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2019年11月8日 中央社会保険医療協議会 総会 第431回議事録

○日時

令和元年11月8日(金)10:11~12:37

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 間宮清委員 宮近清文委員  
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 半田一登専門委員
 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○個別事項(その7)について
○横断的事項(その2)について


 
○田辺会長
ただいまより第431回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、染谷委員、松浦委員、岩田専門委員が御欠席でございます。なお、荒井委員におかれましては、おくれて御出席とお伺いしております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうをお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入らせていただきます。
初めに「個別事項(その7)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
よろしくお願いいたします。
本日は、個別事項(その7)といたしまして「医療従事者の働き方3」ということで資料を整理させていただいております。
まず、医療従事者の働き方の中で、本日はタスク・シェアリング/タスク・シフティング、そして、チーム医療の推進という一つと、人員配置の合理化の推進、また、会議の合理化の推進、この3点につきまして資料を整理させていただいております。
4コマ目と5コマ目でございますけれども、全体の働き方の取り組みの中で今回取り扱うテーマについて示したものとなってございます。
続きまして、6コマ目でございます。まずはタスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進につきまして資料を整理しております。
7コマ目でございます。タスク・シェアリング/タスク・シフティングの実施状況として検証結果の速報値をお示ししたいというように思います。
左のグラフを見ますと、医師事務作業補助者の外来の配置や医師業務の看護師や薬剤師との分担が実施されているという状況でございます。右のグラフでは、医師事務作業補助体制加算を届けていない医療機関においても、46.1%が多職種からなる役割分担の推進のための委員会、これを開催しているということがわかるかと思います。
続きまして、これから個別のそれぞれの項目につきまして整理をしております。
まずは医師事務作業補助体制加算でございまして、9コマ目にその加算の概要を示しております。左下のグラフでお示ししているとおり、平成20年に新設されまして、累次の改定での評価の拡大というのを行ってきておりまして、平成30年の診療報酬改定時点で2,828医療機関が届け出をしております。右下のグラフは、その点数の推移というのを示したものでございます。
10コマ目でございます。この加算につきましては配置区分ごとに点数と成績順を設定しております。例えば15対1でございますが、15対1につきましては第3次救急医療機関、小児救急医療拠点病院、または総合周産期母子医療センターを設置している医療機関か、年間800名以上の緊急入院患者を受け入れている医療機関が対象となっております。
一方、その下のほうですが、75対1や100対1というのは年間50名以上の救急入院患者を受け入れている医療機関が対象ということでございまして、現在、20対1を届けている医療機関が最も多いという状況でございます。
11コマ目でございます。また、医師事務作業補助体制加算を算定できる入院料を左に、算定できない入院料を右に示しております。
12コマ目でございますが、左下のグラフを見ますと、医師事務作業補助体制加算につきまして、届け出をしていない理由ということを聞いておりまして、その回答でございますが、加算の要件に沿った配置のメリットが少ないためが最も多く、次いで施設基準を満たすことが難しいためというのが多いということで回答いただいております。
右の下のグラフでは、満たすことが難しい施設基準を示しております。年間の救急入院患者数に関する基準と全身麻酔による手術件数に関する基準、この2つがともに多いという答えでございました。
13コマ目でございます。医師事務作業補助体制加算の届け出の有無と外来入院患者数をお示ししたものでございます。右下の赤い囲みに示すとおり、医師事務作業補助体制加算を届けていない医療機関については、1カ月に救急搬送により救急入院した延べ患者数の平均が4.6人であったということが検証結果の速報値からわかるかと思います。
14コマ目は、続いて、その医師事務作業補助者の配置状況を見ております。医師事務作業補助体制加算の届け出をしていない医療機関については、400床以上の病院では既に複数名の医師事務作業補助者を配置していたという回答でございます。
続きまして、15コマ目でございます。医師が負担を感じる業務を聞いております。そうしますと、医師が負担を感じる業務としては、書類の記載や入力について、55.7%の医師が「主治医意見書の記載」を負担に感じておりまして、また、55.4%の医師が「診断書、診療記録及び処方箋の記載」を負担に感じている。また、43.2%の医師が「診察や検査等の予約オーダリングシステム入力や電子カルテ入力」に負担を感じているということがわかるかと思います。
16コマ目でございます。医師事務、医師の負担軽減の効果がある取り組みということで施設からの回答をまとめたものでございまして、特に負担軽減効果がある取り組みとして、医師事務作業補助者の外来への配置と回答した医療機関が31.7%でありまして、これは病床規模が多くなるほど、右のほうに行けば行くほどということですが、回答割合が高いということがわかるかと思います。
続きまして、17コマ目は医師の負担軽減効果がある取り組みとして医師の回答を示したものでございます。医師事務作業補助体制加算を届けている医療機関のほうが濃い色の棒グラフになっております。「医師事務作業補助者の外来への配置・増員」が医師の負担軽減に効果があると回答した医師は36.6%ということで最も多いという答えを得ております。また、医師事務作業補助体制加算を届け出ている医療機関に勤務している医師のほうが「複数主治医制の導入」、また「当直翌日の業務内容の軽減」「薬剤師による投薬に係る入院患者への説明」が負担軽減策として効果があったと回答した割合が高いということがわかっております。
18コマ目でございますが、医師事務作業補助体制加算を届けている医療機関、これは薄い棒グラフのほうでございますが、そのほうが届けていない医療機関に比べて医師の負担軽減策を実施している割合が高いということがわかるかと思います。
19コマ目でございます。医師に調査をしておりますけれども、医師事務作業補助体制加算を届けている医療機関のほうが多くの項目において医師の負担軽減策を実施している割合が高いということでございます。
続きまして、20コマ目でございます。勤務環境改善マネジメントシステムを推進しているチームの設置状況というのをお尋ねしております。そうしますと、医師事務作業補助体制加算を届けている医療機関のほうがチームを設置している割合や勤務環境の現状に関する実態把握や分析を実施している割合が高いということがわかるかと思います。
21コマ目でございます。医師事務作業補助体制加算を届けている医療機関は、届けていない医療機関に比べ、上のほうのグラフでございますが、書類作成時の業務作業が減ったと回答した医師の割合が多く、さらに下のグラフのほうですが、総合的に見た勤務状況について「改善した」「どちらかというと改善した」と回答した医師の割合が多いということがわかっております。
これらの現状を踏まえまして、論点として22コマ目に挙げさせていただいております医師事務作業補助体制加算について、医師の負担軽減に効果があることや届け出情報、累次の診療報酬改定による対応状況を踏まえ、評価のあり方や算定要件等をどのように考えるかということで論点を提示させていただいております。
続きまして、医師の働き方3で病院勤務医との負担軽減策についてでございます。
24コマ目に総合入院体制加算の概要というのをお示ししております。この総合入院体制加算の概要と、その下のほうに届け出状況をつけております。約350施設で届け出がされております。
25コマ目もその加算の1、2、3の内訳等が示されております。
26コマ目は平成30年度の診療報酬改定において、総合入院体制加算の要件となっております病院勤務医の負担軽減策の体制、これにつきまして対象を病院に勤務する医師、病院に勤務する医療従事者全体に拡大をしまして取り組み内容の整理をしたということでございます。
27コマ目でございます。本年度の改定検証調査の速報値をそこにつけております。左側の色塗りをした項目でございます。これは総合入院体制加算の要件の項目となります。それ以外の項目についても実施している状況や総合入院体制加算を届けていない病院においてもさまざまな医師の負担軽減策を講じており、一定の効果があるということが見えるかと思います。
28コマ目でございます。医師の労働時間短縮のイメージとして、タスク・シェア、タスク・シフトによる削減がこの働き方改革に関する検討会でも示されているという説明しておる資料でございます。
29コマ目でございますが、その中で特に看護師との業務分担に着目をしておりますけれども、看護師や特定行為研修修了者との業務分担を実施している医師については約5割で、特に効果のある取り組みであると認識しているということがわかるかと思います。
30コマ目でございますが、平成30年3月現在となりますが、全国の特定行為研修修了者の分布となります。
31コマ目でございます。病床規模の大きい病院において、これは医師と助産師との業務分担を見たところでございますが、病床規模の大きい医療機関のほうが業務分担は進んでいるという傾向にあるということがわかるかと思います。
32コマ目でございます。院内助産の実施の割合というところでございますが、これは約13%でございますけれども、院内助産等の実施により、約7割の施設におきまして参加医師の業務負担等が軽減されたという認識とされています。
続きまして、33コマ目、34コマ目については、特定行為研修に関する参考資料でございます。
35コマ目、論点として、これらの状況を踏まえまして、医療機関の実情に合わせてさまざまな取り組みがなされており、一定の効果も認識されていることから、病院勤務医の負担軽減策を推進する観点から、総合入院体制加算の医療従事者の負担軽減及び処遇の改善に資する計画の選択肢として、医師の業務負担軽減につながる看護職員との業務分担、それから、特定行為研修修了者の配置、院内助産等の開設等について追加することとしてはどうかということで論点を提示させていただいておるところでございます。
36コマ目以降でございますが、これは次に看護職員の負担軽減等の取り組みについてでございます。こちらにつきましては、そこにありますように3項目に分けて御説明をしていきたいというように思います。
まず37コマ目、38コマ目でございます。これは現行の看護職員の負担軽減策と関係する加算の概要となっております。
39コマ目でございます。看護職員の負担軽減策に係る加算等の主な変遷、これを急性期と慢性期でまとめて整理をしたというものでございます。
40コマ目は、この急性期看護補助体制加算などの点数の変遷でございまして、平成30年度診療報酬改定において点数の引き上げというのを行っているというのがわかるかと思います。
41コマ目を見ていただければと思います。41コマ目は届け出医療機関数でございますが、急性期の看護補助体制加算は増加傾向、看護補助加算は減少傾向となっているのが見えるかと思います。
42コマ目から44コマ目、これは平成30年度診療報酬改定の看護補助加算等の概要となっております。
続きまして、次に2つ目の項目でございます看護職員の夜間における負担軽減についてでございます。
46コマ目を見ていただければと思います。看護職員の1カ月の夜勤時間数は64時間以上72時間未満が最も多い。また、1カ月の夜勤時間数の72時間を超える看護職員の割合は改定前に比べて0.8ポイント減少しているというのが見えるかと思います。
47コマ目でございます。これは夜間の看護体制加算等につきましては、夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理に関する項目のうち、それぞれの項目によって項目数は違いますけれども、複数の項目を満たすことが施設基準において定められているという図でございます。
48コマ目でございます。これらの項目のうち、そこにイということで右の下のグラフでございますが、イ、勤務時間開始時刻が直近の勤務開始時刻のおおむね24時間以降等については、他の項目に比べ取り組まれている割合が低くなっているというのがわかるかと思います。
49コマ目でございます。これは夜間の看護体制加算等を届けている病棟は、夜勤のシフトの組み方や総合的に見た勤務状況等が改定前と比べて改善している割合が高くなっているというのがわかるかと思います。
50コマ目をごらんいただきたいと思います。次に、その看護職員の負担軽減策として実施している取り組みですが、現行の夜間における業務管理に関する項目の選択肢として示されている、ア~カでございます。ピンクで示しているところでございますが、項目以外にも主に夜間の業務に関係あるものとして、青で色が変わっているところでございますが、早出や遅出などの看護ニーズに応じた勤務の導入活用、見守りセンサー等のIoT機器の導入などを実施している医療機関も約4割以上あるということがわかるかと思います。
51コマ目でございます。また、その取り組みの効果でございますけれども、カとして示しておりますところでございますが、看護補助者の夜間の配置については特に効果があるとの認識が高く、一方で、要件のうち一部の選択肢については効果が少ないと考えられているという状況でございます。
52コマ目、53コマ目は参考資料として夜間の看護体制の評価に係る要件というのをつけておるということでございます。
