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2019年11月20日 中央社会保険医療協議会 総会 第434回議事録

○日時

令和元年11月20日(水)8:59~11:57

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○在宅医療(その2)について
○個別事項(その10)について


 
○田辺会長
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより第434回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、染谷委員、岩田専門委員が御欠席でございます。佐保委員におかれましてはおくれての出席となります。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
初めに、次期診療報酬改定に向けた議論として、「在宅医療(その2)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
御説明をさせていただきます。
本日、「在宅医療(その2)」としまして、訪問看護を中心に資料の整理をさせていただいております。
まず、「訪問看護について」2コマ目をごらんいただきたいと思います。
訪問看護のうち、「(1)訪問看護の現状(概要)」と整理させていただき、2つ目に課題そして取り組みということで整理をさせていただいております。
「(1)訪問看護の現状」ということでございまして、4コマ目をごらんいただきたいと思います。「訪問看護の仕組み」でございます。
病院・診療所と訪問看護ステーションの双方から、訪問看護については行うことができるという仕組みになっております。また、要介護被保険者等につきましては、介護保険の給付が医療保険の給付に優先するということが原則となっているところでございます。
5コマ目をごらんいただきたいと思います。
これは、医療保険と介護保険のそれぞれの訪問看護対象者のイメージ図を示しているところでございます。医療保険では、通常週3日までの訪問看護が可能となっております。ただ、そこの右上に挙げてありますように、「別表第7」と呼ばれる末期がんや難病の患者さん、それから下の図でございますけれども「別表第8」と呼ばれる医療的ニーズの高い利用者、また、真ん中にありますように急性増悪等により一時的に頻回に訪問看護が必要な特別訪問看護指示書を受けた利用者は、14日間に限り最大日数の制限がないという仕組みになっているところでございます。
6コマ目をごらんいただきたいと思います。
医療保険の訪問看護を行う訪問看護ステーションは増加をしております。医療機関については減少しているという状況でございます。
7コマ目を見ていただきたいと思います。
これは、「法人種別訪問看護ステーションの推移」となっております。
続けて、8コマ目をごらんいただきたいと思います。
これは、看護職員の規模別の訪問看護ステーション数の推移でございまして、看護職員が5人未満のステーションは約6割という状況となっております。
次に、9コマ目をごらんいただきたいと思います。
訪問看護ステーションの利用者は約29万人となっておりまして、特に高齢者と乳幼児を含む若年層が増加しているという状況にございます。
10コマ目をごらんいただきたいと思います。
訪問看護の対象となる主傷病名で多いのは精神及び行動の障害、それと神経系の疾患でございまして、医療ニーズの高い<別表8>の利用者については、小児と高齢者が多いという状況でございます。
11コマ目をごらんいただきたいと思います。
この10年間の主傷病名の推移を見ております。精神及び行動の障害と先天奇形、変形、染色体異常の増加率というのが多いというのがわかるかと思います。
12コマ目をごらんいただきたいと思います。
「小児の訪問看護利用者の状況」でございます。小児の訪問看護利用者は増加しておりまして、別表第7や別表第8に該当する割合も非常に増加しているというのがわかるかと思います。
13コマ目は、第1ラウンドでいただきました御意見を記載しているところでございます。
次に、14コマ目以降につきましては、「(2)訪問看護における課題及び取組等」ということで3つの視点から、1つは「訪問看護の提供体制」について、2つ目が「利用者のニーズへの対応」、それから「関係機関等との連携」というこの3点の視点から資料の整理をさせていただいております。
まず、15コマ目から16コマ目は、これは平成30年度の診療報酬改定で重症者の受け入れや、ターミナルケアの実施、それから関係機関との連携などの実績を評価しました機能強化型訪問看護療養費について、議論をしていただきまして機能強化型3というのを新設したということを説明した資料となっております。
17コマ目をごらんいただきたいと思います。
訪問看護ステーションの人員基準ということでございまして、基本的には常勤1名を含む看護職2.5名以上と定められておりますけれども、下のほうにありますようにそのうちでも機能強化型訪問看護ステーションについては、1では常勤のみの看護師が7名、2では5名、そして機能強化型3では4名が基準ということでまとめております。
18コマ目をごらんいただきたいと思います。
機能強化型の届出の状況になります。平成30年で機能強化型は1が244、2が246、そして平成30年に申請されました3につきましては58という施設から届け出がなされておりまして、計548の訪問看護ステーションから届け出が出されているということでございます。
19コマ目は、機能強化型の訪問看護ステーションでの1カ月間の重症者の受け入れ状況を見ておりまして、「別表7に該当する利用者数」のところを見ていただきますと、機能強化型1では、1、2、3それぞれに20名以上受け入れている。また、別表8のほうの利用者につきましては、15名以上の利用者を受け入れているということでございまして、そのほかの訪問看護ステーションと比べましてかなり重症の方を引き受けて訪問看護をしているということがわかるかと思います。
続きまして、20コマ目でございます。
機能強化型での6カ月のターミナルケア療養費1の算定の状況ということ示したものでございまして、それぞれ機能強化型の訪問看護ステーションでは約5名以上のターミナルケアを行っているということがわかるかと思います。
21コマ目でございます。
機能強化型3というのは、その特徴といたしまして医療機関の看護職員の訪問看護ステーションでの勤務実績というのが要件となっております。地域の医療機関の看護職員の勤務実績というのは1年で平均2.3人となっておりまして、この右下の枠で囲んであります今後の課題ということで示しておりますけれども、看護職員の勤務に関する課題としまして、給料等の違いですとか、教育、マニュアル整備といったことが必要ということが課題となっているということでございます。
22コマ目は、機能強化型3の要件を満たすための参考に、訪問看護出向事業ガイドラインというものもつくられているという御紹介になります。
23コマ目でございます。
これは機能強化型のステーションの職員数について、各届け出基準を超える看護職員数を有するステーションが非常に多く存在するというのがわかるかと思います。
続きまして、24コマ目でございます。
「機能強化型訪問看護ステーションにおける理学療法士等職員の状況」を示した図になります。機能強化型では理学療法士等の職員の割合が、4割以上のステーションの約1割でございまして、理学療法士等職員の割合や訪問回数の割合が8割以上となっているステーションも存在するという状況でございます。
25コマ目でございますが、理学療法士等の職員の割合が4割以上のステーションでは、職員一人当たりの別表7や別表8の入所者の受け入れ数や、ターミナルケアの実績数が少ないという傾向があるということがそこで示されております。
26コマ目でございます。
機能強化型を届け出ていない事業所が、届け出を行っていない理由としては、常勤職員数が要件を満たさないということが理由になっていることが多いというのが示されております。
27コマ目でございますが、これは医療機関からの訪問看護は、機能強化型のような実績要件を加味した評価体系になっていないというのが示されております。
その一方で、訪問看護ステーションと連携をして24時間体制を確保している医療機関、それから訪問看護によりターミナルケアを実施している医療機関も存在するということが右下に示されております。
続きまして、「同一建物居住者に対する訪問看護について」整理をしておりますので、そこに示しております。
まず、29コマ目でございます。
養護老人ホームや、集合住宅などの同一建物居住者に対する訪問看護というのは、同一日に3人以上で訪問看護を行った場合に低い額を算定するということになっておりまして、それを「訪問看護基本療養費(Ⅰ)」と分けまして、「訪問看護基本療養費(Ⅱ)」ということで整理をさせていただいているところでございます。
31コマ目でございますが、また対象となります利用者に対して、訪問看護等が複数名で訪問看護を行う場合の加算としまして、複数名訪問看護加算というのがございます。
この加算は、同一建物居住者に係る区分は存在しませんけれども、基本療養費の同一日に3人以上に加算している割合というのは実は増加傾向にあるというのが、そこの棒グラフ等、折れ線グラフ等でわかるかと思います。
32コマ目を見ていただきますと、これは同様に対象となる利用者に対しまして、1日に複数回訪問看護を行う場合の加算といたしまして、難病等複数回訪問加算というのがございます。こちらも同一建物居住者に係る区分は存在しませんで、基本療養費の同一日に3人以上に加算している割合というのが、増加傾向にあるというのが見て取れるかと思います。
続きまして、「理学療法士等による訪問看護について」ということで整理をさせていただいております。
34コマ目は、訪問看護ステーションの従事者数のうち、理学療法士等が占める割合が増加していることがわかるかと思います。
35コマ目、理学療法士等従事者の割合が多いステーションも増加しているというのが見えるかと思います。
36コマ目でございますが、開設主体別に見たものでございます。
特に、網かけしておりますように、営利法人や医療法人で理学療法士等従事者の割合の高いステーションが多いというのがわかるかと思います。
37コマ目でございます。
理学療法士等の割合の高いステーションは、24時間対応体制加算の届け出や看護職員1人当たりのターミナルケアの実績が少ない傾向にあるというのが、そこに示されております。
38コマ目でございますが、これは「理学療法士等による訪問看護を受けている利用者の状態等」ということで整理をさせていただいております。
この利用者ごとに理学療法士等による訪問看護の割合を見ますと、理学療法士の訪問看護を全く受けていない利用者が6割である一方、理学療法士等の訪問看護が8割以上の利用者が2割、グラフの赤いところでございますけれども、そういった利用者は80歳以上の方や、末期の悪性腫瘍、医療的処置が必要な状態の方が内訳として少ないというのが、わかるかと思います。
39コマ目でございます。
理学療法士による訪問看護の割合が高い利用者、このグラフの赤いところになりますが、病状観察、療養指導、栄養・食事、排せつの援助といった看護ケアや、医療処置の実施が少ないというのが見えるかと思います。
40コマ目でございます。
平成30年度の診療報酬改定で、「理学療法士等と看護職員との連携」について明確化したところでございます。理学療法士が単独で訪問看護を実施している利用者につきまして、看護職員による定期的な訪問は現在平均月4回程度となっているということでございます。
41コマ目でございます。
訪問看護基本療養費につきましては、週3日までと4日以降で2段階の評価区分を設けております。週4日以上算定できるのは、末期がんですとか医療ニーズの高い利用者に限定されているという状況でございます。
42コマ目を見ていただきますと、理学療法士等による訪問看護のうち週4日目以降の算定は約8%、表の緑の欄の下でございます。看護職員の4日目以降の算定に比べまして、末期の悪性腫瘍、留置カテーテル、褥瘡といった医療機的なケアを必要とする利用者は少ないというのが見えるかと思います。
43コマ目を見ていただきますと、訪問看護指示書にはリハビリテーションの項目がございますけれども、訪問看護計画書や訪問看護報告書では訪問する職種に関する記載は求めていないという状況でございます。
続きまして、44コマ目以降は「医療資源の少ない地域における訪問看護について」整理をさせていただいております。
45コマ目でございますが、平成30年度の診療報酬改定では24時間対応体制加算につきまして、特別地域については2カ所のステーションによる連携を可能としたところでございます。
46コマ目でございますが、24時間対応体制加算の届け出状況につきましては、ほぼ横ばいでございます。
実際に緊急の訪問看護を利用した者というのは約1割でございまして、訪問回数は月に3回程度という報告をいただいております。
47コマ目が、この「特別地域における複数の訪問看護ステーションによる連携の状況」というものでございます。
これは、改定検証調査によりますと、特別地域で24時間対応体制加算を届けているステーションのうち、複数のステーションで連携しているのが約3割でございますが、一方、特別地域に該当しない医療資源の少ない地域では、複数のステーションが連携して24時間対応体制加算の体制を確保したとしても、現在は対象とならないという状況がございます。
48コマ目は、現行の医療資源の少ない地域を示しているところでございます。
これらを受けまして、論点として49コマ目に整理をさせていただいております。
1つ目でございますけれども、機能強化型訪問看護管理療養費は重症患者の受け入れ等を要件とするものであり、より手厚い訪問看護の提供体制を評価する観点から看護職員の割合を要件に加えることとしてはどうかと。また、医療従事者の働き方の観点から一部の職員については常勤換算により満たせることとしてはどうかと。医療機関における在宅患者訪問看護指導について、実績要件を加味した評価のあり方をどのように考えるか。
2つ目でございます。同一建物居住者に対する訪問看護がふえている実態を踏まえて、複数名訪問看護加算及び、難病等複数回訪問加算等についても同一建物居住者に係る考え方を導入することとしてはどうかと。
3つ目でございますが、理学療法士等による訪問看護と看護職員による訪問看護の提供内容の違いを加味して、理学療法士等による週4日目以降の訪問看護の評価のあり方についてどのように考えるのか。また、訪問看護計画書及び報告書に訪問する職種の記載を求めることとしてはどうかということで論点を整理させていただきました。
続きまして、「利用者のニーズへの対応」ということで、まず「専門性の高い看護師による同行訪問について」ということで整理をさせていただきました。
51コマ目を見ていただきますと、褥瘡ケア等のニーズを有する利用者への専門性の高い看護師の同行訪問というのは増加傾向にあることがわかるかと思います。
52コマ目をごらんいただきますと、平成30年度診療報酬改定で対象に追加されました人工肛門・人工膀胱ケアは皮膚障害が継続もしくは反復して生じている状態に限定されておりまして、左の下に画像がありますけれども、このような適切な看護ケアが必要なストーマ合併症は現在含まれていないという状況がございます。
53コマ目でございます。
皮膚疾患や、褥瘡のケアについて、同行訪問による支援の実績やニーズが高くなっているということがわかるかと思います。
続きまして、「精神障害を有する者への訪問看護について」ということで整理をさせていただきました。
55コマ目でございます。
「精神科訪問看護の主な要件」でございます。精神科訪問看護は、精神科以外の訪問看護と異なりまして退院後3カ月以内は週5日まで訪問看護が可能であるほか、訪問看護ステーションで実施する場合には研修要件等の届け出基準があるということがございます。
56コマ目を見ていただきますと、精神科訪問看護基本療養費の算定というのは2年間で約1.5倍にふえてきているということがわかるかと思います。
57コマ目をごらんいただきたいと思います。
この精神科訪問看護の届け出をしておりますステーションというのは全体の約6割を占めておりまして、中には精神科訪問看護の利用者のみのステーションがあるというのもありまして、これは約5%ということでございます。
58コマ目は「精神科訪問看護の利用者の状況」を見たものでございます。
30代から50代の利用者が約半数以上を占めております。最も多い疾患というのは統合失調症等となっております。
59コマ目でございますが、精神科訪問看護で提供するケアは主に精神症状の観察、心理的支援、服薬援助などとなっております。
60コマ目を見ていただきますと、現在、精神科訪問看護ではGAF尺度による評価というのは要件にはなっておりませんが、実は他の診療報酬項目で、例えば下の欄にありますように「精神病棟入院基本料」ですとか、「精神科在宅患者支援管理料」といったような診療報酬項目ではGAF尺度の要件というのが設けられているというのがわかるかと思います。
