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2019年6月12日 中央社会保険医療協議会 総会 第416回議事録

○日時

令和元年6月12日(水)10:05~12:18

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター新館ホール11D(11階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 横地常広専門委員
 
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○科学的な根拠に基づく医療技術の評価の在り方について
○医療におけるICTの利活用について
○診療報酬基本問題小委員会からの報告について
○妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会からの報告について
 

 

○田辺会長
ただいまより、第416回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、松原委員、染谷委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほう、お願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入らせていただきます。
初めに「科学的な根拠に基づく医療技術の評価の在り方について」を議題といたします。
事務局より、資料が提出されておりますので、事務局のほうより、御説明のほうをお願いいたします。
では、企画官、よろしくお願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、資料の総-1に基づきまして、御説明をさせていただきます。
「科学的な根拠に基づく医療技術の評価の在り方について」でございます。
本日の内容は2コマ目、大きく3つの観点について御協議をさせていただきたいと考えております。
それでは、1つ目「新たな技術を保険適用する際の評価の在り方」について、4コマ目でございます「現状・課題」。
革新的であるが非常に高額な医療技術の登場によりまして、我が国の医療保険財政への影響が懸念される一方、医療の質を向上させていく上で、医療のイノベーションを適切に評価する仕組みが求められております。
平成30年度診療報酬改定におきましては、ロボット支援下内視鏡手術や粒子線治療、こうした技術につきまして、既存の技術と同等程度の有効性及び安全性があるとされたものについて、診療報酬上は既存技術と同じ評価として保険適用を行ったところでございます。
そこで、課題でございますが、新たな技術を保険適用する際、その技術の有効性及び安全性が既存の技術と同等であった場合に、診療報酬上どのような評価とするのが適当かといった課題でございます。
次のスライド、5コマ目ですが、こちらは医療技術評価分科会での医療技術評価の方法について改めて御紹介したものでございます。
学会などから提出された医療技術に係る提案書に基づきまして、分科会において評価を行い、中医協に報告をさせていただく、こういった流れで評価をさせていただいております。
次のスライド「ロボット支援下内視鏡手術について」でございます。
6コマ目のスライドの下半分、下段でございますが、平成30年度診療報酬改定での対応を記載しております。
既存の腹腔鏡手術と同等程度の有効性、安全性があるとされたものについては、当該技術と同じ診療報酬点数で保険適用することといたしました。
次のスライド「粒子線治療について」でございますが、こちらにつきましても、30年度診療報酬改定での対応でございます。前立腺がんについては、既存の放射線治療と同等程度の有効性及び安全性を有すると評価されたため、当該技術と同じ診療報酬点数で保険適用することといたしました。
他方、切除非適応の骨軟部腫瘍でございますとか、頭頸部悪性腫瘍に対する粒子線治療につきましては、既存技術に対する優越性が示されたため、当該技術を上回る診療報酬点数で保険適用した。このような対応を行ったところでございます。
そこで8コマ目のスライドでございますが、論点、医療技術評価分科会において、既存の技術と同等程度の有効性及び安全性があるとされた医療技術について、平成30年度診療報酬改定の考え方と同様に、今後も診療報酬上においては同等の評価といたしまして、保険適用することについて、どう考えるかといった論点でございます。
続きまして「既に保険収載している技術の評価の在り方」についてでございます。
これについては、大きく3つの論点に分けて整理をしてまいりたいと思います。
10コマ目をごらんください。
まず「2-1 既存技術の再評価について」でございます。
先ほど御説明申し上げましたとおり、既存の技術と同程度の有効性及び安全性があるとされた技術については、診療報酬上、同等の評価といたしたところでございますが、関連学会などからは、こうした技術についての診療報酬上の評価を検討すべき、こういった意見はいただいているところでございます。
保険収載後に得られた新たなエビデンスに基づく再評価につきましては、既に医療技術評価分科会における既収載技術の再評価などにおきましても行っている仕組みが既にございます。
こうした既に保険収載されている医療技術について、保険収載後に有効性等のエビデンスが得られた場合に、再評価をどのように具体的に行っていくのかというのが課題でございます。
続きまして「2-2 指針、ガイドラインについて」の現状、課題でございますが、これまで、個々の医療技術の有効性や安全性を確保するため、関連学会などが定める指針やガイドラインなどを遵守することを診療報酬上規定してまいりました。
こうした指針やガイドラインにつきましては、新たな知見が得られた場合には、学会などにより必要な見直しが行われ、結果として、保険診療の質が確保されていると考えられておりますが、現状では、見直しの現状について十分把握できていない、こうしたことが課題でございます。
続きまして、次の11コマ目、3つ目の課題でございます。「2-3 新たな知見の蓄積や検査法の普及について」ということですが、医療技術の進歩や新たな知見の集積などによりまして、保険適用時とは異なる有効性、安全性の評価がなされ、診療における位置づけが変化しているような技術が存在しております。
例えば、検査につきましては、同一の測定項目に対して、さまざまな検査法があり、その精度によって検査結果に乖離がある場合もあります。また、臨床的有効性が変化した検査なども存在しております。
こうした医療技術や検査の診療報酬上の取り扱いが課題でございます。
そこで、それぞれの課題について具体例を含め、御紹介をさせていただきたいと思います。
まず、1つ目の課題につきましては、13コマ目からです。
こちらは、先ほども御紹介いたしました、医療技術評価分科会における評価の流れでございます。
また、14コマ目、こちらは、現在、ロボット支援手術などにつきまして、関連学会において行われているエビデンス集積のための取り組みの御紹介でございます。
一番下に並んでございますデータ集積などが行われている状況でございます。
また、15コマ目「平成30年度改定における新制度(チャレンジ申請)」。こちらも保険収載後に得られたエビデンスに対しての対応、評価という例でございます。
特定保険医療材料、デバイスですけれども、こちらは、長期に体内に埋植するものでございますとか、革新性の高い技術を伴うもの、こうしたものについては、保険収載の時点では評価を検証することが困難な場合がございます。
こうしたものについて、使用実績を踏まえて、保険収載後に、新規機能区分の該当性などについて、再度評価を行うことができる仕組み、こうした仕組みが平成30年度改定で新設をされたという御紹介でございます。
続きまして、次の16コマ目は「諸外国におけるエビデンスが必ずしも十分ではない高額医療技術等への対応」の御紹介でございます。
諸外国におきましても、高額な医療技術であって、有効性などのエビデンスが必ずしも十分ではないものについては、公的に償還した上で、エビデンスを収集し、一定期間後に再度評価をし直す、こういったシステムが導入されているという御紹介でございます。
続きまして、2つ目の課題「指針、ガイドラインについて」ということで御紹介します。
スライドの18コマ目をごらんください。
現在、診療報酬上の算定留意事項や施設基準などにおいて言及している主な指針やガイドラインをお示ししたものでございます。
このように、数多くの指針、ガイドラインに基づき、保険診療が実施されているという現状がございます。
続きまして、19コマ目から21コマ目、これは3つのコマで御紹介しておりますのは、国内における根拠に基づく医療、普及推進事業の御紹介でございます。
これは、学会などで作成された診療ガイドラインにつきまして、EBMの手法で作成されたかなど評価した上で、医療提供者や患者、国民に情報提供を行うものでございます。
これにより、良質な医療の提供体制の確保を狙いとしたものでございます。
続きまして、22コマ目からが3つ目の課題でございます。「新しい知見の蓄積や検査法の普及について」ということで、具体例を3つ御用意しております。
まず、1つ目が23コマ目、血清アルブミン測定についてでございます。
この血清アルブミン測定につきましては、スライドの上段にございますとおり、日本臨床検査医学会が本年4月25日に提言をされておりますが、BCP改良法、こちらをアルブミン測定法として採用すべきであると、こういった提言がございます。
それに対しまして、現在、診療報酬上は、アルブミン11点という点数でございますが、そちらに記載のとおり、BCG法もしくはBCP改良法、いずれで行った場合でも算定できるという取り扱いになっております。
また、血清アルブミンが低い場合については、BCG法はBCP改良法に比べて少し高い値が出ると、こういった特徴もございます。そのため、血清アルブミン値が乖離をしてしまい、医療機関がかわると測定値に継続性がなくなってしまう。こういった課題もございます。
続きまして、次の24コマ目でございます。
Bence Jones蛋白定性検査でございます。
こちらについては、多発性骨髄腫の診断などに用いられてきたものでございますが、定性検査というのは感度が低く、実際、現在は学会ガイドラインなどにもございますとおり、免疫電気泳動法が実際には行われていると、こういった現状がございます。
また、25コマ目、こちらは急性膵炎に対する持続血液浄化療法でございます。こちらは、診療ガイドラインでは推奨される病態を一定程度限定している。一方、診療報酬上は、特に病態を限定した要件にはなっていない。こうしたガイドラインとの乖離が少しあると、こういった実例でございます。
なお、26コマ目は「臨床上実施されていない技術や評価項目への対応について」ということで、過去3回の診療報酬改定の内容を御紹介したものでございます。
既に別の医療技術に置きかわり、臨床上実施されていない技術、また、医技評での検討や保険医療材料の改定にあわせまして削除を行う、それによって、結果として診療報酬点数の簡素化などが行われている項目がございます。
こうしたものも御参考にしながら、今後の検討を考えていきたいということであります。
まとめますと、次の27コマ目になります。
「既に保険収載している技術の評価の在り方」の課題2-1ですが、新たなエビデンスを医技評で評価するに当たり、必要に応じて中立的な立場から行われた専門的な評価を活用するなどの方策を検討してはどうかというのが1つ目でございます。
また、課題2-2、指針やガイドラインなどにつきましては、関連学会などの協力のもと、更新時期や新たな知見がきちんと反映されているのかなどの現状把握が必要ではないかといった論点でございます。
また、課題の2-3、既に保険収載されている医療技術については、医療の質の向上及び診療報酬点数表の簡素化などの観点から、新規技術の開発や新たな知見の集積などに伴い、評価を見直すことについてどう考えるか、こうした論点でございます。
続きまして、大きな3つ目の課題、論点でございます。「良質なエビデンスを創出するための環境整備の在り方」について、29コマ目をごらんください。
現状であります。近年、保険収載後の実臨床で得られたデータを活用し、エビデンスを構築していく、こうした仕組みがふえつつございます。
また、30年度診療報酬改定におきましては、ロボット支援下内視鏡手術並びに性別適合手術の保険収載に当たりまして、症例登録に参加するなどの要件を設けたところでございます。
課題ですが、先進的な医療技術の中には、収載時点では有効性に関するエビデンスが十分ではないために、保険収載時には、既存技術と同等程度として評価されるものもございます。その有効性を確認するということが非常に大きなテーマとなっておりますので、保険収載後にどのようにデータを集積し、エビデンスを構築することができるのか、こうした課題へも立ち向かわなければいけないといった趣旨でございます。
30コマ目であります。
これは、少し考え方を御紹介したものでありますが、実臨床で得られたデータ、すなわち知見などの枠組みではない、実際の医療現場で得られたデータの活用が求められており、こちらに記載のようなデータ収集の活用が、現在、国内でも進められているところでございます。
31コマ目は、先ほどと同様、学会の取り組みを御紹介したものでございます。
次の32コマ目、こちらも前回の診療報酬改定の御紹介ですが、性別適合手術を保険適用するに当たりまして、学会の規定するレジストリに登録する。こうしたことを規定しております。
次に33コマ目、ここからは国内のレジストリデータの疾病登録についての御紹介であります。
33コマ目にございますとおり、さまざまな学会が症例登録を進めているところであります。
