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2019年5月29日 中央社会保険医療協議会 総会 第415回議事録

○日時

令和元年5月29日(水)10:04~11:57

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 松原由美委員 野口晴子委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員 
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員  有澤賢二委員
吉川久美子専門委員 田村文誉専門委員 横地常広専門委員
〈参考人〉
保険医療材料等専門組織小澤委員長
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器の保険適用について
○働き方改革と医療の在り方について

 

○田辺会長
 ただいまより、第415回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、染谷委員、岩田専門委員が御欠席です。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほう、お願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
 それでは、議事に入らせていただきます。
 初めに、「医療機器の保険適用について」を議題といたします。
 本日は、保険医療材料等専門組織の小澤委員長にお越しいただいております。小澤委員長より御説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○小澤委員長
 それでは、説明いたします。
 中医協総-1の資料をごらんください。
 今回の医療機器の保険適用は、C2が4区分、4製品です。
 2ページ目をごらんください。
 製品名は、オンコマインTM Dx Target Test マルチ CDx システムです。
 5ページ目の製品概要をごらんください。
 本品は、非小細胞肺がん患者への医薬品の適応判定の補助を目的として、対応する遺伝子変異等を検出する製品です。
 2ページ目にお戻りください。
 価格につきましては、本品は特定保険医療材料としては算定せず、既存技術料の枠組みで評価することが適当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はありません。
 続きまして、6ページ目をごらんください。
 製品名は、MR ガイド下集束超音波治療器 ExAblate 4000です。
 9ページ目の製品概要をごらんください。
 本品は、頭蓋外部から集束超音波を照射することにより標的とする視床を局所的に加熱、に壊死させる集束超音波治療機器であり、薬物療法で十分に効果が得られない本態性振戦における症状緩和の目的で使用する製品でございます。
 6ページ目にお戻りください。
 価格につきましては、本品は特定保険医療材料としては算定せず、既存技術料の枠組みで評価することが適当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はありません。
 続きまして、10ページ目をごらんください。
 製品名は、FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルです。
 19ページ目の製品概要をごらんください。
 本品は、固形がん患者の腫瘍組織検体から抽出したゲノムDNAの遺伝子変異情報を解析するプログラムです。また、一部の遺伝子変異等の検出結果については、特定の医薬品の適応の判定の補助に用いることができる製品です。
 10ページ目にお戻りください。
 価格につきましては、本品は特定保険医療材料としては算定せず、既存技術料の枠組みで評価することが適当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はありません。
 続きまして、20ページ目をごらんください。
 製品名は、OncoGuideTM NCC オンコパネル システムです。
 26ページ目の製品概要をごらんください。
 本品は、固形がん患者を対象とした腫瘍組織の包括的なゲノムプロファイルを取得する製品です。
 20ページ目にお戻りください。
 価格につきましては、本品は特定保険医療材料としては算定せず、既存技術料の枠組みで評価することが適当と保材専として判断いたしました。このため、外国平均価格との比はありません。
 今回御説明いたします内容は以上でございます。
○田辺会長
 どうもありがとうございました。
 引き続き、事務局から補足と説明をお願いいたします。
 では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 それでは、資料総-1参考1をごらんください。
 今回協議させていただいておりますパネル検査につきまして、御意見書、要望書を提出いただいておりますので、御紹介いたします。
 まず、1ページ目から2ページ目にわたりまして、日本医師会長より御意見書をいただいております。
 2ページ目の上段、2つ目の段落ですが、「今後、わが国における診療に用いられたゲノム検査の結果が、結果レポートだけではなく、ゲノムの元データも含め、がんゲノム情報管理センターに適切に提出されるよう、国、専門医療機関、企業等の関係者が協力の上、医療保険上の取扱いや必要な法整備等について取り組むよう強く要望いたします」といった内容でございます。
 3ページ目は、5月20日付、日本医学会長からの要望書でございます。
 中ほど下、1つ目でございますが、「日本人に最適化されたゲノム医療を提供するためには、国民のゲノム情報がわが国で蓄積され、アカデミアや企業が迅速かつ公平・公正に学術研究等に利活用できる体制整備に向けて、官民をあげて取り組む必要がある」。
 また、2つ目でございますが、先月の中医協のことを引用いただいておりまして、「今後、実施された塩基配列の元データを含む遺伝子変異リストをゲノム情報として、国内に一元的に集約・管理する体制を整備する」といった内容でございます。
 4ページ目は、日本製薬工業協会の会長よりいただいております。こういった創薬への活用について、こうしたことも含めいただいております。
 3つ目の○でございます。国が進めるがんゲノム医療推進コンソーシアムにおきまして、がんゲノム情報管理センターへの情報の集約といったことがうたわれておりまして、その情報が患者や国民に裨益することに大きな期待が寄せられている。
 また、その下、データを提出する企業に不利益が生じないようといった配慮も必要な旨が記載されております。
 最後に、がんゲノム情報管理センターで集約される臨床情報やゲノム情報が適切に利活用され、その成果が患者や国民に還元されるよう、国や省庁が主導し、適切な体制で運営されることを要望させていただきますといった内容でございます。
 以上、御報告とさせていただきます。
○田辺会長
 では引き続き、医療機器政策室長、よろしくお願いいたします。
○前田医療機器政策室長
 医政局医療機器政策室長でございます。
 引き続き、私のほうから資料総-1参考2、原価計算方式の係数の更新につきまして御報告を申し上げます。
 原価計算を用いまして、特定保険医療材料の材料価格を決定する際には、表にお示ししておりますように、一般管理販売比率、営業利益率、流通経費率について標準的係数を定めております。この係数は、経済課が実施しております医療機器産業実態調査の最新の調査結果を踏まえまして、毎年更新を行っておるものでございます。
 今回は平成29年度の調査結果を踏まえまして、表にお示ししておりますように、各標準的係数を更新したく御報告を申し上げます。
 御説明は以上となります。
○田辺会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 医療機器の保険適用について、まず、1のオンコマインについてですが、4つの遺伝子を同時に実施できるということで、検体が少なくて済むなどのメリットもあって、患者さんにとってもメリットがある検査ではあると思いますが、とは言え、これらの4つの遺伝子検査は既にコンパニオン検査として保険適用されております。臨床的な意味合いという観点からは目新しいものではありません。
 がん遺伝子検査は最近非常に多く保険収載をされていますが、今後も恐らくふえてくるでしょうし、次回改定に当たっては、臨床的な意味合い、ガイドライン上の位置づけ、妥当な点数設定など整理していただくようにお願いいたします。
 次に、2つのパネル検査、FoundationOneとオンコパネルシステムについても申し上げます。
 4月24日の中医協総会でも述べさせていただきましたけれども、C-CATに対してデータ提出を要件とすること、また、コンパニオン検査を目的として行った場合に、目的外で得られた遺伝子情報については、患者の治療方針の決定には用いないことについては賛成いたします。
 これらのパネル検査につきましても、先ほども言いましたが、次回改定において、さきの他の遺伝子検査との関係も含め、つまり、今回準用された既存の技術料を含めた整理をしっかりとしていただきたいと思います。
 なお、言うまでもなく、要望書にもありましたけれども、C-CATへのデータ登録は大変重要であって、診療の現場では、患者さんへのメリットも含め、その重要性を患者さんにしっかりと理解していただくことが大切だと思います。
 この点につきまして、担当医によって説明の方法が異なることがないよう、がん対策を担当する部局においては、説明マニュアルを作成するなど取り組んでいただきたいと思いますが、最後の点につきましてはどういったことになるのか説明をお願いいたします。
○田辺会長
 では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 今、松本委員から御指摘いただきました点、非常に重要でございます。
 資料総-1の13ページをごらんください。
 上から2つ目、(オ)でございます。現場におきまして、主治医の方が患者さんにしっかり必要性、患者さんへのメリットを御説明いただくということは非常に重要でございます。こういったことでインフォームド・コンセントの手順書を整備いたしまして、その内容に沿ってきっちり患者さんに御説明いただけるように取り組んでまいりたいということで、またいろいろ御意見をいただければと思っております。
 以上でございます。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 今の総-1の3と4の遺伝子パネル検査についての意見ですけれども、国を挙げてがんゲノム医療を推進していくという中で、患者さんの診断及び治療方針決定の補助ということでこのがん遺伝子パネルが先進的な検査とされているということで、この検査の保険適用に当たっては、前回の4月24日の総会で議論いたしましたが、その際にも一部申し上げましたけれども、今回改めてパネル検査の保険適用を実施するということに当たって、条件とは言いませんが、事務局においてぜひ確実に御対応いただきたいことを3点ほど申し上げたいと思います。
