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2019年10月18日 中央社会保険医療協議会 総会 第426回議事録

○日時

令和元年10月18日(金)9:59~11:58

○場所

ホテルグランドアーク半蔵門(4階)
 

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 
保険医療材料等専門組織近藤委員長代理
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器及び臨床検査の保険適用等について
○個別事項(その4)について
○診療報酬基本問題小委員会からの報告について
○その他


 
○田辺会長
それでは、時間でございますので、ただいまより、第426回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、染谷委員、岩田専門委員、横地専門委員が御欠席でございます。なお、松原委員におかれましては、おくれて御到着とお伺いしております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
初めに、「医療機器及び臨床検査の保険適用等について」を議題といたします。
本日は、保険医療材料等専門組織の近藤委員長代理にお越しいただいております。近藤委員長代理より御説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○近藤委員長代理
近藤でございます。座ったままで失礼いたします。
それでは、説明いたします。
中医協総-1-1の資料をごらんください。
今回の医療機器の保険適用はC2が2製品の2区分です。
2ページ目、製品は「AMPLATZER PFO オクルーダー」です。
4ページ目の製品概要をごらんください。
本品は、潜因性脳梗塞の既往があり、卵円孔開存の存在が脳梗塞の発症に関与していると判断される患者のPFOの閉鎖を目的とする経皮的カテーテルPFO閉鎖機器であり、脳梗塞の再発リスクを低減する目的で使用する製品です。
2ページ目にお戻りください。
価格につきましては、類似機能区分比較方式で評価いたしました。
3ページ目の4つ目の○の部分に補正加算についての説明を記載しております。既存の治療方法では効果が不十分な患者群、あるいは安全性等の理由で既存の治療方法が使用できない患者群において効果が認められ、また、対象疾病に対する標準的治療法として今後位置づけられるものと評価できるため、プラス10%の有用性加算とすることが妥当と保材専として判断いたしました。その結果、最終的な価格を86万5000円といたしました。外国平均価格との比は0.51です。
続きまして5ページ目、製品は「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」です。
8ページ目の製品概要をごらんください。
本品は、固形がん患者を対象とした腫瘍組織の包括的なゲノムプロファイリングの取得、医薬品の適応判定の補助を目的として、対応する遺伝子変異等を検出する製品です。
6ページにお戻りください。
価格につきましては、本品は特定保険医療材料としては算定せず、新規技術料にて評価することが適当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はありません。
続きまして、中医協総-1-2をごらんください。
今回の臨床検査の保険適用はE3の1件です。
2ページ目、販売名は「FilmArray 呼吸器パネル」です。測定項目は、鼻腔咽頭拭い液中のインフルエンザウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、ヒトライノウイルス/エンテロウイルス、マイコプラズマ・ニューモニエ、クラミジア・ニューモニエ、百日せき菌です。測定方法は、マイクロアレイ法(定性)です。
4ページ目の製品概要をごらんください。
本検査は、各測定項目の核酸同定による病原性微生物及びウイルス感染の診断補助に行われる臨床検査です。
2ページ目にお戻りください。
保険点数につきましては、D012-23インフルエンザウイルス抗原定性、D012-26クラミドフィラ・ニューモニエIgM抗体、D023-6マイクロプラズマ核酸検出、D023-8百日ぜき菌核酸検出を合わせた963点を参考点数としています。
今回の御説明いたします内容は以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
事務局から補足があれば、お願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
特にございません。
○田辺会長
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(委員首肯)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
なお、報告事項として事務局より追加で資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
医療技術評価推進室長でございます。
資料総-1-3をごらんください。
10月16日、一昨日付で人工乳房及びその埋入に用いる組織拡張器を新たに保険適用といたしましたので、御報告をさせていただきます。
乳がんの手術後に乳房の再建に使用される人工乳房が原因と見られますリンパ腫の報告が世界的に見られ、死亡例も報告されたところでございます。これを受けまして7月24日にFDAが製造元のアラガン社に対し、人工乳房・組織拡張器の自主回収を求め、同社がこれを受けまして、世界の全販売地域での自主回収を発表しております。
日本国内におきましても7月25日に回収が行われまして、それ以降、国内においてアラガン・ジャパン社製の当該製品以外に流通している製品がもともとなかったことから、人工乳房・組織拡張器とも国内で使用できなくなるという事態が生じておりました。
医療現場や患者の要望を踏まえまして、厚生労働省としては、この製品の代替となる品目の迅速な審査をPMDAのほうに依頼し、人工乳房・組織拡張器の代替品を10月8日付で承認したところでございます。
保険局医療課といたしましても、早期の保険導入が必要と判断し、迅速に審議を行った上で、一昨日、10月16日付で同製品の保険適用をいたしましたので御報告をさせていただきます。
なお、製品概要につきましては、6ページ目に掲載をしてございますが、自主回収となった製品はテクスチャード加工という表面加工を施されていたものでございましたが、代替品となる製品は人工乳房・組織拡張器ともにスムーズ加工という別のタイプの加工を施したものとなってございます。
事務局からは以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
乳房再建術を要する患者さんは非常にふえてきておりますので、迅速に代替品が保険適用化されたことは非常によろしいことかと思います。
一方で、今後もまだ前製品を使われている方もいらっしゃいますし、また、新製品につきましてもいろいろな問題が生じないかどうか、その辺のことはしっかりと今後とも対応していただくように要望いたします。よろしくお願いいたします。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
近藤委員長代理、御説明のほう、どうもありがとうございました。
次に、次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして「個別事項(その4)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料総-2をごらんいただきたいと思います。
本日は「個別事項(その4)」といたしまして、感染症、脳卒中、医療従事者の働き方2ということで資料を用意させていただいております。
まず、感染症について3コマ目、本日は「外来における薬剤耐性(AMR)対策」ということで資料を用意させていただいております。
4コマ目、薬剤耐性(AMR)対策アクションプランということで、2016年から2020年にかけての政府としてのアクションプランを策定しております。その中でくくっております4番を見ていただきますと、「医療機関における抗微生物薬の適正使用の推進」が項目として位置づけられております。
5コマ目、抗微生物薬についてですが、日本では使用量自体は多くありませんけれども、幅広い細菌に有効であるものが多いセファロスポリン、キノロン、マクロライド系の使用割合が高いというデータがあります。
そこで、2020年までに経口セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドの使用量を半減させ、全体の使用量を33%減とするという数値目標を定めているところでございます。
6コマ目、幅広い細菌に効果があります第3世代セフェム系やキノロン系の経口広域抗菌薬の数量は近年減少傾向にございます。
7コマ目、抗菌薬全体の販売量も減少傾向でありまして、2018年は2013年と比較して10.7%減少しているところでございます。
8コマ目、日本で使用される抗菌薬のうち、約90%は外来診療で処方される経口抗菌薬であるため、外来診療の現場で活用できる「抗微生物薬適正使用の手引き」を発表しているということでございます。
急性気道感染症や急性下痢症について、患者家族への説明内容として、多くは対症療法が中心であるという記載が盛り込まれているものでございます。
9コマ目、年齢階級別の受診理由を見ますと、ゼロ歳ではその他の急性気道感染症が6番目、1歳から4歳では4番目に上がっているという状況でございます。
10コマ目でございますけれども、平成30年度診療報酬改定においては、小児外来診療における抗菌薬の適正使用を推進する観点から、小児抗菌薬適正使用支援加算を新設しております。この算定回数は、下を見ていただきますと、1カ月で24万件になっております。
11コマ目、小児の抗菌薬使用に係る検証調査の結果でございます。小児かかりつけ診療料の届け出がある施設のほうが、抗菌薬の適正使用に関する取り組みを行っている割合が高い。また、受診理由の症状は同様でありましたが、小児かかりつけ診療料の届け出がある施設のほうが抗菌薬の処方割合が少ないという結果が出ております。
12コマ目、年齢階級別の内服抗菌薬の状況、人口1,000人当たりの内服抗菌薬が調剤されたレセプトの件数を見ますと、いずれの年齢階級においても減少傾向にありますけれども、3歳未満が最も多く、次に3歳以上6歳未満が多いということが見てとれるかと思います。
13コマ目、小児抗菌薬適正使用加算の算定状況でございます。大体月20万から35万回の算定がございます。また、月2回以上算定されているレセプトが約5%存在しているということでございます。
14コマ目は小児患者の外来の受診の頻度でございます。15歳未満の患者について、月1回未満の患者が49.1%、月1回程度が31.4%程度でございました。また、小児かかりつけ診療料を算定している患者について見ますと、3カ月に1回程度通院されている患者が約62%ということがわかるかと思います。
