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2019年12月6日 中央社会保険医療協議会 総会 第439回議事録

○日時

令和元年12月6日(金)8:48~11:27

○場所

全国都市会館 大ホール(2階)
 

○出席者

田辺国昭会長 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○令和2年度診療報酬改定に関する基本的な見解(各号意見)について
○入院医療(その4)について


 
○田辺会長
ただいまより第439回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、染谷委員、秋山委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうをお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
初めに「令和2年度診療報酬改定に関する基本的な見解(各号意見)について」を議題といたします。
11月29日の総会で、医療経済実態調査の結果に対して、一号側委員、二号側委員、それぞれの見解をいただきました。本日は、各号側委員それぞれから次期診療報酬改定に関する見解が提出されておりますので、資料の説明をお願いしたいと存じます。
まず、一号側委員から資料の説明をお願いいたします。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
それでは、一号側からの意見を申し上げます。資料は総-1-1をごらんいただきたいと思います。時間の関係もございますので、ポイントだけ説明させていただきます。
まず、第1パラグラフのところですが、我が国の国民医療費が平成元年度の予算ベースでは46兆円まで達している。今後2022年から団塊の世代の方たちが75歳、後期高齢者に到達し始めるため、さらなる医療費の急増が見込まれるというところでございます。
第2パラグラフでは、団塊の世代の方たちが2025年に全て後期高齢者入りするということで、この国民皆保険制度の危機がますます増してくる状態にあるというところでございます。
それから下がって第4パラグラフのところですけれども、政府も「骨太の方針」において、診療報酬では高齢化・人口減少や医療の高度化を踏まえ、適正化・効率化を推進すべきということをうたっているというところでございます。
2ページ目をおめくりいただきたいと思います。
第1パラグラフは、前回の実調の結果からは、中長期的に見れば、国公立・公的病院以外の経営状態はおおむね堅調であることが読み取れるというところです。
第2パラグラフ。これまでの賃金・物価水準の上昇率と乖離した形で診療報酬本体がこの10年プラス改定が行われてきたということで、両者の水準は大きな隔たりがあるというところでございます。
第3パラグラフは、最も主張すべきところなのですが、令和2年度改定においては診療報酬はマイナス改定とすべき。あわせて、薬価等においても、薬価調査の結果に基づく改定を行うとともに、イノベーションの推進にも配慮しながら、薬価制度の抜本改革に基づく必要な対応を行うべき。薬価の引き下げ分は本体に充当することなく国民に還元すべきといったところが主張です。
第4パラグラフ目は、入院、外来、在宅それぞれの医療機能において患者増の適切な評価の推進を図る診療報酬体系を望むというところであります。
第5パラグラフ目。医療従事者の働き方改革は非常に重要な課題となっておりますが、これについては三位一体改革の進捗を見つつ、令和2年度改定においては、ICTを活用した医療の効率化や患者の受療行動の変容に向けた取り組みについての診療報酬改定であるべきということを申し述べさせていただきます。
以上、ポイントのみですが、一号側の意見でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
続いて、二号側委員から資料の説明をお願いいたします。
では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
診療側を代表いたしまして、令和2年度診療報酬改定に対する二号委員の意見を申し上げます。資料は総-1-2でございます。
まず、前文でありますけれども、診療報酬は、医療機関等にとって経営の原資であることはもとより、国民に安心・安全で納得できる医療を提供するためには医療機関等の経営が健全であることが重要です。その上で、最適な医療を提供するために、医療の進歩に伴う設備投資のほか、患者ニーズの多様化に対応した多職種の従事者増等のコストを賄っております。
診療報酬改定は2年ごとに改定されることから、その間の物価・賃金の動向や医療の高度化を反映するものであり、いわば地域医療を確保していくための経費であると言えます。
医療機関等は国民生活のセーフティーネット機能を果たしていることから、医療現場ではその社会的使命感によって、国民が求める質の高い医療に応えています。
診療報酬をふやすと、国庫負担増、国民負担増に直結するという考え方ではなく、国が国民にどのようなレベルの医療を提供するのかという国民との約束や責任・使命を果たすための費用であると、本来、考えるべきと考えます。
そして、人生100年時代に必要な医療のあり方から、3ページ目まで、背景として7項目を記載いたしました。それぞれの説明はいたしませんけれども、これらの背景から、令和2年度の診療報酬改定に当たり、改革を継続し、世界に誇るべき国民皆保険を持続可能なものとするためにも、今回、薬価改定財源は診療報酬本体充当にし、診療報酬改定はプラス改定とするべきでございます。
以上が診療側の総意であります。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
前回の平成30年度改定におきましては、医療経済実態調査に対する各号側委員の見解、それから次期診療報酬改定に関する各号側委員の見解、さらには薬価調査の結果等を踏まえまして、公益委員のほうで厚生労働大臣に対する意見書の素案を作成した上で、総会で議論し、意見書を取りまとめて、中医協から厚生労働大臣への意見として提出したところでございます。
令和2年度改定におきましても、同様に、中医協としての意見書を取りまとめ、厚生労働大臣に提出してもよろしゅうございますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、本件につきましてはそのように進めさせていただきたいと存じます。
次に、次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして「入院・医療(その4)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長 資料総-2に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
本日は、入院・医療(その4)ということでございまして、5点につきまして資料を整理いたしまして、御提示させていただいております。
地域包括ケア病棟入院料について、また、回復期リハビリテーション病棟入院料について、そして、療養病棟入院基本料、短期滞在手術等基本料、その他ということで入院時食事療養費、この5点につきまして資料を整理させていただきました。