 まず1点目でございますけれども、がんゲノム医療中核拠点病院、今回また新設される医療拠点病院でのエキスパートパネルの実施については、運用ガイドとかいろいろあるのだと思いますが、エキスパートパネルの質の確保と、個々の病院間の格差が生じないようにぜひしていただきたいというのが1点目です。
 2点目は、今、松本委員からもありましたけれども、担当主治医による患者さんへの説明において、これは今回ここにありますが、手順書等に基づいて、その方法、内容についてはばらつきがないようにぜひ留意していただいて、丁寧な説明を行っていただきたい。患者さんの十分な理解と納得を得ることが重要な観点だと思いますし、また、C-CATへのデータ登録においての提出、二次利用の同意をきちんと患者さんからとっていただくということも含めますれば、やはり丁寧な説明をしっかり果たしていただきたいと思います。
 3点目は、C-CATにおいて、患者さんのゲノム情報の管理の徹底。これは皆さんの御意見書にもありますけれども、今後の学術研究の成果から次につながる医療技術を生み出していくということで非常に大事な機関であると思いますし、患者さんの治療の向上に確実につなげられるような適切な体制を構築、整備していただきたい。
 以上の3点がこのゲノム医療推進において非常に重要な観点だと考えておりますし、このパネル検査の保険適用に当たっては、事務局においては、省内のがん対策担当部局がおありだと思いますけれども、そことしっかり協力いただいて、必要な法整備等も含めて、ぜひこれが有効に機能するようにしていただきたいと思います。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 吉森委員と重複するところはあるのですが、パネル検査の保険収載は目指すべき方向だと思います。しかし、保険収載するにあたり、受け入れ体制、インフラがちゃんと整備できているのかも。合わせて考えていくべきと思われます。
 今回収載する2つの遺伝子パネル検査の対象患者はそれぞれ1万3000人ぐらいで、双方合わせると年間で2万6000人います。この年間2万6000人の患者に対するエキスパートパネルもそれぞれ行われなければいけないのですが、中核拠点病院しかできないため、その人数を受け入れる体制があるのかということと、エキスパートパネルが標準化されているのかについてお聞きしたいです。
 もう一つは、NCCオンコパネルについて、前回の資料では、治療薬の選定まで至った割合は13.4%であるという数値が出ていました。これだけ見ると、治療薬に至るのが1割強で、保険収載は若干時期尚早ではないかと感じている一方、保険適用することによって、データもどんどん集められて、この数値も上がっていくということをおそらく意図されて、保険収載に至ったのだろうと思います。
 ただし、個人の同意がないとデータをC-CATに集積できないのですが、遺伝子情報は究極の個人情報で、患者さんの同意を得るのはかなり困難だと私は想定します。同意を取るには、病院の方に丁寧に説明をしていただき、患者さんに納得してもらうことが必要だと思うのです。説明の内容に含まれるであろうデータの二次利用について、前回も指摘しましたが、ルール化や法整備がされる予定なのか、お聞きしたいと思います。
 以上2点について、事務局の考えをお教えいただきたいと思います。
○田辺会長
 では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
 貴重な御指摘、ありがとうございます。
 このがん遺伝子パネル検査については、保険適用をお認めいただければ、円滑に進めていきたいと考えております。
 まず、1点目の御質問でございます。実際にこの症例数を対応するだけのキャパシティーがあるのかという御質問だと思いますが、現時点では、今回お示ししている見込み症例数はピーク時ということもありまして、まず当面は年間1万に届かない数千件程度ではないかと見込んでおりまして、それには対応できる体制であるとは考えております。
 また、2つ目につきましては、厳格な審査を経まして当然第三者に提供するということでございます。具体的な体制については、これからC-CATのほうでも組み立てがなされると思いますが、第三者が入って利益相反などない形できっちり判定をした上で第三者に提供する。こういった体制はしっかりと整えていきたいということでございます。
○田辺会長
 幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
 我々としては受け入れ能力と各拠点病院の判定の標準化と、患者さんが納得できるようなデータ利用に関する法整備等を早急にお願いして、それに合わせて遺伝子パネル検査の保険収載も増やしていくべきだと思います。
 もう一つ懸念されることですが、ピーク時の市場規模予測が、プロファイルのほうは75億円、NCC オンコパネルシステムは73億円と想定されていますが、市場規模が拡大する可能性についてお示しいただきたいです。
○田辺会長
 では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 今回の推計は、基本的には標準的な治療を終えられた、もしくは単に標準的な治療がなかなか対応できないといった患者さんを対象にしておりますので、市場規模に関しましては、今後、例えば使用するがんの診断からこのパネルを使用する、用い方を変更することによって、当然対象となる症例数は変わり得る可能性はあると思います。
 ただ、その場合に、その単価をどのように設定するのかといったことを含めて、また御議論ということだとは思います。
○田辺会長
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 医薬品の場合には市場規模が拡大したときの対応策がありますが、医療機器の場合にはこういったルールがないため、もし市場規模が拡大するようなことがあった場合には、医薬品と同じように再算定などを検討していく必要があると思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
 がん遺伝子パネル検査について、幸野委員と同じような意見ではあるのですけれども、患者にとっては説明と同意というのは非常に大切なものであって、その先のデータの二次利用についても、どれだけ患者が理解できるかというところというのは、医療機関によってまちまちになってしまうと患者にとっては不利益になってしまうということがありますので、これから整備していくというようなこととか、これからやっていく、これから意見も聞いていくというような御回答があったと思うのですが、今の時点でインフォームド・コンセントの手順書というのは実際にあるわけですよね。それについての検討はどういうふうになされたのかということをお聞きしたいです。
○田辺会長
 では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 インフォームド・コンセントに関しましては、がんゲノム医療中核拠点病院と連絡会議というものが既にございまして、そちらの中で、そういった拠点病院の中で統一したインフォームド・コンセントの内容をお示しして、まとめてございます。それに沿ってきっちりやっていこうということでございますので、一定程度そういうフレームとしてはきっちり同じ説明ができるということでございます。
 あと、実際に第三者に提供するというのは、これからC-CATにデータが登録されますので、まだそういった審査の実績はありませんけれども、そういった厳格な審査を経て行っていくという体制をきっちり整えていこうということでございます。
○田辺会長
 間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
 そういう手順書を整備しているという話ですけれども、実際に説明を受けて同意したという患者さんから、どれだけの理解度があったのかというのを後で調査していただいて、今後のこういう遺伝子パネルの検査についての適切な説明、こういう説明がいいだろうということを確立していく上でも、患者の反応というか、患者の受けとめというのもきちんと調べていただきたいと思います。これはお願いです。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
 ありがとうございました。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
 次に、「働き方改革と医療の在り方について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
 では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
 そういたしましたら、資料総2-1に従いまして御説明をさせていただきたいと思います。
 前回に引き続きまして、第4回目の次回改定に向けた議論ということになるかと思います。
 本日は、「働き方改革と医療の在り方について」というテーマで御議論いただきたいということで資料を用意させていただきました。
 まず、働き方改革につきまして、2コマ目を見ていただければと思います。
 「働き方改革に係るこれまでの経緯」と「働き方改革に資する取組み」の2つに分けて御説明をさせていただきたいと思います。また、働き方改革に対する仕組み、取り組みにつきましては、実は診療報酬の中では、勤務医の負担軽減策、看護師の負担軽減策といった形で、かなり過去からさまざまな対策をとってきたという部分もございますので、それらを整理してお示しするということで説明をさせていただきたいと思います。
 まず、経緯というところから御説明をさせていただきます。
 働き方改革に関する検討の状況ということで、まず4コマ目でございます。
 これは、平成30年7月6日に公布されました「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の概要」という1枚の資料でございます。
 大変字が小さくて恐縮でございますけれども、一番上の文章を見ていただきますと、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を推進するため、長時間労働の是正のための措置を講ずるものとなっておりまして、緑の部分のローマ数字の2でございます。長時間労働の是正のための措置を講ずるものということで、2の1の1ポツ目で時間外労働の上限時間が月40時間と設定されておりますが、※のところに小さく書いてありますように、医師と医療従事者については、医療従事者は影響を受けることとなりましたけれども、直下の※印のところを見ていただきますと、医師は猶予期間を設けた上で例外規定が設けられているという状況でございました。
 次に、5つ目のスライドに移らせていただきます。
 これらの働き方改革の方向性を受けまして、医政局において医師の働き方改革に関する検討が行われまして、本年3月に取りまとめられたものの概要でございます。