次の34コマ目、こうした国内にございます、さまざま疾病登録レジストリをより利活用しやすくするように、また、そういった環境整備をすることによって、国内の臨床開発を目指していこう、こうした取り組みが、クリニカル・イノベーション・ネットワークという事業が推進されているという御紹介でございます。
また、35コマ目、こちらも国内で行われているデータベースの御紹介になります。
これは、PMDAを中心に行われておりまして、薬剤免疫学的手法の活用によりまして、医薬品等の安全対策の高度化など、このために大規模な医療情報の収集、解析を行うデータベースシステムMID-NETを構築し、平成30年度より本格的な運営が開始されたという内容でございます。
そこで論点でございます。36コマ目、先進的な医療技術であって、保険収載時にエビデンスが必ずしも十分でないとされるものについては、保険収載後にデータやエビデンスを集積し、その有効性、安全性を確認するため、レジストリへの登録を算定要件とするなどの対応を行うことについてどう考えるかということでございます。
最後、37コマ目からは、先進医療会議における検討内容についての御報告になります。
先進医療の見直しについてということで、あわせて御報告申し上げます。
38コマ目をごらんください。
先進医療においては、将来的な保険導入のための評価が行われております。
一方、国民の臨床研究に対する信頼の確保を図ることを通じて、その実施を推進し、もって保健衛生の向上に寄与することを目的といたしまして、平成30年4月より臨床研究法が施行されたところでございます。
この結果、現状どうなっているかと申しますと、先進医療Bとして申請される技術の多くが、臨床研究法に基づく認定臨床研究審査委員会でも審査されることになりまして、両委員会においての審査項目が重複していると、こういった指摘がございました。それに対する対応として、今回、見直しが議論されております。
39コマ目、40コマ目は、現在の御紹介でございまして、ポイントとしては、41コマ目をごらんください。
「先進医療B技術に係る審査項目の比較」でございます。
こちらの表、一番左側、認定臨床研究審査委員会(CRB)、こちらが臨床研究法に基づく審査委員会でございます。
その右側が先進医療技術審査部会、そして、先進医療会議ということで、右の2つが、いわゆる先進医療の審査を行っている部会並びに会議でございますが、ごらんいただきますと、CRBと先進医療技術審査部会の評価項目が幾分か重複している部分があるということであります。
そこをより簡素化をして、迅速に先進医療というものを、質を保ちながら評価をしていこうということで、42コマ目、こういった迅速化案が先進医療会議において議論をされております。
ごらんいただきますと、CRBを通った技術につきましては、先進医療会議、42コマ目の左側が現行、右側が迅速化の案でございますが、先進医療技術審査部会と先進医療会議を合同会議のような形で開催、さらには、CRBの資料も活用することによって迅速に評価ができないかと、こうした見直しでございます。
なお、とはいいましても、質を担保する必要があるということでありますので、43コマ目をごらんください。
臨床研究の中でも、まず、対象とする申請医療機関として、特定機能病院または国立高度専門医療研究センター、こちらからの申請によるものに限るということにしたい。
また、CRBにつきましても、臨床研究中核病院におけるCRB、ここを通したものに限定するということで、質を保ちながら迅速化をしていこうと、こうした議論が行われておりますということの御紹介でございます。
以上、資料の説明でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まず、1番の「新たな技術を保険適用する際の評価の在り方」についてですが、これは、前回の診療報酬改定の方針にも沿ったものでもあると思いますし、異論はありません。
2番目の「既に保険収載している技術の評価の在り方」ですが、新たな知見の収集に伴い、臨床上の位置づけが変化した技術の評価を見直すというのは、当然のことだと考えます。事務局におきましては、まずは、各学会のガイドラインの見直し状況などについて、現状把握をしていただきたいと思います。
その上で、項目の見直しに当たっては、医療現場に混乱が生じないような配慮もお願いしたいと思います。
なお、実臨床で得られたデータにつきましては、知見等々異なり、評価が難しい場合もあるかと思いますけれども、そのため、27の論点の課題2-1に挙げられておりますように、必要に応じて中立的な立場から行われた専門的な評価を活用するなどの方策も検討すべきと考えます。
ここで1点質問ですが、16ページに諸外国での対応が書かれていますけれども、各国では、具体的にどのような品目を対象にしているのか、もし、おわかりになれば教えていただきたいと思います。
○田辺会長
では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
16コマ目の御質問をいただきました、諸外国における取り組み、これはさまざまございます。
例えば、具体例で申し上げますと、アメリカなどにおきましては、循環器系の非常に高度なデバイスでありますとか、CAR-T療法のようなもの、幅広くさまざまなものについて対象とされております。
他方、イギリスにおきましては、主にキャンサー・ドラッグ・ファンドという枠で指定をされております抗がん剤、こうしたものが中心ということで、やはり各国さまざまな取り組みが行われておりますので、しっかりそういった現状も把握してまいりたいと考えております。
○松本委員
引き続き、また、御報告をいただければと思います。
最後に、3の「良質なエビデンスを創出するための環境整備の在り方」についてですが、現在のように、革新的な技術が次々と開発されるような状況では、保険収載後の実臨床で得られたデータを活用してエビデンスを構築するといった取り組みは、非常に重要だと考えます。
特に、先進的な医療技術については、レジストリへの登録を要件とするなどの対応はふさわしいものではないかと思います。
薬事承認プロセスにおいては、先駆け品目に指定される場合や、早期承認制度を利用される場合には、特に知見の症例数が極めて限られていることが想定されるために、施設要件を設けるとともに、対象患者群及び使用する医師を限定するという最適使用ガイドラインで実装していることを同様に行って、安全な治療技術の確立をお願いしたいと思います。ここは意見です。
○田辺会長
ほかは、いかがでございましょうか。
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今の今後のいろんな取り組みについてエビデンスが重要だということで、各疾病の臨床のレジストリというのが大事というのは、今、松本委員が言われたとおりだと思います。
それで、事務局にぜひお願いしたいのは、きょうの話題ではありませんけれども、働き方改革をどうしていくのかという話があって、例えば、法律に基づいてがん登録すると、そういう登録にかかわる作業というのは、必ずしも医師だけがしているわけではなくて、補助者もいると思いますけれども、やはり、医師がそういった登録にかかわる時間というものもかなりあると。
今、診療報酬の中のいろんな要件の中に、会議だとか、そういったものが位置づけられていると、そのことが非常に長時間労働にもつながるという、一方の裏腹の問題もございますので、その辺、余りにぎしぎしに全部診療報酬の要件に移行すると、これが働き方改革に逆行するということにもなりかねないので、その辺のバランスをぜひ考えていただければありがたいなと思っています。
もう一点、これは、中医協の議論というよりは、御質問なのですけれども、森光課長は、もともと前職が、いわゆる臨床研究法のところにかかわっておられたので、ぜひ教えていただきたいのですけれども、先進医療のところの表の参考資料ですかね。49ページです。
これは、特定臨床研究、臨床研究法の対象になって、製薬企業等から資金提供を受けているという、この等というのは、製薬企業以外では、どんなところの対象が入っているのでしょうか、ちょっと教えていただければありがたいのですけれども。
○森光医療課長
済みません、これは、医療機器メーカー等が入っています。
○今村委員
医療機器ですか。
それで、右側に臨床研究法の対象にならない手術・手技の臨床研究、一般の医療ということで、先ほど、各学会がレジストリをして臨床研究の場からデータを集めましたと。それぞれ学会あるいは病院が、ある程度集まったものから、いろいろ見てみると、この疾病あるいはこのお薬を使っていると、こういうことが起こっているのかもしれないと。それを改めて研究したいといった場合には、これは、いわゆる臨床研究法の対象にならないと。
なおかつ、それをどこかから資金援助を受けたら、臨床研究法の対象になると、そういう理解でよろしいかどうか、ちょっと教えてください。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
基本的には、臨床研究法の枠組みの、先生おっしゃるとおりの理解です。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
27ページの課題2-1の新たなエビデンスを医療技術評価分科会で評価するに当たり、先ほど、松本委員からもお話がありましたけれども、中立的かつ専門的な評価を活用する方向性というのは、そのとおりだと考えますけれども、その評価機関のあり方、つまり、中立的な立場で専門的な評価を誰がどうしたのかと、学会なのかどうなのか、この辺はきちんと明確にしておく必要があると思います。
16ページの諸外国でいろいろ研究をしているようなエビデンスの収集及び構築、革新的技術への患者アクセスの確保、こういうような観点で、再評価の透明性が担保されるということが必要なので、そのような公的な特定評価機関の設置などは、やはり、体制整備として早急に日本も検討する必要があるのではないかと思いますので、ぜひ、この検討開始をお願いしたいと思います。
その際には、実は今、費用対効果評価制度において、公的分析班の枠組みというのがありますけれども、そことの整合性というか、活用は可能なのかどうか、そういうところも現状の限られた人材の中で、効率的に、こういう技術評価をしていくと、実施できると、実効性を上げるという体制の整備は必要でないかとも考えます。
それと、最後の36ページですか、良質なエビデンスを創出するための環境整備ということで、レジストリへの登録を算定要件にするというようなこと、これは当然必要だと思いますけれども、ここで御紹介されているように、環境整備においては、MID-NETなのか、CIN構想なのか、そういうものを活用していくとすれば、このそれぞれの構想とかネットの位置づけを明確にして、そこにレジストリ登録をすることの算定要件とするというような環境整備は必要なのだろうと思っております。
27ページに戻りまして、課題2-3ですけれども、医療の質の確保向上及び報酬体系の簡素化というような観点からは、やはり、新技術の開発、新たな知見の集積などで診療ガイドラインや実臨床の位置づけが変化したというような技術については、学会などからの報告に基づいて、評価基準の透明性を確保して、その評価を見直すということ、臨床で実施されていない医療技術や検査を保険適用外とする。これは、自然な方向性だとも考えますし、より精度の高い検査方法が普及して臨床有効性が低下していくような検査等についても、その適切性を勘案すれば、本来、継続して続けるというのは、やはり効果は疑問だと考えますので、当然、医療現場の実情の考慮というのは必要だと考えますけれども、保険適用外という方向で検討するというのは妥当なのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
今の27ページの検査法の普及に関してですけれども、確かに、今、吉森委員がおっしゃられたように、精度の高い検査法に切りかえていくということは、当然のことではあるわけでございますが、ただし、従来の検査法に依存していて、地域であるとか、例えば、検査会社、検査機関、その検査の提供の体制整備がしっかり整ってきているのかどうかということもしっかりとチェックをしていきながら、精度の高い検査法に切りかえていただきたいと思います。
それと、これは御質問ですけれども、同じ27で、先ほども出ておりましたが、ガイドライン等が変更になった場合に、算定留意事項として、それが用いられている場合には、それをチェックして、更新していくということに関しては、そのとおりであろうと思いますが、スライドにも書いてございますが、その機関等、どういう形でガイドラインの変更をキャッチするのかということに関しての体制整備をしっかりしていただきたいということ。
そのチェックをしたときに、そのチェックは厚労省の中でチェックをして済ますのか、それとも、何かチェックの機関をつくるのかということをお尋ねしたい。
あと、36ページですけれども、良質なエビデンスを創出するための環境整備ですけれども、先進的な医療技術ですけれども、ここに書いてございますように、有効性、安全性を確認するために、症例登録、レジストリを算定要件とするということは、これでよいかなと思うのですが、ただ、登録をするというだけではなくて、分析、評価をしていくという作業が必要になると思いますので、それに対しては、何か新たな費用対効果のときにも設置をされたような、公的な機関を設置されるのか、この公的機関というのは、このCOIに関して、かなり厳格な体制が必要かなと思いますので、そのあたりは、どうお考えなのか、お聞かせいただければと思います。
以上です。
○田辺会長
では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
