考えます。各病院におかれては、勤務環境改善に向けた策定計画に基づいた取り組みをしっかりと進めていただき、一定の成果があった病院に対して、適切な評価をすることが妥当ではないかと考えます。
さらに医師等の働き方改革の観点に加え、企業経営者の立場からすると、病気があっても治療をしながら働き続けるようにする観点から、医療機関に係る時間的な制約がある中で、オンライン診療は有効な手段であると考えますので、安全性・実効性を確保しつつ、オンライン診療の普及に向けた議論をぜひ前に進めていただきたいと思います。
最後に、診療報酬は、患者が受けた医療行為の対価として支払われるものと理解しています。したがって、診療報酬改定を行うに当たっては、その目的や趣旨、内容が国民に十分に理解されるよう、患者の視点に立って検討を進めていただくとともに、診療報酬の内容を国民に対してわかりやすく周知・説明していただくことが、不可欠であると考えます。今後の具体的な取り組み課題として、入院、外来、在宅、それぞれの医療環境の分化、連携を進めるとともに、患者像に応じた適切な医療が提供される体制を整備していただきいと思います。
また、かかりつけ医やかかりつけ薬局、薬剤師がその役割・機能を十分に発揮し、個人の健康状態のトータルサポートを行うことにより、重複・頻回受診や重複・多剤投薬などの適正化にも取り組むべきであると考えます。こうした患者本位の効率的・効果的な医療を実現することにより、保険料や窓口負担を支払う国民の納得感を醸成し、成果として、世界に誇るべき我が国の国民皆保険制度を持続可能なものとしていくことが、重要ではないでしょうか。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
続きまして、3番目の方、よろしくお願いいたします。
○岡田氏
私は薬剤師の岡田国一と申します。
私の薬局は、静岡県の東端、熱海市にありまして、70年ほど続いております。薬局の3代目でございまして、調剤のみならず、市販薬の販売、介護用品、在宅訪問など、多岐にわたっており、地域住民にかかりつけ薬局であると認知されていると自負しております。
薬剤師の立場から御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
まずここ数回の改定が続く中、地方の小さい薬局は存続の危機にあります。適正化のあおりは、資本力のない小さな薬局、個人薬局にとっては、死活問題に当たります。私は個人薬局の立場より、意見を代弁させていただきいと思っております。
さて、現在、地域包括ケアシステムの中で、個人の薬局も非常に努力しているところでございます。しかし、残念ながら、その制度が国民に浸透しているかといえば、まだなかなか厳しい状況ではないかと考えております。特に服薬情報の一元化、把握を進める上で、かかりつけ薬剤師、薬局にそれを活用していただけるよう、地域に浸透させるのが不可欠でございます。その辺の努力をこれからもしていかなければならないと考えております。
また、地方都市では、中小規模の病院がその中核を担うことが多くて、そこで働く薬剤師の病棟業務や入退院支援業務に対しましても、適切な評価をいただきいと思っております。病院薬剤師から開局の薬剤師への情報提供は、在宅業務を進める上で非常に重要なものでございます。病院薬剤師と薬局薬剤師の連携は、薬剤師のかかりつけ機能を強化・推進していく上でとても重要でございますので、特に残薬ですとか、ポリファーマシーの問題を解決する上で、かかりつけ薬剤師が働いていく中で、多職種でのさらなる連携を強化していくことで、進んでいくのではなかろうかと考えております。
最近、長期処方がふえまして、分割調剤についてでございますけれども、薬局での事務的な取り扱いが非常に煩雑でございまして、できるだけ簡素化していただくことによって、一層の分割調剤が進むものではなかろうかと考えております。また、一方、処方医との情報提供につきましては、医師と薬剤師の確実な連携という観点から、不可欠なものでございまして、その部分に関しましては、適切に御評価いただきたいと考えております。
ジェネリック医薬品の調剤の問題ですけれども、この部分に関しましては、薬剤師の貢献度は高く、保険者の方々からも御評価いただいているところでございますが、国の目標であります、調剤変換率80%が目前に迫っております。後発医薬品80%という目標を達成した後も、引き続きそれを維持していくためにも、評価をしていただきたいと考えます。