 スケジュール等については、また別途資料後ろに参考資料でついております。
 医師については、上段の左側の一般則というところを見ていただきますと、一般労働者と同様の月40時間、年間360時間を基本としつつ、上段真ん中のところを見ていただきますと、2024年以降については、医療機関で患者に対する診療に従事する勤務医については、上限として年960時間が設定されております。基本的にはAのところです。
 また、例外的に、このBの地域医療の確保の観点や、Cで示す研修医等が集中的に技能を向上する観点から、年間で上限1860時間とする水準も設定されております。
 これらの月の上限を超える場合には、下のほうにありますように、追加的健康確保措置をあわせて義務として講ずるという仕組みになったというものでございます。
 次に、6コマ目を見ていただければと思います。
 法律上で規定されております各項目の適用時期について、医療機関の規模別に整理をしたものでございます。時間外労働の上限につきましては、中小規模の医療機関とそこに書いてあるところでございますが、常時使用する労働者数が100人以下の医療機関については、医師以外に対しては適用は来年からとなりますけれども、他の医療機関については本年4月から既に適用されているというものでございます。
 7コマ目を見ていただければと思います。
 これは、医師の働き方検討会で出されました資料でございます。これは例えば週の勤務時間が80時間を超える医師が10%を超えるとされるとされておりますが、今後の労働時間の短縮、どのようにこれを短縮していこうかというイメージを外科医を例に示して図にまとめたものでございます。タスクシフトや会議の効率化、医療機関間での機能分化の取り組みを進めていくということで短縮をしていこうというようなイメージを示されておるというところでございます。
 8コマ目でございます。
 今後の時間外労働規制の方向性でございますけれども、下段を見ていただきますと、今後、時間外労働に関する実態調査や労働時間短縮のための実効的な支援策を行っていき、黄色で書いている「施行」というところでございますが、2024年に上限が適用されます。先ほど言いましたように、地域の医療を確保する観点から設定されておりますBのグループ、特例水準という部分については、2035年までに終了するとされております。また、この時間外労働規制と並行して、上段2024年度から第8次医療計画がスタートする。そういうタイミングになっているというものでございます。
 9コマ目は、今後10年間の具体的な医師の労働時間短縮に関するロードマップとして示されたものでございます。医療機関内でのマネジメント、左端を見ていただきますと、マネジメントと医療提供体制それぞれについて、例えば36協定の自己点検、タスクシフトの推進、医師の要請等の取り組みが盛り込まれているところでございます。
 10コマ目は、平成26年10月の改正医療法に基づきまして、医療機関がPDCAサイクルを活用して計画的に勤務環境改善に取り組む仕組みを創設し、また、地域医療介護総合確保基金に基づいて、都道府県ごとに医療勤務環境改善支援センターを整備して、医療機関のニーズに応じた支援を行う体制を構築しているというものでございまして、現在、そこの下にありますように、平成29年3月現在、全都道府県においてセンターが設置されているということでございます。
 次に、11コマ目を見ていただきますと、医師の働き方改革に係る検討会で、平成30年2月に緊急的な取り組みがまとめられております。医師の在院時間についての把握や、36協定の自己点検、産業保健の仕組みの活用について取り組むこととされております。
 12コマ目ですが、その取り組みについてフォローアップ調査をし、取り組みが十分でない医療機関については、さらに勤務環境改善支援センターが確認を行って支援をしていこうというものでございます。
 続きまして、13コマ目以降でございますけれども、それらの働き方改革の取り組みについて、支援する厚生労働省の予算事業としてどのようなものが行われているのかについて御紹介をしていきたいと思います。
 まず、14コマ目でございますが、点線枠内の下線でございますが、医療機関ごとに働き方改革への対応の必要性は認識しているものの、取り組み方がわからないという医療機関に対して、地域での実践、リーダー育成、都道府県ごとの病院長向けの研修が行われることとなっております。
 次に、15コマ目でございますが、これは働き方改革の検討の際にも、医師の勤務負担軽減ですとか労働時間短縮に向けては、医療提供者側だけではなくて、国民、患者等の理解が欠かせないということで、国民の理解を得るための周知の取り組みを一体的にあわせて進める必要があると指摘されております。
 下段を見ていただきますと、具体的には、適切な医療のかかり方についての周知啓発や、適切な医療のかかり方を広める取り組み事例の展開というものを本年度から行うこととなっております。
 16コマ目でございますが、本年度の医師の勤務実態について、全国の医師10万人を対象として調査を実施するということが予定されているところでございます。
 17コマ目でございますけれども、地域医療介護総合確保基金を用いて、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築と地域包括ケアシステムの構築のための事業を行っております。
 この中でございますけれども、18コマ目、女性医師支援に係る主な取り組みとして、基金で実施可能な女性医師等就労支援事業や女性医師キャリア支援事業、女性医師支援事業などの取り組みを行っておるところでございます。
 御紹介でございますが、19コマ目でございます。女性医師等キャリア支援事業においては、女性医師支援で中核的な役割を担う拠点医療機関を各地域で選定いたしまして、モデル的に支援を行う事業でございます。
 20コマ目は、先ほど御紹介させていただきました医療勤務環境改善支援センターに対しましては、医療労務管理の観点から、左側にありますように、労働基準局が取り組みをあわせて行っておりまして、医療経営や組織マネジメントの観点から双方で支えるという取り組みを行っているというものでございます。
 以上、経緯、現在のいろいろな予算事業、取り組みについて説明をさせていただきました。
 続きまして、働き方改革に資する取り組みということで整理をさせていただきました。
 これまで、診療報酬等でさまざまな支援策を実施してきました。それは、各年度ごとにそれぞれの課題となったところに手当てをしてきたということでございますので、今回、この働き方改革という視点でもう一度施策を整理して、どういう視点でやってきたのかということを整理したということで御理解いただければと思います。
 大きく分けて、先ほど御紹介しましたように、医療機関内での取り組みと、地域全体での取り組みの2つに分けて御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、医療機関内での取り組みということでございますが、院内の労務管理、環境改善のためのマネジメントの実践を推進することをもとに、さまざまな施策を推進してきたということでございます。
 22コマ目を見ていただければと思います。
 医療機関の取り組みとしては、まず、労務管理、労働環境改善を行うためのマネジメントシステムを機能させるということが重要でございまして、診療報酬においても病院勤務医の負担軽減のための体制について一部の報酬の要件としてきております。また、マネジメントシステムを機能させた上で個別の取り組み課題というものがあります。
 2つ目のポツ以下でございますけれども、タスクシフトについては、医療事務作業補助体制加算等で他の職種へのタスクシフトについて評価を行っております。
 人員配置については、診療報酬では一定の質の担保のため、人員配置を要件としている。同時に、その後の改定において、医療の実態に応じた要件となるよう、常勤要件の明確化等の見直しを行ってきたということがございます。
 また、チーム医療・複数主治医制を要件とする診療報酬項目がございまして、チーム医療を推進することで一部勤務環境の改善に資するということで整理をしてきたものがございます。
 また、診療報酬の算定のために書類の作成や研修の受講、会議の開催等を求めておりますけれども、それぞれの部分について合理化を図ることで対応してきたということがございます。
 大きく分けますと、そのような種類に分類されるかと思います。
 23コマ目を見ていただきますと、これまで診療報酬で対応してきました勤務環境改善に関連した診療報酬項目を改定ごとに並べさせていただきまして、全体が見えるようにさせていただいております。
 勤務環境改善に関連した項目ですが、まず、院内のマネジメントシステムの実践については、例えば平成20年度から対応しておりまして、その他の個別項目についても、毎年の改定において少しずつ充実が図られてきているというようなところが見えるかと思います。
 続きまして、24コマ目でございますが、診療報酬について勤務環境改善に資する体制について対応している主なものでございます。総合入院体制加算では、医療従事者全体の負担軽減体制を要件としておりまして、医師事務作業補助体制加算や急性期看護補助体制加算では、それぞれ勤務医や看護職員の負担軽減体制を確保することを目的としております。
 次に、総合入院体制加算のところの御紹介をさせていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたとおり、それまでは勤務医の負担軽減策の体制ということで求めておりましたけれども、平成30年度の改定で対象を病院に勤務する医療従事者全体に拡大しまして、取り組み内容を整理したということでございます。算定の医療実績というものを棒グラフで下につけておりますけれども、平成29年時点では、この算定実績が300医療機関強という状況になってございます。
 次に、取り組みを分類しておりますので、それぞれについて少しずつ御紹介をさせていただきたいと思います。個別の取り組みとして、タスク・シフティングの推進というところについて御説明をさせていただきます。
 まず、これは先ほど医政局のほうでも、医師の労働時間短縮のために、医師以外の方へのタスクシフトというものも取り組みの一つとして掲げられておりました。
 次に、28コマ目は、検証調査等でも医師の方の負担軽減に役立っていると評価していただいている部分でございますが、平成20年に新設いたしました医師事務作業補助体制加算につきまして、これは医師の事務作業を補助する専従の職員の配置に対しての評価でございまして、届け出を行う医療機関数は平成29年度で2,800医療機関程度ということでございます。これは、算定できる医療機関の要件を年々拡大してきていることもありまして、増加になってきているという状況でございます。
 29コマ目を見ていただきますと、先日御報告いたしました検証調査の結果、平成30年10月時点での届け出は、前回平成29年度に比べても増加しているという状況でございます。
 30コマ目は、26年度の改定におきまして、手術・処置の休日・時間外・深夜加算の見直しを行ったものでございますが、その際には、一番上のところでございますが、採血や静脈注射等について医師以外へのタスクシフトを要件として求めているというものでございます。これの届け出を行う医療機関も現在300強となっております。