まず、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料についてでございます。
4コマ目から5コマ目は、要件についてお示ししておりますので、省略をさせていただきます。
6コマ目でございます。まず、地域包括ケア病棟の3つの役割につきまして資料をお示ししております。11月29日の中医協においていただきました主な御意見につきまして囲みに記載をさせていただいております。
また、7コマ目でございますが、地域包括ケア病棟・病室の利用に係る趣旨についてお示ししておるところでございます。
8コマ目。前回の資料でございますが、地域包括ケア病棟・病室の入棟元と退棟先につきまして許可病床別にお示しさせていただいております。許可病床数が多いほど自院の一般病床からの入棟が多いという傾向にございます。
9コマ目でございます。これも前回お示しさせていただきましたが、入棟前が一般病床の患者の占める割合を示しております。下のグラフを見ていただきますと、入棟元が「自院の一般病床」の患者が100%の医療機関が多くあることがわかるかと思います。
10コマ目。これは新しい資料でございますけれども、これらを踏まえまして、地域包括ケア病棟の患者の受け入れについて、病床規模と入棟元で分けて整理させていただいております。表中の括弧内の割合については、調査に基づく実績値の平均となっております。それから、許可病床200床未満につきましては、黄色い枠囲みのとおり、自宅等からの受け入れが1割以上であるという場合を評価しているところでございます。一方で、自院の一般病床からの入棟については、許可病床数にかかわらず、特に制限はございませんが、許可病床数200床以上400床未満では約6割、400床以上では約7割となっておりまして、自院の一般病床からの入棟が多くを占めていることがわかるかと思います。
11コマ目でございます。これも前回の資料ですが、自宅等から入棟した患者の割合の分布を見ますと、現行の要件が1割以上であることに対しまして、実績は20%から30%の医療機関が最も多くなっていることがわかるかと思います。
12コマ目でございます。これも前回の資料でございますが、自宅等からの緊急入院の受け入れでございます。現行要件は入院医療管理料の1・3でございますけれども、その要件は、三月3人以上であるということに対しまして、実績は三月で5~9人の医療機関が最も多くなっていることがわかります。
13コマ目でございます。これも前回出した資料でございますが、在宅患者訪問診療料の算定実績を見ますと、現行の要件が三月20回以上であることに対しまして、実績は三月31回~41回の医療機関が最も多くなっていることがわかります。
14コマ目でございますが、病院からの訪問看護・指導料の算定状況でございます。現行の要件が三月100回以上であることに対しまして、この基準を満たす実績のある医療機関は約1~2割程度であることがわかるかと思います。
15コマ目。これも前回の資料ですが、同一敷地内にある訪問看護ステーションからの訪問看護の実績を見ますと、同一敷地内に訪問看護ステーションを有する医療機関は全体の16%であり、そのうち現行の要件である三月500回以上の要件を満たす実績のある医療機関は、ステーションの職員数が2.5~5人未満の規模では7.5%、5~7.5人未満の規模では37%であることがわかるかと思います。
16コマ目でございます。これらを踏まえまして、地域包括ケアに係る実績要件について、現行の基準と見直しの方向性を整理しています。
表の上段でございます。自宅から入棟した患者の割合や緊急患者の受け入れについては、実績を踏まえて引き上げを案として提示しております。
表の中段でございます。在宅医療等の提供については、訪問診療料は引き上げ、訪問看護は引き下げを案としております。また、開放型病院共同指導料については廃止、同一敷地内施設等の介護サービスについては実績を求めてはどうかとしております。
表の下段のみとりに対する指針については、現在、入院料1・3のみで定めていることとしておりますが、このような実績要件としてではなく、地域包括ケア病棟・病室を届け出る際の全体の要件としてはどうかということを提示しております。
続きまして、17コマ目からは地域包括ケア病棟の届け出についてでございます。
18コマ目、19コマ目は、届け出施設数・病床数の推移でございます。近年大きく増加しておりまして、特に入院医療管理料1及び2の割合が大きいことがわかるかと思います。
20コマ目でございます。地域包括ケア病棟入院料等を保有するDPC対象病院は約800ございますが、許可病床数に占めるDPC対象病床の割合を示しております。グラフの右側は、DPC対象病院の占める割合が高い。このような医療機関が多くありますが、グラフの左側のように、DPC対象病院の占める割合が低い医療機関も一定程度あることがわかるかと思います。
21コマ目は、都道府県ごとの入院料別届け出病床数の積み上げと占める割合をお示ししております。各病院の届け出状況は都道府県によってさまざまであることがわかるかと思います。
22コマ目は、各地域の実情に応じた取り組みという観点で、地域医療構想の概要について示しておるところでございます。右下の枠囲みにありますとおり、医療機能の分化・連携については、地域医療構想調整会議で議論・調整を図ることとされております。
23コマ目でございます。地域包括ケア病棟の届け出について、現行の規定をお示ししております。現在、許可病床数200床以上については、地域包括ケア病棟入院料1・3は届け出できず、さらに400床以上については1病棟までとされております。許可病床数が大きい医療機関については、自院の一般病床からの転棟割合が高いことを踏まえ、入院分科会の取りまとめにおいて、地域における機能分化を適切に進めるべきと記載をされています。
24コマ目からでございますけれども、転棟・転室等の算定ルールについてでございます。先日の中医協において、下段の囲みにございますような御指摘がありました。
25から26については、現在の転室・転棟に係る算定ルールを示しております。
27コマ目。これも前回の資料でございますけれども、DPC対象病棟からの転棟時期の実態について、DPC/PDPSの入院期間2の点数水準の異なる2つの例をお示ししています。
上段の骨折損傷の例では、DPC/PDPSの期間2の点数が地域包括ケア病棟入院料2の点数よりも低く、期間2に入るタイミングでの転棟が多くなっております。
下段の狭心症の例では、DPC/PDPSの期間2、3の点数が地域包括ケア病棟入院料2よりも高くなっておりますが、この場合の転棟時期は期間3に入る時期が多くなっていることがわかるかと思います。
28コマ目でございますが、DPC/PDPSにおける点数設定方式の考え方についてお示しをしております。DPCでは、1入院期間における1日当たりの医療資源の平均投入量と平均在院日数から、入院期間1~3の各日数と点数水準を設定しています。図で表現しておりますとおり、期間2までの点数を積み上げていきますと、1入院当たりの平均的な医療資源投入量になるように設計をされております。
これを踏まえまして、29ページに【論点】として5点整理をさせていただいております。
○ 地域包括ケア病棟・病室を有する医療機関が、地域において他の医療機関と連携しつつ、当該病棟の3つの役割を適切に担うことを推進するため、それぞれの役割に係る要件を以下のとおり見直してはどうか。
○ 急性期病床からの受け入れについて、特に許可病床200床以上の医療機関において自院の一般病床からの転棟・転室が多くを占めていることを踏まえ、自院からの転棟割合に一定の制限を設けてはどうか。
