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2019年12月11日 中央社会保険医療協議会 総会 第440回議事録

○日時

令和元年12月11日(水)9:00~12:28

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)
 

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○「令和2年度診療報酬改定の基本方針」について
○横断的事項(その3)について
○外来医療(その3)について
○令和2年度診療報酬改定への意見について(公益委員案の提示)


 
○田辺会長
それでは、定刻でございますので、ただいまより第440回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、染谷委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願い申し上げます。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
初めに、報告事項でございますが、「『令和2年度診療報酬改定の基本方針』について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。では、医療介護連携政策課長、よろしくお願いいたします。
○山下医療介護連携政策課長
医療介護連携政策課長でございます。
資料総-1-1をお開きいただきたいと思います。「令和2年度診療報酬改定の基本方針」でございます。これまで社会保障審議会医療部会で4回、医療保険部会で4回、御議論いただきまして、このたび、令和2年度診療報酬改定の基本方針をまとめました。
資料総-1-1は概要でございます。基本方針の構成がどうなっているのかを簡単に説明させていただきまして、後、本文のほうでまた説明させていただきます。
まず、基本方針の全体の概要でございます。2つに分けておりまして「改定に当たっての基本認識」と「改定の基本的視点と具体的方向性」というふうに分けております。
前者の「改定に当たっての基本認識」というのは、令和2年度の診療報酬改定を行うに当たって、現在の医療や医療にかかわる政策がどういう方向性になっているのかを基本認識としてまとめております。その上で「改定の基本的視点と具体的方向性」につきましては、それぞれ4つに分けて改定の基本的視点と具体的に改定はこういうふうに進めていただきたいという形でまとめております。
その4つですが、「1 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」を重点課題としております。また「2 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」「3 医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」「4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」というふうに整理しております。
続きまして、本文のほうを通じて御説明させていただきたいと思いますので、資料総-1-2をお開きいただきたいと思います。「令和2年度診療報酬改定の基本方針」としまして、改定に当たっての基本認識、これも4つに分けて整理していますが、それぞれポイントを読み上げながら御説明させていただきます。
1つ目のポイントは「健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた『全世代型社会保障』の実現」でございます。上から3つ目の丸ですが、「我が国の医療制度は、人口減少が進展する中で、地域医療の確保、少子化への対応といった様々な課題にも直面している。これらの課題に総合的に対応しながら、世界に冠たる国民皆保険を堅持し、あらゆる世代の国民一人一人が安全・安心で効率的・効果的な質の高い医療を受けられるようにすることが必要不可欠である」。
続いて「来る人口減少社会に備えた将来の医療体制の展望を見据え、国民一人一人の予防・健康づくりに関する意識を涵養し、健康寿命の延伸により長寿を実現しながら、患者・国民にとって身近でわかりやすい医療を実現するとともに、医師等の働き方改革を推進することが必要である。その際、高齢化や技術進歩、高額な医薬品の開発等により医療費が増大していくことが見込まれる中、効率化・適正化を進め、制度の安定性・持続性を確保しつつ経済・財政との調和を図る観点も重要である」というふうにまとめています。
続いて、2つ目のポイントは「患者・国民に身近な医療の実現」でございます。1つ目の丸ですが、「地域の実情に応じて、可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、地域包括ケアシステムを構築するとともに、かかりつけ医機能や患者への情報提供や相談・支援を充実することが必要である」というふうにしております。次の丸の後半ですが、「診療報酬制度の基本的仕組みやそこから見える医療の方向性について、住民に丁寧に理解を広めていく必要がある」ということも書いております。
続いて、3つ目のポイントですが、「どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進」でございます。最初の丸ですが、「地域医療構想の実現に向けた取組、実効性のある医師偏在対策、医師等の働き方改革を推進し、総合的な医療提供体制改革を実施していくことが求められている」。
次の丸ですが、「医師等の働き方改革については、将来の医療ニーズの変化や現役世代の減少、医療技術の進歩等も踏まえつつ、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点にも留意しながら、医師等の負担軽減等を図ることが重要である」とまとめております。
4つ目のポイントですが、「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」でございます。最初の丸ですが、「制度の安定性・持続可能性を確保しつつ国民皆保険を堅持するためには、国民各層の制度に対する納得感を高めることが不可欠であるとともに、医療政策においても経済・財政との調和を図っていくことが重要である」。
次の丸の3行目から「保険料などの国民負担、物価・賃金の動向、医療機関の収入や経営状況、保険財政や国の財政に係る状況等を踏まえるとともに、無駄の排除、医療資源の効率的な配分、医療分野におけるイノベーションの評価等を通じた経済成長への貢献を図ることが必要である」。こういうふうに4つのポイントにまとめて基本的認識をまとめております。
続いて、令和2年度診療報酬改定に当たっての基本的視点と具体的な方向性で、これを4つにまとめております。
3枚目のスライドを見ていただきたいのですが、最初のポイントは「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」ということで、これを重点課題としております。社会保障審議会においてもここを重点課題にすることに関してはそれぞれ意見がありました。一方で、具体的方向性の例にありますが、例えば医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取り組みの評価や、地域医療の確保を図る観点から早急な対応が必要な救急医療体制の評価、さらに業務の効率化に資するICTの利活用の推進、こういったことについては、重点課題を賛否両論というのはありましたが、こういった具体的方向性については全ての社会保障審議会の構成員の方々からの賛同を得られ、その結果、重点課題としまして、医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進についてはこのような形で整理するということをいたしました。
基本的視点のところで3つありますが、大事なところだけ読み上げます。3番目に「診療報酬においてはこれまでタスク・シェアリング/タスク・シフティングやチーム医療の推進等、医療機関における勤務環境改善に資する取組を評価してきた。時間外労働の上限規制の適用が開始される2024年4月を見据え、今後、総合的な医療提供体制改革の進展の状況、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点などを踏まえながら、適切な評価の在り方について検討する必要がある」という基本的視点になっております。その上で、繰り返しになりますが、具体的な方向性としまして、この3つの丸が整理されているところでございます。
続いて、2番目のポイントは「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」ということで、基本的視点としまして「患者の安心・安全を確保しつつ、医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏まえ、第三者による評価やアウトカム評価など客観的な評価を進めながら、新たなニーズ等に対応できる医療の実現に資する取組の評価を進める」と整理しております。
その上で、4ページ目から具体的方向性の例として整理しているものについて、大きな丸のところを読み上げます。まず「かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価等」、次に「患者にとって必要な情報提供、相談支援等の評価」、続いて「アウトカムにも着目した評価の推進」、続いて「重点的な対応が求められる分野について、国民の安心・安全を確保する観点からの適切な評価」「口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進」「薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と適正化、院内薬剤師業務の評価」「医療におけるICTの利活用」というふうになっています。
続いて、3番目のポイントとしまして「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」でございます。具体的方向性の例ですが、「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価」「外来医療の機能分化」「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」「地域包括ケアシステム推進のための取組」として整理しております。
4番目のポイントとしまして「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」としております。具体的な方向性としまして「後発医薬品やバイオ後続品の使用促進」「費用対効果評価制度の活用」「市場実勢価格を踏まえた適正な評価等」「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価」、これは再掲です。「外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進」「医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進」、こういうふうに書いております。
最後に「将来を見据えた課題」としまして、整理しているものでございます。重要なところを読み上げます。まず「団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年、団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となる2040年と、高齢化の進展に併せて、サービスの担い手(生産年齢人口)が減少する超高齢化・人口減少社会が到来している。また、地域に生きる一人一人が尊重され、その可能性が最大限に発揮できる『地域共生社会』の実現に資する取組が求められている」。
「診療報酬制度を分かりやすくするための取組を継続していくことが求められる。あわせて医療に係る財源は、保険料、公費及び患者負担等によってまかなわれていることに鑑み、医療機関等の経営に携わる者は、社会に対する説明責任を果たしていくことが求められる」。
「加えて、住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等の関係者がそれぞれの役割を自覚しながら保健・医療に関わることが重要であり、国民全体の医療制度に対する理解を深めていくための普及啓発も含め、国民に対して丁寧に説明していくことが求められている」。
「予防・健康づくりやセルフケア等の推進が図られるよう、住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等の全ての関係者が協力・連携して国民一人一人を支援するとともに、国はこうした取組に向けた環境整備を行うことが必要である」という形でまとめております。
事務局からの説明は以上でございますが、これらが昨日付で合意がとれたものとして「令和2年度診療報酬改定の基本方針」として取りまとめられております。以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。
では、御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
今後、令和2年度診療報酬改定に向けて改定の基本方針に基づきながら議論を進めてまいりたいと思います。
次に、次期診療報酬改定に向けた議論として「横断的事項(その3)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料総-2に従いまして説明させていただきます。
本日は、横断的事項(その3)といたしまして、2つの論点につきまして整理させていただきました。
1つ目が「医療におけるICTの利活用について」、これはその2となっております。また、「情報共有・連携について」、これもその2ということで資料を整理しております。
まず、オンライン診療についてということでございまして、4コマ目以降になります。
5コマ目については、オンライン診療の概要となっております。
6コマ目は、オンライン診療料を算定可能な管理料ということで、そこに一覧としてお示しさせていただいております。この各管理料が対象としている疾患がオンライン診療の対象となりますが、左の列の星がついている管理料、これは200床未満に限り算定可能な管理料となっているところでございます。
続きまして、7コマ目は、オンライン診療の対象となる管理料について考え方を整理しているところでございます。平成30年度の診療報酬改定では、診療報酬上でオンライン診療を新たに位置づけるに当たりまして、その時点で得られている知見が限定的であることを踏まえまして、オンライン診療を有効かつ安全に実施するために必要と考えられる一定の要件を設定するとともに、まずは以下のような領域について活用可能となるよう、対象となる管理料を設定したということでございます。それぞれ、およそそこにありますように3つのグループに分かれるかと思います。
続きまして、11月8日の中医協総会において、現在対象となっていない疾患領域におけるオンライン診療の利活用については学会から提出された医療技術評価提案書のエビデンスを踏まえて引き続き検討してはどうかとして御議論いただいたところでございます。
8コマ目をごらんいただきたいと思います。医療技術評価提案書として慢性頭痛に対するオンライン診療の活用が学会より提案されているところでございます。慢性頭痛に対するオンライン診療は対面診療と同程度の安全性や治療効果があることがランダム化比較試験を含む複数のエビデンスで示されているということがそこに示されております。エビデンスの一例をお示ししておりますが、慢性頭痛に対するランダム化比較試験で対面診療群とオンライン診療群を比較したところ、治療期間において頭痛の重症度のスコアや安全性の点で差がなかったという結論が得られております。
9コマ目でございます。このようなエビデンスを踏まえまして、日本頭痛学会より、慢性頭痛に対するオンライン診療の指針が策定されております。指針において、慢性頭痛診療における遠隔医療の有用性としまして、慢性頭痛診療において遠隔医療の併用は有用であるとされております。また、適用患者として、事前に対面診療を行い、MRIなどの画像診断で二次性頭痛をしっかりと除外し、病状が安定している非急性頭痛患者で、かつ定期的診療を要するケースとされておるところでございます。そこにスクリーニング等の判断基準が示されております。
10コマ目でございます。学会の指針において、患者のオンライン診療の適切性を判断するに当たって確認が必要なことが明示されております。また、病状の増悪や状態の変化があった場合には必ず対面診療による医学的処置につなげることとされておるところでございます。
以上が慢性頭痛に関する資料でございます。
続きまして、在宅自己注射指導管理料についてでございます。これは慢性頭痛と別でございますが、在宅自己注射指導管理料の対象となっている疾患の一部、そこに挙げておりますように、糖尿病などでございます。これは実は疾患としては特定疾患療養管理料の対象となっておりますが、在宅自己注射の対象となってしまう場合には特定疾患療養管理料を算定できないということになりますので、在宅自己注射の指導を行う場合にあって、特定疾患療養管理料の対象となる疾患に対する医学管理を行う場合についてはどのように考えるか、御議論いただければと考えております。
続きまして、12コマ目でございます。オンライン診療に係るエビデンスの評価について資料をお示しさせていただきます。
13コマ目は、オンライン診療のエビデンスに係る記載ということでまとめております。まず、オンライン診療の適切な実施に関する指針において安全性や有効性についてエビデンスに基づいた医療を行うこととされております。また、診療報酬で評価するに当たりましての基本的な考え方におきまして、安全性や有効性のエビデンスが確認されていることとされています。
14コマ目を見ていただきますと、個別の診療領域におけるエビデンスを評価するに当たっては、先ほどのように、基本的には医療技術評価分科会に対して技術提案書を提出いただくという形で評価されており、そのスキームを14コマ目に示しているところでございます。
15コマ目は、個別の学会にことしの初めにICT利活用の取り組み・検討状況について、日本医学会連合を通じまして、アンケート調査を行った結果を示しているところでございます。回答がありました学会のうち、一定数の学会が検討委員会の設置や研究事業の実施を行っておりました。
16コマ目でございます。同じ調査で各学会に対しまして、ICTの利活用を診療ガイドラインや診療指針に組み込むことに対する考えをお聞きしたところ、「取り組む必要がある」という回答が19、「将来的には取り組む必要があるが、時期尚早」が20ということで、同程度あったということでございます。
17コマ目を見ていただければと思います。このような状況を踏まえて、改めてオンライン診療の活用に関するエビデンスの考え方を整理してお示ししております。オンライン診療は、情報通信機器を通して患者の診察及び診断を行い、診断結果の伝達や処方等の診療行為をリアルタイムに行う行為です。そのため、基本的には診察の手段の一つではありますが、対面診療に比べて得られる情報が限定されることから、医療の質に大きく影響し得ると考えられております。
このような前提に立ちまして、オンライン診療のエビデンスを評価するに当たっては、まず、診療の安全性がしっかりと担保された上で、有効性についても一定レベルのエビデンスが確認されていることが必要、2つ目に、有効性を評価するに当たっては、個別の診療領域ごとの特性を踏まえつつ、治療効果に差がないことを確認するなど、対面診療と比べて劣らないことの確認が必要ではないか。3つ目に、個別の診療領域で必要性や活用方法が異なると考えられることから、学会により標準的な治療法として位置づけられることが望ましいのではないかと整理させていただいております。
