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2019年9月18日 中央社会保険医療協議会 総会 第423回議事録

○日時

令和元年9月18日(水)9:59~12:05

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)
 

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 横地常広専門委員
 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○個別事項(その1)について


 
○田辺会長
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより第423回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について、御報告いたします。
本日は、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願い申し上げます。
(報道関係者退室)
○田辺会長
それでは、次期診療報酬改定に向けた議論として「○個別事項(その1)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
中医協総-1に従いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
本日は、個別事項(その1)といたしまして、リハビリテーション関係と医薬品の効率的かつ有効・安全な使用についてという2つのテーマにつきまして、資料を提出させていただいております。
リハビリテーションにつきましては、第1ラウンドのほうで、個別に取り扱う機会がなかったため、今回、リハビリテーションの概括につきまして、お示しをするということで、整理をさせていただいたものでございます。
リハビリテーションにつきまして、3つの視点、1つは、リハビリテーションに係る診療報酬の概要、直近の算定の状況、リハビリテーション領域における課題や取り組み等について、御紹介等をさせていただきたいと思います。
中医協総-1の4ページをごらんいただきたいと思います。リハビリテーションに係る診療報酬の現状の整理というところで、図があるかと思います。
上半分に関しましては、診療に伴う急性期、回復期、維持期・生活期という形で、アクシデントから回復していく、その様子を示しております。
それに従いまして、リハビリテーションの評価ということで、下の図でまとめております。リハビリテーションは、疾患別リハビリテーションを中心といたしまして、患者さんに投入していくことになりますけれども、基本的には、そこにありますように、リハビリテーション総合計画評価料ということで、計画を立てて、個別疾患リハビリテーションを行っていく。
また、疾患別リハビリテーションの枠から少し外れた分野でございますけれども、重要な部分につきまして、例えばがん患者リハビリテーション、認知症患者リハビリテーション、障害児、難病、集団コミュニケーション療法といった形で、個別の評価が設定されております。
また、上の病期に応じまして、急性期については、早期離床・リハビリテーション加算、ADL維持向上等体制加算といった形で、集中的なリハに関しての加算という形が設けられている。
維持期・生活期に介護保険で提供されますリハビリテーションですが、円滑な移行に向けて、例えば目標設定等支援・管理料というもので、円滑な移行を促進するといった仕組みが設けられているということになってございます。
続きまして、リハビリテーション料のそれぞれの概括になります。5コマ目を見ていただければと思います。これにつきましては、疾患別リハビリテーション料の概括になります。
心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、この5つが大きな柱になっているところでございます。
基本的には1単位20分ということで算定をされ、標準的算定日数は、それぞれ疾患別に定められているということになっております。また、1単位というのは、20分でございますが、それぞれ病期に従って、例えば急性期だと9単位までの算定が可能といった形で設定されているものでございます。
6コマ目につきましては、それぞれの施設基準を提示させていただいておるところでございます。
続きまして、直近の診療報酬の改定について、御紹介をさせていただきます。
8コマ目から10コマ目は、平成28年の改定で見直しを行いました、疾患別リハビリテーションについて、御説明をした内容でございます。御参考までに見ていだたければと思います。
スライドの11コマ目からは、算定状況でございます。
疾患別リハビリテーション料全体の概要でございまして、届け出医療機関数、算定回数とも増加傾向にございます。
12コマ目を見ていただきますと、算定回数が多いのは、運動器リハビリテーション料、脳血管リハビリテーション料でして、非常に多いということがよくわかるかと思います。
13コマ目から17コマ目につきましては、各疾患別リハビリテーション料のそれぞれの算定状況、届け出医療機関数を整理して載せております。どのリハビリテーションについても、算定回数、届け出数ともに、順調に伸びてきているということが見えるかと思います。
平成26年、平成27年でリハビリテーション料が下がっているのは、もともと脳血管リハビリテーション料に入っていたものを分離させたためだと思われます。
18コマ目は、リハビリテーション総合計画評価料でございます。これにつきましては、多職種が共同してリハビリテーションの計画を立てるということで、評価されているものでございまして、これにつきましても、順調に算定回数が伸びているということが見えるかと思います。
19コマ目は、退院時の指導を評価したものでございまして、退院時リハビリテーション指導料の概要でございますけれども、これも順調に伸びていることがわかるかと思います。
リハビリテーション計画提供料でございますが、これは介護のリハビリテーションに移行を予定されている方につきまして、情報の提供等を評価したものでございまして、平成30年に多く算定されております。
21コマ目は、目標設定等支援・管理料でございまして、これも介護保険に移行するに当たって、目標設定・管理を多職種で行うことを評価したものでございまして、算定が順調に伸びているのが見えるかと思います。
22コマ目からは、疾患別リハビリテーションではなく、平成28年に導入されました、リンパ浮腫の総合的治療等ということで、評価された点数でございます。
23コマ目は、摂食機能療法の明確化という形で、口からの経口摂取の回復促進を目指して、加算2を設けて、さらに促進をするために設定されたということが、平成28年に行われております。
24コマ目を見ていただきますと、平成30年には、特定集中治療室においての多職種による早期離床・リハビリテーションの取り組みに関する評価を行うということで、早期離床・リハビリテーション加算というものが設けられたということでございます。
また、平成30年には、同様に、リハビリテーションの領域においても、働き方改革の視点から、要件の緩和を行っております。25コマ目には、リハビリテーションの領域における要件の緩和ということで、常勤配置を求めていたものにつきまして、複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算でも配置可能ということで、改定を行ったということで、25コマ目で御紹介をさせていただいております。
26コマ目は、専従要件の緩和ということで、4を見ていただきますと、回復期リハビリテーション病棟入院料におけるリハビリ専門職は、病棟に専従という要件にしていたのですが、これを緩和しまして、入院中の患者に対する退院前の訪問指導、また、退院後3カ月以内の患者に対する外来リハビリテーション等を行っても差し支えないということで、要件の緩和を行ったということでございます。
27コマ目でございますが、これは在宅のリハの指導の点数でございます。
28コマ目は、摂食機能療法の算定の状況でございまして、これも増加傾向にございます。
29コマ目は、先ほど御紹介しました、経口摂取回復促進加算でございますけれども、加算1についてはとられているのですが、加算2が平成28年に創設されたのですが、ほとんど算定されていないということで、これについては、要件が厳し過ぎるのではないかと分析しているところでございます。
30コマ目でございますが、リンパ浮腫複合的治療料、先ほど御紹介したものでございますけれども、これにつきましても、現在、算定回数は、平成30年で約1,400回程度ということで、そこに表示させていただいております。
リンパ浮腫にならないようにするための指導管理料ということで、子宮がんですとか、乳がんの悪性腫瘍のリンパ節郭清の後に指導を行う点数ということで、設定されているものでございますが、これも平成30年には、3,000回ぐらいの算定回数があるということでございます。
32コマ目は、前回もお示ししましたけれども、平成30年で新たに設けられました、リハビリテーション関係の点数です。
1つは、先ほど御紹介いたしました、特定集中治療室管理料、早期離床・リハビリテーション加算でございますが、現在、算定回数は7,649でございまして、これは順調に算定されているかと思います。
また、小児運動器疾患指導管理料も平成30年に創設しておるのでございますが、これについては、運動器疾患を有するお子さんの管理料でございますけれども、算定回数は1,990回ということで、算定されている状況でございます。
ここからは、リハビリテーション領域における課題、最新の取り組みにつきまして、御紹介をしたいと思います。
34コマ目でございます。摂食嚥下障害を有する脳卒中の患者は、摂食嚥下障害を有していない脳卒中患者と比較して、低栄養である方が多いと報告がなされておるところでございます。
35コマ目を見ていただきますと、回復期リハビリテーション病棟に入院された患者さんでございますが、経管栄養管理下にあります低栄養の脳卒中患者に対しまして、管理栄養士による介入が週1回の群と月1回の介入群を比較しますと、有意にBMIの増加量が大きく、また、三食経口摂取に移行できる移行者の割合、及び運動FIMが有意に高いということが示されております。
36コマ目でございます。摂食嚥下チームが脳卒中患者に摂食機能療法や口腔ケアを積極的に行った場合、経口摂取の割合が高く、重症の脳卒中であっても、経口摂取が可能となる可能性があるということで、示されているデータでございます。
ここで、近年のリハビリテーションに係る研究報告等の御紹介を少しさせていただきたいと思います。37コマ目でございます。
効果的機能回復のために、最適な難易度での十分量の反復運動が必要とされておりまして、運動の難易度調整、再現性、持続性の観点から、療法士の訓練を補完するものとして、さまざまな研究が進められております。
上の点線で囲ったところでございますけれども、訓練支援ロボットを用いたリハビリテーションについて、上肢の動作反復を行う訓練や歩行補助ロボットを用いた訓練、国内の脳卒中ガイドラインでも一定の位置づけをされてきている状況でございます。また、それぞれ上肢機能の有意な改善や歩行速度、歩行機能等の改善が見られるといった報告があるということでございます。
下の囲みでございますが、機能的電気刺激を用いましたリハビリテーションについて、同様に国内の脳卒中ガイドラインで一定の位置づけをされておりまして、歩行速度の改善等が見られるという報告もいただいておるところでございます。
38コマ目でございます。先ほど少し御紹介いたしました、リンパ浮腫に関する報告でございますけれども、リンパ浮腫の原因となる疾患については、上の点線囲みに記載させていただいておるとおり、腋窩リンパ節群ですとか、鼠径部のリンパ節群など、広範囲なリンパ節の郭清を伴う手術が必要な疾患というのが、リンパ浮腫の原因となっております。
また、下の点線囲みのような病期の分類がされておりまして、2期後期以降には、組織の線維化が見られ、非科学的な状態になることから、より早期の介入が重要であるとされておるところでございます。
