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2019年11月29日 中央社会保険医療協議会 総会 第437回議事録

○日時

令和元年11月29日(金)10:03~11:42

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○入院医療(その3)について


 
○田辺会長
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより第437回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、染谷委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
初めに、次期診療報酬改定に向けた議論として、「入院医療(その3)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料、総-1に従いまして御説明させていただきます。
本日は「入院医療(その3)」ということで、2コマ目を見ていただければと思いますが、地域ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、また入退院指針の3つのテーマにつきまして資料を整理させていただいております。
まず最初に、地域包括ケア病棟についてでございます。
3コマ目、4コマ目は、これまでの経緯となっております。
5コマ目、6コマ目は、平成30年度の改定の内容と現在の施設基準をお示ししたものとなっております。
7コマ目、8コマ目は、入院料別の届出施設数の推移と届出病床数の推移をお示ししているところでございます。地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料は近年伸びが著しく、特に入院料及び管理料の1と2が多くなっているという状況が見てとれるかと思います。
続きまして、9コマ目になります。これは入院の調査の結果でございまして、地域包括ケア病棟を届けている理由を見ますと、「地域包括ケア病棟・病室にすることで、より地域のニーズに合った医療を提供できるため」というのが最も多く、継いで「地域包括ケア病棟・病室のほうが経営が安定するため」が多くなっております。
10コマ目でございます。これは地域包括ケア病棟・病室の利用に係る趣旨を見ますと、「自院の急性期病棟からの転棟先として利用している」が最も多く、次いで「在宅医療の後方支援として、急変時等の入院先として利用している」が多くなっております。
11コマ目でございます。これは地域包括ケア病棟の在宅復帰率をお示ししているものとなっております。
12コマ目以降は、地域包括ケア病棟の役割等についてお示ししていきたいと思います。まず、そこにありますように、急性期からの患者の受け入れ、この点についての資料を整理しております。下段の囲みにありますように、入院分科会の取りまとめにおきまして、自院における転棟割合が高い医療機関については、地域における機能分化を適切に進めるべきという記載や、地域包括ケア病棟・病室として施設基準等の要件が同じであるにもかかわらず、算定する点数が異なることは合理性を欠くのではないかという記載、また、一般病棟から地域包括ケア病棟への転棟時期が偏っている場合があることにつきまして、患者の状態に応じた適切な管理と言えないのではないかという記載がございました。
13コマ目から15コマ目については、地域包括ケア病棟の患者の入棟元と退棟先をお示ししているものでございます。13コマ目が全体での表示でございます。これを許可病床数別にお示ししているのが14コマ目となっております。また、15コマ目が、入院料別に示したものとなっております。
14コマ目を見ていただきますと、許可病床数が大きいほど、自院の一般病床の割合が高く、他院の一般病床の割合が低くなっているというのが見えるかと思います。
また、15コマ目を見ていただきますと、一般病棟を合わせて届けている場合は、入棟元が自院の一般病床の割合が高く、他院の一般病床の割合が低くなっているところが見てとれるかと思います。
続きまして、16コマ目でございます。入棟前の場所が一般病床の患者の占める割合についてお示ししております。上段のグラフで見ますと、入棟前の場所が自院または他院の一般病床である患者が100%という施設が最も多くなっております。さらに下段のグラフを見ていただきますと、入棟前の場所が自院の一般病床である患者が100%という施設が最も多くなっていることがわかるかと思います。
17コマ目、18コマ目でございますけれども、自院のDPC対象病院から、地域包括ケア病棟・病室に転棟・転室する際の入院料の算定ルールを整理して、まとめて、そこにお示ししております。地域包括ケア病棟・病室は、人員配置の基準は同じでございますが、同一医療機関内の転棟・転室によって算定する報酬が異なっております。転棟する場合は、地域包括ケア病棟の点数、転室の場合はDPC/PDPSの点数を算定することになっております。
19コマ目を見ていただければと思います。関連しましてDPCの対象病院から地域包括ケア病棟に転棟する場合の例をお示ししております。上段が胸椎、腰椎以下骨折損傷の例、下段が狭心症、慢性虚血性心疾患の例となっております。
上段の骨折損傷の例では、DPC/PDPSの期間2の点数が地域包括ケア病棟入院料2の点数より低い設定となっておいますが、この場合の転棟時期を見ますと、期間2に入るタイミングでの転棟が多くなっております。
一方、下段の虚血性心疾患の例では、DPC/PDPSの期間2までの点数が地域包括ケア病棟入院料2の点数より高く、期間3でも同じか、より高い点数となっております。この場合の転棟時期を見ますと、期間3に入っての数日あたりの転棟、つまり平均的な在院日数の転棟が多くなっていることがわかるかと思います。
20コマ目でございます。これはDPC/PDPSの診断群分類区分における入院期間1、2、3のそれぞれの点数の分布と、地域包括ケア病棟入院料の点数の関係をお示ししております。地域包括ケア病棟入院料の1、2の点数は多くの場合でDPCの期間2の点数よりも高くなっているのがわかるかと思います。
続きまして、21コマ目でございます。DPC/PDPSの診断群分類区分における入院期間1~3の点数の分布と、地域包括ケア病棟入院料の点数の関係をお示ししております。地域包括ケア病棟入院料の1、2の点数は、多くの場合で、DPC/PDPSの期間2の点数よりも高くなっておりますが、最後に地域包括ケア病棟の届出について、許可病床数に応じて一定の制限があることをお示ししております。赤枠にありますように、許可病床数400病床以上では届出は1病棟に限られておりまして、また、入院料・管理料1~3は、許可病床数200床未満に限られております。
続きまして、22コマ目以降でございますが、これは地域包括ケアに係る実績要件についてお示ししております。入院分科会の取りまとめにおいても、この実績要件について、実態等を踏まえて必要な見直しを行ってはどうか、また、ACPに係る要件については、入院料1及び3と2及び4で差を設ける必要がないのではないかという意見をいただいております。
23コマ目は現状でございます。
24コマ目でございます。これは自宅等から入棟した場合、患者の割合の分布をお示ししております。入院料1と3の基準は1割以上ですが、20%以上30%未満の割合が最も高くなっているという状況でございます。
25コマ目は、自宅からの緊急入院の受け入れ人数の分布をお示ししております。入院料1~3の基準は、3月、3人以上でございますが、表にありますとおり、5~9人の割合が最も高くなっております。
26コマ目は、在宅医療の提供状況についての届出の状況をお示ししております。4つの条件のうち、満たしている要件が在宅患者訪問診療料の要件と、それから、同一敷地内の介護サービスの提供、この2つに偏っているというのがその表からわかるかと思います。
27コマ目は、在宅患者訪問診療料の算定回数が3月で20回以上の要件についてお示ししておるところでございます。左のグラフは病院全体、これは地域包括ケア病棟を持つ病院だけではなくて、病院全体でのグラフになりますけれども、このグラフを示しております。右のグラフは地域包括ケア病棟を算定する病院における在宅患者訪問診療料1、2の算定の回数となっております。そのグラフを見ていただきますと、31~40回と201~500回の2つの山がありまして、平均が120回程度となっていることがわかるかと思います。
続きまして、病院からの訪問看護・訪問指導の件数となっておりまして、在宅患者訪問看護指導料の算定回数が3月で100回以上の要件がはまっておりますが、これについての分析になります。病院からの訪問看護指導の状況を見ますと、左のグラフは病院全体で見たものでございますが、1カ月の平均が49回となっております。また、地域包括ケア病棟を有する病院に関する実績、右のグラフを見ていただきますと、1月に平均15~20回程度でございます。3カ月で100回という要件を満たす病院は、全体で見ますと15~25%程度となるのがわかるかと思います。
続きまして、29コマ目、同一敷地内にあります訪問看護ステーションの訪問看護基本療養費等の算定回数が3月で500回以上という要件につきまして分析したものでございます。左の上のグラフ、同一敷地内に訪問看護ステーションを有する病院は約16%ございまして、その常勤換算職員数は平均6.8人となっております。左下のグラフで同一敷地内に病院を有する訪問看護ステーションの平均訪問回数は、1月に約250回でございますが、3カ月で500回という要件を満たせるステーションは、職員数が2.5~5人未満の規模で見ますと7.5%でございます。また、5~7.5人の規模では、約37.3%の施設が満たせるという現状になっているということでございます。
