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2019年7月24日 中央社会保険医療協議会 総会 第420回議事録

○日時

令和元年7月24日(水)11:33~12:11

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)
 

○出席者

田辺国昭会長 秋山美紀委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 林正純委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 横地常広専門委員
保険医療材料等専門組織小澤委員長
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器の保険適用について
○先進医療会議からの報告について
○これまでの議論について


 
○田辺会長
 ただいまより、第420回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、染谷委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
 それでは、議事に入らせていただきます。
 初めに、「医療機器の保険適用について」を議題といたします。
 本日は、保険医療材料等専門組織の小澤委員長にお越しいただいております。小澤委員長より御説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○小澤委員長
 小澤でございます。
 それでは、説明いたします。
 中医協総-1の資料をごらんください。今回の医療機器の保険適用は、C1が1製品1区分、C2が2製品4区分です。
 2ページ目をごらんください。製品名は、脳血栓吸引カテーテルでございます。
 4ページ目の製品概要をごらんください。本品は、急性期脳梗塞において、組織プラスミノーゲンアクチベーターの頸静脈投与が適用外、またはt-PAの頸静脈投与により血流再開が得られなかった患者を対象とし、血流の再開通を図るために使用する製品です。
 2ページ目にお戻りください。価格につきましては、原価計算方式で評価いたしました。
 3ページ目の4つ目の○の部分に営業利益率の調整についての説明を記載しております。既収載品に比べ、患者にとって低侵襲治療の推進や合併症発症が著しく減少するものと評価できるため、プラス10%の調整とすることが妥当と保材専として判断いたしました。また、迅速な保険導入の評価の対象であることから、償還価格の5%を2年間に限り加算といたしました。この結果、最終的な価格を28万1000円といたしました。外国平均価格との比は0.82です。
 続きまして、5ページ目をごらんください。製品名は、WATCHMAN左心耳閉鎖システムでございます。
 8ページ目の製品概要をごらんください。本品は、被弁膜症性心房細動患者のうち、CHADS2またはCHA2DS2-VAScスコアに基づく脳卒中及び全身性塞栓症のリスクが高く、抗凝固療法が推奨されること、短期的にはワルファリン投与が適応可能と事前に医師により判断されていること、抗凝固療法を長期間実施できない医学的に妥当な理由を有することの全てに該当する、左心耳に起因する血栓塞栓症のリスクを軽減する目的で使用する製品でございます。
 5ページ目にお戻りください。価格につきましては原価計算方式で評価いたしました。この結果、最終的な価格を147万円といたしました。外国平均価格との比は0.89です。
 続きまして、9ページ目をごらんください。製品名は、NeuRx横隔膜ペーシングシステムです。
 14ページ目の製品概要をごらんください。本品は、横隔神経の電気刺激により横隔膜収縮が可能な、人工呼吸器に依存する脊髄腫瘍、中枢性低換気症候群の疾患の患者に対する呼吸補助を行うために使用する製品です。
 9ページにお戻りください。
 価格につきましては、類似機能区分比較方式で評価いたしました。この結果、最終的な価格を体外式パルス発生器60万6000円、患者ケーブル4400円、電極(埋込用キットを含む)124万円といたしました。外国平均価格との比は、体外式パルス発生器0.82、患者ケーブル0.54、電極(埋込用キットを含む)0.90でございます。
 また、本品のその他の構成品につきましては、特定保険医療材料としては算定せず、新規技術料で評価することが妥当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はございません。