まず、1点目の学会ガイドラインや指針などの確認、そういった作業についてでございますが、現状、各学会、指針のガイドラインなどについて、現状が把握できていないという現状でございますので、まずは、関係する指針、ガイドラインの学会に現状をお聞かせいただいて、その評価そのものについては、まずは厚労省の中で行っていきたいと考えております。
その先、どのような評価体制が必要なのか、そういったところは、また御相談をさせていただきたいと思いますが、まずは、厚労省の中で、評価、確認をしていきたいと思います。
もちろん、その改定、診療報酬上にどのように反映させるか、その点については、医技評ですね、医療技術評価分科会のほうにお諮りをした上で、また、御報告をするということになると思います。
また、36コマ目、レジストリで得られたデータの評価につきましては、こちらは、先ほどの論点の2-1に直接つながる話でございますが、中立的な立場から行われた専門的な評価を活用するなどの方策。
これは、先ほど、吉森委員からもございました、透明性をしっかり高めてという形が必要だと思っておりますので、こうしたことについては、これから、どういう体制が必要かは検討していきたいということでございます。
よろしくお願いいたします。
○田辺会長
ほかは、いかがでございましょうか。
では、宮近委員、お願いいたします。
○宮近委員
シートの8ページ、それから、27ページの論点に関連してですけれども、既存の技術と同程度の有効性及び安全性があるとされる医療技術については、その既存技術と同等の評価として保険適用する方向性は妥当と考えますけれども、その一方で、保険適用後に有効性等の新たなエビデンスが確認できるようなことであれば、再評価をしていくことも重要だと考えております。
例えば、ロボット手術については、資料にもありますように、30年改定では、従来の腹腔鏡手術と同じ診療報酬の点数で保険適用されたわけですけれども、こうしたことが最新の機器を導入して、患者さんにより高度な医療を提供しようとする医療機関の新たな取り組みの意欲や、ベンチャーを含めた新たなイノベーションへの取り組みの阻害要因になることも想定されます。
こうしたことからすれば、スライドの27で示されたほかの委員の皆さんもおっしゃっていたような中立的な立場から行われる専門的な評価を活用するなどの方策を検討していくこと、そういった事務局の提案については、スピードを上げて行っていくべきだと考えております。
そこで、事務局に質問でございますが、こうした方向性が求められたとすれば、具体的に機関の設置も含めて、どういうスケジュール感を今、想定しているのかを確認したいのですが、よろしいでしょうか。
○田辺会長
では、企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
前回の改定でロボット手術について、そのような対応を行ったという中で、やはり、諸外国の状況を、まずはしっかり調査をさせていただきたいというのが、現状としてはございます。
評価の形というのは、基本的には、医療技術評価分科会の中で評価を行って、また、中医協に御報告をするというのが基本的な流れであることは、これまでどおりだと思っておりまして、その中でリアルワールドなエビデンスをどう評価するのか、まずは諸外国の取り組みをしっかりと調査をさせていただくのが第一でありまして、その上で、また中医協でも御相談させていただきたいと思っております。
現時点では、明確なスケジュール、いつまでに何をというのは、なかなか申し上げられないのですが、そのように御理解をいただければありがたいです。
○田辺会長
ほかは、いかがでございましょうか。
それでは、平川委員、お願いいたします。
○平川委員
8ページの課題のところでありますけれども、有効性、安全性ということで、たびたび使われていますけれども、この有効性というのをもう少し詰めて考えていったほうがいいのではないかと思います。
例えば、手術後、ロボットで手術をしたほうが、患者さんの術後の経過が良好であったり、ある可能性はありますので、それをどう評価していくのか、それは本当に有効なのかどうなのか。もしくはもっと詰めて言えば、保険診療にとって、そこまで対応するのが有効性として捉えられるべきなのか、例えば、術後の傷跡が残る、残らないを含めて、それをどう評価するかということも含めて、詰めて考えていく必要があるのではないかと考えているところであります。
とりあえず、以上です。
○田辺会長
ほかに、では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
先ほどから出ていますように、27ページの再評価というのを、多くの人数が必要になると思いますが、ぜひ、やっていただきたい。
というのは、診療報酬点数が本当に多項目になっていて、恐らく見直せば、もうやられていないものとか、くくれるものというのはかなりあるはずなので、そこをぜひやってほしいということ。
あと、根本的な問題で少しお聞きしたいのですが、診療報酬を決めるときというのは、原価というものをどう考えるか。明らかにロボット手術とか、粒子線とか、原価で補えない評価をするということに対して、今後もそういうことを主題で考えるのか、新しい技術は、とにかく高価なものが多いですから、それを原価を考えずに点数化するということは、それを行っている医療機関にとっては、とても大きい打撃になってきていると思いますので、今後の基本的な考え方として、原価をどう捉えるかということをちょっと教えていただければと思うのですが。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
非常に難しいお答えになるかと思いますけれども、基本的には、その医療の提供に必要な工数というものは、診療報酬で見るべきだと、これは、基本的な原則だと思っております。
ただ、今回のダ・ヴィンチだとか、重粒子線という非常に高額なもの、これをどう評価するか、これは、いろいろ長い年月をかけて、ここでも議論をさせていただきましたが、基本的に患者さんから見たときの医療サービスとして、有効性、安全性が同じものであるのであれば、それに上乗せしてかかった分については、正直言って、同じ評価しか、今の保険ではできないということ。
ただし、その後、有効性、安全性についてしっかり確認ができれば、そこについて検討する余地があるということであろうかと思います。
○猪口委員
ぜひ、そこら辺も含めて再評価ということをしっかりやれる体制をお願いしたいと思います。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
論点については、総論的には賛成ですが、各論について、いろいろ現場がわかっていないところがあるので、お伺いしたいと思います。まず、保険収載するときに、既存の技術と同程度の有効性、安全性があるものについては、同等の点数をつけるというのは、患者の視点からは妥当であると思います。
それから、8ページの論点と、36ページとで多少ニュアンスが違うように感じられるのですけれども、例えば、36ページの論点3で、エビデンスが必ずしも十分でないとされるものについて、レジストリへの登録を算定要件とすることによって、保険収載するということですが、これはエビデンスが十分でなくても、最低限、既存の技術と同等の有効性、安全性は確認するということが前提なのか、それとも、それが確認できていなくても、とりあえず、それはレジストリで登録して分析していこうという考え方なのか、そこをまずはお伺いしたいのですが、これについては、いかがでしょうか。
○田辺会長
では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
ここは、少し舌足らずなところが資料の中にあります。そこはおわび申し上げたいと思うのですが、既存の技術と比較して、さらに有効であると、それを示すエビデンスがなかなか十分でないというような意味合いで書いたつもりでございまして、そういった意味で、結果として同じ評価になっていると御理解をいただければありがたいと思います。
○幸野委員
ということは、エビデンスが少ない中でも、最低限既存の技術と同等であるということは担保されているということで、わかりました。
それと、再評価についてですが、これは、先ほどから意見が出ていますように、いかに中立的な立場でやるかというのが一番重要だと思います。レジストリに登録されて、まず、最初に評価するのは、学会であって、その学会の意見を踏まえて分科会が評価するということでよろしいのでしょうか。
○田辺会長
では、企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
基本的な流れは、そういうことになると思います。
○幸野委員
検査法についても、新しいのが出たら、古いものは削除していくということですが、これもファーストアクションを起こすのは学会なのですか、新しいのが出たから、古いものは、もう不要であるというような、ファーストアクションを起こすのは、どこなのでしょう。
○田辺会長
では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
これは、恐らく、さまざまなケースがあると思います。特に、項目を簡素化していく流れについては、学会側から、こういったガイドラインの見直しに基づいて御提案があるケースもあると思いますし、ガイドラインを我々もしくは医技評のメンバーが確認をした上でピックアップしていくと、こういう手続、両方があると思います。
○幸野委員
なぜ、こういう質問をするかというと、
学会が自分のところで開発した技術を保険から外すということを自ら提案されるのかなと疑問に思っており、そのために、分科会に行く前に、中立的な立場で一段階入れるということですが、その辺については、どうなのでしょうか。
○田辺会長
では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
これまで、そうした形での学会とのお話し合いというのを、現に行ってきたかというと、明確には行ってきておりませんので、そこは改めて、きょう、こういった議論をいただきましたので、しっかり学会側にも伝えてまいりたいと考えております。
そうした中で、中立的に、おっしゃったような、どういう形で進めていくのがより中立なのか、こういう形で進めていきたいと考えております。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今の学会ということに関しまして少し意見がありまして、学会というのは、例えば、日本医学会というところに所属している、かなり条件を厳しくして認められた学会もあります。
また、今、専門医制度などで、かなり専門的な基本領域ということで、内科、外科とか、大きな単位の学会もありますし、実は、学会というのは、つくりたければ自分たちで学会というのをつくれるので、ある分野の極めて特化した技術の何とか学会というのもつくれて、相当御自分たちにかかわっている、今、御質問のあったような学会もあると思います。
だから、一定の学会という言葉でひとくくりにすると、極めて曖昧になってしまうので、もう少し学会の条件というものを、ある程度厚労省できちんと考えていただいて、もう少し幅広い、本当にそれに特化した学会でない学会が関与するということにしていただいたらいいのではないかなと思っています。
○田辺会長
ほかは、いかがでございましょうか。
では、平川委員、お願いいたします。
○平川委員
先ほど、幸野委員がおっしゃった36枚目のスライドの論点、課題3なのですけれども、この表現「先進的な医療技術であって、保険収載時にエビデンスが必ずしも十分でないとされるもの」と、この「もの」というのが、今一つ意味不明でありますので、それを明確にしていただきたい。
それと、有効性や安全性を確認するというのは、有効性はいいとしても、安全性を改めて確認するということ自身が、やや患者の立場からすると、大丈夫なのでしょうかという感覚がありますので、この辺の表現を、今、医療技術であっても、新たな医療技術が、新たな効果があると、同時に安全性も確認しつつも有効性があるのだということだと思うのですけれども、改めて安全性は、それまで確認されていたのに、どうなのだろうかという意味合いにもとれてしまうので、少し表現ぶりの変更をお願いできればと思います。
○田辺会長
ほかは、いかがでございましょうか。
よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑は、このあたりとしたいと存じます。
次に「医療におけるICTの利活用について」を議題といたします。
事務局より、資料が提出されておりますので、事務局より、説明のほうをお願いいたします。
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
資料総-2に基づきまして、御説明をさせていただきます。
「医療におけるICTの利活用について」ということで、本日、大きく分けて前半に「遠隔医療について」、後半に「情報共有・連携について」の御説明をさせていただきたいと思います。
まず、3コマ目でございますけれども、遠隔診療に対する現状の診療報酬の評価ということで分類をさせていただいております。
前回の平成30年度の改定での整理です。
まず、中段の赤で囲っております「情報通信機器を用いた診察」「オンライン診療」につきまして、現状について御説明をさせていただきたいと思います。
次の4を見ていただければと思います。
これは、オンライン診療にかかる評価の経緯ということで、ここには、平成30年3月には、オンライン診療の適切な実施に関する指針が発出されております。
また、平成30年度の診療報酬改定でオンライン診療料を創設したというものでございます。
次に、スライド5、6でございますが、これは、参考として遠隔診療に係る過去の通知、それから事務連絡を整理してお示しさせていただいているものでございます。