続きまして、ここから3つ目の看護補助者との役割分担について整理をしたものとなっております。
55コマ目、看護職員の業務負担感のある業務としては「夜間(日中)の患者のADLや行動の見守り・付添」「おむつ交換等」「排泄介助」等の順に多くなっているということでございます。
56コマ目でございます。これは急性期看護補助体制加算届け出のありなしで看護職員の業務負担感というのをお尋ねしております。届け出ありの病棟においては、届け出なしの病棟よりも業務分担を実施していない、もしくは負担が小さいと回答した割合が高い傾向にございます。
57コマ目でございます。これは全体としてですが、病院で働く看護補助者の総数を示しておりまして、近年、看護補助者の数が減少しているというのがわかるかと思います。
58コマ目ですが、これは検証調査の結果でございますが、必要数を満たすだけの看護補助者を配置できていない病院は約4割でありまして、その理由は、募集しても集まらないためという理由というのがほとんどであるということでございます。
59コマ目でございまして、また、本年の検証調査の速報値におきましても、看護職員の負担軽減策の取り組みの一つとして「看護補助者の配置・増員」に取り組んでいるものの、人員確保が困難なため、看護職員の負担軽減等の取り組みの達成が困難となっているということがわかるかと思います。
60コマ目でございます。これは実際に病院に勤務している看護補助者の勤務時間帯などをお尋ねしたものでございます。昼間の勤務が多く、勤務地の都合がよいなどの理由で現在の病院で働き始めたとの回答が多いということがわかるかと思います。
61コマ目は、看護補助者の給与でございまして、これは上昇傾向にございまして、赤で示しておりますが、他の医療従事者と比べると増加率も高いというのがわかるかと思います。
62コマ目でございます。また、看護補助者の確保・定着の取り組みということで、病院では「教育・研修の充実」「給与の充実」等に取り組んでおりますけれども、看護補助者のほうにお尋ねをしました回答によりますと、看護補助者から病院に期待することとしては、「給与の充実」、これが9割と最も高いということでございました。
63コマ目に、以上を踏まえまして論点を2つ、記載をさせていただいております。
1つ目でございます。看護職員の夜間における負担軽減の取り組みについて、現状の実施状況や効果の認識を踏まえ、項目内容や項目数等についてどのように考えるか。
2つ目です。看護補助者との役割分担について、看護補助者配置の必要性や期待が高い一方で、人員確保が困難な状況や、累次の診療報酬改定による対応状況を踏まえ、評価のあり方や算定要件をどのように考えるかということで論点を整理させていただきました。
続きまして、64コマ目からは病棟薬剤業務実施加算についてでございます。
65コマ目は前回も示させていただきました病院の薬剤師の業務と役割でございまして、病院の薬剤師の役割としてはチーム医療に積極的に参加し、病棟における医薬品関連業務への参加、高度な薬学管理等が求められているということを示しているものでございます。
66コマ目、これは薬剤師数の業種、業務種別推移と年齢階級別の割合でございまして、上のグラフは医療機関に従事する薬剤師、薬局に従事する薬剤師の数の推移を見たものでございまして、医療機関に従事する薬剤師数は緩やかに微増しているということがわかるかと思います。
67コマ目は、医療機関における薬剤師の勤務状況ということでございまして、医療機関の女性薬剤師、男女別に出しておりまして、女性薬剤師は20代後半から30代前半の減少が非常に大きい。一方で、薬局の薬剤師は30代後半から40代前半が増加しているということがわかるかと思います。結婚、出産等により病院から退職し、その後、薬局で働いているということが推測されます。
右のグラフでございますが、医療機関に従事している薬剤師は非常勤の割合が増加しているということも見えるかと思います。
68コマ目でございます。これは薬学教育6年制学科の卒業生の就職先別初任給でございまして、上のグラフが6年制学科卒業生の就職先、これを円グラフで示しておりまして、薬局が36%、医療機関が23%で、2つの職域で全体の約6割を占めるということがわかるかと思います。
下のグラフでございます。これは初任給のグラフでございまして、薬局薬剤師の初任給は26万から30万の層が最も多く、一方、病院・診療所の薬剤師では22万から26万の層が最も多いというのが見えるかと思います。
69コマ目でございます。これは薬剤師の病棟業務の評価ということでございます。この病棟薬剤業務実施加算については平成24年に新設されております。その後、特定集中治療室における薬剤師配置に対する評価として、病棟薬剤業務実施加算2が平成28年に新設されました。
下のグラフは病棟薬剤業務実施加算の届け出医療機関数でございまして、これは増加傾向にあると見えると思います。平成30年度で約1,640施設となっております。
70コマ目でございます。病棟薬剤業務実施加算等の施設基準を示しておりまして、赤字の部分でございますが、2名以上の常勤薬剤師の配置が基準として求められているということがわかるかと思います。
71コマ目でございます。チーム医療において薬剤師が主体的にかかわる業務ということを整理しておりまして、平成22年4月に医政局通知が出され、チーム医療において薬剤師を積極的に活用することが可能な業務が示されているというものでございます。
72コマ目は勤務医の負担軽減策。先ほど出しました速報値の中の医師にお尋ねをしているものの回答でございます。そこにありますように、薬剤師の活用によってどのように効果が出ているのかということをまとめたものでございまして、このスライド、72コマ目については、医師の負担軽減の中で、薬剤師による投薬に係る入院患者への説明ですとか、薬剤師による処方提案等、医師業務の薬剤師との分担、これが多く挙げられているということがわかるかと思います。取り組まれていることがわかるかと思います。
73コマ目でございます。これは病棟における薬剤師の関与の状況及びその効果ということでございまして、右のグラフは薬剤師の配置による医師の負担軽減及び医師の医療の質の向上への効果は全ての選択肢で効果がある、どちらかといえば効果があると回答した割合が9割を超えているというのがわかるかと思います。
74コマ目でございます。これは薬剤師の病棟の配置による効果を看護師長さんに聞いて回答を得たものでございます。薬剤師の関与や効果について看護師長に調査したものでございますが、その回答として速やかに必要な情報を把握できるようになったなどが約5割を超えているということがわかるかと思います。
続きまして、75コマ目でございますが、これも同じ看護師長さんからのお答えでございますけれども、右のグラフを特に見ていただきますと、連携による看護師の負担軽減効果は抗がん剤のミキシングなどでは「効果がある」「どちらかといえば効果がある」と回答した割合が非常に高いというのもわかるかと思います。
続きまして、76コマ目でございますが、これは病棟薬剤業務実施加算を届けていない施設の業務の状況ということで、これは薬剤部の責任者の方にお尋ねをしたものでございます。それを見ますと、病棟薬剤業務実施加算の届出をしていない施設では、薬剤師による入院時における持参薬の確認などが1年前と比較し「とても増えた」もしくは「増えた」と回答した割合が4割ということで多くなっているということが見えるかと思います。
続きまして、77コマ目でございます。病棟薬剤業務実施加算の届出を行っている病院は全体の約2割でございますが、これは病床数が多くなるにつれ、届出率が高くなっております。届け出していない理由というのをお尋ねしておりまして、その理由としては「薬剤師の人数が不足しているため」、これが約8割ということで最も多くなっております。
ここからは少し変わりまして78コマ目を見ていただきまして、主な入院基本料、特定入院料と病棟薬剤業務実施加算との関係を整理したものでございます。そうしますと、この黄色で示しておりますとおり、ハイケアユニット入院医療管理料では病棟薬剤業務実施加算は1と2の加算のいずれも算定できないということになっております。
ところが、79コマ目を見ていただきますと、このハイケアユニット入院医療管理料における病棟薬剤業務実施状況というものでございますけれども、左上の円グラフ、約5割のHCUで病棟薬剤業務が実施されております。
また、右のグラフ、実施している業務内容は医薬品の投薬・注射状況の把握など多岐に及ぶということがわかるかと思います。
左下のグラフは薬剤師を配置することによる効果として、医師、看護師の業務負担の軽減ですとか副作用の回避、病状の安定化への寄与などが挙げられております。
80コマ目でございます。これは薬剤師の病棟業務の評価としては、病棟薬剤業務実施加算のほかに薬剤管理指導料というのがございます。この薬剤管理指導料の届出を行っている病院は全体の約6割でございまして、病床が多くなるにつれて届出率を高くなっているという状況でございますが、20~99床及び100~199床の施設における届け出割合が低いというのがわかるかと思います。
これらの状況を踏まえまして、論点として81コマ目に整理をさせていただいております。3つ挙げております。病棟薬剤業務実施加算について、薬剤師の病棟配置が医師等の負担軽減策として効果があるとされたことを踏まえ、医療機関の取り組みがさらに進むよう、評価のあり方の見直しを検討してはどうか。
2つ目でございます。2人以上の常勤薬剤師の配置が要件の診療報酬項目について、要件の見直しを検討してはどうか。
3つ目でございまして、ハイケアユニット入院医療管理料を算定する病棟において、薬剤師の病棟業務実施状況、医師等の負担軽減策等の効果を踏まえ、病棟薬剤業務実施加算の評価のあり方について検討することとしてはどうかということで論点を整理させていただきました。
続きまして、82コマ目以降、栄養サポートチーム加算につきまして、チーム医療の推進の中の一つでございます栄養サポートチーム加算について御説明をさせていただきたいと思います。
83コマ目は栄養サポートチーム加算の概要でございまして、平成22年に新設されたものとなっております。
84コマ目でございまして、栄養サポートチームの対象患者、算定要件は記述のとおりでございまして、届け出施設数、近年横ばいでありましたが、平成30年度は増加し、1,403施設となっております。また、算定回数も増加しまして、平成30年6月審査分で5万8000回となっております。
この栄養サポートチームの算定可能な入院料ということでございまして、そこに整理をさせていただいております。平成24年の改定で範囲が広がっておりますが、結核病棟、精神病棟等では算定できないということになってございます。
ここで86コマ目に結核患者の状況というのを整理してつけさせていただいております。血清Alb値が低いほど死亡退院率が高く、また、血清Alb値が低いほど静脈栄養への施行率も高く、栄養管理の必要性があるというような報告が示されております。
87コマ目でございますが、この結核病棟の患者に対しまして、栄養サポートチームが介入することによりまして、入院期間が有意に短縮するという報告が出されております。
88コマ目でございます。続きまして、精神病棟の関係でございます。統合失調症入院患者の状況といたしましては肥満の割合が30代で非常に高く、また、るい痩の割合が70歳以上は非常に高いということがわかるかと思います。
89コマ目でございますが、統合失調症患者に対して栄養サポートチームが介入することにより、BMI、トリグリセライドの値が異常値であった患者が減少したという報告が見られております。
90コマ目に論点の整理といたしまして、低栄養の結核患者及び精神疾患患者に対する多職種協働での栄養介入による効果を踏まえ、算定可能病棟の見直しを検討してはどうかということで整理をさせていただきました。
91コマ目からは人員配置の合理化の推進ということでまとめさせていただいております。
92コマ目をごらんいただきたいと思います。現行の医師の常勤の取り扱い、これにつきまして一部の施設基準において週4日以上を常態として勤務しており、かつ所定労働時間が週32時間以上であるものとされております。
93コマ目を見ていただきますと、診療報酬項目の中には非常勤の医師を組み合わせる常勤換算を認めている項目がございます。
94コマ目を見ていただけますと、平成30年の診療報酬改定では、その1に示しているとおり、幾つかの領域においては常勤換算での配置、これを認めることとなりまして、常勤換算での配置が可能となりました。
95コマ目、これは平成28年度診療報酬改定では、産前・産後休業及び育児・介護休業を取得した場合に常勤換算での配置を可能ということになってございます。
96コマ目から現行の施設基準の整理ということでごらんいただきたいと思います。
まず96コマ目でございます。これは現行、複数の常勤医師の配置を求めており、常勤換算を認めていない診療報酬項目の例を挙げておるところでございます。例えば一番上の行、急性期一般入院料1では、入院患者の10対1で常勤医師の配置を求めている。また、下から2行目のところでございます。前回の総会でも話題になりましたが、在宅支援診療所、これは常勤の医師3名の配置を求めているというものでございます。
続きまして、97コマ目でございます。これは現行で常勤医師1名の配置を求めておりまして、常勤換算を認めていない診療報酬項目の例でございます。これにつきましては、97コマの下のところにまとめておりまして、大体大きく3類型に分類されるのではないかというように考えております。
1つ目は、救急系のものでございまして、救急系の入院医療のように夜間等の緊急対応の必要性が高いもの。
2つ目が、チーム医療や在宅の項目のように継続的な診療の必要性が高いもの。
3つ目が、手術の項目のように研修や経験等の専門性に基づくもの。
この3つの類型に分類されるというように考えられると思います。
98コマ目は、これは話が変わりまして常勤の看護師の配置を求める診療報酬項目の例として、外来化学療法加算診がございます。施設基準におきまして、そこに赤字で書いてありますように、化学療法を実施している時間帯は専任の常勤看護師が治療室に常時勤務しているということとしておりまして、化学療法を実施する時間帯が限定されている場合であっても常勤であることが要件となっているというものがございます。