61コマ目はGAFの概要となっております。
62コマ目を見ていただきますと、複数名精神科訪問看護加算は複数名訪問看護加算とは要件が異なっておりまして、具体的には、医師が必要性を認め指示書に記載した場合に対象となるところが異なっておりまして、複数名訪問の理由というのはスタッフの安全確保というのが多いというのがよくわかるかと思います。
63コマ目は、平成30年度診療報酬改定で実施しました複数名による訪問看護の見直しの概要になります。
続きまして、64コマ目でございます。「利用者のニーズへのその他の対応」ということでございます。
65コマ目は、訪問看護で用いる特定保険医療材料についてでございまして、これは、主治医の診療日以外に、主治医の指示に基づき訪問看護師等が特定保険医療材料を用いた処置を実施する場合には保険医療機関が材料を支給し、その費用を保険医療機関が算定できることとなっております。
現在、訪問看護師が使用する場合に、医療機関が算定できる特定保険医療材料というのはその図の右下でございます。小さく書かれておりますけれども、001から010の材料のみとなってございます。
66コマ目を見ていただければと思います。
これは在宅で実施し得る特定行為で使用する可能性のある医療材料を整理したものでございまして、この医療材料の中には現在、医療機関が特定保険医療材料として算定できないものと、赤字で示しているものが算定できないものでございますけれども、それが含まれているということがわかるかと思います。
67ページから69ページについては、特定行為や研修の概要でございます。
69コマのところを見ていただきますと、現在、約50名の特定行為研修修了者が訪問看護ステーションで勤務していることがわかるかと思います。
これらを含めまして、70コマ目に論点として3つ整理をさせていただいています。
1つ目が、専門性の高い看護師による同行訪問の対象に皮膚障害以外の適切な訪問看護が必要なストーマ合併症を含めてはどうか。
2つ目が、精神科訪問看護について利用者の状態把握のために、他の診療報酬項目でも用いられているGAF尺度による評価を訪問看護記録書、訪問看護報告書、訪問看護療養費明細書に記載することとしてはどうかと。また、精神科複数名訪問看護加算について算定状況や複数名訪問看護加算との要件の違いを踏まえ、複数名訪問の理由を選択式等により具体的に訪問看護指示書に記載することとしてはどうかと。
3つ目ですが、在宅における特定行為の実施に当たり支給する医療材料について、必要なものについては算定可能な材料に含めること等を検討してはどうかと。
以上、3点挙げさせていただいております。
71コマ目からは、「関係機関等との連携に係る対応」でございます。
1つ目が、「関係機関への情報提供について」でございまして、72コマ目は平成30年度診療報酬改定で訪問看護情報提供療養費の要件の見直しや新たな評価を設けたところでございます。
73コマ目は、算定要件、算定の状況となっておりまして、直近の算定人数は平成30年度改定までの約6割まで減少しているという状況でございます。
74コマ目は、市町村への情報提供についてでございまして、この「情報提供療養費1」というのは前回改定の対象者の見直しにより、算定が減少しております。市町村から求めがあった対象としては、小児が挙げられておりますけれども、右下の枠囲みの中でございますが、15歳未満の割合は減っているというところがわかるかと思います。
75コマ目は、学校への情報提供を評価した「情報提供療養費2」でございますけれども、利用者、お子さんが円滑に学校生活を送ることにつながったと効果を感じられている一方、算定要件であります、「入学又は転学時等の当該学校に初めて在籍する月」に限定しておりますので、それが原因でもあり、算定できなかったという声も聞かれているというのがわかるかと思います。
76コマ目は、小児に対応するステーションの割合ということで、各県の状況を示しております。
77から78については、現在の情報提供療養費2の対象では学校のみでございますが、現在、保育所や幼稚園でもこの医療的ケア児を受け入れている体制が整いつつあるということで、その補助事業等を示させていただいております。
続きまして、「介護保険サービスとの連携について」ということで整理をさせていただいております。
80コマですが、目介護保険サービスに、看護小規模多機能型居宅介護事業者、通称、看多機と呼ばれておりますけれども、この宿泊サービスがございまして、そちらについての資料でございます。
この宿泊サービスを、利用中の方への訪問診療や訪問看護につきましては、現在この介護と医療の給付調整というのがございまして、この方への訪問診療・訪問看護は末期患者等の方に限定をされておりまして、特に訪問看護については介護給付費のほうの減算規定が設けられているという状況でございます。
さらに、宿泊サービス利用前の図にありますように30日以内に患家を訪問していないと算定が行えないということになっています。そのため、例えば、病院に30日以上入院されたような場合、そちらに書いてありますが、退院直後に看多機の宿泊サービスを利用する場合は訪問診療・訪問看護の算定が行えないという場合がございます。
看多機の利用者のうち、約4割は利用前に入院、入所していたものであるということが下のグラフからわかるかと思います。
81コマ目を見ていただきたいと思います。
この実態として、病院から看多機利用に至った利用者は、在宅からの利用者よりも要介護度が高く、利用開始30日以内に訪問看護を実施していないという状態のため、退院後に一旦自宅に戻って訪問看護を提供してから、また看多機サービスに戻って利用するという方法をとらざるを得ないという事例が存在するという状況になっております。
これらを受けまして82コマ目、論点として2つ整理をさせていただいております。
1つ目が、医療的ケア児や小児に係る情報提供について、関係機関との連携を推進するために、訪問看護情報提供療養費1について15歳未満の利用者を対象に含めるとともに、訪問看護情報提供療養費2について、入学時等に限らず年1回算定可能とし、保育所及び幼稚園も情報提供先に含めてはどうかと。
2つ目ですが、看護小規模多機能型居宅介護事業者の宿泊サービスを利用中の者への訪問診療及び訪問看護について、退院直後に限り当該サービス利用前の訪問診療や訪問看護の実施の有無にかかわらず、在宅患者訪問診療料や訪問看護基本療養費を算定可能としてはどうかということで、整理をさせていただきました。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、2つのパートに分けて議論してまいりたいと思います。
まず、49ページまでの訪問介護の提供体制の項目に関しまして、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず1つ目の論点でございますが、機能強化型訪問看護管理療養費は重症者の受け入れ等を評価しているものですが、中には理学療法士等の割合が高いステーションもあります。そうしたステーションは重症者の受け入れやターミナルのケアの実施が少ないという調査結果が示されておりますことから、看護職員の割合が高いステーションと比べて、機能強化型訪問看護管理療養費に求められる役割が十分に発揮できてはいないのではないかとも思われます。
そこで、論点で提案されたとおり、看護職員の割合を要件に加えることやあるいは点数の適正化なども検討すべきと考えます。
また、27ページの医療機関と訪問看護ステーションとの評価体系の違いにつきましては、一目瞭然であって医療機関からの訪問看護・指導についても、実績要件を加味した評価を加えるべきだと思います。
2つ目の論点ですが、現行の診療報酬体系と整合性を図るという意味では、複数名訪問看護加算及び難病等複数回訪問加算等につきましても、同一建物居住者に係る考え方を導入して、人数が多い場合の点数のあり方を検討してよいのではないかと考えます。
3つ目の論点ですが、週4日目以降の訪問看護は、医療ニーズの高い患者さんに対してのみ行われるものですので、そのため4日目以降の療養費が41ページにあるように各設定をされております。調査によれば、理学療法士等による週4日目以降の訪問看護については、医療的ケアを必要とする状態にある利用者の割合が少ないということが見てとれます。
そこで、理学療法士等が週4日目以降に訪問看護を行う場合には、医師が改めてその必要性等を訪問看護指示書に記載する等の対応も検討してはどうかと考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかいかがでございましょう。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
49ページの論点ですが、まず総論として訪問看護療養費の伸び率というのが、このメディアスから見ていますと、医療費的には2600億円くらいと規模が小さいのですが、伸び率が非常に高くて、平成30年度の伸び率が17%になっているということで、今後、医療費に係る財政にかなり影響を与えてくるのではないかということが懸念されます。
在宅患者の状態に対応した質の高い訪問看護が提供されるということを、これから議論していくべきだと思います。
訪問看護は医師の指示に基づいて実施されるため、医師の指示書が一番重要になってくると思いまして、それに基づく計画書、そして医師への報告書が的確に行われるということが必要なのではないかと思います。
前回、改定でも申し上げたのですが、訪問看護を適正化するためには、やはり訪問看護について医師が、誰が訪問するかということと、どれぐらいの頻度で訪問するかをちゃんと指示することが必要で、今の現状では訪問するものが誰かということと、訪問頻度が、訪問看護ステーションの裁量に委ねられているというのが一番の問題で、誰がどれぐらいの頻度で訪問看護をするということを医師がきちんと明確に指示書で示して、それに基づいて計画書をつくって訪問を行った上で、医師に報告をするという双方向コミュニケーションをとっていくことが必要なのではないかということを、総論として申し上げます。この論点49ページにいろいろありますが、医師が訪問する者が誰かということと、頻度を明確にするということをまず規定すべきだと思います。
それが総論なのですが、49ページの論点では看護師の比率を明確化するということは必要だと思います。それから常勤換算については、働き方改革という観点からも検討すべき事項だと思います。
それから、医療機関からの訪問看護についても、実績要件は求めるべきだと思います。
2つ目の論点にあります、同一建物居住者の訪問看護については、やはり1日に2、3人以上の場合、それから2人以上の場合を区別するということは新設すべきだと思います。
49ページの3点目の論点の理学療法士による訪問看護ということですが、週4日目以降の訪問看護の評価については、本来、医療ニーズの高い利用者であることを踏まえて、現行の訪問看護基本療養費1、2の週4日目以降の訪問看護のあり方については、現在では、看護師、保健師、理学療法士、言語聴覚士がひとくくりになって算定されているのですが、これを訪問するものによって実施する措置というのは異なると思われますので、これをひとくくりにしていいものかどうかというところについて問題提起させていただきます。
看護師や保健師については、かなり医療的な措置が行われているのですが、作業療法士、言語聴覚士、理学療法士については医学的な措置というよりも、それ以外の行為が行われている場合があると思われるので、ここはひとくくりにしないでしっかりと分けて、点数設定すべきだと思います。これはひとくくりにしているということ自体が、問題が生じているのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございました。
論点の一番最後の部分なのですけれども、これは医療指示をする医療機関、医師と、その訪問看護ステーションの関係性というのもかなりあるとは思います。その地域に1カ所しかステーションがなければ、そのステーションがどのような職種の方がどのくらいいて、どういう活動をされているのかわかるのですけれども、都市部みたいに複数のステーションがあると、一体、そもそもステーションにどのような職種が何人ずついるかなどわかって指示しているわけではないのですね。さらにその報告書あるいは計画書の中にも全くどの職種の人がいて、どのサービスを提供しているのかという報告がないので、ここはぜひきちんとした中身がわかるようにしていただきたいというのはそのとおりだと思います。
幸野委員からお話があったように、例えばどのぐらいの回数を行ってもらうかというある程度の指示は医療機関はしていると思います。ただ、患者さんの病状であったりあるいは訪問看護の体制で、例えば医師の側が週1回、月4回行ってくださいという指示をしても、それがスムーズにいかない場合もあって、そういうやりとりというのはお互いの中で電話連絡みたいなものをしながら、今週ちょっとこういうふうにしたい、というようなやりとりの中でやっていることと、それから患者さんは費用が発生することなので、医療側の、例えば何か医療的には必要だということがあっても、当然のことながら患者さんの同意も必要になってきますので、そういう全体のバランスの中である程度の指示をしているということだと思います。したがって、その紙の中で何回行ってくださいとどこまで明確にするかというのがあると思うのですけれども、現場ではおおよその指示はしていると私は理解をしております。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
2つ目の論点について、事務局に教えていただきたいことがあります。複数名訪問看護加算や難病等複数回訪問加算の算定が増えているのが31ページを見ると分かりますが、複数名訪問加算においてどういうケースで複数名行くのか、どういう状態に対してどういう組み合わせで行っているのかなどの実態把握をされているのであれば、データで何かお示しいただけるものはあるのでしょうか。それとも把握されていないのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
それにつきましては、31コマ目でございます。
済みません。ケースの理由のさらに内訳というのはここに示しておりませんけれども、どういう組み合わせで行っているのかというが31コマ目でわかるかと思います。
ここにあります、「複数名訪問看護加算の算定状況」ということでございますので、これは左から「看護師等」と書いてあるのは看護師と「看護師等」、2つ目は看護師と「理学療法士」のセットとなります。次が「准看護師」と一緒に行った場合が、次のラインになりまして、一番端の例が「看護補助者」と一緒に行ったという4つのケース別に集計してそこに記載させていただいておりまして、どれも増加しているという状況でございます。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
一番右の看護師補助者と看護師が行くケースがかなり増えており、論点として考え方はその通りだとは思います。ただし、実態が本当にそれで妥当なのかどうかについて、医師の指示によるものかという点もありますが、実態把握をしていただき、必要に応じて難病なども含めて、指示書にケース別の書き方決まっていると思いますので、その辺の検討もあってもいいのかなとも思います。これは意見です。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ありがとうございます。
前回の訪問看護のときの議論でも申し上げたのですが、最近、訪問看護ステーションでありながら、リハビリが主体になっているところが本当に多くなってしまっていて、いかがなものかなと思っております。やはりこれは、訪問看護であって、訪問看護の中の必要なリハビリという形で考えなければいけないと思いますので、また、これは介護保険との関係もありますので、ぜひそこら辺の、今回は同時改定ではありませんけれども、整合性を図りながら少しよい方向に持って行っていただけたらと思っております。
あと47ページの、特別地域とか医療資源の少ないところですけれども、これから人口の減とか医療資源が少なくなってくるということも鑑みて、やはりこういう特別地域とか医療資源の少ない地域に対する訪問看護ステーションのあり方というのは、できるだけ連携等を持って、行くのにとにかく時間がかかるわけですから、そういうところに十分に配慮が必要だと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかいかがでございましょう。
半田専門委員、お願いいたします。
○半田専門委員