続きまして、7コマ目でございます。
これは、平成30年度改定の議論において、遠隔診療を評価するに当たりまして、基本的な考え方として中医協で合意いただいたものでございます。
ここにありますように「基本的な考え方」の1から7に従いまして、それぞれの診療報酬の要件を定めているというものでございます。
ですので、これに従いまして8コマ目、平成30年度診療報酬改定では、まず、オンライン診療料の新設ということで、一月につき70点のオンライン診療料というのを創設しております。
また、9コマ目ですが、オンラインの医学管理料の新設ということで、これもオンライン医学管理料、一月につき100点というものを新設しているというものでございます。
また、10コマ目が、在宅における評価ということで「在宅時医学総合管理料 オンライン在宅管理料」、一月に100点と、これも新設をさせていただいているところでございます。
また、あわせて、電話等による最新の要件の見直しということで、11コマ目を見ていただきますと、これも要件をしっかり明確になるように見直したというものでございます。
スライド12を見ていただければと思います。
30年度の診療報酬改定の答申書附帯意見におきまして、評価のあり方について、引き続き検討するという意見をいただいておるところでございます。
また、あわせて未来投資戦略2018年、それから、規制改革実施計画においても普及状況を調査、検証しつつ、エビデンスを踏まえて診療報酬上の評価というのを検討するようにということで求められている状況にございます。
スライド13でございますけれども、これは、今年3月の未来投資会議資料において、オンラインでの医療全体の充実に向けて取り組みを進めるということで出させていただいているものでございます。
続きまして、スライド14でございます。
これは、医政局において、オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しというものの検討が、今、実施されておるというところでございまして、これについても、現在、取りまとめに向けて検討されているということでございます。
続きまして、平成30年度の改定の検証調査結果を御紹介させていただきたいと思います。
30年度診療報酬の改定調査において、オンライン診療に対する考え方というのをお尋ねしたものでございます。
ここに3の分類に分けて整理をさせていただいておりまして、まず、オンライン診療料の届出のある医療機関、そのうち、オンライン診療の実績が既にある医療機関、そして、オンライン診療の届出がない医療機関、それぞれに対しまして、同じように質問をして、そう思うのか、思わないのか、わからないのかという回答をいただいたというものでございます。
ですので、全体で見ていただきますと、基本的には、それぞれの医療機関の意見というのは余り変わらないのですが、1つだけ違うのは、オンライン診療に適した状態の患者は少ないという割合については、実は実績のある医療機関のほうが非常に少ないと考えていらっしゃるというところでございます。また、ニーズについても、実績のある医療機関のほうが少ないと考えていらっしゃる。
ただ、これは、回答数が12ということで、まだ、オンライン診療改定後、それほど時間がたっていない状況でしたので、そこは考慮していただきたいと思いますけれども、そういう回答であったという状況でございます。
次のスライド17コマ目から19コマ目を見ていただきますと、現在のオンライン診療の活用事例を集めておりますので、御紹介をさせていただきたいと思います。
17コマ目ですが、これは、離島・僻地における活用ということで、愛知県の篠島においてオンライン診療と遠隔服薬指導を組み合わせて、離島の患者に医療を提供できたという例を御紹介させていただいておるところでございます。
また、スライドの18でございますが、これは、在宅医療において活用したという事例でございまして、在宅医療において、体調変化があった際の緊急往診、これをオンライン診療と組み合わせることによって、医者が電話のかわりにオンライン診療を行うことによって情報共有ができて、緊急往診を行わずに済んだ例というようなことで、御紹介をさせていただいております。
19コマ目は、総務省において、オンライン診療の活用ということで、調査研究事業が進められておるというものでございまして、4つのフィールドで実施されているという御紹介でございます。
続きまして、遠隔モニタリングについて、今の状況ということでお示しをしたいと思います。
21コマ目、これが30年度改定において、在宅酸素療法や在宅持続陽圧呼吸療法について、遠隔モニタリング加算を創設しております。
また、22コマ目でございますが、心臓ペースメーカーの遠隔モニタリングについても同様に評価をしておるという状況でございます。
続きまして、遠隔医療における医師間における利活用、DtoDの利活用についての状況の説明でございます。
まず、スライドの25コマ目を見ていただきますと、現在、画像等の送受信で専門的な知識を持っている医師と連携して診療した場合の評価というのは、そこに挙げております表のとおりでございます。
3つの分野、病理、放射線、脳波の分野において評価が行われているということでございまして、ただ、こうした評価につきましては、保険医療機関に属する医師の間の連携というのを要件にしているということでございます。
続きまして、スライド26でございます。
30年度の改定におきしまして、デジタル病理画像のみを用いて病理診断を行った場合も、病理診断料を算定可能としたというものでございまして、御紹介させていただきます。
続きまして、これは、各領域におけるICTの利活用に関する調査ということで、本年の1月から医療課、医事課、それから、研究開発振興課と共同で学会に対して利活用について、どのように考えるのか。学会の現状の取り組みと今後の方向性ということを把握することを目的に調査を行ったものでございます。これを御紹介させていただきます。
スライドの27のところですが、回答は、129の学会中59の学会から回答を得ております。
スライド28でございますが、個別の疾患の診療ガイドライン、診療指針において、ICTの利活用に関する記載があるかどうかというのをお尋ねしておりまして、あると回答をいただいたのは皮膚科学会だけでございまして、皮膚科学会においては学会内の検討委員会において、ICTの有用性の検討を行った上で現時点の意見表明として、皮膚疾患のDtoPの遠隔診療においては、オンライン受診勧奨にとどめるべきという考え方をホームページ上で掲載しているという状況でございます。
続きまして、29でございますが、学会の関係する取り組みというのを見てみますと、一部の学会において、検討委員会の設置、それから学会、シンポジウム、研修会の開催というのを行っているという状況でございます。
スライド30を見ていただきますと、ICTをガイドライン、診療指針に組み込むことについては取り組む必要がある。将来的には必要があるが、時期尚早というのは、ほぼ同じ回答数でございました。
意見につきましては、そこに記載のあるとおり、主な意見としてそれぞれ記載をしておりますので、ごらんいただければと思います。
ICTの利活用の検討に当たり、課題があるかどうかとお尋ねしましたところ、課題があると御回答いただいたのが20ありまして、主な意見としては、そこにありますように、セキュリティーの確保、個人情報の取り扱い。それから、コストがかかるということ。インフラの整備が不十分、地域や医療機関ごとの取り組みではなく、全国で統一したシステムが必要といった御意見。導入に関する知識不足、相談窓口がないというような御意見があるということ。
ただ、少し補足させていただきますけれども、実際は、学会に対してICTの活用ということで、診療のガイドライン、個別の疾患に関するガイドラインに関しては取り組むというのを聞いておりまして、実は、それ以外の取り組みとしては、例えば、先ほどレジストリ等での取り組みということにICTを利活用しているとか、教育研修等に利活用しているといったような回答は多く寄せられておりますので、そこは念のために補足をさせていただきます。
続きまして、その他の取り組みということで御紹介をさせていただきます。
まず、スライド33をごらんいただきたいと思います。
ICTを用いましたオンライン服薬指導の状況ということでございまして、薬機法において、服薬指導は対面により行わなければならないとされておりまして、現時点では、特区を除きまして、調剤時のオンライン服薬指導というのは認められておりません。
一方、調剤後のフォローアップというのは規制がありませんので、オンラインで実施は可能という状況になっております。
スライド34をごらんいただきたいと思います。
これは、ICTを活用した調剤後のフォローアップの例ということで示させていただいております。
テレビ電話等を利用した薬剤師による服薬後の状況確認、それから、患者からの副作用に関する相談と、これが考えられるというものでございます。
続きまして、スライド35でございますけれども、本国会に提出されている薬機法の改正案では、服薬指導の対面義務の例外として、一定のルールのもとで、テレビ電話等による服薬指導を規定しているというものでございます。
続きまして、36でございますが、国家戦略特区における遠隔服薬指導の概要でございます。
愛知県、それから、兵庫県の養父市、福岡市の特区、3つの特区で実証的にテレビ電話等による服薬指導が実施されておるということでございます。
登録薬局数は28件、患者数は9名ということで実施されているという状況でございます。
37を見ていただきますと、特区においての遠隔服薬指導時の調剤報酬の取り扱い、これの整理でございます。
平成30年7月18日の中医協での審議の結果、特区において実施される遠隔服薬指導については、そこに掲げます「具体的な要件」として1から4に掲げております要件を全て満たしていれば、薬剤服用歴管理指導料を算定することが暫定的に可能ということで整理をさせていただいているところでございます。
スライド38は、その他の例として、ICTを活用した栄養食指導の事例を御紹介させていただいておるところでございます。
これは、沖縄県のモデル事業として実施されたものでございます。
それから、医師、薬剤師以外にもさまざまな活用例があるということで、今後、エビデンスを踏まえて評価を検討していくということで、事例、エビデンスの収集というのを努めていきたいと思っておるところでございます。
続きまして「情報共有・連携について」ということでございます。
これは、そこの表題の39コマ目を見ていただければと思いますが、情報共有・連携という中では、医療情報の標準化や地域医療情報連携ネットワーク、これが今、国としても進めておるところでございますけれども、これにつきましては、中医協での御提示、議論というのは、7月以降に予定をしておりますので、本日は、カンファレンス、在宅医療の利活用、その他の取り組みということについて御紹介をさせていただきたいと思います。
カンファレンスは、在宅における利活用ということで、41コマ目にICTを活用した情報共有・連携のイメージ図を御提示しております。
これは、情報連携、共有ということですが、患者を中心としたICTを用いた関係者の情報共有・連携というものでございます。
42コマ目を見ていただきますと、30年の検証の調査で、病院において他の関係機関との情報共有・連携にICTを活用しているかということを調査しております。
全体の約3割が活用しておりまして、病床規模が大きい医療機関ほど割合が高いという状況でございます。
また、どのようなICTを利用しているのかというのを聞いております。メールが7割、電子掲示板が2割ということでございます。
その他の中には、医療情報連携ネットワークシステムや電子カルテの総合閲覧システムの活用という回答もございました。
スライド44、それから45でございますが、これは、ICTを用いたカンファレンスについての診療報酬上の評価の部分でございまして、図表に掲げております加算等については、一定の要件のもとで、ICTを使ったカンファレンスというのを認めているというものでございます。
スライド46でございます。
訪問看護ステーションにおける退院時共同指導の実施状況でございまして、退院時の共同指導加算を算定した患者では、共同指導に要した時間は30分から1時間未満、移動に要した時間は30分未満が多いのですが、それ以上も一定数ございます。
退院時の共同指導を実施できない理由として、医療機関が遠い、スケジュール調整ができない、手間と報酬が見合わないというのが約1割あるという状況にございます。
スライド47をごらんいただきたいと思うのですが、これは、検証調査、先ほどは病院に対する調査でしたが、このお示ししております調査は、在宅医療にかかわる医療機関を対象とした調査の結果でございまして、他の医療機関との情報共有・連携にICTを活用しているかということを調査しております。
機能強化型在支病の3割から4割が活用している。それ以外は約2割と。先ほどのを見ていただきますと、かなり活用されている、率が少し高い。
それから、活用されているICTの種類を聞きますと、メールが最多ではありますけれども、電子掲示板の活用というのも、例えば、連携型でありますと、4つの施設に対して1施設は電子掲示板を活用して情報共有・連携をしているということがわかるかと思います。
また、その他の中には、ここに示していませんが、個別具体的な情報共有システムなどを使ってやっているというような御回答もありました。
スライド49をごらんいただきたいと思います。
訪問看護ステーションにおけるICTの利活用ということでございますけれども、記録の電子化やスマートフォンの活用というのは、約4割以上で取り組まれております。
退院時の共同指導における、先ほど御紹介しましたカンファレンスについてオンラインで実施している事業所というのは、残念ながらごくわずかという状況でございます。