 続いて、特定行為研修制度について31コマ目で整理をしております。頻繁に行われる一連の行為をパッケージとして研修し、養成する取り組みが進められておるというものでございます。
 次に32コマ目、看護職員の負担軽減を図るために、診療報酬では主に夜間の看護体制を充実することに対して評価が行われております。表中の急性期看護補助体制加算ですとか、看護職員夜間配置加算などでございます。
 33コマ目を見ていただきますと、主な加算の届け出状況でございますが、左は急性期看護補助体制加算、右が夜間配置加算でございます。増加傾向にあるということでございます。
 平成30年度の改定におきましては、これらの評価の充実、障害者施設における看護補助加算の新設等を行ったという状況でございます。
 続きまして、35コマ目でございます。
 薬剤師の病棟業務の評価につきましての整理でございます。平成24年に薬剤師が勤務医の負担軽減に資する病棟業務を病棟薬剤業務実施加算として評価したものでございます。
 また、平成28年度の診療報酬改定では、特定集中治療室への病棟業務の評価を拡充したということで、届出医療機関数も増加傾向にあるということでございます。
 36コマ目は、チーム医療の推進ということで、薬剤師を積極的に活用するということが望まれる業務が示されているというものでございます。
 続きまして、37コマ目は医師の働き方に関する調査の結果でございますが、病棟における薬剤師の関与割合が高い業務として、退院時の薬剤情報管理指導、患者からの情報収集があります。医師の負担軽減等の効果については、全ての選択肢において「とても効果がある」「効果がある」と答えた割合が9割を超えているという状況でございます。
 ただ、次の38コマ目を見ていただきますと、病棟薬剤業務実施加算の届け出を行っている病院というのは全体の約20%。病床が少なくなるにつれ、届出も低くなっているという状況でございます。届出をしていない理由として最も多い理由というのは、薬剤師の人数が不足しているというものでございました。
 続きまして、人員配置の合理化という視点で行ってきた取り組みについて御紹介をさせていただきたいと思います。
 40コマ目は代表的なあれですが、28年度の改定におきまして、例えば育児休業を取得した職員の常勤配置要件について、産前・産後休暇や育児休暇を取得した際に、同等の資質を有する複数の非常勤従事者を常勤換算することで施設基準を満たしているという取り扱いにしたというものでございます。
 続きまして、41コマ目でございます。
 平成30年改定におきましても、小児科、産婦人科の領域においては、週3日以上勤務している非常勤医師を組み合わせた常勤換算でも配置可能としております。同様の対応をリハ職員や看護師についても行っております。
 42コマ目でございます。
 また、30年改定においては、チームで医療を提供する項目での専従の要件を、チームのいずれか1人が専従でよいとする要件の緩和や、精神科専門療法について専従となっている職員について、当該業務を実施していない時間帯は他の業務に従事してよいとする等の合理化を行っているところでございます。
 次に43コマ目は、勤務場所に関する要件の緩和というものでございまして、例えば画像診断管理加算について、当該保険医療機関以外の場所での読影についても算定可能としておるというところでございます。
 続きまして、これから3つのものに関しては、現在、専従の医師・看護師の配置が要件の主な診療報酬項目を44、45コマ目に挙げさせていただいております。
 また、46コマ目では、2人以上の常勤薬剤師の配置が要件の診療報酬項目を挙げさせていただいてございます。
 続きまして、47コマ目でございます。
 これは、これまでの取り組みの中で、例えばチーム医療・複数主事医制を推進することによって、医師の負担軽減等を図ろうというものについて行ってきた取り組みをまとめたものでございます。
 例えばでございますけれども、先ほど出てきました手術・処置の休日・時間外・深夜加算の見直しということで、平成26年に導入しておりますが、例えばこれにおいても、下段を見ていただきますと、例えばチーム制というようなものも実施するよう促すというような形での要件の設定となっております。
 また、49コマ目を見ていただきますと、タスクシフトという形で医師事務作業補助体制加算というものを導入しておりますけれども、例えば、赤でくくった枠のところでございますが、病院全体のマネジメントの中の一つとして交代勤務制ですとか複数主治医制を実施することによって、全体として軽減策もあわせて図るといったことを要件として求めているというものでございます。
 50コマ目を見ていただきますと、医療機関の栄養サポートチームに歯科医師がチームとして参加したというようなものも、チーム医療の一つとして評価をしております。
 また、51コマ目ですが、周術期において歯科医が口腔機能管理を行うことに対しての評価の充実を行っているというものでございます。
 続きまして、52コマ目でございますが、書類の作成・研修要件等の合理化という視点で取り組みをまとめたものでございます。
 53コマ目は、診療報酬の算定に当たりまして、上段は緩和ケア実施計画書等の書類の作成や診療記録の記載を求めているものでございます。
 また、中段は、主なものとして、認知行動療法の算定のための研修の参加や、急性期一般入院基本料の算定を行うための院内研修といったような形で、算定に合わせて、算定の要件として例えば研修を求めているというもの。それから、栄養状態の改善に係るカンファレンス等の会議の開催を求めているというようなものがございます。
 54コマ目を見ていただきますと、検証調査の結果では、医師の負担感の多いものとしては、主治医意見書の作成、診断書等の作成が多いという結果でございました。
 55コマ目でございますが、平成24年の改定では、書類作成の負担軽減ということで、入院診療計画書とクリティカルパスと内容の重複している書類の作成につきましては簡素化してよいという取り扱いを行ってございます。
 また、56コマ目は、医政局のほうで主導しておるものでございますが、民間保険会社が医療機関に求める診断書については、保険業界における診断書作成に係るガイドラインを作成しておりますけれども、今般の働き方改革の議論を踏まえて、医師の負担軽減に資するようなガイドラインの見直しを行うための研究会が行われているというものでございます。
 平成30年の改定では、例えば対面でのカンファレンスを求めている項目について、一定の条件下ではICTを用いて開催した場合でも評価されるように要件を見直しております。
 次に、58コマ目でございますけれども、平成30年の改定においては、医療機関から各厚生局に施設基準の届け出を行う際の業務の簡素化として、副本の添付の廃止などの業務の効率化を行っておるところでございます。
 続きまして、書類の関係でございますが、看護職員の記録等に係る負担軽減のために多く実施されている取り組みとしては、例えば記録内容の簡素化・見直しということが挙げられております。また、右下のグラフでございますが、音声入力等を活用した代行入力や入力自動システムの活用も期待されているところでございます。
 60コマ目でございますけれども、左のグラフを見ていただきますと、薬局から医療機関への問い合わせについてですが、医療機関、特に病院においては、薬局からの形式的な問い合わせを負担に感じているということでございまして、右上のところでございますが、医療機関の薬局の間で事前に取り決めを行って問い合わせを簡素化するということで、双方に負担軽減をするというような業務の効率化を図っているという例もあるということでございます。
 61コマ目でございます。
 まず、医療機関の勤務環境改善のためには、医療機関のマネジメントシステムというものを機能させることが重要でございますが、個別にはタスク・シフティングや人員配置の合理化、チーム医療・複数主治医制の推進、書類作成・研修要件等の合理化などに対応してきたということでございます。
 矢印のところを見ていただきますと、論点として、院内のマネジメントシステムを推進する必要があるということも含めた上で、個別の取り組みについて、働き方改革の方向性や医療の質を確保する観点からどう考えるか。
 結局、私ども、これまで診療報酬等でやってきた取り組みを御紹介させていただきましたが、それをどのようにさらに進めるのか。また、ほかにどのようなことがあるのか、どういう課題があるのかについて御議論いただきたいと考えておるところでございます。
 続きまして、資する取り組みのうち、今度は地域全体での取り組みについてまとめておりますので、御紹介させていただきたいと思います。
 まず、救急、小児科、産科領域における取り組みとして整備させていただいております。
 次に、64コマ目を見ていただきますと、基本的には医療計画等で地域で医療提供体制の確保に取り組むために作成されております。
 65コマ目を見ていただきますと、御承知のとおり、救急に関しては、救急提供体制ということで、初期救急、二次救急、三次救急ということでそれぞれ機能分担をして救急患者に対応するという仕組みがつくられております。
 そういう仕組みに対しまして、診療報酬では、66コマ目を見ていただければと思うのですが、例えば、それぞれ評価を行っておりますけれども、さらに平成30年での対応では、救命救急センターについてはその負担を担保するという観点から充実段階評価というものを行っておりまして、診療報酬においてもそれに応じた評価を行って、30年にはさらに3段階に分けての充実した評価を行っております。
 続きまして、67コマ目は地域全体で救急を確保するための取り組みということで、それぞれの機能で協力していくということで、例えば夜間・早朝等加算は、病院勤務医の負担の軽減を図るために、軽症の救急患者を身近な診療所で受けとめることができるように、診察時間の延長、診療所の夜間・早朝等の時間における診療を評価するということで設定されたものでございます。
 また、地域連携小児夜間・休日診療料においても、地域によって病院に患者が集中しないような体制の構築のための評価というような形で、地域で病院と診療所が協力をして救急患者を受けとめているという体制を評価したというものでございます。
 続きまして、68コマ目は、例えば小児医療でございますが、小児医療の領域においては、一般の小児医療や小児の地域支援病院の一次から小児中核病院の三次までの体制が構築されております。
 69コマ目でございますけれども、診療報酬では、小児医療確保のために対応しているものの例ということで、平成20年の改定においては、小児科医20人以上の手厚い体制の評価という形をとっています。一方、新生児特定集中治療室管理料2というのは、施設当たりごく少数の病床を有する場合がありまして、多忙な病院を生んでいるという可能性がございます。
 周産期医療体制というところですが、低リスク分娩は、分娩のリスクに応じて地域で機能を分担して、それぞれの医療機関がその機能に応じた形でしっかり見ていこうという体制を示したものでございます。