今、御指摘があった理学療法士等が8割を超えている。これはやはり異常な状況だと思います。そういう中で、これをどうやって是正していくのかということが非常に大事なことだろうと思うのと、訪問看護を受けている中で神経系の患者さんが相当数いらっしゃる、2番目に多い。例えば、片麻痺の場合に入院中の治療というのは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が絡んで仕事をしているわけですね。在宅になったときに、3回訪問だとすると週に1回ずつでも3回になってしまうのですよね。片麻痺としては特に言葉の問題とか、嚥下の問題が出てきたときに、特殊な疾患の場合も3回という規定の中でやるのか。こういう場合も大きな規定の中にあるのですけれども、ある部分においては除外的なものも考えないと、全てをそうしろということではなくて、疾患によっては週3回ではどうしてもおさまらない、そういう疾患があることも公表願いたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
訪問看護につきまして、看護の立場から論点について幾つか意見を述べさせていただきます。
49コマ目の訪問看護の提供体制に関する論点ですけれども、1つ目の機能強化型訪問看護療養費における看護職員の割合の要件化については、機能強化型としての要件を満たしていることを前提とすると、リハビリ職の割合だけで検討することにはちょっと違和感がありますので、リハビリの評価なども踏まえて御検討いただければと思います。
それから、一部の看護職員を常勤換算とすることは多様な働き方を推進するとともに、在宅看護にかかわる看護師をふやすことの1つの方策につながると考えます。その上で、機能強化型としての看護の質を担保するということとともに、一部の常勤看護職員に夜間対応などの負担が偏らないような常勤換算人数の設定を御検討いただければと思います。
同じく論点3つ目の訪問看護計画書、報告書に訪問する職種を記載することについては、ぜひこの方向で進めていただきたいと思います。
論点ではないのですが、49コマ目の「現状及び課題」の上から3つ目にあります、医療機関からの訪問看護・指導については、24時間体制をとっていない訪問看護ステーションとの連携を推進するためにも、一定程度実績がある場合には評価を検討していただければと思います。
47コマ目にあります、特別地域における複数の訪問看護ステーションによる連携に関して示されているかと思いますけれども、医療資源の少ない地域においても住みなれた地域で在宅療養ができるように同様の仕組みを認める方向で御検討いただきたいと思います。
また、特別地域や医療資源の少ない地域では、事業所数も少ないので、当該地域だけではなく隣接する市町村の訪問看護ステーションとか、医療機関との連携についても算定できるような見直しも検討いただきたいと思います。
先ほど、幸野委員から誰が何回訪問するかを医師が指示を出すことを規定すべきという御意見があったかと思いますけれども、看護の提供に当たっては、私ども看護職として、先ほど今村先生もおっしゃったとおり医師との連携のもとに看護師がそのときの患者の状態を判断しまして、患者の状態に合わせて訪問を行っております。そのため、そこの点については御理解をいただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
49ページの論点でございますが、訪問看護の適正な見直しについては異論ございませんが、医療資源の少ない地域での訪問看護の提供のあり方や、理学療法士の割合が多いところはどういった地域なのか、そういったところも含めてさらに分析が必要ではないかと考えております。
以上です。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
先ほど、専門委員から発言のあった片麻痺等の特殊な場合には、心理学療法士等4日目以降に訪問看護を行うこともあるということは理解いたしますけれども、やはりその場合には医師がきちんと指示を出すということが原則かと思いますので、そこのところを強調しておきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
では2番目の、最後まででございます。利用者のニーズへの対応というところと関係機関等の連携にかかわる部分、この2つの項目に関しまして御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
70ページ目の論点でございますが、1つ目の論点については賛成であり、対象を拡大すべきと考えます。
2つ目は、57ページにありますけれども、精神科訪問看護の算定回数が著しく増加していることから、それに対する対応として今後はGAFスコアの活用により、質の確保を図ることも必要かもしれませんが、GAFスコアを利用することが現場の負担とならないような留意が必要と考えます。
また、同ページによれば、精神科訪問看護の算定回数がふえているのは医療機関からの訪問看護ではなくステーションからの訪問看護であることから、まずはステーションが行う精神科訪問看護からGAFスコアの導入を始めてもよろしいのではないかと思います。
精神科複数名訪問看護加算の算定要件につきましては、複数名訪問看護加算と比較して異なっている部分がありますが、何か合理的な理由があるのか後でお聞かせいただきたいと思います。
3つ目の論点につきましては、現状の変化、つまり特定行為の普及等ですがそれに材料価格基準が対応していないために医療機関が算定できない特定保険医療材料があり、これが医療機関の持ち出しになっているということですので、対応を求めたいと思います。
82ページ目の論点ですが、1つ目の論点につきましてはそのとおりで医療的ケア児や小児に対する訪問看護は大事な部分でございますので、ここに示された方向性に賛同いたします。
2つ目につきましては、確かに81ページのような不具合事例は解消すべきだとは思いますけれども、看多機には当然看護師がおりますので、そこにあえて訪問看護を実施する必要性については疑問があります。まずは、医療機関が行う訪問診療に限って算定可能とすることにしてはどうかと考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
1点御質問がございましたので、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
複数名訪問看護の関係でございましたけれども、複数名の訪問看護加算というのは平成22年に新設をされております。別表の7と8、それから特別指示書が出た場合、暴力行為等が見られるものというのが対象となってそのときに認められたという経緯がございます。
その後、平成24年に精神科訪問看護を分けたということに伴いまして、複数名の精神科訪問看護加算ができた際には、算定対象についての要件というものが特に設けられず、かわりに平成30年になって医師が複数名訪問の必要性を認め、指示書にその旨の記載がある場合という形で明確に要件が追加されたという経緯がございます。
精神科訪問看護と精神科以外の訪問看護では、そもそも訪問看護の対象者像とか実施する看護の内容が異なるということで、また、実際の調査結果からも複数名での訪問の理由が異なるということから、このような要件の違いが設けられてきたと考えております。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
わかりましたけれども、合理的な説明がつく場合はいいと思いますけれども、もしないということであれば統一するなどの整理あってもいいのではないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
先ほど松本委員からもお話がありましたけれども、医療的ケア児に対する対応を考えますと、今回の訪問看護の情報提供医療1のところに、これを拡大することは、これはぜひ進めていただきたいと思っているのですけれども、それを踏まえた上で73ページにありますように、従来の訪問看護情報提供療養費が平成29年から令和元年ということでかなり減っております。ちょっと気になるのは、非常に重要なことではありますけれども、市町村等からの依頼に応じてというこれは大前提ではあると思うのですけれども、そもそもその市町村側にこういった仕組みがあって、それをその地域の中で活用していこうという意識がどの程度あるのか。こういう仕組みがあることをどの程度1つの現場が理解されているのかというのが気になるところなのですけれども、その辺何か情報というのはお持ちになっているのでしょうか。
○森光医療課長
市町村側の訪問看護の情報提供に関して、認識があるかということについては、私どもが情報を何か持っているわけではございません。
○今村委員
せっかくこういういい仕組みをつくっても、結局、それを使う側の現場の人達が理解をしていないと、活用できないということはままあることなので、ぜひともこういうものをつくった上にはしっかりと情報提供していただいて、子供たちのために活用できるようにぜひしていただきたいなと思います。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。
吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
70コマ目の論点についてです。
1つ目の論点ですけれども、皮膚障害のないストーマ合併症における専門性が高い看護師によるケアに関しましては必要とする患者がいますので、含める方向で進めていただきたいと思います。
53コマ目に、同行訪問による支援や助言、または問題発生時や困難事例の電話相談のデータがありますけれども、認知症とかBPSDまたはせん妄への対応やケア、摂食・嚥下障害のケアに対するニーズも非常に高いと出ておりますので、今後、それらを専門とする看護師による同行訪問の評価についても、ぜひ御検討いただきたいと思います。
論点2つ目、精神科訪問看護における対象の状態を把握するためにGAF尺度を記載することに関してはよいとは思いますけれども、訪問看護は軽症の方であっても医療の継続性やまた重症化予防という点で非常に重要な役割を果たしています。よって、将来的に訪問看護を必要とする患者さんへ訪問が抑制されることがないような配慮はお願いしたいと思います。
論点3つ目の特定行為に関しての医療材料について、示されているように算定可能な材料にぜひ含めていただきたいと思います。
82ページの論点についてですけれども、1つ目の訪問看護情報提供療養費2の算定可能な時期を拡大することは、お子さんの円滑な幼稚園や学校での生活につながりますので、ぜひ示されているような算定要件を緩和していただく方向で御検討をお願いいたします。
論点2つ目に関してですけれども、末期がんなどで状態が不安定な場合、退院後に在宅を経由せずに看多機に直接宿泊する患者さんも実際にはおります。
看多機は夜間宿泊サービス時の看護職員配置が必須となっておりませんので、退院後直接宿泊する患者さんに対しても、訪問診療とあわせて訪問看護を提供できるよう検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
支払い側としては70コマ目、82コマ目の論点、全て異論はありません。
○田辺会長
ありがとうございます。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
70ページ目の2つ目の論点の趣旨はその上の課題にもある通り、統一した尺度により利用者の状態を評価する要件にはなっていないため、利用状況把握のためにGAF尺度を記載してはどうかということなのだと理解しています。記載するのはそれでよろしいと思いますが、これらの記載を基にきちんとデータとして集積して、実態把握をして将来的には他の精神疾患に関する報酬項目と同様に、GAF尺度によるような形での要件設定をするということを前提としているということを忘れずに、ステーション等の働き方改革を進める上で負担をかけずにどうするかということも含めて、情報収集の上で実態評価をすることをぜひお願いしたいと思います。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
割とさくっといったのですが、もしかしたら先がないかもしれないので、ここで一旦休憩をとらせていただきたいと存じます。
 
(休 憩)
 
○田辺会長
次に、次期診療報酬改定に向けた議論として「個別事項(その10)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
「個別事項(その10)」ということで、整理をさせていただきました。
本日は、資料総-2の2コマ目を見ていただきたいと思います。3点挙げております。1つ目は精神医療について、2つ目は認知症等について、3つ目は明細書無料発行についてという3点についてでございます。まず、精神医療につきまして資料をまとめておりますので、ごらんいただきたいと思います。
3コマ目に行っていただきまして、精神医療につきましては、第1ラウンドでは、精神医療として全体を概括する機会がございませんでしたので、今回、「精神医療の概況」ということで資料をつけさせていただいております。
4コマ目でございます。精神疾患を有する総患者数は増加しております。平成29年の患者調査では約420万人という数字になっておるということでございまして、外来患者は増加傾向でありまして、入院患者は減少傾向ということがわかるかと思います。
5コマ目でございます。精神疾患を有する外来患者数の推移で、疾患の内訳を見ております。外来患者総数は増加傾向でございまして、統合失調症が最多となっております。近年は、認知症と気分障害の増加の伸びが大きくなっているのが見えるかと思います。
6コマ目でございます。入院患者の推移、疾患別の内訳でございます。入院患者の総数は減少しておりまして、統合失調症は、最多ではありますけれども、その患者数は減少しているということで、外来と同様に認知症と気分障害が増加していることが見えるかと思います。
7コマ目を見ていただきますと、この入院患者の推移ということで、在院期間別に内訳で見たものでございます。精神病床に入院する1年以上の長期入院患者は17万人いらっしゃいますが、このうち9万人が約5年以上入院している患者さんということがわかるかと思います。
8コマ目は、精神科の入院形態でございまして、精神保健福祉法の規定に定められておりまして、措置入院と医療保護入院は、患者の同意がなくても、精神保健指定医の診察に基づき、入院の可否が判断されるという特徴がございます。
9コマ目、10コマ目については、これは措置入院の退院後の患者への支援として平成30年に退院後支援ガイドラインが発出されまして、前回の平成30年の改定におきまして、この内容につきましても一部診療報酬上も御評価いただいたものでございます。
11コマ目を見ていただければと思います。平成29年にこれからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の報告書がまとまりまして、地域包括ケアシステムの構築や多様な疾患に対応できる医療提供体制の構築とともに、精神病床のさらなる機能分化についても方向性を示されたものとなっております。
12コマ目を見ていただきたいと思います。障害福祉施策についての国の指針であります第5期障害福祉計画にも、精神障害に対応した地域包括ケアシステムについて成果目標が示されているということでございます。
13コマ目から15コマ目でございます。医療計画において精神疾患の医療体制について地域包括ケアシステムの構築と多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築が必要とされておりまして、体制構築に係る指標が示されておるというものでございます。
16コマ目を見ていただきたいと思います。これらを踏まえまして、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築について全体像が示されている図となっております。
17コマ目からは、「精神医療の報酬体系、直近の算定状況」について御説明させていただきます。
18コマ目は、医療法に定められました病床に関する主な人員の標準についてまとめた表でございまして、精神病床については、大学病院等以外の病院において医師の配置基準を48対1とされております。
19コマ目から21コマ目は、精神病棟の入院料についてまとめたものでございまして、精神について、出来高で算定される精神病棟入院基本料と包括診療である特定入院料が置かれております。19コマ目の下段のところでございますが、精神療養病棟入院料以降が特定入院料の一覧となっておるところでございます。
22コマ目に移っていただきたいと思います。精神科の外来における診療を評価する項目でございまして、通院・在宅精神療法がございます。平成30年の改定においては、措置入院の退院後に対する評価を新設するとの対応をいただいたところでございまして、通院・在宅精神療法については、右に記載されておりますような加算等が設けられているということでございます。
23コマ目でございます。精神科のデイ・ケアについて整理をした表でございます。精神科デイ・ケアは、精神疾患を有する方の社会生活機能の回復を目的としたプログラムに従って、グループごとに実施される治療となっております。
24コマ目でございます。ここからは、平成30年の診療報酬改定の改定項目とそれぞれの直近の算定状況をお示ししたものとなります。改定項目は多岐にわたりますので、簡単に説明をさせていただきます。