ただ、現在でも、どうしてもジェネリックは嫌だと言う方が約1割いらっしゃいます。また、変更不可の処方箋が5%ほどございまして、この部分に関しましては、薬剤師の努力ではどうにもならない問題でございます。また、この部分も地域格差が大きく、都市部と地方では大きな差があるようでございます。特に地方の処方箋の枚数の少ない薬局にとっては、その影響力は少なくありません。80%を達成しても、その維持には相当な努力が必要となります。
今後、新薬の特許が切れ、新しいジェネリックがどんどん発売されていくわけでございますが、それによる在庫増加も、小さい薬局にとっては大きな負担となります。基準に満たない、60%か、70%の変更をしている薬局も相当な努力をしているということで、御理解をいただきたいと考えるわけでございます。今後、調剤の変更率のハードルを上げるのであれば、変更不可の処方箋を計算式の分母から除去していただくことも、必要ではないかと考えております。
最後に調剤報酬は、私たち薬局にとって経営の大きな原資でございます。将来、薬剤師を目指す若者によって、希望の持てる職種であるために、頑張っている薬剤師の評価をお願いしたいということで、私の意見発表とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○田辺会長
ありがとうございました。
続きまして、4番目の方、意見表明をよろしくお願いいたします。
○石原氏
ファブリー病・ライソゾーム病患者支援団体、Fabry Nextの石原と申します。
本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。
私は指定難病のライソゾーム病に含まれる疾患の1つ、ファブリー病の患者です。ファブリー病は、心臓や腎臓の機能障害ですとか、脳血管障害、脳梗塞、脳卒中、聴力の低下、このような症状があらわれやすい病気です。
また、医療や福祉をテーマに自由に対話する、ペイシェントサロン名古屋を定期的に開催しています。
本日は、難病患者の立場から、お願いしたいことが4つあります。
1つ目は、医師の支援で会社の配慮を得られれば、難病患者は働き続けられるということです。企業に勤めていた方が、難病と診断されたことで、職場から一方的に退職を勧められる患者さんがいます。症状の出方や進行ぐあいは個人差が大きくて、休憩時間の確保や配置転換などで、働き続けられる場合もあります。職場の無理解が就労継続の壁になっていると考えられます。就労に必要な合理的配慮の提案や体調維持のための具体的な指針提示等、医学的な立場から支援していただきたいです。
2つ目は、オンライン診療の普及で、困難な状況の難病患者が救われるということです。第二子を妊娠中で、上の子がいるために通院・治療が難しくて、痛みの症状を抑える薬も受け取ることができずに、我慢している患者さんがいます。難病に加え、置かれた状況によって通院が難しい患者であっても、オンライン診療で受診できれば、対処できることがふえます。難病患者もオンライン診療を利用できるよう、お願いしたいです。
3つ目は、地元のかかりつけ医が遠方の専門医とつながると、難病患者はより安心できるということです。私は2週間に一度、点滴を地元の総合病院で受けています。主治医はファブリー病の専門医ではありません。この病院に同じ病気の患者はいません。年に1回程度、遠方の専門医で全身チェックを受けています。心筋が線維化していることが、そこでわかりました。現状では、検査受診と結果を聞くための受診の2回、専門医の受診をしなければなりませんが、D to P with Dでオンライン診療が可能になれば、かかりつけ医と一緒に検査結果の説明が受けられます。専門医が少ない難病では、かかりつけ医と専門医の連携が大切になります。この仕組みを広く活用していただきたいです。なお、通信機材等の要件によって、導入できない医療機関が出ないよう、御配慮をお願いします。
4つ目は、診療報酬明細書は、全ての患者にとって大切なものということです。私が利用している医療機関では、診療報酬明細書が無料で発行されます。薬剤名や検査項目など、詳しい診療内容が記載されていて、受診の記録になります。そして、医療費がどこにどれくらいかかるのかがわかります。自分が受けている医療の内容と費用を正しく知るためにも、記録としても、とても大切なものです。自己負担のない患者にも、診療所を含む全ての医療機関が無料発行してほしいです。
私の意見は、以上です。中医協委員の皆様、どうぞよろしくお願いします。