スライドの39コマ目でございますが、現行のリハビリテーション実施計画書というのは、現在、それぞれの疾患別リハビリテーション料に合わせて様式が定められておりまして、非常に詳細に記載をする内容となっております。ただ、一方で、小児の患者ですとか、それ以外の患者に対しては、使いやすい様式が定められていないという御指摘がありまして、これにつきましても、一部簡略化・効率化といった視点で、見直す必要があるのではないかと考えているところでございます。
以上の整理を踏まえまして、40コマ目、論点でございますが、このようなリハビリテーションに係る現状、平成28年度、平成30年度の診療報酬改定後の算定状況等を踏まえまして、必要な見直しを検討してはどうかということを御提示させていただきます。
続きまして、医薬品の効率的かつ有効・安全な使用についてということで、御説明をさせていただきます。
今回、3つのテーマをこちらで用意しております。1つ目が重複投薬、2つ目が入院時のポリファーマシー対策、3つ目がバイオ後続品でございます。
重複投薬でございますけれども、43コマ目、44コマ目ですが、以前からお示しさせていただいておりますとおり、高齢化するとともに、使用している薬剤種類数がふえております。
44コマ目を見ていただきますと、高齢者はどうしても複数の医療機関を受診している割合が多いという状況も報告をされております。
45コマ目でございますけれども、さらに受診する医療機関がふえるほど、来局する薬局数もふえる傾向にございます。
そこで、赤枠の中を見ていただきますと、医療機関を5カ所以上受診される方では、3カ所以上の薬局に行かれる方が40%を超えるといったデータも示されております。
これらに対しまして、46コマ目を見ていただきますと、保険事業等において、今、対策を立てているところもあると聞いております。各保険者でレセプト情報を分析いたしまして、重複投薬等の解消に向けた取り組みを行ってございます。
左のパターンは、保険者からお知らせ文書が患者に郵送されるパターンで、患者は薬局や医療機関に御相談をすることになっております。
右のパターンは、保健師などが直接指導を行うといった介入もなされているところでございます。
47コマ目は、取組例ということで、さいたま市と福岡市の例を掲示させていただいております。さいたま市と福岡市においては、レセプト分析の結果で、どういった成分や薬効分類で重複が疑われる事例が生じていたかということがまとめられております。
例えばさいたま市の事例では、同一月に同一成分の内服薬が14日以上処方されていたものを重複と定義いたしまして、整理をしましたところ、消化性潰瘍、催眠鎮静剤、解熱鎮痛薬の成分である医薬品が上位となっております。
また、福岡市では、同一月に同一成分の医薬品が2種類以上処方されているものを重複と定義いたしまして、6カ月の延べ数でカウントいたしますと、鎮痛、解熱鎮痛薬、消化性潰瘍、催眠鎮静剤が上位であるということで、御報告をいただいておるところでございます。
これは保険者の取り組みでございますが、医療側の取り組みといたしましても、例えばこれから御紹介をさせていただきますが、お薬手帳などを活用して、これまで対策をとってきたということでございます。
お薬手帳につきましては、赤枠の中にありますように、複数の医療機関や薬局を利用する際に、お薬手帳を提示することによりまして、相互作用や重複投与を防ぐことが可能になるものでございます。
49コマ目は、お薬手帳の活用状況を示しておるところでございまして、患者調査では、9割以上の患者さんがお薬手帳を持っていらっしゃいますが、そのうち8割の患者さんが薬局で毎回提示をされております。一方、医療機関では、毎回提示というのが約25%、時々見せるといった割合を含めると、55%ぐらいとなっております。
50コマ目は、お薬手帳を用いた重複投薬の確認の具体例につきまして、示させていただいております。お薬手帳を用いた重複投薬の確認を行う際の注意が必要な点につきまして、まとめたものでございます。
例えばということで、そこに患者例ということで示させていただきました。神経性疼痛、高血圧、狭心症で定期的に受診されている患者さんが、急性咽頭炎で受診された場合、どういうふうに確認するかということで、具体例で示させていただいています。
1つ目の注意点でございますが、赤い矢印で示しておりますとおり、複数のページをさかのぼって確認することが必要な場合があるという例でございます。赤の矢印の部分でございますが、例えばA病院の整形外科で60日分のロキソプロフェン、いわゆるロキソニンを処方されておりまして、その後、今回の受診である急性咽頭炎でもロキソプロフェンが出ており、同一成分が重複しているということでございます。これにつきましては、A病院の処方日数が比較的長いので、数ページ前までめくって確認する必要があります。
2つ目は、例えばということで、重複投薬かどうかの判断に、処方の背景の確認が必要となるものでございます。それを青い矢印で示しております。ジルチアゼム、アムロジピンは、いずれもカルシウム拮抗薬でございますけれども、これにつきましては、高血圧症と狭心症の別々の目的で使用される場合がありまして、このような事例につきましては、重複で投薬されているのかどうかという判断につきまして、それぞれ処方された医療機関等に確認をして、患者さんにも確認が必要になってくるということでございます。両方を使用するということも、患者さんの病状によってはあるということで、そういう確認が必要となるということでございます。
51コマ目でございます。これは主治医機能を評価したもの、あとは、地域包括診療料や加算がございます。これらの算定につきましては、施設基準に赤字で書いてありますように、通院医療機関や処方薬を全て管理するといったことが求められているものでございます。
52コマ目、53コマ目は、それぞれの今の算定の状況になっておりまして、医療機関の場合、1割から2割程度の医療機関が届け出をしている状況でございます。
54コマ目を見ていただければと思います。地域包括診療料等の算定患者さんにつきまして、定期的に連絡をとっていらっしゃる医療機関の数は、どれぐらいかとお尋ねをしたものでございます。およその平均値ということで、毎月2つの医療機関については、連絡をとっている。
また、薬局については、1.4~2.5カ所の薬局に対して、連絡をとっているという報告をいただいております。
55コマ目を見ていだたきますと、これらの確認でございますが、診療所において負担の大きな業務というところでありますが、一番上は24時間対応ということですが、2番目、3番目を見ていただきますと、患者に処方されている全ての医薬品の管理、患者が受診している医療機関の把握といったところが、診療所の負担になっているということがわかるかと思います。
56コマ目ですが、今度は薬局側の取り組みでございます。薬局については、かかりつけ薬剤師が服薬状況を一元的・継続的に把握することが期待されているところでございます。
57コマ目を見ていただきますと、かかりつけ薬剤師指導料の算定薬局数というのは、最近では横ばいとなっております。平成30年11月のデータでございますけれども、全処方の約1.5%で算定されている状況であるということが、報告をされております。
58コマ目でございますけれども、平成30年の診療報酬改定では、薬局における対人業務の評価の充実ということで、重複投薬の解消を含む医師への照会につきましては、重複投薬・相互作用等防止加算で評価するということで、残薬調整の場合は30点、それ以外の重複投薬等の問い合わせについては40点ということで、新たに分けて算定する評価を行ったということでございます。
59コマ目でございますが、重複投薬・相互作用等防止加算の算定回数は、左のグラフになっております。平成30年のデータでは、1カ月当たりの残薬調整は約21万回、それ以外は約18万回ということで、問い合わせがされているということでございます。
これを踏まえまして、論点の整理ということで、そこにありますとおり、複数の医療機関を受診する患者では、重複投薬への注意が必要であり、医療機関や薬局において、重複投薬の解消に向けた取り組みが進められてきたところでございます。
重複投薬の解消に向けた取り組みをさらに進める上では、服用薬剤の把握や処方薬の総合的な評価・調整が重要でございますが、これらを円滑に行うための対応や連携について、さらに評価していくことを検討してはどうかということでございます。
続きまして、お薬の関係でございます。これは入院時のポリファーマシー対策ということで、整理をしたものでございます。
62コマ目は、以前、中医協で示させていただきましたスライドでございますが、ポリファーマシーの現状につきまして、まとめたものでございます。
63コマ目は、第1ラウンドの概要の抜粋でございます。赤線にありますとおり、入院時については、入院時におけるポリファーマシーへの取り組みとして、医療機関では多職種が時間をかけて対応しております。中でも、病院薬剤師の役割は重要であるという御意見をいただいておるところでございます。
64コマ目を見ていただければと思います。入院、外来、在宅医療における特徴ということで、まとめたものでございます。
入院、外来、在宅医療における処方の特徴というところでまとめておりますが、青い枠の部分を見ていただければと思います。入院中は処方を一元的に管理することができまして、また、処方変更後の患者の状態を多職種で確認することが可能である。これに特徴がございます。
一方、入院から外来や在宅医療への移行時、右の端でございますが、退院時カンファレンスや診療情報提供書等により、薬剤の変更の理由、変更後の状態等について、かかりつけ医や薬剤師への引き継ぎが重要であるとされているところでございます。
65コマ目でございます。これは医療機関における減薬に関する取り組みの評価ということで、赤枠に書いておりますように、入院患者は6種類以上の内服薬を2種類以上減薬した場合、診療上評価をしておりまして、退院時に1回算定することになっております。
入院患者の算定回数というのは、下の表の赤枠部分でございまして、数は少ないのですけれども、少し増加してきているということが見えるかと思います。
66コマ目は、東京大学医学部附属病院でのポリファーマシー解消に向けた取り組み例を示しているところでございます。病院での具体的な取り組みについて、第1ラウンドで紹介した事例に、新たに情報を一部追加して説明をさせていただきます。
東大病院では、入院時に持参薬評価のテンプレートを用いまして、オレンジのラインでくくったものでございますが、薬剤師が7つの評価基準でスクリーニングを行った上で、医師が薬剤調整を検討しているということでございます。
スクリーニングの評価項目の2にあるとおり、スクリーニング時には、学会の指針、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン等を使用して、この評価を行っているということでございます。
67コマ目ですが、取り組みの結果でございます。薬剤師がスクリーニングを行い、医師が処方薬剤の調整を検討すると、スクリーニングを行わない群と比較いたしまして、退院時の薬剤数が減少したという成果が上がっております。2剤以上の減少率は、スクリーニングを行った場合の約45%ということになっております。
68コマ目を見ていただきますと、先ほど言いましたように、ポリファーマシーの防止のために活用されている指針ということで、例えばということで、そこに4つ挙げさせていただいております。米国、欧州、日本でそれぞれ作成されております。また、厚生労働省としても、高齢者の医薬品適正使用の指針を出させていただいております。
今、御紹介いたしました東大の例で使用されているのは、3つ目の老年医学会で出されたものが使われているということでございます。
69コマ目は、長寿医療センターにおける事例でございます。長寿医療センターでは、医師、薬剤師、看護師等の多職種チームで対応を行っているということでございまして、同じように患者のスクリーニング後に情報を収集し、多職種でのカンファレンスを行って、処方医にフィードバックするという流れで対応しておるということでございます。