○ 入院料及び管理料1・3において評価されている「地域包括ケアに係る実績」について、届出医療機関の実績等を踏まえ、自宅等からの患者の受け入れや在宅患者訪問診療料の算定回数については基準を引き上げ、訪問看護等の回数については基準を引き下げてはどうか。また、その他の要件についても項目の見直しを行ってはどうか。
○ 地域包括ケア病棟の届出について、許可病床数400床以上の医療機関が届け出る場合は1病棟までとなっているが、地域包括ケア病棟の施設数・病床数が年々増加していることや、許可病床数が大きな医療機関における自院内転棟・転室の実態等を踏まえ、特に許可病床数が大きい医療機関が当該病棟を届け出る場合は、その旨について地域の意見を求めることを要件とすることについてどのように考えるか。
○ DPC対象病棟から地域包括ケア病棟・病室に転棟・転室する場合に算定する報酬が異なっていることについて、患者の状態に応じた適切な医学管理を妨げないよう、算定する点数をDPC/PDPSにおける診断群分類の点数に一本化してはどうか。その際、DPC/PDPSの点数設定の考え方に基づき、当該点数を算定するのはDPC対象病院全体の平均的な在院日数である入院期間2までの期間としてはどうか。
ということで整理をさせていただきました。
続きまして、回復期リハビリテーション病棟入院料についてでございます。
30コマ目のところに、これまでいただきました御意見などを整理させていただいております。
32、33コマ目については、現在の回復期リハビリテーション病棟入院料の概要を示しております。
34コマ目にお進みいただきたいと思います。これは、回復期リハビリテーション病棟入院料のアウトカム評価のための指標として用いておりますリハビリテーション実績指数の内容を示しております。各患者のFIMの得点の改善や、退院までの期間の短縮を評価するような設計となっております。
35コマ目はFIMの概要でございます。
36コマ目でございます。これは、入院料別のリハビリテーション実績指数をお示ししております。実績要件とされております入院料1と3及び5において高い傾向にあることがわかるかと思います。
37コマ目。これは入院料ごとのリハビリテーション実績指数のヒストグラムとなっております。
38コマ目は、前回と同様の資料で、前回にも示しておりますが、現行の回復期リハビリテーション病棟入院料における実績要件のイメージをお示ししております。評価の軸は2つございます。1つは、患者のアウトカムとしてのリハビリテーション実績指数や在宅復帰率があるほか、もう一つの軸としては、入院時点の患者の重症度の評価としての重症者の割合がございます。
下の図は、リハビリテーション実績指数と重症者の割合で、現行の入院料を区分したものとなっております。なお、実績指数が一定程度低い期間が継続した場合に、疾患別リハビリテーション料の一部が包括されるといった規定もございますので、下のほうに記載を追記しております。
39コマ目をごらんいただきたいと思います。前回の御意見を踏まえまして、以下のとおり、見直し案を示したものでございます。入院料1、3、5、それぞれのリハビリテーション実績指数の実態を踏まえた水準を設けることについて御意見をいただきたいと考えております。
40コマ目以降については、回復期リハビリテーション病棟に入院される患者さんの要件についてお示しさせていただきます。
41コマ目をごらんいただきたいと思います。下線を引いてある部分でございますけれども、回復期リハビリテーション病棟における入院患者に係る主な要件として、その病態ごとに、発症後の期間に係る要件と算定日数上限が設けられております。
42コマ目。これは再掲でございますが、平成28年度改定において導入されたリハビリテーション実績指数の要素として、患者のADLの改善や在院期間に係る事項がございます。
43コマ目。これは発症から入棟までの期間が短いほどFIMの改善が得られやすいということが示唆されておりまして、そういった観点からも、現在早期の受け入れが進みまして、発症から入棟までの期間は年々短くなっているという状況でございます。一方、個別の患者については、例えば重症の脳卒中や脊髄損傷等、病態が安定するまでに入院を要し、発症後の期間に係る要件を満たせず、回復期リハビリテーション病棟に入院できないという場合がございます。
これを受けまして、【論点】として44コマ目に2つ整理をさせていただきました。
(リハビリテーション実績指数について)
○ リハビリテーション病棟入院料1、3及び5を届出ている病棟におけるリハビリテーション実績指数の実態等を踏まえ、リハビリテーション実績指数の基準値を見直すこととしてはどうか。
(入院患者に係る要件について)
○ リハビリテーション病棟における患者の早期受入の実態及び受入に係る評価の現状等を踏まえ、入院患者に係る要件のうち、発症後の期間に係る要件について見直すこととしてはどうか。
ということで整理させていただきました。
続きまして、45ページからは療養病棟入院基本料についてでございます。
45コマ目には、前回の中医協総会における指摘事項をまとめさせていただいております。
46コマ目は概要でございます。
47コマ目。これは現在の療養病棟の届け出施設及び病床数の推移でございます。令和元年10月1日の速報値では、療養病棟入院基本料経過措置2の届け出施設は4施設となっております。
48コマ目。これは前回11月22日の中医協でお示ししました【論点】でございます。療養病棟入院基本料経過措置2については、現在届け出ている医療機関の意向を確認した上で対応を検討すべきという御意見をいただきましたので、経過措置2を届け出ている4施設に転換の意向を伺いました。施設数が少ないため病院が特定される可能性があるため、資料には細かい内容を掲載しておりませんことを御了承いただければと思います。
4施設にお尋ねをしましたところ、3施設につきましては、他の療養病棟入院基本料を届け出るという意向があると伺っております。残りの1施設については、介護医療院の届け出を行う意向であると伺っておるところでございます。
これを受けまして、49コマ目にございます【論点】に整理をさせていただきました。
○ 療養病棟入院基本料経過措置2について、現在届出ている医療機関の意向を踏まえ、どのように考えるか。
ということで整理をさせていただきました。
50ページ以降につきましては、短期滞在手術等基本料についてでございます。
51コマ目は、この短期滞在手術等基本料と手術の算定方法の全体のイメージをお示ししているところでございます。
52コマ目が短期滞在手術等基本料の概要でございまして、短期滞在手術等基本料1は日帰り、基本料2は1泊2日、基本料3は4泊5日までの入院による手術を評価したものとなっております。
57コマ目に飛んでいただきます。これは短期滞在手術等基本料の算定のイメージということでお示しをしております。
58コマ目から59コマ目は、短期滞在手術等基本料1~3の対象の手術や包括されている検査をお示ししたものになっております。
60コマ目を見ていただきたいと思います。これが、現在の短期滞在手術等基本料の算定状況となっております。この短期滞在手術等基本料2と3につきましては、平成29年から平成30年にかけて算定回数が減少しております。これは、平成30年度の診療報酬改定におきまして、DPC/PDPSによる包括報酬を優先することとした影響であると考えられております。なお、短期滞在手術等基本料3については減少したとなっておりますが、DPC対象病院以外の病院では年間約28万件算定されているという状況でございます。