これらを受けまして感染症に関する論点としまして、15コマ目でございますけれども、小児抗菌薬適正使用支援加算について、抗菌薬の使用状況や算定状況、小児の受療頻度等を踏まえて、対象年齢や算定頻度等の算定要件を見直すこととしてはどうかという論点として挙げさせていただいております。
続きまして、脳卒中についてということで、「脳梗塞の超急性期治療を行う医療機関の基準」について御説明をさせていただきたいと思います。
17コマ目を見ていただきますと、脳卒中の急性期治療につきましては、rt-PA療法という血栓溶解療法が行われております。左下の図でございます。rt-PA療法実施群では、後遺症なく経過する割合が13%増加、死亡率は偽薬群と差がないという結果が出ております。
右の図でございます。rt-PA療法の提供体制には地域差がございまして、rt-PA療法を常時行える病院のない医療圏は9.7%というアンケート調査の結果もございます。
続きまして、18コマ目、rt-PA療法につきましては、診療報酬では超急性期脳卒中加算として評価しております。脳梗塞の患者に対しまして、発症後4.5時間内にrt-PA療法を実施した場合に、入院料に加算されるというものでございます。投与に当たっては、日本脳卒中学会の治療指針を踏まえて適正に行うことを求めております。
施設基準としては、専ら脳卒中の診断等を担当した経験を10年以上有する常勤の医師を1名以上配置し、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師を常時配置するといったことを求めております。
届け出医療機関数はそこにあります図のとおりでございまして、約800施設で近年横ばい、算定回数は月に900回程度で増加傾向にあるという状況でございます。
19コマ目、rt-PA療法については、脳卒中学会が平成28年9月に治療指針の改訂を実施いたしまして、治療を行う施設の基準を改定いたしております。現在の指針において医療機関に推奨している要件が中央、診療報酬の施設基準が右列にそろえてございます。現在の診療報酬の施設基準が学会の指針とは必ずしも一致していないことがわかるかと思います。
次に「Drip and Ship法」というものについて取り上げたいと思います。
脳梗塞におけるDrip and Ship法についてでございますが、この方法については、先ほど御紹介しましたrt-PA療法を一次搬送施設において投与した上で、血管内治療等のより専門的な治療が可能な医療機関に搬送するという方法でございます。
左上の図でございますが、脳梗塞の急性期治療において血管内治療が行われた症例のうち、一次搬送施設からより専門的な治療が可能な二次医療機関に二次搬送された場合は、近年増加しているということがわかるかと思います。左下でございますけれども、rt-PAは発症から投与までの時間が短いほうが患者の予後がよいという結果があります。
右にあります図を見ていただきますと、Drip and Ship法と血管内治療が可能な施設に直接搬送いたしますMother Ship法と比較しますと、Drip and Ship法を実施した施設でも頭蓋内出血の発生率等の安全性に差はないということがデータとして出されているところでございます。
22コマ目、上の囲みを見ていただきますと、Drip and Ship法を活用した医療機関の連携体制の構築というものが推奨されておりますけれども、他方、現在の診療報酬上の算定基準は入院初日の加算となっておりまして、Drip and Ship法で治療を行った場合には、搬送元、搬送先のいずれの病院でも超急性期脳卒中加算が算定できないという状況に現在なっているということでございます。
これらを受けまして、23コマ目に論点として整理をさせていただいておりますが、急性期脳梗塞の治療法の現状や地域の医療提供体制、学会による治療指針の改訂等を踏まえまして、治療を行う医療機関を適切に評価する観点から、超急性期脳卒中加算の施設基準や算定要件等を見直すことについてどのように考えるかということで論点を提示させていただいております。
続きまして「医療従事者の働き方について」、今回はその2ということで「院内の労務管理・労働環境改善のためのマネジメントの実践について」ということで、資料を用意させていただいております。
27コマ目、医療従事者に関するこれまでの主な意見を整理しております。医療従事者の働き方に関して、上の段は1ラウンド目の議論の概要、下段は9月25日の中医協の総会でいただいている御意見を御紹介させていただいております。
28コマ目、このマネジメントの実践についての整理でございますけれども、2つに分けて整理をさせていただいております。「全ての医療機関に求められる取組」と「特に勤務環境改善が必要な医療機関に求められる取組」の2つに分けて御説明をさせていただきます。
29コマ目、まず、診療報酬の基本構造ということで御紹介をさせていただきます。診療報酬の基本構造といたしまして、大きく基本診療料と特掲診療料に分かれております。下枠のところを見ていただきますと、基本診療料は基本的な診療行為等の費用も一括して支払っておりまして、入院基本料には療養環境の提供、看護師等の確保及び医学的管理の確保等に要する費用も含まれているということでございます。
30コマ目、このうち入院基本料については平成12年度の改定におきまして、「入院時医学管理料」「看護料」「室料、入院環境料」が統合されてできたものでございます。
31コマ目、昭和58年からの入院基本料の変遷を示しております。平成12年度改定で入院基本料に統合されております。
次に32コマ目、現在、平成12年以降、入院料の要件となっている項目の変遷をお示しさせていただいております。入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策、栄養管理体制についてそこに整理をさせていただいております。例えば、入院診療計画については、平成12年度前については加算として評価されていましたのが、平成12年度改定により減算となりまして、平成18年度改定において入院料の要件という形で整理をされました。
また、院内感染症対策についても、平成12年度前は加算で対応していたものを12年度に減算、18年に減算の廃止、入院料の要件化という形になったことがわかるかと思います。また、医療安全管理体制についても、平成14年度の改定で医療安全管理体制未整備減算という形で導入され、18年には同様に減算の廃止という形で要件化された。
近年では、そこにありますように褥瘡対策、栄養管理対策というものも要件化されているということでございます。
33コマ目を見ていただきますと、例えば医療安全についてでございますが、平成14年に病院、診療所に医療安全管理のための環境整備が義務となりました。平成19年度の施行の改正医療法で、全ての医療機関において医療管理体制の整備が義務になったということで、法律に符合していくような形で診療報酬が整備されていっていることがわかるかと思います。
また、34コマ目、入院料の要件となっている項目について、何を求めているのかというところをまとめたものでございます。例えば、入院診療計画でございますと、そこにありますように入院診療計画の策定と、患者さんへの交付、説明ということを求めています。それから、院内感染対策は院内感染対策委員会を設置して定期的な開催と、各病棟における状況のレポートの作成、実施ということで、手洗い等の励行の徹底といったようなことを求めています。
それから、医療安全管理対策ですと、例えば指針の整備、報告制度の整備、利用安全管理のための委員会の開催、研修といったことを要件として求めていることがわかるかと思います。
35コマ目、本日議題に挙げます働き方の関係でございます。これは医療安全とも深く関係しているということを言われております。そこにありますように医療事故やヒヤリ・ハットを経験した割合というのは勤務時間が長くなるほど上昇するというデータが出ております。また、睡眠不足は作業能力を低下させたり、反応の誤りを増加させるということがわかっております。
下の図のところでございますが、覚醒時間が長くなるほど作業能力が低下し、酒気帯び運転を下回るような作業能力になる。また、右のほうですが、睡眠時間が短いほど反応の誤りがふえるといった調査結果が出ているということでございます。
この働き方の関係につきましては、36コマ目でございますが、医療勤務環境改善につきましては、平成26年の10月施行の改正医療法の第30条の19におきまして、医療機関の管理者は医療従事者の勤務環境の改善、その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるよう努力義務を負うことが求められているところでございます。
37コマ目、具体的な実施内容につきましては、中段のところを見ていただきたいと思います。そこにありますようにPDCAサイクルということでございますが、院内で院長や各部門責任者が集まり、現状の分析や課題の抽出を行い、ガイドラインを参考に改善計画を策定し、実施状況の評価を行って、さらなる改善を行うといったPDCAサイクルを回していくことを求めているものでございます。また、こうした取り組みを各都道府県の医療勤務環境改善支援センターが支援するという仕組みになってございます。
38コマ目、昨年度に開催されました医師の働き方改革に関する検討会におきまして、医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組みが公表されたところでございます。医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組み等の実施が求められているということでございます。
39コマ目は、昨年の調査と本年度の速報値を並べたものでございます。検証調査においても、医師の労働時間の把握方法を調査したものでございます。上の囲みにありますように、医師の労働時間の把握方法として、「ICカード・タイムカード」が最も多く、次いで「自己申告に基づき把握」が多かったという状況でございます。令和元年度調査では平成30年度の調査と比較いたしまして、「ICカード・タイムカード」の割合が増加し、「自己申告に基づき把握」というやり方の割合が減少していたという状況でございます。
また、40コマ目、検証調査において、左が勤務環境改善の取り組みを要件としている診療報酬項目を届け出ていない医療機関において、勤務環境改善の取り組みを策定している医療機関は24.6%、計画を策定している医療機関のうち、計画の見直し頻度は数カ月に1回の医療機関が46.1%ということでございます。これの母数は、そこにありますように勤務環境改善の取り組みを要件としている診療報酬項目、後で御説明させていただきますが、例えば医師事務作業補助体制加算というものを届けていない医療機関が対象の調査結果となっておりますことを申し添えさせていただきます。
41コマ目、「特に勤務環境改善が必要な医療機関に求められる取組」について御説明をさせていただきます。
42コマ目、昨年度末に取りまとめられました医師の働き方改革に関する検討会報告書におきまして、上段のところでございますが、地域医療確保暫定特例水準の対象医療機関につきましては、管理者のマネジメント研修やタスク・シフティング等が計画的に推進されていること。また、管理者のマネジメント研修やタスク・シフティング等の計画推進に関しては、各医療機関で定める医師労働時間短縮計画の作成・実施により確認することとされております。