70コマ目は、ポリファーマシーのチームの各職種の役割をまとめたものでございます。
医師は、処方に対する包括的な対応、他の診療科との連携、退院先との連携などを行っております。
薬剤師は、患者のスクリーニング、患者面談による薬物有害事象の評価、減薬後の経過観察、退院時の情報提供を行っています。
看護師は、生活環境、社会的背景など患者の生活に密接したかかわり、有害事象に関するバイタルサインの確認などを行っているということで、多職種でチームをつくっているということでございます。
71コマ目は、成果でございます。退院時の処方薬剤数、服用回数の減少幅が大きくなっていることがわかるかと思います。
72コマ目でございますが、ポリファーマシーの解消に向けて、地域への情報提供ということでございます。長寿医療センターでは、医療機関に対して診療情報提供書、患者や薬局に対しては退院時の薬物療法サマリーをそれぞれ活用し、変更した薬剤や変更理由の情報提供を行います。
赤い点線のところに書かれていますように、例えば変更理由のところに、低血圧と食欲不振が薬物によるものと考え、アムロジピンとアモバン錠を中止し、経過観察を行い、良好であったといった記載をして、出しているということでございます。
73コマ目は、退院時の薬剤情報の提供に関しての診療報酬上の評価をまとめたものでございます。
医療機関の間での情報共有については、診療情報提供料で評価をされております。また、在宅移行される場合についてですが、薬局への情報提供も、同じく診療情報提供料で評価されています。
一方、退院時の薬剤管理指導料については、お薬手帳に必要な事項の記載を行うものの、情報提供を薬局に直接行うことを想定したものではございませんで、これについては、評価がないということでございます。
74コマ目は、入院時のポリファーマシー対策に関する論点ということで、整理をさせていただいております。
入院時は、処方の一元的な管理や処方変更後の患者の状態の確認が可能であり、処方薬剤の総合調整の好機でございます。2種類以上の減薬が行われた場合について評価しておりますが、入院時の処方の総合調整の取り組みをさらに推進する観点から、減薬の結果だけでなく、総合評価し、調整する取り組み自体について評価することを検討してはどうか。
2つ目ですが、退院時に処方薬の変更や中止の理由等を地域で共有する取り組みを推進するため、医療機関から薬局への情報提供を行う取り組みについて、評価することを検討してはどうかという、2つの論点を示させていただいております。
続きまして、バイオ後続品についてでございます。
76コマ目を見ていただきますと、バイオ後続品の定義でございます。先行バイオ医薬品と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品でございます。
下の囲みにありますように、同等/同質というのは、全く同一ということを意味するものではありませんが、品質特性に何らかの差異があったとしても、安全性や有効性に有害な影響を及ぼさないと科学的に判断できることを意味してございます。
77コマ目は、現在、薬価収載されております、バイオ後続品の一覧でございます。現在は9種類ございまして、長期間の投与が必要となる薬剤が多いということがわかるかと思います。
78コマ目は、先行バイオ医薬品とバイオ後続品の薬価の一覧でございます。バイオ後続品は、先行バイオ医薬品と比較しまして、4割から7割程度の薬価がついていることがわかるかと思います。
79コマ目は、バイオ後続品を使用した場合の薬剤費の軽減の試算でございます。例えばインスリンでは、月1,000円程度、エタネルセプトでは、月5万円程度の軽減がされることになります。自己負担については、この3割程度が軽減されることになっております。
80コマ目を見ていただきますと、平成28年度に調査をしました、バイオ後続品の使用割合です。包括される薬剤については、含まれないということに、御留意をいただきたいと思います。
エポエチン、フィルグラスチムにつきましては、60%を超える割合になっておりますが、それ以外については、普及がなかなか進んでいないということが見えるかと思います。
81コマ目は、バイオ後続品の使用割合の推移を示しております。平成28年度の上半期から平成30年度下半期までのバイオ後続品の使用割合の推移を示しています。
製品によってばらつきがございますが、増加傾向ではあります。
ただ、入院ではインスリングラルギン、入院外ではフィルグラスチム、調剤ではインスリングラルギン、フィルグラスチムの後続品使用割合が8割程度で、最も高いということでございます。
82コマ目を見ていただきますと、バイオ後続品の備蓄状況でございます。約半数の医療機関でバイオ後続品を備蓄しておりますけれども、薬局では、約3割程度で備蓄となっております。
また、そこにありますように、包括となりますDPC対象病院では、相対的に備蓄している割合が高い、また、品目も多いという報告をいただいておるところでございます。
83コマ目でございます。これはバイオ後続品のあるバイオ医薬品が対象薬剤となっている、診療報酬点数を掲示したものでございます。
在宅自己注射指導管理料でございまして、対象となる注射薬を見ていただければと思いますが、インスリン、ヒト成長ホルモン、エタネルセプト、これらが対象となっております。
外来化学療法加算の対象となっている薬剤として、そこにありますように、腫瘍用薬、インフリキシマブ製剤がございます。外来での化学療法で使われている注射薬として、加算の対象となっているということが見えるかと思います。
84コマ目からは、バイオ後続品が患者さんにとってどういう認知状況であるのかということを見たものでございます。認知度は一般の方で約2割程度、患者に限って見ますと3割程度となっております。
一方、下の欄にありますように、患者の使用意向を聞いておりますが、これについては、4割程度の方が使用してみたいという御意向がございます。
85コマ目は、医師等から勧められた場合、バイオ後続品の使用意向がどうなるかということを聞いたものでございます。医師から勧められた場合、バイオ後続品を使用してみたいと回答した患者、患者家族は約7割になります。
一方、下の段ですが、医師から実際にバイオ後続品の推奨を受けた患者は、2割程度となっております。
86コマ目を見ていただきますと、バイオ後続品について、どういう情報を知りたいのかということを聞いております。患者がバイオ後続品について知りたい情報としては、そこにありますとおり、副作用などの安全性が先発品と比べて同等であるのかについてが最多でございます。また、次いで、効果が先発品と比べて同等であるのか、費用負担はどうなのか、また、バイオ後続品を使用することで、どのようなメリットがあるのか、バイオ後続品の具体的な説明、製造技術・定義などについても、知りたいという御要望が上がっているということでございます。
87コマ目は、厚生労働省においての事業の御紹介になります。バイオ医薬品開発促進事業においての概要の2つ目のところを見ていただきますと、バイオシミラーの科学的評価、品質等について、医療従事者に対して正しい理解を広めるため、専門家や医療か関係者等によるセミナーや講習会を開催、また、バイオシミラーの科学的評価、品質、価格等に関して、患者・国民に対し普及を図るセミナーやリーフレットを作成するといった事業が、今、行われているということでございます。
これらを受けまして、バイオ後続品に関する課題と論点の整理を行っておるのが、88コマ目でございます。
論点でございますけれども、このような状況を踏まえまして、バイオ後続品を知らない患者さんにバイオ後続品を推奨する際の情報提供や、新たにバイオ後続品を導入する、または現在使用しているバイオ医薬品をバイオ後続品に切りかえる場合の患者への説明や症状の観察等について、評価することを検討してはどうかということで、論点をお示しさせていただきます。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
本日のアジェンダは、リハビリテーション、医薬品の使用ということで、2つ出ておりますので、2つに分けて議論してまいりたいと存じます。
まず前半のリハビリテーションの説明に関しまして、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
論点の40ということで、幾つか述べたいと思います。
29ページ目の経口摂取回復促進加算についてですが、28ページを見ますと、摂食機能療法の算定回数は年々増加しています。一方、29ページ目を見ますと、摂食機能療法の加算である経口摂取回復促進加算について、特に加算2は、加算1の算定要件が厳しかったために、平成28年度改定で要件緩和したものですが、算定されていないのは、何かほかの理由があるのではないかと思います。
施設基準では、専従の常勤言語聴覚士が1名以上求められていますが、なかなか厳しいということで、26ページにもありますけれども、平成30年度改定では、一部の項目で専従要件の緩和を行っているので、ここについても、同じように専従要件を緩和することを検討すべきだと考えます。
32ページ目、小児運動器疾患指導管理料ですが、これにつきましては、対象年齢が6歳未満とされていることや、他の医療機関から紹介された患者に限定されていることで、本来、リハビリが必要な学童期の患者さんに対しての算定ができない状況であると理解しております。必要な患者さんにリハビリが提供されるように、対象を拡大する方向で検討すべきだと考えます。
続きまして、35ページから36ページですが、今回の内容は、摂食嚥下障害を有する脳卒中患者の状況でございますけれども、患者の状態や管理栄養士以外の職種が関与した影響等がこれだけではわからず、また、管理栄養士が関与しなかった場合との比較も示されていないので、十分なエビデンスが示されているとは言えないのではないかと思います。
リンパ浮腫については、38ページ目にありますが、原因となる疾患として、腋窩リンパ節群または鼠径リンパ節群の郭清を伴う手術が必要な疾患は、上肢または下肢リンパ浮腫の原因となり得ると記載されていますが、片や30ページのリンパ浮腫複合的治療料、31ページ目のリンパ浮腫指導管理料では、対象患者がそれより狭くなっているように見受けられます。
また、30ページのリンパ浮腫複合的治療料につきましては、病期分類2後期以降の患者が「1」の重症の場合の対象者となっていますが、38ページ目の下の枠囲いの国際リンパ学会によるリンパ浮腫の病期分類を見ますと、病期分類の2期後期は、組織の線維化が見られる段階であって、治療のタイミングとしては、随分と遅い時点を評価しているのではないかと思います。したがいまして、現行のリンパ浮腫の治療料は、本来、治療が必要な人が対象となっていない、あるいは評価されていないと思われますことから、あるべき評価方法について、今後、検討していくことが必要だと考えます。
39ページ目のリハビリテーション実施計画書及びリハビリテーション総合実施計画書についてですが、今回の御提案のとおり、記載項目や様式等の整理について検討することは賛成いたします。
さらに現在は実施計画書の作成に加えて、その要点をカルテに記載することが求められていますが、実際には、患者さんに説明した書面が保存されていれば十分であって、それをさらにカルテに記載することは、意味がないと思います。これは医療現場にとって、意味のない負担となっているので、これについても、改めることを検討していただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
幾つか意見を言わせていただきます。
10ページ目の廃用症候群のリハビリテーションは、高齢者の増加とともに、今、非常に多く算定されていると思いますが、これを算定することが認められたときに、ここには載っていないですけれども、個々の患者さんのレセプトに症状詳記を全てしなければいけないとなっておりまして、これは医事課上、とても手間がかかることですので、ぜひここのところは、見直しをお願いしたいと思っております。