スライド50ですが、これは、御紹介ということで、関連しまして30年改定におきまして、在宅患者訪問診療料の加算においてICTを利用した看護師等の連携における死亡診断の要件を追記しております。
続きまして「情報共有・連携について」の「その他の取組」の御紹介ということでございます。
「電子版お薬手帳について」でございます。
スライドの52を見ていただきますと、電子版お薬手帳のメリットとしては、スマートフォン等を活用するために、紙のお薬手帳と比較して、受診時に忘れにくく、長期にわたる服薬歴管理が可能と。
また、アプリによっては、健康に関する情報、管理する機能なども備わっているものがあるというものでございます。
電子版お薬手帳の相互利用について、少し御紹介をさせていただきます。
この電子版お薬手帳については、各薬局グループですとか、薬局が出しているアプリ等になりますけれども、患者さんが、電子版お薬手帳は、どの薬局に行っても利用できるようにということで、まず、1にありますように、どの薬局の情報でも電子版お薬手帳に記録できるように標準データフォーマットを作成し、また、どの電子版お薬手帳を利用していても、薬剤師が薬局のパソコン上で電子版お薬手帳の情報を閲覧できる。e薬Linkというシステムが日本薬剤師会より提供されているということでございます。
54でございますが、現在、電子版お薬手帳の利用状況ということですが、約11%の患者さんが利用されている。
また、お薬手帳に対応できる薬局が約半数、電子版お薬手帳に対応していない理由としては、希望する患者さんがいないためと回答する薬局が最も多いという状況でございます。
55コマ目を見ていただきますと、これまでの医療におけるICTの利活用について、事務局より論点を4つほど提示させていただいております。
まず、1点目でございます。
オンライン診療は、対面診療と補完的に組み合わせることで、医療の質の向上に資するものとして、普及状況の検証結果等を踏まえて、診療報酬上の対応を検討してはどうか。
なお、現在、オンライン診療の適切な実施に関する指針について、改訂の検討が行われるところでございます。
2つ目でございますが、遠隔医療における、個別領域の利活用については、今後、学会からの提案等、医療の質に係るエビデンス等を踏まえて評価を検討してはどうか。
3つ目でございますが、上記の検討に当たっては、オンライン診療の特性に鑑み、離島・僻地等の医療資源の少ない地域における利活用と、それ以外の利活用を分けて、必要な整理を行ってはどうかということでございます。
4つ目でございますが、情報共有・連携における利活用については、柔軟な働き方や、業務の効率化にも資するものとして、適切な活用を妨げないよう、必要な対応を検討してはどうかということで論点を整理させていただいております。
以上です。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、ICTの利活用について、全体的なことですけれども、特にオンライン診療は、7ページのような中医協としての基本的な考え方を前回の改定で取りまとめております。
まずは、繰り返して発言しておりますけれども、患者さんが気兼ねなくしっかりと対面診療を受けられる環境づくりが大事であって、医療にどうしてもアクセスできない、あるいはニーズに応えられない場合に、オンライン診療が活用されるべきで、利便性のみに着目してオンライン診療を語るのは、慎重にあるべきと考えています。
基本的な考えに書かれていますように、オンライン診療が対面診療と同等のエビデンスがあるのかどうか、それぞれの診療科の専門家からエビデンスを出していただくことなどして、そういうものを見ながら今後も議論を進めていくことが大切だと考えています。
55ページの論点に4点ありますが、今後の検討について提案がなされておりますが、いずれも、これについては、異論はありません。
2点ほど、ほかに意見がございまして、1つは、オンライン服薬指導についてと、もう一つは、電子版お薬手帳についてでございます。
17ページと36ページに、同様の図ですけれども、処方箋の流れが書いてございます。調剤や服薬指導について医師がオンラインで服薬指導可能な薬剤師を指名して、処方箋を送るのは療養担当規則第2条の5で禁止されている誘導に当たります。患者さんには、薬局を選ぶ権利、自由がありますが、調剤を担う薬局が、どこになるかを医師は誘導ではないとして、どのように接することができるのでしょうか。
また、対面診療の補完としてオンライン診療が行われます。そもそもの医薬分業の問題になりますけれども、対面診療時にかかりつけ医が院内処方をして、医師本人あるいはその医療機関の薬剤師が、医薬品の説明をすることで、服薬管理や指導は実施できます。
このことを踏まえると、現時点で、この提案されているオンライン服薬指導は、営利企業としての薬局の業務効率化に利用されていることを目的にしていると言わざるを得ません。対面診療で、対面で患者さんと接することのない薬剤師さんに、医師として患者さんを任せる気にはなりません。
平成28年度の統計によりますと、薬局が1件もない町村は、全国に145県あります。日本の全町村は928なので、約15%の町村が、いわゆる無薬局町村です。
まずは、オンライン服薬指導よりも薬局の偏在解消など、先に取り組む課題のほうが多いのではないでしょうか。日本は、退院人口当たり薬剤師が世界一、薬局数は世界第2位です。これだけ薬剤師がふえてきた中で、患者さんのことを考えた場合に、患者宅の訪問による在宅服薬指導をまず行うべきではないでしょうか。僻地では、拠点となる医療機関等で薬剤師を確保するなど、そういったことを、在宅に行けることを検討してもよいのではないかと思います。
また、オンライン診療では、ガイドラインで慢性疾患が適切な例として紹介されていますが、遠隔服薬指導で慢性の患者さんは誰でもよいというわけにはいかないように思います。
なぜかというと、その患者さんが他の疾患の治療のために抗菌剤やステロイド、医療用の麻薬、取扱者への暴露も危惧されるような抗がん剤、重篤な副作用が懸念されるハイリスク医薬品などを使用していることも想定すべきだと思います。
こうした医薬品を使用する患者さんには、直接、医師または薬剤師が適切な薬剤治療の実施に携わる必要があると考えています。
これについては、オンライン診療も同様に、服薬指導上の留意点をもう一度整理し直す必要があるのではないかと考えています。
薬物を悪用した犯罪は、残念ながら実際に起きていて、依存性や習慣性のある医薬品をもらおうと、対面ではなく、ハードルの低いオンラインを使うような事件が発生することも容易に予想されます。医薬品の取り扱いにつきましては、医薬品の種類を限定することも含め、医師による診療とは、次元の異なる議論も必要かと思いますし、このことにつきまして、厚生労働省はどのようにお考えなのでしょうか。
医療を考えると、オンライン服薬指導の対象医薬品は、必要最小限に限定すべきだと考えます。
厚生労働省には、十分過ぎるほどの対応を検討する責任があるかと思います。
ここで一旦、質問に対してお答えをいただければと思います。
○田辺会長
では、管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
ありがとうございます。
まず、1点目の御質問の36コマ目の特区における遠隔服薬指導における処方箋を薬局に送付するところの療養担当規則との関係というところの点でございますけれども、こちらにつきましては、委員御指摘のとおり、基本的には、どこの薬局に処方箋を送付するかというのは、患者さんがあらかじめ指定した薬局に対して、患者さんが選んだ、選択した薬局に対して処方箋を送るという形で運用がされていると承知しているところでございます。
それから、今、薬機法の改正法案が提出されておりますけれども、法案が成立した後の遠隔による服薬指導のところにつきましては、オンライン診療に関するルール等の状況も踏まえつつ、今、委員から御指摘をいただいたような点も含めて、医薬生活衛生局のほうで、適切なルールについて議論をして決めていくと聞いておりますので、そこの議論を踏まえた形の調剤報酬上の対応という形で議論していくことになるのではないかと考えているところでございます。
○田辺会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
36ページにもありますけれども、国家戦略特区における遠隔服薬指導の今のところの状況ですけれども、患者数が9名ということでございます。まだエビデンスの集積がほとんどなされていない中で、しっかりとした議論がない限りは、進めていくべきではないと考えております。
もう一つ、電子版お薬手帳についてですが、53ページ等にございますが、薬局において特に大手の調剤において、こういったことを利用促進するということなのでしょうけれども、片や、医療機関からしますと、電子版お薬手帳は非常に使いにくいです。なぜかといいますと、こういったスマホの中にお薬の情報が書いてあるわけですけれども、これを中で見せられても、我々はそこを見て、電子カルテも同じですけれども、その記載を移さなければいけないという作業が起きます。今は、紙媒体でいただければ、まだ、コピーができるということができますけれども、医療機関では、実際に私も何回か経験していますけれども、非常に使い勝手が悪くて何の役にも立ちません。果たして、このことをどう考えているのでしょうか。
今、言いましたけれども、患者さんの保存にとっては非常にいいかもしれないという利点は認めますけれども、これは医療機関にとっては、非常に厄介な存在です。
ぜひ、大手調剤に利するような形にしか見えないような電子版お薬手帳ですけれども、もう一回しっかりと見直すべきだと思っています。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
御指摘ありがとうございます。
電子版お薬手帳につきましては、松本委員御指摘のとおり、例えば、大手調剤チェーンなどを中心に独自の自薬局だけで閲覧ができるようなシステム、アプリケーションを開発して、言ってみれば、患者さんの囲い込みと言ってはあれですけれども、そういった形になるのではないかといった懸念もございまして、少なくとも、お薬手帳というのは、53コマ目にも書いてございますとおり、例えば、少なくとも各薬局等でしっかりと過去の記録も含めて閲覧できなければいけないということで、日本薬剤師会のほうで、どの薬局でも閲覧できるようなシステムについて、このe薬Linkというプラットフォームを提供して、閲覧できるような形の体制を整えているといったところでございます。
一方、医療機関における電子版お薬手帳について閲覧ができるような状況になっていないというのは、御指摘のところではございますけれども、一方、今後の方向性としては、例えば、マイナンバーカードを活用したレセプト情報について、医療機関、薬局等で見られるといったような形の準備を2021年10月に向けて進めていくといったようなこともございますので、そういったことも活用しながら、どういった環境整備ができるかということについて、検討していく必要があるのではないかと思っているところでございます。
○田辺会長
では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
ありがとうございます。
まず、先ほどの電子版のお薬手帳でありますが、松本委員御指摘のように、問題点ということは十分に認識しております。
そういった点から電子版のお薬手帳を提供するベンダーさんなどにも何らかの改善を促していきたいと思っております。
もう一方では、患者さんのニーズ、それも大変大事なものでありまして、今の電子版お薬手帳の提供の仕方あるいは医療機関での閲覧については、さらなる改善を図っていきたいと考えております。
それから、先ほど、オンライン服薬指導の件がありましたが、オンライン服薬指導は、現在、薬機法の改正を待たずしてできない。特区では、今、実際に実施ができているというところでありまして、基本的には、対面を補完するものだと考えております。
かつ、かかりつけ薬剤師薬局が、それを応受していくのだということでありまして、やみくもにどこの薬局にぽんぽんと行くものではないと考えておりますので、あくまでも対面を補完するものというような考え方でやっております。
今後、薬機法の法案が成立した中で、当会でも、しっかりとその辺のところは、安心・安全を担保するような形で進めるような方策を考えていきたいと思っております。
○田辺会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
電子版お薬手帳についての、いわゆる欠点ということで、もう一点だけ補足いたしますと、例えば、救急の場で、救急隊が患者さん宅に駆けつけたときに、紙媒体であれば、場合によっては、それが活用できるということがありますが、こういった電子版ですと、ロックがかかっていて、家族であってもどういった診察を受けているか、服薬されているかということが全くわからないというのが消防隊、それから、救急医療機関の人の悩みの1つにもなっておりますので、そういった問題点があることも指摘しておきたいと思います。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
オンライン診療について申し上げたい。これは、厚労省にお願いです。
先ほど、松本委員からも、るるお話があったように、オンライン診療を評価していく場合の中医協での合意ということで、4番目に安全性、有効性のエビデンスを確認されているということがございます。