続きまして、30コマ目でございます。開放型病院共同指導料についての要件がございまして、開放型病院共同指導料を3月で10回以上算定しているという要件がございます。この開放型病院共同指導料1は、開放型病院に患者を入院させた医療機関が算定する点数でございまして、また、開放型病棟共同入院料2は地域包括ケア病棟入院料に含まれておりまして、別に算定できないという点数でございますので、例えば、地域包括ケア病棟単独の医療機関では、この要件を満たすことは極めて難しいものになっております。
続きまして、31コマ目、これは同一敷地内の施設等において介護サービスを提供していることに関する要件の整理でございます。保険医療機関の指定を受けていれば、介護保険の居宅サービスを提供することが可能であるため、当該実績要件については、介護サービスの提供実績の多寡によらず満たすことが可能な要件となっております。
続きまして、32コマ目以降でございますが、これは在宅復帰支援に関する事項についてお示ししております。入院分科会の取りまとめにおいても、入院患者全体の3割、施設によってはそれ以上の割合の患者に疾患別リハビリテーションを実施していないというのは少な過ぎるのではないかという御意見がございました。
33コマ目がこのリハビリテーションの実施状況を示したものでございまして、左の円グラフで、いずれの疾患別リハビリテーションも実施していない患者が約3割いるのがわかります。また、真ん中と右の円グラフで、疾患別リハビリテーションを提供している患者については、1日平均2単位よりも多い場合があるが、少ない場合もあるのがわかるかと思います。
34コマ目でございます。疾患別リハビリテーションを実施していない患者につきまして、入棟時のADLを見ますと、移乗・平地歩行・階段・更衣のいずれかに介助を要するという患者が約75%ありました。そのうち調査時点の患者の医療的な状態を見ますと、安定しているという患者が約6割、すなわち医療的な不安定さが理由でリハビリテーションをしていないわけではないことがわかるかと思います。
35コマ目でございます。今度は疾患別リハビリテーションを実施していない患者の割合を施設ごとに見ております。そうしますと、地域包括ケア病棟は広く0~100%まで分布しておりまして、リハビリテーションを実施していない患者の割合が多い医療機関も見られることがわかるかと思います。下段には、地域包括ケア病棟の施設基準としてリハビリテーションを提供する患者については、1日平均2単位以上提供しているとなっていることについてお示ししております。
36コマ目、地域包括ケアでは、データ提出加算の算定が必須となっておりますが、提出されているデータには、入棟時・退棟時のADLスコアが必須項目となってございます。
37コマ目は、データ提出しているADLの項目をお示ししておりまして、これらの結果はデータ提出において報告されておりますが、リハビリテーションの必要性を判断するための指標とすることや、結果を患者に共有するといったことは、現在、特に求められていないという状況にございます。
38コマ目でございます。入退院支援加算及び入院時支援加算の届出状況をお示ししております。左下の赤枠でございます。地域包括ケア病棟では、24%が入退院支援加算を届けていないと回答しております。
39コマ目でございます。入退院支援加算の算定には、入退院支援部門の設置が要件になっておりますが、地域包括ケア病棟を有する医療機関のうち、約1割が入退院支援部門を設置していないという回答でございました。
40コマ目を見ていただきますと、入退院支援部門を設置していない理由をお尋ねしておりまして、地域包括ケア病棟では約75%が「入退院支援部門を担当する職員を十分確保できないため」という回答となっております。一方、下段のとおり、地域包括ケア病棟の施設基準では、専任の在宅復帰支援担当者が1名以上配置されていることとされております。
41コマ目には入退院支援加算の概要をお示ししております。赤枠に示されているとおり、入退院支援部門の人員配置については、専従の看護師、または社会福祉士1名以上に加えまして、専従が看護師なら専任の社会福祉士、専従が社会福祉士なら専任の看護師の配置を求めているという状況でございます。
42コマ目は、地域包括ケア病棟における入退院支援加算の届出有無別の平均在院日数の分布を示しております。全体に見ていただきますと、総じて届出のある施設は届出のない施設に比べまして在院日数が短い傾向にあるのがわかるかと思います。
これらを受けまして論点の整理を43ページ目にさせていただいております。論点を4つ提示させていただいています。
まず1つ目、地域包括ケア病棟の創設の趣旨に鑑み、当該病棟の3つの役割を地域において適切に推進するため、それぞれの役割に係る要件等について必要な見直しを検討してはどうか。
2つ目、地域における医療機関間の機能分化、連携を推進する観点から、入棟元が自院の一般病床の患者の割合が特に高い医療機関について、どのように考えるか。また、同一医療機関のDPC対象病棟から地域包括ケア病棟に転棟する場合について、DPC/PDPSの診断群分類区分における点数によっては、転棟のタイミングが偏っていることを踏まえ、患者の状態に応じた適切な医学管理を妨げられないよう、入院料の算定方法を見直してはどうか。
3つ目が、地域包括ケアに係る実績要件について、満たしている項目の偏りや実績等を踏まえた見直しを行ってはどうか。
4つ目、在宅復帰を適切に支援する観点から、入院患者に対するリハビリテーション実施割合が特に低い医療機関や、入退院支援を行う部門を設置していない医療について、どのように考えるか。ということで論点を整理させていただきました。
2つ目、ここからは回復期リハビリテーション病棟入院料についてでございます。回復期リハビリテーション病棟入院料につきまして、まず、リハビリテーションに係る実績要件につきまして整理させていただいております。そこにありますように入院分科会の取りまとめにおける記載事項という中では、入棟時FIMと発症から入棟までの日数の関係を経年的に見ると、発症から入棟までの日数によらず、入棟時FIMが低下傾向であり、入棟時FIMの値によらず、FIM得点の変化が増加傾向であること、また、FIM得点の経年的な変化については、適切な運用を促す仕組みが必要ではないかという御意見をいただいておるところでございます。
45コマ目、46コマ目については、現在の施設要件等でございます。
それから、47コマ目でございます。これは平成30年度の回復期リハビリテーション病棟の届出状況をお示ししておりまして、施設、病床数ともに増加傾向でございます。多くの施設が入院料1または2を届け出ることがわかるかと思います。
48コマ目は、回復期リハビリテーション病棟入院料1~4におけます在宅復帰率をお示ししているものでございます。
49コマ目が、回復期リハビリテーション病棟に入院している患者の入棟元及び退棟先の状況を示したものとなっております。
50コマ目は疾患別リハビリテーションの提供の頻度と提供単位数を示しています。入院料1において、頻度、提供単位数とも多い傾向にあるのがわかるかと思います。
続きまして、51コマ目でございます。こちらは回復期リハビリテーション病棟入院料のアウトカム評価のために指標として用いておりますリハビリテーション実施指数の内容、いわゆるFIMの内容をお示ししております。各患者のFIMの得点の改善や、退院までの期間の短縮を評価するような設計となっていることがわかるかと思います。
続きまして、52コマ目でございます。これは入院料別のリハビリテーションの実績指数をお示ししております。実績の要件とされている入院料1、3、5において、高い傾向にあることが見てとれるかと思います。
続きまして、53コマ目、これは入院料ごとのリハビリテーション実績指数のヒストグラムを示しているものでございます。
54コマ目は、現在の回復期リハビリテーション病棟入院料における実績要件のイメージを示しております。評価の軸は2つございまして、1つは患者のアウトカムとしてのリハビリテーション実績指数や在宅復帰率があるほか、もう一つの軸として、入院時点の患者の重症度の評価としての重症者の割合がございます。この図については、リハビリテーション実績指数と重症者の割合で現行の入院料の区分を示したものでございます。
55コマ目は、重症者の定義づけのために用いられております日常生活機能評価とFIMの関係性をお示ししたものとなっております。下の散布図を見ていただきますと、この点が一つ一つが患者の値になりますが、患者個々人の数値としてはばらつきが大きいため、単純に一致するものではございませんが、病棟の単位でまとめてみますと、FIMと日常生活の評価はおおむね、上の折れ線グラフにありますように、線形に相関するというのが見てとれるかと思います。
56コマ目は、参考として日常生活機能評価の項目をお示ししております。
続きまして、FIM得点に係る資料をまとめております。こちらは発症から入棟までの期間とFIM得点の変化の関係を示しております。早期に入棟した方ほどFIM得点の変化が大きいという傾向がわかるかと思います。
続きまして、58コマ目でございます。こちらは提供したリハビリテーションの単位数が多いほど、FIM得点の変化が大きい傾向があるというのが見てとれるかと思います。
59コマ目でございます。こちらは入院料別のFIM得点の変化についてお示ししております。
60コマ目は、経年的なFIM得点の変化の推移を示しております。2016年にリハビリテーション実績指数を導入したところでございますが、その後、入棟時のFIMはやや減少傾向でございまして、FIM得点の変化はやや増加傾向にあります。
61コマ目でございますが、こちらは入院料別の分析ですが、おおむね同様の傾向となっております。
62コマ目は、入棟時のFIMと、発症から入棟までの日数の関係を見ております。それぞれに年度別に点を打っておりますが、発症から入棟までの日数によらず、経年的に入棟時FIMが低下傾向になっているのがわかるかと思います。
63コマ目は、入棟時のFIMとFIM得点の変化の状況でございますが、入棟時のFIMの値によらず、経年的にFIMの得点の変化が増加傾向となっています。