61コマ目は、短期滞在手術等基本料3の対象手術の算定回数や平均在院日数をお示ししているところでございます。
62コマ目でございます。この短期滞在手術等基本料3の対象手術のうち、算定回数が多い上位の3つを挙げております。前立腺生検法、水晶体再建術、また内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術でございますけれども、この手術を実施しました症例の平均在院日数を見ておりますと、3日を切っているという状況でございます。これから、その3つの手術につきまして、現在と、短期滞在手術等基本料3がつくられました平成25年度の状況の変化をお示ししております。
まず、63コマ目でございます。前立腺生検法につきまして、平成25年度と直近の平成30年を比べております。平均在院日数は約1日短縮しております。
64コマ目が水晶体再建術でございますけれども、平均在院日数は約0.7日短縮しています。
65コマ目でございます。内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術でございますが、平均在院日数が約1.3日短縮しているという状況でございます。
これを受けまして、【論点】としまして3つ挙げさせていただいております。
○ 短期滞在手術等基本料1については、現在の評価を継続することとしてはどうか。また、短期滞在手術等基本料2についても、算定回数は少ないものの、1泊2日入院における手術症例に関する支払い方式を残すという観点から、現在の評価を継続することとしてはどうか。
○ 短期滞在手術等基本料1、2について、データに基づき評価の見直しを検討するという観点から、短期滞在手術等基本料3と同様に短期滞在手術等基本料1、2を算定する対象となった手術が判別できるよう、見直すこととしてはどうか。
○ 短期滞在手術等基本料3について、4泊5日までの手術等を実施する症例に対して設定している基本料であり、当該基本料の対象手術症例の平均在院日数が当該基本料の対象となった当時と比べ減少していることを踏まえ、当該手術症例の実施件数等を考慮しながら、平均在院日数に基づき点数設定を見直すこととしてはどうか。
ということで整理をさせていただきました。
5番目に、67コマ目からは、「その他」ということで、入院時食事療養等に係る帳票及び病院の人員に関して整理をさせていただいております。
68コマ目は、上段は、食事の質の向上に使用するということで、入院時食事療養費に係る帳票として通知で示しているものをそこにまとめております。また、下段では、医療法における基準として、病院は栄養士が100床以上に1名、特定機能病院は管理栄養士1名以上という配置が定まっております。
69コマ目でございますけれども、入院基本料等の通則には栄養管理体制として常勤の管理栄養士が1名以上配置されていること等の要件がございまして、管理栄養士等が患者の栄養状態を確認し、必要に応じて患者ごとに栄養管理計画を作成することとされております。
70コマ目でございます。入院時食事療養費に係る帳票等の見直し(案)についてでございます。考え方(案)でございますが、参考として72コマ目のほうに示しております介護報酬のほうで、栄養ケア・マネジメント実施施設における主たる帳票書類の見直しについてということを参考にいたしまして整理をしたものでございます。
1つ目のポツでございますが、管理栄養士が患者ごとに栄養管理を実施している場合にあっては、集団として栄養管理を行う上で必要な帳票については、必ず備えるべき帳票として整理されているものから除外をしてはどうか。
2つ目でございますけれども、管理栄養士が患者ごとに栄養管理を実施していない場合にあっては、これまでどおりとする。
3つ目でございますが、業務の委託をしている場合は病院が委託業者を管理する必要があることから、必ず備えるべき帳票から除外された帳票であっても、必要に応じて作成するということ。
4つ目でございますが、電子カルテやオーダリングシステム等により必要な情報が変更履歴等を含めて作成・保管されている場合は紙での保管を不要とするということの提案でございます。
下段は、この考え方を反映した表でございまして、一覧として整理をしております。
これを受けまして71コマ目に【論点】として、
○ 医療従事者の負担軽減及び業務の効率化の観点から、入院時食事療養費で求めている帳票等について、電子的データでの保管及び、患者毎に個別に栄養管理が実施されている場合に簡素化する方向で検討を進めてはどうか。
ということで提示をさせていただきました。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、5項目に関しまして論点が出ていますけれども、一括して議論していただければと存じます。
ただいまの説明につきまして何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。まず、29ページ目の論点から述べさせていただきます。
2つ目の論点である、自院からの転棟割合に一定の制限をかけることについては賛成いたしますけれども、その許可病床数の基準は200床以上ではなく、まずは400床以上とすべきです。確かに、10ページ目の実績の平均値を見れば、200床未満では自院内の転棟割合が約3割であるのに対しまして、200床以上ですと約6割、400床以上ですと約7割となっており、200床前後で確かに大きく異なっておりますけれども、いきなり広範囲に制度変更いたしますと、現場に非常に混乱が起きますし、400床以上の病院に対して地ケア病棟のあり方への明確なメッセージを出すことで、200床以上の病院に対しても事実上の抑止力が働くと考えます。200床以上の病院につきましては、改定後の変容も踏まえながら改めて検討すべきであると考えます。
3つ目の論点である実績要件の見直しにつきましては、16ページに基づき意見を申し上げます。
まず、自宅等から入棟した患者割合と自宅等からの緊急患者の受け入れにつきましては慎重に判断すべきであります。確かに、11ページや12ページの調査結果を見ると、基準を超えている医療機関も多いですが、11ページ目の自宅から入棟した患者割合については、基準である1割以上の付近に一定数の医療機関があります。また、自宅等からの患者を受け入れるためには、その分のベッドをあけておかなければなりませんが、基準を引き上げますと、病床数が少ないところは空きベッドの割合が相対的に高くなるので、非常に苦労すると思います。この実績が求められているのは、許可病床数200床未満の病院ですが、その中でも、地ケア病床の数が少ないところについては基準を引き上げるべきではないと思いますし、10ページに記載されているとおり、200床未満の病院ではこの地ケアの3つの機能のバランスがとれているとは思いますので、ここのところは慎重であるべきだと思います。
その他の実績につきましては、1の在宅患者訪問診療料の算定回数は、地ケア病棟を持つ病院からの訪問診療を推進すると、地域の医療連携であったり、機能分化に悪影響を及ぼす可能性もありますので、大幅な引き上げには反対いたします。
2の訪問看護の回数の引き下げについては賛成いたします。