43コマ目、追加的健康確保措置についても、医師労働時間短縮計画に記載することが求められているということでございます。
44コマ目は、この取りまとめを受けまして、現在、医政局においてさらなる検討を実施しておりまして、その案として出されたものでございます。医療機関に対しまして、医師労働時間短縮計画への記載内容を検討しているところ、例えば中段のような提案がなされております。
続きまして45コマ目、医師労働時間短縮計画につきましては、時間外・休日労働時間が年960時間を超える業務に従事する医師のいる医療機関に対して策定を義務づけることが提案されているところでございます。
46コマ目、その医師労働時間短縮計画に盛り込むべき事項の案ということで、以下のような提案がなされておりまして、検討が行われているということでございます。
47コマ目、診療報酬においては入院料の加算ということで、そこにありますように基本診療の中の入院基本料、特定入院料、入院料加算というものがございますが、入院料の加算は項目において、一部勤務環境改善に係る計画の策定を求めている項目がございます。
先ほど言いましたように、例えば48コマ目にありますように医師事務作業補助体制加算というものがございまして、医師事務作業補助者の配置につきましては、病院勤務医等の負担軽減を目的とした配置でございますので、そこにありますように病院の勤務医等の負担軽減のための計画を策定することをあわせて求めております。
例えばその計画については複数項目の取り組み、そこにありますような1から7の複数項目の中の2つ以上病院は実施していることがこの項目を算定するための要件となって示されておるところでございます。
続きまして49コマ目、総合入院体制加算につきましては、医療従事者負担軽減のための計画を策定することを設けておりまして、内容についてはエに掲げているような項目のうち少なくとも2項目を含む計画を立てることが要件となっております。
これらを受けまして50コマ目、論点として整理をさせていただきました。
1つ目、院内の労務管理・労働環境改善のためのマネジメントの実践について、今後全ての医療機関においてのマネジメントの実践が求められることや、働き方と医療安全との関係の踏まえ、基本診療料等における評価のあり方についてどのように考えるのか。
2つ目、医師事務作業補助体制加算等の診療報酬項目において、作成を求めている医療従事者等の負担軽減及び処遇の改善に関する資する計画について、医師の時間外労働規制に係る検討状況を踏まえて見直しを検討してはどうかという御提案でございます。
御検討よろしくお願いいたします。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、課題ごとに分けまして議論していきたいと存じます。
まず、1の感染症について、何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
感染症につきまして、論点の15ページ目に沿って話させていただきます。
薬剤耐性対策アクションプランに対して、「抗微生物薬適正使用の手引き第一版」が発表されまして、診療報酬上では前回改定において、非常に限定的ではありましたけれども、3歳未満に対して小児抗菌薬適正使用支援加算を新設いたしました。
急性気道感染症や急性下痢症の多くは対症療法が中心であり、抗菌薬が不要である場合も多々あることは理解しております。抗菌薬を使用せず、そのような指導、説明を行った場合に算定という、これまでとは異なる点数設定が行われたものですが、検証・調査などのデータによって抗菌薬適正使用の効果があらわれているものと考えます。
したがいまして、次に進む段階として、3歳未満に次いで内服抗菌薬の調剤が多い未就学児、3歳以上6歳未満までこの加算の対象を拡大し、より適切な抗菌薬の使用の取り組みを進めていくべきであると考えます。
また、13ページ目に、月2回以上算定されているレセプトが約5%存在していたというデータが示されております。小児の場合には月2回以上、急性疾患に罹患することも珍しいことではないので、そういった場合には疾患や薬も異なることも多いと考えられます。
改めて、患者・家族に必要な指導、説明を行い、納得・安心を与えるものと考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
この適正使用支援加算について、まず、今、松本委員からもありましたけれども、12ページを見ましても、未就学児童で抗菌薬の使用割合が高くなっているというデータもございますので、適正使用という観点では、3歳未満ではなくて、3歳以上6歳未満についても支援加算の対象範囲を広げるということはあってもいいと思いますけれども、そもそも支援加算は小児外来診療料並びに小児かかりつけ診療料の施設基準を満たす保険医療機関において、急性気道感染症または急性下痢症により受診した患者の初診時に限り算定できるとされていたはずなのですよね。
したがいまして、今回、これを拡大するということであるならば、外来診療料はそもそも3歳未満の乳幼児に限られているという要件ですし、かかりつけ診療料の場合も3歳未満からかかりつけ診療料を算定している患者が対象という要件だったと思いますので、今回、対象年齢の議論をする場合には、前提としてこれらの診療料との関係性を整理する必要があるとも思います。もし、加算対象年齢を広げるならば、これらの診療料の対象範囲について一体的に議論しないといけないと考えますけれども、まず、このことについて事務局はどうお考えなのかをお聞きしたいと思います。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
小児かかりつけ診療料、小児の外来診療料についても、小児の診療全体として考えなければいけないという御意見についてはそのとおりの部分はあるかと思いますが、今回、抗菌薬の適正使用推進加算ということで、適正範囲について今回御議論いただいて、ただ、この加算のありようというものは本体なのか、それ以外にまた別途診療報酬の項目として考えるということもできますので、まず、適正使用の加算の有効性と適正範囲を御議論いただきたいと思います。
また、それをどういうふうに本体の小児の診療の中に組み込むのかというところを別途御議論いただければと思います。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
その別途というのは、小児の外来診療、かかりつけ診療の議論を別途やるという理解でよろしいのですか。
○森光医療課長
そうさせていただきたいと思います。
○吉森委員
わかりました。
仮にそれが整理されるとして、特にこのかかりつけ診療料については、当該医療機関の3歳未満から4回以上の受診患者を対象とするという要件になっていたと思いますので、14ページ、15歳未満の小児患者の定期的な通院などの受診行動を勘案しますと、6歳未満だけでいいのかというところもあると思いますので、この辺についても議論の余地があるのかなと思います。
一方で、医療機関において抗菌薬の適正使用に係る説明を行うというのは、本来的には加算の対象とすべき行為ではなくて、当然行われてしかるべき行為だという考え方を従来から持っておりまして、今も変わっていないわけですけれども、こういう考え方に立つと、13ページで月2回以上算定されているレセプトが5%存在するのは何となく違和感がございます。
これについては、実は支援加算の算定要件は、初診時に療養上必要な指導と検査結果の説明を行い、なおかつ文章にて説明内容を提供した場合に算定できるという要件であったと思いますので、同一患者、同一家族に対して気道感染症と下痢症が仮に同一月に起こって複数回説明するケースがもしあったとしたら、抗菌薬の適正使用に関しての内容については同等の内容になるのではないかとは思いますので、やはり患者家族の理解向上を図る趣旨からして、説明を繰り返し行うのは当然ですけれども、加算の算定要件については同一医療機関で同一患者、家族に対しては、例えば月に1回なのかどうなのか、適正化する必要はあるのだろうと考えております。そういう意味で、ここのところはしっかりと議論する必要があると思います。
最後に、11ページでお示しいただいていますけれども、いわゆる加算による効果を継続的に把握、評価していただくことは今後も続けていただきたいと思います。
先月、我々協会けんぽでも、このレセプトデータをもとにして、抗菌薬の適正使用の啓蒙を目的として、抗菌薬の使用状況の47都道府県における地域差の現状を公表させていただきました。AMR対策については、今後、我々保険者としても抗菌薬の適正使用に向けた普及啓発活動をできるところから促進していきたいと思っております。
しかし、我々保険者の取り組みだけでは当然限界があるのは皆さん御承知のとおりでありますし、抗微生物製剤適正使用に向けては医療現場の皆さんとも一緒にさらなる取り組みの推進をしたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
今、吉森委員からお話があった同一月に5%の患者さんに請求されているということで、実際に診療しているとその5%は非常に多いという印象ではない。実際に3歳未満のお子さんは、例えば冬季であると、上気道の感染症と消化器系の感染症が同一月に起こる、3歳未満の方は頻回の受診になりやすいし、疾病についていろいろな状況が起こっていると思います。
したがって、例えば上気道の疾患が同一月に2回起こったときにその説明を同じようにしているのに、2回請求するのは確かに初診としても私は違和感があるのですけれども、実際に患者さんに消化器の説明をする場合と上気道の説明をする場合は、やはり違う説明になるわけですし、患者さんに説明するときに、AMR対策であなたには薬を使わないのですよということはないわけですよね。お一人お一人の違った患者さんに違った状況の中で丁寧に説明する必要があるので、私はそんなに5%が過大な請求になっているという印象は、現場的な感覚では正直ございません。
あわせて事務局に申し上げたいのですけれども、8ページのところの、これはもう既に6月26日に出ている資料なので、今さら申し上げることも何なのですけれども、一番上段に日本で使用される抗菌薬の90%は外来診療と書いてありますけれども、これは御存じのとおり、実際に使用される抗菌薬というのは、4ページの抗微生物製剤適正使用のところの赤字にも囲われているように、実は畜産だとか医療等で使われている抗菌薬は非常に多いわけです。ですから、適正使用はとても大事なことだと思いますけれども、日本で抗菌薬が非常に外来診療で90%も使われているから問題があるのだという読み取りにつながるので、医療用に使っているいわゆる抗菌薬の90%は外来だというふうに記載していただければと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
今の月2回とかはこれから議論する必要があると思いますけれども、文章で説明をするという要件になっていたと思うので、その文章の中身がどうなっているのかというのもあわせて議論する必要はあると考えております。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
