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2019年11月13日 中央社会保険医療協議会 総会 第432回議事録

○日時

令和元年11月13日(水)9:34~12:26

○場所

TKP竹橋ガーデンシティ竹橋(2階)
 

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 
吉森俊和委員 幸野庄司委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
薬価算定組織坪井委員長
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医薬品の薬価収載等について
○DPCにおける高額な新規の医薬等への対応について
○在宅自己注射について
○最適使用推進ガイドラインについて
○公知申請とされた適応外薬の保険適用について
○個別事項(その8)について
○歯科医療について
○調査実施小委員会からの報告について


 
○田辺会長
ただいまより、第432回 中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は佐保委員、染谷委員、松原委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうをお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
まず、「医薬品の薬価収載等について」、「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」、「在宅自己注射について」を一括して議題といたします。
本日は薬価算定組織の坪井委員長にお越しいただいております。坪井委員長より御説明のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○坪井委員長
おはようございます。薬価算定組織の委員長の坪井です。私からは今回検討いたしました新薬品の算定結果等について御報告いたします。
まず資料、中医協 総-1-1をごらんください。今回報告する医新薬品は表紙から2ページ目の一覧表にありますとおり、14成分33品目になります。それでは、算定内容について御説明いたします。
エクフィナ錠、資料 4~5ページをごらんください。
本剤はレボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善を効能・効果とする内用薬です。効能や薬理作用が類似するアジレクト錠1mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は50mg1錠で963.90円となりました。
続きまして、トリンテリックス錠、資料 6~7ページをごらんください。
本剤はうつ病・うつ状態を効能・効果とする内用薬であり、効能や用法等が類似するレクサプロ錠10mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
本剤は1成分で、セロトニン再取り込み阻害作用とセロトニン作動性作用の両方を持つことから新規作用機序医薬品として評価しています。
海外の臨床ガイドラインの位置づけを踏まえ、一定の臨床的有用性があると考えられたことから、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用することが適切と判断いたしました。
なお、加算後の薬価は、外国平均価格の1.25倍を超えていることから、外国平均価格調整によって引き下げを行いました。
その結果、本剤の算定薬価は10mg1錠で168.90円、20mg1錠で253.40円となりました。
続きまして、コララン錠、資料 8~9ページをごらんください。
本剤は慢性心不全に使用される内用薬であり、効能や投与形態等が類似するアカルディカプセル1.25を最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)による算定いたしました。
本剤はHCNチャンネルを阻害して心拍数を減らす新規作用機序医薬品であり、薬事審査においても臨床的意義が評価されています。また臨床試験では既存の薬物治療を行っても効果不十分であった患者で有効性を示したことから、治療方法の改善にも該当すると判断いたしました。
これらを踏まえ、有用性加算(Ⅰ)の35%加算を適用することが適切と判断いたしました。
なお、加算後の薬価は、外国平均価格の1.25倍を超えることから、外国平均価格調整によって引き下げを行いました。
その結果、本剤の算定薬価は2.5mg1錠で82.90円、5mg1錠で145.40円、7.5mg1錠で201.90円となりました。
続きまして、エベレンゾ錠、資料 10~11ページをごらんください。
本剤は透析施行中の腎性貧血を効能・効果とする内用薬であり、効能が類似するネスプ注射液60µgプラシリンジを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は20mg1錠で387.40円。50mg1錠で819.20円、100mg1錠で1,443.50円となりました。
続きまして、ベネクレクスタ錠、資料 12~13ページをごらんください。
本剤は再発又は難治性の慢性リンパ性白血病を効能・効果とする内用薬であり、効能や投与形態等が類似するイムブルビカカプセル140mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は10mg1錠で874.60円、50mg1錠で3,964,50円、100mg1錠で7,601,10円となりました。
続きましてラスビック錠です。資料 14~15ページをごらんください。
本剤はキノロン系の抗菌薬であり、薬理作用類似薬が既に3以上あることから、類似薬効比較方式()により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は75mg1錠で361.40円となりました。
続きまして、フィアスプ注です。資料 16~17ページをごらんください。
本剤はインスリン療法が適応となる糖尿病を効能・効果とする注射薬であり、既存のノボラピッド注と有効成分、効能効果、規格、製造販売企業が同一であることから、別の銘柄として算定しないことといたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、300単位1キットで1,918円、300単位1筒で1,338円、100単位1mLバイアルで334円となりました。
続きましてブリニューラ、脳室内注射液、資料 18~19ページをごらんください。
本剤はライソゾーム病の1つであるセロイドリポフスチン症2型を効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬がないため原価計算方式による算定いたしました。
なお、本剤の製品総原価の開示度は50%未満でした。
資料の19ページの補正加算の項目にあるとおり、本剤はこれまで対症療法しかなかったセロイドリポフスチン症2型に対する初の薬剤であることを踏まえ、有用性加算(Ⅱ)の5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることなどから、市場性加算(Ⅰ)に該当し、10%の加算を適用することが妥当と判断いたしました。合計の加算率15%に加算係数0.2を適用し3%の補正加算を適用することが妥当と判断しました。
その結果、本剤の算定薬価は、150mg5mL1瓶で132万7,645円となりました。
続きまして、クリースビータ皮下注、資料 22~23ページをごらんください。
本剤はFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症を効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬がないため原価計算方式により算定いたしました。
なお、本剤の製品総原価の開示度は80%以上でした。
本剤はFGF23に結合し、血清無機リン濃度を維持し、くる病等に伴う症状の改善傾向を示した新規作用機序医薬品です。本剤の小児における治験では、リン酸製剤等による既存の対症療法と比較して、本剤群でくる病の重症度評価で有意な改善が認められました。これらを踏まえ有用性加算(Ⅰ)A=45%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることなどから、市場性加算(Ⅰ)に該当し、10%の加算を適用することが妥当と判断いたしました。
加算後の薬価は、外国平均価格の0.75倍を下回っていることから、外国平均価格調整によって引き上げを行いました。
その結果、本剤の算定薬価は、10mg1mL1瓶で304,818円、20mg1mL1瓶で608,282円、30mg1mL1瓶で911,812円となりました。
なお、本剤は指定難病のみを対象にしていることから、ピーク時予測の市場規模は50億円を超えているものの費用対効果の対象外としております。
続きまして、ポートラーザ点滴静注になります。資料 24~25ページをごらんください。
本剤は切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌を効能・効果とする注射薬であり、薬理作用や剤形などが類似するベクティビックス点滴静注100mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
類似薬効比較方式によって算定した薬価は、外国平均価格の0.75倍を下回っていることから、外国平均価格調整によって引き上げを行いました。
その結果、本剤の算定薬価は、800mg50mL1瓶で238,706円となりました。
続きまして、イスパロクト静注用です。資料 26~27ページをごらんください。
本剤は血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者における出血傾向の抑制を効能・効果とする注射薬であり、薬理作用類似薬が既に3以上あることから、類似薬効比較方式(Ⅱ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は26ページにあるとおりです。
汎用規格では、3,000国際単位1瓶(溶解液付)で329,913円となりました。
続きまして、ハルロピテープになります。資料 28~29ページをごらんください。
本剤はパーキンソン病を効能・効果とする外用薬であり、効能や剤形などが類似するニュープロパッチ18mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は28ページにあるとおりです。
汎用規格では32mg1枚で958.40円となりました。
続きまして、アイベータ配合点眼液になります。資料 30~31ページをごらんください。
本剤は、緑内障、高眼圧症を効能・効果とするアイファガン点眼液とチモロール点眼液の配合剤であることから、新医薬用配合剤の特例により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価は1mL当たり456.00円となりました。
続きまして、リティンパ耳科用、資料 32~33ページをごらんください。
本剤は、鼓膜穿孔を効能・効果とする外用薬であり、適切な類似薬がないため原価計算方式により算定いたしました。
本剤の製品総原価の開示度は80%以上でした。
本剤は、FDF受容体特異的結合作用を持ち、耳科用製剤では新規作用機序医薬品となります。また、鼓膜穿孔に対する既存の手技では、侵襲性を伴うものがありますが、本剤による治療は薬剤を染みこませたゼラチンスポンジを留置する処置であり、患者にとって手術に伴う負担が減少し、利便性が高いと評価いたしました。
これらを踏まえ、有用性加算(Ⅰ)の(A=35%)加算を適用することが妥当と判断いたしました。
また、本剤が分類される耳鼻科用剤の市場規模は全体の0.5%以下であり、耳科のみに使用される医薬品の市場規模はさらに小さいことから、市場性加算(Ⅱ)に該当し5%加算を適用することが妥当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は、1セット当たり32,691,30円となりました。
以上で、資料 総-1-1の説明を終わります。
続きまして、資料の総-1-3の説明に移ります。市場拡大再算定の報告です。
平成30年度の薬価制度の抜本改革において、効能追加があった医薬品などについて、一定規模以上の市場拡大のあった場合は、2年に一度の薬価改定の時期を待たずに、年4回の新薬収載の機会を活用して、市場拡大再算定の規定を適用し、薬価を見直すこととされました。
今般、(6月診療分)のNDBデータを確認したところ、キイトルーダ点滴静注は、市場拡大再算定の特例の要件に該当すると判断いたしました。
その結果、本剤の改定薬価は、20mg0.8mL1瓶で63,077円、100mg4mL1瓶で306,231円となりました。
以上で、私からの説明は終わります。
○田辺会長
ありがとうございました。
引き続き、事務局のほうから説明の補足をお願いいたします。薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
薬剤管理官でございます。総-1-1の補足説明をさせていただきます。
総-1-1の1ページ目をごらんください。今回、収載予定の新薬のうち費用対効果評価の対象となる品目についての御報告でございます。
具体的には2番目のトリンテリックス錠につきまして、有用性加算が適用され、ピーク時の予測販売金額が100億円を超えていることから(H1)に該当するということでございます。補正加算等の欄にその旨記載してございます。
それから、3番目のコララン錠につきまして、有用性加算が適用され、ピーク時の予測販売金額が50億円を超えていることから(H2)品目となることを御報告させていただきます。
それから、資料の総-1-1参考をお開きいただければと思います。
こちらは御報告になりますけれども、薬価改定ごとに「新薬創出等加算の平均的な加算率」をお示ししているところでございます。今般の消費税引き上げに伴う令和元年10月改定における新薬創出等加算の平均的な加算率が1.8%でございましたので、御報告させていただくものでございます。
次に、総-1-3をお開きください。
キイトルーダ点滴静注の市場拡大再算定による改定薬価につきましては、資料真ん中の表の右端にございますとおり、医療機関における在庫への影響等を考慮し、令和2年2月1日から適用したいと考えているところでございます。
それから、総-1-4をごらんください。今回の薬価収載予定の新薬のうち、14日の処方制限ルールの例外的な取り扱いに関する御提案でございます。
「アイベータ配合点眼液」につきましは、この資料の2ページ目に記載しておりますとおり、配合されている各有効成分に係る効能・効果及び用法・用量につきまして、1年以上の臨床使用経験があると認められ、14日ルールの制限を外すものの条件を満たすことから、例外的に「処方日数制限を設けないこと」としてはどうかという御提案でございます。