 今回御説明いたします内容は以上でございます。
○田辺会長
 どうもありがとうございました。
 事務局から補足があればお願いいたします。よろしいですか。
○岡田医療技術評価推進室長
 特段ございません。
○田辺会長
 それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。
 では、御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
 ありがとうございました。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
 続きまして、「先進医療会議からの報告について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○岡田医療技術評価推進室長
 それでは、中医協総-2に基づきまして、御報告を申し上げます。
 今回御報告する内容ですが、第73回「先進医療会議」で承認されました先進医療Bの案件1件でございます。
 まずは、総-2の1ページ目をごらんください。
 今回承認されました先進医療Bの技術は、整理番号130番、自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法で、本技術に係る費用は表に記載のとおりでございまして、先進医療会議での総評は「適」でございました。
 技術の説明をさせていただきます。
 技術の概要は6ページ目をごらんください。本技術は、対象疾患でございます維持透析中の疼痛、潰瘍を伴う重症虚血を呈する下肢閉塞性動脈硬化症の患者に対して、G-CSF製剤による前処置を行った後、アフェレシスを行い、末梢血単核球を採取いたします。その後、磁気細胞分離装置を用いてCD34陽性細胞を分離し、濃度調整を行った後、下肢の筋肉内に投与し、下肢血管の再生を図るという技術でございます。
 ロードマップにつきまして、次の7ページをごらんください。本技術は、磁気細胞分離装置(CliniMACS)の薬事承認を目指して行うものでございまして、今回の先進医療で安全性、有効性が確認できれば、医師主導治験を行う予定となっております。なお、こちらの機器は先駆け審査指定を受け、既に難治性骨折に対する末梢血CD34陽性細胞移植による骨血管再生療法の医師主導治験が行われておりまして、こちらの状況も踏まえて薬事戦略を進めていくとのことでございます。
 説明は以上でございます。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますかでしょうか。
 では、御質問等もないようですので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
 続いて、「これまでの議論について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
 では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
 資料、総-3に従いまして、御説明をさせていただきます。
 資料の3といたしまして、「令和2年度診療報酬改定に向けた議論(1ラウンド)の概要」としてまとめさせていただいております。1は「1ラウンドでの議論の経過等について」、2は「検討を行った主なテーマについて」を整理して、そこに記載をさせていただいております。
 3ページ目から「各テーマにおける論点・課題と主な意見」としてまとめをさせていただいております。そこにありますように、年代別の課題の整理におきましては、3つまとめておりまして、1つは、発達障害児・者や慢性的な疾患を抱える子供など、学齢期以降も継続的にケアが必要な患者への対応が必要ではないか。2つ目、働く世代は生活習慣病への対策も重要であるが、女性に多く見られる疾患など、生活習慣病以外への対応や、働きながら治療ができるようにすることも重要であり、さらなる取り組みが必要ではないか。3つ目、高齢者への対応は、市町村の取り組み、保険者の取り組み、かかりつけ医の役割等を整理しながら議論を進めることが必要ではないかといった議論を行いまして、これらの課題については、以降の各テーマの議論に反映し、検討を進めたと整理をさせていただきました。
 また、各テーマにつきまして、それぞれ論点、主な意見、現状と課題というパーツに分けて整理をさせていただいております。
 本日、時間に限りもありますので、主な意見のところをかいつまんで御説明をさせていただきます。