12ページに未来投資会議、未来投資会議から言われたから、この中医協の議論がどうなるかというのは当然あるのですけれども、その未来投資会議からも有効性、安全性に関して、データをしっかり収集するようにと、エビデンスを蓄積するようにという指摘も受けておりますし、根本厚労大臣も13ページにありますように、未来投資会議に参加されて、そのような趣旨の発言をされている。
やはり、安全性、有効性のデータをきちんと集積していくということは大事だと思っているのですけれども、今回、お示ししていただいたデータは、18ページに一例だけ在宅医療で、こんないいことがありましたというようなデータしかない。
これは、我々医療界の中では、こういう症例報告というのは、エビデンスレベルで言うと、最も低いレベルのエビデンスであって、もう少しきちんと数を集めていただいて、現在、実施されているところが少ないという事実があるのはわかった上で、少し数を集めていただく。それから、中身を見ていただくということが大事で、今回、普及状況の検証結果みたいなものがあるのですけれども、個別の疾病の、どういった疾病にどのぐらい、このオンライン診療を使って、それがどの程度効果があったかというような、もう少し詳細なデータを出していただきたいと思っております。
それを踏まえて、最後の「医療におけるICTの利活用」の結論のところなのですけれども、3つ目の〇に「遠隔医療における、個別の領域の利活用については、今後、学会からの提案」と書いてありますけれども、これは、先ほど別のところで、学会という議論がありましたけれども、やはり、その疾病にかかわる基本的な学会のデータということにしていただきたい。つまり、個別の技術だけを取り扱っている学会が、こういったものをぜひという話ではないのかなと思いますので、ぜひとも今後の議論に資するような詳細なデータを、お示しいただけることをお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
オンライン診療というか、オンライン服薬指導、これも含めてなのですけれども、これからの時代というのは、やはり、勤労者が引き続き社会保障制度の支え手となるための就労促進、個々人のQOLの向上、こういうことによって経済社会の活力維持の観点、こういうのが非常に大事だと思いますので、疾病を抱えながら働き続けられるようにするための環境整備、これが重要な課題であると考えております。
そのための有効な手段の1つが、オンライン診療、オンライン服薬指導ではないかと考えられます。
企業の人材確保、働き方改革の観点からは、やはり、重要なテーマにはなるのだろうと思っております。
したがって、ここにいろいろ提示されておりますけれども、僻地・離島の利活用、在宅における利活用等もございますけれども、在勤というのか、働いている人たち、在勤での利活用というのもテーマに加えて、やはり議論を深めていっていただきたいと思っております。
当然、医師による対面診療の重要性、これは十分に認識しておりますし、患者の安全、健康に十分配慮するというのが大前提でございますけれども、その補完的な対応であるオンライン診療、こういうものをどのような活用ができるのか、見直しが可能なのか、踏み込んだ議論を、これからやっていく必要があると思いますので、事務局におかれては、今後、二巡目議論の進めに当たっては、今、今村委員からもありましたけれども、算定可能な患者の、どのような疾病が、具体的にどのような形で行われているのか、そういうような論点を設定していただいて議論を深めていく材料にしたいと思っております。
そこで、お願いでございますけれども、55ページの2つ目の〇に「今後、学会からの提案等、医療の質に係るエビデンス等」と、お書きになっておりますけれども、日本と違って諸外国、特に欧米、このあたりのICTの利活用は相当進んでいるのではないかと考えておりますけれども、事務局では、医師対患者、いわゆるDtoPの分野でのオンライン診療の導入状況、関連エビデンスデータ等々はおつかみになっているのか、把握されていれば、ちょっと教えていただければと思います。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
まず、データ等の今のエビデンスの収集という話でございますが、今後、ことしの検証調査等もございますので、そういうものを活用して、現在の状況等を含めて、まず、収集をしたいと思っています。
それから、海外の状況ということですが、昨年、前回の改定時等にも、幾つかの国で利用されているというのは聞いておるところでございますけれども、現在の状況としての情報は足りておりませんので、収集をして、また議論の際にはまとめて提供させていただきたいと思っております。
○田辺会長
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
今後の議論を深めるためにも、欧米諸国、先進国のICTの利活用の中で、特に働いている人たちへの対応をどのようにされているかという論点を絞って、その辺のデータ集めもぜひお願いしておきたいと思います。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今、海外の事情について調べていただきたいということで、それはそれで大事なことなので結構だと思います。
ただ、医療提供体制というものが、日本とヨーロッパはかなり違っていて、医療のアクセスの問題も相当違いますので、単純に比較はなかなか難しいということも前提としてデータを出していただきたいのですが、その際に、例えば、回線だとか、施設の利用料を誰がコストを持っているのかとか、そういう負担の問題ですね、それをどのように行っておられるかということもぜひ出していただきたいと思います。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
意見が重複するかもしれませんが、論点について考え方を述べたいと思います。
まず、オンライン診療は、対面診療を補完するという大原則、これは、我々は否定するものではありません。
ただし、前回の改定で初めて導入されるということもあって、相当厳格な算定要件が設定されたというのも事実であろうかと思いますし、しかし余りに厳格過ぎて普及の足かせになっているのではないかということも懸念されます。
オンライン診療は対面原則ということを大前提としつつ、我々ユーザー目線で緩和できるところについては緩和していくべきだと思います。
まずは、普及状況について、検証部会で調査結果が示されると思いますが、健保連で調査を行ったところ、2018年4月から9月の半年間、62の企業健保の医科レセプト2131万件を調査して、オンライン診療の算定がどれだけあるかというと、診療料が39件、管理料が21件ということで、ほとんどできていないという状況です。
これは、対象患者が少ないことに加え、算定要件が厳し過ぎるのではないかと思っていまして、例えば、在宅の例を掲げていたのですけれども、我々の立場からすると、先ほど吉森委員もおっしゃっていましたが、働き盛りの方たちも利用できるようにするべきではないかと思います。その足かせになっているのが、いわゆる緊急時の30分以内の要件で、職場が自宅から30分以内の方は少なく、自宅、職場の両方において、緊急時に30分以内で対応可能な医療機関というのは条件が厳しいと思うのです。
例えば、高血圧で毎月1回医療機関に行っているという方も、忙しくて、今月は行けそうにないので、オンラインで薬を処方してもらうと非常にありがたいなという場合も緊急時の30分という要件が足かせになり、薬をもらえず逆に薬が飲めなくなってしまうことが考えられます。様態が安定している高血圧や、高脂血症等の疾患をお持ちの方に、この要件が果たして必要なのかというところを改めて議論していくべきで、先ほどから出ておりますように、疾病ごとに要件を緩和するということも考えていいのではないかと思います。
それと、管理料を算定していないと対象とならないことについて、生活習慣病等、定期的に受診しなければいけない患者さんはたくさんいらっしゃると思うのですが、そのような方がオンライン診療を受けようとしても、管理料が算定されていないので、実施できないというのも、ちょっと厳し過ぎるのではないかと思います。
ぜひ、対面原則ということは外さずに、安全性に支障がない範囲であれば、要件緩和できるところはしていくべきだと思います。
それから、論点3つ目の離島とそれ以外の地域を分けるというのは、当然のことであって、やっていくべきだと思います。
それから、論点の4つ目については、まさにICTの利活用を進めていくべきだと思います。
これから地域包括ケアシステムを構築していく上で、41ページのイメージ図にあるように、1人の患者について医療・介護の情報連携、ネットワークを構築する上でのICTの利用は、最も有効な活用の仕方であり、先行事例の横展開が重要だと思います。ネットワークの構築については、自治体が予算を取る等、診療報酬以外のところで、進めていくべきだと思います。
では、診療報酬で何をやるかというと、前回の働き方改革の議論でも話題になりましたが、業務を効率化するために、例えば、カンファレンスなどICTによってとりかわることができるところについて進めていくべきだと思います。
論点に対する意見は、以上なのですが、オンライン診療ができて、オンライン服薬指導ができない理由は全くないと思いますので、これも厳格な算定要件がつくとは思うのですが、オンライン服薬指導は薬機法改正後に、ぜひ推進していただきたいと思います。
オンライン服薬指導について少しお聞きしたいのですけれども、現在は3つの自治体の特区内でオンライン服薬指導を行っていると思うのですが、これは、うまくいっているのか、いっていないのか、実施状況を教えていただけますか。
○田辺会長
では、管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
うまくいっているかどうかというところの評価は難しいところはございますけれども、36コマ目にございますとおり、登録薬局数が28件で、患者数が9名ということになりますので、まだ事例が少ないというのは、そのとおりかと思います。
少し経緯を申し上げると、もともと平成25年の薬機法の改正のときに、基本的に薬剤師による対面による服薬指導という法律、そういう規定ができたのですけれども、その後、その規定の中で、一部国家戦略特区の中で、36コマ目に書いてございますけれども、遠隔診療が行われて、かつ、薬剤師、薬局の数が少なく、患者宅と薬局の距離が離れていて、対面での服薬指導が困難な場合に、かつテレビ電話等を用いて服薬指導という、さまざまな要件を設定した上で実証的に事業を行うということとされたこともございまして、そういったオンライン服薬指導一般の話とは別の形で要件設定されているということも背景にはあろうかと思っております。
○田辺会長
では、幸野委員。
○幸野委員
今、法律上、対面での服薬指導が困難な場合等の要件を満たすところしか実証実験は実施できないのですか。都市部ではできないのですか。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
現在の国家戦略特区法のもとでは、この要件に合致したところでしか実証事業ができないという形になっているところでございます。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
n数が少ないということであれば、要件を緩和して対象地域を拡大するということも検討していただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
これは、事務局へのお願いになるかと思いますが、我々、オンライン診療に関して対面との組み合わせによって、医療の質を担保した上で、なおかつ患者さんの利便性も担保できるという物の考え方を否定していることはないということにおいて、最後のページにございます論点の、今後の普及状況の検証結果を踏まえるということ、これが非常に大事なのは当然のことでございます。
そこで、スライドの15ページなのですけれども、今回、改定の後、調査をされていて、n数は非常に少ないのですけれども、例えば、オンライン診療では、対面診療と比べて十分な診療ができないという項目が2つ目にございますね。
これを見ていますと、そのうちオンライン診療の実績がある、これはnが12なので非常に少ないといえば少ないわけですが、恐らく、この診療医療機関は、オンライン診療に積極的な医療機関の先生であろうということが容易に想定できるわけですが、ここでも、このデータを見ますと、63%の先生が、やはり対面診療と比べて診療が十分にできないというコメントをされておるわけですね。これなどは、非常に重要なコメントであって、その内容が、どういう意味で十分な診察ができないとか、そういう検証を、やはり今後、蓄積をしていっていただきながら、しっかりとされることによって、さらにメリット、デメリットを峻別していくことができるかなと。
これは、逆に十分できるという方の検証の内容も同時にしていただくということは当然であると思います。
あとは、検証は、やはり診療に関することでございますので、一定の期間というのがどうしても要ると思いますので、ポイントの調査を見て、すぐに判断をするというのは、拙速になるということで御注意していただきたいと思います。
そういう検証の結果を踏まえた上で、先ほど、今村委員がおっしゃったように、疾患を扱う学会からの提案等も加味した上で、最終的に要件等を見直していくと、そういうプロセスをぜひとも踏んでいただきたいとお願いします。
○田辺会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
私も今、城守委員が指摘した15コマ目と16コマ目のオンライン診療の実績がある医療機関からの調査結果は、非常に大切なデータだろうと思っています。