私からは以上でございます。
○田辺会長
引き続き、医療技術評価推進室長、よろしくお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
医療技術評価推進室長でございます。資料が前後して恐縮でございますが、総-1-1にお戻りいただきまして、最終ページ34ページをごらんください。
今回、お諮りをしております「リティンパ耳科用」、前の32、33ページ目の医薬品でございますが、現在、本剤を用いることを規定いたしました技術料の設定がございません。34ページ目の下に記載をしておりますように、手術の〈通則〉というものがございまして、ここに現在手術料に掲げられていない手術につきましては、最も近似する手術として準用が通知された算定方法により算定するという規定がございます。今回、医薬品としての収載を前提に準用する技術料について御提案をしたいというものでございます。
具体的には、本医薬品用鼓膜に使用していただく際の技術につきまして、「K311 鼓膜穿孔閉鎖術(一連につき)」1,580点を準用することとしてはどうかという御提案でございます。
また、この技術を準用するに当たりましての留意事項といたしまして、トラフェルミン(遺伝子組換え)を用いた鼓膜穿孔閉鎖に当たっては、6カ月以上続く鼓膜穿孔であって、自然閉鎖が見込まれない患者のうち、当該鼓膜穿孔が原因の聴力障害を来し、かつ本剤による鼓膜穿孔閉鎖によって聴力障害の改善が見込まれる者に対して実施した場合に限り本区分の所定点数を準用して算定できる。なお、診療報酬請求に当たっては、診療報酬明細書に本剤による鼓膜穿孔閉鎖を実施する医学的必要性の症状詳記を添付することとしてはどうかと考えております。
続きまして、総-1-2をごらんください。こちらは医薬品、先ほど御説明いただきました医薬品の中のエベレンゾ錠に関しての取り扱いでございまして、総-1-2の【現状・課題】でございます。
J038人工腎臓につきましては、エリスロポエチン(ESA)製剤は技術料へ包括されております。一方、エベレンゾ錠につましては、内服薬のため包括されておらず、特段の対応を行わなければ、出来高で算定可能となるという状況でございます。
去る10月9日の中医協の議論におきましては、令和2年度改定におきまして、HIF-PHD阻害薬を用いる場合の評価について、新たな診療報酬点数の評価体系をつくっていく必要性に協議が行われたところでございます。
今般、エベレンゾ錠が保険収載されることを踏まえまして、本年11月から来年の3月までの対応について、検討が必要と考えております。
そこで【対応(案)】でございますけれども、HIF-PHD製剤(エベレンゾ錠)につきましても、エリスロポエチン製剤と同様とみなし、J038人工腎臓の技術料へ包括されるものとして取り扱うこととし、出来高算定は行えないこととしてはどうか。
また、人工腎臓の留意事項につきまして、資料に記載のとおり、特に下から2行目、「1」から「3」までの場合であって、ロキサデュスタット錠を処方する場合には、院内処方を行うことという留意事項を示してはどうかというものでございます。
続きまして、総-2をごらんください。「DPCにおける高額な新規医薬品等への対応について」でございます。
こちらは定例での対応となりますが、新規に薬価収載されました医薬品等について、指定するDPCコードにおいて、当該医薬品を使用した場合は次回報酬改定までの間、出来高算定をするとの判定対応を行っております。基本的な考え方につきましては、総-2の参考におつけしておりますので、ごらんいただければと思います。
総-2の1ページ目から4ページ目に掲げるリストをつけてございますけれども、効能効果、用法用量が追加された医薬品や薬価収載される医薬品で、出来高算定となるもののリストとなっております。
また、5ページの3でございますが、こちらは類似薬効比較方式により薬価が設定されたものにつきまして、当該類似薬が設定されている診断群分類に反映してはどうかというものでございます。
私からは以上でございます。
○田辺会長
引き続き、医療課長、説明をお願いいたします。
○森光医療課長
資料の総-3-1をごらんいただきたいと思います。「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤である医薬品のバイオ後続品の取扱いについて(案)」ということでお諮りするものでございます。
基本的にバイオ後続品につきましては、品目ごとに先行バイオ医薬品との比較をした上で、その取り扱いを定めることになっておりまして、本日は2つのバイオ後続品についてお諮りするものでございます。
まず、総-3-1でございますが、これにつきましては、骨粗鬆症治療剤である「テリパラチド(遺伝子組換え)〔テリパラチド後続1〕」というものにつきまして、先行バイオ医薬品「テリパラチド(遺伝子組換え)」が在宅自己注射指導管理料の対象薬剤となっておりますので、それの効能効果や薬理作用につきまして比較した表をつけさせていただいております。
基本的には、このテリパラチド後続1につきましては、先行品と比較しまして、効能効果や用法用量とは同等でございまして、先行品の使用状況についても特段の問題がないと考えられますので、在宅自己注射指導管理の対象薬剤に追加してはどうかと御提案するものでございます。
続きまして、総-3-2でございます。2つ目でございまして、バイオ後続品といたしまして、「エタネルセプト(遺伝子組換え)〔エタネルセプト後続2〕」というものでございます。
これにつきましても、先行バイオ医薬品の「エタネルセプト(遺伝子組換え)」とそこに効能効果、薬理作用について比較表をつけさせていただいております。
これにつきましても、先行品と比較しまして、効能効果や用法用量は同等でございまして、先行品の使用状況についても、特段の問題はないと考えられますことから、在宅自己注射指導管理の対象薬剤に追加してはどうかということでお諮りするものでございます。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。では有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。資料の総-1-2ですが、ここにおいて、エベレンゾ錠については人工腎臓の技術料に包括されるものとして処方する場合は、院内投薬により行うことと整理されています。透析患者さんへの投薬について、院内処方箋が交付されるケースが多くあります。そのような場合には、院内投薬と院外処方箋が混在することになります。エベレンゾ錠の処方については、現場が混乱することのないよう、処方される医師及び医療機関への十分な周知をメーカーとともに、医薬品卸も含めて周知をお願いしたいと思っております。これは要望であります。
また、もう一点、確認ですが、今回提案されている内容については、来年3月までの当面の対応という理解で間違いないでしょうか。
○田辺会長
お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。今回の対応は、収載後から次期改定までの措置だと考えておりまして、次期改定での対応は新たな評価体系を構築するという方向で、先日、御議論いただいたと認識をしておりまして、その議論に基づき検討を行っていくと考えております。
○有澤委員
もし来年4月以降の取り扱いが変更になるということであれば、その際にも現場が混乱しないよう周知が必要であると思いますので、その点も含めて御検討をお願いしたいと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。坪井委員長、御説明のほう、どうもありがとうございました。
次に引き続きまして、「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。ではよろしくお願いいたします。
○山本医薬品審査管理課長、
医薬品審査管理課長でございます。お手元資料の総-4-1に沿って御説明させていただきます。
今回「オマリズマブ(遺伝子組換え)」、販売名:ゾレア皮下注用につきまして、季節性アレルギー性鼻炎への適用を追加する一部変更承認申請が提出されましたことから、本年の10月31日に薬事食品衛生審議会で御審議をいただきまして、承認を可とするというような御判断をいただきました。
これに伴いまして、11月下旬ほどに承認を予定しておりますが、あわせて最適使用推進ガイドラインを発出したいと考えており、その内容を御報告させていただきます。
適用として季節性アレルギー性鼻炎でございますが、バイオ医薬品は今回初めてでございます。お手元の資料で目次のページ1ページでございますが、構成はこれまでの最適使用推進ガイドラインと同様のものとしております。
2ページをごらんください。枠囲みの上でございますが、本ガイドラインを作成するに当たり、各学会、医会に御協力をいただいております。
囲みの中でございますが、効能効果のところでございます。季節性アレルギー性鼻炎であって(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)とさせていただいております。
続きまして、4ページ、本剤の特徴でございますが、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体でございます。
臨床試験成績が5ページから記載されております。まず有効性ございますが、5、6、7ページに記載しておりますが、1つ前のスギ花粉シーズンに既存治療で鼻症状が効果不十分であったというスギ花粉症患者さんに対して臨床試験が実施されておりまして、プラセボ群に対しまして優越性が検証されております。
7、8ページには安全性のプロファイルを載せておりますが、既承認の効能効果で認められているものと同様でございました。
9ページから、本剤に関する取り扱っていただく施設について記載をしております。9ページに記載しておりますように、耳鼻咽喉科、アレルギー科、あるいは小児科での診療に一定の知識、経験を有する医師が当該診療科の治療の責任者として配置されていること。あるいは合併するほかの疾患を担当する医師や生じた副作用に対する専門性を有する医師と連携が可能であって、直ちに適切な処置ができる体制であることなどを施設の要件とさせていただいております。
また、11ページ目からでございますが、投与対象となる患者さんの選択について記載をしております。スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎の確定診断がなされていること。
血清特異的IgE抗体がクラス3以上であること。点鼻ステロイドや抗ヒスタミン薬などといった治療で効果不十分であることなどを挙げさせていただいております。
13ページにつきましては、投与に際して留意すべき事項を、添付文書などをもとに主なものを記載させていただいております。
御説明は以上でございます。
○田辺会長
薬剤管理官、引き続きお願いいたします。
○田宮薬剤管理官
続きまして、総-4-2をお開きください。
ただいま医薬品審査管理課長から説明がありましたとおり、オマリズマブ(遺伝子組換え)製剤、品目名・ゾレア皮下注用75mg、ほか3品目の季節性アレルギー性鼻炎の効能・効果の追加に関しまして「最適使用推進ガイドライン」が策定されたということでございますので、保険適用上の留意事項に関する通知を発出したいと考えているところでございます。
具体的には、この資料の「3 留意事項の内容」の欄をごらんいただきたいと思います。まず(1)のとおり、基本的考え方として、対象品目について、最適使用推進ガイドラインに従って使用する旨を明記したいと考えております。
また、(2)~(5)にあるとおり、ガイドラインの記載内容を踏まえて注意喚起すべき事項を明記したいと考えております。
具体的には(2)にありますとおり、本剤の投与によって合併する他のアレルギー性疾患の症状が変化する可能性があることから、適切な連携体制を取れる施設であって、その疾患管理に関して指導及び支援を受ける体制が整っている施設で投与する旨を明記したいと考えております。
(3)12週以降も継続して投与する場合は患者の状態や原因花粉抗原の飛散時期を考慮し、その必要性を慎重に判断する旨を明記したいと考えております。
(4)本剤の投与前に、既存治療を行ってもコントール不十分な鼻症状が1週間以上持続することを同一の医療機関で確認する旨、その後、血清中総IgE濃度を検査し、当該濃度をもとに投与量を設定する旨を明記いたします。
(5)その年に本剤を新たに季節性アレルギー性鼻炎の患者へ投与する際は、アレルゲン免疫療法(減感作療法)に関する説明を十分に行う旨を明記したいと考えております。
また、診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項といたしまして、当該スギ花粉シーズンの投与開始時につきましては(6)に、それから、継続投与時については(7)に記載をまとめてございます。
まず、(6)投与開始時については、○1のとおり、治療の責任者の要件のいずれに該当するか。
○2 投与量の設定に用いた血清中総IgE濃度及び当該検査の実施年月日。
○3 患者がスギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎であると判断した理由。
○4 前スギ花粉シーズンにおける鼻症状及び本剤の投与時における鼻症状。
○5 前スギ花粉シーズンに治療に用いた鼻噴霧用ステロイド及びケミカルメディエーター受容体拮抗薬の成分名及び一日投与量。
○6 既存治療で効果不十分と判断した理由。
○7 アレルゲン免疫療法(減感作療法)に関する説明内容、という記載を求めたいということでございます。
それから、(7)継続投与時につきましては、○1にありますとおり、本剤の前回投与時及び当該継続投与時における鼻症状。
○2 本剤と併用しているヒスタミンH1受容体拮抗薬の成分名及び一日投与量。
○3 12週間を超えて本製剤を投与する場合は、継続して投与することが必要かつ適切と判断した理由、について記載を求めることとしたいと考えております。
お認めいただければ、本剤の一部変更承認の承認日に通知を発出し、同日から適用したいと考えているところでございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
ゾレア皮下注について、医療保険財政に与える影響をまず懸念したいと思います。これは最適使用推進ガイドラインで医師要件、患者要件が縛られているのですが、国民病とも言われる花粉症の対象患者が非常に多くて、1人当たり、ともすれば100万円を超える金額が必要になって、このガイドラインをもってしても大量の処方が想定されるのではないかと思います。
そのために、これの対処、今から事前に考えておく必要がございまして、前回、薬価専門部会で議論になりました類似薬がない場合の効能変化再算定について、これは類似薬がないということで、今のまま行けば再算定されないということがありますので、このルールについてはできるだけ速やかに設定しておく必要があると思いますので、意見として言わせていただきます。