17ページの呼吸器のリハビリテーションですが、ほかの運動器、脳血管等に比べると、算定が少ないわけです。これは呼吸器だけ、施設認定を別に受けるようになっているのですが、肺炎等の後のリハビリテーションは、日常茶飯事で呼吸器リハビリテーションが必要になっておりますので、これも算定をしやすく、ほかの運動器、脳血管等と同じように算定できるような制度に改めていただけたらと思っております。
26ページの専従要件の緩和ですが、これは本当に緩和という方向でやっていただいて、非常にうれしいと思います。ですが、専従そのものをどういうくくりにするのか。つまりほかのことを一切やってはいけない、100%、もしくは専らという言葉も使われておりますが、実際には厚生局等の指導ですと、これはほかのことは一切だめという指導になります。ですけれども、そのような専従要件というのは、今後、人口も減り、医療関係者もふえていかない中での病院の運営を考えますと、100%とか、これ以外はだめという規則ではなく、もう少しわかりやすい、使いやすい規則に改めていただけたらと思っております。
長くなって恐縮ですが、28ページの摂食機能療法です。嚥下障害の方は、今、非常に多いわけでして、リハビリのセラピストのほか、看護師とか、歯科衛生士、そういう方でも算定できるのですが、1カ月に4回、つまり週1回程度しか算定できません。これでは効果を得られないので、このような縛りを少し緩めていただいて、もう少し算定しやすくしていただけたらと思っております。
以上です。どうもありがとうございました。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
今、皆さんがおっしゃった嚥下障害についてですが、36ページによりますと、摂食・嚥下障害を有する脳卒中患者に対して、入院時に管理栄養士さんによる介入サポートは、月1回でやるより、週1回の介入を行った場合のほうが、体力維持、経口摂食への移行につながる可能性が高いということがあらわされております。患者のQOL向上や医療費の抑制の観点からも、重要な取組であると考えておりますが、一方で、これらの患者さんについて、退院時点の状態を退院後も維持・改善していくことが、やはり重要な論点になると考えております。
そういう意味で、29ページに経口摂食回復促進加算の算定回数がありますが、平成28年改定で加算要件を緩和したにもかかわらず、減少傾向にありますし、また、加算2が全く算定されていないという現状を勘案すると、先ほど各先生がおっしゃっていましたが、いま一度、この加算のあり方、仕組みをしっかり検証し、摂食機能療法のあり方も含めて、退院時から退院後まで、トータルでどのようなサポートができるのかを含めて、全体的な整理をし、評価をしていく必要があるのではないかと思っております。
○田辺会長
ありがとうございました。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
前回の改定で要介護の被保険者の方のリハビリに関しては、経過期間を経て、平成31年4月から指定介護保険事業者によってのリハビリに移行するという形になったわけですが、医療機関が指定事業者の資格をとって、同じ医療機関で疾患別のリハビリをしていくことになると、質の担保というものが一定程度とられるのだろうと思うのですが、問題はいわゆる介護だけの事業者のリハビリになった場合、介護の質がどれぐらい担保されているのか、しっかりとリハビリができているのかどうかということをチェックをする必要があると思うのですが、そこに関しては、いわゆる追跡調査ということになるのかもしれませんが、事務局としては、どのように考えておられるのか。これは次の改定ということではないと思うのですが、いずれにしても、大変必要なことであろうと思いますので、お聞かせいただければと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
非常に重要な御指摘だと思っております。第1の中で、円滑な移行という形の関係で、今年度の検証調査の中でも、一部わかるように調査をさせていただいております。
また、先生がおっしゃるのは、今後も引き続きしっかりそれをウオッチしていくという調査だと思いますので、これは介護担当の部局とも相談をして、医療から介護のほうに移った患者さんが、しっかりリハビリテーション、また効果のあるリハビリテーションを受けているのか、効果というか、質の高いリハビリを受けていらっしゃるのかどうか、これも含めて少し相談をさせていただいて、何らかの形でわかるようにするということを、検討させていただきたいと思います。
○城守委員
ありがとうございます。
あと、先ほども少し述べられたかもしれませんが、39ページのリハビリの実施計画書に関しては、病院の先生方はしっかりと実施計画書を作成して、患者さんに対して説明をしてということなのですが、最終的に診療録にその要点を記載する必要があります。このことは、大変重複した事務作業になっているということで、いわゆる医師の働き方改革に逆行するような要件というのは、できるだけ見直していっていただきたいと思います。これは要望でございます。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
リハビリの制度設計について、意見というか、要望を申し上げます。
先ほど出ましたリハビリの質の担保というところなのですが、入院時におけるリハビリについては、アウトカム評価が取り入れられていまして、入院料によっては、実績指数、FIMが37以上ということが要件づけられているのですが、外来のリハビリについては、アウトカムの評価がなされておらず、まさに外来におけるリハビリの質の担保をどういうふうに図っているのか、これでどういうふうに検証しているのかということが、我々にとってもわかりにくいというところがあって、それぞれ疾患別に1、2、3とリハビリをやられているのですが、果たして目標設定をどう掲げて、本当にその目標を達成しているのか。達成するまでの期間は、医療機関によって差があるのか、そういったデータを見てみたいと思っています。
それに当たって、要望としては、疾患別リハは、標準算定日数というものが、それぞれ120、150、180と設定されているのですが、疾患別のリハビリテーション料がどれぐらいの平均的な算定日数で患者を診ているのか、そこは医療機関によって大きな差があるのか、その辺について、データを見て、外来におけるリハビリの質に差があるのか、ないのかといったところを調べていただきたいと思います。
もう一つは、それぞれのリハビリテーション料1、2、3とあるのですが、12ページを筆頭に、13ページ、14ページに算定回数がそれぞれ掲げられているのですが、12ページに象徴されますように、ほとんどがリハ1で、リハ3は1%とか、2%とか、ほとんど算定されていない状況なのですが、果たしてこれを1、2、3と細かく区別する必要があるのかどうか。心大血管リハも1%ですし、呼吸器リハも2は2%、脳血管リハも3は1%の算定回数にとどまっているといったところで、果たして1、2、3と細かく区別する理由があるのかどうか。これについて、何か見解があれば、お教えていただきたいと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
まず最初の効果評価等の関係でございますけれども、疾患別リハについては、4コマ目のリハビリテーションに係る診療報酬の現状整理を見ていただきますと、例えば疾患別リハについては、脳卒中の発症ですとか、心筋梗塞の発症ですとか、1つの出来事、イベントが起きてから、急性期、回復期、維持期・生活期と流れております。基本的な考え方というのは、例えば何かが起きて病院に運び込まれて、入院して、集中的な治療を行う。それに伴って、治療と一緒にリハビリが提供され、回復の状況によっては、障害が残りそうだとか、リハビリの必要があるといった場合には、必要な回復期リハビリテーション病棟なりに入っていただいて、治療を行っていただく。また、そのときに、集中的な治療、リハビリを行っていただくという流れになります。そこから、おっしゃるとおり、退院できる方は、外来でのリハということになります。
今、FIMということで、入院時の回復期リハビリテーションの効果評価、質の担保という形で、まず導入をさせていただいて、検証をやっておるところでございますし、また、効果を診療報酬に反映するという仕組みを導入させていただいているところです。ですので、退院した後の外来でのリハという部分について、そこだけを切り取って評価をするというのは、医学的に難しい部分があります。逆に言うと、回復できなかった方というのは、ある意味、療養病床ですとか、長期の療養のほうに入っていただく部分がありますし、退院できた方は、外来で通院して、少しずつよくなっていくという形をとると思います。ですので、患者の状態をきちっとそろえて、それぞれの医療機関の質が図られるように、外来のリハの効果を図るというのは、今、思いつかないぐらい、科学的に難しい部分があると考えておるところでございます。
ただ、おっしゃるとおり、きちっとした質を担保するということは必要ですので、リハビリテーションについては、リハビリテーション総合計画評価料の中で、リハビリテーションを行う場合については、患者さん個々に対しては、検査ですとか、多職種の目で評価をして、リハビリがどのように効果があるのか、また、この中にも目標をちゃんと設定した形でやっていくというスタイルをとらせていただいております。リハビリテーション総合評価料をとらずに、リハビリだけを単にやっていらっしゃるということは、今、基本的に行われていないと考えております。おっしゃるところは、非常によくわかるところなのですが、入院については、今、効果評価というところが導入できて、今、検証をやっているところも含めまして、技術的に難しいところだと考えておるところでございます。
続きまして、リハビリテーションの施設基準の1、2、3のところであるかと思います。リハビリテーション料3を算定する、施設基準の低いほうを算定するところが少ないということについては、リハビリテーションの過去から振り返りますと、例えば施設基準の6コマ目を見ていただきますと、基本的に施設基準というのは、働いていらっしゃる方の数、専従の方、リハビリに対して、OTさんが何人いるかとか、看護師さんが何人いらっしゃるのかということと、そのほかに、リハビリをする専有の場所を規定した施設基準となっております。
おっしゃるとおり、今は3の一番低いところを設けている医療機関が非常に少なくなっているということですけれども、過去から振り返りますと、リハビリについて、それぞれの医療機関が重視をするようになってきて、だんだん施設も拡充し、また職員を多く雇うようになって、3から2、1という形で、大きくなってきたということをあらわすものだと思います。おっしゃるとおり、非常に少なくなったので、廃止をしてもいいのではないかという御意見はあるかと思いますが、廃止しますと、例えば患者さんがそれほど多くないところで、細々とやっていらっしゃるところは、評価をしないということにもなりかねないので、御意見は伺いますけれども、そこら辺は、状況の確認をしないと、すぐ廃止ということにはならないと思います。
リハビリに対して、取り組んでいただく医療機関がふえて、充実してきたというところは、おっしゃるとおりだろうと思っております。
以上です。
○田辺会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
よくわかりました。
いずれにしても知りたいのは、疾患別の1、2、3をとっているリハが、それぞれどのような標準算定日数で終わっているかという、このばらつきを見てみたいので、そのデータについては、次回の検討に向けて、ぜひお出しいただければと思います。無理ですか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
レセプトのほうでとることができるのかどうか、それも含めて、少し検討させてください。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。林委員、お願いいたします。
○林委員
ありがとうございます。