18コマ目でございます。これらを受けまして、論点を2つ整理させていただきました。
1つ目でございますが、慢性頭痛に対するオンライン診療について、治療の安全性・有効性に係るエビデンスや、学会による治療指針等を踏まえ、新たにオンライン診療料等の対象疾患としてはどうか。また、在宅自己注射指導管理料の対象疾患となり得る疾患のうち、特定疾患療養管理料の対象となっている疾患については、在宅自己注射指導管理料を算定している場合であってもオンライン診療料の対象に含めることとしてはどうか。
2つ目ですが、個別の診療領域におけるオンライン診療の必要性や活用方法、アウトカムの考え方がさまざまであることを踏まえ、保険診療における評価を検討するに当たり、求めるエビデンスや学会の取り組みについてどのように考えるかと整理させていただきました。
19コマ目以降でございますが、遠隔モニタリングについて資料をお示しいたします。
20コマ目は、平成30年度診療報酬改定において、在宅酸素療法指導管理料と在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料について、通院の間に情報通信機器を活用して患者情報をモニタリングする場合を遠隔モニタリング加算として評価したところでございます。
21コマ目をごらんいただきたいと思います。心臓ペースメーカーについても遠隔モニタリングを行った場合の評価があり、概要を示しているところでございます。
22コマ目は、在宅持続陽圧呼吸療法の遠隔モニタリングについて、医療技術評価分科会を通してエビデンスが示されているところでございます。上段の囲みをごらんいただきたいと思います。現状、遠隔モニタリング加算は、モニタリング及び指導を行った場合に限り算定可能とされております。また、当該指導は原則としてオンライン診療で行うことというふうにされております。これに対しまして、ランダム化比較試験におきまして、必要に応じた電話連絡のみの群が毎月対面診療の群に対して非劣性の治療効果が示されております。また、必要に応じた電話連絡のみの集団には結果として指導を行わなかった例が約8割ありまして、このような患者についても良好な治療効果が確認できているということでございます。
23コマ目は、在宅酸素療法の遠隔モニタリングについて、現在、モニタリングすべき患者情報として表にあるような項目を求めております。この表を見ていただきますと、在宅酸素療法の対象でございますCOPDのガイドラインでは、酸素飽和度や酸素流量等の把握が推奨されているのですが、血圧について含まれていない。モニタリングの加算の要件では血圧測定は求めていますが、実際、ガイドライン等で示されている内容では血圧が入っていないということがそこに示されているところでございます。
これを受けまして、24コマ目に論点として2つ提示させていただきたいと思います。
1つ目は、在宅持続陽圧呼吸療法に係る遠隔モニタリングの評価として、エビデンスを踏まえまして、必要に応じて電話指導を行うことでも算定できることとしてはどうか。
2つ目ですが、在宅酸素療法に係る遠隔モニタリングにおいて、モニタリングすべき項目についてガイドライン等を踏まえて見直してはどうかということで整理させていただきました。
続きまして、歯科管理官から御説明させていただきます。
○小椋歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。
25コマ目以降から医科歯科連携の推進について説明させていただきます。
26コマ目をごらんください。こちらは栄養サポートチーム等連携加算となっておりまして、こちらの加算は、27コマ目の歯科疾患在宅療養管理料、28コマ目の在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の加算という形になっております。
29コマ目をごらんください。小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料もございますが、こちらの加算にはなっていないということがまず1つです。
30コマ目をごらんください。小児に対する歯科訪問診療のニーズということで、過去に掲載した資料でございます。
31コマ目以降が周術期における口腔機能管理についてでございます。31コマ目は、周術期の口腔機能管理のイメージ図でございます。
32コマ目は、平成30年度に改定した内容を記載しております。
33コマ目は、周術期等の口腔機能管理の効果でございまして、リスクが低い群では余り効果が認められなかったのに対しまして、リスクが高い群におきましては、有意な差が認められたという報告がございます。
34コマ目は、周術期等の口腔機能管理の算定状況の推移となっておりまして、経年的に増加傾向にあるという状況になっております。
もう少し詳しく見てみたのが35コマ目でございます。病院併設歯科、病院の中にある歯科では算定はかなり行われているのですが、歯科診療所はまだ少し足りないという状況になっております。
36コマ目でございます。医科の点数表の中の診療情報提供料(1)がございまして、その中に歯科医療機関連携加算というものがございます。中ほどに対象患者と書いておりますが、手術前に歯科医師による周術期等の口腔機能管理の必要性を認め、歯科を標榜する保険医療機関に対して情報提供を行った場合に算定できるという状況になっております。こちらの算定回数は1819回と、まだ数としては少ない状況になっております。
37コマ目でございます。歯科医療機関で行われている主な連携に対しまして、医科の医療機関から周術期等の口腔機能管理に関する依頼も20%前後という形になっております。
38コマ目も既存の資料でございますが、周術期等の口腔機能管理を行う患者の状況ということで、実際にがん等による放射線療法や化学療法という患者も認められております。
39コマ目をごらんください。化学療法や放射線療法に対する周術期等の口腔機能管理でございます。症状がさまざまでございまして、重症化している場合には頻回な介入が必要になるという状況になっておりますが、周術期等の専門的口腔衛生処置等の回数は月に1回という形で制限されているという状況でございます。
論点でございますが、多職種連携を推進する観点から、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料において栄養サポートチーム等連携加算を算定できるようにしてはどうかというのが1点目でございます。
周術期等口腔機能管理において連携を推進する観点から、手術を行う医療機関が歯科医療機関への予約を行った上で患者の紹介を行った場合に評価を行ってはどうかというのが2点目でございます。
化学療法や放射線療法に対して行われる周術期等口腔機能管理において、周術期等専門的口腔衛生処置の算定要件を見直すなど、実態に応じて適切に算定できるようにしてはどうかというのが3点目でございます。
最後、医科歯科連携を推進する観点から、このほかどのような対応が考えられるかというようなものでございます。
以上です。
○森光医療課長
続きまして、医療的ケア児の情報提供といたしまして資料整理をさせていただいております。
42コマ目でございます。平成30年度の改定で小児科療養指導料の対象に医療的ケア児を追加する等の対応を行ったところでございます。
43コマ目をごらんいただきたいと思います。こちらは文部科学省からいただきました資料でございますが、特別支援学校や小中学校に在籍する医療的ケア児の数でございまして、近年増加してきております。平成29年度のデータで公立の特別支援学校には約6000人、公立小中学校では約860人の医療的ケア児が在籍しているという状況でございます。
44コマ目をごらんいただきたいと思います。文部科学省では、学校において安全性を考慮しながら医療的ケア児の対応が行えるよう、学校への看護師配置に対する補助を行っているところでございまして、配置実績を踏まえて予算の確保を行っているということでございます。
45コマ目をごらんいただきたいと思います。さらに、文部科学省において医療関係従事者がどのように連携すれば円滑に学校の中における医療的ケアが実施できるかを検討したところでございまして、今般、主治医から学校医等への情報提供に基づいた学校における医療的ケアの流れが整理されたということで資料をいただいております。
対応の流れとしましては、1から4の順にありますように、保護者が学校に申し出をした後、学校医もしくは学校が委嘱した医療的ケア児に知見のある医師が主治医からの情報提供を受け、学校における医療的ケア児について指導助言を行うといった流れとなっております。
46コマ目は、具体的な流れを一例として示したものでございます。
47コマ目でございます。現在、診療報酬においては診療情報提供料(1)がございますが、こちらは、別の医療機関への患者の紹介のほか、保健福祉サービスに必要な情報を提供した場合等についても評価を行っております。下線を引いておりますとおり、平成30年度改定において情報提供先について追加を行っているという状況でございます。
これらを受けまして、48コマ目に論点としまして、学校における医療的ケア児に対する適切な医療的ケアの提供に当たり、医療的ケア児が通う学校と主治医との連携を推進する観点から、主治医からの学校医等への情報提供に係る評価のあり方をどのように考えるかということで整理させていただきました。
よろしくお願いいたします。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、ICTの利活用と、情報共有・連携についてという2つの項目がございますので、とりあえず分けて議論してまいりたいと思います。
まず、24ページまででございますが、医療におけるICTの利活用に関しまして御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
18ページ目の論点の1つ目でございます。慢性頭痛に対するオンライン診療についてエビデンスや治療指針が示されたということでありますが、その内容につきましては、指針等の策定に関与していない専門家の視点も重要と考えます。これは2つ目の論点にも関連いたしますが、学会の中には専門分野に特化した小規模な学会もあります。また、指針等の作成にかかわったのは、学会の中でもオンライン診療に積極的に取り組んでいる一部の先生方であることなども考えられます。実際に16ページ目でも、ICTの利活用を診療ガイドライン・指針に組み込むことについて消極的な考え方も多くなっておりますので、エビデンスや指針が示されたとはいいましても、当事者だけの意見では見方が偏ってしまいます。オンライン診療で行うことの効果とリスクについて、もっと中立的な立場の学会にも意見を聞くべきだと考えます。
頭痛の原因はさまざまでございまして、頭痛学会と神経学会の取り扱い範囲を超えている場合も多々ございます。今回の慢性頭痛に対する指針は頭痛学会と神経学会が関与しているようですが、そのほかにも脳神経外科学会などもありますので、関連するその他の学会や立場の異なる先生方などから複数の意見を聞き、その上で改めてオンライン診療の対象とするかを検討すべきであると考えます。
頭痛には命にかかわる治療に直結する病気が隠れている可能性がたくさんございますので、拙速に診療報酬で対象を拡大してしまいますと、全国の医療機関への影響が大きいため、予想外の使われ方が行われる可能性も懸念されます。対面診療せずにオンライン診療を行っている中で問題が発生した場合のことを考えますと、これは慎重の上にも慎重に検討すべきだと考えます。
なお、対象疾患の追加を議論する前提として確認しておきたい部分がございます。9ページ目の頭痛学会によるオンライン診療の指針ですが、オンライン診療の適用患者につきましては「望ましい慢性頭痛遠隔診療の対象になる患者は、事前に対面診療などを行い、MRIなどの画像診断で二次性頭痛をしっかりと除外し、病状が安定している非急性頭痛患者でかつ定期的診療を要するケースである」とされております。例えば、脳腫瘍や他の変性疾患などの診断はそれぞれの診療科が担当するのであって、オンライン診療で慢性頭痛を管理している医師だけでは対象患者かどうか判断できないのではないかと思いますが、この記載に該当する患者かどうかはどのように判断するのでしょうか。これがまず1つ目の質問です。
そのほかにも、2つ目として、学会が示すような除外診断が確実になされた患者は数としてはどのぐらいが予想されているのか。
3つ目、そういった患者がオンライン診療を希望している調査結果はあるのかどうかといったことについてもう少し明らかにしておく必要があるかと思います。
また、特定疾患療養管理料の対象患者に在宅自己注射指導管理料を算定している場合については、その状況は理解いたしますが、ただ、レセプト上は在宅自己注射指導管理料を算定している患者について、その患者が特定疾患療養管理料の算定要件、例えば治療計画に基づいて療養上の指導を行っている等の算定要件を全て満たしているかどうかを判断できるのでしょうか。これも質問でございます。まずはお願いいたします。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
幾つか御質問がございました。まず、慢性頭痛の患者の関係だと思いますが、正確な数の把握は難しい部分がありますけれども、慢性頭痛のうち最も多いと考えられます偏頭痛の患者につきましては、頭痛の診療ガイドラインにおいて年間有病率が8.4%とされております。また、有病率としては20代から40代の女性が高いとなっております。
また、この慢性頭痛の関係でございますが、危険な頭痛が見逃されるリスクがあるという部分に関してどのように診察しているかというところでございますが、慢性頭痛のオンライン診療については、オンライン診療を先に考えているというガイドラインではなく、しっかり最初に対面診療にて、おっしゃるとおり危険性がございますので、二次性の頭痛などの危険な頭痛を除外することを大前提とした上での診療のガイドラインとなっております。そういう患者に限って行うことが基本というのがガイドラインの姿勢でございます。
また、学会の提案ではございますが、この指針については、日本頭痛学会、日本神経学会、日本神経治療学会の3学会の共同声明として出されておりますけれども、この作成に当たりましては、先ほど委員の御指摘がございました日本脳神経外科学会の先生方もこの作業に加わってこの指針ができているということで承知しておるところでございます。
それから、在宅自己注射指導管理料の関係でございますが、先生がおっしゃるとおり、これは頭痛のほうも一緒でございますけれども、基本的にオンライン診療の要件ということで中医協の中で定められたものがあるかと思います。頭痛にしても在宅自己注射指導管理料についてもそれをしっかり守った上で実施されることは当然のことだと思っております。自己注射の対象の患者がオンライン診療の対象となる要件を満たすかどうかということにつきましては、例えばレセプト上、記載を求める、そのような工夫をさせていただいた上で、確認した上でオンライン診療に入っていただくことができるのではないかと考えているところでございます。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ただ、どうしても頭痛というのはたくさんの種類の頭痛があって、見分けにくいということも非常に多い領域でございます。しかも、その中には命に直結するような頭痛が隠されていることも多々ありまして、一つの症状がずっと続くわけではありませんから、そういった中で、脳神経学会や、もう一度この辺についてはしっかりとした見解を求めたいと思います。
それから、この議論は、あくまで臨床をしっかりと見ていこうということに対しての慎重な上にも慎重を重ねて行う議論だと思っておりますので、今言いましたことにつきましては、やはりきちんとした専門家の御意見を伺いたいと思っております。
24ページ目の遠隔モニタリングでございますが、こちらにつきましては、異論はございません。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
まず、事務局にお願いですが、15ページ、16ページ、医学会連合に加盟している、認められた学会にアンケートされています。確かにオンライン診療というのはICTの活用であることは間違いないのですが、ではICTの活用を考えているかというアンケートが、オンライン診療のことを聞いているわけではなくて、さまざまな医療現場におけるICTを活用するかどうかということを学会に聞いておられるのですね。では今、検討されている学会が幾つあるとか、あるいは「取り組む必要がある」は19の学会という答えになっていますが、これがそのままオンライン診療をあらわしているということにはならないので、聞かれるときにはきちんと区別して聞いていただいたほうが実態が正確にわかると思います。ぜひこれはそういう形で今後聞いていただきたい。
それから、17ページにありますように、これも学会の話になりますが、最後の四角囲みに「学会により標準的な治療法として位置付けられることが望ましいのではないか」と、これはそのとおりだと思いますけれども、先ほどから松本委員もおっしゃっているように、学会といっても、医療関係者でない方は学会といったらみんなそれなりの権威があるというふうに思われるかもしれませんが、少なくとも日本医学会に参加が認められているような学会かどうかというのも非常に大きな問題だと思います。「学会」と一言でくくらなくて、もうちょっと基準を明確にしていただいたほうがいいと思います。一つの学会だけではなくて、関連する複数の学会から、それは今回も幾つか聞いていただいているようですが、そういうことは必ず条件にしていただきたいと思っています。
それから、この問題点は、いわゆる頭痛学会というのが専門医制度を持っておられるかどうか私はわからないのですが、少なくとも慢性頭痛に対して見識のある先生たちが出されたエビデンスで、ただ、オンライン診療を実施される方がどういう方かというと、前にもたしかリストがあったと思いますけれども、必ずしも頭痛のことを詳しく知っておられる方たちがオンライン診療をやっているという話ではないわけです。先ほどあったように、危険な頭痛を除外するためにMRIとか、必ず対面のときにそういう頭痛に関する知識を持っている方がやっていただく必要があるので、ガイドラインに書いてあるからといってそれがきちんと本当に実施されるかどうかというのはわからないわけですから、そこは極めて厳格にしっかりとそういう対応をとれるようにしていただきたいと思っています。
24ページの論点は、松本委員がおっしゃったように、賛成ですが、23ページの確認で、在宅酸素療法イコールCOPDではないので、COPDのガイドラインで血圧を測定しないというのはそれはそれでいいのですけれども、在宅酸素全般で血圧測定をしなくてもいいというルールにするかどうかの確認、これは質問です。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
私ども提案させていただいているのは、23コマ目を見ていただくと、算定要件という形で血圧が必須ということになっています。病状によっては当然必要な方もいらっしゃるし、必要でない方もいらっしゃる。それは主治医の判断にお任せするべきことだと思っておりますが、血圧が必須で入っているということで、別の機器が必要になったり、必要でない患者もしなければならないというところについては少し勘案してはどうかということでの趣旨でございます。
○今村委員
理解できました。COPDについてはしっかりとガイドラインの中で外れているということなので、そこを外すことはいいと思いますが、在宅酸素を行っている方は結構多岐にわたっていて、心不全やがん末期の方、いろんな方がいろんな条件で使っておられるので、主治医の判断で血圧測定が必要だったらはかればいいでしょうというふうに考えるかどうかというのは、もう一度御検討いただければと思っています。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