今、議論になっているところなのですけれども、そもそも小児かかりつけ診療料というのは何を評価しているかというところを考えると、ある特定の方に同意をとってその小児の方に継続的かつ全人的な医療を行うというところが、まさに小児のかかりつけを評価している診療報酬だと思うのです。そういった医療機関が小児における抗菌薬の適正な使用を行うのは至極当然のことで、どちらかというと、小児かかりつけ診療料の要件に入れてもいいぐらいのことではないかと私は思っています。さらに加算でこれをやるのは非常におかしい話で、小児のかかりつけ医であるならば、抗菌薬の適正な使用を説明するのは至極当然のことで、当たり前のことだと思います。
それを複数回とっているということ自体も、違った症状であっても同様の説明をしたのであれば、これは説明するのは当然であって、5%生じるところがあるのはやはり制限をかけていくべきだと思います。また、小児のかかりつけ診療料に加算をつけていること自体も、今後見直していく必要があると思います。
以上です。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
今、幸野委員がおっしゃったことには明確に反対させていただきたいと思います。
なぜなら、やらなければならないことと評価は全く別のことだと思います。要するに、やらなければならないから評価はしなくていいという考えについては、明確に反対いたします。それを加算で行うか、あるいは本体につけるかという話だと思っております。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
では、中村委員、お願いします。
○中村委員
5ページのところで、薬剤耐性対策アクションプランにおける数値目標ということで、2020年までに広域の抗菌薬を約半減、全体の使用量を33%減という目標を出されていますけれども、何年が基準かというものがこの文章では明確ではなかったのですが、6ページだとすると2015年、2016年を比較して2018年はまだまだ10%あるいは10%弱でしかないので、かなり目標にほど遠い。あとは、抗菌薬全体としても33%減という目標に対して、これは2013年度が基準ですけれども、まだ10%ぐらい。そうなると、数値目標的には結構厳しいということで、なぜなかなか難しいのかという分析並びにどういった対策がとれるのかといった議論も今後必要なのかなと思っています。
今回は、これまでいろいろ議論していただいたように、小児のほうの加算に対する議論になりますけれども、それだけでいいのかといったところも少しこれから検討が必要なのかなと思っています。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
先ほど幸野委員がおっしゃったことをちょっと別の視点でお話ししたいと思うのですけれども、例えば冬季の小児の医療機関がどういう状況にあるかということをどこまで御理解されているのかなと私は思います。
例えば、インフルエンザが流行した、あるいは感染性胃腸炎が流行しているときに、単に患者さんだけを診ているわけではなくて、大勢の子供たちがいっぱい集まっている中で感染症の疑いのある患者さんの院内感染を防ぐための手配をしたり、予防接種もその間に入ってくる。丁寧な説明をするのは物すごく負担がかかっています。
小児科というのは本当に季節によって、夏場と冬場では物すごく大変な差があります。冬季になると本当に先生たちが食事もとれないような状況で朝から晩まで働いている中で、丁寧に一人一人に薬の説明をしていくということ自体が物すごく負担になるわけです。それを評価しましょうということです。
できれば、さっき文章のお話もありましたけれども、文章だけを渡せばそれで終わりということでもありませんし、保険者としても、先ほど吉森委員もそういった抗菌薬の使用についての啓発を被保険者にするというお話がありましたけれども、ぜひお母様、お父様方にそういう理解をしていただくような啓発をしていただきたいと思います。
薬をくださいという親もたくさんいるのです。抗生物質くださいと言われる方に、そうではないのですよということを改めて丁寧に説明していくことは物すごく大変な負担だということを御理解いただきたいと思います。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
おっしゃっていることは理解しておるつもりですが、まさに小児かかりつけ診療料というのは、お子さんに同意をとって、あなたがどんな病気でも私がまず診ますよということで、初診が602点、再診も413点取られているわけです。これは何を評価しているかというと、その子に対するかかりつけを評価している点数で、かなり高い点数がついていると思うのですが、そういった中には抗菌薬の説明などについても当然含まれるべきものではないかということで私は言わせていただいたわけです。特別な行為とは思えず、かかりつけ医であるならば当然やるべき行為だと思うので、この加算自体がおかしいのではないかということです。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
済みません、何度も繰り返しになりますけれども、今だからこそ、徐々にAMRという概念が近年すごく進んできましたし、抗菌薬の適正使用ということが言われていますけれども、今の世の中の一般的な常識が、こういう場で議論している話と違って、そこまで日本の患者さんたちに浸透しているかというと、まだまだそうではない。だから、かかりつけ医のやるべきことは何なのかというのはいろいろあると思いますけれども、このことに関しては新たに負荷されていることが10年後も20年後も特別なことだと言うつもりはないのですけれども、現状ではまだまだそういった作業は従来の医療の中で当たり前にかかりつけ医としてやってきたこととはちょっと違うことではないかと思っています。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
では、次に脳卒中についてのパートでございます。このパートにつきまして、何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
23ページの論点のところでございますけれども、アルテプラーゼを用いた急性期の虚血性脳疾患障害患者に対する静注血栓溶解療法が保険適用され、もう十数年が経過しています。しかしながら、いまだに地域差があり、標準治療として定着できていない部分があります。
18ページには超急性期脳卒中加算の概要が示されておりますけれども、発症後、まさに時間との勝負である脳梗塞治療を行う医療現場ではこの治療を行っているにもかかわらず、この加算が算定できていないケースも多いのではないかと考えられます。その理由は、安全性をたいへん重視し導入した厳しい施設基準があるからです。
19ページにそれがはっきりしておりますが、学会の指針と診療報酬の施設基準の比較があります。診療報酬の要件のほうがかなり厳しいものとなっている項目もあります。
21ページから22ページに示されましたように、複数の医療機関が連携して対応して、迅速に治療しているにもかかわらず、要件には合致しないために算定できていないという状況もあります。効果のあるrt-PA療法を普及させるためにも、治療を行う医療機関を適切に評価するためにも、加算の施設基準や算定要件の見直しは必要かと思いますし、今後検討していくべきと考えます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
脳卒中の急性期の診療には、医師を初め、薬剤師、看護師、OT、PT、言語聴覚士、栄養士、MSWなどの多職種のアプローチが重要と考えます。その中で、発症後4時間半以内に投与する、かつ、高額な薬剤であるアルテプラーゼの薬剤管理あるいは投与確認においては、当然病院薬剤師の常時配置は重要であると考えています。
当然のことながら、このような高度な医療を提供する施設においては薬剤師が常時配置されていると理解しておりますし、万が一、人的配置基準が届け出になかなか結びついていない要因があるのだとすれば、そのことがわかる資料を提示いただいた上で検討する必要があると考えます。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
このrt-PA静注療法の効果については、もう異論のないことだと思います。
これは患者さんのQOLを高めるだけではなくて、介護についても脳血管障害のものが物すごくインパクトが大きいということもはっきりしているわけですし、これは全ての地域で全ての患者さんに適切に使用されるのは非常に重要だと思っています。
効果についてはわかっているのですけれども、安全性については、脳梗塞について使用したら使用量が違っていたり、タイミングが悪くて脳出血につながることが非常に危惧されていたと思いますけれども、これは使用の経験が非常にふえてきている中で、脳出血の合併症というか副作用の発症率がどの程度変わってきているのかということがあって、その合併症の発症と人員配置が関係しているのかどうかというデータはあるのでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
その点については、今、手元にございませんので、学会等がその基準を検討した際にどのようなデータを用いたのかも含めて、少し問い合わせをさせていただきたいと思います。
○今村委員
ありがとうございます。
これは今データがないので申し上げられないのですけれども、当初rt-PA療法療法が始まったころには、どういう患者さんに使ったらいいのかという事前の評価みたいなものがまだまだ十分にできていなかったときにそういう合併症が起こっていたと思っていて、今はかなり事前の投与基準が明確になっていて、医療機関もその点は適切に使用できる状況になっていて、脳出血の合併症の数はかなり限定的になっているのではないかと思いますので、何にもいいところと悪いところはあると思うのですけれども、私はできるだけ多くの患者さんが適切に幅広く使用できるような体制を日本中につくることのほうが大事だと思っているので、余り人員配置などを厳しくし過ぎるとそれができなくなると思っています。松本委員の意見に賛成をしたいと思います。
○田辺会長
では、島委員、お願いいたします。
○島委員
もともとスタートした時点では3時間以内ということが最初のルールだったのですが、医療施設に搬入されてからいろいろと検査すると1時間ぐらいあっという間にたつのです。夜中とかに脳卒中の状態なったという患者さんの場合も適用はありませんので、そういう意味で4時間半まで適用を広げたことは非常に大きいと思います。
それから、一般的にこういうふうに診療報酬上で決めたような要件の医療施設がほぼやっているのだろうと思いますが、きちんと治療できる先生がいて、これらの薬剤師とか診療放射線技師の要件が外れると、どれくらいの医療施設が今度は対応できるようになるのだろうかと思います。患者さんたちにとっては、こういうふうに対応できない地域が日本の中にあること自体が非常に不幸なことだろうと思いますので、その辺がどのくらい広がるのかなという素朴な疑問がございます。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
これは、関係課及び学会にお尋ねをするところ、実際、rt-PA療法を実施している施設は約1,000施設だと聞いております。今、私どもの診療報酬の加算の届け出施設が約800でございますので、最低でも200ほどは増加する。要するに、きちんとした体制で投与できる施設が200ほどはふえると伺っておるところでございます。