3の開放型病院共同指導料につきましては、算定が難しいこともあり、削除してもよいと考えますが、この基準を満たしている施設も少数ながらありましたので、削除するのであれば、実績要件を満たす項目数、現在は1から4のうちいずれか2つ以上満たすことになっていますが、その項目数についても検討が必要だと考えます。
4の介護サービスの提供についてですが、余り高い実績を求めますと、その病院で医療から介護まで全て提供することになって、地域の機能分担に反することになりますし、病院から提供される看護サービスの内容をよく検討するなどして判断すべきと思います。
なお、看取りに対する指針、「人生会議」と言われておりますいわゆるACPにつきましては、大切な取り組みではありますが、現行の運用では、病棟に入院する全ての患者さんと話し合いをして文書を作成する必要があるという誤解を生んでおります。地ケア病棟の死亡退院は5%程度であります。この取り組みは、患者さんが回復して退院できる状態のときから、もしものときのために、あらかじめ人生の最終段階で受けたい医療のことについて家族と話し合っておくことが重要と、パンフレットなどを使って説明することなどが大事でありますことから、そのような自主的な取り組みが促進されるような要件設定をすべきであると思います。このような状況にありますので、拡大には慎重であるべきであります。
続いて、4つ目の許可病床数が大きい病院における地ケア病棟の届け出については、22ページの地域医療構想調整会議で議論・調整して判断するという考え方もあるとは思いますけれども、現時点におきましては、全国における調整会議が望ましい方向性で活性化しているとはまだ言いがたい状況にありますので、時期尚早と考えます。
診療報酬上の対応といたしましては、2つ目の論点で述べましたが、大きな病院には地域包括ケア病棟の趣旨である地域との連携を守っていただくようなメッセージを出すことや、例えば400床以上は今後新規に地ケア病棟を開設することができないという規制を拡大するほうが現時点では実効性があると考えております。
最後のDPC病棟から転棟した場合の算定方法についてですが、前回述べたとおり、診断群分類やリハビリが出来高となるか包括化されるか等の事情によって、どちらが好転推移になるかは一概には言えませんので、厚労省の提案のような平均的な在院日数である入院期間2のところで線引きするのも仕方がないと考えます。
また、2つ目の論点であったように、自院からの転棟割合が高い場合には一定の制限をかけることもありますので、そうした対応による効果もあわせて考えるべきだと思います。
44ページ目の【論点】です。1つ目のリハビリテーション実績指数の基準値について、実績指数の基準が上がれば上がるほど在宅復帰率と重症患者比率の基準を満たすのが難しくなります。アウトカムはもろ刃の剣であり、厳しくすればよいというものではありません。施設側に患者さんのえり好みが生じ、評価が過ぎると、患者さんの受け入れにも支障を来すリスクがあります。支障の限界にも配慮する必要がありますので、評価に当たっては適切なバランスとなるようにすべきと考えます。
なお、入院料5につきましては、その数も少なく、37ページを見ても、見直しを検討するために必要十分なデータがないように考えます。
2つ目の論点につきましては、現行規定される発症期間により、43ページのように、重症の脳卒中や脊髄損傷等の病態が安定するまでに時間を要し、結果、回復期リハビリテーション病棟に入棟できないといったことが生じないような見直しが必要と考えます。
48ページ目ですが、経過措置2を利用されている4つの医療機関の意向について確認した結果、介護医療院や他の病棟に転換する意向が確認できたということであれば、この経過措置2につきましては廃止しても構わないと考えます。
66ページ目です。1つ目と2つ目の論点は相互に関連した内容だと思いますが、例えば、短期滞在2につきましては、9月19日の入院分科会で、該当する手術を1泊2日で行う場合を評価した点数であるのに、当該手術を実施する症例の平均在院日数は2日を上回っているということで、対象疾患が適当でないということが議論になったと伺っております。残すのであれば、見直しの方向性も含めて検討すべきと考えます。
3つ目の論点につきましては、平均在院日数が短縮したことで、当初の4泊5日よりも短くなっている手術があり、直近データに基づいた見直しが必要かと思います。また、1泊2日まで短くなったものにつきましては、短期滞在2との違いがわかりにくくなっていることも考えられます。短期滞在2の実施状況等を把握した上で、将来的には短期滞在2と3を統合するなども含めて改めて検討してはどうかと思います。
最後に、71ページですが、この【論点】につきましては異論ございません。
長くなりましたが、以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
まず、29ページの【論点】につきましては異論ございません。
それから、44ページ、回復期リハビリテーションについては、基準の引き上げに異論はないのですが、前回、我々が主張しましたとおり、回復期リハというのはやはりアウトカムが重要だということで、全ての入院料において実績指数を求めるべきということで、入院料2、4、6についても実績指数を置くべきだと思います。
その根拠として、36ページを見れば一目瞭然なのですが、実績指数が置かれているところについてはそれなりの成果を出していて、でこぼこが生じていて、やはり2、4、6は実績指数が置かれていないので、1、3、5に比べて低くなっているという現象は矛盾が生じているということもあって、入院料1~6全てにおいて実績指数を置くべきだということを改めて主張させていただきます。
逆に、在宅復帰率7割が1から4までついているのですが、7割を見直さないのであれば、この実績指数はもう不要ではないかと思います。在宅復帰率のかわりに、2、4、6にも実績指数を入れていただくことを要望いたします。
49ページの療養病棟については、意向を踏まえた上で経過措置は廃止すべきと思います。
それから、66ページの短期滞在手術等基本料についてです。これも異論ございませんが、基本料3については対象手術の平均在院日数が減少していることを踏まえれば、適正化の観点から、短縮を踏まえた適切なレベルの点数設定をお願いいたします。
71ページの入院時食事療養制度については、御提案のとおりで異論ございません。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
29ページの【論点】の4つ目の、地域包括ケア病棟の届出について、許可病床数が大きい医療機関の届け出で地域の意見を求めることを要件とするとあります。この地域の意見というのは、地域医療構想調整会議を想定されているということなのでしょう。
この意見を求めるプロセスについて、地域の意見、つまり許可病床数の大きい医療機関から届出があった場合に、地域医療構想調整会議に届出があったので、議論してくださいという形で伝えて、その後、地域医療構想調整会議で議論し意見をもらうというようなプロセスなのでしょうか。その点について、まず教えていただけますか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
私ども事務的に想定しておりますのは、届け出ようとする医療機関から、このような自分たちの病院について病床を一部地域包括ケア病棟に変えたいということを希望しているということを地域医療構想調整会議に図って、了承を得た上で届け出をしていただく、そのような事務の流れがあるのではないかということを想定しております。