また、64コマ目は疾患の区分ごとに見たもの、それから、65コマ目は入院料の別ごとに同様の分析を行っておりますが、全てにおいて同様の傾向が見てとれるかと思います。
66コマ目でございますが、現在、リハビリテーションに関する項目におけるFIMのADLに係る指標の取り扱いは、そこに示すとおりでございまして、患者への説明に用いられる事項においては、実はFIMの記載は必須とされていないことがわかるかと思います。
67コマ目は、FIMの概要の説明となります。運動機能に関連する13項目と認知機能に関連する5項目に、それぞれ7段階の評価を行うものとなっております。
68コマ目は、参考としましてADLのスコアの内容をお示ししております。
69コマ目、ここからは回復期リハビリテーション病棟における人員配置における要件につきまして資料をまとめております。
70コマ目、赤線内が人員配置に係る要件となっております。
71コマ目は、平成30年度の診療報酬改定において回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定する病棟においては、専任の常勤の管理栄養士が1名以上配置されていることが望ましいとされております。
72コマ目は、参考でございますが、疾患別リハビリテーション料における人員配置基準を示しております。
73コマ目、まず、回復期リハビリテーション病棟における理学療養士、作業療法士、言語聴覚士の配置状況を示しております。いずれの職種も施設基準を上回って配置されている病棟が多いことがわかるかと思います。
74コマ目は、回復期リハビリテーション病棟における管理栄養士の配置の状況でございます。入院料1を算定している病棟のうち82%に専任の管理栄養士が配置されております。
75コマ目でございます。こちらはリハビリテーション計画書における栄養項目の記載の状況でございます。
また、76コマ目は、回復期リハビリテーション病棟に入院されている患者の栄養摂取の状況をお示ししております。右上のグラフでございますが、約2割の患者について、嚥下調整食の必要性があることが見てとれるかと思います。
77コマ目は、管理栄養士が配置されている病棟において、配置がされていない病棟と比較して退院時の体重、BMI及びFIM総得点が有意に高いという報告が出されております。
78コマ目からは、外来・在宅への円滑な移行に係る取り組みについてでございます。
79コマ目は、回復期リハビリテーション病棟からの退院棟後に利用を予定しているサービスを示しております。地域包括ケア病棟と比べまして、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションの割合が高くなっていることがわかるかと思います。
80コマ目は、退棟後のリハビリテーションの必要性についての資料でございますが、退院患者の約6割がリハビリテーションの必要がありとされております。
続きまして、81コマ目、回復期リハビリテーション病棟を有する施設において提供されている外来リハビリテーション、訪問リハビリテーション指導料及び通所リハビリテーションの状況を示しております。訪問リハビリテーション指導は約3割、通所リハビリテーションは約4割の施設で実施されております。
82コマ目は、平成30年改定の維持期・生活期のリハビリテーションへの円滑な移行についての見直しでございます。
83コマ目、84コマ目は介護におけるリハビリテーションの説明となっております。
これらを受けまして、85コマ目、論点として4つ整理をさせていただいております。
1つ目でございますが、リハビリテーション実績指数等の実績要件について、実績指数の推移等を踏まえ回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価を適切に実施する観点から、対象となる病棟の範囲及び各項目の水準等についてどのように考えるか。
2つ目、リハビリテーション実績指数の導入後における入棟時FIM及びリハビリテーション実績指数の経年的な変化を踏まえ、FIM等の患者の状態に係る指標の取り扱いについてどのように考えるか。
3つ目でございますが、管理栄養士等の専門職種の配置状況の実態や、その取り組みの有効性を踏まえ、人員配置に係る要件について、どのように考えるか。
4つ目、入院から外来、在宅への円滑な移行を推進する観点から、回復期リハビリテーション病棟における外来リハビリテーション等の提供に係る要件について、どのように考えるかでございます。
続きまして、86コマ目以降については、入退院支援についてというところで整理をさせていただいております。2つに分けておりまして、1つが入院前からの支援に係る評価、2つ目が人員配置の要件でございます。
87コマ目から88コマ目は平成30年度診療報酬改定において、入院前からの支援に対する評価として、入院時支援加算が新設されました。88コマ目にありますように、平成30年の7月段階で、届出医療機関数1,863医療機関、算定回数が1万581回となっております。
89コマ目は、入院前からの支援のイメージとなっております。従来、入院後にさまざまなタイミングで患者支援が実施されていたところ、入院前にこれらの支援を外来で行い、円滑な入院医療の提供につなげるという趣旨で評価されております。この外来における取り組みは後からまとめて説明させていただきますが、入院時の支援加算の項目を実施するという内容になっております。
90コマ目でございますが、入院時支援加算の届出状況を入院料別に見ますと、特に急性期一般入院料1や特定機能病院で届出が多いということでございました。
91コマ目、入院時支援加算の届出による効果を見ますと、入院前に利用していたサービスが把握できることで、退院先の見通しが立てやすくなった等の回答が多くありました。さらに、中でも赤の下線で引いておりますように、病棟負担の軽減という回答も一定程度ございました。
92コマ目は、入院時支援加算の各項目の実施状況を見ておりますと、任意項目である褥瘡の危険因子の評価、栄養状態の評価、服薬中の薬剤の確認等の項目は必須項目に比べて実施割合が低いという結果でございました。
93コマ目は、入院時の支援加算の各項目を実施していない理由を見ますと、「入院前に全ての項目を実施する必要がなかったため」のほかに、「全ての項目を実施するには、他職種の協力が必要であったため」という回答が多くありました。
94コマ目が、入院時支援加算の各項目でございまして、アからクまであります。ア、イ、クが必須となりまして、ウ、エ、オ、カ、キの項目が任意となってございます。また、入院時の支援加算の項目と関連する主な報酬項目を一覧として整理させていただいております。表中の赤字は算定要件で、患者の評価、行うタイミングに関して定めている記載でございます。青い字は、患者または家族に説明・交付する文書となっております。表中の加算等においては、入院時、または入院後早期に患者評価を行い、これらの文書を交付することで算定可能となっております。
95コマ目でございます。入院前の支援と入院後の管理をつなげたイメージをお示ししております。入院前の支援として必要があれば、これらの項目を実施し、計画書等の交付を先に済ませておくということで、入院後はそのアセスメントに基づいて対応を行うことができるとなっております。
96コマ目は、関連しまして、総合評価加算の概要を示しております。総合評価加算は患者の基本的な日常生活能力について総合的な評価を行うことを評価しておりまして、届出医療機関数は約2,000となっております。
97コマ目は、総合評価加算の取り組み。入院当初から退院後の生活を念頭に置いた医療を行うための取り組みを評価するものとして、平成20年度改定で導入されたものですが、その後の改定で新たに評価された入院時支援加算等で、類似、あるいは関連する取り組みを評価していることになっております。これらの点を踏まえまして、入院分科会の取りまとめにおいて、入院患者の状態を評価する他の項目との整理が必要ではないかとの意見や、加算を創設した当初の目的を一定程度果たしたのではないかという意見がございました。
続きまして、98コマ目からは、入退院支援に関する人員配置の要件について整理させていただいております。
99コマ目は、入退院支援加算について、入退院支援部門の人員配置基準を赤枠で囲んでおります。入退院支援加算の届出状況は右下のグラフのとおりとなっております。
100コマ目でございます。入退院支援加算と入院時支援加算の人員配置の基準については、入退院支援加算2の一部の専従職員と、入院時支援加算の専従職員のみ、表中の黄色で非常勤可とした職員でございますが、非常勤でよいということは疑義解釈で示されておるところでございます。
101コマ目から102コマ目でございます。これは平成30年度の改定におきまして、医療従事者の柔軟な働き方に対する観点から、条件配置に関する要件緩和を行ったところでございます。ただ、今、お示ししましたように、入退院支援加算では緩和されていないという状況にございます。
103コマ目でございますが、次に、入退院支援加算3について整理をしたものでございます。入退院支援加算3というのは、新生児特定集中治療室等に入院した患児を対象としていることから、加算1と2と異なりまして、入退院支援部門に入退院支援及び5年以上の新生児集中治療に係る業務の経験を有する専従または専任の看護師を配置することが要件となっております。
104コマ目、入退院支援加算3の届出状況でございます。加算1や2とあわせて届けている施設が多いという状況がわかるかと思います。
105コマ目でございます。加算の1と2とあわせて届けていることから、入退院支援部門に配置している職員の数も多いという状況がわかるかと思います。
106コマ目、スライド左側のオレンジ色の枠にありますとおり、NICU退院後の母子や家族の支援は、退院後を見通した支援が難しかったり、それぞれの自宅に合った計画立案が必要であるといった課題がございます。現在、右上の表にありますとおり、小児の在宅移行に係る研修を受講した看護師がふえてきておりまして、研修の受講による入退院支援の取り組みが進んでいるという報告がございます。