○田辺会長
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
先ほどからお話に出ていますように、rt-PAの効果が非常に高い治療方法であることは証明されているわけですが、その中において、先ほどから出ていますように施設要件が厳しい。確かに、先ほど委員がおっしゃったように、薬剤師さんとか皆さんが必要な部分は出てくるわけですが、必ずしも常時配置ということではなくて、例えばオンコール体制で一定時間、要するに短い時間に来られるという要件緩和という方向性も可能性としては見てとれるのではないかと思いますので、そのあたりも検討していただければと思います。
以上です。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
脳梗塞治療におけるDrip and Ship法の推進ということで、21ページの右の表を見ますとMother Ship法のn数が1,926に対して、Drip and Ship法が368。これはあくまでサンプル数ということではあるのでしょうけれども、先ほど島委員もおっしゃっていましたが、全国的に見てもDrip and Ship法を実施できる医療機関はどれくらいあるのか。そんなに多くないのではないかと考えられます。
そんな状況を勘案しますと、Drip and Ship法が非常に効果的で、これを推進していくということであるのならば、やはり安全性を担保して実施可能な医療機関をふやしていくことが必要だと考えます。
そういう意味では、単にDrip and Ship法を超急性期脳卒中加算の対象とする要件の見直しだけではなくて、あわせてrt-PA療法において、先ほどから委員の皆さんから出ていますけれども、薬剤師や放射線技師等の常時配置が本当に必要なのかどうか。これは安全性の担保はもう必然でありますけれども、現場の医療実態に見合った算定要件の見直しを検討していく必要があるのではないかと思います。
脳卒中の急性期治療に関しては、先ほど今村先生からもありましたけれども、近年、急性期血管内治療の科学的根拠の確立とか、Drip and Ship法などの治療技術の進歩及び学会の施設基準、治療指針の改定等々などを見れば、現状の地域医療提供体制において、既存施設のあり方と現状の算定要件の間にそごができて、適切な評価対応ができているかどうかということがやはり大きな課題になっているのだと思われますので、当然患者の安全性の担保は前提でございますけれども、現場実態に対応した算定要件の見直しが必要である時期だと考えます。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、残りの3番目の「医療従事者の働き方について」に関して、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
本件は、医師の働き方改革に関する検討会などで鋭意検討が行われているところであり、医療の質を落とさずにという観点から見ても、働き方は非常に重要であると考えております。
38ページ目に、労働時間短縮に向けた緊急的な取り組みについての検討会の報告書概要があります。左側の6項目の取り組みについて、医療機関みずからの状況を踏まえて、できることから自主的に進めていくことが重要という考え方となっております。
37ページには、医療従事者の勤務環境改善については、個々の医療機関の努力のみで行われるものではないため、医療法が改正され、国や都道府県が医療機関の取り組みを支援しております。個々の医療機関における取り組みとしては、医療従事者の働き方、休み方を改善したり、働きやすい環境整備に取り組んでおり、40から41ページの調査にも徐々に取り組まれている様子、一方、やりたくてもなかなかやれない状況もあることがわかります。
46ページ目は、検討会がまとめた医師労働時間短縮計画の項目例であります。労務管理、意識改革・啓発、タスク・シフティング、業務の見直し、勤務環境改善など取り組むべき項目が多数あり、医療機関の管理部門、事務部門は大変な作業となります。医療機関で改善していくためには、当然コストがかかってまいります。医療機関を維持・運営するための取り組みであって、必要となるコストは当然ながら診療報酬によって手当てされることが原則であると考えております。つまり、医療の質を落とさずに、また医療安全も図りながらこういった取り組みを進めるためにはコストがかかりますので、特に入院に関しては基本的なところにやはり手当てが必要だと考えます。
48ページ目には、医師事務作業補助体制加算が示されております。言うまでもなく、この加算は医療従事者の負担軽減に効果があることがわかっておりまして、これまでの改定のたびに対応し、前回改定では負担軽減策として効果があるものについて医療機関の取り組みが進むように、複数項目の取り組みを計画に盛り込む要件とされ、届け出も少しずつふえてきております。
49ページ目の総合入院体制加算の施設基準にも、負担軽減、処遇の改善に関する体制を整備する要件が示されております。
しかしながら、総合入院体制加算や先ほどの医師事務作業補助体制加算を算定できる医療機関の多くは、比較的規模の大きな医療機関であります。今後はこうした加算を算定できない医療機関であっても、勤務環境の改善に取り組んでいかなければなりませんので、できる限り多くの医療機関で働き方改革が進むような評価となるよう、見直しをしていくべきと考えます。
また、これらの診療報酬項目と働き方改革で求めている要件が重なっておりますことから、整理も必要ではないかと考えます。現時点では、医療提供の質を確保しつつ、業務分担や共同の推進、また、常勤、専従の要件、24時間体制の緩和などによる弾力的な運用をさらに進めていくべきだと考えます。医師事務作業補助体制加算など、病院勤務医の負担軽減に有効とされるものについて、算定対象病院を中小病院に拡大したり、病院に限らず診療所の外来にも拡大することで、書類作成などの業務の効率化、合理化を図ることが必要だと考えております。この辺のところはしっかりと議論していくべきだと思います。
以上です。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
従来、医療機関は医師に限らず全ての医療機関で働いている人たちの勤務環境を改善していくための努力をしなければいけないということは決まっていたわけですけれども、今回の医師の働き方改革というのは次元の違う改革になっていると思います。例えば、医師のやるべきことを他の職種でということで、事務作業補助者はすごく有効なことはわかっていますけれども、とてもこれだけで医師の働き方を国で検討されているようなことが実現できるとはとても思えません。
したがって、今回、厚労省でもタスク・シェアリング、タスク・シフティングの新たな検討ということで、従来もタスク・シェア、タスク・シフトということは言われていたわけですけれども、それも抜本的に見直すための検討会が始まるという新たなステージに入ってきていると思います。医師がやるべきことを例えば看護師やその他の方たちに業務移管あるいはシェアをすることによって、今度、それぞれの職種の過重労働につながってはいけない。全ての医療機関の中で、適切にそれぞれの職種が仕事できるようなマネジメントはすごく大変なことだと思います。
したがって、これからの医療機関の中のマネジメントは、例えば病院の管理者等について義務でやっていただくというお話もありますけれども、それは研修会の話であって、それぞれの病院の中でいろいろな職種の人たちが集まって、自分の病院の中ではどういったタスクをシェアしていくのだろう、シフトしていくのだろう議論を含めて丁寧なマネジメントをやっていただく必要がある。その部分を十分に評価していただきたいと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
40ページの医療従事者の勤務環境改善マネジメントの状況を見ますと、勤務環境改善の取り組みに係る計画を策定していると答えていらっしゃるのは、左の表を見ますと、全体で24.6%となっていますけれども、今後、各医療機関が策定することになる医師労働時間短縮計画についても、46ページに項目例が示されておりますけれども、こういうことについて、勤務環境改善マネジメントシステムというものにおいてPDCAサイクルを活用し、一連の取り組みを始めている段階であろうと思いますので、実際、これがワークして取り組みが活発化するのはこれからだと思いますので、その評価というのは今後それを待たねばならないのかなと思います。
本来、こうした計画に基づいて医療機関が勤務環境の改善や医師の労働時間の短縮などの一連の取り組みの実施とともに、地域医療構想の推進による効率的な医療提供体制を構築していくという流れの中で、診療報酬で手当てすべき課題を検討していくのは自然な流れであると考えておりますけれども、手当てをこういう一連の取り組みに先行して議論するということには若干違和感を抱いております。何に寄り添って後押しをするのか、具体的なその働き方改革における実務対応に対して評価は検討していく必要があるのだろうと考えております。
また、50ページの論点の1つ目で基本診療料という具体的な記載がございますけれども、これは病院を重視した議論ということを踏まえれば、入院基本料、入院料加算等が想定されていると考えておりますけれども、これらの加算とか評価について具体的に医療機関のマネジメントがどのように変化し、それが医師の勤務環境の改善や労働時間の短縮につながっていくのか。そして、そのことがいわゆる患者にとって加算に見合うメリットとなってどのように還元されるのか。この辺の評価のあり方について国民にしっかりと説明できねばならないのだろうといは考えております。
いずれにしても、現状では基本診療料等のあり方を具体的に評価する段階なのかどうかというのはやや疑問に思っておりまして、事務作業補助体制加算などの要件見直しというできるところから検討を開始して、今後の勤務環境改善への一連の取り組み、さらには全ての医療機関に求められている取り組みへの対応状況、地域医療構想の進展状況を見きわめつつ、基本診療料などについては2024年に向けて議論を進めていけばいいのではないかと考えております。
○田辺会長
松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
ありがとうございます。
まず、最後の論点のところで、マネジメントの実践について今後全ての医療機関において求められることを踏まえてという形で書かれていますけれども、その前に、39コマ目と40コマ目のデータの中身についてお聞きしたいことがあります。
39コマ目のところなのですけれども、単純な質問なのですが、「自己申告に基づき把握」という部分と「上司等の第三者の確認」という形で項目が2つ分かれているのですけれども、この部分の根本的な違いについて、事務局のほうで何かあれば教えていただきますか。
なぜ聞くかというと、一般の企業で考えると、就業規則があって、その就業規則の中で労働時間の規定があります。その規定以外の部分がどれだけあるかということで、時間外ということが発生するのですけれども、その時間外に対して賃金が発生します。