100コマ目でございます。これは現行で専従の看護師の配置が要件となっている診療報酬項目の例でございます。例えばウイルス指導管理料注2のところを見ていただきますと、専従の看護師は他の業務に従事することができないということになっております。これらを踏まえまして、101コマ目でございます。論点の整理をさせていただいております。
まず1つ目でございます。常勤要件について常勤換算が可能となっていない診療報酬項目について、常勤の医師の役割や必要性を踏まえ条件を見直すことをどのように考えるか。
2つ目でございます。外来化学療法加算について、柔軟な働き方を推進する観点から、看護師に係る常勤要件を見直すこととしてはどうか。
3つ目は看護師の専従要件について業務の効率化を推進する観点から、業務を実施していない時間帯については他の業務に従事できるような見直しを検討してはどうか。
この3点を整理させていただきました。
102コマ目からは会議の合理化の推進でございます。
103コマ目、これは5月29日の中医協総会において開催を求めている会議の例を示したところでございます。
104コマ目、これらについては、個々の症例について多職種で診療方針を検討するものと医療機関における運営・管理体制のために実施するものに分類されます。
105コマ目は、個々の症例について検討するものの例を示しておりまして、チーム医療に係る加算等が該当いたします。
また、医療機関における運営管理体制のために実施するものの例を示しておりまして、院内感染防止対策委員会や医療安全に係る委員会が該当いたします。
左下のグラフ、医師が日常的に出席する会議として、医療安全に係る会議や感染対策に係る会議が挙げられております。
右下のグラフ、会議に関する負担軽減のために開催時間の短縮等に取り組む医療機関が見られておるということがわかるかと思います。
106コマ目でございますが、論点としまして診療報酬の算定に当たり求めている会議について、会議の目的や必要性を踏まえ、開催頻度など必要な見直しをすることとしてはどうかということで整理をさせていただきました。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、2つに分けて議論していきたいと存じます。初めに「タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進」に関しまして、90ページまででございますけれども、この点に関して何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、医師事務作業補助体制加算の論点でございますけれども、調査の結果からも明らかですが、医師事務作業補助体制加算の効果は非常にきちんと明らかであるということで、11ページの右上にある入院料や外来にも対象拡大していくべきでありますし、10ページ目にもある、例えば年間800名以上などの実績要件の見直しも検討すべきで、もっと中小病院もこれを算定しやすくするような検討をすべきだというように考えます。
続きまして、病院勤務医等の負担軽減策についての論点ですけれども、医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する計画に掲げる項目について、26ページ目の1~5に加えて、看護職員等の業務分担、特定行為研修修了者の配置、院内助産等の開設等をこの選択肢の中に加える提案といたしましては賛成いたしたいと思います。
63ページ目ですけれども、1つ目の○につきましては、47ページ目にある夜間における看護教務の負担軽減に資する業務管理等に関する項目の表のエ、業務量を把握・調整するシステムやク、夜間院内保育所のように現場のニーズに合致していないものは、50ページ目にありますような早出や遅く出るような看護ニーズに応じた勤務の導入・活用など、現場で評価されている項目に置きかえるなどして負担軽減を図るべきだというように思います。
2つ目の○は、看護補助者が看護職員の負担軽減に資するというエビデンスがあるということにつきましては、評価、理解いたしますけれども、この看護補助体制加算は引き上げればそれでよいかということにつきましては、どうすればしっかりとした改善とか解決ができるのかどうかについて、もう少し検討すべきではないかというように思います。
81ページ目の論点のところですけれども、1つ目の○ですが、薬剤師の養成が6年間になり、その活用ということからも病院薬剤師が活躍できるような報酬に改めるべきであると思います。医師の負担軽減や医療の質向上に効果があるこの加算の評価を高める必要があるというように考えます。
2つ目ですけれども、この保険医療機関に常勤の薬剤師2名以上配置という要件は、小さな病院も1,000床もある病院も一律に2名となっております。ここのところは少し検討すべきだと思いますし、人数だけの問題なのか、あるいは病棟における関与する時間というようなこともありますので、その辺も含めてもう少し検討すべきであると思います。
3つ目のことにも少し影響しますけれども、このハイケアユニット入院医療管理料を算定する病棟に加算が算定できないのは確かにおかしいとは思いますが、実際に病棟業務を実施している状況もありますことから、この病棟薬剤業務実施加算の対象に加えてもよいかなとは思いますが、この表からすると障害者施設等入院基本料にも算定できないこととなっていたりいたしますので、この辺も中小病院にもう少し配慮できるような全体的な検討をもう一回すべきではないかなというようにも考えます。
最後に90ページ目ですけれども、栄養管理は治療に大いに貢献しております。栄養障害が生じている患者やリスクの高い患者さんに対する栄養サポートチーム加算の対象病棟を拡大していくべきですし、厳しい設置基準も引き続き緩和していくべきと考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ありがとうございます。
少し重なる部分があるのですが、まず、医師事務体制加算のことですけれども、10ページですが、基本的にこれが中小でなかなかとれない、もしくは急性期でないととれないということがあります。これはもともとの設定が800人の緊急入院、200人、50人というように線が引かれているわけです。そうすると、当然、大きい病院のほうが有利に決まっているわけです。とにかく患者さんの人数になっていますから。ですから、それは考え方としてはいかがなものか。ですから、病棟ごとで何人とか、そういうような考えに改めないといけないのかなというように思っております。
これは急性期に何かをつけるというときにできた点数ですので、実際の作業を言いますと急性期だけではなくて、回復期とか慢性期とかも書類は本当に非常に多い状態でありますので、ぜひ急性患者さんというようなところから、もう少し算定の要件を変えていっていただきたいというように思っております。
続きまして、看護補助者の業務のことですが、これは44ページですけれども、そこに院内研修というのがあります。この院内研修をもう年1回受講するということになっているのですが、この基本的な院内研修に関しては一度やれば、何も毎年やらなくても内容がそう変わるものではないので、新規採用のときの1回でよろしいのではないかなというように思っております。
それから、63ページですけれども、看護補助者の話ですが、今、全国的に看護補助、もしくは介護職と言ってもいいかもしれませんが、そこの採用が本当に極めて困難な状況になっております。やはり給与もかなり低いということが表でも示されておりますので、少し補助者に対する評価を十分にしていただきたいということと、実は介護施設における介護職の場合には、処遇改善の補助金が出ております。これが医療機関の場合ですと看護補助ということで補助金の対象外になってしまうのです。ですから、そこはここの中医協の場とは少し違うかもしれませんけれども、やはり制度上のそこの見直しというのが必要ではないかなというように思っております。
薬剤師のことですが、66ページに薬剤師の数のことが出ております。これを見ると、本当に病院、医療機関の薬剤師がふえていなくて、薬局の従事者がとてもふえている、この差が開くばかりというようなのが現状です。また、給与面でも大分差があるということが示されております。
そうすると、この慢性的な薬剤師の不足というのが今、起きておりますので、その結果として例えば77ページの病棟薬剤師の業務の実施加算、これが中小規模ですとほとんどとれていないということ。80ページでも、やはり薬剤管理指導料というのが中小規模ですとなかなかとれない。これはいずれも2人、常勤がいないととれないということになっているので、現実的には薬剤師さんが1人しかいない病院がかなり多いということになります。ですから、この算定に当たりましては、ぜひ1人でも同じ作業をやったならばその加算がとれるというような形で考えていただけないかというように思っております。
最後に、90ページの栄養サポートチームですけれども、このように管理栄養士さんの作業がふえていくということは喜ばしいことですので、ぜひ進めていただきたいと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、島委員、お願いいたします。
○島委員
35コマ目のところの総合入院体制加算に今回、この3つを加えるというのは非常にいいことだろうと思っているのですけれども、確認ですが、院内助産の場合、助産師だけで分娩を扱うときに往々にしてある会陰切開、この医行為は看護師ができるのですか。今、実際、正常分娩のときは大体産婦人科の先生たちが立ち会って会陰切開だけするみたいなことをやっているのです。完全に助産師だけでやるとなると、どうなのだろう。
○田辺会長
では、事務局、お願いいたします。
○佐々木医政局医事課長
医事課長でございます。
中医協の議論とは相当関係ないので、ここでどの程度精緻にお答えするかということはあるので、時間も貴重な時間でございます。実はタスク・シフティングに関しましては、今、いろいろと検討会も回っておりますので、さまざまな視点で今後議論されると思いますので、そういったところの状況をまたお見守りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○島委員
それと看護師の業務で、今、様式9にありますように安全管理とか感染に関するところだけは業務時間としておりますけれども、それ以外に最後にありました、いろいろな実務をしていく上で診療報酬上必要だと、参加することが必要だとか、あるいは病院の運営上、参加することが必要だというような会議に関しても、そこを業務時間として捉えるということがやはり看護師さんとしての働く方の軽減につながるのではなかろうかというように思っております。意見でございます。
○田辺会長
では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
まず81コマ目の論点に沿ってということで、2号側の各委員からもお話が出ていたように、薬剤師の病棟配置が医師等の負担軽減に効果があるということから、医療機関の取り組みがさらに進むような評価のあり方、そして、特に病棟の実施加算あるいは管理指導料の届け出施設というのが中小の病院、300床未満になるとかなり届け出が少ないということから、その辺の配慮をした検討をする必要があると思います。
特定入院料におけるハイケアユニット入院医療管理料については、実際にここのところの79コマ目にあるように配置をした結果、かなりの効果があるということからも、やはり病棟薬剤業務実施加算をつけられるような形の検討も必要ではないかと思いますし、また、こればかりではなくて、例えば回リハあるいは地ケアの病棟などに入っている場合に、特に地方の中小病院が担っている役割が多いと思います。こういう急性期治療を終えた後、実際に療養、リハビリの目的を持って患者さんを地域に戻すための病棟です。こういったところに薬剤師がしっかりと役割を果たしている。地域包括ケアシステムの構築を進める上で非常に重要だと思っております。
例えば患者さんの退院に向けて薬剤の整理や薬剤の管理のための支援、あと入院中の薬物療法に関する情報を他の医療機関や保険薬局あるいは介護職種、こういう方々と情報共有することが極めて重要な業務であるということなので、こういったところの評価の検討をお願いしたいと考えます。
○田辺会長
ほか、いかがですか。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
医療現場を余り詳しく知らないので資料からだけの感想を言わせていただきますと、医師事務作業補助体制加算、それから、病院勤務医の負担軽減、看護職員の負担軽減の取り組みについても共通して言えることは、算定要件と医師、現場が本当に求めている負担軽減策というのにミスマッチが生じているのではないかということを今の説明から感想として思いました。
例えば医師事務作業補助体制加算の要件、9ページにありますように7つほどあるのですが、漠然とした内容が多いなというのが第一印象でして、配慮という言葉が2つも入っていますし、活用とか漠然とした要件になっているのが果たして本当に行われているのかなというのが感想としてうかがえていまして、本当に医師が求めているものは、医師事務補助者を外来へ配置というのが大きいのであれば、こういった具体的な要件を入れていくというのも一つの方法ではないかなと思っていて、もっと本当に現場が求めている要件を具体化して算定要件に入れていくということが必要なのではないかなというように思います。
総合入院体制加算についてもしかりだと思います。それから、医師事務作業補助体制加算と総合入院体制加算が求めるものは若干重複しているような部分もありますので、そういったものを切り分けて評価のすみ分けを行っていくべきだというように思います。
看護職員の負担軽減についても施設基準、47ページにありますア~クの項目についても、本当に職員が求めているものとこの項目のミスマッチが生じているのではないかというようなところが感じられまして、効果が少ない項目は除外して、現行の項目以外でも効果のある、現場が求めるものを追加していくべきだというように思います。
それから、病棟薬剤業務実施加算のところなのですが、これは看護補助者も共通する問題ではないかと思うのですが、届け出をしていない理由というので薬剤師の人数が不足しているというように回答されているのですけれども、看護補助者も募集しても集まらないというように回答されているのですが、これは薬剤師の人数が不足しているということではなくて、病院の薬剤師の採用競争力が弱いという薬局に負けているということではないかというように思っていて、薬剤師が不足しているということではないと思います。その最も大きな要因というのが68ページに示されているように処遇の差。これは看護職員も一緒なのですが、処遇の差であることは言うまでもないと思います。