それから、事務局に確認ですが、もし、このゾレア皮下注が50億、100億を超えた場合に、費用対効果評価の対象になるのではないかと思うのですが、100億を超えたらH1、50億だとH2、保険収載時にはならなかったのですけれども、市場の拡大によって中医協で判断した場合は費用対効果評価が適用できるという項目がありますので、これは50億、100億を超えた場合にはこの対象になるのではないかと思うのですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
基本的に、先ほどの50億、100億という基準につきましては、新薬の新規収載の品目に関しての基準、有用性系加算が適用されて、50億以上はH2、100億以上はH1というのが基本的な考え方でございまして、ゾレア皮下注用に関しましては、既に薬価収載されている品目ということでございますので、御議論、指定するとすれば、H4の品目に該当するかどうかということかと思います。その場合は、1つのメルクマールとして書かせていただいておりますのは1,000億円を超えた場合という形で記載してあったかと思いますので、もちろん指定するかというところは、中医協での御議論ではございますけれども、基本的な考え方としてはそのような整理になっているということかと思っております。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
済みません、今、費用対効果の資料を見ているのですが、後で見ていただければわかるのですが、「※1」を読ませていただきますと、「保険収載時にピーク時市場規模(予測)が選定の要件に該当しなかった品目であっても、市場規模の拡大により年間の市場規模が50億円を超えた場合は対象とする。その場合、年間の市場規模に応じてH1、又はH2区分として位置付ける」ということで、これに該当するのではないかと思うのですが、違いますか。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
今、幸野委員が御指摘のところは、中医協で新薬収載についてお諮りしたときのピーク時予測金額が50億とか100億を超えていないものについては、この時点では、H1とかH2品目には該当しないという判断になるわけでございますけれども、その後、例えば有用性系加算が適用された品目で、市場規模が50億、100億を超えてきたといった場合にはなり得るという意味で記載しているものでございます。今回の場合は、ゾレアについては、既に収載の品目でございますので、そういう意味では、H4の品目の該当性を判断するということになろうかと思っております。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
わかりました。H4で1,000億を超えた場合には対象になるということで理解いたします。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。総-4-2の留意事項通知の内容の(6)について、診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項であり、医薬品の保険適用において、要件として重要な事項です。これは、適切使用に係るレセプト審査上でも必要な要件であると思いますので、記載は必要だと思います。この中で、シーズン中に投与開始となる最初のケースについて、要件1~7がありますが、この要件の内容を全てレセプトの摘要欄に書き切れるのかというと、実務上での対応実効性に関していささか懸念があるように感じられます。今後遺伝子組換えを伴う本剤のような使用上の留意が必要な医薬品の開発は続くことが予想されますので、この要件設定が多数出てくる現状を踏まえますと、医療現場での負担の観点も含めると、この診療明細の摘要欄のあり方というか、様式のあり方については見直す必要があります。今後レセプト様式に関する議論もあると思いますが、このようなケースでは書き切れるのかどうか疑問に思いますので、事務局がどのようにお考えなのかをお聞かせ願えればと思います。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
診療報酬明細書の摘要欄の記載のあり方等については引き続き御議論させていただきたいと思いますし、また本件について、実行可能性というところにつきましては、書きぶり等について、必要に応じて簡潔に記載するためのQ&Aを発出するとか、そういったことも含めて対応を検討させていただきたいと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
次に報告事項でございますけれども、「公知申請とされた適応外薬の保険適用について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
資料 総-5をごらんください。今般、ブスルファンの「悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療」の効能追加につきまして、10月31日開催の薬食審の部会で公知申請して差し支えないとの事前評価がなされたところでございます。このような場合につきましては、同日付で保険適用するということを、あらかじめ中医協で了承いただいておりますので、それに基づき保険適用させていただいたという御報告になります。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に、次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして、「個別事項(その8)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。では、医療技術評価推進室長、よろしくお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。それでは、総-6をごらんください。「個別事項(その8)(技術的事項1)」ということで資料を御用意させていただきました。2コマ目でございます。
本日の内容といたしましては、科学的な根拠に基づく医療技術の評価について2件、また、個別技術の評価について1ということで4件、また在宅医療において使用する材料の評価について2件を挙げさせていただいております。
それでは、4コマ目以降をごらんください。
こちらは科学的な根拠に基づく医療技術の評価ということで、本年の7月に御議論いただいた際の資料でございます。【論点】の2つ目のところに記載をしておりますとおり、既存の技術と同等程度の有効性及び安全性があるとされた医療技術については、平成30年度診療報酬改定の考え方と同様に、今後も診療報酬上においては同等の評価として保険適用を行うことについて、どう考えるか、というものにつきまして、いただいた御意見でございますけれども、平成30年度診療報酬改定の方針にも沿ったものであり、方向性は妥当と考える。一方で、保険適用後に有効性等の新たなエビデンスが確認できるようなことであれば、再評価していくことも重要ではないか、という御意見をいただいたところでございます。
5コマ目でございますが、こちらは再評価について6月にいただいた御意見でございます。中立的な立場から行われた専門的な評価を活用するに当たり、評価機関を明確にしておく必要があるのではないか。また、再評価の透明性の担保、公的な特定評価機関の設置など、体制整備として早急に検討する必要があるのではないか、といった御意見や、費用対効果評価制度における公的分析班の枠組みの活用など、現状の限られた人材の中で、効率的に実効性を上げる体制整備が必要ではないか、という御指摘もいただいております。
6コマ目でございますけれども、こちらは費用対効果評価の観点から御議論いただいた際でございますが、【今後の取組(案)(抜粋)】で、高額な医療機器を用いる医療技術の診療報酬上の評価については、先進医療会議、医療技術評価分科会及び中医協総会において検討することが基本でありますけれども、費用対効果評価の活用については、課題を踏まえた検討が必要。
また、その下でございますけれども、海外の事例を参考にしながら、中医協において検討することとする、とされております。
7コマ目でございますが、こちらは現状の医療技術評価の枠組みというところをお示しさせていただいております。真ん中の点線囲みの1つ目の「・」でございますけれども、現状では、学会等から提出された提案書については、ヒアリングをさせていただき、また専門家によるワーキンググループでの検討を経て、分科会においての評価をいただいているといった内容をお示ししております。
8コマ目でございますけれども、諸外国での対応ということで、こちらは、医薬品のみならず、医療機器、医療技術について、アメリカを初めとした先進各国での評価がなされているといったものをお示ししております。
9コマ目でございますけれども、こうした議論を踏まえまして、【論点】のところに挙げさせていただきましたのは、高額医療技術の新たなエビデンスを再評価するに当たり、中立的かつ専門的な立場から費用対効果を含めた評価を行い、医療技術評価分科会で活用するために、研究班を設置し、新規収載時の評価との整合を図りつつ、再評価の課題の整理や海外情報の収集、具体的な評価方法の策定など、必要な検討を行うこととしてはどうか、とさせていただきました。
10ページ目以降をごらんください。こちらは指針、ガイドラインについての対応でございます。
11コマ目でございますが、こちらは7月の資料でございまして、6月にいただいた御意見ということで、各学会のガイドラインの見直し状況など現状把握やその体制整備が必要ではないか、という御意見をいただいたところでございます。
12コマ目でございますけれども、診療ガイドラインにつきましての資料を再掲させていただきました。
13コマ目をごらんください。こうした御議論を踏まえまして、本年8月から9月にかけまして、内保連及び外保連加盟学会の御協力をいただいて、事務局で指針やガイドラインの現状確認をさせていただきました。現時点でまだ返答をいただけてない指針等がございまして、そちらについては今後引き続きに協力を求めていきたいと思っております。
また、返答いただいた指針も長期間見直しがない指針、こちらはガイドライン等の改訂の必要性の確認を学会に対してさせていただこうか、改訂の見込み等があれば、医療技術評価分科会での審議の参考にさせていただくという意味での提出をお願いしてはどうかと思っております。
また、最近、改訂等された指針がございまして、本件はそうしたものについて御議論いただきたいと考えております。
14コマ目でございます。そうした、最近、改訂等がありましたものとして、1つ目の○でございますが、「急性薬毒物中毒加算」及び「百日咳核酸検出」に関連するガイドラインについては、広く保険医や患者さんが参照できるような対応が必要だという状況がございます。
下の欄でございますけれども、関係する診療報酬、また指針をお示しさせていただきまして、1つ目のものにつきましては、査定等に必要な情報が、今後改訂の予定がありまして、その際、参照できなくなるおそれがある。
また、下のものについては、現時点では限られた方にしか公表されていないという状況があるというものでした。
また、もう一つの類型といたしまして、「冠動脈CT検査」及び「経皮的冠動脈形成術等」といった冠動脈疾患に関しますガイドラインの見直しがなされておりまして、そのガイドラインの見直しでの推奨を踏まえた対応が必要ではないかと考えられる事案がございましたので今回お諮りするものでございます。
15コマ目をごらんください。こちらは先ほど申し上げましたガイドラインのアクセスの確保が必要となるガイドライン及び算定の項目でございます。
16コマ目以降をごらんください。こちらは後段の冠動脈疾患に対する御検討のテーマでございますが、冠動脈疾患の分類をお示しさせていただきました。冠動脈疾患は心臓を栄養する冠動脈の狭窄や閉塞等により引き起こされる疾患でございまして、病態や症状等によって、「安定狭心症」や「急性冠症候群」、また「冠れん縮狭心症」といった分類がされております。本日は、「安定狭心症」に対する診療についてお示しをさせていただいております。
17コマ目でございます。「安定冠動脈疾患の診断アルゴリズム」ということで、診療ガイドラインの中では、この右側のフローチャートに沿いまして次の検査に進むことが推奨されております。トレッドミル等による機能的虚血評価を行う心電図検査を行い、非侵襲的な狭窄及び虚血の画像検査、さらに侵襲的な評価に進んでいくといったものでございます。
18コマ目には、一番上にございますトレッドミルなどによる「運動負荷心電図検査」について御説明をさせていただいております。この検査は慢性冠動脈疾患、安定狭心症におきまして、狭心症や虚血の診断、重症度・予後の予測、治療効果の判定などに広く利用される検査であります。
一方で、心筋虚血の誘発や心事故等にもつながり得るため、十分な説明及び複数の医療従事者によるバイタルサインの監視等が必要となるもの。
また、診療ガイドラインでは、負荷心電図検査は心筋虚血の非侵襲的検査の第一選択とされておりますが、ここでの不適応例では、他の検査法を選択することも推奨されております。
19コマ目をごらんください。こちらは次の段階で推奨されている「冠動脈CT」について御説明をさせていただきました。高精細のCTの出現により、冠動脈疾患の確定診断が可能となっております。
感度、特異度等の検査の性質上、非典型的例の除外診断には特に有用とされております。
一方で、被曝等のリスクの関係もございまして、適切な使用とは言えない場合もあるとされております。
続きまして、20コマ目が、こうした検査法の推奨エビデンスでございます。上の四角囲みでございますけれども、運動負荷が可能な患者に対しては運動負荷試験、トレッドミルなどの推奨クラスが高い。
運動負荷を行えない場合や運動負荷では判定困難な場合などは、冠動脈CTの推奨クラスが高くなる。
胸痛がない患者や非侵襲的検査による虚血評価を行っていない患者に対する冠動脈CTの推奨度は低いというものでございます。
21コマ目は、こうした検査の算定回数をお示ししております。トレッドミル等による定量的な負荷心電図検査の算定回数は、冠動脈CT検査と同等であり、簡易的な負荷心電図検査と比べると算定回数が少ないという状況にございます。
22コマ目でございますけれども、3段階ありました最後の段階の血管造影上75%狭窄があったものにつきまして、追加で心筋の機能的虚血の有無を確認したところ、約半数の病変で機能的虚血は認められなかったとの報告がございましたので、おつけをさせていただいております。
23コマ目はこうした検査に関連する報酬の現状ということでございます。トレッドミル等の負荷心電図検査、こちらは1,400点の評価、また、冠動脈CTでございますが、CT撮影1,000~1,020点に、冠動脈CT撮影の場合には600点の加算があるという状況でございます。