基本的には2つの論点について異論はございませんが、オンライン診療の拡大について今後どういう議論をしていくかということについて確認します。
まず、今のオンライン診療は管理料で対象患者を縛っているということになりますが、今回、慢性頭痛ということで疾病を対象にするということです。これからは管理料という概念でなく、有用性や、学会がエビデンスを用いてきて認められる場合には、疾病ごとに拡大していくという方向でいいのか、まず確認させていただきます。
今回は、中医協にいきなり学会のほうの提案ということで出てきたのですが、今後もこういう方式でやっていくのか。学会がエビデンスを認めて有用性があるとオンライン診療を認めていいということになると、いきなり中医協に出てオーケーというふうな形になるのか。それとも、例えばエビデンスをどこか中立的な組織、例えば医療技術評価分科会等に提案して、一旦歯どめをかけて、そこで認められれば中医協に出すという方法になるのか、いきなり中医協にこういうふうに上がってくるのか、そこは今後の手順を整理しておくべきではないかと思っています。
意見としては、中医協にいきなりこういうふうに出てくるのではなくて、どこかで学会のエビデンスを評価して、これが妥当であるというところを中立的に認めるような手順が必要ではないか。それで認められた場合に中医協に上げて、これを対象にするという手順が必要ではないかと思います。その辺、まだ曖昧な部分があるので、そこはちゃんと統一しておいたほうがいいと思いますが、その辺についての見解を事務局にお伺いしたいと思います。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
2つ御質問があったかと思います。
1つは管理料との関係でございますが、医学管理料そのものは、基本的には慢性的な疾患に対して治療計画、管理の計画をしっかり立てた上で患者に指導管理していく、この点を評価したものでございます。その点は、オンライン診療をどう診療報酬に取り込むかということで前回の改定のときに議論されたような、慢性的な疾患の指導管理をしっかり立てたところに使うことがいいのではないかという趣旨には沿っているかと思っています。
また、実際、対面診療でそういう管理がなされている方に対して、プラス一部をオンライン診療に置きかえるという視点ですので、そういう意味では、医学管理料というのはうまくフィットしている部分があると思います。
さらに言うと、実は私どものレセプト等の中でしっかり管理されているかどうかという監査の視点では、管理料とのセットという形のほうが確認しやすい、患者のしっかりした適用がなされているかどうか確認しやすいという視点が正直、一点ございます。そういう点では、またこの場で御議論いただければと思いますが、基本的には監査の視点からも非常に管理しやすいというのが一点ございます。
また、もう一つ、今後、入れるときの相談の仕方でございますが、今回、追加というか、対象の拡大という意味で御提案させていただきましたものは、頭痛という、症例の一部の部分だけでございまして、今後どのようなことが出てくるか、正直、わかりませんので、どのような形で持っていくかというのは幾つか経験を重ねた上で決めさせていただければと思います。
技術評価分科会の役割ということでございますが、医療技術評価分科会においてさまざまな御提案がございます。今のところ、基本的な考え方としては、医学管理に類するものについては技術評価分科会に提出していただきますが、基本的には中医協のほうで医学管理に関する点については御議論いただくという整理です。医療技術評価分科会のほうでは主に手術や処置、検査、そういったものがエビデンスがあるのかどうかという形で、今の標準的な診療の中に入っているかどうか、そういう視点を含めて議論いただいているということでございますので、医療技術評価分科会を通すというのは難しい状況でございます。では、ほかに何かないのかということも考える必要は当然あるとは思いますが、今のところまだ少数でございますので、今回はこのように出させていただきまして、例えば次回改定のときにはどのような形でやるのかということについては御相談させていただきたいと思っております。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
わかりました。今、管理料で縛られているので、例えば高血圧の方が特定疾患療養管理料を取っているとオンラインができるということですが、循環器系の学会が高血圧症についてオンライン診療が妥当であるというエビデンスを示した場合に、高血圧症という疾患に対してエビデンスが有効であるというふうに認めた場合は、特定疾患療養管理料を取っていなくても、高血圧症であるということでオンライン診療できる可能性もあるということで理解してよろしいでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
高血圧症は生活習慣病管理料ですので、もともと入っているということと、医学管理なので、ここの議論になるとは思いますが、もともと入っているのをまた議論するということでしょうか。とりあえずは、今のところ、私どもとしては、医学管理とフィットした形で管理されたほうがよろしいだろうということでしておりますので、そうでないほうがいいということであるのであれば、例えば学会からこの部分についてこうしてほしい、こういうほうが今の診療ガイドラインに沿っているという話があるのであれば、また御相談させていただきたいと思っております。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
18ページの1つ目の慢性頭痛へのオンライン診療対応について、先ほど診療側の委員の先生から、色々なケースがあり慎重に、見なければいけないというお話があり、そうかなと思ったのですが、8ページ、9ページ、10ページの学会の指針に基づいてエビデンス、知見を得て対応してきた中でそういうケースはあったのでしょうか。様々な対応をしている中で重篤なことが発見されるおそれが存在するケースはあったのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
8コマ目を見ていただければと思います。安全性が書かれているところでございますが、ガイドラインのもとになりましたエビデンスというところで、8コマ目に「非急性頭痛のオンライン診療の安全性」というところがあるかと思います。そこに書いてありますように「二次性頭痛の発症や入院治療に至った症例数等も差がなかった」ということでございますので、対面診療とオンライン診療を用いた場合との間で差がなかったというところのエビデンスが出ているという意味でございます。
○吉森委員
ありがとうございます。いずれにしても適用患者は、10ページにある指針を厳格にやっていけば、ゼロとは言わないまでも、おそれがない、安全性も担保されるということであるならば、まずは指針をしっかりと要件化して対応していくということはよいと考えます。
一方、この指針や、2つ目の論点にありますが、幸野委員も言っていましたように、対面診療とオンライン診療で有効性・安全性において一定レベルのエビデンス評価があることが大事であり、アウトカムでも受診継続率が必要だと思います。これに差がないということの確認は必須だと思います。一定レベルのエビデンス評価の考え方、個別の診療領域について、管理料でない形で行っていくということで、学会の標準的な治療法として位置づけられるものについては先ほど診療側の委員の先生もおっしゃっていましたが、学会でも色々あることも勘案すれば、標準的な治療法として位置づけられたエビデンスベースに基づくものについては、専門的かつ分野横断的にフラットな評価組織においてスクリーニングが行われるのが必要だと思います。14ページにありますような医療技術評価における医療技術評価分科会の対応プロセスを参考に、オンライン診療における学会の取組、エビデンス等についても評価プロセスをきちんと明確にして、安全性・有効性を一定担保、確保できるような公的な組織の設置は必要と考えます。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
今、1号側の委員の先生方から、医療技術評価分科会における審査という話がありました。まだオンライン診療に対する一定の評価が定まっていない中で、これを一つ一つ議論していくのは時期尚早であると思います。したがいまして、先ほど医療課長からお話があったように、まずは中医協の総会においてしっかりと今後も議論を積み重ねていくべきだと考えます。
また、幸野委員から、特定疾患療養管理料から外れたものがあるのではないかという話、高血圧等がありました。オンライン診療のもともとの理念が継続的な管理がなされているということでございますので、当然、いろいろな管理料がございますが、この中には全てかかりつけ医等が治療計画に基づいて服薬、運動、栄養等の管理指導を一定期間行ったということが前提になっています。例えば急激な高血圧の発症、そういうことはオンライン診療にはなじまないものだと考えております。
○田辺会長
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
少し違った視点でお話をさせていただきますが、17ページの下から3つ目の箱のところです。基本的に、評価に当たっては診療の安全性がしっかりと担保された上でということがオンライン診療のベースになるわけです。先ほどから松本委員もおっしゃっているように、頭痛というものの原因に関しては、初診時であっても、継続したオンライン診療時であったとしても、大変危険な疾患というものが多うございます。
ただ、これを対面診療でしているということは、医療者と患者との一対一対応の関係の中で、医療者の判断、その結果として治療が行われるということで、責任も全てそこに帰属するわけです。これをオンライン診療に入れるということは、もちろんドクターの判断ということもございますが、オンライン診療の制度そのものがもたらす限界として、その裏にかくれた疾患を見抜けなかったという形にもなりやすいと御理解していただくと、今回は要件ではなくて疾患単位のお話をされていますけれども、疾患一つをオンラインに入れるということがどれだけ難しいのかということをしっかりと認識していただかなければ、オンラインで偏頭痛ですね、緊張性頭痛ですねという形になって、オンラインが終わった後すぐに倒れた、誰が責任をとれますか。これは制度をつくった人が悪いという話になりますね。ですから、慎重の上にも慎重を重ねてという松本委員の御意見はそういう意味もしっかり入っていると御理解していただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
先ほど松本委員からありましたが、まずは中医協にということではなく、先生たちがおっしゃっていたように、いろんな学会があるということで、第三者的なフラットな組織からで多面的にある程度意見をいただいて中医協で議論するという過程は必要だと思います。すぐ上がってきても、申しわけないですが、我々もその学会も内容もよくわからないので、そういうスクリーニングが必要だと思います。
オンライン診療について、全てオンラインでやるのでなくて、入り口、出口はきちっと対面で見ていただくこともありますし、途中でどのようにするか、オンライン診療の対応の要件をどうするか、使い勝手が悪いのかどうかというのは、使ってみて考えるということもあるでしょうし、疾患別に全て同一でやるということでもないと思いますので、一つずつ工夫していくということだと考えています。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
では、後半部分の情報共有・連携についてのところで御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まずは40ページ目の論点でございます。1つ目と2つ目の論点につきましては、口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症予防につながるなど、健康寿命の延伸に口腔機能管理は重要であることが周知されることとなり、地域包括ケアシステム構築において医科歯科連携は欠くことができないことは明らかです。前回改定で新設された診療情報連携共有料や、以前からある診療情報提供料(1)の加算としての歯科医療機関連携加算につきましては、算定が進んでおりません。両点数とも余り知られていないことが原因だとも考えられますので、医科歯科連携の重要性について国としての周知も必要だと考えます。その上で、算定できるケースの拡大等を検討していくべきだと思います。
なお、2つ目の論点の「手術を行う医療機関が歯科医療機関への予約を行った上で患者の紹介を行った場合に評価」というのはどのようなイメージなのか、現行の診療情報提供料との違いなども含めて具体的に説明していただければありがたいと思います。
○田辺会長
では、よろしくお願いいたします。
○小椋歯科医療管理官
周術期等の口腔機能管理におきまして、手術を行う医科の医療機関が歯科の医療機関に予約をとった上で患者の紹介を行うことを評価してはどうかということでございますが、周術期等の患者は、基本的にはがんなどの治療でオペや化学療法、放射線療法などをされるわけでございますけれども、がんの患者にオペの前に歯医者に行っておいでという話をしても、何で歯医者に行かなければいけないのかということも当然あると思います。そこら辺のところは、医科の先生方から、主治医の先生方などから基本的に丁寧に御説明いただくとともに、予約をとって確実に受診につなげるということを目的としたものでございます。
以上です。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
多少理解されましたが、この辺のところももう少しわかりやすい具体的な説明を今後もお願いしたいと思います。
48ページ目の医療的ケア児の情報提供についてですが、これは非常に大事な観点でございまして、主治医から学校医などへの情報提供に係る評価をしていく方向には賛成いたします。
以上です。
○田辺会長
では、林委員、お願いいたします。
○林委員
私からは40コマ目の論点に沿って発言いたします。
まず、1つ目の論点でございますが、小児在宅患者訪問口腔リハにおける栄養サポートは重要でございます。これの案には賛同いたします。29コマ目にありますように、そもそも小児在宅患者訪問口腔リハ自体の算定は伸びておりません。主治医である医科との連携が非常に重要と思っております。栄養サポートチーム等連携加算を含め、今後、より連携が推進するよう御検討をよろしくお願いいたします。
次に、2つ目の論点でございます。手術を行う病院と周術期等口腔機能管理を行うかかりつけ歯科医の医療機関によります早期の連携を推進する上で、先ほどもお話がございましたが、重要と考えております。
次に、3つ目の論点でございます。周術期(Ⅲ)における周術期等専門的口腔衛生処置の拡大の提案と理解しております。周術期(Ⅲ)での管理は非常に重要と思いますが、現状ルールでは、かかりつけ歯科医による歯科疾患管理と重複した際には周術期(Ⅲ)の算定ができないケースも想定されております。必要な疾患に対する管理は必要に応じて算定できるよう、あわせて御検討をよろしくお願いいたします。
最後の論点ですが、医科歯科連携は、周術期等連携、訪問診療連携、糖尿病患者や妊産婦連携など重要でございます。診療情報提供や共有を含めて、より推進するよう引き続き検討のほどよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
医科歯科連携についてあえて拒否はしませんが、確認等申し上げたいのは、まず栄養サポート加算ですけれども、歯科疾患在宅療養管理料や在宅患者訪問口腔リハは、患者に説明して患者の同意をとって算定できるということです。小児の在宅については家族への説明はされているのですが、患者の同意を必要としているのかということをまずお聞きしたいと思います。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○小椋歯科医療管理官
こちらのほうは小児の患者でございますので、小児本人の同意というよりは家族への説明という形にさせていただいております。
○幸野委員
家族の同意は必要要件とされていないということですか。
○田辺会長
お願いいたします。
○小椋歯科医療管理官
家族への説明ということで、同意というところまでは規定していないという状況です。
○幸野委員
意見ですが、ほかの2つの歯科疾患在宅療養管理料や在宅患者訪問口腔リハについて栄養サポート加算、これは家族の同意のもとに行われているということであれば、もし小児の在宅に栄養サポート加算をつけるのであれば、説明だけでなくてちゃんと家族の同意をとることも要件にするということであれば特に問題なかろうと思います。
それと周術期の歯科の予約を評価するというのは、これで評価するのはどうかと思いますが、限定的な点数であればよかろうかと思います。
3つ目の論点については特に異論はありません。
医療的ケア児の情報提供についても特に異論はありません。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。では、田村専門委員、お願いいたします。
○田村専門委員
学校への情報提供につきまして、現場からの意見でございますが、経管栄養や人工呼吸器を使っている医療的ケア児の給食を含めた食事摂取の判断や、誤嚥しないように歯磨きを行う方法など、歯科医と学校医や担任とのやりとりが行われている現状がございますので、歯科も含めて御検討いただければと思います。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
では、事務局、お願いいたします。
○小椋歯科医療管理官
済みません。先ほどの家族への説明でございますが、私の説明が間違っておりまして、こちらのほうは家族への説明だけではなくて同意もとるということが算定要件に既になっております。
○田辺会長
よろしゅうございますか。ほかはいかがでございましょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
ここで一回休憩を挟みたいと思います。
○岡田医療技術評価推進室長
10分程度の休憩とさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
(休 憩)
 
○田辺会長
それでは、再開いたします。
次に、次期診療報酬改定に向けた議論として「外来医療(その3)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料総-3に基づきまして御説明させていただきたいと思います。外来(その3)、かかりつけ医機能、その他ということで、5つのテーマについて整理しているところでございます。
まず、1つ目、かかりつけ医機能等についてでございます。
機能強化加算等について整理しております。
8コマ目に前回御議論いただいた内容を整理しておりますので、それを中心に御説明したいと思います。まず、機能強化加算に係る個別の説明について、誰からするのか、どのような内容をするのかという観点から、また、体制の評価という観点から御議論をいただいたと認識しております。
9コマ目でございますが、かかりつけ医機能に関する説明について、かかりつけ医機能の普及啓発という観点から、また患者さんの理解を高めるという観点から御議論いただいた御意見をまとめております。かいつまんで御説明いたします。