 まず「(1)患者・国民に身近な医療の在り方について」ということについての主な意見でございますが、選定療養費の徴収が可能となっています200床から399床の地域医療支援病院につきまして、既に90%強が徴収を行っているということ。それから、地域における医療アクセスを阻害しないよう留意が必要ではあるけれども、定額負担を責務とすることについて検討する必要があるのではないかという御意見。
 また、患者に特別な事情がない限り、かかりつけ医に行くという意識を持ってもらうため、定額負担の対象病院をさらに拡大することについて検討する必要があるのではないかという御意見をいただきました。
 続きまして、ページをめくりまして「かかりつけ医機能等の在り方について」というところでございます。
 「2-1 かかりつけ医機能について」の主な意見でございますが、かかりつけ医の機能を充実していくことは重要であり、しっかりと国民の意見を得ることが必要である。
 また、かかりつけに対する患者側の意識というのは、まだまだ熟成されていないのではないかという御意見をいただいております。
 4つ目、かかりつけ医機能のあり方については、医師と患者の信頼関係、患者の病歴や健康状態の把握等は特に必要な要素ではないか。これは、薬剤師、歯科医師のかかりつけ医機能についても同様と考えるということでございます。
 5つ目、患者の受療行動を診療報酬上の対応により変えていくことが重要であり、患者をかかりつけ医へと誘導するための評価のあり方について検討する必要があるのではないか。
 かかりつけ医機能を評価する機能強化加算については、算定状況のデータを示していただきながら、有効に機能しているかどうかも含めて検討する必要があるのではないか。
 機能強化加算は何でも相談でき、身近で頼りになる医療機関の体制を評価する点数であり、一定以上の技術を提供する体制をとっている医師であることを明示できるような何らかの仕組みが必要ではないか。
 続きまして、全ての診療所がかかりつけ医機能を持つのは現実的に難しいけれども、在宅医療を含む地域医療への貢献が基本と考える。
 最後でございますが、複数の医療機関を受診する場合のポリファーマシーが問題であり、かかりつけ医が一元的に服薬状況を管理できることが望ましいという御意見をいただいております。
 続きまして、「かかりつけ歯科医機能について」でございます。
 めくりまして、6ページ目の最初からでございますが、主な意見として3つ挙げております。口腔疾患の重症化予防等の継続的管理を含む、かかりつけ歯科医機能を果たしていくことが、患者・国民の健康維持につながると考える。
 かかりつけ歯科医機能強化型診療所について、改定の影響を把握した上で必要に応じて検討する必要があるのではないか。
 また、院内感染防止対策については、そのあり方について、引き続き検討する必要があるのではないかということでございます。
 続きまして、「かかりつけ薬剤師・薬局機能について」でございます。
 病院に就職する薬剤師が少なくなっている。医療機関での薬剤師業務を評価することについて検討する必要があるのではないか。
 2つ目です。地域に貢献している薬局と調剤に偏重する薬局との間において、診療報酬上の差別化をさらに進めることについて検討する必要があるのではないか。
 3つ目です。調剤基本料1以外を算定する薬局に患者がお薬手帳を持参した場合、患者の支払い額が安くならない点は見直す必要があるのではないかという御意見をいただいております。
 続きまして「3 患者にとって必要な情報提供や相談支援の在り方について」でございます。
 「3-1 患者への情報提供について」いただきました主な意見をまとめております。
 かかりつけ機能を持った医師、歯科医師、薬剤師が患者の身近にいて相談できることが重要である。
 医療機関の担う機能について、わかりやすく情報提供できるようにしていく必要があるのではないか。
 さまざまな情報提供の内容、やり方があるので、情報提供と一くくりにせず、それぞれにかかる負担等をしっかり考える必要がある。
 明細書の機能の更なる周知や100%自己負担がない患者にも明細書を発行する必要があるのではないかという御意見をいただいております。
 続きまして「患者相談・支援について」というところでございます。
 主な意見を6ついただいております。通院治療で対応できる疾患の患者がふえており、外来における病気・治療に関する相談対応や、在宅における療養支援の重要性が増してきている。