○田辺会長
ありがとうございました。
最後に5番目の方、よろしくお願いいたします。
○櫻井氏
私は、沼津市で訪問看護ステーションをやっております、管理者の櫻井と申します。
私は25年間、訪問看護ステーションをやってきまして、今、規模としては、大きなステーションになります。今、看護師が14名で、うち13名は常勤です。それから、リハビリスタッフ、OTやPTが3名おります。
訪問看護ステーションをやっている立場で、発言させていただきます。
訪問看護ステーションは、地域包括ケアシステムの中で大きな役割を今も担っています。訪問看護を利用するに当たり、薬とか、疾患を管理することだけで、状態がよくなることは実証されております。その人がその地域で望む生活、その家で望む生活ができることは、生活の質にもつながると思います。
今、在宅では、機械や器具を使っていらっしゃる、医療ニーズの高い方が在宅に帰ってきております。その人たちが急性増悪することも考えられます。訪問看護師は、24時間、緊急時の対応もしておりますので、そこで対応することで、地域の皆さん、利用者の皆さんの安心にもつながります。訪問看護で初回訪問しまして、24時間サポートしますとお伝えするだけで、ほっとしたと言う介護者の方たちがたくさんおられます。
24時間のサポート、夜中も土日も行っている看護師の緊急時の対応の評価が、余りにも低いと感じます。例えば訪問看護は、約30年近く前に制度として始まりましたけれども、そのときと比べると、今の社会情勢の中で、例えば夜に女性が1人で利用者のうちを訪問するということは、看護師の役割としては、当時は当たり前でしたが、訪問看護師はほとんどが女性ですので、訪問看護師が夜2時とか、3時とかに、車で出かけたりすることが、常識的にいい状態ではないというのが、30年前とは違ってきたことです。夜に女性がひとり歩きをするというと、訪問看護師になりたいという人たちの親御さんがまず反対します。そういうこともありますので、私たちは、事業所の中でいろんな努力をして、2人で行ったりということをしていますけれども、緊急時の対応の評価が余りにも低いと思いますので、そこのところは、考慮していただきたい、評価していただきたいと思っています。
今、私たちは、小児から難病、がんの治療中の方、終末期の方、要するに予防から維持、みとりまでのトータルなケアができるステーションが必要だと思っております。実際、うちのステーションも、いろんな方のところへ訪問に行っております。その中で、今、リハビリに特化したステーションも出てきました。250人、300人の利用者の方のところに行かれているステーションもありますけれども、訪問看護ステーションは、看護師とリハビリスタッフの共同での訪問が必要になると思います。
例えば脳梗塞方がいて、訪問看護にリハビリスタッフが行っていても、その人には基礎疾患があるわけですから、例えば糖尿病があったときに、血糖のコントロールはできているのかということを、リハビリスタッフと看護師とが連携しながら、考えながら、そして、基礎疾患、今の血糖コントロールの状態を知って、リハビリをするということは、重要なことだと思いますので、そこの共同、連携が必要だと思います。このバランスが大事だと思います。
それから、現状では小規模なステーションが非常に多いです。看護師が4人とか、5人とかで、24時間の訪問をやっているところがありますけれども、ステーションが小さいと、いろんな機能が持てませんので、例えば土日とか、祝日にも平日と同じような訪問看護ができたり、地域の看護学生などの実習を受けたり、病院の看護師さんが在宅を知るために研修に来るとか、訪問看護ステーションにはいろんな機能が必要だと思います。この機能を持つためには、看護師の人数がある程度いないと、訪問だけになってしまいますので、大規模なステーションの拠点化が必要だと思います。それがいろんな地域のニーズに対応できるステーションになるし、大きいステーションが核になって、小さいステーションと連携をとりながら、地域をよくしていくこともできると思いますので、大規模なステーションのところを評価していただければと思います。
私の意見は以上です。よろしくお願いいたします。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの5名の方の御意見に対しまして、委員から御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