 71コマ目でございますけれども、診療報酬では、産科医療確保のために対応するということで、平成18年に設定いたしましたハイリスク分娩管理加算は、3名以上の常勤医師の配置を求めているのですが、そこに充実した評価を行うということで取り組んできたところでございます。
 続きまして、72コマ目でございますけれども、まず、地域医療提供体制を確保する観点から、都道府県は医療計画を策定し、体制を整備するということになっております。救急や小児・周産期の領域においては、医療提供体制を確保する観点から、これまで診療報酬でそれを支援する評価を行ってございます。救急医療については第三次救急への重点評価、救急患者を診察する診療所への評価も行っております。また、小児・周産期領域については、集約化・重点化が必要とされている。これまで手厚い人員配置の評価を行ってきているということでございます。
 このようなことを受けて、矢印のところでございますが、働き方改革の方向性や質の高い医療を確保する観点を踏まえて、地域での取り組みという点についてどう考えるかということで論点を提示させていただいておるということでございます。
 以降については参考資料となりますので、議論の際にお使いいただければと思っております。
 以上でございます。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 医療従事者の負担軽減につきましては、従来ですが、改定のたびに対応してきました。加えて、前回の医療と介護の同時改定では、医師の働き方改革への対応がキーワードになったように思います。
 その中で、40ページから43ページのように、業務の分担、協働の促進、常勤配置や専従要件の見直し、24時間対応体制の要件緩和など、より弾力的な運用が可能となるような見直しも行われてまいりました。
 それから、44ページから45ページに専従の医師、看護師の配置が要件となっている診療報酬項目の例が示されていますが、あくまで医療提供の質の確保に配慮しつつ、引き続きより弾力的な運用が可能となるような見直しが行われるべきと考えております。
 特に、病院勤務医等の負担軽減策として、49ページにありますような医療事務作業補助体制加算が大変有効であることがわかっておりますので、ここの部分のさらなる拡大が行われるべきでありますが、30ページにこの部分と同じ資料が提出されております。このところを見ますと、全病院のうち、この加算を取っているのは約3割にすぎません。少しずつは伸びてきておりますけれども、そのような体制の中で、中小病院が非常にこの加算を取りにくいという状況になっておりますので、このところはしっかりと検討していく必要があるのではないかなと思います。
 また、53ページのように、診療報酬の算定に当たって、書類作成、研修の受講、会議への参加など診療以外の業務が多く、54ページの調査結果にあるとおり、これら診療以外の業務負担が大きいという結果が出ております。さらなる効率化と合理化が求められていると思います。
 72ページに飛ばさせていただきますけれども、地域の実情に勘案しつつ、地域で必要となる医療体制である救急医療や周産期医療をいかに確保するかということが重要であって、一部の医療機関に負担が偏ることがないよう、地域全体で助け合う取り組みを引き続き拡大していくことについては賛成でありますが、片や、例えば66ページ目の救急医療の充実のところで、前回の改定で2段階の評価をS、A、Bという3段階の評価にしましたけれども、このS評価がとれるところは非常に限られております。例えば、大学病院の救急を持っているところでもこれがとれないところもあるような状態です。そういった中で、大多数の標準的で質のよい救急医療体制を提供しているところに対する評価が不十分になっているのではないかと思います。
 また、今回の資料にはありませんけれども、救急医療管理加算の見直しも行われましたが、このところの評価の引き上げも考えていかなければならない問題ではないかと思います。
 と申しますのは、働き方改革の中で、例えば救急でも睡眠がしっかりと確保できないような救急医療体制をとっているところがたくさんあります。そういったところに対する医療機関への人件費の支援はぜひ必要かと思っておりますので、しっかりとした議論を求めます。よろしくお願いいたします。
○田辺会長
 では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 ありがとうございます。
 お願いと意見が合計で4点ございます
 まず、医師を初めとした医療機関で働いている方々の勤務環境の改善のための診療報酬ということで、いろいろ取り組みが行われているというのは今の御説明の中であったわけですけれども、今、松本委員がおっしゃったように、事務作業者の部分での活用というのは、3,000医療機関と非常に多いのですが、残りはみんな300台ということです。実際上、まだいわゆる勤務環境の改善に大きく資するような状況にはなっていない。それは、要するに要件が厳しいからなのか、かといって余り要件を緩和し過ぎて、医療安全などに影響が出てはいけませんけれども、何が拡大できないのかというのは少しきちんと検証していただきたいと思っています。
 それから、タスクシフトは医師の働き方にとって非常に重要な要素なのですけれども、特定行為研修のパッケージ化とかいろいろ取り組みがされていますが、実は、きょうの資料の中にありませんが、特定行為の修了看護師はふえていても、それが必ずしも現場で活用されているわけではない。特に長時間労働になっているのは大学病院等なわけですけれども、参考資料にもありますように、1,860時間の時間外労働を超えているのは圧倒的に大学病院で、9割ぐらいの大学病院が超えているわけですが、大学病院が一番一般の看護師が行える静脈注射や採血をしていないというデータも出ています。そういうことをきちんと解決していかないと、なかなか難しいかなと思っています。
 もう一つは、病棟の薬剤師さんの役割というのは非常に大きい。日本は世界一薬剤師を養成している。にもかかわらず病棟では薬剤師が不足しているというのは、大きな構造的な問題だと思っています。これは、一番大きな理由は、調剤薬局の薬剤師の給与と病院の薬剤師の給料が大きく違っているということがとても大きな原因になっていると思っています。私は、病棟の薬剤師さんの待遇改善には、調剤の技術料等、きちんと手当をしていくべきではないかなという思いがあります。ぜひ御検討いただければと思っています。
 最後になりますけれども、53ページ、これも松本委員からお話があったお話ですが、1つ、非常に細かいお話で恐縮なのですけれども、主治医意見書というものが一番負担になっている。
 これは介護保険ですのでいわゆる医療ではないのですけれども、大学病院の先生などにしてみれば、あるいは大病院の先生から見ていると、専門的な医療を行っていますので、この主治医の意見書というのは何を書くかというと、医療の診断を書くわけではなくて、どれだけおうちで介護が必要なのかということを書く診断書なのです。
 ですから、大病院の先生、専門医療をやっている先生にとってみると、そんなもの書けるわけがないわけです。だから、単なる時間的な負担もあるけれども、精神的にも物すごく負担で、これは日本の法律で、介護申請をしたら1カ月以内で認定結果を出さなければいけないということになっているのに、それができない理由の1つが、大病院から主治医の意見書が出てくるのが非常に遅いということがあります。
 これは、かかりつけ医を国民に持ってもらいたいと言っているのですから、日ごろの在宅での生活状況がわかるかかりつけ医の先生が書くのが最もふさわしいのであって、病院の先生から速やかに簡単な医療情報をかかりつけ医に渡すことによって、かかりつけ医がこれを書くということは、要介護認定者の方にとっても正確な、そして速やかな認定が出るということに資するわけですし、病院の勤務医にとってもこういう大きな精神的な負担、あるいは実際の負担が減るということになるので、ぜひ病院から速やかにかかりつけ医にそういったことが情報提供できる、もしくは書いていただくような連絡をするということを病院側に評価していただくことを検討していただければと思っています。
 それから、ここの保険局の話ではないと思いますけれども、そもそも主治医の意見書というのが誤解を招くと思っています。これはかかりつけ医が書くべき書類であって、主たる病気ではなくてその方の生活全般がわかっているかかりつけ医が書くという意味で、これは保険局の問題ではないと思うのですけれども、いろいろな課題はあると思いますが、ぜひとも名称をかかりつけ医の意見書というものに変えていただいて、国民に広くかかりつけ医を持っていただくための契機にしていただければと思います。よろしくお願いします。
○田辺会長
 では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
 ありがとうございます。
 今回の働き方改革と医療、特に病院について、この先、若者、特に働き手の減少、そして、病院の医療の高度化等を考えたときに、これは非常に大きい問題で、基本的に医療の質を担保した上での効率性等を考えるべきだと思っております。
 まず1つは、24ページ、今まで行われてきたさまざまな勤務環境改善の取り組みがあるのは重々承知しておりますが、実は4月から、働き方改革によって医師の勤務体系は変わってきております。例えば、放射線技師とか臨床検査技師は、救急の場面では夜勤を置かなければならない。今までは当直制で済んでいたのが、この改革で夜勤として捉える。それから、ドクターにしても、5年後までに働き方をどんどん変えていくというようなことで、明らかに人件費、人数がふえていくわけです。
 そうすると、病院は運営をやっていけなくなりますので、基本的な問題としてこういうものを捉えた、入院基本料がどうあるべきかというところを議論しないと、今後なかなか病院の運営はおぼつかないのではないかと思っております。
 それから、何点か細かいことを言わせていただきますが、31ページ目、先ほどもお話が出ておりましたが、医師事務作業補助というのは、非常に業務の効率化に役に立つということは明らかです。その上でこのページを見ますと、99床以下の病院がほとんど取れていないという結果になっております。この原因は何かといいますと、実は、医師事務作業補助の加算をとるためには、急性期の患者さん、救急の患者さんをどれだけ受け入れているかという病院単位の数になっているのです。そうしますと、大きい病院は当然受け入れが大きいし、小さい病院は絶対数として少ないので、そのため、99床以下が取れないというようなことが明らかですので、ここは病床数、もしくは病棟に応じて評価を変える必要があるのではないかと思っております。
 続いて、38ページの薬剤師さんの問題ですが、先ほども今村委員からお話がありましたように、非常に薬剤師さんが不足しております。それで、ここでもやはり300床以下あたりは加算が取れないというようなことになっております。これは、基本的には加算は全て2人の常勤薬剤師がいないと取れないということになっているのです。ところが、実態としては1人しか薬剤師がいない病院が多々ありまして、ここは全部加算が取れないというようなことになります。したがいまして、そこのところの見直しも、1人でも十分に病棟業務ができている場合はいいのではないかというようなことも言えるのではないかなと思います。