 治療と仕事の両立支援については、特に産業医のいない50人未満の事業所に勤務する方々へのサポートをしっかりやることが重要であり、対象疾患を広げたり、算定要件を見直しする必要があるのではないか。
 次に、入退院支援の強化は、さらに進めていくべきであり、介護との連携を含め、相談支援体制が重要ではないか。
 続きまして、生活習慣病については、特に切れ目のない支援や他制度との連携を検討する必要があるのではないかという御意見があります。
 NICUの退院支援につきましては、人員配置のみならず退院支援の質の観点からも検討する必要があるのではないか。
 妊娠と薬情報センターのような施設は現場にとって心強く、薬局での相談を受けた場合、同センターとの連携にも取り組むことが必要ではないかという御意見をいただいております。
 続きまして「安全・安心な医療の提供について」ということでございます。
 主な意見といたしまして、医療安全対策については、診療報酬における医療安全対策加算の見直しなどのこれまでの取り組みを踏まえつつ、必要な対応について検討することが必要ではないかという御意見でございます。
 続きまして「働き方改革と医療の在り方について」ということでございます。
 「1 働き方改革に資する取組」でございます。これにつきましては「医療機関内での取組」ということで、主な意見、数多くありましたので、小見出しをつけて整理をさせていただいております。
 主な意見のところを見ていただきますと、まず「マネジメントについて」。
 これにつきましては、医療機関におけるマネジメントに対する取り組みなど、やるべきことはやるという前提で、その取り組みに資する診療報酬のあり方について検討する必要があるのではないか。
 続きまして「働き方改革に伴うコストについて」という整理でございます。
 まず、働き方改革により医療従事者の勤務体系が変わり、人件費等の増加が見込まれるため、入院基本料のあり方を検討する必要があるのではないか。
 入院基本料の議論を行う前に、非効率な医療がないか検証する必要があるのではないか。
 医師の働き方改革に取り組むことは、医療を受ける患者・国民の医療安全に資するものであり、それを支えるために一定財源が必要である。
 医師の働き方改革に伴って追加的に生じるコストを患者が負担することについては非常に違和感を覚える。
 大病院の負担軽減を図るべく患者の受療行動を変えるために、診療報酬上における方策を考える必要があるのではないかという御意見をいただいています。
 続きまして「歯科医師、薬剤師、看護師の働き方改革について」でございます。
 歯科医師についても、実態を把握した上で対応をとる必要があるのではないか。日本は世界一薬剤師を養成しているにもかかわらず病棟では薬剤師が不足しているのは構造的な問題が考えられるのではないか。最大の要因は給与差と考えている。
 医療経済実態調査の結果によれば、医療機関の薬剤師の平均給与は薬局の管理薬剤師でない一般の薬剤師よりも高く、給与面だけの問題ではないのではないか。
 病棟薬剤師の役割は大きいが中小病院では薬剤師が不足している。病棟薬剤師の評価や配置要件について検討する必要があるのではないか。
 看護職員の仕事に対する多様性を受け入れる環境をつくるためには、現在の月平均夜勤時間72時間要件や2人夜勤体制について、働き方改革の観点から柔軟なやり方を検討する必要があるのではないか。
 患者への安全な医療を提供しつつ、働き方改革の推進・看護職員の健康管理を適切に行う観点から、月平均夜勤72時間要件については、継続していく必要があるのではないかと御意見をいただいています。
 続きまして「業務の効率化やタスク・シフティング等について」ということで整理をさせていただきました。
 薬局から医療機関への問い合わせについて、あらかじめ対応方針を合意している簡素なものに対しては省力化し、負担軽減を図っていく必要があるのではないか。
 看護職員へのタスク・シフティングについて、特定行為研修の修了看護師は増加しているが、必ずしも現場で活用されていない。大学病院等において一般の看護職員が実施可能な静脈注射や採血をしていないというデータもあり、それらの対応について検討する必要があるのではないか。
 続きまして、診療以外の業務負担や事務作業について、ICTも活用しながら、さらなる効率化と合理化について検討する必要があるのではないか。
 医師事務作業補助体制加算について、中小規模の病院が施設基準を満たしにくいという状況について検討する必要があるのではないか。
 地方において、民間の中小病院が医療提供体制を支えており、実情に即した形の評価ができるのかという視点で検討することも必要なのではないか。