○吉森委員
そこは整理していただきたく思います。地域医療構想調整会議で議論があって、届出が却下されたときには、それで届出はないことになるのか、それとも、一応議論を踏まえた上で、届出をしたいときにどうするのか。その辺の整理をしっかりしないといけないと思います。地域医療構想調整会議の位置づけと届出の関係をどう考えるのか、よくわかりません。きちんと整理していただき、それを要件にする場合、診療報酬上の要件としてどう考えるのかという論点もあります。当然ながら、地域医療構想調整会議というのは地域の医療機能区分の調整・連携を議論していくということなのでしょうが、その果たす役割を要件設定に入れ込むのは、相当整理をしないとわかりにくいと思います。これは意見です。
もう一つは、38ページの回復期リハの病棟についてです。今、幸野委員からもありましたように、入院料1、3、5の階段というのは、前回主張したとおりです。一方、39ページに例を見直し案として図式していただいていますが、入院料2、4、6で重症度の縦軸で3割、2割があって、横軸にリハの実績があります。入院料2、入院料4、入院料6のいずれも限りなく0に近い。前回と違って、最低限の要件として、疾患別の歯止めがあるということですが、点数が違うわけですから、実績をきちんと果たしているかどうかについては、下限階段を設けるべきだと思います。いかがでしょうか。
○田辺会長
どちらに伺っているのかわかりませんけれども、とりあえず医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
私ども、38コマ目に示させていただきましたように、入院料の2と4と6の左側のところに点線で引かしていただいております。これは、実績指数を用いて、その病棟において3カ月ごとに集計をしていただいて、2回連続で27未満となった場合。いわゆる退院患者さんが余りよくなっていないまま退院されたと。平均的にそうなった場合には、疾患別リハビリテーション料の一部、6単位を超えるといった場合には、回復期リハビリテーション病棟入院料に包括されるということで、基本的にはどの患者さんも回復期リハビリテーション病棟の6単位を超えて。基本的には、毎日大体6単位を超えてリハビリテーションをしていただいております。その分が利用料に包括されるということで、ある意味、減算の規定となっておりまして、入院料に大きく影響する仕組みをここにはめておるということでございまして、どこまでも悪くてもいいのかという仕組みにはなっておりません。ですので、2も、4も、6の入院料をとっているところも、最低27は超えるということで頑張っていただいているものと思っております。
ということで御説明をさせていただきました。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
趣旨はよくわかりました。そうしますと、2回連続して27未満には、例えば入院料2は30だとか、入院料4は何だとか、入院料6は27だとか、階段をつけることは可能ではないかと思います。ここに階段をつけたらどうかという意見として捉えていただければと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
先ほど支払い側の幸野委員と吉森委員からお話がありました。2、4、6のところは、39ページにあるようなイメージになっておりますけれども、1、3、5の階段と2、4、6の階段、それから、1と2、3と4、5と6の違いがある程度明確になっているということがありますので、事務局の提案に賛成をして、2、4、6についての実績指数に対しましては反対いたします。
○田辺会長
ほかは。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
36ページをよく見ていただきたいのですけれども、我々も、この棒の高さが1から6になるに従って、右から左にどんどん下がっていっているような状態であればあえて要件をつける必要はないと思いますが、見てのとおり、1と2、2と3を比較しても逆転していますし、4と5を見ても逆転していますし、入院料が高いにもかかわらず、そういった現象が起きているということは事実ですので、これを右からなだらかに6まで下がっていくという状態に持っていくためには、やはり実績指数を入れるというのが自然な考え方ではないかと思うのです。これをこのままこの状態で放置していていいのかというところについて見解をお聞きしたいと思います。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
入院料の違いにつきましては、要件のところ、例えば33コマ目のところを見ていただければと思います。33コマ目のところに、平成30年診療報酬改定で回復期リハビリテーション病棟入院料1から6の内容を詳細に示しております。例えば1から6までの入院料の中には、実はそれぞれ区切りが入っているところを見ていただきますと、医師は一緒なのですが、例えば看護職員については13対1と15対1と違いますし、1、2と3、4、5、6は違う。また、その下のリハビリの専門職等が違います。というようなことで、実際に提供されている医療資源そのものについても基本的なもともとの違いがございます。ですので、その基本的な要件がはまっている、体制が違うということをある程度考えていった上で、この実績というのを見ていただければと思っております。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
それはわかった上で聞いているのです。確かに、いろいろな施設基準があって、重症度の関連もあって違いをつけているということなのですけれども、この回復期リハビリというのはどれだけ患者の状態をよくするかというアウトカムで評価すべきだと思うので、体制も大事なのですけれども、こういった実績を階段状につけていくということがなぜできないのかなというのが非常に疑問なのです。
基準の違いはわかります。基準の違いによって点数がついているというのはわかりますけれども、実績を入れてもいいのではないかということです。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
もう一つ、基準の違いのところについて、連動しているという意味合いで組んでいる重症者の割合というところについては、回復期リハビリテーション病棟入院料の対象となっている患者さんについては、最初の入院するときの重症度、非常に重たい方をどれぐらい入れているというところで、この入院料の2、4、6というのが決まっております。そこは、看護者の配置、看護職員等の配置等で、リハビリテーションのほかにプラスして見なければいけない部分ですとか、そういうものも評価をされているという状況がございます。
また、このFIM指数の負の実績指数につきましては、非常に重症な方についてはFIMが上がりにくいというものもございます。そういう意味で、先ほど、実際、重症度にプラスしてFIM得点というような実績を入れることについてどのように考えるかということで御意見をいただければと思っております。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