40コマ目の3つ目の○でございます。摂食嚥下障害を有する脳卒中の患者は、低栄養の患者が多く云々という記載がございますが、今回の提案は、摂食機能療法に対するものなのか、摂食嚥下チームに関する提案なのか、それを明確に確認したいということが1点目でございます。
あと、要望でございますが、歯科の立場から、低栄養の予防に関しましては、そしゃくも重要でございます。口腔機能の点からのリハ計画に、歯科の関与も重要な点であると思っております。そしゃく機能の管理とともに、管理栄養士の関与があることで、効果がより向上するのではないかと考えております。
また、脳卒中既往患者では、誤嚥性肺炎のリスクも高くなりますので、口腔機能管理等が効率的に実施できるようなリハビリテーションになるように、御検討いただきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
今回、私どもがお示しさせていただいているのは、摂食嚥下療法そのものは、専門職種の方がそれぞれ介入されるということだと思いますが、プラス栄養的な面での評価ですとか、介入というのが合わさったとすれば、より効果があるのではないかということでございまして、おっしゃる点につきましては、チームが充実するのではないかと考えているということでございます。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
スライド34以降に課題として挙げられています、摂食嚥下障害を有する患者への介入について、看護の立場から意見を述べさせていただきます。
スライド34にありますように、摂食嚥下障害患者は、低栄養または誤嚥性肺炎を起こすリスクが高いことから、その予防のためにも、安全に口から食べられるように支援することが重要だと言えます。さらに口から食べるということは、栄養面の改善のみならず、患者さんにとっての生きる上での楽しみや意欲を引き起こすため、QOLの向上という意味でも、看護として非常に重要な支援だと考えております。
摂食嚥下障害患者への介入につきまして、さまざまな研究が行われており、疾患や障害、加齢等により摂食嚥下機能が低下した患者に対して、摂食・嚥下障害看護認定看護師を含む多職種チームの介入は、合併症予防や機能維持向上に貢献することが示されております。そのため、今後、摂食嚥下にかかわる専門性の高い看護師や専門チームの介入を推進すべきだと考えます。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。平川委員、お願いいたします。
○平川委員
22ページのリンパ浮腫の複合的治療等のところですけれども、対象患者はいろんな御意見があるかと思いますが、実施職種のところで、リンパ浮腫の治療に関して、前回か、前々回の中医協での議論のときに、あんまマッサージ師がここにかかわっていることに対して、さまざまな懸念等を含めて、議論があったように記憶をしております。そういった意味で、どの職種がどういうふうにかかわっているかということは、わかることなのか、わからないのですが、その辺がどういう実態にあるのかということは、わかれば教えていただきたいと思っているところであります。
もう一点、摂食機能療法の対象の明確化で、経口摂取回復促進加算についてであります。これも算定はほとんどないということで、やはり問題だとは思いますが、その手法が、例えば専従要件を緩和すれば解決するのか、また別な要件があるのかということは、もうちょっと詰めて考えていかなければならないのではないかと思います。その辺は、各病院の実態を踏まえて、慎重に検討していくべき課題だと思います。2つ目は、意見です。
○田辺会長
前半について、お答えはありますか。医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
リンパ浮腫の関係で、どの職種がかかわっているのかということにつきましてですが、直接的なデータという形では、調べることができませんが、例えばこの話題が次に出るような会には、現場の方にお尋ねするということもさせていただければと思っております。
○田辺会長
よろしゅうございますか。ほかはいかがでございましょうか。間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
19ページの退院時リハビリテーション指導料なのですけれども、私、余りイメージできないので、お聞きしたいのですが、退院する日に1回に限り算定ということだとすると、退院日というのは、割とばたばたしていて、支度をして、お金を払って帰るだけみたいな感じがあるのですけれども、この指導をされたことによって、患者や家族がどういう恩恵を受けるのかとか、実際、対応する人は誰なのかというところを、データがあれば示していただきたいと思います。算定回数がふえているというのは、いいことなのかもしれませんけれども、実際に患者や家族にどういういい影響があったのかということは、検証する必要があると思います。
以上です。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
説明が足りておりませんでした。失礼しました。退院日に1回に限り算定というのは、請求する日、いわゆるその日を算定する日にするだけでございまして、実際、自宅にお伺いするのは、それより少し前でございます。実際は退院に向けて、最後にリハビリの調整等をするに当たって、例えば御自宅の段差がどのぐらいあるのかとか、お風呂場の様子とか、家庭の中でどのような役割を担っていらっしゃるのかということを把握して、リハビリで集中的にここまでやろうとか、御家族に対して、こういうことをサポートすれば、御家庭での生活がよくなるというアドバイスをしたりということでございます。ですので、退院日に訪問するということではなくて、請求する日は、退院日の請求にあわせてしますということを記載させていただいているものでございます。
実際、御家庭に伺って、御家庭の様子を見ながら、患者さんのリハビリをよくしたり、御家庭での対応の仕方を指導したりということでございまして、これでコミュニケーションがよくなったということで、さらに退院に向けて準備が整うということで、よくそういう声を聞いているということで、御報告させていただきます。
○田辺会長
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
1日とか、数時間で終わる話ではなくて、御家族の方とコミュニケーションを図りながらということですね。わかりました。それにしては、点数が少なそうな気もしないでもないですけれども、ありがとうございます。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、2番目のアジェンダに移ってまいりたいと思います。医薬品の使用にかかわる部分でございます。御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、論点の60ページ目から述べさせていただきます。
重複投薬につきましては、保険財政上の問題もありますけれども、何よりも患者さんの治療のために解消すべき重要な課題だと思います。ただ、その際に注意しなければならないのは、重複投薬の定義づけだと思います。重複とは同一成分のことであると考えますので、慎重な議論をお願いしたいと思います。
その上で、論点にあるように、重複投薬の解消に向けた取り組みをさらに進める上では、服薬薬剤の把握や処方薬の総合的な評価・調整が重要です。これはその情報を持っている保険者の取組に加えて、実際にはかかりつけ医を中心とした評価・調整が必要だと思いますので、事務局には、具体的な方策を御検討いただきますよう、お願いしたいと思います。
最近は、後発医薬品でも、例えば作用機序の異なる複数成分を組み合わせた配合剤がふえており、服薬管理は非常に複雑になっています。同じ有効成分を含む薬が重複して処方され、調剤されことを防ぐためにも、地域包括診療料等で求められているように、医師による一元管理が重要であります。
52ページから53ページのとおり、地域包括診療加算、地域包括診療料の届け出と算定は少しずつふえており、また、54ページのように、院外処方のため、おおむね2薬局と連携しています。しかし、それでも少なくて、特定の薬局への患者さんの誘因になりかねません。患者が利用する薬局は、24時間体制をとるなど、薬局も変わる必要があると考えております。
続いて、74ページ目の入院時のポリファーマシーについてですが、これも定義の問題として、言葉の定義ですが、単に服用する薬剤数が多いことを示す多剤処方と、それに関連して有害事象のリスク増加や服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態を指すポリファーマシーとは、正確に区別して議論すべきことをお願いしたいと思います。
その上で、現在のように、出した剤数や減らした剤数に応じて評価するという手法は、これまでにも何回か述べておりますけれども、意味がないと思います。そういった意味では、今回、論点で示された、減薬の結果だけでなく、総合評価の取り組み自体について評価するという方向性については、賛成いたします。医療機関から薬局だけでなく、医療機関から医療機関への情報共有が重要です。医薬・生活衛生局の高齢者医薬品適正使用検討会でもそういった議論が行われており、まずは省内で適切な情報共有をしていただきたいと思います。
日本老年医学会が提唱した、特に慎重な投与を要する薬物リストに挙げられた医薬品の使用実態につきましては、日本医師会総合政策研究機構による調査も行われているとおり、単に数を数えること以上に、どの薬に注意すべきかを啓発していくことも、重要な取り組みだと認識しております。
最後、88ページ目のバイオ後続品についてですが、論点に示された患者さんへの情報提供や説明など、バイオ後続品の使用を促進する前提として、一番大事なのは、医師への情報提供や安定供給の確保などの環境を整備することが、最重要だと考えております。これがないと、しっかりと普及していかないのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
まず最初に、先週の中医協総会において、1号側の幸野委員から御指摘のあった点について、少しお話しをさせていただきます。
外来服薬支援料、コマでいくと、59コマにありますけれども、あるいは重複投薬・相互作用等防止加算、そのほかに、服用薬剤調整支援料、こういったものについては、5万9000の薬局に対して、算定が少ないのではないかというお話しをされていましたが、これについては、グラフの推移を見ていただけばわかるように、ある程度要件が緩和をされてきたという経過からなっていることと、実際に算定回数に基づいて数字が出ています。算定回数に至らないまでも、努力している薬局がたくさんあるということを、申し添えておきます。
重複投薬に関する現状を踏まえた上で、45コマ目になりますけれども、以前に申し上げましたが、これは平成30年の資料になりますけれども、5カ所以上行っている方であっても、2カ所あるいは1カ所という形の薬局に絞り込んでいるという傾向が出ております。そういうことから、57コマ目にありますように、かかりつけ薬剤師の指導料の算定は、ほぼ横ばいになっておりますが、これについては、先方、いわゆる患者側からの求めがあって、初めて算定要件にこぎつけるわけですので、このようなことを受けられるような形で、さらにかかりつけ機能を薬局としては提供していきたいと考えております。
そういったことから、55コマ目に、患者に処方されている全ての医薬品、あるいは患者が受診している全ての医療機関の把握と医師の負担軽減になるように、求めがあれば、必要な情報提供を行って、連携をしていきたいと考えております。
それから、入院時のポリファーマシーについてであります。73コマ目にありますが、診療情報提供の中で、薬局に対する情報提供は、全て在宅に移行時と※がついております。実際にはある程度重度であっても、在宅の薬剤の訪問指導にこぎつけない方はたくさんいらっしゃいますので、そういった需要等も十分に勘案していただいた上で、医療機関から薬局への情報提供というのは、一定の評価をしていただければと思います。