 また、42ページ目の専従の要件ですが、これは前回も少し緩和されたわけですけれども、専従要件そのものをどういうふうに見るかということがあります。専従要件は100%、10割その仕事に専従なのです。ところが、有資格者は、それで必要なこともありますけれども、少しほかの仕事もできればより効率的に回るということがあります。したがいまして、この専従要件そのものを少し見直すよい機会に、今回はなるのではないかと考えております。
 それから、例えば病棟の看護師さんの配置、夜勤の問題もありまして、やはりここの従業員がそれぞれの仕事に対する多様性を受け入れる環境をつくるためには柔軟な対応が必要です。したがいまして、現在ある72時間2人夜勤の問題にしましても、現在の働き方改革から言いますと、もう少し柔軟なやり方があるのではないかと思っております。
 長くなって申しわけありませんが、もう少しだけ。
 58ページに、事務の効率化、合理化ということが出ております。前回、非常にいい形で合理化が進んだと思っておりますので、さらにこの事務的なことをITによる合理化、作業を効率化させるということをさらに推進していただきたいと思っております。
 最後ですが、65ページに救急医療体制の体系図というものがございます。ここで、二次救急の医療に対して病院群の輪番制の病院ということが書かれておりますが、今、聞き及ぶところによりますと、実は都道府県によって二次救急の指定のあり方が大分異なってきていると思います。これは、病院が多い少ないということ、いろいろなことがありますけれども、実態として二次救急が都道府県でどのような形で指定しているのか。ここをぜひ調べていただきたいと思います。これがはっきりしないと、例えば二次救急を評価するときに、どういうような評価をすれば全国的にきちんと評価ができるのかということにも関係ありますし、救急医療管理加算のあり方にも及ぶことですので、ぜひ実態を調査して報告いただきたいと思っております。
 以上です。どうもありがとうございました。
○田辺会長
 では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 先ほどから、2号側の先生たちの働き方改革における医療現場の実態、課題というのは非常に参考になるというか、よくわかりましたけれども、各論をここで議論する前に、総論的な考え方を整理しておきたいと思います。
 医療現場における労働時間の適正化を図っていくには、医師の皆さん、その他の医療従事者の皆さんとの間での業務の分担、連携を進めるとか、チーム医療の推進をするというのは基本的でかつ必須的な対応であるというのは総論的には考えておりますし、一方で、患者サイドといいますか、患者の医療のかかり方についての周知、理解を進めるということも、この働き方改革をしていただくには必要なのだろうと思っています。
 そういう意味では、資料にもありますけれども、予算事業と診療報酬のどちらで何をどう対応することがより効果的なのかというようなこと。また、地域における医療提供体制をどのように整備していくのか。地域医療構想というのもありますけれども、そういったことも踏まえて、そういうものを念頭に置きつつ、診療報酬で何を目的に、具体的に何ができるのかということを複眼的に対応策を検討していかないといけないのだろうと考えております。
 人員配置の合理化については、これまでの現場のいろいろな状況、考え方、また、中医協における今までの議論、課題を十分に踏まえて、医療の質の確保が当然ながら大前提でございますので、診療報酬項目の一つずつにおいて、何がどうできるのか、どうすれば働き方改革に資するのかというところを慎重に議論を重ねていく必要があるのだと、総論的で申しわけないけれども考えております。
 また、人員配置の合理化を図るためには、今後、今、猪口委員からもありましたけれども、ICTなどの最新技術を活用した負担軽減策をさらに進めていくことが重要な課題であると思っております。
 資料の43ページとか57ページにもありますけれども、前回の改定ではICTを活用した医療勤務現場の要件緩和が行われましたが、やはり今後はAI等を活用し、診療支援技術の開発が非常に大きい効果があるのだろうと思っています。現在、国では何かこういうことについて研究を進められているのかどうか。もし進められておるのならば、その進捗状況、次期改定への反映の可能性等についてお聞かせ願えればありがたいと思います。
 以上です。
○田辺会長
 では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
 診療支援技術の関係ということでございますけれども、開発の支援については、国全体で医学研究の中で、1つは医療支援の技術開発、AIですとかITを用いた技術開発を進めておる分野がございます。当然これはAMED等で進めておりまして、経産省、文科省、厚生労働省それぞれの予算が入って支援をしているという状況でございます。
 ただ、まだ薬事法等でちゃんと通って許可されているというものは今のところそれほどないのではないかと。幾つか認証のほうに乗ったものがあるとは聞いておりますけれども、まだそういう形で乗ってきているというものはそれほど多くないと聞いております。
 以上、報告させていただきます。
○田辺会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 具体的にはどういう分野というか、事務の支援とか、先ほど今村委員からもありましたけれども、先生たちのいろいろ書くところについてはあれですが、事務負担というようなところについての分野についてなさっているのか、その辺の具体的なお話というのはお聞かせ願えないでしょうか。
○田辺会長
 では、医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
 事務負担という話であると、先ほど例に出てきましたように、電子カルテの音声入力、患者さんのいわゆる生体モニター等を一気にまとめて入力していくとか、そういうものの開発ですとか、ある程度一定の実用化についても、一部のものはかなり実用化に近づいてきているという状況だと思っております。
○田辺会長
 吉森委員、お願いします。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 厚労省としても、今、働き方改革に資するようなICTを使った支援ということでは、もう少し絞り込んでこういうことを早急に推進すべきだというような意見は発信するべきだと思っております。
 以上です。
○田辺会長
 では、平川委員、お願いいたします。
○平川委員
 ありがとうございます。
 医師の働き方改革に関してですけれども、保健所に対する医療現場の大変な危機感と、必ず変革しなければならないということに関して、この働き方改革の検討会においても危機感が共有されたのではないかなと思っているところでありまして、引き続きこの規制水準の検証と段階的な縮小ということが求められるのではないかなとは思っています。
 その上で、要件の関係のところについて発言させていただきますけれども、多分、この診療報酬のさまざまな要件については、いろいろな議論経過、現場の実態を踏まえて、安全性を担保する意味でこの要件というのがつくられてきたというような経過があるかと思います。
 ですから、効率的な運営というのも重要ですけれども、この要件の緩和の見直しに当たっては、医療安全上どうなのかという観点をまず重視した上で、場合によっては、さっき言ったICTの活用も含めた形で、可能であれば緩和していくというふうな議論にしていかないと問題が生じるのではないかなと思っています。
 また、要件の緩和の中で、例えば逆に労働条件の悪化につながるもの、先ほど看護体制の見直しに言及がありましたけれども、要件の緩和の中身が全く違う内容で緩和されるということは全く筋違いだと思っていますので、その辺は押さえておく必要があるのではないかなと思います。
 そういった意味で、9ページにありますように、働き方改革とセットということで言うと、地域医療構想もしっかりと行われなければならないということが記載されております。ここは中医協の場なので、別な審議会の場になるかと思いますけれども、支払い側、特に被保険者側として考えなければならないのは、地域医療提供体制が本当に効率的にならないままに医師の働き方改革が進む。医師の働き方改革は固定化していますので、絶対にやらなければならないという状況の中で、地域医療の提供体制が非効率のままで置かれるということについては、多分地域医療で適切な医療が提供されなくなってくるという懸念があります。
 そういった意味で、地域医療の提供体制は一体どうなっていくのか。地域医療構想が本当に適切に議論されているかというと、現状、全国128万床の病床があるわけですけれども、議論が進んでいるのは急性期で46%、回復期で27%、慢性期で16%ということで、とても進んでいるとは言えない。特に合意済みというのが7%しかないという状況でありまして、地域医療構想、2025年までに何とかしていきましょうという話でありますけれども、もう今は2019年であります。本当にこの地域医療構想が実現できるかというと、かなり危機的な状況ではないかなと思います。
 そういった意味で、働き方改革がしっかりと進むべきでありますけれども、地域医療構想がしっかりと進んでいかないと、ただでさえ今、医師の偏在が拡大傾向にあるという状況もありますので、しっかりと地域医療構想が進むように議論をしていくことが重要ではないかなと思います。
 そういった意味で、この非効率の医療提供体制が残ったまま、例えば診療報酬上で入院基本料を引き上げるというのは、その辺の話はあり得ない話だと思っています。非効率性が残ったままそういうふうな見直しがされるというのは、私としてはあり得ないと考えているところであります。
 以上です。
○田辺会長
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 今、地域医療構想の話が出ましたけれども、平川委員とは考え方が全く違いますが、これは繰り返し日本医師会として発言しておりますけれども、地域医療構想はあくまで地域の実情に応じた課題や実現に向けた施策を検討するということ。また、各医療機関の自主的な取り組みや医療機関相互の協議によって、将来の地域医療提供体制を構築していくものであります。したがって、あくまで地域医療構想は病床削減のためではなくて、不足する病床機能を手当していくものであります。
 つまり、各医療機関は地域における自院内の病床機能をデータに基づいて客観的に把握して、自院の将来像を描いていく。その結果として、あるべき地域医療の姿に収れんしていくというのが自然な姿であって、あくまでどこどこの機能が何%であるといった形に当てはめていくものではないと思っておりますので、ちょっとその辺の理解が違っていると思います。
○田辺会長
 平川委員、どうぞ。
○平川委員