24コマ目はトレッドミル検査について、どのように行われているかということで、冒頭申し上げましたとおり、医師の監視下で実施をする必要がある。また、症状の変化などが検査中生じて、そうした中止の判断等も行う必要がある。また、所要時間も60分などと手間もかかるということがわかっております。
25コマ目以降は、そうした冠動脈疾患に対する治療について掲げさせていただきました。現在、実施をされておる主なPCI(経皮的冠動脈インターベンション)、具体的にはバルーン等による形成術、またステント留置術のうち約7~8割が安定冠動脈疾患に対して、待機的に行うもの。告示上は以下のk546、k549をごらんいただくと、3のその他のものとなります。下の図でもそうしたものが多くを占めていることがおわかりいただけるかと思います。
26コマ目は、こうした安定冠動脈疾患に対するPCI施行前の虚血検査の実施状況ということで、左の図に示しておりますように、これは実施順に医療機関を並べた図ですが、施設間でのばらつきが認められたという報告、また、施設全体で見ますと、平均の施行率は4割に至らなかったというものでございます。
27コマ目をごらんください。こちらは30年度改定で行われた対応を掲載しております。例えばステント留置術で、3のその他のもので、従来は留意事項の(1)で、1方向から造影して75%以上の狭窄病変が存在する症例に対して行った場合に算定をするものであったものを、右側の(4)を「3」その他のものは原則として、以下のア、イ、ウのいずれかに該当した場合に算定できるということで、ア 90%以上の狭窄、イ 安定労作性狭心症の原因と考えられる狭窄病変、ウ 機能的虚血の評価のための検査を実施し、機能的虚血の原因と確認されている狭窄病変、この(4)を加えるという改定を行っております。
次に28コマ目でございますが、30年度改定で加えたイについて、ガイドライン上の記載と見比べてみますと、ガイドライン上では、「血行再建の根拠」として、以下のような条件を満たす場合に血行再建を行うことを推奨するということで、「虚血が証明されていることが必要」という記載。
一方で、この新しいガイドラインでは、チーム医療による治療方針決定の重要性にも触れておりまして、そうした総合的な判断といったようなことが入れられております。
こうしたことを踏まえまして、29コマ目は、【論点】で指針等が公表されておらず、患者や保険医等に参照されないおそれがある場合は、少なくとも保険診療の実施に必要な部分について、一般に参照可能となるような対応をしてはどうか。
2つ目、安定冠動脈病変に対する経皮的冠動脈ステント留置術等の実施や安定冠動脈病変の診断に当たっては、ガイドライン上の推奨や位置づけを踏まえ、評価のあり方について検討してはどうか、とさせていただきました。
30コマ目以降、「2.個別技術の評価について」でございます。
31コマ目をごらんください。「下肢静脈瘤に係る手術の評価」でございます。
下肢静脈瘤に係る手術の総数は下の棒グラフの左側に示しておりますように、増加傾向にございまして、特に外来での手術が増加しております。このうち、k617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術、図で言いますと右端、こちらが全体の75%を占め、その他の手術療法は近年減少傾向である一方、焼灼術については増加傾向で、そのうち75%は外来で実施されているという状況でございます。
こうした手術の有効性のエビデンスについて32コマ目にお示しをさせていただきました。診療ガイドラインでは、血管内焼灼術は他の抜去切除術、高位結紮術と同等の有効性、とされております。
33コマ目をごらんください。こうした「下肢静脈瘤に係る手術におけるQOLのエビデンス」でございます。
下肢静脈瘤は、浮腫・色素沈着・湿疹が主な症状となりますが、外科的手術、硬化療法、レーザー焼灼術による静脈瘤治療から5年後のQOLで、疾患特異的QOLスコアというものや、全般的QOLスコアはいずれも同等というような報告がなされております。
34コマ目以降35コマ目をごらんください。こちらは「診療ガイドラインにおいて位置づけが変化した医療技術の一例」として、急性膵炎に対する持続緩徐式血液浄化療法についてでございます。こちらは診療ガイドラインで推奨されます病態を限定している一方、報酬上の評価としては、病態を限定した要件とはなっていないという状況がございます。
診療ガイドラインでは、体液管理におけるCHF(持続血液濾過、CHDF(持続血液透析濾過)は有効であるとされております。また、利尿の得られない重症例(腎不全合併例)で、体液過剰により致死的なACS:腹部コンパートメント症候群を呈した場合にも、こうした療法を導入すべきとされておりますが、一方で、病因物質除去効果を期待したものは有効性は明らかでないとされておりまして、点線囲みの中のガイドラインにおきましても、そうした循環動態が安定しない等の状況でない重症の急性膵炎における有用性は明らかでなく、ルーチンでの使用は推奨されない、ということが記載されております。
続きまして「局所陰圧閉鎖処置」について、37コマ目をごらんください。
こちらは、既存の治療に奏功しない、あるいは奏功しないと考えられる難知性創傷に対して、管理された陰圧を付加し、創の保護、肉芽形成の促進などにより、治癒の促進を目的として行うものでございまして、下の図でございますが、例えば深く創がある場合にはフィラーと呼ばれるものでそこを埋めて、上からドレッシング剤を張りまして、右側のカートリッジで陰圧にして創を治していくといったものでございます。
38コマ目、こうした処置の評価でございます。こうした処置については、ドレッシング剤の交換は週数回でよいため、一般的な創傷の処置と比較して、交換に伴う疼痛が軽減され、また処置に要する労力の削減もできるとされております。
報酬上の評価でございますけれども、中段にございますように、初回貼付加算ということで、面積に応じた一定の点数が設定されており、さらに左側、入院の場合には、1日につき面積に応じた1,000点程度の評価がなされています。
こうした評価には、下の「※」ですが、ドレッシング材部分は特定保険医療材料として別途算定できますが(陰圧維持管理装置)はこの技術料に含めて包括されているという状況でございます。
一方、算定回数は右のグラフに示すように増加傾向でございます。
また、39コマ目をごらんください。こちらは参考でございますけれども、処置の頻度ということで、諸外国、FDA:米国や英国でも週に3回の交換。また、我が国の添付文書上でも、一般的に3~4日ごとに交換をするということが言われております。
続きまして、「網膜中心血管圧測定」ということで、41コマ目をごらんください。
本技術の血管圧測定については機器を用いて網膜中心血管(動脈)の圧を測定する検査で、眼循環動態の把握に用いられております。
適応疾患としては、網膜血管閉塞症や眼虚血症候群等がございます。しかながら本検査は古くから適用されており、現在はより精緻に検査できる蛍光眼底造影検査や眼底三次元画像解析等、さまざまな検査によって診断が行われ、算定件数もそれらの検査と比較すると少なく、また、一部の都道府県のみで実施されている状況があるものでございます。
こうしたことを踏まえまして、42コマ目以降43コマ目に【論点】をお示しさせていただきました。
(1)下肢静脈瘤の手術については、多くが外来で実施されている状況や、短時間で可能な手技であり、また、局所麻酔で可能でもある。また、エビデンスも踏まえ他の手技との有効性や緊急性等の比較の視点から適切な評価とすることについて、どのように考えるか。
(2)重症急性膵炎に対する急性血液浄化療法でございます。診療ガイドラインの趣旨やエビデンスも踏まえ、持続緩徐式血液浄化療法における急性膵炎の取り扱いについて、どのように考えるか。
(3)局所陰圧閉鎖処置につきまして、必要な処置が週に数回でよいことを踏まえ、処置にかかる手間や技術を適切に評価する観点から、本処置の評価を見直すことについて、どのように考えるか。
(4)網膜中心血管圧測定につきまして、臨床上の位置づけや実施状況を踏まえ、その取り扱いについて、どのように考えるかとさせていただいております。
44コマ目以降、「在宅医療において使用する材料の評価について」、まず、「在宅自己導尿」についてでございます。
在宅自己導尿に係る報酬につきましては、指導管理料が設定されておりまして、この中にカテーテルの材料に係る評価も含まれるという形で行われています。
一方で、近年、高性能なカテーテル等の開発が進み、こうしたカテーテルの評価を行う観点から、平成28年度改定では、右の材料加算の中に、イ 親水性コーティングを有するものなどの新設もされたところでございます。
こうした経緯から、材料に係る評価が管理料及び加算に分かれており、評価体系が複雑化しているという現状でございます。
46コマ目は、親水性コーティングカテーテルの利便性等についてお示しをしております。本カテーテルは利便性が高く、社会生活を送る患者等において有益でありますが、下にお示しをするようにコストも高いものでございます。
続きまして、47コマ目、28年度改定で、先ほど申しましたように、「特殊カテーテル」の加算の新設を行いました。しかしながら親水コーティングを有するものの算定回数の占める割合は、全体の6%程度にとどまっているという状況にございます。
48コマ目でございますけれども、自己導尿を要する患者のうち、神経因性、神経が原因となった疾患の主なものに脊髄損傷や二分脊椎がございます。
脊髄損傷は、活動性の高い若年者での一定程度発生が見られており、こうした患者では、自己導尿が必要となる期間が長期化します。
また、二分脊椎は、先天性の疾患であり、同様に長期の医療的ケアが必要であるという状況でございます。
49コマ目は、親水性コーティングカテーテルにより、尿路感染症のリスクを低減できるものでございます。また尿路感染症を反復いたしますと、長期的に腎機能障害を来すおそれもあり、こうしたリスクの低減効果も重要であると考えております。
続きまして、50コマ目以降は「在宅人工呼吸管理」でございます。
51コマ目をごらんください。在宅酸素や在宅人工呼吸器等の呼吸管理は、慢性呼吸器疾患等で適応となるが、小児患者においても、在宅で人工呼吸器を装着されている方がいらっしゃいます。小児における在宅呼吸管理ということで、子供においては、呼吸の苦しさなどをみずから訴えることができないため、24時間連続でのモニタリングなどを要する機器も多くなります。また、患者の算定の状況ですが、0~4歳の小児において、最も多く算定をされているという状況です。
52コマ目は成人と小児を対比したものでございまして、一番下、小児は活発に動くこともあり、専用のプローブが必要。またその個数も成人と比較して多くなるという状況でございます。
53コマ目をごらんください。こちらは在宅人工呼吸指導管理料、この中に一部材料に係る費用が含まれており、小児におけるSp02プローブはこの部分で評価されているという状況にございます。
こうしたものを踏まえまして、54コマ目、在宅自己導尿や、在宅人工呼吸管理において、患者の個々の病状や病態に応じて適切な材料の活用を含めた質の高い管理を行えるよう、その評価のあり方やコストを踏まえた評価の見直しについて検討してはどうか、とさせていただきました。
事務局からは以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まず、【論点】の9ページ目のところですけれども、医療技術評価分科会で活用するための研究班の設置を検討するということですが、その研究班は個々の技術について新たなエビデンスに基づく再評価を検討するのでしょうか。それとも再評価する際の課題の整理や海外情報の収集、あるいは評価方法の策定といった再評価をする際の枠組みを検討するのでしょうか。前者の個々の技術の再評価についても研究班で検討するということでしたら、それをさらに医療技術評価分科会で検討すると、二度手間になってしまいますので、効率的な検討がなされるようにすべきと考えますが、この点についていかがでしょうか。
○田辺会長
お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。9ページにお示しをいたしました研究班の役割について、今、先生がおっしゃられた後段の枠組みの検討をまずは行っていただくものというふうに考えております。
○松本委員
わかりました。その上で、費用対効果を含めた評価を行うと、ここにありますが、その手法は費用対効果評価分科会が実施していることと全く同様のことをするのか、また違う方法を考えるのか、その辺はどうなのでしょうか。
○田辺会長
お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。費用対効果を含めた評価でございますけれども、6コマ目にお示しもしておりますが、医療技術につきまして、費用対効果に基づく一律の価格調整を行うことはそもそも困難と考えておりまして、医療技術で特有の課題を踏まえた活用、評価の方法をまずは研究として実施していただくことを考えております。
○松本委員
まず、研究した上で、新たにまたここに提示されると、そういった理解でよろしいでしょうか。
○岡田医療技術評価推進室長
そういった理解でございます。
○松本委員
わかりました。続きまして、29ページ目の【論点】でございますが、このガイドライン等に関する議論につきまして、最新のガイドラインに基づくことの重要性は理解いたしますけれども、ガイドラインはあくまでガイドラインであって、医療の個別性までを否定するものではないと考えます。医療とは個別性が高く、類型どおりにはできないということも非常に多くございますので、ガイドラインどおりでないものは全て不適切な医療であるという認識では対応すべきではないと思います。
1つ目の【論点】につきましては、施設基準等で求められている指針等が公表されていなければ、医療機関としても施設基準等を満たすことが困難になることも考えられますので、公表していただくか、あるいは施設基準等にガイドラインの内容を具体的に記載していただく等の対応が必要だと思います。
2つ目につきましては、1つ目の【論点】に対する意見と同様ですけれども、ガイドラインによれば、最初にトレッドミル等を行うべきところを、そうした手順を踏まずに冠動脈CT等を行った場合は不適切と決めつけて点数を引き下げる等のそういった評価方法については反対をいたします。逆にトレッドミルは、資料にあるとおり、非常に時間や手間、リスクもあり、さらなる評価を行うなど、トレッドミルの推進を検討すべきだと思います。
その上で、冠動脈CT検査については、どのような理由で検査を実施したのかを確認できるような対応をしてはいかがでしょうか。26ページによれば、NDB・DPCデータを調べたところ、PCI(経皮的冠動脈形成術)を施行する前の虚血検査の実施状況につきましては、非常に施設間でばらつきが認められたということが出ておりますが、このばらつきが生じる原因等をさらに分析していただいて、その上で適切な対応を検討すべきと思います。