25コマ目は、精神科救急入院料において、前回で算定要件の見直しの御議論をいただいたところでございます。また後ほど、これについては説明をさせていただきます。
26コマ目から見ていただきまして、それぞれ算定回数がついておるところでございます。
30コマ目まで飛んでいただきまして、それぞれの算定回数を御確認いただきたいと思います。
31コマ目以降が、個々への議題に移らせていただきたいと思います。まず、「地域移行・地域生活支援の推進について」でございます。初めに、精神の入院医療に係る議題から整理をさせていただいております。
32コマ目を見ていただきますと、先ほどの精神科救急入院料の算定要件の見直しということで、前回の改定で見直しをいただいたところでございますけれども、そこにくくっておりますように、地域の精神科救急への貢献や他の医療機関との連携、自治体からの依頼の受け入れ、在宅移行率等、複数の要件を設定し、見直しを行ったということでございます。また、赤枠にくくっておりますように、原則として、精神科救急入院料の病床数に上限を設けたところでございます。これらの要件について、赤枠でお示ししたとおり、3で複数病棟の届け出を行う場合には、病棟ごとに基準を満たすことを要件と規定してございます。
33コマ目を見ていただきますと、実のところ、1病院当たりで要件を満たすことと解釈されているという実態もありまして、現在、グラフにお示ししたように、前回改定後も、精神科救急入院料病棟の届け出数、総病床数、ともに増加しているという実態にございます。
34コマ目を見ていただきますと、複数の精神科救急入院料の病棟を届け出るかの現状を示しておりまして、大きな矢印で示しました左側、全医療機関の9割以上では1病棟または2病棟での運用となっておりますが、それらの医療機関が運用している病床数は平均で49床から91床になっています。一方、右側の1病院当たり3病棟以上を届け出ている医療機関においては、当然ながら多くの病棟数を持っておりまして、5病棟を届け出ている医療機関においては、1病院で250の病床までこの精神科救急入院料をとっている状況になっておるということでございます。精神科救急入院料は最も高い包括入院料になっておるという状況でございます。
35コマ目からは、精神科急性期医師配置加算についてまとめております。精神科急性期医師配置加算についての変遷ということで、平成26年に医師16対1で配置した場合ということで新設されたものがございまして、精神科急性期医師配置加算、500点がつくられております。平成28年にはさらに合併症治療の体制を整備する精神病棟を新たに評価するということで、これについても拡大をしたところでございます。
36コマ目でございます。地域移行・地域生活支援の平成30年の改定でございますけれども、赤枠でかかっておりますように、急性期の医師配置加算について、直近の改定では在宅移行に係る要件について移行先に老健と介護医療院を追加しているということを行っておるところでございます。
37コマ目が、各入院料と当該加算の要件をまとめた表になります。精神病棟入院基本料及び特定機能病院入院基本料のうち、看護配置の高い入院医療において、身体合併症の管理等の要件を満たした場合には、当該加算のイを算定できるものとされております。主として、いわゆる総合病院の精神科の手厚い医師の配置を評価しているということになっておるものでございます。
38コマ目を見ていただきますと、当該加算のロに係る評価体系というものが見えております。包括入院料であります精神科急性期治療病棟入院料1に当該加算のロが算定可能とされておりますが、精神科急性期治療病棟入院料1の本体においては、新規入院患者の4割以上が3カ月以内に在宅移行をすることを求めているところでございますが、当該加算を算定するためには6割以上の在宅移行率が求められているということでございます。
39コマ目は、一覧としてわかるように示したものでございまして、左側が特定入院料、右側が基本料となっておりまして、緑色、丸囲みをした部分が当該加算と理解していただければと思います。繰り返しになりますけれども、右側の加算のイについては、病棟に平均在院日数の上限が定められておりまして、左側のロについては、在宅移行率60%が要件になっているということでございます。
40ページは、その算定状況になっております。
41コマ目を見ていただきますと、この急性期医師配置加算に関する調査の結果でございますが、急性期の手厚い配置にはニーズがあると考えられますが、当該加算のロの届け出を行っていない急性期治療病棟入院料を届け出ている医療機関に理由を伺ったところ、施設基準のうち、特に在宅移行率の60%が満たせないという回答があったということがあるかと思います。
42コマ目は、抗精神病薬の変遷を御説明させていだたきたいと思います。統合失調症のお薬の変遷について説明させていただきます。抗精神病薬全体としては、左側に、第1世代、第2世代と開発がされてきておりまして、現在は副作用が少ないとされております第1世代が主流となってございます。真ん中の列にクロザピンを取り上げてございます。他のお薬では効果がない治療抵抗性の統合失調症の患者に対して唯一効果があるとされているお薬でございまして、開発は比較的早期になされておりますが、有効が確認されたものの、特有の非常に強い副作用が認められることがわかりまして、販売停止が相次ぎましたけれども、その後、十分な管理下であれば安全性が担保できるとして国際的に広く普及したものでございます。ただ、日本においては上市が遅くなったという経緯がございます。表の右側でございます。特効性または持続性の抗精神病薬注射製剤、「LAI」と省略される注射のお薬でございまして、経口の抗精神病薬が原則として毎日服用していく必要がある、また、何らかの要因で服薬を中断しているということで悪化することが多いと言われる状況につきまして、LAIは、薬の種類にもよりますが、大体2週から4週に1回筋注することで、効果がある。これまでは毎日服薬することが必要なお薬に頼っておりましたが、このLAIを2週間から4週間に1度注射することで足りるというお薬になっております。これらも最近は第2世代の開発が進んでおりまして、精神医療についても薬物療法が多様化しているという状況でございますが、LAIについても、下のほうにありますように、一時期、副作用の問題がありまして、パリペリドンの安全性速報発出ということで、副作用についての安全性に関する速報が発出されるという状況にもあります。
43コマ目のクロザピンの使用の方法について、このクロザピンにつきましては、中ほどにありますように、重篤な副作用として1%程度の患者に無顆粒球症が起こるとされております。このため、3に示しておりますとおり、CPMSというモニタリングシステムへの登録が義務づけられておりまして、頻回の採血検査を行ってその結果を報告していくというシステムに入らなければならないということで、厳格な管理が求められている状況でございます。また、赤枠に示しておりますとおり、導入時には入院をして管理をすることが求められておりまして、その期間は原則として18週と定められているところでございます。
44コマ目でございます。日本において上市が遅かったという点は触れましたけれども、諸外国に比べてこのクロザピンの使用率が低いということでございまして、入院患者さんも地域移行していくという観点からも、このクロザピンの普及が課題になっているという状況にあります。
45コマ目は、このような経緯もありまして、クロザピンにつきましては、前回の改定で特定入院料の包括範囲から除外するという対応をいただいたところでもありまして、クロザピンに係る指導管理料については、算定回数が徐々に増加しているということでございまして、ただ、統合失調症の患者さんが全国で64万人ということから鑑みると、普及が進んでいないことがわかるかと思います。
46コマ目でございますが、調査の結果では治療抵抗性統合失調症の患者は各病棟に一定数いると言われている中で、クロザピンの処方は急性期系の病棟に多いということが示されております。治療抵抗性であり重症度が高い患者が対象である上に、頻回の採血、副作用の管理が必要とされる治療法でございます。手厚い配置での病棟でクロザピンを使用していることが考えられます。しかしながら、先ほどお示しさせていただきました急性期の医師配置加算は16対1の医師の配置の加算と、手厚い配置の精神病棟においては在宅移行率の要件が課されておるということで、その中でクロザピンは先ほど43コマ目に示したとおり、入院して投与を開始するということで、18週は必ず入院が必要という状況で、導入時には必要ということでございますが、そのクロザピンを処方すると、3カ月は12週になりますので、急性期医師配置加算の要件となっておりますような3カ月以内の在宅移行率達成に影響する可能性があるということで、この点についてマイナス要因になっているということでございます。
47コマ目でございますが、クロザピンについてもう一点お示しする内容がございまして、前回の改定におきまして、下段にありますように、薬剤料の包括範囲から除外するという対応をいただいたところでございます。その際、精神の特定入院料の一つであります児童・思春期精神科入院医療管理料については、クロザピンの処方自体が不明であるということもありまして、包括除外の対象から外れておるという状況でございました。しかしながら、今回実施した調査におきまして、少数ではあるものの児童・思春期の病棟においてもクロザピンが処方されているという実態はございますので、こちらの入院料についても包括除外について御検討いただければということで、そこに資料をつけております。
48コマ目でございますが、先ほど少し御紹介しましたLAIでございますが、このLAIにつきましては、維持期の服薬アドヒアランスの低い統合失調症患者に対しまして、ガイドラインで使用が推奨されております。また、維持期の治療を支える薬でございますので、再入院率、もう一回入院するということも低下してくることに寄与するというデータも示されておるということでございます。しかし、クロザピンと同様に、このLAIの日本での使用が進んでいないという実態がございます。その理由といたしまして、このLAIについては、導入時に薬剤の血中濃度が急上昇するために有害事象が起こる可能性があると言われまして、実際に、先ほど御紹介いたしましたように、安全性速報が出されていたような薬でございます。特に導入初期に慎重な管理が求められて、それもあって最適量を決めるのに最低でも数週間を要しております。また、血中濃度が安定するまでの慎重な管理については、入院時に行うことが適切と考えられているという事例もあると聞いております。
49コマ目でございますが、このLAIにも、先ほどのクロザピンのように特定薬剤の管理料の対象になってございまして、これは外来患者のみの算定になっておりますが、年々、算定回数は増加しているものの、国内での普及が進んでいないという状況がこの算定回数からわかるかと思います。
50コマ目でございますが、先ほどの管理料との関係もあると思いますが、調査によれば、LAIは外来で実施されていることが多い一方で、入院において実施されている実態も少しございます。地域移行・地域定着を推進するために、外来に移行する入院医療においてもこのLAIを活用すべきということでございまして、LAIについてもそのクロザピン同様に特定入院料の包括範囲から外すべきではないかということで提案させていただくものでございます。
51コマ目のところでございます。話が別の話に移りますけれども、地域移行機能強化病棟について説明をさせていただきたいと思います。平成28年度の改定におきまして、集中的な退院支援と病床数の適正化に取り組む精神病床の評価として設けられた入院料でございますが、届け出時に病床利用率90%とすることを求めております。また、届け出の時限措置が設けられておりまして、来年3月いっぱいで新規の届け出の期限が終了する予定になっています。赤で示したところでございます。参考までに、算定回数と届け出医療機関をお示ししております。
52コマ目を見ていただきますと、この当該入院料を届け出たことのある医療機関へのヒアリング調査を行いましたところ、当該入院料は積極的な退院支援に効果的だったという御意見があり、一定の効果があったと回答いただいております。また、中ほどの右でございますが、当該入院料の届け出において、病床利用率90%と要件が非常に厳しいという御意見がございました。また、このような実態と御意見を踏まえては、経過措置の届け出期限についてどのように考えるかということで御議論いただきたいということで資料をつけております。
53コマ目以降は、精神病棟における身体合併症とリハビリテーションについてまとめたものでございます。精神病床の入院患者につきましては、53コマ目につけておりますとおり、高齢の患者が非常にふえているという状況でございます。
54コマ目も、一般的に高齢になると身体合併症がふえるという状況でございます。
55コマ目は、精神病床における身体合併症とリハビリテーションの必要とする状態について調べたものでございます。左のほうを見ていただきますと、1年以上長期入院する患者の身体合併症の状況を示しております。調査によると、心疾患、呼吸器疾患、骨折、脳血管疾患障害等の身体合併症を認める患者がいるということが示されております。右側の調査では、精神病棟に入院する患者の一部について脳血管疾患等を合併し、そのうちにはリハビリテーションが必要と考えられる患者さんが一定数含まれているということが想定されております。
56コマ目を見ていただきたいと思います。精神病棟の長期入院患者のそのような身体合併症の状況につきまして、現在、管理加算が設けられております。これまでも、算定期間の延長、対象疾患の拡大が行われてきたところでございます。しかしながら、算定状況を見ますと、精神病床に入院する患者数を母数と考えますと、それほど算定されていないという状況であると考えております。
57コマ目に、これらにおきまして論点を示させていただいております。1つ目でございますが、精神科救急入院料について、地域において担う役割や実際に提供されている医療の内容を踏まえ、病棟ごとに基準を満たすことを明確化するとともに、その病床数の上限等の施設基準について必要な見直しを行うこととしてはどうか。2つ目ですが、抗精神病薬の多様化により、LAIやクロザピン等の地域移行・地域定着の促進に資する薬剤が広がりつつあります。これらの薬剤は専門的管理を必要とし、また、入院医療における標準治療としても活用されている実態があることを踏まえ、急性期治療病棟入院料等における在宅移行率、児童・思春期精神科入院医療管理料におけるクロザピンの薬剤料、LAIの薬剤料の取り扱い等について必要な見直しを行うこととしてはどうか。また、精神病床からの地域移行・地域定着支援を推進する観点から、地域移行機能強化病棟入院料について、継続的に評価するとともに、その施設基準について必要な見直しを行うこととしてはどうか。4つ目ですが、精神病床の医療ニーズの変化を踏まえ、身体合併症管理加算の対象の見直しや、高齢化に伴い脳血管疾患等を含む合併症患者へのリハビリテーションに係る評価のあり方等についてどのように考えるかということで、お示しさせていただきました。
続きまして、精神医療の中の「地域移行・地域生活支援の推進について」の「入院から外来への円滑な移行と外来医療について」の資料を整理させていただいております。
59コマ目でございますが、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る取り組みが進められております。
60コマ目でございます。これは障害者部会における資料を改変したものでございまして、近年、精神医療において、医療機関間、医療機関と障害福祉等サービス事業所との間で、関係機関の間における情報共有や連絡調整に力を入れることで、地域移行・地域定着支援につなげている事例が多数報告をされております。これらの取り組みは、入院の初期から、退院時、退院後までさまざまな段階で行われておりまして、情報共有等により精神疾患を有した患者に対して切れ目のない支援が行えるよう、積極的に取り組む医療機関がふえてきているという状況でございます。
61コマ目は、これも障害部会で報告された資料でございますが、切れ目のない連携支援の内容について具体的な事例をお示ししているものでございます。特に入院医療が必要な患者については、入院の初期から多施設間で情報共有等の連携を行い、支援体制を構築する。また、外来診療を行う診療所等医療機関と入院医療機関が別の場合には、外来医療機関と入院医療機関が連携して共同支援を行うということで、より支援の充実が図られているということが示されております。また、地域生活においては、多職種による包括的な支援マネジメントが重要である旨も示されております。
62コマ目でございますが、これは通常の一般病棟の入退院の支援のイメージでございます。前回の改定では、一般病棟については、入院前から退院時、退院後まで切れ目のない支援ができるよう、入退院支援が設けられたところでございます。
63コマ目は、精神病棟における入退院の支援とか、退院時共同支援に係る現行の評価を整理したものでございます。精神病棟においては、特に退院の促進という観点、また、措置入院患者の退院支援という観点から、これまでその点を特に評価した形でつくられてきたということでございます。例えば、退院先の外来医療機関と共同で行う退院時の支援などについては、逆に評価が設けられていないという状況にございます。