107コマ目でございます。これは新生児特定集中治療室の施設基準をまとめたものでございます。新生児特定集中治療室管理料2というのは、6~8床が最も多いという状況でございます。
108コマ目は、新生児特定集中治療室管理料等の届出施設、算定患者数の推移でございまして、算定者数が減ってきていることがわかるかと思います。
続きまして、109コマ目、NICUにおける新生児医療の実績についてでございます。病床規模が6床未満の施設と6床以上の施設とでは実績に違いがあることがわかるかと思います。
また、110コマ目、6床未満の施設、6床以上の施設で平均在院日数等にも違いが見えるという図でございます。
これらをまとめまして、111コマ目に論点として整理させていただきました。3つ整理しております。
1つ目が、入退院時支援加算について、入院前から患者支援が円滑な入院医療の提供や病棟負担の軽減に資することを踏まえまして、関連する職種と連携して、入院前に必要な評価を全て行い、入院後の管理に適切につなげた場合をさらに評価してはどうか。あわせて、当該加算の取り組みと関連する他の加算については、項目や要件の整理を行うこととしてはどうか。
2つ目が、入退院支援加算及び入院時支援加算で配置を求める専従・専任職員について、医療従事者の働き方の観点から、非常勤職員による配置を認めてはどうか。
3つ目でございますが、入退院支援加算3の専従の看護師について、看護師の働き方及び人材の効果的な活用の観点から、専任の看護師の配置に変えることを可能とするとともに、質を担保する観点から、小児の在宅移行に係る適切な研修の受講を要件としてはどうか。また、新生児医療の提供体制の実態を踏まえ、当該加算3の届出に当たっては、新生児特定集中治療室の病床数を施設基準の要件に加えてはどうかということで整理をさせていただきました。
以上でございます。
○田辺会長
御説明ありがとうございました。
3つのテーマが示されておりますので、テーマごとに議論してまいりたいと思います。まず、43ページまでの地域包括ケア病棟に関する御説明に関しまして御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
43ページ目の論点でございますが、1つ目と2つ目の論点につきましては、まとめてコメントいたします。
まず、許可病床の規模が大きいところ、特に許可病床400床以上では、自院の一般病床から地域包括ケア病棟に転棟している割合が高いという調査結果や、地域包括ケア病棟が地域で期待されている役割も考えますと、規模の大きいところは自院内での転棟や地域からの患者受け入れについて一定の要件を設けることを検討してもよいと考えます。
また、同一医療機関のDPC対象病院から地域包括ケア病棟に転棟した場合の算定方法ですが、診断群分類や、算定している入院料が地域包括ケアの1~4のいずれかによっても状況が変わってきますし、入院料としてDPCのほうが低くても、リハビリを出来高で算定することで、トータルとしてはDPCのほうが地域包括ケアよりも高い点数になる場合も考えられ、また、その逆もありますので、DPCと地域包括ケアでどちらが高点数になるかということは一概には言えないと思います。転棟時期が不適切に偏る問題を解決するためには、入院料の算定ルールを整理することと考えますけれども、事務局においては、この辺をよりイメージが湧くように整理していただきたいと思います。例えば、いずれかに統一した場合に、DPCの入院期間との関係がどうなるかなど、具体的な制度設計を提示してもらえるようにお願いいたします。あわせて、地域包括ケア病棟の創設の趣旨を踏まえて、自院内での転棟割合が余りにも高い場合について、特に規模の大きな病院において、一定の制限を設けるなど、別の切り口からも検討すべきと考えます。
3つ目の論点です。26ページに在宅医療等の提供に関する実績要件の充足状況が示されておりますが、病院からの訪問看護と同一敷地内の訪問看護ステーションからの訪問看護と、開放型病院共同指導料の3つにつきましては、ほとんどと言ってよいほど満たせてはおりません。これは医療機関がこうした取り組みに消極的だからということではなくて、訪問看護で言えば、制度上、医療保険ではなく介護保険が優先されることになっていますので、医療保険上の訪問看護の算定回数はどうしても少なくなります。また、開放型病院共同指導料につきましては、30ページに算定要件が記載されておりますが、指導料2は地域包括ケア病棟入院料に包括されておりますので算定できません。このように現在の実績要件にはどうやってもクリアできないものがありますので、こうした点につきましては見直しが必要と考えます。
4つ目の論点ですが、地域包括ケア病棟の中には、リハビリテーションが全く実施されていない患者がいたり、あるいはリハビリテーションの実施割合が低い医療機関があるということですが、そもそも地域包括ケア病棟は入院患者全てにリハビリテーションを実施しなければならない病棟ではないと理解しております。したがいまして、リハビリテーションの提供を義務化するような仕組みにはすべきではないと思います。あくまでも医学的判断に基づいて、リハビリテーションが必要な患者に対して提供し、不要な患者については提供しないという対応が認められるという前提のもとで対応を検討すべきだと思います。例えば、36ページにもあるとおり、地域包括ケア病棟では入棟時と退棟時のADLスコアの判定が求められておりますので、37ページにあるように、こうした測定結果を患者にしっかりと説明するなどして、リハビリテーションの必要性等を検討していくことは考えられると思います。
一方、入退院支援部門を設置していない医療機関の取り扱いについては、40ページの調査結果によると、職員数を十分に確保できていないということですので、できる限り設置していただくのが望ましいとは思いますが、病床規模が小さいところには配慮が必要と考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございました。37コマ目のところに、ADLスコアの結果がデータ提出において報告されているけれども、結果を患者に共有することは特に求められていないとなっていますけれども、患者とか家族が、今、自分がどういう状態であるのか把握する必要があると思いますし、丁寧な説明という意味も含めて、患者が自分がどういう状態に戻りたいかとか、そういうところも含めて、今のADLスコアの結果はきちっと患者に共有することが必要だと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。1点だけ、在宅医療の提供についてですけれども、14ページの許可病床数別の入棟元と退棟先の中での在宅医療の提供という数値を見ますと、退棟先に在宅医療の提供が行われているのは、許可病床数の大きい400床以上のところが20.5%ということで、全体の5分の1がそういった患者がいるということ。これは入棟元を見ても、400床が在宅医療の提供が多いわけですけれども、その差を見ていても、他の許可病床に比べると圧倒的に大きな病院のところに在宅医療の提供は多くなっているわけです。27ページを見ていただくと、いわゆる許可病床数の大きなところの地域包括ケア入院料・管理料2、あるいは4のところの回数はやはり少なくなっています。基本的には、本来の地域包括ケア病棟の趣旨から考えると、病床数を考えないで3カ月で20回のいわゆる訪問診療と同じ要件にしているのは、やはりちょっとおかしいのかなと。実際に実態としても、在宅医療の提供が本来必要なところなので、そういうところにはきちんと、要件を少し見直していただく必要があるのかなと感じております。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
地域包括ケア病棟なのですけれども、もちろん地域包括ケア病棟の役割について理解して、実践されている医療機関も多いと思いますが、9ページで回答が多い「地域包括ケア病棟・病室の方が経営が安定するため」という届出理由ではなく、本来、地域包括ケア病棟が果たすべき役割をきちんと果たせるように検討が必要ではないかなと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
論点に沿ってのコメントではないのですが、地域包括ケア病棟・病室が求めている機能について、要件を見直すべきということを言わせていただきます。結論から言えば、地域包括ケア病棟に求められる3つの要件、すなわちポストアキュート、サブアキュート、それから、在宅復帰支援、これが求められているのですけれども、残念ながら一部の病棟ではこれが欠けているところから、要件を適切に設定すべきということだと思います。
まず1つ目の機能でありますポストアキュートですが、自院の急性期病棟からの転棟先として利用されているというケアミックス病院の割合が63.8%と高いというのが問題で、入棟元が自院の一般病床の患者割合が特に高い医療機関については、地域包括ケアシステムの要として、急性期治療終了後の患者だけでなく、在宅患者の急変時の受け入れや、在宅復帰支援を担うことを目的に創設された地域包括ケア病棟の本来の役割を踏まえて、例えば、他院の一般病床から入棟した患者の割合を基準に設定すべきではないかと思われます。
それから、2つ目の機能でありますサブアキュートですが、これについては、自宅から入棟した患者割合が今、1割以上、それから、緊急時の受け入れが3カ月で3人以上という設定がされているのですが、実態を見てみますと、この要件についてはもう少し引き上げていいのではないかと思われます。例えば、自宅からの割合を2割以上にするとか、緊急患者の受け入れは3カ月で5人以上と厳格化することも一つの案ではないかと思います。
それから、入院分科会の議論でも出たように、ACPに係る要件については、全ての入院料、管理料に要件化してもいいのではないかと思います。