こういったように病棟薬剤師の評価を診療報酬上で行っても、それが実際働いている薬剤師の処遇に還元されない、あるいは看護補助者に還元されないというようなものが採用競争力を弱めている要因になっているのではないかというように思いますので、診療報酬での対応も必要だと思いますが、病院内で診療報酬の評価を当該者たちに還元していくような仕組みというのが必要ではないかというように思います。
あと診療報酬上では、例えば病棟薬剤師については小規模病院の配置が少ないということで、そういったものにも届出が進むような施設基準の見直しということが必要なのではないかというように思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
今、幸野委員のほうからも病棟の薬剤師のことがございましたけれども、68ページをごらんいただきたいと思います。事務局からは6年制の薬学教育を受けた方の就職先の初任給というデータが出ております。さらっと先ほど一番多いところは薬局が26万から30万、病院が22万から26万と若干の差がありますというような御説明ですけれども、今、薬学部が6年制になって返還義務のある奨学金をもらっている人が非常に多いという現実がある中で、よく見ていただくと、薬局の22万から26万のところと病院の18万から22万のところは42%もある。さらには、薬局では30万円を超えている方が26%もあるわけです。
これは平均的な給与で数万円違いますと、1000万近い奨学金を借りている学生からすると、当然のことながら、病院には行かない、薬局に行くというのは当たり前の事実で、これはいわゆる病院の採用に対する努力云々というお話がありましたけれども、そういうものをはるかに超えている現状にあるわけです。病院経営というのは非常に厳しい中で薬剤師さんの給料だけをうんと上げるということはなかなか難しい。これは病院の中の薬剤師さんをどのように待遇を改善していくかとか、活用するかという話で議論していますけれども、そもそもの財源の配分のあり方がやはりいびつになっているためにこういうことが起こっているという根本的なところを議論しないとまずいと思っています。
ぜひ事務局にお願いしたいのは、いわゆる薬局のほうの給与の差が小さな個別の薬局と大きな薬局のチェーン、店舗数によって給料が違っていないかどうかというデータをぜひ出していただきたいと思います。それでないと、こういう院内のいわゆる今回の御提案いただいたようなことも大事ですけれども、それだけでは多分根本的に薬剤師さんが病院に集まってこないと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
今、手元にございませんので、どのような資料があるのか、少し探させていただきたいと思っております。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
働き方改革につきましては、看護の立場としても持続可能な医療提供体制をつくっていくために非常に重要なことだと捉えております。そして、今回、このように看護職員の負担軽減、また働きやすさという視点で取り上げていただきまして感謝いたします。その上で、幾つか意見を申し上げたいと思います。
まず、病院勤務医の負担軽減策ですけれども、35枚目の論点に挙げられているとおり、看護職との業務分担、また、特定行為研修修了者の配置、院内助産や助産師外来の開設についての追加につきましては賛成です。今回、ここには助産師外来は含まれておりませんけれども、ぜひ助産師外来につきましても追加をお願いしたいと思います。
看護職員の負担軽減策につきましては、45枚目のスライドで、看護職員の負担軽減策にある夜間の負担軽減の取り組みにつきましても有効性を踏まえた検討が必要であると思います。特に多く取り組みをされている早出や遅出、夜勤後の暦日の休日の確保などの、環境改善の取り組みやIoTの導入などは負担軽減にも効果があるとデータがありますので、ぜひ含めていただければと思います。
また、今、幾つか御意見がありましたけれども、看護補助者の確保が困難ということに関しましては看護協会としましても把握しておりまして、今その確保に向けた対策や検討を行っているところであります。ただ、60ページや62ページにもありますように、看護補助者が期待することとして、やはり働きやすさ、給与、福利厚生の充実、教育・研修の充実などが挙げられております。そのため、このような勤務環境の実現に向けた取り組みが各施設でできるよう、診療報酬上の評価も検討いただければと思います。
先ほど島委員のほうから様式9において会議への参加時間を含めるようにという御意見があったかと思います。様式9というのは入院基本料の算定のときに作成しているもので、看護職員の勤務時間や必要人数、夜勤時間数や夜勤回数などを計算して出しているものです。
人員配置の大前提はやはり患者の安全を担保するためにきちんと人員が常に確保されているということでありますので、重症度等に応じた最低限の配置基準が現在の看護職員配置であるというように考えております。ですので、そこから委員会への出席等、また、会議でもそうですけれども、病棟に不在の人を配置基準の中に含めるということはケア体制が手薄になることを認めるものですので、患者さんの安全が担保できなくなることを危惧しております。ですので、現行のルールの変更には反対をします。合理性や効率化ばかりが議論にならないように注意していかなければいけないと考えております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
先ほど幸野委員も申し上げましたように、時代背景や今の実態を勘案し、タスク・シフティングやタスク・シェアを行う環境になってきていることを勘案すれば、こういう加算等をつくったときのストラクチャーの背景として、例えば10ページの補助体制加算の中で急性期中心に補助体制をしっかり整理するということを基に構築されていると思います。
そういう意味では、個別に見ていきますと、資料の13ページの下の表4にありますが、緊急入院患者の延べ数を見ると年間800人を超していることや、医師事務作業補助体制加算届出がない医療機関における1か月の平均入院患者数は4.6人で、極めて少ないことから言えば、800人という水準に対してはとやかく言う必要はないと考えます。むしろ、そうではなく、今の病院実態から、どのようなことにタスク・シフティング、タスク・シェアをしないといけないのかを勘案して、しっかりとプロセスを評価できるよう見ていく必要があるのではないかと思います。
したがって、ストラクチャーの見直しを根本的に行う必要があると思います。そういう意味では、要件の中身を個別に見ていって、実態に合わせていく必要があると思っております。
もう一つ細かく言えば、29ページの看護師の業務分担にある特定行為研修修了者との分担について、特定行為研修修了者の就業配置については一定の効果があると資料に示されております。30ページの修了者就業状況を見ますと、30年3月で1,041人。感想で申し上げますが、全国相当でこれだけというのは非常に少ないと思います。さらに、34ページには修了者数が出ています1,685人であり、少ないと思います。
本当にきちんと修了者を増やして就業体制をしっかり組むのであれば、26ページの総合入院体制加算の施設基準イの計画項目に色々ありますが、この項目にきちんと入れ込むなど、現場・現状に合ったきめ細やかな見直しをしっかり行っていく必要があると思います。個別の項目を細かく見ていく必要はありますが、基本的な点をしっかりと見直して対応していく必要があるのではないかと思います。
病院薬剤師についてもハイケアユニット入院医療管理料に加算がつかないのは、時代背景から言うと、当時ハイケアユニットはそれほど浸透していなかったのかもしれませんが、今はしっかり対応する必要があるため、薬剤師の配置も、現状を勘案すれば、しっかりと加算がとれるようにする方がよいと思います。
申し上げたいのは、現状、現場に即し、加算をつくった時代背景が当時とは変わっているならば、しっかり見直していくということが必要ということです。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
先に事務局に質問させていただきたいのですけれども、医療事務作業補助者への調査とか何か検証した結果とかというのは持ち合わせているのでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
済みません、直接、事務作業補助者の方にアンケートをしたというような調査は今のところ持ち合わせておりません。
○佐保委員
看護補助者のところでは看護補助者に向けた調査とか結果とかというのが示されていますけれども、医療事務作業補助者への調査検証結果というのが示されていません。もちろん、医師の負担軽減という意味からすれば医療事務作業補助者の存在というのは必要であると考えておりますが、アウトカムとしての補助者側の状況といったものも調査検証が必要ではないかなと考えております。事務局、忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、次の2つの論点のほうに移ってまいりたいと思います。「人員配置の合理化の推進」「会議の合理化の推進」でございます。91ページから最後まででございますけれども、この点に関しまして何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
101ページ目の論点です。1つ目の○ですが、96ページ目、97ページ目に診療報酬項目の例示がありまして、97ページ目に3類型に分けられると整理されております。1の夜間等の緊急対応の必要性が高いものについては比較的常勤換算を認めやすいのではないでしょうか。また、2の継続的な診療の必要性が高いものや3の研修や経験等の専門性に基づくものについても個別の点数の性格も踏まえながら、常勤換算が可能かどうかの検討を進めるべきだというように思います。
2つ目の○ですが、98ページ目にもありますように、化学療法を実施している時間帯に治療室に勤務することとなっておりますので、その上で常勤と規定する必要はないというように考えます。
3つ目の○ですが、専従者は基本的に他の業務に従事できません。100ページ目にあるような後天性免疫不全症候群、HIV感染者、難病患者、障害児(者)などの対象患者がいない場合には他の業務に従事して良いこととすべきだと思います。
106ページ目の論点ですが、スタッフが一堂に会するのではなくて、少し時間差があっても持ち回りなどでも情報連携がとれれば問題のない会議もあると思いますので、その頻度や会議のやり方についても見直すべきと考えます。もちろん、どうしても必要な会議についてはきちんとすべきだと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
まず101ページの話ですけれども、この論点にも示されているのですが、常勤要件ということで夜間とか緊急ということも入ってくると思うのですが、基本的に常勤換算で認めていくというようにできないかと思っております。というのは、これから医師の働き方等で連続勤務時間などのことも考えなければいけませんし、どうしても限られた人数だけでやるというのはかなり厳しくなってきますので、ぜひ常勤換算で満たしているということを基本にできないかというように思っています。
3つ目の看護師の専従要件のところも出ておりますが、この専従要件に関しても基本的にはその作業をやっているときが専従であって、ふだん、仕事全てがそこの専従ではないというようなことが基本的に考えられるのではないかというように思っております。
最後の106ページですけれども、これは違うのかもしれませんが、いろいろなIT関係で皆さんがそこを見て気をつけるということは非常にいいと思います。
それと、もう一つ、現在、いろいろな加算要件で研修を受けないと加算がとれないというために、かなりの日数を使って、特に地方の方はその研修に参加しなければいけないということが出てまいります。これは今後のことを考えますと、今、非常にウエブの研修の精度が上がっておりますので、ぜひウエブの研修を基本的に認めていくというような方針にしていただきたいというように思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
まず常勤換算のところで、当たり前のことなのですが、これは過去の経緯から常勤換算を認めないというようなことの経緯があって設定されたものなので、何か環境の変化があったとか時代の変遷によってもう必要がなくなってきたというものについては見直す必要があると思いますが、ただ単に働き方改革という理由でこれを緩和していくというのは慎重に検討する必要があって、3類型、○1、○2、○3、これは確固たる理由があるので、ここに照らし合わせて問題ないというものについては見直しておく必要があると思います。
それから、会議なのですが、これも例えば重要な会議、院内感染防止対策委員会とか、こういったものは非常に重要な要素、病院にとっても要素になっておりますので、こういったものについては安易にこれを緩和するということについては慎重に検討する必要があるというように思います。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
人員配置の合理化の推進についてですけれども、101ページ、専従や常勤要件の緩和について、専従または常勤要件にした当初の趣旨が崩れないように留意する必要があるとは思います。しかし、98ページ、また100ページに提案がありました項目の要件につきましては、施設によって該当患者が余り多くないようであれば緩和の方向でよろしいのではないかと考えます。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
これで終わりではありませんで、次に横断事項(その2)についてを議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
そうしましたら、横断事項(その2)ということで、ICTの利活用、情報共用・連携につきまして御議論いただきたいというように思っております。