64コマ目でございます。これまでは入院から退院への移行ということでございましたが、ここからは精神科の外来における相談支援について整理をしております。地域で精神疾患の患者さんを支えるに当たって、多職種で協力をして個々の患者さんの個別的な状態や環境に応じたサービス調整支援などを行うことを包括的支援マネジメントと呼んでおりますが、この包括的支援マネジメントを行うことで、再入院の予防や地域での安定した生活を維持できるようになることが知られているということでございます。
65コマ目は、包括的支援マネジメントについて国の方針として進めるべきと検討会で報告されておりまして、その支援方法についても、実践ガイドが作成されております。その有効性が、そこにあるとおり示されたところでございまして、この包括的支援マネジメントにより、平均入院回数が減少するということが示されております。
66コマ目でございますが、実態調査においては、現在、通院・在宅精神療法を算定する患者に対して、医師による診察以外に多職種が相談支援を行うことがあると回答している医療機関は6割程度あります。また、その支援の内容としては、サービスの調整が挙げられておりまして、この結果から医療機関においては実際に包括支援マネジメントが行われている実態があることが示されております。
67コマ目でございますが、相談支援を誰が行っているかということでございますが、その対応されている職種としては、精神保健福祉士が多くを占めておりまして、精神保健福祉士を病棟配置のほかに外来にも配置している医療機関が7割近くあるということでございます。
68コマ目は、このように積極的に多職種での支援や精神保健福祉士の配置などを行う外来医療機関が広がる一方で、通院・在宅精神療法を算定している外来患者に対しては、現在、多職種による支援・指導への評価がなされていないという状況にあります。
69コマ目からは、今度は精神医療における在宅医療について提示をしております。平成26年度改定で病状が不安定な患者の地域移行を推進する観点で、精神科の24時間多職種チームによる在宅医療に関する評価が創設をされております。
70コマ目でございますが、前回の改定時に、精神科重症患者早期集中支援管理料を廃止いたしまして、精神科在宅患者支援管理料をまとめて新設となりました。その区分が、そこの中ほどにありますように、イ、ロ、ハということで分かれたところでございます。イ、ロについては、24時間、その要件を見ていただきますと、下の段にありますが、イとロについては、24時間の体制に加えまして、自治体職員との連携ということで、月に1回以上、一堂に会しカンファレンスを行うこと。月1回以上は保健所または精神保健福祉センターと共同して会議を開催するということも要件に入っているということで、この施設基準について厳しいという御意見をいただいているところでございます。
71コマ目でございますが、実際、算定状況を見ますと、イが月に4回、ロが月に37回の算定という状況になっておるということでございます。あわせて、ハについては、厳しいという一方で、ほとんど月1回以上の訪問診療を実施した場合に算定するという要件がはまっているだけということでございまして、算定回数も伸びている状況にございます。
72コマ目、これらを踏まえまして論点をまとめております。まず、1点目ですが、入院医療から外来医療への円滑な移行を進め、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、精神病棟における入院前から退院時までの多職種・多機関による共同指導等への評価のあり方についてどのように考えるか。また、このような患者について、精神科外来医療において包括的支援マネジメントが重要であるとの観点を踏まえて、精神科外来における多職種による相談・支援等に対しての評価のあり方についてどのように考えるか。2つ目でございます。精神医療における在宅医療を適切に推進する観点から、精神科在宅患者支援管理料について、現在の算定状況やその本来の趣旨等を踏まえ、対象患者や施設基準を見直すこととしてはどうかということで整理させていただきました。
精神医療の最後でございます「質の高い精神医療の充実について」でございます。
74コマ目は、公認心理師の評価ということで、平成30年に公認心理師の制度ができたことに伴いまして整理をしていただいたということでございます。
75コマ目は、その制度の概要になります。
76コマ目でございますけれども、公認心理師の保健医療だと、例えば、精神科病院や精神保健福祉センターに勤務されているという実態もございます。
77コマ目は、医療機関における心理職の配置と支援ということで、調査によれば、心理職は、医療機関のうち、精神科、心療内科の次に、小児科にも所属しているという実態がありまして、支援内容としては、その右にありますように、心理カウンセリング等の面接を行っているという回答も多く見られているという状況でございます。
78コマ目でございますが、小児科領域での通院の受診理由を示したものでございまして、第1ラウンドでもこの表をもとに御議論いただきまして、特に、5~9歳、10~14歳以上において、その他の精神及び行動の障害ということでの通院理由が非常に多いということについて議論をいただきました。
79コマ目でございますが、20歳未満の精神疾患の患者の数が非常に増加していることにつきましても、御提示させていただいたところでございます。
80コマ目でございます。患者調査等で出したものでございますが、発達障害者の人数についても非常に増加をしていることがわかるかと思います。
81コマ目でございます。小児の精神疾患に係る診療報酬上の評価と算定の状況でございます。小児の精神疾患に係る診療報酬の評価として小児特定疾患カウンセリング料という項目がございまして、前回の改定時に、これまで小児科の医師のみが対象とされていたところを心療内科医も算定可能となり、また、対象患者の年齢と拡大が行われまして、その算定回数がふえておるところでございます。
82コマ目でございます。ここからは、精神疾患を有するハイリスク妊産婦への対応についてということでございます。平成28年度改定においては、精神疾患を有する妊産婦についてもハイリスクの対象として拡大をされております。
83コマ目は、平成30年の改定でございます。新たに精神疾患を合併した妊産婦に対して、産科、精神科及び自治体の多職種が連携して行う外来の診療の評価を新設したところでございます。
84コマ目でございます。これはハイリスク分娩管理加算でございまして、この加算は入院中のハイリスク妊産婦について分娩後の産科と他科の連携管理を評価する加算になっておりまして、現在はこれは精神病棟ではとれない点数になっておるところでございます。ただ、例えば、提示している例示のように、精神疾患が重症であるために精神病棟で産褥期の管理がなされる必要のあるハイリスク産褥婦の事例もあるということでございます。しかしながら、現在のところは、精神科病棟での加算の算定はできないという状況にあるということでございます。
85コマ目でございます。このハイリスク妊産婦連携指導料について、平成30年度にできた点数でございますが、先ほど御紹介させていただきましたが、精神疾患を合併したハイリスク妊産婦に対して、産科、精神科及び自治体職員が連携して外来診療を行う場合に評価しているということでございまして、算定要件をそこに示しておりますが、下から3段目を見ていただきますと、市町村との連携をやらなければいけないということで、市町村の職員も入れた多職種のカンファレンスがおおむね2カ月に1回程度の頻度で開催されるという要件がはまっておるということでございます。これの算定回数も現在月に指導料1で108回、2で72回となっておりまして、かなり厳しい要件がネックになっていることがわかるかと思います。
86コマ目以降につきましては、依存症対策について整理をさせていただきました。
87コマ目をごらんいただきたいと思います。依存症の患者につきまして整理をさせていただいておりまして、アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症について整理をさせていただいておりまして、特にギャンブル依存症につきましては、近年、少しずつ患者数が増加していることがわかるかと思います。
88コマ目でございます。ギャンブル等依存症対策基本法が成立しまして、施行されております。平成30年10月5日から施行されたということでございます。その定義といたしまして、ギャンブル等には、公営競技、パチンコに係る遊技その他の射幸行為が含まれることになっております。
89コマ目を見ていただきますと、このギャンブル依存症に係る診療の実績ということでまとめたものでございます。ギャンブル依存症につきましても、最後の下段でございますけれども、年々診療の実績もふえておりまして、対応できる医療機関数もふえまして、また、入院患者、外来患者もふえてきていることがわかるかと思います。
90コマ目でございます。これは、ギャンブル依存症に関する相談拠点及び専門の医療機関も全国で設置しておりまして、現在、相談拠点を42自治体、専門医療機関を24自治体で設置をしておりまして、今年度内に相談拠点を50自治体、専門医療機関を42自治体で設置していただく予定となっておるということでございます。
91コマ目は、その依存症の治療への評価として、現在、薬物依存症を対象としました依存症集団療法があります。
92コマ目でございますが、AMEDで開発されましたギャンブル依存症への集団治療プログラムにつきまして、この全国35の治療施設で比較試験を実施したところ、効果が認められたということで御報告いただいたところでございます。
93コマ目に、これらを受けまして論点の整理をさせていただいております。1つ目、児童・思春期の患者に対して公認心理師がカウンセリングを行った場合の評価のあり方について、どのように考えるか。2つ目、ハイリスク分娩管理加算及びハイリスク妊産婦連携指導料について、ハイリスク妊産婦に対する診療の実態等を踏まえ、算定要件等の見直しを行うこととしてはどうか。ギャンブル依存症に対する効果的な治療法に係る評価について、どのように考えるかという3点でまとめさせていただいております。
94コマ目以降は、「2.認知症等について」ということで、認知症とせん妄への対策ということで整理をさせていただきました。
95コマ目以降でございますが、高齢になるほど認知症の有病率が増加をしております。
96コマ目は、認知症施策の総合的な推進が図られているということでございます。
97コマ目は、本年に取りまとめられた認知症施策推進大綱を御紹介させていただいております。
98コマ目から100コマ目までの3コマでございますが、平成30年度改定で認知症サポート指導料や認知症療養指導料などが新設されておるということの御紹介でございます。
101コマ目でございます。認知症ケア加算の算定状況と要件をここに示しておるところでございます。届け出医療機関数は全体で3,300でございますけれども、認知症ケア加算1は517と余り伸びていないという状況です。算定件数も、年間、伸びてきてはおります。ただ、そこにありますように、要件を見ていただきますと、赤で書いてありますように、1については、認知症患者の診療に十分な経験を有する専任の常勤医師が求められているという厳しい要件がかかっているということでございます。
102コマでございますが、認知症ケア加算1については、急性期一般入院料1や特定機能病院、病床規模の大きい病院での届け出が多い状況でございます。
103コマ目でございますが、認知症ケア加算1を届け出ていない理由で最も多いことは、先ほどありましたように、認知症ケアチームの要件でございます精神科または神経内科の経験を5年以上有する専任の常勤医師の確保でございました。
104コマ目でございます。急性期の一般入院料1で認知症ケア加算1を届け出ていない理由を見ると、認知症ケア加算1・2ともに届け出ていない施設よりも、認知症ケア加算2を届け出ている施設のほうが、医師に関する要件を挙げた割合が多かったということがわかります。
105コマ目でございますけれども、その認知症ケア加算を届け出ていない施設においては取り組みをやっていないのかということでございますが、そこの認知症ケア加算を届け出ていない施設においても、その認知症患者に対する対策をお尋ねしておりまして、その届け出ていない施設にあっても、そこにありますように、認知症の症状を考慮して、適切な環境調整やコミュニケーション方法を考えた看護計画を作成するとか、認知症症状を考慮したケアを実施・評価するといったこと、また、病棟の看護師に対しての研修や事例等を検討して実施するといった取り組みも実施しているという医療機関がかなりあったということで、御報告させていただきます。
106コマ目でございますが、現在の認知症ケア加算2では、認知症に関する専門性の高い看護師の配置は要件とされていませんけれども、急性期一般入院料1や特定機能病院では、3割以上の施設で、この専門性の高い看護師が配置されております。また、その専門性の高い看護師を配置している施設では、配置していない施設と比べまして、身体的拘束を実施した患者や日数の割合が低いという報告をいただいておるところでございます。
107ページ以降については、せん妄の状態の患者さんについて取り上げております。まず、入院医療の調査で、認知症の患者とせん妄患者の割合を見ますと、認知症は急性期の病棟よりも療養の病棟で割合が多いという状況に対しまして、せん妄については、入院料によらずおおむね1割程度ということがわかります。
108コマ目でございますけれども、せん妄については、疾患の状態等、さまざまな要因が危険因子となって発症し、死亡率の上昇など、多くの有害事象と関連することが知られております。
109コマ目でございますが、せん妄の治療についてでございます。せん妄を発症した場合の治療は、通常、非薬物療法が推奨されておりまして、薬物療法は激しい行動症状の管理などに限って用いることが推奨されております。
110コマ目、ここではせん妄の予防についてお示ししております。せん妄は適切な取り組みによって予防可能な状態でございまして、取り組みとしては、特にリスク因子のスクリーニングと評価に基づいた多要素介入を入院後早期に行うことが有効とされております。
111コマ目でございますが、具体的な取り組みの事例をお示ししておりまして、せん妄予防プログラムを見ますと、段階が発症前の予防と発症後の対応に分かれておりまして、どちらも右の図のようなアセスメントシートに基づいて対応していることとされております。
112コマ目ですが、実際の取り組みはどうかということで調査の結果をそこにお示ししております。そうしますと、せん妄予防の取り組みの状況でございますが、急性期一般入院料1や集中治療室の約7~8割でこのせん妄の取り組みが行われております。一方、取り組みを行っているタイミングでございますと、「入院時又は入院後早期に一律に行っている」ということと「せん妄を疑う際に行っている」ものがおおむね半分ずつという結果でございました。
113コマ目でございますが、せん妄予防の取り組みを実施している職種を見ますと、いずれの入院料についても看護師の割合が高く、次いで医師の割合が高いという状況でございます。
114コマ目を見ていただきますと、せん妄予防の取り組みにおいては、チェックリストの活用も見てみますと、活用している割合は、集中治療室で高いということでございますが、その他の入院医療についてはばらつきが見られております。また、活用しているチェックリストの種類を見ますと、集中治療室では関係学会によるチェックリストの使用が最も多く、その他では病院独自で作成したものが多いという状況でございました。
115コマ目でございますが、リスクのある患者への予防的介入の有無を見ますと、多くの入院料で介入ありの割合が高く、その種類は非薬物療法を中心としておりました。
116コマ目でございますが、非薬物療法の内容を見ますと、「見当識の確認」や「離床の促進」は比較的高い割合で実施されておりますが、専門のリスクとなる薬剤の中止などの実施が少ない状況にございました。
117コマ目でございますが、せん妄予防の取り組みを行っていない理由を見ますと、回答をばらついておりましたが、一部に「その他」として「必要性は感じているが、取組を行う体制やマニュアルが整っていない」という回答をいただいております。
これらを受けまして、118コマ目でございます論点を整理しております。1つ目、認知症ケア加算について、要件を満たす専任の常勤医師の配置が困難であるような現状を踏まえて、加算1の医師に係る要件を緩和してはどうか。また、認知症に関する専門性の高い看護師の配置による効果の実態を踏まえ、より質の高い認知症ケアを提供する観点から、現行の加算2の要件に、専門性の高い看護師の配置に係る要件の追加を検討してはどうか。この場合、現行の加算2のあり方についてどのように考えるか。2つ目ですが、せん妄の発症はさまざまな有害事象と関連することから、適切な予防の取り組みを推進することは重要と考えられます。現在、医療機関におけるせん妄予防の取り組みは一定程度実施されていますが、介入のタイミングや取り組み内容は医療機関によって差があることを踏まえて、標準的な取り組みを行う体制を評価することについてどのように考えるかということでまとめさせていただきました。