3つ目の機能、在宅復帰支援ですが、これについてはリハビリテーションに係る費用が入院料に含まれているにもかかわらず、3割以上の患者にリハビリテーションが実施されていないという残念な状況があることも踏まえ、実績要件に疾患別リハビリテーションの実施を追加してもいいのではないかと思います。
それから、問題なのは在宅復帰率で、入院料、管理料1と2にしか設定されていないので、7割というのは非常に形骸化しているところもあって、もう少し引き上げるべきと。それから、全ての入院料、管理料にこの在宅復帰率という要件を設定すべきではないかと思われます。
それから、入退院支援部門の設置については9割が設置されているのであれば、入院料の高いところは設置を要件化することも検討していく必要があるのではないかと思われます。
それから、2つ目の論点のDPC/PDPSは本当にあってはならないことで、これを是正するために入棟、転棟後もDPC/PDPSで算定するという算定式に統一すべきだと思います。
最後は在宅医療の提供ですが、在宅患者訪問診療料の回数と同一敷地内の施設における介護サービスの実施というのは非常に多く、現状の算定実績を踏まえれば、在宅患者訪問診療料の回数については、例えば、3カ月でもっと実施する要件に厳格化してもいいのではないかというところと、同一敷地内の施設における介護サービスの実施については、今、実績要件が求められていないので、これについても実績要件を求めるという要件の厳格化も検討すべきではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ありがとうございます。この地域包括ケア病棟は、できた経緯から言って、急性期後、それから、在宅等の増悪時、それから、在宅療養支援と、先ほど幸野委員が言われたとおり、それがバランスよく行われることが非常に重要で、本来の趣旨に合う形の点数設定が求められていると思います。それで、先ほど実績要件の話が出ておりましたが、実態のお話をさせていただきますと、まず、28ページの病院からの訪問看護、これは病院にリハビリテーションスタッフがそんなに多くいるわけでもありませんし、それから、リハビリテーションの施設要件で専従要件等がかけられていると、なかなか行けないので、まず、病院間は難しい。
それから、次の同一敷地内の訪問看護ステーションですけれども、もともと訪問看護ステーションは病院から離れて独立したものとして発達してきたという経緯がありますので、特に都会で土地も建物もいっぱいに使っているところでは、これは持っていきようがないので、まず、これをとることが非常に難しい。
それから、その次の開放型病床の共同利用ですけれども、これは前回の中医協でも議論になったとおり、非常に要件が厳し過ぎて、まず、これ自体がとれないですね。それなので、これが使えないと。
こういう理由でこの3つが全然選択されていないという理由がありますので、これを変えるというか、もともとの要件を変えることによって、また選択肢が変わってくるのではないかと思っております。
それから、33ページのリハビリテーションの要件で、先ほど松本委員からも、回復期リハビリテーションと違って、地域包括ケアではさまざまな患者が入ってくるので、全てがリハビリテーションの患者ではないことから考えると、3分の1程度やっていないのは自然かなとも思います。
それで、35ページにありますように、その率もばらばらになっております。これはさまざまな病態を受け入れているということではないかと思います。
もう一つは、地域包括ケア病棟には病棟専従のリハビリテーション職員が義務づけられておりますので、例えば、日常生活動作等々において、その場に応じてリハビリテーションを行うことをやられている施設もかなりあると聞いております。したがって、そういう場合には、20分1単位に該当しないので、リハビリテーションを算定できないことになるのですね。そういうこともあって少し低目になっているのかなと思います。
それから、先ほど言われていました在宅復帰率ですけれども、これは前回、在宅復帰加算のとれている老人保健施設と療養病棟は在宅復帰から外れたわけです。これによって各地域包括ケア病棟を運営する病院ではかなり苦労しておりまして、相当苦労して、やっと70%以上というところをクリアしているわけで、これを上げると、本当に在宅復帰が厳しくなってまいります。ですから、ここは今の70%のままがよろしいかと思っております。
それから、最後に、入退院支援部門のことですが、40ページですけれども、設置していない理由ということで、高いのが、入退院支援部門を退院する職員数が確保できない。それから、入退院支援部門を設置しなくても、各病棟や各職員による十分な入退院支援が行えるという理由が高くなっております。きょう、後で入退院支援のところが議論されると思いますので、そこでもお話ししたいと思いますが、余りに専従要件等々のものが厳し過ぎて、そこまで配置が今できないのが実態です。それでも皆、協力し合って、この入退院の支援をしておりますので、ぜひ入退院支援部門そのものを、人員配置基準を見直していただけたらと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。全体的に各論のところは皆さんがおっしゃっているとおりで、同等の意見です。地域包括ケアの役割、ポストアキュート、サブアキュート、在宅といった役割機能をしっかり各地域で果たしていただく。その各地域で果たしてらっしゃる医療実態の調査資料が今ここに出てきて、歴史的背景も踏まえた中での要件設定指標がやや目指しているところに合っていないというので、見直しましょうという方向性はそのとおりだと思いますし、病床規模別とか、きめ細かく見直していく必要があると思いますが、一方で、余りにきめ細かくしすぎると複雑化していく。この辺のバランスのとり方が非常に難しいのだろうと思いますので、医療現場実態にも合わせてやっていただきたいと思いますし、もう一つは、入院されている、外来で来る患者の状態に応じた適切な管理対応という観点が必要だろうと思いますので、その点を踏まえてしっかりと見直していただきたいと思います。
最後に、細かくて恐縮なのですけれども、43ページの最後の入退院支援ということで資料をつけていただいており、39ページに地域包括ケア病棟、回復リハビリテーション病棟の入退院支援部門が9割という記載があります。その1つ手前に、入退院支援加算が届けていないのが、例えば、地域包括ケアで24%、回復リハビリテーションで31%とあります。40ページには、入退院支援部門を設置していない理由として、支援を担当する職員が十分確保できない。一方で在宅復帰支援にかかわる施設基準として地域包括ケア病棟の施設基準は専任の在宅復帰支援担当者が1名以上ということで、この支援担当者については特段専門的な要件は課していないともあります。お聞きしたいこととして、39ページの9割ぐらいの入退院支援部門について、入退院支援加算をとっていらっしゃる割合は分かるのでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
それぞれの部門の設置の状況と、それから、加算のとっている状況と届出状況はわかりますが、部門が設置されているかどうかの関係でございますが、基本的には入退院支援加算自身は、部門の設置というのが実は要件にはなっております。ただ、部門を設置しているからといって加算がとれるかどうかは、さらに専従要件等入っておりますので、そこは不明となっております。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
そうだと思い質問しました。42ページに、当然、入退院支援加算の届けの有無があります。そうすると、平均在院日数に有意な効果が出ているということからいけば、単に入退院支援部門をつくっている、40ページにあるような地域包括ケアの基準でつくり入退院支援をしているのと、入退院支援加算を取って、非常に厳しい専従・専任要件の下でが入退院支援を行っていらっしゃる。この2つでは、同じ入退院支援を行う中身が全く違うのだろうと思います。この辺のあり方については、きちんと整理して次につなげていく。入退院支援部門をきちんとつくって、患者が早期に退院をしていくことが有効であるということで論点として上げていただいているのであれば、その本質を求めるための立てつけをしっかりするために整理をしていただく必要があります。また、その立てつけの中での人員配置、要件については、余りに厳しいと、今、申し上げましたが、ただ入退院支援部門をつくっているところと、本当にしっかり取り組んで加算が取れるところとの差は埋まらないと思いますので、その点を含めてしっかりと見直していただきたいと思います。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。では、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。1点だけですが、17コマ目にありますように、一般病棟からの転棟・転室からの入院料の算定方法というイメージがございます。患者に求められる医療を提供するわけですから、転棟であろうが転室であろうが、これは同じような形にすべきだろうと思います。
以上です。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