本日は、横断事項(その2)ということで2つに分けて整理をさせていただきました。1つ目は医療におけるICTの利活用について。患者、診療等における利活用とカンファレンス等における利活用、この2つでございます。また、2つ目の情報共用・連携についてということで栄養管理に関する退院時の情報提供、これを本日、整理をさせていただきました。
まず3コマ目を見ていただきたいというように思います。これはオンライン診療の実施状況から整理をさせていただいております。
オンライン診療につきましては、4コマ目にありますとおり、平成30年にオンライン診療料を新設しております。その概要がそこについております。
5コマ目でございます。そこの下段にオンライン診療料等の算定の回数というのをつけてございます。徐々に伸びてきておりまして、現在、月当たり100件程度でございます。
次に6コマ目でございます。検証調査の結果を速報値という形でお示しをしたいと思います。この検証調査につきましては、そこの6コマ目の下に小さく書かせていただいておりますオンライン診療料の届け出施設1,281施設と未届け施設、要するに届けていない施設の1,000施設について、お尋ねをしております。また、それぞれ1施設当たり5名の患者を対象として患者調査を行っているという状況でございます。
オンライン診療を行っている患者数というのは、そこにありますように病院では、保険診療で行っている患者数は4.9、保険診療以外で行っている患者数は2.1というような回答をいただいております。診療所については、保険診療で行っている患者数2.9、保険診療以外で行っている患者数0.9という返事をいただいておるところでございます。
7コマ目を見ていただければと思います。治療上の必要性のため、オンライン診療の適用となり得るが、実施していない患者について御質問をさせていただいております。該当、そのような患者がいると回答したのが約3割。そして、実施しない理由というのを合わせて聞いております。一番多いのは、そこにありますように患者の希望がないためという返事でございます。
続いて、8コマ目でございます。その適用となり得るが実施していない患者のうち、報酬要件を満たせないため算定できないと回答された患者様につきまして、満たせない要件ごとの患者数を出したものでございまして、最も多いのは緊急時におおむね30分以内に対面診療が可能であることという要件でございました。
続きまして、9コマ目から10コマ目にございますが、これはオンライン診療に対する施設に対して考え方、どのような考えを持っているのかということをお尋ねしております。そこにありますように、対面診療が原則であるとか、オンライン診療で十分な診察を行うことができないとかオンライン診療に適した状態の患者が少ないというような質問につきましては、それぞれおおむね「そう思う」という回答が多かったという結果を得ております。
10コマ目でございます。また、あわせてニーズですとかシステムの操作が難しいかどうか、コストが高いかどうか、メリットや手間がコストに見合わないかどうか、そういったものについてもお尋ねをしております。病院・診療所ともに「そう思う」という回答が多いという結果でございました。
11コマ目でございます。この考えにつきまして、実施施設と未実施施設について聞いております。そうしますと、おおむね実施施設のほうが未実施施設よりも「そう思わない」という割合が多いという結果を得ております。
続きまして、12コマ目でございます。オンライン診療を受けた患者様の状況でございまして、受診経験のオンライン診療を受けた経験のある患者さんは約1割という回答の割合でございます。全体の年齢について見ておりますが、全体の年齢は約40代にピークがございますけれども、受診経験ありの方を見ますと50代に山があるということがわかるかと思います。また、医療機関への片道の移動時間を見ますと、受診経験ありのほうが約52分、受診経験なしのほうは約22分でありまして、オンライン診療を受けている方のほうが通院時間は長いというのがわかるかと思います。
続きまして、13コマ目でございますが、オンライン診療を受けた患者の状況でございます。保険診療として受けた患者が85.1%、自由診療として受けた患者は3.4%で、オンライン診療を行うことを決定する際に利用計画の説明を受けたかについては「受けた」が87.4%、「受けなかった」が5.7%という答えを得ておるところでございます。
続きまして、14コマ目でございます。オンライン診療を受けて感じたことというのを聞いております。14ページのほうの設問でございますけれども、十分な診察を受けられないと感じたとか、コミュニケーションを十分にとれないと感じたとか、スムーズに進まなかったかどうか、それから、使い方が難しかったかどうかということを聞いております。
それぞれ「そう思わない」の割合のほうが多いということでございますが、15コマ目のほうでございますが、これは利便性の関係でございますが、自分の都合に合わせられたとか、持ち時間が減ったかとか、メリットがあると感じたかどうかといったようなことを聞いておりますと、これにつきましては「そう思う」の割合のほうが多いという結果でございました。
今後の受診に対する考え方、これを受診歴のあり・なしでお尋ねをしております。そうしますと、受診経験ありの患者は、できるだけオンライン診療を受けたいが多く、受診経験なしの患者はできるだけ対面診療を受けたいという返事をいただいております。
17コマ目でございます。オンライン診療を受けたことがない理由。受診経験なしの方にお尋ねをしておりますと、できるだけ対面診療を受けたいからということが一番多く、続いて、医師からオンライン診療を提案されたことがないためが多いということでございました。
18コマ目以降は、今度は医療資源の少ない地域の利活用について資料を整理しております。
まず、19コマ目でございますが、下の囲みにありますように、第1ラウンドの議論で下線部のような御意見をいただいております。ICTの活用は医療資源の少ないところでこそ生かせるのではないか。また、僻地とそれ以外で丁寧に要件を設定することが必要ではないかという御意見をいただいておるところでございます。
20コマ目でございます。これは医療資源の少ない地域の医療施設に対してヒアリング調査を行ったところの回答でございます。下線部のような意見、ICTによる連携をしているですとか、遠隔診療の導入を予定している、ICTを用いた画像情報の連携を実施しているなどの返事をいただいておるところでございます。
21コマ目でございます。医療資源の少ない地域における実施状況、医療資源の少ない地域に所在します医療機関のほうが、若干でございますがオンライン診療料の届け出ありやオンライン診療の実施ありの割合がやや高いという状況にあることがわかるかと思います。
22コマ目は、これは医政局のほうで取りまとめられました指針の中のものでございますが、離島・僻地に係る指針の記載をそこに載せております。まず、7月の改訂で新たに入りましたところで、初診は対面診療が原則であるが、そこに「ただし」というところでございまして、離島・僻地などの医療機関が少ない地域で当該医療機関の患者の診療継続が困難となる場合においては、あらかじめ情報共有と患者同意を得ることを前提に、他の医療機関の医師が初診からオンラインを行うことも可というようにされております。
23コマ目はオンライン診療を行う際の医師の所在について整理したところでございまして、これは総合特区のほうで実施されていて、また提案があった内容でございます。上の段を見ていただきますと、上の段の中ほど、僻地医療拠点病院に県立の中央病院からドクターが来ております。ここは往復4時間かかるというような僻地医療拠点病院なのですが、そこに月に1回、診療支援を行っているというようなケースでございます。
このような場合に、ふだん、診療支援を行っている医師が派遣元の医療機関からオンラインを実施しようとしても、この場合はオンライン診療料が算定できないということでございまして、こういうケースについて認められないかということで、やれないかということで総合特区における実証というか、そういうことが行われているということでございます。
24コマ目でございます。医師の所在に関する指針の記載、現在においては、そこにありますように指針において医師は患者の心身の状態に関する情報を得るのに適した環境で行うこと。医療機関に所属し、その所属を明らかにしていることというようにされておるというところでございます。
続きまして、在宅医療における利活用についての整理でございます。
26コマ目は在宅時医学総合管理料のオンライン在宅管理料、算定回数も下につけておりますけれども、少しずつ伸びているかというように思います。
27コマ目でございますが、患者が満たせない要件、いわゆる治療上の必要性のため、オンライン診療の適用となり得るが、診療報酬上の要件を満たさないため算定できない患者、これを在宅で見ておりますと、そこにありますように7、オンライン在宅管理料が在宅時医学総合管理料の月1回診療訪問を行っている場合に限った加算であることという回答が一定数ありましたということでございます。
28コマ目でございますが、この在宅診療におけるオンラインの活用に関する指針においては、そこにありますように在宅診療においてチーム医療、診療を行う場合等においては、全ての医師が直接の対面診療を行っていなくても、チームの医師が交代でオンライン診療を行ってよいというようにされておるというところでございます。
続きまして、個別の診療領域における利活用について整理をさせていただいております。
30コマ目は、これはかつて4月24日に中医協の資料で出させていただきましたように、生活習慣病につきましては重症化予防のために早期介入、継続が大事ということでございます。
31コマ目、これは同じときに出させていただいた資料でございますが、生活習慣病については、初診時に自覚症状がない患者も多く、自覚症状がない患者は受診までの日数も長い。また、自覚症状のない患者というのは健康診断で指摘されて受診するというケースが非常に多いということがわかるかと思います。
32コマ目でございます。生活習慣病患者が初診までに要した時間というのを整理させていただいています。生活習慣病患者は自覚症状があった場合でも初診までに時間を要しているケースがございます。これは右の図で示しております。例えば初診まで1週間以上かかった患者について理由を見ますと、医療機関にかかるほどでもないと思ったとか、受診する時間がつくれなかったという方が多いということでございます。
また、33コマ目、生活習慣病患者の定期的な通院についてでございます。生活習慣病患者は自覚症状がないが、医師等から定期通院が必要と言われた場合も、そこにありますように自覚症状があった上で医師から定期通院が必要と言われた場合も「治療を受ける必要意を感じない」や「どちらともいえない」が一定数いる。また、生活習慣病患者に無理なく定期受診できる頻度を聞くと、2カ月から3カ月に1回程度が多く、その次に1カ月に1回程度も多いというような状況でございました。
34コマ目でございますが、総務省の実証研究でございます。これは勤労世代の糖尿病患者に対面診療とオンライン診療を組み合わせる形で、愛知県名古屋市のほうで実証実験が行われております。
35コマ目でございますが、その実証後のアンケートをまとめたものでございます。左の図、オンライン診療を受診後の感想を見ますと「計画的な治療予定が組めた(継続しやすかった)」というような回答や、「時間を効率的に使えた」に対して「とてもそう思う」、これは赤で示しておりますが、多かった。不満点、懸念点を見ますと特にないという返事をいただいているというアンケート調査結果でございました。
36コマ目でございますが、これが対面診療と比較した満足度を見ますと、対面診療と変わらないのがオレンジ色でございまして多く、今後のオンライン診療継続意向を見ますと、この頻度で、月1回程度で継続したいという方が多いということが見えるかと思います。
続きまして、難病領域におけるオンライン診療の活用ということでございます。これはHTLV-1関連脊髄症、通称HAMと言われている患者さんにオンライン診療の受診意向を聞いたところでございますと、受けたいという方が45%、受けたい理由を見ますと、病院に行く手間が省けるからが多いという状況でございます。他方、受けたくない理由を見ますと、実際に医師と直接話したいからという返事が多いということでございました。
38コマ目でございます。専門的な医療機関を受診する患者につきまして、通院歴でございます。通院中の医療機関の選択理由が、自分の疾患の専門医だからや、医師から紹介されたからである患者は通院に1時間以上かけている割合が比較的多いというのがわかるかと思います。それらの患者がオンライン診療に期待することを聞きますと、遠方の専門医による診察を受けることができそうだからが約3割というようになっております。
39コマ目でございますが、その他の事項として、事前の対面診療に関する指針の記載を求めておりますが、指針では日ごろより対面診療を重ねている等、医師と患者に直接的な関係が既に存在する場合に限って利用するということが基本となっております。原則、初診は対面診療、その後も同一医師の対面診療を組み合わせて行うということが必要とされております。
他方、参考でございますが、左の下の図、主に治療している疾患の通院頻度を見ますと、1カ月に1回が最も多く、ついで2カ月に1回や3カ月に1回が多いという状況でございます。
また、右の下の図ですが、同一医師の年間の受診回数も見ますと、1~2回と7回以上が多く、通院頻度にもよると考えられますが、診療報酬の要件であります12カ月で同一医師6回以上の要件というのは満たさせていない患者もいるということです。
その次に40コマ目でございますが、緊急時の対応に関する指針の記載でございます。指針においては、患者の急病、急変時に適切に対応するため、患者が速やかにアクセスできる医療機関において直接対面診療を行える体制を整えておくこととされております。これは医療機関を実は限定しておりませんし、そこに参考としてありますように、診療報酬の緊急時の30分以内の要件については疑義解釈資料において日常的に通院、訪問による診療が可能な患者を対象とするものであればよいというようにしておるところでございます。
41コマ目でございます。これらの状況を踏まえて論点として2つ、整理をさせていただきました。
1つ目、オンライン診療の実施状況、オンライン診療の適切な実施に関する指針、関連する調査結果等を踏まえ、オンライン診療、対面診療と組み合わせて有効、安全に活用するために医療資源の少ない地域とそれ以外の地域のそれぞれにおいて現行の算定要件や施設基準をどのように考えるか。