でも、患者の視点から言うと、どの病棟に入りたいかというと、実績の高い、自分の体をよくしてくれるところに入りたいわけで、あまり実績の低いところに入りたくない。では、4と5のどちらに入りたいかといったら、それは点数も5のほうが低いし、5のほうが高い実績を出しているので、そちらに入りたいと思うかと思うのです。そういった患者の視点というのがちょっと抜けているかと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
○田辺会長
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
回復期リハビリテーションは珍しくFIM利得ということで、アウトカムで評価しているわけですけれども、全国にたくさんある回復期リハビリテーション病棟の中で、やはり地域格差というのは非常に大きいのです。たくさん人口もいて、たくさんあるところでは、ある意味では回復できる患者さんが集まってくるところもあるのですけれども、地域で、ここしか回復期リハビリテーションがないという場合には、いろいろな患者さんが来ますから、その場合には、回復する人もいるけれども、どうしても回復がよくない人というのはたくさん入ってしまう場合があるわけです。ですから、そういう場合のことも想定して、単にFIM利得で入院料を分けるということだけでは済まないのだということが実態としてあらわれているのではないかと思います。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
その実態は何となく理解はしましたが、例えば、先ほど申し上げたように、39ページで、入院料2、4、6で、アウトカム、リハビリ実績が3カ月ごと集計しても出てこない、2回連続して27未満になった場合は包括で減算項目となると御説明をいただきました、例えば入院料2は27ではなく、入院料2、4、6で同じ減算項目ではなく、入院料2については30にするなどもう少し減算規定を上げて求めるというような、階段をつけることについてどうなのかと申し上げたい。
○田辺会長
誰が答えるのかわかりませんけれども、一応、医療課長、引き取っていただければ。
○森光医療課長
それにつきましては、例えば37コマ目と38コマ目を見ていただければと思うのですけれども、まず、入院料の2と4と6の違いのところでございます。これに重症者の割合というところで2割以下というのが入院料6になりますが、2から3割というのが入院料4で、3割以上というところで、入院料2は、逆に言うと、上限がない形で、重症だけれどもリハビリを必要とする人を上限なしに引き取って、しっかりリハビリをしていただいている病院でございます。
そういう病院は、入院料2のところで37を見ていただきますと、FIM得点が上がりにくい患者さんをたくさん引き取った上で、結構頑張って上げていただいてはいるものの、30以上というところに線を引いてみていただければと思うのですが、それでもそこまで至らない施設がございます。そういう病院についてどのように考えるのか。ここは、重症者の割合が3割以上ですので、病院の中身によってもっともっと多い病院もあるかと思います。その点についてどう配慮するかというのが必要だろうと思います。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
繰り返しになりますけれども、一人一人のリハビリテーション実績指数という考え方で、地域全体をしっかりと見ていく。特に重症者の方とか、そういった方々をきちんと受け入れてくれるようなところを評価する。対象の評価ということがあるわけですので、そのバランスをとった今回の御提案だと思っておりますので、2、4、6に関しましては、実績指数に対しましては現行維持ということでよろしいかなと思います。取り入れないということでよいと思います。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
1つ質問なのですけれども、29ページの【論点】の4つ目で、意味がよくわからないのですが、400床以上の医療機関は、今、1病棟までです。この「地域の意見を求める」というのは、今はないけれども、今後、1病棟を届け出るときには地域の意見を求めるという意味合いなのでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
そこに書いてある記載についてはそのとおりでございます。ただ、議論についてはしていただければと思います。
○猪口委員
わかりました。基本的に1病棟という枠があるので、これは必ず守っていただく上で、今後届け出る場合にはその調整会議で意見を求めるということだったら賛成したいと思います。
○田辺会長
では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
今、話が出ていた29ページの4つ目の○ですが、地域の中にはそれぞれさまざまな意見があると考えております。その地域で本当に必要かどうかということ、そのことをきちんと議論していただくように、お願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
同じく29ページの【論点】の4つ目です。地域医療構想調整会議を想定されての意見が要件ということだと思うのですけれども、いわゆる診療報酬の項目の要件にほかの会議体の決定が影響するということは、ほかには何かあるのでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
済みません。会議体という形で今すぐには思いつきませんけれども、基本的には、診療報酬の仕組み自身の中で、例えば、その病院を指定するような要件の中に、行政の中でのほかの制度、例えば救急だとか、そういうものの中で、この地域においてこういう役割を担いますよということで札が打たれた、そういう病院について評価するとか、そのようなことはあります。ただ、そういう地域における役割をある程度行政の仕組みの中で決めていただき、それを決めるに当たっては、大概は、地域における医療計画だとか、そういうところに基づいてその医療計画に載って、こういう役割を持つよというふうに決まった病院が「○○病院」という形で載りますので、その病院がその役割を担うと決まるまでの間に、地域においての意思決定の場を経て、そして決まるということは仕組みとしてはあると思います。
○城守委員
今回のこの件に関して一定程度理解はしますが、ほかの会議体等での決定事項がその要件にも影響を与えることになると、先ほど吉森委員もおっしゃったように、診療報酬の要件といいますか、その位置関係というのが非常に見えにくかったりするので、できましたら、そのあたり、整理をしていただいたほうがよいかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
今の議論ですけれども、先ほど松本委員からもお話があったと思いますが、地域医療構想調整会議の活性化ということ自体が問題になっていて、地域ごとに地域医療構想調整会議の議論の進捗状況というのは本当にばらばらだと理解をしています。
また、本当にやらなければいけないことが多くて、新たなお仕事をそこに付加するというのは、現状、非常に厳しいのではないかと思います。将来の課題として御検討いただいたらいいのではないかと思います。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