 続きまして「人員等の配置にかかる要件の見直しについて」でございます。
 専従の配置要件については、医療提供の質の確保に配慮しつつ、より弾力的な運用が可能となるような見直しについて検討する必要があるのではないか。
 人員配置の合理化については、質の確保を前提として、一つずつ慎重に議論を行う必要があるのではないか。労働条件の悪化につながるような緩和は慎重に検討する必要があるのではないかという御意見をいただいています。
 続きまして、働き方改革のうち「地域全体の取組み(救急・小児科・産科領域における取組)」についてでございます。主な意見としていただいているものを御紹介します。
 主な意見、十分な人員を配置できないものの救急医療を提供する体制を確保している医療機関に対する評価について検討する必要があるのではないか。
 地域の医療提供体制の効率化もあわせて進めていかなければ、地域医療が崩壊しかねない。
 ハイリスク妊産婦指導料の対象については、現行、精神疾患の患者に限られているけれども、妊娠合併症の有病率が高い妊婦の糖尿病についても対象として検討する必要があるのではないか。
 続きまして、産前から育児期まで切れ目なく支援を継続するためにも、産科外来への助産師の配置が有効ではないか。
 訪問看護については、小児や重症者への対応力が高い訪問看護が十分に地域提供されることが重要ではないか。
 続きまして、産科の関係で、院内助産の実施については地域差が大きいことから、その要因を明確にし、助産師の供給の面からも検討する必要があるのではないかという御意見をいただいているところでございます。
 続きまして、「(3)科学的な根拠に基づく医療技術の評価の在り方について」ということでございます。
 主な意見は、平成30年度診療報酬改定の方針にも沿ったものであり、方向性は妥当と考える。一方で、保険適用後に有効性等の新たなエビデンスが確認できるようなことがあれば、再評価していくことも重要ではないかという御意見をいただいています。
 続きまして「既に保険収載している技術の評価の在り方について」ということでございます。
 主な意見として、まず、既存技術の再評価についてでございますが、中立的な立場から行われた専門的な評価を活用するに当たり、評価機関を明確にしておく必要があるのではないか。再評価の透明性が担保されることが必要であり、公的な特定評価機関の設置など、体制整備として早急に検討する必要があるのではないか。
 費用対効果評価制度における公的分析班の枠組みの活用など、現状の限られた人材の中で、効率的に実効性を上げる体制整備が必要ではないか。
 「指針、ガイドラインについて」ですが、各学会のガイドラインの見直し状況など、状況把握やその体制整備が必要ではないか。
 「新たな知見の蓄積や検査法の普及について」ということですが、新たな知見の収集に伴い、臨床上の位置づけが変化した技術の評価を見直すということは当然である。臨床で実施されていない医療技術や検査を保険適用外とする方向で検討することは妥当ではないか。
 項目の見直しに当たっては、医療現場に混乱が生じないような配慮が必要ではないかという御意見をいただいております。
 続きまして「良質なエビデンスを創出するための環境整備の在り方」ということについてでございます。
 主な意見として、保険収載後の実臨床で得られたデータを活用してエビデンスを構築するといった取り組みは非常に重要である。
 先進的な医療技術については、レジストリを要件とするなどの対応はふさわしいものではないか。
 レジストリの分析評価を行う際に公的機関を設置するのであれば、利益相反に関して厳格な体制が必要ではないかという御意見をいただいております。
 続きまして「(4)医療におけるICTの利活用について」でございます。主な意見といたしまして、いただいているものを簡単に御紹介いたします。
 患者が気兼ねなく対面診療を受けられる環境づくりが大事。医療にどうしてもアクセスできない場合に、オンライン診療が活用されるのであって、利便性のみに着目した議論には慎重であるべきではないか。
 オンライン診療が対面と同等であるかどうかのエビデンスが必要である。有効性、安全性について、各診療領域の専門家からエビデンスを出していただき、それを踏まえて検討を進める必要があるのではないか。
 オンライン診療は前回改定時に相当厳格な要件のもとで導入されたため、ほとんど算定されていない状況にある。安全性に支障がない範囲で緩和できる要件は緩和する方向で検討する必要があるのではないか。オンライン診療の実績がある医療機関においても、オンライン診療に対する需要がないため算定数が少ないものとなっているのではないか。