2つ目、生活習慣病や難病領域における調査結果等を踏まえ、これらの疾患に対して行う場合の要件をどのように考えるか。また、現在、対象となっていない疾患領域におけるオンライン診療の利活用については、学会から提出された医療技術評価提案書のエビデンスを踏まえ、引き続き検討してはどうかということでございます。
続きまして、42コマ目以降でございますけれども、その他の整理ということで、患者が医師といる場合のオンライン診療についてまとめております。
まず、43コマ目でございます。本年の7月の指針の改定におきまして、患者が医師といる場合のオンライン診療(「D to P with D」)において、情報通信機器を通じて診療を行う医師は患者といる医師から十分な情報が提供されている場合は初診であってもオンライン診療を行うことが可能とされました。
希少性の高い疾病と専門性の観点から、近隣の医療機関では診断が困難な疾患であることや、遠方からでは受診するまでに長時間を要すること等の患者を対象に行うこととされております。
44コマ目でございます。このイメージでございますけれども、通常のオンライン診療では、主治医のもとに定期的に通院している患者が6カ月以上の対面診療で患者の状態を十分に把握し、オンライン診療と対面診療の組み合わせに移行するということを想定しております。
他方、下の図でございますが、「D to P with D」では主治医のもとに定期的に通院している患者が同じ主治医のもとで遠隔地の医師のオンライン診療を受ける場合に、この遠隔地の医師は初診でもよいとされたということでございます。
45コマ目からはICTを用いた栄養指導でございます。
46コマ目、これは6月にも出させていただきましたICTを用いた栄養食事指導の事例でございます。
続いて、47コマ目、これは別の事例でございますけれども、こちらでは電子化された始動用の資料を用いて遠隔指導を行うような内容でございます。
続いて、48コマ目、糖尿病患者の治療中断についてでございまして、左の図、棒グラフのとおり、糖尿病患者には一定程度の治療中断者がいるということがわかっております。中断理由については、多忙ですとか生活背景の変化、本人の意思といった順番でございまして、通院中断者に連絡することにより再来院するケースが45.9%あるというようにされております。
49コマ目がICTを用いた栄養指導の効果でございまして、管理栄養士が情報通信機器を用いて糖尿病患者に対しまして遠隔栄養指導を行った場合、減量効果があるといったような資料、エビデンスが示されているところでございます。
50ページ目に論点として整理をさせていただいております。オンライン診療の適切な実施に関する指針における主治医等のもとで遠隔地の医師が初診からオンライン診療を行う場合について、保険診療における位置づけをどのように考えるのか。患者が治療中断とならないように継続的な栄養指導を推進する観点から、情報通信機器を用いた栄養食事指導の取り組みを評価することについてどのように考えるか。
51コマ目からでございますが、カンファレンス等における利活用について整理をさせていただきました。
まず52~54でございますが、これは平成30年の診療報酬改定で対面でのカンファレンスを求めている評価について各項目で求めている内容や地理的条件等を考慮し、一定の条件のもとでICTを用いたカンファレンスを開催した場合でも評価されるよう、要件の見直しを行ったものでございます。
55コマ目を見ていただければと思います。他の関係医療機関との情報共有・連携のためのICTを活用しているかということで聞いたものでございます。そうしますと、そこにありますように、ICTの活用は病院・診療所ともに約4割、活用しているICTはメールの場合と地域医療連携ネットワークとの情報連携システムの場合がそれぞれ5~6割あるという状況でございました。
56コマ目には電子掲示板等を活用した情報共有ですとか連携のイメージを示させていただいています。医療機関間や医療機関内の医療関係職種の間で電子掲示板機能を活用した情報共有が行われているという場合がありまして、患者サマリーとの電子ファイルを添付・閲覧できるシステムもあるというように聞いております。
57コマ目でございますが、診療報酬で要件としているカンファレンスについてです。カンファレンス等、一堂に会して行うものには、そこに整理させていただきましたとおり、医療機関の間で連携して実施するものと、医療機関の中で実施するものというように2つに整理ができるかと思います。また、別の軸でございますが、患者の同席が想定されるもの、患者に対する指導として行われるようなものと、患者の同席が通常想定されないもの、例えばそこにあります定例報告、症例相談等がございます。
表の赤く枠でくくった部分のみが、現在、ビデオ通話を認めているというものでございまして、医療機関の間で連携して実施するものに限るというようになっております。
これは訪問看護ステーションが算定する退院時共同指導のICTの活用についても同様でございますが、ここは退院時の共同指導の関係でございます。
そして、60コマ目を見ていただければと思います。退院共同指導2と他機関共同指導加算の算定状況でございまして、1~5件の割合が最も多いということでございまして、左のほう、1施設当たりの退院時共同指導2の算定患者数は3カ月で平均3.1名、右の表は、多施設共同指導加算は3カ月で平均1.8名でありまして、うちビデオ通話を用いた共同指導が1件のみということになっております。
このビデオ通話を用いた共同指導を行っていない理由を見ますと、結果、ビデオ通話に対応できる環境がないためというものと、ビデオ通話を用いた共同指導を行う必要性がないためが約6割となっております。
下の図の特に参考としてですが、やむを得ない場合に用いるという場合のやむを得ない場合の解釈でございまして、疑義解釈として天候不良により会場への手段がない場合や急患の対応により間に合わなかった場合、患者の退院予定日等の対応が必要となる日までに関係者全員の予定確保が難しい場合などというように定めておるところでございます。
62コマ目を見ていきますと、また、その退院時の共同指導2を算定していない理由を見ますと、対象者がいないというのが多いのですが、左の表を見ていただきますと病棟で対応できる職員がいないや、在宅療養担当の医療機関の職員、訪問看護ステーションの看護師等の共同が困難と回答した割合も2割程度ございます。
63コマ目を見ていただきますと、訪問看護ステーションにおける退院時共同指導の実施の状況でございますが、退院した利用者のうち、半数以上で退院時共同を利用しておりまして、指導に要する時間を30分以上1時間未満がありまして、移動に要する時間というのは30分未満というのが多かったということでございます。また、退院時の共同指導を実施しなかった理由については、約1割はスケジュール調整ができない、医療機関が遠いと回答しております。
64コマ目でございます。これはICTを用いたカンファレンスの要件でございまして、退院時共同指導料を含め、いずれの場合においてもやむを得ない場合に限られております。また、医療資源が少ない地域とその他の地域で要件が異なっておりまして、退院時共同指導料については医療資源の少ない地域における活用しか認められていないという状況となっておるところでございます。
これらを受けまして、論点として65コマ目に整理をさせていただいております。
まず1点目、現在、医療機関の間で連携して行うカンファレンス等において、ビデオ通話に限りICTの活用が認められていますが、例えば患者の同席が想定されなく、また、医療機関の間、医療機関の中でのカンファレンス等においても、現在行われている電子掲示板等を活用した情報共有・連携をどのように考えるのか。
退院時共同指導の実施に当たって職員のスケジュール調整や指導への移動時間に課題が見られることを踏まえ、ビデオ通話を活用する場合の評価や要件についてどのように考えるか。また、その他の加算等においてもやむを得ない場合に限りICTの活用を認めることについてどのように考えるのかというように整理をさせていただきました。
また、66コマ目以降ですが、情報共有・連携についてということで栄養管理に関する退院時の情報提供について整理をさせていただいております。
67コマ目、入院栄養食事指導の要件でございまして、算定要件として管理栄養士が医師の指示に基づき、患者ごとにその生活条件、嗜好を勘案した食事計画案を必要に応じて交付することになっていますが、入院中の栄養管理に関する情報は提供されていないという状況でございます。
68コマ目でございますが、入院栄養食事指導の回数の推移でございまして、年々増加をしております。
69コマ目、転院先への栄養管理の情報提供についてですが、左の図、退院・転院に向け栄養情報提供書を作成している病院は約3割、提出先は病院、介護老人保健施設等が約8割でございます。右の下の図でございますが、栄養管理の情報提供としては、摂食・嚥下機能の低下、経管栄養等の患者の栄養管理にするもの、これが多いということでございます。
70コマ目でございますが、この情報提供の効果でございます。左の図でございますが、栄養情報提供書の提供により、栄養管理計画・栄養ケアプランの作成に関する時間が減少しています。また、栄養管理に関する情報提供を行った施設では、転帰、転院等の直後から転院前の食事の形態やとろみに関する情報を参考に食形態の変更を行っているといった報告がございます。
これらを受けまして、71コマ目、論点として入院栄養食事指導を受けた患者に関して、退院後の後方病院等を担う保険医療機関等に適切に情報を共有する観点から、栄養情報を提供する場合を評価してはどうかということで整理をさせていただきました。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず41ページ目の論点でございますけれども、1つ目の○です。オンライン診療につきましては、これまでも何度も申し上げておりますけれども、まずは患者さんが職場などに気兼ねなくしっかりと対面診療を受けられる環境づくりが非常に大事だと考えております。これは国を挙げて対応すべきものであります。
その上で、前回改定で整理した情報通信機器を用いた医学管理を診療報酬で評価する場合の基本的な考え方に基づいて、医療にどうしてもアクセスできないニーズに応える場合に活用されるべきであり、利便性のみに着目して拡大を主張するのは慎重にあるべきだと考えております。したがいまして、まずは離島・僻地など医師や医療機関が少ない地域での対応を検討していくべきであると思います。
2つ目ですけれども、生活習慣病は自覚症状がなく、職場健診や他の疾患の受診時に見つかる場合が多く、早期治療と治療継続が重要だということは言うまでもありませんが、オンライン診療を利用すれば本当に対面診療よりも治療が継続できるというエビデンスがあるのでしょうか。
35ページ目に総務省の研究事業におけるデータが示されておりますが、この調査は継続的に6カ月以上対面診療を受けている患者を対象にしており、オンライン診療とは無関係に既に継続的な治療に取り組んでいる患者さんを調べた結果であります。また、n数が19人と非常に少ないことや実際に治療が継続したか、できたかどうかは今回の資料からは判断できないと考えます。
また、難病領域のことですけれども、難病領域では対面診療を受けたくても非常に通院自体が困難な場合があることは理解いたしますので、例えば難病拠点病院での実施については現行医療圏を緩和することなどは検討してもよいのではないかと考えます。学会などからまた提出されたエビデンスに基づいて粗診・粗療に結びつかないようにさらに検討することは基本的な考え方にありますので、了解いたします。
続きまして50ページ目の論点ですけれども、1つ目の○のいわゆる「D to P with D」については幾つか問題があると思います。43ページ目のオンライン診療の適切な実施に関する指針では、希少性の高い疾患や遠方であることなどがオンライン診療を行う前提とされていますけれども、希少性の高い疾患や遠方の定義を定めることがまず可能かどうかということがあります。例えば指定難病を対象とすることも考えられますけれども、指定難病にはさまざまな疾患が含まれておりますし、距離についても北海道の患者さんを東京の医者が診ることも認められるのか、あるいは二次医療圏内であることに限定するかなどの検討も必要かと思います。
また、報酬についても画面上の先生は保険医療機関の中で患者さんを診ているわけではありませんので、どのような形で診療報酬を受け取るかというようなことも整理が必要かと思います。
また、こうしたことを安易に認めると「D to P with D」に特化した営利的に行うような医療機関が出てくることも想定されますので、予想される弊害への対策等も検討していく必要があるかと思います。このように、この論点につきましては幾つかの問題がありますので、1つずつ納得できるような議論を重ねていくことが大事だと思います。
2つ目の論点ですけれども、現時点では利便性という記載が非常に強い印象を受けます。例えば46ページ目の沖縄県におけるモデル事業では、課題としてICTの環境が整っていても、対象者の多くが高齢者のためにICT機器の使用方法の習得が必要であるとか、指導用の画面が小さいと指導に使用する食品モデル等の媒体を対象者が見えないため、大きな画面が必要との問題点が指摘されております。
また、48ページ目の糖尿病患者の治療中断につきましては、通院中断者に電話連絡による対応を行うことによって再来院するケースが45.9%となっており、オンラインでなくても電話でも受診継続に効果があることが示されています。
49ページ目のICTを用いた栄養指導の効果につきましても、遠隔栄養指導群と比較されている通常治療群は管理栄養士の介入なしとなっていますので、体重変化に有意差が出たのはオンラインの利用によって出たものなのか、管理栄養士の指導の有無によって差が出たのかはこれからではわかりません。こうした内容からすると、オンラインで栄養指導することが必ずしも適切ではない場合もありますし、今回の指導では利便性以外の必要性が十分に示されていないと考えますので、引き続き検討するのであれば、もう少し丁寧な検討が必要と考えます。