8コマ目ですが、まず、機能強化加算に係る説明については、診察前に文書を交付して説明することが望ましいという御意見がある一方で、個別の説明を行うことは診療そのものに支障を来すため、望ましくないといった御意見がありました。また、機能強化加算だけ特に説明を求めることについては、その理由がないのではないかという御意見がございました。また、説明する内容につきましては、費用負担に係る内容を明示すべきであるといった御意見や、医療機関の負担に配慮した運用を検討するべきといった御意見がございました。
続きまして、9コマ目でございます。かかりつけ医機能の普及という観点から、かかりつけ医機能に関する説明や普及啓発は重要であるという点では一致していたと思いますが、その説明については医療機関で行うと患者にしっかり伝わり、理解が深まるといった御意見がある一方で、医療機関だけでなく保険者が行うべきであるといった御意見がございました。患者の理解を高める手法として文書の交付や文書を用いた説明が望ましいという御意見がある一方、個別の患者に対して医師が直接説明することは診療の妨げとなり得るといった御意見がありました。
前回の御議論を踏まえまして、院内の掲示を要件とする項目と個別の同意取得を要件とする項目を整理しております。10コマ目は、院内掲示を要件とする項目を整理しております。下線の太字は外来で算定する項目です。こちらは医療機関の有する体制の評価から個々の診療行為の評価まで、その趣旨はさまざまとなっているところでございます。
11コマ目をごらんいただきたいと思います。こちらは個別の同意取得を要件とする項目を整理しております。基本的には体制に係る評価は含まれておりません。個々の診療行為そのものについての評価を趣旨とする項目となっております。
12コマ目でございます。機能強化加算の届け出医療機関の地域包括診療加算等の届け出状況、これも前回御質問があったと思いますので、それぞれの診療料を取っている診療科のうち、どのくらいの医療機関が機能強化加算を取っているのかといったところを提示しております。
13コマ目は、地域包括診療料を取るについて、その届け出に当たりまして満たすことが困難な要件を伺ったものです。在宅医療の実績要件や往診等の24時間体制を満たすことが困難であるということが見てとれると思います。
14コマ目から16コマ目は、地域包括診療加算等の施設基準といったものを示しているところでございます。
17コマ目は、かかりつけ医を決めた理由について患者にお尋ねしたものをまとめたものでございます。最も多いのは「どんな病気でもまずは相談に乗ってくれる」、次いで「必要時に専門医、専門医療機関に紹介してくれる」が多く、在宅医療や夜間・休日の対応についてはやや低い傾向にございました。
18コマ目、以上を踏まえまして論点を整理しております。3つ挙げてあります。
1つ目です。機能強化加算を届け出る医療機関において、患者に対して説明する内容は、かかりつけ医機能及び当該患者が得られるメリット等に係る説明をすることについて、現場の負担感や診療時間への影響も踏まえ、どう考えるか。
2つ目です。説明する際には、書面を渡すこととした上で、必ずしも医師からの説明でなくてもよいこととしてはどうか。
3つ目です。地域包括診療加算等の施設基準については、医療機関に対して患者が求める機能や医療機関への負担等を踏まえ、在宅医療に係る要件や時間外の対応に係る要件等について必要な見直しを行うこととしてはどうか。
続きまして、紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担等についてでございます。
20コマ目は、制度の説明です。
21コマ目は、紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担に関する意見でございます。紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担の対象については、10月30日の総会で御議論いただきまして、200床以上の地域医療支援病院に対象を拡大すべきといった御意見や、地域医療支援病院の性格、その認定の内容を考えれば、地域医療支援病院に関しては対象を広げるべきとしてはどうかといった御意見をいただいているところでございます。
22コマ目です。大病院の定額負担のほかに、現在、定額負担の対象となっている特定機能病院及び許可病床400床以上の地域医療支援病院につきましては、定額負担徴収の責務のほか、紹介率や逆紹介率の低い病院において、紹介なしに受診した患者に係る初診料及び外来診療料が減算となる規定を設けているということでございまして、そこに説明がついております。
23コマ目は、平成30年度の改定における病床数要件の見直しの中で定額負担の対象病院の拡大とあわせて初診料等の減算の対象病院も見直しをしたものでございます。
24コマ目は、論点としまして整理しております。
1つ目です。紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担の対象となる病院について、これまでの中医協での議論等を踏まえ、外来医療の機能分化を進めていく観点から、特定機能病院及び地域医療支援病院(一般病床200床未満を除く)を対象病院とすることとしてはどうか。
2つ目です。定額負担の対象病院について見直しを行うに当たって、初診料等減算に係る対象病院についても定額負担の対象病院と同様とする見直しを行うこととしてはどうか。
続きまして、女性の健康に係る課題等についてということで整理しております。
26コマ目は、現代女性のライフサイクルにおいて性成熟期を中心にさまざまな健康問題が生じているということを整理した資料でございます。
27コマ目は、第1ラウンドの資料の再掲でございます。離職経験のある方について、女性が仕事をやめた理由として「定年のため」や「契約期間が満了したから」に次いで「健康がすぐれなかったから」が多く挙げられていることがわかるかと思います。
28コマ目は、月経痛や子宮内膜症等により働く世代の女性のQOLが損なわれていることが課題になっているという資料でございます。
29コマ目です。患者調査によりますと、月経障害を有する総患者数は13万人、20代から40代に多く、最多は30代となっております。子宮内膜症を有する患者は6万7000人で、40代が最多となっております。また、学会の報告によれば、子宮内膜症に卵巣がんが合併する割合は40代以上で高くなり、子宮筋腫の発生率、子宮腺筋症の発生率も40代でピークになるという報告がございます。
30コマ目です。女性のフルタイム職員を対象としたアンケート調査によりますと、現在または過去に月経異常を経験している人は約半数となっております。また、月経異常が出現してから、婦人科、産婦人科を受診するまでの期間が4カ月以上あいている人が半数以上でした。また、婦人科、産婦人科に行くべきときに行かなかった経験がある人は37%ありまして、その理由としては「自分の症状は重大な病気ではないと思ったから」が最多の回答をいただいているということでございます。
31コマ目は、男女の健康意識に関する調査報告をまとめたものでございます。これによりますと、月経困難症、子宮内膜症、卵巣嚢腫は通院頻度が3カ月に1回から2回、子宮筋腫は6カ月に1回から2回が最多となっております。また、婦人科、産婦人科に通院する患者へのアンケート調査では、過去に婦人科、産婦人科の通院を中断した理由として「多忙により再診を先延ばしにしているうちに中断した」「薬剤等の治療を開始してもすぐには効果を実感できなかったから、通院しても意味がないと自己判断した」「そもそも通院の必要性を理解していなかったから」といったような回答が得られております。
32コマ目は、月経異常と関連して生じる月経困難症、子宮内膜症等について詳細をまとめた表です。月経困難症は月経期間中に月経に随伴して起こる下腹痛、頭痛、抑鬱等の病的症状の総称となっております。
33コマ目は、月経困難症と器質性疾患の治療のイメージを示しております。初経から閉経まで月経がある期間については月経困難症が起こり得ます。生活指導や対症療法を行いながら、器質性疾患がある場合は、個別の状態や状況に応じてホルモン療法や手術等の治療を組み合わせて継続的に治療を行うのが一般的となっております。また、子宮内膜症に対するホルモン療法については、子宮体がん、卵巣がんに対する予防的効果が確認されております。
34コマ目は、月経困難症の治療において注意するべき点でございますが、子宮内膜症や子宮筋腫を発症するリスクがあることに加えまして、これらの器質性疾患は悪性腫瘍等の重大な疾患につながるリスクがあるということでございます。例えば、子宮内膜症のうちチョコレート嚢胞がある場合は、卵巣がんのリスクは8.95倍になるという報告が示されております。
35コマ目です。これらを踏まえまして、月経困難症や子宮内膜症に対しては専門医師による定期的、継続的な医学管理を行うことで続発性疾患の早期発見や早期治療ができ、起きてしまった疾患や症状に対しても重症化を防ぐことができるとされております。なお、婦人科、産婦人科疾患の治療については、学会等により作成されている標準的なガイドラインがあるということでございます。
36コマ目は、参考として、定期的な医学管理に関する評価の例として小児運動器疾患指導管理料を示しているところでございます。専門的な知識を有する医師が計画的な医学管理を継続して行い、療育上必要な指導を行った場合には、6カ月に1回、算定できるというものがつくられているということでございます。
37コマ目です。論点といたしまして、月経関連の症状や疾患により、働く世代の女性のQOLが損なわれていることが課題とされていることを踏まえ、月経困難症や子宮内膜症の継続的・定期的な医学管理を行った場合の評価のあり方についてどのように考えるかということでございます。
38コマ目以降は分割調剤についてでございます。
39コマ目は、1ラウンドの資料ですが、処方日数が31日以上の算定回数は増加傾向にございます。
40コマ目は、1ラウンドで同じように示したものでございますが、病床規模別の処方日数の分布でございます。NDBのデータを集計したもので、グラフの左端の2列、診療所、20床未満の有床診療所の処方日数は約9割が30日以内となっております。また、赤枠部分ですが、病院等では病床数がふえるにつれて処方日数が増加しておりまして、31日以上の処方割合は、200床から300床の病院では約4割、500床以上の病院では約5割となっているということでございます。
41コマ目は、平成28年度診療報酬改定でまとめました長期投薬の取り扱いの明確化についてです。まず、30日を超える長期投薬を行う場合は、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、かつ服薬管理が可能であると医師が判断する場合、かつ病状が変化した際の対応方法や当該医療機関の連絡先を患者に周知することとされておりました。一方で、これらを満たさない場合には30日以内に再診を行う。200床以上の病院であれば、他の医療機関を紹介する。患者の病状は安定しているが、服薬管理が難しい場合には分割調剤で対応するとされております。平成28年度の改定で医師の指示による分割調剤が制度化されたということでございます。
42コマ目、43コマ目については、平成30年度診療報酬改定で分割調剤の明確化を行ったというものでございます。平成30年度の改定においては分割指示の上限を3回といたしまして、また分割調剤が明確になるよう処方箋の様式を追加し、43コマ目に様式がつけられております。
44コマ目は、続きまして、薬局における分割調剤の種類ということで整理しております。分割調剤については、そこにありますように3つに分類されております。1つ目が長期保存が困難な場合等の理由によるもの、2つ目が後発医薬品を試しに使用する場合、3つ目が医師による指示がある場合、これがこれまで御紹介したものになります。それぞれの算定回数は下の棒グラフでございます。緑の部分が医師の分割指示によるものです。
45コマ目は、分割調剤に関する平成30年度改定の影響についてアンケート結果をまとめたものでございます。左上の円グラフでは、分割指示に係る処方箋を発行していると回答した医療機関は9%、左下と右下の円グラフは、平成30年度改定の影響を医療機関、薬局にそれぞれお聞きしたものでございますが、いずれも「変わらない」という回答が多かったということでございます。
46コマ目は、分割調剤を活用した事業も行われおりまして、岡山県で実施されたものでございます。岡山県では、分割調剤と多職種連携を活用して患者の服薬状況や有害事象の有無を確認し、その結果を医師に情報提供する、そういう取り組みが行われております。
47コマ目です。医師への報告につきましては、服薬情報等提供料で評価されておりまして、医師の指示があった場合には30点ということで評価されております。
48コマ目は、医師の指示に基づく分割調剤を行った場合の調剤報酬の仕組みを提示しております。調剤基本料、調剤料、薬学管理料は分割回数で割りますので、患者の追加負担は生じない、そういう仕組みになっております。そこに具体例として、90日分の処方を30日、3回に分割した場合の点数を例示しております。赤枠の部分を見ていただきますと、点数がそれぞれ3分の1になっていまして、分割される点数の中には服薬情報等提供料も含まれて3分の1になっているのがわかると思います。
49コマ目です。参考といたしまして、その他の分割調剤時の算定ルールを示しております。先ほど言いましたように、医薬品の長期保存が困難な場合、後発医薬品の試用を目的とする場合、この2つでございますが、後発医薬品の分割調剤については薬剤服用歴管理指導料が別途算定できるとなっております。
50コマ目は、処方箋料の概要でございます。これについては、分割調剤に関する規定は現在のところ特段ない状況でございます。
51コマ目は、患者調査の結果をお尋ねしておりまして、30年度改定の影響について調べたものでございます。左上の円グラフは、内服薬を30日以上処方されている患者を対象に調査を行ったところ、分割調剤を「よく知っている」または「少し知っている」と回答した患者は全体の約3割です。右上の円グラフは、医師から分割指示のある処方箋をもらったことがある患者は2%でございますが、これらの患者のうち約8割は「大変満足している」または「やや満足している」と回答しております。
52コマ目は、これらを受けまして、論点として3点整理しました。
1つ目ですが、医師の指示に基づき分割調剤を実施する場合、患者の服薬状況や副作用の状況等を処方医にフィードバックすることが重要であることに鑑み、服薬情報等提供料について、分割回数で除した点数ではなく、通常の点数を算定できることとしてはどうか。
2つ目ですが、医師が分割指示に係る処方箋を交付した場合、薬局からのフィードバックの情報等も踏まえて次回診療に備える必要があることなどを踏まえ、一定規模以下の病院や診療所について、分割指示の処方箋を発行した場合について評価を検討してはどうか。
3つ目ですが、分割調剤の活用実態や患者の認知度等を踏まえ、このほかどういった対応が考えられるかということで整理させていただきました。
53コマ目以降は、ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムについてでございます。
54コマ目です。11月20日の総会では、ギャンブル依存症の治療法については、海外における研究も含め、さらにデータを提示した上で検討する必要があるといった御意見をいただいたところでございます。
55コマ目は、ギャンブル依存症を疾患として位置づけるエビデンスとしてまとめたものでございます。エビデンスとしましては、脳の形態ではなく機能活性を見る、脳の機能画像解析のメタ解析結果を示しているところでございます。右側の図でございますが、健常者と比較しまして、ギャンブル依存症患者の脳には報酬系と呼ばれる回路の異常を認めております。左側の図ですが、この回路の異常はアルコール等の物質依存症の患者の脳においても認めております。下の写真ですが、ギャンブル依存症では脳の報酬系のうち、意思決定に係る部位に異常を来すということも報告されております。このような異常がありますと、例えばギャンブルをみずからの意思でやめるといった意思決定に支障を来し、ギャンブルを過剰に続けてしまうといった状態になると考えられているということでございます。
56コマ目は、御指摘いただきましたギャンブル依存症の治療プログラムの海外における研究について、小規模な研究を除いて調整したメタ解析においてギャンブル依存症に対する認知行動療法の有効性をまとめたものでございます。これにおきまして、有効性が示されております。依存症治療で一般的に行われる自助グループセラピーのみを行った群と比較して、認知行動療法を行った群でギャンブルの頻度やギャンブルに使った費用が減少していることが報告されております。さらに、ギャンブル依存症に対しての認知行動療法の集団プログラムを実施したところ、ギャンブルの頻度や費用が減少したということが報告されております。
57コマ目です。今まで説明しました海外のエビデンスをもとに、日本におけるギャンブル依存症集団療法のプログラムとして標準的治療プログラムが開発されております。この治療プログラムは、認知行動療法の手法を用いた集団療法を行うというものでございまして、プログラムの内容といたしましては、2週間に1回、60分以上、10人程度のグループセッションを全6回行うとなっております。
58コマ目です。標準的治療プログラムの効果検証を行いましたところ、以下の結果が得られております。左の図は、断ギャンブルの継続率でございます。断ギャンブルとは、ギャンブルを断ち、一度も行わない状態を指しまして、断ギャンブル継続率とは断ギャンブルが持続している人がそれぞれの群の何%を占めているかということを指しております。断ギャンブル継続率は、介入群において有意に高く、その効果が3カ月後、6カ月後においても一定程度持続しております。真ん中と右の図でございますが、通常、ギャンブル依存症の研究においても効果のある指標として用いられるギャンブルの頻度と金額についても、プログラム終了後の1、3、6カ月時点それぞれで介入群が対照群よりも低くなっておりました。これらを踏まえて標準的治療プログラムは有効性が確認されたという結論となっております。
59コマ目です。依存症の治療に対する診療報酬上の評価として依存症集団療法という項目があります。依存症集団療法は、現在は薬物依存症を対象とした集団療法プログラムである物質障害治療プログラムに沿った治療を行った場合に評価されるものとなっております。
60コマ目は、参考として物質障害治療プログラムについてでございます。通常、SMARPPと言われているものでございまして、ギャンブル依存症の治療と同様に認知行動療法の手法を用いた集団療法を行うものでございます。
61コマ目です。これらを踏まえまして、論点として、ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムの有効性が示されたことを踏まえ、依存症集団療法の対象にギャンブル依存症を位置づけ、標準的治療プログラムに沿った治療を行った場合に評価することとしてはどうかという整理をしました。
続きまして、ニコチン依存症管理料について整理しております。
63コマ目に、11月22日の中医協総会でいただきました御指摘をまとめております。
64コマ目は、ニコチン依存症管理料の概要でございます。12週にわたり5回の診療を実施するとなっております。
65コマ目は、喫煙による健康影響を示しておりまして、御案内のとおり、喫煙はさまざまな疾患に関係して悪化要因になっていることが示されております。
66コマ目です。喫煙が生存に及ぼす影響については、喫煙者は非喫煙者に比べ各年齢での生存率が低く、禁煙した年齢が早いほど70歳の生存率が高いということがわかっております。
67コマ目です。全死因のうち27.8%、全がんのうち38.6%は喫煙が原因として考えられるという報告が出されております。
68コマ目です。国際がん研究機構によりますと、たばこは人に対する発がん性を示す十分な根拠がある(グループ1)と整理されております。
69コマ目です。加熱式たばこの主流煙には、紙巻きたばこと同程度のニコチンを含む製品もあります。