 私は、全国一律こうあるべきだと言っているわけではなくて、まず議論に参加して、地域のあるべき医療提供体制について、主体的に各病院が議論に参加していくべきだと。今はそこまでもいっていないという問題指摘をしているわけであります。
 もちろん地域の実情に応じた医療提供体制というのも、お互いの理解の上で進めるというのは極めて重要でありますので、その辺、よろしくお願いいたします。
○松本委員
 ここでは、地域医療構想の話ではないかもしれませんけれども、先ほど平川委員から少し補足がありましたが、病床機能報告と病床の数量との単純な比較ではなくて、先ほどちょっと発言がありましたけれども、調整会議等で各医療機関の診療実績や将来の医療需要の動向について十分に分析を行った上で、病床の機能分化や連携を進めていくということについては、あくまでも賛成でございます。
○田辺会長
 今村委員、お願いします。
○今村委員
 先ほど吉森委員、猪口委員からもイノベーションのお話、ICT、IoT、AIの活用の話がありまして、恐らくAIが進んでいくと、将来の日本の医療の姿が大きく変わるのは間違いないことだと思います。
 ただ、先ほど医療課長からもお話があった、例えば音声入力のようなお話は、SIPで研究段階にあるということなので、先ほどからお話があるように、働き方改革は2024年には罰則がついた法律ですので、これを実現するためにAIが何かすぐに役に立つという話ではなくて、中長期的な日本の医療のあり方のお話だと思っていますので、その辺の議論を整理して、つまり、2024年までの間の限られた年数の中でどういった医療現場の改革ができるかということを、診療報酬の中で何ができるかということに議論をある程度絞ったほうがよいのではないかなと思っております。
○田辺会長
 では、有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
 ありがとうございます。
 先ほど、今村委員、猪口委員から御指摘のあった点であります。
 37コマ目のあたりになりますけれども、まず、年間で病院に新たに勤務する薬剤師というのは大体3,000人ほど。実際に医療機関は9,000ほどあります。一方で、薬局は4,000人ほどで、御存じのように5万9000の薬局があるという中で、割合でいけば病院に勤務される薬剤師はそれなりにいると思っていますし、87ページの参考資料でも、わずかではありますが、病院の薬剤師はふえています。
 当然のことのように、37の医師の調査の結果を見ますと、それなりに病棟の薬剤師というのはしっかりと医師に対して負担軽減になる働きをしているということも当然認めております。
 そういった中で、給与に関しても、29年の医療経済実態調査の表を見ますと、確かに薬局の管理薬剤師はそれなりの給与が出ていますけれども、一般の勤務する薬局の薬剤師あるいは病院の薬剤師はさほど差はないと考えております。
 もう一方で、実務実習の学生等を受け入れたときに、さまざまな学生さんからお話を聞くと、決して今の学生は給与で勤めるのではなくて、自分の職責としてしっかり職能を果たせるようなところに勤めたいという希望もたくさん持っているということも聞いております。
 そういった点からも、特に病床数でいきますと、確かに小さいところほど病棟の業務の実施加算の算定が少ないということもあります。この辺のところは質を落とさず、常勤あるいは専従といったものの施設要件の緩和というのはほかの職種でも実際に行われているように出ておりますので、慎重な検討をしつつ、そういったものも検討していく必要があるのではないかと思っております。
 それから、薬局の薬剤師についてであります。60コマ目になりますけれども、このように地域の薬剤師会、あるいは地域の基幹病院とあらかじめ合意を得たものについては、問い合わせの簡素化というのはこれからも推進していくことがいいのではないかと思っておりますが、反面、薬局からの疑義照会は、疑義照会の項目として考えておりません。疑義照会というのは薬剤師法上定められた薬剤師の責務でありますので、疑義照会を決して省略するということではなくて、あらかじめ取り決めに定められた簡単な問い合わせ事項については、このような形で簡素化をして負担軽減を図っていくということも必要だと思っておりますし、28改定、30改定においては、一定程度主治医あるいはかかりつけ医との連携というような体制が報酬上いろいろ構築されたと思います。今後、こういったものをしっかりと検証して、モニタリングをしつつ、推進をしていきたいと考えております。
 以上です。
○田辺会長
 では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
 ありがとうございます。
 これは要望になると思うのですけれども、働き方改革に関しての今後の取り組みに関しては各委員が各論いろいろおっしゃられたとおりだと思うのですが、これまでの働き方改革等に関しての観点からの診療報酬改定の経緯というのは、スライドの23に出ているようにいろいろなトラックを走らせて改定されてきたと思うのですけれども、その中で、医療の質の担保ということもございますので、医療機関の集約化・重点化という流れをつくり、その中において手厚く人員を配置したり、さまざまな要件を満たしたところに手厚い点数をつける。
 これはある一定理にかなったところではあるわけですが、ただ、日本の場合は、各地域において医療の提供体制というのは非常にさまざま、特に地方においては民間を中心に非常に頑張っておられるところも多い。そして、そういうところは中小の小さな医療機関、今回は病院を対象にしてお話をしますが、そういう形になっているということに対して、これまではどちらかというと冷たい対応をとってこられた。正確には、幅のある対応ができてこなかったということがあろうかと思います。
 先ほど猪口委員もおっしゃっておられたように、中小の医療機関では財源的な、マンパワーの問題もあって、算定要件を取れないところが非常に多くて、働き方に資するという取り組みがなかなかできないという状態にあります。
 今後、特に今回はこの働き方に関してどういう取り組みをしていって、それに対して診療報酬でどういう手当をするのかという観点からのお話でしょうから、そういう中小でも頑張っておられるところが働き方を改善していきながらということになると、恐らく地域の医療機関との連携を中心とした役割、機能分化をしていくということになろうと思いますので、例えばそういうあたり、しっかりとした手当てをするということも含めて、いま一度中小の医療機関に対して、現状に即した形の手当てというものができるのかどうかという視点を今後の診療報酬改定に取り込んでいただきたいというのが要望でございます。
 以上です。
○田辺会長
 では、遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員
 ありがとうございます。
 働き方改革においては、歯科医師については余り述べられていないのが実情でございますけれども、数は少ないのですが、参考資料90ページにもありますけれども、約12%が病院に勤務しております。同様の課題があるように思っております。
 また、実際に、周術期の口腔管理等も、マンパワーの少ない病院歯科等ではかなり負担になっているということも聞いております。歯科医師についてもこれらの調査が行われていると伺っておりますけれども、実態を把握した上で必要な対応を要望したいと思います。
○田辺会長
 では、島委員、お願いいたします。
○島委員
 ありがとうございます。
 医師の働き方改革について、いろいろなところで改善していくポイントがあるというのは非常にありがたいなと思っておりますが、実際には労基も是正勧告とか指導など、いろいろな医療施設に入って、最初のスライドにありますように、時間外労働時間の問題も含めて、一番ダメージがあるのは救急の現場でございます。表現が大げさかもしれませんが、自分たち医師の命を削ってでも患者さんの命を救おうという働きぶりが、今までの救急医療の現場でちゃんとした結果を出してきたわけですが、これがある程度労働時間をレギュレートするという話になると、急にそこに携わる医師がふえるわけではないので、それをどうやって質を落とさずに現状の医療を継続していくかといったところは、かなり知恵がいるのだろうと思います。
 ですから、こういったところの問題も含めて、診療報酬でどういう対応ができるかは別にして、真剣にみんなで考えていかなくてはいけない問題だろうと思っております。
○田辺会長
 では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 働き方改革による人件費の増加について、入院基本料にまで言及されましたが、これは誰が負担するのかということをまず考えていただきたいと思います。
 医師の働き方改革を患者が負担することについては非常に違和感を覚えます。
 働き方改革というのは、医療機関にかかわらず、全ての企業、あるいは厚労省においても行われているところであって、共通して、まず始めるべきことは、経営者のトップによるマネジメント改革であって、働く個々の医療従事者の方々の意識改革はその次に行うべきことではないかと思います。
 また、タスクシェアやICTも進展していますので、これらを最大限活用した効率化も個々の医療機関が進めていく必要があるのではないかと思います。
 ただ、医療機関は、応召義務があるというところが一般企業と違っており、これをどういうふうに扱っていくかは難しい問題だと思います。まず、国としてやるべきことは、今後の医療需要と供給体制のバランスをうまくとっていくということではないかと思います。そこで現在取り組んでいるのが、今、平川委員がおっしゃった地域医療構想です。
 医療機能の分化、連携、あるいは医療従事者や診療科の地域偏在といったものを是正していくことが、各病院、医療機関の働き方改革を変えることにもつながっていくため、国はこれをまず進めていかなければいけないのではないかと思います。
 中医協の場ですので、診療報酬での対応については、加算の創設や入院基本料を引き上げることではなく、業務の効率化を個々の病院が進めていく上で、何か阻害となる要件があればそこを取り払うといった方向性で議論を進めていくべきだと思います。例えば先ほど今村先生がおっしゃったように、非常に負担になっている主治医の意見書のあり方について、昔であれば手でやらなければいけなかったことが、ICTの進展によって効率化できる。そういったところを診療報酬で対応していくべきだと思っています。
 医師の働き方改革でもう一つ必要なのは、患者の受療行動を変えるための、診療報酬上での誘導が必要だと思います。その例としては、紹介状なしの大病院の定額負担の拡大や、あるいは、軽症でもすぐに病院に行くということがないように、医薬品の保険償還範囲の見直しを行うことがあげられます。
 加算や入院基本料を拡大するというのは働き方改革とは少し違う方向だと思いますので、これは御指摘させていただきたいと思います。
○田辺会長
 では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 今の幸野委員に、反論というわけではないのですけれども、共通の理解をしておきたいということはあります。