最後、119コマ目以降ですが、「3.明細書無料発行について」をまとめております。
明細書の無料発行の経緯につきまして、120コマ目、121コマ目でまとめて整理をさせていただいております。
122コマ目が、明細書の無料発行の現状ということで整理をさせていただいております。現在、病院、診療所、保険薬局で無料発行の義務がございまして、その中で診療所に免除規定がつくられております。また、自己負担のある患者については求められたときに交付することで足りる、自己負担のない患者には交付を許さないという取り扱いが、現在、異なっているということでございます。
123コマ目は、正当な理由に該当し明細書の無料発行をしていない施設の状況についてでございます。これは正当な理由に該当するとして届け出を行っている施設の状況を経年であらわしたものでございまして、平成27年で4,107施設でございましたが、届け出施設は平成30年の時点では552施設まで減少しているというところでございます。また、自己負担の有無で取り扱いに差がある施設は、医科で3施設、歯科で5施設となっておるということでございます。
124コマ目は、明細書の発行状況について、平成30年度診療報酬改定の検証調査の結果を示したものでございまして、発行状況について、医科・歯科ともに「原則として全患者に無料で発行している」が最も多く、それは自己負担の有無にかかわらず同様の傾向と見られております。
125コマ目でございます。明細書の認知度と明細書に対する考えについて、これも先ほどと同様に検証結果を示したものでございまして、明細書の原則無料発行に対する考えについて尋ねたところ、「必要だと思う」または「どちらかというと必要だと思う」を選択した患者では、医科で8割以上、歯科で7割弱であるということでございます。
126コマ目でございますが、明細書以外に、患者の相談に対応する取り組みを紹介しております。患者サポート体制充実加算は、相談支援窓口を設置いたしまして、医学的な質問、並びに、生活上、入院上の不安など、患者からの相談の幅広く対応できる支援体制を評価したものでございます。
127コマ目は、多くの医療機関において、当該加算の届け出の有無にかかわらず、外来患者からの相談にも対応しているという状況をお示ししたものでございます。
これらを受けまして、128コマ目に論点の整理をさせていただいております。1つ目、患者から見てわかりやすい医療を実現する観点から、明細書の無料発行をしていない施設が数少なくなっている現状を踏まえて、診療所における明細書無料発行の免除規定について、どう考えるか。2つ目が、自己負担の有無で明細書発行の取り扱いが異なっていることについて、どのように考えるか。3つ目ですが、患者にわかりやすく診療内容を伝えるため、明細書以外にどのような方策が考えられるか。3点で整理をさせていただきました。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
以下では、2つのパートに分けて議論してまいりたいと思います。
まず初めに、93ページまでの精神医療にかかわる部分の説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
まず、57ページ目の論点でございます。
1つ目の論点についてです。精神科救急入院料は、施設基準を病棟ごとに満たす必要があるのか、それとも病院全体で満たせばよいのかについて現場で混乱が生じているようなので、明確化が必要と考えます。また、精神科救急入院料の病床数の経過措置につきまして、あわせて整理することが必要かと考えます。
2つ目の論点ですが、クロザピンにつきましては、入院で投与し、18週までは原則として入院が必要とされています。一方で、急性期治療病棟では、3カ月以内、12週以内の在宅移行率が要件となっています。クロザピンの患者さんにつきましては、この在宅移行率の算定対象から除外するなどの見直しを行い、諸外国と比較し、使用が進んでいない我が国においてもクロザピンの利用が進むようにすべきと考えます。クロザピンの薬剤料、児童・思春期精神科入院医療管理料の包括範囲から除外することも賛成です。また、現場からですけれども、患者モニタリングサービスにおける血液検査も除外項目とすべきという意見がありますので、御検討いただければと思います。
3つ目の論点ですが、地域移行機能強化病棟入院料は、来年の3月末までとなっていますが、届け出たことがある医療機関へのヒアリング等においても、地域の施設との連携が深まり、積極的な退院支援が実施できたとの意見もあります。関連する他の計画との整合性も考慮しながらですが、延長すべきと考えます。あわせて、より地域移行につながるように、算定要件についても必要な見直しをすべきと考えます。
4つ目ですが、精神病床の患者さんもその他の疾患を抱えるケースもふえておりますことから、それらの患者さんに必要な医療が提供されるような必要な見直しはあるべきと考えます。
72ページ目です。
1つ目の論点について、精神科において、入院医療から外来医療への移行に対する評価は重要でありますが、地域に移行できる受け皿が必要かと思います。この両面から対応する必要があると考えます。入退院支援加算は一般病棟及び療養病棟の入退院支援を実施した場合の評価でありますが、精神科ではこれが算定できません。精神科病院の入退院支援の評価は、精神科措置入院退院支援加算のみですが、対象患者は措置入院患者さんだけであり、この対象を広げることが必要と考えます。
2つ目について、精神科在宅患者支援管理料は、平成26年度改定において入退院を繰り返すような症状が不安定な患者さんであっても、地域に移行し、地域定着できるような取り組みを推進する観点から創設されました。しかしながら、その要件等が厳しかったために余り算定されていなかったことから、前回改定で要件見直しを行っております。その結果ですが、要件を見直した項目については、一定の算定回数とはなりましたが、本来の趣旨に鑑みれば、特にサポートが必要な患者さんに適切な在宅支援が行われるよう、対象者を見直すべきと考えます。また、連絡体制や往診、訪問看護師の体制につきましても、医療機関にとって過度の負担にならない範囲において、一定の要件が必要ではないかと思います。
最後、93ページ目の論点です。
現代社会において、心の健康の問題への対応は重要な課題であると思います。平成29年9月から公認心理師制度がスタートをしており、医療の中での活躍の場が期待されますことから、1つ目の論点については評価することに賛成いたします。
2つ目については、産科と精神科が連携して診療を行っている精神病床であっても算定できない矛盾がありますので、算定できるように見直しを行うべきと考えますし、85ページにハイリスク妊産婦連携指導料の要件が示されておりますが、多職種カンファレンスの開催が市町村等の担当者を加えたものとなっています。なかなかハードルが高い要件で、里帰り出産など市町村の担当者が遠距離の場合が多々ありますので、市町村の担当者はきちんと連携して情報共有ができればよいと考えますので、要件緩和が必要と思います。なお、リスクの高い妊産婦管理における精神科医との連携という意味では、精神科医が一般病棟等に回診した場合の評価も御検討いただきたいと思います。
3つ目の論点ですが、ギャンブル依存症は、国際的な診断基準であるDSMではギャンブル障害と呼ばれています。ギャンブル障害は、ギャンブルへの病的な執着のために、自己のギャンブル行動を制御できず、治療的アプローチがなければ、ギャンブルへの強い欲求が再燃し、やめ続けることが困難な状態です。このため、経済的な困窮、離婚、親子の不和、窃盗や横領などの犯罪、自殺企図など、個人的、家庭的、また、社会的な問題を引き起こすことが知られております。経済的に追い詰められるため、鬱や不安の症状を呈してまいります。効果的な治療法について評価すべきと考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょうか。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
まず、57ページの論点です。
1点目の上限を設けることについては、現状が地域移行の方向性と逆行しているという現状を踏まえて、厳格化する見直しを行うべきということで賛同いたします。
2点目は、判断しかねるところがあるので御質問したいのですが、急性期治療病棟入院料1のうち、3カ月以内に60%の在宅移行率が厳しいので医師配置加算を見直したいということですが、まず、入院料1をとっている中で医師配置加算をとっている医療機関がどれぐらいのパーセンテージであるのかということをお示しいただきたいという質問です。薬剤料の包括化については、特に異論はございません。
3つ目の○についても、経過措置についてはやむを得ないかなというところです。
4つ目についても、判断しかねるのですが、精神病棟におけるリハビリの必要性の割合が資料として出されているのですが、どれぐらいの実施率があるのか、これは多分包括から出来高にという見直しを御提案されようとしているのですが、実際、精神病棟においてどれぐらいの割合の患者がリハビリをされているのかということについて質問させていただきます。
72ページの論点についての退院支援の新設については、特に異論はございません。
2つ目の○については、在宅のイとロについては、働き方の観点からも多少緩和することはやむを得ないかなと思います。ハについては、基準があってないようなものなので、もっと厳格化すべきと思います。
93ページ目の論点の算定要件を見直すことについては、特に異論はございません。
3点目のギャンブル依存症については、反対でございます。ギャンブル依存症には、薬物依存症やアルコール依存症と同一には考えられないと思います。これは、行動嗜好ですので、物質依存で健康被害が生じるアルコール依存症や薬物依存症とは医療の必要性から意味合いが異なると感じていまして、改善が見られたということなのですけれども、これはアメリカの調査であって日本における調査はないのかということをまずは示していただきたい。アメリカにはパチンコ屋などはなくて、日本とちょっと違うと思うのですけれども、ここで有意性が見られたからといって日本でも本当に有意性が見られるのかという調査が行われたかどうか。その資料があるのか。もし有意性が見られたということがあっても、これを公的保険でやるというのはちょっと違うのではないかということを提案させていただきます。もしこれに公的保険を利用するということになると、さらに拡大されて、今、依存症はギャンブル依存症だけではなくてスマホの依存とか子供のゲーム依存とかといろいろあるわけで、そういったものにも全て公的保険を利用するのかということにつながりかねませんので、薬物依存とか、アルコール依存、ニコチン依存とはちょっと医療的な考え方が違うと思うので、こういうことに拡大することについては反対させていただきます。
幾つか質問した回答をいただきたいと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
まず、急性期治療病棟の医師配置加算をとっている状況ですが、39コマ目をごらんいただきたいと思います。39コマ目の図の中に「届出医療機関数」と「※うち、加算届出」が灰色でかかった枠の中に書いてあるかと思います。急性期治療病棟1は、届け出医療機関数が350でございまして、うち、加算届け出を行っているものが126となっております。
リハビリの状況ということなのですが、私どもがここで示しているのは、リハビリ等の処置が必要な患者さんの割合ということでそこに示しておりますけれども、実際、どのような形で行われているかということなので、包括病棟ですので、調査を現在は行っておりませんので数字とか詳しいことはわかりませんが、実際には、後遺症があるような患者さんに対して、看護師さん、施設の大手さん等が簡易なリハビリをしているということについて個別に伺っているという状況でございます。
質問については、以上かと思います。
○田辺会長
事務局、よろしくお願いいたします。
○社会・援護局障害保健福祉部依存症対策推進室長
ギャンブル依存症について御質問がありました。
依存症対策推進室の石塚と申します。
御指摘のとおり、依存症につきましては、物質のものと行動のものが分かれているということではあるのですけれども、最近のWHOのICD-11の中では、物質使用及び嗜癖行動による障害ということで、脳の疾患ということで同じグループに位置づけられたりしているということでございます。原因につきましても、ギャンブルとかアルコールについては脳の変容に伴うものという理解が国際的にも進んでいるところでございますので、そういう点も少し考慮していく必要があるのかなと思っております。
日本の研究ということなのですが、海外の研究などの話がありましたけれども、92ページのギャンブル依存症に対する効果につきましては、国内の35の医療機関の協力を得まして実施したところ、こういった結果を得られたということでございます。世界的には、国際的にアメリカとかオーストラリアとかの研究がかなり多いのですけれども、こちらについては日本の研究ということで補足させていただきます。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
先ほどの医師配置加算の要件緩和については、6割以上を3カ月以内に自宅移行というものが厳しいから要件緩和するということですが、急性期治療病棟入院料1の要件に4割以上が3カ月以内に自宅に移行という要件が入っていて、この医師配置加算はさらに付加価値を高めて6割以上を3カ月以内ということで、これを評価しているということなのですけれども、この要件をもし緩和するということであれば、入院料1のとっている医療機関のほとんどがこの加算がとれるのではないかということを懸念していまして、地域移行をどんどん進めているところをさらに評価するという意味では、この差をつけておくべきだと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
実際、ここで御紹介いたしましたのは、クロザピンとかLAIなど、入院して用いる際、どうしてもその入院期間が長くなるということで、これらは基本的には外来に向けて入院中にそういう形で薬を投与して、安定すれば外来に移行するということを目的として基本的には使われております。
私どもの提案している在宅移行とか、そういうものに関して、基本的にはそういうことに配慮した形で、例えば、同じ数値であったとしても、こういう患者さんについての一定の部分については認めるとか、いろいろなやり方があるとは思っております。要件を一方的に緩めるとか、そういうことでの御提案ではないつもりでございます。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
93ページの論点の3つ目、ギャンブル依存症について、事務局から、背景や、92ページのプログラムのお話がありました。3点目の論点の効果的な治療法に関わる評価は、方向性はその通りであり、効果的な治療法をしっかりと要件設定できるならば、評価していく方向性は理解します。しかしながら、果たして92ページにお示しいただいた187名のプログラムの有意性が見られただけで、効果のある標準的なプログラムとしていいのかどうかについては甚だ疑問であり、診療報酬上の評価につなげていくには、外国での様々な治療法や、集団的に取り組んでいる方法なども含めて、データ実績と併せて評価を進めていく必要があるのではないかと思います。ここで事務局へ質問ですが、91ページの依存症集団療法の算定状況が増えているというのは、薬物依存症に係る集団療法の内容ですよね。
○森光医療課長
はい。そのとおりでございます。
○吉森委員
薬物依存の集団療法の評価が、ギャンブル依存症に対する集団療法に使えるものがあるという意味で載せていないのかどうか、何か参考となることがあるのかどうか、あれば教えていただければと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
現在、精神科における依存症の集団療法は、こういう薬物依存症に対する集団療法が認められているのみでございまして、そこで参考としてつけさせていただきました。集団療法につきまして、例えば、イメージとしては、そこにあります算定要件のところに、医師または医師の指示を受けた看護師・精神保健福祉士で構成される2人以上の従事者が実施した場合に、6カ月以内に限り、週1回を限度として算定するということで、これは薬物依存症のそういうプログラムに応じた形でこの算定要件をつけておりますので、ギャンブル依存症についてはまた別の要件をつける可能性はありますけれども、例えば、こういう算定のイメージがありますということでおつけさせていただいたものでございます。
○田辺会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