通常であれば、ICカードなどの機械によって確認ができる部分と、普通に自己申告されたら、それが正確かどうかということをまず上司なり第三者が確認した上でその数字がわかると思うのですけれども、それを考えると、この2つの違いがどこにあるのかがちょっと疑問なんです。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
これは調査票のままになっておりますので、その違いがどうかというのはちょっとありますが、私どもで設問をこのように設定した意図については、基本的には正確な出退勤という意味ではICカードやタイムカードということになるかと思います。その次に、自己申告というやり方もありますけれども、基本的にはそれを第三者の目が入って確認しているか、上司なりが確認しているのかどうかという違いを聞きたかったということで、そこに置いておるということでございまして、実際がどうであったかというところについては、設問はそういうことで意図してつくっておりますけれども、調査の結果としてはそこまでだということになるかと思います。
○田辺会長
では、松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
今のお話を聞くと、正確かどうかということが分かれ目なのかなという気がするのですけれども、そうすると今の中で、自己申告に基づいて把握という部分は本人だけですよね。その後、上司、第三者が確認されたと受け取ってよろしいのですか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
そこまでわかるように記載を正直調査票にしておりませんので、それについては不明としかお答えできません。済みません。
○田辺会長
では、松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
わかりました。
なぜこういうことを聞くかというと、今から議論をしていく中で一番もとになる根本の根本、数字が正確なのかどうなのか、どれだけ把握されているかどうかという中で、それをどういう形でマネジメントしていくのかということにつながるだろうと思っているので、数字のもとになる部分というのはより正確に確認をしたいただいたほうがいいかなという意見です。
次の40ページのところなのですけれども、先ほど吉森委員からも話がありましたけれども、このデータは、勤務環境改善の取り組みを要件としている医療報酬項目を届けていない医療機関が最初にあって、その中でという数字が出てきているのですけれども、届け出ている機関がどのぐらいあるのかを把握できていれば教えていただけますか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
それについては、類似の計画、要件としている項目というのは、資料の49ですとか50の例がありますけれども、そのほかに例えばハイリスク妊娠管理加算とかそういうものがありますが、それは非常にごく少数ですので、一番多い数字としては医師事務作業補助体制加算をとっている病院は約3,000でございます。大体その前後と見ていただければわかるかと思います。
○田辺会長
松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員
であれば、約3,000でデータがとれる部分の数に対して、勤務環境改善に取り組んでいる計画の見直しの頻度はとれるのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
それについては、そういう視点での調査をしておりません。勤務環境改善計画を立てている施設に対してそのような問い合わせをしておりませんので、データはございません。
○松浦委員
今すぐとは言いませんけれども、逆に言うと、立てていないところでこれだけの頻度で改善しているということですから、立てていたところがどれだけの頻度で改善をしているかというのが重要になってくると思いますので、その辺の数字はできれば確認をしていただきたいなと思います。
○田辺会長
では、島委員、お願いいたします。
○島委員
先ほどの労働時間の質問のところですけれども、基本的に日勤帯とか準夜帯とか深夜帯での勤務としての働くところはきちんと時間は計測できるのですが、ここで言っているところは恐らく時間外労働の時間をどう評価するかというところで、善人説に基づいて自己申告というところもありますけれども、一般的には時間外労働というのは上司の命令のもとで仕事をしたと規定されていますので、これが例えばある診療科の部長に部下が申告してきたときに、同時にいればそれはわかるのですけれども、ほとんど事後承諾みたいな形になっていることが多いのだろうと思います。ですから、その辺の正確さ、労働の内容を本当に時間外労働としての内容だったかといったところまで労基は求めてきますので、今後はそういったところもきちんと対応するようなシステムを持っていないと、自分たちも納得できないし、部下たちも納得できない。ましてや労基は全然納得せんという話になってくると思いますので、その辺はかなりシビアに労働管理をしていくことになると思います。
○田辺会長
では、平川委員、お願いいたします。
○平川委員
働き方改革に関してですが、この取り組みはぜひとも進めていく必要があると思います。ただ、吉森委員がおっしゃったとおり、具体的にどういう形で対応していくべきなのかというのはこの段階では全く見えないということを指摘せざるを得ないと思います。そういった意味で、論点に基本診療料云々と書いてありますけれども、これを論点にする段階にあるのかどうなのか疑問に思います。
その上でもっと言えば、きょうは医政局の方が来ているようなので質問させていただきますけれども、医師の働き方改革とともに、地域医療構想や医師の偏在ということを三位一体で改革をしていくのだということも言われておりますけれども、改めてそういう方向になっているかどうかということの確認と、その三位一体改革の一つとなっている地域医療構想がどのくらいの進捗状況にあるのかということも、とりあえず質問させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田辺会長
では、事務局のほう、お願いいたします。
○佐々木医政局医事課長
医政局の医事課長でございます。
三位一体改革に関しまして、全体的に責任を持って答弁できる立場ではございませんけれども、今の状況を申し上げますと、地域医療構想、医師偏在、今議題となっております働き方改革につきましては、さまざまな非常に関連した事項でございますので、関連しながら進めていく、そして地域でも議論いただくという理解でございます。
医師偏在に関しましても、これから働き方改革を含めた医師の需給の見直しもございますし、いずれにしましてもそういった連携したものをあわせていろいろな形で進めていく状況にあることは間違いございません。
○田辺会長
では、平川委員、お願いいたします。
○平川委員
今、お話ありましたとおり、全てこれからということがあるのではないかと思います。そういった意味で、中医協の場で、診療報酬で基本診療料についてどうかという議論は少し時期尚早だと今のところは考えているところであります。やはりこの辺は、先ほど言った三位一体改革をまずは議論し、その上で、吉森委員が言ったとおり具体的な課題について一つ一つ精査をし、その上で診療報酬上でどういうふうに評価していくかという議論を組み立てていかなければならないと思います。
これは以前から言っていますけれども、医療提供体制については、全国的に効率的な提供体制がどうかというのは疑問がありますし、地域の医療提供体制の偏在や、17ページにもありましたとおり、医療提供体制が十分でない地域も一方でたくさんある中で、その辺をしっかり解決をしていくことが大前提になっていくのではないかと思っているところであります。
意見として言わせていただきます。
○田辺会長
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ありがとうございます。
今、平川委員が言われたとおり、とにかく病院はすぐにでも改革に取りかかる必要があるわけです。例えば、49ページの医師事務作業補助の加算というものがありますけれども、実は現時点ではこの加算をとることによって、病院の勤務医の負担軽減策をつくらなければいけないということになっております。
私個人としては、これが医師事務作業の項目に入っていることはどうかなと。むしろ、医師に関しては、もっと病院を挙げて全体でやらなければいけないので、医師事務作業補助は医師事務作業補助でまた別途という気がしております。
そして、実際には、50ページにありますように、医療従事者全体の勤務環境改善は、例えば医師以外のものは4月から新たな法律で勤務環境を改善しなければいけないということにもなっているわけです。そうすると、今度は病院全体で勤務環境をどうしていくかということをそれぞれの病院がやっているわけです。やらなくてはいけないし、医師に関してはまだ完全に決まっていないこともいっぱいありますので、これは継続的にやらなくてはいけません。
こういうようなマネジメントを行うのは非常に手がかかること、人がかかること、時間がかかることなのです。ですから、こういうものに対して、まだこれからどれだけ必要になるかもわからないということを考えますと、私としてそれは入院料の加算ということでまず始めていく必要があると思います。
いずれにせよ、我々病院が病院を存続させるためには、まず診療報酬というもので存続していくわけですから、今、ここに向かっている大きい勤務環境改善という問題に対してそこに十分な手当てが必要だと考えます。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
今、猪口先生のおっしゃったことの重複になる部分もございますけれども、平川委員のおっしゃったような地域医療構想の実現であるとか偏在の解消というものはすごく大事なことですし、この医師の働き方には密接にかかわっていることですけれども、基本的にはゴールは2036年になっているわけですね。この医師の働き方は2024年には実際に法律ができて、先ほどの地域医療構想とか偏在対策はどちらかというとマクロのお話ですけれども、一つ一つの個々の医療機関で、960時間が基本になっているところを超える医師がいれば、管理者に罰則がかかるという厳しい法律のもとでこの改革をやらなくてはいけないわけです。
本当に時間的にはあっという間に4、5年はたってしまいますので、その間に急速に今までと違った、さっきステージが変わったと申し上げていますけれども、取り組んでいかなくてはいけないことですので、今、猪口先生もおっしゃったように、個々の医療機関のマネジメントというのは物すごく人も時間もかかることですから、どうしてもやらなくてはいけないことですので、中身がどうなるかわからないから議論しないのだという話になってしまうとなかなか進まないと思っていまして、何とかこれを後押しするようなことを考えていただきたいと思います。
○田辺会長
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