70コマ目です。WHOによると、加熱式たばこは従来のたばこ製品よりも有害性が低いことを示すエビデンスはないとされております。日本呼吸器学会の見解として、加熱式たばこの使用は健康に悪影響がもたらされる可能性があると示されているところでございます。
71コマ目は、現在のニコチン依存症管理料の算定の状況を示したものでございまして、ニコチン依存症管理料の5回治療終了の割合は36.13%であり、計5回の禁煙治療を終了した方の禁煙成功率の割合は90.63%ということでございまして、5回の治療を終了しますと9割の方は禁煙に成功する効果が出ているということでございます。
72コマ目は、経年の変化で見たものでございます。5回の禁煙治療終了割合は約3割で推移しております。5回の禁煙治療を終了した方の禁煙成功割合は約9割で推移しております。また、5回の治療を終了して禁煙に成功した人数、及び途中で治療を中止した者のうち、中止時に禁煙していた実人数は、治療患者を拡大した平成28年度改定前後で大きな変化は見られていないという状況でございます。
73コマ目です。5回の指導を最後まで行わず治療を中止した者のうち、中止時に禁煙していた者の割合は約5割でございまして、微増傾向となっております。ニコチン依存症管理料の平均継続回数は約3.3回となっております。
74コマ目ですが、初回の指導の算定回数と5回目の指導の算定回数の比率を見てみますと、年齢が上がるほど比率が高くなるという傾向がございました。
75コマ目は、平成28年度診療報酬改定の検証調査です。ニコチン依存症管理料における禁煙治療の効果等について調査しておりまして、調査結果をお示ししております。ニコチン依存症管理料の算定回数を年齢階級別に見ますと、5回終了の割合は年齢階級が高くなるほど高くなるという傾向が見られております。
76コマ目です。途中で治療を中止した患者のうち、治療を受けた回数が多いほど中止時に禁煙した人の割合が高くなるという傾向が見られております。
77コマ目です。治療終了後の9カ月後の禁煙状況を見ますと、5回終了した方は約5割が禁煙を継続しておりまして、治療回数が多いほど禁煙を継続している割合が高くなる傾向が見られております。
78コマ目は、参考としてつけておりますけれども、検診の場で診察医師の禁煙の助言と保健指導実施者による1~2分の禁煙支援を行った場合、熟考期プラス準備期の方の6カ月後の禁煙率は11.2%でございました。
79コマ目です。平成28年度改定で設けました平均継続回数が2回未満の減算規定が入っておりまして、それの算定状況をお示しいたします。平成30年6月審査分で初回が257回、2~4回目が515回、5回目が55回となっております。
80コマ目は、前回お示ししたものでございますが、初回診療を対面で実施し、2回目から6回目までの診療を情報通信機器を用いて行った群と、全ての診療を対面で行った群を比較したRCT研究において、継続禁煙率に有意な差は認めなかったという報告をいただいているところでございます。
これらを受けまして、81コマ目に論点として整理いたしました。ニコチン依存症管理料について、たばこの健康への影響や加熱式たばこに対するエビデンス、ニコチン依存症管理料の算定状況等を踏まえ、加熱式たばこについても対象としてはどうか。また、情報通信機器を用いたニコチン依存症治療については、初回及び最終回を対面で指導することを前提とし、対面診療と情報通信機器を組み合わせた診療を評価することを検討してはどうかというものでございます。
以上でございます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
では、かかりつけ医機能と女性の健康に対する管理の部分、残りの分割調剤と依存症の2つに関して御議論いただきたいと思います。
まず、37ページまで、かかりつけ医機能と女性の健康に対する医学的管理についての説明に関しまして御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まず、18ページ目の論点に沿って意見を述べさせていただきます。
1つ目と2つ目の論点につきましては、10ページ目に院内掲示を要件とする項目、11ページ目には個別に同意を取得することを要件とする項目ということで整理がなされております。ここに示された他の項目の取り扱いからしても、やはり医療機関の体制を評価した機能強化加算だけ個別に説明しなければならないということにつきましては了承できません。他の体制を評価した加算と同様に院内掲示で十分であると考えます。
かかりつけ医療機関に関する患者側の認知度を上げることを目的とするならば、診療報酬の要件として医療機関から患者に説明するのではなくて、保険者、厚労省、自治体などが医療機関を受診していない人も含めて機能強化加算を算定する要件について広く周知に努めることのほうが先ではないでしょうか。
今回の提案では、個別の診療行為ではなく、かかりつけ医機能を発揮できるような体制を整えている医療機関を評価するという、この加算の意味を変えてしまうことになり、ひいては今後の外来医療のあり方として求められているかかりつけ医の普及を停滞させることになるのではないかと考えますので、了解できません。
3つ目の論点につきましては、これまで繰り返し主張いたしましたとおり、現在の算定要件は非常にハードルが高く、実質的にはかかりつけ医機能を発揮していても評価されていない医療機関が多くあることから、そうした医療機関も評価されるよう要件の見直しを行うべきと考えます。
24ページ目の大病院への受診時定額負担等についてですが、これまでの議論を踏まえ、診療側として論点にある提案に賛成いたします。
37ページ目の論点ですが、この問題につきましては、現状及び課題に示されているとおりであり、これらの疾患が十分に管理され、女性が無理のない形で社会生活を営めるようにするために、論点に示された方向性に賛成いたします。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
24ページの紹介状なしの大病院受診時定額負担のことですが、今までの議論の中で、やむを得ないかなという気はしております。ただ、流れとして、前回、500床が400床に変更になったばかりであり、その変更が早過ぎるという気がしております。
それから、200床まで下げた場合に、地域医療支援病院であると同時に、その地域に密着した形の診療を行っている病院もそのクラスですとあるわけです。そうしますと、定額負担を取らない場合、例えば緊急受診とか、周囲の医療機関が少ないためにそこが診なければいけないとか、さまざまなことが考えられますので、そこは十分に周知徹底して現場に混乱が起きないようにお願いしたいと思います。
また、地域医療支援病院、これは病診連携という意味では非常に意味があるものだと思いますが、今回これが下がることによって地域医療支援病院そのものが減ってしまうということを危惧しております。そこら辺については導入された後も十分に注意深く動向を調べていただきたいと考えております。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。では、幸野委員、よろしくお願いいたします。
○幸野委員
まず、かかりつけ医機能について言わせていただきます。資料で出てきたとおり、どのようなところが機能強化加算を取っているか、12ページを見てみますと、在宅医療、在総管、施設総管を取っているところが圧倒的に多いということがわかりました。一方、17ページで見ると、国民が求めている在宅医療はかかりつけ医か、在宅医療を行っている機関がかかりつけ医になっているかというと、1割の方しかかかりつけ医機能ではないという意識があらわれていることが改めてわかったということです。
機能強化加算について、患者が地域包括診療料等のかかりつけ医機能に係る診療報酬を届け出ている医療機関を受診した場合、一律にわからないまま80点が加算されているという仕組み、患者が知らない間に医療費の負担が重くなるという点で言うと、2019年1月に凍結された妊婦加算と同じような意味合いを持つのではないかと思っています。
そういうところを受けて、患者・国民に身近な医療の実現に向けて、機能強化加算については前回も申し上げたとおり、継続的な指導管理が必要な患者に診療を行う前に、かかりつけ医機能を有している医療機関であるということをしっかりと説明して、それによって患者が享受するメリット、それから、初診料に上乗せされる費用等についても文書を提示し、診察前に丁寧に説明するということを算定要件に追加し、かかりつけ医機能についてしっかり理解した上でその医療機関を受診することが必要ということで、説明責任を求めるということについては強く求めたいと思います。それが1点目の論点でございます。
3点目の論点であります地域包括診療加算の施設基準の緩和でありますが、数次の改定によってどんどん常勤緩和などされています。在宅に係る要件、時間外の対応に係る要件、24時間に係る要件については、かかりつけ医機能を評価するための極めて重要な要件であると考えておりまして、今回これを緩和することについては反対であります。もしこの要件を緩和するのであれば、現行の点数設計も見直す必要があると思います。そして、機能強化加算もこの加算にひもづいて設定されるものでありますので、もし緩和されるのであれば機能強化加算の点数もあわせて見直すべきと思います。
ほかにもいろいろありますが、とりあえず機能強化加算の論点について意見として申し上げます。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今、幸野委員から、かかりつけ医機能強化加算について知らないうちに患者側は負担がふえている、そういう御意見もございましたが、前回もいろいろ議論したように、明細書を原則的に発行することになっているわけです。明細書の中にきちんとそういう項目は書かれていて、患者が、前回もお話があったように、それはどういうことなのですかということがあれば、幾らでも先生方に伺うことは可能になっているわけです。全く知らないうちに全部患者に負担を負わせているみたいな話とはちょっと違う。院内に掲示した上で、行った診療行為についてはきちんと患者さん側にお知らせするという仕組みはできているわけですので、現場の負担を考えていただいて、どこまでそういった説明が必要かということを改めて考えていただきたいと思います。
3つ目のかかりつけ医の診療料あるいは加算についてですが、これにつきましても、先ほど松本委員からお話があったように、そもそも機能を発揮していても要件が非常に厳しくてなかなか取れない、そういう話になっていると思います。
13ページを見ていただくと、今、具体的に常勤換算というお話も出ましたが、そもそも医療機関側で努力してできることとそうでないものがまじっています。例えば、研修をしっかり受けた医師がいるかどうか、こういうものは医療機関が努力して研修を受ければいいわけですが、24時間、薬局と連携できるかといっても、地域に24時間開業している薬局がなければ連携のしようがないわけですし、医師についても、一人の医師で地域で頑張っている、かかりつけ医機能を発揮している先生はたくさんいると私は思っています。それが常勤換算で2人いなければいけない。いわゆる規模の大きい診療所についてはできるのだけれども、規模の大小によって、かかりつけ医機能が評価されているわけではないので、小さな診療所であっても、かかりつけ医機能を十分発揮しているものはそれなりに評価されるべきではないかと思っています。
在宅診療についても、例えば自分の診ている患者さんが多数いれば、そこから在宅に移行している患者も当然一定数いるわけですが、外来患者がそんなに多くなければ在宅に移行する患者もその割合に応じて当然少なくなってくる。だから、この辺の要件設定が本当に適切かどうかということについては改めてきちんと検証していただきたいと思っています。
以上です。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
何回も繰り返されている議論ですけれども、機能強化加算は体制を評価した加算でございますので、はっきり申し上げまして、体制に対する加算は、10ページ目でも先ほどお話しましたが、非常に多くの評価がございます。例えば入院基本料であっても、これは体制に対する評価でいろんな段階がございます。入院前に全ての患者に体制に対する加算や基本料であることを説明していくというのは非常に大変なことでございますし、理解を得るのにも非常に時間を要します。
やはり厚労省、医療機関、保険者におかれましても、ホームページ等でそういった診療報酬そのものについて、加算とか含めて周知して患者に理解していただくということが基本であると思います。もし医療機関だけにそういった受診前の説明を一人一人にしなさいということであれば、保険者にも受診前、初診前に一人一人を呼んで説明していただきたい、そういった論理になるかと思います。それを医療機関だけに求めることは非常に無理があろうかと思います。
12ページ目を改めてごらんいただきたいと思います。機能強化加算の届け出医療機関は病院も診療所もほぼ同じ、全医療機関と比較して11.6%ぐらいが機能強化加算の届け出医療機関になっております。ということは、11.6%が体制を何とか整えるだけのハードルを越えているということなのであって、別に無制限にこの加算が取られているわけではなくて、こういった体制を整えているところだけこの加算が認められているということでございます。したがいまして、誰彼関係なく取っている、そういった加算にはなっておりません。非常にハードルが高い要件をきちんと機能強化しているところだけがこの加算が取れるという仕組みになっておりますので、これについては重ねて御理解をいただきたいと思います。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
18ページの1つ目の論点です。先ほどから診療側の委員の先生と支払側がすれ違っているところですが、そもそも機能強化加算というのは体制加算である、それはそのとおりでございますが、かかりつけ医機能について適切でわかりやすい情報を患者に提供して理解を求める、これが患者・国民にとって身近でわかりやすい医療の実現に繋がる。考え方としてはそういうことなのだろうと思います。
先ほどからおっしゃっているように、保健・医療に携わっているステークホルダーとしての保険者、診療サイド、その他公的機関を含めて、基本的にそれぞれのあり方、特にかかりつけ医機能に絞って言えば、しっかりわかりやすく説明していくことは当然ながら前提として十分果たさなければいけないことですが、患者にとって医療機関への信頼性というのが一番高いわけですから、医療機関において掲示だけではなく文書を渡していただく。その文書を納得がいくまで懇切丁寧に説明することは、本来ならばそうでありますが、そこまで求めているかどうかは別にして、口頭説明、院内掲示だけよりもきちんとした文書を渡していただいて、そこでまずは診療の最初に、問診や色々なアンケートを書く機会もあるわけで、そこに文書を入れていただくという工夫もできると思います。そういう行為があって、その上で、我々ステークホルダーも含めて、さらに理解を求めるための運動をしていくことが大事なのだろうと考えます。
掲示だけでいいということではなく、文書を渡すことにどれだけの労力が要るのかと思います。本来ならば医師の先生に説明していただくのが、患者は一番納得しやすいと思いますが、働き方改革も含めて、診療行為に対する時間的な配慮は十分必要だというのも理解しますので、そういう意味では、その他の医療関係者が説明する形でもよいと思います。医療関係者に説明していただくには、質の担保から言えば、きちんとした研修なりガイドなりを遵守していただくような対応をしていただく。そういうことでかかりつけ医機能をより深めていくことが大事と考えます。
患者は、よく言われる非対称性から言えば、我々が説明するよりも医療機関の先生がいろんなことをおっしゃっていただく方がはるかに納得性が高いのも事実でございます。そういう意味では、診療・医療機関で文書を受け取り、内容がわからないということであれば、保険者か、医療機関に問い合わせるという行為を重ねていくことが大事と考えます。
○田辺会長
では、松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
機能強化加算は、両方でいろんな話が出ているのもよくわかっていますし、前回、私も発言しました。患者の立場から考えると、こういう病院でこういうものがあって、こういうことに加算されているのだということについては、先生が説明されることが一番安心しますが、働き方改革の問題等々もあって、医師の先生にそれを全て求めるのかということについてはやはり疑問を感じますので、医療関係者の方からしっかり物を示していただいて、説明していただき、最終的に患者が全て理解しなければいけないとは言いませんけれども、しっかり説明していただいた上で、その病院の機能についての加算、どっちにしても患者が払う部分というか、プラスになる部分があるわけですから、それについては納得して払えるということが必要だろうと思います。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
今、御意見がございましたが、我々医療機関では限られた時間の中で、ある程度の人数を診ているという現状がある中で、正直なところ、患者の診察、治療、治療の中身の説明だけで精いっぱいという状況が続いています。こういった中で患者に対して受診前にそういった説明をするということは、診察時間がさらに長くなってしまうということになりますので、非常に難しいことがございます。また、正直なところ、80点という限られた加算でございます。説明に時間をかけて、そこに充てるというよりは、診療の機能を高めるという本来の意義にしっかりとこの加算を充てるようにさせていただきたいというのが我々医療機関の願いでございます。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
患者の立場に立って考えていただきたいと思いますが、体制加算というのはよくわかります。体制加算なのですけれども、来た患者は、その医療機関の体制加算は見えないのです。どういった機能を持っているかというのは見えないまま受診するわけです。医療機関も、自分の病院、診療所をこの患者のかかりつけ医にしてもらいたいのであれば、この医療機関はあなたにとってどんなメリットがあるのかということを説明すれば、その体制を患者が見ることができて、ではこの病院をかかりつけ医にしようと思うので、医療機関にとってもメリットがあると思います。受診が終わった後に何の説明もないまま、明細書を見て、機能強化加算がついていて、自己負担がふえていると「何、これ、何でふえるの」と患者が見てしまうわけです。
ですから、かかりつけ医に誘導していくためにも事前に説明していただいて「この医療機関はほかの医療機関と違ってこういった機能を持っていて、あなたにこんなメリットがあります。だから、こういうフィーをいただくのですよ」ときちっと説明していただくということは医療機関にとってもメリットがあると思いますし、そうしていただきたいと思います。それを医師にやっていただきたいと我々は要望していません。診察前に院内のスタッフの方に説明していただければ十分なことなので、特に医師による説明も求めていません。診察前にそういうメリットをちゃんと言っていただければ、かかりつけ医になっていただくことができると思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
繰り返しの議論になりますが、体制に対する加算とか、先ほど言った入院基本料とかありますけれども、なぜ機能強化加算だけを事前に説明を一人一人に一々しなければならないのかということが非常に問題だということです。体制に対する加算は、ほかの加算も多くありますから。