43ページ目ですが、まず「下肢静脈瘤」についてです。確かに他の技術との有効性や緊急性等の比較の観点からすると、この点数については納得が得られないかもしれませんが、比較している他の点数がそもそも安いということも考えられますので、他との比較だけではなくて、外保連が主張されているように、技術料の評価はエビデンスに基づくべきという視点からも、この点数のあり方を検討してはどうかと考えます。
「重症急性膵炎に対する急性血液浄化療法」につきましては、先ほどのPCIの議論と同様です。最新のガイドラインに基づくことの重要性は理解いたしますけれども、それ以外は認めないということではなくて、症状詳記をきちんと求めるなどの対応を検討すべきと考えます。
「局所陰圧閉鎖処置」につきましては、入院で行われる局所陰圧閉鎖処置は、対象疾患や算定期間が限られておりますので、一般的な創傷処置の代わりとして行われるものではないということでございます。また、一日ごとに所定点数を算定できますけれども、この点数には、陰圧維持管理装置のレンタル代とか、その費用が含まれており、技術料の中に物代が包括されています。したがって、この点数のあり方を検討するのであれば、まずは技術料と物代の関係が適切な関係になっているかどうかを、こちらも外保連試案なども参考に検証する必要があると考えます。
また、この局所陰圧閉鎖処置につきましては、外来での評価が余り進んでいないということがありますので、入院の局所陰圧閉鎖処置を検討するのであれば、あわせて外来における局所陰圧閉鎖処置も検討することを提案いたします。
4番目の「網膜中心血管圧測定」についてですが、これは非常に古い手技で、代替する技術もあり、また一部の都道府県のみで実施されている現状からすると、こういった技術は外保連などの指摘により、改定時に削除されることがあると思いますけれども、削除される技術の基準等はあるのでしょうか。後でお聞かせ願いたいと思います。仮に次回改定で削除するとしても、現場への影響を考慮して経過措置を設けるなどの対応が必要だと思います。
最後、54ページ目ですが、まず、「在宅自己導尿」について、受診がなかった月でも管理料に含まれている材料費用は算定できるようにすべきだと思います。ただ、47ページ目を見ますと、親水性コーティングカテーテルの月当たりのコストは約3~6万、1日5本使用ですのでそういうことになっております。
これに対して材料加算の点数は、月1回960点となっており、コストと点数に大きな差がありますので、この差を埋めないと、なかなかこの利用は進まないと思います。
また、医療的ケア時への対応ということは非常に大事なことかと思っております。小児の在宅人工呼吸管理についても、受診がなかった月でも管理料に含まれている材料費用は算定できるようにして、質の高い管理が行われるように、ここはしっかりと推進していくべきだと考えます。
以上です。
○田辺会長
では、事務局、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。「網膜中心血管圧測定」につきまして、削除される技術の基準はあるのかとのお伺いでございます。一律に削除の基準があるというわけではございませんが、算定回数が0であるとか、非常に少ないとか、また、関係する学会の御意見などを伺いまして、削除が適切ではないかと思われるものについて、中医協の御意見を伺っているというのが現状でございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。ほか、いかがでございましょう。では幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
【論点】に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、9ページの【論点】ですが、研究班を設置する。これは枠組みを議論するというお答えがありましたが、これはどんどん推進していくべきだと思います。
少し大きい話になりますが、医療技術の評価については、日本は諸外国に比べて体制が確立されてないのではないかと思っていまして、医療技術評価分科会、先進医療会議、費用対効果評価専門組織等がありますが、縦割りの感じになっているのではないかというところもあって、イギリスのNICE、フランスのHASのように、統一した評価をするような機関を将来的には目指していくべきではないかと思います。
それから、29ページのガイドラインですが、これは原則公開ということで、ガイドラインは患者さんも参照する必要があると思いますので、原則公開は必須ということだと思います。また、ガイドラインに対応して、ガイドラインはアップデートされていきますので、それに関連する診療報酬の要件、評価についても、それに伴ってアップデートしていくべきだと思います。
それ以降に出ているものについては、まさにガイドラインと診療報酬上の評価、それから要件にミスマッチが生じている部分を解消していこうという提案でございますので、総論としては賛成でございます。
まず、冠動脈疾患につきましては、トレッドミルによる負荷心電図検査を推進すべく対応をしていくべきだと思います。
それから、個別の事項で、下肢静脈瘤につきましては、その大部分を占める下肢静脈瘤血管内焼灼術の手術時間が1時間と短時間であるにもかかわらず、1万4360点という高額な診療報酬が設定されていることを踏まえて、手術時間に倍以上の2.5時間を要する急性反発性腹膜炎手術の1万4400点というものと比較しながら適正化を図っていくべきだと思います。
それから、2番目の重症急性膵炎に対する急性血液浄化療法につきましては、これは急性膵炎の患者に対してルーチン的に算定できるようになっているといったところで、ガイドラインとのミスマッチがあるというところから、病態を限定した算定要件に見直していくべきだと思います。
それから、局所陰圧閉鎖処置についても、1日につき所要の点数が算定できるということで、添付文書、米国の例を見ると、これは数日に1回でいいというところもあるので、数日に1回の算定要件への厳格化をしていく必要があると思います。
それから、網膜中心血管圧測定については、これは診療報酬上の点数から削除すべきというふうに思います。
54ページの在宅医療に関するコメントなのですが、これについては、管理料プラス加算ということではなくて、全て包括化していくべきではないかと思います。1点目の「特殊カテーテル加算」につきましては、在宅自己導尿指導管理料に包括して、安全性、有用性の高い、親水性コーティング付きカテーテルがあるのであれば、それを包括した点数で評価すべきではないかと思います。
それから、人工呼吸管理については、小児と成人とでは評価が違うということであれば、【論点】どおり細分化していくべきだと思います。
以上、意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。2点あります。
まず、9ページの【論点】なのですが、先ほどからもあったように、新たな研究班を設置するということで、効率的で無駄のない従来の仕組みと整合性を持った仕組みにしていただきたいということなのですけれども、具体的な評価方法をこれから策定して、この中医協に御報告いただくということですけれども、医療技術そのものの効果のほかに、間接的にさまざまに影響することがあるのではないかと思って、その辺はどういった取り扱うになるのか、これから決まるのかどうか。例えば手術時間が通常の手術に比べて倍になりましたというと、手術時間だけでなくて、当然のことながら麻酔時間であるとか、そこで働いている人たちの労働時間にも直結する話ですし、また医療技術の評価以外に、例えば保険償還できないような材料費が物すごく高額にかかるということになると、そのことは、いわゆる消費税の負担を全部病院側が持つというようなお話になるわけで、さまざまに直接的なものではない、間接的な影響があると思うのです。そういうものも評価の対象にするのかどうか、今後の議論だと思うのですけれども、ぜひ、そういう視点も持って検討していただきたい、個人的ですけれども、お願いをしておきたいと思います。
もう一点は、最後の小児のプローブの話なのですが、これは基本的に人工呼吸をしている子供だけが対象になるのですね。
○田辺会長
お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
本管理料におきましては、そういったことになっております。
○今村委員
実際問題、子供さんたち見ていると、例えば気管切開をしていて、人工呼吸は特にしていないと。しかしながら、先天性のさまざまな疾病を持っていて、無呼吸発作を起こしたり、冬季になると頻繁に呼吸器の感染症を起こしたり、そういう子供さんたちも、サチュレーション、パルスオキシメーターをつけて呼吸管理をずっとしていると。親御さんもそうだし、周りで見ている方たちも、そういうものを見ながら吸引をしたり、あるいは酸素を少しあげたりとか、いろんな処置をしているわけですね。だから必ずしも人工呼吸器を使っているから必要なのだという視点ではなくて、もう少し小さなお子さんに関しては、幅広い視点で考えていただけるとありがたいなと思いました。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。まず、9ページについて、皆さんと同じく、先ほど松本委員からもありました通り、有効性等の新たなエビデンスが確認された場合に、中立的、専門的な立場から再評価を行う専門的な公的研究班か分析班を設立するのは理解できます。しかしながら、医療技術評価分科会等のあり方を含めて、組織的な位置づけは明確にして運用すべきだと思いますし、現実的に構築可能な体制の規模を踏まえますと、透明性を担保するのであれば、再評価する医療技術の優先順位やその他諸々のルール設定については、予めきちんと策定しておく必要があると考えます。
もう一点の費用対効果評価について、説明にもありましたが、6ページにあるとおり、個別性がかなりあり、いまだ課題が多いというのはそのとおりだと思います。そのため、今後時間をかけて検討していく必要があると思いますので、今回の論点である「3」評価の導入時点では、費用対効果の評価活用については、もう少し検討の時間をとって、まずは医療技術の有効性、安全性、並びに普及性、技術的成熟度等々の観点で、再評価の仕組みをきちんと構築することを優先すべきだと思います。
費用対効果評価については、海外の事例収集や今後行う再評価の事例を踏まえて、評価のあり方を検討していくということでよいと思います。
もう一つ、29ページにある、保険診療の実施に必要な事項は、参照可能となる対応であり、ガイドラインの有効活用は確実に実施していく必要があると思います。今回提案されている冠動脈病変などへの対応に限らず、ガイドラインを推奨していることと、医療現場での実態評価に隔たりがあるのであれば、今後、関係学会への調査等を行い、その結果に基づいて適切に対応していく評価のあり方を検討していくというのは理解できます。一方で、学会等ガイドライン、指針等の現状把握の体制整備については、13ページでは、今回、指針、ガイドラインで確認を行っているということが出ており、事務的な負担は相当大きいと思いますが、それも含めて、今後、継続的、定期的なフォローのあり方について、事務局はどうお考えなのでしょうか。
○田辺会長
お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
御質問ありがとうございます。13ページにお示しさせていただきました調査といいますか、確認ですけれども、御指摘のとおり、かなりの労力を要するものではございますが、一方で報酬にひもづくガイドラインでございますので、関係する学会には御協力、御理解をいただいて、全体の把握には努めてまいりたいと考えております。
○吉森委員 ありがとうございます。今後、改定が頻繁に行われ、技術の進歩等もあります。指針、ガイドラインの見直しは適宜行っていかないのであれば、診療報酬との整合性の確保は必要であり、学会から定期的にガイドライン等について報酬との整合性確認、整理の必要な項目の御提案をいただくなど、定例的に確認できるような体制整備をつくっていくことが必要と思います。事務局の負担も考えれば、その辺を早急に整理すべきだと思います。そのためには学会の御協力が必要であり、早急に事務局・厚労省との協力関係をきちんとした体系にすべきと思います。
もう1点、43ページの個別技術の評価について、診療ガイドラインや診療実態を踏まえて適切な評価をしていくために見直す必要があるのはそのとおりだと思います。ただ、41ページの「網膜中心血管圧測定」が一部の都道府県のみで実施されているというデータが出ており、なぜ一部の都道府県だけでこの測定が行われているのか、教えていただければと思います。
○田辺会長
事務局、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。今、御指摘の点は、我々も実態が明らかになっているわけではございませんが、一方で、関係する学会にお聞きしたところでは、本技術は報酬上の位置づけの必要性については乏しいというような御意見をいただいているところでございます。済みません、直接のお答えにならず、申しわけございません。
○吉森委員
わかりました。一般的に考えて、都道府県別の医療実態の調査は、これに限らずある程度把握するのは必要だと思っており、システマチックに把握できるような体制整備も必要ではないかと考えます。先ほどの学会との関係も含めて、体制整備をぜひしていただければと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。指針、ガイドラインについてですけれども、ちょっとわからないのですけれども、ガイドラインのほうの公表状況というのはそれぞれに異なっているというのは、患者が診療を受けるに当たって、患者、家族もそうですけれども、ガイドラインに沿って治療してもらえるという一種の安心感を、そういうガイドラインがあることによって得られるかと思うのですが、公表がまちまちになっている理由とか、あと改定後、1年間は非公開と、何でそういうふうにしているのか、わかっているのでしょうか。
○田辺会長
事務局、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
事務局でございます。ガイドラインの版権と申しますか、それ自体は学会のほうでお持ちであります。その都合上、ガイドラインの改訂がなされてから1年間非公開とされているものがあるということでございまして、一方で、事務局といたしましても、報酬に関連する部分について、広く患者、医師、医療機関も知ることができるという状況は重要だと思っておりますので、どういった方法があるのか、本日の皆様の御意見も踏まえて考えていきたいと思っております。
○間宮委員