 働く世代の治療の脱落防止など、仕事と治療の両立のためにオンライン診療の要件を適切なものに見直す方向で検討する必要があるのではないか。
 オンライン服薬指導について。オンライン診療と同様に、対面服薬指導の補完であるため、薬局の遍在対策や在宅服薬指導などに取り組むことが先ではないか。
 薬機法改正の動向を踏まえつつ推進していく必要があるのではないか。
 重篤な副作用が懸念されるハイリスク薬などについては、直接、医師や薬剤師がかかわるべき。依存性や習慣性のある医薬品も服薬管理や服薬指導を慎重に行う必要がある。対象とする医薬品は、種類の限定も含めて必要最小限に限定する方向で検討する必要があるのではないか。
 続きまして「情報共有・連携について」でございます。
 主な意見としていただいているものは、まず、ICTによる情報連携は推進すべきであるが、診療報酬ではコストを負担するのではなく、活用の妨げとなるような要件の見直しを検討する必要があるのではないか。
 電子版お薬手帳は紙と異なりコピーがとれないなど、医療機関では使いづらい面もある。スマートフォンにロックがかかっているため、救急医療の現場では、家族や救急隊が確認できないという欠点もあり、改善を促す必要があるのではないかという意見をいただいております。
 続きまして「(5)医薬品・医療機器の効率的かつ有効・安全な使用等について」ということです。
 まず「医薬品について」でございます。これもたくさんいただいておりますので、小見出しをつけて整理をさせていただいております。
 まず「重複投薬、ポリファーマシー、残薬への対応」というところでございます。高齢化に伴い、処方薬の種類数が増加するのは自然であり、また、かかりつけ医が他院の処方を引き継いだ場合でもその種類が増加する。処方箋1枚当たりの医薬品の種類数に着目した減算は、見直す必要があるのではないか。
 外来時におけるポリファーマシーについては、かかりつけ医や薬局との連携が重要である。
 外来時におけるポリファーマシーへの対策として、薬局が一元管理している服薬情報を医療機関に提供することが処方内容の見直しのきっかけにつながるのではないか。
 入院時におけるポリファーマシーへの取り組みとして、多職種が時間をかけて対応しているが、中でも病院薬剤師の役割は重要である。
 また、処方箋1枚当たりの種類薬の制限や2剤の減薬はポリファーマシーの根本的な解決になっていない。多職種連携による定期的な処方内容の確認といった服薬管理の推進について検討する必要があるのではないかという御意見をいただいています。
 続きまして「後発医薬品の使用促進」についてでございます。
 薬局では後発医薬品の使用割合が少ない場合の減算を導入している。医療機関における後発医薬品の使用割合の分布を分析して、後発医薬品の使用割合が低い場合の減算措置を検討する必要があるのではないか。
 医療機関においても、後発医薬品やバイオ医薬品の使用促進については理解し、協力しているが、適切な診断のもとで、一定程度の後発医薬品への変更不可が残る可能性があることにも理解が必要ではないか。
 続きまして「長期処方時の適正使用、向精神薬の長期処方への対応等」でございます。
 長期処方の取り扱いの明確化が平成28年度改定で行われており、その実効性が伴うように施策を講じるべきではないか。
 向精神薬の適正処方の推進に係る取り組みについては、さらに検討する必要があるのではないか。
 分割調剤の普及が進んでいない。制度が複雑であるため活用しやすい仕組みを検討する必要があるのではないか。
 「フォーミュラリーの現状」についてでございます。
 効能効果が同じであれば後発医薬品を第一選択薬にすることだけでもフォーミュラリーとなり得る。後発医薬品の推進の観点からも進めていくべきと考える。
 フォーミュラリーの取り組み自体は評価するが、診療報酬上で評価する性質のものではないと考える。
 関係学会に対してフォーミュラリーを加味した診療ガイドラインの作成を促す等の環境整備を進めていく必要があるのではないかという御意見をいただいておるところでございます。
 続きまして、「医療機器について」でございます。
 医療機器についての主な意見ということですが、かかりつけ医機能を有する医療機関にCTなどの機器が配置されることで、早期発見に寄与し、大病院での侵襲性の高い検査を減らしていると考えられる。
 日本は検査コストが低く、費用対効果はよいのではないか。