 1つ、マネジメント改革だとか医療機関の意識改革が今まで十分でなかったという御指摘はそうなのかもしれません。しかし、今回、働き方改革の検討の中で、相当このことについては共有できたというように、これが重要だというのは医療側も認識していて、当然やるべきことはやっていくということを前提にして、医師の働き方がいわゆる医療の安全や質に関係ないのだというような御意見が前にあった。つまり、中医協の中で医師の働き方を検討するのは論外だという御意見を幸野さんからいただいた。
 そのときに、私、申し上げたのが、医師の働き方は医療を受ける国民の医療の安全に資する話だと。夜中じゅう働いている外科医が次の日に手術を患者さんにするということが本当に医療の安全の質につながるのですかと、これは多分全く意見は違わないと思うのです。それを支えていくために一定程度の財源が病院には必要であるということも、これはどんなに改革をやってもある程度コストはかかるので、この中でたまたま一例として加算だとかのお話が出ているのであって、何か全ての診療報酬を医師の働き方に結びつけるのはけしからぬという議論ではないかなということで、一つ一つ丁寧に議論をしていただきたいなと思っています。
 それから、中医協の場なので、患者の受療行動を診療報酬で誘導するというのは、それはそれで中医協の場ですから当たり前かもしれませんけれども、ぜひ保険者にお願いしたいのは、今の医療の状況がどうなっているのか、医療現場がどうなっているのか。そういったものを被保険者に対してきちんと啓発していただきたい。これは中医協の議論ではありませんけれども、医療の総量が減らない限りは医療現場の負担も減らないわけですから、そのことは共通の理解だと思いますが、全てのステークホルダーがきちんと日本の国民に医療の受療行動を適切にしていただくように働きかけをしていただきたいということを、保険者の皆さんにお願いしたいと思います。
○田辺会長
 では、松本委員、お願いします。
○松本委員
 重ねてになりますけれども、幸野委員のおっしゃったことについては、私は明確に反論いたします。
 この診療報酬改定においては、この中医協の場でも、医療技術の適正な評価をきちんとするということ。それに伴って、患者さんは一定の負担をしなければならないこと。これは明確なルールであります。それを保険者側からきちんと被保険者に説明をするという視点が欠けているのではないでしょうか。それが保険者にはちゃんとあると私は思っております。
 したがって、我々医療機関、診療側もそういった努力をこれからもしていかなければなりませんが、保険者側にも同等の義務が生じているということはぜひ御理解いただきたいと思います。
○田辺会長
 では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 各論に入って、これならば適切だろうという加算であれば我々も納得するとは思いますが、働き方改革を入院基本料の引き上げによって対応することは少し違うのではないかということで発言させていただきました。
 それと、今村先生がおっしゃったことは確かにそのとおりだと思いますが、それは加算をつければ解決するのかをきちんと議論をしていかなければいけないと思います。
 保険者の普及啓発、正しい医療機関のかかり方というのは、100ページにも普及促進事業が行われているとありますが、現在、どのようなことが行われているか、勉強不足でわからない部分があるので、保険者がかかわれるところをおっしゃっていただければ保険者は喜んで協力させていただきます。
 具体的な議論で加算の創設を全て反対するということではなく、まずは働き方改革の阻害となっている要因を診療報酬上で撤廃する、また、時代に適合した要件に緩和していくといったことを先に中医協で整理していくべきではないかということは申し上げたいと思います。
○田辺会長
 医療課長、補足をお願いします。
○森光医療課長
 幸野委員から非常にありがたい御意見をいただきました。
 かかり方に関しては、実は資料の100から101、102という形で、昨年、医師の働き方改革に関する検討会とあわせて、上手な医療のかかり方を広めるための懇談会ということで多くの方に参加いただきまして、この101のところにありますように、「『いのちを守り、医療をまもる』国民プロジェクト宣言!」というような形で、全ての方が医療を守るために宣言していこうと。
 102にありますように、例えば信頼できる医療情報を見やすくまとめて提供し、その中でしっかり考えて行動していこうというようなこと、103、104にもいろいろな市民のアクションの例といった形で、それぞれの医療にかかわる、市民も医療従事者も行政も民間も参加して、医療を守るために活動していこうということで宣言が出ております。
 そこに御参加いただけるということであれば、私ども非常にうれしく思っておりますし、また、15コマ目を見ていただきますと、医療のかかり方普及促進事業ということで御紹介させていただきましたが、そこに例えばイベントですとかポスターの掲示、いろいろな取り組みの紹介がございます。それらにも御参加いただけるということであれば、ぜひ御協力をお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。
○田辺会長
 では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
 ありがとうございます。
 先ほど病院のマネジメントがまだまだではないかというような御意見をいただきました。
 実は、病院と言ってもいろいろな設立母体があって、それによってマネジメントの仕方がかなり違っているというのが実態だと思います。
 私が考えますのは、それぞれの医療機関がマネジメントをしていくに資するような診療報酬のあり方を考えるべきだろうということで、今、正直言ってこの分厚い規則の中でがんじがらめの中でやっていかなければならない。これらを、もう少し何か診療報酬のあり方を近代的に変えていくことによって、それぞれがかなりマネジメントをやりやすくなっていくということが間違いなくあるわけです。ですから、そういうマネジメントに資する診療報酬のあり方を今回議論できたらなと考えておるところです。
○田辺会長
 では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
 先ほども松本委員からありました保険者の役割というところでの意見に対してですけれども、我々被保険者は患者さんということに対しては、医療についてどれぐらいの知識を持って医療にかかっているかというのは、甚だ心もとないと言ったら失礼ですけれども、それは感じているところです。
 この資料の100ページにもありますけれども、国民全体に上手な医療のかかり方を広めるための懇談会ということをやっていただいているのですが、こういうものを踏まえて、我々もいろいろなセミナーをやったり、医療にかかる前提の予防の世界ですけれども、いろいろな授業をやっておりますが、その中で感じることについては、やはりまだまだこの医療というか診療報酬も含めて、理解度というのはこれからなのだろうと思っています。
 そういう意味では、どうやって国民一般の皆さんに理解いただけるか、上手に医療にかかっていただくかというのは、全てのステークホルダーが集まってこういうことを現場感覚で積み上げていくということが必要なのだろうと。それはそうとして、制度ですから、診療報酬として限られた財源の中で何をどうしていくかということも、一方ではきちんと丁寧に議論をしていく必要があると思っています。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
 看護職の立場から、2点だけ御意見を述べさせていただきます。
 1点は、薬剤師の病棟配置に関して、先ほどから御意見が出ていましたけれども、こちらに関しましてはぜひ積極的に進めていただきたい。看護職としても非常に期待しております。
 ただ、病棟配置を検討される際には、昼間だけではなくて夜間帯においても、今、急性期の病院では夜間でも同じように治療が続いておりますし、お薬の変更等が非常に多く発生しているというところもありますので、夜間帯にもミキシングですとかお薬の配薬といったことにも積極的にかかわるというところも検討していただきたいと思っております。
 2点目、先ほど猪口委員のほうから、仕事のやり方、多様性というところでのお話がございましたけれども、夜勤の時間数72時間のことですとか、2人夜勤体制についてもっと柔軟にという御意見がございました。
 このことに関しましては、現在、労働基準法等におきましても、看護職員の夜勤上限というのはないという状況になっておりますので、診療報酬の月平均夜勤時間72時間要件が唯一歯どめとなっております。ですので、患者さんへの安全な医療を提供するためにも、また、ナースの健康管理面からも、この72時間の要件につきましては、緩和というところではなく絶対に必要だと私たちは考えております。
 以上です。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、城守委員、お願いいたします。
○城守委員
 上手な医療のかかり方に参加していた者として一言述べさせていただきますが、今、吉森委員からもお話がございましたように、この懇談会は、結果的には最後の103、104ページのように、市民や医師、行政、民間企業、保険者さんも含めて全ての方がインフルエンサーとなってしっかりと啓発をしていくということになったわけですが、その中で、この委員会でも保険者の方の保険事業を含めたいわゆる被保険者の会員の方に対しての情報提供というものも非常に大きいという御意見は、委員の中からも非常に出ておりましたので、その役割としてはしっかり担っていただければということをお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺会長
 ほか、いかがでございますか。
 では、松本委員、お願いいたします。
○田辺会長
 先ほど労務管理全体についてのマネジメントということが出ましたけれども、今回4月から施行された働き方改革関連法ではいろいろな改正が行われております。例えば有給休暇のとり方とかといったこともありますので、こういった働き方改革関連法の影響をしっかりと調査した上で、またいろいろなデータに基づいて、例えば医師とか看護師の配置基準を考える場合にも、そういったデータをもとにして少し検討する必要があるのではないかと思いますので、また今後データの提出を待ちたいと思っております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺会長
 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御質問等もないようですので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
 本日の議題は以上でございます。
 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうも御参集ありがとうございました。
 
 

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