今村委員の内容にかぶるかもしれませんけれども、先ほど平川委員の言ったことに対しては非常に私は違和感を抱いております。今村委員もおっしゃいましたけれども、この地域医療構想・医療計画、医師の需給、偏在といった問題がありますし、医師の働き方改革があります。三位一体とは称していますけれども、そういうよりも実はお互いに関連しながら1年1年進めていくべきことであって、別に最終的なことができていないから今やらなくていいということではないわけで、1年1年が勝負に入っております。
したがいまして、身近な例でいいますと、病院で医師やいろいろな従事者に対して休憩室をつくったり、女性医師支援のための院内保育所の設置も進んでおりませんし、いろいろな意味で取り組みについては待ったなしの状態です。この診療報酬改定は御存じのとおり2年に1回という改定ですので、回答がないから全く手当てできないということではなくて、2年に1回の改定の検証を踏まえて、また次を考えていくことがルールになっております。
したがいまして、まず当面やらなきゃいけないことからしっかりと手当てをしていくことが必要だと思いますので、先ほどの平川委員のことにつきましては非常に違和感を抱いております。
○田辺会長
では、平川委員、お願いいたします。
○平川委員
ありがとうございます。
全く将来も含めて議論するなと言っているわけではありません。
議論の順番、議論の方法として、一方で働き方改革、地域医療構想、偏在対策ということをこれから議論しなければならない。ところが実際はどれもこれも余り議論が進んでいない中で、この中医協の場で働き方改革ということで基本診療料だけを先んじて議論されることは、議論の順番としてはいかがなものかということをずっと言っているということであります。
個々の問題でいったら、医師の事務作業補助体制加算も含めて当然見直すことが必要だというのは私も理解していますし、その辺はわかります。ただ、やはり議論の仕方としておかしいのではないか。被保険者の皆さんの理解はなかなか得られないのではないかと思いました。
以上です。
○田辺会長
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
先ほどから先生方がおっしゃっているお話にかぶるのですけれども、今まで医療界は確かに、ここに座っている世代は特にそうだと思うのですが、労働という感覚で我々は医療をしていなかったのです。ですから、時間的な管理等もされている、しているという感覚もなかった。でも、これは個人としてはだめだということで医師の働き方改革がスタートしているわけですけれども、先ほど今村構成員がおっしゃったように、これは地域医療構想、医師の偏在、医師の働き方改革の3つに関して、特にこの医師の働き方改革はお尻が切られている、24年にはスタートするわけですよね。ですので、待ったなしの中で何をしていっているのかが見えないというお話であろうと思うわけです。
例えば、46ページのこれから医療機関は医師の労働時間短縮計画を1年1年立てて、これがどれだけ実効性のあるものかということをPDCAサイクルを回しながらやっていくことが決まっているわけですが、この中において、例えばタスク・シフト、タスク・シェアリング的な内容は、この業務を看護師やそのほかの方にシフトしていくという形ものですけれども、本来看護師の方は目いっぱいの業務をされているわけです。そこにこの業務をかぶせることになると、これは看護師の方にとってみてもオーバーワークになる。そうすると看護補助者の方をまた入れなくてはならない。そういう場合にはコスト増になるわけです。
また、医師の業務の見直しという項目がありますけれども、ここでも例えば当直の分担、オンコール体制も含めてですけれども、このあたりの部分を診療科編成の見直しというあたりも大きく見直していくときには、やはり医師の増員が必要になります。そうするとここもコスト増になるわけです。また、出産、子育て、いわゆる院内保育等を設置することになると、これも非常にコスト増になっていく。
確かにどういう形で働き方改革が進んでいくかわからないという現状において、こういうものを基本的な診療の中に入れていくことは私も無理だろうと思いますが、何らかの手当てをしていただく必要はあると思いますし、これに関しては、特に時短計画の指針を医政局の方がしっかりと必須項目とそうでない項目とに分けて、保険局の方と調整をしていただいて、それぞれがどういう形で、例えば加算の対象に持っていけるのかということをここで議論することになろうかと思います。
ですので、いずれにしてもこの時短計画はこれから医療機関で毎年毎年していきますので、形としては非常によく見えてくることになりますので、それに対しての対応をどういう形でここで議論するかという御理解をしていただければよいのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
今、城守委員がおっしゃったとおりで、これを具体的に全医療機関がどれだけ普遍的にできるか、どういう段階を踏んでどう評価していくかということを議論していくということで、次のステップに行くことはそのとおりだと思いますので、ぜひ具体的に。
そういうことによって、いわゆる患者並びに被保険者も理解が進むということなので、そこのところがわからないで、おっしゃるようにシフトも必要だし医師の増員も必要だから加算しますというのは余りにも乱暴ではないかということなので、ここのところをどういうふうに整理して具体的に詰めていくかというステップを踏むことが必要だというのは賛成したいと思います。
○田辺会長
宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
私も医療の安全・安心の観点、医師長時間労働という実態からして、その改善や働き方改革については緊急かつ非常に重要な問題であると考えますけれども、総-2の40ページにも示されておりますように、勤務環境の改善マネジメントの取り組みの状況というのは40ページの左側では24%ですし、数ヶ月に一度定期的な見直しをしているのはその半分ですから10%強といえます。
診療報酬で一律に対応することよりも、現時点で置かれている色々な状況を踏まえて、まず、医療機関のサイドで実情に合わせて積極的に着手していただいて、いろいろな問題等、実態が見えてきた段階で、その後押しを考えたらどうかと考えます。
以上です。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします
○幸野委員
我々支払側も、医師の働き方改革は大変重要だという認識は一致しております。患者が質の高い医療を受けるためには必要である。否定するものではありません。コストが一定程度かかることも理解しております。これから人員をふやしていかなければいけないということで、コストがかかることも理解しております。そして、今回提案された院内の労務管理、環境改善のためのマネジメントを実践、推進していくことについても異論はありません。
ですが、次回の診療報酬改定でこれに対応するということについて、我々は反対しております。これは明確に反対いたします。
それは、今まで支払側委員が言っていますように、医師の働き方改革にはやるべきことがいっぱいある。それは全部関連していることだと思います。まず、その大きなところとして三位一体改革が進められようとしていますが、令和2年、800億円を超える概算要求の中でこれを進めようとしている。地域医療構想しかり、医師の偏在対策しかり、これが医師の働き方改革に多分影響してくるのだろうと思われます。その進捗を確認していく必要もあると思います。
それと、身近なところで言えば、やることはいっぱいあると思います。タスク・シェアリング、タスク・シフティング、業務の効率化に資するICTの利活用、外来医療の機能分化、これは診療報酬でいろいろ対応すべきこともあろうかと思います。
そういったことを全て整理して、何に診療報酬で対応していこうかということを検討すべきで、個々のマネジメント改革でまず先付けで診療報酬で次回対応しようというのは、論点として掲げるのは時期尚早だと考えています。何をやらなければいけないか。大きいこと、小さいことも全て整理して、国がやるべきこと、診療報酬で対応すべきことを、進捗を見ながらやっていくということが必要で、今マネジメント改革に対して診療報酬をつけることを出すことは時期尚早だと思います。いずれやらなければいけないかもしれませんが、先ほど平川委員もおっしゃっていますが、全体のやるべきことが見えない、あるいは進捗もまだ確認できていない中で、これを先付して診療報酬で対応していくことは時期尚早だと思います。
いずれ、何らかの形で診療報酬で対応することは、2024年まで3回の診療報酬改定がありますので、整理していかなければいけないということは理解しますが、今、ここでこの問題に特化して診療報酬を次期診療報酬改定でつけることについては、支払側としては明快に反対させていただきます。
○田辺会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
言わせていただかなければいけないですね。
それについては明確に反対いたします。もう改革は待ったなしなのです。緊急提言にもあるとおり、もう既に手をつけているところなのです。それについても理解が全くないと思います。これはもう既に始まっている改革なのです。2年とか3年待てる段階ではないのです。
そういった評価がないと進められないことは今までもきちんと説明してきましたし、先ほどの3つ、実は三位一体というのは余り使いたくないのですけれども、それぞれが関係して並行して当分進んでいかないといけないです。2036年という目標はありますけれども、実際にはその先も続くわけです。そうすると、2年ごとの診療報酬改定というのは、やはりそれに追いついていくような手当てをしていかなければいけないわけで、当然、理解をされたところからつけていくというのは基本的なところなのでよくわかりますけれども、次の改定でこれをしないというのは明確に反対いたします。
○田辺会長
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
松本先生と同じお話になろうかと思いますが、まず、先ほどおっしゃった三位一体改革において地域医療構想等の状況を見てというのは、認識として間違っておられるのです。さっきも申しましたけれども、この働き方改革というのは、2024年度にスタートすることが法で決まっているのです。地域医療構想等はそこが明確にされていない。そして、この働き方改革というものは、さっきも申しましたように、各医療機関の事業経営を存続できるかどうかという問題に直結する話にもなっているわけです。
そういう意味において、先ほどもお話しましたように、いわゆる時短計画の内容を厚労省に早急に明確に示していただきながら、その中で必須項目等いろいろ出てきます。それらをすることによって、どれぐらいのコストがかかるかどうかというものも明確になってくると思いますので、それを踏まえた上で、それを果たして何らかの加算として、いろいろな対応加算という項目を考えることも可能であろうと思います。
そういう形でしていかないと、これを今回しないということになると、また2年間、医療機関はコストをふやしたままで経営を存続できるのかという自体にもなりますし、ましてやその2年後にもうしないということになると、倒れてくる医療機関は当然ありますし、地域の医療の提供体制が縮小したり、崩壊したりすることも十分に予想されます。ですので、この働き方改革というのは三位一体の中でも一番大きく影響するということを意識していただかないと困ります。