 CT/MRIの検査数がゼロの医療機関に関しては、理由を把握すべき。それから、機器の販売実態を確認する必要があるのではないか。
 高機能の医療機器に高い診療報酬をつけているのは、むしろ高額な医療機器の購入を促すことにつながっているのではないか。
 共同利用についてですが、重粒子線などの特に高額な医療機器に絞って検討する必要があるのではないか。
 共同利用する場合としない場合のめり張りをつけて充実と適正化を図る方向で検討する必要があるのではないかという御意見をいただいております。
 続きまして「ガイドラインに基づく画像検査の利用」でございますが、主な意見として、臨床上の必要性と検査の持つデメリットを考えながら、検討する必要があるのではないかという御意見をいただいています。
 次に「超音波検査の活用」についてでございます。
 主な意見として、国民に必要な医療が提供されないことがないように留意しながら検討する必要があるのではないか。
 在宅医療の場面などで簡便に行われている検査と、病院の中において精査されている場合とでは、区別した評価とする検討が必要ではないかという御意見をいただいております。
 「(6)地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方について」でございます。
 まず「地域の状況を踏まえた入院医療の在り方について」というところでございます。
 主な意見として4つそこに挙げております。
 地域によって人口変動や医療提供体制がさまざまであることから、診療報酬は地域医療構想に寄り添う範囲での対応にとどめる必要があるのではないか。
 診療報酬は地域医療構想に寄り添い、後押ししていく観点から議論していく必要があるのではないか。
 入院医療の評価体系については、平成30年度診療報酬改定での見直しの検証を最優先に実施し、今後の対応を検討する必要がある。
 病床数が要件に入っている診療報酬の項目については、地域によっては病床数に関係なく役割を果たしている医療機関があることに留意が必要であるという御意見をいただいております。
 続きまして「地域における情報共有・連携について」でございます。
 主な意見ということでございます。
 医療的ケア児への対応として、主治医から学校への情報提供の視点が欠けているため、充実させていく必要があるのではないか。
 平成30年度の改定で新設された訪問看護における学校への情報提供の評価について、入学または転学時と限定されているため、医療的ケア児の状態や変化に応じて必要な情報提供による学校との連携の強化がなされるよう見直しを検討する必要があるのではないかという御意見をいただいているところでございます。
 続きまして「医療資源の少ない地域等における医療提供体制について」でございます。
 主な意見として4つ挙げております。
 医療資源が少ない地域については、要件を緩和している診療報酬の算定状況が低調であることについて、さらなる分析が必要である。ICTの利活用について検討する必要があるのではないか。
 歯科医療提供は地域においても重要であり、訪問診療などの地域の歯科医療ニーズや問題を把握した上で、診療報酬でどのような対応が可能かを検討する必要があるのではないか。
 薬局の地域での偏在の是正が必要ではないか。
 在宅医療を考えた場合、無薬局の町村数を減少させていくことが重要ではないかという御意見をいただいております。
 続きまして「介護・障害者福祉サービス等と医療との連携の在り方について」でございます。
 まず「地域包括ケアシステムの構築に向けた介護サービスとの連携について」でございます。
 主な意見でございます。在宅医療・介護連携については、今後も進めていく必要がある。他の施策との関連性も踏まえて、検討する必要があるのではないか。
 続いて、在宅医療の推進については、改定における対応の検証を踏まえ、ICTの利活用を含め、検討する必要があるのではないか。
 続いて、改定における医療・介護連携の推進の取り組みをさらに強化する必要がある。療養病床などにおいて退院できる状況にある患者が退院できていない要因の分析と対策について検討する必要があるのではないか。
 訪問看護ステーションからの理学療法士等による訪問看護については、さきの改定において、看護師が定期的に訪問を行って計画の実施状況を見て評価することといった対応をしており、適正なサービスが提供されているかどうか等、引き続き実態の把握に努めながら検討する必要があるのではないか。
 訪問看護については、訪問看護ステーションの大規模化や病院からの訪問看護の推進、医療機関との連携強化について考えていく必要があるのではないか。