バイオ後発品であります。バイオ後発品にあっては、87コマ目にあるように、バイオ医薬品の開発促進事業が国を挙げて行われているわけですが、そういった中で、薬局で取り扱っているバイオ後続品というのは、まだまだ少ないのですが、これからふえてくる中で、薬局を基点にしてバイオ後発品に変えていくというよりは、医療機関主体で変えていくことが、使用促進につながると考えています。
そういった点から、特に医療機関の薬剤師は、審査報告書あるいは添付文書で情報等を収集して、薬事委員会において評価を行い、さらに医療従事者の適正な理解、あるいは患者さんの理解、こういったものを求めつつ、バイオ後続品の使用につなげて、医療費を削減するという道があると思います。適用等も違ったりしますので、そういったものは、医療機関の薬剤師が積極的に体制を整備していく中で、後発医薬品の使用体制加算のような、体制についての整備を評価していただければと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。平川委員、お願いいたします。
○平川委員
最初に46枚目のスライドで、服薬状況の把握というイメージ図でございます。大変いい取り組みだと思いますけれども、どのくらいの取り組み実績があるのか、どのくらい普及しているのかということを、まずお聞きしたいと思っています。
もう一つ、そういった中で、服薬状況の把握というのは、誰が責任を持ってやるのか、いまいちよくわかっていない。主治医機能の1つして、主治医がやるということもあるのでしょうけれども、もしくはかかりつけ薬剤師がやるのか、46ページにあるような保険者が責任を持ってやるのか、主体は一体どこで、今後どういう方向で状況を把握していくのか、そこが見えてこないと思います。結局、どこの機関に対しても加算で対応しようとしていますけれども、今後どういう方向で考えていけばいいのかということを教えていただきたいと思います。国保連合会や支払基金には、それなりの情報が集約されて、そこで分析すれば、わかるような気がしますけれども、その辺の活用を今後どうしていくかということが見えませんので、少し教えていただければと思います。
以上です。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
重複投薬を防止することについては、今までそれぞれの立場の方に積極的にかかわってきていただいていると思います。おっしゃるのは、全体をまとめて、誰がやるのかということだと思いますけれども、医師は患者さんから聞き取った情報やお薬手帳を確認して、そこでわかる情報の中で、最適な処方をされていると思いますし、そこで重複がわかれば、そこであれされている。また、薬局は薬局で、同じように、お薬手帳、処方箋の内容を確認して、その中で聞き取れるものに関しては、対応されている。また、保険者のほうでは、縦串なりを差して、重複がわかるものについては、お知らせのお手紙をしたり、保健師が訪問されていると思います。
実際、全く効果がないのかというと、データでお示ししましたとおり、かなり効果を上げている部分ではあると思いますが、そうはいっても、それほど人数が多くなくても、どうしても重なっていらっしゃる方がいる。これについては、患者さんの認知機能の問題があったり、ひとり暮らしで、全てのことが1人では把握できないとか、いろんな背景があると思います。そういうところにどのようにかかわっていくかということについては、私どもとしては、主治医の役割も非常に大きいと思いますし、あと、それを支える薬局の役割も非常に大きいと思います。先ほど松本委員から御指摘いただきましたので、どのような形で重複投薬を解消していくのかということについて、私どもとして、次の会にでも御提案をさせていただきたいと思っております。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
それぞれが全力で頑張れば、何とかなると聞こえるのですけれども、高齢者が対象といえば、国保連の審査と連携をして、そこでデータを整理して、かかりつけ医でもいいですし、保険者でもいいですし、システムとして考えていかないと、それぞれで頑張ってください、加算をつけますというだけでは、うまくいかないのではないかと思いました。特に保険者が頑張るといっても、横浜市みたいな保険者もあれば、きめ細かい保健師の指導で対応できるところもあると思います。その辺はいろんなパターンがありますので、もう少し丁寧に考えていってもいいのではないかと思いました。
もう一つ、減薬の関係ですけれども、74枚目の論点の1つ目の○で、減薬の結果だけでなく、総合評価し調整する取り組み自体について、評価することを検討してはどうかということで、減薬というのは、当たり前のことだという認識で考えていいのかどうか。データ上でも、6剤以上は問題があるのではないかということに基づいて、我々は議論して、減薬についての評価を重ねてきたわけでありますけれども、その辺のデータは関係なく、総合評価という方向に重きを置いて考えるのか、それとも引き続き減薬を重視しつつ、その上で総合評価し、調整する取り組みを進めていくのか、その辺のニュアンスについて、教えていただきたいと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
表現の詳細でございますけれども、今、資料の中でお示ししましたように、入院中におけるポリファーマシーに対しての対策というのは、先ほど御説明しましたとおり、患者のスクリーニングをして、一つ一つ患者の状況を確認し、処方提案をし、確認をするというプロセスを踏んで、最終的に処方変更になる方もいれば、処方の数が減る方もいらっしゃいます。実際、今の評価というのは、処方が減るところ、最終的な成果としての2剤減というところを評価するということで、今まで来たと思います。今回、お示した、評価をし、調整する取り組みという意味でございますが、病院の中でチームをつくり、スクリーニングの体制をとるといった部分についても、評価をしてはどうかという御提案でございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。松本委員、お願いいたします。
○松本委員
先ほど平川委員がおっしゃったことに関してですけれども、先ほどももう述べましたが、保険者の取り組みに加えて、最後はかかりつけ医、もしくは現場がやらないと、例えば2つの薬が出されて、両方を一遍にやめられたら困るわけですので、そういった調整は、最後は現場に委ねていただかないとできないのです。最後は現場に委ねていかないと、最終的にはできないことだと、御理解いただきたいと思います。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
今、松本委員が申し上げたことに重複するかもしれませんが、保険者がわかるデータというのは、事後のデータです。我々がやっていることは、その瞬間にその患者さんにどういうお薬を出すかということです。ですから、他の医療機関から、相互作用があるような薬が出ていないかどうか、重複投薬をしていないかどうかということを、その場で瞬間的に判断しなくてはいけないので、そういった意味では、保険者がやる役割と医療機関、あるいは薬局がやる役割は、明確に違っていると御理解をいただければと思います。
それから、数を減らすことが大事なのか、そうでないのかというお話がありましたけれども、あくまでもお薬の弊害が出ているかどうかということが大事だと思います。例えば入院されたときに、数が変わらなくても、後発薬を変えることによって、ある薬は腎機能に影響が出るので、このお薬からこのお薬に変更しますとか、例えば胃潰瘍のお薬であっても、こういう薬を使うと、認知機能に影響するので、こちらのプロトンポンプインヒビターに変えますということを、病院の中では分析をして、かかりつけ医に、先生が出していたお薬については、こういう問題があるということを我々は考えたので、このように変更しました、退院後はこの処方を継続してくださいという情報提供がされてくるというのが現状だと思います。
松本委員もおっしゃったように、医療連携ということで、今、病院側はそこが情報提供されることで、評価されています。我々は、1カ月間、その処方を続けたことによって、入院前の状態とどう変わったかということを確認しているわけですけれども、そのことを病院側に、医療連携として、返送する、情報提供を戻すということに関する評価というのはないので、医療機関同士の連携については、評価をしていただきたいと思っております。
あわせて申し上げたいことが幾つかありまして、今、一般名処方というのは、非常に普及してきていて、それが後発医薬品の使用率の向上につながっていると思いますけれども、他院から出ているお薬が、お薬手帳を見ると、後発品名で書かれているわけですが、我々、長年、先発品というものになれていて、膨大な後発品の名称を全て頭の中に入れているわけではありません。したがって、複数の医療機関にかかっておられる方が来られたときに、そのお薬が自分が出しているお薬と相互作用があるのかどうかとか、あるいは重複していないかどうかという確認を、結構手間をかけて、薬局にお問い合わせをしたりしております。お薬手帳の中の薬品名の記載については、もう少し工夫をしていただいて、そういった手間が発生しないようにしていただければと思っています。
もう一点は、松本委員もおっしゃいました、今回のポリファーマシー解消の中で、2種類以上の減薬ということで、数をただ減らすということは、見直そうということですけれども、もともとの基点が、今、6種類以上を使っているということを前提にしているわけです。平川委員からもお話があったように、数を減らすことも大事ではないかという意見もありましたけれども、6種類以下でも有害事象が発生しているということは、データとして出ています。したがって、基点を問題にするのではなくて、結果として有害事象を減らせたという、1剤減らしたことによって、減らせましたということがあるのであれば、数ではなくて、有害事象を減らしたということを評価していただくことが、重要ではないかと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
ありがとうございます。
大変よくわかりましたが、それであれば、ポリファーマシーの減薬に対しての1つの基準として、6種類以上の投薬で有害事象の発生の増加に関連したデータという、これを前提にして話をされておりましたので、より多様なデータを用いて、議論をしていく必要があるのではないかと思います。診療報酬上、どう評価するかという観点でありますので、いろんな切り口があるかと思いますけれども、今後の議論に資するようなものが必要なのではないかと思いました。
もう一つ、処方をするときには、きょう、どういう処方をするかということはあるかと思いますが、長期的に見て、データを集積して、それによってどういう処方が必要なのかとか、お薬手帳だけに頼ったり、手書きに頼ったり、そういうことではなくて、かかりつけ医、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師、保険者であったり、その辺の役割をもう少し整理して、やっていく必要があるのではないかと思います。印象としては、それぞれの機関が頑張ってやりましょうとしか見えないので、システムとして考えていく必要があると思いました。
以上です。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
60ページについて、先ほど来、減薬の役割分担というお話が出ていましたが、○の1番目にあるように、我々保険者の立場からいいますと、事後のレセプトをきちんと分析して、同じような症状の中で多種類の薬品が使われている、そういうものを整理して、見える化として、これに対して、薬局並びに医療機関と連携して、患者さんに提案していくことに、取り組んでいるということは、御理解をいただければいいと思いますし、役割分担としては、その辺をきっちりやっているということなのだろうと思います。