過去には、私も関係しているサリドマイドの再承認の以前の話ですけれども、無承認薬の状態で治療のガイドラインができるというのは非常に画期的なことがあってガイドラインできたのですが、それをきちんとした医療機関でも遵守していなかったということが問題になったりとかしたわけですね。それを考えると、版権とか何とかという話よりも、公開と情報共有を進めていくというのが大事だと思いますので、これは積極的に進めていっていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。事務局へのお願いにもなるのですが、9ページの医療技術評価分科会においての研究班の役割は、これは御説明いただいてよく理解したわけですが、医療技術評価分科会は、基本的には技術をしっかりと評価するということに重点を置きながら議論しているというところで、ここにさらなる組織を細かく余りつくっていくということもよろしくないとは思いますが、日本の場合、薬価制度もそうなのですが、諸外国に比べて非常に精緻な分析ができる制度という特色を持ったものが幾つもあります。
8ページの諸外国の機関というのはグロスとしてあるわけですが、基本的には財政的な視点を中心として評価がかなり粗いというところもありますので、日本のよさをとるという意味において、医療技術評価分科会のあり方は大事にしていただきたいと思います。要望でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。ここで一旦5分ほど休憩をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
(休 憩)
 
○田辺会長
それでは、再開いたします。
次に「歯科医療について」を議題といたします。事務局より、資料が提出されておりますので、事務局のほうより説明をお願いいたします。歯科医療管理官、よろしくお願いいたします。
○歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。資料 総-7をごらんください。2コマ目をごらんください。
第1ラウンドで歯科にまとめた議論がごさいませんでしたので、「1.歯科医療を取り巻く現状等について」というのを今回付してございます。その次、「2.外来診療の充実」ということと、「3.口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進等」という構成で進めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
3コマ目をごらんください。「医療施設の年次推移」でございます。歯科診療所につきましては、近年横ばいという状況になってございます。
4コマ目をごらんください。「歯科を標榜する病院数の年次推移」でございます。歯科を標榜する病院数については「歯科口腔外科」を標榜する施設が増加傾向となっております。一方で、「歯科」を標榜する施設数は減少傾向という形になってございます。
5コマ目でございますけれども、「歯科医師数(医療施設従事者数)の年次推移」でございます。歯科医師数は年々ふえておりまして、平成28年度の歯科医師総数は10万人を超えております。
6コマ目をごらんください。「歯科診療所の従事者数の推移」でございます。歯科診療所は、常勤換算の従事者数が5人以下の小規模事業所となっておりまして、1診療所当たりの歯科医師数は1.4人というような状況になっております。その中でも歯科診療所に勤務する歯科衛生士が増加するというような傾向になってございます。
7コマ目をごらんください。「20歯以上の者の割合」というような形になっておりまして、歯科では8020(ハチマルニイマル)運動を進めておりますが、8020の達成者でございますが、赤の点線で囲ったところです。こちらのほうの8020達成者は51.2%というような形になってございます。
8コマ目をごらんください。「年齢階級別の推計患者数の年次推移」でございます。左側は絶対値でございまして、患者数の絶対値の推計につきましては近年横ばいというような状況になっております。右側は、年齢階級別になっておりまして、赤の点線で囲っているところは、65歳以上の患者になっておりまして、65歳以上の患者が大分ふえてきているというような状況になってございます。
9コマ目は、「歯科診療医療費の年次推移」となってございます。
10コマ目は、「歯科治療の需要の将来予想(イメージ)」という形になっておりまして、従来の治療中心型の歯科治療から、真ん中の緑の部分でございますが、今ですけれども、今後は口腔機能管理を含めた、地域の中での連携というようなものも含めまして、治療・管理・連携型というような歯科診療所が望まれていくのだろうと考えているところでございます。
次、11コマ目からは、「歯科外来診療の充実」という形になってございます。
12コマ目は、「歯科初診料とその加算」という形になっております。
13コマ目は、「歯科再診料とその加算について」という形になってございます。歯科の基本診療料の基本的な図を示しているところでございます。
14コマ目でございますけれども、「歯科の外来診療の特徴」でございますが、歯科の外来診療につきましては、この図の真ん中に歯科用ガス圧式ハンドピースというものの写真が載っておりますが、多くの患者に対して、こういうような機器を口の中に入れたり、術者が手袋をしたりマスクをしたり、患者にエプロンをしたりとか、うがい用のコップを用意したりと、ほとんど全ての患者にこのような対応が必要になっていて、歯科の外来診療におきましては、日常的に唾液、もしくは血液に触れる環境下で多くの機械や器具、紙コップなどを使用しているという状況になってございます。
15コマ目をごらんください。こちらは「歯科診療における院内感染対策の推移」を記載してございます。こちらは平成20年に歯科外来診療環境体制加算というものを導入しておりまして、こちらの加算の中で、患者の口の中に入れる機器につきまして、患者ごとに滅菌して使用しましょうということが施設基準の中に含まれておりまして、初めて歯科の院内感染対策に関する点数が平成20年度に入ったところでございます。随時、歯科の外来診療環境体制加算を見直していきまして、前回、平成30年度の改定におきまして、基本診療料に院内感染対策を算定要件化したというような形になってございます。
院内感染防止に必要な対策といたしまして、アンケート調査をいたしましたところ、1番のところが、「診療報酬による評価の充実」ということと、2つ目でございますが、「医療従事者に対する研修の充実」というようなことになっております。
16コマ目は、30年度における歯科の基本診療料、歯科外来診療環境体制加算を模式図で示したものでございます。
17コマ目でございますけれども、「歯科初診料、再診料の院内感染対策に関する届出」といたしまして、真ん中の点線のところに施設基準が書かれておりますが、こちらの施設基準を満たしていた医療機関でございますが、令和元年10月1日現在の届出医療機関数につきましては約95%の歯科医療機関が届出を出していたという形になってございます。
それと、あと施設基準の3つ目でございますが、歯科外来診療における院内感染防止対策に係る研修を受けた常勤の歯科医師が1名以上配置されていることというような形になってございまして、恐らく歯科の医療機関の中で滅菌の作業をするのは歯科医師ではないことが多いと思いますが、現在の施設基準におきまして、研修要件が規定されているのは歯科医師のみという形になってございます。
それと先ほどの95%以外の残りの5%の医療機関が届出を行っていない理由でございますけれども、こちらにつきましては、届出を行っていない医療機関が5%と非常に少ないものですから、アンケートの対象も非常に少なくなっておりまして、N=24というような状況ですが、一定の傾向としてごらんください。この届出を出していない医療機関の中に、赤丸の2つ目でございますが、「要件は満たしているものの特に理由はないが届出はしていない」というような医療機関も中には存在するという状況になってございます。
18コマ目をごらんください。「歯科診療報酬における主な施設基準」でございますけれども、歯科の診療報酬の施設基準におきまして、院内感染対策に係る取り組みが規定されている施設基準はこちらの中に赤で記載しているもののみとなっております。これらの施設基準以外の中にも、結構簡潔的な処置を行ったりするような施設基準がございますが、そのようなものの中には、院内感染対策に係る取り組みが規定されていないというような状況になってございます。
次、19コマ目をごらんください。「歯科医療の総合的な環境整備に対する評価」ということで、先ほどから出てきております歯科外来診療環境体制加算というような、患者にとってより安全で安心できる外来診療の環境の整備を図る取り組みを評価したものがございまして、その施設基準については、点線の中に囲われているところが施設基準となってございます。こちらの施設につきましても、だんだん増加してきておりまして、そちらのほうの届出数が左下のグラフに示しているところでございます。
20コマ目の【論点】でございますが、【論点】の1つ目としては、歯科外来診療における院内感染対策を充実させるための対応について、基本診療料やその加算、施設基準等を含め、どのように考えるか、となってございます。
「○」の2つ目、歯科医療機関での外来環境を充実させるため、歯科外来環境体制加算の要件等を見直してはどうか、となってございます。
次、22コマ目以降でございますが、こちらから「口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進等」となっておりまして、ここからは「継続管理のあり方」というものと「かかりつけ歯科医機能」というものは、継続管理とかかりつけ歯科医機能は密接に結びついておりますので、こちらのほうはまとめて紹介させていただきたいと思っております。
22コマ目でございますが、「歯科疾患管理料の概要」となっておりまして、歯科疾患管理料は継続的な歯科疾患の管理を評価した管理料でございます。
下のほうには、管理料の加算の一覧が記載されてございます。
23コマ目をごらんください。歯科疾患の継続的な管理を評価した「歯科疾患管理料」ですが、こちらの算定状況としては、左側のグラフ、90%以上の患者から歯科疾患管理料を取っていますというような医療機関が大体44%存在しております。
一方、6月に歯科疾患管理料を算定した患者のうち、9月までの間に患者が再診に来ていませんというような患者の割合が50%以上であるという医療機関も大体25%ほど存在している形になってございます。ただ、こちらのほうは、今後患者が来院する、あるいはそれ以降に予約をとっていることも可能性としてありますが、6月と9月で見た場合には25%が50%以上再診がないというような状況になっておりました。
24コマ目でございますけれども、平成28年12月に再診を行った患者の初診がいつから来ているのかを見たものがこのグラフでございます。ほとんど多くの者、75%が6カ月未満というような形になっておりますが、その一方、同一初診期間が6カ月以上となっているような、長期に診ている患者も約25%いらっしゃるという状況になってございます。
25コマ目をごらんください。これは「歯周病の進行の特徴」ということで記載しておりますが、歯周病というものは活動期と休止期、悪いときと一瞬よくなるような状況を繰り返して進んでいくことが言われておりまして、歯周病につきましては、継続した管理とが重要であることが言われております。
26コマ目をごらんください。そういうような患者に対して、「歯周病安定期治療」というものが行われております。歯周病安定期治療の算定要件ですが、「○」の1つ目の下線部、歯科疾患管理料などを算定している患者であって、4ミリメートル以上の歯の回りに歯周ポケットというのがあるのですが、4ミリ以上の歯周ポケットを有するものに対して行われるという形になってございます。
27コマ目をごらんください。「歯周病の重症化予防」ということで、先ほどの歯周病安定期治療を算定している患者数、あるいは算定している施設数を記載してございます。
28コマ目をごらんください。今まで歯周病でしたが、ここは「う触」になっておりまして、○の4つ目で下線を引いているところですが、う触につきましても、進行を抑制することが可能となっていて、重症化予防のための指導管理等が求められているということがワーキンググループの報告書に記載されています。
29コマ目をごらんください。「フッ化物応用によるう触の重症化予防」でございますが、う触の重症化予防の算定回数を記載しているのが29コマ目となってございます。
30コマ目、話はまた一転しまして、歯科疾患管理料の加算となっております「小児口腔機能管理加算」というものがございますが、こちらの小児口腔機能管理加算の算定要件が真ん中のオレンジ色のところになっております。真ん中のオレンジ色の赤の点線で囲っている部分でございますけれども、こちらの咀嚼機能を含む3項目以上に該当すると、小児口腔機能管理加算の対象になるという状況になっておりますが、咀嚼機能のここの赤の点線の中の項目については、歯が生えていないとほとんど選択できないという状況になっておりまして、歯が生える前のお子さんに対する小児口腔機能管理加算が余り算定できないというような状況になっております。
31コマ目をごらんください。こちらのほうは離乳食について困ったことを2歳未満の保護者の方に聞いておりまして、2歳未満のお子さんを持つ保護者に離乳食について困ったことを確認したところ、何がしらかの困ったことがあるという方が74.1%存在しておりました。その中は、子供さんが「丸飲みしている」「食べる量が少ない」、あるいは「離乳食がなかなか進まない」ということなどが挙げられておりました。
そして32コマ目でございますが、「小児口腔機能管理加算」、先ほどのどの項目を評価項目として算定したかということですけれども、マルがついているのが、「機能的因子による歯列・咬合の異常がある」、「口呼吸がある」というものが認められております。
その一方、算定していない理由としては、「該当する患者がいない」というようなものが53.5%で多くを占めておりました。
33コマ目、今までは小児でしたが、主に65歳以上の高齢者でございます。「口腔機能管理加算」というものがございます。こちらも真ん中に検査項目がございまして、こちらの中から3項目以上該当する方が口腔機能管理加算の対象になるという状況になってございます。
34コマ目をごらんください。「口腔機能管理加算」につきまして、算定した場合の検査した項目でございますが、50%が「口腔衛生状態の不良」となっておりまして、「咀嚼機能の低下」が28%となっておりました。
右側の算定していない理由でございますけれども、「算定要件がよくわからない」というものが24.3%、「指導・管理の方法がわからない」という方が14.1%いらっしゃいました。
35コマ目でございますが、「かかりつけ歯科医機能評価の充実」でございます。30年度改定にかかりつけ歯科医機能で改定をしたものの簡略した図でございます。
36コマ目は、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準」となっておりまして、こちらの施設基準で、下線部のところが大体30年改定で見直しを行った主な内容となっておりますが、こちらのほうの内容につきましては、30年3月31日まで、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所になっていたところは、ここの下線部分が、令和2年3月31日までは経過措置になっているというような状況になってございます。