もう一つ、保険者が何をするかということは何もお話しになっていない。保険者にはこういった役割というか、そういった提案が全くない。それに対する答えが全くありません。保険者は何もしなくていいということなのでしょうか。そういうことに対するお話が全くないということを非常に疑問に感じております。やはり保険者もこういったことについてしっかりと取り組んで、一人一人に説明するのであれば、患者さんに対しても、あるいは被保険者に対しても、保険制度の仕組み、そういったことをしっかりと周知する必要があるのではないでしょうか。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
保険者としての役割、保険者機能を果たすという意味では、それぞれ診療行為に対して我々も啓発に努めており、今回のテーマであるかかりつけ医については医師会のホームページ等にも出ています。こういうものを参考に、かかりつけ医について啓発しています。今回の機能強化加算について、文書に記載すべき内容があれば、それをもとに、保険者も作りなさいということなら文書を作ってもいいですが、かかりつけ医機能体制をとっていらっしゃる医院で文書を出していただくというのは我々も非常に説明しやすいということでもあると思います。
○田辺会長
宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
1号側委員が言っていることの繰り返しになりますが、やはり患者の立場からすると、書面を示していただいて医療機関から説明を受けることは、かかりつけ医に対する認識も高まって、同時に信頼も増す、そういう意味合いもありますから、望ましい姿ではないかと思います。
公的機関、行政、保険者を含めて、かかりつけ医機能についてもっと周知すべきだという御指摘は恐らくそのとおりだろうと思いますが、論点について言えば、医療機関が患者に対してかかりつけ医機能についての書面を提示し説明することを要件にすることによって、地域包括ケアの核ともなるかかりつけ医機能の普及につなげていくという意味があることではないかと思います。
○田辺会長
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
皆さんのおっしゃることはそれぞれの立場の御意見として承っているわけですが、先ほどから松本委員もおっしゃっているように、医療現場では診療に対して集中的に時間を投入していきたいという中において、もちろん説明を求められた場合は説明するということになるのでしょうけれども、基本的に、今、1号側は、機能強化加算だけをターゲットにしておられる。広く言えば体制加算という意味と捉えてもよいかと思いますが、そこは保険者として啓発しておられるという御意見はありますけれども、やはりこれは保険者機能として、機能強化加算がどういうものであるということを保険者の方からまず被保険者の方に周知していただくということのほうがよろしいのではないでしょうか。もちろん医療機関の中でも求めに応じということはございますが、何度も申しますけれども、医療現場というのは本当に大変な状況です。皆さんのおっしゃっていることもわかりますが、現実的に難しいのです。ですから、できるだけ現実に可能な方法を考えるとやはり保険者の方から具体的にまず行動を起こしていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
先ほど幸野委員から、かかりつけ医機能強化というものをきちんと説明することで、医療機関側にとっても、この医療機関はかかりつけ医機能を発揮しているのだから、そこに患者が来るというようなお話がありました。ここで確認しておきたいことは、体制が強化されている医療機関だからかかりつけ医機能を発揮しているということではないのです。
17ページを見ていただくと、患者がかかりつけ医を決めた理由というのが赤で囲ってあるわけです。これを見ていただくと、どんな病気でも相談に乗ったり、必要時にちゃんと専門医療機関に紹介して、病歴や家族背景を把握して、助言・指導、予防接種、健康診断、検診を行う、こういうことを患者側も評価しているし、日本医師会や病院団体と一緒にかかりつけ医機能というのはこういうものだということを言っているわけです。医療機関の大小ではなくて、地域でかかりつけ医機能を発揮しているところはたくさんある。3つ目の論点で申し上げたように、そういうものを評価してほしいと改めて言っているわけです。
そういった機能をより強化している体制を評価しているのがかかりつけ医の機能強化加算であって、そこをごっちゃにして、そうでない医療機関はかかりつけ医機能を発揮していないと捉えられかねないような御発言だったと思っています。そこは明確に区別していただきたい。つまり、かかりつけ医機能を実は持っていて発揮していても、診療報酬上、評価できないような要件になっていることも理解していただきたいということです。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
かかりつけ医機能をきちんと啓発していくというのは、これは先ほど保険者側にもお願いいたしましたが、診療側としても、日本医師会では長年にわたってかかりつけ医機能の研修を盛んに行っております。その中でしっかりと研修して機能強化に努めておりますので、そういった研修を継続してきちんと行っているところに対して証明を発行するなどして、患者の啓蒙に努めていくことも大切なことだと思っております。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
今村先生が17ページに言及されましたので繰り返し申し上げますと、機能強化加算をたくさん取っているのは、在総管、施設総管を取っているところが多いという資料が出てきたのですが、患者がどう思っているかというと、17ページを見ていただくと、往診や訪問診療などの在宅を行ってくれているのをかかりつけ医と決めた理由とするのはわずか1割にすぎないという結果が出ています。病院側は在宅をやっているからかかりつけ医だと思っていても、患者からしてみれば、在宅をやっているからかかりつけ医と思っている人はほんの1割にすぎない、そういう違いがあるわけです。だから、そういうことも含めて、自分の医療機関があなたにとってかかりつけ医になるのですよということをきちっと説明することが診察前に必要だと思います。でないと、在総管や施設総管を取っているから何で私のかかりつけ医になるのかと患者は思うわけです。そうではないということをきちっと説明していただきたいということです。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
この表の見方の誤解があると思います。患者に対してというのは全ての患者に聞いているわけではなくて、つまり、この患者の中に1割ぐらいしか在宅にかかっている人がいないということを言っているだけのことです。1割しかいないから1割しか理解されていないというのとは違っていて、あくまでも患者の中に在宅医療を受けている方がいて、その方の中で在宅医療をやっていただけるからこの先生をかかりつけ医と言っている、そういうデータだと思います。
そもそも全ての患者の中で在宅医療を受けている方はごく一部ですから、かかりつけ医機能の中の一部に在宅医療があるという理解ですね。いろんな要素がある中で、ここに赤枠で囲われているようなことが大きな要素であって、それ以外にも在宅医療や24時間診てもらえる、そういうものも含まれている。
ただ、医療機関側からすると、医師がどうしても1人しかいない、あるいは先ほどお話ししたように24時間の薬局が近くになくて連携できないというような物理的な理由もあって、診療報酬上の要件には当たっていないところもある。かかりつけ医機能というものと機能強化加算を一緒にしないでくださいということを私は申し上げただけです。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
幸野委員は多分、今はお元気で、別に介護保険を使う必要もなく、あるいは在宅医療をする必要もないのだと思いますが、私ども、ある程度の年齢になれば、いつ自分が介護保険を使ったり、あるいは往診や訪問診療を受けるような立場になるかもしれないわけです。そういった医療機関にしっかりとかかりつけ医として頑張っていただいて、患者もそれをうまく利用して将来に備えてやるわけであって、個人個人が現在の状態で在宅医療は必要としないかもしれないけれども、将来は必要になるかもしれないという医療機関の体制を整備しているというふうに理解いただきたいと思います。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
体制整備はそのとおりだと思います。体制整備したところを患者サイドで理解して使うための手法として、書面を渡して理解を得ることが必要だと申し上げています。
もう一つ、先ほど城守委員がおっしゃっていましたが、診療行為として時間がかかるというのはそのとおりなのですが、私の経験から言うと、病院、診療所に行ったときに受付をして診療していただくまでに時間があります。その間、初診のいろんなアンケートを書いたりする。そのときに、読んでおいてくださいというようなアドバイスを書面でいただく時間はとれないのかと思います。工夫として、実効性からしてそういうところを活用していけば、診療行為に対して時間をディスターブすることはないのだろうと思いますが、いかがでしょうか。
○田辺会長
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
18ページのかかりつけ医につきましては、1号側の委員が言っている意見と同意見であります。今も吉森委員がおっしゃったように、工夫次第だと思っておりますので、書面説明などでも工夫できるのではないかと思います。また、保険者としての説明、周知啓発というのも必要だと思っております。
もう一つ、24ページです。猪口委員が先ほどおっしゃった意見と重なってくるのですが、定額負担の対象病院について、外来医療の機能分化の観点については異論ございませんが、地域の実情というのはさまざまであると考えております。全国各地にある地域医療支援病院の中には、例えば250床で地域の医療を一手に引き受けているといった病院も地域によってはあるかもしれません。地域の実情に見合った検討が必要ではないかと考えております。
以上です。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
本当に何回も重ねてのお話になりますが、この機能強化加算だけ特別に取り上げて個別に説明しなければならないということに対しては了承しかねます。
○田辺会長
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
かかりつけ医と患者の関係は濃い関係であってほしいですね。患者の側からすると、かかりつけ医とは何だろうと、まだまだ十分に理解できていない部分もあったりするわけです。厚労省や保険者から説明を受けるよりは、直接、医療機関から説明を受けたほうがやはり安心を感じられます。
私、おとといでしたか、こんな声になったものですから医療機関に行ったのですが、そのときに待ち時間は1時間ちょっとかかりました。その間にいろんな説明というのはできるわけですし、診療時間を削ってまでお医者さんが説明するというわけではなくて、スタッフの方がその時間を利用して説明していただくということはできると思うので、そこを利用して理解してもらうというか、診察前に理解してもらうということが大事だと思います。殊さら機能強化加算だけを何でということをおっしゃっていますが、かかりつけ医と患者という関係をもっと重要というか、重く捉えていただいて、患者の安心のために説明の時間をつくっていただいたほうがいいと思います。
以上です。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
先ほど幸野委員から、機能強化加算について明細書を見た患者がなぜこんなのがついているのかというお話がありました。患者の思いというのも、どこにあるのかはいろんな考えがあるところでございますが、例えば前回の公聴会のときにも東京都の蓮沼先生に対して幸野さんが、患者がどう思っているのかということを質問しておられましたね。そのとき、蓮沼先生は、機能強化加算に対してクレームは全くないとお話しになっておられました。私も実は機能強化加算を申請して受理されておりますので、患者さんにはいただいておりますが、今まで相当な数の方を診ていますけれども、一回もそういったクレームはございません。一人もありません。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
それは松本先生がかかりつけ医機能をしっかり発揮されて信頼関係を醸成されているからだとは思います。世の中はそうではないという方もいらっしゃるということがあって、しっかり説明機能を果たしていただきたいということです。
もう一つ、11ページにありますように、個別同意を取得するという疾患別の医学管理料等については、先生たちがしっかり同意も含めて説明もいただいているものだと考えます。今回のこのかかりつけ医機能はそうではない部分なので、ここに対してどういう説明責任が必要なのかという議論なのだと考えています。
○田辺会長
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
先ほどの宮近委員のお話はそのとおりであるわけですが、かかりつけ医機能や、かかりつけ医の説明ということになると、診療のときというよりはまた別の機会を得て、先ほど松本委員もおっしゃっていましたけれども、いろいろな研修会、市民公開シンポジウム、そういうところも通じて幅広く周知していかなければなかなか広まらないと思っています。
先ほど吉森委員から、診療の前にそういうものを渡すことはできないのかとありましたが、渡すことができる、できないということではなくて、私が先ほどからお話ししているのは、ひっかかっておられるのは1号側の方なので、それも機能強化加算だけですが、診療報酬にはいろいろな報酬体系があって、その全てを説明するわけでもなく、ただ単に体制加算だけを説明するということに対しては、ひっかかっておられる1号側がまずは患者に対して具体的にどういう周知をするのかということを考えられて、その結果として患者から求めがあれば説明させていただくという形が現実的ではないのかということです。これだけを取り上げて説明するということはないと思っています。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
なぜこれだけなのかというところですが、1号側、2号側とも一致しているのは、外来医療において一番必要なのはかかりつけ医の普及ということだと思います。我々に言わせれば、これが肝となるところです、かかりつけ医を普及させるというのは外来医療の本当に重要なポイントで、そのためにつけられた機能強化加算なのですが、このままでいくと逆方向に向かうのではないかという懸念があるわけです。
知らずに行って、機能強化加算がついている。自己負担が重くなる。では、この病院、クリニックに行くのはやめようというふうに、かかりつけ医の普及どころか逆方向に行くことを懸念しています。かかりつけ医を普及するということは、1号側、2号側とも共通の点なので、ここをしっかりと出だしで説明していただいて、患者が納得して、将来的にかかりつけ医がどんどん普及すれば説明責任をやめてもいいとは思いますが、出だしの部分においてはやはり患者にちゃんと説明していただいた上で、かかりつけ医というものをつくっていただきたいと思います。みんながかかりつけ医を持つようになれば、その説明はいずれ要らなくなると思いますが、この出だしの段階においては逆効果になることも想定されるので、ぜひ医療機関においてもお願いしたい。もちろん保険者もやりますが、医療機関においてもぜひお願いしたいと言っているわけです。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
出だしとおっしゃいましたが、機能強化加算を算定できるようになってから既に1年8カ月ぐらいが経過しております。そういった中で、特別な機能強化加算を取ることによって幸野委員のおっしゃるような懸念は発生していないと私は理解しておりますので、余りにも御心配が強過ぎるのかなと思います。
○田辺会長
まだ残り半分ございますので、そちらのほうに移ってよろしいでしょうか。では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
時間がないところを済みません。先ほどの女性のお話なのですが、健康に係る課題、これはこれで松本委員から先ほど日医としての意見を申し上げましたけれども、1点だけお願いを事務局にしたいのは、例えば子宮筋腫や子宮腺筋症の続発性の症状として貧血があります。そうではなくて、こういったもの以外に、若い女性の貧血、働き盛りの女性の貧血は日本は世界の中で最も多い国だと理解しています。貧血の問題というのは相当に女性の方のQOLに影響していて、働いている人の能力にも影響する話です。中医協の中でどういう評価をしてどんな取り組みをするかというのは課題でありますが、次回以降の改定につながるような中で、こういった女性の貧血に対する何らかの取り組み、これは会社で健診されて貧血に気がつかれても、そこの指導がきちんとできていない、そういう問題もあるのかもしれませんけれども、結構大きな問題と認識しておりますので、ぜひとも御検討をよろしくお願い申し上げます。
○田辺会長
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
女性の健康に対する医学的管理のことですが、女性が女性特有の疾病で重篤な疾患になる前に予防医療や重症化の防止につながるのであれば、こういう取り組みは必要だと思います。受診している女性の方は実際医療にかかっているわけですから発見できると思いますが、受診していない女性、受診しない率が高いというデータも出ているようですから、どういうふうに受診してもらうか、それで予防医療、重症化の防止につなげるかということに取り組んでいただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
今の女性の議論についてですが、体制をきちっとつくって、定期的、継続的な診療を続けていくところをしっかりやる、それを評価するというのは異論はないところです。資料を見ますと、診療の期間が3カ月に1回とか、6カ月に1回が多いとか、ずっと4カ月ぐらい診療に向かわずに我慢していたとか、こういう方に対してしっかりした体制を整備していただくにはどうするかという議論が必要だと思います。保険者としてもしっかりと周知は行っていくつもりではありますが、国としてどのようにこの評価をつくったことを周知徹底していくのか、見解があれば教えていただければと思います。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
先ほど今村委員も、間宮委員からもありましたが、何らかの症状があっても我慢してなかなか行かないということと、それをどう診察に結びつけるか、一番顕著に出てくるのは職場の定期健康診断の際の貧血というような形で症状が出てきて、受診しないまま、結構重篤になったり事故が起きたりといったような状況があると認識しております。できる限り早期の受診に結びつけるという取り組みがその後の疾患の管理、重篤なものを防ぐところにつながると考えております。厚生労働省の中にも女性の健康を考える室がありますし、また、産業保健の中でも女性の健康について一部検討しているところがあります。そういうところとしっかり連携した上で周知し、適切な管理につなげる形を、厚生労働省の中でも体制をとりますし、いろんな関係者の御協力を得ていきたいと思っております。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