実績要件のところで、先ほど猪口委員からもありましたけれども、ここを全てに厳しくしていくというのはちょっと考えなければいけないというところでは吉森委員の意見と重なるところがありますけれども、まずは退棟先の話を含めて在宅復帰率の話が出ましたけれども、7割というのは適切な数値であって、これを上げていく必要は全くないのではないかと思います。理由としては、もともと地域包括ケア病棟は60日となっておりますし、しかも平均で30日ぐらいで退棟しております。したがって、ここのところをそんなに厳しくすることは余り意味がないのではないかと思います。逆に前回改定で、例えば、退棟先として、在宅復帰率の要件から、分子から老健施設が外れましたけれども、そういったことによってほかのところに非常に影響を与えるということもありますので、これは地域包括ケア病棟だけ考えればいいということではなくて、そういった退棟先も考えてあげないと、老健施設の運営が厳しくなったりしたこともございますので、その辺は考えなければいけないのではないかと思います。先ほど申し上げましたけれども、まずは自院からの転棟・転室のところをしっかりと議論すべきであって、同時に、他院からの割合とか自宅からの割合を余り厳しくし過ぎると、何が何やらわからなくなるので、まずは優先すべき課題を片づけていくべきではないかと思います。
それから、ACPのことも先ほど幸野委員から出ましたけれども、ACPに関しても、地域包括ケア病棟の役割としても、今後も地域で療養生活を続けていく患者を継続的にバックアップしていくということもありますので、そういった性格の病棟で、終末期に向けた意思決定を現在よりもさらに拡大していくことについては、ちょっと違和感があるなと思います。
それから、リハビリテーションのこともちょっとお話が出ましたけれども、繰り返しになりますけれども、まず地域包括ケア病棟はリハビリテーションの提供が義務化された入院料ではありません。リハビリテーションを提供する患者に対して、1日平均で2単位以上提供するという施設基準になっておりますので、そういった面では、先ほど猪口委員も言われましたけれども、さまざまな状態の患者がいることと、それから、地域、地域によって病院の与えられた役割は微妙に違いますので、一律に提供しなければならないということではないと理解しております。
以上です。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
私たちは実態が把握できないならエビデンスからしか意見ができないので、例えば、在宅復帰率、11ページを見ていただきたいのですが、このグラフを見ても、逆に70%未満のほうが例外的な感じがしているのです。この表を見ても、70%が妥当なのかというところがすごい疑問なのですが。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
逆にほとんどがクリアできているということでは、別に悪いことではないと思いますので、ある意味、適切に設置されていると考えることもできると思います。
○田辺会長
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
私もそう思います。つまり、70%というのは目標であって、皆さん、それを達成してくださいよという数字なのです。平均以下はだめですよという数字ではないので、大体これが達成できているという数字になっているから、この70%が妥当だと考えます。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、次のテーマに移ってまいりたいと思います。85ページまでの回復期リハビリテーション病棟に関する説明に対して御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
85ページ目ですが、まず1つ目の論点についてです。前回改定では、平成30年度改定前の評価体系をベースとした上で、現在のような評価体系にすると決めたと理解しております。ただ、52ページにありますように、入院料にはリハビリテーション実績指数が求められていないこともあって、入院料3よりも実績指数が低くなっております。一方、その点数は、46ページにあるとおり、入院料3よりも高くなっているなど、回復期リハビリテーション病棟1~6の要件や点数設計がアンバランスな状態になってはいますけれども、入院料1と2、入院料3と4の違いは、看護師やPT/OT等の人員配置等によるベーシックな部分での差であります。また、入院料3と4、入院料5と6の違いは重症者の割合等に基づくものでございます。ただ、入院料3は、逆に見れば、あるいは入院料3と入院料5もそうですけれども、実績部分への評価が不十分だということも考えられますことから、45のイメージ図にあるとおり、入院料3、さらには入院料5の実績部分の点数を引き上げるなど、引き続き検討してはどうかと考えます。
2つ目の論点は、FIM測定の運用上の問題かと思います。正確性を担保する必要性がある一方で、医療機関に過剰な負担を課してまで実行できないと思いますので、その両者のバランスを踏まえた対応を検討すべきだと思います。そうした意味では、転棟前の急性期病棟でもFIMを測定し、回復期リハビリテーション病棟入棟時のFIMと比較することなどは好ましくないと思います。回復期リハビリテーション病棟で測定したFIMの結果を患者によく伝え、共有することで測定の正確性を担保するなど、無理のない対応が望ましいと考えます。
3つ目ですが、入院料1について、管理栄養士配置の努力義務を課したところ、現場では配置が進みましたので、他の入院料2~6についても努力義務を課すことを検討してもよいのではないかと思います。
4つ目の論点です。回復期リハビリテーション病棟から退院後も継続したリハビリテーションの実施が必要でありますが、現実には介護認定のおくれなど、継続してリハビリテーションが受けられないタイムラグが生じている場合もあります。退院後も入院していた病院の外来で継続してリハビリテーションが受けられれば、介護にスムーズに移行できると考えます。ただ、だからといって回復期リハビリテーション病棟を算定する施設に外来のリハビリテーションや介護のリハビリテーションの実施を義務づけてしまうと、病院のリハビリテーションスタッフの体制はさまざまでもありますし、性悪説ということで言えば、患者の囲い込みの懸念もありますので、地域の医療連携や機能分化に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。したがって、回復期リハビリテーション病棟を有する病院が地域で連携しながら、タイムラグが生じないようにリハビリテーションを提供できる体制を構築していることなどを評価してはどうかと考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。では、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。85コマ目の論点の2つ目について意見を述べさせていただきます。55コマ目にありますように、FIM得点と日常生活機能評価の変化に関しては、一定程度の相関が見られているようですので、指標としてはFIMに集約してもよいのではないかと考えます。ただ、前回改定において必要度のA項目の指標がなくなったということで、現行の指標からは回復期リハビリテーション病棟に入院する患者像が見えにくくなったという声も聞かれましたので、今後は医療の必要度という部分が見えるような指標についても御検討いただければと思います。
以上です。
○田辺会長
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。66ページの「現行のFIMの取扱いについて」というところで、患者への説明に用いられる事項においてFIMの記載は必須とされていないと書いてあるのですけれども、これは説明するときに必須とされていないから、これからどうしようということを言っているのか、よくわからないのですけれども、教えてもらえますか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
そこには明確には書いておりませんが、FIMについては、後ろの67コマ目のFIMの概要というところにありますとおり、患者のいわゆる日常生活の中でも非常に密接な評価の項目でございます。ですので、例えば、そういうものを活用してはどうかという意図も、ある程度そこで記載をさせていただいておるところでございます。
○田辺会長
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。さっきも言いましたけれども、やはり自分がどういう状況にあるのかという、患者自身がそれを把握するとか、理解するということと、家族も含めて、どういう状況にあるのかを数値的に理解するというのは非常に有効だと思いますので、ぜひ活用していただきたいと思います。要するに、患者への説明にこういうものを活用していただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
回復期リハビリテーションで一番必要なのはやはりアウトカムを出すということだと思いますので、平成30年度で設定された実績要件をさらに要件化していくことが必要だと思います。現在は入院料1、3、5でFIMの要件が実績要件として設定されているのですが、2、4、6については実績要件がないので、FIMの引き上げもばらつきがあることから、アウトカム評価を推進するという観点では、全ての入院料にFIMの実績指数について要件を設定する必要があるのではないかと思います。
それから、要件の水準なのですが、スライド52や53の推移を踏まえると、現行では入院料1、3、5において実績要件としているFIMの37、30については、もう少し引き上げてもいいのではないかと思います。見直す要件は、53ページにありますとおり、それぞれ入院料によって違うのですが、このうち50パーセンタイル値を目安にして要件化するのが妥当ではないかと思います。
それから、2つ目の論点の実績指数が入棟時に下がっているものについては、実績要件が入ったゆえに、人員的なものかどうかということも想定されますので、例えば、一定度、入棟時のFIMが低い患者は計算式から除外することをルール化してもいいのではないかと思いますし、もう一つ必要なのは、今、間宮委員が指摘されたように、入棟時のFIMと目標とするFIMを患者に説明することを要件化して義務づけてはどうかと思います。これによって患者も自分の今のFIMがわかるし、適切なFIMが設定されることになるのではないかと思います。