以上です。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
三位一体については、当然、目線としてはそれを見据えないといけないのは皆さん御理解しているのだろうと思いますけれども、今、松本委員がおっしゃったように待ったなしで改革しているのも、当然24年までにやらないといけないので、どんどんやるべきところをきちんとやる。そのためにはグランドデザインを描いて、グランドデザインの中で何から手をつけていくかという進め方なのだろうと思います。それは個々の病院、医療機関によって違うところも、当然ながら経営だからおありだろうと思います。
そういう中で、いわゆる診療報酬として何を課題として後押しをして、ステップ1として24年までにやるのか。だから、全体が24年までに待ったなしだから、今進めているからこれでどうだというやり方ではないということを申し上げているので、全く評価しないととられては困りますけれども、ステップをきちんと踏んで、より具体的に課題として、次回、来年3月末に何ができるのかというところを今、議論を進めていく必要がある。
大きいところで議論しても議論は多分深まらない思いますので、その待ったなしの改革の中で何が一番重要なのか、そこのところにフォーカスして議論を進める必要があると申し上げているつもりであります。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
ある意味先ほどから繰り返しになりますけれども、とにかく一番早くお尻が決まっているのはこの働き方改革で、偏在と地域医療構想についてはその先ということで、私も偏在の医政局の議論にも加わっていますけれども、着実に医療法や医師法を改正してやるべき方向性は出ているわけです。ただ、その効果はまだどうなるかは、足元の状況を見ながら見ていくということなので、それを見ながらこちらの働き方改革をやりましょうということは多分できないわけです。働き方はとにかく直近の話ですから。
その中で、先ほどからあるマネジメントの重要性の認識がちょっと違っているのかなと私は思います。今、それぞれの医療機関で何ができるのか、それぞれの医療機関の中でシェアもシフトも考えながら、自分の病院ではこういう状況にあるからこれをしっかりやっていこうと。本来的にはやるべきことなのかもしれないけれども、今までなかなかそこに重点を置いてやるだけの余裕が病院にはなかった。しかしながら、お尻はもう2024年に決まっているわけですから、必死になってやっていただかなくてはいけないわけです。そのことを診療報酬で後押しする必要があることを申し上げています。
例えば、ICTとかAIの話は、幸野委員に伺いたいのですけれども、どれだけ効果が出るのかというのは、今のイノベーションの状況によって全然変わってしまうわけです。予測不能なことです。私もAIのことを医師会の中でいろいろやっていますけれども、物すごく日本の医療を変えていくことはよくわかりますけれども、それが医師の働き方をどれだけ変え得るかという客観的なデータは何もないわけです。それに比べて、2024年までにはやるべきことはやらなければいけない。その一番大きなことは、それぞれの病院が何を取り組めるかということなので、このマネジメントの重要性をもう少し御理解いただきたいと思います。
○田辺会長
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
患者にとって医療の質が向上するとか安全を担保していただくことは非常に大事なことなのですけれども、それを実現するためにマネジメントを考えていくことで進めていくという形なのでしょうけれども、そのマネジメントのために基本の診療代が上がっていくということで、患者がそれを全て負担していくのはちょっと本来とは違う感じがしています。患者にとってどういうふうに安全を担保できるのかという具体的なものを示して、それに対して診療報酬としてつけていくことが大事でしょうけれども、何となく全体的に上がってしまっているよねとか負担がふえたよねという話になると、それは患者の負担としては非常に大きなものになりますので、そのあたりは具体的に、これだけいただくからにはこういうふうに安全が担保できますよということを示していただきながら診療報酬に反映していくことをやっていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
40ページのところに、既に勤務環境改善の取り組みについて計画策定をされたり、見直しをされたりというパーセンテージが出ているのですが、これによりますと、既に策定して見直しも行っているというのが左と右を掛け合わせると1割強あって、今後策定しようとしているところが左で3割ぐらいあるということで、半分近くの医療機関で、診療報酬項目を届け出ていないところにおいても既にやられようとしているという事実があるわけなのですが、これをどう考えるかということなのです。これはコストがかかるからできないということではなくて、やられているところはやられているのではないですか。
○田辺会長
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
仰せのとおり、医療機関はやれるところから既にやっております。それ以上に、さっきから申していますように、人ないしは非常にコストのかかる部分に関しては、特に大病院であるとか一般会計から繰り入れのあるような公立病院的なところはやりやすい。しかし、一般の民間病院はそれをできません。
ですので、各医療機関が最大限の努力をして、それは人、もの、お金が必要になって、その医療機関が事業を存続していく上においてそれ以上は手が出せないというところに対しての対応というものを診療報酬でしていただかなければ、前には進めないだろうということです。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今、行われているマネジメントの中身が明確に出ているわけではないのですけれども、46ページをごらんいただくと、今後の時短計画というのはこれから出てくる。これに基づいて、また新たにマネジメント計画というものをやらなければいけなくなってくるということなのです。
つまり、今現在の病院が取り組めるところが取り組んでおられる中身が、ここの46ページ、これから詳細に医政局で出てくる時短計画を前提にしてやっているわけではありません。新たにこういった項目がふえてくる中でのいわゆるマネジメントを行っていく。これはことしの年末までに決定するのだと思いますけれども、これを前提にして新たなマネジメントを行っていく必要があることだけは申し上げておきたいと思います。
○田辺会長
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
もう少し現場のほうからの気持ちを言いますと、今、病院の利益は実調から見てもわかるとおり1%とか2%の世界なのです。それで、今後、いろいろな改革、これは医師もほかの職員も含めて、どうしても人手をもう少しふやしていかないと回っていかないという現状がある中で、当然改革案はつくっていくわけですけれども、人件費の比率は60%いっていますから、そういう中で医師を含め、きちんとした勤務環境をつくるというのは絶対に費用が必要なのです。
これは待ったなしでやっているわけですから、確かにそれぞれの病院さんが手をつけてやっているところで、ますます苦しくなってきている。特に急性期の病院から悲鳴が上がっているわけです。そういう中で、せめてこの改革に対する診療報酬の手当てというものがないと、これから病院の経営自体が非常に厳しいというものが今の実態だと御理解いただきたいと思います。
○田辺会長
ほかいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
最後に1点だけ。
医師の働き方は2024年になっていますけれども、2024年にぴったり終わるということはあり得ないのです。それに対しては今から取り組まないと間に合わない状態になっているので、本当にこの1、2年が勝負であると医療界としては考えております。
以上です。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
では、御質問もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に、報告事項でございますけれども「診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。
本件については、診療報酬基本問題小委員会において議論を行ったところですけれども、小委員会でいただいた御意見も含めまして、事務局より説明のほうをお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料総-3について御説明をさせていただきます。
基本問題小委では、この資料総-3に基づきまして尾形委員長から御報告がありまして、御意見としては急性期の入院料に関しては、入院料1から2、3への移行が少ないことに関しての御議論、またその要因としての看護必要度の測定方法で1と2の取り扱いをどうするのかといった御議論がございました。また、測定方法1と2の差、それから2を進めるための方策等についての御議論もあったかと思います。
また、療養病棟入院基本料の関係でございますけれども、これにつきましては、経過措置の対象の病院についての転換意向が進んでいない点について、経過措置をやめるべきという意見と、難しい状況にあることを配慮して延長すべきという双方の意見が出されて御議論があったという状況でございまして、そのような御意見があったことを含めて御報告させていただきます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明について、何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。
それでは、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございますけれども、事務局から「その他」として資料が提出され考えおりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
資料総―4をごらんいただきたいと思います。
先日の「令和元年台風19号に伴う災害の被災に伴う医療保険制度の主な対応状況」ということで、被災者の支援に関することにつきましては、被災のありました10月12日付で被保険者証の提示がない場合の受診の取り扱いということで、提示できない場合であっても氏名や生年月日を申し出ることによって保険による受診ができる旨の通知をさせていただいております。
また、主に被災地の医療機関に関することにつきましても、通知を出して柔軟な取り扱いを求めておりますので、報告をさせていただきます。
また、この実態に関しましては、災害が落ちついた状況でアンケートなりをしてまた御報告を総会にさせていただきたいと思っております。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会でございます。どうも御参集ありがとうございました。
 

 

 


 
 

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