先ほど、幸野委員が30分要件のことについてお話がありましたけれども、7ページ目にございます、つまり、急変時に円滑に対面診療ができる体制にあることということを指していると思っておりまして、これは、要するにかかりつけ医であるということで、したがって、別に自宅の近くではなくてもよろしくて、かかりつけ医を持つのは、勤務の場所の近くであっても全然問題ないわけですので、ぜひ、そういった御理解をいただきたいと思っております。
○田辺会長
では、宮近委員、お願いします。
○宮近委員
現役世代の働く側からの意見ということでお聞き願いたいと思うのですが、スライド55ページにある論点の中で書かれておりますように、オンライン診療に関して、離島・僻地などの医療資源の少ない地域と、それ以外に分けて検討を進める方向性については、大いに賛成です。
これまで、支払い側の委員から発言があった内容のとおりのことでして、私も全くそのとおりだと思うのですけれども、離島・僻地以外にも医療の質の向上に加えて、やはり患者の利便性の向上といった観点もぜひ考えてオンライン診療に対するニーズあるいは活用の余地、いろんな活用の余地があると思いますので、それを少しずつ実績を積み上げて検討していただきたいと思います。
二号側の委員の先生からもいろんな貴重な意見が出ておりますし、そういったことについては、基本的にそのとおりだと思いますし、これまでも各委員がおっしゃっている対面診療という大原則は崩してはいけませんし、安易な運用というのは現に慎むべきですけれども、特に現役世代の患者側からの受療行動という視点、特に、なかなか病院に行けないという実態があるということを踏まえて、オンライン診療のさらなる活用について、繰り返しになりますけれども、いろんな観点からの検討をしていくべきではないかと思います。
以上、意見です。
○田辺会長
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
オンライン診療も遠隔診療も患者にとっては非常に有益というか、助けになるものだと思うのですけれども、基本的な考え方自体も、7コマ目の対面診療というのは必要で、いろんな安全性ですとか、有効性のエビデンスが確認されているというようなことについても、こういう理解も当然してきていたわけなのですが、6月10日に開催された、これは、14コマ目の医政局の検討会の延長だと思うのですけれども、オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会というので、緊急避妊の薬について、オンライン診療でできるように、一部のメディアではネット処方解禁などということを、かなりセンセーショナルな書き方をしているところもあって、こういうのがよく私としては理解に苦しむところがあって、もちろん緊急ということはあるのでしょうけれども、オンライン診療のくくりにして検討されているというのは、非常に違和感があるのですね。
緊急のことなのであれば、オンライン診療とか、そういうことではない枠組みで検討をするべきで、当然、結果的にオンライン的に対応するというのがあったとしても、ここで議論されているようなオンライン診療とは全く違ったケースだと、私は思うので、そのあたりをどういうふうに捉えているのかというのをお聞きしたいのですけれども。
○田辺会長
では、先に今村委員、お願いします。
○今村委員
私が厚労省にかわってお答えするのも、何か変な感じなのですけれども、まさしく間宮先生がおっしゃった委員会に出ていて、その議論に参加していますので、御指摘のとおりなのです。
だから、そもそも今の社会のありようがおかしいと、本来、必要な人にきちんと供給される体制が整備されていないから、だから、それを補完するためにオンライン診療にするという議論ではなくて、まずは前提として、社会の中にそういう仕組みをきっちりつくりましょうという結論になっています。
ごくごくどうしても、いろんな今の社会構造を変えても、それを提供できないような方たちについては、オンライン診療で条件をつけて、お渡しをすることができるようにするということであって、何も今の社会の中のありようがおかしいから、それを全部かわりでオンラインでやるのだと、そういう話ではないのです。
そのことを踏まえて、先ほど、一号側からお話がございますように、今の働いている方たちの利便性を考えてというお話もございましたけれども、もともとこういうオンラインの話が出る前から、疾病と職業の両立という議論がずっとあったわけです。つまり、企業のあり方や働いていただく方の、いわゆるそういった方にも配慮した働き方、つまり、本当に医療の必要な方には、きちんと通院するような時間を確保しましょうというのが社会のありようだった。そういう議論をしていたところで、このオンラインの話が始まって、それだったら会社のありようではなくて、通勤する人に通勤していただく時間をやめてオンラインにしたら便利だねと、だから、この利便性の話だけを議論するのは、私はおかしいと、利便性は大事ですけれども、医療ニーズと、本当にその方のニーズと利便性を両方あわせて考えていただきたいと。
だから、どうしても便利だからという話が、これはヨーロッパのイギリスでも、やはりNHSは、要するに患者のニーズに応えるものであって、デマンドに応えるものではないという結論になっているのです。つまり、デマンドだけで議論するのは、おかしなことになるので、そこはぜひ一号側にも御理解をいただきたいと思っています。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
今日は、あえて利便性という言葉は使わないようにしようかなと思って発言したのですが、利便性ではなく、逆にオンライン診療を有効に使うことによって、脱落せずに継続して医療を受けられるという利点があるということもぜひ理解していただきたいと思います。
○田辺会長
ほかに、いかがでございましょうか。
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
私も利便性というのを追求してオンライン診療というのを進めているとは思っていないです。やはり、患者によっては、通院すること自体が骨折につながってしまったりとか、非常に負担がかかる人もいるわけで、そういう人たちのためのものではないかなと考えていて、決して、利便性、通勤の時間とか、会社を休まないためにということではないのかなと思います。ただ、診療時間の割に待っている時間というのは長いというのは問題があると思います。
さっき私が質問したことについては、一緒くたにしないでほしいということについては、厚労省の御意見もちょっとお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お答え可能でございましょうか。
○森光医療課長
大変申しわけないのですけれども、これは、医政局で検討会というのを動かしていただいておるところでございます。
基本的に医政局というところでは、いわゆる基本的なベースとしてオンライン診療の指針、これであればオンライン診療ができるか、できないかというところでの議論をしていただいていましたけれども、私どもとしては、それをベースとして、それはありますけれども、基本的には保険診療として、きちんと保険の中で診る診療というのは、どういうものがふさわしいのかということを、ここでは議論をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
わかりました。
それと、電子版のお薬手帳についてですけれども、これは、やはり技術というのはどんどん進んでいくわけですから、当然、患者と薬剤師と医師が、それぞれが情報を共有することができるようにするべきだと思います。
やはり、診察室で一々スマホを見せて、先生、こうなっているのですけれどもというのを見せるのではなくて、医療機関に行ったときに、情報を登録というか、出せるように何か手続をしてから診察室に入るとかということだってできますし、あと、緊急時にパスワードがなくても見られるような機能だって、今、スマホなどでスライドすれば、カメラの機能とかだって使えるわけですから、そういうのも何か工夫すればできると思いますので、今のスマホでできないからといって、それを否定するのではなくて、どういうふうになったらいいのかということを議論して、それを実現できるようにしていくのが必要なのではないかと思います。これは、意見です。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
いろいろいただきましたけれども、まずは、オンライン診療については、先ほど来問題になっているのは、間宮委員もおっしゃったとおり、緊急避妊薬の問題もあり、また、ガイドラインの検討会では、僻地における代診の話も出ておりました。これにも、ちゃんと前段に、まず、きちんと代診をする医師を手当した上で、それがかなわないときにオンライン診療ということで書いてあります。
したがって、ふだんの診療もそうですけれども、やはり、毎月1回、きちんと気兼ねなく医療機関にかかれるという体制をしっかりと、まず、とっていただくということが前提であって、そういった体制づくりをまずした上で、それでどうしてもかなわないときにという切り口でオンライン診療を考えていくべきだと思っております。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑は、このあたりとしたいと存じます。
次に報告事項でございますけれども「診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。
本件については、診療報酬基本問題小委員会において議論を行ったところでございますけれども、小委員会でいただいた御意見も含めまして、事務局のほうより説明のほうをお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
基本問題小委員会からの報告ということで、総-3の資料でございます。基本的には、その資料に基づきまして、尾形分科会長のほうから、昨年度の調査結果につきまして御報告がございました。
それにつきまして、小委員会のほうでは、主な意見として、急性期一般入院基本料の要件として定められていた重症度、医療・看護必要度、これの1に対して求めていた30%が妥当であったのかどうか。また、必要度の1と2の相関が妥当であったのか、これについてしっかり検証していく必要があると、分析する必要があるという御意見がありました。
また、今後の分析に当たっては、外れ値ですとか、その分布、これをしっかり確認して、この分析も進めていくべきというような御意見もいただきました。
また、療養病棟2が、なぜ介護のほうにいかなかったのかと、これについてもしっかり検討するようにというような御意見をいただいたところでございます。
また、入退院、それぞれの入院してきたところ、また、退院先、こういうことについてもしっかり考えていく必要があるといったことも御意見をいただきました。
また、このデータにつきまして、県別ですとか、地域別の分析についてもできる限りしてほしいというような御意見をいただいたところでございます。
以上、報告をさせていただきます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑は、このあたりとしたいと存じます。
次に、これも報告事項でございますけれども「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会からの報告について」を議題といたします。
事務局より、資料が提出されておりますので、説明のほうをお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料総-4と総-4参考とございますけれども、総-4のまとめた資料のほうで御説明をさせていただきたいと思います。
「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」の報告ということでございます。
この資料の一番最初にありますように、妊産婦の診療は、通常よりも慎重な対応や胎児や乳児への配慮が必要であり、診療に積極的でない医療機関が存在するとの指摘があると。このため、妊産婦自身の負担にも配慮しつつ、妊産婦が安心できる医療体制の充実が必要。この認識のもとに、また、出産年齢が上昇傾向にあり、一般に、高齢出産の場合には、特に健康管理に留意が必要とされるなど、妊産婦のニーズに応じた細やかな支援が重要ということで、この妊産婦検討会を開催したということでございます。
構成員、検討のスケジュールは、そこに書いてあるとおりでございます。
この検討にあわせて、そこにありますように、妊産婦の医療や健康管理に関する調査、これもあわせて実施をさせていただきまして、妊産婦さん御自身からの回答約2,000弱の回答を得て、これを参考に議論をさせていただいたところでございます。
「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会 議論の取りまとめ(概要)」のほうを見ていただければと思います。
これにつきまして、まず、最初の上にありますとおり、妊産婦が安心できる医療体制の充実や健康管理の推進を含めた妊産婦に対する保健・医療体制のあり方について検討を行った。
中医協においては、妊産婦に対する診療の評価のあり方について、さらなる検討を進めることを期待されております。
また、国においては、妊産婦に対する保健・医療体制を構築するため、関係機関との協力・連携の上、引き続き取り組んでいくべきであるという御意見を総論としていただいてございます。
この議論の取りまとめでございますが、4つの分類で議論の取りまとめを行ってございます。
まず、相談支援の部分でございますが、妊産婦の不安、そこに書いてありますように、栄養ですとか、授乳に関する不安、そういう状況を踏まえて、右手にありますように、不安に感じる妊産婦が相談できる仕組み、体制というのを充実していくということが求められているということでございます。