枠組みを考えるに当たり参考になるのは理解しましたが、ギャンブル依存症に対するプログラムをどのように構築し評価するかについては、もう少し、色々な資料、データを集めて議論を深めていき、評価に結びつけていくというステップが必要と考えます。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
大変細かい質問で恐縮ですけれども、事務局に教えていただきたいのですけれども、クロザピンの患者モニタリングサービスのことですけれども、これは処方医と血液検査を行う医師は、同一医師なのか。あるいは、同一医療機関の中の医師でなければならないという前提がついているのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
この同一医師でなければいけないかということについては決まってはおりませんけれども、その医療機関が責任を持って、クロザピンを処方すると同時に、この血液検査を行って結果をそのサービスに登録するということがそういう医療機関には求められております。
○今村委員
そういうルールなので、それはそれでしようがないのかなとも思いますけれども、例えば、原疾患そのものは基本的に外来に通院できる状態になっているときにはかなり落ちついているということがあるのだとすれば、もともと精神障害の方の地域包括ケアという観点からも、例えば、患者さんからすると、精神病院まで通院するときの距離的な問題とか、さまざまな課題がある中で、例えば、連携のとれているかかりつけ医が採血だけをする、その情報を共有するという仕組みではまずいのかどうかということがちょっとあります。
例えば、特別な検査をしているわけではなくて、これは末梢血の顆粒球の有無とヘモグロビンA1cだけを調べるという形ですよね。そうであれば、通常の連携のしっかりとれている医師であれば検査そのものは問題ないのかなとも思いますけれども、その辺はいかがなのでしょうか。
○田辺会長
お願いいたします。
○社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長
精神・障害保健課長の佐々木よりお答えいたします。
結論から申し上げますと、医療機関の連携がとれていればいいとなっています。すなわち、血液内科とか、副作用として糖尿のこともございますので、そういった医療機関ないしは医師と連携をとられていることが大事でございます。自己の医療機関で完結しなければならないということではない。そのような形に、CPMS、クロザリル患者モニタリングサービスは構築されてございます。
○今村委員
ありがとうございます。
非常に大事なことだと思っていまして、今、血液内科とおっしゃいましたけれども、末梢血の検査で顆粒球の有無を調べるなどということは通常の内科の医師だったら誰でもわかることであります。ただ、この薬がどういう特性を持っているのかとか、そういうことについての理解とか、地域の精神科の専門病院と地域の医療機関内のしっかりとした連携がとれていれば、もう少し患者さんの利便性を考えて行うことができるのではないかと。
一つ、これも先ほど話題になった訪問看護ステーションの医療行為の中で、採血という医療行為については、1%以下、ほとんど実施されていない。例えば、在宅で見ているこういった統合失調症の患者さんで、落ちついている状態にあってクロザピンを使用しているといった場合に、その精神科の病院の医師からのきちんとした指示に基づいて、例えば、採血して、その検体を病院に持っていくということも、これは物理的には可能なのではないかと思っていますので、クロザピンの使用量が日本は極端に少ないということで、もう少し普及について仕組みを考えていただきたい。例えば、病院が地域の先生やそういった医療機関に研修をして、それを理解してもらうという取り組みも評価するということができればいいのではないかと思っています。
○田辺会長
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
まず、57ページですが、精神病床からの地域移行・地域定着支援はとても大事なことだと考えております。その上で、重度の患者さんと在宅移行率の関係ががどうなっているでしょうか。重度の患者さんが在宅移行率のために精神病床に入りづらくなっているといったことがないか、分析と把握は必要ではないかと思っております。
72ページの精神科在宅患者支援管理料の算定要件にカンファレンスが入っております。うち月1回は保健所または精神保健福祉センターと協働して会議を開催することとなっております。カンファレンスの必要性については言うまでもありませんけれども、協働する相手である保健所や精神保健福祉センター等も、さまざまな相談支援を行っていて業務に追われているという状況もあります。そういった状況を踏まえた検討、メリハリをつけた見直しが必要ではないかと考えております。
93ページ、公認心理師の活躍が期待されているところでありますが、もともと、看護師など、いろいろな資格を持っていらっしゃって、公認心理師を受けて合格しているという方もいらっしゃいます。要するに、公認心理師として専門的にやる方がどれだけふえたのかという純増といったところの分析は必要ではないかと考えております。
カウンセリングの有効性は認められており、症状の改善、向精神薬の減薬に寄与できると考えております。その一方で、地方では、カウンセリングを受けられる環境が十分に整っていない、普及していない地域もあると思われます。そういったことも踏まえての検討が必要と考えております。
次に、ハイリスク妊産婦については適切な連携が必要でありますが、ここでも多職種カンファレンスがどうしてもハードルになっていると考えております。カンファレンスの必要性は言うまでもありませんが、市町村等の担当が抱える業務の状況等も踏まえて検討が必要ではないかと考えております。
最後に、ギャンブル依存症の改善について、視点ということで述べさせていただきます。依存してしまって生活が荒れ、何か疾病があっても適切な時期に受診せず、かえって医療費がかさんだり、生活保護の申請・受給に至る場合や生活困窮者自立支援などでの行政コストといったものもあると考えますので、そうしたことも考慮しながら検討する視点はあると考えます。
以上です。
○田辺会長
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
地域移行に関して少しコメントをさせていただきたいのですが、入院医療から外来医療、地域移行という流れは非常に精神科の診療にとって重要な流れなわけですが、先ほど松本委員もおっしゃったように、まず、その受け皿の整備、要するに、その地域の精神医療資源の整備が必要になるわけですが、もう一つ、受け皿は地域そのものがあるわけですね。平成16年に精神科医療のグランドデザインというものが出たわけですが、その当時も3本柱の一つに国民の理解の深化があったのですが、果たしていわゆる統合失調症等に関して本当に国民の理解の深化が進んでいるのかどうかということは極めて疑問視されるところです。
そういう意味においては、例えば、59ページの地域包括ケアの構築というところがございますが、こういうところにおいて、地域の役割がここに書いてあるのですけれども、実際は、例えば、退院をするに当たって、医療関係者、行政とのカンファレンスは現在も規定の中にあったりするわけですが、本来はここに地域の代表である自治会とか地域の人の役割がここに入らないと移行しても患者さんは定着できない。そうすると、またもとに戻るということになりますから、そういう視点が必要なのですね。ただ、カンファレンス等の要件に自治会等の参加を組み入れることは無理ですので、何らかの違う方向で、これは非常に重要な視点でございますので、お願いしたいと思います。
80ページ、公認心理師のところとはちょっと違うのですが、基本的に発達障害は20歳以前の人の施策が今は中心になっておりますが、このグラフを見ていただいても、19歳や20歳以上の人も非常に多くなっているのですね。これは診断の概念も広がっているということになろうかと思いますけれども、ここに対しての制度の充実と、いわゆる成人期の発達障害をしっかりと診断できる専門医の養成も必要ということを考えております。
最後に質問なのですけれども、先ほどから出ておりますクロザピンです。この44コマ目を見ますと、日本での使用量が非常に少ない。確かに使用の要件が厳格化されているということはあるわけですが、それにしても諸外国に比べるとその使用量は余りにも少ないということで、この諸外国の使用に関しての要件は日本と同じなのでしょうか。それとも、要するに、何らかの違いがあるのでしょうか。その点だけお教えください。
○田辺会長
事務局、よろしくお願いいたします。
○社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長
精神・障害保健課です。
幾つか御指摘いただきましたけれども、まず、地域移行・地域包括ケアシステムの構築につきましては、御指摘のとおり、しっかり地域において体制を確保して移行を進めることが大事でございますし、あわせて、その地域の方々にいわゆる差別・偏見のないような、解消していくような普及啓発を進めていくことが大事だと思っていまして、後者につきましては、本年度、全国的にも各地域においても予算をつけまして事業を進めているところでございます。
また、地域包括ケアシステムの参加の中で、自治会の関係者についても御指摘いただいておりますけれども、59コマ目のスライドは大変ビジーでございまして、下のほうに自治会というものを書かせていただきまして、実際、協議の場の中では民生委員の方が参加されているという実態もあるようでございます。ただ、いずれにしましても、いただいた御指摘を踏まえまして、しっかりその体制への参画を各関係自治体に呼びかけてまいりたいと思っております。
クロザピンの諸外国との対比でございますけれども、日本と全く同じということではございません。日本においては、治療抵抗性の精神疾患ということで限られているということ、あと、長期にわたる中でモニタリングの頻度が変わってくる。いわゆる採血の検査間隔でございますけれども、そういったものが日本の場合はやや厳しいのかなといった点もあるかと思っています。
もう一点、糖尿病患者への処方については、日本は原則禁忌となってございますけれども、アメリカ、イギリス、オーストラリア等、諸外国におきましては、禁忌ではないと許されている点も相違点でございます。
以上でございます。
○田辺会長
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
全体的な会議等においての自治会の参加はわかるわけですが、個別の例に関しての何らかの地域の方の関与必要になってくると思いますので、その仕組み等もしっかりと検討していただきたいと思います。それと、クロザピンに関しては要件が違うようですので、日本の要件は患者さんに対しての安全性を担保するという意味においては非常にしっかりとしたものであろうと思いますし、要件を今回は少し緩和していただいて現場が使いやすいようにしていただければ、非常に有効な薬剤であると聞き及んでおりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
ハイリスク分娩管理加算のことで、84ページにあるハイリスク分娩管理加算が、1日につき3,200点となっていて、算定回数が月に2万3987回ということは、年間でいうとざっと28万回ということになると思うのですけれども、これは1人当たりで実際に何日ぐらい算定されるのかということと、算定回数から考えると人数は何人ぐらいが算定されているかというのは、データとして出ていますか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
このハイリスク分娩管理加算でございますが、1分娩に当たりまして8日間算定できることになっております。それを全部算定しているかどうかは不明ではございますが、ただ、このハイリスクということで分娩された方でございますので、通常の妊娠後の入院期間よりも少し長目に恐らく入院されていることを考えると、ほぼ8日全部をとられている可能性はあると考えております。約3,000人ぐらいだと思われます。
○田辺会長
間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
よくわかっていないので教えてほしいのですけれども、ハイリスク分娩管理加算を加算されている人は、いわゆる出産育児一時金をそこからはとられていないということなのですかね。要するに、自由診療の域ではないということなのですかね。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
出産一時金とは全く別でございまして、あれは出産に伴って保険組合から出されるものでございまして、これはハイリスク分娩となって治療が必要ということになっています。基本的には、この分娩実施に関しては保険医療の中で見られるものでございます。全く別の制度と考えていただければいいと思います。
○田辺会長
間宮委員、お願いします。
○間宮委員
本当にわかっていないのであれなのですけれども、別の制度とはいえ、同じ医療機関の中で、自由診療と保険の診療があるということで、結局、これは混合診療ということになるのかなと思うのですけれども、これは混合診療でいけないのではないかと私の少ない知識の中ではあるのですけれども、このあたりはどうなっているのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
要するに、これは治療が必要な状態になった段階で全て保険診療に切りかわっております。要するに、混合診療とはなっておりません。
○田辺会長
どうぞ。
○間宮委員
どう理解したらいいのかわからないのですけれども、治療が必要になった場合は、出産育児一時金からの分は、医療機関に直接払われないで、被保険者に対して支給されるという理解ですか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
出産一時金とは全く別と考えていただければと思います。基本的には、これは保険診療で、帝王切開とか、より治療が必要になった段階で保険診療に全部移行しますので、混合診療とは全く関係がありません。出産一時金は出産一時金として、その制度にのっとって1出産当たりに支給される仕組みになっておりますので、御理解いただければと思います。
○田辺会長
どうぞ。
○間宮委員
わかりました。
でも、リスクのある妊産婦の方が多いということを考えると、出産も将来的には保険適用とするべきなのではないかと私は思いましたので、そういうふうに発言させていただきます。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
よろしゅうございますでしょうか。
それでは、残りの最後のページまででございます。認知症と明細書にかかわる項目に、御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
118ページの論点でございます。
1つ目についてです。現行の認知症ケア加算1は要件が厳しくてなかなか算定できない一方で、現場では加算2でも施設基準を超えて専門性の高い看護師を配置していたり、あるいは、加算1あるいは2を届け出ていなくても、認知症ケアに関するさまざまな取り組みがなされているという調査結果が示されました。つまり、現行の評価は少し大ざっぱであって、そのすき間に落ちてしまっているような現場の取り組み、つまり、1と2の間にあるようなところとか、そういったところが評価されておりませんので、もう少し現場の実情に合った評価体系に再編してはどうかと考えます。
2つ目についてですが、せん妄予防の重要性に鑑みて、各医療機関で取り組みが実践されておりますけれども、実際には標準化されていないのが現状でありますので、国としてエビデンスに基づき標準的な取り組みを示すことは大変大切なことであると考えます。
続きまして、128ページの論点です。
123ページによれば、正当な理由に該当するため、明細書の無料発行をしていない施設は、平成30年度の診療所総数17万523施設のうち552施設になって、かなり減ってきております。割合でいうと0.3%になろうかと思いますが、この0.3%の診療所をどう考えるかということです。0.3%まで減ったから例外として救済する必要はないということではなくて、0.3%だからこそ例外的な救済を継続すべきであると考えます。なぜなら、明細書の無料発行は療養担当規則に位置づけられております。つまり、それを満たせなかった場合は、点数が算定できないということではなくて、最悪の場合ですけれども、療担違反によって保険医療機関の指定取り消しになることを意味いたします。恐らく現行の免除規定の対象になっている診療所は、患者さんの人数も少なく、また、患者さん1人当たりの請求金額もそう多くはないと思いますので、こうした診療所に明細書の無料発行を義務づけることとそのコストは、レセコンの買いかえ等による金銭的なコストはもちろんありますけれども、結局、過疎地で、非常に高齢な医師、例えば90歳ぐらいで、その地域の数百人の住民の方々を医療を行って守っているような、そういった医師にこういった要件を全部課していくことによって廃業してしまわないといけないような場合になることを考えると、その地域の医療提供体制に対する社会的なコストも含めて考えると、そのごく少数の医療機関を対象とした現在の免除規定を縮小していくことは余り意味がないことではないかと思います。