37コマ目につきましては、これはかかりつけ「歯科医機能強化型歯科診療所」のとれる点数と診療報酬上の評価という形になっておりまして、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届出数についてはだんだん増加してきておりまして、平成30年7月1日時点で大体1万施設ぐらいというような状況になってございます。
38コマ目でございますけれども、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所を選んだ理由」といたしまして、「信頼している歯科医師がいるから」というものが最も多く、次いで、「歯科医師や職員の感じがよいから」、「かかりつけの歯科診療所だから」というようなもの、「むし歯や歯周病の定期的な管理をしてくれるから」というものも理由となっているという状況になってございます。
次、39コマ目でございますけれども、こちらのほうに【論点】を記載してございます。【論点】といたしまして、歯科疾患の継続管理をさらに充実させるために、その評価方法も含め、どのような対応が考えられるか。
歯周病等の歯科疾患は継続した治療等を行うことが重要であり、途切れることなく継続管理するために、長期管理への評価を行うことも含め、どのような対応が考えられるかということが2つ目となってございます。
3つ目、小児に対する口腔機能管理について、口腔機能の維持向上に関する指導を充実させるためには、その評価方法も含め、どのような対応が考えられるか。
最後でございますが、高齢者に対する口腔機能管理について、口腔機能維持向上に関する指導を充実させるためには、その評価方法も含め、どのような対応が考えられるか。
最後、40コマ目以降は「その他」となってございます。
41コマ目でございますが、これは歯の根っこの治療のときに使う「手術用顕微鏡」の評価でございます。こちらの手術用顕微鏡の評価につきましては、歯の根っこが1根管とか2根管、3根管、4根管とあるのですけれども、4根管とか特殊な樋状根という根っこに対する治療に限定されて、手術用顕微鏡の加算が認められているというような状況になっております。
「○」の4つ目、手術用顕微鏡の加算の算定回数は、1,511件という状況になってございます。
42コマ目は、歯の根っこの参考となってございます。
43コマ目でございますけれども、「経口摂取をしていない患者の口腔管理」についてでございます。長期間、経口摂取をしていないと、口腔内は唾液分泌量が少なく乾燥するというような状況になります。開口量が少ないことも多く、口腔管理が困難となっておりまして、経口摂取をしていない患者の口腔管理をどのようにしたらいいのかというようなことが1つでございます。
経口摂取をしていない患者の口腔管理の例ということで、真ん中に具体的に例を記載しています。
44コマ目は、「経口摂取をしていない患者の口腔状態」ということで、参考でございます。
45コマ目でございますけれども、「広範囲顎骨支持型補綴」というような点数がございまして、こちらのほうは、がんの治療で歯の顎を大きく切除してしまい、歯がなくなってしまったりしたような患者に対する治療で、真ん中に対象患者というところに記載しています。
「○」の3つ目、先天性疾患に起因しない3歯以上の永久歯萌出不全等に対する矯正治療は、保険適用となっているのが、こういうような3歯以上の永久歯萌出不全等になっておりまして、広範囲顎骨支持型補綴の適用にはなっていないというような状況になってございます。こういうような多数歯欠損の患者等においては、矯正治療終了後、ブリッジや入れ歯の一般的な補綴治療では治療困難な症例があるというような状況になってございます。
次、46コマ目、「静脈内鎮静法について」でございますけれども、歯科の治療に対して非協力的な小児患者、歯科治療恐怖症の患者等に対して静脈内鎮静法が行われているわけですが、静脈内鎮静法については、術中とか麻酔管理が重要でございますけれども、麻酔管理に要した時間にかかわらず、その評価が一律という形になってございます。
最後、47コマ目でございますが、【論点】でございますが、歯科固有の技術の評価を必要に応じて見直してはどうか。生活の質に配慮した歯科医療に対する評価についてどのように考えるか、というような論点となってございます。
48コマ目以降は、参考としておりますが、第1ラウンドで質問、あるいはこういうような資料はないのかといったような御意見に対して出したものでございます。こちらの説明は割愛させていただきます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。歯科医療につきまして、【論点】に沿って発言させていただきます。
まず、20コマ目の1つ目の【論点】でございますが、院内感染防止対策について、日歯も普及啓発についてはさまざまな取り組みを行ってまいりました。結果、歯初診の届出は当初は85%程度の予想でございましたが、日を追うごとに増加し、直近では6万5,294施設の95%に増加しております。当初より早期に100%を目指すつもりで取り組んでおりますが、残る5%には診療実績のほとんどない医療機関も含まれており、診療実態のある歯科保険医療機関が100%になるよう問題点を共有し、引き続き努力したく思ってございます。
14コマ目にありますように、歯科は日常的に唾液や血液に触れる環境下で、多くの精密な器械や器具を使用しており、滅菌や感染防止対策に必要な歯材にはそれ相応の費用がかかっております。基本診療料については、院内感染対策は当然すべきことで評価しないといった理論ではなく、あるべき姿が正当な評価につながっていないことが問題であり、歯科医療機関が地域医療においてあるべき姿を維持できるようホスピタルフィーとして十分に配慮して制度設計をお願いしたく思っております。
続きまして、【論点】2つ目の外来環につきましては、16コマ目にありますように、前回改定の際に、院内感染防止対策の部分のみが外に出たような形となっております。従来から外来環境施設として、院内感染防止対策のみならず、医療安全や全身リスクのある患者への対応等にも積極的に取り組んできた医療機関にとって理解しやすい、また患者・国民にとっても納得のいく施設基準やさらなる評価については必要と考えております。
次に39コマ目の【論点】、1点目、2点目ですが、歯科疾患管理等における長期継続管理は、歯科疾患重症化予防の観点からも重要で、その重要性はさまざまなエビデンスをもって示されております。
また、38コマ目にありますように、国民のニーズとして、かかりつけ歯科医機能に求める中で、むし歯や歯周病の定期的な管理も意見として多くあります。しかしながら、長期継続管理の推進を妨げる要因として、歯科特有の通知による縛り、すなわち1初診中1回限りといった内容等に影響を受けていることも考えられ、阻害要因の是正を含み、より継続管理の推進にいいあり方となるように制度設計をお願いしたく思ってございます。
【論点】3点目、4点目ですが、30~34コマ目にありますように、小児口腔機能管理加算や口腔機能管理加算は、平成30年度改定で、口腔機能の維持向上に着目して、保険収載され、推進していかねばならない項目と理解しております。
本日、日歯提出資料として、日歯会員に対して大規模な調査をさせていただき、速報版として提出してございます。後ほどごらんになっていただきたいのですが、その中で、8ページのかかりつけの歯科医師の役割として、う触・歯周病等の重症化予防や継続的な歯科医療提供が重要と考えている割合が最も多く、7ページの今後取り入れたいと考えている治療としては、口腔機能低下への取り組みであるとの回答が多い結果となっております。
また、在宅療養支援歯科診療所の施設基準を出すほどのマンパワーはないものの、在宅歯科医療に取り組む歯科診療所も多く、歯科衛生士等の雇用を進めたいと考えている、という意見が多いものの、現場では雇用できていない、という声も多く寄せられています。
本日の6コマ目の資料に、常勤歯科衛生士は増加しているというデータも出ておりますが、日歯調査結果では、常勤0や1名といった小規模歯科診療所が多く、妊娠・出産等で離職するケースもあり、募集してもなかなか確保できず苦慮している現状がございます。歯科衛生士勤務実態については、偏在や地域差等も含めてもう少しデータがあればお示ししていただきたく、また何らかの偏りがあることが明らかであれば、施設基準の見直しや歯科衛生士業務の評価のあり方の検討が必要だと考えております。
最後、47コマ目のその他個別事項の【論点】でございますが、今回資料として示されております顕微鏡を用いた根管治療やさまざまな理由による矯正後の広範囲顎骨支持型補綴、経口摂取を行っていない方への口腔管理、麻酔管理の評価などについては理解できるところでございます。そのような方向性で検討いただきたいと思います。
本日、事務局から提出された資料に記載されていることも含め、記載されていない事項についても検討が必要なものがあると考えておりますので、引き続き、議論をお願いしたく思っております。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。吉森委員からお願いいたします。
○吉森委員
まず、20ページの【論点】の1つ目の院内感染対策の充実ということで、について今、委員から御発表がありましたように、14ページにある院内感染対策に手間、コストがかかるということは理解できますが、前回の30年改定において、そうした背景や本来あるべき責務であることも踏まえて、院内感染対策を算定要件化して、初・再診料の注1として加算を見直した経緯であると理解しております。
一方、17ページを拝見しますと、注1の届出をしている機関が95%だということで、しっかりと院内感染対策を行っていただいている歯科医療機関が大半であり、「要件は満たしているものの特に理由がないが届出をしていない」という回答があるような医療機関を除くと、院内感染対応は効果が出ていると拝見しております。
そういう意味では、15ページの調査結果を見ると、コストがかかるため評価のさらなる充実による対策が必要であるという意見はわからないわけではないですが、そもそも感染対策は医療機関として、本来なすべき必要な行為ということも踏まえれば、評価の充実の前に、まだ医療従事者の研修、学校教育の充実等を促進し、院内感染対策の実施を根づかせていくという対応を優先すべきだと考えております。
39ページの【論点】の、1つ目の歯科疾患の継続管理の充実については、事務局に質問です。要件設定上で治療機関など継続的な管理の提示あるいは、概念というものはあるのでしょうか。
○田辺会長
歯科医療管理官、お願いいたします。
○歯科医療管理官
事務局でございます。疾患管理料に関しまして、機関の算定要件というものは特にございません。
○吉森委員
一般的に歯周病などの口腔管理には継続管理が必要だというのは理解できますが、23ページの外来患者のグラフを拝見しますと、管理料の算定が少ないケースは、多分治療が短期で終わってしまうようなう触治療のみで、管理計画を作成していない治療が一定程度あるというのは見てとれると思います。継続的な歯科疾患管理の評価においては、疾患症状の区分別に治療期間や対応頻度など継続管理の要件提示は明確にしておく必要があると考えます。
2つ目の長期管理への評価についても同様の考え方だと思います。長期管理の必要性は、今後ますます必要であるのは理解できますけれども、この評価のあり方については、長期管理、継続管理においての論点の判断材料となるような資料をもう少し出していただかないと、現時点では議論が深まらないのではないかと考えております。
36ページのか強診などにおいては、考え方として継続的な管理を評価する観点から前回の改定で設けたというのもありますし、他の歯科医療機関よりも手厚い評価をしているということでもあります。長期管理については歯科疾患管理料、口腔機能管理加算でも採用しているわけでございますから、これらがもし十分に機能していないことであるならば、今、申し上げたように、継続管理、長期管理の要件の明確化、管理計画のあり方をしっかりと定義し、要件化し、見直しをきちんとやっていく必要がまずあると思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。10コマ目のところの29年に出た需要の将来予想(イメージ)、まさにこれはこういうことなのだろうなと、うなずけるなと思っていて、治療中心型というよりも、口腔機能管理をしていくことが理想ですし、予想されるのだろう。それができるのが歯科の領域で、予防医療というところで、歯科の医療従事者の皆さんが力を発揮していただきたいと思っているのですけれども、今回出てきた話で、幼児というか、乳児ですか、歯がまだ生えてこないころから見ていくのだというのはすごくいい話と思っていて、そうなったら、また、その先に歯が生えてきたときに歯並び(歯列)やかみ合わせが重要になっていくわけですけれども、歯並びについては、重度でないと保険適用にならないというところがありますので、ぜひ予防医療という意味では、歯並びの異常というものの、ある程度緩和というか、引き下げが、今後の予防医療、子供一人一人の将来にわたる歯科衛生上の管理という意味では非常に有効なのではないかと思います。
今の自由診療の中での費用というのは非常に高額ですし、そのあたりはきちんと長いスパンでお医者さんにかかる、かかりつけのお医者さんとずっとつき合っていくということで、長く健康な歯をずっと保持していって、高齢になってもきちんと口から物を食べられるというようなことになっていけばいいのかと思いますので、そのあたり検討していただければいいかと思います。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
23ページの「歯科疾患管理料の算定状況」にかかわる質問です。歯科疾患管理料は、継続的な歯科疾患の管理が必要な患者に対して算定されて、管理計画も作成されているという前提ですけれども、ここで示されているように、令和元年6月の初診で歯科疾患管理料を算定し、その後9月までの3カ月間で再診を行っていない患者が半数を超える歯科診療所が約25%という資料が出されています。こういった状況になるというのは、どういう要因によるものか、どういうファクターがあるのか、そこのところはどういう分析をされているのか、お尋ねしたい。
先ほど3カ月後にも患者が来る可能性もあるというような御説明もありましたけれども、どのような分析をされているのでしょうか。
○田辺会長
歯科医療管理官、お願いいたします。
○歯科医療管理官
ありがとうございます。こちらのほうで、再診がなかった患者の先生に対しまして、理由を聞いているアンケート調査がございます。それのうちの3分の1ぐらいは、予約していたけれども、患者が来院しなかったということと、あとは予約している来院の日時が、3カ月よりも先にあるというようなものが30%ぐらい。残りの3割ぐらいは、痛くなったらおいでとか、また気になったらおいでみたいな形で、明確な予約の日時を確定していなかったというものが3分の1ぐらいというような状況になってございます。