間宮委員、よろしくお願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
4番目の方にお聞きしたいのですけれども、難病ということで、今は専門医とつながっているということですが、10年ぐらいということでしたから、難病ということで、発症自体は子供のころからという可能性もあると思うのですけれども、専門医とつながる、実際に診断を受けられるまでの困難な点というのは、どういうことがありましたでしょうか。
○石原氏
ありがとうございます。
私は幼少のころから手足の痛みという、ファブリー病の症状があったのですけれども、診断がついたのは10年前で、かなり長いこと、診断がつかなかったという現実があるのですが、いろんな医療機関にかかっても、何かおかしいと医師が疑問を持たないと、例えばセカンドオピニオンなどにはつながらないと感じています。診断がつくときの問題もありますが、診断がついた今でも、主治医は専門医ではないために、1人のために情報を集めるというのは難しいと思うので、オンライン診療を通じて、専門の詳しいドクターと主治医がつながってもらえると助かると思います。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
3番目の薬剤師の方に伺いたいのですが、2点ありまして、先ほど御発表の中で、病院薬剤師と薬局薬剤師、特に入院された患者さんが退院されるに際しての情報連携の重要性をお話しになったと思うのですけれども、今までは外来で、処方箋で、御自分の薬局でお薬を出していた方が入院して、今、御主張なさったような連携というのは、どのぐらいの割合であるのか。ざっくりで結構なのですけれども、それが1点です。
もう一点は、退院のときに、病院からこういう薬剤が出ていますという情報以外に、何か薬局として、今後の調剤に関して、有用な情報というか、どんなことが情報としていただけているのか、その2点を教えていただければと思います。
○岡田氏
御質問ありがとうございます。
私の薬局の例ですと、中核となるのが中規模の病院なのですけれども、過去1年で3件ほど対応させていただきました。
入院になりますということで、持参薬の指示をお薬手帳とともにお渡ししまして、退院時に、カンファレンスは私も行けなかったのですけれども、情報を提供いただいた中で、処方の内容を確認した上で、それは在宅訪問につながったのですけれども、こういう形で、今度、私が来ますという方法で行くようになりました。
2つ目の質問ですけれども、その中の一例は、嚥下が厳しくなったということで、介助の提案ですとか、あるいは散剤を使うとか、そういった処方提案をしたことはあったと思います。
以上でございます。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
最後の訪問看護の櫻井さんに質問です。夜間の緊急時対応における女性の訪問についてお伺いして、そのとおりだと思ったのですが、具体的にどういう工夫をなさって、どういう対応をされているのか、お教えいただければと思います。
○櫻井氏
ありがとうございます。
私どものステーションは、規模が大きいものですから、夜間の対応は2人でやっています。みとりも一晩に2人とか、3人とか、亡くなる場合もありますので、1人では対応できないので、ばらばらで行ってとか、それから、ひとり暮らしでちょっと不安だというところは、2人で行くようにしていますけれども、1人分の単価しかありませんので、そこのところは、経営的には非常に厳しいです。
以上です。
○吉森委員
よくわかりました。ありがとうございます。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。有澤委員、よろしくお願いいたします。
○有澤委員
3番目の薬剤師の岡田先生にお尋ねをしたいと思います。御発言の中で、地域住民にかかりつけ薬局だと認知されていると、自負されているということで、そういったことを踏まえた上で、一方で、服薬情報の一元的把握を進める上で、かかりつけ薬剤師、薬局を活用してもらうためには、まだまだ地域住民の理解が少ないという御発言がありました。実際に認知されているという自負は、どんな努力を具体的にして、どんなふうにしてなってきたのか。それを踏まえた上で、実際に地域住民への理解を得るためには、どのようなことが具体的に必要かということをお尋ねしたいと思います。
○岡田氏
御質問ありがとうございます。