 訪問看護については、過剰な提供となっていないか、提供されるサービスにばらつきがないかどうかといったさまざまな論点を踏まえ、重点化・適正化の観点から、引き続き検討する必要がある。
 小児の訪問看護利用者は、近年増加傾向が著しいことから、前回改定の検証をしっかり行い、必要な対応は次回改定においても検討する必要があるのではないかといった御意見をいただいておるところでございます。
 続きまして「精神疾患に係る施策・サービス等との連携について」というところでございます。
 主な意見ということで、精神疾患については、地域の基盤整備の進捗状況やサービスの利活用状況を把握した上で、関係機関の取り組みを踏まえた診療報酬上の対応について検討する必要があるのではないか。
 退院後における障害福祉サービスとの連携がとれるよう、切れ目のない入退院支援のさらなる促進・充実を図る必要があるのではないか。
 依存症については、ギャンブル等依存症など、診断を含めた適切な医療の提供について、その効果等のエビデンスの構築がなされた上で、診療報酬上において評価すべきかどうかについて慎重に検討する必要があるのではないか。
 続きまして、「障害児・者に係る施策・サービスとの連携について」というところでございます。2ついただいております。
 発達障害を含めた障害児・者への対応については、一人一人の対応に要する労力等を踏まえた十分な診療報酬上の手当てができているかどうかを含め、現場の状況把握と課題抽出を進め、対応について検討することが必要ではないか。
 医療機関と事業者の医療機関以外の者が有機的に連携し、適切な医療が行われるよう検討することが必要ではないか。
 続きまして「(8)診療報酬に係る事務の効率化・合理化及び診療報酬の情報の利活用等を見据えた対応」についてでございます。
 主な意見でございます。効率化・合理化をさらに進める必要があるのではないか。
 届け出不要な書類についても、適時調査の際に提出を求められることがある。
 実質的に簡素化されるよう見直す必要があるのではないか。
 レセプトに郵便番号を入れることについては、保険医療機関においても患者から聞き取りをすることによるトラブルの懸念や事務負担が生じること、システム上の負担も生じることから、被保険者証から転記することが基本ではないか。
 被保険者証に郵便番号を印字する場合、被保険者証の再発行など膨大なコストが発生することから、費用対効果を勘案する必要があるのではないか。
 レセプトに郵便番号を入れること自体は反対するものではないが、保険医療機関及び保険者の負担を考慮し、マイナンバーカードを有効活用する必要があるのではないかという御意見をいただいております。
 「(9)その他」でございますけれども、その他としては妊婦加算について2つ御意見を載せさせていただいています。
 妊婦加算の取り扱いだけではなくて、妊産婦に対してどのような診療体制を構築するのかという点も含めた全体的な議論を行うことが必要ではないか。
 妊産婦の方が納得して対価を支払う仕組みはもちろん、産婦人科以外に受診したときの情報連携が非常に重要ではないかという御意見をいただいておるということでございます。
 このような形で、主な意見として取りまとめの案を作成させていただきました。
 以上です。
○田辺会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。
 では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 21ページのフォーミュラリーの最後の○は以前私が発言した内容で、診療報酬上で評価する性質のものではないと発言したのですが、これはフォーミュラリー自体を診療報酬で評価して促進を誘導するという性質のものではないという意味で、院内や地域でのフォーミュラリーを着実に推進していくためには、例えば何らかの算定要件にフォーミュラリーの策定を盛り込むというような診療報酬上の対応は必要と考えていますので、補足させていただきます。
 以上です。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
 本日の議題は以上でございます。
 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうも御参集ありがとうございました。
 
 
 


 
 

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