65ページ目の論点でございますけれども、医療従事者の負担軽減、働き方改革に資するよう、この分野こそICTの利活用を進めていくべきであり、前回改定での対応をさらに拡大していく方向で進めていただきたいと思います。ビデオ通話に加え電子掲示板等も活用していく方向に賛成いたします。共同指導実施を阻害する要因としてスケジュール調整や物理的距離があるということで、カンファレンス等におけるICTの利活用をさらに進めるためにも、例外的に扱うのではなく、そもそも活用していく方向とすべきと考えます。
最後に、71ページ目の論点ですけれども、医療ニーズのある中・重度者の増加に伴い、栄養管理が重要となっておりますことから、医療施設、介護施設、在宅に転院、通院する場合に必要な栄養管理情報を提供した場合の評価を検討する必要があると考えております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
まず、41ページの論点に入る前に、オンライン診療について、以前から申し上げていますが、疾病を抱えながら働き続けるようにするための環境整備、また、医師の働き方改革の観点からは重要なテーマであると捉えております。以前から事務局にもお願いしている日本国内におけるオンライン診療に関わるエビデンスについて、今回若干学会の医療技術評価提案書も出ていますが、議論を深めるためには、海外、特に欧米などのICTの利活用の状況を踏まえた課題等の情報収集をしていただいて、そのデータに基づいて日本のオンライン診療を行う環境整備、オンライン診療のあり方、活用における課題等の、議論を深めていく必要があることを申し上げます。
生活習慣病領域においては今回、31ページにアンケート調査が示されております。自覚症状がないものの、健康診断で指摘されたために医療機関を受診した方が42.7%、次の32ページのアンケート調査の右にあるように、自覚症状のある方であっても受診する時間がつくれなかったために初診まで1週間以上を要した方が34.5%というようなデータもあります。
私どもも、医療保険者として、特定健診や特定保健指導において、利用勧奨を行い、未治療者に対する重症化予防の促進にしっかり取り組んでおりますが、生活習慣病の重症化予防の取組に関し、現実的には特定保健指導ですら実施率が非常に伸び悩んでいます。その理由として、時間的な制約が一番多く、このような現状を踏まえると、健康診断の結果を受けて初めて生活習慣病に係る受診をする際、初診後にはオンライン診療を活用し、その後、定期的な受診を促進できるという環境づくりが大事と思っております。そのため、オンライン診療の環境づくり、現状の要件の見直しについて、しっかりと議論して深めていくことが必要と考えております。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
今、吉森委員がおっしゃった、いわゆる早期発見、早期治療あるいは予防は非常に重要だというのは私どももそのとおりだと思います。現在、国では特定健診・保健指導の制度があって、特に特定保健指導の受診率が非常に悪いという実態があるというのもそうなのですが、そもそもオンライン診療の前に保健指導ではオンラインの保健指導ができることになっていますね。保険者の方が特定保健指導の実施率を上げる、つまり、オンラインがこういった利便性が非常にあるのだから診療に使ったらいいのではないかという前に、そもそも保険者としてオンラインで保健指導ができるという枠組みがありながら、それはほとんど活用されていないという実態が現在あると思っています。
なので、本当にそこで保健指導にオンラインがどの程度効果があるかとか、そういうデータをきっちりお示しいただいたほうがいいのではないかなと私は思っていますけれども、いかがでしょうか。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
おっしゃるとおり、制度改正後、我々も特定保健指導については、特定健診と同時に受けられるように進めておりますし、そのような機会でも時間がない場合は、今おっしゃったオンラインの指導をやる方向で進めております。しかし、残念ながら、まだ環境整備ができていないところが非常に多いのも現実ですので、その点も踏まえてこれから整備をきちんと行っていきます。それと合わせて、その後のこともという意味で申し上げているので、おっしゃるようにそういうデータがこれから出てくれば、我々もどんどん活用したいと思いますし、データをとっていきたいとは考えております。
○田辺会長
では、今村委員、どうぞ。
○今村委員
ありがとうございます。
ですから、環境整備と今、まさしくおっしゃったように、例えばオンライン診療についてもまだまだごくごく一部の日本の医療の中で、一部の医療機関が取り入れてようやくそこに端緒というか始まっているばかりの中で、診療報酬全体の点数あるいは要件の拡大みたいな話の前に、そもそも環境がない。それは保険者として、今、保健指導の部分でもまだまだ環境が十分できていませんと吉村さんがおっしゃったのと同じだと私は思っています。だから、余り拙速に何か要件をどんどん拡大すればいいのだという議論はしないほうがいいと思っています。
それと、やはりエビデンスがないところに保険診療、これはずっといつもほかの分野でおっしゃっていることだと思いますけれども、このオンラインについても全く同じで、それぞれの医療の専門家、学会、いわゆるそれぞれの疾病の学会がきちんと、今、ようやくそれぞれの学会の中でこのオンラインについて議論をしていこうということが始まっているばかりですので、やはりそういうエビデンスをきっちり持った上で議論をしていくということが大事ではないかなというように思っています。
ただ、松本委員もおっしゃったように本当に難病の方で地方にいて、今まで主治医が離れた地域の中の限られた専門医の方に通院するために非常にお金をかけて移動するというような実態があるとするならば、そういった方たちに対して、やはりいわゆるニーズがある中で適切に医療が提供できないような環境があるのであれば、そういうものにオンラインを活用するということはあってもいいのではないかなというように思っております。その辺は距離要件だとか時間要件だとか、そういうものがかかっていますから、そういうものに関しての見直しというのはあってもいいのかなとは思います。
○田辺会長
ほか、では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
環境整備についてはおっしゃるとおりで、環境が全部整うまで進めないのかというのも考え方の一つとしてはありますが、今ある環境できちんと促進できるようにしていくという意味で、要件が妥当かどうか、もう少し緩和できないのかという議論があってもいいのではないかと思います。
○田辺会長
ほか、いかがですか。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
済みません、今、特定保健指導が進んでいないということの御指摘、そのとおりなのですけれども、これはもっと根深いものがありまして、オンラインだから、オンラインではないという理由ではなくて、やはり我々、保険者は取り組んでいるのですが、オンラインだから進んでいないというのとは違いまして、いろいろなさまざまな理由があるので、前提として言わせていただきます。
エビデンスが必要だということは2号側の先生、よくわかりますが、やはりここの資料でも出ていますように、患者がどう感じたかというのを重視することが必要で、14ページを見てもらいますように対面と比べて十分な診察を受けられないとは思わなかったというのが7割ある。十分なコミュニケーションをとれないとは思わないというのが85%。受診する時間帯を自分の都合に合わせられたという方が84%。待ち時間が減ったという方が9割。こういうような評価を受けているというところは、やはり患者の視点を重く見ていくべきだというように思います。
また、スライド15を見てもオンラインの受診経験がある方は非常にオンライン診療のメリットを感じている。今後の受診についてもできるだけオンライン治療を受けたいというのが多く、推進する観点からこういった声はやはり無視できないと思うので、これを少しずつ環境整備していくということは必要ではないかと思います。
総務省が研究した勤労世代の糖尿病患者によるオンライン診療、スライド35なのですが、これは対面診療と比較してオンライン診療の満足度が対面診療と変わらないというデータも出ていますし、今後も月一程度で継続利用したいというのがあるというのも事実です。そういった実証実験からのデータも出ておりますので、こういったオンライン診療の環境を整えてエビデンスをつくっていくためにも、今の厳しい要件は緩和していく必要があるのではないかというように思っています。
ガイドラインもいろいろ定められているのですが、まず1点、事務局に確認したいのですが、40ページの事務連絡が3月30日で発出されて、内容が具体的に理解できないのですけれども、これは緊急時の30分の要件だと思うのですが、具体的な例を出して確認したいのです。例えば千葉に居住している方が都内に1時間半ぐらいかけて通勤しています。かかりつけ医が千葉にいて、自分は職場の休憩時間にオンライン診療を受けたいということになると、これは緊急時に30分以内にかかりつけ医に行けないことになるのですけれども、算定可能なのでしょうか。
○森光医療課長
そもそもほかの要件等ございますけれども、日常的に通院できるという状況であればいいですよというようになっております。ですので、職場の近くにかかりつけ医がいらっしゃる方もいらっしゃると思います。そういう場合には、そういう職場の近くによく通われているというケースもあると聞いております。そういうものについても基本的には日常的に通院が可能であればいいですよということでそこに書いてあると解釈しておるということでございます。
○幸野委員
千葉で、例えば土日、土曜日とかを含めて通院可能なのですけれども、その場合はオンライン診療を受けてもいいということでよろしいですか。
○森光医療課長
ですので、かかりつけの先生がそこにいらっしゃって、どちらにいらっしゃるかはあれですけれども、どちらかにいらっしゃって、そこに日常的に通ってらっしゃるのであれば、その引き続きとしてオンラインを受けられるということは可能ということでございます。
○幸野委員
わかりました。一つの要件は、緊急時というところが少し柔軟になったというように理解しておりますが、もう一つはやはり継続的に6カ月受けていなければいけないというようなところとか、3カ月に一度は対面でなくてはいけないというのがかなりの縛りになっているので、例えば生活習慣病の患者なのですが、継続的に中断なくというのが一番のポイントになりますので、この負担を軽減させていくためにもぜひ必要なのではないかと思います。
もう一つの問題といいますか、対象患者が管理料で縛られているというのがこれはかなり厳格な要件になっているのではないかと思っていまして、管理料を算定していなければオンライン診療を受けることができないというのは見直すべきではないかなと思っていまして、例えば生活習慣病はもう早期の介入ほどいいということなので、管理料を算定するほどではない生活習慣病の早期の状態においても、継続的に管理をさせるためにオンライン診療を有効に活用するというようなことが必要なのではないかなというように思います。ということで、ここの辺も見直していく必要があるのではないかと思います。
とりあえず以上です。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
幸野委員のいろいろなさまざまな御意見を拝聴しました。冒頭の保健指導にさまざまな課題があるというのはそのとおりだと思っていまして、別にオンラインをやっていないから保健指導が進まないなどということは一言も申し上げるつもりはないのです。ただ、保険者が医療の中にオンライン診療をもっと活用すべきだと、生活習慣病のいわゆる予防や継続に重要だとおっしゃるのであれば、まず保険者としてオンラインの保健指導をしっかりとやられたらいかがですかということを申し上げているだけです。ですから、そういったものの中にしっかりとした保健指導のエビデンスというのをオンラインでできるということをお示しいただくことが重要だというように思っています。
それから、医療の情報の非対称性が非常にあるので、決して患者さんのことを思っていない、例えば患者さんの医療に係るいろいろなさまざまな思いに我々も配慮するというのは当然のことだと思っていますけれども、先ほどおっしゃったように便利だからと、これはアンケートの結果も通院の手間が省けるというような項目になっているのですが、やはりまずはオンライン診療というのは先ほど松本委員もおっしゃったように医療が本当に必要な方なのに、それがさまざまな理由によって医療を受けることができないという方たちにまずは提供されるべきものだと思っているので、便利だから使わせろというのは趣旨が違うのではないか。
変な話ですけれども、患者さんにとっては通院の手間は省けるかもしれないが、医療機関側はその時間が確実に固定されますので、例えば患者さんが外来に来るということであれば多少の融通というのはきくわけです。その場所で5分待っていただく、10分待っていただくということは可能ですけれども、これはオンラインになったら10時にいわゆるオンラインで通信が始まりますといったら、その場所に必ずその患者さんのためだけの時間ということで医師は拘束されるわけですから、決して働き方にとってそれが有用なものだとはとても思えません。あくまでこれは患者さんの本当に配慮ということで、患者さんのためにはその時間を確実にとれるというメリットはありますけれども、これはお互いの患者さんにとってのメリット、あるいは医療機関側にとってのメリット、両方を考えなければいけないのではないかなというようには思います。
もう一点、3カ月の期間をもっと長くすべきだという御意見がありましたけれども、例えば糖尿病の患者さんは本当に外来を見ていたらわかりますが、1カ月、2カ月で急激にHbA1cという、いわゆる血液の糖尿病の検査の指標が変わることがよくあります。なので、一定の期間の間に必ずチェックの期間が必要。つまり、面しているかどうかということと、そうではなくて採血をして、その検査結果をその場で確認できるかどうかということが結構大きな要素になってくるので、では、ずっと顔を見ていたら、落ちついています、落ちついています、変わりはありませんということで6カ月間糖尿病の患者を放置したらどういうことが起こるかという問題もあるので、こういった要件がしっかりと設けられているということを理解していただきたいと思います。