理解しました。女性の健康については、ある意味、女性の健康の包括管理料みたいな医学管理料だと思いますので、こういったものを設定するのであれば、やはり患者への説明と同意は必要ではないかと思いますし、管理料の算定についても一定の期間ごとに算定するような制度設計をすべきだと思います。
それから、紹介状なしの定額負担で、これは質問ですが、一般病床200床未満を除くということで、地域医療支援病院がどれぐらいこれでカバーされるか、お伺いしたいと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
地域医療支援病院、200床以上を対象といたしますと、新たに約250病院が対象となります。その内訳は、一般病床200床未満の病院も一部あります。それはごく少数と伺っておりますが、地域の事情で、一般病床200床を切っているけれども、その役割を地域として果たしてほしいということでその病院になっていると聞いております。250病院のうち、少し入らない病院がありますけれども、それ以外は基本的には対象になると思っています。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
ネットで調べた知識ですが、地域医療支援病院は500床以上あると思うのですけれども、そのうち250病院ぐらいしか対象にならないということなのでしょうか。地域医療支援病院は200床以上が要件になっているので、ほとんど対象になると思っていたのですが、違うのですか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
新たにふえるのが250病院でございます。現在、約420病院が地域医療支援病院のうち対象となっています。さらに新たに250病院が追加となります。これでほとんど全ての地域医療支援病院が対象になります。
○田辺会長
よろしいでしょうか。
では、先に進めさせていただきたいと思います。分割調剤、ギャンブル依存症、ニコチン依存症に関して御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
薬局における分割調剤について、スライド52の論点の1番目について発言させていただきます。現在、分割調剤というのは、長期保存の困難性等の理由によるもの、あるいは後発品のお試し、そして今回議題に挙がっている医師の指示に基づくもの、この3つのパターンが設定されています。今回の議論の対象である医師の指示に基づく分割調剤については、処方医の考えや患者の意向によって処方医の判断で実施されるものですが、実際にそのような処方箋が交付される件数というのは非常に少ないというのが現状であります。
ただ、患者調査結果、スライド51を見ていただければわかるように、分割調剤の処方箋が交付された患者からの回答は「大変満足している」が5割以上、「やや満足している」を含めると8割以上になり、非常に高い評価を得ていることがわかります。そのようなことから見ても、薬局の分割調剤については今後も引き続き積極的に薬局薬剤師が対応していく必要があるということは言うまでもありません。
しかしながら、実際に対応する薬局では点数の計算に当たり、合計点数を分割回数で按分しなければならないこと、複数枚にわたり記載された処方箋を取り扱うことによる紛失や記載の手間がふえるなど、事務処理面だけ見ても非常に煩雑であるという問題があります。
また、対人業務という部分では、分割調剤の都度、患者の服薬状況を確認した上で処方医へ情報提供することが必要になりますが、分割せず一度に調剤した場合より当然手間がふえるわけでありまして、負担がふえるにもかかわらず、トータル的に費用が安くなっているという問題があります。
患者負担ということを考えれば、分割した回数だけ負担がふえるということは避けるべきですが、特に服薬期間中における適切な服薬状況あるいは副作用のモニタリングなど、患者にとって有益な情報も処方医との連携・情報共有をすることでそれなりの評価をいただきたいと考えております。特に服薬情報等提供料に関しては、通常の処方箋を受けていてもそれぞれ算定ができる中で、これについてはなぜか1回で分割回数に応じた按分がされてしまうということが非常に問題だと思っておりますので、ここはぜひ評価をしていただきたいということで、事務局提案については賛同させていただきます。
以上です。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
52ページ目でございますが、分割調剤についてです。
1つ目の論点は、患者の服薬状況や副作用の状況等を医師にフィードバックした場合、分割処方なので、48ページ目にあるように、3回分割の例で言えば30点割る3となりますが、それを3で割らなくてもよいことにするという提案です。分割調剤自体が長期処方を前提とするものであり、その業務をさらに評価することには賛成できません。
2つ目の論点も含めてですが、分割指示については、現状のとおり処方箋発行の一環としての評価で十分であると考えます。分割調剤の議論が出てきた当初から、残薬や重複投薬を減らすためにも長期処方を減らすべきだということを主張してまいりました。しかし、やむを得ない事情もありますことから、平成28年度改定では、患者の病状が安定しているものの服薬管理が難しい場合には分割指示に係る処方箋を交付するということで了解しております。このことについて、改めて厚生労働省では長期処方を推奨すると対外的に説明されているわけではないと理解しておりますが、今までもその理解でよろしいのか、後でお聞かせ願いたいと思います。
しかしながら、39ページ目、40ページ目にありますが、長期処方は相変わらずふえてきております。一方で、平成29年から医薬・生活衛生局では「高齢者医薬品適正使用検討会」が設置されており、城守委員もそこに出席されておりますが、そこでは薬剤が高齢者に長期投与されることによるさまざまな弊害が認識されております。その一つが、大病院で長期処方したために患者が地域に戻ってからも長期処方でよいと認識してしまうという弊害であります。分割調剤はこの問題に同時にしっかりと取り組まなければ意味がないと思います。
そこで、論点の3つ目にある、このほかの対応ですが、医師は必要な場合に分割指示を行いますので、厚生労働省として長期処方対策の提案をあわせてしていただくようにお願いいたします。
分割調剤が必要と思われる患者の病状が安定しているものの服薬管理が難しい場合は、医師が服薬管理を行うに当たって患者のアドヒアランス向上を薬局薬剤師の協力を得て実施する必要があり、だからこそ分割調剤ができるよう処方箋を交付するということだと理解しております。
したがいまして、45ページのように分割調剤が少ないというのは服薬管理が難しいと医師が判断するケースが少ないということであり、薬剤師から協力の申し出があれば検討されることもあるかとは思いますが、あくまでも医師と薬剤師と患者の顔の見える信頼関係を大事にしてもらえればよいと思います。
61ページ目の論点、ギャンブル依存症についてでございます。前回、11月20日と同様、効果的な治療法については評価すべきであると考えます。
最後、81ページ目のニコチン依存症でございますが、これも前回と同様、加熱式たばこについても対象とすることに賛同いたします。また、情報通信機器の使用につきましては、初回と最終回を対面で指導することは必要なことですが、その他の呼気一酸化炭素濃度測定器を備えているという現行の施設基準や処方薬の取り扱いの違いなどにつきましては、引き続き検討が必要と考えております。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。では、宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
まず、ニコチン依存症管理料について申し上げたいと思います。何度も同じことを申し上げて大変恐縮ですが、ニコチン依存症管理料については、支払側としては導入当初から疑問を呈してきたところです。禁煙の取り組みそのものについては非常に大切な内容であることは十分承知しておりますし、また、以前の論議の中でも2号側の先生からその必要性について具体的な説明も受けて十分納得はしているつもりですけれども、ただ、資料に示されている算定状況を見ますと、やはり途中で離脱する患者が多いこともわかっております。また、治療終了後の継続的な禁煙状況などの効果の検証が重要であると考えておりまして、その継続的な調査をすべきということを主張してまいりましたが、今年度の検証調査も見送られております。こうした治療終了後の禁煙状況などについて継続的な検証がなされないまま、現在のニコチン依存症管理料を拡大する方向で見直しを行うことについては基本的には反対であると言わざるを得ないと思います。
続いて、ギャンブル依存症についてです。ギャンブル依存症については、56ページから59ページにおいて認知行動療法が有効であること、あるいは標準的な治療プログラムを行った場合に効果があったこと等が示されておりますけれども、こうした取り組みについて果たして診療報酬上で評価すべきかどうかについてはまだ疑問が少なからずあるように思います。例えば対象患者をどのように特定するのか、逆に診療を希望する患者に対して、あなたは依存症ではありませんという判定が果たしてできるのか。また、58ページにおいては6カ月後までの状況が示されているわけですが、6カ月後以降はどうなっているのか、あるいは一人の患者が全6回のプログラムを繰り返して受け続けることもあり得るのか、そういった点についてもまだ疑問があります。こうした点を考えていくと、診療報酬上、評価することについては賛成しがたいと言わざるを得ないと思います。
以上です。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
ギャンブル依存症につきましては、担当課のほうからお答えさせていただきます。
先ほど長期処方について御質問がありましたので、それについてお答えいたします。長期処方について、むやみに長期処方を推進するといったようなことは厚生労働省として考えているところではございません。先生がおっしゃったとおり、病状が安定していて、なおかつ服薬管理等について支援が必要、そういう患者さんについて分割処方を進めるべきというところはあるかと思います。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○石塚社会・援護局障害保健福祉部依存症対策推進室長
ギャンブル関係の御質問がございました。まず、対象者につきましては、既にスクリーニングテストが確立されているところがございまして、ICDやDSM-5の中で診断基準がございまして、運用としては、それに基づいてギャンブル依存症と診断されたものについて対象になるということでございます。逆に、依存症ではないかと思って自発的に来る人のほうが少ないと思っておりまして、そういうトリートメントギャップが多い疾患と考えております。
6カ月後以降につきましても、プログラムの中でその後の自助グループへの接続などが期待されておりますので、そういったところのフォローがあると思っております。
繰り返し使うかという点につきましては、エビデンスの兼ね合いということで、詳細な制度設計はそういったところに考慮が必要と考えております。
○田辺会長
では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
先ほどの松本委員からの御指摘ですが、長期処方については、あくまでも私どもが関知するところではなくて、実際に医師の指示に基づく分割調剤について、処方医の考え方、患者の意向によって、処方医の判断で出されるものを私どもが受けるという立場であります。
そういった中で、48コマ目にありますように、具体的に1回目、2回目で服薬情報等提供料30点、これが当然、3分の1になってしまいます。保険医療機関の求めがあった場合であってもこのような3分の1に減じることになってしまうということです。この分については、同じ手間をかけている以上は、薬歴について薬剤服用歴管理指導料は当然3分の1になっていますが、これは性質が違うものですから分割の按分に入るのはある程度納得できますけれども、少なくとも服薬情報等提供料についての30点が10点に減じられることがないように考えて評価していただきたいと思います。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
今、有澤委員からありましたが、調剤のほうが受け身であるということを言っているのではなくて、分割調剤自体が長期処方を前提とするものであるから、医療機関側としてその業務をさらに評価することには賛成ができない、要するに現状のとおりでお願いしたい、十分である、そういうことでございます。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
長期処方が悪のようなことを言われますが、私としては、長期処方についても、病態が安定している方であって分割調剤が前提になるのであれば、これはあってもいいと思います。その前提としては、薬剤師の方が、分割調剤をやるたびに病態を確認して、もし医療機関に受診が必要であれば受診勧奨されるでしょうし、そのために服薬情報等提供料で情報提供するという義務が課せられているので、薬剤師がちゃんと職能を発揮すれば、長期処方と分割調剤をセットでやるということはありだと思います。この資料に出ていますように、分割調剤を利用した患者の8割が満足しているという結果も出ておりますので、患者の視点から見ると、分割調剤をしてもらうということについては非常に有益だと考えています。
2点目の論点で、加算をつけるということなのですが、今、全く進んでいない分割調剤を普及させるためには、多少の加算についてはインセンティブとしてあってもいいのではないかと思います。分割調剤の現行の制度で普及が進まないのは、まず、患者の認知度が低いことと、仕組みが煩雑ということ、処方箋を3枚もつけて3分割の料金を支払う、こういったことが普及を限定的にしているのではないかと思っています。
提案ですけれども、一つの検討要素として、国民の認知度を高めるために、処方箋に分割調剤という欄をつくって、そこにチェックをすれば分割調剤できるという仕組みをつくれば、患者も処方箋を見れば分割調剤ができることを認知できます。医師がこれは分割調剤できないということであれば、そこにチェックをしなければいいわけです。分割調剤が可能だという先生がいらっしゃるのであれば、そこにチェックをして回数3回と書いて、その処方箋を繰り返し利用できるというシンプルな制度にすれば、ある程度国民の認知度も高まりますし、簡便な方法で普及が進んでいくのではないかと思いますので、そこをぜひ御検討いただきたい。処方箋も1枚にすることができますので、そういったことも考えてはどうかと思います。お薬手帳などにも分割調剤という制度があることをちゃんと記入すれば、患者としては見るのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
52ページの1つ目の論点としては、服薬情報等提供料を分割回数ではなくて通常の点数をということですが、分割調剤においてフィードバックしている3回の中身はどういうものなのか把握していらっしゃいますか。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
分割調剤における服薬情報等提供料におきましては、当然、アドヒアランスの点、服薬状況がどのようになっているか、副作用の発現状況などを踏まえて、必要に応じて処方提案、変更の提案、あるいは副作用の観点などから変更も含めた提案なども行って処方医にフィードバックして連携していると承知しております。
○吉森委員
同じ薬で分割しているだけでございますし、その状況が1カ月ごとなのか見ていく中で、とりたててというのか、これは責務でありますから、フィードバックしていかなければいけません。フィードバックの中身は通知で要件が定められているとは思いますが、実態がどうなのかを判断して、点数を1回目と同じようにつけていいのかというのは、やや疑問があると思っています。毎月、通常の点数を取りたいということであれば、服薬情報等提供料の算定要件の中身をしっかりと担保できるような仕組みにしなければ点数を取るのは賛成しかねると思っています。
分割調剤を先ほどから議論していますが、長期処方に対してどう考えるかというところを含めて、どういった対応が考えられるかという3つ目の論点ですけれども、薬局、医療機関等の先生たちの考えはどういうもので、これを試行していったらいいのか、促進していくためにはどういう手法があるのかというアンケート的な調査をやってみる必要があるのではないかと思います。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
51ページ目のデータを先ほど幸野委員が指摘されておられましたが、もう一度改めて見ていただきたいと思います。分割調剤を利用した満足度ということでは、Nが38でございますが、その中で8割の方となっています。
片や、右側のグラフを見ていただきますと「今後、分割調剤を利用したいと思うか」に対して、Nが1941ですが、「利用したい」「追加の費用負担がなければ利用したい」という方は14%でございます。23%が「利用したくない」というデータもありますので、両方しっかりと見比べていただく必要があるのではないかと思います。
また、長期処方の問題に関しましては、私ども医療機関としましては、繰り返しになりますが、患者と薬剤師と目の見える信頼関係を大事にしていきたいと思っております。したがいまして、一定期間、例えば1カ月に1回とか、そういったところでしっかりと患者を診ていくという姿勢は貫きたいと思っております。
○田辺会長
有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
私も繰り返しになりますが、47ページのところです。服薬情報等提供料(1)、保険医療機関から求めがあった場合であって、これが3分割になっていなくて3回受けても、それはその都度そういう指示があれば手間をかけて情報提供することで算定できるわけです。ところが、分割になっただけで、同じ内容で3回きちっと必要な患者の服薬状況、あるいは服薬指導の要点、患者の状態、継続的に服用できるための技術的な調剤情報等を医師にフィードバックした上で、それを3回やって初めて1回分というのは、手間暇かけている中では余りにも評価が低いと感じておりますので、この点は2号側の日医の先生も含めて皆さんに御理解いただきたいと思っております。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
私はちょっと違うお話で、宮近委員から先ほどニコチン依存症に関することで御意見をいただきました。今さらながらの話ですが、日本はOECDの先進国の中で圧倒的に喫煙率が高い国であって、喫煙に伴う健康障害がどのぐらいあるかというのはデータとして示されているわけです。
66ページは外国のデータですが、喫煙をやめることによって相当に生存率が変わってくる。何歳かという時点にもよりますけれども、80歳の死亡率を見ると2割から3割、何歳でやめてもそのぐらい死亡率が変わるというデータも出されています。
実際に喫煙をやめたくてもやめられないというのは依存の一種であって、治療が必要なものだという、前提だと私は理解しています。やめたいという方たちに対してこういったサポートを医療で行っている。最終的には3割強の方たちが治療まで到達して、さらにその9割がその時点で喫煙をやめられているということなので、全体としては3割ぐらいの方が禁煙に一旦成功しているということは、ある意味、相当に成果があると考えていただいたほうがいいと思います。