私の場合、3代目でしたので、地域に長くいるもので、私がそれこそ小さい子供のころから、近所の方々は私のことを知っていましたから、それは非常にいいのですけれども、今、私の考えでは、一元化を進める上で、かかりつけ薬剤師を持ちましょうという中で、同じ人がいつも対応してくれる、あるいは薬局へ行くと、いつも同じスタッフで対応してくれるという、統一感が非常に重要になってくると思います。後から出てきた薬局が地域に溶け込むには、いろいろなハードルがあると思うのですけれども、同じスタッフで、同じ薬剤師が対応する。場合によっては、私がいないときには、私の家内ですとか、うちの薬剤がいます。でも、いつも顔の見える人たちが対応してくれるということが、患者にとっては非常に安心感が持てて、そこの薬局で全ての薬の面倒を見てもらおうかという意識が出てくるのではなかろうかと考えております。
○田辺会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでございましょうか。中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員
歯科の山田先生にお伺いしたいのですけれども、最初のほうで、長期の受診を阻害する要件もあるという話をされていたかと思います。差し支えない範囲で具体的にお話しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○山田氏
長期の管理を阻害するようなということですけれども、例えば歯科は長期管理をすることが今までなくて、その重要性が認識されてきたものですから、重症化予防で継続管理をするようになったのですが、初診の1回限りとか、そういう通知が中にはあるのです。病気というのは、1回治せば、それがずっと続く、治るというものではないものですから、そういったことに対して、そういった文言を取り消してもらって、例えばある程度の年月がたてば、再治療ができるという見直しをしていただけたらと思っております。
○田辺会長
よろしゅうございますでしょうか。ほかはいかがでございましょうか。関委員、よろしくお願いいたします。
○関委員
先ほども質問があったので、それに加えてという形になるのですけれども、10番の訪問看護ステーションの方に質問です。みとりもされているということですが、自宅とか、高齢者ケア施設で、人生の最期を迎えたいと希望する方は多いにもかかわらず、今の日本ではそれがなかなか実現できていなくて、病院で亡くなる方が多いというときに、訪問看護ステーションの役割というのはとても大切だと、私自身も思っています。
先ほどもっと診療報酬で対応してくれないと、24時間対応はなかなかできないというお話しでしたが、具体的にどういった対応が必要なのかということについて、もう少し御意見を伺えたらと思います。とりわけがん患者以外にも、例えば緩和ケアは必要だという話もありますが、看護はそういったところも得意分野ですので、そういったことも含めて、何かありましたら、お願いします。
○櫻井氏
在宅でも認定看護師というものがあります。がんの患者さんが多いものですから、緩和ケアの認定看護師をうちも1人取らせたのですけれども、1人が1年近くいなくなることに対してのサポートは、いろいろあるのですが、ぴったりその条件に合わなくて、こちらの持ち出しで、そういうものをつくっていかなければいけないということはあると思います。認定看護師が1人いることで、緩和のところ、家族への支援とか、グリーフケア、亡くなった後のケアまで一緒にやることができますし、ほかのスタッフの底上げにもなると感じていますので、そういう面も評価していただければと思います。
あと、24時間のところは、ヘルパーさんも24時間やっていらっしゃいますけれども、内容が違うと思います。緊急時もいろんな緊急時がありまして、呼吸困難だったり、熱が出たりというものもあれば、ベッドから落ちてしまったとか、トイレに行く途中に転んで、立ち上がれなくなったとか、いろんな緊急時に私たちは対応しているので、1人では対応できないときもあるものですから、緊急時の2人対応というところも認めていただければ、非常に助かると思います。2人対応をするには、規模の大きいステーションになっていかなければいけないと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
どうもありがとうございました。10名の方々から大変貴重な御意見を頂戴いたしました。