ですから、3カ月だったらもっと4カ月、5カ月でもいいのではないかと、それがネックになっているのだと、要件を緩めろというのは医療の本質にかかわる問題だと思っているので、ここは多分3カ月以上のことは譲ることはできないというように思っています。
それから、6カ月の対面診療ということもやはり患者さんを診て、その方のずっと継続的な理解というのは、医療側はできないので、少なくとも6カ月間ぐらいは継続し診た上で、この方だったらオンライン診療しても大丈夫だなという意味での6カ月ということですので、ここをとりあえず今の時点で緩める必要はないというように思っています。
○田辺会長
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
今の先生のお話を聞いて耳が痛いなというように思いましたけれども、確かに生活習慣病、糖尿病の患者は、私もそうなのですが、3カ月どころか6週間ごとに通っているわけですが、6週間で大分HbA1cの値というのは変わってくるのです。それはなぜだかわからないこともありますし、薬の選択が合っていなかったということもあるかもしれないし、一番大きいのは自分の生活習慣の乱れというのが如実にあらわれるということがあったりします。
今、おっしゃっていた血液検査もやはりきちっと短期的にやっていかないと異常を見つけられないということもありますし、その血液検査だけではなくて足の指ですとか目の検査というのもきちっとやっていかなければいけないということがあって、そういう定期的な検査についてどういうように今やっているのかというのはもう少し詳しく知りたいなというように思いまして、ただ、オンライン診療にすることによって受診機会がふえる人、受診をする人がふえるということはいいことだなというように思います。なので、そのあたりで余り緩めることなく受診機会がふえるような方策というのがあればいいかなというように思います。
あと難病のことですけれども、難病の方は、難病自体の種類自体が300以上たしかあると思うので、その難病の状態によって、要するに難病全体がその対象になるというやり方なのか、難病の症状によっては歩行することで、外出することで負担が非常にかかるとか、そういうこともあるわけですから、難病だからといって全部対象にして要件を緩和するというのはなかなかそれでいいのかなという疑問はあります。
それと、やはり難病の種類によっては医療者側がビデオだけで対面して何か判断できるようなことだけではなくて、触診をしたりとかそういうことも当然することによって小さな変化というのは見られる、わかるということもあるでしょうから、そういったことも難病の種類によって決めていくということも必要なのではないかなというように思います。
以上です。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
間宮委員がおっしゃったところの難病についての考え方については、おおむね私も同意いたします。確かになかなか全員の方というのではなくて、やはり通院が著しく困難な方とか、そういった考え方があろうかと思います。なかなか疾患名で分けるというのも難しいと思いますし、その辺の難病拠点病院を中心としてどうしてもその病院に通院が著しく難しいというような方をまず対象にしたらいいのではないかなと思います。
先ほど来問題になっている継続6カ月とか3カ月に1回の対面診療ですけれども、やはり我々医療を行っている側からすると、ある程度のオンライン診療の活用は認めておりますが、粗診・粗療にならないということが大事なところだと思いますので、そこのところの一線として今の要件がかけられていることについては、このまま、まだ検証をしっかりと進めていくべきだというように思います。やはり3カ月に1回ぐらいは、せめて患者さんをしっかりと見たいという気持ちは我々医療者として持っておりますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
○田辺会長
では、宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
オンライン診療について、これまでもたくさん議論をしてきたのだろうと思います。オンライン診療は対面診療の補完であること、そして、医療の質の担保が絶対条件であるということは十分承知しておりますし、診療側の先生のおっしゃることも、理解できるのですけれども、やはり患者、特に現役世代の視点でその活用の可能性について検討していくということも必要だろうと思います。
幸野委員から紹介がありましたけれども、10ページや11ページのオンライン診療に対する調査結果を見ると、肯定的な意見もかなり多いという結果も出ております。14ページや15ページのオンライン診療を受けて感じたことという調査結果、これは調査対象も少ないのですが、オンライン診療を受けた患者の感想では7~8割がメリットを実感しているというデータも出ております。
本来であれば医療機関に行ってきちんと診療を受けるのがあるべき姿でしょうが、働く側としては、やはり実態としてそこまで行き着いていない現実も多々ありますので、オンライン診療につきましては医療支援の少ない地域以外においても生活習慣病をはじめとして、31ページにあるように、自覚症状のない患者が早期から継続的に治療を受けやすくするように要件等の見直しを検討していって、少しずつオンライン診療を前進させていくべきと思っております。
以上、意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ICTの利活用に関しまして看護の立場から、特に58コマ目以降にあります退院時共同指導について意見を述べさせていただきます。
患者が退院後、在宅で療養生活を円滑にスタートさせるためには非常に重要な指導だというように考えております。しかし、共同指導を算定できなかった医療機関側の理由としまして、62コマ目において在宅療養担当の医療機関の職員、また、訪問看護ステーションの看護師等の共同が困難ということが挙げられていますし、訪問看護ステーションが指導を実施できなかった理由としまして63コマ目ではスケジュール調整ができないこと、また、医療機関との距離ということが挙げられております。共同指導を行った場合におきましても、移動に時間がかかっているという場合も出ております。
65コマ目の論点にあるように、患者さんが円滑に在宅療養に移行できるようにするためには、在宅領域における医療機関の連携をより一層推進する必要がありますので、情報共有に係る業務を効率化するという観点から、現在、ビデオ通話を用いる際の要件であります医療資源の少ない地域については見直しの検討が必要ではないかというように考えております。
最後のページ、71コマ目にあります栄養管理に関する退院時の情報提供については、退院先への栄養情報の提供に関する評価が論点として挙げられておりますが、従前より看護師は患者の療養生活に関する情報の提供や看護として必要な情報を転院先に看護情報提供書または看護サマリーという形で情報提供しております。その中には栄養に関することも含まれているので、栄養情報の提供のみを改めて評価するということに関しましては違和感があります。
もし、そのように評価されるようでありましたら、診療情報提供料に加算するなどの形にして、栄養情報のみならず患者の療養生活全般に関する情報の提供に対する評価を検討いただきたいというように思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
済みません、最後かなと思いますが、このオンライン診療に関しては要件がそもそも厳格化されているのはなぜかというのは、対面診療と比べて対象疾患、主に慢性疾患ですが、これに対して有効性と安全性というものがわかっていないという時点で要件を決めたということが基本であったということですね。
その中において、今回のこの調査というのがさまざまなアンケートみたいな形ですけれども、これは現状把握であって、何も有効性とか安全性を見ているものでもないですし、ただ単に使ったドクターである利用者が便利であったということを示すという内容のものだけであって、何らエビデンスがあるということではないという認識を持っていただきたいと思います。この中医協というのはエビデンスに基づいて議論するわけですから、そういう意味におきましては、現時点においては要件の緩和をしていくということ、大きな要件の緩和をしていくということは拙速であるということは言うまでもないということが基本であろうと思います。
ただし、その中においても、これは事務局等にもお願いしたいわけですが、基本的にしっかりとした学会でこのエビデンスを積み上げていっていただいて、それに基づいて要件を見直していくということは基本。それとともに、それまで何もしないのかということではなくて、何度も申しますが、拙速な急速な拡大ということではなくて、影響が少なくて、なおかつ安全性がどれだけ担保できるのかどうかということを一つの検討の考え方にしていくということでよろしいのではないかなというように思います。
以上です。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
時間がない中で済みません。2号側の先生、エビデンスというようにおっしゃったのですが、この14ページで示されているのもエビデンスだと思うのです。15ページとか、実際に受けた方がオンライン診療は自分にとって有効であるというように回答されているわけですから、これも一つのエビデンスだと思います。
ですから、それが安全性を担保するか、有用性がさらにあるかというのは、こういったものをもう少し活用してn数をふやして、そこでエビデンスを構築していくということが必要なので、ただ、今の状態では月100回程度ということで要件の厳格さはそのエビデンスを収集するのにも妨げになっているというところもあるので、一気に拡大しろとは言いませんが、このエビデンスを少しでもたくさんとれるように徐々にこれを活用していくという方向で進めていくべきではないかというように思う次第です。
あと、もう一つは糖尿病のことをおっしゃったのですが、保険者として悩んでいるのは、やはり重症化予防というのをデータヘルス計画でもやっているのですが、途中の中断というのが一番怖いわけですね。糖尿病にしても、生活習慣病。途中で急変する場合もあるというようにおっしゃったのですが、我々としては、途中で中断されるというリスクは、オンライン診療を活用することによって、この中断を回避できるというようなメリットがあるので、そこはぜひ活用していきたいというところです。
最後、言い忘れたのですけれども、退院時の情報提供については、これは評価ということで新たな評価にするということなのですが、我々としては、これはもう入院栄養指導管理料の一つと捉えて、できれば入院栄養食事指導料の算定要件に入れるべきだというように思いますので、意見として申し上げます。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
済みません、本当に時間のない中で大変恐縮ですけれども、最後に幸野委員のおっしゃったことに一応反論というか申し上げたいことが少しあるのです。
確かに私も糖尿病担当を日本医師会でやっているので、中断を何とか阻止するというのは大事だというのはそのとおりだと思います。ただ、中断の理由というのが例えば通院がしたくないから、不便だからやめるということだけではないわけで、いろいろな要素があるということと、必ずしもオンライン診療でなくても、先ほどあったように医療機関側からの電話連絡で50%ぐらいの方たちの中断がとまるということもあって、これは医療機関の努力があって、一人一人の患者さんにきっちりとそういう連絡をとるというような体制をとっていく必要があるのだと思いますが、オンラインをやったら中断しなくなるという話ではないということだけ理解していただきたいということ。
先ほど城守委員からもお話ししたように、ここに出ているのはすごく信頼性の弱いエビデンスであって、科学的なエビデンスではなくて、あくまで印象を語られているだけなわけです。こういうことをもとにして要件を緩和して、それからエビデンスをつくりましょうという議論ではなくて、今、それぞれの学会がオンライン診療の重要性ということをある程度考えながら、学会の中に分科会みたいなものをつくってデータを集めようとされているのです。なので、そういうデータがきっちりと、いわゆる医学としてのエビデンスがしっかりとしてきた時点で、もう少し議論をもっと深めたほうがいい。
もう一つ確認しておきたいことは、全くこの今までの要件を緩和するなということを言っているわけではなくて、先ほどからお話があるように本当に医療が必要とされている、医療にニーズがある方たち、例えば一部については難病の方たちに対しては、きっちりとオンライン診療を提供できるような緩和というものもあっていいのではないかなということを申し上げているということですので、大きく緩和するとモラルハザードが起こるということもありますので、そこは本当に慎重に考えていただきたいというように思います。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
その点は理解しており、オンライン診療を進めていくには当然エビデンスが必要というのもそのとおりです。そうすると、生活習慣病の中でも糖尿病は今、お話がありましたように重症化するにはヘモグロビン等の色々な変化もあってというのも、そのとおりだと思います。例えば、生活習慣病でも高血圧症に対してはどういうようにするか。疾病によってそれぞれ違うと思うのです。そういう点についてのエビデンスをしっかり出していただいて、緩和できる場合について議論するというのが正しいような緩和が正しいやり方なのだと思います。
全て整ってからではなく、できるところからやりましょう。今の日本の医療の状況や環境から言えば、こういうところを進めていかないと、次に進まないのではないかと思っています。当然ながら、おっしゃるように安全性や有用性がきちんと担保されるのは大前提であり、それを無視して要件緩和すべきとは申し上げていないことも御理解いただきたく思います。
○田辺会長
よろしゅうございますでしょうか。目いっぱい御議論いただきました。御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうも御参集ありがとうございました。

 

 
 


 
 

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