2つ目の論点は、生活保護などの自己負担のない患者さんの話と理解いたしますが、物理的に交付できないという状況でなければ、すなわち、明細書発行機能が付与されていないレセコンを使っていたり、自動入金機の改修が必要な場合は、求められたときに交付することでよいと思います。
最後の3つ目の論点については、基本的に患者さんにわかりやすく診療内容を伝えることの重要性は理解しております。例えば、明細書の内容につきましても、医療機関の患者さんに説明しなければならないとしますと、現場にはかなりの時間と場合によっては人件費についてもかなりの負担を強いることになることのように思います。明細書の説明となりますと、そもそも明細書の中の診療報酬体系の中身が非常にわかりにくくなっているような現状の中で、診療期間が長ければその説明も膨大な量になりますし、診療報酬体系の一般的な説明から始めて個別の症例についても説明するとなると、説明する側も説明を受ける側も相当な負担になると思います。
127ページの患者対応窓口の対応状況のスライドでは、患者サポート体制充実加算の届け出の有無にかかわらず、「入院患者・外来患者ともに対応している」と回答した施設が多かったという結果になっております。つまり、加算の有無にかかわらず、現場では既にできる範囲で患者さんからの相談に対応しているという様子も見てとれますし、医療機関では明細書以外にもインフォームド・コンセントなどを通じて診療内容をお伝えしております。
さらに、最後ですけれども、診療報酬体系の総論的あるいは一般的な説明であったり、明細書を読むための基礎的な知識の説明については、これは医療機関だけではなくて当然ながら保険者にも御協力をいただくべきことだと思っております。こういった状況の中で、明細書の説明を全て医療機関に求めることには慎重に御検討いただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今、松本委員からせん妄に対する対応の重要性は御説明いただきましたけれども、追加的に発言させていただきますと、せん妄の中にも、手術の後に術後せん妄といって起こるものがございますけれども、これも直後に起こるのではなくて1~3日後ぐらいに突然起こってくる。一度起こると1週間ぐらい持続するものでありますし、術後に、例えば、点滴とか、いろいろな患者さんに対して体内に挿入されている管とか、せん妄になると全部抜いてしまうというような混乱状態に陥ったときに、医療機関のいわゆるスタッフに対する負荷が、今もお話し申し上げたように長期間続くということと、先ほど死亡率が高くなるというお話もありましたけれども、患者安全にとってもとても大切な話なので、ぜひともここをしっかりと医療現場で徹底できるように支援していただくような体制を評価していただく必要があるのではないかと思っておりますので、追加をさせていただきました。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
118ページ、せん妄の予防については、合併症などでかえって医療費がかかることを考えれば重要であると考えております。そうしたことを踏まえて、メリハリをつけた適正な評価が必要ではないかと考えております。
128ページの分でありますが、患者への医療情報提供を保障するため、全ての保健医療機関に対し、患者の自己負担の有無を問わず、システム改修が必要な場合などの例外なく、明細書の無償発行を義務化すべきと考えております。また、全ての医療機関において電子カルテ及びレセプト電算処理システムの導入を推進すべきだと考えております。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
もう一度、118ページの認知症とせん妄のことなのですが、先日も話題になりましたけれども、とにかく急性期の医療機関の治療において、この認知症への対応、せん妄は本当にいつどのように起きるかわからない状況で、起きたときへの対応は避けて通れないものです。
今回、この辺の組みかえとかは新たな評価になっておりますので、ぜひ全ての急性期にかかわる病院がこの対応をできるような形の評価をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○田辺会長
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
明細書の発行について、これは本当に10年もたっていますので完全に義務化するということをここのくくりでやってほしいということです。もし本当にできないのですよというところがあれば、いわゆる正当な理由は、今のところは自動入金機の改修が必要とか、明細書の発行機能が付与されていないレセプトコンピューターを使用しているためということがある。そういう理由で、ずっと経過措置ではないですけれども、それをやるまでの間はしようがないということでやっていたわけですけれども、もちろんお医者さんが地域でいなくなってしまうとこれは困りますので、そういう意味では、本当に少ない医療機関の人たちについては、その理由をまた別枠で考えてやるべきかなと思います。
聞こえてくるのは、明細書に医療機関の名前とか住所が書いていないというのはどうも事例としてあるのですね。これは何でだろうかと思ったら、領収書には書いてあるのですけれども、明細書には書いていない。これは原因が何かなと知り合いとも話したのですけれども、一つの原因として、平成30年3月5日付の保険局長名で出している通知に、これは「医療費の内容の分かる領収証及び個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の交付について」という文書ですけれども、これのサンプルがついているのですけれども、領収書はこういうものとか、記載例とか、明細書はこういう様式で記載例があるのですけれども、そこの明細書のところに住所欄とか病院名を書いていないのですね。それをそのまま律儀に医療機関の皆さんが具現化してしまっているのかなと思いますので、まずはそこの部分を変えていただいて、それはすぐに変えることはできると思いますので、次の通知を出すときには、サンプルには、住所と病院名、医療機関名を記載してサンプル化して通知していただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
118コマ目の認知症対策に関する論点について、看護の立場から発言させていただきます。
論点の1つ目の認知症ケア加算2につきまして、資料の106コマ目に挙げていただいたように、加算2をとっている施設の中でも、認知症に関する専門性の高い看護師を配置している施設では、身体的拘束の実施割合、また、実施日数が少ないことが明らかになっておりますので、認知症に関する専門性の高い看護師の配置に対する評価はぜひお願いしたいと思います。
論点の2つ目について、せん妄予防の取り組みを評価することは、看護の立場からも非常に重要なことであると考えます。先ほど、今村委員、また、猪口委員の御意見にもありましたように、特に手術や病態等が危険因子となっている場合は、せん妄予防の取り組みを十分に行ったとしても発症する患者さんが一定数います。
資料の108コマ目にありますように、せん妄は死亡率の上昇や入院期間の長期化などと関連するとともに、危険行動による事故などのさまざまな問題がありますので、発症した場合は非常に手厚い看護や医療を提供する必要があります。そのため、予防のみではなくせん妄を発症した患者さんへの取り組みも評価していただけるよう御検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
128ページの最後の論点ですが、患者にわかりやすい診療内容とされるため、明細書以外にどのような方策かということなのですけれども、患者は、休日とか、時間外とか、深夜とか、後発医薬品の体制加算とか、そういうものは読めばわかるのですが、読んでもわからないような加算がありますので、それについては、医師あるいはスタッフの方から、これはこういう加算ですよというものを説明する義務があろうかと思います。その典型例が先日議論しました機能強化加算、これは患者は誰もわからないと思います。こういうものについては、読んでもわからないので、しかも自動的に上乗せされるので、診察前にちゃんと説明の義務を果たすということが必要なのではないかと思っております。
以上です。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
診察前にということをおっしゃいましたけれども、できたら受診前に保険者側からしっかりと説明してあげてください。それもよろしくお願いいたします。
○田辺会長
松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
ありがとうございます。
明細書の無料発行の件なのですけれども、先ほど間宮委員からもお話がありましたように、これは長い間検討している形ですから、そろそろ義務化をするべきではないかと思います。
ただ、先ほど松本委員もおっしゃっていましたように、義務化をするからといって、全部をそうして、どうしてもできない部分で、地域によっては医療機関がなくなってしまうという可能性が出てきますので、なぜ発行できないかという理由をちゃんと個別に確認して、それについて今度は別の次元でちゃんと対応していきながら義務化を進めていくべきではないかと思います。
○田辺会長
林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
歯科に関しましても、かなり患者にわかりやすく説明できるシステムを構築しながら明細書に関しては取り組んでまいったところでございます。かなり減ってはきておりますけれども、まだ一定数、手書きのレセプト等の先生方もいらっしゃることは間違いなく、1割強の診療所としては、それで対応しております。
わかりやすく患者に説明するということは十分理解はしておりますけれども、それがイコール明細書の提出という形につながることなのかどうか。明細書の中でも非常にわかりにくい項目もございますので、短絡的に明細書の義務化につなげることは反対したいと思っております。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
明細書に書かれていることが理解できないなどということは本当にもったいない話でありまして、まず、取り組むべきことはわかりやすい名称にすることが大事だと思います。そのわかりやすい名称にするまでの間は、その書かれているものをどこかに入力すると患者でも理解できるような言葉で解説するようなアプリとか、何かそういうものができたらいいのかなと思います。
医療機関での説明は少なからず必要だと思うのですよね。患者に明細書を渡すときに、ここの病院はこういう加算がついていますよというものを一言言うだけでも全然違うと思いますので、そこで懇切丁寧にこの中身はこうで算定要件はこうでなどとする話ではないと思いますので、こういうものがついていますよということだけを伝えて、また後で患者が調べて、こういうことなんだということが理解できるような環境を整えることも大事だと思いますので、それは保険者だけの仕事ではなくて、厚生労働省も先頭に立ってやっていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
明細書については、皆さんそれぞれ意見をおっしゃっていますが、明細書で全てを果たそうということは大間違いだと思います。明細書は、まず、診療行為の内容と、診療行為の結果として費用がいくらかということに留まります。今、間宮委員もお話ししていましたが、リテラシーについては、我々保険者も、適切な受診の仕方など啓発・啓蒙を深めているところですが、事細かく、一つずつ状況に応じて、リテラシー向上のための取組を進めていくにはどうするかを考えればいいのです。
先ほど松本委員が受診前にやるべきとおっしゃられました。受診前にどのような結果が出るかは予想できないので、先生方に診ていただき、その内容について説明するということもあると思いますので、明細書で全てということではないですが、それぞれが役割を果たして、医療保険制度の中でやるべきことをやっていく。そのためにはどうするかということだと思います。個人的に思っていますのは、診療報酬体系が非常に複雑化してしまったということが一番の大きな問題と思っていますので、これを分かりやすくするにはどうしたらいいかについては、ステークホルダー全員が知恵を出し合わないといけないと思っています。
我々保険者も、しっかりと保険者機能を果たすために努力していきたいと思っております。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
細々と済みません。論点の3点目で、患者にわかりやすく診療内容を伝えるため、明細書以外にもどのような方策が考えられるかということで、一つは明細書の文言について調べる環境を整えるというのはあるのですけれども、もう一つは、前々から発言はしていますけれども、検査結果のデータを患者に提供することも一つの手なのではないかと思います。
過去には、検査結果の取り違えとか、読み違えとか、3カ月ぐらい前のデータとか1年ぐらい前のデータで医師が判断してしまって、後で取り返しのつかないことになったという事例だってありましたから、そういう意味では、患者も自分の検査結果のデータを持つことは、いろいろな意味で、セカンドオピニオンでもそうですし、ほかの医療機関で診てもらうこともできるわけですから、今、データにすることもそんなに難しいことではないですから、その検査結果のデータを提供するということについて、保険の診療報酬として点数をつけるということも考えていってもいいのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
今、間宮委員の御指摘にあった検査結果を患者さんにというのは、基本的には血液の検査等についてはほとんど患者さんに全部渡していると思いますので、そうでないような、例えば、画像のデータみたいなものについては、非常に容量が大きいとか、そういうものをCDに焼いてお渡しするとかということは多分病院もかなりやっておられて、患者さんの希望にお応えしていないというのはほとんどないと理解しています。
特に紹介した患者さんについては、病院側から必ず紹介した医療機関に、そういった画像データあるいは血液のデータも含めて、患者さんを通して渡されるケースもありますし、郵送されてきたものを患者さんが外来に来たときかかりつけ医が説明するという形ですので、よほど特殊なことがない限りは、患者さんに血液のデータ等のデータをお渡しすることは実際に行われていると思います。
明細書の説明については、先ほど幸野委員からもかかりつけ医等の医療機関側の義務というお話もありましたけれども、先ほどの吉森委員からもお話があったように、医療は患者さんと医療者の信頼関係の上に成り立っているものだと思います。医療機関側に明細書の発行が、今、よほどの例外がない限りは義務的に行われているという、起点は医療機関側にあります。その明細書の中に書かれている中身は、先ほど吉森委員もおっしゃったように、決して患者さんにわかりやすいような診療行為になっていない。中医協の議論を見ていても、この資料を見てこれだけの中身を全部理解できている人は、中医協の委員ですらなかなかそんなにはいないわけで、それを患者さんに逐一説明する義務というものではなくて、患者さんが受け取ったときに、これはどういうことなのですかと聞かれたときに、これはこうなのではないですかというような、その程度のものにしておかないと、医療機関側の負担も物すごく大きくなりますし、もともとわかりにくい診療報酬を患者さんが理解するといったって、科学ではないので、科学でない施設要件とか算定要件みたいな話まで説明し出したら、これは切りがない話だと思っております。適当にという言い方は変かもしれませんけれども、そこそこにしておくことが大事なのではないかと思っています。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
118ページに関して、何か御意見等はございますでしょうか。認知症のところは、1号側から御発言はなかったのですが。
○今村委員
特に異論はありません。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は、以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。御参集、どうもありがとうございました。


 

 
 


 
 

<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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