○田辺会長
宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
そうすると、患者の受療行動によって、こういった管理計画が左右されるという実態にあるわけですから、先ほど吉森委員がおっしゃったように、継続的な歯科疾患の管理の期間など、定義をある程度しっかりしておかないと、場合によっては、本来、継続的な歯科疾患の管理が必要でないような患者に対しても管理計画を想定し、歯科疾患管理料を算定している可能性もあります。ぜひ、定義の明確化をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
【論点】に沿って意見したいと思います。まず、20ページの【論点】なのですが、これは平成30年度に院内感染対策を要件として基本診療料が引き上げられたのですが、我々はそのとき反対いたしました。患者サイドからすると、医療機関の院内感染対策については、至極当然のことであって、これをやるから点数をつけるということについては反対をしてきたわけなのですけれども、こうなってしまった。それに対応して、約95%が院内感染の体制をつくった。残り5%の中についても、体制はとっているけれども、届け出てないというところもあるといった資料も出ていましたが、今回の提案は、さらにこれについて基本診療料を上乗せしようとするという提案なのですが、前回、設定された院内感染要件の点数を引き上げる明確な根拠というか、エビデンスがなければとても賛同しがたいなと思っています。
特に改定率もまだ示されてない中で、基本診療料を引き上げるという、今、この時点での提案は少し時期尚早ではないかと思っております。もしそういったことであれば、基本診療料で対応しなければいけないエビデンス、ぜひ我々が納得できるようなエビデンスを示していただきたいと思います。
それから、20ページの2つ目の論点で、外来環の算定要件の見直しということですが、これについて、ちょっとイメージが湧かないのですが、どのようなものを想定されているのかお教えいただきたいと思います。
○田辺会長
お願いいたします。
○歯科医療管理官
こちらのほうも今後議論していかないとあれですけれども、実際には、例えば医科のほうの基準で申しますと、敷地内禁煙とか、そういうようなものもあったりとかしますし、あるいは歯科の中でもデジタルのエックス線も普及してきておりますので、そういうようなものも1つの条件としては考えられるのではないかと思っております。
○幸野委員
ちょっと想定していたものと違ったのですが、例えば滅菌するスタッフへの教育とか、そういったことではないのですか。
○歯科医療管理官
そちらのほうも、その施設基準につきましても、施設基準というか、今の要件につきましても、例えば基本診療料の中で見るのか、あるいは外来環の中で見るのか、そちらのほうは議論あると思いますが、今は院内感染の算定要件は基本診療料のほうにきているのですね。外来環は院内感染ということではなくて、院内感染を除いた医療安全とか、そういうようなものが外来環のほうにきておりますので、どちらかというと、基本診療料のほうが適しているのではないかと思っております。
○幸野委員
了解しました。次の【論点】に行きたいと思います。39ページが、歯科疾患管理料については、従来から大変大きな問題をはらんでいるということで、何度も前回改定でも提示させていただきました。この管理料については、継続的な歯科疾患の管理が必要な患者に対して、患者又は家族の同意を得て管理計画を作成し、その内容について説明を行った場合に評価する管理料ということですが、23ページによれば、外来患者実人数に占める管理料の算定患者割合が、9割以上の医療期間が44%あるという状況です。
令和元年6月の初診時に歯科疾患管理料を算定し、9月までの間に再診を行っていない患者の割合が半分以上いる歯科診療所が25%といった状態になっているというところがあります。
それから、健保連が2年前の平成29年9月に公表したレセプト分析による調査研究においても、この管理料の算定を分析いたしましたところ、歯科の全レセプトの8割強で管理料が算定されている。算定された患者の15%強が2年に1回しか診療を受けてないということも分析されました。この管理料は継続的な管理を行った場合に限定して算定できるようにすべきというふうに提言したのですが、前回改定においては見直しが行われることなく、附帯意見として継続協議ということが位置づけられた経緯がありますので、次回改定に向けてはぜひ対応していくべきと思います。
我々の考えとしては、歯科疾患を継続した管理を行うためには、1回目でとれるのではなくて、2回目以降に算定可能となるような報酬体系に改めることが必要だと思います。そして、当該患者又はその家族の同意を得て、管理計画を作成し、その内容について説明を行った場合が、管理が途切れることなく患者の治療を継続させるために必要ということであるので、こういった行為は絶対に行うということを厳格に定めていただきたいと思います。
歯科疾患管理料については以上でございます。
それから、継続した管理を行うことが必要な歯周病についての論点なのですが、これについて、先ほども出ましたが、長期管理への要件、評価を行うのであれば漫然とした治療が行われることのないようにある程度アウトカムの評価も入れる必要があるのではないかと思いますので、意見させていただきます。
それから、論点にはないのですが、これもいつも問題視している、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の問題について意見させていただきます。か強診は虫歯のエナメル質初期う触管理加算や歯周病SPT2において、一般診療所と差別化した高い報酬が設定されるということですが、53ページの参考資料、認知度を調べてくれと私が言って出てきた資料なのですが、か強診をどれぐらいの国民が知っているのかというと、21.6%というふうに、5人に4人は知らずにか強診にかかっているというのが現実であったというデータが出ています。
また、38ページには、患者が歯科診療所を選ぶ理由は、一番多いのが「かかりつけの診療所だから」が最も多くて、ほかには、「信頼している歯科医師がいるから」、「歯科医師や職員の感じがよいから(雰囲気がよいから)」ということで選んでいるのであって、か強診であるから選んでいるという患者は多分いないと思うのです。多少二十数%の中でいるかもしれないのですが、か強診だからということで選んでいるわけではないと思います。
それなのにたまたま自分の行った自宅の近くのかかりつけ医がか強診だったら、プレミアムな価格を取られてしまうというのが現状で、これは患者の視点から見ると違うのではないかと思います。そういったものもあるため、か強診の届出を行っている診療所については、患者に対してかかりつけ歯科医機能を有しているということを、文書などを提示して説明するということを要件化するといった対応が必要なのではないかと思います。
逆にか強診の役目というのは、要件にも追加されましたように、地域包括ケアシステムの中で活動していくというような、地域への貢献、そういったものを評価していくべきで、そういったものは残すべきで、経過措置は当然延長する必要がないと考えます。
その他の【論点】については、特に異論はございません。以上、意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。では、林委員、お願いいたします。
○林委員
たびたび質問ございました、まず感染防止対策に関するコストの面でございますが、直近の日本歯科医療管理学会の2016年のデータでございますが、消耗品と人件費と廃棄物処理を合わせて568円でございます。もちろん本日提出されております実調報告も踏まえまして、再度コストの面に関しましてはきちんとエビデンスをお示ししていきたいと思ってございます。
それから、歯管に関しましての算定の時期ということで、幸野委員から御質問がございましたが、現状、今算定できる要件といたしましては、患者の家族の同意のもと管理計画を作成して、患者・家族に説明しての算定ということになっております。当然のことながら、管理計画を説明する時期というものは当然初診日でもできるということでございますので、これをもって再診日の議論にはつながらないとは思います。ただ、一定数1日で終わってしまっているケース、再診がつながっていないケース、本来の継続管理のあり方というものが推進されていない現状もございますので、そのあたりに関しましては、今後あるべき姿を構築するためにも、いかに推進できるかということを議論していきたいと思っております。
最後に、間宮委員から御質問いただきました。小児の口腔機能管理、発達不全症の管理でございますが、まさにおっしゃるとおりでございまして、小児の段階から口腔機能の向上というものに資することによって矯正治療等を受ける頻度というものも落ちてまいりますし、患者・国民に資する行為になってくると思っておりますので、これをいかに推進していくかということも議論していきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
院内感染対策にかかる費用をお教えいただいたのですが、前回改定で、そういった費用をコストも含めて237点という点が設定されて、やむなく了承したわけなのですが、今回もし引き上げるのであれば、何が変わって、点数を変える必要があるのか、その辺が我々は見えてなくて、前回対応したにもかかわらず、何か大きな環境の変化とか、やらなければいけないことがたくさん増えたということならわかるのですが、95%がもう対応されているわけで、それに対して、みんな赤字垂れ流しで院内感染対策をやられているのかというふうなところが全く見えないので、そういったものについてはエビデンスを示していただかないと、我々としては首を縦に振れないということでございます。
○田辺会長
林委員、お願いいたします。
○林委員
今の30年度改定の話でございますが、そのときにエビデンスをもってきちんとした評価をいただいていると、そういった感覚は歯科医療機関にとっては余りなくて、今後、先ほど申しましたように、実際にかかっているコストの面をしっかりとエビデンスを出させていただいた上で、ホスピタルフィーとしての初・再診料というものをきっちりと議論いただきたいと、そういうことでございます。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に「調査実施小委員会からの報告について」を議題といたします。
まず、調査実施小委員会の秋山小委員長から御報告をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○秋山小委員長
調査実施小委員長の秋山です。第22回 医療経済実態調査については、先ほど開催されました調査実施小委員会において審議いたしましたので、その結果を御報告いたします。
この調査は、病院や診療所などにおける医療経営等の実態を明らかにし、社会保険診療報酬に対する基礎資料を整備することを目的として実施したものです。医療機関等調査については、平成29年度、平成30年度の2事業年度の状況を、保険者調査については、平成29年度、平成30年度の事業報告等の状況をそれぞれ調査していただいております。
調査に御協力いただきました医療機関、保険薬局、保険者の皆様、関係者各位の皆様にはこの場をかりて心より御礼申し上げます。
それでは、具体的な内容につきましては、事務局から御報告をお願いいたします。
○樋口保険医療企画調査室長
調査室長です。資料総-8でありますけれども、調査小委員会の資料の実-2のほうでございます。説明は調査実施小委のほうで重複しますし、時間の都合もございますので、ポイントだけ御紹介いたします。
実-2、一般病院で言いますと、全体の損益率、▲3.0%が▲2.7%になったということ。
また、医療法人立につきましては、2.6が2.8%になったということでございます。
その他、主体ごとの詳細データ、また、報告書と概要に記載させていただいております。例えば一般診療所でございますと、〔入院診療収益あり〕、〔入院診療収益なし〕がございますけれども、それを合わせたもの、個人立で言いますと、31.9%が31.8%。
また、医療法人立でありますと、6.1%が6.0%となっております。
歯科診療所につきましては、個人立・28.0%が28.5%。
医療法人立につきましては、8.9%が9.1%となっております。
最後ですけれども、保険薬局につきましては、個人立が10.7%が9.8%、法人立につきましては、6.8%が5.4%となっております。
詳細は省略させていただきます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。事務局のほうからお願いいたします。
○仲津留調査課数理企画官
申しわけございません。数理企画官で、保健所調査のほうのものがございますので、済みません、簡単にポイントのみを紹介させていただきます。
保険者調査の決算、適用、給付、土地の状況を調べてございますけれども、30年度決算速報で申しますと、経常収支差、協会けんぽ・5,930億円、組合健保・3,048億円、市町村国保・1,500億円。
また、適用の状況でございますと、平成30年度被保険者数でございますけれども、協会けんぽ・2,387万人、組合健保・1,572万人、市町村国保・2,752万人という状況。
また、土地・建物の状況でございますが、前回調査と比べて減少傾向という状況でございます。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認することとし、今後、医療経済実施調査を踏まえながら議論を進めていくこととしたいと存じます。
なお、診療報酬の改定率につきましては、予算編成過程を通じて内閣が決定するものとされておりますけれども、中医協においても、医療経済実態調査等を踏まえまして、改定率について議論を行い、その結果を厚生労働大臣に意見として進言することが可能となっております。これまでの改定の例でございますと、今後11月下旬ごろに医療経済実態調査について、1号側委員全体としての意見、2号側委員全体としての意見をそれぞれ御提出いただき、さらに12月上旬ごろには、両者から次期改定に対する意見を提出していただいて議論を行っておりますので、そのスケジュール等に関しましては、事務局とも御相談しながら、1号側、2号側の御対応のほうをよろしくお願いしたいと存じます。
よろしゅうございますでしょうか。
本日の議題は以上でございます。なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうも御参集ありがとうございました。

 

 

 


 
 

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代表: 03-5253-1111(内線)3288

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