それから、3つ目の論点の管理栄養士の配置については、松本委員と同じで、これは効果があるのであれば、どんどん拡大すべきで、例えば、入院料1については、努力義務から要件化に見直すことと、あと、2、3、4についても配置を努力義務に拡大していくことも考えるべきではないかと思います。
最後、入院から外来への移行というところですが、これについては非常に重要であって、ほとんど実施されていることから、入院料の施設基準に外来リハビリテーションの退院後の提供というところも要件として追加すべきと思います。
以上です。
○田辺会長
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
今のFIMの指標、FIM利得と言われている部分ですが、やはりもう少し客観的な指標にする必要があるかなと思っております。年々、FIM利得がどんどんふえていくことはどういうことなのか、なかなか客観的な指標とすることが難しいので、先ほど患者に、入院時こうですよね、退院時こうでしたよねということをお見せするのも一つの方法ですし、それから、第三者として、例えば、医療機能評価機構のようなところのリハビリテーション部門でちゃんと評価を受けると。そうすると、医師とか、事情がわかった人が見に来ると、きちっとやっていることもわかりますので、そういうのが一つの案ではないかと思っております。
それから、回復期リハビリテーション病棟、むしろ病院という形でありますと、非常に広範なところからリハビリテーションの適用の患者が利用されていることが多いと思います。そうすると、退院後は、そこの病院を利用するには通院がなかなかできないということが非常に多いのではないかと思いますので、私は退院後については、むしろ地域においてどれだけ整備ができるか、特に前回、通所のリハビリテーションの施設が病院の中でもとりやすくということで、今、ふえてきていますので、身近でそういうものがふえて、地域の中で在宅療養なり、通院でのもの、それから、介護保険の利用等ができるように、そちらを中心にやっていくべきではないかと思っております。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。回復期リハビリテーションの病棟のアウトカムの実績指数の状況について、先ほど幸野委員も触れていましたが、52ページに1~6まで出ており、ここで指摘されているように1、3、5の病棟の医療機関が高くなっています。一方、患者サイドから見て、1~6の病院に通うときに、1、3、5で、いわゆるリハビリテーション実績指数を要件として、こういう成果があるということを見ると、こういう病院に行きたいなと思います。現実的には、行ってみないと2なのか4なのかわからないので、早く在宅復帰が実現できるような病院に行きたいときに、こういうところを選びたいというのは自然な流れだと思いますが、実際には難しい。そのため、医療の質の均てん化という観点で申し上げると、1、3、5だけではなくて、2、4、6にも実績指数を入れて、階段的な形にすべきと思います。46ページの要件を表にしていただいたのを見ますと、入院料1~6にあって、一番下に点数があり、2と3を比べて、3のほうが低いのは、専門職や、看護職員の要件が違うからというのはわからないではないのですが、例えば、4と5を見て、4には指数が入っていない、でも、その他ほとんど要件は一緒です。重症度の割合とか、その辺の実績はほかの要因があるのかもわかりませんが、単にリハビリテーションを見て、そういう観点で見ると、点数の差は何なのかと思います。点数の階段の差があるならば、実績指数にもきちんと階段をつけるのが自然と考えます。もしもこのままいくのであるならば、1、2、3、4、5、6を1、3、5に寄せるような形での見直しは、将来的にも、その他の要因が色々あって、医療現場でこの差が必要であり、それぞれ評価が必要ということであれば、リハビリテーション実績指数をもう少し検討するという考え方があってもいいのではないかと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
1~6の階段のところをもうちょっと考えようということは先ほど私も提案いたしましたけれども、実績部分の評価をどう考えるかというところがやはり大きな課題だと思っていますので、この課題を考えながらその階段部分を考えるべきだと思っています。ただ、FIM利得のところは、これも余り一気に引き上げることについては慎重であるべきだと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、最後のテーマに入ってまいりたいと存じます。入退院支援にかかわる議論でございます。この説明に関しまして御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
111ページ目ですが、1つ目の論点は、入院前の支援である入院時支援加算を充実させていく提案と理解しております。入院時支援加算は対象が予定入院患者に限られていることに留意が必要だと思います。つまり、救急入院患者のほうが退院困難のリスクが高いことや、外来診療で定期的に受診している患者が慢性疾患の急性増悪で入院した場合は対象外となっており、算定できないことなどを踏まえますと、入院前の支援を充実させることと引きかえに入院後の支援の評価を縮小することは慎重であるべきだと思います。
また、論点2は、関係する職種と連携した上で、必要な項目の全てを評価し、入院後の管理につなげた場合をさらに評価と記載されておりますが、入院時支援加算の業務は看護師、薬剤師、社会福祉士、管理栄養士等のチームとしてかかわっていることから、その人的資源を考慮すると、現在の評価である退院時1回200点は低いと思いますので、さらなる評価という方向性には賛成いたします。
なお、94ページによれば、入院時支援加算で取り組みを求めている項目と入院後の取り組みを評価する加算とで内容が一部重複しているものもありますので、入院前に評価した内容をそのまま利用できるものにつきましては、もう少し簡素化するなどの対応を検討してはどうかと思います。
2つ目の論点につきましては異論ありません。
3つ目の入退院支援加算3の論点のうち、前段の専従の看護師についてですが、現在の要件は5年以上の新生児集中治療に係る業務の経過を有する専従の看護師となっており、NICUの第一戦で活躍している看護師を退院支援業務に配置がえしないと算定できないという内容になっておりますことから、論点に示されたように、質の担保には配慮しなければなりませんが、要件を緩和する方向性に賛成いたします。
また、後段の新生児特定集中治療室の病床数を施設基準の要件に加えることにつきましては、地域の実情をもう少し考えなければならないと思います。病床数が小さくても入院する子供の数や平均在院日数等について実績がある医療機関も多くありますので、現時点では病床数を要件化すべきではないと考えます。
以上です。
○田辺会長
では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
入院時支援加算のことなのですが、90ページの届出状況を見ると、全体的には届出数が少ないのが気になるというのが率直な感想でございます。
111ページの論点の1点目、入院時支援加算について、加算の取得を促進する方向性であると考えております。そうであれば、多くの医療機関で実施いただいて、患者支援、円滑な入院医療の提供、病棟負担の軽減等に取り組んでいただきたいと考えます。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ありがとうございます。まず1つは連携部門という部署ですが、ここにいるケースワーカー等々は入退院支援だけを行っているわけではないです。そのほか、さまざまなことの、他の医療機関との連携とか、開業医の先生方との連携とかを行っているわけで、したがって、そこでやっているMSW等の専従という考え方を、余り入退院ばかりとしてしまうと、かなりがんじがらめになりますので、そこも考え方を見直す必要があるのではないかということが第1点です。
それから、96ページに急に総合評価加算というのが出てきております。96ページを見ればわかるように、これもどんどん届出医療機関がふえているのが実態であります。これが同じようなこと、似ているのかなとも見えるのですが、実は、この総合評価加算は65歳以上の入院患者全てが対象になります。それに対して、入院時の支援は、例えば、緊急に入ってきた患者は行えませんし、それから、転院の患者も行えなくて、いわゆる予定入院の患者が多分、主体になるのではないかと私は思っておりまして、そういう意味では、対象の患者が多分、違うので、なかなか一本化するのは難しいのではないかと見えます。そういう意味で出したのでなければ別にいいのですが、対象が違うことが気になっております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
入退院支援に関する論点については異論はありません。ただ、入院時支援加算の高い点数をもし新設されるのであれば、今、任意となっている取り組みを全てやることが条件になると思います。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。では、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。入退院支援につきまして、111コマ目の3つ目の論点について意見を述べさせていただきます。入退院支援加算3についてですけれども、こちらはNICU/GCUを退院したお子様が対象の加算になっていますけれども、近年、医療機器をつけたまま退院するお子さん、または医療処置が必要なお子さんがふえてきて、在宅で生活する、また自宅で家族とともに成長していけるようにしていくというところが非常に必要となってきております。そのためにも、御両親への非常にきめ細かな指導とか配慮がNICU/GCUの看護師には求められております。また、生まれて初めての自宅での生活となりますので、スムーズな在宅移行支援をするためには、地域の資源の活用は欠かせません。しかし、入院している周産期医療センターが自宅から離れている場合も多くありまして、さまざまな地域と連携して医療資源の調整なども行うことが必要となってきております。NICUとかGCUにおける入退院支援は大人への支援と非常に異なっているところから、NICU等から自宅に帰れるようにするためには、十分な知識、また技術を持つ看護師のかかわりが非常に重要となってきます。