私なりに簡単ではございますけれども、いただいた御意見をまとめさせていただきたく存じます。
診療報酬をめぐる議論の背景にある認識といたしまして、恐らく共通した認識といたしましては、働き方改革というのが非常に重要になってきているということ、2番目に機能分化と連携、特にかかりつけ機能に関しては、さらなる推進を進めてまいりたいということで、恐らく支払い側、医療提供側の共通の認識だったと把握しているところでございます。
しかしながら、支払い側におきましては、保険の維持可能性というのが非常に厳しい。特に現役世代の負担が非常に大きくなっているので、それを何とかしてほしいという認識があったかと存じます。他方で、医療関係者の側からいたしますと、病院経営、特に中小の病院の経営というのは、かなり厳しいものがあって、これを維持していく必要があるのではないかという認識が示されたと考えているところでございます。
それをもとに基本計画の項目立てに沿いまして、皆様方の御意見を集約いたしますと、まず働き方改革の部分でございます。支払い側の意見といたしましては、救急に働き方改革のところを今回集中させたということに関しましては、一定の御評価をいただいたと思っているところでございます。しかしながら、さらに働き方改革が真に必要なところに必要な報酬をつけてほしい、限定化が比較的必要であるという御意見がございました。
2番目に、働き方改革の中でも、マネジメントの改革を病院の中で積極的に進めていきたい、それが前提ではないかという御意見が示されたところでございます。他方、医療提供側からいたしますと、働き方改革に関しましては、救急医療に何よりもプライオリティーをつけて対応するということについては、御評価をいただいたと思いますけれども、これは大規模な救急体制を持っているところだけではなく、中小の救急を担っているところにも、何らかの対応が必要ではないかという御意見が出されたところでございます。
2番目に、医療補助者に対する評価をさらに積極的に進めていってほしい、専従の要件緩和等に関しても、対応していただきたいという意見があったかと思っているところでございます。
2番目と3番目の身近で安心な医療、機能分化に関して、御意見をまとめさせていただきますと、支払い側からいたしますと、入院に関しましては、できるだけ分化を進めていってほしい。特に急性期1に関しましては、より限定的な病床数になるように、診療報酬上での配慮が欲しいという御意見をいただいたところでございます。
2番目に外来に関しまして、かかりつけ機能の特性を発揮できるように、特に患者側から、かかりつけをどういう形でやっているのかということが、理解できるような仕掛けを設けてほしいという御意見がございました。
3番目にオンライン診療に関しては、これを拡大して、患者の利便に資するようにしてほしいという御意見がございました。
4番目といたしまして、明細書が患者にとっての情報として非常に重要であり、全ての義務化をできれば進めていただきたいという御意見があったところでございます。
他方、医療提供側からいたしますと、第一に入院に関しましては、中小病院が非常に厳しい。地域のアクセスを確保するためにも、ここに関する手当を何らかの形でやってほしいという御意見が表明されました。
2番目として、かかりつけの要件が非常に厳し過ぎて、とりづらいという御指摘がございました。要件緩和が表明されたところでございます。
3番目として、周産期、小児科の充実をさらに図ってほしいという御意見が出されたところでございます。
歯科に関しましては、長期の管理、技術を展開していくために、一定の評価を進めてほしい。
2番目として、感染対策が必要であるので、それに対する措置をさらに進めてほしい。
3番目として、歯科の材料のところで、脱メタル化を進めていただきたいという御意見が表明されたところでございます。
薬局に関しましては、第一には、かかりつけ薬局という機能が浸透するようにしてほしいということであります。
2番目として、多職種との連携をできるだけ進めるような、報酬体系にしてほしいという御意見が出されました。
3番目に、ジェネリックに関しましては、80%が直前まで見えておりますけれども、地域においては、なかなか厳しいところもあるので、それに対する配慮をいただきたいという御意見を承ったところでございます。
大きな3番目として、その他に関しても、幾つかの貴重な御意見を頂戴いたしました。