私もちょっと疑問に思うのは、地域医療構想調整会議に出たことはないのですけれども、今までの進展などを聞いてみると、この調整会議の方法もいろいろで、これで急性期の病床が本当に削減されていっているのかというと、なかなかそうはいっていないという現状の中で、ある地域医療構想調整会議の中で地ケアをつくりたいと提案して、これが却下されるという事態が果たして本当に生じるのかなというと、結局、認めるというか、認めざるを得ないという状態になるのではないかなというところです。今の調整会議がそんなぎしぎしとしたような議論が本当に行われているかというと、急性期の病床の転換についても余り進んでいませんし、保険者もこれに出ておりますので、いろいろ意見を聞きますけれども、医療機関の方々同士で主に行われているので、こういった病床転換が却下されるような状態が生じるとはとても思えないのです。その辺についてはそんなことはないと言い切れますか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
いろいろ御意見はありますけれども、まず第1ラウンドの際に、地域医療構想については診療報酬として寄り添う、もしくは後押しするという話があったかと思います。いろいろな御趣旨があって御発言はあったかと思いますが、基本的には、それぞれの病院が地域における役割を認識した上でそれぞれの病床転換を進めていくということについて、診療報酬として寄り添う、もしくは後押しするというようなお話がそこの場でなされたかと思います。
そうしたときに、地域医療構想調整会議というのはまさにそれを担う役割がある会議だと思っております。地域において、今、いろいろな状況であるということは、当然、私どもも承知をしておりますけれども、却下できるかできないかとか、それはそれぞれの地域医療構想調整会議のありようだとは思います。ただ、あるべき姿で言うのであれば、まさに幸野委員がおっしゃったような、却下とは言いませんけれども、それは地域医療の中でどうなのかという議論がしっかり、その病院がその機能を持つことについてどうなのかということをしっかりその場で会議ができる、意見を交わすことができるということが、まさに地域医療構想会議に我々が求めているものですし、双方で最初に第1ラウンドで議論されたときの姿ではなかったかと思います。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
課長がおっしゃるとおり、地域のありよう、実態を地域医療構想調整会議でいろいろ議論いただいて調整をしていただくという方向性についてはその通りですが、病院の届出等についても、その方向性にのっとってそれは当然無視できませんし、連携していかないといけません。そういう意味では、きちんと連携をとる手法としては理解できるところなのですが、では、実効性の問題として、今のありようも含めてもう少し整理をしないと、なかなかうまく効果が出ないし、ましてや要件化という話になると、もう少し踏み込んで色々整理をする必要があるのではないかと申し上げております。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
地域包括ケア病棟入院料と管理料に関しまして、29ページの3つ目の論点について、地域包括ケア病棟の役割としての在宅医療等の提供の訪問看護に関して、看護の立場から意見を述べさせていただきます。
この地域包括ケア病棟の条件が4つありますけれども、2つ目の訪問看護の実績要件につきましては、14ページと15ページにありますように、現場の実情に比べまして極めて厳しい要件となっておりますので、実績を踏まえた引き下げの検討をお願いいたします。
一方で、条件の4に該当します介護保険における訪問看護等の実施につきましては、前回、提示された資料を見ますと、多くの医療機関で要件を既に満たしており、件数の実績要件は含まれておりませんので、医療保険での訪問看護の要件と比較して遜色ない程度の回数等の実績要件を求めることを御検討いただければと思います。
もう一点、訪問看護ステーションの設置についてです。現在、同一敷地内が要件となっておりますけれども、同一敷地内に新たに設置することが非常に難しい場合もあります。そのため、訪問看護ステーション設置場所につきましては、隣接もしくは同一地域、せめて近接と言える範囲等に見直すことも御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田辺会長
ほか、いかがでしょう。
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
41ページに、回復期リハビリテーションの要件を見直しという案で出ているのです。どういう形で見直すかまだよくわかりませんが、41ページを見ますと、例えば欄内の4。ここは神経とか靭帯損傷なのですけれども、「損傷後1か月」と書いてあります。靭帯損傷というのは手術をすることも最近多いので、この辺の要件とか。あと、5番も、置換術をやったら「術後」であって「損傷後」ではないのではないかとか。そういうような細かいところの見直しがまず必要なのかということ。
昨今、非常に早く回復期リハビリテーションに移るようになっておりますので、期間を撤廃するのか、短くするのか、その辺はよくわかりませんが、要件としてはある程度あったほうがいいのではないかなと私は思っております。そうでないと、その意味合いがはっきりわからなくなる可能性がありますので、ある程度条件はあったほうがいいかなと思っております。
それから、最後の71ページの入院時食事療養に関してです。今、食事については、この場で話し合うのではなくて、人手不足で食事が提供できなくなってきているとか、いろいろ大きい問題があります。少なくともこういう帳票類の簡略化に関しては本当に賛成したいところです。
それに加えまして、今、通知でいろいろな規定がかかっております。例えば、食事ができ上がったら、それを患者さんに出す前に、医師とか管理栄養士がちゃんと検食をしなさいなどという規定がある。実際は、でき上がったらすぐ出さなければ間に合わないのにそれをやっている暇ないでしょう。ここは、実際につくっている栄養士さんもしくは調理員の方がきちっと検食していただければ。多くの病院は実は医師にやれと言われていて、医師は外来をやっているのにそんなことをしている暇ないでしょうという気がしております。そういう通知のほうも見直して現実に合わせていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
回復期リハの実績指数を、2、4、6の入院料にも入れるかどうかの論議のときに申し上げればよかったのですけれども、二号側の先生が、リハビリテーション病棟の実態や、地域の格差などについてお考えをお持ちであることはわかりました。
ただ、37ページの入院ごとの実績指数の分布状況を見ると、実績指数が要件となっている入院料1、3、5では、いずれも現行の指数の基準を上回る傾向になっておりますし、実績指数による評価の対象となっていない入院料2、4、6等についても、一生懸命頑張られて実績を上げているところも多いという実態があることを踏まえると、患者の立場からすると、一定の指標を示していただき、その実績がわかる仕組みをつくるというのも必要なのではないかと考えます。
○田辺会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。御参集どうもありがとうございました。
 

 

 
 


 
 

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