宮近委員のおっしゃっているのは、その後がきちんと継続しているかどうかをフォローしろ、こういうお話だと思います。これは厚労省がやっていただいてもいいのですが、逆に言うと、保険者のほうではレセプトでこの治療を受けられた方が誰だということがわかるし、特定健診・保健指導は基本的には皆さんに受けていただくことになっているわけですから、問診で喫煙しているか、していないかというのは必ずとっているので、突合すればデータは出るのです。大々的なものでなくても結構ですが、大きな単一の健保なら健保の中でそういう調査をしていただいたら、これはある程度わかることではないかと思っています。
繰り返しになりますが、日本の寿命100年ということを考えていくときに、喫煙をできるだけ減らすということはすごく大きな要素になるので、診療報酬上しっかりと取り組みをしていくということはぜひともやっていくべきことだと理解しています。
○田辺会長
宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
今村委員のおっしゃることは本当にそのとおりだと思いますし、65ページの資料を見ても喫煙が及ぼす影響については歴然としています。ただ、3割の方しか成功していないという数字をどう見るか、また、御指摘もありました通り、その後どうなっているのかもわからない、そういう状況のもとで、ニコチン依存症管理料について対象を広げて診療していくことがどうなのかという根本的な疑問があります。継続的な禁煙状況等の検証をしながら、ニコチン依存症に対する治療のあり方を検討すべきだということで申し上げておりますので、先ほど申し上げましたとおり、拡大する方向で見直しを行うことは、そういったことが明らかになる、あるいは検証できた時点でもう一度見直しをして、そこで考えていくべきではないかというのが私の考え方です。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
きちんとしたエビデンスを出すべきだというのは、それはそれで反対するものではありません。しっかりとフォローするということは重要だと思っています。基本的に日本は、ギャンブルもそうなのですが、依存症に対する治療という考え方が非常に弱いと思っています。本人任せになっている。例えばいろんな薬物でもそうですけれども、刑罰は与えるが、きちんとした治療を受けるというシステムが完成されていない。したがって、新しく多くの加熱式たばこが出ていて、一般の方たちは普通のたばこから加熱式ならばいいだろうということで、またそっちがどんどんふえる。つまり、メッセージとして、これは依存なのであって治療が必要なのだということを国が示していくためには、こういった拡大ということも必要なのではないかと思っていることを申し上げたいと思います。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムについて前回も色々なエビデンスが必要という話をして、今回いろいろデータを出していただいた。このタイミングでこれを治療として進めたいという背景として、全世界的な流れの中で日本としてどうだと、今村先生からもありましたが、ギャンブル等依存症対策基本法を意識してという考え方でよろしいでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長 そのとおりでございます。
○吉森委員
本来的には、日本国内でどのような治療が行われて、どの程度の効果があるのか、また諸外国でどのような対応がなされているかをしっかり分析して、真に効果のある治療方法に限って保険適用をすべきだと基本的に考えています。
今回、事務局から提示されている標準的治療プログラムについては、被験者187名、前回申しましたが、非常に少ないということが、一定の有効性が確認されており、様々な治療に係るエビデンスを出していただいていることから言えば、今後に対しては限定的にこういうプログラムに限り保険適用する方向性で考えるというのは明確には反対しません。ただし、今後いろんな治療実績を含めて資料を集めていただいて、解析・分析をして、よりよいものにしていくという方向性をきちんと担保していただければと思います。
もう一つのニコチン依存症管理料についてですが、これも宮近委員と意見が若干相反しますが、加熱式たばこの健康影響については当然、今後の調査研究を継続して明らかにする必要があると思います。現在の資料によりますと、程度の差はあれ、加熱式たばこが人体に有害であり、WHOのインフォメーションシートにおいても他の全てのたばこ製品に適用される政策に従う必要があることを勘案すれば、保険適用云々の基本的な考え方は宮近委員と同じです。ただ、こういうことで保険適用している流れの中では、対面療法と情報通信機器を用いた診療を組み合わせるという点についてはそれぞれ安全性・有効性を担保するような入り口・出口をしっかり対応していかなければいけないと思いますが、検討する方向性には反対する必要はないと考えています。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
いろいろ意見が出ていますけれども、まず、ギャンブル依存症が物質依存症と同じように病気であるということは理解いたしました。集団療法に有意性があるいうことも理解するのですが、その上で、やはり保険適用ということについては慎重に考えるべきだと思います。ギャンブル依存症というのは、そもそも自己責任において発生した病気でありますし、原則としては自分の努力で回復すべきものと思います。安易に保険適用することによって、依存症になっても保険で治療できるということになると、逆の方向に向かうのではないかと思うので、保険適用するということについては慎重に検討すべきだと思います。
ICD-11ではギャンブル依存症が認定されたということですが、同時に、ゲーム障害についてもICD-11で認定されたとテレビで報道されていました。では、ギャンブル依存症が保険適用されたら次はゲーム依存症か、その次はスマホ依存症かと、どんどん限られた財源の中で保険適用していくのかということについてはやはり慎重に検討していくべきだと思います。保険適用する前に、国としてちゃんとやっていく対策があるのではないか。
ギャンブル依存症については、基本法が平成30年10月に施行されて、ギャンブル等依存症対策推進基本計画が本年4月に策定されて、ネットでこれを読んでみたので、関係部署にお聞きしたいのですが、一番最後のほうにギャンブル依存症に対する治療にも触れられています。数行書いてあったのですが、専門的な医療の確立・普及の必要性が指摘されているが、現状はギャンブル依存症に対する専門的な治療法は確立していないという一文がありました。これの事実関係についてお伺いしたい。基本計画の中に、確立していないと4月時点で言っているにもかかわらず、今、12月なのですけれども、これが確立されたのか、まずお聞きしたい。もし基本計画に示されているのであれば、基本計画を修正して、その上で保険適用すべきではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○田辺会長
では、事務局、よろしくお願いいたします。
○石塚社会・援護局障害福祉保健部依存症対策推進室長
ギャンブル依存症に関してですが、医療の確立につきましては、昨年度までプログラムの研究をしていたところでございまして、そのタイミングをここの現状というところで記載しておりますので、昨年の早い段階の時点での文言ということで御理解いただければと思います。そういった昨年度までの研究を踏まえて今回の標準的なプログラムを策定して、今回議論いただいているということでございます。
疾病についてということですが、依存症につきましては、偏見や誤解が非常に多い疾病と思っております。ここにいる方々も恐らく、病気だと認めるのは難しいという考えを持っている方も多いかと思いますが、国際的にも精神疾患として認められておりまして、単にギャンブル好きというわけではなくて脳の変容を伴っている、そこが重要と思っておりますので、医療的な対応がやはり必要と考えております。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
済みません。基本計画はことしの4月に出て、その中で確立されていないとうたわれているのですが、その後、確立されたということなのでしょうか。
○石塚社会・援護局障害福祉保健部依存症対策推進室長
そこはタイミングの問題がございまして、昨年度末までの研究があったというところがございまして、そこの成果が反映されていない部分がございます。その成果につきましても、普及の観点から引き続き調査などは行っておりますが、中身につきましては、昨年度までの研究でプログラム治療法を開発したという時系列となっております。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
そうであれば、この中医協の場でこれを保険適用するかどうかを結論づけられなくて、まず基本計画を修正して、それをみんなでちゃんと確認してから保険適用を議論すべきではないのでしょうか。
○石塚社会・援護局障害福祉保健部依存症対策推進室長
そこはちょっと書きぶりの問題もあるかと思いますが、研究自体が幅広く普及するものも含めて今年度も行っているところでございましたので、それも含めた医療の確立という幅広い観点で記載しておりまして、引き続き知見の蓄積などは計画期間中も行っていくと考えております。
○田辺会長
医療課長、補足をお願いいたします。
○森光医療課長
当然、中医協の議論ということで、先ほど吉森委員にお答えさせていただきましたけれども、ギャンブル等依存症対策基本法に従ったものであるというのは確かでございますが、ここにおいては、まさにエビデンスに基づいてギャンブル依存症についての治療法を御検討いただきたいと思っています。もちろん、基本計画については基本計画として担当部署が担当していくと思いますが、ここにおいてはまさにギャンブル依存症という疾患に関しての治療法をエビデンスとして認めるのか、それを保険適用するのかという視点で御議論いただきたいと思います。
○田辺会長
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ギャンブル依存症ですが、これが病気だということは理解しています。もちろん薬物依存症やアルコール依存症と同じようなものだというのはわかるのですが、素朴な疑問として、薬物やアルコールの場合は、やめる、断つという結果を求めていると思うのですけれども、このプログラムだと、行く回数が少なくなった、使うお金が減ったとか、結局、ギャンブルをやっているではないかということがあるので、それでいいのかとすごく疑問に思います。せっかくそういうプログラムがあっても、やっているのだったらまたもとに戻る可能性がある。もちろん薬物だってそうですけれども、大変失礼な言い方かもしれませんが、プログラム自体ももっと精度を上げていくというか、もっと効果を求めていく、完全にやめられるようなプログラムをつくっていって、それを実際、検証していって、それから保険適用するということでもいいのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。
では、事務局、補足をお願いいたします。
○石塚社会・援護局障害福祉保健部依存症対策推進室長
補足いたしますと、御理解いただいているように、薬物、アルコールと同じで、やめていただくということが基本と思っております。資料にも断ギャンブル率を出しておりまして、56%と出ておりますが、ほかのアルコール等に比べても比較的高目の有意な数字と考えております。頻度や金額につきましても、やってしまったけれども、減少している、そういう有意性を示しているものでございます。基本的には断ギャンブルというのが原則でありますが、その中で努力していただくという考え方で進めておるところでございます。
○田辺会長
いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
日本で今、ギャンブル依存症の集団療法ができる機関はありますかというのと、コストがどれぐらいかかっているのか、教えていただきたいのですが。
○田辺会長
では、お願いいたします。
○石塚社会・援護局障害福祉保健部依存症対策推進室長
今回、プログラム策定に当たりまして実施していただいた医療機関は35機関ほどございます。計画の中では、専門的な医療機関を全国、政令市などに整備したいという目標を掲げているところでございます。コストにつきまして、済みませんが、詳細が確認できればお返ししたいと思います。
○幸野委員
集団療法だと1回で3400円、これを6回やれば2万円近くということですが、これと大体同等と考えてよろしいのでしょうか。
○石塚社会・援護局障害福祉保健部依存症対策推進室長
費用につきまして、これは治療というよりは研究として行っているところでございますので、費用を出すということは難しいと思っております。点数などについては、現在ある依存症集団療法などを参考にしていくと考えております。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に「令和2年度診療報酬改定への意見について(公益委員案の提示)」を議題といたします。
これまでの1号側委員、2号側委員の意見書、中医協での議論等を踏まえて、公益委員のほうで厚生労働大臣に対する意見書の案を作成いたしましたので、これについて議論したいと存じます。
まず、公益委員案について、便宜上、事務局より説明いただきたいと思います。では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料総-4に基づきまして、読み上げさせていただきます。
本協議会は、医療経済実態調査の結果、薬価調査及び材料価格調査の結果等を踏まえつつ、令和2年度診療報酬改定について審議を行ってきたところであるが、その結果を下記のとおり整理したので、厚生労働大臣に意見を申し述べる。
1.医療経済実態調査の結果について
本協議会は、医業経営の実態等を明らかにし、診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的として、第22回医療経済実態調査を実施し、その結果等について検討した。
2.薬価調査及び材料価格調査の結果について
薬価調査の速報値による薬価の平均乖離率は約8.0%、材料価格調査の速報値による特定保険医療材料価格の平均乖離率は約5.8%であった。
3.令和2年度診療報酬改定について
我が国の医療については、人口減少・少子高齢化が進展するとともに、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の構築が求められる中で、世界に冠たる国民皆保険を堅持し、あらゆる世代の国民一人一人が安全・安心で効率的・効果的な質の高い医療を受けられるようにすることが必要である。また、医療を取り巻く環境の変化や多様な国民のニーズに柔軟に対応することが重要である。
社会保障審議会医療保険部会及び医療部会において取りまとめられた「令和2年度診療報酬改定の基本方針」(以下「基本方針」という。)では、重点的に取り組む課題として、医師等の働き方改革の推進や、患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療を実現するための取組を進めつつ、効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上を図ることが示された。
本協議会は、この基本方針に基づき、全ての国民が質の高い医療を受け続けるために必要な取組についての協議を真摯に進めていく。こうした基本認識については、支払側委員と診療側委員の意見の一致をみた。
しかし、このような基本認識の下で、どのように令和2年度診療報酬改定に臨むべきかについては、次のような意見の相違が見られた。
まず、支払側の意見は次のとおり。適正化・効率化を通じた制度の安定とその持続可能性を高めていくことが、喫緊かつ重要な課題である。医療経済実態調査結果からは、中期的に見れば国公立・公的病院以外の経営状況は概ね堅調であり、今後の人口動態の変化を踏まえれば、国民負担の軽減を確実に図りつつ国民皆保険体制を守っていかなければならないこと等から、令和2年度改定において、診療報酬はマイナス改定とするべき。また、薬価等調査の結果に基づく薬価等の改定を行うとともに、イノベーションの推進にも配慮しながら薬価制度の抜本改革に基づく必要な対応も併せて検討すべきであり、薬価等の引下げ分は、診療報酬本体に充当することなく国民に還元すべき。
これに対し、診療側の意見は次のとおり。今後の少子化、人口減少が確実な現状の下、医療の質を確実に担保すると同時に、効率的な医療施設運営を可能とする報酬体系が必要である。医療経済実態調査の結果等からは、医療機関等は総じて横ばいの経営状況であって、一般病院、一般診療所ともに様々な職種の従事者が増え、給与比率は上昇している。また、社会保障と経済は相互作用の関係にあり、医療に財源を投入すれば、特に医療従事者の比率が高い地方では経済の活性化により、経済成長を促し、地方創生への多大な貢献につながること等から、世界に誇るべき国民皆保険を持続可能なものとするためにも、薬価改定財源は診療報酬本体に充て、診療報酬改定はプラス改定とするべき。
本協議会は、社会保障医療協議会法でその組織構成や、審議・答申事項等を法定されており、医療保険制度を構成する当事者である支払側委員と診療側委員、そして公益委員が、医療の実態や医療保険財政等の状況を十分考慮しつつ、診療報酬改定の責任を果たしてきた。
診療報酬改定は、基本方針に沿って、診療報酬本体、薬価及び特定保険医療材料価格の改定を一体的に実施することにより、国民・患者が望む安心・安全で質の高い医療を受けられるよう、医療費の適切な配分を行うものである。そのために、本協議会においては、これまでも医療制度全体を見渡す幅広い観点から、膨大な時間を費やしデータに基づいた真摯な議論を積み重ね、診療報酬改定に取り組んできており、これからもそのように取り組み続けていく。
厚生労働大臣におかれては、これまでの本協議会の議論を踏まえ、令和2年度予算編成に当たって、診療報酬改定に係る改定率の設定に関し適切な対応を求めるものである。
また、我が国の医療が抱える様々な課題を解決するためには、診療報酬のみならず、都道府県に設置された地域医療介護総合確保基金の活用や予防・健康づくりの取組など、幅広い医療施策を講じていく必要があり、この点についても十分な配慮が行われるよう望むものである。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
本日は、この公益委員案について議論を行い、議論の結果、修正等もあるかとは存じますが、できれば、1号側委員、2号側委員、そして公益委員の間で合意を得まして、意見書を提出したいと考えているところでございます。
それでは、公益委員案につきまして何か御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。
では、御意見等もないようでございますので、この意見書案をもって中医協から厚生労働大臣に対する意見書としたいと存じますが、よろしゅうございますか。
(異議なしと声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、中医協から厚生労働大臣に対する意見書として提出したいと存じます。
本日は、大臣の代理ということで保険局長にお渡ししたいと存じます。
マスコミ等の方は、この場面だけカメラ撮り解禁でございますので、撮影を御希望される方は前のほうにお越しくださいますようお願いいたします。
(会長から保険局長へ意見書を手交)
○田辺会長
事務局におかれましては、これは中医協の総意としての意見でございますので、厚生労働大臣にお渡しいただきますようお願いいたします。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会でございます。御参集、どうもありがとうございました。

 

 
 


 
 

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