支払い側からいたしますと、データヘルスの利用のための体制整備を進めていただきたいという御意見が表明されたところでございます。
2番目として、医師等の支援を得て、職場でできるだけ働き続けられるような支援策を考えていただきたいということです。
3番目として、地元医と専門医との連携がうまく進むような仕掛けを設けていただきたいという御意見が表明されたところでございます。
医療提供側からいたしますと、特に訪問看護でございますが、24時間の対応は非常に重要であるけれども、厳しい。それに対する評価をいただきたいということです。
2番目に、大規模ステーションの拠点化をさらに進めていただきたいという必要性が提示されたところでございます。
以上、簡単にまとめさせていただきました。もちろんこぼれ落ちてしまった非常に重要な意見があることは、十分に承知しておりますけれども、以上のような形でまとめさせていただきたいと存じます。
本日いただきました御意見等を踏まえまして、これから中医協でさらなる審議をしていくわけでございますけれども、支払い側委員、診療側委員の方々から、それぞれ一言御感想等をお願いできればと存じます。
支払い側の委員、よろしくお願いいたします。
○幸野委員
1号側、支払い側委員の幸野でございます。
一言、御挨拶申し上げます。
本日は、御多用の中、公聴会に参加いただき、また貴重な意見を賜り、本当にありがとうございました。
中医協はこの1年、令和2年度の診療報酬改定に向け、長時間にわたり、多岐の項目にわたりまして、議論を続けてまいりました。来週からは、まとめ、方向性を決め、結論を得る場になりますが、まさにこのようなときに、皆様の生のお声、生の実態をここで聞けたことは、大変有意義な時間を過ごせたと思っております。
この1年の議論、それぞれ1号側、2号側、立場が異なりますので、一致した意見もありますが、たまには激しく対立した意見もございました。それを来月の厚生労働大臣への答申に向け、方向づけていくことになりますが、何とか結論を出す必要があります。
幸い1号側、2号側、共通の理念があります。それは質の高い医療を追及していくということ、限られた財源の中で、国民皆保険制度を未来永劫守っていかなければいけないという理念、これは1号側、2号側とも共通した理念でございます。こういった共通の理念に立ちますと、必ずや正しい方向性、結論が得られるものではないかと思います。
きょう、この場でいただいた意見を参考にして、残された時間の中で結論を得ていくことになりますが、どうか共通の理念に立って、正しい結論を得るべく、残されました時間で、きょういただいた意見を参考にしながら、鋭意協議していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。きょうは、本当にありがとうございました。
○田辺会長
診療側、よろしくお願いいたします。
○松本委員
診療側の松本と申します。
診療側委員を代表いたしまして、発言をさせていただきます。
まず本公聴会で意見を発表していただきました、10名の方々に深く御礼を申し上げたいと存じます。
地域医療でございますけれども、財政の問題、働き方改革の問題、特に勤務医を中心とした、非常に過酷な状況の中で働いていただいている方々もおられますし、いろいろな問題がございますが、地域医療は一度壊れてしまうと、再構築は非常に困難となります。何としても地域医療を今後とも守り、育てていかなければならないと考えております。
本日、意見を頂戴しましたけれども、皆様方からいただいた御意見を今後の本協議会において、我々委員として真摯に向き合い、診療報酬の諸課題を協議するに当たっては、あくまで国民のために、地域医療をしっかりと守り、よりよい社会に資するために、役立ててまいりたいと存じます。大変ありがとうございました。
○田辺会長
両側の委員、感想をありがとうございました。
本日の御意見を踏まえまして、今後の審議を進めてまいりたいと存じます。
それでは、以上をもちまして「中央社会保険医療協議会 総会(公聴会)」を閉会させていただきます。
なお、令和2年度診療報酬改定につきまして、フロアの皆様方から御意見等がございましたら、本日のアンケートに御記入いただき、御意見を提出していただければと存じます。
本日は、お忙しい中、御参加いただき、ありがとうございました。お気をつけてお帰りください。ありがとうございました。
 


 

 


 
 

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