それを踏まえて、意見でございます。2つ目の○のお薬手帳について、49ページとか、55ページに示されていますが、特に医療機関において、お薬手帳の活用状況が低調であり、25%となっています。55ページには、全ての受診医療機関や医薬品を把握することが大きな負担になっているとあります。また、50ページには、お薬手帳の活用の留意点等々が示されています。こういうことを踏まえますと、重複投薬の防止について、お薬手帳の利活用を1つの柱と考えるならば、先ほど今村先生からもご意見がありましたが、いま一度、お薬手帳のあり方の議論をしっかりする必要があるのではないかと思います。
また、中長期的な視点で申し上げれば、平川委員からもご意見がありましたが、服用薬剤の把握、処方薬の総合的な評価・調整の円滑な対応・連携の評価を検討する方向は、当然理解をしているものの、現行のようなアナログ的な対応方法で、医療機関、薬局間の連携を強化していくというのは、限界があると思います。これは事実であると思います。手間並びに精度を含めれば、そういうことだと思います。
私の現状の理解では、2021年3月には、マイナンバーカードの保険証利用がスタートすることになっておりますし、また、この仕組みを利用して、同じく2021年10月には、医療機関、薬局において、オンラインで患者の投薬状況などを確認できるような方向で検討を進めていると認識しております。また、一方で、地域包括診療料等でもその算定要件として、他の医療機関との連携、通院医療機関や処方薬を全て管理するという要件がありますが、こういう要件もあわせて、適切な投薬管理、医療機関の負担軽減等の観点から、将来的には、オンラインによる投薬状況等の確認を要件化していくということは、ぜひ進めていくべきでありますし、効果的かつ確実に確認できる体制については標榜すべきだと思っております。これは重複投薬についてでございます。
次に74ページのポリファーマシーの1つ目の論点でございます。減薬の結果ではなく、総合評価し、調整する取組自体を評価することを検討するという御提案ですが、これは先ほど来ありますけれども、減薬の数、アウトカムだけではなくて、プロセスを評価することの提案だと思います。プロセスを評価していくのであれば、どのようなプロセスを経ると、どのようなアウトカムが得られやすいのかということは、客観的なデータを出していただいて、それに基づいて議論をしていく必要があるのではないかと考えます。
入院時のポリファーマシーへの取組において、ここに一例として、病院の取り組み事例等を掲載していだいておりますけれども、高齢者が多く加入する国保、広域連合等では、実際、医療機関と連携として、さまざまな取組がなされていると承知していますので、可能であれば、そのような取組で得られた分析データなどの知見があれば、この場に出していただいて、議論していくと、議論が深まるのではないかと思っております。
74ページの2つ目の○の論点について、これは非常に重要な視点だと理解はしておりますが、診療報酬上の評価を行う前に、薬局に直接情報提供をする、情報共有の考え方や概念、体制についての整備が先決ではないかと思っております。方法論として、もしお薬手帳等を活用するのであれば、先ほど申し上げたとおりでございますので、お薬手帳の機能をどういうふうにするか、十分に議論をする必要があるのではないかと思います。
最後に88ページのバイオ後続品についてでございますけれども、バイオ医薬品は、難治性の疾患には効果が高いということでありますし、バイオ医薬品の後続品であるバイオ後続品を安定的に供給していくことについては、患者にとっても、医療費を抑制する上でも重要なことだと考えております。
一方で、バイオ医薬品や後続品は、低分子の化学合成品とは違いまして、高分子かつ複雑な構造をした医薬品でありますから、ジェネリック医薬品以上に、品質、安全性、有効性について、患者サイドへの丁寧な説明、理解を得る、こういうことが重要だと考えております。バイオ医薬品や後続品の特性について、当然患者はもとより、医療従事者の中でも、まだまだ十分に知識、認知度、理解が促進されているとは言えない状況だということも、いろいろな資料からわかるところであります。
そういう意味では、88ページの論点でございますが、バイオ後続品について、誤った理解が広まってしまうことは、本末転倒だと思いますので、例えば厚労省が開催している講習会等を受けている医療従事者が存在するなどの人材育成、体制整備が先決であり、バイオ医薬品や後続品の正確な知識、理解について、患者、国民に対して、医療サイドが説明責任を果たすためのあり方、方策、そういうものを評価していく方向で、検討をすべきだと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
論点に沿って、確認しながら、意見を申し上げたいと思います。
60ページの論点の意味なのですが、最後から2行目、これらを円滑に行うための対応や連携について、評価することを検討としてはどうかということなのですが、これは誰を評価するという想定で書かれているのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
これについては、先ほど平川委員、吉森委員からもお話がありましたけれども、重複投薬について、システマチックに、いわゆる連携して、それぞれの役割を定めて進めていくことが必要だろうと思います。そうした場合、それぞれの役割をどのように果たすのかということが、当然議論になりますし、その役割を果たすのであれば、それに見合う評価をするということで、書かせていただいております。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
薬局の薬剤師には、連携するために、重複投薬・相互作用防止加算とか、平成30年度に新設された服用薬剤調整支援料という評価が既にされていると思うのですが、この書き方を見ると、医療機関が協力した場合は、医療機関に対しても評価をすると読めるのですが、そういうこともあり得るということですか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
薬局、医療機関、先ほど言いました保険者、それぞれの役割について、整理をさせていただきたいと思います。その上で、それぞれのやるべきことが、今の加算で同じように評価するべきものなのか、それとも新しくつくるべきものなのか、それを御議論いただきたいと思います。
○田辺会長
どうぞ。
○幸野委員
わかりました。
薬局の薬剤師に対しては、今までかなり追い風が吹いていて、こういった評価がついたと思うのですが、先ほど有澤委員は、薬局は頑張って一生懸命対応しているとおっしゃったのですが、我々保険者から見ると、薬局からの医療機関に対する減薬とか、重複投薬に対する働きかけが少ないのではないかと思っていまして、薬局は薬剤服用歴管理指導料という点数を持っている中で、いろんな算定要件がついているのですが、こういった中で、薬剤師は調剤だけが業務ではないので、薬剤師の本来業務は、調剤後に、減薬とか、重複投薬を医師にちゃんと報告して対応するというのが、管理料の本質だと思うので、まずは医療機関とか、保険者などの前に、ちゃんと薬剤服用歴管理指導料の中で、薬局にしっかりやっていただきたいと思います。
今回、薬機法が臨時国会等で通ると、この中には、調剤時だけではなくて、服用期間中に管理するということも要件化されるということもありますので、周りに評価をつける前に、薬局の薬剤師がきちっと本来業務をやることが必要ではないかと思いますので、これは時期尚早ではないかということを意見として申し上げさせていただきます。
外来服薬支援料も頑張っているとおっしゃいましたけれども、5万9000の薬局で、これによりますと、8,000件近くやられているのですが、単純に計算すると、8軒に1件ぐらいしか取り組んでいない。これで果たして薬局の機能を果たしているのかというと、疑問が残るところでありますので、一義的には、例えば薬剤服用歴管理指導料の中に、医療機関に情報を提供することというのを要件として入れたり、そういったことを考えて、もっと薬局の本来業務をきっちりとやるという方向に持っていくべきで、周りの環境をつくるというのは、その後の議論ではないかと思います。
重複投薬については、以上です。
あと、74ページの入院時のポリファーマシーも、考え方としてはわかるのですが、具体的に先走って、取り組み自体を評価するというのは、イメージが湧かないのですが、取り組みをやっていたら、その病院に対して、例えば体制加算をつけるというイメージでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
やり方は、いろいろとあるとは思いますけれども、先ほど吉森委員がおっしゃったように、アウトカムだけではなく、プロセスの部分を評価するということで考えています。体制という言い方もありますし、体制があれば、加算というやり方もありますでしょうし、チームでかかわったといった場合、とれるというやり方もあるでしょうし、診療報酬上のいろんなやり方があると思いますが、基本的な考え方としては、先ほど言ったように、結果である部分だけではなく、その手前の部分、取り組み、プロセスの部分も評価をしていただきたいということでございます。
○幸野委員
プロセスに対して評価をするということは、評価がついた病院は、全ての患者に対してとれるということになるのでしょうか。それとも、結果を出した患者に対してとれるということでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
どのような評価にするかということは、ある意味、ここで御議論いただきたいと思いますが、全ての患者に対してというやり方もありますが、例えば一定の患者像を示した上で、こういう患者さんに対して、かかわったときという算定のやり方もあるかと思います。いろんな評価の仕組みがございます。
○幸野委員
わかりました。そのところは、これからの議論ということで、理解いたします。
もう一つ、退院時薬剤情報管理指導料について、薬局への情報がないということなのですけれども、これは退院時薬剤情報管理指導料の算定要件の中に、患者とか、家族に知らせるだけではなくて、これを薬局に持っていけということを算定要件に入れることで、足りるのではないかと思うのですが、違いますか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
どの算定の要件に入れるかというところもあるかとは思いますけれども、今はいわゆる評価しているものがないということでございます。例えばいろいろ情報提供している先ごとに、情報提供すれば、それで評価できるという形になっておりますが、薬局に対してはそれがありませんので、今、やっても、それは評価されていない状況でございます。
○田辺会長
薬剤管理官、補足をお願いいたします。
○田宮薬剤管理官
今の幸野委員からの御指摘の点でございますけれども、退院時薬剤情報管理指導料につきましては、73コマ目にございますとおり、入院中に使用した主な薬剤の名称等につきまして、患者の手帳に記載した上で、退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導を行った場合に算定する形になってございます。
一方、今回、御議論いただいておりますのは、例えば72コマ目にございますとおり、これは国立長寿医療研究センターの退院時薬物療法サマリーの例でございますけれども、入院中に薬剤を中止して、その後、経過も良好であったと記載されています。入院時のポリファーマシーの解消に向けて、医療機関内で多職種連携で取り組んで、その後、どういう理由で薬剤を中止して、しかも、経過も良好であったかということも含めた情報を、退院した際に、外来の診療の主治医、そして薬局にも情報提供することで、入院時に行ったポリファーマシーの取り組みを、そのまま外来に移行しても、医師と薬剤師が連携して取り組むことができるようになるのではないかということで、情報提供について、今回、議論をいただいているということでございます。