106コマ目にあるのですけれども、小児在宅移行支援指導者育成研修を受けた看護師が配置されておりますと、情報共有の機会がふえて、在宅移行までの期間が短くなるという効果が出ております。そのため、論点に書かれてありますとおり、働き方改革の観点から、専従要件を専任にするのであれば、質を担保するという観点からも、研修受講を要件としていただきたいと考えております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。大変細かい話で恐縮ですけれども、入院時支援のお話なのですけれども、ちょっと介護の話をさせていただくと、介護保険では、介護を初めて申請される方、あるいは介護状態が変わって区分変更申請等したときに、30日以内に認定審査の結果を出さなければいけないというのが介護保険法の一応、決まりにはなっておりますけれども、先ほど松本委員からもお話あったように、なかなかその日数での認定が現状できていないケースが多いと。恐らく1週間ぐらいは長くなっているのではないかと思います。
一方、入院日数についてはどんどん、どんどん短くなってきているので、例えば、急性期で入院した方が退院した後に、すぐにそういったサービスが使えないために、スムーズに在宅生活が送れないということも現状として起こっていると思います。今の入院時支援というのは、少なくとも介護保険サービスを使っている方の介護の状態を確認することが条件になっていると思います。当然のことながら入院される方の年齢であるとか、もともとの基礎疾病であるとか、介護保険は利用されていなくても、いろいろな状態がその方があると。それから、どんな治療をするかによって、恐らく退院後に介護保険が必要になる、もしくは介護度の変更が行われる可能性は、ある程度専門の病院の職員の方だったらわかっておられるのではないかと思います。先ほど猪口委員もおっしゃったように、そういった病院の職員の方がかかりつけ医と連携して問い合わせをして、その方のふだんの状態についての確認を行ったりすることで、なるべく早く介護の認定がおりるような、何かそういった働きかけを事前に入院時に、これは多分、予定の患者だけになるのだと思いますけれども、そういった取り組みをしていただきながら、入院時の支援加算の評価を高めるということをぜひしていただければと思います。
以上です。
○田辺会長
では、島委員、お願いいたします。
○島委員
ありがとうございます。87コマ目の下の点線で囲ってあるところに、入退院支援の対象となる患者、この制度自体は非常にすばらしいものだと思っておりますが、2つ目のポツに緊急入院というのがあるのですね。猪口先生も言われたように、外来で紹介等のもとに定例で入ってくる方たちに対しては、事前の情報を確認できるのですけれども、緊急入院で、しかも先ほど今村先生もおっしゃったように、介護保険があるかないかとか、そういった情報を緊急の現場でなかなか難しいので、これを入れるとなると、地域のICTを使ったようなネットワーク、情報基盤があって、そういう情報が得られるようなということも将来的には考えておられるのかなと、素朴な疑問なのですけれども、いかがですか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
将来的にはそのようなことをぜひ期待したいと思っています。
○田辺会長
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
1点、松本委員もおっしゃった点なのですが、入院時退院支援加算の3、要するに、届出に当たっての要件として、NICUの病床数をその要件に加えてはどうかと。この件に関しては、少子化と、そして、なかなか新生児を診られる小児科医も少ないというところで、重点化していこう、集約化していこうという流れは十分理解するわけですけれども、その中において、先ほどもお話にございましたが、病床数が少なくても、例えば、110ページの病床利用率として、確かに病床数の少ないところは、平均値で言えば少ないですけれども、幅で言えば、かなり利用率が高いところもあると。その内容は今後精査する必要もあろうとは思いますが、基本的には、地域においてそこしかないと、病床数の少ないNICUしかないというところの地域の受け皿というのは、もちろんさらに弱いと、そういう状況になっているところもありますので、逆にこの要件を無理につけるということは、現場に大きな混乱を及ぼしてしまう可能性がございますので、現時点においては、各地域のNICUの状況と実態をしっかりと把握してもらった上で、その後に、今、これを考えていただくことをお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
その他で、27日から、卸売の大きいところが談合しているという報道がありましたけれども、これは患者にとっても信頼を本当に崩すような話であって、さらに薬価にもはね返ってくる話なわけですから、これについて中医協の場で何もコメントがないというのは、ちょっとおかしいなと思っていますので、現状の対応というか、そのあたり、お聞かせいただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
厚生労働省としましても、今回の事態につきましては、非常に問題のある事態だとは思っております。それにつきましては、今、医政局の経済課を中心に情報の収集と対応策をしっかり考えておるところでございまして、また次回にもその点につきまして御報告させていただきたいと思っております。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
我々は報道でしか知っていないので、まずは事実関係を教えていただきたいです。この4大卸が地域医療機能推進機構57病院に卸していた医薬品が談合によって行われていたという報道なのですが、報道だけを見ると、アルフレッサ、スズケン、東邦ホールディングス、メディセオで700億円ぐらいが57病院に卸しているということで、700億円という金額が談合によって左右されていたということになると、実勢価に与える影響がかなり大きくて、薬価の乖離率は多分、近いうちに発表されると思うのですが、無視できない数字だと思いますし、この数字が事実であれば、実勢価に係る対応ということを考えていかなければいけないと思います。この件について、事実関係をまず教えていただきたいと思います。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
事実につきましては、今、担当部局で情報収集をしておりますし、速やかに精査している状況でございますけれども、先ほどの薬価調査への影響につきましては、現在、報道されている取引先の規模、先ほど言われました700億円といった規模につきましては、全体の薬価の費用から見ると、それほど大きいものではないと考えております。ただ、おっしゃるとおり、それがどういうものに影響するのかということも含めて、現在、担当部局で情報収集しておりますし、精査しているところでございますので、その精査結果を踏まえて、できるだけ速やかに中医協にも御報告させていただきたいと思っております。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
事実関係はしっかりと調査をしてということなので、よろしいかと思いますけれども、やはり監督しなければならない関係省庁がこれをしっかりと行っていくことが一番肝要なことかと思っておりますので、それについてはしっかりと対応を、ふだんからお願いしたいと思います。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。これから調べていただいて、事実関係を含めて報告いただくということであれですけれども、700億円だから全体から見て影響ないということではなくて、やはり個別の、それぞれの単品の薬価について影響が出るのだろうと思いますから、そこのところも含めて調べていただきたいと思います。それとあわせて、いわゆる物流というか、卸、取引形態が他にもないのか、こういう形態が常態化していないことを証明していただきたいと思います。
○田辺会長
よろしゅうございますか。では、松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
私からもちょっと。先ほどからお話があったように、実勢価格があって、乖離率があって、それを決めていくという部分があるので、先ほど課長から話があった700億円という数字が、全体で見れば余りという、その感覚が、ちょっと私にはわかりません。700億円がいいか悪いかではなくて、そういうものが実態としてあるわけですから、しっかり調べていただいて、今後、その薬価に対して、今やっていることが影響するはずですから、それがどれだけ小さくても、今後そういうことがないようにということをちゃんと調べた上で、その対応を検討していっていただきたいと思います。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうも御参集ありがとうございました。
 

 

 

 


 
 

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