また、医療提供の状況でございますが、左に書いてあります現状でございますが、最初にありましたとおり、産婦人科以外の診療科から診療を断ることがあるというようなアンケートの調査が一部あります。
また、妊婦が産婦人科以外の診療科を受診する際に求める気配りということで、これは妊婦さん自身の回答として、診療、薬の内容について文書を用いて説明をしてほしい。
それから、経験が十分である医師の診察であってほしい。
それから、母子健康手帳の確認をしてほしい。こういうことが調査結果としていただいております。
それから、産婦人科の現状として、コモンディジーズについては、他科からの診療の提供が非常に少ないと、また、産婦人科自体が、非常に労働時間が長く、非常に分娩施設も減少しているという現状にある。
それから、産婦人科以外の診療科の現状ということで、診療の際にさまざま配慮が必要であり、診療を敬遠しがちであるとか、妊産婦の診療に関する研修機会が少ないので不安、それから、妊産婦に処方できる薬剤かどうかの情報が非常に少ないといったような現状にある。
それにつきまして、医療機関の提供体制として、妊産婦の診療に積極的な医療機関の把握・周知、都道府県が主体的に地域の医療機関間の連携体制の検討・構築をするべき。それから、母子健康手帳を活用した診療科間の情報連携を進めるべきであるというような御意見をいただいております。
また、そこにありますように、医師に対する妊産婦の診療に関する研修を推進したり、診療や薬に関する説明文書の例を作成したり、妊娠と薬に関する情報を医師へ提供する体制の整備・周知といったことを進めてはどうかという意見をいただいているところでございます。
続きまして「連携体制の構築」ということでございますが「支援を必要とする妊産婦への対応」ということで、妊娠期から子育て期までつながる一貫した支援が必要だろうと。
利用できる施設や制度について十分知られていない状況にあること。
それから、これは30年改定でも課題となりましたけれども、周産期の鬱病については、医療機関と行政機関の連携が非常に重要であるという課題。
母子健康手帳については、広く活用されていて、妊産婦自身の健康管理のために活用できるのではないかということ。
それから、増加しつつある、これは市町村によっては約10%強の方が外国人の妊産婦であるというような状況も報告されておりまして、その方への支援が必要という御意見もございました。
それを受けて、妊娠期から子育て期までの支援として、子育て世代包括支援センターの質の向上と設置の推進、それから、医療機関と自治体の連携の促進が必要であろう。
また、母子健康手帳の活用ということで、医療機関の受診状況などを本人同意の上で医療機関が記載するといったような活用というのも考えられるのではないかという御意見をいただいたところでございます。
また「健診や診療の評価」ということで、健診については「妊婦健診、産婦健康診査」ということで、全ての市町村で14回以上の公費負担制度が実施されております。
また、健診内容によっては、公費助成を超えるため、一部自己負担が生じているという状況でございます。
これについては、妊婦健診、産婦健診について公費補助額を超える自己負担が発生しないような工夫ですとか、妊婦さんの同意に基づく、選択でございますが、自己負担が可能となる取り組み、産婦健診審査の拡充といったことが必要ではないかという御意見もございました。
それから「妊婦健診以外の診療の評価等」ということで、妊婦健診以外に、偶発合併症等の診療の費用も生じるということで、4県において、所得に応じて妊産婦の診療に係る費用の一部を助成しているという制度についての御紹介もあったということでございます。
これについては、この検討会としては、診療に対する評価等についてということでまとめておりますが、妊婦加算を契機に、この検討が開催されましたけれども、単に妊婦を診療したのみで加算されるといったような前回と同様の妊婦加算が、そのままの形で再開されることは適当でない。
また、妊産婦の診療において、質の高い診療や、これまで十分に行われてこなかった取り組みを評価・推進することが必要であり、具体的な要件や名称については中医協で議論していただきたい。
また、妊産婦が受診する際の負担が、これから子供をほしいと思う人にとって、ディスインセンティブとならないようにすることが必要であり、他の受診者との均衡、政策効果といった点を勘案し、引き続き検討するべきであるという御意見をいただいております。
以上、この検討会の議論の取りまとめということで、報告をさせていただきました。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、どうぞ。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
検討会の御報告ありがとうございました。
1つ確認をさせていただきたいのですが、本検討会の端緒となった妊婦加算については、昨年12月に十分な議論がなく凍結に至った経緯があります。
今後の中医協においての議論ですが、妊婦加算の取り扱いだけではなくて、妊産婦に対してどのような診療体制を構築するのかという点も含めた全体的な議論を行うべきだと思っていますが、具体的には、秋以降の第2ラウンドで議論するという認識でよろしいでしょうか。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
基本的には、この報告書ということで、課題ですとか、それの整理をしていただきます。御理解をいただけるのであれば、秋以降、具体的な要件ですとか、どういう形で妊婦に対する評価を考えるのかということについては検討していただきたいと思っております。
○松本委員
ありがとうございます。
○田辺会長
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
この件に関しては、ある意味、中医協としての議論の教訓になったと思っています。
前回改定で新設した妊婦加算は、十分な議論が行われずに加算が創設されたという経緯がありましたが、きちんと検討会を立ち上げて議論を深めていくと、診療報酬以外にもやらなければいけないことが多く存在し、診療報酬上の算定要件をきちんと決めなければいけないということが、改めてわかって、中医協の議論の重さを感じますとともに、今後、この教訓を生かして、1つの加算を創設するにも、十分に議論を深めた上で、対応を考えていかなければいけないということが改めてわかったという点については、一定の成果はあったのではないかと思っています。
では、妊婦加算について、中医協の診療報酬での対応をどうするかということですが、この検討会の議論のとりまとめにありますように、妊産婦の方が納得して対価を支払うという算定要件にするのはもちろんですが、産婦人科以外を受診したときに、かかっている産婦人科との情報連携が非常に大事だというところ、また、産婦人科以外の医師が妊婦に対する診療のあり方を研修等で学ぶ必要があるということがわかったので、これらを踏まえて、加算や、算定要件のあり方の議論を深めていかなければいけないなと思いました。
以上です。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょうか。
では、平川委員、お願いします。
○平川委員
「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」は、かなり大きく全体像を示している内容かと思います。
中医協で議論をするときも、この要件だけを議論していても、なかなか見えない面があると思いますので、ほかの施策との連携や地方自治体の取り組みも含めた形での連動性がわかるような形での議論の方法というのをお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかは、いかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑は、このあたりとしたいと存じます。
本日の議題は、以上でございますけれども、遠藤委員、野口委員が、本日をもちまして御退任となりますので、一言御挨拶のほうをお願い申し上げます。
では、遠藤委員、よろしくお願いいたします。
○遠藤委員
貴重な時間をいただきまして、退任の挨拶の機会をいただきましてありがとうございます。
私は、任期が4年でありましたけれども、公益委員を初め、一号、二号の委員の方々、また、事務局の方々に大変お世話になりました。
振り返ってみると、就任当初、大変困難な直面からスタートしたのでございますけれども、一応、ライフステージに応じた口腔の健康管理が、患者、国民のQOLの改善や健康寿命の延伸につながるという思いから、最も重要であると考えた、かかりつけ歯科医機能というものの充実に、微力でありますが、努力してまいりました。
歯科医師にとっては診療所における日常の外来診療のみならず、在宅とか、さまざまな医療、介護の連携を図り、また、地域の行政との連携をしつつ、地域住民の健康に寄与することが、ますます重要性を増してくると思いますので、そういった論点から、今後も議論されていくことを期待しております。
これまで、十分な対応ができなかったと思いますけれども、関係各位にさまざまな御指導を賜ったことを感謝申し上げます。
4年間のこの場での議論、この経験を少しでも今後に生かしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○田辺会長
それでは、野口委員、お願いいたします。
○野口委員
皆さん、お疲れでしょうが、練習したら4分ぐらいかかったので、済みません、3分半ぐらいください。
まず、この場にいらっしゃる、そして、歴代の一号側、二号側、そして公益委員の皆様から大変多くのことを学ぶことができ、皆様のおかげで、この6年間、中医協の公益委員としての責務を何とか果たすことができましたことを、まずは心より御礼申し上げます。
中でも、厚生労働省の中医協の御担当の皆様からは、政策決定のプロセスにおいて、何が重要なポイントとなるのか、公益としてのスタンスとかかわり方、さまざまな観点から御指導を賜りしたこと、深く感謝申し上げます。
私は、在任中、消費税や7対1入院基本料をめぐる議論で、二度の公益裁定を経験いたしました。
さらに急速なイノベーションによる高額薬剤やハイテクな医療技術の登場への対応、それに伴う薬価の毎年改定、グローバルに見ても、大いなる社会実験とも考えられる費用対効果制度の導入など、現時点のみならず、将来の医療政策全般にとって非常に重要な議論の場、そして、今や40兆を超える国家予算の資源配分を決定する場に、公益というよりも、むしろ一市民として参加させていただきましたこと、本当に今後の私の人生にとりまして、かけがいのない経験であったと思います。
医療経済学を専門とする私自身の研究者としての仕事というのは、データを分析することによって、医療や介護など、人々の健康にかかわるさまざまな政策に対する評価を行い、政策に資する科学的なエビデンスを導き出すことにあると思っております。
したがって、そうした立場から、データに基づく科学的なエビデンスに基づいた議論の意義について、機会を頂戴するたびに発言をしてきたつもりです。政策決定を科学的エビデンスに基づいて行う、いわゆるエビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングは、財政的にも、人的にも、社会資源が減少傾向にある今日、効率的に、より有効な政策を選択するために、その重要性がますます高まりつつあるのではないでしょうか。
そこで、この場をおかりして、最後に申し述べたいことは、完全な統計データなどというものは、この世には存在しないということ。だからこそ、さまざまなステークホルダーの目を通して、統計学的な検証を行い、統計の精度を上げていく、改善をしていく必要があるということです。
例えば、中医協においても、数多くの調査が行われ、本日もいっぱい調査が出ましたけれども、そのたびに有効回答率が問題になっています。有効回答率を上げるということは、データの精度を改善することに直結します。とりもなおさず、それはデータの背後にある、より多くの声なき声を拾い上げることを意味します。
本来であれば、もう半ば強制的に全数調査を実施することが望ましいのですが、いかんせん行政でも、現場でも、そのための社会資源は限られているのが現状です。
昨今、政府が主導となって、先ほど申し上げたエビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングということが、声高に叫ばれてはいますが、統計データの収集や、その分析に配分される予算は削減される一方で、政府の主張と行動が一致していないのが実情です。
しかし、診療報酬改定に代表されるように、一旦医療政策が動くと数千億円あるいは数兆円の影響があることを思えば、社会的インフラとして精度の高いデータの構築、整備と分析にもう少し多くの財政的、人的な資源配分が行われることを期待してやみません。
個人的には、今後、スーツを着用する機会が減って、TシャツとGパンでの研究生活に戻ることができることに非常に喜びを感じつつ、今後、来年度の診療報酬の改定に向けて、皆様の御健康を心より祈念しつつ、実りの多い議論が行われることを期待しております。
本当に、どうもありがとうございました。
○田辺会長
両委員の長年の貢献に対しまして、御礼申し上げたいと思います。
どうもありがとうございました。
それでは、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日の総会は、これにて閉会でございます。
御参集、どうもありがとうございました。
 
 

<照会先>

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