吉森委員からもいろいろと御指摘がございましたけれども、お薬手帳は1つツールとして考えられるところではございますし、お薬手帳というのは、他の医療機関、薬局との間の薬剤情報の共有という意味で、もちろん重要な役割がございますが、一方、患者自身が自分の服用している医薬品について把握するとともに、薬について正しく理解するなど、医薬品に関する意識を高めるといった役割もございますので、少なくとも退院時の薬物療法サマリーのようなもの、非常に膨大な量のものも含めて、お薬手帳に全部情報を入れるということが、果たして患者の理解度の点、あるいはお薬手帳の情報が氾濫してしまうとか、そういった観点から、お薬手帳の本来の趣旨を考えた場合、適切なのかといった点については、検討が必要なのではないかと思っております。
また、患者のアドヒアランス不良などについての情報提供に関していいますと、例えば患者さんを通してというよりは、直接医療機関と薬局がやりとりをすることが適切な場合もあり得ると思いますので、そういったことも含めて、検討が必要なのではないかと思っております。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
先ほど吉森委員からもございましたし、今のいろんなやりとりで、入院時のポリファーマシーで、相互調整の取り組みの評価について、一定のエビデンスに基づいた議論が必要だという御指摘があったかと思います。数であれば、例えば7が5になったといったら、単純にわかるわけですけれども、私が先ほど例に挙げさせていただいたような、お薬を変更する、降圧薬を変更しました、これは腎機能を保護するためにやります。今、国も重症化予防で、糖尿病性の腎症を予防するということは、大変大きなテーマになっているので、種類を変えることそのものに相当意味がある。あるいは認知症の患者さんが非常にふえてきているわけですから、認知機能をより落とさないようなお薬を使うという変更も、インパクトとして、物凄く大きな意味があるわけですけれども、それを現状で調査するということは、難しいのではないかと思います。変更されていたとしても、なぜ変更したかという理由までわかるわけではありません。
今、研究レベルで、こういう目的でお薬を変更すると、このようにいいとか、長寿医療センターのお話もあったと思うのですけれども、何らかの今の研究でわかっていることなども、ぜひ出していただければ、議論できるのではないかと思いますので、事務局にはお願いをしたいと思います。
○田辺会長
染谷委員、お願いいたします。
○染谷委員
57コマ目のかかりつけ薬剤師指導料の算定状況というところで、処方箋の枚数の1.5%にしか相当していない。なぜかかりつけ薬局は浸透しないのかというところについて、議論が必要だと思っています。
患者さんはよくわかっていらっしゃらないかもしないけれども、同じ薬をもらうにも、どこでもらうかで金額が違うのです。一番安いのは、院内処方です。その後は、門前薬局で、一番高いのがかかりつけ薬局医でもらうことです。指導料が入るからです。そのことを了解しないと、サインをいただけないわけで、毎回、350円、400円という加算がされたら、いいと利用する側は思ってしまいます。
本当はいいシステムなはずなのに、浸透しない理由がどこにあるのか。ここの場というのは、現実的な現場でどういうことが起こっているかということを、利用者の立場からも議論しなければいけないと思っています。コンビニよりも数が多くなっている薬局について、今のままのやり方だと、かかりつけ薬剤師もふえていかないし、淘汰も起こってきますし、ドラッグストアのような大きな調剤する場所もふえてきて、まさに戦国時代のような状況になっている中で、利用する患者さんにとって、どういうやり方が利便性もあり、また、医薬品についても安く手に入れることができるのかというところについて、そういうことの議論も必要だと思います。
難しい議論をいっぱいされていて、私はたまにしか来ないものですから、よくわからないことが多いです。だけれども、現場がどうなっているかということについて、常に意識を持って議論をすべきだと思いますし、かかりつけ薬剤師がこれほど浸透しないことの理由をどういうふうに捉えておられるのか、そこを聞かせていただけますか。
○田辺会長
それでは、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
恐らく有澤委員からも御発言があると思いますけれども、かかりつけ薬剤師指導料の算定状況ということで、届出をしている薬局数で見ますと、実際は5万9000の薬局のうち、算定薬局数が2万4000ぐらいはございますので、半分ぐらいは、そういったかかりつけ薬剤師指導料の算定要件を満たし、届出がされていることになります。
かかりつけ薬剤師指導料も、全ての薬剤師が算定できるわけではなくて、実際には、56コマ目に要件がございますけれども、保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があるとか、当該薬局において、1年以上在籍している薬剤師であるとか、適切な研修認定制度等を利用していることとか、そういった一定の資質を満たした方が算定するという形になってございます。
染谷委員からも御指摘がありましたとおり、算定するに当たっては、かかりつけ薬剤師というものがどういう役割を果たすのか。例えばお薬の整理をするとか、いつでも薬の相談に乗りますとか、そういうことも御説明して、さらに患者さんからも、どういうことについて、薬剤師に相談したいとか、お願いしたいということも確認した上で、同意書に署名していただいた上で算定するという形で、かなり厳格になっているところもございます。診療報酬上の算定要件ですので、そこはしっかり厳格にはなっておりますけれども、ただ、地域住民に対して、さまざまな健康相談も含めて相談に乗っている薬剤師さんというのは、中には当然いらっしゃいますし、その場合に算定要件や患者さんとの関係の中で、算定をしていないということも多々あろうかと思います。
少なくとも診療報酬上は、しっかりと要件を定めてやっています。ただ、おっしゃるとおり、患者さんや来局者の理解を得る形で、しかも、期待に応えられるようなサービスをしっかりと提供できるような、そういった薬剤師、薬局を増やしていかなければいけないというのは、そのとおりだと思っております。
○田辺会長
染谷委員、どうぞ。
○染谷委員
国民は、十分にこの制度のメリット、デメリットを理解しているところまでいっていないのではないかと思います。例えばかかりつけ薬剤師になっていただいても、その方の異動があったり、あるいは産休に入ったりしたら、かかりつけ薬剤師ではなくなるわけです。そういうようなことも含めて、国民一人一人が病院を受診して細かなお薬をいただく、一人一人がメリットやデメリット、この薬に対してさまざまな、同じ錠剤でも、もらう場所が違ったら、金額も違ってしまうという実態について、知らされていないし、賢く使おうと思う人は、できるだけ安くお薬を手に入れたいと思うでしょうし、こういった啓蒙というところにも、力を入れていただきたいと思います。
○田辺会長
有澤委員、どうぞ。
○有澤委員
ありがとうございます。
かかりつけ薬剤師については、利用者目線からすれば、確かに値段は安いほうがそれにこしたことはないと思います。ただ、それは単に今の薬局ビジョンの中で、薬剤師が対人業務にシフトしていくという中で、当然かかりつけ薬剤師の同意に関しては、初めて来た人でもらうわけではなくて、何回かのおつき合いの中で、かつ転勤とか、そういうさまざまな事象があるけれども、当然そういうことが起きれば、かわりに引き継ぐ人をしっかりと紹介していく、そういったきめ細やかな対応ができるという人が、あえて利用者の方から選んでいただけると認識しています。
そういう点では、きめ細やかに、何回かの来局時に信頼してもらえる環境を作った上でのものだということなので、それは値段のことも含めて、当然お話をして、理解していただいた上で、署名をいただいて、最終的にかかりつけ薬剤師になります。
ただ、算定の如何は問わず、普段のおつき合いの中で、かかりつけ薬剤師機能をしっかりと提供していくことは、今、実践させているところでありますし、これからこれを広げていった上で、当然、算定要件まで達することがベストだろうと考えてはいます。
○田辺会長
染谷委員、お願いいたします。
○染谷委員
私も制度としてはすばらしい制度だと思っているのです。ただ、現場では、普通は内科の先生にかかると、そのお医者さんを出たところに薬局があって、そこでお医者さんで処方されたものは、その薬局で薬をもらい、また、皮膚科に行くと、皮膚科の前にも薬局があって、そこで薬をもらっているということが現状なのです。
かかりつけ医というのは、自分の住んでいるところの身近なところや、自分が行きやすいところで、どこの病院にかかっても、そこで処方をいただくから、いろいろな意味で薬が重複していないかとか、出る薬の中身などを薬剤師さんが見てくださって、必要なら医師に連絡をしていただけるという制度だと思っているのですが、薬局の配置といいますか、いわゆる各医院の前に薬局があるような現実がたくさんあると、かかりつけ薬局と決めていくこと自体が難しいような気がするのですが、そこはどんなふうにお考えですか。
○田辺会長
有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
薬局があるわけですから、例えば内科の隣にあって、皮膚科であっても、内科さんの薬局が気に入れば、皮膚科の処方箋もあわせてそこを使う、薬局がその地域に1件しかないというと、話は別ですが、少なくとも選択ができる余地の中で、隣にある薬局だろうが、その隣にある薬局を1本に一元化をして利用していくことも使っていただければ、それで十分だと思っています。
○田辺会長
ほかにいかがでございましょうか。間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
ありがとうございます。
重複投薬も、ポリファーマシーの件も、情報の管理なのではないかと思うのです。その中で、お薬手帳の活用ということを言われていますけれども、お薬手帳は、薬だけの情報があるのみで、しかも、活用という意味では、49ページで見るように、薬局では見せるけれども、医療機関では見せないことが多いわけで、それだと活用しているとは言えないわけで、先ほど来、お薬手帳の見直しも必要なのではないかというお話もありましたけれども、私自身のことで言えば、お薬手帳自体は持っていなくて、ノートを利用していて、そこに受け取ったシールなどを張りますし、検査結果などもそこに全部張って、お医者さんとディスカッションしたことについても、そこに記入していくということをやっていけば、お薬手帳という性格のものではなくて、診療ノートみたいな形で、自分の診療に関する全てのデータ、全部とは言いませんけれども、ほとんどのデータがそこに記録されるわけです。それを受診時にそのままお医者さんに渡すと、それを見て、検査の結果とか、そういったものも見ていただけますし、ほかの病院でこういう薬が処方されていることも確認していただけるわけです。
そういう意味では、お薬手帳の今の記載だけでは不十分だと思いますので、医療機関からのデータで、先ほどのポリファーマシーに関しても、退院時の情報は、もちろん膨大なデータを全部載せるのは、余りよろしくはないかもしれませんけれども、ポリファーマシーの件で言えば、この薬を減薬しましたとだけの情報であれば、それは載せられるわけで、そういう情報を診療ノートみたいなものに記載しておくことが大事なのではないかと思いますので、お薬手帳の利活用は、もっと広い視点で考えていく必要があると思います。
以上です。
○田辺会長
ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。御参集をどうもありがとうございました。
 
 
 

 
 


 
 

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保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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